大高氏記録の翻刻テキスト

このテキストはみんなで翻刻で作成したものです.利用条件はCC-BYです.

巻6

《題:《割書:水|戸》大高氏記録 六》

【白紙】


【付箋】大高氏記録 六

    安政六己末
     正月 丙寅
         《割書:寒暖計ハ朝五ツ時をしるし|申候》
         《割書:晝八ツ時もしるし申候|》
 《割書:壬申|  あやふむ》   朝より至極快晴ニ而明方東の方
元日     より辰巳の方まて黒きねた雲あ
 《割書:朝貮拾七度|節分》   り五ツ過より四方快晴終日誠ニ
       穏ニて夜中迄も静なる日也
  御慎中ニ付布衣已上長上下物頭已上半上

   安政六己未
     正月 丙寅
       《割書:寒暖計は朝五ツ時をしるし|申候》
       《割書:昼八ツ時もしるし申候| 》
《割書:壬申|あやふむ 》 朝より至極快晴ニ而明方東の方
元 日  より辰巳の方まて黒きねた雲あ
《割書:朝弐拾七度|節分 》 り五ツ過より四方快晴終日誠ニ
    穏ニて夜中迄も静なる日也

   御慎中ニ付布衣已上長上下物頭已上半上

【コマ3と同じ画像】

   安政六己未
    正月 丙寅
        《割書:寒暖計ハ朝五ッ時をし|申候》【下方部分欠】
        《割書:畫八ッ時もしるし申候|》
 《割書:壬申|  あやふむ》 朝より至極快晴ニ而明方東【下方部分欠】
元日    より辰巳の方まて黒きねた【下方部分欠】
 《割書:朝貳拾七度|節 分》  り五ッ過より四方快晴終日【下方部分欠】
      穏ニて夜中迄も静なる日也
  御愼中ニ付布衣已上下物頭已上【下方部分欠】

【コマ3と同じ画像】

 下着用登 城御祝儀は不申上御機嫌御伺
 申上候様御達有之候
 門松も表通何方も立不申候

《割書:癸酉 |  あやふむ》  明七ツ半時地震少々動 五ツ半時雪
二日     降終日夜中迄雪降
《割書:朝弐拾八度|立春正月節》
《割書:夕七ツ時壱ト入|》

《割書: |きのえ戌》    朝より快晴終日至極上天気にて
三日    余寒つよし
《割書:朝弐十八度| 》
  今日例年郷士等登 城致候日ニ候処当年
  は不罷出候様御達有之候よし

      朝より至極快晴五半時よりくも
四日    り終日雲空にて夜五ツ時より雨
《割書:朝二十二度|》    降出終夜雨降

五日    朝より曇寒気ゆるみ五ツ半時よ

 《割書:朝三十度|》     り快晴夜中も晴

六日       明七ツ時より雨降六ツ時止暖気
 《割書:朝三十度|》      又々四過より雨雪交り降夜中快
《割書:南部粕拾四〆目俵|にて壱俵五厘湊にて》    晴
《割書:商人取引相場|》
七日       朝より至極快晴終日天気
 《割書:朝二十八度|》      よし

八日       朝よりくもり寒気ゆるみ終日く
 《割書:朝三十二度|》      もるにて夜中雨少降

九日       朝より快晴寒気ゆるみ夜五時地
 《割書:朝三十八度|》        震四ツ時北風立

十日       朝よりくもり夕方より雪ふり四ツ時
 《割書:三十六度|》        過迄降

十一日      朝より快晴四ツ時より西風少々吹
 《割書:三十一度|》

十二日     朝より快晴寒気強朝より西風吹
 《割書:二十四度|》     終日風吹夕方止

十三日     朝より快晴寒気殊之外つよし
 《割書:弐拾一度半|》    夜中むら雲

        朝よりくもり暖気九ツ時より小
十四日     地震同九ツ半時よしほろ〳〵雨
 《割書:三十二度|籾壱分》     直止暮方より又々雨夜中雨強四
 《割書:上三斗|中三斗一升》    ツ半時快晴
 《割書:下三斗二升|  》

十五日     朝快晴五ツ過よりむら雲暖気な
 《割書:三十三度|月蝕皆断》    り八ツ時過より快晴

十六日     朝よりくもり五ツ時雪ちら〳〵
 《割書:三十二度|鰯漁事無之ニ付》   直ニ止折々小雨ふる雪後より晴
 《割書:追々引上湊商人|取引十四〆位之俵ニ而》
 《割書:壱両九分七厘位》
十七日     朝よりむら雲四ツ半時より晴
 《割書:三十三度|》    西風吹

十八日     朝より快晴西風吹夕方迄風つ
 《割書:三十一度|》     よし
十九日     朝より快晴寒気つよし終日天気
 《割書:二十七度|》
廿日      朝より快晴五ツ時曇五半時ゟ
 《割書:二十五度|》     晴

        朝よりくもり西風さむし西風さ
二十一日    むし四ツ時より雪終日降夜ニ入
 《割書:二十九度|》     快晴寒気つよし
二十二日    朝より快晴九ツ過より西風少し
 《割書:三十度|》     吹

廿三日     朝より快晴寒気
 《割書:二十八度|》
  今日小泉え遣候おきく事安産致女子出生
  致候處小児事虚弱ニ而相果申候
廿四日     朝よりくもり八ツ過ゟ雨降り夜中雨
 《割書:三十度|》     つよし


廿五日     朝より【「くもり八ツ」を見せ消ち】快晴暖気也
  今日支配人了助妻おくめ八つ時安産男子
  出生安蔵と名つけ申し候

廿六日     朝よりくもり北風吹暖気四つ時
 《割書:四十三度|漁事無之磯二而》  より雨降夜中も雨つよし北風吹
 《割書:粕両に壱厘ニ弐分位|》
廿七日     朝よりむら雲暖気北風少し吹
 《割書:四十一度|》
廿八日     朝よりくもり四ツ時雨ふり直止
《割書:松岡米廿八俵|白米□□八合》     終日曇り南もやうにて暖気
《割書:上米壱升【字消し】百三十弐へ|》
二十九日    朝よりくもり北風s終日くもり空
 《割書:二十九度|》     にてさむし
晦日      朝よりくもり終日くもりそr空にて
        さむし

 玄米兵庫邊六斗三四升位上方國々伴留に
 て江戸積一切無之よし
 太田邊籾壹分ニ三斗【升、見せけち】五升入
 會津若松邊昨年ハ玄米壹石五斗五升舊冬
 押詰メニ壹石三斗此、、壹石位平瀉邊七
 斗貮三升




      二月

朔日      朝よりくもりさむし四ツ時より
 《割書:三十六度|》     照立

二日      大霜快晴寒気
 《割書:三十一度|二月節》 

三日      朝よりくもり九ツ時より雨降夕
 《割書:三十三度|》     方止

四日 朝よりくもり九ツ時よりてり立
《割書:三十四度|》 夕方よりくもり夜五ツ時俄雨つ
   よし半時斗ニ而止

五日 朝より快晴終日天気よし夕方よ
《割書:三十七度|》 り曇

六日 朝よりくもり北風夜五ツ時より
   雨降

   朝五ツ時より雨降九ツ時照立八
七日 ツ時より又々雨七ツ時止夕方ゟ
   又々雨つよし
八日 朝よりくもり北風ニ而さむし終
《割書:三十八度|》 日曇空にて持合夜中快晴
九日 大霜快晴寒気終日天気東風少
《割書:二十九度|》
十日 朝よりむら雲餘寒終日天気吉
《割書:三十三度|》 夜ニ入五ツ時雨降終夜雨つよし

十一日 朝より曇北風吹五ツ時半過迄雨
    ふり夫より晴
十二日 朝より快晴霜降北風吹夕方より
    曇夜四ツ時ゟ雨降出九ツ過より
    雨つよし
 今日小林おてか下町井筒や清兵衛【井筒屋朝景、江戸中期の装刀金工】え嫁ニ
 参る此方ゟ参りしもの小林弥十郎親類ニ
 而ハ我等加藤又衛門両人参ル仲人富田や
 太惣次

十三日 宵より雨降夕方止夜中北風吹
十四日 朝より快晴北風吹寒し夕方風出
《割書:ひがん|》
 紀州蠟并らうそく殊之外引上ケらうそく
 昨年壹固百十五六分位之所此節百八十朱
 位のよし

十五日 大霜快晴寒気強夜中むら雲
《割書:二月八日 出江戸帖|脇手拭類高値名古》    三川白
《割書:白下落》       《割書:改八百三分|一銘九百壹分》

名古屋白 池水油【石油】下落
《割書:一一 五反四分五厘|一二 六反五厘》 《割書:一池水油 貮拾四両|一白油 廿三両貮分》
《割書:一三 六反五分五厘|一四七反貮分五厘》 《割書:一胡麻油 三拾四両|一花漉油 廿八両三分》
《割書:一五 七反八分五厘|一六 八反三分五厘》 《割書:一種粕 《割書:本〆八枚五分|三八 九枚五分》|一白胡麻油 本〆八枚》
《割書:一七 八反八分五厘|》 《割書:一花粕 拾貮枚|一坂水□【囗に中】  貮拾五両》
      残六貫八百□
     《割書:大坂共八日出|    四百十八分》
      全七十貮 五分

十六日 大霜快晴餘寒強終日 天気よし
《割書:三十二度|》
十七日 霜ふる快晴終日天気にて夜中九
《割書:春分二月中|》 ツ過より雨降直止
十八日 朝よりむら雲五ツ時てり立さむ
《割書:三十六度|》  し四ツ時地震四ツ半時地震
十九日 霜降快晴暖気四ツ半過西南風吹
《割書:初庚申|》  直止むら雲
二十日 朝むら雲暖気四ツ時よりてり立
《割書:四十五度|》  殊之外暖気夜中過暖気なり
二十一日 朝より快気晴暖気
《割書:四十七度|》

二十二日 夜九ツ過より南大風吹薄曇暖気
《割書:梅花盛|》    四ツ時よりてり立むら雲にて終
日大南風吹夕方止
二十三日 朝より快晴さむし終日天気夜に
     入くもる
二十四日 朝より曇九ツ時より雨ふり夜中
     迄雨降
二十五日 朝より快晴暖気なり
二十六日 霜ふる快晴暖気

 去ル廿一日夜八ツ半時比青山松平近江守
 殿屋敷ゟ出火折節烈風ニ付右近邊之屋敷
 ハ不残赤坂 紀刕【刕=州】様御屋敷の裏通ゟ四ツ
 谷伝馬町通り一吹出し同所ハ大木戸迄夫
 ゟ荒木横町邉松平攝津守様御殿等不残夫
 ゟ市ヶ谷谷町邉 尾張様西門前通夫ゟ尾
 張様外山之御屋敷不残御隠居様御住所と
 もハ類焼夫ゟ牛込原町邉高田邉夫ゟ目白
 台へ飛火いたし大炊頭様御屋敷御長屋七
 棟程御殿ハ早焼右近邉雑司ケ谷

 公邉御鷹部屋并同所御鷹匠屋敷等不残翌
 廿二日四時過火元ゟは凡貮里程も有之鎮
 火餘程之大火ニ御座候 キ認荒増之所申
 上候 〆

  二月廿一日夜八ツ時より出火廿二日晝
  七ツ時鎮火



   道法里数
 青山邊より音羽護国寺邉迄南北凡壹里二
 十大丁餘
  一小屋敷  不数知
  一大名屋敷 三十七頭
  一寺数   百五十ヶ寺
  一御旗本  三百八十軒
  一町数   八十八ヶ所餘
 右之通実不□【「マヽ」の文字あり】未タ難斗御座候
 尾公【尾張守】御屋敷ハ 無御別條外山御屋敷御消失

  一津ノ守様 御類焼
  一目白様 《割書:御長屋|   御類焼》
  此外
 公邊御焔焇藏三ツ類失ニ而ひヽき雷聲の
 ことく小石川へも相聞候由
廿七日 朝より快晴晝時より東風吹暖気
《割書:籾| 三斗一升五合》 なり
廿八日 朝より快晴四ツ時より南西の風
《割書:晝八ツ時|中河内焼》  吹夕方止
 《割書:庄屋火元ニ而九軒類焼之よし|》
廿九日 朝より快晴暖気
《割書:四十八度|》  四ツ過より南風つよし
    夕方止
 晒蝋昨年夏より秋比迄近来無之下落ニ
 而上四〆目余ニ出来候処此節アメリカ交
 易ニ相成候由ニ而俄ニ引上貮〆目餘ニ相
 成候処三月ニ至リ候而ハ益〻引上壹両ニ
 壹〆九百目【「匁」にみせけち】位ニ相成候由
 江戸表未少〻下落町米五斗四五升

 金津大田楽當年七十三年目ニ當り候處此
 度之御儀ニ付年延ニ相成候よし
 いそミナト邉久しぶりニ而少々漁事有之
 拾三〆位之俵ニ而壹両壹俵四分位

   三月
朔日  朝より快晴四ッ時ゟむら雲出四
《割書:四十八度》  ッ半過より南風吹夕方つよし夕
    方より雨降夕方雷一聲大風直止
    夜中雨も折々西風
二日  朝より快晴戌亥の方黒き雲明六
    ッ半時風止
 二月廿一日明七ッ半時比折節南風はげし
 く青山久保町邉より出火おんでん松平近
 江守殿初外ニ小【一字消し】屋敷やける松平志摩守殿
 半分焼北原稲荷熊の權現りう願寺ぢのう
 寺大軒町千駄ヶ谷小屋敷りうはうじさへ
 くさ殿水上金次郎殿松知殿佐橋殿うミまへ
 町少々大傅馬町てうせん寺信濃殿町花房
 殿永井志摩守殿岡野新右衛門殿森川出羽

 守殿長あん寺門前残る其外小屋敷四ツ谷
 三千町御組屋敷少々いが丁小屋敷半分大
 木戸ゟ塩丁三丁目一丁目傳馬町三丁目油
 屋にてとまる其外忍町一丁目二丁目三丁
 目舟板横丁ひしや横丁上くわん寺横町ゆ
 や横町寿正寺横町大番横町天長寺先明寺
 北高町延ばんいんわぐう寺外ニ小屋敷く
 らやミ坂まん中坂きあら寺門前町せうい
 ん前市ヶ谷谷町板倉殿念仏坂あけうじ松
 平伯耆守殿松平佐渡守殿松平摂津守殿外
 ニ小屋敷川田ヶ窪小屋敷岡田宗次郎殿に
 て留る復一ト口ハ尾張様下中西菊太郎殿
 細い殿紀州様大久保四丈町稲山近辺団子
 坂若松町水の土佐守殿ぜんげん寺松平能
 登守殿牛込原町一丁目二丁目三丁目中程
 少々残るかうこく寺 した小屋敷清水丹
 次郎殿じやうせん寺松平越後守近辺小屋
 敷かんつう寺ぐわん満寺高田の馬場下町
 さいはう寺せんぐわん寺わせだまちだい
 たん寺わうぜん寺どゞめき弁天町早稲田

  町高田馬場八幡した穴八幡中門残る其外
  ニ飛火一口雑司ヶ谷四ツ谷町松平大炊守
  殿又一ト口ハ飛火にて音羽一丁目二丁目
  焼る漸廿二日昼前鎮火此行程二里半余
《割書: |三月節》
三日   朝より快晴さむし北風少々吹
《割書:四十六度》
四日   明七ッ前より北風吹快晴夕方迄
《割書:四十八度》   風強
五日   朝より快晴さむし九ッ過より
     北風夕方止夜中くもり
六日   朝東の方ニ黒き雲有五ッ過より
《割書: 桃盛| いわし》   薄くもり南風吹暖気四ッ半時よ
 《割書:粕拾四〆目位|之儀ニ而金壱》 り夕方迄南風強吹七ッ過雨少し
 《割書:両ニ付八分位》 ふり夜五ッ時ゟ四ッ過迄雨風
《割書: いそミナト少々| 漁事有之》
《割書: ミナト十三〆目位ニ而| 壱俵四分いそハ拾弐〆目位ニ而壱俵五分少商人取引》
七日   宵より雨降暖気五ッ時雨止終日
     曇
八日   明方雨六ッ半時ゟ快晴九ッ半時
《割書:四十七度》   過ゟ俄ニ西風にて大風雨夕立も

 《割書:油下落|江戸表種油拾□》 やう直止快晴
 《割書:ニ付弐拾三両位|手拭地壱反壱朱》
 《割書:ツヽも引上ケ》
九日    朝むら雲五ッ過ゟ快晴東風にて
《割書:四十五度》    夜中迄さむし暮六半時白雨模様
 《割書:江戸表三河白|相銘七反五分 》 ニ而はじ〳〵雨降直止
十日    朝むら雲五ッ時ゟ快晴さむし終
《割書:四十七度》    日風なし
十一日   朝より至極快晴さむし終日上天
      気風なし
十二日   朝薄くもり快晴終日上天気風な
《割書:五十二度》    し
十三日朝少々むら雲あらし終日快晴九ッ過よ
《割書:五十五度》    り北風吹夕方止夕方よりくもり
      雨少々降
十四日   朝よりくもり四ッ半時より雨降
《割書: 当春ハ折々雨ハ| 有之候得共旧》  夜中迄つよし
《割書: 冬より所々井戸水無之此節ハ田の水無之苗代ニ困り居候処今日雨にて| 苗代も出来可申との事》
《割書: |五十八度》
十五日   朝より快晴暖気
《割書: 御愼中ニ付| 八幡宮祭延る》
十六日   朝より快晴五時地しん九ッ時よ

      り南風吹夜中曇
十七日   朝よりさむし薄曇九ツ時より北
《割書:五十五度》    風吹夜中迄風吹
十八日   朝ゟくもり北風吹八ッ時ゟ雨ふ
      る夜中南風
十九日   朝より雨降九ッ時ゟ雨止終日曇
《割書:五十二度|三月中》    り北風少々ふく
廿日    朝よりくもり終日くもり北風も
《割書:五十七度》    やうにてさむし
廿一日   朝ゟ快晴寒気霜にても降ルく
      らひなり
廿二日   朝より快晴寒気終日天気よし
《割書:四十四度》

 《割書:地水油  弐十弐両壱分  種粕本〆 八枚五分|上々白油 廿弐両壱分   同並□  九拾五分》
 《割書:胡麻油  三拾弐両壱分  白胡麻本 八枚|荏油   廿七両弐分   黒胡麻  十五枚》
 《割書:殘大〆八百〆        荏粕  十枚五分|大坂十二日出 水油三百九十四□》
 《割書:       仝 七十三□》
 《割書:当十一日亀井邸ゟ出火同十五日神田佐久間町ゟ出火昨夜ハ深川一ノ堀|出火何レも相応之焼之御座候神田亀井町ハ二度焼ニ御座候》
  《割書:石町辺日本橋辺大騒いたしたよし》
廿三日朝よりくもり四過より照立快晴夜ニ入

《割書:五十度|鰯粕高値其上》   八ッ晴地震三度ゆる
《割書:に中金詰ニ而粕買入更ニなし》
廿四日   朝より快晴暖気終日天気よし
《割書: 五十四度》 
廿五日   朝より快晴暖むら雲北風吹夜中
      くもり
廿六日   朝より快晴薄曇暖気南風にて輕
《割書:  六十二度|  當年は續く水なし 》 暑位大雲立にてくもり夜中大曇
《割書:  にて苗代も出来不申立て難渋之よし》 

三月十八日出江戸相場
 一古川米          一町米五斗七八升
 一南郷米  五斗五升    一糯米五斗二三升
 一水戸大豆 八斗一升ゟ三升 一水戸小豆七斗七九升
 一同小玉  七斗六七升   一大麦石六斗
 一小麦   石弐斗五升   一菜種七斗ゟ
 一仙臺廻米 四人五人 五斗九升五合
 一京地諸品共髙直別 京類大引上壹固四拾六七両位いたし居候處
  當時に而は六十七八両位【(「位」を見せ消ち)】に相成候様申参り候よし右は長崎表
  交易に而引上候様之沙汰のよし申参り候
廿七日   明七つ時きりより五時迄きり雨
《割書: 六十六度 》   暖気九つ時より北風になり終日
      くもり空にて雨なし
廿八日   朝よりくもり冷気終日くもり雨
《割書: 五十度》    に而夜五つ時ゟ雨降
廿九日   宵より雨降冷気きり雨なり直や

《割書: 五十五度 》   む終日くもり空にて持合夜四つ
      時終夜大雨
晦日    宵より雨ふる南もやうにて暖気
《割書: 五十七度 》   也夕方雨止

    四月
朔日    朝くもり六時半時よりきり雨ふる
《割書: 五十六度 》   八つ時ゟ快晴七つ半時俄に大く
      もり雨降直止
二日    朝より快晴むら雲明方ありさむ
《割書: 四十七度 》   し
三日    朝より快晴さむし終日さむし九
《割書: 四十五度 》   つ半時より北風吹
  干粕類あまり高値ニ付更ニ揃か不申皆々賣人とも損毛

 御町人共召仕店若者子供并下男女の御領
 地領生所名前年付文兄之名片書にいたし
 廻紙堅紙へ認来る十月迄に評定所役所へ書
 出可申候
一此砌他所ゟ罷越店借致度旨申込有之候得
 共貸申間敷尤是迄
 御城下内々罷在引越候ものは格別に候間
 是迄之通其時に可伺出候
一此砌親類又は懇意之者用事等有之罷越泊
 に相成候はゝ一夜たり共其時に生所名前
 年付いたし男女とも相認我等は役所へ可
 申出候たとへ御領内ものにても右之通相
 心得可申万一心得違隠置不申出におゐて
 は吃と御沙汰有之候条其旨屋敷持は勿論
 店借に至迄無洩吃と可申進候〆
   四月二日    小林六衛門
   六ヶ町名主
 《割書:松岡籾千五百程拾両に弐拾七俵値段に而手|網に而御拂に相成候由》
四日   朝むら雲さむし終日快晴大雲立
《割書: 五十五度|立夏四月節 》  夕方より暖気

五日   朝薄くもり暖気折々てり立夕方
《割書:五十三度》   より大くもり
六日   朝薄くもり暖気五ツ時ゟ快晴八
《割書:六十度 》   ツ半時北之方に雷聲夜五ツ時よ
     り大雨九ツ過止
七日   朝よりくもりさむし四ツ時より
《割書:五十四度》   快晴折々くもり
八日   朝より快晴さむし北もやうにて
《割書:五十三度》   冷氣眺月
九日   朝より快晴さむし九ツ過より南
《割書:四十八度》   もやうにて暖氣
十日   朝より快晴四ツ過より曇七ツ半
《割書:六十三度》   時より雨降終夜雨風つよし明方
     止
十一日  朝六ツ半時まて雨降五ツ半時少
《割書:六十三度》   々晴終日快晴夕方北の方ニ夕立
     もやう南風終日吹
十二日  夜明方大雨ふり明六ツ時より止
《割書:六十三度》   快晴むら雲
十三日  朝より薄くもり五ツ時小地震冷

《割書:五十八度》   氣八ツ時より雷雨直止快晴
十四日  朝より快晴
《割書:六十度》
十五日  朝より快晴
十六日  朝むら雲終日快晴
《割書:御祭禮御延引》
十七日  朝よりきりふる五ツ時より快晴
《割書:六十三度|米澤ニ而糸九十目位 》暖氣軽暑むら雲八ツ時少々雷聲
《割書:    きぬいと》 二三聲ニ而止
十八日  朝むら雲北風吹折にてり立終日
     持合夕方よりくもり
十九日  朝よりむら雲八ツ半時より雨降
《割書:六十三度》   夕方止
二十日  朝よりむら雲快晴終日天氣よし
《割書:六十度》
二十一日 朝よりくもり七ツ過より小雨降
《割書:六十三度》   直止夜中夕立雨直止
二十二日 朝より快晴四ツ時よりくもり折
《割書:六十度 》   々てり立九ツ半時より俄ニ大雨
     半時程にて止

二十三日 朝より快晴さむし北風夕立もや
《割書:五十一度》   う夜ニ入五ツ時雨ふり直止
二十四日 朝むら雲北風少吹折々てり終日
《割書:五十五度》   むら雲冷気
二十五日 朝より快晴
《割書:五十五度》
二十六日 朝より快晴終日天気よし
《割書:井戸水渇水|》
二十七日 朝より快晴【「終日」を見せ消ち】むら雲終日快晴
《割書:六十度|》
二十八度 朝より快晴終日天気よし
《割書:六十三度|》
二十九日 朝より快晴四ツ時よし【りヵ】くれ方迄
《割書:六十七度|》   北風吹
 当廿六日安嶋/彌次郎(帯刀)殿御勘定奉行鮎澤伊太
 夫殿御佑筆頭殿茅根伊豫之助殿其外五人程
 公辺御呼出之由安嶋彌次郎殿ハ霞ケ関の九
 鬼長門守と申人江御預ケ之由外四人ハ宅慎
 罷在候様御達之由 九鬼三万六千石

 在々殊之外渇水ニ而所々雨乞アリ田われ候
 而苗代枯候よし

 菜種并麦上出来

 江洲布市と申商人年々水戸へ花買入ニ下り
 候處十四五年已来余程之大家ニ相成候由之
 處当春 糸類買〆いたし莫大之高値ニ相成
 候ニ付京都西陣ハ申ニ不及上州辺はたや皆
 々難儀いたし候所布市親子兄弟先日召捕ニ
 相成候よし追て之沙汰ニハ欠所位ニハ相成
 可申とのよし

  御觸書之寫
 今度神奈川宿におゐて亞墨利加(アメリカ)魯西亞(オロシヤ)英(イ)
 吉利(キリス)佛蘭亜(フランス)阿蘭陀(オランタ)右五ケ國、貿易御免ニ相成
 来ル未年五月より同所御開湊相成候旨被
 仰出候付此上自国商民共右国江直買仕法筋
 并御製禁之兼等ハ追々可解候得共差向御府
 内諸問屋諸商人之内神奈川裏へ出店差出又

 は品々
 播磨守番所へ申出差圖ヲ請候様可致候也
  午十二月晦日
 右之通町中不残様相觸意者也

    五月

朔日    朝より快晴薄暑夕方よりくもり
《割書:六十三度|》
二日    明方より雨折々つよし終日雨ふ
      り夜ニ入雨
《割書:所々水無之苗代陸地こと〳〵田われ苗も干枯ニ相成可申候|諸所神社佛閣へ雨乞いたし候所今日久しふりにて雨降在々ニ而ハ》
《割書:金か降候と申候てよろこひ申候よし|》
三日    朝より快晴暑し軽暑夜中五半時
《割書:六十七度|両三日ハ又々》   より雨降
《割書:在々より餘程出候小梅小金辺江出候様子|》
四日    朝より快晴軽暑むら雲出る夕方
《割書:七十一度|》    七ツ過よりきり雨降直止夜四ツ
《割書:所々井戸渇水|》   時より雨降
五日    朝よりくもり冷気折々てり立八

《割書:当年時雨多シ|》   ツ半時俄ニ少々雷雨直止
六日    朝より快晴むら雲ひや〳〵
《割書:六十度|五月節》
 当四日松坂屋彌兵衛支配御 方江召捕ニ相
 成候由猶松阪や彌兵衛も五日ニハ終日御會
 所ニ而御吟味有之候夜中親類名主等立而御
 願候上病気全快迄親類預ケニ相成候由支配
 人餘ほと之事有之候事と相見候
七日    朝くもり五ツ時ゟむら雲夜四ツ
《割書:六十五度|》    時より大雨降日の中南風強
八日    朝くもり折々てり立終日くもり
《割書:七十度|》
九日    朝より薄くもり日之てり立
《割書:六十五度|》
《割書:昨日今日林御家中并殿中餘ほと江戸江登【電を見せ消ち】様子同日江戸登厳重ニ御差|押ニ成ル》
十日    朝よりくもり晝後ゟてり立
《割書:今日も追々郷【海を見せ消ち】中ゟ出ル|》
十一日   朝よりくもり四ツ時ゟてり立八
《割書:今日も追々郷【海を見せ消ち】中 |ゟ出ル》  ツ時少々雷聲雨ふり直止快晴七
      ツ時又々雨直止快晴
十二日   朝むら雲薄照終日待合ひや〳〵

《割書:六十五度|続而郷中ゟ出ル》
十三日   朝よりくもり五ツ時きり雨降直
《割書:郷中ゟも追々|江戸へ出る》   ニ止四ツ半過よりてり立
《割書:町中ニも餘ほと登候もの有之候|》
十四(入梅)日   朝より快晴軽暑
《割書:当年ハ紅(マヽ)花も此騒動ニ而追々花咲侯へとも一円買人なしにて壹メ目|四百文位ニ而も■せ候もの無之追々なかれ候よし》
十五日   朝よりくもりきり雨ふる五ツ時
      止八ツ時又々きり雨降直止
 今夕御町奉行里見直之進殿中後柳勇助殿與
 力玉川壮次郎殿鎮静ニ御登り其節上下町年
 寄両人加藤又衛門塙彌左衛門名主上下ニ而
 両人外ニ壮年之年寄以上之枠上下ニ而四【両を見せ消す】人
 右【有を見せ消す】之通御召連ニ相成候趣御達有之候よし十
 日替ツヽニ詰替リ候様十六日七ツ時立
 加藤又衛門ハ登リ不申候左近司兵三郎登
《割書: |御町奉行様今日御登》
十六日   朝【よを見せ消ち】うすくもり五ツ時より薄て
《割書:今朝上町惣町江戸|へ登候由》  り終日持合夜ニ入雨ふり
十七日   宵より雨ふり五ツ時より止むし
《割書:当年ハ菜種近年無之上作之由九斗五六升|》
十八日   朝よりくもり終日持合夜中雨降

十九日   朝より雨ふり
《割書:今日杯ハ紅花壹メ目三百文位右ニ而も買人更ニ無之よし|》
二十日   朝より雨降折々雨四ツ過雨止夜
《割書:府中ニ而泊り【朱色文字】|》 六五時大雨
《割書:今日我等并儀三郎供官助藤原四人小金迄出立廿二日八ツ時|小金着炭や佐四郎と申もの座敷借|朱書ハ出先キ之日記【朱色文字】》
廿一日   朝よりきり雨降四五時止北風夜
《割書:六十六度|藤田泊【朱色文字】》 五時雷聲雨つよし夜四ツ時北風
《割書:廿一日朝より曇リ雨なし夜中大雨【朱色文字】》 
      強
廿二(夏至)日   朝より晴天四ツ時ゟ薄曇夜五ツ
《割書:六十六度|八時小倉着【朱色文字】》 時より小雨降
廿二日 朝四時位迄くもり夫ゟ天気暑気強【朱色文字】
直ニ御町奉行様へ出る塩引百本献納致候【朱色文字】
廿三日   朝より快晴九ツ時ゟ北風つよし
《割書:六十二度|》    薄くもり
 廿三日朝よりくもり九ツ時少々雨ふり【朱色文字】
今日御町奉行様柳勇助殿小石川へ御立【朱色文字】
廿四日   朝より薄くもり北風にて冷気
《割書:五十六度》
 廿四日朝よりきり雨四ツ時より大雨【朱色文字】
廿五日   朝より薄くもり北風にて冷気
《割書:五十六度|》
 廿五日朝より冷気北風にて綿入着用致居候【朱色文字】

廿六日   朝より薄くもり夜四ツ時より雨上【4行上(有り】
《割書:五十八度|》    ふり【4行上(有り】
  廿六日 朝より冷気綿入着用【朱色文字】【4行上(有り】
《割書:今日第源介小泉其吉等出立下町|木村傅六吉【「吉」を見せ消ち】》【4行上(有り】
廿七日   朝より薄くもり九ツ時より晴天
《割書:六十三度|》    七ツ半時ゟ雨暮六ツ時止夜四時
      ゟ大雨南もやう
  廿七日朝之内少々くもり四ツ時快晴夫ゟ暑気ニ【朱色文字】
    なる南風【朱色文字】
廿八日   朝より薄くもり五ツ時地震九ツ
《割書:六十五度|》
      時ゟ晴天夜中も快晴
大鳥源介 田平太郎小泉長吉今日九ツ時小倉着【朱色文字】
 廿八日 朝四ツ時まてくもり其ゟ快晴暑気つよし南風【朱色文字】
廿九日   朝より曇り夜四ツ五時より雨降
《割書:六十八度|》    九ツ時より大雨
 廿九日朝より天気晝時よりくもり【朱色文字】
新種上出来両々九斗八九升ゟ壹石呼迄

    六月
朔日    朝より大雨四ツ時ゟ小雨九ツ時
《割書:七十一度|》    より薄曇
 《割書: |小倉【朱色文字】》
廿九日夜八ツ時ゟ雨降出し晝時ゟ止曇り居候得共暑気南風【朱色文字】
二日    朝より天気むら雲五ツ五時ゟ晴
《割書: 七十九度|九ツ五時|  八十二度》   天夜中まて快晴ニ而暑気
朝四時位まてくもり夫ゟ暑気風あり【朱色文字】
柳勇助殿小石川ゟ小倉へ御着【朱色文字】
三日    朝より晴天夜中曇
《割書:七十度|》
 朝よりくもり八ツ半時少々てり夫ゟくもり【朱色文字】
四日    明六ツ時ゟ小雨六ツ半時よりく
《割書:七十三度|》    もり四時ゟ晴天暮六ツ半時大地
《割書:朝ゟ曇九ツ時分ゟ【朱色文字】|晴其夜五ツ稀【朱色文字】》震夫ゟくもり五ツ時よりきりふ
《割書:成大地震【朱色文字】|》  り北もやうになる
五日    朝よりくもり九ツ時ゟ薄くもり
《割書:六十八度|今日小金ゟ帰宅【朱色文字】》
六日    朝よりくもり九ツ時ゟ雨ふりむ
《割書:七十三度|塙左近司等今日帰宅【朱色文字】》 ら雨
《割書: |御町奉行様小石川ゟ》
七日《割書:小金【倉を見せ消す】江御着》朝より雨降六ツ時ゟほろ〳〵雨
      ふる四時ゟ止

八日    朝くもり冷気九ツ時きり雨直止
《割書:七十度|袷着用 》    又々九ツ時ゟ雨降少し過止夜中
《割書:六月節 |》    快晴
九日    朝より快晴暑気終日上天気にて
《割書:七十三度|八ツ時八拾貳度 》  凉し夜中迄極晴
天王出社なし
十日    朝よりくもり六ツ半時よりきり雨
《割書:今日軍司左京|小倉江出立》   四ツ過ゟ雨止南風吹むら雲南風強
《割書:下町 加志村藤衛門 |》 夜四ツ時止
 左【右を見せ消す】田備後守殿ゟ常阿弥ヲ以
 御城付共へ一紙ニ而別紙之通之通御書付
 相渡條其旨相心得支配々々江も可被相達事
  百姓町人共衣服冠り物之儀ハ風俗ニ拘
  り候間異【美を見せ消す】風之身形致間敷旨前々ゟ相觸
  之趣も有之候得共向後異形之衣服冠り
  物等相用候義彌以御制禁ニ候萬一心得
  違之もの有之候ハヽ見掛次第召捕吟味
  之上急度可申付候
 右之趣御料私領寺社領其不洩様可被相觸候
 右之通相觸候間氏家之面々江も右之心得

  ニ可罷在候
  右之通相觸候間可存其趣候
    五月

   外国交易御開ニ付而ハ彼国之金銀其儘
   通用可致候は金ハ金銀ハ銀ト量目ヲ以
   取遺いたし候筈ニ候篠此度吹立被
   仰付候新小判壹分判貳朱銀目方ノ割合
   ニ應シ無差支可爲通用候
  右之趣御領私領寺社領共ニ不洩様早々可
  被知もの也
    五月
  右之通相觸候間可存其趣候

   世上通用之爲此度貳朱銀吹立被 迎付
   候間右貳銀へツを以金壹両之積は壹分
   銀壹朱銀ハ追而吹置可被 迎出候得共
   夫迄ハ取交銀銭共両替無滞可致通用事
  一小判壹分判此度吹置被 迎付候條両替
   之儀ハ是迄之通相心得金銀取交可致通

   用ハ通用日限之義ハ追而可及沙汰候
  一保字小判壹分判之儀ハ追而停止可被
   迎出夫迄之間保字小判ハ壹両壹分同壹
   分判ハ壹分壹朱之積ヲ以取交通用たる
   へく事
  右之趣御領私領寺社領共不洩様早々可觸
  知もの也
    五月
  右之通相觸候間可在其趣候

 四月末た少く参り其後鰹漁事無之御座候
 朝大百〆位晝後三百〆位
《割書:鰹澤山ニ|参ル》    朝むら雲暑気南風少吹夜中迄
十一日   暑気つよし
《割書:七十八度|晝八十二度》
十二日   朝よりくもり四ツ五時よりてり
《割書:七十五度|八時八十一度》   立暑気つよし暮方むら雲夜中よ
《割書:紅花両ニ|國井辺五百五十目》  り晴
十三日   朝くもり暑気五時よりてり立大
《割書:七十五度|八ツ九十度 》   暑ニて凌兼候程也夜ニ入少々凉

      くなる
太田備後守殿ゟ丹阿弥を以御城付共へ一紙ニ
而相渡候御書付写
  此度吹立【「候」を見せ消ち】被 迎付候新小判壹分判貳朱
  銀共六月朔日ゟ通用可致候は五日来金銀
  取交請取方渡し方両替共無滞通用可致候
  一保家小判壹分判は新小判壹分判并貳分
   判貳朱金取交引替候筈ニ候篠別紙名前
   之者方へ追々差出引替可申事
  一武家其外共町人江相對ニ而申付右名前
   之者方江差出為引替之儀も勝手次第之
   事
  一新小判壹分判同貳朱銀両替ニ付切賃之
   儀諸金銀同様相心得取遺可致事
  右之趣御料渡領寺社領共不洩様可觸知も
  のや
    五月
  右之通相觸候間可存其趣候
   別紙
  本町壹丁目   御金 役所

  駿河町     為(三井組)替御用所
  本両替町    右(十人組)同断
  本華屋町    三谷三九郎
  室町壹丁目   竹原屋文左衛門
  南槙町     泉屋吉次郎
  金吹町     中井新右衛門
  田所町     井筒屋善次郎
  神田旅籠町   石川屋庄次郎

 門部下総守殿ゟ常阿弥を以御城付江一紙ニ
 而相渡候御書付之通之写
 
   御紋付之品々売買之儀ハ兼而ハ制禁之
   所近江戸繪圖等江御紋彫刻出板致し候
   分有之候得共向後ハ相成候事ニ候
 右之通町觸申付候間可存其趣候
    五月
  一官服之趣
  一御法度之儀認候書籍并雲上明鑑其外官
   位高等記候書類

  一兵學書并板本ニ無之写本之類
  一城郭陳列之圖
  一甲冑刀/釼(マヽ)并都而附属之小道具
  一銅
  右之品々相對ニ而外国之もの共売渡之儀
  不相成若心得違ニ而売渡之もの有之候ハ
  ヽ其当人ハ勿論五人組迄可被處罪科候
  右之趣御料私領寺社領とも不洩様可觸知
  もの也
  右之通相觸候間可存其趣候
 
    五月
  魯西亞佛蘭西英吉利阿蘭陀亞墨利加五ケ
  國交易御指許相成候間当未六月ゟ神奈川
  長崎箱館之湊ニおゐて商人共勝手ニ可遂
  商買候右之者共舶来之品々売捌ニハ勿論
  居留之外国人共見世買之品諸人買取候義
  も是又勝手次第たるへく候
 右之通趣御料私領寺社領共不洩様可觸知も
 の也

    五月
 右之通相觸候可存其趣候

十四日   朝より快晴暑気風なし朝八ツ半
《割書:七十五度|八時九十度 》   時地震つよし終日大暑夜中迄あ
      つし
十五日   朝より快晴暑気大暑にて八ツ時
《割書:七十五度|八十九度》    南風吹七ツ過止夫より少々くも
《割書:今日御町奉行様|小金ゟ御送りニ 》  り北の方ニ雷聲少々あり夜五ツ
《割書:相成町中小金江|詰居候もの不残帰ル 》 時雨降直止快晴
十六日   朝むら雲五ツ時ほろ〳〵雨直止
《割書:七十六度|八十七度》    四ツ時より快晴暑気八ツ時位よ
《割書: |アメリカ人此節江戸 》 り少々風あり七ツ時ばら〳〵雨
《割書:市中を買ものニ行候|由キウリナトナマニテタベ|ルヨシ》直止夜中もむら雲暑気強
此辺暫雨も無之大暑ニ而氣候も至極宜此間
迄籾壹分ニ貳斗七八升位致居候處此節三斗
ゟ壹貳升位之由久慈川辺ハ餘ほと大雨有之
候や大水之よし中川も両三日ハ川幅【幡を見せ消す】一盃位
之水のよし
紅花買人ハ入込不申候一共早場品不宜此辺

 紅花盛之節雨にて出来至極宜候よしにて仲
 買人ともにて買立白井戸村辺上花にて五百
 【「匁」を見せ消ち】目より五百三四十目位より段々有之候

十七日   朝より快晴暑気風なし終日大暑
《割書:七十九度|八十七度》    ニ而夕方くもり南の方ニ少々雷
      聲あり夜五時雨降直止四ツ時む
      ら雲
 上川筋度々雨有之候由ニ候得共此辺ハ暫雨
 なしにて大暑なり
十八日   朝より大暑風なし終日大暑八ツ
《割書:七十六度|九十度》    過ほろ〳〵雨直ニ止快晴夜中迄
《割書:四五日ハ近年稀成|大暑や》  しのきかね候程之大暑
十九日   明方雨少々ふる直ニ止大暑むら
《割書:八十一度|八十八度》    雲風なしにて大暑凌かね候程也
《割書: 大暑 |》    八ツ過南の方雷聲此辺も雨少しふ
      る東の方江虹吹又々北の方ニ雷
      聲壹時斗にて止夜五ツ半時ゟ四
      時まて雨つよし
      朝よりくもり大暑四ツ時雨降直

《割書:八十度|八十九度》    止九ツ時ゟ霽大暑風なし八ツ時
《割書:大暑|》     半より少々風ありむら雲出る南
      の方ニ雷聲あり
廿一日   朝より快晴暑気風なし終日天気
《割書:八十一度|土用明六ハ九ト入》  にて凉しき方也
《割書:八ツ時八十五度|大暑》
《割書: |庚申》     朝より快晴暑気大暑にて風なし
廿二日   終日大暑夜中迄あつし北の方ニ
《割書:七十七度|初伏》    少々雷聲あり
《割書:八十八度|》
廿三度【ママ】朝もや五ツ時ゟてり立大暑風な
《割書:朝八十度|八十九度》    し八ツ時地震夜中迄大暑
《割書:雨更ニ無し近年|稀なる 大暑也》
廿四日   朝よりくもり五ツ時ゟ快晴大暑
《割書:朝八十一度 |九十度》   極大暑ニ而七ツ時南方ニ雷聲此
《割書: |城下三里四方ハ度々雨》 辺もやうハ有之候得共雨ハちら
《割書:あり所々雨乞あり|》  〳〵位にて降不申
廿五日   朝よりくもり四ツ五時よりてり
《割書:朝七十八度 |八時九十一度》   立大暑凌かね候夜中迄更ニ風な
《割書:今日常己ニ而雨乞ニ|中川一参ル|廿五ニ成ルもの死ス不見 》く誠ニ大暑近年稀なる暑し

廿六日   朝より快晴五ツ時ほろ〳〵雨ふ
《割書:朝八十二度|九ツ過八十六度 》  る直ニ止大暑殊之外蒸あつし四
      ツ時地震九ツ時より北風吹凌よ
      く相成候七ツ時より雨降ほこり
      しめし位にて直止
廿七日   朝よりくもり九ツ時より晴大暑
      又々曇七ツ時位より北風に成ル
      暮六ツ半時より大雨ふり直止四
      ツ時又雨ふり久しぶりニ而雨ふ
      り候
廿八日   朝くもり五ツ時よりてり立凉し
《割書:七十三度|八十度》    又々くもり暮六時雨ふり暮よく
      なる四ツ時より小雨ニなる又々
      降出ス終夜雨ふり明方止
廿九日   朝小雨ふる冷気直ニ止夫ゟ終日
《割書:六十九度|冷気》    くもり空にて持合北風もやうに
      て冷気
晦日    朝よりくもり冷気終日曇【暑を見せ消す】空にて
《割書:六十七度|》    冷気夜四ツ時少し雨ふる
《割書:冷気|》

   小麦壹石四斗位
  のし麦貳石壹斗ゟ
  紅花上もの六十両位
  府中辺玄米六斗五六升
  七月十五六日方迄ニハ紅花も追々引上ケ
  六十五六両位まてニなる




    七月
朔日  朝薄く【酉を見せ消す】もり丑に風にて冷気八ツ時よ
《割書:六十九度|袷着用》  り雨ふる七ツ時止又々降出ス折々降
《割書: |中伏》
二日  朝より小雨降冷気五ツ時過止終日曇
《割書:六十八度|袷着用》  空にて冷気夜ニ入雨降る
三日  宵より雨降五ツ時より止少しむし暑
《割書:七十三度|九ツ過より 》 し九ツ過より丑に風ニなる夕方より
《割書:冷気袷着|用》  四ツ時過迄風つよし

    四ツ過より雨つよし風止
 《割書:小梅小倉とも江中|いまた引拂不申》
四日  朝小雨冷気五ツ時止終日薄くもり暮
《割書:六十七度|七十度|袷着用》  方よりきり雨直ニ止
五日  朝よりくもりむしあつし終日曇空に
《割書:七拾度 |》  て夜四ツ過ゟ雨少しふる
六日  朝くもりむしあつし終日曇空にて暑
《割書:七十三度|七十八度》  気になる夜六ツ半よりむら雲にて
《割書:御中ハ今以|小金引不申|追々替合出申候よし》月久しぶりにて出る夜中暑気
七日  朝よりくもり南もやう四ツ時よりて
《割書:八十度|八十九度》  り立暑気夕方よりくもり終日大暑夜
    五ツ時きり雨直やむハツ過大雨降壹
    時餘ふる
八日  明方ちら〳〵小雨降むしあつし九ツ
《割書:八十一度|》  時位迄大暑にて夫より少々丑刁もや
    うの風になるくもり
九日  明方ちら〳〵小雨降むしあつし
十日  朝小雨ふり丑刁のもやう冷気なり
《割書:七十六度|八十八度》  四ツ過よりてり立暑気ニ成ル大暑夕

《割書:立秋》   方より風あり夜中凉し
十(末伏)一日 朝より快晴大暑風なし終日大暑夜中
《割書:七十九度|九十二度八ツ時 》迄凌かねし程の暑気なり
十二日 朝きり降五ツ時過より大暑四時位よ
《割書:八十二度|》  りくもり九ツ時酉の方ニ雷聲八ツ時
    大雨夕立もよう直止折々雑と降り
十三日 朝よりくもり北風しけもやう四ツ時
《割書:七十五度|》  ゟてり立快晴ニ相成候へとも北もや
    うにて夜中迄凉気至極快晴なり
十四日 朝より快晴終日天気よし
《割書:七十二度|》
十(月蝕)五日 朝より快晴暑気終日夜中もあつし夜
《割書:七十二度|八十五度》  八ツ半時ゟ雨つよし直止ム
十六日 朝より快晴暑気九ツ時よりむら雲九
《割書:七十六度|八十四度》  ツ半時より雷聲大雨貳時斗の間雷雨
    つよし夕方迄雨夕方止夜四ツ時より
    月出る
十七日 朝より至極快晴大暑夕方よりくもり
《割書:七十四度|》  丑刁風
十八日 朝くもり五ツ時ゟ晴
《割書:七十一度》

十九日  朝よりくもり四ツ時ゟてり立大暑也
《割書:七十一度|》
二十日   朝きりふる四ツ時よりてり立暑気つ
《割書:七十三度|》   よし
二十一日 朝よりもやふる五ツ時より快晴暑気
《割書:七十七度|八十五度》   つよし終日快晴夜八ツ時より七ツ時
《割書:当十八日朝異国 |船磯大洗ゟ一里》 迄雷聲つよし明方止
《割書:程先迄来ル直ニ銚子之方へ参ル|》
二十二日 朝くもりきり雨少々ふる直止五時よ
     り雨降出直止又々降出四ッ時止終日
     くもり空ニ而むしあつし
廿三日  朝きりふる海手の方ニ少々五ツ前ニ
《割書:七十三度|八十三度》   雷聲あり四ツ過より照立暑気
  六月廿三日御觸之由ニ候へ共水戸ハ右御
  觸ハ出不申候
  左田備後守殿ゟ常阿弥ヲ以
  御城付共へ一紙ニ而相渡候書付之写
   外国交易御取開有之外国人開湊場へ船
   ヲ寄其最寄居留りをも御指許ニ相成候
   ニ付而ハ其所之者ハ勿論海上又ハ途中

   いつれの場所に而も外国人に出会之節
   書付届方等頼れ、或ハ品物杯贈り候共堅
   御断ニおよふへし若無余儀請取之儀有
   之候ハヽ右品持参委細之儀は早々其筋
   江申出へし隠し置後日於相顕は吟味之
   上可被処罪科もの也
  右之趣御料私領寺社領共不洩様可触知候
  尤天保十三寅年被 仰出候浦々建札ハ取
  払可申候
  右之通可被相触
     六月
  右之通相触候通可致其趣候

廿四日 朝より快晴暑気つよし夕方ゟくもり
《割書:七十八度|八十三度》  暮六ッ過ゟ雨ふる
廿五日 明七ッ前ゟ大風雨明方止朝五ッ時大
《割書:七十七度|終日》  雨直止東風四ッ過より八ッ時位迄又
《割書:  大嵐し 》 々大風雨八ッ過より辰已【巳の誤記】ニ廻ル夕方
《割書:夜四ッ時ニ地震|ゆる夫より又々 》雨風止又々六ッ過より南大風雨終夜
《割書:風吹出ス》  雨風つよし

廿六日 天気になる宵より南風つよし
《割書:七十七度|八十八度》  明方少々静ニなる
《割書:中川増水|風呂下阪際 》 天気快晴にて暑気つよし晝時位より
《割書:迄水付 |》  風餘ほと静ニなる終日風吹夕方より
    至極静なり
廿七日 朝より至極快晴穏なり終日天気よし
《割書:今日四ツ時迄|中川船とめ》 夜中迄快晴
《割書:八ツ時八十五度|》
  廿五日晝八ツ時位より七ツ半時迄之間三
  十ら川口迄津波家より高々波打込壹貳丁
  より四町辺迄之間家三十軒程も引こまれ
  候よし火事同様之さわきのよし
  いその濱辺も餘ほと荒候よし

  一大目付ゟ間部下総守へ申渡諸向へ相達
   候よしニ而御城付共爲心得見せし書付
   寫
   一昨十八日ゟ魯西亞国軍艦追々入津都
   合七艘品川沖江碇泊致候間諸事是迄之
   通相心得候様向々江可被達候事

     七月十九日    遠藤但馬守
              酒井左京亮
    魯西亞高宮之者追々渡来ニ付慶接懸り
    被 仰付候
     七月廿日     松平和泉守
              内藤紀伊守
    御勝手懸り被 仰付候旨
              脇坂中務大輔
    外国御用取扱被 仰付候旨
   右御直ニ被 仰含候
              間部下総守
     外国御用繁多ニ付御勝手懸り御免被
      仰付候旨
    右於奥御老中申渡し候
   一左田備後守事病気可手間取様子ニ付御
    勝手懸り外国御用取拵  御免被 仰
    付候よしニ御座候
   一遠藤但馬守魯西亞人應接掛り被 仰付
    候ニ付御用番代牧野遠江守相勤申候
   一松平和泉守ゟ丹阿弥を以御城付共江一

   紙ニ而相渡候書付
    脇坂中務大輔事
    外國御用取扱被 仰付候旨可得其
    意候

廿八日 朝より快晴終日天氣よし暑氣なり夜
《割書:七十三度|八十五度》  中迄あつし
  今日ミナトへ様子聞なから使遣候所辰ノ
  口下ゟ四丁目邉までニ而書上けニ相成候
  流れ屋敷斗り三十六軒其外書上ケニ相成
   不申候トのやしきも澤山のよし怪我人
   も十貳三人酢屋なとまてもにげした〳〵
   にていまや〳〵と待かまへ居候事之よ
   し廿六日夜明ケ方より風靜ニ相成皆々
   安堵いたし候よしなみの髙さ壹丈餘の
   浪にて南アや新助角まて浪たち付火事
   ゟも大騷のよし
廿九日 朝より快晴終日殘暑殊之外強し夜中
《割書:七十三度》  迄あつし
  土浦邉より江戸表邉迄廿五日荒は餘ほと

  のよし滯留異船貳艘海へしつみ候よし鐵
  炮澤山積有之候よし人壹人も怪我なきよ
  し
  當年ハ寒暖斗之差處違候ニ付内ノ分九十
  一度之節ハ外々の分は九十五六度位之よ
  し内の分は風の入候處ニ置候故少く外の
  分より暑氣も違候事と相見候内ノ分九十
  一度之節ハ極大暑なり



    八月
朔日   朝より快晴土用中ニも無之ほとの
《割書:七十六度|九十一度》   大暑にて七ツ半時より俄ニ夕方雷
     聲雨暮方止六ツ過より至極快晴夜
     中も殊之外大暑なり
二日   朝より快晴暑氣四ツ半時位より大
《割書:七十八度|八十八度》   暑中々土用中ニも無之程之大暑に
     て夜中も戸を明寐候ほとなり
三日   朝もやふかし五ツ五時よりてり立

【右頁】
《割書:七十八度|九十度》   暑氣つよし終日大暑夜中迄あつし
四日   朝もやふかし暑し四ツ時より快晴
《割書:七十九度|八十七度》   終日暑氣つよし夜中迄あつし
《割書:夜四時地震|》
五日   朝くもり四ツ時よりてり立夏氣大
《割書:八十度|二百十日》   暑南風少し吹
《割書:八十八度|》
六日   朝より快晴四ツ時ゟ東風吹出むら
《割書:七十八度|七十五度》   雲に而風つよし七ツ過より風止涼
      氣なり
【左頁】
《割書:|俄ニ袷着用位》  朝よりくもり涼氣終日くもり空に
七日   て持合
《割書:六十六度|》
  江戸ゟ
  去る廿四日ゟ廿五日夜中迄大風雨に御座
  候所御地ハ如何此表ハ餘ほとの破損ニ御
  座候其上江戸近在満水ニ而本所邉ゟ通行
  いまたニ相成兼申候武州熊谷土手押ぬけ
  川越様御領大万石ほとの水損ニ御座候よ
  し二十年ニ指続候位之大水の沙汰に御座

  候川根付ハ所々水損有之候様子御座候
  且又八朔登 城も國之方外損方都而登城
  下馬も誠ニ淋しく相見申候其外尾紀御れ
  枝并播磨大学大炊様御登城無御座候御普
  代衆之内ニも登城不致族有之候よしニ御
  座候去ル廿四日夷人六百参拾人品川江上
  陸應様有之候よし
  外国奉行水野筑後守先日熱湯を異人ニ被掛
  居候よしニ御座候所此節切腹致し候趣ニ
  御座候實ニ心中可察事ニ御座候去ル廿八
  日夜横濱ニ而夷人被切候よし内實水野筑
  後守家来の仕業ニ可有之との説此間夷人
  三人ニ而買物ニ罷出候所品川辺ニ而七八
  才の子供百人ほと群集いたし石ヲなけ夷
  人貳人餘ほと痛処出来死生にも至り候位
  ニ罷在候よし此【「程」を見せ消ち】子供百人ほと群集いた
  し候儀ハ全ク人力ニハ有之間敷神業ニも
  可有之なと市中之説ニ御座候
   横濱ゟ申来候書面写
  昨晩六ツ半時横濱出店真向上用やと申前

  ニ而夷人貳人何ものとも不相分仁ニ切被
  倒壹人ハ即死壹人ハ深手之様子ニ御座候
  外壹人ハ薄手抵之夷人有之是ハ同所三町
  目水菓子や江かけ込申候右之一件ニ付一
  統相驚き申候趣申し参り然ル上ハ右片付不
  申候内ハ先ツ交易も休ニ相成可申と申候
    七月廿九日

  跡ニ而承り候ヘハ水野筑後守ハ切腹ハ浮
  説ニ有之候
八日   朝薄照リ四ツ時ゟ照立暑気晝時よ
《割書:七十一度|八十五度》   り大暑夕方ゟ凉し
九日   朝より快晴暑気風なし終日暑気つ
《割書:みせに助妻くる|谷中石川十次郎居》 よし
《割書:宅を借引移|》
十日   朝より快晴暑気終日大暑なり夜中
《割書:七十七度|八十七度》   迄あつし
十一日  朝東の方曇り四ツ過よりてり立大
《割書:七十六日【度誤ヵ】|》暑ニ而夕方よりくもりきり雨ふる
  上州辺之模様承り候所廿五日九ツ過ゟ雨

  風つよく熊谷堤土手ゟ水溢押出其内ニ堤
  きれ其もよう江戸辺之間ニ而十貳三万石
  の水損高崎辺ハ町中ヲ女子供なと乗候て
  ハ家流とをり候由上州わたらせ川大水桐
  生辺の通行廿五日ゟ八月四日迄相成不申
  胡賀辺ハ市中ハ勿論御城御居間床ゟ壹尺
  餘も水上ケ不残御立退ニ相成候由喜連川
  辺此節水の引候跡ハ市中水押にて往来の
  土五六尺もさくり取候様相成候よし百年
  このかたの大水のよし天明三午年の水よ
  りもおゝきと申候よし

十二日  朝より雨ふり冷気直ニやむ終日薄
《割書:七十四度|》   曇九ツ時日残【少を見せ消す】暑つよし
十三日  朝八ツ時より折々雨風つよし明方
《割書:当月卯より金|澤山御山晝壹度 》 より辰巳の風強風折々つよし晝時
《割書:夜壹度雷聲の|ことくの音いたし》 迄辰巳大嵐にて晝時まて雨降夫よ
《割書:今以上之不申候|由是迄承及候事 》 り雨なしにて南大風になる雨も少
《割書:も無之よし|今日之大嵐にて 》 々ツゝ折々降七ツ時迄古今の大風
《割書:作丹も餘ほと|さわり可申候》  暮六ツ時全く静る

十四日  朝より至極快晴暑気つよし夜中も
《割書:七十三度|八十三度》   至極よくはれ
十【「四」を見せ消ち】五日  朝むら雲四ツ時迄むら雲にて九ツ
《割書:二百廿日|》   時位より段々晴夜中ハ至極快晴也
  先月廿五日嵐ハ川越ハ二階裏板より水五
  寸位すきのよし行田川越ハ別而水難のよ
  し
十六日  朝薄むら雲薄はれ九ツ過より快晴
     折々むら雲
十七日  朝薄むら雲北風にて冷気九ツ時寅
 《割書:大豆両ニ壹石|壹斗位はしもの 》卯の風吹終日むら雲冷気袷着用風
 《割書:にて壹石貳斗位 |之所俄ニ引上九》夕方迄吹夜中ハ至極晴
 《割書:斗五六升|》
十八日  朝より快晴冷気四ツ時過よりくも
《割書:六十三度|》   り丑刁風ニ而ひや〳〵夜ニ入月さ
     ゆる
  先月廿五日仙台山津浪にて貳拾万石程も
  つぶれ候よし
十九日  朝より薄むら雲七ツ半過より小雨
《割書:六十四度》
《割書:当年ハ痢病 |殊之外多し》  降むしあつくなる夜中雨つよし


廿日   朝より快晴秋冷四ツ過より残暑ニ
《割書:七十一度|今日ハ帷子 》  而帷子着用なり夜中ハ凉し
《割書:着用致し候|》
廿一(六十一度)日  朝むら雲俄ニ寒冷快晴夜中も村雲
《割書:今日ハ袷ニ綿入|羽織着用いたし候》 夜八ツ過餘ほと永キ地震ゆる
  大坂辺加賀辺ころりよほと流行いたし候
  よし
廿二日  朝より快晴寒冷九ツ時ゟ少々【「殊」を見せ消ち】残
     暑なり

   八月十八日出
 江戸 古郷米 五斗貳升  水戸新大豆 八斗五六升
    南郷米 同     同 小玉【豆を見せ消す】 八斗貳三升
    町 米 五斗四六升 水戸小豆  七斗六七升
    繻 米 五斗内外  大麦    石九斗
    菜 種 七斗三四升 小麦    石壹斗
    仙台米 五斗七升
    地水油 貳拾三両
    荏 油 廿六両一分
    大坂八日出水油四百壱匁

        金七十壹良【両誤ヵ】三分
 江戸表ハ又々ころり病流行之由
廿三日  朝より薄くもり終日曇り空ニ而折
《割書:六十七度|》   々きり雨降直止夜中も五時小雨ふ
     る直止
  一奥州末七月廿五日數年来無之大嵐之上
   津浪ニ而海岸筋田畑押揚川々大出水増
   除川除土手押人家等流失溺死之者も有
   之委細之儀ハ追而取調可申上候
  一松平大和守殿領分武州入間郡高麗郡村
   々川々大満水七月十二日同廿五日數十
   年来無之風雨川欠山崩等出来一円數日
   水相湛城下辺迄水押田畑人家 【一字見せ消ち】悉石沙泥
   等押入流家潰家流死人等有之損毛高追
   々可申上候
  一 脇坂中(八月十七日)務大輔殿ゟ貞阿弥ヲ以昨夕御城
   付共江一帋ニ而さし越候書付の写
    当七月廿七日暮六ツ時神奈川横浜町
    ニおいて何者共不知魯西亞人を殺害
    ニ及逃去候行衛不相分其節魯西亞水

    上所持之金銀フリツキ箱入候儘紛失
    之品其後神奈川太田町提外海面ニ右
    箱銀残拾六/存(ママ)金残一/存(ママ)入捨有之候右
    及刄傷候場所ニ左之通捨有之候
    一麻鼠通し割羽折 壹
    一刀之折  七寸程
    一麻裏草履 片足
   右之通ニ候間末々迄遂穿鑿怪敷者見及
   聞及候ハヽ最寄奉行所詰代官へ訴出者
   也
  右之通相觸候
廿四(彼岸)日  朝くもり四ツ過少し雨降直やむ
  先日十八日異国船□□□【三文字消す】水戸近海通行致
  候節大津浜漁船廿三人程右異船江乗移見
  候而歸帆いたし候処其夜廿三人不残ころ
  りニ而死候よし夫より傅染いたし候而翌
  日ハ又々大津村のもの貳拾壹人相果追々
  大津近村へ広かり申候由
 棚倉 白米貳斗貳升 同所古わた壹乄九百目位
廿五日  朝より至極快晴終日天気よし
《割書:六十度》

廿六日  朝むら雲秋冷終日持合
  大津辺疫痢殊之外流行ニ而城下へ参りケ
  イカンセキ拾七両ト買入参り候よし又々
  拾両ト買ニ参り候由大津にてハ四日の間七
  十八人両三日以前迄ニ百十六人ほと死候
  よし
廿七日  朝よりくもり九ツ時よりてり立秋
     冷
廿八日  朝よりくもり冷気終日曇空にて持
     合夜六ツ時ゟ小雨ふる四ツ時止北
     風少しふく
廿九日  朝よりくもり丑刁の風
  先日之大雨にて忍の城下大水ニ而御城迄
  水押御家中死人百人餘も有之水損莫大之
  よし


    九 月

朔日   朝より北風にて雨降四ツ過迄雨強
《割書:前中納言様 |今夕江戸》  夫より風ハ夕方迄吹雨ハ折々夜中
《割書:御發駕 |》   ハ風止夜わ折々雨
二日   朝よりくもり終日くもり折々雨
三日   朝むら雲快晴ニ成ル暑し
四日   朝よりくもり五ツ時はら〳〵雨ふ
《割書:今日七ツ時位御着城 |前振之通諸士中》る八ツ時より壹時ほとの間雨つよ
《割書:御町御迎ニ麻|上下ニ出ル》  し七ツ時より雨小降ニなる七ツ半
     時雨止
五日   朝より快晴終日天気よし夜中くも
《割書:夜八時地震 |》  る
六日   朝よりくもり終日薄くもり空にて
《割書:六十七度|》   むしあつし夕方薄てり
今日俄ニ銭買人所々より参候由にて如何之わ
けニ候や不相分候所公辺にて百銭御吹出ニ相
成候由壹両文銭四貫■【文ヵ】只の耳白銭五乄■【貫文ヵ】ニ相
成候とのよし当時銭相場六貫八百■【文ヵ】ニ而買入

無之百文安位ニ賣候由之所此節ハ相場ニ而何
程有之候にも捌ケ候よし今日夜出銭御差留ニ
成ル
江戸
 《割書:古領【■を見せ消す】|南御米》 五斗貳升   水戸小豆 七升
 町 米五斗四互升  大麦   石八斗
 檽 米四斗七升   小麦   石■五六升
 水戸大豆八升三四升 菜種   七斗貳升
 同小玉八升     仙台米《割書:蔵出し》五斗六升
 高濱大豆七斗三四升 種水   廿五両
 胡麻油 三拾貳両
 花 油 貳拾八両
 白 油 貳拾五両
 種 粕 九■五卜
 胡麻粕 九■
 坂水  廿六両
 《割書:八月廿七日|八月廿四日》
 大坂四百拾良
 ■七十位壹良■
八月廿八日

 米澤当夏【米澤2文字を消す】 糸相場正味九文目入壹固ニ
 付五十貳両之相場ニ有之候所下田交易ニ相
 成候由之見込ニ而六十両位より七十両夫よ
 り追々引上此節ハ百五両迄ニ相成候よし誠
 ニ珍敷相場ニ有之候よし

 此節磯大貫之辺ころり病流行いたし追々死
 人有之昨日今日杯ハ濱々よりはたかへ胴を
 ■【欝ヵ】色木綿ニ而巻谷中廿三夜より静明神へ参
 詣之よしニ而三四十人位ツゝ揃かけ聲いた
 し大騒ニ而参り申候

 掛川ゟの書状ハ日記帳へ認置候わけニハ【参を消す】
 無之候得共【大を消す】只覚ニ留置候
 此方取引さきより文通
 葛布合羽地袴地類是迄取引遠州掛川油屋久
 兵衛と申店より作【郷をを見せ消す】入いたし候所久衛事昨年
 ゟ長病にて当夏相果候趣ニ候所忰若年ニて
 行届不申候ニ付親類中屋六太夫と申者同商
 賣致居候ニ付来申年ゟ五ケ年之間六太夫方

【紙面上部余白に左記2行の注意書あり】
□部欠損
・・・・部欠損

 へ相頼候ニ付是より【「御」見せ消ち】ハ作入被下候様申参候咋
 今之儀江戸飛脚問屋日本橋呉服町江戸也仁
 三郎方迄荷物差出申候間代金引替品物御渡
 可申上夫ニ而御面倒ニも御座候ハヽ如何様
 とも思召次第□□仕候間小口に申越被下候
 様ニ□□□□候事
 ・・・・・・出
 ・・・・・・・ハ九月中ニ掛川へ・・・・
 ・・・参候 
七日   朝より小雨ふる直四ツ時位ヨリ快晴

  申渡 南北小口年番
           名主
  此度鉄小銭吹立被仰付銅小銭之分追々引
  替候積右引替方銅銭壱〆文之代り銕小銭
  百文銭取【「替」を見せ消ち】交壱〆五百四十八文有之内壱
  〆五百匁は持主四拾八文は両替屋江被下
  候積り右引替方之儀両替屋共ニ而買集金
  座役所へ為差出候筈ニ候
  右之趣役所御奉行所被 仰渡候間町中行

 届可申達候〆
八日(鮭口明ケ)   朝より小雨ふる四ツ時より雨止暖
《割書:両三日已前 |ゟ初茸出ル》  気也薄てり位
九日   明方迄雨降暖気也四時より雨降冷
《割書:当年菊もいまた不咲 |夏秋倫と申菊|咲申候》気になる折々霽【霄の誤記ヵ】降不定
  今日平潟菊屋次郎兵衛と申者仕入ニ参候
  ニ付大津浜にてころり流行之由此節如何
  いたし候や承り候所三百人余も死人有之
  いまた追々出来候よし最初ころり病大津
  へ流行いたし候いわれハ異国船大津浜近
  海迄見候節鰹漁船こぎ付候而見物いたし
  候所鰹を称され候よしニ付遣候所右之替
  りニ小箱壱ヶ貰候ニ付漁師宿へ帰り右之
  箱を明ケ候而見候得ハ中【「■」見せ消ち】ニ雛のことき極
  美事ニ拵候小人形二ツ入有之候ニ付是ハ
  神にも可有之候哉と心得候而太神宮様之
  御棚へ乗候処右漁師は御棚の下ニ而即死
  いたし右人形ハ何方へ参候や見へ不申候
  由夫より追々広かり是迄三百人余死候よ
  し

十日   朝よりくもり終日持暖気なり
《割書:六十五度|》
十一日  明方より雨降冷気折々雨北風にて
《割書:両三日已前ゟ上 |金町辺新屋敷辺》 冷 不定夕方より雨つよし終夜雨
《割書:ころりニて死候もの |有之候》ふり
十二日  宵より雨降冷気終日雨ふり折々雨
《割書:町々にてころり |除御祈祷アリ》 止夜中も折々
《割書:町々八幡宮|天王寺へ入申大騒》
十三日  明六ツ時過迄雨降夫より晴夜中も
《割書:五十八度》   殊之外晴る

  江戸九月八日書
一《割書:古領米|南郷米》    五斗弐升  一🈭【囗に中】坂油廿六両壱ト
一町米    五斗四五升 一地水油 廿四両壱ト
一同新    五斗六七升 一地白油 同 断
一新糯    四斗五七升 一胡麻油 三十四両
一水戸新大豆 七斗七升  一花漉  二十七両
一同小玉   七斗六升  大坂二日出
一同小豆   六斗七升   水油 四百十六■【石ヵ】
一大麦    石五升    同  七十壱■ト
一小麦    石弐三升

  一菜種六斗八升
  一仙台米五斗七升

十四日  朝より快晴寒冷終日快晴也
《割書:四十八度|水霜降》
十五【「四」を見せ消ち】日  朝より快晴むら雲出る夜中四ツ過
《割書:五十二度》   より雨降出終夜雨ふる
十六日  宵より雨降冷気四ツ過より雨止快
《割書:ころり病流行|にて騒候方 》  晴むら雲夕方より北風吹
《割書:由て大皷杯ニ而はやし所々|御輿を町々家々江入申候》
十七日  朝より快晴寒冷夜中迄至極晴
《割書:四十七度》
十八日  朝より快晴夕方よりくもり夜四ツ
《割書:真壁辺|一、新米六斗一弐升 》過ぎ大雨終夜雨ふる
《割書:一、大豆八斗八九升|一、小麦石◯五升》
《割書:綿壱〆六百五十匁 当年ハわた大不作もゝ不残落候よし》
十九日  宵より雨降九ツ時ゟ小雨ニ成ル八
《割書:五十八度|》   ツ時止夜中は殊之外晴
 両三日已前ゟいづ方ゟ初候や家ニ而夕方ゟ
 夜四ツ過位迄朝ハ明方泴をといしにてこす
 り其おと殊之外遠音いたし候家ことにいた

 し候間其騒ケ敷事申様も無之候処今日より
 ハさしおさへニ相成候よし
廿日   朝より快晴終日天気よし夜中も至
《割書:五十五度》   極晴
廿一日  朝より快晴暖気なり
廿二日  朝より快晴終日天気よし夜ニ入く
《割書:五十八度》   もる
廿三日  朝よりくもり終日快晴
《割書:六十度|》
 城下磯【「濱」見せ消ち】湊二十磯辺ころり病余ほと有之二十磯是迄
 ニ八九十人も死湊弐三十人いそも弐三十人
 位候よし此病ハ俄に吐瀉有之惣身班ニ相成
 頬の肉落顔の様子甚変わり候よし
廿四日  朝さむし快晴終日天気よし
《割書:五十五度》
廿五日  朝よりくもり終日くもり空にて八
《割書:五十五度》   ツ時より薄てり
廿六日  朝よりくもり空寒し九ツ時より薄
《割書:五十二度》   てり北風にて寒し
廿七日  朝むら雲北風にて寒し終日風吹夕
《割書:五十五度》   方止
廿八日  朝より薄てり七ツ時より雨降夜中
《割書:五十七度|》

《割書:新籾| 三斗一弐升》  雨つよし
廿九日  明方雨止寒気也終日天気よし
《割書:四十七度》
 此節【「二十」を見せ消ち】平潟厄中半兵衛追々新米買入候よし
 壱万俵も買入候所平潟近辺百姓ハ当年七斗
 五六升ゟ八斗位之見込ニ居候所厄半買入ニ
 而六斗弍三升ゟ六斗五升位迄買入候ニ付百
 姓ハ懐合大キニ宜敷候よし
晦日   霜ふり候寒気快晴
《割書:四十五度》

  新籾中て三斗位 小豆六斗五六升
  岩城平近辺新米玄六斗四五升
  同所小豆久の浜辺ニ而九斗位
  此節川尻辺ころり沢山有之親類近隣の
  ものにてもころり有之候内へハ一円参
  不申候由
  此間磯の浜ニ而ハ祝井町ゟ磯江通り道ニ
  大洗明神の鳥居有之候てもより江十四
  五才の娘泣居候ニ付湊御殿守浜近クニ
  通り懸り承候所磯の浜のものにて屋敷

   も有之人別も有之候処両親ころりニ而
   大病ニ付村中のものゟ此所へ持出かり
   こやを拵入らむれ【「て」を見せ消ち】候へとも野ニ寐候
   同前ニ而両親を見殺ニいたし候がかな
   しく候と申候へハ夫ハ余りの扱方早速
   御郡方へ申達取扱申候様可致と申金弐
   朱遣し被返候よし早速御郡方ゟ出張候
   内親ハ相果候よし



    十 月
朔日   朝より快晴
《割書:四十七度|銭六〆六百五十文》
二日   朝より快晴
《割書:四十八度|中納言様当朔日御差扣御免ニ相成御登 城被|為有候ニ付今日麻上下着用ニ而御祝儀ニ出ル》
三日   朝よりむら雲終日持合
《割書:四十八度》
四日   朝もやふかし寒気なり快晴にて八

《割書:小川辺昨日ゟ|白米六合五勺》 ツ時ゟ夕方迄西風強夜ニ入止又々
《割書:銭六貫六百文|》 四ツ時ゟ西風吹
五日  朝より快晴寒気終日天気よし
《割書:四十五度》
六日  朝より快晴寒気
《割書:四十五度  |昨日今日八幡宮にて芽【茅の誤記】の輪【二文字見せ消ち】有ころり流行ニ付》
 江戸御張帋之写
 一御米 三十壱 御直段 四十両
 一御米渡 十月四日ゟ
  右之通被仰出候 九月廿六日

 一《割書:古領米|南郷米》  四斗九升  一新糯 四斗八升
 一町 米 五斗    一《割書:水戸大豆 七斗八升|    小玉七斗五升》
 一同新米 五斗一升  一水戸小豆 六斗五六升
 一大麦  石五斗   一小麦    石口内外
 一菜種  六斗八九升 一仙台 廻米 五壱文
   九月廿八日      《割書:深川佐賀丁|  山中と次郞》
七日   朝より曇る暖気夜五時より雨ふり
《割書:五十四度》   八ツ半時止
     宣命
    普天下卒土賓無所不有

   王地汝疫神速可退若不
   去者勅牛頭天王以王兵速
   可令征罸者宣命如件
     月日政所
          疫神等江
  右之通家々江張置候得者流行病ヲ除き
  候よし
九日  宵より雨ふり暖気終日雨風つよし
    雨は夜ニ入止
十日  朝より快晴薄くもり暖気なり
《割書:四十八度|》
    十月九日当願御用
 【以下の九名を弧線にてまとめ】
          山野辺主水正
          太田儀左衛門
   去秋中ゟ   大久保甚五左衛門
   鎮撫方不   戸田 銀次郎
   行届ニ付   中村 新八
   逼塞     渡辺 平助
          村田 理助
          里見直之進
          梶 清左衛門

 【以下三名を弧線にてまとめ】
   同断     伊藤孫兵衛     
    遠島    蔭山四郎兵衛
          矢野唯之允

  九月四日
   大目付 御目付
     阿波守嫡子
        松平千松丸
  別段之訳を以侍従席ニ而御目見被
  仰付候尤已来家之格ニハ不相成候間可
  被得其意候
      御目付
         小倉九八郎
      御勘定吟味役
         高橋 平作
  西海岸筋へ為御用可被差遣候間可【1字見せ消ち】致
  用意候
    御使   脇坂中務太輔
  白銀百枚 巻物三十
    尾張殿

   右は初而御国許へ御暇被遣候
  一尾張様今日御登 城ハ任官之御礼并御
   暇被 仰【「付」を見せ消ち】出候御礼被仰上候事
     御暇ニ付
     御刀 《割書:越中国国光|代金三十枚》御拝領
  一紀州様ゟ昨日間部下総守へ為御達候御
   書付之写
   公方様御実母水野土佐守女也
    実成院方当冬中 御本丸へ御引取可
    被遊旨昨日御内々ゟ被仰出候此段申
    達候様被申付候
       九月廿日

十一日  朝よりくもり暖気四ツ時位より雨
《割書:籾中て分ニ|  弐斗七八升 》 ふり夜中も雨つよし風あり
《割書:おか穂三斗一弐升|小豆両ニ六斗四五升》
《割書:大豆小玉七斗七八升|麦車■【㩧】六斗四五升》
《割書:玄米六斗四升》
十二日  朝より雨ふり四ツ半時より雨止暖
     気

十三日【「朝より雨ふり四」を見せ消ち】明六ツ時地震快晴
     四ツ時地震九ツ時地震暖気
十四日  明方より雨ふり暖気八ツ時過より
《割書:五十二度|》   止
十五日  朝より快晴終日天気よし


          松平肥後守 
  蝦夷地開発守勝之儀時勢専要之事ニ付別
  段之訳を以蝦夷地之内割合領分ニ被成下
  候松平陸奥守佐竹左京太夫酒井左衛尉も
  同様被 仰付候間諸事申合守備開墾等格 
  別行届候様可被取斗候尤箱館表松前地御
  警衛之儀ハ御免被成下且又間部美濃守津
  軽土佐守持場之義只今迄之通相心得陣【「陳」を「陣」に修正】屋
  有之場所ニ而相応之地所ニ候間是亦申合
  一同入精相励可申旨被 仰出候
【以下三名を弧線にてまとめ】
           酒井左衛門尉 
    右同文書   南部美濃守
           津軽土佐守

   【以下の二名を弧線にてまとめ記す】
   二ノ御台場   酒井雅楽頭
   五ノ御台場   小笠原左近将監
  内海御警衛被 仰付二ノ御台場御預被成
  候防衛之手筈兼而厳重ニ可申付置候小笠
  原左近将監同様被 仰付候御台場御預被
  成候尤内海御警衛之面々可被申合候

十六日  朝より快晴大霜ふる四ツ時位ゟ西
 《割書:銚子辺|玄米四斗位》 風ふくさむし夕方止
 《割書:銚子辺ハ夏中汐きりニ而草木ハ勿論松支とも枯候よし|》
十七日  大霜快晴さむし氷少々はる
 《割書:三十四度》
十八日  大霜快晴さむし
 《割書:三十四度》
 《割書:穀町        当年夏中ゟ蛸殊之外沢山之漁事ニ而|壱分ニ籾弍斗六升  一貫目ニ付弐百五十文位》
    九月十二日 《割書: |御軍艦調練所》
            福田金吾  
  右ハ此度唐国と英吉利国と合戦ニ付異国
  より日本へ加勢乞候処御断ニ相成候付而
  ハ金五百両被遣候間長崎表江渡来ニ而相
  待候英船へ可被遣候
  右為御用長崎表へ可相越候

    但此度新吹小判ニ而五百両被遣候
十九日  朝より快晴暖気なり
 《割書:当十七日|御宅へ》 《割書:御本丸御焼失ニ付月番年寄衆御両君樣御機|嫌伺ニ出ル》
廿日   朝むら雲終日曇空ニ而暖気なり
《割書:四十度|》
廿一日  朝より快晴暖気なり
廿二日  朝より快晴暖気なり
廿三日  朝より快晴夕方よりくもり暖気な
《割書:四十三度》   り朝四時大地震ゆる
廿四日  朝より小雨少々降暖気なり四ツ半
     過より止九ツ過より快晴
    下総結城郡松平主水知行所
         地代官
            孫右衛門
  右之もの井戸普請ニ付棒金堀出し早速  
  御公儀へ御訴申上候処地面五千石永代被
  下置候
   棒金丸サハ八寸廻り長サ二尺五寸
    但壱本代積三千六百両
   惣本数九千本

    此代金三千弐百四十万両
  右ハ鎌倉時代伊織治長居城と申事ニ有之
  候よし
   右横山町市人之写
          八月十一日
廿五日  朝より快晴四ツ時過より薄くもり
《割書: |麦米百文九合》  暖気なり
《割書:そは百文一升|かうじ百文九合》
廿六日  朝より快晴暖気
《割書:五十三度|》
廿七日  朝よりくもり七ツ時より雨降夜中
《割書:五十度 》   四ツ時大雨直止暖気
廿八日  朝もや殊之外たつ終日天気よし暖
《割書:四十六度》   気なり
《割書:土浦辺|玄米 五斗弐三升   上町》
《割書:大豆七斗弐升     穀町市籾壱分 弍斗五升五合|大豆上六斗九升           弍斗七升まて》
廿九日  朝むら雲暖気也北風にて夕方迄吹
《割書:五十三度|》
  此節ころり病も静り候此近辺ニ而ハ平磯
  九十五六人ミナト廿四五人いそ四十人余
  と申事御城下も上町ニハあまり無之候へ

  共下町ニは少々有之候よし


    十一月

朔日   朝よりくもり終日くもり夜四ツ時
《割書:四十三度|》   雨少しふる
二日   朝より快晴さむし九ツ時ゟ西風吹
     夕方止夜中六ツ半時ゟ夜明方まて
     吹
三日   朝より快晴寒し西風吹夕方止
《割書:四十度|》

 十月十七日七ツ時過
 御本丸中之口御作事部屋進物番内之間ゟ
 出火之様子にて夫ゟ同所一面二相成追々
 火勢烈敷相成大広間其外表【重複した漢字「表」を重線で見せ消ち】面 不残焼失
 且又紛火にて御広式向も不残汐見御矢倉
 ヲ初メ御多門向余程御焼失表之方ハ御書
 院御門右多門も御焼失御蔵向を初あらま
 し御焼失ニ御座候
   対廻情之写
        御作事方仮役【以下7行、役名人名の上を弧線で結ぶ】
          蜷川藤五郎
  《割書: |下通り御尋之》       《割書:未三十五》
  《割書:上左連人江|御預ケ》   御持頭
          豊田藤之進
        《割書:御作業方|  定普請同心出役》
          成田蔵之充
             《割書:未三十三》
        御賄方新組
  《割書:一ト通御尋之上|揚り屋二入》     新吉事
             惣市
             《割書:|三十六》

          表火之番
    《割書:一ト通尋之上|左連人江御預ケ》               佐藤捨五郎      
                          《割書:五十六|》
     右於石谷因幡守宅御目付溝口八十五郎
     立合因幡守申渡 
          大番頭
             土佐丹波守
           名代
             土佐作右衛門
     思召有之二付御役御面【ママ】隠居被 仰付指
     控可罷在旨
          中奥御小姓
             土岐大隈守
            名代
             土岐左近    
     又丹波守義思召有之候二付御役御免隠
     居被 仰付家督無相違其方へ被下置候
     右昨晩於安藤對馬守宅若年寄中出座對
     馬守申渡
     大【右を重線にて見せ消ち】目付遠山
     隼人正御目付松平太郎兵衛

    三宅帯刀相越候由二御座候

四日   大霜薄くもり寒気夕方くもり夜中
《割書:薄氷|三十六度》   雨ふり
五日   朝に雨ふり直やむ夕方迄薄てり
六日   朝より快晴霜ふる
七日   朝より快晴霜ふる夜二入くもる四
《割書:三十七度|》   ツ半時過より雨降暖気なり
八日   宵より雨降九ツ時位より晴
九日   朝むら雲四ツ過位より西風吹夕方止
《割書: |日光山雪》
十日   大霜快晴寒気終日天気にて夜中く
《割書:三十五度|》   もり
十一日  朝むら雲薄曇
  川越辺忍城下秋中の水損二而此節玄米壱
  両二三斗八升白米百文五合弐勺粕壁白米
  五合五勺麦曳割八合銭六〆四百文下館伊
  成辺玄米五斗弐三升白米六合五勺
十二日  明方より西風吹夕方まて快晴にて
     西風つよし
十三日  大霜快晴寒気つよし四ツ時より西
《割書:三十一度|》

     風吹夕方風止
    十二日当朝御用
          御老中
            杉浦黒次郎
    逼塞    同
            鳥居瀬兵衛
          御若年寄 
    同       大森 多膳
          御用人   
    同       谷 孫二郎
          御目付 
    〃       田丸稲之衛門
    〃       富田三保之介
    〃       佐野四郎衛門
  是ゟ御評定所 御若年寄 
    遠島      大久保甚五衛門 
          御祐筆頭取
    《割書:五人御ふち|蟄居》     高橋多一郎
          南御郡奉行
    《割書:七人御ふち|蟄居》     重子孫二郎

               北御郡奉行
      小普請組        野村彜之介 
               西御郡奉行
      遠島          石川竹之助
      御役被召放小普請    失野長九郎
               御祐筆
      《割書:五人御ふち|小普請》         日向定之助
      親へ御廻し       斉藤 好楽【以下二名に関し】
                  同 左衛門
               御勘定奉行
      御ふち被召上      住谷長太夫【以下二名に関し】
      新一御廻し       同 寅之助
      閉門          田原彦太郎 
      〃           川瀬介三郎
      〃           浜田 平助
      〃           前木新八郎
      〃           川邊久米七
      〃           師岡玄之助
      〃           床井 庄三
      〃           岡見留次郎

     〃           須藤 栄吉
     〃           倉並蔵之允
     〃           浅田冨之允
     〃           小林六衛門
     〃           杉浦 辰蔵 
     〃           余語 慎三
     〃           立原左兵衛
     小普請         大畑 事蔵
     《割書:五人御ふち|蟄居》         関 銕之助
     遠島          田島謙之助
     閉門          小池太兵衛
十四日   大霜快晴寒気【右に「つ」を添加カ】よし夜中西風
《割書:三十二度|》
十五日   大霜快晴西風つよし夕方風止
十六日   大霜快晴寒気西風ふく
《割書:三十度|》
十七日   大霜快晴寒し
《割書:茂木玄米|五斗弐升》     笠間五斗弐三升
       《割書:府中玄米四斗七八升|同 麦米五斗五升》
十八日   大霜快晴寒気つよし西風
十九日   大霜快晴寒気つよし
二十日   大霜快晴寒気つよし

  真壁玄米四斗九升カ【?】五斗
廿一日  大霜快晴
《割書:三十一度|》
廿二日  大霜快晴
《割書:三十度|》 
廿三度【ママ】大霜快晴
《割書:三十度|》
廿四日  大霜快晴夜四ッ時ゟ西風吹つよし
《割書:三十度 |》   七ツ時夜五ッ時迄西大風夫より風
《割書:暮方ゟ| 太田大火 》  静カニなる
《割書: 屋敷三百軒余土蔵三十二落る》
廿六日  大霜快晴
《割書:三十度|》
  仙台城下白米四斗八升 《割書:古川三十一万石余|      大不作》
  川又 白米壱分壱斗三升
  禞【福カ】島 白米五斗壱弐升
  会津 《割書:城下玄米壱石|同在  壱石壱斗》
  栃木 玄米四斗八九升
  烏山 同 五斗四五升
  馬頭 同 六斗弐三升 《割書:一両日前ゟ| 三四升下落》

  岩城 同 七斗
廿七日  大霜快晴
《割書:三十二度》
  御簾中様今日江戸江發駕御道中御休泊り
  村々左之通御差合有之 十二月九日 御發駕
  御初日  千住  御小休
       松戸  御晝
       小金  御泊
  二日目  我孫子 御小休
       取手  御晝

       藤代  御泊
  三日目  中村  御晝
       中野  御小休
       稲吉  御泊
  四日目  府中  御小休
       片倉  御晝
       長岡  御泊
  越後十日町蕪木ゟ承り候処米ハ随分上作
  にて玄米四斗入壱俵金弐分か百文ぬけ
  脂【絹】糸壱固平年四十四五両位二而直し節二

  而五十両位此節にて百拾両之よし
廿八日  大霜快晴五時より薄くもり日暈夕
《割書:三十度 》   方よりくもり
廿九日  朝よりくもり西風四ッ過より風止
《割書:三十七度|冬至》
晦日   朝よりくもり五ッ時より雷あり
《割書:三十二度》   四ッ過より止寒気つよし




   十二月

朔日   大霜快晴寒気つよし夜四ッ時あら
《割書:二十八度》   れふる
  《割書:江戸》大黒屋吉右衛門支配人此節下り候二付
  承り候処
   文字【「寫」を見せ消ち】小判  百両【「匁」を見せ消ち】二付百六十両
   文字【「寫」を見せ消ち】小粒  百両【「匁」を見せ消ち】二付百六十両
   文字【「寫」を見せ消ち】小判  同   百五十両

   文字【「寫」を見せ消ち】小粒 同  百四十両
   保字【「寫」を見せ消ち】小判 〃  百三【「四」を見せ消ち】十五両
   保 小粒 〃  百三十両
  右之通此節両替屋二而内々引替候よし表
  向ハ御達之通ゟ別二ハ引替不申候よし
  当十一月十日ゟ別而厳敷相成田舎ゟ古銭
  類引替二持参いたし候もの両替屋へ差出
  不申候ものハ直二召取二相成候よし是ハ
  両替屋へ差出候より横浜へ持参候方宣よ
  し二而此程沢山二横浜へ参り候二付右様

  厳重二相成候よし
二日   朝より快晴寒気西風吹九ッ時より
《割書:三十一度|九十九里辺 》  止
《割書:いわし漁事有之候よし》
三日   朝より快晴四ッ時より西風ふく夕
《割書:三十一度|漁油拾樽二而》  方風止
《割書:十両位いたし居候処此節拾弐両位》 《割書:いそナトも漁事有之壱玉二付|油大七升ツゝ出候よし》
四日   大霜快晴寒気つよし
《割書:二十九度》
五日   朝よりくもる寒し九ッ過よりてり
《割書:三十二度|御簾中様今日御発駕 》立

六日   明方より雪降四時止八ツ時より照
《割書:三十ニ度》   立
七日   大霜快晴寒気つよし四ツ時より夕
《割書:三十度 》   方迄西風吹
八日   朝より快晴寒気つよし西風吹
《割書:二十八度》
御簾中様九日四ツ時御着
九日   朝より快晴寒気つよし
《割書:二十九度》
十日   朝より快晴寒気終日上天気也
《割書:二十六度》
  此節諸所玄米少々下落いたし
  茂木五斗五升烏山七斗位
 会津壱石壱斗
十一日  朝よりくもり寒気四ツ時位よりあ
《割書:二十八度|絹糸類追々引上ケ》 られふる雨少々交八ツ過より止夜
《割書:当時両ニ五十目位|右二付ちりめん類》 中快晴
《割書:大高直》
十二日  朝より快晴
《割書:三十一度》
十三日  朝より快晴四ツ時ゟ西風吹夜中迄
《割書:三十度 》   吹
十四(入寒)日  朝より快晴寒つよし夜ニ入薄くも
《割書:弐拾六度|四ツ時入寒 》  りあられふる

十五日  朝より快晴寒気つよし
《割書:弐十七度》
十六日  朝よりくもり寒気九ツ時より小雨
《割書:弐十八度》   夜中も同断
十七日  朝より快晴むら雲
《割書:三十三度》
十八日  朝よりくもり夜五ツ時雪ふる四ツ
《割書:三十度 》   時はれ月見ゆる
十九日  朝より快晴極寒気九ツ時過より大
《割書:二十六度|〆粕壹ノ五分》  くもり西北の風にて雪ちら〳〵降
《割書:干賀百俵金十|六両》  直ニはれ
二十日  朝より快晴寒気殊の外つよし
《割書:二十三度》
二十一日 朝より快晴寒気殊の外つよし
《割書:二十三度》
二十ニ日 大霜快晴寒気つよし
《割書:二十七度》
二十三日 朝より快晴寒気つよし
《割書:二十三度》
二十四日 大霜快晴寒気つよし
《割書:二十三度|夜六半時辰己【巳の誤記?】屋風呂場焼る》
二十五日 大霜寒気つよし快晴なり
《割書:弐十八度|    庚申》
二十六日 朝よりくもり五ツ時ほろ〳〵雨直
《割書:三十四度|何事ニ候哉両三 》 止終日くもり夜四ツ時雨降
《割書:日已前ゟ江戸表ゟ早参ル 御城御混雑候よし》

二十七日 朝よりくもり終日曇夜ニ入あられ
《割書:三十五度|》   ふる九つ過より明方迄西風吹
二十八日 朝より快晴四ツ時よりむら雲風立
《割書:三十二度|》   暖氣なり終日曇空にて北風吹夜ニ
     入あられふる
二十九日 朝より快晴
《割書:元日御祝儀之儀布衣以上長上下物頭以下熨斗目綿服麻上下|ニ而罷出候様御達有之候事》
晦 日  朝よりくもり終日薄くもり空に而
《割書:三十五度》   持合暖氣也

【左下丸日付印 昭和十二年十一月十七日 購】

巻3

L289.1 3 137
《割書:水|戸》大高氏記録 三

【蔵書印、「水戸高等学校図書印」】

  安政三年
   丙辰正月ゟ
 寒暖計朝五ツ時をしるし申候
元 日 朝四方快晴寒気つよし終日誠ニ穏に
《割書:未 》   て一天に曇りなく至極上天気なり七
    ツ時より七ツ半時迄之間少々西風ふ
    く
二 日 朝より至極快晴静なり寒気つよし
《割書:庚申》
三 日 朝より快晴至極に穏なり七ツ過より

    曇
四 日 朝より快晴四ツ過より戌亥大風吹夕
    方止夜中又々吹出明方静る
五 日 寒気強快晴五ツ過より大戌亥風吹余
    寒つよし
六 日 朝より快晴余寒つよし
《割書:甲子》
七 日 朝ゟ快晴余寒強夜に入曇る
八 日 朝より薄曇四過より快晴
九 日 大霜余寒強快晴夜ニ入曇夜中雨ふり
十 日 朝より曇明六半時小雨ふり直ニやむ
《割書:籾三斗八九升|ゟ四斗位迄》 終日雲り空なり
十一日 朝より曇暖気未申の風吹五ツ時小雨
    直やむ夜中風吹
十二日 朝より曇四ツ半過より大西風吹九ツ
    時過地震ゆる暮六時風止快晴ニなる
十三日 朝より快晴四ツ時ゟ西大風終日の大
《割書:今日日柄も宜候間|南の方え柱立致候》風にて暮六ツ半時止
《割書:事》
十四日 大霜寒気強西風ふく
 《割書:江戸ゟ| 初相庭》

  《割書: |名古屋白         伊 勢 晒         尾 張 白》
  《割書:一 番 四反八分|二 番 五反四分 》  《割書:大 上 六反八分|御 好 六反七分 》  《割書:茶 地 十反五分|本 道 十壱反》
  《割書:三 番 六  尺|四 番 六尺六分 》  《割書:唐 崎     |清 水      》  《割書:次 道 拾壱反九分|引 船 拾壱反弐分》
  《割書:五 番 七反弐分|六 番 七反七五 》  《割書:白 吹 七反五分|祇 園 七反四分 》  《割書:千 鳥 拾四反弐分》
  《割書:七 番 八反三分|八 番 八反八分五》  《割書:玉 川|枅 川》
  《割書: |三 河 白》    《割書:玉の井 八反四分|三 穂 八反三分》
  《割書:古 新 六反七分 |改   七反六五》  《割書:花の井|瀬 川》
  《割書:間 銘 八反七分 |新 造 拾反弐分》  《割書:奈良和 九反九五|鈴 鹿 九反四五》
  《割書:間 新 拾壱三  |》  《割書:住の江 拾反五ー|初 瀬 九反九五》
         《割書:宮 川|堀 川 十反五五》
         《割書:御 園 十反四五|》
  《割書:地水油  弐十六匁|上白油  廿五両弐分》
  《割書:胡麻油  廿六両三分|荏 油  廿五両壱分》
  《割書:同 生  同|種 粕  拾三枚八分》
  《割書:同並判  十五枚三分|白胡麻粕 十弐枚八分》
  《割書:荏 粕  十 六 枚|黒胡麻粕 十 七 枚》
  《割書:銭 六貫六百廿文|大坂廿五日出》
   《割書:水 油 四百廿八匁|金   六十八匁八分》
十五日 大霜快晴余寒強
十六日 朝より快晴夜五ツ時より西南の風強
    し 

十七日 朝より快晴暖気なり四ツ時ゟ大西風
    つよし七ツ半時止
十八日 朝より快晴余寒つよし四ツ半時過よ
    り大西風吹七ツ時止
十九日 大霜寒気春めく終日天気快晴也
《割書:弐十八度》
廿 日 朝より曇終日くもり空なり九ツ過ゟ
《割書:三十四度》  雨ふり明方迄雨降
廿一日 朝ちら〳〵雨直ニやむ暖気なり終日
    持合夜中晴
廿二日 朝よりくもり雪ちら〳〵ふる九ツ時
《割書:四十二度》  より雪降さむし夫より雨ニなる夜中
    も雪ふる海殊之外なる
廿三日 明方迄雪ふる四ツ時より止夜八ツ時
    ゟ雪ゆる
  十月二日夜四ツ時ひらき
   歌仙万歳楽   一ゆり
  念魚葊【菴の異体字】震動大人  一圓同證
  池魚災東西家焼
 天《割書:不時 暖気|毎夜 光物》 地《割書:昼夜 動揺|諸所 さけめ》 人《割書:何万 死傷|上下 難渋》

 案《割書:潰家 当座 露宿 梁下 即白 棺槨 売切|金持 旅行 質屋 大損 職人 僥倖 商売 困窮》
 外《割書:御救 仁政 貧人 喜悦 世上 一革 追々 繁昌|           米老人蔵上梓禁売》
   歌仙万歳楽     一ゆり
  何となく淋しくなりぬ北しくれ  段 々
   来る客も見すひとり開く炉   曲り家
  やう〳〵と損した場所を繕ひて  貸 店
   たゝき大工も二分の手間賃   其 砌
  隣から月のさし込明り窓     壁 落
   哥の師匠も露にぬれつゝ    野 宿
  諺の歯におしるこの時節     小 震
   こわひ咄しハ根をほつて聞   変 し
  骸骨を車に載し地獄の絵     目 前
   立山ハさそにきやかなこと   御 尤
  薄氷北へよるほと剛く凍     方 角
   年寄まても春を待らむ     此 暮
  あさ漬を夜なへに売し月明り   腐 市
   御救小屋に虫の声々      不 便
  金持の旅行ハ角力供につれ    名 聞
   米のやすひにこまる武家方   玉 落
  さすかにも花ハ桜と人もふめ   評 判

   なんともいはぬ春の夕暮    入 相
  方丈の取出す金のあたゝかき   潰 寺
   鍬をとつてハもとの仁平次   土 運
  才取ハ米より土か銭になり    左 官
   四百の女郎揚つめにして    職 人
  忽に恋も無情と入かわり     吉 原
   かりの住居もまめているゆへ  馬 喰
  ゑひやつと願の済た五百日    仮 宅
   そろり〳〵とよせもはしまる  講 釈
  囲碁まてもおなし芸者の数に入  碁 打
   遊んて居てハ暮されぬ世に   芸 人
  喰ものゝ外ハ淋しき二日月    酉 町
   きうに溜た水おとしけり    穴 蔵
  小家まて杖つくほとの稲の出来  町 中
   四十出さぬハのめぬ諸白    近 比
  けろ〳〵と小判の嘔吐をはき出し 持 丸
   小間物見せもやかて賑ふ    来 年
  何事も昔へ帰る江戸の花     世 直
   初日に向ふ富士越しの辰    留 筆
    乙卯冬         米老人戯撰

廿四日 宵より大雪ふる四ツ時ゟ止又々九ツ
《割書:冬春 御帰国之儀|御延引之御達有》時ゟ大雪七ツ時止寒気殊之外つよし
《割書:之候事》
廿五日 朝より快晴寒気つよし近比稀なる寒
《割書:十九 度|今日ハ急》  気
《割書:召之御家中余ほと有之よし》
廿六日 朝より快晴西風吹直ニやむ
《割書:廿七 度》
廿七日 朝より快晴余寒つよし
廿八日 朝より快晴
《割書:三十四度》
 江戸小石川御近火之心得留
  出火之節御合図
 一太皷壱ツ揚御人数揃事
 一同 二ツ揚駒込御近火事
 一同 三ツ揚八町四方之事
 一同 五ツ揚三町四方之事
  右之通相心得候様御達之事
   嘉永七年子正月
廿九日 朝より快晴暖気也
晦 日 朝より快晴暖気也
   安政三辰正月廿五日

         於評定所
           大崩庄左衛門
           宮田介太郎
   御尋之儀有之物頭へ預ケ
           谷田部藤七郎
             由緒共え
   谷田部藤七郎御疑い之儀有之候ニ付
   評定所え罷出候様相達候處致出奔候
   ニ付悴獅子之介其方共え御預ケ被遊
   候条引取屹と心を付差置可申旨
         御先手物頭
           長尾左大夫
   宮田介太郎御尋之義有之候ニ付其方
   え御預ケ
         同
           鵜殿平左衛門
   大崩庄左衛門右同断
         御用人
           伊藤七内
         御目付
           伊藤孫兵衛

   大崩庄左衛門宮田介太郎御尋之義有
   之ニ付申合穿鑿可仕胸
         浪 人
           白石平十郎
         北御郡方見習
           藤田卯之吉
         御先手同心
           安 英八郎
   吟味之儀有之
   揚り屋   |  同 昇之介(英八郎悴北御郡方見習  )
         御矢倉手代
           白石要介
         結城一万丸家来
   入 牢     大沢順衛門
         御刀方手代
   《割書:於大井|召捕ニ相成候由》   笠野織衛門
             結城一万丸
             平尾左匠
   右両人家財封印之上親類御預ケ
             《割書:留 村| 先御山横目》

   《割書:召 捕|溜 入》      大内政衛門
         《割書:浅川村| 庄屋》
   右同断
         島子村
           薄井友右衛門
   揚り屋え    同 七左衛門
           同 惣  七
         《割書:大生瀬村| 郷士列》
   右同断     才藤与五兵衛
        松平申之介家来
           佐藤鉄五郎
              啓介
           足軽 三人
         大宮村郷士
   同役預ケ之由  立原伝十郎
         馬頭村郷士
   入 牢     北条斧四郎
         同
   同役預ケ    星小野衛門
         長倉村先横目

   入 牢     和泉屋伊兵衛
         額田村先組頭
   入 牢        登一郎
         高部村郷士
   《割書:出 奔| 追而入牢》     岡山二郎衛門
         大子村郷士
   揚り屋     益子民部左衛門
         《割書: |小中村先御山横目》
   村預ケ     佐川民三郎

 当月廿九日
 府中市中ニ十七才ニ相成候娘敵打有之候よ
 し越後之者之由敵ハ髪結ニ相成居候よし

 金子武四郎江戸定府ニ 相成居候處見付ケ半
 香と申画家之所へ年始ニ内弟子壱人供ニ連
 参り候處画家程斎と申者居合せ酒ニ相成酒
 興之上程斎種々悪言ヲ申候由ニ而金子弟子
 程斎を打果候而出奔いたし候處金子ハ公辺
 え御呼出之上入牢致候よし

   二 月
朔 日 朝快晴暖気五時よりくもる直ニ快晴
二 日 朝むら雲五ツ過ゟ快晴暖気なり夜ニ
    入九ツ半時ゟ大雨壱時計之間雷弐三
    声極大雨なり暖気
三 日 朝むら雲五ツ時ゟ晴暖気なり夜五ツ
    時ゟ小雨ふり
四 日 朝小雨ふり直やむ四ツ過より雨終日
《割書:四十三度》
五 日 朝よりくもりさむし四ツ過より雨ふ
《割書:四十 度》  り夜中つよし九ツ過晴山々大雪
六 日 朝大霜快晴さむし夕方よりくもり夜
《割書:三十一度》  ニ入九ツ時雨ふる直ニ止
七 日 朝より快晴さむし夜ニ入五ツちら〳〵
    雨
八 日 大霜快晴さむし
《割書:三十一度》
九 日 朝より快晴
《割書:三十四度》
十 日 朝むら雲四ツ時ゟ快晴

十一日 快晴さむし
《割書:四十 度》
十二日 朝くもり暖気五ツ時雷なる終日曇空
《割書:五十 度》  ニ而七ツ半時東の方大曇り鼠色の雲
    の中え真すくに黒き竜の尾のことく
    のろしの煙りのことく図のことくのもの
    見ゆ間もなく大雷雨殊之外つよし夜
    五時止
【図省略】
   雲 《割書:如此ニ見ゆるこの細キ所動キ申候暫の間ニ雲の中え|くる〳〵と巻上り候追々の評判ニハ竜の水をあげ》
     《割書:し事と申候》
十三日 霜ふる快晴
《割書:四十一度》
十四日 朝より快晴夜ニ入酉戌の大風明方止
十五日 大霜さむし快晴
十六日 朝くもる七ツ時ゟ雨ふり夜中雨風つ
《割書:来月廿一日ゟ|廿五日迄之内》 よし明方迄大風雨
《割書:追鳥狩有之|候様御達有之》
十七日 宵より雨ふり北もやうにてさむし終
    日雨ふり夜に入雨止しかし風つよし
十九日 大雨快晴
廿 日 朝より快晴夜中風つよし

《割書:日光山|太田近辺山々雪降》
 安政三辰正月水戸御藩中金子健四郎年礼と
 して江戸元矢の倉福田半香宅え参り家来清
 水覚次郎鼎斎を打果候ニ付口上書之写
             金子健四郎
 去ル十七日私儀用事有之元矢の倉福田半香
 と申者方へ罷越候所折節村松町住居生方鼎
 斎と申もの参り合雑談之砌鼎斎儀私え対し
 小児の如くと申聞候付私ニおゐても鼎斎義
 を小僧と戯候得は鼎斎憤候様申聞候間小児
 小僧何れも同様之論ニ可有之候處彼此鼎斎
 心底ニ不落様相見候所半香義私え相詫候様
 申聞候ニ付素より前件の論ニ而立腹致候義
 も有之間敷得ト示談可仕旨申聞候得ハ又候
 半香私義ニ強而帰宅致候様申聞候間左様申
 義を推倒【見せ消ち「し」】候付何レも右之次第柄ニ付手向等仕
 候所存も無之候間手を放候様申聞居候内私
 家来清水覚次郎儀も馳付引分何れお手を放
 候所引分ケ之砌私儀乱髪ニ相成候を覚次郎
 見付如何ニも立腹之様子ニ候得共双方引分

 ケ候事故覚次郎義本居所え引取私義ハ勝手
 ニ而為髪結直又候鼎斎半香え面会得と示談
 可致旨申聞候所鼎斎義不居合半香義は大酔
 ニ付明日拙宅え罷越候段家内申聞候付鼎斎
 儀ハ帰宅致候義と相心得夫ゟ半香宅を罷帰
 鼎斎宅え相越前顕之趣示談可致と存罷越候
 得ハいまた帰宅無之段鼎斎取次之者申聞候
 付帰宅可仕所家来覚次郎義鼎斎いまた半香
 宅ニ罷在候哉聞合可申と覚次郎壱人急キ罷
 越私義ハ後ゟ相越途中ニ而便用仕候内何ニ
 欤物音仕候付何ニ致候哉と声掛ケ走付候所
 覚次郎申候ニハ如何ニも残念ニ付打果候旨
 申聞候間私義驚キ相果候哉と尋候得ハ猶又
 打留候段申候ニ付其方如何ニも早廻り短慮
 之至於爰致方無之覚悟可致旨申聞候所覚次
 郎申候ニハ余残念ニ付私打果候事故覚悟仕
 居候段申候間私申候ハ是非も無之次第於拙
 者半香へ右之段相断尚又辻番ニ相届
 公辺御沙汰相待可申段為申聞夫より半香門
 前より此段相断候内右覚次郎行衛見失候間

 追駈相尋可申とも存候得共辻番前ヲ欠抜ケ
 声を被掛候而ハ如何と存候直様辻番へ家来
 義鼎斎を打果候段相届尚又為後日刀をも相
 改させ直様引取右之段其筋え相届申候右之
 外申上候儀無御座候
    福田半香口上書
 去ル十七日夕私宅へ稲葉昇【見せ消ち「左」】太郎様御家来村
 松町ニ住居罷在候生方桂一郎義相招候約束
 仕度候處水戸様御家来金子健四郎義為年礼
 罷越候間幸之儀ニ付引留置同人若党壱人ハ
 玄関え上ケ為待置申候無程桂一郎義罷越候
 間一同酒指出候處追ニ夜ニ入酔興に乗し右
 両人拳なといたし戯候内風度争論ニ及ひ取
 合かゝり候付私義双方相なため候へ共聞入
 不申候間健四郎義ハ旧来格別之入魂ニ而舎
 弟同様仕候者之儀ニ候へハ先ツ同人義を取
 押へ候而押返【見せ消ち「申」】シ候節誤而其髪ニ触れ乱髪ニ
 相成其内家内一同【見せ消ち「折」】打寄取押へ相静め桂一郎
 ハ別間ニ連参り健四郎ハ家内のものニ而髪
 結致遣し若党召連候而夜五ツ時比罷帰り候

 所暫過候而健四郎家来之趣ニ而門外へ参り
 桂一郎方へ参り相尋候得共未タ帰宅無之よ
 し今以此方ニ罷在候哉と相尋候間取次之者
 取計ニ而最早帰り候趣相答遣暫見合候而五
 半時比にも可有之桂一郎義最前酒宴比ゟ迎
 ニ参居候悴同道罷帰り候ニ付私小もの又兵
 衛と申ものニ挑灯為持為先立桂一郎【見せ消ち「跡ニ付」】悴并小
 者豊蔵と申もの桂一郎跡ニ付添送り遣候桂
 一郎門外へ罷出候所を何者欤切付候付桂一
 郎其場ニ相倒れ候付先立候小者ハ驚キ両国
 辺迄も逃候よし跡ニ付添候桂一郎悴并豊蔵
 義も周章門内へ馳入候付相手方之者見届不
 申候桂一郎悴親切られ候趣呼込候間家内一
 同驚キ騒キ居候内健四郎罷越私へ面会いた
 し度旨門外ニて申聞候得共取次之者今晩ハ
 混雑ニ付面会之儀相断遣候由然ル所桂一郎
 義ハ同人身寄之者参り連帰り候趣ニ御座候
 右之外門外ニ而之義ニ付一切存候義無御座
 候此外可申上義無御座候以上
    福田半香家来又兵衛口書

 去ル十七日夜五ツ半時比主人半香ゟ生方
 桂一郎殿御子息同道被帰候付為送挑灯持候
 而先へ立門ヲ出三間程も往来し罷越候所後
 にて物音いたし候ニ付振返り見候得ハ何者
 か不知桂一郎殿を切懸候付驚周章両国近辺
 迄も逃去暫仕候而罷帰申候此外可申上義無
 御座候以上
    同家来豊蔵口書
 去ル十七日夜五時比金子健四郎殿主人方ゟ
 被罷帰暫過健四郎殿家来之趣ニ而門外へ参
 り只今生方へ参り候所桂一郎未タ帰宅無之
 由矢張此方ニ罷在候やと申候ニ付最前争論
 之義も承知致居候付最早被帰候趣相答申候
 程過五半時比桂一郎殿御子息同道被帰候付
 為送私跡ニ付桂一郎殿門を被出候続而御子
 息被出懸私義ハ未タ門内ニ罷在潜際まて参
 候處門外ニ而桂一郎殿被打候様ニ相聞候處
 其辺血流れ候様子ニ而桂一郎殿御子息親人
 も切候由泣声を立被呼込私義驚き周章潜戸
 を〆置主人え申聞候右之節門外ニ而何欤声

 いたし候得共其詞ハ聢と不相分潜戸之間よ
 り見受候事故相手と存候人も聢と見留不申
 其後暫有之金子健四郎と申門外より乱心ハ
 不致候間手向ひ不申仕【見せ消ち「召」】そこなひ候事有之ニ
 付主人ニ逢度門明呉候様申聞候得共右異変
 ニ付門内へ人入れ申間敷旨主人申付置候付
 私取計今晩取込ニ付御断申候其後主人申付
 ニて勝手口ゟ罷出若松町二宮惺忓殿方え怪
 我人有之候間御越御療治被下候様との使相
 勤申候此外可申上儀無御座候以上
    福田半香妻たつ口書
 去ル十七日夜宅ニ而生方桂一郎金子健四郎
 酒【見せ消ち「狂」】犯之上争ひニ相成候節何等之事より事起
 り候哉私義勝手ニ居候故一向相知不申騒敷
 相成候付座敷へ参り候所最早双方へ引分ケ
 候所ニ而御座候夫ゟ健四郎髪結直遣候之所
 曲少き由申候間又々結直遣し右之内も色々
 相なため候所半香えハ何之怨も無之由申い
 かり候色も相見不申候帰候節健四郎着用熨
 斗目ニ而下計着し上ハ風呂敷ニ包若党え私

 相渡シ遣し候其後門外之始末奥ニ居候故一
 向存候儀も無之此外可申上義無御座候以上

 金子健四郎家来覚次郎義其場より行衛不相
 知候處二月十二日ニ至り小石川御目付方へ
 訴出候由右覚次郎伝馬町え入牢ニ相成候所
 間もなく相果候由
廿一日 宵より西北風つよし四ツ過より止
《割書:四十一度》
廿二日 朝より薄くもり暖気なり
廿三日 朝より雨ふり八ツ過雨止夜ニ入西北
    風
廿四日 朝よりくもり終日くもり空にてさむ
《割書:四十二度》  し
廿五日 朝よりくもり小雪ちら〳〵直ニやむ
《割書:三十八度|山々雪見ゆる》 夕方より大雨終夜雨つよし
廿六日 明方より快晴さむし夕方より大くも
    り五ツ過より大雨九ツ半過止
廿七日 明方地震晴むら雲夕方より極快晴
廿八日 極快晴折々むら雲

廿九日 朝より快晴至極暖気なり
《割書:四十五度|日光山大雪》

   三 月
朔 日 朝より快晴暖気なり夕方よりくもり
《割書:桃口切 》  五ツ時雨降
二 日 朝より快晴むら雲夜ニ入さむし
《割書:五十二度》
三 日 霜ふるさむし快晴むら雲夜ニ入大く
《割書:三十八度》  もり
四 日 朝よりくもり終日くもり北風夜中迄
《割書:四十八度》  ふく
五 日 朝よりくもり五ツ半時より雨ふり夜
    ニ入五ツ時ゟ雨ふり直ニやむ北風ふ
    く
  三月朔日
    《割書:達御用|御国勝手》      岡嶋藤次衛門
    《割書: |御国御留主居》     相羽惣大夫
            会津清衛門
    《割書: |御書院番》      岡崎 雅楽

            樫村安衛門
    《割書:御土蔵番  》     森  雄蔵
    《割書:交  代  》     会津 信平
    《割書:定江戸小従人 》     佐野五三郎
    《割書:達御用|御国勝手 》      大橋斧八郎
  同日当朝御用
    《割書:悴兵蔵儀結城寅寿へ相因|候ニ付惣領え御返忠兵衛知 》  横山忠兵衛
    《割書:行之内半知被召上中ノ寄合御 |入被遊候条御国え引越候様 》 同  兵蔵   
    《割書:同断半知中ノ寄合》    大森金八郎
    《割書:同断惣領え御返 》    相羽九十郎
    《割書:不心得之儀有之小普請組へ|御入被遊候条御国へ引越候様 》 十河 船安
    《割書: |交代小十人 》     樫村民之進
            小林安五郎
    《割書: |交代御徒  》     森 秀之介
            松本金之介
六 日 朝よりくもり冷気北風終日風吹夕方
    より快晴
七 日 朝より快晴さむし毎朝東の方より辰
《割書:四十三度》  巳の間ニ黒き雲あり
 両三日已前ゟ御老中白井織部様御若年寄中

 山与三左衛門様御勘定奉行原十左衛門殿御
 祐筆頭取高橋太一郎殿御祐筆日向辰二郎殿
 等急召ニ而江戸え登り候由
八 日 朝より至極快晴ニ而さむし
九 日 朝よりくもり暖気夜ニ入雨つよし終
《割書:五十四度|今日は八十人余 》夜雨ふる
《割書:御役替》
十 日 宵より雨ふりつよし四ツ半過より止
《割書:五十五度|破岸桜盛》  折々雨ふる夕方より止朧月夜
十一日 朝さむし快晴終日天気西北の風夜中
《割書:五十四度》  は殊之外つよし明方迄吹
十二日 朝さむし快晴北風つよし七ツ過ゟ止
《割書:日光山大雪》
十三日 朝寒し快晴夕方より北風吹四ツ時止
《割書:四十 度|氷はる》
十四日 朝より曇五ツ時ゟはれ寒し夕方より
    くもり南風にて暮六ツ時ゟ雨降折々
    大雨
十五日 朝より快晴暖気少々東風ふく
《割書:日光山辺|大雪ふる》

  三月十五日御用
              川上庄助
              同 庄七
            金 郷
   年々籾十俵      神永玄孝
   代々郷士列      関沢源八郎
   代々郷士列      大森左平次
   《割書:頭召連| 留付列》         浜田平介
   《割書:御町奉行|召連登 城 》        園部俊雄
   《割書:両人御目見格》        萩谷泰仲
              金子孫次郎
              村田理介
   支配所之儀      太田甚太夫
              野村 之助
              御町奉行
              寺社奉行
            湊
   代々郷士格      大内長吉
   代々御目見格     沢田与衛門
   《割書:代々村年寄格|弐十五ノツヽ被下 》      近藤長二郎

   《割書:苗字帯刀麻上下着用|御免御送迎》      照沼権十郎
            小川村
   同 断        渡辺嘉平
            高崎村
   郷士本席       谷口半介
   代々御目見格     桜井善太郎
            大 宮
   同 断        鈴木儀平次
十六日 朝より快晴暖気
十七日 朝より快晴
十八日 朝より快晴四ツ過よりくもり八ツ時
《割書:五十 度》  ゟ雨ふる七ツ過止北の方ニ雷声さむ
    し
十九日 朝より快晴九ツ時ゟくもり北風ふく
廿 日 朝より快晴さむし
廿一日 明七ツ時ゟくもる八ツ時よりてり立
《割書:今日追鳥狩|御滞なく相済》 夕に入くもり四ツ過雨降
廿二日 朝よりくもり南風四ツ時位より大南
    風雨つよし終日雨風終夜大風大雨明
    方止

廿三日 宵より南大風吹快晴むら雲夕方少々
    雷声七ツ過雨ふり
廿四日 朝より快晴霜にても降候位之さむさ
    也
廿五日 朝より快晴暖気
廿六日 朝より快晴暖気
廿七日 朝より快晴四ツ時より大南風ふく夕
    方ゟ曇り夜五ツ時ゟ大北風大雨終夜
    ふる
廿八日 宵より雨ふり四ツ半過より止
廿九日 朝よりくもり小雨直やむ折々大雨夜
    ニ入五ツ時大地震ゆる四ツ過より大
    雨明方止

   四 月
朔 日 朝よりくもり暖気なり八ツ時ゟ北風
二 日 朝より薄くもり終日くもり夜ニ入雨
    ふる
三 日 朝よりくもる終日くもり空なり夜星
    少々見ゆる

 東野村綿引惣兵衛母当年九十二才ニ相成自
 分ニ而白木綿弐反織候而
 上公え献上いたし候而三月廿四日御書御歌
 等被下置候よし
  御直筆
   別紙□ノ花押ハ簾中明子ハ松姫孝子ハ
   ハ八代姫也娘共抔ハ常々短冊等このミ
   ケ様の大きなるハ認不申候故別て不出
   来也全席書ニ認候事也
  前中納言様
   もゝ年にちかきをみなの
             織し布
   なかき齢に我もあはばや
           □ □
  中納言様
   老者非帛不煖
      南山 □ □
  前ノ御簾中様
   九十あまりのうハか自らおれるといふ
   布を見せた【一字抹消】まひてこれに歌よめと仰こ

   と有けれは
    仙人のもゝせの近く
          年をへて
    かすミのころもいくら織らん
                □
  松姫君様
   日立の御国人より九十才あまりのひと
   の織たる布を
   父君に奉りけるに是へ自からニ歌よめ
   と 仰こと有けれは
    こゝのそ地また一とせを
             織にふる
    いとのかす〳〵齢のへなん
              明 子
  八代姫君様
   常陸の国より九十歳
    あまりなる女のおれる
     布を奉りけるにいとも
      めつらしとて自らにも
       歌よめとのたまひけれハ

        同しこゝろに
    九の十また一とせに
           おるぬのゝ
    いとのかすをもそへて栄よ
              孝 子
  右ハ老母献上致候白布を長サ五尺余ニ切
  候而
  御書御歌等被遊候
四 日 朝より快晴暖気なり
《割書:五十四度》
五 日 朝より快晴軽暑也
《割書:八ツ時ハ八十度》
六 日 朝薄くもり四ツ半時ゟ快晴軽少なり
七 日 朝よりくもり五ツ時ゟ小雨ふり八ツ
    時ゟ止夜中ハ晴
八 日 朝むら雲八ツ過ゟ折々小雨夜中も同
    断
九 日 朝くもりちら〳〵雨四ツ半過ゟ晴
十 日 朝より薄くもり
十一日 朝くもり九ツ過ゟ晴

十二日 朝さむし快晴
十三日 朝より快晴軽暑八ツ時暗ゟ俄ニ雷雨
《割書:今日下江戸村ニ而|十八才ノ男馬人と》夕方迄
《割書:もニ雷ニ而死ス》
 去十月中馬口労町え付火致候者此節宇都宮
 にて召捕ニ相成候由笠間東滝川村之者之由
 此説ハうそと見へ候
十四日 朝より快晴殊之外さむし
《割書:日光山辺|雪見ゆる》
十五日 朝より快晴さむし西【見せ消ち「風」】南の風ふく
 当年馬口労町泉町昨年中出火ニ而桶屋体并
 風流物等都御免被相成候ニ付上町ハ殊之外
 淋しく候
十六日 朝より快晴四ツ時より艮風ふく終日
《割書:月帯そく|御田楽》  風つよし夕方止
《割書:瑛想院様|御子様方 御上覧有之候》 《割書:月蝕夕七時八分ニ六分余かけなから出|暮六ツ三分上の左におはる》
十七日 朝より快晴終日上天気なり
十八日 朝より快晴暖気なり
十九日 朝より快晴薄暑四ツ時位より丑寅の
    風つよし夕方迄風つよし夕方より雲
    る

廿 日 朝大くもり終日持合夕方大くもる五
《割書:六十 度》  ツ過ゟ雨ふる明方止
廿一日 朝よりくもり五ツ時ゟきり雨ふる直
    やむあつし八ツ時より雨ふる出し夜
    中迄雨つよし明方止
廿二日 朝くもり五ツ時より晴軽暑なり
廿三日 朝きりふり軽暑
廿四日 朝より薄くもり終日持合夜入雨終夜
《割書:今日吉日ニ付|見せ立前柱立》 ふる
廿五日 朝雨ふり五ツ時ゟ止終日くもり空ニ
    而持合夜中晴
廿六日 朝より快晴
廿七日 朝より快晴
廿八日 朝くもり五ツ時ゟ快晴夜ニ入くもる
《割書:廿四日ゟ毎日|立前ニ懸り》
廿九日 朝小雨ふり直ニやむ終日持合七ツ時
《割書:今日棟上|八幡宮山え 》 俄ニ雷雨夕方止夜中殊之外晴
《割書:雷落候由》
晦 日 朝くもり北風四時ゟむら雲
 成田不動尊深川八幡社内ニおゐて此節開扉

 有之候處四月十四日より肥後阿蘇ケ嶽の|□ (梺カ)【山+下】
 の百姓の娘三人同所ニおゐて見せ候|由(よし)一女
 お松身の丈六尺弐寸目方三十弐〆八百年十
 六才二女お行身の丈五尺五寸目方廿五貫五
 百目年十二才三女お梅身の丈四尺八寸目か
 た拾八貫八百目年八才

   五 月
朔 日 朝より小雨ふり終日雨七ツ半過より
    雨つよし終夜大雨
二 日 朝よりくもりきり雨ふり夕方より夜
    中迄雨つよし
三 日 朝小雨ふり折々きり雨ふり
四 日 朝よりくもり空にて持合
五 日 朝くもり四ツ時ゟ薄てり
六 日 朝よりくもり八ツ半時より雨ふり出
《割書:入 梅 》  雨つよし
七 日 朝くもり四ツ過ゟ晴
八 日 朝より小雨ふり終日折々小雨ふり
《割書:甲 子|初鰹来》

九 日 朝より折々小雨南もやう夕方ゟ雨ふ
    り出し四ツ過ゟ明方迄大南風大雨明
    方止
十 日 朝小雨ふる五時止七ツ過より晴南風
    にて終日あつし夕方ゟ北風になる夜
    ニ入大北風つよし
十一日 明方迄北風つよし大くもり五ツ半過
    より雨ふり四ツ半過止夕方より又々
    雨ふり夜中雨つよし
十二日 宵より雨ふり五ツ時止折々雨ふり
十三日 麻きり雨ふり五ツ過止終日持合夜ニ
    入雨ふる
十四日 朝小雨ふる五ツ時ゟ止終日持合夜中
    ハよく晴

    四月廿五日 於評定所
 一           結城一万丸
 父寅寿儀松平采女え御預被仰付置候所先非
 ヲ悔候心得無之御預中警固之者ヲ欺キ 金子
 等ヲ与へ密ニ同意之ものへ及【見せ消ち「返」】通路候始末悖

 逆不道之心底今以不相改不届至極ニ付死罪
 被仰付候ニ付而ハ其方儀揚り屋入申付者也
           所持之者欠所
 一            平尾右近
 先年結城寅寿へ致同意不容易御国難ヲ醸成
 之罪科雖不軽其砌寛大之 御沙汰ニ被
 仰付置候所今以改心之儀無之慎中不畏
 上党類密ニ致往来追々陰悪之所行有之趣相
 聞重キ慎被 仰付置候者ニハ別而不届至極
 ニ付被 仰付様雖有之御容捨ヲ以揚り屋入
 申付者也
           所持之者欠所
 一            藤作伝之允
 其方儀先年結城寅寿へ致同意不容易御国難
 ヲ醸成之罪科雖不軽其砌寛大之
 御沙汰ニ被 仰付置候所今以改心之儀無之
 追々陰悪之所行有之趣相聞不届之極ニ付被
 仰付様雖有之御容捨ヲ以五人扶持被下置蟄
 居被 仰付者也
 一            結城寅寿

 其方儀先年隠居慎被 仰付置候所慎中不畏
 上所行有之而已ならす厚御恩沢ヲ蒙り重職
 ヲも相勤候身分ニ而前後表裏ヲ構
 君臣之大義ニ背キ不容易御国難ヲ醸成候罪
 科不軽ニ付厳重被 仰付方雖有之其砌寛大
 之 御仁恵ヲ以其身一代御預ケ悴一万丸へ
 御扶持方ヲも被下置候所先非を悔候心得無
 之御預中警固之者ヲ欺キ金子等を与へ密ニ
 同意之者へ及通路候始末悖逆不道之心底今
 以不相改候段重々不届至極ニ付御捨置相成
 死罪申付もの也
           所持之者欠所
 一            松本金之介
 其方儀先役中御近習向え不容易儀申合候趣
 相聞役所柄相勤候身分ニハ別而不心得至極
 ニ付御役 御免小普請組へ御入被遊者也
 一            大森金八郎
 其方儀先年悖逆不道之所行有之御預被 仰
 付置候結|構(城カ)寅寿同意之ものへ組シ寅寿達而
 相企候所之意旨ヲ受継容易ならさる虚妄之

 儀相構
 両君様御中ヲ奉離間且ハ奸謀之妨ニ相成候
 者ヲ誣而逆罪ニ|踏(陥カ)候付本党類ヲ引立要路え
 相進メ可申との儀相謀様々不相済妄言ヲ申
 立猶又忠ヲ以内々手筋え為致流布他方之聞
 えを驚動せしめ俄ニ国家之御模様ヲ致反覆
 両君様駒込或ハ御国え御別居相成候様仕向
 候而已ならす御政務筋之儀御連枝方御立入
 ニ可致との意旨相含殊寅寿等再勤可為致と
 相巧奉要上候所行有之段重々不届之至ニ付
 被 仰付様雖有之御容捨ヲ以御知行被
 召上七人扶持被下置蟄居被 仰付もの也
 一            加藤木左内衛門
 其方儀先年結城寅寿悖逆不道之所行有之御
 預被 仰付候節寅寿へ同意之段ハ明白ニ雖有
 之其砌寛大之御仁恵ヲ以何等之御沙汰ニ不
 被及候所今以改心之儀無之追々陰悪之所行
 有之趣相聞不届之至ニ付被 仰【見せ消ち「出」】付様雖有之
 御容捨被遊御役御切符被召放四人扶持被下
 置蟄居ニ 被 仰付者也

 一            樫村民之進
 其方儀先年悖逆不道之所行有之御預被 仰
 付置候結城寅寿同意之者へ相組シ不束至極
 之所行有之ニ付被 仰付雖有之御容捨被遊
 御役御扶持給被 召上親へ御返被遊候条屹
 と相慎可罷在もの也

 船安拝領名由緒中え御達引上改名
 一            十河祐元
 先年結城寅寿悖逆不道之所行有之【見せ消ち「候」】御預被 仰付置候
 結城寅寿へ之意旨ヲ受継奸謀相企万一其事
 難致成就候節ハ奸謀之障ニ相成候者ヲ為除
 去【一字抹消】候含ヲ以御大法も有之ニ毒薬致調剤陰ニ
 可相用手段相施候始末不畏
 上大胆之致方医業之ものニハ別而不届至極
 ニ付斬罪申付者也
           所持之者欠所
 一            藤田主膳
 父晴軒儀先年奉対

 上表裏之言行有之御後闇キ心底ヲ抱キ 不容
 易御国難ヲ醸成候旨儀有之累代高禄ヲも被
 下置
 御厚恩ヲ荷居候身分ニハ不届至極ニ付存生
 ニも候へハ厳重可被 仰付所致死去候上寛
 大之 御仁恵を以其方取来御知行之内三百
 石被 召上五百石被下置御役御免上之寄合
 へ御入被遊候条難有奉存心得違無之様可致
 旨被 仰出候也
 一            小山小四郎
 其方儀先年結城寅寿悖逆不道之所行有之御
 預被 仰付候節寅寿へ同意之段ハ明白ニ難
 有之其砌寛大之 御仁恵を以何等之不被及
 御沙汰候所今以改心無之追々不相済所行有
 之趣相聞累代高禄ヲも被下置御厚恩ヲ荷居
 候身分ニハ別而不調法之儀不束至極ニ付被
 仰付様雖有之家柄ヲ被
 思召御容捨ヲ以取来御知行之内弐百石被
 召上五百石被下置隠居被 仰付旨被 仰出
 候也

 一            近藤儀大夫
 文儀右同断未取来御知行之内百石被 召上
 四百石被下置御役御免上之寄合え御入被遊
 候旨被仰出者也
 一            大森弥三左衛門
 其方儀先年結城寅寿悖逆不道之所行有之御
 預被仰付候節寅寿へ同意之段ハ明白ニ難有
 之其砌寛大之 御仁恵以何等之御沙汰ニ不
 被及候處今以改心之儀無之追々隠悪之所行
 有之趣相聞累代高禄ヲも被下置候
 御厚恩ヲ蒙居候身分ニハ別而不相済儀不届
 之至ニ付被仰付様雖有之家柄ヲ被 思召御
 容捨ヲ以取来御知行之内半知被 召上隠居
 被 仰付候様屹と相慎可罷在もの也
 一            友部八太郎
 弟八五郎儀先年結城寅寿え同意いたし候罪
 科雖不軽其砌寛大之御沙汰ニ被 仰付置候
 所今以改心之儀無之不届至極ニ付被 仰付
 様雖有之御容捨被遊御扶持方被召放其方ハ
 御預被遊候条屹と為相慎置可申候其方儀正

 介代ゟ格別之御厚恩ヲ蒙御引立ニも相成候
 ものニ有之所畢竟心次第不宜教誡未熟故右
 様不相済旨儀ニおよひ候段不調法之至ニ付
 御役御免中之寄合え御入被遊者也
 一            友部八五郎
 其方儀先年結城寅寿へ同意いたし候罪科雖
 不軽其砌寛大之御沙汰ニ被 仰付置候所今
 以改心之儀無之追々隠悪之所行有之趣相聞
 候而已ならす偽|忘(妄カ)説ヲ以正邪理非ヲ致転
 倒人心ヲ誑惑セしめ候段先年教職ヲも相勤
 候身分ニハ別而不届之至ニ付被 仰付様雖
 有之御容捨ヲ以御扶持方被 召上兄え御預
 ケ被遊候条屹と相慎可罷在もの也
 一           根本新八郎
 先年悖逆不道之所行有之御預ケ被 仰付置
 候結城寅寿え同意いたし横山兵蔵大森金八
 郎等申合寅寿達而相企候所之意旨ヲ請継容
 易ならさる虚妄之儀相構
 両君様御中を奉離間且ハ奸謀之妨ニ相成も
 のヲ誣而逆罪ニ陥れ自分党類ヲ引立要路可

 相進との儀相謀様々不相済妄言ヲ申立尚又
 右ヲ以内々手筋へ為致流布他方之聞ヲ驚動
 せしめ俄ニ国家之御模様ヲ反覆いたし
 両君様駒込或ハ御国え御別居相成候様仕向
 候耳ならす御政務筋之儀 御連枝方御立入
 ニ可致との意旨相企殊ニ寅寿等再勤可為致
 ト相巧ミ奉要
 上候所行有之段重々不届至極ニ付被 仰付
 様雖有之令容捨揚屋入申付もの也
      所持之者欠所
 一            梅原八郎兵衛
 其方儀先年結城寅寿へ悖逆不道之所行有之
 御預被 仰付候所寅寿へ同意之段ハ明白ニ
 雖有之其砌寛大之 御仁恵ヲ以何等之御沙
 汰ニ不被及候處今以心得方不相改不束至極
 之所行有之候ニ付被 仰付様雖有之御容捨
 ヲ以三人扶持被下置御休被 仰付候条遠慮
 仕可罷在もの也

 四月廿九日当朝御用 

 一            太田丹波守
 其方儀先年御用方相勤候節 上之御孝慈奉
 離間軽慢不臣之所行有之猶又御家政向之儀
 ニ付而ハ追々従
 公辺御指図又ハ御老中方心付候而相達候振
 も有之所其時々彼是偽弁ヲ以テ申掠メ旨意
 相届ケ式ハ押隠置候等之廉【一字書き直し】不一端偽言雑説
 ヲ取挙黜陟賞罰ヲ行賄賂ヲ貪り不正之始末
 等有之のミならす御用方転除之後も已前之
 通可致再勤との意念相含彼是手数相施候段
 不畏
 上御後暗キ致方不束至極ニ候處家柄被
 思召寛大之 御仁恵ヲ以隠居被 仰付悴専
 吉へ千石被下置候条相慎可罷在もの也
 一            太田専吉
 父丹波守儀此度隠居慎被 仰付其方へ為家
 督地方千石被下置上之寄合え御入被遊旨被 
 仰出者也

     同日御郡方手代

    御普請方     | 大串(南御郡方手代)藤之介
    御約金方     | 神永(東  )藤之介
    御旗同心     | 川崎(北  )弦次郎
    御矢倉方     | 清水(同  )与三郎
    御普請方     | 小幡(同  )為三郎
    御金方      | 安嶋(同  )弥七郎
    御普請方     | 渡辺(西  )清三
    御蔵方      | 宇留野(同   )千次郎

十五日 朝より快晴夜ニ入六ツ半時ゟ雨ふり
    出し終夜大雨大北風にて明方止
十六日 宵より雨ふり明方雨止南風大くもり
    也五時雨ふり四ツ時ゟ晴
十七日 朝より快晴四ツ過くもり直ニはれ終
    日天気也
十八日  朝より快晴四ツ過より雨ふり
十九日 朝くもる五ツ半過ゟ快晴大暑なり夜
    中迄風なし
廿 日 朝より快晴暑気なり大暑風なし夕方
    西方ニ少々雷声

廿一日 朝より快晴暑気大暑風なし夕方西ノ
    方ニ少々雷気
廿二日 朝より快晴暑気つよし大暑南風ふく
    夕方西ノ方ニ雷気
廿三日 朝より快晴七ツ時ゟくもり俄ニ雷雨
    夕方止又々夜中雨
廿四日 朝雨ふり五時ゟ晴夕方より雷雨直ニ
    晴夜ニ入又々雨ふる
廿五日 朝より快晴風あり
廿六日 朝くもり四ツ半時ゟ快晴八ツ時ゟ大
    暑
廿七日 朝より快晴暑気少々風あり
廿八日 朝くもり四ツ時よりてり立大暑七ツ
    時俄ニ大雷雨なし直ニやむ快晴
廿九日 朝より快晴大暑風なし

   六 月
朔 日 朝くもり暑し大暑風なし
二 日 朝より快晴大暑七ツ時位より暮方ま
    て古今稀なる大雷雨

三 日 朝より快晴大暑夕方雷声雨なし
四 日 朝より快晴北の方雷大暑夜中迄風さ
    らになし
五 日 朝くもり大暑風なし四ツ過より快晴
    終日南風吹涼し
六 日 朝より快晴大暑四ツ半時より七ツ時
《割書:暑気ハ常年|の土用中同様》 迄大暑夕方雷声雨少々ふる直やむ
《割書:なり》
七 日 朝よりくもり五ツ時ほろ〳〵雨直ニ
《割書:栗の花|やう〳〵咲 》 やむ夕方雷声
八 日 朝よりくもり九ツ時よりてり立しか
    し今日ハ涼し
九 日 朝より快晴九ツ時くもりちら〳〵雨直
    やむ快晴暑し夕方雨少々ふる直やむ
    夜中も快晴
十 日 朝より快晴大暑夕方くもる夜四ツ時
    小雨直やむ
十一日 朝より大暑風なし終日大暑なり
《割書:九十九度》
十二日 朝より大暑夜四ツ時少々雷雨
十三日 朝より快晴大暑終日風なし八ツ過よ
    り少々風あり北の方ニ雷声夜中むら

《割書:当年ハ三十年|此かたの大暑の 》雲凌兼候程の暑気也
《割書:よし》
十四日 朝より快晴大暑風なし夕方より少々
《割書:八ツ時九十八度 》風夜四ツ時雷声雨少ふる直ニ快晴
十五日 朝より大暑快晴少々風あり九ツ半時
《割書:九十三度》  ゟ雷雨壱時計にて止
十六日 朝より快晴涼し九ツ半時少々雷声雨
《割書:八十六度》  ふり八ツ過止夜中も殊之外涼し
十七日 朝より薄くもり涼し終日くもり空に
    てくらしよし
十八日 朝よりくもる五ツ時ちら〳〵雨ふる
《割書:今昼|九半時土用入》 直ニやむ又九ツ半過雨ふ【見せ消ち「る」】り直やむ北
《割書:袷着用 》  もやうにて冷気袷着用なり夜中も九
    ツ時より大雨十九日明方迄雨つよし
 当十五日八ツ時比土浦辺竜巻にて風筋之村
 々壱ケ村ニ両三軒ツヽ破家或ハ吹上られ候
 所有之城下よし十町計西の方田中と申村ハ
 弐十四五軒家数有之候處不残巻上られ壱軒
 残候へとも柱計残候よし夫より城下の方え
 黒雲巻押参り候を折節赤頭巾の人足御堀さ
 らひにて大勢出居候ニ付一円手はたきをい

 たし声をかけ追候へハ市中の方え押参り候
 を町中にても大勢出候而右同断ニ追へハ又
 々引返龍ケ崎の方よりあばの方え押参り候
 由通り候筋潰家破家等数多有之候由其節ハ大
 雷大雨大風にて雷ハ殊之外つよく所々え落
 候よし上境村紺屋理平使のものより今日承
 り申候此もの折節土浦え出居右の竜巻を見
 候よし黒雲巻あるき大雷大雨誠ニおそろし
 き様子之よし咄ニ御座候
十九日 宵より大雨冷気也六ツ半時より雨し
《割書:袷着用|七十二度》  とろニなる丑寅風にて冷気折々雨ふ
    り夜中は殊之外冷気なり
廿 日 朝小雨丑寅風にて冷気なり五ツ時ゟ
《割書:袷着用 》  雨止終日くもり空にて持合冷気なり
廿一日 朝くもり五ツ時ゟ照立少シ暑気
廿二日 朝より快晴暑気つよし少々風あり
廿三日 朝より快晴暑気つよし
 当月十五日滑川観音之もより壱里四方はか
 り所雨冰降青きもの壱ツも無之由江戸表十
 五十六日大雷雨のよし

廿四日 朝より快晴暑気つよし
《割書:廿五 日|中 伏 》  朝より快晴終日暑気つよし夜中すゝ
    し
《割書:廿六 日|九十四度》  朝より快晴大暑風なし
《割書:廿七 日|九十九度》  朝むら雲大暑風なし四ツ時ゟ晴大暑
    風なし夜中も凌かね候程也
《割書:廿八 日|朝八十四度 》 朝くもり五時よりてり立大暑風なし
《割書: 九十六度|丑ノ日》  如何にも凌かね候程なり夜中まてあ
    つし
《割書:廿九 日|朝八十二度 》 朝より快晴大暑風なし夜ニ入涼し
《割書: 九十四度》
《割書:晦  日|朝八十度》  朝より快晴昼後ゟ東南の風吹終日暑
《割書:九十四度》  気つよし夜ニ入風なし

   七 月
朔 日 朝きり雨ふる五ツ時ゟてり立暑気四
《割書:朝八十度|九十四度》  ツ時ゟくもる四半時よりてり立むら
    雲大暑也
二 日 朝より快晴大暑凌かね候夜中まて風
《割書:朝八十度|九十四度》  なし
三 日 朝きりふる大暑風なし四ツ過よりく

《割書:朝八十四度 |九十弐度》 もる北風吹夜中もすゝし
四 日 朝くもる終日曇空にて暑気夜ニ入大
《割書:八十四度|九十三度》  くもり
《割書:折々雨乞アリ|五  日》 朝きり雨ふる五ツ半時よりはれ暑気
《割書:朝八十四度 |九十二度》 つよし七ツ半時雷雨直ニやむほてり
    しめり之位夜八ツ過雨ふり直ニ止
《割書:六  日|朝八十二度 》 朝くもり暑気つよし五ツ時きり雨直
    やむてり立度々大雨雷もやう七ツ時
    過止夜中も大くもり
七 日 朝よりくもり折々雷もやうにて終日
    雨なし持合夜中小雨直止晴
八 日 朝よりくもり暑気つよし四ツ時より
    てり立七ツ過より雷雨夕方止夜五ツ
    時雨直止星出北風
九 日 朝よりくもり丑寅風冷気なり五ツ時
    小雨直止折々小雨ふる終日冷気也
十 日 朝よりくもる五ツ時小雨直ニやむ終
    日くもり空にて持合
十一日 朝よりくもり冷気なり終日薄くもり
    艮風にて冷気なり

十二日 朝よりくもり冷気なり終日持合
十三日 朝より快晴秋涼終日快晴夜中も至極
    晴
十四日 朝よりくもる冷気なり終日曇夜中至
    極はれ
十五日 朝よりむら雲四ツ時より快晴冷気丑
《割書:打続冷気|袷着用也》  寅風なり
十六日 朝より快晴冷気四ツ時よりむら雲丑
    寅の風吹
十七日 朝より快晴冷気昼位より暑気になる
《割書:七十一度|八十六度》
十八日 朝より快晴残暑つよし
《割書:七十六度|九十 度》
十九日 朝より快晴残暑つよし昼後よりむら
    雲
廿 日 朝より薄くもりむしあつし昼過迄大
《割書:八十六度|九十六度》  暑七ツ時よりくもりちら〳〵雨ふる
    夜中ハ晴
廿一日 朝くもり大暑四ツ過よりてり立
《割書:七十八度|九十 度》
廿二日 朝より快晴大暑也夜五ツ時俄ニ大雨
《割書:九十 度》  稲光壱時計にて雨止晴
廿三日 朝より快晴暑気つよし昼時地震

 御直書拝見あり
            江水家中共え
  結城寅寿等之奸人年来悪【一字書き直し】計を運し上下を
  欺き候ニ付我等当春一寸其党に被欺候處
  今更後悔致候色々之計策を以主君さへ欺
  し程のもの故家中并百姓町人迄も万一右
  へ同意のもの壱人たりとも国中ニ有之候
  而ハ 公辺ハ勿論 御代々祖先え対し候
  而も恐入候儀ニ付其侭ニハ捨置兼候様成
  行可申事故追々達候通改心いたし忠孝文
  武を励候様可致事
    辰七月十一日     【花押】
  二白百姓町人等えハ支配頭より本文之意
  味為相心得可申候
            家老共へ
廿四日 朝むら雲折々曇四ツ時よりてり立大
《割書:朝八十 度|昼九十三度 》 暑風なし八ツ過より俄ニ北の方より
    大雷雨古今稀なる大雷夜五ツ半過迄
    つよし
 馬口労町辰巳屋喜兵衛所当春中新規ニ建候

 蔵え雷落る但十弐三間も有之候酒蔵棟真中
 ころえ落右棟木雷落候木を大工等押へ候得
 とも喜兵衛聞入不申用ひ申候よし恐るへき
 事也
 光台寺榎并新屋敷等え落候よし下町も太子
 堂へ落候よし
 八幡宮社内へも
《割書:廿五 日|七十 度》  朝むら雲涼し快晴
廿六日 朝より天気東ノ方ニ黒き雲あり四ツ
《割書:七十六度|地震明方》  過ゟ快晴暑気なり
 廿四日雷ハ坂下加藤様へも落湊えも三ケ所
 程落候よし大貫弐ケ所ぬかたにて弐人并馬
 壱杉村にて魚売候人落雷即死之よし滝坂岩
 善の山へも落
廿七日 朝きりふる朝より暑気大暑土用中の
《割書:八十 度|明方地震》  ことし
《割書:八時九十五度》
廿八日 朝きりふる四ツ過よりてり立大暑風
《割書:朝八十弐度|八ツ時九十五度 》なし凌かね候程也夜中も風なし夕方
《割書:朝地震|夜四時地震 》 少々雷声
廿九日 朝きりふる四ツ過よりはれ大暑折々

《割書:朝八十弐度 |九十三度》 むら雲夜中迄暑気つよし

   八 月
朔 日 朝くもり六ツ半時より雨ふり半時計
《割書:朝八十弐度 》 にて止五ツ時より涼しくなる寅卯の
    風吹夕方より雨雷少しなる夜中雨つ
    よし四ツ過止
二 日 朝小雨ふり五時ゟ止四時少々雷鳴丑
《割書:弐百十日》  寅風にて冷気なり空合荒もやう夜ニ
    入風あり
三 日 朝よりくもる丑寅風にて冷気なり
 一         |  和田(上金町  )定吉
  右之者亡父善兵衛存生中心得宜敷者之由
  相聞候付別段之儀を以此度問屋列家格申
  付候条其旨可申渡もの也
 一         |  名主(馬口労町 ) 治兵衛
  右之者儀志宜敷者之由相聞候付格別之儀
  を以名主格家格一代問屋並申付候条其旨
  可申渡もの也
 一         |  庄 兵 衛(馬口労町組頭      )

  右之者儀志宜敷者之由相聞候付別段之儀
  を以此度名主列家格申付候条其旨可申渡
  もの也
 一         |  彦 三 郎(泉町組頭     )
  右之者儀志宜敷者之由相聞候付格別之儀
  を以此度名主列家格申付候条其旨可申渡
  もの也
 一         |  太   七(向井町     )
  右之者儀心得宜敷者之由相聞候付別段之
  儀を以此度平之
  御目見家格一代名主並申付候条其旨可申
  渡もの也
 一         |  四 郎 平(下金町     )
  右之者儀心得宜敷者之由相聞候付格別之
  儀を以此度平之
  御目見家格一代組頭格申付候条其旨可申
  渡もの也
 一         |    母(鉄炮町治兵衛  )
  右之者儀志宜敷者之由相聞候付格別之儀
  を以此度平之

  御目見家格一代組頭格申付候条其旨可申
  渡もの也
 一         |  紋 兵 衛(同町組頭    )
  右之者儀志宜敷者之由相聞候付格別之義
  を以此度平之
  御目見并組頭次座家格申付候条其旨可申渡
  者也
 一         |  利 兵 衛(同町     )
  右之者儀心得宜敷者之由相聞候付別段之
  儀を以此度御迎御見送家格申付候条其旨
  可申渡もの也
 一           鬼沢鉄吉


四 日 朝よりくもり五ツ半時小雨直やむお
《割書:朝七十六度 》 り〳〵てり立むしあつし夜中雨ふり
《割書:五  日|朝七十八度 》 朝小雨ふり丑寅の風四ツ時止
六 日 朝より曇り終日持合
《割書:七  日|七十弐度》  朝よりくもり終日くもり
《割書:八  日|昼九十三度 》 朝よりきり雨ふる四時よりてり立大

    暑
《割書:九  日|九十三度》  朝よりくもり四ツ過より暑気つよし
《割書:十  日|九十 度》  朝もや五ツ時よりはれ暑気夜九ツ時
    雨降大暑なり
十一日 朝くもり終日くもり空にて暮六ツ時
    より雨ふり出し終夜雨ふり冷気なり
十二日 宵より雨ふり北風もやうにて冷気也
十三日 朝より快晴四ツ過よりむら雲薄曇
《割書:十四 日|朝七十三度 》 朝よりくもり四ツ過よりてり立
《割書:十五 日|朝七十五度 》 朝より快晴夕方ゟくもり夜九ツ過よ
    り大雨明方止
《割書:十六 日|朝七十五度》  朝よりくもる終日くもり空にて持合
    夜四ツ時より雨降出し終夜雨ふる
十七日 朝より雨ふる四ツ過より雨止終日く
   もり冷気なり
十八日 朝より快晴秋冷
十九日 朝より快晴夜ニ入くもり四ツ時より
    雨ふり
廿 日 宵より雨ふり冷気なり四ツ過ゟ雨止
廿一日 朝より快晴むら雲

廿二日 朝より快晴むら雲
廿三日 朝五ツ時ゟ雨ふり四ツ過より止終日
    くもり
廿四日 朝よりくもり冷気なり終日雨ふり夜
    中【一字書き直し】雨殊之外つよし
廿五日 宵より雨つよし明方より小ふり冷気
《割書:天保四巳年八月|朔日昼四ツ時ゟ 》なり終日雨ふり夜四ツ時比より南風
《割書:八ツ過迄大雨大|風大荒にて大木 》吹出空真黒ニして稲光はけしく大雨
《割書:数多根かへり中|折等有之古今未 》にて雷三四声夫より九ツ時より南大
《割書:曾有之大荒と申|伝候處此度之大 》風古今稀なる大荒にて明方辰巳風ニ
《割書:風ハ巳年ゟ余ほ|との大荒にて老 》なり漸く静ニ相成申候明方迄ハ生た
《割書:人も覚無之由》 る心地ハ無之候
 馬口労町井筒や祐蔵かこや伝蔵潰レ野田や
 善三郎家上不残向新宅土蔵家根半分下地と
 も吹散山本兵二郎大破小泉囲不残隣新宅同
 断内同断あつまや蔵家根不残辰巳や土蔵壱
 潰レ居宅壱尺程まがる松葉やかべ不残屋根
 同断岩根や与八家根不残原口紙屋吉平居宅
 潰レ孫根ヤ宗助大破裏板蔵家根半分吹散い
 せや源平居宅大破小松や蔦や紙屋清三郎岩

 根や万助いつれも大破【見せ消ち「新屋敷辺」】坂本や借見せ潰レ岩
 善の裏大破新屋敷辺潰家数多有之向井町泉
 町上金町下金町鉄炮町辺何も潰家或ハ大破
 等数多
 五軒町辺御長屋潰数不知西町紀州様御長屋
 潰田見小路辺南側御長屋潰家数多
 八幡宮社内松杉根かへり中折数不知神楽所
 家根半分吹落仕供所潰
 雷神宮松杉根かへり数本絵馬堂潰
 九ツ時南より北へ光り物飛
 御城内も所々破損有之よし
 三和村拾壱軒潰神崎十三軒潰レ石川九軒潰
 順見並木表通三十本程折栗崎本家九軒物置
 等数不知磯ミナト同断陸え上ケ置候船へ風
 あて大破いたこ十六島辺大荒大野壱軒焼失
 北ハ三ツ木五十軒余潰レ久慈三十程潰レ石
 塚古内飯富国井辺潰家多怪我人死人等数多
 有之よし
 石塚辺圷辺之間にて潰レ家九十軒余
 持分之山え嘉七遣改候處松百本余根返り中

 折有之
 大風吹出シ候節所々出火のことくニ光見ゆる
 上町よりハ下町七軒町辺出火と相見又ミな
 と壱弐丁辺ニも相見市毛辺ニも光相見候下
 町よりは上町辺ニ出火有之と相見湊にても
 同断之由地気を発し候勢ひにて所々光り見
 へ候哉在々にてハ火の玉軒下位まて飛来り
 候様ニ見候所も有之よし
 江戸表も同断行梅辺ハ火の玉飛めくり候よ
 し
 定御飛脚小金原へ大風之節通り懸り候處江
 戸の方ニあたり候而七度迄真すくに光り候
 を見候昨年地震の節も右之通之よし
 小山辺より先下野辺ハ格別の風ニも無之会
 津辺ハ更ニ吹不申候位の事のよし北は岩き
 辺迄
《割書:廿六 日|朝七十八度 》 明六ツ過まて南風吹東辰巳の方黒き
《割書:昼八十六度 》 雲五ツ過より快晴軽暑位終日あつし
廿七日 朝より至極快晴本時候なり
廿八日 朝辰巳より東の方え黒き雲出る五ツ

    時より快晴
 江戸表も廿五日大風ニ付
 中納言様
 前中納言様御機嫌伺之様【見せ消ち「子」】御達有之御月番御
 老中山野辺主水正殿ニ 廿七日夜出ル
廿九日 朝辰巳より東ノ方へ黒きねた雲出る
     五ツ過より快晴北風さむし
   《割書: |上 金 町                  下 金 町》
 一表家潰レ  弐軒   一潰レ家    弐軒
 一裏長家潰  五軒   一半潰レ    九軒 
 一土蔵家破損 五ツ   一大 破    拾九軒
 一家上大破  弐拾軒  一破 損    三十六軒
 一同 半潰  弐軒   一土蔵家根大破 壱
 一怪我人   弐人   一同 破損   十六
        《割書:いせや次郎兵衛母 |境や吉衛門店》一裏家潰レ   三軒
        《割書:    留吉妻》
             一同 大破   壱軒
   馬口労町      一同 破損   四軒
 一潰 家   弐軒   一裏物置潰   弐ツ
 一半 潰   弐軒   一同 半潰   九軒 
 一大 破   廿壱軒  一同 破損   七ツ 
 一土蔵潰   壱ツ

 一同 大破  八ツ     向井町
 一同 破損  五ツ   一潰 家    五軒
 一板蔵大破  壱    一半 潰    五軒 
 一物置小屋潰 四    一大破損    拾八軒 
 一破損物置  拾弐   一土蔵家上大破 十棟
 一家上破損  廿三軒  一裏家潰    五軒
             一同 大破   六軒 
   泉 町
 一家上大破  廿九軒    奈良屋町
 一家作倒掛  弐軒   一家作丸潰   壱軒
 《割書:一土蔵家上大破       拾九棟|一物置家上大破       四軒》   一家上大破   四軒
 一家作半潰レ 弐軒   一家作倒レ   弐軒 
 一家作丸潰レ 弐軒   一土蔵家上大破 弐棟 
 一物置丸潰  四軒
 一板塀倒   五ケ所
晦 日 朝より快晴さむし五ツ時薄くもり直
    ニはれ
【次の二行朱字】
 四郡惣調  潰家 五千三百軒余
       死人 三十人 余

 廿六日出
 昨夜五ツ半時より辰巳風にて雨降出九半比
 別而大風雨見合も無之程の烈風ニ御座候夫
 ニ川之高浪芝高輪辺人家押流本所深川辺是
 も壱面水ニ相成何も床上ケ漸々凌候ものも
 有中ニハ凌兼候而落命之ものもよほと佃島
 ハ家壱軒もなく流失人死も数多御座候趣未
 人数調不申深川仮宅風にて倒レ是又怪我人
 死人余程本所御船蔵五ケ所吹倒レ築地門跡
 同断永代橋中程ゟ落其外水難風難所々其上
 失火浅草辺并芝よほと焼失誠ニ稀成風雨ニ
 御座候
 右ハ江戸御石場より木内兵七登り居差出し
 手帋之写
 一昨廿五日夜大風雨にて橋々流レ家等も潰
  レ候事ニ御座候所南之方程大嵐之様風聞
  ニ御座候奥州棚倉より八月廿七日来状
 一当月十三日大坂表大雷にて七十ケ所余落
  死人百人余之由
 八月廿八日日本橋より良助仕出

 一当月廿五日夜五半時比ゟ辰巳風吹出雷雨
  ニ而大風ニ相成其夜日本橋辺ハ瓦小羽板
  吹飛し候程の大嵐にて四五ケ所より出火
  有之右ニ付廿六日早朝京橋向迄罷出候處
  神明前十【一字抹消「時」】町四方も焼失占者石龍師半焼
  金杉え薩摩の大船《割書:長五十五間|長四十間余 》但調達
  右弐艘被吹上 水戸様ニ而御仕立ニ相成
  候唐船造大船も右同様之事ニ御座候永代
  橋落深川八幡通ハ南側とも潰レ右之場所
  舟渡にて通行御台場も死人等有之由吉原
  新キ普請之場所不残焼江戸表市中ハ壱ケ
  町ニ八九軒ツヽ潰レ四日市御納屋より十
  軒程潰レ江戸中の火の見不残位に潰レ難
  船数艘有之関宿より四百八十艘程と申【見せ消ち「来」】参
  り候事御座候取引の店々え積問屋より廻
  文ニいたし相廻り難船の場所え出はり呉
  候様申【見せ消ち「来」】参り候事引もきらす誠ニ稀なる事
  ニ御座候御国元ハ如何御座候哉甚心配仕
  候先刻いせや彦衛門出府ニ付承り候所土
  浦辺ハ江戸と違あまり潰レ候事ハ無之由

  左候へハ 御国元も定而格別なる事も有
  之間敷と安心仕候へとも実説不相分候而
  ハ心配仕居候事ニ御座候元吉町えハいま
  た参り不申小石川御屋敷内も多分いたミ
  外通ハ不残位ニ打返り申候由ニ御座候
   一米 八九升方引上ケ
   一綿 《割書:荒前ハ百拾両位と申居候處当節百|廿五両ニ御座候》
     都而諸品高直ニ相成申候
   小川弥兵衛舟六百七十固丸難船
   右之内那市太物弐十八固
 《割書: |其外上下町 》 郡長 同 拾九固
 《割書:諸荷物難|船数不知》  福忠 同 三十固
     右之外御固之分少々ツヽ余程御座候
    八月廿八日夜    | 了(同   )  介
      大高嘉七様

   九 月
朔(卯) 日 朝より快晴残暑夜中迄あつし夜ニ入
《割書:九月節句帷子|御免の御達出》むら雲日蝕の節ハ暑曇り
《割書:る》
 日蝕 《割書:昼四ツ九分ヨリ八ツ弐分まて|朝四九分上の方ゟかけはしめ九ツ六分上の左に甚しく八ツ》
    《割書:弐分左の上におはる》

二 日 朝むら雲あり五ツ過よりくもりちら
    〳〵雨降終日雨ふり冷気にて夜ニ入
    雨つよし
三 日 宵より雨ふり冷気也七ツ過より雨止
    しけもやうなり
四 日 朝七ツ時より雨ふり出冷気なり七ツ
    時ゟ止
 八月廿五日夜四ツ時より|東南(たつミ )の風つよくは
 しめ雷鳴おひ〳〵大風ニ相成石瓦を飛し大
 たおれ堂宮崩大津浪ニ而海辺床の上水四五
 尺ほと乗家をなかし死人数しれす佃島堀江
 ねこさね潟田不残ながれる芝大門辺五六町
 やける高輪芝築地鉄炮洲へ沖舟上ル佃島大
 舟数艘破舟永代橋中程落る築地御堂潰死人
 多深川洲崎三十三間堂木場辺高水にて損し
 多し御船蔵四五ケ所潰る品川沖御台場建家
 高輪ゟ見えす隅田川通川岸御屋敷町【見せ消ち「屋」】家共潰
 家損し多浅草寺諸堂損し奥山の大木数本た
 をれる下谷坂本根岸上野谷中辺大損し本郷
 小石川牛込四ツ谷麹町赤坂市ケ谷辺大風ニ

 而損し所多く其外神社仏閣潰損し多両国并
 回向院少々損し亀戸天神五百羅かん本所竪
 川通潰家多し同刻所々少しツヽ出火有之候
 へ共大雨にて消る其外町家板家之分不残吹
 飛し野宿候もの数しらす前代見聞之事ニ而
 目もあてられぬ次第なりやう〳〵八ツ時過
 よりおだやかに相成諸人安堵のおもひをな
 す猶追々くわしき事ハ調可申候
   辰七月廿八日
           箱館奉行
               竹内下野守
           | (同 ) 堀 織部正
           | (同 ) 村垣与三郎
 蝦夷地御開之儀ハ不容易御大業に有之殊更
 魯西亜ニ接境之地北門之鎖鑰御大切之辺陲
 ニ付此度箱館奉行三人役々被 仰付候間壱
 人ハ当地ニ罷在両人ハ彼地ニ在勤右之内申
 合壱人ツヽ蝦夷地惣体巡撫致し夏分ハ北蝦
 夷地へも渡海暫時張在御取締向取計其余墾
 田を始産物取開方等一向申談十分ニ世話致

 御成功捗取御安心被遊候様可被心得候

 長崎表へ当月五日異国船三艘渡来ニ付相糺
 候處□【口へん+英】咭利国之船ニ而薪水食料乞請度且類
 船無之段申立外極敷儀相聞不申趣川村対馬
 守申達候ニ付家老高畑隼人手勢人数召連指
 遣候
   八月十八日
             小笠原佐渡守

   八月廿四日
  御軍制御改正     久貝因幡守
  懸り被 仰付候    池田播磨守
 小石川御屋形内  御大工頭橋本善兵衛ゟ
 一去ル廿五日夜五ツ半時より風雨ニ而次第
  ニ風甚しく相成四ツ時ゟ九ツ半比別而大
  嵐と相成大雷三ツ程鳴地震弐度ゆる御殿
  向瓦飛處々御大破外御囲不残たをれる御
  守殿御表御長屋たをれる銅御門伝通院前
  入角御門たをれる御屋敷内ニ而大小木百

  弐拾壱本御仮長屋たをれ候所も有之私住
  居之義ハ垣家上不残吹散し雨中ニ父子ニ
  而立明し申候誠ニ難渋仕候御中奥御本間
  上家たをれる百五十坪程実ニ何レも御大
  破恐入候儀ニ奉存候御屋敷御【一字書き直し】囲之義ハ表
  御門ゟ春日町通折廻し金田御門より入角
  御門牛天神下ゟ御舟入通まて不残廿六日
  一日ニ御出来ニ相成申候誠いきひさんニ
  手廻申候
 一比ハ安政三年辰八月廿五日夜五ツ半時よ
  り辰巳風甚しく先ツ日本橋南の方ハ品川
  宿大半損し南品川ハ不残流死町出水ニ而
  津浪の如く不残流るゝ沖ニある大船五拾
  艘程行方不知御台場ハ少々損る夫ゟ芝浦
  是又津浪の如く大半損し高縄辺ハ不及申
  三田辺田町辺大ニ損し薩摩様銅造の大船
  芝浦へ打上る金杉橋辺新あミ町海手通不
  残大船十艘程打上る出火之場所片門前壱
  町目より神明前不残神明町片側ニ而止ル
  大久保様守様新銭座大半損し大小之船数

  知れす打上る御浜御殿築地海辺大半損し
  西本願寺本堂潰寺ハ大半損し表門前大船
  打上る鉄炮洲辺不残佃島ハ大損し霊岸島
  辺永代橋大船あたり中程ゟ大崩れニ而往
  来留る船帆柱ハ田安様御屋敷え流付とも
  の方ハ安藤様御門前へ打上る御長屋ハ大
  崩其辺茶船十艘程打上る夫ゟ深川海辺津
  浪ニ而大半損し仮宅遊女屋大崩れ大野屋
  と申遊女屋丸潰洲崎辺木場不残又御船蔵
  弐ケ所損し【見せ消ち「又」】其外本所辺出水多して大損し
  又北の方ハ神田辺不残馬喰町両国辺共浅
  御蔵前通観世音御堂津々かなく御山内は
  不残損し矢大臣門外松田屋と申遊女屋惣
  潰れ花川戸辺山谷芝居町は三座共大損し
  千住辺不残又西の方ハ丸ノ内諸大名様方
  一圓ニ打崩下谷辺不残出火場所坂本辺吉
  原内焼る本郷一圓白山辺大損し其外山之
  出辺不残右之外市中一圓ニ大損ニ御座候
  間入御覧申上候
   八月廿九日     橋本善兵衛

    本田屋庄衛様
   猶々御本店様へも別ニ上ケ不申候間何
   分宜奉願上候
《割書:五  日|朝六十度》  朝より快晴四ツ過よりくもり九ツ過
    おり雨ふり直止
《割書:六  日|庚  申》  朝よりくもり終日曇空なり夕方より
   快晴夜中ハ至極霽
 安政三年辰八月廿五日夜六ツ時比ゟ南大嵐
 吹出し其はけしき事筆にあまり家を潰し家
 根を吹立川筋波を打上ケ船わこと〳〵く破
 レ目も当られぬ次第なり此時雷なりわたり
 地震出火も有之珍事の次第あらましを書し
 るしぬ
 日本橋南は通町筋格別之事なく中橋京橋同
 芝口辺少々のいたミ芝山内ハ大木を根より
 引ぬけ又は打おれ御堂も少々ツヽいたミ芝
 片門前より出火いたし半丁計焼大門通少々
 神明御社通門前町神明町裏通不残三島町【見せ消ち「南」】両
 替町浜松町一丁目片側宇田川町少々にて焼
 留る金杉本芝海辺大方破レ御屋鋪様海岸通

 別而多し芝田町七丁目半丁計此辺山道崩れ
 往来留る所あり高輪辺品川海岸遊女屋不残
 こわれ山の手麻布白銀辺ハ格別の事なく相
 見へ辰巳の方ハ四日市御納屋打倒れ材木町
 辺かやは町此辺少々霊岸島鉄炮洲ハ川口汐
 打上ケ海荒船を打上ケ土蔵家をこわす事多
 し深川熊井町新地海岸之御屋鋪波にて船を
 打上ケ家こわれ又ハ流し所多し蛤町長嶋町
 佐賀町蔵多分いたミ仲町遊女屋仮宅家根ハ
 不残こわし八幡宮社は無事ニ而御開張小屋
 場見せ物等不残打倒れ洲崎弁天社残り入舟
 町辺小家不残こわれ流れ原のことく木場ハ材
 木たおれ流一面に相わからす永代橋中より
 おれ往来留る西舟御番所少々いたミ川岸へ
 帆掛大船弐艘うち上る往来茶船四五艘打上
 ケ小家辺【見せ消ち「た」】かわこわれ浜町河岸通御屋敷塀御
 門え舟大木等打付多こわれ往来へも船所々
 え打上有之大橋詰不残こわれ橋向小家不残
 こわれ六軒堀少々いたミ柳川新キ 長屋多分
 こわれ往来は山の如くあたけ御舟蔵四軒ほ

 とこわれ同所仮宅遊女屋大半こわれ松井町
 も同しなり本所割下水近辺水いで大川の如
 し御籏本屋敷こわれ多し亀井戸柳嶋押上近
 所百性家寺方こわれし所多し又水にて難渋
 及ふと言
 子丑の方ハ小網町さかい町辺少々いたミ両
 国橋無事見せ物小屋不残吹こわし御蔵前無
 事並木茶屋町仮宅ハ大方家根吹こわし浅草
 寺地中少々いたミ大木多たおれ猿若町芝居
 同家々不残家根も吹こわし花川戸山の宿仮
 宅同三谷今戸辺川筋こわれ家多し田町土手
 下通水出新吉原京町辺少々やける大音寺前
 半丁計やける下谷金杉辺箕輪坂本多分こわ
 れ家は入谷広徳寺前三味線堀近辺少々いた
 ミ浅草あへ川丁辺大いたミ崩家多し下谷山
 下辺上野御山木打たおれ広小路池の端辺こ
 われ家多く根津谷中辺大いたミ三川嶋水口
 百姓家こわれ多し王子辺板橋巣鴨辺小屋鋪
 こわれ多駒込辺少々いたミ本郷辺湯嶋少々
 いたミ天神御社無事神田明神同無事にて山

 大木たおれ茶屋料理屋こと〳〵くこわれ外
 神田格別の事なし柳原土手下いたミ柳おれ
 も有之神田辺も新家家根こわれ所々相見豊
 嶋町橋本町ハ少々いたミ馬喰町横山町油丁
 都而此辺いたミすくなし大門通大伝馬町本
 町石町室町両替町此辺も格別の事なし三川
 町小川町御屋鋪塀多分にこわれ丸ノ内御屋
 鋪様格別の事なし山の手は水道橋小石川崩
 家多く小日向伝通院少々いたミ水道町少々
 大塚辺崩家有之音羽大いたミ牛込辺小屋敷
 いたミ市ケ谷所々いたミ大木たおれ所々に
 有四ツ谷少々いたミ麹町通格別之事なし番
 町辺御屋鋪こわれ所々相見赤坂溜池近所こ
 われ家あり
 近江近在百性家多潰れ候へとも死人けか人
 あまり無し
 御仁恵之徳なるやありかたき事なるかな
 只予見聞のまゝを書しるし候へハ書落ハ無
 之候得共しらぬ所きかぬ所の次第御用捨可
 被下候

  築地御門跡御堂こわれ汐留橋半落鉄飛す
  汐留大材木吹上家多こわす
  江戸中火の見物干等不残こわれ怪我人数
  多有之由
七 日 朝より至極快晴さむし昼位よりむ【見せ消ち「し」】ら
    雲出る
八 日 朝至極快晴昼後よりむら雲出る
九 日 明五ツ半時より雨降出終日雨つよし
    冷気夜中雨殊之外つよし
十 日 明方より雨晴快晴暖気なり殊之外暑
《割書:甲 子 》  気ニ而ひとへものひとへはおり着用
    いたし候夕方より曇夜五ツ時雨ふり
    雷鳴四ツ過止
十一日 朝むら雲空の模様むつかし

     九月九日御用
   《割書:御目付より |御先手物頭   》      松原京蔵
   《割書:寺社役より |江戸御勘定奉行 》      鮎沢伊大夫
   《割書:小従人目付より |御普請奉行 》      井坂昇太郎
   《割書:黒船渡来|江戸大震 ニ付 》      浜野茂衛門

   《割書:物成拾石御増  |都合百六十石  》
   《割書: |右 同 断》
   《割書:物成六十五石被下|五石御増》      神原啓介
   《割書:郷士被仰付   |   持被下》      秋葉友次郎
   《割書:   持方ハ上ル》
   代々郷士列     福田善兵衛
   代々郷士並   |  成島(玉造村組頭   )佐左衛門
   《割書:一代郷士並  |代々帯刀御免 》    |  磯山(瀬来村   )吉蔵
   《割書:黒船渡来白米  |地震ニ付板類  》
   《割書:悴一代苗字  |麻上下御免  》    |  河岸(細谷村   )紋兵衛
   御合力籾拾俵被下  木名瀬庄三郎
   一代郷士並     永井福次郎
   《割書:悴友之介    |一代御徒列   》      豊田彦左衛門
   御合力籾拾俵    猿田仙太郎
   同         猿田民五郎
   《割書:物成弐十石御増 |都合四拾五石被下》      菊地惣次衛門
   《割書:五石御増    |都合三拾石   》      小林次郎衛門
   《割書:御合力籾拾俵御増|都合弐拾俵ツヽ被下 》     立川次郎衛門
   《割書:御合力籾五俵御増|都合拾五俵ツヽ被下 》     立川貞介
   郷士被仰付     国谷源左衛門

   代々郷士列     町島平蔵
   同         桜岡源次衛門
   《割書:代々郷士列|御合力籾拾俵ツヽ被下  》    神永平介
   代々郷士並   |  小沢(太田庄屋   )弥市衛門
   《割書:一代郷士列|代々山横目格   》   |  鈴木(下村田兼帯庄屋)弥三郎
   《割書:苗字帯刀麻上下着用|御帰国御参府御迎御見送》
   《割書:一代郷士並|代々苗字等右同断 》   |  吉成(左貫村組頭 )長十郎
   御徒列       森田直三郎
   郷士被仰付     井樋政之允
   同         竹内源介
   代々郷士列     大森藤衛門
   同         綿引惣兵衛
 大風ニ付江戸表
  《割書:三洲くりわた風前ハ九拾両位ニ出来候所百弐拾五両にて|売人なし》
  《割書:小羽板壱両ニ付四束|杉四分板壱両ニ六間》
  《割書:才田塩拾壱俵 赤穂塩六俵》
十二日 朝より快晴寒し夕方より曇夕立模様
    の空合なり
十三日 朝むら雲五ツ半時頃より快晴夕方よ
    り曇少しツヽ風ふく

十四日 朝よりむら雲さむし暮方より雨ふり
    終夜雨ふり
十五日 宵より雨朝小雨也七ツ時より晴
十六日 朝東の方に曇(黒ヵ)きくもりあり快晴白き
    わたのことき雲あり八時より西南の風
    ふく九ツ時日のかさあり久しふりに
    て夜中ハ月さへる
十七日 朝より至極快晴寒冷なり
十八日 朝より至極快晴寒冷なり
十九日 朝より快晴丑寅のかせさむし
廿 日 朝むら雲寒冷也
廿一日 朝よりむら雲夕方よりくもり小雨直
    にやむ
廿二日 朝よりくもり夕方より雨ふり夜九ツ
    過地震
廿三日 朝くもり九ツ時よりはれ
廿四日 朝より快晴
廿五日 朝より快晴
廿六日 朝くもり四ツ半過よりはれ終日むら
《割書:今日ハ|    脱カ》 雲暮方より雨降
《割書:わたまし よしニ付|引移申候事》

廿七日 朝より快晴さむし
廿八日 朝より快晴
廿九日 朝くもる四ツ時ゟ快晴さむし
晦 日 朝より快晴西風吹さむし
 当月十六日相州浦賀より伊豆下田武蔵舟橋
 辺津浪有之よし
 イキリス国長崎へ渡来黒田番船弐三艘乗か
 けシヅメル由願之筋有之下田え参ルト申沙
 汰ニ而騒々敷事

   十 月
朔 日 露霜ふる快晴さむし四ツ時ゟ西風吹
《割書:日光山雪降 》 九ツ時止
二 日 大霜快晴寒し夜四ツ時地震ゆるくも
    り
三 日 朝よりくもりさむし七ツ半過より雨
    ふり終夜雨つよし
四 日 朝より快晴さむし西風ふく
五 日 朝よりくもり空にて終日時雨もやう
    也夜四ツ過より雨ふり

六 日 朝よりくもり五ツ過より雨ふり終日
《割書:此節小羽板|三十四五わ 》 雨ふり夜中北風にて雨つよし九ツ時
    ゟ雨風止
七 日 朝むら雲東南の方ニくろきねた雲あ
《割書:今日之地震|江戸表ハつよ》 り五ツ時よほとつよき地震ゆり皆〳〵
《割書:きよし|襖障子抔はつ》 にけ出候位なり夕方地震夜五ツ過よ
《割書:れ候よし》  り西風つよし夜七ツ時止
八 日 朝より快晴六ツ半時日光山之方より
《割書:そは|壱分ニ付》  時雨雲出ちら〳〵雨ふり直やむ西風
《割書: 弐斗四五升|籾壱分ニ》 ふく夕方止
《割書: 四斗弐三升》
九 日 朝よりくもりさむし
十 日 明方より西北風つよし夕方止
十一日 朝より快晴
十二日 朝より快晴明七ツ時地震
十三日 朝薄くもり寒し四ツ過より快晴
十四日 大霜快晴さむし
十五日 快晴さむし
十六日 朝より快晴
十七日 朝くもり時雨空なりさむし五ツ時地
《割書:稗五斗入五六匁位|金沢大田楽前ニ付》震
《割書:皆〳〵用意致候由》

十八日 朝よりくもりさむし折々てり四ツ時
《割書:如何之わけニ候や|なたね虫付かれ候》位よりおり〳〵雨ふる夜中も同断
《割書:由ニ而はたけを|なをし麦小麦》
《割書:蒔候由》
十九日 宵より小雨ふり九ツ時より快晴寒し
    夕方より暖
廿 日 朝よりくもり時雨空なり五ツ半時よ
《割書:当年ハ菜種え|不残虫付候よし 》り終日度々雨降夜中も大雨南もやう
《割書:ニ而麦と蒔な|をし候由》 にて暖気なり
廿一日 朝より大くもり暖気四ツ過より快晴
《割書:当年ハ芒穂出不申由|来年の作へ不宜候と申》夕方より西風
《割書:事》
廿二日 朝くもりさむし終日持合夜中大くも
    り
廿三日 朝より大くもり夜五ツ時より西風吹
    晴天
《割書:廿四 日|朝三十五度 》 朝より快晴
《割書:廿五 日|朝三十五度 》 朝むら雲下ふる五ツ時よりくもり四
    ツ過より晴
《割書:廿六 日|朝四十度》  朝よりくもり暖気八ツ過より雨ふり
《割書:海  鳴》  夜雨つよし
廿七日 朝くもり明方雨止暖気五ツ時よりて
 

    り立
 此度風難ニ付金子孫太郎被為 召
 両君様ニ而親く御尋被為在委細被申上候處
 御勝手向殊之外御逼迫之御砌ニハ候得とも
 御領民共之難渋幾重にも 御賑救被遊度と
 の 尊慮ニ而別帋之通御達有之誠以恐多難
 有 思召ニ候条 御仁慈之程一統厚相心得
 面々家作相営之奉安
 尊慮末永ク奉報 御国恩候様可心懸事
 此度江水一般之風難ニ而
 御殿向初御破損も不少候得共御領民難渋之
 程深ク
 御配慮被遊其方儀被為 召御領中之模様親
 ク疾苦幾重ニも御賑救被遊度
 思召ニ候得共連年莫大之御物入ニ而御勝手
 殊之外御逼迫之御砌被 思召候程ニハ御行
 届相成兼候處被差懸
 奥御座所
 御寝所等御普請迄も御見合被遊乍少分右御
 入用ヲ以風難受候御領民共御救被遊度との

 尊慮ニ而被為 在候条難有
 思召之程浹く行渡候様同役中共申合宜被取
 計事
  但委細之儀ハ於 御国相達候ニ而可有之
   候

 御筆者
            江水家中一同え
 軍制改正備向皆銃炮ニ相成候得は小普請も
 不残銃陣調練習業可申附候猶又家老初之悴
 等も若年ゟ銃陣調練習業不致候而ハ何之頭
 役ニ相成候節下知も出来不申故是又習業為
 致可申候家老番頭之悴等なり共若年ゟ高ぶ
 り人と共ニ習業不致時之頭役ニ相成時下知
 に不行届下ゟ誹謗を受候而已ならす勝利も
 有之間敷候左候時ハ我等藩屏之任を失ひ候
 得は一統神発流備打調練習業為致候様相心
 得候事
   九月廿九日    御花押
             江水家老共え

廿八日 朝くもり暖気四ツ過よりてり立むら
    雲
廿九日 朝くもり五ツ時過ゟ快晴殊之外暖気
《割書:桃杏海東梅等|之返咲移し》 三月時分位の気候八ツ時ゟ西風吹出
《割書:江戸才田塩十四俵》夕方止俄ニさむし
晦 日 朝くもりさむし四ツ時てり立九ツ過
    より曇
 辰九月十七日伊勢守殿原弥十郎を以評定所
 一坐林大学頭海防懸大目付浦賀箱館奉行御
 【見せ消ち「御」】目付被御渡
 長崎奉行御達
 英吉利使節船渡来之節応接之次第御達ニ相
 達置候得共今般交易之儀ハ彼方ニも強而見
 込候哉と相聞此度之儀ハ不容易模様ニ相見
 候間何レニも当地ゟ応接之御役人不被指遣候
 而ハ相成間敷尤交易筋之儀ハ当時各国之模
 様も有之時勢不得止事儀ニ付何レニ欤御所
 置之次第可有之間右之含ヲ以使節船之儀ハ
 其地え是非引留置応接之模様早々申越候様
 可被致候左候ハヽ応接之御役人早々御指遣

 ニ可有之候事
 《割書:永井玄蕃頭|岡部駿河守》え御達
 同文言
 右之通長崎奉行え相達候間得其意委細申談
 候様可被致事
 《割書:長崎奉行|御目付(在勤  )》え御達
 英吉利渡来之模様申越次第大目付御勘定奉
 行同吟味役等被指遣候間其心得ニ可被相達
 事
 十月廿日
 一           備 中 守
  外国事務取扱被 仰付要領之儀ハ一同申
  談精々心ヲ尽可相勤候
   右御直々被 仰含候
 一           備 中 守
  近来外国之事情も有之此上貿易之儀ハ御
  指許可相成儀も可有之候ニ付外国事務取
  扱被 仰付取締向ヲ初メ大事多端之儀ハ
  一同申談精々心ヲ尽シ相勤ニ不及候間海
  防向ハ一手ニ引請御勝手月番之儀ハ是迄

  之通相勤候様被 仰出候
  右御用部屋おゐて老中列座大和守申達書
  付渡之
   《割書:伊勢守と有之ハ御老中阿部候備中守と|有之ハ御老中堀田公》
  《割書:佐野 玄米七斗五升|下館   八斗五六升》  《割書:土浦 わた弐〆八百目|   毛切三〆三四百目》
  《割書:笠間   八斗六七升|真壁   八斗七八升》
  《割書:府中 上 七斗五升酒屋米|八斗五升ゟ九斗五六升》
  《割書:水戸 籾壱分四斗ゟ|      五斗迄》
   当年ハ芒の穂さらに出不申候如何之わ
   けニ候や皆々ふしきニ存居候
   十一月
朔 日 朝より快晴
二 日 大霜快晴
三 日 霜ふる快晴
四 日 朝むら雲
五 日 朝より快晴霜ふる夜中くもり
六 日 明七ツ時より雨ふる六ツ半時ゟ晴時
    雨空夜四ツ時ゟ雨降
七 日 大霜快晴寒し八ツ時より未申ノ風吹
八 日 大霜快晴寒気つよし

九 日 同断夜中曇る四ツ過より雨ふり明方
    止
《割書:十  日|甲  子》  明方より晴西風ニ而さむし
《割書:天教日|今日開店十二日迄三日之間大群集》
十一日 朝大霜快晴西風にてさむし終日風あ
    り
十二日 朝より快晴
十三日 朝より快晴
《割書:十四 日|弐十七度》  大霜寒気つよし快晴
十五日 大霜寒気快晴
十六日 大霜寒気快晴
 当十一日昼下町青物町え鴈四五十羽人通之
 中え下り候而歩行居候由大勢さわき候ニ付
 飛去り候よし
《割書:十七 日|三十五度》  大霜快晴
 当年ハあまり暖気故菜種枯候よし麦を蒔な
 をし申候由
《割書:十八 日|三十七度》  霜ふる快晴暖気なり夜中迄殊【見せ消ち「の」】之外暖
    気夜四ツ半過地震つよし
《割書:十九 日|四十 度》  朝より快晴暖気

 線姫君様御所労御機嫌伺アリ
廿 日 朝より快晴暖気也
 線姫君様御逝去十九日未ノ上刻
 右ニ付御機嫌伺
  《割書:御家中之族髪一七日過剃可申月代ハ|御葬相済頼可申》
  《割書:殺生音曲 日数廿日|普請ハ  日数五日》
  《割書:文武ハ 御停止無之|責馬葉御出棺御当日迄》
廿一日 朝より快晴寒気つよし
廿二日 朝より薄くもり時雨空なり夜中西風
    吹
 線姫君様
 御尊骸来ル廿三日江戸表 御発棺廿六日下
 町御通棺廿七日 御葬穴
 御諡号 順貞夫人様と奉称候事
廿三日 朝よりくもり折々照西風にてさむし
廿四日 朝より快晴霜降さむし
《割書:廿五 日|廿六 度》  大霜寒気つよし
廿六日 大霜快晴四ツ過ゟむら雲
《割書:今日下町|四ツ半時 》      《割書:公辺 御使》 水野岩之丞
《割書:御尊骸御通》      《割書:御付御用人》 都築 平蔵

廿七日 朝より雨ふり暖気なり四ツ過より快
    晴
《割書:廿八 日|三十五度》  朝より快晴
廿九日 朝より快晴四半時よほとつよき地震
《割書:今日ゟ日夜|三月の御法事》 ゆる
 泉町いせ屋彦六へ逗留之客人地震之節二階
 より表へ飛おり怪我いたし候由江戸の人の
 よし
《割書:会津玄米壱石弐三升|水戸籾 壱分ニ四斗三四升ゟ七八升迄》
 江戸大不景気ニ而諸相庭大高下有之由くり
 わた坂上此節参り正金取引押引致候へハ八
 拾五両ニハ出来可申夫而も江戸の人ハ一圓
 手を出し不申候三洲白ハ大高直銘ニ而此間
 迄ハ九反三歩尚此節ハ七反三歩ニ相成候よ
 し
   十二月
《割書:朔  日|三十 度》  朝より曇時雨空にて夜ニ入西風つよ
    し
二 日 霜ふる快晴西風ふく
三 日 朝薄曇暖気四ツ過より快晴九ツ時地

    震つよし
四 日 大霜快晴寒気つよし
《割書:五  日|三十五度》  朝よりくもるさむし夕方より雨ふり
《割書:小石川伝通院に |おゐて五日ゟ七》夜中大くもる
《割書:日迄御法事》
《割書:六  日|三十 度》  朝より快晴暖気
七 日 朝より雨ふり北風にてさむし五半時
《割書:今日普請武芸御|停止中ニハ候へとも 》止丑寅の方ニ夜中稲光あり
《割書:別而御停止》
《割書:八  日|三十 度》  朝快晴暖気九ツ過よりくもり夜中快
    晴
《割書:九  日|廿八 度》  大霜快晴寒気八ツ過西風少シ吹
《割書:十  日|廿五 度》  朝大霜むら雲寒気なり折々照時雨空
《割書:夕七ツ時|入  寒》  なり
《割書:十一 日|三十 度》  朝より時雨空なり折々てり夜中快晴
《割書:十二 日|二十八度》  大霜快晴寒気つよし
《割書:十三 日|三十一度》  朝より暖気終日暖気なり
《割書:金納御相場|弐十九俵》
《割書:三 十俵》
《割書:十四 日|二十九度》  朝霜ふる辰巳の方黒雲あり四ツ過よ
    り快晴
十五日 朝より快晴寒気ゆるミ夜中くもる
《割書:十六 日|三十三度》  朝より快晴暖気なり

十七日 朝くもる四ツ時ゟてり立北風にてさ
    むし夜中曇
十八日 朝雪少々ふる直雨ニなるさむし終日
    雨ふり夕方止
十九日 明七ツ前より西風強寒気終日西風つ
    よし暮六ツ時ゟ風止夜八ツ時地震
《割書:廿  日|廿七 度》  大霜快晴寒気つよし夜八ツ時地震ゆ
    る
廿一日 大霜快晴西風少寒気
《割書:廿二 日|廿八 度》  朝よりくもり寒気つよし夜五ツ過ゟ
    雪ふり出終夜ふる
《割書:廿三 日|三十 度》  宵ゟ雪ふる明方止晴又々くもり終日
    曇空にてさむし
《割書:廿四 日|十九 度》  朝より極寒気つよし九ツ時比迄くも
    り夫より快晴
     廿四日御用
   《割書:小普請触頭  》       小原忠次郎
   《割書:御 徒 頭  》       松原 亨蔵
   《割書:御金奉行   》       赤井五郎作
   《割書:御矢倉奉行  》       小池源太衛門

   《割書:御小納戸   》       土井市郎衛門
              石川惣三郎
   《割書:御馬廻組頭  》       荒川戸田衛門
   《割書:大 御 番  》       林 十左衛門
   《割書:新 御 番  》       三村与七郎
   《割書:御勘定奉行  》       大内清衛門
   《割書:御 馬 廻  》       朝倉清三郎
   《割書:御   徒  》       井田鉄之介
              中村喜左衛門
   《割書:悴小十人召出 》       同 大之介
   《割書:願   済  》       安藤 内匠
              伊藤久左衛門
   《割書:御廟勤悴   》       有賀喜衛門
   《割書:御馬廻召出  》       同 半蔵
   《割書:小 普 請  》       阿部宗太郎
   《割書:御文庫役列  》       市毛清三郎
   《割書:弐人扶持御休 》       郡司太平次
   《割書:御中間【見せ消ち「格」】頭   》       斎藤所八郎
   《割書:御中間頭格  》       増田庄四郎
   《割書:留 付 列  》     南 稲田 重蔵

            東 福地 平蔵
            西 坂場惣三郎
            北 滝川 謙蔵
   《割書:御用部屋物書列|獄守代役》       照津甚次郎
              興津 蔵人
              中山与三左衛門
   《割書:達御用ニ而  |御軍用懸り》       肥田玄太郎
              三木陸衛門
              渡辺 半介
              金子孫二郎
              村田 理介
              御勘定奉行中
              新家半之允
              高橋多一郎
              石川彦之允
《割書:廿五 日|二十五度》  朝よりくもり寒気つよし終日くもり
《割書:今日|御徒目付并 》 空にて折々雪ふる夕方より西風夜中
《割書:御徒与力|御譜代席ニ相成る》も風つよし晴
《割書:廿六 日|二十六度》  快晴寒気つよし西風つよし夕方風止
《割書:終日同断》  夜中迄寒気殊之外つよし

《割書:廿七 日|十九 度》  寒気殊之外つよし終日快晴
《割書:結城辺玄米壱石 下たて九斗八升》
《割書:廿八 日|廿四 度》  朝よりくもり寒気つよし
廿九日 朝より快晴寒気つよし
晦 日 朝より快晴五ツ半時風ふく直やむ

    ◯【印、「昭和十二年十二月廿八日 購」】

巻5

L289.1 5 137
《割書:水|戸》大高氏記録 五

   安政五《割書:戊| 午》
  《割書:正  月|  庚寅》《割書:年徳明の方|己午の間万よし》
元 日(戊寅 たツ) 朝より至極快晴ニ而寒気つよし明方
    辰巳の 方ニ 薄横雲あり終日穏にて九
    時より暖気風なし
二 日(つちのとうの) 朝より至極穏ニ而快晴九時過より薄
    曇七半過ゟ雨降夜入雪交九時過ゟ大
    北風にて大雪終夜雪風強
三 日(たつ ミツ) 宵より大雪降北風強吹昼八ツ時過ニ
    止夫まて大吹降なり八過より晴照立

四 日(ミ  たいら) 朝より快晴寒気ゆるミ
五 日(午  さたん) 朝より快晴寒気ゆるミ朝辰巳の方曇
六 日(未  とる ) 朝辰巳の方曇快晴夕方くもる寒気つ
《割書:正月中 》  よし
七 日(申  やふる) 朝より雪空にて曇折々ちら〳〵雪ふ
《割書:三十 度》  り夜中晴
八 日 朝より快晴昼時よりむら雲夜中くも
《割書:弐十八度》  り
九 日 朝むら雲ちら〳〵小雪ふる九ツ時ゟ
《割書:三十三度》  西風つよし夕方止夜中晴
十 日 朝より快晴
 江戸当二日夕方より三日迄雪平地弐尺位よ
 り三尺位迄降候由十二月晦日小石川
 御館御泉水ニ而蛙沢山ニ鳴候よし申参ル
十一日 朝より快晴終日穏なり
《割書:三十二度》
十二日 朝より快晴寒気西風吹夕方風止
《割書:二十六度》
十三日 大霜快晴寒気戌亥風吹
《割書:三十 度》

十四日 朝より快晴暖気
《割書:三十三度》
十五日 朝より快晴暖気なり余ほと春めき穏
《割書:三十七度|月帯そく》   なり
  江戸初相庭
 一古領米五斗四升  一地水油三十両
 一南郷米五斗四升  一上白油廿九両弐分
 一府中米五斗五升  一胡摩油三十壱両
 一土町米五斗六升  一荏油三十両三分
 一同古米五斗五升  一種粕九枚三分
 一餅 米六斗六升  一花粕拾壱枚
 一水戸大豆八斗五升 一銭 六〆七百八十文
 一小玉  八斗弐升 一大坂廿五日
 一水戸小豆六斗五升  水油四百九十五匁
 一大麦石七八斗    金 七拾壱匁五分
 一小麦石三四升          山伊
 一そは九斗七八升  一赤穂塩 八俵五分
 一寒川米五斗五升  一斎田塩 拾四俵
 一仙台廻米五斗九升 一新才田 十五俵
        山喜       伊坂

 一本銘極上々三十〇四五分  綿
 一同  上々廿三〇ゟ廿五  一三州上銘百四拾五両
 一同  中 廿十      一尾州中市百四拾四両
 一立廻り拾八〇四五分    一坂上銘 百四拾三両
 一味淋上々二十五〇     一京丹州百三十九両
 一同 中 十五       一坂丹  百三十五両
       伊坂      一大和焼印百廿七両
                  正取引五両安
  名古屋白          伊勢晒
 一番  四反六分五厘    大上
 二番  五反弐分五厘    御好 六反五分五
 三番  五反八分五厘    唐岐 六反五分
 四番  六反四分五厘    清水
 五番  七反五厘      白吹 七反壱分五
 六番  七反五分五厘    祇園 七反五
 七番  八反五厘      玉川
  三川白          |桜(枅カ)川
 古新  七反三分五厘    玉の井 七反九分五
 改   八反五厘      三穂 七反五分
 間銘  九反九分      花の井

 新造  拾反弐分      瀬川
 間新  拾弐反三分     奈良和 八反七分
  尾張白          鈴鹿 八反六分五厘
 茶地  拾反八分      住の江 九反弐分
 本道  拾壱反三分     初瀬 九反壱分五
 須道  拾弐反四分     宮川
 引舟  拾三反壱分     堀川 九反七分
 千鳥  拾三反九分     御園 九反六分五厘
                     長谷川

十六日 大霜快晴寒気つよし夕方よりくもる
《割書:三十 度》  暖気也
十七日 朝よりくもり南模様にて暖気なり四
    ツ時より雨降八ツ時より雨止夜中む
    ら雲
十八日 朝くもり暖気なり終日曇空にて寒し
    夜ニ入雪少降
十九日 大霜快晴さむし少々西風吹昼時より
《割書:三十 度》  くもりさむし夜中四ツ過より小雪雨
    ましりにふる
廿 日 朝より小雪ふるさむし夜中四ツ過ゟ

    小雪
廿一(二月節 )日 朝よりくもりさむし終日くもり空に
《割書:三十 度|江戸白米六合五勺》て七ツ過より晴
《割書:|》
廿二日 朝より寒気つよし
《割書:いたこ玄米 |五斗三升》 水戸穀町籾壱トニ弐斗六升
《割書:府中同|五斗五六升》
廿三日 朝より快晴余寒夜ニ入くもり
《割書:三十三度》
廿四日 朝よりくもり丑寅の風吹八ツ過より
《割書:壱両ニ|地粕廿五〆目》 雪ふる夜ニ入止
廿五日 朝より快晴寒気八ツ時より曇夜五ツ
《割書:弐十八度》  時より雪ふる四ツ時地震
廿六日 朝より快晴寒気つよし九ツ過より北
《割書:二十弐度|磯粕入梅もの》 風模様にて俄ニ大曇り夜中くもり
《割書:十三〆入壱俵弐分》
廿七日 朝よりくもり余寒小雪ちら〳〵降さ
《割書:三十弐度|くり綿壱八》 むし折々夕方迄小雪ふり
廿八日 朝より快晴余寒つよし明六時地震動
《割書:三十三度》  四ツ時よりくもり夜五ツ過より雨ふ
《割書:雪降  》  り九ツ時より雪降出北風にて終夜雪
    ふる

廿九日 宵より大雪降終日大雪ニ而七ツ半過
《割書:三十弐度》  迄ふる
 雪壱尺五六寸ゟ弐尺余吹溜候北ハ三尺余も
 有之候
 昨年中ゟ江戸逗留之亜墨利加正月廿一日ニ
 伊豆下田え帰りニ相成候由
 同日御老中堀田備中守 京都え出立致候よ
 し

   二 月
朔 日(丙未  ) 朝より快晴寒気つよし終日快晴にて
《割書:弐十五度|玄米五斗七升》 余寒つよし
《割書:百文七合五勺|  上七合》
二 日 朝より快晴寒気つよし八ツ時より小
《割書:弐十四度》  雨ふる直止
三 日 朝より快晴八ツ過ゟ小雨ふり夜中迄
《割書:三十弐度》  ふる
四 日 朝むら雲天気西風夜中四ツ時迄吹
《割書:三十四度|ひかん》
五 日 朝より薄曇余寒終日曇空にて夜五時
《割書:弐十九度|江戸表》  より雪降
《割書:百文ニ白米|五合七勺》

六 日 朝より薄曇終日くもり空にて夜中五
《割書:三十弐度|二月中》  ツ過に雨ふり直止
七 日(春分  ) 朝より快晴少々むら雲西風少し吹夜
《割書:三十三度》  四ツ時あられふる
八 日 朝より快晴余寒つよし終日天気よし
    夜四ツ時雨ふり出し直止
九 日 大霜快晴寒気終日天気よし夜中曇
《割書:三十六度》
十 日 大霜余寒快晴
 江戸へ今日わせゟ答出シ
十一日 大霜快晴余寒
《割書:三十一度》
十二日 大霜快晴余寒つよし
《割書:三十一度|初 午》
十三日 薄くもり暖気也朝五ツ時地震七ツ時
    ゟ夜九ツ時迄雨ふり
十四日(庚申  ) 朝より快晴暖気なり四ツ時より北風
《割書:桂岸寺馬場|百七軒夜九ツ》 つよし夕方止夜四ツ時ゟ又々北風吹
《割書:時焼る折節|北風烈敷く馬く 》出し八ツ半過風止
《割書:ろ町火の子ふり申候》
十五日 朝より快四ツ過より北風ふく夕方風
  

    止
《割書:両三日日の色|殊之外赤し》
十六日 霜ふる余寒快晴西風つよし
《割書:三十五度》
 昼九ツ時馬労町【馬口労町】三丁目大工半蔵宅より出火
 折節西風烈敷北側へ火移り南側壱町目土手
 際迄焼常|葉(盤カ)裏通不残焼祇園【見せ消ち「寺」】南不残焼ゑせき
 堂并閑居残る下金町辺根本山下辺迄飛火致
 候よしニ而家上致居候【見せ消し「よ」】七ツ過火鎮る
 表通六十四軒裏弐十三軒焼
十七日 朝より快晴西風強夕方風止
《割書:日の色|あかし》
 祇園寺門前常盤裏通り類焼軒数ハ不分三十
 竈余之由
 二月十日夜五ツ時比ゟ江戸日本橋あんじん
 町辺より出火致折節西北風烈敷伊勢町長浜
 町小田原町瀬戸もの町【見せ消ち「雨」】南かわやけとまり室
 町壱丁目二丁目東側焼失ゟ本舟町ゟ南の方
 ハ四日市北側六七軒残る江戸橋蔵屋敷不残
 焼翁いなり社焼青物町万町小松町おとわ町

 南油町左内町新衛門丁本材木町壱丁目ゟ四
 丁目迄しんさ|と(カ)ば不残くれまさ町にてともま
 る又一口ハ坂本町海賊橋焼落る牧様無事茅
 場町裏表不残薬師堂山王御社地内不残代官
 屋敷不残九鬼様細川様残る松平越中守様半
 やけ北嶋町かし町地蔵橋辺火の見やくら残
 る大通り辺御組屋敷亀嶋橋残るれいかん嶋
 川口丁長さき町みなと町越前堀南新川霊岸
 島鉄炮洲稲荷社残るミ なと丁辺十軒丁細川
 様御屋敷松平阿波守様御屋敷比辺不残南八
 丁堀辺夫より佃嶋へうつり住吉社りやうし
 丁不残石川嶋残る翌四ツ時漸火静る
 江戸
 此節白米直段両ニ四斗弐升町米百文五合五
 勺並白六合油追々引上ケ地水三十三両弐分
 残ハ少々下落正取引百三十九両迄致候所百
 三十弐三両ニ取引致候よし
   家数六万余   穴蔵三十余
   土蔵千三百余
十八日 朝より快晴西風つよし夕方風止夜九ツ

《割書:油壱斗壱升 》 半過ゟ雨降
十九日 宵より雨ふり四ツ時ゟ雨止
廿 日 朝よりくもり七ツ過小雨降直止
廿一日 朝五ツ時小雨直止
《割書:四十一度》
廿二日 朝より快晴むら雲余寒東風に而さむ
    し夜中くもる
廿三日 朝より快晴昼後より東風夕方止
《割書:三月節》
廿四日 朝より快晴むら雲余寒九ツ半過より
《割書:三十八度》  雨ふり夜中迄雨
廿五日 朝より快晴昼後より東風吹夕方止
《割書:四十八度》
廿六日 大霜余寒丑寅の風夜中くもり
《割書:四十八度|江戸表白米四斗 玄米五斗二三升》 《割書:此間中百四十両位|綿百廿八両》
《割書:油三十四両弐分|致居候所廿八両弐分》
廿七日 明方より雨降四ツ時より止夜中晴
《割書:四十一度》
廿八日 朝より快晴夜ニ入くもる
廿九日 明方雨降五ツ時止快晴暖気なり八ツ

    時ゟ雷雨夕方止
晦 日 朝より快晴

   弥 生
朔 日(ひのとうし) 大霜快晴余寒つよし夜ニ入曇八ツ過
《割書:三十七度》  より雨降
二 日 明方雨降五ツ時止八ツ時過より雨降
    夜ニ入雨北風終夜雨風つよし
三 日 宵より雨風強北の嵐四ツ過より雨風
《割書:四十 度》  いよ〳〵つよし夕方ニ少シ静ニなり
《割書:一昨年秋の荒|にも格別違無》 夜六ツ半時ゟ夜明迄古今大風雨大嵐
《割書:之ほとの大風雨也|中川壱丈五六尺 》なり
《割書:水まし舟留》
四 日 雨明七ツ時止北風五ツ時迄つよし折
《割書:筑波辺山々 |雪見ゆる》 々照立時々落し風吹夜中晴天四ツ過
《割書:笠間辺雪降 》 地震
五 日(燕来ル) 朝より快晴寒し夕方薄くもり
《割書:四十四度》
六 日 朝より薄くもりさむし五ツ半時より
《割書:三日之雨嵐にて |今日抔も青柳》雨降夕立もやう雨折々つよし八ツ時
《割書:中河内辺歩行|渡り計にて舟》 位より雨ふり夜ニ入雨降
《割書:留》

七 日 朝もや深し五ツ過ゟ晴さむし九ツ半
《割書:今日之雷声 |下町大串辺》 時雹【原字は雨かんむりに水】降直ニ晴照立八ツ時ゟ雷雨八ツ
《割書:ニ弐人死人 |有之候由》 半過より晴夕方快晴也
八 日(桃盛  ) 大霜降余寒快晴明六ツ半時地震五ツ
《割書:四十三度|今日ハ地震 》 時よほと永き地震又々少シ地震暮六
《割書:五度ゆる|今日ハ十弐三度 》ツ時地震又々六ツ半時地震
《割書:地震ゆり候由》
九 日 朝より快晴
《割書:四十六度》
 江戸逗留之アメリカ人正月三日江戸出立致
 候由之所又々当四日ニ江戸ニ参り候由九段
 之旅館
 紅毛人も先月廿二日大坂迄到来是も無程江
 戸着此度のハ上官之者ニ而石町へハ逗留ニ
 不相成芝愛宕下青松寺旅宿之由
十 日 朝より快晴終日天気よし暖なり
《割書:彼岸桜盛》
十一日 朝より薄くもり南風にて四ツ半過ゟ
    折々小雨ふる終日南風つよし夕方止
    夜四ツ過南風吹出雨つよし
十二日 宵より雨降暖気四ツ過より雨止七ツ

    時雨なし少々雷声夜五ツ時はら〳〵
    雨終日暖気なり
十三日 朝よりくもりさむし北もやう風つよ
《割書:四十三度》  し終日くもり空
 今廿五日未刻道頓堀角芝居近辺ゟ出火暫時
 ニ大火ニ相成嶋之内え飛火仕候日本橋北詰
 東え入所ゟ東へ焼込西は心斎橋迄右火口五
 ツト相成只今焼最中ニ御座候鎮火之程未タ
 相知不申候以上
 右之段只今来候間不取敢御知セ申上候以
 上
   二月      いつゝや甚兵衛
十四日(桜盛  ) 朝より曇丑寅もやう終日花くもりさ
《割書:四十四度》  むし
十五日 朝もやふる曇さむし九ツ過より快晴
 当三日嵐ニ平潟入海ニ而
 仙台様御船千五百石積弐艘千弐百石積弐艘
 九百石積壱艘玄米壱万石余難船死人四十七
 人死六人平潟へ存命ニ而上ル
 公辺御船先進丸三百石積位之御船是も平潟

 入海ニ大いたミ のよし尤も米ハ積不申板を
 積候よし石名坂より奥州口ハ別而大荒のよ
 しニ而大水根返り中折数不知家上大破在々
 数不知と申候事
十六日 朝よりくもり丑寅風吹四ツ過よりて
    り立八ツ時ゟ曇雷気雨なし夕方晴
十七日 朝より快晴長閑にて終日上天気也
十八日 朝より快晴終日暖気穏なり
十九日 朝より快晴終日穏にて至極暖也
《割書:八十八夜》
廿 日 朝花くもり暖気終日殊之外暖気也
廿一日 朝薄くもり四ツ時より快晴殊之外暖
《割書:今日追鳥狩|無御滞相済 》 気也
廿二日 朝よりくもり風ふく九ツ過よりてり
    立
廿三日 朝より快晴終日天気よし
《割書:立夏四月節》
廿四日 朝より快晴八ツ時ゟ北風吹夕方止
《割書:五十一度》
廿五日 朝より快晴九ツ時ゟ七ツ時迄南風つ

《割書:五十七度》  よし
廿六日 朝もやふるくもる終日くもり空にて
《割書:六十度 》  夜五ツ半過より雨降
廿七日 明方小雨南もやう暖気なり四ツ過よ
    り雨ふり終日雨ふり夜中止軽暑位な
    り
廿八日 朝より快晴軽暑位なり八ツ半時北の
    方ニ 少々雷声あり
廿九日 朝より薄くもり終日持合

   四 月
朔 日 朝よりくもり七ツ時より雨降夜中雨
    つよし
 夜八ツ半過雨中
 藤沢小路今村喜左衛門殿壱軒焼
二 日 宵より雨降四ツ時位より雨止夜ニ入
    雨ふる
三 日 朝小雨五ツ時より雨はれ
四 日 朝より快晴軽暑位なり
五 日 朝より薄くもりにてり九ツ時より照

《割書:府中玄米五斗|弐升》 たち夜ニ入むら雲
《割書:百文六合五勺》
六 日 朝もや五ツ半過より北風吹
七 日 朝より曇冷気也九ツ時より雨ふる暮
《割書:府中玄米|五斗七八升 》 六ツ過迄雨ふる
八 日 朝よりくもる北風ふく終日くもる八
    時より小雨ふる

   当世浮世たとひ
 人の噂も七十五日   小石川の隠居
 知らぬが仏      福山の故人
 《割書:瑠理も筋も照 |せは光る》       土岐摂津守
 《割書:沈香も焚かず |屁もひらす》       堀田備中守
 《割書:芦のずいから |天上のそく》       遠藤但馬守
 身から出た錆     松平河内守
            岡田備後守
 一寸先ハ闇の夜    河内左衛門尉
 得手ニ帆ヲ上ケ    井上信濃守
            中村出羽守
 高みの見物      石河土佐守
 寝耳にみず      水野筑後守

 《割書:犬もあるけハ |棒にあたる》       松平伊賀守
 糠に釘        鵜殿式部少輔
 餅やハもちや    | 塚越(御勘定吟味役)藤一郎
 石の上にも三年    大久保右近将監
 あいた口にふた餅   永井玄蕃頭
 惣領の甚六      本田加賀守
            石|水(谷カ)因幡守
 縁ハいなもの     薩摩御娘
 《割書:目のよる所へ |玉もよる》        箱舘三人
 《割書:論語よみの|論語しらす》        林 大学頭
 《割書: |芸ハ道により 》       池田播磨守
 《割書:てかしこし》        跡部甲斐守
 《割書:天にも地にも |我一人》       岩瀬肥後守
 《割書:お芋の煮たも |ご存【「知」脱】なし 》    親 玉
 《割書:にくまれ子国ニ|憚かる》       あめりか官吏
九 日 朝曇五ツ時小雨降直止照立又々曇少
《割書:五十五度|四月中》  々小雨晴曇七ツ過より暮六ツ少シ過
    まて雨降少々雷声
十 日 朝より快晴終日快晴むら雲
十一日 朝より快晴朝の内ひや〳〵終日天気

    よし軽暑也
十二日 朝よりくもり北模様なり四ツ過より
《割書:初松魚 |参ル》  てり立
十三日 朝より快晴夜五ツ時少々雷雨直晴
《割書:玄米土浦辺|両ニ七升方下落》
十四日 朝快晴五ツ過ゟくもり終日持合夜四
    ツ時より雨ふり北もやうにて冷気也
十五日 宵より雨ふり北もやうにて冷気終日
    雨ふり夜中晴
十六日 明方より雨降五ツ時ゟ止又々八ツ時
《割書:御田楽相済 |申候》 ゟ雨降直ニ止
   畿内近国
 一商館兵庫除之事
 一数港を開き商館を末々|官(本ノマヽ)之哉見込可申事
 一皇居御手薄ニ付可然大禄大名京都四方堅
  固ニ 警衛可有之事
 一此度之一条不容易奉神宮始御代々え被為
  対候而も可有如何哉深被悩
  叡慮到此期候而ハ人心之居合国家之事ニ
  候間三家以下諸大名之跡心被聞食度思召

  候今一応被下
  台命各所存御書取ニ入
  叡覧候様宜取計有之旨可申入関白殿太閤
  殿被命
   二月廿五日於堀田備中守旅館伝奏議奏
   衆ゟ御返事申渡

  三月二十日
  勅答書付
  墨夷之事
  神州之大患国家之安危ニ係り誠ニ不容易
  奉始
  神宮 御代々え被為対恐多被 思召
  東照宮之良法を変革之儀ハ闔国人心之帰
  向ニも相拘り永世安全難量深被悩
  叡慮候尤往年下田開港之条約不容易之上
  今度仮条約之趣にてハ
  御国成難立被思召且諸臣群議も今度之条
  々
  御国体ニ拘り後患難測之由言上候猶三家

  以下諸大名えも被下 台命再応衆議之上
  可有言上被
  仰出候事
  三月二十日堀田備中守殿 御所へ 御召
  有之則参内有之候所於小 御所
  中段
  | 九条殿(関白   )  | 近衛殿(左大臣  ) 
  | 鷹司殿(右大臣  )  | 三条殿(内大臣  )
  下段
   議奏衆
   伝奏衆 広橋前大納言殿
    下ケ紙にて
     坊城前大納言殿は去ル十七日俄ニ
     御役御免
  右御方々御列座有之近衛殿被 仰出候御
  口上先日之御返答彼是御延引ニ相成候早
  々帰房之上大樹公へ被申入候様被 仰出
  候事
  右御口上有之則近衛殿より堀田備中守殿
  え別紙之通御書付御渡有之且亦伝奏広橋

  前大納言殿現任之公卿両頭弁ゟ被 差上
  候赤心之上書共御取揃ニ而備中守殿へ御
  渡有之直ニ御暇之儀伺可申哉之旨被申候
  所備中守殿今日被 仰出候儀篤と熟覧仕
  度候間御暇之儀一両日御猶予被下度段被
  申上御返答有之候趣候事
  右三月廿三日認
   廿三日ニ至未御暇之参内無之事
十七日 朝より快晴至極上天気九ツ時よりむ
《割書:御祭礼無御 |滞相済》 ら雲夕方ゟ薄くもり
十八日 朝より薄くもり南ニ朝の内雷声あり
《割書:喜連川殿様此|節何方え被参》 終日くもり空にて持合夜五ツ時大雨
《割書:候や行衛不相|知との沙汰十》 半時計にて止
《割書:七才ニ相成候由|二三日過たる御》
《割書:返りニ相成候由|出立ハ立付をはき》
《割書:しないを持而被出候由》
十九日 朝より快晴むら雲九ツ時俄雨ふり直
    やむ夕方雨ふり直ニやむ
廿 日 朝よりむら雲終日くもり空にて夕方
    より雨ふり夜中終夜雨ふり冷気なり
廿一日 朝五ツ時より雨降四ツ過雨止夜四ツ
《割書:玄米五斗四升》 時より雨降

廿二日 朝六ツ時まて雨降五ツ半時より快晴
《割書:五十五度》  ニなる

           町年寄
   《割書:若年寄ゟ|御町奉行中へ》      木村伝六母
                こふ
 右之もの夫伝六存生中ゟ婦道不取失相果
 候後は猶更厚心を用先祖より之家風不取乱
 節倹相守聊も奢侈無之家事取締行届候儀ハ
 勿論店若ものを始下男女ニ至迄も無疎略誠
 実ニ取扱候故自然思【「恩」の誤りか】義ニ感シ一統熟和致シ
 長年無恙相勤夫々取立候ものも不少尚又上
 下町極窮之者へハ白米味噌金銭迄も多人数
 相施其外産前之難渋人え常々衣類心掛置致
 出産候節食物ニ相添指遣或は小児出生乳不
 足之極窮人へ里子料指遣候類も数十人之義
 ニ而累年ニは莫大之金子相施し候得共何れ
 も名聞くニ不相抱趣ニ有之殊ニ此度居宅軒下
 へ小児捨候者有之候所乳媼相抱致養育度旨
 其役所へ願之上相育心得宜敷く段は衆人ニ超

 過致し稀なる積善之者之由申出候趣も有之
 件之通先祖之家風相守奢侈之義無之家事取
 締向は勿論年々極窮人へ莫大相施候段奇特
 之至ニ付格別之儀を以年々籾拾五俵宛被下
 置候条為取可申もの也
  《割書:ケ様之御達有之候而も伝六之支配人江戸|上下之節ハ駕籠ニ而道中旅宿屋等之始抹》
  《割書:甚不宜候由伝六家事之取締見せ之もの身|持等至而不宜候處如何のわけニ而右様御》
  《割書:達有之やと|の風聞也》
《割書:御老中|堀田備中守様》
《割書:京都ゟ御帰之由》
廿三日 朝よりくもり小雨直止夜中雨降
廿四日 朝よりくもり終日持合
廿五日 明方より雨ふり四ツ過雨止丑寅風吹
《割書:五月節|井伊掃部頭様》八ツ過ゟ風止夜中もくもり冷気なり
《割書:御大老被仰付|候よし》
廿六日 朝きりふる快晴村雲丑寅風なり四半
《割書:十四五年之間|竹の子更ニ無之 》過よりくもり冷気夜中迄艮風吹
《割書:候所当年沢|山ニ出候よし》
廿七日 朝よりくもり丑寅の風冷気八ツ過よ
《割書:四十七度|入梅》  り雨ふり夜中【見せ消ち「迄」】も雨風つよし
廿八日 宵より雨ふり丑寅の風にて冷気八ツ

《割書:五十二度》  過より雨止
廿九日 宵より雨降冷気なり終日小雨ふり夜
《割書:当廿五日|公辺諸大名 》 ニ入雨止
《割書:アメリカ一条ニ付|惣登城存意申》
《割書:出候様》
 鋭姫君様 京都御発輿道中にて御詠
  ゆく方に心はせけと遠さかる都路おしき
  木曽のかけ橋
    木曽を見て
  谷川のなかれもはやく見し夢はねさめの
  床の滝津勢の音
  打向ふ山端しけく重りて落来る水廼音の
  けはしき

   五 月
朔 日 朝きりふる終日曇空にて持合丑寅の
    風少々ぬける
二 日 朝薄むら雲終日晴曇夜四ツ時雨つよ
    し夕立
 先月廿八日
 鋭姫君様御入輿御結納被遊候ニ付

 中納言様え今日ご祝儀ニ出ル
三 日 朝より快晴終日天気よし
《割書:六十度》
四 日 朝より快晴むら雲終日快晴なれとも
《割書:五十五度》  東風にて冷気わた入重着なり
五 日 朝より薄くもり七ツ時より小雨ふり
《割書:冷気也 》  出夕方より雨つよし終夜雨
 了助江戸より
 堀田様先月廿日京都ゟ御帰着之由未タ何事
 も御達無之候得共京都え御返事ハ六月中ニ
 可申上と御受被申候よしニ御座候右ニ付井
 伊掃部様御大老被仰付米三百俵御増尚又此
 度之御返事向万端被仰付候よし御出立ハ五
 月中旬と申事ニ御座候此度御大老御祝儀ニ
 諸大名ゟ御進物ニ相成候ニ付大判相庭是迄
 廿六両位之所廿八両ゟ廿九両位ニ相成候よ
 し当月十八日アメリカ人黒江屋白木屋等ニ
 而買物致候由黒江屋ニ而箪笥三組壱組ニ而
 三十三両安物上三十六両本直段は拾三四両
 位之品之由尤も不残本巻絵金物付ニ而其外

 塗物類金高弐百両程之買物白木屋ハ呉服も
 の代金六拾両程之由右品々番所え指出品引
 替ニ代金御払ニ相成候由此間被仰出ニハア
 メリカへ売渡候而相ならざる品金銀銅鉄織
 物ハ大和錦美濃紙右之品売渡候事ハ不相成
 候御達之由
 昨廿七日京都より
 鋭君様小石川へ御着被遊候よし小石川【見せ消ち「御」】表
 御門ゟ本郷伊豆蔵辺迄御供引つゝき候よし
 ニ御座候
 此節何品も高直ニ御座候へとも下直之もの
 ハ塩計新浜斎田廿壱俵本才田拾七俵ニ而品
 沢山ニ有之候よし緋羅せ板昨年中金六両位
 之品此節拾五両弐分毛氈四十八匁古今稀な
 る相庭ニ御座候
    四月廿八日      良 助

   河内本田早庭
 昨巳年
 一本田岸田千種壱石ニ付

     油弐斗壱升三合
     三六粕六枚四分
 当午年
 一右同断壱石ニ付
     油弐斗弐升五合
     三六粕六枚四分
  《割書:古領米|南郷米》  〆五斗四升   水戸大豆 八斗八九升
  町  米 五斗五升   同 小玉 八斗四升
  糯  米 六斗     高浜大豆 九斗二升
  水戸小豆 七斗七八升  大  麦 弐石三四升
  小  麦 《割書:石弐斗七升| 三斗》    仙台米 | 五斗(切手  )九升
     御はり紙之写
  一御米  半々
  一御直段 四十弐両
  一御米渡り五月四日ゟ
     四月廿五日       山喜
     四月廿六日札
  一廻米四千俵  《割書:五九一ゟ|五九七》
  一本米弐千七百俵《割書:六十|六〇五》
  一並米六千三百俵《割書:六〇七|六壱七》

   〆万三千石
     四月廿八日       山喜
六 日 朝よりむら雲北風少吹終日持合七ツ
《割書:江戸| 赤穂九 五分 》時より雨夜中東風にて雨つよし冷気
《割書:才田塩拾五五|才田波止拾六五》
七 日 朝小雨ちら〳〵ふる冷気直止終日天
《割書:六十 度》  気よし
八 日 朝より快晴むら雲少々暖気終日村雲
《割書:両三日已前久保|町三升屋え夜盗 》夜五ツ時より雨降
《割書:入酒屋主人大キ |ヅ追而死ス》
九 日 朝より薄くもり村雲暑気すこし有夜
《割書:右夜盗ハ酒屋働|候者之よし追而 》中雨ふり
《割書:永のや茂衛門嫁|後家ニ相成居候》
《割書:を連出候よし》
十 日 朝よりくもりきり雨ふりすこしあつ 
《割書:六十八度》  き方なり終日小雨降夜中雨つよし
十一日(五月中 ) 宵より小雨九ツ時ゟ雨止むしあつし
《割書:上下御町え|三千俵入穀 》 折々きり雨時々てり立八ツ時より俄
《割書:相済候由》  ニ雷雨つよし半時計にて止
十二日 朝きりむるむし暑し五ツ過よりてり
《割書:六十八度》  立明六ツ時二度地震夕方地震終日天

《割書:アメリカ人両人 |とも昨年中ゟ》気よし夜中くもり九ツ過雨ふる
《割書:江戸逗留之所|当七日出五致》 《割書:アメリカ人壱人通弁官壱人弐人え|公辺より三百人程ニ而送り候由》
《割書:候よし》
十三日 朝くもり四ツ時位ゟ照立昼後より村
《割書:六十八度|江戸》  雲夕方より薄くもり夜中八ツ過ゟ雨
《割書:玄米五斗弐升》 降
 量助江戸出府中店々ニ風説承り候留
 此度井伊様御大老被仰付候處御国元へ別段
 御触出候よし是迄上下とも著類同様之事ニ
 相見候處町人百姓ハ縮面之外着用御免帯之
 儀ハ金入類天鵞絨類不相成御家中之族ハ上
 着綿服下着太紬之類御免袴羽織ハ是迄之通
 着用御免右之趣右御領之江戸出店等へ国元
 ゟ文通ニ而申参り候よし

 アメリカ人是ハ南部之家中三十年程已前牢
 破いたしアメリカへ渡り居候由実事ニ候ハ
 ヽ打首ニ相成候抔と内々江戸にてはなし申
 候よし

 江戸表砂糖問屋之儀ハ先年ゟ薬種屋え付居

 候商売ニ而譬砂糖一多之渡世致居候而も万
 事薬種屋持前ニ相成居上方ゟ入船有之候節
 ハ返り運賃と申壱樽ニ付銀七分ツヽ買入候
 砂糖屋へ船頭ゟ相納候由是を砂糖屋より薬
 種屋え運上之様ニ年々指出来薬種屋仲間寄
 合参会等之節補ニ相成居候處此度十組問屋
 追々再興ニ付砂糖屋仲广中も薬種屋の年【「手」の誤りか】を
 離れ十組本仲广ニ相成度との内存ニ而追々
 砂糖屋仲广中打寄評議之上市中取締懸り江
 戸三名熊井理右衛門鈴木一郎衛門石塚三五
 郎等え内談致是迄薬種屋え指出候船頭ゟ返
 運賃と申相引レ壱樽ニ付銀七分ツヽ之内ゟ
 右三名主え金千三百両年々砂糖屋中ゟ相納
 可申候間薬種屋え拘り不申渡世出来候様咄
 合【見せ消ち「と」】候處右之通済口ニ相成其後右ニ而商売致居
 候處薬種屋ゟ御番所え訴ニ相成候ニ付砂糖
 屋并三名主等御呼出御調ニ相成候處三名主
 ハ私欲ニ拘り猶又砂糖屋金子年々指出方不
 筋之儀等ニ而右三名主ハ家内|闕(ケツ)所ニ相成当
 人入牢ニ被仰付砂糖屋行司致居候もの三人

 江戸御構御追放ニ被仰付家屋敷家財道具ハ
 家内え被下ニ相成候よし追而三名主十里四
 方御構ニ而御追放ニ相成候よし三五郎一郎
 衛門ハ牢死致候よし
十四日 朝よりくもり軽暑五ツ半過よりてり
《割書:七十弐度》  立夕方くもり夜中ちら〳〵雨直晴
十五日 朝より薄くもり五ツ半過より晴暑気
《割書:七十四度|紅花壱弐輪咲》 也終日天気よし夜中くもり八ツ時過
《割書:御扶持籾| 弐斗四升 》 より大雨明方迄つよし丑寅風なり
《割書:玄米| 五斗七八升》
十五日 明方迄雨つよし丑寅の風冷気五ツ半
《割書:七十一度》  時より晴夕方よりくもり
十六日 明七ツ前より雨降冷気なり八ツ時よ
《割書:才田塩湊へ十八入|両十四〆五分位》り雨止
十七日 朝より快晴四ツ半過よりむら雲
十八日 朝きりふる曇五ツ時より丑寅の風に
《割書:六十八度》  て冷気ニなる
十九日 朝よりくもり終日くもり空
《割書:紅花| 七百五十文》
二十日 朝より雨ふる四ツ過より雨止
《割書:水花八百文》

【同文のコマ37を翻刻】

【付箋「降雪時刻→」】

廿一日 朝小雨ふる六半時より止終日くもり
《割書:水花| 八百五十文》 空にて折々きり雨ふる夜ニ入雨ふる
《割書: 壱〆文|栗野辺》
《割書: 壱〆弐百文》
廿二日 明方雨止む少々むしあつし折々小雨降
《割書:六十八度》  夕方も雨ふり
廿三日 朝よりくもり南もやうむしあつし八
《割書:七十 度》  ツ時より雨ふり夕方止
廿四日 朝よりくもり五ツ時きり雨ふる四ツ
《割書:六十五度|籾弐斗六升 》 過ゟ止終日くもり空にて夜五ツ時地
《割書:圷辺紅花| 壱〆文》  震夜中九ツ過より雨降冷気
《割書:田谷国井辺| 壱〆弐百文》
廿五日 宵より雨降冷気五ツ時止丑寅風の模
《割書:六十五度|菜種》  様なり夕方ちら〳〵雨降夜中晴
《割書: 八斗四五升》
廿六日 朝よりくもり南もやう折々てり立終
《割書:六十六度》  日持合夕方よりくもり
廿七日 朝よりくもり冷気終日くもり空
《割書:六十七度|六月節》
廿八日 朝くもり五ツ過より薄はれ久しふり
《割書:七十 度|此間中ハ冷気》 ニ而天気夜中も至極晴夜五ツ時余程
《割書:にて続而袷着|同重着也》 永キ地震ゆる
廿九日 朝きりふる五ツ時ゟ快晴暑気なり久

《割書:七十三度|九ツ半過》  しふりにて朝よりてり立候四時より
《割書:七十八度|此節米》  むら雲又々てり立終日天気夜中くも
《割書:百文ニ七合売》 り
 紅花京都伊勢屋理衛門ゟ四月廿八日出来帖
 早春以来段々不印一圓ニ商事無之当節ニ至
 り弐拾両前後下落誠ニ近年覚無之次第当時
 之所ニ而ハ何も案外之損毛今ニ残花思の外
 多手仕舞致兼当時見切商内大略左之振合ニ
 御座候
  早産 《割書:六十五両|五十両》  水戸 《割書:六拾弐両|四十八両》
  南仙 《割書:六十五両|五十五両》  《割書:奥 仙   五十弐両|南 部   四十両》
  最上 《割書:五十五両|三十六両》
   〆残花六百結計
 近比年々相増無程商事相始可申紀州大和を
 始隣国相束余程荷数出来可申昨年ハ早庭水
 戸ハ相応之出来最上仙台ハ出来不宜商内損
 益高下御座候近来仕入方甚六ケ敷相成申候
 呉々宜御配慮格別下直ニ御調可被遊候
《割書:結城辺米|更ニ六合売》
晦 日 朝くもり五半時位より照立暑気終日

《割書:七十三度|九五時八十四度 》上天気なり夜中も晴夜五ツ時地震
 紅花水花城下廻り壱貫文上り位にて六分五
 分位上り当年ハ結数昨年之半ケ位と申事な
 り

   六 月
朔 日  朝むら雲五ツ時ゟ快晴暑気なり終日
《割書:七十七度|八時八十四度》 上天気夜ニ入くもり夜五ツ時地震
《割書:此節殊之外ぶ|つそうにて所々》
《割書:夜盗押込》
二 日 朝くもり暑気七ツ半過よりくもり夕
《割書:七十七度|土浦辺両三日》 夕もやうにて雨ふり雷二三度鳴五ツ
《割書:玄米相ゆるミ |六斗位》 半時比雨止むしあつし
三 日 朝よりくもり暑気四五時より雨ふり
《割書:七十七度》
《割書:江戸五月廿八日出| 古領米  五斗弐升      池水油 廿三両弐分》
《割書: 南郷米  同| 町 米  五斗四五升》  《割書:上々白油弐十三両|胡摩油 廿八両弐分》
《割書: 糯 米  同| 水戸大豆 八斗三四升》  《割書:花 油|銭  六〆七百五十文》
《割書: 同 小玉 七斗五六升| 同 小豆 六斗八升ゟ》  《割書:大坂八日出| 水油 四百十三匁》
《割書: 大  麦 弐石内外| 小  麦 石弐斗ゟ》  《割書:  金   七十弐匁|  五月廿八日》
《割書: 仙台  切手|  廻米  五斗八升》

 《割書:新小麦見当| 石壱斗三五升》
四 日 朝少々くもる五ツ時より晴四ツ半時
《割書:七十九度|日中八十五度》 より東風暑気つよし夜中迄あつし
 此節瀉亀の身わたを食候而食傷人殊之外多
 有之候由
五 日 朝少し雲り九ツ時ゟ暑気つよし暮六
《割書:七十四度》  ツ時より丑寅風夜中五ツ時ゟ雷声降
    夜九ツ過迄雷なる
六 日(初伏  ) 朝より晴天北の方ゟくもり九ツ少過
《割書:七十四度|江戸表ハ大雷》 より雷声丑寅風八ツ時ゟ雨降雷夜四
《割書:のよし|廿七八ケ所も落 》時迄夜中雨つよし
《割書:雷死人有之候|よし》
七 日 朝よりくもり五ツ時より雨降丑寅風
《割書:六十九度|九ツ時七十七度 》四ツ時雨止四ツ半時きり雨降九ツ半
《割書:中川水四五尺|出ル》 時ゟ晴天風止夜中くもり
八 日(八せん ) 朝くもり四ツ時よりむら雲終日くも
《割書:七十三度》  り空にて暑気也
九 日 朝薄くもり終日くもり空にて九ツ半
《割書:六十八度》  過より雨降八ツ時ニ止夜四ツ時地震
十 日 朝よりくもり終日くもり空にて南も
《割書:今暁九ツ八分ニ |土用入》やう八ツ時雷雨直ニやむ夜四ツ時地
《割書:朝七十二度》

    震
十一日 朝きりふるあつし折々てり立暑気つ
《割書:朝七十六度|八ツ時八十度》 よし九ツ半時ちら〳〵雨直止照立
十二日(六月中 ) 朝よりくもり少シてり暑気つよし八
《割書:龍ケ崎辺|玄米五斗五六升 》ツ過より雨降直止夜中雨ふる
十三日 朝よりくもり四ツ時俄大雨折々大雨
《割書:紅花田谷国井辺|四百拾文位》
十四日 朝きり降四ツ時ゟ雨降直ニやむ八ツ【次行の上欄外に書き入れ「六月中」】
《割書:七十五度|中川水増》  時快晴てり立七ツ時俄ニくもり空ふ
《割書:風呂下辺|迄水参り》  り直止夜八ツ過雨降
《割書:瀬木辺今以田|植出来不申候由》
十五日 朝小雨降五ツ時ゟ快晴暑気つよし夕
《割書:七十五度|中川水増》  方より俄ニくもる暮六時ゟ雨降
 先月中ゟ続而曇天にて折々雨も有之候得と
 もさして水出候程の雨も無く兎角日々少々
 ツヽ雨降候處上【見せ消ち「水」】川筋続而大雨降候事と相見
 先月ゟ水少々ツヽ増居候へとも両三日以前
 よりハ追々水増昨日ハ下町辺石垣辺迄も水
 込上ケ上町筋風呂下辺水押入常葉河岸へハ
 船にて通行今十五日ハ江林寺祇園寺下田弐

 三枚先まて水押上ケ八幡下山下根本常磐河
 岸辺二十一面ニ水押中河内辺より圷渡飯富
 岩根辺大水金沢坂下迄一面ニ海のことく三丈
 余の出水のよし家も余ほと流れ通候由材木
 等数不知流れ候赤沼曲尺手辺水押上候よし
 八町目辺赤沼辺船ニ而通行流死人も余ほと
 有之候よし
十六日(中伏  ) 朝より曇四ツ半時ちら〳〵雨降直止
《割書:七十五度|九ツ過七十七度 》ム八ツ半時ゟ暮六ツ時迄大雷雨夜五
《割書:袴塚え雷落 |新小麦》 ツ時より快晴ニ成ル秋の月夜のことく
《割書: 三斗四五升ゟ四斗|古小麦弐斗》冷気なり
十七日 朝よりむら雲折々てり立九ツ半時比
《割書:七十三度|佐野玄米》  より雷雨にて七ツ時ニ止夜中至極晴
《割書:  四斗八升|桐生》 秋の夜のことし
《割書:  四斗六七升|百文六合》
十八日 朝より快晴五ツ半時北よりくもり涼
《割書:九ツ半時七十八度》しき事秋のことし四ツ時よりてり立涼
    気七ツ時ゟ雷声雨降夕方止夜中晴
十九日 朝より快晴四ツ時むら雲又々快晴暑
《割書:朝七十三度 》 気夜中迄晴
廿 日 朝きり降五ツ半時ゟてり立暑気終日

    暑気
 十四日十五日中川大水ハ野州奈須山崩れ湯
 治場押出し死人夥敷有之候由只今以前日中
 川五人三人ツヽ死人流れ候よし上下町ゟ余
 ほと入湯ニ罷出居此節追々飛脚或ハ親類等
 出立いたし候由

 当月初方前夜地震ゆりし所此節承り候得ハ
 越中富山辺山地震にて崩れ弐里程の間人家
 田畠等押埋野原のことく相成候よし
廿一日 朝曇南もやうにてむし暑し八ツ時よ
《割書:七十六度|丑ノ日》  り雨つよし七ツ時よりてり立夜九ツ
    時より又々雨降夜中殊之外あつし
 当十四日朝奈須湯本より壱里ほと先の山押
 出湯元へやかて半道ほとの近ミに相成候ニ
 付湯本のもの并湯治人等俄に逃出候へとも
 湯本湯治場右の山押わり崩れ土水一同に押
 出候ニ付両側人家不残埋れ土地のもの湯治
 人等死人数不知湯本中にて四十軒程も家数
 有之候へ共上の方にてやう〳〵六七軒残候

 而已にて誠ニ目もあてらすあわれ成事のよ
 し

 当月四日京都松原通出火にて東本願寺焼宝
 蔵土蔵等不残落候由横十弐三町立七八町ほ
 と東本願寺ハ四五年已前やう〳〵御普請出
 来候よし西本願寺ハ昔のまゝにて類焼いた
 さす候由

 当月六日江戸表夜明六ツ時ゟ夕方迄古今之
 大雷雨小石川御屋形御近辺十七八ケ所も落
 讃州様奥女中両人死大学様家老も死深川辺
 ハ数十ケ所其外追々承り候へハ余程可有之
 事に候夕方にやう〳〵人こゝち付申候由

 又々浦賀えアメリカ船五艘程渡いたし候よ
 し
廿二日 朝より雨降四ツ時ゟ止冷気なり丑寅
《割書:紅花上もの|七十四五両 》 風夕方より風やむ少しむし
廿三日 朝よりくもりむしあつし五時ゟ雨降

《割書:七十三度|冷気なり》  折々雨止終日夜中迄雨強
 当四日京都出火午ノ刻ゟ夜五ツ時迄五条ゟ
 上中下しゆすや町東本願寺焼枳殻殿辺迄焼
 る
廿四日 宵より雨降四ツ時位より雨止九ツ時
《割書:七十七度|九ツ時七十四度 》ゟきり雨ふり冷気北もやう終日小雨
《割書:冷気ニ而袷 |着用也》 夜中も同断
 昨十八日御城付横山甚左衛門ゟ申上候虜情
 左之通
 一十三日墨夷船一艘 下田着
 一十五日   一艘 下田着
 一十七日   一艘 金川着
 彼曰十三日十四日参り候船之内壱艘今日中
 ニ金川え参候筈跡ゟ|ヲロヤ( シ脱カ)イキシルフラン
 ストルコ等之早船三十五六艘四十艘程も追
 々参候筈此度漢唐を打ホロホシ勝ニ乗シ来
 レりと云
 右之注進一昨十七日夕営中え有之直御勘定
 奉行永井玄蕃頭御目附岩瀬肥後守浦賀奉行
 酒井右近下田奉行井上信濃守等営中ゟ出立
 

 観光丸え相乗金川え応接ニ罷越営中ニ而ハ
 大宮迄ニ御用有之右懸り之者居残夜五ツ時
 比退散諸家之御台場固持候大名之留守居呼出
 御一左右次第固メ 有之候様御達候事
 ◯
 一昨十八日四時位金川ゟ亜墨利加早船弐艘
 着諸国之早船三四十艘追々参り候風説礫川
 御用在某ゟ鴨志田伝五郎迄注進有之事右之
 通虜情ニ而承り候応接之模様如何ニ出来候
 哉相分不申候六月十八日夜相渡候
 ◯御三家御城附え
 去十三日下田湊へアメリカ国之蒸気船二艘
 入津いたし同断官吏乗組右一艘昨十七日小
 柴沖へ入津いたし候オロシヤ船一艘一昨十
 六日下田え渡来引続入津可致趣ニ相聞候且
 又英吉利仏蘭西船も近々江戸近海え渡来可
 致哉之由申立候間心得ニ相達候右之趣向々
 へ早々可被達候
   六月十八日
 右之通相達候間可被得其趣候

 ◯
 亜墨利加国蒸気船早船三百五拾人余大筒拾
 壱挺
  船名ホーハタン コモトール《割書: |官名未承》
  同 ヘルソン
 同人数大筒右同断
  船名シスシスヒーコモトール《割書: |官未承》
  船将子ヱクリン
 右ホーハタン船ハ去ル十五日
 シスシスヒー船ハ同十三日下田湊ゟ同断滞
 在之使節并通弁官乗組昨十七日朝五ツ時同
 所出帆同日昼八ツ時神奈川最寄十二天え碇
 泊
  魯西国蒸気船早|艘(船カ)
  四百人乗  大筒四十挺
  船名未承  布恬迂船《割書: |未承》
 右|魯亜( 西脱カ)船去ル十六日下田湊へ早船同様金川
 迄乗込候旨申張候處中村出羽守ゟ下田港ニ
 引止居候様説得中御座候得ともき内近海近
 々渡来待候由

奈須山湯治場
 六月十四日昼七ツ時分ゟ
 崩れ始メ 夜八ツ時比
 大クツレ
 ◯印付候七軒残其
 外家数不残潰レ
 死人数不知
 大雷雨之由
 十四日昼より
 山の紋頂え
 逃登り居
 候ものハた
 すかり候由

【図中の書き入れ。川の上段】

土蔵
土蔵
    あら物や
    宮田や
    山田ヤ  
白川道 荒物ヤ 
    小松や
    松や
崩   太田や
    なすや
大崩レ 中藤
    角彦


【図中の書き入れ。川沿い】
カハ
ラノユ



ノユ

タキ
ノユ






【図中の書き入れ。川の下段】
          南
崩レ
崩レ  新湯
    下藤ヤ
    いせや
    富田ヤ
    キクヤ
    清水ヤ
    床ヤ
    中のヤ
    高久ヤ
   ◯達摩ヤ
   ◯松ヤ
   ◯ ヤ
   ◯菊ヤ
   ◯橋本
   ◯観音寺
   ◯つつミ ヤ
    西藤ヤ
    万や
    坂本や
    三明明神
    殺生石
   西の河原
          西

廿五日 朝きり雨ふり冷気九ツ時より快晴夜
《割書:七十三度|九時七十八度》 ニ入くもる
廿六日 朝きりふる九ツ時位よりてり立快晴
《割書:七十三度》  ニ而暑気つよし夜中も至極はれ
廿七日 朝よりくもり丑寅の風ひや〳〵四ツ
 

《割書:七十七度》  半時よりてり立九ツ過より又々くも
    り終日丑寅風にて冷気七ツ時より雷
    気にて七ツ半過より雨降五ツ過ニ雨
    止
廿八日 朝よりきり雨ふり冷気四ツ半時ゟて
《割書:七十四度|九ツ半時七十九度》り立暑気ニ成ル八ツ時ゟ又々くもり
    丑寅風夜中雨ふり
 去ル廿五日
 紀州様御儀
 公方様御養君被 仰出候ニ付御規式以上之
 族月番御年番衆御宅へ参上御祝儀申上候様
 御達有之候事
  御年御十三才ニ被為成候由紀州様御当着
  也
廿九日 宵より糠雨ふり南もやうむし五ツ時
《割書:七十六度|八時八十二度》 止四ツ過より又々雨むしあつし九ツ
    時雨強南風強八ツ時雨風とも止夜九
    ツ時より大南風明迄つよし
 当年鰹漁無之候

   安政五午年六月廿三日
      御呼出
      《割書:小石川》岡田
      《割書:市ケ谷》竹越
      《割書:赤 坂》村松
 右昨日為御指図罷在候處於芙蓉之間井伊掃部
 頭御老中列座久世大和守出会壱通相渡候写
  亜墨利加条約之次第
  朝廷え御伺相成候處深く被為悩
  叡慮候御次第被 仰【見せ消ち「出」】進候段御尤之御儀ニ
  ニ【衍字】付再応御尋ニ相成諸大名存意書も揃候
  間其上得と御勘考之上御決定可被遊
  思召ニ而精々御指急キ被為在候折柄今度
  魯亜両国之船渡来申立候趣ハ英仏之軍艦
  近々渡来可致尤清国は十分打勝其勢ニ乗
  し押懸候事ニ候応接方甚面倒ニ可相成旨
  御安思申上候併仮条約之通御承知ニ相成
  御調印も相済候ハヽ英仏えハいり様ニも
  申諭し御迷惑ニ相成不申様取計可申旨亜
  墨利加使節申上候ニ付御勘弁被遊候處如

  何程御迷惑ニ相成候共
  朝廷え御申上済ニ相成不申候而ハ御取計
  難被遊度儀乍去忽兵端ヲ開キ 万一清国之
  覆轍ニ踏候様之儀出来候而ハ不容易御儀
  ニ付井上信濃守岩瀬肥後守於神奈川調印
  いたし使節へ相渡誠ニ無御據御場合ニ付
  右様之御取計ニハ相成候へ共
  朝廷ニ而御配慮之段は誠以御尤之御儀ニ
  付此後之御取締方沼海之御手当等御充実
  ニ相成被為安
  叡慮候様可被遊
  思召申上候此度之一条不取敢宿継奉書ヲ
  以京都え被 御進委細之儀ハ追々被 仰
  遣候事ニ候此後之御所置ニ付御考意も有
  之候ハヽ無御腹臓可被仰達事

 廿三日御老中堀田様御役御免太田侍従道醇
 様御老中再勤松平和泉守様久世大和守様内
 藤紀伊守様西丸御老中脇坂中務大輔様間部
 下総守様御若年寄本多越中守様遠藤但馬守

 様本庄安芸守様酒井右京亮様本郷丹後守様

   七 月
朔 (甲戌)日 朝より快晴ニ成宵より南大風吹四ツ
《割書:七十四度|八十七度》  半過より八ツ半過迄南風殊之外つよ
《割書:当春中ゟ鰹|漁事さらに無》 し七ツ時ニ風静る天気ハ久しぶりに
《割書:之浜々凶年|同様ニ而明店多し》て快晴なり夜中も殊之外晴涼なり
二 日 朝より至極快晴一天之くもりもなし
《割書:七十五度|八十七度》  暑気強夜中迄晴涼なり
三 日 朝より至極快晴終日上々天気暑気つ
《割書:七十六度|八十八度》  よし夜中むら雲
四 日 明前より南風にて雨折々ふるむしあ
《割書:八十 度|九十 度》  つし四ツ半時よりてり立南風つよし
    夜中も四ツ過迄吹夜四ツ半時ゟ雨つ
    よし
五 日 宵より雨ふり五ツ時止蒸暑し折々雨
《割書:八十 度|七十四度》 四ツ半過大雨又々八ツ半過極大雨丑
    寅のもやうニなり冷気終日殊之外大
    雨なり夜中ニ相成雨止
六 日 朝より快晴むら雲折々雨降夜中大雨

《割書:七十三度》  なり冷気也
七 (末伏)日 朝よりむら雲終日薄くもり冷気折々
《割書:七十三度|仙台米湊にて》 薄てり夕方ゟ丑寅風夜八ツ過雨ふる
《割書:六斗六升|五百俵商出来候よし》
八 日 朝くもり丑寅風にて冷気朝小雨直止
《割書:冷気袷重|キ位》  終日薄雲にて丑寅風冷気
 昨六日暁
 上使を以
 前中納言様駒込御屋敷へ御引移御慎被遊候
 様被 仰出候条其旨可奉承知候
 此度之御儀ニ付月番年寄衆御宅へ参上
 中納言様
 前中納言様御機嫌御伺可被有之候且御支配
 中御文庫役列已上之族各【見せ消ち「国」】同様相伺候様御達
 候事
   口上之覚
 右之御儀ニ付
 中納言様ニも御指扣御伺被遊候間一統敬上
 之実取失不申様ニとの御沙汰ニ候条左之【見せ消ち「条」】通相
 心得可申候

 一武芸普請殺生并郷出鳴物高声可致遠慮事
   但無據繕普請之義ハ不苦候
  右之趣相心得支配々末々迄可被相達事
 尾張様越前様も御隠居被 仰付候由
九 日 朝より薄くもり折々てり立むら雲九
《割書:七十三度》  ツ過より快晴ニハ候得共丑寅の風ぬ
    けす夜中ハ重着なり
十 日 朝よりむら雲にて薄てり丑子の風折
《割書:七十三度|夜中ハひとへ》 々照立むら雲冷気夜中くもり
《割書:もの重着也》
十一日 朝より薄くもり折々薄てり丑寅風に
《割書:七十 度|重着也》  て冷気夜中も薄くもり
十二日 朝より快晴むら雲丑寅の風にて冷気
《割書:六十七度》  也九ツ時位より少々残暑
 当七日江戸品川三ノ御台場えイキリス船よ
 り大筒打かけ石垣打崩其上御台場上陸いた
 し大筒火蓋の所え不残釘を打相引候よし釘
 を釘候へハ大筒ハ用ニ不相成候ものにてき
 りをいれなをし候か又鋳なをし候かいたし
 不申候而ハ不相成候よし品川ゟ上陸江戸中
 浅草辺迄歩行いたし瓜西瓜抔船へ運ひ候よ

 し
 追々承り候へハ玉なしの大筒之よし
十三日 朝よりむら雲冷気四ツ過よりてり立
《割書:七十 度|江戸表米引上》 残暑夕方より曇夜中小雨ふる四ツ半
《割書:元米四斗八升|仙台五斗》 時止
十四日 朝くもり又々丑寅風冷気折々てり立
《割書:七十三度》  終日くもり丑寅風也
十五日 明方より雨ふり辰巳風吹五ツ過より
《割書:七十 度》  雨風止四ツ半時より快晴なる南もや
    うにて暑気
十六日 朝東の方ニくろき雲あり五ツ時より
《割書:七十三度|月そく》  至極快晴なる暑気つよし
五分《割書:夜五八分上と左の間よりかけはしめ四ツ六分上の右|に甚しく九四分右の上ニおはる》
十七日 朝より至極快晴終日上天気なり夜中
《割書:終日七十五六度 》迄極晴涼なり
 七月十四日内藤紀伊守殿御宅え御家老御呼
 出信濃守へ御渡し書付之写
 亜墨利加条約之儀先般被 仰出候通無余儀
 次第ニ而条約調判相済候儀之處其比より魯
 西亜船も渡来去巳年仮条約為取替相済居候

 廉々取広く条約取結度旨申立魯西亜之儀ハ
 貿易御指許ニも相成居候儀ニ付申立件々精
 々判談之上取結亜墨利加振合を以条約御取
 結ニ 相成候然ル所兼々風聞之通此節英吉利
 船追々渡来十分之条約取結之儀申立仏蘭西
 船も近々渡来可致由ニ付是又精々及判談申
 立候条取縮亜墨利加之振を以条約御取結可
 有之候尤先達而
 叡慮之趣被
 御進候次第も有之候ニ付下総守儀御使被
 仰付不日上京之上無余儀訳柄委細及言上候
 筈ニ付此段可申上事
   七月
十八日 朝より快晴終日上天気夜中も殊之外
《割書:七十 度|七十五度》  晴
十九日 朝より快晴ひや〳〵終日上天気夕方
《割書:六十七度|七十八度》  よりくもり
廿 日 朝より上天気残暑つよし終日大暑夕
《割書:七十七度|八十四度》  方より汐きりふる
 当年ハ鰹更ニ参り不申候處今日久し振にて

 鰹来ル
廿一日 朝六半時よりきり雨降むしあつし四
《割書:七十八度|八十五度》  時位ゟ照立大暑夜中迄晴
《割書:籾弐斗七八升》
 当十四日オロシヤ登 城致候よし
 同十七日イキリス登 城致候よし
《割書:今日山野辺主水正様御老中御役御免|  海防是迄之通》
廿二日 朝より快晴むら雲辰巳風ニ而てり立
《割書:七十八度|八十四度》  夕方より曇夜中雨折々風明方つよし
 去ル十三日下田湊へ亜墨|迦(利脱カ)国之蒸気船弐艘
 入津致候同所滞留之官吏乗組右船壱艘十七
 日小柴沖え入津致候魯西亜船も壱艘下田湊
 へ渡来引続入津可致趣と相聞且亦|英吉利(イキリス)|仏(フ)
 |蘭西(ランス)船も追々江戸近海へ渡来可致由申立候
 間為心得相達候
   右午六月十八日  御触之由
 以書状致啓達候然ハ
 宰相様御儀昨廿五日御登
 城被遊御養君被 仰出候事

 一徳川賢吉様御儀右同日御登

 城被遊此 御方御相続被 仰出帰御直ニ
 御引移被遊候事
 右恐悦ニ付差上物等之儀ハ当時厳敷御着
 略中之御儀ニ付堅無用ニ候旨
 御勘定所ゟ被 仰渡候間此段御達申候以
 上
  午六月廿六日 紀勢出稼頭取
            外川善兵衛
 一此度紀州宰相殿御事御養君ニ被 仰出
  宰相様と奉称候
  御西丸被 仰出当分
  御本丸ニ御逗留被遊候
  右之通相触申候以上
   但為恐悦市中名主廿七日廿八日両日之
    内両町奉行所え可罷出事尤申合不込
    合候様可仕事
     右六月廿七日  御触之由
廿三日 宵より東風つよし雨折々明六ツ半時
    大雨ふり直ニやむ風も四ツ時より止

《割書:先日中富士山|の麓足高山》 折々小雨むしあつし七ツ半時位より
《割書:少々ぬけとか|風説有之候》 雨降出ス暮方大雨直止折々夜中も雨
    ふり風ハ止
 夷人江戸浅草辺より王子辺馬駕籠抔ニ而見
 物ニ出あるき候よし酒店なとへも立より候
 よし
廿四日(弐百十日 ) 朝むら雲暑気四ツ時位まて照立当年
《割書:朝八十三度|昼八十六度 》 ニハ稀なる暑四ツ半時よりくもり大
    雨降折々夕方もやうにて雨降南風つ
    よし八ツ時位より殊之外快晴夜中も
    よく晴五ツ半時よりくもり夜八ツ時
    過地震ゆる
廿五日 朝くもり五ツ時より村雲残暑つよし
《割書:朝八十一度|九半時八十八度 》四五時より至極晴暑気強折々むら雲
《割書:八ツ時八十九度 |今日ハ当年中》夜中迄殊之外大暑夜八ツ時地震ゆる
《割書:の大暑なり》
廿六日 朝よりくもり冷気也四時位よりてり
《割書:朝七十五度|御若年寄ゟ今》 立大暑八時過よりむら雲夜中八ツ過
《割書:日興津蔵人様|御老中被 仰付候》大雨辰巳風明方止
廿七日 朝よりくもり六時小雨五ツ時止東風
《割書:七十六度|終日七十六七度 》吹昼時大雨直止又々八ツ時より雨ふ

《割書:中川水少々増|赤沼辺船ニ 》 り東丑寅の風吹夕方雨つよし五ツ前
《割書:而通行 》  ニ 雨止夜中も折々雨風つよし明方迄
    雨丑寅の風つよし明方雨風とも止
 アメリカヲロシヤイキリス人等十八日江戸
 出立致候由三ケ国とも乗参り候船壱艘ツヽ
 献上致品川沖え指置出立致候よし

 七月廿日江戸御用
 一御家老       宇都宮弥三郎
 一          太田誠左衛門
 大寄合頭上座江戸御用達御足高三百石都合
 八百石御役料三百石
 一          安嶋弥次郎
 大御番頭上頭江戸御用達物成百五十石御増
 御足高五百石都合八百石御役料三百石
 一          尾崎 菊寿
 大御番頭上座江戸御用達御足高弐百石都合
 八百石御役料三百石
 一          戸田銀次郎
 御用人上座御側御用人

 一          稲葉源太夫
            野嶋伊左衛門
 御持頭列御足目五十石ツヽ被下
 一御小納戸      菊池 善助
廿八日 朝むら雲照立暑気南風吹夕方より風
《割書:七十九度|八十八度》  止大暑夜四ツ過より又々南風吹
廿九日 朝より快晴四ツ過より南風吹昼夜よ
《割書:七十八度》  り風止至極快晴
 当年ハ市中別而大不景気商ひ向一圓無之

   八 月
朔 日(ミつのへう) 朝より快晴至極穏なり暑気つよし終
《割書:七十七度|八十八度》  日風少もなく至極静なり
二 日(八月節 ) 朝より快晴終日天気よし残暑
《割書:七十六度 八月節|八十度》
 今日江戸よりはや四度参り候由ニ而
 御城内御混雑之よし御家中方追々江戸御登
 りニ相成候よし
三 日 朝より快晴終日天気よしむら雲残暑
《割書:七十二度|八十 度》  夜中迄大暑なり

 今夕方又々はや参り候由ニ而
 御城内御家中迄静ニ成ル何事か不知

 一          諸向え
 前中納言様御慎被
 仰出候付御家中一統面々相慎可申万一騒々
 敷儀も有之候而ハ決而不相済事ニ候条壮年
 之子弟血気ニ任せ心得違致出訴候儀も有之
 候而ハ
 公辺え被為対不相済却而
 前中納言様御為ニも以之外不宜候間壱人た
 り共右様相達置候振も有之候處此度被 仰
 出候付而ハ従来
 公辺御懐をも不奉承知故君臣の情儀苦心の
 余り如何様存詰動揺出府いたし候ものも可
 有之哉ト深く御配慮被為在今井金右衛門事
 御直ニ被 仰含御指下ニ相成候条已後之御
 模様次第御沙汰之趣を以相達候迄ハ子弟等
 ハ勿論支配々末々迄心得違無之様得ト申合
 奉安

 尊慮候様可被致候
 右之趣無洩様可被相達事
  八月三日

 岩城小名玄米三斗五升入弐十弐俵
 種油壱両壱斗三升五合
 奥筋田作古今上作之よし
 種粕壱〆五百目玉拾壱枚
 岩キ芋の相場
 鰯鰹とも漁事更ニ無之由
 名古曽関より奥ハ殊之外近年稀なる上作の
 よし相馬仙台辺古今の作のよし
 名古曽の関より此方ハ作方不宜候よし
 油縄子白米七斗六七升
 太田籾四斗
四 日 朝もや殊之外おりる四ツ時迄くもり
《割書:七十三度|八十八度》  夫よりてり立大暑夜中迄殊之外あつ
《割書:江戸表ニ而ハ此|節百文ニ五合八勺》し夜四ツ時より東もやうの風吹
《割書:より上ケ候而ハ不|相成候趣御触出》
《割書:候よし下六合弐勺|迄有之候よし》
五 日(弐百廿日 ) 朝むら雲丑寅の風五ツ過より東風ニ

《割書:七十三度|七十六度》  成ル終日風吹夜中くもる
六 日 朝より快晴残暑つよし夕方西之方少
《割書:七十三度|八十六度》  々雷声夜五ツ半過より雨降四ツ時止
《割書:種粕四十四五〆目|頭粕両弐十〆目》
七 日 朝薄くもり四ツ時より小雨降四五時
《割書:七十四度|江戸玄米近ミニ而も》ゟてり立むしあつし昼八ツ時比ゟ雷
《割書:当月初 阿波米|上もの買入候所 》声大雨壱時計にてやむ夜中晴
《割書:四斗八升》
八 日 朝より快晴冷気終日天気よし風なし
《割書:七十三度|七十九度》  夜中大雨夕方迄
《割書:水戸上下町白米|百文ニ七合新米》 《割書:鰹漁事浜ニ更ニ無之候處|昨日□より鰹漁事有之候》
《割書:七合五勺御達出ル|中山様籾昨年物》
《割書:今日相場弐十八俵》
  越前中将様御直書之写
 今般被 仰付候一件ニ付定一統不服之向も
 可有之候得共我等義従来丹情相尽候ハ畢竟
 御家門之身敬只管
 公辺御為と存詰候義ハ一身之吉凶禍福ヲ厭
 ひ候所存聊以無之事ニ候今般今般【二字衍字】家督之儀
 無相違日向守え被下候ハヽ上ハ益御国内之
 御治平ハ不及申
 公辺永久之御栄誓神明可致専祈存居候儀候

 間家来共ニおゐて心得違不致各其職を守り
 我等同様日向守え忠勤相励候事肝要ニ候万
 一威憤堪兼所存等有之候ハヽ内心仮令忠義
 ニ候共我等存意ニ相叶不申候間何分従来趣
 意柄等相心得
 公辺之御儀麁略ニ不可存者也
  七月六日慎御隠居被 仰付ニ付右之通御
  直書出候よし

  七月八日
   備後守殿下総守殿御直渡
   大目付御勘定奉行外国奉行御目付御勘
   定吟味役
 異国船渡来ニ付人耳を立候時節国持衆始御
 役人懇意を結ひ事実之儀承り度存意之者有
 之候哉ニ相聞候如何之儀ニ有之全徳川家御
 処置ニ候儀表方等ニ而承知致間敷義ニ候表
 向取引之上ハ格別之◯内輪之評儀事等前以而
 相分り候様ニ而ハ人心之障ニ相成候事故以
 来表大名え突合之義勿論雖為御普代衆御用

 筋相洩申間敷候
九 日 朝より快晴五五【衍字】か時より薄くもり四過
《割書:七十弐度|八十 度》  よりてり立残暑つよし夜五ツ時雨強
   外国奉行
  田安様御家老ゟ    水野筑後守
  御勘定奉行ゟ     永井玄蕃頭
  御目付ゟ       岩瀬肥後守
  下田奉行 兼帯    井上信濃守
  函館奉行       堀 織部正

   紀州様ゟ
   公辺え御召連
  《割書:御小姓組番頭 |四千石奥筋》       村松郷衛門
  《割書:千百石御小姓 》       菊池角衛門
             石川彦左衛門
             野村貫三郎
  《割書:御小納戸|    八百石》       森  求馬
             関口 雄助
  《割書:御 伽》         大久保清次郎

          《割書: |御医師》
  《割書:四百石 》       三上 快庵

 今日湊え南部粕千四百入津拾四〆俵にて壱
 俵四分位目軽候分壱俵五分ゟ六分才田塩昨
 日入津拾三〆三分ニ出来候よし二三日已前
 ゟ久慈辺いわし漁事有之候よし磯ミナト平
 磯辺二三日已前より鰹大漁有之酢屋船四船
 にて千三百本昨日取候よし水名一本大ニ而
 百五十八文平磯ニ而ハ壱船にて千四五百本
 取候船も有之船より上へ俵を積候ことく積戻
 り候よし頭粕新ニ而拾四〆俵壱俵六分位之
 由
十 日 宵より明方まて雨強明方ゟ晴又々曇
《割書:七十七度|鴈来ル》  暑気夜中迄つよし折々くもり
《割書:今日ゟ銭六〆八百文》
十一日 冷気北風むら雲四ツ時よりてり立快
《割書:俄ニ冷気ニ而|袷着用》 晴併終日冷気
《割書:将軍様薨去|当八日ゟ御停止》
   口達之覚
 此度之御儀ニ付面々無心元江戸表へ衛行い

 たし度族も有之欤ニ相聞候處君臣之情尤ニ
 ハ候得共此度ハ幾重ニも御国静謐ニ不致候
 而ハ第一御為ニ不相成
 両君様ニも御配慮被遊候条当主ハ勿論子弟
 等心得違無之様支配々末々迄可被相達事
   口達之覚
 甲辰御国難以来相互彼是と名目を付候儀風
 習ニ相成当今江水運ニも正奸之名目ニ而往
 復いたし或ハ平常参会談合ニも正邪之差別
 を付候所御家中之勿論軽御奉公人寺社人郷
 町下々ニ至る迄党派別れ居候而ハ行末如何
 と御配慮被遊候間以来名目を唱候儀は相止
 候様ニと御沙汰ニ候条
 尊慮之趣相守
 思召ニ触れ不申候様各立場にて厚相心得支
 配々末々迄行届候様取扱可申旨
十二日 朝より快晴冷気昼後よりひとへもの
《割書:五十五度|袷わた入着用》 ニなる夜中冷気なり
十三日 朝より快晴冷気終日天気よし
《割書:袷着用|新籾三斗六七升》

 一両日以前ゟ明七ツ半時比丑寅の間へ図の
 ことくの星出る 向側辰巳屋の蔵の家根よ
         り壱丈も高く見へ申候暮
 【図省略】  六ツ時ハ西の方え出ル夜
         中ハ見へす
 此節江戸表にてハころりと申病気流行ニ而
 一日か二日腹痛いたし相果候よし一日ニハ
 弐百人余ツヽ相果候よし
     暮六ツ時|卯(  寅)の間 【図省略】
     見酉戌の方へ入る
         此星九月末ニハ不見段々
         消候
 江戸八月八日出
 古領米五斗一升  水戸大豆九斗五七升
 南郷米      同 小豆八斗五六升
 町 米五斗弐三升 高浜大豆九斗七升
 糯 米五斗四五升 水戸小豆八斗弐升
 大 麦石七八斗  小麦石壱斗三四升
 菜 種六斗八九升 仙台《割書:四八五入|  五七五》
               山ヤ喜助

 御地ハ如何御座候也当地此程ハ悪病大流行
 ニ而日々市中ニ死人数不知壱町内ニ三四十
 宛も有之候町も御座候よし何レも頓死同様
 片時之内ニ 即死致候実以けしからさる事ニ
 奉存候尤弐百年已前ニ右病流行之ほし申伝
 居候何とそ沙汰無御座候様奉祈念候
            大黒ヤ三郎兵衛
 地水油廿五両壱分  白油弐十五両弐分
 胡摩油三十弐両弐分 花油弐十八両
 銭六〆八百五十文  大坂二日出
           水油四百三十七文
           銀七十弐匁
十四日 朝より快晴冷気終日天気快晴也残暑
《割書:六十四度》
十五日 朝より快晴東風吹冷気四ツ過おり曇
《割書:六十九度》  終日東風吹暮六時より小雨折々降る
    直ニやむ
十六日 朝よりくもり冷気四ツ半過より折々
《割書:六十四度》  小雨夜中快晴
十七日 朝くもり五ツ時きり雨直止九ツ過よ

《割書:六十七度|七十九度》  り照立残暑つよし夜中むら雲四ツ時
    よりひや〳〵
十八日(庚申  ) 朝よりむら雲残暑なり時々照立夜中
《割書:太田辺|新大豆 》  四ツ過雨降
《割書: 小福壱分ニ|   弐斗七八升》
《割書:小豆弐斗六七升》
十九日 朝よりくもり冷気四ツ半時地震八ツ
《割書:六十七度|籾三斗六七升》 時小雨折々夜中ハ晴深更雨ふる
《割書:古籾三斗弐三升》
廿 日 朝よりむら雲終日薄くもりにて夜中
    晴
 四五日已前より大貫浜より前浜辺迄の間鰹
 大漁事いそにてハ壱艘の船ニ而千弐三百本
 ツヽ取候よしミナト酢屋次衛門手船ニ而ハ
 十七日ハ三千本余十八日ハ弐千本余の漁事
 ニ而不残節ニ切候由昼夜ねすに大騒いたし
 居候よし
 湊壱本ニ付水名九十五文いそ八拾九文位此
 間中の漁事ニ而前浜より大貫迄の間金子に
 積り候へハ弐万両余の融通ニ相成候よし
 新宅清助昨日江戸より下り候ニ付承り候所
 登之節成田へ参詣舟橋通ニ而江戸参り可申

 存候處此辺ころりニ而家々死人病人おびた
 ゝしき趣ニ付行徳通ニ而参り候處途中ニ而
 葬式ニ逢候事不数知追々様子承り候所壱時
 ツ弐時位の内ニ吐瀉いたし又ハ血を吐なと
 いたし死候よし二日も煩候ものハ無事之よ
 し両国橋ハ一日に葬礼百通り候へハ橋板を
 洗候よし之處一日に弐度位洗候よし噺より
 もおそろしきよしにて江戸に一日逗留いた
 し用向も便せす帰宅いたし候由上方筋より
 流行六月末より七月中上方流行致候此節東
 海道筋大流行之よし
廿一日 朝よりくもり五ツ時ほろ〳〵雨直止
《割書:初茸出ル》  冷気終日くもり空にて夜中雨なり
廿二日(甲子  ) 朝より雨降冷気五ツ時止八ツ半時大
《割書:六十五度|銭六〆八百文》 雨夕方止夜中むら雲
廿三日 朝より快晴丑寅の風にて冷気むら雲
廿四日 朝より快晴秋冷至極上天気なり
 当十七日
 京都より
 勅諚有之

 当中納言様
 公辺御政事向為御任被遊
 前中納言様
 征夷大将軍御後見被 仰付候趣
 廿日
 公辺御老中太田備中守様間部越前守様御呼
 付被 御達候之風説

 横山町中屋万衛門ゟ向庄へ申来
 一此度フランス船三艘品川沖へ渡来致候馬
  喰町郡代屋敷へ日々注進有之由外国異人
  共国々ゟ聞打候追々渡来致候様ニ而ハ猶
  々市中不景気ニ相成扨々如何とも相困り
  入申候先々アメリカ等帰帆致候而安心致
  居候處へ又も乗入候様ニ而ハ限りも無之
  人々落付不申扨々相こまり候事ニ御座候
 一今十八日巳ノ上刻
  公方様御出棺上野え被為入候間市中火之
  元等厳重之御沙汰ニ相成往来筋木戸〆切
  ニ相成申候

 一此度コロリとカ申病流行ニ而沢山ニ病死
  致候もの数万人之由日本橋向京橋辺ハ別
  而沢山死去致候由横山町通筋葬礼一日ニ
  百五六十位ツヽ日々通行ニ御座候昼夜之
  差別無之候江戸近在迄も流行致候由ニ而
  早桶等も間ニ合兼酒樽天水桶等へ入取仕
  抹致候由ニ御座候輿屋ニ而も昼夜之差別
  なく細工致候得とも何分ニも間ニ合不申
  咄ニ御座候間ニハ焼場より帰り候桶等も
  有之夫ヲ売遣し候様ニも聞及申候焼場抔
  ニ而も死人沢山故一夜ニ焼切るト申事ニ
  も不相成候間三四百人位ツヽも積重ね置
  日数廿日余りツヽも置不申候而ハ焼キ兼
  候由咄候様に御座候へ共全之由承り申候
  其外土葬も沢山と相見申候右あら〳〵申
  上候 八月十八日

  江戸中
  当月十日迄死人書上四万八千人余之よし
  今月末の書出弐十六万人程と申事
 

廿五日 朝くもり秋冷なり終日曇八ツ時小雨
    直止夜中晴四ツ過ゟくもり小雨
廿六日 朝よりくもり五ツ時きり雨ふる八ツ
《割書:五十八度》  時ゟ雨つよし夜中も雨強
廿七日 朝より雨ふり五ツ時雨つよし冷気北
《割書:江戸表流行病|ニ而是迄死人》 風吹四ツ過より九ツ時迄雨つよし八
《割書:弐十六万余と|申事》 ツ時ゟ雨止
廿八日 朝よりくもり冷気終日持合夜中むら
    雲深更雨ふる
 八月廿三日御城書
          外国奉行
            水野筑後守
          同
            永井玄蕃頭
          御目附
            津田半三郎
          同
            加藤正三郎
 亜墨利加国え本条約為取替被指遣候条可致
 用意旨

 右間部下総守申渡候由
廿九日 朝よりくもり五ツ時小雨直止四ツ時
    より快晴夕方ゟ大曇り
《割書:下館|新米七斗》  《割書:奥州福島古米九斗弐升|上作のよし》
《割書:大豆石壱斗五升|小豆八斗五升》
《割書:銭六〆七百文》
晦 日 朝むら雲冷気北風にて終日吹夜中晴
 会津城下新米石弐斗作方宜追々下落可致よ
 し
 《割書:当月初ゟ見候星|夕方西の方え出候處》  《割書:此気夜ハ丑寅の|方えなびき朝ハ》
 《割書:五六日已前ゟ星ゟ別而|白気のことく立登り候事》  《割書:戌亥の方えな| びき申候》
 《割書:四五間も可有之六ツ半|過まて日光山辺え入朝七》   《割書:星のおりる|事はやし》
 《割書:ツ前ニ丑寅の方へ出る》  【図省略】

   九 月
朔 日 朝より快晴さむし終日北風吹夕方よ
《割書:五十二度》  り風止夜中晴
二 日 朝より快晴さむし終日天気よし
《割書:五十一度》
三 日 朝より快晴さむし終日快晴夜中もよ
《割書:五十 度》  くはれ

四 日 朝むら雲四ツ時より薄くもり四ツ五
《割書:五十五度》  時よりてり立終日上天気なり
五 日 朝むら雲五ツ時曇終日くもり空にて
《割書:五十七度|上之御儀ニ付》 夜四ツ過より雨つよし明方止暖気な
《割書:四月比ゟ今日迄 |郷中より罷出》り
《割書:候人夥敷事|也》
六 日 朝より快晴終日天気なり
《割書:六十四度|続而御家中登り候由》
七 日 朝より快晴九ツ半時ゟくもり夜五ツ
    時より雨降暖気なり
八 日 朝より快晴むら雲暖気なり夜五ツ過
《割書:日々郷中ゟ|登りて人数 》 より雨つよし四ツ過止
《割書:夥敷事》
九 日 朝むら雲五ツ時ゟくもり四ツ半時ゟ
《割書:五十九度》  てり立夜八ツ半過地震ゆる
十 日 朝より快晴夜四ツ時少シ雨ふり直止
十一日 朝より快晴
十二日 朝六ツ時少シ地震村雲四ツ時より快
《割書:江戸表流行病|今以退散不致此 》晴夜五ツ時俄ニくもる雷壱声雨つよ
《割書:節房総辺ゟ日光 |道中草賀越谷》し四ツ時止
《割書:辺江戸海道ハ|取手迄有之候よし》
十三日 朝水霜にても降候や寒冷四ツ時くも
《割書:四十七度》  り九ツ過より晴

十四日 朝霜降むら雲寒冷なり折々曇夜六ツ
《割書:初霜降|四十 度》  半時より雨ふり
十五日 宵より雨ふり五半時止四ツ過より晴
《割書:四十七度|郷中ゟ数百人》 終日快晴夜五時地震
《割書: 日出ル》
十六日 霜ふる快晴寒気終日快晴
《割書:下町辺えハ|ころり参候由》
十七日 明方より雨降四ツ半過より快晴夜中
《割書:五十 度|今日町年寄名主 》も至極晴
《割書:小金迄出る十八日|夜稲吉ゟ引返ス》
十八日 朝より快晴
《割書:五十 度》
 当月初ゟ出候気の立候星両三日ハ見へ不申
 候
十九日 朝よりむら雲東風吹夕方よりくもり
《割書:江戸表流行病|此節退散致候由 》終日風吹さむし
《割書:続而郷中ゟ人|出市中群集致候》
廿 日 朝より快晴
《割書:四十八度》
廿一日 朝よりくもり四ツ過より雨ふり夕方
《割書:商ひ向古今 |不景気》 止

廿二日 朝より快晴暖気
《割書:郷中ゟ市中え|出候人夥しき事》
廿三日 朝より快晴暖気
《割書:追々小金井ゟ返ル》
廿四日 朝より快晴暖気
廿五日 朝より快晴暖気なり
 御城下えハ在々ゟ
 御郡方御役所へ日々御機嫌伺の人夥敷出候
廿六日 朝より快晴
廿七日 朝より雨降四ツ過より晴
廿八日 朝きりふる天気よし夜八ツ時より風
《割書:四十五度》  つよし明方風止
廿九日 朝より快晴寒冷
晦 日 大霜快晴寒気夜八ツ過地震ゆる
《割書:三十七度》
 江戸表も流行病余ほと薄ク相成候よし
 湊いそ此節いわし漁事少々ツヽ有之拾弐〆
 俵壱俵七分五厘位
 湊へ直積才田塩入津四艘程両拾弐俵五分

   十 月
朔 日(菊の花此節盛) 朝より快晴寒気終日天気よし
《割書:四十三度》
二 日 朝よりくもり終日雲り空にて七ツ半
《割書:四十八度》  時雨降直止夕方地震
三 日 朝より快晴終日天気よし暖気
四 日 朝より快晴暖気終日暖気なり
《割書:四十七度》
五 日 朝より快晴暖気
《割書:新籾三斗弐三升》
六 日 朝より快晴夕方ゟくもり夜明方雨
《割書:四十三度》
七 日 朝より雨降五ツ時ゟ晴終日天気よし
八 日 朝より快晴霜降
《割書:三十九度》
九 日(玄猪  ) 朝もや立快晴暖気ニ入八ツ時過大
《割書:四十三度》  地震ゆる
十 日 朝よりくもり折々てり立暖気夜中快
    晴
十一日 朝快晴五ツ過より時雨空なり五ツ半

《割書:日光山雪降 》 過より快晴七ツ時より西風吹夕方止
    夜四ツ時より八ツ半時迄西大風吹
十二日 朝より快晴四ツ時ゟ夕方迄西風吹
《割書:四十二度》
十三日 朝より快晴大霜夜中四ツ半時よりく
《割書:三十五度》  もり七ツ時より雨
十四日 宵より雨降五ツ時止快晴ニなる
《割書:四十四度》
十五日 朝より快晴
《割書:四十一度》
 当八月中ころり病にて死候名家
  俳諧 《割書:まだ|おも  》   過日庵祖郷
  書家 《割書: かげが| ゆめ 》   市川 米庵
  名妓 《割書:まぼろし》   稲本楼小稲
  狂句 《割書:かへす| 〴〵も》   緑亭 川柳
  景画 《割書:おな|  こり》   一立斉広重
  狂歌 《割書:おしい 》   燕栗園千寿
  著述 《割書:ミつれハ》   柳下亭種員
  軍談 《割書:かくる| 世の 》   一龍斉貞山
  俳諧 《割書:ならひ 》   惺庵 西馬

  書家 《割書: |さからぬ》   大竹 蒋塘
  画家 《割書:うちに |ちり》   英  一笑
  狂歌 《割書: ました|》   六朶園二葉
  戯作 《割書: |おしミハ》   楽亭 西馬
  落話 《割書: ないが|ゐても》   鈴々舎馬風 
  俳優 《割書:  よい》   嵐  小六
  音曲 《割書: |こりだし》   竹本児玉太夫
  画工 《割書:かゝつて| これハ》   立川 国郷
  音曲 《割書:したり 》   天狗連魚辰
  音曲 《割書: |お名  》   常盤津須磨太夫
  俳諧 《割書:まへが 》   福芝斉得蕪
  碑名 《割書: かたミ 》   石工 亀年
  美音 《割書: |お女中 》   常盤津文字美代
  妙音 《割書:だけに |おし》   常盤津文字栄
  清音 《割書:まるゝ 》   常盤津小登名
  木偶 《割書: |なくものハ》   吉田東九郎
  俳優 《割書:お身|  うち》   松本虎五郎
  落話 《割書:計り  》   上方 才六
  家元 《割書: |たれか 》   清元延寿太夫
  俳優 《割書:かなしむ| ものも》   尾上橘之助

  角力 《割書:あらふ 》   万力 岩蔵
  浄瑠理《割書: |さる  》   竹本梶戸太夫
  画家 《割書: ものハ|日々に 》   桜窓 三拙
  活花 《割書:うとし |》   貞 槇 斉
  力士 《割書: |お江戸の》   宝川石五郎
  侠客 《割書: 花か |ちり》   仁組長左衛門
  三糸 《割書:ました 》   杵屋六左衛門
  三弦 《割書: |長いき 》   清元 市造
  戯作 《割書: | すれ 》   五遍舎半九
  幇間 《割書:  ば 》   都 与左太夫
  音曲 《割書: |なき  》   常盤津加美太夫
  三弦 《割書:のちハ|をしく 》   岸沢文字八
  女匠 《割書:  なる》   都  千枝
  のど 《割書: |よい  》   清元染太夫
  ふし 《割書:道つれ |の同行 》   清元鳴海太夫
  ごろ 《割書:  三人》   清元秀太夫
  文学 《割書: |まれ  》   土肥 南海
  書法 《割書: もので|ござり》   渡辺 源蔵
  著作 《割書: ました》   滝沢 琴童
  曲弾 《割書:おしう|ござり升》   鶴沢 才二

  《割書:おとしの上で|ござります》   山東京山翁

 こたびの流行病に犯れ黄泉の客となりたる
 ものゝ最多る中に四方にその名聞えたる人
 々をかいしるすついて知己を悼むたはれ歌
 をつらねていさゝか六字の手向にかゆる
  悼米庵
  かなしミのあまりまなこをする墨や筆の
  いのち毛たえにしあとに
  悼川柳
  春ことに目をふく風のやなぎだるたがはち
  けてハ月もやどらじ
  悼得蕪
  福芝斉得蕪あれとやいのりしに常なき風
  そふき組のうた
  悼種貞
  秋風に落ての後もめつるらんつえし甘味
  の柿のたね本
  悼楽亭
  寒翁がひまゆく駒にたちのりて西のミや

  こへゆきてかへらじ
  悼広重
  極楽の景気や頓に画くらん影薄墨ときえ
  し後まて
  悼小|橋(マヽ)
  稲本におきそふ露を身にをびて羽風にさ
  わぐ廓すゞめにな
  悼半九
  かなぶミをよミぢのたひの膝栗毛なき師
  の跡をおもふいたまし
  悼二葉
  五ツ葉のまつのふたばの散うせてミとりを
  よへるかむろまて哭
  悼国郷
  立川廼水かれ〳〵て歌川になミだの雨の
  いとゝますらむ
  悼才二
  音楽にやくあら太鼓も打まぜてはちすのゆ
  かにのりのひき物
  悼亀年

  いしふミにおのかなき名をゑりとめてこ
  けの下にそよろつ代やふる
   戊午季秋     紀おろ□◯【印?】

十六日 朝よりむら雲暖気四ツ時より快晴
十七日 朝より快晴六ツ半時地震ゆる終日快
《割書:四十 度》  晴西風吹
十八日 明方よりくもり暖気四ツ過より晴
《割書:庚申》
十九日 朝むら雲暖気五ツ半時より晴
廿 日 朝よりくもり四ツ時よりてり立夕方
    むら雲夜中四ツ時南より北の方ニ雷
    声雨降夕方もやう
廿一日 朝よりくもり四ツ過より晴夕方西風
《割書:四十八度》  にて雨夜ニ入雨北風明方迄つよし明
    方止
廿二日 朝より晴西北の風吹夜五ツ半時地震
《割書:四十五度》
 今日湊川口辰ノ口辺より和田辺迄波打寄セ
 峰岸板蔵既ニ危キ程にて海老藤辺布施屋抱

 屋敷も危キよし大勢の手伝にて湊中火事の
 如くの騒動大釜にてたき出し致候大取込之
 よし
廿三日 大霜快晴東より辰巳の方根太雲出る
《割書:三十七度》  九ツ時より曇夜ニ入雨降
廿四日 朝よりくもり終日曇夕方南もやうな
    り
廿五日 朝より薄くもり大霜あり時雨空寒気
《割書:三十七度》  八ツ半時より俄に北風吹出大雷三四
    声半時計にて止雨なし夜ニ入又々風
    吹出し明方止
廿六日 朝より大くもり五ツ時雨ふり直ニ止
《割書:朝四ツ時位ゟ|九ツ時迄之間》 快晴殊之外快晴
《割書:南の方ニおゐて大炮之如くの音弐三十度致候》
廿七日 大霜快晴
廿八日 朝薄くもり四ツ過より快晴夜中曇
廿九日 明七ツ時雨降直止明方より快晴辰巳
《割書:籾三斗弐三升|種油壱斗三升五 》の方ニ 黒きねた雲出る四半時よりむ  
《割書:麦米八斗》  ら雲出八ツ半時より七ツ半時迄之間
    西大風俄ニ吹来り時雨ふる夕方風静

    る又々暮六ツ時より未申の風吹出空
    ハ殊之他晴居候へとも夜八ツ過迄大
    風吹

   十一月
朔 日 朝より快晴霜ふる西風吹厚氷はる寒
《割書:三十 度》  気夕方まて西風つよし夕方止夜中至
    極晴
二 日 大霜寒気強快晴夕方よりくもり四ツ
《割書:弐十八度》  過より晴
三 日 大霜快晴終日天気よし
《割書:三十一度》
四 日 大霜快晴終日天気よし
《割書:三十五度》
五 日 大霜快晴寒気つよし
六 日 大霜快晴寒気つよし
《割書:二十九度》
七 日 朝より快晴暖気北風吹夕方止折々む
《割書:四十 度》  ら雲
八 日 大霜寒気つよし

《割書:三十一度》
九 日 大霜快晴
《割書:弐十九度》
十 日 大霜快晴
《割書:三十二度》
十一日 明七ツ過より未申の風吹五ツ時静る
《割書:朝ゟ夕方迄|珍敷大風快 》 又々五ツ半時より未申の大風吹快晴
《割書:晴にて大風故|土埃を吹立候》 ニ而終日未申の大風近来稀成大風な
《割書:而壱弐丁先キ|ハ見へ不申実》 り夕方止又五ツ時ゟ四ツ半時迄大風
《割書:ニおそろしき様 |ニ見え申候》なり夜六ツ半時地震
十二日 朝より快晴未申の風吹寒気強七ツ時
《割書:弐十六度|梅香蔭山四ツ》 地震夕方ゟ風止夜中至極静
《割書:  一軒焼る|朝六五時》
十三日 朝大霜寒気強終日上天気ニて穏
《割書:弐十六度|中山様御屋敷内》
《割書:え付火有之候よし》
十四日 朝より時雨空にて寒気四ツ過より快
《割書:弐十九度》  晴
十五日 朝より快晴寒気つよし
十六日 大霜快晴寒気強
《割書:弐十六度》

十七日 大霜快晴寒気強北風少々吹
《割書:弐十五度》
 江戸表当十四日七ツ時ゟ御成街道辺より出
 火ニ而京橋辺迄焼候よし
十八日 大霜快晴寒気つよし四ツ過より薄曇
《割書:弐十七度》  暮六ツ時より雨ふる九ツ過止
 当十四日夜八ツ時外神田藤堂様西裏御門々
 鼠横町より出火和泉守様焼る柳原土手を越
 柳原通筋違見附迄焼る夫ゟ内神田辺不残馬
 口労町三丁目裏通半分夫ゟ壱丁目弐丁目辺
 より小伝馬町本石町十間店ハ不残横山町塩
 丁油丁残鎌倉河岸御堀之際迄御丸之内え少
 々入ル大伝馬町◯【◯中に大】計残本町通不残焼田所町
 人形町新材木丁堀留丁小網町照降町ゟ小田
 原町川岸通不残駿河町◯【◯中に井桁と三】両店焼夫ゟ一石橋
 通不残日本橋落通三町目迄白木屋焼江戸橋
 通四日市青物町万町辺不残夫ゟ中通不残京
 橋迄其外町数多分ニ有之候へ共相わかり兼
 候ニ付大図書しるし申候十五日夜五ツ時鎮
 火

十九日 朝より快晴暖気夕方より雨降
《割書:下町裏町辺|十六七八三日附火有之候よし》
廿 日 朝より快晴暮六ツ時より雨稲光四ツ
《割書:暮六ツ半時桜町 |藤咲殿明家出》時より北風大雨九ツ時快晴
《割書:家焼》
廿一日 朝より快晴寒気つよし
廿二日 大霜快晴
《割書:三十 度》
廿三日 大霜快晴寒気
《割書:弐十五度》
 安政五年午十一月十五日焼七時過頃外神田
 相生町辺ゟ出火折節西北の風烈敷御屋敷方
 ニハ練塀小路深谷様若林様上野様加賀野様
 福井様前原様川辺様中野様高嶋様星野様手
 塚様高西様大谷様栗井様内藤様高村様此所
 立花飛騨守様御人数ニ而消留山本町代地花
 房町代地九番組消口を取仲町焼る同一丁目
 中の横丁湯屋向六番組八番組九番組消留角
 高砂屋の所ハ六番組にて消片町ハ八番組消
 東の方ハ藤堂様御屋敷残る辻番計焼る同ま
 へ丁焼菊地大介様御屋敷焼山下様松本様焼

 水野様御屋敷ハ松平下総守様御人数ニ而消
 留佐久間町一丁目不残川岸迄焼同二丁目三
 丁目中程にて松平主計頭様御家来消留同所
 八番組之消口をとる夫ゟ内神田籾蔵立跡筋
 違御門並とこミせ十軒程残跡不残焼柳原山
 稲荷神社と車屋計残る豊嶋町三丁目二丁目
 焼壱丁目中程ニ而八番九番十番にて消留富
 松町久右衛町十一ノ組十二十三十四の組か
 ゝる同所火の見の下ハ店火消にて消同所番
 屋半焼郡代屋敷残る馬喰町一丁目弐三軒焼
 残店火消働同三丁目中程かた側ハ一番組消
 留同所ばゝかさいやといふやどや一軒残る
 其辺にて十一二才の男の子ちいさきまとひ
 を持脊中にほ組といふ消札をせおひ始終火
 中を働所々を立きるありさまいとめさまし
 夫より小伝馬町牢屋敷焼鉄炮丁白銀町石町
 通籾又神田須田町通新石町鍋丁かち町西神
 田さへ木町やかちか原青山下総守様裏長屋
 一棟やけ鳥は新道板新道焼蝋燭町上白壁町
 辺三河町一町目角酒屋の所六番八番九番弐

 番組ニ而消留神田橋御門外入口十四五軒残
 近藤様御屋敷ハ練屏計焼浅野一角様囲計焼
 金田様若林様ハ小笠左京太夫様御人数にて
 消留石川様鈴木様田様御屋敷ハ松平豊前守
 様御人数にて消留本多様囲少々焼岡田様ハ
 表長屋残るねこや新道鎌倉川岸焼御堀端ミ
 せの方残る主水河岸材木河岸南ハ十軒店本
 町通大伝馬町通旅籠町大丸は向仕立屋とも
 ニ残る大門通田所丁長谷川町残る富沢町乗
 物町和泉町焼けんや店にて留る又一方ハ境
 町西側半分焼ふきや町一めん焼小網町一丁
 目焼小舟町伊勢町本舟町焼日本橋焼落通一
 丁目西側残西河岸丁残呉服町半分焼角地し
 ん番小池といふかへやにて消留夫ゟ東の方
 青物町通新場ハ□【屋号】残いけたいやく所のかた
 十軒程残是より新右衛門町筋違ニ焼込岩倉
 町にて此火ハ留る此時つむじ風吹西の方へ
 焼込上下槇町辺一番二番働南ミさや町おけ
 町塗師町鈴木町南大工町かち丁一丁目二丁
 目五郎兵衛町辺畳町大根河岸北紺屋京橋際

 にて火静る所々のもへ先御屋敷御人数いろ
 は組火消にて諸方早速安泰に火鎮
 同十一月十二日夕七ツ時比ゟ赤坂三分坂上
 おミふし丁ゟ出火して大火と相成丁家屋敷
 とも焼其夜九ツ時頃あざふ十番京際ニてと
 まる
 此日東風にかわりて鍜次橋御門内へ飛火し
 て因州様御屋敷御類焼早速消る
 同十四日夜四ツ時過芝口三丁目裏通仙台橋
 まつ丁焼仙台様御人数にて直様消とめる
廿四日 朝より快晴寒気夕方よりくもり夜五
《割書:初雪  》  時より雨四ツ時より雪ふる
廿五日 宵より雪降明六半時止四ツ半過ゟ快
《割書:三十三度》  晴
廿六日 大霜寒気快晴
《割書:弐十七度》
廿七日 明七ツ前より雪降四ツ過止快晴
《割書:三十 度》
廿八日 朝より快晴夜五ツ半時雨降九ツ時止
《割書:他領殊之外夜|盗押措【借カ】等流行》
《割書:之由》

廿九日 朝より快晴寒気ゆるミ南もやう
晦 日 大霜寒気快晴終日天気よし
《割書:弐十九度》

   十二月
朔 日 大霜快晴寒気強終日快晴なり
《割書:弐十六度》
二 日 大霜曇寒気強八ツ半過ゟ晴
《割書:弐十六度》
三 日 朝ゟ快晴終日天気よし
《割書:弐十八度|入寒》
四 日 朝東辰巳の方ニ黒根た雲あり薄曇四
    時ゟ八ツ時過迄西風強
五 日 大霜快晴寒気つよし厳寒なり
《割書:二十七度》
六 日 大霜厳寒当年ハ寒気つよし
《割書:二十七度》
七 日 大霜厳寒なり終日快晴
《割書:二十八度》
 当朔日

 将軍 宣下
 御勅使  二条大納言様
      近衛大納言様
      広橋前大納言様
      万里小路前大納言様
 准后使  堀川三位様
 御衣紋  高倉侍従様
 御身固  土御門右兵衛佐様
八 日 大霜寒気強薄くもり四過ゟ快晴九ツ
《割書:三十 度》  半時地震ゆる
 両三日已前
 公卿衆の由ニ而駕馬等ニ而通行致鷲子辺ゟ
 桧沢飯富辺と継立参り夫ゟ祝町え参り小松
 屋え上り女郎上ケ居候處召捕ニ相成候よし
 宇都宮辺より白川辺烏山所々在々かたりい
 たし候而水戸へ参り候由五六人同勢ニ而公
 家衆等申候ハ四十計の男ニ而薄化粧の手を
 付黒羽二重ニ小袖ニ而駕ニ而歩行先触等差
 出候而参り候よし公家と成候ものハ遠州国
 神職の子供廻りハ合戦場辺山伏其外集りも

 のゝよし
九 日 朝より快晴明方地震ゆる四ツ半時地
《割書:三十四度》  震西風吹
十 日 朝より快晴寒い
《割書:弐十八度》
十一日 大霜快晴寒気つよし西風吹夕方止
《割書:三十 度》
十二日 朝よりくもり八ツ時より雪降夕方止
《割書:二十八度》
十三日 朝より快晴寒気つよし
《割書:二十六度》
十四日 朝くもり九ツ時ゟ快晴
《割書:二十八度》
十五日 朝より快晴
《割書:二十九度  笠間辺六斗八升|穀町壱分ニ籾三斗弐三升》
十六日 大霜快晴寒気九ツ時地震
《割書:二十二度》
十七日 大霜快晴寒気つよし四ツ過より北風
《割書:二十九度》  吹夕方止夜中も五ツ時迄又々吹
十八日 大霜快晴寒気九ツ時ゟ西風八ツ時位

《割書:二十五度|不景にてするめ 》より止
《割書:塩引古今ニ安し》
十九日 大霜快晴寒気
《割書:二十七度》
廿 日 朝より薄くもり夜四ツ半過より雨降
《割書:二十九度|馬口労町五六》 終夜雨つよし寒気ゆるミ
《割書:丁目辺大渇|水ニ而井戸水》
《割書:更ニなし》
廿一日 宵より雨降四ツ時より止北風吹八ツ
《割書:四十一度|いわし漁事 》 時ゟ快晴夜中も晴
《割書:更ニ無粕類|大高直》
廿二日 夜明方あられふる快晴夜ニ入くもる
《割書:三十 度》
廿三日 朝よりくもり終日くもり空にて寒気
《割書:当年ハ打続寒|気殊之外強日》 なり夜九ツ過より雪降
《割書:の内も氷はる》
廿四日 宵より雪降寒気終日雪夜中迄降
《割書:二十八度》
廿五日 朝より快晴寒気夜ニ入くもる
《割書:二十六度》
 当年ハ
 御慎中ニ付面々心得を以餅搗門松等致し申
 さず候様御役所ゟ御内話

廿六日 朝よりくもり五ツ時より雪寒気つよ
《割書:二十五度》  し終日くもり寒気つよし
廿七日 朝より快晴寒気強
《割書:二十五度》
廿八日 朝より快晴寒気|寒気(本ノマヽ)つよし
《割書:二十五度》
廿九日 朝より極寒気強終日寒気夜中くもり
《割書:二十二度半》
晦 日 朝より曇寒気
《割書:二十七度》
 当年は続而之不漁ニ候處当月初銚子九十九
 里辺少々漁事有之候由ニ付人遣候處拾六七
 〆造り上りにて壱両ニ九分五厘位干鰯三俵
 五分迚も引合不申候ニ付江戸表へ罷出候處
 いまた相場ハ立不申候へとも何レニも品な
 しにて直段様子見込位候よし
 湊へにしん粕入津有之候處いわし粕不足ニ
 付にしん粕ニ而壱俵弐十七八〆目懸り候俵
 ニ而金弐両位之よし
 籾壱分三斗弐升

 銭相場六〆八百文



    ◯【印、「昭和十二年十二月廿八日 購」】

巻4

L.289.1 4 137
《割書:水|戸》大髙氏記録 四

当巳年は春中より東ゟ北の方へ朝々黒きね
た雲何ほと快晴之節にても早朝には出有之
候天保凶荒の節も始終出有之候旁心得可申
候不気候の志るしにも可有之候気候宣年柄
には夕立雷声の跡は速に快晴に相成候得【「後」抹消】とも
不気候の節は雷雨後は 丑寅【見せ消ち「子」】風にてあがりか
ね冷気なるもの也夏中続て不気候二而騒々
敷候所初秋より存【「之」抹消】外気候も相直田作畠作
とも見直申候依て人気も穏に相成申候

安政四丁巳
《割書: |きのえ》   正月 《割書:年徳明の方|いねの間万よし》
元(寅) 日   朝より至極快晴にて寒気殊之外つよ
《割書:寒暖計朝五|時位をしるす》  し朝辰巳之方に薄横雲すこしあり終
《割書:二十四度》    日穏にて九ッ過より少暖気風なり夜
      に入くもる
二 日   朝くもるあられふる直止折々小雪ふ
《割書:二十九度》   る八ッ時ゟ止夜に入降
三 日   宵より明方迄雪降五ッッ過より快晴夜
《割書:二十七度》   中雪ふる

四 日   朝より快晴終日天気よし西風ふく
《割書:二十七度》
五 日   朝より快晴明方辰巳の方ニくろき薄
《割書:二十七度》
      雲あり終日快晴なり
六 日   朝よりくもる寒気ゆるみ九ツ過より
《割書:三十度》    小雨ふる夜中快晴
 鰯漁事昨年中ゟ更ニに無之湊商人中粕持合居
 候もの無之旧冬【着氷を抹消】廿一二日方より少々いそみ
 なと【てを抹消】漁事有之磯ニ而拾弐〆目入壱俵八九
 分
七 (庚申)日   大霜朝より快晴東の方ニ黒き雲あり
《割書:三十度》    四ツ半時より西風吹夜五ツ時迄つよ
      し
八 日   朝より快晴寒気五ツ時より西風吹八
      ツ過ゟ止
九 日   大霜快晴寒気強終日天気西南の風少
《割書:二十四度|節分》   々ふく
十 日   大霜寒気つよし終日穏にて快晴なり
《割書:二十五度|正月節》
十一(甲子)日   大霜快晴寒気つよし夕方よりくもり
《割書:二十四度》   夜中四ツ時雨ふり直やむ
十二日   朝よりくもり寒気少ゆるみ四ツ時ゟ
《割書:二十七度》

      快晴
十三日   朝くもり五ッ過より快晴
《割書:三十度》
十四日   朝くもり四ッ過ゟ快晴
《割書:三十度》
十五日   朝東の方え黒き雲出る朝より快晴
《割書:二十九度》
十六日   朝よりくもり五ッ時より快晴
《割書:三十度》
十七日   大霜快晴寒気強五ッ半過より西風吹
《割書:二十三度》   八ッ過止
十八日   朝やけ薄くもり寒気強九ッ過より快
《割書:二十四度》   晴になる
十九日   大霜快晴寒気強
《割書:二十四度》
廿 日   大霜余寒殊之外つよし
《割書:二十三度》
廿一日   明方あられふる薄く【見せ消ち「久」】もり寒気つよし
《割書:二十四度》   夕方よりあたゝかになる雨ふる六ッ
      半時止
廿二日   大霜快晴寒気ゆるみ終日くもる七ッ
《割書:三十四度|今日》   半過より雨ふり出し夜中雨強夜中雪
《割書:御町奉行|久木様》   ましり
《割書:御用人に被|仰付候》
廿三日   朝よりく【見せ消ち「久」】もり暖気終日くもり雨にて
《割書:三十四度》   夜中は晴八ッ過より西風つよし
廿四日   大霜寒気つよし快晴
《割書:三十度》

廿五日   明方より雪ふる寒気つよし終日雪ふ
《割書:弐十八度|正月中》   り七ッ過より止夜に入快晴
廿六日   朝より快晴寒気強終日天気よし
《割書:弐十弐度》
《割書:今日ゟ|吉田明神にたこ有》
廿七日   朝より快晴夜に入寒気ゆるみ
《割書:二十八度》
廿八日   朝より快晴余寒ゆるみ
《割書:三十三度》
廿九日   朝よりくもり南風ふく終日大くもり
《割書:四十八度》   にて南風終日つよし夜中迄風つよし
 旧冬より大山田上郷と申所之山中谷合のな
 ら山にて両方ニ杉山有之候所えアトリと申
 小鳥夥敷集り右杉山え両わかれニ相成居夕
 七ッ時より喰合いたしあたかも合戦のこ
 とく毎日死候鳥俵ニいたし弐俵位いニも有
 之候由今以日々合戦有之候此節ニ至り候而
 見物人群集いたし諸商人なと出候よし
 御郡方ニも申出ニ相成候と申事
   二 月
朔(癸未) 日   朝より快晴西風すこし吹夜中迄風ふ
《割書:三十度》    きさむし
二 日   朝より快晴余【見せ消ち「降」】寒風なし八ッ過よりく
《割書:二十六度》    もり寒気つよし夜ニ入雪

三 日   宵より雪ふり寒気夕方迄雪ふり夜ニ
《割書:二十八度|梅  盛》   入快晴
四 日   朝より快晴寒気つよし
《割書:弐十六度》
五 日   寒気つよし
《割書:三十度》
六 日   大霜寒気つよし終日くもり空にて余【見せ消ち「降」】
《割書:二十八度》   寒つよし夜ニ入終雪ふる
七 日   宵より雪ふり大雪明方より雨になる
《割書:三十度》    七ッ時より雨止夜五ッ時より西風つ
      よし九ッ過ニやむ
八 日   朝より快晴終日天気にてさむし
《割書:二十九度》
九 日   朝より快晴寒気つよし
《割書:二十八度》
 追鳥狩来月廿一日御調練被 仰出候

十 日(二月節)   大霜余寒つよし四時過よりむら雲
《割書:二十八度》
十一日   大霜寒気強快晴
《割書:二十八度》
十二日   朝よりくもり四ッ過ゟてり立終日む
《割書:三十度|初午》    ら雲にてあたゝかなり

 此節風邪大流行京大阪返より初り江戸表当
 時風ひき大勢有之候湯屋髪床総休み同様日
 本橋白木屋見せにては六十余人一同ニ相休
 居同所近江屋三右衛門え見せより登良助伊

 兵衛逗留いたし居候所近之為見は不残枕揃【二文字抹消】に
 て取臥居候由両人もかぜひき追々死人有之
 候由二而早速下り候事
十三日   朝よりくもり暖気なり八ッ時より北
《割書:四十七度》   風にてさむし暮六ッッ過より西風
 此節上町辺所々井戸の水ふ足いたし所々に
 て水もらひにあるき候我等内の井戸た【見せ消ち「有」】へり候
 様子も無之候事
十四日   雪ふる明方迄大雨暖気昼過ちら〳〵
      雨直やむ夜中ハ快晴
十五日   大霜寒気快晴未申の風吹さむし
十六日   大霜寒気つよし快晴明七ッ時地震ゆ
《割書:三十四度》   る
十七日   朝より快晴五ッ時ゟむら雲出寒気ゆ
      るみ
十八日   朝より快晴
《割書:三十八度》
十九日   朝より快晴夕方ゟくもり南風終夜風
      つよし雨ふる
廿 日   明方より雨つよし五時止南風つよし
      夕方より西より北へ吹廻し夜五ッ時

      まて風つよし
廿一日   大霜快晴余寒甚つよし夜ニ入くもる
      九ッ時ぬか雨直やむ
廿二日   大くもり余寒つよし
廿三日   朝よりくもり四ッ時より南大風大雨
《割書:彼 岸》    七ッ時より快晴七ッ【一文字加筆「半」】半時ゟ西風つよし
      夜五ッ時地震
廿四日   朝より快晴七ッ時より東風ふく夜四
      ッ過より雨つよし夜明迄
廿五日   宵より雨ふり五ッ時止
《割書: |》
廿六日(春分二月中)  大霜快晴天気明七ッ時地震
《割書:三十四度》
廿七日   朝よりく【見せ消ち「久」】もり七ッ時より南風雨降

 小石川 ( 二月廿四日出)より来状前文略
 御地は如何御座候哉当地は先達而中ゟ風邪
 大流行人段々引受申候
 公辺よりも長髪御免又は供連減少御用済次
 第退出等之達出候得とも此節は諸役々大抵
 引込位ニ御座候 御次向も大半引込御小姓
 抔は 両御殿ニ而僅ニ壱人残り跡は皆引込
 申候小家へも主従十弐人計之家内ニ而七人

 引受取臥申候乍去是等ハ世上おしなべ候得
 ハ極上之口と申事ニ御座候大抵一家不残取
 臥候もの多く相聞申候薬店医師ハ大繁昌湯
 屋髪結ハ大難渋之様子ニ相聞申候是も地震
 大風ニ引続候珍事と被【「奉」抹消】存候上方ゟ段々来り
 候よし故追々御地へも及候半何分御用心被
 成候様奉存候此節当地も至極無事ニ御座候
 日々風立候得共出火ハ更ニ無之鳴り物一切
 耳ニ入不申候位ニ御座候夫たけ江戸ハさび
 候方と相見申候
廿八日   宵八ッ時位より雨ふり大南風吹雨ハ
      止風ハ明方迄北風になる今日もくも
      り北風さむし七ッ時より雨降雪まし
      り夕方晴
廿九日   朝より快晴余寒つよし
《割書:日光ては雪ふり》
晦 日   大霜快晴寒気つよし夜九ッ時俄ニ雨
      ふり
      三 月
朔 (癸丑)日   大霜降寒快晴
 今日おたけ事玉川立蔵殿家内御老女吉田と

 の妹ニ而候処
 御城え参り候ニ付 御雛様拝見ニ出候所
 瑛想【見せ消ち「門」】院様
 御姫様御公方様 御目見いたし
 御城へ節句迄御留メニ相成候 
 瑛想院様え玉子弐百
 御姫様ニ玉子百ツゝ白木の箱ニ入上ル
  御老女弐人御中老等五人え千代【一文字訂正】晒三束ツ
  ゝ外ニ吉田様ニねりやうかん壱箱同女中
  ニ紙一束
二 日   朝よりくもり寒気終日大くもり夜四
      ッ過ゟあたゝか
三 日   朝よりくもり南風吹暖気なり
 今日おさた事又々
 御しろ城より御申越有之候ニ付指出候
 吉田様へむしくわし壱組代九百文
 瑛想院様度々御目通被下【二文字抹消】物有
        《割書:御細工五ッ銀の御【一文字抹消】はし付|はたか人形一御せん子御くわし》
 志け姫様   《割書: |同はたか人形弐》
 あい姫様   《割書:同小きく五状御くわし》

 此崎 様     御細工物大品
 おとも様     御くわし一箱
 御しん様     にしき絵
  御老女吉田様ゟ     同福田様
   《割書:緋ちりめんふくさ一|御細工物   弐》       《割書:梅波紙  壱状|楮波紙  壱状》
   《割書:巾  着   壱|せん子   弐》      《割書:やうじはし 弐|御細工箱 壱》
   河田様 《割書: |やうしさし    一》
   梅尾様 《割書:金入にしき    弐|ちりめんきゝやう袋一》
   清瀬様 《割書:せん子|茶半斤》
 追而大鯛を
 御方々様え差上候御老女吉田様福田様ニも
 壱枚ツゝ上ケ都合七枚上ル
四 日   快晴北風吹終日天気よし
五 日   大霜余寒快晴
《割書:三十四度》
六 日   朝よりくもり寒気夕方より小雨ふり
      終夜雨ふり
七 日   宵より雨ふり終日雨風つよし夜四ッ
      過止
八 日   大霜快晴寒気
九 日   大霜寒中之ことく霜はしら裏のはた
《割書:三十四度此節》

《割書:風邪大流行何方|にても家内不残》 けましろにておりけ立快晴
《割書:五六日十日位ツゝ相休申候》
十 日 霜ふるおりけ立快晴余寒つよし夜四
    ッ時より雨ふり
 此節風邪流行いたし候ニ付
 殿中出仕の様長髪羽織袴略供勝手次第 御
 免ニ相成候事
 右昨日御達出る
十一日(三十三度) 大霜寒中同様ニましろにふる快晴
《割書:筑波加波山|芦穂山笠間》
《割書:仏ノ山お尚様|木葉下朝房山》  三 月 節
《割書:辺迄雪ふり|山々ましろなり》
十二日 朝さむし快晴夜四ッ時より雨ふり
《割書:三十四度》
十三日 宵より雪ましり雨ふり五ッ半時止さ
《割書:三十七度》 むし四ッ時より快晴
十四日 朝より快晴夕方よりくもり五ッ過よ
《割書:三十五度》 り雨ふる終夜雨つよし
十五日 宵より雨ふり五ッ時より雨止
 御鷹狩当月廿一日被仰出候所御指障有之来
 月十一日ニ被仰出候事
十六日 朝よりくもり少々てり立
十七日 朝よりくもりさむし
《割書:桃花やう〳〵》

《割書:口切雁いまた|不帰》
十八日 朝よりくもり四ッ時より富士南風吹
 今日昼九ッ半時向【一文字加筆「井」】井町軍司太郎次抱屋敷北横
 町七軒長屋借家人より出火折節富士南大風
 にて北横町南側暫時ニ焼紅葉小路入口福生
 鍋之助屋敷焼失より右屋敷続中田金兵衛宅
 火徒片町へ火押出馬【一文字加筆「口」】口労町貯稗蔵脇ニ而留り
 夫より御堀土手柴野へ火徒り下金町裏後藤
 安兵衛長屋へ飛火いたし下金町え吹出下金
 町両側南側亀屋善衛門宅にて留北側大 か
 坂ニ而留り片々ハ八幡町入口迄両側押其内
 八幡町所々え飛火八幡町南側不残石壇際ニ
 而留る又飛火ニ而別当田所甍焼ける大風ニ
 而所々え飛火いたし如何様にもふせぎ兼候
 よし道具持出候ものもあまり風はげしき故
 不残焼候よし終日大風夜ニ入候而雨ふり終
 夜南風つよし
十九日   朝ばら〳〵雨大風つよし雨直やみ
      風ハます〳〵つよし九ッ過迄吹夕方
      迄大南風やみまなしにふく暮六ッ時

      少々の間風止夫より大北風吹終夜風
      つよし
廿 日   朝より快晴四ッ時地震ゆる北風ふく
廿一日   朝かすみ薄くもりひや〳〵夕方より
      大くもり
廿二日   明方より雨ふり暖気五ッ過ゟ雨止
廿三日   朝より薄くもり暖気
廿四日   朝よりく【見せ消ち「久」】もり九ッ時より快晴夜中く
《割書:燕来ル》    もる
廿五日   朝よりくもり終日持合夜五ッ半時ゟ
《割書:彼岸桜|桃花盛》    雨降終夜雨ふり暖也
廿六日   宵より雨ふり終日雨ふり七ッは半す過よ
《割書:三月中》    り止夜中雨ふり
廿七日   明七ッ時地震快晴八ッ時位より西風
《割書:日光山大雪》   つよし
廿八日   朝より快晴西風暮方迄西風つよし夕
《割書:四十三度》   方止さむし
廿九日   朝さむし快晴七ッ時より雨ふり夜中
《割書:桜花盛》    まて
 此節郷中流行之風邪ニ而粕買人不出苗代等

 手後レ申候よし粕十四〆目位にて壱俵四五
 分
 いそ粕壱俵五分位
    四 月
朔 日(みつのへ午) 明六ッ半時より雨降四ッ時雨止快晴
《割書:桜 盛》  俄暖気七ッ半時より雷もやう暮六ッ
    時雷雨少しアリ地震夜八ッ過地震
二 日 朝より快晴霞七ッ時より南西の方く【見せ消ち「久」】も
《割書:四十五度》 る暖気なり
三 日 朝さむし快晴西北之風吹
《割書:霜ふる》
四 日 霜ふるさむし快晴夕方より白雲夜五
《割書:霜家上ニハ|白ク見ヘ》 ッ半過より雨降
《割書:ふる》
五 日 宵より雨降四ッ過より雨止快晴
六 日 朝よりさむし快晴
七 日 朝さむし快晴終日上天気風なし
《割書:四十三度》
八 日 朝より快晴上天気暖気なり
《割書:四十七度》
九 日 朝より快晴暖気軽暑位なり
《割書:八十八や》
十 日 朝きり雨ふる四時より晴夕方よりく
    もる月【誤字一字見せ消ち】暈
十一日 朝花くもり暖気也八ッ時位より南風
《割書:追鳥狩》

《割書:今日相済》 にて小雨折々止夜中も同断
十二日 朝よりくもり暖気なり四ッ過より時
《割書:六十二度|立夏》 々雨ふり暮方より北風吹
《割書:四月節|いそみなと》
《割書:昨日今日いわし|大漁》
十三日 朝よりくもり折々小雨ふり夜ニ入雨
    つよし
十四日 宵より雨ふり明方雨止終日くもり
    にて北風になる夜中ハ止
十五日 朝よりくもり北風もやうにてむら雨
    直止夜中雨降
十六日 朝よりきり雨ふる四ッ時止又々雨ふ
《割書:牡丹花盛》 り夜中迄雨つよし
十七日 朝きり雨ふり五ッ半時晴四ッ時より
《割書:昨日雨夫ニ付|大日御田楽》快晴西大風ふく夕方風止
《割書:御田楽之節|獅子之耳落之よし》
十八日 朝より快晴殊之外さむし
《割書:御祭礼》
 昨年当年馬【一文字加筆「口」】口労町泉町踊茂風流行物類焼ニ付
 御免ニ相成居候間殊之外淋しく候三ヶ年御
 免ニ候間来年迄
 祭礼両日御勤服御品【見せ消ち「見」】咎沢山ニ有之候
十九日 朝より快 晴九(朝五時地震)ッ過ゟ南風吹八ッ過よ
《割書:五十八度|二三日ハ鹿嶋辺》り雨ふり七ッ時より暮方大雨降暮過
《割書:ゟいそみなと平》

《割書:磯辺いわし|大漁事》雨止
廿 日 朝より快晴四ッ過ゟ西風つよし九ッ
    過ゟ南風つよし夕方止
廿一日 朝より快晴
廿二日 朝より薄くもり四ッ過よりてり立夕
《割書:五十九度》 方よりくもり
廿三日 朝より薄くもり四ッ過より小雨降終
《割書:酒出村澤村|両村御役出神》日折々小雨ふり夜中終夜雨つよし
《割書:事ニ而当月勤ゟ|懸リ合有之此節両村共山籠りいたし両村とも死人怪我人等有之候由》
廿四日 明方雨止快晴夕方よりむら雲
《割書:六十一度》
廿五日 朝より薄くもり折々てり立夜ニ入大
    くもり夜雨
廿六日 宵より雨ふる終日北風にて雨つよし
    風もつよし夜中も終夜雨風強
廿七日 明方より雨止終日北風にてさむし夕
    方よりばら【見せ消ち「はら」】〳〵雨夜中やむ
廿八日 朝よりくもり北もやうにてさむし五
    ッ半過より快晴むら雲
廿九日 朝より薄くもりさむし四ッ時快晴又
    々くもる七ッ時雨ふり終夜雨つよし
    冷気なり

    五 月
朔 日 宵より雨降五ッ時雨つよしさむし九
《割書:五十度》  ッ半過より夕方迄古今の大雨暮方
    雨止北風
二 日 朝より快晴終日天気よし
 中川水増朝の内船留瀧坂辺根本辺水押平一
 面水赤沼辺迄水つく午年位の水増し之由
三 日 朝よりくもり北風にて冷気夜中小雨
 此節冷気ニ付式日たり共当月中袷着用不苦
 旨御達出ル
四 日 明方小雨ふり冷気又々五ッ時ゟ小雨
《割書:五十度|九ッ過五十一度》四ッ半時止終日くもり丑寅【見せ消ち「子」】風にて事殊
《割書:磯新粕|壱両ニ壱俵》之外冷気夜中丑寅【見せ消ち「子」】の風雨つよし終夜
《割書:八分位》  同断
五 日 宵より丑寅【見せ消ち「子」】風にて雨降五ッ半時地震
《割書:四十三度|九ッ時四十度》殊之外冷気なり艮風つよし九ッ半時
《割書:五日ハ太田ゟ弐三|里入ハ雪二三寸降》雨止
《割書:須賀川矢ぶき辺|ハ弐尺余雪ふり》
《割書:候よし奥州筋よほと降候よし》
《割書: |霜 ふ る》
六 日 霜ふるさむし快晴辰巳の風ふきむら
《割書:四十一度|茄子山辺雪》 雲終日さむし
《割書:見ゆる》
七 日 朝よりさむし雲る丑寅【見せ消ち「子」】風吹冷気
《割書:四十九度》

八 日 朝より天気七ッ時より丑寅【見せ消し「子」】風ふく
 今日弘道館鹿嶋より鹿嶋大神御遷座御神
 体御剣之由御迎ニ鹿嶋御若年寄杉浦善太郎
 殿史館青山量太郎殿其外大勢暮六ッ時御着
 丑刻ニ御仮殿より御本社へ御遷座孔子御廟
 も同断十日ゟ十二日百姓町人参詣相済女人
 ハ不相成候
九 日 朝くもり五ッ時ゟ快晴
 御家中自拝被 仰付
 御赤飯御神酒被下有
十 日 朝薄くもり四ッ時より快晴
《割書:あやめ花盛》
十一日 朝より快晴さむし終日天気むら雲少
《割書:五十三度》 々西北之方ニ雷声
十二日 朝より快晴四ッ半過よりむら雲暮方
《割書:五十四度》 小雨直止夜中晴
十三日 朝より快晴少々暑気めき
《割書:五十二度》
十四日 朝きりふかし七ッ過よりくもり夜五
《割書:六十四度》 ッ半時より雷雨
十五日 朝より快晴七ッ過より俄に夕立もや
《割書:六十三度》 うにてはら【見せ消し「はら」を「ばら」にして、取り消して「ばら」を消している】〳〵雨直はれ夜五時地震

十六日 朝より快晴軽暑夕方より東風にてひ
    や〳〵
十七日 朝より薄くもり終日くもり空にて持
《割書:五十八度》 合
十八日 明方より小雨ふり冷気終日雨ふ【見せ消ち「な」】り夜
《割書:五十六度》 九ッ時ゟ大北風雨にて明方止
十九日 朝よりくもり北風少し吹夜四ッ過ゟ
《割書:中川水増》 雨ふり出終夜雨
 巳五月九日弘道館御開
 鹿嶋神社御安置御遷宮孔廟共御開ニ付御家
 中并与力郷士祠官に至る迄於神前神酒頂戴
 御赤飯被下候付人別御目附方より筋え申出
 ル書付之写
   総人数弐千五百拾壱人程
    わけ
   布衣 五拾弐人程
   布衣子弟等六拾五人
   物頭九十三人程
   平士八百五人程
   《割書:物頭|平士》子弟千百七拾七人程

   与力五拾三人程
   与力総道【見せ消ち「総男」】番四拾六人程
   与力次男以下被召出当主子弟弐百弐拾
   人程
 御家中子弟迄人数取調申出候様御達ニ付五
 才以上之族大図前書之通ニ御座候間此段申
 出候事
  《割書:外ニ》祠官四百弐拾四人
   郷士 三百廿四人
   御目見格 医師町衆等弐拾壱人
 鹿嶋神社え御備品左之通
   一 御高盛輪弐ツ
   一 鏡餅三重 《割書:但壱重ニ付|三升取》
   一 人参四把 代り大根
   一 牛蒡四把
   一 長ひしき 百三拾目
   一 紅海苔  七枚
   一 久年母三十 代り梨子
   一 福目   八ツ
   一 干柿三拾五 代り度目

   一 上搗栗  九合
   一 □【木+非+一「榧」の誤記か】子   九合
   一 焼塩   三ツ
   一 布巾切  三尺
   一 杓子   弐本
   一 貝杓子  弐本
 右之通
  孔廟之御分
   一 干柿拾五 代り銀杏三合
   一 度目三合
   一 九年母十 代りなし
   一 □【木+非+一「榧」の誤記か】子三合
   一 上搗栗三合
   一 人参弐把 代り大根
   一 鰹節三本
   一 焼塩弐ツ
   一 鏡餅壱重 但壱升取
   一 長ひしき七拾目
   一 味噌  壱合
  右之通

 御遷宮ニ付御様用相勤候祠官
             《割書: |静長官》
              齋 藤 監 物
             《割書: |吉田大宮司》
              田 所
             《割書: |東大野》
              金 野 右 近
             《割書: |中川内》
              市 川 右衛門
             《割書: |勝倉》
              照 山 内蔵之介
             《割書: |神田》
              安 嶋 右兵衛
             《割書: |石神》
              永 山 志广之介
             《割書: |大宮》
              渡 邊 主 計
             《割書: |東木倉任》
              鈴 木   □【こざとへん+曲+辰(横棒一本不足)「隈」の誤記か】
             《割書: |磯部》
              田 邊 酒造之介
             《割書: |東里地》
              関 根 加 賀
             《割書: |大和田》
              黒 澤 左 仲
             《割書: |福田 近忰》
              今 瀨 久目之介
   右之通
 一 被下候物左之通
     御家老衆ゟ
     布衣已上之族
       木具
     片木盛赤飯

   にしめ 《割書:しゐたけ|揚 壱枚》
   香物  なら漬
   右御書院ニ而被下
   物頭已上
    総輪
   片木盛赤飯
   にしめ 《割書:しゐたけ|〆 こん》
       《割書:するめ半枚》
   香物  澤庵
   右同所御入側ニ而被下
   御規式以上
   久武指南之族
    総輪
   被下もの右同断
   右御同所御ニ之間ゟ
   御玄関迄押返し
    舎長并指南手添
    御規式已上御侍方諸士
      猫足
    被下候物右同断
   右御次入口御廊下ニ而被下

    不規式師範并ニ諸士
    以下指南
   被下そ候物右同断
   右廿一間棟之内歌道方ニ而被下
    平士
    《割書:物頭|平士》子弟
    与力
    〃総道
    〃次男已下被召出当主子弟迄
    郷士
    祠官
    町衆
   被下もの右同断
   右廿一間棟之内御調練方ニ而被下
廿 日 宵より雨ふり北風にて冷気五ッ半過
《割書:茂木辺|玄米九斗位致候》より雨七ッ過より小雨直止夜中雨ふ
《割書:所此節八斗》  る明方雨止
廿一日 朝よりくもり冷気終日くもり空にて
    持合
《割書: |入梅》
廿二日 朝きりふるむしあつし朝之内少々雷
《割書:六十五度》

《割書:いわし漁有府中玄米|八斗五升位之所当》声九ッ半時俄ニ雷雨直ニ止快晴七ッ
《割書:時七斗五升今日ハ|小場石塚戸崎辺》半時より又々雨ふり
《割書:ひやうふり青きも|のハ無之由壱ツ目方弐十目有之候よし梅干位之よし》
廿三日 朝より快晴
廿四日 朝より快晴暑気なり
《割書:六十三度》
廿五日 朝より快晴暑気終日上天気
《割書:籾三斗弐三升松岡様人三十俵》
廿六日 朝より快晴暑気
《割書:百文ニ白米九合》
 小林源【見せ消ち「澤」】市忰廿四日忌服ニ而御用
 一                   小林源十郎
 父介左衛門致病死候ニ付其方え為御合力籾
 三拾俵被下置格式小十人列被遊旨被 仰出
 もの也
  可為御町奉行支配事
 父介左衛門小十人列ニ被仰付候ハ可為御町
 奉行差引事と御申渡有之候處此之度ハ支配
 と御申渡ニ相成候如何之わけニ候哉
廿七日 朝きりふる薄曇折々晴涼し夜中もく
    もり
廿八日 朝より快晴暑気
廿九日 朝より快晴終日上天気なり
《割書:六十二度》
晦 日 朝より快晴
《割書:六十弐度|夏至》

 京都も五月節句ニハ綿入着用之由同所伊せ
 屋利衛門ゟ申来ル紅花も当春已来不景気ニ
 而拾両方も下落いたし居其上紀州播州辺ニ
 而近年多分ニ出来当年ハ千駄余も出来可申
 と申来候事
  三州吉田種【一文字訂正】たり口
    辰年弐斗三升八合
    巳年弐斗壱升三合
   閏 五 月
朔 日 朝より薄くもり もやう四ッ半時ゟ
《割書:籾三斗ゟ|三斗弐升位》 雨ふる夜中迄雨つよし地震ゆる
《割書:菜種八斗弐三升》
二 日 朝より快晴夕方よりくもり冷気
《割書:六十七度》
三 日 朝より薄くもり六ッ時より夜中まて
《割書:七十一度》 雨ふり冷気
四 日 朝くもり北もやうニ而冷気八ッ時ゟ
    晴
五 日 朝より曇り終日くもり曇り空にて持合夜
《割書:六十九度》 中雨ふる
六 日 朝よりくもり五ッ時雨ふり直ニや【見せ消ち「止」】む
    八ッ過より快晴

 安政四巳四月廿八日御城書
  正四位上       松平讃岐守
 其方儀御由緒柄出格之
 思召を以正四位下被 仰付以後間合も無之
 此上昇遣之儀難被及御沙汰筋ニ候得共此度
 大阪表御台場御用引請被 仰付防禦筋之儀
 万端御委任被成候ニ付尚更今般別段之
 思召を以位階昇遣被 仰付候儀ト相心得御
 守衛筋之儀格別入精相励候様可被致候
一異国船為防禦大阪表安治川木津川両川口之
 御台場御取建大砲据附御船をも御備被 仰
 付木津川口弐ヶ所御台場其方へ御預ケ被遊
 候右御台場御舟并据附候大砲共西洋流被 
 仰付候間其心得を以大砲打方習練候様可被
 申付候松平出羽守へ大阪表御警衛被 仰付
 安治川弐ヶ所御台場御預ケ被遊候間可被申
 合候尤土屋采女正可被申談候
 右於御黒書院溜御老中列座久世大和守申渡
 し
             松平出羽守

 同文言安次川弐ヶ所御台場御預ケ被遊候武
 州本牧警衛之儀ハ御免被成候
 右於御白書院御縁側御老中列座同人申渡候
             松平隠岐守
 異国船渡来之節武州神奈川御警衛被 仰付
 臨時出張之積相心得防禦手筈厳重可申付候
 右両御黒書院溜御老中列座右同人申渡し候
             松平出羽守
   少将(思召有之)
 同文言安治川弐所御台場御預被遊候武州本
 牧警衛之儀ハ御免被成候
 右於御白書院御縁側御老中列座同人申渡候
             松平隠岐守
 異国船渡来之節武州神奈川警衛被 仰付臨
 時出張之積相心得防禦手筈厳重可被致候
 右御黒書院溜御老中列座右同人申渡之候
             松平出羽守
   少将(思召有之)
 其方儀家督以後年数も無之未年若ニ付昇進
 之御沙汰ニハ難被及候へ共本牧御警衛以来

 引積此度大阪表御台場御用引受被仰付防禦
 筋之儀万端御委任被成候間今般別段之 思
 召を以被仰付候儀ニ相心得御守衛筋之儀格
 別入精相励候様可被致候
 右於御白書院御老中列座右同人ゟ渡之候
 安政三辰四月四日召状同五日被仰渡
         蕃書調等出役
  《割書:二十人扶持|教授方出役》     箕作阬甫(    松平三河守家来)
    《割書:|廿五両》    杉田成郷(    酒井修理太夫家来)
         松平阿波守家来
           高畠五郎
         松平大膳太夫家来
           東條栄庵
         松平肥前守家来
          伊藤玄朴家来
   教授方手伝   原田駿策
       《割書:出役》 堀田備中守家来
   《割書: |二十人扶持》    佐渡銀次郎厄介
       《割書:十五両》   手塚階解蔵
          九鬼長門守家来 

             川本幸民
            板倉伊予守家来
             田邊順甫
             下曽根金三郎
  講武場西洋      江川太郎左衛門
  砲術師範       勝麟三郎
    教授方出役
             植村帯刀
             飯田庄藏
             松平 仲
             榊原鐘次郎
             友成英之助
             下曽根次郎作
             中山権次郎
             川勝縫之助
             尾本久藏
             日根野藤之助
             田邊孫二郎
             長澤綱吉
             望月大藏

             森田定吉
             高橋喜兵衛
           〆十五人
  辰七月十八日宿継之飛脚を以土屋采女正
  へ申遣候趣
 其地両川口御台場新築据付大砲并御備船等
 之義別紙之通西洋製被仰出候間被得其意右
 御警衛御普請大砲鋳立御船製造等其表町奉
 行共引受御被達【見せ消ち「召連」】之積リ御入用等取【見せ消ち「被」】調相任候様
 可被申渡候依之御台場絵図四枚差越候間委
 細之儀ハ松平河内守河内左衛門尉立田岩太
 郎岩瀬修理大久保右近將監村垣與三郎承り
 候様是又可被申渡候尤御台場御預之面々共
 追々ニ被仰付候旨【見せ消ち「方」】可有之候間可被得其意候
 以上
             連 名
  七月十八日
    土屋采女正殿
  別紙
 一 安治川口南目印山下御台場壱ヶ所【見せ消ち「据付大」】

       据付大砲六貫目台場台三本
       名《割書:ナニドイムラシケホ|       ウーイッスル》 二挺
       据付大砲五貫目野戦台
       蘭名《割書:ナエドイムラン|   ケホウーイッスル  八挺》
       同 二貫五百目余やs野戦台
       蘭名ナニホントヲカノン  同断
       同 壱貫二百五十目余野戦台二挺
      合弐拾挺
 一 同断北附淵御台場 壱ヶ所
       据付大砲右同断
 一 木津川南石波戸場上御台場 壱ヶ所
       据付大砲六貫目余
             台場   二挺
       同  同五貫目余野戦台八挺
       同  〃二貫五百目余 六挺
 一 同所比附淵御台場      壱ヶ所
    据付大砲貫挺数共安治川口一ヶ所御台
    場同断右四ヶ所御台場并据付大砲共西
    洋製被仰付候尤大砲之儀ハ御貯筒之内
    五貫目余二挺二貫目余弐挺壱貫弐百五

    十目余壱挺車台附属御道具共当地ゟ被
    相送候間其余ハ右御筒型ニ傚ひ於大阪
    鋳立致し台場台車台附属御道具共出来
    候様可被致候
   長拾間  御備舟弐拾艘
    蘭名ハッテイラ形据付大砲壱艘nニ付拾三
    貫七百目余
    蘭名 ナホントベカノン百 三十目四挺
    同 ウイハス
     合五挺
 右西洋製ニ倣ひ製造被仰付候尤右之内壱艘
 当地ニ而打立据付候大炮并附属御道具共可
 相送候間其余十九艘ヘ右御艘形之通於其地
 製造致し附属御道具出来候様可被致候右御
 備船出来次第先両川口御台場御預り之向へ
 十艘相渡候追々出来可相成候ハゝ兵庫辺御
 固【見せ消ち「図」】之向へ五艘灘目ゟ西宮辺御堅之向へ三艘
 境浦辺御堅之向へ二艘御渡相成候間可被
 得貴意候
     別紙

 其地両川口へ御台場御築立被仰候へハ右最
 寄而已ニ而ハ土砂引立兼候哉と存候間天保度之
 振合を以川々臨時大浚被仰出候右土砂を以
 御台場御築立之積先達而相達置候得共其地
 之事情仮令御救浚ニ被仰出候得共多分之所
 役本之侭可相励 有之候間近来諸般御事多
 之折柄諸国打続天災ニ而莫大之御用途差湊
 不容易ニ御出高ニハ候得共御警衛向之儀可被
 差置筋ニ無之候間此度皆御入用を以御台場
 御普請并御備船等之儀別紙を以相達候通り
 被仰出候事ニ候間可被得貴意候尤其表川ニ
 不絶浚方も有之候得共積年埋掘ニ而近頃両
 川口之水利不宜浚筋浅々相成り運漕不弁利
 ニ付自然諸物価ニ差響キ市中一体ニ衰弊之
 もとへにも可相成哉之趣ニも相聞候間何レ
 にも臨時大浚不被仰付候而ハ相成間敷候右
 ニ付御台場新築之儀追而川々御救浚被仰出
 候節水中障不相成候様致勘弁御台場之儀御
 実備専一ニ築立候様町奉行方へも御申渡候
 様ニと存候以上

   七月十八日     連   名
     土屋采女正殿
 安政四巳四月廿七日
          《割書:御役替| 下田奉行ゟ》
  小普請奉行      岡田備後守
          《割書:小村対馬守跡へ|  御勘定吟味役》
  下田奉行       中村為彌
          《割書:岡田備後守跡へ》
  二百俵之高ニ御加増被仰付候
 同四月九日
 一箱館奉行堀織部正家来前野三左衛門ゟ岡
  田兵部殿用人大村善介等文通
  前文略三月十五日朝アメリカ
  入津同十八日出帆同廿日アメリカ鯨船一
  艘入津同廿五日出帆其後四月五日九ッ時
  アメリカ鯨船一艘入同日七ッ時北アメリ
  カ鯨船一艘入津いつれも三本帆柱跡より
  入津之船は蒸気船右之船へ一人日国役人
  乗込候而参り六日五ッ時揃ニ而応接有之
  歟ニ候所追々船も参り候由右之者申聞ニ

  ハ日本箱館へ参り地所を借在住可致旨被
  申付参り候趣此方ニ而ハ其儀は相成不申
  旨申聞候へ共承知無之又七日ニも応接有
  之然ル處此儀江戸へ伺ニ相成候ニ付不申
  聞候而至急可申【「候」一文字抹消】旨ニ定り八日より上陸
  致し罷在候次第ニ御座候然ル所八日ゟ右
  在住之所へアメリカノ船市を立申候而は
  役入中へ相談とハ存候へ共私【見せ消ち「様」】抔之愚意
  ニ 如何之ものと存候いつれ共外ヲロシ
  ヤ又はイキリス等ゟ茂乗込候而見へ節は
  最早アメリカ先へ参り日本国へ本国之市
  を 建候間此方ゟ願出可申向も心得可申
  致候
七 日 朝より快晴
《割書:菜種八斗弐三升》
八 日 朝よりく【見せ消ち「久」】もり冷気なり南風少し吹夜
《割書:紅花少々ツゝ|口切》五ッ半過止夜中雨ふる
《割書:栗花咲》
九 日 朝より快晴七ッ時位より南風吹夜にニ
《割書:七十九度》 入明方迄南風也
十 日 朝よりくもり軽暑終日入梅空なり夜
《割書:堀村菜種|壱わり六分》 中雨ふり
《割書:中丸辺|壱わり八分》

十一日 朝よりくもり四ッ過よりてり立
《割書: |半 生》
十二日 朝より快晴
《割書:七十度》
十三日 朝より快晴八ッ時よりくもりむしあ
《割書:昼過| 八十三度》つし折々ほろ〳〵雨夜中晴
十四日 朝より快晴八ッ時ほろ〳〵雨ふりむ
《割書:七十七度|湊大内清右衛門去》しあつし直やむ夜ニ入殊の外晴
《割書:辰暮御勘定奉行|被仰付候處今日本務引除湊御会所懸り御小納戸格被仰付候由》
十五日 朝より快晴むら雲八ッ時よりくもり
《割書:七十七度》 小雨直やむ七ッ半過暮方俄ニ大雨終
    夜大雨明方止
十六日 朝より小雨冷気也終日くもり空にて
《割書:七十度》 持合
十七日 朝きりふる九ッ半時より小雨ふり折
《割書:七十二度|小暑》 々晴七ッ半時ゟ大雨く暮六時 とろに
《割書:六月節》  なる又々夜中も大雨
十八日 朝より小雨ふる直ニやむ九ッ半過よ
    り小雨夕方止冷気夜中五ッ過より雨
    つよし
十九日 朝よりくもり冷気也終日くもり空に
《割書:六十二度》 て持合北もやう冷気也
廿 日 朝よりくもり冷気八ッ時より雨ふり

    夜中迄ふる
廿一日 宵より雨ふる冷気四ッ時より雨止夕
    方南風ふく夜中快晴
  正(巳)月十六日          《割書: |部ゟ写》
 一 堀田備中守殿御渡
    評定所一座仰付懸り長崎奉行
    箱館奉行
 下田滞在之亜墨利加官吏ゟ老中え面会之書
 翰を以申立候趣一ト先下田奉行ニ而引請取
 扱候様相達返翰指遣候儀ニ候得共此上申立
 之次第ニ寄候而ハ当地へも被召呼候ハゝ相
 成間敷哉ニ付右之手筈凡取極候方可然就而
 ハ官吏之儀も身柄宜敷者之由ニ付右取扱之
 儀是迄和蘭甲比丹之振合相成間敷候間諸般
 之礼節ハ勿論御扱振旅宿応接其外共万端無
 手抜様廉々取調早々勘弁致可被申聞候事 
  亜墨利加官吏へ之返翰
 貴国ゟ日本之事務ニ関係せる重大之事体自
 分共へ直ニ可申立旨貴所大統領ゟ命も有之
 趣其外之件々とも去年九月中書翰并十二月

 ニ至り猶申立候書面夫々熟読せしむ然ル處
 下田箱館開港以来両国之説許を弁せんため
 両所之奉行指置委任せしむる上ハ仮令重大
 之事といへとも申立之事共あらハ其地奉行
 へ陳説あらるへし此趣告さしむるもの也
            堀田備中守花押
            阿部伊勢守
            牧野備前守
            久世大和守
            内藤紀伊守
  下田奉行へ相達候書付
 亜墨利加官 利(マゝ)へ返翰指遣候旨被為在右返翰
 を以心力を尽し穏当ニ以尽し説得候様可被
 取計候
 一欠乏之品三割之冥加指免候儀先当分一割
 ニ致置候様可被取計候
 一官吏居所勤番所ハ引払切候積尤官吏之居
 所ニ限ニ積兼而談置候様可被致候因而ハ不
 取締無之様精々可心得候
 一官吏金銀銭引替渡候儀都而少分之儀ハ相

 渡其余ハ札ニ而相渡候様可被取計候
 一七里直陸道程之差【見せ消ち「節」】別強而論判不致凡天城
 山相越候共可差障人家も無之事故奉行手切
 差略致置候様可被取計候
 一官吏居所之趣此方へ呼寄面会茶菓子酒肴
 指出内座迄ハ通候儀見込之通可被取計候
 一諸入用等出方相減候後事実無拠分ハ一両
 年津々年限ニ御任之儀火急并少分之儀ハ不
 及伺取計不苦候
 一官吏私之贈答も無拠節ハ贈答致不苦候
 一通歩之節無拠止宿致候共寺院ニ限り可指
 免儀奉行承届被置候様可被致候
 一諸事伺不及奉行御任不相成候而ハ機会を
 失ひ又権威も無之取扱向指支候との趣下田
 限り之儀ハ奉行之権ニ可有之候間向後とも
 御任置被成候間精々入念 御国体ニ不拘御
 為宜敷様可取計候
廿二日 朝南風むら雲四ッ時より快晴暑気七
    ッ半時夕立直止
廿三日 朝よりくもり冷気終日くもり空にて
《割書:江戸表ハ余ほと》

《割書:つよき地震|ニ而御機嫌伺》 持合明方地震弐度
《割書:有之候由》
廿四日 朝より快晴むら雲
《割書:六十八度|昨日之地震豆州辺三州辺大地震箱根湯潰候由是ハ更ニ無之事のよし》
廿五日 朝くもり暑気四ッ半過より快晴当年
    初之大暑夜中迄あつし
廿六日 朝より快晴暑気なり大暑
 小石川御屋敷御普請奉行鈴木藤兵衛殿宅ニ
 而家鴨飼置候所此節卵出来子ニかへし候内
 ニ壱羽異鳥出来候由目横ニ弐ッ其上え立ニ
 弐ッ羽かへ左右へ四ッ足四本付候よし
 上公え入御覧候所異鳥ハ飼不申ものと 上 
 意有之候よしニ而御下ゟニ相成候よし
廿七日 朝より快晴むら雲八ッ半過より大雷
《割書:馬労町古内屋|金兵衛藏鉄炮》 雨六ッ半時止五ッ過より又々雨ふり
《割書:町大国屋利兵|衛庭西町鵜殿》 出し古今稀なる大雨終夜つよし
《割書:兵七殿栗木へ|雷落》
《割書: |冷気ニ而綿入着用》
廿八日 宵より雨強五ッ過ゟ大風丑寅【見せ消ち「子」」】大雨大
《割書:大子辺|玄米六斗弐升》 嵐九ッ時ニ雨止風ハ夕方つよし夜ニ
《割書:水戸籾三斗位|昼七ッ時土用入》 入雨降終日丑寅【見せ消ち「子」】の風にて冷気
廿九日 朝よりくもり丑寅【見せ消ち「子」】の風にて冷気終日
《割書:綿入着用》 同断
 当年ゟ御領中紅花買入より壱結ニ付金壱両

 ツヽ御運上上ル
 油湯子辺土用前冷気之節白米四斗八升土用
 入五斗四五升
 入梅粕磯大野辺両ニ弐拾五貫ゟ六〆目位魚
 油拾壱両弐分
 仙台津留之よし

   六 月
《割書:朔  日|六十二度》  朝むら雲あり四時よりはれ丑寅【見せ消ち「子」】の風
《割書:綿入着用》  にて終日冷気夜中薄くもり風夕方迄
    つよし
《割書:二  日|六十三度》  朝わた雲丑寅【見せ消ち「子」】の風冷気折々てり立終
《割書:茂木玄米|七斗六升》  日持合夜ニ入霽
《割書: |大暑六月中》
《割書:三  日|六十七度》  朝より至極快晴昼比より暑気ニ成ル
《割書: |府中玄米》
《割書:七斗弐升|四  日》  朝きりふる四ツ時ゟ快晴大暑なり
《割書:五  日|七十四度》  朝きりふる九ツ過ゟ快晴暑気夜中迄
《割書:八十三度》  あつし
《割書:六  日|七十五度》  朝くもりむし暑九ツ時よりてり立暑
《割書:当年ハ苗の |さき皆赤く 》 気つよし夕方よりくもり
《割書:なりしよし》
《割書:七  日|江戸玄米》  朝よりくもりむし暑九ツ時よりすこ

《割書:五斗八升|水戸 》  してり立
《割書:六斗壱弐升 |籾三斗》《割書:三州白木綿銘九反五分致候所此節九反ニ引上|手巾地三反四分方引上ル》
《割書:八  日|昼八十七度 》 朝よりむら雲四ツ時より快晴暑気夜
    中まてあつし夜九ツ過より丑寅【見せ消ち「子」】風吹
《割書:湯縄子|白米六斗二三分 》北の方ニ雷声稲光あり
《割書: |入穀御免》
《割書:九  日|朝七十三度 》 朝迄丑寅【見せ消ち「子」】の風六ツ半時小雨直やむ冷
《割書:袷又ハ綿入 |抔着用》 気終日丑寅【見せ消ち「子」】の風にてくもり冷気
《割書:十  日|朝七十度》  朝よりくもり雨もやうにてむし終日
《割書:笠間辺| 七斗五升 》 持合
《割書:江戸辺五斗七升 |十一日 》朝くもり晴九ツ時位より晴快晴
《割書:朝七十一度|八ツ時八十二度》
《割書:米八合九合|もち七合五勺》
《割書:十二日 |朝七十五度八ツ時》 朝より快晴暑気夕方西風ニ雷声夜中
《割書:八十五度 上ケ籾山 |辺玄 六斗八升 粕》くもりあつし
《割書:弐十七〆魚油拾弐両位》
 越後辺五月中霜ニ而作方不宜蠶も不宜候当
 時玄米壱石壱升
《割書:十三日 |朝七十五度 》 明七ツ時前地震朝ゟ快晴暑気七ツ過
《割書:昼後八十六度  |綿少々気強》ゟ雲出雷声雨ほろ【抹消「ばり」】〳〵にて直ニやむ
《割書:くりわた弐〆五百目》
《割書:十四日 |朝七十六度 》 朝より快晴暑気八ツ時位より北の方
《割書: 八十八度 |穀町》 ゟ雲出雷声雨ほろ【抹消「ばり」】〳〵にて直ニやむ
《割書:籾弐斗九升》
《割書:十五日 |朝七十一度 》 朝むら雲丑子の風冷気なり快晴ニハ
《割書:重着  》  候へとも終日丑寅【見せ消ち「子」】の風にて冷気なり

《割書:石神辺|白米八合売》
十六日 朝よりくもり丑寅【見せ消ち「子」】の風冷気昼後より
《割書:袷着用|朝六十五度》少々むしあつく候得とも終日くもり
    居候
 先月十七 日信州(八時ゟ)木曽路十九日迄大雨降木曽
 道中大水三丈四五尺も水押之場所も有之所
 々山崩中山道戸田川大水上方筋も右之順水
 損余ほと有之御家ゟ登り候御茶詰も所々ニ
 而川留旁追々延引木曽路にてハ領主ゟ役人
 罷出筏を拵候而御通ニ相成尾州辺も郡奉行
 罷出候而道々相触通行相成候よし
十七日 朝くもり四ッ半時よりむら雲暑気ニ
《割書:朝七十二度|府中玄米六斗八升》なる
《割書:白川辺五月中|迄ハ壱石六斗致居候所当節之不景気ニ而追々引上壱石壱斗四五升ニ相成此節》
《割書:ハ九斗六升五合位》
十八日 朝より快晴暑気当年中之暑八ッ時位
《割書:八ッ時八十五度|鈴田》より雷雨夕方止夜中晴
《割書:玄米六斗》
《割書: |立秋七月節》
十九日 朝むら雲丑寅【見せ消ち「子」】風五半時むら雨直やむ
《割書:朝七十三度|終日同断》終日くもり夜中冷気
《割書:穀町八合》
二十日 朝よりくもりむし終日曇空にて折々
《割書:天下野辺壱分ニ|白米壱斗四升》照夕方より丑寅【見せ消ち「子」】風にて冷気
《割書:白川辺| 八斗一升位》
《割書: |米杖》
廿一日 朝きり雨ふる直やむ折々照立夕方よ
《割書:七十一度》

《割書:八ッ過七十九度|因州辺中国筋ハ》 り丑寅【見せ消ち「子」】風にて冷気
《割書:春中不景気にて苗更ニ生不申候由|白川ニ而玄米七斗二升真壁六斗八升》
《割書:上下御町     宍戸六斗三四升|昨日ゟ百〆ニ八合売笠間六斗三四升》
 気候不順ニ而土用前ゟ打続陰冷勝ニ有之候
 處此上万一風難等之変災之節は可及凶荒ニ
 程も難計面々心得は可有之事ニは候得共追
 々被仰出候趣兼而相達置候通猶更質素倹約
 専と心掛別而麁食を用精々食糧迄も心掛置
 万々一之砌扶食取続候様可致旨借家人等ニ
 至る迄支配切無洩銘々可申達候以上
    六月廿一日    玉川壮五郎
 真弓山権 現前(御本社)之御柱壱本四ツニ割れ金の御
 幣壱本二ツニわれ居候よし右ニ付御湯釜を
 上候へハ七月十日前大洪水と申候事之よし
《割書:やう〳〵今日抔|みん〳〵鳴》
廿二日 朝丑子風冷気曇り四半過より少々む
《割書:七十三度|九時七十八度》し九ッ時よりてり立終日天気
 江戸六月十六日出   六月八日出
 《割書:一古領米|一南郷米》〆六斗壱升   《割書:一古領米|一南郷米》〆六斗二升
 《割書:一町 米  六斗四五升|一糯 米  七斗弐三升》   《割書:一町 米  六斗五七升|一糯 米  六斗九升》
 《割書:一水戸大豆 九斗一弐升|一同 小豆 八斗   》   《割書:一水戸大豆 八斗八九升|一同 小豆 七斗八升 》
 《割書:一高浜大豆 九斗三升 |一水戸小豆 七斗八九升》   《割書:一高浜大豆 九斗壱升 |一水戸小豆 七斗六七升》

 《割書:一 大 麦 弐石三四升|一 小 麦 壱 石壱斗》     《割書:一 大 麦 弐 石 六斗|一 小 麦 石壱斗弐三升》
 《割書:一 菜 種 六斗八九升|一 黒故广【胡麻】 六斗七八 升》    《割書:一 菜 種 六斗八升|一 黒故广【胡麻】m 六斗四 升》
 《割書:一 白故广【胡麻】 五斗 一升| 》     《割書:一 白故广【胡麻】 五斗 弐升| 》
 一仙台廻米  六斗(四五五入)八升  一仙台廻米  七斗(四五五入)弐升
              《割書:昨七日仙台抔別領石|七月渡申候御払  》
 《割書:一当時油之儀も先達ゟ|品沢山ニ而大ニ下落之所》     《割書:廻米三千三百俵|八斗壱升八合ゟ》
 《割書:一両日ハ少々気配宜|則左ニ      》       《割書:八斗三升八合迄| 

 《割書:囲坂水 廿六両弐朱|種 水 廿五両弐朱》       三 白
 《割書:故广【胡麻】水 廿九両三分|荏 水 三十弐 両》      《割書:一改八反五リン|一銘九反五リン》
 《割書:種 粕本 十枚五六分|故广【胡麻】粕  拾枚三分》     《割書:一造十反五分| 》 
 《割書:荏 粕  拾弐 枚| 》
               名 白
                五ばん
 《割書: 銭六〆七百文|大坂八日出》        《割書:平野|浜嶋》〆七反四分上下六分開
 《割書:    四百拾九匁 |  金七拾壱匁五分》      《割書:ひしや七反弐分入右同断|みの勘七反弐分 右同断》
 《割書:此先兎角不順冷気 |米之儀追々引立候處》       《割書:磯貝 七反三分入 右同断| 》
 《割書:昨今順気立直り且下り|米相応ニ持込居候日々》      《割書:手拭類| 当春ゟ弐分高》
 《割書:諸家抔御払有之候旁 |壱弐升方引緩申候此後》      《割書: 旧冬ゟ五分高| 》
 《割書:如何哉頭上次第之高 |下よろしく御欠引可被》      《割書:いせさらし   |祐所当春ゟ五分高》
 《割書:下候餅米大小豆不人気新|小麦手堅持合申候先ハ右》     《割書:     品なり|頭所同弐分高   》
 《割書:申上度如此御座候以上| 六月十八日山崎ヤ 》       《割書:     少々品有》
 《割書:        喜助》
 《割書:三州くりわた五月中八十五両|迄ニ相成候所此節節百十五両位》   《割書:くりわた追々引上 |     方壱両ニ》
              《割書:弐〆弐三百目   》  

《割書: |袷着用》
廿三日 朝曇丑寅【見せ消ち「子」】風にて冷気四ッ過よりてり
《割書:朝七十度|十七日御老中》立九時より又々くもる終日丑寅【見せ消ち「子」】風に
《割書:阿部伊勢守|相果候よし》 て冷気七ッ時より袷着用いたし居候
《割書:白米五斗八升|ニ而御町備穀》 夜中快晴也
《割書:買入候よし》
廿四日 朝より快晴四ッ過よりむら雲折々快
《割書:朝七十一度|九ッ過七十五度》晴ニ候得共丑寅【見せ消ち「子」】の風にて冷気なり夕
《割書:夜半ハ| 袷着用》  方風止
《割書: |才田塩湊入津拾三俵八分》
廿五日 朝より快晴五ッ過より雲殊之外もめ
《割書:九過七十五度|夜半ハ袷着》丑寅【見せ消ち「子」】より少々東の風ふく終日天気ニ
《割書:茂木辺|玄米七斗二升ニ而》而夜中ハくもりなしニ而冷気袷着用
《割書:売人なし|鰹壱本》
《割書: 百五十文位》
廿六日 朝もや快晴ひさしふりにて本気候之
《割書:朝六十九度|袷着用》 様に快晴ニハ候得とも【見せ消ち「共」】冷気四ッ過
《割書:籾弐斗六七升》より丑寅【見せ消ち「子」】風にてむら雲夜ニ入曇
 当月十八日方会津城下
 玄米壱石弐斗     会津ハ土用前ゟ
 同所御藏入同断    続而大暑之由御
            藏入丸屋彌三次
            手代之者咄有之候
廿七日 朝薄曇五ッ時より薄てりにて冷気四
《割書:朝六十八度|玄米六斗三四升》ッ過より快晴暑気ニ成夜ニ入五ッ時
《割書:昼八十五度|》

    俄雨ふる直快晴又々夜ふけばら〳〵
    雨直やむ
廿八日 朝むら雲北の方夕立もやうあり此辺
《割書:朝七十五度|府中今日相場》 ハ照立居候所處四ッ過より雷雨壱時は
《割書:玄米五斗九升|小麦石五升》 かりにて止ハ九ッ半時止冷気夫よ
《割書:当月廿三日上境|井辺より土浦北》 り晴むら雲夜ニ入五ッ時より俄ニ大
《割書:条辺大雷雨に|て所々え雷落》 雨にて水をまけるがことし一時半ほ
《割書:北条にて死人壱人|筑波根にて壱人》 とにて雨止
《割書:有之候由》
廿九日 朝快晴丑寅より北の方ニ黒きねた雲
《割書:七十度|昼時七十六度》 あり五ッ過より薄くもり冷気四時快
    晴夕方より又々くもる
 江戸表追々引上町米五斗五升迄ニ相成候處
 穀屋山崎喜助等三人御手入ニ相成候處三軒
 ニ而十万ほともかこひもの出候ニ付俄ニ六
 斗四升五升と成ル
 白川辺水戸へ入穀御免ニ相成不申内ハ金拾
 【打ち消し「雨」か】両ニ四斗四升入弐拾八俵位ニ而候所入穀御
 免ニ相成追々水戸より買入参り候ニ付弐拾
 五俵ニ成夫ゟ追々引上共廿四俵廿弐俵と飛
 直又弐十俵ゟ拾七俵と成拾六俵ゟ当時拾五

 俵ニ相成売人無之よししかし品ハ夫々所持
 いたし居候様子此節ニ而も拾四俵半なれハ
 八九百俵位ハ売候而も宜と申もの有之候由
 右直段なれは当地引付五斗弐三升位上り候
 由
晦 日 朝くもりむしあつし四ッ半時より快
《割書:七十四度|九時七十六度》晴終日南もやうにて残暑すこしあり
 当月廿四日より数の子難船もの売ニ参り取
 初ハ壱升百文位夫より段々沢山ニ売人参り
 壱升三十弐文廿八文位ニ相成家ことに下直
 故買入たべ候所たべさへすれハ直とあたり
 大ニくるしみ吐瀉有之上下御町ニ而わつら
 い不申候ものハ誠ニまれ位ニ候其内ニも吉
 沼にて壱人台町ニ而壱人青柳にて壱人根本
 辺にて壱人死候よし追々承り候へハ府【見せ消ち「時」】中
 辺土浦笠間其外所々へ参りいつれもあたり
 候よし皆四五日位ツゝわつらい申候用心可
 致候
 数の子ハ産前後とも常にも不宜候由婦人ハ
 別而心得可【見せ消ち「致」】申候

 六月廿八日        三 川白
 《割書:古領米|南郷米》〆六斗二升   銘七反五分
 《割書:町  米 六斗五六升|糯  米 七斗五 升》   くりわた百拾五匁
 《割書:水戸大豆 九斗弐三升|同 小豆 八斗四五升》
 《割書:高浜大豆 九斗三四升|水戸小豆 八   斗》
 《割書:新 大麦 弐石壱弐斗【見せ消ち「升」】|〃 小麦 石 壱 斗》
 《割書:菜 種 七  斗|黒故广【胡麻】 六斗七升》
 《割書:白故广【胡麻】 五斗弐升》
 仙台廻米 六斗八(四五五入)升

    七  月
《割書: |辰》
朔 日 朝きりふる五ッ時ほ【見せ消ち「は」】ろ〳〵雨直ニや
《割書:朝七十七度|昼時八十三度》 む残暑九ッ半時俄雨直ニ止又々八ッ
    時俄雨直止てり立暑気夜中も四ッ過
    雨ふり南風
二 日 朝より快晴九【見せ消ち「五」】ッ時ゟむら雲暑気南風
《割書:朝七十八度|昼八十六度》 村雨折々夕方より南風つよし夜中む
    ら雨
三 日 朝より曇小雨折々てり立九ッ時迄南
《割書:朝七十六度|八十三度》 風つよし八ッ時ゟくもる夜中殊之外

    快晴暑気
《割書: |七月中》
四 日 朝くもり折々てり立むら雲暑気終日
《割書:朝八十度|昼八十七度》 快晴暑気也今日抔ハ本気候なり
《割書:八時八十八度》
五 日 朝くもり五ッ過よりてり立暑気つよ
《割書:朝七十六度|昼八十八度》 し漸々雨三日本気候なり
六 日 朝くもり五ッ時よりてり立むら雲暑
《割書:昼八十七度》 気南風つよし夕方風止
 昨夜九ッ時常葉川岸通り根本中程ニ而男二
 十六七女三十一弐位川越藩中之嫁女召遣の
 中間と不義有之当四月中立退根本ニ住居致
 居候處両人を川越より尋参り首を切おとし
 候よし
七 日 朝より快晴四時ゟ南風強吹夕方止夜
《割書:朝八十度》 ニ入又々南風吹出終夜南風つよし
八 日 朝くもり東の方雲あかし南風吹暑気
《割書:朝七十八度》 九ッ半時より雨降出し丑寅の風にな
    り俄ニ冷気八ッ過よりお大雨つよし
    夜中迄雨風つよし
 京都大雷六月廿日
  一さわら木町釜座青物方  一仏光寺岩上

    《割書:怪我人 八人|死 人 三人》     《割書:怪我人 三人|死 人 弐人》
  一山角あたし町  一室町三条下ル
    《割書:死人 三人》      《割書:怪我人 三人》
  右之趣京都表ゟ申来候以上
   六月廿九日    《割書:和泉屋|  勘兵衛》
  《割書:土浦様|  御下目付》
     御役人様中
九 日 朝くもり丑寅風にて冷気折々てり立
《割書:袷わた入|着用》 曇晴不定丑寅の風終日つよし袷わた
《割書:籾三斗ゟ|三斗弐三升》 入着用夜中【見せ消ち「残」】殊之外晴風は四【見せ消ち「なし」】ッ時止
十 日 朝より快晴五ッ時ゟ丑寅風吹冷気終
《割書:六十八度|袷わた入》 日風つよし夜中殊之外晴風なし
十一日 朝より丑寅風九ッ過ゟ少々冷気ぬけ
《割書:六十八度|地わた去年もの》 る終日風なし夜中よく晴
《割書:両弐〆弐百目|上弐〆目位迄》
十二日 朝より薄くもり少々暑終日くもり空
《割書:六十七度|昼後七十三度》 也折々ちら〳〵雨七ッ半過より俄ニ
    雨ふり夜ニ入快晴
十三日 朝より快晴少々暑気ニなる四ッ過よ
《割書:朝七十三度|二百十日》 りむら雲夕方より曇むしあつし至極
《割書:当月朔日|大坂兵庫辺》 穏のあれ日なり夜五ッ時地震ゆる
《割書:大荒のよし》

十四日 朝よりくもりあつし四ッ時より雨ふ
《割書:朝七十七度》 り直やむ終日くもり夜ハ殊之外
十五日 朝もやふる五ッ過より快晴あつし明
《割書:朝七十八度|少々気候も》 方地震四ッ過より雨直やむ八ッ半過
《割書:直り候ニ付籾|も少々ゆるみ》 雨直止夜中ハ快晴四ッ半過曇残暑つ
《割書:上弐斗八九升|より三斗迄》 よし
《割書:もち籾三斗|四五升》
《割書:茂木辺六斗|七八升之由》
十六日 朝より快晴五ッ時曇直ニ快晴暑気強
《割書:朝八十度|八ッ時八十七度》 終日上快晴ニ而夜中くもり
《割書:鰹漁事|続而沢山》武州川越松平大和守様
         御家老
            沼田杢
            長臣
      《割書:高玄米ニ而|   八十石取》  桑村藤衛門
               《割書:年三十五》
 廿一日帰参相済     中小姓
 川越へ引取ニ成ル     平田欽内
               《割書:年廿八》
             藤衛門妻
                よ し
               《割書:年三十壱》
 右去ル五日四ッ半時分根本坪清十宅座敷ニ
 借宅致候川越浪士平川新左衛門并ニ連立候
 女とも打果即刻其支配御役所へ相届ヶ出役

 ニハ酒葉壮三郎鹿志村準蔵并ニ御山横目遠
 部彌兵次出席ニ而御調之上常葉へ御預りニ
 相成候宿谷中八百屋卯兵衛宅
 十二日御筋ゟ麻帷子并下着迄被下置候
   右平田欽内事水戸へ参り候而ハ平川新
   左衛門と改名致居候事
十七日 朝より快晴暑気つよし
《割書:朝七十九度|八ッ時八十五度》
 越後十日町辺此節引玄米四斗四升入壱俵ニ
 付金壱分弐朱位
十八日 朝くもる四ッ時位より照立快晴終日
《割書:朝七十八度》 夜中迄晴
十九日 朝より快晴暑気つよし終日上天気ニ
    而夕方くもる五ッ【見せ消ち「晴」】より晴れ
廿 日 朝より快晴暑気
《割書:八月節》
廿一日 朝より快晴暑気つよし夕方より涼し
《割書:七十七度|昼八十八度》
廿二日 朝より曇り五ッ半時よりちら〳〵雨
《割書:七十五度》 ふり終日同断模様北模様にて冷気夕
《割書:大宮辺|籾三斗二升ゟ》方より雨降出南風になり終夜雨風強
《割書: 四斗位迄| ニ引下ル》 明方雨風とも止

《割書: |弐百廿日》
廿三日 明方雨止南風吹五ッ時ちら〳〵雨直
《割書:朝七十七度|茂木米》 止夕方迄南風つよし折々曇晴暑し夕
《割書:六斗五升》 方風止
廿四日 朝くもる五時ちら〳〵雨ふる直ニ止
《割書:朝七十五度》 七ッ時より雷雨夕方止夜四ッ過ゟ大
    雨冷気ニなる
廿五日 朝よりくもり冷気也九ッ過より南も
《割書:朝七十度》 やうニなり快晴残暑
廿六日 朝むら雲五ッ時より快晴終日くもり
《割書:朝七十二度》 空にて夜中稲光あり九ッ過より大雨
    降
 前大納言様当廿三日平川口より御登 城被
 為遊御内願之通海防御免
 御手自御指の御脇指御拝領被為遊今日同番
 御年寄衆大場彌左衞門殿へ御祝儀ニ出ル
廿七日 朝より快晴【見せ消ち「秋冷」】ひや〳〵終日快晴
《割書:六十九度》
廿八日 朝より快晴秋冷水霜にても降候位終
《割書:終日|六十八度》 日快晴
廿九日 朝くもり冷気終日同様もやうにて冷
《割書:六十四度》 気夕方より雨降五ッ時ゟ大雨八ッ時

    地震南風つよし
 《割書:太田辺|古籾上三斗四五升》
 《割書:岩城平辺昨年は玄米九斗四五升引下ル》
 中【見せ消ち「島」】妻辺より新籾出ル此節上ものにて三斗
 三升当年ハ実入至極宜く申候
 三川白木綿此節大引上ル
  《割書:改  七反九分五厘  雲井晒  九反弐分|銘  八反八分五厘  玉川晒  九反三分》
 当月廿四五日方下田えアメリカ十一弐艘も
 渡来いたし江戸へ登城いたし候と申候よし
 御家にても一ノ先キえは急変之手当御内達
 有之よし
    八  月
《割書: |つちへの酉》
朔 日 宵八ッ時地震後雨風強南にて折々落
《割書:朝七十七度|八時八十八度》 し風あり荒のもやうにて朝五ッ【一文字加筆「半」】時迄
《割書:日そく|京都にては見へす》 雨風つよし四ッ時風雨とも止四ッ半
《割書:西国にては食一分|にみたす昼九時》 時より至極快晴ニなる残暑強土用中
《割書:九分下の右より|かけ初八ッ時一分》 のことし夜中も寐かねしほとなり
《割書:下の方ニはなはた|しく八時三分下ニ》
《割書:下の左におはる》
二 日 朝より快晴残暑五ッ時むら雲昼後よ
《割書:朝七十四度|九ッ過七十八度》 り涼しくなる
《割書: |ひがん入》
三 日 朝より快晴ひや〳〵終日天気快晴夜
《割書:朝六十一度|昼七十五度》 中九ッ過雨少しふる
《割書:今夕方祇園寺ニ|おゐて本石寺町》
《割書:三浦と申入総領助市桜町小林勝次朗次男酒興之上三浦を打果出奔》

四 日 朝くもり冷気八ッ過より折々小雨少
《割書:朝六十五度|昼六十八度》 し雷もやう夜四ッ時快晴
             大庭ゟ借写
 前中納言様海防御用等之儀追々御免御願被
 遊候所去ル廿二日御登城
 御対顔之儀被
 仰進候ニ付同廿三日平川口ゟ御登城被遊候
 所於
 御座之間
 御対顔被為
 在御内願之趣無御拠筋ニ被思召海岸防禦并
 御軍制御改正等之儀
 御免被 仰出
 御懇之
 上意を以
 御手自 御指御脇指 御拝領被遊於御扣所
 も御老中御使
 御懇之
 上意被為 在御酒御吸物御菓子御茶迄被進
 候此段奉承知支配々々えも可被相達事

 前中納言様海【見せ消ち「防」】岸防禦筋等御用
 御免被遊候旨被 仰出候付御支配中御文庫
 役列以上之族は麻上下着用月番年寄衆御宅
 へ参上
 中納言様
 前中納言様え御祝儀申上【打ち消し「被」】候様可被相達事
 一梅御殿様是迄御飼被遊候御鷹三許□四も
 と去ル廿六日不残御放ニ相成同廿七日御用
 ニ而御鷹匠頭高久彦大夫初メ御鷹方不残御
 国勝手被 仰付候
 一去ル廿二日芝
 御霊屋付の御坊主より
 梅御殿様えアメリカニ而登城相済候由を申
 上被候處それはよい事御台場も大船もいら
 なんだと御意被遊候よしニ御座候
 一廿二日大雨江戸川中ノ橋落申候
 一市ヶ谷田町壱丁目自身番并髪結所御堀之
 中へ流れ出居抜ニそつくりと流され申候根
 津辺の金魚問屋溜池の魚不残流され申候上
 野根岸辺ニ而も宮様御家人等六七軒倒申候

 よし明八朔無事ニ仕度奉存候以上
 豆州下田表ニ在留之亜墨利加官吏事彼国大
 統領国ゟ之書翰持参致江戸へ罷出可指出旨
 大統領国ゟ被申付候ニ付江戸出府之儀強而
 申立候間追々下田奉行ゟ及応【見せ消ち「接」】対候處和親
 之国ニ候て国王ゟ書翰持参之節其都府へ罷
 出帝王へ拝謁差出候儀世界普通之所計之趣
 申聞候追々世界之形勢変革及候ニ付而ハ於
 御国も寛永以来外国御取扱向之御制度御改
 無之候而ハ相成間敷亜墨利加は条約も相済
 和親之国ニも相成候儀ニ付右官吏事此節江
 戸参上候儀御指許有之登
 城
 御目見をも可被 仰付
 思召ニ付此段先御内意可申達旨被 仰出候
 事
 右八月二日江戸ゟ申来ル
御 筆
 同家中ニ而も家老番頭ハ人々目当ニ相来【見せ消ち「成」】候
 身分故行跡を慎【見せ消ち「慥」】候儀ハ勿論文武も修行可致

 筈ニ候【見せ消ち「處」】所近来は何れも出精且諸士一和之
 趣ニ相聞欣然之至ニ候此上共国家を大切ニ
 相心得文武を以人を励し不慮之節破を取不
 申候様致度夷狄之情実も不容易候間一廉厚
 心を用候様可致候依而申聞候也
  七月廿四日
       水戸
           家 老 《割書: |へ》
           番 頭
五 日 明より雨ふり冷気五ッ時より雨止雷
《割書:朝六十四度》 東の方ニ而なる終日くもり空なり夜
    中快晴
《割書: |ひかん中日》
六 日 朝より快晴冷気四ッ時よりくもる九
《割書:朝六十二度|九ッ過六十九度》 ッ過ゟ快晴なる夜五ッ時夕立もやう
    雷なる雨なし直やむ
七 日 朝より薄てりむら雲七ッ半時過より
《割書:六十五度》 雨降夜中雨ふる
八 日 朝曇る五ッ過より晴終日天気なる
《割書:初茸出ル 今日分家次兵衛御町年寄並次座家格被仰付候》
九 日 朝水霜にても降候也ひや〳〵いたし
《割書:今日竹応|里見猶之丞殿》 快晴終日天気夕方西北の方くもり朝

《割書:御町奉行被|仰付候》 九ッ前地震昼九ッ時地震
十 日 朝昨日同様にて冷気快晴
《割書:朝六十三度》
  《割書: |阿部の紋》   《割書: |牧野の紋》
  丸たどん消て奴の寒くなり
  《割書: |阿部の紋》     《割書: |石河土佐守の紋》
  鷹羽の落て羽をのす向ひ鶴
   《割書:土佐守阿部にやられ一橋付ニ成居候所阿部|病気なをり不申候と見極メ直ニ御側ニ出ル》
  橋端迄行ぬ藤吉花川戸
   《割書:鈴木藤吉郎と申町人公儀ニ而御用ひ|与力上座潤澤懸りと先達被仰付候》
十一日 朝より薄くもり冷気四時過より快晴
《割書:六十四度》 夜中くもる
《割書: |庚申》
十二日 朝よりくもる秋冷気終日くもり空にて
《割書:六十五度》 夜中も同断
   安政四巳八月十日評定所御用
    揚り屋入     友部八五郎
             加藤木左内衛門
    《割書: |五人扶持蟄居》    尾羽平蔵
    三人抶【「扶」の誤字と思われる】持小普請   同権之允
    親慎中慎     友部八太郎
    閉 門

    小普請組        宮田三郎助
    御預ケ御免親え御預ケ  同 介太郎
    右同断         上 平兵衛
                同 彦四郎
    逼 塞         岡部為三郎
    揚り屋入        立花源六
                立原傳重
    郷士召放        星小野衛門
    居村慎         小室平次兵衛
                北條斧四郎
    《割書:格式召放|百性【姓?】え御返し》     薄井宗休
    隠 居         飯村清三
                岡山次郎衛門
    十三ヶ国御搆      白石角之介
    其外御老中       安 昇之介
    《割書:始重御役人領分|搆》   藤田夘之吉
      追 放       安庄五兵衛
                松平殿家来
    村預ケ          喜代三郎
 御郡奉行中

 一鷲子村宗休等此度 御所置在【一文字加筆「之」】候者共家人
  財之内御役付之品ニハ早々相改引上可被
  指出候
 一鷲子村友衛門土左衛門宗七高部村次郎左
  衛門何れも震災并異船渡来ニ付致献金候
  分ハ追々相下候条其旨当人共え可被相達
  候事
 一先達而致欠所候藤衛門等所持書類之内金
  銭出入帳并証拠手形等之類ハ当人々え相
  下ケ可申事
 昨辰春中谷田部藤七郎等え相抱り候義ニ而
 其役所手切ニ先々申付置候者共此度藤七郎
 始抱り人数当申付候ニ付而ハ右所置方進達
 可被取計事
 一《割書:江戸水戸御構|御追放》     《割書:額田村| 百姓》登市郎
 右之通被仰付候間受取之御支配人足召連明
 十一日明方六ッ時牢屋敷え罷出囚人受取参
 り御追放取計之様御達之事
    八月十一日     谷田部藤七郎
    於牢屋敷ニ     大峯惣左衛門

    斬 罪       同 庄藏
            《割書: |松平殿家来》
    江水御構追放    佐藤鉄五郎
    御預御免    《割書:同》 柳下啓介
            《割書: |一萬丸事》
    永 牢       結城伊之介
    同         根本新八郎
    同         白石平重
    同         大澤常衛門
    同         平尾右近
           大子村郷士
    百姓へ御返し   益子民部左衛門
    村預慎       弟 勘 介
    百姓へ御返し    薄井友衛門
    同         同 土左衛門
    居村慎       同 宗 七
            《割書: |松平殿家来》
    江水御構追放     半左衛門
    出牢之上呵追放  萱手次兵衛
    江水追放     牢手木 四人

             《割書: |結城元家来》
    同          鉄之介
             友部八五郎
             加藤木佐内衛門
 其方共御用有之揚り屋入被 仰付もの也
 一           尾羽平蔵
 其方儀常々心得不宜結城寅寿へ相組し追々
 不相済所行有之趣相聞候處右党与之儀ニ付
 而ハ相達候様も有之候得共不相用旁不束之
 至之至ニ付御糺明之上被 仰付様雖有之御
 容赦を以御役御知行被召上五人扶持被下置
 蟄居被仰付もの也
 一           立花源六
 其方儀常々心得不宜結城寅寿へ致党与追々
 不相済所行有之趣相聞候處右党与之儀ニ付
 而ハ追々相達置候様も有之候處不相用段不
 束之至ニ付旁御糺明之上被 仰付様雖有之
 御容赦被遊御役御切ニ付被召上四人扶持被
 下置小普請組へ御入被遊候条遠慮仕可罷在
 もの也

 一           宮田三郎助
             同 助太郎
 忰介太郎儀常々心得不宜結城寅寿へ致党与
 不相済所行有之候而已ならす谷田部藤七郎
 家来と称兼而剣術師弟之契約致居候上州之
 悪党友五郎ヲ囲ひ置候ニ付去ル寅年七月十
 日召捕之者指向候節藤七郎一同捕方之者ヲ
 相支え置【見せ消ち「藤」】友五郎え示合両刀を為帯路用を
 与え裏口より町家之境ヲ越白昼為逃【見せ消ち「逃」】去候始
 末其砌藤七郎申合強情申張取包居候處御糺
 明之上ニハ恐入候旨申之立候處奸悪之者へ
 相与し候上 上を蔑いたし候所行不届之至
 ニ有之候条申付様も雖有之御容赦被遊御役
 御扶持給召上其方へ御預被遊候畢竟教戒未
 熟故之儀と不調法之至ニ付御役御免小普請
 組へ御入被遊候条屹度心ヲ付為相慎置可申
 もの也
 一           上 平兵衛
             同 彦四郎
 忰彦四郎儀常々心得不宜去々卯十二月中実

 兄谷田部藤七郎大峯庄藏兼而相功候處之奸
 計を可成遂と相企致出奔【一文字訂正?】其後実兄大峯庄左
 衛門宅え庄藏を為相忍置之節も度々及面会
 候段庄左衛門庄藏糺明之上ニは一々及白状
 候處右前後之始末兄弟とも同意ニ而取包居
 候段不届之至ニ付御糺明之上被 仰付様雖
 有之御容赦ヲ以其方へ御預被遊候畢竟教戒
 未熟故之儀と不調法之至ニ付御役御免小普
 請組へ御入被遊候条屹度心を付為慎置可申
 もの也
 一           友部八太郎
 弟八五郎不届之儀有之其方へ御預ケ被遊候
 ニ付先達而御示之儀有之候處猶又此度被
 仰出候様有之候付而ハ別而教戒未熟故之儀
 と重々不調法之至ニ付閉門被 仰付もの也
 一           岡部為三郎
 実弟立花源六加藤木佐内衛門不届之儀有之
 此度夫々御咎被 仰付候處御家中党与之儀
 ニ付追々相達置候様有之候へ共不相用候之
 段畢竟教誡未熟故之儀と不調法之至ニ付逼

 塞被 仰付もの也
 一           尾羽権之允
 父平藏儀不調法之儀有之蟄居被 仰付候ニ
 付而ハ御役御切ニ付被召上三人扶持被下置
 小普請組へ御入被遊もの也
   《割書:但父慎中相慎可罷在候》
 一           梅原八郎兵衛
 御用之儀有之候付揚り屋え被遣もの也
             谷田部【見せ消ち「辺」】藤七郎
   斬罪        大峯庄左衛門
             同 庄  藏
             平尾右近
             結城伊之助
   永牢        根本新八
             加藤木左内衛門
             友部八五郎
             梅原八郎兵衛
            《割書: |大宮》
             立原傳重
            《割書: |馬頭》
   郷士召放      星小野衛門

   居村慎       下檜澤
              小室平次衛門
             馬頭
              北條斧四郎
   格式召放百姓ニ   鳥子
       御返     薄井 宗休
            御郡方
             手代見習
   御国御構       安昇之介
   追放         藤田卯之吉
             北町付
   郷士御休       飯村清三
             高部
              岡山次兵衛門
   格式御合力引上   小中
   呵押込        佐川民三郎
            松平殿家来
   村預          喜代三郎
 一           《割書:手代》
              白石要介
 右之者谷田部藤七郎へ相囲ミ不束之所行有

 之趣相聞候二付江戸水戸相構追放申付候条
 重而御構之地へお立入者厳重申付旨被 仰
 渡候もの也
            鳥子
   百姓え御返し    友 衛 門
             七左衛門
             惣  七
            馬頭
   居村慎       斧 四 郎
            大子
             民部左衛門
             勘   介
           新五兵衛事
   所々御構      英 八 郎
      追放   佐五屋
             鉄   藏
           額田村
   江戸御構      登 一 郎
             半左衛門
           浪 人

   永牢        白石平十郎
   出牢之上   川和田横町加やて
   呵 押 込    次 兵 衛
           牢番
            松   藏
   江戸御構     重   藏
            庄   八
            喜 兵 衛
          伊之介家来
   永牢       恒(大澤) 衛 門
          長倉家来
   江戸御構     佐藤鉄太郎
   預ケ置候所  松平家来
   免 許      柳下 啓助
   壱人分召上ル
   弐人扶持如元   松本金之介
      《割書:小普請》
十三日 朝より曇冷気八ッ時より雨ふり夜中
《割書:朝六十三度》 止
十四日 朝より快晴むら雲冷気
《割書:雨三日アメリカ船無沙汰ニ不残出帆いたし候よし如何之わけか御心配之よし》

十五日 朝むら雲寒冷終日同断持合居候七ッ
《割書:朝六十度|昼六十九度》 過より雨降出終夜雨ふる
十六日 朝より小雨降冷気四時止終日曇空に
《割書:朝六十三度》 て持合夜中晴
十七日 朝よりくもり九ッ半時より晴南風夜
《割書:朝六十四度》 五ッ時迄つよし夜中快晴ニなる
十八日 朝より快晴暖気九ッ時よりむら雲七
《割書:朝六十二度》 ッ時過より雨降夜中も雨ふり
十九日 朝よりくもる西風五ッ時より丑寅の
《割書:朝六十度|昼六十四度》 風冷気終日持合夜八ッ過より雨降出
    し
廿 日 宵より雨ふり冷気終日雨降夜中雨つ
《割書:朝五十九度》 よし
廿一日 宵より雨つよし北もやう五ッ過より
《割書:朝六十七度》 雷雨にて雨つよし九ッ時より快晴ニ
    成ル
廿二日 朝より快晴水霜にても降候や寒し終
    日上天気
廿三日 朝くもりさむし五時より快晴
《割書:五十一度》
廿四日 朝水霜ふる寒冷也快晴夜中も晴夜八
《割書:五十三度》

    ッ過より雨降
 江戸市中え御触出之写
 豆州下田表在留之亜墨利加官吏儀国書持参
 江戸参上之儀相願候處右ハ寛永以前英吉利
 人等度々御目見え被 仰付候先蹤も有之但
 条約為取替相済候国々使節ハ都府え罷越候
 儀万国普通常例之趣ニ付近々当地え被 召
 寄登 城拝礼被 仰付との御沙汰ニ付此段
 為心得相達候
 右之趣向々え可被達候
  八月十八日      町年寄
              役所
 雨三日以前湊釈迦町髪結床え湊中ノ髪結五
 人程ニ而夜中持込釈迦町之髪結夫婦を殺害
 いたし其場より五人とも立退候よし其外其
 場ニ居合候もの一人よほと手つきを受候よ
 し
廿五日 宵より雨ふる冷気北風なり終日雨降
《割書:今日亜墨利加一条|御筆拝見 被仰付候》夜中も雨ます〳〵つよし
廿六日 明方止寒冷折々てり立終日くもり空

    にて持合夜中ハ殊之外晴
廿七日 朝むら雲寒冷終日天気
《割書:五十四度》
廿八日 朝より快晴寒冷七ッ時より夕立模様
《割書:五十四度》 にて夜降夜中快晴
廿九日 朝よりくもり四ッ時ゟてり立むら雲
    少し暖也
 五徳より借写
 一亜墨利加登城願之通相済候旨去十四日御
  達書付出申候義ニ付当月ハ因州鳥取公月
  番ニ付国主中御寄合有之亜墨利加登城之
  儀御達之通承知仕候へとも
  禁帝御伺之上ニ御座候哉と国主中より突
  込候處御老中衆より今に其答無御座候と
  沙汰ニ御座候
 一鍋島公十ヶ年之間帰国暇願出候沙汰ニ御
  座候
 一禁帝并関白様御強御不承知之御沙汰ニ御
  座候
 一何事ニ御座候哉近々日野大納言様為 勅
  使下向と御沙汰ニ御座候

 一亜墨利加登
  城之節休泊場所品川辺大寺へ被仰付候所
  唐人共ニ而寺ハいや〳〵と申さたニ御座
  候
 一七月廿八日
  梅御殿様御登
  城之節并伊へ御逢被遊度被仰候所御部屋
  へ不罷出逃去り候沙汰ニ御座候
 一鍋島公因許之義是迄海防手当台場等厳重
  出来尤右ニ付窮迫候由然ル所先達而国主
  中寄合之節貴殿義ハ御国許海岸御手当厚
  御出来御物入之所上ニ而も被聞召御察有
  之候而御褒美御頂戴無陰所ニ候間入郡之
  義先つ貴殿ゟ御願御指【見せ消ち「持」】出候間可然相済候
  へハ其上ニ而又々我々共御暇願指出可申
  との相談之よし
 一鍋島公願ふりハ私義国許海防手当台場等
  出来別而困窮仕候百【見せ消ち「間」】性【姓?】町人迄及窮迫候付
  アメリカ登城御済ニ相成候得ハ泰平ニ御
  座候間御暇奉願国元取直し方手段仕度依

  十ヶ年之年御暇奉願度由申出候趣
  公辺へ当り候次第ニ而は無之由の沙汰ニ
  御座候
 一堀田公持病気ニ而折〳〵引込之沙汰ニ御
  座候
  右江戸御坊主ゟ由聞候由
 江戸表
 本才田塩札壱俵五分
  是は当廿日ゟ追々入来昨日迄ニ八九盃程
  入津いたし候ニ付下落之由
 赤穂六俵三分
  是ハ入津無之候而右様引上居候由塩場に
  残先達中潰れ候ニ付追々高直のよし
 紅花追々引上ケ
  水戸五十五六両買入之分此節六十七八両
  ゟ七十両位ニ而売候よし
 綿追々引上ケ
  此度三州早飛脚【見せ消ち「綿」】三日限りニ而一昨廿五日
  江戸着三州国相庭百廿八匁と申参り是迄
  ゟ拾五匁直上ケ致候ニ付三日限り之飛脚

  三州より着出候よし三州一夜之内ニ右之
  通十五匁直上ヶ致地綿壱〆八百五十目ゟ
  壱〆八百目古綿ハ弐〆百ゟ弐弐位売買致
  候よし
 蝋三四十年以来之下落
  旧冬ゟ当春迄弐〆三四百目位之相庭之所
  此節四〆目より四三位迄近年稀なる下落
  之よし
 米
  日本橋近三丁吹〈松抔ニ而買入候相庭玄米
  五斗九升ゟ六〇上米ニも【見せ消ち「之無」】御座仙台御払米
  此節米なし
 右八月廿七日江戸ゟ申来ル
晦 日 朝より曇寒冷五ッ過よりてり立八ッ
《割書:朝四十八度》 時よりくもり夜中晴
 桐生辺 玄米五斗八九升
 下館辺  玄(新)米六斗八九升

    九  月
朔 日 朝より快晴終日上天気夜中曇
《割書:朝五十度》

二 日 朝より快晴寒冷八ッ時より雷雨一時
《割書:朝五十六度》 程にて止夜中晴
三 日 朝より快晴寒冷八ッ【見せ消ち「時」】半時より雨ふ
《割書:朝五十二度》 り夜中雨つよし
四 日 明方迄雨ふり五ッ時より雨やむ四ッ
《割書:此節ゟ入穀御構留|大豆之外雑穀他》時ゟ至極快晴八ッ過よりくもり暮六
《割書:所出御免他所ニ而|買入置候米引取》ッ時ゟ雨降出し雷雨雷ハ直止雨ハつ
《割書:分御願之上日数廿|日限り引取之様》よし
《割書:御達有之事》
五 日 朝より快晴終日天気なり
《割書:朝五十四度》
  当巳年諸国作割
   五機内  五分八厘九毛
   東山道
   東海道  六分八厘
   関八州  六分
   北陸道  五分九厘五毛
   山陽道  六分四厘
   西海道  六分三厘七
   奥 州  五分七厘六
   羽 州  五分七厘八
   〆平均五分九厘

   大豆石弐三升之所なれハ好之由
  内壬月并引合喰込指引中相庭見積り七斗
  前後
 右之通御座候へハ関八州之所此上見越通ニ
 成候様申事ニ御座候猶御代官并諸家様作割
 出来申候ハゝ御案内可申上当時江戸相庭上
 六斗中六斗三升下六斗八升
六 日 朝より快晴寒冷終日天気七ッ時地震
《割書:四十九度|新籾三斗弐三升》 夜ニ入くもる八ッ過より雨
《割書:入穀御差留》
七 日 明七ッ時地震七ッ前ゟ雨ふる七ッ半
《割書:五十六度》 過より雨止
八 日 朝より快晴寒冷終日天気よし夕方よ
《割書:四十八度|日光山雪見ゆる》 りむら雲
九 日 明方小雨直止四ッ過より天気になる
《割書:五十四度》
十 日 朝より快晴終日天気にてあつしよる夜ニ
《割書:五十四度|大豆石一斗四五升》入四ッ半時俄ニ大雨もやう直ニ快
《割書:新籾三斗四五升|白故广【胡麻】七斗四五升》晴ニ成ル
《割書:麦米壱石》
十一日 朝より快晴終日天気
十二日 霜ふるさむしむら雲終日天気よし
    備中国住    堀田

   備前の直丹に出来し春江物
   出直し故に切れぬ評判
    伊勢国住    阿部
   村正ハ天下の仇【仇の誤記】を乱れ焼
   すり上物は作か【か】にせもの
    備前国住    牧野
   一文字姿位はよけれとも
   地金すかれて末ハみしのき
    大和国住    久世
   則長ハ五の目乱に品もよし
   人の目につく程の切味
    紀伊国住    内藤
   廣直に 錵(にゑ)も 鐃(にをい)も有なから
   地金の知れぬ初代重国
    淡路国住
   いつれても銘はたしかにたへ
   ぬとも研て見たらは
        とうか切れそふ
十三日 水霜ふる寒冷天気よし夜中迄快晴
《割書:四十四度》
十四日 朝より快晴さむし終日天気よし
《割書:朝四十四度》

十五日 朝より快晴寒冷終日天気よし夜ニ入
《割書:朝四十四度|当年ハ》 むら雲
《割書:わた更無》
十六日 夜明より雨ふり終日雨ふり夜中少し
《割書:江戸仙台|廻米七斗弐三升》雷声直止雨も四ッ時より止
《割書:笠間新玄米|  七斗》
《割書:太田新籾三斗四五升》
十七日 朝より薄くもり終日くもり空にて持
《割書:五十五度》 合夕方より雨ふり夜八ッ過止折々小
    雨
十八日 朝七ッ時より雨止村雲り暖気なり快
    晴なり夜中もやふかし
《割書:才田塩|小川九ノ半位》
十九日 朝より快晴暖気なり終日天気よし夜
《割書:五十四度》 中くもる
廿 日 朝よりくもり終日天気よしむら雲
《割書:五十四度》
廿一日 大霜快晴氷はる天気よし昼八ッ時地
《割書:初大霜ニ而|氷はる》 震夜ニ入中殊之外さむし
《割書: |十月節》
廿二日 朝むら雲寒冷也終日天気快晴
《割書:四十三度》
廿三日 朝より快晴九ッ過ゟくもり夕方ゟ雨
《割書:四十四度》 降夜中雨つよし
廿四日 朝より快晴寒気
廿五日 朝より快晴霜降終日快晴夜中風吹
廿六日 大霜快晴寒気也終日天気よし
《割書:三十八度 大豆他所出御免》

廿七日 朝よりくもり九ッ時快晴八ッ過より
《割書:四十四度》 曇時雨空にて暮六ッ時より小雨ふり
    夜中雨つよし
廿八日 朝より快晴
《割書:四十五度》
廿九日 大霜寒気氷はる終日天気快晴さむし
《割書:三十八度》
 此節下町材木町え江戸より菊作り物いたし
 候者参り居自雷也蝦夷え参候形又富士山の
 形高サ弐間余巾四間程其外道成寺の形等作
 りもの出来見物人壱人前五十文ツゝのよし
晦 日 霜ふる快晴八ッ時地震ゆる終日寒し
《割書:三十六度》
 籾三斗 大豆小弐斗六升 同大玉弐斗八九升
 小角豆壱斗六升 そば三斗三四升ゟ九升
 玄米六斗五升
 笠間玄米六斗九升ゟ七斗一升
 真壁玄米七斗壱弐升
 府中玄米六斗五六升

    十  月
朔 日 大霜寒気快晴也終日天気よし
《割書:朝三十四度》
二 日 大霜寒気快晴也終日寒気夕方よりく
《割書:朝三十五度》

《割書:今日鹿沼|井桁や源兵衛家》もり五ッ時地震四ッ過より雨降
《割書:内おと上の姉参り同日江戸浅草田中養次【一文字抹消「郎」】兵衛殿も来ル》
三 日 宵より雨ふり五ッ時地震ゆる終日雨
    降夜ニ入雨風終夜雨合なしニふる
四 日 宵より雨ふり寒冷九ッ過より雨止夜
《割書:三十九度》 中至極晴
五 日 大霜快晴寒気つよし
六 日 大霜快晴寒気終日天気よし
《割書:三十四度 日光山大雪今日江戸鹿沼の客定》
七 日 朝よりくもり五ッ半時小雨直止九ッ
《割書:籾三斗》 過より快晴
八 日 大霜快晴
九 日 朝より快晴小春のもやうなり
《割書:四十五度》
十 日 朝小雨ふる暖気直止四ッ過よりてり
《割書:五十弐度》 立夜ニ入くもり四ッ時雨ふり直止快
《割書:上籾弐斗九升》晴
十一日 朝より快晴九ッ時ゟ西大風吹夕止夜
    中も少々吹
十二日 朝より快晴暖気
十三日 大霜快晴寒気也
《割書:三十六度》
 江戸表此節古今稀なる大不景気何品ニ而も
 売ものハ頓ト売レ不申別而呉服屋大不印の

 よし上茶并銀細工道具等ハ稀なる下直【見せ消ち「落」】のよ
 し米ハ町米六斗八升位塩本才拾壱俵新才十
 四俵綿大髙直大坂にて銀百目ニ付三〆六百
 目之所当時三〆目位之よしアメリカ十四日
 登 城之よし
十四日 朝より快晴暖気なり
十五日 大霜快晴
《割書:三十七度》
十六日 朝くもり六ッ半時よりきり雨ふり暖
《割書:アメリカ当十四日|江戸着》気也終日小雨八ッ過止夜四過より又
《割書:使節壱人|通弁壱人》 々降出し
十七日 明方雨止北風吹四ッ過より晴夕方快
    晴夜四ッ時俄雨ふる直やむ
十八日 朝より快晴暖気也
  巳十月十一日市中へ御触出書付
 一近々亜墨利加使節通弁共弐人参行被 仰
  付多人数行列等相定候義ニハ無之候間通
  行之町々道筋人留いたし候ニ不及見苦敷
  義無之様掃除いたし可申候
 一通行之町々自身番役町役人共相詰メ罷在
  候都而喧嘩口論等ハ勿論往還混雑不致候

  様相制可申候時宜ニ寄人留不致候而不相
  来候義有之節ハ従之者ゟ可及差図候
 一往来之人ハ平常之通通行為致候得共立止
  り見物致候義ハ勿論総而不作法之義不致
  通行妨ケ不相成候様可致候
 一町々機敷等□【ヲ?】掛他之者相招キ事々敷見物
  いたし候義可為無用候
 一横町裏々等ゟ猥ニ立出往還大勢立止り見
  物いたし候義一切致間敷候
 一二階物干火之見抔へ登り見物いたし候儀
  堅無用
 一通行之節ゆびさし高笑等致間敷候都而不
  行義無之様可致候
 一大八車小荷駄馬之類通行之節牽通り候後
  ハ町役人共相制為扣候様可致候
 一乞食非人之類通り道筋え差出候申間敷候
 一町商内物等之義平常之通差出置往還え出
  張候義ハ取入可申候但鎗長刀釼甲冑其外
  武器之類ハ取入見世先へ差置申間敷候
 一逗留中町々火の用心之義別而入念可申候

  尤名主月行司共昼夜繁々相廻り心ヲ付可
  申候
 右之通町中無洩可触志者也
   別紙
   東海寺ゟ芝田町金杉橋通濱松町より尾
   張町京橋日本橋室町三町目本町弐丁目
   鎌倉川岸通半田町御屋敷止宿ニ御座候
   乍去御登城ハ十五日抔と風聞仕居候
十九日 朝よりくもり五ッ半時よりあられふ
《割書:初雪|府中辺》  る終日雪まじりにふる夕方より初雪
《割書:玄六斗八九升》にハ珍ら敷壱弐寸もふる夜五ッ過止
廿 日 朝より快晴寒気つよし
《割書:弐十九度》
廿一日 大霜快晴寒気つよし
廿二日 大霜快晴寒気つよし
《割書:三十一度》
廿三日 大霜快晴寒気つよし
《割書:三十一度》
廿四日 朝くもり暖気也四ッ時より雨ふりに
    て終日雨夜中も同断
廿五日 明方雨止暖気なり
《割書:四十七度》
廿六日 朝より快晴暖気
廿七日 大霜快晴寒気

二十八日 大霜快晴
《割書:三十四度》
 玄米河越《割書:上五斗八升ゟ|六斗》 古賀 六斗七八升
   《割書:結城|下たて》七斗    真岡 七斗四五升
   下たてわた 《割書:上壱〆八百|下弐〆目》 《割書:種わた弐四| 八〆五百目》
              《割書: 九〆目》
   《割書:粕カベ|そうカ 六斗八升》
 此節下町へ生人形并夜芝居人形
   女新内 八町目角力
  上町へハ奈良屋町 講釈   泉川女儀太夫
   馬口労町へ説経 下金町  浮世咄
 亜官吏通弁官十四日着十五日大目附土岐丹
 波守上使罷越候十八日堀田殿え参上廿一日
 登城十五日使節え被下
  御檜重一組
   紅白筋アルヘイ  粕てら巻
   翁 艸      菱肥あめ
   吉の落雁     紅茶巾餅
   千代衣      春日
   三輪の里     黄菊まんちう
   紅縁取蒲鉾    蒸玉子 銀杏
   玉子やき     シヤモ 木くらけ

   花くわひ    牛蒡 こんにやく
   すくい蓮【見せ消ち「蓬」】南蛮煮
   あなこ

    十 一 月
朔 日 朝より快晴
二 日 朝より快晴夕方少し北風吹
三 日 大霜快晴
四 日 大霜快晴
五 日 大霜快晴
六 日 大霜快晴
七 日 朝より薄くもり四ッ時よりてり立夕
《割書:朝五ッ時|久保町》 方より雨降夜中雨つよし明方雨止
《割書:十軒程焼る》
八 日 朝よりくもり暖気夕方より西風つよ
    し
九 日 大霜快晴夜中くもり
十 日 朝よりくもり四ッ過よりてり立寒気
    つよし
十一日 大霜快晴寒気つよし
《割書:弐十八度》
十二日 大霜快晴寒気つよし四ッ過ゟ曇夜五
《割書:弐十六度》

    ッ時ゟ明方迄雨ふる
 今日ハ日柄も宜ニ付小泉其吉へ嫡女きくを
 遣候事
十三日 朝より快晴寒気西風つよし七ッ時止
    夜四ッ過又々風吹出
十四日 朝より快晴
十五日 大霜快晴寒気つよし四ッ半時西風つ
    よし直ニやむ
十六日 大霜快晴夜中むら雲にて小雨ふる
《割書:廿七度》
十七日 大霜快晴
《割書:三十度》
十八日 朝よりくもる寒気
《割書:三十一度》
十九日 朝よりくもり暮六過より雨ふり
廿 日 朝より快晴寒気ゆるみ
廿一日 朝より快晴四ッ半過よりくもり時雨
《割書:夜四ッ時|入寒》 もやう夜中少し雨ふり直止
廿二日 朝より快晴寒気ゆるみ暖気
《割書:宇都宮玄米七斗弐三升》
廿三日 朝くもり五ッ半時より雨ふり四ッ時
《割書:暖気》   止又々夜四時より雨ふり直止風吹
  亜墨利加国より差上候書翰の和解
 亜米利加合衆国のブレシデントフランクリ

 ンヒールセ
  日本大君殿下に呈す
   大良友
 合衆国と日本との間に取結ひたる条約を修
 正して
 殿下の大国と合衆国と夥しき諸産物の賈易
 を是よりも大になし易き様取極すへしと思
 へり是を以予此事件に就て貴国の外国事務
 宰相或ハ其他
 殿下の撰任する役人と会議せしむる為に此
 書状の使として此国の高貴威厳なるトウン
 セントハルリスを撰ひたり但此者ハ既に合
 衆国のコンシユルゼね【ネ】ラールとして
 殿下の外国事務宰相の信用を受たり予合衆
 国と日本との親交を篤くし且永続せしめ兼
 而両国の利益の為に通商の交を増加する条
 約の趣に就而宰相或ハ其他の役人同意すへ
 き事疑なしと思ふ
 殿下深切に高貴威厳なるハルリスを待遇し
 て予のために 殿下に申立る言を十分信用

 し給む事予に於て疑なしと思ぬ予神の 
 殿下を安全に保護せん事を神に祈念す予此
 書に合衆国の国璽を添へ華成頓府おゐて自
 ら姓名を書す
 千八百五十五年九月十二日
   フランクリビールセ親筆
 ブレシデントより
   セケレクリスフハシスクート《割書:官|名》
       ウエルマルシ 親筆
  亜墨利加使節拝礼之節口上之趣和解
   殿下之意に適はせ度事
 マイエステイト合衆国大統領より吾か信書
 を棒る時
 殿下の安全幸福及ひ 殿下の邦の繁盛の為
 マイエステイト大統領誠に願へるを 殿下
 え述る事を予に命せり吾れ合衆国全権使節
 の高大なる事を
 殿下の庭におゐて全ふせん為撰れしは大な
 る名誉とす且両国永久懇切の結を堅く結ふ
 は吾か懇願なる故此良き目当を遂る迄慎に

 予か丹誠をなすへし
  堀田備中守殿ゟ常阿彌を以御城付共え一
  決ニ而相渡候書付写
 今般長崎表阿蘭陀通商御仕法替に相成向後
 長崎并箱館両所におゐて交易御差許有之魯
 西亜も同様之振合ニ相成候右ニ付而ハ外条
 約相済候国々も追々右之御所置ニ可相成候
 間可得其意候
 右之通相触候間其段可申上候
   十一月
     九月晦日被 仰出
   《割書:遊興放蕩之儀ニ付|止参議左大弁閉門》    柳原四位
   《割書:同断ニ付蟄居》     伏原三位
             唐橋三位
   《割書: |同断ニ付》       東坊城少納言
   《割書:差扣閉門》       石山左京権太夫
             山本太夫
             姉小路大夫
             大炊御門大納言
             庭田宰相

   遊興之儀ニ付     千 種 少将
       指扣     清閑寺左大弁
              勧修寺 大夫
   何之通        伏 原 二位
     指扣       千 種 大夫
              今城前中納言
              三室戸 三位
              武者小路三位
   同断         町尻太宰大弐
    御叱り       櫛 笥 中将
              穂波左京大夫
              持明院 大夫
              壬 生 大夫
 右之通
 安政四年巳九月晦日
 京都所司代ゟ被
 仰渡候趣御城書え出ル
《割書: |暖気》
廿四日 朝より快晴暖気
廿五日 大霜快晴寒気九ッ過より雨降夜中雨
《割書:暖気》  つよし夜五ッ過ゟ北より丑寅の風雨

    ともつよし明方止
廿六日 晴五ッ過より快晴北風五ッ時迄吹暖
《割書:四十度》  気
廿七日 朝よりくもり夕方より雨降暖気北風
《割書:三十七度|暖気》 雨終夜つよし
廿八日 朝より快晴暖気夜ニ入くもる
《割書:四十三度暖気》
廿九日 朝よりくもる暖気八ッ過より雨降夜【見せ消ち「終」】
《割書:四十一度|暖気》 四時地震ゆる
《割書:春のことし》
晦 日 朝もや春のことくにおりる暖気
《割書:四十度籾弐斗八升》

    十 二 月
朔 日 朝霜ふる快晴むら雲夜中曇
《割書:三十五度》
二 日 霜ふる快晴少々寒 し(マヽ)申候
《割書:三十二度》
三 日 終日くもり暖気夜五ッ時雨ふり
四 日 霜ふる快晴
《割書:三十六度》
五 日 大霜快晴夜中も殊ニ晴七ッ時少シ雪
《割書:三十度》  ふる
六 日 朝より快晴夜九ッ過より明方迄風吹
七 日 霜降快晴四ッ時ゟ時雨もやうにて寒
《割書:三十二度》 し

八 日 大霜寒気つよし
《割書:二十五度|やう〳〵寒中之様なり》
九 日 大霜寒気つよし快晴
《割書:弐十五度》
十 日 大霜快晴夕方よりくもり夜六ッ半時
《割書:弐十八度》 より小雪ふる四ッ時より終夜雨ふり
    西風なり
十一日 宵より雨ふり五ッ半時より北風にて
《割書:弐十八度》 雪ふる四ッ半過より止西風つよし夕
    方ゟか快晴
十二日 快晴大霜寒気
《割書:弐十六度》
十三日 朝より快晴大霜寒気殊之外つよし四
《割書:弐十四度》 ッ時位より大西風つよし夕方止夜中
    九ッ時より大西風明方止
十四日 大霜快晴少々西風吹夕方止
《割書:弐十七度》
十五日 大霜快晴四ッ時より風吹出し夕方迄
《割書:弐十六度|江戸表玄米》 西風つよし寒気つよし
《割書:追々引上六斗位》
十六日 大霜寒気殊之外つよし
《割書:弐十七度》
十七日 明方より雨ふり寒気つよし夕方より
《割書:三十一度》 雨止夜中はれ
十八日 朝東の方大雲り五時より快晴寒気ゆ
《割書:三十三度|江戸玄米六斗》るみ

十九日 大霜快晴寒気つよし
《割書:府中辺玄米六斗弐升》
廿 日 大霜快晴寒気つよし四ッ時ゟ西北の
《割書:節分》   風夕方止
廿一日 大霜快晴寒気つよし
《割書:廿六度》
廿二日 大霜寒気つよしむら雲
《割書:廿七度》
廿三日 大霜快晴寒気つよし
《割書:廿七度》
廿四日 大霜快晴寒気つよし
廿五日 大霜快晴寒気つよし
廿六日 大霜快晴寒気つよし夜ニ入曇
廿七日 明方より大雪ふり出し昼過ゟ雪止
廿八日 朝よりはれ寒気つよし
廿九日 朝より快晴
晦 日 朝より快晴寒気

【日付朱印】昭和十二年十一月十七日 購

【右頁上のラベル 打ち消し数字三段上から】
116
4
272

【左頁貼り付け用紙用紙】
【枠外】1. 下の月日蘭の末尾があなたの返納期限の月日です。
2. 返納の際はその月日と氏名を係員に申し出て下さい。
【枠内】返納期限月日蘭
22

【背表紙】

巻14

《割書:水|戸》大高氏記録  十四











  慶応三《割書:丁| 》卯年
 七赤年
   寒暖計は朝五ツ時ヲシルシナヲ又冬
   は其日ノ中ノ極サムキ時分ヲシルシ
   夏は其日ノ中ノ極アツキ時分ヲシル
   ス
 《割書:八百| 》正 月《割書:小| 》壬寅
 年徳あきの方いねの間万よし
《割書:八白|丙辰ミツ》

元 日  朝より快晴終日至極穏にて風もな
《割書:弐十六度| 》  し明方ゟ五ツ過迄東より辰巳の方
     ニ根太雲有
二 日  朝より快晴東ゟ辰巳の方ニ根太雲
《割書:弐十五度| 》  有終日むら雲八ツ過ゟ雲あられち
     ら〳〵ふる直ニ晴
三 日  霜ふる快晴寒気五ツ時ゟ北風ふく
《割書:弐十八度| 》  九ツ時地震夕方まて北風暮る六ツ
     時止
《割書:四 日|弐十三度》  大霜寒気強極快晴なり
五 日  朝より薄くもり四ツ過よりてり立
《割書:三十ニ度| 》  快晴なり
六 日  朝薄むら雲寒気ゆるみ五ツ過ゟく
《割書:三十五度| 》  もり八ツ時ゟほろ〳〵雨八ツ半時
     より雨降り出ス終夜雨ふる
七 日  朝より雨ふる四ツ半過より雨止五
《割書:三十五度| 》  ツ半過より晴てり立八ツ半過より
     西風夕方止
禁裏御不予之所旧臘廿九日
崩御被 遊候ニ付唱物殺生普請武芸去ル四日

ゟ御停止尤日数之儀は追而相達候条其旨相心
得支配々々えも可相達事
八 日  明方東より辰巳之方根太雲五ツ時
《割書:三十度| 》   ゟむら雲終日曇空七ツ半時雨北も
     やう夜小雨ふる四ツ時止
《割書:甲子|九 日》   朝より快晴寒し
《割書:三十度|いも壱升百五十文大根一本六十四文》
十 日  朝薄くもり西風ニ而さむし夜ニ入
《割書:三十一度| 》  北風少しふく
十一日  朝より快晴巽ノ方ニ根太雲あり八
《割書:三十度| 》   ツ時ゟ曇夜九ツ過雪少しふる
《割書:十二日|弐十五度》  朝より快晴寒気西風さむし
十三日  朝くもり寒し八ツ時ゟ雪降出ス終
《割書:弐十五度| 》  夜雪ふり
 四五年雪更ニ無之候所久しぶりニ而三寸ほ
 とふる
十四日  明方迄雪ふる六ツ半時ゟ止照立終
《割書:三十度| 》   日薄くもり夜五ツ時より西風吹夜
     八時より七ツ時迄風つよし
《割書: |雨水正月中》

《割書:十五日|弐十七度》  朝より快晴五ツ時ゟ西風ふく夕方
     止
烈公様之御子様也
 民部大輔様御事此度清水様御家御相続
 被仰出候段御達
 松平民部大輔様御事仏蘭西え被為入候由
十六日  大霜寒気つよし快晴五ツ時ゟ薄く
《割書:弐十三度| 》  もり
江戸状
 当地形行之儀も差而相替不申候へとも太物
 は益々気配能其他日用物大ニ高値ニ而地廻
 り米上白九升ゟ壱斗位水油壱升弐貫入ニ而
 当節何レへ参候ても五合ツヽより売渡不申
 色々承り候へは右少々ツヽ売方 〇(〇致)候へは何れ
 其筋御調有之候節は素人迄も買〆致置候も
 の不残申立有之と申風聞も仕候何れに而も
 早々下落仕様致度猶酒抔も並物金百七十両
 位上もの金弐百両位誠ニ小前之者難渋仕候
 何とそ早々下落仕様奉願候
    正月九日

十七日  朝よりくもり四ツ時より雪降出ス
《割書:三十二度| 》  北風ふく七ツ時地震終日雪風もつ
     よし夜中四ツ過雪は止候へ共北風
     は終夜強
江戸初相庭
 名古屋白 五番弐反三分五厘前後二分ノ開
      生金巾百八十匁前後
 三州白       伊勢晒
  古新 弐反     御好  壱反七分五厘
  今新 弐反弐分   白吟  壱反九分五厘
  間銘 弐反八分五  玉ノ井 弐反壱分五厘
  新造 三反八分五  玉気  弐反参部五厘
 三州長尺       奈之和 弐反五分五厘
  花錦 壱反七分五  住ノ江 弐反九分五厘
  花司 壱反九分五  堀川  弐反八分五厘
  花照 弐反弐分五  新川  三反
  花扇 弐反六分五  喜瀬川 三反壱分五厘
  操綿 坂上六百六両 ・京丹 五百七十五両
     大和四百八十弐両 三州 六百三十弐両
       惣壱分安

 鈴鹿晒 弐反五分 直立ゟ《割書:上弐分開|下壱分五厘開》
 地水油  九十両
 胡麻油  百十五両
 荏漉   九十両
 坂水団  百十両
 種粕   弐枚五分
 花粕   弐枚八分
 銭    六〆八百文
 大坂弐〆三百三十六匁

十八日  宵ゟ北風ニ而大曇り終日雨なしニ
《割書:三十四度| 》  而北風つよし寒気暮六ツ風止夜中
     晴五ツ時又々北風強直ニ止
  才田塩両三俵
  籾弐斗四五升
  鰯【「鰹」を見せ消ち】粕両三分九厘
  魚油三十両
  酒壱升壱分
  種 両弐斗三升
十九日  寒気強快晴北風少〱吹終日吹夕方

《割書:弐十八度| 》  止さむし夜五ツ時ゟ北風吹出四ツ
     時止
江戸表
 米百文壱升三合  両ニ九升
 黒さとう大頭?百五両 わた四百五十両
 蝋燭 三百六十匁ゟ三百七十五匁迄
  《割書:前売| 》壱箱ニ付弐十匁五分
 江戸道中駄ちん壱里三百五十文位
 江戸道中はたこせん 《割書:泊八百五十文|昼飯三百五十文》
 銭殊之外多し
《割書:廿 日|弐十六度》  大霜快晴寒気強し北風吹夕方止
廿一日  大霜快晴寒気強暮六ツ時過地震ゆ
《割書:廿十五度| 》  る
《割書:廿二日|三十二度》  朝より薄くもり四ツ過よりてり立
 今日ゟ銭相場六〆九百文
《割書:廿三日|三十八度》  朝より薄くもり寒気ゆる
《割書:廿四日|弐十七度》  大霜快晴
去ル九日
新帝御践柞被為済候段被仰出候此段奉承知支
配々々ニも可被相達候

《割書:廿五日|三十五度》  朝より快晴
 此節玄米引上府中は両ニ壱斗之由
廿六日  朝よりくもり明六ツ時北風吹五ツ
《割書:四十三度| 》  過風止終日くもり
廿七日  朝より快晴九時よりむら雲暮六ツ
《割書:三十五度| 》  時ゟ雨ふり雷声【「又」を見せ消ち】五六声五ツ半時
     ゟ快晴
 此節江戸ゟ壽海と申酒水戸え参候所壱駄弐
 十五両壱升壱分弐朱売之よし
廿八日  朝くもり四ツ過ゟ雪ふり九ツ時止
《割書:三十八度| 》  快晴ニなる
 籾両弐斗一升位
《割書:廿九日|弐十六度》  大霜快晴寒気
   大坂初相場
  一筑前米 壱〆四百四十五匁《割書:両ニ九升三合ニ当ル| 》
  一加賀米 壱〆【「三」を見せ消ち】三百八十匁  九升五合
  一岡大豆 七百八十五匁    壱斗八升三合
  一坂上操綿四百匁
  一金銭 《割書:百三十壱匁五分|十五匁六分》  両ニ七〆百六文ニ当
  右之通ニ御座候〆 伊勢理

 下町細谷ニ而鉄銭御吹立ニ相成候由ニ而追
 々銭相庭下落
 此節慶長壱両之小判一枚拾四両位






 《割書:七赤| 》 二 月
《割書: |二月節朝五時七分》
《割書:朔 日 一白|三十度 乙酉日》 霜ふる快晴寒気
《割書:二 日|三十二度》  大霜ふる快晴西南の風夕方迄吹
 当年は梅の花おくれ此節少々ツヽ開ク
《割書:三 日|三十一度》  霜ふる快晴
 城下百文ニ壱合六勺
 籾壱両ニ弐斗弐【「四」を見せ消ち】升  野口辺玄米壱斗五合
 はたこせん《割書:上九百五十文|中八百文》 在七百五十文
 宇都宮白米九升五合

 大坂ぬか 三斗
 鰯粕十三〆目位ニ而売両ニ弐分弐厘
   旧年ゟ夜盗盗賊所々ニ多し
四 日  霜ふる六ツ時ゟくもり折々むら照
《割書:三十八度| 》  ニ而東風ふく
五 日  朝より薄くもり五ツ半過ほろ〳〵
《割書:四十五度| 》  雨ふる夜五時ゟ終夜雨ふる
 玄米壱斗五合白百文ニ壱合四勺
 種両壱斗八九升 魚油四十両
六 日  朝よりもやおりる暖気快晴夕方ゟ
《割書:四十五度| 》  南風つよし夜四ツ時より雨ふり
《割書:七 日|三十六度》  朝より快晴五半時ゟ西風ふく
《割書:八 日|三十二度》  朝より快晴さむし西風吹夕方止
毎日風吹
九 日  霜ふる快晴さむし西風昼後東風夕
《割書:三十七度| 》  方止
 鹿沼ニ而酒造家四五軒先日被打破候よし
  京都押詰之相庭紅花
   水戸 《割書:百七十両|百三十両》  早場 《割書:百七十五両|百四十両》
   最上 《割書:百四十五両|百七十八両》 南仙 《割書:百八十両|百九十両》

   奥仙 百六十両
   南部 百三十両
 結城辺菜種両ニ壱斗五六升之由
 足利辺白米百文ニ壱合四勺
 二月三日上州足利辺難渋人所々大勢集り大
 騒之よし
 中妻辺両ニ玄米壱斗六七合玄米壱駄売候へ
 は金八両余ニなり候よし百姓は懐合宜敷よ
 しニ候へ共市中買くらしの者は此節大難渋
 なり此節仕事御手間七匁五分都而三四双倍
 直上ニ相成居候
 禁帝様大行天皇と称奉候趣いまたニ御停止
 小普請は御免ニなる
《割書:三十五度| 》
《割書:十 日|初午》   朝より快晴
《割書:十一日|三十八度》  朝くもり四ツ過よりてり立
 魚油他所出は制禁 新銭古銭共【「其」を見せ消ち】他所出御免
 ニなる
 昨夕方河和田村郷士平戸長衛門車屋え盗賊
 三人入長衛門幷家内え手きづをわせ候よし
十二日  朝より快晴春めく南風夕方ゟ吹く

《割書:三十七度| 》  夜五ツ時大雨半時計
 穀町壱両籾壱斗九升
   麦米 九升
 御扶持籾壱俵弐両三分
   麦米四斗五入弐俵穀町え附出候へは金
   十両ニ相成候趣
《割書: |ひかんニなる》
十三日  朝晴五ツ半時ゟ西風つよし四ツ過
《割書:三十八度| 》  風止
 巳ノ刻時馬労町五丁目裏常己通岩根屋善太
 郎抱屋敷七軒長屋内ゟ出火ニ而右長屋焼る
 所々飛火致候へ共日の内故ニ消外は焼不申
 候
十四日  朝むら雲五ツ過ゟ西南之風終日ふ
《割書:三十九度| 》  く夜五ツ時少し静ニなる
府中 玄米両壱斗五合   麦米九升五合
   菜種 壱斗四升   大豆壱斗七八升
   小豆 壱斗壱升   栗 弐斗四升
   白米 百文壱合弐勺 稗 五斗五升
   上酒 百三十五両

    並 九十両
此節府中米江戸ニ而壱両八升五合迄仕切ニ相
成候よし之所此節少々引下ケ九升五合ニなる
横浜えアメリカ米弐百万石ほと入津いたし百
万石払ニ出候よし江戸ニ而両壱斗
十五日  朝より快晴暖気四ツ過ゟ七ツ半時
《割書:四十七度| 》  迄東風つよし
 月帯そく 夕七ツ時七分ニ七分かけなから
      出暮六時三分上右之間おはる
十六日  霜ふる快晴西風昼後ゟ東風夕方止
     暮六ツ時地震動六ツ半時又々小地
     震ゆる
 梅花盛
 春分二月中
《割書:十七日|三十五度》  朝より快晴風なく夕方薄くもり
大行天皇様崩御ニ付御停止之所今十六日普請
御免ニなる
御扶持壱俵代金弐両三分【「部」を見せ消ち】三余ニなり候よし
十八日  朝より薄くもり四ツ半時より雨ふ
《割書:四十七度| 》  る南風にて夜中迄南風四ツ時止

毎日風吹
十九日  朝むら雲晴九ツ半時より南大風吹
《割書:四十七度| 》  七ツ半時止夫ゟ雨ふる六過止夕方
     少々雷声
 昼後ゟ夕方迄南大風
《割書:廿 日|三十五度》  大霜快晴寒気西風吹夕方止
廿一日  霜ふる快晴昼後よりくもり夜五半
     時より雨ふる終夜雨
廿二日  宵より雨北風寒し七ツ時迄雨つよ
《割書:四十三度| 》  し夕方風止
 日光山続而雪見ゆる
廿三日  朝快晴六ツ半時ゟ西風つよしさむ
《割書:三十六度| 》  し終日西風つよし七ツ過やむ
廿四日  霜ふる快晴さむし四ツ時ゟ至極春
《割書:三十八度| 》  めく暖気ニ而今日計は風なし
此節御扶持籾壱俵金三両ニ相成候よし
廿五日  朝快晴五ツ半過ゟ西風吹八ツ時ゟ
《割書:四十九度| 》  南風くもる夕方止夜ニ入雨ふる
廿六日  宵より雨ふる五ツ過より止夜九ツ
《割書:四十九度| 》  時ゟ雨ふり

廿七日  朝きり雨ふる六ツ半時より止昼後
《割書:五十一度| 》  時ゟ晴春めく
廿八日  朝より快晴春めく四ツ時ゟ北風吹
《割書:五十弐度| 》  曇り夜五ツ時ニ止
江戸二月十八日出
 爰元米之儀先書後頓与不捌之はなえ異国米
 抔御払有之殊ニ御蔵追々下直ニ旁以昨今不
 人気ニ見送申候併諸方高直之風聞無算当投
 人も無少し其外もち雑穀共不味猶往々如何
 哉と奉存候
 一古領米  壱斗三合  一南郷米 壱斗三合
 一町 米  壱斗八合  一糯 米 壱斗三合
 一水戸大豆 壱斗    一小 豆 壱斗三四升
 一大麦   弐斗三升  一小 麦 弐斗壱升
 一仙台廻米四八五入 壱斗七合
 桐生 玄米壱斗壱升 《割書:壱斗三升ニ而も買人|なしとの事》
 上州 から麦壱斗八升致居候所弐斗八升位
        ニ下落
廿九日  宵より小雨ふる五ツ時より止又々
《割書:四十七度| 》  四ツ時より降直止又々七ツ時雨ふ

     る
晦 日  朝くもり五ツ時より薄くもり五時
《割書:五十一度| 》  地震むら照南もやう昼後より北風
     終夜北風雨すこし降
 ひかん桜もゝ花さかり

 今日抔は籾弐斗壱弐升 小豆壱升五百五十文
 才田塩両弐俵七分位
 御扶持は壱俵弐両弐分ニ下落致し候由
 大豆弐斗三四升 《割書:此間中は壱斗九升迄いた|し候よし》

 《割書:六白| 》  三月  甲辰
《割書: |四緑 乙卯》
朔 日  朝くもり北風終日曇空ニ而冷気夜
《割書:四十弐度| 》  中も同断
《割書: |三月の節》
二 日  宵よりくもり北もやう冷気四ツ半
《割書:四十三度| 》  時ゟ雨ふり夜五ツ過止
三 日  宵くもり北風冷気折々雨ふり終日
《割書:四十四度| 》  風ふく夕方ゟ夜中も風雨つよし殊

     之外冷気夜中あられよほとふる
四 日  宵艮の風ニ而雨ふる冷気也五時あ
     られふる壱時ほとふる四ツ時ゟ大
     雪八ツ半迄ふるさむし
 大雪ふるつくは足穂其外山々も大雪
五 日  朝よりくもり五ツ時ゟむら雲薄て
《割書:三十五度| 》  り終日むら雲照夜中は殊之外はれ
六 日  快晴さむし四ツ過より暖気春色を
《割書:三十七度| 》  十分ニもつ終日暖気なり
《割書:七 日|四十五度》  快晴暖気なり風なし
八 日  朝より快晴四ツ過より薄くもり南
《割書:四十七度| 》  風少々吹
九 日  朝もや薄てり春色五ツ半時ゟ照立
《割書:四十三度| 》  南風吹出八ツ時大雷雨半時位にて
     晴北風ニなる夕方くもる夕六ツ過
     少し雨ふる止夫ゟ殊之外晴
 加波山え雷落怪我人五六人有之候よし
 完戸在へも雷落家弐三軒潰れ怪我人死人有
 之候よし
《割書:十 日|四十度》   朝より快晴九ツ過より南風少々ふ

     く
 今朝新宅清介御目付方ゟ御召捕ニ相成赤沼
 へ入牢何事か相分り不申候へ共油之事のよ
 し辰巳や惣衛門も同断
十一日  朝より快晴八ツ過よりくもり夕方
《割書:四十三度| 》  より小雨少々降止
十二日  朝くもり四ツ位ゟ薄てり西風少し
《割書:四十一度| 》  吹夕方ゟ雨ふり五時止
 今明ケ六ツ時上金町小林緑姉おちよ暫病気
 之所死去
十三日  朝より快晴水霜ニ而も降候やさむ
《割書:四十一度| 》  し終日天気夜中も晴
 今日馬口労町三丁目大和屋万助御召取ニ相
 成候よし油他所出いたし候由同岩根や徳七
 と申者出奔致候よし是も同断油之事のよし
十四日  朝薄くもり終日くもり空にて持合
《割書:四十三度| 》  暮方ゟ雨ふる夜中も雨
十五日  宵より雨南風ニ而風雨つよし五ツ
《割書:四十五度| 》  過より雨風静ニなる四ツ位より天
     気夫ゟ終日快晴なり

三月の中
《割書:十六日|四十一度》  朝より快晴
《割書:十七日|四十一度》  朝さむし快晴八ツ過ゟくもり
十八日  明方より雨ふる終日雨ふる夜中も
《割書:五十三度| 》  同断
十九日  明方より雨止五ツ時より晴薄くも
《割書:五十四度| 》  り夜に入くもる
 日光山ニ雪見ゆる
廿 日  朝むら雲五ツ半時南の方ゟ東の方
《割書:四十五度| 》  え少々雷声半時計てり立さむし九
     ツ時地震くもり九【「九」を見せ消ち】ツ半時より雨
     ふり八ツ半過迄ふる七ツ半時ゟて
     り立
 江戸
  坂水九十八両
  地水九十五両
  こま油百十五両
  ヱ漉百両
廿一日  霜ふる快晴さむし西風吹ふく終日天
《割書:三十五度| 》  気なり

《割書:廿二日|四十四度》  朝より快晴さむし夕方ゟくもり
昨日ゟ上町相応人共一同ニ而抱金差出鉄炮町
会所ニおゐて難【「渋」を見せ消ち】渋人救之為百文ニ付弐合売相
初候所壱日ニ弐千人余出候よし尤も壱人ニ付
一日弐合ツヽ名主ゟ鑑札相渡町役人会所え出

穀町は百文ニ付壱合三勺売なり
《割書:廿三日|六十弐度》  明七ツ前ゟ小雨ふる八ツ時位より
     雨止
廿四日  朝くもり五時ゟ村雲終日むらてり
     ニ而八ツ時北風ふく夜五ツ時ゟ半
     時計雨つよし四ツ時快晴
《割書:廿五日|四十七度》  朝さむし快晴北風少しふく
廿六日  朝薄くもり終日南もやうにて薄て
《割書:四十八度| 》  り夜中くもり
廿七日  朝薄てり暖気五ツ半時ゟ快晴四ツ
《割書:五十五度| 》  時位より八ツ時位迄東風ふく
《割書: |八十八夜》
《割書:廿八日|五十四度》  朝薄くもり五ツ時迄むら照暖気七
     ツ時ゟ風止曇
府中酒十駄百三十両駄賃一駄三貫ツヽ水戸迄

【「而」を見せ消ち】江戸表は入穀は不相成南京米を用候様他領
へは壱人前白米壱合五勺







  《割書: |乙巳》
   四 月
《割書: 甲申|朔 日》   明前ゟ雨ふる四ツ時位より北風ニ
《割書:六十一度| 》  なる七ツ半時ゟ雨風止さむし夜五
     ツ時ゟ風吹
《割書:二 日|四十四度》  朝薄むら雲五ツ時ゟてり立北風
三 日  朝薄くもり四ツ過よりてり立
《割書:四十三度|四月節四ツ時》
四 日  朝より快晴終日天気ニ而風なし夜
《割書:五十一度| 》  中くもり

五 日  朝薄くもり暖気四ツ位よりてり立
《割書:五十三度| 》  南風ふく夕方止
 籾両弐斗三升五合
 大豆弐斗四五升 追々下落いたし候
 麦米壱斗四五升 御扶持壱俵弐両弐分
 稗壱俵弐分弐朱
 ミナトニ而入津才田塩両弐俵八分赤穂壱俵
 九分
六 日  朝薄くもり五ツ時よりてり立五半
《割書:六十三度| 》  時よりくもり四時より北風ふく七
     半時より雨ふり
 京都玄米両壱斗位之よし
七 日  朝よりくもり北風吹終日くもり空
《割書:五十一度| 》  にて殊之外冷気夕方風止夜中大曇
八 日  明七ツ前より雨ふり冷気艮風九ツ
《割書:五十一度| 》  時ゟ東辰巳之風七ツ時ゟ夕方北
     風殊之外冷気夜中雨四ツ時風吹
府中玄米両壱斗壱升五合
両三日已前ゟ日月とも色あかし霞ニ而立居候
而ケ様見へ候よし

九 日  朝むら雲ニ而照五半時より西風ふ
《割書:五十度| 》   く天気ニ而夕方風止
十 日  朝より快晴風なし八ツ時地震七ツ
《割書:四十三度| 》  時よりくもり八ツ快晴
十一日  朝むら雲暖気四ツ時より南風ふく
《割書:五十五度| 》  終日くもり空也七ツ半時より雨ふ
     り
十二日  宵より雨ふり九ツ半過より快晴夜
《割書:六十度| 》   ニ入五ツ時ゟ俄ニ南風直ニや止
今日新宅清介辰己ヤ惣衛門大和屋惣六等入牢
御下ケニなる宅慎之由
《割書:十三日|四十六度》  朝より快晴五ツ半時ゟ西風吹
時鳥初声聞
《割書:十四日|四十六度》  朝さむし快晴西風吹八ツ過ゟ南風
両三日日の色黄バミ居候
《割書:十五日|五十四度》  朝より快晴東風吹
 当年も御祭礼御延引
十六日  朝より薄てり四ツ過より照立快晴
《割書:五十三度| 》  ニなる
十七日  丑時ゟ南風強明七ツ過止薄てり日

《割書:五十七度| 》  の内西風少しふく
《割書:十八日|五十度》   明方薄くもり四ツ過より照立
十九日  朝薄てり東風吹終日艮の風ゟ東の
《割書:五十七度| 》  風吹夕方止
二十日  朝薄てりさむし四ツ過より照立艮
《割書:四十八度| 》  風八ツ時より止
 江戸は此節南京米両壱斗五六升 日本の米
 は両九升前後ニ而江戸中南京米ニ限り用候
 様ニ相成候よしニ候へ共いつれも南京米は
 いやがり候よし
 黒さとう大島百三十両初雪五十五朱【「匁」を見せ消ち】
 唐さとう上壱〆目三十七朱【「両」を見せ消ち】五分
 唐黒さとう壱〆目弐十朱
 南京わた上四百八十両下三百八十両
 坂上六百三十両
《割書:二十一日|五十二度》  朝くもり終日薄てり夜中曇り
廿二日  朝くもり七ツ時ゟ雨ふり夕方夜ニ
《割書:五十五度| 》  入六ツ半時雨ふり終日雨ふり
廿三日  宵より雨ふり終日雨ふり夕方西ノ
《割書:六十一度| 》  方ニ少々雷声終日艮風ニ而冷気

 所々水不足ニ而雨乞等有之候由今日之雨ニ
 而苗代幷ニ麦も実入宜かるへきよし
廿四日  朝よりくもり艮風冷気雨なし八ツ
《割書:六十一度| 》  時薄てり夜中大くもり
廿五日  宵よりくもり艮風吹九ツ時さつと
《割書:六十度| 》   降照降両三度
廿六日  朝よりくもる五ツ時むら照八ツ時
《割書:六十一度| 》  地震七ツ時ゟ雨ふり夜中五ツ半時
     ゟ晴
廿七日  朝くもりむらてる四過よりてり立
《割書:六十五度| 》  軽暑むら雲夕方西ノ方ニ雷声あり
 此節稗壱俵壱分弐参文位ニ下落
廿八日  朝より快晴軽暑終日天気ニ而風も
《割書:五十六度| 》  なし
《割書:廿九日|五十六度》  朝より快晴軽暑
今日ゟ銭両ニ七〆文ニなる
晦 日  朝薄てり軽暑四ツ半過より照立あ
《割書:六十三度| 》  つし折々くもる

    五 月
朔 日  朝より天気よし夕方よりくもり夜
《割書:六十一度| 》  五ツ時ゟ雨終夜雨つよし
二 日  宵より雨ふり朝北風六ツ半時ゟ雨
《割書:六十度| 》   止九ツ過よりてり立快晴なり
三 日  朝くもり冷気六ツ半時地震終日曇
《割書:五十六度| 》  七ツ時地震七ツ半時ゟ雨ふり
 一団坂水九十壱両弐分一【「一」を見せ消ち】荏漉九十四両弐分
 一胡麻油百十八両  一種粕本〆弐枚弐三分
 一坂上明キ三挺替  【「一」を見せ消ち】
 一古領米壱斗弐升  一町米壱斗弐升五合
 一糯米壱斗壱弐升  一大豆弐斗壱升弐升
 一小豆壱斗六七升  一大麦弐斗八升
 一小麦弐斗三升 仙台廻米《割書:四入五入|壱斗弐升八合》
   二月廿八日
 南京米行渡不売日々不味之所麦満熟申唱且
 御蔵御張紙前書之通被仰出旁々以昨今日切
 下落見送申候其外暫米雑石るい連日不味ノ
 件々如何宜敷御勘考可被下候
   四月廿八日   山や喜助

《割書: |五月之節》
四 日  宵より雨ふる八ツ時よりてり立夜
《割書:六十度| 》   中も殊之外晴天
 銭相場今日ゟ金壱両七〆百文
五 日  朝くもる九ツ半時ゟてり立むら雲
《割書:六十二度| 》  南もやう少風吹夜中殊之外晴天
御扶持壱俵弐両壱分弐朱位
穀町百文ニ壱合五勺穀物類少々ツヽ下落
《割書:六 日|五十二度》  明方より雨ふり六半時ゟ止むら照
     七時南の方ニ雷声雨ちら〳〵七ツ
     半時止夜中殊之外晴天
 両三日いそ湊辺え鯛のよりいたし候由ニ而
 大鯛沢山ニ参ル
庚申
《割書:七 日|五十一度》  朝より快晴八ツ半時地震ゆる
当五日いそみなといわし漁事有之粕ニも相成
候よし右へましり鯛沢山ニとれ大鯛十枚三貫
五百文位六日ニは十枚四〆五百文小鯛は粕ニ
も不相成無拠塩からニいたし候よし
《割書:八 日|六十一度》  朝より快晴夕方西ノ方ニ雷鳴

続而鯛大漁事浜ニ而は大ものニ而三百文位い
わし漁事有之候地粕ニ而両ニ三分位之直段
《割書:九 日|六十一度 入梅》朝よりくもり四ツ半時より快晴
 昨日一昨日抔はみなとニ而大中込鯛十枚ニ
 付水名六百五十文のよし北は会瀬辺ゟいそ
 みなと鹿嶋浜銚子辺大漁之よしいつれも鯛
 計なりいわしも少々ツヽ有之候よし
《割書:十 日|六十二度》  朝くもり四ツ過より雨ふる夕方止
 今日は漁事無之よし
《割書: |甲子》
《割書:十一日|六十一度》  朝薄くもり五ツ時ゟてり立七ツ時
     地震
《割書:十ニ日|六十二度》  朝より快晴暑気夕方よりくもり
十三日  明方より小雨ふるむしあつし終日
《割書:六十七度| 》  降はれ度々夕方大雨ふる南もやう
     暮六ツ時ゟ晴
 鯛大中込十枚ニ付六七百文ゟ壱〆文位あま
 り大漁ニ付塩ニいたし候へは一枚へ塩七十
 弐文ツヽかゝり候由
十四日  明方ゟもやおりる四時位ゟてり立
《割書:六十五度| 》  むら雲軽暑気なり

 昨日又々鯛漁有之候よし
《割書:十五日|六十五度》  明方より雨ふる八ツ時より晴
十六日  朝きりふる四ツ時ゟ快晴夜中くも
《割書:六十四度| 》  る
十七日  朝くもり四ツ時ちら〳〵雨直止九
《割書:七十度|八十三度》  ツ過よりてり立暑気夕方むらくも
     り
十八日  明前ゟ南西之風ふくくもり五ツ過
《割書:七十五度| 》  より村てり五ツ半時より雨ふり四
     ツ時止南風つよし夕方止
十九日  朝より快晴四ツ時まてあつし夫ゟ
《割書:七十五度| 》  東風ニなるさむし
《割書:夏至|五月の中》
廿 日  明方ゟ小雨ふる冷気四ツ過より雨
《割書:六十五度| 》  止冷気なり又々夕方少しふる
新種両弐斗三四升ゟ八升位迄
 今日も鯛の漁事有之候
《割書:廿一日|六十六度》  朝より快晴終日天気よし
廿二日  朝むら雲四時ゟ東風にて終日冷気
《割書:六十九度| 》  終日てり夜中曇

麦殊之外上作
廿三日  朝より薄てり四ツ時よりてり立八
《割書:六十七度| 》  ツ時地震又々直ニ地震よほとふか
     し天ゟくもり
廿四日  朝薄くもり五ツ半過よりてり立あ
《割書:六十七度| 》  つ七ツ時ゟふる夜中も雨ふる
《割書:廿五日|七十五度》  朝くもりむしあつし
廿六日  朝むら雲五ツ時よりてり立終日て
《割書:七十度| 》   り夕方よりくもる
《割書:廿七日|七十度》   朝六ツ半時より雨ふる七ツ時ゟ雨止
《割書:廿八日|六十五度》  朝もやふる五ツ時ゟはれ暑気なり
《割書:廿九日|六十五度》  朝より薄てり折々てり

信州商人参ニ付承り候所
 種両ニ壱斗三升 油壱升弐貫百文
 玄米壱斗壱升  からそは壱斗五升
 大豆壱斗六七升
 江戸表玄米両壱斗弐升位
   銭 七〆九百六十四文
   南京米壱斗八九升ゟ弐斗位

 府中辺麦米両弐斗位
 太田辺〃  壱斗四升
 城下 〃  壱斗三升
 ミナト〃  壱斗三升

 水花壱〆目ニ付三〆五六百文




    六 月
朔 日  朝くもり五ツ半時てり立又々くも
《割書:七十度| 》   り終日薄くもりニ而冷気なり夕方
     ゟ丑刁風ニなる
二 日  朝より快晴辰己【「迄」を見せ消ち】之方ニ根太雲アリ
《割書:六十度| 》   朝ゟ丑寅風吹天気ニ而も殊之外冷
     気九ツ過よりくもりさむし
三 日  宵よりくもり冷気丑寅もやう也
《割書:五十九度| 》  夕方ゟ晴候へ共冷気也
 江戸廿八日出

 古領米壱斗壱升五合 南郷米壱斗一升五合
 町 米壱斗壱升四合 糯米 壱斗五合
 大 豆弐斗壱升   小玉大豆壱斗九升
 小 豆弐斗四五升  大麦 四斗
 小 麦弐斗五升
  但仙台米四八五入壱斗弐升壱合
 団水八十六両   地水 八十四両
 ヱ 八十八両   こま 百五両
 種粕本〆弐枚四五分上明キ樽弐ツ半
 上方十八日出弐〆五百三十五文
 キン百拾三分五分
四 日  朝薄くもり五ツ時より快晴終日天
《割書:六十度| 》   気なりしかしあわせ位ニ而よし
 上州桐生辺玄米壱斗壱升位
 会津辺  同 壱斗八升位
先月末方上町筋甘露ふる
五 日  朝より快晴終日天気なれとも冷気
《割書:六十弐度| 》  なり
六 日  朝薄くもり四ツ半時ニほろ〳〵雨
《割書:六十七度| 》  ふる南もやう折々きり雨終日曇空

     ニ而むし夜四ツ過より小雨ふる
《割書:小暑|七 日》   朝薄くもり四ツ半時より小雨終日
《割書:七十一度| 》  少々ツヽふる
《割書:六月ノ節|八 日》  朝むら雲四ツ過ゟ照立暑気八ツ過
《割書:七十度| 》   ゟ殊之外むしあつし
両三日已前下大野村新百姓え夜盗入家内之も
の六人え手を負せ候よし
九 日  朝より小雨ふるむしあつし四ツ過
《割書:七十三度| 》  ゟ雨止ム丑寅の風冷気夜五時雨ふ
     り暫時ニ而止
十 日  明方きり雨終日降候へとも時々晴
《割書:六十七度| 》  曇不定艮の風ニ而冷気
十一日  明方より曇り終日艮風冷気夜ニ入
《割書:六十六度 》  雨ふる
両三日已前山方村ニ而百姓家ニ夜盗三四人ニ
而押入弐人を殺し金子六七拾両盗取候よし是
は弐人は悪るもの其外ニ壱人は其家の聟ニ而
其もの手引致養父母両人を殺しそしらぬふり
ニ而内ニ居りやはり人並ニ大騒をいたし居候
所同村の目あかし両三人参り其聟を召捕せん

さく致候所右之者手引致候由申候ニ付右之者
妻大キニ驚キ出刃炮丁を切かゝり候所目あか
し指押へ召捕之者へ手きつをわせ候而は不相
成趣申聞早速牢屋敷へ参候よし
十二日  朝よりきり雨ふる五ツ半時より止
《割書:六十七度| 》  七ツ時ゟ折々薄てり夜中は晴むら
     雲冷気也
当月初方取手宿呉服屋へ夜盗十三四人押入売
溜の金子八十両余見せニ有之候分を取其上勝
手へ入主人を手込ニ致連出行出かけニ見せの
者へ申候は金子百五十両持参致候はゝ主人は
返し可申と申つれ行候よし
十三日  朝よりきり雨ふる丑刁風にて冷気
《割書:六十五度 》  入梅中のことし四ツ時より雨止折
     々薄てりむしあつし
十四日  朝よりむらてり少々暑気ニなる四
《割書:七十度|八十八度》  ツ過よりてり立当年初而之暑気な
     り
江戸ゟ六月八日出
一番地別ニ替り候事も無之追々太平ニ相成御

 安心可被下候京大坂とも万事納方ニ相成誠
 ニ大慶御事ニ御座候京大坂米相場大下落致
 し両壱斗五升ニ相成と申事ニ御座候油之儀
 又々大下落仕候
 一地水油七十六両  一白油七拾五両
 一胡麻 百  両  一荏油八拾両
 一種粕本弐枚六分  一白胡麻粕弐枚五分
 一荏粕 弐枚八分  一坂水油七十八両以下
 一銭八〆三十弐文
   大坂廿八日出壱〆九百七十九俵
   五月廿七日大坂表え御触之写
 長防之義昨年上京之諸藩当年上京之四藩等
 各寛大之所置可有
 御沙汰言上猶
 大樹も寛大之処置言上有之
 朝廷同様被
 思食【「召」を見せ消ち】候間早々寛大之所置可被取計事
 長防御所置之義此度被 仰出候趣も有之候
 ニ付当地並ニ堺表ニ掛置候長州人乱妨ニ付
 而之高札取卸し候様可【「被」を見せ消ち】致旨

 右之通従京地被 仰下候段越中守殿被相達
 候条此旨三都町中可触知もの也
 一兵庫開港之事
 元来不容易殊ニ
 先帝被為止置候得とも大樹無余義時節且諸
 藩建白之趣も有之当節上京之四藩も同様申
 上候間誠ニ不被為止得御差許ニ相成候就而
 は諸事屹度取締相立可申事
 一兵庫被停候事
 一条約結改之事
 右取消之事
 右之通従京都被 仰下【「出」を見せ消ち】候段越中守殿被 相
 達候条此旨三都町中可触知もの也
    卯五月廿七日
             伊 勢
             日 向
        是は大坂御町奉行
             竹内日向守
             小笠原伊勢守
先日困井と戸村え夜盗三人抜身ニ而入両所共

金子着類等取候よし右之者召捕ニ相成候よし
一人は歩員之よし弐人は二本松之浪人之よし
此節穀町玄米両壱斗弐参升種弐斗三四升
   麦 弐斗前後 から麦 四斗五升
   府中辺は種壱斗六七升之よし
当月初山形村ニ而人殺之一条追々承り候へは
山形宿より少々引込居候所之よし娘え聟を取
子迄も有之候者ニ候へ共平日放湯ニ而博奕を
好心立不宜養父は少々金も有之者ニ付度々金
子を無心致シわけなく遣ひ捨又々金子七両貸
呉候様申候ニ付養父異見を申 借(マヽ)不申候処両三
日過候而養父を談合度義有之趣ニ而呼出候ニ
付養父も日頃用心いたし棒ヲ付し同道いたし
参候所余程連行程よき所ニ而申出候は先日御
咄申候金子是非無拠筋ニ而入用ニ候間貸呉候
様又々申候ニ付親を是迄連出此所ニおゐて又
々申出候段あまりなる致方と申立腹之あまり
右之棒ヲ【「而」を見せ消ち】以はたき候所聟右之棒ヲ取返し養
父ヲ一打ニゑりもとゟ肩のあたりヲかけ厳敷
打候ニ付崖の所え到れ候所ヲ又々打候而打殺

し宿へ帰り養母へ申候は親只今何方ニおゐて
大病之様子一人ニ而は連帰り兼候間早速同道
参り候様申候ニ付養母も参候処山の内え連参
り親を殺候わけを申母のたぶさを取引たをし
顔 の(マヽ)石の上えすりあて又大石を以つて頭を打
ひしぎ殺候よしニ而其侭宿え帰り翌日迄しら
ぬふりを致居候所女房は両親とも起不申候ニ
付参り見候所居不申候ニ付何方へ参り候や尋
候へ共わかり不申騒候ニ付 〇(〇夫)申候は何方へ参り
候や我等参り占を致見候様可致と申出候而暫
過帰り候而女房え申候は占候処親は何方ニ死
ニ居母は方(マヽ)ニ死居候と申候ニ付俄ニ近隣之者
等参候所聟申候通之所ニ死居候ニ付あまり不
審之事ニ付右之者ニ村之者とも相尋候へ共初
之程かくし居候へ共不叶とや【「申」を見せ消ち】存候事と相見逃
出候ニ付大勢追行召捕行候へは全く前件之次
第申候由ニ付女房驚有合候小刀を以テ夫へ切
かけ候へ共両三ケ所手きづおわせ候へ共大勢
之者取押入牢ニ相成候よし承り及ひも無之大
悪不道之致方と存し女房之心中如何可有之候

や殊之外不運諸人申候由

銭 両七〆五百文ニ成ル
十五日  朝きりふる五ツ過ニは晴照立暑気
《割書:七十四度|九十四度》  終日大暑風なし八ツ半時より雷声
     七ツ半時過雷雨夜中止
十六日  朝よりむら雲五ツ過ゟてり立八ツ
《割書:七十五度|八十六度》  時ゟ雷雨七ツ半過止
昨日七ツ時位ニも可有之候や天王町辺屋敷家
根上より黒気ニも可有之候や煙りことく元は
一間位ニして上は扇のことくひら丈六七間も
有之様ニ相見南方はすつきりと切候ことく上
は御囲ひの松ゟ少々高キ位ニてしばらくは消
不申夫ゟ上は雲のことくニ相成候よし
十七日  朝よりくもり五ツ過ゟてり立七ツ
《割書:七十四度|八十八度》  時位少々雷声直止

一来ル十二月七日ゟ兵庫開港江戸幷大坂市中
 えも貿易之ため外国人居留致候筈ニ付諸国
 産物手広ニ搬運勝手ニ可遂商売者也

 右之趣御料私領寺社領共不洩様可触知候
  慶応三丁【「年」を見せ消ち】卯年六月八日
 右之通書付出候間町中不洩様可触候
         町年寄【「奉行」を見せ消ち】 役所
   御口達覚
 一古弐朱金百両右引替御手当是迄六十両三
  十両此度相増合金九十両被下外ニ壱両引
  替人御手当金弐分一ケ月壱万両以上差出
  候者へは御手当
 一安政弐分判百両右引替は手当是迄金三歩
  金拾九両壱歩此度相増合金弐拾両被下外
  ニ金壱両引替御手当金弐分一ケ月壱万両
  以上差出候【「御」を見せ消ち】者へ御手当
 右之通遠国往返入用は是迄之通り
   六 月
庚子初伏
十八日  明八ツ半時雷声雨なし七ツ半時止
《割書:七十六度|八時八十三度》 朝ゟ快晴暑気折々むら雲八ツ半時
     ゟ俄ニ北東の風吹出雷雨七ツ半時
     止晴夕六ツ時雷声大雨五ツ時計ニ

     而止
《割書:丑ノ日|土用朝六ツ三分入》
十九日  朝むら雲り薄照四ツ半過より照立
《割書:七十五度|八時八十四度》 八ツ時よりむら雲り暮方雨ふり六
     ツ半時快晴四ツ時ゟ大雨
廿 日  明七ツ前雷雨直止朝くもり【「又」を見せ消ち】五半
《割書:七十四度| 》  時ゟ晴むら雲七ツ時俄ニ大雨雷声
     七ツ半過止夜中殊之外晴
廿一日  朝よりくもり四ツ半過よりてり立
《割書:七十四度| 》  七ツ時ちら〳〵雨直止
廿二日  朝よりくもり四ツ半時よりてり立
《割書:七十四度|八時八十八度》 暑気なり
《割書:六月の中|廿三日》  朝きりふる大暑風なし七ツ半雷雨
《割書:八時七十七度|  九十四度》 暮方止夜中快晴
廿四日  朝より快晴終日天気なり大暑なり
《割書:  七十五度|八時九十二度》
廿五日  朝より快晴西風暑気つよし夜中迄
《割書:七十五度|九十三度》  大暑なり
廿六日  朝より快晴暑気九ツ時少々雨ふり
《割書:七十六度|八十八度》  夫ゟくもり暮六ツ時少々雷声ニ而

     大雨半時計ニ而止
廿七日  朝より快晴涼し
《割書:七十七度|八十三度》
《割書:中伏|廿八日》   朝薄むら雲りちら〳〵雨直止終日
《割書:七十度|八十八度》  むらてり
廿九日  朝くもり四ツ過ゟてり立大暑夜ニ
《割書:七十度|九十一度》  入北風なる
鐚【「銭」を見せ消ち】相場国々下落いたし候ニ付而は御国表も同
様商人共大難渋致候旨相聞候ニ付明朔日より
金壱両ニ鐚【「銭」を見せ消ち】八貫文相済候条其旨相心得通用可
致候事
  六月九日
 下たて笠間辺追々玄米下落此節う両ニ壱斗五
 升位
 府中玄米壱斗三升五合麦米壱斗八九升小麦
 弐斗七八升ゟ三斗種壱斗九升弐斗
 土浦玄米壱斗五升
先月末取手宿呉服屋え夜五ツ時位夜盗十四五
人位抜身ニ而縮面類幷金子等持出其外主人幷
支配人壱人しばり連行河原ニ而支配人へ申候

は金子持参不致候はゝ主人之首を切申候ニ付
無拠宿え帰り金子百両持参致候ニ付主人もゆ
るされ候よし鉄炮五六十持参取手中を箇候は
なし歩行之由
当月初方下町奥津線仲口ノ者幷柳堤中茶屋主
人其外申合所々他領迄へ出候而押借夜盗等い
たし候よし先日召捕ニ相成候よし




    七 月
朔 日  朝くもり北風四ツ時よりむら雲り
《割書:七十度|八十度》   折々てり九ツ過よりてり立
《割書:六十八度|二 日》  朝むらくもり四ツ時よりてり立
《割書:八十度| 》
三 日  朝より快晴八ツ時地震終日暑さつ
《割書:六十九度|八十八度》  よし
四 日  朝より快晴暑気終日あつし夜中凌
《割書:七十四度|九十度》  かね候ほと也
五 日  朝より大暑四ツ時位より少々東風

《割書:七十九度|八十三度》  ふく九ツ時ゟ丑刁の風ニ而終日冷
     気夜中も同断
《割書:六 日|六十九度》  朝よりくもり冷気也夜中少々雨降
 六月廿八日出江戸状
 爰許之義順気十分日々照込剛米之儀近廻り
 不引合殊ニ有米淋敷候へ共頭上へ押れ更ニ
 無頓着通之下落此相場御座候何様大 海(マヽ)上時
 節空次第色々変化難計其外雑穀類つれ下落
 宜御駈引可被遊候先は暑中御伺迄如此御座
 候
             山尾 喜助
一古領米壱斗三升五合 町米壱斗四升三合
 糯米 壱斗弐升八合 大豆弐斗五升
 大豆小玉弐斗    小豆壱斗五升
 大麦 四斗五升   小麦壱斗七升
 仙台廻米四八五入 弐斗
 此元油之儀先情後追々下落猶又粕類も米穀
 ニ引れ上方目切不人気則相庭左ニ
 団水 七十弐両以下 地水油 七十両
 こま油百五両    ヱ漉  七十九両

 種粕 三枚【「拾」を見せ消ち】八九分  種上干 弐斗
《割書:七 日|六十九度》  朝よりくもり四ツ時より薄てり
一江戸相場七月二日
 生金巾 一番    一同 二番
 上 百九十三四分   上 百七十分
 中 百九十分     中 百六十五分
 下 百八十六分    下 百六十分
一晒金巾       一色五印
 一はん弐百十五分   紅金十八両壱分
 二はん弐百分     黒 十六両
            紺 十三両三分
一黒唐天        紫 十三両
  金十両       椛 十五両
一黒脂呉良       萌キ十四両三分
  金十両壱分     鼠 十四両三分
一紅金巾        紺青十三両弐分
 上百九十分
 中百八十分
 下百七十分
八 日  朝くもり五ツ時きり雨直止薄照む

《割書:七十二度|八十度》  らあつし日の中終日薄むらてり夕
     方六ツ時ゟ俄大雨雷声壱時半程ニ
     而止
《割書:未伏|庚申》
九 日  朝きり雨ふる五ツ時よりむらてり
《割書:七十四度|八十度》  暑気四ツ時位よりてり立
立秋七月之節四ツ時四分
十 日  朝より快晴
《割書:七十四度|八十二度》
十一日  朝くもり四ツ時よりむら雲り夕方
《割書:七十四度|八十二度》  雷声雨ふる
《割書:十二日|七十六度》  朝くもり五ツ半時よりむら照終日
     あつし
 土浦下館玄米壱斗六升麦米弐斗弐三升
十三日  朝より快晴暑気つよし風なし夜中
《割書:甲子七十五度|九十度》 迄殊之外大暑なり
十四日  朝より大暑風なし夜中迄大暑なり
《割書:七十五度|九十度》
十五日  朝より大暑風なし昼後ゟ涼し
《割書:七十七度|八十八度》
 穀町古籾両弐斗四五升 麦米両弐斗

 小麦四斗 気候 にて(マヽ)ニ付追々下落
《割書:十六日|八十度》  朝もやあつし五半時よりてり立
十二日夕方ゟ太田村高二ケ所ニ而早鐘を付候
所追々集候人数七八百人ニ相成同所小林え押
寄無二無三ニ打こわし品もの諸帳面等不残引
出焼払候小林一家計三軒打こわされ候由是は
日頃非道之致方ニ而抱屋敷其他田地等多分有
之候分此節柄俄ニ引上ケ其外貸金等一文も無
滞様厳重ニいたし候ニ付出入之もの共一同恨
を生し右様之仕抹ニ相成候との沙汰
 是は十二日夜九ツ時木崎ニ而半鐘を付外ニ
 西ノ上火ノ見半鐘ヲ付夫ゟ集り候人数百人
 位其外見物人ともニは三四人有之候や御輿
 ヲ二ツ細引ニ而結付西ノ上ル捨置夫ゟ小林
 彦太夫え押入商品もの幷諸帳面等ヲ一所へ
 集火ヲ付不残焼払其外戸障子道具蔵戸前等
 も打破見せ品は不残蔵之品々は三分通位持
 出同人屋鋪内ニ而焼捨夫ゟ同人分家酒造屋
 小林彦之近と申所へ押込 〇(〇酒)樽之たがヲきり又
 道具帳面等取払焼捨八ツ半過不残何方へ引

 退候や退散致候よし一体平日心懸不宜太田
 中之家賃上ケ又田畑等之年貢上候発頭人其
 外米穀高値ニ而昨年当年も皆夫々救売等致
 候へ共夫も不致我欲ニのみふけり居候ニ付
 是迄殊之外にくまれ打こわしの節も見物人
 沢山ニ有之候よし
十七日  朝薄むら雲東風吹夕方迄風吹七ツ
《割書:六十九度|八十五度》  半時より風止
十八日  朝むら雲五ツ半時ゟ晴東風吹終日
《割書:七十一度|七十五度》  吹夕方止八ツ半時大筒のことき音
     いたし候但一度なり
 所々ニ而雨乞あり
十九日  朝より快晴終日天気夕方少し風ふ
《割書:七十度|八十三度》  く夜中は涼し
 昨日昼七ツ時音いたし候は西ノ方より東の
 方え大きサ八寸位鏡のことくなる光り物一
 ツそれ又々少サキ光り物六ツ七ツ其外こま
 かき光物飛其音雷のことし江戸は勿論所々
 ニ而見候而もやはりおなし様候よし
廿 日  朝より快晴終日天気ニ而殊之外残

《割書:七十度|九十一度》  暑つよし夜中まてあつし
 日々雨乞有
廿一日  朝より快晴残暑つよし夜中迄殊之
《割書:七十二度|九十度》  外つよし
廿二日  朝より快晴終日大暑風なし夜中迄
《割書:七十五度|九十度》  あつし
廿三日  朝より快晴暑気風なし殊之外大暑
《割書:七十七度|九十度》  近年稀なる暑ニ而夕方北の方ニ少
     々雷もやうニ而此辺もむら雲出る
     夜中ニなり清涼なり
 日々所々神社へ雨乞ニ出る人夥し所鎮守御
 輿出社村々大騒キ也
廿四日  朝より快晴今日は昨日と違少々涼
《割書:七十六度|八十七度》  し
七月中昼九ツ時六分
廿五日  朝より快晴涼し終日暑気つよし夜
《割書:六十七度|八十八度》  中もあつし
廿六日  朝もやあつし五ツ過より薄照四ツ
《割書:七十五度|九十ニ度》  時ゟ大暑夜中迄あつし
此節東海道はたこ壱人金参朱中食壱朱弐百文

ツヽ
廿七日  朝もやふる五ツ半過よりてり立大
《割書:七十六度|九十度》  暑風なし夜中迄あつし
 鰹漁事暫更ニなし
廿八日  朝薄むら雲暑気つよし四ツ時ゟ九
《割書:八十度|九十度》   ツ時迄雨ふり候へ共久々之雨ニ而
     少しも土地へはしみ不申七ツ時地
     震艮風夜中も涼し
廿九日  朝むら雲り艮風涼し九ツ時ゟ照立
《割書:七十五度八十五度》  暑気
 明朔日ゟ鐚相場金壱両ニ八〆五百文通用相
 達候条右ニ付諸品直上ケ又は瑣細之品々銀
 目等ニて売買いたし候朝ニ来て品々之儀は
 銀目商ひ不相済候万一達背候もの有之候は
 ゝ召捕蒙吟味候条支配功無洩厳重可相達候
 以上

仙台之ものゝはなし白米当春極高直之節両ニ
壱斗五合四月比迄
六月下旬ゟ玄米弐斗五升位之よし

上州辺大豆大あたり畑壱反歩ニ付三石位取上
り両ニ三斗五六升玄米壱斗七升水戸城下玄米
壱斗四五升
異人大山石 尊(マヽ)え四人登山致候所右御山御師立
ニ登山押候へ共不聞入登り候所中程迄も登り
候へは其内弐人は更ニ見へ不申残両人は手足
なとちきれ候而木の枝へかゝり居候よし警固
人同道致候へ共いつの間ニ見え不申相成候ヤ
相分り不申とのよし


    八 月
鐚両ニ八〆五百文
朔 日  朝くもり四ツ過より照立暑気強夜
《割書:七十五度|八十八度》  中迄あつし
二 日  朝より快晴東風少々ふくむら雲昼
《割書:七十七度|八十九度》  後より暑気つよし
三 日  朝より快晴むら雲あつし四ツ過よ
《割書:七十七度|八十九度》  り南もやうにてむら雲荒もやう之
     所何之次第も無之夜中迄あつし

府中泉町奉行と雨乞ニ付大騒動ニ相成竹やり
鉄炮なと持出候よし
四 日  朝もや五ツ時ゟ快晴大暑なり四ツ
《割書:七十七度|九十二度》  過より南風吹七ツ過風止又々夜六
《割書:弐百十日| 》  ツ半時ゟ南風つよし明方止
五 日  朝快晴東辰巳の方え黒キ雲出る六
《割書:七十九度|八十七度》  ツ半時ゟ南風ふ く(マヽ)出ス追々風つよ
     く八ツ半時迄大風七ツ過ニやう〳〵
     静ニ成ル
六 日  朝むら雲終日天気よしくらしよし
《割書:七十三度|八十三度》  八ツ半時位暑気つよし
七 日  朝より快晴涼し終日くた【「ら」の誤りか】しよし
《割書:六十二度|八十六度》
八 日  朝むら雲涼し昼後より暑気なり
《割書:七十二度|八十六度》
九 日  朝くもり四ツ時ゟてり立残暑つよ
《割書:七十六度|九十四度》  し昼位より土用中同様之大暑なり
十 日  朝より快晴終日大暑夕方乾ゟ北の
《割書:七十五度|八十八度》  方夕立もやう有
ぬかた辺木ノ倉辺今日大雨有之候よし

十一日  朝より快晴涼し
《割書:七十四度|八十五度》
《割書:八月節昼九ツ時四分| 》
十二日  朝大くもり五ツ時よりむらてり四
《割書:七十三度|八十三度》  ツ過より晴快晴涼し暮六ツ時小雨
     ちら〳〵直やむ
  いゝ田いさこや夜盗入候よし五人ニ而金
  子七八十両も被取其上鉄炮ニ而打かけ〳〵
  出候よし
 才田塩追々下落
 浦賀ニ而両ニ五俵四五分
十三日  朝むら雲り四ツ過より薄てり夕方
《割書:七十弐度|八十弐度》  くもり終日くもり空ニ而夜ニ入八
     ツ過ゟ雨ふり少々ニ而止
 上州筋大豆上出来壱斗反歩ニ而三石位ツヽ取
 候よし下立辺玄米弐斗
 八月八日江戸
 地水油七十六両  胡麻油九十五両
 ヱ 油八十両   水油団七十九両
 種粕 弐枚七分  銭 九〆弐百文
 ヱ粕 四枚

十四日  朝よりくもり終日くもり艮もやう
《割書:六十七度|八十度》  にて冷気夜九ツ半時地震ゆる
《割書:二百廿日| 》
十五日  朝むら雲明六ツ時小地震ゆる五ツ
《割書:六十八度|八十度》  半過よりてり立四ツ過より艮風ふ
     くむらてり夜中月さゆる折々村雲
     冷気
小泉久太郎物成八石御増百八石深谷平兵衛代
々御目見格御合力籾五俵ツヽ水谷長兵衛御合
力籾弐拾俵御増都合四十九俵村田宗十郎御合
籾九俵ツヽ被下置候旨昨十四日被仰出候間為
心得相達候〆
   八月十九日     笹島左太郎
  六ケ町名主当
十六日  朝より至極快晴夕方よりくもり夜
《割書:六十弐度|八十度》  ニ入九ツ過より雨ふる
十七日  朝くもり五ツ半時より小雨ふる四
《割書:七十度|八十一度》  ツ時止九ツ過より快晴夕方村くも
     り
十八日  朝くもり終日くもり空にて冷気夜

     五ツ半時ゟ雨ふり終夜雨ふり
十九日  宵より雨ふり冷気八ツ過より雨止
《割書:六十五度| 》  終日冷気
フランス三人江戸参り教武所師はんニ相成松
平御名号を被下下総守と被仰付候とのよし御
若年寄上座と相成候よし
廿 日  朝よりくもり冷気おり〳〵照夜ニ
《割書:六十五度| 》  入五時より雨ふり
廿一日  朝よりくもり冷気終日薄てり夜中
《割書:六十四度| 》  ほろ〳〵雨ふる
 信州飯岡正木や参り咄ニは七月中旬出立其
 節玄米両弐斗弐升位ニ下落先日中迄は壱斗
 弐升位いたし居候よし七月中は穂も出不申
 候ても陽気宜ニ付追々下落之模様なり
廿二日  朝ゟ薄くもり西の方は晴居候へ共
《割書:六十三度| 》  終日くもり
廿三日  朝よりくもり四ツ時位より雨ふり
《割書:六十度|ひがん》   冷気なり終日雨夜中もふる
廿四日  宵より雨ふり艮風冷気四ツ時雨風
《割書:五十九度| 》  九ツ半過より晴風にてむら雲夜中

     風止
岩善中山様之捨人を十両五俵弐分ニ売候よし
廿五日  朝辰己之方土手雲晴四ツ時よりく
《割書:五十七度| 》  もり空にて夕方ゟ晴
廿六日  朝よりくもり冷気なり四ツ時ゟ雨
《割書:六十一度|秋 分》  ふる終日雨なり夜中風東辰巳しけ
     もやうなり
《割書:八月中|廿七日》   宵より東辰巳風雨ふり五ツ時ゟ小
《割書:六十四度| 》  降ニなる又々夕方ゟ雨夜中も雨ふ
     る
廿八日  朝くもり五ツ時小雨直止夜ニ入五
《割書:六十三度| 》  ツ時ゟ雨ふり
廿九日  朝より雨ふる終日雨ふり夜中も同
《割書:六十三度| 》  断冷気
晦 日  朝よりくもり冷気四ツ半時より南
《割書:六十四度| 》  風九ツ時ゟ南風つよし八ツ時ゟ照
     立あつし終日むら雲にて南風強夕
     方より殊之外晴ニ而南大風夜八ツ
     時位より吹
 古籾両弐斗七八升 当年は鰹漁なし壱本

 弐〆四五百文
 かつをぶし
 両四百五六十匁ゟ七百目位
 白米両ニ壱斗六升之直段之米ニ而造酒いた
 し候へは拾駄ニ付三十両はしニ上り候と酒
 屋のおやじ咄候よし此節壱升上酒金壱分位
 安ものニ而も壱〆四五百文位ニ候間過分之
 利分と相見申候
 江戸表
 八月廿一日鐚相場九〆百三十弐文
   廿二日   九〆文
   廿三日   八〆百三十弐文
 京都玄米壱斗六七升
 京都之御老中御役屋鋪此節普請其外御勘定
 所抔も出来候よし

 鮭壱本壱両位ゟ三分位之よし


    九 月
朔 日  朝より快晴終日快晴ニ而少しむら
《割書:六十八度| 》  雲西風少々ふく
二 日  朝寒冷快晴終日至極天気よし
《割書:五十五度| 》
三 日  朝より快晴明方東ノ方ニむら雲あ
《割書:五十八度| 》  り九ツ時地震
四 日  朝むら雲りむらてり終日てり夜中
《割書:六十二度| 》  くもり
宇都宮辺玄米弐斗弐参升此節壱斗八升
結城下たて辺玄米壱斗七八升
 一縮面類当春ゟ都而一割余高
 一濡子去秋ゟ弐割余高
 一花脂地張壱わり高
   京張去秋ゟ五十朱高
 一海気上もの上三百弐三十両
       下弐百五十両位
 一黒八丈壱わり五分高
 一河越ゆうき八十匁ゟ百匁迄

 一甲玉七十匁ゟ百十匁迄
 一二子唐さん七十〇前後
 一桟留四十匁ゟ五十壱弐匁?
 一千中 銀五六分高
 一白米両壱斗弐升
 一南京米壱斗七升
 一油壱升 弐〆弐百文
 一銭  九〆文
   先日中八〆八百極安九〆三百文
   追々下落之様子
 一本才田塩両四俵五分
 一赤穂塩弐俵八九分
 一いわ付織多唐原六十弐三分ゟ七十五
 右江戸相場
《割書:五 日|六十度》  朝より快晴
 大豆弐斗八升
六 日  朝より快晴むら雲五ツ半時地震東
《割書:六十度| 》   風ふく
七 日  朝きり雨ふる直止四ツ時ゟ雨ふり
《割書:六十五度| 》  出ス九ツ半時大南風もやうにてむ

     し八ツ時止又八ツ半時ゟ雨ふり
当年は初茸多し
 大豆両ニ三斗五升位
 新籾三斗弐升
八 日  朝むら雲四ツ時小雨ふる直ニやむ
《割書:六十七度| 》  夜ニ入雨ふる
《割書:九 日|六十五度》  朝よりくもり終日むらてりにて持
     合
十 日  明方ほろ〳〵雨ふる終日くもり空
《割書:六十三度| 》  ニ而夕方又々ほろ〳〵雨
当年は初茸殊之外沢山なり
十一日  朝よりくもり終日くもり空ニ而持
《割書:六十一度| 》  合
十二日  朝より快晴艮風すこしふく夜中も
《割書:五十七度|九月之節今暁七ツ時》少々むら雲
十三日  朝より快晴艮風ふく夕方止
《割書:五十四度| 》
四五日以前鈴木石見守様ニ而土蔵ヲ破り金千
八百両余も盗候よし此内古金類七百両程有之
候よし古金此節之相場ニいたし候へは弐千四

五百両程之よし都合三千五六百両も被盗候と
の沙汰
十四日  朝むら雨五ツ時よりむらてり終日
《割書:五十八度|甲 子》  天気よし夜中は殊ノ外晴
 江戸相場
  白米前売壱両壱斗壱弐升
  南京米   壱斗四五升
  麦引マリ  百文弐合五勺
  白米    百文壱合壱勺
   銭当留九〆百文
   鉄銭 九〆六百文
   茄子 百文十文 大四ツ位
   大根 壱本百 〇(〇五十)文 小八十文位
 商人取引
  元米 両壱斗弐三升
  南京  壱斗六七升
  本才田塩四俵七分
  三州わた六百五十両
  黒さとう大島百十両 少々下落
  三州白木綿 銘三反五リン

        造りナシ
        改弐反三分五厘
  名古屋《割書:五番| 》弐反九分五厘
  手拭類 《割書:下| 》廿二三匁
  さんとめ 五十匁前後
  呉良類  格別之違なし
  脂もの類 当春ゟ二割高
  御召縮面《割書:上| 》三反弐三十匁ゟ
      《割書:下| 》弐百三四十匁

十五日  朝より快晴北風少しふく七ツ半過
《割書:五十三度| 》  雨少しふる直やむ快晴也
《割書:十六日|五十弐度》  朝より快晴
《割書:十七日|五十一度》  朝より快晴
十八日  朝くもり小雨降南もやうにて折々
《割書:五十五度| 》  雨ふり
十九日  朝よりむら雲四ツ半時より九ツ半
《割書:六十五度| 》  時迄雨ふり
二十日  朝やけ艮風むらくもり終日くもり
《割書:六十度| 》   空にて北風ふく夕より止

二十一日 朝よりくもり終日くもり北風夜中
《割書:五十四度| 》  迄ふく
 籾壱両ニ上もの三斗六七升
二十二日 朝よりくもり北風ふく四ツ時より
     てり立九ツ過くもり北風七ツ時よ
     り俄ニ雨降半時計にて止夜中も雨
     ふり終夜雨
 粉ぬか壱俵金三分位此間中三分弐朱
二十二日 朝より雨ふる明七ツ時地震五ツ時
《割書:六十度| 》   より晴北風ふくむら雲夜中殊之外晴
 大豆両ニ三斗三四升
《割書:とよう|二十四日》  朝むら曇り折々てり南もやう夕方
《割書:五十五度| 》  くもり七ツ半時俄ニ大雨直ニやむ
 ミナト白米両ニ壱斗六七升
二十五日 朝むら雲五ツ過ゟてり立終日快晴
《割書:六十度| 》   折々むら雲
二十六日 明六ツ時ほろ〳〵雨四ツ過より本
《割書:五十二度| 》  降ニなる夫ゟ終日大雨夜中も同断
廿七日  朝くもり五つツ過ゟ晴むら雲北風ふ
《割書:五十六度| 》  く

廿八日  朝より快晴終日天気よし
《割書:五十四度| 》
《割書:廿九日|四十六度》  朝より快晴夕方よりむら雲
当年は栗柿大あたりしかし直段は小栗壱升百
五十文大中栗三百文位大栗四五百文
鮭魚此節随分取れ候へ共弐分弐朱より三分位
柿壱束六百文位
茄子百文位 五ツ六ツ
大根壱本六十四文
福島辺春分ゟ高下なしニ而此節玄米両ニ九升
ゟ壱斗位


    十 月
朔 日  朝よりくもり五ツ過より晴北風終
《割書:五十一度| 》  日吹夜中は風つよし
《割書:二 日|四十一度》  朝より快晴終日天気よしさむし
 今日御用
 《割書: |弐十石御増》      《割書: |十石御増》
 大高六右衛門    木村専之介
 《割書: |廿五石御増小十人格》   《割書: |隠居伜御同列三十七俵》
 木村傳右衛門    郡【「難」を見せ消ち】司藤四郎同伜兎?兵衛
 《割書: |小十人格居屋敷被下》   《割書: |小十人格七十五石》
 留田大惣次     渡邉惣衛門
 《割書: |同上》        《割書: |弐人御扶持》
 五来瀬兵衛     増子惣太郎
《割書:三 日|三十九度》  霜ふる快晴
 江戸表は万石以下弐百石迄半知十ケ年之間
 被仰出候よし浪人沢山ニ出来候由
《割書:四 日|四十二度》  朝むら雲むら照夕七ツ半時雨ふり
五 日  朝くもり五ツ半時過ゟ雨ふる八ツ
《割書:五十度| 》   時止
六 日  明七ツ時地震雨ふる明六ツ半時ゟ
《割書:五十一度| 》  快晴暖気なり
綪糸米沢ニ而買人参り候へは壱駄千弐百両売
人出候へは千両位少々ゆるみ横浜も千両位

下たて辺玄米両壱斗七升位
  くりわた 両六百匁
  当年わたは出来宜候へ共昨年わた種更ニ
  無之故当年作り不足故品少し
 江戸表先月廿八日ゟ商荷ヲ積蒸気船弐艘出
 来江戸戸倉や金三郎ゟ大坂迄三日半ニ行候
 由一間借切金十両入込ニ而乗合壱人金弐両
 ツヽ 紅花壱駄三両三分弐朱扶持代壱人ニ
 付上下ニ不拘 参文ツヽ初而出船之節百六
 十八人品もの積候品は横浜出候呉服類沢山
 之よしニ御座候右町内いせや幸助聟のはな
 し今日帰り候よし江戸表玄米両壱斗六升大
 豆三斗塩本才四俵七分
七 日  朝より雨ふる七ツ時より雨止夜中
《割書:五十二度| 》  星見ゆる夜九ツ過ゟ雷雨風あり八
     ツ過止
追々承候へは【「松」を見せ消ち】夜中雨氷ふる候よし稲刈不申
候所半分も落候よし
蒸気飛脚船
 一竒捷丸  《割書:九月廿八日品川出船|海上三日ニ而大坂着船積》

 一人数弐百人程乗込出来候間往返致度もの
  は武家百姓町人婦女子とも望次第相当之
  船賃差出候へは為乗込候事
    但御用旅行之外は最寄廻船問屋ニ而
    浦賀御番所通手形を取乗組可申候事
 一荷物弐千石目程は積入出来候間相当之運
  賃差出候へは積入候事
 一御用旅行之向乗船賃幷御用物之運賃も相
  当ニ差出候事
 右之外委敷儀は永代橋詰廻漕仮会所え九月
 廿五日迄ニ申入候へは諸事相分候事
   卯九月       廻漕会所
     〇
 御試蒸気飛脚船仮運賃
 一壱 人      金弐両
   外食料一日分銀七匁五分
 一大長持      金六両三分銀九匁
 一中長持      金五両三分
 一小長持      金四両弐分銀六匁
 一大樽       金弐分銀壱匁六厘

 一中 樽      金壱分銀九匁壱分六厘
 一小 樽      銀拾参匁八分
 一明 荷   《割書:壱ツニ付》金弐分銀拾壱匁四分
   但右之外諸荷物嵩る物は壱尺角ニ付凡
   銀拾参匁八分宛割合ニ而取極可致候
 一銅鉄金物類目重之品《割書:拾〆目ニ付|  金弐分銀拾壱匁四分》
   但右之外壱品ニ而格外重目之品は貫目
   ニ応シ割増致候事
 右之通候事
   卯九月     廻漕会所
 江戸才田塩両四俵四五分
八 日  朝より薄むら雲天気西風吹夕方風
《割書:五十二度| 》  止さむし
 野口大宮辺壱両玄弐斗大豆三斗五六升ゟ四
 斗壱升迄
《割書: |日光山大雪》
《割書:九 日|四十三度》  朝むら雲六ツ半時はれ終日快晴
《割書:十 日|四十三度》  朝むら雲天気よし夕方少シ北風吹
 籾壱両三斗五六升 三斗九升
十一日  明七ツ時ゟ雨ふる六ツ時よほとつ

《割書:五十一度| 》  よき地震ゆる九ツ時ゟ雨終日夜中
     止
 麦米弐斗一弐升大豆小弱三斗五六升四斗位
 江戸表少々引上玄米両壱斗弐升
《割書:十二日|四十七度》  朝より快晴
 白さとう《割書:初雪三十匁|天光三十三》 黒 八十両ゟ四十五両
《割書:日光山雪|十三日》  朝きり雨ふる時雨空なり五ツ過ゟ
《割書:五十二度|立 冬》  雨つよし八ツ時晴
十四日  朝快晴五ツ時ゟむら雲天気七ツ半
《割書:四十七度| 》  時西ノ方時雨空ニ而雷声夜中は晴
  九月廿四日
   大坂表御達之由
公方様御儀一昨日一日就吉辰二【「城」を見せ消ち】条御城え御
移替被遊同日
内大臣御任槐之
宦旨 御頂戴
勅旨 准后使
御対顔御作法万端首尾好相済御機嫌不斜誠以
目出度御儀不可過之候依之同日ゟ
公方様与奉称

御簾中様御事
御台様与奉称旨京都ゟ被仰下候条恐悦可奉存
候此旨三所町中可触知者也
   九月廿四日
《割書:十五日|四十度》   大霜快晴
《割書:十六日|三十八度》  大霜快晴
《割書:十七日|五十度》   朝くもり北風
《割書:十二日出|江戸大不印》
 古新 弐反壱分九厘   改 弐反五分
 銘  参反壱分五厘   名古《割書:五はん| 弐反六七分》
 三長 花照弐反五六分  小袖わた
              三五三匁五分
 【国構の中に中】水油七十四両弐分 三口三匁
 地水 七十弐両弐分    弐五弐匁九分
 ヱ漉 七十四両     こま油八十五両
 種粕 本〆弐枚八分
《割書:十八日|四十度》   朝より快晴北風ふく
《割書:十九日|四十三度》  朝より快晴暖気なり
《割書:二十日|四十五度》  朝よりくもり四ツ過よりてり立
《割書:廿一日|四十七度》  大霜快晴

《割書:廿ニ日|四十七度》  朝薄くも【「てり」を見せ消ち】り四ツ時よりてり立暖気
《割書:廿三日|三十六度》  朝より快晴霜ふる西風吹昼過止
 籾少々引上壱両ニ三斗一弐升
《割書:廿四日|三十一度》  大霜快晴終日天気よし
廿五日  大霜寒気朝ゟ時雨空なり夜中は殊
《割書:三十五度| 》  之外晴
廿六日  大霜快晴四ツ時より西風ふく夕方
《割書:三十四度| 》  止
廿七日  朝よりくもり四ツ半時よりてり立
《割書:三十六度| 》  北風吹さむし
《割書: |小雪十月中》
《割書:廿八日|四十度》   朝よりくもり四ツ過よりてり立
昨日松坂屋弥兵衛幷忰宇野寿之介外ニ支配人
両人御係定所溜人ニ相成候よし見せの子供壱人
是は御下ケニ相成候よし昨年中小川ゟ参り居
候見せの子供相果候俄ニ付昨年も弥兵衛は入
牢致候所病気下リニ相成居又々此度溜
廿九日  霜ふる快晴風なし夕方くもり時雨
《割書:三十五度| 》  ふる


皇国時運之沿革ヲ観るニ共王認ヲ解事相家権
ヲ執保平之乱政権武門ニ移りてゟ
祖宗ニ至更ニ
籠眷ヲ蒙り二百余年子孫相受テ我其職ヲ奉す
と雖政形当ヲ失ふ事不少今日之形勢ニ至るも
畢竟薄徳之所致不堪慚櫂況当今外国之交際日
々盛なるゟ愈朝権一途ニ不出候而は綱紀難立
候間従来之旧習ヲ改メ成朝ヲ
朝廷ニ帰し広ク天下之公儀ヲ画一然断仰キ同
心協力共ニ
皇国ヲ保護せは必海外万国と可並立我国家ニ
所画不過之候乍去見込之義も有之候はゝ聊忌
諱ヲ不憚可申聞候
   十月
別紙相達候御書取之趣
御奏聞被遊候所去ル十五日別紙之通従
御所被
仰出候旨同十六日於
京地被仰出候間此段相達候

   十月
祖先已来御委任厚御依頼被為在候得共方今宇
内之形勢ヲ考察建白之旨趣尤ニ被思召候間被
食候尚天下と共ニ同心尽力ヲいたし異国ヲ推
持可奉安
震禁御沙汰候事
右事件外国一条は尽衆儀其外諸大名伺被仰出
等を
朝【「庭」を見せ消ち】廷於両役取扱目余之義は左之諸侯上京之
上御決定可有之夫迄之所支配市中取締等は是
迄之通ニ而追而御沙汰之事
布衣之御役人ニ伊賀守殿
御口達之写
今般上意之賽際は宇内之形勢を御洞察被遊候所
外国通交之道盛んニ開クニ至り御政権二途ニ
相成候而は
皇国之御綱紀難相立候ニ付永ク治安を被為計
候 御遠太之御心慮ゟ被仰出候御儀ニ而誠ニ
以奉感佩候殊ニ 註(マヽ)前之御過失ヲ一身ニ御引受
御薄徳ヲ被為表御政権 朝廷え御帰被遊候御

文言等臣子之身分ゟ奉伺候へは何共奉恐入候
涕泣之至ニ候就而は此上益以御武備御充実ニ
相成不申候而は別而不相成候義ニ候於各も聊
気弛無之前文之御趣意相貫キ御武意相張候様
一際奮発忠勤情々可被申合候
大根九十本附壱駄四貫文ゟ三〆五六百文位
十一月初ニは壱駄弐貫文位ニ下ル先日中あま
り高直故買人更ニ無之候 故(マヽ)江戸ニ而は壱本百
文ゟ百五十文位之よし
当年は殊之外諸国共金詰りニ而商ひ更ニ無之
商人とも一統大難儀
是迄酒壱升壱貫四五百文ゟ壱貫七八百文此節
御達ニ而古酒壱升壱貫文新酒壱升八百文

下町通ニ而奥州大名家来〳〵日々沢山ニ江戸
へ登候


    霜 月
《割書:朔 日|四十度》   朝より快晴
明八ツ時位弘道舘中御普請小屋焼る
《割書:二 日|三十三度》  大霜快晴寒し
《割書:三 日|三十三度》  大霜朝より西風さむし夕方風止
《割書:四 日|三十五度》  霜ふる快晴
江戸表其外諸国殊之外物騒夜盗押借所々有之
申候
先月は江戸御蔵前町人酒倉等物持え船ニ而百
人余夜盗入中え四十人余入表ニ六七十人立居
金子弐百両余被取候よし
《割書:五 日|弐十六度》  大霜快晴寒気つよし
六 日  霜降る快晴九ツ時ゟ薄くもり夜ニ
《割書:三十五度| 》  入雨ふる明方迄ふる
 籾両三斗四升玄米壱斗六七升
七 日  明方まて雨ふる六ツ半時より薄く
《割書:四十五度| 》  もり日の内てり立
八 日  大霜ふる快晴さむし西風吹
《割書:三十五度| 》

 大豆両三斗七升下四斗四五升
 種両弐斗六七升
 ツキ麦弐斗壱弐升
 綿両六百匁
 籾両三斗弐三升 玄米壱斗六七升
《割書:九 日|三十三度》  大霜ふる快晴さむし夜五ツ時地震
《割書:十 日|三十度》   大霜快晴寒気
十一日  大霜快晴寒気つよし日の内暖気暮
《割書:三十五度| 》  六ツ半時地震ゆる
《割書:十二日|三十五度》  大霜快晴
《割書: |十一月節》
《割書:十三日|三十五度》  霜ふる快晴暖気
《割書:十四日|三十七度》  霜ふる快晴暖気夜五ツ時地震
《割書: |甲子》
《割書:十五日|三十五度》  薄むら雲快晴暖気なり四ツ時より
     くもり九ツ時より雨降八ツ過より
     小雨ニ成る夜中止
 才田塩両四俵
数子姫様御事
公方様御養女被遊
有栖川師宮様へ御縁組可被遊旨
御内意被仰出候

稲葉美濃守殿ゟ京河弥ヲ以御城付共え一紙ニ
而相 候御書付写
今度御用金指出候者共え御用金高ニ応し金札
可相渡候右金札之義は来々己年三月迄都而通
用金銀同様相心得御年貢其外諸上納ニ相用不
苦候間御府内幷関東在方共無指支通用被仰出
候義ニ付心得違致間敷引替之義は来々己年三
月ゟ三井八郎衛門方おゐて正金銀ニ引替可相
渡候右引替ニ付而は歩合減等一切無之候間不
取締無之様取引可致候
右之趣関東筋御料私領寺社領共不洩様可被相
觸候
   十月廿日
右之通相觸候間可存其趣候
《割書:十六日|三十八度》  朝より快晴暖気なり
《割書:十七日|三十弐度》  大霜快晴
昨十六日八ツ時江戸表出立之由ニ而昨夜八ツ
時ニ早御注進参り候よしニ而今日は朝より風
説ニ而皆々心配致居候沙汰は何方之浪人ニ候
哉五十人位ツヽニ而江戸入口出口等え火をか

け焼立手向ひ候者は殺され候よし江度は有増
大炎ニ相成居候よし終日皆々大騒致候所十七
日夜ニ入候へは更ニ跡方もなき事之よし尤も
十三日吉原ニ而歩兵乱妨いたし候ニ付酒井様
御人数ニ而十六七人切殺候よしニ而歩兵三百
人程吉原ニ押かけ候所仲人出候而事なく御引
之よし右之沙汰と早参り候との間違候事ニ候

《割書:十八日|弐十六度》  大霜寒気快晴
昨日早打ニ而水戸表騒動致候わけは小石川御
屋形荘庄左衛門殿三男十六日御番ニ而御殿え
詰居候所俄ニ乱心いたし候事と相見へ諸所ゟ
直ニ早駕ニ而御国元え十六日夜八ツ時頃着致
し江戸表ニ大変出来何方之人数ニ候や三十人
五十人ツヽ所々え散乱いたし居芝辺ゟ品川辺
又千住辺等所々え火をかけ芝辺は大火之様子
殊ニ千住辺通り筋ニ十四五人も死人有之候趣
追々大変之様子ニ付外ニ両人 保(マヽ)々早打ニ而御
国元え下り候者有之候所いまた着不致候はゝ
定而途中ニ而殺され候事と相見候由申候ニ付

俄ニ御役方御寄合有之御 仰(マヽ)儀之由ニ而御国元
は夫々御手当等大さわき致候所同日昼後ゟ右
之者全乱心いたし候様子ニ而御国元え早打ニ
而下候事相分り静り申候実ニ皆々心配致し候

浦賀宮原屋と申ゟ十一月七日出諸相場湊へ申
来候よし之写追々諸品少々ツヽ下落いたし候
様子
 《割書:相馬米|岩中米》 壱斗九升  操わた 七百目
 本石米二斗    赤穂塩 三俵五分
 小麦 三斗一弐升 才田塩 六俵壱弐分
 大豆 三斗    新才田 七俵
 小豆 弐斗三升  菜 種 弐斗
 当日銭九百文
《割書:十九日|弐十八度》  大霜寒気快晴夜五ツ時地震
《割書:二十日|三十度》   朝くもり四ツ半過より雨降り七ツ
     時ゟ雨止夜八ツ時地震
廿一日  朝くもり四ツ時よりてり立夕方ゟ
《割書:三十五度| 》  大曇り四ツ時雨降
《割書:廿二日|三十七度》  朝より快晴暖気八ツ時ゟ時雨ふる

     西北風なり夕方止七ツ時地震
会津
 玄米両 〇(〇弐)斗四升
 越後辺ゟ奥州辺殊之外上作之よし会津熊の
 膽売之【「候」を見せ消ち】はなし
明廿三日ゟ鐚金壱両ニ付八〆七百文通用白米
百文ニ付弐合売相達候条支配地無洩可相達候

  十一月廿二日
太田わた炭壱俵城下ニ而壱〆七八百文
《割書:廿三日|三十三度》  朝ゟ天気明七ツ時地震ゆる
 明廿三日ゟ鐚金壱両ニ付八〆七百文通用白
 米百文ニ付弐合売相達 〇(〇候)条支配切無洩可相達
 候〆
   十一月廿二日
《割書:廿四日|三十度》   大霜快晴
 井戸水更ニなくなり所々井戸払いたし候
《割書:廿五日|三十度》   大霜快晴
《割書:廿六日|三十五度》  大霜快晴
当月十六日江戸両替屋はりまや新右衛門え夜

盗大勢入槍長刀斧等持参鉄炮打懸候ニ付家内
之者大勢逃出候所金八千七百両程取候而何方
え参り候や相分り不申候由
《割書: |十一月中夕七ツ時壱分》
《割書:廿七日|三十三度》  大霜快晴終日上天気
《割書:冬 至| 》
廿八日  大霜快晴東辰巳之方根太雲七ツ過
《割書:三十弐度|》  時雨ふる夜五ツ時止
当年は殊之外金詰りニ而大不景気
楮なとは昨年ゟ不出来ニ候へ共壱駄金九両位
昨年は壱駄十七両位金詰りニ而何品も捌ク不
申追々下落之様子
御相場も五俵ニ五俵以下ニ相立候へとも御蔵
ニ而買候へは壱両弐分ツヽニ出来候よし

 十一月廿九日御用
 小十人格加志村藤右衛門物成六十壱石幷居
 屋敷拝領御同朋別二川久兵衛物成五十石御
 増都合百五拾石御目見格左近司長之介代々
 小十人【「格」を見せ消ち】別物成五拾石幷居屋敷拝領
 代々小十人別西村啓介野田喜三郎籾五俵御

 増都合拾五俵被下置
 落合長四郎石津彦四郎御目見格被仰付候
江戸此節玄米弐斗弐升位
《割書:京都|大坂》 玄米三斗ゟ三斗五升
当年は江戸表番船入津更ニ無之参州わた三百
四十両遠州綿参百廿両
廿九日  朝快晴なれとも黒き根太雲明方東
《割書:三十度| 》   ゟ辰巳の方へ出る終日村雲夕方よ
     り時雨降夜四過止
 土浦玄米弐斗弐升
 水戸は 弐斗
晦 日  朝晴候へ共四方ニ根太雲四ツ過ゟ
     くもり夜四ツ時より雨ふり終夜雨
     つよし西ノ方雷声あり
 信州万鑊や内山浦小兵衛手紙
  九月廿八日出
  足袋底 白織ニ而上弐十三掛中物廿壱文
  追ひ廿〇位
  当節少々下落ニ而国元ニ而本織廿〇文【「五」を見せ消ち】ゟ
  廿一文【「五」を見せ消ち】位追ひニ而十八文位

  米相場壱斗八升 銭八貫六百文
  水油《割書: 四升|小売弐〆四百文 信州は壱駄三十六〆目》
  くりわた甲州 五百五十両位
      尾州 五百六十両位
      善光寺五百七十五両位
  生絹 上三十弐目 中三十五目
     下三十八九目
  上田縞上々壱疋九両弐分
     中   八両 下 七両位
  紬《割書:縞相場|少々下落》壱反四両中三両以下下弐両三分
      弐分
  白 紬 壱疋上四両弐三分下壱両壱分
 右之通ニ御座候
   九月廿八日出    山浦小兵衛

向井町茗荷や藤助二男両三日已前上方ゟ帰候
よし蒸気船ニ而大坂ゟ出版三日ニ而江戸へ着
致候よし
  上たん一間かり切六人ニ而廿両ニ而旅宿
  せんとも夜具諸ふとん三枚敷候よし手洗

 なといたし候所蠟石ニ而拵障子なとはき
 やまんにてはりやはり座敷ニ居候様ニ而
 更ニゆれ不申候由兵庫浦ニは此度公辺ニ
 而おらんたえ御頼軍艦十七八艘御出来ニ
 相成候分かゝり居候由山のやうニ見候よ
 し

江戸中御用金此度被仰出候 〇(〇金)高八十万両
 今日初方大坂玄米弐斗弐三升
 京都玄米弐斗弐三升
 此節東海道筋ゟ所々
 大神宮秋葉日光 等之御札降候由
 上方は御用金被仰出はなし

    十二月
朔 日  宵より雨なし明方雷声終日雨ふり
《割書:五十二度| 》  夕方止暖気也
《割書:二 日|五十度》   朝より晴五ツ時ゟ暖気なり
《割書:三 日|四十一度》  朝もや暖気なり四ツ時より快晴
今日ナト俄ニ下落玄米両弐斗位
四 日  朝より折々照立四ツ時ゟ丑刁風ふ
《割書:四十五度| 》  く終日風つよし夕方止
京布武下りノはろ〳〵を承り候
 上方金相場百三十四匁【「両」を見せ消ち】
 米壱石五百三十匁致居候先月中旬ゟ大名衆
 払穀俄ニ指控候由ニ而玄米ニ而壱斗方引上
 候両壱斗五六升
 江戸表も金詰り大不印諸品追々下落【「いせ晒」を見せ消ち】
  いせ晒《割書:壱反》弐匁五分下ケ 玉川晒 三匁下ケ
  手拭 壱匁五分下ケ   玉川白三匁下ケ
  名古屋白三匁五分下ケ  生金巾極上々一はん
  雲才七十五匁八十五匁迄 《割書: 百七十二匁|二はん百五十匁》
  金巾薄廿八文

  〃鉄網戸廿七文
 江戸
 地水油七十壱両弐分 胡麻油九十弐両
 荏漉油七十四両   種 粕本〆三枚【「両」を見せ消ち】壱分
 荏粕 三枚五分   坂 水 七十五両
  銭九〆三百文   《割書:大坂十八日出|  弐〆四百八十匁》
此節水戸粉こんにやく《割書:古粉十月中旬迄| 三十壱弐両》
 山ニ而上粉壱駄廿五両以下  新立相場
 相馬玄米弐斗三升 岩キ平弐斗一弐升
  銭六〆八百文
 他所入酒御差留
  十二月中町触
  入酒御免之所此節ゟ御指留ニ相成候条造
  酒屋共心得違無之様支配切無洩可相達候
  〆
五 日  朝くもり八ツ過地震夕方ほろ〳〵
《割書:四十五度| 》  雨ふり夜五ツ時雨ふり
 今日ゟ銭九貫文
六 日  大震寒気つよし快晴なり
《割書:弐十九度| 》

七 日  明方より雪ふる四ツ半時より雨ニ
《割書:三十一度| 》  なる終日雨ふる
八 日  朝よりくもり四ツ半時てり立八ツ
《割書:三十五度| 》  時くもり夕方ゟ晴
九 日  朝殊之外もやふる五ツ過より晴さ
《割書:三十七度| 》  むし夕方迄西風ふく夜六半時ゟ西
     風強四ツ時止
 佐原辺玄米弐斗六七升
 土浦辺玄米弐斗三四升
《割書:十 日|弐十五度》  大霜寒気強快晴暮六ツ時地震
 水戸
  玄米弐斗 麦米弐斗弐升 菜種三斗九升
  大豆三斗七八升ゟ四斗
《割書:十一日|弐十七度》  大霜快晴寒気
《割書:十二日|弐十七度》  大霜快晴寒気
 寒入十二月節朝五ツ三分ニ入
下野出流観音え先月末ゟ浪人体之者弐十人余
【「御参」を見せ消ち】り居候所此節追々集候而当節七十人余ニ
相成候よし
十三日  大霜寒気快晴四ツ過ゟくもり暮六

《割書:弐十八度| 》  時快晴五ツ時ゟ雨ふる
日光御隠居 大楽王院宮様薨去ニ付鳴物七日
ゟ十三日迄御停止
十四日  宵より雨ふる暖気なり夕方より北
《割書:四十弐| 》   風雨つよし終夜南風つよし
四五日以前磯浜の近クシカミ新田と申新百姓
八九軒有之候所へ夜盗三人入候所壱人鎗ニ而
突伏弐人は逃去候由近村ノ者之よし
火災之節於【「放」を見せ消ち】火之見半鐘打方之義先年左之通御
達ニ相成候由ニ候所又々此度 〇(〇先)年之通御達ニ相
成候事
一上御町火事之節は三ツ宛積りニ而幾度も打
 可申候事
一下町火事之節は弐ツ幾度も打可申候
一郷火は壱ツ宛打可申候
一近火はやたらニ打可申候
一鎮火は上下御町郷【「家」を見せ消ち】火共跡ニ而壱ツ打外ニ
 は打申間敷候事
 此節小川辺玄米弐斗参升
   佐原辺弐斗五六升

   府中辺弐斗弐三升
 上州辺絹糸九貫目壱固之直段先日中金四百
 両位致居候所此節金詰りニ而俄ニ下落百七
 十五両ニ相成候得共壱人なし又々少々引上
 候而当時弐百弐十五両ニ相成候へ共買人は
 有之候へ共売人無之との事
十五日  明七ツ時ニ雨風止折々北風雨終日
《割書:四十五度| 》  夜ニ入風雨つよし
十六日  明方より晴西風吹終日西風つよし
《割書:三十七度| 》  夕方止
入穀御指留之沙汰有之候
《割書:十七日|三十五度》  朝より快晴
十八日  明八ツ半時ゟ西風強明七ツ半過止
《割書:三十六度| 》  快晴四ツ過ゟ西風吹夕方止
《割書:十九日|三十弐度》  大霜快晴寒気強風なし
 卯十一月下旬ゟ野州出流観音え何国之者ニ
 候や弐十人程相集候所其後追々集り候而此
 節百人余ニ相成当月初ニ栃木え参金三千両
 程借入申度趣懸合有之宿内一同難渋入割相
 頼千五百両指出候振相断候所いつれ後日ニ

 参候砌借受度宜敷頼候と申帰候ニ付夫ゟ領
 主真岡御陣屋へ右之次第訴候所早速御人数
 御出張御代官関田源七郎殿壬生御領主鳥井
 丹波守殿足利御領主戸田長門守殿都合五百
 人余柿木宿え御出張ニ相成候所当十二月十
 一日暮六ツ時出流ゟ三十人余手筒幷鎗等所
 持致参候ニ付西さと村ニ而出合直様鉄炮打
 懸戦候ニ付生捕之者弐十人程小筒刀キツニ
 而即死六人栃木は引取散々逃去候よし多分
 出流へ集候との沙汰之よし御人数之方は一
 人も怪我無之よし
《割書:廿 日|三十一度》  大霜寒気強
《割書:廿一日|弐十五度》  大霜寒気つよし
 城下才田塩両五俵半  江戸俵
 江戸は  六俵八分   玄米弐斗弐升
此節江戸伝馬町夷屋六郎次懇方之者下りはな
しのよし
兵【「表」を見せ消ち】庫表交易開港之場所当月七日ゟ開ニ相成
候よしニ而異人館普請も殊之外ニ出来上り候
所当月初方風も吹不申候一夜之内ニ右異人出

来候普請不残微塵ニ潰れ候而異人弐人泥の如
く相成死居候よし

当夏比ゟ伊勢両宮日光御札上方筋諸々え降候
よし之所此節京大坂続而降東海道中仙道信州
辺迄降候よしニ而降候所之近国近村之者は降
候所え参詣ニ出此節追々大騒ニ相成京大坂美
濃近江辺老若男女枝萩手巾地之表ニ褰は紅無
地欝金之三尺をしめ晒之手巾ニ而なんてもよ
い〳〵と唄ひおとりあるき東海道筋大名上り
下り下坐触等致候而も更ニ用ひ不申なんても
よい〳〵と大勢はやしおとりあるき如何ニ制
布いたし而も聞入不申候あまりきひしく制布
いたし候へは大勢ニ而おとりなからのつき候
而おとりさわき御大名衆も咎め候事もならす
皆わらひ候而通候由

 大坂紅無地手巾欝金 俳(マヽ)ちりめん類品更ニ無
 之江戸へ注文有之候而江戸も引上候よし大
 坂六十匁銀ニ而紅無地壱反五十八九匁俳ち

 りめん京大坂ニ而一万五千疋もつふし候よ
 し

 伊世乾屋本家ニ而夜番之者夜廻致候所玄関
 前ニ白キ馬参り居候ニ付驚キ提灯等ニ而見
 候所木馬ニ候間不思儀ニ存候所いせ
 大神宮御神馬四ツ之内壱ツ見へ不申候ニ而
 尋居候所乾屋ゟもいせニ人を立御師へ承り
 候所全ク神馬ニ付早速相返候様申候ニ付乾
 ニ而は自分宅へ降候神馬故返候様ニは不相
 成新規ニ拵上ケ候様申候よし

 尾州袴屋喜兵衛と申内へは七十弐社之御札
 降候よし聞伝へ村々ゟ躍歩ク参詣人夥しく
 出候よし

 其他所々之男女殊ニ赤子なと降候由大坂ニ
 而は十六七之娘ふり候よし降候者を承り候
 へは信州近州美濃なと夫々諸国之ものゝよ
 し又々四五日も立候へは帰り候ニ付子供な

 と参り候もの承り候へは伊勢両宮金毘羅又
 は日光筑【「筋」を見せ消ち】波奥州金華山なとへ参詣致候なと
 ゝ申候由江戸表へ諸々より参候手紙ニ而は
 誠ニうそのやうニ御座候と申候事
 江戸大伝馬町田端屋次郎左衛門夜五ツ時見
 せ 〇(〇の)もの表へ出候所軒下ニ而何か見へ候間取
 上ケ見候へは
 いせ両宮彩色の絵のかけ物落居候所持主芝
 辺之名前有之候ニ付先方へ懸合候所いつ紛
 失致候や更ニ紛失之様子無候へとも全ク紛
 失致居候趣ニ付田端屋ニ而も返候様申候へ
 共先方ニ而は全両宮御さつかりニ相成候事
 と相見へ候間御返ニ及ひ不申候由追々評判
 ニ相成参詣ニ参り候間一日参詣いたさせ候
 所御初穂は六両余上り候へ共祝ひ等致候ニ
 付弐百両程かゝり候よし
 江戸表も続而物騒目黒ニ而壱万石程取候大
 名へ三十人程持込武器其外盗取逃去候よし
 此節御役付之挑灯を付馬上なとのもの有廻
 り体ニ而持込候よし

 夜見せなとも五ツ前ニ被辞職候さひしき事
 之よし
廿ニ日  明六ツ時地震大霜寒気巽ノ方根太
《割書:三十一度| 》  雲あり
当月十日龍ヶ崎手紙
 玄米両弐斗九升 生白木綿上弐百
 わた八百匁位      中弐百弐三分
先月中地わた七十五両致居候所此節三十六両
環久壱束九十匁位之品七十匁 楮壱駄六両弐分
紙小判紙壱〆三十四五匁此節弐十弐匁
上方ニ何事か出来候と相見奥筋ゟ江戸表へ諸
家追々登り候様
御国ニ而も御一左右次第一ノ御備御登りニ相
成候よし
此節程ケ谷へ浪人三千人程集り居横浜を潰ス
と申横浜中大騒之よし
府中本田ヤ万助はなし
十一月中旬府中森田ヤ文左衛門と申者娘十六
才ニ相成いつ方参候ヤ行衛不相分占祈祷は所
々ニ而致又は男ニ而も連出候ヤと尋候へ共男

も見へ不申者も無之全壱人之様子ニ付両親も
殊之外心配致折節伊せの御師御札くはりニ下
り居候ニ付右之咄致候所占祈祷致候へは伊せ
参宮ニ参候様子ニ候間決而苦労ニ致間敷間も
なく返り可申候間神信心致居様被申御へいそ
くを拵へ昼夜御神酒御あかりを信心致候様申
候信心致候様よし右娘九日目ニ帰候ニ付承り
候所左之通
いせへ参り申度志願しきりニおこり紺股引な
と人しれす拵又自分之着類を持出新地ニいろ
〳〵人の取持なと致居候老婆有之候所え頼金
子弐十弐両借受夫ゟ夜四ツ時比立出候所表ニ
煎微甚の着物着候四尺計の男居候而申候は夜
中娘ニ而何方へ行くヤ被申候ニ付いせへ参詣
ニ参度立出候と申候へは私等もいせへ参候も
ものニ候間同道致可申由ニ付何人ニ候ヤ尋候
へはらうそくのしんかけ致候もの何も疑候ニ
は及ひ不申候と申同道致府中を出はなれ市川
へ参り候処ぐら〳〵致候様覚候所夫ゟ其人の
脇之下えかゝえられ参り候様覚候内其人申候

は是は江戸の吉原ニ而此間歩兵之乱妨致候所
よく見て候へと申又大伝馬町田端屋と申内ニ

太神宮様御入ニ相成居候拝み候様申候其時は
夜明方ニ而いまた戸も明き不申候品川辺へ参
明るくなり夫ゟいつ方ニ候ヤ殊之外賑やかる
宿へ出参詣人群集致摂持所々ニ有之候而赤飯
なと出候間夫をたべ候様被申むすび一ツ貰ひ
たべ夫ゟ歩行なから下ヲ見候へは谷合なとの
やうなる所ニ家なと見へ又は峯なと計を通り
又賑やかなる所え出候所是は尾張名古屋の御
城なり金のシヤチホコヲ見候へと被申天ヲ手
ニテナデ候テ見候所大キナル事云計なし承り
候へは壱丈ケ壱尺ヌクト申候由夫ゟ又々立出
参り候へは是は則
両大神宮様也拝み候へと被申候ニ付賽せん三
文上ケ大杉の間より拝み候所最【「早」を見せ消ち】はやよろし
かるへきと申夫ゟ立出候所高山へ参候間承り
候へは是は比叡山也と被申候夫ゟ出立いつ方
ニ候ヤ小麦《割書:まんちう|つぶしあん》一ツ買呉候夫をたべ又々

江戸え出候而吉原ヲ通り成田之方へ参り候所
男壱人連ニ相成三人ニ而成田へ参詣致候所右
之連之者是ニはわかれ可申と申候ニ付娘申候
は是迄御連ニ相成御世話ニ相成候間宿迄御連
申何か上ケ度候へ共途中ニ而上ケ候事も出来
不申と申候へは夫ほとの事ならは髪の毛ヲ少
し貰度と申候ニ付夫は安キ事ニ候床屋ニ而刺
上ケ可申申候へは先々ゟ之連の人申候は我は
元髪結も致候間 刺刀(カミソリ)も所持致居候何より之品
ニ候間我等もわけ可申と申そり初メ候所不残
そり落され候心持ニ候間少しは御残し被下候
様申候へは不残はそり不申候是ニ而宜しと申
男子のやうニ中計そり髪も男まけニ結候而右
之髪を両人ニ而わけ壱人はわかれ夫ゟ元の市
川へ出府中へ夜四ツ時帰り連の人は何方へ参
候や見へ不申候夫ゟ裏木戸ヲ頻りニたゝき九
日目ニ帰り候間皆々驚いろ〳〵承り候所右之
わけ合其後は誠ニ疲れ候様子ニ而只うつら〳〵
致居候よし
右留之中取持いたし候老婆御召捕ニ相成厳敷

御せんさく有之石を七ツ迄だかせられ候よし
夫ニ而も存不申候趣申立腰も立不申様責ニ相
成居候よし右娘帰り候よしを承り娘はいせニ
参詣いたし私等は日ころ居 若(マヽ)ひものゝ手長致
又はいろ〳〵の取持計致くらし居候報ひニ而
年老て難渋いたすと相見候と先非ヲくやみ候
よし
《割書:廿三日|弐十八度》  大霜快晴寒きつよし
廿四日  大霜快晴寒気つよし夜中くもり
此節京師之御模様不 〇(〇容)易上野州辺浮浪之徒屯集
いたし居候風説も有之万一御城下え入込候も
難計御町同心中昼夜無怠為相廻候条得其意猶
町役人ニも加番等差出聊無弛相廻り火之元等
別而心を付鳥乱ケ間敷もの見当り候はゝ速ニ
搦捕註進可致尤異変有之節は猶弘道舘ニ帰炮
三声相発候旨御達有之候条火之見有之候支配
ニ而は早半鐘其余は町番所ニおゐて早拍子木
打立候様其節面々鉄炮町会所へ相詰メ我々下
知を請進退致候様支配切無洩可相達候〆
  十二月廿四日     岡嶋左太郎

     大支配
       名主当
廿五日  朝薄くもり四ツ過よりむら照夜中
《割書:三十七度| 》  快晴
一昨廿三日卯上刻江戸御城二ノ丸御焼失ニ付
 中納言様
 鉄千代様御機嫌御伺有之候事
《割書:廿六日|弐十七度》  大霜快晴寒気強
 【「当廿五日」を見せ消ち】
《割書:廿七日|弐十七度》  大霜快晴
当廿五日芝高輪辺ニ而薩州家中と炮発戦有之
候由死人怪我人夥しく有之候由依而水戸ゟも
一ノ先御人数追々為御登ニ相成候
《割書:廿八日|弐十七度》  大霜曇り八ツ半過より雨ふり
明七ツ時上金町弐丁目辺ゟ出火両側へ移ル仕
立屋吉兵衛小林両家ニ而止ル片々は鉄炮丁ま
かり角五軒町入口ニ而止ル明方火鎮三丁目程
焼る
当十四日夜中戸塚御陣屋え浪人火をかけ右近
村二ケ村焼夫ゟ横浜え押出と申風説ニ而横浜

中大騒之よし
先日栃木辺へ参り候浪人又々出流え集り候所
八州取締方役人鉄炮等持参ニ而参候所右浪人
え行逢岩舟と申所ニ而炮発召捕四十壱人其余
は退散致候由右召捕人さんさく致候へは何方
ともしれ不申集りものゝよし江戸え引候程の
ものも無之候ニ付四十壱人へ不残首をはね候
よし小川彦十郎之はなし
大晦日  明七ツ前西風吹明方止大霜快晴村
《割書:三十四度| 》  雲西風夕方止
 塩引壱本壱分壱朱位
  下弐朱文位辺
 干かき壱束壱〆弐百文位
 玉子壱ツ三十弐文位
 みかん壱弐十文位
 牛房三本結一把十五文
市日も人出すくなく候
一ノ先廿九日大晦日元日と江戸へ御登せ士大
将小山小四郎殿元日ニ立
此当月廿三日江戸御城二ノ丸御焼失廿四日酒

井様御廻り品川札場辺そば屋へ休足致居候所
浪人体之もの弐十人余□抜身ニ而持込尚放発
等致候而立出候ニ付跡ヲ付候所薩州屋敷へ引
取候ニ付直ニ酒井矦ゟ懸合候所右様のもの屋
敷へは参り不申候との挨拶ニ付無相違見届候
趣申越候所不当之挨拶有之廿五日酒井矦人数
へ鉄炮打懸候ニ付双方打合候所薩州屋敷内ゟ
火出来候而廿五日夕方迄打合諸大名人数追々
薩州屋敷を取結之内所々え火を懸逃出品川辺
ニ蒸気船ニ艘先月ゟかゝり居候へ乗移出船致
候路へ逃残之人数も品川辺逃道へ火をかけ逃
出候へ共大船出船致候ニ付乗返り三四十人余
いつ方へ逃候ヤ相分り不申候由ニ而追々江戸
入口出口等新関出来此節之厳重之よし死人怪
我人夥しく有之候よし
江戸中是迄夜盗押借等薩州屋敷ゟ出候よしニ
而此節は更ニ夜盗等も無之候よし
 江戸玄米此節引上両壱斗六升府中辺両壱斗
 九升位

  江戸表風説之よし
一将軍家御廃後諸矦並ニ被仰出候事
一尾張大納言様松平春嶽薩州土【「佐」を見せ消ち】州因州九門
 御守衛被仰付候
  但尾因は外郭固之よし
一中川宮有栖川宮天下御政事総宰職被 仰付
 候
一会津桑名御守衛御免幷御役御免之事
  右は京師模様去ル十六日遠山信濃守罷下
  り事件如此
一十二月八日御参内被 仰出候所御延引御申
 立之上御参内不被為成候深キ 御思召も被
 為在候よし
一会津桑名板倉等之面々二条御城へ引籠候所
 右五矦之藩遠巻被致候由
一東海道戸塚陣屋流浪之徒放火致候処
 公辺御人数歩兵隊ニ及炮戦之事
    是は平野陣所の由
 右ニ付昨十八日暁大久保加賀守人数三千人
 程同所え出張被 仰出候

一流浪之徒板橋新宿辺ゟ百四五十人薩州屋敷
 へ操込候よし是は十七日夜
一紀州家御人数三千人程御指出営中御守衛被
 遊候事
   是は十八日朝ゟ詰切之よし
一加州上京之よし是は徳川家再興論之事
一尾張様家老松平大蔵大輔幷薩州長州御政事
 掛り被仰出候風評之事
一毛利父子官位如元御復シ勅命有之候事
 右之通

巻11

水戸大高氏記録 十一

 文久
日 記 帳
 甲子年

 文久四甲子年
 正 月 小 丙寅月
  年徳あきの方寅卯の間のよし
元(癸卯) 日 朝より快晴至極穏なり四ツ時より西
《割書:三十度 》 風吹むら雲出ル寒気ゆるミ八ツ時ゟ
    風止
二 日 朝より快晴寒気終日穏にて暖気なり
《割書:貳十七度》
三 日 朝より快晴西風吹
《割書:貳十八度》

四 日 朝よりくもり終日くもり空にて持合
五 日 宵よりくもり八ツ過よりてり立
《割書:三十五度》
六 日 朝より快晴西風吹夕方止
《割書:三十五度》
七 日 大霜快晴寒気つよし
《割書:弐十四度》
 今日笠間領雨引邊江引籠居候浪士十弐人御
 先手物頭弐頭ニ而笠間ニ而召捕置候分受取
 参り候よし
八 日 大霜朝より寒気
《割書:三十一度》
九 日 朝よりくもり終日くもり空にて夜四
《割書:弐十七度》 時より雪ふる直ニ雨ニなる
十 日 宵より小雨五ツ過より雨止夜ニ入雨
《割書:三十度 》 ふり
十一日 朝よりくもり風立終日くもり空
《割書:三十二度》
 余八麿様京都江御登
 竹二麿様江戸江御登

十二日 朝より快晴四ツ過よりくもり空
《割書:三十二度》
十三日 宵より雪ふる四ツ時ゟ雪止夜ニ入又
《割書:三十四度》 々雪ふる
十四日 宵より雪ふる九ツ時より止又々夜ニ
《割書:三十五度》 入雪ふる
十五日 朝よりくもり夜雪少しふる
《割書:三十五度》
 江戸初帖初相庭
 一古新  三反八分五    古新三反四分
 一改メ  四反弐分      改三反九分
 一間銘  五反壱分      銘四反七分五
 一造り  五反七分      造五反弐分
 一五はん 四反三分  名白五番 三反九分
 一鈴鹿  四反六分  鈴鹿   四反弐分
 一なら和 四反七分  なら和  四反三分
 一くも井 四反七分五 雲井   四反四分
  但上三分開キ
   裾弐分五開    手掛 壱 五分高

 一三州上銘  弐百七十七両
 一坂  上  弐百七十四両  正取引
 一京  丹  弐百六十九両   五両安
 一大  和  弐百五十七両   三十両安
 一篠  巻  壱〆廿匁

 一地水油   四十六両弐分
 一上々白油  四十五両弐分
 一胡麻油   四十七両壱分
 一荏 油   四十七両三分
 一種粕《割書:本入》  六枚弐分
 一並 刺   七枚弐分
 一銭     六〆八百文
 大坂廿五日出
    水油   九百四拾壱分
    金    八拾壱匁【ミセケチ「両」】五分
 《割書:一古領米 |一南郷米 》    五斗壱升  素穂塩三匁弐分
 《割書:一府中米 |一土町米 》    《割書:五斗弐升|五斗三四升》   《割書:才田塩五匁弐分|新才田五匁八分》
 《割書:一同古米 |一餅 米 》    《割書:五斗四五升|四斗三升》
 《割書:一高濱大豆|一水戸大豆》    《割書:六斗弐升|六斗》

 《割書:一同 小玉|一小川小豆》    《割書:五斗七升|六斗》
 《割書:一水戸小豆|一大  麦》    《割書:六斗四五升|弐石》
 《割書:一小  麦|一菜  種》    《割書:七斗六升|四斗六升》
 《割書:一春  麦|一そ  は》    《割書:九斗四升|石 四升》
 《割書:一寒川米 |一仙台廻米》    《割書:四斗九升|五斗四升》
十六日 朝よりくもり終日くもり空夕方ゟ大
《割書:三十六度》 雨ふり初メ半時斗にて止夜中ハ殊之
    外はれ
十七日 朝よりくもり終日くもり空ニ而夕方
《割書:三十五度》 大雪降
十八日 朝よりくもり終日くもり空にて持合
《割書:三十五度》 夜ニ入晴
十九日 朝より快晴
《割書:三十度》
廿 日 朝よりくもり終日くもり空ニ而持合
《割書:四十度》
廿一日 朝よりくもり終日くもり空ニ而持合
《割書:三十九度》 夕方雨少しふる
廿二日 朝よりくもり終日くもり空ニ而持合
《割書:三十九度》 四ツ半時小雨ふる直ニ止

廿三日 夜八ツ過より西風吹明方風止快晴四
《割書:三十七度》 ツ過より西風夕方迄吹
 去ル十九日戌上刻比江戸
 御屋敷内御勝手懸方吟味方辺ゟ出火御勝手
 方等焼失いたし候趣御達可有之候已上
廿四日 朝より快晴五ツ半時より西風吹八ツ
《割書:三十度 》 時位より風止
廿五日 大霜寒気つよし終日快晴
《割書:廿五度 》
廿六日 大霜快晴暮方より雪ふる夜五ツ過止
《割書:三十度 》 晴
廿七日 朝よりくもる終日くもり空に夜中雨
《割書:三十度 》 降
廿八日 朝より快晴
《割書:三十七度》
 正月廿二日出
 旧冬中御送り申上候品物は此節ニ相成急大
 格好ものニ相成候手掛り御残り品も御座候
 ハゝ御心強御売捌キ被成候様ニと存候木綿
 類是迄も莫太之高直ニ御座候所追々人気強

 高直ニ相成残居も無御座候当節相庭手掛召
 地ニ而十弐匁ゟ十弐匁三分上中込ニ而拾弐
 匁七八分ゟ十三匁位ニ相成申候外品とては
 右ニ順引入申候
  名古屋四反弐分  《割書:いせ晒| 雲井 四反六七分》
  古新白三反六七分  鈴鹿 四反五分
  改 白四反弐分  《割書:けし玉|   下所ニ而十弐五》
  銘 白四反八分五
 夏もの類生桟上中込廿三匁ゟ四匁いよし満
 三十匁壱弐匁位
 右之通追々高直ニ相成候間商人共難渋ニ御
 座候
            いせ林ゟ
廿九日 大霜快晴寒気東風吹
《割書:三十五度|梅花盛》

   二 月
朔 日 大霜寒気強快晴四ツ時より東風吹夕
《割書:三十五度》 方よりくもり雪ふる五ツ過ゟ快晴
二 日 大霜快晴寒気つよし

《割書:弐十四度》
三 日 大霜快晴寒気つよし五ツ時地震四ツ
《割書:弐十七度》 時位より西風つよし九ツ半時止又々
    吹出夕方迄風つよし
四 日 大霜寒気つよし風なし

  正月五日京都初相庭    大阪初相庭
 水戸紅花 《割書:七拾四五両ゟ|五拾四五両 》  一筑前米   百六十八匁
 早  庭 《割書:六拾弐三両 |五拾両迄  》  一加賀米   百五十弐匁
 南  仙 《割書:八拾両ゟ  |六拾四五両迄》  一岡大豆   《割書:百六拾四匁|     八分》
 《割書:奥  仙 |南  部 》 《割書:六拾両ゟ  |四拾五六両迄》  一坂上保木綿 壱〆四百五拾文
 最  上 《割書:五拾五両ゟ |四拾五六両迄》  一金銭    《割書:八拾三両弐分五|拾三両弐分  》
             一紅花同断
 〆《割書:越年残花|凡千四五百駄斗》
   吉文字ヤ彦市       伊せや理右衛門
五 日 大霜快晴寒気つよし
《割書:二十六度》
《割書:長町村松様長屋|焼夜四ツ時》
六 日 朝より快晴夕方よりくもり丑寅の風
《割書:四十六度 |大東風にて》 五ツ時より吹四ツ半時大北風ニなり
《割書:青柳やける》 青柳大火夜八ツ時位ゟ雪ふる

七 日 宵より雪ふる五ツ半過より止
《割書:三十度 》
八 日 朝よりくもり終日くもり空筑波辺雪
《割書:三十五度》 ふるさむし
九 日 大霜快晴
《割書:三十三度》
十 日 朝よりくもり終日曇空にて持合
《割書:三十四度|ひがん 》
 当三日江戸大火今川橋辺より出火ニ而本石
 町片かわ室丁白銀町鎌倉河岸辺迄やける大
 孫ハ残る越後や本店いと店とも台所斗やけ
 る
十一日 朝よりくもり終日くもり空ニ而持合
《割書:三十四度》
十二日 大霜寒気強風なし四ツ時より少し風
《割書:三十三度》 吹
《割書:春 分|十 三》日 霜ふる寒気五ツ時よりくもり夜ニ入
《割書:三十二度》 五ツ過より雨ふる
 江戸近三咄承り候所上方辺昨年
 御上洛後金銭融通殊之外宜敷諸品莫太之高

 直ニ而も更ニ指支無之事と相見何品にても
 直段ニ不拘上方江登り之事故江戸表諸品物
 なし諸商人大難渋呉服太物類更ニ品なし其
 上御大名衆奥方江戸表江追々御帰りニ相成
 候間呉服類御買上ニ而も品なしニ而大丸越
 後屋なとにても大難渋之よし
十四日 宵より雨ふる暖気四ツ過より雨止
《割書:三十七度》
十五日 朝よりくもり暖気夕七ツ時俄ニくも
《割書:四十五度》 りひやうふる直止
 笠間辺より下館真岡辺江白木綿買入ニ指遣
 候所此節更ニ無之両弐反位之相場ニ而品な
 しやう〳〵六反買入帰り候実ニ珍敷事ニ候
 此節上州辺江糸ニ而遣し候よし壱〆五百文
 ニ売れ候よし皆木綿縮ニ相成候よしニ而白
 木綿ニ織遣し候よりいとニ而売候方よろし
 きよし下たて結城辺玄米五斗四五升
 水戸御領中ハ綿并木綿糸類他所遣御差留ニ
 相成候よし綿両ニ壱〆五百目位他所ハ壱〆
 三百五十目位之よし

 江戸相場
  玄米五斗四五升  種油五十両位
  綿壱〆目之相場ニ而九百目位迄之取引之
  由
  黒八文壱疋金四両位之由
  赤穂塩両少々下落両五九位
  才田塩両ニ七俵位
十六日 朝より暖気快晴夕方くもり夜中晴
《割書:四十度 》
十七日 朝より快晴霜ふる夕方むら雲直ニは
《割書:三十七度》 れ
十八日 霜ふる寒気
《割書:四十度 》
 龍ヶ崎辺くりわた両ニ壱〆百目いとわた
   壱〆五百五十文
十九日 朝より快晴九ツ時より東風夕方雨
《割書:少々雷声|鰯粕  》 ほろ〳〵直止
《割書:十四〆目位ニ而|両ニ八分位》
二十日 朝よりむら雲九ツ時過よりくもる夜
《割書:三十七度》 ニ入南風ふく雨雪降

二十一日 朝よりくもり四過よりてり立夜中も
《割書:三十五度》 さむし
二十ニ日 霜ふる快晴寒気
《割書:三十三度》
 下館辺玄米五斗四后五升  《割書:大豆|小豆》六斗位
 木綿いと於【お?】すか壱〆八百文
 白木綿壱反八九分ゟ弐反迄ニ而物なし
廿三日  霜ふる快晴
《割書:三十九度》
廿四日  霜ふる快晴終日快晴ニ而暖気
《割書:四十度》
廿五日  朝もやふる薄くもり南風吹暖気なり
《割書:四十五度》
廿六日  朝より薄くもり南風吹暖気暮六ツ時
《割書:四十七度》 ゟ雨ふる四ツ過雨止
 上州二月廿四日出
  織元方相場之儀当十二日天明市木綿糸拾
  五〆五百文十七日市拾七〆位廿二日拾九
  〆五百文太糸ニ而廿三〆文迄ニ取引仕候
  当分木綿縮縞高糸入ニ而六十匁位小倉帯

  袴地織元更ニ無之足利市ニ而持出無之呉
  服類も右ニ順大高直ニ御座候生糸ニ而上
  州地廻り三十六七匁ニ相成申候夏物ハ一
  際此上高直ニ相成可申奉存候宜御勘 孝(マゝ)可
  被成下候

 当春ゟ雨更ニ無之候故所々水更ニ無之毎日【ミセケチ「段同」】
 井戸払之せわき斗いとし居候岩善なとにて
 ハ醤油仕込ニハ此節祇園寺下タ御茶之水ゟ
 毎日汲ニ遣候而一同ニハ壱〆文余ツゝ入費
 相かゝり候よし下町新町辺にてハ細谷ゟ中
 川の水を汲候而遣候よしにて毎日細谷番所
 前ハ大賑やかのよし追々苗代ニ取かゝり候
 も山ニ出水かれ候而此節ハ取かゝり不申候
 よし
 此節笠間近辺生白木綿壱反弐分位いたし候
 古今めつらしき高直ニ御座候
 高機上下町織屋両三日以前まてハ壱反三十
 七八分位之引上ケニ有之候所昨日抔ゟ四十
 三四匁と俄ニ引上申候夫と申もわた高直取

 引上候事と相見候へ共此節商人ハ仕入ニ指
 かゝり候時節甚難渋之よし
廿七日 朝より快晴暖気終日暖気至極春めく
《割書:五十七度》
廿八日 朝よりくもり暖気七ツ時ゟ雨ふる終
《割書:五十八度   |久々ニ而雨ふる》 夜雨つよし北風ふく四ツ半時地震終
    夜雨風
   文久四甲子正月廿一日
 将軍様
  家茂公御参内御行列
  走雜  前駈諸太夫 所司代
  走雜  同 諸太夫  稲葉長門守
  《割書:守護職|松平肥後守》 島津三郎 榊原式部大輔
 松平下総守  松平紀伊守  松平越中守
 松平下野守  丹羽左京太夫 藤堂大学頭
 伊達伊予守  立花飛騨守  松平讃岐守
 伊井掃部頭  松平春嶽   酒井雅楽頭
   是ゟ先駈諸太夫
 林 肥後守  松平出雲守  池田丹波守

 織田山城守  土井能登守  増山対馬守
 永井飛騨守  秋元但馬守  相馬大膳亮
 戸澤上総介  阿部主計頭  秋月右京亮
 稲葉兵部少輔 田沼玄蕃頭
   是ゟ萬石以下諸太夫弐行
     御
     一ツ橋殿
     紀伊殿
     有馬遠江守
     松平大和守
   右
          大隅守と改
 《割書:従四位下少将|被 任候  》       島津三郎
             松平春嶽
             松平容堂
             伊達伊予守
  右折々為御用談登城可有候
          一橋中納言殿
  御車寄ゟ昇階

  勅許之由

廿九日 明方前ニ雨止北風吹終日北風夕方ゟ
《割書:五十五度》 風止
 京都玄米壱石ニ付銀百五拾匁
   但金八拾匁相庭
   銭六貫四百文
   種水壱升銀七匁五分
   紅花弐わり方も春ゟハ引上候由
 湊辰ノ口ニ而銭御吹立相成候趣当時御普請
 有之候其上同所ニ而大船弐艘御出来ニ相成
 候よしにてミナトハ諸職人入込至極繁昌之
 よし

   三月
朔 日 朝より曇終日薄くもり空にて夜ニ入
《割書:五十度 |朝五ツ時地震》 四ツ時雷声ニ而雨降終夜雨つよし
二 日 宵より雨ふる五ツ時より雨止北風吹
《割書:五十弐度》  出さむし夕方風止
 今日江戸丸柏参り候所両三日已前ゟ下り居

 候よし江戸表諸品追々品切ニ相成別而太物
 類俄ニ引上当節
  三月銘池付両弐反八分
     町内物三反八分
  名古 壱番 弐反四分
  いせ晒 壱反拾五匁ゟ下品無之候よし
  無双絞 弐十匁前後
  綿坂上 三百七十両
  手巾江戸ニ而壱本売
    弐百八文ゟ弐百十六文
 右之通諸品引上其上品なし之由ニ而何品ニ
 而も宜敷候間見当り次第買入ニ参り候との咄
 之趣
  白木綿
  龍ヶ崎辺両弐反五分
  わた   壱〆五十匁
  土浦辺生白弐反三分
  府中辺地嶋壱分弐朱六七百文位
  龍ヶ崎地嶋四貫前後之由
 右之通太物類俄ニ引上り候如何之わけニ候

 や誠に古今不思儀之事ニ御座候是と申も綿
 類糸類今以横濱へ交易ニ相成候事と相見申
 候いとなとハ常ニハ拾はが八九百文位いた
 し右之所此節拾は分ニ而壱〆八百九百位ゟ
 弐貫文位いたし候よし
 当年ハ夏高はた壱反ニ而四十四五匁位之仕
 入ニ有之候珍敷高直なる事薩广緕単物地平
 年ハ壱反三十匁位より三十七八匁位いたし
 居候所昨年中五十七八匁ニ相成誠ニ高直な
 る事と申居候所当年ハ江戸表ニ而仕入れニ壱
 反百拾五六匁ゟ下タハ無之よし郷中ハ都而
 作り之品もの高直ニ而金融通宜敷様子ニ御
 座候へ共御家中様并市中買く(く)ら(ら)し(し)い(い)た(た)し(し)候
 間諸品高直ニ而ハ極々難渋いたし候事
 上方筋ハ
 御上洛後諸大名参勤等有之候ニ付金まわり
 至極宜敷諸品高直なとニハ更ニ構ひ不申候
 よし
 木綿糸類追々高直ニ相成候ニ付他所御指留
 相成候よし之所下町辺ニ而出し候もの有之

 候や二人一昨日御召捕ニ相成候よし
三 日 朝よりくもり六ツ半時ちら〳〵雨ふ
《割書:四十度 》 る終日雨ふり【ミセケチ「る」】殊之外さむし夕方より
    雨止夜ニ入雨ふる
 呉服木綿類其外諸品江戸表問屋等ゟ仕入指
 下シ宜候分此節江戸表品払底之由ニ而買入
 候もの下り居買集候趣ニも相聞候所右類之
 もの江売渡候而ハ此表諸品益高直ニ相成諸
 人難儀ニも至り候間右等之もの江不売渡前
 後勘弁いたし諸人難儀不致様各立場ニ而厚
 相心得品ニより伺之上取扱候様御達可被成
 候已上
   三月三日     大内彦助
  右ハ町年寄月番江御達シ
四 日 朝よりくもり北風さむし終日くもり
《割書:三十九度》  空ニ而夜五ツ時ゟ雨北風つよし終夜
    雨ふる
 此節追々籾下落壱分ニ弐斗五六升ゟ三斗位
 まて
     大豆ハ高直両ニ六斗

     麦米   両七斗
     種大高直 《割書:古四斗|昨年もの五六升安》
 木綿糸大高直ニ而老人小供にてもいとを引
 候へはわた代を引候而も百五十文位ニ相成
 候よしニ而奉公人ニ出候もの無之候高はた
 を織候ものハ壱反ニ而此節六七百文位ツゝ
 利ニ相成候よしニ而裏店小ものニ至る迄皆
 高はたを織候様子ニ候へ共高はたも大高直
 ニ而壱反四十四五匁いたし鉄古かねも此節
 引上候よし壱〆目にて五百文位いたし候よ
 し
 当時糸わた百文ニ付拾壱弐匁位之よし
 江戸二月廿八日出  大坂《割書:廿ニ日| 九百七十八匁》
 《割書:坂水四十七両弐分|地水四十九両  》     胡摩油五十両
 《割書:玉漉五十両弐分 》     種粕《割書:本五拾七八分|並六拾七分》
 《割書:三川白木綿  |古新 三反弐分》     《割書:さらし|鈴鹿  三反八分》
 《割書:改  三反六分|銘  四反三分》     《割書:雲井  三反八分五|なら和 三反八分弐》
 《割書:造  四反七分》     《割書:手掛  拾四匁ゟ下|  壱切無之候》
 《割書:名古五番|   三反六分》
 《割書:薩广緕 極落百匁 中百十匁 上百弐三十匁|銭六〆七百十六文》

 《割書:古領米  五斗|町 米  五斗四升》  《割書:大麦弐石弐三升|小麦七斗三升》
 《割書:糯【元の字は米偏に雪】 米  四斗弐升|水戸大豆 五斗七升》  《割書:菜種三斗七升|仙台廻米》
 《割書:〃 小豆 五斗六升》  《割書:四八五入五斗三升》
此度年号元治与
改元被
仰出候事
  但支配々江も可被相達候事
五 日 宵より雨ふるさむし四ツ過より止終
《割書:四十度 》  日くもり空さむし
六 日 大霜ふるさむし五ツ時より北風吹終
《割書:三十八度》  日天気よし
七 日 大霜快晴さむし
《割書:三十九度》
八 日 霜ふるさむし快晴四ツ時より雨降出
《割書:四十度 |桃の花さかり》 ス夕方雨止
九 日 朝より朝五ツ過よりむら雲終日くも
《割書:四十度 》  り空にて持合夕方大もや
十 日 朝より快晴
《割書:四十度 》
十一日 朝より薄くもり四ツ半時大地しん終

《割書:四十五度|桜花少シツゝ開 》天気よし春暖なり
十二日 朝より快晴
《割書:四十五度》
十三日 朝より快晴南風ふく
《割書:四十五度》
十四日 朝花くもり南風ふく終日快晴ニ而南
《割書:四十七度》  風つよし夜中も風つよし
十五日 朝より薄くもり南風つよし七ツ時よ
《割書:四十八度|櫻花さかり也》 り風止
十六日 朝東風吹さむし
《割書:五十四度》
 十三日夜四ツ半過ニ大工町松坂屋源兵衛土
 蔵前ニ殺害人有之年の比二十三四位前かけ
 をかけ居候よし
 十二日夜下町淀屋脇横丁ニ殺害人有之年の
 ころ廿五六位之男
十七日 朝よりくもり終日ニ而持合
《割書:五十度 》
十八日 朝より快晴
《割書:五十度 》

十九日 朝より快晴夜ニ入四ツ時より雨降終
《割書:五十五度》  夜雨ふる
 此節江戸ハ昨年と違当年ハ至極賑やかのよ
 し芝居三座とも大入之よし
廿 日 翌より雨ふる終日雨南風つよし夜中
    も雨風つよし
 十三日夜八ツ時ゟ江戸大火せともの丁ゟ出
 火ニ折節南風つよくせともの丁弐丁目迄小
 田原町安じん丁浮世小路イせ丁本多丁三丁
 目中程ゟ四丁目迄本石丁四丁目中程ゟ鉄砲
 丁小伝馬丁二丁目迄囚獄白銀丁四丁目大伝
 馬塩丁亀井丁あたらし橋迄焼翌十四日朝四
 ツ過鎮火罪人三百六七十人ハ切敲ニ相成よ
 しニ付其もよりたべものや大難渋之よし
廿一日 明方迄雨北風つよし明方ゟ雨風止九
《割書:五十五度》  ツ時より雨降出北風にて夕方迄雨つ
    よし夕方止
 日光山雪見ゆる
廿二日 朝より快晴
《割書:五十六度》

廿三日 朝よりくもり五ツ時ほろ〳〵雨四ツ
《割書:五十五度》  過よりてり立夜中くもり
 江戸種油此節六十両位品極不足之よし
廿四日 朝よりくもり九ツ時より雨降七ツ時
《割書:五十五度》  より雨つよし夜中も終夜雨ふる
廿五日 宵より雨ふる冷気なり霧雨也八ツ時
《割書:五十三度》  よりてり立
廿六(八十八や)日 朝より快晴七ツ時より雨ふる夜ニ入
《割書:六十度 》  雨止
廿七日 朝より快晴八ツ過よりくもり夜中も
《割書:五十九度》  大くもり
廿八日 朝よりくもり四ツ過ぎよりてり立八ツ
《割書:六十度 |江林寺下墓所》 時位よりくもり雷雨直ニやむ快晴夜
《割書:溜池の際ニ大小にて》
《割書:被殺致候もの有之|候よし山形辺の》ニ入五ツ時雨直やむ
《割書:ものゝよし突きず|之よし》
廿九日 朝より快晴八ツ半時より雷雨七ツ半
《割書:五十五度》  時止又々夜五時雷雨
 種粒此節壱両三斗八升位大引上ケ之由
 桐板壱分ニ三尺位にて品なし之よし
 諸品高直之つり合ニ而ハ米下直ニ候へとも

 壱分籾弐斗五六升ゟ下三升位まて
晦 日 朝より快晴さむし八ツ過雷雨直ニや
《割書:五十度 》  む
 額田辺にて氷ふり候よし

 御簾中様御在国ニ付当年ハ踊其外風流もの
 等別而気を付指遣候様御達有之候泉町踊番
 馬労町ハ花籠の風流もの

   四 月
朔 日 朝よりむら雲冷気八ツ時位少し雨降
《割書:五十度 》
 《割書:   朝五時一分右の方ゟかけはしめ五ツ半|日そく時右と下の間ニ甚しく四時下の左かお》
 《割書:   はる|日光山茄子山雪ふる》
二 日 朝より快晴冷気北風ふく終日上天気
《割書:四十五度|日光山雪ふる》 なり
三 日 朝より快晴終日天気よし少々暖にな
    る
四 日 朝より花くもり四ツ時より照立
《割書:四十五度》

五 日 朝くもり四ツ半時ゟ照立夕方ゟくも
《割書:五十五度》  り夜中小雨
 四五日以前【ミセケチ「回」】見小路久貝と申人暫江戸勤ニ
 而此間下り又々出府いたし候途中牛宿出は
 つれ坂のおり口之所ニ而昼時頃主従三人通
 りかゝり候所帯刀之人六人ほと出候而三人
 とも切殺候よし
六 日 朝より小雨暖気五ツ時ゟてり立快晴
《割書:五十四度》
七 日 朝よりもやふる快晴夕方より夜中迄
《割書:五十五度》  雨ふる
 江戸表ニ而《割書:   一番弐反四分|名古白弐番弐反七分》
      《割書:    五(マゝ)番三反一分|   四番三反四分》
      《割書:   五番三反六分|   六番三反八分》
      《割書:茜中な 拾四五匁|無双上 廿三四匁》
      《割書:何白ニ而も晒ニ而も十四匁ゟ下|無之手掛極下ものニ而十四匁七》
      《割書:八分|玄米四斗七八升》
      《割書:油壱斗売九百七十弐匁| 壱合   九十五文》
      《割書:地水仕切五十九両弐分位之由|種粕四枚壱分》
      《割書:鰯粕両ニ銚子ものニ而五分五厘|位》

   右之通之よし古今稀なる大高直なり坂
   船追々江戸入船有之候よしわた弐百八
   十両位之よし
八 日 朝より快晴八ツ過より雷雨夕方止
《割書:五十五度》
九 日 朝より快晴むら雲【ミセケチ「空」】七ツ半時過よりく
《割書:五十四度》  もる夜ニ入雨ふる
十 日 朝より快晴さむし
《割書:四十九度》
十一日 朝より快晴夕方よりくもり夜中はれ
《割書:五十度 》
十二日 朝より薄くもる八ツ半時少々雷雨直
《割書:五十度 》  やむ夜中雨ふる
十三日 朝くもり五ツ時ゟ雨ふる四ツ過より
《割書:五十度 》  照立終日快晴
十四日 朝より快晴五ツ半時地震八ツ半過地
《割書:四十五度|時鳥初声》  震
十五日 朝より快晴終日天気よし
 今日泉町踊屋体馬労町江参ル珍敷見物人な
 り二階なとハ少しのすきも無之候馬労町ハ

 花籠之出シ一昨年も花かこなり至極評判よ
 し
十六日 朝より快晴八ツ時ゟ俄ニ雷雨壱時程
《割書:五十五度》  八ツ半時地震七ツ時より極快晴虹立
十七日 朝より快晴終日上天気なり
《割書:五十二度》
 今日ハ都而御いそきにて御玉屋等おとりも
 七ツ過位ニ不残御引払ニ相成候
 今月五日 御中御殿ニおゐて
 御簾中様
 貞芳院様
 御上覧被遊候ニ付踊并風流もの等都而気を
 付候様御達ニ相成候ニ付見物人大群集
 御祭礼無御滞相済
十八日 朝よりくもり南もやう四ツ時位ゟ雨
《割書:六十五度》  ふり終日雨降夜四ツ半過より南風つ
    よし七ツ時過風止
十九日 明方迄雨五ツ過ゟ雨止又々四ツ過よ
《割書:六十五度》  り大雨南風終日雨七ツ過より北風ニ
    なる

二十日 朝より快晴四ツ時よりむら雲
《割書:六十度 》
 ニ三日已前稲吉宿ニハ八田在之醫者忰切殺
 され候よし此方ゟ 䌞(マヽ)使立候よし
 天保度吹立弐朱金之儀ハ追而通用停止可被
 仰出候間所持之者共早々引替可差出候右手
 当百両ニ付金三拾両宛持主へ可被下候御金
 改役所并ニ京大坂其外諸引替御用相勤候者
 共之内へ早々差出引替可申候
 右之趣御料ハ代官領主地頭ゟ不洩様可被相
 触候
   四月九日
二十一日 朝より快晴
《割書:五十八度》
二十二日 朝より快晴少々むら雲終日天気よし
《割書:五十八度》
二十三日 朝よりくもる終日天気夕方ゟ大くも
《割書:五十七度》   り
廿四日  明方小雨直ニやむあつし終日むら雲
《割書:六十八度》   にてあつし夜ニ入南風吹折々小雨

廿五日  宵より南風にて少々ツゝ雨ふりあら
《割書:六十九度》   しもやうにてむしあつし
廿六日  朝よりむら雲終日持合夜ニ入四ツ時
《割書:六十五度》   より雨ふり
 今日昼時位泉町さかな丁條やと申やとやニ
 而三ツ木の庄屋腹をきり候よし
廿七日  朝より小雨ふり四ツ過より雨止
《割書:六十四度》
 今日京都ハ一橋様御付之よし郷 土(士?)神官等百
 六十人ほと出立いたし候よし
廿八日  朝より小雨ふり四過より止終日くも
《割書:六十五度》   り空にて夜ニ入雨ふる
廿九日  宵より雨ふる終日雨ふる夜中北風雨
《割書:六十五度》   折々
 栃木大平山辺江餘ほと集り居候よしニ而諸
 国浪人之よし

   五 月
朔 日  宵より雨ふり丑寅の風九ツ時より雨
《割書:六十五度》   止

二 日  宵より小雨ふる丑寅風にて寒し四ツ
《割書:四十五度|五月之節》   過より雨止風つよし夕方風も止
《割書:芒種》
三(入梅) 日  朝より快晴寒し朝五ツ前ニ地震終日
《割書:四十八度》   天気よし
四 日  朝より快晴寒し
《割書:四十九度》
五 日  朝より快晴少し暑なり
《割書:五十度 》
 先月廿ニ日夜猿若町三座とも不残消失右最
 寄馬道辺大□【くにがまえに口と而:圖?】五六町四方も焼候趣回向院角
 力昨日ゟ初立申候へとも雨天ニ而難渋之よ
 し 四月廿九日
 四日夜岩万江参り小倉袴二反結城嶋ニ三反
 貸呉候様帯刀ニ而頭巾を冠居候而申候由ニ
 付御用立ハ指支候趣断候ヘハ刀を抜候ニ付
 皆々逃候へハ右品持参いたし候よし三人泉
 町田のや十吉ニ而も三人参り其内頭巾をか
 むり表ニ壱人立居三四両品も持逃いたし候
 よし泉町古内やにても三人ニ而参り弐両ほ
 と之品持逃いたし候よし

六 日  朝より快晴未申の風吹七ツ時ゟ止地
《割書:五十八度》   震八ツ時ゆる
七 日  朝よりむら雲未申の風吹八ツ時ゟ雨
《割書:五十五度》   ふり出し辰己【巳の誤記】の風にて夜ニ入雨風つ
     よし
八 日  明方迄雨ふり今日ハ南もやう朝五ツ
《割書:五十八度》   時地震四ツ時位より天気ニなる
 昨夜のこやへも弐人頭巾をかむり六ツ半時
 参り主人ニ逢度と申候よし留主の趣断候へ
 ハ金子を借ニ参り候留主なれハ支配人ニ逢
 申候よしニ而見世ニ有合之品々をむやミニ
 ふろしきへつゝミ又ハ懐中へ入旁いたし持
 去候よし上下町所々此節右様之事有之市中
 大難渋之よし
九 日  朝よりくもりさむし四ツ半時より快
《割書:六十五度》   晴夜ニ入くもる
十 日  朝よりくもり四ツ時よりてり立夕方
《割書:六十度 》   又々くもり
十一日  朝くもり五ツ時よりてり立夕方より
《割書:六十度 》   くもる

十二日  朝より快晴夕方よりくもり
 菜種此節五斗四五升位之よし
 白木綿前買生白ニ而三〆壱弐百文位ツゝ
 福島辺之ものはなし此節古いと福島ニ而金
 壱両上いとニ而四十二三匁より五十匁位ニ
 而品なし柄糸注文遣候而も夫々出来候品も
 無之候よし是ハやはり所々之小もの壱固位
 ツゝ買出し江戸へ持出シ候故別而福島ハ品
 不足ニ相成候よし横浜へ持出候へハ壱固九
 〆目ニ而金弐百五十両位ニ相成候ニ付至然
 と品出候よし壱箇にて七八十両ツゝ利潤ニ
 相成候よしにてその日くらし仲買ともせり
 立ニ而買出候よしに候へともいつ方もおな
 し事相応へハ一円ニ手を出し候もの無之よ
 し
 昨夜松葉や与三郎江帯刀もの三人持込候家
 内不残にける同夜向井町若藤へも持込大騒
 之よし
 四月廿ニ日吉文字や彦市手紙之よし
 一京地江諸大名方大勢御登りニ御座候処追

  々御暇出夫々東国へ御引取ニ相成申候先
  ツ平穏ニ候間御安意可被下候併
  将軍様ニハいまた御在京ニ御座候いつ頃
  御出立と申義頓与不相分候
 一爰許紅花取引之義早春申上候後春中取合可
  有之と奉存候処更ニ無之候義昨冬ゟ打続
  絹縮面高直二付染方尽々敷無之元水紅花
  ハ昨年多分之荷高と申ニも無之候へ共何
  分右染地大払底ニ付直段引立不申誠ニ以
  近来相続不束之成行ニ御座候此頃ハ至残
  花も多分ニ相見へ申候当時相場早春申上
  候処ゟ御賢察可被下候
 一近国新花萌付之義紀州大和山城出高昨年
  同様出来可申候様申唱候生立無難之由追
  々申参候此義御賢考被遊可被下候
 一唐花之義ハ近来多分之舶来別而作冬ゟ当
  春ニ至多分之荷高相見へ候ニ付倭紅花一
  体之相場ニ相響キ当惑仕候右ニ就而ハ当
  新鼻格外の下直ニ御仕入無之候而ハ迚も
  御引合六ヶ敷奉存候呉々前条之次第御賢

  慮之程奉希上候尚御仕入紅花不相替御指
  向被下度売場無油断出精可仕候間宜奉願
  上候
十三日 明方より雨ふる四ツ過より雨止
              諸向へ
 別紙之通従
 公辺被 仰出候処畢竟武備御充実外虜御掃
 攘之御趣意ゟ被 仰出候之儀中納言様深御
 感佩被遊以来銅鉄之器物は
 御手元之御品迄も御廃シ勿論無用之冗費悉

 ク御省被遊武備御充実
 天朝 公辺之御趣意ニ被為恊候様との
 思召被為在侯條其旨奉承知一統厚相心得候
 様被 仰出候
 右之趣支配々末々迄無洩様可被相達候以上
 五月二日
 昨日詰合布衣已上之面々江於芙蓉之間替席
 御老中列座板倉周防守殿演達之兵備之儀ニ
 付而は度々申出一先一同油断は無之儀ニ候
 得共猶今度

聖諭之趣も有之候間此上一際行届候様いた
し度就而は日用不可欠之品ニ而も銅鉄之器
物以来相廃手元之分悉ク下ケ遣候ニ付速ニ
炮器ニ鋳□【手偏に興】可申候両山紅葉山等之燈籠其外
迄も銅鉄之分は追々砲器ニ鋳□【手偏に興】候様可致候
一同格別ニ奮発いたし兵備行届候様可致候
   五月
五月十二日御国許市中之御触
近来浪人体之も(者)此領内江も横行いたし攘夷
之名義を借り猥ニ富家江難題申懸金子等を

貪り乱妨ケ間敷儀も有之候趣相聞甚以如何
之事ニ候先達而も相達候通
公方様御上洛御留主中御取締 締(筋)之儀御家江
御委托之御砌と申猶更御行届ニ不相成候而
は被為対
公辺不相済段
御配慮も被為在侯事ニ候へは右様之者於有
之は無用捨搦捕訴出若手余候節は打捨候
共不苦旨御達之事
十四日 朝もやふる快晴

《割書:五十八度|》
 当月八日大宮村近村鹿島村と申所ニ而夫婦
 之田へ出候処四ツ時位夫昼食ニ宿へ参り可
 申と申候ニ付女房申候はいまた昼にははや
 く候と申候へとも是非返り候由ニ付夫婦一
 同帰り候所夫戸を〆切候而刀を出し女房江
 切かけ候ニ付両手ニ而すかり候所両ゆび不
 残切落され候ニ付逃出候所後より三太刀ほ
 と切夫ゟ表ニ出新宅迄参り候所新宅の田へ
 出留守之所へ参り服(マヽ)を切死候よし女房は二

 日ほと過死候よし乱心と相見候よし
 関宿河岸北村と申ものよほとの富家ニ候よ
 し右之内ニ廿人ほと夜中押込家内不残縄を
 かけ金子類大金盜出候よし
《割書:鰹漁事有|十五日》 朝薄くもり四ツ過よりてり立
《割書:六十五度|》 
十六日 朝よりくもり八ツ時位より雨降夜中
《割書:六十五度|》 迄雨ふる
 十五日夜下町淀屋と申江押借三人持込之内
 壱人召捕ニ相成候よし

 越前辺より北方江参り候もの咄候よし諸品
 大高直ニ而
   《割書:白米百文五合五勺|小豆  四号五勺》
   《割書:紬 壱升壱〆三百五十文|奉書紬壱疋常ニは壱両壱分位》
      《割書:此節壱疋四両三分位之よし》
 右ニ順諸品とも此辺よりは余ほと高直之よ
 し
 昨十五日夜六ツ半時馬労町一町目広小路辺
 ニ而帯刀之人弐人抜あわせ切結居候よし少
 シ過候而両人ともわかれ候よし怪我も無之

 候よし
十七日 朝よりくもり八ツ時雷雨半時計ニ而
《割書:六十五度|》 止む
   江戸節句相庭
 《割書:一古新三反壱分五|一改メ三反三分五》  《割書:名古五番三反七分|雲井晒三反九分五》
 《割書:一間銘三反九分五|》  《割書:奈ら和晒三反九分|鈴 鹿 晒三反八分五》
 《割書:一三長| 花錦弐反九分》  《割書:|花司三反弐分》
 《割書:花照三反七分|》  《割書:花扇四反壱分|》
   右之通御座候已上
《割書:紅花水花壱〆目壱〆文|》

十八日 朝よりくもり冷気なり八ッ過少々雨
《割書:六十度 》  ふる直止
《割書: |夏至五月中》
十九日 朝よりくもり終日天気ニなる
《割書:六十度》
二十日 朝より快晴
《割書:六十五度》
廿一日 朝よりむら雲四ッ半時より南風ニ雨
《割書:庚申|紅花水花》  ふる九ッ過より雨止風は不止
《割書:壱〆目壱〆三百文位之よし|》
廿二日 朝深もやきりをみ四ッ時よりてり立
《割書:七十度》
廿三日 朝より快晴夕方よりくもり夜ニ入雨
《割書:七十度 》  ふる
 鰹漁事有之いそにて水名壱本四百五十文船
 頭壱日壱人ニ而金三両位ツヽわけ前に相成
 候よし船持ハ壱日ニ金四十両位ニ相成候よ
 し
廿四日 宵より霧雨ふるすこし冷気折々照ふ
《割書:六十五度|紅花壱〆四百文 》り八ツ時より軽暑ニなる夜ニ入四時
    ゟ小雨ふり出ス
 子五月公辺諸国御触之よし

 物価之義ニ付而ㇵ度々御世話も有之候得共
 追々引上近年別而諸民難渋致候ニ付深御心
 配被遊候処今般於京都も厚被 仰出候趣も
 有之候間此上急度御趣意貫候様被為遊度就
 而ハ追々御所置可有之候条末々之もの共も
 心得違不致諸物価引下候様可致候若一已之
 利潤ニ迷諸民之難儀をも不顧不埒之所業於
 有之ハ急度可所厳科者也
 五月八日京都いせや浬右衛門出候よし
 一追々新花時節ニ向ひ申候所定而出来方等
  宜敷儀と奉存候御仕入紅花被遊候ハヽ何
  卒御指向被下度売方出精可仕候此段宜奉
  願上候
 一公方様御事永々御滞留被為在候所昨七日
  御発駕大坂表御滞留蒸気船ニ而
  御帰府被遊候由誠ニ近来度々之御上洛奉
  恐入候事ニ御座候諸大名様方夫々御国元
  へ御引取被遊
  一橋様御在京被為在奉恐入候全天下泰平
  之基と御同慶奉存候

 一江戸表越後縮大引上越後国元ニ而上布纃
  上物ニ而は五両壱歩余も有之紺地纃長尺
  上物三両弐歩位も有之同小中纃上物弐両
  弐歩位迄仕外品も右ニ順大高直前代未聞
  之年柄ニ御座候
 将軍様当廿日江戸江御帰ニ相成候よし大阪
 十六日蒸気船ニ而御出立之よし
廿五日 宵より霧雨ふる直やむ八ツ時小雨直
《割書:六十度 |甲子  》 止又々七ツ過ニ小雨夜ニ入殊之外晴
 菜種五斗三四升之由府中辺は三斗七八升府
 中と水戸の相場格外之違ニ候間中妻辺之も
 の水戸高を引参り買立府中江持出候よし 
廿六日 朝きり雨ふる五ツ時ゟ止四ツ半時よ
《割書:六十五度|》 り雨ふる直ニやむむしあつし
 四五日已前小幡並木ニ而いたこの者敵打有
 之候由
廿七日 朝きり雨ふる六ツ半時より雨止蒸あ
《割書:七十度 |》 つし終日薄くもり空にて夜ニ入くも
    り
《割書:府中は種油壱升壱貫ニ百文|水戸は  壱升八百廿四文》

 一昨廿六日堅多様佐藤様市川様其外弘道館
 しよせいの御方六七百人も江戸江俄ニ御登
 被成候よし鑓鉄炮弓等ゑもの〳〵持参候よ
 し
廿八日 宵より小雨ふるむしあつし五ツ時よ
《割書:七十五度》  り雨止軽暑ニ成ル七ツ時ゟ雨ふり
 信州商人咄信州辺は至極穏やかのよし
  玄米四斗三四升
 諸品此地よりは格外之高直之よし
廿九日(はんけしやう) 朝かた迄大くもり暑気ニなる四ツ半
《割書:七十五度》  時より暑気ニ而夕方あつし
 追々諸せいの御方登りニ相成候よし
晦 日 朝もやふかし夫ゟくもり四ツ半時よ
《割書:七十五度》  り雨ふり出ス度々降はれいたし候
 笠間辺ニ而四五人召捕ニ相成候もの有之候
 由水戸之人之よし
 江戸続而諸品高直黒砂糖七十両位古今珍敷
 相庭也よもし油も大高直ニ付此節は油六合
 江極上々之酢四合ツヽ入候而あかし候ヘは
 更ニかわり候事無之よしニ候間油屋より買

 入候節は随分吟味いたし可申候
 此節中妻辺押借等数多有之候よし
 栃木下たて辺騒々敷よし

   六 月
朔 日 明六ツ半時虹夫ゟ直ニ雨ふり出ス五
《割書:七十五度|八十九度》  時止てり立大暑なり夜中迄暑し夕方
    北の方ニ雷声
二 日 朝より快晴暑気七ツ過より雷雨雨は
《割書:七十五度|》  終夜ふる
   五月廿八日江戸御用之由
   岡部忠蔵    当朝御用
 《割書:御用達|》鈴木縫殿     武田伊賀守
         《割書:慎隠居|》 興津蔵人
 《割書:御金|奉行》 石川清衛門    中川与三左衛門
          蟄居山国兵部
   六月朔日御国御用
 《割書:御用達御免|海防是迄の通》山野辺主水正   《割書:父慎| 忰御徒頭》 杉浦長五郎
 《割書:御用達|》再勤大久保甚五左衛門《割書: 父慎忰|  家督》  興津市郎兵衛
 《割書:父慎忰|大寄合頭》 岡田新太郎    《割書:父蟄居| 忰家督》 山国淳一郎

 《割書:父慎忰|  家督》 武田彦衛門
   右之外廿四五人も有之候よし
三 日 宵より雨ふり冷気四ツ時より雨止八
《割書:七十度 |》  ツ時ゟ雨ふり七ツ時ゟ雨止冷気
 廿六日出立諸生之衆廿六日府中江七ツ時着
 廿 七【「九」を見せ消ち】日藤代江七ツ半時着廿八日松戸江七ツ
 時着廿九日駒込江八ツ時上下不残着之よし
 廿七日御小姓頭取国分膳介馬ニ而小倉迄
 御筆御使ニ参候よし

 五月廿八日江戸相庭
 此元油之儀は上方表大下落旁目切下直ニ取
 引仕候
  《割書:地水油 五十弐両|上々白油五十一両》    《割書:荏油五十五両|種粕五枚三分》 
  《割書:胡广油五十五両弐分| 銭六〆八百文》   《割書: 花粕六枚五分|大坂一八日出》
   □【囗に中:🈭】坂水 五十四両弐分 《割書:水油九百四十壹匁|金 八十三匁》
    河州吉田新種け見
 《割書:当子年|》
 《割書:一本白|  岸》 〆五合  《割書:千種壹石ニ付油弐斗弐升八合|      粕六枚弐分》
 《割書: |亥【癸の誤記?】亥年》       《割書:但三六五匁|》

 一同壹石ニ付       《割書:油弐斗弐升三合|粕六枚弐分》
               《割書:三六匁|》
 《割書:一古領米五斗一升|一南郷米同》     《割書:水【「豆」見せ消ち】戸大豆五斗|同 小玉四斗五六升》
 《割書:一町 米五斗五升|一□【米へんに雪:糯の誤記?】米三斗四升》 《割書:高浜大豆五斗壹升|水戸小豆五斗九升》
 《割書:一小 麦八斗五升|一菜 種四斗三当》     《割書:大 麦弐石五斗|仙台廻米四五五入》
《割書: |小暑六月節》          《割書: 五斗四升|》
四 日 朝よりくもり終日曇り空ニ而夜に入
《割書:七十度 |》  南風吹雨ふり
五 日 朝より曇五ツ時小雨ふる直止終日く
《割書:七十五度|》  もり空にて持合
 下館真岡辺ニ而浪人百姓を三四人も切殺候
 よしニ而笠間ゟ昨日一ノ先備繰出今日二ノ
 先出候との風説
六 日 朝よりくもり四ツ過よりてり立暑気
《割書:七十三度|》
七 日 もやふかし五ツ時よりてり立大暑風
《割書:七十六度|八ツ時九十二度 》なし
八 日 朝より快晴暑気少々すゝし終日快晴
《割書:七十六度|》
 蓼沼丈吉はなしのよし

 小山江当朔留り結城へ参り候所結城江は浪
 人弐百人余参り金子弐千両ニ兵粮を貸候様
 領主江申懸候由ニ而市中町役をいたし候様
 之内五ケ所江麦わらを積ゑんしやうをしき
 若金子出来不申候はヽ市中を焼払可申との
 懸合ニ而市中は商ひ所ニは無之家々戸を〆
 蔵ニは目ぬりいたし居候ニ付又々蓼沼小山
 江引返し候四五日小山ニ逗留いたし居候よ
 し右人数は小具足を着し陣羽織ニ而馬上之
 もの弐三十人鑓も弐三十筋有之候よし追々
 承り候ヘは結城ニ而は金子五百両市中ゟ指
 出右ニ而相済候よしニ候へ共結城家来両三
 人も先方江人しちニ被取候よし夫より小山
 江引返し三ぶへ参り候所みぶニ而は橋を立
 おとし大砲小砲等ニ而打懸小山迄も音聞候
 よし半日ほと鉄炮おといたし候由夫ゆへみ
 ぶへは参り不申上州へ参り候よし二・(本)立之よ
 し小山ニは幕を打大将分と相見逗留いたし
 居候よし外ニ壹手は三百人ほと下たて江参
 り此節懸合最中之よし大手前等へ大砲等並

 笠間ゟ加勢弐百人余も出候ニ付此節筑波ニ
 引居候而懸合居候よし
 府中辺も余ほと集り居候よし
九 日 朝より快晴夕方西ノ方ニ雷声夜ニ入
《割書:七十六度|下国井紅花両》 五ツ時より雨降少し雷声終夜雨ふる
《割書:三百五十五匁ニ|直段立》
《割書:上国井三百八十五匁ニ立|当年は水戸出来宜よし》
十 日 朝よりくもる五時より雨ふる
《割書:七十五度|》
 結城小山下館笠間土浦辺日々騒々敷人数く
 り出等いたし候よし
 此節江戸表諸品之追々御手入有之直下ニ相
 成木綿縮壹反ニ而弐十弐匁位之下ケ夫ニ而
 下物三十匁位さつまかすり壹反四十匁下ケ
 下物七十匁位上百十匁位ニ相成候よししか
 し木綿生白さらし類は下ケ無之よし当時伝
 馬町ニ而損は弐十七八万之損と申候弐わり
 位ニ都而下落之よし
十(初仗)一日 朝より快晴暑気
《割書:七十五度|》
 戸村紅花両三百三十五匁ニ立候よし

十二日 朝きりふる五ツ時より快晴大暑なり
《割書:七十八度|九十三度》
 此節結城小山筑波ゟ府中辺大騒動之よし
十三日 朝より快晴大暑夕方ほろ〳〵雨直止
《割書:七十八度|九十度》  夜中ハ涼し
 栃木市中六百軒ほと先日も焼候よし死人等
 も余ほと有之趣
十五日 朝よりむら雲冷気四ツ時よりてり立
《割書:七十五度|八十三度》  暑気
十六日 朝より快晴ひや〳〵終日天気よし
《割書:六十九度|八十五度》
十七日 朝より快晴五ツ半時むら雲ひや〳〵
《割書:七十三度|》  大暑ニなる
とよう朝四ツ時九分ニ入
    八ツ過位俄ニ雨なし大雷声(西の方ゟ出ル)皆々肝を
    つぶし候所七ツ時迄【「過」を見せ消ち】之間雨なしニ而
    古今つよし夫より晴又々間もなく日
    光辺より雲押出雷雨暮六ツ過雷声止
    雨ハ終夜ふる
江戸帖

 諸相庭之儀御尋御座候所当地之儀は先達而
 中ゟ諸品引下ケ方厳敷御趣意被仰出候得共
 元来織元殊ニ絹糸木綿糸ニ至迄大高直ニ付
 引下ケ方諸仲广一統難渋仕候へとも此度は
 御上様ゟ御用金之かわりニ問屋とも所持之
 品丈直下ケ売捌キ可申上様御沙汰ニ御座候
 兎角も引下ケ可申事相定り申候
 三河生白両ニ   名古屋白
 《割書:古新弐反六分|改 弐反八分》      《割書:六番弐反六分|七番弐反八分五厘》
 《割書:銘 三反弐分|造 三反七分》      《割書:八番三反壹分五|九番三反三分五》
 右は通銘物丈左之相庭ニ御座候右之順坂も
 の外品とも壹割方引下ケニ相成申候
 一さつま緕【かすり】
  《割書:三ツ折口ものニ而|    九十匁前後》    《割書:平折百十四五匁ゟ|  百弐十迄》
 一紅花早場金七十両ゟ七十五六両まて
   雨天にて上出来候

十八(袷着用)日 朝よりむら雲冷気艮風終日ふき夜中
《割書:六十五度|》  くもり
十九(袷着用)日 朝よりくもり艮風にて冷気
《割書:六十五度|》

 京都玄米壹石ニ付百八十匁位銀八十弐匁弐
 三分当年紀州辺もより上方筋紅花例年五百
 駄位出来候処昨暮紀州は紅花は作り方御停
 止ニ相成候由ニ而上方筋大ニ減シ三百駄位
 之出来ニ付水戸へ追々買人入込ニ而当時は
 追々引上候よし
《割書:袷着用|大暑六月中》
二十日 朝くもり冷気四ツ半時より少々暑気
《割書:両三日已前ゟ|郷中ゟ南発》 ニなる昼後より暑ニなる
《割書:のよしニ而出候|事夥しく候》
《割書:御役方を始追々|御登りニ相成候》
二十一日 朝よりくもり少々冷気はぬける夕方
《割書:中仗|七十五度》   北風吹直やむ艮風冷気
二十二(袷着用)日 朝よりくもり終日むら雲そらニ而八
《割書:七十四度|真なべ焼候よし》  ツ時ゟ艮風冷気夕方止夜中は晴
《割書:日々南発ニ而|大騒真なべニは》
《割書:戦争有之よし|》
二十三日 朝快晴五ツ過ゟむら雲艮風冷気終日
《割書:七十度|》    天気ニは候へ共艮風冷気也
二十四日 朝より薄くもり艮風冷気
《割書:七十度|》
二十五日 朝よりくもり四ツ過よりてり立冷気

《割書:七十度 |》  艮風なり
 田中勢と申百人程鯉淵江泊り候よし人足弐
 百人も申付候夫ゟ加倉井通ニ而中ノ才ニ参
 り加倉井淡路所江参り武器類を持参いたし
 夫ゟ粟の飯村忠七へ参り金子百弐疋持参等
 いたし候よし
廿六日 朝より快晴冷気丑刁風少し吹
《割書:七十度|》
廿七日 朝より快晴南もやう九ツ過より暑気
《割書:七十度|八ツ時八十八度 》ニなる
 此節物騒ニ付御町内一支配切申合繁々夜廻
 り可致候
 一火之元之儀不容易候間軒下江軒別ニ水桶
  指出置候儀先年相違候趣も有之候所近頃
  相弛【「馳」見せ消ち】みツヽ歟ニ相聞候間厚申合水減之分
  無之様屹ト可相達候已上
  右之通支配切無洩可相達候已上
    六月廿六日   大内彦介
     六ケ町名主
廿八日 朝より快晴ひや〳〵四ツ時より大暑

《割書:七十度|九十一度》  ニなる夜中迄あつし
《割書:田中組と申組此|節野口館へ参り》
《割書:候よし|》
廿九日 朝むら雲艮の風ふく昨日ゟも余ほと
《割書:七十五度|袷着用》  涼し

   七 月
朔 日 朝よりくもり艮風にて冷気なり終日
《割書:七十度|袷着用 》  くもり空にて夜中迄同断
 此気候ニ而は作方不安心之事ニ候所々雨乞
 アリ
二 日 朝よりくもり少しあつし四ツ過ゟ艮
《割書:七十三度|》  風になる夕方よりくもり
三 日(是迄続而冷気) 明方より雨つよし雷六ツ平時なる終
《割書:七十四度|政兵衛宇兵衛》 日大雨折々止
《割書:出奔|》
四 日 朝六ツ半時小雨直止夫ゟ快晴暑気つ
《割書:七十七度|九十二度》  よし夕方ゟくもり夜五ツ時雨ふり
五 日 朝くもり暑気七ツ半時俄雨ふる直ニ
《割書:七十七度|九十度》  止快晴
六 日 朝むら雲四ツ時ゟ快晴暑気七ツ半時
《割書:七十四度|九十度》  俄雨ふる直ニやむ夫ゟくもり
《割書:立秋七月節|》

七 日 朝くもり五ツ半時より少々てり立四
《割書:七十度|九十度 》  ツ過より暑気
八 日 朝くもり四ツ時ゟてり立暑気つよし
《割書:七十五度|九十一度》  夕方乾の方ニ少々雷声
 昨日太田入口ニ首壹ツさらし有之候よし
 太田辺此節大騒動之よし
  江戸御用之よし七月朔日
 《割書:公辺御時沙汰之趣も |有之候ニ付御役御免》      佐藤図書
 《割書:被遊候條慎可被有之 |候也》      朝比奈弥太郎
 御用達        市川三左衛門
 《割書:奥御祐筆頭取再勤|格如元》       新家忠左衛門
 《割書:奥御祐筆再勤|格式如元》        原田誠之介
 同断         日置熊四郎
 御小納戸再勤     河原田忠次
            加藤藤助
 《割書:御国弘道館訓導 |如元》       菊池善左衛門
 《割書:御右筆頭取再勤 |格式御馬廻格》       杉山惣兵衛
 御右筆        山下善左衛門
 《割書:交代御馬廻御国江|引越候様》       高倉平三郎
 《割書:御右筆組頭再勤|米弐石五斗増格式如元》      今井与衛門

 御国奥方御番     河合伝次
九 日 朝より大暑終日大暑なり乾のかたニ
《割書:八十度|九十二度》  少々雷声
 太田辺殊之外物騒富家へ田中組と申押入候
 よし
十 日 朝くもり四ツ過もてり立大暑
《割書:八十度|九十一度》
十一日 朝よりくもり五ツ過よりてり立大暑
《割書:八十度|九十度》
 当七日筑波ニ合戦有之候趣九日は川をはさ
 ミ互ニ対陣十日ニは又々合戦有之候よし
十二日 朝薄くもり四ツ時よりてり立夜中迄
《割書:八十度|九十度 》  暑気
 御城下内殊之外物騒
十三日 朝より快晴大暑風なし
《割書:八十度|九十二度》
十四日 朝よりくもりきり雨ふる五ツ半時よ
《割書:七十五度|九十二度》  り快晴大暑夜中迄あつし
《割書:在々所々殊之外|騒々敷押借等》
《割書:有之候|》
十五日 朝より快晴四ツ時より北風大暑夜中

《割書:七十八度|九十度》  迄暑気つよし
十六日 朝くもり五ツ半時より雨ふり北風涼
《割書:七十五度|八十五度》  し四ツ時より照立終日北風夜ニ入雨
《割書:右同断 |》  つよし
十七日 明方雨つよし六ツ時止てり立五ツ時
《割書:七十五度|田中源蔵と申》 さつと降北風ふく終日晴降あらし模
《割書:下金町猿田|貴碩忰大将 》 様北風つよし夜中も雨風つよし
《割書:ニ而野口館へ|参り住居いた》
《割書:し手下三百人|余有之候よし》
十八日 明方大雨北風吹六ツ半時止荒模様な
《割書:七十度|八十度 》  り降はれ度々にて北風雨ともつよし
《割書:城下ゟ野口迄|之通行殊之外》 夜中晴風計吹
《割書:六ケ敷|》
十九日 朝よりくもり南もやうにてむしあつ
《割書:七十五度|八十八度》  し終日曇空にてあつし四ツ半時より
    雨なしニ而西の方雷夜中五ツ時より
    雨つよし終日折々雨ふる
廿 日 朝まて雨つよし明六時より雨止終日
《割書:七十五度|》  曇空にて夕方より晴
《割書:野口近辺|通行殊之外六ケ敷諸人難儀いたし候よし》
廿一日 朝むら雲終日薄くもりむら雲ニ而持
《割書:七十五度|》  合

廿二日 朝よりむら雲秋涼
《割書:七十度|》
廿三日 朝薄むら雲秋涼終日持合
《割書:七十一度|》
 諸生之御方今夕方御下りニ相成候向井町泉
 町ならや町やとや不残御攻有之奈良町川崎
 屋ニ而御召捕ニ相成候もの四五人有之候趣
 同日上金町塙弥左衛門宅御攻有之候よし
廿四日 朝より秋晴
《割書:七十三度|》
 今日諸生之御方大勢ニ而大平筑波其外陣羽
 織幕之類商ひいたし候品もの店々御糺有之
 商ひいたし候品ニより帳面御改之上御評定
 所江書上ニ相成候事
廿五日 朝よりむら雲
 朝五ツ時頃下町辺ニおゐて俄ニ大炮小筒等
 之音いたし候内ニ出火ニ相成追々煙り立登
 り皆々驚入十方ニミれ候内追々説ニは坂戸
 辺ゟ何万之人数ニ候や陣羽織騎馬等ニ而押
 よせ又一方は藤栖並木之方ゟ押よせ七軒町

 辺ニ而合戦相初候よし出火ニ戦最中田中清
 水町ゟ焼出シ死人怪我人余ほと有之候よし
 其夜上町ニ而は野口館ニ当時居候田中之勢
 押よせ候よしニ而市中殊之外大騒動篝火を
 所々江たき竹やり等所持いたし面々付火之
 用心いたし自分々ニ而裏表度々相廻り候老
 若男女は石川辺江不残立のかせ候
廿六日 朝より天気
 右同断大騒動ニ而又々石川辺江立のかせ申
 候
 壹丁目土手御固   【「白」見せ消ち】向井町 筧様御固
 大炮四挺ツヽ懸ル 馬労町 渡辺様固
 田中人数中ノ才宝憧院江のり込候よし
廿七日 朝より快晴
 右同断騒動 城下江責寄候由ニ而前日同様
 御騒動
廿八日 朝より快晴
 田中勢今日飯留辺迄押出候所俄ニ引帰金入
 野辺ゟ加倉井迄参り村々竹鑓鉄炮等ニ而大
 騒飯留辺江長持壹ツ失念致参り候よし河和

 田辺ニ而戦有之候よし
廿九日 朝より快晴
 河和田辺より飯嶋石川順見道赤塚辺迄ニ所
 々大炮小炮之音ニ而百姓と戦有之候よし
晦(二百十日)日 朝より快晴
 鯉淵土師随分浜辺ニ而百姓七百人余と田中
 勢百五六十人と合戦鯉淵は大炮ニ而よほと
 死人怪我人有之よし片倉辺ニ参り候よし
 廿八日ゟ戸村飯留田谷国井辺より白鉢巻竹
 やり持参ニ而 御城下江沢山ニ人数押出ス
 太田辺ニ而は此度迄役いたし金子等之世話
 いたし候又は小金辺迄出居候ものゝ家を十
 三四軒ほと千人余こそり打こわし候由其外
 額田辺も二三軒菅谷辺ニも有之候よし
 廿八日ニ磯浜へ船ニ而参り候もの十弐三人
 内八人程打取候よし同日外ニ弐船程参り候
 所右之様子を見北の方へ参り申候よし
 ミナト辺も日々騒々敷よし
 八月
 此節在々ニ而寄集所々打こわし有之候よし

 野口辺二日方ニ打こわし有之候よし飯田ニ
 而も三日ニ庄屋を打こわし候よし
 村々より白鉢巻白たすき竹鑓を持百人百五
 十人弐百人位ツヽ日々御城下江罷出候事引
 も不切御評定所迄出候よし
 廿六七日方ニ下町年寄加藤又衛門諸生之御
 方ニ而御召捕御評定所江参り候よし
 上金町年寄塙弥左衛門は下町辺之御屋敷ニ
 参り長持之中ニかくれ居候を諸生之御方召
 捕御評定所江参り候よし塙は長持之中ニ居
 候節長持之外ゟ鑓ニ而被突きづを受候よし
 三ツ橋半六と申屋敷之由
 上金町富田太惣次は逃候よし
 馬労町家抱屋介十も逃候よし
 青物町軍司藤 四(カ)郎も江戸へ登り候よし
 七月廿五日合戦前ニ日はいつのころニ候や
 吉田明神大石灯籠有之候所何之次第も無之
 節上の笠《割書:かけ落   |候よし 》ニ而皆不思儀ニ思ひ居候所
 右之騒動有之候よし
 又八月朔日ニ吉田大杉弐本風も無之ニかへ

 り候よし下町ニ而は又々心配いたし居候よ
 し
 木村伝六桜井善太ニ諸生之御方参り殊之外
 御吟味有之候よし
 日々在々より召捕人引連 城下江罷出候事
 夥敷候
 此節穀町ニ而白米きらし居候而小前之もの
 難渋之よしニ付名主江相頼名前書抜候而大
 高小泉桜井三人ニ而弐軒江籾壹俵ツヽ引配
 候事
       馬労町難渋人
         三十九俵三人ニ而指出ス
        此内六俵残り居候
          三俵 《割書:根本| 庄屋へ遣ス》
          三俵 《割書:同 | 太郎へ遣ス》
         太郎は人数大勢之よしニ
         付
         《割書:外ニ|》三俵 三人ニ而遣ス
 町中之ものは老人子供ニ至る迄毎日逃出猶
 又昼夜わらくじをすき居にきりめし腰弁当

 雨中ニ而もわらんじのまゝごろり寝もいた
 し候へ共寝むり候事もならす昼夜まわり女
 は所々焚出候むすびを役わりニいたし男女
 とも昼夜少も休無之候

   八 月
朔 日 朝より快晴
 今日は少々静ニ而何之沙汰も無之候
二 日 朝より快晴
 今日は奥の谷ゟ長岡辺迄之間ニ多人数見候
 よし注進之よしニ而下町辺入口上町辺入口
 等所々御人数御指出ニ相成大騒ニ有之候
三 日 朝むら雲南風
 今日は渡辺様谷中ヲ御固メ相成申候御陣所
 は下金町之よし
四 日 朝むら雲
 二日は野口へ百姓一揆押寄関沢を打こわし
 候由三日は飯田村ニ而打寄庄屋大和田と申
 を百六七十人ニ而打こわし昨夜山ニ而たき
 出シをいたし今日は鈴木石見守様へ参候由

 御加勢之よし
 今日は渡辺半助様下金町御固メニ而白幡山
 御陣所よ相成候よし
五 日 朝より薄くもり冷気
 今日は渡辺様御人数谷中御固メ桂岸寺御陣
 所ニ相成候
 先月十九日京都江長州勢押寄会津井伊加賀
 勢等防戦京中大火死人夥敷長州勢不叶引退
 候よし
四日御用
御用達  伊 藤 七 内
御若年寄 筧 七太夫
同    中村仮四郎
六 日 朝よりくもり冷気丑刁の風吹九ツ時
    ゟ大雨壹時斗ニ而止
七 日(八月節) 朝むら雲快晴
 夜八ツ時下町辺ニ而一揆相発加藤又衛門金
 沢やいせや喜兵衛其外てうちんや園部俊雄
 等被打潰候よし
 今般村々一揆数千人諸々ニ而相発西郡之内

 ニ而東野綿【「崎」見せ消ち】引庄屋北塩子横目大貫新助素賀
 村長山伊兵衛上小せ井樋政之允大岩竹内源
 介野口関沢源次右衛門其外小せ沢貞三郎小
 舟門井野口平等高部村国松権兵衛大森小倉
 屋嶋や神職五人いつれも家体被打潰其内井
 樋は竹鑓ニ而被突殺竹内家内三人酒蔵室江
 かくれ居桶を破られ酒之為ニ溺死いたし候
 由風節ニ御座候実ニ大変之事ニ御座候関沢
 之儀は一揆之方小勢ニ而ゲ死人八人被取候
 よし
 今日は村々より 御城下江参り候村々人数
 夥敷事なり
 市中は毎夜軒下江てうちんをさげ表へはか
 ゞり火を焚家々ニ而は不寝ニ表裏を引もき
 らす相廻り火之元用心いたし居候
八 日 朝よりくもり五ツ時ニ雨ざつとふり
    四ツ半時又々雨ふり八ツ時又々雨ふ
    り夕方止晴
 小場村郷士安藤幾平両三日已前大勢ニ而被
 打潰候よし着類不残引さき穀物は俵をぬき

 井戸へ被打込候よし
 岩根村園部弥平次も被打潰候よし同村森田
 は何之次第も無之よし小祝村藤東次衛門被
 打潰候よし飯富佐藤 本(マヽ)碩本宅とも田中之縁
 者よしニ而被打潰候よし
九 日 明方より雨強五時より辰己【巳の誤記】風吹荒模
    様四ツ過より北風大風大荒大雨夫よ
    り乾風ニなる八ツ時過大風雨八ツ半
    過より静る晴
 両三日已前ゟ大津浜ニ騒動有之候よし中山
 様御人数百人余江村々ゟ弐百人余都合三百
 人余ニ而大津へ押よせ候由
十 日 快晴秋冷
《割書:弐百廿日|》
 左衛門佐様御謚號
 孝順子様与奉稱候
 一            諸向江
 野州大平山江浮浪之徒相集候儀ニ付従
 公辺別紙之通御書付御渡相成候ニ付尚更心
 得違無之様可被存候

 右之趣支配々末々迄無洩樣可被相達事
 御上洛御留主中野州大平山江浮浪之徒相集
 其後常州筑波山江楯籠民家江押入財ヲ奪種
 々橫行之致方有之且小金原江多人数屯集致
 居候者共浮浪一味とハ有之間敷候得共不穩
 模樣ニ相聞候就中筑波山之者ハ水戸殿家來
 ニ而浪人いたし候者多クハ主謀ニ相成攘夷
 之儀未タ成功ニも不至を心外ニ存候との義
 ニもあるへく候得共遠大之思慮無之遂ニ無
 謀之攘夷ニ陥り候而ハ
 勅命ニ背キ恐多事ニ候方今之急務武備更張
 之外無之候所其儀堪兼屯集いたし候者是又
 可憎ニ無之候得共水戸殿家来浮浪等等敷暴
 行有之候而ハ水戸家之御名義不相立而己な
 らす其儘於被指置而ハ幕府之御職掌も難相立
 儀ニ而無拠御人数指向ニ相成り候条其意味
 篤に相弁ハ官兵に倶ニ暴行之者を討減いた
 し常野人民之害ヲ除報国之赤心を顕し政府
 と一致に尽力社御親藩の臣に可申候且又長
 藩之者共京師江押入恐多も

 御所を乱入炮発いたし朝敵之賊等即時ニ過
 半誅戮ニおよび凡
 皇国ニ生る者誰か尊王之道を不知ものハ有
 之間敷候然ルニ長州人之暴行之如キハ甚可
 悪ミ依之長州一藩討取可申段従京師被
 仰出候間是等之儀も篤ト相弁へ心得違無之
 樣精々御申諭被成候樣可被申上候事
  但本藩之家来ハ勿論未家共他出罷在候者
   ニ至迄可成丈急速本文之趣行居候樣可
   被致事
 八月十日松平大炊頭樣御着之よしニ而吉田
 薬王院江多人数御着其節懸合向も有之候と
 相見七軒町辺諸生ニて御固メ有之若年寄天
 野伊豆樣并御使番御徒目付等薬王院ニ御出
 ニ相成御懸合申七ツ半時比俄ニ吉田明神山
 ゟ大炮并小筒等七軒町御固メ之方へ打懸候
 由ニ而七軒町御固メよりも大炮小筒等打懸
 候よし天野樣ハやう〳〵逃候而翌日上町通
 ニ而御帰ニ相成候よし御使番ハ鉄炮之中を
 乗ぬけ候よし御徒目付鈴木茂衛門と申ハ数

 ヶ所之□(マゝ)二而死去いたし候よし御使番渡部
 伊衛門様大井静三郎様今夜渡辺半介様桂岸
 寺御陣所御引払二相成候而好文亭へ御出二
 相成候所好文亭ハ御固メ有之候よし二而
 御城二御出二相成史館江御出二相成候よし
 外々口々ハ御固メ有之候得共馬労町入口ハ
 御固メ無之候事
十一日 朝より快晴少々村雲
 松平大炊頭様御家中大勢御引連二而吉田并
 薬王院坂戸乗正寺拂澤圓通寺等江屯集致居

 候よし人数三千人餘と申候事
 右二付追々在々より御加勢として
 御城下へ出候人数今日ハ四百人餘有之候よ
 し二而近在ハ一先ッ御沙汰有之節罷出候様
 二と御返二相成候よし
 先方二而ハ吉田辺ゟ圓通寺の方江土手を築
 候様子二候よし
十二日 朝よりむら雲冷気
 夜八ッ半時位二諸生之御方并郷列士等引連
 圓通寺近クにて参り俄二ときの声を上候二

 付先方二而ハ俄の事故荷物等打捨置候而濱
 の方江不残参り候由小泉川又塩ヶ崎辺晝四
 ッ時位より夜中迄数度合戦有之候様子祝町
 御台場并磯の浜等江くり込候而祝町御台場
 ゟ湊の方へ大炮を打懸候よし湊二而も大炮
 引もきらす打候様子同夜湊江近在ゟ加勢二
 出居候人数二而小金江出居候もの十一軒打
 潰候よし
十三日 朝むら雲北風二而冷気終日空合六ヶ
    敷

 明方迄磯湊の方二大炮之音いたし居候双方
 打合居候事と相見申候
 今日港二武兵衛を使二遣候所昨日同様大炮
 動之よし
 祝町恵明院を焼払候よし岩船氏ハ漸々船二
 而御家内中城下江逃参候よし怪我人餘ほと
 有之候よし祝町二而もふせぎ居候もの百人
 餘も切殺され候由
十四日 朝よりくもり冷気四ッ半過より雨ふ

 昨日同様湊の方晝夜大炮之音不絶致居候終
 日不絶二音いたし居候夕方二相成候而ハ別
 而烈敷聞候よし
 今日は筑波勢長岡江大勢参り候よし
十五日 宵より雨ふり明方止五半時雨ざつと
    降有之夜四ッ時大雨
 今日も大炮之音少シいたし居候事
 今日四ッ時位平須村五兵衛と申穢多之所江
 田中勢之由大将緋綴の甲冑を着し銀の采を

 持百人程押込米五百俵かし候様難題申懸出
 来兼候趣申候へハ直二火を懸焼払候而鯉渕
 村辺江参戦候よし其節小幡辺江も火をかけ
 ぬき〳〵二焼払候よし
十六日 宵より雨ふり九ッ過より雨止折々雨
    降
 今晩ゟ湊へ乗込候様子二而大炮小炮之音夥
 敷其内二小川辺より出火湊ハ七八ヶ所ゟ出
 火二而大合戦之様子晝過城光寺江火付候様
 子湊ハ不残焼失之よし死人怪我人数不知

十七日 朝より小雨終日雨折々大雨夜中も
    度々雨ふる
 打続騒動二而市中之もの殊之外難渋日々人
 足二而己罷出居取続兼候趣二付又々大高小
 泉桜井三人二而五斗入籾弐百五十俵難渋人
 江遣候
   右俵わけ
       百 俵 馬労町
       四十俵 向井町
       三十五俵泉 町

       十五俵 奈良屋町
       三十俵 上金町
       三十俵 下金町
        メ弐百五拾俵遣シ申候
十八日
 湊峯岸家内額田江逃参り居候よし二付助蔵
 を迎に遣シ向井宅壱丁目新宅ゟハ織平を頼
 一同二遣候事
 湊にてハ大概逃去候跡江持込家々江住居致
 居候而穀物類持出候よし

  助蔵等額田へ参り候所此辺も騒々敷候二付
 高貫村へ逃候よし高貫迄参り十九日二峰岸
 母并おゑつ善之介芳之介啓之介夫婦子供等
 此方江参ㇽ外二見遣子供下女等とも参る
十九日
 夜二入湊より細谷神勢館得入数四五百人着
 いたし候よしの沙汰有之候
ひかん
廿 日 
 今日大炮其外大勢神勢館へ着致応接之よし
廿一日

 今日も応接之よし
 磯湊祝町等逃候もの親子兄弟ちり〳〵二相
 成何かたを当テト申候も無之殊之外難渋此
 上なき事と申候
廿二日
 四つ過神勢館より大炮打かけ候而双方大炮
 打合有之新町辺より出火七町ほと焼る又々
 河岸通ゟも出火にて河岸通荒増焼失致候
 同日青柳渡場迄大勢押寄常葉河岸二ノ先の
 御備と大炮小炮等に而打合終日合戦有之候

 夜中青柳江火付候と相見焼る春中焼残りし
 候五十一二軒焼候よし
廿三日 朝天気九ッ半時より雨ふる
 今日も朝より大炮打合有之新御蔵前迄押寄
 候よし夕方迄戦有之夜中折々雨ふる終夜鑓
 合之合戦有之候よし先方二而ハ立原扑次郎
 打死其外死人有之諸生方二而斎藤銀四郎働
 候而三四人打留鉄炮二当り打死いたし候よ
 し弐三人其外二怪我人有之候よし先方二而
 も死人怪我人餘ほと有之候様子二候へ共直

 二引取候而不相分候
廿四日 雨止くもり空四ッ過ゟむら雲夕方ゟ
    雨ふり夜二入北風大雨終夜大風雨
 四ッ過より下町河岸通にて引もきらす大炮
 之音いたし居候合戦有之河岸稲や八次郎ゟ
 下之方焼る夕方は下町新町辺終夜焼る
 下町辺ハ御家中家内ハ 御城江逃る其外被
 召出以下家内ハ弘道館へ逃る市中ハ不残立
 退候而明やしき二相成上町辺又ハ笠間辺へ
 逃候よし

 今日助川山野辺様御人数之由二而中河内舟
 渡候参り候由之所是迄之騒動二御出張無之
 よし二而此方御懸合二相成御六ヶ敷と相見
 御引返二相成候よし
 夜七ッ時谷中刀鍜/次(マゝ)彦六裏家やける
 同夜五ッ時千波原はなくし場御道具蔵焼る
 雨最中なり
 今日夕方
 公辺御軍勢弐千六七百人程弘道館二御着上
 町中ゟ炊出シ被仰付其外夜具ふとん諸あて

 もの有之指引町年寄始市中之もの罷出候事
 湊ハ相応人ハ不及申不残立退候而居屋敷被
 焼払又ハ切殺され蔵を開キ衣類金銭を持出
 穀物蔵ハ押明飯米二遣候よし其外小前之も
 の少々残り居候ものハ日々忍足二被遣候よ
 し二而湊二居候ものハ無之候よし湊へ着致
 井戸を不残払候よし是ハ金銭有之候と見候
 やのよし
廿五日 宵より雨ふるさむし北大風雨にて八
    つ時位より晴

 今日ハ合戦無之樣子ニ候へ共大炮ハ両方ニ
 て折々打合居候
 今日も
 公辺御人数御着千人余神崎寺神応寺へ旅宿
 □【竹冠に雁垂れの中に車偏に疑の旁を入れたもの】□【竹冠に雁垂れに斬】乙
 □【手偏に合と之と一と十を重ねたもの】拾□【二文字前と同じ】□【挹の口と巴を入れ替えたもの】
 右両樣とも剣難病難災難除之よし
廿七日 朝より快晴
 昨夕方より
 公辺御人数下町河岸通へ御繰出ニ而大炮打
 合有之候
廿八日 朝より快晴八ツ時ゟむら雲
 明七ツ前ニ台渡り清介と申もの宅并に隱居
 屋とも付火にて焼る十人余も参り付候よし
 今日明七ツ半時より谷中袴塚の者大勢集り
 是迄小金等へ出居候ものを打潰候其音ハ誠
 ニおそろしき事ニ有之
  谷中袴塚常葉ニ而十三軒ほと
   柏雄介 石井邦之介 菊地彦助
   飯村

   和泉屋惣兵衛《割書:是ハ田中へ鉄炮玉大を被|願誤候よし》
   馬労町岩善を打潰候との説余程有之候
   ニ付色々手をまわしふせき候よし
 今日昼過ニ本松勢千人余も馬労町通ニ而中
 河内江御繰出ニ相成水ノ倉辺ゟ押候て渡台
 辺江陣を取候よし先方まてい枝川ニ居候ハ
 青柳へ五六十人余火を懸逃候よし其節両方
 ニ而大炮打合候
 公辺御人数神勢館ニ而大炮打合有之候よし
廿九日 明方より雨ふる終日北風夜中迄北大
    風雨晦日明方迄ニ而風止
 今日先方ニ而ハ枝川江火をかけ逃候よし神
 勢館ニ而今日ハ鉄炮打合無之候ニ付物見之
 もの遣候由之所不残引払候由大炮小筒其外
 甲冑一領前胴数多馬印等さし置候て湊又ハ
 太田助川辺江引取候よし神勢館土をほり死
 人を余ほと埋メ有之候よし
 今日ニ本松丹羽樣勢小場通澤田辺迄押候よ
 し
 今日長岡辺江又々出候而余ほと焼候由

晦 日 明方雨風止又々雨降七ツ時雨止
 今日鳥居丹波守様御人數笠間ゟ御着人數八
 百人余下町一町目御会所へ御くり込ニ相成
 候下町ニ而ハ町年寄始不残先日ゟ逃候而此
 節も更ニ居不申候ニ付上町ゟ年寄格列等無
 役之もの罷出久保町ゟ下町迄案内致猶又町
 役人并さし引の者迄上町ゟ参り夜具其外諸
 道具膳わん等不残上町ゟさし出候よし
 南ノ小川辺ニも合戦有之候よし片倉を田中
 勢焼候よし
 府中ニも合戦有之候よし府中の町三四度ニ
 被焼候よし
 下町辺よりは笠間江逃候よしあまり笠間江
 大人数参り候ニ付此節は一円ニ水戸の人は
 入不申候よし
 ミナト長十と申者笠間江家内等一同逃候而
 逗留いたし居候所田沼様御人数江召捕ニ相
 成候所全ク次第無之ものニ付御下ケニ相成
 候よし此節之水戸ゟ他所江参り候へは善悪
 ニ不拘十五才ゟ六十才迄之者は召捕ニ相成

 候との事ニ而此節は他所迄立退之者は相や
 み候事
 土蔵締切目塗等いたし置候るニ相聞商ひも
 相始候名目而已ニ而品切之趣申聞候由追々
 相達置候所今以右様之始末如何之心得ニ候
 哉早々土蔵相開存分ニ商ひいたし候様諸家
 人数も多勢繰込居候折柄御外面ニも相拘候
 付御国恩を心得居候ものは早々商相始可申
 万一土蔵〆切商不致諸人指支をも不顧者有
 之候はヽ屹与申付様も有之候条其旨惣町江
 早々御達可被成候已上
   九月朔日
 塩小売之儀相止メ居候者有之諸人指支候趣
 相聞候間工夫いたし早々為売候様是又御達
 可被成候
   大高源介様
   林 徳十郎殿    伊藤幾三郎【右罫線上に】

   九 月
朔 日 朝より快晴暖気夜ニ入四ツ時ゟ雷雨

    九ッ時ゟ大雷雨明方止
 太田村と石神村と此間ゟ戦有之候由今日丹
 羽様人数菅谷之方江繰出二相成候
 鯉渕之勢南の小川辺江押出合戦有之候よし
 鯉渕勢強小川館負候而所々江散乱いたし
 城下へも餘ほと入込候由二付町々心を付火
 之元厳重二相廻候様御触有之候事
二 日 朝より快晴終日天気夜中くもり 
 今日も南の方二大炮之音いたし居申候
三 日 薄くもり

四 日 朝よりくもり四ッ時より雨ふる四五
    時ゟ晴
 御直書之写
 辰年以来家中内二而派党相立我等存意も不
 相立而己ならす自然従
 公辺御沙汰之儀をも不相用ものも有之様子
 二而兼々心配いたし候処近来二至家中内二
 激論抔と相唱銘々職掌も打捨種々不容易儀
 二聞/凉(マゝ)いたし我党無之ものハ奸物抔と唱以
 之外之儀二有之候間已後一同致改心銘々其

 職掌を相守国家之為忠勤可励萬一心得違之
 もの有之候ハゝ可及厳重候間一同屹と可致
 改心候也
            鈴木石見守始
              家中一同江

 九月朔日夜筑波山勢弐百人餘湊江参り土蔵
 打破候よし
   萬 屋 二  大坂や  二
   ふせ兵 二  米 絲  二

   大 兵 一  木 川  二
   梅 権 三  油 元  一
   梅 重 二  油 覚  一
   近 藤 二金子五千両も持出候よし
   仙台や 二  白 土  一
   材木や 一
 右ミナト一弐丁目土蔵朔日夜九ッ時人足を
 以打破品々祝町江引取申候由

 公辺御触之由        堀 織部

           高木宮内
           萬年新太郎
           松平佐内
           小出順之介
 神勢館逃去候もの那珂湊辺屯集致居候趣二
 付急速歩兵隊并丹羽左京太夫鳥居丹波守人
 数指向追討可被致候尤磯浜辺二ハ北条新太
 郎河野伊豫守并戸田越前守松平周防守人数
 指向追討いたし候様相達候間可被得其意候
 事

 市中へ御達
 弘道館角場二而歩兵込筒打抜候間戦争と心
 得違無之様御達有之候間其旨御心得惣町江
 早速御達可被成候已上
   九月三日
 鳥居丹波守殿会所江五百人餘一昨日繰込大
 取込中へ又々今日北条新太郎殿河野伊豫守
 殿戸田越前守殿松平周防守殿堀田相模守殿
 五頃吉田薬王院へ繰込二相成候様御達二相
 成候所下町ハ不残立退町役人等居不申候二

 付町年寄始町役人とも上町ゟ指引二罷出候
 所南辺敵相見候由二而俄二御振合替り小川
 辺より松川磯の浜江御繰込二相成候よし
 小金等江致南発候者共居宅等打破候哉之趣
 も相聞候処右様之儀有之候而ハ御名目二も相
 拘り候儀も出来可申哉も難計候間能々申諭
 当人儀ハ召捕評定所江指出公裁を受候様御
 達有之候間其旨御心得惣町江無洩御達可被
 成候已上
    九月二日

  大高源介様       伊藤幾三郎 

   九月三日御用
  慎御免        太田丹波守
  大番頭        赤林三郎兵衛
  慎御免        太田誠左衛門
  御書院番頭      岡崎平兵衛
  中年寄        藤田健次郎
  
             小山小四郎
  慎御免        大森弥三左衛門

             近藤儀太夫
  《割書:御小納戸格|  御普請奉行》      安藤甚左衛門
  御使番        今井新平
  軍艦奉行       大古庄兵衛
  西御郡奉行      北河原甚左衛門
  《割書:御先手物頭格|  御聞用懸 》      友部八太郎

             吉野英親臣
  慎御免        親康松軒
             藤山熊之介

  御矢倉奉行      小沢九八郎

  御書院番       松崎新介
  大御番        《割書:三木進次郎|前木鉄次郎》 
  御奉行見習      鯉渕幸蔵
  
             内藤源太郎
  慎御免        長崎源十郎
             横山忠兵衛

  御土蔵番       《割書:余語慎三|中村三五衛門》
           

  吟味役        根本勝蔵
  小十人組頭      鈴木伊十郎
  小十人        塙 左五郎
  御徒格御中間頭    小沢庸之介
  慎御免五人扶持    尾羽権之介

  慎御免        《割書:森太郎衛門|立花源六》
  
             吉田七平
             館野彦衛門
  御徒目付       岡見彦五郎

             五百城縫殿介
             片岡雄太郎
             稲垣平太郎

  小十人目付      小泉左十郎

             陰山慎三郎
  御徒目付       中西平太郎
             近藤軍四郎

  小十人目付      松葉伊衛門
  慎御免        高野亮衛門
 公辺御人数にて片倉辺ゟ追々松川辺迄追詰

 召捕候人数之由
   横曾服太郎    斎藤圑蔵
 戸太夫弟
   広岡友之介    松良亀太郎
   植原伊平次    植原鬼太郎
           仲之介弟
   大宮伊三郎    細谷勘介
   馬別当非蔵    関根良衛門
   三木右衛門    郡司市衛門
   女房花まち    渡辺左衛介
   鬼川菊丸
   但入道二而十七才

 乗馬三疋木筒七挺武具船壱艘米船壱艘但弐
 百俵之つわるんし船壱艘長持弐棹但玉薬入
 鉄炮鎗刀脇指等数不相分候
五 日 朝より快晴
 昨晝時位より湊ゟ三百人餘太田之方江向繰
 出候よしの所今日五ッ半時ゟ額田村松葉村
 米崎村辺江火を付乱妨いたし久慈川を中二
 挟太田辺出張之諸生衆と合戦有之候よし夜
 中迄大炮之音餘ほといたし居候
 今夕織田越前守様御人数八百人餘上町江御

 
 繰込二相成向井町江御止宿額田や弥次衛門
 同松平下総守様御人数三百人餘御くり込泉
 町得御止宿
六 日 朝より快晴寒冷
 四五日已前 武田伊豫守 田中源蔵 田丸
 稲之衛門 斎藤佐次衛門
 右家内不残召捕二相成揚り屋江参り候よし
 今日ハ酒出村辺江四五百人餘参り額田村ゟ
 指出置候遠見之もの弐人殺候由夜中終夜大
 炮之音いたし居候

七 日 朝よりむら雲北風終日持合
 今日ハ中根辺江火をかけ乱妨之由
 今日酒出村二而一ノ先筧介太夫様御人数と
 敵戦有之候よし夫ゟ敵菅谷辺江引候二付跡
 追かけ候所幕を打籏を立陣をとり居候二付
 筧様勢押寄候所わら人形江笠を着せ並置却
 而横合よりおかぼはたけを鑓鉄炮を以這出
 突出候由二付筧様勢不意を被打怪我人等有
 之御引返二相成候よし
寒露
八 日 朝よりくもり四時より北風雨強大雨

    夕方止 
 今日湊へ御人数御繰出二相成候よし
 今日酒出村鳥居丹波守様丹羽様勢くり出戦
 圍打二而勝利之由残勢爪連辺を乱妨之よし
 此節濱々不残敵二相成候二付漁事更二無之
 中川二而取候鮭壱本金三分ゟ三分弐朱位
九 日 朝むら雲四ッ過よりてり立
 今日四半時過田彦村二而宇都宮戸田様御人
 数敵と戦有之勝利二而兵粮を遣候節不意二
 前後ゟ敵押寄候由二而戸田様并敵二も死人

 怪我人餘程有之候よし戸田様人数ハ夫ゟ直
 二引取泉町江一宿翌日馬労町通二而宇都宮
 江引取候
 田彦ハ其節焼る夜二入祝町辺餘程と焼る平
 磯辺も焼候様相見
 八日二神保様松崎辺御宿陣之所敵七八十人
 参り乱妨いたし候由二而村々鐘太鼓を打大
 勢集りふせき其節大将と相見緋おとしの鎧
 金采を持熊の皮の虎さやをかけ候もの壱人
 其外四五人打取生捕十四五人鯉渕辺之人数

 二而召捕候よし
 九日
 公辺御人数餘程湊へ御繰出二相成候神保山
 城守様今日下町江御着一丁目御会所江御着
 陣
 今日ハ馬労町江諸生之御方餘程御詰メ相成
 候是ハ中妻辺江乱妨いたし候ざんきり組大
 橋村辺より塩子古内辺江餘程参り候由二付
 大炮八九丁御持参御固メ二相成候
十 日 朝より薄くもり四ッ時過より照立

 今日常葉河岸御固メ二相成居候二ノ先青柳
 へ御繰出二相成其跡へ一ノ先筧様御固メ二
 相成候所間もなく二ノ先芦沢様御引返二相
 成又々常葉河岸御固二相成候二付一ノ先ハ
 暮六ッ時桂岸寺御固二相成候所四ッ時又々
 一ノ先ハ御引返二相成候
 小原辺
 公辺御人数御通かゝり二而所々山を巻御尋
 有之候二付逃去候よし杉崎加倉井鯉渕辺二
 而召捕候十四
 

十一日 朝より快晴暖気
 今日朝四ッ時頃
 公辺御人数御持筒頭和田伝左衛門様笠間ゟ
 両三日已前御立二而長岡御泊下町通り二而
 上町江御出二而俄二我等宅へ御立寄二相成
 申候御人数上下百八十人餘俄之事二而宿割
 等も不致候内自分〳〵二而大高源介大高次
 兵衛小泉甚吉いつゝや仁衛門辰巳や喜兵衛
 酒井屋新次郎釘屋彦太郎かミや清三郎孫根
 や惣助岩根屋善五兵衛夫々止宿二相成候

  我等宅ハ御本陣二相成申候
  上下二而三十七人外二同心四人
   《割書:表江幕を打御紋付高張壱|御自分紋の高張壱》
 御着二相成少々御休ミ直二半分位之御人数
 二而弘道館江御出二而
 公辺御日付へ御届ヶ二相成候事と相見申候
 其節泉町西村啓介鉄炮町岩間平次郎両人江
 御宿割之趣二而御返りかけ二西村江御懸合
 被成候由之所西村挨拶二ハ大高六左衛門御
 宿二相成候由を申候由二而和田様御用人ゟ

 如何之わけ二候や御尋有之候所此方江ハ今
 以何之御達も無之候趣申候所夫なれハ与力
 江掛合候間早速呼呉候様被申候二付西村江
 参り候書付大高源介ゟ達有之候様申候由二
 付源介方をも承り候所更二覚見も無之候事
 のよし二付西村之方江書付を為見候様申遣
 候へハ別紙之通御達二而如何之わけ二候や
 西村之挨拶ふりハ更二わかり兼候へ共やは
 り此方江御止宿二相成候へ共我等方江ハ何
 等の御達も無之候事

 公辺御持頭和田伝左衛門殿只今ゟ上町為御
 警衛被罷越候條町宿旅宿中無差支様万端役
 人共心を用ひ御取計ひ可有之候已上
     九月十一日
  猶々御一同中御申合上町之内わり合可申
  候上下百八十人餘二有之候已上
  御用西村慶助殿   直井秀三郎
   岩間平次郎殿
   急キ午上刻一丁目会所ゟ出ス
 右之通御達有之候趣泉町二而ハ此方四ッ時

 御着二相成候所下町御会所午上刻御指出二
 候へハ餘程刻限違居候間矢はり我等宅へ御 
 旅宿二相成候事と相見申候
 右二付外二御賄ふり等承り候所

 御上通《割書:朝夕平汁  下通り|晝ハ平汁   朝夕汁斗》
         《割書:晝煮しめ| 香のもの》
  我等宅二而ハ下通り候も朝夕晝とも平を
  付申候
 和田様御止宿二付此方ゟ出張之諸生衆

     御使番 大嶺猶右衛門
     部や住 佐川静蔵
     同   鳴海留吉
     同   楢山季吉
 今日塩崎辺二而合戦有之候由二而大炮之音
 いたし申候
十二日 朝より快晴
 一昨日ゟ
 公辺歩兵并鯉渕勢追々磯浜の方江弐千人餘
 二而責よせ候所敵人数之内二も所々江散乱

 致候もの有之よし二而南領所々殊之外騒々
 敷小原辺ゟ笠間羽黒辺迄之間ハ弐十人三十
 人五十人位ツゝ集り山籠なといたし居候由
 二而百姓等竹鑓木鑓等二而度々山を巻大騒
 動之致候由
 府中へも両三日已前百人餘押寄候よし二而
 陣屋ゟ四五十人其外百姓等二而防戦いたし
 候よし三四度被押寄其時々府中へ放火いた
 し候而市中餘ほと焼候よし
 一昨日丹羽様御人数へ諸生之御方并太田辺

 之百姓大勢集り助川江大平之方より責入候
 所大勢二而大平を防き居候内弐百人程裏山
 ゟ俄二責寄助川御館江火を所々江かけ候由
 二付山野辺様ハ太田辺江御逃ヶ被成敵勢散
 乱いたし候而石名坂辺二而又々合戦いたし
 敵敗軍二相成弐百人餘生捕打取等有之候よ
 し
 今日藤柄並木江幅十三間程奥行十間ほと二
 矢来を詰はり付四人ほと其外刑罪人餘ほと
 有之候

 今日逗留右場所ハ壱里塚辺二相成候よし
  十四日 《割書:七軒町へ|四人さらし》 十五日《割書:泉町広小路|へさらし》
  十六日 《割書:壱里塚辺へはりつ|け二相成候よし》
  正木入道《割書:是ハ結き辺之医者之伜之よし|大力二而大男之よし》
  
  宇都宮
  家中伜 年十八九
  戸田某

  今瀬伊織 那河の方村神職之由

  大工之由老人
  〆四人
  外二首五ツさらし候よし

   《割書:立原朴次郎   梅沢|大沢      川又》
 今日小泉村辺二合戦有之候由小泉村手負死
 人有之候由其節四十軒ほとやける
此節鮭壱本四〆五六百文ゟ五貫文餘
十三日 朝より快晴
 今日神保様好文亭御固メ二相成候而下町ゟ
 御繰込二相成申候
 和田様上町口御固メ被仰付候趣二而矢はり
 我等宅御本陣二相成候
 今日晝飯より
 

 公辺御賄之趣和田様御用人ゟ御申聞有之候
 久保町田丸屋と申所より焚出二而御取寄二
 相成申候
  是迄我等方二而指出候ハ
   朝夕ハ《割書:汁平|香のもの》 晝《割書:にしめ|香のもの》
    折々ハ鮭の焼もの抔出し申候
 公辺よりの御賄ハめし生みそ少々依而此方
 二而朝晝夕とも平を付ヶ朝夕ハしるも此方
 より指出申候
十四日 朝より快晴

 昨日ハ平戸辺二戦有之候よし
 磯ミナト平磯辺敵集居候二付魚ハ一円城下
 江参り不申候
十五日 あ
 朝より快晴
 今日鈴木石見守様朝比奈弥太郎様笠間田沼
 玄蕃頭様御逗留御陣中江小印籏陣羽織等二
 而弐三百人程二而御出二相成候よし
 是迄和田様見はり番所我等見世二候所今夜
 より酒井屋新次郎宅江相引十七日夜ハ隣の
 角太田屋幸介宅二なる

 晝夜公辺与力同心替合二三十人位ツゝ詰ㇽ
十六日 朝より快晴
 夕方より夜中迄中根村辺二大炮打合猶又合
 戦有之候よし
 今日鈴木様朝比奈様御返り二相成候
 和田様人数
 御町方御役所ゟ出候様御達之由名主方江
 書出之靣
     十一日三十九人 夕食ゟ
     十二日三十九人 
     十三日三十九人 朝飯迄
  十三日晝飯より
  公辺御焚出御賄二相成申候へ共上通りハ
  此方二而別二焚出候而上申候味噌も先方
  ゟ参り候へ共少々二而汁二成候程ハ参り
  不申皆々供方之者飯之時なめ申候
  平と汁ハ朝夕是迄之通上ヶ晝ハにしめか
  平なと付候香のもの雑漬
   朝ハとうふの平
   晝夕ハ時のもやうのもの
  供ヘハいも又ハけんちん等さつまかほち

 

   やなとの平也
 是迄朝ハ小梅白砂糖晝後茶菓子酒も御膳之
 節少々御中酒二上候所十九日ゟ茶之わら酒
 とも御おさへ二相成候へ共折々ハ出し申候
  此方御泊り之御人数
   江戸駿河台鈴木町
  和田伝右衛門様
  御家来五人
    立川応介   用人
    高橋英蔵   給人

    高木清五郎 中小姓
    高麗 広三  同
    阿部辰八郎 同
  同心四人
    磯 善次郎 下谷新坂本丁
    吉野長次郎 《割書:四谷北伊賀丁御持組|やしき》
    水谷延五郎 《割書:小日向水道端御持組|やしき》
    石川瀧之丞 同所
    《割書:此石川と申人御咄を承り候所上野坊|二十三四才ゟ居候而内藤庄太郎と申》
    《割書:候よし其後しんちやう組へ入此節同|心二相成候よし》 



   組頭弐人 此両人ハ外宿へ廻ㇽ
   下方弐十七人
    〆三十九人
十七日 朝より快晴
 此節塩殊之外不足二而壱升売百五十文位 
 今夜ゟ和田様見張番所隣の角太田屋幸助宅
 二相成候
 吾妻屋太十宅和田様御指引二御出し此方諸
 生之御方四人御詰所二相成候
 外二当町六丁目二諸生之御方御固メ有

 今日臼井織部様御子息忠左衛門様湊ゟ逃帰
 候よし御評定所被引候よし
十八日 朝より快晴暖気
 昨日馬渡辺二合戦有之敵勢湊六軒屋と申所
 より火をあけ平磯辺へ逃候よし又一方ハ前
 浜辺へ火をかけ逃候よし
  磯へハ歩兵等此方諸生衆責居昨日ゟ大戦有
 之候よし湊二居候勢も餘程いそへのり込候
 よし寄手ハ塩ヶ崎迄之り込海上よりハ蒸気
 船二三艘乗込合図の狼煙を上磯みなとの方
 

 え向大炮を折々打かけ候よし
 勝倉ニ御出陣之御人数も千人余昨日柳沢迄
 押寄候よし
 塩ヶ崎辺へは
 公辺御人数大炮方押よせ
 中根辺は市川様御人数追々御責込ニ相成候
 よし
 此節飴売魚売なとニ相成御城下え入込女も
 同様いろ〳〵ニ姿を替火薬等持参いたし折
 を見候而火を《割書:脱カ》候よし一昨日は鰹売塩ケ崎辺
 通かゝり候所此節磯みなと大貫辺とても漁
 事出来不申候所鰹を売ニ参り候ニ付あやし
 き事と御陣所ニ而召捕御穿鑿ニ相成候所火
 を付候道具を所持いたし居候ニ付御陣所ニ
 而首を刎御評定所え指出候よし
十九日 朝よりむら雲五ツ時ゟちら〳〵雨ふ
《割書:下たて辺|わた両ニ》 り直ニ止七ツ過雷声大風雹ふる俄ニ
《割書:壱〆弐百目位| 》寒くなる夕方止
二十日 朝より快晴寒冷終日天気よし
《割書:土用八ツ時弐分入| 》

 此節蝋燭炭槙木類品払底ニ而大高直なり
 昨日抔ゟ丹羽様村松の方ゟ鳥居丹波守様平
 磯の方え押寄市川様鵜殿様は郡田野ゟ押塩
 ケ崎辺戸田銀次郎様
 公辺歩兵等ニ而押よせ松川辺ゟ大貫辺へ板
 倉周防守様其外鯉淵勢又々押出候柳沢辺は
 公辺之歩兵昨日ぼんだん大炮を打反射楼へ
 打懸候よし先方ニ而怪我人有之づきとの事
 海老沢辺ゟ船ニ而三艘程逃候敵有之候由ニ
 ニ而厳重之御触れ出候由是は南の方え逃候
 様子之よし
 同夜敵船ニ而参り塩ケ崎辺後ゟ不意ニ切入
 候よしにて寄手之方共
 公辺御人数等ニも怪我人有之候よし
 今日板倉内膳正様笠間ゟ御着久保町御通ニ
 而御同勢三百人余
 今日昼前湊之方余なと焼候様子
 同石名坂辺も合戦有之候と相見焼候様子
 市川様中根辺戦居候而勝宮ニ相見候所鳥居
 丹波守様人数御操込を敵と見候而俄ニ引候

 ニ付怪我人少々有之候よし

 京都合戦之咄近江桜井参り候ニ付口上ニ而
 承り候所を留置
 七月朔日長州勢山崎へ乗込勢八百人程嵯峨
 天龍寺え四百人余同月二日乗込夫ゟ十九日
 迄会津え懸合十九日六ツ半時各長州両勢
 御所え炮発致候裏丸田町ゟ操込其時会津様
 ゟ長州屋敷へ火を懸夫ゟ鷹司様御屋敷も大
 筒打懸失火ニ相成候ニ付敵一丁程上之方え
 退候其節会津彦根大垣右三大名ニ而押懸蛤
 御門ゟ御花畠ニ而戦有之藤堂様越前様押懸
 候所戦無之候今手川御門松山様四千人程ニ
 而御堅右戦場ニ而敵方二番手大将打放れ戦
  士(マヽ)十弐三人手負引取申候即死上下弐百人程
 中ニ右之手打落され晒ニ而巻手鑓引提帰り
 候者弐人相見申候
 十九日夕方より薩州様天龍寺え押寄火を懸
 長州人囲米五百俵分取致候右米類焼難渋人
 え 廿三日廿四日両日指出申候焼場上丸田

 町西堀川通東瓦町四条ゟ下寺町根下皆焼申
 候長州勢は十九日暮方ゟ夜中大坂え落候伏
 見長州屋敷と京屋敷同刻ニ焼払大坂屋敷は
 廿日ニ御城代出張ニ而御潰ニ相成申候留主
 居役人皆々召捕ニ相成御預ケニ相成候事
     井伊家 《割書:死人士分三人|  下四十三四人》
     会津家 《割書:上下六十人程|  打死有之候》
 《割書:此節大津ゟ京都へ壱駄|三里ニ而壱両弐分九日時分ニ成候而壱〆目百六十四文ツヽ》
 右京中之騒動ニ而ただもの更ニ無之大難渋
 之所え白米三斗はかり背負候而壱升弐朱又
 は三朱壱分なとゝ売候而殊之外大利を得よ
 しの所いまた宿までも参らぬ内ニ召捕ニ相
 成直ニ首を刎られ候よし諸人の難渋を顧ざ
 る天罪と相見申候よし
  京都 米四斗弐三升
  塩  三斗弐三升入
           弐分弐百文位
   春相場壱分弐朱位
  油七月中
     壱升壱分位いたし候所
     八月中弐朱弐百文位

 当年も上方筋わた不作之よし
 銀百匁ニ付壱〆八百目位いたし居候由之
 所此節百目ニ付壱〆三百五十匁ニ引上候
 よし

    口上之覚
 一脇指壱腰
   《割書:中身 壱尺九寸六分| 無銘ニ而御紋壱ツ彫有之候》
   《割書:縁頭 鉄無地|鍔  すかし》
   《割書:目貫 唐獅子滅金|柄糸 御納戸》
 右は昨十九日七ツ過頃見世先キニ有之候
 所買物ニ参候者とは相見候へ共何方之者
 失念致候哉相分り兼候間此段申上候已上
   子九月廿日   大高織衛門

 右之通鉄炮町御会所町年寄詰居候所源介
 出張いたし居候間役所御指出呉候様頼候
 所其日飯嶋村作兵衛と申もの昨日買もの
 ニ参り候節失念致候趣ニ而引取ニ参候ニ
 付届書御下ケ申出品もの当人え相渡候事

 公辺御人数ニ而柳沢迄押入水車を焼払候よ
 し
 此節 公辺ゟ御出之御方六発打之小筒持為
 見られ候ニ付承り候所
  六発鐶打ヒストン 舶来一番形
   《割書:江戸中橋小川横町天笠屋儀兵衛方ニ而|求候よし値は金弐十五両位之よし誠ニ》
   《割書:手きわなるもの候| 》
 《割書: |和田様御用人》
 立川応助殿廿一日朝江戸表え出立供弐人和
 田様御子息此度
 将軍様御供ニ而長州辺迄参候ニ付立川も右
 之御供ニ罷出候よしニ付神仙半三柴雪
 遣候事
 馬口労町ニ当時御固メ之御人数
  此方諸生之御方 弐十七八人
  在方鉄炮竹鎗組 五十三四人
  町木戸際
  和田伝右衛門様御人数
    上下百七八十人
  鳥居丹波守様兵粮方
       五十三四人

  〆
 上金町下金町え板倉内膳正様御人数三百人
 余宿割御陣代は上金町嶋屋兵助宅二夜御泊
 りニ而浜え御出陣ニ相成申候
廿一日 朝より快晴寒冷暖気なり
 昨日大手前ニ而湊の住居上州ものニ而弐十
 ケ年余もミナトニ居機屋五郎と申当時湯屋
 をいたし居候而此節も湊へ祝町ニ居候敵を
 引込候ものゝよし此もの人足之姿ニ身を替
 紺の股引ニ而
 御城え入込候積りと相見大手前を歩行居候
 所湊御かこのもの此節弘道館え三四拾人参
 居候所右之もの見付五郎は湊を焼候手引を
 致又は是迄種々之悪事をいたし候ものゝよ
 しニ而召捕吟味いたし候所
 御城中え火を付候積りニ而参候由申候趣右
 之者弟も先日青物屋ニ相成青物納之ものゝ
 体ニ而
 御城内え入込候を見付召捕吟味有之候所是
 も火付ニ被頼候而参候よし申候由

 此節はいそみなと辺ゟ逃参候女なと之ふり
 にて火付入込居候よし追々御召捕ニ相成候
 事
 今日江戸木町柏屋孫左衛門支配人下り候而
 主なしニは緒品直下ケ御旨意後は江戸表へ
 諸国ゟ品もの積入無之却而諸品追々引上高
 直ニ相成品切レニ相成商人とも大難渋之よ
 し
  雲井晒両ニ四反
  三河白銘両ニ四反
  名古屋白壱株ニ而五番込両ニ三反七分一
  株之内五番計買入候ニは三反六分ニ而も
  出来不申候
  是は元方諸品一体ニ高直之所売方之方計
  御旨意直下ケ被仰付候ニ付元方ニ而は引
  合不申候ニ付品もの積出無之追々引上候
  事ニ有之候よし
 今日も大炮之音夥敷湊の方ニ而いたし申候
 夜中も同断
廿二日 朝より快晴

 今日板倉内膳正様御人数塩ケ崎辺え御操出
 ニ相成候
 十九日市川様勢湊ゟ十七八丁も有之候ひば
 り塚と申所押寄幕を打陣を取候所へ其辺所
 々ニ土を取候而穴ニ相成居候所有之候穴の
 中え敵大勢かくれ居稲有之候田の中を這出
 市川様陣の後へ出俄ニ鉄炮を打懸候ニ付既
 ニあやうき所へ鳥居丹波守様人数中根ゟ押
 出候ニ付敵逃去中根馬渡り之方え参候よし
 其節市川様手ニ而諸生伊藤辰之介鉄炮ニ而
 肩先キを打ぬかれ館山ニ而十九才ニ相成候
 僧是も鉄炮ニ而胸板を打ぬかれ候よし
 今日
 公辺大炮方ゟ注文之蒲団出来候ニ付見世之
 ものニ為持候而塩ケ崎迄遣候所大貫山ニ堀
 田相模守様人数出張磯御台場ニは敵兵備居
 両方ニ而大炮打合猶又狼煙を陸にて上ケ候
 へは蒸気船ニ而ものろしを上候而船より大
 炮打懸両方ゟの大炮ニ而磯の浜四五ケ所ゟ
 火出来昼八ツ過ゟ夜中五ツ過迄やける

 又嶋田村先日焼残候分同刻ニやける
 湊平磯祝町磯浜辺先日逃残り居候男女大勢
 毎日 城下え参る事夥しく候
廿三日 朝もやふかし八ツ時位より雨ふる夜
    中も雨ふる
 磯辺ニ而廿三日夜ゟ廿四日明方まて大炮之
 音おひたゝしく致明方止
《割書:霜降|廿四日》 朝より薄曇北模様にて冷気
 昨日敵勢祝町を不残焼払湊え集り候よし
 助川山野辺様焼あとへ敵勢六七百人集り居
 在々乱妨致候よし
 今日好文亭ニ御固メ之神保様三反田辺え御
 出陣之よし

    九月廿三日当朝御用
  《割書:御扶持方五人分被下|遠慮小普請》   本間 扱
            本橋 貞
  《割書:御扶持方四人分被下|遠慮小普請》   篠本 直
            西 隼人
  《割書:御役御免慎|   小普請》     石川伝蔵

            楊 進助
    同日五半時御用
            中根蔵之丞
  御書院番      中村彦之進
            赤川忠衛門
  大御番       生熊右馬之介
  御役御免小普請組  佐藤兵介
  大御番       増子幸八郎
            石川惣三郎
  《割書:御中間頭列西御郡|方勤十石三人ふち》    杉山七次郎
            鈴木彦蔵
  《割書:頭召連御用部屋物書|並御町方留役》    鈴木弥太夫
  達御用       菊池善衛門
    九月廿四日御用
  御小姓頭取再勤   津川伊太夫
  御小姓頭取     村松彦太
  御小納戸      鵜飼徳左衛門
  御小姓頭取     綿引次郎兵衛
  御小納戸      古澤平之允
  吟味役       長嶋雄蔵

  御馬廻       竹内市太夫
  吟味役       福生又吉
  御馬廻り      鹿野與市
            市毛十兵衛
 当廿日大貫え堀田相模守様松平周防守様外
 ニ歩兵之内三兵と申組本多様等ニ而磯浜ニ
 居候敵と川を挟候而大炮打合有之其節鯉淵
 勢は兵粮無之候ニ付一旦相引候所其虚を付
 込祝町ニ詰居候勢船ニ而夜中乗出大貫え相
 廻り後より不意ニ周防守様御陣所へ責寄候
 ニ付周防守様手ニ而は死人怪我人手負等ニ
 而十五六人も有之候由先方ニも手負死人可
 有之候へ共不残死人手負は引取候事実ニ早
 キ由廿一日は軍は休ニ而廿二日磯え責よせ
 両方大炮ニ而打合候内磯人家火付き敵追々
 相引祝町え集候所跡ゟ責よせ候ニ付祝町を
 廿二日九ツ時位ゟ引去不残湊へ操込候よし
 磯の者ニ承り候所磯へは先月十二日昼四ツ
 時位より下町吉田ゟ引候而十三日朝迄ニ引
 もきらすニ操込候よし大凡人数五千人余も

 可有之候よし依而磯中皆々驚道具は不及申
 畳戸障子等迄も持出候を見候而何故右様ニ
 仕抹いたし候や此方ニ而参り居候へは何も
 次第無之候間安心いたし居候様申聞両三日
 は至極宜敷取扱ニ候所追々食物米味噌等自
 由ニ持出いそ中の人家えは三十人五十人位
 ツヽ無沙汰ニ押入居候而追々我まゝニ相成
 候所又々同月廿八日筑波勢之由大勢陣羽織
 等着押込其上潮来館小川館等之人数押込壱
 万人余も可有之夫ゟは別而磯大貫辺を乱妨
 いたし候ニ付所の者は不残逃去候而壱人も
 居不申候由
廿五日 朝より快晴むら雲
 昨日四ツ過より平磯辺ニ合戦有之候と相見
 大火ニ相成大炮之音夕方まて引もきらすニ
 致居候
 今日七ツ半時頃
 御目代田沼玄蕃頭様御人数笠間御出立ニ而
 弘道館へ御操込ニ相成申候人数弐千余も可
 有之候右跡へ松平下総守様御人数三四百人

 付参り候陣太鼓具を吹大籏小印釼付鉄炮大
 炮等
 今日平磯辺戦は丹羽様鳥居様神保様市川様
 等ニ而平磯へ火をつけ火の中ニ而戦争敵五
 六十人打取手負は三百人程も可有之候寄【「処」を見せ消ち】手
 十分ニ勝候所少し陣を引候事はやく鳥居様
 勢田中勢四五百人出後より切かゝり挟打ニ
 相成死人七八人手負少々有之候由平磯え参
 り候敵勢弐千人程も有之候よし平磯千軒余
 焼候よし
 右名坂辺ニも合戦有之候と相見城下ゟ火の
 手上り候見候
廿六日 朝より快晴
 今日は戦無之事ニ相見大炮之音不致候
廿七日 朝よりくもり夕方ゟ雨ふり夜ニ入北
    風ニ而雨ふる
 今日は大炮之音いたし申候
 早朝和田伝右衛門様弘道館へ御出仕ニ而御
 帰りニ相成直様御仕度ニ而九ツ時位柳沢辺
 迄御出陣ニ相成申候御立之節

   金子拾弐両三分《割書:三十七人ツヽ|十七日御泊之分》
   外ニ金壱両 《割書:同心衆四人|別ニ居候分之由》
   右之通請取呉候様御申聞有之候へ共立
   而相返シ申候事
 今日御上より和田様へ鮭七本御町方同心豊
 嶋市平付添ニ而釣台へ乗被遣候所只今御立
 ニ相成候趣申候ニ付直ニ御陣所先迄御遣シ
 ニ相成候よし
 昨日松平大炊頭様湊ゟ百五十人程ニ而祝町
 え上り
 公辺御目付戸田五助様え御出ニ相成如何之
 訳ニ候や夏海之方へ御出ニ相成候よし夫ゟ
 完戸ニ御出ニ相成候積りニ相見候所途中ニ
 公辺御人数出居候而不残下町御会所へ連参
 り候而大炊頭様三ノ丸松平信之介様へ御預
 ケニ相成家来七人御会所ニ而切 服(マヽ)致候由
 同日大久保甚五左衛門様鳥居瀬衛門様も同
 道ニ而御会所へ御出ニ相見候所御両人は直
 ニ揚屋え参る
 湊平磯辺ゟ逃候勢此節杉の室大雄院へ集居

 候よし
 昨日奈良屋町ニ而人足体之もの一人みなと
 御かこのもの廻り候節召捕候而吟味いたし
 候所湊はニや五郎と申もの手下ニ而市中え
 火付ニ参り候所いまたすき無之付ケ不申候
 事之よし
廿八日 朝より快晴
 今夕方少々大炮之音いたし候
廿九日 朝より快晴
 今日も少々大炮之音いたし申候
 敵勢峰の山ニ陣をはり大炮懸並大勢居候様
 子
 公辺御人数は三反田柳沢辺ニ神保様和田様
 丹羽様鳥居様此方諸生の御方中根馬渡り辺
 ニは市川様御出張ニ相成居
 祝町之方は
 公辺御目付戸田五介様松平周防守様堀田備
 中守様板倉内膳正様其外鯉淵勢等詰居候よ
 し
晦 日 朝より快晴

 今日大久保甚五左衛門様鳥居瀬兵衛様御屋
 敷は関所ニ相成候よし
 公辺ゟ兵粮追々御送りニ相成候所古河通ニ
 而陸付ニ御送りニ付御かゝり莫大ニ候而白
 米壱升銀十匁位ニあたり候由
 公辺兵粮方之はなしのよし

 弥御安静奉賀候先達而は源介様御立入其節
 御物咄御座候和田殿一条鮭被下取計申候早
 々申上候
    九月廿七日
   大高六右【「容」を見せ消ち】衛門様 生井秀三郎

  御隠居
 別ニ千石 鈴木石見守様
 別八百石 大田丹波守様
  御両人左之通此度別ニ被下置御用御聞被
  成候様御達之よし

 大炊頭父松平主税殿隠居之身分ニ而彼是不

 容易事共ニ関係致候次第も有之候間永蟄居
 被 仰出候
 右之通被仰出候間此段可被申上候就而は取
 締之儀は水戸殿より厳重御取計被成候様可
 被申上候事

 磯ミナト海上え
 公辺軍艦四五艘乗【蒸カ】気船等参り御固ニ相成居
 候而折々大炮を湊の方へむけ打出候

   十 月
朔 日 朝より快晴寒冷
 今日も七ツ時位大炮之音いたし候
 久世大和守様御人数参ル下町え御操込候由
二 日 朝より快晴明六ツ時地震
 今日は鉄炮之音なし
三 日 朝より快晴寒気
《割書:四十五度》
 今日八溝山辺ニ而打取召捕候由ニ而田中源
 蔵の首之よし外ニ首壱ツ金の采甲冑其外鎗

 十七八本馬弐駄是は白縮面え縫もやうなと
 の女ものニ而馬ニ附候包之間より振そで出
 候而見へ【「候」を見せ消ち】申候御評定所え参り候よし
 今日平潟より参候もの有之候所桜井と申所
 へ浪士百人余参乱妨いたし候所松平周防守
 様人数ニ退散され候よし
四 日 朝より曇終日くもり空にて持合
 松平下総守様先日御着之人数之残ニも可有
 之や田沼様御着之節一同くり込泉町へ止宿
 いたし居候所今日浜の方え操出ニ相成申候
 人数四五百人位大籏紺地日の【「日」を見せ消ち】丸同御紋之籏」
 此節太田は諸生方幷丹羽様人数浜へくり出
 候残半分残居候所又々昨日岩城安藤様人数
 操込候よし
 眞壁辺此節
  新米四斗五升  大豆四斗弐三升
  種わた四〆五六百目 くりわた壱〆百五十匁
  胡麻弐斗八九升
五 日 宵より雨降九ツ過より雨止夜四時地
    震

 今日は明方より大炮之音夥しく致候八ツ時
 位より止
 今日は寄手峰の山先方ニ而大砲等ニ而厳敷
 固メ居候所責寄乗取候よし死人怪我人余ほ
 と有之候よし
 別手組大将は多賀外記様大久保新五左衛門
 様此組は御籏本二男三男等ニ而極強キ人計
 のよし
六 日 朝よりくもり夕方少シ雨ふる直ニ止
    寒冷なり夜中快晴
 昨日は神保様惣大将ニ而久世様和田様其外
 鯉淵勢等峰の山え押寄大炮小筒等互ニ打合
 戦ニ而峰の山ニ固メ候勢弐百人余不叶湊の
 方え引退候ニ付神保様眞先ニ金の采を以下
 知致反射楼の門の際迄責寄大炮五挺小筒壱
 挺麦米三俵首弐ツ分取致候由市川様は城光
 寺館山え責かゝり可申筈之申合之所其日は
 責寄不申候ニ付神保様も横合ゟ鉄炮被打懸
 候ニ付引返候而三反田辺え陣を取候よし寄
 手死人三四人手負四十人程先方ニも死人手

 負余ほと有之候様子ニは候へ共不残引取候
 而数不分と申候昨日は是迄ニなき大合戦ニ
 候よし
《割書:玄猪|七 日》  霜降快晴寒気
《割書:三十五度》
 今日 《割書:北條新太郎様田沼様ゟ御役御免御申|渡ニ相成との事》
 九月廿一日朝中根村出張之ものゟ 〇(〇来)書之よし
 水車も昨朝一瞬之間に灰と相成申候先君思
 召を被為込候結構の御普請実ニ可惜事ニ候
 得共
 公辺衆是非焼不申候而は不成見込ニ而無余
 儀事ニ御座候昨日も峰山を打掛ケ候得共未
 タ敵退す今日は無是非打落候事と相見申候
 柳沢大門と申水車の上鼻先え境壁を築立大
 炮歩兵不寝番本陣は柳沢庄屋宅の西隣迄相
 済実ニ砲玉の中ニ御座候昨夜も本陣え罷出
 候処城殿萬年殿も寸暇なく一騎立ニ而諸隊
 奔走被致候髪は乱れ湯へは不入薄よこれニ
 なり歎しき事ニ候其余之人々御察可被成候
 公儀衆手ぬるき様ニ皆人申候得とも賊の為

 に糧兵を費候事を被惜大丈夫之合戦を被好
 候事と相見へ申候尤なる事ニ御座候北條殿
 市川殿東西中根ニ宿陣当陣前書之通塩ケ崎
 勢は小泉の境壁を築尺弐其外大炮を備峰山
 反射を打昨夜小泉飯山鳥辺と思しく歩兵の
 とろすニ大鞁相聞申候【「聞」を見せ消ち】察る所塩ケ崎ゟ歩兵
 隊を夜込ニ小泉へくり込候事と相見へ申候
 鯉淵勢は大貫塩川向富士山といふ中山殿の
 持地対陣と申事河野いよとの大貫辺宿陣之
 よし今日抔は磯は陷可申然る時は不日ニ祝
 町も落去可致候峰山も落着ニ相成候はゝ反
 射も持切申間敷候昨夜は夜打も出シ兼候事
 と相見へ終夜穏ニ而一ケ所の放火も無之候
一去ル十八日部田野原合戦市川殿勢平磯村内
 雲雀塚《割書:是は前様|御名付也》其塚も打越被進候由之所館
 山常光寺院主は市川殿の聟ニ而則陣頭ニ有
 之所鉄炮ニ中り倒レ候との事ニ而市川殿く
 り引ニ被致候跡を乗部田野村を七分通り放
 火致候由其日北條殿手ニ而も軍勝利ニ而両
 手ニ而四十人も打殺候由相聞申候竹内百太

 郎黒八丈裏錦の陣羽織ニ而逃去候所を北條
 殿自分一騎ニ而被追懸竹内と組打ニ相成竹
《割書:北條|と申は》内ニ被組伏既ニ期と見候所へ中根村之郷勇
《割書:間違》
《割書:なるへ|し》定介《割書:此定介と申は三反田村組頭藤|四郎と言ものゝ妻の妹聟也》追付竹内
《割書:公儀|衆星》
《割書:の庄之|介の》の尻を抜打ニいたしよわり候所を北條殿之
《割書:よし|全ク》
《割書:間違|と見へ》ねかへし首かき取候由定介へはいかの陣羽織
《割書:たり》
 ニ金子壱両を当座の賞として被給候由右藤
 四郎昨日定介齊父ゟ直ニ承り陣羽織は藤四
 郎も一覧いたし候趣今朝藤四郎ゟ我等直咄
 承り申候乍併北條殿自分之戦は如何歟と疑
 敷候得共先彼等之申処其外之評判もあらま
 し如此ニ御座候何ともせよ古風の合戦ニ御
 座候間幸便ニ一寸申上候竹内か鎧至極立派
 ニ而北條殿え被引上候得共代料は何程なり
 共可渡と被申候由也
一是も一昨日当り之咄ニ大貫ニ而鯉淵勢合戦
 ニ竹内百太郎之忰を長巻ニ而首をなき落と【「候」を見せ消ち】
 申事也
一城殿萬年殿等塩ケ崎陣中ゟ今ニ到る迄昼夜
 わらじを被抜候を見不申候寝所の畳一まつ

 の様なる上ニ而くるり尻かけ被居ねる時は
 其まゝ板縁え足をのへからだ計畳の上へこ
 ろりとやらかし羅紗を幾重ニも畳ミツヽも
 のをまとへ被居候其辛苦は察可被成候其以
 下のものは不及申候事也風呂も塩ケ崎ニ而
 立可申と世話致候へ共とても惣人数の事は
 行届不申候我等而已湯ニ入候而も惣勢気受
 も如何ニ付風呂へは不入との事ニ而其後爰
 ニいたる迄風呂なし三度食料椀なし味噌梅
 干計也佐々木雲八先生抔板を以て鮭抔も廻
 候由是は全ク自分ニ而包丁を致し人手を待
 不申扨々辛労之事ニ御座候
   九月廿一日早天ニ認メ
  尚々かゝり槙等当分入用有合ニ而間ニ合
  兼候間両村御立山ニ而割立させ何事も出
  先間ニ合を元といたしなけほ 〇(ふ)るか如く相
  働申候不出来も可有出来も可有追而不念
  恐入ものと覚語仕候已上

 元治元年子七月廿日午刻認メ候

 然は十九日未明長州勢人数天王山嵯峨天龍
 寺ニ罷在候者共一昨日京都辺入
 御所様御固メ諸方ニ而合戦始り大炮之響キ
 ツヽキ川原町長州屋敷伏見同屋敷辰の刻火
 ノ手上り焼る様子
 御所の戦は追々強ク子ノ刻ニなる手負死人
 如山也鷹司殿九条殿大イニ焼る町家え移り
 東之両烏丸迄惣一面火事十九日夜中洛中不
 残火ニ相成候今廿日清水高台寺粟田鹿ケ谷
 等へ大筒ヲ打込川東は大火西は御城辺迄焼
 失
 禁裏様下加茂へ御幸未タ合戦最中京都焼原
 ニ成ル平人は一人も居不申候皆々申之四目
 御方計此後は如何ニ相成候哉一向ニ十方ニ
 暮罷在候次第
   同廿一日子刻出為知
一十九日早天長州屋敷ニて巳ノ刻狼煙上ル夫
 ゟ洛中大惑乱長州之一番手天龍寺口ゟ繰込
 越前屋敷え取掛り相戦候処長州勢負ル弐番
 手伏見口ゟ柳馬場通御門ニ取掛藤堂勢彦根

 勢松山勢松代勢都合四家ケ勢打合長州勢大
 負河原町三条上ル口長州屋敷火ヲ付て取逃
 候由鷹司殿は大炮ニ而焼る此火追々広クな
 る丸太町堺町辺ゟ益々大盛りニ相成火ノ口
 数不知れ其中ニ御堅メ諸大名方も長州勢は
 大合戦大筒等打合十ケ所余り相戦ふ長州家
 負ケ人数散乱引取会津勢盛ニなる天龍寺辺
 へ押出長州勢之足留りを大筒ニ而打払嵐山
 樹木まて焼長州勢十九日申ノ刻比迄天王山
 え逃退候由火勢下辺ニ而伏見海道西は七条
 迄本願寺焼失西本願寺無事堀川迄平一面ニ
 焼る
   九月廿三日江戸表へ廿六日着

 田中源蔵は先日八溝山辺ニ而打捕候由申候
 へ共此節承り候へは源蔵は商人風ニ身を替
 鉄色の雨合羽抔着安達や藤吉と申ものゝ女
 房を連候而道中筋全ク之平人と見候様拵何
 方へか逃候よし
《割書: |立冬》
八 日 霜ふる寒気快晴

《割書:三十五度》
九 日 霜ふる快晴西風さむし
《割書:四十三度》
 今日も明方ゟ大砲之音いたし申候
 宇都宮戸田様御人数又々来ル
 両三日已前松平大炊頭様切腹被 仰付候由」
 松平大炊頭様 〇(〇御)事官位被召放且又
 公儀御人数敵対候ニ付重キ御咎被
 仰付主税頭様御事は戸澤中務大輔殿へ御預
 ケ大炊頭奥方は小出伊勢守殿【「様」を見せ消ち】へ御引取御家
 来は松平讃岐守様御家来へ御預ケニ相成候
 趣御触有之候事
 今日田沼様湊 〇(〇近)辺陣々御廻り 〇(〇ニ)御出張ニ相成候
 よし
十 日 朝よりくもりさむし終日くもり空に
《割書:四十五度| 》 て夜中はれ
 今朝は明前ゟ大炮之音夥しくいたし申候夜
 八ツ時位敵方より押寄大合戦之よし
十一日 朝より薄くもり
 昨日は敵馬渡り中根辺ニ固居候人数ニ切

 込宇都宮戸田様御陣所ニ而は怪我人余程有
 之候よし市川様少々肩先へ鉄炮あたり筧様
 足え鉄炮あたり諸生方も少々怪我有之候よ
 し敵は四五十人程ニ而小松の中ニ隠れ居切
 出候よし戸田様ニ而は大炮小筒ニ而十七八
 丁玉薬弐駄程被取候よし敵方は怪我人死は
 不相分と申事板倉様三十人余即死
 柳沢口城織部    祝町
 御堅メ三番町半大隊  小泉口
    神保山城守   平岡四郎兵衛
    和田伝左衛門  三番町半大隊
    安藤理三郎   松平左門
    深澤弥左衛門  三番町付大炮
    萬年新太郎   別手組
            鯉淵勢
 塩ケ崎        松平右京亮
    久世謙吉
 長福寺        堀田相模守
            織田伊賀守
            井上越中守
            溝口主膳正

   中根口      戸田越中守
            板倉内膳正
            鳥井丹波守
            市川三左衛門
             鯉淵勢
 右之通持場替被仰出候事

      申 渡
            松平大炊
 野州辺屯集浮浪之徒暴行及ひ 水戸殿御預
 分揺動いたし候ニ付為鎮静 水戸殿名代と
 して指被遣候所却而賊徒幷 水戸殿脱藩之
 士ニ加り
 公儀御人数へ及敵対不届之所業ニ付切腹被
 仰付もの也
 十月二日位立江戸ゟ来書
 今日大炊頭様御家御断絶被 仰出主税頭様
 ニは戸田家え御預ケ御家中一統讃岐守様へ
 御預ケ被 仰付候今日御屋敷明ケ渡ニ相成
 申候

         御小姓組
         井上越中守与頭
            高山安左衛門
            名代梶清五郎
 右安左衛門事賊徒為 追付出張之儀相達候
 節彼是口実ヲ設ケ御番衆等不承知之趣ニ取
 拵申立或は自分病気之所業ニ付御役御免小
 普請え逼塞被 仰付候
 右当月四日於弘道館ニ
 玄蕃頭殿被
 仰渡候設楽弾正出席之事
            北條新太郎
            名代河野新三郎
 北條新太郎儀言葉栖ヲ護り出陣も怠り惣軍
 之申合ヲ背職掌不相当之事ニ付急度も可被
 仰付之処出格之御宥免を以御役御召放し部
 屋住御切米被召上永蟄居被 仰付家督被下
 間敷候
         歩兵指図役頭取
             香山永左衛門

            名代稲本彌一郎
 香山永左衛門事勤方不宜候ニ付急度も可被
 仰付之処出格之御宥免ヲ以御役被 召放小
 普請入逼塞被 仰付候
 右は昨六日於弘道館ニ田沼玄蕃頭殿被申渡
 候高木宮内殿出席之事
 《割書: |御老中》
 鈴木長門守様朝比奈彌太郎様江戸え御出立
十二日 朝より快晴寒冷
四十度
 和田様供十六人江度へ帰りト泊ル
十三日 朝より快晴寒冷
四十度
 十一日之合戦ニみなとゟ余ほともれ出御城
 下へ入込候よしニ而殊之外厳重ニ相成申候
 今日歩兵七八百人下町え参ル
十四日 朝より快晴さむし
四十五度
 当十一日之馬渡り辺合戦之節織田様逃候而
 大炮等被取怪我人も少々有之候而首尾不宜
 と相見へ太田ニ丹羽様勢半分残り居候よし

 今日太田ゟ中根馬渡り辺え御出張ニ而相成
 候而織田様勢太田固メ相成候よし
十五日 朝より快晴暖気七ツ頃ゟ雨ふり夜中
    雨ふり
 昨日竹田田丸両屋敷上町中ニ篝焚候様ニと
 被下ニ相成候よし弐尺五寸巾九尺位之壱枚
 板之縁なとを飛口を以打こわし柱なとは不
 残斧なとニ而打破大家を其まゝ家根も取ほ
 ごさす無闇ニ打かへし隣近所えおそろしき
 程の音いたし候よし
 浮浪之徒脱走之者
 御城下徘徊致姿を替町家等ニ潜居又は諸家
 同勢へ立交り候歟ニ相聞候間探索致召捕可
 被申候其外疑敷者見懸候はゝ召捕評定所へ
 指出可被申候已上
 下館白木綿両ニ壱反六七分
十六日 朝よりむら雲暖気七ツ半時雷声雨な
    し
 北條新太郎様江戸え御立節此方御軍師友部
 八五郎へ送り候歌之よし

 思ふ事なきまもあらてうつ蝉のよに捨ら
 れし我身なからも
十七日 朝より快晴さむし
十八日 朝より快晴
 昨日早朝より合戦有之候よし湊へ蒸気船よ
 り大炮打かけ部田野辺より責よせ本町辺余
 程焼候よし部田野ゟは市川様御人数幷歩兵
 等ニ而責勝利之よし
 今日は部田野ゟ丹羽様幷歩兵等ニ而責よせ
 ぼんばり山敵の陣所へ責かゝり歩兵鉄炮打
 かけ敵ニ而も鉄炮打合居候処敵丹羽様の勢
 の後へ廻り裏切と見候所歩兵又々操出シ追
 々中根の方へ追散候様子又一方は久世様安
 藤様反射楼の方へときの声をあげ責かゝり
 夕方迄戦不止合戦最中のよし今日も勝利之
 よし
 今日長岡ゟ越後溝口様御操込向井町神応寺
 へ御旅宿
十九日 霜ふる快晴
 今日は湊の方大炮之音なし毎日小筒のせり

 合は有之候よし
廿 日 霜ふる快晴夕方より小雨ふる暖気也
《割書:四十五度》
 新籾分弐斗弐升   胡麻両弐斗八九升
 才田塩壱〆壱分百文位
 種油壱升九百文
 当十七日大 久保甚(六十余)五左衛門鳥井【「居」を見せ消ち】瀬兵衛(四十五六才)山中
 新左衛門其外大炊様御家中等四十四人牢屋
 ニおひて斬首有之候よし
廿一日 明方まて雨ふる朝薄くもり暖気
《割書:五十度》
 茂木辺玄米四斗七八升 大豆四斗五六升
 此節蝋そく品切レ殊之外高壱箱拾弐匁五分
 くりわた壱〆目位九百五六十目

   十月十六日赤沼牢屋敷ニおゐて
 菊地庄介  菊地勝五郎 鈴木盛吾
 平井九衛門 茅根寅次郎 近藤隼太
 木村小次郎 新倉本造  菊地庄吉
 田山庄五郎 宮本八郎  鶴田七三郎

 小川菊次郎  平山祐太郎 佐々木鉄吉
 箕輪徳之介  時田半之介 宇野金之介
 橋本一之輔  新倉徳次郎 岡本三百之介
 楠 菊 壽  箕輪寅次郎 小田倉佐仲
 海老沢健次郎 鳥井瀬兵衛 大久保甚五左衛門
 大久保甚十郎 檜山金之介 山中新左衛門
 片岡為之允  中村信一郎 丹羽恵介
 庄司源之允  山崎平介  塙 新次郎
 小泉忠治兵衛 片岡熊之介 郡司多三郎
 鈴木寅次郎  高橋渡人
    上戸村組頭六兵衛忰 長島富衛門
              庄司辨吉
 其方儀賊徒え加り
 公儀御人数え敵対致候段不届之至ニ付死罪
 申付者也
廿二日 朝より快晴暖気
《割書:五十度》
廿三日 朝より快晴暖気
《割書:五十度》
 明方より湊辺焼る

 今明方諸生方幷堀田様御人数祝町ニ御固ニ
 相成居候所夜中ひそかに船ニ而湊へ渡り又
 神保様は柳沢御固ニ候所昨日川又辺え越居
 其 もよ(の脱カ)りの船を集メ明方湊へ乗込反射楼を
 責取堀田様諸生方等は祝町下ゟ船百艘程ニ
 而押寄敵俄之事ニ而朝飯も用ひ不申候戦候
 而部田野辺ゟ馬渡り之方御固之市川様其外
 諸勢等戦五六百人逃出候而菅谷を焼 を(マヽ)額田
 を焼又田彦辺え参り杉横堀辺之百姓と戦候
 よし湊は六百人程降人ニ相成候よしニ而湊
 は一時ニ責取候由ニ候へ共逃出候敵在々を
 乱妨いたし候由所々より早馬等ニ而注進有
 之候
  内応降参之人数八百人余女弐百四五十人
  都合千弐十八九人
廿四日 大霜快晴寒気
《割書:三十五度》
 湊を逃出候敵今日は瓜連辺ゟ鹿嶋と申村へ
 参候よし注進有之候
 夜四ツ半時上金町堺屋吉衛門裏ゟ出火四ツ

 角ニ候へ共四方え火移り南側は小林弥次郎
 焼とまり北側仕立や吉兵衛焼とまり西ノ方
 は堺屋吉兵衛ゟ南側町木戸際まてやける北
 かわは江戸や松兵衛と申所ニ而とまり其節
 は当節湊ゟ逃出候敵北筋へ散乱いたし候ニ
 付町々殊之外厳重之御固メニ付火事場へ駈
 付候事不相成存外大火ニ相成申候夜八ツ半
 過ゟ雨ふる
廿五日 宵より小雨ふる四ツ時より雨やむ
 今日七ツ半時神保山城守様村松辺ゟ追打ニ
 而御凱陣ニ相成我等宅は俄ニ御旅宿ニ相成
 申候惣人数五百人余我等宅御本陣ニ相成其
 内御上通り四十四五人御泊り余り町内中へ
 宿割ニ相成申候
   我等宅は
  神保山城守様 本所伊豫はし
   御用人三人《割書:三輪又市|嶋田新右衛門》御近習十弐人
        《割書:宮所 糺》
   大炮方八人    御勝手方四 人《割書:田中政衛門|大橋銀兵衛》
   徒 士十人    医 師弐 人
   別 当弐人    御家来弐 人

   御 馬三疋
 今日は額田近辺嶋村と申所へ隠レ居り候敵
 丹羽様其外歩兵等ニ而追打之戦有之候よし
 又弐百人余は山形辺え参り候よし
廿六日 朝より快晴霜ふる西風吹夕方止
《割書:今明方野田や善三郎|裏え火を付かけ候より》
《割書:燃上り候所見付候而消ス 竹のふしをぬき夫ゟ先キえゑんしやう|            にんなくつをくるみ置候よし》
廿七日 霜ふる快晴
 敵五百人余ニ相成烏山まて参り候由村々男
 は見あたり次第つれ立若彼是申候ものは切
 捨候ニ付無拠参り候ものとも都合千弐百人
 余ニ相成候烏山城中え乗込候よし追々注進
 烏山城へ乗込候は嘘説大子館へ乗込候よし
廿八日 霜ふる快晴寒気
 今日八ツ時宇都宮戸田様御人数下金町馬口
 労町え御くり込ニ相成候七百人余
  降参人塩ケ崎辺迄歩兵等付添参候所 御
  城下へは一円ニ参り不申 公辺え罷出一
  応申上度儀有之と申候よしニ而又々四五
  百人湊え引返し候よし塩ケ崎寺えも四五

  百人残り候よし
廿九日 霜ふる快晴
  降参人之内八九人逃候もの有之候よし
 湊も退散開キ候ニ付追々湊住居之もの上下
 市中ニ住居いたし居候ものみなとへ参り候
 所乱妨之様子を見候而皆々あきれ又々城下
 へ立戻り歎息のみいたし居候住居は不残焼
 失致蔵々のこり候分も諸道具夜具着類は勿
 論一品も無之箪笥長持類は打くたきかゞり
 に焚候よし襖戸障子は打破りかけ物等はき
 りさきせ戸もの類は盗取残りは打くたき食
 物米類も持出質物品等迄も盗取候様子ニ而
 何品も更ニ無之蔵々は堀ちらし井戸をさら
 ひ海辺へ出候而見候へは人の頭又は馬の死
 候なと有之くさり居候而誠ニ目もあてられ
 すとてももとの湊ニは相成申間敷と人々歎
 息のみいたし居候事
 此節松槙更ニ無之是は 御城下中ニ而所々
 篝を焚候ニ付不足ニ相成候よし才まき壱本
 短かき品ニ而百十四文位ニあたり申候

 千波ゑび平年は壱升百廿四文位当年は三百
 文位右ニつれ何品ニ而も殊之外高直諸人大
 難儀ニ有之候

   十一月
朔 日 霜ふる快晴寒気
 大子え籠り候敵道中筋厳重之下座觸ニ而通
 り筋ニ而は賊とは存不申下坐致居男女老少
 之差別なく引連行大子館へ籠り候節右男女
 を人塀ニいたし其内え籠り居候よし是は御
 人数責ニ参り候而も鉄炮を打かけ候事不相
 成と工夫いたし候ものゝよし大子館は一方
 道ニ而要害堅固之場所之よし
二 日 朝より快晴暖気なり夜五半時雨ふる
 夜廻り之儀ニ付而は兼而相達置候振も有之
 所先日上金町出火其後外々えも付火等も候
 之所出火ニ至り不申候へ共当分賊徒余類又
 々所縁有之もの共等如何の心得差ひ不届之
 所行も難計是迄も面々心を用ひ無間断相廻
 候義とは相見候得共折角是迄気張も宜持張

 此上万々一付火等之為面々難渋いたし候様
 之儀有之候而は役所は勿論対
 上候而も不相済義ニ付今晩ゟは別而一統精
 入申合之上三四人ツヽ夜分四五度ツヽ相廻
 候様訳而申達候間能々御申合歟有之候已上
   十月廿八日    役所両名
  御町年寄格殿
 尚々本文我々幷御町年寄共等も繁々相廻り
 候得共裏屋小屋等は別而御心付且又毎々相
 廻り候はゝ性名は其翌日書付ニいたし月番
 年寄又は会所詰へ御指出可有之候
 三白問屋格之ものへも同様申達候間左候へ
 は大勢ニ相成廻り合も延候義と被存候間追
 討相済候迄は日数も難計之条双方申合順番
 兼而申合置日々誰々申義書付ニ致置会所詰
 ニ而も心得居其日指懸り出来候はゝ其順々
 申達候はゝ相互御用弁宜敷様可被取計候別
 紙ニいたし問屋格之ものへ同文言旨御達ニ
 成ル

 一          諸向へ
 此度湊村賊徒之内内応降参人於
 公辺御所置被為在堀田相模守殿松原左京亮
 殿久世謙吉殿え御預ケ相成候所御家中は勿
 論末々ニ至ル迄道筋等ニおゐて猥ケ間敷儀
 有之候而は不相済儀ニ付厚相弁ひ万一心得
 違之もの有之候はゝ被処厳科候条其旨御心
 得支配々末々ニ至迄無洩可被相達事
  公辺御人数
         御目代若年寄
            田沼玄蕃頭
          兵粮奉行
            大岡兵庫頭
          大御番頭
            神保山城守
          御小姓組番頭
            井上越中守
          御 所(マヽ)院番頭
            小田伊賀守
          御先手

            土屋釣之介
          御作事奉行
            田澤対馬守
          御目付
            高木宮内
          大炮頭
            萬年新太郎
          分兵頭
            城 織部
          別手組頭
            大久保新五左衛門
          御持小筒頭
            松平左内
          別手頭
            多賀外記
          小十人頭
            竹内日向守
          歩兵頭
            平岡庄之介
          寄合頭

            北條新太郎
          御使番
            日根野大之介
          御目付
            設楽弾正
          御勘定奉行
            牧野幸太郎
          御持小筒頭
            和田傳右衛門
          御作事奉行
            岡部駿河守
          御勘定奉行
            屋代増之介
          御目付
            戸田五介
          大目付
            黒川近江守
            本田修理
          二本松
            丹羽左京太夫

          宇都宮
            戸田越後守
          壬生
            鳥井丹波守
          棚倉
            松平周防守
          佐倉
            堀田相模守
          福島
            板倉内膳正
          関宿
            久世謙吉
          忍
            松平下総守
          越後新発田
            溝口主膳正
          歩兵頭
            河野伊賀守
          御目付
            日根野藤之介

三 日 朝よ【り脱か】快晴暖気
 土浦辺玄米四斗壱弐升
 水戸は籾壱分ニ弐斗弐三升
    才田塩壱俵金壱分
 公辺御人数追々御立ニ相成申候
四 日 朝より快晴
 今日神保山城守様我等宅御立ニ相成候町内
 ゟ向井町通りニ而今日は笠間御泊り之よし」
 同日昼後和田傳右衛門様湊ゟ昨日御帰城ニ
 相成泉町迄御立ニ相成候所上町ニ御宿無之
 趣ニ而吉田大宮司え御引帰ニ相成昨夜御泊
 り今日我等宅え御泊りニ相成候御人数先通
 り
 神保様御立之節金拾五両外ニ働候ものえ金
 五百疋猶又刀屋勇助町役人代々参り居候ニ
 付金三百疋被下ニ相成候ニ付 立(マヽ)而御返シ申
 候処御用人被申候は之主人ゟ着類か又は当所
 ニ而求候品々而上候はゝ御返ニは相成申間
 敷立而請取呉候様再三申聞御指置被成候ニ
 付此方ゟ左之通ニ品上ケ候事
  白羽二重三疋 《割書:但壱疋| 金三両位ツヽ》

  御国奉書壱〆 代金壱両余
      《割書:但六百枚》
  〆差上ル
   外ニ御用入え
   西之内紙三〆《割書:但壱〆| 金壱分弐朱ツヽ》
  外ニ御買もの被成候ニ付見世ゟ上候 ト(マヽ)
   御国奉書三百枚
   御用入え白半切壱〆

 以書付致啓達候別紙之通御達有之候間其旨
 御心得可被成候段得意候已上
    十一月四日
   大高六左衛門様
            伊藤幾三郎
   小林彌次郎様
 此度湊村其外戦場ニ相成候地え落散候鋼鉄
 玉之儀田畑道路ニ而拾置候者共は扱役所幷
 御目付方出役場へ指出候儀は勿論ニ有之所
 右等之儀乙甲ニ心得見捨又は隠置候者有之
 候而は不宜尤相納候者へは貫数ニ寄夫々代
 金御下ケニ相成候間其旨相心得可申候且又
 不案内ニ而売買致候者共不取乞前文之役場

 ヘ指出候へは買入候代金御下ケニ相成候間
 右之通相心得不洩様可相達事
  但隠置追而於相顕は盗人同様被仰付候事
五 日 朝より快晴
 夜九ツ半時馬労町辰己屋喜兵衛出火ニ而居
 宅表通不残焼る和田様御人数火防被成候ニ
 付一軒ニ而とまる
六 日 明方より曇り寒し八ツ時頃より雨ふ
    る
 今明ケ六ツ時田沼玄蕃頭様弘道館御出立笠
 間辺迄追討ニ御出陣
 今日和田様え火防之義ニ付此方ゟ酒弐挺被
 下ニ相成候
 追討之市川様御人数大宮村辺迄御引返ニ相
 成候所賊徒は烏山えは不出黒羽え向参候所
 此方諸生菊地様御出ニ相成居御防キ被成候
 ニ付夫ゟ芦野辺へ向参候よし
七 日 朝より曇終日曇空にて夜ニ入晴
 今日越後溝口様御人数桂岸寺其外下金町馬
 労町等え御くり込ニ相成候

八 日 朝より晴西風ニ而寒夜ニ入雨ふる
 那須之辺え賊徒参候よし
 《割書:府中辺玄米三斗七八升ゟ四斗|   大豆三斗六升下四升》
《割書: |大雪十一月節》
九 日 明方迄雨ふるさむし終日くもり空ニ
    而さむし
 賊徒此節日光道中大沢を焼払乱妨いたし千
 百廿三人ニ而大谷の観音え立籠り氏家辺ニ
 大合戦有之候よし夫ゟ宇都宮へ参り候と申
 さた有之手配等ニ而大騒候所宇都宮へ不参
 鹿沼へ俄ニ参り二三日逗留致候よし
十 日 朝より薄くもり四ツ時よりてり立又
    々昼過よりきり雨降
 今日市川三左衛門様一手大宮辺ゟ御凱陣ニ
 相成御人数七八百人位
十一日 朝よりくもり夜ニ入雨ふる
 田沼様此節壬生辺迄御出陣ニ相成候よし
 此節炭壱俵壱〆弐百廿四文
十二日 朝よりくもり終日くもり空にて折々
    小雨
十三日 朝よりくもり九ツ過ゟ小雨ふる夜中

    小雪まじり雨ふる五ツ過ゟ晴
 公辺御使番日根野藤之介様和田様へ御用有
 之と相見参ル日根野様御返りニ相成候間も
 なく土屋釣之允様参ル御先手物頭之由
十四日 大霜快晴五ツ過ゟくもり終日曇空
十五日 朝よりくもりさむし四時より雨降夕
    方雨止地震
十六日 大霜快晴寒気五ツ時地震八ツ時地震
《割書:遠山三郎衛門様|和田様え御出ニ成ル》六ツ時地震
 此節賊徒千人余ニ而上州太田呑龍山え集候
 よし
十七日 大霜快晴寒気
 今日土屋釣之允様又々御出ニ成ル
十八日 大霜快晴寒気
十九日 朝きり雨ふる終日小雨夜ニ入雨つよ
    し四ツ過雷声暖気なり
 以手紙致啓達候此節ゟ諸堅メ諸生中等為御
 引ニ相成候ニ付而は馬口労町久保町入口弐
 ケ所へ各幷年寄格列等之者幷町役人組合一
 ケ所両人ツヽ昼夜詰切不寝見張致疑敷者相

 致猥ニ通行為致間敷尤右ケ所々ニは御目付
 方幷御先手方ヲも罷出候筈旁御達有之候条
 其旨御心得可被成候此段得御意候已上
    十一月十七日
   大高六左衛門様
   大高儀三郎様
   小泉其吉様
             伊藤幾三郎
   富田太惣次様
   宇野壽之介様
   郡司太郎次様
 右之通御達有之候ニ付役所へ聞合候所下町
 筋は七軒町清水町八丁目三ケ所
  一ケ所え
  御目付方一人 押一人 御先手同心五人
  年寄格列ゟ名主格列苗字御免之者ニ而十
  四人外ニ町役人
  右之所昼夜替り合ニ罷出候趣
 三布白御幕壱張ツヽ御印付高張壱ツヽ御渡
 ニ相成申候
 上町は

  町衆弐人 年寄格列弐人 町役人
 右之通替り合
 炭槙蝋燭兵粮等は惣助持
二十日 朝より快晴暖気五ツ半時地震四ツ時
    地震
 一昨日太田え疑敷者十八人参り候ニ付相糺
 候所全武田組之もの之よしニ而三人召捕残
 は逃候よし吟味いたし候へは諸生方其外溝
 口勢引取候や物見ニ参り候様申付参候よし
 ニ申候由
 武田勢等此節足利え集候よし
 公辺御人数諸方取巻御固メニ相成候よし
 田沼様も宇都宮ニ御出之よし只雀石橋辺少
 々御手薄之よし
 廿日夜馬労町在白合井丸屋と申え御高張御
 幕張り夜六ツ時ゟ詰
  大高六右衛門 大高織三郎 小泉其吉
         町 役 人 亀屋直次郎
               いつゝや惣助
廿一日 明方より雨ふるさむし終日雨ふる

廿二日 朝よりくもり五ツ時きり雨ふる四ツ
    過ゟ雨止夜中晴
 此節大津浜へ賊徒又々参候よし注進有之候
 よし

        松平肥後守使者
             一柳四郎左衛門
     口上振
 今般其御許様御人数常州一揆浪士共為追討
 御出陣長々御在留殊ニ寒気之時節千万御苦
 労之御義ニ奉存候一揆共動静如何様ニ候哉
 承度且京地御用等も無之候はゝ人数差出御
 用可承之処其義不相及残念之至ニ候右等之
 趣重役共厚申聞遣候旨臨機応変振能申述候
 様
    子十一月
  右奉書之紙え認メ十一月十九日下町御会
  所え参ル
廿三日 大霜快晴寒し
《割書:冬至》
 今日和田様好文亭え御茶会ニ而御馳走被下

 御客は六人之よし
  遠山三郎衛門様 土屋釣之允様
  御透ニ御出ニ而御同道申成候
  小田伊賀守様 井上越中守様 日根の藤之介様
 今夜江戸和田様御屋敷ゟ御飛脚来ル壱人是
 は此度和田様若旦那当月廿六日御出立ニ而
 長州え御老中津軽伊豆守様幷大御番頭御書
 院番頭御出ニ相成候由夫ゟ長崎松前出羽辺
 迄海岸御廻りニ相成候よし
廿四日 大霜快晴
《割書:三十三度》
 今朝和田様御使御返シ外ニ阿部新八供壱人
 都合三人出立
 此節浪人上州下新田え六百人余集居夫ゟ甲
 州路へ向候様子之所松平右京様先キ廻をい
 たし追逃候よし当時田沼様上州木崎え御在
 陣之所御陣所両三軒先へ浪人三十人程忍参
 火をかけ候よし直ニ召捕候よしの沙汰
廿五日 大霜寒気つよし夜中殊之外寒気
 和田様御供之内今朝十人出立此節手拭弐本

 ツヽ遣候
 是は近火之節働呉候ニ付
廿六日 朝くもり快晴夜中くもり
 今夜八ツ時馬労町四丁目岩根屋與八裏物置
 焼る
《割書: |甲子》
廿七日 朝より快晴西風昼過より風止
 此節浪人碓氷峠え立籠り候よし此辺ニ合戦
 有之候よし人数八百人余と申候
廿八日 大霜寒気殊之外つよし
《割書:三十三度》
 浪人和田峠迄参り合戦有之候よし
廿九日 朝よりくもり
《割書:三十五度》
晦 日 大霜寒気強
《割書:三十五度》
 今日市川三左衛門様祇園寺ニおゐて是迄打
 取打死等之供養有之候趣上下ニ而諸生之御
 方弐三十人外ニ御供共六七十人之御人数ニ
 而我等宅え御立寄和田様え御対談有之候事

 和田様御人数之内日々弐十人位ツヽ鉄炮ニ
 而市中白昼ニ弐度夜中弐度ツヽ御廻り有之
 其外ニも我等宅え御泊り之同心衆弐人壱人
 ツヽ昼夜忍ひ廻り有之候実ニ御届合之事ニ
 有之候

 鎌倉英勝寺久々御無住ニ付此度
 正姫様御事御住職之儀従
 公辺被 仰出候条其旨奉承知支配切無洩可
 相達候已上
    十一月廿九日  大内彦助

 物価格外高直ニ商申間敷旨追々相達候振も
 有之候所今以直段引下ケ不申趣相聞不相済
 事ニ有之猥ニ利潤を貪り候もの及見聞候は
 ゝ召捕入牢申付候様厳重御達有之候条其旨
 相心得支配切無洩可相達候已上
    十一月廿九日  大内彦助

 当廿九日馬労町問屋辰巳屋喜兵衛表土蔵家

 根瓦を目くり垂木等を鋸ニ而引切金子七百
 両程盗取られ候よし之所晦日は当人酒蔵の
 杜氏召捕ニ相成候辰巳屋も度々火災の事有
 之其上盗難等有之変計重り候は不思儀之事
 ニ候十年已前迄は我等ゟ五十両ツヽ貸候所
 あまり俄ニ大家ニ相成候間深まうふけをい
 たし候事と見候

 当月末々市中所々詰切出来馬労町一町目御
 堀際向井町御堀際ニ柵御門此度新規ニ御出
 来ニ成ル

       松平肥後守使者
             一柳四郎左衛門
    口上振
 今般其御許様御人数常州一揆浪士共為追討
 御出陣長々御在留殊ニ寒気之時節千万御苦
 労之御義ニ奉存候一揆共動静如何様ニ候哉
 承度且京地御用等も無之候はゝ人数差出御
 用可承之処其義不相及残念之至ニ候右等之

 趣重役共厚申聞遣候旨臨機応変振能申達候
 様
    子十一月
  右十一月十五日下町御会所ニ御使者在留

   十二月
朔 日 朝くもり五ツ時ゟ雨ふり終日雨ふり
《割書:潜天堂石摺|啓学館ゟ被下弐幅》夜ニ入北風雨ふり
二 日 宵北風にて雨降九ツ過より止地震
《割書:三十五度》
三 日 大霜快晴寒し八ツ時地震ゆる夜ニ入
《割書:三十八度| 》 くもり
 昨夜和田様ゟ先月廿四日飛脚ニ指出候阿部
 新八殿外ニ供弐人又々此方え参ル
 遠山三郎衛門様和田様へ今日も来ル
四 日 大霜快晴さむし夜ニ入くもる明七ツ
《割書:三十八度| 》 時より雨ニなる
 今夜和田様替り之御供四人江戸ゟ来ル
五 日 宵より雨ふる朝五時雷三四声雨つよ
    く四ツ半時大雨九ツ晴

 今日和田様御供之内四人江戸え帰ル
 浪人上州ゟ段々甲府え指参候所甲府は夫々
 御固メ有之参り兼候と相見和田峠えかゝり
 是ニ【ニを見せ消ち】ニ而大名三田頭と合戦いたし浪人勝候
 而和田峠を越夫ゟ美濃路之方え押参り駿府
 城を目かけ参候よし又壱手之八十人余にて
 伊豆へ参候よし和田峠へ出陣御大名松平丹
 波守様諏訪様
 八月下旬英夷大坂港 ̄ヘ来差出
 幕府不_レ 征_レ 長 ̄ヲ我代_レ之
 何為不_レ開_二兵庫港_一
 借_二横浜金川地_一為_二夷国戦士 ̄ノ屯場伝聞幕府受_二攘
 夷詔_一何為幕府何為建_二私議_一拒_二市人 ̄ノ交易_一乎
六 日 宵比ならへ風吹夜中風つよし明方よ
《割書:四十八度| 》 り少々静ニなる夕方より西風になる
 今日二ノ先大子辺ゟ御返りニなる御人数千
 人余
七 日 大霜快晴寒気強
《割書: |十二月節》
八 日 大霜寒気強四ツ半時より時雨空ニ而
《割書:三十五度|入寒昼》 西風吹
《割書:八時八分ニ入》

九 日 大霜快晴四ツ時ゟ西風俄ニ吹出時雨
《割書:籾壱分ニ| 弐斗一弐升》空ニ而小雪少々ふる壱時計ニ而風止
《割書:大豆両ニ| 四斗弐三升》寒気殊之外つよし又八ツ時ゟ西風吹
《割書:小豆両ニ| 五斗七八升》さむし夕方止
《割書:麦米| 六斗》
《割書:小麦| 八斗七八升》此辺地種わた両ニ四〆目
《割書:からそは弐斗|   壱分ニ》
木綿類 わた類 木綿糸類 古着類
古わた類
 他所商人え売候儀一円ニ辰年迄御停止
十 日 大霜快晴寒気つよし西風
《割書:三十度》
十一日 朝より快晴終日
《割書:三十六度》
十二日 朝より快晴
十三日 朝より快晴
《割書:三十八度》
 浪人此節美濃路ゟ石部へ出候よし
 中納言様御儀此度之御儀ニ付御指扣被遊候
 所
 御挨拶無之趣御達有之候事

十四日 朝より快晴四ツ時より西風吹殊之外
    さむし夜ニ入五ツ時ゟ風止
十五日 大霜快晴四ツ時より西風吹夕方風止
《割書:三十度》
 廣吉之はなし
  《割書:大坂金百六匁古今珍敷相場也|才田元ニ而壱俵銀拾壱匁七分》
  《割書:小豆大坂ニ而壱石ニ付銀四百匁|江戸ニ而菜種両三斗壱弐升》
       《割書:大豆 三斗六升|元米 三斗五六升》

 此度御領中在々兵火之難ニ逢衣食住共指支
 候者多候ニ付夫全御免御年貢御取下ケ等夫
 々御扱被下猶又窮民御扱之為他所出御指留
 之品々相達置候趣も有之候処此上御法禁相
 弛又は改メ方麁略ニ而涌出之品有之候様ニ
 而は矢張物価も相下り不申折角御扱之廉も
 不相立のみならす仮令商業之者ニ候得共斯
 迄御領民難渋ニ及候折柄他人之困苦をも不
 顧一己之利慾ニ迷御法禁之緒品他領え付送
 候筈は決而有之間敷筈ニ付此処厚存弁候様
 情々可申諭は勿論ニ候得共猶姦点之者共若

 御法度を犯荷造等外品々様ニ取扱或は他所
 之体ニ偽り運送致候向も有之哉も難計万一
 右様之もの有之候而は厳重ニ申付若涌出之
 荷物見当り候はゝ其品引揚其村々へ被下候
 取扱右積送り候船幷馬共役所へ引上ケ馬士
 船頭迄も厳重可申付候若見逃聞逃候村方は
 其村役人中迄も咎申付当人は役処限り決断
 を以居宅田畑共欠所申付候様取計聊も湧出
 之品無之様厳重ニ可被取計候

 御家中之族郷中公事所跡等其外之儀立入申
 間敷段は被 仰出も有之面々相心得居候事
 ニ候へ共此度御変ニ付郷中賊徒共追討のた
 め諸向ゟも廻村出張等有之百姓共之内ニも
 追々御人数へ徒属罷出候ものも有之候ニ付
 右之縁所ニ因み種々之造説等申入賄賂を以
 私意を達候様之所業も不少中ニは於支配所
 ニ指許候ものをも其筋ニ不拘ものより勝手
 ニ召捕又は役所ニ而召捕可申ものをも私ニ
 隠置候類之獘風も有之候趣ニ相聞以之外不

 宜事ニ候左候而は第一御政体不相立のみな
 らす御法令一途ニ帰不申故いつ迚も人心一
 致之期無之畢竟御領内ニ居り合不宜基ニ付
 已後右様之儀無之様屹と相心得若し百姓共
 之内心得違致出入郷村之義彼是申入候もの
 有之候はゝ又々其支配所へ申出候様申付一
 切取受不申候様相心得已後右様之獘風速ニ
 相止み郷中之人心一途ニ帰候様心懸ケ可申
 候

十六日 大霜快晴五ツ時より西風吹夕方風止
《割書:三十一度| 》 夜中殊之外寒気
十七日 大霜快晴寒気殊之外つよし
《割書:弐十五度》
 《割書:江戸此節諸相場|元【玄】米三斗七八升仕切直段》
 《割書:大豆目黒三斗七八升    大根壱本|餅米前売弐斗弐升      六十四文》
 《割書:白米〃 三斗弐三升    ねき壱本|才田塩本六俵弐分        三文》
 《割書:新才田塩七俵弐分     仙台まぐろ|赤穂塩 四俵三分       壱本廿四五両》
 《割書:三州綿弐百九十五両    酒壱合 |地わた壱貫百目         六十四文》
 《割書:黒さとう六十八両     都而諸品|天光白砂糖壱〆目廿三匁五分 殊之外高直》

 《割書:三川白木綿改三反弐分五|     銘三反七分五》
 《割書:     造品なし》
 《割書:名古屋五番三反三分|   込 三反六分》
 《割書:手拭壱反込拾六匁|琉久表司屋七十五匁》
十八日 朝より快晴夜ニ入九ツ時より雨ふり
《割書:三十一度》
十九日 宵より明方迄小雨ふり寒気ゆるみ夜
《割書:三十三度| 》 六ツ半時より北風つよし四ツ過風止む
廿 日 大霜快晴
《割書:三十弐度》
 今日九ツ時御町奉行安松左一郎様和田傳左
 衛門様へ御見舞ニ御出ニ成ル鴨弐番白木台
 へのせ御持参札え《割書:安松左一郎|香取介十郎》と御両名也
廿一日 大霜快晴五ツ時ゟくもり夜ニ入五時
《割書:三十三度| 》 雨ふり直止快晴
廿ニ日 朝より快晴
 今日
 公辺御人数え御料理被下於
 弘道ニ有之候趣之処御人数御大勢ニ付御止
 宿之宿々え被下ニ相成候間宜取扱候様町年

 寄へ御達有之候ニ付請取人さし出ス右御書
 付左之通
            織田伊賀守
  膾   鯛うとせん
  汁   香のもの   汁《割書:焼とうふ|しいたけ》
              《割書:ふ》
  焼もの 小鯛
  吸もの ほう〳〵白みそ
  取肴  つまほニ 皮さけ 焼魚
  さしみ 鯛一枚
  酒   《割書:赤飯  菓子一折|にしめ かすていら》
  右入もの
            井上越中守
            和田傳左衛門
            日根野藤之介
  右同断
            御番衆組頭共
            御  勘 定
            与    力
            同    心
            御小人目付

            御 医 師
  赤飯  香のもの
  焼もの 小鯛
  にしめ
  吸もの
  取肴  三色
  酒
  〆
            従   者
  赤飯
  にしめ 《割書:いも七ツ|こんほう五》こんにやく三
  さかな 塩引切身
  酒
  〆
 右之通
            大高六右衛門
               御宿陣
          和田傳左衛門様
           幷御用人 壱人
            御近習 三人

            同心衆 弐人
            足軽中間
              弐十四人
             内十人《割書:御帰ニ|相成》
 右之通此方ゟ書出釣台ニ而入もの持参人足
 弐人町内え 当(マヽ)る

 十二月十五日御筆拝見被仰付有之候よし
 水戸表賊徒追討方於 公辺厚キ御世話も有
 之従而追々片付出張之者も段々引取候様永
 々之難場尽粉骨候段喜色之至ニ候就而は夫
 々賞功之沙汰ニも可及は勿論之事ニ候得共
 未脱走之者共討取不申候へは万一怠惰之気
 を生自然戦功之為猥ケ間敷所業も有之候様
 ニ而は永々之艱難も水之泡と可相成のみな
 らす人心居合大切之場合如何成行可申哉も
 深致心配申迄は無之候得共此上幾重ニも一
 致専一ニ心懸ケ私意ケ間敷義無之様
 公辺御主意之趣等厚相心得弥以人々為人道
 を相守り面々身分之常を不志様精々心懸他

 之見聞旁度跋不都合無之様致度もの也
    十二月五日
     水戸家老共初え
廿三日 朝より快晴
《割書:三十度》
廿四日 大霜快晴寒気五ツ半時ゟ西風吹
《割書:三十度》
廿五日 大霜快晴
《割書:三十度》
廿六日 明方小雪ふる直止四ツ過より快晴ニ
《割書:二十九度| 》 成ル
 今日遠山三郎衛門様御出日根野藤之介様御
 出水の谷主水様御出ニ成ル
 公辺御替り合之御人数昨日抔ゟ御着ニ成ル
 上町へは御先手水谷主水様御使番
廿七日 朝より快晴
《割書:三十度》
廿八日 朝より快晴
《割書:三十度》
 今日和田傳右衛門様御出立ニ相成候ニ付我

 等も仙波迄送り候事
  御立之節和田様ゟ
   金三千疋 《割書:嶋縮面一反之|代ニ而被下》
   金五百疋 《割書:妻へはなを料|として被下》
   金百疋  下女ともは一
  此方よりは
   白 〇(〇羽)二重弐疋
   御国奉書壱〆
   《割書:きす| ひらき》五十枚
  右之通上ケ候事
   唐桟壱反    高橋英蔵へ遣ス
   紺       高木清吾
      男帯   高麗清蔵
       三本  阿部新八
   同   壱本  供頭兵七
   唐更紗風呂敷二 供頭壱人
   唐更紗風呂敷一 部やの者
    手巾壱本ツヽ    三人
   手巾 弐本ツヽ 惣供 六人
         同心衆

            水谷延五郎
             川良左衛門
   金壱両      御肴料と認メ
   金弐百疋     見せえ肴代として
            石川瀧之丞
   金弐百疋     御菓子料として
  右之通被遣候ニ付此方ゟ白半切壱〆ツヽ
  遣し候三人え
            磯 善次郎
            吉野長次郎
   金百疋
   《割書: |外ニ》    被遣候
   くわら一折
  此方ゟは唐更紗風呂敷二枚ツヽ遣シ申候
廿九日 朝より快晴
《割書:二十九度》
 御替り合御人数
 下町御会所え
  大御番頭 丹羽様
  御目付
  

 上町え
  御先手物頭
  御 使 番







元 日 快晴至極穏なる日也終日殊之外静也
《割書:三十度》
 当年は
 中納言様御指扣ニ被為入候ニ付登城無之表
 通り門松も立不申候
二 日 朝より快晴寒気至極穏なり
《割書:二十八度》
 中納言様御指扣ニ付初売等 延(マヽ)慮いたし相休
 候所商業之分相休候而は諸人難義いたし候
 間商売いたし候様御達有之候ニ付昼時位よ

 り売初る
三 日 朝より薄くもり寒気ゆるみ夜ニ入五
《割書:三十度 | 》 ツ時より小雨ふり暖気なり
四 日 朝より薄くもり暖気八ツ時より東風
《割書:四十五度》
 以書付致啓達候木綿幷古着等他国出之儀ニ
 付別紙之通御達有之候間其旨御心得御達尤
 御格式有之大高六衛門等へ別ニ相達不申候
 間宜御申合可被成候此段得御意候已上
  正月三日
 地木綿幷古着古綿類他所出御指留之儀相達
 候得共他所国産之品荷受いたし他方え指送
 候儀は制外之儀ニ付印鑑相渡置勝手次第為
 指送可申事
五 日 朝よりくもり暖気春めく
《割書:三十五度》
六 日 朝薄くもり暖気ニ而終日くもり空夜
《割書:三十五度 》 ニ入九ツ時過より雨ふる
七 日 宵より雨ふる暖気なり四ツ過ゟ雨止
    七ツ時てり立又々くもり夜ニ入五ツ

    時より雨ふる
八 日 朝よりくもり暖気なり
 和田傳右衛門様十二月廿八日御立と相定廿
 七日夜我等御呼ニ付罷出候所偖是迄永々暑
 キ御世話とも相成殊ニ柳澤出張中も夜具其
 外鍋等迄も御遣ニ相成且時々心を付にしめ
 香のもの等迄も被遣莫太之恩ニ相成士ニも
 無之程の御心底実ニ感入候事ニ付子孫ニ至
 り候而も此思ヲ忘却いたし不申候様書残シ
 置候様いたし候間江戸表へ御出之節は必御
 尋被致度偖是迄御世話ニ相成候賄料も迚も
 御受取も被成間敷と存候是は誠ニ些少々く
 候へとも反もの料として進上いたし候間御
 受取ニ相成候様ニと之事ニ付受取申而此方
 よりも品ものニ而上候前月廿七日の席ニ有
 其節和田様此方之心底之所認候よしニ而被
 下候書もの左之通
  言忠信行篤敬
         甲子晩冬
          追討士

             惟明書
  御警衛を蒙けれは
   老ぬれと君の為なととる弓はやたけ心
   もたゆまさりけり
       元治元歳暮
       応大高主 索(マヽ)
          追討士
             惟明書
  羽林万騎悉精兵
  天網如何漏巨鯨
  刀動削無一事
  窮冬空戌水陽城
   右群賊散去後為護
    衛留在水府
  元治元甲子季冬
  於大高書之
      高橋英蔵
       利国勤

  仁者は寿しとかや爰に大高氏の御仁志実
  ニ感不少かくて永々御懇意ニなりしもお
  ほろけの縁にはあらす全他生の深縁のし
  からしむる所と悦ひ思ひしに光陰は矢の
  如しとや最はや極月にもなりぬれは帰り
  候ニ至るつるをいふ侍りぬ
   ことの葉の深き御縁を結ひしにけふは別
   れの涙はつきせん
   右
             阿部雪春
 公辺御目付日根野藤之介様下町へ御逗留之
 節
  追討に出張の前日あらし吹けれは
  武蔵野にあらし吹たて小筑波のみねの白
  雲今やはらさん
            弘 敏
  是は絹地へ認候

  短冊へ
  所々戦争の跡を見て

  花に称ふる小蝶の夢の一と盛りすきし
  枯野の原そわひしき
              弘 敏
  是は扇面へ
    尓         
   月 さて 雪    花に
         之亭   帰る雁
       応雪
           日五枩 五【花押】


 土浦中根村紺屋理兵衛と申支配人新兵衛と
 申もの咄先達而中筑波え籠り居候節土浦近
 辺在々之紺屋職人はかりも四百人余筑波え
 集り候よし其外近辺あぶれもの寄集り惣人
 数ニ而は弐千人余有之候との咄にニ有之候

巻12

L289.1 12 137

《割書:水|戸》大髙氏記録 十二

元治日記

伝兵衛事甲子十一月廿七日本田屋お松所へ参
り申候私事も御本店ゟ御暇出候而太田友染屋
徳兵衛妻は私姉ニ有之右之所へ参り居候所額
田村問屋へ世話人有之聟ニ参り御主人之御影
ニ而个様も相成居候事に御坐候間此上御恩相
わすれ候而は不相成候ニ付何とそ御申訳御出
入相済候様願度趣申候由ニ付本田やお松申候
は本田屋庄兵衛殿ニ而も相願御申訳仕候而よ
ろしき筈ニ候へとも此節庄兵衛殿病気ニ有之

候ニ付一丁目御新宅様へ御願申上候方可然よ
しニ而新宅を頼申わけ有之候ニ付先日湊合戦
之節酢屋善三郎家内お悦等大勢ニ而湊を迯候
節額田へ参り伝兵衛所ニ而世話ニ相成旁咄合
も有之候ニ付育られ候恩を不忘事と存候間此
度出入相済候事
廿九日伝兵衛事参る一夜とまり返ル

本田屋了助事極幼年之節ゟ莫太之恩ニ相成居
此度之大変ニ一度も参り不申其上辰巳屋喜兵
衛ゟ出火ニ而極近火ニ候へとも参り不申極不
届ものニに付如何様申わけ有之候而も決而出入
等為致申間敷事

一龍ヶ崎徳兵衛事幼年ゟ育られ此度之大変ニ
 一度も様子聞ニも参り不申恩知しらすのもの
 ニに候事
一子十一月晦日夜本田や庄兵衛相果年四十三
 才瘡毒之よしはれ病

一江戸服部兵助と申もの傳玉子を白味黄味と
 も五ツにても十にてもからかね鍋えぬき火
 をゆるくいたし夫をだん〳〵煮つめ追々ニ
 火をつよくいたし極々ねりつめ候はゝくろ
 くなり候不とニ相成候節右之玉子をしぼり
 候へは油のことき露出候をからをさり右之露
 へおゝろうと申を薬店より求右をよきほと
 ニ入ねり詰候へはかうやくのことくになり候
 右を切きつ出来もの其外痔疾だつかう等へ
 つけ候へは直ニいへ候よし極秘

一とろゝをあつく切レぬ様ニいたし候ニは板
 昆布をしたちを煮候節入候而右之汁にて摺
 候ヘはあつき節いもをすり候而もきれ不申
 候よし同人
一同段切レぬ様ニいたし候ニはいもをすりし
 のはちへ入しのはちのしりをたき火にてあ
 たゝめいもをすり夫をあつきしたちを入す
 り候てもきれ不申候よし
一梅干のたねをさり其中へわさびをすり入に

 えゆを吸ものわんへ入のりをかけ出ス
一うつみとうふはとうふをゆて候而わんへ入
 すり候みそをそれへ入其上へたき立の飯を
 かきませたへ候へはよろしきよし
一大坂安へいうとんと申はうどんをあつきゆ
 にて煮それへ極やわらかなるはんぺんをの
 せあんかけ出ス

 了助事
 御町方豊嶋市平殿丑正月廿八日年始ニ被參
 其節咄有之候は良助事昨日參り頼有之候は
 私事湊へ參り兩三年もかせき候而行々は泉
 町は親の出生之所ニも御坐候間是へ帰り候
 積ニ御坐候へ共当時ミナトへ參り候ニも焼
 あとニ付普請いたし来月中引移り申候所右
 二付而は本店抱へ屋敷是迄借用いたし居候
 内所々手入普請いたし六両弐三分も相かゝ
 り候へ共此節材木等高直旁取はなし持參い
 たし候へは跡々手入二も相かゝり可申候間
 其侭さし置代金ニ而御渡ニ相成可申や又取

 はなし可申や承り呉候様被頼候趣申聞有之
 候間いつれ此方より人遣シ手入之場所をも
 見分いたし候上ニ而挨拶可致と申帰シ候而
 仕事師織吉を見せニ遣候所手入致候處
 も有之候趣ニ有之候【「間此方挨拶ニハ」を見せ消ち】
 先ゟ遣候書付は
   良助ゟ書付
一百六十五匁五分一厘 いわねや 《割書:此材木も受取は|此度見せ候へ共》
  弐百八十文    善五郎払 《割書:いつ方え遣候や|らわからす》
一弐十匁       裏戸弐本
一百五十匁      《割書:大工三十八人  右材木之わりニ而は| 工数見せ勝手 工料あまりはり過候》
             《割書:二階手入れ| 》 
                  様相見申候
一九匁         《割書:ひさし柱|石三ツ新キ》
一三〆七百五十文    釘之代
一三匁         《割書:仕事師|壱人》
一金弐朱        《割書:古板三間半|裏かこい代》
一七百五十文      《割書:下こい桶代  此桶を掘出しいつ方へ|新キ壹本   持參いたし候積ニ候や》
一壹〆文        《割書:古廻し戸|  弐本》
〆金弐朱
  三百四十九匁五分一厘
   五〆七百八十文

 此金六両弐分弐朱
      五百五文
 右之通手入ニかゝり候間右を被下ニ相成候
 へは其侭店立仕候と申候事
 此方ニ而右屋鋪買入候節良助立合ニ而いせ
 や伊助店立之跡を直ニ大工仕事師等呼付造
 作いたし候分十六両ほとかゝり居候而右之
 所へ引越參り自分勝手を以又々手入いたし
 候分を此方より受取出立いたし候積りと相
 見申候
 一体之所は此方えはさたなしニ打こわし出
 立可致心得ニ而追々取はなし初候をつむよ
 し升幸ゟ被申候は此度ミナトへ引移候事ニ
 候はゝ実は御主人方え申訳を差出出入相済
 候上ニ而參り可然所さたなしニ自分手入い
 たし候所ニ而も取こわし出立いたし候而は
 行々如何様之事ニ而出入相願候とても相済
 申間敷被申候よし夫故豊嶋氏へ頼候事と相
 見申候

一金三両弐分弐朱  《割書:壹ケ年四両わり|甲子年家賃》
   弐百七十弐文 三月ゟ当正月迄
一金弐両      年賦金
〆金五両弐分弐朱
   弐百七十弐文
 此方え請取可申分

 了助事豊嶋氏えはなし候は相子清七と申も
 のを藏へ連參候事は越度之趣申候よしニ付
 夫ニ而はしらぬとは被申間敷と申候ヘは藤
 兵衛と申ものか連參り縮面等爲見候と申候
 よし是ニ而万事相わかり申候事也
 了助事甲子六月頃より此方ゟ遣候のれんも
 かけ不申候しるしも此方へかへし候つもり
 と見へ申候

   御金具師伊兵衛
一大小四分一太刀金物下地
  但地金吹上ケ八拾五匁
   金物付上り七拾五匁積り

   上銀七分指に而  
   火銅五拾匁へ上銀三十五匁入
   〆八拾五匁吹上り
    此銀代百九十弐匁五分
    火銅五拾匁代四匁六分五厘
   〆百九拾七匁壹分五厘
    但地金めり引之上余り候はゝ相引ケ
     申候
 右大小分金物下地
   工料百五拾匁
  惣〆三百四拾七匁壹分五厘
    此金五両三分
        弐匁壹分五厘
 右之通ニ而極念入下地出来之趣
  丑二月二日 《割書:目方|拾四匁残銀廿壹匁遣ス》
        銀遣ス壹丁目新宅へ頼
          丑二月八日

 豊嶋氏二月四日被参良助事物置并手入いた
 し候分手不付店相立候様可仕候間金三両弐

 分左之通指引候而被下候様相願申度趣ニ付
 其通為相任候事
    覚
 一金八両弐分    《割書:裏物置壹ツ|外ニ》
           《割書:拝借仕居候屋敷ニ勝手見|せ相直し候諸かゝり共》
 一金弐分弐朱   積候金御返しニ相成候分
  外ニ弐朱十二月一ケ月分返ス
  〆金九両弐朱
   内金五両弐分弐朱
           《割書:子年 年賦金并ニ家賃|   共納メ分引》
  引〆金三両弐分
 右之通金子慥ニ相受取申上候以上
  《割書:元治二年       本田や|  丑二月        了介》
   御本店様上
 右之通書付【「受取豊嶋氏持」を見せ消ち】豊嶋氏持参ニ付丑
 二月四日御同人え金子相渡申候

茶杓ふき様はふくささはき左之手へ持右之手
ニ而茶杓とり二度きんじ之節は茶杓を右之手
ニ而持居ふくさの方ニ而ふく三度めは左之ふ   

くさを持候方の手はうこかさす茶杓のふしの
下をおやゆひ人さしゆびニて持ふくさをあと
へ引候様ニいたし候
 茶杓ふき候節は茶杓の上ばヘ人さしゆひを
 あて持なり

丑二月十一日
了助事今日荷物其外材木なとを附出候よし先
日豊嶋氏懸合ニ而手を付不申出立之よし申候
而譬此方へかゝわり無之品ニ而も正方之もの
なれはひと通り此方へ出立相届見届を受候而
附出し可申筈之所更ニ此方ヘは何等之沙汰も
無之段不届至極之もの也

豊嶋氏より承候ヘは十一日ニ了助家内不残刀
や勇助方え参り酒さかな抔買入候よし

良助物置を立候節之材木は此方ゟ余ほと貢
 候而ふしんいたし候を代を取立候仕抹
良助事物置其外居宅諸々手入ふしんいたし候

分其侭不手付店立いたし候間金子九両弐朱被
下候樣豊嶋氏よりはなし合も有之候ニ付先方
申聞候通金子遣年 部(賦)店賃さし引金三両弐分外
ニかけ金残金弐朱遣候而相済候所二月十一日
朝諸道具其外材木はがし板なと追々附出候よ
し内々注進いたし呉候もの有之候間豊嶋氏迄
様子見なから重兵衛遣し候所留主之趣ニ付返
候所其夜豊嶋氏被参候而申聞有之候は良助事
今日出立之よし此方え届ニは無之只豊嶋氏の
はなしニ候や申候此方ゟ豊嶋氏へ申候は良助
事今日家内中出立勇助所へ今晩逗留いたし明
日みなとへ参り候よし承候所届ケ無之立候而
は相済申間敷其上手付不申此方立合を受出立
いたし候様金子相渡候節申候よしニ御坐候所
立合も不受ニのし立をはなし裏出口へ雨ふり
込不申様はり候板なとを取三尺口の戸を取持
参致候由如何之わけニ候や十兵衛ゟ御咄申候
所豊嶋氏十二日朝良助へ懸合候所なるほと戸
は手伝之ものはつし持参いたし候由ニ御坐候
間両三日之内御返し可申其外の所も懸合候所

只今勇助へ萬事頼置候間是へ御咄被下候様ニ
と申候ニ付勇助所へ豊嶋氏 候(マヽ)ヘハ其内ニ了助
事迯る様みなとへ参候よし
此方ニ而ハとこ迄も勘弁いたし置候へともさ
ゝいの板なとを取はなし持参いたし候様之不
心得之ものニ候間如何様ニ此後詫言出候とも
決而出入等ハゆるし申間敷候事

勇助所ニ而了助を引取家内不殘一夜とまり隣
家等を呼候様子ニ而酒肴等買入大騒之様子ニ
候へ共一町目ハ直ニ前之儀此方ハ勿論之事一
圓了助事ケ様と申候事無之譬是ニもいたせ了
助之せ話ニ相成候事も無之不殘我等せ話ニ而
人となり甚不心得至極候事

本田屋庄兵衛昨年相果候ニ付忰芳兵衛いまた
年若ニ付樽や恒之介江當春店勘定をいたし候
ヘハ帳合持参為見候様申遣候へ共為見不申候
ニ付芳兵衛参候節同人へも右同様申聞候所為
見不申如何之申合せニ候や相わかり兼申候此

方ニ而年若旁苦労ニも存候間立入せ話も可致
と存候へ共周蔵恒之介等如何ニ存居候や一円
相談も無之候猶又昨暮よりハ御備二重塩引弐
本ツゝ参候所御備一重塩引一本ツゝと相減し
候年始も同断減候事





        粟野    忠 吾
  一(○)木具本膳五十人 《割書:十膳ニ付|六十三匁》
    内壹膳不足此後持参可致筈
  一(○)小角十膳    四十五匁
  一(○)広ふた二    《割書:壹枚|六匁ツゝ》
  一 鳥の足三十膳  《割書:十人前| 四匁》
  一(○)会式膳十    五十匁
  一(○)箱せん十    三十五匁
   七月七日出来請取
  此わけ見せ万覚帳へ出申候

【右頁】
    覺
 一金弐兩   膳ノ内金
 右之通慥ニ受取申候
           粟村
   二月卄三日    忠   五
            づかん祐介
  大 高 樣

【左頁】
丑三月十一日我等ミなとへ參り候ニ付了助事
を峯岸善三郎ニ承り候所七丁目邊に普請いた
しみとりやと自分より家号を改メ此節甲子と
申酒を賣候よし大高支配人ニ而無事ニ取立ら
れ候様風分いたし定羽織杯に而居候よし屋号
を自分ニ而改候位之不届きものニ候間くれ〳〵
も如何様之申訳有之候而も出入等一圓相すま
し候而ハ不相成候事

當春中樽や恒之介へも本田や庄兵衛跡之儀店

勘定出来候はゝ為見候様申聞置候所見せ不申
芳兵衛参り候節も委細申聞為見候様申聞候所
是も其後参り候而も為見不申候ニ付承り候所
昨年の店勘定は手一ぱいニ参り候よし申候ニ
付何も此方ニ而勘定調見候とて此度引上候と
申わけニは無之若年ニ相成候而は何かと取し
まり旁【かたがた】ニも相成候間指出為見候様申聞候へと
も今以此方ヘは咄合も無之当芳兵衛事二月十
八日参ヱ【荏】油三八入七十御蔵入願候而金子四十
丑両貸呉候様咄有之候ニ付夫ニ而金子引当品
ゟ余分ニ相成候様申聞候所御見せニ而仕入御
坐候間入金旁さし支候ニ付七月迄ニは油之方
は屹ト相納申へく候間拝借仕度趣ニ付夫なれ
は申聞通貸候間見せ之方は借過ニ不相成候様
可致申聞候所十九日ニ見せのもの新兵衛と申
もの参り入金ゟもばいの品もの引除候よしニ
付此方見せニ而も入金多分ニは不宜と申入金
子丈ヶ相渡候様油の方も多分金子借受又見せ
の方も余分ニ品もの引候様ニ而も甚不宜候心
得ニ候間当人は若年之儀外ニ右様指図いたし

候もの有之候事と相見候事
外ならは譬【たとえ】油引当有之候而も余分ニ金子貸候
わけは無之此方ニ而はせ話いたし遣候積ニ有
之候へ共先方ニ而心得不宜候事をいたし候へ
は是非此方ニ而も手を入候様相成可申候事
 万助四月中参り候ニ付本田やへ参り色々咄
 合候所店勘定等は是迄本店へ為見候事無之
 候間夫ニは及不申と恒之介差図之よし


             園部清吾
子八月十八日
一四拾匁   《割書:刀角小口鐺【こじり、こて】ホゾ|付蝋色極念入》
一四拾五匁  脇指同断両櫃
一五匁    大小鮫かは
 〆九拾匁
丑三月廿八日       紙町安五郎
一壹〆文   大柄巻代
一七百文   小同
一三百文   酒手

一六十五匁 《割書:右|》柄糸代

丑四月中万助参り候ニ付積金の儀咄合候所店
内申之儀ニ付是非つぶれ不申様仕度と幸ひ富
吉も参り居候ニ付両人とも同意ニ付連名之内
談合之所いつれも是迄之通仕度趣ニ付昨年中
は騒動ニ而一ヶ年相休候ニ付是迄之分は一度
ニ指出候も中ニは指支候ものも有之候ニ付当
丑四月中ゟ又々懸初候様可仕との事ニ付右之
通取極メ候所勇助方江は富吉参り四月廿日懸
合候所勇助挨拶ニは外々江も懸置候口も有之
候ニ付口々は相届兼候ニ付除キ呉候様挨拶有
之候よし外々は止メ候而も本店へ懸合置候方
行々之為ニも可有之所右様之挨拶ニ而は已来
本店之セ話ニは相成不申候事と相見候間如何
様之儀申来とも一切構ひ申間敷候事
 勇助人別組頭ニ相成候節も此方ゟ魚遣候所
 此方ニは此度百石御加増有之他人ニ而も夫
 々魚等祝儀ニ貢候へとも幼少ゟ育てあけら
 れ恩もしらぬものニ而此度は祝儀も此方へ

【右頁】
 は遣し不申候以来此もの如何様之儀有之候
 而も構ひ申間敷候事

丑九月廿三日
一泉町鬼沢小左衛門儀追々困窮いたし此度居
 屋鋪とも離候程之事出来候よし御町ニ而古
 来之ものニ有之旁難渋見捨かね候趣ニ而同
 町馬嶋郁之介并糀屋伝兵衛両人相談之上上
 町内相応之ものゟ少々ツゝ金子借受年中【了ヵ】ニ
 返済いたし度よし帳面持参ニ而参り候ニ付
【頁右下に「34」の文字】
【左頁】
 帳面見候所泉町いせ甚三両日のや三両其余
 は壹両弐両位向井町ニ而ぬかたや壹両位之
 帳面ニ候間此方ニ而は年中【了ヵ】ニ返済等ニは不
 拘金弐両包候而返済ニは及不申候趣ニ而遣
 候事

一文晁扇面五【「一文晃」の右に傍線あり】
一海北友松屏風  半【右に「一」の文字から「松」の字に少しかかる程の長さの傍線あり】
一程赤城屏風   半【右に一文字目から五文字目にかかるくらいまでの長さの傍線あり】
一僊高屏風   一双【右に一文字目から四文字目の直前まで傍線あり】
【頁左下に「35」の文字】

一千蔭屏風    半
一天民屏風    半
一王□【氵に蘭】竹     一
一雪 城     一
一石山基董卿   《割書:壬生従二位師香卿ノコト|ナリ》
         《割書:宝文生享保十九死|》

 
壬五月廿四日梅植之仕事ニ参ル

刁三月
松一  亀
正宗朝臣一
立原名古曽一
書画《割書:書十二|画十二》

壬五月廿一日壹丁目新宅江参り候所一寸御めニ
かゝり度既ニ只今【「只」「今」見せ消ち】参上可仕候処ニ御坐候
よしニ内々咄有之候は先日蔦や清吉参り咄有
之候は御本宅様御見せ之内ニ私所江忠助と申

もの将門の本を買ニ参りよしニ付ふしぎニ存
何ニ被成候や尋候ヘはそんなに面倒ならはい
らぬと申帰り候よし其後嘉七事裏より蔦清へ
参り又将門の本を買ニ参候由其節も又尋候へ
は稽古いたし候間入用ニ候と申候由夫は甚よ
ろしかる間敷申候ヘは我等ハ江戸の伯父の所
江参り江戸ニ而くらし候積り猶又吉原へ参り
常盤津かたりニ相成候而もくらされるなとゝ
申是非其本を売候様申買候而是は新宅江娘へ
とゝけくれ候様申候由夫は我等は出来不申と
断候よし又申候は三両計の紙入を拵度候間若
出もの有之候はゝせわいたし呉候様申候よし
あまりふしき存所々探索いたし候ヘは嘉七松
兵衛忠助三人ニ而六丁目くわからや裏ニ居候
古稽者婆ニ候所江深更ニ裏の塀を越参り候よ
し咄有之候事

忠助事二階ニ引籠居候ニ付安吉跡ゟ参り見候
所きせるをみかき居候よし安吉参候ヘは直ニ
懐へ入かくし候よし引出見候ヘは煙草入きせ

る等有之候ニ付相尋候ヘは宿より貢参り候よ
し其後増吉見候ヘは右之たはこ入を引さきす
て候よし

裏塀なをし之節手伝ニ出居候松兵衛事六月十
五日裏より下野や兵左衛門所へ参候よしの所
折節蔦清裏へ居候ニ付何か手ニ而下立松兵衛
へおか〳〵のやうなる仕かたをいたし直ニ帰
り候よし
 しやかんやすみの節松兵衛申候とこニ而見
 せのものを土かたニ遣候内はあるまじく人
 のつかいやうをしらぬなとゝ申候よし
○壬五月中川尻山形次郎衛門と申人見せへ買も
 のニ参りはなし有之候は此節之不気候ニ而
 米穀追々引上村々売穀無之難儀いたし居候
 所へ此節御店ゟ御出買立候ニ付村中之もの
 いよ〳〵難儀ニ相成候間諸々村々申合此後
 参り候はゝ打殺候と申風間有之候よしニ咄
 有之候よしニ付見せニ而申候はゝ私共店ニ
 而は是迄人の難儀いたし候節なと穀物類買

 立さわかし候事無之殊ニ此節なと見せゟ右
 様之もの指出不申候趣申候所其翌日新宅六
 三郎見せへ参り申候は岩き辺へ用向有之参
 り候所川尻近辺大高之名前ニ而穀物買立候
 者有之村々騒候よし咄有之候間疾と様子な
 と承り候所良助之様子ニ御坐候との咄ニ有
 之候間早速御役所へ書付を以東郡近辺村々
 穀物類私名前を以買立さわかし候もの有之
 候由ニ御坐候へ共私共方ニ而は穀物類一切
 買入不申候趣申立置候所村々へも早速御達
 ニ相成候よし六月廿日見せ嘉兵衛并助蔵と
 川尻へ改粕買入ニ遣候所此節山形へ尋候へは
 大高名前ニ而穀物買入候もの有之候はゝ其
 もの相糺役所へ申出候様御達ニ相成候趣ニ
 而大高名前を又々此節は書なをしみなと源
 宝や新四郎と申粮米にさし支候よしを以引
 取候趣ニ咄有之候趣ニ候良助事主人江出入
 も不致居主人之名前を右様之事ニさし出大
 胆不届至極猶又宮宝【「屋」見せ消ち】も向新宅見せを初居
 不筋之儀有之いとまニ相成近々御出入相済

 間も無候所大高之名前を偽り買立候段不届
 至極ニ付右之者も疾と相糺出入さし留候様
 可致と新宅江申聞候事

 松兵衛事毎日うか〳〵いたし居丑三月中庭
 の家根へ芝をのせ候所花狭【ママ:「挟」の間違いか】を持出いつ方へ
 置候や相わからす候よし
 又三月十三日夜江戸ゟ向新宅安吉等下り候
 ニ付折節府中酒四斗樽ニ而取置候蔵へ入置
 候間夫をいださせ候所聢と【しかと】呑口をいたさす
 候間翌日蔵江参り見候得ハ板ゑんニ酒押な
 かれ居候間見候所呑口ゟこほれ候三四升も
 なかれ候様相見申候何事も心を不用只うか
 〳〵といたし居候間右様之仕抹と相見申候

 丑四月中万助参り釘屋へ用向有之参り居候
 所見せ兼吉使ニ参皮のたはこ入ときせる筒
 と持参いたし金ものを打かえ候よし其節釘
 や之若もの右之皮をほめ候ニ付万助も気を
 付見候所古キ品ニ而金もの打替候代銀五分

 当百銭一枚持参いたしつり銭受取帰り候由
 心も不付居候所万助此方江帰り夜中ニ相成
 候ヘは松兵衛万助所へ参り申候は今日は甚
 恐入候事を仕候と申候よし何事ニ候や相尋
 候へは笹屋清助ゟたはこ入を貰ひ参り候ニ
 付金ものを打替ニ遣候所御目ニとまり候由
 兼松より承り申候きせる筒は忠助宿より貰
 参り候よしニ御坐候と申候ニ付万助申候は
 宿より貰参り候と申候ヘは済候ものと存候
 へとも何品ニ而も宿ゟ貰参り候と申候様ニ
 而は店之風儀ニも拘り宜からす候間已来右
 様之儀は不致候様心懸候様申付候よしニ候
 へ共百文銭なと所持いたし候仕抹如何之事
 ニ候や得ト心を付可申候事

  嘉七松兵衛忠助三人江増吉と申ものいつ
  ニ而も蔵へ引籠居候而何事か相談いたし
  居候様子ニ付
  丑六月中万助参り候ニ付嘉七へ相尋候様
  申付候所

 丑六月廾九日万助嘉七を呼親代より主人之
 恩莫大之事其上其方とても是非よき人ニ致
 嘉七跡をも相続いたさせ度主人の心得ニ有
 之候所其主人之目をくらまし不筋之儀等い
 たし候趣追々註進いたし候もの有之候所外
 々ものなれは直ニいとよも遣し可申筈ニ候
 へ共嘉七跡之事ニ候間是非異見を加候ても
 人ニ致度との思召に候間是より心を改誠忠
 を盡【ことごとく】主人の為ニ相成候様心懸可申や江戸表
 之伯父なとか此節之くらしを宜と心得候而
 江戸ニても参り度なとゝ心を動候や江戸の
 伯父の商業は誠ニ風前之燈の□【こと】く芸者をか
 ゝえせんじ茶の道具を売猶指南をいたし候
 なとゝ日をおくり居候へ共いつれ当坐のゑ
 やうと申家を持永ク安閑を致候而一生をお
 くり候商業とは相見不申候老年は相成候へ
 はくらし方ニも指支候様之取しまりなき商
 躰ニ候を夫を宜敷と心得主人ゟいとま出候
 へは夫へ参りてもくらされるの常わ津をか
 たつてもたべていられるのと若気の無分別
  

 実ニ心得違と存候是ゟ改心いたし主人大切
 ニ御勤を致候積りニ候ヘは主人へ申立御目
 をかけ御遣被下候様申候也此節江戸表は百
 文ニ弐合四勺の米ニ而江戸ニ永年居候もの
 ニ而もたべものニさし支身なけをいたし候
 もの数不分其上子供の置じやり等ニ而とて
 もどこへ参り候而もくらされると心得候は
 大キなる了簡違なり実ニ改心いたし候ニ相
 違無之候ヘは是迄三人ニ而引籠り居候仕抹
 人々ニ申述可申と万助申候ヘは嘉七申候は
 蔦屋清吉ゟ五匁八分ニ而春画を求又三郎や
 金吾ゟ忠助を使ニ遣し六百文ニ而春画一冊
 求候夫を追々志れ候様子ニ相成候ニ付三浦
 へ返三百文引ニ而残三百文ニ而歯みかきを
 求候よし是も右三人之よし
 常わ津本の一条相尋候所是は忠助求候よし
 嘉七松兵衛忠助三人ニ而見候よし其後支配
 人十兵衛相糺候ニ付松兵衛事下町江用向ニ
 而参り候節右之本を忠助宿へ参り居候ニ付
 忠助方へ相返候趣外ニ忠助・(事三浦)や金五方ニ而求
 

 候分有之候所是は松兵衛下町へ参り候節歌
 本一同忠助方へ相返候と申候
 已来心を改屹と主人を大切ニ御奉公可仕候
 間宜敷御取なし被下候様相賴候趣此方申聞
 有之候事
  嘉七ゟ万助方へさし出候品
  桐箱入歯磨二箱《割書:但壹ツは手ヲ付候|》
  外ニ梅見散と申歯磨一袋

 下町八百屋忠兵衛ゟ参り居候忠助事当年元
 服いたし候へは常之心得不宜候此節も日々
 くらへのみ引籠三人集居候ニ付折節忠兵衛
 むこ見せへ参候ニ付十兵衛申候は忠助事心
 得不宜候事相見候所是迄下町ゟ参り居候も
 の壹人も無事ニ勤候もの無之候間是非異見
 をさし加候而正直ニ相勤候様いたし度一同
 連立候而宿へ参り先方より何とも挨拶無之
 候事
 八月中ニ相成候而も
 八百屋忠兵衛事も極々不人情言語を絶し今

 以何等申わけも無之音信不通ニいたし居候
  八百や忠兵衛江四五年已前袴織を賴候分
  一反有之候所是迄残賃は宜敷と申請取不
  申居候分を當七月書出ニ致し遣候而受取
  候恩を志らぬもの也

 六月廿九日万助事松兵衛を相糺候所私は何
 事も存不申候との挨拶如何ニも勢ひ居候ニ
 付追々ニとき續候所恐入候趣三人ニ而引籠
 居候と申候へとも古内屋ゟ参り居候増吉と
 申もの宿より常わ津本ヲ持参いたし蔵ニ而
 夫をかたり居夫より嘉七忠助両人追々はり
 込常わ津本十冊春画本二冊買入所持いたし
 居候所忠助宿へ参り候節私へ賴候右之本
 を宿へとゝけくれ候様賴有之候ニ付傍輩之
 事故下町へ序有之候節忠助所へ持参いたし
 相渡候尤右之本之内關の戸本上下其外ニ壹
 冊中くらゟ持出候此方之本もとち込有之候
 間其儘持参いたし相返候と申候よし

 上金町升吉ゟ鐚をのけ候一条相尋候所
 向新宅ゟ根付弐〆【「百」見せ消ち】文ニ而買候趣右鐚は島や
 兵助ゟ借候よし夫ゟ右根付計升吉ヘあつけ
 弐〆文のけ右を升吉ヘ返済いたし候節下町
 笹清ヘ煙草入貰候分を返し候而弐〆文のけ
 升吉ヘ返候よし此節は根付緒〆計升吉ヘ預
 置申候外ニ私ニおゐて決而仕候覚無之との
 事ニ而已来改心いたし右様之儀決仕間敷私
 共御奉公不申候積ニ御座候ヘは是迄居不申
 候急と御奉公仕候積りニ御座候間宜敷御申
 わけ被下候様賴有之候趣申聞候事

 七月二日明六ツ時松兵衛着類持参太物蔵脇
 の塀を越榎のわきの竹垣をやふり出奔いた
 し候事早速右之趣島や兵助方江申通候

 同朝升【1字消し】吉ヘ預ケ【1字消し】ニ相違無之や武兵衛を遣候所
 緒〆は預り無之根付計預り有之候趣ニ而相
 返候事

 六月廿六日夜蔦や清吉事宮井祝儀江被呼候
 而跡留主居被賴候ニ付残り居候所清吉ヘ一
 寸宿江参り候所となり下野や兵左小泉蔵之
 方之上戸一枚明居候間夜九ツ過ニ候間盗賊
          《割書: |・はなし声有之候間立聞いたし候所》
 ニ而も入候やと存中を見候所・兵左門女房之
 声ニ而申候はもはやあらはれ候事ニ候ヘは
 とても之事ニ沢山にても少しニ而もおなし
 事ニ候間/沢山(大ゲサ)ニ持出候様ニと申候由其内右
 之男表ヘ出候ニ付跡を付候所原口入口ゟ裏
 ヘ這入候よし内通有之候ニ付裏を見候所井
 戸後の竹垣木構の有之候所をかきわけ這入
 候様子右様承り候ヘは其前も右之所両三度
 垣根を押わけ出入いたし候様子相見候事
 松兵衛と相見候事

 六月廿九日夜九ツ時松兵衛事下野や兵左衛
 門表ゟ這入候ニ付蔦清立聞いたし居候所も
 はや相わかり候間勤居候様ニは相成かね候
 ニ付立退不申候而は不相成夫ニ付候而は是
 迄預ケ置候分代金相廻候様申候所右品は七

 軒町江相廻置候間如何様とも盆迄勤居候様
 左様無之候而は迚も金子請取候様ニは不相
 成候と申候よし表ヘ返り候而は不宜候間裏
 ゟ返候様ニと裏ゟ返候よし

 七月三日松兵衛世話人島や兵助参り申候は
 松兵衛恐入候仕抹■【亡ヵ】人御坐候ニ付早速笹や
 清助方ヘ使遣候所江戸留主之中いつれ帰り
 次第御申わけ可仕候と申事ニ御坐候よし
 七月五日笹清島兵参候所江戸ゟ下り居候ニ
 付もの細之所御咄候所江戸表ゟかへりニ
 早速宿々ニ而承知仕候ニ付土浦ヘ人遣候而
 相尋候間當人見出次第御申わけ可仕との笹
 清挨拶之よし島兵ヘ参り候而見せ江申聞候
 よし

 七月廿一日刀屋勇介参り嶋や兵助ゟ被賴候
 よし咄有之候は松兵衛事私共口入を仕候而
 跡先初而之御世話仕候處此度二重之御固を
 越出奔仕候段申譯も無之候ニ付度々笹清ヘ

 も申越候所参り不申候ニ付下町江罷出候所
 江戸留主ニ候よしニ夫ニ而は相済間敷申候
 ニ付其段忰参り候而如何様ニも御申譯いた
 し呉候様賴有之候よしニ而嶋兵勇助を賴申
 訳有之候
 
 丑七月廿七日組頭釘や利兵衛孫根や惣介両
 人参り支配人十兵衛方江咄有之候は昨年中
 御騒ニ而町内物入六百両餘相懸り候所町内
 中ヘ小間口わりニ仕候ヘは小前之者とも追
 々米穀高直等ニ而難渋仕居候所別而難渋仕
 如何様ニも取続ニも相成兼候ニ付町役人共
 先日中ゟ度々寄合相談仕候而無據【拠の旧字】分限割ニ
 いたし候より外ニ手段無之夫々ニ入札仕候
 所三十五両御指出被下候様奉願度何分ニも
 小前之もの御救被下候思召を以只管ニ奉願
 候趣申聞有之勿論町役人中ニ而も夫々昨年
 中和田様神保様御本陣ニ而御懸り之所も壹
 人壹匁五分ツゝ位之御つもりと見候而御一
 軒ニ而金百七十両餘御懸りニ相成候儀は承

 知仕候ヘ共町役人とも一同小前之もの御救
 被下候而御さし出ニ相成候様奉願との申聞
 之よしニ付町年中金弐十五両町内ヘ指替置
 候分此度返済ニ相成候而此度金三十五両さ
 し出候事
 昨年中さし替は大高廿五両小泉廿五両桜井
 廿五両ニ候此度は小泉岩善へも右廿五両返
 済相立三十両ツゝさし出候様町役人ゟ賴有
 之候よし
        金三十五両 大 高
        金三十 両 小 泉
        金三十 両 桜 井
  外ニ小間口はり之面昨年分指出呉候様九
  月中申し参り金弐両三分指出候事

 丑八月五日嶋屋兵助見せ江勘定ニ参り候節
 咄有之候は笹屋清介より御口入申候松兵衛
 之儀其後も清介ゟ何之申訳も無之候ニ付使
 之者度々指越候得とも今以清介方より何等
 申参り不申私共ニおゐても誠ニ御申わけ【「も」を見せ消ち】

 も無之笹や□【へ】も別而心易きわけニも無之少
 々ツゝ取引いたし居候ニ付参候節清介申候
 は土浦家内のさとゟおひ壹人被賴見せヘさ
 し置候所右之者弟も相賴/・(申)度趣ニ御坐候ヘと
 も兄弟両人見せへ置候而不宜候間壹人は外
 ニ指出申度右ニ付而は上町之内宜敷店へ御
 世話被下候様被相賴候勿論其節申候は惣領
 ニは無之候間永ク御召使被下如何様ニも被
 成下候様相賴度越ニ付御世話申上候所御圍
 二重を越候而迯去候仕抹御申わけも無之候
 ニ付度々申越候得共右之者は見せ江さし置
 候よしニ而此方へ何等申訳も指出不申段誠
 ニ以等閑之致方私ニおゐても実ニ御見せ迄
 も上りにくゝ相成候事ニ御坐候と申候よし
 清介事不実申様も無之譬当人如何の事有之
 候而も清介ゟ申訳無之候而は不相済候所も
 はや手習算盤は勿論商業之方迄仕込呉候而
 用ニ立申候間清介方ニ而引取見せニ而召遣
 候積り人間之致方ニは無之候事

 八月十三日笹清菩提所之由板戸ゑんわう寺
 とか申寺参り申訳有之候は笹清事江戸表へ
 罷登り居御申訳も延引仕候【「其」見せ消ち】此節帰宅仕候ニ
 付笹清并当人ゟ恐入被相賴候よし申参候ニ
 付此方ニ而挨拶ニは先達而中笹清江戸ゟ下
 り宿元ニ居候よし嶋兵より承り申候【「得」見せ消ち】所其節
 は嶋兵ゟ笹清へ申候は私共も大高へ対候而
 不相済候間早速詫言指出候様申候へとも打
 捨江戸表へ又々出府いたし候ニ付其後も度
 々催促いたし候ニ付此度又々帰宅之趣申訳
 尚又当人自分内へ引込遣居候而不相済候様
 申候所笹清へ兄参り居候而此節不快ニ付看
 病ニ参り居候趣申候所不快ニ而も右様之見
 せへ指置商ひいたさせ候而は此方へ対しあ
 まり踏付ニいたし候様ニ付御任せ申候様ニ
 は不相成候と重兵衛断申候
 笹清八月廿日又々菩提所両人ゟ申訳被賴候
 よしニ而参ル留主ニ而見せニ而返し候
 
 下町八百や忠兵衛忰忠助事壬五月中忠兵衛

 聟参り忠助を連立参候のみニ而今以何等一
 定之咄合も無之八月廿四日下町津久井太物
 と申もの被賴候而初而見せへ申わけニ参候
 よし

 八月卅日左官源七参り申候は笹清今朝参り
 私共へ賴有之候は私親類之もの大高江相願
 置候所先日中出奔仕候ニ付嶋や兵助ゟ通合
 御坐候所私江戸表へ罷登り居留主中ニ御申
 訳も指出不申候其内ニ松兵衛兄私方へ病ニ
 呼寄候所折節見せへ罷出商ひいたし居候所
 御見せ之衆へ通候節御見付被成候趣全見せ
 へ遣候わけニ而呼付ニは無之候其後御申訳
 延引いたし居候ニ付兵助ゟ度々不相済趣申
 聞御坐候所延引仕候段御申訳も無之寺院指
 出候得共御わかりニ相成不申候ニ付如何い
 たし候而宜敷御坐候や先様思召之通ニいた
 し候間御内意伺呉候様ニと賴有之候よしニ
 而源七参候間一々申聞候所是迄仕方甚不宜
 是迄成長之御恩も不送実ニ不筋之致方ニ御

 坐候此節土浦ゟ親も呼付候ニ付如何とも思
 召之所相伺度との事ニ有之候間此方ニ而は
 主人を捨自分ゟ出候もの外ニ了簡之致様も
 無之候ヘ共いつれ支配人十兵衛事江戸ヘ此
 節登り居候間返り次第申聞候様可致と申候
 事是迄打捨置候而はや追々寒ニ趣候ニ付着
 類入用故申訳を俄ニいたし候事ニ相見申候

 小泉ゟ被賴京都ヘ申越候分
 弘化四年浄雪鋳候釜の図
 大キサ等都而図之通
   京都新町三条西江入
         御釜師    清右衛門
   からかね【唐金・青銅】蓋《割書: |箱書とも》

 丑十月十二日八百忠忰代ニ付筑井太助参候
 先日も委細申上候所何卒追々寒気ニも相成
 難渋仕候間御召遣被下候とも又着類頂戴い
 たし候共御挨拶伺度趣見せ十兵衛方ヘ申候
 よし夏中ゟ是迄打捨置尤も金五郎江七月中

 申訳相願候よしニは候ヘ共金五郎江の申振
 甚不宜候由ニ而金五郎も此方ヘは申訳ニも
 参り不申候其上不快ニ有之候間不罷出候趣
 ニ而金五郎九月廿八日参り咄有之候所とて
 も返候了簡も無之右之者土浦親類内ゟ小供
 貰請夫を相続人ニいたし候筈ニ而貰受候而
 是迄さし置候所此方ニ而召遣候忠助事成長
 いたし候ヘは夫を相続人ニいたさせ度相成
 右貰受候子供をおし出し候而忠助を此方ゟ
 引取候而相続人ニいたし候積り之よし太郎
 ゟ咄有之候あまり不人情のものゝよし咄有
 之候ヘ共申訳被賴候よしニ而参り候ニ付先
 方江持参の着類は太助ヘ相任せ返可申様今
 日申聞候事

一慶應元乙丑十一月十日小泉其吉参り咄有之
 候は親貞甫事隠居いたし度趣ニ付普請致度
 候ヘ共地面手狭ニ而さし支候間御持分隣之
 裏之方拝借致候而右地所ヘ六疊二間位ニ建
 度候間拝借仕度よしニ付借候様挨拶いたし

  候事












    元治元年難渋
    人江籾遣候覚

                 大高本

【左頁】

七月廿五日吉田より下町江浪人押寄戦争有之
上下市中大騒動にて穀町穀屋とも白米さらし
居小前之もの殊之外難渋之趣ニ付名主江相咄
難渋人名前書ぬかせ小泉櫻井我等三人にて町
内難渋人江当坐凌之為弐軒江籾壹俵ツゝ引配
候わけ
 一 松岡籾拾三俵 《割書:小泉|大高ゟ出ス》
          《割書:此分品にて受取》
 一同   拾三俵 大高
 一古籾  拾三俵 櫻井
  《割書:五斗入之由》

【右頁】
  〆三拾九俵
     内弐俵  《割書:根本|  庄【「平」を見せ消ち】兵衛》
     内弐俵  《割書:根本|  太郎》
  引弐俵残ニ相成居候
    是は後にて根本へ遣候分に成る

前書指出候所追々戦争にて小前之もの人足等
に日々罷出渡世も出来不申候其上穀町にては
公渡御人数其外諸大名方御人数御操込に相成
候に付飯米舂立等に取かゝり小前之もの弥難

【左頁】
渋相重候趣に付又々三人にて惣町江左之通差
出候
 一弐百五拾俵《割書:五斗入| 籾 》
  此わけ
   百俵      馬口労町
   四拾俵     向井町
   三拾五俵    泉町
   拾五俵     奈ら屋町
   三拾俵     上金町
   三拾俵     下金町

   〆
  此俵わけ
   五拾俵     小泉ゟ
   五拾俵     桜井ゟ
   五拾俵     大高ゟ
  百俵《割書:馬口労町へ配候分|わけ》
   三拾三俵    桜井出
   三拾三俵    《割書:小泉分|大高ゟ出》
   三拾四俵    大高出
  外ニ又根本ゟ申入有之遣候分
   弐俵 根本庄兵衛へ遣ス
    是は馬口労町江先ニ指出候分弐俵残
    り居候分遣ス
   三俵 根本太郎江遣ス
    是は此度三人ニ而壹俵ツゝ遣候
     此分壹俵小泉分大高ニ而出し置

   小泉江
 一松岡籾拾三俵
     此分品ニ而帰ル

 一五斗入籾三拾三俵
 一松岡 《割書:壹俵根本へ遣ス分|此分品ニ而帰ル》
 〆 《割書:〆松岡籾拾四俵代| 弐十俵直金六両弐分》
       子十二月受取


七月廾五日戦争ゟ
 合戦ゟ続而譜商人共商売相休居日々田中勢
 城下江押寄候風聞有之御城下内所々御固メ
 有之一丁目土手上江大炮四丁相並下金町之
 方江御陳所向井町江も同断惣町火之用心殊
 之外厳重市中所々江篝火【かがりび】を焚家々しの竹鑓
 を持市中裏表通行相廻りいつ鎮り候とも相
 分り不申心配此上なき事ニ候其騒動ニ而穀
 町商売相休小人難儀いたし候よしニ付極窮
 人江籾壹俵弐人ツゝニ而訳候様大高小泉桜
 三人ニ而町内難渋人江遣候事其外自分抱屋
 屋敷町内之分計へ同断ニ遣候事
          自分抱屋敷
  中山様給人籾  四丁目

           平戸屋新次郎
  〆弐俵      ふるいや
         四丁目
           下野屋兵左衛門
  〆壹俵      つたや清吉
         出入之ものへ
   給人籾壹俵   畳や彦助
           家根や次助
  給人籾壹俵    片町介蔵
           本田や武兵衛
  〃 〃壹俵    仕事師織吉
           同 与三郎
  給人籾壹俵    つきや与作
              文作
  〃  壹俵    刀屋勇助
  町内番所際ニ【「請」見せ消ち】詰居願有之候ニ付
  籾弐俵      根本庄兵衛
  〃弐俵      〃 太郎
   右我等小泉両人ニ而遣ス
  籾弐俵      根本庄兵衛

       籾三俵        〃  太 郎

 又々大高小泉櫻井三人ニ而
 五斗入籾弍百五十俵上町中江指出ス


                        【丸印:購 昭和十三年三月五日*】

【裏表紙】

巻2

《題:《割書:水|戸》大高氏記録 二》

【白紙】

  嘉永七年
    甲寅十月
寒暖計は朝五ツ時をしるし申候
朔 日 大霜快晴寒気なり
《割書:三十八度》
二 日 霜なし快晴南もやう夜ニ入五ツ時よ
《割書:四十五度》  り四ツ時迄雨ふる晴
三 日 朝より快晴暖気九ツ過より時雨空【「寒」を見せ消ち】に
《割書:五十一度》  なる
四 日 霜少シふる快晴昼後よりさむし

玄猪《割書:四十五度》
五 日 朝より快晴
《割書:四十二度》
六 日 朝よりくもり時雨空なりさむし
《割書:四十五度》
七 日 朝より快晴
八 日 朝薄くもり五ツ時ゟてりにて
《割書:四十四度》
九 日 朝より快晴暖気也
《割書:四十六度|新籾三斗四五升》
十 日 朝よりくもり時雨空なり終日くもり
《割書:四十九度》  空にて持合夜四ツ過ゟ雨ふり出南も
    やうにて暖気なり明方迄雨ふり
十一日 朝よりくもり南風つよし八ツ時より
《割書:六十二度|大坂表異船 》 暮方迄時雨空にて黒キ雲出る
《割書:当月三日帰帆|致候よし》
十二日 朝より快晴
《割書:四十七度》
十三日 朝よりくもりさむし夕方より雨ふり
《割書:四十二度》

   諸品不景気ニ而下落之様子
《割書:江戸十月八日出|古明米七斗一弐升》  《割書:三川白|改メ七反九分》  《割書:三長尺|花綿六反八分》
《割書:同 新七斗四六升|南郷米七斗弐三升》  《割書:銘 九反九分|造 拾反四分》  《割書:花司七反壱分|花照七反八分》
《割書:町米七斗三六升 |新米七斗七九升》  《割書:名古白|三 五反九分》  《割書:花弁八反三分|》
《割書:餅新七斗弐五升| 古七斗四六升》  《割書: 四 六反五分| 五 七反壱分》  《割書:操綿|三州百九両》
《割書:水戸大豆八斗三四|小豆八斗弐五升》  《割書:六 七反六分|七 八反壱分》  《割書:坂上百六両|京丹百壱両》
《割書:大麦弐石三斗|小麦石壱斗五升 》  《割書:いせ晒|白菊八反六分》  《割書:大和九十四両|》
《割書:な種七斗|こま六斗八升  》  《割書:雲井九反壱分|和か浪九反六分》 《割書: | 大坂方出》
《割書:そは石五六斗  |仙台》  《割書:地水油廿五両三分|於鹿廿六両三分》 《割書:水油四反三百匁|金六十六匁九分》
《割書: 廻米七斗八升 | 上総新八斗》  《割書:荏油廿五両|銭六〆五百文》
十四日 朝より快晴暖気也
《割書:四十七度》
十五日 朝より快晴霜ふる
《割書:四十二度》
十六日 朝より快晴夕方ゟ西風つよし四ツ時
《割書:四十四度》  止
十七日 大霜快晴
《割書:三十九度》
十八日 朝より快晴大霜也
十九日 朝薄くもり五ツ半時より晴夜六ツ過

《割書:三十九度》  より西大風四ツ半過止
廿 日 朝より快晴
《割書:四十度》
廿一日 朝より快晴寒気
廿二日 大霜寒気【「くも」を見せ消ち】快晴
《割書:三十二度》
廿三日 朝むら雲快晴
《割書:四十度》
廿四日 大霜ふる寒気
《割書:三十二度》
廿五日 大霜ふる快晴寒気
廿六日 大霜ふる快晴寒気なり
廿七日 朝より快晴夜ニ入九ツ過より雨ふり
    八ツ過止
廿八日 朝よりくもり四ツ過より快晴
《割書:四十五度》
廿九日 朝より快晴暖気なり
《割書:四十三度》
 文公様五十回御忌今日ゟ朔日迄御停止
 魯夷も当月三日大坂応接中無断出帆浦々乗

 廻り同十五日下田え参り申候て薪水食料等
 願出夫々被下ニ相成候処江戸近海え参り日
 本全権へ御目ニかゝり取詰候約条致度云々
 申立候由之処近々筒井川路等此地へ参り候
 筈故待居候様申さとし之処何歟不承知之様
 子ニハ候得とも先ツ待居候哉未夕浦賀へは
 参り不申候川路等十八日発足ニ而五日路位
 にて下田へ参り候間只今比は応接ニも取か
 ゝり候哉扨々鬱陶敷奴ニ御座候品川一二三
 の御台場御出来上りニ相成廿七日付大名衆
 被引渡ニ相成候由ニ御座候其前ニ
 御家ニ而も御覧も被遊候はゝ御出御覧被遊
 候様公辺より御書付渡り申候御出ニ相成可
 申哉未タ御治定も無之由ニ御座候
晦 日 宵より雨ふり明方止暖気なり四ツ過
《割書:四十七度|下館わた貳六》 ゟ快晴
《割書:眞壁 貳七|十月廿七日江戸》
《割書:新わた|三州上銘百十九両》
《割書:坂上銘百十六両|京丹 百十三両》
《割書:大和 百七両|〆正取引五両安》

   十一月
朔 日 大霜快晴
《割書:四十度》
二 日 朝より曇ル昼後よりてり立西風吹夜
《割書:三十八度》  中雨ふる
三 日 朝より快晴夕方より西風ふく
《割書:四十度冬至》
四 日 大霜寒気つよし快晴朝五ツ半時大地
    震ゆる右地震之節西より南の方にあ
    たり雷声のことき音半時はかりいた
    し居候子供なとなき申候程なり
五 日 大霜寒気つよし西風ふく夜四ツ時地
《割書:三十二度》  震又九ツ時ちしん
 大坂より之書状之写
  九月十八日ヲロシヤ船壱艘伝馬五艘天保
  山へ入込伝馬にて五六人計乗安治川四丁
  目入込川口御番所にて差留られ大坂之船
  廻りを取巻申候諸商買共不景気ニ御座候
   ヲロシヤ船長サ三十七間 幅九間
   人数五百人ニ不過 船之《割書:左|右》大筒五十貮挺

   去ル九月廿九日呑水無之趣ニ付川水百
   五十荷被遣候
   京都本能寺ニ而彦根 伏見  ニ而膳
   所 同笹山  園部 水口
   山崎 亀山 男山八幡若州小浜
   兵庫ニ而 姫路 明石
   天保山ニ而郡山桑名浅田伊勢津
       三田紀州様之人数二千五百人
   此外諸大名蔵屋敷より出張
   堺 《割書:岡部内膳正  植村出羽守|高木主水正  渡邊越中守》
   右ヲロシヤ船五六日前ニ帰船致候
今日ゟ鰯漁事あり
六 日 大霜寒気つよし快晴なり八ツ時地震
《割書:貳十九度》
七 日 朝よりくもり四ツ過ゟ快晴
《割書:三十三度》
《割書:府中|土浦》《割書:玄米八斗六升|くりわた三〆目》 《割書:江戸黒砂糖大頭廿二両位|才田塩浦賀拾七俵位》
八 日 朝薄くもり四つ半過より快晴
《割書:三十四度》
九 日 朝より快晴

《割書:磯浜鰯粕拾壱〆目位之俵ニ而壱俵四分位|久慈浜拾壱〆目生干ニ而貳俵位之よし》
十 日 朝より快晴
十一日 朝より快晴
十二日 大霜快晴寒気つよし
《割書:貳十七度》
 ニ啓奉申上候去ル四日昼四ツ時比より江戸
 表大地震ニ御座候所御陰を以下店通り筋は
 格別之損事も無之候久保町邊より虎御門外
 御大名表長屋抔七八軒程も倒レ夫ゟ赤坂辺
 小石川小川町辺抔ニ而も殊之外損事場所も
 御座候誠以珍敷地震にて老年之者申ニは五
 六十年来此方之地震ニ御座候へとも乍併其
 後頓ト何事も無御座候先々大悦ニ奉存候御
 表辺抔は如何御座候哉御安事申上候旦又今
 日飛脚屋方より左ニ申参り申候
   東海道大地震之次第
 一相州小田原《割書:人家少々潰れ宿内無難》
 一箱根  《割書:人家相潰少々も有之怪我人無之》
 一みしま 《割書:人家不残相潰レ新町橋際ゟ出火|いたし明神森伝馬町久保町まて》
      《割書:無明程焼失》

 一沼津  《割書:御城内崩れ過半過相潰レ怪我人|等も有之候よし》
 一原吉原
 一申井【由井】興津
 一江尻
 右六ケ所分は不残相潰レ通路難相成よし
 一駿州府中《割書:人家不残相潰レ之□御城内崩れ|怪我人等数多有之よし》
 一丸子
 一岡部  《割書:人家少々相潰レ之由》
 一藤枝  《割書:田中御城内二十一面ニ 崩れ人家|不残相潰レ夫より出火ニ相成宿》
      《割書:内過半焼失人死数多有之候よし》
 一欠川  《割書:宿内人家不残大半ニ潰レ遠州横|須賀御城内大井ニ崩れ之由》
  東海道是迄只今承知いたし候
 一甲州海道《割書:小払【仏?】此下ゟ先大荒ニ而野陣致候|よし夫ゟ半宿大半ニ相潰レ 申候》
 一信州松本《割書:御城内平一面崩レ 候由夫ゟ出火|致所々焼失のよし》
 一東海道金谷宿
      《割書:人家相潰レ怪我人有之候よし》
 一同掛川宿《割書:人家押潰夫ゟ出火相成未タ火事|之由》
 一袋井  同断
 一見附  《割書:人家不残押潰候由怪我人数多有|之候よし》
  右之通為御承知申上候此段鳥渡奉申上候

   十一月    近江屋 三右衛門
    【○の中にち】御本庄様
    【○の中にち】御新宅様

 然は当地去ル四日辰刻近頃ニ無覚大地震
 有之其砌町々人前々我一等往来え駈出シ
 前後を失程之事ニ御座候小阿み町辺土蔵
 往来へ潰れ其外損シ有之候得共格別之事
 も無御座候尤も本所深川辺川岸は津浪之
 損ニ相見へ往来へ暫時ニ浪打あげ山ノ手
 辺屋敷方所々長屋損シ申候併通町之内は
 聊も無別條御蔭を以下店儀無難ニ相凌申
 候此段御安気可被下候旦又近在之風聞甚
 以不成容易豆州豆内郷辺大津浪にて異船
 一件之新役所殊ニ江戸詰之役人衆行方不
 知之よし其外上州筋尚更大地震之由定而
 其方角ゟ夫々御文達も有之候へとも御地
 御様子は如何ニ候哉不成一方心痛罷居候
 実以古来稀成ル大珍事ニ御座候東海道筋
 飛脚通便も無之候へ共漸々京屋方ゟ注進

  荒増申来候右写書則御覧入申候宜敷御見
  覧可被下候且又翌日五日夜五ツ半時ゟ浅
  草さる若町ゟ出火有之三芝居は不及申山
  ノ宿川岸迄焼失仕又一口は東橋川岸にて
  焼留申候誠ニ近年世上変事相続キ一入心
  痛仕罷居何卒向後之所天下一統平穏ニ永
  自然罷贈り尚又御商内儀御賑々敷御取引
  被相在度而已日夜祈念無事計ひニ御座候
  先は右之段申上度書外後便萬々可申上候
  以上
   十一月七日    白木屋
               彦太郎
               太四郎
   大高織右衛門様
       良助様
         貴下
    甲府大地震
  一当月四日辰刻大地震町々大損シ人家八
  分通り潰れ併怪我人は無之由
    東海道筋大地震

  一同日同刻小田原宿土蔵四五十ヶ所も大
  損シ箱根宿七分通り損シ同刻ゟ往来通三
  島宿人家惣潰れ明神ゟ西十貳町程焼失沼
  津宿水野様城中焼失同宿惣潰レ申井宿人
  家惣潰れ其上不残焼失興津宿大津浪にて
  一宿新方不知よし駿府御城中焼失丸子宿
  惣潰レ岡部宿惣潰レ田中様城中焼失
   右ニ付往来留り卯刻田中城中便者到着
   相成則注進之趣荒まし奉申上候以上
    十一月七日
            白 木 店
   小石川九日御仕出今十二日着
  一当月五日猿若町ゟ出火小梅御屋敷へ飛
   火ニ而
   同炭蔵 御物見表御門
   御腰掛 《割書:公儀| とたん会所》
   御徒目付御役所
  右之分丸焼失折節西北風烈敷川岸通焼失
  一同四日地震
   駿河府中御城 沼津城

  右焼失ニ成ル
  一久能山東照宮御山崩
     四日地震後鳴動久熊崩の響ト云
  一豆州下田浦異泊一艘渡来
   異人四人上陸致候所行衛不知同所千軒
   之家敷六十軒残る余は行方不知東海道
   三嶋辺ゟ見付宿迄人家潰レ行衛不知其
   外宿々不相分
   右之通申来候天変地始可懼事

   私在所駿州沼津今辰の下刻地震甚敷二
   ノ丸住居向悉ク潰れ本丸三ノ丸構向初
   メ侍部屋長屋向并領分在町共潰家破損
   等夥敷其上城外足軽長屋より右潰家ニ
   而出火仕無程及鎮火ニ候所震動相止不
   申人馬怪我等も未相分兼申候委細之儀
   は近々可申上候得共先ツ此段不取敢御
   届申上候以上
     十一月四日  水野出羽守

  今【「上」を見せ消ち】己【巳の誤記?】上刻比当所稀成大地震ニ御座候而
  其後数度大震御座候内御供所其外坊中
  八ヶ院共不残相潰れ候且又右御供所潰
  候場所ゟ出火仕候ニ付私義早速登山種
  々消防手当等申付候得共折節西風ニ御
  座候間
  御宮ノ方え風並不宣何分御場所近ニ御
  座候而鎮火之程難計其ノ上地震も未相
  止み不申候御坂通追々地山欠落御帰所
  も有之此上御坂道筋も御缺落申候而は
  御遷座申上候御道筋も無御座候誠ニ以
  心配仕候付得善院出府中之儀ニ御座候
  間御宮付之者え申談御坂道通路出来候
  内乍恐
  御遷座申上候方御安全之御儀奉存別当
  山手ノ方へ
  御遷座申上候処夕八ツ半時迄ニ漸々下
  火ニ相成候間私並ニ御宮付之者守護仕
  無御滞
  御宮え御遷座相済申候非常之義ニも御

  座候間右之通取計申候且又御宮御宝塔
  并ニ御預ケ一ノ御門御別条無御座候地
  震未タ相止み不申候間此後之所奉伺又
  無間断申付【「候」を見せ消ち】置候御山中破損等之義は近
  々取調可申上候得共先ツ不取敢此段御
  届申上候以上
   十一月四日   榊原越中守

  地震風聞之次第左ニ申進候
 箱根
 一御関所半震潰ニ付庭ニ而往来之もの改
  有之由
 三嶋宿
 一宿内不残震潰ニ三丁程焼失山ゟ水流出
  明神宮大破石鳥居倒三重塔無事呑水無
  之由入馬怪我不分
 沼津宿
 一水野出羽守城大破宿内半潰焼失有之候
  由右同断
 原宿

 一宿内不残震潰候得共出火無之由人馬怪
  我不分
 吉原宿
 一右同断半焼失之由
 蒲原宿
 一右同断之由
 藤川
 一水干上り居候由
 岩淵宿
 一宿内不残震潰半焼失人馬怪我不分
 由井宿
 一宿内不残震潰候得共出火無之由
 興津宿
 一右同断之上津浪ニ而人馬共押流候由
 駿府
 一御城大破市中震潰焼失
  御宮  人馬怪我不分
 鞠子宿
 一宿内所々震潰出火も有之人馬怪我少有
  之候由

  岡部宿
  一右同断之由
  藤枝宿
  一本多豊前守殿城大破市中震潰之上出火
   ニ相成宿中迄同断之由
  清水湊
  一久能山御宮大破人家震潰津浪ニ而押流
   人馬怪我不分候由
    但三嶋宿ゟ大井川迄之間宿々継立差
     支旅人休泊者勿論食事等ニも困候
     由大井川止ニ付右ゟ先之様子難分
     同様ニ可有之候趣ニ御座候
  甲府
  一御城ケ成無難市中は荒増震潰出火有之
   候由人馬怪我難分趣ニ御座候
  一甲州身延山近辺鰍沢最寄八百軒余潰出
   火有之漸五六十軒も形而已相残候由
  一信州諏訪高遠辺も強ク震兩城共及大破
   一旦往来相止候程之儀人馬怪我難分
  右之往来之旅人等噂及承候侭之儀にて有

  之事實突留候次第ニは無之左様御見分可
  被下候
   《割書:子》十一月九日   吉岡静介
     森山吾八様
   追而豆州下田町凡千軒余震潰之上大津
   浪ニ而押流人馬怪我多分ニ有之番船等
   壱艘も行衛不分ヲロシヤ船両三度も危
   相見候得共無難四五里沖え退碇泊御役
   人方其身計立退荷物不残被押流急之兵
   粮并金子貳千両御廻ニ相成候未聢と之
   儀は難分候由ニ御座候
    右ニ付吉岡静介地震之場所見届ニ被
    抑付罷出候由ニ承候
     十一月十二日写
十三日 大霜快晴寒気也
《割書:三十度》
十四日 大霜快晴西風吹
《割書:三十三度》
十五日 大霜快晴五ツ半過ゟ西風ふく
《割書:二十七度》

 小石川九日出
 去ル四日四ツ時頃江戸大地震御屋敷御城御
 門脇御土蔵外通り屋根瓦不残落大御門脇御
 土蔵両面土落る其外御蔵は大概おち巻 落
 る百間腰瓦所々落る御塀処々傷小石川丁旗
 本屋敷長屋潰る三軒本所深川高橋小笠原下
 屋敷長屋潰る南部表長屋潰る川越郡山玄関
 破る伊東修理大夫潰家アリ御作事家数小家
 六棟潰る其外御城中御塀御堀二十間程落御
 櫓等御破損有之候様子扨又駿州沼津城崩城
 下ニ立家一軒も無之旦出羽守殿ニも漸逃出
 候可間ニ合候位之趣女中等怪我人有之よし
 出火且津浪参り申候趣箱根ゟ先駿州路へ掛
 甚敷三嶋明神社潰藤川山崩レ流二日止ル水
 押出流出有之伊豆山津沼有之下田江筒井河
 路等ヲロシア掛合ニ罷越居侯所漸々命を拾
 ひ申候て槍等如何致候哉跡体もなし相成候
 て家来等ハ大船ニて凌申侯趣ヲロシヤ三十
 間軍艦ハ沖中へゆり出シ申候バツテイラハ
 何方へ歟行申候趣甲州方地震之所駿河豆州

 ゟハ軽く御座候趣佃嶋【「之所」を見せけち】近辺三股辺ニてハ親
 船ニ怪我有之候様子石川嶋御船も危き所之
 様子ニ御座候間追々可申上候扨又五日之夜
 五ツ時頃ゟ浅草聖天町辺より出火川岸通焼
 拂猿若町不残尻火ニ而焼る小梅御屋敷江飛
 火御物見御役長屋裏御門御休息所御炭蔵御
 舟蔵御焼失米御倉御倉奉行御長屋ハ残る炭
 ハ二万俵余焼る千両余之御損毛之趣ニ御座
 候扨四日ハ小地震幾度ト申数不知五日之夜
 五ツ半位打底之大地震小地震昨日迄昼夜と
 て震動致候此上之所心配仕候儀御座候
 上公ニも彼是御世話被遊候三日の夜ハ汐三
 度満申候趣地震之催と人々申候取込ニ付匆
 々申上候以上
   九月

 小石川ゟ
 去ル四日下田辺大地震ニ而怪我死亡人夥敷
 其内大津浪ニ而川路左衛門中村為弥等漸々
 のかれ候位一里程山手江引退当時野陣之由

異船バツテイラはいつれへ被引候哉不相譯
候へ共大船ハ何事もなき由いま〳〵敷事に
御座候同日駿州
久能山大地震ニ而拜殿
神陣寺社等不残破壊火災も有之實ニ以恐入
候事に御座候是ハ玄蕃府ゟ申来無相違候只
神影も悉破損共申御別條無之共申候寺社松
平豊前守家来ゟ運ニハ御別條無之候旨沙汰
ニハ大破之由申候
駿州御城崩市中も夥敷破損之由遠州懸川天
守崩れ市中一軒も不残破壊消失致候是ハ太
田殿寺社役ゟ申来御居も有之無相違天變と
ハ乍申恐入事候ニ御座候今日父子共當番ニ
而出候間何事も不得其意候
六日暁猿若町出火不残焼失小梅御物見へ飛
火御物見小覧御役屋會所御舟藏御腰掛類焼
ニ御座候御米藏御家中長屋ハ無事其大混雑
之處へ七日御鷹野として小梅へ被爲入陣澁
紙等ニ而野陣同様甚愉快の事ニ御座候小子
も御供被仰付罷出申候寒風老人大弱り御一

笑可被下候以上

去ル四日己【巳の誤記】ノ刻頃大地震御屋敷大御門外下
馬東脇御貸藏大崩レ御米藏家上損石垣孕出
シ倒かゝる御城御門東脇御臺所持御藏大崩
大御門西ノ方御藏并御物見大破天神下御圍
込御塀三拾間餘倒西同心長屋瓦屋根不残す
べり御葺替ニ可相成由其外御屋敷内小破ハ
勿論ニ候得共先ツ無別條
御守殿無御別條御殿内御張付少シさけ候位
ニ御座候御屋敷内堀井戸水勢多分ニ相増中
ニハ井桶一ツ丈にも増上ゟ盈れ出候も有之
候當日夜中迄八九度も震ひ少々強き節ハ最
初ニこり外へ逃出候何方ニ而もふせり不申
由ニ御座候翌日も終日折々小震有之御屋敷
外ハ小川町邊二三ヶ所本家長屋共潰有之門
塀なと倒れ澤山ニ有之由櫻田邊ゟ麻布四ツ
谷邊御屋敷ハ西北之方板橋邊ゟ先別而強大
名大南部殿表長屋潰候其外表長屋家上瓦落
往来怪我人も有之町方ニ而ハ瀬戸物屋又油

 屋等ハ別而大騒き之由本郷駒込淺草邊都而
 東ノ方震薄く相聞申候
 一東海道筋別而強く豆州下田ハ大津浪押上
  同所應接小屋場勿論其外所々流失御小屋
  詰之貴賤四百人餘小屋共行方不分筒井紀
  伊守殿川路左衞門尉ハ如何致候哉助川路
  ハ木の枝ニ引懸居候共申候家來〳〵ハ勿
  論行方不分流失ニ相見候由オロシヤ船ハ
  兩度程如何ニも危く相見候へ共立直し無
  難ニ而見物致居候よし取沙汰ニ御座候未
  御城書出不申候故聢と不致候へ共伊豆ノ
  咄ハ御臺所ニ而眞志屋手代御城ニ而承候
  由咄ニ御座候
   張札ニ而本文之通認候所下田津波ハ臺
   子ノ間坊主林《割書:マヽ》娚同所へ參り居候ゟ
   文通之回ニてハ町家不殘押流候へ共先
   ツ士分之者ニハ別條無之家來ニハ未相
   分由申參候書面ハ寫間ニ合兼候間後便
   ニ差下入御覧可申候

 一御徒菊池久平
  禁裏御太刀介添ニ而四日朝三島出立四里
  參り箱根之宿へ參着之節本陣迎ニ罷出是
  非御立寄被下候樣申候付断候へ共前振ニ
  而立而願候付立寄候而洗足場抔出シ上り
  候樣申候得共指急候故腰掛休居候内地震
  ニ而最初ハ爲指事も有之間敷存居候内嚴
  敷相成家内不殘外へ駈出候樣子ニ付久平
  始一同往來へ逃候所打倒され候如くづゝ
  と倒其内ニ本陣を始脇本陣其外とも九軒
  ひしと傾き夥敷音唱又老若男女㕸叫誠大
  變之由右故九ツ時頃ニ至り漸々一足出候
  而四里の難所を下り候道々山坂大石等落
  重り又山ニ而も崩候哉瀧水往來へ流出小
  田原へ參候迄ハ雪おろしの如く鳴立八度
  計相間候よし先ツ〳〵無難ニ而小田原へ
  參り承候へハ同所ハ勢州之地震之節ゟ靜
  之由申聞にて破損も見へ不申候由右本陣
  を逃出候節槍持も鎗立懸置一刀をも拔置
  候儘外へ出候故鎗ハ中ゟ折木刀も家の下

  ニ相成漸曳出候由久平去る六日下着昨八
  日御役所へ罷出候而直の咄ニ承候實ニ怪
  き事ニ御座候

 一石川島へ御醫師詰居候所四日朝大橋順清
  代り合として罷越候所地震は相止候跡ニ
  有之前々居候者申候は昨日今日共滿の汐
  指引共ニ狂ひ時刻來候而も汐引不申如何
  之事欤と不思議ニ在居候由地震之節は海
  底も狂ひ候事は見へ候との咄ニ御座候
 一前中納言大君ニは毎朝日の雲を御覧被遊
  候由四日ニは今日は西の方ニ甚不宜雲出
  候天變ニ而も無之は宜との御意被遊右變
  の後惡雲地震とは不思との御意之由同節
  御守殿ニ被爲入火之元御世話被遊候節御
  咄も伺候由女中共ゟ同姓承申候

 一五日夜四ツ時頃猿若町ゟ出火折節北西風
  烈敷大火ニ相成候川向小梅御屋敷御物見

  飛火同前不残御徒目付役家并表御門番所
  共御茶屋御船藏炭藏不残焼失追々爲御登
  之炭壹萬六千俵餘其外御勝手方買置候炭
  共ニ貳万俵丸々焼失火事地震之御物入莫
  太ニ而御普請方ニて晝夜取掛り大混雑家
  中同七日同所へ
  上公御鷹野として可被爲入尤御腰辨當御
  先詰杯は野陣同様居候所無之
  上公ニは同所百姓家ニ御入被遊同日は別
  而大御勝負澤山ニ被爲在御満悦之由相聞
  候

 一昨廿八日飛脚屋島屋左衛門申出左之通
  東海道地震去ル四日辰の中刻三嶋宿ゟ遠
  州見附邊間之宿は不残倒れ夫ゟ出火ニ相
  成
  御城は勿論其外在々ニ至迄大倒死人等不
  相分趣見附宿ゟ申來候其先之義は不相分
  候得共此段御注進申上候
    十一月八日   島屋左衛門

   城倒候は駿河沼津大田等夥敷事之由手
   代之咄
  
   子一月九日仕出さる方へ
 去ル四日貴地も大地震之由當地は先便申上
 候通所々ニ潰家相見申候利根川行徳邊船ニ
 は怪我人有之と申事ニ御座候此度之地震諸
 国の内別而強御座候ハ甲州駿州遠州見附邊
 相州小田原邊と申事ニ而 御城書ニも出候
 得共未写取不申候間後便入御覧申候當地今
 ニ日々地震皆々心落付不申火之元用心等別
 而嚴敷諸向火鉢之蓋相渡置候様御達ニ御座
 候右地震之朝
 前様ゟ雑賀殿へ 御意御座候は今日西南ニ
 當て雲有之は定而變事可有之依而用心可致
 旨被
 仰出候由誠ニ恐入候義ニ御座候前年下田へ
 参居候異船大津浪ニも崩不申由誠ニ残念仕
 候併両三度も岩へ乗上六ツケ敷相見候由異
 人四五人行衛相見不申候船破損も少々ニ可

 有之と申事ニ御座候近日浦賀へ相廻可申由
 ニ御座候夫々去ル五日夜四ツ時比浅草猿若
 町貳丁目ゟ出火ニ而花川戸邊一圓西北風ニ
 而川を隔小梅御屋敷炭蔵御物見御茶屋御船
 蔵并御門共不残御焼失ニ相成申候尤御長屋
 向は残申候寒サニ相成兎角騒々敷當年ハ凶
 事勝ニ而相困申候
    十一月九日
  尚々御地之地震之節何欤響候由當地は何
  等相聞不申候
   下田大津浪
 當四日大地震ニ而東海道藤枝宿ゟ小田原宿
 迄之間宿々人家潰其上出火ニ相成沼津鞠子
 両宿出火無之候得とも津浪入沼津御城焼失
 駿府御天守落候由田中御城焼失之由同日甲
 府大地震ニ而町々人家潰候由
  伹出火怪我人無之由

 一川路左衛門行衛不相見候共山上【「山」を見せ消ち】ニ人有之
  と追々之沙汰

   本文川路殿無事之由
 一筒井伊賀守殿是ハ山上へ逃出別條無之候
  尤武具等ハ不残大浪ニ被引候由
十六日 朝よりくもり五ツ時よりてり立西風
《割書:貳十八度|穀町》  さむし夜ニ入五ツ時雪少しふる直ニ
《割書:籾三斗四五升|》 はれ
十七日 朝より快晴五ツ半時ゟ大西風吹九ツ
《割書:二十九度|平潟玄米》  時止八ツ時より又々吹出夕方止夜五
《割書:三五入三十俵|大伴白米》 ツ半吹出四ツ時止
《割書:外ニ貳斗五升|魚油拾九両 菜種七斗五升》
十八日 大霜快晴四ツ過より西風すこし吹
《割書:三十度|入寒》
十九日 大霜快晴
《割書:三十一度》
廿 日 大霜快晴
《割書:三十三度》
廿一日 大霜快晴
《割書:三十三度》
廿二日 大霜快晴
廿三日 快晴霜少しむら雲寒気も薄し夜ニ入

《割書:水戸ニ而|完戸玄米七斗五升》くもる
《割書:大豆八斗四五升|小豆九升》
《割書:礒粕拾壹〆位入壹俵三百文ノニ直段立|》
  摂州大坂市中大變をしるす
 嘉永七甲寅十一月四日朝五半時ゟ大地震ゆ
 り初メ凡半時計ゆり市中人々東西南北には
 せ通り其騒動いわんかたなし大坂市中崩或
 はゆがミ又は菱成ニ相成候處筆紙ニ難盡市
 中ニ崩たる所凡貳百ヶ所餘宮寺抔も大ニ崩
 れ損し天王寺塔ゆがみ有之然る所翌五日七
 ツ時又大地震半時計ゆり夫ゟ何方共なく大
 ニうなり皆々驚其音雷ニひとしく市中大ニ
 さわき又暮六ツ時ニ大地震又々半時計ゆり
 同六ツ半時頃沖より貳丈計なる大津浪出来
 誠ニ海邊騒動目もあてらぬ事ともなり然ル
 所阿治川きず川筋數千之大船小船とも一時
 ニ打かさなり川筋さして流込道頓堀川筋に
 にては日吉橋汐見橋幸橋住吉橋金谷橋長堀
 にては高橋堀井川ニては水分橋黒金橋其外
 阿治川橋亀井橋一時ニ落數千之船大黒橋ニ

 而山の如ク重り其下じきになり人は人もた
 すくる者稀なり市中町人四日之地震に恐れ
 皆々茶船屋船又は三十石杯ニ乗り夜をあか
 す人おびたゝしく有之候所近邊居合候船悉
 くくたけをほれ死ス人何千人と云數をしら
 す大和小船のくたけたる事又怪我人人家之
 損し崩れすへて川筋の損し新田廻り海岸の
 人家は不申及其夜市中の人々は八方へ散乱
 する事誠ニ前代見聞之事ニ御座候
  泉州堺大坂近邊
 堺市中大津浪ニ而大混雑人家壹軒も無事な
 らず夫ゟ佐野邊ゟ貝塚岸之和田すへて比近
 邊往来筋こと〳〵く崩れ損したる所數不知
 右同断兵庫西の宮すへて此近邊大津浪ニ而
 大坂同様ニ御座候
 尼ケ崎
  四日大地震ニ而築地家數貳百軒計辰巳之
  渡し両詰宿屋茶店とも不残崩市中三百軒
  餘り崩れ内川八尺餘髙水となる五日夜迄
  三十五度のゆり死人凡百人餘怪我人數し

  れす
 奈良
  四日朝五ツ時半ゟ大地震ニ而十人も内ニ
  入人なし家土蔵崩清水邊西手がい通り五
  六軒崩れ五日大地震にて先ニのこり候家
  ハ又大崩れ并郡山右同断之大地震に御座
  候
 同波䓢部【丹波園部ヵ】
  四日五時ゟ大地震ニ而家數凡貳百軒あま
  り崩れ死人貳百人餘うせ人數しれす近在
  六ヶ所大損し三田凡七十軒計崩れ其近在
  九ヶ村大損し家數凡百四五十軒崩れ怪我
  人多死人凡五十人うせ人數不知
 伊勢
 志摩
  五日暮方より大津浪にて四日市桑名神戸
  鳥羽白子津此邊大津浪に而流る人數不知
  志摩城下は家中家敷其外津波ニ而大流れ
 京都は格別之事も無之由
 右之通申来候間無残別紙書付差上申候以上
かしょ

 小石川添田公より十九日出
 扨四日地震も御同封之様子初而右様之地震
 ニ逢實ニ恐怖仕候武甲相豆駿遠ニ総安房常
 陸位と存候所追々大變ニ而勢攝讃州邊一圓
 之様子ニ而讃州は城中初府下一圓ニ潰家等
 有之死人等も多御座候由勢州津ノ城も崩申
 候趣大坂は震後津沼天保山邊一圓舟引れ數
 百艘行方不知相成候趣其外東ゟ西迄南ノ方
 半靣一圓之様子ニ御座候處往来止り居何方
 も音信無之候東國は至而軽御座候様子先日
 織三郎様へ申上候分不取逢沙汰のミ認候所
 此節下田之實説も相分り申候下田と申所御
 地平磯の様なる所ニ而裏ニ高キを構居申候
 而地震ニ付人々逃出申候處津浪〳〵と申候
 ニ付裏山へ逃登申候所津浪四度参り下田八
 分餘流失ニ相成候馬人とも行方不知ニ相成
 候所も有之土蔵杯も少々は引残り御座候趣
 右ニ異船よりも願出等有之候ニ付掛り之役
 人参り不申立所御勘定吟味植村と申人衣服
 等先は全備致居候ニ付江戸表ヘ来ル筒井河

 路等馬駕籠流失は是にても相知り申候
 扨異船は津浪にて大洋へ五十里計引出され
 人々見居候内三度程危く相見申候處先ツ無
 難ニ帰リ来り申候へ共槳折碎破口ゟ時計一
 周ニ入水高サ一尺餘ツヽ薪水食物等皆水ニ
 浸り申候而怪我人等も有之候船シキ銅張申
 候所多分に傷申候趣右ニ付船も修覆仕度尚
 漂流人御取扱ニ而よろしく来春迄御指置奉
 願候銅等も奉願候先日被下ニ相成候米も水
 ニ浸り申候趣来春氷の融候を待間道を帰り
 申度趣彌英吉利ニ戦敗之義は實事ニ御座候
 様子ニ而此度は如何ニも閉口難儀の様子ニ
 御座候由且又怪我人等は未夕不申出候へ共
 船中諸道具ト人ト豆はりの様ニゆり立られ
 定而怪我人も澤山と存候時計一周と申は日
 本ニ而一晝夜ニ御座候所異国ニ而は日本一
 刻位を一周と申哉ニ御座候
 〇久能山守護神原越中守地震ニ付木ニつた
 わりよふ〳〵と御廟へ参り 御神主様奉抱
 出るト御廟は倒れ申候趣駿河府中御城は不

 残潰る出火ハなし沼津蒲原興津ハ一軒も建
 家なし箱根ゟ先は潰家多き様子也
 〇筑波椎能近邊崩れ申候趣其外山々崩れ申
 候趣ニ御座候所眞壁御間栖様等は山はなれ
 居候間御無難と奉存候当節江戸表地震の噂
 のミにて何事も無之併往来止り居才達之事
 更ニ相分り兼申候十六日方長崎奉行着之由
 ニ候所未夕着不仕候如何の事ニ御座候哉
廿四日 霜ふる快晴寒気薄し晝後より少々さ
《割書:三十一度|》  むし
廿五日 朝薄くもり寒気八ツ時位より雨ふり
《割書:三十五度|》  夜ニ入明方雨つよし
廿六日 宵より雨ふり五ツ時雨止又々小雨ふ
《割書:五十三度|》  り風立南風にて暖気なり大雨時々夕
    方ゟ止夜ニ入又々大雨明方ふる
廿七日 宵雨つよし六ツ半時ゟあられふる又
《割書:四十二度|》  々雪ニ成ル一時計にて雪止四ツ時よ
    り晴西風快晴ニ成ル
廿八日 霜ふる快晴西風吹
《割書:三十四度|》

廿九日 大霜快晴西風吹
 当春先年用金献納之外ニ又々此度上下御町
 之御用金貳千両被仰出候
 塩追々引上江戸ニ而江戸ニ而拾四〆五分才
 田ニ而赤穂九〆位
 当月四日上方筋大地震大津浪之節ハ当地磯
 は南湊平磯邊津浪参り候由高サ貳三丈位ニ
 浪立幾度も参申候よし鹿島ハ地震も津波も
 無之候よし
  十二月
朔 日 霜ふる快晴寒気ゆるミ
《割書:三十七度》
二 日 大霜寒気つよし
《割書:三十四度》
三 日 大霜寒気つよし夕方より寒気殊之外
《割書:三十四度》  つよし夜四時地震
四 日 大霜寒気つよし晝四ツ半過地震七ツ
《割書:貳十八度》  時地震
 小石川ゟ

 先日得貴意候外數多諸国大震ニ御座候阿波
 土佐抔も城内ハ別條無之候得共家中屋敷郷
 町潰落焼失丸焼之ふり御居書ニ相見遠州御
 家陣屋《割書:御代官林|伊太郎》不残震潰レ六万石支配之内
 三千軒餘皆潰死人百人【「同」を見せ消ち】餘土蔵百七十ヶ所潰
 候由肥後讃岐も大破之由居書見申【挿入】候不容易天
 變可恐事ニ御座候下田異船まきりかわしと
 申しきへ銅間張付候板九丈程放レニ付水十
 分ニ船中へ押入日々夜々龍吐水數丁ニ而水
 を秡切候へ共船中六七尺水押入今以破口ゟ
 水入候間中々くミたし之事も不相成異人共
 大難澁之由ニ御座候是ハせめてもの事ニ御
 座候
  十一月廿九日
五日 大霜快晴寒気
《割書:二十九度|》
六日 大霜快晴寒気也
《割書:玄米七斗五升|籾三斗四五升》
七日 大霜快晴寒気夜七ツ時地震
《割書:二十九度|》

八日 大霜快晴
《割書:三十四度》
安政と改元被仰出候
九日 大霜快晴寒気四ツ時より西風つよし
   九ツ時止
 子十一月廿五日ロシヤ船駿州沖ニ而破船之
 始末吉岡静助ゟ森山氏へ文通【赤字文字で記入】
 寅十一月廿五日夜南大風發シ大雨ニ相成下
 田ゟ円【同ヵ】州 戸田(ヘタ)みなとへ可相成ロシヤ船江水
 先と唱候同所/六百石積(騎や吉兵衛船【赤文字で記入】)船へも異人貳十人余
 も乗込出候途中ニ而急ニ大難風ニ逢大水先
 船は《割書:案内船【赤文字で記入】|二候【赤文字で記入】》沼津と原之間字壹本松と申所濱
 上へ乗上ヶ黒船ハ原と吉原の間駿州/小須(ヲス【赤文字で記入】)添
 地先へ碇泊直ニハツテイヲ江飛乗元船ゟ大
 網ヲ下ヶ右網ヲ壹人體へ結付浪の中を潜り
 游より岡ニ而大網ヲ引張居夫ゟ小網ヲ其身
 江結付右網ヲ手グリ高浪を潜り凌追々岳へ
 上り一同一命計助り見る内ニ元船ハ水入ニ
 相成候由ニ御座候
  但当時駿州原宿吉原宿之間字宮しまと申

   所ニ有之候由ニ御座候事
  子十二月九日
十 日 大霜寒気快晴四ツ時ゟ西風少々吹九
《割書:三十三度》  ツ時止
十一日 大霜快晴寒気強
《割書:三十度》
十二日 大霜快晴
《割書:三十四度》
十三日 大霜快晴寒気つよし暖気なり
《割書:三十三度》
十四日 大霜快晴
《割書:三十四度》
十五日 明方より雨ふり九ツ時より止夜九ツ
    時地震
十六日 朝より快晴九ツ半過より大西風吹出
《割書:四十度 》  し終夜風つよし
 当十一月四日辰中刻同五日申下刻大地震兩
 度有之京都は六月中同様ニつよし大坂地震
 つよく五日大津浪天保山打越安治川口木津
 川口大船小船打揚破船死人不知敷

 兵庫  ゆるし   尼ケ崎 《割書:津なミ|入家潰》
 阿波徳嶋 《割書:津浪|人家潰》   紀州浦 同 断
 志州鳥羽 《割書:同 断|大あれ》   山田町 《割書:地しん|大あれ》
 大神宮御社内地震なし
 津    《割書:津なみ|地しん》   《割書:四日市|桑名|宮》  《割書:地震| はかり》
 熱田御社内《割書:六月此度共地震一切無之候ニ|付毎月人々参詣澤山ニ御座候》
 《割書:鳴海|池鯉鮒》  《割書:少 々|いたミ》    《割書:岡 崎|矢はき橋》 《割書:貳ヶ所高|ひくニなる》
 荒井御場所宿津浪行方不知
 舞坂  《割書:津浪死人|數しれす》   濱松   《割書:少 々|いたミ》
 見付  半やけ   袋井   丸やけ
 掛川  《割書:丸やけ|怪我人澤山》   日坂   無 難
 金谷  《割書:西の方三分一|やける大道われ》  嶋田   《割書:少 々|つぶれ》
 岡部  半やけ   丸子   半やけ
 府中  《割書:御城いたミ江川町|ゟ出火三分一焼》  江尻  丸やけ
 沖津  高浪    三保松原 つぶれ
 由井  半潰れ   蒲原   《割書:問屋より|東やける》
 岩淵  半 崩   富士川  《割書:山崩レ水な|しニなる》
 吉原  丸やけ
 原   半いたミ  沼津   半潰れ
 三嶋明神より東方やけ其外つふれる

 箱根  《割書:半つふれ|山崩あり》 甲府 《割書:大地震|大あれ》
 木曽海道信州軽井沢より上方つよく岩村田
 半潰れ東海道未タ飛脚上り通行無之候
 外池市兵衛江洲ゟ指出候書付之写
十七(節分)日 大霜快晴寒気殊之外つよし宵日より
《割書:二十六度|当十二日伊豆》 西大風つよし四ツ半時より俄ニくも
《割書:下田江又々アメ |リカ船壹艘参》り雪降壹時計にて止八ツ過ゟ風止快
《割書:り候よし|アハタムス乗居候由》晴
十八日 大霜快晴寒気殊之外つよし
《割書:二十八度》
十九日 朝より快晴暖気なり
廿 日 朝くもり時雨空時々晴
廿一日 朝より快晴九ツ過より大西風吹終夜
    風つよし明方止
廿二日 明方風止又々五ツ時ゟ吹出し四ツ過
《割書:今月上下御町|御用金納》 より止
廿三日 朝より快晴暖気なり
《割書:三十四度》
廿四日 朝より快晴暖気なり
《割書:四十四度》

 魯西亞船下田ニ而津浪大船傷れ出来候ニ付
 御修覆之義奉願石川嶋より御修覆御用ニ而
 罷越可申と御達ニ相成候所下田ニ而修覆所
 不宣候趣ヲロシヤ申出何とそへ夕裏江漕出
 申候所海上壹里程乗出し申候所右傷口より
 水入申候よしの所少々風惡敷異人骨折右水
 汲立申候へとも騒立候而汲ミ間ニ合かね候
 所へ舟段々ニしつミ申候ニ付異人ハ不残ハ
 ツテイラニ而逃申候所舟ハ浸ミ切申候而水
 中ニ帆柱の頭出る見申候由ニ御座候異人六
 七人ニ御座候所西洋舟へ御賴被遊候欤又ハ
 西洋より通達致迎船参り候欤ニ御取扱と申
 事ニ御座候先ツ漂流人御取扱ニ而下田ニ居
 申候去ル九日又々亞墨利加舟壹艘下田江着
 アハタムス参り申候趣跡舟着次第願之義申
 上候趣ニ御座候
廿五日 朝よりくもり九ツ過より快晴
《割書:四十度》
廿六日 朝より快晴
《割書:三十八度》

廿七日 朝より快晴九ツ時ゟくもり又々快晴
《割書:三十四度》
廿八日 大霜快晴
《割書:三十四度》
廿九日 大霜餘寒つよし快晴
《割書:三十四度》
晦 日 朝より快晴四ツ半過より俄に潮きり
    杯の様にくもり西南の風吹出し夕方
    止
 今日廿六日相洲大山町焼不動尊も焼候由
 十二月廿八日夜五時内神田連雀町ゟ出火折
 節西北風烈敷多丁一丁目貳丁目新銀丁立横
 大工町雉子丁少々残る三川丁一二三丁目焼
 四丁目角残る皆川丁鎌倉丁りうかん丁永富
 丁もんとりく川合新道上白壁町爉燭丁関口
 丁財木丁御屋敷残るすた丁二丁め表かわ残
 る一丁めやける新石町鍋丁鍛治丁二丁め一
 丁め小柳丁一丁め少々やける二丁目残らす
 三丁め少々残る平永丁くろは丁松田丁豊嶋
 丁代地河岸丁富山町永井丁さへ木丁代地少

 やける紺屋丁一二丁目元のり物丁同所小橋
 落今川橋残白かね丁一二三四丁め木石丁一
 二三丁め時のかね焼四丁目大横丁少シ残る
 いわ付丁本丁四丁目角少焼二丁目不残焼十
 軒【間を見せて消し】店辺不残両替丁品川丁針店北さや丁一石
 橋角迄こと〳〵く焼かね吹丁本かはや丁駿
 河丁室町一二三丁めせともの丁中程より東
 の方残本小田原丁一二永澤丁安じん丁本ふ
 な丁江戸橋角少し残るいせ丁焼る日本橋江
 戸橋一石橋別條なし魚がし不残是にてよく
 朝五ツ半時よう〳〵鎮火
 町數八十五ヶ町里數にして貳里十三丁
 落蔵四百五十七ヶ所

   安政二乙卯
元 日 朝四方とも雲有去なかく中天は快晴
《割書:丒》   至極穏也南ニ而暖気八ツ過俄ニくも
    り雪降直ニやむ夕方より又々大雪三
    四寸四ツ時快晴
二 日 朝殊之外快晴九ツ時西風つよし直ニ
《割書:先月廿八日江戸表|神田邊より出火|にて大火之よし》やむ
三 日 朝より快晴
四 日 朝くもる七ツ過ゟ雨ふり夕方止
五 日 朝より快晴九ツ時位より大西南の風
《割書:梅花|よほと開》  吹土煙り吹立曇り候ことくになる夕方
    より風しとろになる
六 日 朝より快晴明六時より大西風ふく夕
《割書:三十七度|》  方迄やすみなしに吹七ツ半時より風
    止
七 日 朝より快晴寒気つよし
《割書:三十三度》
八 日 夜明方雨少しふる六時より快晴暖気
《割書:四十三度|》  なり夕方よりくもり夜ニ入雨ふり大
    南風明方迄ふく

九 日 明六ツ時より大南風吹八ツ時よりく
《割書:五十九度|》  もり■【雨冠に氷:氷雨(雹)ヵ】ふり雷聲半時計ニ而快晴七ツ
    時俄ニ北風ニなり又々雷聲■【同右】餘ほと
    ふる七ツ半過快晴むら雲
十 日 朝より快晴暖気也乾風ふく
《割書:四十七度|》
十一日 朝よりくもり五ツ時ゟ小雨ふる折々
《割書:三十七度|》  つよし終日雨夜中も雨つよし
十二日 朝くもり六半時より快晴暖気なり九
《割書:五十四度|鰯粕漁事》  ツ時位より西風つよし夕方風止夜ニ
《割書:拾貳三〆伍ニ而 |壹〆四分ゟ》入四ツ時より又々風つよし雪ふる
《割書:壹〆五分迄|》
十三日 朝くもり六ツ半時より晴寒気五ツ半
《割書:三十五度》  時よほとつよき地震夕方より曇四ツ過
    雪降
十四日 朝より快晴寒気四ツ過より西風吹
《割書:三十四度|》
十五日 大霜快晴寒気つよし
《割書:三十四度|》
十六日 朝より快晴

十七日 朝くもり暖気なり
《割書:四十四度|》
十八日 朝より快晴殊之外暖気長閑なり
十九日 朝より快晴暖気折々むら雲
廿 日 朝よりくもり折々雨ふり暖気なり四
《割書:五十五度|》 ツ時位より終日雨合なしにふる夜ニ
    入四ツ時迄は大雨なり
廿一日 朝よりくもる暖気也度々雨ふり七ツ
《割書:五十八度|》 時ゟ止夜九ツ時地震ゆる
廿二日 朝よりくもり暖気也四時より快晴
《割書:五十四度|》
廿三日 朝くもり五ツ時より天気むら雲七ツ
《割書:五十三度|》 時よりくもり
廿四日 朝よりくもりさむし九ツ過ゟ雨ふり
    出し終日夜中も雨ふる
 昨日熊小僧と申見せもの参り候ニ付見候所
 年ハいまた十一二才位ニ而生れハ至極綺麗
 ニ候得共靣体惣身ニ毛一靣ニ生顔も額より
 あたままて毛生眉毛とひたいの間目のあた
 り一靣にて眉毛の所は眉毛なりに毛たかく

 相成候地はた白キ所へ黒毛一面ニ生候間誠
 ニ美しく熊の毛のことし
廿五日 宵より雨ふり冷気なり終日雨ふり夜
《割書:四十五度|》  中雨つよし夕方より暖気ニなる
廿六日 朝くもり五ツ時より晴暖気なり終日
《割書:五十度|》  くもり空にて待合
廿七日 朝より快晴暖気なり
《割書:四十八度|》
廿八日 朝より快晴暖気也殊之外暖気にて南
《割書:四十八度|》  もやうなり
廿九日 宵よりくもり南風吹暖気なり夕方迄
《割書:桃口切|彼岸桜咲》  南風殊之外つよし夕方止

   二月
《割書:初午|四十四度》
朔 日 朝より快晴寒気立【見消ち「戻」】返り北風折々くも
《割書:彼岸|》   り
二 日 朝より快晴むら雲さむし北風吹
《割書:四十貳度|》
三 日 夜中より雨ふりさむし終日雨合なし

《割書:四十三度|》  にふる夜ニ入雨止餘寒
四 日 大霜氷はりおりけ立快晴餘寒つよし
《割書:三十八度|》
五 日 朝くもり五ツ時ゟ快晴さむし
《割書:三十八度|》
六 日 朝よりくもり九ツ時より雨ふりさむ
《割書:桃花盛 |》  し追々雨つよし夜四ツ時北風雨合な
    しニふる
七 日 宵より雨大北風にて明方止四ツ時よ
《割書:四十度 |》  り風吹出しさむし四ツ過ゟ時々あら
    れふる終日あられまじり雨風殊之外
    さむし夜ニ入大北風雨あられ夜明迄
    つよし
八 日 明方雨止四ツ時ゟ快晴
九 日 朝より快晴霜ふる
《割書:四十五度|》
十 日 朝より曇りさむし四ツ過より快晴
《割書:四十五度|》
十一日 朝よりくもり北風ニ而さむし七ツ時
    より雨ふり夜ニ入つよし

十二日 宵より雨ふり北風さむし大吹降九ツ
    半時地震ゆる北風つよし雨も夜中迄
    つよし四ツ時ゟ南もやうニ成風止雨
    つよし少々雷聲稲光あり
十三日 朝より快晴九ツ過ゟくもり八ツ時よ
《割書:四十九度|》  り小雨八ツ半時ゟ七ツ時迄雷雨七ツ
    半時止
十四日 朝より快晴夕方ゟくもり夜ニ入少々
    雷雨直ニやむ
十五日 朝より快晴
《割書:四十七度|》
十六日 朝より快晴夕方ゟくもり夜四ツ時よ
《割書:昨日四月七日|方追鳥狩有之》 り雨ふり
《割書:候趣御達ニ相|成候よし》
十七日 明七ツ時地震宵より雨ふり
《割書:五十七度|》
十八日 朝くもり四ツ半時より快晴
《割書:桜咲|》
十九日 霜ふる快晴さむし未申ノ風吹夕方止
《割書:四十四度|》

    卯二月十九日御用
 大寄合頭再勤七百石被下 大場風軒
 《割書:學校奉行兼職大御番頭 |再勤都合六百石》      武田耕雲齋
 五十石石御増      青山量太郎
 《割書:御小性頭再勤弘道館|教授頭取》       會澤憇齋
 御小納戸        櫻井小三郎
 《割書:金三十五両七人扶持|御城貳百石積役如元|御小性頭》       大場彌之介
 跡式小普請       黒澤忠五郎
 御馬廻り        大關恒衛門
 《割書:大御番|十五石人扶持 》        曾澤熊三
 御代官列        濱野茂衛門
 《割書:代々御同朋列 |百五十石》        近藤長之助
 《割書:御徒列鄕士|四人扶持被下 》        大窪貞吉
  坦々之儀       福地政次郎
  坦々之儀       大古花兵衛
  支配所之儀      村田浬介
  支配所之儀      太田甚太夫【以右四名の名の上を弧で繋ぐ】
  御城代組之儀     橋本介七
廿 日 朝より快晴さむし昨夜九ツ時ゟ今朝
《割書:四十五度|伊領本郷》 迄未申ノ方ニあたり候而大風之發候

《割書:橋本運八と申人 |昨日郷士被仰出》様之音いたし候
《割書:由にて見舞ニ|参り》
廿一日 朝より快晴上天気夕方よりむら雲暮
《割書:五十度 |桜眞盛》  六時より雨ふり雷聲五ツ過止
廿二日 朝むら雲五ツ時ゟ快晴
《割書:五十度|》
廿三日 朝より快晴
廿四日 朝より快晴
廿五日 朝より快晴
廿六日 朝より快晴四ツ時より南風吹出大風
《割書:五十四度|》  にて一晝夜休ミなしニ吹
廿七日 宵より南風吹快晴九ツ過より雨ふり
《割書:六十四度|》  夕方八ツ時地震
廿八日 朝薄くもり四ツ過よりてり立快晴
《割書:五十度|》
廿九日 朝薄くもり五時ゟ快晴
《割書:四十六度|》
晦 日 朝より快晴

   三 月

朔 日 薄くもり四ツ過ゟてり立南風夕方迄
《割書:五十八度》  つよし
二 日 朝より快晴軽暑くらひ
三 日 朝薄くもり暖気なり七ツ過より雨ふ
    り出し夜中雨つよし
四 日 朝よりくもり暖気なり夜五ツ時ゟ雨
    ふり北風になる
五 日 朝くもり五ツ半時ゟ雨ふり折々雨降
《割書:五十五度|》
 三月朔日夜九ツ半時小網町壹町目ゟ出火同
 貳丁目三丁目小舟町三町目田所町油町塩町
 半焼横山町三丁目不残焼る馬口勞町壹丁目
 半焼同貳丁目八分通り焼る同三四【田を見せ消し】町目丸焼
 見附焼落る浅草かや町東通りゟ大川端迄代
 地不残本田様迄丸焼浅草御蔵伊賀様屋敷焼
 留る小網町照降町よし町甚右衛門町大坂町
 半焼なにわ町すミよし町いつミ町堺町吹屋
 町乗物町長谷川町富澤町元浜町不残へつつ
 いかし【竈河岸】薬研堀米澤町壹貳丁目丸焼三丁目半
 焼橘町子【不ヵ】残横山町同朋町村松町柳原同朋町

 吉川町神田川通り浅草見附下通不残焼る■【丸に大】
 残る
六 日 朝より快晴
《割書:五十七度|》
七 日 朝より雨ふり八ツ半過より雨やむ冷
    気なり
八 日 朝より快晴さむし
《割書:四十七度|》
九 日 明六ツ時地震快晴夜五ツ過より雨夕
    立
十 日 朝くもり五ツ時より快晴
《割書:五十八度|》
十一日 朝くもり五ツ過より快晴
十二日 朝薄くもる五ツ時ゟ快晴
十三日 朝薄くもり北風なり夜ニ入雨ふり
《割書:五十八度|》
十四日 明方より雨ふり終日くもり空夕方よ
《割書:五十八度|》  り雷雨五ツ時止快晴
十五日 朝より快晴西風つよし
十六日 朝より快晴四ツ半過より軽暑位

十七日 朝よりくもり四ツ過より雨ふりに□(ムシ)
    八ツ時より雨止
十八日 朝より快晴夜ニ入雨ふる
《割書:六十度|》
十九日 宵より小雨ふる暖気なり夜五ツ時よ
《割書:六十度 |》  り大雨
廿 日 朝より快晴
《割書:四十九度|》
廿一日 朝より快晴
《割書:五十一度|》
廿二日 朝より快晴
《割書:五十五度|》
廿三日
廿四日
廿五日
廿六日 朝より快晴
廿七日 朝薄くもりきり雨ふり直ニやむ終日
    くもり空なり
廿八日 朝むら雲南風吹
廿九日 朝より快晴

 当君様来春御帰国の御内沙汰被 迎出候

   四 月
朔 日 朝より快晴
《割書:五十八度|》
二 日 朝より快晴暑し
三 日 朝きりふる四ツ時より快晴南西の風
    つよし多【ママ】方より雨ふり
四 日 朝雨ふり五ツ半時ゟはれ九ツ過より
    快晴
五 日 朝より快晴夜ニ入薄くもり
《割書:六十五度|》
六 日 朝よりくもり終日くもり空なり
七 日 朝よりくもり明六ツ時より雨ふり終
《割書:御鷹狩|御延ニ成ル 》 日雨つよし夜中迄雨つよし
八 日 朝より快晴夜ニ入くもり
九 日 朝大くもり明方よりはれ四ツ時より
《割書:追鳥狩無御 |滞相濟》 快晴
 柳堤柵堅被仰付
 《割書:御町與力|》大都丹蔵 大高六右衛門 近藤長之助

  小泉文太郎   和田忠左衛門  大高/駒(カ)三郎
  加藤又右衛門忰 御町同心二人
  大都氏壹丁持   塙長四郎
                  岩澤政九朗
  我等鎧炮壹丁持  御印鎧炮二丁
  近等三丁待    三布白御幕二張
十 日 朝より快晴
十一日 朝より快晴夜ニ入四ツ過より雨ふり
十二日 朝より快晴五ツ半時よりくもり七ツ
《割書:七十度 |》  過より雨ふり終夜雨ふり
十三日 宵より雨ふり九ツ時より雨止
《割書:六十三度|》
十四日 朝より快晴
《割書:六十三度|》
十五日 朝より快晴
《割書:六十四度|》
十六日 朝より快晴
《割書:六十五度|御田楽アリ》
 今日朝四ツ半過より辰巳沖より来又戻る様
 子ニ候處北沖江走今夕方迄東沖ニ而来廻レ
 居申候様子申上候

【異国船の図】









   長サ貳十間ワキ六間
   大筒片かわ十貳ツヽ廿四丁
   ヘサキ四丁トモ四丁
    〆三十六丁
     トモトヘサキ江十貳本ツヽ抜見の
     鑓を立
   人数三百人餘 何レも交易を好候由
 異国船壹艘当十六日朝五ツ半時より南方之
 沖ニ相見申候湊之陸より壹里半位沖ニ御座
 候夫より船の表を北方へ向走りあるき又々

 船之表を南方へ向ヶ走り申候追々陸近ク只
 今ニ而ては半里餘位ニ御座候帆形船形等能
 う知レ別紙の通繪圖相認メ指上申【挿入】候夕刻ニ及
 候共湊近海ニはせあるき罷在申候アメリカ
 之船ト申事ニ御座候一寸御案内申上候
   四月十六日    峰岸善三郎
    大高六衛門様
 一ノ先今夜詰候
 今朝四ツ過退帆いたし候よし
十七日 朝より快晴終日上天気
《割書:今日河原子ニ而 |黒船見候由注|進》御祭禮無御滞相濟
十八日 朝薄くもり四ツ時ゟ快晴軽暑なり
《割書:六十八度|》
 当十五日磯ミナト大漁事大鰯ニ而油もの壹
 玉にニ而八升位ツヽ油出候よし
 直段ハ壹匁七八分買入なし
 今日いそミナト出役候御方引拂ニ相成候
十九日 朝より薄くもり終日むら雲北風なり
廿 日 明方より雨ふり北風也七ツ時迄ちり
《割書:六十五度|》  〳〵降

廿一日 朝より快晴むら雲九ツ時俄雨ふる直
《割書:六十八度|》  ニやむ快晴
 右異船は下田を十三日ニ出帆致候所風不宜
 此邊江参り申候由
    当節のもの書付
 有さうでないものは    《割書:武家方の貸具足|海防掛りの御了簡》
 なさそうで有物は     《割書:權門方の音物|下田の交易》
 永續しさうもないものは  《割書:学問所の出席|諸組の調練》
 永續さうなものは     《割書:武家方の困窮|異国船の渡来》
 出さうで出ぬものは    《割書:弃捐|佃島の大船》
 出来さうもなひ物は    《割書:浅くさ見付|講武場》
 上りそうで上らぬものは  《割書:江戸市中の御用金|魯西亞の船》
 下りさうて下らぬものは  《割書:御貸附金|市中の諸色》
 当りそうて当らぬ者は   《割書:大筒の的|囘向院の開帳》
 あたるものは       《割書:世上の評判|浅草の開帳》
 這入りさうなものは    《割書:さる御養子|おくさま》
 這入りさふもないものは  《割書:さるどろばう|二町目の芝居》
 丈夫そうで不丈夫のものは 《割書:房相の御壹場|浦賀の大船》
 あふないものは      《割書:未練の遠馬|奥山の軽業》
 困るものは        《割書:少身者の遠馬|佛具の鋳物師》

 よろこぶものは     《割書:家作の職人|大筒の鑄物師》
 釣り合ものは      《割書:唐人に釣鐘》
廿二日 朝より快晴輕暑なり
 昨日海岸御出張之人々御歸り大炮御打拂有
 之候よし
廿三日 朝より雨ふり冷氣なり終日雨ふり北
《割書:六十八度》  風にてさむし
廿四日 朝より快晴夜中雨ふり
《割書:六十四度》
廿五日 朝より快晴むら雲夕方よりくもり夜
    五ツ時より四ツ半過迄之間大雷雨な
    り
廿六日 朝より快晴
《割書:六十二度》
廿七日 朝より快晴
廿八日 朝より快晴
《割書:六十五度》
 今月廿一日御中間常吉外ニ壹人土浦領眞鍋
 臺へ晝通り懸り候所旅人大勢立とまり通行
 不致居候ニ付何事ニ御座候と承り候所大蛇

 兎にても呑候哉道端ニ居候ニ付立とまり居
 候由申ニ付見候所大蛇居候ニ付如何可致哉
 存候申候所御用有之候身分ニ付是非通り不
 申候而ハ不相成候ニ付通り懸り候處大蛇頭
 を上ヶ候事六七尺■【既ヵ】ニかゝらんとする様子
 ニ付刀を抜打ニ切り候處胴半分位より上は
 何方江飛候哉行衛不相分尾の方は直ニくる
 〳〵と巻候由尾の方計五尺六七寸有之候よ
 し切候常吉と申ものは何の次第も無く候へ
 とも同道致候御中間は久保町之もの之由夫
 より不快ニ而取臥居候趣毒気ニ而も吹りけ
 られしと申事也
廿九日 朝より快晴五ツ時俄ニくもり小雨直
    ニやミ快晴暑気也
《割書:下たて邊|玄米八斗|わた貳三》  《割書:城下もより水花| 紅花壹〆貳百文位》
    《割書: 飯田邊九百貳十文位|菜種生壹石壹斗位》
    《割書:魚油新もの拾壹両》
   五 月
朔 日 朝より快晴北風吹
《割書:入梅》

二 日 朝くもり五ツ時ゟ快晴北風吹夜中迄
《割書:六十八度|》  北風つよし終日くもり空なり
三 日 朝より冷気くもり空昨日同様北風吹
    夕方風止冷気也
四 日 朝より快晴冷気也終日北風ふく
《割書:六十二度|》
五 日 朝より快晴冷気也終日上天気なり
《割書:晝七十度|》
 仙台金花山邊江異船滞船致候との風説なり
六 日 朝より快晴むら雲出ル八ツ過より雷
《割書:六十六度|》  雨直ニ止
七 日 朝より快晴終日天気よし
《割書:六十六度|》
八 日 朝より雨ふり小雨也四ツ時より雨止
《割書:六十七度|》  快晴ニなる夕方よりくもり
九 日 宵より雨ふり四ツ過より晴
十 日 明六ツ時極大雨六ツ半時止五ツ半時
《割書:七十二度|》  より快晴大暑夕方ゟくもり雨ふり
十一日 朝より雨ふり五ツ時止夕方より又々
《割書:六十八度|》  雨ふり夜五時晴河内吉田早庭 見

《割書:江戸四月八日|宮蔵米七斗七升 》  昨寅年
《割書:格所米ハ斗|造り米ハ斗一升 》  《割書:一岸 本田打合|》
《割書:もち米六斗七升 |大ツ九斗》  《割書:干種壹石ニ付| 油貳斗貳升五合》
《割書:  八斗|小ツ石壹斗 》   《割書: 粕六拾四文|当卯三年八十八夜ゟ廿六目》
《割書:大麦貳石八斗|小麦石貳斗五升 》  《割書:一岸 打合|干種壹石ニ付》
《割書:なた種七斗七升|仙台米ハ斗三升六》  《割書: 油貳斗貳三升三合| 粕六拾五文》
        右之通
     《割書:田端屋|丹波屋》同断 四月十八日
 《割書:三白| 改 八反壹分》    名古白
 《割書: 銘 九反貳分 | 造 拾反四分》  《割書:三 六反三分|四 六反九分》
 《割書:いせ晒| 雲ノ井 上下五分開》 《割書:五 七反五分|六 八反五分》
 《割書: なく和 九反四分 | 鎗鹿》 《割書:七 八反六分》
十二日 朝より快晴七ツ時より小雨ふり直ニ
    止
十三日 朝より快晴むら雲
《割書:六十八度|》
十四日 朝より快晴九ツ時よりくもり直ニは
《割書:七十度 | 》  れ
《割書:江戸五月八日|古領米七斗六升》    《割書:地水廿壹両三分|上白油廿壹両貳分》
《割書:南郷米七斗七升|町米七斗九升ゟ》    《割書:胡ま油貳十■(ムシ)両|花油貳十三両三分》

《割書:     八斗|もち六斗六七升 》  《割書: 銭六〆六百文|大坂廿八日出》
《割書:水戸大豆八斗五升|同小豆七斗九八升》  《割書: 水油三百七十五匁| 金 六十八匁四五分》
《割書:小豆石貳斗貳升ゟ|      五升》
《割書:大麦貳石八斗|廻米八百俵》
《割書: ■(ムシ)貳升七合ゟ|      九合迄》
《割書:並米六百俵|  八斗五升》
十五日 朝より薄くもりあつし四ツ過よりて
《割書:七十二度|》  り立暑気なり
十六日 朝よりくもりちら〳〵雨直ニ止七ツ
《割書:七十二度|》  過少々
十七日 朝よりくもり丑寅風ふく
《割書:七十度|》
十八日 朝よりくもり五ツ時ゟちら〳〵雨終
    日折々小雨ふるなり丑寅風さむし
十九日 宵よりくもりさむし雨折々丑寅風冷
《割書:六十八度|》  気なり夕方より夜中雨つよし
廿 日 宵より雨ふり冷気終日雨ふる夜中迄
《割書:六十五度|》  同断
廿一日 朝くもり少し暖気終日くもり空にて
《割書:六十九度|》  打合折々にて立

廿二日 朝よりくもり暖気四時よりてり立暑
《割書:七十四度|》  気夜六ツ半時ゟ雨四ツ時ゟ雨つよし
廿三日 朝よりくもり暖気なり終日むら雲あ
《割書:七十七度|》  つし夜ニ入小雨ふる
廿四日 朝よりくもり冷気丑寅風終日持夜ニ
《割書:七十八度|》  入晴
 今日江戸御石場御会所御世話方致候入之由
 本所一ツ目遠州屋嘉造と申者湊ニ鰯粕之儀
 ニ御国産世話方四五已前被迎付候處粕處漁
 事無之是迄捌き方も不致居候處此度大漁事
 ニ付南部ヤ惣太夫方二而右遠州や嘉造扱の
 当■【方ヵ】ニ而御石場へ送遣候處木内兵七御石場
 江登り居右粕荷物之儀は一圓兵七方へ昨年
 中御世話方被迎付候ニ付嘉造方扱ニは不相
 成候趣ニ付嘉造方ニ而小石川へ罷出昨年被
 迎付候意味申上候湊ヘ罷下り相懸合申度趣
 御勘定奉行肥田新五右【左】衛門殿ヘ申受候處願
 之通罷下り候様併ミなとニは新五左衛門殿
 知音ニも無之由ニ而我等方ヘ書面新五左衛
 門殿ゟ相添ミなと酢や次郎衛門方へも宜申

【肥田新五左衛門 嘉永五年十月勘定奉行の記事有り】

 通呉候様文通ニ有之候所当人嘉蔵【造】儀此方へ
 不参直ニ湊江罷出酢屋次郎衛門近藤七四郎
 南部ヤ惣太夫ヘ面談致参り候由ニ而尋参り
 候事姓は松田嘉造と申候よし
 此者咄ニ当年十五才ニ相成候女子二月時分
 より男子ニ相成公辺ゟも御役人衆見分有之
 相違無之由咄御座候勿論幼少之節より陰門
 ともつかす男根ともつかす少々は有之由之
 處二月時分ゟ殊之外陰門之様なる所之上い
 たミ陰門之くち自然とふさかり当時四五才
 位之小兒之ちんほこ生し候由古今稀有之事
 と申候追々承り【挿入】へは此者男子そたち兼候ニ
 付願之上十五才迄女ニ致置候處此度十五才
 ニ相成候ニ付願之上又々元之男と致候ニ付
 沙汰有之候由
 右嘉造此度石川島ニ而御製造ニ相成候大船
 請追致候由ニ而右帆木綿并御かさりニ相成
 候内之吹貫のきれ地等爲見られ候事右吹貫
 地は赤地ニ而すゞしの様なるきれあめりか
 にては未の毛ニ而折候由此方ニ而は何ニ而

 織候而宜候哉いまた工夫付付申候よし
 右遠州や嘉造妻は本所林町市中取締方名主
 大高六右衛門と申者之娘之由御同姓に而可
 有之哉と尋られ候事尤享保の比水戸より出
 候と申傅候よし紋は丸の内桔梗のよし
廿五日 朝より快晴五ツ時俄ニきり直ニはれ
《割書:六十八度|袷着用》  終日上天気なれとも丑寅風にて冷気
    也
廿六日 朝より快晴冷気也終日上天気なり
《割書:六十九度|》
廿七日 朝くもり四ツ過よりてり立丑寅風冷気
《割書:七十八度|  気なり夕方より大くもり》
廿八日 朝より快晴八ツ時俄ニ雨ふる直ニや
《割書:七十三度|》  む
廿九日 朝よりくもり風吹終日くもり空にて
《割書:六十九度|》  持合
晦 日 朝より小雨ふり冷気なり四ツ過より
《割書:六十九度|》  雨やむ終日くもり冷気なり
 先日上金川北のや忠三郎等茄子へと湯治ニ参
 り帰り之節上川ゟ舩ニ乗久名瀬辺ニ而難船

  いたし死ス連之ものも両三人大病之よし
   六 月
朔 日 朝より快晴
《割書:七十度|》
二 日 朝よりくもりむしあつし四ツ半過ゟ
    俄雨ふり直ニやむ殊之外あつし
三 日 朝よりくもりむしあつし四ツ時過俄
《割書:八十度 |》  大雨ふり直ニやむ折々てり立
四 日 明方雨ふり直ニやむ九ツ時より俄ニ
    大雨大北風之大風雨大荒にて夜中ま
    て雨風ます〳〵つよし夜八ツ過より
    止
五 日 朝むら雲四ツ時ゟてり立暑つよし
《割書:七十九度|》
 中川大水赤沼辺水付キ二階住居候よし船留
 みよし風呂の下辺迄水押上川ゟ四五間も有
 之候家三軒流レ其外酒詰有之候様子の八升
 樽なと流レ候よし今日は終日雨留ミナト辰
 ノ口祝町之渡し通ニ潰家二三軒アリ
六 日 朝よりくもり冷気終日くもり冷気な

《割書:七十度 |》  り
 天鵞絨緒之雪踏并清■布地是迄仕入置候分
 は当六月中迄ニ屹と賣切以後右様之品仕入
 不申様御達有之候間其旨相心得心得違無之
 様支配切無洩屹度可相達候以上
   六月二日      玉川壮五郎
  是は市中之御達ニ相成候由
七 日 朝より快晴ひや〳〵四ツ過よりてり
《割書:七十四度|》  立暑気
《割書:五時|土用入》
八 日 朝より快晴大暑
九 日 朝くもり四ツ時よりてり立大暑風な
    し
十 日 朝くもり五半時ゟてり立大暑風なし
《割書:八十度|八ツ時九十二度 》明方大地しん八ツ半時雷雨七ツ過ニ
    止暮六ツ時ゟ又々雷雨
十一日 あさむら雲六ツ半時ゟ雨ふり五ツ時止
《割書:七十四度|》  虹南ゟ西之間ヘ出ルてり立八ツ過よ
    り夕立少々雷聲半時計にて止
十二日 朝快晴六ツ半時より俄ニくもる雨ふ

《割書:七十五度|》  り出し直ニやむ快晴暑気
十三日 朝より快晴大暑夜中迄殊之外之大暑
《割書:八ツ時八十九度 |》なり
十四日 朝快晴五ツ時よりくもり大暑凌兼候
《割書:朝七十八度|》
十五日 朝より快晴
《割書:朝四ツ時八十度|》
十六日 朝くもり四ツ時ゟてり立又之くもり
    終日くもり空にて少々風あり
十七日 朝よりむら雲暑気つよし南風也八ツ
    過小雨ふり直ニ止折々雨
十八日 朝小雨ふり折々晴むしあつし夜五ツ
《割書:八十度 |》  時大雨直ニやむ又々四ツ過より雨ふ
    り出し辰巳風にて雨つよし
十九日 朝より折々雨辰巳風しけもやう也終
《割書:初鰹参り|極小もの也 》 日辰巳大風雨折々夕方より南風にな
    る雨止
廿 日 朝よりくもり南もやうむしあつし九
《割書:七十八度|晝時八十四度》 ツ時ゟてり立いはし雲りなり
廿一日 朝よりくもり九ツ時よりてり立暑気

《割書:八十七度|》  つよし
廿二日 朝よりくもり四ツ過よりてり立大暑
《割書:七十八度|》  風なし夜中迄あつし
廿三日 朝よりくもり四ツ時より照立快晴暑気つ
《割書:九ツ時八十六度 |》よし晝位より別而大暑夜中あつし
廿四日 朝より快晴大暑四ツ過よりむら雲風
《割書:七十七度|》  あり
廿五日 明方より雨ふり終日くもり空にて持
《割書:七十七度|袷着用》  合凉し北風もやうニ而冷気なり
 江戸道中続而大水取手渡し取手出はつれゟ
 青山迄船ニ而通行《割書:壹人一船せん百九十五文|にし廿四文ツヽ由》
廿六日 朝小雨ふり五ツ時ゟ快晴むら雲北風
《割書:土用あき|》  冷気なり
廿七日 朝よりくもり冷気也折々雨ふり北風
《割書:七十三度|袷着用》  にて終日冷気なり
 此節江戸表菜種大引上ケ両六斗五六升当地
 は九斗三四升位
廿八日 宵より雨風小あつし艮風なり五ツ半
《割書:七十七度|》  時雨止又々小雨四ツ半時より雨つよ
    し折々雨ふり七ツ過よりむしあつし

廿九(未仗)日 朝より快晴大暑夕方より凉し
《割書:七十五度|》
      廿九日御用
      願済    山本 内記【2行上(】
            今村喜右衛門【2行上(】
      御先手物頭 谷 佐衛門
《割書:御町奉行は昨年六月|安松様御轉役後当年|迄御出来無之此度御出|来》 御町奉行  三木陸衛門
      《割書:御役 御免|御留守居物頭列》  小宮山次郎衛門
      御馬廻り  黒澤忠三郎
      《割書:御勝手方勤|再勤》   原十左衛門
      《割書:御小納戸列|御矢倉奉行》   佳谷長太夫
            石川 傅蔵【4行上(】
            芦川 内蔵【4行上(】
      小十人   鈴木子之吉【4行上(】
            石川鐵三郎【4行上(】
      《割書:御徒列|御普請方勤》   菊池永三郎
      小十人   秋山長太郎【上(】
            青山量四郎【上(】
      御矢倉方勤 江幡甚太郎
    御町奉行中へ

     伹組々之儀ニ付
晦 日 朝より快晴
《割書:七十五度|》
 出羽秋田貳十里四方程之間鼠夥敷出候而作
 物は不及申ニ青艸木ノ葉等迄も喰盡し青キ
 ものは一圓ニ無之と申沙汰なり
 利根川辺水いまた引かね候よし
 《割書:江戸表菜種少々下落七斗五六升生米七斗貳|升》
 《割書:三川白八反八分鉻 名古屋不残五分上ケ|仙台米八斗》
   七 月
朔 日 朝きりふる快晴暑気つよし夜中迄大
《割書:七十八度|八ツ八十七度》 暑風なり
二 日 朝きりふる快晴大暑夕方西之方少々
《割書:七十八度|八十五度》  雷もやうあり夜中稲光大暑風なし
三 日 朝むら雲暑気五半過よりてり立大暑
《割書:八十六度|八時九十度 》 風なし八ツ時位より雨ふり直ニやむ
    大暑なり七ツ半時地震つよし夜中迄
    更ニ風なし大暑凌かね候也
四 日 朝薄くもる大暑五五時より快晴風な

《割書:八十二度|九十度》  し終日風なしにて夜中迄あつし
五 日 朝きりふる五ツ過ゟ快晴大暑なり昼後よ
《割書:八十二度|九時九十度|八時九十三度》 り風少々有之候得とも大暑なり当年
《割書:八半時九十四度 |当年は鰹更ニ|不参》隨一の暑気なり夜中迄風なし
六 日 朝より快晴大暑八ツ時より風あり凉
《割書:八十度|九時九十度|八時九十二度|八半時九十度|今日は鰹少々参ル》し夜半殊之外あつし暮方地震
七 日 朝より快晴大暑風あり終日凉し西北
《割書:九ツ時八十八度 |八時九十度》の方ニ雷もやうあり
八 日 朝より凉し風吹明方地震終日冷し過
《割書:九ツ時八十九度 |九半時八十六度》候位なり
九 日 朝より快晴四ツ時より暑気終日凉気
《割書:七十六度|九時八十三度》 なり
十 日 朝より快晴残暑つよし終日暑気つよ
《割書:七十五度|九時八十七度|八ツ時八十九度 》し
十一日 朝よりくもりむしあつし四ツ過ゟて
《割書:七十七度|九半時八十五度 》り立暑気つよし七ツ時より風立凉し
《割書:八時八十七度|八半時八十九度 》くなる
十二日 朝より快晴終日大暑気なり夕方より
《割書:七十六度|九時八十四度|八半時八十七度 》凉し

十三日 朝より快晴四ツ過より薄くもり五ツ【五ツの間右側にカ】
《割書:七十六度|八時八十四度|七時八十一度》 過よりてり立風あり凉し
十四日 朝よりくもり五ツ半時より小雨むし
《割書:七十七度|八十度》  あつし直ニやむ九ツ時位より夕立も
    やうにて雨つよし少々雷聲八ツ過止
十五日 明方ゟ雨つよし南風むしあつし九ツ
《割書:七十九度|九ツ時八十一度 》時過迄雨風つよし夫々段々薄らき七
《割書:七ツ時八十四度 》ツ時より快晴
十六日 朝より快晴残暑つよし大暑風なし八
《割書:七十六度|八十九度》  ツ過より別而あつし夕方ゟ夜中迄
《割書:八時九十一度|》 西北之方ニ少々雷聲夜中迄殊之外大
    暑
十七日 朝より快晴暑気風なし大暑ハツ時過
《割書:八十度|九ツ過八十九度 》より雷雨つよし七ツ時位ニやむ晴る
《割書:新米出ル|》  又々七ツ半時位より雷雨つよし夕方
    止夜中は殊之外晴凉し
十八日 朝より快晴凉し
《割書:七十四度|》
十九日 朝くもり四ツ過よりてり立終日凉し
《割書:七十一度|》

廿 日 朝くもり五ツ過より薄てり終日曇り
《割書:七十二度|二百十日》  空にて持合夜中至極晴終日穏也
廿一日 朝より薄くもり終日薄くもり空にて
《割書:七十度 |》  持合冷気なり
廿二日 朝より薄くもり四ツ時【過を見せ消ち】少々てり立又
《割書:七十二度|》  々薄くもり冷気也
 関東取締方吉岡静助より森山氏へ書帖之写
  当三月中ゟ之事石州表ニ而田畠江野鼠夥
  敷涌生右は同国中は熊笹多生有之右江昨
  年中實生し凡三萬石餘取
   是は両ニ米壹石之相場之時は笹實貳石
   いたし都而ばい増之由至而風味宜専食
   用助ニ相成候品之由ニ御座候
  右根ゟ鼠涌出野荒いたし百姓共難澁いた
  し支配役所江訴出役有之狩取方手配有之
  去月中迄ニ狩取候野鼠高三十五万八千六
  百疋餘尚追々狩取候旨御勘定所江御届ニ
  相成申候右鼠狩之節何方よりか胴短く色
  黒き鼬數百疋出鼠を追廻し人間之助ケい
  たし候由右イタチは所も鎮守ニも可有之

   杯風聞ニ御座候珍事故一寸申上候奥羽筋
   江も海鼠涌出野荒いたし候由是は治定難
   申上聢と取留り不申追々突留可申上候以
   上
    七月十三日
《割書:江戸| 七月十八日書状》    《割書:古明米七斗八升|南郷米七斗九升|町米八斗三四升》
《割書: 一赤穂塩拾俵五分 | 一斎田塩拾六俵》   《割書:餅米六斗八升|   七斗貳升|水戸大豆九斗》
《割書: 一地水油廿貳両貳分| 一胡摩 廿七両貳分》   《割書:小玉大豆八斗貳三升|小豆石三斗》
《割書: 一荏漉 廿三両壹分| 一坂水 廿四両一分貳朱》  《割書:大麦貳石六七升|小麦石三斗》
《割書: 一銭六貫六百文|》    《割書:菜種七斗七升|迫米八斗九升》
廿三日 朝より快晴終日凉気なり
《割書:七十五度| 》
廿四日 朝より快晴むら雲冷気なり
《割書:七十五度| 》
廿五日 朝より快晴夕方より小雨ふり夜九ツ
《割書:七十五度| 》  過より雨つよし直やむ
廿六日 朝よりくもり北風五ツ過小雨直やむ
《割書:七十七度|九半時八十四度 》九ツ過地震晴曇時々折々ざつとふり
《割書:此節松前表江ふ|ランスアメリカイキ|リスヲロシヤ等ノ》北風つよし終日荒もやう夜ニ入南風
《割書:黒船四十艘余着|船いたし居候よし》吹つよし
《割書:ミナト大黒や松前ゟ申参候よし》

廿七日 宵より南風つよし夜明方より雨風つ
《割書:七十八度|》  よく荒もやう也四ツ時より雨は小ぶ
    りニなる夕方南大風雨折々の荒なり
廿八日 朝五ツ過ぎよりちり〳〵雨ふり折々雨
《割書:七十五度|》  降夜中雨つよし
廿九日 朝よりくもり折々雨ふり夕方より雨
《割書:七十四度|》  つよし夜ニ入八ツ位より大雨なり
 江戸表には何も替り無之谷村より病中慰ニ
 と申上候来候所書付返候而所は忘れ申候へ
 とも若州と相書見申候田鼠いく百万と云數
 不知荒出田畝とも作毛無之村々退治仕候へ
 共何分ニも取候手かゝり無之無據田畝江村
 々水かめを持出田畑の中へ埋メあら糠をう
 かし御地抔ニ而致とんふんふりこニ御座候
 右にてよふ〳〵退治の手掛りニ相成鼠貳十
 四万餘退治仕候此節は鼬並よりも少々小サ
 ク色黒もの澤山ニ出鼠を制申候而段々減来
 ニ度蒔の小豆杯は役ニ立可申候趣御城書ニ
 出候先ツ右か奇談ニ御座候
  七月廿四日     添 田 秀 雄

   八 月
朔 日 宵より明方迄大雨北風五ツ時又々雨
《割書:六十八度|》  直やむ冷気なり四ツ時より雨ふり七
    ツ時ゟ雨止夕方晴
二 日 朝より大くもり北風にて冷気なり
《割書:六十八度|九ツ時七十度》
三 日 朝より薄てり北もやう冷気なり
四 日 朝より快晴
《割書:六十四度|》
五 日 朝くもり小雨直ニや快(む脱カ)晴北風もやう
    にて冷気なり
六 日 朝やけ明六ツ過ゟ小雨五ツ過より快
《割書:六十八度|》  晴
七 日 朝より快晴残暑なり
八 日 朝よりくもりむしあつし四ツ時ゟ雨
    ふり直ニやむ暑気なり
九 日 朝より快晴暑気つよし
十 日 朝くもり残暑なり四ツ時より晴八ツ
    半時ゟ俄ニ雷雨直ニ止晴又々七ツ過

    より半時計大雨雷聲半時之【計を見せ消ち】間にて晴
    夜中殊之外晴
十一日 朝より快晴
《割書:ひかん|》
十二日 朝より快晴むら雲出る残暑なり
十三日 朝より快晴残暑なり
十四日 朝よりくもり四ツ時小雨ふる直ニや
    む冷気
 前文略小石川ゟ書帖
 明後日上野宮様御館へ御出ニ而大騒ニ御座
 候御馳走道具都而白木膳三寶てうず道具等
 迄も不残白木ニ而御出来御疊替等も不少御
 内馬場ニ而御馬事有之右相濟打毬有之候之
 筈萬々一雨天ニ候得は御樂か御はやし有之
 筈ニ御座候いかにも御丁寧之御取扱ニ御座
 候坊官始御供之もの御庭拝見被迎付候御茶
 屋〳〵疊替夫々御手入も御座候御勘定奉行
 大頭痛之沙汰ニ御座候又十四五日比御國ゟ
 御用にて登りし備前祐光《割書:と|申》刀鍛冶《割書:俗名|横 山|喜太郎》鍛ヒ
 焼刃

 上覧有之候筈臺御烟ニ而御座候色々之さわ
 きにて兔角取込困入申候何も右御禮迄早々
 申残候以上
   八月九日
十五日 朝よりくもり冷気なり終日くもり空
《割書:六十三度|》  にて冷気夕方小雨ふり
十六日 朝よりくもり冷気也九ツ過より快晴
《割書:六十三度|》  上天気なり
十七日 朝より快晴夜ニ入四ツ時より雨ふり
《割書:六十八度|》
十八日 朝よりくもり冷気也四ツ過より小雨
《割書:六十七度|》  ふり
十九日 朝より小雨冷気九ツ過より雨止終日
《割書:六十五度|》  曇空なり
廿 日 明方より小雨ふる冷気なり四ツ過よ
《割書:六十三度|》  り晴むら雲夜ニ入明方迄大辰巳風大
    雨大あらし近比稀なり大風夜明方止
 前中納言様当月十四日御登
 城被爲遊
 御座之間ニおゐて

 御直ニ
 海岸防禦筋并御軍制御改正等之儀ニ付近比
 は月ニ三度御登
 城被遊候之處此度御政務筋之儀ニ付改而被
 迎出候趣も有之就而は彼是御相談之儀も候
 間御老體之儀御苦労ニは被
 思召候得共以後は隔日御登
 城被成候様被 仰出候
廿一日 明方雨ふる直ニやむ冷気なり冷気終
    日なり九ツ時位よりてり立折々くも
    る
廿二日 朝くもり小雨ふり四ツ半過より快晴
    夕方よりくもり
廿三日 朝小雨ふる四ツ過より雨やむ冷気な
《割書:江戸|仙台》   り江戸八ツ時又々小雨ふり夜ニ入大
《割書:廻米九斗壹貳升 |》雨四ツ過止
廿四日 朝より快晴終日上天気なり
《割書:五十五度|》
廿五日 朝水霜にてふり候やさむし快晴
《割書:五十五度|》

廿六日 朝より快晴
《割書:五十七度|》
廿七度 朝水霜ふる快晴冷なり夕方ゟくもり
《割書:五十六度|》
廿八日 朝くもり五ツ時より小雨ふる直ニや
《割書:当年ハ作方|何品ニ不限都》 む九ツ過より雨ふり終日雨夕方止夜
《割書:而上出来の |よし》 四ツ過より雨夜中大雨明方止
廿九日 朝よりくもり冷気なり四ツ過より快
《割書:六十四度|》  晴
丗 日 朝より快晴
 《割書:江戸八月廿八日出|古領米七斗七升ゟ》    《割書: |坂水廿四両弐分七五》
 《割書:     八斗|南郷米七斗八升 》    《割書: |地水廿弐両弐分七五|源白弐十四両》
 《割書:町米八斗一弐升|糟米六斗八升ゟ 》    《割書:花漉廿弐両三分|胡摩廿五両三分》
 《割書:      七斗|上干大豆九斗五六升 》   《割書:大坂廿五日出|   四百七十八分》
 《割書:雨後大豆石四五升ゟ|      壱斗》
 《割書:小豆 石壱斗四五升|大麦弐石》
 《割書:小麦石弐斗五升 |     三斗》    《割書:御老中阿部伊勢守殿|公用人》
 《割書:仙台廻米九斗三升|     四五分》    《割書:岡井衛士と申人此歌を|よミ切腹いたし候よし》
 いかに堪いかに忍ばん/去年今年(コゾコトシ)
 また/来年(コントシ)も國の御(ミ)はじを

 右阿部勢州公の公用人岡井衛士と申者の歌

   九 月
朔 日 朝よりくもり四ツ過より快晴夜中
《割書:六十度 |》  迄晴五ツ時俄雨ふる
二 日 朝より快晴夜九ツ過より雨ふり
《割書:五十八度|》
三 日 宵より雨ふり冷気終日雨ふり夜中も
《割書:五十八度|》  同断
四 日 宵より雨ふり暖気なり終日雨ふり
《割書:六十五度|甲 子》
六 日 朝より快晴
七 日 朝より快晴
《割書:おきく初而江戸へ登り|供嘉七介蔵およし》
八 日 朝くもり夕方ゟ雨ふり出し終夜雨つ
《割書:六十三度|》  よし
九 日 宵より雨ふり明方止終日小雨ふり夜
《割書:五十六度|》  中も同断
十 日 朝より小雨ふり冷気なり終日雨合な
《割書:五十五度|》  しにふる夜中も同断夜九ツ時地震

十一日 宵より雨ふり冷気なり終日雨合なし
《割書:五十七度|今日源介江戸|仕入登》 にふる夜中も同断
十二日 宵より雨ふり北風にて冷気なり終日
《割書:五十七度|》  雨合なしニふる夜中も同断四ツ過ゟ
    止
十三日 朝やけむら雲冷気なり終日薄くもり
《割書:五十四度|》  空にて夜中くもり
十四日 宵よりくもり終日くもり空なり夜中
《割書:五十弐度|》  風ふく
十五日 朝よりくもり終日くもり空折々青天
《割書:月帯そく皆既|夕七時七分ゟかけ》夜中晴
《割書:暮六ツ三分上と|右のかたにておはる》
十六日 朝より快晴四ツ過よりくもり終日大
《割書:五十五度|》  曇夜ニ入雨ふり大雨
十七日 宵ゟ雨つよし四半過より快晴
《割書:五十八度|》
十八日 朝より快晴九ツ半過よりくもり
《割書:太田辺|上籾四斗》
十九日 朝より快晴
廿 日 朝より快晴むら雲出る

廿一日 朝より快晴
《割書:五十貳度|》
廿二日 朝より快晴
《割書:五十貳度|》
廿三日 朝より快晴霜ふる
廿四日 朝より快晴霜ふる
廿五日 霜ふる快晴
《割書:四十八度|》
 八月廿日京都大風清凉殿ニも可有之や御焼
 失後御普請なかばの所吹たをし申候由猶又
 当月初方尾洲辺大風之由当四月初此より七
 八月時分迄之間会津領越後境より下野境迄
 之間にて野鼠夥敷涌出田畑を荒青キもの等
 大小豆根迄も喰候由にて百姓供壹枚の畑へ
 両人位ツヽ申合ゑをまき置なかき棒を以待
 居候へハ鼠より出右の餌をたべ候處を打候
 へは壱打【折を見せ消ち】ニさ■【■を見せ消ち】へ壱貫位ツヽ打ころし候由
 壱日ニハ俵へ入何俵とも不知川へ流し申候
 へ共追々澤山ニ相成候ニ付会津様ニ而ハ御
 役人差出所々湧出候處相尋候處高山ニ夥敷

 居候由しかし狩つくし候様ニ不相成居候處
 黒きいたち出畑中を追歩行候様相見候處其
 後ハ追々鼠の行衛不相分此節ニ相成候而ハ
 更ニ居り不申候由
廿六日 朝より雨ふり終日雨合なしニふる夜
《割書:五十四度|》  中はます〳〵雨つよし
廿七日 朝より快晴
《割書:五十七度|》
廿八日 朝より快晴暖気なり
廿九日 朝より快晴暖気なり夜ニ入雨ふり
《割書:北條真壁辺|新わた貳メ四百目》
《割書:上方種と申近年|流行の綿は三メ目位》《割書:玄米笠九斗位|》
晦 日 朝より快晴四ツ時より
《割書:五十七度|》

   十 月
朔 日 朝より快晴暖気也夜ニ入くもる
《割書:五十四度|》
 夜九ツ時馬労町五丁目北側古内屋瀬左衛門
 抱屋敷《割書:当時明キ|屋敷之由》二階ゟ出火折節西北之風烈

 敷向江移り南側ニ相成南側は三丁目畳や差
 助隣にて焼留る北側は祇園寺入にて留る西
 之方は五丁目北側岩根屋善五郎焼残る南側
 は桜井善太郎表土蔵にて留る家半は焼る夜
 明方火鎮る
二 日 大曇る明方小雨直ニやむ終日持合
三 日 快晴 夜(二日夜)四半時古今稀なる大地震ゆる
《割書:江戸表当二日|夜四時大地震|之由四日ニ追々 》泉町紙屋徳十郎土蔵はちまき落同所
《割書:沙汰有之候処|娘おきく此節田 |中元吉町小倉次》いせや彦六土蔵屋根破レ其外瓦屋上
《割書:兵衛方江神田|祭見物なかく|のばせ置候ニ付 》は瓦を所々ゆり落し南町見付家根少
《割書:大ニ苦労致候|所其節鎌倉|へ参詣に参り》 々ゆり落大町中町之辺あんとくころ
《割書:候留主中之地|震にて小倉は|不残居宅潰レ》 け女中抔五歩行候事不相成下町辺上
《割書:候へ共怪我壱|人も無之無事|ニ帰宅致候事》 町ゟも余ほとつよきよしにて四丁目
《割書:供は  嘉七|    介蔵|   およし》 辺瓦こけ落蔵は大いたみ候ミナト辺
《割書: 今月九日ニ帰|宅いたし申候事 》もつよきよし明方迄は少地震四十七
    八度もゆり候よし三日も少々ツヽ日
    の内いく度もゆり申候
四 日 大霜快晴寒気なり
 昨夜江戸表より江戸大地震之由ニ而はや来
 ル今日も御座候少々ツヽ地震

五 日 朝くもりちり〳〵雨ふる四ツ過より
    晴夜五ツ過地震九ツ過地震ゆる
 去ル二日夜四ツ時頃江戸表大地震ニ有之候
 所
 中納言様
 前中納言様御始
 御方々様   え御立退被遊御別条不被為
 有以後益御機嫌克被為
 入恐悦之御儀奉存候
 御殿向御大破并御長屋向所々相潰候事ニ有
 之候且右之御儀ニ付
 上々様ニは御別状不被為在 御機嫌能被為
 入候御儀ニ候間万一御程合も不奉承知 御
 機嫌伺旁罷登候者有之候ては不相済候間心
 得違無之様相心得御支配中へも【「咄」を見せ消ち】屹ト申含候
 様可被致事
 御町奉行中え
 去ル二日夜江戸表大地震ニ有之候ニ付月番
 年寄衆御宅え参上
 中納言様

 前中納言様御機嫌御伺可被有之候其旨御同
 役中へも御達且御支配中御徒以上之族は各
 同様御機嫌相伺候様御達候事
六 日 朝より快晴夜五ツ時地震ゆる
 以飛札を以申達候昨夜亥上刻古今稀成大地
 震
 御殿中は御広敷向始御用部や大溜り辺御役
 所辺不残潰ル大奥向は先ツ潰レ之程ニ候儀
 無之候へ共其侭御住居之事は不相成御搗屋
 御台所御矢倉方潰ル御玄関ゟ表御座敷向は
 潰レ不申候計之痛ニ御座候御長屋金田御厩
 屋前辺ニ而四五棟五十間同断西口添地ニ而
 御先手同心長屋四棟御囲は春日町辺練塀不
 残外大下馬潰ル其外表は長屋内御長屋とも
 住居不相成程ニ御座候台辺駒込辺は少し静
 之由潰レ家は無之趣ニ御座候先
 上様ニは御別条無御座候御同意恐悦至極奉
 存候御屋敷は出火も無之候所小石川辺ゟ出
 火其外所々ゟ出火ニ而御丸之内大名衆夥敷
 類焼 御城は近火殊之外大火ニ相成御機嫌

 為伺御登
 城被遊候其外下谷茅町辺又は広小路口ゟ出
 火ニ御座候御屋敷内は御別条無御座候へと
 も潰家ニ付怪我人死人数有之候由ニ御座候
 誠ニ天変不及是非奉存候何も此段早々得御
 意候以上
            江戸御同役共
  十月三日辰刻出立
  御国吟味役様中
   覺
 御台所  吟味方  原田樫村等御長屋西御
 五十間  壱棟   先手御長屋等三棟右之
 藤田富永等御長屋  外所々潰レ申候所後御便
 切手   壱棟   へ申遣候事
 戸田久世御長や   御長屋潰即死《割書:戸田【蓬軒】|藤田【東湖】》
 金田   壱棟   当番ニ而即死根間
 近藤等  御長や  同断 鈴木勝四郎
 御厩御口之者部屋  御長屋潰レ怪我
 五十間御厩等五棟  即死 富永兼二郎
  但御中間部や      養母

              六太夫娘是は御
              地ゟ逗留ニ参居
           御長屋潰無事
           即死 近藤次郎左衛門
              奥方
              忰二男と申所実
              事不相分
           即死 近藤三八郎
           御長屋潰レ無事
           即死 林清衛門《割書: |小娘》
  吉原出火五千人程御台場不残潰れ加賀目
  くら長屋出火潰ル
  立原死 戸田親子死 藤田死
  千住不残潰レ六十人程ふみ通りいたし参
  候下町辺不残潰レ酒井雅楽侯不残出家右
  は◯ぬけ御中間口上のよし

 江戸本石町松沢ゟ小泉え来ル書状
 地震ゆり納る否や四面出火始り此火につゝ
 まれ候而は如何と詮方もなき事とは存候へ

 共女子供うろたへ其騒動不静生た心地は無
 御座候吉原町一面に火になる小塚原千住迄
 吉原町ニ而弐百人程助り其外は皆潰れ死焼
 死と申事也其外は猿若町山の宿花川戸随神
 門迄すわ町蔵前中程ゟ堀田原辺坂本根岸下
 谷広小路片側御徒士町迄伊藤松坂屋丸焼土
 蔵皆落池の端中程ゟ根津辺迄小川町通酒井
 雅楽頭様ゟ竜の口辺此酒井様抔は女中五人
 計助り御守殿向共凡八百人余之焼死之よし
 大名小路ゟ日比谷御門迄馬場先御門焼死候
 よし柴井町ゟ新銭座迄五郎兵衛町畳町ゟ南
 伝馬町竹河岸鈴木町辺材木町八町目ゟ南八
 町堀大川端町霊岸島之内少々深川永代向ゟ
 三十三間堂迄平おし佐賀町永代町残仙台堀
 筋焼二ツ目よりサカイ迄平おし大火の分凡
 三十八口と申事也小火の分は数不知地震後
 の火事ニ而土蔵あら方千ニ壱ツホツ〳〵焼
 残りも有前代未聞之事ニ候是程之大火にも
 相成候へ共往来誠ニ静なる事ニ而町内之者
 計㒵見合せ陰気此上なし今日は大分御互に

 見舞等相見候へ共いつもの火事は多少之事
 ニも直ニ焼物方角板行売歩行候へ共作者も
 あぐみ候哉今日迄売歩行不申候怪我人之事
 は申者も無く死人数不知回向院内早桶迄は
 間ニ合不申素麺類櫃又は天水桶醤油桶つゝ
 ら風呂敷包も有之死人の山をなし申候恐敷
 事ニ御座候
一芝宇田川町辺は二十一面ニ将碁倒潰家ニ相
 成候神明前賑やかなる所む【「は」の誤りか】ち合せの如両側
 ともつき付往来なし深川蔵屋敷棹蔵等七八
 分倒れ申候
 
 板行
 仁義礼智忠信孝貞の内孝行を以第一とす人
 として孝なく人は鳩鳥にもおとるへし遠国
 ゟ江戸ニ縁付又は奉公に出たる人々はやく
 親元へ無事をしらせて安心させ災難の内怪
 我なきも孝のいたす所なり比は安政二年卯
 十月二日夜四時俄ニ地震起り家はゆりつふ
 れ即死怪我人数不知忽火事出来先ツ新吉原

 一度に焼上り田町ゟ聖天町馬道三芝居不残
 花川戸此辺家つふれ南方山下御門松平肥前
 守様阿部播摩守様毛利大膳太夫様半焼小笠
 原佐渡守様装束【「将右衛」を見せ消ちにて訂正】屋敷少々焼る京橋南かぢ
 町大工町南伝馬町二丁目三丁目松川町常八
 町鈴木町いなは町五郎兵衛町大根かし竹町
 又芝口品川辺 比日(マヽ)谷御門内は永井肥前守様
 本多中務少輔様松平相模守様其外御屋敷所
 々焼る又駒込池の端仲町辺ゟ松平豊之丞様
 柳原式部大輔様御中屋敷其外町家夫ゟ下谷
 広小路御成道石川主殿頭様井上筑後守様小
 笠原左京太夫様御中屋敷其外下谷坂本町火
 よけ地まて又本所辺は石原町津軽様御中屋
 敷焼本所町屋敷とも余程焼る深川永代橋向
 少し残八幡宮鳥居際迄一面焼る寺町残永代
 橋手前霊岸島大川端辺少々鉄炮洲十間町焼
 松平長門守様焼近辺町家焼或は潰ル地震に
 て町々土蔵並家の崩候事小紙にのへがたけ
 れは略出火は三日朝しつ【「つ」を見せ消ちで書き直し】まる
七 日 朝より快晴夜ニ入五ツ時地震四ツ時

《割書:今日会津は大|雷雨のよし追々 》地震
《割書:承り申候事》
八 日 朝より曇終日持合
九 日 朝よりくもり
十 日 朝より快晴暖気也
十一日 朝より快晴
十二日 朝より快晴
十三日 朝より雨ふり四ツ時より雨止夜ニ入
《割書:是迄日々昼夜|いく度ともなく 》四ツ時ゟ雨ふり
《割書:地震ゆる》
十四日 宵より雨ふり四ツ時ゟ 雨つよし終
    日雨にてさむし夜中晴
 夫天変地妖は人力を以て是を防事あたはす
 時に安政弐卯年十月二日夜四ツ時過俄ニ天
 地震動いたし北は千住宿大ニゆり崩れ小塚
 原は地震の上之出火にて不残焼失新吉原江
 戸町京町角町伏見町不残焼失死亡の者あげ
 てかそへ難し田町より竹門南北馬道猿若町
 壱丁目弐丁目三丁目不残焼失花川戸山の宿
 聖天町此辺夥敷崩るゝ金龍山浅草寺は本堂
 無恙五重塔少々いたむ又並木道は駒形より
 出火してすわ町黒舟町三好町河岸通迄焼失

 す三好町角まて壱番組消留夫より御蔵前通
 少々損す又下谷広徳寺前寺院町家大ニ潰る
 此辺藤堂様立花様其外大小名御屋敷不残損
 又上の町ゟ長者町焼る和泉橋通中御徒町辺
 焼失同所広小路北側六あみた横町ゟ伊東松
 坂屋黒門町御成道は石川主殿頭様御屋敷黒
 田豊前守様御屋敷焼小笠原様損す同所かや
 丁壱丁目弐丁目榊原様類焼又根津茶屋町辺
 大ニ損す無縁坂松平備後守様焼千【失を見せ消ち】駄木団子
 坂此辺数多崩谷中善光寺坂上少々残る夫ゟ
 本郷通少々損す湯嶋天神社少々損す同三組
 町中程まて二軒倒其外畑新町家霊雲寺門前
 いたみ霊雲寺は練塀崩妻恋町稲荷社無恙町
 内一軒も不崩扨又南方は浅草御門内馬喰町
 通ゟ小伝馬町通鉄炮町石町又横山町ゟ塩町
 油町通大伝馬町通本町四丁常葉橋御門外此
 辺格別損無之又西の方は小川町通本郷丹後
 守様松平紀伊守様榊原式部大夫様板倉様戸
 田様堀田備中守様此辺御屋敷方大に崩焼失
 す又神田橋御門内は酒井雅楽頭様森川出羽

 守様類焼又一ト口は辰ノ口松平肥後守様上
 中御屋敷焼松平下総守様内藤紀伊守様焼る
 八代洲河岸松平相模守様向遠藤但馬守様御
 火消屋敷類焼松平右京様損す永井遠江守様
 本多中務大夫様焼又日比谷外は松平肥前守
 様焼失松平大膳大夫様少々焼阿部播磨守様
 少々損す薩州様御装束屋敷類焼丹羽若狭守
 様少々損し有馬備後守様焼失南部美濃守様
 御類焼松平時之介様伊東修理大夫様北條美
 濃守様御類焼亀井隠岐守様裏長屋少々焼る
 夫ゟ虎の御門外京極様稲葉様木下様此辺よ
 り愛宕下通少々損しにて又日本橋通中橋辺
 少々損京橋南かぢ町南大工町金兵衛町畳町
 北紺屋町南伝馬町弐丁目三丁目鈴木町いな
 ば町常盤町具足町柳町竹河岸木材木町七丁
 目八丁目類焼弾正橋ニ而焼留る夫ゟ北の方
 筋違御門内須田町ゟ今川橋通十軒店室町ゟ
 日本橋際此辺格別いたみなし又人形町通此
 辺少々損松嶋町八九分通は崩れ損かきから
 町林肥後守様御屋敷大ニ損す此辺御屋敷方

 大ニ損又浜町井上河内守様少々焼水野出羽
 守様焼安藤但馬守様少々損又霊岸嶋大川端
 北新堀少々焼八丁堀辺少々損京橋ゟ南の方
 新橋辺は少々の損ニ而柴井町南側とも不残
 焼失露月町宇田川町神明町三嶋町大ニ崩れ
 芝増上寺は山内とも別条なし中門前浜松町
 四丁少々損夫ゟ金杉橋通本芝浜辺とも損す
 田町九丁高輪大木戸品川辺格別の損しもな
 く夫ゟ又西の方麹町四ツ谷辺少々損ス鮫ケ
 橋大崩赤坂伝馬町田町一ツ木此辺少々損す
 桐畑黒田筑前守様大ニ損す青山六道辻辺大
 に崩れ麻布辺格別の事なく又西久保神谷町
 辺大ニ崩夫ゟ辰己の方本所堅川通緑町壱丁
 目ゟ五丁目まて花町徳右衛門町此辺一面ゆ
 り崩れ焼失同林町猿江辺大に損すまた石原
 辺番場町焼失す又深川御舟蔵後通御旅所此
 辺崩る八名川町六間堀常盤町此辺大ニゆり
 崩れ焼失す同森下辺は大ニ損す又一ト口は
 永代橋向相川町諸町北川町熊井町黒江町仲
 町永代寺門前悉震潰れ焼失八幡宮本社別条

 なく表御門鳥居損三十三間堂別条なし其外
 御府内十里四方中仙道大宮辺迄大地さけ大
 ニ崩れ上総下総まて大地震行徳舟橋辺悉ゆ
 り潰れ又葛西二合半日光道中岩附幸手辺所
 々類焼猶いち〳〵是をかぞへ上るにいとま
 あらす翌九ツ時漸々火鎮り諸人安堵のおも
 ひをなす此由を諸国親類縁者のものへしら
 しめんか為に一紙ニしるして唯一読ニ備る
 のみ
十五日 大霜快晴寒気つよし夕方より西風夜
《割書:筑波辺|雪ふる》  ニ入八ツ時地震
十六日 大霜快晴明方辰巳より東ノ方へくろ
    きねた雲出る昨日も同断夜五ツ時地
    震ゆる
十七日 大霜寒気つよし明方辰巳の方へ黒き
    雲出る快晴
十八日 朝よりくもり八ツ時位より雨降夜五
《割書:日々少々宛地震|ゆる今日は江戸》ツ時ゟ東大風大雨近来稀なる大あら
《割書:表大雷雨のよし|地震ニ而潰レ住》し其上時々おとし風吹七ツ時迄大風
《割書:所無之ニ付小石川|御屋敷内抔は》
《割書:夜中傘にて凌|候よし》雨おそろしきほとなり

十九日 朝より快晴やはり辰巳の方へ黒き雲
    出る西風吹夕方止
廿 日 朝より快晴暖気也
廿一日 朝より快晴寒気日の内西風吹
廿二日 辰巳之方へ黒きねた雲出る快晴夕方
《割書:毎夜辰巳の方より|東の方迄の間ニ》黒き雲未申より丑刁へ送り
《割書:稲光あり》
廿三日 朝より快晴
廿四日 朝より雨降寒気夕方ゟ雨止夜中晴
廿五日 大霜寒気快晴夜中も殊の外晴明七時
《割書:三十三度| 》 申の方ニあたり候て大風松を吹候如
    くの音しはらくの間いたし居候釜の
    にへたち候音物の様ニも聞へ暫時高
    く聞へひきく聞へ致居候
廿六日 明七ツ時昨夜同断大風大木大松抔を
《割書:当年は梅桜杏|等ニ帰り花多し》吹候如くの音しばらくの内いたし居
《割書: |日々少々ツヽの地》候日【晩方か】方止快晴しかし風はさらに吹不
《割書:震は両三度位|ツヽ昼夜ニゆり申》申候深山抔まて瀧の音きこゑ候様の
《割書:候 |江戸》   音なり今日も快晴ニ而至極穏なる天
《割書:御屋形は今以御|囲向御出来ニ不》気なり右の音折々静ニなり強くなり
《割書:相成候よし》
    いたし候すさましき音なり

廿七日 朝むら雲快晴暖気なり夜ニ入八ッ過
《割書:四十五度》  比雷の如くの音弐度いたし又々前夜
    のことく松風の音のことくの音いたし申
    候
廿八日 霜降快晴暖気也
《割書:四十五度》
廿九日 霜降快晴夜ニ入り村雲出る

   十一月
朔 日 薄くもり暖気なり夜ニ入りさむし
二 日 霜降快晴暖気なり夜五時地震ゆる
三 日 朝より快晴暖気也九ッ過より時雨空
《割書:四十七度》  夜四ッ時ゟ雨ふり出明方迄雨つよし
    北もやう
四 日 朝晴五ッ時ゟ曇四時より雨降北もや
《割書:四十六度|昼夜毎日少々》 うにて冷気八ッ半時より雪みそれふ
《割書:ツヽ地しんゆる 》るさむし筑波辺雪夕方止夜中晴
五 日 朝七ッ半時地震大霜寒気つよし
《割書:三十三度》
六 日 霜ふる快晴五ッ時地震ゆる

《割書:三十八度》
七 日 朝より曇夜五ツ半過より雨つよし
八 日 朝より快晴暖気也夕方よりくもる夜
    ニ入雨ふる
九 日 大霜快晴
《割書:三十三度》
十 日 大霜快晴
《割書:三十七度》
十一日 大霜快晴
十二日 大霜快晴夜五ツ時地震ゆる
十三日 朝東の方江黒きねた雲出る快晴夜明
《割書:四十度 | 》  方ゟ夕方迄にてどろ〳〵といふ音い
    く度もいたし申候
十四日 霜降快晴暖気也昼後ゟ時雨空なり夕
    方ゟ夜中西風つよし七ツ過止
十五日 朝霜降快晴西風ふく
《割書:三十八度》
十六日 霜ふる朝よりむら雲夕方西風夜中四
《割書:三十八度|夜八ツ過祝町》 時ゟ大西風ふく夜明方迄吹殊之外大
《割書:小松やゟ出火》
《割書:折節大風ニ而|不残焼る》 風なり

十七日 宵ゟ大西戌亥の大風終日休みなしニ
    吹夕方迄風つよし
十八日 大霜朝より快晴明方地震二度ゆる四
《割書:三十度 |》  ツ過より西風夕方止
 今日馬持之御家中下町通りニ而湊へ遠馬被
 仰付候由三百余出候よし
十九日 大霜寒気つよし九ツ時ゟ西風吹
廿 日 大霜快晴
 穀町籾三斗八升ゟ四斗弐三升
廿一日 大霜快晴暖気也
《割書:三丁目新宅ニ而|女子出生お松》
廿二日 大霜快晴毎夜稲光あり
《割書: |府中》
《割書: 玄米九斗三升ゟ壱石弐三升迄| 黒羽辺九斗五升》
廿三日 大霜快晴暖気也
廿四日 大霜快晴西風吹
廿五日 大霜快晴
《割書:三十八度》
廿六日 大霜快晴
《割書:三十五度》
廿七日 大霜快晴

廿八日 大霜快晴
廿九日 大霜快晴
《割書:寒入四時》
晦 日 大霜快晴
《割書:真壁辺玄米壱石五升ゟ壱石壱斗|笠間 同 九斗四五升》
《割書:繰綿弐〆四五百目|毛きり三〆弐三百目》

    十二月
朔 日 夜八時地震朝大霜快晴毎夜続而稲光
    辰己【巳の誤記】ゟ東ノ方迄の間にあり
二 日 大霜快晴西風ふく
《割書:三十五度》
三 日 大霜寒気快晴四ツ過より西風立
四 日 大霜快晴寒気別而つよし
《割書:弐十五度》
五 日 大霜快晴夜ニ入稲光東の方にあり猶
《割書:三十五度| 》 又雷声の如く音夜中晴天ニ両三度
    いたし申候
 夜八時泉町大黒屋彦次郎屋敷より出火西ノ
 方は太田屋與衛門の横町にて留る東の方は

 壹丁目土手際迄焼る明方鎮火いたし候南側
 とも焼る我等抱屋敷も焼る土蔵ハ壹棟残る
六 日 大霜快晴寒気強
七 日 大霜快晴夕方ゟ曇夜五ツ時ゟ雪ミぞ
《割書:三十二度|府中》 れ雨ふる北風にて夜明迄雨降
《割書:玄米|九斗四五升|壹石三四升》
八 日 朝より曇終日曇空ニ而持合夜ニ入西
《割書:黒羽| 壹石貳升》 風つよし
九 日 大霜寒気西風吹終日西風強
《割書:三十四度|》
十 日 大霜快晴西風夕方迄つよし
十一日 大霜快晴
十二日 大霜寒気殊之外つよし
《割書:二十七度|籾四斗ゟ|四斗四五升》
十三日 大霜寒気
《割書:貳十八度|》
十四日 朝くもり四ツ時ゟ雨ふり出し寒し終
    日雨降夜中も雨西北風つよし
十五日 朝曇暖気なり
《割書:三十八度|》

十六日 朝より快晴暖気也
十七日 朝より快晴
十八日 朝より快晴
十九日 朝より快晴夕方より曇る
 夜八ツ時川和田横町木戸外十三軒ほと焼る
廿 日 朝明七ツ前より大雪ふる九ツ過ニ止 
    大雪なり
廿一日 朝より快晴寒気つよし
《割書:貳十四度|》
廿二日 朝より快晴寒気つよし明六ツ半過ニ
    地震ゆる
廿三日 朝より快晴寒気殊之外つよし
廿四日 朝むら曇寒気つよし夕方よりくもり
    夜中晴
廿五日 快晴寒気つよし
廿六日 快晴夕方より曇夜九ツ時ゟ雪降
廿七日 五ツ時迄雪ふる四ツ半過に止
《割書:節分|》
廿八日 快晴
廿九日 快晴

 当月末銚子九十九里辺鰯大漁事有之干粕百
 俵ニ付八両位之由ニ候所買入無之六両位ニ
 相成候よし

 是ゟ安政三年丙辰ゟ之日記帳江續

巻1

L289.1 1 137
《割書:水|戸》大髙氏記錄 一

【右頁白紙】
【左頁白紙】

       嘉永五年
《割書:錢六〆四百文|   》  子八月
  寒暖計朝五ツ時をしるし申候
朔 日(つちのとう)   朝より快晴至極穏なりむら雲残暑東
《割書:昼七十五度|江戸七月廿八日出》 風少吹実に静なる荒日なり夜四ツ時
《割書:赤穂拾壹俵|本才田十六俵》  より雨降出し終夜雨ふる
《割書:古領米七斗貳升|町米七斗五六升》
《割書:新米七斗六七升|もち米六斗貳升》
《割書:廻米八斗六升|地水共廿六両三分》
《割書:錢六〆三百文|    》
二 日   宵より雨ふり冷気なり四ツ時より終
《割書:朝七十度|》    日は小雨也夕方止

三 日   朝むら雲冷気也終日薄くもり夜四ツ
《割書:六十五度|》    時風ふく【原文ママ】出し
四 日   朝より小雨五ツ時止冷気なり晴降折
《割書:六十二度|七十二度》    々終日同断
五 日   朝より快晴少暑気四ツ時よりむら雲
《割書:七十五度|》    七ツ時より雨ふり夜迄雨ふる
六 日   朝よりむら雲五ツ半時よりてり立終
《割書:六十一度|》    日むら雲夕方よりくもり
七 日   朝くもり冷気なり終日曇り空にて持
《割書:六十一度|》    合

 八月四日小石川添田氏ゟ申来
 去る二十一日二日と京都風【飃カ】風大雨廿二日は
 洪水にて三条五条の両大橋流失仕候趣御買
 物方へ御用達町人中ゟ申出御坐候何れ近々
 嶋屋より委細之義は申出に相成候義と奉存
 候併最早偽りも無之候様子に御坐候関西は
 凶荒程にも有之間敷候へとも有年とは申難
 候事当地早搗米の事色々浮説いはすも最早
 薄く相成申候入牢みもの未た御免にも不相
 成候由に御坐候押付埒明可申候併御家御厩

 に馬四五十餘も御坐候所当節不快にてさし
 たる事も無之候へとも涎を頻に出又は眼疾
 にて漸々四疋無事に御坐候三四十も一厩に
 て一同に煩候義如何之義に有之候哉例之早
 搗糠を喰せ申候哉と糠屋御吟味も可有之由
 に御坐候此義は面のあたり実事に御坐候左
 すれは疑なきにも無之候

 当所追々の説
 京都先月廿一二日三十年来之大風雨にて鷹

 司様御塀不残倒れ所々橋々流失致候よし

 右大将様来年三十之   右大将様御任槐
 御壽齢に付内大臣    御辞退被遊候は
 勅許被為在度文政度   諸大名官位之儀
 御佳例之通目出度    に付而も
 御領掌被遊候様     御慎被遊候
 御内慮之趣京都より被  御趣意も被為在
 仰進候得共文政度之外  御辞退之御事に
 は           候此儀も可申達

 御部屋住之御礼茂無之   置との
 且者彼是之御政務御事   御意ニ候
 多之折柄ニ茂被為在候
 間此度ハ堅
 御辞退被遊候条京都に
 被
 仰進候事ニ候此段申達
 候様ニと
 御意ニ候
八 日  朝より小雨ふる折々雨八ツ過より止
《割書:上方嵐之風|説ニ而土浦府中》 冷氣なり
《割書:邊米追々買抜|等有之由》
九 日  朝より快晴秋冷四ツ時位よりくもり
      夜ニ入雨ふり出終夜雨ふりつよし
十 日  宵より雨ふり冷氣也四ツ時より大雨
《割書:所々破損等有|之猶又倒家等も》 四ツ半時より九ツ半時迄辰巳大嵐九
《割書:有之由立木抔も|中折根通抔餘不》 ツ半時より南大風大雨九ツ半過快晴
《割書:と有之よし|長岡江下金町近》 風南吹夕方より大雨夜五ツ半時迄大
《割書:江屋宗右衛門両|三年以前酒藏造》 雨夫より小降るなる南風終日つよし
《割書:立長サ十五六間藏|并七八間藏其外》 一頻ハ巳の年八朔の荒位にも可有之

《割書:物置等都て潰|レ候よし》   哉と存候へとも時刻餘り不永ニ付格
《割書:中川鮭留切レる|江戸表も同日大》  別作物障ニも不相成とも申喉事
《割書:荒の由所々並木|松中折等有之》    《割書:江戸| 米七斗三四升》
《割書:よし|》        《割書:大豆八斗四五升|小豆七斗三四升》
         《割書:ヱ水三十四五両|》 
十一日   朝くもりきり降冷氣なり四ツ時より
《割書:朝六十九度|》  照立終日快晴なり
十二日   朝よりくもり冷氣也終日くもり空に
《割書:六十度|》    て持合夜四ツ時より雨降出し
十三日   朝よりくもり冷氣なり終日くもり空
《割書:朝六十四度|》   折々薄てり夕方きり雨直にやむ
十四日   朝より曇り終日持合居夜四ツ時より
《割書:朝六十七度|》   雨ふり出し
十五日   朝くもり五ツ時よりきり雨ふる直や
《割書:朝六十九度|今日》   む終日くもり空にて持合夜中雨つよ
《割書:小林彌二郎|小十人列被仰付|》  し 
十六日   朝よりくもり七ツ時ゟ大北風夫より
《割書:朝六十八度|夕七十度》   南風ニ成大雨大風暫時ニやむ雨ハふ
      る十七日明方迄雨降
十七日   朝よりくもり折々晴少々暖氣なり終
《割書:朝六十八度|晝時同断》    日薄曇夜八ツ時過地震ゆる

   嘉永五年子六月廿五日江戸表高木五郎
   兵衛ゟ外夷姦謀の次第申來候書面の寫
 蘭人持渡の品にて名ハ何と唱候哉不承候へ
 共細末の品にて米搗の節籾三斗位へ右粉薬
 を茶碗にて半分程も入候て搗候へハ杵數至
 て少々にして忽糖眞白ニ相成譬ハ一臼三千
 杵も搗不申候へハ上白ニ不相成候処右の粉
 薬を入搗候へハ凡杵數七八十も當候へハ白
 米を得候其神速ハ述るに遑あらす偖て壹人
 にて一日米四石餘も搗喉由甲州邊にてハ專
 是を用利を得今ハ當地四ツ谷邊にても其白
 米を商候哉風聞仕候然ル所其糠を牛馬ハ飼
 候へハ即死す不思義ニ存屢試るに忽斃る依
 之其米の由來を掠察仕喉処蘭人の姦謀にて
 彼の英夷が阿片煙草を漢土へ弘メ土人の壽
 を縮んとたくむ姦謀に異ならす右の薬を渡
 し置土人慾に迷わせ粉薬にして白米を得る
 事を税しめて日本國中へ押弘めるを祈るも
 のなり其姦なる處を申さは右米を食する時
 ハ三年にして死すに至全此土の人をして死

 失をせしめんとの姦計既に牛馬の斃れしに
 ても知る懼るべきの甚しき依之懇意の方に
 ハ勿論都て其外の諸君子にも告參らせて決
 て右蘭人持渡し粉薬ニて搗候白米を用給ふ
 事を奉諫ためニなんありける
 右の通御座候於官も定て停止可被仰出候へ共
 差當專搗立候ニ付餅志んこ団子すはま道明寺
 白玉の類ニハ問々有之間敷ものにも無之候
 間甚懸念なる事ニハ候へ共酢なとも容易に
 用かたし此段申上置候猶委曲の儀ハ得と遂
 鑿穿可申上候
            高木五郎兵衛

   嘉永五子八月十日嵐江戸添田殿ゟ申來
   候
 追々秋冷ニ罷成候処益御安泰被成御座奉恐
 悦候小家一同無事御降心可被成扨十日の狂
 風四ツ半ゟ正九ツ時迄御屋敷中ニて御庭の
 樹拾七本折ル金田御門脇大杉壹本根反り臺
 稻荷ニて大銀杏壹人折ル石鳥居碎ケル御玄

 関脇并御成御門脇ニて松二本ねかへり御屋
 敷中家每ニ損シ兩御屋敷中ニて上の御手入千
 兩余ニ可有之よし手前ニても裏の物置家上
 南の方不殘吹メクラレ申候本郷五町目裏家
 潰女壹人即死筋違ゟ泉橋迄河岸通の西丸御
 普請方小屋不殘潰三人輕我人有之失不死加
 賀原の御小屋ハ筋達見付の蔭ニて無事護持
 院原西丸御城中御小屋も大概ニ潰御城中小
 屋ハ屋敷吹飛シ候分一万坪余下谷長者町ニ
 て家根吹巡ルとて屋上へ登り候処瓦飛來胸
 へ當り即死日本橋一丁目ニて二階の障子を
 吹飛す迚娘右の一階の障子を押候処娘とも
 吹飛され行方不知永代橋三ケ處破損親舟ニ
 居候もの舟覆りそふニて忍兼候間陸へ上ル
 迚小舟へ乘出候処吹流れ行衛不知もの數人
 堀の内道マリユト申處ゟ御屋敷迄通り路ニ
 潰家三十七軒町家ニハ余り破損も見不申候
 大名簱本ニハ家込ニ御座候五ツ時位ニて欤
 樣の大變珍敷事に御座候
一火事ハ先達品川不殘燒其後ハ不承候


    子八月十四日     添田養博
十八日   朝より薄くもり四ツ時過より快晴上
《割書:朝六十五度|》    天氣七ツ半時俄ニ大雨冷氣なり半時
      計ニて止照立又々雷聲雨ふり四ツ時
      雨止夜四ツ時快晴ニなる
十九日   水霜にても降候哉殊の外冷申候至極
《割書:朝五十一度|》   快睛
廿 日   朝より快晴終日極上天氣夜中四ツ過
《割書:朝五十八度|》   迄至極快晴八ツ過より大雨明方迄ふ
      る
廿一日   朝六ツ半時迄宵より雨ふり夫より晴
《割書:朝六十四度|》   終日持合
廿二日   朝よりくもり冷氣終日くもり空にて
《割書:朝五十八度|》   持合居夜四ツ時より雨ふり出し九ツ
      時ゟ大南風大雨七ツ時ゟ雨止風計殊
      の外つよし
廿三日   朝より南大風むら雲晝前より西風に
《割書:朝七十二度|》   なる夜ニ入殊の外晴さむし
廿四日   朝より至極快晴終日上天氣なり夜中
《割書:朝六十度|》   くもる
  

廿五日   朝より曇五ツ半時ゟ晴四ツ半時より
《割書:朝五十九度|》   雨降出し七ツ時迄雨ふる
廿六日   朝より快晴終日上天氣なり
《割書:朝六十度》
廿七日   朝薄くもり五ツ時よりはれ
《割書:朝五十八度|》
廿八日   朝より快晴
《割書:朝五十二度|》
廿九日   朝より快晴五ツ時曇小雨直ニやむ四
《割書:朝五十八度|》   ツ時よりはれ終日くもり空にて七ツ

《割書:大豆九斗五六升|種わた九〆より》  時ほち〳〵雨直ニやむ夜ニ入九ツ時
《割書:十〆目位》    より雨つよし明方止
  鰯漁事當年は更ニ無之候
      九月
朔 日(つちのへさる)   朝むら雲五ツ半時より快晴
《割書:六十八度|》
二 日   朝くもり五ツ半時ゟ晴四ツ時より西
《割書:六十二度|》    風九ツ半過より雨風析々
三 日   朝より快晴むら雲
《割書:五十四度
  

四 日   朝より至極快晴
《割書:五十二度|》
五 日   朝より快晴暖氣なり
《割書:六十四度|》
六 日   朝より快晴
《割書:五十六度|》
《割書:下総櫻ノ百姓五十人程御國の百姓ニ相成度由ニて御老中太田丹波守樣|え直訴》
七 日   朝より快晴冷氣
《割書:五十三度|》
八 日   朝より快晴寒冷
《割書:五十貳度|》
九 日   朝より快晴寒冷なり晝前ゟ曇
《割書:五十四度|》
十 日   朝よりくもり晝後よりてり立暖氣な
《割書:六十二度|》    り
十一日   朝より快睛八ツ時位よりくもり
《割書:六十三度|》
《割書:江戸ニて下たてわた右壹八|より壹九迄貳〇迄》
十二日   朝よりくもり寒冷暮六ツ時より雨ふ
《割書:|江戸八日出》   り出し夜中雨
 《割書:南鄕米 六斗七升  小豆 六斗二三升   黒 七斗八升
|町 米 七斗貳三升 大麥 貳石     仙廻米 八斗一升 》
 《割書:糯 米 六斗一升  小麥 石一貳升   春麥 九斗三升|大 豆 七斗八升  故麻 四斗五升    新米 七斗二三升

 《割書:坂水三十兩七五     菜種六斗二三升 金六十三匁 |地水廿九兩貳分七五  明キ樽十三丁  相銘白七反七分 》
 《割書:故麻三十一兩ゟ二两  大坂方出四百廿六匁  改 白六反五分 |荏水三十四兩壹分   錢六〆三百文 》
十三日   朝よりあめふり冷氣なり五ツ過より
《割書:六十度|》    雨降四ツ時より上夕方より快晴四ツ
《割書:當年ハ鮭|魚少し》    過より曇
十四日   朝より快晴
十五日   朝よりくもり終日同斷にて持合
《割書:五十六度》
十六日   朝よりくもり寒冷北風終日曇空にて
《割書:五十度》    持合
十七日   朝よりくもり北風ニて寒冷終日大曇
《割書:四十八度》    ニて持合
《割書:いわし粕大引上江戸表|兩ニ弐十八〆目位》
十八日   明七ツ時より小雨終日極小雨夜ニ入
《割書:五十四度|》    四ツ過より雨つよし
十九日   宵より小雨冷氣なり九ツ時より雨や
《割書:五十七度》    む終日くもり夜中よく晴
《割書:鮭魚更ニ當年ハなし| 壹本壹分弐朱五位》
廿 日   朝くもり五ツ時より晴むら雲
《割書:五十七度|》

廿 一日   朝より快晴寒冷也四ツ過よりむら雲
《割書:五十一度|》     出ル
廿 二日   朝よりくもり四ツ時ゟ快晴寒冷なり
《割書:五十二度|岩キ小名邊》     《割書: |江戸十八日出》
 《割書:新米八斗八升      搗麥上八斗八升  大豆 小玉・大玉〆七斗八升| 當春より鰯漁      南郷米六斗六升  小豆六斗三升》
 《割書:事更ニなし昨      町米七斗     大麥弐石壹斗|年入梅もの秋もの     給處米同断    小麥石〇》
 《割書:込三十〆位       糯米六斗     菜種六斗二三升|                     仙臺迴米七斗八升》
廿 三日   朝むら雲寒冷なり
廿 四日   朝よりむら雲終日村雲りにて持合夜
《割書:五十八度|》     中大くもり
廿 五日   夜明方より雨ふり出し冷氣なり終日
《割書:五十三度|新米三斗四升》    雨降夜中迄同斷
廿 六日   朝より至極快晴寒冷なり夕方よりく
《割書:五十四度|》     もり夜八ツ過雨ふり
廿 七日   朝より快晴西風にてさむし
《割書:五十四度| 》    《割書: |九月廿五日御用》
 一 雜賀八次郎 《割書:不行跡の趣相聞候ニ付御糺明 |の上被仰付樣も理有之御容赦》
         《割書:被遊御扶持方被召上親へ御預|被遊候条屹度相慎可罷在もの也 》
廿 八日   大霜寒氣快晴寒氣初氷はる
《割書: 四十度|初 氷》  

廿 九日   霜ふる快晴寒氣
《割書:四十五度|》
晦  日   朝より快晴
《割書:四十四度|》 《割書:下たて     眞壁| 綿 壹六位  種わた八〆目ゟ九〆目》
 《割書:廿八日出江戸相場|  地水三十兩弐分   新米七斗       小豆六斗弐升》
  《割書:故麻三十弐兩弐分  南郷米六斗五升    仙臺米七斗六升|正油 同 断     町米 六斗七升    御はり帋三分一 御米》
  《割書:錢六〆弐百五十文  もち 六斗          三分二 御金|大坂四百七十九匁  大豆 七斗五升   十月四日ゟ三十九兩》
      十 月
朔  日(つちのへとら)  霜ふる快晴暖氣なり
《割書:五十一度|》
 一 年寄衆於御部屋左の通布衣已上并惣物 頭
   等え被 仰出候
 御筆
 一           家中一統え
  辰年以来江水家中の族派を立黨を結互ニ
  密々參會等有之欤ニ追々相聞風儀不宜候
  故の義と被存候家中の義は一體の事ニ候
  得は派黨を立無益參會有之間敷事ニ候条
  一同熟和精勤いたし文武專ニ心懸ケ可申
  候万一心得違不和の族有之候得は屹度可
 


   及沙汰者也
 此度
 御筆御下被遊候處御家中の義ハ一体の事ニ
 付致一和精勤文武専ニ心懸ケ候樣ニとの難
 有
 思召ニ被為在候昨年中惣て上下和睦致一統
 其職分出精いたし質素を守非常を心懸ケ文
 武忠孝を勵候樣
 御筆被遊面々ニも委細奉承知居候事ニ候得
 とも尚更心得違無之樣ニと
 御思召御下ケ被遊  
 御筆の義ニ候得ハ此上厚キ
 尊慮の趣堅相守 御安心被遊候樣心懸ケ末
 々ニ至迄聊心得違ひ無之樣屹ト可被相達候
   十月朔日御達のよし
 諸士中二日三日上下ニて拜見被仰付候事
二  日  朝より快晴暖氣也
三  日  朝よりくもり終日雲り空にて冷氣な
《割書:四十九度|》    り
四  日  朝よりくもり終日曇
《割書:四十九度|》

五  日   明方より雨ふり寒冷なり四ツ時はれ
《割書:五十度|》
六  日   朝よりくもり六半時きり雨ふり直ニ
《割書:五十四度|晝五十七度》    やむ五ツ時ゟ快晴
七  日   朝より快晴
《割書:四十四度|》  
八  日   朝より快晴四ツ時位より西風吹出し
《割書:四十度|》      强し夕方止寒氣なり
九  日   大霜寒氣殊の外つよし晝時ゟ西風ふ
《割書:三十六度|》     く
十(玄 猪)  日  大霜寒氣つよし至極穩ニて决晴なり
《割書:三十五度|日光山大雪》
十一 日   霜ふる快晴寒氣つよし
《割書:四十三度|》
十二 日   夜八ツ時より雨ふり九ツ半時より快
《割書:四十五度|》     晴夜四時夕立もやうニてばら〳〵雨
       直ニやむ月夜ニ成ル
十三 日   朝より快晴西風立暖氣なり
《割書:五十二度|》
 江戸表當年も昨年の通火の元廻相勤よし


 小石川御守殿御普請も漸御成就に相成候由
 今村喜右衛門様御側御用人の所駒込樣御側
 御用人被仰付候よし

 西丸御普請も來月切ニて諸納もの相濟候由
 御作事御普請兩役所ニて四千余の大工入込
 居候趣先達の荒ニて御普場怪我人六十人
 余即死八人有之候由

 宇都宮彌三郎樣大寄合頭奥御祐筆頭取平松
 茂仲
十四 日   朝より快晴西風吹晝時位より風强
《割書:四十四度|》
十五 日   大霜快晴寒氣强
《割書:四十度|》
十六 日   大霜快晴寒氣强
《割書:三十八度|》
十七 日   大霜快晴寒氣强
《割書:三十七度|》

十八 日   大霜快晴寒氣强九ツ時位よりくもり
《割書:三十四度|才田塩ミナト》 夜ニ入雨ふり
《割書: 十三俵位|》
十九 日   宵より雨明方止暖気なり
《割書:五十一度|》
廿  日   朝より快晴夜方より西風吹出し
《割書:四十三度|籾三斗四五升》
廿一 日   大霜快晴寒氣つよし
《割書:三十六度|》
廿二 日   大霜快晴寒氣つよし
《割書:三十四度|》
 小石川添田氏より
 先日阿部伊勢守殿本郷丸山中屋敷ニ於て家
 老の子其外の子供足輕の子等打寄每度遊候
 □【候を削除】處足輕の子ハ行届兼申候や木刀を帯居候ニ
 付打寄候度ニ木刀〳〵と呼名を呼候ものも
 無之候處其日も子供集り候處へ右足輕の子
 參り申候へハ木刀今日ハおそかつたなと申
 候へハ足輕の子申候ハ今日ハ木刀ニは無之
 本ものたと申候ヘハ馬鹿ヲ云木刀だらふと
 申候へハ今日ハ御親様の脇指を帶候間本も

 のたと申候本物ならハ切てみろ木刀めと家
 老の子申候へハ足輕の子右の脇指ニて家老
 の子を切殺宿へ歸り親へ申候ハ御家老樣の
 子の木刀〳〵と申候間本物ニて切殺申候と
 申候ハ親申候ハ夫ハ唯事にあらす御家老様
 の子を殺してハ手前も腹を切レと申候へハ
 右子申候ハ切りて見ろと云故切殺したり何
 も我も死ぬにハ不及と申候ニ付親申候ハ夫
 てハならず迚右脇指ニて子供の首を切右首
 を持家老宅へ參り扨ケ様〳〵の趣ニて忰め
 若樣を切殺申候趣不調法至極ニ付御申譯申
 上候為ケ樣ニ仕候と首を指出候處何分家老
 無分別と相見一圓ニ承知不致上え申出候處
 家老ハ半地國へ押込ニ相成申候足輕ハ士分
 ニ取立られ申候由いまた名ハ承り不申跡よ
 り可申上候
廿三 日   大霜寒氣快晴夜五ツ時より小雨ふる
《割書:三十四度|》
   番船相庭
 一 三州上銘  百五十兩    《割書:地水油 三十兩壹分|故麻油 三十弐兩弐分》

 一 坂上銘 百四十七兩   《割書:荏 油 三十三兩 |錢   六〆三百文》
 一 京丹州 百四十三兩   《割書:大坂八日出| 水油 四百七拾匁》
 一 大 和 百三十五兩   《割書: 金  六拾三匁》
   正取引 五兩安     《割書:南郷 六斗弐升|町米  六斗五升》
 《割書:十月十四日|》
 一 中 市 百四十八兩   《割書:新米 六斗六升|給所  六斗四升》
       五兩安     《割書:糯米 六斗一升|大豆 小  七斗五升 大 七斗七升》
    名古屋白       《割書:小豆 小川 六斗弐升  水戸 六斗四升|大麥 石八斗》
 《割書:一 番 なし                  小麦 九斗七升|二番 四反壹分                 菜種 六斗》
 《割書:三 番 四反六分                 仙臺米今引六七弐|四 番 五反壹分                 故麻 白 四斗四升 黒 六斗八升》
 《割書:五 番 五反七分 |六 番 六反三分》
 《割書:七 番 六反九分|》           いせ晒
    三河白        《割書:大上 なし|御好 六反》
 《割書:古 新 五反五分                唐崎 六反| 改  六反三分五                清水 なし》
 《割書:間銘  七反六分                  白吹  【六反六分に消し線】|新造 九反三分五                祇園 六反六分》
 《割書:間 新 十反五分                玉川 なし|                        枅川 なし》
    尾張白        《割書:玉の井 七反壹分五厘|三穂 七反壹分五厘》
 《割書:茶地 十 壹 反                花の井 なし|本道 十壹反六分                瀬川 なし》
 《割書:次道 拾弐反                   奈ら和  八反五分|引舟  拾弐反四分               鈴鹿   八反五分》
 《割書:千鳥  十三反貳分               住の江  九反壹分五厘|                        初瀬  九反壹分五厘》
               《割書:宮川  なし|堀川 九反六分五厘》
               《割書:御園 九反六分五厘|》

廿四 日   朝より快晴暖氣也
《割書:四十二度|》
廿五 日   朝より快晴暖氣也
《割書:四十度》
廿六 日   朝より快晴暖氣なり五ツ時よりむら
《割書:三十九度|》     雲
廿七 日   朝より快晴
《割書:三十八度|》
廿八 日   朝より薄くもり終日薄てりにて持合
《割書:四十四度        小川邊玄米        土浦わた 弐壹|            六斗八升ゟ七斗二三升   眞壁   弐弐》
廿九 日   大霜薄くもり四ツ時よりてり立寒氣
《割書:三十六度》    つよし
 《割書:下野佐野|上 州 邊》   玄米新 六斗五升
 《割書:下たて        同  七斗五六升|くりわた       弐〆百匁位》
 《割書:信州玄  七斗六升|上州高崎六斗六升》    佐原邊 六斗八升
   《割書: |寒暖計朝五ツ時を記》
      十一月
朔  日(ひのとのひつし)   朝よりくもり四ツ時よりてり立九ツ
《割書:四十度|日そく》     過ニは余ほとくらく相成星ゆる夕
《割書:    九分半余|朝四ツ七分右の上よ》   
《割書:りかけはしめ晝九|ツ五分甚敷八ツ三分》   方より寒氣つよし

《割書:左の上ニおはる|》
二  日   大霜寒氣つよし終日上天氣なり
《割書:三十一度|》
三  日   大霜寒氣天氣よし
《割書:三十五度|》
四  日   大霜寒氣つよし
《割書:二十八度|》
五  日   朝よりくもり寒氣つよし暮六ツ時よ
《割書:三十四度|江戸》     り雨ふり五ツ時快晴
《割書:白米百文ニ|六合五勺》
六  日   大霜寒氣つよし快晴四ツ半時より西
《割書:三十五度|》     風さむし
七  日   大霜寒氣つよし快晴なり
《割書:三十四度|》
八  日   朝時雨空寒氣つよし四ツ過よりてり
《割書:三十六度|》     立
九  日   朝より决晴大霜也四ツ時より西風ふ
《割書:三十六度|》     く
十  日   朝より快晴大霜也寒氣つよし
《割書:三十四度|》

十一 日   大霜寒氣殊の外强西風少し宵よりふ
《割書:三十三度|》     く
十二 日   大霜快晴寒氣强西風少しふく
《割書: |ミナト》
《割書:魚油 拾九兩|壹升 五匁》
十三 日   大霜快晴寒氣强
《割書:三十三度|》
十四 日   大霜快晴寒氣强
《割書:三十三度|》
十五 日   大霜快晴寒氣つよし
《割書:二十九度|》
十六 日   大霜快晴
《割書:月そく|》
十七 日   快晴寒氣つよし夜五ツ時ゟ四ツ時迄
《割書:三十六度|》    南の方ニ雷聲九ツ過雨ふり
 《割書:前中納言樣御登|城於》
 《割書:御座の間ニ|御對顔日限追て》
 《割書:被仰出る》
十八 日   朝より快晴暖氣也四ツ時より時雨ふ
《割書:甲子天赦日|四十度》    る寒氣なり八ツ過止
十九 日   朝大霜快晴
《割書:三十六度|》

廿  日   大霜快晴
《割書:三十七度|》
廿一 日   朝よりくもる時雨もやう四ツ過より
《割書:三十五度|》     はれ
廿二 日   朝より快晴大霜寒氣つよし
《割書:三十三度|》
《割書:今日|駒込樣御登城の由》
廿三 日   大霜快晴寒氣つよし
《割書:三十二度|》
廿四 日   大霜寒氣殊の外つよし
《割書:三十一度|》
 《割書:江戸   町米 七斗四五升    仙臺米 七斗七升五合|     錢  六〆弐百廿四文  大豆   七斗四五升》
  《割書:龍ヶ崎 玄 七斗七升     小 豆  六斗四五升|くり綿 弐〆三百匁》
廿五 日   朝より快晴
《割書:四十度|  五六日已前ゟまくろ沢山ニ入津有之壹本八》
 《割書:貫〆仕切翌日は六貫〆ニなる酢屋ニてハ 壹|番ニ早ク入津ニ相成候故弐百兩余利多候よ》
 《割書:し|兩三日已前よりいわし漁事少々ツゝアリ》
廿六 日   朝よりしくれ空なり四ツ時より快晴
《割書:三十七度|入寒暮六時》
廿七 日   朝より快晴暖なる方なり
《割書:三十七度| 晝九ツ時長屋町清巖寺門前より出火兩側ニ

 《割書:て藥王院門前迄燒る貳十八軒□【三を消し字】壹時程の間|ニて止む》
廿八 日   朝よりくもり五ツ時より雨ふり出し
《割書:三十八度》     九ツ時位より雨止夜中晴
廿九 日   朝もや快晴寒氣ゆるし暖氣なり夜ニ
       入くもる小雪ふる
 添田氏より狀
 西城御普請ニ付寄談有之と申は外の義ニハ
 無之御家上梁等の續め木口等え鐵を延候て
 巻釘ニて石打〆申候續め不離ため木口ハ不破
 はめニと聞候得とも大鎖を莫太ニ造り候へ
 共何ニ御きゝ相成候物やらと存御疊奉行え
 承り申候所梁木口等を巻申喉鎖ハ御梁等延
 鐵ニて巻候上えゆる〳〵巻置候のよし夫ハ
 右樣の大くさりニてゆる〳〵延鐵ニて巻た
 る上を巻置候ハ如何ニも聞へ兼候何の為ニ
 候やと承り候ヘハ地の地震の時梁の續メ又ハ栓
 入の臍拔離れて落申さぬ為ニ鎖をゆるく御
 巻置被遊候と申候間あまり御念入たるもの
 也と申候へハ先年大風の時御玄關脇の大 槌(モミ)
 折申候て御玄關へ倒懸り御玄關梁落候へ共

 落切不申候右鎖ニて止り申候て怪我人無之
 よしけ樣の所迄御念を入られ候扨御普請も
 大概御本丸の御殘木ニて有之候趣夫ニても
 一坪弐百五十兩ツゝのならしの趣申候
 小石川
 御守殿普靖も未長局ニ張足等有之御成就
 ニ相成兼申候新御守殿女中へ相渡申候ヲハ
 クロ七斗八升御買上ニ相成申候よし御道具
 送り日限來ル廿九日來月六日十一日女中引
 越ハ來月十二日
晦  日   朝くもり折々晴時雨空なり
《割書:三十八度|金方御相場     當廿八日朝七ツ時》
《割書:籾貳十貳俵     公邊御寶藏御藏燒失の由| 貳十三俵     明六ツ過迄の間》

       十二月
朔  日   大霜快晴寒氣つよし
《割書:三十三度|太田西焼る》
二  日   大霜寒氣快晴也夜五ツ時大地震ゆる
《割書:三十一度|》
三  日   大霜快晴明六半時大地震珍敷大地震

《割書:三十三度|》     也夜五ツ時地震
四  日   朝よりくもり寒氣つよし八ツ時位よ
《割書:三十六度|》     り雪ふり出し七ツ時より雨ニ成ル夜
《割書:籾三斗四五升》    中明方迄雨風つよし夜五ツ半過地震
五  日   朝より快晴暖氣也夜四ツ過より明方
《割書:四十二度|暮六ツ半時》    迄大西風つよし
《割書:男子出生吉|之介と名付》
六  日   朝より快晴宵より西風吹五ツ半時地
《割書:三十七度|》     震ゆる終日西風强夕方止
七  日   朝より快晴寒氣つよし
《割書:三十二度|》
八  日   大霜寒氣强快晴なり
《割書:三十四度 |》   
九  日   大霜寒氣强快晴夜六ツ半時より大西
《割書:三十四度|》     風吹九ツ時止
十  日   大霜寒氣つよし快晴
《割書:三十四度|》
十一 日   大霜寒氣强快晴夜月暈九ツ半時より
《割書:三十六度|》     雨ふり出し暖氣なり
十二 日   宵より雨ふり終日雨合なしニ大雨風 

《割書:四十度|  馬頭烏山 》    夜ニ入雪ふり大西風明方止
 《割書:太田原邊|近年無之大雪四五尺も積り候よし》
十三 日   朝よりくもり四ツ時よりてり立西風
《割書:四十二度|》     少々ふく
十四 日   大霜朝より快晴暖氣なり
《割書:三十八度|》
十五 日   大霜快晴むら雲暖氣なり暖氣
《割書:三十八度|》
十六 日   朝よりくもり四ツ時位より雨ふり出
《割書:四十四度|》     し終日雨ふり夜中も雨
十七 日   宵より雨ふり暖氣なり五半時より晴
《割書:四十七度|》    七ツ時地震ゆる夜中殊の外晴
十八 日   朝よりくもり暖氣四ツ時より小雪ふ
《割書:四十度|  當十五日》   り直ニ止夜中はれ
 《割書:線姫君様御入輿無御滞被爲濟候ニ付|月番御年寄衆御宅え御祝儀ニ出ル》
十九 日   朝より快晴寒氣つよし  
《割書:三十五度|》
      十九日御用
 《割書:兵庫正|》   山野邊兵庫   御徒 相澤熊藏
 《割書: 大御番|御百石》   戶田龜之助   大御番 杉浦羔太郎

 《割書:三百石|大御番》 武 田 宗 蔵      木村權太郎
    鵜殿平左衛門      石川傳藏
    美濃邊新藏       梅澤孫太郎
 《割書:交代|御徒》  住谷長太夫      青山量四郎
 《割書:七人御扶持|》石川玄泰     與力 関 新兵衛
    安積覺兵衛    與力 栗原新八
    松葉何衛門
 《割書:御徒|》  小瀨千之助
廿  日   大霜快晴寒氣つよし
《割書:三十三度|》
廿一 日    大霜嚴寒快晴
《割書:弐十九度|》
廿二 日   大霜嚴寒决晴
《割書:三十四度|》
廿三 日   大霜嚴寒快也暖氣なり
《割書:二十二度|》
廿四 日   大霜快晴暖氣なり九ツ過より曇夜五
《割書:三十九度|》     ツ時より雪降
廿五 日   宵より大雪近比無之大雪なり四ツ時
《割書:三十九度|節 分》     より止夜五ツ時より又々雪ふり

廿六 日   宵より雪ふる五半時止終日くもり空
《割書:三十七度|》     暖氣なり
廿七 日   朝より快晴寒氣
《割書:三十五度|明六ツ時長町庄王次右衛門長屋焼る》
廿八 日   朝より快晴寒氣つよし
《割書:三十四度|》
廿九 日   朝くもり四ツ時よりはれ
《割書:三十四度|》
    十二月廿八日御用
 《割書:御小姓|》  三木幾太郎        《割書:思召ヲ以|御書院番》 伊藤兵左衛門
 《割書:思召ヲ以|御馬廻地方》 山國喜八郎
 《割書:弐百石|》
 《割書:思召ヲ以|大御番》  藤田健次郎
 《割書:丑二月四日|御小納戸》     小拾人物成七十五石   原田兵助
 《割書:江戸勤|》
 《割書:同 断|》      《割書:御書院番組|物成五十石》         三浦贇男
         《割書:思召ヲ以大御番|地方弐百石》        横山甚太郎
         《割書:思召ヲ以表御醫師|百五拾石》       松延定雄
         《割書: 思召ヲ以御馬廻|物成百石》        今井萬次郎
         《割書: 御馬廻米廿五石|》        大森勇太郎
                     兼子孫次郎
                     高橋多市郎

                 國屋與五郎
        御 徒      海保帆平
                 秋山源三郎
                 豐田彦次郎
        御馬廻      鈴木庄藏
        小拾人七十五石  鮎澤伊太夫
        小拾人      齋藤四郎
        拾兩三人扶持   梶 平三郎
 《割書:丑二月四日|御小納戸》    小拾人      安島彌次耶
 《割書:江戸勤|》
        《割書:小拾人物成|五拾石》      矢野只之丞
        《割書:御中間頭列|元御金方勤》      永井政助
        《割書:留守列元|御金方勤》       西野孝次郎
        《割書:留守列御役|金方勤》      天野庄五郎
        《割書:留守列|御普請方勤》      野島佐太郎
        《割書:留守列|御矢倉方勤》      永井周平
        《割書:留守列|御藏方勤》       柳 勇助
        《割書:思召ヲ以|御馬廻》       桑原幾太郎
     

 嘉永六癸丑  三百五十五日
  正 大 朔 丙午  七  小 朔 甲辰
  二 小 同 丙子  八  大 同 癸酉
  三 大 同 甲巳  九  小 同 壬卯
  四 大 同 乙亥  十  大 同 壬申
  五 小 同 乙巳  十一 小 同 壬寅
  六 大 同 甲戌  十二 大 同 庚未

    嘉永六癸丑
    《割書:年とくあきの方已午の間万よし|》
元  日(ひのえ午)   朝曇九ツ時快晴夜曇四ツ時より雪ち
       ら〳〵降二日明七ツ半時止
二  日(ひのとの未)   朝曇九ツ時ゟ快晴
三  日(つちのえ申)   朝より曇五ツ過ゟ雪ましり雨ふる終
《割書:三十七度|》     日小雨夜中も同斷暖氣なり
四  日   朝より曇雪ちら〳〵ふる直ニやむ終
《割書:三十八度》     日くもり寒氣
五  日   大霜寒氣强快晴

《割書:三十度|》
六  日   寒氣快晴寒氣つよし夜ニ入くもる四
《割書:三十七度|》     ツ時稲光雷聲餘ほととをし
七  日   朝より快晴
《割書:三十四度|》
八  日   朝より快晴寒氣つよし
《割書:二十九度|初 市》 《割書:籾  三斗四五升|大豆  弐斗一弐升》
九  日   朝より快晴五ツ半時よりくもり九ツ
《割書:三十七度|》     時ゟ快晴
十  日   朝より快晴夜ニ入くもる暖氣なり
《割書:四十一度|》
十一 日   朝小雨暖氣なり四時過より大雨直ニ
《割書:四十三度|》     やむ九ツ時より又々大雨夕方迄つよ
       し夜中殊の外晴
十二 日   朝より快晴四ツ時ゟむら雲夜中くも
《割書:四十五度|》     り四ツ時より雨ふり暖氣なり
 雨三日已前粂新七郎殿へ小石川よりジヤガ
 タラミカンと申指渡五寸六分立四寸弐分程
 有之候ミカン二ツ御下シニ相成右種を潮來
 大久保兩所え為蒔候樣御申付有之候よし御

 小性頭取粂殿宅ニて右品を拜見いたし候所
 土瓶の大なるものゝことし
十三 日   朝よりくもり終日曇空暖氣也
《割書:四十二度 |》
十四 日   朝より曇終日くもり空にて暖氣なり
十五 日   朝よりくもり霜降寒氣九ツ時より晴
《割書:三十五度|》
 今日ハ
 余一麿樣
 余四麿樣見和村邊より袴塚邊迄の處まて菟
 追被為有之候由ニて我等宅ニて御休御弁當
 ニ相成可申都合も可有之趣ニて御鷹懸吟味
 役手代より手帋有之候ニ付手當等いたし候
 處見和村より仙波邊計被遊候て好文亭御弁
 當ニ相成候趣御小姓頭取衆より手帋ニて申
 来候ニ付手當致候品如何可致と存候處九ツ
 半時御鷹匠會澤銀藏殿被參定て手當も致候
 事ニ可有之候間好文亭え少々指上候樣御小
 姓頭取衆より申付有之候趣殊ニ我等ニて野
 服ニて罷出候樣中聞ニ付同道致候所御案内

 被仰付仙波ニ而菟弐ツ御獲物有之都合五ツ
 御獲物有之候由夫より御供被仰付好文亭ニ
 おひて御酒被下御獲物菟一疋拜領仕猶又御
 坐敷御二階迄も拜見爲致候様
 思召之由御次衆より申聞ニ付拜見候事
  五ツ獲物之内壹ツ小石川江爲御登弐ツ 御
  城江爲御持壹ツ御鷹懸惣御供方へ被下壹
  ツハ我等江被下ニ相成候事
 御子様方御坐之間御次江御呼出ニ相成 御
 紋付御兩懸之ふた江菟并御菓子を乗せ被下
 置候事
十六 日   朝より曇五ツ時より大雪ふり終日夜
       中もふり近年稀なる大雪也
十七 日   宵より大雪ふり終日終夜雪ふる寒氣
《割書:三十度|》      つよし
十八 日   宵より大雪寒氣つよし終日三日弐夜
《割書:二十八度|》     休ミなしにふる暮六時止極晴月雪の
       景壹尺五六寸より弐尺位積る
十九 日   朝より至極快晴寒氣甚し
《割書:二十六度|》

 西丸御普請御成就ニ付旧冬廿七日阿部伊勢
 守樣壹万石御加增其上黃金百枚應永盛光御
 刀御本丸ゟ備前雲次の御刀西丸ゟ御拜領若
 年寄遠藤但馬守樣弐千石御加增黄金廿枚兩
 丸ゟ御刀拜領其外御勘定奉行御作事奉行御
 普請奉行末々ニ至る迄拜領物夥敷事ニ御坐
 候常々廿六七兩いたし候處黄金押結三十兩
 貳分迄ニ罷成申候
 富士見御寶藏第二番の御藏燒失ハ又なき名
 器一煙と相成此はなしハ人々相慎言句なし
 右の通松澤孫八ゟ申來ル
廿  日   朝より快晴寒氣つよし
《割書:三十度|》
廿一 日   朝よりくもり寒氣つよし夜五ツ時よ
《割書:三十四度|》     り雨ふり
廿二 日   朝よりくもり終日持合夜五ツ過より
《割書:四十度|》     雨降出し明方迄大雨暖氣
廿三 日   宵よりくもり空にて暖氣なり
廿四 日   朝より快晴暖氣なり風立
廿五 日   霜ふる快晴むら雲

《割書:三十七度|》
廿六 日   朝よりくもり暖氣なり四ツ半時より
《割書:四十三度|》     ちら〳〵雨ふる夜中雪ふる寒氣なり
廿七 日   宵より雨ふる寒氣八ツ時より雨やむ
《割書:三十七度|》     夜四ツ時より雨降
廿八 日   朝より快晴
《割書:四十二度|》
廿九 日   朝より快晴八ツ過より雨ふり出し夜
《割書:三十九度|》     中雨つよし明方止
晦  日   朝くもり暖氣也
《割書:五十四度|》
 いわし漁事無之粕類追々引〆
 岩キ粕十三〆五百位の俵ニて壹俵五分
 ミナトヨリ買人參り

       二月
朔  日   朝よりくもり暖氣なり四ツ時ちら〳〵
《割書:四十度|》     雨直ニやむ終日持合
二  日   霜ふる快晴五半時地しん寒氣つよし
《割書:四十度|》     西風終日ふく
三  日   大霜寒氣つよし西風四ツ時より吹出

《割書:三十二度|》     し
四  日   朝より大霜寒氣つよし快晴なり
《割書:三十七度|》
五  日   朝より快晴寒氣四ツ過よりくもり終
       日くもり
六  日   朝大霜快晴四ツ過より北風夕方迄風
《割書:三十九度|》     つよし
七 (初午)日    大霜快晴西風吹
《割書:三十七度|》
八  日   大霜寒氣快晴
九 (四十二度) 日   朝よりくもり九ツ時より快晴暖氣也
 《割書:夜八ツ時ゟ明七ツ時下町新町ゟ出火九町目|迄焼る弐百竈程燒》
《割書:彼岸入|》
十  日   朝より快晴風吹さむし
《割書:四十三度|》
十一 日   大霜快晴寒氣東風少しふく
《割書:三十五度|》
十二(彼岸中) 日  朝より快睛四ツ時過より南風吹出し
《割書:三十九度|》    夕方迄風つよし夕方止夜中九ツ時ゟ
      又々風吹出し夜八時より明方迄大雨

十三 日   朝よりくもり暖氣也八ツ時より雨ふ
《割書:五十五度|》     り出し夕方より雨止風吹四ツ半時地
       しん
十四 日   大霜寒氣つよし四ツ時より北風吹八
《割書:四十度|》      ツ時雨直ニやむ快晴
 當二日晝四ツ時相州小田原大地震土蔵并居
 宅潰家數多有之死人怪我人夥敷大火ニ相成
 地われ右穴より泥吹出し信州已來の大地震
 五六十年之間覺候もの無之よし三日四日も
 地震ゆり江戸表も餘ほとつよき地震之よし
 小石川御藏のひさし落小石川邊ふかさ四五
 尺も井戸有之候所上まてゆり上候よし三日
 四日も同斷少々ツヽゆり申候よし
《割書:|三河白》
 《割書:改 六反九分五|銘 八反三分》      《割書:小 麦  石○弐升|つき麦  八斗五升》
 《割書:造 十反壹分 |》      《割書:そ は  石○八升|廻 米  六斗九升五合》
 《割書:古領米  六斗五升|南郷米  六斗六升》    《割書: 二月八日出|  種水油  三拾弐兩弐分弐朱》
 《割書:町 米  六斗八升|餅 米  五斗弐升》     《割書:綿 白  三拾壹兩弐分|荏 油  三十六兩弐分》
 《割書:水戸大豆 六斗八升|小玉大ツ 六斗六升》     《割書:同 生  壹兩安|故摩油  三十四兩弐分》
 《割書:水戸小豆 五斗六升|大 麦  石八九升》     《割書:魚 油  弐拾七兩|大坂廿五日出 三百九十三匁》
             《割書: 金 六十三匁|》

 《割書:魚油は此節水戸ニ而も|弐拾七兩ニ而品なし》     《割書:會津邊當年ゟ旧冬ハ雪例|年よりは三尺も降不足之よし》
十五 日   大霜寒氣快晴暖氣なり
《割書:三十八度|》
十六 日   朝より快晴暖氣九ツ時より南風吹出
《割書:四十七度|晝五十五度 》    夕方止
《割書:梅満開|》
十七 日   朝より快晴暖氣なり八ツ時雨ふり風
《割書:五十七度|晝六十五度 》    南直やむ又々降出直ニやむ夜四半時
《割書:銭六〆三百文|》    ゟ明方迄大雨
十八 日   宵より雨ふり暖氣終日雨ふり晝後西
《割書:六十度 |》     北之風さむし
十九 日   朝より快晴北風夕方迄吹さむし
《割書:四十二度|》
廿  日   朝よりくもりさむし八ツ時よりきり
《割書:三十八度|》     雨ふり夕方より雨つよし夜中終夜ふ
       る
廿一 日   宵より雨ふり終日雨七ツ半時より止
       四ツ時より雨ふり
 《割書:今日|英想院様》
 《割書:餘一麿様江戸御登り旧冬御婚礼之御祝儀之由|》
廿二 日   宵より雨ふり七ツ時雨止暮六ツ時よ
《割書:四十七度|》     り九ツ時迄之内よりはれ四ツ時より

       くもり夜中雨
廿三 日   朝よりくもりきり雨ふり四ツ時より
《割書:五十度 |》     雨止
廿四 日   朝よりくもり終日くもり空ニ而持合
《割書:五十度|》
廿五 日   朝より快晴暖氣なり夜九ツ時より雨
《割書:五十二度|》     風つよし
廿六 日   朝小雨ふり五ツ時ゟ雨やむ四ツ過よ
《割書:五十一度|》     り快晴暖氣なり
廿七 日   朝より快晴晝後よりくもり暖氣也
《割書:五十二度|》
廿八 日   朝より快晴暖氣也
《割書:五十五度|瑛想院様江戸御登》
廿九 日   朝より快晴暖氣なり
《割書:ひかん櫻咲|晝六十五度》
 干粕追々高直兩ニ壹俵壹分
 岩城造り拾三〆五百位ニ而壱俵弐分五厘
 《割書:地わき少々気配弐〆四百目位旧冬買入者弐六位ニ上り居|候よし》
 眞壁邊弐〆三百目位
 才田塩浦賀十八俵九分

     三月
朔  日   朝よりくもり暖氣なり終日くもり
《割書:五十五度|》
二  日   朝よりくもり東風吹九ツ過より大南大
《割書:六十一度|桃花盛》     風吹夕方止夜中よくはれ殊之外暖氣
三  日   朝より快晴風立終日上天氣なり晝時
《割書:五十九度|》     より風止
四  日   朝花くもり五ツ過ゟ晴四ツ時きり雨
《割書:五十九度|櫻 咲》     直やむ折々くもり南風夜ニ入九ツ過
《割書:干粕壹兩ニ壹俵|岩手粕壹俵弐三分》   より雨つよし
五  日   宵より雨ふり五ツ時よりやむ晴曇八
《割書:六十四度|》     ツ時雨直やむ快晴
六  日   朝より快晴寒し夕方よりくもり
《割書:四十五度|》
七  日   朝きり雨ふり寒し終日くもり空にて
《割書:四十七度|當地今日抔 》    夜中雨ふり
《割書:わた弐〆弐百五十目|》
八  日   宵よりきり雨ふる寒氣なり終日きり
《割書:四十五度|笠間元米》     雨北風冷氣夜中雨つよし
《割書:七斗八升|》
九  日   朝くもり北風冷氣晝時より晴れ
《割書:四十三度|》
十  日   大霜寒氣霜柱立薄氷北風さむし夕方

《割書:三十九度|》     よりくもり夜中雨ふる
十一 日   宵より雨ふり冷氣
《割書:鰯粕|城下ミナト》    《割書:壹兩ニ付|岩キ造十四〆位ニ而壹俵壹分》
《割書:一圓品なし    岩善賣□【人+三】印九分ゟ八分五厘位|ミナト岩キ十六〆目壹俵壹分商人取引ニ而品なし》
 昨十日馬口勞町大火七十五年ニ相成候ニ付
 於八幡宮ニ大大神楽修行神納金拾五兩外諸
 かゝり共三拾兩餘懸り候由
  《割書:大鳥三兩   向新宅壹兩弐分  外ハ壹兩ゟ|小泉弐兩   岩 善弐兩    弐三兩迄》
十二 日   朝よりくもり八ツ時より雨ふり夜中
       四時止
 《割書:咋十一日|泉町中於》
 《割書:八幡宮|大大神楽》    神納金七兩弐分之由
十三 日   朝霞快晴五ツ時ゟ薄くもる折々はれ
《割書:四十七度|干粕ミナト》
《割書:梅や相庭|兩ニ七分五厘》    夜五ツ半時より雨降
《割書:古今稀成事|》
十四 日   朝より快晴暖氣なり
《割書:五十三度|》
十五 日   朝より快晴暖氣也五ツ時よりむら雲
《割書:五十七度|八重櫻》
《割書:さかり|》
十六 日   朝より薄くもり暖氣なり四ツ半時よ
《割書:六十度 |》     り小雨九ツ半時より大雨夜中終夜雨

        つよし
十七  日   宵より雨ふり八ツ時より晴夜中快晴
《割書:五十六度|》
十八  日   朝より快晴さむし東風夜九ツ時地し
《割書:五十二度|》      ん  
十九  日   朝より快晴さむし晝八ツ時地しん曇
《割書:五十四度|》      夕方より雨ふり出し夜中つよし
廿   日   宵より雨北風五ツ過より南風雨九ツ
《割書:六十八度|》      時地震終日大風雨夜八ツ時地震
廿一  日   朝よりくもり
《割書:五十三度|》
廿二  日   朝よりくもり五ツ時よりてり立暖氣
《割書:五十五度|》      なり
廿三  日   朝くもり五ツ時よりてり立むら雲九
《割書:六十度|貞操院様》      ツ半時位より雨ふり出夜中四ツ過乾
《割書:御大病|税姫樣御事》     風雨つよし明方止
廿四  日   快晴戌亥風さむし
《割書:五十五度|》   
廿五  日   朝より薄くもり冷氣折々てり立七ツ
《割書:五十度|》       半過ゟ雨ふり出し終夜雨ふる
廿六  日   宵より雨ふり冷氣四ツ半過より快晴
《割書:瑛想院樣|今日江戸》      北風にて冷氣なり
《割書:御發足|》
廿七  日   朝より快晴北風さむし終日北風にて
   

《割書:四十九度|》      さむし夜中も風つよし
廿八  日   朝より快晴さむし霜ふり夕方よりく
《割書:四十四度|》      もり
廿九  日    夜明方小雨折々止夕方より雨つよし
《割書:五十八度|茂木邊米八斗位》    夜中明方迄つよし
晦   日    朝より快晴暖氣也
《割書:六十度|》  
 稅姬樣昨晦日未ノ下刻御卒去被遊候旨被仰出
  普請武藝ハ三日殺生鳴物ハ十九日迄御停止

     四 月
朔  日   朝より快晴暖氣なり夕方西の方日光  
《割書:裏鳥見町|泉町左清》     邊夕立の模樣夜四ツ時俄ニ大雷三四
《割書:裏御屋敷え|雷落焼ル》    聲大雨壹時程ニて止
二  日   朝よりくもり北もやうニてひや〳〵
《割書:五十四度|》     晝後より快晴
三  日   朝より快時ひや〳〵
《割書:御祭礼來月十七日ニ|相成候趣御達》
四  日   朝より快晴南風吹
《割書:六十四度|》 
《割書:初松魚 |参り》
五  日   朝より快晴ひや〳〵風吹暖氣なり四

《割書:六十四度|》     ツ半過よりくもり九ツ半時より雨ふ
       り出し時々晴降不定夜中四ツ時より
       雨
六  日   朝よりきり雨暖氣なり終日小雨夜中
《割書:五十七度|》     大雨七日朝迄雨つよし
七  日   宵より大雨五ツ時より雨止四ツ時よ
《割書:五十六度|》     りてり立夕方くもる北風冷氣なり
八  日   朝よりくもり丑刁もやうにて冷氣也
《割書:五十度|續て綿入》     夕方より雨ふり終夜雨ふり
《割書:重着なり|》
九  日   朝よりくもり丑刁風冷氣九ツ時より
《割書:五十度|當年ハ鰯漁》    雨ふり出し終日夜中も雨合なしにふ
《割書:事更ニなし|佐土ゟ越後》    る
《割書:邊大漁のよし|》
十  日   宵より雨ふる冷氣四ツ半時より雨止
《割書:五十二度|》     八ツ時ゟてり立七ツ半過夕立大雨直
       ニやむ快晴なり
十一 日   朝より快晴寒冷なり四ツ半時より曇
《割書:五十度|兩三日足袋を》    西風つよし夜中迄
《割書:はき申候|》
十二 日    《割書:霜ふる|》朝より快晴寒氣同樣
《割書:四十一度|》
      江戸添田利庵殿勝庵と姓名

   中納言樣ゟ拜領の赴 風聽申來其節の書
   面の寫
 昨年中西御丸御普請ニ付諸大名へ百石ニ付
 弐兩の割ヲ以御手傳被仰附候御旗本も同樣
 惣て上り高三百萬兩餘ニ相成候よし右ニ付
 在國の大名参勒御免被遊候所
 仙臺家ハ此節參府評判よろしく御座候 御
 三家様ハ此節の御普請御手傳なし右御普請
 ハ金弐百万兩程の御掛りのよし
十三  日   朝より快晴寒晝後より曇夜ニ入雨降
《割書:昨日ハ大霜大雨ニていんげんかぼちやなと不|殘かれ候由ニ有之蒔なをし候よし》
《割書:楮なともいたみ候よし。壹結壹兩弐分|》
十四  日   宵より雨ふり五ツ時より快晴四ツ時
《割書:五十八度|》      過ゟくもり八ツ時より雨降夕方止夜
        中又々雨
十五  日   朝くもり暖氣五ツ時晴四ツ時過より
《割書:六十三度|穀町籾》      くもり雨ふり夜中も同斷
《割書:弐年九升ゟ三斗|》
十六  日    宵より雨ふり九ツ時より雨止暑氣む
《割書:今日|入穀御免》      ら雲
御祭礼御延来月十七日被仰出他所ゟ餘程出る

十七  日   朝より快晴終日上天氣なり
《割書:六十四度|》
十八  日   朝くもり快晴ニ成ル
《割書:六十度|》
十九  日   朝より快晴終日輕暑位
《割書:六十度|》
廿   日   朝くもり小雨直止四ツ時よりてり立
《割書:六十五度|》
《割書:今日抔ハ|籾三斗五六升ニ引下る》  南風暑氣なり
廿一  日   朝より快晴夕方よりくもり四ツ過よ
《割書:六十七度|》      り雨ふり出し終夜雨ふり
 駒込樣御直書
 別後㝡早十ケ年ニ成候處各無恙精勤令大悦
 候國元の風儀如何ニ候哉兩役ハ表一席え引
 續家中の見張ニ候間
 中納言直書ニて下知有之通り家中一統熟和
 文武の事ニ出精候樣各自身丹精致非常の節
 不覺無之藩屏の意ニ叶候樣於我等も賴入候
 此度表一席えも內々書付遣候各えも為見候
 樣申聞候席ニ微少の菓子遣之候多人数ニて
 何ほとも配分成間敷候得とも全寸志迄ニ候
 也
   三月十九日   兩番頭共え
 右ハ嘉永六癸丑年の事也

廿二  日    宵より雨ふり五ツ時より小ふりニな
《割書:六十六度|茂木邊》      る直やむ夜中四ツ時より雨ふり出
《割書:玄米七斗五六升|龍ケ崎邊七斗五六升》
廿三  日   朝より大くもり四ツ時よりてり立
《割書:六十 度|》
《割書:江戸 町米六斗四五升|   小豆五斗六升》
《割書:   廻米七斗四升|》
廿四  日   朝くもり終日曇空にて持合
《割書:六十 度|》
廿五  日   朝よりくもり終日くもり空
《割書:六十四 度|》
廿六  日   朝くもり四ツ時よりてり立暑氣夕方
        西北ノ方ニ雷聲あり
廿七  日   朝くもり五ツ時よりはれ
《割書:六十四度|》
廿九  日   朝よりくもり日の內度々曇晴
晦   日   朝より快時
《割書:六十五度|》   
《割書:いそ 壹俵四分|いわし粕》    同所拾四〆目迴壹俵位

        五月朔日   
朔  日     朝より快晴暑氣なり
二  日    朝六ッ半時より雨ふり夕方雨止
《割書:七十度|》
三  日    朝より曇る九ツ過より晴七ツ過ゟく
《割書:六十八 度|》
        もる夜五ツ時より雷雨四ツ半過迄大
        雷雨
   

四  日   朝よりくもり終日くもり空にて持合
《割書:六十四度|》     夕方より雨ふり
五  日    朝より快晴ひや〳〵
《割書:六十度|》
六  日   朝より快晴ひや〳〵いたし居候
《割書:六十七度|》
七  日   朝より快晴ひや〳〵
八  日   朝より快晴
《割書:入  梅|》
《割書:大津ニ少々漁事有之四百俵ほと出來小名濱更|ニなし大津ニてミナトヨリ買入參り壹俵三分》
《割書:五厘。〆 十三〆.五百位油弐十一兩ニ出來候よし|玄米八斗平ニて壹升七十八文》
《割書:菜種八斗位|弐わり三分位たり口》
九  日   朝より快晴暑氣なり夕方より曇夜四
《割書:七十二度|紅花咲》     ツ半過より雨
十  日   朝くもり五ツ時小雨ふる直やむ七ツ
《割書:六十九度|》     半過より小雨ふり出し
十一  日  朝より小雨ふる冷氣也四ツ時より止
《割書:六十四度|》     九ツ時ゟ快晴折々くもる
十二  日  朝よりくもる四ツ過より快晴夕方よ
《割書:六十五度|》
       りくもり
十三 日   朝よりくもり五ツ時ゟ小雨北風四ツ
       過より晴

   嘉永六癸丑正月
     《割書: |御留主居            御留主居  小川町》
 千五百石 土屋讃岐守   五千石  蜷川能登守
       《割書:九十五才                八十六才|》
     《割書: |大目付   小川丁        御籏奉行》
 五百石   深谷遠江守   九百石  大久保信濃守
        《割書:八十七才                    八十四才|》
     《割書: |御鎗奉行  申カク丁            西丸御鎗奉行    飯田丁》
 三百石  柳原隠岐守   二百表  玉井藤右衛門
        《割書:八十一才                    八十九才|》
      《割書: |御留主居   牛込御門内           御先手頭 元山王》
 三百五十俵 中畠宇右衛門  四百俵  内藤源介
          《割書:八十一才                 八十六才|》
      《割書: |二丸御留主居   表二番丁        二丸御留主居 飯田丁》
 二百五十俵 青木半蔵   三百石  野間庄右衛門
        《割書:八十七才                   八十八才|》
    《割書: |同      二番丁                同    神田 金澤町》
 百俵  津田大次郎    百俵  小掘權右衛門
 《割書:十人フチ          八十九才        五人フチ              八十一才|》
                《割書: |西丸            本郷金助丁》
 奥御臺所頭 吉見本二郎    御臺所頭   佐藤與一郎
          《割書:九十三才                     九十一才|》
      《割書: |本郷三丁目                           神田》
 御林奉行 井上元七郎    御金奉行   高橋儀右衛門
         《割書:九十九 才                           八十一才|》
        《割書: |小石川》
 松平越前守 付 岸平三郎
          《割書:八十五才|》
十四  日   朝より快晴暑氣なり
《割書:七十四度|》
十五  日   朝よりくもり四ツ時よりてり立暑氣
十六  日   朝より小雨ふり四ツ時過よりはれ
《割書:七十四度|御田樂相濟》
十七  日   朝よりくもり北風ニて冷氣なり夜八
《割書:六十七度|》
《割書:御祭禮無|滯相濟》      ツ過より雨ふる
十八  日   朝より雨ふる終日雨夜中雨つよし冷
《割書:六十七度|》      氣なり
十九  日   宵より雨ふり五ツ時より雨止又々雨
《割書:六十八度|》      ふる直やむニ夕方より雨ふり明方迄
        

廿  日   明方迄雨ふる六ツ時より止冷氣なり九ツ過
《割書:六十六度|》     ゟ快晴ニなる
廿一 日   朝より薄くもり四ツ過よりむら雲
《割書:七十度|》
廿二  日  朝よりむら雲終日薄くもり暑き方也
《割書:七十度|》
廿三  日  朝より薄くもり暑き方なり
《割書:七十四度|》
 先月中信州松代眞田伊豆守居城不殘燒失塀
 と櫓少々殘り申候由
 五月十五日高田馬場ニて競馬
 西丸右大將樣より被仰付候是ハ
 公方樣六十一御本卦御年ニ付被仰付候由騎
 射人二十五人定例のよし御小姓御小納戸兩
 番の內ニて御撰被仰付候由為御褒美黃金三
 枚時服二重ツゝ被下置候よし矢取ハ素袍的
 持ハ上下なり
十【廿】四 日   朝くもり五ツ半時より快晴暑氣なり
《割書:七十八度》
《割書:紅花七百十四五文|買上り平均》   大暑夕方七ツ時雷雨直ニやむ晴夜四
《割書:七分弐厘分合|兩六百目位上り》   ツ時又々雨ふり
廿五  日  朝より快晴暑氣日中むら雲夕立直止
《割書:七十七度|》
廿六  日  朝より快晴暑氣
《割書:七十六度|八ツ時八十八度》

廿七  日   朝くもり五半時ゟ晴晝後より暑氣つ
《割書:七十六度|》
《割書:晝時八十五度|八ツ時八十八度》     よし風なし
廿八  日   朝より快睛暑氣つよし夜中迄大暑な
《割書:八十二度|八ツ時八十八度》    り
二十九 日   朝より快晴暑氣つよし夜五ツ時くも
《割書:八十度|》      りはら〳〵雨直やむ
いわし漁事更ニなし

        六月
朔  日    朝よりくもり九ツ時よりはれ凉しき
《割書:晝時八十度|》     方なり
二  日    朝よりくもりはれ四ツ時ゟはれ暑氣夜中
《割書:四ツ時八十一度|八ツ時八十九度》    迄暑氣殊の外強
三  日    朝より快晴大暑凌兼候ほとなり風な
《割書:四時八十五度|八ツ時九十一度》     し夜中迄殊の外大暑にて寐兼戸を明
《割書:江戸表黒砂糖|四十六匁》     置候
四  日    朝より快晴風なし古今大暑凌兼候程
《割書:五時八十三度|八ツ時九十五度》    なり夜中迄風なし
五  日    朝よりくもり五ツ半時よりてり立大
《割書:五ツ時八十四度|九ツ時九十四度|》    暑風なしむら雲出る古今稀なる大暑

《割書:八ツ時 九十七度|信願寺江雷落》   なり八ツ半時俄ニくもり大雷氷よし
       り雨ふり半時程ニ而止快晴ニなる夕
       方より涼し
六  日   朝より快晴涼し九ツ時より少々風あ
《割書:五ツ時 七十九度|九ツ時 九十三度》   り昨日よりよほと凌よし八ツ半時よ
《割書:八ツ時 九十二度|當月三月異國》   り夜中迄ハ何レニも風なしニ而凌か
《割書:船浦賀へ七八|艘見へ候よし》    ね
七  日   朝より快晴暑氣風なし八ツ時迄大暑
《割書:五ツ時 八十二度|九半時九十六度半》   一昨日位之炎暑晝後より少々風あり
       夕方より風なし夜中如何ニも凌兼候
八  日   朝より快晴少々風あり大暑七ツ時よ
《割書:五ツ時 八十度|九ツ時 九十三度》   り少々凌よし夕方より汐きりふる夜
《割書:七ツ時 九十度 |》   五ツ時よりはれ
九  日   朝より薄くもる大暑風なし四ツ半時
《割書:五時 八十三度|九ツ時九十三度》   よりくもり九ツ時よりてり立風あり
《割書:八ツ時九十一度|》
江戸御用   涼しき方なり
《割書:御小姓頭取列|御祐筆頭取 原田兵助》
《割書:御矢倉奉行 龜井宇八 過日被仰付候よし|》
十  日   朝よりくもり五ツ時よりきり雨ふる
《割書:五ツ時八十度|八ツ時九十一度》    直ニやむ快晴大暑折々むら雲九ツ時
《割書:九ツ時も同斷|》
《割書:今日江戸表|よりはや參》     よりいよいよはれ暑氣つよししかし

《割書:ル異國船の|事のよし》     風あり七ツ時ゟ雷聲つよし雨なし夕
        方迄模樣ハ有之候へとも雨なし夜中
        晴
《割書:今日御祐筆より御矢倉奉行|    水庭金五郎》
十一  日   朝よりくもり暑氣風なし四ツ時より
《割書:五ツ時八十度|九ツ時八十九度》    快晴むら雲風あり凌よし
《割書:八ツ時八十八度|》
《割書:當月三日アメリカ船四艘浦賀え願の筋有之候よし觀音崎と申所|え乗込居候由追々御手當有之候よし》
十二  日   明方雨ふり直ニやむ快晴暑氣なり四
《割書:五ツ時八十一度|》    ツ時俄雨直やむ快晴終日風あり凌よ
《割書:昨日山國喜八郎|  桑原幾太郎》    し
《割書:御軍師被仰付候|當月三日静大神宮大木風なきに折レ候よし 》
 《割書:黑砂糖五十匁五分江戸表ニて|》
 當九日出添田養博殿え申來
 扨御地の事故どの樣ニか評判も仕候半寐て
 も起ても居られぬ者も可有之候去ル四日曉
 霧深咫尺も見分り兼候故にや一ノ關二ノ關
 とハ見付不申三ノ關浦賀猿嶋と申所迄乘込
 申候を見付申候西亞メリカ船長サ八拾間計
 橫五十間計千人乘一艘外ニ十六間計ノ船三
 艘《割書:三百人|位乘》冲へ三艘見申候都合七艘の處願の
 筋有之書簡持參致候所重役奉行の外渡不申

 候趣ニて此方番船等ハ更ニ近くへハ寄付不
 申鉄炮打放乘迴し淺深等を計居申候就夫早
 速浦賀へ松平大和守《割書:是ハ是迄浦賀|海防被仰付居候》外ニ松平
 飛彈守會津松平肥後守井伊掃部頭相詰申候
 六日の暁十六間小舟ノ方一艘神奈川沖え乘
 込淺深相計申候未夕神奈川ニ居申候就夫六
 日の夜五ヶ時御老中若年寄諸役人急登城有
 之候扨表向別帋の通被 仰出候
   六月六日
     《割書:浦賀奉行 | 井戸鉄太郎》
 浦賀表え異國船渡來ニ     井戸鉄太郎
 付其方儀御暇被下置候   諸太夫被 仰付
 間早速出立致し諸事戸   候
 田伊豆守申談無油斷可   右松平伊賀守申
 被取計候           渡之候
  右牧野備前守申渡之候   《割書:鉄太郎事| 井戸石見守 》
              《割書:右の通改名仕候|由ニ御坐候》
 一 牧野備前守ゟ丹阿彌を以御城付共え御達
   書取の寫
 今度浦賀表え異國般渡来ニ付萬々一內海え

 乘入候儀も難計候間若右樣の節ハ芝邊ゟ品
 川㝡寄ニ屋敷有之万石以上の面々は銘々屋
 敷相固候心得ニて罷在候樣無急度可被達置
 候事
  右の通大目附御目附え相達候間可存其趣
  候事
   右ハ六日七ツ過ニ渡ル
 七日ニ細川越中守松平讃岐守松平加賀守毛
 利大膳太夫酒井雅樂頭等七頭在府の大名海
 邊ニ屋敷無之面々出馬の上固メ被仰付候細
 川越中守ハ川崎え相詰ル讚州抔未タ御場所
 相譯り兼候ニ付人數手當仕居候七日ニハ讚
 州屋敷え罷越候者有之候所屋敷中盃事仕居
 候何レ覺悟ハ仕候事と相見申候
 公邊大番御書院の面々え覺悟仕候樣御內達
 御使番御城へ三人ツヽ加番被 仰付候其外
 表武役の面々覺悟仕候樣御內達
 一御城ニて半鉦打初申候へハ諸家半鉦打續
  ハン鉦鳴次弟即刻惣登 城可仕旨御內達
 一同夜五ツ時不時御機嫌伺として阿部伊勢

  守殿駒込え參上九ツ過迄御對談御湯漬頂
  戴ニて歸宅
   興津殿岡田殿抔壹役壹人明六過ニ小石
   川え歸り申候
 八日 加奈川手前 羽(ハ子)田え阿部伊勢守殿出馬
    辨天有之候所
 品川ニは船壹船帆柱見申候のミのよし海魚
 一切無之白米日々直上仙臺讚州と當月五日   
 六日兩日の內入津米船仙臺ハ三艘の內入津
 無之讃州抔此度出馬いたし候ニ兵料ニ指支
 候位の趣併此節世上ハ天王夜市中ニて眉毛
 ノ上え火の付居候樣子抔更ニ見不申候
 井戸えハ支度金早刻五千兩被下候一日支度
 ニて七日の四時比浦賀え十六里の所着致候
 趣井戸罷越願面受取申候趣何レ難題を申掛
 申候事と相見申候日本人澤山ニ乘居平氣 ニ
 て乘廻し申候趣嶋々ゟ拔候者と相見申候趣
 佐渡より澤山ニ拔申候樣の趣願不相濟ハ軍艦
 可指向趣ニ御坐候由日々早船を以沖中へ往
 來仕候趣沖ニ船の居るやらなにやら相譯り

 か手候何レ此度ハ打拂候ニ極り居候樣子ニ
 承り申候併駒込樣と阿部の説不合と沙汰仕
 候者も有之候へとも合候ニ相違なくと奉存
 候今九日朝より於御馬場着具ニて馬ならし
 初り申候右御屋敷ニて相譯り候分申上候無
 相違候併江戸中唐人めの位之咄ニて穩ニ御
 坐候ハン鉦鳴出候ハゝ何レ御出馬と相見申
 候
 駒込樣ニハ五日ノ夜ハ御寐不爲成候御樣子
 之由右之趣御地之人々にハ御他見御無用大
 變之評判出可申候併私初夜咄等仕居候へ共
 御老中初不寐ニ騒き居候事と相見申候
 昨夜天王に參詣仕候所武家ハ遊行之者少く
 其外御用達町家々大道江場所を構御用と言
 高張を立仕事仕居候心も不付面々立見致居
 候樣子御坐候へ共皆々武事ニ拘り居候品ニ
 御坐候先ツ蠟燭屋多夜仕事四ツ半時位ニ見
 申候へとも又跡を懸ルト相見大鍋の蠟をさ
 まし居申候一軒ニて鍋六ツ位人十人位ツゝ
 ニ御坐候併早く無事ニ支度長くてハ江戸中

 飢上り申候様可相成候御地は武備無隙御用
 心故異船不窺御浦山敷事に御座候
 東海道往来は不止候へ共往来止同様人馬何
 れにも払底品川ゟ浦賀迄船橋ゟ房州迄は浅
 草雷神門内の通り位に往人はかり多帰るも
 のは人足と馬計りと申候浦賀にて梅干一つ
 弐十四文位になり候よし浦賀の者は福船と
 唱申候趣武器商売の者大繁昌提灯や質や木
 具や等に御座候
 御家は米穀内川廻り故何の苦もなく奉恐悦
 候扨就夫何とも申上られへき事には無之候【この行取消線】
 へ共ご懇意に任せ無此上非常の事故甚申上【この行取消線】
 難き事奉願上候へとも扨具足の儀に御座候【この行取消線】
 別帋申し上げ候通追々【この行取消線】


 此度浦賀表の異国船来候に付万々一内海え
 乗込候節は八代洲河岸火消御役屋敷にて早
 半鐘打鳴其節此御屋敷にても早半鐘打続其
 節即刻御供揃にて御本丸え御出馬可被 遊
 候間御供面々火事装束にて早速に 御殿え

 罷出候様此段御心得可被成候以上
   六月九日
 只今右之通御達御座候先ツ是迄ハ宜御坐候
 へとも 御登城御判談之上如何十ト是ハ心配
 之至ニ御坐候此上如何心意哉何レ追々出
 申候と存候間追々可申上候以上
十三日 朝より快晴少々風あり凌よし
《割書: 五ツ時七十九度|》
《割書:今日大炮五十挺|鉄炮弐千丁》 《割書:但三百目より五百目|壱〆目迄の由》 宍戸府中守山等え甲冑御貸
《割書:甲冑二百領|為御登ニ成ル》       出に相成候よし
《割書:八つ時八十八度|》 鉛 塩消(マヽ)類他所出御差留に成る御 将机(マヽ)
    廻り并前後御前備組 明(マヽ)日江戸え罷上
    り申候よし
 駒込様え阿部伊勢守殿御機嫌伺に罷出候節
 金小さな紺糸おとし鎧并金の御采配を頂
 戴いたし候よし外に封候もの一つ被下候へ
 共是は外にては相わかり不申候よし

 仙台米六月六日出花沢やより仙台角田渡里辺
 江花の儀二日より雨なしにて当時三四分位の
 様子四五日も続候はゝ三分てり続候はゝ二

 分位ニも参り可申哉作方も此節之様子ニ而
  者七八分位ニも相見申候花盤只今ニ雨の模
 様も無之候間二三分峠と相見其上てり花ニ
  而品ハ極あしく候よし
十四日  朝より快晴風あり凌よし
《割書:五時七十五度 九ツ半時七十七度|土用暮六時入》
 嘉永六年癸丑 四月十四日聞長崎鎮臺告于官
 府 今茲癸丑清咸豊三年二月大明朱氏後裔年
 僅ニ十四 有興復先朝之大意不用清年號皆明
 律明服改元大徳擧兵於廣東府已而抜廣東福
 建湖南三府其軍萬勢愈強大自稱朱新王咸豊
 天子雖親征之戰不利云

 三日晝八ツ時比異國船四艘浦賀へ乗込もや
 深キヲ幸ニ江戸へ走り候付観音崎陣屋松平
 誠丸殿番所ニ而見付役手之もの乗船之上淀
 ヲ指落指留置候由願之筋ハ無人嶋を拝借仕
 諸品交易仕度旨若願相濟不申候ハヽ軍船を
 呼寄一戰致度元より好之旨ニ有之候由異人
  之申候由

十五日  朝より快晴四時より曇り折々むら雲
《割書:八十度|九ツ半時八十八度》 暑気なり 快晴九ツ半時俄に雨ふり直
     にはれ暑気夜中も至極晴夜中八ツ過
     より大雨明方迄雨ふる
十六日  朝より快晴 四ツ時よほと雨降直にや
《割書:七十九度|八ツ時八十五度》 む快晴暑気つよし
  當十二日異国船 退散いたし候趣にて御人數
  等御登せも先ツ御見合に成ル
十七日  朝きりふる 快晴暑気折々くもる 暑気
《割書:九ツ半時|八十九度》   つよし
十八日  朝より快晴五ツ半時曇 暑気つよし 昼
《割書:五ツ時八十一度|八ツ時九十度》 後は大暑風なし
 江戸表異国船乗込候に付 諸大名御人數等大
 勢江戸表へ罷登候に付俄に米引上 壹両に四
 斗八升に相成候處阿部伊勢守様ゟ御達にて
 譬損毛有之候とも非常之義候間先ツ相達候
 迄は五斗五升に売候様 被仰出候よし
十九日  朝より快晴 暑気つよし七ツ時より西
《割書:八ツ時八十九度》 北の間雷聲 夜四ツ時より小雨ふる直
    にやむ

廿 日  朝より快晴北の風あり凉しき方夜四
《割書:五つ時七十九度|八つ時八十九度》  つ時より大雨ふり明け方止
廿一日  朝より快晴凉しき方なり昼後より大
《割書:五時七十七度|八時八十九度》  暑風なし夜中は凉し四つ過ぎよりむし
     あつし
廿二日  朝もやおりる大暑風なし夜中迄殊の
《割書:五つ時八十度|八つ時八十九度》  外あつし
廿三日  朝もや大暑風なし夜中迄あつし
《割書:五時八十度|八つ時九十度》
廿四日  朝より快晴少々風あり大暑夜中風な
《割書:五時八十一度|》
《割書:九つ時八十五度|八時八十八度》  くあつし
廿五日  朝きりふる五つ時むら雲風あり快晴
《割書:五時八十度|八時八十九度》  昼後より別て大暑風なし夕方夕立も
     やう有之候へ共降不申候
廿六日  朝より快晴大暑八つ時より少々風あ
《割書:五時七十七度|九半時八十九度》  り
御守殿様御所労の旨被仰出
廿七日  朝より快晴大暑風なし八つ半時俄に
《割書:五時八十度|九半時九十四度》 雷雨半時計快晴夜中迄実に大暑なり
    峯寿院様御逝去に付町御触れの写し

 峯寿院様御所労之跡不被為叶御養生昨廿六
 日巳上刻御逝去被遊候右之御儀ニ付重立候
 御町人評定所え罷出
 中納言様等え御機嫌相伺可申候尤普請之儀
 は御三十五日相済候迄鳴物殺生は
 前中納言様御忌丈ケ御五十日迄御停止家上
 并ニ壁等小破之繕普請は七月十六日ゟ不苦
 候
 右之通御達有之候間其旨相心得支配切銘々
 無洩可相達候以上
    六月廿七日     生井秀三郎
     六ケ町名主
二十八日 朝より快晴大暑風なし夜中迄凌兼候
《割書:五半時八十三度  九時より八ツ時迄九十一度|》
 将軍様廿一日四ツ半時御逝去之由
 峯寿院様廿三日七ツ時御逝去之由
 将軍様は峯寿院様御兄様
二十九日 朝より快晴大暑風なし夜中迄殊之外
《割書:五ツ時八十二度|九半時九十一度》 あつし
晦  日 朝よりくもるむしあつし五ツ半過よ

《割書:五半時八十二度|九つ過九十二度》 りてり立大暑夜中迄殊の外あつし
 打続大暑雨更に無の田は干されに相成申候
 由所々雨乞有の候得とも更にしるしなし
  けとふじんめらと茶にしたじやうきせん
  たつた四はいに寐むられもせす
  ぢのそこでむかしのさるが
           はきりがみ

     七月
朔  日 朝より快晴四つ時くもる四つ半時よ
《割書:五つ時八十度|八つ時八十九度》 りてり立大暑少々風あり
二  日 朝より快晴四つ時よりくもり九つ時
《割書:五つ時八十一度|八つ時九十一度》 よりてり立大暑少々風あり
三  日 朝くもり五つ時よりてり立大暑夜中
《割書:五半時八十二度|八つ時九十三度》 迄風なし
四  日 朝より快晴大暑少々風あり
《割書:五つ時八十二度|八つ時九十一度》
五  日 朝より快晴大暑朝の内少々風あり昼
《割書:五時七十八度|八つ時九十度》 後より風更になし大暑夜中迄風なし
六  日 朝より快晴少々風あり夕方より風な

《割書:五半時八十二度|八つ時九十度》  し
 又々異国船紀州辺え見候よしにて追々はや
 来る俄に戸田銀次郎殿藤田虎之助殿御軍師
 山国喜八郎殿江戸表へ出立に相成候よし
七  日 朝より快晴暑気少々風あり夜中風な
《割書:五半時八十二度|九つ半時九十度》  しあつし
八  日 朝凉し快晴明六つ半時地震ゆる四つ
《割書:五半時八十二度|九時九十一度》  半過ぎより東風吹出しつよし夜に入風
     なし
 打続雨無のに付村々にて雨乞等致候へ共更
 にしるし無し岡作は余程いたみ申候由
九  日 朝より快晴九つ時より東風ふく大暑
《割書:五つ半時八十度|八つ時九十一度》  夕方俄にくもる夜に入雷雨直にやむ
     しめりに相成ほとは無の候
十  日 朝より快晴大暑少々風あり終日大暑
《割書:五つ時七十八度|八つ時九十二度》  夜中如何にも凌かね候
十一日  朝より快晴大暑四時くもる俄に雨ふ
《割書:五つ時八十三度|九つ時九十度》  り直やむてり立ほこりしめしにも相
《割書:八つ時八十五度|》
《割書:中納言様|前中納言様》  成不申候大暑九つ過ぎより南風ふく八
《割書:一七日にて御忌|被為解》 つ時俄にふる直にやむてり立七つ過よ

《割書:公辺え隔日|御登城被仰》  り又々雨ふり大雨夕方止久しぶりに
《割書:付候|》    てよきしめりに相成り申候夫より夜中
     まて少々つヽふり
十二日  明七つ前より辰巳大風大雨四つ過迄
《割書:四つ時七十六度|九つ半時八十四度》 雨つよし風も同断嵐し九つ時より南
《割書:此節品川辺|え御台場出》   風になる雨止風つよし夕方ゟ風静る
《割書:来る大騒の|よし》   余ほとの嵐なり
十三日  朝よりくもる大暑九つ時少々雨ふる
《割書:五つ時八十度|九つ半時八十七度》 直にやむ快晴暑気つよし夜中くもり
江戸小石川ゟ書帖
 前中納言様御事此節隔日程に御登城被遊
 候こと被仰出候へ共当分の義は日々御登城
 被遊候御勢の一時に甚敷相成候義我々共に
 至迄ありかたき事に御座候御風呂屋口と申
 は公辺の奥に御座候御上りの節は公辺の御
 小姓頭取御先を引御小姓衆御太刀を持被為入
 候小石川御家来は御風呂屋口迄御供被仰付
 候夫ゟ表へ廻り御次向は是迄上り来候雁の
 間表御供御徒士迄は蘇鉄の間にて日々御 飲(マヽ)
 被下に相成候下供は握 飲(マヽ)被下置候御出席中

 は御小姓三人にて扇にてあおき候よし
 公方様御同様と相見得申候海岸防禦の為の
 みなられ兼に此節から色々と御聞被成候事
 と奉存候当月七日公辺御服所茶屋文四郎と
 申者五十石被下御同明列御役御免被仰付候
先日の異舟一条に付井伊掃部頭参府御定の通
国元ゟ廿四時にて参着仕候よし
会津も同断御定の刻限に参候よし自分にて槍
を持参候
 江戸で出来の由川柳
  具足屋はアメリカさまとそつといゝ
十四日  朝より薄くもり五つ時よりてり立暑
《割書:五時七十八度|九半時八十七度》  気つよし少々風あり凉しき方なり九
     つ時俄に雨ふり直やむ快晴
十五日  朝より快晴終日大暑しかし凉し
《割書:五半時七十九度|》
十六日  朝より快晴五つ時むら雨直にやむ快
《割書:五半時八十二度|九つ半時九十度》  晴大暑夜中まてあつし
十七日  朝より快晴残暑つよし終日大暑去りな
《割書:五時七十九度|》  から朝夕は格別凉しく相成り凌ぎよく候
江戸ゟ文通

 加州木屋孫衛門と申大商人親類迄 闕(ケツ)所被仰
 付候
 右に付加州家臣長大隅守初め大臣六人自殺
 仕候是は亜米利加(アメリカ)船と交易御城書へ右の赴
 出る交易品も御城書に出る此節他所向は甲
 冑騒き雑兵具足出来候事夥敷事に御座候寔
 に替り易き世の中に御座候余は文略
  《割書:追々風説には木屋には無しの|銭屋五郎兵衛と申者の由》
十八日  朝より快晴残暑つよし大暑夜中 迄あ
《割書:五時七十九度|九つ半時九十度》  つし
十九日  朝より快晴暑気つよし少々風あり凉
《割書:五つ時七十七度|九つ時九十度》  し
 御葬送十六日江戸御発足今日下町御通り明
 日御穴入
 公辺御名代御留主居番豊田藤之進
 新御守殿様御名代太田源三郎
 九つ時下町御通行
廿 日  朝より快晴暑気昼後より別に残 暑つ
《割書:五時七十七度|九つ時八十五度》  よし
四五日已然より酉戌の間え暮れ方より五つ時迄

之間光り殊之外高ク見候星出る圖のをし
卄六七日方より不出【下に図有り】
卄一日 朝より快晴凉し風あり晝位より八ツ
《割書:五時七十七度|九ツ時八十七度》 過迄ハ風なし大暑夕方より凉し
卄二日 朝より快晴少々風あり凉し
《割書:五時七十七度|》
卄三日 朝より快晴五ツ時より薄くもり
《割書:五時七十七度|》
 此度御守殿樣江戸御發棺御通棺之節ハ殊之
 外嚴重ニて武士小路ハ辻々高張さし出棒突
 出ル町家之二階ハ十五日ゟ〆切目張致十六日
 ハ見せ迄〆切御成ゟ嚴重ニ候橫町〳〵ハ板
 ニて食違出來候上七八丁先々ニて往來留ニ
 相成御祓と申扇を持御徒士通申候節ゟ武家
 棒突出町家役人をハ引込せ候公邊與力麻上
 下着用ニて辻々固メ申候上野三好橋ハ東ノ
 方小橋中橋之間へ一盃ニ土橋出來申候
 〇万石以下御旗本中綿服取交勝手次第之旨
 御觸御座候公邊御小納戸抔一人も不殘早速
 葛布之袴ニ相成候赴追々水戸風被行候事と
 存候此上變化如何之事哉
卄四日 朝より快晴大暑風なし

《割書:五半時七十八度|九五時八十八度》
 当廿日江戸御用戸田銀次郎五百石元席海防
 五ヶ年程定府藤田虎之助三百石元席右同断

 公方様一昨廿二日
 薨御被遊鳴物音曲殺生月・(代脱か)当鉄炮普請武芸御
 当日より御停止日数は追て御達の趣御家中
 御徒士已上の族髭月代御二七過刺可申事
廿五日 朝より快晴暑気つよし風なし八つ時
《割書:五半時八十八度|八時八十九度》 よりくもりむしあつき七つ半過ぎより
    雷声暮方より雷雨六五雷止雨はか
    り降
廿六日 朝より快晴八つ時ゟくもり雷声半時
《割書:五時七十七度|八時八十八度》 計にて止雨なし夜五時地震
 江戸ゟ書帖
 公方様薨御に付江戸中商売留め日限不相分
 凡そ三日位なるへしとの沙汰大御所様と違公
 方様薨御は惣て厳敷又者 倍(マヽ)臣に至迄御府内
 は髭月代不相成候此度は万事文照院様御例
 のよし御大御所なとは又者倍臣は髭月代

 一統に御免に相成候よし
廿七日 朝よりむら雲薄てり暑気つよし八つ
《割書:五五時八十度|八つ時八十五度》 時地震風あり残暑つよし
廿八日 朝より快晴四つ時よりむら雲暑気終
《割書:五時七十八度|八時八十八度》 日殊の外穏なる荒日に御座候
《割書:二百十日|》
 公辺御名代豊田藤之進今日迄下町一町目御
 会所え御逗留今朝出立の由殊の外六つか敷
 人のよし
廿九日 朝より快晴暑気風なし九つ半より少
《割書:五つ時七十八度|九五時八十七度》 々風あり
 アメリカ船一条に付川柳
  はかないと草葉の陰て猿か言
 太閤長泉征今は先ゟ船を被向候に付
  水無月や小さき井戸が役にたち
 井戸鉄太郎浦賀とり扱よろしきとて

    八月
朔 日 朝より快晴至極穏なり終日残暑つよ
《割書:五五時八十度|九つ時八十九度》 し夕方より少々風あり夜中迄あつし
二 日 朝より快晴終日暑気殊の外つよし夜

《割書:五五時八十度|九五時八十八度》 中は別て風なしにて土用中位の暑気
《割書:鎌倉英勝寺様|御卒去廿七日ゟ》 凌かね候程なり八つ時より俄雨ふり
《割書:廿日御停止|》
三 日 朝より快晴暑気五つ半時俄雨さつとふ
《割書:五半時八十度|九つ半時八十五度》 り折々さつとふり夕方より辰巳もや
    うにて曇
 江戸小石川ゟ
 将軍様御他界の事故大御所より一段御手重
 にて町方三日商売留と申候所五日御停止此
 暑気の所五日の〆切同様町住居の者は大難
 儀の由他所出も御停止同様御座候にても無
 拠用事の外他出間敷家来〳〵にても用事済
 次第決て猶予なく帰宅可致旨御達廿七日よ
 り商初申候由にて無拠用向有之人そろ〳〵
 出申候へとも町々にて拍子木にて打送り大
 道の見世等壱人も出不申候故用済次第帰宅
 致候より外無之よし鎌倉瑛勝寺様廿七日御
 広前様には御守殿様五十日上様十日瑛勝寺
 様廿日と御三方様御忌を一堂に被為請実に
 変年と申も恐多く御座候将軍様御出棺八月

 四日のよし
四 日 宵より辰巳風つよし雨なし明方ちら
《割書:四時八十四度|九半時八十八度》 〳〵雨ふり直にやむむら雲時々てり
《割書:江戸| 南郷米五斗弐升》 むしあつし南風になる荒模様四つ過
《割書:荏水三十八両弐分|故麻弐十九両》 むら雨直てり立九つ時俄大雨直止て
    り立暑気夜中迄殊の外あつし
五 日 朝より快晴むら雲暑気つよし五半時
《割書:五五時七十九度|八つ時八十六度》 よりくもり夜中残暑つよし
六 日 朝よりくもり終日薄くもり空にて持
《割書:五半時七十一度|九五時八十五度》 合夕方より丑刁風にて冷気夜中より
    晴
     今日御用
新番頭 岡崎東之助        佐久間貞介
大御番 林甚衛門    御医学館 玉川立蔵
    石川彦之介        三田馬善士郎
御馬廻 宮田藤衛門    組の儀 里見四郎衛門
    丹羽七之介        岡崎貞之介
    鈴木庄蔵
    同 子之吉   御小姓頭 大場弥之介
    大久保近作  御小姓頭取 鵜殿八太夫

五十石御普請 木内六衛門   元支配并 御留主居物頭中
御馬廻列   大内菊太郎   元組の儀 河津穂内
       石川徳五郎        桜井小太郎
       同 鉄二郎    元支配 渡部半六
       宮本千蔵      の儀 小普請支配中
御付属与力  小林六衛門        寺社役所
       庄司弥八郎
支配の儀   御用人中
       平尾右近
支配の儀   御待奉行中
七 日 朝より快晴秋冷風あり凉し夜中袷に
《割書:五半時七十六度|九半時八十三度》 てよし
八 日 朝より快晴秋冷
《割書:五時六十七度|九つ時七十七度》
九 日 朝より快晴秋冷になる九つ時より俄
《割書:四時七十五度|九五時七十五度》 に大雨ふり九つ半時止快晴七つ半時
    又々俄に大雨直にやむ快晴
十 日 朝より快晴秋冷風あり
《割書:五時六十四度|九五時七十五度》
十一日 朝より快晴七つ時日暈あり
《割書:九時七十四度|》

《割書:玄米 府中土浦笠間        穀町 新籾 三斗六升|六斗 江戸表店々            古籾 三斗》
《割書:買入米 四斗八升            大豆 壱斗九升    |                    小豆 壱斗六升》
十二日 朝より快晴昼後よりくもり七つ半過
《割書:五五時六十九度|八時七十三度》 より小雨ふる七つ半過地震ゆる夜に
    入大雨終夜大雨なり
十三日 宵より大雨五時よりしとろになる四
《割書:五時七十六度|九時七十七度》 つ時より雨止九つ過より大暑快晴夜
    中迄あつし
十四日 朝より快晴残暑つよし
《割書:九五時七十八度|》
 先月十五六日方イキリス船四艘長崎表へ着
 船交易願候よし尚又琉 久(マヽ)国へも此節四艘着
 船致居候よし
十五日 朝より快晴五つ時少々うすくもり秋
《割書:四時七十六度|》 冷夜中折々むら雲
十六日 朝より快晴残暑つよし夕方よりくも
《割書:四時八十度|》 り
十七日 夜明け方よりちら〳〵雨ふり五つ半時
《割書:九時七十四度|》 より快晴
 質素節倹武備手当等の義別帋の通従
 公辺御触有之候条右御趣意の趣得と相心得

 於御家も追々被 仰出候武備手当は勿論質
 素倹約麁服着用等の儀弥堅相守
 公辺御趣意に相恊候様心懸候儀可為肝要候
 一右に付分けに御制度被仰出候品も可有之
  候所俄に被仰出候には差支候向も可有之
  候の先つ此節の義は御沙汰無之候処漸々
  御改め可相成候事に付其節に至り差支無
  之様面々可被心懸候
 右の趣相心得支配々へも可被相達事
  阿部伊勢守殿ゟ常阿弥を以御城付共え一
  帋にて御渡御書付の為
 質素節倹の儀前々ゟ数度被 仰出有之候所
 万石以上以下共都に驕奢の旧習不立直向も
 有之且近年異国船度々渡来彼是御備筋等の
 御入用も有之諸家の失費不少依ては此度於
 公儀五か年の間際立候御倹約可被遊
 思召候間右年限中は何れも格別に諸事雑費
 を省防禦武備の筋一円に力を用ひ可被申候
 万石以下の面々は登 城にも木綿の服取交
 着用不苦候其外兼々被 仰出候音信贈答供

 連家作向等廉く惣に右の振合に准格別の節
 倹相用ひ此度御沙汰の趣能々行届候様一同
 厚可被心得候付には追々御取調の儀も有之
 候間此上共等閑の輩有之候はヽ夫々御沙汰
 の品も可有之候
 右の通触候間可存其趣候
   七月
十八日 朝より快晴残暑殊の外つよし
《割書:五五時七十三度|ひかん》
十九日 朝より快晴四時半よりくもる又々て
《割書:五半時七十五度|大豆福七斗五升》 り立夕方よりくもり
《割書:古籾三斗一二升|》
二十日 朝七つ時大雨直やむ五つ時よりちら
《割書:五時七十三度|》 〳〵雨昼過より夜中迄折々雨ふり
廿一日 朝よりくもり四つ時よりてり立残暑
《割書:五時七百七十五度|》 つよし
廿二日 朝くもり五つ時よりてり立残暑つよ
《割書:五時七十三度|》 し
廿三日 朝より快晴残暑つよし
《割書:九時六十八度|》
   アメリカ船一条に付
 長き夜の生ける武士の皆目覚アメリカ船の

 水戸のはきかな
 其昔蒙古の時もあ部こべてちつとも吹ぬ伊
 せの神風
 陣羽織異国て鳥渡洗張ほといて見れは浦賀大変
 細川の水まあつたる上きせん四杯位はたつ
 たひと呑
  アメリカか来ても日本は筒かなし
  異舟来て水戸なる人はたゞ一人
  アメリカのとろけて返る暑かな
廿四日 朝より快晴朝夕は冷気
廿五日 朝より快晴九つ時より風吹八つ時風
《割書:五時六十八度|九五時七十四度》 止薄曇八つ半時より快晴
  《割書:御町奉行|御郡奉行》中へ
 異国船已来未穀直段引締候欤に相聞候所収
 納時節にても引締候程に候得は来春に至り
 候はゝ如何程引上け候欤も難計尚又来春異
 国船渡来候はゝ尚以て義に可有之旨唯今よ
 り心を付商人共我侭に過分の直上け等不致
 候様取締可申様御口達の事

  《割書:御町奉行|御目附》中え
  《割書:御郡奉行|》
 異国船已来江戸表米穀引上け追々離散人有
 之由右様のもの御国へ立入候得は自然と物
 騒に相成不宜候間悪者立入不申候様取締向
 精々心を用ひ候様御口達の事
廿六日 朝より快晴秋冷なる
《割書:四時六十六度|》
廿七日 朝より快晴
《割書:五時六十一度|》
廿八日 朝より快晴
《割書:五時六十四度|》
廿九日 朝より快晴残暑つよし夜に入くもる
《割書:五時六十三度|》
《割書:上州辺玄古 六斗一二升|下たて辺 六斗六七升》
桐生市大不景気にて絹物類追々下落広帯地壱
本に付拾匁余つゝ下落
  鷹司殿下御辞職に付御批
 辞職之事多年補佐抜群動労有之
 叡感殊深弥雖
 御残懐思召辞退数度願意難黙止依請可聞召
 之処此節異船渡来雖去日退帆之由
 宸襟猶不安依之苦労思召今暫於在職可被安
 叡念可被召留㕝

晦日 朝よりくもりむしあつし残暑
《割書:五五時七十一度|》
絹いと追々下落会津御蔵入七月廿八日市百三
十三匁八月に至り百五十匁より百八十匁位此
節弐百目位に出来可申振同処米は七斗三四升

    九月
朔 日 朝より快晴残暑つよし夜中迄あつし
《割書:五時七十一度|》
二 日 朝よりむら雲あつし四つ時より照【四から照まで取消線】五つ
《割書:新わた| 弐〇五位》 時よりほろ〳〵雨五五時俄にざつと
《割書:新籾| 三斗五六升》 ふり七つ時又々さつとぶり終日むし
《割書:此節於御中御|殿に蒸気船御》 あつし夜中も暑中同様折々さつとぶ
《割書:ひなかた出来|候よし》 り
三 日 朝よりくもり終日曇空にて持合
《割書:五時七十度|》
四 日 朝むら雲五つ時より薄てり終日曇空
《割書:五時六十二度|》 にて持合
《割書:金子孫二郎|御徒より南部郡奉行再勤被仰付候》
五 日 朝より小雨九つ時より雨つよし夜中
《割書:雁 来|五時五十八度》 迄小雨
六 日 朝より雨ふり冷気也四つ時より止北
《割書:日光山白根山|大雪ふる》 もやうにて終日寒冷なり

七 日 朝方より雨ふり北もやう寒冷九つ過
《割書:五五時五十五度|》 迄小雨降
八 日 明六つ時迄小雨五つ時晴快晴
《割書:五時五十四度|》
九 日 朝よりくもり五つ時雷一声四時雨ふ
《割書:五半時五十七度|》 り直止
御城へは御帖は出る御祝儀は不申上御機嫌伺候様
御達有之候事
十 日 朝より薄くもり冷気なり終日くもり
    空にて持合
十一日 朝より快晴朝六つ半時地震暮れ六つ半
《割書:五時五十七度|昼六十一度》 時ぢしん夜四時地震
 江戸表にて判(マヽ)に相成此節よみうり絵入
 夫我朝は武国にして又義国なり異国毛とう
 人なとの及ふ処にあらすこヽに肥前の国五
 島において当丑八月十二日あめりか国蒸気
 船右の津に来り海辺町家を乱にういたし米
 穀酒味噌なと大いにうはい人家なんきに及
 ふ依之さつそく御地頭へ此よしうつたへ出
 し処御城内より打手として千五百余人御さ
 し出し被成沖にかゝりいたりし蒸気船を石




 火矢にて打くたき右蒸気船に乗居たりし毛
 とう人こと〳〵く即死いたし人家乱ほうい
 たせし毛とう人五十三人不残いけ取と相成
 中にも重たちし五人は江戸表へ御さし出に
 相成候由全五島家の武門広大なるゆへなり
 と諸人かんしさらんものはなかりけり
 追々承り候へは盗賊とも異人のまねを致所
 々乱 防(マヽ)致候よし
十二日 朝より快晴寒冷終日天気よし夜に入
《割書:朝五十二度|》 風吹昼時地震

 《割書:乱製|秘法》滞船散  《割書:大筒見 三拾〆目|小筒見 拾〆目》
       《割書:心 見 壱〆目|》
 右御薬の儀例無に寄て予が家に年久敷伝る
 処其の功(マヽ)有る事神の如し此度世人救のため薬
 法さつくる也仍に其功有る事を知へし
    方
 当大王  參嫌  金銀花  当氣
 武士   困窮
 一第一 蒸(じやう)気船に酔眩暈によし
 一帆影薄く見へ何となく心いためるによし

 一 異人碇をおろし臣下の高ふるをおさゆる
   によし
 一 石炭つよきまは商家の絞(しぼ)りしるを加へて
   よし
    禁物  東南  慕風
   《割書:真っ平|御免》 売弘所     東都茨木氏製
              姉小路下る町
               福山伊せ大椽
      取次所     越後長岡
               柏屋牧衛門
 心  《割書:氣|色》  勤  身
   氣をなかく心をひろくいろうすく
    つとめはかたく身はしたまもて
  腹【横向き】 世の中ますくてよかるは
     あしまれと此字むかうは
      たゝぬのかはし
一三日 朝東の方より辰巳方迄黒ねた雲出る
《割書:五時五十五度|》 五つ時地震快晴風吹七つ半過地震ゆ
    る
     当世評判記

  誰か見てもあふなけの   駒込のご隠居に
  なひ老巧日本の大立物    七代目白猿
  随分評判も能芸も悪敷は  福山に
  なひが㝡う少し根強して   助高屋
  貰たひ
  格別評判もなひか誰も   長岡に
  わるく言てもなひ      坂東彦三郎
  故人になつても誰ひとり  皆様御存しの御方と
  おしひてのなひ       尾上松介
  身かけは立派たが役に   御台場の大筒と
  立ません          嵐吉三郎
  ひとり舞台をふませも   熊本の城主と
  きつとしてやります     嵐りかん
  器用に見えるが極あふな  西洋流のなまきき
  ひ芸て当りはつれかあり  鉄炮に市川小団次
  ます
  何をさせてもきらひ    江川太郎左衛門
  なく能やります       関三十郎
  来ては人にいやかられ   亜墨【米を取消】利加船に
  ます            中村哥六

  なまかわで芸も未熟た    馬具師に
  か当時のきけもの       岩井粂三郎
  上手下手にかゝわらす    具足師に
  人に用ひられて当時な   八代目
  くては事かかけます
十四日 朝より快晴寒冷なり九つ半時ちら〳〵
《割書:|四時六十度》 雨ふり直にはれ又々七つ時雨ふり直
    にはれ夜中もはれ四つ半時よりちら
    〳〵雨ふる暖気なり
十五日 朝より快晴七つ時より雲り折々小雨
《割書:五半時六十度|》 夜に入四つ過より雨降
十六日 宵より大雨辰巳の風吹く暖気なり明
《割書:五時六十八度|》 方よりしとろになる五半時より大雨
    になる四つ時より雨止終日くもり夜
    中むら雲
十七日 朝取りくもり暖気なり五つ半時より
《割書:六十四度|》  照立終日暖気なり
 此の節弘道館天文方におゐて世界かたち御出
 来に相成江戸表へ為御登に相成候よし
十八日 朝さむし快晴
《割書:五十六度|》

十九日 朝より快晴
《割書:五十三度|》
廿 日 朝より薄くもり九つ時大雨雷壱弐声
    一時ほとまに雨止夜六半時俄雨夫よ
    り四つ半過より大雨暖気南風
廿一日 朝薄くもり五つ半時よりてり立暖気
《割書:六十五度|》  也
廿二日 朝よりくもり
廿三日 朝より快晴五つ過よりくもり北風に
    て終日さむし
廿四日 朝より快晴寒気なり
《割書:五五時五十度|》
 昨日より大鉄炮江戸表へ為御登に相成町在
 人足数多出る六十四 掛(け)の御筒八 掛(け)の御筒乾
 坤の御筒都合七十四挺為御登候よし 公辺
 へ献上に相成候品の趣
 此分十一月初に為御登に相成よし
廿五日 朝より快晴寒し
《割書:五時四十七度|》
廿六日 朝より快晴寒し
《割書:五半時五十四度|》
《割書:下たて| 新綿弐〆弐百目》
廿七日 朝より快晴寒し
《割書:五時五十三度|》
廿八日 朝より快晴
《割書:五時五十三度|》

 《割書:仙台白米壱分に付弐斗|出羽白米壱分に付壱斗八升  出羽は常には壱分に四斗位致候所の由》
 此節江戸表には銅板を具足に出来売出申候
 趣然る所立派に手厚相見申候に付買入の面
 々有之趣の所立派に応し候ては下直過候よ
 り疑心発し内張を放し塗をも摺はかし試み
 申候所銅に御座候趣夫より諸方に露布いた
 し行々
 公辺ゟ御手入にも相成可申趣迷惑可仕道具
 屋出来可申候よし併紙にて張抜具足も沢山
 に出来候趣に御座候へとも是は張ぬきと申
 売候故是は却に無事銅を本物といつわり候
 ものは六か敷よしに御座候
廿九日 朝むら雲五半時よりはれ
《割書:五時四十八度|》
 《割書:穀町 上籾参斗三四升|     三斗六七升迄》
 《割書:   玄米七斗弐三升|》
 綿は当年は不作に候得とも異船已来都に商
 物不景気にて当時弐〆五百目に下館より売
 人参り真壁わたは弐〆六百目位に出来申候
 へとも買人更に無之候

 牧野備前守殿領分越後途中と申所壱万石飛
 地有之候処異国船一条に付御用金被仰付候
 に付指出し候所又々被仰付候に付百姓とも
 壱万程寄合八月廿三日途中の市中乱防致候
 よし

    十月
朔 日 朝より快晴暖気小春空なり
   将軍様御逝去後水戸様日々
   御登城被遊候様被仰出候に付
   落首
  将軍も尾張ぬふと紀伊てこに
  水戸とのやふと日々の御登城
二 日 朝むら雲五つ半時ゟ晴昼時より俄に
《割書:五時五十四度|》 雨ふり出し終日小雨ふり夜中迄同断
三 日 朝より小雨ふる暖気なり昼時より雨
《割書:五時六十四度|》 止終日くもり空にて殊の外暖気なり
四 日 朝より快晴
《割書:四時六十四度|》
五 日 朝より快晴七つ時よりくもり夜四つ
    時より雨ふり

六 日 朝より小雨ふり昼時より快晴さむし
《割書:昼時五十四度|》
七 日 あさ朝より快晴寒し
八 日 朝より快晴寒し夜に入くもる九つ過
《割書:四十四度|》 より雨ふる
九 日 宵より雨ふり寒し終日雨ふり丑刁も
《割書:五十五度|》
《割書:当夏中ゟ南|部に百姓乱有》 やうにて寒冷なり夜五つ過ぎより殊の
《割書:之壱万人程仙|台え駆込候よし》 外晴れ
十 日 朝より雨ふり折々照たつ北もやう寒
《割書:四つ時五六度|》 し
十一日 朝もやたつ五つ時よりてり立さむし
《割書:五| 五十六度》
 《割書:新籾三斗五六升      大豆八斗四五升|当年は出来宜候に     小豆六斗四五升》
 《割書:付七斗弐三升に上る    麦 九斗|》
十二日 大霜ふる快晴寒気日中暖かなり
《割書:五時三十九度|六〆四百文》
十三日 朝より快晴霜なし夜に入八つ時より
《割書:五時|四十弐度》 雨降
十四日 宵より雨ふり終日雨さむし夜に入雨
《割書:江戸|白米六合五勺》 上晴
十五日 朝より快晴折々くもる終日空合六か
《割書:五時五四度|》 敷候
 

十六日 朝より快晴
《割書:五時|五十二度》
十七日 朝むら雲四つ時よりてり立北風さむ
    し
十八日 朝よりむら雲終日晴曇夜五つ時より
    雨ふり
十九日 朝小雨六つ半時止快晴暖気なり
廿 日 朝より快晴暖気なり
廿一日 朝よりくもり北もやう・(さ)むし終日曇空
《割書:朝五十一度|》
廿二日 朝よりくもり暖気なり明六半時酉戌
《割書:五時四十九度|》 の間へ虹立四つ時より雨ふる終日少
    々雨ふる夜に入止
廿三日 朝より快晴暖気昼比よりくもり八つ
《割書:五時五十三度|》 時より雨ふり七つ過止夜中四つ過よ
    り晴
廿四日 朝大霜寒気快晴西風にてさむし
《割書:五時三十九度|》
廿五日 大霜快晴寒気なり西風夕方迄吹
《割書:五時三十八度|》
廿六日 大霜氷はる寒気
《割書:五時三十八度|》
廿七日 大霜寒気つよし
《割書:五時三十九度|》
 諸国大不景気江戸にても日々鉄炮の音計り
 相聞申候由小石川御屋敷にても両三日已前

 ゟ壱貫目玉込御放に相成候間響別に御殿牛
 込目白辺え多分に響渡申候趣牛天神は打付
 故鬼瓦行々は落可申由御留守居筒井肥前守
 《割書:以前は紀伊守と申候人内|籐紀伊守へさし合に付改名》御勘定奉行河内左
 衛門尉御儒者古賀喜一郎三人ヲロシヤ願書
 御挨拶として近々長崎へ出立の由に御座候
 アメリカの義に付上書の事にて天下の三傑
 と申候 前様 松平越中守 太田道醇【摂津守父を左書き】也
 此の節王子の先川口と申所にて諸矦【侯】の鉄炮沢
 山に出来壱〆目は弐百五十両つゝの由品川
 御台場も札の辻辺より能・(見)申し候
   品川の突出しいやな客を待
   日の本へ三つ四つきたり夏の虫
廿八日 大霜寒気快晴之西風さむし
《割書:五時四十一度|》
廿九日 朝より快晴西風夜中迄寒気つよし
《割書:三十九度|》
晦 日 朝より快晴大霜寒気
《割書:三十六度|》
 前中納言様駒込より小石川松御殿え
 御引移に相成候よし
 アメリカ以来諸国一統大不景  (気脱か)商ひ等更に無
 之諸品殊の外下直

    十一月
朔 日 朝より快晴寒氣大霜九ツ過より曇
《割書:二 日|五時三十六度》 大霜快晴寒氣木からし
《割書:三 日|五時三十四度》 大霜寒氣快晴西風さむし
四 日 大霜快晴寒氣夜九ツ過より明方まて
《割書:五時三十六度》 大風ふく
《割書:五 日|三十六度  》 大霜快晴寒氣つよし
《割書:六 日|五時三十七度》 朝より快晴西風寒氣つよし
《割書:七 日|五時三十四度》 大霜快晴寒氣つよし
《割書:八 日|五時三十六度》 大霜寒氣つよし夜ニ入くもる
《割書:九 日|五時四十五度》 宵より小雨ふる終日雨暖氣なり夜中
《割書:将軍宣下当|月廿三日に被》 雨つよし四ツ時より止
《割書:仰出候|》
《割書:十 日|四十六度》  朝より快晴暖氣也夕方より西風
 下町在石崎邊にも可有之哉十九才に相成候
 女先月中ころ脇合より嫁に参り候所当月初
 方馬屋え参り候処馬にかゝいられ髪の毛を
 くわひ四足にてからだをかゝい居候て十日
 ふともはなし不申候外にても馬喰とも大勢
 集いろ〳〵工夫いたし候へとも側へよせつ
 け不申候に付女にはにぎりめしを拵竹のさ

 きなとにてあたへ置候に御尋方へ訴候所鉄
 炮まて馬を打殺候様さし図有之候よしに付
 昨日三匁筒の鉄炮にて打候所小玉故直に死
 不申苦しみ候に右の女を喰殺候よし

 今日は馬口労町先年大火の節の七十五年の
 当日にあたり候よし所々祈祷あり安永八己
 亥年十一月十日と相見え申候

 七日より六十四掛の御筒六十四挺八掛の御
 筒八挺乾坤の御筒弐挺〆七十四吉 川岸よ
 り船にて江戸へ為御登に相成願の上公儀へ
 献上に相成候よし
  《割書:玄米茂木七斗八升|水戸籾 三斗四五升 》     《割書:真壁辺  八斗一弐升|水戸大豆 八斗七八升》
  《割書:    四斗迄|二本松辺鉛弐〆五百目》     《割書:下たてわた弐〆六百目|真壁   弐〆八百目》
  《割書:      いわう六十〆目|信州植田辺鉛当春中相場》  《割書:みなと才田塩拾六俵五分|   新才 拾八俵》
  《割書:     壱〆目に付十弐匁|     七月時分壱〆目に 》   《割書:|笠間玄米九斗》
  《割書:     弐十匁|     此の節廿五匁位一円買売なし》 《割書:府中七斗四五升|》
  《割書:二本松玄米九斗|五斗入弐俵壱両弐朱 》     《割書:信州玄米九斗|絹糸二本松》
  《割書:会津壱石位|太田玄米八斗二三升》      《割書:上糸四十三四両|会津同断》      

十一日 大霜寒気殊の外つよし
《割書:朝三十七度|》
十二日 大霜快晴寒気つよし終日くもり
《割書:朝三十四度|》
十三日 快晴昼後より薄くもり
《割書:四十二度|》
十四日 大霜快晴寒気なり
《割書:三十三度|》
十五日 大霜快晴寒気こと殊の外暖気也
《割書:三十五度|》
十六日 朝より快晴暖気夜中も殊の外暖気
《割書:四十三度|》
 江戸三川白改八反四分銘九反五分造拾反七
 分
十七日 朝より薄くもり暖気五つ過ぎより快晴
《割書:四十三度|》
十八日 大霜快晴寒気つよし
十九日 朝よりくもり暖気なり昼時ゟはれ
《割書:四十一度|》
廿 日 朝大霜快晴夜に入五つ時より四つ時
《割書:冬至|》   迄雨ふる
十一日 朝より快晴暖気なり夜に入あられふ
《割書:四十一度|》 る
廿二日 大霜寒気快晴夜中寒気つよし
《割書:四十度|》
廿三日 大霜寒気殊の外つよし
《割書:弐十九度|》
《割書:今日|将軍宣下》
廿四日 大霜寒気つよし
《割書:弐十七度|》
廿五日 大霜寒気殊の外つよし夕方より時雨
《割書:弐十七度|》

    そらあられふる
廿六日 朝薄くもり時雨空や夜中あられふる少
《割書:金納御相場|弐十弐三》 々寒気ゆるみ
廿七日 大霜寒気四つ時地震ゆる
《割書:二十九度|》
廿八日 大霜寒気夕方よりくもり
廿九日 朝よりくもり九つ時よりてり立
《割書:三十五度|》
 諸国一統大不景気にてとかくアメリカ一条
 のみとり〳〵の評判金融通殊の外不宜諸品
 殊の外下落致居候へ共買人無之皆々仕込所
 には無之金子をまとめ候一条にのみ取懸り
 居候様子にて都の売買無之候事なり
 《割書:太子辺|馬頭》玄米八斗八升  下たて同八斗弐三升
 江戸表三川白銘十反五分  龍ケ崎同七斗弐三升
 番船相場     《割書: |例年番船入津いたし候節江》
《割書: | 江戸》       《割書:戸惣仲广の内にて年番行事|に当り候者五人にて入札い》
 《割書:才田塩弐十弐俵五分|赤穂 十七俵》   《割書:たし中札に落札に相成り候趣|当年の入札左の通》
《割書: | 三川白木綿》      《割書:三州綿壱拾結に付|百廿八両》
 《割書:銘十反五分|造十一反九分》     《割書:百廿七両|百廿六両》   《割書:此分中住に付落札|是より七両引》
         《割書:百廿六両弐分|百廿五両弐分》  《割書:外に金三分引|〆是は定式もの引の由》
         《割書:右の通落札相成候所当月に|相成候には大不景気蒡百》


         《割書:五両ニ出来申候由当年は入|津も極無数四十結計入船之》
 江戸表店々ニ而は《割書:所夫ニ而も売レ不申候よし| 》
 来春之注文は勿論夏物類も一円注文差出不
 申候由

    十二月
朔 日  稀なる大霜雪のことし快晴日之内暖気
《割書:三十五度| 》  なり
二 日  大霜寒気つよし
《割書:三 日|三十二度》  朝くもり快晴なる
《割書:四 日|三十四度》  朝より快晴暖気也
 将軍 宣下 勅使
  九条左大臣     一条左大将
   右御両所は宣下御持参
 勅使
  三条大納言      防条(坊城カ)前大納言
 准后御使      御衣紋
  飛鳥井三位侍従   高倉大夫
 御身固メ      地下
  土御門左京亮    《割書:壬生官務|押小路大外記》

 冠務方添使     外記方添使
  青木兵部大進    青木大学大進
 先使
  山科筑前守
《割書:五 日|三十四度》 朝より快晴
公辺御能有之当五日御三家様へ之御能有之候
よし
《割書:六 日|三十九度》 朝より快晴寒気ゆるみ
《割書:七 日|四十一度》 朝より快晴暖気なり夜四ツ時ゟ雨ふ
《割書:夜四ツ七分|寒 入》り出し小雨
八 日 朝南もやう暖気大くもり四ツ時より
    晴殊之外暖気春のことし
九 日 朝より快晴暖気春のことし
《割書:十 日|三十七度》 朝くもり西風四ツ時より晴
十一日 薄くもり時雨空四ツ半時てり立夕方
    あられふる
《割書:十二日|三十五度》 大霜寒気
十三日 朝よりくもり寒気夜ニ入雨ふり
十四日 朝より快晴暖気春のことし夕方より西
《割書:四五時|四十五度》 風ふき出し寒気也

  十一月朔日相渡候御書付之写
            水戸殿家老衆え
 亜墨利加合衆国より差出候書翰之儀ニ付夫
 々被致建議候趣各遂惣覧集議参考之上達
 御聴候処諸説異同は有之候へ共詰り和戦之
 二字御備宿致候然ル処面々被致建議候通当
 時近海を初防禦筋未タ御全備ニ不相成候ニ
 付渠申立置候書翰之通弥来年致渡来候共御
 聞届之有無は不申聞可成文此方よりは平穏
 ニ為取計可申候へ共彼ゟ及乱妨候儀有之間
 敷共難申置其節不覚悟有之候而は 御国辱
 ニも相成候儀ニ付防禦筋実用之御備精々心
 懸面々忠憤を思ひ義勇を蓄へ彼之動静を致
 熟察万一彼ゟ兵端を相開候はゝ一同奮発豪
 髪も 御国体を不汚様上下挙而心力を尽し
 忠勤可相励との
 上意ニ候
 右之通被仰出候間其段水戸殿へ可被申上候
 事
《割書:十五日|朝三十二度》 大霜寒気夜入殊之外さむし

《割書:十六日|二十五度》 大霜古今稀なる寒気
《割書:十七日|三十三度》 大霜寒気
 当十二日朝五時江戸行徳川岸ニ而田安様会
 津様御船喧嘩有之田安様ニ而は死人壱人有
 之大掛り合ニ相成今日舟止ニ御坐候
           《割書: |江戸より》
   十四日      柏屋吉右衛門
十八日 明七ツ時よほとつよき地震ゆる快晴
《割書:朝三十五度| 》 朝五ツ時又々地震夜五半過地震ゆる
《割書:十九日|三十六度》 大霜寒気夜ニ入雨ふる殊之外暖気也
 此節駿河州沖へ異国船弐艘掛り居候由
 東海道宿役人ゟ注進状写【この行朱書】
 乍恐宿継を以奉申上候然は兼而御届申上候
 仇討一条漸々昨廿七日御検使其外御出立相
 済申候ニ付口書之大意左ニ奉申上候
           松平誠丸様元家来
   《割書:高弐百石|目附役》       須藤九右衛門忰
             須藤隼太郎
              《割書:丑弐拾九才| 》
             同 平次郎
              《割書:丑拾九才| 》
             同 金三郎
              《割書:丑拾六才| 》
           細川山城守様御家来

           御城見廻役
   高拾六石     原傳右衛門忰
     仇       原    鑊(カナヱ)【フリカナは朱書】
             《割書:丑年弐十五才と申事| 》
  右隼太郎殿外両人ゟ申立候は父九右衛門
  儀品川天王信心ニ而当七月二日暮六ツ時
  過同社参詣ニ罷越候処帰り刻限過候而も
  不立帰候間不安故兄弟三人迎として罷出
  候処御殿山辺ニ而九右衛門儀深手負罷在
  驚入手掛り等相尋候処闇夜と申更ニ不相
  分相手之儀尋候へ共何分言語も分り兼候
  得共隣屋敷原と歟申様ニも聞候間其侭引
  取候而間もなく相果候間手掛り不分明ニ
  付種々相探候内前書鑊平日所業気質等如
  何之ものにて殊ニ酒乱ニ有之間同人身分
  蜜ニ聞合等仕候処其節鑊仕業之由風聞強
  く同人屋敷逐電行衛不相分兄弟共種々心
  配罷在候然ル処家禄被召上身分は親類方
  へ御預ケニ相成断絶致候ニ付老母之心底
  思ひやられ私共儀弥増悲歎難堪神仏へ祈
  念致種々心当相尋候内父九右衛門を殺害

  致候鑊自筆之書帖手ニ入候間当月十六日
  仇討ニ旅立候旨書置相残候三人共屋敷立
  出右手続は駿州吉原宿在大鹿村ニ有之間
  同所え心差罷越蜜探仕候所鑊儀僧形ニ相
  成太本と改名其節江戸之方へ向出立仕候
  趣ニ付跡追欠途中似寄之もの見掛候間し
  たひ来候所藤沢宿近辺ニ而見失ひ候へ共
  多分藤沢戸塚両宿之内ニ右之もの可有之
  と平次郎は藤沢宿ニ止り隼太郎外壱人は
  止宿之場所等申合置戸塚宿へ罷越平次郎
  儀通宵遊行寺辺ニ彳み心掛届候内夜七ツ
  過旅僧体之もの通懸り候間能々月夜ニ見
  透候所鑊儀太本ニ相違無之間欠抜戸塚宿
  へ罷越兄弟へ其旨申聞直様引返シ申候尤
  隼太郎は宿役人方へ親之仇打致候間立会
  呉候様姓名等申聞一同駈出候所無間仇鑊
  行違候間名乗掛り候処野道之方へ逃込候
  故追欠打果候所宿役人も駈来始末相尋候
  ニ付筋柄申聞候儀ニ御坐候
 一宿役人共ゟ申立候は廿二日明六ツ時過待

  壱人宿役人方へ親之仇打致候間立会呉候
  様申置直様藤沢宿之方へ駈出し被参候間
  不容易驚入始末承糺候上取計方も可有之
  と跡追懸ケ参り候処当宿地内字二番坂往
  還ゟ八間程入候而野道ニ旅僧体之もの被
  切倒居側ニ侍三人血刀を提罷在候故始末
  承候処前文之趣ニ付大小等宿役人共預り
  三人之ものえ番人付置其段御支配御役所
  へ御届申上候趣ニ而双方口書ニ相成申候
            支配御手【「支」を見せ消ち】代出役
             田中銈之助様
            川越御出役
             佐々木久次様
            立会
             松本甚左衛門様
 右口書済之上三人之もの川越へ御渡ニ相成
 一同昨廿七日御出立相成申候間此段左様思
 召可被下候以上
            《割書: |問屋》
   丑十一月廿八日   七郎右衛門
            《割書: |年寄》
             多 兵 衛

            《割書: |同》
             新   蔵
            《割書: |同》
             清右衛門

 乍恐以宿継奉申上候然は昨廿二日明六ツ時
 過         松平誠丸様元家来
            須藤九左衛門忰
             須藤隼太郎
              《割書:丑二十九才| 》
             須藤平二郎
               《割書:丑十九才| 》
             須藤金三郎
               《割書:丑十六才| 》
           細川山城守様家来
            原傳右衛門忰
           敵     鑊
               《割書:丑二十五六才位》
 右鑊儀当七月二日品川宿御殿山ニおゐて前
 書九左衛門を及殺害行衛不相知然ル所昨朝
 右刻限当宿地内字一番坂上ニ而出会双方名
 乗合敵討仕候ニ付右始末支配役所へ相届候
 間此段不取敢奉申上候以上
   丑十一月廿三日 《割書:戸塚宿| 問屋》
             七郎右衛門
           《割書: |年寄》
             多 兵 衛

               清右衛門
    吉岡静助様《割書: |上》
 浅草御蔵前仇打風聞書【この行朱書】
         小田又七郎御代官所
         常州河内郡上根本村
            《割書:名主| 》與右衛門
               《割書:六十余| 》
 右之者篤実ニ而他ゟ意趣遺恨等可受儀無之
 所元相名主幸七郎と申もの如何之訳ニ候哉
 仲合不睦折々論判等も致候儀有之候所凡十
 年余前與右衛門宅ニ祝ひ事有之村中相招幸
 七郎も俱ニ客ニ参帰宅後煩ひ付色々養生介
 抱等致候へ共追々疲労相 摸(募カ)臨終之際ニ至り
 妹弐十八九才此もの他村へ縁付居候所幸七【この行二文字目から朱書】
 郎子供無之故妹へ遺言致候儀之由ニ御坐候【この行朱書】
 相招今般之大病全與右衛門宅振舞ゟ煩付候
 事故毒殺被致候儀ニ可有之何卒敵を取呉候
 様ニと申置相果候由此節死骸別段ニ替り体【この行此節以下朱書】
 も無之検使も不受取置致候由然ル所右妹始【この行候由まで朱書】
 終與右衛門を付ねらひ昨年風と居村欠落夫【この行夫朱書】
 を置去ニ致候由出府何方ニ候哉奉公致罷在【この行候由まで朱書】

 当十一月廿八日夕七ツ時與右衛門は御年貢
 上納ニ出府御米御蔵納致小手形受取御蔵御
 門より出候処前書妹敵見付候由ニ而切懸打
 留候趣ニ御坐候事
 何ものニ候哉男弐人見へ隠ニ付居心添致候【この行朱書】
 助太刀ニ而打伏首 是(尾カ)能果掛り候上ニ而右男【この行朱書】
 は混雑之紛ニ何方へ歟立去候よし【この行朱書】
   丑十一月廿九日

 丑十一月廿三日
 将軍宣下ニ付十一月十九日御着
  九条左大臣   御旅舘  西本願寺
          御饗応司 藤堂佐渡守
  一条左大将   御旅舘  天徳寺
          御饗応司 堀丹波守
  勅使
  三条大納言
  副使      御馳走役 嶋津淡路守
  坊城前大納言
  准后様御使

  飛鳥井宰相三位  御馳走役 山内遠江守
 右三使廿一日御着
  衣紋高倉大夫   身固 土御門右兵衛尉
  招書使《割書:壬生官務|押小路大外記》
  《割書:官務方|副 使》青木大学大允 《割書:外記方 青木兵部之丞|副 使 山科筑後守》
  右樹下之面々来ル廿一日迄ニ御着
  廿五日御能興行
  廿八日大臣家勅使方幷樹下之面々迄帰郷
     御暇
《割書:廿 日|五十度》  朝よりくもり暖気也夜五ツ過より雨
《割書:異国船ミナト|沖へ五六日已前》ふり出し時々大風雨合なし三月
《割書:見候よし| 》 時分位之暖気なり
廿一日 宵より雨ふり暖気五ツ過よりいよ〳〵
    つよし終日雨つよし南風つよし夕方
    より雨止荒候事三月時分之嵐のことし
廿二日 朝より快晴暖気也
《割書:中川壱丈余|水まし》 ミナト入口ニ難せん三四艘みかん船
《割書:朝四十度| 》
    塩引船
廿三日 朝よりくもり寒気しくれ空なり終日
《割書:四十三度| 》 大くもり夜九ツ過より風立

 添田氏より帖
 御地不景気之事被仰下候処何方も同事と相
 見昨十一日は浅草市ニ御坐候処よき天気ニ
 御坐候へとも更ニ人出不申候趣ニ御坐候市
 すら右ゆへ何方も夫々催し 〇(申)候事と相見申候
 早く来春を過し申度候扨十五日明六ツ時揃
 ニ而大炮七十四挺御献上ニ御坐候所同日明
 七ツ時より西北大風ニ而音羽四丁目より出
 火九丁目迄焼払夫より飛火ニ而次第ニ延焼
 牛込赤城明神下ニ而朝五ツ半時鎮火仕候へ
 とも右出火最中下町口火消共通り最中大炮
 を引違大御門前広手を狭しと拝見人多キ所
 へ
 上ニ而は大御門より十五日ニ付御登 城切
 手御門よりは大学様 幡(マヽ)广様と大炮の間ニ交
 御登城牛込中山への御人数出実ニ浦賀ニ而
 も戦場ニなりたる様なる一時之騒擾ニ御坐
 候其中を諸家之火元見近来無之大火故乗違
 候得ともよく軽我も無之候へとも切手御門
 敷石之上を大炮を挽候節は今か〳〵と歯か

 浮候程挽人は危く相見申候
廿四日 夜八ツ時位より雪ふり出し昼四ツ時
《割書:三十二度| 》 まて降八ツ時よりてり立寒気つよし
《割書:廿五日|九ツ時三十一度》朝より快晴寒気殊之外つよし
廿六日 朝より快晴寒気つよし四ツ過より曇
《割書:朝三十二度| 》夕方ちら〳〵時雨ふる
《割書:廿七日|朝三十三度》朝より快晴寒気ゆるみ四ツ過よりく
《割書:異国船所々|浦々ニ見候》もり風立夜ニ入北風夜中ます〳〵つ
《割書:よし| 》 よし
《割書:廿八日|朝四十六度》朝むら雲宵より北風つよし
廿九日 朝より快晴暖気春のことし
《割書:当年は霜|さらに不降》
大晦日 朝より快晴暖気なり

   嘉永七甲寅
《割書:かのとうし|元 日》 宵よりくもり明七ツ時より大くもり
《割書:異国船相州|沖へ見候よし》四ツ時ゟ薄てり殊之外暖気夜ニ入五
《割書:ニ付今日一役達|シ有之候》ツ過より雨降
二 日 宵より雨降暖気九ツ時より雨止夕方
    むら雲なり

三 日 朝より快晴暖気夜四ツ過より雨ふり
四 日 宵より小雨ふり暖気なり五ツ過より
《割書:朝四十四度| 》 止夜ニ入九ツ時より雨ふり
《割書:五 日|朝四十五度》 大くもり暖気なり終日くもりにて持
《割書:中納言様へ|御召之御鞍置馬》合夜ニ入折々雨ちら〳〵四ツ半時よ
《割書:公辺より拝領|前中納言様へ》り雨ふり出し終夜雨ふる明七ツ過地
《割書:御一坐之内米五|千俵御拝領》震ゆる
六 日 朝より大くもり暖気
七 日 朝より大くもり終日くもり夕方ちら
《割書:立春正月ノ節|朝四ツ五分ニ入》〳〵しくれふる夜ニ入雨ふる
《割書:八 日|三十八度》 朝よりむら雲終日快晴
九 日 朝よりくもりさむし
十 日 朝よりくもり時雨空にてさむし
十一日 朝より快晴さむし続而氷なとはり不
    申候
十二日 朝より快晴霜ふる氷る今日抔寒気の
《割書:三十七度| 》 方なり夜ニ入くもる八ツ過より雪ふ
    り出ス大雪なり
十三日 宵より大雪ふり四ツ過より止八ツ時
《割書:三十八度| 》 より快晴

十四日 朝より快晴霜ふる夕方よりくもり夜
《割書:四十三度| 》 五ツ時より雨ふり出し終夜雨風
十五日 明方迄雨六ツ半時より雪ふり風ふく
《割書:アメリカ船浦賀|より乗込本牧》さむし九ツ半過まて大雪ふり夕方よ
《割書:え壱艘掛沖合|ニ数艘見候よし》り晴余寒つよし
《割書:十六日|三十七度》 朝より快晴寒気つよし四ツ半時より
    俄ニくもり雪ふり出し七ツ半時止
《割書:十七日|三十四度》 朝より快晴
十八日 朝より薄くもる寒気つよし四ツ時よ
《割書:三十四度| 》 り照たつ七ツ半時大地震近ころ稀な
    る地震夜五半時地震
《割書:十九日|四十度》 大霜快晴上天気寒気昼位より曇夜五
《割書:今日御床几廻り|江戸表へ追々出立》ツ時より雨降出ス終夜雨
《割書:廿 日|四十八度》 宵より雨ふる暖気四ツ時位より雨止
《割書:今日一ノ先江戸|表へ出立》夜五ツ半時地震
《割書:廿一日|四十二度》 朝より快晴むら雲四ツ時より折々く
《割書:一ノ先出陳|御見合ニ成ル》もる風立大西風つよし九ツ過より風
    止夜中寒気つよし
《割書:廿二日|三十四度》 大霜寒気つよし終日快晴
廿三日 大霜快晴に西風少しふく

廿四日 朝より薄くもり四ツ過すこし晴夜ニ
《割書:四十一度| 》 入快晴南もやう
廿五日 朝より薄てり暖気九ツ時位より曇り
《割書:四十四度| 》 東北の風暮六ツ過よりあられふり雪
    雨まじりふり九ツ時迄
《割書:廿六日|三十七度》 朝よりくもりさむし
廿七日 大霜快晴寒気つよし西風さむし
廿八日 大霜快晴昼後より薄くもりとかく春
《割書:二十七度| 》 ニなり候而一日も晴々といたし候事
    無之候
《割書:廿九日|三十二度》 大霜余寒つよし
   異船此節之模様
一先ンニ壱艘乗込其後十六日ニ六艘乗込都合
 七艘浦賀よりは六七里程も内海ニ乗込【「当時」を見せ消ち】
 【「金沢の沖壱里程も内海ニ乗込」を見せ消ち】当時金沢の沖
 壱里程進テ滞船致居候
   三艘は軍船  長サ弐十間位
   三艘は火輪船 長サ三十間位
   壱艘は兵粮船とも申候
 拾艘組ニ而彼の地を出帆ニ付跡三艘も参り

 可申哉と有之遠沖合ニは見候様ニも豆刕よ
 り注進は有之候得共浦賀沖ニは不相見候よ
 し跡船相揃候上ニ而聊と御掛合可致と申居
 候よし右故いまた御返翰御渡も不相成候や
 と相聞申候先つ〳〵当節至極平穏ニ扣居候
 へ共此度は余程手強く可有之候哉ニ付
 公辺ニ而も厳重之御手当追々被仰出候異船
 之内ゟ伝馬船ニ而所々乗込測量いたしある
 ひは金沢辺壱万弐千石米倉丹後守殿持場至
 而御手薄之よし浦賀辺へ大和殿細川殿と代
 り合候筈之所細川にて支度間ニ合不申来タ
 代り合不申候毛利殿も同断本牧辺因刕殿ニ
 而は追々人数操出申候扨々大不都合ニ有之
 候大和殿是迄も難渋之所又々大難渋と申事
 ニ御坐候
 当廿五日異船羽子田迄七艘乗込候由

    二月
《割書:朔 日|三十五度》 大霜快晴夕方よりくもり夜四ツ時よ
    り雨降出し

二 日 宵より小雨ふり四ツ過より止暖気な
    り
《割書:三 日|四十五度》 朝よりくもり暖気なり
四 日 朝より快晴暖気夕方よりくもり
《割書:今日異国船|一艘又々本牧辺へ乗入》
《割書:五 日|三十七度》 大霜快晴余寒つよし
六 日 朝薄くもり薄照東風さむし終日くも
《割書:三十五度| 》 り
七 日 薄くもり五ツ時よりてり立終日薄く
《割書:四十五度| 》 もり夜四ツ時より雨ふり出し
八 日 宵より雨ふり暖気なり終日小雨降夕
《割書:四十五度| 》 方より晴
《割書:九 日|四十五度》 朝より快晴暖気夕方よりくもり
《割書:十 日|四十五度》 朝より快晴昼後むら雲夕方曇夜四ツ
《割書:今日午刻ゟ|異国船本牧》時雨ふり
《割書:横浜ニおゐて応接有之候よし| 》
十一日 朝薄くもり五ツ時より快晴暖気なり
《割書:十二日|四十四度》 朝むら雲薄照
十三日 大霜ふる東風にてさむし余寒立かへ
《割書:三十七度| 》 り終日風ふく

《割書:十四日|三十五度》 大霜寒気快晴
《割書:十五日|三十七度》 朝よりくもり寒し四ツ過より雨降出
    夜中迄ふる
《割書:十六日|五十三度》 朝より快晴暖気也
《割書:十七日|四十七度》 朝より曇る暖気折々てり立
《割書:十八日|四十二度》 朝よりくもり東風にて小雨ふり終日
《割書:筑波辺|雪ふる》  雨ふり殊之外さむし
十九日 朝薄くもり四ツ時よりあられ雨降さ
《割書:四十度| 》  むし夜中も雨
廿 日 朝よりさむし薄曇四ツ時より大西風
《割書:彼岸入| 》  にてさむし
《割書:廿一日|三十六度》 大霜寒気つよし
廿二日 朝より快晴南風
《割書: |春分》
《割書:廿三日|五十度》  朝より快晴南風夕方より曇夜中雨
廿四日 朝より快晴風吹東風つよし夕方止朝
《割書:五十三度| 》 五ツ時地震
《割書:廿五日|四十五度》 朝よりくもる暖気なり夜ニ入雨ふり
廿六日 朝より雨ふり寒気なり
《割書:廿七日|四十度》  大霜ふる寒気快晴なり
 今日大高庄次衛門忰藤蔵事我等烏帽子ニ致

 遣ス但先年より出入ニ付致遣候事本田屋庄
 平口入やはり親名庄次衛門と付遣候事
《割書:廿八日|四十三度》 朝よりくもり寒気西風さむし
《割書:廿九日|三十八度》 朝より快晴西風さむし大西風にて終
    日さむし
《割書:晦 日|三十五度》 大霜寒中【「気」を見せ消ち】のことく氷はる快晴西風ふく
    夕方迄西風つよし

    三 月
朔 日 朝大曇四ツ時より小雨ふる九五時大
《割書:三十八度|錏六〆六百文》雷半時はかりにてやむ寒気つよし七
    ツ時よりてり立殊之外夜中晴
二 日 大霜ふる快晴九ツ時よりくもり寒気
《割書:三十八度| 》 つよし今以厚氷はり霜はしら立昨年
    中より続而暖気之所雨三日は寒中同
    様なり
《割書:桃花口切|三 日》 朝快晴六ツ半時よりもや五ツ半時よ
《割書:四十四度| 》 り俄雨ふり直ニ止昼時より快晴
四 日 朝くもり四ツ時より快晴夜四ツ過よ
《割書:五十度| 》  り雨ふる直止

《割書:五 日|五十度》 朝より快晴
六 日 朝よりくもる四ツ時より南風俄ニ吹
《割書:巳年以来の|大風なり》出し古今の大風にて暮六ツ時迄やす
《割書:彼岸桜|さかり》  みなく吹夫より少々静る夜四ツ半過
    より雨ふり出し
七 日 朝より快晴暖気なり夜ニ入四ツ時位
《割書:五十九度| 》 より雨ふり
八 日 宵より雨ふるさむし終日雨ふる夕方
    より止夜中晴
《割書:九 日|四十一度》 大霜ふる山々ニ雪見ゆる快晴
十 日 朝よりくもり六ツ半時より雨ふり出
《割書:四十八度|桃花盛》 し冷気なり終日雨ふり七ツ時位より
    風立終夜大北風にて大荒
《割書:四十二度|十一日》 雨止宵大北風にてさむし夕方より又
《割書:筑波辺|山々雪》  々風つよし夜八ツ半過地震
十二日 大くもり五ツ時地震終日くもり空に
《割書:四十三度| 》 て持合
十三日 朝よりくもり四ツ過よりてり立
十四日 朝よりくもり四ツ過より小雨直ニや
《割書:茄子(那須カ)塩原|日光辺山》む又々きり雨終日少々ツヽ雨ふり夜
《割書:々雪| 》

    中雨つよし
十五日 明方迄雨つよし六ツ半時よりやむく
《割書:鰯粕両ニ| 壱俵位》 もり折々雨ふり七ツ過より止
十六日  朝快晴四(大霜ふる)ツ時よりくもり風あり寒し
《割書:茄子塩原|日光辺雪》
《割書:十七日|少々山桜咲》 朝より快晴さむし
《割書:十八日|四十三度》 朝より快晴夕方よりくもり
《割書:十九日|五十度》  朝より快晴漸々春めき閑なり
《割書:廿 日|五十度》  朝より快晴
《割書:異船当十三日本牧出帆致候よし|伊豆下田ニは弐艘残り居候由》
廿一日 朝より快晴
廿二日 朝よりくもりちら〳〵雨ふり九ツ時
    より少々ツヽ又々ふり出し冷気なり
    又々夕方よりふり夜止四ツ半時過よ
    りふり出し
廿三日 朝より雨ふり南もやう四ツ時より南
《割書:花さかり| 》 風雨つよし折々雨夜中も雨つよし
廿四日 朝より快晴西風ニ而さむし風つよし
《割書:四十七度| 》 昼後より西風北風つよし夕方より止
廿五日 朝より快晴風立四ツ半過より快晴

廿六日 朝より快晴さむし七ツ時より俄ニ雷
《割書:五十四度| 》 雨半時はかりにて止夕方より又々雷
    雨夜中も雨ふる
廿七日 明方雷雨五ツ時より晴南もやう暖気
《割書:花 盛|五十七度》 快晴九ツ時より俄ニくもり大雷氷ふ
    る八ツ半時止晴
廿八日 朝よりくもり昨日氷ふり候故か殊之
    外さむし昼後より晴
廿九日 大霜霜はしら立寒し快晴風なし昼後
《割書:日光山茄子|北富士辺之》 より少々風吹
《割書:山々真白ニ|雪ふる》

    四 月
《割書:朔 日|四ツ半時五十五度》朝より快晴暖気なり
二 日 朝より快晴
三 日 朝より快晴暖気なり昨日今日抔やう
    〳〵時候相応之陽気也
四 日 朝くもり五ツ時小雨五半時より快晴
《割書:五十五度| 》 てり立七ツ時より夕立雲直ニはれ雨
    なし

《割書:五 日|四十七度》 朝より快晴寒し終日北風にてさむし
六 日 朝より快晴少々風なりさむし
七 日 朝より薄くもりさむし夜四ツ過より
《割書:昼六十四度| 》 小雨
八 日 朝より小雨ふる東もやう冷気なり昼
《割書:五十七度| 》 後よりてり立
九 日 朝より曇る五ツ時きり雨ふる冷気な
《割書:五十度 | 》 り夕方より晴
《割書: |立夏》
《割書:十 日|五十四度》 朝より快晴ひや〳〵風ふく
《割書:十一日|牡丹花盛》 朝より快晴   乍恐以書付為御知
 申上候当月六日午上刻
 御所御築地内上御所ゟ出火有之清涼殿内侍
 所不残夫より仙洞御所え火移是又不残其外
 御築地内御堂上方大半炎上乍併鷹司殿九条
 殿無御別条中立売蛤御門ゟ町家え火移当御
 屋敷様も御炎上被遊候旨申来候間此段奉申
 上候同夜亥下刻未タ炎鎮り不申候様子猶追
 而可奉申上候
 但西は千本通り迄北は今出川通り南は下立
 売下ル町迄之様子荒々申来候

   四月十日       島屋佐衛門
    《割書:小石川| 大御奥》
      御役所様
《割書:十二日|五十四度》 朝より快晴
十三日 朝よりくもり四ツ時より南風つよし
 当月六日京都
 御所御炎上ニ付十一日ゟ今日迄御停止
十四日 朝より快晴
十五日 朝より快晴風立
《割書:十六日|御田楽アリ》朝くもり小雨ふり九ツ時位より雨止
月そくニ分半 終日くもり
《割書:夜九ツ時下の方よりかけはしめ九六分甚しく八時ニ分下の右におはる| 》
十七日 朝より快晴夕方迄極上天気夜四ツ時
《割書:御祭礼供奉致無御|滞渡御相済》小雨ふる
十八日 朝薄くもり四ツ過ゟてり立冷気之方
    也夜四時ぢしん
《割書:十九日|五十三度》 朝より快晴
廿 日 朝より快晴北もやう冷気なり
《割書:廿一日|五十七度》 朝より快晴
廿ニ日 朝より快晴

廿三日 朝よりくもり四ツ過より大雨ふり夕
    方止
 当年は殊之外日照にて諸々の由われ苗代も
 枯候なとゝの風説ニ候所今日の雨にて在方
 大税
《割書:廿四日|六十三度》 朝より快晴
廿五日 朝よりくもり九ツ過より雨ふり出し
廿六日 宵より雨ふり冷気なり七ツ半過ゟ快
《割書:五十七度| 》 晴ニ成ル
《割書:廿七日|五十五度》 朝より快晴
廿八日 朝くもり五ツ時より雨ふり出し七ツ
    時より晴
 当六日 仙洞御所より出火七八丁四方焼失
 禁裏ニは聖護院え御立抜十四日仕出之状ニ
 は今日京極宮え御引移被為遊候御 接(摂カ)家ニは
 一条殿御焼失鷹司殿御初其外は御無事長者
 町御屋敷は御焼失鵜飼吉左衛門は焼申候呉
 服所は残ル
 御老中阿部伊勢守殿御造営惣奉行被仰付候
 其外十人程は最早上京発足仕候趣ニ御坐候

 伊勢守殿は引込之処十三日出勤仕直と被仰
 付候
 線姫君様御着帯も今日御税【示偏に兌祱】御坐候
 前様ニも旧御守殿え御引移り廿七日ニ御定
 之御様子ニ御坐候へ共御用人抔ニ而は何レ
 ニも御間ニ合兼廿八日ニ願候由石川嶋大船
 追々御出来最初図の通り位ニ出来申候
【図あり】


  《割書: |アハラ骨》     《割書:木ノつぎめえは鉄にて|巻中へは釘を打》
  《割書:板打柱也| 》
          《割書:敷と唱申候欅ニ而| 弐尺五寸角位》
     《割書:此分幾重ね欅を重候哉|不可数挙候》
      《割書: |釘頭四寸四方位》
              《割書:此穴は木ノ向へ打通シ|クサビヲ打アナ》
        《割書:大サ三寸位| 》
 明り取硝子八寸四方厚弐寸弐拾五枚ニて金
 三百五十両落札夫ニ而も大損仕候よし壱枚
 長サ拾九間深サ五間余幅五間

廿九日 朝より快晴夕方ゟ軽暑夜中まてあつ
《割書:六十三度| 》 し
晦 日 朝くもりむしあつし七ツ時小雨直ニ
    やむ夜六半時より雨つよし軽暑なり
 廿八日出
 《割書:古領米七斗三升      地水廿五両壱分|南部米七斗四升      白 廿四両壱分》
 《割書:町米 七斗六七升     故广廿六両三分|もち 七斗四升      荏漉三十両壱分》
 《割書:つき麦 石〇       銭 六〆四百五十文|廻米 八斗弐五》

    五 月
《割書:日帯そく|朔 日》 宵より雨ふり七ツ時より雨止
《割書:二 日|六十度 》 朝よりくもり四ツ過ゟはれ
《割書:三 日|六十度 》 朝くもり五ツ時より晴
四 日 朝よりくもり五ツ過よりてり立
五 日 明方より北風くもりちら〳〵雨ふり
《割書:六十度 | 》 四ツ時より快晴しかし丑刁風にて冷
    気なり夜中も朧月夜なり
六 日 朝より薄くもり北風ふく折々雨ふる
    丑刁風にて昼位ゟ夜中迄風つよし
七 日 朝よりくもり四ツ時より雨ふり出し

《割書:六十五度| 》 折々雨ふり夕方止七ツ時地震ゆる
八 日 朝より薄くもり暖気なり四ツ時より
《割書:六十八度| 》 てり立
《割書:九 日|六十度 》 朝より快晴
《割書:十 日|六十五度》 朝より快晴
十一日 朝よりくもり八ツ時より少々雨ふり
    夜四ツ時大雨
十二日 朝より四ツ時位よりてり立北風なり
《割書:六十四度| 》 折々雨直ニやむ
十三日 朝より快晴八ツ半時より俄ニ戌亥の
《割書:雹【雨冠に氷】の大キサ此|辺は茶わんの》風吹出し大雹【雨冠に氷】近年稀なる事半時はか
《割書:いとじり位よ|り青梅位弐三》りにて止
《割書:寸位下町三四丁目えは茶わんの大キサ位の粒まじり降候由| 》
十四日 朝よりむら雲
  嘉永七寅三月十一日於嵐山ニ大喧嘩之次
  第文之写
           鷹司様諸大夫
             青木次部少輔
             種田西市正
             初原ノ忰某

             八代大進御 進(近カ)習也
             番士 両人
           近衛様諸大夫
             斎藤遠江守
             佐竹石見守
             中川美濃守
             御近習四五人
           久我様諸大夫
             辻 安芸守
             阿部因幡守
             久保対馬守
             森 豊後守
             近習之者五六人
 右之通廿七人壱組ニ而床机六七脚借請大酒
 宴ニ而何レも不人柄之者計青木抔は小紋羽
 織着用ニ而無刀鉢巻いたし此上なく不人柄
 之体ニ御坐候同人事祇園新地末吉町之芸子
 両人手を引川岸をふら付居候処御紋付着用
 之人二条御番士衆ニも候や乗馬ニ而参り申
 公私之弁は相知不申候へとも供も四五人召

 連被居件之青木ふら付居候事故右若党より
 相扣られ候様ニと申候所青木大酔ニ而申張
 候者拙者諸大夫相勤候ものニ而其方共ニ相
 扣可申筈は無之下馬いたし可申若言訳も有
 之候はゝ手綱を以引付候処偽者不届成奴と
 申若党両人参り打擲仕候処弥以強勢ニ相成
 候故馬上ゟ刀之小尻ニ而二ツ三ツ打擲仕尤
 其侭何レへ歟行衛しれ不申青木打擲ニおよ
 ひ評判相成候所先ツ此事は右ニ而事済ニ相
 成三軒茶屋之内ニ非蔵人らしき惣髪之者継
 上下着用弐三人是も大酔之様子ニ相見へ申
 候此非蔵人ゟ件之青木え向へ全く笑話ニ而
 申候は只今之御次第脇見仕候処誠ニ面白キ
 事併シ外聞有る事と申所夫より青木は立腹
 ニ而無程青木非蔵人之席へ参り弐ツ三ツ噺
 を仕候処直ニ切付可申迚刀を抜出し既ニ切
 付可申所右之非蔵人何月橋を越一生懸命ニ
 而川向へ逃込材木之後え隠れ候を斉藤遠江
 守見付出し直ニ肩先ゟ胸へ掛一刀ニ切付即
 罪仕候右之通口外仕候事ニ而災難ニ御坐候

 然ル所右非蔵人同道之者両人是も勿論敵打
 仕候と而同様抜出し前件壱組之廿七人どし【「も」か】
 打騒動ニ相成申候両方共不残刀を抜右の非
 蔵人同道之者手利と相見え壱番ニ中川美濃
 守被切付是は浅疵ニは候得共脉所故養生不
 相叶との取沙汰ニ御坐候三番ニ久我殿諸大
 夫辻安芸守被切申候是は一寸仕候手疵之事
 故命ニ別条無之由勿論青木へも切付可申積
 り之所青木を初鷹司様御家来不残嵐山を打
 越南丹波之方え逃去候由人々之噺ニ御坐候
 右手きゝの士は四五人を切付松尾之方え逃
 行是も行衛相知レ不申候右ニ而一騒相済候
 処内ニ而口論又候出来同士打ニ相成一且鞘
 え納候刀を又候抜出シ拾二三人計も手疵ニ
 相成大騒動之様子ニ御座候右ニ付日々町奉
 行所え近衛様役人呼出しニ相成右之者とも
 始終御暇ニも可相成取沙汰且又鷹司様ニ而
 も青木を初同様の次第ニは御座候得共御同
 所様ニは少も御拘り無御坐候右ニ付御内済
 可相成候近衛様計ニ相成申候此上略ス

十五日 朝よりくもり冷気也折々曇晴不定
 下町三四丁目裏辺之由十三日之雹【雨冠に氷】にて障子
 を立置候所障子を押抜硯石え雹【雨冠に氷】の粒あたり
 候所硯石われ候よし猶又下女ざわるを持買
 物ニ出候所俄の雹【雨冠に氷】ニ付さわるをかむり両手
 にて持逃帰り候所手へ雹【雨冠に氷】あたり余ほときづ
 付候と申事下金町にては十計の子弐ツニ相
 成候子をせおい遊居候所【「処」を見せ消ち】俄の雹【雨冠に氷】にて外の家
 へ逃込可申存候所両側戸を〆きり候ニ付や
 とまて逃帰り候所弐ツニ相成候子のあたま
 へいくつともなくこぶ出候よし下町辺は青
 キものは更ニ無之候よし上町にても茄子苗
 菜種抔不残用ニ不相成候よし下町在は別而
 多降候よし鹿の子打レ死よしにて売ものニ
 参り其外雉子蛇なと小鳥類も余ほと死候よ
 し
十六日 朝よりくもり終日曇空なり夜中ほろ
    〳〵直やむ
十七日 朝くもり四ツ半時よりはれ
 前文略

 当節は江戸表は平穏ニ相成候得とも松前箱
 館えアメリカ押渡種々我儘なる振舞言語道
 断之由追々注進申来候此上如何可相成哉早
 様静謐ニ仕度奉祈候 五月十四日小石川
十八日 朝より快晴冷気也
《割書:十九日|六十五度》 朝より快晴
廿 日 朝より快晴
廿一日 朝より快晴九ツ半時よりむら雲軽暑
《割書:磯いわし粕|壱俵七八分》 夜ニ入四ツ半過より雨ふり
廿ニ日 宵より雨ふり冷気なり北風ふく終日
《割書:六十五度| 》 雨合なしにふる夜ニ入晴
廿三日 朝より快晴上天気夕方よりくもり夜
《割書:七十度 | 》 中きり雨ふる
《割書:七十一度|廿四日》 宵よりきり雨ふる終日雨ふり夜中迄
    雨合なし
 添田氏より来帖十九日出
 扨十三日ニは御地も大雹降申候趣絶言語申
 候次第当地も降申候へとも御見せより本材
 木町行御状相届帰り掛本銀町通行之節はら
 〳〵と降出候間傘かり可申と存候所青天ニ

 而黒雲処々村々ニ出候のみ故傘ニ不及帰宅
 仕候小石川辺え微雷さらりと一ふり落候よ
 し然ル所本所両国浅草鳥越《割書:是は吉原内の新|鳥越ニは無之三》
 《割書:味線堀近所浅草|鳥越と申所なり》下谷千住《割書:千住別而甚敷引ま|と障子抔行方なし》
 東北を筋違ニ降申候雹一時ニ来り両国にて
 屋根舟三艘覆り柳橋哥奴壱人死去壱人救客
 は何人死申候哉六人救上らる
 前様一昨十七日久々ニ而御登城被遊候何故
 哉相分り不申候《割書:先日川路左衛門松平河内守|参上不時御機嫌伺御目見へ願》
 此両人蜜旨を申上候哉ニ申候此節又々浦賀
 下田え別ニ異船弐艘参り申候趣
廿 四(五カ)日 宵より雨ふり五ツ時より晴五半時曇
《割書:紅花少々開| 》 晴不定北風にて冷気なり
《割書:廿六日|六十三度》  朝より快晴
      河内吉田早
 《割書:江戸赤穂拾四俵 本田岸田五分打合  地水廿五両弐分|  才田弐拾俵 平種壱石ニ付    故广廿六両三分》
 《割書:        此油昨丑年     荏漉廿五両壱分|        弐斗三升五合    坂水廿七両》
 《割書:        三六粕六枚四分   銭六〆四百八十文|        当刁年》
 《割書:        弐斗弐升五合|        粕右同断》
《割書:廿七日|六十七度》 明方雨ふり直やむ

廿八日 朝よりくもり四ツ過よりてり立夜中
《割書:岩城白米六斗四五升|鰯粕壱俵四分》くもる
《割書:廿九日|七十度 》 明方より雨ふる八ツ時位より止

    六 月
朔 日 朝より快晴四ツ過ゟくもり夕方ちら
《割書:六十八度| 》 〳〵雨直やむ
二 日 朝小雨四ツ過より少し晴又々くもる
    終日くもり空なり
三 日 朝薄くもり四ツ過ゟてり立暑気なり
《割書:七十度 | 》 夜五ツ時雨ふり
四 日 朝よりくもり四ツ半過より快晴七ツ
《割書:七十五度| 》 時少々雷声夜中雨ふり
《割書:五 日|七十三度》 朝より快晴暑気
六 日 朝よりくもり北風にて冷気なり五ツ
《割書:七十三度| 》 時小雨九ツ時より止終日大くもり
七 日 朝より快晴暑気也夜ニ入くもり五ツ
《割書:七十五度| 》 時ゟ雨ふり直ニ止
八 日 朝よりくもり北風にて冷気なり終日
    大くもり北風にてさむし

《割書:九 日|七十一度》 朝より薄くもる冷気終日くもり空也
《割書:盛農時節天王出社延る| 》
《割書:十 日|七十一度》 朝より快晴七ツ時ゟくもる俄雨ふる
    直ニ止
《割書:十一日|七十一度》 朝より快晴
《割書:十二日|七十一度》 朝より快晴大暑夜中迄あつし
十三日 朝より快晴暑気つよし
《割書:十四日|八十度 》 朝くもる夕立もやう五ツ時迄折々雨
    ふり五半時より晴大暑八ツ半時より
    俄ニ雷雨直ニやむ
《割書:十五日|七十八度》 朝より快晴終日上天気暑気也
《割書:十六日|七十五度》 朝より快晴夕方雷雨
《割書:玄米御蔵御払|六斗四升六合》当十二日江戸淀橋御塩焇蔵焼御蔵は
《割書:籾入弐十六俵|江戸は米追々下》飛候而行衛不知其外最家十軒余も飛
《割書:落町米七斗|廻米七斗八升》ちり死人怪我人余ほと有之候よし五
《割書:粕拾七八〆位| 》月中も目黒御塩焇製場ニ而御蔵へ火
    移蔵飛人家も余ほと飛ちり此節も怪
    我人死人有之候よし
十七日 朝より曇り夜中迄くもり終日くもり
    空

十八日 宵より雨ふり五ツ過より雨止南風ふ
《割書:七十八度| 》 く終日くもり
十九日 朝薄くもり暑気なり終日むしあつし
 今日七ツ時向井町雷神前ニおゐて敵討有之
 津軽の家中明石愛太郎と申もの敵は向井町
 辺ニ仕事師ニ相成居候ものゝよし後見当所
 之御家中ニ余程有之候よし敵討候砌四五十
 人何となく所々居候よし母の敵のよし
《割書:廿 日|八十度 》 朝よりくもり五ツ時雨ふり直ニやむ
《割書:峯壽院様|今日ゟ廿ニ日迄》終日くもりあつし七ツ過少々雷声直
《割書:御停止|御法事有之ニ付》やむ
《割書:廿一日|七十九度》 朝よりくもりあつし夕方俄ニ大くも
    り北の方より少々雷声直止
 六月十八日出江戸状前後多用付略
 昨日相州三崎沖へヲロシヤ船三艘相見跡船
 も追々渡来仕候由昨日暮方ニ御注進船追々
 有之今朝迄十五艘入津ニ相成候由扨々御同
 前ニ奉驚入候
 追々承り候へはアメリカ船漂流人を送壱艘
 本牧辺迄参り候由

 六月十九日出小石川添田氏より
 扨又々一昨十七日浦賀え何国之船歟不相分
          《割書: |〇不相分候へ共何レおろしや国と申候未タ》
 乗込申候何艘も未タ〇御触ニは不相成候尤未
 タ応接ニ不相成候間何国やら相分り不申候
 扨入替り〳〵珍客渡来亭主方甚迷惑仕候扨
 柏木成子宿淀橋御焔硝蔵之事儀三郎様へ申
 上候処一旦車軸よりと申候所左様ニ無之出
 役之諸所ゟ出火生焔硝へ移りぼん夫ゟ車場
 へ火掛り車搗掛の焔硝ニ而とん夫ゟ御焔硝
 蔵へ火かゝり候而どんだかぼんたか役所と
 車場の火事は飛散り蔵も飛散石すへ半分過
 形ちなし三間ニ八間御蔵丈深サ五尺余地を
 堀飛申候近所ニ而三軒潰家二丁半四方土蔵
 割る 体(鉢カ)巻落而怪我人表向申出三十五人不申
 出候分三十人程老幼は車場のどんにて皆逃
 る怪我なし壮人欲張者の道具を出迚御蔵の
 だゝんニ而頭へ石の当り棒か当り等ニ而皆
 軽我致候由役人家来壱人存亡不相分候車屋
 向之大菓子屋頭を傷ク昨日抔死去可致由皆
 々夷船之為ニケ様之禍ニも逢申候事可哀候

 扨外ニ江戸替りなし国持大名供廻り廿五人
 高其外大小有品と相見申候一昨日御触ニ而
 万事倹約ニ而武備専一と相見申候
廿二日 朝より薄くもり北もやうにてひや〳〵
《割書:七十五度| 》 四ツ時位よりてり立夜中北風さむし
廿三日 朝くもり五ツ時小雨ふり出し終日持
《割書:七十五度| 》 合時々小雨
廿四日 朝よりくもり折々小雨【「ふる」を見せ消ち】夕六【「立」を見せ消ち】よりくも
    り空
廿五日 朝よりくもり冷気なり四ツ過ゟてり
    立候得とも冷気
《割書:七十二度|廿六日》 朝よりくもり終日くもり空にて冷気
《割書:今晩八ツニ分土用入| 》
  尚々此地震十四日より十五日の寅之刻迄
  ゆり申候
 当月十四日夜丑中刻大地震有之四ケ市宿内
 不残潰れ其上出火津嶋本社幷町家迄も少々
 倒れ伊賀上野御城崩れ宮桑名【「御城崩れ」を見せ消ち】追分
 石薬師庄野土山等は大震ひ家々坂之下辺は
 各別之儀無之大坂は筑後川岸蔵倒れ天王寺
 辺は別而強く震ひ京都は東南方は殊之外震

 ひ西北は存之外なし
 上皇           京極殿より
 近衛殿え移堺伏見も強く奈良郡山は大半潰
 れ丹波存之外にゆり右之外江刕河内又は奥
 伊勢等近国風聞仕候得共又今通路無之掟旨
 相訳り不申候得共此段奉申上候
   六月廿一日写し   嶋屋佐衛門
廿七日 朝よりむしあつし四ツ半時よりてり
    立夕方より殊の外あつし
廿八日 朝くもり南もやう四ツ時よりてり立
    暑気つよし古今の大暑夜中迄凌かね
    候ほとなり
廿九日 朝より薄くもり暑つし四ツ半時より
《割書:八十九度| 》 時々ざつとぶり
晦 日 朝より快晴四半時よりざつとぶり度
    々あり大暑也昼後よりはれ
 津軽越中守殿家来留主居高杉友衞支配目通
 格之由高五十俵赤石愛太郎右嘉永七刁六月
 十九日昼七ツ時比於向井町ニ武刕八幡山村
 出香具吉之進事当時仕事師友吉と申者ニ当

 三ケ年已前前書愛太郎母被殺害候由ニ而敵
 打留候事

    七 月
朔 日 朝より薄くもりざつとぶりあり五ツ
《割書:八十度 | 》 時よりてり立いく度もざつとぶりあ
    り
二 日 朝より大くもり四ツ時ゟてり立夕方
《割書:八十一度| 》 より涼しき方夜中あつし
三 日 朝むら雲四ツ時よりくもりあつし八
《割書:八十四度| 》 ツ時より暮迄大雷大雨
《割書:四 日|七十六度| 》 朝より快晴大暑風なし
五 日 朝より快晴大暑風なし夜中殊之外あ
《割書:八十度 |九ツ半時》 つし
《割書: 八十度| 》
六 日 朝より快晴五半時むら雲八ツ時俄雨
《割書:八十一度| 》 ふり直止夕方まてくもる
七 日 朝より薄くもる夕方よりくもり雷声
《割書:八十一度| 》 直ニやむ
八 日 朝よりくもり五半時きり雨直ニやむ
《割書:八十度 |八時八十八度》四ツ過よりてり立大暑風なしむら雲

    夕方雷気
九 日 朝よりむら雲大暑九ツ半時より南風
《割書:九半時| 八十三度》 少しふく
十 日 朝薄くもり四ツ時ゟてり立終日同断
《割書:四ツ時七十七度|終日同断》度数ニ而ひや〳〵風なり
十一日 朝より薄くもり涼しき方なり九ツ時
《割書:四時七十九度| 》よりてり立折々むら雲
 此度御武備御習練万民安堵之為 公より仰
 蒙られ御諸 候(侯カ)様浦賀御発向之御家来方之内
 勇力殊ニ勝し御方々伝聞ニよりて是をしる
 すあなかち是に限らす文武両道を兼備へし
 御方々は星のことく雲のことく集り為ふ故一々
 あくるに遑あらすむかし唐土の関羽は八十
 二斤の青龍刀を持し事をげう〳〵敷申伝れ
 とも今日本の斤量ニすれはわづかに十三〆
 百二十目なり夫すら古今ニ無之様ニおちお
 そるゝ毛唐人まだ夫ニ劣しアメリカ〇オロ
 シヤの奴原譬にいふ蟷螂の斧何の恐るゝ事
 あらんや又此度の一事大日本の御威光を仰
 き何か願の筋有て参りし事にて別にわけあ

 ることにあらすされと 大君の御仁徳深く下
 万民の愁ひなからんか為に厚く御心を配ら
 せられ為ふ事なれは人々安堵の思ひをなし
 四民夫々家業をいとなみ豊に住る御国恩を
 難有も恐れ尊ぶへし
 《割書: |三十六万九千石》
 松平大膳大夫様長州萩御陣中強勇善兵衛
 年ニ十七才玉目二〆五百目也大筒ヲ持
 右善兵衛殿儀当御陣中雇人なりしか御陣中
 ニ右愛宕山大権現と号け玉目二〆五百目金
 象眼にして泉州堺桜町の住人芝辻治右衛門
 入道妙西と銘の入たる大筒の重さ百四十〆
 目あるを持諸人仰天し鬼善兵衛と名付たり
 此度アメリカ出船ニ付国所を御しらべ右処
 江州大上郡筧村百姓善兵衛門忰也村名を苗
 字として筧善兵衛と改めて二百石ニ召かゝ
 へ為ふなり
 《割書: |十一万九千石余》
 立花飛騨守様築州柳川御内山田玄記三十九
 才目方二十四〆目鉄□【魔?】棒

 三十二万石
 松平越前守様御内浅岡主税殿三十五才
 目方八〆目鉄のべ付大身鎗
 十一万三千百石余
 大久保加賀守様小田原下田出張御家中米村
 六兵衛殿ニ十四才目方八〆目片鎌鎗
 伊井掃部頭様江州彦根御家中成川隼人殿五
 十二才大筒かゝへうち
 公儀え願て三崎浜辺ニ而玉目壱〆目筒長サ
 一丈六寸重サ六十八〆目をかゝへ打ニする
 したれ柳のしけりをふ風になびく中へ打込
 たり天下無類之名人なり
 《割書: |二十三万石》
 松平肥後守様奥州会津御家中身尺六尺三寸
 近藤玄蕃殿ニ十一才大斧歯渡り一尺八寸目
 方二十二〆目
 天下無双之大力凡七十人力なるといふ猛勇
 なること我朝に希なる武士なり
 《割書: |十七万石》
 松平誠丸様武州川越御家中山口宗悦三十八

 才長刀目方拾一〆目
 酒井雅樂頭様播州姫路御家中秋元周介殿四
 十才壱寸六分角強弓矢目方四十五文目
 細川越中守様肥後熊本御家中溝口久太夫様
 三男兵馬十八才鉄魔棒目方三十二〆目大剛
 無双之少年にして此人去丑年秋堺鉄炮鍛冶
 榎並某の方へ三四十〆目位鉄棒こしらへを
 呉候様被申けれは亭主大きに驚きなから値
 を定日限約し帰らるゝ亭主は夫ゟ鉄三束を
 撰み刃鉄を鍛ひ心を尽して出来上るやかて
 其日になりて彼少年被参鉄棒を見て大に悦
 ひやかて左の手に携りう〳〵と打振今少し
 重けれはよかりし顔色も不変静に被申しあ
 り様亭主を始家内之者も一同に暁天し如何
 様是は鬼神天狗の化身ならんと囁合ぬ彼少
 年値を渡し外ニ祝義として金をあたへ彼鉄
 棒を苦もなく引提ケ高足駄を踏なから出行
 けり亭主あまり不審さに跡ゟ人をつけて見
 せしむるにやかて中之嶋の藩邸へ帰られけ
 る其比堺ニ而は専ら此事を申振し人々其剛

 勇のはかりふなきを感心す又これを伝へ聞
 ものもつはら清正公の再来なりと評判なり
《割書:十二日|七十七度》 朝より快晴涼し終日涼しき方なり
十三日 朝より快晴涼しき方なり夕方よりく
    もり夜五時きり雨直ニやむ冷気なり
十四日 朝より薄くもり冷気なり夕方小雨ふ
《割書:九ツ時七十四度| 》る
十五日 朝より小雨ふる冷気也四ツ過よりむ
《割書:四ツ時七十五度|立 秋》しあつし雨止終日薄くもり空にてむ
    しあつし夜四ツ時より雨ふり出し
十六日 朝より雨ふり北もやうにて冷気重着
《割書:四ツ時七十度| 》なり四ツ時より九ツ時過まて大雨八
    ツ時ゟ止夜中殊之外晴
 名白《割書:三 五反七分五|四 六反三五 》  三長《割書:綿 六反七分八|花万七反壱分五》
   《割書:五 六反九五 |六 七反五分 》    《割書:花照七反八分 |花扇八反弐五 》
   《割書:七 八反五厘 | 》
 三州《割書:改 七六五|銘 八反九分》
   《割書:造 十反三分| 》
十七日 朝よりくもり北風にて冷気重着なり
《割書:七十度 | 》 夜ニ入五ツ半過より雨ふり出し夜明
    迄ふる冷気なり

 先様ニは御軍用惣御司と七月四日
 御直ニ被 仰出候由ニ御座候へ共表向不申
 候如何は相分り兼候得共恐悦至極奉存候扨
 又ヱソえオロシヤカ家ヲ作ルは引払申候由
 堀織部松前え詰テノ事七月三日申来候筥舘
 番所は公辺特ニなる年貢等は是迄之通松前
 ニ而所務松前矦は何事も江戸迄伺候而筥舘
 役所指図ニ而事を行ひ申候間仕合ニ御坐候
 桜ノ馬場ノ大炮は十六挺タメシ十一挺破る
 人払ニ而口火ニ而打より外なしと申候

 越前福井ノ大火壱万軒と申候城は無事之趣
 ニ御坐候久木万字屋と申楼にて松坂ゟ買来
 候趣右買ニ登り申候事ニ付此度之御用金ノ
 前見を開百拾両ニ而都下ノ魁当人申立候は
 扨私義此度旅行仕度筋有之候所永々留主ニ
 相成候間留主中万一御時節柄御用金等被仰
 出候事も難計其節私旅中ニ而は年来困窮之
 義故家内共ニ而は何程存候而も金子才覚も
 出来兼候併世上ニ而指上候ヲ私壱人不指上

 候は御国恩も難報何程か残念至極ニ付万々
 一御用金被仰出候御儀ニも御坐候はゝ私共
 出立前被仰付候はゝ為御国恩金百両外ニ山
 谷持分之地面え拾両都合百拾両指上申度願
 ひ候所願之通相済夫ゟ追々世上へ被仰付候
 右万字や山谷等之地面迄ニ而は五六百両も
 可差上之所魁故百十両ニ而相済申候夫ゟ松
 坂へ罷越伊せおんとを買来普請を致おんと
 を三歩ツヽニ而為見申候由都下之漂客何事
 をおゐてもと云勢ニ而日夜ニ遊人如雲依而
 一般ニ黄金を得申候趣右等ヲ初山谷堀を大
 門前迄堀郭へ四方へ門を付申度左すれは早
 舟千艘異船等ノ節御注進船御用相務御時宜
 ニ寄右千艘を以異船焼舟ニも可仕抔奇々妙
 々世人ノ不可測之願ヲ立候旁都下大才子と
 評判被致候併皆々自分欲ゟ願立候由ノ処並
 々ノ願ニ無之間都下舌ヲ巻申候由ニ御坐候
 扨石川嶋ノ御船ヲ一昨日拝見仕候所図の通
 り迄出来申候右舟なれはアメリカ迄乗たり
 共大丈夫ノ様子ニ御坐候

【図あり】
    《割書:星ノアル所計明てアトハ皆々目セメニヲル| 》


    《割書:       テツニテ巻ナリ|アバラ骨棒ノ厚サ一尺余巾一尺五》
    《割書:寸位ノ木ヲフクラミヲトリ〳〵ツギ|テ〳〵ハ目セメニ立右アハラヲ内》
    《割書:外共厚サ五寸ノ角物ヲ板子ニ打|付外ハ其上ヲ銅ニテ張ナリ》
                《割書:是ハ又木ニテ|アハラノ元ニ》
                《割書:ナル| 》


             《割書:ヘサキ| 》
十九日 宵より雨ふる冷気なり四ツ時より止
《割書:七十五度|籾二斗九升位》少々暑気になる八ツ半時ちら〳〵雨
    降七ツ時より照立
廿 日 朝より薄くもり暑気なる四ツ時より
《割書:七十八度| 》 快晴になる夫より終日てり残暑殊之
    外つよし夜六ツ過より俄ニ大雷雨一
    時之程ニ而【「相済」を見せ消ち】止快晴
廿一日 朝晴五ツ時よりくもり雨ふる四ツ時
《割書:七十八度| 》 よりてり立終日くもり空也
廿二日 朝より薄くもり終日くもり空八過よ

《割書:七十七度| 》 り快晴暑気なり
《割書:江戸| 古領米 六斗弐升  大麦 石九斗   坂水  廿八両弐分》
《割書: 南郷米 六斗三升  小麦 石〇九升  銭   六〆四百八十文| もち米 七斗    な種 六斗七升  故广油 廿八両弐分》
《割書: 水戸小玉五斗八升  廻米 四ト五入六斗七升 荏油 三十両壱分| 同 大玉六斗四升》
《割書: 同 小豆五斗八升| 》
 七月四日夕明五日
 前中納言様御登 城被遊候様被 仰出候ニ
 付御登 城被遊候処
 公方様於御座之間 御対顔 御懇之 上意
 有之右御済之後御老中より指上候 御意書
 左之通
 公儀御軍制之儀前々ゟ之御法式も有之候得
 とも当今時勢古来之御備立ニ而は不都合之
 儀も可有之御取捨之上御改正有之可然被
 思召候依之御実備之所御大切之儀ニ付此度
 夫々掛り被 仰付候事故得ト御勘考之上御
 十分御見込被 仰立永世之御規則御定可被
 成候様ニとの御沙汰ニ候
廿三日 朝よりくもり北もやう冷気なり九ツ
    半時より雨ふり出し八ツ時大雨夕方

    止終日冷気袷重着なり
廿四日 朝より快晴久しふりにて今日は上天
《割書:七十二度| 》 気しかし東辰巳位之風之様子ニ而涼
    し過申候
  以書付為御知奉申上候
一六月十四日夜丑中刻上方筋大地震有之勢州
 四日市宿建家大方潰れ其上出火いたし南河
 原町北町南町半町程凡八十軒余焼失翌十五
 日未の刻火鎮り候得共死人怪我人数多有之
 候よし
一尾州津島十四日夜宮祭礼之所本堂倒れ町家
 も少し潰れ同州名古屋表は格別之儀も無之
 併なから同様強く震動致候建家破損等は間
 々有之候よし
一勢州神戸白子菰野辺も大地震に候へ共人家
 等之破損は至而少く津松坂田辺も格別之儀
 も無之候得共同様震動致候よし同州桑名之
 御城櫓外堀等崩れ人家も所損潰家も少は有
 之候由同州追分石薬師荘野江州土山水口石
 部草津又彦根等は大震動ニ而人家も少し宛

 は破損致候所々より怪我人等も有之候よし
 同州膳所御城少シ崩れ櫓等倒れ怪我人等有
 之候よし
一勢州亀山関江州坂の下は格別之儀無之しか
 しなから人家も少シは損候由
一伊賀上野御城崩れ御家中町家も多分崩れ地
 上所々裂ケ泥水等をし死人怪我人又は行衛
 不知もの等夥敷有之候よし同州名張は格別
 之儀も無之よし併なから家損等は有之候由
一京都表は東南之方大に震動いたし人家も少
 々は破損仕候得共西北之方は格別之儀は無
 之人家の損も至而すくなく候よし土御門殿
 其外御所司代公卿堂上方参内幷ニ御月番御
 火掛御人数火事具ニ而御欠付御所御固メ御
 厳重之御事ニ有之候由宇治伏見等も同様ニ
 有之家損等も少々有之候よし
一大坂表も京地同様ニ而大地震にて行燈之油
 をこほし候程ニ而堂嶋川岸蔵等少々潰れ建
 国【「家」を見せ消ち】造天王寺辺別而強く人家も少々潰れ建家
 も大体は損候由泉州堺は余程之震動ニ而大

 坂在若江村松原村等は猶更強く河内在々も
 潰家有之怪我人等も有之候由摂州池田伊丹
 灘同兵庫又は丹波紀州辺も同様ニは候得共
 家損等は至而少く御坐候
一和州奈良同郡山は御城も損寺社院等も倒れ
 人家も多く潰れ死人怪我人等多分有之候由
 右之国々大方同日同刻大地震ニ而三日三夜
 程震動致候潰家又は死人怪我人数をしらす
 惣而十ケ国之大変候間此段為御知奉申上候
一同月十三日朝辰之刻越前福井御城下塩丁ゟ
 出火致幅五丁程竪四十丁程焼失仕候夫ゟ三
 十丁余隔而丸山村へ飛火いたし五十軒余焼
 又二十町余隔て吉坂村へ飛て同村不残焼又
 同様かいほつ村六軒焼失致候同夜戌の下刻
 火鎮候所翌十四日大地震ニ而残家も少々損
 し死人怪我人等も有之候よし申来候間是又
 為御知奉申上候以上
             島屋佐衛門
    御吟味方御役所
廿五日 朝極快晴五ツ時よりくもり終日薄く

《割書:七十三度| 》 もり空なり
当年福島辺蚕大当り糸弐百拾六匁
廿六日 朝よりくもりむしあつし終日残暑殊
《割書:七十八度|八十九度》 之外つよし久しふりにて終日上天気
    大暑夕方ゟ雷もやう暮六ツ時ゟ五ツ
    半過大雨ふり雷声四ツ時晴
廿七日 朝より至極快晴少々涼し四ツ時過よ
《割書:七十七度| 》 り大暑ニ風なし
廿八日 朝より大暑終日上天気なり
廿九日 朝よりくもりむしあつし四ツ過より
《割書:四ツ時八十三度|昼八ツ時九十度》てり立大暑夜中迄殊之外大暑風なし
    土用中ニも無之暑気也
晦 日 朝よりくもり四ツ時よりてり立大暑
《割書:朝八十一度|八時九十度》風なし夜中も寝かね候土用中ニも無
《割書:八半時九十二度》之大暑
《割書:江戸町米七斗弐升》笠間辺玄米五斗八升迄ニ二日程之間
《割書:土浦辺七斗四五升》致候間追々暑気ニ相成俄ニ六斗四五升
    ニ相成候よし

    壬七月

朔 日 朝涼し五ツ時より暑気如何にも大暑
《割書:五時八十四度|九ツ半九十度》風なし凌かね候土用中ニも無之暑気
《割書:八ツ時九十二度| 》夕方少々曇はら〳〵雨直ニ止晴夫よ
    り少々涼しくなる
二 日 朝より快晴むら雲五ツ時よりはれ夕
《割書:朝八十度|八時九十二度》方より曇夜六時より五時迄雷雨つよ
    し
三 日 朝よりくもる四ツ半時ゟ雨ふり雷声
《割書:朝七十五度|八時七十七度》九ツ過止
《割書:四 日|七十三度》 朝より快晴涼し
五 日 朝より快晴涼し夕方よりくもり小雨
《割書:七十三度| 》 ふる夕立もやう
六 日 朝より快晴夕方ゟくもり夜ニ入ほろ
《割書:七十九度|八十八度》 〳〵雨ふる
七 日 朝より小雨ふる四ツ時位より雨止終
《割書:七十七度|昼時八十度》日くもり南もやうなり
 先月末より当月初東北の在々大雷度々有之
 候由ニ而雷神宮へ太田辺在々より日参其外
 村々より参詣人夥敷有之候事
八 日 朝よりくもり五ツ時より小雨ふる折

《割書:七十一度| 》 々小雨ふる冷気なり
九 日 七ツ前より雨ふり冷気也四ツ過より
《割書:二百十日|七十度》 天気なる夕方よりくもり
《割書:十 日|七十度》  朝より快晴四半時ゟ雨ふり折々雨夜
《割書:新籾三斗弐三升|古籾三斗》中雨つよし冷気也
十一日 朝よりくもり小雨五ツ過より止終日
《割書:七十四度| 》 くもり夜中おほろ月也
十二日 朝より快晴終日上天気涼し久しぶり
《割書:七十四度|昼七十六度》ニ而上天気
 寅七月廿六日巳之刻長崎表え入津
      唐人百三人外四人在留
   豊利船書翰
一去夏拝別之後段々順よく帰唐致本舟五月廿
 二日先々左甫着王氏方弐艘は同廿八日一同
 帰着致其内此方得宝船而已北手え乗卸南風
 強く難乗帰六月十二日帰唐仕候漸々相揃ひ
 申候依之夏ふね仕出シ方取計ひ可申候処昨
 春正月二日頃広西之逆徒江南ニ押入江南之
 地打続南京鎮江楊州之三ケ所落城ニ及蘇州
 居民散々郷地え逃れ諸商売筋何れも差止メ

 代り物等捌キ兼其後八月頃又々上海 尚々(マヽ)地
 方士賊乱妨致城廓を乗取諸省之大兵顕散江
 南一揆要害之場所え打集居民を動し候故人
 々恐怖致商売筋一切打絶候ニ付又々冬舟も
 仕出シ方出来兼候様成行当時所々之賊徒未
 タ退治出来兼候得共幸ひ当春以来官兵勝利
 を得賊勢相滅シ諸方ニ逃隠勢ひ衰ひ手負等
 不少只漸々江少同シ而已始終騒動無之右之
 模様ニ而は一時ニ征討難届き被存候当節は
 是非仕出シ方不仕候而は不相叶事故双方申
 談漸々壱艘宛仕出し申候王氏方は源宝此方
 は豊利船ニ御坐候尤跡荷物仕入方ニ付而は
 格別難渋之事共御坐候本船は七月十日左甫
 出シ同十二日晩南広ゟ乗出し廿一日巳之刻
 筑嶋見掛ケ昨夜北手ニ眞きり今日乗入かた
 く昨今野母潟之内外手ニ汐掛り致早速挽舟
 相願置候ニ付不遠着崎可仕候跡舟定而十四
 五日頃ニ出帆相成候儀と存候此順風ニ而は
 無程着崎可相成候如此御坐候
             陶 梅 江《割書: |頓首》

《割書:十三日|七十度 》 朝より快晴冷し終日むら雲
《割書:十四日|七十度 》 朝より快晴冷し
《割書:十五日|七十五度》 朝より快晴暑気つよし夜中迄風なし
《割書:十六日|九ツ半時》 朝むら雲むしあつし四ツ過よりてり
《割書:八十五度| 》 立暑気つよし
《割書:十七日|九ツ時 》 朝より快晴上天気残暑つよし夜る迄
《割書:八十五度| 》 風なし夜中も休かね候
十八日 朝くもる四ツ時よりてり立暑気つよ
《割書:九時八十三度| 》し夜中は涼し
十九日 朝薄くもり冷し終日むら雲ひとへも
《割書:二百廿日|七十一度》 の重着なり
廿 日 朝よりくもり五ツ半時過よりてり立
《割書:六十七度| 》 冷し
廿一日 朝くもり六五時地震六五少し過より
《割書:六十七度| 》 小雨ふり出し冷気なり四ツ過より雨
    止
《割書:廿二日|六十五度》 朝より快晴
《割書:廿三日|七十一度》 朝より快晴
廿四日 朝より快晴五ツ時よりむら雲冷気な
    り

廿五日 朝よりくもり秋冷四ツ過よりてり立
《割書:六十度 | 》 夜中くもり
《割書:廿六日|六十度 》 朝より快晴
《割書:廿七日|六十五度》 朝より快晴夕方よりくもる
《割書:廿八日|七十八度》 朝よりくもる五ツ時小雨直やむ快晴
    残暑夜中迄むしあつし
廿九日 朝よりくもり冷気なり夜ニ入雨ふり
    出し終日雨ふる

    八 月
朔 日 宵より雨ふり冷気なり終日雨ふり夜
《割書:六十二度| 》 中はつよし終夜ふる
二 日 宵より雨ふり四時より止冷気終日く
    もり
《割書:三 日|五十六度》 朝より快晴終日上天気夜中くもる
四 日 朝よりくもる冷気なり四ツ過よりて
《割書:六十四度| 》 り立
《割書:五 日|六十度 》 朝くもり秋冷四ツ過よりてり立
《割書:六 日|六十二度》 朝より快晴秋冷
《割書:七 日|六十四度》 朝より快晴

《割書:八 日|六十四度》 朝より快晴
《割書:九 日|六十九度》 朝より快晴
十 日 朝よりくもる八ツ時ゟ雨ふり出し終
《割書:六十八度| 》 日雨夜中も雨つよし
十一日 朝よりくもり四ツよりてり立
十二日 朝くもり五ツ時よりてり立
十三日 朝くもり四ツ過よりてり立夕方より
《割書:六十五度| 》 くもり
十四日 夜明方少々雨ふり五ツ時より雨ふり
《割書:六十五度| 》 時々止終日小雨なり
十五日 朝より雨ふり冷気也九ツ時より止折
《割書:六十四度| 》 々小雨夜入五ツ時大雨四ツ時止無月
    なり
《割書:十六日|六十五度》 朝より快晴
《割書:十七日|五十七度》 朝薄くもり四ツ時ゟ快晴
十八日 朝くもり四ツ時ゟきり雨ふり八ツ時
    ゟ止
十九日 明七ツ前より雨明方止終日くもり空
    也四ツ半過より又々雨ふり折々止南
    もやう

廿 日 五ツ時より雨ふり冷気北もやう終日
《割書:六十五度| 》 大雨ふり夜ニ入止
《割書:廿一日|五十九度》 朝より薄くもり時々雨ふり
廿二日 朝より快晴折々曇る夜ニ入雨ふり
《割書:廿三日|五十九度》 夜明迄雨ふり五ツ前ニ止九ツ時位よ
    り快晴暖気なり夜八ツ半時地震ゆる
廿四日 朝より快晴
《割書:廿五日|五十八度》 朝薄くもり四ツ過より快晴
廿六日 朝より快晴
《割書:廿七日|六十四度》 朝より快晴
《割書:廿八日|六十四度》 朝より快晴
廿九日 朝よりくもり南風終日くもり空暖気
晦 日 朝より快 〇(晴)暖気也七ツ地震暮六ツ時よ
    り大雨終夜雨北風吹
穀町新米三斗四五升 大豆八斗四五升
《割書:白川辺玄米壱分ニ三斗四升  下たて種わた|会津三斗弐升         拾弐〆目》
《割書:須知川三斗四升         弐百廿匁借切り|川又福嶋辺絹糸弐百目》

    九 月
《割書:朔 日|五十八度》 朝より雨ふり北風にて冷気終日雨ふ

    り
二 日 宵より小雨ふり冷気なり北風にて終
    日冷気なり
三 日 朝より快晴さむし
四 日 朝さむし快晴むら雲
五 日 朝よりくもり冷気なり九ツ過より雨
    ふり
六 日 朝よりくもり北風
七 日 朝より薄くもり四ツ過より快晴夜中
    雨
八 日 朝より極快晴暖気夕方よりくもり五
    ツ時より雨ふり
九 日 朝きりふる快晴暖気なり夜中迄快晴
《割書:五十七度|新米三斗五升》夜七ツ過より雨ふり出し
十 日 五ツ時迄雨俄ニ快晴又々直ニくもる
《割書:五十五度| 》 大雨半時計にて又々快晴
《割書:十一日|五十三度》 朝より快晴
十二日 朝より快晴四ツ時よりくもりさむし
    終日くもり夜四ツ時より雨ふり出し
十三日 朝よりくもり北風にてさむし四ツ過

《割書:五十八度| 》 より雨ふり出し終日雨合なし夜中も
    同断
十四日 宵より雨ふり終日雨つよし夜中も同
    断
十五日 宵より雨ふり九ツ時より晴七ツ時ゟ
《割書:六十度 | 》 至極快晴ニ成ル夜中もよくはれ
《割書:十六日|五十四度》 霜ふる快晴さむし
《割書:十七日|五十度 》 朝より快晴暖気なり
十八日 朝より快晴昼後よりくもり七ツ時ゟ
《割書:五十五度| 》 雨ふり終夜雨ふり暖気なり
《割書:十九日|五十六度》 宵より雨ふり終日雨ふり夜迄ふる
廿 日 朝より快晴西風さむし終日殊之外さ
    むし
《割書: |日光山雪見ゆる》
《割書:廿一日|三十七度》 大霜寒気なり初て薄氷かはる
《割書:廿二日|四十五度》 朝より快晴霜あり
《割書:廿三日|四十六度》 朝より快晴
《割書:廿四日|四十六度》 朝よりくもり終日薄くもり夜四ツ時
    ゟ雨ふり出し
廿五日 宵より雨ふり終日雨ふり夜ニ入雨止
《割書:イキリスえ長崎箱根両所之内|舟繋之儀御免ニ相成候よし》

《割書:卄六日|五十度》 朝より快晴
《割書:卄七日|四十六度》 朝より快晴夜に入雨ふる
一九月一七日淡州沖合へ異舟壹艘乘込跡に五
 六艘計相見へ申候樣子今朝早印にて承り驚
 入候然ル所今七《割書:ツ|日》【日の左に点のようなものが二つあります】時頃天保山沖合へ壹艘乘
 込候ニ付川口御番所ゟ御飛脚ニて注進追々
 御上樣ゟ御出張被遊下店方より壹人天保山
 迄見せニ遣候處異人白黑傳馬舟弐艘ニて卄
 五六人乘り追々天保山川上え登込安治川四
 丁目ニて當地御出張御役人五十人計御出合
 被遊傳ま差止メ異人五人計陸へ上り願書差
 出候へ共御指戾ニ相成候故又々傳馬舟ニ乘
 り川上え乘込掛り候處上荷船弐珀艘計ニて
 右傳馬舟弐艘を取巻罷居候處迄見請㝡早夕
 刻ニも相成候故飛戾り申候不取敢右迄御註
 進申上候
 御上樣追々御出張其外近國諸大名御役人御
 出張御混雜之段誠ニ奉恐入候乍併市中ハ一
 向騒キ不申候常之通ニ御坐候此段御安心可
 被下候尙相替儀も御坐候得は追々御註進可

 申上候先ハ右取急キ早々以上
  右異舟本國聢ト相分り不申候得共多分ヲ
  ロシヤト申風聞ニ御坐候
             大坂より
卄八日 朝より快晴夕方より西風ふく
《割書:卄九日|三十八度》 大霜快晴
《割書:綿坂上百五兩》

    十 月
《割書:朔 日|三十八度》 大霜寒氣
二 日 快晴霜なし南もやう夜ニ入雨ふる四
    ツ時止晴
《割書:三 日|五十一度》 朝より快晴暖氣晝位より時雨空とな
    る

巻13

L289.1 13 137
《割書:水|戸》大高氏記録 十三

 元治二
日 記 帳
 乙丑年

   元治二乙丑年
      寒暖計ハ朝五ツ時をしるし
  正 月 大 戊寅
   年徳あきの方申酉の間万よし
《割書:元  日(丁酉)|三十度》  朝より快晴ニ而一天の曇りもなし至
    極穏にて終日風もなし
 中納言様御指扣ニ被為入候ニ付
 御国表も登 城無之門松も表通りハ立不申
 候
《割書:二  日|弐十八度》 朝より快晴暖気ニ而至極穏なり

 中納言様御指扣被為入門松も立不申候ニ付
 初売等年始物等指出候ニ付近頃大群集いた
 し候ニ付商人共面々心得を以初売相休候所
 商業之義相休候而ハ諸人難儀いたし候間速
 ニ商【見せ消ち「業」】売いたし候様御達ニ相成候ニ付昼時位
 より売初る
《割書:三  日|三十度 》  朝より薄くもり歓喜ゆるミ 夜ニ入五
    ツ時ゟ小雨ふり暖気也
《割書:四  日|四十五度》  朝より薄くもり暖気八ツ時位より東
    風吹
 地木綿并古着古綿類他所出御指留之儀相達
 候得共他所国産之品荷受いたし他方へ指送
 候儀ハ制外之儀ニ付印鑑相渡置勝手次第為
 指送可申事
   正月三日
《割書:五  日|三十五度》  朝よりくもり暖気春めき
《割書:六  日|三十六度》  朝薄くもり暖気ニ而終日曇空夜ニ入
    九半過より雨降出ス
《割書:七  日|四十一度》  宵より雨降暖気四ツ過ゟ雨止七ツ時
    照立又々曇夜ニ入五ツ時より雨ふる

《割書:八  日(下町市神出社なり)|四十五度》  朝より薄くもり暖気終日曇空ニ而夜
《割書:節  分》  ニ入五ツ時より雨ほろ〳〵降出ス艮
    風ふく
《割書:九  日(立春正月之節)|三十五度》  明方より雪ちら〳〵ふり九ツ過より
    雨降終日北風雨ふり夜ニ入雨止さむ
    し
《割書:十  日(上町市神出社なし)|四十度》  明方より快晴終日天気よし
《割書:十一 日|四十二度》  明方より快晴寒気ゆるミ
 江戸表当節鰯粕金壱両ニ付七〆目位ニ而新
 粕にても宜敷候間積入次第仕切出候よし江
 戸旧冬押詰候而ハ餅米壱両ニ壱斗八升位迄
 いたし候よし此節引下ケ候而三斗弐三升之
 よし
《割書:十二 日|四十五度》  朝より薄くもり暖気夜ニ入雨ふる
《割書:十三 日|四十七度》  朝より快晴殊之外暖気
《割書:十四 日|四十五度》  朝よりくもり艮風ふく夕方ゟ雨ふる
    明方迄雨ふる夜五時地震
 上下市中旧冬より痘瘡流行皆々難痘にて死
 人数不知向井町にてハ疱瘡ニ相成候而ハ壱
 人もいき候もの無之旧冬押詰迄ニ下金町ニ

 而六十人余死候よし
    初相庭
  《割書: |一古領米》
  《割書:一南郷米 |一同古米 》〆三斗七升 《割書:一南郷米 |一古領米 》〆三斗六升
  《割書:一町 米 |一古 米 》〆三斗九升 《割書:一町 米  三斗八九升|一糯 米  三斗三升》
  《割書:一糯 米  三斗一升|一水戸大豆 三斗八九升》   《割書:一大 豆  三斗七八升|一小 豆  三斗八升》
  《割書:一同小豆  三斗八升 |一大 麦  石八斗》   《割書:一大 麦  石五六斗|一小 麦  六斗八升》
  《割書:一小 麦  六斗八九升|一菜 種  三斗ゟ》   《割書:一菜 種  三  斗|一蕎 麦  七  斗》
  《割書:一仙 台  四八五| 廻 米   三斗八升》   《割書:一仙 台  三斗八升| 廻 米 》
  《割書:一寒 川  三斗六升 | 十二月十八日》   《割書:一岩 キ  三斗七升|一坂 水  六十両弐分》
  《割書:      山や喜助 》   《割書:一地 水  五十九両|一胡 麻  六十三両》
  《割書: 尾州米 |  三斗四升 》     《割書:一赤 穂  四俵六分|一才 田  七俵四分》
           《割書: 正月八日|     多田ヤ又兵衛》
  《割書:一地水油  五十九両|一胡麻油  六十四両 》   《割書:一赤 穂  四俵弐分|一斎 田  六俵七分》
  《割書:一荏 油  六十五両弐分|一種 粕本〆四枚八九分  》  《割書:一新 才  七俵七分|    庵ヤ吉衛門》
  《割書:一同 並  五枚七八分|一胡麻粕  四枚六七分》
  《割書:一荏 粕  六  枚|一黒胡麻  九  枚》
  《割書:  銭 六〆百十匁| 大坂廿五日出》
  《割書:  水油  壱〆百十匁|  金   九十七匁五分》
    《割書:山崎ヤ伊左衛》
    丑の春初相庭

 一番白
  《割書:市 口|高 砂》 弐 反   《割書:市 松|唐 崎》 弐反五分
  《割書:市 川|尾 上》 弐反弐分五 《割書:市 玉|桐 生》 弐反七分五
  《割書:桑 福|三 保》 弐反九分五 《割書:柳 島|松 嶋》 三反壱分五
  《割書:玉 葛|難 波》 三反三分五
 一三州短尺
  《割書:古 新| 舞 鶴  弐反五分》  《割書:改| 極 錦  弐反七分》
  《割書:間 銘| 桜 岡  三  反 》  《割書:花 園  三反弐分》
  《割書: 坂 園  三反四分》
 一兵 《割書:生雲斎|五十八匁》
 一さらし
  《割書:極 天|白 滝》 弐反八分  《割書:磯 川|玉 萩》 三  反
  《割書:津 川|花 吟》 三反弐分五 《割書:新 川|鴨 川》 三反五分
  《割書:玉 川|松 江》 三反七分  《割書:幾 川|藤 川》 三反九分
  《割書:深 川|桜 川》 四反壱分
 一綿相庭 正取引 金拾両引五十目安
  三州上銘 三百九両    坂上銘 三百四両
  京丹州  弐百九十九両  坂丹州 弐百九十四両
  焼印五入 弐百八十三両  しの巻 七百三十目
   正月四日            千 印 

 一古 新  三  反  一改メ 三反弐分五
 一銘    三反六分五
 一名古ヤ五番三反六分  前後三分開
 一《割書:なら和 |雲 井 》晒 三反七分     田端ヤ次郎左衛門
《割書:十五 日|三十九度》  朝よりくもり北風さむし夕方ゟ雨ふ
    る
《割書:十六 日|三十五度》  明方より雪降さむし終日雪ふる去な
    から春雪ゆへ更ニ不積夜中も少々ツ
    ヽ雪ふる
《割書:十七 日|三十三度》  雪空にてちら〳〵雪ふる寒し夕方止
    夜中むら雲
《割書:十八 日|三十 度》  朝よりむら雲寒気つよし
 夜向の【見せ消ち「上」】山の方より笛太皷かね等之囃ニ而其
 内え参り候様子其内之夫婦子供ニハ聞へ候
 へとも外のものへは音も聞え不申はやし込
 候へ共女房ハ夫と心得候や様々の事を申た
 のしミ居候様子ニ付近隣之ものなと夜中ハ
 参り居さわき候へハ其女も静り候よし惣身
 きづたらけニ相成此節ハ大よわりニ相成居
 候よし不思儀之事之よし野田河宿之はなし

 のよし
《割書:廿一 日|三十三度》  朝より快晴寒気夜中地震
《割書:廿二 日|三十 度》  大霜快晴寒気八ツ過よりくもり夕方
    より雨ふり夜中も雨ふり
《割書:廿三(雨水正月中)日|三十弐度》  朝よりくもり南風吹五ツ半時ゟ雨降
    夜ニ入雨風ともつよし終夜雨風なり
《割書:廿四 日|三十五度》  朝より雨なしニ而風つよし夕方風止
    戌亥の風なり
 郷中へ御達
  近年館詰等出来候已来小金登り今般之御
  大変ニ至候迄村々強談え相掛貧富ニより
  多少ハ可有之候へ共金穀武器衣類其余之
  品々無據指出或は被奪取候類聊たりとも
  不相包其節之仕抹月日等有体ニ相認一村
  切相揃扱山横目取受可指出候万一心得違
  取包候ハヽ不正之筋ニ相当り候間屹と可
  申付候
   但手形有之候ハヽ指出無之分ハ全覚之
    通可認候金穀類誰ニ相渡候迄分り候
    丈ケ可認候存分申出候ハヽ後難如何

    と存候ものも可有之候へ共必心配無
    之様相諭可申候
 一村酒穀館詰等え指送又ハ被奪取候類有之
  候哉ニ相聞候右ハ委細ニ取調石高并其節
  之次第月日とも可申出候
 一館詰并賊徒之為ニ種々難渋いたし或ハ存
  外之難ニ逢ひ候者も有之趣相聞候右役人
  は勿論小前たりとも不取包委細書付ニ致
  仮令当節拘り人有之といへとも毛頭不苦
  候間名前をあらまし可申出候
 此度郷中御改革向被 仰出候ニ付左之通可
 相心得候
 一御人数組一圓御廃之事
 一山横目并同格列之者之外対役儀帯刀之儀
  以来御停止之事
   但謂有之帯刀致来候者ハ可伺出候
 一苗字ハ大山守庄屋年寄同格列以上御免以
  下ハ御停止之事
   但謂有之御免之者ハ可伺出候
 一小山守対役儀上下着用御制禁之事

 一猟師之外鉄炮御制禁ニ相成候条所持之者
  ハ役所へ相納可申事
 一弓矢手槍之儀是又右同様可相心得事
   但古来ゟ持伝候槍等ハ其訳相認可伺出
    候
 一百姓古武術稽古之儀ハ堅ク御制禁ニ候条
  稽古道具役所へ相納可申事
 一馬乗袴襠高袴伊賀袴立付ハ村役人たり共
  御制禁之事
 右之通相達候堅ク相守可申若心得違於有
 之ハ屹と可申付候
 一郷校御廃之事
   但医者講釈所之儀ハ追而可相達候
 右之通可相【見せ消ち「達」】心得事
   正 月
《割書:廿五 日|三十八度》  朝より薄くもり乾西風明方よりつよ
    夕方迄風吹夜ニ入西風つよし九ツ過
    止
《割書:廿六 日|三十 度》  大霜快晴寒気つよし終日暖気春めく
《割書:廿七 日|三十五度》  朝薄くもり四ツ過より快晴

 今節疱瘡ニ而死候事不知数日々くらとも
 なく葬式有之勿論植疱瘡いたし候ものハ不致
 候間ハれ〳〵も植ほうそうニ限り申候事
  粉こんにやく山ニ而旧冬十弐両位春ニ成
  候而十四両ニ引上候よし
《割書:廿八 日|三十 度》  霜ふる快晴
《割書:廿九 日|三十 度》  霜ふるさむし西風吹夕方風止
 浜之漁事更ニ無之いわし粕此節ミなとニ而
 両ニ六〆目位古今珍敷高直の事也
《割書:晦  日|三十 度》  大霜快晴寒気つよし
    昨日当朝御用有之候よし
             戸田銀次郎様
             渡辺 半介様
      《割書:何レも渋田え |参候よし》   久木直次郎様
             葛西軒衛門様
             桑原幾太郎様

   二 月
《割書:朔  日|三十 度》  朝よりくもりさむし艮風にて終日く
    もり空ニ而殊ノ外さむし夜五時地震

《割書:二  日|三十 度》  朝よりくもりさむし四ツ時迄雪さら
    り雨ふる夜中迄降
《割書:三  日|三十 度》  朝より快晴西風吹終日殊之外余寒夜
    五ツ過大地震四ツ時又々地震四ツ時
    ゟ風止
 是迄諸生之御方市中御見張旧冬中御引ケニ
 相成市中ニ而馬口労町久保町両所見張出来
 詰居候處又々昨日ゟ御達ニ相成市中取締と
 して諸生之御方御両人ツヽ下金町馬口労町
 大工町と御出張ニ相成候
   丑正月廿六日申渡
           |  戸田(宇都宮領主也)越前守》
             《割書:名 代》
 野州辺賊徒暴行ニ及候ニ付為討手
 公辺御人数被指向諸家え追討被 仰付候節
 其方へも同様被 仰付候處右賊徒え其方家
 来共出張方も彼是不都合ニ相聞且心得方も
 等閑ニ致候趣畢竟家督以来家政向不行届故
 遂ニ右様之次第ニ至候段不束之至ニ被
 思召候依之急度も可被 仰付候處御宥免を

 以領知之内弐万七千八百五十石被 召上隠
 居被 仰付急度慎可罷在候

           |  戸田(御小姓  )土佐守
             《割書:名 代》
 同文言其方義先達而仮相続相願ヒ義ニ付越
 前守家相続被 仰付為家督五万石被下鴈之
 間詰被 仰付候依之御小姓御免被 下候追而
 所替被 仰付候
《割書:四  日(初 午 )|弐十七度》  大霜殊之外寒気つよし終日快晴也夜
    四ツ時地震ゆるくもり
《割書:五  日|弐十八度》  大霜むら雲折々照立殊之外さむし
《割書:六  日|三十 度》  大霜快晴さむし夜ニ入くもり
《割書:七  日|三十八度》  霜ふる寒気ゆるミ 快晴
《割書:八  日(二月節啓蟄)|三十八度》  朝より薄くもり四時より快晴夜八時
    地しん
   京都紅花相場
  《割書:水 戸 金八拾五六両ゟ|早 庭 金六十両位》  最上《割書:金七拾五六両ゟ|金四拾両位》
  南仙《割書:金八拾五六両ゟ|金六十弐三両位》  《割書:おく仙 金六十七八両ゟ|南 部 金四十両位見当》
   大坂初相場

  筑前米 弐百廿四五両  岡大豆 弐百四十四匁五分
  坂上綿 壱〆八十匁   金銭 《割書:九十六匁五分|拾四匁八分》
   江戸表位
  白米 両弐斗八升  白米四合五勺
《割書:九  日(梅花盛)|二十 度》  大霜寒気快晴夜ニ入くもる四ツ時よ
    り雪ふる八ツ過雪止明方小ちしん
《割書:十  日|三十四度》  朝よりくもり五半時てり立又々くも
    る四ツ時よりてり立さむし夜五ツ時
    地しん
《割書:十一 日|弐十七度》  大霜快晴余寒つよし四ツ時より西風
    吹
 元治元甲子十二月十七日七ツ時頃浪士共ゟ
 歎願書加州え来ル
  以手帋啓上仕候寒気之砌弥御安静珍重ニ
  候扨段々伝承仕候へは道路御警衛被成候
  趣御苦労千万深察仕候一体我【見せ消ち「党」】等共通行之
  儀ハ定而御承知可有之候へ共同藩結城寅
  寿残党市川三左衛門等之讒悪より恐多も
  公辺之御嫌疑をも蒙候義源烈公積年之素
  【見せ消ち「年」】懐も今日ニ至磨滅仕候段臣子之情遺憾ニ

  存候間是非共主家之予讒 歎願仕候心得
  ニ御座候間決而外之諸矦え対し接戦之存
  寄毛頭無之候ニ付而ハ無指遣為御通被下
  候様奉願度此段早々得御意候頓首
    加州家ゟ浪士へ返書
  御手帋致披見候然ハ御歎願之趣も有之候ニ
  付無滞御通行之義且諸矦へ対接戦之義存
  寄毛頭無之旨委細ニ致承知御通申度存候
  へ共加州中納言殿人数当駅え出張致候義
  一橋殿御加勢候条無是非及一戦候存寄ニ
  御座候尚後刻期一戦之節之御報如此ニ御
  座候以上
   十二月十七日

  私共多人数引率是迄罷登り候次第先般書
  取を以奉歎願候通聊素意上達仕度趣主ニ
  御座候所当節之身柄ニ落入候上ハ願書等
  御取上難相成段被仰渡奉畏候然ル上ハ乍
  恐 公辺御人数え打合之儀も有之殊ニ軍
  装ニ而是迄致潜行諸藩為致動揺候段実ニ

  天下御大法ヲ相犯不相済義深恐入奉存候
  間尊藩軍門え向一同降参仕候間何卒此義 
  可然被仰立如何様ニも御所置被 仰付候
  様伏而奉願上候各様申立仕候上ハ元ゟ決
  死之義聊彼是様申立候筋ハ無之候へ共只々
  先般歎願之通如此成来候事情ハ実ニ其謂
  御座候事ニ候間曽而奉対 公辺御後闇懐
  火不敬之挙動相働候義ハ無之候所今更空
  敷流賊之汚名を相蒙候段千載之後死而意
  恨有義ニ御座候武門之情此段 尊藩別而御酌取宜御弁解被成下候
  様奉願上候決死之一語他ニ申立候義無御
  座候以上
   元治元年子十二月
             武田伊賀守
    加賀中納言様      《割書:正生判》
      永原勘十郎殿
《割書:十二 日|三十二度》  大霜寒気五ツ半時より西風四時小地
    震
 私本家家老益田右衛門介福原越後国司信濃
 去七月発京之上不用主命恐多も対

 輦下騒攘仕奉驚
 宸襟候段全大膳大夫父子平常之申付方不行
 届罪科難遁奉恐入候右ニ付奉歎願置候趣も
 御座候所今般御征伐之期限及切迫候段竊ニ
 奉存候誠ニ以恐懼痛心仕国中一統謹慎罷在
 大膳父子寺院蟄居仕只管奉謝罪居三人之者
 共所置之儀此内御指図相待居候心得今日ニ
 至候而ハ却而|通(過カ)慮相当り自然御嫌疑も可有
 之哉と奉恐入候然ハ速ニ處厳科首級可指出
 心得ニ御座候私儀謹慎中越後境之段奉恐入
 候間不得止事封彊慎ミ 罪を幕下え奉謝候何
 卒御寛大之御所置偏ニ奉歎願候誠恐敬白
   十月廿七日      吉川監物
                《割書:黒 印》
   右歎願芸州公へ指出し夫ゟ尾州前大納
   言殿へ進達

 私本家家老之内乍恐於京都暴動仕候儀ニ付
 先達も奉歎願置候所今般御征伐之期限及切
 迫候段竊奉伺候大膳父子を初末家中遠国之

 末民一同痛心泣血仕候就而ハ御指図を不待
 罪魁益田右衛門介福島越後国司信濃三人之
 首級奉備御実検其余参従徒厳科可申付候尚
 更公卿方ハ去年已来山口ニ滞在之所何卒他
 州へ御転座追而ハ都下へ御帰入相成候様御
 取扱之儀奉願度心得ニ御座候乍併此儀おゐ
 てハ大膳父子え申聞相分相計度奉存候へ共
 遠路相隔往覆之日数有之候ニ付仰願ハ別藩
 進発之儀暫御猶予被成下候様奉希上候此内
 大総督幕下御取成之程只管奉懇願候恐惶敬
 白
   十一月二日      吉川監物
                《割書:黒 印》
 右書付同三日広嶋表へ出発周防広嶋表出陣
 之大名阿部主計頭板倉周防守芸州共三家芸
 防国境瀬川と申所へ陣所隔先手人数出張之
 處同月十三日徳山岩国両城ニ而三家之内首
 を切同夜九ツ時過広嶋へ持参長州家老志路
 阿波守と申者重立其外士分弐百人何れも慎
 中と相見七月已来月代不致様子ニ而長髪也

 麻上下無紋家老壱人帯剣脇指計尤も国境迄ハ
 多人数付添鉄炮ニ而固メ候由同十四日芸州
 家菩提所国大寺を以尾州家家老竹越兵部少
 輔始先陣之阿部矦板倉矦家老へ達し夫ゟ尾
 州御家老竹越兵部少輔始銘々家老壱人宛出
 張首実検有之候
  長州ゟ参家【見せ消ち「来」】老は勿論付添士分長髪|無(帯カ)刀麻
  上下ニ而厳重ニ慎実ニ気之毒之由右出張
  之咄之由
 十一月十一日左之通尾州家ゟ御触達大膳父
 子伏罪之姿相顕候斗十八日攻掛之儀重而一
 左右相達候迄切掛可相見合候
  右諸陣一番手御達之事
 右は備中松山藩広嶋出陣之仁ゟ書状中有之
 候ニ付書抜候事と有之候
《割書:十三 日|三十三度》  朝より快晴
《割書:十四 日|三十五度》  朝より薄くもり九ツ過よりてり立夜
    中も薄くもり
《割書:十五 日|三十六度》  朝より薄くもり終日くもり空ニ而持
    合夕方より暖気

《割書:十六 日|三十八度》  朝より薄くもる暖気夕方小雨ふる南
    もやう夜中風つよし
 今日江戸へ安吉初登重兵衛助蔵向新宅源介
 安二郎源十郎都合六人
《割書:十七 日|三十八度》  朝より薄くもり南風ふく四ツ時ゟ止
    てり立夕方くもり夜四ツ時より雪ふ
    る
 会津御蔵入当時玄米四斗八升絹糸両五十目
 百八十両太麻大高直昨年六十両位之品百廿
 目位城下玄米四斗弐三升凶作位之相場ニ候
 へ共諸品高直ニ付在々懐合金融通宜敷候よ
 し
《割書:十八 日|三十七度》  宵より雪ふるさむし終日雪ふり七ツ
    時雪止夜中月夜ニなる
《割書:十九 日|三十二度》  朝よりくもり五ツ時ちら〳〵雪ふる
    四ツ時大雪ふる八ツ過雪止七ツ時て
    り立夜ニ入五ツ時あられふる
《割書:二十(ひかん) 日|二十八度》  大霜快晴寒し終日寒中ゟさむし
 《割書:筑波加波足穂辺大雪》
《割書:二十一日|二十六度》  大霜快晴寒気殊之外つよし夜ニ入四

    ツ時小雨ふる直ニ止
《割書:廿二 日|二十八度》  朝より薄くもり五ツ半時過より小雨
    ふり九ツ時ゟ止夜中は星見へる
《割書:廿三 日(ひかん中日)|三十二度》  大霜快晴艮風吹九ツ半過ゟ止
《割書:廿四 日|三十五度》  朝より薄くもり七ツ時よりきり雨ふ
    る直止
《割書:廿五 日|三十八度》  朝よりむら雲四過よりてり立
《割書:廿六 日|三十八度》  朝もや四ツ時よりてり立終日天気よ
    し暖気
《割書:廿七 日|四十五度》  朝薄くもり暖気四ツ過よりてり立
 《割書:分ニ 籾 弐斗一弐升|両ニ 麦米四斗四五升》  《割書:両ニ 菜種 三斗五升|   大豆 三斗八九升》
  両三日已前武田山国田丸藤田等之首江戸
  ゟ下り候よし
《割書:廿八 日|四十八度》  朝よりくもり暖気九ツ過より北風ふ
    くさむし五ツ時より雨ふり出雨風つ
    よし明方風止
 江戸当節相場
  三河 《割書:改 三反弐分|銘 三反五分》   《割書:名古五番| 壱ゟ五番揃候而》
     《割書:造 な  し》   《割書:   三反五分| 三四五斗ニ而五番》
             《割書:三反四分》
  下白 四反弐三分ゟ下なし

  《割書:夏生桟|昨年ゟ壱両五分高》   《割書:さらし| 雲 井 三反四分》
  《割書: 上 廿八九 下廿三》  《割書: 鈴 鹿 三反三分| 奈良和 三反三分五》
  《割書: 手 巾 拾六匁|     下なし》   《割書: 松山縞 三拾九匁》
  《割書: 並もの 拾六五ゟ|     十七五》   《割書:坂芥子 上廿三四匁|     下拾八九匁》
  《割書: 地 紋 上四十匁ゟ|      上(下カ)三十四五 》《割書: 無双絞 上廿六七匁|     下弐十匁》
  《割書: 鬱 金 上弐十匁ゟ| 木 綿 下十六七匁》  《割書: 茜中形 上弐十匁|     下十六匁》
  《割書: 木 綿 糸入五十匁ゟ| ちゝミ 六十七八匁》  《割書:若無地 上廿六七匁|     下十九匁》
  《割書: さつま 百三四十匁| かすり 百十匁》  《割書: 高はた 五十匁|  糸入 六十匁》
  《割書: わた 三州上銘|     三百三十両》  《割書: 麻もの昨年ゟ|   壱わり五分高》
  《割書: 生金巾 壱はん|      百十弐三匁》  《割書:甲州糸もの|  旧冬ゟ壱わり五分高》
          《割書:蚊帳昨年ゟ|   三わり高》
  右之通諸品殊之外高直なり
《割書:廿九 日|三十五度》  宵より雨ふる終日雨ふり
 此節並傘壱本六百五十文位
 加州へ参り降参候もの七百人余其内女壱人
 有之候よし井伊酒井え半分ツヽ右人数御預
 ケニ相成候よし

   三 月
《割書:朔  日|四十 度》  朝より薄くもり四ツ過よりてり立夜

    ニ入六ツ時雨ふり直止快晴
《割書:二  日|三十八度》  朝より快晴西風吹五ツ過よりくもり
《割書:ひかん桜|桃 花 口切》 さむし終日くもり空
《割書:三  日|三十八度》  霜ふる明方より五ツ時より根太雲出
    る五時より快晴寒
 茂木卯の内屋と申者はなしのよし此もの湊
 参り粕買入候積り之所干鰯七分岩キ三分位
 入三盃半位之升取ニ而目方十三貫弐百造り
 上りにて両ニ三分七厘ニ相談梅権ニ而買入
 候よし古今珍敷高直之事也右之者種粕此節
 買入候よし両ニ廿五貫目より廿弐貫目位之
 よし
 府中土浦辺此節木綿いと拾八〆文位いとわ
 た百文九匁と申事
 菜種両三斗弐三升何品ニよらす大高直之事
 也
《割書:四  日|四十 度》  朝より薄くもり四ツ過よりてり立さ
    むし
《割書:五  日|四十一度》  朝より薄くもりさむし折々薄照八ツ
    時ほろ〳〵雨ふる直止終日くもり空

    也
 今日三木源八湊|の(はたや)五郎鯉淵与十等弐十壱人
 上下市町引廻し上はりつけニ相成候下町ゟ
 長岡えの通り見物人大群集之よし《割書:九人はり|つけ残獄》
 《割書:門打首》
《割書:六  日|五十 度》  宵より雨ふる暖気四ツ過より北風吹
    雨風にて夜ニ入五ツ時ゟ雨止北風ハ
    明方迄つよし
《割書:七  日|五十一度》  朝よりくもり北風吹終日くもり空に
    て夕方より雨ふる夜中雨つよし
《割書:八  日|五十三度》  朝よりくもり終日くもり空にて持合
    夜中ハ晴
《割書:九  日|五十弐度》  朝より快晴さむし終日天気よし
《割書:十  日(三月節 )|五十 度》  朝さむし快晴
《割書:十一 日|桃花さかり 》 朝より快晴終日天気よし
十二日 朝より快晴暖気夕方より南風吹
《割書:十三 日|六十三度》  朝よりくもり暖気南風吹五ツ半時ゟ
    雨ニなる八ツ時止七ツ時より雨ふり
    出ス夕方より雨止
 今日安吉江戸ゟ帰ル

    三月七日江戸御用
  《割書:弐千五百石御加増 |都合七千石》     鈴木石見守
  《割書:弐千石御加増 |都合三千石》      市川三左衛門
  《割書:千弐百石御加増|都合弐千五百石》      朝比奈弥太郎
  《割書:千弐百石御加増|都合弐千石》      佐藤図書
  《割書:百  石 》       松葉伊衛門
  《割書:御 短 刀》       安藤秀太郎
  《割書:百石ツヽ御加増|三百石ツヽ》      川方竹之介
            渡辺伊衛門
            宮田金蔵
  《割書:同  断 》       大井幹三郎
            友部八太郎
            大岩伴二郎
            大畑理八郎
            生熊徳之介
  《割書:百弐拾石ツヽ 》      疋田伝八郎
            高根秀三郎
            佐々木雲八郎
            渡井鉄之介
            本郷金衛門

  《割書:百石ツヽ 》       加固祐介
            高倉平三郎
            内藤儀左衛門
  《割書:地方三十五石御加増|物成十五石御足目》     朝比奈新衛門
  《割書:都合弐百石》
  《割書:三十五石御加増|都合百三十五石》      鵜殿松之介
  《割書:五十石御加増|都合百四十石 》      佐藤万衛門
  《割書: |銀三枚ツヽ》       吉田七平
            松本金之介
  《割書:三十五石御加増|都合百八十五石》      小野瀬孫蔵
            小幡又蔵
  《割書:御 短 刀》       白須六郎衛門
            近藤鉄太郎
            高久万蔵
   《割書:丑 》三月八日

    《割書:御奏者番|寺社奉行 》兼帯   松平周防守
 昨年家来共野州え出張之節格別相働候義も
 有之候ニ付下野宇都宮え所替右 御直々被
 仰含候
            戸田土佐守

            《割書:名代》
 奥州棚倉え所替被 仰付候旨
            松平周防守
 先代周防守義諸勤向等厚相心懸候ニ付而ハ
 家来共も格別勉励相働其上常野浮浪追討義
 も骨折平常心懸宜敷と被 思召候ニ付其旨
 相心得猶精勤仕候様御沙汰ニ候
《割書:十四 日(桜口切 )|六十二度》  朝より快晴終日天気よし
 市川三左衛門様江戸表ゟ御下りニ相成候所
 途中又々江戸え御用有之御引返ニ相成候よ
 し
《割書:十五 日|四十八度》  朝薄むら雲さむし
 田沼玄蕃頭様当月初ニ上方ゟ御引替江戸へ
 御返りニ相成候よし
《割書:十六 日|五十 度》  朝より快晴
《割書:十七 日|五十 度》  明七ツ時ゟ雨ふり九ツ前ゟ晴
 日本橋近江屋三右衛門え上方ゟ参り候書面
 之写
  先日御届申上候越前国敦賀表囚人之賊徒
  去ル朔日ゟ追々御呼出有之候然ル所死罪

  之者有之候間斬人指出候様黒川近江守様
  滝沢喜三郎様ゟ斬人十二人差出賊徒之内
  別帋之通斬首仕度段主張家来之ものゟ申
  越此段御届申上候様掃部頭申為越候以上
            井伊掃部頭内
              山本運平
  二月十四日
   掃部頭ゟ指出候斬人斬首仕候賊徒
    《割書:弐千弐百石》       武田伊賀守
    《割書:三 百 石》       同 魁介
              山国浮一郎
              村部万次郎
              朝倉弾正
              高野長五郎
              米橋清之允
              田丸左兵衛
              伊藤健蔵
              岸 新蔵
              川上清太郎
              滝川平七郎

 右之条左之賊徒共酒井若狭守殿ゟ差出候斬
 首仕候趣ニ御座候
    《割書:八百石大御番頭》      武田彦左衛門
    《割書:五百石》        山国兵部
              長谷川道之介
              井田因幡
              川瀬高蔵
              園部新太郎
              米橋徳之介
              小野賦男
              山形半七
              小栗弥市
              竹中万次郎
              内藤昇一郎
 右之通ニ御座候以上

 去ル十一月廿八日頃東都ゟ浪士千三四百人
 其外乗馬并百姓馬〆テ百四五拾疋尚又大炮
 八挺其外鉄炮沢山ニ而中仙道美濃路迄参り
 候所大垣様并ニ彦根様ニ而御さゝへ被成候
 間夫ゟ谷汲海道えまわり越前大野と申越候
 處へ山越ニいたし北国海道を上京仕候處又

 々越前今庄宿辺迄彦根様始其外近国之大名
 追々出張被遊候間又々今庄宿ゟ西江州道へ
 差掛り候處京都詰の御大名追々御出張被遊
 候旨右浪士今庄宿迄打越二ツ家宿越木の目
 峠を越て新保宿迄参り候處右京都ゟ御出張
 御大名と行合ニ相成
          加州様之御家中
   壱番手       永原甚七郎様
             此勢千弐百人
          相州小田原様
   壱番手       永原甚七郎様
          松平出雲守様
   三番手   《割書: 京都御見廻り役| 御殿様御出張》
             同 千 人
          勢州桑名
             御家老
   四番手       同 千 人
          同  津
   五番手       御家老
             同 千 人

          一橋様
   六番手    御殿様御出張
             同 千 人
          水戸様
   七番手    御殿様御出張
             同 千 人
 右之外諸家御家中多分皆々大炮剣付鉄炮其
 外抜身之鑓鎧兜陣鐘陣太皷ニ而壱番手加州
 様はばら宿迄御出張被遊夫より順々ニ在々
 所々迄皆々御陣家と相成越前敦賀様ニハ若
 州様弐千人余日丸山之御陣屋酒井飛騨様其
 外諸家様御詰被遊夫ゟ疋田宿駄御宿山中海
 津宿々ハ一ツ橋様御陣所七日之間御逗留被
 遊今ニも合戦始り候半と人々驚キ候老人子
 供其外諸道具迄皆々片付心配仕候處浪士ゟ
 申立候様ハ何欤一ツ橋様へ願之筋有之打物
 ハ不及申ニ大筒鉄炮并ニ乗馬百姓馬之外金
 子弐万七千両指出加州様之陣所え御取扱之
 儀願出候様子ニ而事納り候趣依之万々加州
 様え御預ケト相成只今ニ而ハ浪士越前之敦

 賀ニ皆々逗留仕是も近々之内ニ加州様御引
 連レ被遊候而 御上京と申事ニ候
 且又右ニ申上候今庄宿ゟ北越前海道宿々後
 詰之御大名越州様初メ同州さばへ様丸岡様
 大野様勝山様加州様右後詰被遊猶又今庄宿
 ゟ東江州京道ニハ彦根様始メ戸田岩手宮川
 其外多分御さゝへ被遊候間誠ニ袋の中【見せ消ち「之」】へ鼠
 をおいこめしもおはし事ニ相成たとへ浪士
 何様之手立有之候共迚も〳〵相叶ひ不申且
 又浪士陣所と仕候新保宿と申候はわすか家
 数五六十軒左右とも高山ニ而誠ニ其外ハ雪
 弐三尺計ふり積り候間一寸も身をうこかす
 事難出来依之右様ニ早ク事之納ニ相成候や
 右何様之願筋有之哉此儀ハ下々ニ而ハ難計
 候得共先々人々安堵之思ひニ相成目出度御
 事ニ御座候
   諸士方大将ハ
     武田伊賀守功雲斎【耕雲斎】
   乍去此御方様ハ
     水戸様御家老ニ而脇本陣と申事ニ

     候
  右之外ニ
  御木像ニ而御大将有之趣是ハ水戸様御隠
  居殿様と申候御方ニ御座候由
  凡人数千三百人計も御座候由
 右之趣ニ御座候間十二月廿日西海道之せま
 き所へ諸家様御上下故十五歳已上ハ皆々継
 立人足其外色々様々之事ニ懸り少しも外事
 難出来依之十二月取引諸仏共当正月晦日ま
 て世間一流ニ差延し不都合之事ニ候へ共合
 戦ニ相成事ニた【本のまま】くらべ候へハ譬何程之難儀
 ニ而も丈ケ之者遣候御事ニ而大悦仕候右ニ
 付又々加州様も御上洛ニ御座候間いつれ此
 度ハ事之納とも相成候とも悦入申候
  実ニ諸家様とも御出立ハ見事なるきれい
  の事ニ候
  五色の羅紗ニ而思ひ〳〵ニ陣羽織其外上
  着之類金襴糸錦ふくりん等いろ〳〵に縫
  を入れて見事ニ御座候
 右申上候通浪士立こもり候陣所新保宿と申

 候處ハ北国海道ニ而一番之難儀なる所ニて
 是ハ浪花講道中記御覧被遊講へハよく〳〵
 地詰り相しれ申候加州様先陣ハはばらと申
 所にて此間半道【見せ消ち「も」】之所今一日加州様御延引被
 遊候得ハ右浪士衆敦賀表へ打越申候左候へ
 ハ場所も広ク相成便もよく相成候事故何程
 の大変ニおよび申候も難計候得共実ニあと
 へも先へも行事も難出来所々ニ而左右ゟと
 りかこみニ相成大悦仕候
 此節浪士駄荷馬今津宿え三拾疋海津宿え弐
 十疋加州様ゟ被下候是ハ二宿とも加州様領
 分ニ候間被下候よし

【図の右側、上より】
東江州   湖水   京道
京道         西
【図の上段、逆さ書き】
長浜宿
木の下宿
柳かせ宿
やはい宿
中川内宿
国境
【図の中央、横書き】
西東共木曽海道之通
北国筋ゟ此道中
左右大高山ニ而
道筋計
【図の下側】
海津宿
 一橋様陣所
山中
 国境
田口宿
疋田宿
都ノ口宿
見ほら宿
半リ
木のめ峠  加州陣所
      新保宿
      浪士陣所
【図の下側、横書き】
此辺在々宿々諸家様陣所

【図上側、逆さ書き】
坂取宿
今庄宿
越前国
【図下側】
二ツ家宿
北国陣所   御出張大名方
迄後詰    弐十頭此人数
       三万人余

《割書:十八 日(桜さかり)|五十 度》  朝六ツ半時ゟ雨ふりさむし九ツ半過
    ゟ雨止てり立艮風なり
《割書:十九 日|四十三度》  朝よりむら雲さむし夜ニ入くもり
 今日 御簾中様江戸表え 御発駕
《割書:廿  日|四十八度》  朝六ツ半時ゟ雨降八ツ過より雨止
 《割書:中妻辺大豆両ニ弐斗五六升|ミナトいわし粕 十四〆五百位ニ而》 《割書:種粕両ニ拾八〆目|白米百文ニ五合》 《割書:手拭壱本| 弐百文》
 《割書:両ニ四分売 》      《割書:籾壱分壱斗八九升》
《割書:廿一 日|五十 度》  朝よりくもりさむし夕方より小雨降
    夜四ツ時より南風吹出雨風つよし終
    夜明方止
《割書:廿二 日|五十八度》  朝より南風吹天気殊之外暖気夕方ゟ
    艮風ニなるさむし
《割書:廿三 日|四十七度》  快晴さむし四時より暖気終日天気よ
    し
《割書:廿四 日|五十二度》  朝より快晴夕方ゟくもり南もやう暖
    気なり
   三月廿二日御用

  《割書: |弐百石御加増 》      筧 介大夫
            鵜殿 平七
            中村紋四郎
  《割書: |御刀拝領   》      赤林三郎平
            小山小四郎
  《割書:御刀拝領|弐百石御加増 》      雑賀 孫市
  《割書:大寄合頭   》      伊藤 久内
  《割書: |弐百石御加増 》      松平源之丞
  《割書: |百石御加増  》      萩 庄左衛門
  《割書: |五拾石御加増 》      猪飼伝衛門
  《割書: |百石御加増  》      芦沢祐七郎
            富田 理介
  《割書: |御短刀拝領  》      若林角兵衛
            佐野孫兵衛
  《割書: |銀      》      小笠原又兵衛
  《割書: |五拾石御加増 》      加次 謙作
  《割書: |七拾石御加増 》      萩 昇之介
            松田半左衛門
  《割書: |御短刀    》      麻田源五衛門
            藤田 繁蔵

  《割書: |七十五石御加増》      今村喜左衛門
  《割書: |御短刀    》      片山誠之介
  《割書: |家督     》      井上七之介
   三月廿三日
            吉村 主殿
  《割書: |五十石御加増 》      樫原留三郎
            沢田奉之介
  《割書: |百廿五石ニ御直》      野村喜左門
            加藤孫三郎
  《割書: |百石ニ御直》       小泉佐十郎
            五百城縫殿介
  《割書:地方三十五石物成|十五石都合五拾御増》     大嶺猶衛門
  《割書: |五十石御増  》      高田 彦介
  《割書: |百廿五石御直 》      磯野長兵衛
            近藤介太郎
  《割書: |五十石御増  》      弓削 左内
  《割書: |百廿五石ニ御直》      三谷政弥太
  《割書: |三十五石御増 》      海野 龍平
  《割書: |百石ニ御直》       谷田部八介
            川又扇四郎

  《割書: |同》         菊地善左門
  《割書: |百拾石》        岩淵 末吉
  《割書: |地方百石 》       小泉 清吉
            福田人太郎
            安生鉄十郎
  《割書: |百弐拾五石》       菊地順太郎
            鈴木欣一郎
            岡野庄七郎
  《割書: |百石ニ御直》       井上長左衛門
  《割書: |三十五石御増 》      三宅十左衛門
            塙 左五郎
  《割書: |御本蔵番 》       西野 庄蔵
            吉村捨次郎
            平山又十郎
            戸崎留五郎
《割書:廿五 日|五十六度》  朝より薄くもり南風つよし八ツ時位
    より雨降風雨とも夜中迄つよし夜五
    ツ過雨風共止
 今日七軒町札場へ武田伊賀山国兵部田丸稲
 之衛門藤田小四郎四人之首さらしニなる明

 廿六日泉町札場ニ同断之よし武田妻并男子
 不残牢屋敷ニおゐて打首吉田えさらしニな
 る武田彦衛門妻ハ藤田虎之介姉之よし是ハ
 永牢男子ハ不残打首ニ而さらしニなる
《割書:廿六 日|五十 度》  朝より快晴五ツ時ゟ風つよし北風つ
    よし八ツ時より風止
《割書:廿七 日|四十八度》  朝より快晴五半時より北風さむし四
    ツ時より風止終日快晴なり
 前首今日ハ吉田村へさらし明廿八日ハみな
 とへさらしニ相成候よし
《割書:廿八 日|四十八度》  朝より快晴四ツ過より南風つよし夕
    方よりくもり夜四ツ時より雨ふる
《割書:廿九 日|五十八度》  明方迄雨ふる六ツ時ゟ雨止
 当廿五日牢屋敷ニおゐて竹田伊賀妻打首ニ
 なる勿論其節ハ武田等之首を並へ置其前え
 引出首ヲ打候よし其節武田伊賀妾上金町小
 勝屋と申者娘参り居其子三才ニ相成候を首
 を切候所伊賀の首ゟ鼻血沢山ニ出候よしミ
 なとハ六軒屋と申原へさらし候よし

   四 月
《割書:朔  日|五十五度》  朝よりくもり終日くもり空にて持合
    居る
《割書:二  日|五十三度》  朝より快晴終日天気よし
《割書:三  日|五十二度》  朝薄くもり四ツ時よりてり立夕方く
    もり夜中むら雲
《割書:四  日|五十 度》  朝よりくもり北風さむし四ツ時より
    雨ふり出ス八ツ過雨止
《割書:五  日|四十九度》  朝より快晴さむし夜ニ入くもる九ツ
    過より雨ふる
《割書:六  日|四十九度》  明方雨止北風さむし終日薄てり七ツ
    時雷少しなる
《割書:七  日|四十九度》  朝より快晴さむし夕方よりくもり
 《割書:きりう辺 玄米両弐斗八升|さの辺  玄米三斗一弐升》  
《割書:八  日|四十九度》  朝よりきり雨ふる終日くもり空にて
    夜五ツ過より雨ふる
《割書:九  日|五十八度》  朝よりきり雨ふる折々薄てり折々き
    り雨ふる夜中も同断
 《割書:此小銭更ニ無之釣銭ニさし支申候》  
《割書:十  日|五十三度》  朝よりくもり八ツ時位北の方より俄

    ニ雷鳴氷ふる半時計ゟ止晴又々七ツ
    時少々雷雨直ニやむ
《割書:十一 日|四十五度》  朝より快晴  
《割書: 日光山雪ふる》  
《割書:十二 日|四十四度》  朝より快晴
《割書:十三 日|五十三度》  朝より薄くもり終日持合
《割書:十四 日|五十三度》  朝よりくもり四ツ時よりてり立軽暑
    位なり
《割書:十五 日|五十八度》  朝より快晴軽暑なり
 当年ハ御祭礼も御指控中ニ付御延引ニ相成候
《割書:十六 日|五十六度》  朝より薄くもり北風ふく
 長州表此節又々再発いたし候由
 正月二日ゟ合戦有之候よし
《割書:十七 日|五十三度》  朝より薄くもり北風吹四ツ時より照
    立
《割書:十八 日|五十三度》  朝より薄くもり終日南風吹夜五時雨
    少しふる夜中迄風つよし
 御簾中様其後
 御男子御出生不被為在候所
 鉄之丞様御儀追々御頃立被成候ニ付此度

 御簾中様御養ニ被遊
 御嫡子ニ御立被遊度
 公辺え御内意被仰達候此段奉承知支配【見せ消ち「之分」】々々
 えも可相達事
 先月廿五日暮六ツ時ゟ京都市中出火十町四
 方ほと焼候よし
 尾州様京都先月廿六日御出立ニ而御帰国ニ
 相成よし左候へハ長州も沙汰之様ニハ有之
 候間敷との事ニ御座候
十九日 朝よりくもり南風吹八ツ時より風止
    又々暮六ツ時ゟ北風吹出夜中風つよ
    し
 《割書:府中 玄米三斗|水戸 同 三斗七八升》
 《割書:籾  壱斗八升| 百文ニ四合五勺》
《割書:二十 日|五十 度》  朝より薄くもりさむし四ツ過ゟてり
    立
《割書:廿一 日|五十五度》  朝より薄くもり終日くもり空にて暮
    六時ゟ雨ふり終夜小雨ふる
 当十五日
 鉄之丞様御事

 御嫡子ニ被仰出
 鶴千代様と
 中納言様ゟ御名被進候ニ付
 鶴千代様と可奉称旨被仰出事
 此度年号慶応と改元被 仰出候旨今日御触
 有之候事
《割書:廿二 日|五十 度》  朝きり雨ふるさむし四ツ時より雨止
 将軍様俄ニ上方え
 御進発之御沙汰有之
《割書:廿三 日|五十五度》  朝よりくもり四ツ半時より雨ふる夜
    中迄雨ふる
《割書:廿四 日|六十 度》  朝より快晴終日天気夜ニ入くもる
《割書:廿五 日|六十 度》  朝より薄くもり四ツ時よりてり立夕
    方北之方ニ雷声夜五ツ北風吹四ツ時
    止
《割書:廿六 日|五十四度》  朝よりくもり終日薄曇空にて持合
《割書:廿七 日|五十 度》  朝より快晴
《割書:廿八 日|五十三度》  朝より雨南風終日雨風なり七ツ時よ
    り雨止
《割書:廿九 日|六十 度》  朝より快晴軽暑なり
 

  今日
   木村伝六   《割書:百廿石|御同朋列屋敷拝領》  
   笹嶋清兵衛  《割書: |同 断 百  石》
   吉久保清三郎 《割書: |同 断 百廿五石》
    右三人とも居屋敷被下
《割書:晦  日|六十 度》  朝薄くもり

   端 午
朔 日 朝より薄くもり北風にて冷気終日く
    もり空ニ而持合
二 日 朝より薄くもり
《割書:三  日|六十 度》  朝よりくもり四ツ時より晴
《割書:四  日|六十二度》  朝くもり四ツ時ゟ快晴
 夜九ツ時位袋田村ゟ参り候【見せ消ち「間」】見せ之子供走馬
 下疳と申口中之病気ニ而相果右之者兄并叔
 父多三郎と申もの昨日参居候ニ付四日明方
 籠ニ而送り遣申候 
《割書:五  日|六十二度》  朝より快晴終日上天気なり
《割書:六  日|六十二度》  朝より快晴軽暑なり
《割書:七  日|六十二度》  朝より快晴終日暑気なり

《割書:八  日|六十五度》  朝より南風ふくむら雲あつし夕方風
    止夜九ツ過ゟ大雨ふる
《割書:九  日|六十八度》  宵より雨ふる明方やむあつし折々き
《割書:真壁此節|玄米三斗弐升》 きり雨ふる夜四ツ時より又々雨ふる
《割書:種 五斗》
《割書:十  日|六十五度》  宵より雨ふる終日大雨夜中迄雨つよ
    し
《割書:十一 日|六十五度》  明より曇り終日くもり空にて持合
《割書:十二 日|六十五度》  明方小雨直ニやむ北風冷気
 《割書:龍ヶ崎 玄米弐斗八升 白米百文ニ三合七勺|麦百文ニ八合五勺ゟ九合 府中も玄米弐斗八升ゟ三斗壱弐升》
 《割書:此節白米之直段見合ニ而ハ麦直段格別ニ安ク候へとも在々銭まわり|宜候や麦米之買人更ニ無之候よし》
《割書:十三 日|六十二度》  朝より快晴四ツ過よりむら雲八ツ時
《割書:此辺百文ニ |白米四合五勺》 少々雷気ニ而ちら〳〵雨ふる直やむ
《割書:五月節今暁七ツ時ニ入  》夕方よりよくはれ
《割書:十四 日|六十一度》  朝より快晴
 将軍様長州御征伐として来ル十六日
 御進発被為遊候由ニ而於駒場御調練有之候
 間拝見ニ罷出候所凡十万程之御同勢之由前
 代未聞之御儀言語筆紙ニ尽しかたく候
 御進発ニ付市中御用金被 仰出候段中々広大
 之様子ニ承知仕候尤も十ケ年ニ御返済之よ

 し
  《割書:江戸|古領米 弐斗八升 》  《割書: |町 米 弐斗九升》
  《割書:糯 米 三斗三升 |大 豆 三斗四升》  《割書:小 麦 六十七五升|菜 種 四斗四升》
  《割書:小 豆 三斗五六升|大 麦 石 五斗》  《割書:仙 台|   弐斗八升》
  《割書:地水油 四十七両三分|胡 麻 五十七両弐分 》 《割書:白 油 四十六両三分|荏 油 六十四両三分》
  《割書:種 粕 四枚弐分|大坂  五十両壱分》  《割書:銭六〆八百文》
《割書:十五 日|六十五度》  朝よりきり雨六時より薄くもり四五
    時よりてり立夜中も殊之外月さゆる
《割書:十六 日|六十六度》  朝より快晴暑気つよし八ツ半時より
    俄ニ北之方ゟ雷もやう七ツ時雨止
  《割書:八日市場 玄米両弐斗五升 白米百文三合壱リ|此節鰯漁事更ニ無之事》
《割書:十七 日|六十五度》  朝より快晴北もやうニ而冷気暮六ツ
    時ゟ雷雨五ツ時止雨は明方迄ふる
《割書:十八 日(入 梅 )|六十五度》  朝より快晴ひやつく九ツ半時ゟ俄ニ
《割書:上州玄米両ニ| 桐生弐斗八升 》くもり西之方より雷声雨つよし半時
《割書: 左野三斗一弐升| 会津六斗四升 》余ニして止七ツ時過より晴夜中ハ殊
《割書: 米沢四斗四五升》之外はれ
 浜々いわし漁事更ニ無之磯の浜ニ而少し此
 間漁事有之所両ニ七分位ニ而直ニ品切ニ相
 成申候

紅花水花城下辺壱〆弐百文国井辺壱〆五百
 文
《割書:十九 日|六十二度》  朝より快晴ひや〳〵いたし終日快晴
    にて北風冷気
《割書:二十 日|六十五度》  明方地震ゆる四ツ時又々地震快晴暑
《割書: |紅花弐〆三四百文》気
 《割書:相馬辺 玄米 両五斗四五升|岩キ辺     四斗弐三升》
 《割書:湯縄子  白米 三斗弐三升|水戸穀町 籾壱分ニ壱斗七八升》
 《割書:  菜種 両ニ四斗弐三升|中川根辺 両ニ三斗八升》
廿一日 朝より快晴暑気つよし
  《割書:百石御加増都合弐百十五石|居屋敷被下御役服着用御免》    大高六右衛門
  《割書:百石被下居屋敷被下代々小十人列|是迄被下候御合力籾弐十七俵ハ上ル》   小泉久太郎
  《割書:代々御目明列物成百弐十石|居やしき被下》     木村伝兵衛
  《割書:代々御同朋列居屋敷被下 |百石被下》     二川久兵衛
  《割書:御目見格御【見せ消ち「金」】合力籾廿七俵》 岩淵清介
《割書:廿二 日|六十五度》  朝より快晴暑気
 御役所ゟ町触之写
 大高六右衛門物成百石御増都合弐百十五石
 居屋敷被下小泉久太郎代々小十人列物成百
 石居屋敷被下木村伝兵衛代々御同朋列物成

 百弐十石居屋敷被下二川久兵衛格式同断物
 成百石居屋敷被下岩淵清介御目見格御合力
 籾弐十七俵被下置候旨被仰出候
 右之通昨日被 仰出候間為心得相達候以上
   五月廿二日     安嶋宗之介
    六ケ町名主当
《割書:廿三 日|六十七度》  朝より快晴暑気つよし
 江戸ゟ書状
 当十六日五ツ時御供揃御進発被遊候日の丸
 御纏月の御馬印御持鑓其外ハ組々色分の御
 籏斗外ニ目立候御道具ハ無之よし御人数ハ
 夥敷二里くらひも続候由此度ハ往来横町迄
 も人止メ無之下座御制しも無之人々よくお
 かミ候由ニ御座候御先供ハ当月三日より追
 々御出立尤道中混雑とて隔日ニ御操出しニ
 相成候惣御勢十二万余と申事ニ御座候御供
 之供迄入候而ハ十五六万も可有之との事ニ
 御座候御発途後一同相慎今日より芝居見せ
 物よせ等常の通と被仰出候御留守中此前ニ
 ハ大ニゆるやかに御座候承り候へハ先途野

 州御出役之御方ニ夫々御感状御褒美出候よ
 し神保様三百石御加増格別之御感状有之候
 而陸軍奉行被仰付候よしニ御座候
《割書:廿四 日|六十九度》  朝よりくもりほろ〳〵雨ふる南もや
    う
《割書:廿五 日|六十五度》  朝よりくもり終日くもり空にて持合
    夜中雨ふる冷気
《割書:廿六 日|六十三度》  朝小雨ふる終日雨ふる夜中も雨ふる
《割書:廿七 日|六十 度》  朝より小雨五ツ時止冷気終日薄照に
    て持合冷気
《割書:廿八 日|六十七度》  朝より薄くもり四ツ時位より雨ふり
《割書:夏至 五月中》 終日雨つよし八ツ半時より止冷気
 将軍様御進発御道中筋夥敷江戸表ゟ京都迄
 道中御人数続キ御装束ハ白清好之御陣羽織
 裏表金の御笠え金の御紋前御近辺不残白の
 陣羽織御人数三十万人余とも五十万人余と
 も申候
 品川辺ニ而御供之御籏本之内ニ而酒の上と
 相見刀を抜候ニ付供之ものだき留しを切殺
 其外四五人え手を負せ候ニ付御籏本之内ニ

 而鑓ニ而右之者ヲ突殺候而相静り候よし酒
 乱の御籏本ハ直ニ御潰しニ相成又突伏候御
 籏本ハ出世いたし候よし
《割書:廿九 日|六十三度》  朝よりくもり冷気九ツ過より薄てり
    終日くもり空にて冷気夜ニ入五ツ時
    より雨ふる
 《割書:府中| 玄米 上弐斗三升》
 当年ハほとゝきすすくなし

  《割書:閏》五 月
《割書:甲 子 |朔  日》  朝よりきり雨ふる南風五ツ半時大雨
《割書:七十五度》  四ツ時止又々雨ふり出ス夕方迄南風
    つよし雨も夕方止
《割書:二  日|七十 度》  朝より薄くもり五時より薄てり四ツ
    時ほろ〳〵雨ふる夫よりはれ
 昨日桜井善太郎小十人列七十石居屋敷被下
 置辰巳屋惣衛門同日御目見格被 仰付御合
 力籾廿俵被下候
   善太郎ハ御城ニ而被 仰渡惣衛門ハ閏
   五月朔日於鉄炮町会所ニ

   左之通被 仰渡候事
             渡辺惣衛門
   御目見格御合力籾弐十俵被下候事
     又一通
             渡辺惣衛門
   右は平日は勿論麻上下熨斗目并繾上下
   着用之節たりとも一刀不苦候条其旨可
   被相心得事
     又一通
             渡辺惣衛門
   右ハ是迄名主列家格は分家取立之砌其
   侭譲相済候条其旨可被相心得事
《割書:三  日|六十八度》  宵より雨ふる五ツ半時止終日鬱陶敷
    空合なり
《割書:四  日|七十 度》  宵より北風にて雨つよし明方静ニな
    る五ツ時より雨止九ツ時ゟてり立夕
    方よりくもり暑気
 御町年寄共え
 御町年寄已上家格之者名主当役之節各ゟ諸
 文通何町名主と認御仕来以来相止惣而名前

 ニ而文通可被致候事
  但評定所等都而各出席申渡等之席たり共
   御町年寄已上家格之もの名主之筋ハ是
   又一席勿論可為事
《割書:五  日|七十 度》  朝むら雲四ツ時ゟてり立暑気つよし
    夜ニ入くもる
《割書:六  日|七十 度》  朝より快晴暑気つよし夜ニ入くもる
《割書:七  日|七十 度》  朝よりくもり九ツ半時雨ふり南もや
《割書: |穀町ゟ 》  うにてすこし風吹七ツ時より南風つ
《割書:百文ニ白米|四合之願出ル》 よし夜五ツ時ゟ雨風つよし明方雨止
《割書:八  日|七十八度》  朝より南風吹大むら雲八ツ過止てり
    立夕方大くもり又々晴夜中くもり
《割書:九  日|七十五度》  朝六ツ半時雨ふる四ツ時より雨止
 今日越前敦賀え降参人請取ニ水戸ゟ御目付
 方御町方御郡方ゟ御人数御遣シ
  江戸粕屋孫左衛門ゟ来状之由閏五月六日
  夕着
  追啓申上候五月十日夜長州勢数船打来俄
  ニ小倉え渡り小笠原居城へ夜討ニ攻入大
  合戦有之小倉勢既ニ危落城ニも相成可申

  所十一日巳之刻頃飯塚内野辺ニ屯被致候
  細川様御人数多勢ニ而小倉え渡詰ニ参り
  長州勢え責懸り合戦ニ相成長州大破軍ニ
  相成跡追駈附入細川勢ニ而下の関を乗取
  細川様御人数竹崎井坂辺迄一圓肥後勢充
  満いたし其後少しツヽ取合有之右ニ付薩
  州黒田鍋嶋御人数も繰込ニ相成殊之外騒
  々敷当地も追々騒立可申安心不相成此上
  如何相成候事之心配仕候乍末此段申上候
 右鶴嶋高田屋介八ゟ五月十八日出書状之写
 右鶴嶋と申所ハ小倉ゟ四里程先きニ御座候
 事
  上州辺 玄米弐斗五升 白米百文三合三四勺
      《割書:大豆 三斗五升|笠間辺も 百文ニ付三合三四勺之由》
  岩城辺 玄米四斗五升
  上州辺 絹いとなまいとニ而五十【見せ消ち「両」】匁位
      《割書:下たて 白木綿 両壱反九分|真かべ  同  弐反壱弐分》

   閏五月九日当朝御用
             秋山長太郎

    《割書: |御用長屋え被遣悴四人ふち 》 佐野順二郎
    《割書: |同  断 忰 五人ふち》  小沢 寅吉
    《割書: |蟄居 四人ふち》    林 源大夫
    《割書: |閉  門 》     岡本源左衛門
    《割書: |役禄被召上七人ふち遠島》  河村松太郎
            乙部金次郎
 《割書:府中辺より百文銭買人参り所々買立候よし|何之わけかわからす》
《割書:十  日|七十 度》  朝よりくもり四ツ過より薄てり終日
    持合
《割書:十一 日|七十一度》  朝より快晴終日快晴
《割書:冷 気|十二 日》  朝より快晴北風冷気終日天気ニ而北
《割書:六十八度》  風ふく袷着用
 《割書:今日ハ久しふりニ而鰹沢山ニ参ル》 
《割書:冷 気|十三 日》  朝より快晴冷気終日快晴北もやう冷
《割書:六十九度》  気なり
《割書:艮風冷気|十四 日》  朝より快晴北もやうニ而冷気
《割書:六十八度》 
 今日江戸ゟ奥州え参り候飛脚より承り候よ
 し江戸両替屋ニ而引替之よし
   古四文銭 壱枚ニ付 十弐文

   文久四文銭 壱枚ニ付 八 文
   文   銭 壱枚ニ付 六 文
   同   銭 壱枚ニ付 四 文
  当十一日御触出候よし
《割書:艮風冷気|十五 日》  朝より薄くもり五ツ時きり雨ふる四
《割書:六十八度》  ツ時止八ツ時ゟ雨ふる
 《割書:六月の節ニ成ル》
 此節横浜ハ異船不残出帆いたし三艘程残り
 居候よしニ而交易もいたし不申候ニ付絹糸
 下落両八十匁位茶も殊之外下落之よし
 四文銭類当所も買立候もの有之候様子四文
 銭四百文を七百五十文位ニ而買立候よしさ
 すれハ四五日已前府中辺より参り百銭ヲ買
 立候ハ全ク右之間違と相見申候
《割書:艮風冷気|十六 日》  朝より薄くもり五ツ時きり雨日之内
    止夕方より又々雨ふり冷気
《割書:十七 日|七十 度》  宵より雨ふる五ツ時地震丑寅風ニ而
    冷気終日雨ふり七ツ時より少し雷声
    大風夜中迄大雨東の方ニ雷声
 江戸十二月出候状

 一当地此度莫大之御用金被仰付難渋之者へ
  歎願仕居町々之内今ニ御請不申上者も有
  之候尤当節百両以下之分ハ御間ニ合ニ相
  成少々ハ人気も相やわらき申候

  近年海岸防禦之御手当筋并ニ
  御本丸西丸共度々御普請其上去々亥年以
  来両度之
  御上洛其外拳ヤ
  難【見せ消ち「筭」。右側書き入れ「華カ」】御用途相続候折柄猶又今般
  御進発ニ付而ハ莫大之御入用高ニ付御融
  通之為江坂并御料所百姓町人之打身柄相
  応之者且諸寺院等ニ至迄御用金被 仰付
  候旨被 仰出候其方共内々ニハ御城下安
  住家業永続致候御国【一字抹消】恩之程ヲ相弁先年ゟ
  御用金指出又ハ上納金等相願候ものも有
  之候へ共此度之儀ハ是迄とハ訳違以来実
  ニ不容易御入用ニ付其身ハ家業之余|訳(沢カ)を
  以安楽ニ暮し居候とて右様之御時節柄敢
  之御奉【見せ消し「行」】公筋をも不相勤いたつらニ打過候

 ハ無勿体義ニ有之其方とも義身上向手厚
 之趣ハ常々相聞居候ニ付冥利之程とも相
 弁何様ニも操合致際立出精可致候其品々
 寄候而ハ出格之御賞誉も可有之候尤も金
 高并ニ納方之儀ハ町年寄共ゟ可申渡候
  但此度被 仰付候御用金之儀ハ来寅年
   十ケ年割合御下ケ戻ニ相成候間其旨
   可存
  丑五月六日之御触

 近来諸国共銭払底指支候由右ハ銅直段高
 直ニ相成銅銭との釣合不宜様ニ相聞候間
 真鍮銭文久銭銅小銭とも夫々天然之相場
 被任せ壱枚ニ付相庭歩増通用可致候百文
 銭銕銭之儀ハ是迄之御趣意候条其旨可相
 心得万一両替屋共等利徳之為不都合之取
 引致候ニおゐてハ可為曲事候組小銭之内
 耳白銭ハ引替可相成間両替屋共方え可差
 出代金之儀ハ相当之相場を以可相渡間不

 貯置差出可申候右之通御料ハ御代官私領
 領主地頭ゟ不洩様早々可相触
  丑閏五月六日
              町 年 寄
 一|真鍮銭(古四文銭)壱枚ニ付【見せ消ち「部」】歩増十弐文
 一文久銭同     八文
 一銅小銭壱文ニ付  四文
    耳白文銭ハ壱文ニ付六文通用
 今日金弐朱ニ付
  四文銭小銭  八百三十八文
  百文銭    八百四十弐文
 右之通相場ニ而ハ誠ニ勘定面倒ニ而商致
 悪事ニ御座候
  閏五月十二日     【記号あり】

    覚
 今般御触有之候真鍮銭文久銭銅銭歩増
 一真鍮銭 《割書:壱枚ニ付 |歩増共》  拾弐文
 一文久銭 同    八 文
 一銅小銭 同    四 文

   但小銭之内耳白銭ハ引替ニ相成へく
    代り壱枚ニ付六文
 右之通御聞置相成候間両替屋共銘々見せ
 先え張りし置可申候
    申 渡      両替屋共
 銅小銭之内耳白銭は引替ニ相成両替屋共え
 差出候代り之義ハ一枚ニ付歩増とも六文
 之割合を以引替本町金座役所え差出右割
 合を以代り銭可請取
 右之通相心得可取扱旨従町御奉行所被
 仰渡候此旨申渡
  丑【見せ消ち「五」】閏月十一日
             両替屋共
 一銭相場之儀ハ是迄之通百文銭両様尤大小
  銭ハ一体ニて右内評相場生し候義ハ難相
  成金百文銭と大小銭と二行之相場ヲ以売
  買可致候
   但相場ハ天然ニ候へ共百文銭と大小銭
    と之相場高下相成へくたけ過分無之
    様可心懸候

 右之通御沙汰ヲ以申候
  丑閏月十一日
           舘 役 所

 丑五月廿六日室町え封書張置候文言

【封書の表書き】
「       有志之  町奉行組
  町役人え   隠士   中村治郎八
            」 中田郷右衛門
              佐久間弥太吉
 右は此度市中町人共え被 仰付候御用金取
 扱罷在今月初旬ゟ根岸肥前守番所ニ而調中
 ニ有之所有徳之者は格別小前之商人共迄悉
 ク呼出し御用金申付候御時節柄相弁へ銘々
 手ニ可及丈ケハ金高申置候を三人之者町人
 共身分之厚薄盛衰をも勘弁不致申立候金高
 倍増或ハ十倍増も相懸ケ分限不相応之金高
 取留さる見込を付何れニも右見込之通金高
 相増可申旨厳談ニおよひ指出候請書差戻し
 候ニ付中ニハ最初金高申渡通相弁へ候者も

 有之所右体再金高過分ニ相増沙汰致候故
 公辺之御所置有間敷事と疑惑を生し何れも
 不伏ニハ候へ共俗ニ言上ト下と之義是非な
 き事と銘々血之涙を流し実ニ金子才覚可致
 手立無之者ニ而無據申付通り金高相増候へ
 ハ其図ニ乗猶其上へも法外至極之増金無体
 ニ申付再三度も請書押戻し悉ク相悩ませ候
 得共町人之身分可致様なく歯|齩(マヽ)をなし手を
 束ね只々悲歎猶予罷在候へ共御主意を弁へ
 さると呼出し夜分深更迄差置其上白洲ニお
 ゐて申付候金高即答ニ請致兼候ハヽ番所え
 留置居宅封印家財諸道具悉ク欠所ニ致候抔
 申誡し候ニ付驚入無據受致候由嗚呼何事そ
 実に刃を以金銀を貪取る強賊ニ異ならす素
 より右様之御主意ニハ有之間敷所三人之与
 力共 上え御奉公振り私欲奸曲を以金高ヲ
 登せ其身之功ニ致内実多分之賂賄ヲ可貪奸
 計既ニ大金掴ミ 金高差略致遣候分も有之趣
 慥ニ相聞候是等之義両奉行も不知哉亦ハ右
 与力共含合為取計候事哉何れニもせよ

 上ニ御仁徳を失ひ候始末切角御国恩を相弁
 へ候町人共も不仁奸邪之役人共之為ニ上を
 御恨申上候人心ニ相成如何ニも不忠不義之
 人非人鳥獣さも異ならす民を憐撫育するハ
 和漢共国家ヲ治る第一共聖人之申置しを斯
 の如ク天下の人民を苦しめ更ニ仁慈もなき
 非道非義の振舞当節市中動揺一ト方ならす
 金銀之融通ハ止り此侭ニハ国乱之基ひ共可
 相成と某深心痛致候御時節柄不容易儀故拙
 き我等 御政道筋へ可携身分ニハ無之候へ
 共天下之御為諸人之難儀見るニ不忍不得止
 事此及風訴御誠忠之役人ならハ篤と思慮し
 て非道非義邪曲之役人共を誅罪し此度之御
 主意違わさる様早々可【見せ消ち「致」】改片時も捨置時ハ禍
 ひ必す目前ニ来るへし若此事用さるニおゐ
 てハ我等も諸人え見せしめの為有志之輩相
 集先ツ三人之与力共を手初ニ誅戮し其上ニ
 而改さる時ハ上坂之上可達 上聞候
   丑五月         《割書:天下為|有志之隠士》

 此書御政事向ニ携候諸役人目付役を始悉ク
 及風訴間町役人より其筋え早々可訴

 右之書日本橋辺ニ有之候ニ付其町より月番
 之奉行所え訴
《割書:船とめ|中川壱丈余水増 冷気》
《割書:十八 日|七十 度》  明方迄雨ふる七ツ時ゟむら雲終日持
    合七ツ時ちら〳〵雨直止
《割書:中川追々水増|飯富国井辺 》 畑まて上り麦小麦刈置候分なかさ
れ根本通り圷渡り辺大水ニ而滝坂下迄水つき
常わかし風呂下辺迄水つき今日夕方すこし引
川とめ下町辺赤沼辺石垣辺一面ニ水押丙ノ午
年ゟ三尺位不足之大水
《割書:十九 日(冷気丑寅風)|七十 度》  朝よりくもり冷気八ツ時位より雨ふ
    り七ツ半過小降ニなる夜ニ入雨明方
《割書:穀町|籾壱斗五六升》 迄雨降
《割書:廿  日(冷気丑寅風)|六十五度》  明方迄六ツ時位より雨止冷気四ツ時
《割書:袷重着 》  雨ふり九ツ時止殊之外冷気夜ニ入雨
    ふる
 府中 玄米弐斗四五升

 小麦 古 五斗五六升
 大豆 古 三斗七八升
 《割書:水戸城下|    新小麦 八斗七八升》
 《割書:飯富国井田谷田野辺水押ニ而田畑とも半け位|ニも参り可申ヤミ事》
《割書:廿一 日|六十五度》  明七ツ時大雨明六ツ時止冷気丑寅風
    終日くもり空ニ而持殊之外冷気也
《割書:廿二 日|六十五度》  朝よりくもり冷気久しふりニ而昼後
    よりてり立
 仙波辺先年より見合も無之大水新道を弐尺
 余もあげ弘【好】文亭下タ通見川通り之路まて水
 あげやう〳〵昨日より仙波新道通行出来候
 様相成候よし
《割書:廿三 日|七十 度》  朝くもり六ツ半時きり雨ふる直ニや
    む辰巳之風ニなる七ツ時ゟ又々雨ふ
    る冷気ニなる
《割書:廿四 日|七十弐度》  朝よりきり雨ふる丑寅風にて持合冷
    気夜四ツ時【見せ消ち「分」】ゟ雨ふり
《割書:廿五 日|六十八度》  朝より雨丑寅風冷気九ツ過てり立八
    ツ時ゟ雨ふり出ス夜中も雨ふり
 江戸表ゟ申参候よし

 一当地別段珍事も無之候へとも 御進発之
  後市中之子供遊ひニ所々寄候而ハ十人弐
  十人或ハ三五十人も打寄候而調練之真似
  いたし候最初は紙ニ而陣羽織なとこしら
  へ着用之所追々増長いたし金巾五郎なと
  も出来殊之外見事ニ相成赤坂辺なとの子
  供ハ殊ニ調練好者ニいたし紀州様御庭内
  ニ而御上覧ニも相成候よし其外芝辺多【見せ消ち「義」】幾
  組も出来候よし随分見ものニ御座候處あ
  まり大仰ニ相成候故御沙汰之なき内と名
  主ゟ差留ニ相成候よし扨右流行ニ付両国
  辺之者と申事酒呑之連中七八人集り料理
  茶屋之二階ニ而芸者ニ西洋流調練之太皷
  之様ニ三味線ヲひかせ男芸者ヲ二人馬ニ
  いたし熊谷次郎なとの身振ニ而異形之遊
  興いたし候所見物人之評判よろしく夫よ
  り舟ニ乗向島之土手へ上り桜もちの幟り
  はたを押立木母寺之茶屋ニ泊り両三日
  右様之遊ひいたしとふ〳〵御召捕ニ相成
  候由此節御吟味中ニ御座候芸者共十四五

  人計ニ御座候其中ニ御家人一人交り候よ
  し是は相済申ましくとの噂ニ御座候右様
  之馬鹿もの御座候間御一笑可被下候
 右之通江戸表ゟ申参り候よしいつかたもお
 なし事と相見水戸も昨年中ハ子供共大勢集
 り日々いくさ事ニ而追々増長いたし後ニハ
 石の打合ほんとうニ二タわかれ三わかれニ
 相成日々喧嘩大騒ニ相成候ニ付怪我等無之
 内と度々町役人ともさし押候へとも用ひ不
 申其内御役所ゟ厳重御達ニ相成相止申候時
 世とハ申なから誠ニうつり気之事ニ御座候
《割書:廿六 日|七十 度》  宵より雨ふり時々止八ツ【見せ消ち「時」】過より大雨
    夕方止
《割書:廿七 日(艮風初伏)|七十 度》  朝よりくもり終日くもり空ニ而持合
《割書:とやう夕七ツ時壱分ニ入 》冷気なり
《割書:廿八 日|七十 度》  朝よりくもり艮風冷気なり終日艮風
    吹殊之外冷気くもり空なり夜五半時
    より雨ふり
 不気候ニ付追々籾引上ケ此節在方よりも売
 【見せ消ち「籾」】穀更ニ出不申候金壱分籾壱斗五升

 当廿四日古四文銭耳白銭等江戸同様通用い
 たし候様御触出ル
  古四文銭壱枚ニ付 十弐文
  文久同 壱枚ニ付 八 文
  文銭  壱枚ニ付 六 文
  銅銭  壱枚ニ付 四 文
《割書:廿九 日(艮風冷気)|六十五度》  宵より雨降冷気終日大雨降七ツ半過
    より南もやうニなる夜中雨止
 《割書:土浦辺百文ニ付弐合八勺之よし》
 此間中銭買立候もの追々召捕ニ相成入牢い
 たし候よし下町いせや平衛と申もの入牢い
 たし候よし
 先年いせや甚助并馬口労町いせや儀三郎と
 申もの小銭買入他所いたし候所御見咎ニ相
 成其侭御沙汰も無之居候所今日右銭ハ御引
 上ニ相成当人儀ハ格別之御仁恵を以御呵ニ
 相成候よし
  いせや甚助へ御達ニ相成候所当人ハ更ニ
  存不申候よし名前違と相見へ申候
《割書:晦  日|七十四度》  明方むら雲五ツ半時ゟてり立むしあ

    つし終日快晴久しふりニ而晴候
   廿八日江戸相場
  《割書:地水油 五十九両  |上白油 五十八両》  《割書:古領米 弐斗壱升|町 米 弐斗壱弐升》
  《割書:胡麻油 六十五両弐分|荏 油七十四両》  《割書:糯 米 三斗|大 豆 三斗三升》
  《割書:種 粕 四枚弐三分 |ヱ 粕 五枚五分》  《割書:同小玉 三斗|小 豆 弐斗八九升》
  《割書:銭   六〆八百文 |大 坂》  《割書:大 麦 八斗|小 麦 四斗七升》
  《割書:水 油 六十壱両  》  《割書:菜 種 三斗|仙台廻米蔵出》
           《割書:四八五入弐斗弐升》
 江戸ハ此間不気候之節三日程之間百文ニ付
 壱合五勺迄ニ成候よし此節弐合八勺売土浦
 辺三合水戸四合
 土浦辺玄米弐斗ゟ弐斗弐三升
    麦米三斗四五升
 塩壱升百廿四文
 油壱両ニ七升

  六 月
《割書:朔  日|七十三度》  朝より薄くもりひや〳〵終日曇空に
    てあつし
  《割書:玄米 弐斗八升|百文ニ白米四合》  《割書:籾 壱分ニ壱斗三四升|麦米両四斗弐三升》

  《割書:小麦 六斗五六升》  《割書:松岡籾拾両拾三俵|   旧冬ハ廿壱俵》
  《割書:御扶持壱俵代金三分壱朱|  イソミナトニ而三分弐朱ツヽ》
《割書:二  日|七十四度》  宵より雨ふりむしあつし四ツ時位ゟ
    雨止終日くもり空ニ而夜中も大くも
    りちら〳〵雨ふる
《割書:三  日|六十八度》  朝もやふる五ツ時ゟむら雲あつし五
《割書:昼過八十八度》 ツ半過地震照立終日暑気なり夕方よ
    り曇夕立もやうニ而又々艮風ニ
    なる
《割書:四  日|六十八度》  朝くもり五ツ時ゟ薄てり四ツ時位よ
    りてり立暑気ニ相成申候夕方又々く
    もり
《割書:五  日|七十四度》  朝より快晴村雲夕方より北の方夕立
    もやう雷声冷気になる夕方雨ふる夜
    中北風吹
《割書:六  日|七十 度》  朝より大くもり冷気艮風冷気五半時
《割書:穀町百文ニ付|白米四合》 小雨ふる終日冷気夜中晴
 森金辺 白米壱分ニ五升
 平潟辺 同    四升
 府中辺 玄米両ニ弐斗壱升

 土浦辺 同
     小 麦 四斗壱弐升
     麦   四斗弐三升
     なたね 三斗壱弐升
 此節いそ浜辺売穀更ニ無之御役所え相願弐
 千程下町川岸辺ニ而買入候よし
 松岡籾十両ニ拾弐俵弐分給人籾十壱俵之直
 段ニ而出来候所此節之不気候ニ而右品相渡
 り不申しかし御郡方立入候儀ニ付八百俵ハ
 相渡り可申とのさたニ候
《割書:七  日(中 伏 )|七十三度》  朝もやむら雲涼し四ツ時よりてり終
《割書:江戸白米|百文二合七勺》 日むら雲夜ニ入くもる夜八ツ過ゟ雨
    ふる
《割書:八  日|七十 度》  宵より雨ふる五ツ半時止四ツ時地震
    又々直ニふり出し雨つよし八ツ時位
    よりてり立夜ニ入くもる
《割書:九  日|七十 度》  朝よりむら雲四ツ時てり立暑気也夕
《割書:笠間白米|百文三合五勺》 方くもり夜ニ入雨ふり
《割書:十  日|七十三度》  朝迄雨ふり五ツ時より止終日くもり
《割書:いそミナト平いそ|ミナト》朝四時地震丑寅風ニ而冷気

《割書:鰹漁事沢山ニ有之候》
《割書:十一 日|七十三度》  朝よりむら雲艮風冷気九ツ時ゟてり
《割書:八十二度》  立夜中も殊之外久しふりニ而月夜ニ
    なる
 此節売穀更ニ無之いそミ なと城下とも都而
 大難渋之事ニ候
《割書:十二 日|七十 度》  朝至極快晴四ツ時よりくもり九ツ過
    よりてり立少し暑気
 《割書:浦賀船入津ニ而ミナトニ而才田塩両三俵六七分| 久壱束平均六十目》
《割書:十三 日|七十 度》  朝より快晴終日快晴暑気なり
《割書:八十三度》
《割書:十四 日|七十六度》  朝より快晴六ツ半時地震ゆる終日快
《割書:八ツ八十三度》 晴暑気夜ニ入くもり
《割書:十五 日|七十九度》  朝よりくもり暑五半時より雨ふり南
    風吹九ツ半過ゟ降止度々七ツ時より
    止夜ニ入八ツ時地震
 先月中ゟ六月十五六日方大風か大雷か有之
 と申さた有之いそミなと辺ゟハ女とも大勢
 ニ而雷神宮三夜等参詣人夥しく出候
《割書:十六 日|七十 度》  明七ツ前ゟ雨風強追々南大風にて雨

《割書:七月節 》  つよし朝五ツ時ニ雨風とも止夫ゟて
    り立むら雲暑気
 家根瓦飛候而小羽板其外六尺位之板鳥のこと
 く飛あら【見せ消ち「き」】れ候而おそろしき事かきりなく候
 諸々破損出来候
《割書:十七 日|七十八度》  朝よりむら雲五ツ半時よりあつし昼
《割書:末 伏 》  後より涼し夕方よりくもり
 頭粕両ニ十壱〆目位
《割書:十八 日|七十二度》  朝よりむら雲又々丑寅の風にて冷キニ
    なる終日曇空にて夜ニ入八ツ過より
《割書:種油両七升位|わた百文八匁》 雨ふり
《割書:十九 日|七十四度》  明七ツ時位迄雨ふる朝よりくもりむ
《割書:八十三度》  しあつし九ツ時よりてり立夜ニ入む
    ら雲
 将軍様御進発之節膳所御城へ御泊りニ相成
 可申筈之所俄ニ尾張へ御とまりニ相成候よ
 し
《割書:廿  日|七十五度》  朝もやふるむしあつし終日くもり折
    々てり立暑気
 此節給人籾壱俵金壱両壱分ニ而中々買取り

 手候先年凶荒之節ハ壱俵金壱両弐朱文極高
 【一字抹消】直ニ候所此節ハ夫よりも壱俵ニ而弐朱文高
 ク候へともかゆ其外麦飯なと給へ候もの無
 之鰹なと之様なる魚もやはり高直ニ而小前
 之ものも壱本六百七百位候へとも売候よし
 ニ候へハやはり穀物高直ニ而も銭まわり宜
 敷ものニ候やふしき之事ニ候なり
 先月中江戸表ニ而ハ百文ニ弐合弐勺迄ニ相
 成候所其節ハ余ほと身なけをいたし候もの
 有之又ハ出奔等子とも置しやり等追々有之
 候よし此節ハ仙台御払米出候而弐合七勺ニ
 相成候由仙台御やしき近辺ハ難儀之ものえ
 ハ壱人壱日百文ニ五合ツヽ之わりニ而安売
 ニ而御救ニ相成候よし
 先日江戸ニ而両国より身をなけ候もの有之
 候ニ付引とめ候而訴出候所当時右引とめ人
 ハ御あつけニ相成候よしニ付跡ハ如何御賞
 ニ相成候や此節預り人難儀いたし候ニ付何
 ほと身なけ有之候而も救候もの無之候よし
《割書:廿一 日|七十六度》  朝大くもり五ツ時ゟてり立暑気又々

    くもり九ツ時ゟ又々照立
 公辺より
 此方え御請ニ相成居候御人数十八日ゟ昨日
 迄ニ不残御引取ニ相成候
  《割書:穀町 籾壱分ニ壱斗壱升|なたね 両ニ三斗三升》
    覚
 一木綿類近頃高価ニ相成元方仕入金高相嵩
  問屋一統迷惑致候間地方在方共懸ケ方仕
  法相改以来左之通
 一木綿類惣体出荷後六十日目〆高三割ツヽ
  入金残金盆暮両季皆済之事
   但諸失脚買方掛り并駄賃金賃等立替不
    申且手合之品々帰りもの一切請取不
    申事
 右之通掛り方仕法相改候間御承知之上御取
 引可被下候以上
   《割書:丑》閏五月      両組
             木綿問屋中【印影の書写】

 江戸表諸品高直ニ而貸売致候而ハ引合不申

 候ニ付大伝馬并白子組等申合右之通取極メ
 候趣すり物ニ而所々【見せ消ち「配」】張り候事
    定
 一近来木綿類高価ニ相成候ニ付江戸表問屋
  両組一統相談之上当丑五月ゟ勘定向二季
  之外仕入致し度毎ニ入金致【見せ消ち「し」】候事ニ厳【見せ消ち「重」】敷取
  極ニ相成依而此度当地木綿仲間相談之上
  仕法相改売先御一統方へ別紙を以御断申
  上取極候事
 一右之別紙之通取極候上ハ万一入金勘定相
  滞候御方へハ【一字書き直し】跡代呂物不差出候義ハ勿論
  仲間一統取引致間敷事
   《割書:丑》六月       木綿問屋《割書: |行 司》
  此分見世へ張置申候
《割書:廿二 日|七十八度》  朝よりむら雲五ツ時地震ゆる暑気つ
《割書:九十 度》  よし九ツ時より雨ふり出しむしあつ
    し壱時計ニ而雨止夜ニ入雷もやうに
    て五時雨ふり
 《割書:此節穀町ニ而ハ更ニ三合売之願さし出候相談之よし》
《割書:廿三 日|七十九度》  朝より小雨ふりむしあつし四ツ時地

    震ゆる折々雨ふり夕方より止夜八ツ
    半時地震
 《割書:川尻辺玄米壱分ニ【一字抹消】弐斗六升ニ相成少々下落致候よし|此節ハ弐斗弐升 麦米三斗六七升》
《割書:廿四 日|七十五度》  朝薄くもりむしあつし九ツ半時ゟて
《割書:八十五度》  り立夕方くもる夜ニ入むら雲
《割書:廿五 日|八十 度》  朝もや五ツ時ゟてり立暑気強七ツ時
《割書:九十三度》  ゟ北の方雷声夜中ハ殊之外晴
 上金町壱丁目辺え泉町大黒屋儀助伯母五六
 日も三味線指南ニ参り居よし上金町町木戸
 え張帋いたされ候よし
           憂国生口演
 申まても無之候得共此比一町内え三絃師範
 等を相招き多人数鳥集淫声甚敷様相見候所
 各々方承知も可有之所君上御慎ハ勿論諸品
 高直下人追日難渋ニ及候ハ眼前之事ニ而加
 之近来稀成不時候饑年も難計砌諸人之憂處
 也一体淫声ハ人情之易迷處ニ候て匹夫共身
 分之職業を打捨妻子之養をも不心付夫のミ
 ならす淫風御国中ニ増長いたし候而ハ第一
 水府之御美政を相妨候故被為停止至前今日

 ニ至り相破候様ニ而ハ別而不相済可悪之至
 りニ付町内重役共厳刑ニ可處此度相見捨候
 間情々取締万一之節下人塗炭之苦ニ不及様
 可被致候此段打捨置候而ハ即時ニ町内年寄
 始役人ニ至る迄屹ト天誅ニ可行もの也
   六月        《割書:上金町中| 年寄始役人共え》
 所々はたこせん此節何方ニ而も壱泊五百文
 より五百五十文
《割書:廿六 日|七十五度》  朝もやふる五ツ時ゟくもり東風吹四
《割書:八十三度》  ツ時よりてり立候へ共風ハ終日ふく
    冷気なり
 府中先月中ハ玄米両ニ壱斗九升ニ相成候所
 四五月快晴昨日之暑気旁ニ而少々下落弐斗
 四五升ニ相成候よし此節ハ土浦府中笠間等
 都而出穀御停止之八日市場辺之もの持
 横浜へ持出交易いたし候よしニ而品不足ニ
 相成候由右之もの両三人召捕ニ相成候よし
《割書:廿七 日|七十五度》  朝くもり東風吹冷気九ツ過より少々
    む【見せ消ち「ら」】しあつし
 《割書:頭粕ミナトニ而両ニ六盃〆取ニいたし候へハ十弐〆五六目 鰯かす両五分位》

《割書:廿八 日|七十八度》  朝むら雲快晴暑気なり残暑つよし
 江戸表此節
 《割書:白 米 百文ニ弐合四勺|大こん 一本 八十文》  《割書:な す 一ツ廿四文|酒 壱升  八百文》
 《割書:なまりふし一本四百文 |鰹 一本 弐〆文位》  《割書: |大工家根ヤ壱日十両》
 《割書:綿 三百四十両  |元米 壱斗七升》   《割書:仕事師 金弐朱文》
 小梅小倉庵と申しるこ名代にて料理屋等も
 いたし殊之外繁昌いたし居候所先月中召捕
 ニ相成此節御しらへ有之候所大盗人ニ而ふ
 だん浪人を召かゝゑ置其外御籏本等ニも余
 ほと同類有之夜盗押借人殺等数不知此間根
 津ニ而劔術指南をいたし居大力早業ニ而弐
 十人位ハ壱人ニ而相手いたし候程之もの之
 よし是も召捕ニ相成候所やはり同類之よし
 将軍様御進発御供ニ出候御籏本之内ニも【見せ消ち「有」】右
 【見せ消ち「之」】之同類余ほと有之候よし
《割書:廿九 日|七十八度》  朝より快晴残暑つよし終日大暑なり
《割書:九十二度》
 《割書:種油壱升売壱〆百五十文之よし|江戸ゟ高直なり江戸ハ壱〆百文之由》

 右小倉庵同類名前之よし
         《割書: |小普請組高力直三郎支配》

     《割書:本所わり下水| 高弐百五十石》    青木弥太郎
                《割書:三十七才》
         《割書:小普請組 》 津田孝次郎
                《割書:三十五才》
     《割書:同 所| 御掃除町高百五十石》
         《割書:新 徴 組》 三宅捨五郎
                《割書:二十 才》
             小田切半平
                《割書:三十四才》
             勝田 由蔵
                《割書:二十二才》
             時鳥田倉之進
                《割書:二十二才》
     《割書:此者当時根津宮永町新介店 |善四郎と通ひ店罷在候》 西  藤蔵
                《割書:二十四才》
            《割書:小梅瓦町|家持長左衛門悴》
               長次郎
                《割書:三十三才》
            《割書:召 仕》
               孝次郎
                《割書:四十 才》
            《割書:同召仕小梅村百姓》
               鉄次郎
                《割書:弐十弐才》
   右六月朔日呼出之よし

   七 月
《割書:朔  日|七十八度》  朝より快晴残暑つよし当年中の暑さ
《割書:九十四度》  ニ而八ツ半時ゟ雷雨つよし直ニ止又
    々夜ニ入六ツ時ゟ雷雨四ツ時止雨は

    明方迄ふる暮六ツ時地震
 《割書:続而磯湊平いそ久慈会瀬辺迄鰹近年無之大漁也》
《割書:ニ  日|七十九度》  朝より快晴大暑終日暑気つよし夕方
《割書:九十二度》  北の方ニ少し雷鳴直ニ止
《割書:三  日|八十 度》  朝薄もや暑気てり立少々風あり夕方
《割書:九十弐度|七月中 》  より丑寅風にて涼し
《割書:四  日|七十九度》  朝薄くもり五ツ時よりてり立涼し九
《割書:八十九度》  ツ時より大暑ニ而夕方迄あつし
《割書:五  日|七十九度》  朝むら雲五ツ時よりてり立残暑つよ
《割書:八十九度》  し
《割書:六  日|七十八度》  朝薄むら雲五過よりてり立残暑つよ
《割書:八十九度》  し夜中迄殊之外あつし
 御砌柄ニ付七夕建之儀延慮いたし候様御達
 ニ相成候
 銭相場今日ゟ何銭ニ不拘都而壱両ニ六〆八
 百文ニ御達ニ相成候
《割書:七  日|七十八度》  朝もやむしあつし四ツ過よりてり立
《割書:九十四度半 》 大暑ニなる夕方雷雨直ニ止晴
 追而穀物類少しツヽ下落御扶持壱俵壱両弐
 朱位いたし候所此節壱両ニ而ハ買【見せ消ち「入」】人無之三

 分弐朱文位ニ相成申候穀町も三合五勺上も
 の中もの四合ニ相成申候よし
《割書:八  日|八十 度》  朝より天気大暑終日大暑風なし夜中
《割書:九十五度》  迄暑キなり
《割書:九  日|八十 度》  朝よりくもりむしあつし四ツ時より
《割書:九十一度》  てり立大暑也西ノ方ニ夕立もやう有
《割書:十  日|八十 度》  朝こけら雲涼し五ツ半時よりてり立
《割書:八十六度》  終日快晴風ありすゞし夜中くもり
 追々籾も出候よしニ而此節籾壱分ニ壱斗五
 六升ニなる
《割書:十一 日|八十 度》  朝より快晴大暑南風吹終日暑つよし
《割書:九十六度》  終日空もやう少々も 終夜少々風吹
《割書:十二 日|七十四度》  明六ツ半時より小雨ふる少々冷気折
《割書:八十弐度|弐百十日》  々止艮風九ツ半時ゟ雨つよし夜中迄
《割書:新籾壱分ニ| 壱斗六七升》 雨ふり
《割書:十三 日|七十 度》  朝より快晴村雲涼し
《割書:八十 度》
《割書:十四 日|七十二度》  朝よりくもり四ツ時より雨ふる半時
《割書:七十八度》  計にて止冷気ニ成ル八ツ半時位より
    晴夜中殊之外晴涼
《割書:十五 日|七十 度》  朝より快晴涼気終日快晴なり
《割書:七十五度》

《割書:十六 日|六十八度》  朝むら雲涼気薄てり夕方よりくもる
《割書:七十六度》  夜ニ入晴むしあつし
 昨日越前辺より降参人此方え引取ニ相成候
 よし百十八人之よし
《割書:十七 日|七十 度》  朝よりくもり六ツ半時小雨少降四ツ
《割書:八十九度》  時ゟてり立大暑ニなる夜中迄あつし
《割書:十八 日|七十九度》 朝より快晴暑気終日持合あつし夕方
《割書:八十八度》  より冷気ニ成ル
《割書:十九 日|八月之節》  朝むら雲東風吹晴終日冷気なり夕方
    よりくもり
《割書:白 露 |廿  日》  明方雨ふり直やむ冷気丑寅風吹昼夜
    よりむしあつし
 《割書:古 籾 壱分ニ壱斗六七升ゟ弐斗位|新 籾》
 《割書:新大豆 四斗》
《割書:廿一 日|七十 度》  朝薄むら雲快晴あつし八ツ時夕立雨
    半時計ニ而止又々七ツ時少々ふる直
    やむ夜中くもる
 《割書:四五日已前中川留ゟ初鮭上ル》
《割書:弐百廿日|廿二 日》  朝むら雲荒もやうの空合ニ而南風少
《割書:七十八度|八十三度》  吹むしあつし終日南風少強し夕六ツ
《割書:夜中あつし》

    半時ゟ風止
《割書:廿三 日|八十 度》  朝よりくもるあつし四ツ時雨ふり直
《割書:八十二度|此節久しふりニ而》止涼しくなる夕方より又々雨夜ニ入
《割書:いわし漁事鹿嶋|辺ゟ湊辺迄之間 》雨やむ
《割書:有之候》
《割書:廿四 日|七十 度》  朝むら雲東風ニ而冷気快晴なり終日
《割書:八十 度》  天気夕方よりくもり五ツ時ゟ雨ふり
《割書:鰹続而漁事有之|候へ共壱本壱〆壱弐百文位》
《割書:廿五 日|七十 度》  朝より快晴八ツ時北風ニ而夕立雨半
    時計ニ而止
 今日ハ昨年藤桃合戦之日ニ当候ニ付上町中
 ニ而八幡宮ニおゐて天下泰平五穀就成之御
 祈祷有之候下町ニ而ハ吉田へ参詣ニ出候よ
 し
《割書:廿六 日|六十六度》  朝より快晴冷気終日快晴
《割書:七十 度》
《割書:銭相庭|今日ゟ七〆文ニなる》 《割書:江戸ハ御達而已ニ而文久四文銭八文銕四文銕壱文せん|一文之通用ニ而真鍮四文せん十弐文之通用ハ不致候よし》
《割書:此節鮭壱本ニ付六〆文位之よし|いまた内證売之よし》
《割書:廿七 日|六十 度》  朝より快晴終日上天気なり
《割書:八十三度》
 当月初の頃岩キニ一揆有之候よしわけハ先
 達而中不気候之節平潟尼や半衛直田福田や
 忠兵衛久保田升田や其外六人程之よし追々

 穀物買入候ニ付近郷ハ勿論米俄ニ引上壱分
 白米四升位ニ相成候ニ付百姓とも寄合ニ而
 打潰シ可申相談いたしなこそ関辺ニ煙り上
 り候ハヽ一同駈付先ツ尼半へ参り夫より右
 家々打こわし可申との相談相極り候よし之
 所折節仙台の家中廿人余江戸表より下り【見せ消ち「之」】候
 節名古その古跡をも一見いたし可申と之事
 ニ而参り候所百姓とも申合之通集り候と心
 得追々所々より集り参り候ニ付仙台の家中
 も驚候而何事ニ候や承り候所前文之次第ヲ
 一々相咄し候ニ付夫を承り候而ハ聞捨ニも
 不相成と夫ゟ尼屋方へ懸合候所尼ヤニ而も
 驚候而挨拶いたし候ハ譬如何様不作いたし
 候而も百姓へ難渋相懸不申候様可仕猶又米
 も壱分ニ七升位ニ売続候様可仕趣ニ而内済
 ニ相成百姓も夫々引取相散候所其後所々津
 留ニ相成穀物類他所出不相成候趣ニ而少々
 ツヽ下落ニ相成居候所又々尼半升田ヤ福忠
 其外六人ほと又々岩キ小名浜辺買立候よし
 之所百姓共申候ハ又々買立候へ共津留ニ有

 之候間積出候事ハ相成申間敷左候へハ売候
 而も別段引上候事も有之間敷如何いたし候
 了簡ニ候や売候而見様とて皆々売候所右之
 者共買立候品ハ次第なく積出候よしニ付左
 様ならハ百姓とも附出見可申と番所前を附
 通候所直ニ見咎ニ相成其上厳重ニ被申付候
 よしニ付追々百姓とも相談いたし穀留番所
 前を追々附通り候所厳重ニ咎有之指出候而
 ハ不相成候趣申聞候ニ付委細ニ前件之仕抹
 申立候所打たゝかれかられめニ逢候由ニ付
 大勢之者立腹いたしあまり之御取扱大俵さ
 し出候ハ御咎メも無之小俵之ものを右様ニ
 被成候段誠ニ依俵之御取扱と夫ゟ大勢又々
 一揆いたし右御番所を打こわし夫ゟ小名浜
 ニ而中買いたし候世話人三四軒打こわし候
 而直ニ御陣屋へ罷越打こわし可申との相談
 之よしニ付御陣屋ゟ早馬を以安藤様へ御救
 之勢をかりニ遣候所安藤様ゟ四百人程陣羽
 織籏指物等ニ而押出候ニ付場長屋泉の両所
 よりも御人数出候へとも一揆とも引取不申

 候ニ付段々様子を承り候所是迄之役人中扱
 方不宜候ニ付安藤様ゟ一揆の方へ談合内済
 ニ扱入候所一揆之方ニ而ハ一圓承知不仕候
 ニ付頭取有之候や相尋候所頭取と名乗もの
 四五人有之我等ケ様大勢集り候ハ命をおし
 ミ候わけニハ無之全く御扱不宜候ニ付如何
 様ニ【抹消「申」】も仰付候而も江戸表へ罷出委細申上候
 上ニ而如何様被仰付候とも恨ミ無之よし申
 居候よしニ而相引不申候よし
《割書:廿八 日|六十五度》  朝より快晴秋冷
《割書:八十四度》
《割書:廿九 日|六十七度》  朝より快晴五ツ過ゟ北風ふく四ツ過
    ゟむら雲冷気夕方よりくもり
《割書:龍ケ崎辺玄米両三斗五升位ニ下ル》
《割書:晦  日|六十七度》  朝むら雲快晴四ツ時より夕方南風吹
    むら雲夕方ゟ風夜中む【見せ消ち「ら」】しあつし大く
《割書:百文ニ| 白米三合八勺 》もり
 紅花此節下落当初ニ而三百五十目位
 ぬか穀町ものニ而壱両ニ壱石三斗五升之直
 段ニ而他所へ余ほと参り候よし
 頭粕両ニ九貫五百目位

 新籾壱分ニ壱斗八升
    廻 状
 銅銭歩増通用先達而相達候已来御近領ハ勿
 論遠所ゟ入銭多く市中之者指支候向も有之
 趣相聞候ニ付此節ゟ他所入銭一圓指留猶更
 不時ニ探索筋其筋之もの為見廻候条其旨相
 心得尤前方入銭示談いたし置候者も有之候
 ハヽ向キ方え被返候様支配切無洩可相達候
 以上
   七月晦日       渡辺清三
   六ケ町名主

 七月廿ニ日
 綿引甚介代々御同朋列物成六十弐石居屋敷
 被下加納千代太郎代々御目見格御合力籾弐
 十俵被下西村啓介代々御目見格御合力籾三
 十四俵被下置候旨被仰出候

 七月晦日一役達
 中納言様御慎解之儀ニ付而ハ何レも苦心罷

 在候所謹慎罷在候へハ何等御心配之筋不【見せ消ち「為」】被
 為在候段御響合も有之候条此上心得違無之
 様無屹度支配々々えも申含有之様ニとの事

 穀町籾壱分ニ新壱斗八九升
 太田辺     弐斗弐升

 当年ハ初鮭献上ハ御慎中ニ付無之候由此節
 壱本内證売金壱両位ニ而祝町へ何ほとニ而
 も売候よし
 鰹ハ壱本壱貫三百ゟ四五百文迄是ハ野州辺
 へ参候よし都而魚類も昨年ゟ続而高直なり
 《割書:新大豆 両ニ四斗弐三升|才田塩 両 三俵四五分》  《割書:頭粕 壱両ニ八〆五六百目》
 《割書:古籾 壱分壱斗四五升|江戸表少々白米下落百文ニ上三合五勺四合》
    《割書:槇木壱本十六文但シ弐本かけ》
 此節【一字抹消】蠶ノ種を紙へなしつけ候分横浜ニ而異
 人沢山買込候よしニ而上州常陸奥州辺迄買入夥しく入込候而千枚ニ付百両位之注
 文有之候所此節百六十両余ニ相成候へ共買
 込江戸ゟ浦賀辺へ沢山荷物出候よしの所追
 々蛾ニ相成候ニ付異人一圓手を引買入不申

 候由ニ而此節ニ相成候而ハ一文ニもなり不
 申右買入候商人共丸金之損之よし余ほと潰
 レ候者出来可申とのさたニ御座候

 此節大豆両ニ四斗五升之見込ニ而買入候も
 のよほと有之候よし
 《割書:上州辺種油 壱升壱〆弐百文》
 駒込辺何とか申所へ雀沢山ニ集り合戦有之
 日々死候雀俵ニいたし候よし

   八 月
《割書:ひかん|朔  日》  朝むら雲五ツ時小雨ふる冷気直止四
《割書:七十三度|八十度 》  ツ時雨ふる直止夜中迄くもり冷気
《割書:ニ  日|六十二度》  朝より快晴秋冷終日天気よし
《割書:三  日|六十 度》  朝薄むら雲秋冷終日天気夜中くもる
《割書:秋 分 |四  日》  朝より快晴秋冷夕方よりくもりあつ
《割書:六十三度》  し夜四ツ時ゟ雨ふる
《割書:五  日|六十八度》  宵より雨ふる五ツ時より北もやうニ
《割書:七十八度》  成ル終日小雨ふり夜中も同断終夜雨
    ふる

《割書:六  日|七十七度》  明方迄雨降南風吹四ツ時止終日南風
《割書:八十 度》  吹夜【見せ消ち「中」】ニ入五ツ時ゟ雨ふり
 今明六ツ時ゟ六ツ半時之間ニ図之ことくの虫
 壱丁目辺よりおびたゞしく飛来り六ツ半時
 ニハ所々え落候而死居候虫ハ勿論羽もいつ
 れも真白なり先年十四五年已前も右とおな
 し虫飛候事有之候其節も日記帳へ図ニいた
 し置候
【虫の図あり、省略】

《割書:七  日|七十 度》  宵より雨北風吹明六ツ半時雨風とも
《割書:七十八度》  止又々九ツ時北風吹出半時計にて止
    終日曇空にて夜五ツ時ゟ雨九ツ時止
《割書:八  日|六十七度》  朝よりくもり冷気四ツ時よりてり立
《割書:七十五度》  終日天気よし
 《割書:桐 生 玄米 弐斗四五升 |佐 野 〃  弐斗六七升》  《割書:結 キ 弐斗七八升|笠 間 三 斗》
 《割書:〃   新大豆 三斗九升|〃   菜 種 弐斗六七升》  《割書:下たて 綿古|    壱両七百五十目》
 《割書:〃   油 壱升壱〆弐百文|〃   絹糸上両 三十七匁》  《割書:結キ 嶋| 上壱反壱両弐分位》
 《割書:木綿糸百すかニ而|     鐚十九貫文》   《割書:  紬嶋下もの 三両位| 水戸ニ而木綿糸》
            《割書:鐚十八貫文》

《割書:九  日|六十 度》  朝より快晴秋冷北風吹夕方止さむし
《割書:初茸出る》
《割書:十  日|六十 度》 朝より快晴寒冷終日天気よし
《割書:十一 日|五十五度》  朝より快晴寒冷終日天気よし南もや
    うニ而むしあつし
 加藤又衛門去年子七月廿四日御召捕ニ相成
 候而入牢いたし居候所当八日ニ牢死致候而
 親類え被下ニ相成候由
《割書:十二 日|六十七度》  五ツ半時ゟ雨つよし四ツ過より雨や
    む

《割書:是ハ昨年湊磯の海岸え|公辺の軍艦蒸気船等四五艘ニ而》
《割書:御固メニ相成居折々海上より大炮|打候由》
《割書:右軍艦之内之|乗気船之碇之》
《割書:よし其節御帰船之|節海中え沈ミ候所当年中》
《割書:公辺ゟ御役人参候而磯|海岸ゟ御引上ニ相成候而》
《割書:此節磯浜へ御指置ニ相成候由|是ヲ引上候も磯浜ニ而諸かゝり》
《割書:弐十両余相かゝり候よし》
【碇図中の書き込み】
《割書:此長壱丈余|此丸ミ弐尺五寸位》
《割書:此長九尺余|此長サ六尺余》
《割書:壱尺四五寸|壱尺四五寸》

《割書:十三 日|五十八度》  朝より快晴さむし夕【一字抹消「方」】六ツ半時もや
    殊之外なかし

 今日御領中御見分として佐藤図書様近藤儀
 大夫様其外御役方桂岸寺御休ミニ而西部よ
 り御廻りニなる
 《割書:府 中 古 米  弐斗八九升   新 米  三斗壱弐升|    大 豆上物弐斗五升ゟ弐斗八升迄》
 《割書:    同目黒  三斗六七升|上 州 玄 米  弐斗弐三升   絹 糸  三十五六匁》
 《割書:    大 豆  四斗一弐升》 《割書:木綿いと|   壱〆九百文》
 《割書:笠 間 玄 米  三斗弐三升|府 中 小 豆  三斗四五升   糀  百文ニ四合》
 《割書:    麦    三斗七八升   才田塩 両四俵》
《割書:十四 日|五十五度》  朝より薄くもり四時より快晴ニなる
《割書:かた炭壱俵 |  壱〆文》 七ツ時より薄むら雲秋冷
《割書:十五 日|五十九度》  朝より薄むら雲秋冷夜中も殊之外晴
    涼なり
 昨日木村伝六隠居願ニ而も指出置や父子御
 用ニ而
 御城え出仕いたし候所俄ニ御用延ニ相成候
 趣宿ニ而ハ前日ゟ心配之事有之候所御用召
 ニ而安心致し魚なと買入大祝之所え御用延
 之趣申参り皆々心配之よし是ハ昨年中波山
 より上下町え用金申付候節万事伝六方え中
 野連と申もの参り居候而相談いたし候との

 風説ニ而伝六度々此間中ゟ御評定え被呼出
 ニ而御糺ニ相成尤も御鑿さく場え被呼出御
 町方御役所ハ御かゝわり無之御若年寄衆御
 目付方等ニ而直御糺之趣定而右一条之事ニ
 而御用延ニ相成候事と相見へ候よし
 先日御呼出ニ相成候ハ木村伝六郡司藤四郎
 佐藤五衛門落合長四郎富田太惣次林徳十郎
 等御評定所御白洲え御呼出ニ而御尋有之よ
 し木村伝六壱人ハ其後度々御呼出有之候よ
 し
 当夏中ゟ米穀其外諸品高直ニ而諸人難渋之
 よしニ而土用中時分ハ世の中騒々敷候所土
 用後打続天気都合も宜敷追々作物見直候へ
 共諸品引下ケ不申候而夫々諸かゝり莫大之
 事ニ候へ共此間湊ゟ参り咄ニハ祝町ハいま
 た普請も出来不申候へ共当年ハ続而客沢山
 ニ有之五軒の茶屋ニ而壱軒ニ付壱ケ月客の
 上り高四千人余之平均のよし左候へハ米穀
 高直難渋なと申ニハ更ニ相当不致候事ニ候
《割書:十六 日|五十七度》  朝より快晴東の方ゟ辰巳之方え黒き

    むら雲出ル終日むら雲
《割書:十七 日|五十八度》  朝より快晴寒冷終日大むら雲
《割書:十八 日|六十弐度》  夜八ツ時より雨ふり終日雨ふり夕方
    雨止
《割書:十九 日(九 月 節)|六十 度》  朝より快晴終日天気よし
《割書:廿  日|六十 度》  朝より快晴さむし
 今日おとよおまつ万助供壱人真壁ゟ江戸え
 参候
《割書:廿一 日|五十八度》  朝より快晴さむし
 《割書:穀町 古籾壱分壱斗三升|給人 籾十両十三俵位》  《割書:近江辺此節両ニ|     弐斗八升之由》
《割書:廿二 日|六十 度》  朝よりくもる終日くもり空にて北風
    少々ツヽ吹さむし
《割書:廿三 日|五十八度》  夜九ツ時ゟ雨降出ス北もやうニ而冷
    気終日雨つよし北風つよし夜中も九
    ツ過ニ雨風少々薄くなる
《割書:廿四 日|五十八度》  朝くもりさむし北風ニ而さむし八ツ
    過よりてり立夜中もさへる
《割書:廿五 日|四十四度》  朝より快晴さむし終日快晴さむし
     廻 帖
 店々若者子供近比風儀取乱心得差ひ之者有

 之為見商品等隠売買いたし右手長致候もの
 も有之趣粗相聞畢竟不取締故之儀と相見え
 候得共甚以不相済風儀故障ニ相成候条此先
 万一心得違之もの於相聞ニハ何も糺之上屹
 度及御沙汰候条心得違無之様町々無洩可相
 達候以上
   八月廿五日      渡辺亭三郎
《割書:廿六 日|四十五度》  朝より快晴寒し九ツ時より北風少し
    吹
 《割書:湊 油 壱升 代壱〆四百文|  米 両ニ 弐斗七八升》
 《割書:  鰯 粕 両ニ 八〆目|  才田塩 両 三俵五分》 《割書:浦賀表| 才田 五俵弐三分》
 《割書:  小 川 両 四俵五分|  小川ゟ六俵付駄賃壱〆弐百文 先年ハ三百文ツヽ》
《割書:廿七 日|四十五度》  朝より快晴さむし終日天気よし
《割書:廿八 日|四十四度》  朝より快晴五半時より薄くもるさむ
    し
 昨日八人引廻しはりつけ木沢ニ有之
  此内辰巳屋惣衛門酒持昨年辰巳や蔵の家
  根を破金六百両余盗出候もの一人又六町
  目甲州や彦三郎と申もの二男一人有之候
  其外打首五十人余有之候よし

《割書:廿九 日|四十四度》  朝よりくもり夕六ツ時より雨ふり北
    もやう直ニやむ
 《割書:今日十兵衛助蔵江戸登り》
《割書:晦  日|五十 度》  朝より快晴
 《割書: 金壱両ニ付|大豆 三斗七八升》 《割書:小玉大豆 両二斗弐三升|新  籾 弐斗三四升》
 《割書:麦米 四斗弐三升|小豆 三斗八九升》 《割書:小  麦 六斗ゟ八斗迄》
 当年ハ鮭魚中川え留先年之通青柳辺え出来
 候右御運上金壱ケ年百両ニ鮭弐百本其外ニ
 時々御買上ニ相成候へハ金壱朱ツヽ此節ニ
 而も壱本四〆弐三百文位ニ候
  《割書:府中ハ大豆目黒両弐斗六七升|鹿嶋浜干鰯両弐俵》
 上方も別段替り候事も無之
 将軍様ニ|而(ハ)大坂ニ御滞留被為在候而市中不
 残御籏本衆御宿割有之候よし

 此節絹糸奥州ニ而九〆目入壱箇ニ而金弐百
 弐十両位之よし
 水戸表ニ而ハ高機壱反四十八九匁ゟ五十匁
 位【見せ消ち「之」】ニ機屋之方仕切ニ候而商人ハ更ニ利分ニ
 相成不申機屋ハ壱両ニ而拾匁より三朱位ツ

 ヽ残り候よし誠ニ珍らしき事ニ候や
 田作も当年ハ随分豊作ニ而品之出来も至極
 宜候へとも直段高直壱分ニ新穀壱斗四五升
 位古籾ハ壱斗四五升位

   九 月
《割書:昨  日|五十三度》  朝よりくもる四ツ半過よりむら雲て
《割書: |甲  子》  り立夜中曇
《割書:二  日|五十五度》  朝より薄てり終日薄てりニ而持合さ
    むし
《割書:三  日|五十 度》  朝より薄むら雲さむし八ツ時ゟ暮方
《割書: |九月中 》  迄雨ふる夕方月見ゆる
《割書:四  日|五十三度》  朝より至極快晴終日天気よし
《割書:五  日|五十五度》  朝より快晴終日快晴なり
《割書:六  日|五十三度》  朝より快晴
《割書:七  日|四十九度》  朝より快晴秋冷夕方よりくもり夜ニ
    入四ツ半過より少々北風吹
《割書:八  日|五十二度》  明七ツ前より雨ふるさむし八ツ時よ
    り止夜ニ入快晴
《割書:九  日|四十八度》  快晴さむし五ツ少し過地震

《割書:十  日|四十七度》  朝よりくもりさむし八ツ時少してり
    立又々くもる夜ニ入五ツ過より雨ふ
    る
 江戸本所迴向院ニ而仙台金花山弁天開張町
 々ゟ万燈出ル殊之外賑やかのよし
《割書:十一 日|五十二度》  宵より雨ふる終日雨ふるさむし夜中
    雨つよし夜九ツ過より雨止
《割書:十二 日|五十三度》  朝より快晴八ツ時小雨ふる直やむ夜
《割書: |日光山雪ふる》  中殊之外晴
《割書:十三 日|四十四度》  朝より快晴八ツ過より少しむら雲夜
    中晴
《割書:十四 日|四十八度》  朝薄くもり五ツ過よりてり立終日至
    極快晴なり
《割書:十五 日|四十二度》  朝より快晴
《割書:十六 日》  朝より快晴寒し
《割書:新宅今日御用ニ而出ル |江戸表此節》 《割書:大高源介|紅花御答筋之掛り之儀ニ付年々八俵ツヽ》
《割書:玄 米 弐斗壱弐升|白 米 壱斗七八升》  《割書:被下置候|木村伝六同悴両人》
《割書:当百せん六〆八百文|府中》  《割書:御用ニ而御城へ出候上下ニ而出候所御城御役|【一字抹消「人」】所ニ而袴羽織ニ成候様御申聞有之其後被》
《割書:玄米 弐斗弐三升|当年ハ田作ハ殊之外》  《割書:仰渡之趣ハ伝六儀役格被召上慎隠居悴え百|弐十石被下置候》
《割書:上作ニ而直段ハ高直|なり》  《割書:同夕急御用|加藤又衛門塙弥左衛門悴英吉格禄被召上候趣》

《割書:十七 日|四十五度》  朝より快晴夕方よりくもる
《割書:十八 日|五十弐度》  朝よりくもり暮六ツ時より雨強九ツ
    【見せ消ち「時は」】過すこし小降ニなる
     《割書:十六日夜御用銕炮町於御会所ニ御町与力渡辺亭三郎|殿申渡町年寄出座小林弥次郎》
 一           塙 秀太郎
  父弥左衛門去子七月中田丸稲之衛門使之
  由ニ而栗田源左衛門中野連と申者罷越上
  下町ニ而金千両指出候様被申【見せ消ち「越」】掛候趣ニ而
  木村伝六等相談之上五百両調達相渡候儀
  ニ付牢舎申付置候所致牢死候上ハ其侭御
  用捨家格御合力籾御引上ケ格別之儀を以
  慎 御免被遊候条其旨可申渡者也
   《割書:是ハ塙秀太郎と被御申渡ニ有之候へ共英吉之事也》
《割書:十九 日(十月の節)|五十三度》  明方迄くもり五ツ時ゟ晴むら雲夜五
    ツ時ゟ西風吹八ツ過止
《割書:廿  日|四十三度》  朝より快晴西風吹さむし
《割書:廿一 日|四十 度》  大霜ふる快晴西風すこし吹
《割書:大豆 三斗弐升|籾 壱分壱斗弐升》
《割書:廿二 日|四十三度》  朝より快晴むら雲さむし

 此節在々物騒所々夜盗押借等有之候由此間
 牛久辺え浪人五人鑓鉄炮等持候而夜盗ニ入
 候所宿中之者竹鑓等ニ而取巻候ニ付逃候よ
 し夫ゟ隣村物持之百姓え参り金子盗取候よ
 し
 下館在圷川岸と申所え夜盗五人ニ而押入大
 金盗取右金子わけまへニ成口論之上弐人殺
 其内頭体之者宇都宮ニ而遊女を百五十両程
 ニ而受出候而外弐人も遊女屋え参り候所弐
 人とも召捕ニ相成候へとも右頭分之者ハい
 また相分り不申候よし
 湊ニ而も材木屋祐介と申候夜盗宵の内ニ弐
 人ニ而抜身を持押入金四十両程も盗取候よ
 し
 湊在中根と申医者之所へも五人ニ而押入金
 子八十両余も盗取候よし
  《割書:江戸表 京丹綿 十駄 三百三十両|    名古屋白木綿両ニ弐反》
    《割書:さんとめ 壱反四十三四匁|生さん  壱反弐十匁以上》
    《割書:手拭地  壱反十八九匁ゟ|     以上》
  《割書:白  壱斗八升  種油 五十七両|玄米 弐斗弐三升》

《割書:廿三 日|三十九度》  朝より快晴寒
《割書:廿四 日|三十九度》  霜ふる快晴
《割書:廿五 日|三十九度》  朝よりくもりさむし終日曇空
《割書:廿六 日|四十五度》  朝より薄くもり五ツ半過雨少しふり
《割書:手綱辺|白米両弐斗四升 》直止夜ニ入五ツ時雨ふり
《割書:廿七 日|四十五度》  朝よりくもり夕方より雨少しふる
    十六日御申渡
             加藤隼之介
 祖父又衛門去子七月中田丸稲之衛門使之由
 ニ而栗田源左衛門中野連と申もの罷越上下
 町ニ而金千両指出候様被申懸候趣ニ而木村
 伝六等相談之上五百両調達相渡候儀ニ付牢
 舎申付置候所致牢死候上ハ其侭御用捨家格
 御合力籾御引上格別之儀を以慎御免被遊候
 条其旨可申渡もの也
             木村 伝六
             同 千之介
 去子七月中田丸稲之衛門使之由ニ而栗田源
 左衛門中野連と申もの罷越上下町ニ而金千
 両指出候様被申懸候趣ニ而加藤又衛門等相

 談之上五百両調達相渡候儀ニ付相糺候所源
 左衛門等彼是申張調達相成兼候ハヽ打捨又
 ハ市中焼払候抔と申儀ニ恐縮いたし無伺取
 扱且連等数日逗留為致置候段恐入候旨申出
 し候何程権威ヲ以申懸候共大金取奪候儀不
 容易事ニ候へハ支配役所え伺之上取計可申
 候所無其儀畢竟心得等閑故御苦難ニも罷成
 候段不調法至極ニ付被仰付様も雖有之格別
 之儀ヲ以役格召放隠居被仰付候条屹ト慎可
 罷在候御奉公振も有之ニ付寛大之儀ヲ以悴
 千之介え父取来御歩行其侭被下置もの也
《割書:廿八 日|五十八度》  朝よりくもりきり雨少しふる七ツ時
    より雨降夜中雨つよし夜九ツ過より
    北大風雨七ツ時止
《割書:廿九 日|五十七度》  宵より雨ふる北風ニ而終日雨【見せ消ち「つ」】さむし
    夜中迄雨つよし
 此節穀町ニ而ハ百文ニ三合ニ売候よし

   十 月
《割書:朔  日|三十八度》  大霜快晴寒気終日天気八ツ時時雨も

《割書:筑波辺|加波芦穂雪降》 やう半時計にてはれ
《割書:二  日|三十五度》  大霜快晴寒気つよし
《割書:三  日|三十五度》  大霜快晴寒気西風少し吹さむし
《割書:四  日|三十九度》  大霜快晴寒気西風吹さむし
《割書:五  日(十月の中)|三十八度》  朝大霜快晴五ツ時より時雨空也
《割書:六  日|四十五度》  朝よりくもり終日薄てりにて北風吹
《割書:七  日|四十八度》  朝より快晴北風吹暖気なり
 酒直段高直ニ而上酒壱升五匁中四匁五分ニ
 売候所如何ニも此節酒屋とも利分多分ニ候
 而其上売候よし追々はり込造込候ニ付籾上
 作ニ候へ共直段下落いたさす在迄酒屋とも
 出候而買入候ニ付穀屋へハ売穀出不申無據
 此節壱分籾壱斗壱升位ニ買立小売百文弐合
 八勺ゟ三合位ニ売候よしニ付小もの一統難
 渋ニ付此節所々え寄合候而酒屋并穀屋打こ
 わし候との相談有之候よしニ付名主寄合候
 而酒屋并穀屋ともへ右之趣内々相はなし候
 よし之所酒屋ハ買入相止メ穀屋ハ百文ニ三
 合三勺ニ売候様可致との事ニ而先ツ打こわ
 しの寄合ハ相止ミ 候よし

《割書:八  日|四十八度》  朝より薄くもる四ツ半時より雨ふり
    夜中迄雨つよし
 此節江戸表ハ殊之外物騒ニ而先月末ニハ一
 夜ニ男女ニ而十九人被切殺候よし
  《割書:三 川| 一 古 新 弐反六分   一 壱 番 壱反九分》
  《割書: 一 改   弐反八分   一 弐   弐反壱分| 一 銘   三反三分   一 三   弐反三分》
         《割書:一 四   弐反六分|一 五   弐反九分》
  《割書:              一 六   三反弐分|手拭地 九月廿日比 壱匁直上ケ》
    《割書:十月初 比 壱匁五分直上ケ|染代ならし八九分ゟ壱匁位直上ケ》

  《割書:いせ晒| 一 祇 園 弐反四分   一 三 穂 弐反六分》
  《割書: 一 玉 露 弐反四分五  一 白 妙 弐反六分五| 一 三 玉 弐反八分   一 鈴 鹿 三  反》
  《割書: 一 白 菊 弐反八分五  一 雲 井 三反五ノ【分カ】| 一 初 瀬 三反壱分五  一 水 園 三反三分》
  《割書: 一 和哥浪 三反弐分   一 桃 川 三反三分五| 一 清 滝 三反四分五》
  《割書: 一 花 滝 三反五分》
  《割書:右之通ニ而勘定四五十日月限り》
  《割書: 一 小鳥金巾        并壱はん目方|    壱 番 弐百五匁      壱〆弐三十目》
  《割書:    二 番 百六十五匁     百九十弐匁|                三はん 百五十二三匁》
  《割書: 一 唐さん 壱箇込ニ而|      壱疋百五十三匁》
    《割書:上 百六十五匁|中 百六十 匁》
    《割書:下 百五十弐匁》

  《割書: 一 薄花染代 三匁九分上ケ》

 右ニ付仕入紺屋形屋手拭紺屋休職仕候ニ
 付此節出来方無之趣
  十月二日      松田ゟ申参ル
 当七日刑罰人有之はりつけ八人木沢え場所
 打とも都合廿壱人有之候よし

 此節小川辺他所近ニ付銭追々持込候ニ付百
 銭六〆六百文十弐文せん四文せん通用之分
 七貫文之よし白米売候ニハ増せんの分ニ而
 買ニ参候へハ百文ニ三合弐勺五百文せんニ
 而買ニ参り候へハ百文ニ三合五勺ニ売候よ
 し江戸表ニ而も文久せん八文通用之外青銭
 耳白等都而通用不致水戸計青銭十弐文銅せ
 ん四文文久八文ニ通用被仰出候間他領ゟ青
 せん銅せん持込候事夥しき事ニ而商人ハ勿 
 論都而大難渋金子ハ不残他所へ出候而銭計
 水戸へ残り候様相成可申行々仕入向等ニも
 さし支候様ニ相成可申候
《割書:九  日|五十 度》  朝よりくもり暖気九ツ半過地震時雨

《割書:此節中妻辺|玄米両弐斗弐升 》空にて雨ふる壱時計にて止夜中八ツ
《割書:種わた|両弐〆五百目》 時西風ふく
《割書:十  日|三十七度》  大霜快晴西風ふく終日快晴寒気つよ
    し
《割書:十一 日|三十弐度》  霜ふる快晴終日快晴風なし
 《割書:此節太田籾壱分ニ壱斗四升 麦米壱分九升|  青銭目銭両ニ七〆六七百文》
 《割書:  太田大豆小玉両三斗三四升|    小麦  両六斗》
 在方ハ作物上出来ニ而直段高直壱俵壱両ツ
 ヽニも相成候間売穀ニいたさす候而も少々
 ツヽ売候へハ小遣等ニもさし支無之候ニ付
 売穀出不申候夫取直段高直之よし
《割書:十二 日|三十七度》  朝より時雨空にてさむし夜中雨少々
    ふる
             諸  向へ
 去ル八日別帋之通御老中水野和泉守殿ゟ御
 書付相渡候ニ付
 中納言様
 西丸え御登
 城被遊候条此段可奉承知候
 右之趣支配々々末々迄可被相達事

    水戸中納言殿
    西丸へ御出仕被成候様可申上候
     十月八日
《割書:十三 日|三十八度》  朝より薄くもり四ツ時よりてり立終
    日快晴
  昨日七ツ時 朝比奈弥太郎様 御下り
  御側御用人 吉野 英臣様
  御 目 付 市川 逸平様
 | 御(十三日) 老 中 伊藤 七内様 御下り
 何事か不相分候へとも下々ニ而ハ皆々心配
 配【衍字】いたし居候江戸市中もよほとさわき候よ
 し
《割書:十四 日|三十八度》  朝よりくもり終日持合
《割書:十五 日|三十八度》  朝よりくもり七ツ前ゟ雨ふり夜ニ入
    五ツ半時ゟ大北風雨つよし八ツ半過
《割書:塩壱升| 百三十弐文》 より雨風止
《割書:十六 日|四十三度》  朝よりくもり四ツ過よりてり立七ツ
    時より雨ふる
 諸国追々米穀高直ニ付造酒株高三分一造被
 仰付候条造酒共心得違無之様相達当近々相

 改候振も有之候条相心得可申候
 一諸品銀目通用之儀ハ先年ゟ仕来ハ格別此
  節ゟ改而右通用之儀ハ惣而不相成候条是
  又心得違無之様可致候
 右之趣相達候条支配屹度可相達候以上
   十月十一日
《割書:十七 日|三十五度》  朝より快晴五ツ時より西風吹夜八ツ
    時地震
 《割書:此節延帋壱帖 弐十枚入百八文|先年ハ三十六文ツヽ位の帋なり》
 《割書:豆腐昨日ゟ十八文》
《割書:十八 日|三十八度》  朝より快晴終日天気よし
《割書:十九 日|三十五度》  朝より快晴終日天気よし
《割書:二十 日(十一月の節)|三十三度》  大霜快晴天気夜九ツ時地震ゆる
 夜四ツ時馬口労町四丁目孫根や惣助え夜盗
 六人入候所騒候ニ付何も不取逃候よし
 壱人ハ抜身ニ而入候よし
《割書:廿一 日|三十五度》  朝より快晴薄くもり七ツ時より雨ふ
《割書:上下御町え稈|七百俵御救出ル 》り終【見せ消ち「日」】夜雨つよし
 今九日四ツ時万石以上之面々并布衣以上御
 役人出仕有之於芙蓉之間雅楽頭殿御老中列

 座仰渡
  今般御所ゟ被仰出候趣も有之候ニ付去ル
  三日大坂表御発途先ツ伏見え被為入御泊
  り夫ゟ東海道 還御可被遊旨被 仰出候
  尚又還御之義ハ御沙汰止ミ 伏見御滞留可
  被遊旨被 仰出大坂御城 出御被為成伏
  見奉行御役宅え 着御同四日御同所御発
  途御上洛可被遊旨被 仰出候
 一方今内外御事多之折柄
  宸襟ヲ不奉安候次第も有之御職掌御痛心
  之余御胸痛御鬱閉被為在候就而ハ一橋中
  納言殿永々京師ニ被在之事務をも被相通
  候義ニ付
  中納言殿御相続御政務御譲り被遊度旨
  御所え御願之義被為在候此段内意申達候
  様御沙汰之事
 水野和泉守殿ゟ貞阿弥ヲ以相渡候書付写
  阿部豊後守松前伊豆守事
  叡慮之趣ニハ被為在官位被召上且於国許
  謹慎御沙汰相待様

  御所ゟ被 仰出候依之御役御免被成候在
  所え罷越慎可罷在候
 右之通於大坂十月朔日被仰出候間其段可申
 上候
   十月八日

             松平大和守
 其方儀急速上京候様被 仰出候
 右水野和泉守申渡之
             田沼玄蕃頭
 急御用ニ付上坂候様被 仰付旨
             坪内河内守
 御用ニ付急速上坂候様被仰出候
 右一昨八日於奥御老中申渡

 是ハ京都ニ而落首之よし
  東から南西しに北か討くらて
   御親発中雨天雨天よ
  交易ヲ駿河徳川しらねとも
   三国一の不時の物入

  陣羽織長ひと裾かもめまする
  京の天機かきまらぬゆへに
   萩とすゝきともすれおふ

   大坂御陣講武所詰旅宿え張る
  【一字抹消】寝てハ喰ひ起てハ城をながめつゝ講武所
  而ハ行かれぬ
   武将又ハふしやうと通す
  元治とハ元|ヲ(かカ)おさまるはつなれと慶応吹
  て疵をもとめる
 《割書:土浦 種わた 両ニ壱〆八百目|   玄 米 両ニ弐斗弐升》
 《割書:中妻 種わた 両ニ弐貫目》
《割書:廿二 日|三十五度》  宵より雨ふる北風少しふく七ツ時ゟ
    雨やむ夜中晴空ニ而西風吹
《割書:廿三 日|三十四度》  大霜快晴寒気終日天気ニ而寒し
 古四文銭等歩増通用之儀先達而相達候所追
 々銭多分ニ相成詰り融通不宜趣相聞候付左
 之通相達候条【見せ消ち「御」】心得違無之様可被相達候相場
 引下ケ候ニ付而ハ諸物価引揚ケ候様之儀無
 之様旁可被相達候

   真鍮四文銭
   青赤共八文
   銅小銭弐文
 十月廿三日ゟ右之通通用可致趣御触出候
《割書:廿四 日|三十三度》  大霜快晴寒気つよし
《割書:廿五 日|三十弐度》  大霜快晴
 御所ゟ
    条約之義
 御許容被為在候間至当之所置可致事
             家  茂え
 公辺ゟ
 方今内外事多之時ニ膺り
 御職掌難被為在 思召且近来御胸痛御鬱閉
 被為在候付
 御退隠被遊度旨
 御所え御願立被為在候所難被及御沙汰段被
 仰出候素ゟ御決心之義ニ付再応御願可被仰
 立候得共猶再三再四御熟考被為在候所格別
 之 御寵命を以被 仰出候付
 御感激之余り諸事御奮発御勉励被遊是迄之

 通
 御政務御掌握可被遊旨御請被仰上候此段相
 達候様ニとの
 御意ニ候

 水野和泉守殿ゟ貞阿弥ヲ以相達候御書付
  此段格別之被為蒙
  御寵命御請ハ被 仰上候得共何分不容易
  御時節ニ付一橋中納言殿え御政務御補翼
  之儀被
  仰出別而十分之御助力被【一字訂正】有之候様被
  仰出候
  右之通於京都去ル十日被 仰出候間此段可
  申上候

 番船相場
  年毎ニ《割書:五月六日七日|十月六日七日》
 右伝馬町魚見せ取引と申事有之莫大之取引
 仕度依而諸相場左ニ
  《割書:一 古 新 弐反三分五|一 改 メ 弐反五分五》

  《割書:一 相 銘 三反一分五|一 造 り 三反四分 》 《割書:いせ晒|  祇 園 弐反三分》
  《割書:一 相 新 四反二分 》  《割書:三 穂 弐反五分|三 玉 弐反七分》
          《割書:鈴 か 弐反九分|神 せ 三反五厘》
          《割書:水 園 三反弐分|清 滝 三反三分五》
  《割書:いせ晒 雲 井 三反|    ならわ 弐反九分五 上下同断開キ》
  《割書:名古屋白| 一 壱反九分五  五 弐反七分五厘》
  《割書: 二 弐反壱分五  六 弐反九分五| 三 弐反三分五  七 三反壱分五》
  《割書: 四 弐反五分五|            上中下込直》
 右之通【見せ消ち「金」】全取引御座候右ニ連し玉川晒もやは
 り同様引上ケ申殊【見せ消ち「之」】ニ手掛染代格外高直ニ相
 成候先日さし上候ゟ弐匁五分か三匁ツヽ高
 直ニ相成候依而ハ跡ニ手掛さし上候ニも御
 引合ニも相成不申候やニ愚案仕候間一先ツ
 見合申候【見せ消ち「間」】宜御承引可被成候
   十月五日      周 喜 助
《割書:廿六 日|三十七度》  朝より快晴
《割書:廿七 日|三十五度》  大霜快晴寒気
《割書:廿八 日|三十八度》  朝より快晴
《割書:廿九 日|三十五度》  大霜快晴寒し
《割書:晦  日|三十三度》  大霜快晴寒し

 当三日
 将軍様伏見え被為入夫ゟ大津へ御宿わり有
 之候ニ付京中騒動大方ならす是迄京大坂辺
 米壱石ニ付六百七八十目位ニ有之候所俄ニ
 下落いたし三百七八十目ニ相成候よし又々
 御引返被遊候ニ付直ニ引上ケ壱石ニ付五百
 五十目位之よし銀ハ百弐十匁位之所当節百
 五匁之よし
 江戸表も八日ゟ十五六日迄之内ハ皆心配い
 たし如何成行可申やと商惣休之位ニ而都而
 取引なしひつそりといたし候よし十八日比
 ゟ又々賑やかニ相成との事

   十一月
《割書:朔  日|三十五度》  朝より薄くもり終日曇空ニ而持合夜
    五ツ時ゟ雨ふり四時止
《割書:二  日|三十六度》  朝より快晴
《割書:三  日(甲 子  )|三十三度》  大霜快晴寒気
《割書:四  日|弐十七度》  大霜快晴寒気つよし
《割書:冬至十一月中|五  日》 霜ふる快晴夜ニ入時雨ふる

《割書:三十三度》
《割書:六  日|三十三度》  霜ふる快晴四ツ時ゟむら雲七ツ時よ
    り時雨ニ而雨ふる夜ニ入五ツ時より
    雨止
《割書:七  日|三十四度》  快晴霜ふるさむし五ツ半時より西風
    吹
 上州相生辺 玄米【一字書き直し】両壱斗七升
  佐野辺 同  壱斗八升
  府中  同  弐斗弐升
  江戸  銅  弐斗位
《割書:八  日|弐十六度》 大霜快晴寒気つよし夜ニ入八ツ時あ
    られふる 
《割書:九  日|三十三度》  朝薄くもり九ツ半時より天気
《割書:十  日|三十三度》  朝より快晴
《割書:十一 日|三十四度》  朝むら雲五ツ半時よりてり立四半時
    地震ゆる
《割書:十二 日|三十四度》  朝よりくもり九ツ過よりてり立夜ニ
    入くもり夜八ツ時過ゟ雨ふる
《割書:十三 日|三十八度》  宵より小雨ふる四ツ時位より止夕方
    ゟ北風吹四ツ時止

 爰元米之儀先書後先キ〳〵不揃之折から近
 廻追々入津殊ニ日々備米御払有之かた〳〵
 昨今弐三升安取引無之緩ニ見送居申候何分
 ◯結り之様子爰所【見せ消ち「宜」】今一段下タ向可申ヤニ相見
 申候其外糯米そこへ運不参尚往々如何ニ参候や
 よろしく御取引被成候以上
   十一月八日     山屋庄助
  《割書:古領米 弐斗弐升|新 糯 弐斗弐三升》  《割書:町 米 弐斗三升|大 豆 三斗壱弐升》
  《割書:小 豆 三  斗|小 麦 四斗四五升》  《割書:大 麦 七  斗》
  《割書:   四八五入|仙台米 弐斗四升 》  《割書: |上総新米 弐斗三四升》
  《割書:地水油  六十両 |上々白油 同》  《割書:胡麻油  六十七両|ヱ 油  六十壱両三分》
  《割書:大坂水油 中 六十壱両三分|種粕本〆三枚四五分》《割書: |胡麻本〆三枚四分》
  《割書:  並 四枚四分|上方廿八日出 壱〆三百七十六匁》  《割書: |山崎ヤ伊右衛門》
  《割書:銀 百四匁五分》 
《割書:十四 日|四十五度》  朝よりくもり暖気五ツ時ほろ〳〵雨
    直やむ終日持合むしあつし
《割書:十五 日|四十三度》  朝より快晴北風五ツ時吹四ツ半過ゟ
    風やむ
《割書:十六 日|弐十六度》  大霜寒気つよし終日快晴夕方むら雲
《割書:十七 日|三十壱度》  朝よりくもり終日持合夜八ツ過あら

    れふる
 府中辺此節玄米少々下落両ニ弐斗三四升ニ
 なる是ハ府中内ニ造酒や十六軒有之いつれ
 も近比江戸積をいたし此節ハ江戸ニ而府中
 上酒七十五両ゟ八十両迄ニ仕切ニ相成候ニ
 付追々はり込候而造り候所此節穀物追々引
 上候ニ付
 公辺より酒屋造り高御改メ有之候風説有之
 候ニ付酒屋中玄米買入をひかへ候ニ付下落
 いたし候よし
《割書:十八 日|三十 度》  朝より快晴終日天気快晴なり
 昨夜竹原宿はたこや三軒え奥州浪人之よし
 切込候而旅人三軒ニ而四人即死二人深手都
 合六人昨日迄ニ死候よし浪人ハ壱人之よし
 全ク乱心之ものと相見候よし
《割書:十九 日(入 寒   )|二十五度》  朝より快晴
 今日源助娘はる向井町石沢弥次郎え婚礼
《割書:今夜五ツ七分入寒|十二月節》  
《割書:廿  日|二十三度》  朝より快晴寒気つよし
《割書:廿一 日|二十三度》  大霜快晴寒気つよし夜ニ入四半時ゟ

《割書:いとわた百文| 五匁ニなる》 西風吹
《割書:いと百スカ| 廿壱〆文》
《割書:廿二 日|二十五度》  大霜快晴寒気夜ニ入くもる
《割書:廿三 日|三十 度》  明六ツ半時より初雪ふる終日雪ふる
《割書:初雪降 》  夕方より雪止
《割書:廿四 日|三十七度》  朝より曇る四半過よりてり立暖気
《割書:籾壱分ニ壱斗五合》
《割書:廿五 日|三十五度》  朝より快晴暖気なり
《割書:廿六 日|三十 度》  大霜快晴寒気つよし
《割書:両三日少々漁事》
 いそ粕両ニ四分三厘壱俵十貫五百目位此節
 之漁事いわし油ものニ而少々右之品より宜
 敷候へともいまた相場立不申候此節之分ハ
 壱俵五斗壱弐升位ニ付候間あまり高直【見せ消ち「取」】故此
 節ハ買入不申候いそ中ニ而六百俵も出来候
 よし続而少しツヽ漁事有之候いわし生売一
 かご弐〆文数ハ大ものニ而五束位壱ツ五文
 位ニあたり候油此節四十両位鹿嶋浦も少々
 漁事有之候よし

《割書:廿七 日|弐十五度》  大霜快晴寒気西風吹さむし
《割書:いわし漁事続而少しツヽ有》
《割書:廿八 日|弐十六度》  大霜快晴西風吹夜五ツ時地震ゆる
《割書:廿九 日|弐十九度》  大霜快晴西風吹
《割書:晦  日|三十 度》  大霜五ツ時ゟ村雨さむし夕方よりく
    もり
《割書:白米百文ニ三合売》
 《割書:金納御相場|十両ニ付八俵五分》
 上総防州辺大漁事之よし
 いそみなと辺も続而漁事有之候
 《割書:信州ニ而松本遠州わた 四百八十両  十駄 三百六十〆ニ付|      三州わた 五百十両   同  断》
 《割書:      越中わた 十月初比|           六百廿両   同  段》
 《割書:但越中ハ他所ゟ商人ハ一図入候事相ならす信州商人| ニ限り何品ニ而も信州ゟ参り候よし但海上ニ而越中》
 《割書: へ参り候ハ構ひ無之よし夫故越中ハ格外之高直ニ相成候》
 《割書:信州松本 玄米 弐斗五升|     大豆 三斗一弐升》 《割書:そはからニ而|      五斗位》
 弥長州御征討之御沙汰之よし
 江戸表此節大不景気ニ而殊之外金詰り之由
 芝居も入無之追々仕舞候よししかし両国回
 向院角力ハ大入ニ而三日めニ元金ハ取上候
 由

  江戸白米百文ニ弐合八勺
 此節江戸表極々金詰りニ而大不景気之由
 青筵ハ新入船もの壱束ニ付廿両ツヽも高直
 ニ而十枚百拾匁位上ものハ致候由江戸ニハ
 此節品ハ沢山ニ有之候よし黒さとう大頭ニ
 而七十壱両安もの六十七八両位之よし
  《割書:白子組名白|五番壱両ニ   》  《割書:三川白| 改メ 弐反弐分》
  《割書:壱反五六分 |夫より弐分ツヽ開》  《割書: 銘  弐反四分| 造り 弐反七分》
  《割書: |白州白八段物       青嶋》
  《割書: 下 弐十八匁五分| 夫より八分ツヽ上り》  《割書: 反六十四五匁ゟ| 七十四五匁迄》
 続而いわし漁事有之候銚子九十九里辺ハ少
 々ツヽ之漁事ニ候よし鹿嶋辺より磯ミナト
 辺迄之所漁事有之候直段も四分五厘位ニ此
 間中払候よし此節ハ少々下落〆取ニ而壱両
 ニ八〆目位ニ出来候よし魚油四十両位ニ候
 へ共買人無之候よし
 土浦龍ケ崎辺白木綿少々金詰りニ而下落壱
 両ニ弐反位龍ケ崎弐反壱弐分位随而縞も少
 々下落之よし

  《割書:龍ヶ崎 麦 両弐斗弐升|    大豆 三  斗》 《割書: 玄 米 弐斗四五升| くりわた 壱両》
  《割書: 銭 龍ヶ崎 六〆六百文|佐 原》《割書:      七百四五十匁| 他領ハ》
  《割書:  当百 六〆七百文|  文久 七〆弐百文》  《割書:文久斗八文の通用|青【抹消「銭」】鋳銅銭通用不致候由》
  《割書:  小せん六〆弐百文》
  《割書:水戸ハ此節銭両七〆文 出銭入せんとも御指留也》

   十二月
《割書:朔  日|四十 度》  朝くもり五ツ時ゟ照立暖気なり
《割書:二  日|三十六度》  朝六ツ時地震ゆる快晴五半時ゟ西風
    吹出夕方止六ツ時地震
《割書:三  日|弐十六度》  大雨快晴寒気つよし五ツ半時ゟ西風
    吹夕方止
《割書:四  日|弐十一度》  大霜快晴寒気殊之外つよし明七ツ半
《割書:大寒十二月中| 殊之外》 時地震
《割書:  金詰り》
《割書:五  日|弐十九度》  明六ツ半時ゟ雨降終日雨ふり七ツ半
    時より止
《割書:六  日|弐十九度》  朝東辰巳の方ニ黒雲あり快晴西風す
《割書:いわし漁事 |続而有之候 》 こし吹八ツ時ゟ七ツ時迄之間西大風
    吹

《割書:七  日|弐十六度》  大霜快晴寒気強
《割書:八  日|弐十四度》  大霜快晴寒気つよし
《割書:九  日|三十 度》  大霜快晴寒気つよし
《割書:十  日|三十五度》  朝よりくもり四ツ半時よりてり立寒
    気ゆるミ
《割書:十一 日|三十五度》  朝より快晴寒気ゆるミ夜ニ入西風少
    吹
 中山様給人籾拾両二十俵ニ直段ニ立候よし
 ニ候へ共品ハ来春入津ニ相成候ニ付年内金
 子相渡置候へハ十俵半ニ出来候よしニ付中
 山様御屋敷へ懸合候所九俵ニ手を続而買人
 有之候よしニ而不残払候よし
《割書:十二 日|三十三度》  朝より快晴少シ風立
 当十日ゟ大工町土手際下金町土手際新規ニ
 御番所出来御合図役并炮たい同心町ゟ一ケ
 所え人足弐人ツヽ昼夜詰ル
《割書:十三 日|弐十三度》  大霜快晴寒気
《割書: 塩引両二四本ゟ四本半位》
《割書:十四 日|弐十七度》  大霜快晴寒気つよし
 江戸表も殊之外金詰りニ而此品炭槇油穀物

 類買人なし少々直段下ケ候よし絹いと甲州
 ものなと壱疋弐分ツヽ下落太物類ハ如何
 之わけニ候や高直之よし
《割書:十五 日|三十二度》  明方より雨ふる寒気ゆるミ終日雨ふ
    る夜中も雨ふる
 《割書:手綱折笠辺|白米ニ而金壱【「両」を書直し】両ニ付弐斗五升位》
《割書:十六 日(い わた百文ニ六文)|四十二度》  朝より快晴暖気也九ツ過よりくもり
    暮六ツ時ゟ雨ふる五時止
 当十四日夜上下町年寄昨年前ゟ相勤候もの
 不残御役御召救ニ相成候
   桜井善太郎 大高源介 林徳十郎
   佐藤右衛門 落合長四郎
 昨年騒動後被仰付候者小林弥二郎西村啓介
 岩間藤二郎【見せ消ち「年」】耳司太郎次四人ハ残ル耳司ハ老
 年病気ニ而始終門居候下町ハ立原十左衛門
 黒羽銀四郎栗田彦六三人残る
 いつれも御役御召【見せ消ち「救」】放ニ相成候わけハ昨年筑
 波ゟ下町え参り木村へ逗留いたし居中野連
 等用金申懸候一条尤も指出不申候と申候へ
 ハ上下町ヲ焼払候との事旁無據金子調達い

 たし遣候事ニ付此間中十日之間指控被仰付
 右さし控御免ニ相成間もなく御役御召【見せ消ち「救」】放ニ
 相成候
《割書:十七 日|三十七度》  朝より快晴辰巳の方え明方黒き根太
《割書:梅花追々開 》 雲出る五ツ時ゟ西風吹出四ツ過より
    七ツ時迄つよし夕方やむ
 《割書:穀町ニ而籾壱分壱斗ゟ壱斗五合|もち米ハ壱分ニ壱斗三升位》
 《割書:如何之わけニ候やもち米ハ売レ不申候よし》
《割書:十八 日|弐十七度》  大霜快晴寒気強九ツ時ゟ八時迄くも
《割書:節 分 》  り【見せ消ち「四」】八ツ時より快晴夜ニ入四ツ時より
    雨ふる
 《割書:鹿嶋辺ゟいそミナト辺之間いわし大漁事》
《割書:十九 日|弐十八度》  宵より雨ふる九ツ過より止てり立七
《割書:立春正月ノ節|朝五ツ時四分ニ入》ツ半過より又々小雨ふり
《割書:二十 日|三十 度》  朝よりむら雲時々はれくもり夜中ハ
    殊之外晴さむし
 江戸浅草田原町辺より当十二日夜五ツ時出
 火折節西風つよく観音前ゟ蔵前辺より花川
 戸小梅へうつり本所辺迄焼候よし
《割書:廿一 日|二十五度》  大霜快晴寒し四ツ時ゟ西風吹出九ツ

    時迄風つよし九ツ半時ゟ風止快晴
 《割書:籾壱斗五合|もち壱斗四五升》
 《割書:もちハ買人無之下落》
 浅草田町丁二丁目ゟ出火門跡脇通より雷神
 門中程迄焼夫ゟ猿若町後通り山ノ宿迄焼蔵
 前八幡宮辺焼る夫ゟ飛火ニ而本所津軽様御
 屋敷裏門焼竪川通焼る又飛火ニ而深川扇橋
 辺一丁四方程焼る又飛火ニ而小梅辺焼る大
 火ノよし
《割書:廿二 日|二十弐度》  大霜寒気殊之外つよし五ツ時ゟ西風
    吹出
《割書:廿三 日|弐十弐度》  大霜快晴寒気五ツ時ゟ西風立八ツ時
    より風止
《割書:廿四 日|弐十四度》  大霜快晴寒気つよし西風吹九ツ時風
    止夜五ツ時地震
《割書:廿五 日|弐十七度》  大霜快晴五ツ時地震風なし
 明六ツ時新鳥見町|角屋敷(深澤とや  )一軒焼る
  《割書:古内や清四郎物置より出来候由》
 明六ツ半時小泉おたけ安産男子出生篤三郎
 と名付候

《割書:廿六 日|弐十七度》  大霜寒気薄むら雲
 殊之外諸国とも金詰ニ而諸品余ほと下落元
 米此節江戸両ニ弐斗五升位ニ相成候よし
 八文海き類壱疋金弐分位ツヽも下候よし
 上州辺も追々下落絹太物類壱疋弐貫文位ツ
 ヽも下ケ結城紬縞壱反壱分ツヽ下当時壱反
 上もの三両壱分位下館玄米弐斗【見せ消ち「弐」】五升白木綿
 両ニ壱反四分位ニも相成居候所壱反七分わ
 た両ニ六百匁位之所八百匁位ニ相成候よし
 府中辺酒拾駄七十両位之所此節四十両位ニ
 相成候よし地嶋ニ而五〆五六百文之所此節
 壱反六百文位ツヽ下ち候よし
《割書:廿七 日|三十二度》  大霜快晴寒気夜五ツ時あられふる雷
《割書:夜八ツ時備前町 |原長屋やける》壱弐声直ニ快晴なる
《割書:廿八 日|三十 度》  大霜快晴寒気つよし少々西風ふく
《割書:廿九 日|弐十五度》  大霜快晴寒気つよし

 十二月廿六日御達
   《割書:廿八日|布 衣    綿服半袴》
   《割書:物 頭》

    《割書:物頭已下|  諸役人繾上下》
   諸御番方羽織袴
  来元旦
   《割書:布 衣熨斗目半袴|物 頭ゟ已下》
  御城詰合之族
   《割書:熨斗目綿服勝手次第半袴|軽きもの上下着用相済候分綿服上下着用之事》
   《割書: 但布衣已上出仕之上着替長袴》
  七 日   歳暮同断
  《割書:来正月ゟ物頭已上平日御城出仕之面々繾上下|着用之事》
 鹿島浦辺十二月中続而大漁押詰迄ニハ鹿島
 ゟ組上ケ辺迄壱万七八千俵も粕出来候而初
 ハ壱両ニ四分五厘位いたし居候所諸方殊之
 外金詰之上追々之大漁ニ而押詰候而八分五
 厘ニ而も買人無之随而魚油も十樽四十両位
 いたし居候所押詰り弐十七八両位ニ相成候
 而是も買人無之候よし磯浜計ニ而も網三十
 七八条も有之候よし壱条ニ付極不漁之もの
 五百俵位大漁之もの千四五百俵之漁いたし
 候由磯中ニ而も四五万も粕出来候よし甲子

 之大難も荒増埋メ候よし湊平磯辺も夫々之
 漁事無之候へ共殊之外金詰りニ而買人更ニ
 無之追々此上漁事続候ハヽ下落致し可申と
 の事ニ候

 江戸表も追々之風説ニ而ハ是迄青四文銭ハ
 一図通用不致赤四文銭計八文のわりニ通用
 致居候所此節青四文銭十弐文之通用ニ相成
 候由勿論壱両ニ八貫弐百文のわりニ而両替
 屋共買立候よしニ而此節俄ニ青銭買立ニ参
 り候もの有之候よし湊なとよりハ青銭を生
 荷ニ仕立候而江戸へ指出候よし御国ハ青銭
 八文之通用故余ほと利分ニ相成候よししか
 し又々御国中銭不足ニ相成難渋可致と存候


         ◯【印、「昭和十三年四月廿五日 購」】

巻15

《題:《割書:水|戸》大髙氏記録  十五》

【白紙】

  慶応四年
 日 記 帳
  戌辰 明治元年

  慶応四戌辰年
 六白中年
  寒暖計ハ五ツ時をしるし冬ハ其日の内
  の極寒き時分をしるし夏ハ其日の内の極
  あつき時分をしるす
    正月 小 甲寅
    五黄
    年徳あきの方己【巳の誤記】午の間万よし
《割書: |庚戌 おさむ》
元 日 大霜快晴明六ツ時乾の方より風少し
《割書:弐十一度》  ふく五時より西風少しふく九ツ時止

    終日快晴至極穏なり
二 日 大霜快晴寒気強九ツ時ゟ西風少しふ
《割書:弐十五度》  く七ツ時止至極穏なり
 旧臘晦日
 中納言様御慎御赦免被
 仰出候段一役壱人へ御達有之候条其旨奉承
 知麻上下着用月番御年寄衆御宅参上
 中納言様
 鉄千代様え御祝儀御申上可被成候
  尚々右之御儀ニ付松飾之儀ハ平年之通相
  心得心様御達有之候
三 日 大霜快晴寒気強七ツ時地震ゆる
《割書:三十三度》
四 日 朝むら雲九ツ時ゟちら〳〵雨ふる寒
《割書:三十四度》  気ゆるむ夕方止又五ツ過より雨四ツ
    時ゟ止
 御町奉行中
 此御砌御城下御取締別而大切之御場合ニ付
 往来之旅人御町内旅籠屋え止宿致候者姓名
 承り置烏論ケ間敷相見候得ハ屹ト相糺可申
 出候猶当三年已前ゟ御町内え借致居候も

 の身元町役人ニ而取調烏論之廉有之候ハゝ
 早速其筋へ申出候様可被相達候事
五 日 朝より快晴暖気春めく終日天気なり
《割書:三十七度》
六 日 霜ふる快晴四ツ時ゟ少し西風ふく
《割書:三十八度》
七 日 朝あられふる四ツ時ゟ快晴夕方より
《割書:三十八度》  西風強五ツ過止
八 日 大霜寒気五ツ過ゟ西風吹終日西風強
《割書:弐十四度》  夕方止夜中も折々西風ふく
九 日 大霜寒気強五ツ時ゟ西風吹終日風つ
《割書:弐十四度》  よし夕方止
 明七ツ過南町戸祭久之允殿長屋やける
十 日 大霜寒気強西風吹つよし夕方止
《割書:三十一度|節  分》
 夜九ツ時鉄砲丁筑波屋脇通り五軒町佐々木
 雲八殿長屋本屋やける
 玄米両  佐原上もの 弐斗
      岩キ 弐斗四升
      上総東金壱斗九升
      江戸 壱斗六升
 水戸初市籾両弐斗壱弐升

 ミナト玄米壱斗六升
十一日 大霜快晴寒気強西風吹
《割書:弐十九度》
 立春正月節夜五時三分
十二日 大霜薄むら雲薄てり四ツ過ゟ快晴春
《割書:弐十七度》  めく
十三日 大霜快晴寒気つよし
《割書:弐十七度》
十四日 明け七ツ前ゟ雪ふる終日大雪降夕方止
《割書:三十七度》  珍敷大雪なり
 《割書:岩城辺酒壱両ニ壱斗弐三升並酒壱斗六升|信州辺も酒壱斗六升》
 《割書:水戸ハ此節壱升鐚壱〆四百文売之由|鐚相場ハ九貫文他領九〆五六百文》
十五日 朝より快晴寒気強九ツ時ゟ曇四ツ時
《割書:弐十七度》  地震四半時地震
十六日 朝より快晴寒気強五半時ゟ西風殊之
《割書:弐十三度|当三日四日》  外寒気夕方風止夕六時地震
《割書:京都大合戦有之候由》
 今十二日四時
 上様 還御ニ付
 上公俄ニ御登 城被遊候由
  江戸初相庭
一 名古屋白     一三州白
《割書:五はん弐反八分|前後弐分開キ》    古新 弐反弐分

 いせ晒           改メ 弐反八分
  鈴鹿 弐反七分      間銘  三反五分
  奈ら和 弐反七分五    造り 四反五分
  前後二分開キキ
一わた
 三州銘三百九十三両   浜最上三百八十両
 坂上銘三百八十三両   京丹州三百六十八両
 坂丹州三百五十八両   焼 印三百三十八両
 篠 巻五百五十目
一油
 坂 水 七十両   種粕本〆壱枚壱分
 荏 漉 六十七両  胡麻粕 弐枚八分
 地水油 六十六両   仝粕 四枚
 胡麻油 八十三両
一古領米壱斗八升八合 一水戸大豆 弐斗八升
一南郷米 同断    一同小玉  弐斗七升
一府中米 同断    一高浜大豆 弐斗九升
一土町米壱斗九升六合 一小川小豆 壱斗六升五合
一同古米壱斗八升五合 一水戸大【(「小?」を大に傍記)】豆 壱斗七升
一餅米壱斗三升六合  一大麦   四斗五升

一小麦 弐斗八升ゟ九升 一搗麦 弐斗九升
一 麦 五斗
一寒川佐倉米 壱斗九升
一仙台廻米 壱斗九升五合
十七日 快晴寒気強に西風少し吹さむし夜八ツ
《割書:弐十三度|二ノ先江戸へ》 時地震
《割書:御登せ》
十八日 朝より天気風なし春めく
《割書:弐十八度》
十九日 朝より快晴暖気風なし
《割書:三十四度》
廿 日 明方より雪ふる四ッ時ゟてり夜中曇
《割書:弐十八度》
廿一日 明方より雪ふる四時ゟ止てり立夕方
《割書:三十五度》  ゟ雪ふる夜中ハ晴
 此節ゟ入穀御指許二相生り成候
廿二日 朝より快晴寒気強
《割書:弐十七度》
廿三日 大霜寒気強快晴
《割書:二十六度》
廿四日 朝薄むら雲折々てり立寒気つよし
《割書:弐十八度》
  江戸伝馬蛭六出大阪来状之写し由
 正月二日細川家御名代澄之【「助」を見せ消ち】介助様其外会津桑
 名公儀衆大垣高松候東御人数御先供として
 大坂御発駕二相成申候 将軍家ニも三日御
 上洛のよし専風聞有之候所正月三日夜ニ入

 市中騒々敷候ニ付如何と奉存候所伏見辺大
 火之由直様火の見抔ニて一覧仕候所市中追
 々騒立只事不成模様追々風聞仕候所昨日上
 京之諸侯㊉長公ト争戦之由是以風聞計ニ而
 一切取留不申候へとも夫ゟ市中様々之風聞
 而巳ニ而荷物諸方え持はこび又ハ土蔵片付
 候向大混雑實以筆紙ニ尽かたし三日夜中ハ
 何事も無之候而少し治り候就てハ金相場弐
 百五十匁位之由四日ゟ大坂㊉屋敷自分ゟ焼
 捨家中皆々立退候由又候出火ニ付相場つふ
 れ候事夫ゟ増々市中大騒きニ相成昨四日朝
 ゟ近在散乱過半立退申候風聞追々有之候所
 伏見過半焼失㊉長藝ゟ出張上鳥羽㊉長大合
 戦之模様と相成申候大坂方死人怪我人多分
 と申事ニ相唱申候大坂御城内ゟ人数追々御
 操出粮米抔車人足ニ而相はこひ居候よし今
 朝死骸首抔舟ニ而御下し之よし尤京伏一円
 通路無之江都状迚も同様飛脚方引合候へ共
 相立兼候由申断無是非仕合ニ御座候右ニ付
 市中事ニ而も区々ニ而一切相分り不申候誠

 ニ京伏之儀ハ尚更ニ而売買相休土蔵ハ一体
 之目塗立退せ待居候

   正月五日出
   江戸御触
 昨十二日
 上様御都合も被為在
 還御被遊候
 右之通町中不残可被相触候
   正月十三日      町年寄役所
 大坂ゟ昼六へ来状之由
 急使を以一筆啓上仕候然ハ今朝卯ノ刻当地
 御城北手筋御門辺ゟ火の手上り大キ驚入候
 然ル所辰の刻又々御城外南手ゟ火の手上り
 夫ゟ御小家廻り弐三ヶ所焼失仕候御城外廻
 り角矢倉弐三ヶ所焼落誠ニ以恐入候大坂の
 銘城ヲ焼失仕候段実以何共歎ヶ敷次第ニ御
 坐候市中ハ別条無之候へ共今以火鎮り不申
 候右三ヶ所之火の手一所ニ相成此後如何相
 成候や心配仕候然れとも市中之ものハ皆々

 御城内焼失見物而巳相身慎り市中静に相成候
 様奉祈念候先ハ不取敢右之段御註進奉申上
 候
   正月九日出
廿五日 大霜寒気つよし
《割書:弐十四度》
 夜九ツ時上金町わたや庄次郎土蔵焼る
廿六日 大霜寒気強薄てり
《割書:弐十七度》
廿七日 大霜寒気薄照
《割書:弐十八度》
廿八日 大霜快晴少し暖気なり
《割書:三十四度》
廿九日 朝より薄くもり終日くもり空也
《割書:四十弐度》
 黒砂糖旧冬追々下落致
  昨秋中大頭百六十両位致居候所暮ニ相成
  七十五両位ニ下落致候所此節又々引上百
  五十両位ニ相成売人無之候
 江戸表入口出口え関所出来出入とも印鑑無
 之ものハ通用不相成候よし

 泉町太田屋与衛門倅加納千代太郎事弐十五
 才親与衛門隠居致千代太郎幼年ゟ当主ニ相
 成居候所当月十三日朝土蔵二階ニ而首をく

 ゝり死其節見せ子供二階へ上り見受候而驚
 二階ゟ落同廿八日死候よし此子供に向井町
 伊豆やゟ参り居候よし太田やニ而享保之比
 土蔵ニ見せ之もの自害致候事有之其後十三
 年已前見せ支配人首ヲくゝり死又七年已前
 見せのもの土蔵ニ而腹ヲ切死候よし如何之
 因念ニ候や不思儀之事也

 旧冬ゟ馬口労町辺井の水更ニなし
  《割書:乙卯 》二月 大
《割書: |乙卯》
朔 日 宵より雨ふる寒気ゆるミ北風さむし【乙卯は己卯の誤】
《割書:四十五度》  雨ハ朝五ツ過より止終日大くもり北
    風迄吹
二 日 朝薄むら雲り終日薄てり
《割書:三十七度》
 此の節伝馬町蛭六下り候ニ付上方辺様子承候
 所今以大坂ゟ年始状も江戸表ヘハ参り不申
 候様子更ニ相分り不申候由ニ御坐候江戸表
 ヘハ先々御用金ハ御返済ニ相成候得共又々
 此節御用金火被仰出候よし

三 日 大霜快晴寒気強
《割書:弐十七度》
四 日 朝薄くもりむら雲むらてり北風寒し
《割書:弐十九度|初午》  東風さむし
五 日 朝薄くもりむら照東風にてさむし
《割書:三十五度》
六 日 明七ツ前ゟ雨ふり艮風夕方雨止
《割書:三十七度》
七 日 明薄むらくもり四ツ時よりてり立春
《割書:三十八度》  めく
八 日 明七五時地震快晴五ツ半時ゟ西風ふ
《割書:三十八度》  く八ツ時ゟ戌亥風強吹七ツ時迄止
九 日 大霜快晴寒気つよし
《割書:三十 度》
十 日 朝薄むらてり終日持合夜ニ入折々雨
《割書:三十五度》  ふる九ツ過ゟ雨つよし
十一日 宵より雨ふり朝五時西大風半時計ニ
《割書:五十一度》  而止又々四ツ時ゟ吹出ス西乾の風暮
    六時迄つよし
《割書: |今日ゟ鐚九〆弐百文》 
十二日 大霜寒気つよし四時地震むら照
《割書:弐十八度》
二月の節昼八時五分ニ入
十三日 明け方あられふる明六ツ半時ゟ雪ニな
《割書:三十七度》  る終日雪雨交りニふる北風にてさむ

    し
 《割書:此の節江戸ゟ日々の早打早駕籠等参り何事ニ|候や御国不穏大心配いたし候》
十四日 宵より雪雨ふるさむし九ツ半過ゟ止
《割書:三十五度》  西風さむし
 《割書:今日御家中惣|登城》
十五日 大霜寒気殊之外つよしむら雲り
《割書:弐十五度》
 《割書:日光筑波加波|山々大雪》
 御府内表珍敷不人気ニ而見合も無之由偖相
 場下り物ハ一向引下ケ不申漸々壱わり方も
 見能相成併店々大キニ不同有之此上下り物
 入津無之見込之者ハ旧冬相場同様申居候者
 も有之容易ニ手合出来不申心配仕候渡り物
 ハ日増下落相成可申との事地廻りものハ格
 別之下落ニ御坐候御府内表さして替りも無
 之穏ニ而京地大坂とも先ツ其後さして替も
 無之御府内表御大名方日々御在国ニ被為登
 誠ニ淋しき事ニ御坐候過日
 上様ニ而ハ将軍職御遠慮之思召有之紀州和
 歌山様ゟ思召有之
 朝庭え御願ニ相成候其旨相心得候様御触有

 之酒井様御大老職被仰付候よし
 諸相場左ニ
 一生金巾一番百四十五匁   緋五郎
  《割書:六斤弐分五厘もの|  》         《割書:長尺拾七両弐分|短尺 拾六両三分弐朱》
 一天笠弐番四反取百十五匁  紫五郎拾三両壱弐分
 一緋金巾四反取百三十五匁
 一《割書:金巾薄|黒そめ》二番拾六匁弐分    同日本染一番弐十匁五分
 一所澤唐糸生八丈弐十六匁  野毛嶋 弐十七八匁
 一二子川越 《割書:三十八九匁ゟ|四十五匁》     川越前懸尺六 三匁六分
 一いせ晒          同  尺三 弐匁七分
   鈴鹿 弐反七分五厘   三白
    《割書:奈ら和|雲井》弐反九分      《割書:古新 弐反四分五厘|改 弐反七分》
 一平立染金薄         《割書:銘 三反五分|造 四反五分》
    《割書:壱はん弐十五匁》      一青縞
 一金ゆうこん弐十六匁     《割書:上 六十五匁|中 六十匁》
 一縮緬 《割書:三十八九匁|四十弐三匁》       《割書:下 五十五匁|》
 一紫紋五郎《割書:七丈もの|五両三分》       一手巾旧冬同断
   京都張札
     利大膳太夫
  朝敵之外大罪人ハ御免被遊候旨相触候

 仁和寺宮様
 将軍職被遊候よし
 諸大名御殿女中御暇日々あまた有之候
   二月七日出
十六日 大霜快晴寒気
《割書:三十度》
 此節棚蔵米両弐斗弐升位
 上州辺も弐斗弐三升位
 此節殊之外金詰りに而買人なし
 京都ハ先日騒動中ハ白米両六升八合之由
 京中殊之外金ハ寄り候よし諸国の金銭京中
 へ集候事と相見候よし
 今月十日夜小石川御屋形江飛坂の方より鉄
 砲余ほと打込候よし何事か更ニ相わかり不
 申候よし
 中納言様七日ニ御登城被遊候而十日に御帰
 館ニ相成候よし
十七日 朝くもり北風寒し終日同断もやう夜
《割書:三十八度|小林江遣候》
《割書:お定事昼八|ツ時男子出生》 中北風つよし雪雨ふる
十八日 宵より雪ふる五時ゟ止北風さむし終
《割書:三十五度》  日薄くもり

十九日 朝むら雲四ツ過よりてり立
《割書:三十六度》
廿 日 朝より快晴夜ニ入四ツ過よりくもり
《割書:三十六度》  雨ふる
 当月十二日宇都宮へ歩兵五百人程参り右近
 辺ニ而金さく致候由ニ而宇都宮ゟ人数繰出
 氏家と申所ニ而鉄砲打合有之夫ゟ会津之方
 へ参り候よし御国ニ而も右之風説ニ而所々
 御廻文有之候
廿一日 宵より小雨南もやう四時ゟ照立南風
《割書:三十八度》  八ツ過ゟ強七ツ半時大風雨稲光半時
    計ニ而止快晴ニなる
 江戸表へ大坂ゟ来状之由
  兵庫神之浦開港
  外国奉行
     薩州家臣   岩下佐次衛門
            寺嶋金蔵
     長州家臣   伊藤駿蔵
  運上所詰
     九條 殿
     有栖川殿

 右之通京都ゟ被仰出候
   辰二月
廿二日 朝より薄くもり折々薄てり夜中雨降
《割書:四十度》
廿三日 朝くもり薄照夜六半時雨ふり四時雪
《割書:四十五度》  ふり明方止
廿四日 朝より天気風西さむし折々くもり
ひかん
廿五日 大霜快晴夕方雪雨少しふる
 明七ツ時位小林弥二郎妻ニ遣候おさた事産
 後値血之症ニ而死行年弐十弐才同二十六日光
 台寺へ葬 光雲院清誉妙照信女
廿六日 霜ふる快晴東風夕方止
《割書: |二月中》
廿七日 大霜快晴寒気つよし
春 分
廿八日 大霜快晴南風吹夕方止くもり夜五ツ
《割書:府中|玄米弐斗弐升》 過ゟ又々南風吹つよし七ツ時雨ふり
廿九日 朝くもり五ツ時ゟ南風吹七ツ半時迄
《割書:町触| 昨日鈴木弥太夫》大南吹夕方止
《割書: 役所勤雇| 廿九日御用御町方勤御代官列生井秀三郎》
《割書: 御徒格笹嶋左太郎 御徒格神永藤之介| 御文庫役列佐藤徳蔵》

晦 日 朝より大曇北風夕方迄吹夜中迄さむ
《割書:四十八度|社日》  し
 大工町松坂屋弥兵衛一昨丑秋中見せ召遣之
 子供相果候儀ニ付弥兵衛儀入牢致倅寿之介
 事町預ケニ相成居候所当廿九日弥兵衛事御
 呵押込寿之介事閉戸青竹ニ被仰付候由支配
 人も御呵ニ相成候由

   《割書:丙辰|  》三 月 大
朔(戊酉) 日 霜ふる快晴西風寒し終日快晴【戊酉は己酉の誤、戊酉は存在しない】
《割書:三十四度|日光山雪》
二 日 霜ふる快晴寒し西風
《割書:三十四度》
三 日 明方より雨ふる終日雨ふる夜中も雨
《割書:三十五度》  さむし
四 日 明方迄雨ふる
 二月廿八日 出
 此之油之儀大下落尤上方も下直米穀目切下
 落
 一 🈭【中、角囲い】坂水六十五両  地水油 六十壱両
 一 ヱこし六十六両  胡广油  八十壱両

 一種粕本 三枚九分  並  四枚八分
 一胡广粕本 三枚五分  菜種 弐斗八升
  上方十八日出🈭【屋号四角囲い】水三〆百四十八匁
       金 弐百弐十五匁

 扠当地之義気配并市中之風説御出府之節同
 前二御坐候而誠二日々諸家様御出立二而御
 入国被為遊候而市中騒々敷実二如何二相成
 候や相訳【訣】り不申併先達而御出府中二歩兵等
 との市中二而東西をあらし誠二諸商人困居
 処当廿二日触之御趣二而
  近来歩兵共於市中乱妨甚敷商人共大二及
  難渋之趣以之外之儀ニ付今般右為取締役
  々附寄兵士巡為致乱妨之者共ハ勿論市店
  ニ於かさつ捕改ヶ間敷所業ニ及候ものハ
  見掛次第即時召捕夫々厳刑ニ処し若手ニ
  余り儀は打果可申候尤も其旨前以兵士共
  申諭置心得違之もの無之様可致候就而ハ
  於役々も御主意柄急度相心得厳重御取締
  相立候様可致候右之通陸軍奉行並始へ相

  達候間市中之者共其旨相心得候様可致候
 右之通御達ニ相成候間大きニ市中ニ而ハ安
 心仕居候右歩兵等ハ町方へハ少しも出不申
 壱人たり共見付次第御召取ニ相成候間右騒
 キハ無之候得共日々御屋敷様方御入国ニ相
 成【候を抹消】甚タ困居候静ニ相成候様奉祈居候
   二月廿九日
五 日 朝より雨ふり終日くもり
《割書:四十一度》
 昨日御立ニ而
 公辺御目付衆一 頭(マヽ)御出ニ相成候由ニ而此方
 ゟハ御役人衆小幡迄御出張ニ相成候よし
六 日 朝くもり折々雨ふる夜中はれ
《割書:三十八度》
 此程誣説流言ニ驚キ御町人共之内ニハ家財
 等取片付又ハ家内等離 参(マゝ)いたし候向も有之
 候由揺動ヶ間敷相聞以之外之事二候第一御
 取締之妨ニ相成候条市中住居之もの后後右
 様之儀無之様町役人共申諭萬一右触之面不
 相用候ハゝ御沙汰之品も有之候条心得違無
 之様支配切無洩可相達候以上
   三月六日      笹嶋左太郎候

七 日 大霜快晴西風寒折々むらくもり
《割書:三十六度》
八 日 霜ふるむら雲終日曇り空ニ而寒し
《割書:三十八度》
 在々ゟ竹鑓手鑓鉄砲等所持致 御城下へ出候人数夥
 しき事
 七日より銭相場両九貫五百文
 八日公辺ゟ御目付衆御着ニ相成候由
九 日 霜ふるむら曇り終日むら雲夜五ツ時
《割書:三十五度》  少し雨ふり
 此節極々不景気ニ而諸商ひ更ニ無之大難渋
 やとや居酒屋等ハ宜候よし
 水戸城下此節籾大下落ニ而籾両ニ三斗七八
 升ゟ四斗余迄
 府中玄米弐斗六七升佐原龍ケ崎辺ハ三斗五
 六升ニ相成よし

 江戸表も諸大名方不残御国へ御引ニ相成候
 而殊之外さひしきよし御旗本も夫々知行処
 へ家内中引連在々又ハ寺なとへ住居致居候
 よし

 此節水戸御城下ハ騒動有之市中御家中等商
 ひ品ハ勿論家財道具等荷造致他所知音親類
 又ハ在々等江附出候事夥しく老人小児等ハ
 駕籠又ハ馬ニ而送り立退せ候様子ニ候よし
十 日 朝より薄くもり昼比ゟすこし照立夜
《割書:三十五度》  ニ入雨ふる北風
十一日 朝よりくもり北風終日くもり空なり
 十日夜諸生衆大臣方大田江退去致候よし
《割書: |清明三月節》
十二日 朝よりくもり終日曇空なり
《割書:四十三度》  
 諸生方太田ハ今朝迄引払奥之方江参り候よし
十三日 朝むら雲り四ツ時ゟ照立八ツ過より
《割書:四十五度》  夕立もやう大雷壱弐聲直はれ快晴
 三月七日出
 当地差而相替候儀無御坐候へ共
 御勅使様小田原辺迄御下向ニ相成候由専風
 聞御坐候而江戸表市中土蔵目塗なといたし
 候族も有之候此後如何相成候や心配仕候右
 之成行ニ御座候間諸品相庭之儀も大キニ下
 落仕候

 此度相触候通従京都表御軍務御発向相成候
 實以奉恐入候儀ニ付只管恭敬謹愼御沙汰相
 待候事ニ付官軍へ対し決而祖忽之挙動有之
 間敷候右は
 天朝へ対恐入候義は申迄も無之且府下百万
 生霊へ塗炭之餾入候様相成候義ニ付實以不
 忍次第ニ付仮令忠義之心ニおひても此旨ニ
 相悖候ものハ我意背候ものニ付予の身ニ刃
 伐加ふるも同様之義ニ付此旨篤与相弁心得
 違無之様可致候事
   三月十三日御触
 一ノ先御備青柳枝川辺迄くり出ニノ先も
 御出張
十四日 霜ふる快晴夕方ゟくもる
《割書:四十弐度》
 公辺御目付ゟ
 今般
 中納言様御下向ニ付而ハ何欤心得違之者共
 銘々産業をも打捨動揺いたし候趣ニ相聞以
 之外之事ニ候畢竟都而厚御仁政を以格別寛
 大之御所置ヲも被 仰出只々専 御国内鎮

 静之事を深被思召御下向被為遊候義ニ付仮
 令一旦心得違之挙動いたし候者たり共心ヲ
 改候者ハ決而御咎無之候間銘々難有相心得
 在町とも安心いたし已後先前之通無懈怠産
 業相励候様可致事
  《割書:辰| 》三月    岡田斧五郎
         梶 清三郎
 右之趣早々御領内ヘ御触渡有之候様致度候
 事

 中納言様去ル十日
 御発駕被遊候旨相達候処明十三日
 御発駕有五日御道中ニ而十七日
 御着城可被遊旨被 仰出候
十五日 朝より快晴風なしむらくもり
《割書:四十度》
 大坂玄米両五斗
 江戸同  三斗八升  龍ケ崎三斗
十六日 朝より快晴
十七日 朝より快晴
《割書:四十三度》
十八日 朝薄くもり春めく夜五ツ過ゟ雨南風
《割書:四十五度》

    つよし
一        諸向江
 中納言様昨十七日明七ツ時御供揃ニ而
 御発駕被遊五日
 御道中ニ而来廿一日
 御着城
 鉄千代様常三郎様ニも御同道可被遊旨被仰
 出候
 御廉中様繁姫様愛姫様随姫様ニも来ル十九
 日御発駕五日御道中ニ而同廿三日
 御着城可被遊旨被 仰出候条其旨可奉承知
 候
 右之趣支配々末々迄可被相達候事
十九日 朝大くもり南風吹夜中も南風
 《割書:今日一番手二番手三番手迄太田辺御繰出二相成候よ|し》
廿 日 朝薄くもり暮六ツ時より大雨雷鳴一
《割書:五十四度》  時計雨ハ終夜風つよし明方止
 十七日十八日両日は御屋敷ニ余程召捕等有
 之候由御杉山辺通り其外所々ニ被切殺候御
 家中有之候よし下町中江や上町松坂や彌兵

 衛御召捕ニ相成候由
《割書: |日光山雪見ゆる》
廿一日 朝より快晴西風寒し快晴なり
《割書:四十八度》 
 中納言様
 鉄千代様
 廿一日御着城ニ付為御迎平服着用明六ツ半
 時罷出候様御達

 長岡ゟ下町 御通行 ニ(マヽ) 御着ニ相成候ニ付
 御迎ニ罷出候者下町へ罷出候所俄ニ上町通
 り 御通行ニ相成候趣ニ而皆々上町え参り
 居候所八ツ過
 御着ニ罷成候上町町人ハ向井町へ罷出ル下
 町町人ハ大工町え出ル町衆与力郷士等ハ三
 ノ丸見附外え罷出候席順之札相立居候間其
 席え罷出候よし見附内ハ御番頭之札立居候
 由
廿二日 霜ふる快晴夜ニ入雨ふる
《割書:四十一度》
廿三日 朝くもり九ツ時ゟ雨ふる直に止夜ニ
《割書:五十度 》  入雨ふる
《割書:江戸玄米弐斗六七升|水戸ハ白米 弐斗》

廿四日 朝快晴
《割書:五十度》
 御廉中様昨日御着之御達有之候処藤代宿ニ
 而御不例之由いまた御着ニ不相成候
 
 当月初方ゟ上下市中如何ニも騒ヶ敷候而諸
 荷物商売品等荷送致近在又ハ宍戸笠間柿岡
 太田奥筋へ夫々知音之所へ指送り頼ミ置候
 所笠間へ此方御目付方ニ而御出張所生衆之
 荷物御改ニも相成候よしニ而商荷も笠間え
 頼置候分ハ切ふとき次第も無之分ハ勝手次
 第引取候様ニと昨日御免ニ相成候よし見せ
 ニ而も反物類五十固ふとも水戸や清兵衛所
 へ頼置候分御指留ニ相成居候所昨日御改四
 五固切解キ御改ニ相成候所全売荷ニ相違モ
 無之候ニ付勝手次第引取候様御申聞有之候
 よしニ而追々引取候事尤衣服類其外刀剣類
 金子入抔之荷物も有之候由是ハ少し之内御
 勤印ニ相成候よし

廿五日 朝むら雲快晴ニなる暖気
《割書:五十一度》
今日なと桜花咲
廿六日 朝薄くもり快晴
《割書:五十三度》
御姫様方今日御着
廿七日 朝花くもり終日くもり空にて北風ふ
《割書:五十四度》  く夜中も風吹
 一昨日結城ニ合戦有之候由是ハ妾腹の御子
 と二本松ゟ御養子ニ相成候御子と家督相続
 之事之由二本松ゟ参り結城合戦焼払候由是
 ハ追而承り候ヘハ合戦ハ有之候へ共二本松
 と之戦ニハ無之御家中もめ候よし
 府中辺追々諸品下落玄米両ニ弐斗七八升麦
 米三斗弐升何方も大不景気ニ而金銭ふゆう
 そう諸人大難儀のよし別而呉服太物類莫太
 之損毛当節一円ニ売れ不申候
《割書: |三月の中》
廿八日 明方北風雨ふる終日小雨ふる夕方風
《割書:五十五度|桜花盛り》  止
廿九日 宵より小雨ふる四ツ時晴照立八ツ過
《割書:五十度 》  ゟくもる
晦 日 霜ふる天気西風吹終日快晴
《割書:四十一度》

 御廉中様今日八ツ時位
 御着被遊候

 結城之合戦ハ当城主ハ御二男ニ而妾腹之御
 子有之夫を家督ニ致候と申家中と又外ニ家
 督致させへき御子有之候を家中二わかれニ
 相成此節城主江戸ゟ御国入之節道中ニ而歩
 兵を弐百人余頼参り懸合候所結城ニ居候家
 中ハ殿様右歩兵へ雑り参候を不知放発いた
 し候所全殿様之よし夫ゟ相引候所歩兵之方
 ニ而金五百両指出候ヘハ相引可申との事ニ
 而結城ニ而ハ弐百両内済金指出可申懸合候
 所五百両ニ無之候而ハ不相成候趣ニ而城へ
 火を懸焼立候ニ付城中ニ居候家中不残退散
 致笠間へ落候ニ付城主ニ而も城へ参候所家
 中ハ一人も不居致様無之城主も真壁辺へ参
 居候而後悔致居候よし城下ハ焼不申との事
 珍敷事ニ御さ候

 江戸表へ当十五日方官軍御先手繰込所々明

 屋敷へ着致候由ニ而市中俄に騒立諸道具は
 勿論商ひ品荷からくり致日光道中は勿論上
 総下総所々え指出候ニ付大混雑ニ而流山迄
 立船壱艘常ニは弐〆弐三百文位之所此節五
 両七両位道中駄賃一里四百文位之所弐〆三
 貫文ニ而も中々人夫馬等間ニ合不申候老若
 男女之逃出候もの数不知大店小店不残諸品
 荷造所々え附出商ひ休み候得共三日方ゟ静
 り少し商ひ初候内も有之候由官軍は小田原
 辺ゟ江戸迄ニ止宿致一手は甲州道十三四宿
 ニ止宿中通りは板橋辺ゟ是も十三四宿ニ止
 宿致居候よし江戸ゟ京都へ御願之趣も有之
 候よしニ而当時は静り居候よし

  《割書: 丁巳》四月 小
《割書: |己卯》
朔 日 朝より快晴
《割書:四十四度》
二 日 朝より快晴夜中くもり
《割書:五十二度|鰯漁事有》
三 日 明方より小雨ふる折小雨ふる夜中も
《割書:六十三度》  雨

四 日 朝小雨ふる四ツ時ゟ止快晴薄暑位な
《割書:五十八度|鯛沢山ニ来ル》 り
五 日 明方ゟ丑等風小雨ふる五ツ時大雨小
《割書:五十三度》  し過止夕方雨止
 秩父辺之博徒追々百姓を集当時四千人余之
 由上州辺わるもの徒党致所々打こわし其ま
 きれニ何品ニ而も取安るき候よし
六 日 朝くもり折々薄てり北もやう冷気
《割書:四十五度》
七 日 朝よりくもり折々小雨ふる冷気夜中
《割書:五十一度》  雨つよし
  御三家御用聞へ
 此度一橋殿田安殿御連名之御嘆訴状御持参
 東海道官軍大総督宮方へ御参上若年寄大目
 付御目付共同様為嘆願罷出候処
 上様御恭順御謹慎之御誠意相顕候ニ付而は
 寛大之思召ヲ以
 御沙汰之品御先鋒総督ゟ
 勅 定(マヽ)ヲ以可被仰出候段被仰出候ニ付而は何
 も此上兼而之御趣意相守弥相慎居候様可致
 候

右之趣向々え早々可被相触候
   四月
 中納言様御所労別而御勝不被遊候二付年寄
 衆於部屋
 中納言様鉄千代様御機嫌御伺且御支配中御
 文庫役以上之族御月番年寄衆御宅へ参上相
 伺候様御達之事
   四月六日
 今日夕方 上様湊へ蒸気船二而被為入候御
 沙汰二御家中方わらんじ又は石踏【「硝」を見せ消ち】抔二而か
 け歩行候
 一      諸向へ
 此度
 上様御儀従
 朝廷御沙汰之品被為在此表へ御下り被遊弘
 道館へ着御可被為成候二付而は万事御恭順
 御謹慎二被為入候御事二候条其旨奉恐察御
 家中一統別而相慎聊動揺ヶ間敷義無之様可
 被致旨被仰出候
 右之趣支配々末々迄可被相違事

 右之趣伺々え早々可被相触候
   四月
 中納言様御所労別而御勝不被遊候二付年寄
 衆於部屋
 中納言様鉄千代様御機嫌御伺且御支配中御
 文庫役以上之族御月番年寄衆御宅へ参上相
 伺候様御達之事
   四月六日
 今日夕方 上様湊へ蒸気船二而被為入候御
 沙汰二御家中方わらんじ又は石硝【「踏」を見せ消ち】抔二而か
 け歩行候
 一     諸向へ
 此度
 上様御儀従
 朝廷御沙汰之品被為在此表へ御下り被遊弘
 道館へ着御可被為成候二付而は万事御恭順
 御謹慎二被為入候御事二候条其旨奉恐察御
 家中一統別而相慎聊動揺ヶ間敷義無之様可
 被致旨被仰出候
 右之趣支配々末々迄可被相違事

   四月七日

 上州梁田と申所御陳【(陣)】屋有之当節御旗本其外
 歩兵将碁組等七百人余居候所此度官軍東海
 道中海道甲州路三路ニ御下りニ相成候由之
 所当三月九日明方官軍右陳屋へ押寄合戦有
 之御陳屋之方ニ而は未タ支度も不致候所俄
 之事ニ而負軍致死人七十人余有之夫ゟ不残
 高原峠を越会津へ退去致候よし官軍は薩長
 美の大柹の人数とも申候由大柹ノ兵四五人
 死人有之候との事

 上州佐野辺ニ而も荷物造皆々逃支度致候此
 節は宇都宮辺も荷からくり致居候由
八 日 明方迄くもり六ツ半時より晴又々曇
《割書:五十五度》  り
 江戸ゟ下り候者はなし
 当四日官軍千住宿通りニ而御着
 勅諚之由ニ而御長持へ油簟【(「暈カ」を簟に傍記)】をかけ右御長持
 前後ニ官服着若キ堂上方一人ツヽ馬上ニ而

 弐人其余は剱付鉄砲夷服そき袖ニ而千人余
 警固致浅草門跡へ御着之由五日六日両日迄
 ニ官軍不残江戸へ御繰込ニ相成候よし品川
 通四ツ谷新宿通ニ而追々御くり込候よし江
 戸中店々不残戸ヲ〆蔵ニは目ぬり致置商ひ
 は一切相休居候よし
九 日 朝より快晴終日天気なり
《割書:五十度》
 夜四ツ時比袴塚本行寺向通り四五軒焼る

 今日之沙汰ニは七日八日方ニも可有之や宇
 都宮へ会津之人数押寄合戦有之宇都宮ハ負
 候而退散致候との風説
十 日 朝薄花くもり四時過よりてり立終日
《割書:五十二度》  天気
十一日 朝花曇北風冷気終日くもり夕方より
《割書:五十三度》  雨ふる
《割書: |両銭拾貫文ニなる》
十二日 朝より薄くもり
《割書:六十一度》
 上様今十日江戸表
 御発駕陸路
 御下向五日御道中ニ而来ル十四日弘道館へ

 着御被遊候条其旨奉承知御家中一統御恭順
 中別而謹慎罷在揺動ヶ間敷儀無之様可被致
 候
十三日 朝薄照冷気
《割書:四十三度》
 昨日歩兵百人余鈴田の方ゟ磯の浜通り湊の
 方え参り候由是は仙台の方へ参るとも又会
 津へ参るともさた有之候
  《割書:清水町反前ニ下町晒屋ニ候よし被切殺首|をさらし有之候よし》
十四日 朝薄くもり冷気也四ツ時ゟ快晴
《割書:四十五度|四月の節》   《割書:八丁目反州ニ御町同心本田と申も|の被切殺候よし》
 上様被為入候ニ付御供之御方々
  《割書: |若年寄》      《割書: |大目付》
   浅野美作守   梅澤孫太郎
 上様水戸表え被為
 入候ニ付御供致罷越候様可被致事
  《割書: |御目付》      《割書: |〃》
   桜井庄蔵    加藤行蔵
      遊撃隊頭
   高橋伊勢守   今堀越前守
   駒井但馬守   小山太郎左衛門
   伊庭軍蔵    右組不残
   同惣頭壱人   同遊撃隊頭
              《割書:四人》

   同六百廿人
   精鋭隊頭弐人   組弐百弐十人
      御小姓
   新村主計頭    成田下総守
   荒井筑後守    吉松式部小輔
   千田  要    田村佐十郎
   中村錠太郎    村山久五郎
   萩澤幾之進    小路三之介
   山本四郎     玉虫十五郎
      奥詰
   西  周介    村山弥左衛門
   倉持鎌次郎    澤田陽一郎
   常見鯛蔵     岩田孫五郎
   守能与左衛門   古川定一郎
      御医師
   石川香雲院    林 洞海
   戸塚文海     石坂宗哲
      御膳所もの七人
十五日 朝くもり北風冷気四ツ過ゟ照立
《割書:四十三度》  《割書:鼠町ニ而御町同心中川儀兵衛養子被|切殺有之候よし》 

 上様今日片倉御旅宿ニ而四ツ時下町御通り
 二而弘道館え
 御着被遊候御同勢三四百人程
府中麦四斗弐三升
十六日 朝薄くもり北風四ツ過よりてり立
《割書:五十度 》  藤柄【「塚」を見せ消ち】並木ニ被切殺候もの有之候由
十七日 朝くもり終日薄くもり空にて北風
《割書:五十四度》
 昨夜長町ニ鈴木三九郎忰被切殺有之候よし
十八日 朝薄くもり四時ゟ快晴
《割書:五十八度》
 久保町辺ニも被殺候もの有之候由
十九日 朝より快晴南風ふく
《割書:五十六度》
廿 日 朝より快晴薄暑位南風吹
《割書:六十四度》
 上様江戸表御立後水海道辺取手藤代其外江
 戸近在乱方人多く有之江戸上下之御飛脚も
 通り兼候趣
廿一日 朝薄くもり南風吹終日南風夜ニ入雨
《割書:六十四度》  ふり終夜雨風
 昨十九日笠間古町辺何方之人数ニ候や押寄
 古町を焼候ニ付笠間二而は大橋を切落戦候
 由ニ而右人数何方へか引取候よし

  是は風説ニ而何事も無之候よし

 今日江戸表へ仕入ニ参り候者下り候而之は
 なし江戸道中小金辺ゟ藤代辺迄は間ニ凡弐
 百人程徘徊いたし居物持等え押借或は旅人
 等之金子を奪取又は通り之荷物等を切ほと
 きなといたし候ニ付道中通り止り居候よし
 江戸表は此節は静之由

 昨日下館城主五十人程ニ而府中へ落参町宿
 へ逗留いたし今日水戸ニ参候由
 薬王院へ止宿之よし
廿二日 宵ゟ雨艮風冷気終日雨風強夜五ツ過
《割書:五十四度》  止
廿三日 朝よりむら雲艮風ふく冷気四ツ過ゟ
《割書:五十五度》  晴終日むら雲風
廿四日 朝より快晴
《割書:四十八度》
 昨日烏山ゟ加勢之兵ヲ借ニ家老参候由今日
 小見川の家士水戸へ百人余逃参候よしのさ
 た

 朝倉清七殿御町奉行被仰付候
廿五日 朝くもり北風冷気終日むら雲夜中く
《割書:五十度 》  もり
 江戸表当時玄米弐斗五六升
 銭当百両拾〆五百文
  青文久鉄銭拾四〆弐百文
 芝居も有之候由両国奥山辺も都而此節初り
 候よし
 市中も見せ〆切商ひ休居候所追々見せをあ
 け商売相初り候よし

 先年見せニ而召遣候下総布施近村花井村と
 申所ゟ子供指置候所元服なといたし孫兵衛
 申十八九才迄置候所出奔いたし銚子釜屋三
 右衛門と申所へ右之者姉縁付居候所へ参り
 養子ニ相成居候由之所此度府中本田や万助
 其外角新宅一丁目新宅を以申訳有之候ニ付
 出入相済し申候而今日参候事

 一昨廿四日中妻郷ニ而夜中大炮ヲ合図ニ打

 十七八ヶ村集り候而加倉井村弥三郎と申者
 宅へ打こわし元米弐百俵余も有之候分持出
 夫ゟ寺え集り居候よし
 大筒は花火筒のよし此辺へも聞へ申候追而
 頭立候者笠間へ召捕ニ相成此節静り候よし
 
 両三日已前奥州塙領御預り之御旗本当地え
 家内家来其外荷物等持参ニ而逃集り候由馬
 口労町紙や清三郎へ止宿今日出立之よし是
 は俄ニ塙領仙台領と相成とのよしニ而立去
 り候よし紙清咄ニ承候所水戸へ御かヽひニ
 相成度よし願出候ヘ共不相済何方をあてと
 申なく鹿嶋の方え出立いたし候よし
廿六日 朝むら雲冷気四ツ時雨ちら〳〵ふる
《割書:五十四度》  照立夜中くもり
 昨夜ゟ文久銭四文通用之御達出る
 是迄両三年八文ツヽ通用被仰出居候所江戸
 表并水戸計八文通用ニ而他国は八文ニは通
 用不致居候ニ付如何ニも文久計水戸へ参り
 諸人難渋致小買物等致候ニは何分も受取不

 申突当而巳【已?】出来候ニ付先年之通四文之通用
 ニ相成候よし
廿七日 宵より小雨ふる四ツ時雨強九ツ時止
《割書:六十三度》  てり立直ニ雨ふる終日夜中も雨ふる
 下ふさ行徳辺市川辺へ新長屋いくつも出来
 候而御旗本御家人等之家内妻子等借住いた
 し居なれもいたさぬ豆腐屋又は団子屋なと
 いたし居誠ニあわれなる様子之よし

 御旗本は官軍操込候ニ付江戸ヲ立所々え散
 乱いたし又は上総下総辺へ弐千人余一か
 たまりニ相成居候と申さたも有之候

 江戸川々の口々ニは高瀬船ニ諸家の荷物奥
 方其外家内之数不知居候よし

 当十八日方宇都宮ニも官軍井伊家の人数と
 会津の人数と合戦有之宇都の宮城中市中共
 大半焼候よしのさた
廿八日 宵より雨つよし明方より小雨南もや
《割書:六十八度》

     うニ而むし四ツ時ゟ艮の風冷気きり
     雨つよししけもやう終日雨ふる
《割書: |四月中》
廿九日 朝くもり冷気五半時より薄はれ四ッ
《割書:五十六度》  過よりてり立
 水戸御城下市中御触之写
 文久銭是迄八文通用之所今日四文通用相済
 候条百文銭等取交通用可致候
 一諸品直下ケ之儀追々相達候面々心得も可
  有之候所近比相弛一旦直下ケ致候へ共仕
  入元直直下ケ二相成候而も已前之直段売
  買致候向も有之や二相聞不相済候事二候
  尚又此度文久銭四文通用相済候二付而は
  一際心ヲ用何品二不寄速二直下ケ売出候
  様可致万一利欲二泥之是迄之姿二売買致
  候者於相聞二ては召捕厳重御沙汰之品も
  有之候条面々正路二売買いたし候様御達
  二相成候事

 七軒町泉町へ立札之よし
   捨札之写

 此鈴木石見と申者従
 京都厳重御沙汰之趣も有之候之処重職之身柄
 年来姦悪之所業不少剰不容易謀計相企及脱
 走候仕抹悖逆無道よつて重科如此行もの也
   辰四月
 此友部八太郎与申者従
 京都厳重御沙汰之趣も有之候之処年末鈴木
 石見え及党与二剰不容易謀計相企及脱走候
 仕抹悖逆無道よつて重科如此行もの也
   辰四月
 他所は鉄新四文銭は壱両二拾七〆文位二出
 来候由水戸は両二拾貫文二候間他所ゟ馬二
 而附込候よし江戸は鉄四文銭は壱両二拾四
 〆弐百文位夫故当百銭一枚出候へは百三十
 弐人位二取替候よし水戸は是迄文久四文銭
 八文二通用致居候所他所四文之通二有之候
 間水戸へ入候得は倍二相成候二付是迄澤山
 二参候所此節四文之通用二相成候二付格別【「是迄」を見せ消ち】
 諸品売買も宜相成候よし是迄はとうふや其
 外小買物等は商売休居候而不自由二相成候

 所やう〳〵とうふなとも初り候よし
江戸四月廿日方
 江戸 白米弐斗六七升 三州わた弐百四十両
 百銭 十〆九百三十弐文 文久拾四〆弐百文

   閏四月 小
朔 日 朝より快晴夕方北風少々吹
《割書:五十四度》
二 日 朝より天気むら雲夕方ゟ曇り
《割書:五十六度》
 《割書:昨日昼七ツ時比御手先同心之由江林寺墓所|ニ而被切殺候由》
三 日 朝薄くもりむらてり四ツ過より南風
《割書:六十三度》  吹終夜風つよし
 昨日笠間へ商用ニ而参候者有之候所市中は
 不残戸立内ノ様子は畳立切等も無之明家同
 様ニ而男計残り居老人女子供等は四五里位
 之在々へ荷物等一同ニ立退居候由市中二階
 なとは戸障子も無之明払ニ而柱計見候よし
 漸々一昨日あたり商ひ相初候様御触有之今
 日抔少々は見せ商ひ初候店も有之今両三日
 も様子を見候而荷物等も引取可申とのさた
 之よし

 一昨日宍戸在友部村ニ友部八衛門と申者有
 之候由之所昨夜本家隠居不残焼失致候よし
 是は水戸友部八太郎と申人之本家之よし宍
 戸の者はなし有之候よし

一御人数是迄町宿ニ有之候所一昨日抔より上
 下町逗留之御方寺々え止宿ニ相成候由上町
 は神応寺祇園寺桂岸寺等之由
一下町薬王院は下館城主家中参居候よし其外
 黒羽烏山城主家中等も参り居候よし白川城
 主も参候よし是は官軍へ随ひ候へは会津ゟ
 攻られ会津へ随ひ候へは官軍より攻られ無
 様何方も小大名は退去致候よし
四 日 明方より雨ふる四ツ過より北風冷気
《割書:七十度 》  雨風なり夕方止夜四ツ時地震ゆる
五 日 朝くもり冷気四ツ時よりてり立九ツ
《割書:五十弐度》  半時ゟむら雲
 昨日喜連川辺まて湊ゟ籾代かけ取ニ参り候
 ものゝはなし先月十七八日宇都宮ニ合戦有
 之市中不残焼鎮守明神社も焼其節死人四百

 人余有之候よし此節も彰義隊と官軍と日光
 道中徳次郎と申所ニおいて日々合戦有之多
 分両三日之内徳次郎も焼れ可申とのよし喜
 連川辺迄は日々大炮の音聞え宇都宮近辺は
 町人百姓等在々え逃居候得共日々落人又は
 わるものなと参り押借乱 防(マヽ)人殺等所々ニ有
 之諸人大難渋之よし姥貝ニも合戦有之焼候
 よし烏山黒羽茂木辺も毎日大騒キいたし居
 候由其外真岡辺ニはわるもの一騒いたし物
 持質屋穀屋等打こわしむやみニ何品ニも取
 候よし
六 日 朝より薄てり九ツ時ゟてり立南もや
《割書:六十一度|此節麦両ニ 》 う夜ニ入八ツ過地震ゆる夫ゟ風少々
《割書:三斗四五升|白米弐斗弐升》 ふき大雨
《割書:大豆五斗|鰯粕八分五厘ゟ九分位》
七 日 朝より丑刁の風曇り冷気終日冷気な
《割書:五十五度》  り
 湊元米両弐斗六七升前売白米弐斗一升
 才田塩両六俵
 浦賀才田塩八俵五分江戸八俵位玄米三斗位

 宇都宮近辺大不景気玄米三斗弐升位
八 日 朝より快晴終日天気よし
《割書:五十六度》
 当四日方官軍と御旗本と鴻の台ニ合戦有之
 候由
九 日 朝大くもり六半時ゟ雨ふる終日南風
《割書:六十三度|今日坊英吉 》 ニ而大雨夕方雨止風は夜中迄つよし
《割書:御代官列廿五俵|次男御目見格十俵》
十 日 朝くもり四ツ時ゟてり立九ツ時ゟむ
《割書:六十四度》  ら雲九半過よりてり立
 此間中八幡中山行徳辺ニ合戦有之何レも焼
 候よし
十一日 朝薄くもり薄照昼後ゟくもり七ツ時
《割書:五十八度》  ゟ雨ふる夜中もふる
十二日 朝薄てり四ツ時よりはれ
《割書:六十度》
 江戸近辺市川辺ニ退去致居候御旗本弐三千
 人余

 壬四月三日朝六時官軍人数備前勢先陣ニ而
 押出市川村ニ而江戸脱走方と戦争備前勢敗
 軍ニ相成逃なから放火致し市川村不残焼払

 船橋漁師町綱【網?】町ニて戦是も官軍黒田勢大敗
 軍同所并山谷崎神まて焼払引退
一同日昼九ツ時鎌ケ谷村ニ而戦争官軍方薩州
 勢大敗北江戸脱走方大勝利之由
一八幡宿ニ而黒田二番手大勢ニ而陣取致候所
 へ脱走方少人数ニ而押来り同所ニ而戦争江
 戸方敗北と見へ急々引退キ黒田勢勝ニ乗追
 行所ヲ中山寺ニ籠り居候三兵勢ヲ操出黒田
 勢ノ後ヲ取切双方ゟ挟打ニ而黒田勢大敗北
一本郷村ニ陣取候黒田勢え山野村浅間村ゟ江
 戸方六百人程操出前後責立候ニ付黒田勢大
 敗軍討死之者四百人も有之候よし
一同日夜ニ入舟橋宿山谷村ニ陣取候薩勢夜討
 懸候へ共脱走方兼而無油断用心致候ニ付薩
 州殊之外大敗軍
一同四日長勢舟橋宿へ入替操出候所江戸方其
 以前引払登戸村へ引退キ此日は戦相休み黒
 田勢は東高西前野村迄引退キ薩勢敗北人数も
 行徳舟橋迄引取候よし
   其節之落書之よし

 井伊記尾た藤堂軍ニまけた土佐死骸大村はぢ
 を大垣
十三日 朝薄むら照ニ而ひや〳〵いたし九ツ
《割書:五十六度》  過ゟはれ
 昨日上下市中ニ町役人役替又は御格式等之
 者之内格禄被召上候もの等有之候由名前は
 追而承りしるし可申候
十四日 朝より快晴九ツ過より曇南風吹夜ニ
《割書:五十五度|時鳥初聲》  入雨ふる
 今日野口村辺え歩兵百四五十人野州辺ゟ官
 軍ニ被追込候由ニ而其辺出張の役人と戦ニ
 も相成候や四十人程中川を向え越候所を召
 捕候ニ付残九十余人何方えか逃去候よし此
 内御旗本二三人も有之候よし
《割書: |入梅みつのえいぬ》
十五日 宵より小雨ふり九ツ時より薄照
《割書:五十五度|芒種五月の節》 
《割書:暮五ツ弐分ニ入候》
十六日 朝より快晴夕方くもり夜中もや
《割書:六十五度》
十七日 朝もや五ツ時過ゟ照立軽暑夜中まて
《割書:六十五度|八時八十四度》 あつし
十八日 朝くもる五時ゟ雨ふる終日入梅もや
《割書:六十六度》

《割書:生種両九斗位》 うニ而雨ふる
十九日 朝より快晴夕方よりくもり艮風少し
《割書:六十六度》  吹
府中玄米両弐斗九升ゟ三斗
   麦米 四斗五升
   大豆 五斗弐三升
   新種 五斗五六升
廿 日 朝よりくもり終日曇空なり夜ニ入六ツ
《割書:六十三度|生種壱石位 》 半時ゟ雨ふる
 当十四日野口へ官軍参り候次第は十三日夜
 歩兵其外御家人等も可有之や百四十人余野
 口村へ逗留いたし官軍も水戸迄は参り申間
 敷と心得候や鉄炮并玉薬等を荷造致譬官軍
 参候而も歩兵は手向ひ不致
 上様御謹慎ニ被為入候間石塚辺ニ出金入野
 通りニ而南の方え参候積り之由十四日早朝
 ニ相成候所官軍押寄候ニ付俄ニ出立致野口
 渡場へ参り船ニ乗候所へ追付鉄炮弐百計ニ
 而打候ニ付船中ニ而船ゟ水中へ落候者十七
 八人有之夫ゟ皆々水中へ飛入候所水あさく

 候而陸へ上り皆々散乱致逃候よし官軍は野
 口ゟ渡ニは不越野口へ引返逗留致居候所御
 目付方水戸ゟ参候風説有之候ニ付引返候由
 歩兵之内両三人逃後れ候もの有之其内御旗
 本位之様子ニ候逃おくれ野口村内ニ而切腹
 致候而矢立出紙ヲ出性名書しるし居候所へ
 官軍参りけたをし蓮花ときもとは引出し又
 もゝの肉を切取焼候而たへ候もの有之候由
 又一人は手きつを受逃おくれ隠居候而官軍
 引取候後物置ゟ出候而其内え参り委細を咄
 空腹ニ候間食事を呉候様申候所承知之振ニ
 而其まゝ官軍へ通達致候故引返参り其内ニ
 而なぶり切ニいたし候趣誠ニあわれなる事
 之由村之者中右之内通いたし候者をにくか
 り候よし又壱人たをれ居候者有之十五六才
 位之ものゝよし承り候所内またを鉄炮二而
 打ぬかれ候由しかし骨へかゝり不申官軍も
 年若のもの故其侭指置引取候由此節介抱致
 候へともたすかり可申との由参り候官軍は
 薩勢百位土州百人位宇都宮人数弐百人位之

 よし
 追々死人中川ヲ流れ候よし余ほと死人有之
 候と相見候
廿一日 宵より雨ふる艮風冷気七ツ時ゟ雨や
《割書:六十度 》  む
 《割書:下たて玄米三斗弐升此節三升も引上ル|真壁 新種六斗五升》
廿二日 朝薄くもり四ツ時ゟてり立むら雲夕
《割書:六十二度》  方くもり
廿三日 朝よりくもり五ツ時小雨直止八ツ時
《割書:六十度 》  ゟ小雨ふる
       《割書: |百両ニ付》
 一慶長金   九百五両壱分弐朱
 一 蔵武(ムサシ)金  右同断
 一古文字   五百弐拾八両弐分弐朱
 一眞字弐歩  四百六十両
 一文政金   右同断
 一一朱金   弐百弐拾七両壱分三朱
 一享保金   五百三拾両壱分弐朱
 一乾字金   四百七拾五両弐分
 一元録金   六百三拾五両三朱
 一草字弐分  四百四両弐分

 一古式朱   弐百六十両三朱
 一五両判   三百四拾弐両壱分弐朱
 一保字金   三百九拾六両弐分弐朱
 一正字判   三百拾七両壱分
 一安政弐分  百六拾壱両三朱
       《割書: |壱枚ニ付》
 一元録大判  六拾壱両三朱
 一享保大判  七拾八両壱分
 一慶長大判  右同断
 一新大判   弐拾六両弐分壱朱
 〆
   青四文銭 弐十四文
   銅 銭  拾弐文
   文久銭  十六文
   当百銭是迄通通用可致候事
 右は壬四月十四日京都ニ而御蝕出【「出」を見せ消ち】ニ相成候
 由専ら風聞有之候由

 此節葵勢と申鹿嶋町中え七百人余参居候よ
 し
廿四日 朝よりきり雨ふる四ツ半時止九ツ時
《割書:六十七度》

    ゟてり立むら雲り
廿五日 朝よりくもり折々てり立七ツ過ゟ雨
《割書:六十六度》  ふり暮方止
廿六日 朝くもり終日曇空にて東風少々吹冷
《割書:六十四度》  気なり夕方ゟ艮風夜中雨ふり
 茶壱結十七八両位追々他所ゟ買入参候由壱
 結六両位ニ上り居候を十七両位ニ売候もの
 有之候よし
 生種両壱石壱斗位買人は進み候へ共売人な
 し之由
 干粕両壱俵壱弐分
 才田塩湊ニ而両六俵七八分
  当月廿日白川城会津勢ニ被攻落城いたし
  候由二本松岩城仙台之勢も白川辺ニ詰居
  候所皆々引取候よし白川市中は白川近辺
  会津領之百姓参り居候而一軒も焼不申候
  由
《割書:水戸城下| 玄米弐斗八九升》
《割書: 麦米四斗五升》
廿七日 朝くもり六半時ほろ〳〵雨ふる直止
《割書:六十六度》  終日くもり空にて夜ニ入雨ふる

 《割書:初松魚来|壱本五〆文位》
廿八日 朝くもり五時むら晴薄く【「々」を見せ消ち】もり
《割書:六十八度》
廿九日 朝薄くもり六ツ半時ゟ雨ふる壱時計
《割書:六十七度》  ニ而止折々雨冷気夜中雨強
 《割書:鹿嶋辺え参居候葵勢江戸へ引取候よし|官軍も追々引取候よし》

 《割書:京都は文久四文銭十六文通用ニ御触二相成|候由之所右銭は金壱両二拾八貫文之相場之》
 《割書:由|江戸は文久銭八文通用ニ而両九〆五百文》

   《割書:戊午》 五 月
《割書: |丙丑》
朔 日 明方迄雨ふり六ツ方ゟ止丑刁風ニ而
《割書:六十三度》  冷気夜ニ入終夜雨つよし
二 日 宵より雨ふり艮風にて冷気夜ニ入大
《割書:六十一度|夏至五月中 》 雨風四ツ過風止明方雨止
三 日 朝くもり冷気折々むら照艮風吹
《割書:六十三度》
 《割書:二日夜馬口労町住居宮井玄仲片町堀之中ニ|被殺同夜祇園寺裏嶋根平三郎父子被殺候よ》
 《割書:し》   
四 日 朝薄くもり五ツ半過ゟ折々照夜ニ入
《割書:六十三度》  五時ゟ雨ふる
《割書:江戸廿五日文久銭九貫文|銭相場百銭九〆五百三十弐文》 

 今日御達
 徳川龜之助殿今卄九日辰刻
 西丸へ御登
 營被成候樣
 大総督宮ゟ御沙汰ニ付御越被成候所
 龜之助殿御事御當家御相續之義別帋之通被
 仰出候間可被得其意候事
   壬四月
 慶喜伏罪之上ハ徳川家名相續之儀祖宗以來
 之功業被
 思召格別之
 叡慮を以 田安龜之助殿え被 仰出候事
  但城地祿高之義ハ追而被 仰出候事
五 日 宵より小雨ふる九ツ過より雨止南も
《割書:六十五度》  やうニ成ル八ツ時ゟてり立暑気ニな
    る
 是は風説之寫之由
 徳川□□水戸表え退候後彌謹慎恭順被盡全
 至誠より相出候先非悔悟致候上は非常之寛
 典を以江戸城え被相送追而上京をも可被仰

 出候
 叡慮之旨大総督府ゟ御沙汰有之候旨
 諸道え進發之官軍早々引上ケ
 大総督え歸陳有之樣
 大総督宮より御沙汰之事
   壬四月   東海道
           《割書:総督府|   參謀》
   東山北陸奥羽
     官軍隊長中
 松平肥後追々暴動ニ及候趣ニ候得共既ニ罪
 魁之儀一等被宥候上は悔悟仕伏罪御仁慈を
 仰ニおゐては寛典ニ可處候間心得違無之樣
 可仕旨御沙汰之事
   右御請
 御沙汰之趣難有拝誦仕候得共徳川家名之成
 行不見届候内は謝罪仕間敷覺悟ニ御座候間
 可然御沙汰奉願候以上
   壬四月十一日   陪臣
             松平肥後
  《割書:総督府|   參謀中》

《割書:六日|六十四度》 朝よりむら雲四ツ時よりてり立暑氣
    八ツ過より雨ふる夜中雨つよし
《割書:七日|六十七度》 朝よりきり雨終日小雨夜ニ入大雨雷
    声
 当二日太田原之城を会津勢攻落候由風聞有
 之候又上町三国峠と申所ニも合戰有之候よ
 し白川邊續而軍之よし
《割書:八日|六十五度》 宵より雨ふる八ツ時過より雨強暮方別
《割書:十五六年之大風雨|中川木増馬留江戸》 而大雨暮六ツ時ゟ北風終夜大北大雨
《割書:道中所々大水之|よし》 雷聲九日明方止
《割書:九日|六十八度》 明方雨風止晴てり立五ツ時ゟ北風に
《割書:種八斗|水花壹〆文》てむら雲日の中折々てり夕方ゟ艮風
《割書:百文ゟ弐〆文|  》冷氣夜ニ入雨ふり
《割書:十日|六十一度》 朝よりきり雨冷氣五ツ半時ゟ止
《割書:十一日|六十三度》 朝五ツ時ゟきり雨ふる艮風二而冷氣
   終日雨ふる夜中も同斷
 府中米 二斗七八升  種上千 五斗八升
 生種  六斗八九升  大豆  五斗
 塩高浜 六俵五分   粕一結 弐兩ゟ弐兩弐分
 油よたか 三十五兩弐分

 《割書:二三日巳前下町御町同心小頭萩谷周蔵九丁|目ニ行候(マヽ)  首をきられ其外河岸ニ弐人被殺候》
 《割書:もの有之| 》 
《割書:十二日|六十四度》 宵より雨ふる冷気終日雨夜中も同断
    折々大雨
 《割書:四五日以前ゟとうふ拾弐文種油両ニ壱斗四|升売二御達有之候よし》
 《割書:此節千種は八斗位相場之よし|     》
 《割書:江戸道中続而大水小鶴橋後先とも船ニ而往|来府中土浦とも田のなかを舟二而通行此口》
 《割書:は山田と申所ゟ青山と申所迄舟二而通行一|日ニ三四度位より外は舟出し不申候由土浦》
 《割書:銭亀橋は大水二而浮候ニ付四斗樽へ水を入|橋の上へ積候よし》
《割書:十三日|六十五度》 宵より雨ふる終日雨ふる夜中も同断
    折々大雨
《割書:十四日|六十五度》 朝六半時ゟきり雨降四ツ時大雨夜中
    迄雨
《割書:十五日|七十二度》  朝きり雨ふる五半時雨やむ少しむし
《割書:昨夜長者山|下へ釣ニ参》 あつくなる四ツ過より雨ふり夜中も
《割書:居候もの大|蛇長者山ゟ》 雨ふる
《割書:中川を越向へ参候よし大きさ酒樽位も有之候よし|  》
《割書:十六日|七十弐度》 朝くもり五半時ゟ薄照少し暑気ニな
    る終日むら雲夜中久しふりニ而同様
    也

《割書:十七日|七十五度》 薄くもり南風少吹五ツ時よりむら
    照
《割書:十八日|七十二度》 朝より薄むら雲終日くもり空ニ而不
《割書:小暑六月節|  》 照八ツ半時雨ふる冷気ニなる夜ニ入
    雨風終夜
《割書:十九日|七十度》 宵より雨ふる冷気五半時位ゟ九ツ半
   時位迄雨強終日終夜大雨風ニ而冷
   気
 江戸道中筋所々堤切候而大水道中馬更ニ出
 不申御用荷物ニ而も通行なし
 当所雨天続ニ而穀物類引〆当時元米弐斗三
 四升麦三斗弐升小麥八斗致居候所六斗種七
 斗位才田塩六俵五分

 当十五日江戸上野ニおいて朝五ツ時ゟ官軍
 弐万人余と彰義隊弐千人程と合戦有上野三
 枚橋辺ゟ坂本車坂町辺不忍辺七ヶ所程火の
 手上り
 宮様彰義隊弐百人程ニ而御立退ニ相成候由
 三枚橋ゟ内ニ死人百人余も可有之彰義隊不

残上野は退候よし
《割書:二十日|六十八度》 宵より大風雨冷気四ツ過迄雨つよし
《割書:昨夜千腹ニ|辰巻水上げ候》 九ツ時俄ニ西風吹出直止夫ゟ快晴久
《割書:由| 》  しぶり二而天気ニなる又七ツ時ゟ曇
《割書:青川切れ水|落千波大水》 る夜中雨ふる
《割書:御評定所前あたりは股根位水中川風呂下坂辺迄水付根|本辺高き所へも水押上け上町ゟ下町へは奈ら屋町ゟ船》
《割書:ニ而通行致候よし| 》
《割書:江戸表青鉈廿四文文久銭十六文弐御触出候由|尤も銭相場は壱両ニ付拾八貫文之由右ニ付江》
《割書:戸両替屋ニ而は百文銭は一円ニ出し不申候|  》
《割書:奈らや町ゟ下町へは船ニ而通行千波中茶屋は|土台之上ゟ五尺も水上り石垣橋水門見付辺通》
《割書:行無之よし|  》
《割書:廿一日|六十四度》 朝よりくもり北風冷気四ツ時ゟてり
   立終日天気
  仙台先触之写之由
   五月八日立  《割書:仙藩| 》大松津掃部輔
            《割書:兵隊弐千五百人| 》
   〃 九日立  《割書:仙台一門| 》伊達将監
            《割書:兵隊三千人| 》
   〃 十日立    《割書:右兵隊| 弐千人》
   〃 十二日立 《割書:〃藩| 》 梁川播摩 

            《割書:兵隊三千人| 》 
   〃 十五日立 《割書:右一門| 》石川大和
            《割書:兵隊三千人| 》
   〃 十六日立   《割書:右兵隊| 弐千人》
   〆《割書:壱万四千五百人|但一日ニ五六里之見詰》
           道  中
 右之通駅々無滞宿割仕度可給駅々何れも前
 書之通出立白川え出陣之処人別員数之儀は
 参着次第可申談之上小駅之儀は野陣之手当
 致居候付都合次第宿割可被致候様頼入候
   《割書:慶応四年| 五月七日》  《割書:伊達陸奥守|家来》
          湯目長三郎
  《割書:藤田通り| 》庄屋中
《割書:廿二日|六十三度》 明方雨ふる冷気艮風ふく九ツ時ゟ雨
  止折々少しつゝ雨ふる夜中も雨
 《割書:今日は松魚参る壱本壱〆七八百文位此間中|は弐〆五六百文ゟ三貫文余》
《割書:廿三日|七十度》   朝むら雲四ツ時よりてり立暑気ニな
《割書:八ツ時九十度| 》 る
 単物ニなる当年は続而雨天冷気ニ候而ひと
 へ物は着候是迄ニ二三日位なり是迄は袷重

 ね着
《割書:廿四日|七十五度》 朝より快晴大暑也終日天気よし暑気北
《割書:九十度|初伏》  の方夕立もやう
《割書:廿五日|七十八度》 朝むら雲四ツ時ゟむら照暑気夕方北
《割書:九十度| 》  の方雷声
《割書:廿六日|七十九度》 朝より快晴暑気風なし八ツ時位ゟ北
《割書:九十度| 》  の方ゟ俄ニ大雨雷声壱時計ニ而晴又
    夕方雷声直止
《割書:廿七日|七十六度》 朝むら雲四時ゟてり立大暑風なし八
《割書:九十度| 》 ツ時位ゟ北の方雷雨此辺雨ちら〳〵
   直ニ止
《割書:□□日|七十八度》 朝薄むら雲四時ゟてり立大暑風なし
《割書:九十度| 》
 過十五日朝四ツ時頃上野山内え官軍押懸候
 而山内相囲み脱走并彰義隊ト双方戦争ニ相
 成先陳薩州ニ陳藤堂之由両陳共破多分之由
 後細川是は戦なし直様引上け候様子其内官
 軍方ニ而車坂口ゟ大炮打かけ山内本坊并中
 堂五重之堂堂塔鐘付堂山門其外一円火燃上
 り三十六坊之内五六ケ坊も相残右ニ付山内

 ね着
《割書:廿四日|七十五度》 朝より快晴大暑也終日天気よし暑気北
《割書:九十度|初伏》  の方夕立もやう
《割書:廿五日|七十八度》 朝むら雲四ツ時ゟむら照暑気夕方北
《割書:九十度| 》  の方雷声
《割書:廿六日|七十九度》 朝より快晴暑気風なし八ツ時位ゟ北
《割書:九十度| 》 の方ゟ俄ニ大雨雷声壱時計ニ而晴又
    夕方雷声直止
《割書:廿七日|七十六度》 朝むら雲四時ゟてり立大暑風なし八
《割書:九十度| 》  ツ時位ゟ北の方雷雨此辺雨ちら〱
    直ニ止
【付箋に「水戸戊辰戦争」とあり】《割書:廿八日|七十八度》 朝薄むら雲四時ゟてり立大暑風なし
《割書:九十度| 》
 過十五日朝四ツ時頃上野山内え官軍押懸候
 而山内相囲み脱走并彰義隊ト双方戦争ニ相
 成先陳薩州ニ陳藤堂之由両陳共破多分之由
 後細川是は戦なし直様引上け候様子其内官
 軍方ニ而車坂口ゟ大炮打かけ山内本坊并中
 堂五重之堂堂塔鐘付堂山門其外一円火燃上
 り三十六坊之内五六ケ坊も相残右ニ付山内

 之勢一ト先ツ山奥ニ引上ケ候所谷中門坂本
 門口門々ゟ官軍勢押懸り山内少人數なから
 諸々出口ハ手配致双方打合居候所廣小路伊
 藤松坂の向側ゟ火ノ手上リ池ノ端金丹圖ニ
 て燒留り亦一口ハ三枚橋東側邊ゟ火燃上り
 十町余も燒南風故山内勢悉煙ニ取被巻死人
 怪我人多分御坐候由右死人山内ニ東(マヽ)死儘御
 坐候其外根津谷中何レも火之中大戰ひ諸橋
 ニ諸見付往來留漸々一昨十六日一人立の往
 來出來申候嚴重之御固ニ御坐候聢ト不相分
 候得共合戰双方五分〳〵との事ニ山内ニ火
 を被懸候丈ヶ負との噂ニ御坐候山内之勢戰
 最中勝利十分ニ相成候所會津勢ト僞四五十
 人計山内勢へ加入敵方へ銕炮打かけ加勢申
 と立込來り山内勢も元ゟ小人數之事故暫時
 安心爰そと血戰之内右四五十人之者共裏切
 致山内勢へ後ゟ大筒打かけ目ばたき之内備
 破負軍と相成散乱致尤も 宮樣ハ以前ニ何
 方へか御退身被爲成候樣子と噂仕候右一条
 ニ付市中今日ニ至迄不殘商内休候御時節成

 行とハ乍申誠ニ歎ケ敷事而巳見聞愁傷之程
 筆帋ニ難盡深心痛仕候早ク平穩ニ相成候樣
 奉祈念候
   五月十八日
《割書:卄九日|七十九度》  朝より快晴大暑風なし夕方北之方少
《割書:九十一度》  々雷もやうあり
《割書:三十日|七十七度》  朝くもり五半時ゟ照立大暑七ツ時位
《割書:九十弐度》  乾の方ニ雷声此邊雨ちら〳〵ふる直
《割書:とよう|朝四時六分 》 止
 五月卄四日被 仰出候由
             德川龜之助
 駿河國府中之城主ニ被 仰付領地高七十萬
 石下し賜候旨被 仰出候事
  但駿河國一圓其餘ハ遠江陸奥兩國ニ於て
  下賜候事
 五月十七日
 一           諸向へ
 大総督府別帋之通被 仰出候間其旨奉承知
 候
             水戸中納言
             

 右常陸國廻達頭被 仰付候事

    六 月
《割書:朔日  |七十五度》  朝薄くもり五ツ半時よりてり立大暑
《割書:九十度 |    》  夕七ツ前北ノ方ニ雷声雨少々ふる夕
    方ゟ晴夜中晴凉
《割書:二日  |七十五度》  明方雨ふる快晴大暑凌かね候夕方北
《割書:九十弐度|    》  之方ゟ雷雨少し雨ふる直止
 御町方御役所ゟ御達有之米澤藩中片桐藤左
 衞門江戸留主居用人兼同會津藩軍事副奉行

 鈴木丹下右筆兩角數衞近習役丹羽騏三郎着
 不殘ニて上下九人我等宅え逗留ニ成ル
 會津城下ハ拾兩ニ玄米四斗入八俵半
《割書:三日  |七十九度》  朝より快晴大暑風なし夕方北ノ方ニ
    雷声
《割書: |大暑六月中今曉九時》
《割書:四日  |八十一度》  朝くもり大暑風なし終日暑氣殊之外
《割書:九十弐度|中伏  》  つよし夕方雨ちら〳〵直止
《割書:五日  |八十度 》  朝くもり四ツ過ゟてり立大暑凌かね
《割書:九十弐度|    》  候位なり夕方北より西之方ニ雷声雨
    ふり夕方止

《割書:六日  |七十度 》  朝くもり丑寅風にて冷気なり終日冷
《割書:八十弐度|    》  気重着なり
《割書:七日  |七十度 》  朝くもり五ツ半時ゟ村てり立暑気に
《割書:八十一度|    》  なる夜に入雨ふる
《割書:八日  |七十五度》  朝より快晴折々村雲凌よき方なり
《割書:八十三度|    》
《割書:九日  |六十八度》  朝くもり冷気終日くもり空にて冷気
《割書:七十弐度|    》  終日くもり空にて艮風冷気暮方ゟ別
    て冷気雨すこしふる
《割書:十日  |六十七度》  朝よりくもり終日曇り空にて冷気夕

    方きり雨ふる
《割書:十一日 |六十七度》  朝よりくもり冷気九時より少してり
    立候へ共終日冷気袷着用也
《割書:十二日 |六十六度》  朝薄てりにて持合夜も同断
 米沢会津藩今日出立致候何の御懸合か不分
 候
《割書:十三日 |七十度 》  明六ツ半時ゟ雨ふる直に止折々てり
《割書:八十度 |    》  少し暑気になる
《割書:十四日 |七十五度》  朝くもりきり雨ふるむしあつし四ツ
《割書:八十五度|    》  時ゟてり立暑気八ツ過雷雨半時計に

    て止
十五日 朝むら雲終日薄照にて冷氣夕方北ノ
《割書:七十三度|八十度》  方ニ雷もやう
 當十一日之夜御家中十七八人殺され候よし
十六日 朝むら雲薄てり冷氣四ツ時位より照
《割書:七十度|七十五度》
《割書:ひとへもの |かさねき》 立候へ共艮風ニ而冷氣終日同斷
十七日 明方雨ふる六ツ時ゟ止くもる冷氣終
《割書:七十度|七十五度》  日薄むらてり
《割書:ひとへもの重着》
十八日 朝より薄てり四ツ過よりてり立暮方
《割書:七十度|七十六度》  よりくもり
《割書:甲子》
 〔巻紙ニ記入シアリ〕
       六月十一日夜
              蘆川市兵衞
              秋山長太郎
              父子と有之候所同居人
              橋本富太郎
              《割書:間違之由是ハ備前|町ニ居候人之由》
              芦川内藏
              額賀與次衞門
              福王忠左衞門

                     〃 宗之
                     信木縫殿す            外ニ 泉町広小路壹人
               赤沼ニ壹人
               石垣ニ壹人
            六月八日
                     小林彦之心進
                          弟
                         別家
                     庄屋
                     西野繁衛門
                   太田御殿門番
                       藤五郎
                     亀屋由兵衛
                     梅 や 又 蔵
                     鍋や助衛門
                     〃   倅
                     加納 甚平
            右何レも御郡方江引渡ニ相成ル 




             猿田民五郎
             武弓彦左衞門
             羽部治兵衞
             小川與衞門
             柳橋や貞三郎
             江戸や新兵衞
      右ハ脱走致候由なり
 六月十六日夜柳堤ニて向山之僧弁玉と申も
 の天討ニ相成候とのさた

《割書:十九日|七十度 》  朝きり雨ふる直ニ止終日薄てり夕方
《割書:七十八度|七月節晝八時七分》ゟ艮風冷氣八ツ時地震夜四ツ時地震
《割書:二十日|七十四度》  朝薄くもり四ツ時よりてり立折々む
《割書:八十五度》  ら雲
 當十六日官軍蒸氣船三艘ニて平潟に着致仙
 臺は平潟見張ニ出居候兵と関田邊ニて合戰
 ニ相成候よし
《割書:卄一日|七十四度》  朝くもり四ツ時位ゟてり立夜中曇り
《割書:八十五度》  終日丑寅の風ふく
《割書:卄二日|七十五度》  朝よりくもり四時ゟ雨降終日雨ふり

    夜ニ入大雨終夜雨合なしニふる
《割書:卄三日 |七十四度》  宵より大雨明方よりしけもやうニて
《割書:大雨風 |あらし 》  丑寅風折々大雨四ツ過ゟ大北風大雨
    終日終夜大風雨
 《割書:今日|塙 英吉七十五石》
 《割書:大高清介一代御目見格|》
《割書:卄四日 |七十六度》  朝より至極快晴暑気昼後ゟむらくも
《割書:八十四度|    》  夜に入くもり
 廿二日上田関田辺に官軍と奥州勢と合戦有
 之候よし

《割書:廿五日 |七十五度》  朝よりくもり六ツ半時ほろ〳〵雨ふ
《割書:八十三度|江戸表わた 》 る四時ゟてり立八ツ半時雷雨半時計
《割書:両に壹〆目位致|居候所此節六百目》にて晴又々夕方よりくもり
 江戸六月十八日出
一当地成行に儀定て追々御承知も御坐候半此
 程永々の雨天にて東海道筋遠州路ゟ始三尾
 勢州又摂河泉等古来稀成洪水にて綿作場所
 各皆無同様依て目切人気剛く随て木綿相庭
 も各々買進み別ていせ晒の儀は是又甚敷品
 切昨今の形勢にては箱根東にはいせ晒壹固

【右頁】
 も無之姿実にあきれ果候事に御坐候然ル所
 奥筋へ軍用ニも御座候や甚々敷買望依に玉
 川晒ニ迄一段剛気と相成殊ニ産物会所も此
 節蔵払之様子旁晒と名之付候品ハ無類之景
 気ニ御座候右之御含にて御懸引可被遊候以
 上
《割書:廿六日|七十度 》  朝よりくもり丑寅のもやうにてきり
    雨ふり冷気になる四ツ時より雨止夜
    ニ入雨ふる
 《割書:大豆菜種ニ限り|此節ゟ他所出し御免ニ相成候》

【左頁】
《割書:廿七日|六十八度》  朝くもり四ツ時ゟ薄てり終日曇り空
    なり
 今日笠間之人数奥筋へ出張之由にて大足留
 り谷中順見街道中河内へかゝり通り候よし
 江戸相場六月廿二日出
 一近国上米壹斗九升
 一《割書:天保下直拾弐〆弐百六十四文| 但シ内々拾弐〆五百文位迄うりもの 有》
  《割書: 之候》
 一《割書:文久高直|   十六文にて拾四〆弐百》
  《割書:  但内々取引》

      《割書:十三〆五七百文位迄|澤山に引取有之候》
  今日は文久の気配大に引立申候
 一姫路産物会所此度は潰レ同様に相成依て
  晒類不自由甚敷其上いせ船入津無之最早
  関東にはいせ晒は一切無之様にて日々差
  支申候玉川晒も右に連引立手拭地抔大高
  直扨々あきれ申候事に御坐候
《割書:廿八日|七十度 》  明方より雨降四つ時過より雨止終日
    くもり空にて少しあつさのこる夜中
    ははれ
《割書:廿九日|七十五度》  朝より快晴暑気になる終日残暑なり
《割書:八十四度|》
 上方筋先日の雨天続にて江戸表太物類追々
 引〆三川改四反位致居候所此節三反五六分
 さんとめ廿五匁位致居候所此節四十弐三匁
 いせ晒壹反も無之姫路会所も姫玉晒三四百
 株は有之候得共当節品切のよしを申居売不
 申候由
  但一株千弐百反つゝのよし
 当廿五日上田の川をはさみ官軍と奥州勢と

 合戦有之死人沢山有之候由
 同廿三日白川に合戦有之候由
  白川辺ゟ平潟方棚倉辺え玉子沢山に出る
  水戸城下にて百文に三ツ位先方へ持出候
  へは壹弐百文つゝに相成候よしどしやう【どしやう=どじょう】
  なまつなとの様なるもの高直うなぎも同【なまつ=なまず】
  断
 江戸表そば壹せん弐百文ゟ四百文迄致候由
 一ぜんと申候ても誠にこそ〳〵もりにて十
 ぜん位はわけもなくたべられ候よしわらん【わらんじ=草鞋】

 じ松戸辺ゟ壹足六十四文千住ゟ江戸は壹足
 四百五十文いたし候よし
 江戸相場
  才田塩 五俵二分    赤穂 三俵三分
  波山才 五俵七分    新才 六俵
  御蔵米 壹斗六升五合  町米 壹斗七升五合
  糯   壹斗四升    大豆 弐斗八升
  小豆  壹斗弐升    大麦 五斗
  小麦  三斗四升    水油 《割書:七十五両|八十両》
  魚油  三十五両    文久 十弐〆四百文

  天保 九貫八百六十四文

《割書:  庚申|    》  七月 小
《割書:    |丙子  》
《割書:朔日  |七十五度》  朝くもり四ツ時ゟ照立七ツ過ゟくも
《割書:八十四度|    》  りきり雨ふる直やむ夜に入明方まて
    大雨
《割書:日そく |    》  京都にては見へす西国にては食一分
    にみたす昼九八分下の左ゟかけ初め
    九ツ九分甚八時壹分下の間におはる
《割書:二日  |七十五度》  朝くもり四ツ過より照立少し暑気八

《割書:八十度 |新宅大高清介今日》ツ時よりくもり夕方ゟ艮風吹夜に入
《割書:代々御目見格被仰|付御合力籾五俵ツ》雨三日朝迄ふる
《割書:ヽ被下置候   |》
《割書:三日  |七十三度》  明六ツ時雷雨五ツ時止五半時ゟてり
《割書:七十五度|    》  立八ツ時過より雨ふり冷気
 此節上州辺菜種両三斗三升位
《割書:四日  |七十度 》  朝迄雨降六ツ半時より雨止む四半過よ
    り照立暑気になる夕方よりくもり夜
    に入雨ふる
《割書:五日  |六十九度》  朝よりくもり終日くもり空にて持合

《割書:七十三度|    》  夕方ゟ丑寅風冷気夜中雨ふる
《割書:六日  |六十七度》  朝よりくもり丑寅風冷気雨ふる昼後
《割書:七十二度|    》  ゟ殊の外冷気なる夜中も雨降
《割書:七日  |六十五度》  朝よりくもり艮風にて殊の外冷気終
    日雨不降夜に入霧雨
 今日御町奉行谷佐二衛門御宅へ上下御町年
 寄一同御呼出に相成候所両御町奉行衆并与
 力衆御出席にて御酒被下其節御談有之候は
 偖市中も度々の儀にて如何にも難渋可致儀【偖=さて】
 は察入候得共此度も無拠筋にて北の方へ御【無據・無拠=よんどころなし】

 出軍にも可相成候得共夫に付ても御物入莫
 太の事にて御筋にても如何にも御差支に付
 又々御用金被仰付候間各方精々申諭夫々相
 納候様御申通に相成候様御達の事
 七日明に蒸気船一艘那珂湊へ一里程も沖の
 方に懸居伝馬にて三十人余上陸色々買物等
 致其内九人陸通にて平潟へ参ると云
《割書:八日  |六十七度》  朝よりくもり艮風にて霧雨ふる終日
《割書:七十度 |    》  雨ふり昨日ゟも少し暖きなり夜に入
    雨つよし

《割書:九日  |七十五度》  朝よりくもり南風にて少し暑になる
《割書:八十五度|    》  四時位より雨降八ツ時より止照立暑
    きになる夜中も久しぶりにて晴
《割書:十日  |七十三度》  朝より快晴五半時むら雲る終日持合
    夜中も快晴
 江戸表此度差引相庭
  当  九〆八百文  文久 拾弐〆四百六十四文
  四つ 九〆八百文
  米  壹斗五六升ゟ六七升
 上方金札旁何品によられ替り候よし

《割書:十一日 |七十二度》  朝より快晴少しくもり
 越後十日町蕪木孫左衛門支配人今日参る六
 月廿四日に出立江戸へ同廿九日に参候よし
 江戸七月五日立水戸へ十一日に着右の者は
 なし
 越後十日町辺官軍の宿わりにて宿々住居に
 有之候所は如何様なる小家にても宿わりに
 相成何れの勢に候や更に相わかり不申候へ
 とも合戦は所々に有之候へとも日々合戦有
 之いつれか勝いつれか負と申も相分り不申

 候十日町辺は尾張の勢三千人程通り候よし
 道中も本通りは通行不相成越後三条と申所
 には会津桑名水戸脱走の人数大勢居候よし
《割書:十二日 |七十五度》  朝くもりきり雨ふる四つ過よりてり
    立終日天気よし夜中も至極晴暑気也
《割書:十三日 |七十五度》  朝くもり六つ半時よりきり雨ふり雷
    気にて本雨になる五時止四時ゟ雨ふ
    り出す八つ過雷終雨ふる
 十一日いそミナトよ【見せ消ち「迄」】りイソ鰹大漁船一艘に
 付一日に千本ゟ弐千本位ツヽ有之候由壹本

 に付大々壹〆文大八百文中五百文小三百文
 小々弐百文右の通平均いたし一本四百五十
 文位十一日十二日十三日迄は大漁事近年無
 之漁事なり
 ミナト四五日以前ゟ官軍陸通り銚子ゟ岩き
 の方に通因州一手七百人程九日に通芸州一
 手三百人程柳澤時之介一手三百人程跡追に
 御操出にて大体陸通のよしミナトイツレモ
 御泊りに相成候よし
《割書:廿四日 |七十三度》【十四日の誤りか?】  明方大雨六つ半時ゟ晴むらくもり八

《割書:弐百十日》  つ時少してり立七つ時ゟくもり少し
    雷気夜に入十五日明方大雨ふる
 江戸表此節官軍追々出陳木おろしゟ船に乗
 一度に高せ【高瀬舟?】七八艘ゟ十七八艘位揃笛太鼓に
 て銚子へ下り候よし御人数毎日引もきらす
 と申候銚子ゟ蒸気船にて奥州へ出軍の由に
 候平潟沖ゟ岩城海上は奥州の軍艦数艘見候
 由にて陸通りに相成毎日那かの湊辺を御通
 行に相成候由
十五日 明方迄大雨ふる北もやう終日降晴八
《割書:七十度 》  つ時ゟ夕方迄つよし夜中も雨つよし
十六日 明方雨止四つ時ゟ雨降四つ過より快
《割書:七十度 》  晴に成る夜中も殊の外晴久しぶりに
    て日を見
十七日 朝もや四時ゟ照立直にくもり艮風冷
《割書:七十六度》  気八つ時位より雨降出夜中迄雨強
 此玄米此節壹斗五升
十八日 朝より雨ふり北風冷気なり
十九日 朝より辰巳風雨強五つ過より南へま
《割書:七十度 》  わる四つ半過よりむらはれ九つ時よ

    りてり立夜ニ入殊之外晴
《割書:卄日|七十三度》  朝より薄むら雲てり立終日照村ら雲
 此度御領境口々え關門御取建旅人嚴重御改
 ニ相成候ニ付夫々支配々之印鑑持參無之候
 てハ一切通行不相成猶他所もの旅籠やハ勿
 論町家へ一泊爲致候節ハ關門印鑑相改候上
 名前相糺一泊致させ候其旨御町役人へ相屆
 可申候
一此度
 前上樣駿府へ御引移之儀別帋之通從

 大總督被
 仰出候ニ付明十九日
 御發駕被遊候条其旨奉承知支配々迄不洩樣
 可被相達事
 德川慶喜是迄水戸表ニ謹愼被
 仰付置候所德川龜之介等歎願之趣も有之今
 般改て駿府寶臺院へ轉移被 仰付下々迄も
 不洩樣可被相達事
《割書:卄一日|七十度 》 朝薄むら雲終日天氣よし
《割書:八月節夕七時九分》

《割書:廿二日 |七十度 》  朝より快晴
《割書:廿三日 |六十七度》  朝より快晴夜に入くもり
 籾両三斗 玄米壹斗五升
《割書:廿四日 |七十二度》  朝より快晴
 龍ヶ崎玄米両壹斗弐升
 当百銭両九〆五百文
 岩き玄米弐斗四五升 出穀御指留の由
 なたね七斗
《割書:廿五日 |七十度 》  朝より快晴七つ時に少々雨降夕方快
    晴

 大豆菜種今日ゟ出穀御指留
 当月十五十六日白川に合戦有之候由
 此節官軍下町通行にて奥筋へ日々通行致候
 よし此節道中筋茶漬五百文位つゝ
《割書:廿六日 |六十八度》  朝より快晴
 今日山口徳之進殿北越え御出勢人数四五百
 人位笠間の方え
《割書:廿七日 |六十五度》  朝よりくもり終日曇にて持合冷気
《割書:廿八日 |六十五度》  朝よりくもり四つ過より薄てり
 今日此方御人数六百人余笠間通りにて御出

 陳に相成候大将山口徳之進殿
 昨日牢屋敷に刑罪人十人程有之候由上下市
 引廻壹人是は寺門登一郎と申人の由額田居
 村へ参り候由
 上町泉町札場へ首六
 下町七軒町札場へ首四つ
 七つ時ゟ夕方迄さらし有之候由
 此節ミナトにて才田塩両弐俵六七分
《割書:廿九日 |六十七度》  朝より快晴にて北風吹夜に入雲
 下町は日々官軍奥州へ下り候に付通行致候

 由昨日は細川の人数今日は黒田に土佐の人
 数の由下町え止宿

 当年春中ゟ夏に至候ても続ての雨天にて所
 々大水作方不宜やう〳〵五月末に相成り候
 て六月初迄十日計大暑夫ゟ又々冷気にて諸
 作如何と皆々心配致居候所七月廿日方ゟて
 り立候に付諸作大きに見なをし候よし

 鮭壹本金壹両三分ゟ金弐両位夫にて買人有

 之候由是は商人なとは買不申候皆々御出陳
 の御方のよしミナトにては壹本金七両に売
 候もの有之候よし是は奥州へ詰候上方ゟ参
 り候ものゝよし
 《割書:当廿九日久保町油や直次郎と申者夜九つ時|呼出切殺候よし》

  《割書:七赤|辛酉》 八月
《割書: |七赤乙巳日》
《割書:朔日  |六十五度》  明方より雨ふる終日雨ふる夜中も折
    々雨ふる
《割書:二日  |七十度 》  宵より折々雨降夜に入雨止夜中星見

    ゆる九つ過ゟ雨ふり
《割書:三日  |    》  宵より雨ふる北風終日雨風夜中迄
 鮭此節一本壹両ゟ壹両壹分位のよし
《割書:四日  |六十七度》  朝よりくもり冷気きり雨又は大雨終
《割書:社日  |    》  日
《割書:五日  |七十度 》  朝より快晴四つ過よりきり雨直止終
《割書:ひかん |    》  日くもり夜中星出九つ時ゟくもり雨
    風明方迄つよし北ゟ南風なり明方雨
    止
《割書:六日  |七十度 》  明六つ半時ゟ西風吹出し雨ふり大風

    半時計ニ而俄ニ快晴になる終日天気
    よし
七 日 朝より快晴涼し□【む?】ら雲少し有
《割書:七十五度》
八 日 朝より至極快晴涼し
《割書:六十三度|八月之中》
九 日 朝より快晴
《割書:六十度 》
 風呂下辺に御普請方手代壹人被殺居候よし
十 日 朝薄むら雲四ッ過よりてり立快晴夜
《割書:六十度 》  ニ入くもり
 昨日武田金次郎殿北越江出勢笠間之方より
 信州路へ向候よし
十一日 朝くもり四ッ時薄てり
《割書:六十五度》
 鮭一本三分位
十二日 朝より薄くもり四ッ時ゟ雨ふる
《割書:六十三度》
 今日岩城平商家鱗屋と申支配人晒木綿仕入
 ニ参ル其人咄ニハ平ハ官軍当七日八日相馬
 中村辺ゟ仙台入口迄之合戦有之当時官軍ニ
 而岩キ平へ引取候怪我人五百人余有之右を
 巻候晒木綿当時品切ニ而是非無之候而ハ不
 相成候よしニ而仕入ニ参候由是迄弐千反余

 売候由にて一円品切に相成候へ共此節品切
 の趣断候へは其方抔も奥州に心を寄せ居候
 と相見候なとゝ申に付無拠仕入に参候よし
 怪我人は不残鉄炮きつのよし死人は幾人有
 候や不相分
 当七日郡山辺三春辺にも合戦有之日々戦有
 之候よし
《割書:十三日 |六十度 》  朝より薄くもる持合夜に入雨ふる壹
    時計にて
《割書:十四日 |五十五度》  朝より快晴夕方ゟくもり

 十三日夜上金町仕立や平助奈らや町奥同心
 塙久七奈らや町河内やとあら物や被殺候よ
 し平助は風呂の下河内や柳堤久七は自分の
 内のよし
《割書:十五日 |五十五度》  朝くもり終日曇空にて夜中九つ過よ
    り雨ふる
《割書:十六日 |五十三度》  朝より雨ふる艮風終日雨ふり冷気
《割書:十七日 |五十四度》  朝より雨ふる冷気終日雨ふる
《割書:十八日 |六十度 》  宵より雨ふり終日雨夜中艮風つよし
           諸向え

 此度従
 大総督府別帋の通被 仰出候尚御領内御取
 締の儀に付ては従
 朝廷厳重の御沙汰も被為在候所此節猥に人
 を暗殺致し所持の品奪取候類御領内にも不
 少趣追々相聞被為対
 朝廷御済不被遊候段勿論の事に有之決て不
 相済所業に付厳重被
 仰出候振も可有の万一心得違のもの於有之
 は支配頭は勿論父兄等迄も屹と御咎被仰付
 
 へく候条聊心得違無之様可被致候
 右の趣支配々末々迄可被相達事
 近来頻に路人を暗殺其所持の品奪取候趣甚
 以不埒の事に付屡厳重の御沙汰被為及候へ
 共兎角其悪習難去御政道も不相立次第に付
 猶又此度厳重に被仰出家来は其主人兵隊は
 其隊長其余末々に至ては其父兄ゟ取締いた
 し自然右等の所業有之候節は最寄ゟ早々取
 押刑法官え可申出候万一藩士兵隊等の中に
 不心得のもの有之被召捕候におゐては本人

 ハ嚴刑ニ被所其主人其隊長ハ不及申品々ゟ
 父兄一家之落度たるヲ以屹与御咎ヲも被
 仰付候条不取締無之樣厚可相心得旨被 仰
 出候事
  但夜中往來いたし候節無提燈不相成旨追
   々被仰出有之候所中ニハ不相用ものも
   有之哉ニ相聞以之外之事ニ候以來無提
   燈往來之もの有之候ハゝ見付次第可召
   捕候并市中ニおゐて乱妨致候ものハ帶
   刀之者といへとも無用捨召捕萬一手ニ
   餘り候ハヽ打果し不苦候事
    六月
 右之通於大政官被 仰出候事
 八月十七日御達
十九日 朝より快晴終日持合夜ニ入晴
《割書:六十一度|甲 子》

卄一日 朝薄くもり終日くもり空ニ而持夜九
《割書:六十度 》  ツ時ゟ雨ふる
 今日支配人十兵衞妻を引取候
卄二日 宵ゟ雨ふる艮風ふく四ツ時九ツ時迄
《割書:六十度》

《割書:此處迄 |父守善 》  乃間艮大風雨瓦を飛す一時計ニて止
《割書: 筆也 》  八ツ時ゟ薄照夜入て雨降
《割書:卄三日 |六十弐度》  朝より雨降艮風强八ツ時ゟ雨止薄て
    りニて持合
《割書:卄四日 |六十五度》  朝よりくもり艮風ニて雲飛頻也九ツ
    時ゟ薄てり
《割書:卄五日 |六十四度》  朝より村雲艮風ニて雲飛少々雨降九
    ツ過に照立終日持合夜ニ入て大雨降
《割書:卄六日 |六十一度》  朝より村雲にて雨降四ツ位止村雲ニ
    て持合夜ニ入て艮風强く大雨降
《割書:卄七日 |六十一度》  艮風ニて朝より大雨降夜中月見る
《割書:卄八日 |六十二度》  朝より薄くもり夜ニ入星出る曉方ゟ
《割書:下町官軍通行有|薩長櫻之人數之由》西風ニてはれる夜六ツ半時地震强し
《割書:卄九日 |六十一度》  朝より天氣西風少々强く夜ニ入て星
《割書:市中御用金被|仰出候事》 見る
《割書:晦日  |五十八度》  朝よりむら雲ニて西風四ツ位ニ雨降
    七ツ位雨止晴天夜入て冷氣

  《割書:壬|戌》 九 月
《割書:四綠乙亥日 |朔日》 朝より快晴西風ニて寒し
《割書:五十壹度》

 鮭此節ハ壹本金壹分位之よし
 江戸より來翰寫
 定而貴地も御達ニ相成候事と存候得共當方
 ハ東京と相唱候樣相成申候尚亦近ク
 主上樣御下向ニ相成候樣專申居候德川龜之
 介樣御義も當月九日御發駕ニ而駿府江被爲
 入候其外別事無之候よし
二 日 朝より快晴殊之外冷氣ニ成九ツ位ゟ
《割書:五十二度》  西風ニてむ良【ら】くも夜ニ入而雨降る
三 日 朝よりむ良【ら】雲終日持合
《割書:五十七度》
 父守善夜八ツ半時位相果候
四 日 朝よりむ良【ら】雲ニて甚タ冷氣ニ成る
五 日 朝より薄雲西風冷氣强し夜入て雨降
《割書:五十度 》  艮之方ニ而少雷声
六 日 朝より快晴西風ニ而終日持合
七 日 朝より快晴西風ニて冷氣
 父守善之義常葉郷江林寺新土地ニ葬
八 日 朝より雨降る强し晝過ニ雨止
《割書:九月中九ツ時二分入》
九 日 朝より快晴西風ニ而冷氣
十 日 朝より快晴西風ニて甚冷氣初而大霜
《割書:四十五度》

    降
《割書:十一日|四十弐度》  朝より快晴霜降西風寒し
《割書:十二日|五十三度》  朝よりくもり霧降南風夕七ツ時より
    雨降夜九ツ時ゟ大雨西風明かた止
《割書:十三日|六十一度》  朝より快晴殊之外暖氣ニて南風
《割書:十四度|四十三度》  朝より快晴西風ニて冷氣夜入雨降
 八月末方一橋樣籏本御家人等三万人程ニて
 江戸を脱走被成候て品川之沖ニ蒸氣船ニて
 懸り居り夫ゟ西御丸え切入んと乃沙汰ニて
 市中は荷からくり等ニて甚騷々敷よし
 又々九月初メ乃頃江戸脱走之人々ノ蒸氣船
 難せん乃致し銚子え揚り土浦邊え四十人程
 參候咄ニて筑波え段々と籠ルと乃沙汰ニて
 筑波ト眞壁邊は諸々在々大ニさわかしきよ
 し
《割書:十五日|四十五度》  朝より快晴西風ニて一点雲なし
《割書:十六日|四十度 》  朝より快晴西風霜降
《割書:十七日|五十三度》  朝より雨降四ツ位ニ止村雲
  土浦相庭
 古領米一斗三升ゟ  黑胡摩壹斗五升

 新米  一斗四升五合
 町古米 一斗三升五合ゟ
 本場大豆一斗八升五合
 中大豆 弐斗
 目黒  弐斗弐升
 小豆  壹斗四升
 種   《割書:弐斗|上壹斗九升》
 荏   弐斗五升
 白胡摩 壹斗弐升五合ゟ
《割書:十八日|五十四度》  あさよりくもり少々暖氣南風
《割書:十九日|五十三度》  朝よりくもり南風ニて薄照終日持合
《割書:卄日 |五十五度》  朝よりくもり南風村雲ニて終日持合
《割書:卄二日|五十七度》  快晴西風ニて少々冷氣ニ成
《割書:卄三日|五十七度》  朝より曇り西風
《割書:十月之節晝九時ニ入》
 官軍方ニて仙臺之海岸ゟ上り合戰有之候よ
 し
《割書:卄四日|五十一度》  朝よりくもり少々冷氣
 卄二日方ニ藤堂之連枝家老下町ニ一宿致し
 明日奥州え參候よし今日抔も黑田勢六百人

 程通候よし
卄五日 西風ニ而快晴
《割書:五十三度》
 町廻狀寫
 酒造之儀ニ付別帋之通鎭將府ゟ被仰出候ニ
 付而ハ御趣意相守過造等無之樣可被相達候
 事
 當辰年之儀國々寄戰爭又風水災等も有之米
 價沸騰諸民難澁之趣相聞候仍而當年酒造之
 儀元高之三分一仕込可申萬一心得違過造等
 いたし候者嚴重御咎可被
 仰付候条此段向々より酒造人共江可相達候
 事
   辰八月       行 政 官
 右之通御達有之候間其旨相心得酒造人共心
 得違無之樣支配無洩可相達候事
    六ヶ町《割書: |名主》    玉川壯五郎
 市中取締向之儀ニ付而ハ追々相達候振も有
 之面々心得方も可有之候得共此節北國筋戰
 爭有之敗走之者共万一御近領へ洩來哉も難
 計不容易場合ニ付取締向ハ勿論火之元等別

 而心ヲ付候樣御沙汰之趣も有之候間尚此上
 一ト際嚴重取締方御町年寄并町役人共相心
 得無間斷相廻り烏論之もの等取計方等之義
 ハ去年中相達候趣ヲ以取計可申候
 右之通相觸候間支配切無洩可相達候事
   九月卄五日     玉川壯五郎
    六ヶ町《割書: |名主》
 昨夜五ツ時頃下町之夜光院ニ詰居候尼子子
 太郎樣一手高張燈灯ニて操出候樣子國境先
 迄押出候よし
卄六日 西風朝より快晴殊冷氣
《割書:四十九度》
卄七日 朝より快晴殊之外冷氣夜入而雨降
《割書:四十三度》
 當月卄四日御老中御若年寄其外大勢御登城
 有之候而其夜も御泊り相成候よし何か騷々
 敷市中之取沙汰ニ而ハ江戸 江戸(マゝ)より會津江
 脱走致候人數三百人余人押來候而黑羽根邊
 之固ニ而戰爭有之候噺ニ而大ニ騷々敷よし
 卄七日夜長倉早馬ニ而五人程御城註進ニ參
 り候よし
 八ツ時位弘道舘ニ而鉃炮を打御人數御集成

 候而廿八日朝弐頭程御操出相成馬頭へ固候
 よし
廿八日 宵より雨降
 東京より来翰之写
 此度当地年号改元に相成当月十六日ゟ相改
 町触も出申候尤も京都は当月八日町触出申
 候此段申上候
   九月十九日
     明治元年
廿九日 快晴西風

 星東ゟ南方江宵ゟ明方迄続て降
 一ノ先二ノ先阿波山石塚辺にて戦争有之候
 よし今日御操出相成金沢坂ヲ多人御固メ相
 成候所其夜七つ時位に堀ゟ上り本行寺坂通
 り袴塚参り夫ゟ馬口労町に而戦争相成候而
 直弘道舘江操込候朔日南三ノ丸大火三日弘
 道舘焼而其夕方脱走方百 六五(マヽ)十人に而長岡
 之方江落行申候
 壹町目土手方と宿前にて鉄炮の打合相成候
 而家内一同石川村立退申候荷物等廿九日に

 石川送り置申候戸障子迄も不残かたつけ申
 候打合時百目之鉄炮玉五つ小筒玉二つ拾申
 候表戸を打抜見せのし立を打抜畳二重打抜
 勝手戸打抜裏出口のカモヱにて泊申候外に
 矢壹本勝手江参申候見世之家根二階ヒサシ
 其外裏等鉄炮穴数不知候
 
  《割書:癸|亥》 十 月
     《割書:五黄》
朔(一白甲辰)日 朝より天気快晴西風
《割書:寒暖計仕舞に付不分| 夕方御城ゟ鉄炮に而南三ノ丸大火》
 星東ゟ南降
二 日 朝より快晴にし風
 二日明方越後路より参候荻庄左衛門親子本
 行寺に而切腹
三 日 朝より快晴
四 日 朝より村雲少々雨降
五 日 晴西風
《割書:家内者宿に帰》
 《割書:泉町日のや太田や大工町松坂や九のや向井|町茗荷や弘道焼出候御疑心に而溜入相成申|候》
六 日 快晴

七 日 曇
 泉町廣小路大畑小玉兩人生晒のよし
八 日 くも而にし風
九 日 曇西風
《割書:十月中朝五時四分入》
十 日 くもり西風
 泉町廣小路ニ首卄九晒候よし
十一日 朝よりくもり西風ニ而寒し
《割書:三十九度》
十二日 朝よりくもり村雲晝過ニ薄照ニ而持
《割書:三十五度》  合殊之外冷氣西風
十三日 朝より快晴ニ而冷氣西風大霜氷厚張
《割書:三十三度|日光山大雪》
 泉町廣小路ニ當月二日ニ南方江脱走致候者
 乃首三十四ツ程晒下町七軒町ニも余程晒者
 有之候よし
十四日 朝より快晴大しもふる西風少々强七
《割書:三十三度》
《割書:八月中越後追|討ニ參候人數》 ツ時位止
《割書:笠間今日歸申|候》
十五日 あさより快晴西風ニ而大霜晝過村雲
《割書:三十六度》 
十六日 朝よりくもり四ツ位少々雨降七ツ時

    ゟ雨降南風
 以書付致啓達候別帋之通 ○(御)達有之候間其旨相
 心得可被成候此段得御意候
 此度年号明治元年ト改元被 仰出候事
   十月十三日     玉川壯五郎
十(庚申)七日 宵より雨降朝止村雲ニ而南風殊之外
《割書:五十度 》  暖氣
 書生脱走勢二日ニ弘道舘逃走而小幡方江出
 夫ゟ銚子之方江落行候樣子ニ而水口よりも
 尼子樣之御勢追討之御人數与八日市場ト云
 所ニて合戰ニ相成候よし
 脱走勢晝飯を八日市場江申付置候所尼子樣
 御人數押參候て鉃炮打合ニ相成候而脱走勢
 敗走致候て余程召捕ニ相成候よし佐藤朝比
 奈冨田理介等其外俵ニ而三俵程打取候て參
 り泉町廣小路ニ昨日曝シ候よし今日抔晒者
 有之候よし
 今朝原石川村之藤介与申者親子兩人新屋鋪
 裏之狐塚之向之道ニて親被切殺候忰ハ中道
 脇ニて被切殺候よし

十八日 朝より快晴ニ而霜降
《割書:四十二度》
 六五日已前越後之方江參り候武田樣之御人
 數御備ニ相成候よし
 神崎寺御操込ニ相成十 七(六)日方ニ南之方江追
 討ニ參り候尼子樣御人數下町應光院江御歸
 ニ相成候よし
十九日 朝より雨降南風ニ而終日雨降
《割書:四十七度》
 《割書:万介|八月卄日ニ參候【「節」見せ消ち】而十月卄日馬ニて返申候》
《割書: |隠遁極九紫日夜九時九紫時》
卄 日 朝よりくもり南風ニ而雨ふる九ツ過
《割書:四十八度》  雨止
 東京十月七日出狀
 奉申上候當地義差而相替り不申
 主上樣 彌先月卄日頃京地 御發輦可爲遊
 當地江御行幸奉恐入候當十二日頃御着被爲
 在候よし風聞仕候就而は町中木戸自身番番
 小屋床店髪結不殘取拂高輪より日本橋迄道
 繕ひ出來申候此段鳥渡奉申上候早々頓首
   諸大名御拂米兩ニ壹斗六七升
   三河上銘新   《割書:五百卅五兩ゟ|五百卄兩迄》
   改       弐反九分

   鈴か晒     弐反五分
   姬玉晒   《割書:目上株|  下》卄四匁
   美濃棧     《割書:卄八九匁ゟ|四十四五迄》
   白生金巾《割書: 上物》  百四拾七八匁
 主上樣十三日ニ東京江御着被爲遊候
  御供奉諸大名大頭惣人數三万人
   水戸より追討ニ參候人歸候而の噺
 彌九月十七日會津若松之城江諸方ゟ官軍攻
 入候ニ付降參ニ相成候士五百人程井伊江御
 預ニ而水戸江參候よし市中之者官軍押來候
 風聞ニて諸々逃去候跡江官軍操込候而皆々
 軒下江分捕ト云札を懸て皆々セり拂ニ出候
 よし土藏一トマイ三百兩ニてセり拂成候を
 宇都宮商人買求候而橫濱指出候所皆絹糸ニ
 而凡三万兩位捌候よし
 宿の者歸來候見ハ皆官軍ニて店々ハ是我等
 之分捕なれハ金子指出候樣懸合ニて金子出
 候而自分之家買求漸入候者有之候よし誠ニ
 歎敷候義申候咄ニ御座候
    越後米相場

    兩ニ壹斗六七升
    庄内 〃
    兩ニ五斗
    鷄卵壹ツ《割書:|錢三百文》
    《割書:髪結セん| 一人前百卅弐文》
    《割書:フランスケブトン| 壹枚ニ付五兩ゟ八兩位迄》
    絹糸《割書:|兩ニ四十目》
    《割書:極安直 百四十目位迄》
《割書: |甲子陽遁百日 夜九時一白時》
卄一日 朝より快晴霜ふる西風少々强し七ツ
《割書:四十弐度》
《割書:穀町米相場|兩ニ壹斗弐三升 》時位風止
 肴少々參るいしもち拾疋ニ而錢弐メ文位誠
 ニ高直ニ御坐候
卄二日 大霜朝より天氣快晴ニ而一天無雲西
《割書:三十三度》 風殊之外身に逼寒氣甚し夜雨降
 ■城卄九日ゟ二日迄弘道舘之戰ニ而怪我人
 等多分相出來候而 御坐所大廣間等詰切ニ
 一倍ニ而醫師之料 止(マゝ)も手廻ぬ有之候よし今
 日抔ハ御坐所大廣間に怪我人等一人も 有之(マゝ)
 候よし
卄三日 村雲南風終日持合
《割書:四十弐度》 

    兩ニ壹斗六七升
    庄内 〃
    兩ニ五斗
    鷄卵壹ツ《割書:|錢三百文》
    《割書:髪結セん| 一人前百卅弐文》
    《割書:フランスケブトン| 壹枚ニ付五兩ゟ八兩位迄》
    絹糸《割書:|兩ニ四十目》
    《割書:極安直 百四十目位迄》
《割書: |甲子陽遁百日 夜九時一白時》
卄一日 朝より快晴霜ふる西風少々强し七ツ
《割書:四十弐度》
《割書:穀町米相場|兩ニ壹斗弐三升 》時位風止
 肴少々參るいしもち拾疋ニ而錢弐メ文位誠
 ニ高直ニ御坐候
卄二日 大霜朝より天氣快晴ニ而一天無雲西
《割書:三十三度》 風殊之外身に逼寒氣甚し夜雨降
 御城卄九日ゟ二日迄弘道舘之戰ニ而怪我人
 等多分相出來候而 御坐所大廣間等詰切ニ
 一倍ニ而醫師之料 止(マゝ)も手廻ぬ有之候よし今
 日抔ハ御坐所大廣間に怪我人等一人も 有之(マゝ)
 候よし
卄三日 村雲南風終日持合
《割書:四十弐度》 

卄四日 朝より快晴
《割書:四十一度》
 奥州江參り候諸國之官軍奥羽共ニ降參ニ相
 成候而先今ハ平均相成候与而諸方之官軍追
 々歸國ニ相成候よし
 駿州 前上樣方ゟ江戸ニ殘居候御旗本御家
 人等駿州江參り候樣御達有之候間御旗本御
 家人等急ニ諸道具立物屋敷等賣拂相成りフ
 スマ四枚ニ金ニ前面ニ秋七草を極夥敷候四
 枚金壹兩位ニ賣捌候而皆々金ニ致候而追々
 駿州江參候よし
 フランスに五年跡御出ニ相成候 民部大/夫(マヽ)
 樣御歸りニ相成候よしニて水戸ゟも三木佐
 太夫樣鈴木縫《割書:殿カ》樣向江戸御登被遊候
卄五日 朝より快晴西風
《割書:四十一度》
 泉町廣小路晒者有之首卄六級有之候よし跡
 弐ツ壹ツハ生井秀三郎之首之よし壹ツハ棚
 町邊人之よし此弐ツハ下町上町引廻ニ相成
 申候
卄六日 朝より快晴西風
《割書:四十弐度》
卄七日 西風ニて朝より快晴
《割書:三十九度》

卄八日 朝より薄くもり
《割書:四十一度》
卄九日 曇西風ニ而殊之外寒氣ニ相成申候
《割書:卅弐度》
晦 日 朝從快晴大霜西風寒氣つよし
《割書:卅弐度》
 御用之儀有之候条明晦日五半時登
 城可被有之候以上
   十月卄九日
    大高恒太郎樣   朝倉清士
 松平/藏内(マヽ)介樣ゟ被仰渡
 父六右衞門致病死候ニ付其方江家督無相違
 物成弐百三拾五石并ニ御合力五人扶持被下
 置小十人列被遊旨被 仰出候もの也
 右之居屋敷之義は是迄之通り拜領被 仰付
 候条其旨可被相達候事
 右は御燻藥方元取被 仰付候条其旨可被相
 達候事

  《割書:甲|子  四綠》十一月

朔(甲戌) 日 西風ニ而朝より快晴大霜降
《割書:四十度》
二 日 壬風ニ而朝より快晴大霜降照夜五ツ
《割書:三十六度》  ←位雨降

 奥州江追討之諸々官軍會津降参ニ相成候而
 官軍ハ皆々國々江引候よし二而下町を毎日
 通猶又宿割等有之候よし人足も多数人相入候
 而在町等難渋致候而馬口労町江毎日百人位
 も当り候而甚タ難渋致居申候
三 日 朝より西風二而快晴大霜冷気相成候
《割書:三十六度》
四 日 西風二而朝より快晴大霜殊之外寒気
《割書:三十九度》  夜入雨ふる
五 日 西風之雲飛九ッ過快晴相成候
《割書:三十五度》
六 日 西風大霜殊之外之寒気雲飛しくれ模
《割書:三十五度》  様八ッ位雨降暮方止夜二入はれる
 泉町広小路札江三人生曝首弐ツさらし者有
 之候よし
七 日 朝より晴西風二て霜降
《割書:三十七度》
 奥州路よりの帰り官軍佐倉之御人数堀田相
 模守様之御人数三百文馬口労町江御繰込相
 成候宿之本陣成る二三日逗留之様子二候
八 日 西風二而朝霜ふる天二無雲晴れる夜
《割書:三十六度|冬至夜五時九分入》入曇り深更二雨降

九 日 西風二而朝よりはれる七ッ時雨少ふ
《割書:四十度》

   る夜入晴る
 佐倉樣御人數九時半ニ御立ニ相成申候
十 日 西風朝より快晴ニ而五ツ時過より風
《割書:三十九度》  立
十一日 朝よりくもり終日持合夜ニ入而晴月
《割書:三十五度》  正明
十二日 朝より晴西風霜降
 會津江御立退相成候上野 宮樣當月四日江
 戸 朝(マヽ)草江御歸りニ相成候御供奉之士は會津
 肥後守樣之よし
 フランス國より民部太輔樣東京御歸ニ相成
 候よし
十三日 [以下殘欠]
十七日 朝より[殘欠]ニ而晴七ツ時頃より北風烈
《割書:三十四度》  しく雪降夜五ツ時頃止夫ゟ晴月見
十八日 朝より快晴西風寒强
《割書:卄四度》
十九日 朝より快晴西風寒氣甚し夜七ツ頃地
《割書:卄五度 》  震
卄 日 朝より快晴西風ニ而寒氣甚し
《割書:卄七度》
 奥州ゟ歸候官軍通行三四日前ゟ少ニ相成候

 よし
二十一日朝よりはれる西風四ツ位ニ地震七ツ
《割書:三十度半》  頃又地震鳴
 越後十日市之蕪木孫左衞門召使十一月卄一
 日ニ國元出立致候者の噺ニ而は是迄越後路
 江操込居候官軍十一月十二日迄ニ不殘引拂
 候よし  米相場
     籾《割書:壹俵ニ而壹兩弐分|四斗四升入》
 蕪木孫左衞門ゟの書狀
 嶋紬之類急速持參可致筈之所右場所夏中ゟ
 戰事有之官軍方多勢入込候故混雜致居糸拵
 出來不申候而品不足之所往來不相成候ニ付
 仕入方行屆キ不申殘念ニ存候得共一躰之事
 故無據次第當年之義は持參仕兼此段よろしく
 御承知被下度奉願上候頓首
   十一月十二日
二十二日朝より快晴西風ニ而さむし
《割書:卅三度》
 二十二日夜馬口勞町六丁目大隈屋と申所ゟ
 出火ニ而四十軒程も類燒致し候燒留ハ本田
 屋庄兵衞神酒屋ニ而留る谷中ハ稻葉屋ニ而

 留光臺寺入口ニ而留申候北風少々沈火ニ相
 成候跡ニ而風烈ニ相成申候
二十三日 朝よりくもり北風ニ而雨ふる
《割書:方付候て不相分》
二十四日 薄雲り西風つ世し
《割書:四十六度》
 民部太 夫(マヽ)樣御事
 中納言樣御養子
 鉃千代樣御事
 民部大輔樣御養子
 右御達有之
二十五日 朝より快晴西風
《割書:四十三度》
二十六日 朝より西風ニて快晴寒し
《割書:三十度》
卄七日 朝より西風ニ而快晴寒氣
《割書:三十度》
二十八日 朝より快晴西風寒氣
《割書:卄六度》
二十九日 朝より快晴西風
 三州《割書:古新 千夕上|改  夕末上》   《割書:金薄五郎薄|    川大上》
   《割書:銘 品なし|     原田吉》   《割書:本 千川上|上代弐はん》
 晒《割書:大巾殘口  千よし 》   《割書:    川糸|若坂メ》
 名古《割書:五はん 千才上》    《割書:   夕才上|無地 原末よし》
 姫玉 《割書:目千|坂玉下物千川上 》  《割書:欝金|  千夕よし》
 生きん《割書:原よし|    原才》   《割書:手巾懸もの|   千夕ゟ千よし》

 生金巾《割書:壹 百五十匁|並 百四十七八》     《割書:坂下もの|    千原》
     《割書:弐百三十文》     《割書:信庇| 東織千よし》
 《割書:黑》   《割書:八兩壹分》      《割書:近比 千原よし》
 《割書:米  壹斗三四升|坂水 九十兩》
 《割書:地水 八十六七兩|蠟燭 三百八匁 九十七八匁》
晦 日 朝より快晴西風さむし
《割書:三十弐度》

  《割書:三碧》十二月 小
《割書: |五黄 甲辰 起四綠》
朔 日 朝よりくもり四ツ時より照立夜七ツ
    時より雨降明方止
二 日 朝よりくもり
三 日 西風ニ而朝より快晴余程寒氣
《割書:三十五度》
 中納言樣御隱居
 民部大輔樣江御家督無相違被仰付候条其旨
 奉承知月番御年寄衆御宅へ參御祝儀御申上
 可被成候
   十二月二日御達
 此頃之沙汰ニ而ハ奥州方不殘降參ニ而平均
 相成候而官軍も引拂候て只今ハ大ニ穩相成
 候所德川脱走之兵仙臺ゟ蒸氣船七艘ニ而乘

 出し蝦夷江屯集致候よし人數は不分候夫ニ
 付來春 民部大輔樣ニ而御追討ニ御出陣ニ
 も相成候哉乃沙汰抔專有之候
四 日 朝より快晴天氣ニ而寒氣西風ふく
《割書:卄九度》
五 日 西風ニ而朝より天氣よろしく寒氣つ
《割書:三十度 》  よし地震
六 日 富士南風ニ而少しあたたか四ツ位よ
《割書:三十弐度》
《割書:此頃磯湊平 |磯邊ニ而鮪》 り西風烈しく雨降八ツ時止夫ゟくも
《割書:大漁ニ而中 |まくろ壹本》 りしくれ模樣
《割書:壹メ八百文俄乃|大漁ナリ》
七 日 宵よりくもり西風烈しく朝少々雪ふ
《割書:三十五度》  る四ツ位ニ止夫ゟ雨降
八 日 朝より天氣西風さむし
《割書:三十度》
九 日 朝より天氣大雨風終日止
十 日 朝よりくもり雪少々降夜ニ入而晴快
《割書:三十三度|此節鮪取高 》 寒し
《割書:三尺五寸位壹千よし》
十一日 朝より曇り西風五ツ半位ニ少々雨降
《割書:三十弐度|此節いわし 》 西【四ヵ】ツ位西寒しけ模樣ニ成候
《割書:大漁之よし|鰯七八寸位ニ而六文》
 御達

 一         諸向へ
 民部大輔様御事
 朝廷御伺済之上自今日 水戸少将様ト御称
 被遊候条其旨奉承知支配々末々迄不洩様可
 被相達候事
 一少将様御事
 中納言様御病気ニ付為御看病御下国之儀
 朝廷江被 仰立候処御願之通り被仰出今十
 日東京表
 御発途被遊候尤此度之儀ハ御道中御乗切歩

 行御供ハ御省至極御手軽御下国被遊候条其
 旨奉承知支配々末々迄可被相達候事
十二日 西風ニ而朝より晴る四ッ過ニくもる
《割書:三十八度》  少々暖気成ル夜五ッ位地震
 少将様御事昨日御下国二相成申候事
 御支度ハ
  信玄笠中臺江葵御紋付
 御服ハ
  三才羽織 タンフクロ
 御鉄炮

  ミンケルト云鉄炮を右肩江御下ヶ
 御馬ニ而御供七人ニて御乘切ニ而七ツ過ニ
 御着城被遊候
 今日ゟ御城大廣間ニ而御家中江御目見有之
 候よし
十三日 坤風ニて朝より曇り大風吹七ツ頃よ
《割書:三十七度》  り雨降
十四日 朝より雨降七ッ過頃雨止夫ゟ夜入く
《割書:卅五度 》  もり
十七日 西風ニて村くもり薄照ニて地
《割書:卅八度 》  震也西風
 中納言様不被為叶御養生今暁卯之上刻御逝
 去被遊候段可奉承知候事
 中納言様御逝去被遊候間鳴物音曲殺生普請武
 芸月当御停止之事
一布衣已上右 已下諸士諸手代迄御葬相済候
 翌日髭刺御三十六日過不残月頬刺可申候事
 中納言様御諡号
 源順公様
 右之通奉称候事

十六日 西風ニ而朝より快晴風立强し
《割書:三十七度》
十七日》 南風ニ而朝より快晴大風ニ而砂を飛
《割書:三十三度》
 下町會所江屯集致し居【「候」見せ消ち】尼子樣先日奸賊ニ而
 銚子八日市場迄追討ニ參候節此邊乱妨致し
 候よし村之者共官軍方に訟候よしニ付東都
 大政官御達水戸少將樣江御達早速打取東京
 差出候樣御達有之候よしニ而今日御先手頭
 御頭御目付方一頭御町役同同心等七軒町町
 水戸を打シメ軒下ニ銕炮玉込會所取卷候而
 中江御目付方一組入候間四人程召捕候よし
 下御町ニ而も肝けし候よし
十八日 朝より雨降四ツ時位雨やむ南風ニ而
    暖氣夜ニ入大西風曉七ツ過ニ地震
           諸向江
 御尊骸來ル十九日巳ノ上刻御出棺ニ付御家
 中之族麻上下着用大手門前ゟ御札順ニ相並
 居御見送り可仕候尤此度ニ限り新古之無差
 別相心得其場ニ指掛り彼是混雜無之樣可被
 致候
  但子弟之儀父兄之側江可罷出候

 右之 赴(マヽ)支配々江も可被相達事
十九日 朝より天氣よろしく西風つよし村雲
《割書:三十五度》  夜入くもり曉七ツ過大地震
 晝之七ツ過ニ御新葬大手御門ゟ御出棺ニ相《割書:成カ》
 候而太田江御泊ニ相成候よし此度諸國騷々
 敷右ニ他國より御見送ハ壹人も不參候
卄 日 西風ニ而寒氣朝より村くもり八ツ時
《割書:三十一度》  より雨降夜四ツ時止
卄一日 朝より村くもり夕かたより雨降夜九
    ツ半時位止
 今日すゝはらい仕候
卄二日 朝從天氣西風寒氣七ツ過むらくも夜
《割書:四十度 |節ふん》  ニ入て曇
卄三日 朝よりむらくも坤風暖氣
《割書:三十五度|正月節今曉八時一分入》
 今日ゟ餅つき煤取家上破損繕其外壁小破損
 等之義ハ御免ニ候事
卄四日 坤風ニ而つよし朝よりくもり風立七
《割書:四十度 》  ツ過ニ艮風ニ成夫ゟ大風夜ニ入而雨
    風强し

卄五日 朝より雨降艮風寒氣終日雨ニ艮風强
《割書:四十一度》  し夜大雨風
 此頃上下町穀町江五穀共出方少なるよし笠
 間米玄ニ而壹斗八九升之よし
卄六日 艮風ニ朝より風雨強し七ツ時位ニ雨
《割書:四十度 》  止晴夜ニ入くもる七ツ位地震其後小
    地震
卄七日 西風之方黛雲南之方迄なひく東方晴
《割書:三十五度》  る朝より艮風薄照
【印 中央に「購」、周囲に「*昭和十三年四月廿五日」】

巻9

L289.1 9 137
《割書:水|戸》大高氏記録 九

 文久二
日 記 帳
 壬戌年

   文久二壬戌
   年徳あきの方戌亥の間
 《割書:壬寅》正月大
      寒暖計ハ朝五時をしるし
きのえ申あやふむ
元 日 宵より曇空ニ而明六すこし過より小
《割書:二十六度》  雪降出終日小雪
二 日 明七ツ前より快晴寒気つよし
《割書:二十五度》
三 日 朝より快晴寒気つよし

《割書:二十六度》
四 日 朝より快晴四時ゟ東風吹むら雲
《割書:二十六度》
五 日 朝より快晴
《割書:二十三度 節分》
《割書: |正月節五時八分》
六 日 朝より快晴暮方ゟくもり夜中もくも
《割書:二十一度半》  り
七 日 朝より薄曇四ツ時ゟてり立西風吹夕
《割書:二十六度》  方止
八 日 朝より快晴四ツ時より東風吹寒気強
《割書:二十七度》
九 日 朝より快晴寒気つよし
《割書:二十三度》
昨日初市籾沢山出ル初ハ弐斗一斗升位ニ買入
候所追々下落弐斗五升位
大豆八斗
十 日 朝よりくもり五ツ半時より折々照夕
《割書:二十七度》  方よりくもり夜ニ入雨ふり直止又々
《割書:猪壱駄 |四両位 》  五ツ過雨

十一日 朝より快晴西風五時半より九ツ時迄
《割書:三十五度》  大風ニ而九ツ時雹【雨かんむりに氷】降直止照立風吹
十二日 朝より快晴五ツ半時より西風吹
《割書:弐十五度》
十三日 朝より快晴寒気九ツ過より曇
《割書:弐十三度》
十四日 朝明七ツ前より雨降明六ツ前雨止終
《割書:三十度 》  日天気暖也夕方より曇四ツ過より西
    風終夜風つよし
十五日 朝より快晴宵より西風つよし四ツ半
    過より風少静ニなる八ツ半時地震夜八
    ツ半時地震二度ゆる
十六日 大霜快晴九ツ過より西風吹夕方止
《割書:弐十六度》
十七日 大霜快晴
《割書:弐十五度》
十八日 朝より快晴四ツ時より西風吹夕方迄
《割書:三十二度》  風つよし
十九日 朝よりくもり寒気つよし四ツ時地震
    てり立

廿 日 朝より薄くもりさむし
《割書:二十七度》
当十五日江戸表大手前老中安藤対馬守登
城懸ケ四ツ時何方之ものニ候や人数六七人鉄
鉄【本のまま】ニ而打候よし
《割書: |正月中七時九分》
廿一日 朝より快晴四ツ時より薄くもり寒
《割書:二十一度》  気殊之外つよし九ツ半時よりてり
    立

   安藤対馬守家来
         大小姓
  深手        松本速之介
  鉄炮弐ツ玉疵二ケ所
  其外頭上ニ疵有之
         大小姓
  中疵        斎藤勇之介
  同断       《割書:刀番》 小草七之介
         徒
  薄手        高沢幸之允

  同断     《割書:押 》  藤田 万蔵
         隠供
         勘定奉行
  深手        原田庄兵衛
  頭上ゟ服中脇ヲかけ切落之由其外少々疵
  受候もの両三人と申候由
 右ハ安藤殿七人元〆京格住居遠州や七左衛
 門と申者直話是ハ越後黒川出生之ものニ而
 塚田作平親類之ものニ御坐候
一去ル十二日大橋順蔵と申儒者父子共召捕ニ
 相成有之余類数多有之由安藤殿ヲ狙居候と
 の風聞ニ御坐候間右党与之もの仕業ニ可有
 之との事と沙汰ニ専有之趣ニ御坐候大橋時
 ヲ憤リ居頗慷慨ノ由と申沙汰ニ御坐候
    封廻帖
       一橋付
         近習番
  一ト通尋之上    山木繁三郎
  揚リ屋へ遣ス        四十八才
        戸田越前守家来

             大橋 順蔵
                四十七才
          順蔵養子
  同断         大橋 寿斎
                三十六
         戸田越前守家来
             松平□【金へんに共】太郎
                二十七
右黒川備中守於御役宅浅野伊賀守立合同人申
渡之
  正月十五日
  御城付ゟ指出候書附之写
 財布へ巻紙弐巻     三橋 三郎
 麻裡草リ壱足         十八九
 懐中物斬奸趣這書
 ニ認候書付壱通     豊原邦之介
                三十一才
 懐中物ニ麻裡草リ壱足
 西洋短筒一挺      細谷 忠斎
  《割書:但玉目弐匁五分程 | 風呂敷包有之》         廿弐才

 斬奸趣這書ニ記候    吉野 政介
 書付壱通別ニ手拭壱本     三十位
 斬奸之趣這書壱通疑細  浅田 儀介
 向集弐冊西洋筒一挺      三十位
 木綿胴巻壱巾ニ斬肝之  相馬千之介
 趣這書と認候書付壱通     三十五六
右乱妨人名前
 外ニ松平大膳大夫屋敷於学問所自殺
             内藤萬之介
                三十位
今朝登城懸ケ坂下御門番所手前ニ而狼藉鉄炮
打懸ケ七八人抜身ヲ以左右ゟ駕籠え切懸リ候
ニ付供之者防戦致狼藉之者六七人打留其余之
者返去申拙者儀も捕押等致指揮候故少々致怪
我候ニ付坂下御門御番所ニ而手当致候得共出
血等も仕業も有之候間一ト先致帰宅供方初手
負もの有之候間相糺追而御届申達候〆
   正月十五日    安藤対馬守

公辺御小人坂下辺ニ居候節之騒ニ而見物いた

し候趣讃州殿家来話ニ御坐候所右小人話候如
何ニも大変ニ而中々一々御話可申上わけニハ
参リ兼候へとも五ツ時比より安藤殿登城之
様子ニ而門を出候處いまた供連等門内ニ残リ
居候位之所何者欤壱人鉄鉋打懸候へハ家来更
ニあわて鳥色もなし直様刀を抜出候様ニ相見
候内ニ其もよりニ見物いたし候内ゟ弐三人刀
抜真直ニ 籠を目かけ切込候所隠供等防戦候
様子ニ而必死之働ニ御坐候こたすた致候内ニ
駕籠倒れ候様ニ相見候間もなく安藤殿と相見
はだしニ而出だし候所を乱妨人【刀脱か】をふりあけ候
處供頭大ニ防き彼是致候内ニ右供頭右之様子
如何ニも疲れ候而防キ兼候事と相見安藤殿こ
ろひ候所を身ヲ以而防き候故安藤殿ハ助リ候
へ共供頭ハやかて真二ツ位ニやられ申候安藤
殿ハ其内坂下御門之方へ逃行候へ共乱妨人切
かけ〳〵追懸候へ共更ニ当リ不申様子ニ御坐
候隠候供等馳来リ乱妨人ずた〳〵ニ切れ候由
其後ハいつれも血の中ニ倒れ居候様子ニ而何
レニも大成ル騒ニ而跡迄見申度存候所諸家供

廻り等坂御門へ逃込候まゝ大さわき強ク其方
へかゝり居候故其後ハ如何相成候哉相分リ不
申候間御聞可被下候
廿二日 朝より快晴寒気五ツ時より西風吹ク
《割書:弐十八度》  大風夕方止
廿三日 朝より快晴
《割書:二十八度》
廿四日 朝より薄曇
《割書:三十二度》

当十五日朝安藤殿西丸下紋屋敷門出登 城懸
ケ町人体之者壱人駕籠訴之振ニ仕成駕籠脇へ
近寄〳〵否鉄炮打懸ケ【見せ消ち「町人体之者壱人駕籠」】双
方切詰暫時戦候由狼藉者共六七人即死安藤家
来ニも即死怪我人数多有之候へ共不詳鉄炮も
弐発打懸ケ対州額の辺がすり疵壱ケ所駕籠左
右より突通【見せ消ち「当」】候侭敵両人被打果候由陸尺も周章
駕籠投捨候折対州逃出シ供壱人召連無力ニ而
坂下御門え逃込候途中敵壱人跡追駈幾度も跡
より切懸候へ共間延ニ而切付候様ニも見受不

申候由然ル所駕籠之内ニ而突疵ニ候哉袴の腰
板ヲ突破リ身体えも少シハ通候哉屋敷へ引取
候後殊之外相脳疲衰之様子ニ相見候由書記之
内両人見舞ニ参対面いたし候者之話其夜之内
及落命候説市中其外とも専申触候間存命ニハ
無之事ニ相見申候
大橋順蔵当今之時世を深憤居趣這書様之書物
を安藤対州近比指出候哉ニ而既ニ当十二日召
捕一ト通尋之上父子|熟(マヽ)生共揚屋入ニ相成残塾
生共之内七人申合十五日朝之騒動ニハ相成候
趣之よし
内田万之介と申者徒党人数ニ候へ共戦畢而其
場を逃延毛利之藩勝浦小五郎文武兼備之人才
ニ而名高師範之由小五郎尋参今朝機会を失残
念至極其場ニおゐて割服【腹】と覚悟致候得共死後
之【見せ消ち「候」】事先生ニ相願度旨申述直様於学問所ニ割服【腹】
相果候由毛利家ゟ幕府へ【見せ消ち「候」】御届相成候所水戸浪
人と申候趣御届書ニ相見既ニ当御屋敷へも御
達ニ相成小十人目付毛利屋敷へ出張尸見届候
上水戸者ニハ無之旨申述其通ニ而相済候由水

戸浪人と名乗候儀ハ毛利家之届書偽策欤とも
致疑惑之幕府御目付為検使毛利家へ出張之所
毛利家之申立ハ家来小五郎を便り死後之事を
頼置自殺仕候者尸指出候ハヽ小五郎ニおゐて
甚心配𢮦仕候義何卒愛情を被思召屋敷へ御任ニ
仕度旨致歎願於御目付ても申立候通聞済尸見
分ニ不及引取候由毛利家之評判至極宜敷流石
幕之御目付一役之決断ニ而申立候趣汲取其侭
引取候段是も評判ニ御坐候
廿五日 朝より快晴
 江戸仕入ニ了助藤原与三郎出立道中筋殊之
 外厳重
廿六日 朝より天気西風つよし夕方止
《割書:三十七度》
 朝五ツ時上金町岩崎や徳兵衛物置焼失
廿七日 朝快晴五ツ時ゟ薄くもり西風さむし
《割書:三十度》
廿八日 朝より快晴寒気つよし西風吹
《割書:二十度》
廿九日 朝より快晴西風吹夕方止

《割書:二十七度》
 綿わた□節引上当地わた弐〆目位
 籾ハ壱分ニ壱升方もゆるミ
 白川辺玄米七斗 大子辺五斗八升
晦 日 朝より快晴南風少々吹九ツ半過よ
《割書:三十五度》  り風あまり無之候へ共土ほこり吹上
    ケ候や俄ニ四方くらく相成夕方迄之
    間十四五間先キハ見へ不申位なり
旧冬より雨雪とも更ニ降不申毎日風ふく
元日ハ江戸表ハ壱尺四五寸も雪降候由常陸奥
州辺之もの伊せ参宮ニ立候もの江戸迄出事ハ
不相成下総ハ利根川ニ関所有之水戸道中ハ松
戸ニ而被留不残返され候よし

  《割書:癸卯》二月
朔 日(きのへとら) 朝より薄くもり寒気ゆるく折々照夕
《割書:四十三度》  方よりくもり夜中大くもり
二 日 朝より雪降四ツ半時より小降ニ成終
《割書:三十五度》  日少々ツヽ降夕方止
三 日 朝より快晴八ツ半過より西風強夕方

《割書:三十度 》  止
四 日 朝より快晴暮六ツ時地震
《割書:弐十八度》
五(初 午 )日 朝より快晴終日天気よし
《割書:三十度 》
六 日 朝より快晴夜ニ入五半時あられふる
《割書:三十二度》
七 日 朝より薄くもり四ツ時よりくもり立
《割書:三十五度》  又々くもり雨
八 日 朝より快晴余寒つよし
《割書:弐十七度》
九 日 大霜快晴寒気つよし
《割書:弐十五度》
十 日 朝より快晴余寒つよし尚五時地震夕
《割書:三十二度》  方よりくもり夜ニ入八ツ過より雨風
十一日 明七ツ前ゟ雨ふり五ツ時止終日折々
《割書:四十度 》  小雨降埃りしめしニも相成不申
十二日 朝くもる五ツ時ゟはれ北風ニ而さむ
《割書:三十七度》  し九ツ時迄風つよし
十三日 朝より快晴五時より薄くもり九ツ時

《割書:三十度 》  よりてり立
十四日 朝より快晴さむし西風吹九ツ半過よ
《割書:三十度 》  りくもる
十五日 朝より至極快晴西風吹
《割書:三十度 》
十六日 大霜寒気快晴
《割書:二十九度》
十七日 大霜寒気快晴風少々ふく
《割書:三十度 》
十八日 快晴五ツ時より薄くもり日の内照夕
《割書:三十五度|ひがん 》  方よりくもり夜中少々雨ふり
十九日 朝より快晴暖気西風吹夕方止夜中も
《割書:四十八度|所々ニ而雨乞》 六ツ時ゟ五ツ時迄風吹
《割書:御祈祷アリ》
二十日 朝より快晴
《割書:三十五度》
二十一日(春分  )朝より天気五ツ過より北風吹さむし
《割書:三十七度》  終日北風夜ニ入五ツ過より雨降九ツ
《割書:十二月十八九日 |方雨降候まゝ》過より北風強ク雨ふり廿二日明方風
《割書:にて此度雨 |降》 止
二十二日 宵より北風強雨ふり明方風吹又々四

《割書:三十八度》  ツ時より北風強雨降八ツ時より雨風
    薄らき候七ツ過より雨止
二十三日 朝よりむら雲北風吹
《割書:三十八度》
廿四日 朝より快晴暖気夜ニ入くもる北風少吹
《割書:三十五度》
廿五日 朝よりくもり暖気なり四ツ過よりて
《割書:五十三度》  り立
廿六日 朝よりくもり暖気四ツ時ゟてり立夜
《割書:四十五度》  ニ入五ツ時ゟ雨ふり
 府中辺玄米五斗一弐升
    な種五斗一升
    大豆五斗弐三升ゟ六斗迄
当二月十九日夜五ツ時比江戸橋南之方ゟ出火
蔵屋敷焼中ほとゟ四日市自身番之側残るミかん
店不残やける翁いなりおなや焼る塩店不残四
日市西木戸きわにてとまる青物丁万丁西木戸
きわニ而消音羽丁木原店佐内丁平松丁ニ而消
小松丁しきふ小路かわせ   南油丁西きわ
にて消新右衛門丁すゝヤ丁ニ而消福島丁ニ而

留岩倉丁下西の方少し残る中はしうめたてち
半丁程のこるおが丁まさき丁鈴木丁ときわ丁
いなば【見せ消ち「橋」】丁柳丁ぐそく丁竹かし中の橋やける白
魚やしきすそのいなりのこる金六丁五六軒残
る又一ト口ハ本材木丁一丁目ゟ八丁目迄不残
かいぞく橋向ふ牧野様上やしき蔵火にてやけ
る八丁堀代地へ飛火松屋丁不残やける松屋橋
不残やける高なわ代地すこしのこる本八丁堀
不残二丁目ての字大坂やのきわにてとまる大
畳ミ少しやけ南八丁堀中程ニ而とまる夫ゟ日
本橋通一丁目のこる二丁目東の裏少シやける
三丁目少シ四丁目のこる南てんま丁一丁目東
かわ中ほとやける二丁目三丁目東がわ不残京
橋きわにて留る飛火ニ而佃島石川島やける翌
朝六ツ半比火鎮リ
廿七日 朝くもり四ツ時ゟてり立終日快晴
廿八日 朝よりくもり雨もやう四ツ過より
    天気薄てり夕方よりくもり夜中八
    ツ過より北風強あられふる
廿九日 七ツ前より大雪ふる四ツ過より止

《割書:三十度 》  九ツ時よりてり立
 神応寺へ角力立幕ノ内壱両人中角力也
 いそニ而此節取候いわし粕拾壱弐〆目之俵
 ニ而壱俵壱両位銚子辺も同断大高直
 両三日已前瑞龍山
 烈公様御墓前ニおゐて切腹いたし候もの有
    之候よし巾九尺ニ深サ五尺程ニ土を
    御入替ニ相成候よし


   弥 生
朔 日 大霜降寒気快晴
《割書:三十五度》
二 日 朝より快晴五ツ過より薄くもり
《割書:三十四度》
金沢山西今日御出社太田馬場御泊
見世之もの太田え用事有之参リ候所大群集に
て昼もたべと事ならす額田え参リ候所同断ニ
而朝飯のまゝニ而昼も夕飯も不喰ニ帰リ道中
筋都而たべもの類売却之よし

二日夜五ツ時神輿ハ御著之よし
三日ニ水木御泊り
水木ニ而御田楽あり今夜龍燈海中よりあかり候
よし
三 日 朝より快晴
《割書:四十一度》
四 日 朝より薄くもり四ツ過よりてり立西
《割書:三十八度》  風吹さむし
 追々参詣之人夥敷事之よしニ候へ共御行列
 等ハとても御祭礼なとの様ニハ無之縞の著
 もの抔大勢出候而更ニ御行列も揃不申候由
五 日 朝よりくもり五ツ時より立西風ふく
《割書:四十度|夜五時大地震》
六 日 朝より薄くもり終日持合暖気なり夜
《割書:四十五度|夕方北の方ニ 雷声 》ニ入雨降五ツ過ニ止
七 日 朝より快晴西風吹
《割書:四十五度》
八 日 朝より快晴
《割書:三十八度》
昨日やんさあ町と申村ニ鎮守御儀出有之先年

大喧嘩有之廿一二年程御指留ニ相成居候所当
年ハ願相済出社ニ相成候事其外居祭り之所ハ
躍等有之候よし
九 日 朝より薄くもり終日くもり雲にて持
《割書:四十度 》  合
十 日 明方より雨ふり終日雨ふり夜ニ入晴
    星見ゆる
《割書:今日|東金砂山御出社太田馬場御泊り》
《割書:水木御泊|十一日 》  朝より雨ふり四ツ過より雨止又々夕
《割書:五十度 》  方小雨
《割書:今夜河合御泊|十二日 》 朝よりくもり五ツ時より雨降終日
《割書:四十七度》  雨七ツ半時ゟ止
《割書:今朝河合御立  |十三日 》朝より快晴大霜ふるさむし
《割書:四十度 》
東金砂山ハ東清寺と申寺ニ而西金砂と違行列
も随分立派ニ有之候よし
十四日 朝より快晴さむし
《割書:四十一度》
十五日 朝より快晴さむし五ツ過よりくも
《割書:四十度 》  り辰巳風少シ吹四ツ半過俄雨ふる

    壱時計にて止
八幡宮御出社上町中惣町ゟ御送挑灯出る
十六日 朝よりくもり明七時地震ゆる四ツ
    時ゟ雨ふる八ツ過より快晴ニ成る
十七日 【見せ消ち「朝より快晴南風吹夕」】
《割書:四十度 》  大霜降打け立快晴さむし
十八日 朝より快晴南風吹夕方より風つよ
《割書:四十度 》  し夜中南風つよし
十九日 朝むら雲南風吹九ツ過より土ほこ
《割書:六十度 》  り吹立四方くらく相成九ツ半時よ
    り西之大風吹出家上小羽瓦を吹飛し
《割書:九ツ半時ゟ |八ツ半時迄 》 八ツ半過迄古今之大風夫より少々あ
《割書:大風吹 》  かるく相成追々日てり立七ツ時より
    静る少々破家等有之候事
廿 日 朝より薄くもり五時地震ゆる終日天
《割書:四十度 》  気よし
廿一日 朝より薄くもり四ツ時よりてり立快
《割書:四十二度》  晴夜四ツ時地震ゆる
廿二日 朝よりくもり四ツ過より雨強夕方止
《割書:五十度 》  夜中四ツ時又々雨降直ニやむ

   金砂山略縁起
常州久慈郡金砂山に立給ふ山王大権現ハ 文
武帝の御宇役優婆塞一言主の讒にかゝり豆州
大島に遠流せられける夜は密に囲を逃出て富
嶽に登暁る帰給ふ或時常陸の方海上を望給ふ
に金色の光を顕し且音楽の響聞へけるとなむ
神童顕れ行者に告て曰光は薬師如来の浄土光
明に映し砂変して金色をなせりと示ける大宝
元年行者赦免有て帰の砌 文武帝へ此旨を奏
聞せしに叡感不浅詔有て当山塔社造立有此縁
困によりて金砂山と号行者自ら像御を作り弥勒
三会の暁迄是を伝へしと誓給ひし霊山也嘉祥
年中慈覚大師再興也 承和五年入唐し同十
四年帰朝の時海上俄に悪風起逆浪天を突其時
大猿船中に顕楫取せしに忽風静り危難を逃れ
給ふ夫より興法利益の霊山を尋当山に来給ひ
し時樵翁出て示て曰汝海上の難を救へしハ瑠
璃光如来の利験也仏の在すへき霊【見せ消ち「山」】地旨にて
也速ニ二十一社を創立し国家豊饒たらむ事を
鎮護すへしと云々薬師如来正身尊影を大師自

ら写し安置すへき旨 仁明帝へ奏して勅許有
是中興の開祖にして比叡山を模し給ふ故に麓
坂本横川有皆其遺跡也 仁寿元年文徳天皇の
御宇民凶餓の難に逢大師に宣旨有て国家安全
儀出の祭礼修行有是七十三年巡り大祭礼濫觴
にして五穀成就万民舞楽本朝一家の御祈祷也
安政年間迄及十五度修行無断絶又於当山毎年
正月三日王三鬼神子の舞を奏し修正護摩行事
新にして今にたえす 康平四年辛丑三月源頼
義公の命により当山別当三位大阿闍梨雲忠
道師にて丑未七年巡田楽祭事有是小祭礼の始
也 治承四年佐竹冠者秀義源頼朝勢を受て金
砂山に戦ふ権現の加護によりて和平となる源
家を全し給ふ建武三年佐竹義篤金砂山に官軍
を引受て那珂通辰等楠正成北畠顕家に属シ力
戦すといへ共義篤神力によりて官軍利を失ふ
通辰一族敗走し四十三人太田郷増井一ツ松の
峯に生害す那珂中根逆徒たるにより両民の子
孫【見せ消ち「糸」】今に登山する事あタわす 明応六年佐竹義
舜金砂山ニ楯籠一族山入氏義と戦ひ敗せんと

せし時権現ニ誓ひ別当宥賢十二神〆千夜刃の
法を修しけれは妙慮を【見せ消ち「承」】蒙忽大雷強風起木石
を飛し氏義敗走ニ及へり 近里の農夫己か田
方苗艸の乏に心迷ひ他の苗をむさほり植付し
に及露顕之難義に迫れり因而己か遇を懺悔し
権現ニ祈誓しけるニ糯の苗粳ニ変生して危難
を免れたり今世ニ 金砂海中籾と云ハ是也子孫
毎年十一月朔日供米を捧る事世人の知る所也
当山居垣の内ニ神田有蛭あれ共一切手足ニ著
事なし是当山の一奇事と云へし 嘉祥年間当
山 ニ大楽樹王の一樹有是を三段ニ断て三如来
を作り給ふ元丸ハ当山の本尊薬師仏中丸ハ真
弓山の釈迦仏末丸ハ花園山の弥陀仏也或時大
猿二十一疋当山の庭上ニ赤白二顆の玉を携来
り賞弄する事大方ならす大師祥窓ゟ覗き見給
ひ密に写し是を猿楽の牛王と号て当山の什宝
として大師の御作猿楽の版二顆の玉と称する
ハ是也当山の僧侶ニ天地坊と云者有嬌慢邪侫
なるものを憎み権現ニ誓ひ天狗と成て天上す
と也参詣人邪侫なるものあれハ現し罰する事

又速也佐竹防戦の時しば〳〵顕れ出て名乗佐
竹ニ 与力せしと也天地坊の宮是也金砂山ハ五
山専一の神社山王権現にして常盤城の鎮護源
家御代ニ開運し給ひし霊山なり
        大別当
            東清密寺
右縁起ハ古代より予家ニて諸人為結縁相弘メ
来るもの也
        常州久慈郡中染邨
        横川   関氏 某
   金砂山大祭礼縁起
抑金砂山大権現ハ天智帝壬戌年神霊始テ近江
国滋賀郡比叡之嶺顕形見即宮彼處ニ造リ鎮メ
座シ奉リ其後大同元年丙戌年平城帝勅奉リテ
天台沙門宝珠上人始テ常州久慈郡金砂山闢日
吉神遷祀奉リ所謂本国七郡ノ総社ニシテ夫当
山大小ノ祭壇有其大者ハ文徳帝仁寿元年辛未
年始テ大祭礼ヲ行七十三年廻一祀天明七未年
ニ至テ凡十四度ニ及フ其小ナル者ハ嵯峨朝弘
仁六年己未三月始テ祭礼行ヒ永例トナシ夫ヨ

リ丑未ノ七年毎ニ怠慢欽是修ルナリ世ニ伝フ
役優婆塞富士山ヨリ海上望ケル金色瑠璃光顕
音楽ノ響聞へシハ即テ是山ナリトソ足以是金
砂山トハ名付丑未ニ至テ風雨不時毎ニ水旱疾
疫多ク人民飢饑是故ニ祀ヲ修テ灾【災】ヲ攘ヘ祥ヲ
祈リシナリ今爰安政五年七十三年廻ニ当リ時
ナラスシテ延テ今年文久壬戌三月今日依例
中染村横川関四兵衛テ於テ霊時仮殿ヲ構神輿
ヲ安奉大祭礼ヲ行天下泰平国家安全五穀成就
祈リ奉リ再云
  于時文久二壬戌三月今日
           金砂山宝蔵院
右縁起ハ古代より予家諸人結縁し給相弘め来
るもの也
           関 四兵衛
干粕十五〆目俵壱両ニ八分五ノ
いそ新粕壱俵弐三分
廿三日 朝より快晴終日天気よし
《割書:四十五度》
廿四日(桜花盛) 朝より快晴

《割書:四十六度》
廿五日 朝よりくもり九ツ時より南もやう
《割書:五十二度》  にて雨ふる夜中雨
《割書: |時斗》
《割書:天府 昼外より十三|   夜外より十九》
廿六日 明七ツ時南風吹雨【見せ消ち「吹」】ふる四ツ時雨
《割書:五十度 》  止九ツ時より快晴ニ成る
廿七日 朝より快晴
《割書:五十一度》
廿八日 朝より薄くもりきり雨ふる八ツ半
    時地震ゆる夫より南風吹出夜四ツ時
    ゟ雨風
廿九日 明【見せ消ち「朝」】方より快晴九ツ半時より丑午風にて
《割書:五十五度》  さむし
晦 日 朝よりくもり九ツ半時より雨ふる
《割書:五十五度》  終夜雨ふる丑午風にて冷気
《割書:茄子山辺|山之雪見ゆる》

   四 月
朔 日 朝より快晴丑午風にて冷気夜に入く

    もる
二 日 朝より【見せ消ち「快晴」】くもり冷気終日くもり空
《割書:五十四度》  にて終日冷気也夜中快晴
三 日 朝より薄くもり四ツ過よりてり立快
《割書:五十二度》  晴
四 日(八十八夜 ) 朝より薄くもり昼時より天気ニ成ル
《割書:六十度》
五 日 朝よりくもる九ツ時より小雨南風終
《割書:おたけ事今|日小泉にきし》 日雨ふる夜ニ入雨止
六 日 朝より快晴さむし
七 日 朝より快晴
八 日(四月節  ) 朝より快晴
《割書:五十七度》
九 日 朝より快晴夕方よりくもり
《割書:五十七度》
十 日 明方より小雨ふり終日雨降夕方止夜
《割書:五十五度|今夜里関ニ参ル 》四ツ時ゟ大雨九ツ半時止
十一日 朝より快晴
《割書:五十六度》
十二日 朝より快晴夕方よりくもり

《割書:五十五度》
十三日 朝よりくもり終日持合南風なり
《割書:六十三度》
十四日 朝より快晴
《割書:五十三度》
十五日 朝より快晴
《割書:五十度》
十六日 朝より快晴軽暑位なり
《割書:五十五度|御目付方躍》
《割書:見分やといたし之事》
十七日 朝より快晴軽暑位にて終日上天気
《割書:五十七度|御祭礼》
《割書:無御滞相済候》
十八日 朝より快晴軽暑位なり
《割書:五十八度》
十九日 朝より快晴九ツ半過より南風吹夕
《割書:六十二度》  方止くもり
二十日 朝よりくもり五ツ時はら〳〵雨ふ
《割書:六十七度》  る直やむ終日折々雨ふる南風吹夜
    ニ入風つよし

二十一日 朝よりくもり丑寅風吹終日持合夜
《割書:今日於御中御殿ニ|貞芳院様》 中迄風つよし
《割書:御田楽御上覧|諸士以上拝見相済》
二十二日 朝より雨降丑午風冷気終日小雨にて
《割書:五十五度》  風つよし夜ニ入雨つよし
廿三日 宵より雨降終日雨降丑午風夜雨止
《割書:五十五度》
暫雨無之苗代等出来不申日々村々雨乞等有之
候處久々ニ而雨降苗代も出来可申との事
廿四日 朝小雨ふる九ツ時ゟ晴る夕方より
《割書:五十五度》  又々雨ふり夜中雨降
廿五日 宵より雨ふる五半時止八ツ過より
《割書:五十五度》  雨降夜中も雨夜八ツ時より七ツ時
《割書:ぬかた川合辺|氷降候よし》 迄之間大雨降雷声
廿六日 快晴終日天気折々むら雲
《割書:五十四度》
廿七日 朝よりむら雲快晴八ツ時北の方ニ
《割書:五十八度》  雷声半時斗之間大雨降夫ゟ快晴
粟原門部辺あひるの玉子位壱尺余もの氷降候
よし都而青きものハ松の葉抔も無之よし御郡
方へ届ニ相成候よし

廿八日 朝より薄くもり四ツ時より快晴軽
《割書:五十八度》  暑
廿九日 朝より薄くもり四ツ時よりてり立暑気
《割書:六十度 》  位にて俄ニひとへもの著用いたし候
晦 日 朝より快晴東風吹夕方迄風つよし
《割書:五十八度》
廿七日門部辺ゟ粟原辺家鴨の玉子位の氷降壱
尺余八十余リ老人初而之よし別而粟原村ハ一
ケ村青キものハ一切無之松の葉柿の葉等迄も
枝斗と相成御郡方御役所へ届ニ相成出役有之
候よし村松辺迄も少々ツヽ降候よし松皮家根
なともぬけし程のよし畑ハ皆真白ニ相成降候
音如何ニも恐ろ敷所ニより候而ハ壱尺五六寸
位之由

   五 月
朔 日 朝よりくもり夕方より雨ふり夜中雨
《割書:五十八度》  つよし
   水戸殿家老衆へ
尾張前中納言殿御事先達而御慎御免被 仰出

候節御在国等御願被成候義ハ不宜且又
大納言殿へも度々御対面被成候義ハ御斟酌被
在御親族方其外他へ御面会又ハ御文書御往復
之義都而御遠慮被在之候様御内沙汰之趣相達
置候處 思召之御旨も被為在候ニ付先年御不
興之筋ハ皆悉御許容被遊候間以後都而平生之
通御心得被成候様被仰出候就而ハ 御対顔も
被遊度思召ニ候間近く御登 城之義可被 仰
出との御沙汰に候
一 刑部卿殿御事先達而御慎御免被 仰出候節
御親族方其外他は御面会又ハ御文書御往復等
之儀都而御遠慮被為在之候様ニとの御内沙汰之趣
相達置候處思召之御旨も被為在候ニ付先年御
不興之筋皆悉御許容被遊候間以後都而平生之
通御心得被成候様被仰出候就而ハ
御対顔も被遊度思召ニ候間近々御登 城之義
可被 仰出との御沙汰ニ候
右之通被仰出候段相達候間其段可被申上候
其外越前家老呼出之説
二 日 宵より雨降北風強四ツ過より八ツ時

    迄北大風雨つよし夫ゟ雨日西へ廻ル
    八ツ過より晴風止
三 日 朝くもり五ツ時よりむら雲夫ゟ晴辰
《割書:六十五度》  巳風吹夜四ツ過雷雨直止
四 日 朝より快晴
《割書:六十二度》
五 日 朝より快晴終日天気よし
《割書:六十二度》
六 日 朝より快晴夜ニ入四ツ時位より丑午
《割書:六十五度》  風九ツ時ゟ雨降
七 日 朝雨降丑午風終日雨風つよし夜中
《割書:六十三度》  ハ別而雨風強
江戸表向大引上ケ
 銘 六反六分  名古 五番五反三分
 造 七反弐分     前後四分開
 銘鹿晒六反八分  無双絞壱反ニ付
  前後四分開   壱匁四五分引上ケ
八 日 宵より丑午之風風雨強明方より雨
《割書:六十度 》  ハ降不申風ハ強折々雨降八ツ過よ
《割書:諸国浪人京都え |大勢集り御沙汰 》り雨風とも止夜中ハ殊之外静

九 日 朝より快晴五ツ時より丑午風吹終
《割書:五十八度|五月節》  日風つよし夕方止
結城  玄米五斗四五升
下舘  綿弐〆百五十目
水戸  玄米五斗一弐升
諸国浪人先月中大勢江戸御殿山辺え夷人舘普請
相初り候を踏こわし夫より横浜へ参り交易場
をも打こわし京都え登り候よしの沙汰夫故交
易品も追々下落致可申見込ニ而御国元も此間
中諸々ニ而茶製いたし生葉ニ而壱〆目ニ付四
百五十文ゟ五百文位いたし候所戌節製茶も追
々下落いたし候よし江戸表ゟ申参候由ニ而当
節ハ三百五十文位ニ相成候よし新種も壱両ニ
四斗八九升買入候よしの所【見せ消ち「品」】是又両三日已前ゟ
八斗弐三升と下落いたし候よし
十(入梅) 日 朝よりくもり冷気丑午風吹終日さ
《割書:五十度 |わた入重著 》 むし
十一日 朝より快晴少々軽暑ニ相成申候
《割書:五十五度》
十二日 朝より快晴西の方ニ夕方雷気
《割書:六十度》

十三日 朝むら雲快晴暑気夕方西之方ニ雷
《割書:六十度 》  気あり
十四日 朝きりふる快晴暑気四時ゟむら雲
《割書:六十五度》  明方地震又々四ツ時余ほと強キ地
    震終日天気よし
三州古新 四反七分  名古
  改メ 五反壱分   一 三反九分
  相銘 五反八分   二 四反弐分
  造リ 七反三分   三 四反五分
いせ物         四 四反九分
  な〻わ 六反七分  五 五【見せ消ち「四」】反三分
  鈴 か 七反六分  六 五反七分
  雲 井 六反八分  七 六反壱分
  よしの 五反八分  八 六反五分
  結 川 六反三分  九 六反九分
  鶴 川 六反八分 三長尺
  玉 川 七反三分  花綿 五反
 雲才         花司 五反三分
  兵   弐十三   花真 五反八分
  花 山 弐十弐   花扇 六反六分

   手拭地玉川晒ゟ五分高
十五日 朝むら雲四ツ時ゟ快晴暑終日天気
《割書:六十七度》  にてあつし
十六日 朝より快晴暑気北の方ニ 雷気あり
《割書:六十八度》
十七日 朝より薄くもり五半時ゟ晴南風吹
《割書:七十度 》  夕方風止暑気なり
十八日 朝より雨降冷気七ツ時ゟ雨止
十九日 朝よりくもり四ツ過よりてり立丑
《割書:六十九度》  午風にて冷気夕方くもり
廿 日 朝よりくもり丑午風にて冷気終日
《割書:六十五度》  くもり空にて持合
廿一日 朝よりくもり冷気終日くもり空に
《割書:六十五度|生種六斗七八升ゟ八斗位 》て冷気なり夜中もくもる
廿二日 朝薄くもる四ツ時よりてり立終日
《割書:六十七度|麦七分位ニ作のよし 》快晴
廿三日 朝むら雲五時より晴四ツ時より快
《割書:七十度 》  晴暑気
廿四日 朝もや五時ゟ晴あつし
《割書:七十度》

信州薬鑵ヤゟ四月廿六日出申来ル
 絹いと上田 登セ糸壱番両ニ六十五匁
    松代糸   同   七十壱弐匁
    松本糸   同   六十七八匁
    ス ワ   同   七十目
    真 綿   壱 両 三百目
 同小倉織木綿いと松本地
    右十代   九貫【見せ消ち「匁」】弐百匁
    甲州糸   八貫七百匁
  上田上もの紬島壱両弐分位
  上田しま三両     なし
  松本手拭八匁五分ゟ下タ壱反も無之
  是も三十年此方之大高直
  信州わた 壱〆九百五十目
  遠州わた 三百六十貫目
  松本取引 百七十五両
 米松本上田米四斗六升
  上田 上白 四斗
  小麦    四斗五升
  大豆    四斗六升

  酒かす 両弐十四〆目
  種かす 〃弐十弐〆目
  ゑかす 〃十七〆目
  残    六〆五百匁
此節岩城小名浜入梅もの粕壱俵六分
  せきた 十六〆目 壱俵三四分
  玄米両  五斗四五升
《割書: |夏至五月中》
廿五日 朝より薄くもり四ツ半時よりてり
《割書:七十度 》  立あつし夕方よりくもり夜ニ入四
《割書:紅花生花ニ而|壱〆七百五十文 》ツ時小雨ふる
廿六日 朝よりくもり折々照立夜四ツ時よ
《割書:七十度 》  り雨北風半時斗ニ而止
廿七日 朝よりくもり四ツ過よりてり立夜
《割書:七十四度》  ニ入四ツ時雨ふる
廿八日 朝むら雲四ツ時ゟ晴暑気八ツ過ほ
《割書:七十五度》  ろ〳〵雨直止
当廿二日昼時位京極【見せ消ち「橋」】家中鍋島家中弐十人程
も品川辺え遠乗ニ出候所異人とも是も付添役
人ともニ廿人程も可有之や遠乗と行違候節よ 

け候様申候ニ付よけ候而通リ候へハ異人之内
ニ馬上ニ而たばこを【見せ消ち「むれ」】呑居候而夫を手のひら
へぬきそのきせるニ而遠乗の家中直ニぬき打
ニ異人をきり候へハ六七人一同ニ引返し抜つれ
異人六人きり殺候よし家中ハその場ニ而付添
人の御役人之名前を申立扣居候ニ付早速伺候
處夫々屋敷へ引取候様御下知有之候よしニ而
引取候よし
         京極家中
            三ツ木四郎兵衛
            大井 甚蔵
            杉本久左衛門
         鍋島家中
            君嶋八郎衛門
            塩田作太夫
            所沢誠之介
            鈴木 秀林
            〆七人
廿九日 朝より快晴明七ツ時地震ゆる折々
《割書:七十三度》  薄くもり八ツ時ほろ〳〵雨直止夜

《割書:夜九ツ時|馬口労町一丁目 》雨風少々吹
《割書:大黒ヤ佐介と申|菓子ヤ裏屋焼る》
【図省略】
  《割書:大キサコノ位|タハコノゴクコマカク切候》
  《割書:位ノモノヲ集候而蠶ノ|様ニツヽミしもの也》
当春中越後新潟辺【見せ消ち「御辛」】近村え大キサ弐寸位ニ而青
キくさの筋を織込候様ニ組合せ候様之ものニ
而俵のこときものニ而なか〳〵人間のわさに
てハ出来不申右之内ニ麦或ハひゑ抔の様なる
もの四五粒ツヽ入候而降候よし追々領主え訴
ニ相成候よしうそと存居候處此度右品を見候
處古今不思儀之品ニ有之候
   六 月
朔 日 朝よりくもり終日曇空にて持合八ツ
《割書:七十度 》  時ほろ〳〵雨ふり直止昼九ツ時ゟ丑
    午風にて冷気
《割書:干種両ニ|五斗八升位》
二 日 朝より雨ふる終日雨ふる夕方止
《割書:六十八度》
三 日 朝より薄くもる八ツ時きり雨ふり直
《割書:七十度 》  ニ止七ツ半時より雨降
四 日 朝より雨ふり四ツ時南の方丑午の方
《割書:七十度 》  ニ雷声雨つよし四ツ過止九ツ過より

    快晴
五 日 朝きり雨少シふる五ツ時より快晴
《割書:七十度 》  村雲
公辺ニ而被仰出候写
上意ハ
公方様御直ニ被仰含候書取しよし
上這之趣
近来御政事向姑息ニ流れ諸事虐【虚】飾ヲ取繕候よ
り士風日々軽薄ヲ増し
御当家之御家風ヲ取失ひ以之外之儀殊ニ【一字抹消「之」】外国
御交接之上ハ別而御兵備御充実ニ無之候而ハ
不相成就而ハ時宜ニ応し御変革御取行簡易之
御制度質直之士風ニ復古致し御武威輝候様被
遊度 思召ニ候間一同厚相心得可励忠勤候
   諸役人え申渡
唯今
上辺之趣奉恐入難有御儀ニ御坐候何レも厚相
心得 思召行届候様一途ニ抛身命可被抽忠勤
候尚色々被仰出候品も可有之候間心得違無之
候様可被致候

右於西湖之間御老中列坐若年寄中侍坐和泉守
殿被仰渡候
六 日 朝よりくもり終日持合七ツ半過より
《割書:六十八度》  雨降
七 日 朝くもり九ツ半時よりてり立暑気つ
《割書:七十三度》  よし
八 日 朝よりくもり五ツ時小雨降暑気九ツ
《割書:七十五度》  過より大暑なり
当四月出書状
公辺も追々御変革御老中内藤紀伊守御役御免
溜リ之間請格久世大和守も御役御免ニ而雁ノ
間御側御用人水野出羽守御役御免相成申候脇
坂中務大輔右勤被致候よし
一上洛之御内沙汰去ル朔日被仰出候三代様以
 来無之事ニ候へハ御乙甲之事ニ御坐候
一勅使今日抔著之沙汰ニ御坐候所雨天続ニ而
 ハ御延日ニ相成候哉も不相知候過日
 勅諚之写真偽ハ不相知候へ共内々写取指上
 候所右書面今程相届候哉奉伺候
一去月廿九日夜高輪東禅寺ニ而夷人三人被切

 候趣仕業人不相知候由兎角人気立居候事と
 奉存候
一公辺御政事向寛永已前へ御帰ニ相成候趣諸
 向へ調懸リ候沙汰ニ御坐候市中も改革有之
 候由来春抔ハ定而花見る人も少淋しく可相
 成哉と奉存候
九 日 朝より快晴朝ゟ暑気つよし
《割書:七十五度》
《割書:天王出社盛農時ニ付|廿一日ニ延ル》
《割書:十 日|七十六度》  朝より快晴暑気つよし
《割書:六月節|十一日 》  朝より快晴大暑風なし夜中迄殊之
《割書:七十五度》  外暑気
《割書:真壁辺|玄米五斗七八升》
《割書:種六斗弐升》
十二日 朝むら雲四ツ過よりてり立大暑雨
《割書:七十五度  | 九拾壱度》 中迄あつし
十三日 朝むら雲大暑四ツ半時より丑午風
《割書:八十度 》  吹出シ冷気ニ成ル夜中迄冷気風ハ
《割書:紅花両ニ| 弐百八十目ゟ 》七ツ過ニ上【本のまま。止】
《割書: 三百五六十目| 品ハ極不足御国中弐百駄位之よし》

十四日 朝くもり五ツ時ゟてり立八ツ時地
《割書:七十四度》  震終日大暑
十五日 朝よりきりふる五ツ時より快晴暑
《割書:七十五度|玄米五斗四五升 》気終日大暑なり夕方ゟきりふる
《割書:種干もの五斗九升|白米 七合五勺》 《割書: |木綿いと下たてニ而》
《割書:まへ橋絹糸上|両 五十五匁》  《割書:百すがニ而十貫四五百匁|大高直なり》
《割書:落 七十匁》
十六日 明方霧ふる五ツ時ゟ晴暑気つよし
《割書:七十五度|籾壱分弐斗六升 》終日殊之外大暑夜中迄風なし
公辺え之
勅使去ル十一日登
城被致翌十二日御三家様一橋様溜リ之間御家
門方惣登
城有之候へ共如何之事ニ候哉不相分
島津和泉越前侯え罷出終日居候由事柄不相分

一十二日辰下刻
御簾中様御安産
御姫様の誕生
十七日 朝より快晴暑気大暑夜中迄風更ニ

《割書:七十八度|九十弐度》  なし
十八日 朝より快晴暑気終日大暑風なし
《割書:七十八度|所々雨乞有》
十九日 朝より快晴大暑風なし北の方ニ少
《割書:八十度|八ツ時九十六度 》々雷声夜中まて殊之外あつし
《割書:籾壱分弐斗八升》

暫雨降不申所々田われ猶又おかも蒔もの其外
も出来不申此節所々ニ而雨乞あり
二十日 朝より快晴大暑なり稀なる大暑ニ
《割書:八十三度|九十五度》  而風更ニなし八ツ半過ゟ少々雷声
《割書:奈らヤ町辺ゟ|下町辺ハ雨更》 大雨半時位ニ而直ニやむ快晴
《割書:ニ降不申》
廿一日 朝より快晴大暑風なし
《割書:七十八度|八ツ時 九十四度》
いそ粕
岩善松弥【見せ消ち「源」】両人十一月払ニ而壱俵三分ニ不残買
入候よし
廿二日 朝より薄くもり大暑四ツ過より俄
《割書:八十度 》  ニ丑午風になり冷気にて終日くも

《割書:両三日古今の大 |暑ニ候所今四》り夜ニ入六ツ半時ゟ雨ふり夜中も冷
《割書:ツ時より冷気ニ |成ル》気
廿三日 宵より丑午風にて冷気雨ふり八ツ
《割書:七十度|冷気袷著用 》 時より雨止折々薄くもり
廿四日 朝より快晴存之【見せ消ち「候」】外すゝし
《割書:七十七度|土用今暁九ツ時一分ニ入》
廿五日 朝より快晴終日天気よし
《割書:六十弐度》
廿六日 朝より快晴暑気つよし
《割書:七十五度》
二十七日(六月中   ) 朝より快晴九ツ時より大暑
《割書:七十五度|八ツ時九十三度》
二十八日 朝より快晴大暑北の方ニ八ツ時雷
《割書:七十三度|八ツ時九十三度 》 気
二十九日(中伏  ) 朝もやふる五半時より快晴
《割書:七十三度|九十度》
当年紅花 《割書:水戸|無頭》【見せ消ち「露」】天百三十八両吉彦買入候よし
水戸並荷百駄【見せ消ち「結」】 早場並荷百七十
最上同 弐百駄【見せ消ち「結」】 紀州皆無虫付是ハ年々七百駄【見せ消ち「結」】位出来
当年ハ紅花きゝんニ而右之通品不足

晦 日 朝より快晴大暑風なし
《割書:七十六度|九十三度》
桜田已来江戸道中筋へ番所出来殊之外厳重ニ
而御家中江戸登等之節ハ御進達之上相済候而
出府いたし候所此節ニ相成候而ハ御進達なし
ニ而往来出来候様子之よし
大坂御城代松平伯耆守京所司代酒井若狭守両
人召状到来之由之所酒井ハ不快ニ而下リ延引
之由伯耆ハ両三日之内江戸著ニ相成候との沙
汰之よしいつれも転役と相見申候
   七 月
《割書: |白米七合五勺ニ下ル》
朔 日 朝より快晴大暑風なし
《割書:七十六度|九十三度》
《割書:雨なしニ而おか作甚不宜》
二 日 朝より快晴大暑南風吹候へ共大暑な
《割書:七十七度|九十三度》  り夕方迄風吹
御手製之煎茶四袋御恵贈被下難有拝受仕候一
寸一服拝承仕候處中々別品之御製方先々等用
明迄壺入ニ封し置秋口より永ク拝賞可心と有
かたく【見せ消ち「〳〵」】奉存候異国行昨年来糸茶目切と高直

ニ相成茶屋自銘六匁之茶近頃迄の弐百文茶同
様二引上申候様山以下ハ無礼之番茶ニ罷成候
御蔭を以しはらくハ霜の花清葉ニ補ひ大賞ハ
此事ニと難有奉存候扨土地ハはしかいかゝ御ものにヤ
左のミ 流行之御様子ニも無之御遁レニも相成
候ハヽ大慶奉存候追々御聞及も可為在候半当
地此ほと一面ハ相成手前見世勝手にて十八人
枕をならへ取臥罷在候白木越後屋なとにてハ
百七八十人も臥居候よし商売も半ハ相休候程
ニ御坐候銀町隣家なとにてもはしかニ付当分
相休申候中はり札出シ店三軒ほとも御坐候已
前之ころりたても此度之様眼たゝく間ニ一面
ニ相成候儀ハ無之商内休候義めつらしき事ニ
御坐候はしか被相成候而も禁忌いたし候よりも
其前より喰物用心いたし候者ニハあまり間違
無之様子ニ御坐候此度之はしか亡命無少と申
候へ共三伏之時節冷物なと好候ハヽ手違御坐
候族も御坐候乍恐前広より御用心可被遊候此
節はしかはなしのミ余事惣休ミ 御坐候先ハ暑
中御機嫌御伺御礼旁早々如此御坐候

            恐惶謹言
  六月廿八日     松沢 孫八
三 日 朝より快晴続而大暑南風吹夕方風止
《割書:八十度|九十三度》  夜中ハ凌かね候事
四 日 朝ほろ〳〵雨ふる直ニやむむら雲朝
《割書:八十二度|九十三度》  より大暑
  はしか除
【図は省略】
  麦殿ハ生れぬ先に【見せ消ち「わ」】はしかして
  かせての後ハ我身なりけり◯
    何才   誰
烈公様御留之御書記ニハ左之通
  麦殿ハ生れのまゝにはしかして
  かせての後ハ我身なりけり
 図のことく多羅葉の葉へ歌と年の数と名を
 しるし候◯印の處へ灸を三火すへ川へ御流
 し可被成候
当節此表麻疹大流行市中抔老少押並而取臥居
商ひ休候類不少由ニ御坐候多ら葉のましない
抔大さわきニ御坐候貴地如何被何被【衍字「何被」】為在候哉
追々はやり初メ 申候事と奉存候ましない

   一芭蕉葉
   一葉 蘭
   一芹
右之品せんじあび候へハよろしと申候定而御
承知ニ被為有候半とハ奉存候へ共一寸申上候
 五日 朝より快晴大暑南もやうむら雲夜中
《割書:八十度|九十二度》  は強し
《割書:所々ニ而雨乞》
 六日 朝きりふる大暑風なし九ツ時俄ニ雨
 《割書:七十九度|九十度》  少シふる直止夕方又々雨ふる直ニ止
    夜ニ入九ツ過折々雨つよし
田おかとも続而照候ニ付作物枯候而
水更ニ無之日ニ雨乞等所々ニ有之所久々ニ而
雨降
 七日 夜中ニ折々大雨ニ而明方ゟ晴五ツ半
《割書:七十五度|九十度》  時雨直止折々雨降
泉町さつま縫殿左衛門江
 虎之見世もの来ル
 是ハ昨年中横浜へ異人持渡候所虎ハ猛獣之
 事ニ付江戸御府内江入候事ハ不相成候趣ニ

 而買人【見せ消ち「入」】も無之候所馬口労町小松屋林兵衛と
 申もの横浜へ参り一日ニ付金何程と相定借
 屋参り座本ニ而今日より見せ候よし壱人前
 五十文ツヽ
八 日 宵より度々大雨ふる南もやうむしあ
《割書:七十六度|九十度》  つし九ツ過より薄くもり暑気ニ成ル
九 日 朝よりくもり六ツ時ゟ雨降直ニやむ
《割書:八十度 |九十度 》  六五時より快晴暑気夜中至極晴
十 日 明方丑寅の方黒キ雲あり五ツ時一面
《割書:七十度|八十八度》  ニくもる五ツ半時ゟ晴快晴終日快晴
    なり
玄米府中六斗弐三升
上州  五斗
小山  五斗七八升
下舘  六斗
真壁  六斗弐三升
十一日 朝より快晴大暑少々涼し
《割書:七十三度》
《割書: |七月六日》
刑部卿様御儀

思召を以 一橋家再御相続被 仰出候ニ付
中納言様 御簾中様え御用便以書状御祝儀御
申上可被成候且
貞芳院様えハ明九日御広式え参上御祝義御申
可被成候其旨御同役衆へも御達可被成候〆
   七月六日
刑部卿様御儀此度以
叡慮御後見被 仰出候ニ付中納言様 御簾中
様え御祝儀御申上可相成候〆
十二日 朝より快晴大暑風なし夜六ツ半時雨
《割書:七十五度|八十八度》  ふり直止快晴ニ成ル
余一麿様去ル五日喜連川左衛門督様え被引移
相済候旨被仰出候
刑部卿様御儀去ル六日 思召を以一橋家再御
相続被仰出候
御同所様同日以
叡慮御後見被 仰出候
当地四五日已前より俄ニはしか流行壱軒ニ而
四五人位ツヽにわかに取臥申候
江戸表ハ暑中故か当節甚不宜越後屋ニ而三十

人余死大凡ニ而弐十人死候よし
十三日(立秋  ) 朝より曇暑気強終日暑気ニ而夕方北
《割書:七十八度|八十三度》  之方ニ雷気夜ニ入くもり
十四日 朝よりくもりむしあつし七ツ時ゟ雨
《割書:七十八度|九十度》  ふる直止殊之外むしあつし夜ニ入六
《割書:籾追々下|落 壱分弐斗六七升 》ツ半時より雨ふる五時雨止
十五日 明方より雨降終日雨ふり九ツ時より
《割書:七十六度|八十五度》  北風もやう暮方雨止空合殊之外ニも
《割書:星の飛事|雨のことく数》 め夕立の雲のいろ〳〵ニ而風も上に
《割書:千とも可申や|古今珍敷事》 ハ余ほと有之候様子夜五ツ時ゟ空殊
《割書:なり皆北|より南ニむ 》 之外ニはれ夫時ゟ四ツ半時迄之間星の
《割書:き横ニ飛|落るやう也 》 飛事夥しく雨の横にふることく北の
《割書:如何なる事|ニ可有之や 》 方より南のかたへ横ニ飛誠ニ恐敷様
    ニ見へ申候
星ニ大小ありて飛候跡ニ筋のことくの光しハ
らくハ消不申候折々ハ北より東ニ飛候も有之
又真直ニ落候も有之誠ニ不思議之事なり
若暫天気続居候而俄ニ大雨降候而晴候事故陽
気の発動いたし候事ニも可有之候やあまり不
思議之事ニ御坐候

十六日 朝より殊之外はれ涼気なり終日極上
《割書:六十七度|今晩ハ星も 》 天気にて西北の風少シ吹
《割書:落不申空|穏なり》
十七日 朝より快晴涼気終日上天気なり
《割書:六十八度|八十度》
此節ハシカ一面ニ流行
 |麻疹(ハシカ)ましない
  ヤヱナリ 赤小豆
  クロマメ 甘艸
右等分せんじ度々服スレバ至極カロシ
又ヒヱヲ湯ニタテ入候へハノカルヽト申候
十八日 朝より快晴終日上天気
《割書:六十五度|八十三度》
十九日 朝より快晴明六ツ時少々雨降直や
《割書:七十三度|八十四度》  む大暑夜中ハ涼し
二十日 朝より快晴終日上天気夜中五ツ時
《割書:七十三度|八十三度》  くもり直ニはれ
廿一日 朝より至極快晴涼気終日快晴
《割書:七十一度|八十五度》
廿二日 朝きりふる薄くもる四ツ過よりて

《割書:七十五度|八十五度》  てり立暑気つよし
廿三日 朝より快晴暑気終日夜中迄あつし
《割書:七十五度|八十四度》  八ツ過より折々雨南辰巳風
此節はしかにて内ニ而も見世ニ而十四人勝手
ニ而下女壱人奥ニ而弐人都合十七人一同かは
しかにて外之も同断商休居候内は有之候よし
大よせ戸店ニ而休戸を〆居松坂や弥平も不残
はしかニ而商休ミ居候よし【抹消「弐斗七升ゟ三」】
籾追々下落穀町弐斗七升ゟ三斗位迄
太田籾弐斗八九升ゟ三斗壱弐升
廿四日 夜九ツ時より南辰巳風にて雨風つ
《割書:七十八度》  よし明方迄大風雨明方より止大くもり
廿五日 宵より雨ふり南風にて終日雨ふり
《割書:七十六度》  むしあつし夕方風ハ止
廿六日 朝より雨ふり八ツ時より晴八ツ五
《割書:七十七度|八十四度》  時よりてり立大暑夜中迄あつし
此暮麻疹ニ而見世十五人ト下女両人子供三人
弐十人一日ニ相休申候
廿七日 朝より快晴村雲四ツ時より暑気つ
《割書:七十九度|八十三度》  よし

廿八日 朝より快晴四ツ過より東風にて涼
《割書:七十三度》  し
廿九日 朝より薄曇り四ツ時よりてり立暑
《割書:七十二度|八十度》  気つよし
麻疹追々流行いたし参り候所はしかハ大概七
日八日目位大熱有之夫ゟ二日もくるしミ候へ
ハすつはりこかせ候而其跡ハくるしミも無之
肥立候へとも食ものハ焼塩かゆミそ漬香の
もの位ニ而仕立候方宜候梨子水爪【本のまま。「瓜」】なと宜敷と
医者ハ申候へとも梨子西瓜なとたべ候もの服【本のまま。「腹」】
痛又ハ痢病なと出来候
はしかよけ
 たらちめの十月仮り腹の
 体ゆへ宿りし頃を麻疹すミけり

   八 月
朔 日 朝よりくもり五ツ過より晴むら雲四
《割書:七十五度》  ツ時より快晴ニ相成候へとも涼し夜
    ニ入くもり雨ふる
二 日 明方きり雨ふる直止終日薄くもり
《割書:七十五度》

三 日 朝より薄くもり四ツ過よりてり立残暑
《割書:七十五度|八十度》  つよし
両三日已【見せ消ち「曇」】前より昨年中見へ候とをりに又々ほ
うき星のやうなる星出ル五日あたりより極薄
くなる
四 日 朝むら雲残暑つよし殊之外大暑土用
《割書:七十八度|九十三度》  中同様八ツ時位より東の方より雲出
    雷雨直ニやむ夫ゟ丑午の風になる
五 日 朝よりくもり丑午風にて冷気終日く
《割書:七十三度》  もり空
六 日 朝よりきりふる五ツ半過よりてり立
《割書:七十五度|九十三度》  暑気九ツ時より大暑ニなる
此節江戸表ハ金時ばつたりといふ流行病ニ而
又々人死有之候よし金時の様なる丈夫之もの
ニ而も直ニ死候よし右をよけ候とて黒豆十八
粒米八勺をかゆニたき壱人ニ而たべ候よし
七 日 朝くもり四ツ時ゟてり立朝よりあつ
《割書:七十九度|八十九度》  し終日あつし夜中くもり
八 日(弐百十日) 朝むら雲四ツ時ゟ大暑終日むら雲ニ
《割書:七十九度|九十度》  而てり暑気つよし夜中くもり今日荒

    日至極穏なり
江戸表相場
 生金巾 一番九十匁  二番八十匁
 五節        色紋金巾
  紺《割書:拾弐両弐分ゟ  |十四五両迄》     《割書:紫|飛》 百三十五匁
  紫《割書:拾参両弐分ゟ|十四五両迄》      鼠 同断
  桃《割書:拾両より|十壱両迄》       桃 百四十五匁
  紅《割書:拾弐両弐分ゟ  |十三両一分迄》     黒 百廿五匁
  紺青 拾壱両弐分位 紺青 同断
和宮様御麻疹
九 (庚申)日 朝より薄くもり四ツ時よりてり立候
《割書:七十一度|八十五度》  へ共むら雲涼し
十 日 朝くもり五ツ時きり雨ふる直やむ夫
《割書:七十五度|八十八度》  より南風ふくあつし
麻疹市中一圓ニ相広リ此節死人数多有之候
十一日 朝よりくもり丑午風終日ふく夜中四
《割書:七十八度》  ツ時ゟきり雨ふる
十二日 朝よりくもり五ツ時ゟ少シ小雨四ツ
《割書:七十三度》  時よりやむ終日くもり
十三日 朝くもり五ツ半時ゟ快晴暑気ニ成候

    夕方よりくもる
下たて辺
 古米 七斗    小麦  八斗七八升
 新米 七斗五升  黒胡麻 八斗
 大豆 九斗五升  舂麦  八斗
     小せん  六〆弐百匁
 わた 弐〆九百目ゟ三貫目
一江戸相場
 一古領米  五斗九升
 一南部米  〃
  一町米   六斗三四升
  一糯米   五斗八升
  一水戸大豆 八斗
  一同 小豆 七斗内外
  一高浜大豆 八斗壱弐升
  一水戸小豆 八斗弐三升
  一新大麦  石六七斗
  一〃小麦  七斗三升
  一〃菜種  五斗三升
  一仙台廻米 《割書:四五〆入| 六斗三升》

十四日 朝より快晴九ツ時よりくもりむしあ
《割書:七十五度|甲子》  つし七ツ半時雨少々ふる直ニやむ
《割書:八十五度|今日向秋宅ニ而ハ表見世棟上ケ》
《割書: |八月節》
十五日 朝薄くもり折々照立暑気いつれ終日
《割書:七十三度|此節市中ニ 》 村雲にて薄くもり照なり夜中も五ツ
《割書:ころり病|流行》  過少々月ミゆる也
十六日 朝より薄曇終日持合夜中もくもる
《割書:七十度》
十七日 朝よりくもり九ツ時小雨ふる終日く
    もる夜ニ入雨ふる終夜大南風大雨明
    方迄つよし

 《割書:江戸市中へ》御触事之写
市中取締向之義前々ゟ触申渡候趣も有之候所
年歴を経候ニ随ひ追々相弛ミ候ニ付天保度御
改革之節猶夫々厳重之触申渡置候所近来取締
向相弛ミ追々奢侈之風俗ニ相成衣服其外とも
都而高価之品ヲ相用候故年々ニ手ヲ込候品新
規ニ拵出し売買致候様相聞以之外事ニ候世上

奢侈ニ相成候者ハ困窮之基ニ付簡易質直之風
義立戻り人々暮し易相成候様と之御主意ニ付
市中取締向之儀ハ不及申前々ゟ触申渡候趣相
守【見せ消ち「聞」】質素節倹を守ニ致分限不相応之義決而致間
敷候なを追々触置候趣可有之候得共是迄之弊
風ニ泥ミ 右触【見せ消ち「待」】面之趣不相用もの於有之は無用
捨吟味之上厳重咎可申付候条心得【「違」脱か】無之様可致

右之通役所
御奉行所被仰渡候間品々町中不洩様可相触候
   《割書:文久二戌|    七月十八日》    町年寄《割書: |役所》
十八日 宵より大南風大雨明方雨静ニなる
《割書:此節はしか|并ニころりニ而 》五ツ半時より照立暑気夕方く
《割書:毎日死人余ほ|と有之候》 もり夜ニ入雷雨壱時半斗五ツ半時止
【十九日分は欄外に記載。挿入分は「」内】
「十九日 朝より快晴
 《割書:七十三度|八十二度》  折々むら雲
     夜ニ入暮方
     雨ふる
 此節ころりニ而死人
 夥し」
廿 日【「十九日」を訂正】 朝よりくもる南もやうにてむら雲
《割書:七十三度|八十二度》  折々照立南風にて空荒もやうなり
廿一日 朝むら雲照立終日天気よし夜中く
《割書:七十一度》  もり
江戸表ハころりニ而人死毎日三四百人位ツヽ
有之候よし

此節ころり流行ニ付悪日八月廿三日壬八月五
日右両日とも朝五時前
 黒豆八ツ  白米八ツ  せんじのミ候事
右両日とも昼午時ゟ末時迄一切食物湯茶たは
こ堅可慎事
 但不慎候得ハ馬死候事
阿婆演阿婆珊底主夜神
 是を書懐中致又ハ門々え張候へハ右病を請
 ケ不申候よし
廿二日 朝よりくもり五ツ時ほろ〳〵雨降直
    九ツ半時雨直止むしあつし
廿三日 朝より快晴残暑殊之外つよし七ツ時
《割書:七十五度|九十一度》  ゟ南風ふく終夜風ふく
廿四日 明方風止晴むら雲北風少しふく夜中
《割書:七十三度|八十度》  くもる
廿五日 朝くもる五ツ時より小雨ふる冷気也
《割書:六十八度》  四ツ過よ【一文字訂正】り雨止
烈公様御三回忌
公辺より
御代香として新見伊勢守殿今日下町通廿七日

弘道舘御とまり御馳走被下有之候由
廿六日 朝より薄くもり四ツ過より快晴夕
《割書:六十八度》  方よりくもり
廿七日 朝小雨ふる冷気直止終日くもり空
《割書:六十七度|彼 岸》  ニ而持合夜五ツ時雨ふり直止
廿八日 朝よりくもり六ツ半時小雨直止終日
    持合夜中もむら雲
此節麻疹并ころり流行ニ而死人夥敷【見せ消ち「発」】有之候ニ
付馬口労町ニ而ハ
八幡宮御出社四丁目広小路え御仮殿出来廿四
日ゟ晦日迄七日之間御逗留壱丁切ニ思ひ〳〵
の出し等出来 神輿ハ昼夜市中をもミ歩行壱
丁目二町目ハ谷中さゝらをかり三丁目ハ表へ
居付之家体出来祝町ゟおとり子女芸之者等参
り四五六丁目ハ御柳え天狗之面を弐間四方位
ニ拵車ニ引歩行昼夜鳴物等ニ而大騒ニ御坐候
泉町辺も昼夜いろ〳〵出来騒居候よし大工町
獅子出来夜中引歩行馬口労町辺迄参り惣廻り
大さわき也
廿九日 朝よりくもり五ツ時小雨冷気なり

《割書:六十八度》  直止【抹消「洛」】終日くもり空にて夜中も五
    ツ時雨降
晦 日 朝くもり終日持合夜四ツ時雨降九ツ
《割書:七十度 |秋 分》  過ゟ大雨降
磯はまハ今月ニ相成候而はしか後食もつ又ハ
ころり等ニ而弐百人余相果候よし助川ヤ源五
郎の咄し
玄米古
足利 五斗九升  佐の 六斗四五升
結城 六斗八升ゟ 笠間 《割書:六斗八升ゟ|七斗》
下舘 七斗一弐升
水戸 六斗四五升 江戸 七斗位
此節土浦辺ころり病流行ニ而土浦城下ハ別而
多ク有之候ニ付領主ゟ御達ニ相成郷中之もの
当節ハ城下え仕入小買もの等ニも一圓出候而
ハ不相成候趣夫ニ而も出候ものも可有之と城下
入口〳〵え番所出来城下えハ一圓郷中之もの
指出不申候様いたし候趣ころり病ハ壱人死候
へハ其手伝ニ参り候ものハ勿論其席ニ居候も
の宿ニ帰り候へハ直ニ死候よしころり狐と申

狐極小サキイタチ位の狐有之候よし所々ニ而見し
もの有之候この事いつれ異船之わざと申候事
人ハ万物の霊天地のみたまもの也と申我か
神国の人民【見せ消ち「力」】異狄の狐なと之仕わざニ而相果候
と【見せ消ち「も」】申ハあまりなる事と存候
神国の人力を以悪病追払可申事
松亀京都七月中出立候由承り候所京ニハ大坂
辺とも五月時分はしか流行致候へともころり
ハ夫々無之よし上方筋ニハころりと申病ハ承
り不申と申事
   《割書:壬》八 月
朔 日 朝むら雲薄照終日持合
《割書:七十度》 
二 日 明ツ前雨降明方止冷気
《割書:六十八度》
三 日 朝より快晴秋冷終日天気よし
《割書:六十八度》
四 日 朝より薄くもり冷気なり終日持合夕
《割書:五十八度》  方より雨降
五 日 朝よりくもりきり雨ふる終日くもり
《割書:六十九度》

    夜ニ入雨ふる
六 日 朝くもり五ツ時ゟ快晴秋冷いぬいか
《割書:六十九度》  せ少々ふく
昨五日 上使 水野和泉守殿を以前中納言様御事
大納言様ニ御贈官【見せ消ち「宮」】
被遊候輪祓七ツ時頃著いたし候よし
七 日 明方まて折々雨ふる四ツ時より曇空
《割書:六十八度》  にて持合夜五ツ半時ゟ雨ふる
御屋敷并町ころり病ニ而死候もの余ほと有之候
八 日 朝よりくもり東風さむし終日持合
《割書:六十五度》
九 日 朝より薄くもり終日くもり空にて持
《割書:六十六度》  合
文久二年閏八月五日
上使 水野和泉守殿を以
烈公様御増位御贈官【見せ消ち「宮」】別紙之通
           水戸中納言殿
源烈殿御事為国家忠節尽力卓越之段深
叡【見せ消ち「慮」】感ニ付被追贈従二位大納言候旨今般京都
ゟ被
仰進候依而 御使被進候

   又壱通
源烈殿御事為国家忠節尽力卓越之段深
叡感ニ付被追贈従二位大納言候ニ付猶又被継
其遺志
皇国之御為可被在丹誠段
京都ゟ被 仰進候ニ付
叡慮之趣厚被心得猶此上被尽誠忠候様ニと御
意候〆
 右壱通
十 日 朝より薄くもり冷気九ツ半時ゟ雨ふ
《割書:六十五度》  る八ツ過止
十一日 朝よりくもり丑午之風吹夕方より雨
《割書:六十三度|死人殊之外多し 》ふる夜中も雨風なり
十二日 朝より小雨辰巳の風少々吹終日雨風
《割書:六十七度》  七ツ時ゟ雷声少々其節大雨降夕方止
《割書:今以ころり|さわぎ所々 》 夜ニ入六ツ半時又々大雨直止風も止
《割書:御輿昼夜|持出町々をもミ 歩行大騒のミ いたし居候》
十三日 朝よりくもり九ツ時より雨降夜中ま
《割書:六十八度》  て雨つよし
十四日 快晴五ツ時より曇四ツ時ゟてり立夜

《割書:六十五度》  中殊ニ晴涼なり
十五日 朝むら雲五ツ時ゟてり立終日むら雲
《割書:六十三度》  風あり
此節麻疹其外流行病ニ而相果候もの不少候ニ
付【見せ消ち「此段」】御領民御扱之為十六日静吉田ニおゐて流
行病消除之御祈祷被 仰付猶又於弘道舘鹿嶋
神社同日ゟ御祭被仰付候ニ付鹿嶋神社ヘハ御
祭儀御当日より三日之間御家中其外百姓町人
ニ至迄都而男子之分参詣不苦尤御家中之族麻
上下著用十五才以下ハ勝手次第之事と御達
此節浮説等ニ迷ひ夜中空鉄鉋発し或ハ東町ニ
て神輿等舁出し飾もの等出来風流ケ間敷儀有
之候別而不相済候間已来心得違無之様御達出

十六日 朝むら雲四ツ過ゟてり立終日持合
《割書:六十三度》  夜中くもり
十七日 明七ツ前より雨降冷気なり昼後よ
《割書:六十三度》  り雨止夜中月夜ニなる
十八日 朝よりくもりさむし終日曇空にて
《割書:六十三度》  持合夜中殊之外さへし月夜
 

十九日 朝よりくもりさむし九ツ過より雨ふ
《割書:五十五度》  り終日雨夜中も雨つよし
廿 日 朝よりくもり九ツ半時より雨ふり
《割書:六十度|此節北郡西郡》 終日雨降夜中も雨つよし
《割書:はしか流行》  
廿一日 朝よりくもり終日雨ふり夜中も雨
《割書:六十度 》  つよし
廿二日 宵より雨ふり終日雨夜中も雨つよ
《割書:六十九度》  し
昨日江州田中源次手代平蔵参り候所上方【誤記一字抹消】筋
麻疹ハ五六【見せ消ち「市」】月中ゟ有之七月末八月時分ゟ金時
ころりと申病京大坂辺ニハ少々有之候へとも
指たる事も無之只々はしか後不養生或ハ食物
等ニ而死候ものハ余ほと有之候趣壬八月ニ相
成出立致候へともころりと申病ニ而ハ死人多
く有之候ハ追分軽井沢辺殊之外多夫ゟ上方ニ
ハあまり無之美の路え這入候而ハ少々有之候
よしいつれ江戸近辺沢山有之候へとも此節ハ
余程薄ク相成候ともいまた少々ツヽ有之候よ

廿三日 朝より雨ふり冷気なり終日雨ふり夕
《割書:五十三度》  方より雨止夜九ツ時少々月見ゆる八
    ツ時地震
廿四日 朝よりくもり五ツ半時ゟ雨ふり東風
《割書:五十四度》  九ツ過より晴風も止てり立夜中五ツ
    過よりくもり
廿五日 朝より雨なり終日雨ふり夕方ゟ雨北
《割書:此節城下五六|里先キハはしか 》風はけしく終夜大風明六ツ半過風止
《割書:ころり流行》
廿六日 宵より雨風つよし明六ツ時雨止北風
《割書:真壁辺くり |綿両ニ》 なり五ツ過ゟ風止終日くも空にて持
《割書:弐〆五六百目|雨天後ニ而二四八》合
廿七日 朝くもり五ツ過より快晴終日天気よ
《割書:六十三度》  し夜ニ入くもり
廿八日 明方まて雨ふり六ツ過より止快晴也
《割書:六十一度》
廿九日 朝より薄くもり終日くもり空にて持
《割書:六十度 》  合
上州辺絹糸当年ハ殊之外上出来十弐分位と申
候へともアメリカ交易ニ而盆中ニ商ひ壱図ニ

付金弐百弐三十両位之品千五六百図も交易出
来候よし右之通ニ候間交易無之候ヘハ壱両ニ
弐百目位にて取引も相成候品此節ハ壱万ニ付
六十弐参匁位上州にていたし候よし蚕をいた
し候百姓ハ多分之利を得候へとも上州内ニ而
桐生辺機渡世之もの大難渋猶又儲【本のまま】国とも絹も
の高直ニ而難渋柳川袖と申木綿と絹糸にて織
候品五六ケ年已前迄ハ壱反弐十【見せ消ち「反」】六七匁より三
十匁位之所此節ハ壱匁ニ付銀五十匁以上ニ候
間右之段絹もの都而高直商人ハ商売出来不申
候而殊之外難儀いたし候
上州辺玄米 壱両ニ六斗弐三升
桐生ハ   同  四斗七八升
宇都宮玄米    八斗弐升
烏山       七斗八升
白川       八斗六升
黒羽       八斗
大子       七斗弐升
此節東郡麻疹殊之外流行久慈三木会瀬辺死人
夥しく有之候会せニ而ハ死【見せ消ち「後」】絶候内七軒有之

候よし
石神村横目扱下々斗も十一村ニ而八月ゟ壬八
月迄申出之面五百人余相果候由いつれはしか
さわき有之梨子を喰候もの大体死候よし此節
石神もよりのなし沢山出来候所ニ付横目庄屋
等不残壱ツ五文位ツヽニ買上不残貯へ置候よ
し夫を宿々えさし置候へハやはりたべ候而死
候よしニ付ナシカキノ類村々ニ有之分不残買
上候而はしか人ニハかゆやき塩を喰候様申【見せ消ち「奉」】
達候よしさかなハ別而不宜かつほをたべ即死
いたし候もの沢山有之候
公辺御触之写
  壬八月廿二日
今度衣服之制度御変革左之通被 仰出候間明
廿三日ゟ書面之趣可被相心得候
一熨斗目長袴ハ以来総而被廃止事
一正月元日二日装束
一正月三日無官之面々御礼服紗小袖半袴
一正月四日平袴
一正月六日七日服紗小袖半袴

一二月朔日装束
  但御礼席ニ不拘面々ハ服紗小袖半袴
一三月三日服紗半袴
一四月十七日
 御参詣之節装束
  但 殿中ハ袷半袴
一五月五日染帷子半袴
一七月七日染帷子半袴
一八月同断
一九月九日花色々無之服沙小袖半袴
一御神忌且格別重キ御法事等之節ハ是迄之通
 装束
一御定式
  御参詣之節ハ諸向共服紗小袖半袴
一勅使
  御対顔|し(本ノマヽ)之節ハ是迄之通
   但御席へ不拘向ハ服沙小袖半袴
一御礼衆万石以上共都而服紗小袖同袷又ハ染
 帷子半袴
一月次は御礼衆之外平服

一平服は以来羽織小袴襠高袴著用可致候
右之通万石以上已下共不洩様可被相触候
  正月廿八日 二月廿八日
  四月廿八日 五月朔 日
  七月廿八日 九月朔 日
右日限以来月次御礼不不【衍字】被為請候其外是迄之

  御謡初
  嘉 定
  玄 猪
右御規式以来被指止候
右之趣向々え可被相触候
万石已上之面々勝手次第乗切登
城被成候免々尤
殿中小袴襠高き袴等相用可申候 御城内召連
候共之ものも可成丈ケ相減可申候乗切ニ無之
候迚も無益之人数ハ相省き候様可被致候
右之趣万石已上之面々え可被相触候
昨廿二日依御呼出白井伊豆守殿御城へ罷出候
所別紙写之通御達之御書付相渡候事

今度被 仰出候御趣意も有之候ニ付御三家方
御参府御滞在之儀三年め毎ニ一年ツヽ御在府
被成候様被
仰出候間別紙之通御心得当年は水戸殿其侭御
在府尾張殿紀伊殿は近々御暇可被 仰出旨
御沙汰候明年よりハ御参府御暇之時日是迄之
御振合を以三月と御心得可被成候且又諸大名
も参勤并心得方別紙之通被 仰出候此段可被
申上候
右壱通
   御在府割
  来亥年  尾張大納言殿
  当戌年  水戸中納言殿
  来々子年 紀伊中納言殿
  各壱通
    諸大名参勤割合
《割書:三年め毎ニ大約|百日ニ限リ在府》 大広間席面々
 但松平美濃守宗対馬守松平肥前守大約一ケ
  年を限在府

 三ケ年め毎ニ     溜詰
 一年ツヽ在府     同格
            御譜代大名
            外様大名
 三ケ年めニ大約    雁ノ間詰
 百日を限リ在府    御奏者番
            菊ノ間縁頬詰
            交代寄合
 但榊原越中守ハ是迄之通
右壱通
今度被 仰出候趣も有之ニ付参勤御暇之割別
紙之通可被成下旨被 仰出候就而は在府中時
々登
城致候御政務筋之理非得失を始存付候儀も有
之候ハヽ十分ニ申立且困郡政治共可否海陸備
禦之以寿【「籌」か】策等相伺式は可申達又ハ諸大名互ニ
談合候様可被致候尤も件々
御直ニ御尋も可有之事
一在府人数別紙割合之通被 仰出候得共御暇
 中たりとも前条之事件或不得止事取用有之

 出府之儀ハ不苦事
一嫡子之分は参府在邑とも勝手次第之事
一定府之面々在所へ相越儀願次第御暇可被下
 尤諸御役当之儀ハ別紙在府之割合ヲ以可被
 仰付候事
一此表ニ指置候妻子之儀ハ国邑え引取候共勝
 手次第可致子弟輩形勢見甚候ため在府被致
 候儀是又可為勝手次第事
一此表屋敷之儀留主中家来とも多人数【見せ消ち「之義」】不及指
 固参府中旅宿陣屋等之心得ニ而可成丈手軽
 ニ可被致且軍備之外惣而無用之調度相省家
 来共之儀ハ供夫は勤とも旅装之侭罷在不苦
 事
一国役在所より懸隔り候場所御警衛之儀ニ付
 而ハ追而被 仰出候品も可有之事
一年始八朔御太刀馬代参勤家督其外御礼事ニ
 付而之献上物ハ是迄之通たるへく候乍去手
 数相掛候品は品替相願不苦候事
一右之外献上物は都而御免被成候尤格別之御
 由緒有之献上仕来候分は相伺候様可被致候

 事
右壱通
   九 月
朔 日 朝よりくもり終日くもり空ニ而冷気
《割書:五十四度》  なり
二(九月中)日【見せ消ち「月」】 朝よりくもり北風さむし四ツ時位ゟ
《割書:五十四度|いそミナト 》 快晴久々ニ而之天気なり
《割書:此節いわし漁事有之候|少々ナリ》
三 日 朝より快晴終日天気快晴
《割書:四十五度》
四 日 朝よりくもり南もよう四ツ時よりて
《割書:五十度 》  り立夕方くもり
公辺御老中此節御登 城ハ御駕籠之御方ハ供
廻り拾人位御道具ハ先箱壱ツ合羽籠位ニ而継
ハ壱本も立不申候
一橋様御登 城御馬ニ而跡先乗弐人ツヽ其外
ハ別当弐人ニ而御登 城被遊候よし何之大名
方も右同様位ニ御坐候
五 日 【見せ消ち「朝」】明方雨ふる直ニ止ム四ツ時より天
《割書:五十五度》  気ニ成ル

小石川御屋形御達之由
壬八月廿五日
一諸向へ此度相達置候服制之内袴之儀小袴
 襠高キ袴著用可致候
  但馬乗袴伊賀袴著用ニ而も不苦候
一平袴之儀ハ他所勤之外当分之内御用捨之事
一足袋之儀紺不苦候
右之趣支配之末々迄可相達候
六 日 朝よりくもり終日くもり空にて持相
《割書:五十六度》  夕方空あかし夜ニ入大くもり九ツ過
    ゟ雨ふる風もふく
七 日 明方迄雨明七ツ時地震二度ゆる朝ゟ
《割書:五十三度》  晴北風吹八ツ過より風止
八 日 朝より快晴寒し四ツ時地震ゆる北風
《割書:五十度 》  夜ニ入くもる
九 日(菊花盛 ) 宵より雨ふるさむし終日雨ふる
《割書:四十七度》
十 日 宵より雨ふる終日小雨ふり暮六半時
《割書:五十五度》  地震ゆる夜中も雨ふる終夜雨ふる
十一日 宵より雨ふる終日雨七ツ時地震ゆる

    夜五ツ時地震ゆる終夜雨
品川ゟ保土ケ谷迄御取払ニ相成候御触出候由
諸大名国々え御引払ニ相成候猶又江戸表御登
城【見せ消ち「なく」】等之節ニも供廻り三十人余も召連候大名
衆此節供廻り七八人位羽織なしニ而袴斗ニ而
御供いたし候よしニ而是迄諸大名へ出入之手
廻り別当抔へ俄ニ難渋いたし夜中ニ相成候へ
ハ日本橋辺其外諸々夜見せ屋体見世等有之候
所へ参り古著并食物等をさらい候ニ付夜中ハ
諸商人出不申誠ニ淋しきよし店々之もの用向
有之候而も夜中ハ成丈出不申無據出候節御屋
敷方にて凡て挑灯を拵夫を持棒なともたせ候
供四五人も連候而歩行候よし浅草観音なとも
誠ニ淋敷く相成候由
十二日 朝よりくもり終日くもり空にて持合
《割書:五十五度》  夕方より晴
十三日 朝より快晴
《割書:五十三度》
十四日 朝よりくもり南もやう折々てり立九
《割書:五十三度》  ツ半時ほろ〳〵雨直ニ止

十五日 朝むら雲五ツ半時ゟ快晴
《割書:五十度》
十六日 朝よりくもり終日くもり空にて夜ニ
《割書:四十八度|江戸玄六斗 》 入雨ふる
《割書:古わた百五十匁》 《割書:そうか|かすかべ》辺《割書:わた新| 壱〆九百目》
《割書:手【見せ消ち「掛」】拭十匁余》 《割書:わたハ此間交易ニなり候よしニ付|引上ル》
十七日(十月節 ) 宵より雨ふる明方止終日雨ふる
《割書:五十三度》  夜中晴
十八日 朝より薄くもり四ツ過より照立夜ニ
《割書:四十八度》  入雨ふる
十九日 朝より快晴四ツ時よりくもり九ツ半
《割書:五十度 》  時小雨直ニやむ
《割書:新籾弐斗六七升》
二十日 朝より快晴
《割書:五十六度》
二十一日 朝より快晴
《割書:四十九度》
廿二日 朝よりくもり終日くもり空ニ而夜ニ
《割書:四十九度》  入雨ふる
廿三日 朝よりくもり終日雨ふる夜中迄雨ふる
《割書:四十九度》

廿四日 朝より快晴五ツ過よりむら雲
《割書:四十九度》
廿五日 朝むら雲さむし終日快晴
《割書:四十五度》
廿六日 大霜降さむし快晴夜ニ入くもり四ツ
《割書:初霜降 》  時雨ふる
廿七日 朝よりくもる四ツ過よりてり立夕方
《割書:四十五度》  よりくもる
廿八日 明方雨ふる北風さむし直止八ツ時少
《割書:四十七度》  々雨ふる直止
廿九日 朝より快晴さむし夕方よりくもり
《割書:三十五度》
晦 日 朝よりくもり終日くもり空にて夜中
《割書:三十五度》  殊之外晴
《割書:新籾弐斗四五升|大豆七斗弐升》
《割書:小豆六斗弐三升》
仙台米壬八月中旬 九斗弐参升
 但仙台城下ニ而此節七斗四五升
 白川 米七斗四升
 須加川《割書:小せん八十文|当せん丁百文》 《割書:百銭一枚遣候へハ弐十|文ツヽ切せん出申候》
米沢辺ニ而
 《割書:絹糸下落此節|極上もの九十五匁》 棚倉米七斗
 《割書:八月中旬ハ六十匁位之品》

岩キニ而粕此節持合分極々下品ニ而五匁五六分
上品ハ無之よし
福島ゟ前ハ諸々縄入有之候而大名方普請ニ相
始候よし二本松白川新御殿出来申候御屋敷も
余ほと出来申候由

   十 月
朔 日(十月中 ) 朝大もや五時より快晴終日天気よし
《割書:三十七度》
二 日 大霜快晴夕方よりくもり
《割書:三十七度》
三 日 朝よりくもり終日くもり空
《割書:四十七度》
四 日 朝大もやはれかね終日くもり夜中ハ
《割書:四十八度》  晴四ツ時ゟくもり四ツ半時ゟ雨ふり
此節大山野口辺はしか流行
五 日 朝よりくもり九ツ過より晴
《割書:四十三度》
六 日 大霜快晴終日天気よし
《割書:三十七度》
七 日 明方よりくもりさむし終日くもり空
《割書:四十一度》  ニ而持合
少々此節籾引上候而壱分ニ弐斗四升此間中ハ

古籾ニ而弐斗七升松岡籾古弐拾五俵位ニ相成
候所両三日以前ゟ廿弐俵位
八 日 明七ツ時より雨降四ツ過より雨止四
    時地震ゆる
九 日 朝むら雲五半時より雨降直やむ折々
《割書:四十三度》  時雨ふる夕方より晴夜中ハ殊之外晴
    西風吹
当朔日朝殊之外もやおり候而四五間さきも見
へ不申五ツ半時よりもや晴候所鹿嶋浦より六
里ほとも可有之常陸原と申所渚近く壱弐丁目
もさきえ長サ三十五六間も有之候様相見候異
船壱艘著いたし伝馬三船此辺之漁船位之船ニ
而十五六人も上陸いたし候ニ付追々近辺之も
の参り候へ共相分り不申候處汐合ニ而殊ニハ
【見せ消ち「源」】深もや相分り兼候而渚近く参り候ものやう右
大船砂え居敷十間余もうつまり進退不相成候
様子ニ而大砲相放候とも船更ニ動キ不申候其
内右船より米壱俵鉄のづく壱俵持出是をつミ
候船と申候様子之よし追々御出張有松平右京
様松平大学様土屋様等仮小屋出来矢来等出来

候而見物人ハ近付ケ不申候よし度々空炮ヲ放
居候よし汐引候節ハ船の近辺まても歩行ニ而
被参候よし異人とも日々砂をほり船を出候積
リ候へ共又々さし塩の度こともとの通リニ埋
リ候由追々異人共船の上へ出候所弐百人余も
乗候様子之よし
全ク鹿嶋太神宮の神罸ニ而右様之場所へ艚よ
せ候との事ニ御坐候
十 日 朝より大霜降さむし終日殊之外さむさ
《割書:弐十五度》  つよし
十一日 大霜寒気つよし厚氷はる
《割書:弐十六度》
十二日 大霜快晴寒気つよし
《割書:三十四度》
十三日 大霜快晴寒気つよし
《割書:三十度》
十四日 大霜快晴天気よし夕方くもり夜五ツ
《割書:三十一度》  時雨ふり
十五日(月帯そく皆既) 朝もやおりる四時より晴てり立暖気
《割書:三十四度》  なり

台町裏野木明神社内ニ芝居江戸勘五郎と申両
国辺之芝居有之大入之よし同日ゟ下町ニ角力
興行
江戸十月八日出相場 古領米 五斗
 囲坂水 三拾七両弐分 南郷米 〃
 地水  三拾五両三分 町 米 五斗弐升
 綿白  三拾五両かへ 新 米 五斗三升
 胡麻  三拾七両弐分 糯 米 四斗九升
 荏漉  三拾五両弐分 水戸大豆六斗壱升
 種粕本〆《割書:七枚|八枚》      高浜  六斗弐三升
 胡麻粕本〆六枚    水戸小豆五斗九升
 銭 六〆八百文    大麦  石四五升
 大坂廿八日出     小麦  六斗四五升
 水油六百五十五匁   菜種  五斗五升
 金七十六匁      仙台米 《割書:四五五入|五斗〇五七合》
            上総新米五斗四五升
《割書: |十一月節》
十六日 大霜快晴
《割書:三十三度》
此節諸々追々引上ケ
上州佐の玄米四斗弐三升 結城下たて五斗四五升

府中五斗弐三升
水戸籾弐斗三四升 かた炭壱俵五六匁位
かた炭壱俵壱〆文上州辺
   繰綿初相庭
 一大坂上銘  百六拾弐両
 一京丹州   百五拾七両
 一坂丹州   百五拾三両
 一大和焼印  百四拾弐両
 一三州上銘  百六拾六両
 一尾州中市物なし
 一篠巻   壱〆六百目
 一地綿   壱九百五十目
   正取引五【見せ消ち「百」】両安五十目引
    十月八日
        大伝馬町
           大和屋三郎兵衛
先月晦日加賀若殿様御国え御立十月朔日同奥
方不残江戸御出立に候由
当七日仙台様奥方江戸御出立之よし
琉久表司屋と申銘ニ而十枚三十位いたし居候

所此節四十匁青麻糸両ニ壱〆五百目都而諸品
引上候ハ如何之わけニ候や
絹糸ハ此節少々行当り居候様子
十七日 朝より薄くもり折々薄てり夕方ゟ大
《割書:三十七度》  くもり
十八日 朝より快晴
《割書:四十一度》
江戸表御触之よし
     申渡
来二月
御上洛ニ付御供之面々等上京致候ニ付道中諸
入用之品々諸道具草履草鞋等ニ至迄平生直段
より少も高直ニ売出申間敷候
右品々元直段付兼而承糺可置候条高直ニ売候
儀相知候ハヽ急度可申付候事
一諸色国々之元直段高直ニ売出候ハヽ其向々
 迄商人共ゟ可申出候且又江戸表并国々在々
 ニおゐて其商売筋ニ而無之もの共〆売〆買
 なと致候族有之候ハヽ其筋々之商人共ゟ可
 申出候吟味之上急度可申付候事

一両替切賃銭故もなく高直ニ致間敷候并買固
 〆売致候もの有之候ハ両替仲間之内ゟ可申
 出候吟味之上急度可申付候事
    十月    町年寄
             役所
京都ニ珍事有之候よし柏【◯で囲い】ゟ写候よしニ而参ル
   京都町御奉行組与力
           渡辺金三郎
           上田助之丞
        同 同心
           森 孫六
           大川原十蔵
右四人此度関東ゟ御召ニ相成当月廿三日朝当
地出立同夜石部駅泊り暮六ツ時著ニ相成候處
直様何者共知不申待【本のまま】弐十人計押入首討持返り
翌廿四日朝三条通日之岡峠御仕固場と而如図
さらし在之候其見物人数万之事ニ而扨々珍ら
敷大混雑ニ在之候右之内上田助之丞壱人工合
能逃去り候へ共此比当地ニ而召捕ニ相成候風
聞ニ右討取候待【本のまま】道筋見へくれニ而付添旅宿定

リ候を見届ケ置何レも敵討同様之姿ニ而押込
候風聞ニ御坐候実ニ前代見【未】聞候事あらまし相
記ス
  《割書:渡辺金三郎|森 孫六》       此製札裏書
  《割書:大川原十蔵》       左之通
《割書:右戊午年已来永野主膳|嶋田左近之大道謀与加》       《割書:石部駅於上宿ハ不 禍ヲ|生候ニ付右地頭且町内ゟ》
《割書:納繁三郎上田助之丞等|諸肝【奸】吏共ト心を合古来未曾有》   《割書:此度可 候若其  無之|ハ追々可及 伐候者也》
《割書:之御国難ヲ醸し聊ニ而も国|事ヲ憂為之者ハ悉ク無名》
《割書:之罪ヲ羅職し甚々至候ハおの|か毒□【金へんに峯】ヲ遑せんと致候段天地》
《割書:不容之罪状一々不遑牧【枚】挙依|而加天戮者也 壬戌九月廿三日》
右之通建札相立首三ツ壱ツツヽ竹之先キ相つら
ぬき名前札を付立有之候よし
十九日 明方より雨ふる九ツ過より雨やむ
《割書:四十度》
当月十三日本田屋庄兵衛見世若もの銚子へ売
用ニ而参り候ニ付右異船見物いたし候所常陸
原しヤリ浜と申所え当朔日朝きり殊之外深方
角もわかり兼候ニ付岸近く乗込候あと相見当
節ハ壱尺七|八尺(本ノマヽ)も埋り候様子右船岸近ク余り
候故早速訴出候所公辺より御役人并南京人之

通辞を同道蒸気船ニ而乗込候處遠浅ニ而著岸
不相成所々漁船を呼右へうつり異船改候所空
船ニ而荷物ハ無之人数ハ十五人乗居候よし此
節ハ寺え留置番人付居候よし
廿一日 朝よりくもり折々雨ふる
《割書:三十五度》
廿二日 朝よりくもり終日持合夜ニ入五ツ時
《割書:四十三度》  雨ふり直止
穀町籾壱分弐斗三升ゟ四五升迄
  大豆 七斗四五升
  小豆 六斗四五升
  麦  六斗四升
府中玄米 四斗八升
二本松白米四斗八升
当年ハ干損之場所ハ夏中水無ノ御験見入等有
之難渋候よし其外水分宜敷候場所ハ天気続ニ
而至極宜敷よし御領中ハ平均八分位之作と申
候へとも直段ハ不安諸国とも追々引上候様子
廿三日 朝よりくもり八ツ過あられふる夜中
《割書:四十四度》  ハ殊之外晴

廿四日 大霜快晴寒気つよし
《割書:三十四度》
廿五日 大霜朝よりくもり終日持合
《割書:三十四度》
廿六日 大霜快晴
《割書:三十八度》
廿七日 朝より快晴西風さむし
《割書:三十五度》
廿八日 大霜快晴
《割書:三十四度》
廿九日 大霜快晴
《割書:弐十九度》
府中玄米上四斗六升ゟ五斗一弐升
  才田塩 八俵
穀町市場籾壱分ニ弐斗三升ゟ弐斗四五升迄
平潟辺岩キ玄米ニ而七斗五升仙台辺玄米壱石
位之由
白川辺玄米六【見せ消ち「升」】斗四五升
御領中ハ平年六拾俵位取入候所ニ而弐十俵位
も取不足候よし夏秋とも風もなく照続候へと

も暑中天雨かゝり不申候年ハ上作ニハ出来か
ね候よし其上昨年ゟ春まて雪降不申候旁水分
不宜候よし
   十一月
朔 日 大霜快晴寒気つよし夜五ツ時あられ
《割書:弐十八度》  ふる直やむ
二 日 大霜快晴西風吹
《割書:弐十四度》
冬至四時三分
向新宅見世開
類焼後此度普請出来上候ニ付三日之間
三 日 大霜寒気強夜ニ入五ツ過より雪ふる
《割書:弐十四度》
四 日 宵より雪降四時ゟ止明七ツ時地震九
《割書:三十五度》  ツ時より晴
五 日 大霜寒気
《割書:弐十六度》
六 日 朝より快晴寒気ゆるミ
《割書:三十五度》
七 日 大霜寒気四ツ巳より西風つよし夜四
《割書:三十度 》  ツ時止
八 日 朝より快晴寒気つよし夜ニ入八ツ過

《割書:弐十五度》  小雪ふる西風半時計之間つよし
《割書:穀町籾両三日|引上壱分》
《割書:弐斗弐升位》
九 日 大霜快晴寒気つよし西風吹夕方止
《割書:弐十五度》
此節江戸表金巾木綿大引上ケニ而壱番百弐十
匁弐はん百七八匁右ニ順シ唐さらさ類引上申
候呉良ハ格別之事も無之
十 日 大霜快晴寒気つよし
《割書:弐十五度》
十一日 大霜快晴暖気夜ニ入雨ふる
《割書:三十五度|いわし漁事有之》
十二日 朝より暖気終日快晴夜中 之間より
《割書:三十五度|才田塩両ニ 》 四ツ時 俄ニ吹辰巳之方より東の方
《割書:  六俵半 |かのへ申》 迄真すくニ引はりおし行
十三日 大霜快晴寒気つよし
《割書:弐十五度》
十四日 大霜快晴寒気つよし
《割書:弐十四度》
十五日 霜ふる寒気ゆるミ 終日快晴
《割書:三十四度》

十六日 七ツ前より雨ふる朝五ツ過より雪に
《割書:四十度 |甲子》  成ル終日雪ゆる夜五ツ時止
京都より手紙之よし先月出之うつし
是迄金相庭七拾匁ゟ七拾壱弐匁いたし候所此
節ニ相成八拾匁相成居候處又々十月廿八日八
拾三四匁と相成申候大坂表ハ当所ゟ四五匁高
と申内ニ今日相分り正銀八拾九匁三分と申参
り候前代覚無之事ニ御坐候金百両ニ銀壱〆目
ニ相当り申候
 米壱石ニ付正銀ニ而百七十八匁位
十七日 朝よりくもり八ツ過よりてり立
《割書:三十四度》
小寒十二月節今暁八ツ時七分ニ入
十八日 大霜快晴寒気終日天気よし
《割書:弐十五度》
十九日 明方より小雪降五ツ半時より快晴暖
《割書:三十四度》  気なり
《割書:十六俵十七俵|御相場》
廿 日 大霜寒気強五ツ過より西風夕方風止
《割書:三十二度》
昨夜支配人了助方ニ而女子出生四人候御当秋

男子弐人相果女子弐人ニなる
廿一日 大霜快晴八ツ時より西風吹夕方止
《割書:弐十八度》
《割書:此節江戸才田塩六俵五分|    赤穂 四俵》
廿二日 大霜快晴
《割書:弐十七度》
廿三日 大霜快晴寒気つよし
《割書:三十度 》
当十四日江戸吉原丸やけ田中辺ハ無事之よし
廿四日 大霜快晴寒気つよし
《割書:弐十三度》
廿五日 大霜快晴寒気
《割書:弐十四度》
廿六日 大霜朝よりくもり夜五ツ時ゟ雨降暖
《割書:三十度 》  気
余四麿様袋田村え御出有之滝御覧被遊候而御
歌候之よし
  みたれくる峯の白いと
   うちさいて木々の錦を
      袋田の滝
両三日已前
恩田様 大場様 武田様 杉浦様
御老中再勤 太田誠左門様当日御役御免之よし

江戸小石川ニ而ハ白井様御役御免之由
廿七日 朝より快晴暖気
《割書:三十度|穀町籾少々ゆるミ候よし》
廿八日 朝より快晴寒気ゆるミ
《割書:三十三度》
廿九日 朝より寒気強夕方よりくもり夜ニ入
《割書:三十四度》  雨ふる直止暖気なり
晦 日 朝よりくもり四ツ時ゟ雨ふる八ツ時
《割書:三十四度》  より雨止北風夜中迄ふく
当月廿七日五藤徳兵衛殿上方より下り候ニ付承
り候所
京都ハ余ほとの騒ニ而加賀薩摩毛利仙台其外
諸大名警衛として寺々え逗留いたし居日々陣
鐘太皷大炮等ニ而調練いたし居候よし
薩摩ハ本能寺ニ居候よし
   十二月
朔 日 大霜快晴北風吹寒気夜五ツ少々過地
《割書:三十度|十二月之中 》 震
二 日 大霜寒気つよし
《割書:弐十四度》
三 日 朝よりくもり終日くもり空にて夜ニ
《割書:三十度 》  入夜ふる九ツ時より雨つよし明方止

小銭殊之外少なし
当時五〆六百文ニ買入六〆六百文ニ而指引い
たし居市中大難渋
四 日 朝よりくもり九ツ半時より雨降夜ニ
《割書:四十度|夜八ツ時俄ニ》 入雨止又九ツ半時地震八ツ時ゟ未申
《割書:大あられふる|雷三四声夫ゟ雨ふる 》之風つよし
五 日 朝より快晴宵未申より風ふく快晴ニ
《割書:三十六度》  而夜中四ツ過迄風つよし
《割書:南部粕入船有之三十分ニ而両ニ壱俵六〆ニ相|場出来候》
六 日 大霜快晴五ツ過より西風吹寒気終日
《割書:弐十五度》  風つよし夕方より風止
七 日 大霜快晴四ツ半時より西風つよし夕
《割書:弐十五度》  方止
八 日 大霜快晴寒気つよし風なし
《割書:弐十七度》
九 日 朝より快晴寒気つよし風なし夕方より
《割書:三十三度》  くもり暖気なり
当七日方より磯ミなと辺大漁ニ而いわし漁事
近年稀なる大漁いそなとニ而ハ海上え船ハと
まり居候而追々引付粕ニ〆候よし

《割書:十 日|三十三度》  大霜快晴終日上天気暖気
才田塩ミナトニ而五俵七八分
《割書:十一日|三十五度》  快晴むら雲西風吹夕方止
上州辺絹糸追々高直ニ而此節両ニ五拾五六匁
生糸ニ而下たて辺木綿糸引上壱〆百文くりわ
た壱〆八百目
龍ヶ崎くり綿壱〆九百目
江戸くり綿坂上百九拾匁位
茂木辺玄米五斗五升
いそミナト続而いわし大漁事
 新粕壱俵四五分
 魚油拾八両位
十三日 朝より快晴暖気なり
太田辺籾壱分ニ弐斗七八升
 白米上もの四斗八升ゟ五斗
《割書:十三日|弐十八度》  大霜快晴寒気つよし
十四日 大霜快晴西風ふく八ツ過風止
《割書:三十四度|ミナト魚油拾八両弐分》
十五日 大霜快晴寒気強終日快晴風なし夜中
《割書:弐十五度|節 分》  も晴

当九日出小石川ゟ書帖
勅使も弥一昨日出立ニ相成
一橋様ニハ大坂御警衛為御見分近々御発駕之
趣大御番頭御書院番頭御小姓組番頭其外講武所劔術指南鉋術指南諸生
数百人御召連ニ相成候趣取沙汰ニ而ハ大坂表
へ軍艦数艘参り候との事之よし
十六日 朝七ツ前より大雨終日春雨のことく
《割書:三十二度》  夕方より雨止
《割書:十七日|三十九度》  朝きりふる四ツ時よりてり立終日快晴
立春正月節昼八ツ時七分ニ入
十八日 朝きりふる暖気四ツ時位より俄ニ西
《割書:四十一度|ミナト》  の大風吹出八ツ時位迄吹七ツ過ゟ又
《割書:才田五俵半 |赤穂三俵半 》 々吹出暮六ツ過止夜五ツ時地震ゆる
武田耕雲斎様此間御老中再勤被仰付江戸表へ
御登りニ相成候所
公辺御呼出之上大坂表え俄ニ御出張之よし
 府中玄米四斗六七升
   百銭六〆六百五十文
   小銭五〆八百文
 ミナト南部粕壱両壱俵弐〆半

    《割書:いそ并|ミナト》粕 壱俵五分位
此節小銭大銭殊之外不足府中ゟ笠間都而他領
ハ小銭五〆五百文位百銭六〆七八百文位御
国内ハ百銭小銭とも六〆六百文通用ニ而至然
と小銭ハ他領出候而誠ニ小銭なしニ相成難渋
いたし候ニ付上下市中ゟ百銭と小銭の直段違
候而取引致候様数度願候へとも不相済如何之
御了簡ニ候や御領中追々小銭なしニ相成候而
当時ハ極々難渋ニ候
《割書:十九日|弐十七度》  朝より快晴四ツ過より西風吹夕方止
《割書:二十日|弐十六度》  大霜快晴終日天気よし
《割書:廿一日|弐十七度》  大霜快晴終日天気よし
去ル十八日
中納言様御登
城被遊候處来春
御上洛之節御先え
御上京被遊候様被 仰出候ニ付御祝儀ニ出ル
《割書:廿二日|弐十八度》  大霜快晴
廿三日 朝くもり九ツ時よりてり立快晴
《割書:廿四日|弐十七度》  大霜快晴寒気

《割書:廿五日|弐十七度》  大霜快晴
去ル午年中
公辺之御為重キ
勅定被為蒙候所此度
公辺ゟ被仰出有之
諸大名へ御触示ニ相成候旨御達出ル
《割書:廿六日|三十度 》  朝より薄曇夕方より大くもり
《割書:廿七日|三十五度》  朝より快晴少し西風夕方より曇
《割書:廿八日|三十八度》  朝よりくもり
昨夜急御用有之候よし
太田誠左衛門様八百石之所 十人ふち蟄居
桑原久木葛西       五人ふちツヽ蟄居
右之通候よし
此節ゟ来亥七月迄鉄小銭壱割高通用之儀伺之
通相済候条其旨相心得面々速々ニ通用致候而
ハ突当りも出来間別紙割合書之通取引致候
様御達之事
  小銭六〆文相場
  百銭六〆六百文
 拾文ゟ拾五文迄     壱文引

 拾六文ゟ廿五文迄    弐文引
 廿六文ゟ三十五文迄   三文引
 三十六文ゟ四十五文迄  四文引
 四十六文ゟ五十五文迄  五文引
 五十六文ゟ六拾五文迄  六文引
 六十六文ゟ七十五文迄  七文引
 七十六文ゟ八十五文迄  八文引
 八十六文ゟ九十五文迄  九文引
 百文ニ而        十文引
右ハ小銭払底ニ付当節ゟ来亥七月迄小銭壱割
高取引いたし候様御達ニ相成候ニ付前書之通
割合相達候間不同無之様取引可致事
  戌十二月廿九日ゟ

今度京都ゟ厚 御趣意を以大赦被 仰出候義
有之候付而ハ銘々於領分
皇国之御為と存込其所行御憲ニ触候而死罪牢
死流罪幽閉等之者有之候ハヽ其領委細名前等
認出候様可致候
 右之通相触候間可存其趣候

     戌十二月

    ◯【印、「昭和十三年十一月一日 購」】

巻8

L289.1 8 137
《割書:水|戸》大高氏記録 八

 万 延
日 記 帳
 辛酉年

   万延二辛酉
 年徳あきの方巳午の間
   正月《割書: |小》 《割書:寒暖計ハ朝五ツ時をしるし》
元 日 (かのえ寅たつ木)明八ツ時より快晴六ツ時むら雲終日
《割書:朝三十六度 》 村雲暖気にて至極穏也明方申酉の風
    少し吹
《割書:二 日 |三十三度》  大霜寒気快晴夜ニ入くもる
《割書:三 日 |三十三度》  明方より雪ふる明七ツ時地震ゆる四
    ツ時より止又々八ツ過ゟ雪ふり夜中
    迄降

《割書:四 日 |三十一度》  明方雪止くもり終日くもり空にて夜
    中も同断
《割書:五 日 |三十二度》  宵よりくもり四ツ時過よりてり立
《割書:六 日 |三十度 》  大霜快晴寒気終日天気よし
《割書:七 日 |三十二度》  宵より雪降明方止終日くもり空にて
    持合夜中雨降
《割書:八 日 |三十七度》  明方迄雨降寒気ゆるミ四ツ過より雨
《割書:下町初市籾|壱分ニ壱斗七升 》止
《割書:九 日(正月ノ中) |三十八度》  宵より雨降明方より小雨になる暖気
《割書:鶴千代麿様|御所労御機嫌伺 》四ツ時より止夜ニ入四ツ半時雨降直
    止
《割書:十 日 |三十五度》  朝むら雲五ツ時ニてり立さむし
《割書:上町初市籾壱斗八升》
《割書:十一日 |弐十八度》  大霜快晴さむし夜中あられ少しふる
《割書:鶴千代様御所労御大切ニ付御機嫌伺有》  
《割書:十二日 |二十七度》  大霜快晴西風吹さむし夕方より北風
《割書:御逝去御機嫌伺 》夜中風止
《割書:十三日 |二十四度》  大霜寒気つよし快晴
《割書:十四日 |三十二度》  朝むら雲五ツ時ゟ快晴南風少々吹
《割書:鶴千代麿様|御尊骸来ル十七日午ノ刻 御発棺五日御道中ニ而廿一日太田 御殿え》 止

《割書:御休棺翌廿二日 御葬穴之旨御達》
《割書:十五日 |四十度 》  朝より快晴北風吹夜ニ入くもる北風
《割書:麦米七合五勺|壱分壱斗弐升》 つよし八ツ過より雨風つよし
《割書:中白米壱分壱斗 御扶持籾拾六俵 白米六合|歩売種油壱両九升》
《割書:十六日 |三十八度》  明六ツ時風ハ止雨強し雨ハ七ツ時止
    七ツ半時より照立
《割書:十七日 |三十六度》  朝より快晴霜ふる夜ニ入薄雲
《割書:十八日 |四十一度》  朝よりくもり九ツ時より小雨折々ふ
《割書:府中|麦米四斗  》 り夜ニ入雪少し降
《割書:十九日 |三十二度》  宵よりくもり四ツ時よりてり立
《割書:廿 日 |三十六度》  大霜快晴夕方ゟくもり夜ニ入四ツ時
    より雨ふり
《割書:御尊骸今日枝川御旅館》
廿一日 宵より雨降五ツ時止四ツ時より雨降
《割書:太田辺|籾壱分弐斗弐升 》出ス雪ましりニ而七ツ過より天気ニ
《割書:大豆壱両ニ付|  六斗八升》 なる夜五ツ時西風吹直止
《割書:小豆四斗八升》
《割書:廿二日 |三十二度》  大霜快晴寒気夕方よりくもり西風吹
《割書:今日御葬穴 》 直やむ夜四時地震
《割書:廿三日 |三十三度》  朝よりくもり終日持合夜九ツ過より
《割書:府中|玄米四斗麦四斗 》雨ふり

《割書:大豆四斗五升 小豆三斗六升|大子辺 小豆壱升弐百文 玄米四斗八升》
 《割書: 大豆六斗》
廿四日 宵より雨ふり雪ましり終日雨ふり夜
《割書:ニ月の節》  中雨つよし
  江戸正月五日初相庭
《割書:一南郷米    三斗九升|一古領米    同》  《割書:一地水油    三拾九両|一上白油    三拾九両弐分》
《割書:一府中米    同|一町 米    四斗》   《割書:一胡麻油    四拾四両|一荏 油    四拾三両壱分》
《割書:一同古米    三斗九升|一糯 米    四斗三四升 》 《割書:一種 粕本メ  七枚弐分|一並 粕    八枚弐分》
《割書:一水戸大豆   四斗弐升|一同 小豆   四斗一升》  《割書:一白胡麻粕本メ 六枚五分|一荏 粕    九  枚》
《割書:一高浜大豆   四斗三升|一水戸小豆   三斗五升》  《割書:一黒胡麻粕   十  枚|一銭      六貫七百五十目》
《割書:一大 麦    八斗五升|一小 麦    五斗四五升》  《割書:大坂廿五日出| 水 油  六百八拾匁》
《割書:一菜 種    四斗弐升|一白胡麻    弐斗七八升》   《割書:金    七拾壱匁》
《割書:一黒胡麻    三斗八升|一寒川米    三斗八升》  《割書:一赤 穂    四  俵|一斎 田    六俵五分》
《割書:一仙台廻米   四  斗》
《割書:一三州白|  改  五反壱分五厘 》  《割書:一名 白|  五  五反六分五厘》
《割書:  銘  五反八分 |  造  六反八分 》    《割書:上  四分開キ|下》
《割書:一生雲斎|  矢印廿六匁弐分 》   《割書:一繰わた|一三洲上銘  弐百廿九両》
《割書:一三洲池付|  古新  四反文 》   《割書:一坂 上銘  弐百十三両|一京丹洲  弐百五反》
《割書:  改メ  四反三分|  間銘  四反八分》   《割書:一大 和   百九十両|一篠 巻  壱貫弐百廿匁》
《割書:  造リ  五反三分》
 《割書:当百銭  六貫六百八十文|大 銭  六貫文》 〆《割書:売|買 五十安》

《割書:廿五日 |三十八度》  終夜雨強明方止北風吹四ツ過より快
《割書:穀町ゟ白米|百文五合五勺願出》晴終日北風吹夜四ツ時止
《割書:廿六日 |三十一度》  朝より快晴大霜寒気強終日天気
《割書:廿七日 |三十三度》  朝より薄曇終日くもり空にて持合
《割書:廿八日 |三十弐度》  朝より曇四ツ半過より小雨雪交夕方
    止夜中ハ星出る
《割書:廿九日 |弐十九度》  大霜快晴余寒強西風吹
 《割書:玄米 四斗 御扶持籾壱俵弐分弐朱|土浦辺 白米百文五合》
 《割書:真壁 白米 五合五勺 麦米六合五勺》
 夷船もミニストル吉冬本国え帰ル又々此節
 是迄渡来不致船共都合八艘参候よし勢をミ
 せおどし可申勢之由外国奉行津田近江守出
 張其後閣老応接も有之候よし
  江戸 白米百文ニ四合七勺 上四合五勺まし米 四合弐勺
     大坂初相庭
 一 肥後米《割書:三俵ニ凡石三四升入ニ付》  百三拾九匁五分
 一 中国米《割書:三俵ニ凡九斗九升ゟ|      石位入ニ付》  百三拾八匁
 一 筑前米《割書:同   断》     百四拾六匁五分
 一 広嶋米《割書:三俵ニ凡九斗四五升付 》  百弐拾八匁
 一 加賀米《割書:弐俵ニ凡九斗位入付》   百四拾六匁

 一 諸国入込米壱石ニ付  《割書:百廿匁位ゟ| 百三十七八匁迄》
 一 同餅米  同     《割書:百七十目位ゟ| 百八十目位迄》
 一 同大豆  同     《割書:弐百目ゟ| 弐百三十目位迄》
 一 同小豆  同     《割書:百七八十目ゟ| 弐百匁位迄》
 一 同大麦  同     《割書:七十目位ゟ| 八十目位迄》
 一 同小麦  同     《割書:百廿目位ゟ| 百七十目位迄》
 一 同菜種  同     《割書:百七十目位ゟ| 百八十五目迄》
 一 水 油  同     六百九十八匁
 一 繰 綿 《割書:糸口上| 坂上ニ而》    弐貫匁
   《割書:銀百目ニ付中入上|     大和ニ而》      弐貫三百五十目
 一 黒砂糖《割書:大嶋天袋入》     弐十五匁五分位
    《割書:弐百三十目斤|  十斤ニ付 》同上頭   弐十三匁
        和黒上   弐十五匁
 一 白砂糖《割書:出 嶋》      八拾五匁位
    《割書:弐百三十目斤|  十斤ニ付 》和三盆   《割書:五拾八匁位ゟ|  六十目位》
        讃州上ヽヽ 《割書:四十匁位ゟ|  四十三匁位》
        同 下   《割書:廿八匁位ゟ|  三十目位》
 一 蝋 晒        五拾壱匁
    《割書:百六十目斤|  十斤ニ付 》上懸ヶ   五拾匁
        下懸    四拾八匁

 一 金          七拾壱匁六八分
 一 銭  九六壱〆ニ付  拾壱匁弐分五厘五毛

   《割書:大》二 (辛卯)月
《割書:朔 日(つちのへひつし)|弐十七度》  大霜快晴寒気終日天気よし少々西風
《割書: |玄米壱両三斗八升五合 》吹
《割書:二 日 |三十四度》  大霜快晴北風少ふく
《割書:三 日 |三十五度》  大霜快晴寒気ゆるミ
《割書:四 日 |三十一度》  大霜快晴終日暖気なり
 親鸞上人六百年忌之由ニ而信願寺ニ而法事有之候由
 湊峯岸順済丸正月廿九日浦賀出帆二月二日
 七ツ時湊着浦賀諸相場
 浦賀         《割書: |本才田塩》
  岩城米 三斗三升  《割書: 旧冬押詰七俵弐三分| 初春ゟ追々引上ケ正月末六俵弐三分》
  仙台米 三斗四升  《割書: 新才田五分|赤穂塩》
  麦   三斗六升  《割書: 押詰四俵五六分| 正月末三俵九分》
  大 豆 四斗三四升 上総東金下ゟ先三四里之間
 《割書:房州寒引|  干鰯 三俵弐三分》      《割書: 正月十五六日方大漁| 九十九里更ニなし》
 《割書:上総春引|  干か 四俵弐三分》
 《割書:粕 拾五貫入|    両ニ壱俵》

《割書:五 日(梅花盛) |三十度 》  朝より雪降寒し九ツ時より雨ニなる
《割書:種油両ニ九升》 終日夜中も雨ふる
《割書:六 日 |三十五度》  朝小雨ふる五ツ時ゟ止四ツ半過より
《割書:白米百文五合五勺|上 五合売候よし》照立夜中くもり雨ふる
《割書:七 日 |三十八度》  朝より快晴暖気終日天気よし
《割書:ひかんニなる 弐朱金百両え拾四五両付候よし》
《割書:八 日 |三十五度》  朝より快晴四ツ時よりむら雲夜ニ入
    雨ふり
《割書:府中玄米三斗七八升麦米四斗之由》
《割書:九 日(春分) |四十四度》  宵より雨ふり五ツ半時より雨やむ終
《割書:真壁麦米六合》 日くもり空にて持合
《割書:十 日(春分) |三十八度》  霜ふる快晴寒し八ツ半時より俄北の
    方雷声あられまじり雨ふり夕方止
《割書:十一日 |三十八度》  霜ふる快晴さむし西風ふく
《割書:十二日 |三十七度》  霜ふる快晴さむし夕方よりくもり夜
    ニ入五ツ時より雨降
《割書:十三日 |三十八度》  宵より雨ふり四ツ時過より止九ツ過
《割書:七ツ時雷気》  ゟてり立折々むら雲
 上州辺絹糸大高直ニ而機屋休居候處米高直
 ニ付穀屋酒屋醤油屋等余ほと打こわし有之

 候よし
《割書:十四日 |四十度 》  宵九ツ時より雨ふり直止朝大霜快晴
《割書:磯浜ニ而いわし粕|壱両ニ壱俵壱分位》西風吹
《割書:十五日 |三十八度》  霜ふる快晴終日天気よし夕方くもる
《割書:十六日 |三十八度》  快晴さむし夕方よりくもり夜五ツ時
《割書:明六半時一丁目 |八百屋助八裏物》地震夜中より雨ふり北風つよし
《割書:置焼る|十七日 》  宵より雨北風吹四過より雨止折々小
    雨北風吹夜五ツ過より晴月夜ニ成ル
 四五日已前長砂村ニ穀買〆候もの有之右村
 之もの申合打こわし候よし党取両三人入牢
 いたし候よし
  宍戸《割書:玄米 四斗|麦米 四斗》   《割書:大豆 五斗|小豆 弐斗九升》
           《割書: 三斗》
《割書:十八日 |三十弐度》  大霜降さむし七ツ時西風吹
 南部小川村穀屋之内ニ出穀御停止之穀を内
 々積出候もの有之夫を小川村之もの三百俵
 程も引留置穀屋へ懸合候ハ百文壱升売を致
 候へハ見のがし可申左も無之候ハヽ御役所
 え申立其上打こわし可申との此節寄合ニ而
 大騒動いたし居候よし
《割書:十九日 |三十九度》  朝より快晴五時ゟ西風吹夕方止

《割書:廿 日 |三十五度》  大霜ふる快晴さむし
《割書:二十一日|三十五度》  大霜快晴寒し
《割書:籾壱斗九升》
《割書:廿二日 |三十六度》  朝くもりきり雨直止九ツ過より雨降
    終日雨ふり夜ニ入北風にて雨つよし
《割書:廿三日 |三十八度》  宵より北風にて雨降終日雨風強夕方
    止又々夜四ツ時より雨ふり
《割書:廿四日 |四十三度》  朝よりむら雲終日天気よし夜五ツ時
    直やむ晴
《割書:廿五日 |四十三度》  朝より快晴少々かすミ
《割書:廿六日 |四十三度》  朝より薄くもり折々晴曇夕方より大
《割書:三月ノ節》  くもり夜晴八ツ過より雨
《割書:廿七日 |四十七度》  朝よりくもり五時少々てり立終日持
    合
廿八日 朝くもり五ツ時霧雨ふる暖気直止折
    々雨ふる夜中も同断南風吹
  二月九日
             松平筑前守
 其方義常々出精父中納言義も数年出精勤其
 上 淳姫君様厚御願も有之候ニ付格別之思

 召を以御礼事并御能見物且饗応之席等以来
 当職中特ニ御取扱被成候旨
             松平美濃守
 広大院様 天璋院様へも御由緒柄厚御願ニ
 付出格之義を以以来御礼席之義五節句八朔
 ハ御白書院月次ハ御黒書院ニ而御礼可申上
 候
 若菜 も登 城可被致候以上
    薩州家来ゟ伺書
 此度
 皇妹御縁組御下向之義御内々被 仰出候ニ
 付而ハ 天璋院様ニハ御姑前当且於拙者も
 乍恐
 皇親之末を穢候ニも相当り重畳恐入存候依
 之 天璋院様御事其侭被為在候而ハ奉対
 朝廷於拙者恐怖至極仕候ニ付何卒御当人様
 御里方え永々御滞留被為在候様仕度存候右
 之趣一応御内慮伺度此段申達候以上
   十二月       松平修理大夫
廿九日  朝よりくもり北風もやう四ツ過ゟ雨

    ふり終日小雨夜中も同断北風
《割書:穀町麦米少々下落六斗位 小豆三斗八升位いたし居候所五斗》
晦 日 朝より小雨北風終日雨北風夜中迄つ
    よし
《割書:御扶持玄米壱分ニ九升|上白百文五合并五合五勺》
 江戸道中筋笠間下館奥筋ハ棚倉平潟辺よ【「り」脱か】
 仙台位迄之間所々陣屋出来候而厳重之カタ
 メ之由
  《割書:大坂米 壱升ニ付弐百十弐文|江戸同 百文ニ付四合三勺》
  《割書:上州辺 百文ニ付五  合|いそミなと辺  五  合》
  《割書:江戸本才田 五俵八分|浦  賀  六俵五六分》
 当月初方江戸道中筋厳重之よし水戸より江
 戸迄之間本通り之外ハ舟渡し之船不残引上
 通行なしの【「よ」脱か】し本海道も御堅メ有之候様子ニ
 而江戸より大筒抔引出候よし
 公辺ニ而ハ市中え困窮人え御救被下壱人ニ
 付米五升ツヽ其外病人え銭弐〆文ツヽ被下
 候よし

  三 月

《割書:朔 日 |三十九度》  朝小雨ふる直やむ北風吹終日くもり
    空
 今日年号文久と改元被 仰出候事
《割書:二 日 |四十二度》  朝よりくもり終日曇空にて持合夜四
《割書: |彼岸梅咲》  ツ時過より雨降終夜雨つよし
《割書:三 日 |四十三度》  宵より雨ふる小雨なり終日雨夕方よ
《割書:日光山雪》  り雨止夜中星出る
《割書:四 日 |四十度 》  霜ふるさむし快晴夕方西風吹
 《割書:湊本才田塩壱両五俵五分|  新 同  六俵》 《割書:粕追々引上| 壱両ニ上もの八分ゟ》
 《割書:  赤 穂  三俵八分|  白 米百文  五合》 《割書:    中  九分|    下  壱俵弐分位迄》
《割書:五 日 |三十九度》  朝さむし快晴
《割書:六 日 |四十一度》  朝よりくもり北風さむし終日曇空に
    て持合
《割書:七 日 |四十度 》  朝より快晴夕方ゟくもり夜四ツ時ゟ
    雨ふり
《割書:八 日 |四十四度》  宵より雨ふる終日雨ふる夜ニ入雨止
 金沢山【金砂山】大田楽一昨年七十三年ニ相当り御田
 楽可有之候處御延ニ相成昨年も相延候處昨
 年中も金沢山近辺ハ夏中山水押出人家流出
 大不作ニ而難渋いたし候由当春ハ金沢山近

 辺村々正月十四日どんど火之節飛火ニ而一
 ヶ村六七軒も焼夫より続而七ヶ村ほと順々
 ニ焼候付御湯釜を上ケ候所大田楽を延置候
 ニ付珍事も有之其上当年も延候得ハ当八月
 中土砂を飛し人家を潰人種を失候程の大風
 を吹せ候との御神託有之由ニ而当二日ニ村
 々之もの東西両金沢山盗出し御磯出ニ相成
 候よし
 其外当七日ハ村之鎮守御磯出等有之よし之
 所居祭ニ相成ル
《割書:九 日 |四十九度》  朝より快晴夕方よりくもり
《割書:十 日 |四十九度》  明七ツ時地震快晴四ツ時より薄くも
《割書:桜 咲 》  り暖気夕方より曇
  万延ニ酉二月廿九日
   久世大和守殿ゟ大目付え申渡諸向え相
   達候書付之写
 此節物価格別高直ニ相成小給之者共ハ別而
 難儀之趣被為及 聞召候ニ付莫大御物入打
 続候折柄ニハ候得共格別之以
 思召部屋住勤之外三百石以下御籏本之面々

 并御家人え拝借金被 仰付候百俵以下之者
 ハ夫々御金被下候旨被 仰出候ニ付一際質
 素倹約相用候様可致候万一心得違候者も於
 有之ハ急度御沙汰之品も可有之候条其旨相
 心得可被申候

 今度被 仰出候百俵以下之者え被下候金割
 左之通請取方之義ハ御勘定奉行え可相談候
   一《割書:百俵ゟ|八拾俵迄》  金拾両
   一《割書:七拾俵ゟ|五拾俵迄》  金八両
   一《割書:四拾俵ゟ|三拾俵迄》  金七両
   一《割書:弐拾俵ゟ|拾五俵迄》  金六両
   一《割書:拾四俵以下 》 金五両
  右之通可被相心得候
 今度被 仰出候拝借金割合左之通被 仰付
 候受取方之儀ハ御勘定奉行可相談候
   一三百石   金弐拾五両
   一弐百石   金弐拾両
   一百 石   金拾五両
   一御役料ハ相除候事

   一平常之心掛ケニ而拝借金ニ不及者ハ
    勝手次第之事
   一返納之義ハ来々亥年ゟ十ケ年賦たるへ
    き事
  右之通可被相心得候
《割書:十一日(三月ノ中) |四十九度》  朝よりくもり夕方より雨降終夜雨つ
    よし
《割書:十二日 |四十九度》  朝より曇暖気終日むら雲暮六ツ時よ
    り雹【原字は雨かんむりに氷】交りニ雨つよし五ツ時止北風つ
    よし又々四ツ時より雨風終夜強北の
    方ニ雷気
  江戸丸柏より文通
    市中え御触し面之写
 古弐朱金之儀相対ニ而追々直段糴上ケ格外
 高直ニ取引致候もの有之由相聞之去申十二
 月触渡置候趣も有之候處右体取引致候段不
 埒之事候此上心得違候者無之様其方共より
 不洩様可申達候以上
   酉三月四日
 右之通於北御番所御年番所被 仰渡御請證

 文差上候間此段相達申候両替渡世之者并家
 主連判取揃早々指出可申候以上
   三月四日
 《割書: |当時江戸表》
 《割書:五両三分ゟ|六両壱分位 取引》
《割書:十三日 |四十三度》  宵より曇北風吹終日くもり空にてさ
    むし
《割書:十四日 |桜 盛》  朝薄くもり終日むら雲ニ而折々薄て
    り夕方小雨
《割書:十五日 |五十一度》  朝より快晴暖気折々薄くもり九ツ過
    ゟ七ツ時迄南風吹夫ゟ風やむ
《割書:今日は四五年振ニ而八幡宮渡御有馬口労町ゟ|社内ニおゐておとり奉納上金町下金町泉町て》 
《割書:うちん出る谷中さゝら出》 
《割書:十六日 |五十八度》  朝より快晴暖気終日むら雲夜五ツ時
    雨ふり日之内南風
《割書:十七日 |五十八度》  朝曇五ツ時より雨折々晴八ツ半時よ
    り止
 十二日出
 此節当地木面成行追々御聞及も被為在候通
 上方筋一体ニ気強候へ共当地丸詰り大不景
 気故三川いせ晒少々下落ニ相成申候へ共三

 川白ハ下落丈品物落し申候而取引仕候
  《割書:古 新  四反七分|改 メ  五反四分》  《割書:名古屋  五 番|□【記号】や  六反壱分》
  《割書:相 銘  六反三分|造 り  七反三分》  《割書:□【四角内に「磯」】 弐 分|上 下  四分開》 《割書:平|はま》
  《割書:○ならわ 六反七分|雲 井  六反七五》  《割書: |○うん才》       《割書:みの|六反五りん》
  《割書:鈴 か  六反六五|   上下四分開》  《割書:大 極  弐十七文|矢 印  廿 六文》
  《割書: |夏左織  壱匁五分》  《割書:花 山  廿 五文|○》
  《割書:     弐匁高 》  《割書:生 桟  糸なし|     三匁五分高》
  《割書:本場青縞 十二月相場ゟ|     七匁五分下ケ》 《割書:綿結城 昨夏相場ゟ|     壱匁五分高》
  《割書:地 白  旧冬ゟ弐匁五分下ケ 無双絞 弐匁五分高|無双紺絞 三匁五分高ニ而拾五匁前後》
  《割書:金巾更紗極上々「八丈五尺物  九十五匁|同赤地小もやう中「八丈五尺物 九十匁》
  《割書:同 色 込  「八丈もの   八十三匁|生金巾極上々壱番       百 六匁》
  《割書:同   中  九十五匁  下 九十匁|晒金巾上々  九十五匁》
  《割書:○紺五分壱番上々拾六両壱分|紫五分 上 々 拾 五 両》
  《割書:緋五分 上 々 拾 弐 両|紺上  上 々 拾弐両弐分》
  《割書:一くりわた坂上 金百九十両|     三州 品 な し》
  《割書:     京丹 百八十両》
 一アメリカ綿此節沢山持渡候へ共頓と相手
  無之尤旧冬交易ニ相成候節いせ町政田ヤ
  久兵衛と申人有丈ケ引受候所追々日本綿
  下落いたし候故大損ものニ有之此節仙台

  表へ売ニ出向申候よし尤も糸口ニハ相成
  不申趣直印京丹ゟ五両安位ニ御座候
  一古壱分銀百両ニ三拾匁 《割書:一四文銭|一小 銭》〆《割書:金弐朱|七百八十四文》
  一古弐朱 百両ニ付七百位
  一ト ル 三十五匁五分 《割書:一白米小買ニ而|一両ニ弐斗八升》
  一銭 天保両六〆七百文  《割書: 但 中 米》
  一大坂金相場《割書:三月九日比|壱両七十弐匁壱分》
  一銅銭 両四〆五百文
  先日中古弐朱金百十五両迄ニ飛上り候所
  一昨日 公儀ゟ御触有之俄ニ引下ケ申候
   三月十二日     松田長衛門
《割書:十八日 |五十度 》  朝より快晴終日天気夕方より曇
《割書:十九日 |五十九度》  朝よりくもり終日持合折々てり夜中
    大くもり
《割書:廿 日 |五十一度》  宵より雨ふる北風吹七ツ時より雨止
    夜中少し星見ゆるさむし
《割書:廿一日 |四十六度》  朝くもり終日曇北風にてさむし夜六
    ツ半時より雨降出少々にて止
《割書:廿二日 |四十度 》  朝よりくもり北風ニ而さむし四ツ過
    よりてり立むら雲

《割書:廿三日(八十八夜) |四十五度》  朝より快晴寒し終日天気
 江戸表大不景気之由ニ候へ共芝居三座とも
 大入別而弐丁目ハ評判宜敷尚又此間中花盛
 りニハ夥敷花見出候よし此節三田と申所え
 夷人館出来候よし
《割書:廿四日 |四十八度》  朝より快晴
廿五日 朝きりふる快晴暖和なり
《割書:廿六日 |五十五度》  朝きりふる快晴
《割書:四月節 |廿七日 》  朝よりむら雲照立南風終日吹
 《割書:京都三月五日出|  白米 弐百五拾匁》
 《割書:  金  七拾弐匁壱分|  銭 弐朱》  
 《割書:     七百七十弐文|三月十八日 松沢ゟ》
 江戸表ハ先月九日より町会所ニおゐて御救
 米被下置尚又町之相応之もの居町又ハ隣町
 まて金銭又ハ米施行差出候ニ付騒々敷咄も
 薄らき申候京都ニ而ハ
 当今様より黄金五拾枚難渋人え被下置是迄
 無之事と洛中難有かり候よし誠ニ難有御代
 ニ御座候江戸表も此節大入客止メ之札出候
 由角力ハ明日より始り申候物価高直ニ而御

 救米出候中ニ芝居大入ハちと似合不申候噺
 ニ御座候へとも世の中之事ハ計りかね候儀
 ニ御座候 公辺御婚礼御懸り御名前付京都
 より到来且又奉入御覧候

 仁孝天皇皇女|和宮(カズノミヤ)様御年十六今年宮様関の
 東へ移らせ為ふその御用かゝり猶しも御供
 奉の御方々をあらかしめ書しるしてかゝる
 盛世の御代の御恩沢を蒙る輩誰かハ仰き奉
 らさるべきや諸人とゝもに万々歳を唱へ奉
 らんとかくハものし伝るのミ つゝしミ ぬか
 つきてつたなき筆をとりぬ
   御移転       京都御用掛
  御供奉御公卿方      広橋一位前大納言
 |中山(正二位)中納言|忠能(タヽヤス)卿    中山大納言
 |菊亭(従二位)中納言|実順(サネアヤ)卿    橋本宰相
 |橋本(従三位)宰相(右中将)|実麗(アキラ)卿     野宮宰相
 |萩原(正三位)刑部卿|員光(カツミツ)卿  御番頭代
  同殿上人方        松室文吾
 |今城(正四位下)左中将定国朝臣  御献上方

 |千(同)種左少将有文朝臣     鴨脚加賀
 |岩倉(従四位下)侍従|具視(トモヨシ)朝臣     松尾但馬
 |富(同)小路《割書:中務|大輔》敬直朝臣    同加勢
 |橋本(正四位下)大夫|実梁(サネヤナ)朝臣     同 伯耆
 |小倉(正五位下)大夫|長季(ヲサスヘ)朝臣   御執次
 |北小路左近(六位蔵人正六位上)将曹|俊昌(トシマサ)朝臣  虫鹿織部正
  奉行職事後騎        土山淡路守
 |葉室(正四位上)右大弁|長順(ナカトシ)朝臣    渡辺下総守
 《割書:御列外御用御参向|武家伝奏》        御清間御道具吟味役
 広橋一位光成卿        遠藤 杢
 《割書:従一位》
 野宮宰相定|功(ナリ)卿     御書記
 《割書:従三位左中将》
 《割書:右御方々様諸大夫雑掌等|御附御人名略之》        遠藤左近
 従 御所御差副       吉村左衛門尉
 御局            佐藤頼母
 宰相典侍御局      仕丁頭
  《割書:庭田家御女| 御下能登との》         栗津与四郎
  《割書: 御末衆御女中| 御服所 松之》         池村兵助
 《割書:御母公|仁孝天皇元御局》          山田権吉
 観行院殿局       御煮方
  《割書:橋本故大納言実久卿御女| 御附衆数多略之》       清水伊三郎

 宮様御附        御勅使
 《割書:御乳人ふし御乳|御年寄御女中》          山田亀太郎
 《割書: 惣御女中数多》        帳 役
 御差添御医         坂田由太郎
  中山典薬大属兼摂津守   鳥居仙之助
 御供御医        同下役
  藤木典薬権助兼伊勢守   西村吉三郎
 河 原 若 狭 守     澤田敬三郎
 福 井 三 河 守    《割書:御已下数多略之》
 高 品 筑 前 守   《割書:御附|御執次御用掛》
               虫鹿織部正
               土山淡路守
             同 代
               村雲右近府生
             御家司
               座田右京権亮
               安見右衛門大尉
             御賄方
               世続右衛門尉
               水谷左衛門尉

             御板元
               早川正親
             御奏者兼御使番
               内藤隼人佑
               近藤左近番長
               高島大蔵
               三沢左近将曹
               北大路織部
               山田掃部
             《割書:従御江戸御迎御上臈|大奥御上臈衆》
 御武家方《割書:次第|不同》         花園殿
 《割書:惣御用掛|京都御所司代》          《割書:  清水谷家御女|  表使むら瀬》
  酒井若狭守       《割書:   御使番|   已下数多略之》
 《割書: 若州小浜城主十万三千五百五十八石|御役中御加増弐万石》      地下官人御供《割書:クハシキハ|前ニ出ス》
  御用掛 和田翁祐     地下前駈十人所衆二人
  公用人 興津善蔵     同歩陣滝口六人
  調 役 江口弟助     同御厨子所一人
      高木作左衛門   同割府侍 四人
  御祐筆 黒瀬徳五郎  江戸御用掛
      針谷英五郎  御老中

      辰巳新太郎    久世大和守
               《割書:総州関宿城主六万八千石》
      片山銕次郎  若年寄
  公用人 猿橋森之進    |遠藤但馬守(江州三上一万二千石)
  筆 役 増田三左衛門 |   諏訪因幡守( 同   信州高島 三万石)
 《割書:御用掛并御供|京都東西御奉行》        御留守居
  関 出雲守        池田|甲斐守(  七千石)
   支配|勘定格(  二百俵)     天璋院様御用人
  御用掛 加納繁三郎    岩佐|摂津守(  百 俵)
  組与力 山田省三郎  御勘定奉行
      石島牧之助    松平|出雲守(  三千石)
      上田覚太郎  御目付
  《割書: |同組同心 》  森 孫六     黒川|左仲(千六百三石ヨ)
      大川原十蔵  御勘定吟味役
      末吉孫蔵     設楽|八三郎( 百五十俵)
      平尾富蔵   御納戸頭
      高屋助蔵     深尾|善十郎(三百五十俵)
      栗山庄蔵   御賄方
      田村辰之介    山本|新十郎(  百 俵)
 《割書:御 用 掛|同町西御奉行》         《割書:御書院番|高木イセ守組》
  原 伊予守        大原廉次郎
     《割書:百 俵》

  御用掛 熊倉市大夫    御細工頭
  組与力 飯室弥一郎      川村助六郎
      渡辺金三郎    御膳所御台所頭
  同組同心 今井小平太      戸田総八郎
      平川銕蔵     同
      岸本孫四郎      森田金吾
 《割書:御用掛并御供 |禁裡御附》          《割書:已下数多并各様御附|御役人衆略之》
  大久保|大隅守(  二千石)      御迎御役人衆
  御用掛 黒田小左衛門   御重出
  組与力 西村庄五郎      諏訪因幡守
      外ニ一人     御留守居
  同組同心 山崎幸之進       跡部|伊賀守( 三千石余)
      井上綱右衛門   天璋院様御用人
      林 吉之助      鈴木|安房守(  百 俵)
      外 二人     同
 《割書:御用掛|禁裡御附 》             東條|肥後守( 百五十俵)
  阿部越前守        御留守居
  御用掛 窪田又平       小出|助四郎(  千 石)
  組与力 外 二人     御目付
 《割書:御道中御賄役|江勢濃和四ケ国御代官 》          浅野|一学( 二千石)

  多羅尾民部          同
     《割書:五百石ヨ》
 大津御郡代             松平|弾正(三千三百石)
  石原清一郎          《割書:盗賊并|火付御役》黒沢|正助( 百 俵)
     《割書:二百俵》
                 御徒歩頭
                   諏訪|庄右衛門(  二百五十俵)
                 同
                   大久保|権右衛門(   七百石)
                 同
                   仙石|播磨守(二千七百石)
                 同
                   岡 |三四郎(  四百石)
                 同
                   小野|整三郎(二百二十石)
                 同
                   高尾|惣十郎(  五百石)
                   已下数多略之
                 《割書:於京都金銀御請払之御用掛|禁裡御領御普請兼》
                   小堀勝太郎
                      《割書:六百石》
                 御郡代
                   中村雅太郎

                 井上富左右
               御買物御勘定役
                 高津儀一郎
《割書:廿八日 |六十度 》  明方より雨降四ツ過より快晴七ツ半
    時よりくもり夜ニ入雨少しふる直止
 最上辺是迄《割書:白米 壱升百三十六文|   此節百十六文》
 金沢 是迄《割書:白米 壱升百三十五文|   此節百十五文》
 黒羽辺大豆壱両四斗
 江戸表塩類是迄大高直之所追々下落新才田
 壱両ニ十俵本才田九俵大豆五斗三四升
 府中辺玄米三斗五六升致居候處此節四斗二
 三升
 水戸玄米三斗八九升ゟ四斗位大豆六斗六升
 小豆五斗五升種油壱両ニ九升位いたし居候
 處壱斗壱升位
《割書:廿九日 |五十度 》  朝より快晴寒し
《割書:晦 日 |四十九度》  朝より快晴さむし

   四 月
朔 日(牡丹花盛) 朝より快晴寒し

 静神宮御磯出有
《割書:二 日 |五十度 》  朝より快晴寒し南風終日吹
《割書:三 日 |六十四度》  朝きり雨ふる終日小雨ふり暖気也
《割書:四 日 |六十八度》  朝よりきり雨ふる四ツ過より止八ツ
    時よりてり立南風強夕方風止暮六ツ
    時ゟ雨降明方迄小雨
《割書:五 日 |六十弐度》  朝よりくもり終日くもり空持合
六 日 朝より快晴寒し終日天気持合
《割書:七 日 |五十七度》  朝よりくもも五ツ時きり雨直止終日
    持合夜中晴
 米之儀頃日近国ゟ追々持込殊ニ奥建船先旁
 散々不人気当用之外ニ手出し人薄く其外搗
 米連而不位大小豆麦類目切大下落此後如何
 ニ可参哉宜敷御承引被遊可被下候
   四月二日      山屋喜助
  《割書:古領米|南郷米》〆三斗九升  《割書:町 米 四斗弐升|糯 米 四斗弐三升》
  《割書:水戸大豆 五斗五升|大 麦  石弐斗》    《割書:小 豆 五斗四五升|小 麦 七斗八升》
  《割書:菜 種  四斗七升| 仙台廻米四斗〇五合》
《割書:八 日|五十七度》  朝より至極快晴夕方むら雲
 貞芳院様御住居 御城御三階下え新規ニ御出

 来ニ罷成候昨日御引移り之御祝有之候由猶
 又明九日瑞龍山え始而 御拝ニ入らせられ
 候女中之駕籠五十挺余よし其外御老中本御
 供都而御供之御人数御大勢之よし
《割書:九 日 |五十四度》  朝より快晴
《割書:十 日 |五十五度》  朝より快晴夕方よりくもり四ツ過雨
    ふり直やむ
《割書:十一日 |六十二度》  朝より快晴むら雲夕方より大曇
《割書:十二日 |六十三度》  明方ばら〳〵雨ふる直やむ四ツ時よ
《割書:四月中 》  り天気ニなる
《割書:十三日 |六十三度》  朝よりくもり北風吹四ツ過より晴
《割書:十四日 |六十度 》  朝よりくもり北風終日持合
十五日 朝くもり五ツ時より小雨ふる九ツ過
《割書: |泉町おとり 》 ゟ快晴
 今日 奥御殿様御附中臈衆始女中十五六人
 御附同心衆弐十人程躍見物として我等二階
 御借入ニ相成候趣御町方御役所ゟ御達ニも相
 成尤も茶火鉢之外構不申様御達ニ相成候へ
 とも御出ニ相成候節ハ女中衆へこわめし重
 壱組にしめ煮さかな小重一組をさし出候同

 心衆并御借方へハにしめこわめし等差出候
  御土産 くわし   一包
      金弐百疋
      御細工もの 六品
      せん子   二本
  御城ゟ重御返之節団扇十本被下候事
 泉町役人より十四日ニ明日ハおとり御覧ニ
 入候と申参り猶又中食いたし候程御裏方拝
 借仕度と有之候間こわめし一組にしめ一組
 煮さかなさしミ をさし出申候おとり付御町
 方衆へも煮さかなさしミ にて酒出ス
 奥方へも赤飯壱組にしめ煮肴壱組さし出ス
 其外御供方へも夫々差出ス
《割書:十六日 |御田楽相済 》 朝より快晴折々曇
十七日 朝少々小雨ふる五ツ時より止夫より
《割書:御祭礼無|御滞相済》  持合夕七ツ半時より雨つよし夜四ツ
    時地震動終夜雨ふり
《割書:奥御殿様|御子様方》   御中御殿え被為入
《割書:瑛想院様》   風流物躍等御見物有之且馬口労町
     風流物ハ是迄二神之出シニ候處此

     節花車花籠の出シニ仕替候處
     奥御殿様御目にとまり引ぬき候を
     又々呼返し御覧被為遊候
《割書:十八日(時鳥啼) |五十三度》  宵より雨降終日雨少々雷気夜ニ入雨
    止
 下たて辺玄米壱両ニ三斗六升位迄致候所此
 節ハ少々下落極上ものにて四斗弐升位右ニ
 順大小豆麦小麦等余ほと下落之由
《割書:十九日 |六十度 》  朝より快晴上天気夜ニ入曇朝の内西
    もやう
 京都ニ而ハ縮面類百匁ニ而百拾匁位
 紅花ハ水戸ものにて上九十四五両
《割書:二十日 |六十四度》  宵より雨降南もやう終日雨ふり七ツ
    時より雨止
《割書:廿一日 |六十五度》  朝より快晴四ツ時よりむら雲八ツ時
《割書:坂上辺|白米四斗》  より雨ふり北の方ニ雷声半時計ニ而
    雨止
《割書:廿ニ日 |六十五度》  朝よりくもり終日くもり空にて持合
    夜中雨ふり
廿三日 宵より雨ふり明六ツ半時より雨止五

《割書:いわし漁事少し |ツヽ続而有之  》ツ時より快晴夕方ゟ薄くもり
《割書:廿四日 |五十七度》  朝より薄くもり四過より照立夕方ゟ
《割書:磯新粕壱俵四分 》くもり夜中少し雨
《割書:廿五日 |六十一度》  朝より快晴八ツ時より雨降
《割書:廿六日 |六十度 》  朝より快晴夕方よりくもり
《割書:廿七日 |六十度 》  朝よりくもり薄てり終日持合
《割書:廿八日(五月節) |六十度 》  朝より雨降終日雨ふる夜中迄雨つよ
    し
《割書:廿九日 |六十度 》  朝よりくもり終日持合
 明日より町内壱丁目広小路え軽業興行
 生種両ニ八斗三四升
 壱箇ハ九〆目之よし
 会津辺絹糸壱固先達而迄ハ百四十両位いた
 し居候分此節三十両ゟ品ニより五十両方も
 下落致候由

   五 月
《割書:朔 日 |六十度 》  朝より快晴夕七ツ半時より雨ふり終
    夜雨ふり
《割書:二 日 |六十度 》  明方迄小雨五ツ時ゟ止むら雲八ツ時

    俄雨ふる半時計ニ而止快晴
《割書:三 日 |六十弐度》  朝薄くもり五ツ時ゟ快晴終日むら雲
《割書:初鰹来ル 》
《割書:四 日 |六十五度》 朝薄くもり八ツ過より雨降出ス夕方
    南風つよし夜五ツ時風止雨ハつよし
 江戸山屋喜助出四月廿八日
 《割書:一古領米|一南郷米》〆三斗七升 《割書:一水戸大豆 五斗五升|一同 小豆 四斗五六升》
 《割書:一町  米 三斗九升|一糯  米 三斗八九升 》  《割書:一大  麦 石 三斗|一菜  種 五斗弐三升》
 《割書:一小  麦 八斗五六升|一仙台廻米 三斗九升五合》
     御張帋
  一御米 半々 一御直段 四十七両
  一御米渡り五月六日ゟ
  右之通被 仰出候
 《割書:一地水油  三十三両|一上白油  三十弐両》   《割書:銭 六〆七百五十文|大坂十二日出》
 《割書:一胡麻油  三十六両弐分|一荏 油  三十六両弐分》  《割書:水油 六百九匁|金七十弐匁五分》
五 日(入 梅) 宵より雨降五ツ過より小雨ニなる九
    ツ時より天気ニなる
 江戸表も諸品余ほと下落いたし製薬上物ハ
 横浜へ参り候よし江戸相場水戸品ニ而廿四
 五両絹糸ハ高直之節ゟ弐三十両方も落申候

 下糸ハ一圓向キ不申候
 一白米前売三斗六七升
   是ハ御能有之候後下落其前ハ弐斗八升
   位
 一三河白  改 五反六分
       銘 六反四分
       造 七反四分
 一名古白 五番 六反弐三分
 一いせさらし 雲井 七反壱分五
        玉川 七反七分
 一無双 先日ゟ七八分安 手巾壱分ゟ壱分五厘安
 一岩附本場物上三十壱匁 下廿六七匁
 一生ざん 上拾八九匁 下拾四五匁
 一さつまかすり 昨年ゟ五六匁高
 一金巾  生 壱はん 百壱弐匁
      《割書:同 弐      九十四五匁|同 三      八十四五匁》
      《割書:晒        八十八九匁ゟ九十匁》
 一五郎服 壱はん 拾壱両弐分
      《割書:緋|紺 青     拾壱両》
      《割書:紫       拾三両弐分|紺       拾七八両》

      二はん 《割書:壱両弐分ゟ|   弐両安》
 五月ニ日夜八ツ時富沢町辻台火元ニ而五六
 軒焼辻台土蔵二ツ落壱ツ残る
《割書:六 日(時鳥啼) |六十五度》  朝より薄くもり四ツ過より照立軽暑
《割書:菜種七斗三四升 》なり
《割書:七 日 |六十八度》  朝より快晴暑気
 《割書:少々ツヽいわし漁事有之候得共粕壱俵四分位|いそにて》
八 日 朝きりふる五半時よりきり雨ふる四
《割書:昨日今日抔ゟ|ひとへものニなる》ツ時よりてり立暑気なり
《割書:九 日 |七十三度》  朝くもり五ツ半時よりてり立暑気夜
《割書:八十五度》  ニ入くもる
《割書:十 日 |七十三度》  朝より快晴暑気つよし夕方より曇
《割書:八十七度》
《割書:十一日 |七十三度》  朝より快晴暑気つよし雨三日ハ土用
《割書:九十三度|大暑ニ而》  中位之暑気
《割書:帷子なと着》
《割書:十二日 |七十四度》  朝より快晴昼時よる少し北風ふく夕
    方よりくもる
《割書:十三日 |七十三度》  朝より快晴大暑
《割書:七十一度》
《割書:十四日 |八十一度》  朝より快晴大暑四ツ時より北風つよ
    し七ツ時止七ツ半時より雨ふる六ツ
    時止月出る又々五ツ時より雨つよし

《割書:夏 至 |五月中 》  四ツ時より雨止涼し
《割書:十五日(栗花咲) |七十度 》  朝よりくもる四ツ過よりてり立
《割書:十六日 |七十三度》  朝くもり四ツ時ゟ照立大暑
《割書:八十七度》
《割書:十七日 |七十三度》  朝よりくもり四ツ過よりてり立
 上町筋疫病殊之外流行別而大工町いつミ丁
 辺多し
《割書:十八日 |七十五度》  朝くもり五ツ時ゟてり立九ツ過ゟ夕
《割書:九十一度》  方迄大暑にて風なし北の方ニ少々雷
    声夜中ハ曇
《割書:十九日 |七十八度》  明方迄風南吹村雲終日南風八ツ半時
《割書:終日同断|当年ハ紅花 》 俄ニ大雨直止夜ニ入四ツ過雨降
《割書:更ニ無之事》
《割書:二十日 |七十三度》  明方きり雨降六ツ半時より雨止終日
《割書:于菜種六斗ゟ|六斗七八升迄》 天気にて涼し
《割書:二十一日|六十七度》  朝より快晴終日天気よし涼し
《割書:廿二日 |七十二度》  朝薄くもり終日曇空ニ而持合涼し南
    風吹
 五月十八日出 山崎ヤ伊右衛門ゟ
 此元油之儀市中不揃ニハ候得とも上方高直
 ニ連昨今目切飛上ケ申候
  《割書:一地水油 三拾五両|一胡 麻 四十一両》  《割書:一白 油 三拾五両|一花 漉 四拾両三分》

  《割書:一坂 水 三十六両弐分|大坂八日出》  《割書:一銭    六〆六百八十文|      六〆七百五十文》
     《割書:水 油  六百九匁|金    七十弐分七分》
    河内吉田新田種早場計見
  《割書: | 昨申年》         《割書: |壱石ニ付》
  一《割書:本 田|岸》 種五分ツヽ打合 《割書:油 弐斗弐升|粕 六枚四分》
  《割書: | 昨酉年》         《割書: |壱石ニ付》
  一《割書:本 田|岸》 種五分ツヽ打合 《割書:油 弐斗三升五合|粕 六枚弐分》
《割書:廿三日 |七十八度》  朝より快晴大暑なり
《割書:九十度 》
《割書:廿四日 |七十五度》  朝よりくもり五ツ半時はら〳〵雨折
《割書:向源助今日|奈須え入湯ニ出る》々くもり空にて持合
《割書:廿五日 |七十五度》  朝よりくもり終日くもり空にて折々
《割書:麦米六斗|玄米四斗》  てり立夕方日さしあり
《割書:廿六日 |七十四度》  朝よりくもり風ハ東吹冷気四ツ時ゟ
《割書: |上州辺 》  薄てり丑寅風にて終日冷気
《割書:新糸 七八分|上  七十五匁》  《割書: | 上州辺》
《割書:下  百弐三十匁迄|大豆(水戸) 壱石弐斗》  《割書:玄米 三斗八升 |小麦 六斗》位之よし
 冷気袷わた入なと着用
《割書:廿七日 |六十六度》  朝よりくもり丑寅の風にて冷気終日
    くもり夕方より南風ニなる
 両三日已前ゟ亥の方えほゝき星の様なる四
 ケ年已前出候星のことき白気の様なるもの出
 候星出る壱文【「丈」の誤りか】余とも相見へ申候星ハ亥の方

 ニ而辰巳の方え白キ雲のことくなるものを吹
 出候様ニ見ゆる追々承り候へハ廿四日の夜
 より見候よし
 麦新もの壱分ニ壱斗八升鍋入極上ものにて
 六斗弐三升小麦ハはつれ
《割書:廿八日 |七十弐度》  朝薄くもり五ツ時ゟ薄照四ツ過より
《割書:八十八度》  照立大暑
《割書:廿九日 |七十三度》  朝より快晴暑気なれとも風有夜中大
    くもり
 隣家太田ヤ久三郎先日奥州筋へ商用ニ而参
 り居承り候よし出羽商人と奥州之商人と綿
 申十二月中売買当時懸り合ニ相成候よしを
 承りしあらまし
  奥州の商人買方出羽の商人売方
  申十二月手合せ致直段壱箇拾三両弐分ニ
  定酉二月中右品受取わたし約定ニ而駄数
  千八百駄約定之通二月晦日迄ニ品不残相
  渡し取引相済候へとも奥方ニ而ハ取引前
  ニ金子弐千両指出し破談ニ致度趣申聞候
  ニ付追々領主え願出ニ相成出羽方ハ上杉

  家へ願候處願御取受被成奥方ハ白川福島
  三領主へ願是も願之筋御取受ニ相成領主
  方之懸合ニ相成殊之外六ツケ敷奥方は桜
  本と申者金主出羽方ハ仙台銭目と申者金
  主之よし奥方ハ五千両余之たし金出羽方
  ハ七千両余の利分ニ有之よし右一条ニ而
  大家方何品ニよらず此節売買不致居候ニ
  付当時出来候絹糸類大イニ下落致去申八
  月ゟ十月頃迄ハ壱箇百五十両位ニ取引い
  たし居候品此節六拾五両ニ而買人も売人
  も無之よし奥州筋之大家ハ旧冬中ゟ当春
  迄ニ糸蔵人ニ預り置損金多分壱箇百両位
  ニ貸置候間大概ニ置主も品相流し候よし
  夫彼糸紅花類此上下落いたし可申との事
  ニ有之候
  仙台米相場《割書:札 取引 壱分ニ八升|正金取引    九升》
  南部も右同断
  越後新潟元米壱俵四百入壱両前後壱分ニ
  壱斗五合町相庭
  出羽山形紅花平年千駄と申候へ共当年ハ

  七百駄位と申事六月十日時分さかりニ而
  七月盆売買相庭ハ相立申候よし
  米ハ七升五合
  福島二本松白川辺四斗七八升
  小銭不足ニ而百文え廿四入付又ハ十六入
  付当所出立南部迄宿銭ならし三百文茶漬
  ハ百文
  奥筋絹糸相庭ハ六月天王市ニも相成候ハ
  ヽ売人も買人も可有之よし当時百六十匁
  と申糸ハ旧冬ゟ春迄八十匁位いたし居候
  品五月十九日太田屋久三郎帰宅之はなし

 文久元年酉四月対馬国え魯西亜船上陸乱妨
 ニ付宗家ゟ 公辺え伺書
 私領分対州浅海浦え碇泊之魯西亜船修理ニ
 事寄急々退帆之勢無之当夏中滞留之よし申
 聞右深意開港之存意と相見殊更追々不法之
 挙動有之候得共兼々被 仰出候旨も有之何
 扁穏順ニ取扱罷在候處此方ゟ兵端を不開事
 ト見侮尤十二日異人共多人数端舟え乗組大

 船を瀬谷関所前兼而指塞を理不尽ニ押破り
 候ニ付郷士両人相制候所多人数ニ而渠か船
 中え搦捕漕帰掛り候ニ付小者安五郎ト申者
 有合候薪を投懸候處異人共鉄炮ニ而胸板を
 打貫及即死其侭本船え罷帰候是迄
 公儀御通商之国柄ニ付恥辱をも為忍兵端を
 不開候様ニと折角相制罷在候處もはや右之
 通渠ゟ事を破り候而ハ家中之奮激不一形是
 非討取不申候而ハ国内之怒気解諭も筋更ニ
 無之第一武道ニ取恥辱之限りニ存候如何ニ
 も恐入候義ニ候得共全ク一己之義ニ而も無
 之本朝之瑕瑾にも相成候故兵食不足之身代
 四方大洋之国柄援助之頼も無之始終之勝算
 千万無覚束奉存候へ共眼前足長ニ罷在候夷
 賊其侭難容置事ニ付不顧後患討取可申州中
 一同決心罷在候得共右ハ重大之事柄ニ付無
 理ニ暫取押候得共一応奉強御伺候間何れ之
 道末々人心一定之御指揮偏ニ奉仰候尤前章
 之通渠ゟ好而事を発候機会ニ御座候故何時
 可及争戦も難量候付其節ニ至時位不得止事

 情御憐察被成下候様深奉願候以上
   四月十三日     宗 対馬守

   公辺御下ケ札
             宗 対馬守
 其方領分え魯西亜船渡来候間追々被申聞候
 趣も有之候ニ付先般小栗豊後守溝口八十五
 郎被為遣候且箱館在留魯国コンシユルえも
 右船為引様箱館奉行ゟ為相達候趣ニ有之長
 崎奉行よりも支配役被遣候趣候間最早同人
 共到着ニも可有之後方を談判事情相分已後
 不法之挙動も有之間敷畢竟言語之不相通辺
 ゟ不容易義等引出候而ハ以之外之義ニ付家
 中末々迄能々諭告致諸事豊後守承合取計候
 様可被致候事
   五月十六日宗対馬江戸屋敷ゟ届
 追々御案内申上候領内滞泊之魯西亜国船去
 ル十二日大船越瀬戸口ニおゐて小者安五郎
 ト申者を銕炮ニ而打果堅之郷士弐人搦捕無
 法之所業及増長候段ハ翌十三日付を以御指

 揮奉伺候通ニ御座候然ル處十三日又々異人
 共凡百人余端船数艘へ乗組大船を瀬戸番所
 前へ乗来同所之義ハ瀬戸口通行之小船を相
 改候迄之番所と申殊異船泊之場所程遠候付
 堅之人数も無之を見込直様揚陸取囲番人弐
 人足軽壱人引取端船え為乗置番所在番之武
 器類諸品ニ至迄奪取夫ゟ村中え散乱及狼藉郷
 士之武器ハ素ゟ武家在合之金銀銭米穀品物
 且小屋ニ繋置候牛七疋掠取端舟え為取乗本
 船え漕帰候右之通追々乱妨之次第ニ指募候
 へ共何扁兵端を不開候様ニと厚相諭罷在候
 所ゟ異船近辺之村々ニ而無詮方退散ニ及所
 々え野宿罷在候様之義ニ付|哀至(アイシ)之為体(タラク)ニ相
 成此場ニ至如何程も穏順之道相尽シ致千変
 万化加下知候而も憤怒頂上之人気甚以無心
 許もはや事且夕ニ指廻り不安次第ニ奉存候
 此上猶も五至之指略を以暫ク取押罷在候得
 共偏ニ
 皇国一般之御一大事と存候同十三日付を以
 委細奉伺置候然ル所只今ニ至候而ハ布而本

 朝之武威を奉汗候場合ニ押移哉と不私深奉
 恐入候体勢とも堅明被成下何分速ニ御英断
 之御指揮被仰出被成下候様偏奉願候以上
   五月十六日    宗対馬守
              家来共
《割書: |北に雨乞等有り》
《割書:晦 日 |七十六度》  朝より快晴暑気つよし終日大暑なり
《割書:六月之節》
《割書:府中 玄米  三斗七八升|   新菜種 四斗弐三升》
 紅花ハ当年ハ更ニ無之候坂上辺三百弐三十
 匁位御困中ニ而弐三十駄位も出来可申候や
 との事

【北斗七星と彗星の図、省略】
   六月ニ相成候而ハ此辺
   五月 廿四日五日方ハ此辺出候も少し上
   此けんとう
   亥の方
   六月十日過ニハ極薄く相成図ノ辺えあがり

 鰹魚更ニなしいわしも更ニ無し

   |六(乙未) 月
《割書:朔 日(つちのとひつし) |七十六度》 朝より快晴暑気七ツ半過俄雨降直止

    夜中晴八ツ時ゟ又々雨
 《割書:日そく三分朝四ツ時右之上よりかけはしめ四時|四分右の下ニ甚しく四時八分下の方ニおはる》
《割書:二 日(久しぶりニ而雨降) |七十六度》 夜中ゟ雨ふり五ツ半時より快晴又々
    大雨直ニ照立日の内いく度も同断ニ
    而大暑八ツ時より快晴大暑なり
《割書:三 日 |七十七度》  朝快晴六ツ半時くもり快晴大暑八ツ
《割書:八十八度》  半時俄ニ大雨直ニやむ快晴
 《割書:泉町縫殿左衛門え絹糸わたり軽業相済大入|夜中ハ浄瑠璃よせあり》
《割書:四 日 |七十度 》  朝より快晴昨日なにか降候と相見候
《割書:はゝき星今日|ハ少々薄相見候 》而冷気北風にて終日冷気ニ而快晴
《割書:五 日 |七十一度》  朝より快晴少々冷気四ツ時ゟ大暑風
《割書:九十度 》  なし
 先日廿八日夜江戸品川東禅寺夷人旅館え十
 七八人何方之ものニ候哉切込夜四ツ時位よ
 り八時位迄之間両方とも銕炮打かけ市中に
 てハ半鐘を打火事と心得火消等大勢出候内
 ニ静り怪我人即死等両方とも有之との風説
《割書:六 日 |七十四度》  朝より快晴大暑凌かね候夜中まて殊
《割書:八時九十六度》 之外大暑
 《割書:夜九ツ時藤澤小路萬澤屋敷焼る》

 昨廿八日夜四ツ半比高輪東禅寺外国人宿所
 へ何方より入込候や浪人体之もの十八人ほ
 と夷人館内切込候ニ付異人方より銕炮打懸
 御番士御堅メ 人数罷出切結ひ四人打取壱人
 生捕御堅メ 御番士ニも怪我人有之異人ニも
 手負怪我人有之下部屋之もの三人即死有之
 大変ニ付近辺町中火消人足詰候間諸向追々
 人数罷出相洩候ものも有之趣御座候廿八日
 夜九ツ時迄と申事ニ御座候鳥渡申上候
《割書:七 日 |八十度 》  朝より大暑夜中迄大暑にて凌兼候風
《割書:九十一度|小麦九斗四五升 》更ニなし
《割書:八 日 |七十七度》  朝より快晴暑気つよし八ツ時位俄ニ
《割書:八十八度》  大雨雷声直ニ止晴夜中五ツ時又々雨
    ふる直止
《割書:九 日 |七十三度》  朝よりむら雲北風にてひや〳〵夕方
    より少々暑気ニなる
《割書:十 日 |七十六度》  朝薄くもり四ツ過よりてり立暑気つ
《割書:九十度 》  よし夜中ハ涼し
《割書:十一日 |七十七度》  朝より快晴夜中ハ涼し日中ハ大暑夕
《割書:九十度 》  方より少し風出る

《割書:十二日(つちのへミ ) |七十七度》  朝より快晴大暑風なし八ツ時位少々
《割書:九十一度|とやう夕七時四分ニ入》雷雨直止快晴
《割書:十三日 |七十七度》  朝薄くもり五ツ時よりてり立終日大
《割書:九十度 |初 伏 》  暑夜中迄暑
《割書:十四日 |七十七度》  朝より快晴大暑九ツ過ゟ暑気夫より
    北風ニなる夜五時雨ふり夜中折々雨
《割書:種六斗一弐升》 ふり北風
 《割書:真壁 下館 下妻辺 玄米三斗七八升|          干種四斗壱弐升》
《割書:十五日 |六十八度》  朝くもり冷気四ツ時よりてり立快晴
《割書:袷着用 》  ニハ候へ共終日丑寅ニ而冷気夜四
    ツ時ゟ雨降
 対州騒動五月四日ゟ六月迄大炮打懸及戦争
 候よし対州ニ而死人三百七十人余其外銕炮
 等盗取退散いたし候よしせん方ニも死人等
 余ほと可有之との事是ハ全ク浮説之よし
《割書:十六日(六月中) |六十八度》  宵より雨ふり冷気四ツ過より雨止冷
《割書:七十五度》  気
《割書:十七日 |七十度 》  朝より快晴むら雲終日快晴ニハ候へ
《割書:八十度 》  とも北風なり
《割書:十八日 |七十一度》  朝より快晴終日天気よし夜中ハひと
《割書:八十度 》

    へもの重キ位
《割書:十九日 |七十五度》  朝より快晴暑気折々むら雲夜中ハ大
《割書:八十度 》  くもり
《割書:二十日 |七十六度》  朝よりむら雲暑九ツ過よりてり立
 昨日ゟ鰹沢山ニ参ル 是迄ハ更ニ漁事無之事
《割書:廿一日 |七十五度》  朝薄くもりむら雲四ツ過よりてり立
《割書:八十八度》  大暑夜ニ入涼し
 《割書:小麦 七斗三四升|種  五斗五六升》
 《割書:魚油ミナトニテ仙台もの入津弐十壱両弐分|岩キ四ツ倉少々此間漁事有之拾七両位之由》
 《割書:粕 壱俵三分八厘 菜種 四斗八升 玄米 四斗四五升 小麦 八斗位|ミナト才田 八俵五分》
《割書:廿二日 |七十五度》  朝薄くもり大暑四ツ過より快晴大暑
《割書:八十九度》  夜中涼し
《割書:廿三日(中 伏) |七十五度》  朝薄くもり五ツ半時よりむら雲四ツ
《割書:八十九度》  半時てり立大暑風なし
  江戸六月十八日相場
  《割書:一古領米|一南郷米》〆三斗四升   《割書:一町  米 三斗五六升|一水戸大豆 五  斗》
  《割書:一大 麦 八斗五升|一小 麦 五斗七八升》     《割書:一同 小豆 四  斗|一菜  種 四斗壱升》
  《割書:一仙台廻米 四五文入|          三斗五升》
  《割書:一地水油|一白 油》〆三拾六両三分 《割書:一胡麻油|一荏漉油》〆四拾三両壱分
  《割書:一種 油本〆六枚七分|一坂水油  三拾九両》     《割書:一荏 粕  七枚八分》

  大坂八日出六百五十七匁
《割書: |所々ニ而雨乞アリ》
《割書:廿四日 |八十度 》  朝よりむら雲むしあつし五ツ過小雨
《割書:八十九度》  はら〳〵降雨止南風夕方迄吹
《割書:廿五日 |七十九度》  朝よりくもり五ツ半時きり雨ふり直
《割書:八十八度》  ニ止四ツ半時少し南の方ニ雷声同時
《割書:久しぶりニ而|大雨降暮六ツ時 》ゟ雨つよし半時計にて雨止八ツ半時
《割書:止   》  ゟ暮方大雨ふる
    六月廿四日御用
   大御番頭       岡田新太郎
   御用達再勤      鳥居瀬兵衛
              太田誠左衛門
   若年寄       | 富田(御用人ゟ)三保之介
   町奉行       | 笠井(湊御殿御船手ゟ)類之介
  《割書: 奥御祐筆| 頭取再勤》        | 板橋(御勘定奉行ゟ)源介
     当懸御用
   御用達御免      杉浦羔次郎
   逼塞         肥田其太郎
   慎隠居御扶      武田修理
   持方上ル       大場一真斎
   隠  居       岡田信濃守

   中ノ寄合      | 黒見(町奉行ゟ)直之進
 《割書: |当年ハ松魚大不漁》
《割書:廿六日 |七十五度》  朝より快晴むら雲終日天気よし夜中
《割書:八十五度》  暑し
 此節菜種ニ限り他所出相済候条其時之俵数
 を以願出候様
  但菜種え混シ米穀ハ勿論雑穀たり共他所
   出不相成候
 右之通御達有之候其旨相心得可申候尤一
 旦之利欲ニ迷ひ万一心得違之もの於有之ニ
 而ハ召捕厳重申付候条其旨相心得御達之趣
 堅相守渡せしものゝ無洩能々可相達候以上
   六月廿三日     飯村 次郎
《割書:廿七日 |七十八度》  朝より快晴五ツ時きり雨ふり直ニ快
《割書:九十度 》  晴あつし終日殊之外暑気夜中もあつ
    し
《割書:廿八日 |七十八度》  朝もや快晴大暑終日風なし夜中も誠
《割書:九十度 》  ニ大暑なり昼九ツ半時さつと降有
《割書:廿九日 |八十度 》  朝より快晴むら雲大暑なり夜中は涼
《割書:八十八度》  し

 岩キ久之浜洗粕筵干拾五〆目俵壱俵四分粕
 土干壱俵五分頭粕新ものニ而三拾壱弐匁魚
 油金拾六匁弐分菜たね大勢買人入込当時五
 斗弐升小麦七斗一弐升白米四斗四五升玄米
 四倉辺拾両ニ付三五入拾五俵半種油壱斗弐
 升弐合
 当年ハ鰹漁事更ニ無之候處両三日已前ゟ小
 松魚参ル
 鹿嶋浦浜々いわし漁事少々有之粕拾八〆弐
 三百目位両ニ干鰯ハ三俵五分七八分迄玄米
 三斗五六升菜種四斗弐三升小麦五斗
 府中辺六月中旬玄米三斗四五升当節三斗七
 八升
 紅花壱駄九十六七両
 当年ハ御困中ニ而廿五六駄位之よし
 平年ハ三百駄余

   七 月
《割書:朔 日 |八十度 》  朝より快晴六半時薄曇五半時よりて
《割書:八時九十三度》 り立大曇にて夜中迄あつし

《割書:ニ 日 |八十度 》  朝より快晴むら雲終日快晴暑気つよ
《割書:八十八度|立秋七月節 》 し
《割書:三 日 |七十五度》  朝より快晴暑気終日暑気つよし夜中
《割書:八十九度》  まて暑し四ツ時ゟ北風出る
《割書:四 日 |七十六度》  朝より薄くもり北風少し吹八ツ時ゟ
《割書:八十度 |末 伏 》  大雨夕方止
《割書:五 日 |七十八度》  朝くもり五ツ時俄雨ふる直やむむし
《割書:八十六度》  あつし日の内も度々雑と降有夜中も
    晴曇又ハ俄雨むしあつし
《割書:六 日 |七十六度》  明方雨降直止暑南もやう五ツ半時俄
《割書:八十五度|穀町玄米》  雨又々四ツ時大雨壱時計殊之外つよ
《割書:三斗七升|百文五合五勺》 し夫ゟ止てり立又々雨終日幾度も同
《割書:菜種四斗八九升 |小麦六斗五六升 》断ニ而七ツ時少し雷声夜中快晴折々
    むら雲
 上州辺絹糸先達而中ハ上ものニ而両ニ七拾
 五目細口に百廿匁位迄有之候處此節引上五
 拾五匁位夫より段々有之候よしいとハあた
 り居由
《割書:七 日 |七十九度》  朝むら雲暑し五ツ時きり雨直やむ終
《割書:八十八度》  日大暑晴折々むら雲夜中も同断

《割書:八 日 |七十八度》  朝薄くもり大暑風なし四ツ時より照
《割書:九(八時)十四度》  立大暑風なし如何ニも凌かね候七ツ
《割書:江戸道中筋 |水戸ゟの往 》 時北の方大くもり雷声余ほと夕立有
《割書:来所々え関 |所出来厳重 》 之候此辺も夕立模様ニ而曇候へ共雨
《割書:之よし 》  なし雷弐三声ニ而晴夕方より涼しく
    なる
《割書:九 日 |八十八度(七十九度)》  朝より快晴大暑九ツ時迄大暑夫より
《割書:上州辺先月中旬 |ハ玄米両》少し東風吹涼し七ツ時よりくもり少
《割書:相生弐斗八升|足利弐斗九升》 々雷声夜ニ入五ツ過ゟ小雨八ツ時大
《割書:佐の三斗|  百文四合之よし》雨夜中むしあつし
《割書:此節四升方も|     引下ケ》
《割書:十 日 |八十度 》  朝よりくもり東風吹八ツ半過より雨
《割書:八十二度》  降七ツ過雨止夜中九ツ過より雨降
《割書:十一日 |七十五度》  朝大くもり五ツ時ゟ雨ふる折々さつ
    と降有終日くもり空夜中もくもり
《割書:十二日 |七十五度》  朝よりくもり四ツ時よりてり立暑気
    九ツ過より曇夜中もむら雲暑
  江戸八日出
  《割書:地水油 三十九両弐分|白 油 同   断》  《割書:胡麻油 四十弐両壱分|ヱ 漉 四十三両弐分》
  《割書:坂水油 四拾壱両三分|銭 六〆六百八十文》  《割書:種 粕 六枚四五分|白胡麻 七枚五分》
  《割書: |大坂廿七日》    《割書:     六枚五分| ヱ 粕 六枚五分》
  《割書: 六百七十九匁| 金七十弐匁》

《割書:十三日 |七十五度》  朝よりむら雲四ツ過よりてり立大暑
《割書:八十五度》  夜中迄暑
《割書:十四日 |七十五度》  朝よりむら雲暑折々くもり大暑昼後
    より涼し
《割書:十五日 |七十五度》  朝よりくもり四ツ過よりてり立暑折
    々むら雲八ツ過よりくもり夜中ハ殊
    之外晴涼
《割書:十六日 |七十六度》  朝より快晴朝東ノ方より辰巳之方曇
《割書:八十九度》  九ツ半過俄雨ふる直快晴夜四ツ過俄
    雨降
 《割書:岩キ四倉玄米壱両五斗一升|    菜種  四斗八升》  《割書:鰹節土佐切 五〆目位》
 《割書:    小麦  六斗四五升|    魚油  拾七両》
《割書:十七日 |八十度 》  朝より快晴戌亥の方くもり虹立朝よ
《割書:八十九度》  り大暑九ツ時俄雨ふる直止快晴夕方
    よりくもり北の方ニ雷声夜四ツ半時
    より雨降九ツ過大雨
《割書: |七月中》
《割書:十八日 |七十七度》  朝より快晴大暑夜ニ入くもる夜中迄
《割書:八十九度》  あつし
《割書:十九日 |七十八度》  朝もやふかし四ツ時よりむら雲大暑
《割書:八十九度》  にて凌かね候夜中も風なしにて大暑

    也
《割書:廿 日 |八十度 》  朝より快晴残暑強し大暑ニ而夜中も
《割書:九十二度》  凌かね候程也
 《割書:府中辺 玄米三斗八升 菜種四斗弐升 麦米五斗|小麦五斗四五升 真壁四斗弐升》
《割書:廿一日 |八十度 》  朝より快晴大暑風なし土用中同様風
《割書:九十四度》  更ニなし
 両三日ハ夜中も戸を明置候程の暑気なり
 江戸十八日書状
  元米三斗一升 小麦六斗 種四斗
《割書:廿二日 |七十八度》  朝より快晴大暑風なし終日大暑夜中
《割書:九十弐度》  まてあつし
 《割書:新籾分弐斗弐升|古  壱斗七八升》
《割書:廿三日 |七十五度》  朝より快晴大暑夜中迄あつし
《割書:九十四度》
 青柳村辺ニ稲穂弐重ニ出候よし小鶴村近辺
 ニも有之よし土浦在田倉と申村稲長六尺五
 六寸穂壱尺五六寸有之候稲有之候由皆見物
 ニ参り穂を取程ニ付番人を付置との事
《割書:廿四日 |七十九度》  朝より快晴大暑風なし終日大暑夜中
《割書:九十一度》  も風なし
 当年ハ至極作方も宜敷相見候ニ付所々風祭

 有之候
 大小豆不作之様子ニ有之候所先日之雨後大
 キニ見直し此節少々ツヽ取実ニ相成候分も
 有之候所平年ハ壱升蒔六七升位之ものニ有
 之候處当年壱升蒔壱斗位之取実ニ相見候よ
 し
 茄子ハ枝之きわよりなり候よしの所当年茄
 子の木の枝も無之所え上ニむきなり候よし
 誠ニ珍敷事との噺ニ御座候都而なりもの類
 大あたり之様子
 近在所々ニ風祭有
《割書:廿五日 |七十七度》  朝より大暑終日暑気強夜中ハ少し涼
《割書:九十度 》  し夜八ツ過地震
 《割書:中山様籾拾五俵五分|元米三斗八升位》
《割書:廿六日 |七十七度》  もやふる五ツ時よりてり立大暑風な
《割書:九十三度|菜種出穀御指留 》し八ツ過地震動夜中迄あつし
《割書:廿七日 |七十八度》  朝より快晴むら雲至極穏なり終日快
《割書:九十度 |弐百百十日 》 晴夜中迄殊之外穏也
 《割書:夜四ツ半時地震 |廿七日小泉妻死ス五十才》
《割書:廿八日 |七十九度》  朝よりくもりむしあつし終日天気よ
《割書:九十度 》

    し
《割書:廿九日 |七十弐度》  朝より快晴涼し終日くらしよし
《割書:七十五度》
《割書:晦 日 |七十四度》  朝より快晴昨日と違残暑殊之外つよ
《割書:九十度 》  し夜中も同断
 《割書:会津御蔵入辺 此節 玄米八斗弐升|          絹糸七十五匁》
 当年稲おかほとうへ稲二重ニ出候とのはな
 し有之候間追々稲穂とう取よせ候而見候處
 壱本の穂より稲穂弐ツ出候分よほと相見申
 候おかほも同断穂の出候壱本の二ふしめえ
 又穂か前ニ付候而是も二十年の稲穂位ニ相見
 申候
  穀町糠四斗五升入四俵六七分売候よし

 六月廿九日昼会津城下大火三千八軒焼候よ
 し是ハ会津御家老某と申人普請之節玄関え
 蜂巣を作候よし大工とも焼候とてかんなく
 つえ火を付夫ヲ蜂の巣へ付候より大火ニ相
 成よし
 右家老富家之人のよし類焼人え不残金壱両
 玄米弐俵ツヽ見舞ニ遣候よし


   八 月
《割書:朔 日 |七十五度》  朝より至極快晴穏ニ而殊之外大暑夜
《割書:九十三度》  中迄凌かね程なり
《割書:ニ 日 |七十九度》  朝より快晴大暑古今大暑夕方ニ而北
《割書:九十四度》  西之方ニ雷声
《割書:三 日 |七十七度》  朝より快晴大暑風なし夜ニ入六五時
《割書:九十弐度》  少々地震夜ハ久しふりニ而冷し
 《割書:古籾 弐斗壱弐升|新籾 弐斗弐升》

 《割書:外町白子組  | 名古屋白》  《割書:白子組| 三州白》
 《割書:津嶋 三反五分|市口 四反弐分》  池付《割書:間銘 五反弐分五|新造 五反七分五》
 《割書:市川 四反五分|市松 四反八分》  新付《割書:間銘 五反六分|新造 六反三分》
 《割書:市玉 五反壱分|栄福 五反四分》  《割書:信織疵|  上  九五》
 《割書:宝船 五反七分》  《割書:  中  八八|  織疵何方ニも品なし》
 五良服連
  《割書:紺 金 拾五両ゟ十七両|紫 〃 拾三両ゟ拾五両弐分》
  《割書:紅 〃 拾弐両ゟ拾三両|納戸〃 拾弐両弐分ゟ拾三両弐分》
  《割書:椛 〃 拾五両》
 一 生金巾    一 色紋金巾中模様

  一 百 匁     飛 百七拾匁
  二 九十匁     椛 百八十匁
  三 八十匁     紺青百 十匁
 一 晒金巾      萌キ九十五匁
  上 九十五匁  一 生金巾《割書:  弐尺巾六丈物|但四着前》
  中 九十 匁    上 六拾 匁
  下 八拾五匁    中 五十五匁
 一 白紋金巾
   中紋 百五匁
   小紋 百 匁
《割書:白露八月節 |四 日 》 朝より快晴四ツ時此より南風吹出終
《割書:七十八度|九十度 》  日風つよし夜中も終夜風つよし
《割書:籾古 弐斗二三升| 新 弐斗五六升》
《割書:五 日 |七十八度》  朝より快晴宵ゟ南風吹暑気つよし夕
《割書:九十二度》  方風止夜ニ入くもり五ツ時より小雨
    ふる夜中もふる
《割書:六 日 |七十八度》  朝よりきり雨降九ツ時より雨止冷気
《割書:冷気袷着用 》 ニなる夜中も冷気北風少しふく
《割書:七 日(弐百廿日) |六十九度》  朝よりくもり時々小雨降晴降夕方又
《割書:袷重着 》  々降夜中も同断終日北風にて冷気
《割書:八 日 |七十四度》  朝よりむら雲終日天気ニ而暑気強夜
《割書:八十九度》

    ニ入候而も暑
《割書:九 日 |七十四度》  朝より曇る残暑九ツ時より雨降直ニ
《割書:八十八度》  止又々夜六五時より雨降夜ニ入冷気
 御領内御取締向之儀
 公辺ゟ追々御沙汰有之其時々相達候振も有
 之所今以御行届不相成先達而高輪東禅寺え
 乱入之もの其場ゟ立去此節御領内へ立入潜
 居候趣相聞候ニ付早速御召捕相成候様厳重
 御沙汰之趣も有之深ク 御配慮被遊候条別
 帋名面之者共其外此節金子押借乱妨等不相
 済所業之もの有之候ハヽ早速搦捕其筋へ差
 出候様万一心得違隠置候欤又ハ見遁候もの
 於有之ハ当人ハ勿論町年寄名主組頭迄屹ト
 御沙汰可有之候条厚相心得居所等及見聞候
 ハヽ其後も速ニ可申出候
    関 新兵衛  有賀半弥
    前木新八郎  森 多門
    岡見留二郎  渡辺剛蔵
    小堀虎吉   《割書:小嶋村|   房次郎》
    研師音次郎  千葉庄平

    黒澤五郎   木村幸之介
 右之通御達有之候条其旨相心得支配砌銘々
 無洩可相達候以上
   八月九日      玉川壮五郎
《割書:十 日 |六十七度》  宵より小雨北もやうにて冷気八ツ過
    より雨止終日くもり夜ニ入むら雲
《割書:十一日 |六十四度》  朝より快晴冷気夜中も冷気也
 七月廿八日江戸山喜出
  前文略籾米之儀盆後追々引立候所昨今奥
  米入一時ニ入津有之且地廻りも追々入船
  有之目切不人気糯大小豆麦類な種何レも
  不位此後如何可有之候哉宜敷御欠引可被遊
  候
  《割書:一古領米|一南郷米》〆三斗四升 《割書:一町 米  三斗六升|一糯 米  三斗九升ゟ四斗》
  《割書:一新 米   三斗七八升|一水戸新大豆 五斗八升》  《割書:一同(水戸)新小豆 四斗七八升|一小 麦  六斗壱弐升》
  《割書:一大 麦   石 五升|一菜 種   四斗四升 》  《割書:一仙台廻米 三斗六升五合》
  萬助ゟ承ル
   府中新米取引二三日已前ゟ両五斗五升
   古米四斗七八升新大豆六斗
《割書:十二日 |六十四度》  朝より薄曇冷気少してり立九ツ時よ

    り小雨折々ふる
《割書:十三日 |六十二度》  朝より薄くもり冷気夜ニ入四ツ過よ
    り雨つよし
 此度御領中御取締ニ付当分之内諸士小路夜
 番之儀来ル 十二日ゟ左之通相心得可被指出
 候事
 一不寝番四人宛相定廻り候節両人ニ而町内
  ハ勿論横丁共繁々見廻り往来之者姓名等
  承り可申事
 一夜中往来之ものハ番所々々え相断致通行
  候様尚又無挑燈等烏論之ものハ役名姓名
  子弟等ニ至ル迄巨細ニ聞届置廻り之御目
  付方へ書付ニ而可指出事
   但通行人有之候節ハ拍子木打候様
 一御城下白昼頭巾御勅禁之儀先年相達候振
  も有之候所近頃心得違相用候ものも有之
  欤ニ相聞不相済事ニ候以来面体不相分深
  笠并頭巾之儀ハ御勅禁ニ相成候条心得違
  無之様子弟等迄屹ト可相達候
   但夜中無挑燈ニ而往来不相成段兼而相

    違候處是又近頃相弛候欤ニ相聞不相
    済事ニ候此度改而相達候条心得違無
    之様可被致候
 右之趣支配々々未【末】々迄可被相達事
《割書:十四日 |六十度 》  朝小雨ふる折々雨ふる夜中も雨ふる
《割書:十五日 |六十度 》  明方より雨止終日くもる夜ニ入むら
《割書:鴈 来 》  雲
《割書:十六日 |六十度 》  朝よりくもり九ツ過より小雨折々夜
《割書:破がん 》  中も雨
 当年諸作とも殊之外よろしく穂ニ穂か出来
 候と申

【稲穂の図省略】
  壱本より二本ツヽ出候分

  当年ハ諸国共豊作

  又ハケ様ニ穂出候分も
  有之よし

  南領ニハ三股ニ
  出候分もよほ
  と有之候よし

  右之通二股ニ穂出候分沢山ニ
  有之よし珍敷事之よし

《割書:十七日 |六十四度》  宵より雨降冷気終日雨ふり夜中まて
《割書:七十度 》  雨つよし

《割書:十八日 |六十度 》  朝より至極快晴冷気終日天気よし
《割書:古籾弐斗四升》
《割書:十九日 |五十八度》  朝さむし快晴終日快晴夕方ゟむら雲
《割書:秋 分 》
 京都生縮面疋百匁位付之品銀百匁より百拾
 匁位五月ゟ六月中旬迄いたし居候此節銀百
 三拾匁位但銀ハ壱両七十弐匁
 七月廿八九日方
 《割書:紅花上壱駄百三十両下百両 玄米四斗 江戸新米此節六斗|才田塩九俵 赤穂七俵 佐原辺両六斗五升》
 《割書:熊谷辺新四斗八九升 古米三斗八九升》
 両三日已前鮭魚壱番弐番と上り候よし当年
 ハ殊之外無少之よし豊作の年ハあまり取れ
 不申候よし
《割書:二十日 |六十度》  薄曇終日曇空にてあつし夜ニ入雨ふ
    り
 今月初方江戸町人浅草奥山辺へ用事有之参
 候所亀をざわるへ入持来候もの有之候ニ付
 見候處亀ハ大キクも無之候得とも尾ハ不残
 白ク毛生脊に白キ星五ツ付居候ニ付珍敷存
 なにほとにて払候や承り候所金三分ニ而払
 

 度よし其節町人金子壱分持合居候間右を手
 付ニ相渡待せ置もよりの出入之御籏本屋敷
 へ参り右之趣をはなし金子借用いたし当人
 へ相渡亀を引取帰りニ右籏本屋敷へ立寄見
 せ候處是ハ誠珍敷亀ニ候間ケ様之ものを持
 居候而ハ如何様之事出来候やも相しれ不申
 候間御大名へても上ケ候方可然とのはなし
 ニ付町人も持居候も心わるく相成出入之御
 大名松平越前守様へ入御覧候處珍敷亀ニ付
 買上ケ候而
 公辺え献上可致亀へ白キ星出候ハ千年ニ壱
 ツツヽ星出候よし左候へハ五千年ニも相成候
 亀と相見候との事
《割書:廿一日 |七十三度》  朝よりくもり南風むしあつし雨ちら
《割書:八十五度》  ほら直晴天ニ而むら雲南風よほとつ
《割書:弐朱金百両え|此節拾六両付候よし 》よし七ツ半時ゟ風やむ
 祇園寺辺おか穂のなかさかね尺ニ而壱尺弐
 寸余数五百粒余なり平年之三増培【倍】位ニ相見
 申候
 田の稲穂も五百七八十粒なり候との事

《割書:廿二日|六十五度》  朝よりくもり小雨四ツ過より雨止北
    もやうにて冷気
《割書:廿三日|六十弐度》  朝よりむら雲薄てり終日むら雲にて
    薄てり
 此節所々御国境等え御先手物頭御郡奉行御
 目付等御堅メニ出ル金沢山辺御固メ之よし
《割書:廿四日|六十三度》  朝より薄てり七ツ半時より雨降夜ニ
《割書:初茸沢山ニ出ル  》入雨つよし
《割書:廿五日|六十弐度》  朝より大曇り終日持合夕方より雨ふ
《割書:百文ニ新米 |  七合壱勺》 る雨つよし
《割書:廿六日|七十二度》  朝より薄てり四ツ過よりてり立快晴
《割書:大豆両七斗四五升》 夜中も晴
《割書:廿七日|六十四度》  朝より快晴終日天気よし夜中くもり
《割書:廿八日|六十弐度》  朝より快晴七ツ過よりくもり暮小雨
    降直止
 《割書:宍戸玄米 五斗八九升|下館わた 弐貫百匁》  《割書:上州辺藍相場| 壱駄ニ付昨年三両弐分位》
 《割書:上州絹糸 五拾五匁|藍ハ照年ハ不作いたし候よし》   《割書:当年ハ六両弐分より七両壱分》
《割書:廿九日|六十五度》  朝よりむら雲終日むら雲折々照軽暑
    位夜ニ入五ツ時より雨ふり出終夜雨
    ふる

 《割書:福島辺 玄米六斗八升|真わた 上百八十目》  《割書:矢はり真わたも江戸へ出候へハ上もの|ニ而百六十目位之仕切之由是も交易ニ相》
 《割書:極   弐百四五十目》  《割書:成候事と相見候》
 西北郷御役人方出張致居候村々え番所出来殊
 之外厳重之よし
 二三日以前入本郷と申所誰とか申候所ニ板
 蔵有之候所右ハ前木新八郎森多門と申人両
 人逃入自殺いたし候よし
 入郷所々山々取巻候よし郷中ゟ
 城下え出候ニハ殊之外六ツケ敷由ニ而此節
 在ゟ人出更ニ無之市中ハ商売休同様なり
 江戸道中筋所々え番所出来候此方ゟ登り候
 ニハ小幡御目付方御郡方二ケ所土浦入口出
 口二ケ所高津と申所へ一ケ所牛久一ケ所砦【取手】
 一ケ所小金一ケ所松戸一ケ所猶又川々ハ都
 而船引上本通り之渡場計ニ相成渡場ニも番
 所出来厳重ニ候よし
 水戸も青柳向前中河内圷祝町関戸都而番所
 向前へ出来往来之もの名前相糺殊之外厳重
 之よし
 岩キ辺鰹漁事沢山有之鰹壱本弐十文位

  九 月 大
《割書:朔 日 |六十八度》  朝小雨ふる五ツ時ゟ止四ツ時よりて
《割書:地種わた| 九貫目位 》 り立夕七ツ少し過より雷雨つよし暮
《割書:初茸殊之外多し|弐束ニ而鐚百文位》六ツ半時止四ツ時快晴星出る
《割書:二 日 |五十八度》  朝より快晴さむし終日天気よし夜ニ
《割書:栗ハあたり|柿ハはつれ 》 入くもる八ツ過より大雨降
《割書:三 日 |六十度 》  宵より雨ふる五ツ時より雨止四ツ時
    ゟ快晴ニ成ル夕方より又々くもり南
《割書:此節鰹ハ沢山|之漁事》 風吹
 当朔日雷雨ハ笠間在辺より中妻南ハ小幡辺
 最寄小川辺迄之間巾壱里程ニ氷降候よし稲
 ハ田ニ有之分不残打落され其外畑もの類都
 而打落され候よし
《割書:四 日 |六十度 》  朝より薄くもり四ツ過よりむら雲九
    ツ半過地震終日曇
《割書:五 日 |六十度 》  朝より薄むら雲薄てり夜ニ入くもり
《割書:九月節 》  夜八ツ過より雨降
《割書:六 日 |六十度 》  宵より小雨折々降終日くもり空也夜
    中ハ晴

 夜五ツ時比未申之方より丑寅之方え三四本
 筋のことく白気之様ニ一天ニワたる天の川の
 様に真直ニ見ゆる
  文久元酉年八月
  大坂堂島諸国作割平均
  一五畿内      十弐歩半
  一東海道      十三歩八りん
  一東山道      弐十壱歩
  一北陸道      十九歩半
  一山陽道      弐十五歩
  一山陰道      弐十弐歩
  一南海道      弐十壱歩
  一西海道      弐十六歩
   平均拾九歩二リン六毛七才
    内六歩半 新囲米引
    残り拾弐歩七リン六毛七才
   《割書:外ニ》御囲米売払 弐歩半
  合拾五歩弐リン六毛七才
   《割書:外ニ》諸国有米不足分引麦ニ而平均
  右之通申来候まゝ写取入御覧候以上

    九月二日      松澤孫八
《割書:七 日 |五十五度》  朝より快晴終日天気よし夜中も晴
《割書:八 日 |五十五度》  朝より小雨ふるさむし日の内も折々
    雨八ツ半過止
《割書:九 日 |五十五度》  朝くもり四ツ過小雨直止暮六時ゟ霧き
    り雨ふる
 此節ニ相成候而も鰹漁事沢山ニ有之いそミ
 ナト平磯辺続而大漁之よし極鰹ニ而城下え
 参り壱本売直三百文位中八百文百五十文位
 岩キ辺ハ大もの壱本鐚弐十文位之よしいわ
 し漁事も両三日已前ゟ沢山ニ有之
  新籾弐斗六七升  大豆八斗
  糖両ニ弐石位
《割書:十 日 |五十七度》  宵より雨ふるさむし終日雨降夜中も
    終夜雨
 《割書:久慈三ツ木辺ニ而ハ百文鰹五本六本位いたし候よし》
《割書:十一日 |五十八度》  宵より雨降終日雨ふり夜中も雨
《割書:十二日 |六十弐度》  明かたより晴れ終日天気よし夜中も
    快晴なり
《割書:いそミナト久慈ゟ岩キ辺迄鰹漁事沢山ニ有之》

《割書:十三日 |六十度 》  明かた小雨八ツ過ゟ雨止夜ニ入殊之
    外はれ
《割書:十四日 |五十五度》  朝より快晴終日天気よし
《割書:十五日 |五十度 》  朝さむし快晴終日快晴丑寅風にてさ
    むし
《割書:十六日 |五十三度》  朝よりくもり五ツ過よりてり立
《割書:十七日 |五十度 》  朝より快晴さむし夜ニ入八ツ半時よ
    ほとの大地震
《割書:十八日 |五十二度》  明七ツ半時地震動快晴むら雲夜ニ入
    八ツ過より雨降
《割書:十九日 |六十度 》  宵より雨ふり終日雨ふり夜中も雨ふ
    り
《割書:二十日 |五十度 》  朝より快晴天気よし
《割書:廿一日(九月中) |五十二度》  朝より快晴むら雲
《割書:廿二日 |五十一度》  朝より快晴
 《割書: |真壁辺 新米上五斗八升ゟ六斗》
 《割書:糯米 五斗五六升    大豆|》《割書:大玉 六斗二三升|小玉 七斗》
 《割書:小豆 六斗四五升 |大麦 石三斗四五升》 《割書:小麦 六斗四五升|操わた弐〆百五十目》
 《割書:わた実 六十五〆目|黒胡麻 六斗》 《割書:白胡麻 三斗八升|◎当六〆七百文》
       《割書: 小六〆弐百文|       なし》
 右之通真壁ゟ申来候
 廿日額田入札

 大豆《割書: 福 七斗四升|大玉 七斗八升》  小豆 六斗九升八合
 麦米鍋入 五斗三四升 操わ【本のまま】
 種わた 十〆目  小麦 八斗五升《割書: |相手なし》
 菜種 五斗五升
《割書:廿三日 |五十二度》  朝より快晴
 《割書:穀町 新籾壱分弐斗四五升ゟ三斗迄|   大豆両八斗 小麦八斗五六升》
 《割書:   麦米六斗  小豆七斗|百銭計ニ而小銭なし釣りせんニ差支候》
《割書:廿四日 |五十二度》  朝より快晴
廿五日 朝より快晴暖気なり
廿六日 朝よりむら雲快晴暖気なり
《割書:武士小路并市中夜番御免ニなる》
《割書:廿七日 |五十五度》  朝薄くもり終日くもり空にて持合夜
    ニ入五ツ時ゟ雨ふり北風もやう
《割書:廿八日 |五十度》  朝より雨降さむし北風少し吹終日雨
《割書:村松の方ニ而|海なる》 ふり夕方より雨止
《割書:廿九日 |四十八度》  朝より快晴北風吹七ツ過ゟ止夜中む
《割書:日光山辺|雪見ゆる》  ら雲
晦 日 朝より薄くもりさむし四ツ時ゟ雨ふ
    り終日雨つよし夕方止
 昨日朝ミナト大洗下ニ而近藤七百石程積船

 難舟有之塩五千余も積候よし其外浦賀船弐
 艘難船有之いつれも船ハ粉のことくニ破れ候
 よし海上ハ二三日荒候よし
 玄米
 京大津極高直之二三月時分壱両弐斗八升位
 夫より続而持合居候所新米ニ相成当節八斗
 位大豆弐斗弐升迄ニ相成候處此節八斗四五
 升絹糸当時縮面ニ而十四廻し百匁有之候縮
 面生白ニ而百四拾匁是ニ而金相場七十壱弐
 匁之間正味百弐十匁位ニ付可申候
 此度皇都ゟ
  公辺え御縁辺有之
  和宮様御入輿十月廿日御発駕御道中廿三
  日中仙道御道中筋宿々御固御泊場所二重
  玄関二重幕ニ無之候而ハ不相成候よしニ
  而不残 公辺御普請之よし追分駅此度御
  改ニ相成|碓(ウスイ)峠|相生(アイヲイ)峠ニ御改ニ追分駅相生
  駅と相改ニ相成との事駅々御泊之場所へ
  ハ二重玄関六軒ツヽ無之候而ハ不相成候
  趣 公辺より六軒え三千両ツヽ普請金被
  下廿三日御泊ニ而ハ莫大之事と申上方之

  人咄しニ御座候
 田刈之跡へ又々刈口より稲出候而又々穂出
 候而所々ニ而餅ニいたし田の神へ上候よし

  十 月
《割書:朔 日(日光山雪降)|四十八度》  朝より薄曇四ツ過より快晴
《割書:二 日 |五十一度》  朝より快晴終日天気よし
《割書:三 日 |五十度 》  朝より快晴終日天気よし
《割書:四 日 |四十三度》  朝よりさむし快晴
 哀公様御三十三回御忌
《割書:五 日 |五十五度》  薄くもり終日曇空にて折々ほろ〳〵
《割書:庚申  |立冬  》  雨ふり夕方より南風吹出ス六ツ半時
    より大南風吹出ス終夜雨風殊之外つ
《割書:浦賀船ミナト入|十一月晦日渡才田》よし明方迄風つよし
《割書:拾俵弐分五厘》
《割書:六 日 |七十四度》  快晴南風吹夕方迄風つよし暖気なり
《割書:中川水増》
《割書:七 日 |五十五度》  朝より薄くもり四ツ過よりてり立
 当五日浦賀塩船ミナト入口ニ而難船又々昨
 日之大風ニ而塩積候船壱艘難船両日ニ而二

 艘難船
《割書:八 日(玄猪) |四十五度》  朝より快晴寒し終日天気よし
《割書:九 日(甲子) |四十五度》  霜ふるさむし終日天気よし
《割書:十 日 |五十度 》  朝よりくもり六ツ半時よりきり雨終
《割書: |上籾弐斗六升五合》 日雨ふる夜四ツ時ゟ止
《割書:十一日 |五十二度》  朝より快晴終日天気よし
《割書:十二日 |四十八度》  朝より快晴さむし
《割書:十三日 |四十五度》  朝よりむら雲終日くもり空にて持合
    夜ニ入四ツ時ゟ雨降終夜大雨降
《割書:地わた新旧とも雲州ニ而弐〆八百目|       甲州ニ而弐〆九百五十目》
十四日 宵より大雨北風吹少々雷声四ツ時よ
    り俄ニ晴暮六ツ半時より雨夜中大雨
    雷声少々有終夜雨つよし
 《割書:江戸表 玄米四斗八升ゟ五斗位|古弐朱金百両ニ十八両位付候處両三日已前ゟ十両位付ニ相成申候》
《割書:十五日 |五十一度》  朝より快晴
 《割書:江戸表|四文銭弐朱七百九十弐文》 《割書:地水油|白 油 》三十壱両三分
 《割書:壱文銭八百四文|》   《割書:胡 麻 三十四両|ヱ 漉 三十三両》
        《割書:大 坂 五百五十四匁》

 仁孝天王【皇】皇女

 内親王和宮様御年十六才此度将軍様え御縁
 談関東御下向
 糸毛御車御行列
  御勅右方   大|紋(もん)
  御将右束箱  白|衣(てう)
    《割書:奉行束対ニ而騎馬滝口弐人|        俗ニ随身と云》
    《割書:牛三疋まだら四ツ白といふ| 比蔵人右牛のまハりニつく》
    《割書: 御車脇舎人数多| 御後公卿方四人》
 従 御所御差副
             《割書: |  御女臈 三人》
   御母公| 観行院殿(橋本故大納言家御女)  《割書:御 下 二人|御 乳 一人》
   御 局 宰相典侍御局 御年寄 一人
 従 御江戸御迎御上臈
   | 花(清水谷家御女) 園 殿 《割書:表使|一人》 《割書:御仲居 一人|御使番 一人》

         供奉御公卿方
             | 中山(正二位)大納言忠能卿
             | 今手川(菊亭号従二位)中納言実順卿
             | 橋本宰相(従三位左中将)実麗卿
             | 萩原(正三位)刑部卿員光卿
         同 殿上人方

             | 今城(正四位下)左中将定国朝臣
             | 千種(同   )左少将有文朝臣
             | 岩倉(従四位上)侍従具視朝臣
             | 富小路(従四位下  )中務大輔敬直朝臣
             | 橋本(正四位下)大夫実梁朝臣
             | 小倉(同   )大夫長季朝臣
         前駈六位蔵人
             | 北小路(正六位上  )左近将監俊昌朝臣
         奉行職事後騎
             | 葉室(正四位下)右大弁長順朝臣
         御列外御用参向武家伝奏
             | 広橋(従一位 )一位光成卿
             | 野宮宰相(従三位左中将  )定功卿
  前駈諸大夫十人   御奏者兼御使番
   後藤縫殿頭       内藤隼人祐
   山本伊予守       進藤左番長
   生嶋宮内権大輔     高嶋 大蔵
   木村東市正       三沢右近将曹
   石井治部少輔      北大路織部
   森沢丹後守       山田 掃部

   隠岐肥後守    御差添御医
   中川宮内少輔      中山典薬大属
   青木右京亮       藤本典薬権助
  御番頭代         河原若狭守
   松室 豊後       福井三河守
               高階筑前守
  其外御供方等当三月中此日記えしるし候
  通前ニ有
 御固     《割書:十月廿日御出立|京都ゟ廿三泊ニ而御着》
  《割書:京都より三り半六丁 |大津まて》   《割書:京ゟ三り|大津御泊 》《割書:    大塚嘉右衛門|御本陣 越前や源四郎》 
   稲葉|長門守( 十万二千石) 《割書: 鳥井川村御小休 》 かぎや庄衛
   《割書:御固人数五千百人》   《割書:草津宿御昼|大つゟ三り半 》 《割書:田中 七蔵|田中 九蔵》
  同       《割書: 草つゟ壱り| もり山宿御泊 》 宇野忠衛門
   青山|下野守(   六万石)  《割書:鏡山村御小休 》 百姓三右衛門
     《割書:人数三千人》   《割書:もり山ゟ三り半|むさ宿御昼》 下川七左衛門
  《割書:草津より|ゑち川迄》《割書:四宿之間|  七り半 》   《割書:二り半|ゑち川御泊  》 西川甚五左衛門
   本田|主膳正(   六万石)  《割書:二り|たか宮御小休 》 小川太左衛門
     《割書:人数三千人》   《割書:二り|鳥羽 御泊》  寺田 周助
  同       《割書: すり針峠 御小休| とりゐ本ゟ一り六丁 》百姓次郎右衛門
   遠藤|民部大輔(   壱万二千石) 《割書:はんバ 御小休 |一り》 市川長右衛門

     《割書:人数六百人》   《割書:さめがい  同|一り半  》 松井源左衛門
  同        《割書:柏原宿  御泊》 南部長右衛門
   加藤|越中守(二万五千石)  《割書:今 す  御小休|一 り》 伊東五郎次
     《割書:人数千弐百五十人 》 《割書:関か原  御昼|一り半  》 古山兵四郎
  同        《割書:垂井宿  御小休 |一り十二丁》栗田文次
   分部|若狭守(二万石ヨ )  《割書:赤坂宿  御泊》 八ツ橋次助
     《割書:人数 千人》   《割書:一り八丁|みゑじ宿 御小休 》山本宇兵衛
  同        《割書:一り八丁|かうと  御昼》 水谷善兵衛
   市橋|壱岐守(一万八千石)  《割書:一り半|かのふ  御泊》 松波藤衛門
     《割書:人数九百人》   《割書:新かのふ 御小休|かのふゟ四り四丁 》百性利兵衛
  同        《割書:うぬま 御昼 》 桜井長兵衛
   稲垣|若狭守(一万二千四十三石) 《割書: 二り| 太田宿  御泊》 福次郎衛門
     《割書:人数七百人》   《割書:二り|ふしミ宿 御小休 》岡田与次郎
  同        《割書:一り|ミたけ  御昼》 磯部伊左衛門
   堀田|加賀守(一万三千石)  《割書:まい坂宿 御小休》 野   立
     《割書:人数七百人》   《割書:一り半|ほそくて 御泊》 保ケ市郎兵衛
  《割書:ゑち川ゟ|さめケ井迄》《割書:五宿之間| 六り六丁》   《割書:ふじ村|内字深萱 御小休》 百姓三郎右門
   井伊|掃部頭(三十五万石)  《割書:十三峠之内|字竹松村 御小休》 野   立
     《割書:人数壱万七千五百人》 《割書:大くてゟ三り半|大井宿  御昼》 林 理 助
  《割書:さめが井ゟ|垂井迄》《割書:三宿之間| 三り廿丁》   《割書:二り|中津川  御泊》 市岡七右衛門

   戸田|采女正( 十万石)  《割書:一り|落合宿  御小休》 井江五左衛門
     《割書:人数五千人  》  《割書:一り五丁|まごめ  御小休》 島崎彦兵衛
  《割書:ミゑじより|うぬままで》《割書:四宿之間| 四り三十四丁》  《割書:二り|妻 込  御昼 》 島崎忠左衛門
   永井|肥前守(三万二千石)  《割書:一り半|三留野  御泊 》 鮎沢弥左衛門
     《割書:人数千六百人 》  《割書:二り半|野じり 》   森 善兵衛
  《割書:うぬまより|にへ川まて》《割書:中仙道|十九宿》    《割書:一り半|すはら  御昼 》 木村平左衛門
   |尾州家御固(凡三十七里廿丁之間)  《割書:掛はし沢 御小休》 野   立
     《割書:人数三万弐千人》  《割書:ねさめ宿 御小休》 かり御でん
  《割書:にへ川より|下すハまて 》《割書:五宿之間|六り十八丁 》  《割書:すせうゟ三り廿丁|上ケ松宿 御泊 》 藤田九郎左衛門
   松平|丹波守( 六万石)  《割書:二り半|福 島  御昼 》 白木五郎左衛門
     《割書:人数三千人》   《割書:一り廿八丁|宮の越  御小休》 村上弥惣衛門
  《割書:下すハより|わだまて》《割書:二宿之間|五り十八丁》   《割書:一り三十丁|藪 原  御泊 》 寺島勘兵衛
   諏訪|因幡守( 三万石)  《割書:一り十丁|なら井  御小休》 亀子九郎衛門
     《割書:人数千五百人 》  《割書:一り半|にへ川  御昼 》 千村右衛門次
  《割書:和田より|あしだ迄 》《割書:三宿之間| 三り十六丁 》  《割書:二り|本 山  御泊 》 小林吉左衛門
   本多|豊後守( 二万石)  《割書:三十丁|せは宿  御小休》 百瀬伝左衛門
     《割書:人数 千人  》  《割書:一り三十丁|しほ尻  御昼 》 川上九左衛門
  《割書:あしたより|いわむらた迄》《割書:五宿之間|四り七丁》   《割書:今 井  御小休》 百姓甚左衛門
   牧野|遠江守(一万五千石)  《割書:塩しりゟ二り三十丁 |下すハ  御泊》岩波太左衛門
     《割書:人数七百五十人》  《割書:樋橋村  御小休》 小松嘉兵衛
 

  《割書: |いわむらたゟ》
  《割書:おひわけ|あいほい迄》 《割書:三宿之間|弐り十七丁》  《割書:わた峠  御昼 》 御かり御殿
   内藤|志摩守(一万五千石)  《割書:下すハゟ五り弐十九丁|わた宿  御泊 》長井十左衛門
     《割書:人数七百五十人》  《割書:一り|長くほ  御小休》 石谷平左衛門
  同        《割書:あしだ宿 御昼  》土屋伝左衛門
   堀 |長門守(一万五千石)  《割書:やはた  御泊 》 小松五右衛門
     《割書:人数七百五十人》  《割書:平塚村  御小休| 相生松》 野   立
  《割書:あいほいゟ|坂もと迄》《割書:四宿之間 |五り五丁 》   《割書:やす川ゟ三り十丁|もた井  御昼 》 安川庄右衛門
   土岐|山城守(三万五千石)  《割書:二り半三丁|くつかけ 御小休  》土屋半兵衛
     《割書:人数千七百五十人 》 《割書:一り五丁|かる井沢 御泊  》土屋半兵衛
   堀 |石見守(一万七千石)  《割書:うすい峠内| 羽根石 御小休  》茶ヤ小左衛門
     《割書:人数七百六十人》  《割書:二り三十五丁|さか本  御泊  》金井三郎衛門
  《割書:根本より|あんなか迄 》《割書:三宿之間| 四り三十一丁 》 《割書:二り|松井田  御小休 》《割書:金井藤衛門|松本駒之允》
   板倉|主計守( 三万石)  《割書:二り十丁|あん中  御昼  》須藤内蔵介
     《割書:人数 千五百人》  《割書:三十丁|いたはな 御泊  》木嶋喜兵衛
  《割書:あんなかゟ|ほんぜう迄》《割書:五宿之間|七り廿五丁》   《割書:一り三十二丁|たか崎  御小休 》御本陣なし
   松平|恭三郎(八万二千石)  《割書:一り十九丁 |くらかの 御昼》 河原八左衛門
     《割書:人数四千百人》  《割書:一り半|しん町  御小休 》《割書:久保五左衛門|小林甚左衛門》
     《割書:人数七百五十人 》 《割書:一り|長くほ  御小休》 石谷平左衛門
  同        《割書:二り|本 庄 御泊  》《割書:田村佐惣次|内田七左衛門》
   大岡|兵庫頭(弐万三千石 )  《割書:一り廿九丁|ふかや  御昼 》 飯嶋十郎兵衛
     《割書:人数千百五十人》  《割書:新ほり  御小休》 百姓半左衛門

  同        《割書:ふかやゟ二り二十丁 |熊がへ  御泊 》竹井新左衛門
   安部|摂津守(二万弐千五十石)  《割書:吹あけ  御小休》 百姓茂三郎
     《割書:人数千百人  》  《割書:くまかへゟ四り八丁 |こうのす 御昼 》小池三大夫
  《割書:本庄ゟ |掛川迄 》《割書:五宿之間|十一り十六丁》   《割書:一り三十丁|おけ川  御泊 》 府川嘉右衛門
   松平|下総守(十万石  )  《割書:一り|あげを  御小休》 林 八郎衛門
     《割書:人数五千人》   《割書:二り八丁|大ミ や  同 》 内倉新左衛門
  《割書:かけ川ゟ |板橋 迄 》《割書:六宿之間 |八り》   《割書:一り十三丁|うらわ  御昼 》 星の権兵衛
   阿部|鍗次郎(十万石)  《割書:一り八丁|わらひ  御小休》 藤田嘉兵衛
     《割書:人数五千人  》  《割書:二り十丁 |いたばし 御泊 》 飯田新右衛門
  同       御輿前後警衛之部
   土井|大炊頭(八万石) | 石川主殿頭(大つゟゑち川迄   ) | 真田信濃守(くつかけ迄  )
     《割書:人数四千人》  | 井伊掃部頭(ゑち川ゟ赤坂    ) | 松平摂津守(同所ゟ     )
          | 戸田采女正(同所ゟうぬま  ) | 松平恭三郎(坂本迄   )
          | 松平与七郎(本山まて    ) | 松平越中守(おけ川迄    )
          | 内藤駿河守(和田まて    ) | 酒井雅楽頭(清水殿迄    )
  大豆《割書:大玉 七斗八升八斗|小玉 七斗四升》   《割書:玄米 五斗三五升|小麦 八斗ゟ五六升》
  小豆六斗ゟ三四升迄 籾《割書:弐斗三升五合|弐斗五六升》
 江戸相庭 十月八日
  《割書:一古領米 |一南郷米 》〆四斗五升  《割書:一町  米 四斗八升|一新  糯 五斗一弐升》
  《割書:一新  米 五斗弐三升|一水戸大豆 七  斗》    《割書:一高浜大豆 七斗一升|一大  麦 四五斗》

  《割書:一小  豆 五斗一升|一菜  種 五斗五升》    《割書:一仙  台 四五五入|   廻米  五斗》
  《割書:一上総新米|    五斗四升》
《割書:十六日 |四十七度》  朝より快晴夜ニ入月暈夜中折々雨少
    々雷声
《割書:十七日 |五十四度》  明方より雨降七時より天気ニなる
《割書:十八日 |四十五度》  朝より快晴寒し西風少しふく
《割書:十九日 |大霜薄氷》  朝より快晴大霜
《割書:三十九度》
 横浜当月九日夜九ツ半時ゟ出火ニ而本町四丁
 目海側中程ゟ折節北風烈敷本町四丁目五丁
 目不残弁天通四五丁目不残安田町四五丁目
 不残太田町四五丁目不残夫ゟ新吉原町大門
 通迄凡十三丁程焼失明六ツ半時鎮り運上屋
 敷異人屋鋪等ハ無事之よし
《割書:廿日(小雪) |四十八度》  霜ふるさむし快晴
《割書:廿一日 |四十八度》  霜ふるさむし快晴夕方よりくもり
《割書:廿二日 |四十六度》  朝よりくもり折々ちら〳〵雨八ツ時ゟ
《割書:市籾|上弐十五升》  雨つよし夕方より晴
《割書:下三斗位》
《割書:廿三日 |四十五度》  朝より快晴暖気
《割書:廿四日 |四十二度》  大霜快晴四時ゟ北風にてさむし
《割書:麦米五斗八升》

《割書:廿五日 |三十八度》  大霜快晴さむし
 新綿番船九艘当月十一日卯上刻大坂出帆仕
 別帋名前之者昨十七日寅下刻浦賀迄入津仕
 候初相庭付加入仕差上候得共大不印ニ而坂
 上百廿四両位ならてハ買人無之外品も右ニ
 連同様之事ニ御座候
  十月十七日寅下刻浦賀入津
  三 番  多  喜市郎
  一 番  毛  徳太郎
  二 番  大  鉄之助
  三州上銘 大入  百四拾三両
  坂 上銘 大入  百三拾八両
  京 丹 州大入  百三拾三両
  坂 丹 州大入  百弐拾九両
  大 和 焼小入  百弐拾壱両
  尾州中市 大入  百三十八両
  し の  巻   壱〆九百匁
    正取引 五両引 五拾匁安
  右之通祝儀取引仕候
   十月十七日   | 山形屋(江戸人形町通)喜右衛門

    初相庭
  《割書:古 新 五反弐分五|改 メ 五反六分五》  《割書:雲 井 七反三分|奈良和 上下四分開》
  《割書:銘   六反三分|造   七反七分 》  《割書:鈴 鹿 〃七反壱分|花 錦 五反弐分》
  《割書:間 新 九反壱分|五 番 上下四分開》  《割書:花 司 五反五分|花 照 六反五リン》
         《割書:花 扇 六反七分》
          大和屋三郎兵衛
  《割書:地水油 三拾両|上白油 廿九両弐分 》  《割書:種 粕本 七枚三分|同並判  八枚三分》
  《割書:胡麻油 三十三両一分|荏 油 三十弐両弐分》  《割書:荏 油  九  枚|白胡麻  六枚八分》
  《割書:同 生 なし| 銭 六〆七百五十文》  《割書:黒胡麻  十三枚|大坂八日出》
         《割書:水 油  五百六十匁|  金  七十一両》
  紋金巾
   《割書:椛 色 百五十五匁|紺 上 九十六匁》  《割書:海老色  百五十弐匁|萌 黄  八十八匁》
    右ハ弐尺四寸巾 九丈五六尺物
  晒金巾ハ此節品払底ニ御座候
   《割書:上  九十五匁|下   六十五匁(七十匁位)》  《割書:中  八拾三匁》
  生金巾
   《割書:さ る  三番  七十三匁位|鳥    二番  七十七匁位》
     《割書: 一番  壱〆百匁 九十五六匁| 同   壱〆弐三十匁 九十三匁》
  壱番 呉良服連
   《割書:紺  拾四両弐分|紺青 拾弐両》  《割書:紫  拾五両|緋  拾弐両壱分》

  弐ばんハ相場不定
 唐物ハ番船ニ不拘当節之相庭
 宍戸玄米入札五斗三升弐合半府中近惣え落
 札
 《割書:白川辺 玄米 七斗六升|銚子辺 同  五斗五六升》  
《割書:廿六日 |三十八度》  朝むら雲五ツ半時より快晴さむし夜
《割書:時計 昼十二|天府 夜廿六》 中くもり
《割書:廿七日 |四十度 》  霜ふる明六ツ半時地震ゆる終日快晴
《割書:廿八日 |三十七度》  大霜寒気終日快晴
《割書:廿九日 |三十八度》  大霜寒気昼後ゟくもり暮方より雨ふ
    り終夜雨降
 市庭籾弐斗四五升ゟ三斗位追々下落
 玄米 五斗七八升
 大根蕎麦等都而大あたり
 会津辺米百八文 壱升
 小銭なし百銭計にて大難渋他領ハ壱両ニ小
 銭五〆八百文位
 御領中ハ六〆六百文ニ候間更ニ無之釣せん
 ニも差支湯屋床屋渡場等より所々店々ニ而
 少々ツヽ買入候よし六〆弐百文位百文銭ハ

 殊之外多シ

  十一月
《割書:朔 日 |五十度 》  宵より雨降終日雨つよし夜中大雨終
    夜雨つよし
《割書:二 日 |六十度 》  宵より雨強辰巳風少し吹大雨也四ツ
《割書:夜九ツ時地震》 時位より北風ニ而稀なる大雨七ツ時
    迄大雨夫より雨静ニなる夕方止夜中
    九ツ過より大西風終夜風つよし明方
    風止
《割書:三 日(中川水増) |四十八度》  朝より快晴
 赤沼辺迄水付き候よし
《割書:四 日 |三十九度》  大霜快晴寒気
《割書:五 日 |三十九度》  大霜快晴寒気夜四ツ過よりくもり
 朔日二日之大荒にて又々ミナト入口ニ難船
 五艘有之候よし此内壱艘ハ近藤之船又々難
 船之よし近藤船ハさつまいも明樽の類銚子
 ゟ積候由外船ハ塩又ハあきあち之類之よし
《割書:六 日 |四十六度》  明七ツ前より雨降六ツ半時より雨止
《割書:十一月節》  四ツ過より快晴

《割書:七 日 |五十八度》  大霜快晴
  笠間玄米六斗弐升
 先月中ハ古弐朱金格外上直ニ相成百両ニ付
 打金拾八両ゟ拾九両弐分迄買人有之候所追
 々下落仕此節ハ先同様七両弐分ゟ八両位ニ
 御座候尤も右飛上り相場ハ上方筋ニ而上直
 ニ買人有之候故引立申候間此度大坂町奉行
 ゟ御触出有之俄ニ下落仕候
    大坂御触書写
 一此度新弐分判同弐朱金を以上方筋古弐朱
  と引替之儀
  為替三井組     為替十人組
   御用取扱所     御用取扱所
   住友吉次郎     鴻池や善兵衛
   加嶋や久左衛門   加嶋や作兵衛
   米屋平右衛門    鴻池や新十郎
   鴻池や駒次郎    辰巳屋久左衛門
   近江や休兵衛    炭や安兵衛
   平野や五兵衛    嶋や平兵衛
   鴻池や庄十郎    米屋喜兵衛

   近江屋猶兵衛
  右之者共方ニ而為取扱候間来ル十七日ゟ
  右引替御用相勤候者共之内え差出可申候
 一右弐朱金引替差出候者共へハ道法遠近ニ
  不拘百両ニ付七両弐分ツヽ御手当被下候
  間一統此旨可存候
   但右御手当被下方之儀ハ三都共同様ニ
    而此上増方等ハ無之趣ニ候
 一右弐朱金引替差出候者共へハ御手当被下
  候儀ニ付聊も不貯置引替ニ差出可申候ハ
  勿論之儀ニ可有之候へ共自然心得違他所
  他国ゟ注文抔と唱へ高直之功賃を以外売
  等致候もの於相聞は急度可沙汰候間其旨
  も可存候
  右之趣不洩様三郷町中可相触もの也
   酉十月     《割書:北組》惣 年 寄
    《割書:壱 岐|佐 渡》
《割書:八 日 |三十四度》  大霜快晴寒気つよし
《割書:九 日 |三十五度》  大霜快晴夕方ゟくもり五ツ半時より
    雨降

《割書:十 日 |四十三度》  朝より快晴夕方ほろ〳〵雨北の方雷
    声
 桐板交易ニ相成候よしニ而此節大引上壱分
 ニ三尺五寸位之相庭ニ而品更ニなし下駄な
 と壱足百五十文位之分弐百五十文位之よし
《割書:十一日 |四十度 》  快晴夕方より曇夜ニ入雨ふる
《割書:十二日 |四十六度》  宵より雨ふる五ツ時より止暖気也
 今日巳ノ刻ゟ午刻迄
 烈公様御神主御廟え 御遷座被為在候ニ付
 御規式以上之面々并御目見相済候忰弟与力
 郷士参拝可致御達有之候
《割書:十三日 |四十五度》  宵より雨ふる四ツ過より快晴夜中も
    はれ
《割書:十四日 |四十一度》  明方迄雨ふる六ツ時ゟ止四ツ過より
    快晴
《割書:十五日 |四十六度》  明方迄雨ふる四ツ時より快晴
 江戸八日出
 《割書:一古領米 五斗一升 |一南郷米 五斗一升 》   《割書:地水油 三拾壱両弐分|上白油 三十壱両》
 《割書:一同古米 四斗九升|一町 米 五斗三四升》   《割書:胡麻油 三拾四両壱分|荏 油 三十五両》
 《割書:一同古米 五斗弐三升|一糯 米 四斗九升ゟ五斗》  《割書:同 生 物 次 第|種 粕 七枚三分》

 《割書:一水戸大豆 六斗六升 |一高浜大豆 六斗七升 》  《割書:同 並 八枚三分|白こま 六枚七分》
 《割書:一水戸大豆 四斗八升|一大  麦 石四斗  》  《割書:ヱ 粕 八枚五分|黒こま 拾弐枚》
 《割書:一小  麦 六斗五升 |一菜  種 五斗六升 》  《割書:銭 六〆七百五十文|大坂廿八日出》
         《割書:水 油 五百四十八匁|金   七十壱匁》
    四八五入
 《割書:一仙台廻米 五斗四升|一上総新米 五斗六升》   《割書:油明キ|  拾壱丁》
《割書:十六日 |四十度 》  朝方まて雨ふり五時より快晴
《割書:月帯蝕》
 古弐朱金百両ニ付拾八九両迄打銀付處御達
 有之俄ニ引下此節百両ニ付七八両付之よし
  都々一 あけの烏は東でなくが古金買ひは|西(弐朱)てなく
 江戸より状
  京都姫宮様御着弥以当十五日と申事ニ而
  道中筋ハ不及申当地之儀も厳重之事ニ御
  座候右ニ付京都ゟ御供之 公家衆三千余
  人之御同勢と申右之御方皆々当地え永〳〵
  御逗留之由夜着ふとん江戸中大品切大和
  河内ふとん地唐艸類いつれも江戸中品切
  ニ而珍敷事ニ御座候
  《割書:古 新 五反六分|改 メ 六  反》   《割書:いせさらし| 雲 位》
  《割書:相 銘 六反七分|造 リ 八反壱分》   《割書: ならハ|  上下四分開キ》〆七反六分  
   

  《割書:名古屋白| 五はん 六反七分》   《割書: 鈴 か 七反五分|      上下同断》
  一信州底七〇懸 《割書: 呉良服類|   不印拾壱両えも下落》
十七日 朝よりくもり寒し終日くもり空ニ而
    夜中ハ晴
《割書:十八日 |四十度 》  朝よりむら雲四ツ時ゟ快晴
 《割書:ミナト 白米 五斗|岩キ平 白米 四斗八升 》  《割書:平 潟 白米 四斗八升》
 《割書:笠 間 玄米 五斗八九升|大 豆 八斗》  《割書:府 中 玄米 五斗八升》
《割書:十九日 |四十度 》  朝より雨ふる九ツ半過より雨つよし
 茂木御蔵米御払直段玄米五斗七升三
《割書:二十日 |四十三度》  明方迄雨風にて明方より止
《割書:廿一日 |三十五度》  大霜快晴寒気昼後よりくもり夜二入
《割書:冬 至 |棚倉辺 》  四ツ時より雨ふり
《割書:玄米 六斗八升  大平辺 五斗三四升》
廿二日 大霜くもり北風さむし
《割書:四十五度|籾弐斗四五升》
《割書:廿三日 |三十五度》  大霜殊之外寒し
《割書:廿四日 |三十五度》  大霜快晴寒し
《割書:廿五日 |三十五度》  大霜快晴寒し西風にて寒し
《割書:廿六日 |弐十七度》  大霜快晴寒し
《割書:廿七日(籾二斗四升)|三十度 》  大霜快晴
《割書:廿八日 |三十五度》  明方より雨降五ツ時より雨止

 司命丸薬売之はなし之由
  仙台石之巻にて仙台ニ而長岡之由ニ而召
  取候弐人十月廿日比之由
  十月五日仙台城下久保町遠藤屋と申泊り
  屋ニ而水戸ゟ御出張之御役人え御引渡し
  水戸ゟ御目付方之様子人数拾弐人仙台ゟ
  御役人付添ニ十弐人水戸迄御遣しニ相成
  候よし仙台物入金三百両余と申事引渡之
  節ハ水戸之長岡勢引渡ニ相成候と申仙台
  城下見物人夥敷出居よし
   仙台より御引渡之節召捕人駕籠着類白
   羽二重紋付下着南部縞之よし此方様ニ
   而御請取ニ相成青籠ニ相成候よし
  《割書:相 馬 白米 壱升百弐十文|    両ニ六斗七八升》
  《割書:  粕 弐俵壱二分ニ而拾三四〆位》
  石の巻奥谷八郎衛門と申はたごやハ泉町
  いせ屋甚助見せを勤候ものゝよし余ほと
  大旅宿や谷中松や新助居候ニなり居候よ
  し又ぬりやと申はたこやニハ向井丁栃木
  屋粂次郎と申もの手伝いたし居候よし両

  人大工町松坂や弥兵衛所々御良服を売ニ
  持参致其まゝ帰り不申候よし
  仙台若宮浜と申所ハ漁師計ニ而田地更ニ
  無之日々穀物類買暮之場所ニ候よし九月
  末ゟ大嵐引続候而米壱粒も無之和田峠と
  申候而九十丁程の難所を越不申候而ハ米
  参り不申候続而大あらしにて通路無之極
  難渋之よしにて村役人願出候ニ付早速御
  手当有之候よし家数弐百軒程
  石の巻玄米壱升ニ付百五拾文
  九月廿九日方十月朔日より
  壱升百七拾文銭六〆四百小銭
  仙台辺九月廿九日ゟ十月三日迄大嵐ニ而
  石の巻の湊ハ不残船にて往来いたし横丁
  干物丁と申所計ハ船通用ニハ無之よし
  釜石と申所十月五日ゟ七日迄次々米壱升
  百六十文之所玄米一升百八十八文泊りせ
  ん三百七十弐文之所壱朱廿四文昼飯付に
  てハ壱朱分百五十弐文払候よし
  中南郡東野桑ケ崎辺

   元米壱升百七十八文
   泊り壱朱十月廿日比ゟ四百八拾文
   生するめ壱枚拾六文《割書:平年ハ壱文五分位ゟ弐文位》
   干するめ両弐百八拾枚ゟ三百枚位 常年ハ弐千枚ゟ千八百三千位いたし候事
   も有之候
   粕拾六〆位之俵にて壱俵三四分
   九月ゟいわし漁無之
   油ハ弐十両前後
   ◎六〆三百文位沢山有
   当百ハなし取溜候銭売候へハ六八ゟ七
   〆文位
  石の巻ニハ新銭吹立場拾弐ケ所有之右懸
  り役人仙石某とか申人此間切腹いたし候
  よし其後役之人も切腹いたし候よし先役
  之仕ちらしをあび候を苦ニいたし候との
  事
 十月中旬遠州掛川辺
   玄米五斗七八升 大豆四斗七八升
 江戸表十一月廿二日出
  当地木綿成行先書御注進申上候通人気引

  立不申候へ共格別之下落ハ無御座候三州
  白名古白いせ晒直段左ニ申上候
   《割書:古 新 五反六分|改 メ 六反壱分》   《割書:相 銘 六反八分|造 り 八反弐分》
   《割書:名古白 五番 六反八分|       上下四分開キ》
   《割書:伊せ縞 ならわ 七反七分|    雲 井》
   《割書:    鈴 鹿 七反六分|        上下四分開キ》
   《割書:信州底 六九掛|手掛類 三分ゟ五分方下落》
  右之通取引罷在候へ共追々下落之見込ニ
  御座候間宜御承引可被下候生桟さん留薄
  花類ハ中々以十ならてハ出来不申候
 一当節京都両替屋ニ而いせ屋藤兵衛と申大
  物当月七日主人支配人欠落見せ戸を〆罷
  在候所右いせ藤当地出店いせ町塩川岸い
  せ屋嘉蔵と申見せも同月十一日朝支配人
  其外重立候人物共皆々欠落致候依之見せ
  戸を〆凡両店にて百三十万両程の大分散
  之由江州之物持并ニ京大坂江戸表之大店
  大変之損毛ニ而皆々青黄赤白黒之息をふ
  き居申候
  |一播摩屋(金吹町  )新右衛門  壱万六千両

  |一竹川(かやは町  )彦太郎    壱万弐千両
  一丁子屋吟次郎    壱万八千両
  一布    屋    弐 万 両
  一井    善    壱 万 両
  一松    井    五 千 両
  |一越前屋(大門通   )弥右衛門   千五百 両
   外ニ弐三千両ツヽ数不知
   惣高江戸店計十三万両程京都本店計百
   廿万両余と申唱候是も矢はり江州店多
   分之よしはなしの通申居候
  京都若市と申人    八 万 両
    松居本店二軒   九 万 両
    丁吹本店     三 万 両
    布屋本店     五 万 両
    七八千両位    五十軒程
    三千ゟ弐千千両ゟ五百両数不知莫大
    之事
   十一月廿二日    松   田
《割書:廿九日 |三十三度》  朝より快晴寒気つよし
 府中 玄 米 五斗四升ゟ七斗迄

    麦 米 五斗六七升
    大 豆 五斗弐三升
    小 豆 四斗九升
    もち米 五斗弐三升
    小 銭 六貫文
   当百銭 六〆六百ゟ七百文
   小銭大銭更ニなし
   水戸ハ六〆六百文
   他領ハ五〆八百文
   此節釣せんニ指支大難渋ニ候へ共行幾度
   願候而も直上ケ不相済

   十二月
《割書:朔 日 |三十度 》  大霜快晴寒気つよし
《割書:二 日 |三十一度》  朝むら雲あられ少々ふる直止四ツ時
    ゟ快晴西北の風終日つよし夕方止
 先月廿八日
 中納言様御婚姻御整被遊候付明三日五半時
 熨斗目綿服勝手次第麻上下着用御月番御年
 寄衆え御祝儀ニ罷出候様御達有之候事

 先年広幡大納言様ゟ御婚姻有之候へ共続而
 御領中御騒キ有之御弘メ追々御延引ニ相成
 居候所此度 公辺え被 仰立 御簾中様と
 奉称候様被 仰出候
《割書:三 日 |三十一度》  大霜寒気強
《割書:四 日 |弐十九度》  明方迄くもる快晴西風少吹夕方風止
《割書:五 日 |三十度 》  大霜快晴寒気
《割書:六 日 |三十度 》  大霜寒気殊之外つよし
入寒十二月節夜四ツ時ニ入
《割書:七 日 |三十度 》  大霜快晴寒気つよし西風吹寒し
《割書:八 日 |二十八度》  大霜快晴西風少吹厳寒
《割書:九 日 |三十度 》  大霜寒気明方地震厳寒なり快晴
《割書:十 日 |三十度 》  大霜快晴
《割書:十一日 |三十二度》  朝より快晴寒気少々ゆるミ
《割書:十二日 |三十二度》  朝くもり五ツ時ゟてり立寒気ゆるミ
《割書:十三日 |三十一度》  大霜寒気強西風にて厳寒也終日西風
《割書:小銭殊之外 |少し》 つよし
《割書:十四日 |三十一度》  大霜寒気つよし五ツ半過より西大風
    吹夕方止
《割書:十五日 |三十度 》  大霜快晴寒気西風夕方迄吹

笠間玄米 五斗七升
 松平大和守様御卒去
  八郎麿様御事や八月十五日ニ御卒去之よ
  し此度御触出ニ相成候
《割書:十六日 |三十度 》  大霜快晴寒気
《割書:十七日 |三十弐度》  大霜快晴寒気
 去ル十三日小石川御長屋御焼失之儀夜九ツ
 半時頃尾崎豊後殿下棟ゟ出火五十間御長屋
 一棟御焼失之由

【図省略】
     南
      興津殿土蔵ハ残ル
   尾崎
表  豊島
通  横山
り  岡田
   近藤
   依田
   角

《割書:十八日 |三十度 》  朝より薄くもり夜ニ入五ツ半時より
《割書:麦米五斗七八升 》雨ふり終夜雨
《割書:十九日 |三十二度》  宵より雨ふる四時より止北風吹夜ニ
《割書:籾弐斗五六升  》入少々雨ふる
《割書:二十日 |三十五度》  朝より快晴夕方より北風つよし夜ニ
《割書:いわし粕追々|引〆ル》 入五ツ過風止
《割書:二十一日|三十二度》  朝より快晴西風吹九ツ過より止

《割書:笠間 玄米 五斗七八升 当年ハ菎蒻粉高し壱駄拾弐両位》
《割書:廿二日 |二十七度》  大霜寒気つよし終日天気風なし
《割書:廿三日 |三十度 》  大霜寒気八ツ時ゟ七ツ半時迄西風強
 《割書:玄米 五斗弐三升|籾  弐斗四升  少々引上居候》
《割書:廿四日 |三十度 》  大霜快晴寒気
 当月初薩摩様御住居向不残焼失之由
 当月十三日小石川御屋敷内五十軒御長屋尾
 崎豊後殿下棟ゟ出火豊嶋壮三郎横山甚左衛
 門今井新平近藤小金吾依田喜左衛門右一ト
 棟焼失いつれも丸焼
《割書:廿五日 |二十七度》  朝よりくもり四ツ半過よりてり立夜
    四ツ時ゟ九ツ過迄西風つよし又々八ツ
    時より七ツ時迄西風つよし七ツ時地
    震ゆる直ニ風ハ止    
《割書:廿六日 |二十五度》  朝より快晴五ツ過より西風吹夕方風
    止
《割書:廿七日 |弐十三度》  朝より快晴四ツ過より西風吹夕方止
 小銭払底ニ付市中ゟ追々直上ケ願出候趣ニ
 候へ共不相済此節ハ他領ハ笠間五〆五百文
 宇都宮ゟ鹿沼辺五〆三百文ニ而殊之外品な

 し水戸ハ六〆六百文之わりニ通用いたし居
 候間他領より入候事ハ無之至然と出候間当
 節ニ相成候而ハ釣りせんにも差支商人とも
 一統大難渋之事ニ候行々町家計ニも無之都
 而御領中一統之難渋ニ相成取引ニも指支候
 様相成可申存候事
 江戸ハ六〆文
《割書:廿八日 |三十度 》  朝より快晴
《割書:廿九日 |弐十六度》  朝より快晴
《割書:晦 日 |弐十五度》  朝より薄くもり明七ツ時地震終日く
    もり空ニ而持合

   文久二壬戌
《割書:元 日 |二十六度》  宵より曇空ニ而明六ツ少し過より小
    雪降出終日小雪降夜中迄降
《割書:二 日 |二十五度》  明七ツ前より快晴寒気つよし
《割書:三 日 |二十六度》  朝より快晴
《割書:四 日 |二十六度》  朝より快晴四時より東風むら雲
《割書:五 日 |二十三度》  朝より快晴
《割書:六 日(節 分) |二十一度半 》 朝より快晴暮方よりくもり夜中も大
    くもり
《割書:七 日 |二十六度》  朝より薄くもり四ツ時よりてり立西

    風吹夕方止
《割書:八 日 |二十七度》  朝より快晴

巻7

L289.1 7 137
《割書:水|戸》大高氏記録 七

   安政七庚申
   《割書:戊寅》正月《割書:大》  《割書:寒暖計ハ朝五ツ時を|しるし申候》
 年徳あきの方申酉の間
元  日(丙寅 のそく) 明方まて曇六ツ過より晴むら雲未申
《割書:朝三十三度》  の風少々吹 至極穏なり
 御砌柄ニ付布衣已上長上下物頭以下熨斗目
 綿服麻上下にて登
 城 御祝儀申上候様御達有之候
 門松も在町ハ何方も表通ハ立不申候
二  日 朝よりくもる五ツ時小雨ふり直ニ止

《割書:三十五度》 終日持合夜中至極西北の風夜ニ入吹
 明七ツ少々前弘道館中御軍用蔵壱棟焼失夜
 ニ入六ツ半時谷中古川屋吉五郎裏板蔵物置
 等焼る
三 日 朝より快晴五ツ時ゟ西風ふく夕方風
《割書:三十四度》   止
 当年ハ年始更ニ出不申候
《割書:四  日|弐十四度》  朝より快晴寒気つよし西風吹夕方止
《割書:五  日|弐十弐度》  寒気殊之外つよし終日快晴
六 日 大霜快晴寒気つよし終日寒気快晴穏
《割書:弐十五度》  なり
《割書:七  日|弐十四度》  朝より快晴寒気つよし終日穏也
八 日 朝東お方ニくろねた雲あり快晴寒気
《割書:弐十四度》  つよし夜ニ入西風吹八ツ過止
《割書:下町初市| 籾壱分ニ弐斗三升五》
九 日 朝より快晴大霜寒気つよし五ツ時よ
《割書:弐十三度》  り西北の風つよし夕方止
《割書:十  日|弐十度》  朝より寒気つよし風なし
《割書:上町初市 籾壱分弐斗三升五合|十一日》 朝よりくもり寒気四時よりてり立終
《割書:弐十三度》  日快晴寒気

《割書:十二日|弐十五度》  大霜寒気つよし快晴
《割書:節  分》
《割書:立 春 |十三日》  朝より快晴寒気ゆるミ
《割書:三十弐度》 七十日余雨雪とも更ニ降不申候
十四日 朝よりくもり寒気ゆるミ 八ツ時位よ
《割書:三十五度》  り快晴
《割書:十五日|三十五度》  朝より快晴
 昨日より弐朱金引替百両ニ付弐両三両追々
 買人出金拾両ツヽにて下町筋ゟおびたゝ
 しく上町筋并近在買立候よし翌朝ニ相成候
 而追々承り候へハ弐朱金えハ更ニ引替賃付
 不申候よしニ而俄ニ買入候もの三十両五十
 両ツヽ損毛有之候よし
十六日 朝よりくもり四時ゟ雨降終日小雨夜
《割書:三十六度》  中も四ツ過まて雨降
《割書:十一月中降候|まゝにて雨降》
 《割書:白米百文ニ六合五勺|江戸表ハ百文ニ五合》 《割書:油縄子辺白米|壱分ニ上壱斗壱升五合 中壱斗弐升》
 《割書:文字保字小判此節壱両を弐両弐分位ニ|買人参り候よし》
《割書:十七日|三十七度》 朝より快晴寒気ゆるミ
 《割書:今日ハ小判壱両ニ付弐両三分ニ相成候と申|候由》

十八日 朝よりむら雲四ツ時より照立夕方ゟ
《割書:三十弐度》  寒気
十九日 大霜余寒強四ツ時より西風つよし夜
《割書:弐十六度》  四時迄西風つよし
 保小判金百両ニ付弐百四拾両
 真文小判百両ニ付弐百五拾両 《割書:小粒も|  同断》
 草文小判百両ニ付百八拾両
 今日笹清承り候所右直段ニ而引替候よし
 此節町在遠郷迄金買人出候而日々大騒之よ
 し
二十日 朝よりくもり寒気つよし四ツ時より
《割書:弐十三度》  てり立
 江戸寺本仁衛門ゟ伊せ屋平兵衛へ申来ル
 正月十六日出
  真文小判百両ニ付弐百五十両
  同 小粒同   弐百四十両
  草文小判同   弐百三十両
  保 小判同   同
  草文小粒同   弐百弐十両
  保 小粒同   同

  真文弐分同   弐百三十両
  草文弐分同   弐百十五両
二十一日 朝よりくもり寒気終日曇空にて夜
《割書:弐十三度|昼四時中河内焼 》 四ツ時過少々あられ降
《割書:二十二日|二十八度》   朝より快晴西風少吹終日持合
二十三日 朝より快晴四ツ時より薄くもり北
《割書:金穀追々引上候|真文小判小粒百両》 風吹寒気九ツ時ゟ夕方迄西風つよし
《割書:三百三十両余》
二十四日 朝より快晴寒気つよし西風夕方迄
     つよし夜中も四ツ時迄風吹
《割書:二十五日|二十七度》   朝より快晴寒気夜中くもり
《割書:二十六日|三十五度》   朝よりくもり四ツ時より雨降夕方
《割書:二十二日江戸| 壱分 三分弐朱》 迄雨降
《割書: 小判 三両弐分| 弐分 壱両三分》
公辺御触
一外国交易ニ付賃幣之釣合不宜候間追而改鋳
 被 仰付候迄左之通ニ通用を可致候尤引替
 之儀ハ追而可及沙汰候
  一保小判壱両ニ付 金三両壱分弐朱
  一同壱分判    金三分壱朱
  一正字小判壱両ニ付金弐両三分三朱

  一同壱分判    金弐分三朱
 右之通相心得来ル二月朔日ゟ外金銀取交両
 替無滞通用可致候
   正月廿日
 右之通江戸表ゟ申来ル
廿七日 朝よりむら雲西風つよし昼位より風
    余ほと強
 此方ニ而取引保小判弐枚ニ而七両壱分ニ買
 候もの有之候よし百両ニ而三百六十弐両弐
 分にあたり申候
 又保壱分判一枚
  文【草書体】同  一枚
  文【楷書体】同  一枚
  文【草書体】弐分判一枚
   〆金弐両を七両ニ而やはり右之同人買
    入候よし三百五十両之わりと相見申
    候
 此節金の騒にて誠ニ昼夜近在遠郷まて出入
 之人道中絶間も無之よし存不申候者ハ小判
 壱両を壱両弐分位いて売候ものも有之又ハ

 三両位に売候者も有之女子供迄も皆々金の
 咄しのミニ御坐候
《割書:廿八日|二十八度 正月中》 大霜快晴寒気終日快晴なり
《割書:廿九日|三十四度》 朝より小雨五時より小雨止夫よりて
   り立
晦 日 朝より快晴暖気なり
 《割書:下総八日市場浜方 五盃六七合  弐斗四升 升(マヽ)|銚子飯貝様同   四盃四五合  同》
 《割書:魚油 同   拾七両|九十     拾五両弐分》
 《割書:九十 ほしか 九盃ゟ拾壱盃   弐四升》
《割書:一銅小銭 五〆弐百文  一当百 六〆六百五十文|一四文銭 六〆四百文  一小銭 六〆五百文》
 江戸表当時素人取引廿九日出
 一保字小判三両壱分
 一同 壱分 三分
 一正字判  弐両壱分
 一同 壱分 弐分
 一真文   三百五拾両
 一文【草書体】小判  三百三拾五両
 右之通釘利え今日来帖之面
 一弐朱金百両ニ付拾両余ツヽ付候よし
 一慶長判百両ニ付五百両位之様子

 一銅銭五〆弐三百文位

  《割書:己卯》二 月《割書:小》
《割書:丙申|朔 日 》  朝よりくもる暖気終日くもり空にて
《割書:三十六度》  持合
二 日 朝より薄くもる暖気八ツ五時位より
《割書:四十度 》  雨降る夜ニ入雨風ニ而五ツ半時止快晴
    ニ成ル
《割書:三 日|三十八度》  大霜朝より快晴
 江戸正月廿八日出書状
 弐朱金過ル大晦日百両ニ付銀拾匁位打銀付
 候元日二日弐十匁三日四日五十匁六十匁十
 日十一日百匁十五日十六日百八十匁廿日廿
 一日四両打銀付申候今日ハ内々ニハ御坐候
 得とも百両ニ金拾五両ニ引替打ニ申候此上
 百両ニ而百廿五両位ニハ相成可申候よし新
 吹弐分金百両ニ付三十匁古壱分銀十両ニ付
 弐分銅銭壱両ニ五〆弐百文天保銭六〆六百
 六十四文
《割書:四 日 |三十八度》  朝よりむら雲さむし四ツ時より西風

    つよし夕方風止
五 日 朝薄くもり寒気つよし
《割書:六 日 |三十三度》  朝より快晴寒気
 当四日弐朱金打無之よし御触出候よしニ而
 俄ニ売人出買人更ニなし昨日まてハ此地に
 ても百両拾四五両付まての買人有之候所俄
 ニ大損
 小名浜《割書: |玄米六斗六升 》   中ノ作《割書:玄米六斗四升|才田塩両拾五六》
 平  《割書:□  五斗八升|◯ 六〆五百文》   仁井町《割書:玄 六斗弐升|銭 七〆弐百文》
 三 春《割書:玄 七斗|◯長六貫文》    郡 山《割書:玄 六斗四升》
    《割書:当 六〆四百文|三州綿 壱本》   会 津《割書: |城下玄  八斗八升》
      《割書:七両壱分 》     《割書:御蔵入〃 九斗弐升|蝋    弐〆七八百目》
 白 川《割書:玄米 六斗六七升|白  六斗》
 釜 子《割書:玄  六斗八升》   棚 倉 《割書:七斗一弐升》
 三春辺より福島辺ニ而松居久右衛門絹糸買
 入百七十両ゟ百九十両迄四十結買入候よし
七 日 朝よりむら雲北風にてさむし夕方よ
    り雪ふる四ツ半過迄ふる
八 日 朝より薄くもり余寒四ツ時より夕方
《割書:三十四度》  迄北風ふく夜中も六半時より四時ま

    て吹
 公辺御触之写
 今般小判壱分判等歩増被 仰出候ニ不自然弐
 歩判弐朱金之儀も此上歩増ニ可相成哉と銘
 々押量り更ニ被 仰出等も無之儀を下々心得
 違致し此節相対ニ而追々直段糴上ケ格別高
 直ニ取引致し候由相聞第一融通ニ拘り以之
 外之事ニ候間世上無差支是迄之通通用可致
 若相背此上内際ニ而相場等相立直増致ニお
 ゐてハ急度可及沙汰条心得違致間鋪候
 右之通町中不洩様可触知者也
 右之通町奉行所より被 仰渡候間町中末々
 迄不洩様入念早々可相触候
   二月三日     《割書:町年寄|  役 所》
 《割書:江戸|二月三日取引直段》
  大 判 五拾四両弐分 銅 銭五〆四百文
  五両判 拾壱両弐分  百 銭六〆八百五十文
  保小判 三百三両   四文銭六〆六百八十文
  同壱分 弐百八十五両 ヅク銭六〆八百文
 右之通ニ御坐候弐朱金弐分金古壱分銀なと

 ハ売ニかゝり候ハヽ打なし
九 日 大霜快晴北風吹寒気夕方風止
    亜墨利伽え渡海いたし候人名
  御軍艦奉行       木村摂津守
  大御番         勝 麟太郎
  浦賀奉行組与力     佐倉新太郎
  同組同心        濱口仲右衛門
  牧野越中守様家来    小野友二郎
  江川太郎左衛門組同心  肥田濱五郎
  浦賀奉行組同心     山本金五郎
  御賄方         岩田愿作
  江川太郎左衛門組同心  鈴藤勇次郎
  調練所勤番       小永井五八郎
  御普請役格       中澤萬二郎
  医 師         牧田修輔
  調練所勤番       吉田勇平
 右は正月十三日品川沖ニ有之感明丸御船へ
 乗組翌十三日出帆
  外国奉行        新見豊前守
  同 断         村垣淡路守

  御目付         小栗豊後守
  御勘定組頭       森田甚太郎
  外国奉行組頭      成瀬善四郎
  同調役         塚原金五郎
  御勘定格        日高成三郎
              刑部鉄太郎
  外国奉行        吉田佐五衛間【本のまま。門か】
  支配定付        松本三之丞
  御普請役        益地俊次郎
              辻 芳五郎
  御小人目付       栗峰吉八郎
              三石得十郎
  寄合御医師       宮嶋立元
  表御医師        村山伯元
  松平肥前守医師     川嶋道民
 右は同十八日品川沖ニ有之候ホウハタンニ
 乗組翌十九日出帆
   亜墨利伽国ホウハタン船乗組アトミウ
   ールえ被下もの
  一刀壱腰     但白鞘

  一大和錦     五巻
    船持へ
  一大和錦     五巻
   亜墨利伽大統領え被下候もの
  一拵付太刀    弐振
  一馬 具     壱掛
  一掛もの     拾幅
  一錦戸張     五巻
  一翠簾屏風    五双
  一漆 器 《割書:蒔絵  書棚  梨子地|料帋箱》
  一大和錦     十巻
     以上
《割書:十 日 |三十三度》  霜ふる朝薄くもり五ツ時よりてり立
    夕方よりくもり夜五時より雨降終夜
    雨ふる
 日本より異国え馬千疋遣候よし是ハアメリ
 カイキリス等唐国と戦候ニ付戦馬ニ用候よ
 し
《割書:十一日|初 午》  宵より雨降暖気南風九ツ過ゟ雨風止
《割書:十二日|五十度》  明方雨降又々五ツ時より雨降暖気九

《割書:昨日ゟ入穀|御免ニ成ル 》 時よりてり立北風八ツ半時大地震動
《割書:十三日|二月の節》  朝より快晴明七ツ前地震ゆる四ツ過
    よりむら雲暖気
十四日 朝よりくもり暖気九ツ少々過より夕
《割書:漸々梅花|咲》  方迄雨ふる夜ニ入雨風つよし
《割書:十五日|四十度 》  朝よりくもり終日くもり空にて持合
 昨夜御側御用人久木直次郎殿三ノ丸南見付
 際ニ而鑓ニ而被指候よし
《割書:十六日|三十三度》  朝より快晴寒気夜中迄寒強
《割書:十七日|弐十六度》  朝大霜快晴厚氷はる終日天気吉寒気
    なり
《割書:十八日|三十度 》  朝よりくもり寒気九ツ半時より雪降
    寒きつよし夜中雨強
《割書:十九日|三十七度》  宵より雨強明方雨止快晴五ツ時より
    村雲北風吹
 《割書:昨夜七軒町辺ニおゐて御家中余ほとの騒有|之候よし今日ハ御城へ御諸士中余ほと詰候》
 《割書:様子》
二十日 朝八ツ時位より雨降さむし終日雨つ
《割書:夜上下町之町|木戸ヲ〆御役所 》よし夕方雨止夜中快晴
《割書:并同心衆町|役人等相廻ル》

二十一日 朝より快晴折々村雲五ツ時より雨
《割書:御役方ニ而昼夜|御城え詰切之由 》 降終夜雨
《割書:二十二日|三十四度》   朝より雪降寒し四ツ過より雨ニ成ル
     九ツ時より止
《割書:二十四日|三十三度》   朝よりくもり寒し七ツ半時より雪降
     出夜八ツ過より止余程積る夜八ツ時
     ゟ雨
 今日長岡え六百人程も御人数上町通り下町
 通りと弐手ニ御指出ニ相成候より
《割書:彼岸庚申|二十五日》   明方雨止くもり終日持合夜ニ入少々
《割書:三十五度》   星見ゆる
二十六日 明方より細雨暖気終日雨降夜中も五
《割書:御町方御目付方|御先手物頭其外 》 ツ過止丑寅風終日吹
《割書:昼夜厳重ニ廻|リ有》
《割書:二十七日|三十八度》   朝小雨ふる四ツ時ゟ止四ツ半時ニ又
     々細雨降出ス終日雨降夜中雨止
 江戸廿二日出
 金類引替之儀両替屋にてハいまた一圓引替
 不致候ニ付諸々売買有之候へ共保小判百両
 ニ付弐百八十五両ゟ弐百九十五両位迄壱分

 判ハ夫より拾五両安弐分金ハ百両ニ不弐百
 両位草字真字ハ御達無之候ニ付保字同様ニ
 取引致居候弐朱金ハ更ニ打無之候銅銭之儀
 ハ五〆三百文当百ハ六〆七百文新小判近日
 御吹出ニ相成候よしニ御坐候
 三州白引上ケ八反四分改七反三分名古屋五
 番七反七分晒類三分方引上手巾染代弐分方
 上ケ都合五分方引上ケ坂もの無双紅欝金類
 も五六分方ツヽも引上ケ居申候横はまえア
 メリカ船五艘此節入津そはこうとんこを買
 入候よし俄ニ大引上候よし
《割書:春分|二十八日》  朝より快晴余寒五半時よりむら雲東
《割書:三十九度》  風少々吹夜中くもり
《割書:甲子|二十九日》  朝きり雨ふる終日雨ふり|雨(マヽ)中も同断
《割書:四十三度》  昨年金砂七十三年廻大田楽ニ候所延ル
 当年も又々延ル

  《割書:庚申》三 月《割書:大》
《割書:きのへうし |朔 日》 朝きり雨ふる寒気ゆるミ 四ツ時ゟ止
《割書:四十五度》  筑波辺山々見ゆるおり〳〵ちらちら〳〵

    雨終日くもり
《割書:二 日|三十七度》  朝よりくもり四ツ時より折々てり立
    さむし北風吹夜ニ入曇る
《割書:三 日|三十五度》  明方より大雪降寒し珍敷大雪也九ツ
《割書:桃ハ未タ不 |開梅盛》 時地震八ツ時雪止八ツ半過少々薄照
    春の雪故消る
《割書:四 日|三十二度》  朝より薄照にて北風さむし|四(夜ニ入)ツ時く
    もり
《割書:五 日|三十四度》  朝より雪ふりさむし四ツ時より止終
    日持合北もやう
 江戸今日来帖
  文判 百両ニ付 三百弐十両
  同分      三百十両
  文【草書体】判      三百両
  同分      弐百九十両
  保判      弐百九十弐両
  同分      弐百八十両
  文【楷書体】文【草書体】      弐百七十両
  慶長判 壱両  八両弐分
  同一分 同   六両弐分

  五両判 十枚  百七両弐分
  大判  一枚  五十五両弐分
  追々気配宜敷様子
六 日 朝よりくもりさむし北もやう九ツ過
    より照立薄くもり夜中大くもり
 当三日江戸桜田御門辺ニおゐて大変有之候
 よし
《割書:七 日|三十五度》  朝よりくもり九ツ過よりてり立むら
《割書:御床几廻御|諸士大勢警 》 雲夜中も久しふりにて極晴
《割書:衛ニ登》
 扨昨三日井伊掃部頭登城出之節桜田御門外
 ニ人数十壱人程待伏釼術遣ひ之体ニ出立候
 而稽古道具ヲかつき候ものもあり又諸家之
 供らしく赤合羽まんちう笠ヲかむり候も有
 之由いつれも下は支度いたし鉢巻ニハ百文
 銭ヲ縫込置候抔と申候説も御坐候釼客先供
 へ喧嘩を仕掛打合ニ相成候ニ付近習駕籠脇
 之もの皆々先え進ミ 駕籠脇透間御坐候節右
 赤合羽之もの合羽笠共抜捨刀ヲ抜キ掃部頭
 駕籠え左右後と三方より刀之鍔元まて突込

 候よし夫ゟ直ニ駕籠ゟ引出首打落首引提か
 け出候処井伊の人数追駈候ニ付ひゞや御門
 前ニ而割腹いたし候由右之外八代洲河岸通
 りニ壱人龍の口前ニ壱人倒れ死居候由細川
 屋敷え三人かけ込自訴候ニ付同家之使者早
 馬ニ而小石川まて参り其外追々之註進御城
 付帰り等ニ而申立候儀も有之候ニ付御門堅
 メ等厳重御先手御持ハ組召連弓鉋ニ而御門
 堅メ等御坐候如何ニも大変此上如何可相成
 哉必死ヲ極メ防禦いたし居候事ニ御坐候殊
 ニ出来ニより候而ハ天下之乱ニも可相成事
 ニ候へハ幕府之英断ニ而治ルと乱との一同
 ニ至り申候井伊ゟ人数指出邸ヲ襲候儀も有
 之間敷とハ奉存候へ共第一之要心此一事ニ
 御坐候何卒幕府明令ヲ下し此より兵端を開
 キ天下之乱基と不相成様ニと奉存候此段不
 取敢申上候いさゐの事いまた得と不相分候
 間後音可申上候以上
   三月四日
《割書:八 日|三十弐度》  大霜快晴寒気昼時より少々風立終日

    天気よし
  三日子上刻出今五日辰ノ刻到着小瀬弥一
  衛門ゟ井坂早太郎へ来書写之よし
 今朝外桜田井伊掃部頭登
 城懸ケ十余人程群集何レも抜刀ニ而打懸候
 勢ニ恐怖いたし候哉家来四方へ散乱掃部頭
 を駕籠ゟ引出し一番何某之由ニ而指抜き候へ
 は打かさなりすだ〳〵ニ切殺し終ニ頭を打
 落シ候所へ掃部頭屋敷ゟ追々馳集り来候故
 逃去候處追詰り候哉八代洲河岸ニ而壱人首
 を手ニ掴み切腹いたし斃尤番所前之よし
 然ル所井伊之臣宇津木六之進と申者数人
 引連追来候得共番所ニ而取押られ手を付候
 事不成よし日比谷の方へ走候者両人是又割
 腹致候由別紙姓名之世人細川越中守殿屋敷
 へ入云々ニ而打殺候間御申立之上天下之御
 法ニ御取計被下候様頼候よし両人別紙名前
 之者薩州公へ同断申立候由何レも細川殿へ
 御預之由三人ハ即死住谷ハ深手評定所へ引
 取候由戸板へ乗せられ来候得共愉快〳〵と

 高声ニ呼参り候由掃部家来ニも五六人即死
 之者有之候由扨々大変事出来憂心千万と申
 内少々愉快なきにしもあらす此先如何相成
 候哉乍併井伊家へハ不快ニ而引取候旨申立
 候様ニとの幕指図之由多分幕ニも無事ニ取
 計候積と相見申候御屋形ニも御家臣之者云
 々ニ付而ハ御門等御堅固ニ御守衛被成候様
 ニとの儀申来候よし乍併敵持同様之姿故諸
 向御達ニ相成御手配厳重夜廻りニ御座候定
 而御国ニ而も御飛脚到来候ハヽ揺動可被致
 候へとも先ツ〳〵鎮静を示し其内無難精兵
 為御登之方と存候何レも前顕之始末柄大略
 之所不取り敢得御意候書余追々可申上候以上
   三月三日
             大関和七郎
     細川家へ    森 五六郎
             杉山弥一郎
             森山繁之助
     薩州家へ    吉成恒次郎
             黒澤忠三郎

             即死人四人
              名前不相分
九 日 朝より快晴むら雲さむし終日薄てり
《割書:昼夜武士小路并|市中厳重ニ相廻ル》夜中も薄寒すこしあたゝか
《割書:十 日|四十七度》  明方小雨ふる直止薄くもり南もやう
    四ツ時よりきり雨降折々雨つよし夜
    中も終夜雨つよし
《割書:十一日|五十八度》  朝きり雨ふる暖気四ツ時止又々四半
《割書:穀町ニ而籾 |金壱分ニ》 過よりきり雨ふる八ツ時位より止折
《割書:弐斗弐三升 》 々薄照り夜九ツ時地震
《割書:十二日|五十五度》  朝より曇り東風吹五ツ過より雨終日
《割書:此節武士小路|并市中とも厳》 雨つよし夜中も雨風なりさむし
《割書:重ニ番所出来|昼夜廻ル》
  内藤紀伊守殿御渡之御書付写
 今三日水戸殿家来之もの多人数掃部頭登
 城途中短筒等相用乱妨ニ及怪我人等も有之
 候ニ付而ハ此上末々心得違之もの可有之も
 難計候間追而相達候迄昼夜屋敷下屋敷等門
 々出入之もの厳重相改重役之もの相詰候様
 可被相心得事

《割書:十三日|四十弐度》  明方地震曇り五半時ゟ薄晴終日薄て
    りにて夕方大曇
 扨去ル三日之一条先便颯と申上候へ共追々
 御国ニ而も委細御聞ニ入候事と奉存候此方
 人数并井伊手負人等届書別帋之通ニ御坐
 候写取入御覧申候井伊も病気申立
 公辺ゟ御使ニ而人参被下等御坐候へハ平穏
 之御了簡之様相見候得共御門厳重ニ而他出
 相成兼御屋敷内説も区々之事ニ而いつれと
 も難決併邸中御警衛向ハ厳重之事ニ御坐候
 御国ニ而も色々之説定而流言等も御坐候事
 と相見候へハ御心配被為成候御事と乍蔭御
 噂申上居候事ニ御坐候何も取込計ニ申上候
   三月九日

 今朝登城掛外桜田松平大隅守前ゟ上杉弾正
 大弼辻番所迄之間ニ而狼藉もの鉄炮打掛凡
 二十人余抜連駕籠を目掛切込候ニ付供方之
 もの防戦致し狼藉もの壱人打留其余手疵等
 為負候ニ付悉ク逃去申候拙者儀捕押方等指

 揮いたし候所怪我いたし候ニ付一ト先帰宅
 致候尤供方初即死手負之者別帋之通ニ御坐
 候此段御届申達候以上
             井 伊
     深疵      日下部三郎衛門
     手疵      片桐権之|允(丞カ)
     即死      河西忠左衛門
     即死      澤|本(村カ)軍六
     〃       桜井猪三郎
     手疵      北河原秀之|允(丞カ)
     〃       柏原徳之|允(進カ)
     即死      加田九郎太
     〃       永田太郎兵衛
     手疵      草苅鍬五郎
     〃       松居貞之|允(進カ)
     〃       |萩谷源太郎(荻原吉次郎カ)
             《割書:越石源次郎 脱カ》
     薄手      元|村(持カ)甚之|允(丞カ)
     〃       藤田忠蔵
     〃       渡部|泰(恭カ)太
     〃       水谷求馬

     手疵      岩崎徳之進
     薄手    《割書:草り取》吉田太介
     手疵    《割書:陸尺 》弥|左(右カ)衛門
             勝五郎

    水戸殿家来
             廣岡子之次郎
             関 鉄之介
             高橋多一郎
             林 忠右衛門
             森 五六郎
 右五人ハ出奔御届書名前之内有之候
             佐野竹之介
             黒澤忠三郎
  脇坂え罷出      蓮田市五郎
             齋藤監物
             大関和七郎
             山口辰之介
             杉山弥一郎
             鯉淵要人
             廣木松之介

             稲田重蔵
             海後崎之介
             増子金八
 右十二人ハ御届書名前無之当時水戸殿家
 来
    薩州家来
  遠藤辻番へ上ル    有村次郎左衛門
《割書: |三月節》 
《割書:十四日|四十三度》  朝より曇六ツ半時ちら〳〵雨直止終
《割書:打続商売向|更ニ無し只 》 日雨降寒し夜中も雨ふり四ツ時地震
《割書:々心配のミ |いたし居候 》 雨やむ
《割書:十五日|四十四度》  朝より曇終日小雨ふり夜ニ入雨折々
    つよし夜中も雨降
十六日 明方雷壱声鳴雨折々夜ニ大雨終日夕
《割書: |八日出江戸状》 立もやう夜中ハ雨風也
 《割書:古領米 四斗四升 |南郷米》  《割書:  菜種 五斗九升|仙台廻米 四斗七升》
 《割書:町 米 四斗五六升|糯 米 四斗七八升》  《割書:水戸大豆 六斗三升|  小豆 五斗八升》
         《割書:大麦 石 三斗|小麦 九斗》
《割書:十七日|三十七度》  朝より快晴さむし五ツ時より北風ふ
    く終日西北風吹夜中ハ強し四時より
    止

《割書:十八日|三十六度》  朝より快晴霜降さむし終日天気夕方
    より薄くもり夜中八ツ過より雨少々
    ふる
《割書:十九日|四十度 》  明方より小雨ふるさむし終日小雨ふ
《割書:桃并ひかん桜|少々口きり》 る夜中も同断
《割書:廿 日|三十八度》  朝より薄くもりさむし四時位より照
    立終日天気おたやかなり
廿一日 大霜快晴寒し夕方よりくもり夜ニ入
《割書:江戸表|白米壱両ニ三斗五升》 五ツ時より俄ニ大風にて雨降四ツ時
《割書:大名衆江戸ニ而|玄米買立候ニ付》  地震雷もやう一時計にて風止雨降
《割書:俄ニ引上候よし百文|ニ五合売》
《割書:廿二日|四十三度》  明方地震快晴終日快晴夕方ゟくもり
 夜五ツ時ゟ下町紙町←近江屋と申そばや裏
 店ゟ出火裏通角迄焼候よし表四丁目ハ近江
 屋ハ丸やけなはやするかや表見せハ塗屋ニ
 候間残り勝手ハやけ候よしするかやハ勝手
 も残り候よし
廿三日 明七ツ時より小雨降出ス丑寅の風に
《割書:穀町ニ而|籾弐斗弐升位》 て終日雨強七ツ時より雨止
《割書:廿四日|四十一度》  大霜氷はる快晴九ツ過より西南風夕

    方雷もやうニ而雨ふる夜中ハ殊之外
    晴さむし
廿五日 霜ふる快晴七ツ時より俄ニ夕立もや
    うにて西風少し内吹ほろ〳〵雨直
    やむ至極快晴ニ成ル
《割書:廿六日|四十二度》  霜ふる東の方少しむら雲あり終日天
    気快晴七ツ時ゟ西南風西の方ニ夕立
    もやう有夜中殊之外晴暖気
《割書:廿七日|五十度 》  朝より快晴終日天気よし七ツ時少々
    むら雲
《割書:廿八日|五十五度》  朝花くもり春色十分なり四ツ時むら
    雲夕方ゟ曇
廿九日 朝よりくもり南風吹暖気四ツ半過よ
《割書:今日ゟ所々番 |所町役人詰候處 》り南大風ニ而八ツ半時迄極大風夫よ
《割書:日の内ハ御免ニ|なる夜中ハ是迄 》り小雨にて少々風静ニなる夜ニ入四
《割書:之通詰ル》  ツ時より又々雨風明方迄つよし
《割書: |桜 盛》
《割書:晦 日|六十四度》  朝より至極快晴暖気七ツ時ゟくもり
《割書:三月中|続而いわし漁》 夕方大くもり暮六半時より俄ニ雷雨
《割書:事更ニ無之候|得とも不景気》 つよし五ツ半時止
《割書:ニ而粕買人も水戸へハ参り不申無拠皆々安売いたし申候》

 拾四〆五百目位入之俵ニ而壱俵三分位前売
 市中ハ此節商売なしにて大難渋
 絹糸少々ゆるミ 両ニ六十五目位上州辺ニ而
 府中辺銅銭五〆弐百文位之よし
 他領ハ府中辺笠間辺通用銭六〆四百文
 水戸御城下ハ通用せん六〆五百文
 奥福島辺玄米五斗五六升
 絹糸九十両位少々下落
 真わた弐百五十目位上もの

 彦根にてハ三月二日御城下ゟ出火にて丸や
 け町家へも火移り焼候よし
 猶又去冬彦根へ蛍出候よし旁不思儀有之候
 と申事

《割書: |きのへ未》 《割書:節用》閏三月《割書:大》
《割書:昨日三月中也|朔 日》 朝より快晴終日天気よし至極長閑な
《割書:六十一度》  り暖気
《割書:二 日|五十八度》  朝より快晴九ツ過より南風吹夕方迄
《割書:二三日いわし|漁事有之粕》 風つよし夜八ツ時より雨つよし暖気 

《割書:ニハなり不申 |候》 なり
《割書:三 日|六十二度 》  朝よりくもり南風吹四ツ時雨降八ツ
《割書:籾少々ゆるミ |壱分ニ弐斗三四升 》半過より雨止
《割書:麦米百文ニ|九合五勺》
四 日 霜ふる快晴明方地震終日至極暖気な
    り
五 日 朝より快晴ひや〳〵いたし終日天気
    よし
此度年号万延と改元被
仰出候事
右之通今日御達ニ相成候事
《割書:六 日|五十五度》  朝花くもり四ツ過より南風吹出四ツ
《割書:此節江戸表 |金類大不印》 半時より雨ふり風は止終日雨降夜中
《割書:草文小判百両|ニ付三百五両》 も雨強八ツ半過より雨止
《割書:草小粒弐百八十両位》
《割書:七 日|五十八度》  朝よりむら雲北風吹四ツ過より止暖
    かなり
八 日 朝より快晴暖なり明六ツ時地しん終
《割書:菜種花盛》  日快晴
《割書:九 日|五十五度》  朝むら雲薄曇北風吹九ツ過より風止

《割書:十 日|四十八度》  朝さむし快晴四ツ過よりむら雲北風
《割書:三ノ丸柵町通|夜中通行不》 吹夜ニ入四ツ半過より終日雨降
《割書:相成旨御達出ル|柳堤計通行諸士以上ハ断ニ而通行致候様御達》
《割書:十一日|五十四度》  宵より小雨ふる終日雨ふり夜中も雨
    ふり
十二日 宵より雨朝小降ニなrう明方より南風
    吹七ツ過より雨風とも止夜中殊之外
    むしあつし
《割書:十三日|六十二度》  朝大くもりむしあつし終日持合
 《割書:古領米|南郷米 》  〆四斗五升     町米 四斗七升
 糯 米  四斗四六升    水戸大豆 六斗弐升
 高浜大豆 六斗三升     同 小玉 六斗
 水戸小豆 五斗五升     大 麦 石三斗
 小 麦  八 三四升    菜 種 六斗
 仙台廻米 四八五
 地水油  廿七両      故广油 三十四両三分
 荏 油  廿八両三分    銭 六〆七百五十文
《割書:大坂》水 油  四百七十七匁  《割書:大坂》金  七十六匁五分
  壬三月八日出
十四日 朝くもりむしあつし五ツ過ゟてり立

《割書:六十四度|八時七十三度》  軽暑なり八ツ半時よりくもり夕方よ
《割書:初鰹  |来ル》   り雨ふり南の方少々雷声雨強
《割書:十五日 |五十度》   朝小雨ふる北風吹終日小雨ふりさむ
《割書:初時鳥 》   し夜中も雨
十六日  宵より雨ふり北風にてさむし終日終
     夜雨降
《割書:十七日|四十三度》   宵より雨ふり北もやうさむし七ツ時
     より雨止夜ニ入晴
《割書:十八日|四十三度》   朝より快晴さむし
十九日  朝より快晴さむし四ツ半時ゟむら雲
     追々曇り終日持合
《割書:二十日|五十五度》   朝よりくもり六ツ過よりほろ〳〵雨
     終日雨南より辰巳かゝりの風吹夕方
     雨風とも止
二十一日 朝よりむら雲四ツ時位より八ツ時位
     迄西風強夜中も少々吹出
《割書:二十二日|四十九度》   朝より快晴さむし七ツ時よりくもり
     七ツ半過ゟ晴
二十三日 朝より快晴終日天気よし
 閏三月十七日

 安藤対馬守殿ゟ貞阿弥を以御城付共え一帋
 ニ而相渡候書付之写
 神奈川御開港外国貿易被
 仰付候ニ付諸商人共一己之利徳ニ泥ミ 競而
 相場糴上り荷元を買〆直ニ御開港場え相廻
 候ニ付御府内入津之荷物相減諸色払底ニ相
 成諸人難義いたし候趣相聞候ニ付当分之内
 左之通被
 仰出候
  一 雑穀      一 水油
  一 蝋       一 呉服
  一 糸
 右之品々ニ限り貿易荷物之義ハ都而御府内
 ゟ相廻候筈ニ間在々ゟ決而神奈川表へ積出
 申間敷候尤も貿易之御仕法相改候義ニハ無
 之候間御府内問屋共方え積付候荷物之内買
 取貿易致候義不苦候右ハ御府内御用之品潤
 沢之為メ被 仰出候義ニ候条国々荷元ニ而
 其段相心得貿易之分も見込成丈ケ御府内へ
 多分荷物積廻候様可致候万一右触面之趣相

 背候者有之ハ無用捨吟味之上厳重之処え可
 申付候
 右之通御料之御代官私領ハ領主地頭ゟ不洩
 様可触知者也
   壬三月
 是ハ御達ハいまた此方へハ不出沙汰之写な
 り廿七日ニ此表へハ御触出ル
《割書:廿四日|五十六度》  朝薄くもり暖気八ツ半過より雨ふり
    終夜雨降
《割書:廿五日|六十弐度》  朝くもり戌亥風五ツ過よりてり立夕
《割書:今月初比ゟ栗|崎二階堂ニ稲》 方よりくもり南もやうにてむし
《割書:荷の流行神出来候而参詣人夥しく出候よし》
《割書:廿六日|六十度 》  朝よりくもり四ツ過より折々てり立
    夜五五【本のまま】時地震
《割書:廿七日|六十二度》  朝薄くもり五ツ半時より晴むしあつ
    し
《割書:廿八日|六十度 》  朝より快晴夕方西ノ方くもり夜五ツ
《割書:今日も鰹|少々来ル》  時俄雨ふり直やむ
《割書:廿九日|五十五度》  朝より快晴終日天気よし
《割書:五六日已前より磯湊辺いわし漁事少々ツヽ有之大いわし壱束|城下ニ而今日抔ゟ弐百八十文位ニ下ル》

《割書:晦 日 |三拾九度》  朝より薄くもり夕方より小雨ふり夜
《割書:甲子》   四ツ時より丑寅より南風にて雨風明
《割書:会津城下玄米|八斗八升位》 方迄つよし大嵐し也
 《割書:四五日已前ゟ鹿嶋浦より磯ミ なと久慈辺い|わし漁事有之大いわし油ものニ而壱玉七八》
 《割書:升ツヽ油出候よし夫故いわし高直ニ而壱盃|七百文位磯ニ而拾三〆位目方ニ而両ニ壱俵》
 《割書:弐分五厘商人取引相場是ニ而湊ニ而追々引|取候よし》
 今夜嵐にていそミ なと辺ニ而まくろ漁船五
 六船行衛不知死人も有之候よし
 仙台御城米鹿嶋浦にて難船致湊へ右船入津
 弐千俵余之内ぬれ千俵ほと有之候よし
 下町栗崎村二階堂之稲荷当月初より参詣之
 人夥しく出る一日三四千人位ツヽよしつ茶
 屋五十軒余も出来る殊之外霊験有之候よし
  是ハ当二階堂祖父之代上京之節伏見ニ閉
  門の稲荷之社有之候ニ付承り候所先年
  禁裏御焼失之節戸〆ニ相成居今以御免ニ
  不相成よしを咄有之候ニ付夫を二階堂貰
  受持参致候稲荷之由夫え小鶴の稲荷同居
  いたし候よし
  是ハ小鶴ニ而此節疫病殊之外流行致候ニ

  付御湯釜を上ケ候所村中稲荷の扱不宜候
  ニ付其神罸のよし相分り候よし

《割書: |きのと丑》 《割書:辛巳》四 月
《割書:朔 日 |六十五度》  明七ツ時ゟ雨止南風つよし明六ツ少
《割書:今日ハいそ湊|いわし漁事》 々過より風静ニなる晴照立天気ハ宜
《割書:余ほと有之|候よし》  候へとも四ツ時より終日南風つよし
    七ツ半時過より雷雨半時計にて止
《割書:ニ 日 |六十二度》  朝より快晴むら雲終日快晴にて軽暑
    位なり【以下「」内抹消】「夜五ツ時俄ニ大雨ふる直止」
《割書:三 日|六十三度》  朝より至極快晴軽暑なり
《割書:四 日|六十四度》  朝より薄くもり四ツ時小雨ふり直や
《割書:いそミなと|いわし大漁》 む又九ツ半時より雨直やむ
《割書:五 日|六十三度》  夜明方より雨ふり終日小雨ふり七ツ
    時より雨止南もやうむし
《割書:六 日|六十四度》  朝より快晴夜五時俄雨降大雨なり直
    止
《割書:七 日|六十三度》  朝より快晴ひやつき北風なり冷気な
    り
八 日 朝より小寒し明ケ六ツ時より雨降北
 

    風にてさむし夕方止
《割書:九 日|六十ニ度》  朝よりくもりひや〳〵七ツ時より雨
    ふり出し終夜雨ふり
《割書:十 日|六十三度》  宵より雨ふり四ツ時より止九ツ時よ
    りてり立
《割書:府中玄米四斗八升|麦米七斗五六升ゟ八斗》 少々下落也
十一日 朝より快晴八ツ過よりむら雲七ツ半
    時夕立直やむ夜中同様
《割書:十二日|五十九度》  朝よりくもり夕方より雨ふり終夜雨
十三日 朝より雨降五ツ半過より晴照たち終
    日天気よし
《割書:十四日|五十九度》  朝より快晴終日天気吉
十五日 朝より快晴四ツ時より薄くもり八ツ
    時より小雨降直やむ快晴
《割書:御田楽見合せ|十六日》 朝より快晴軽暑なり
《割書:六十五度|五月之節》
一此度吹立被仰付候新小判壱分判弐分判弐
 朱金共四月十日ゟ通用可致候尤も有来金
 銀取交請取渡方両替屋とも無滞通用可致
 候

一保字正字小判壱分判并弐分判弐朱金共新
 小判弐分判壱分判弐朱金と引替候筈ニ候
 条引替御用相勤候者共方え差出引替可申
 候
一武家其外共町人相対ニ申付引替御用相勤
 候者共方へ差出為引替新小判壱分判弐分判
 弐朱金とも両替ニ付切賃之儀前々之通り
 より相心得取継可致事
 右之趣可被相触候
 右之通御書付出候間町中不洩様早々可相触
 候
   四月九日     《割書:町年寄》役 所
 此度古金御触出候ニ付則別帋ニ相写奉入 御
 覧候昨日ゟ引替相始り申候御触面之通引替
 ニ相成候へとも切賃保小判百両ニ付六拾五
 匁相掛り申候外金共切賃ハ格別之相違ハ無
 之文【草書体の文】字類抔ハ聢ト相定り候義ニは無之候得
 共右引替相始り候事ゆへ是迄とハ余程出直
 ニ相成候尤も今日拙店ゟ引替候文【草書体の文】壱歩三百
 七両之割ニ而引替仕候

   四月十二日     丁 吟
《割書:御祭礼御見合|十七日》  朝薄くもり九ツ時よりてり立暑気夜
《割書:六十八度》   ニ入五ツ半時より雨ふり
《割書:入梅    |十八日》  朝より小雨ふる四ツ時地震薄てり
《割書:六十七度》
十九日  朝くもり折々薄てり終日持合
 四月十二日出
 御触後両替屋ニ而引替相場
   《割書:保小判百両ニ付三百弐十八両|〃壱分同   三百両》
 《割書:今日之相場日々少々ツヽ相違御坐候|外金ハ保之わり合ニハ参り不申候》
   《割書:真文小判   三百三十両|  壱分   三百十五両》
   《割書:  弐分   弐百七十五両|草文小判   三百十五両》
   《割書:  壱分   三百両|  弐分   弐百六十両》
   《割書:弐朱金三両付 但百両ニ付|弐分金七匁五 分付》
 十四日出飛脚水戸へ十五日ニ着
   《割書:真文小判   三百四十両|  壱分   三百廿五両》
   《割書:  弐分   三百両|草文小判   三百三十両》
   《割書:  壱分   三百弐十両|  弐分   弐百九十両》
   《割書:保 小判   三百三十両|  壱分   三百十五両》
  右今日引替之相場ニ御坐候
 十五日昼後江戸

   《割書:真文小判   三百六十弐両|  分    同 断》
   《割書:  弐分   三百四十弐両|草文小判   三百四十弐両》
   《割書:  壱分   同 断|  弐分   三百十三両》
   《割書:五両判廿枚ニ付弐百七十三両|亨保金 五百六十四両》
   《割書:慶長金 五百四十八両》
続而いわし漁有
《割書:廿 日 |七十度 》   宵より小雨ふり四ツ時より晴俄ニ南
《割書:大山辺より石塚|辺の茶アメリカへ》 風吹出ス七ツ時より風止夜中雨つよ
《割書:交易ニ相成候よし|江戸より買人入込》 し
《割書:廿一日 |七十三度》   朝よりくもり五ツ時小雨直止あつし
《割書:壱結拾両位いたし|居候所十七八両位》 折々雨ふる
《割書:廿三(  二カ)日 |六十八度》   朝より快晴終日天気夜ニ入くもる
《割書:廿三日 |六十七度》   朝くもり五ツ時より雨ふり終日雨夜
《割書:鰹沢山ニ参ル》  中も雨つよし
《割書:魚油湊ニ而拾四両弐分位|地粕壱俵三分》
廿四日  朝くもり四ツ時ゟ天気ニ成ル八ツ時
     ゟてり立
《割書:廿五日 |六十五度》   夜中より雨つよし冷気ニなる終日雨
     七ツ時より北風にて雨風とも夜中ま
     て強

 昨廿四日南北横町御先手同心ニ而源太郎と
 申彫物師自分之子六才之男子と三才之女子
 とを殺し自分にて咽を突貫死ス乱心のよし
《割書:廿六日 |六十五度》  朝よりむら雲終日薄てり冷気
廿七日 朝よりむら雲|軽(マヽ)終日天気よし
《割書:廿八日 |七十度 》  朝よりくもり終日くもり空ニ而持合
    雨ふり
《割書:廿九日 |六十七度 》  朝よりくもり終日くもり空ニ而持合
    夜中雨ふり
 爰元紅花気配之義追々御承知可被遊と奉存
 候当春来存外不景気尤も絹縮面前代未聞之
 大高直ニ而染地至而無数候故紅花不揃然ル
 處当三月江戸表之変事相聞候ニ付尚々不人
 気ニ相成紅染物一圓無之依而紅花底抜直段
 ニ相成相庭何程と難相立候へ共御在京御荷
 主方并仲ケ間内見切売直を以当時大略相庭
 則左之通
   水戸   《割書:五拾弐三両ゟ|四拾両前後》
   早庭   《割書:五拾三両ゟ |四拾両前後》
   南仙   《割書:五拾七八両ゟ|四拾四五両迄》

   奥仙台  一切取引なし
   最上   《割書:四拾弐三両ゟ|廿四五両迄》
   近国花  《割書:三十両より|十弐三両まて》
   〆当時在荷凡
      七百結計
 右之通御座候間御勘考可被下候扨御荷主方
 不怪大損金実以御気之毒千万奉存候最早当
 月末比ニ至り候ハヽ紀州大和其外近国新花
 とり込候付弥以古花望人無之候平年は新紅
 花出高増減二而直立ニも拘り可申義ニ候得
 とも近年ハ兎角見込相はづれ不平之年柄ニ
 而御互ニ思案之外之時節ニ候得は当夏紅花
 御仕入直段深ク御考被遊宜敷御賢慮可被下
 候尚又御仕入紅花御荷物不相替下店へ多分
 御出荷奉願上候精々相働キ御仕切可申上候
 先ハ右様子申上度艸々如此ニ御坐候
                恐々謹言
   四月二日     吉文字や
               彦二郎
               《割書:茂 七|宗 七》

    大高儀衛門様
      御店衆中様
        参人々候事
   大坂諸相庭
 一那波黒砂糖   壱匁八分三厘
 一新玉黒砂糖   弐匁壱分
 一富士三盆    五匁三分
 一初 花印    三匁六分弐厘
 一生 蝋     弐〆百目
 一さらし     四匁六分
 一坂上繰わた 《割書: 玉縁》弐〆八百目
 一肥後米     百三拾匁六分
 一筑前米     百三十四匁弐分
 一中国米     百弐十九匁
 一水 油     四百七十三匁
 一大坂金相場 《割書: 晦日》七拾七匁弐三分
 一京 同   《割書: 〃 》七拾四匁壱分
 一保 小判    弐百九十壱両
 右之通御坐候間御考可被下候以上
   四月        吉  彦

 当所追々江戸表ゟ茶買人入込候而当節大引
 上ケ壱結四十〆目にて弐十弐三両位

 百銭六〆六百文  銅銭五〆五百文位
 時鳥殊之外多し

   《割書:壬午》五 月 
《割書:きのへ午|朔  日》  朝よりくもり終日曇夜八ツ過より終
    夜雨ふり
二 日 宵より雨降終日雨降夜中も終夜雨つ
《割書:小泉え遣候 |お菊事今朝 》 よし
《割書:五ツ半時安産女子出生|おミなと付ル》
《割書:三  日|六十五度  》 朝くもり五ツ半時よりむら照北風終
《割書:紅花口切|五月中》  日くもり空ニ而持合
四 日 朝よりくもり四ツ時より薄てり終日
《割書:紅花壱〆目 |八百文位》 持合夜ニ入雨ふり
《割書:七十五度|五  日》  明方迄雨ふり五ツ時小雨四ツ半過よ
《割書:今日御祝儀|不申上御機嫌》 り照立暑気むら雲土用中之暑気位な
《割書:伺として物頭|以上上下ニ而出ル》り七ツ時ゟ俄ニ風立暮六ツ時雨ふり
《割書:紅花壱〆目 | 壱〆文余》 雷弐三声

《割書:六  日|六十八度》  宵より雨降北もやうにて冷気九ツ時
    より雨止夜ニ入又々雨ふり
 井伊も廿九日家督無相違相済申候同日松平
 和泉守殿御役御免ニ相成申候跡青山下野守
 出可申との沙汰ニ御坐候浅草観音いまた開
 扉中追々新工風見せもの出来申候江戸表も
 金銭逼迫ニ御坐候さた実ニ世の中詰りと申
 候事此節相わかり申候
《割書:七  日|七十三度》  朝くもり五ツ時より快晴夕方より曇
《割書:水花| 壱〆弐百文位 》暑気なり
八 日 朝より快晴夕方よりくもり暮六ツ時
《割書:七十三度|八ツ七十九度》 より雨ふり
《割書:九  日|七十二度》  宵より雨ふり終日雨ふり冷気なり
紅花昨日ハ壱〆弐百文一昨日ハ青柳壱貫四百
六文台渡壱貫四百文国井辺壱〆五百文位七分
八分位ニまわり候よし如何ニも高直
《割書:十  日|六十八度》  宵より小雨ふり冷気なり終日雨強夜
《割書:銅銭此節壱両|五〆五六百文位 》五時地震終夜大雨
前中納言様ニ而殊之外銅銭他所え出候を御お
しミ被為遊候由ニ而市中相応之ものハ夫々ニ

囲置候様御内達有之候得共是迄他所相場宜候
間追々出候よしニ而当時ハ品更ニ無之候事
十一日 宵より大雨降四ツ過より折々南風強
《割書:市中え|御用金出ル 》 雨止むしあつし九ツ時より大南風吹
    折々小雨追々大南風夜四ツ時少し静ニ
    なる又九ツ時より大辰巳風雨なし終
    夜大嵐
十二日 宵より辰巳風強明方より南風ニ而天
《割書:八ツ時八十五度 》気なり南風つよし九ツ時迄風つよし
《割書:両三日已前ゟ|茶買人追々入》 暑気夜ニ入くもり
《割書:込上壱結三十五両古内十八両古内茶拾壱斤ニ相成候|古今珍敷相庭なり》
《割書:十三日|七十五度》  宵より雨降四ツ半過より止折々晴南
    風折々強夕方より南風夜中も終夜風
    つよし月折々見ゆる雨なし大風なり
《割書:十四日|七十七度》  宵より南風つよしむら雲五ツ過より
《割書:はんけしやう》 風少し静ニなる又々大南風吹出し八
    ツ時迄風つよし夫より小雨折々ふる
    七ツ七分位ニ地震ゆる夜ニ入雨ふり
《割書:十五日|六十七度》  宵より雨降冷気なり四ツ時ゟ丑寅の
《割書:府中|玄米四斗四升》 風にて冷気終日雨ふり夜中も雨風な

《割書:大豆五斗五升|銅銭四〆四百文 》り
《割書:土浦辺より佐原辺続而之雨ニ而植付出来不申候よし》
十六日 宵より雨丑寅風冷気なり終日艮風強
《割書:わた入あわせ|なと重着》 夕方より雨風とも止殊之外冷気
《割書:十七日 |六十度 》  朝よりくもり冷気終日曇空にて持合
    冷気丑寅もやう
《割書:十八日 |六十二度》  宵より小雨ふり丑寅の風にて冷気
藤代飯田三右衛門忰徳平事八ヶ年已前病気ニ
而宿へ参り夫よりとふ〳〵参り不申候龍ヶ崎
え婿ニ参り居候所此度立而申訳有之本田や万
助ゟ玉川兵蔵殿相頼申訳有之候ニ付昨日出入
相済し候事
《割書:十九日 |六十五度》  朝よりくもり雨なし四ツ半過よりて
《割書:六月節 》  り立暑気むら雲
《割書:廿 日 |七十度 》  朝きり雨ふりむしあつし折々照立終
《割書:トル銀江戸表|大下落三十六匁 》日持合夕方ほろ〳〵雨直やむ
《割書:米四斗四升 |百文五合五勺  》茶大下落之よし
《割書:廿 一日|七十三度》  朝くもりむし暑し四ツ過よりてり立
《割書:八時八十四度|江戸》 暑気風なし夜中迄大暑凌かね候程也
《割書:本才田十三俵|赤穂  九俵》

《割書:廿二日 |七十五度》  朝くもり暑気也少々風あり昨日より
《割書:八時七十八度》 も凌よし夕六ツ過より雨ふり
 江戸表へ御触之写
 外国銀銭目方七匁以上之分壱分銀三分通用
 之積於銀座極印打渡候間無滞通用可致尤銀
 銭取持致居候者は銀坐へ指出極印受取可申
 旨去ル末十二月相触置候所通用不弁之趣相
 聞候間向後右銀銭重目軽目極印有無ニ不抱
 丁銀之振合応時相庭を以取遣可致尤不相当
 之相庭相立申間敷候事
一諸上納物之儀も是又相庭ヲ以可相納候
 右之通相心得五月十三日ゟ通用可致候
 右之通可被相触候

 江戸表此節弐朱金百両ニ付十両位付候由保
 金等十五日ゟ御引替御休保判今日取引三百
 三十両草文真文引替なし
   五月十八日出
  《割書:古領米|南郷米》〆四斗四升 《割書:町米 四斗五六升|糯米 四斗四六升》
  《割書:水戸大豆  六斗ゟ|同 小玉  五斗八升 》  《割書:水戸小豆四斗八升》

  《割書:大麦  石五斗     小麦   九斗ゟ|菜種  六斗五升    仙台廻米 四斗八升》
  《割書:地水油 二十七両    上々白油 廿六両弐分|故广油 三十六両弐分  荏 油  三十両壱分 》
  《割書:銭   六〆七百五十》
  《割書:大坂二日出水油四百七十両 金六十七匁五分》

    大坂新種垂口
     河内吉田計見
  《割書:岸 種 五分|本田種 五分》〆干種壱石ニ付
  昨未年弐斗壱升五合
    粕三〆六百目物六拾四匁
  八十八夜ゟ四十日目
   当申年垂口弐斗弐升
 右之通大坂ゟ申来候間御達申上候以上
《割書:廿三日 |七十四度》  朝くもり冷気四ツ時より雨ふり壱時
《割書:磯粕両壱俵三分|五厘十月勘定ニ 》計にて止晴八ツ半時俄大雨半時計に
《割書:松坂屋引受候ニ|付右ヲ相場見当 》て止
《割書:ニ相成甚買入ニ不宜候》
《割書:廿四日 |七十四度  》 朝より快晴暑気むら雲終日暑気夜ニ
    入曇あつし
《割書:弐朱金又々百両ニ付昨日八両付ニ而売候もの有之候》 

廿五日 朝薄くもり五ツ時よりてり立暑気終
《割書:七十八度|八十九度》  日大暑也
 当年小麦当り候へ共此間中続而之雨天にて
 更ニ実入不申候大違作之よし
 綿も当年ハ不宜候よし当時壱〆六百目位絹
 いと上州辺八分ニハ出来候よしにて百目位
 まてニ相成候よし之所又々交易場へ向候よ
 し此節六十目ニ引上候由
《割書:廿六日|七十八度》  朝より快晴大暑風なし四ツ時地震終
《割書:八ツ過九十二度 》日風なしにて大暑
《割書:廿七(庚 申)日|七十八度》  朝薄くもり晴終日暑気つよし夜中迄
《割書:初 伏|八ツ時八十八度 》晴れ
廿八日 朝よりくもり五時はら〳〵雨直ニ止
《割書:七十八度|八十五度》  てり立暑気つよし
《割書:油魚拾六両弐分》
《割書:廿九日|七十八度》  朝より快晴大暑なり終日暑気強夕方
《割書:小麦府中辺九年|下たて  同断 》西之方ニ夕立もやう雷声あり

   《割書:癸未》六 月
《割書:ミつのと亥|朔 日》  朝より快晴大暑昼後より少々風あり

《割書:七十九度|九十度》  夜中迄暑気強
二(甲子) 日 朝薄くもり五ツ時ゟ薄てり四ツ時ゟ
《割書:八十度 |九十度 》  快晴大暑七ツ半時より夕立雷雨六ツ
《割書:新宅次平|母死八十ニ才》 半時止
三 日 朝よりくもり四過よりてり立大暑凌
《割書:八十度 |九十度 》  かね候程なり
《割書:四 日 |九十弐度(八十度) 》  朝より大暑風なし終日大暑なり
《割書:五 日 |九十度(八十度) 》  朝きりふる五ツ半時よりてり立大暑
《割書:籾弐斗四升ゟ|  五六升迄  》夕方より雷声五ツ時迄雨ふる
《割書: |六月中今暁八ツ一分》
六 日 朝より快晴八ツ時位より雷雨半時計
《割書:七十九度|八十七度》  にて止又々夕方より雷声雨つよし四
《割書:泉町大和や五郎兵衛|裏物置へ雷落る》 ツ時地震雨止
《割書:七 日 |七十七度》  朝より快晴涼し夕方よりくもり昼八
《割書:八十七度》  ツ時地震ゆる暮六時ゟ雷声ニ而五ツ
    時ゟ四ツ時迄之内雷雨風ニ而やむ
《割書:八 (中 伏)日 |七十四度  》 朝よりくもり終日くもり空にて暮し
    よき方なり
《割書:九 日 |七十三度》  朝むら雲五ツ時ゟてり立涼し丑寅風
    にて終日涼気
  

《割書:十 日 |七十四度》 朝よりくもり五ツ時はら〳〵雨ふる
   昼比又々雨ふる折々雨降夕方より辰
   巳風強大雨雷声八ツ過止
《割書:十一日 |七十四度》 朝より快晴終日快晴ニ而夜ニ入薄く
   もり夜|ツ(マヽ)八ツ過より雨ふる
《割書:十二日 |七十三度》 宵より小雨ふる冷気四ツ時ゟ晴終日
   天気よし冷気也
 去月ホルトカル人渡来是も通商ヲ乞候事
 と奉存候交易の事も少々六ヶ敷哉ニ候得共
 此事計ニは甚困り申候事ニ御坐候追々諸品
 高直ニ相成候ニ付都下も一圓ニ困り候様子
 ニ御坐候
一紀州御家老水野土佐守
 公辺ゟ慎隠居被仰付候旨儀如何ニ候哉不相
 分候得共同人妹事慎徳院様御妾ニ相成居《割書:長|吉》
 《割書:麿様御実|母之由》当時ハ御切髪ニ相成居候由之處御
 懐妊之沙汰申候處実説と相見先達而御自害
 被成候由右等之事ニより候欤と申沙汰ニ御
 坐候併派きゝ之土州右様相成候ニ而ハ
 幕府も可変之萌も御坐候事ニ奉存候

一御簾中様御妊身被遊去月廿七日御袖留之御
 祝御内々被為在候何卒鶴千代様御出生ヲ奉
 祈候事ニ御坐候
一御茶詰之もの一昨日帰り申候大垣辺は洪水
 之由井伊領民共徒党いたし御壺え及乱妨候
 積ニ而竹鑓等拵多人数押出候ニ付鎮撫之役
 人等数人罷出通行之道筋宿々相堅メ居候趣
 ニ御坐候矢張人気立居候事と奉存候
一嵯峨之釈迦追々参詣人多き趣此節所々祇園
 引続山王祭邸外は賑やか之事と奉存候いま
 た御門禁ニ而いかにも指支申候
   六月四日      園  部
《割書:十三日 |七十度 》  朝くもり五ツ時ゟちら〳〵雨冷気也
《割書:上下御町え|御用金被仰付》 終日薄てり
《割書:十四日 |六十七度》  朝より快晴むら雲涼しき方也夜中も
《割書:八ツ時七十六度|八ツ時 地震  》久し振ニ而月夜晴涼なり
《割書:十五日 |七十度 》  朝より快晴暑気つよし八ツ時ゟむら
《割書:八時八十二度(昼七十六度)|月蝕 四分半》 雲出ル夜中迄大暑なり
《割書:十六日 |七十八度》  朝薄くもり暑し四ツ時よりてり立大
《割書:八十七度》  暑八ツ時北の方より雷声雨なしにて

    直ニやむ快晴夜中も殊之外晴大暑な
    り
《割書:十七日 |七十八度》  朝より快晴大暑八ツ半時より俄ニ雷
《割書:九十一度|雨なし雷二而》 もやう半時計もやう雷声ニ而雨なし
《割書:下町辺所々落る|怪我人有之候よし》夫より夜中晴
《割書:十八日 |七十八度》  朝より快晴終日天気よし大暑也夜る
《割書:八十八度》  迄あつし
《割書:十九日 |七十四度》  朝より快晴暑五ツ半時より曇四ツ時
《割書:八十五度|当月七日宇都宮 》俄ニ大くもり北風吹出雷声九ツ時止
《割書:大雷八ツ時より夜|五ツ時迄古今大雷》八ツ時よりてり立夜中もむら雲
《割書:十二ヶ所落雷ニうたれ不申音二而死候者六人気ぬけニ相成候もの余ほと|有之候よし》
《割書:廿 日 |七十七度》  朝より快晴暑気終日大暑也夜ニ入ち
《割書:八十五度》  ら〳〵雨降
《割書:廿一日(七月節七ツ四分)|八十度》  朝よりくもりむしあつし終日暑気風
《割書:八十八度》  なし
《割書:廿二日 |七十五度》  朝より快晴あつし終日暑気七ツ時よ
《割書:八十七度》  り雷声夕方雨少しふる直ニやむ
《割書:廿三日 |七十七度》  朝より快晴暑気つよし七ツ時位俄ニ
《割書:八十八度》  くもり大雨降半時位にて直ニやむ晴
廿四日 朝より快晴終日快晴にて涼し夜ニ入 

《割書:七十六度|八十度 》  涼し
《割書:二十五日|八十四度(七十弐度)》  朝より快晴夜ニ入涼し
《割書:廿六日 |八十八度(七十三度)》  朝より快晴終日大暑ニ而風なし
《割書:廿七日 |八十八度(七十六度)》  朝より快晴暑気
《割書:末 伏》
《割書:廿八日 |八十七度(七十八度)》  朝より快晴残暑強夜中迄残暑つよし
《割書:廿九日 |七十九度》  朝くもり五ツ時より晴大暑終日暑気  
《割書:八十八度》  つよし
《割書:三十日 |八十五度(七十八度)》  朝よりくもり五時より薄てり丑寅風

   《割書:甲申》七 月
《割書:朔  日(ミ つのへ巳)|七十八度》  朝より快晴残暑つよし夜中まてあつ
《割書:八十九度》  し
《割書:二  日|七十八度》  朝よりくもり丑寅風終日持合
《割書:今暁八ツ時|小泉え遣候娘おきく当五月二日安産女子出生》
《割書:致其後続而血症ニ而相煩居候所二日明八ツ時|ニ相果申候四日ニ本行寺へ葬》
《割書:三  日|七十度 》  朝よりくもり冷気終日曇天ニ而冷気な
    り
 土浦仕切直段       小川相場
 一町米 四斗六七升    一町米 四斗七八升

 一大豆 六斗四五升    一町米 六斗七八升
 一小豆 五斗       一小豆 四斗七八升
 一小麦 《割書:七斗ゟ|六斗七升 》      一小麦 《割書:上七斗|並七斗四五升》
 一搗麦 六斗四五升    一搗麦 六斗六七
 一種  五斗五六升    一種  五斗七八升
 府中
 一町米 四斗七八升
 一大豆 六斗七八升
 一小豆 五斗壱升
 《割書:一小 麦  七斗一弐升|一搗 麦  六斗五升》
 江戸六月廿八日出     三州白
 《割書:一古領米 |一南郷米 》〆四斗六升     《割書:古新  五反三分五厘|改メ  六反三分五厘》
 《割書:一町 米  四斗七八升|一糯 米  〃    》       《割書:造   八反六分|銘   七反六分 》
 《割書:一水戸大豆 六斗弐升  |一同 小玉 五斗五六升 》       名古や生白
 《割書:一高浜大豆 六斗三|一水戸小豆 四斗五六 》       《割書:壱   四反六分五厘|二   五反弐分五厘》
 《割書:一大 麦  石三斗   |一小 麦  七斗弐三升  》      《割書:三   五反八分五厘|四   六反四分五厘》
 《割書:一菜 種  五斗八升 |一仙台廻米  五斗》       《割書:五   七反五リン |六   七反五分五》
              《割書:七   八反五リン》
 《割書:一地水油 廿九両弐分|一麻油  三十六両三分 》       大坂廿一日出
 《割書:一荏 油 三十五両弐分|一銭   六〆七百五十》       《割書:水油  五百廿四匁|金   七拾壱匁》

四 日 朝より快晴暑気強夜中迄あつし
《割書:今日小泉え遣候お菊事本行寺え葬年十九才》
五 日 朝より快晴暑気風なし大暑夜中迄あ
    つし
六 日 朝より快晴終日暑気つよし
《割書:七 日 |七十八度》  朝より快晴残暑強夜中まであつし
《割書:七月中朝五ツ五分》
《割書:八 日 |七十七度》  朝もやたつ快晴終日残暑強
九 日 朝より快晴少々風あり
《割書:十 日 |七十弐度》  朝より快晴終日冷気ニ而快晴
《割書:十一日 |七十一度》  朝より快晴冷気折々くもり終日空も
《割書:才田塩引上ケ|ミナトニ而両ニ九俵 》める折々夜中もくもる丑寅の風少し
《割書:赤粕両十五〆目位  |壱俵三分五厘》吹
《割書:十二日 |七十五度》  朝七ツ時ゟ丑寅にて雨少しふる五
    ツ時雨又々少しふく夕方迄丑寅風吹
    七ツ時より南風ニなる暮方雑と雨ふ
    る夜中月夜なるあつし
《割書:十三日 |七十八度》  朝より快晴残暑つよし九ツ半時ニ俄
《割書:八十五度|今七ツ時真壁ゟ 》ニ雨ふる直てり立夜中まて晴
《割書:母大病之よしニ而飛脚来ル|おとよ同夜直ニ出立》

《割書:十四日 |七十五度》  朝より快晴折々むら雲大暑夜中迄残
《割書:八十七度》  つよし
《割書:十五日 |七十三度》  朝より至極穏ニ而快晴残暑つよし実
《割書:八十五度|弐百十日》  ニ今日の厄日ハ至極穏ニ候而夜中迄
    極聖天折々むら雲
《割書:十六日 |七十四度》  朝より至極快晴暑気殊之外つよし夕
《割書:下町穀町新籾(八十三度)|壱分ニ四斗百文 》方俄雨ふり直止夜中も殊之外晴夜ふ
《割書:新米七合六勺ゟ八合 |古米今日ゟ七合》け又々雨少しふる
《割書:十七日 |七十八度》  朝きりふる残暑つよし四ツ時よりむ
《割書:八十三度|今日八ツ時真壁 》ら雲九半時ゟちら〳〵雨降直止晴七
《割書:木村六郎兵衛母|相果候飛脚来ル 》ツ過より又々雨直止夜中もむら雲
《割書:同夜八ツ時》
《割書:十八日 |七十八度》  朝より村雲南風吹八ツ過迄風吹終日
《割書:八十五度》  むら雲残暑強
《割書:湊辺白米引下ケ両ニ白米五斗弐三升|才田塩追々引上両八俵位》
 昨夕方より新吹壱分銀弐朱ニ通用当十四日
 昼時ニ江戸表え御触出候と申説有之所持致
 居候もの俄ニ騒立銭買又ハ何品ニても有合
 之品を買立新壱分にて払候所いつれも追々
 聞伝候而皆々所々逃ケニ差出候へとも中々
 近手ハ如何ニも大騒ニ而いつれも逃兼当節

 皆々商売休ミ 居候
 公辺にて御吹立之品直下ニ御触出候訳ハ有
 之間敷とハ存候へとも今日ニ相成候而も実
 説不相分今ニ皆々心配致居候全ク江戸表へ
 右様之御触出候事ニも候ハヽ国乱之基と存
 候間いつれ浮説と相見申候
十九日 朝より快晴村雲残暑強八ツ半時ゟ雷
《割書:七十九度|八十六度》  声雨少しふる七半時止ム又々夕雨少
    しふる
 今夕方御町方御役所ゟ
 壱分銀之儀弐朱ニ相成候事ハ全ク浮説之よ
 しやはり壱分ツヽに通用可致様御達出る
廿 日 朝よりくもるむしあつし終日大暑夜
《割書:七十七度|八十五度》  中迄あつし
 同日暮六ツ半時頃表庇外雨落際用水桶前へ
 四五十日程も育候と相見之男子極古キ破れ
 紺襠之子供袷へくるミ縞の同古袷を畳枕ニ
 致捨置候ニ付拾ひ取直ニ乳相尋候所常葉裏
 通見川屋太十妻当月六日出産いたし子とも
 ハ無之よし承り候ニ付早速本田ヤ庄衛を以 

 懸合候所世話いたし呉候趣ニ付一ヶ月金壱
 分弐朱ツヽにて相頼申候事 名ハ捨太郎と付ル
《割書:廿一日 |七十七度》  朝よりむし暑し五ツ半時俄雨ふる直
《割書:笠間真壁辺(八十四度)|白米百文六合》 快晴大暑九ツ時又々俄雨ふり又晴八
《割書:当年女人にても |富士え登山出》ツ時又々雨降直止七ツ半時俄ニ大雨
《割書:来候年之由 》 直止夜中殊之外ニ晴
廿二日 朝よりむら雲四ツ時より折々むら雨
《割書:七十七度|八十五度》  ふる残暑つよし九ツ時大雨直止八ツ
《割書:八月節 |暮六ツ八分 》 時雷雨半時計にて止夕方又々雨ふり
    夜中も折々雨ふり
《割書:廿三日 |七十六度》  明方より雨ふり冷気なり終日雨降北
    風にて冷気
江戸柏屋孫左衛門より下町井筒屋伝六え飛脚
 仕立飛脚を以奉申上候兼而御地より仕立飛
 脚を以御尋問被下候新吹壱分銀之儀其節一
 向風聞無之趣申上候処只今ニ相成俄ニ風聞
 種々致候間其段不取敢御届ケ申上候聢と致
 候義相知レ申候ハヽ又々仕立飛脚を以可申
 上候風聞ニは明日欤明後日ニハ聢と相訳り
 可申様ニ御坐候間先答不取敢御案内申上候

 以上
   七月十九日夜四ツ時認メ
             柏屋孫左衛門
               五郎兵衛
一又々仕立飛脚を以御案内奉申上候新吹壱分
 銀之儀金弐朱ニ下落ニ相成候趣風聞種々致
 候趣昨廿日早朝より請払又は買もの売もの
 迄一切不致商内休同様ニ御坐候而小まいの
 もの甚タ差支困入候処昨夜中々の厳重之御達
 ニ相成候得ハ最早今朝ハ何事も無御坐候平
 日同様御坐候此段御安心精々御取立被遊可
 被下候先ハ右之段不取敢御案内奉申上候以
 上
   七月廿一日     柏屋孫左衛門
               五郎兵衛
   御触之写
           《割書:小口年番》名 主 共
一壱分銀之儀相場下落可致哉之趣浮説いたし
 両替并商内向見合候由以ノ外之事ニ付右様
 之儀更ニ無之候間通用無差滞可致候此上同

 様不取留儀申触両替其外差支候儀於有之ハ
 厳重之及沙汰候条心得違致間敷候旨市中不
 洩様早々可申達
 右之通於御番所被仰渡候御組合限り月行事
 持場へ早々行届候様御取計可被成候以上
   七月廿日《割書: |夜八ツ時出ル》   小口年番
《割書:近年稀成大風 |廿四日 》 夜八ツ時位より北風吹出雨風とも強
《割書:破損潰家等|夥敷出来候》  明方より丑寅の風吹出追々雨風ともの
《割書:千波大水ニ而|柳堤通行不成 》 強ク吹降九ツ時よりいよ〳〵大西風
《割書:鼠町船ニ而通|行水門裏見附辺》 大雨大嵐ニ成ル夕方迄稀なる大嵐に
《割書:ゟ荒神橋辺|大水馬口労町 》 て夕方雨風とも静ニなる又々夜ニ入
《割書:片町松坂屋弥|平長屋弐十間余》 北風にて降出夜八ツ時雨風とも止
《割書:新家ニ出来候所家根不残垂木とも吹とられたるに小羽板等不残飛散|其外ニ所々潰家土蔵土落等ハ数不知》
《割書:下金町八百屋惣十土蔵の二重家根不残吹落さ|れ土蔵まわり土落其外所々潰家数不知嵐中家》
《割書:根小羽板を吹飛し候事千鳥の飛かことく其上ニ|瓦を飛し吹荒おそろしき事ともなり》
《割書:二十五日|九ツ半時八十四度  》朝くもり五ツ過よりてり立快晴暑気
    ニなる終日天気にて夜中涼し
廿六日 朝より薄くもり涼気丑寅の風折々薄
《割書:才田塩壱俵 |代壱貫匁》 照ニ而夜中ハ至極晴
《割書:六十七度半》
 当廿七日ゟ廿九日迄

 威公様【水戸藩初代藩主徳川頼房】弐百回忌ニ付御停止普請ハ御当日計
 鳴物ハ是迄御停止中ニ付別段御達は無之候
《割書:廿七日 |六十九度》  朝より曇冷気九ツ半過雨降半時計に
    て止八ツ時又々小雨直止ム
 比藤才金辺ニハ七八人程も悪ものとも山籠
 いたし居昼ハ山ニかくれ居夜ハ山より下候
 而村々をさわがし夜盗押借等ニ持込古今ニ
 払窓之由見世懸方之ものも野口ニ而留られ
 候ニ付引返し候
 太田郷ニ而国安村一ヶ村ニ而十六軒里川の
 水俄ニ出水押流され死人も六七人有之其外
 村々野水押出流家死人数不知
 真壁辺山々ぬけ候而大石砂等押出し潰家死
 人等有之候よし
 川和田辺俄ニ大水押出し平戸車屋床上弐尺
 余も上ケ俄之事ニ而箪笥其外諸道具等衣類
 迄不残水入ニ相成候由又沢わたり車屋押流
 され橋迄落る仙波よりびつこ町通大水ニ而
 通用不相成
 中川ハ存之外水も出不申候へとも流家余程

 有之候よし
 小鶴辺にて通用宍戸川も余ほと出筏ニ而通
 行長岡迄船ニ而通行
 笠間高橋町向ニ四五軒家有之候處塩子辺山
 ぬけ一度ニ押出不残右家押流され候よし
 《割書:泉町いせや富衛門酒蔵十八間之土蔵当春中|出来候分此度の風ニ而七八寸も前に押出候》
 《割書:よし》
廿八日 朝七ツ時前より南風吹折々雨晴曇不
《割書:七十八度|八十一度》  定夕方風止むしあつし快晴残暑つよ
《割書:庚 申 》  し
 小川大高川岸より書状
 飛脚を以啓上仕候昨廿四日之大風雨ニ而御
 城下ハ如何御坐候や当地ハ稀なる満水ニ而
 門蔵え水押込六尺余之水丈ケニ付何れ之蔵
 々えも一圓水入是迄何ケ年ニも覚無之由老
 人とも之噂ニ御坐候併思之外ニ手廻候而諸
 荷物等多分之濡流失等無之様ニ被存候へハ
 此段御安慮奉願上候右ニ付風当之防キハ仕
 候得共少々宛ハ破損も有之候事ニ御坐候へ
 ハ為念御案内申上候猶坐敷之床之上え醤油

 樽ニ而間ニ合其上え板壱束上ケ候而漸々相
 凌キ申候寔ニ稀なる事ニ御坐候先ハ取いそ
 き前後御読取奉願上候早々不備
   七月廿五日     井崎忠助
    大高様
     《割書:了 助様|十兵衛様》
 下町七軒町より壱町目辺天明年中之水位之
 よし北西の風にて廿四日一日之雨ニ諸々大
 水珍敷事ニ御坐候太田辺ハ下通りハ船にて
 通行のよし長岡より奥谷迄之間も船にて通
 行之よし江戸道中も諸々大木並木にハ根か
 へり又ハ中折等夥敷有之候よし
《割書:廿九日 |七十二度》  朝より曇りむしあつし四ツ時てり立
    暑気つよし
 当月十九日夕方ゟ新吹壱分銀之儀金弐朱之
 通用ニ相成候由風聞有之いつれも全ク之事
 と承知仕江戸中大騒動ニ有之翌日廿日右金
 引替之手段計工風仕候へ共両替屋ニ而ハ引
 替不申右ニ付諸品何よふ高直ニ而も買求メ
 候了簡ニ而直段ニ不抱商内有之候下店儀ハ

 廿日朝より右金心配なく受取申候所おあだ
 の引印得意迄遠方ゟ態々右金子持参仕仕切
 致候様ニ御坐候大丸三ツ中ハずん〳〵商内
 仕候伝馬丁ニ而も白子組ニ而も商内ハ不及
 申懸先キ迄右金子受取不申罷在候所廿日八
 ツ時ゟ追々悪説と相定り丸て狐ニばかされ
 候様ニ御坐候定而此程御地右様事ニ而御騒
 動可有之候哉も難計奉存候へとも何事も無
 御坐候壱分ハ壱分之通用致候間此段御承引
 可被成下候
   七月廿一日     松田長左衛門
 名古白       改正三川白
  一 《割書:四反七分|四反八分》      古新  五反五分
  ニ 《割書:五反弐分|五反三分》      改入  六反五分
  三 《割書:五反七分|五反八分》      銘   七反五分
  四 《割書:六反三分|六反四分》      造り  八反八分
  五 《割書:六反九分|七反  》    いせ晒
  六 《割書:七反四分|七反五分》      雲井  七反八分
  七 《割書:七反九分|八反  》      鈴か  七反六分
            〆上下 四分開き

 文【草書体】文【楷書体】御定ゟ《割書:十五両ゟ|十七両安 此節引替行届き不申候》
 保字《割書:判三百廿弐三両 而買人更ニ無御坐候|分三百十両》
 弐朱金百両え四両付 古壱分銀弐十五匁 洋銀廿七八匁位
 三州わた極々高直百八十両迄ニ相成候所今日ハ百六十三両位
 七月廿二日
 一《割書:古領米|南郷米》〆 四斗四升  一町米 四斗六升  一糯米 五斗一弐升
 一水戸大豆六斗五升  一同小玉六斗三升  一高浜同六斗六升
 一水戸小豆五斗弐三升 一大麦 石三四升  一小麦 七斗五六升
 一菜種  五斗四五升 一仙台廻米四七五
                    山や喜助
 当月二十四日方ニ夷人富士ニ登山願済候由
 当年女人も富士え登山出来候年之よしニ付
 余ほと所々より参候よし併七合目位迄ニ而
 夫より上へハ参られ不申候由
 二本松嶽の湯へ参り候もの咄ニハ当廿四日
 ハ嶽ニ居候へとも雨ハ朝五ツ時降出九ツ過
 ゟ八ツ時迄大雨風ハさほと吹不申帰り候節
 も竃の子辺迄ハ何の様子も無之竃の子より
 少々吹候様子ニ而棚倉辺より此方へ参り次
 第風雨とも強相見候と申候事

    八 月《割書:乙酉》
《割書:ミ つのへ戌 |朔  日》 朝より薄くもり残暑夜中迄あつし日
《割書:七十四度》  の中四ツ位よりてり立
《割書:二 日 |七十八度》  朝もやふかし薄曇り暑気つよし四ツ
《割書:鮭追々取レ候由 》過より照立大暑七ツ時より俄ニ大雨
    ふる半時計にて止夜中ハ快晴
《割書:甲子|三 日 》  朝より薄くもり終日曇天にて八ツ時
《割書:八ツ時七十八度 》少々東方ニ而雷声雨少々ふる夜中雨
    強
 一簡呈上仕候追日秋冷相成候處弥御揃被遊
 御機嫌克被為成御坐候御事奉恐悦候然ハ去
 ル廿四日大あらし御国表も御同様之御事ニ
 可有之御屋敷内も御長屋向等處々破損此表
 通ニ候ハヽ諸作物も障りニ相成候半如何ニ
 も心配仕候京都ハ大嵐中々大変之趣ニ御坐
 候アメリカ人富士登山御済しニ相成廿四日
 方登山ニ相成可申日とり故右様吹荒候抔世
 上之沙汰ヲ申候由候此表も敢而替り候儀も
 無之候へ共諸色之高直ニハ甚困り候事ニ御
 坐候町々も追々さびレ景色昨年と今年とハ

 田舎人之目ニも見候程ニ御坐候如何成世の
 中ニ御坐候や実以行末おもひやられ申候事
 ニ御坐候
一当時回向院ニ而彪の見せ物御坐候夷人持渡
 之趣ニ而珍敷迚見物人夥敷趣|正(マヽ)像錦画抔ニ
 も出来申候由御坐候御国ハ打続御静
 前様御慎解ニ相成候様仕度左候へハ格別御
 国之潤ニ相成候儀も可有之候半哉と奉存候
 他事又々可申上候早々申上候以上
   七月廿九日     薗部一次郎
《割書:四 日 |七十度》 朝よりくもり東風少し吹冷気終日雨
   少々ツヽ降
 早序当地之儀も去ル廿四日北風大荒吹大風
 雨ニ相成候所漸々夕七ツ時相止ミ申候籾米
 之儀何分品 折柄故 切引立相庭左ニ申上
 候
   七月廿八日     山屋喜助
 《割書:一古領米|一南郷米》〆四斗一升 《割書:一町米   四斗弐升|一糯米   四斗九升》
 《割書:一大豆  六斗四五升       一高浜大豆 六斗五升|一同小玉 六斗弐三升       一水戸小豆 五斗》
 《割書:一大麦  石三斗         一小麦   七斗弐三升|一菜種  五斗三升        一仙台廻米 四五五入 四斗三升》
     

   七月廿八日
 《割書:一地水油|一白 油》〆三十一両弐分  一《割書:こま油|荏漉油》 〆三十五両弐分
 《割書:一種 粕  本〆 九枚|      三八 十匁三分 》    一荏粕 十壱枚
 一坂水 三十三両壱分
   銭 六〆七百五十
 大坂十八日 《割書:水油 五百三十五匁|金  七十匁》
 江戸表
《割書: |雁来ル》才田塩壱両ニ七俵赤穂五俵ニ引上候趣
《割書:五 日 |六十五度》  朝よりくもり冷気終日北風にて折々
《割書:才田塩|壱升代八十文》 小雨降しけ模様夜中ハ西風吹折々雨
《割書:中川水川巾一盃 》ふり
《割書:六 日 |六十四度》  朝より曇北風小雨折々降しけもやう
《割書:ひがん|京都ハ百文 》 終日同様之模様ニ而冷気あわせわた
《割書:白米三合との沙汰|江戸ハ四合五勺》入なと着用
《割書:七 日 |六十五度》  朝より曇ほろ〳〵雨ふり冷気終日持
    合夜ニ入少しあつくなる夜中も曇
《割書:八 日 |六十七度》  朝より快晴夜ニ入くもり
 先月廿四日金沢山ゟ流れ出候山田川と申川
 一日之雨にて大水と相成金沢麓より薬谷国
 安迄之間ニ而家数六十軒余流失右ニ順死人

 も余ほと有之候よし是迄山田川水増候而流
 家有之候事ハ覚不申候との事昨年大田楽
 年廻ニ相当り候所御持合等有之延候所当年
 も相延旁両金沢権現御腹立ニ而金沢山もよ
 りハ如何様之晴天之日にても日々雷声有之
 候との事両金沢山ニ大昔より瓶え潮水を入
 置候分大田楽より大田楽迄之間水満々と有
 之候よし先日之廿四日ニ大雨ニハ不残右之
 二ツ瓶から瓶ニ相成候よし不思議之事と申
 説
《割書:九 日 |七十度 》  朝もや降五ツ時より快晴暑気風なし
    折々むら雲夜中迄晴涼
《割書:鰹沢山来ル|壱本三百五十ゟ四百文》
《割書:十 日 |六十度 》  朝よりくもり四ツ過より照立終日天
    気夜ニ入くもる
《割書:十一日 |六十度 》  朝よりくもり六ツ時より小雨ふり冷
《割書:新小豆七斗八升 |福大豆同断》気折々てり立四過より快晴むら雲夜
    中晴涼なり
《割書:十二日 |五十七度》  朝より快晴
 《割書:両三日已前下町穀町高せや柏屋鯉淵伊せ屋|出穀御停止之所御法を犯し候ニ付御目付方》

 《割書:より召捕ニ相成候よし蔵家財等ハ封印之由》
《割書:十三日 |五十八度》  朝くもり五ツ過ゟむら雲四ツ半より
    てり立終日快晴
《割書:十四日 |六十七度》  朝くもり六ツ半時小雨ふり直止五ツ
    時ゟてり立又々直くもる夜中至極晴
    涼
一当地木面成行之儀追々御聞及も被為在候通
 今日抔之取引誠ニ馬鹿〳〵敷事ニ御坐候先
 日差上申候三川より壱反口引〆罷在候何分
 品無数故何程高直ニ而も買人有之候間御持
 合之分極々御気強御捌キ可被下候且此度俄
 ニ染物直上ケ地染物薄花手拭地其外品々も
 此度一同ニ大直上ケあら〳〵取極ニ相成候
 よし薄花壱匁上ケ紺類壱匁五分鉄納戸皮色
 七分方黒さん五分方浅黄無地弐分いつれ其
 外之手拭三四分方之直上ケニ相成申候尤も
 阿州藍作凶作ニ付ての事ニ御坐候左様ニ候
 てハ末々如何相成候や心配仕候依而甚さし
 支候事故其前ニ鯨染并細川折悪取合壱結か
 た〳〵ニ而六箇御送り奉申上候間御預り置

 可被下候其内出府も可有之候間相場御見分
 之上ニ而御捌キ奉願上候白子組伝馬丁組ニ
 而ハ壱箇も品なし殊ニ白子組之本船取合九
 万弐千百も積込候白子松之助船と申弐千石
 積壱艘皆破舟ニ相成石町大三百五十箇油町
 大吉百三十一箇白木屋百七十五箇其外□□
 □【記号三つ】三ツ井木印仲印さの長大又岩木升屋近ミ
 尾張丁兼美寿や何レも七八十箇ゟ四五十箇
 の積高ニ而近年稀なる難船ニ御坐候右之義
 ニ付大キニ相場ニ抱り人気引立立申候四五日
 已前□【記号】白木岩木三ツ井抔ニ而いせ嶋名白三
 川白を伝馬町ニ而買立候故不残品切ニ相成
 申候いつれ入船無之候而ハ日々差支勝ニ御
 坐候間此段御含置可被下候
一横浜景気不印此節ハ交易ハ羅紗五良白生金
 巾日本ゟハ生糸夏白地中形計雑穀類一向様
 子相分り不申則左ニ
 極上々
  紫間 四拾八匁  紺間  四拾六匁
  緋間 四拾四匁  紺上間 四拾弐匁 

 同五郎二番ニ而間六匁安位
 此節羅紗安物沢山渡り申候へとも直印相分
 り不申候
 仙台糸 《割書:金花山|しころ一》《割書:ニ而》《割書:百斤ニ付|相場三拾匁の積り》
         《割書:大ドル五百枚》
     《割書:壱 箇  金百二十五両迄位|     異人買直ニ御坐候》
     《割書:江戸相場 金百拾両程》
 右成行荒〳〵奉申上候尚追々変候事も御坐
 候ハヽ御案内可申上と如此ニ御坐候
   八月八日      松田長左衛門
               喜  助
 尚々金巾
  生金巾  一はん  百弐三匁
       二    九十六匁
       三    九十匁
  《割書:五丈六尺物     四着取極上々|弐尺壱寸巾         七拾匁》
  唐雲才《割書:九丈六尺物  七着取|弐尺巾     百廿五匁》
  右五郎金巾則金取引相場ニ御坐候
《割書:十五日 |六十五度》  朝より薄くもり四ツ時よりてり立残
    暑夜中も殊之外晴る折々少々ツヽむ
    ら雲

《割書:十六日 |六十五度》  朝薄くもり四ツ時よりてり立
《割書:明八ツ前より|前様御大病之由ニ付御月番御年番衆御宅え御機嫌伺ニ出ル》
《割書:十七日 |七十度(六十三度)》  朝より快晴秋冷夜中迄至極晴
《割書:十八日 |六十五度》  朝より薄くもり四過よりてり立夜九
《割書:今日見せゟ江戸|仕込出立 十平 》ツ時より雨ふり七ツ時止
《割書:藤兵衛 民三》
《割書:十九日 |六十八度》  朝よりくもり暖気なり四ツ過ゟてり
    立夜中も快晴
《割書:二十日 |六十八度》  朝より小雨北風吹終日雨ふり夜中雨
    つよし
 前様御不例御養生として
 御城外
 出御不苦旨
 中納言様御機嫌為御伺近々御下り之義御伺
 相済候へとも
 前様御慎解之儀御歎願之上御解被為在候次
 第
 御下り之趣御達有之候事
《割書:廿一日 |六十三度》  宵より雨降冷気終日雨ふり
 《割書:今日上下御町へ御用金千五百両被|仰出候事》
《割書:廿二日 |五十四度》  朝よりくもり北風にて冷気九ツ時よ

    りてり立北風ハ不止八ツ半時地震動
    暮六ツ時地震動夜中も晴
《割書:廿三日 |五十三度》  薄くもり四ツ過ゟてり立終日快晴
《割書:廿四日 |五十二度》  朝より至極快晴さむし
《割書:中納言様今日|江戸御発駕》 《割書:今日七時夜通御飛脚来ル御延|引ニ相成候由》
《割書:廿五日 |五十度 》  朝より至極快晴冷気なり
《割書:廿六日 |五十度 》  朝より快晴終日天気
《割書:廿七日 |五十二度》  朝むら雲五ツ時ほろ〳〵雨直止終日
    持合南風吹
 中納言様昨廿六日朝七ツ時小石川
 御発駕
 同廿六日以
 上使久世大和守殿本多美濃守殿
 前中納言様御慎御免被
 仰出候趣御達
廿八日 宵より南風強明方止五ツ時雨ほろ〳〵
《割書:前中納言様|御大切之趣被仰出》直やむ終日むら雲夜中も同断
《割書:同夕方当廿六日ニ|御逝去被遊候趣被仰出候》
廿九日 朝くもり四ツ時ゟてり立終日上天気
《割書:今日|中納言様八ツ時位之御着城》

          《割書:布衣已上ゟ諸手代迄|髭月代ハ御三十五日迄》
          《割書:髭ハ御葬相済候迄》
   町触
前中納言様御所労之所
御養生不被為
遊 御叶一昨日廿六日子ノ中刻
御逝去被遊候ニ付鳴物音曲殺生普請武芸御停
止ニ候
一右之御儀ニ付昼夜立番出し火之元大切ニ申
 付町役人繁々相廻り万端厳重可申付候尤立
 番引候儀ハ追而可申達候
一御町馬之儀ハ此御時節遠方へ泊り懸ニ遣申
 間敷候勿論日帰り之儀ハ御構無之候間其旨
 馬持共え可申付候
一右之御儀ニ付武士小路計肴振売不相成候其
 外飴売笛吹之儀ハ御町内ニ而も
 御忌丈ケ決而不相成候尤
 御通棺御当日ハ御町内も肴ふり売不相成候
一居酒屋其外共に都而喧嘩口論物騒無之様万
 端屹ト相慎可申候

 右之趣銘々不洩様屹ト可相達候以上
   八月廿八日     飯村 次郎
 普請武芸ハ御三十五日御停止繕普請壁手入
 等ハ御三七日過候迄
 威公様御国ニ而御逝去《割書:御通棺上町御通行之由》
 義公様西山ニ而御逝去
 前中納言様御国ニ而御逝去
 此度
 御下国御供方千百五六十人程
 右ニ付御国元より無願ニ而御警衛ニ罷出候
 諸士三百人程も出候よし郷中よりも大勢出
 候よし

    九 月
朔 日 朝より快晴夕方むら雲西風少吹
《割書:二 日 |五十一度》  朝より快晴寒冷終日天気ニ而西風少
    し吹
《割書:三 日 |五十四度》  朝より快晴
 瑞龍山ニ御明地無之よしニ而昨日同所ゟ壱
 里程も奥ニ相成居候国見山と申所へ重役之

 御方御見分ニ御出被成候よし
 御手重ニ相成候ニ付矢張瑞龍山へ御葬ニ相
 成候よし
《割書:四 日 |五十五度》  朝よりくもり四ツ半過より雨ふり夜
    ニ入雨やむ
 当地昨廿七日暮六ツ時過猿若町一丁目中村
 座裏手茶屋より出火したし折節大南風ニ而
 忽チ焼広かり芝居三座茶屋も不残馬道新取
 越山谷之方へ焼抜ケ田町の方も少しやけ吉
 原ハ無難ニ御坐候同夜朝七ツ時比鎮り申候
 彼辺へ今日見舞ニ遣し場所見届参り候もの
 あらまし絵図面為認申候是ニ而宜敷御承引可
 被下候昨夜ハ荒気味ニ而度々大雨も相かヽ
 り候へとも何分烈風ニ而存外大火ニ相成候
 場末ニハ候へとも場所柄之出火ニ而大ニ騒
 立申候下店ハさしたる懸り合も無之候間乍
 憚御安慮可被下候田中辺ニ大高様御懇意先
 御坐候様兼而承及申候田中ハ一圓別条無之
 候間左様御承引可被下候尤も田中よし原も
 風下大騒は致候儀と奉存候芝居も此節三座

 とも興行出火之比ハいまたはねニ不相成見
 物人まて大心配いたし候儀と奉存候此度ニ
 而芝居も年之内ニ三度やけ候趣何卒已後
 静ニ致度乍序右為御知申上候
   八月廿八日    松 沢
《割書:五 日 |六十度》  朝よりくもり終日くもり終日曇空に
《割書:今夜江戸ゟ|仕入之もの返ル 》て持合
《割書:六 日 |五十九度》  朝より快晴
《割書:七 日 |五十八度》  朝より快晴夕方くもり
《割書:八 日 |五十八度》  明七ツ時雨ふる朝ハくもり終日雨ふ
    る
《割書:九 日 |六十二度》  朝よりくもる終日くもり夜中晴
《割書:十 日 |五十四度》  朝より快晴四ツ過よりくもり九ツ時
《割書:江戸俵|才田塩両七俵》 より終日雨降夜ニ入雨つよし
《割書:赤穂なし》
《割書:十一日 |五十四度》  朝より晴夜ニ入くもる
 《割書:桐生辺絹糸先月廿三日市ニハ五拾匁当月ニ|相成五十五匁ゟ六十目位迄壱固ニ付百両余》
十二日 朝よりくもり朝小雨少しふる直やむ
    終日くもり空にて持合
《割書:十三日 |四十五度》  朝よりくもり小さむし四ツ時よりて
    り立夜中殊之外晴

《割書:十四日 |四十七度》  朝より快晴夜中迄至極晴
十五日 朝よりくもり五ツ時雨ふり終日雨ふ
    る
《割書:十六日 |四十五度》  朝より快晴
 御尊骸来ル廿六日     右之御儀ニ付而
 御発棺上町通       ハ火之元別而大
 御通棺廿七日御葬穴相成  切ニ相心得支配之
 候条其旨可奉承知候    末々迄可被相達事
《割書:十七日 |四十六度》  朝より快晴寒し
 先月廿六日夜八ツ時薩州家赤銅御門と申所
 より駈入候諸士三十七人程天下之浪人と申
 名前ハ不相分候よしニ候へとも大概水戸の
 人と申説なり
十八日 朝よりくもり冷気
十九日 朝よりくもり冷気北もやう
廿 日 朝より快晴
廿一日 朝より快晴
《割書:廿二日 |五十度 》  明方より雨ふりさむし昼過ゟ止夜中
    殊之外晴
《割書:廿三日 |五十度 》  朝よりくもり夜五ツ時より雨北風吹

 五丁目本田屋嘉七忰常次郎事
 御下国拝見ニ先月廿九日ニ母と参り下町ニ
 而大福餅をたべ夫より痢病ニ相成嘉七事も
 右看病旁寐等致候而当月十一日より同病
 引受今廿三日恒次郎事明六ツ時相果嘉七事
 も同日明六ツ半時相果候
《割書:廿四日 |五十度 》  朝より快晴さむし
 烈公様御尊骸来ル廿六日五半時御供揃上町
 御通棺相成候綿服麻上下着用罷出候様御達
 廿六日太田え御旅宿廿七日 御尊穴
 今日松平因幡守様御使来ル下町宿
 其外御簾枝様方御使下町宿
《割書:廿五日 |三十六度》  霜ふる薄氷はる快晴寒冷なり
《割書:廿六日 |三十弐度》  大霜薄氷はる快晴なり
 今日四ツ時御出棺拝見人夥しき事
 御跡ゟ
 中納言様并御子様方御駕籠ニ而御供ニ立せ
 られ候
《割書:廿七日 |三十弐度》  大霜快晴さむし終日天気七ツ時北風
    吹

《割書:廿八日 |三十五度》  大霜快晴さむし夜ニ入くもる
 中納言様今日帰御
廿九日 大霜快晴北風ニ而さむし
晦 日(庚申) 朝くもり五ツ時ゟ晴西北風ニ而さむ
    し
 今日尾張様紀州様御使下町会所え着二日ニ
 下町え御引返し一夜逗留ニ而三日出立因州
 様御使ハ二日出立因州様御使者荒尾駿河と
 申人ニ而至極人柄宜敷人之よし讃州様播广
 様大学様大炊様其外喜連川等追々御使者来
 ル
    十 月
《割書:朔 日 |五十度》  朝よりくもり九時より小雨ふり直止
《割書:新籾壱分|弐斗四五升 》 七ツ半過より又々雨ふり夜ニ入雨つ
《割書:此節鹿嶋浦ニ|漁事無之》 より北風ふく終夜北風雨つよし
《割書:脊黒いわし壱万俵|計出来候よし》
《割書:二 日 |五十度 》  宵より明方迄雨風明六ツ時より止暖
《割書:中納言様今日|瑞龍え被為入三日帰御  》気快晴折々時雨雲にて西風少吹
《割書:三 日 |四十度 》  朝より快晴寒気
《割書:四 日 |四十三度》  朝より快晴暖気なり
 

《割書:五 日 |四十四度》  朝より快晴
 九月廿八日出
 《割書:一地水油 |一白 油 》 〆三拾八両      《割書:古領米 |南郷米 》〆四斗五升
 一故麻油 四拾両壱分     町米 四斗六七升
 一荏 漉 四拾壱両      新米 四斗八升ゟ
 一坂水油 三十九両弐分    糯米 四斗九升
 一銭   六〆七百三十弐文  大豆 六斗一升
 《割書:大坂廿二日出六百七十三匁  |     金七十匁》        小豆 四斗三升
 大麦 石三四升
 菜種 四斗九升        上総新米 五 弐
 小麦 七斗弐升        白砂糖黒砂糖共 大高直
 仙台廻米 四 九 五
六 日 朝くもり五ツ半時よりてり立暖気な
《割書:讃岐様 |大学様 》  り夜ニ入曇
《割書:播广様御使者昨日下町迄引返今日御立|菜種五斗四五升》
七 日 朝より快晴暖気終日天気よし
《割書:今五ツ半時過|中納言様 御発駕》此節魚油引上湊ニ而廿一両
《割書:八 日 |四十八度》  朝よりくもる暖気なり四ツ過より薄
    てり夜五ツ時ぢしん
《割書:九 日 |五十度 》  朝よりくもり五半時きり雨ふる九ツ

《割書:夜前裏隣|松葉屋與三 》 時ゟ雨止
《割書:郎へ抜身ニ而夜盗入與三郎家内鐚弐百文遣候而追返候よし》
《割書:十 日 |五十一度》  朝よりくもり五ツ半時小地震ゆる八
《割書: |又々前夜夜盗》 ツ半時より小雨ふる夜中も雨ふる
《割書:松葉屋へ入與三郎家内休ミ 居候處納戸入候ニ|付人かげを見付声をかけ候へハ起上り可申存》
《割書:候處を耳の後よりかた先キ辺迄手きづを受候|直ニ其夜ハ見せニとまりの人数置候ニ付聞付》
《割書:追出候よし》
《割書:十一日 |五十二度》  朝よりきり雨ふる夕方ゟ晴夜月夜也
《割書:又々松葉屋へ明七ツ少前位ニ夜盗入候處泊の|人有之追出候よし壱人の様子なり》
《割書:十二日 |五十二度》  朝より雨ふり終日雨ふり夜ニ入止
 相馬辺 玄米八斗位   小豆六斗弐升
     大豆八斗    小麦壱石弐斗
     水油壱升六百文 《割書:地塩  三斗六升入|壱俵  壱〆百五十文》
 上州辺         《割書:相馬ニ而ハ塩ハ沢山ニ|出来候よし》
   絹糸生糸五十目   糸入綿縞三十五六匁
   柳河紬四十五六文  御召縮面一反百匁
   京わた百文ニ十匁
《割書:十三日 |五十度 》  朝快晴五ツ半時より北風吹
 《割書:籾 弐斗五六升|大豆 七斗》   《割書:麦米 七斗弐升|籾上 弐斗四五升》
《割書:十四日 |三十三度》  大霜快晴寒気強終日天気さむし
《割書:厚氷はる》

《割書:十五日 |三十五度》  朝くもる四ツ時ゟ快晴さむし
《割書:十六日 |三十五度》  朝より快晴大霜ふる
《割書:十七日 |三十弐度》  大霜快晴終日天気よし
《割書:大坂兵庫辺此節|米四斗七八升ゟ五斗》
《割書:いわし粕引上両ニ拾四五〆より十六〆目|上方綿大不足木綿類追々引上申候》
《割書:十八日 |三十八度》  朝よりくもり終日くもり空にて持合
《割書:野口辺|新籾壱分ニ三斗位》夜ニ入五ツ時より雨ふり
《割書:追々引上弐斗七升》
《割書:十九日 |三十九度》  宵より小雨降終日くもり空ニ而折々
《割書:府中|酒米四斗四五升 》雨ふり夜ニ入四ツ時より大南風吹終
《割書:左原辺|玄米五斗位 》 夜雨風ニ而七ツ過止
《割書:二十日 |四十度 》  朝より快晴終日天気よし夜ニ入五ツ
《割書:信州身延山え願垂|之者参詣ニ参り帰》時俄雨ふり
《割書:候もの咄ニハ身延山ハ米壱升ニ付三百廿四文|江戸ゟ先ハはたこせん三百五十文》
《割書:二十一日|四十四度》  朝より快晴
《割書:二十二日|四十度 》  明方より雨ふり終日雨ふり北風もや
    うにてさむし
《割書:二十三日|三十七度》  朝より快晴
《割書:廿四日 |三十五度》  大霜快晴終日天気よし
《割書:廿五日 |三十六度》  大霜快晴寒気つよし少々西風吹
《割書:十一月節》

 《割書:籾上 弐斗三升ゟ|麦米 壱斗六七升》  《割書:江戸大豆 五斗八升|  小豆 四斗三四升》
 《割書:大豆 両七斗弐升|小豆 五斗八升 》  《割書:下館真壁辺| くりわた壱両ニ》
 《割書:菜種 六斗|わた百文ニ付十三四文》    《割書:壱〆弐百目》
《割書:廿六日 |三十一度》  大霜快晴寒気四ツ時地震九ツ半時地
    震
《割書:廿七日 |三十三度》  霜ふる快晴夜ニ入薄くもる
 十月廿二日出江戸ゟ
 白金巾木綿比節引上ルわけハドル相場先日
 中ハ三十弐三位ニ御坐候所此節三十六七ニ
 御坐候間都而交易品直段ニ拘り候よし極上
  百六七匁下百四五匁呉郎服ハ追々下落
 呉郎服一番
  紫  弐十両     海老色 廿壱両弐分
  紺  十九両弐分   紺春  十五両
  緋  十六両     青竹  廿弐両
  黄  弐十弐両
   弐番ハ都而弐両落
 木綿類大引上
 名古屋白
  五番 《割書:平の|浜》 五反五分  五番 《割書:磯貝|ひしや》 五反六分
     《割書:みの勘》

 三川白         いせ晒
  《割書:古新 四斗六分|改  五反》       《割書:なら和|雲 井》 六反壱分
  《割書:相銘 五反五分|造り 六反七分》       《割書:鈴か  六反| 上下四分開キ》
  《割書:相新 八反壱分》
一手拭地九月中出府候節ゟ
  《割書:晒 壱匁弐分高|染代 三分上ケ》       《割書:生桟桟【見せ消ち「機機」】留|  弐匁上ケ》
  《割書:〆 壱匁五分上ケ》
 薄花白九月中ゟ壱匁五分上ケ
 坂もの類《割書:うこん|茜無地》ヲのぞき外品一体 弐匁五分
 何品ニ不寄数払底ニ御坐候
 名古屋白一はん三反九分
 いせ晒《割書: |大利出             浜伝出》
  唐綾 四反五分    祇園 四反八分
  玉露 四反九分    唐崎 四反四分
 《割書:三川白銘五反四分ニ而今日壱万反ほといせ|丁寺本買入候よし》
 古金銀此節又々引替相始申候よし
 古壱分銀百両ニ付弐十匁
 古弐朱金百両ニ付七両弐分
 《割書:保字金壱人前五百両ツヽ壱両ニ付切賃七分|五厘ツヽニ而ずん〳〵引替申候》
 《割書:文【楷書体】文【草書体】惣して古金類一体ニ切賃なし先日御触|出之面ニ而何程ニ而も引替申候》

 先月中七〇位之手拭地八五位八〇位之品九
 五奥州筋近在客七弐七五位之江戸仕入いた
 し候所当時江戸ニ而九〇九五拾〇位迄ハ売
 渡申候右御含ニ而御欠引可被下候
   十月廿二日     松  田
  新綿番舟
   壱番  西田喜作舟
   弐番  小堀や祖七舟
   三番  小西米太郎舟
   四番  日野や喜七郎舟
    外ニ 五舟都合九舟
 大坂表当月十一日酉の刻出帆ニ而右壱番船
 昨廿一日巳之刻浦賀迄入船仕跡弐番三番ハ
 追々半時一時ツヽ延引ニ而と当着可仕候
  《割書:新わた|  坂上弐百弐十弐両位》
 右之通聢と治定不仕候へともあら〳〵相場
 申上候以上
   十月廿二日
廿八日 明前より雨ふり五ツ時ゟ四ツ時迄雨
《割書:黒砂糖|四十五両位 》 つよし折々北風暖気四ツ過雨止折々

《割書:魚油湊ニ而|弐十四両位 》てり暮六ツ時雷雨半時計ニ而晴
 烈公様御墓所え参拝之儀左之割合之通参拝
 可被致候但御用有之右日割参拝不相成候族
 ハ御用相済次第可被致参拝候
  十月十一日より十四日まて
   御連坐ゟ布衣已上
  同十五日ゟ十九日迄
   御籏奉行ゟ御留守居物頭迄
  同廿日より廿四日迄
   御郡奉行ゟ御規式已上平士
  同廿五日ゟ十一月十七日迄
   惣与力郷士
 右之通諸向へ御達出候事
 廿三日出土田公ゟ手帋之内
 此間四日市辺へ一寸薩广焼土瓶購候序ニ不
 図ふらすこ見当候間直談承り候所相応ニ大
 キナル□【図】如此なる形ちニ而随分宜しそふ
 成品一本ニ付弐匁と申候求候ハヽ壱匁五分
 ニも引可申や是らハ賊夷共多分齎参候故と
 存候猩々緋類も下直之方ニ御坐候併色よろ

 しからす候往来之貴賤如何ニも麁服ニ而矢
 張御地同様ニ小倉の袴ふと織紬類おゝく婦
 女子とも天鵞絨之帯しめ候ものあまり見当
 り不申其外諸品極々高直ニ而極上々樽ぬき
 大柿珍ほとニハ候へとも須田町果もの問屋
 前ニ而壱ツ七十弐文金弐朱文ニ十抔と申候
 夫ても用候ものあると見へ申候其外略
《割書:廿九日 |四十四度》 朝より快晴夜ニ入くもり
 吉原仮宅も根津本所え相済花川戸山の宿聖
 天町抔之通りを除ケ横町え出来候よし是ハ
 夷人之横行ヲ恐れ候より右様奉行所ゟ利解
 ニ相成との趣当時霜枯如何ニも不景気嵯峨
 之釈迦両三日已前ゟ伝通院え引移開扉相初
 申候よし

 府中辺他領都而酒造半減ニ相成候よし新玄
 米四斗六七升いたし居候所中妻辺ゟ都而五
 斗一ニ升ニ成ル
 当年ハ田作ハ下野辺ゟ真壁笠間辺七分位之
 作ニ候へとも直段ハ何方も高直

     十一月
朔 日 朝よりくもり北風さむし終日北風に
《割書:籾追々引上 | 弐斗弐升》 て夜ニ入雨ふり終日雨風なり
《割書:玄米五斗弐升》
二 日 朝よりくもり空北風さむし
《割書:今日ハ玄米| 四斗六升位》
三 日 大霜快晴寒気つよし
四 日 大霜快晴むら雲夕方よりくもり夜ニ
《割書:真壁辺| 玄米五斗弐三升》入雨ふる明方止
《割書:笠間同断》
五 日 朝よりくもり四ツ時よりてり立
《割書:穀町籾| 弐斗一升》
《割書:六 日 |三十弐度》  大霜快晴寒気つよし
《割書:七 日 |四十度 》  朝くもり四ツ時ゟてり立
《割書:八 日 |三十八度》  大霜降快晴
《割書:九 日 |三十五度》  大霜快晴寒気八ツ時ゟ北風つよし夜
《割書:南部殊之外 |払窓之よし 》 四ツ半時より雨ふり
《割書:十 日 |三十八度》  朝よりくもり四ツ半過よりてり立夜
《割書:楮壱結六両位|大高直》 ニ入くもり北風吹さむし時雨ふる
《割書:冬 至》
《割書:十一日 |弐十六度》  大霜大寒厚氷快晴西風終日吹夕方止
《割書:穀町追々引上|籾弐斗壱升》
《割書:十二日 |弐十四度》  大霜寒気つよし

《割書:野口辺大山辺|籾弐斗四升》  《割書:千波沼氷りはりつめる》
《割書:上州小豆百文五合   白米五合五勺|さつ手辺わり麦五合四勺》
《割書:何方も七分位之作わりニ候へとも追々直段ハ引上ケ凶年|同様之相場》
十一月七日出
 信州松本辺ゟ薄井峠辺
 一米 四斗六升五合  一大豆 五斗
 一麦 五斗      一小豆 四斗五升
 《割書:一善光寺操綿| 両一〆弐百目》       《割書:一絹糸上田上物|  両五拾八目》
 一松本九〆目入壱箇 百三拾五両
  スワ同断山まゆ三百拾目壱把七両取引
 一上田縞弐両ト申ものハ壱反もなし
 一嶋紬壱両壱分弐朱  水油九升五合
《割書:十三日 |三十度 》  大霜快晴寒気
十四日 大霜快晴夕方よりくもり
《割書:両三日已前ゟ鹿嶋浦ゟいそミなと辺いわし大|漁事有之候》
十五日 宵より雨ふり四ツ時より雨止又々降
《割書:宍戸辺|玄米四斗七八升 》出ス夕方ゟ快晴
《割書:十六日 |弐十八度》  大霜快晴寒気つよし
《割書:十七日 |弐十八度》  大霜快晴寒気つよし
《割書:今日穀町ゟ百文ニ|白米六合願出ル》  《割書:黒羽四斗入拾壱俵八分弐厘|白川平米五斗五升》
  

籾金納御相場拾七俵拾八俵と今日相立候由
《割書:十八日 |弐十八度》  大霜快晴
《割書:十九日 |弐十八度》  朝よりくもり時雨空にて九ツ時ちら
    〳〵雨ふり
《割書:廿 日 |三十四度》  朝よりあられ降八ツ時地震夕方地震
    暮方よりあられふる四ツ時快晴寒気
 十月廿一日京都仕出
  京都 《割書:米壱石ニ付金三両壱分弐朱|壱両ニ付弐斗九升六合ニ当ル》
  大坂 小売百文三合三勺
  江戸 《割書:十一月六日方ゟ|小売四合八勺 壱升ニ付弐百八十文》
  水戸 《割書:米三斗七升|百文 六合五勺》
 中納言様当三月中桜田一条ゟ御登
 城御指控ニ被為入候處当十一月十九日御登
 城被為遊候様御達有之候事
《割書:廿一日 |二十四度》  大霜寒気つよし終日天気よし
《割書:穀町籾弐斗〇五合》
《割書:廿二日 |二十七度》  大霜寒気つよし五ツ半時より風立西
《割書:龍ヶ崎少々ゆるミ |玄米四斗九升ゟ五斗 》風終日吹夕方止寒気殊之外つよし
《割書:土浦四斗七八升|府中四斗六七升》
《割書:廿三日 |二十六度》  大霜寒気強

いそミナト辺続而いわし漁事あり
《割書:廿四日 |二十六度》  大霜寒気強
《割書:廿五日 |二十八度》  大霜快晴寒気ゆるミ 四ツ時ゟ西風
《割書:夕七ツ弐分 寒入|磯ノ浜計にても粕五千も出来候よし》
《割書:廿六日 |二十五度》  大霜快晴八ツ過より初雪ふる夜中迄
《割書:平潟|玄米五斗弐升》 降四ツ過より明方迄雨ニ成ル
《割書:廿七日 |四十度 》  明方より快晴暖気終日天気よし夜ニ
    入八ツ過ゟ風吹
《割書:廿八日 |三十五度》  朝より快晴暖気終日天気よし
《割書:廿九日 |二十八度》  大霜快晴寒気つよし
《割書:晦 日 |三十一度》  朝よりくもり八ツ時よりてり立
仙台辺         南部
 玄米 七斗四升     玄米 六斗五升
 大豆 七斗弐升     大豆 六斗
 小豆 六斗       小豆 七斗三四升
此節            銭六〆八百文
 小銭殊之外払底    《割書:来酉年米| 高直之よし》
 《割書:正月之内巳午|三ツ有此年日照り 》      《割書:三月之内ニ| 卯ノ日三ツ有》
             《割書:米高直之よし》

    十二月

《割書:朔 日 |二十四度》  大霜寒気つよし終日天気よし
《割書:二 日 |三十度 》  朝よりくもり八ツ時より北風吹七ツ
《割書:夜中地震|弐度動 》  時より雷ちら〳〵終夜雪降北風吹
《割書:三 日 |三十度 》  宵より雪降る四ツ過より止暖気なり
《割書:四 日 |三十五度》  明七ツ前より雨降四ツ時より雨止
  江州辺
 米壱石ニ付銀弐百三十匁但七拾匁銀切
 大豆四斗入代金壱両弐分
 黒豆四斗入代金壱両三分余
 種相庭両ニ四斗弐升
  大坂
 米壱石ニ付銀弐百五十匁但七拾三四匁銀
 大豆壱石ニ付代金四両位
 種壱石ニ付代金弐両弐三分
 十一月廿八日江戸状
 仙台御払米
  廻米万四千五百俵四斗四升六合九勺
  本米五千百俵四斗五升壱合壱勺
  並米七千弐百俵四斗五升四合六勺
 一古領米 四斗三升  一水戸大豆 五斗

 一同古米 四斗一升   一高浜大豆五斗一升
 一南郷米 四斗三四升  一水戸小豆三斗三四升
 一同古米 四斗壱升   一大麦  石〇
 一町米  四斗五六升  一小麦  五斗五七升
 一同古  四斗弐三升  一菜種  五斗五七升
 一新糯  四斗四六升  一仙台廻米四八五入四斗五升
 一地水油 三十八両壱分
 一上々白油三十八両三分 一種粕《割書: 本〆》七拾五分
 一故广油 四拾五両弐分 一荏粕  九枚五分
 一荏油  四拾三両壱分 一銭 六〆六百五十文
  大坂廿八日出
    《割書:水油 六百八十六匁|金  七十弐匁七分》
《割書:五 日 |弐十九度》  大霜快晴寒気つよし夜五ツ時地震
《割書:ヱ油壱両ニ|     九升》
《割書:六 日 |弐十七度》  大霜快晴厳寒終日天気よし
《割書:七 日 |弐十六度》  大霜快晴厳寒終日天気よし
 《割書:黒羽 玄四斗六升|竈の子 四斗弐升》  《割書:宍戸 四斗五升|茂木 四斗八升》
《割書:八 日 |弐十六度》  大霜快晴寒気つよし
《割書:九 日 |弐十八度》  大霜朝よりくもり終日くもり空にて
《割書:外々作わり承|候所上方ハ不作 》夜ニ入雪少々ふる直止

《割書:関東ハ昨年ゟハ取増候よしニ候へ共|直段ハ昨年ゟ高直》
《割書:十 日 |弐十六度》  大霜快晴西風
《割書:十一日 |弐十三度》  大霜快晴寒気強し終日上天気夜ニ入
    雪降
《割書:十二日 |三十一度》  宵より雪降四五寸ほと四ツ時ゟ雪止
    八ツ時より快晴
《割書:十三日 |弐十一度半 》 朝より快晴寒気つよし
《割書:十四日 |弐十三度》  大霜快晴寒気殊之外つよし
《割書:十五日 |弐十三度》  大霜快晴寒気つよし
《割書:十六日 |三十度 》  朝より快晴
《割書:十七日 |三十弐度》  朝よりくもり暖気折々雪降夜ニ入雪
《割書:籾弐斗位|玄米四斗壱弐升 》おゝし
《割書:十八日 |三十一度》  宵より雪ふる終日雪降夕方止
《割書:大雪降|府中玄米四斗弐三升 》  《割書: |麦米四斗八升》
  《割書:小豆四斗六七升|大豆五斗二三升》 《割書:故广弐斗五升》
 《割書:当年は寒気殊之外つよく仙波沼氷はりつめ|る》
《割書:十九日 |三十二度》  朝より快晴終日持合夕方ゟくもり夜
    ニ入雨降
《割書:二十日 |三十六度》  宵より雨降暖気終日雨降夜五時ゟ晴
    月夜ニ成ル

《割書:廿一日 |三十六度》  朝よりくもり九ツ過ほろ〳〵雨夜中
    五ツ時あられ雨降
《割書:廿二日 |三十三度》  朝より快晴西風吹夕方迄西風強夜ニ
    入四ツ時より又々風立
《割書:廿三日 |三十二度》  大霜快晴寒気つよし四ツ時ゟ西風吹
《割書:笠間小豆三斗三升|  玄米四斗弐升》夕方まて殊之外風吹寒し夕方より止
《割書:  麦米四斗八升》
《割書:廿四日 |三十三度》  大霜快晴四ツ時より西風吹夕方止
《割書:節 分》
《割書:廿五日 |弐十九度》  大霜寒気つよし風なし
《割書:御扶持籾壱俵| 金弐分七百文》
《割書:廿六日 |弐十八度》  朝よりくもり寒気
《割書:今日より百文銭六〆六百文|小銭四文銭六貫文》
《割書:廿七日 |弐十六度》  大霜寒気強夕方よりくもり
《割書:十二月十八日より鉄銭四文銭通用初る》
《割書:廿八日 |三十五度》  宵より雨ふる九ツ過より止暖気也
 小銭并四文銭払庭ニ付釣銭ニも指支不少難
 渋之趣相聞候ニ付当分之内金壱両ニ付小銭
 四文銭取交六貫文百銭是迄之通金壱両ニ付
 六〆六百文通用無滞取引致候様支配切無洩
 可被相達候以上

   十二月廿五日    安嶋宗之介
    六ケ町名主当て
 酒壱升三百文ニなる
 百銭并鉄小銭等相場之儀先日相達候振も有
 之候處右ハ以前之通百銭鉄銭四文銭取交金
 壱両ニ六貫六百文ニ通用いたし候様支配切
 可相達候以上
   十二月廿八日    安嶋宗之介
    六ケ町名主当
《割書:廿九日 |三十六度》  朝よりくもり暖気南風吹夕方風止
《割書:晦 日 |三十八度》  朝より小雨降寒気ゆるミ 折々小雨夜
    中も同断
 江戸十二月廿二日出書状
 弐朱金百両ニ四両付
 古一分銀百両ニ三十匁付
 百銭壱両ニ六〆六百十六文
 〃 弐朱 八百廿六文
 四文小銭 六〆文
 〃 弐朱 七百四十八文
 《割書:鉄四文銭此度初而通用始る|十二月十八日ゟ》

 当暮ハ城下も別而諸品直高ク
 いも壱升四十文  《割書: |弐束五十入三束入も有》
 大根壱本廿四文  《割書:みかん壱箱|    拾壱匁》
 鴨男壱羽弐朱三百文位
  女壱羽弐百文落位
 塩引壱両ニ上八本
      中拾本
      下十弐三本
 するめも大高直

 一慶長小判   五百四十八両
 一元禄金    三百七十七両
 一享保金    五百六拾五両
 一文小判壱分  三百六拾弐両
 一文  弐分  三百四拾弐両
 一文【草書体】小判壱分  三百四拾弐両
 一文【草書体】弐分  三百十三両
 一五両判    五百七十三両
 一保小判    三百三拾七両《割書: |弐分》
 一同壱分    三百弐十五両

 一正宗小判   《割書:壱枚》弐両壱分三朱
 一正 壱分   《割書:壱枚》弐分三朱
 右之通江戸表へハ御達ニ相成候よし

          ◯【印、「昭和十二年十二月廿八日 購」】

巻10

L289.1 10 137
《割書:水|戸》大高氏記録  十

文久三
日記帳
癸亥年

 《割書:寒暖計は朝五ツ時をしるす也|暑中は八ツ時も印申候》

  文久三癸亥
   正月 小 甲寅月
   年徳あきの方巳午の間万よし
《割書: |つちのえ申やふる》
元日    夜九時ゟ雨降寒気ゆるみ夜明方ゟ
《割書:三十五度| 》   小雨四ツ時ゟ北風吹九ツ過雨風と

     も止
《割書:つちのと酉| あやふむ土》
二日   明七ツ時ゟ西風強吹快晴明方風止
《割書:三十度| 》   寒気夕方迄少シツヽ風吹

 正月中朝四時ハト日の出ゟ日の入迄
   《割書:昼四十五刻半|夜五十四刻半 》 六ツゟ六迄《割書:昼五十刻半|夜四十九刻半》
《割書: |かのえいぬなる金》
三日   大霜快晴寒気つよし四時ゟ西風吹
《割書:弐拾四度| 》
四日   大霜快晴寒気つよし風なし七ツ時
《割書:三十四度| 》  よりくもり夕方ゟほろ〳〵雨夜ニ
《割書:所々梅花咲| 》 入雪ふる五ツ地震四ツ時地震五ツ
     半時雪止
五日   朝より快晴終日天気むら雲出ル
《割書:三十度| 》
六日   大霜寒気つよし終日快晴
《割書:二十四度| 》
七日   朝よりむら雲四ツ時より薄曇終日
《割書:三十一度| 》  薄くもり空

八日   朝より薄くもり五ツ時地震夜五ツ
《割書:四十度| 》   時地震
九日   朝より薄くもり四ツ時より照立
《割書:三十三度| 》
十日   大霜寒気強終日天気【「つ」を見せ消ち】よし
《割書:四十度| 》
十一日  大霜快晴緩気
《割書:三十五度| 》
十二日  大霜快晴寒し
《割書:三十五度| 》
《割書:庚申|十三日》   朝よりむら雲寒気ゆるみ快晴
《割書:四十度| 》
  殊之外佛忩ニ而在々所々夜盗押借等有之
  候よし
十四日  朝より薄くもり四ツ時ゟ快晴
《割書:四十三度| 》
十五日  朝むら雲西風吹終日西風強夜四ツ
《割書:四十度| 》   過風止
十六日  朝より薄くもり寒気西風吹寒夜中
《割書:三十五度| 》  は殊之外寒気つよし

《割書:甲子|二月節》
十七日  大霜快晴寒気つよし
《割書:二十八度| 》
十八日  大霜薄くもり寒気つよし九ツ過小
《割書:二十八度| 》  雨直止夜六ツ半時ゟ雨降終夜久し
     ふりニ而雨降

十九日  宵より小雨丑寅風少し吹四ツ過ゟ
《割書:四十三度| 》  雨止夜五ツ過より雨降

  江戸初相庭     正月五日
一古領米        一府 中  四斗六升
     〆四斗五升
一南郷米        一古 郷  四斗七八升
一糯 米  四斗四五升 一同古米  四斗六七升
一水戸大豆 五斗五升  一水戸《割書:小玉|大豆》 五斗三升
一高浜大豆【豆の左に黒点】五斗六七升 一水戸小豆 五斗四五升
一大 麦 ・石三斗   一小 麦  六斗
一菜 種  四斗六七升 一寒川米  四斗五升
一仙台白米 四斗七升

  三川白
一古新  四反【「匁」を見せ消ち】八ト  一改  五反三ト
一銘   五反八ト 入(五カ)  一造  六反八ト
  名古白
一五番  五反壱ト
    上下是迄之通並ニ御座候
一いせさらし
一鈴鹿  六反      一なみ和六反壱ト
一雲井  六反弐ト
 手拭類旧冬ゟ大分高
一三州上銘百八十九両
一坂上銘 百八十六両
一京丹州 百八十壱両
一大 和 百六十五両
一篠 巻 壱〆四百五十匁
  正取引  《割書:五両安|五十目引》

一地水油  三拾九両三分
一上々白油 三拾八両壱分
一胡麻油  三拾九両三分

一花 油  三拾九両壱分
一種 油《割書: |本メ》六拾四ト
一並    七拾四ト
一白胡麻《割書: |本メ》六拾三ト
一エらす  八拾枚
一黒胡ま  十枚五ト
一残    六〆八百分
大坂廿五日出
  水油  八百廿四ト
  重   八十四分
一赤穂塩  四俵八ト
一才田塩  七俵五ト
一新才田  八俵
 捗 小 六〆弐百文
   当 六〆七百文

廿 日  霜ふる快晴終日快晴北風ふく
《割書:四十度| 》
《割書:廿一日|三十度》  大霜快晴寒気つよし
廿ニ日 朝より薄くもり終日くもり空夜ニ

     入八ツ過より雨強し
廿三日  朝より雨つよし暖気なり明七ツ時
 《割書:毛利様ゟ|烈公様御拝》 地震九ツ時ゟ雨止北風吹
 《割書:御使者物頭桂小五郎と申者来ル下町御会|所両夜泊瑞龍山拝相済 毛利家之使ニは》
 《割書:同勢少キよし五六人之よし|  》
廿四日  朝より薄くもり西風吹終日持合夜
 《割書:四十五度| 》  ニ入折々雨ふり
廿五日  朝より薄くもり暖気
 《割書:五十一度| 》
《割書:廿六日| 四十七度》  朝より快晴暖気夕方ゟくもり
廿七日  明七ツ時ゟ雨降北風ニ而寒し夕方
     止
  南部様え御入輿ニ相成候
  松姫様御事南部え御下国ニ相成候ニ付此
  度 水戸 御城え御着ニ相成一夜御逗留
  ニ而廿八日九ツ時ニ御出立ニ相成候よし
  御供方四百人程之由御家老は弘道館え御
  留メニ相成其余は町宿也
廿八日  大霜余寒強快晴
 《割書:三十四度| 》

  江戸表ゟ文通之よし正月廿二日出
  御上洛もいまた江戸町方へは御触も無御
  座候得共二月廿六日比と内々武家方へは
  御沙汰も御座候よしニ及承候松平春岳様
  も明日抔御出立と申事ニ御座候早春より
  金銀両座吹まし被仰付日々両座ニ而六万
  両ツヽ出来両座へ這入込候はたらきの者
  未明ニ相詰暮ニならては引取ニ相成不申
  候此度は御物入仰山なる事と奉存候先々
  当時之処町方何事も無御座至極穏ニ御座
  候

廿九日  朝より薄くもり終日くもり空にて
 《割書:三十五度| ひかん》  持合

  江戸米少々下落五斗弐三升
   油も下落
   玉子此節壱ツ六文位之よし
   水戸ニ而は十文余
  府中玄米五斗弐三升

【右ページ空白】
《割書: |   乙卯》
    二月
《割書:ひのと| うし》
朔 日  朝よりくもり終日くもり空にて持
 《割書:四十三度| 》 合
二 日  朝よりくもり北風ニ而さむし四ツ
 《割書:三十八度| 》 時ゟ小雨夕方止殊之外さむし
《割書:春分|三 日》  大霜快晴さむし
 《割書:三十五度|つくは大雪》
  明日ゟ

  御上洛御供之御家中水戸ゟ追々出立
  鉄炮幷甲冑持参

四 日  霜降快晴終日天気よし
《割書:三十五度| 》
  今日御供之御家中江戸表へ余ほと出立
五 日  霜降快晴
《割書:三十五度| 》
  今日も追々発足

  桜田ニ而相果候面々え昨日左之通被下候
  よし
      弐人御扶持  蓬田市五郎
      三人御扶持  高橋太一郎
      弐人御扶持  杉山弥一郎
      白銀十枚   静  長官
      金 拾両   鯉淵要人
      金 五両   山口
      金 三両   森山繁之介

《割書:初午|六 日》  朝より快晴南風
《割書:三十五度| 》
  今日も御諸士中御登り毎日四五千人ツヽ
  人足とも昼夜江戸表迄道中筋人馬とも毎
  日引続居候よし
  昼四ツ時天王町大場五右【「郎」を見せ消ち】衛門出火ニ而
  御本家御長屋とも不残焼而飛火ニ而向の
  御屋敷も壱軒焼る
  御上洛御供ニ而御父子様とも御留主【「守」を見せ消ち】

七 日  明方雨降直やむ五時より快晴ニ而
     暖気
八 日  朝よりくもり暖気四ツ時ゟ辰己風
     吹雨降出八ツ過より折々辰巳風強
《割書:今日迄ニ御供之|御方大体御国は》 夕方より南風とも強夜ニ入南大風
《割書:出立ニ相成候よし| 》 雨つよし四ツ時地震終夜雨風ニ而
     明方雨止
九 日  六ツ半時より小雨南風吹雨直やむ
《割書:中川水増| 》  風は終日折々吹嵐もやうなり暖気
     なり

十 日  明方より雪みそれふる昨日と相返
《割書:四十三度| 》  殊之外さむし北風
十一日  大霜殊之外寒気つよし終日快晴
《割書:三十三度| 》 なり
十二日  大霜ふる寒気也
《割書:三十五度| 》
  大子辺旧冬は玄米四斗八升位いたし候所
  此節六斗四五升ニ下落候よし
  一昨日大宮もより鷹の巣村と申米屋え夕
  方浪人体のもの弐人長キ刀を抜持込金子
  を借候【「を借候」を見せ消ち】様申如何ニも強勢ニ而【「座敷」を見せ消ち】
  座敷【「も」を見せ消ち】迄も抜身ニ而這入候所親子三人之
  内弟は【「内」を見せ消ち】裏ゟ表へ廻り右浪人の後へ廻り
  首を打落候処残壱人親子弐人ニ而打合肩
  先きより胴をうけ一打ニ切離候よし米屋
  之方ニ而少々手を負候よし御郡方へ御届
  出候よし承り申候
十三日  霜降快晴九ツ時よりむら雲八ツ時
《割書:三十八度|桃桜口切》  雨風強ほろ〳〵雨半時計ニ而止夜
≪《割書:追々江戸表へ|自発之御方有之候よし》 中晴

十四日  朝よりくもり五ツ時ゟ南風吹四ツ
《割書:五十三度| 》  時ゟ雨降夜中迄雨風な【「あ」を見せ消ち】り
  四五日前祝町ニ而長岡勢之振をいたし白
  馬乗袴長キ刀を帯ミナト辺ニゆすり歩行
  祝町ニ而遊女屋え参り大騒を致し其上ニ
  乱妨いたし終ニは抜身抔を振まはし候ニ
  付無拠はしこせめニ而両人捕候よしセン
  さく致候所ばくちうち之よし
十五日  朝より快晴緩気五ツ時ゟ雲南風夕
《割書:六十三度| 》  方迄吹夜ニ入八ツ過雨ふる
  十一日ニ小石川御出駕之由ニ候所御延ニ
  相成候よし
  将軍様御軍艦ニ而  御上洛之処東海道
  御通御ニ而十三日 御発駕被為遊候趣
  中納言様ニは十六日 御発駕被為遊候趣

十六日  朝よりくもり六半時小雨ふる直止
《割書:五十五度| 》  終日くもり空にて寒し
十七日  朝より快晴さむしむら雲夜五ツ時
《割書:四十五度| 》  雨降

  中納言様 御上京被為遊御道中江戸表よ
  り京都迄
  公辺道中奉行ゟ東海道駅々御達之人馬は
  馬百五十疋人足七百人之よし

十八日  朝より快晴寒し夕方よりくもり夜
 《割書:四十二度|三月節》  五ツ半時少々雷気ニ而俄雨ふり直
     やむ又々四ツ時雨ふり直止四ツ半
     時南西の風吹出弐時計ニ而止
十九日  朝より快晴終日上天気夜中薄くも
 《割書:四十五度| 》  り

  江戸表ゟ十ケ原帰宅
   才田塩壱両ニ七俵五分 赤穂塩五俵三
   分 玄米五斗四五升
   三川白五反五ト 銘六反壱ト
     造六反九ト
   名古屋白
     五番五反壱ト夫ゟ四ト落
     壱番弐番三ト開

   いぜ晒手拭類別而高直
    雲井晒 六反壱ト
    手拭  拾良已上

  十ケ原事十六日早朝ニ日本橋へ参候
  殿様御発駕拝見仕候所御先へは御先手物
  頭四頭馬上夫より御家中不残細見之羽織
  ニ而両側二行ニ壱間之間え五六人位ツヽ
  押合候程ニ押詰候而弐十町も相並又六七
  丁目も間を切候而又拾丁余も相並夫ゟ
  中納言様御馬上御召ものは黒羽二重御紋
  付野羽織は木綿紫地え白にてよらすさわ
  らすの中え御紋散之御羽織御立付【「散」を見せ消ち】萌黄
  錦御笠は表銀裏金御供廻り不残細見直ニ
  御跡は
  與四麿様細之御羽織御供方御前備は二行
  ニは無之御馬くるり押合押詰透間もなき
  程之御供御駕籠三丁夫より少し間を置中
  山備前守様大御供御年はいまた十七八才
  之御方夫ゟ追々御家門【「間」を見せ消ち】様方御出立ニ而江

  戸ものも目を驚し候之御人数と申事ニ御
  座候
  将軍様御発駕は十三日御人数誠ニ御少勢
  之よし

廿 日  朝よりくもり五半時地震ゆる終日
《割書:四十五度| 》  持合夜ニ入五ツ時雨ふる直止
廿一日  朝よりくもり北風にてさむし終日
《割書:四十五度| 》  くもり空にて夕方少してり立
廿ニ日  朝よりくもり寒し四ツ時ゟてり立
《割書:四十三度| 》  又々花曇夜ニ入八ツ過雨ふる
廿三日  朝きり雨ふる五ツ時より雨止折々
《割書:五十三度| 》  少しツヽ降夜ニ入雨つよし
廿四日  朝より快晴むら雲夕方より雲る五
《割書:五十三度| 》  ツ時より雨降
廿五日  朝方よりむら雲北風冷気終日持合
《割書:五十度|桜花盛》   昼九ツ時地震ゆる
廿六日  朝大くもり六ツ半過より小雨ふり
《割書:四十五度| 》  冷気夜中雨つよし
廿七日  朝より薄くもりさむし八ツ時雷声

《割書:四十度| 》  終日くもり夜五ツ時雨ふり直止
廿八日  明方雨ふる直止終日くもり空ニ而
《割書:四十五度| 》  持合
廿九日  朝よりくもり五ツ時より雨ふり終
《割書:五十五度| 》  日雨夜ニ入六ツ半時より大雨大北
     風吹壱時計にニ而晴

  下総八日市場下《割書:ゟ版岡迄巾三間程|浜通りえ》蛤幅弐三丁長サ
  壱里程高サ七八尺集り右三里程之間之人
  々皆参り候而取夫々かゝり居候而当春は
     木綿織出更ニ無之実ニ珍敷事之よ
     し但不残死貝のよし変なる事也

晦 日  朝より快晴終日大西風夕方止夜ニ
《割書:五十五度|夜九ツ時真願寺丁》 入五時より又々西大風吹出ス八ツ
《割書:岡田様の長屋焼ク》 時地震終夜風吹
 下館
  玄米六斗四五升 水海道五斗三升

  右八日市場下ゟ版岡迄之間死蛤寄候ニ付

  沖合ニ鰯見候ても船を出候事も不相成程
  難儀之よし如何之事ニ候や不思議なる事
  ニ候


  《割書:丙辰| 》三月
《割書:ひのとの| ひつじ》
朔 日  朝より天気西風吹九ツ時ゟ風止
二 日  朝より薄くもりさむし昼時より小
     雨ふり夜中も雨ふる
三 日  朝より雨ふりさむし終日雨降夜ニ
     入五時より雨止
四 日  朝むら雲終日持合北風吹さむし
《割書:四十八度| 》

五 日  朝よりくもり終日曇空にて持合
《割書:五十一度| 》
六 日  朝よりむら雲終日持合居八ツ半時
     北の方より雲出七ツ時分雷声大雨
     ふる半時計ニ而止夜ニ入星出る
  四日御便之書状小石川御屋敷内ゟ参り候
  所只々江戸表ニ止り淋しく相成候趣之書
  状ニ而外ニ替り候事も無之候所六日夜水
  戸表へは
  御簾中様七日御発駕ニ而御下国被為遊候
  趣御達出ル江戸表御屋敷内ニ而四日ニは
  相分り無之事と相見俄之御儀と奉存候心
  配なる事ニ御座候
七 日  朝より薄くもり四ツ時より快晴暖
《割書:五十五度|》  気なり
八 日  朝よりくもり暖気四ツ時より照立
《割書:五十九度| 》  南風にて終日むら雲
  当六日金砂山近村中三丁計永サは相分り
  不申候へとも雨氷降青菜種其外青キもの
  は一円ニ無之よし

  アメリカミンストル
  公儀へ申候由之写
  亥六月十九日異国軍艦より被差出候書翰
  大意
  異国之士官ヲ生麦ニおゐて殺害致候嶋津
  三郎幷一族之者を不残召捕異人立合之上
  ニ而首級ヲ刎候様致度此儀日本政府之御
  戒政簿として御所置難被成候はゝ賞金と
  して十万ポンドステリンク《割書:日本三十万両|ニアタル》
  を政府より御指出可有之其旨ニ而薩州鹿
  児島に廻り島津家ゟ殺害ニ逢候妻子養育
  料として三万トルラルヲ請取可申者相拒
  み候はゝ戦争ニ及へく候間日本政府ゟ重
  役壱人儉使として【「候はゝ」を見せ消ち】是非共ニ異国軍艦へ
  乗組候儀相願度存候
  右は十九日ゟ廿日廿四日《割書:此廿四日は本国|政府之命ニ無之》
  《割書:全船頼猶予之由》之間ニ御返答被下度猶予
  之刻限《割書:此刻限来ル三月|九日ニ当ル》相過候はゝ即刻軍
  艦を廻し大坂始メ長崎箱館其外之諸湊ニ
  至ル迄出入之船を奪且江戸焼払候趣是は

  異国之旗章幷ニ条約へ対し日本之政府越
  度有之候故無拠比伴ニ及可申候
九 日  朝薄くもり五ツ時より薄照暮六ツ
《割書:五十七度| 》  半時ゟ北風つよし終夜吹
  江戸御触書
  此程中より異船数艘横浜沖合え碇泊いた
  し品々申出候趣も有之万一如何様之儀出
  来可申も難計儀ニ付銘々心得も可有之候
  間兼而為申聞置可申候尤右ニ付火急市中
  騒立候儀無之様情々可申諭置候
  右之通町中不洩様可為触もの也
  右之通町奉行所被仰渡候間町中不洩様
  可相触候
    亥三月六日

  京都御触書
  今度御上洛之節下々不及難儀様との厚き
  御趣意ニ付大坂伏見京都御通行筋屋舗々
  々窓蓋等ニ不及町家其外都而平常通相心
  得二条大坂 御在城中も市中商売等相休

  之ニ不及 御警衛之外は諸事常之通相心
  得
  御上洛ニ付て屋鋪々々町々等一切取締ケ
  間鋪仕間敷候
   但通行筋人留等ニ不及往来人かた寄下
   座いたし罷在不苦候
  右御書付従江戸至来候条洛中外不洩様
  早々可相触者也
 一此度攘異御一決被仰出候ニ付て御不慮之
  儀難計候間為御守衛
  帝都四方山嶽之立木勝手ニ切払候儀向後
  令停止候民間柴薪之憂ニも可有之候間下
  艸等切払候儀は可勝手被仰出候間此旨相
  心得可申候右之趣山城国中え不洩様可相
  触者也

十 日  朝より雨ふるさむし北風吹さむし
《割書:四十七度|今日》  終日小雨ふり冷気夜中も
《割書:御簾中様|御着輿ニ被為成候》
十一日  宵より雨北風ニ而冷気さむし終日

《割書:四十八度| 》  雨降夜ニ入雨止
十二日  朝より快晴寒し
《割書:四十五度| 》
  小石川御屋敷内御家内不残御下りニ相成
  候よし
  志築本堂様御家内様中七日ニは中貫ぞな
  り位ニ而江戸表御立退ニ相成新宿迄御出
  新宿ゟ志築へ早参り夫ゟ家老等俄ニとり
  候よし
  完戸様府中様守山様奥方不残江戸は御引
  払ニ相成候よし
十三日  朝薄くもり終日くもり空にて持合
《割書:四十五度| 》
  真壁辺此間玄米六斗位いたし居候所江戸
  表之騒ニ而俄ニ五斗ニ相成候よし
  江戸表も諸品入船無之手拭壱本ニ付百五
  十文位之よし
十四日  朝より快晴終日上天気夜中も晴夜
     八ツ過より雨降
《割書: |日さし赤し》
《割書:十五日|五十七度》  明方雨六ツ半時より快晴

  八幡宮祭渡御なし風流もの等も不出

  中納言様御儀尾州宮宿ゟ御引返ニ相成候
  趣之所当朔ニ宮ゟ御引返に不相成 御上
  京ニ被為成候よし
  御国ニ而小石川御屋敷中之御家内男子は
  十五才已下は御国へ御下ニ相成候趣ニ候
  へ共大概 御上京御供ニ而御留主【「守」を見せ消ち】ニ而御
  国元ゟ御親類方俄ニ引立ニ御目付方え届
  ケばなしニ而出府いたし候よし右ニ付御
  屋敷内同居其外御親類無之御方は町中裏
  屋長屋ニ而も宜敷候よしニ而日々右之騒
  而已いたし居申候

  今月初は江戸表玄米五斗弐三升致追々下
  落ニも相成可申様子之所右之騒ニ而俄ニ
  引上四斗壱弐升ニ相成候九日昼位より少
  々静之由十一二日方は又々少々ゆるみ四
  斗七八升ニ相成候よし
  江戸表えミナト辺より追々積入候いわし

  粕両ニ九分五厘位ニ売候見込之所是も大
  下落壱俵弐分五厘位ニ而買人も無之候よ
  し
  大細川は肥後熊本ニ候所奥方等え御分家
  細川長門守様領分谷田部え御殿出来是へ
  俄ニ御下りニ相成候よし其外上方大名奥
  方え野辺御親類之大名え御引移ニ相成候
  よし
   追而承り候へは細川様ニは無之大細川
   ゟ志築え縁付候御姫様御下りニ相成候
   よし
十六日  朝より快晴寒し終日天気よし夜中
《割書:四十六度|日さし赤し》  朧月なり
十七日  朝よりくもり五ツ半過ゟ晴
《割書:五十六度|日さし赤し》
十八日  朝よりくもり北風さむし四ツ過よ
     りてり立候得共霞居候而終日日さ
     し黄ばみ居候
十九日  朝より快晴霞寒し七ツ時地震
《割書:四十五度|立夏四月節》

  京都ニ而先月来方ニ足利家初三代之御木
  像之首を切
  禁裡え敵対いたし候ものゝよしニ而さら
  しニ相成候との事
  是は浪人等いたし候よし
廿 日  朝より快晴九ツ時より南風吹八ツ
《割書:四十八度|今日一ノ先江戸》 時地震八ツ半時ゟ追々大風夜中も
《割書:え御登ニ相成候| 》 大風なり雨落
  京都より田中源次と申麻もの商売のもの
  昨日下り候はなし
   京都ヲ朔日ニ出立道中駕籠のはやニ逢
   候事一宿之内ニ八ツ位ツヽ前代未聞之
   事と申候
   江戸ゟ四十里程先キ和田宿と申所有之
   候所京都ゟ右宿迄は商荷繾立いたし参
   り候所和田宿へ参り候へは尾州様紀州
   様加賀様其外諸大名之荷物四百棹五百
   棹位ツヽ長持其外荷宿々ニ留り居奥方
   女中抔も駕籠ニ乗り候而は居候へとも
   前日御達も無之俄之儀ニ而人馬とも無

   之候ニ付繾立急々ニは出来兼右之趣を
   問屋役人等申候へは打たゝかれ候ニ付
   問屋村役人等宿々とも逃居候而懸合も
   出来不申候今月十日は大雨ニ候所女中
   抔往還え駕籠ニ乗候まゝニ而置ばなし
   ニ致人足ともは皆逃帰候よし逃不申候
   へは何方迄も繾立ニ不構連れ行候よし
   和田宿より江戸迄之間は殊之外大騒之
   よし
   京都ニ而の風説は黒田鍋島細川会津え
   御打払之義 御相談有之候所右御答は
   日本国中之諸大名一ちいたし候上ニ候
   へは御打払ニ而可然一ち不致候而は御
   打払之諸は如何可有之候やと申候よし
   京都は米両五斗七八升
   京都ニ而十八九人之もの生首を提通り
   候を会津様ニ而召捕候よし京都談判至
   極よ宜敷とのはなし

   諸糸百六拾目ニて百斤ニ付横浜ニ而ト

   ルニテ五百三四拾枚迄ニ高値之取引有
   之候よし此節三百七十八枚位ニ下落い
   たし候よし此節ドル壱枚銀三十五六匁
   位
   江戸表市中之もの番所々々え呼出御申
   聞有之候はゝ当十六日迄ニ老人女子供
   等は近在之親類又は心安キ方えなりと
   も立退可申男は火元等取締旁壱人も他
   出不致罷在候様ニと猶々関所等も有之
   候間通り手形は家内人別幾人と申出町
   年寄より通手形請取罷在候様ニと申聞
   有之候よし
   右御達より江戸中之もの根津音羽辺ゟ
   湯島之方所々え縁者等有之候ものは家
   財道具持運ひ追々引移り候ニ付江戸中
   商荷は更ニ無之右引移之諸道具引歩行
   候事引も不切大騒之よし
   畳戸障子等おびたゝしく払ニ出候よし
   右ニ順諸道具は殊之外安キよし
   右大騒いたし居候へ共芝居は三座とも

   大入桟敷抔は前日ゟ申込置不申候而は
   取かね候よし
   十六日夜五時ゟ江戸湯島辺八丁四方余
   焼る十七日明方火鎮候よし怪我人殊之
   外有之候よし
   江戸商人呉服太物屋諸品荷造いたし上
   州桐生辺え附出候よし
   江戸表ニ而は追々市中家内立退候ニ付
   諸道【「屋」を見せ消ち】具流山廻しニ而送り候事夥敷候故
   追々船盗人出来候而諸品紛失いたし候
   事不少又御旗本衆は御知行所在々え俄
   ニ御家内方引移りニ付住居所も無之庄
   屋宅又は寺院抔へ当座仮住所被致候よ
   し難儀候事ニ御座候

廿一日  宵より南大風吹終夜吹候而今日も
《割書:六十六度| 》  いまたしつかニなり不申四ツ時は
《割書:いそみ十分|いわし大漁》  別而風つよし薄照終日大南風に而
《割書:昨日ゟいそ|新粕俄ニ下落》 八ツ半位より風止
《割書:壱俵九分位ニ而買人なし| 》

廿二日  朝より薄てり四過よりてり立
《割書:五十一度| 》
  昨日湊へ参候もの承り候へは都而廻船等
  此節通行御指留ニ相成候よし
《割書: |   水戸ニ而》
   玄米四斗九升位
   油は追々下落 三拾弐三両
廿三日  朝より快晴夜ニ入くもり八ツ過ゟ
《割書:五十一度| 》  折々雨ふる
廿四日  朝小雨直止五半時より小雨南もや
     う暖気なり

   横浜沖へ見候イキリス軍艦十八艘程何
   方へ参候や見へ不申候所薩州え軍艦五
   艘乗込戦争ニ及候而薩州ニ而は手負死
   人八百人程有之右軍艦五艘之内弐艘奪
   取候よしイキリス手負死人は不相分候
   との沙汰有之候

   当十八日ゟ横浜俄ニ騒ケ敷相成商人共

   荷物等附出ス火の消候如く淋しく相成
   候との沙汰也
   尤も軍艦五十艘余見候よし

   小石川十九日出
   去ル十六日夜六ツ時頃妻恋坂より出火
   《割書:稲荷本社は勿論境|内まて残り申候》東南の風ニ而大根畠
   傘谷より湯島天神前通りヲ焼払天神は
   石鳥居残候のみニ而本社まて不残焼失
   同所切通しより池の端片側仲町半分程
   焼申候相応之大火類焼之もの難渋之事
   ニ御座候火の元は味噌屋ニ有之趣当節
   柄普請処ニは有之間敷天神前抔は職人
   幷ニ商人も極究【「罪」を見せ消ち】之もの多相見候へは離
   散致候より外は有之間敷との事ニ御座
   候
  一御国表ニ而も色々之沙汰御座候趣追々
   登りものより承り申候嘸々御配意被為
   在候御事と世も澆季ニや当節頻ニ偽言
   妄説等多礫邨一郭之事すら虚事のみニ

   而実事少敷人の言の葉あら〳〵敷事ニ御
   座候此上如何変革可仕候や実ニ心配之
   世の中ニ御座候
  一此表町々えも御触御座候由ニ而追々騒
   立荷物等夫々相送り又は妻女等田舎え
   下候趣併大家はいまた動き候模様も不
   相見兎角人心は動キ居候趣此節雑司ヶ
   谷開扉【「扇」を見せ消ち】有之候へ共参詣人も無少趣ニ御
   座候

廿五日  朝より薄くもる北もやう四過ゟ照
     立
廿六日  朝より薄くもり四ツ半過よりてり
《割書:五十六度| 》  立夕方ゟ曇夜五時雨降北風吹
廿七日  朝きり大曇北風吹四過ゟ風止夜迄
《割書:五十七度| 》  くもり五ツ時雨降直止

  塩追々引上江戸は此節横浜騒ニ而入船無
  之金壱両ニ才田塩六俵赤穂塩三俵位当地
  も五俵四五分ニ而才田は直段赤穂品なし

  江戸表十八日方より又々騒立追々山之手
  へ引移り或は近遠在へ転居いたし候由ニ
  而銭は俄ニ下落いたし
   《割書:是迄|当百》  六〆七百文    此節 六〆九百ゟ七〆文
   四文銭 六〆四百五十文  此節 六〆六百五十文
   小銭  六〆六百五十文  此節 六〆八百文
   新弐分金

  結城辺玄米引上四斗八九升
  縞類は壱反ニ付四五匁下落
  紬綿いと
        壱〆弐百文位ニ引上居候所
        此節八百文
  下館
    白木綿両弐反八【「五」を見せ消ち】分  此節三反五分
  笠間
    白木綿 三反位  此節四五位
  京都ニ而
  一橋様 大納言ニ御任官被為遊候趣
  廿四日出江戸ゟ

  一江戸町ニも追々妻子立退之騒誠ニ大騒
   ニ御座候
   む蔵の【「野」を見せ消ち】と相成候歟又江戸小立帰可申哉
   未タ不相分面々十方ニ暮之【「キ」を見せ消ち】気味ニ御座
   候大家はいまた動不申候神奈川宿抔は
   婦人家財は運候様子と申儀承り申候横
   浜商人も追々逃支度候由尤之事ニ御座
   候
  一薩州表ニ而夷人争戦死人大勢船ニ而持
   込横浜土地を借葬度旨申立候由薩州之
   争戦は実事と存候
  一御決答応接廿四日之処又候廿日之日延
   ニ相成候との沙汰ニ御座候
  一説ニは細川矦浦賀口を堅其上此節水柵
   御普請出来浦賀より軍艦等出入不相成
   候様堅固ニ備候趣左候へは江戸町家も
   俄ニ騒立不申候而緩々移し候而も可然
   事ニ奉存候更ニ不相分世の中ニ御座候

《割書:廿八日|五十三度》  朝より薄照四ツ時ゟてり立

廿九日  朝より快晴寒し九ツ時より暖気な
《割書:五十二度| 》  り
  此節上州辺 いと下落百匁位ニ而買人も
  壱人もなし
  綿高はた壱反五六百匁下落
  小倉袴地壱反六七匁下落
  小川ニ而才田塩五俵五分物なし

晦 日  朝もや薄くもり四ツ過よりてり立
《割書:五十六度| 》  夕方よりくもり

  亥二月廿七日
    京都一変
  一今暁烏丸通三条下ル町小室屋と申縮緬
   商人亦三条通西洞院西え入綿小と申芋
   問屋右両家とも大家ニ御座候此方松平
   肥後守様ゟ御人数御差出し抜身又は槍
   はしこ掛ケや抔持右店之主人手代等迄
   召捕又衣棚通三条上ル町松屋作十郎と
   御大名諸家へ御用達町人此方へも彼御

   人数押込候所浪人三四人逗留致居壱人
   切腹之よし首なと又は胴え鑓突通候も
   のも有之駕籠ニ而御引取右之松作も御
   召捕ニ罷成御帰之由誠ニ大変服前軍同
   様とも可申是は此間之一件より夫々御
   吟味と相見申候噂仕居候此上無難奉祈
   候往来は侍計夥しく手荒なる人気相困
   入申候
    右は京都より参り候手紙之由



  中納言様去ル九日
  御参
  内被為遊被為拝
  龍顔
  天盃御頂戴被為遊候旨三月晦日被
  御出候

  天盃御頂戴真御太刀

  御手自御拝領被遊候趣四月九日被
  仰出候

  江戸表御大名方其外諸御家中市中等も立
  退之儀ニ付皆々銘々金子懐中いたし候ニ
  壱分銀ニ而は何程も懐中致し【「候」を見せ消ち】かね候よし
  弐分金弐朱金類金百両え拾両位之切賃ニ
  而引替候よし尤も江戸両替屋ニ而は引替
  不申候間田舎方を追々引替ニ出申候由

   《割書:丁巳| 》四月
初鰹来ル
《割書:ひのとうし|朔 日》  朝ゟ小雨ふる折々雨止終日小雨に
《割書:五十五度| 》  て夕方止
二 日  朝よりきり雨降九ツ半時位より雨
     止
  江戸表才田塩両ニ六俵赤穂四俵上州辺才
  田塩壱俵三〆弐百文
《割書:三 日|六十五度》  朝きりふる四ツ時ゟてり立夜中く

     もりむしあつし

  江戸表より船積追々御旗本等御家内所々
  え土着ニ相成候俄ニ江戸ヲ先日ゟ引払候
  ニ付上州辺ニて運賃拾駄目位ニ而金拾七
  両横浜商人も追々保土ヶ谷辺え逃候ニ付
  壱車ニ而弐分位より段々せり上壱両位ま
  てニ而送り候よし
  越後新潟辺玄米五斗弐升入拾八俵位
  会津玄米八斗三四升
  此節江戸道中諸家ゟ出府ニ付人足馬等被
  遣候事夥しく村々大難渋之よし

四 日  朝もや六ツ半時地震五ツ過よりて
《割書:六十八度|四月中》  り立軽暑位なり
五 日  朝より薄くもり終日くもり空ニ而
《割書:七十度| 》   持合七ツ時より雨ふり
  此節湊才田塩四俵五分位ニ而物なしと申し
  候事
《割書:六 日|六十八度》  朝より雨ふる終日雨ふる夜中雨強

  《割書:才田塩壱俵壱〆五百文|城下ニ而》
七 日  宵より雨降北風冷気なり四ツ過ゟ
《割書:浜々続而|大漁事》  雨止折々きり雨ふる
  
  此節楮大下落
  此節中壱結四両三分
  位いたし居候所此節弐両三分買人なし
   歩(マヽ)も太田ニ而両弐〆目位いたし居候処当
  節弐〆六百目位

八 日  朝よりくもり冷気四ツ過よりてり
《割書:六十度| 》   立
九 日  朝よりくもり冷気終日くもり空に
《割書:六十度| 》   て持合夜中晴
十 日  朝よりくもり四時よりてり立軽暑
《割書:六十度| 》   位なり
十一日  朝きりふる五ツ半時より薄てり四
《割書:六十三度|いそミナト》 ツ時ゟ照立軽暑
《割書:いわし漁事|弐俵五六分》
  此節茶も追々下落ニ而五割下ケと申事ニ

  候得とも両三日已前ゟ在々え買入出候よ
  し壱結拾七八両位之よし
十二日  朝より快晴軽暑
《割書:六十度|》
  嘆夷応接浪華と相成候ニ付ちと市中穏ニ
  相成妻子等そろ〳〵引返候やニも相聞申
  候当節も隅田川筋迚も荷船通船少敷【「処」を見せ消ち】相成
  申候笑之場たる事ニ御座候邨【「頓」を見せ消ち】中も追々下
  りニ相成申候哉之処宿々人馬繾立繁成
  昨十日助郷等難渋之愁訴有之道中奉行裁
  判ニも困り候や当分引越之荷物繾立指扣
  候様触達有之一昨日出立之面々は千住宿
  ゟ引返余計之物入相掛候趣左様混難旁ニ
  而はいつ散足ニも難決勿論御帰府被遊候
  上ニは兎も角も御治定相成候事と相待居
  候事ニ御座候
十三日  朝よりもや五ツ半時よりてり立軽
《割書:大鰹沢山ニ|漁事》  暑なり夕方くもり
十四日  朝くもり後快時終日天気よし
《割書:六十七度| 》


  中納言様御儀十一日ニ
  御帰府被為遊候旨被仰出候
  御祝儀ニ出ル






   兼而異国船一条之儀も追々御延引ニ穏
   之様子ニ御座候而奉大悦候然処当三日
   比より何れ之浪子共聢と相分り兼候得
   共十六七人程ニ而浅草御蔵札善其外大
   家え押入軍用手当ニ付金用達呉候様【「異船」を見せ消ち】之儀
   と申諸々相廻り当五日夜伝馬町田端屋
   店へ罷越同様之儀ニ而無是非金子被相
   渡候由ニ而市中大心配仕候未タ聢与御
   防キも取締不申由ニ御座候得共御達書
   之写奉入御覧【「入」を見せ消ち】候誠ニ以て此度之儀は紙

   華ニ難尽義ニ而今以不穏心配仕候唯々
   御神仏之御加護を以危難相逃れ度奉祈
   念候承り候処種々之義有之此未如何相
   成候やと心細キ事ニ御座候先は右之段
   申上度如此御座候
    四月八日
         柏屋孫左衛門
               傳七
   猶々はもの諸相庭之義何分ニも品払底
   ゆへや下りもの一向ニ引下ケ不申殊ニ
   異国一条より皆無上方表注文留メ舟留
   ニ而更ニ入津も無之当惑仕候御地辺は
   殊之外下落之趣承知仕候得共定而御十
   分御仕入と奉察候先は取いそき余は重
   便ニ万々可申上候
     亥四月四日
    松平豊前守殿御渡
            佐竹右京太夫
            酒井 繁之丞
            大久保加賀守

            相馬大膳亮
            松平右京亮

   兼々向々え被仰出候通異国軍艦渡来不
   容易折柄ニ付市中其外動揺無之悪徒共
   徘徊可致乱妨も難計依之其方共取締被
   仰付間人数差出候昼夜ニ不限御府内見
   廻り狼藉者見懸次第無用捨召捕時宜ニ
   寄打果候而も不苦候委細之義は町奉行
   え可被談候
    右之通銘々え相達候間可被得其意候
    事
      四月四日夜

十五日  朝より快晴
《割書:六十六度| 》
  平磯辺鰹漁事十三日十四日打続大漁壱本
  水名百五十文極大もの古せとも可申誠ニ
  珍らしき大鰹也壱朝ニ而三十駄四十駄位
  ツヽ荷造致西之方え出ル申候よし


  為禁閣御守衛諸藩拾万石以上高割ヲ以一
  万石一人ツヽ奠献致候義於
  大樹公御請ニ相成候間忠勇強揮之士ヲ精
  選右之兵器食料是ニ准シ被抜出候様被
  仰出候猶御規則制度之儀は追々可被 仰
  出候得共右撰出急々取極可申出候事
  右は三月廿一日二条於
  御城万石以上之面々え可被触示事

《割書: |御祭礼御延引》
十六日  朝薄くもり四ツ過よりてり立北風
《割書:六十八度| 》  ニ而冷気なり終日むら雲
十七日  薄くもり冷気也夜四ツ時ゟ雨ふる
《割書:六十五度| 》
  追々木綿類も引上候而土浦辺白木綿三反
  七分空【「雲」を見せ消ち】完戸広三反弐分龍ヶ崎四反府中玄
  米五斗一升龍ヶ崎五斗三升完 辺えいわ
  し千箱舟ニ而積入三俵位此節六俵位ニ相
  成候よし続而いわし漁事有之いわし粕も

  いそニ而前音弐俵弐三分

十八日  宵より雨ふる八ツ時より雨止九ツ
     半時ゟ雨止七ツ時ゟてり立夜中殊
     之外はれ
十九日  朝より快晴さむし
《割書:五十四度| 》
《割書:ミナト|御殿幷日和山え》
《割書:御台場出来候|よし》
《割書:二十日| 五十九度》  朝薄むら雲さむし快晴夕方ゟくもる
《割書:五月節| 》
廿一日  朝より薄くもり四ツ時ゟ薄てり四
《割書:六十三度| 》  ツ半時よりてり立夕方薄くもり
《割書:廿二日|六十四度》  朝より快晴朝暑なり
京都御供之御家中追々御下りニ相成候
《割書:廿三日|六十四度》  朝より快晴暑気
《割書:廿四日|六十六度》  朝より快晴暑気なり

文久三亥四月五日
中納言様去月廿四日

御参
内被遊候処
天盃直御尽力
御手自御拝領被
遊関東御為守衛
御下向被
仰出候ニ付而は
公方様御目代之御心得を以万端御指揮被遊格

勤王之
御家柄
御先代様  御遺志被為残候御一国御一致尽
力掃攘之成功を御奏シ被遊候様別段厚
御沙汰被為蒙候条其旨可奉承知候
廿五日  朝より薄くもり四ツ時より照立暑
《割書:六十七度| 》  気なり
廿六日  朝六ツ時地震薄てり五ツ時地震快
《割書:六十六度|入梅》  晴暑気ニ成ル
廿七日  朝五ツ時迄薄くもり
《割書:六十七度| 》  五ツ時てり立暑気

 当廿三日順見並木御困と他領境杭之辺ニ而
 六十余之老人三太刀程きず有之候相果居候
 由追々承り候へは細谷辺之奥同心ニ而忰ニ
 被殺候よし

 当月十四日夜四ツ半時ゟ本所馬喰町両所ニ
 罷在候浪人火急ニ召捕として浪人屋敷へ庄
 内様初メ小田原相馬御三候何れも甲冑抜身
 鑓棒しがらみ鉄炮夫々用意ニ而数千人之惣
 勢ニ而御操出し又馬喰町旅宿屋ニ止宿致居
 候浪人高崎様御同勢六万人余ニ而同様之御
 支度ニ而御操出浪人頭取え御応接ニ相成候
 所旅宿致候者翌日朝弐拾人程御召連ニ而御
 帰陣【「陳」を見せ消ち】ニ相成候本所御出陣【「陳」を見せ消ち】之分は十五日八ツ
 時比浪人頭取弐人外八人御召連ニ而御帰陣
 ニ相成申候尤浪人は野羽織野袴黒羽織又は
 鹿羽織大小帯し鉄扇ヲ持歩行為致左右前後
 は御三候ニ而厳重之御警固ニ而辰ノ口評定
 所罷越申候浅草御見附へ御加勢として御出
 張松浦侯は惣勢三百余人何れも鑓長刀ニ而

 御備白川候は品川観音前ヲ【「而」を見せ消ち】御固メニ御座
 候誠ニ其有様目を驚し候事ニ御座候本所筋
 両国辺馬喰町木戸〆切罷在候得共見物人夥
 敷大群集ニ而前代未聞之事ニ御座候なし増
 を相紀申候
   四月十八日

《割書:廿八日|六十八度》  朝くもり五ツ半時ゟ快晴暑気
廿九日  朝より快晴夕方よりくもり
《割書:六十八度| 》
 暫雨不降田植ニも指支よしニ而所々雨乞ア
 リ
 紅花壱〆目ニ付八百に位
 水木久慈浜鰹漁事近年稀なる大漁ニ而大か
 つを壱本八十文中六十文小三十弐文之所名
 取ニ而日々大漁事
 いそミナト辺大百五十文小百文位


    五月
《割書:ひのへ午|朔日》  朝よりくもり四ツ時位より雨降り
《割書:七十度| 》  九ツ過雨止南風八ツ時ゟほろ〳〵
     雨
二日   朝より快晴北風吹夕方雨ふり暮六
《割書:七十度| 》  ツ時雨止
《割書:三日|七十度》  朝より快晴
四日   朝薄くもり軽暑
《割書:七十度| 》
 下館辺木綿三反弐分 わた弐貫五百目下落
 坂上辺水花壱〆弐百文 飯田鳴 辺壱〆百文
 城下近辺八九百文
 久慈三木河原子介川辺近年稀なる鰹大漁事
《割書:五日|七十度》  朝より快晴暑気
六日   明方ほろ〳〵雨直止む六ツ半時て
《割書:七十度| 》  り立照立七ツ時ちら〳〵雨ふり直
     やむ
《割書:五月之中|七日》  朝むら雲丑寅風にて冷気四ツ過ゟ
《割書:七十二度|日照続ニ而》  てり立夕方くもり夜に入晴
《割書: 日々雨乞| 》

八日   朝薄くもり四ツ時よりてり立
《割書:六十八度| 》
 品川沖へ異船乗込候よし昨夜ゟ打手御床机
 廻り追々登り候よし
九日   明方小雨ふり四ツ時位よりてり立
《割書:七十度|磯浜拾三〆目位》 暑気ニなる
《割書:之俵ニ而両ニ壱俵|五ト位ニ引上ル》
十日   朝より快晴暑気なり
《割書:七十五度|八時八十六度》
 紅花桶川早場壱駄四十五六両之よし
十一日  朝より快晴暑気つよし八ツ時位よ
《割書:七十九度|八十七度》  り雷気ニ而七ツ時比雷雨直止暮六
     ツ時雨つよし直止
 《割書:日々之雨ニ候へ共ほこりしめし位ニ而いまた田|植も出来不申候よし》
十二日  明方雨少ふる五ツ半過よりてり立
《割書:七十五度|八十六度》  大暑位なり
十三日  朝より快晴むら雲時々ほろ〳〵雨
《割書:七十五度|八十一度》
十四日  朝より薄くもり五ツ過より折々小
《割書:七十六度| 》  雨七ツ時よりてり立
《割書:庚申| 》
十五日  朝よりくもり北もやう北風ニ而ひ

《割書:七十六度| 》  や〳〵う薄てり
所々田われ候よし雨乞
十六日  朝より快晴
《割書:七十三度|先月御延ニ相成居今日村御宮御田楽有》
十七日  朝より薄てり大暑ニ而土用中同様
《割書:七十八度|八十六度》
 今日限権様御出社御り風流ものは不出外
 は都而無御指暇
 暮七ツ半時より雷雨半時計之間雨つよし久
 しぶりニ而雨降是迄所々日照続ニ而田はわ
 れ畑は灰のことくニ相成候所今日之雨ニ而
 在々大歓之よし併いまた植付は出来不申候
 村々数多有之候
 今日之暑気ニ而騎馬之御方霍乱いたし駕籠
 ニ而帰り候者三人御供奉之御方ニも霍乱い
 たし候もの四五人も有之候よし
十八日  朝より快晴暑気つよし日の内大暑
《割書:七十七度| 》  夕方七ツ半時より暮六ツ時迄雷雨
 上州辺蚕大わつれ弐分位 糸五十七八匁
十九日  朝よりきりふる五ツ時をり〳〵雨

《割書:七十八度| 》  ふるむしあつし四ツ過ゟ八ツ時迄
《割書:甲子|九十三度》  土用中同様之大暑七ツすこし前ゟ
《割書: |臆筋は蚕》  大雨雷声半時計にて止雨は古今ニ
《割書:七八分位之よし|九〆目壱箇》  強し晴又々七ツ半過より夕方迄雷
《割書:ニ而百廿両余|之よし》  声雨つよし暮六ツ時雨止む
《割書:二十日|七十五度》  明方より雨降終日雨降夜ニ入雨止
 久々にて雨降是にて田植も出来可よし皆々
 大歓々々
二十一日  明方きりふる五ツ時よりてり立八
《割書:六十八度| 》  ツ半時俄ニ雲立恐敷大風直止又々
      晴七ツ半時又々くもり俄ニ雷雨直
      ニ止ニやむ
二十二日  明方よりむら雲少冷気之方なり四
《割書:六十六度|丑寅風ニ而冷気》  ツ過よりてり立
《割書:六月の節| 》
二十三日  朝より快晴ニ候へ共終日丑寅風ニ
《割書:六十七度| 》  て冷気
 終日丑寅風冷気袷ニわた入羽織なと着用い
 たし居候
廿四日   朝より快晴終日天気よし夜中くも
《割書:六十六度| 》  る

廿五日  朝より薄くもる四ツ過より薄てり
《割書:七十一度| 》  夜ニ入くもり夜中ニ雨ふる
 此間中日照続ニ而所々雨乞有之候所大串村
 ニても雨乞いたし候へ共降不申候ニ付雷の
 かたちを拵なにかころかしあるき雷のまね
 をいたし雨乞いたし候へ共降兼候ニ付右雷
 のかたち拵候ものを踏たりけたりいたし候
 もの有之候よしニ候所十九日ニ大串村辺俄
 ニ大雷雨ニ而右之もの三人雷ニうたれ相果
 候よし又湊辺関戸と申所ニても雨乞いたし
 候所雨降ニ付村中之もの歓ニ而雷神宮へ参
 詣ニ参り可申と村中申合候所村之中ニ壱人
 石臼の目を切おり候所跡より参り可申と断
 参詣不致其日も雷声有之候得共休みも不致
 石臼の目を立候所雷ニうたれ死候よし誠ニ
 可恐事
  磯三十分平いそ所々浜々鰹大漁事
  三十分ニ而百文三本中弐本大壱本位之よ
  し
廿六日  明方きり雨ふる南もやう五ツ半時

《割書:七十六度|ミナトえ塩船久》  より薄照夜ニ入くもり五ツ時ゟ雨
《割書:しふりニ而入津|致シ少々引き下ケ》  ふり四ツ半時止
《割書:才田塩|両ニ六俵位》
廿七日  朝くもり六ツ半時より雨ふり直止
《割書:七十八度| 》  五ツ時ゟてり立暑気大暑夕方ゟく
     もり雷雨つよし夜中も度々雨ふり
廿八日  明方雨つよし五ツ時より暑気殊之
     外あつし七ツ時ゟ雷雨雨は殊之外
     つよし夕方止又々南風にて雷雨六
     ツ過止又々五ツ半時より四ツ時位
     まて雷雨
廿九日  明方きりふる四ツ過よりてり立大
《割書:七十七度| 》  暑凌かね候位なり夜ニ入風ひや〳〵
晦日   明方きりふるあつし四ツ過よりて
《割書:七十九度| 》  り立終日持合夜ニ入雨ふる
 先達而大目付岡部駿河守京都立石【「御出立」を見せ消ち】郡宿ニ
 而被打殺候よし浪人と相見候との事也

    六 月
朔日   朝よりきりふる五ツ時雨直止四ツ
《割書:七十九度| 》  時雨直止九ツ時雨直やむ九つツ半時
     より快晴暑気つよし
二日   朝より快晴大暑終日南風吹むら雲
《割書:七十九度|八十九度》  あつし夜中殊之外晴
三日   朝よりむら雲南風吹あつし夕方迄
     南風つよし夕方止夜ニ入雨ふる

  五月廿八日江戸ゟ  山道喜助
 一古領米      一町米五斗七八升
      五斗弐升
 一南郷米      一糯米四斗五升
 一水戸大豆六升五合 一小豆七斗五升
 一同小豆 五斗四五升一大麦弐石内外
 一小麦 八斗三升  一菜種五斗弐升
 一仙台廻米五斗六升五合

 一地水油 三十四両弐分一胡麻油三拾六両弐分
 一白油 三十三両  一荏油  三十八両

一種粕 《割書:六枚八ト|七枚八ト》  一白胡麻粕【「油」を見せ消ち】六枚八ト
一花粕 七枚五ト  一坂水油  三拾六両壱分
  銭六〆七百三十弐文
  大坂廿ニ日出
     銀七百廿七分
 水油  銀六百九十九分
     金八拾三分

晒類殊之外船間
一古新五反     一白五はん五反三分
一改五反五ト    一なら和 五百八ト
一銘六反弐ト    一雲井  五反九ト
一造六反七ト     但上下三分五開キ

江戸立場と相見申候
一洋銀三拾五両五ト 一茶 《割書:上方上物廿六枚位|御地廿枚位ニ参り可申候》
一  服取合拾参両 一金巾反三十五匁
一米相場 五斗七升 一紅花《割書:水戸花ニ而六十五両位|七十両迄》
一糸  奥州 《割書:四百八十|五百十》
    信州 《割書:四百八十|五百廿》

      八王寺 三百八十九
      前橋  五百十
 一古 領(?)米拾五両三分位

四 日   朝よりくもり五ツ時より小雨ふる
《割書:五時八十度|八時八十九度》  四ツ時ゟ雨上大暑古分ニ凌かね候
      夜中も戸を開休候程也
《割書:かのへたつおさん| 》
五 日 金 朝むら雲暑気強五ツ時ちら〳〵雨
《割書:八十六度| 》   直ニやむ殊之外むしあつし七ツ半
《割書:初伏|どよう明六ツ六トニ入》 少し雷雨あり直止
六 日   朝もやふかし四ツ時よりてり立
《割書:七十二度|八十九度》   暑気つよし
 余蔵より出火ニ而
 当三日
 西御丸御焼失大名屋敷も類焼之由
七 日
《割書:七十九度|九十一度》   朝もやふかし朝ゟ大暑夕七ツ半時
      西の方雷声夜五ツ時ほろ〳〵雨ふ
      る
八 日   朝より曇る明六ツ少し過より雷雨
《割書:七十五度| 》   にて雨つよし五ツ時止夫より雨計

     五ツ半過より止八ツ半時ゟ快晴七
     ツ時位西ノ方より雷声北風少し吹

 一昨二日夜八ツ時頃ゟ麻布飯倉町《割書:火元魚や|と申事》
 ゟ出火ニ而昨三日九ツ半位迄
 西の御丸焼留ニ而 西ノ丸は皆焼失相成誠
 ニ以恐入候事ニ御座候尤御本丸は何等御次
 第も無御座候由近来稀成大火ニ御座候折節
 烈風故火防仕事師共之内即時ニ五人程焼失
 いたし其外怪我等も出来焼失人共立ノ侭ニ
 而丸焼となり候右丁数之内有馬水天宮京極
 金毘羅抔も焼候よし尤も霞ヶ関辺は残り候
 歟之風聞
 中納言様昨日 御登 城被遊七ツ時頃御帰
 邸被遊候 御連枝様ニ而も大学頭様播磨守
 様大炊頭様御三方邸中へ被為入七ツ半時比
 御帰りニ相成申候且右ニ付陣将衆も小石川
 御出其外大御番等御人数も出張我々共も小
 石川へ罷出御目付方へ罷出相伺表御長屋へ
 相詰居夕刻駒込へ相引申候御弁当は壱所ゟ

 頂戴いたし相引申候近来稀なる大火ニ御座
 候
 一英夷応接答書等別冊ニ写し取御目ニ懸申
 候て其外交易是迄御済し国々も同様之意味
 ニ而難物ニ相見申候しかし当分之御模様ニ
 而は軍も出来兼申候事ニ御座候御人数之儀
 もむなしく詰居候間此上何と歟 御了簡も
 可有之候由ニ相聞申候
 右件々早々申上候
    六月四日

九 日  朝より快晴上は南風下は丑寅位の
《割書:七十五度| 》  風にて涼し夜ニ入五ツ時ゟくもり
 先月廿日京都にて姉小路少将林参内御引ケ
 之節夜ニ入御帰りかけ何者とも相知【「分」を見せ消ち】れ不申
 四五人抜連切かゝり姉小路様首筋を切かけ
 られ余ほと深手にて翌日御死去之由
十 日  朝より快晴五ツ時よりくもり四時
《割書:七十七度|八十六度》  より晴
 昨日上河内ゟ

 天王出社可有之候処俄ニ居祭被仰出候よし
十一日  朝より快晴むら雲昼過ゟ大暑夜中
《割書:七十八度|九十二度》  は殊之外晴涼なり
 上越後十日町辺玄米四斗四升壱俵代金四分
 三朱位昨年ゟ当春また致居候所此節下落い
 たし壱ト弐朱六百文位之よし
十二日  朝より快晴五半時よりむら雲終日
     天気南風吹九ツ半時より暑気殊之
     外つよし夜中は晴涼也

  六月二日夜八半時頃江戸飯倉五丁目辺ゟ
  出火折節南風烈しく四丁目三丁目焼三丁
  目表東側少々残る西側のこる五丁目西側
  三軒ほと焼る四ツ 東側焼る向側残る理
  光寺金地院は残る天陽様少々のこる永井
  町やける平間寺門前とも焼る飯倉二丁目
  片かわ残る一町目焼光陽寺残る神谷町焼
  る富下町少々のこる西久保通り下谷町や
  けるふきて町御屋敷様方かづ〳〵一円や
  ける天徳寺残る東かは門前不残のこる西か

  はやける青松寺愛宕山のこる同明町少々
  のこる松平左近車坂しん下谷石町稲葉仙
  石焼る伊奈左衛門少々残る此辺東かわ御
  屋敷は残る西側は不残焼る土岐大和残る
  太田善太夫土方八十郎奥田主膳諸せ惣太
  郎牧野不残焼る内藤久八郎少々残る相良
  京極残る谷主計焼る虎之御門金毘羅通り
  は焼中ニ御本社残る御勘定所御屋敷やけ
  る三日八ツ時比火鎮り候
  同日 御西丸焼る是は飛火には無之別火
  と申沙汰十四五人も召捕ニ相成候もの有
  之候よし
十三日  朝より快晴四ツ過より南風夕方迄
《割書:七十九度|九十三度》  吹夜中は殊之外晴涼なり
《割書: |丑ノ日》
十四日  朝ゟ快晴五ツ時よりむら雲暑気強
《割書:八十度|九十三度》  終日大暑夜中は涼し
十五日  朝より快晴大暑なり七ツ半時ゟ半
《割書:八十度| 》  は晴計の間大雨雷声夕方晴大【「晴」を見せ消ち】雨ニ
     而往還を水押程と下金町ゟ上金町

     泉町夫ゟ同町辺雨ほろ〳〵位下町
     辺更ニ降不申候
十六日  朝よりくもりむしあつし大暑夕方
《割書:八十二度|九十三度》  ほろ〳〵雨直ニやむ
十七日  朝より大暑風なし終日天気よし夜
《割書:八十度|八十七度》  中は殊之外涼し
十八日  朝より快晴終日暑気なり夜中は涼
《割書:七十八度|八十六度》  し
十九日  朝七ツ前雨降明方快晴ニ而東の方
     ニ黒き雲出る五ツ時ニ小雨直止夫
     ゟ照立終日快晴夜中清涼なり
二十日  朝もや五ツ時より快晴昼後より殊
《割書:七十七度|九十四度》  之外暑気つよし夜中迄風なし
二十一日 朝もや六ツ時より晴快晴大暑風な
《割書:八十度|八十九度》  し
廿二日  朝もや五ツ時きり雨直やむ四ツ半
《割書:七十七度|九十度》  過少々雷雨直止終日折々雨ふり夕
     方ゟ快晴
 公方様ニ而は去る十三日蒸気船ニ而大坂表
 御出帆去ル十六日ニ江戸御浜御殿え御着ニ

 而酉刻ニ御帰城被遊同十八日諸矦惣登城今
 日も
 君公御登 諸被遊候如何御決断ニ相成候や
 近日相分り可申候との事ニ御座候
廿三日  朝もやふかし五ツ時より晴暑気終
《割書:七十七度|八十九度》  日大暑少々風ふく
廿【日を見せ消す】四日  朝より快晴大暑凌かね候程也夜中
《割書:七十八度|九十三度》  迄あつし
 立秋七月之節

 本田庄参事当春中より御中之病気ニ而取臥
 居候処今日夕七ツ時相果申候事
  江戸六月十八日
   古領米
       五斗八升  糯米 四斗七升
   南郷米
   町米  六斗四升  大豆 七斗内外
   小玉大豆五斗五六升 小豆 七斗八升
   大麦  弐石    小麦 八斗内外
   菜種  五斗三四升
   仙台廻米六斗壱升  四五五入

  地水油 三十四両弐分 上白油三十三両弐分
  胡摩油 三十七両壱分 荏油 四十壱両弐分
   銭六〆八百文
     大坂五日出 《割書:水油七百四分|仝 八十三分》
廿五日  朝より大暑夕方南の方ニ雷声雨も
《割書:七十九度|九十三度》  余ほと降候様子此辺は雨なし
廿六日  朝より快晴大暑終日暑気つよし夜
《割書:七十八度|九十三度》  中まてあつし風さらになし
廿七日  朝より快晴大暑凌かね候程なり
《割書:七十八度|九十三度》
廿八日  朝より大暑風なし終日夜中迄風な
《割書:七十九度|九十弐度》  し
廿九日  朝より大暑風なし昼後より夜中迄
《割書:八十度|九十三度》  凌かね候程之暑さなり

此節所々雨乞
  
  江戸廿八日出
  太物類相場之分定も夫々御承引可有之候
  得共先達中少々下落仕候間追々下落可仕

  と申候処大井ニ相違仕品不足旁追々気配
  宜敷昨今存外飛上り相場ニ相成候 成行
  左ニ申上候
  横浜一条之儀も其後さして替も無之当節
  は追々賑合申候様子殊ニは先月中ゟ操わ
  た歟異人方ニ而買始メ候所追々多分ニ相
  成江戸市中は不及申近国近在之綿は大半
  横浜ニ参り当時江戸表ニは直段ニ不智品
  もの一切無相場之儀も存外引上ケ是又成
  行申上候
  三川白       名古白
  古新四反九分    五はん五反壱分
  改 五反四分    いせさらし
  銘 六反      鈴鹿 五反六分文
  造り《割書:直印ニかゝわらす|品なし》   奈ら和五反七分文
            雲井 五反八分文
  そ印雲才       手拭類
    三十壱弐位     相続気配宜し
  三川上銘繰綿弐百両  《割書:正取引| 金百九十両》
  地くりわた壱〆六百匁

 此節横浜交易ニ而追々操わた計売候よし
 いせ町松久浜え弐千程交易いたし江戸中品相
 尋候所当節持居候もの無之追々所々え買出
 候よし右様之仕末故木綿類高値と相見申候
 長崎ニ而は異人と争戦有之との風聞

 おか作は此節雨なしニ而追々困り候よし
 わたは当時草生ニ而は至極宜敷よし


    七 月
朔 日  朝より快晴もや大暑風なし夜中迄
《割書:七十八度|九十二度》  風なし
二 日  朝より快晴暑気終日南風ふく大暑
《割書:七十八度|九十二度》  なり
三 日  朝より快晴五ツ半時よりむら雲
《割書:八十度|九十二度》  八ツ時俄雨ふる直止又々八ツ半時
     俄雨ふる直止南風吹
四 日  朝よりむら雲南風吹終日南風つよ
《割書:八十度|九十度》   し夕方風止夜中は殊之外晴

 在々所々雨乞有之候得共雨なし
五 日  朝薄くもり暑気つよし四ツ時ゟて
《割書:八十度|九十三度》  り立夜ニ入殊之外大暑なり
 笠間辺御白土弐反七八文操わた壱八文位ニ
 而品一切無之よし
 隠敷高値ニ御座候
 玄米六斗壱弐升大豆七斗弐参升小麦八斗五
 六升菜種六斗

六 日  朝より薄くもり六ツ半時より雨降
     直止暑気つよし夫ゟ快晴大暑八ツ
     過は凌かね候位なり夜中は凌かね
     候程なり
七 日  朝よりもや快晴夜中殊之外涼し北
《割書:八十度|八十八度》  風もやうなり
八 日  明七ツ前雨ふり直止明六ツ半時雨
《割書:八十度|八十八度》  ふり直止夫ゟ快晴終日暑気夜中も
《割書:江戸表は疫病|殊之外有之候由》快晴なり
九 日  明七ツ前より雨降明六ツ時止六ツ
《割書: |久々ニ而雨ふり》
《割書:七十八度|八十六度》  半時ゟ雨ふり五ツ時迄大雨夫ゟ快

     晴暑気八ツ時より又々雨降半時計
     にて止夜中も至極晴
十 日  明七ツ前より南風強し雨ふり明方
《割書:七十八度|八十五度》  止折々雨ふり南風四ツ時より雨止
     南風終日つよし夜中も終夜風つよ
     し
《割書:七月中|十一日》   朝より快晴むら雲折々雨ふり大南
《割書:七十九度|八十三度》  風ふく夜中も大南風ニ而夜明方止
十二日  宵より明方迄大南風明六ツ半時少
《割書:七十八度|八十五度》  し雨南風六ツ半時迄雨も止南風
     終日吹夜中も薄くもり
十三日  朝より快晴むら雲少し有六ツ時よ
《割書:七十九度|八十五度》  り南風ふく夜中も南風ふく
十四日  朝よりくもり快晴少しむら雲南風
《割書:七十九度|八十九度》  吹八ツ半過ゟ風止
十五日  朝より快晴六ツ半時より少々風立
《割書:七十八度|八十七度》  五ツ過よりむら雲九ツ半時より残
     暑強風なり夜中は至極涼也
十六日  朝より快晴南風少々ふく七ツ時止
《割書:七十八度|八十八度》  夜中は清涼なり四ツ時よりむら雲

十七日  朝より快晴涼し終日天気ニ而至極
《割書:七十四度|八十五度》  凌よく候
十八日  朝薄くもり五ツ過よりむら雲四ツ
《割書:七十五度|八十五度》  過よりてり立暑気つよし
 古籾少々引上弐斗参四升
十九日  朝よりむら雲終日むら雲南もやう
《割書:七十五度|七十八度》  四ツ半時より快晴暑気つよし九ツ
     過より七ツ時迄之間暑気殊之外つ
     よし少々南風ふく日之内は雲の様
     子は六ツケ敷見へ候得共荒不申候
  当月二日薩州鹿児島ニ而おゐて異般【船の誤りか】七艘
  込乗候所六艘打破大将弐人打取其外余ほ
  と死人有之候よし鹿児島入口ニは大炮六
  十挺余も備御座候よし
廿 日  朝よりむら雲ニ而あつし南風吹残
《割書:七十九度| 》  つよし夜中迄南風ふく
廿一日  朝より快晴暑気夕方雷気直ニやむ
《割書:八十度| 》   夜中風なし
廿ニ日  朝よりくもりきり雨ふる七ツ時よ
《割書:七十八度| 》  り西北の方くもりにて七ツ時半時ゟ

     大雨雷声暮方止夜四ツ時より雨ふ
     る
廿三日  朝よりくもり冷気終日くもり空ニ
《割書:七十三度| 》  て夜ニ入雨ふり明方迄雨ふり
廿四日  朝くもり冷気七ツ時ゟ雨ふり夕方
《割書:七十一度|七十八度》  止夜ニ入又々雨ふり
廿五日  朝よりくもり北風にて冷気七ツ時
《割書:六十六度|七十五度》  より雨ふり
廿六日  朝よりくもり北風冷八ツ時よりて
《割書:六十七度| 》  り立七ツ時雨ふり直止夜中殊之外
     晴
廿七日  朝むら雲四ツ時よりてり立終日天
《割書:七十度| 》   気夜中くもり
廿八日  朝くもり五ツ時雨ふり直止又々四
     ツ過より雨ふり終日雨ふり
《割書:廿九日|ニ百廿日》  朝むら雲終日北風吹昼後止
晦 日  朝よりくもり六ツ半時ほろ〳〵雨
     直に止五ツ時より雨又やむ北風冷
     気終日折々雨ふる夜ニ入雨終夜ふ
     る

  太田辺籾新弐斗弐升
      古参斗ゟ弐斗九升
 穀町 新籾三斗ゟ三斗壱弐升
    古籾弐斗六七升
    大豆八斗五六升 小豆 九升
    小麦壱石弐斗  麦米 八斗二三升
    百銭 六〆七百文小銭 六貫文
    白米 百文《割書:古七合五夕|新八合》
    鰯粕いそ壱俵五六分拾弐〆目位ニ而
    断粕河尻辺品ニ而弐拾弐〆目位
    ほしか四俵三四分
 紅花此節上もの壱駄六十九両ゟ七十両位 
 京都より買人不参此節羽州やと申者壱人下
 り居候よし
 太物呉服もの類殊之外高値品なし手拭地壱
 反拾弐分位さらし品なし黒砂糖此節大引上
 六十両余之よし薩州之騒故と申事

    八 月
朔 日  宵より雨ふり北風にて嵐もやう
《割書:六十度| 》   冷気終日雨合なしにて北風つよし
     夜中は北大風雨ニ而七ツ時止
二 日  朝よりむら雲北風雨なし冷気終日
《割書:六十二度| 》  北風に冷気にて夜ニ入雨ふり
三 日  朝よりくもり五ツ半時よりてり立
     北風にて冷気七ツ時よりほろ〳〵
     雨直止夜中は晴天
 江戸七月廿八日出
  《割書:古領米|南郷米》五斗三升 地水油 三十六両
  町米 五斗八九升上之白油三十五両弐分
  糯米 四斗六七升胡摩  三十八両弐分
  大豆 六斗九升 ヱ油  四十五両壱分
  同小玉六斗   銭  六〆八百文
  小豆 六斗七八升 大坂十八日出
  大麦 弐石     水油七百十五匁
  小麦 八斗     仝  八十五匁
  菜種 五斗
  仙台廻米《割書:四五五入|六斗》

四 日  朝より快晴西風もやう秋冷終日天
《割書:五十五度| 》  気よし
《割書:五 日|五十五度》  朝より快晴終日天気よし
《割書:六 日|六十二度》  朝より快晴終日天気よし
七 日  朝よりもやむら雲八ツ半時地震暖
《割書:六十二度| 》  なり
《割書:ひかん|八 日》   朝より快晴さむし夜四ツ時雨す【「つ」を見せ消ち】こ
《割書:五十八度| 》  し降
九 日  朝よりくもり五ツ時より快晴
《割書:五十八度| 》
十 日  朝くもり五ツ時よりてり立四ツ時
《割書:七十度| 》   あつし夕方地震ゆる五ツ時より雨
     ふる直やむ
  此節三十分入津才田塩両四俵三四分古今
  珍敷高値なり
十一日  朝むら雲北風寒し九ツ時地震八ツ
《割書:七十度|秋 分》   時地震
十三日  朝薄むら雲さむし五ツ時ゟ快晴終
《割書:五十七度| 》  日むら雲
《割書:十四日|六十二度》  朝くもり五ツ半過より雨ふり半時

     計にて止又々九ツ半時より雨ふり
     夜中四ツ過止
十五日  朝よりくもり暖気なり終日天気持
《割書:六十五度| 》  合夜中もむら雲
十六日  朝薄くもり五ツ時より雨ふり終日
     雨ふり
  江戸表才田塩両六俵五分新才七俵三分
  赤穂四俵七分此外諸品殊之外高値ニ而品
  なし
  京都商人八幡や宇兵衛と申もの横浜ニ油
  や宇兵衛と申出店致交易多分ニいたし万
  民の難渋ニ相成候よしを浪人中承り七月
  廿三日と申し右之者首を取四条河原立札
  をいたしさらされ候よし右立札之内ニも
  京都商人ニて子や吟三郎布や彦兵衛父市
  郎大和屋庄兵衛と申者等横浜え出店をい
  たし諸品莫太ニ高直ニ相成諸人之難渋を
  不顧ニ依而浪人中右立札之中え書加見付
  次第首を取候と沙汰を承り逃去候よしニ
  御座候

十七日  宵より雨ふり九ツ過より雨やむな
《割書:六十五度| 》  り
十八日  朝よりくもり五時小雨四ツ過より
《割書:六十七度| 》  雨止夕方ちら〳〵雨直止夜中も少
     々雨
十九日  朝よりくもり五半時きり雨終日く
《割書:六十度| 》   もり雨にて持合
二十日  朝よりくもり折々雨ふる夜中も同
《割書:六十弐度| 》  断
《割書:廿一日|六十度》   朝むら雲折々てり立
廿三日  朝よりむら雲終日薄くもりニ而持
《割書:五十三度| 》  合夜中雨ふり
 真壁辺
  新米五斗五升  古米五斗三四升
  大豆六斗八九升 小麦六斗八九升
  種わた九〆目ゟ
廿四日  朝雨ふり六ツ半時より止北風さむ
《割書:五十二度| 》  し七ツ時より又々雨ふり直止
廿五日  朝薄くもり終日持合
《割書:六十度| 》

廿六日  朝むら雲さむし終日持合暮六半時
《割書:五十度| 》   より雨ふり
廿七日  宵より雨ふり冷気五ツ過ゟ雨止夜
《割書:五十度|九月節》   ニ入雨つよし直ニやむ
   一地水   三十八両壱分
   一白油   三十七両三分
   一胡摩   四十壱両
   一種粕   《割書:本〆六拾九分|三八七拾九分》
   一白胡摩  六十八分
   一花粕   七拾五分
   一坂水団  四十両
   銭六〆七百十六文
   大坂 《割書:十五日| 七百八十八文》
   八月廿二日    山又出
  当地種粕之儀麦肥ニ追々近候故気配引立
  候間御懇意先キは持合之御店林有之候へ
  共上判もの四〆 目(マヽ)ゟ已上種粕弐三千枚御
  積送御支配被仰付候様御通声奉願上候可
  成丈出精今日之相庭ニ無之候へ共左ニ売
  附指上申候間 船ニ御積入偏ニ奉願上候

    種粕上判四〆目ゟ已上
          六拾六分
  右之通出精売附指上可申候宜敷奉願上候
    八月廿二日  山崎や又兵衛

廿八日  朝より快晴寒冷終日天気夜ニ入く
《割書:五十度| 》   もる
余四麿様去る十六日於
京地格別之以
叡慮御任官被仰付出候
           松平余四麿
 継父贈大納言之遺志誠忠之意情深
 叡感殊長々滞京苦労
 思召候依之以格別
 叡慮従五位下侍従権任叙被宣下事

《割書:廿九日|五十五度》  朝よりくもり而終日持合
《割書:晦 日|五十度》  朝より快晴西風にてさむし
 才田塩三十分ニ而
 南ニ三俵弐三分

  長州辺余ほと騒動之よし京都も当十七八
  日方何事ニも不相分儀ニ緒大名方
  御所  甲冑或は火事装束等ニ而相固メ
  候よし其外御隣国緒大名馳付候よし何事
  ニや相分り不申候との事






    重 陽
朔 日  朝より快晴寒し夜中曇
《割書:五十三度| 》
 八月廿七日
  板倉周防守殿ゟ丹阿弥を以相渡候書付写
  内海御警衛御殿山下御台場松原阿波守へ
  御預り被仰付有之候所神奈川宿御警衛被
  仰付候ニ付御免被成候間右場所へ水戸殿
  ゟ人数御指出厳重御守衛有之候様可被成

  候
  一非常為御警衛鈴ヶ森辺ゟ六合川辺御固
  メ人数水戸殿ゟ御指出可被成候場所引渡
  方之儀は大目付え聞合可被成候
  右之通可申上候

二 日  朝むら雲終日持合夜ニ入四ツ時よ
《割書:六十二度| 》  り雨ふる
三 日  朝大くもり終日くもり空にて持合
《割書:六十三度| 》  夕方より晴
四 日  大霜さむし快晴西風吹
《割書:四十二度|初 霜》
《割書:五 日|四十二度》  朝霜すこしふる快晴
《割書:六 日|四十三度》  朝より快晴八ツ過よりくもり
七 日  朝より快晴九ツ半時余ほと大きな
《割書:四十七度| 》  る地震長し又々少し過而小地震
     又々夜八ツ時地震
《割書:八 日|四十五度》  明方地震ゆる快晴なり
 公辺ゟ造酒造方是迄三ト壱造り候様被 仰
 出候

《割書:九 日|四十七度》  朝より快晴
十 日  朝より快晴夕方より時雨空にて暮
《割書:四十七度| 》  六ツ時雨ふり直止快晴
  新籾弐斗弐三升  新わた壱〆九百
  大豆七斗     才田塩壱俵《割書: |壱分三百文》
           赤穂塩  《割書: |壱分三朱》
  古今珍敷高直ニ御座候
十一日  朝より快晴
《割書:五十一度| 》

  先月十八日
  京都ニ而俄ニ
  御所内御騒き出来御大名家中ニ至迄甲冑
  又は火事具野袴等ニ而鑓長刀鉄炮等持参
  中ニは抜身之鑓等持参之者も相見大炮引
  出
  御所内え詰候者数万人 御家ニ而も別紙
  之通被仰出昼夜くる〳〵廻り出行仕居候
  屯場蛤 〇(〇御)門町家を御借切ニ而是え休足仕
  御所内外町家等廻り申候御鉄炮御渡【「殿」を見せ消ち】ニ

  罷成申候十山玉ニ御座候初而一昼夜背負
  申候肩痛ニ甚難渋仕候諸藩人は自身ニ鎗
  を横たへ鉢巻陣笠仰山之出立ニ御座候
  御家ニ而も十八日朝着ニ相成申候御先手
  等直ニ翌日ゟは御人数ニ引出され大難渋
  之よしニ御座候併よき間ニ登り小子等大
  助りニ御座候左も無之候得は替り合候も
  のも無之候間日々夜々廻り之外無之御座
  候所当節は一日一夜ニ而翌日は替り合申
  候近々御所御固メ場御持ニ相成昨日ゟ御
  番所御取懸りニ相成申候御固メと廻り迄
  相勤候様被仰出【「付」を見せ消ち】候間此段いつまてと申見
  留も無之薩長水火之勢至極六ケ敷世と相
  成申候堂上方男女荷物迄運遁退市中は猶
  更之よし新田足利時代斯あらんと推察仕
  候今日は大ニ静之様子ニ相見申候得共前
  文薩長如何と奉存候
  御所内長州固引薩州は固申候
  堂上方参内御指留之方大く有之候広幡様
  も御指留之御中間ニ御座候是まて御盛の

  御方様からりと相替り之よし全薩州之計
  事達候由之風聞ニ御座候中川宮様御乗込
  其上会津懸ニ而薩人の御先ニ被遣候よし
  ケ様替る〳〵いたし候間は此先如何と心
  配仕候乱ニ及候節はかならつケ様のもの
  ニも可有之歟と愚察仕候猶追々可申上候
  へ共大取込大乱筆御高免可被下候
     八月廿二日
  右は京都ゟ小石川へ参り候手紙之よし
  ニ候へ共夕当先方名前も一向相分り不
  申候
   水戸 尾州 備前 会津
   薩州 上杉
  右東西南北大門外監察警衛【「備」を見せ消ち】可致候尤主人
  随従人数之分可指出候
      備前
  桂宮警衛可心得事
  方今形勢ニ付大藩は不及申小藩之向々惣人
  数在京之者早々九門外え可相詰候旨御沙
  汰候事

         水戸 侍従
  其藩之者何れも情々尽力之段大義思召
  候以後当諸藩互ニ申合宣合鎮静之道尽力
  可有之候事
   但諸藩詰切ニ而人数疲労候間申合交代
   御警衛可仕候也
  
  九月二日
  一紀州様え
   非常之節為御警衛六郷川辺ゟ鈴ヶ森辺
   御固人数御指出可被成候場所引渡幷人
   数御指出之比合【「御」を見せ消ち】大目付え御聞
   可被成候此段可申上哉候
  一尾州様え
   非常之節為警衛深川越中島ゟ須崎村辺
   迄御固人数御指出可被成候場所引渡【「之」を見せ消ち】幷
   人数御指出比合之義は大目付御目付え
   御聞合可被成候此段可申上候
  一紀州様ゟ御達左之通
   紀伊殿大坂御備場為巡見先月廿二日若

  山表被致発遼同所ニ而暫逗留防衛向被
  致指揮候而可有御座段被申達候通ニ御
  座候処 京都之御様子も有之候ニ付大
  坂表ニ不被致逗留人数召連同廿五日京
  都え被相越候処松平肥後守殿ゟ申越候
  品も有之候ニ付二条御城へ被致到着委
  細之義は同人ゟ申上ニ而可有御座候得
  共此段申達候様可申付越候
 一紀州様ゟ御達書左之通
  浪士体之者大和国五條御代官鈴木様内
  陣屋焼払同人初手代之者共及殺害候趣
  ニ付早々人数指出取鎮候様尤も飛道具
  相用不苦候旨松平肥後守殿ゟ於京都紀
  伊殿え被相達候ニ付不取敢此節大阪表
  へ出張為致置候家老水野多門え【「と」を見せ消ち】申付一
  手之人数纒為取鎮早速出立為致候ニ付此
  段申達候様京都ゟ申付越候
《割書: |九月中》
十二日  朝より快晴終日天気ニ而夜ニ入り
《割書:四十七度| 》  くもる

十三日  朝よりくもり六ツ半時より雨ふる
《割書:五十度| 》   終日小雨北もやうニ而冷気夜中ニ
     雨止
  当月四日夜八ツ時頃馬喰町壱丁目南西角
  ゟ出火有之折節風も無御座候へ共暫時ニ
  燃上り同町壱弐丁目南側不残小伝馬町三
  丁目南側油町え焼抜ケ油町北側不残南側
  残ル夫ゟ塩町横山一丁目東側二丁目南側
  中程ゟ横山同朋町え焼通り両国薬研堀迄
  夫ゟ立花町壱弐丁目久松町村松町浜丁河
  岸通右辺御屋敷大体焼る夫ゟ大川端迄焼
  ぬけ漸く暁六ツ時鎮火仕候誠ニ以存外之
  大火ニ相成候而奉驚入候何卒此上とも平
  穏ニ仕度奉祈入【「存」を見せ消ち】候御儀ニ御座候
    八月五日
十四日  朝よりくもり終日くもり空にて持
《割書:五十一度| 》  合八ツ時より快晴
十五日  朝より快晴朝もやふかし終日天気
《割書:五十二度| 》  よし夜中薄くもり
十六日  朝薄くもり八ツ半過より雨ふる夜

《割書:五十二度|庚申》  ニ入雨つよし
十七日  宵より雨ふる北風ふくさむし昼時
《割書:五十度| 》   位より雨七ツ時ゟてり立

 九月十二日出江戸         三 白
  一地水油 三十九両壱分   一古新 四反五文
  一白 油 〃        一改  五反五文
  一胡麻油 三十九両弐分   一銘  五反八分五
  一ヱ 油 《割書:大下落| 四十四両》     一送  《割書:六反四分| 品なし》
  一種 粕 《割書: 六十五六分|六七拾五六分》       名 古
  一ヱ 粕          一壱番 三反壱分五
  一坂 水 団四十壱両    一弐  三反四分五
  一銭   六〆七百十六文  一三  三反七分文
  大坂 《割書:五日出| 八百九十三分》      一四  四反壱分五
   いせさらし        一五  四反五分五
  一鈴鹿 五反四分      一六  四反九分五
  一奈良和五反五分      一七  五反三分五
  一雲井 五反六分      一八  五反七分五
                 右壱分ツヽ引
                一《割書:生雲才無印| 四十両物なし》

   新わた
    三木銘  百七十九両位
    坂 上  百七十六両位
    京 木  百七十弐両位
    地わた  壱〆六百文壱弐十匁

十八日  朝よりくもり四ツ過よりてり立終
《割書:六十度| 》   日むら雲
十九日  朝より快晴昼後よりくもり
《割書:五十度| 》
《割書:二十日|五十五度》  朝よりくもり四ツ過より晴
二十一日 朝薄くもり九ツ半時位より雨降夜
《割書:五十度| 》   中迄雨ふり
二十二日 明方地震ゆる明方雨止終日天気薄
《割書:五十五度| 》  照夜ニ入くもる
二十三日 朝より薄くもり終日くもり空にて
《割書:六十度| 》   七ツ時小雨直止夜ニ入又々雨ふる
 京都は先月十八日ゟ廿五日迄
 御所惣御門〆切之よし何御次第か不相分
 御門外は抜身之鑓なとニ而大勢かけあるき

 候よし
二十四日 朝よりくもり暖気なり七ツ半時よ
《割書:六十度| 》   り俄に時雨もやう夜ニ入北風吹雨
     少々ふる
《割書:二十五日|四十五度》 朝より快晴天気よし
廿六日  朝よりくもり終日北風くもり殊之
     外さむし夕方小雨直止
《割書:立冬| 》
廿七日  大霜明方地震さむし又々地震四ツ
《割書:四十五度| 》  時 地快( マヽ )晴
廿八日  霜ふる時雨そらさむし終日時雨空
《割書:三十九度| 》  なり
廿九日  大霜さむし快晴時雨空ニ而夕方よ
《割書:三十八度| 》  りくもりさむし

 当十五日江戸市中ニ御触有之候は旨儀ニよ
 り合端を開可申も難計候間老人子供女等は
 在方え遣置候様御触有候よし


   十 月 
朔 日 朝よりくもり終日くもり空ニ而八
《割書:四十七度| 》 ツ時少し雨ふり夜中は晴昼四ツ時
    過地震
二 日 大霜快晴終日天気よし
《割書:亥猪| 》
《割書:三 日|四十一度》 大霜快晴寒し
《割書:初氷はる|四 日》 大霜快晴さむし
《割書:四十度| 》
《割書:五 日|三十八度》 大霜朝時【「晴」を見せ消ち】雨空五ツ時より晴さむし
 籾追々引上
  壱分ニ弐斗壱弐升
六 日 朝よりくもり五ツ時きり雨四過時
《割書:五十度| 》  より雨ふり終日雨夜ニ入雨か風つよ
    し明方止
七 日 あ朝より晴暖気終日暖気にて夜ニ入
《割書:六十八度| 》 くもる
 此節銅鉄類追々引上候よし当所金物や買
 入直段左之通之よし
  一古銅一〆目ニ付三〆八百文位

   一古唐  〃  弐〆八百文位
   一真中  〃  三〆五百文位
   一鉄   〃  五百文ゟ八百文位

 京大坂辺金壱両金相場九十壱弐分位迄ニ相
 成候所御達有之候而八十目以上相場は不相
 成候様御達ニ相成候よし
 江戸表金巾木綿俄ニ引上百六十五両位之よ
 し新わた両ニ壱〆六百目位之よし

《割書:八 日|六十度》   朝より晴暖気
《割書:九 日|五十四度》  朝より快晴西風ふく九ツ時ゟ風止
《割書:十 日|五十三度》  大霜快晴
 籾追々引上ケ壱分ニ弐斗五合
 穀旦ゟ百文ニ六合売之願出候よし
十一日  朝より曇り八ツ時より小雨直止夜
《割書:五十五度| 》  ニ入雨
十二日  朝よりくもり五ツ時よりてり立
《割書:五十五度| 》
《割書:十月中| 》
《割書:十三日|四十八度》  霜ふるさむし西風吹終日天気よし

十四日  大霜快晴寒気つよし四ツ時位より
《割書:三十四度|今日抔籾少々》時雨もやうにて終日薄くもり
《割書:下落弐斗三四升| 》
十五日  きり雨ふる直ニやむ終日くもり空
《割書:四十三度|月蝕九分半》 夕方よりはれ
《割書:十六日|四十五度》  霜ふる快晴
十七日  大霜快晴寒気
《割書:四十度| 》
 地わた追々引上
 壱〆六百五十目ニ而下たて辺ゟ買人入込
 才田塩両ニ三俵七八分ミナト仕入直段
  江戸十二日出
  一地水油四拾三両  一種粕《割書:本〆 六枚三ト|三八 七枚三ト》
  一白油 四拾弐両三ト一ヱ油 七枚五ト
  一胡麻 四拾三両壱ト一胡麻 六枚弐ト
  一花漉 四拾五両三ト一銭  六〆七百文
  一坂水 四十五両  一大坂ニ 八百三十六分

  三川白        名古
  一古新 四反四ト   一五はん 四反六ト

  一改   四反九ト    《割書:但上下四ト開| 》
  一銘   五反七ト
  一造   品なし     生金巾
   いせさらし     一壱番【「両」を見せ消ち】《割書:百八十匁|品なし》
  一鈴鹿  五反壱分   雲 才
  一奈良和 五反壱ト  一合印四十壱弐匁
  一雲井  五反壱ト     《割書:品なし| 》
   《割書:但上下三ト五開| 》
  一三州上銘操綿    一地線同断
    《割書:弐百三十両取引| 》      《割書:壱〆四百匁位| 》
  一坂上弐百廿七両   一《割書:坂井|大和》品なし
    わた大飛上り少々も引なし之値
《割書:十八日|四十度》   朝より快晴霜ふる
十九日  朝むら雲五ツ時ゟ晴四ツ時より時
《割書:三十九度| 》  雨空にて終日くもり
 当地操わた両ニ壱〆六百匁
《割書:二十日|三十八度》  霜ふる快晴さむし終日天気
二十一日 大霜寒気つよし終日時雨空ニ而夜
《割書:三十四度| 》  中雨少ふる
廿二日  明方小雨直やむ終日くもり空にて

《割書:四十三度| 》  持合暮六ツ時よほとつよき地震夜
     中は晴
《割書:廿三日|三十九度》  大霜快晴折々むら雲さむし
 江戸十月十八日出
   一坂水  四十五両弐ト
   一地水  四十四両弐ト
   一胡麻  四十四両三ト
   一ヱこし 四十六両弐ト
   一地水白 四十四両一分
   一種粕  六枚弐十弐ト
   大坂水油 八百三十六分
   金    八十俵
《割書:廿四日|四十度》   朝より快晴
会津辺玄米壱分ニ壱斗六七升
籾少々下落 大豆壱升弐百文位
壱分上弐斗弐三升ゟ弐六七升
《割書:廿五日|三十四度》  朝より大霜快晴
  此度関東鎖湊及談判候旨言上有之候間攘
  夷之義総而得
  幕府之指揮軽挙暴発之輩無之様諸藩家来

  末々迄可被示事
      十 月
  右之通
  御所ゟ被 御出候間諸藩末々迄主趣厚相
  心得候様可申付候
  右之趣万石以上以下之面々不洩様早々可
  被相觸候  十 月
  右之通相觸候其段可申上候
廿六日  大霜快晴寒し
《割書:三十四度| 》
十一月節
《割書:廿七日|三十五度》  大霜快晴
《割書:廿八日|四十弐度》  霜ふる寒気
廿九日  朝時雨空にてきり雨直止折々雨ふ
《割書:四十七度| 》  る夜中雨つよし
 両三日已前磯村辺まぐろ漁事有之候処下野
 辺え壱本金拾弐両位ツヽ売札候よし珍らし
 き相場之事但一駄弐本附之由此節いわし漁
 事更ニ無之ミナト辺いそ辺地粕拾壱〆目位
 之俵ニ而金壱両ニ壱俵四分位浦賀辺両ニ拾

 参〆目位所品都而高値ニ而商人大難澁之事
 湯せん結髪せん其外仕立賃迄も追々引上け
 候よし夫々奉公人更ニ無之とは如何之わけ
 ニ候や更ニ相分り不申候
 郷中は作方平均いたし候へは昨年より余ほ
 と取実宜敷よし直段は昨年は壱分ニ籾ニ而
 弐斗三四升当年は弐斗壱弐升ニ候而其外諸
 作物高値故金銭融通宜敷よし
 当節穀甼は玄米ニ而金壱両五斗位ニ上リ候
 よし
 此節ミナトニ而塩引壱両ニ六本之よし
 七八日以前岡本源左衛門と申候人の御子息
 当年十八才幷よりも大キたる人に而力量有
 之釼道もよほと上達之人之よし神勢館ゟ夜
 中四ツ過帰りかけニ細谷新御蔵前辺へ通り
 かゝり候処大男三人刀を抜キ待居岡本御子
 息へ声かけ御相手ニ相成申度と被申候付岡
 本も心得候と申なから抜打ニ先方へ切かけ
 候所三人とも見え不申候ニ付近所御屋敷三
 村某と申方へ参り燈灯を貸呉候様申込候所

 夜ふけ何方ゟ御帰りニ候や相尋候へは只今
 ケ様〳〵之儀ニ而無拠先方へ切かけ候所手
 こたへは有之候へ共闇ニ而聢と相わかり兼
 総間見届参り度候ニ付燈灯御借用仕候と【「被」を見せ消ち】
 申候へは右御屋敷ニ而次男を付一同参り見
 候所三尺計も可有之大三毛猫を切殺有之候
 趣全く猫の仕候ものと相見候と【「へ」を見せ消ち】の事ニ御座
 候
晦 日 朝もやふかし四ツ過よりてり立又
《割書:四十度| 》  々くもり七ツ過より雨ふる終夜雨

   十一月
朔 日 宵より雨明方あられまじりふる
《割書:三十八度| 》 五ツ時ゟ上終日くもり空夜中晴
《割書:二 日|三十五度》 大霜寒気つよし
三 日 大霜五ツ過より西風さむし八ツ時
《割書:三十三度| 》 ゟ風止
四 日 大霜寒気殊之外つよし西風吹七ツ
《割書:弐十四度| 》 過止
 十月廿五日夜江戸寺本仁衛門と申者所ニ而

 侍体之もの四五人参り支配人を切害いたし
 候よし
 十月廿九日夜江戸日本橋黒江やと申塗もの
 店ニ而三人【記号・斜めの井形の中に三】糸店ニ而壱人嶋屋京屋糸店御
 玉ケ池西金とか申唐物屋堀留丁子や甚兵衛
 と申店ニ而壱人糸物会所弐軒其外十四軒同
 夜切害いたされ候よしいつれも横浜ニ而交
 易致候ものゝよし
五 日  大霜快晴五ツ時より西風吹
《割書:三十五度| 》
六 日  大霜快晴四ツ時より西風吹夕方ゟ
《割書:三十六度| 》  止
《割書:七 日|三十七度》  大霜快晴
八 日  大霜快晴夜ニ入四ツ半過より明方
《割書:三十六度| 》  迄西風つよし
《割書:九 日|三十八度》  大霜寒気
 此節炭槙綿高直ニ付他品出も指留ニ相成候
《割書:十 日|三十五度》  大霜快晴
《割書:十一日|三十度》   大霜快晴
十二日  朝より寒気夜五ツ半時より大西風

《割書:三十三度| 》  吹九ツ半時迄風つよし八ツ時地震
十三日  霜降快晴寒気五ツ半過より西風吹
《割書:三十七度| 》  出ス終日風強夕方止
《割書:十四日|三十七度》  大霜快晴夜八ツ時あられふる
 夜六ツ少し過中山備前守様表御長屋不残焼
 る
十五日  大霜快晴
 明六ツ半時小泉へ縁付候おたけ出産有男子
 出生金之介と名付候よし
十六日  大霜寒気つよし夜ニ入五ツ時ゟ四
《割書:弐十一度| 》  ツ時迄西風つよし
  江戸交易町人とも先達而中生糸夥敷指出
  候儀ニ付浪士中ニ而彼是と吟味有之候沙
  汰之よし之所去ル廿四日夜伊勢町河岸京
  会所へ押込同所ニ居合候もの四人被切殺
  候よし其他本町筋ニ而も被切候もの有之
  候よし交易いたし候町人とも表〆切当分
  商ひ相休み居候由ニ有之又々市中騒々敷
  廻り厳重之沙汰之よし
 一一橋様去ル廿六日 御発駕霊岸島より御

 船ニ而御上京被遊候よし御供之外講武処
 諸生弐百人御警衛として御供のよし一橋
 様ニ而は御家中は余ほと揉候や既ニ御側
 御用人相勤候中根長次郎と申者 御上京
 御用懸司位相勤候人廿四日夜牛込辺ニ而
 被切殺候よし 宅は青山辺一橋ゟ帰り道
 相手は八人と申候沙汰之よし何人ニ候や
 不相分其外先詰候罷出候用人黒川嘉衛と
 申人小田原ニ而被打候と申沙汰之よし

《割書:十七日|弐十三度》  大霜寒気四ツ過より西風ふく

下町え張紙之よし
 今宵五丁目七丁目之奸商共誅戮可致之処両
 三日指免し候間役人共精々申諭改心為致候
 事
  若改心無之候はゝ不愍には候得共速ニ誅
  候へし
 此外本五丁目木戸え張付有之候事
 皆々至り油其外横浜へ積送り御国中難渋ニ

 至り候をも不顧利を貪り候所業速ニ誅戮可
 加ものや
  しかし両三日之内改心致候はゝ可指免な
  り
          北陸之男子
 此外中江や左左衛門戸に張付有之候趣ニ御
 座候
          草莽義士
 利潤ヲ好み候は商家之分とは申候へとも交
 易已来諸品沸騰御国中小者共疲耗 不可(本ノまゝ)くみ
 畢竟 上之御契度無之候とは為申と候
 神国ニ生れなから人民窮迫ヲしりなから内
 々交易品江戸表へ品物送り利を貪り候心底
 甚可悪所業依之此度誅戮ヲ加へたく之所一
 旦之所為后後改心之廉有之候得は指ゆるし
 候条 欲よ(本のまゝ)仲間申合相場相減し可申候事
   若十日前後ニ改心之廉無之候はゝ天【「可」を見せ消ち】誅
   を加ふるもの
  此外笹や清介戸へ張付有之候趣ニ御座候
   十一月十二日夜張る 七町目柏やへ

 先年来比日ニ至ルまて内々横浜へ交易品積
 送り御国中ニ疲憋ヲ不顧利ヲ貪り候所業其
 罪【「罰」を見せ消ち】可加天誅もの也明日ゟ改心之廉無之上は
 速ニ誅戮ヲ可加事
          草莽義士
十八日  大霜快晴寒気八ツ時比俄ニ大風吹
《割書:弐十四度》  黒煙り吹立直ニ止
 十五日酉上刻
 公辺御本丸御焼失之由
《割書:十九日|二十四度》  大霜寒気強
《割書:二十日|二十七度》  大霜快晴
《割書:二十一日|二十八度》  大霜快晴
《割書:廿二日|三十度》   大霜快晴
廿三日  大霜寒気強
《割書:廿四日|三十四度》  大霜寒気強
《割書:廿五日|弐十八度》  大霜寒気強
《割書:廿六日|弐十八度》  大霜寒気強夜ニ入五ツ時より雪ふ
     る三四寸程四ツ半過止
  菜種幷油他所出候指留
《割書:廿七日|二十七度》  寒気快晴西風ふく

《割書:五ツ時七分ニ入|入寒》
 公辺御城書之由
   十一月十一日御城書
 先般衆服制度御変革被仰出候処思召被為在
 前々之通のしめ長袴等着用可致旨被仰出候
 一前々のしめ或服紗小袖又は白帷子長袴着
  用之廉々は以来前々之通着用可致候
   但正月八日ゟ平服之事
 一正月六日装束
  九月九日御礼之節前々之通万石以上之面
  々花文小袖着用可致候
 一平服は前々之通遣上下たるへく候袴は襠
  高ニ而も平袴ニ而も勝手次第着用不苦候
   但足袋は前々之通白足袋相用可申候
 一布衣以上白衣勤之面々ニは以来羽織襠高袴
  相用可申候
 一陪臣衣服之義は主人々々之了簡次第可為
  候尤
  献上物御礼事等ニ而
  御城え指出候使者着服之義前々之通たる

  へく候
   但御城え罷出候【「使者着服之義前々之通」を見せ消ち】
   節相用候平服之義は前書ニ准着用可致
   候
 右之通相心得熨斗目長袴は十二月朔日ゟ其
 外は来十五日ゟ書面之趣可致候
 右之通相触候間可存其趣候
   十一月
《割書:廿八日|弐十三度》  大霜寒気強
《割書:廿九日|弐十三度》  大霜寒気殊之外つよし

 品川沖へフロイセン軍艦渡来以来騒々敷市
 中張紙等いまた不相止人々恐々之思ひを成
 居候越後屋焼失後張紙有之類焼人は勿論其
 外へも施都合十弐万両不指出候はゝ又々同
 志押寄小児ニ至迄切捨可申抔と申事ニ而面
 々相恐此間中焼跡取仕抹ニ出候ニも三井の
 半天着候仕事師壱人も無之と申事
 公方様ニも来月下旬
 御上洛と被仰出候よし

 当月廿三日昼四ツ時位駿河町越後屋台所ゟ
 出火ニ而江戸橋辺迄焼る付火のよし
 同十一月廿一日大坂大火夜五ツ時新町橋東
 詰ゟ出火西風はけしく追々やけ広がり翌廿
 三日明ケ七ツ時鎮火
 家敷弐万四千余蔵敷六千七百四ケ所
 火の入土蔵六百八十四ケ所
 神社十三ケ所 仏堂三十七ケ所



    十二月
《割書:朔 日|弐十七度》  大霜寒気殊之外つよし
《割書:二 日|弐十六度》  大霜寒気つよし
《割書:三 日|二十八度》  大霜寒気つよし
《割書:四 日|三十度》   大霜寒気つよし
五 日  大霜寒気つよし夜ニ入五ツ時ゟ雨
《割書:三十度| 》   ふり
《割書:六 日|四十度》   朝よりくもり寒気ゆるみ
《割書:七 日|二十七度》  朝よりくもり寒気つよし

《割書:八 日|二十七度》  朝よりくもり寒気つよし
《割書:九 日|弐十八度》  朝よりくもり四ツ時ゟてり立西風
     殊之外寒し
  笠間辺玄米六斗也
《割書:十 日|弐十三度》  大霜寒気殊之外つよし
 当八日大工町松坂屋弥兵衛下町中江や笹屋
 清介柏屋清衛門四人閉門青竹ニ相成候此間
 張紙之者ニ候間横浜へ品々売遣候也
 此節侍体之もの市店等へ罷越押借乱暴不相
 済所業有之物騒之趣相聞候処御取締方之儀
 ニ付而は追々相達候振も有之候得共召捕方
 別而心を付手配致候儀は勿論御商家ニ而も
 右体のもの相越不法之事有之ニおゐては聊
 無用捨捕置最寄役筋之者え相届ケ引渡候様
 支配中えも相達取締方行届候様宜取扱事
 御取締方之儀ニ付而は是迄追々相達候振も
 有之候処此度別紙之通御達有之候付而は尚
 更精々心を付ケ右様之者見聞致候はゝ早速
 最寄役所同心共え申立候様可致候若も見迯【「逃」を見せ消ち】
 聞迯候もの於有之候而は御沙汰之品も可有

 候条心得違之もの無之様支配切無洩就?ト可
 相達候〆
   十二月九日    大内彦助
《割書:十一日|廿三度》   大霜にて寒気殊之外つよし
《割書:十二日|廿四度》   大霜快晴寒気
《割書:十三日|二十八度》  大霜快晴寒気つよし明七ツ半時地
     震
 公辺ゟも追々諸品直下ケ之御手入有之候へ
 とも如何之わけニ候や上州辺織もの追々高
 直ニ候而商人一統難渋当節上州辺絹糸両ニ
 五十匁位木綿糸百壱分ニ付拾四〆三百文位
 生絹壱疋四十弐三匁付位之目方ニ而金壱両
 位此節はた絹壱疋職立候へ共金壱分弐朱位
 ゟ弐分位之織手間ニあたり候よしニ而職人
 計景気宜敷商人は殊之外難渋致居候
《割書:十四日|二十五度》  大霜寒気つよし
 此節焼失人越後屋え日々持込候ニ付合力壱
 竃へ金拾両ツヽ指遣可申候振申聞候
 承服不致候由 裏(マヽ)店等ヲ入候而は八百竃と申
 候へは拾両ツヽに而も八千両之合力と申焼

 失人ともは拾万両借度申候よしいまた囲も
 不致夫成ニ相成居候
 公方様弥当月中御上洛と申候沙汰
 上州沼田へ一揆起り候沙汰之よしいまた実
 事相聞不申候へとも騒敷さたニ御座候
十五日  明六ツ半時より雪ふる四ツ半過ゟ
《割書:三十三度| 》  止
《割書:十六日|三十三度》  大雪快晴
 今日小銭六〆六百メニなる是迄六〆文百銭
 は是迄通六〆六百文也
十七日  終日くもり空にて夜ニ入雨夫ゟ雪
《割書:三十度| 》   ニなる
十八日  明方迄雪雨交ふる北風ふく八ツ時
《割書:三十度| 》  より快晴
《割書:十九日|二十六度》  大雪快晴寒し夜中くもり
 当十七日夜府中入口小松え高橋新助と申者
 之首之よし紙札を下ケつるし置有之候よし
二十日  宵より小雪ふる終日少々ツヽ夕方
《割書:三十度| 》   より雪のみふる
廿一日  宵より雪明方止八ツ時位より晴寒

     殊之外つよし
 廿一日日柄も宜敷候ニ付娘さた事小林弥次
 郎え遣ス
《割書:廿二日|二十七度》  朝より快晴
《割書:廿三日|三十六度》  朝より快晴
 昨日松坂屋弥兵衛下町笹屋中江や柏屋等閉
 戸御免ニ相成いつれも家格御引上ケニ相成
 申候よし
将軍様当廿一日又々御上洛ニ相成候よし
廿四日  朝より快晴七ツ時しくれ降夜中は
     はれ
《割書:廿五日|二十七度》  朝より快晴西風さむし
廿六日  朝より快晴寒気つよし
節分
《割書:廿七日|二十五度》  朝より快晴寒気つよし
《割書:廿八日|二十七度》  朝より快晴寒気殊之外つよし
《割書:廿九日|二十六度》  大霜快晴寒気つよし
《割書:晦日|二十度》   朝より快晴
当廿七日
将軍様

御上京被遊候よし

大高奥