稗史叢を読むの翻刻テキスト

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稗史鈔

【撮影用ターゲット】
稗史鈔

【表紙】

《割書:稗史|評判》岡目八目 古板本 巻末 ̄ニ綴入

稗史鈔《割書:  椎園稿本|洒落本附入》


・(ノチ)式亭三馬《割書:姓菊地、名久徳、字太輔俗称西宮太助|父、八丈島為朝大明神祠官菊地壱岐守──妾腹嫡子茂兵衛也》[印=書房]古き草双子に此印を押したる有り

・(マヘ)朋誠堂、平沢天寿平格子薙髪平荷翁、俳諧に月成、戯作に喜三二、狂歌に
手柄岡持

【右丁】
【出だし上半分】
鳥居清倍        
鳥居清満 同時代也       
富川房信
【下半分】
北尾政演 《割書:京伝本作の無匂(ニホイン)線香□□稗史の|末に狂言のらむすこ ひとり言「罷出たる者は》
中橋と京橋のあたりに住黄ひやうしの作者京伝
と申ものてござる云々とありてそのくたりを画ける下に
まさのぶ自画とあり」画工紅翠斎門人也
【以下様々な印を注記で「印」とします】
  清経【印】《割書:作■■|桂子》【印】
北尾 杉(◦)皋(◦)政美画《割書:古き草そうしに|かくあり○恵斎と号す》  恋川春町《割書:狂歌の名を酒上不埒と云|後万載集上に妻をむかへし殿の|狂歌あり》
               
【印】鱗形や孫兵衛《割書:大伝馬丁三丁目|》
【印】通油丁丸屋山本小兵衛 【印】通塩丁奥村【印】《割書:橋丁三丁目|いせ幸》
【印】《割書:いせ治|山下御門外|山下丁中程》 【印】《割書:馬喰丁|西村》 【印】《割書:通油丁|松村弥兵衛》【印】《割書:大伝馬丁三丁目|大和田》 【印】《割書:大門口|つたや》
《割書:耕書堂ハ通油丁|つたや也》 【印】《割書:村田や|■太郎》 【印】 【印】《割書: |西ノ宮新六》  【印】《割書: |山口》 仙鶴堂《割書:つるや|喜右衛門|通油丁》
丈阿作◦紅白三人女《割書:黄表紙|二冊》の下巻に 作【印】《割書:とあ[る]印に丈阿とあるゆへに|作と斗りかきたる也》 【印】《割書:大伝馬丁|ゑのもと》
【左丁】
【印】《割書:芝全交|印》 【印】《割書:喜[三]|二|印》 ○万象亭[まん]  京伝《割書:京橋銀座一丁めきせるたはこ入商売|京屋伝蔵》
うろこがたや 【印】《割書:東来|三和|印》 ○喜三二《割書:号朋誠堂|平沢氏》手柄岡持なり《割書:文化十年五月廿日没|浄心寺》
竹杖 為軽(スガル)【印】    《割書:曼亭改| 感和亭鬼武 【印】》




○《割書:作者|》楓亭猶錦《割書:享和三年敵討四万物語《割書:後編は旧土産(コキヤウミヤケ)|吾妻錦画と云》都合六冊|画は豊広なり》


【右丁】
◯享和四年甲子春草さうし敵討二人長兵衛馬琴作その巻末に作者曰喜三二金々
 先々栄花の夢より草さうしに滑けいを尽したる事廿余年中頃一変してぶしやれとなり
 又一変してまじめとなる云々【コマ25にあらすじあり】
〇青本めつけ絵《割書:人の知りたるものに団十郎◦きんひら◦志道軒」◦あり|とあつむ》
 此時代までもきんひらの名は高かりき
〇草双紙の事寛延宝暦の頃は多く左の合戦武功の次第或は敵討などの類をつゞり
 童児の戯玩なりしを明和安永の頃より世上風俗の淑悪男女の情態をのべたる
 編輯多く此草紙大に世に知れ幼稚のみにあらす大人専ら是を弄ひて功拙を
 論し云々寬政より此かた山東京伝是を一変せしめ勧徳を旨として多く作れり其
 内善玉悪玉のさうし殊に知れたり」以上武江年表巻七
〇赤本の直段は一冊六文づゝ也其後黄表紙の直段は十文つゝ也《割書:予か覚へしは黄表紙三冊もの|三十二文也》
〇三馬が寬政辛酉年の草紙式亭王【三】馬自惚鏡の はじ(本文の)めに「くさ双紙の作者も
 古しへは市山清兵へなどゝといふ実名にてやれにげろ〳〵くらいの書入れ也しか文子◦通
 幸などゝ俳名になりてより丈阿と云名人なんと子どもしゆがてんか〳〵と云事を
【左丁欄外に続く】
書入れて大
きにおちを
もりて云々

山東京山か天保八年の絵草子琴声女房形気に云
凡今の世に絵草紙と云ものはむかし詞書をそへたる画巻物の余
風也其はしめは天和の頃むかしよりありし短き物語の絵入の草
紙をちいさき本にうつし取て板にほり子供等かみるものにし
たるぞ今の世の絵草紙のはしめ也ける夫より後々次第に工み
をそへむかしより有し草紙にもあらぬ物を作り設けて絵草
紙となしゝが夫もむかし有しいくさの事なとをむねとして作れり
夫より後に至りて正徳享保の頃近藤助五郎清春と云し者
近きむかししもざまに有し事に事をそへて作り出しはしめて絵
草紙に画かきの名をしるせりこの清春か絵草紙は作も清春
なれど作の名はしるせる物なし天和より此頃までの絵草紙は
一冊物又は二冊上下としその代銭十文には足らざりしとぞかく
て安永の末より天明の頃に至りて絵草紙の画も作も上手
の人々出たる故絵草紙大にはやりて其さま昔にまさりて工みに
なれる上手の人々は画かきにしげ政 とよ春 春章 清長
作には春町 好町 通笑 全交 喜三二など也京伝も此かすに


入りぬ抑絵草紙に作者の名をしるし《見せ消ち:し|来》は通笑かはしめし夫もはし
めは名をしるさゞりしか世にもてはやされし故三つ四つ作りたる後名
をしるしたと蜀山先生の物語られきさて今の絵草紙に口絵と
いふものをそへ又かぶき役者等か似顔に画く事も文化の頃京伝翁
か豊国に画かせたるかはしめ也けり云々


【空白】

黄 由佐 ̄ノ七郎栄花 ̄ノ夢  二冊《割書:丸小板 作者画工年号不知|鳥居清倍時代也》
  女清玄二見桜    三冊《割書:丸小板| 》
黄 御(ヲ)田賀(ガ)杓子    二冊《割書:丸小板 清倍| 》【御たがじやくし】
  風流武文蟹     二冊《割書:丸小板| 》
  日本琴 ̄ノ濫觴(ハジマリ)   二冊《割書:丸小板| 》
  公時接穂 ̄ノ梅    二冊《割書:丸小板| 》
  縁結赤人塚     二冊《割書:丸小板| 》
  仇情出世 ̄ノ短冊   二冊《割書:丸小板| 》


  猿蛸 鼈(スツホン)大喧嘩    二冊《割書:丸小板|》
黄 蜷川新右衛門     三冊《割書:丸小板 富川房信|》
  壇浦二人教経     三冊《割書:丸小板 同|》
  朝比奈草摺実記    二冊《割書:丸小 同|》
  大磯虎車塚物語    二冊《割書:丸小 同|》
  風流鬼 ̄ニ瘤      二冊《割書:丸小 同|》
  化物見越入道始    二冊《割書:丸小 同|》
  桃栗三平柿八兵衛   二冊《割書:丸小 同|》

  猿廻春花婿      三冊《割書:丸小 同|》
黒 朝比奈大黒舞     二冊《割書:鱗形板 画工不知|》
同 金平宝船       二冊《割書:同|》
同 蝉丸児手柏      三冊《割書:甚板|》
黄 風流とんだ茶釜    二冊《割書:【瓢箪の図】奥村板 房信|》
同 上総国青砥物語    三冊《割書:同 同|》
同 根元桃太郎      二冊《割書:伊勢治板 富川吟雪|》
黒 風流 稚(ヲサナ)小町     三冊《割書:鶴 板|》

黄 《割書:鎌倉|比事》北条 九代(クダイ)序(トクチ)   五冊《割書:うろこ形板 清満|》
同 むらさき曽我     三冊《割書:   春町|》
同 浮世 繰(カラクリ)九面十面   三冊《割書:   全交作 豊国画|》
同 実語教 幼稚(オサナ)講釈    三冊《割書:蔦十板 京伝|》
同 《割書:福々|財々》比来(クラベコシ)降涌(フリワキ)金    三冊《割書:西宮板|》
同 間似合 嘘言(ウソツキ)曽我    三冊《割書:鶴ヤ板| 》 《割書:蓬莱山人帰橋作|清長画》【コマ47も見よ】
同 《見せ消ち:《割書:三国|伝来》無匂(ニホイン)線香|》《割書:後ニクハシ|》 三冊《割書:同 京伝画作|》【コマ47も見よ】
同 のとろ之助てから語(モノカタリ) 二冊《割書:丸小板 清重画|》【能登呂助手柄物語】

同 敵討振分髪      二冊《割書:丸小板|》
同 八重桜 倭歌(ヤマトウタ)     二冊《割書:鱗形板 清満画|》
黒 ばけ物百もの語    二冊《割書:奥村板|》
同 男 作(だて)都 ̄ノ目貫     二冊《割書:同|》
黄 芝全交 ̄ガ智恵之程    三冊《割書:つたや板 全交作 政信画|》
同 《割書:面背|不背 ̄ノ》 御年玉      三冊《割書:同| 》 《割書:万象作|式上亭柳郊画》【面向不背御年玉】
同 現金青本 ̄ノ通(カヨヒ)     三冊《割書:つる板| 》 《割書:芝甘交作|北尾政□画》
同 江戸紫根元曽我    二冊



黄 此(コンナ)縁(ヱニシガ)唐(カラニモ)有歟(アロカ)    二冊《割書:岩戸板 一九|》
同 《割書:五|穀》豊饒(ブニヨウ)民安全     二冊《割書:いせ幸板 吟雪|》
同 絵本阿房袋       二冊《割書:【屋号紋山に三つ巴】 慈悲成 豊国|西村板》
同 もつてこい餅は餅や   二冊《割書:いせ次板 同|》【持来餅者餅屋】
同 《割書:ひだり|甚五郎》龍 ̄ノ一談      三冊《割書:西村板 北尾正美|》
同 《割書:自笑請合|本八文字》正札附 息質(ムスコカタギ)   三冊《割書:つたや板 唐来 正美|》【コマ40も見よ】
同 《割書:百文|二朱》寓骨牌(ムダカルタ)       三冊《割書:【屋号紋:山に吉、榎本屋吉兵衛】板 政のぶ 京伝|》
同 世之中諸事天文     二冊《割書:同 物蒙堂礼作 政演|》

同 《見せ消ち:《割書:豊(ブン)福|茶釜》毛 ̄ガ生(ハヘ)太郎月?》《割書:後ニ委ク出|》 三冊 《割書:西村板 可笑作 清長|》
同 《見せ消ち:《割書:嗚呼|不侭(マヽナラヌ)》世之助噺》《割書:後ニクハシ|》    三冊《割書:   亀遊作|安永十年》
同 芋太郎屁日記咄       二冊《割書:鱗形板 春町|》【コマ36も見よ】
同 豆男栄花春         三冊《割書:西村板|》
同 案内(アナ)手本通人蔵      二冊《割書:鱗形板 喜三二作 春町画|》
同 初夢富士 ̄ノ高根       二冊《割書:いせ次板|》
同 能天(イヽテン)御利生        二冊《割書:  全交作 政寅画|安永九年》
同 飲中八人前         三冊《割書:松板 通笑作 清長画|  安永□年》【コマ43も】


黄 中昔犬 ̄ノ手柄   二冊《割書:丸小板 鳥居清倍画|》
同 住吉誕生石   二冊《割書:奥村板 富川房信画|》
□ 奢 ̄ニ長(テウジ)茶大名嶋表   二冊《割書:   録山人信普作|》
黒 鬼女 ̄ノ面福貴草   三冊《割書:松板 富川房信画|》【鬼女面福貴艸】
同 《割書:甲|信》武勇 ̄ノ礠(トイシ)   三冊《割書:同板|》
  其返報豊年 ̄ノ貢   三冊《割書:   万宝作|》【コマ36も見よ】
黄 《割書:長物語|後編》白髭明神 御(ヲ)渡 ̄シ申 ̄ス   三冊《割書:鶴喜板 芝全交| 寛政五年》
同 《割書:富士之白酒|阿部川紙子》新板 替(カハリマシタ)道中助六   三冊《割書:同板 京伝| 寛政五年》

同 《見せ消ち:皐(サツキ)下旬虫干曽我|》《割書:後ニクハシ|》   三冊《割書:同板 同| 同年》
同 銘 ̄ハ正夢 楊柳(ヤナキノ)一腰   三冊《割書:同| 同年》
【欄外】同 十四傾城腹之内   三冊《割書:同 ○全交作| 同年》【コマ94】
同 福徳果報兵衛 ̄カ伝   三冊《割書:同 《見せ消ち:同|》京伝| 同年》
同 龍 ̄ノ都 鱣(ナマクサ)鉢木   三冊《割書:同 同京伝| 同年》【竜宮羶鉢木】
同 《割書:増補|毬越》登 ̄リ阪宝 ̄ノ山道   三冊《割書:同| 同年》
同 再会(メクリアフ)親子 ̄ノ銭 独楽(ゴマ)   三冊《割書:蔦重板 三和作 政よし画|》
同 貧福両道中之記   三冊《割書:同板 京伝| 同年》

【欄外・十四傾城腹之内の上に】
□ハ十四
□□
□□白し
後ニ記ス


黄 宿昔語(ムカシカタリ)筆操(フテアヤツリ)       二冊《割書:蔦重板 京伝| 寛政五年》
同 《割書:忠臣蔵|壁ニ落書》人唯一心命      三冊《割書:同板 三[和]作| 同年》
同 《割書:凡脳即席|菩提料理》四人詰南斤 傀儡(アヤツリ)   三冊《割書:同板 京伝| 同年》【凡悩即席菩提料理 四人詰南片傀儡】【コマ119】
同 《見せ消ち:小人島毇(コヾメ)桜|》《割書:後ニクハシ|》    二冊《割書:同板 同作| 同年》【コマ30-31, 128も見よ】
同 花之 笑(ヱミ)七福 参詣(マウデ)     二冊《割書:同作 同作| 同年》【コマ27も見よ】
同 堪忍袋緒〆 ̄ノ善玉      三冊《割書:同板 同作| 同年》【コマ41-42】
同 《割書:のしの書初|若井の水引》先 ̄ツ開 ̄ク梅 ̄ノ赤本   三冊《割書:同板 同作| 同年》
同 大千世界 牆(カキフチ)の外(そと)     二冊《割書:同板 唐来参和|》

\t同 《割書:留守居 ̄ノ大通|家老 ̄ノ大蔵》其見乎(ソレミタカ)有難山     冊《割書:いせ治板 飛田琴太作|》
同 新田通戦記         二冊《割書:松板 紀定丸作歌 麿(マロ)画|》
同 鬼 ̄ノ子宝           三冊《割書:いせ治板 清長画| 安永十年》
同 天狗 初(ハツノ)庚申         二冊《割書:鱗形板|》
同 《割書:伊達|模様》見立蓬莱         二冊
同 《割書:うそ|八百》万八伝          三冊
同 夜野中(ヨノナカ)狐物(コンナモノ)         三冊
同 龍 ̄ノ都四国 ̄ノ噂(ウワサ)        三冊


黄 威喜千代牟(イキチヨム)物語(モノガタリ)   二冊《割書:|》 【威気千代牟物語】
同 合口(アイクチ)はなし目貫    二冊《割書:|》 【口合はなし目貫】
同 升落 ̄シ咄した子(ネ)    二冊《割書:|》 【升落はなした子】
同 木曽海道 从(フタリ)義仲   三冊《割書:いせ治 鳥居清経画|》【コマ26, 36, 43も見よ】
同 朝比奈島渡      三冊《割書:【山に三つ巴・西村】板 富川吟雪画|》【コマ26, 36も見よ】
同 金々仙人通言 ̄ノ一巻   三冊《割書:西村板|》
同 《割書:化|物》 見越入道二代鑑  三冊《割書:同|》
同 《割書:風|流》 有難山 郭公(ホトヽキス)   二冊《割書:同|》

同 《割書:頼光|武勇》 鬼童丸     二冊《割書:同|》
同 《割書:忠|孝》 三疋猿     二冊《割書:同|》
同 《割書:うどん|そば》 化物大江山  二冊《割書:鱗形板 春町作|》
同 諸鳥三国志      三冊《割書:鶴屋板 富川吟雪画|》【諸鳥合戦記/柱題「鳥三国」】
同 鉢かつき嫩(フタハ)振袖   三冊《割書:鱗形板 鳥居清経画|》
同     二分(ニブ)狂言  二冊《割書:泉市板| 》 《割書:京伝門人| 大栄山人作| 豊国画》 【尽用而二分狂言】
同     老之仇浪   二冊《割書:同板| 》 《割書:全交門人| 芝深交作| 豊国画》【真頰㒵老之仇浪】【おてう半右衛門】
同   張子乕之巻    二冊《割書:舎板 慈悲成作 豊国画|》 【手遊張子虎之巻】


黄 《割書:□|□》煙草(ケフリクサ)恋中立   二冊《割書:鱗形板 鳥居清倍画|》
同 新増浦島太郎   二冊《割書:同板|》
同 《割書:四十|七字》母(イロハ)□語    二冊《割書:同板|》
黒 地黄坊樽次     二冊《割書:村板|》
黄 花聟大安売     二冊《割書:山口板 一九作|  文化三年》
同 怜悧(キノキイタ)化物語     三冊《割書:同板 一九作|  同年》【怜悧怪異話】
同 金々先生栄花夢   二冊《割書:鱗形板 恋川春町作|》【コマ25にあらすじあり】
  《割書:凱陣|貝鉦》黒佐幾合戦   三冊《割書:丸小板|》

  《割書:公時|入道》 富士見合戦     二冊《割書:丸小板|》
  《割書:今川|仲秋》執着 狸(ネコマタ)屋舖    二冊《割書:丸小板|》
  《割書:志道軒|返歌入》浅草名物絵尽    二冊《割書:丸小板|》【浅草名物志道軒返歌 つれづれ絵尽】
黄 通気智(ツキヂ)之 銭光記(ゼンクハウキ)   春 三冊《割書:鶴喜板 京伝作| 享和二年》
  《割書:諸色|買帳》 呑 込多(コンダ)霊宝縁記 夏 三冊《割書:同 同| 同》【コマ22,90-91】
  賢愚 湊(イリゴミ)銭湯新話    秋 三冊《割書:同 同| 同》
  枯樹(カレキノ)花大悲 ̄ノ利益    冬 三冊《割書:同 同| 同》
  初老(シジウカラ)了簡(レウケン)年代記      三冊《割書:同 馬琴作| 同》


  《割書:筆耕作|稿(シタヱノ)植 著(ツケ)》 種蒔三世相   三冊《割書:鶴喜板   馬琴作|享和二》【コマ130】
  野夫鴬 歌曲(ウタヒノ)訛(カタコト)   三《割書:同   同|  同》
  養(カヒ)得 ̄リ筎(ニワコ)名鳥図会   三《割書:同   同|  同》
【ここより五行分大きく×で消してある】
  提燈庫(チヤウチングラ)暗(ヤミノ)七 扮(ヤク)   三《割書:同   田楽作|  同》【挑燈庫闇夜七扮】
  食類合戦 和睦 ̄ノ香之物   三《割書:同   通笑作|  同》
黄 亀山人家 ̄ノ妖(バケモノ) つたや   三《割書:喜三二作 画名ナシ   同|年号不知丙午ト斗リアリ》 
〃 《割書:面向|不背》御年玉   三《割書:つたや  同|》【万象亭作】
〃 芝全交智恵之程   二 《割書:つたや 万象亭作|》【正しくは芝全交作】
【ここまで】
【右丁は紙の裏にも文字が書いてある。内容は左丁に書かれたものとかぶっているが完全に同じではない】

卯花 重(カサネ)奥州合戦   三《割書:年号なし ○按に安永八|      年のころ》 《割書:柳川桂子作|鳥居清経画》
 義経の一子経若父の仇錦戸兄弟を討んと奥州へ下る道すから安達原
 の一ツ家に熊坂の寡婦熊手ばゝに害せられんするを娘おさかゞ情にて
 死をのがれ錦戸を討事をしるす【コマ24, 112にもあり】

鸚鵡 返(カヘシ)文武 ̄ノ二道   《割書:キ| 》三《割書:年号なし|蔦屋板》 《割書:恋川春町作|北尾政美画》
 延喜□御代に菅丞相の一子菅秀才を補佐の臣となされしを事の
 はじめ□□【とて】世の中に文武の道盛に行れてさま〴〵おかしき事あるをいと
 面白く作れるも元是白川侯当路の時世中一変せる事をかき
 たるもの也此冊子のはじめに「延喜のせい代とて太平うちつゞきたるに
 まかせ上下万民ことの外おごりに長じびふくをかざりむやくのもの入
 ある事をなげきおぼしめされたる所の八丈八たんのりうもんの御衣
 こはくたんごのこぶのやふなる御さしぬき柳ちやどんすのいしのお
 び
 までかん夜にぬぎすて給ひそさうなる茶宇しま京ざんとめの【コマ19に続く】


【前のコマと同じ画像】

 御衣にめしかへ給ふ」とあるなどみなそ?の?世のか?まを□□□い□り
 ○自序に「寿亭主人【印】」かくあり寿亭の号はじめてしりぬ

早道節用 ̄ノ守(マモリ)   《割書:キ| 》三《割書:年号なし|蔦屋板》 《割書:山東京伝作|画名なし》
 悪次郎といふ名におふ邪知の男おぎやの花荻といふあそびのもとにかよふに幸次郎と
 いふまぶありて悪次郎か心に随ねば盗みならんと思ふより大谷徳次が韋駄天の守
 を盗むを見付られかの守を徳次が下男の寝て居たる首へ懸るにかの男寝
 たる□□【まゝヵ】にて忽に天竺いたるよりさま〴〵かの守の立つ妙なる事をいとおかしくかけり
忠孝 盲(メナシ)敵討   《割書:キ| 》三《割書:年号なし|山本板》 《割書:作名なし|鳥井清重画》
 緒がた八郎といふ武士丹後の国の岩間に入り龍宮に至り乙姫を妻とし一子
 を生しに妻大蛇の形を見られしを恥て立去事原田頼母岩山【岩田の誤り】庄司を
 討んとして誤て菊地隼人を討より菊地の一子四郎敵討に出る事原田のむす
 めおとめ嶋原のけいせいとなる事四郎嶋原にて原田に出逢ふ原田■を■■■
 むすめはもと四郎といひなづけなれはなのりて四郎に討れんとするに緒かたはからひ
 にてたがひにめかくしして敵を討んとする事終に岩山【岩田の誤り】を討とり原田せつふく

 四郎おとめ婚姻の事をしるす
《割書:家内|安全》山 ̄ノ神御祭礼   《割書:キ| 》二《割書:年号なし|村田板》 《割書:十返舎一九|同 画》
 たら福や左へもんといふ質やのおやぢお山といふ後家のいろかにまよひゆへひき
 とり山の神とあがめて一子をもふけしより此山の神のいせいつよく見世の者
 みな〳〵山の神の気にいらんとまつりをしてさま〳〵のたはけをつくす
 事をおかしくかきたり
教訓跡之祭 戯単(バンヅケ)   《割書:キ| 》三《割書:寛政十三|鶴喜板》 《割書:曲亭馬琴作|画名なし》
 教訓大明神といふ御神の祭礼になぞらへて世の中の跡のまつりなる事共
 まづ榊が七くさすぎの門松にて次には精進日に忘れて入れたかつほぶしの
 だしをはじめとしてさま〴〵おもしろき事をかきたり
身(ミニ)為着(キタル)宝貝(タカラノ)洪福(サイハイ)   《割書:キ| 》二《割書:年号なし|【山印】吉板》 《割書:陽鳴亭 鶴成(カクセイ)作|画名なし》







  ねづみや忠介といふもの大黒天よりかくれみのをさづかり是をきてさま〴〵の
  面白きめ苦しきめおかしきめにあふ事をおかしくしるす○巻尾に作者の自跋
  あり草双紙の自跋はめつらし
十二 神楽(カグラ)稚軽業(オサナカルワザ)  《割書:キ|》三《割書:年号ナシ|大和田板》       《割書:発田芋助 作|画名ナシ》
  痘鬼(イモノカミ)世の中に出て人々にとりつきさま〴〵のおかしき事なるをいふきほひのほうそ
  う神□□まにとりつきむすこかぶのほうそう神七十ぢかい隠居にとりつき娘の
  ほうそう神かたむすこにとりつく事などさま〴〵かけり聞なれぬ作者には
  面白き作也赤きものをかぞへたる自序の中にて「あかねさす小豆(アヅキ)枕は是
  より一升の夢を結ひ初(ソメ)くれなゐの花足袋には脚(アシ)より歳旨(トシ)の甲を
  踏込(フミコミ)」とかきしはおもしろし
人間一生 胸算用(ムナサンヤウ)   《割書:キ|》三《割書:寛政三|蔦ヤ板》       《割書:山東京伝作|自画トアリ》
  京伝善たましゐに道びかれて無名や無次郎といふものゝ腹中へ入りしより
  心気耳目鼻口のこゝろ〳〵【ひとつ〳〵?】いろ〳〵おかしき事をいとおもしろく作

  れり妙作といふへし
盧生 ̄ガ夢魂(ユメ)其前日   三《割書:寛政三|つたや板》       《割書:山東京伝作|画名ナシ》
  先年出板したる草双紙金ゝ先生ゑいぐわの夢」見(ミ)が徳一すいの夢」などいふ【金々先生栄華夢、見徳一炊夢】
  本をみてよき夢をみんと思ふを発端として天上と人間界との中二かいに
  夢茶羅(ムチヤラ)国といふあり此国のおかしらを夢魂道人といひ世の中の
  人々にさま〳〵の夢をみせる事をわざとする事をかきいろ〳〵仕組
  して盧生に夢をみせるまでをいとおもしろくかきたり
御手遊(ヲンテアソビ)達摩 ̄ノ心学  《割書:キ|》三《割書:寛政十二|岩戸板》      《割書:鈍々亭和樽作|名画ナシ》
  橘井(キツヰ)べら四郎が一子べら蔵が悪行石べかた右門が一子かた蔵が善行達
  摩かた右門が夢枕にたちて教化の事をおもしろく作る
花見 話(バナシ)虱盛衰記   《割書:キ|》三《割書:寛政十二|山口板》      《割書:曲亭馬琴作|歌川豊国画》



 馬きん【馬琴】虱をたすけしより恩返しをゆめにその虱来たりておのか一生をかた
 るを発たんとして虱の一生身の上さま〳〵の苦楽をいとおもしろく記す
《割書:口中 乃(ガ)|不曇鏡(クモラヌカゞミ)》甘哉(アマイカナ)名利研(メウリオロシ)    《割書:キ|》三《割書:寛政十二|鶴喜板》        《割書:山東京伝作|画名ナシ》【コマ38も見よ】
 名利や欲右衛門といふもの名聞を好むをほつたんとして閻魔王にその
 事をいのるに閻王名高き古人のからだのうちをさつけ給ふと夢
 みる景清が目しゆ徳院の鼻いのくまの口をはしめ牛若丸両の足
 迄さづ□□給ふより名聞を求んとていろ〳〵の難義する事終に
 閻王の教化し給ふ事まていとおもしろく作る
穴賢(アナカシコ)狐《割書:ノ》縁組   二《割書:寛政十一|村板》        《割書:十返舎一九作|画名ナシ》
 藤兵衛といふ男狐のよめ入をみて石をうちつけしより狐に
 ばかさるゝ事を作る
《割書:風流|万歳》名護屋 鑷(ケヌキ)    《割書:キ|》三《割書:年号ナシ|丸小板》        《割書:丈阿作|画名ナシ》

 仁木入道くわんじゆんむほん細川を罪に落さんと沢田伝治といふ書家
 に偽草を書せて伝治を害るを初めとして伝治か娘おかつ父の仇
 を打んとする事けいせいとなりかつらきと名のり名古や山三郎
 になれそめ助太刀をたのむ事不破伴左衛門か事かつらき父の仇
 打事をしるす
 ○此年の草双子目ろくに八十翁丈阿とあり
感徳白狐 ̄ノ 瓊(タマ)    二《割書:年号ナシ|〇【の中に「村」】板》       《割書:丈阿作|画名ナシ》
 鳳凰桐之助といふ軽わざし貧苦にせまり工夫をめくらし大晦日のよ【夜】
 王子社に至り狐のまねしてまんまと玉をさつかりしより小狐といふ
 白狐いろ〳〵さいわひを授ることをかきたり
間違狐之女郎買   《割書:キ|》三《割書:年号ナシ|奥村板》       《割書:通笑作|清長画》
 玉や新兵衛梅や初ねの事を作れり玉新狐のまねをして狐に化
 される事あり




《割書:珍|物》茶羅 ̄ノ毛通人  《割書:キ|》三《割書:    |つる喜板》    《割書:芝全交作|清長画》
 幸子といふ通人渡唐して通人のかうしやくをせしより唐人
 がやらうあたまになるやら義太夫をかたるやらみな日本のまねをする
 ことをいふ外いろ〳〵おもしろくかきたり
《割書:百文|二朱》寓骨牌(ムダカルタ)《割書:本の小口には|あぐら山と|あり》三《割書:年号ナシ|【山吉、榎本屋】板》        《割書:京伝作|政信画とあり》
 めくりといふ戯れわざのはやりし時作しものとみえ是中の人名は
 なか蔵 あか蔵 八蔵 あを二の助 お六 すべたの八蔵 すだれ十
 あか鬼 六たいごせん きり三郎 めたま九蔵 なといひあざまるの太刀
 の事なと時代世流とりまぜたりめくりの事を知らねはよくはわから
 ぬさうし也
○はじめに  蚊不食呪(カニクハレヌマシナイ)歌
  ほの〳〵と赤四か札のあざ桐に四もふまれゆく絵のおしぞ思ふ《割書:柿本人麿|》
  よみの絵の七九三 馬(マ)のあざあがりよめの【はめの?】勝にげ人もにくまん《割書:よみ人しらす|》

  ふくからに役(ヤク)のふたつもしをるらはむべ山なぞを又しよふといふらん《割書:文や康秀|》
 とあるうたどもゝめくりをしたる人はよく解しめるべし
世之中諸事天文  《割書:キ|》二《割書:年号ナシ|山印吉松板》        《割書:物蒙堂礼作|政浜画》
 とし神天とうさまお月さまをはしめ金神土公風神雷神なと時かう
 の間違ぬやうに下界へ雨や雪をふらせたり雷をならせたりするお世話
 な事をおかしく書たり《割書:   と同しやうなるしゆかうなれとも是は|暦の季節をおもにしてかきたり》
○京伝の序ありて」物蒙堂礼なる人白山の高みに住み云々」白山の人とみえたり
《割書:諸色|買帳》呑 込(コンダ)多霊宝縁記 《割書:キ|》三《割書:享和二|鶴喜板》        《割書:京伝作|画名ナシ》【コマ90-91も見よ】
 十五 丁者(テウジヤノ)赤本尊工夫 編出(アミダシ)如来といふの買帳にして人倫器物食品
 その外いろ〳〵の物をもて霊宝を作りいひたてをいとおかしく書たり
 まことに妙作也たばこほんとおひのみしかしきせるを本尊とし両扉に
 たばこのはをつけ六十国府のおひ仏とあり」さうでおつしやうのかぶと」
 ほんに如意きび」ばからしう払子」などの名目おもしろし
 ○この冊子黄表紙ながらよき紙へすりたり草さうしをよき紙すり初めし








 事このころより起れり
小倉山三十三むた歌仙 《割書:キ|》二《割書:年号|板元》ナシ 《割書:京伝作|政のふ画》【小倉山時雨珍説】
 哥仙の人名にて三条の右大臣かおや人丸の仇猿丸大夫をうつ事
 法性寺と小町か婚れいの事などいとおかしく世わごとに取
 くむ
復讐後祭礼(カタキウチアトノマツリ) 《割書:キ|》三《割書:年号ナシ|つるや板》 《割書:京伝作|政のふ画》
 遠州浜松の領主何かしの家士広居与太左衛門の一子要太郎
 といふ者父を瀬間井横蔵といふものに打れ忽ちに仇をうちて
 後あまりに骨折らすに仇をうちて孝心になるまじと思ひ立
 てよりさま〴〵のたはけを尽し苦辛する事をおかしく書き
 たり
《割書:華(ハナノ)|兄》実異青梅縞(ミゴトナオウメジマ) 《割書:キ|》三《割書:年号ナシ|鱗形板》 《割書:作名|画名》ナシ
 相馬将門むほんの事空せい僧都といふまいす【売僧】将門にたばかられ
 て入定する事末に青梅むら金剛寺の梅の事あり
雄長老 寿話(ナガイキバナシ) 《割書:キ|》三《割書:年号ナシ|》 《割書:定丸作|うた麿画》
 大坂長町の長崎や長兵衛といふ者一子なきを憂へて神にいのり一子
 をもふけ永太郎と名づくこの永太郎かとんだ気の永い事はい
 かいに友だちの所へゆきて内へ帰れは七世の孫に逢ひたる事な
 ど浦島が子の趣をうつしそれより頭をおろし雄長老と
 名を改め狂哥をたのしむ事をいとおかしくかく
《割書:昔|話》勧善 富蔵(フクラ)雀 《割書:キ|》二《割書:年号ナシ|大伝馬丁二丁め|大和田出店板》 《割書:録山人信普作|北尾政美画》
 正直ぢゝけんどんばゝ舌きり雀の事をおもしろく作りなし末に
 けんどんそば正直そばの事あり


《割書:ウノハナ| 》    《割書:キ| 》二【卯花重奥州合戦】
 牛若に打れし熊坂の妻熊手ばゝといふもの奥州安達原の一ツや
 こもりて義経の子経わかを打んとはかる事経わか此やの
 娘おさかゞ情にて危きをのがるゝ事又父よし経の仇錦戸兄
 弟を打ちとる迄をしるす【コマ17, 112にもあらすじあり】
《割書:新板|絵本》鳥尽し    《割書:キ| 》二《割書: |岩戸板   画名ナシ》
 外題の通りいろ〳〵の鳥の画あり
《割書:面白い事|外にはないぞや》海青 楽(ラク)千尋(チヒロノ)舞台 三《割書:年号ナシ|村板》   《割書:作者ナシ|鳥居清経画》
 このさうしの小口書には「浪まのふし事」とあり本名■
 龍宮の芝居へ人間界より鎌足浦島秀郷猿など下りておの〳〵
 大夫三味せん人形遣ひにていろ〳〵の狂言をなす事此狂言の所は皆
 浄るりの名高き所を一段つゝ出せりその文句をもきり出せり

 乙姫うら嶋にけさうして自害せんとするを鎌足秀郷とゞめし
 により龍王悦ひ鎌足に玉をさゝげ秀郷に俵を送り猿もろ
 共に人界に帰るうら嶋玉手箱の事もあり
《割書:千鶴|万亀》長者松    《割書:キ| 》三《割書:年号ナシ|村板》   《割書:円枕斎作|画名ナシ》
 淀や辰五郎の事を門(カド)や松五郎と作り小はるといふ妾をてう
 愛し男子をうませたるに小はるはかなくなりけれは松五郎悲歎の
 余りに返魂香をたくその姿顕れし事此家に久しくかひし
 猫小はるの姿に変し松五郎の一子万吉をもりそだてし事
 終に松五郎法体してそあんと改名する事を記す
《割書:ツルカメ| 》    《割書:キ| 》二《割書:年号ナシ| 》   《割書:作名ナシ|富川房信画》
 ちとせ丹てう左衛門春重?といふ人の娘ひな鶴姫万代亀之丞と恋暮【恋慕】
 の事すり切り入道といふえせものひな鶴姫を恋ひて悪事を工


 む事亀之丞ひなつるこんいんの事あり
《割書:カサネヅマ| 》   《割書:キ| 》二《割書:年号ナシ|○甚板》   《割書:丈阿作|鳥居清経画》【伊達染重褄】
 横萩中将の家臣粂の源太の妾のみたにを賜ふより事起り
 みたに淫婦にてさま〳〵の悪行の事源太粂の仙人に仙
 術を授かり源通と改名する事源通の仙術死せしていに
 もてなしみさに【みたに】を戒しする事あり你死我必埋、我死你必
 嫁、我若真個死、一場大笑話、と四句を吐き終に昇仙し去る
平安城京 ̄ノ一字   《割書:キ| 》三《割書:年号ナシ|うろこ形板》   《割書:作名|画名》ナシ
 桓武の朝伝教大師内裏にて見さる聞さる言さる三つの猿をもて
 仏道を説く事大口?のおきみねの娘春風けい母おぼろよその
 腹にのぎくといふ娘ありけいほ春風をにくむ事家臣■■
 ■【権藤次?】春風に恋慕の事わかさの介たつ?よし春風の死をすく

 ひともなひ去る事猿出て追手をおひちらし候事わかさの介春
 風夫婦になる事春風にけいほにがいせらるゝ事より伝教大
 師入唐してくつろ?のもてなしに逢ふ事ひゑい山根本中堂のこし
 を唐土より連来る十人のものかく【者、書く】事なとさま〳〵の事あり
金々先生栄花夢   三《割書: |うろこ形板》   恋川春町画作
 かたいなかの金むらや金兵へといふもの江戸へ出んと心さし目黒の
 粟もちくはんとその出来るうちねむり夢に長者のむことなりて
 栄花をする事を廬生のおもかけをうつし書きたり
 此さうしはその頃評はん高きもの也とそ今よりみれはさまてお
 もしろきものにてもなし
《割書:竹斎|筍(ジユン)斎》忰褒医(ニタイホマレイシヤ)   二《割書: |うろこ形板》   《割書:作名ナシ|鳥居清経画》【コマ35にもあらすじあり】
 竹斎の子筍斎といふ医者あり下部に睡眠(ねめ)介といふあり此
 医者とかくはやらす貧乏なりしか何かし中納言の御病ひ


 をなをし又ねめ介が才覚にてある家の姫の恋煩ひをなをし
 て終に家富み栄る事を作る
木曽海道 从(ふたり)義仲   三《割書:いせ治板| 》   《割書:桂子作|清経画》【コマ36, 43も見よ】
 よし仲巴山吹の事をはしめ巴よし盛にいけとられて妻
 となりよし秀をうむを語りとす時代もの也
朝比奈嶋渡   三《割書:【山に三つ巴=西村屋】板| 》   《割書:作名なし|富川吟雪画》【コマ36も見よ】
 和田合戦より朝比奈の門やふりその後朝比奈小人しま
 手長あし長その外の嶋めくりをしるす
髪手本通人蔵   三《割書:右同板| 》   《割書:里山作|政美画》
 忠臣蔵の趣を通人の世界にとりなして作
三ヶ 通(のつう)金持 容気(かたぎ) 三《割書:右同板| 》 《割書:二本坊霍志芸作|政美作【画の誤】》【三ケ通金持容気】【コマ36も見よ】

 江戸の町人日の国や文左衛門京都のかみや治兵衛大坂の
 かうづ伝兵衛か事治伝二人かたましゐ文左衛門か
 からだをかりる事なとおかしく作る
《割書:祐天和尚|念仏功力》絹川物語 三《割書:岩戸板|安永九》   《割書:可笑作|清長画》
 与右衛門かさねの事を作る下巻の末に云此度安永九ねん子の四月朔日より
 両こくゑこういんにおいて御めうかう【名号 南無阿弥陀仏 注】の御かいてうあり」云々
天剛垂楊柳   三《割書:蔦や板|寛政四》   《割書:京伝訳| 》
 水滸伝の訳文もの也四五六なれはこれは二篇也去春より書せしもの
 なるへし
奇妙頂礼 胎(コダネノ)錫杖 三《割書:蔦や板|寛政七》   《割書:一九作|同 画》
 天地開闢の頃皆島出神仏子たねを下し給ふ事よりたとへをさへ来にとりておかし
 く作れり

【注 目黒祐天寺 本尊阿弥陀如来 祐天像等 開帳】






花之 笑(エミ)七福 参詣(マウデ)   《見せ消ち:三|二》《割書:蔦や板|寛政五》   《割書:京伝作| 》
 七福神の世界を時代狂言のやうにかきたり
宿昔語筆操(ムカシカタリフデノアヤツリ)   二《割書:蔦や板|寛政五》   《割書:京伝作|政よし画》
 ものゝむくひけるといふ事のたとへをとりて高尾かよりかねに殺され
 し魂二つにわれてつゝれの錦の春藤兄弟となりて生れし事をおかし
 くつくる
花(ハナヨリ)団子 食家(クイケ)物語   三《割書:大和田板|寛政五》   《割書:曲亭馬琴述京伝校トアリ|画名ナシ》
 肴せうじんもの菓子なと食物にて時代狂言のやうにとりくみしもの也
怪物(バケモノ)徒然草   二《割書:つるや板|寛政四年》   《割書:京伝作| 》【コマ135】
 はけものゝ世界をおかしく書たり化物か百ものかたりをするをはしめと《見せ消ち:す|し》【「し」を「す」の上に上書】
                      あさひの偽のたこ引まと
                      より落しを終りとす
 猫の夢の処に「一ふし二ひなた三ねつみ」云々
 とありふしとはかつほふしの事也

唯心(タヽコヽロ)鬼打豆   三《割書:つるや板|寛政四》   《割書:京伝作| 》【コマ107】
 りちきや徳二郎といふもの浅草くわんのんよりまめをさづかり魂しゐを入かへる
 事を得たるをはしめとしていろ〳〵おかしく作る
眉間尺三人 佲仃(ナマヱヒ)   三《割書:つるや板|寛政六》   《割書:京伝作| 》【眉間尺三人酩酊/眉間尺三人生醉】【コマ119】
 みけん尺の事をおかしく作りみけん尺の跡小姓吉三となる事を
 加ふ
三歳図会 稚(オサナ)講釈   三《割書:つるや板|寛政九年》   《割書:京伝作| 》
 和漢三才図会にならい天文地理人事をわけてかきたりその事は
 つまんで【かいつまんでの意か】ましめにかき絵はおかしき図をかきたり人事の処に頼光の土蜘は窟
 居の賊なる事を釈日本紀を引てのせたり
《割書:昔|々》桃太郎発端 話説(バナシ)   三《割書:つたや板|寛政四》   《割書:京伝作|春朗画》





 舌きりすゝめに実方(さねかた)卿をとりくみ桃の流れて来るを終りとせり
《割書:源九郎狐|葛のは狐》イカニ弁慶 御前二人(をんまへにふたり) 二 《割書:泉市板|寛政七》 《割書:慈悲成作|豊国画》
 よしつね奥州おちの世界静二人弁けい二人初音のつゝみ二てうそのたゞしを
 よしつねやすなにいひすつけ給ふ事なとあり
《割書:才布|の紐》しわみうせ薬 三 《割書:【山吉、榎本屋】板|寛政七》 《割書:本膳坪平作|》
 よくの川の源え門くわすひんらく二人の《見せ消ち:邪正を作れり|》事をおかしく
 作り
《割書:栄花夢|後日話》金々先生造化夢 三 《割書:つたや板|寛政六》 《割書:京伝作|》【コマ97, 120】
 きん〳〵先生ゆめに仙人にあひて茶つけをこのみ仙人茶つけの膳にこしらヘる 
 木をきらせるよりはしまりいろ〳〵おかしき事をのす此書の末に
 此度山東京伝儀かみたはこ入新みせ出し云々 江戸京橋銀座一
 丁目京屋伝蔵とあり

忠臣蔵前世 ̄ノ幕無(マクナシ) 三 《割書:つたや作|寛政六》 《割書:京伝作|》【国会:忠臣蔵世界の幕なし】
 忠臣蔵の人物の前生をいろ〳〵おかしく作りその前生の因果にて
 のちに忠臣蔵の事【こと】業【ごう】あるをのべ且おのつからその趣向にやはり忠臣蔵
 のおもかけをみせたり奇作といふへし
善悪邪正大勘定 三《割書:つたや板|寛政七》 《割書:東来山人作|》【コマ134】
 善門過門の部をわけて功《見せ消ち:□|過》損?の両?かけをうつしたるやうなるものにておかし
《割書:扇屋かなめ|傘屋六郎兵衛》米(ヨネ)饅頭 始(ノハシマリ)  二  《割書:つるや板|天明三》 《割書:京伝作|〃》
 正直や幸吉《割書:のち|六郎兵衛》およねか貞女をましめに書たり
心学 時計草(トケイクサ) 二   《割書:つるや板|寛政七》 《割書:一九作|》
 かしは手といふおいらん心学を講するをはしめとして此おいらんに十二人の客ありて一時に
 落あひなとしむつかしけ《見せ消ち:れは|□□》此おいらん工夫にて十二人を十二時にわり合せる事をおかし
 く書たり



《割書:かみ様|内にか》蟹(カニガ)牛房 挟多(ハサンダ)   三《割書:奥村板|天明元》   《割書:通笑作|清長画》
 さるかに合戦のはなしに猿の生きものはなしをとりませて作れり
 △椎園按にその頃のはやりうたにおばさま内にかかにかこんぼう【ごんぼう=牛蒡】はさんたとうた
 へり此うたをとりて書目とせしなるへし
福徳三年酒   二《割書:【山吉 榎本屋】板|寛政十三》  《割書:一九作| 》【福徳三歳酒】
 かんなへや長次郎といふもの酒のみなるか亀にのりて猩々の居る島に
 至り猩々のむこになりし事をいとおかしく作れりおのつから浦島の
 おもかげをうつせり
《割書:夫は水虎(カツハ)|是は野狐(キツネ)》根無草 筆芿(フテノワカバヘ)  二《割書:つたや板|寛政六》   《割書:京伝作| 》
 ゑんま王九尾狐《見せ消ち:の|に》まとはされてさま〳〵放蕩をなす事おかしく作れり
 妙作也
唯心(タヾコヽロ)豊(ユタカ)物語   三《割書:板元不明|天明》   《割書:芝全交作| 》【鬼袋豊物語】

 地こくの鬼の世界をおかしく書たり奇也
諺(コトハザ)下司(ゲスノ)話説(ハナシ)   三《割書:つたや板|寛政八》   《割書:京伝作| 》
 花咲男をしゆこうとし放屁の事おかしく時代につくりたり妙作也
 五斗兵衛のおもかけをうつし男之助鼠場【伽羅先代萩】の事をもほのめかせたり
福神 金(コガネノ)大帳   二《割書:岩戸や板|寛政十二》   《割書:鈍々和樽作|》
 七福神《見せ消ち:の世界| 》曽我の狂言をする事をかしくかきたり
怪談 模模夢(モヽン)字彙   三《割書:つたや板|享和三》   《割書:京伝作| 》
 世間(ヨノナカ)の事をいろ〳〵化物にみたて書たりおもしろき事たくひ
 なし
通略三 極(ゴク)志   三《割書:いせ治板|天明》   《割書:四国子作|清長画》



 通客の事を三国志になそらへて書きたり玄徳曹操なと其名のまゝを
 表徳に用ひたり
《割書:手前|勝手》御存商売物   三《割書:つるや板|天明の初》   《割書:京伝作|〃 画》
 こうせい表紙【行成表紙】の下り絵本か青本のはやるをうらやみしを趣向としておかし
 く作れり
一刻価万両回春   三《割書:つたや板|寛政十》   《割書:京伝作| 》
 世の中の事を病名にしておもしろくつくれり持たか病貧の病の類也
山 ̄ノ主(ヌシ) ̄ハ我 ̄レ独   二《割書:岩戸板|安永九》   《割書:木鶏作|北尾門人三二郎画》
 家宝といふ通客深川より品川へゆく海中難風にあひ漂流
 の事をかきたり下巻に云「きん〳〵本田にまきじたのしなんさな
 だのうらつけ云々」その頃通客の風俗【趣?】をみるへし

《割書:本性|酩暑》有難(アリカタイ)通(ツウノ)一字   二《割書:松村板|安永本》   《割書:是和斎作| 》
 つう次郎おやをの事を時代めきて書たりすへて通客の世界也
貧福両道中之記  三 《割書:つたや板|寛政五》 《割書:京伝作|春朗画》
 人間の事を道中にたとへ三太郎八之助の栄枯得失をおもしろくかきたり
《割書:浦島|太郎》龍宮羶(タツノミヤコナマグサ)鉢木 三 《割書:つるや板|寛政五》 《割書:京伝作| 》
 うら島乙姫の事を鉢木のおもかけをくつしてかきたり序文ノ後に語あり云
 青海染藍引幕 連(レン)龍宮城下戯場羶、渹(クワウ)々波鼓有芦笛、蜃気楼台
小人国 毇(コヾメ)桜 二 《割書:つたや板
|寛政五》 《割書:京伝作| 》【小人島毇桜】【コマ46, 128も見よ】



 小人島の世界をおかしく書たりこの国に豆右衛門といふ智者ありて□□□【いろ〳〵】
 智恵をふるふ事をのせたり
油断 敵薬(テキヤク)功能書   三《割書: |寛政八》   《割書:一九作| 》
 ふくとくや金次郎といふもの江の島にて小人島の人の漂流せしを得しをはしめとして
 さま〳〵おもしろき事をしるす
《割書:唐土 ̄ノ魂(タマシヒ)|日本 ̄ノ住(スマヒ)》石千屋(コクセンヤ)繁昌   三《割書:岩戸や板|天明二》   《割書:可笑作| 》
 もろこしの三娘子か人をウマにする術あるをはしめとして十方茂内
 を和唐内のおもかけにしてかけり
《割書:狂伝和尚|廓中法語》九替十年色地獄   三《割書:つるや板|寛政辛亥【三年】》   《割書:京伝作|清長画》【コマ110】
 けいせいの境界を地こくにたとへて狂伝和尚のせつほうのあり
 さまおかしくおもしろし
《割書: 円通 ̄ノ誓|大通 ̄ノ光》運開 扇子(アフキノ)花   三《割書: |天明初》   《割書:喜三二作|北尾政演画》

 扇や浜荻かめや幸三郎か事浅草くわん音利生の事を作れる
霞之隈(クマ)春 ̄ノ朝日名   三《割書:つるや板|寛政四》   《割書:京伝作| 》
 あさひなふたゝひいこくへ渡り手長足長大人小人めこの島くろんほうの
 人をつれ来りさま〳〵おかしき事をしるす
化物小遣帳   二《割書:つたや板|寛政八》   《割書:一九作|〃 画》
 諸道霊の化物を人間のはたらきになそらへいろ〳〵おかしき事をかけり
 自序に「倹約と吝嗇は水仙と葱(ネキ)のことし」云々といふるが面白し
御誂向鼠嫁入   二《割書:村田や板|寛政八》   《割書:一九作|〃 画》
 ふくとくやとく助といふもの鼠の子をかはひかりてかひしよりその鼠よめ入して
 とく助に福をさつく事とく助のつまよくふかき事舌きり雀の俤をうつす
四遍 摺(すり)心学草紙   三《割書:つたや板|寛政八》   《割書:馬琴作| 》【コマ99】



 京伝の善しま悪しまの趣向にならひて作る京伝の善悪しまは
 三へんに及へり故に此書を四へんといふ也
備前擂盆一代記   三《割書:つたや板|寛政十二》   《割書:馬琴作| 》
 ころころ擂盆の一代【、】れん木之助しらちが盛すいを同しき人間になすらへおもしろく書り
【れん木=すりこぎ、しらぢは備前焼屋の娘】
人心鏡 ̄ノ写絵   三《割書:つたや板|寛政八》   《割書:京伝作| 》【コマ120】
 人のこゝろをかゝみにうつるにたとへておもしろくかきたり
   此自序おもしろし後にしるす
忠臣蔵即席料理   三《割書:つるや板| 》   《割書:京伝作| 》
 忠臣蔵の事をすべて料理の食物となしておかしくかきたり
 奇作也
江戸 ̄ノ春一夜千両   三《割書:つたや| 》   《割書:京伝作|〃 画》【コマ65, 97, 133も】

 持(モチ)丸や長者右衛門といふものはむすめ【息子の誤りか】はしめはんとう【番頭】手代その外へそれ〳〵に金子
 を渡し今夜中にいつして【逸して、心のままに】つかへといふしゆかうをおもしろく書たり
江戸 生(ムマレ)艶気(ウハキノ)椛焼(カバヤキ)   三《割書:つたや| 》   《割書:京伝作| 》【艶は異体字で盍偏に色のように書いてあります】【コマ97も】
 ゑん次郎といふ男うはきものにてさま〳〵のたはけをつくす事を作す
三筋 緯(ダデ)客(キヤクノ)気 植田(ウヘタ)   三《割書:つたや| 》   《割書:京伝作| 》
 梅枝【、】八重次郎【、】松太郎といふ三人のむすこかふ【息子株】おの〳〵女郎かいの趣ことなる
 事をおかしくしるせり
淡把姑(タハコノ)誉(ホメ)詞   三《割書:奥村板|天明初》   《割書:通笑作|政演画》【談芭菰誉詞】
 たはこや藤兵衛といふもの夢に白髪の老人か【に?】たはこの故事を聞く
 事を《見せ消ち:しるせり|はじめと》して記せり
《割書:鐘|銘》道成寺根元記  《割書:ク| 》三《割書:版元不知|序アリ》   《割書:作名|画名》ナシ







 紀州室の郡【牟婁郡】にまなごいつうと云医ありて婦人流産の薬を出すを
 ほつたんとし其子庄司殺生を好む事その妻葉山のあしへ蛇
 まとふ事あり其月ゟ懐胎して娘をうむ事その娘の名をいさゝめといふ
 めつそうの喜六太と云ものいさゝめに恋暮【慕】の事いさゝめ山伏安ちんを恋
 したひ其跡を追かけ大蛇となる事安ちん道成寺の僧のなさけにて大はん
 にやびつに【大般若櫃に】隠れて鐘《見せ消ち:の|を》おろし安ちんか隠れしさまにしていさゝめをたば
 かる事大蛇鐘を巻て湯となす事安珍危きをのかるゝ事を
 しるせり」此の冊子の書入れにその頃の役者の名みゆ山下金作市村
 亀蔵か名あれは寛延宝暦中のものなるへし
【欄外に】未新版
吝坊(シワンボウ)竹 ̄ノ子 諍(アラソヒ)  《割書:クロ| 》二《割書:つるや板| 》   《割書:作名ナシ|富川房信画》【しわんぼう道無】
 しわん坊道無と云《見せ消ち:悪僧| 》《見せ消ち:ま|ど》ん欲深き僧おのかるすにとなりのあるしか
 竹子をぬすみしをいかる事どろ田の悪蔵といふかりうどしわん坊を殺し
 金をうばふ事その亡霊悪蔵をくらひ殺す事なと又しわん坊か
 すみし処に其亡霊出人をなやます事團次右衛門と云らう人こ

 れしづむる事をしるす
《割書:本草|綱目》春霞清玄 凧(ダコ)  《割書:クロ| 》三   《割書: |鳥井清経画》
 時代は太平記也長沼介惣太夫といふもの悪事を工むをほつたんとし
 高師安の家臣赤松長谷雄病気に付清玄と云僧《見せ消ち:きとう|薬を》あたへて平ゆ【平癒】
 する事清玄いもりの酒をのみて心乱れはせをの《見せ消ち:母|娘》さくら姫にれんほの
 事はせを家来の介惣太夫に殺害される事清玄介惣太夫にたのまれはせをの家
 宝花形の茶入をすりかへる事さくらひめをうはふ事赤松の下部角平
 にころされる事桜ひめ清玄だこをみて病気となる事高野山の木食
 ひじり円(ゑん)しん角平か人めんそうを治する事女ひにんおちら木食の下女
 となり懐にんの事
 となる事介惣次【次は衍字か】だ長次のわるもの円心をむしつの罪をいひかけたる事
 介惣 次【衍字か】刑せらるゝ事三木の丞桜姫ふうふになる事をおわりとす
傾城嵯峨物語   二      《割書:丈阿作| 》



 さかのしやか関東へ御下りやはきの宿ふた村長者の家にて開帳あるをはしめ
 とし横ぞね宇多右衛門か悪事十吉浅つまの事しのゝめの事
 京太郎の事宇多右衛門つひに京太郎兄弟にうたるゝ事さかの
 しやか利生おいちそせいの事をしるす此頃のものにして趣向工み也
節分 ̄ノ始 ̄メ  《割書:クロ| 》二   《割書:作画名トモナシ| 》
 宇多天皇の御時くらま山僧正が谷のおく【、】ほうてうか岩やに【、】らんばそう
 しゆ【11行目にもあり】といふ鬼有て此世を魔国になか【さ?】んとはかりみるめといふ鬼女に化し
 稲さの大臣をはかりはかた姫と名のり入内する事つね基かんけんの事
 渡部つな変化の女を殺す事稲さの大臣かつね基をむほんとざんし
 打てをむける事かぐはなといふ鬼の術清?水?の花を十月咲せる事
 みかと御幸あらんとの給ふ事か?んせう〳〵かん□□の事らんばそうしゆ
 狐と化しいなさに悪事をすゝむる事いなさ終に悪事顕れ
 ■事くらま山多門天の御告にて節分の夜の豆まきありいはし
 ひいら木の故事をしるす
《割書:安芸|備後》鷹塚村 ̄ノ旧跡   二《割書:つるや板     富川房信|  右の画名上巻の初てふ【初丁】右の下及び下巻の左に記す》
 平家西海に亡ひし後より朝公川越に命しすまの浦のあまにいひつけ宝けん
 を海中より得る事をはしめとし梶原か悪事宝けん紛失にて川越
 せつふくの事社木二郎鷹を射落す事三田たん正あくきやく
 主君川越の家をうはひたつ丸をおしこめ川越の妻とみの前を妻
 とする事本田の二郎社木次郎の忠臣たつ丸をぬすみ■し【取し?】たん正を打取
 事時代もの語也
【欄外に】
未新版
とあり
案るに
安永四未
年ならん【ここまで】
鉢冠(ハチカツキ)水曲(スイキヨクノ)玉   三《割書:いせ治板| 》   《割書: |鳥居清経画》【鉢かつき嫩振袖】
 津の国としま郡大中村の山かけ長者の後妻悪心はつ花姫月みちしん
 王と■をこむる事雲まの王子の悪逆にせもの初花姫をかいする【害する】事はち
 かつきの事さかいのゑびすじまの女郎やさかもきや南左衛門事みや内
 むけんのかねをつく事 《見せ消ち:石|》 玉のきどく鉢かつきのはち落る事雲
 間の王子亡ひ長者の後室自がい初花ひめ月《見せ消ち:□□|みち》親王とめうとに
 なる事時代もの也


七 廻(メグリ)五関 破(ヤフリ)   二   作画名ナシ
 瀬川 菊(キク)《見せ消ち:川|次》郎松ばや瀬川地ごくに落る事市川團十郎しばらくしの
 づか伊賀守に?てゑん王をおひやかす事地こくにてあはれ徳寿丸をたすけ
 ごくらくへ落る事門破りの事終りにゑん王としのづか和ぼく
 成田の不動の事此頃のものにして工みなるこつけいものおもしろし
十二支化物退治   三《割書:いせ治板| 》   《割書:桂子作|鳥居清経画》
 よし経ゑぞか島を領せし後その子経若丸鬼か島を随へんとほつ足の
 事為朝の事為とも鬼か島にありて一女をもふけ愛する事つね若
 の従者十二人鬼か島にてさま〳〵の化物にあふ事終りにつね若丸為
 朝の女なぎさの前とめうとになる事あり巻末にある手ならひ双紙か
 の上書に安永四未年云々あれはこの年のものなるへし
《割書:佐々木|三郎》藤戸問答   二   画作名ナシ

 佐々木盛つな藤戸にてうら人に浅瀬を問ひそのもの藤太夫を殺
 すを初《見せ消ち:ふ|め》とし藤太夫か娘姉妹の事妹り?んしゆ恋を祈りて殺
 される事なと時代もの也
《割書:ほん|ぼに》五体惣(ゴタイソウ)   二    画作ナシ
 莫大こくのあるじげうさん王といふ大王の事をしるすおかしきもの
 也いろ〳〵工なる絵あり
《割書:智|仁勇》児源氏三略巻   三《割書:つるや板| 》   《割書: |鳥居清経画》
 牛わか丸みなつる姫の事丹かい悪ぎやくの事などかく
《割書:竹斎|筍(ジユン)斎》忰(ニダイノ)褒(ホマレ)医(イシヤ)    二《割書:ウロコ形や板| 》   《割書:作名ナシ|鳥居清経画》【竹斎筍斎 忰褒医】【コマ25にもあらすじあり】
 竹斎の子筍斎といふ医者あり僕に睡眠(ネメ)介と云あり此いしやとかく
 はやらす貧者也しか何かし中納言の御病をなをし又ねめ介才


 かく書てある家の娘の恋病をなをしてついに家富者となる事
 を作る
木曽海道 双(フタリ)義仲   三《割書:いせ治板| 》   《割書:桂子作|清経画》【木曽海道从義仲】【コマ26, 43も見よ】
 よし仲巴山吹の事を作る巴よし盛に生捕れて妻となり一子朝日
 奈よし秀をうむを終りとす時代もの也
朝比奈島渡   三《割書:【印・山に三つ巴】西村板| 》   《割書:作名ナシ|富川吟雪画》【コマ26も見よ】
 和田合戦より朝比奈門やふりありその後朝比奈小人しま手長
足長その外の島めくりをしるす
髪手本通人蔵   三《割書:【印・山に三つ巴】西村板| 》   《割書:里山作|政美画》
 忠臣蔵のおもむきを通人の世界に取なして作
三ヶ ̄ノ通(ツウ)金持 客気(カタギ)   三《割書:【印・山に三つ巴】西村板| 》   《割書:二本坊ノ霍志芸作|政美画》【コマ26も見よ】

 大坂の町人日の国や文左衛門京師の町人紙や治兵衛かうづ伝兵衛
 か事を取交て治兵衛がたましゐ文左衛門かからだへはいる事おかしく作
芋太郎屁日記咄   二《割書:ウロコ形板| 》   春町作【印】
 みのわ金杉の町はづれ芋うり十六兵衛妻おゑ□【おゑご】と云夫婦のもの枯木に
 花咲男より夢中に一子をさづかり芋太郎をうむ此芋太郎放屁に妙
 を得し事屁の徳にて王仁を日本へ来す事芋太郎か屁にてなには
 の梅咲けれは王仁なには屁にさくや此花冬籠り今をはるべとかぐや此 鼻(ハナ)
 芋太郎屁のとくにて北めんの侍になる事「うらべいんべ内のべ【正しくは「物のべ」】とて子孫に
 めうじを残しける」なと書るぞおかしき
其返報豊年の貢(ミツギ)  三《割書:板元シレズ| 》   万宝作【印】
 鎌くら時代松下禅尼せうじの切ばりをはじめとし其外さま〴〵
 けんやく太平の世の有さま呉ふくや大丸見世先にぶつさきはをり馬のり
 ばかま長大小の武士来りて「こくらのはかま地をもとめたひはれ
 に致すからずいぶん地ぶとなみばのわるい所がのぞみさ」といふ


 書入れあり又本文に「たばこ入などもいとでばかりぬつてはぢきにわるく
 なつてそんだ と(ト)まはりにかはをつけてぬい徳用向だと大きにはやり
 だし是をかんせいぬいといふやつぱり是か地口のうちさ」とあり
 末の本文に「そのけいぶつは上野に松えだ越中に作らゐ加賀に梅
 田といふ所がけんやくで此はちうえだよそれはちの梅か梅ばちか
 どふいふもんだかわからぬ所がめうだろう」トありおもしろき
 本也按るにこの作もかのあふむ返しなどゝ同ししゆかうにて白川
 侯当路の時その世の事をかきまぎらしたるもの也かの侯の紋所
 は梅ばち也
亀山人 ̄ノ家妖(バケモノ)    《割書:キ| 》 三《割書:つたや板|年号シレズ丙午トバカリアリ》   《割書:喜三二作|画名ナシ》
《割書:面向|不背》御年玉  《割書:キ| 》三《割書:つたや板| 》       喜三二作【正しくは万象亭】

芝全交智恵之 程(ホド)   《割書:クロ| 》二《割書:つたや板| 》     万象亭作【正しくは芝全交】
日本一 癡(アホウノ)鑑     《割書:キ| 》二         《割書:万葉亭好町作|北尾政美画》
《割書:自笑請合|本八文字》正札附 息(ムスコ)質(カタギ) 三        《割書:好町作| 》【正しくは唐来三和】【コマ40も見よ】
豊年福太郎  《割書:キ| 》 三《割書:山本板|》     《割書:作名ナシ|清重画》



 近江の粟津左衛門といふ人山王にいのり一子をもふけ福太郎と云けい母の悪心福太郎を
 おろかものになしわが子徳二郎を跡とりにせんと工む事さき坂郡次といふねいじん
 けい母にくみし福太郎を左衛門にざんげんし福太郎ついに宇治山に捨てらるゝ事其後
 宇治の長者のむこになり出世栄花の事をしるす」此冊子年号なし
 といへ共享保中のものなるへし其証は巻中に「あれが福太郎とやらか蔵前
 のおばあをまかすばか〳〵しいものだ」と云書入あり蔵前おばあの事は武野
 俗談にありて享保中評ばんの事也
世(ヨノ)諺(タトヘ)口(クチカラ)紺屋(コウヤ)雛形  《割書:キ| 》三《割書:つたや板|年号ナシ己未春トバカリ》   《割書:馬琴作|子興画》
 世の中の事をきものゝちうもんがきになそらへかきたる也
《割書:喧嘩|染色》奇物語  《割書:キ| 》三《割書:山本板|年号ナシ》   《割書:作名ナシ|富川房信画》
 おふさ徳兵衛おなつ清十郎けんくわや五郎右衛門か事を取
 あはせし世話もの也

彼岸桜 勝花(ハナヨリ)談義  《割書:キ| 》三《割書:鶴喜板|年号ナシ己未めてたき春トバカリ》   《割書:馬琴作|画名ナシ》
 地こく極らくの事を世の中の事にせし趣向也巻中に余か友銭屋の
 何かしか歌にへん□へておけばよいのに先の世の約束事も事にこそよれ
《割書:茶番|狂言》一夜附  《割書:キ| 》三《割書:ト板【岩戸屋】|文化己巳》   《割書:一九作|墨亭月麿画》【串戯狂言一夜附】
 茶はん狂言をいろ〳〵かきたり序に漢土 串戯(チヤバン)狂言之記原、晋書
曰、謝尚着衣幘而作鴝鵒舞、坐者撫掌撃節、尚俯仰其
中、傍如無人、云々前漢書曰、檀長郷起舞為沐猴與狗閗坐
皆大笑、云々
甘哉(アマイカナ)名利 研(オロシ)   三《割書:つるや板|寛政十二》   《割書:京伝作|画名ナシ》【コマ21も見よ】
 名利や欲右衛門といふ者名を高くせん事を思ひ合法か辻のゑん魔にいのり
 名高き古人の五たいをさつかりしよりさま〳〵なんぎせし事を面白く作れり
 自序に予頃読来舶之書 諧鐸(カイタク)、驩撫形乞丐話、翻案作一稗
 史云々トアリ




《割書:三国伝来|墻壁(カキネ)之外》玉藻前龍宮物語  《割書:キ| 》三《割書:  板|年号不知》   《割書:三馬作|春亭画》
 九尾の妖狐龍宮へ来り龍王を迷はし種々の悪行をなすもの三
 国の俤をうつしとり書けり大つめに海老がしはらくのある事
 せりふ有妙作なり
キ  日本一 癡(アホウノ)鑑     二《割書:《見せ消ち:つたや|》| 》  《割書:万葉亭好町作|北尾政美画》
キ(後に委し) 《割書:自笑請合|本八文字》正札附 息(ムスコ)質(カタギ)  三《割書:つる喜| 》  《割書:好町| 》【コマ40も見よ】
キ  三筋 緯(ダテ)客気(キヤクノキ)植田(ウヘダ)   三《割書:つたや| 》  《割書:京伝|政演》 《割書:○政演ハ京| 伝ノ画名也》【コマ32】
キ  御所桜都 ̄ノ飛梅   三《割書:馬喰丁|【三つ鱗紋】川|二丁目》  《割書:作名ナシ|鳥居清経画》 《割書:年号シレズ|戊子ト斗リ|表紙ニアリ》
キ  女 嫌(キラヒ)変(ヘンナ)豆男   二【三つ鱗紋・鱗形屋】  《割書:喜三二作|春町画》【コマ47も見よ】

ク  甲賀三郎世 継(ツギ)鑑  二《割書:つたや| 》  《割書:作者シレス 年号モシレス|画者シレス》【コマ47も見よ】
キ  《割書:岩神|乳守》双面魁(フタオモテシユテンドウシ)  三【三つ鱗紋・鱗形屋】    《割書:享和三ト云| 》【岩神乳守 雙面𩳣[鬼+奇]】
キ  《割書:伊賀|之国》念力どうじが松  二 丸小  丈阿作
ク  《割書:入唐|朝夷》分身娵入巴   三 丸小  丈阿
ク  《割書:風流|万歳》名護屋 鑷子(ケヌキ)   三    丈阿
ク  《割書:かみ|すかた》忠臣大峯桜   三  《割書:丈阿| 》 《割書:松田屋庄次郎板|山本小兵衛板》
ク  《割書:凱旋|貝鉦》黒佐幾合戦   三   丈阿
ク  《割書:しら|はた》万歳 勝鯨波(カチトキ)   二   丈阿





ク 《割書:世継|入道》 化物秘密問答   二   丈阿
ク 《割書:日本|から》 名馬之 勢(イキホヒ)     一   丈阿
ク 《割書:大塔|宮》 熊野 篠繁(スヾカケ)     【三つ鱗紋、鱗形屋】板
キ 能息子内 ̄カ栄        三《割書:奥村板| 》 《割書:通笑作 年号ナシ|画名ナシ》
キ 《割書:右 ̄ノ通|慥而(タシカニ)》 啌多(ウソシツカリ)雁取 ̄リ帳   三《割書:大門口|つたや》 《割書:奈蒔野馬乎人(ナマケノバカヒト)作|忍岡歌麿[甲]》【コマ94】
キ 《割書:自笑請合|本八文字》 正札附 息質(ムスコカタギ)    三《割書:つる喜| 》 《割書:好町| 》
 序に唐来散人 炉(ロ)間 恒斎(ガウサイ)に誌」トアル自序に何(ドフ)いふもんだととへは広
 徳寺の門とはぐらしてとんだもんだと言へば浅草の山門と
 答ふ云々」○三河や万左衛門が子万太郎才二郎の二人り兄は
 武芸を好み弟は学問を好む事ふるきよりたがひに

 こりかたまりなうてのたはけを尽す事をしる
 すおかしき趣向也
キ 皐(サツキ)下旬虫干曽我   三《割書:つる喜 京伝 寛政五| 》
 曽我物かたりの趣向にて人物を残らす虫尽しに見立てゝ
 作れりその中に深あみ笠の武士二人出てすけ成か程の
 難義をすくふ事あり此のふたり一人りは羽織に京の字。一人
 はつるの丸の紋をつけたり京の二郎と朝比奈と思ひの外巻
 の末に両人が笠をとりたるをみれは作者京伝と板元の
 つるや也此趣向いとおかし
  《割書:長物語|後編》白髭明神御渡申 ̄ス   三《割書:つる喜| 》 芝全交作 《割書:寛政|五》
  十四傾城腹之内   三《割書:つる喜| 》 芝全交作 《割書:寛政|五》【コマ94】
  福徳果報兵衛伝   三《割書:つる喜| 》 京伝 《割書:寛政|五》



龍(タツノ)都鱣鉢木   三《割書:つる喜   京伝   寛政五| 》【竜宮羶鉢木】
銘 ̄ハ正夢 楊柳(ヤナキノ)一腰   三《割書:           同| 》
《割書:増補|毬越》登坂(ノボリサカ)宝山道   三《割書:           同| 》
《割書:足引山男|白妙雪女》化(バケ)館(ヤカタ)見越松 《割書:   つる喜   京伝|○化ものゝ世界を五段つゞき上るりに作》【十返舎一九の「化物見越松」?】
《割書:狸和尚勧化帳|化地蔵略縁起》化競丑満鐘《割書:      馬琴|寛政十二年の作 おかしき浄るり本なり》
《割書:富士之白酒|阿部川紙子》新板 替(カハリマシタ)道中助六   三《割書:      京伝   寛政五| 》
 自序の文おもしろし其末に「これ双六の前書は不出来なりける次第
 也」と□□めたるはいと面白く妙也○助六意休あけ巻中直り
 して後春雨のつれ〳〵みな〳〵打より道中双六をふるより思ひ
 つきて此連中上方へ登りあつちの男達にけちをつけ

 んと□のが起りにてみな〳〵道中するおかしみを書たり
 巻尾に助六上かたの男達のはなをひしぎ江戸へ帰らんと思ふ
 に末代迄のしるしとて蛇のめのかさを地本院の軒はにさしこん
 でかへる今の世迄地本院の忘れがさとて爰に残るよしを趣向
 のおちになしたるはおかし
再会(メグリアフ)親子 ̄ノ銭 独楽(ゴマ) 《割書: 三 つる喜|年号なし寛政五歟》 《割書:唐来三和作|政よし画》
 序の末に「四五年ぶりにて筆をとる」とあり○淮南の青蛈の
 故事を引き子母銭の事銭の母と子がさま〳〵の苦労して
 世の中をめぐる事を書たりその中に三庄太夫の面
 影をうつせり
堪忍袋緒〆 ̄メ善玉   三 《割書:つた重   京伝|寛政五》
 序にかきつばたの画をかき花を心の字になしてその上に「心は如_二巧
 画師_一 ̄ノ心(シン)は画なり濃くも薄くもかきつはた」といふ自画賛を出せ





 

 りおもしろし○善 魂(タマシイ)悪 魂(タマシイ)世の人の身にふきそひておの〳〵
 善悪を勧める事を例の滑稽いとおかしく作れり是は先
 年の作にはやぞめ竹と云赤本の初へん二へん迄出てはやり
 し其後へんのよし此所のほつたんにしるせり
貧福両道中之記   三《割書:つた重|寛政五》   京伝
小人島 毇(コヾメ)桜   二 《割書:〃|〃》    京伝【コマ30-31, 46, 128も見よ】
宿昔語(ムカシガタリ)筆(フデノ)操(アヤツリ)   二 《割書:〃|〃》    京伝
花之笑七福 参詣(モフデ)      二 《割書:〃|〃》    京伝【コマ27も見よ】
《割書:忠臣蔵|壁落書》人唯一心命   三 《割書:〃|〃》   三和作
《割書:凡 悩(ノウ)即席|菩提料理》四人詰南斤 傀儡(アヤツリ)   三 《割書:〃|〃》   京伝【コマ119】【四人詰南片傀儡】

  《割書:のしの書初|若井の水引》先開梅 ̄ノ赤本   三 《割書:〃|〃》   京伝
キ 七ツ目のえと 《割書: |年号ナシ》 二《割書:西村|【山に三つ巴】板》   《割書:作名ナシ|富川画トアリ》【七ツ目ゑと化物退治?】
 三ツ目入道の手下の化物をあつめ十二支をほろぼさんとす
 る事
キ  《割書:昔|咄》鬼 留(コヌ)主間(マニ)洗足 《割書: |外題墨ズリ》 二 【瓢箪印、奥村】板  《割書:作名ナシ|富川吟雪》
 悪鬼出て人の子の顔に手形をつけてとり行によりある山伏出て
 足を洗落させ鬼を退治し人を救ふ事是鬼のこぬ間に洗足
 せうと言習すを落とす
キ 祐天開帳 《割書: |安永九新板歟》  三  《割書:芝全交作|北尾政演画》
 かさね与右衛門の事をおかしくやつし書たりあまり面白
 からず此本の末に 《割書:芝全交戯作|北尾政演画》 ト如此あり作者画工をわくの内に
               ならべかくはこゝらがはし
               めなる歟








飲中八人前 《割書: |安永九年》 三 [松]板   《割書:通笑作|清長画》【36,】
 五藤通玄と云医者の子五藤兵衛生れ替り来て大酒のみとなり
 一人にてその八仙の事跡を行ふ事をおかしく書たり
木曽海道 双(フタリ)義仲(ヨシナカ) 《割書: |年号ナシ》 三《割書:いせ治板| 》  鳥居清長画【コマ26, 36も見よ】
 木曽よし仲の事をしるす時代軍記也よし仲粟津にて
 の討死には多田身代りの趣向也
朝比奈島渡《割書: |朝比奈一代軍記也》 【山に三つ巴紋】西村板  《割書:作名なし|富川吟雪画》【コマ26, 36も見よ】
金々仙人通言 ̄ノ一巻   三《割書:つるや板| 》
《割書:化|物》見越入道二代鑑   三 〃
《割書:風|流》有難山 郭公(ホトヽギス)   二 〃

花 ̄ノ東(オヱド)頼朝公御入 《割書: |酉新年トアリ》 二《割書:大伝馬丁二丁め|大和田安右衛門板》  京伝作[寳]《割書:此印|メヅラシ》
 より朝公江戸へ下り給ふ事をおかしく書き石橋山の合戦富士
 のまきがり伏し木隠れ其外の故事をおかしくしやれてかく
孔子 縞(ジマ)時 ̄ニ藍染   三《割書:大和田板|酉年》   京伝
《割書:無垢|世界》縞(シマ)黄金肌着 ̄ノ八丈   三《割書:〃|〃》
《割書:鴫| 蛤》嗚呼辛気楼   二《割書:〃|〃》   京伝
一百三升芋地獄   二      京伝
 朝比奈いも地獄に至りたこの入道の似せゑんまをとりひしぐ
 事をおかしく作れり
朝比奈大黒舞 《割書:見出シニハ|ヨリトモハマテ」トアリ》 二《割書:うろこ形板| 》  画名なし
 曽我の事を書たり時代物也



ク 金平宝船   二《割書:うろこ形板| 》
 金平よりよしの仰をうけ金峯山の穴中鼠の隠れ里に至り
 猫を退治し大あなむちのみことより宝物をもらひ帰る事を
 しるす時代もの也
キ 親譲 ̄リ鼻 ̄ノ高名   三《割書:松村板| 》   《割書:可笑門人 雀声作|春朗改群馬亭画》
 くら高の二郎坊辻君おそのかいろかにまよひて下界へ下り平
 人となり鼻を落しいろ〳〵かん難して又々上天する事を作る
キ 売買(ウツタリカツタリ)乎親々 胴性能(ドウセウノウ)   三《割書:つる喜板| 》   政美画
 もろこしの元悟おやを捨しを子の元覚その古?こしを持帰らん
 といふより元悟孝行者となりみかどより御ほうびをいたゞき
 しを発たんとして世の中に孝行のあまり日本へぢゝい
 ばゝァを唐人が買ひ出しに来るおかしみを書たり

キ 相州白旗 ̄ノ社   三《割書:つるや板| 》   《割書:鳥居清経画|  桂子作》
 よし経奥州高たちのいくさ破れゑぞへ落る事鈴木三郎身代り
 に打死するより朝比奈の三郎父の仇よし経を恨ヵんとゑぞへ渡る
 まてをしるす白はた明神の前に梶原がよしつねの一子つね若
 を殺んとして神ばつを蒙る事をはしめとす時代■■【一第記(一代記)ヵ集記ヵモ】也
キ 奈良都之八重桜   二《割書:【山に三つ巴紋】西村板| 》   《割書:作名なし|鳥居清経画》【奈良都八重桜】
 きよく屁芋右衛門といふ屁の上手なる事叡聞に達し勅使下り芋
 右衛門屁をひりて奈良の八重桜の花を咲せしよりいろ〳〵の
 おかしみをしるす勅使「いにしへの奈良の都の八重桜けふこゝのへに
 匂ひぬる哉」の短冊をその桜につけ給ふ事其外おかしくしるす
キ 《割書:豊福|茶釜に》毛生(ケガハヘ)太郎月   三《割書:右同板| 》   《割書:可笑作|清長画》
 福太郎が子福松けいせいぐるひにたはけを尽し勘当され坊主に
 なりはいかいの宗匠となり又医者となるより神農の霊覚にて


 唐人の薬うりとなり勘当ゆるさるゝ事をしるす末に「れ
 いのいひかけを少しばかり云々文福茶がまに毛がはへた
 はへたる大事かすへて「やろうになりました云々
キ 《割書:嗚呼|不儘(マヽナラズ)》世之助噺   三《割書: |安永十年》 《割書:喜三二門人|  婦人亀遊作》
 世之助といふいろ男けいせいきぬ川にはまりしより羽生村の
 おかねに密通の事などすべてかさねの面影をうつし
 おかしみあり
キ 分解道中双六   三《割書:つた重板|享和三》   京伝【分解道胸中双六】【コマ127】
 道中五十三次の地名を武士の人物に「二ほんざし」豆蔵の人物に
 「品だま」などしやれて名所の事を人の身の上にて書たり
 おかしくうがちたり

一陽来福(イハヒヅキ)鼠(ネヅミノ)配偶(ヨメイリ)   ニ《割書:西村板|享和三》  《割書:内新好述|石上筆》
  ねつみのよめ入をおかしく書たり末に和藤内の芝居あり
 とらを猫になしたり
《割書:桃太郎|後日話》初宝鬼島台   二《割書:西村板|享和三》   《割書:一九作|北尾画》
善悪角力勝負附   三《割書:西村板| 》   《割書:一九|豊国》
文盲先生珍学問   三《割書:西村板| 》   《割書:桜川慈悲成|豊国》
職流義(サイクハリウギ)仕上 ̄ノ押絵(オシヱ)   三       《割書:薄川八重成|栄松斎七喜》
箱入娘面屋 人興(ニンギヤウ)   三《割書:つたや板|寛政三》   京伝【印】《割書:如此|印アリ》【箱入娘面屋人魚】
 巻のはしめに板元蔦唐丸口上のうちに「京伝申候はたゞ今
 迄かりそめに拙き戯作仕り御覧に入候へ共かやうの無益の事に



 月日およひ草紙を費し候事さりとはたはけの至り殊に
 去春なぞは世の中にあしきひやうきをうけ候事深く
 是らをはぢ候て当年よりけつして戯作相やめ可申候
 と私方へもかたく断り申し候へ共云々当年ばかりは作いた
 しくれやう相たのみ云々○浦嶋太郎なる例のとね川や
 お鯉(り)のに馴初るをほつたんとし人魚をうませしよりつり
 ふねの平次と云物かの人魚を得て女房になしてよりさま〳〵
 の事人魚むけんのかねつく事人魚女郎に実をしづ
 める事人魚つかひといふぢぐりなどいろ〳〵おかしく面白
 作りたり
世上 洒落見(シャレケン)絵図   三《割書:蔦や板|寛政三》   京伝【コマ134】
 序の後に「山東京伝識于菊亭」トアリ○世の中しやれに?し
 て市川団十郎の内の体を芝居でするをはしめとし開
 帳も本尊はやめにしうつくしい娘といろ男をたゝせ置くなど
 より世の人いろ〳〵にしやれる事をおかしく■■【穿ちヵ】しるせり

針程な棒程目がね   二《割書:□□もの歟| 》   南陀伽紫蘭作【針程物棒程目鏡】
 「黒?したてにほそみのおたちをきめてくろ□にかいきの風
 ろ敷つゝみをもたせ云々「げいしやのことばに?」ヲコトコシキ
 サカンクトコンタカブクサカタカノコト」
キ 小人国 毇(コヾメ)桜   三《割書:つた板|寛政五》  京伝【小人島毇桜】【コマ30-31, 128も】
 小人島の事をおかしくしるしかの国に豆右衛門といふ智者
 ありえいろ〳〵の智恵をふるふ事をおかしく作れり

キ 《割書:大谷|徳治》どうけ百人一首   三《割書:泉市板|寛政五》   《割書:恋川好町作|豊国画》
 序文の後には「すきや店舗のあるし真顔題」トアリ好町は
 即真顔の事歟○巻中屏風に「勧雛硝子巵白酒
 不須辞、桃発多馳走、人形御客姿、右上己 鹿杖山人」トアリ
 ○百人一首の歌をじぐりそれを趣向にしてさま〳〵のおか

 しみを書けり。
キ 女 嫌(キラヒ)変(ヘンナ)豆男   二《割書:うろこ形板| 》   《割書:喜三二|春町》
 止(やめ)右衛門とて物にあきやすく女きらひの男かの豆右衛門か身
 の上の自由なるをうらやみ浅草くわん音に願がけして豆を
 さづかり人間はいふに及ず生あるものとたましいをとりかへる
 事を得てさま〴〵のおかしき事を慰みにする事も
 記す
甲賀三郎世継鏡   二《割書:つるや板| 》   作名なし
 藤原くに近卿の家臣甲賀の三郎が事玉もの前が執念
 大江の局に化する事怪異の事三郎仙人となる事
 ゆづり葉のかゞみの事をしるす時代もの也

間似合 嘘言(ウソツキ)曽我   三《割書:つるや板| 》   《割書:蓬莱山人帰橋作|清長画》
 曽我物かたりを世わ事にやつしてしやれてかきたり
 多くけいせい買の世界になしたり
《割書:三国|伝来》無匂線香(ニホインセンカウ)   三《割書:つるや| 》   京伝画作
 巻尾に「政のふ自画」とアリて狂言のことばに「罷出たるものは
 云々京伝と申ものでござる云々○天ぢくのあじやせ太子
 りうさ川のこいやのこいの尾といふけいせいになじませ給ふ事を
 はじめとして武帝 鯉(り)夫人を寵愛の事其外仏在世の
 事をおかしく書末に八百やお七の事をとりくみたり
 面白し
《割書:一富士|二鷹》忝茄子(カタジケナスビ)   三《割書:いせ治板| 》   《割書:芝桜川杜芳作|政よし画》【コマ113】
 お大名のふところ子小林の家の三男お寝ぼうゆへおあさな【あざ名】
 あさいねと云ふおかた正月二日の初夢にふじ塚やのどらやき袖




 

 の上に落ると見給ふおんやう師どらやきの形にはまん中
 に三ツゆびの跡ありすなはち小林の御もん所とはんせし
 より御先祖のやふに島めぐりせんとのたまふに家臣さくま
 ひけの丞と云ものちゑをふるひてお下せた【「お下やしき」か】を島〳〵のていに
 こしらへともなひ申すおかしみをしるす

《割書:愚(ヤボノ)一心|通看板》苦者(クハ)楽(ラクノ)元 〆(ジメ)   二《割書:いせ次板| 》  《割書:七《見せ消ち:宝|珍》万宝|豊国画》
 福とく富右衛門が一子うぬ介がいろ男のうぬぼれのおかしみ其
 弟徳次郎が学もんずきいつれも親に苦労をかけし事を
 おかしく作れリ
あだ名物ずき     三《割書:つる喜板| 》 《割書:馬琴作|国貞画》【正しくは春亭画】【仇名物数寄】
 あだ名の介といふ者世に名を高くせんとてさま〴〵たは
 けをつくす事をしるす

雑談紙屑籠   《割書: |寛政三》   京伝
 世の中の人情をいろ〳〵書あつむ
諺百首談一首   《割書:つる喜板|享和二》
 世にいひなれた諺の出所をたづね耳ちか?く書とり
 たる本也
キ 松 ̄ノ株木(カブキ)三階奇談   三《割書:つたや板|享和四《割書:文化|元也》》   馬琴
 和荘兵衛と云ものゝ弟麁相兵衛と云者沖づりに出て漂流し
 さま〳〵の国をみる事を作れりその国はみな芝居の事
 にて矢倉山のいてう橋をはじめにて人のあたまの
 青海波みかんのかはらの類さま〳〵お化年中行事
 にみたてゝ作り面白し巻の末に自作の狂文一篇を出
 せり「一年三百六十日、門を出て杖を曳く事そも


 いくばくぞ筆をかへして箸となし、机をそむけて枕とす
 名を読てわれに利なく書をあらはして、恥を残す、儒に
 あらす仏にあらす、造化の麁相何そ馬琹【=琴】をうめる
 嗚呼」世の中にたへてあぐらのなかりせばしとねのこゝろ
 のとけからまし
キ 鯨魚尺(クシラザシ)品革羽織   三《割書:つる喜板|寛政十一》   馬琴
 漢文にてまじめの自序あり鰌海中大魚也、一名海龍王、
 雄曰鯨、雌曰鯢、左伝正義 ̄ニ述異記広輿記、博物典彙、
 正字通之旧説、各有異同、而独遺漏于李氏本草綱
 目、何邪、云々
 はしめにくじらの類をこぢつけあつめ山くじらなめくじら
 後生くじらみくじらの類也熊の浦の一のもりりやう四郎
 といふ大きな事のすきな男江戸見物に遣る事より大きな山
 考へくじらをつる工夫をして■■■〳〵くしらをつりみせ

 物に出しかねをもふけ江戸にて金をかし大きな顔をし
 女郎買なとたのしむ所しまいに品川にて塩干の遊ひする
 折くしら先頃つりしくしらの子にのまれん所を落とし
 てりやうし郎江戸入りの日高縄のところてん見世くしら
 の水からくりの前に居ねふりし夢とせり巻中くしらの子
 親の敵討を八大龍王に願ひて江戸へ出る其道行の文句
 おもしろし
ク 武運長久矢口詣   二《割書:西宮板| 》 《割書:鳥居清経画| 》
 新田よしおきの事蹟より時代もの巻中よしおき雷となり
 て矢口にて江戸遠江守をうち殺し給ふ後はたけ山【国清】竹沢【右京亮】をも
 うち殺さんとなりはためき給ふ竹沢がことばに「はて大ぶんな鬼
 だこきみのわるい白沢(ハクタク)〳〵〳〵」といふ書入れあり
文武二道万石 通(ドヲシ) 《割書: |年号ナシ》三《割書:つたや板| 》   《割書:喜三二作|歌麿門人行麿画》


 序 質 勝(カツテハ)_レ文 ̄ニ野暮也。文 勝(カツテハ)_レ質 ̄ニ高慢也。文 質(シチ)元 結(ユヒ)人品として。
 月親(サカヤキ)青き君子国。五穀の外に挽(ヒキ)ぬきの。おそば去らずの重忠が。
 智慧の斗枡(トマス)に謀られし。大小名の不知(フチ)の山。一国一斗一生の。恥
 を晒せし七温湯(ナヽユ)の垢。とけて流れて三嶋にあらぬ大磯の
 化粧水に。しらげすませし文武二道万石 通(ドヲシ)と名づけしを。
 山【絵】の裾野の□【絵】十が需に応して□【絵】作 ̄ス」
 頼朝公ゟ重忠に命して鎌倉の諸大名の心文にかたよるか武
 にかたよるかをためせ給ふ事より重忠謀をもふけて富士
 の人穴に不老不死の薬あり諸大名此穴に入りて薬を求へし
 と命す皆々其穴に入るに穴中に文雅洞あり妖怪窟
 あり長生不老門あり文ある人は文雅洞へ入り武人は妖怪
 崫へ入る文武の外のぬらくら武士は長生不老門へ入る
 此のぬけ穴の口へとろゝを流し置ける故ぬらくら武士
 すへり落るおかしみあり「重忠かはかり事にて百人いかさま
 にかゝる東海の天なるべし」と書たるが面白し文武の外のぬら
 くら武士多けれは箱根の七湯へ遣されて各あそひ戯□【るゝ】お

 かしみありそれより大磯のくるわにおの〳〵遊ひて金を使ひ
 はたし皆一同にむけんのかねをつくおかしみ其輩を終
 に文武の二道にみちひくを終りとせり元来垢本の趣
 向は白川侯御補佐の時代をほのめかせしものなり
 其頃世に評判せし程ありて妙作也

キ 人間万事西行猫 三  《割書:樹下石上作|政よし画》

キ《割書:中村秀鶴|面影帰咲》御評判高雄文覚 三 《割書:つるや板| 》  《割書:京伝作| 》

キ《割書:悪魂(アクダマ)|後編》人間一生胸算用 三 《割書:つたや板| 》  《割書:京伝作| 》【コマ20も】

昔咄 安方(アンホン)丹親玉 三【あんぽんたん/富川吟雪・画】
 丹右衛門と言正直ものたんごをやっとこさといふて女房をくらはせし昔
 はなし狐に玉をさつかりし事めうがの川へ流れくもを丹右衛門の妻



 とりて帰り夫婦して食して若やぎ子をもふける事その子を
 丹七といふ
《割書:露雨(ツユノ)|天神》梅田 ̄ノ初雁  二 うろこ形板  清満画
 おはつとく兵への事を作る平のやか家に伝る菅公自筆の画像
 のかけ物あり九平次と云あく人おはつにれんぼし恋のかなはぬ恨に右
 の一ちくをぬすむ事をほつたんとす

【欄外に】是より茂木氏蔵書を抄す

木曽義仲物語    元禄九  清春画
若草物語      宝永四  同
新田四天王     享保七  同
酒餅 ̄ノ合戦     享保十六 同

三人法師物語    年号不知 菱川師信画
源氏重代剱 ̄ノ宮居  安永四  和祥
碓井貞光奉公始   同四   房信【碓氷貞光奉公始】
信玄初軍      同四   同【信玄初いくさ、信玄権輿軍】
朝顔姫       同八   清経
卯花重奥州合戦   同八   桂子【コマ17, 24, 112にあり】
絹川物語      同九   可笑
飲中八人前     同九   通笑【コマ43にあり】

通者云此事     安永九  京伝
夜中狐もの     同九   風車【夜野中狐物】
風流奴豆腐始    安永三  吟雪
平惟茂化物退治   同六   房信
扨化狐夜噺     同九
浦島太郎竜宮巻   同九   春満【浦山太郎兵衛/竜宮の巻】
妙智力群鳩     同三   清長
女郎買糠みそ汁   同九   通笑

敵討莫谷剣     同九   京伝
振袖江戸紫     同九   春常【コマ111】
うそ八百七福神親方 同八   女秋花
西国評判鬼の趣向草 同七   作者不知
吉原語晦日月    同七   全交
百合若丸物語    同十   杣人
彦山権現誓助刀   同十
扮接銀煙管     天明八  京伝




会通己恍惚鳴子  天明八 京伝【会通己恍惚照子】
狂言末広栄    同七  同
管巻太平記    同八  七珍万宝
冷哉汲立清水記  同六  京伝
時代世話貮挺鼓  同七  同【時代世話二挺皷】
三筋立客気植田  同七  同【三筋緯客気植田】
小倉山時雨珍説  同六  同
大千世界垣根外  同四  三和【唐来(とうらいさんな)】【大千世界牆の外】

年代記      同三  杜芳
悦贔屓蝦夷押領  同八  春町【恋川】【コマ93】
鸚鵡返し文武二道 同八  同
面向不背御年玉  同八  万象
枯木花作者誓願  同八  万宝【枯木華作者誓】
三太郎天上めぐり 同七  喜三二【三太郎天上廻】
亀山人家化物   天明七 同【亀山人家妖】
正札附息子質   同七  三和【正札附息質】


親々道成寺      天明二 為軽
夢の世の中      同七  石山
天文         同七  同
通町御江戸鼻筋    同六  三和
天筆阿房楽      同八  慈悲成
今日現金湯起文    同八  雞告【山東鶏告 今日現金湯起請】
本所二十四孝     同三  通笑
全盛大通記      同四  杜芳

景清百人一首     同二  喜三二
艶哉女僊人      寛政元 京伝
こは珍らしいみせ物語 同十三 同【這奇的見勢物語】
九界十年色地獄    同三  同【九替十年色地獄】【コマ110】
真事         同九  同
先開梅赤本      同五  同
根なし草筆の若ばへ  同六  同【根無草筆芿】【コマ29も】
一刻価万両回春    同十  同【コマ30も】

【54コマと55コマは同じか】


【前コマと同じ】

日永御伽古状揃    寛政五 万宝 【日永話御伽古状(ひながばなしおとぎこじょう)森羅亭/万宝(七珍万宝)】
小人国こゞめ桜    同五  京伝【小人島毇桜】【コマ30-31も】
化物倭本草      同十  同
五体和合談      同十一 同
心 覚(学ヵ)早染草          同二  同
眉間尺三人生酔    同六  同【コマ27, 119も】
花 ̄ハ芳野犬はぶち     同   同【花芳野犬斑】
京伝 主(ス)□□利鑑      同   同【京伝主十六利鑑 (きょうでんす じゅうろく りかん)】

鯨 ̄ノ尺品川羽織      同十一 馬琴【鯨魚尺品革羽織】【コマ49も】
怪物徒然草      同四  京伝【コマ27, 135も】
朝比奈島 廻(メグ)り        同   同【霞之偶春朝日名】【コマ135】
人間一生胸算用    同三  同【コマ20も】
梁山一歩談      同四  同
女郎誠王子の角文字  同五  全交【遊妓寔卵角文字】【コマ94】
十四傾城腹の内    同   同
文武二道万石通し   同   喜三二 【文武二道万石通(ぶんぶにどうまんごくどおし)】【コマ49-50も】





廬生が夢其前日    寛政三 京伝【廬生夢魂其前日】
           【ろせいがゆめそのぜんじつ】【コマ20にあらすじあり】
福徳果報兵衛伝    同五  同
至無我人鼻心神       同三  同【コマ127, 136】
八百万両金神花    同   同   
人心鏡写絵      同八  同【コマ32, 120】
格子島時 ̄ニあい染     同   同【孔子縞于時藍染】
世中洒落見絵図    同三  同【世上洒落見絵図】【コマ46, 134】
備前摺盆一代記    同十二 馬琴
           【びぜんすりばちいちだいき】

長生見度記      同四  喜三二【コマ93】
鼻下長物語      同   全交【コマ93】
教訓跡の祭      同十三 馬琴
彼岸桜花より談義   同十一 同
料理茶誥即席説    同   同【料理茶話即席説】
鼻峯高慢男         同四  喜三二【コマ94】
うそ(嘘)しつかり(然)鳫取帳  同  《割書:奈蒔野(ナマケノ)|   》馬鹿(バヵ乎)人
          【啌多雁取帳/うそしっかりがんとりちょう】
忠孝遊仕事         同二  通笑




京鹿子娘泥鯲汁    寛政三 全交
           【京鹿子娘鯲汁 (きょうかのこ むすめ どじょうじる】
両頭筆善悪日記    同十一 京伝
           【(りょうとう ひつ ぜんあくにっき】
箱入娘面屋人形    同三  同
           【箱入娘面屋人魚(はこいりむすめ めんや にんぎょ】
平仮名銭神問答    同十二 同
六通半略巻      同五  万宝
           【ろくつうはんりゃくのまき】
来 ̄リ喜之助伝      同   同
式亭三馬己惚鏡    同十三 三馬    
無筆節用似字尽    同九  馬琴
           【むひつ せつよう にたじつくし】

花より団子食家物語  同五  同【コマ108, 136】
           【花団子食家物語】
工面壁観師大通    同六  森羅亭
           【森羅亭万象 くめんぺきだるまだいつう】
心 覚(学ヵ)時計草        同七  一九
           【心学時計草】【コマ28にあらすじあり】
新吹小判の耳たぶ   同   同
           【新鋳小判𫆓[耳+嚢]】
十二神楽種軽業    同五  芋輔【コマ20にあらすじ】
           【十二神楽稚軽業 発田芋助 じゅうにかぐらおさなかるわざ】
とんだ間違矢口噂   同四  可笑
           【頓作間違矢口噂/飛た間違矢口噂】
曽我物う(語ヵ)その実録   同十  三和
           【曽我物語嘘實録】
浦島太郎二度目 ̄ノ龍宮  同四  同【正しくは通笑作】【コマ115】
           【二度目龍宮】





一狂言狐書入     寛政十  杣人
穴賢狐縁組      同十一  一九【コマ21も】
うそ八百       同九   三馬【嘘八百万神一座】
帰花金大帳      同十三  和樽
           【福神金大帳(ふくじんこがねのだいちょう)ヵ】
縁組妹背 ̄ノ仲       同    同
即席御療治      同十   九年坊
天道浮世出星操    同六   三馬【浮世の出星操】
風の神由来記     同十一  馬琴

譬諭義理ふんどし   同十二  同【譬諭義理与襣褌】
           【たとへのふしぎりとふんどし】
こしつけ       同四   可笑
志良美        同十二  馬琴【花見話虱盛衰記】
春の駒将棊 ̄ノ聞道     同十三  同
           【春之駒象棊行路(はるのこましょうぎのききみち)】
曲亭一風京伝張    同    同
児童文殊種教訓    同    可笑【児童文殊稚教訓】
北国順礼唄方便    同九   馬琴
           【ほっこく じゅんれい の うた ほうべん】
見るが薬霞の引札   同十二  同【視薬霞報条】




大雑書抜縁組     寛政十  馬琴
           【大雑書抜萃縁組 おおざっしょかきぬきえんぐみ】
仮名手本忠臣蔵    同    同【御慰忠臣蔵之攷】
うなぎ薬       同九   一九【薯蕷鰻鱺薬】
唯心鬼打豆      同四   京伝【コマ27, 107も】
正月古事談      同九   同【正月故事談/正月故事譚】
真読見台萩      同三   全交【直読見台萩】
住吉詣女行列     同九   一九【住吉詣女行烈/敵討住吉詣】
神伝路考油      同四   天業
           【しんでん ろこう ゆ 気象天業】

人間一生五十年    同十   京伝【凸凹話】
龍宮苦界玉手箱    同九   馬琴
冠言葉龍宮絵解    同元   三和
           【検索不可。注①】
為朝島めぐり     同三   万別【為朝が島回/為朝縞廻】
天慶和尚文      同八   京伝【天慶和句文】
質流思外幸      同十三  一九
貧福蜻蛉返り     同十二  同
           【ひんぷく とんぼかえり】
両評娵入抄      同十一  同  
           【りょうひょう よめいりしょう】
           【注② りやうひやうよめいりせう】


【注① 唐来三和(或は参和 とうらいさんな)の『冠言葉七目十二支記』(かぶりことばななつめのえとき)に関係するか】
【注② https://hamasakaba.sakura.ne.jp/064k/064500/064525/sub064525 参照】     

子産黄金七夜 説( 祝ヵ)     同十二  かほる
           【蘭奢亭香保留】
いろは短歌      同十三  一九
庭荘子珍物茶話    同九   馬琴
怪談模様夢字尽    享和三  京伝【怪談模模夢字彙】【コマ29】
江戸砂子娘敵討    同四   同【コマ120】
《割書:春|》通気智(ツキヂ)之銭光記    同二   同
質愚入込銭湯新語   同    同
呑込多霊宝縁起    同    同【コマ22, 90-91】
           【呑込多霊宝縁起 (のみこんだ れいほう えんぎ)】

《割書:冬》枯木花大悲利益   同    同【枯木迺花大悲の利益】【コマ93】
作者胎内十月図    同四   同
分解道◦(胸) 中双六     同三   同【コマ45,127】 
人間万事吹矢的    同    同【コマ134-135】
御誂染長寿小紋    同二   同   
市川団十郎早業    同    同【早業七人前】
人間一代五常名所案内 同三   同【悟衟迷所獨案内】
五人切西瓜割売    同四   同【五人切西瓜のたち売/五人切西瓜のたち売】【コマ109】




裏家算見通座敷    享和三 京伝
           【裡家算見通座敷 うらやさん みとおし ざしき】
種蒔三世相      同二  馬琴【コマ130】
初老了簡年代記    同   同  
六冊掛徳用艸紙     同   同
           【六冊懸徳用草紙】
敵討安積車      同三  杣人
           【かたきうち あづみのくるま】
ひんと錠前心相鍵   同二 三馬【封鎖心鑰匙】
武茶尽し       同   同【武茶尽混雑講釈】
又焼直鉢冠姫     同   同【稗史億説年代記】

金亀山宝案内     同   石上
おや馬鹿らしい噺   同二  一九【嗚呼愚舗咄】
世帯評判記         同   馬琴【コマ115】
松のかぶき三階竒談  同元  同
           【松株木三階奇談(まつのかぶきさんがいきだん)】
臍沸(ヘソガワカス)西遊(サユ)記     同三  同
           【臍沸西遊記 (へそがわかす さゆものがたり)】
敵討誉 ̄ノ蛇柳      同   三和【敵討報蛇柳】
同 島物語      同   狸錦【猶錦】 【報讎四万物語】
化物太平記      享和元 一九





果報寝《割書:待ヵ|》物語    享和三 三笑【果報寝物語】
従夫道成寺      同   同
不案配即席料理    文化五 京伝
           【ふあんばい そくせきりょうり】
腹筋逢夢石      同六  同
画のまね草      同十二 南北
座敷芸忠臣蔵     同七  京伝
なぶるもよみと歌字尽 同二  三馬
           【嬲訓歌字尽 (なぶる も よみ と うたじづくし)】
敵討浪速男《割書:椎園云此本より初めて合巻になる|       同四》一九

虎屋宗三郎見世開   同三  京伝【虎屋景物】
加古川本蔵建立    同六  一九【加古河本蔵建立】
ぜうだんしつこなし     同二   同【コマ131】
           【滑稽しつこなし】
欲の皮千枚張     同四   同【欲皮千枚張】
玉や景物由来     同二  京伝【玉屋景物】
福寿海無量品玉    同三  馬琴【福寿海旡量品玉】
江戸自慢名産杖    同二  京伝【荏土自慢名産杖】
玉磨青砥銭      同六  同【玉みがく青砥が銭】



逸本気戯作          同十   東里
新春草紙顔見世      同十二  板鷲亭
妙黄粉道明寺       文政二  馬琴
             【めうきなこ 妙黄粉毇道明寺 】
姫万両長者鉢木      同九   同
千代楮良著聞集      天保三  同
             【千代褚良著聞集 ちょちょらちょもんじゅう】
万福《割書:長ヵ|》者栄花物語    年号不知 京伝
富貴自在花 ̄ノ御江戸    同    通笑【花の御江戸】
地獄一面鏡 ̄ノ浄はり    同    京伝【照子浄頗梨】
             【浄玻璃の鏡(じょうはりのかがみ)仏語】

阿久良山物語       同    同
仁田四郎人穴見物     同    同【富士之人穴見物】
真名手本通人くらべ       同       同
早造貝三左エ門      同    同
晒落模様飛羽衣      同    同【晒落摸様飛羽衣】
             【しゃれもようとんだはごろも】
敵討跡のまつり      同    同【復讐後祭祀】
桃太郎再駈        同    喜三二
全交智恵 ̄ノ程       同    全交


全交つね〳〵草    年号不知  全交【全交法師常々艸】
網(あみ)大慈大悲のかへ玉  同     宇三太【網大慈大悲の換玉】【コマ112】
阿部や三助信田遊参  同     万宝
源平布引滝      〃     春英画【コマ112】
一谷嫩軍記      〃     同
左甚五郎竜一誅    〃     万宝【竜の一談】
新極楽世界      〃     柿発斎
金銀仙人栄花夢    〃     富川【きんきん仙人/金々仙人通言一巻】

梶原好間二度のかけ  〃     四方山人【梶原再見/二度の賭】
万載集ちよひらいれき 〃     春町【万歳集狂歌来歴/万載集著微来歴】
大違宝船       〃     全交【コマ91】
従夫(それから)以来記      〃     万象
御物好茶臼の巻    〃     通笑【御物好茶臼芸】
江戸春一夜千両    〃     京伝【コマ97, 133も】
早道節用守      〃     同【コマ19も】
勇勢智勇湊      〃     清満画


風流都鳥          《割書: |年号不知》   房信
我頼人の正直        《割書: |〃   》   春町
鶏声堪忍袋         《割書: |〃   》
建武軍記          《割書: |〃   》   《割書:清倍|清満》両筆
熊谷安左衛門        《割書: |〃   》
北條時頼記         《割書: |〃   》
茶羅毛通人         《割書: |〃   》   全交【コマ22】
《見せ消ち:春|壱》の富見得の夢       《割書: |〃   》   京伝【一の富見得の夢】

茶事加減茶割番附      《割書: |〃   》   万宝【茶事加減役割番附】
卯曽我真事か同 ̄シ兄弟    《割書: |〃   》   春町【卯曾我実同姉妹】
神田与吉一代噺       《割書: |〃   》   清長画
正説河童のまじない     《割書: |〃   》   通笑【正説河童咒】
あはゝの三太郎跡の〳〵千次郎 《割書: |〃   》   同【敬哀伝】
評判鬼娘          《割書: |〃   》
角田川恋角文字       《割書: |〃   》   清経画【コマ116】
ついぞない弟甚六      《割書: |〃   》   通笑【津以曾無弟の甚】【コマ111】


遊人三幅対     《割書: |年号不知》   京伝【コマ111】
初夢宝の山吹    《割書: |〃   》   可笑【初夢宝山吹色】
馬入の由来     《割書: |〃   》   清経画
いや高き鼻の都   《割書: |〃   》   杏李【愈高鼻皇都】
赤頭巾       《割書: |〃   》   吟雪画【赤つきん】
源頼光土蜘退治   《割書: |〃   》
恵方地口初笑ひ   《割書: |〃   》
福笑ひ福徳噺    《割書: |〃   》【初笑福徳噺】

高芋卑芋芋の世中  《割書: |〃   》   親江
羊舞台       《割書: |〃   》   政演画
かち〳〵山狸の縁組 《割書: |〃   》   全交
たぬき       《割書: |〃   》   慈悲成【昔料理狸の吸物】
一不二二鷹忝茄子  《割書: |〃   》   杜芳【コマ47, 113】
跡の目論      《割書: |〃   》   同【跡目論嘘実録】【コマ113】
本能見世物     《割書: |〃   》   全交
競恋行平形     《割書: |〃   》   慈悲成【競腰業平形】



 の上に落ると見給ふおんやう師どらやきの形にはまん中
 に三つゆびの跡ありすなはち小林の御もん所とはんせし
 より御先祖のやうに島めぐりせんとのたまふに家臣さくま
 ひけの丞と云ものちゑをふるひてお下せた【????】を島〳〵のていに
 こしらへともなひ申すおかしみをしるす
【前コマの『競戀行平形』の内容とは思えず、また「〜の上に」と文章が途中から始まっている事から、コマ67ー68の間に落丁があるかもしれない】
【この部分は『一富士二鷹 忝茄子』の内容で、コマ68自体がコマ48と同一です。】

《割書:愚(ヤボノ)一心|通看板》苦者(クハ)楽(ラクノ)元 〆(ジメ)   二《割書:いせ次板| 》  《割書:七《見せ消ち:宝|珍》万宝|豊国画》
 福とく富右衛門が一子うぬ介がいろ男のうぬぼれのおかしみ其
 弟徳次郎が学もんずきいつれも親に苦労をかけし事を
 おかしく作れリ
あだ名物ずき     三《割書:つる喜板| 》 《割書:馬琴作|国貞画》【正しくは春亭画】
 あだ名の介といふ者廿?【世ヵ】に名を高くせんとてさま〴〵たは
 けをつくす事をしるす

【コマ49と同じ】

【50コマと同じ】

【51コマと同じ】

【52コマと同じ】

【53コマと同じ】

【54コマと同じ】

【56コマと同じ】

【57コマと同じ】

【58コマと同じ】

【59コマと同じ】

【60コマと同じ】

【61コマと同じ】

【62コマと同じ】

【63コマと同じ】

【64コマと同じ】

【65コマと同じ】

【66コマと同じ】

【67コマと同じ】

親の敵うつゝ夢    《割書: |年号不知》   全交【親之敵現歟夢也】
通俗三国志      《割書: |〃   》
腹部食物合戦     《割書: |〃   》【腹京師食物合戦?】
悦増福寿草      《割書: |〃   》   可笑【祝増福壽相】
明月         《割書: |〃   》   清満画
うそ八百万八講釈   《割書: |〃   》   喜三二【太平記万八講釈】
善悪邪正大勘定    《割書: |〃   》   三和【コマ28, 134】
女郎買狐の御相手   《割書: |〃   》   通笑

二重緞子三徳兵衛   《割書: |〃   》   慈悲成【二重緞子三徳平】【コマ135】
通の一声女のしばらく 《割書: |〃   》   全交【通一声女暫】
通人宝尽し      《割書: |〃   》   可笑
紅皿かけ皿奥州噺   《割書: |〃   》   同
通言神代巻      《割書: |〃   》   春町
仇名草伊達 ̄ノ下谷  《割書: |〃   》   紫蘭
珍らしい是□□みなせへ《割書: |〃   》   通笑
通人競べ猫も杓子も  《割書: |〃   》   同【御承知猫と杓子?】


書集芥の川々    《割書: |年号不知》 三和
長者飯食      《割書: |〃   》 好町【長者の飯食】
江戸の花二人助六  《割書: |〃   》 可山【江戸廼花二人助六】
大仏の由来     《割書: |〃   》 可侯【大仏餅由来】
親父かたぎ     《割書: |〃   》 通笑
桃太郎元服姿    《割書: |〃   》 同
赤本再興花咲ぢゞい     三馬
夫徳平有玉得    《割書: |〃   》 貫斎【夫者徳奢玉得】

鞍馬天狗      《割書: |〃   》 春常画
徳本養老滝     《割書: |〃   》
古久戦谷合戦    《割書: |〃   》 清信画【こくせんや合戦】
万歳島台      《割書: |〃   》 同【まんざいのしまだい】
福徳栄花の夢    《割書: |〃   》 通笑
海川魚合戦     《割書: |〃   》
由井常□菊水巻   《割書: |〃   》 永寿堂【菊水之巻】
開帳利益風遊合   《割書: |〃   》 京伝【開帳利益札遊合】


源氏開運友切丸   《割書: |年号不知》
山鳥黄金      《割書:    |〃》 百里
ことぶき      《割書:    |〃》 四方【此奴和日本】
万福長者      《割書:    |〃》 石上
見るが徳一すいの夢 《割書:    |〃》 喜三二【見徳一炊夢】
路無語帖      《割書:    |〃》
骨髄芝居好     《割書:    |〃》
人間万事二一天作  《割書:    |〃》 道笑【道笑は通笑の門人】

役者夏の不二    《割書:    |〃》 通笑【役者夏の富士】
ひらかな盛通記   《割書:    |〃》 杜芳【平仮名盛通記】
庚申待例長話    《割書:    |〃》
御用心       《割書:    |〃》 全交【しりたぐりごようじん】
七福人大通伝    《割書:    |〃》 可笑【七福神大通伝】
茶湯歌舞妓     《割書:    |〃》 全交【茶歌舞伎茶の目の傘】
通略三極志     《割書:    |〃》 四国【コマ29-30】
伊勢物語      《割書:    |〃》 可笑【通風伊勢物語】【コマ124】


大通其面影      《割書: |年号不知》 常盤松
姦顔取堪忍袋     《割書: |〃   》 こくう山人
《割書:扇やかなめ|傘や六郎兵ェ》米まん頭始り《割書: |〃   》 京伝
たゝきまぜ野良の蒲鉾 《割書: |〃   》 《割書:二代目| 》喜三二【擲交野郎之蒲鉾】
鳩八幡豆と徳利    《割書: |〃   》 好町
代夜待の辻占     《割書: |〃   》 馬琴【代夜待白女辻占】
七秋種        《割書: |〃   》 春町【朝㒵合秋七種】
江戸紫二度目の色揚  《割書: |〃   》 可笑【江戸紫二度色揚】

名高き江戸紫     《割書: |〃   》 同
新銭戯楽通宝     《割書: |天明三 》 杣人
唐倭画伝鑑      《割書: |同四  》 春町
大通其面影            常盤松」
【欄外に】
是迄茂
木氏蔵【ここまで】
通気智之銭光記  三 《割書:享和二|つる喜》 京伝
 ちん劫記をしゆかふしたる妙作也巻首に算盤銘、生計都 ̄テ類_レ ̄シ撥(ハヂクニ)_レ【_二の誤り】算
 盤【_一脱】、一位 ̄ハ運 蹇(ワロク)一 ̄ハ利市、得失従来属老天、除乗到頭不管指、此文あり
《割書:諸色|買帳》呑込多(ノミコンダ)霊宝縁起 三《割書:享和二|つる喜》 京伝【コマ22も】
 霊宝ものを?いろ〳〵の見たて物にて工夫したる妙作也巻首に
 《割書:十五丁者|赤本尊》工夫 編出(アミダシ)如来略縁起の名文あり








 抑当年に案じ出(だ)し奉るやぼ天竺十五丁者の赤本尊三冊編 出(だ)し如来
 と申奉るはあたじけなくも手習ざうしのむだがき人形夜中ねむたいの帝
 筆まめてんがうの御宇赤本年中いなつまひやうしのころむかし〳〵あつ
 た土佐の国ぢゝいは山へくさかり郡ばゝあは川へせんたく村において坂田の
 金平化物たいぢの折から薄雪姫のぼだいのため見越入道鯛のみ僧
 都といふ二人の智識あまねく四方のあかを勧化し大木のきり口ふとい
 の根つこをとりほうかしの小刀をもつて彫刻し奉る所の尊像也然るに
 鉢かつぎ姫はちのうちの宝を寄附し桃太郎鬼が島の宝を寄
 進し奉りてより兎は木をはこひ狸は土をはこひて終にかち〳〵
 山に一宇を建立し奉る其後猿蟹合戦のきざみ兵火のために
 もつたいなくも伽藍を焼失ひしがふしきなる哉尊像御せなかに柴
 の火をせをひながら飛去たまひて龍宮の乙姫が身じまひ部やにか
 くれ玉ふこれによりて花咲ぢゝい此事を深く悲しみ舌切雀お宿は
 どこじやといひつゝ尊像のありかを尋あるきけれ共しれす赤本
 尊の御徳大に世にかくれたる所にあまた星霜を経て後金々
 先生栄花の夢の告により高慢斎あんぎや日記してはからす

 尊像をさづかりふたゝび草さうしの御利益世にあらはす誠に
 年々あらたなる所の本尊也。かやうなこじつけ尊像は又と
 買帳はかなひませんぞ近ふよつて御覧をとげられましやう
 一たび拝する子供衆はあくびさへねへをまぬかれ給ふ板木
 よみよいは是より出(て)ます板もとはつるや喜ゑもんのおてうづ〳〵
 大違 ̄ヒ宝船  三《割書: |つる喜》 《割書:全交作|重政画》
 たん海公公家をきらひ東に下りすみた川にて長うたをうたひ居給ひ藤田たんか
 うと名のるをはしめとし洲崎の弁天を信かうしてきんぎやうふはいの玉
 とてひいとろの中へ金魚入たるをさづかりしかせんだいかしにてわにゝとられる
 事俵藤太秀さと北面の士□□□【なるを】やめてたんかうか三味せん□【引】となり秀や里
 次郎【原文「十郎」】といふいろ男にて女にむせうにほれられ龍宮乙姫が里十郎にほれて通ふ
 事八百やお七三庄太夫がつへにて目をつき眼病となりあいごの若の事
 白の猿をたのみ龍宮へ行てあかえいのきもを取てくれよとたのむ事
 俵藤太文箱とまちがへ玉手箱をあけて忽年より□なる事たんかう大橋


  のびくにゝなじみて龍宮へ行てかのわにゝとられし玉をとりかへす事をたの
 むうたひにはうたひにくき故此時よりびくにをあまともいふかとしやれたり
 それよりいろ〳〵の間違ひたはけの事をおかしくかきたり妙作なり
 終りにたん海公八大龍王浦島太郎俵藤太山庄太夫お七びくにの七人を
 七ふく神の見たてになす「たんかい公はもとの公家に立帰り改めたるは□【則】
 衣ふく八大龍王は多くの宝を持たれは内ふく浦島太郎は玉手箱を□【直】し
 たれは則しゆふく俵藤太はもとの若い者になりたれはほんふく山庄太夫【山庄、ママ】
 はもとの福者となつて一ふくお七もことしは袖をとめてげんふくびくには
 ふとつてゐれはおたふくとして七人を七ふく神と云々の文あり
従夫(ソレカラ)以来記 三《割書: |つたや》   《割書:竹杖 為軽(スガル)|うた麿画》
【欄外に】猶 無益委(ムダイ)記
 序に「恋川春町先生の楠 無題(ムダイ)記 続(ツヾ)いて喜三二先生の長生して見度(ミタイ)
 記の紙屑なりとも拾はばやと云々」すへて世の中の事をあちらこちらに書
 たる本也妙作也其はしめに草ぞうしをおとなの先生たち会読し
 経書を子どもかなぐさみにみるその詞がきに「たとへて申さば喜三
 二はそらいはる町四方はしゆんたい南郭。杜芳は東涯。通笑は朱
 子学で一たいがかたうごさる」
《割書:秋| 》賢愚湊銭湯新話 三《割書:享和二|つる喜》   京伝
 せん湯の事をおもしろくかきたる本也自序に「夫天地は浴室(ユヤ)で看(ミタ)
 よりも大にして量(ハカリ)得がたき事 浴盤(スヱフロオケ)を彭翁菜(ゴボウ)で探るが如く一切衆生 湊集(イリゴミ)の
 欲界恰も泉湯の光景(アリサマ)に一般(ニタリ)邪心悪念人心の垢 箇々(ゴイチニンマヘ)十 泉(モン)を以て
 いかでか濯おとすべき琉球の盪粉(アラヒコ)【蕩粉】朝鮮の水花(カルイシ)紅毛(オランダ)の天絲瓜(ヘチマ)皮(ノカハ)は用
 るにたらす唯神儒の糠 包(フクロ)仏老の垢 帕(スリ)能(ヨク)心裡の垢をおとす沂に浴し
 ぶう〳〵をいふ険悍(チウツパラ)も拗蛮(ガマン)の垢を去り身にもろくの惰的(ブシヤウモノ)も心に頃日(コノゴロ)
 の垢をたけなあらひ玉へきよめ玉へとまうす」又巻尾に人門(□ンモン)
 晶(シヤウ)と云字を出してじやくろ口は人門と云文字の形又小おけを三つかさねたるは
 晶の字の形也此字はあきらかともひかるともよむもんじ也よの人まい日湯□
 はいりてからだをあらふか如く心中を洗へは明らかな□よしをしるす
初老(シヾウカラ)了簡年代記 三《割書:享和二|つる喜》   馬琴

野夫鶯歌曲訛言(ヤブウグヒスウタノカタコト) 三《割書:享和二|つる喜》 馬琴
養得筎(カヒヱタリニハコ)名鳥図会 三《割書:同  |同》 同
提灯庫闇夜七扮(テウチングラヤミヨノナヽヤク) 三《割書:同  |同》 田楽
《割書:食類|合戦》和睦 ̄ノ香之物 三《割書:同  |同》 通笑
枯木 ̄ノ花大悲 ̄ノ利益 三《割書:同  |同》 京伝【枯木廼花大悲の利益】
 浅草観音の利生になそらへて人の教へになる事をいろ〳〵おもしろく書たり
 巻中に「日はくれて夜着はなくともさむがるな浅草てらの通夜の御利やく
長生(ナガイキ)見度(ミタイ)記 三    《割書:喜三二|春町画》
 正月の三つある年をはじめて世の中のめつらしき事をしるす彼岸に雨
 ふる事女奉公人のきう金男より高い事ほとゝぎすを籠に入て

 会をする事なとの類也此うちに五月ののぼりを座敷へかざる
 事ありて「かしわ餅でも黒ざけても上りませ」といふ言葉■【詞?】あり此頃は内のぼり
 といふ事はなかりしとみゆ七夕のたんさくを百枚十文づゝにて書て売
 り江戸芭蕉の句塚三十三ふへはい人おいつり【笈摺】をきて巡礼する事ありあ
 まりおもしろきものにあらず
《割書:形容化 ̄シテ景唇 ̄ヲ動 ̄カス|鼻の下 長(なが)物語》 三《割書:寛政四|つるや》 全交
 ほうしやうじ入道物をていねいに聞給ふ事がおすきそのおくかたは物のいひ
 にくき事かおすき也といふをしゆかうにしていろ〳〵の長口上をの□事
 をしるすおもしろき妙作也三馬が         はこれを祖■して潤色□□
 也
悦(ヨロコンブ)贔負 ̄ス蝦夷 押領(ヲシ) 三《割書:天明八|つたや》 《割書:寿老人春町|北尾政よし画》
 よしつねゑぞ渡りの事をおかしく書たりゑぞ人こぶを□いかさねきたる□
 みゝ?をやきぶなのせうゆをかけてやはらかにしいくさに□□たいろ〳〵おかしき





 おもしろし
嘘(ウソ)言 然(シツカリ)雁取帳 三 《割書:寛政四|つた十》 《割書:奈蒔(ナマケ)野馬鹿人|忍岡歌麿【印:甲】》
 自序のうちに「画作ともに初舞台よき御評判云々といふ文ありきくがたやと□
 質やのばん頭金十郎といふ者吉原の竹やの歌菊といふ女郎にはまり終に追出さ□□や
 丁の喜八が世わにて竹丁辺にたがやを始めしに一つ長やの左次兵衛が噺につくしのはては
 寒い国で雁鴨が氷りついて居るを取れば金もふけになる事を聞て欲心気ざ
 しつくしの雪国へゆき雁を多く取り腰へ付けて帰る道にて朝日が出て氷りがと
 けて腰につけしあまたの雁一度に羽ばたきして空へ飛あかるに金十郎もともに
 上天して大人国へ落されいろ〳〵な目にあひ終にめてたく我やへ帰りし事をしる
 す
鼻 ̄ガ峯高慢男 三《割書: |つたや》 《割書:喜三二|春町画》
 かまくら前に上野や万右衛門といふぶげんじやの一子万吉きれいな生れつき
 なれ共鼻ひくし両親これをうれいて大山せきそん大天狗などにいのり又

 工夫をめぐらし高慢になれは鼻が高くならんと万吉を高まんにせんと
 いろ〳〵のげい又は女郎にたわけをつくし終に天狗にさらはれいろ〳〵戒しめられ
 天狗親子の者を教訓して本心にかへりめてたき事をしるす
遊妓(ジヨウロノ)寔(マコトヽ)卵 ̄ノ角(カク)文字 三《割書: |つるや》 全交
 これ わ(ハ)大学を大客とこぢつけて序より本文を残らす買色の事
 にこぢつけてそのかう釈をおかしく書しもの也そのうちいとおかしきは
 詩云 瞻(ミレハ)狸寝間、翌日 草臥(ガツカリト)有寝 ̄タル君子、如 着(キルガ)如 脱(ヌグガ)如 打(ブツ)如 起(オコスガ)、食(クツ)兮(タリ)呑(ノン)
 兮(タリ)吐兮(ハイタリ)瀉(タレ)兮有寝 ̄タル君子、終不可忘如着如脱者質 ̄ヲ言也、如打
 如起 者(ハ)生酔也、食兮呑兮者酒肴也、吐兮瀉兮者反吐 ̄ヲ云也、□ □(エタル)
 君子、終不可忘者、生得 穢(キタナキ)不能忘言也、のるい也
十四傾城腹之内 三《割書:寛政五| 》 全交
 自序に「腹に心肝の父母あり総領の腎六水をへらす則(トキン)ば肺は頤(アゴ)で
 追れ脾(ヒ)は虚空に高ぶる十四傾城云々手の三年□年一はい足の算


 用三里の灸の手管(テクダ)にはめたる大妙傾足の小陰大淫婦手の能(ヨウ)ない釘の折(ヲレ)
 足 能(ヨウ)ない大生酔手の小便病目にぬり足の大用雪隠壺云々」の妙文おかし
 すべて人の五臓を買色の事にみたてたり此時代の物にしてはいとたくみなる
 妙作也作者を見ずしてよめば京伝が作かと思はる
ク 大江山酒呑童子物語 三《割書:年号不知|奥村板》
 此さうしの初丁のはじめに
    大江山酒呑童子物語三冊 《割書:芳月堂|  奥村文角画》
 右の如くありめつらしき書かた也
キ 源氏開運友切丸 五《割書: |つるや板》
 此さうしのはしめ半丁序文也
キ 旧(コキヤウ)土産(ミヤゲ)吾妻錦絵 《割書:前後| 》六《割書:癸亥春トアリ|西宮板》 《割書:楓亭猶錦作|豊広画》

《割書:小口| 》ほりぬき 二冊 一九画作【金生水抜幹】
春霞男 ̄ノ達引(タテヒキ) 三冊 同




稗史叢   三百五十五


 かたきうちなり敵の名はくらみつ幸?次郎打手は坂上半次郎といふ男
 だて大ぜいあり【前コマ『春霞男達引』の続きではなさそう】
ク 《割書:菊池|赤星》武道 松時雨(マツニシグレ)   三《割書:年号ナシ|松村弥兵へ》 《割書:作名なし|富川吟雪》
 菊池才三郎赤星九郎兵へそねの小六の事を作るかたきうち也
キ 安倍 ̄ノ清兵衛一代八卦 三《割書:丁巳|つるや》 《割書:馬琴作|画名ナシ》
  無雑作(ゾウサナシ)行形(イキナリ)曽我   三《割書: |泉市》 《割書:楚満人作|豊国画》
  《割書:夜(ヨ) ̄ノ守 ̄リ|昼(ヒ) ̄ノ護(マモ) ̄リ》幸給(サキハヒタマヘ)剛臆神 三《割書: |〃》 《割書:〃|〃》
 これは芝全交が尻〓(シリタグリ)御用神の徳を著したるさうしに本つきて書たるもの
 にておもしろき趣向なり【〓は[扌 + 系]で㨙の異体字と思われます】
  名香霞に鵆(チドリ)     三《割書: |西宮》 《割書:作名|画名》ナシ


キ 鎌倉 ̄ノ栄(サカヘ) 五《割書:巻末に|  西村屋板とあり》 《割書:作名ナシ|画名ナシ》北斎の画風也
 これは由井正雪の事を書たるもの也 椎園按るに鎌倉の栄と題号
 せしもの二本ありいつれも正雪の事を書きし双紙也
  花御江戸頼朝卿御入   京伝作【花東頼朝公御入】
キ 《割書:栄花夢|後日 話(ハナシ)》金々先生造化夢 三《割書:寛政六寅|蔦や板》 《割書:京伝作|画名なし》【コマ28, 120】
 金々先生栄花の夢をみてよりうき世をさとり過て渡世もせすくらす内
 に茶つけをくはんとにはなをしかけるうちねふりを催すに夢の中に仙人
 の所に至り仙人かにはなにて茶つけをくはせんとてまつその膳わん釜を
 それ〳〵の職人にこしらへさせるより茶をつませ米をた?きつけるなとさま
 〳〵気の長きことをして茶つけをくはせる事をしるせりこれ
 世の中はかせがにやならぬ道理をさとらせし妙作也
キ 江戸 ̄ノ春一夜千両 三《割書:年号ナシ|つたや板》 《割書:京伝作自画ナリ|まさのふ画とあり》【コマ32, 133も】

 もち丸や長者右衛門といふ長者家内の物にそれ〳〵金をわけあたへ
 金をいかしてつかふへしといふに人々いろ〳〵につかふ事をしるせり
キ 江戸 生(ムマレ)艶(ウハ)気 ̄ノ椛(カバ)焼 三《割書:年号ナシ|つたや板》 《割書:京伝画作也|北尾政演画とあり》【コマ32も】
 あだきやのゑん二郎といふものふけんしやの一人りむすこなるかうはきなる
 事をこのみさま〳〵のたはけをつくし金をついやせし事を作るその中に
 ゑん二郎仲の丁のうきなといふ女郎とうそ心中をせんとする所をとろぼう
 出てきものをはぐれ二人りまつはたかにて道行の所に
 《割書:仇気やゑん二郎|浮名やうきな》道行 興(キヤウガ)鮫肌《割書:〽あしたにいろをして夕へに死すとも可也|とは扨もうは気なことのはぞそれは論》
 語のかたいもじ是は豊後のやはらかな肌とはだかの二人りして結ひしひ□□【もを】
 一人りしてとくにとかれぬ疑ひはふしんの土手の高みからとんと落なば
 名やたてんどこの女郎衆かしらみひも結ふの神もあちらむかさんしよ
 じやうゆのやきずるめぴんとひぞるも今ははやむかしとなりし仲の丁そと
 八文じもこふなれはうち七もんじたどりゆく涙にまじる水はなにぬらさん
 袖はもたぬゆへ下たのおひ□□【をぞ】しほりける身にしみわた□【る】こち風にとりはだ



 たちし此ひめ【原文は「此すはだ」】とのこの顔は薄すみにかく玉つさとみるかりに便り聞んとかく文のかな
 でかなてこすそもよふゆかりの色も七つやの名に流れたるすみた川たがいのむりを
 いを崎のかねは四つ目や長命寺きみにはむねをあくる日のまた四つ過のひぢり
 めんふんとし長き春の日の日高の寺にあらすしてはだかのてやい急き行《割書:引三重| 》
 トいふおかしき文ありまた右のたはけのうちにゑん二郎うわきのせうはいをして
 みたく地紙うりはいろ男のするせうはいなれはとまだ夏もこぬに地紙□□□【うりと】
 出かける事をしるせりこれ地扇うりのあるきし時代のくさそうしなれは也
 地紙うりの図今はめつらしけれは前に抄書し置きけり
キ 三筋 緯(タテ)客 ̄ノ気 植(ウヘ)田 三《割書:年号ナシ|つたや》 《割書:京伝作自画ナリ|政演画》【コマ32】
 女郎かい通人の事をかきたりこのうちに子供?の女郎かい老人と年寄の女郎の事
 なり
キ 《割書:本 性(ジヤウ)|酪暑》有難 ̄イ通 ̄ノ一字 二《割書:年号ナシ|松板》 《割書:安永《見せ消ち:九|十》年?ノ新板也|上ノ末画中石 ノ由?|トウロウノ柱に安永十庚子歳トアリ》 是和斉作【コマ30】
キ 怪談 模々夢(モヽン)字彙 三《割書:享和三|つた重板》   《割書:京伝|画名ナシ》【コマ29】【コマ110】

キ 忠臣蔵即席料理 三《割書:甲寅初春とはかり|つるや》 《割書:京伝|画名ナシ》【コマ32】
キ 通略三極志   三《割書:    天明の由 年号なし|いせ治》 《割書:四国子作|清長画》【コマ29-30】
キ 《割書:手前|勝手》御存 ̄シ商売物 三《割書:天明の初の由 年号|つるや》 《割書: |紅翠斎門人政演画作とあり》【コマ30】
キ 諺下司 ̄ノ話説(ハナシ)  三《割書:寛政八|   つたや》 《割書:屁づくしの自序|アリ面白し》 《割書:京伝|画名ナシ》【コマ29】
キ 《割書:はなしの|湊入》宝舟   二《割書:安永八の由年号ナシ|村板》  《割書:作名ナシ|画名ナシ》
キ 《割書:源九郎狐|葛の葉狐》弁慶御前 ̄ニ二人(フタリ) 二《割書:年号ナシ 寛政七の由|泉市板》  《割書:慈悲成作| 》【コマ28】
キ 奇妙頂礼 脂(コダネ) ̄ノ錫杖 三《割書:   寛政七|つたや》  《割書:一九画作| 》【コマ26】
キ 《割書:天竺徳兵衛|石川五右衛門》花珍(ハナメツラシキ)奴茶屋 三《割書:  年号シレス|いせ治板》   《割書:下巻の末きれて|作者しれず》




キ 霞之 偶(クマ)春 ̄ノ朝 日(ヒ)名(ナ) 二《割書:年号ナシ寛政四年也|  つるや板》 《割書:◦島々をめくり島人を| つれ来る妙作也》 《割書:京伝作|画名ナシ》
キ 鎌倉山紅葉浮名 三《割書:年号ナシ安永九ナリ|いせ治 ◦鎌くらの時代物也》 《割書:文渓堂作|清長》
キ 唯心 豊(ユタカ)物語 三《割書:天明の由|  板本しれす》     《割書:芝全交|《見せ消ち:画名ナシ|》政演画》【コマ29】
キ 化物小遣帳 二《割書:寛政八|つたや》  《割書:一九画作| 》【コマ31】
キ 御誂向鼠嫁入 二《割書:寛政八也《割書:辰のはつ春と|ばかりあり》|村田板》  《割書:一九画作| 》【コマ31】
キ 四遍 搨(ズリ)心学草紙 三《割書:丙辰春とあり 寛政八也|つたや》 《割書:馬琴作| 》【コマ31-32】
 京伝の善玉悪玉くさそうし三べん書たりその四遍を耕書堂のもとめ
 に応して作りし也
キ 昔語狐娶入 三《割書:寛政八也| 》

キ 怪談清書帳 二《割書:同| 》
キ 龍宮(タツノミヤコ)劬(ク)界 ̄ノ玉手箱 三《割書:同| 》
キ 身代(シンダイ)開帳略縁起 三《割書:同| 》【身体開帳略縁起】
キ 《割書:化|物》年中行状記 二《割書:同| 》
キ 花 闘戦(イクサ)梅 ̄ノ魁(サキカケ) 二《割書:同| 》
キ 兵夫(ツハモノ)酒 醼(エンノ)栄 ̄ヘ 二《割書:同| 》
  星兜八声 ̄ノ凱(カチドキ) 二《割書:同| 》
  《割書:落し|咄》胡盧々々 笑(ヱミ) 一《割書:同| 》



 

  《割書:落|咄》春の山 一《割書:同| 》
  《割書:落|咄》嗚呼 可笑(ヲカシ) 一《割書:同| 》
  《割書:落|咄》糠分類 一《割書:同| 》
キ 大通其面影 二《割書:安永九也|いせ治》
キ 遊人三幅対 二《割書:同|〃》【コマ111】
キ 頓咋(トンダ)時雨月 三《割書:同|〃》【頓作時雨月】
キ 笑語(オカシハナシ)於 臍(ヘソノ)茶 三《割書:同|〃》【笑話於臍茶】
キ 《割書:円通 ̄ノ誓|大通 ̄ノ光》運 ̄ハ開 ̄ク扇子(アフギノ)花 三《割書:年号ナシ天明ノ初ノ由|版元シレス》 《割書:喜三二作|政演画》

キ 娘敵討古郷錦 三《割書:年号シレス|つるや板》 《割書:下巻の末に【図】画工北尾政演|の印あり》
キ 前九年奥州軍記 五《割書:天明卯|西村》 《割書:岸田杜芳作|春山画》
キ 近江八景 三《割書:年号シレス|西村》
ク ゑんぐみ 二《割書:年号しれす|ウロコ形板》 《割書:作名ナシ| 》【三廻縁組帯】
 こん礼の事ともをまじめに書たる物なり女子のみてこゝろえになるものなり其中
 に「俗説に三月を花月と云てこん礼をいむ也花のあだなるを以ての故か又は花
 はちり根にかへると云事をいむかいといぶかし三月はこん礼には上々吉周礼も
 仲春令会男女婚然れは則桃の花あり正婚礼の時也とあり此故にや近き頃
 日本にてもやことなき御方の三月に嫁し給ふ事其例多し」「江家次第
 巻の二十に云むことりの次第をのする古法は其夜むこのはいてきたる物を
 よめの父母のかた〳〵づゝ其夜だいてねる是はむこの足のとまるやうにとて
 の事也云々むこの方よりとほし来るちやうちんの火とよめの方よりむか


【前コマと同じ】


 いに出しちやうちんの火を合せてねところのとうろうに三日三夜きへざると
 うの故実 書(みへ)?たり「世俗に縁につかぬ女子を御料人と云嫁したる
 新婦をごしんぞうと云いといぶかしひつ竟娘の字の音をかつて御娘人という
 へきを御料人と云なるへし「又いなかにて軽きよめ入はかいどりはし
 をりしてすげがさかむりてくる云々すげかさはむかし今ともに女の顔をよくみせ
 人めをよくるの道具とみえたり「夜め遠め笠の内といふて女の用る物とみえ
 ていなかのよめ入に遣ふとみへたり
ク 前髪名古屋 三《割書:年号シレス|甚板》 《割書:丈阿作|画名ナシ》
  しん仙
 通人の世界を作る卜庵、柳幸、居候なといふ通人あり
  和漢 二【山に三つ巴の紋、西村】 《割書:恋川行町作|政よし画》【今渡唐織曽我】【柱に「わかん」とある】

 恋川春町の跋ありくさ草紙に跋あるは少し   跋に云
 曽我の世界の変化する事変化いたちかきつねか狸たぬきの
 きん玉は八丈八たん八反は二葉より香はしくらんめんはそはの中にて
 そのうまきことあくぬきの生そばにまされり【原文も「り」】通は粹より出て粹より
 も通ふり幸町は春町より出て春町よりもとんだことそのとんだ琴柱に
 添せ?さる富貴自在なるしん作に師匠も味噌をあけ羽のてふし千鳥に
 あらぬちろりの酒ほろ酔きけんのたはふれにちよと寿の盃を出す
                  恋川はる町【印】
わ可(か)くさ【稚種軍談?/若草四郎の合戦、柱に「わかくさ」とある】
 天草の一揆の事を書たるもの也天草をわか草としたる也
人心鏡 ̄ノ写 ̄シ絵 三《割書: |つたや》    京伝【コマ32, 120】
がくもん 《割書:享和三| 》   慈悲成【文盲先生珍学問?/柱に「がくもん」とある】



風神          《割書:□□|》【十返舎一九の「風乃神」か】
末広 二《割書: |【印、いせ幸】板》 《割書:無中泉作|勝春道画》【華都末廣扇/無中点・作】
《見せ消ち:糸国|霞の》隈(クマ)春 ̄ノ朝日名 二《割書: |つるや板》  《割書:京伝| 》【霞之隅春朝日奈】【コマ99】
 朝ひな島めくりのおどけ也
縁?組?  《割書: |【印、鱗形屋】板》【コマ100に「ゑんぐみ」があるが、あちらは蔦屋板】
正月 三  《割書:京伝| 》【正月故事譚】
深山草化物新話 《割書:享和三|   村田板》 《割書:夢中庵作三作| 》
壬生踊戯作面目 《割書: |【印】板 《割書:浅クサ|カヤ丁》》 《割書:慈悲成作| 豊国画》

見通し 三  《割書:京伝| 》【裡家算見通坐敷、柱に見通とある】
《見せ消ち:表題しれす|》 天明三 《割書:|勝春林画》 《割書:宿屋飯盛作|四方赤良跋》【桜草野辺錦】
【欄外に】
《割書:江戸|錦》楊柳
と表題紙に
ありて次は
きれて分ら

按るに楊柳(ヤナキ)
桜草か【ここまで】
 とみ本や午(ウマ)之助といふ美少年後々にとみ本豊前太夫?□□世に名高き事
 をしるすおとけもの也 《見せ消ち:宿屋飯盛の自|》序に
 夫馬てふ名のめて度事をかぞうれは聖(ヒジリ)の御代に龍馬(リウメ)の瑞社に神馬
 仏に馬(バ)頭かしこき人の其中に厩戸 ̄ノ皇子曽我の馬子まだも武家には
 右馬頭稲荷は午の日赤のまんまおいしひといひうまひとほむ子供
 がむまれて家門がふへれは中洲はうまつていよ〳〵はやるおつゞら馬
 の仕合よく春駒は夢にみてさへよしお馬やの渡観音に近く上三(カミサン)の馬
 は釈迦と役也馬の合たるひいき連中とんだ事だ又はねたと
 走る馬に鞭の評判近くはよつてみよやみよ柳橋のみどり色こく
 花のお江戸のまん中に彼方朔が金馬門うまし男の噂を爰にめし
 盛りがむだ書へちよびと 那万須の盛方しるす
     あのあきらかなるみつのとしみな月

■跋
 千里の馬はあれども伯楽はなしとは赤本時代の譬(タトヘ)にして今や
 錦の馬あればまた伯楽の街(マチ)にすむ旅の宿屋のめし盛が杓子を
 とれる片手業にかきまはしたる汁のみのしる人ぞしる書となれ
 り何 某(ガシ)が句に七重八重野辺の錦や桜草(さくらさう)そのことの葉の青本
 に花をさかせし七重八重つゝむ錦□□□【の袋入】の底の心をくみ給へと
 鯛の味噌ずで四方赤良のみ懸山の麓に記す【扇の印、丸に三つ巴】
小口がきに
 ほへと短歌 三  《割書:北尾□□画|通笑門人道笑□》【ほへとたんか】
 夫婦けんくわの事をしゆかうにして作りしもの也《割書:と□□□ふう婦けんくはをみて弥平|と□□□わか女房をほめるいろは|たんか□□■■より又とろう?のかみさまか》
                               《割書:おこる|いろい?|□よし|■也》
い《割書:いかな日も人より先へ|あさおきし》 ろ《割書:ろくにしたにも|すわらずに》 は《割書:はき□□□|してきれ□□□》 に《割書:にこ〳〵と|してきげん|よく》
ほ《割書:ほうこう人と|おなじよふ》 へ《割書:へつついもとの|とりしまい》 と《割書:とんしやくなし|と人にみせ》 ち《割書:ちりめんとんす|しゆすしちん》
り《割書:りんずはぶたへ|きぬつむぎ》 ぬ《割書:ぬいはり事は|てきゝにて》 る《割書:るすのうちにも|やふむ□を》 を《割書:をもひ□□ては|らち□□□》

わ《割書:わ□れた事は|ついそねへ》 か《割書:かみをゆふにも|てまとらす》 よ《割書:よこ□□□□□|さしもせ□》 □《割書:□□□□□□|□□□□□》【た たばこのけむも/はなはなし】
れ《割書:れいきはかゝず|ぎりじんぎ》 そ《割書:それそふおふ|にはからいて》 つ《割書:ついにはらたつ|事もなし》 ね《割書:□□□□あねへの|□□なれと》
な《割書:なにゝかけても|ぬけめなく》 ら《割書:らくをしやうとも|おもわすに》 む《割書:むしやうにくれ〳〵|内のせわ》 □《割書:うちやつて|おかつせへと》
ゐ《割書:いつもへんじ|はかりして》 の《割書:のこるかたなく|きわつけと》 お《割書:おとこまさりの|そろばんの》 く《割書:くゝなぞいつた|事はなし》
や《割書:やさしい事は|もちまいて》 ま《割書:まんかちらしき|事もなし》 け《割書:けがにも人□|そらさ□□》 ふ《割書:ぶちそふしたる|こともなく》
こ《割書:こうまんらしき|なりもせす》 え《割書:ゑんり【よ脱】かちなる|むまれつき》 て《割書:てまへかつては|つゝしみて》 あ《割書:あいそうがよく|あいさつも》
さ《割書:さんどがさんど|おなし事》 き《割書:きやくにあきたる|かほもせず》 ゆ《割書:ゆるりとちそう|□□てかへし》 め《割書:めしたなものも|こゝろつけ》
み《割書:みちんもおごる|きをださす》 し《割書:しうちにひとtも|いゝぶんなし》 ゑ《割書:ゑてはおんなの|さしいてゝ》 ひ《割書:人のはなしに|くちをたし》
も《割書:ものしりふりを|するものは》 せ《割書:せけんにいくらも|あるものを》 京《割書:きやうといものしや|女房とも》
歌に 秋風の来ぬこそよけれ女房をほめる□□とま□とんぼう 通笑




イ《割書:いろ〳〵におい|ためなさる|  こあいさつ》 ロ《割書:□□にせけんも|しらぬみの》 □《割書:□らをはどう□|たつまいと》 ニ《割書:□□□□のき□|くらせとも》
ホ《割書:ほんにおなこと|いふものは》 ヘ《割書:へいぜいうちの|うちばかり》 ト《割書:どこへゆさんと|おもふても》 チ《割書:ちよつとの|事がおつくうで》
リ《割書:りやうけん|   しては|  そとへでず》 ヌ《割書:ぬしはねんぢう| ゆさんして》 ル《割書:るすいといふなに|  □きらめて》 ヲ《割書:おふきなそんの|よふなれと》
ワ《割書:わたしひとりと| いふ可もなし》 カ《割書:かまわずあるく| 人もあり》 ヨ《割書:□□やそれにも| □のまわり》 タ《割書:たれもおぼへて|よくいれは》
レ《割書:れいに《見せ消ち:くま|て》まどり| いちどきて》 ソ《割書:それもたんすの| したになり》 ツ《割書:つねきるやうに|きぬつ□□》 ネ《割書:ねんぢうそれを| たのしみに》
ナ《割書:なにをかふとの| 事もなく》 ラ《割書:らちもたわいも| ないわたし》 ム《割書:むせう□□□□| ほめられ□□》 ウ《割書:うそかもしらぬ| はづかしく》
ヰ《割書:いまはおんなも| つうとなり》 ノ《割書:のこらす| いきしやと|  いふ事を》 オ《割書:おぼへたはこの| はるの》 ク《割書:くさそうして| はつにしり》
ヤ《割書:やまたしの| おさんさへ》 マ《割書:まだふた月か| みつきにて》 ケ《割書:けしからねへ| おかみさん》 □《割書:□とのなりふり| □□かたち》
コ《割書:こいつがゑゝと| なはれはゑゝ》 エ《割書:江戸しゆはとんだ| らくなもの》 テ《割書:てめへの事□□| やくにし□》 □《割書:□□□ら|  □□まて|  □□□□□》
サ《割書:さしつをされるも| ついそねへ》 キ《割書:きとりとやら| 何とやら》 ユ《割書:ゆめにも□□ぬ| 事なれは》 □《割書:□□□□□□□| □□□□ろ》
【ミ、シ 脱】
ヱ《割書:ゑんなれはこそ|  何事も》 ヒ《割書:ひとにさたせす| かんにんし》モ《割書:ものになれたる| おとこきと》 □《割書:□□□んあさいふ |かみ□けて》
ス《割書:すきなたばこを| たちものに》 京《割書:きやうまて|かくして| おりました》
歌に 御亭主にほめらるゝのでのりがつき
     けつくへたつく□□に見へたり  通笑

伊《割書:いまときもやぼは| あるとはおもへとも》 露《割書:ろんよりしやうこな| ばかつつら》 波《割書:□□□を人に| □□へられ》 仁《割書:にしもひかしも| しらぬやつ》
補《割書:ほめる事にも| 事をかき》 部《割書:へちまなうぬが| 女ほうを》 戸《割書:とほうねへと| ほめそやし》 知《割書:ちへありそふな| かほをして》
利《割書:りこふな人の| わらひぐさ》 【奴 脱】 留《割書:るいもおんなに| かゝつては》 尾《割書:おふかたもふせん|   かふるもの》 和《割書:わけもこなたの|  やうな人》
嘉《割書:かゝあのしりに| ひつしかれ》 与《割書:よその事をは| きてくつて》 多《割書:たかいににせも| さんせのと》 礼《割書:れんり| ひよくの|やくそくも》
曽《割書:それこそぜにか| なくなれば》 津《割書:ついいざこざか| はじまつ□》 根《割書:ねからたわいも|ない事に》 名《割書:なかふどと□こそ| おふ□い□□》
羅《割書:らちのあかねへ|せんさくに》 無《割書:むしやふやたら□| □□ひ□□□》 宇《割書:うるさ□□の□| 見る□□た》 □《割書:い□□□□□□して| □□ならは》 



野《割書:のろまなからも| せめてもの》 於《割書:女のみち□□|いわりやうか》 久《割書:くそでもくらへ| おきやあかれ》 弥《割書:□□□んたいの| □□ゆふか》
間《割書:まるくいかぬは| しれた事》 毛《割書:けんじんぶつて| いらりやうか》 布《割書:ふじゆふからの| やかましく》 古《割書:こゝとのすきな| ものはなし》
衛《割書:ゑゝ時ばかり| ていぢよたて》 手《割書:てまへひとりか| よいやふに》 阿《割書:あくまてふかき| よくしんも》  佐《割書:さふとは見へぬ| なりかたち》
喜《割書:きりやうのよいは| とくなもの》 由《割書:ゆめもしらぬ| きのとくさ》 目《割書:めつたむしやふに| きせかふせ》 身《割書:見るまにしんたい| わるくなり》
志《割書:しちかまけると| いふたんに》 恵《割書:ゑてはすこしの| りくつにて》 飛《割書:ひま□□れろ| のな□□かの》 茂《割書:もきとふなめに| おふまては》
瀬《割書:せけんに人は| ないよふに》 須《割書:すへの事より| まのあたり》 京《割書:きやうき□□らぶ|  はか□|   しいぞへ》 
歌に 犬もくはぬ夫婦けんくわと聞からに
     すんでめてたく祝わ□□わん 通笑
《割書:小口ガキ| 》しんぶき 三 つたや板  一九□【新鋳小判】
《割書:同| 》へいき    三 文化二    内新□【景清漂泊日記/内(田)新好】
  □按ズレハ「景清 漂泊(マゴツキ)日記」ト云外題カ 《割書:小口ガキに へい□□トアル|へい□……》

 □……しゆかう也
風流日高川 二 山本板 鳥居清重画
《割書:陸|奧》おやもさ物語 三 鳥居清経画
花 重(カサネ)窟(イハヤ)内裏  二 延享四卯 奥村板  《割書:□作リ琴鶴トアリ|五丁目ノ□モテニ| 芳月堂門人|   奥村文志政房画トアリ》
三輪 ̄ノ山猿 ̄ノ手柄 二《割書:寛延二巳 山本重春筆トアリ|名が上巻四丁のオモテにもあり》
義経堀河夜打 二 延享三寅  画名ナシ
 小口ガキには「御所さくら」とあり
乗(ノリ)初奥州黒 二 寛延元辰   同
《割書:さゝら|三八》疱瘡除 二 奥村板 鶴月堂 奥村文全利信画
《割書:太?|平?》出世名護屋 二 安永六□    清長画



ほへと短歌 三   《割書:   北尾政美画|通笑門人道笑作》【コマ14-106】
七色 合点(ガテン)豆  《割書:享和四|  三 蔦重板》   《割書:京伝| 》
 八文字や豆助と云もの浅草観音にいのりてたましいをいれかへる事を覚へていろ〳〵
 のおかしき事あるを作る八文字や自笑か作□たるゑい花男豆右衛門の事を趣向と
 せし妙作也豆尽しの自序おもしろし
 口豆に物いへども觜(クチバシ)の青豆をしらず手豆に物かけども筆豆の拙き
 を暁さず豆人形の虚名を貪りてお手に豆が□□かぞへ豆板の小利に
 走りて足に豆を踏出すはなべて浮世の豆右衛門に□豆蟹甲に似せて
 穴を掘ることを思はずうぬぼれの味噌豆を煮るに□殻を焼(タク)がごとき
 事ありうば玉の黒豆お先まつくらにして久方のそ□豆に鉄炮をは
 なすとも浮べる雲の福豆 豈(アニ)福茶の柄杓にあたらんや隠元豆の禅
 味をあまんじて座禅豆の悟りをひらき鬼打豆□□の邪気払ひ
 て一生の無事豆を願ふにしかじ且世の流行□□蔵の品□□□□□も
 早く豆と陶(トツクリ)鎌で斬るよりも速し塗箸□豆□□きむとも是□□

 と ゞ(ど)むる事あたはす流行おくれの此草紙に若用ひらるゝ事
 あらはそれぞ煎り豆に花なるべし
造化 《割書:寛政六|三 つたや板》   《割書:京伝| 》【コマ28, 97, 120】
キ 唯心鬼打豆 《割書:寛政四子|三 つるや板》   《割書:京伝| 》【コマ27】
 自叙あり 《割書:上略| 》斯にもあらふか永き日は長□□断に暮の鐘。散り
 行く華をおどろきもせで。ナント子供衆がてんか〳〵
 りちきや徳太郎といふ大百姓の孝行むすこなんてもうきかんなんして人の心を知らねは世は
 渡られぬとて両親にいとまをこひて旅たち浅草観音に参り鳥けものうを虫の玉しいに入り
 かはり其心をしれは物を憐れむ情もしり身の徳□□る也と此事を願がけするに観音けしの介
 豆と徳利をさつけ給ふ九ほんのせうと【浄土】にたとへて豆の□す九つ也これをのめはたましい入りかはる
 なりと告けありそれより徳太郎はうなき。ちん。あふむ。猫。犬。狐。からす。はと。と
 たましい入りかはりてさま〳〵のうき事も身のおしへになる事もあり末にこか父とたましい入かはる
 事ありてさすかにおもしろくおかしき事ありはととたましい入りかはりし時
 鳩に三枝の礼ありて兄弟のはと伯夷叔せい□しゆかう妙也


キ 正月古事談 《割書:寛政九巳|三   板》  《割書:京伝| 》【正月故事談】
 春雨ふる日京伝の序に兎角先生亀毛真人両人とひ来て物かたる世の中の人情さま〳〵
 おしへになる事共をおかしくかきたりその中にある人ゑひの絵をかいて其上にしるし
 て曰 ひげ長く腰まがるまでいきたくは酒をのますにひとりねをせよ」又
 もろこし秦の代に古き器ものを好み千金にかゆる人あり魯の哀公といふ君孔子に
 教へを聞んと新らたに敷給ふむしろあり田地を売て是をもとむ又むかし周の
 大王北狄の難をさけ邠(ヒン)の国を去る時つき給ふ竹のつえあり家財を売て是
 をもとむ又舜王はしめてうるしを製し給ふ時のうるし□□□の椀あり家屋敷を
 売て是をもとむ三色のめつらしき器ものはもとめたれ□家屋敷家さいなけれ
 はせんかたなし身には哀公のむしろをきて手には周の代の竹杖をつき舜の作る
 かけ椀をかゝえて乞食となりまだしも古き物を好み□古銭があらは
 くだされとこひけらし事文類聚別集にみへたり
 新千載集の哥に人の子の親になりてそ我親の思ひは□□□□ひ知らるゝ
 ある人大黒をまつり福をさつけ給へといのるゆめに□□□をさづけ
 給ふたる事を知れの教へ也なとおもしろし
キ 桃太郎大江山入 《割書: |三 西村板》  《割書:慈悲成| 》
 巻首に いつの頃だか此たねを蒔そつ【め】てとし〴〵さくを□□桃太郎 慈悲成」
 トアリ
 此うたおもしろし   桃太郎いせさん宮に出るをはじめとしす□■にて色々の
 犬をひといめにあはせる事品川よりついてきたむく犬が《割書:ばんぞい長兵衛のみえ| 》ともをする事それより勇力を
み?を?て?いのしゝ猿をともにする事たひ宿にてとうそく【盗賊】□ひといめにあはす牛
わかのみえそくのかしらが熊にてこれをみかたにつける事□いせさんくうして御つげ
をかふむり大江山の飛(ヒ)つてんどうしといふかりうとをたい□□てとりけものゝなんきを
すくふ事をかきたり
おもしろきしゆかう也
キ 花 ̄より団子 食家(クイケ)物語 《割書:寛政五丑|三   大和田板》 《割書:巻尾に 曲亭馬琴述|      京伝校 トアリ》【花団子食家物語】【コマ136】
 易牙が美味には斎公の腹を肥し作者の意味には書肆の口を養ふされは花の樹
 梢(ズヘ)の色気あらんより月の団子の喰気にはしらすと一日(ヒトヒ)硯蓋を闓(ヒラキ)て頓(トミ)に不塩
 梅なる筆(フデ)すさみをなす幼童もしくは鱠の権(ケン)を賢としてその本膳の善に勧
 まは将(ハタ)勧膳の箸ともならめと手まへ味噌ずの鹹(シホカラキ)をもて独すましの吸口



 を敲(タヽ)くものは誰(タ)そ曲亭主人自ら叙」於曼鬼武亭閲 山東京伝【印】トアリ
 ◦椎園云此頃は馬琴まだ芽出しの時にて京伝の名でなければ
 うれぬ故なるへし」 しやうじん物の総大せう初春のとそ酒の御むすめきぬかつき姫
 なまぐさ汁の大せうはまきりの干鯛へこんいんあるをはじめとして初さけの弟口塩
 のたら酒にえいてとそ酒の奥方ひし餅こぜんひなたなのたいりへさんたいのとちう【雛棚の内裏へ参内の途中】
 それともしらすらうぜきしててうちやく【打擲】にあふをいこん【遺恨】に思ひ兄のはつさけに
 どくきを吹こみそれより両家に不和になりかつせんにな?よ?ふしゆかうなりかしは餅
 はまくり恋中の男女ひめ君きぬかつき姫の御身あやうきを思ひねの夢に姫の御とも
 する道行かけ合のねことの文句あり 《割書:上略| 》「いもで□ろめた【まろめた】恋の山こへつゝくれは
 いつしかにふるさと芋もとうの芋云々などおかしき文也
《割書:薩摩下芋兵衛|砂糖団子兵衛》五人 斬(キリ)西瓜 ̄ノ割(タチ)売 《割書:享和四子| 三    板》   《割書:京伝作|長喜画》
 自序にいはく《割書:《見せ消ち:上略|》|》孟軻か語(コトバ)に色食は性也といへども色気より食(クヒ)気花より団子の世の
 中《割書:中略|》南蛮黍(トウモロコシ)はぱつぱの鮫をあざむき心太(トコロテン)は水晶の折木(ヒヤウシギ)かといぶかる編
 笠焼に伊左衛門か昔を忍べば金鍔焼に六方の男達を思□女郎の誠も鶏卵(タマゴ)
 焼の四角にしかす晦日の月より黒砂糖の闇を売来る□□□餅風鈴 蕎(ソ)

 麦(バ)に初秋のおとつれをきけば蒟蒻(コンニヤク)のおでん□寒夜のあつ□かいをおぼふ云々」此序
 名文なりとうもろこしを鮫にたとへしは風来山人の志道軒伝にもあれ共心太を
 水晶のひやうし木云々新奇也 やたいみせやの大ふくもち公の□□にさつま下芋(ゲイモ)
 べいさとうだんごべいの両人けいもへいはいろ男たんごべいはかたきやくにて□■をやつし
 又しやのめすしの進あなごのかば右衛門にやきするめといふ女ありすしの進■たのやつしかば右衛門
 は岩?永?のやつしにてするめはあこやのやつし琴せめのしゆかうおもしろ□「たこの足長しと
 いへど是をたゝばかなしみなんいかの足短しといへど是をつぐは□□なん云々といふ名文有
 さくら煮の小万《割書:たこ|也》に下芋べいがすいくわの五人きりやつし又くも□□ね《割書:ゆで玉子|なり》くわい土人の行
 力をくしく事雲のたへまなる神のやつしなとすべてくいものつくしのしゆかうおもしろし
 「町中御そんしの名人ところてんの曲づき又ふきや丁がしの小しばいにて大当りせしあめの
 きょくふきこの両人がやきするめ汝かなんきをすくふ大だてあり「あめの曲ふきの
 太夫よしもと林平」云々とあり◦此くさそうしをよき紙にすり一冊となしたるものに
 は別に作者の序あり「夫竹の皮に包める物は上りて天麩羅となり人の口に食れぬものは
 下りて土の団子となるかたち生(ナマ)の鶏卵の如くにしていまた砕けす混沌とうがらし
 ヒリヽと唐(カラ)は盤古氏にて云々破れたるべんへらを着て重ね羽織を着るものとたつ
 てはぢざる子路兵衛も三度の飯はかゝされす周の粟餅をくらはぬ兄弟の


片意地も蕨がなくば干死ぬべし云々 松(ズン)江【淞江】の洗ひ鱸も向島の鯉の羹に及ず
蜀国の薑(シヤウカ)味噌は中の丁の山葵酒にしかず云々大船をうのみにする鰐ざめも
竹輪となれはやさしく也巨海に横たはる大鯨も割売となれは鍋の底ふかくそふ
云々鳶飛で天上に油揚をさらひ鮹岸にをどりて畠の芋をねら(ラ)ふ云々
《見せ消ち:なとの名文あり|くつてはたれ》たれてはくひ腹へつたり腹へらなんだり腹へり腹
へり腹へらず云々なとの滑稽なる名文あり
キ 《割書:京伝和尚|廓中法語》九界十年色地獄 《割書:寛政三亥|三 つるや板》   《割書:京伝作|清長画》【九替十年色地獄】【コマ31】
自序に「諺に北洲の千 歳(ネン)も限り有といへるになど□かく苦界十年の限り
なき事よ九年面壁の達(ダル)しうといへとも年ん一はい□長き事を知るへからす
突出しより年明け迄 憂(ウキ)年月の隙行く駒下駄無理□ ★(ハルビ)もとかねはならす【★は子+㐮、腹帯のこと】
いやな風にもなひかにやならぬ柳の髪にさす笄は八本九□の浄土とも見ゆ
れど旦(アシタ)には忽損料やの蔵にいたるときくならく誠に奈落の責なるべしなんと
マアそうじやねへかへ」安本山三東寺狂伝和尚 女郎の苦界十年の内の
くるしき事をだんぎするしゆかう也「なむやぼだふつ〳〵」といふもおかし
苦界を地こくにたとへたる也いろ地こくととなへたり

嘘から出(デ)た実話 《割書:寛政九年巳|三   板》    《割書:京伝作| 》【嘘から出た実/虚生実草紙】
むかし〳〵あつた土佐の国かち〳〵山のふもとせんたく川のほとりなる赤本先生と云
人ありて俗の耳ちかきたとへにて教へみちひきし事をおもしろく作れり巻のはしめに
「かれ木に花の灰をもつて天地造化の理をしめし桃太郎か島渡り
に君臣父子の例を正し善悪を狸うさきにわかち邪正をぢゝとばゝにくら
べ猿のいきぎもに仏説をまうけ舌切すゝめに物かたり□□□□ト
かきたるもおもしろし
怪談 模々夢(モヽン)字彙 《割書:享和三| 三 つたや板》   《割書:京伝作| 》
《割書:巻首|に》娓《割書:女に尾のあるは|キツネとよむ》 ☆《割書:リツシンベンにツノは|心の鬼なり》 ◎《割書:カシラの上に皿のあるはカツハと云|字てもあらふか》【☆は忄+角】【◎は皿+頭】
云々 人げんをいろ〳〵の化物に見たてたるしゆかう也
   のうらく息子の所に古人桑楊庵光のされ歌に母のちゝ父のすねこそ
恋ひしけれひとりで食ふ事のならねば」


キ 遊人三幅対 《割書: |二 いせ治板》   《割書:画工 北尾政演| 》
半次郎団次郎大五郎といふ三人の通人ありて世に三通人といひ半次郎を半つう団
次郎をどんつう大五郎をけん通と云いろ〳〵物すきのくふうをせし事を作る
キ 津以 曽(ゾ)無(ナイ)弟之甚六 《割書: |三 おく村板》  《割書:通笑作|清長画》
いけやの九平と云あきんどの子二人あり惣領を吉松弟を甚六といふて此甚六おろか
者にて諸げいをならひおかしき事を作る
キ 《割書:おさな|兄弟》かたき打魚名 ̄ノ剣(ツルキ) 《割書: |三》   《割書:画工北尾政演| 》【敵討魚名剣】
足利持氏の大名桜井出羽守みつゆきの家の宝けんゑびきりわに切りの二ふりあり
桜井主水と云ふにゑひ切をあつけ給ひ石河主水【原文は春朝?】といふにわに切をあつけ給ふ桜井
悪心きさし石河のあつかりゑひ切をうばひおのれかあつかりのわに切りと一所にしてもち
去る石河いひの□□なく切腹すその子二人姉弟ようせう也むかしのけらい一本左衛門と
いふとうそくのかしらく?か?り?義心ありて二人の事をよういくなしかたきをうたせん
事を作る

キ 振袖江戸紫 《割書:安永十巳|三  【丸に村、村田屋】板》  《割書:春常画|作名ナシ》
しばもくの丞と□□のおひ歌の介身もちほうらつの事かつま悪五郎しはの
家のてう宝ゆづりはの鏡をぬすみ取事より梅川忠兵衛お七吉三べん長
なとを■■みたりかたき打也
キ《割書:露|宮》朝顔姫 《割書:安永八亥|三 西村板》   《割書:清経画| 》
桜木のみかとの弟三の宮つゆのみやと梅かえ中納こんの御娘朝顔のかたの
事しるすあはれなる時代もの也
キ 《割書:吉田|少将》梅若丸 《割書:同|三 西村板》
  《割書:東姫|西姫》天童若神子(アメワカミコ) 《割書:同|三  同》
  《割書:神力|応護》蟻通之本地 《割書:同|三  同》




《割書:当世|風流》都見物太郎 《割書:安永八亥|二 西村板》【東都見物左衛門?】
《割書:浮世猪之介|若葉?や若竹》仇競夢 ̄ノ浮橋 《割書:同|二 同》
卯花 重(ガサネ)奥州合戦 《割書:同|三 つるや板》  《割書:柳川桂子作【印】|鳥居清経【印】》
牛若丸にうたれし熊坂か妻おつとの敵経若也ともうたんと奥州へ引きこもる
時代もの也奥州一つやのうば是也経若この家にとまり娘のおさかれん
ほの事おさか経わかの命をたすけんとしはられなから口にて歌をかく
「みちのくのあたちか原の黒塚にこもれる鬼のすみか成らん
キ 庚申待 例(レイ)長 話(バナシ) 《割書: |二 いせ治板》
おちよ半兵衛のせわもの也
桃太郎 再(ニドノ)駈(カケ) 《割書: |《見せ消ち:三|二》 うろこ形板》《割書:《見せ消ち:喜三二門人宇三太作|》|喜三二作 春町画》

桃太郎鬼かしまよりかへり生長して桃の大蔵と名のる事両親よく心きざし
ての宝者をみせ物に出して金もうけせんとする事大蔵宝ものゝ似せ
物をこしらへ□させる事よし原へはまる事いろ〳〵おもしろきしゆかうさすが
名人の喜三二なり
《割書:龍宮方便|浅草利生》網(あみ)大慈大悲 換(カヘ)玉 《割書:二|    喜三二門人宇三太作》
龍宮の七大龍王あく無道の事よりかつぱ一寸八ぶの観音せんきのために
日本へ来りかのはま成たけ成友?成とこゝろやすくなる事かつは何右衛門と名を
かへやらうあたまになつてゐる也きんたいゑんの【原文、閻浮檀金の】くわんおんの似せ物をさつけられて
りう宮へもちかへりしかられる事なとずいふんおかしく作りたり
源平布引瀧 《割書: |五 木曾駒わか丸の事時代もの》 《割書:春英画| 》
徳若御万歳集 《割書: |三 西村板》  《割書:  北尾政美画|武北与野東雲作》
三河まんさいの事より■意?東方朔よし原にあそふ事なとずいぶんおかしく作
れり


三庄大夫 《割書: |二《割書:能の狂言ことばの序ありまじめな|三庄大夫の物かたり也》》  《割書:一陽斎画|桜川慈悲成写》【山桝太夫物語】
一富士二鷹三茄子 《割書: |三》  《割書:芝 桜川杜芳作|  政よし画》【忝茄子】【コマ47-48】
小はやしの三男だいのねぼう故あだなをあさいねといふお大名のふと
ころ子也ちとおろかなるおむまれにて島めぐりをせんとのたまふに御けらい
とめ申ても聞給はねは御からう考へてお庭う?ち?またはお下やしきを島めくりの
もやうにする事女ごしまにうつゝをぬかし給ふおかしみなとおもしろくめづらし
キ 跡目論虚実物語 《割書: |三》   《割書:桜川杜芳作|政のぶ画》【跡目論嘘実録】
にた山将げんと云代々いみしき弓馬鹿のおん家ある時たかかりに出て雨にふられ
百姓のむすめおてうといふを見そめておめかけにめしかゝへ給ふ百姓やにておてうが折ふし
菜(ナ)をそろへて居たれは其花の名とむすめの名も問はせ給ふ時に「てうはなたね
の花しらすと うたの心てこたへけるもおかし道潅のやつし也将けんとのこのおてう
をてうあひしいん酒にふけり世を去り給ふおてふくわいたいにてとのさまのご病死
後に御男子生れそれより一味の御家来□りておくさまのお子のわかとのをなき

ものにしてわか子を世つきになせんとするわるだくみ仙台萩のやつし也
時代ものにしやれをませてかきたりおそ川首尾の介かしもとじやまな宗全
立あひのひや□■■もあり悪がたいき杉多もん実?うたの本田筋右衛門に切つ
けるに筋右衛門とが□むればコリヤア茶ばんのしくみたといふしやれおそ川かしもととの其
時に茶ばんならは いきつぎのゆをのませんと■見めいた茶にこじつけが大
ぎり打たしなしり?大笑ひ〳〵【17行目くらいから何を言いたいのかさっぱりわからない!】
熊 谷(ガヘ)安左衛門 《割書: |三 村田や板》  《割書:鳥居清信筆|同 清満》
巻首に云 熊谷稲荷大明神ゆらい
越前の国朝倉中納言義景公につかう遠江守山本図書 武了(タケノリ)武定と伝り其末孫
山本一中武頼わけ有て浪々の身となり江府へ下り名を改め熊谷安左衛門と号す先祖
ゟ稲荷勧請有に付随ふ野狐宗林宗房宗弥今其宗弥越中の国ゟ此地へ下り
熊谷氏に相随ひ諸人に利益有て地内に勧請あり猶又浅草寺町本法寺は安左衛門菩提所
なるによつて存命の内自ら一つ守を以て右稲荷を勧請あり日々に利益まし〳〵て宮諸?
建立有并熊谷安左衛門墓所宮の辺可有也伝聞きし事利益のため左の如く
絵にあらはし侍而」熊谷いなりの事をまじめにかきたるものなり 巻中に


稲荷の鳥居の左り
のかたに       【図】 妙法【蓮華】山本院一中日頼居士
               くまかへ
               安左衛門
               はか所
阿部屋三助信田遊参 《割書: |二 【山に吉、榎本屋】板》 《割書:万宝作【印】|豊国画》【信田褄時代模様】
生国は駿河あへ村のものなにはへ来りて金もちとなりあべや三助と云金もちに似合ぬ安い
名だとてやす名〳〵と人みないふ也いつみなるしの田村のおはの所へ至りし帰りみち
狐ともくずのは姫といふ売女に化けてやす名を化さんとしてかへつてやりそこなひ
ほう〳〵にけ去る安名はまことの売女をうしなひしと一念がかの狐にとり
つきなやます事なとあちらこちらのわけをおかしく二冊ものにはずい
ぶんおもしろし
妙智力 群(ムラガル)鳩 《割書:安永三午| 三  《見せ消ち:松村|【松】》板》 《割書:鳥居清長画|作名ナシ》
江戸下谷の高岡や三右衛門【原文は三ゑもん】と云ものゝ娘おきく浅草観音へまいるみちにて玉
の井二郎さだしけといふわかき武士の美男を見そめ夫婦になる事玉の

井御用にてかま倉へのほる事そのるすの内たん平といふわるものおきくに
ほれてむりに妻にせんとする事おきくあさぢが原に秋くさをみに行
てはけものに見こまれる事玉の井帰り【★】てくわん音の利やくにて化
物を見あらはす事まじめな作也【★の位置に「し」のような字が添えられているが、挿入すると文章にならない】
女郎買糠みそ汁 《割書:安永十丑|三 《見せ消ち:松村|【松】》板》   《割書:通笑作| 》
くろ米やいせや九郎平がむすこ九十郎よめをとつてから女郎かひになる事
かづさの文吉といふあそびてにすゝめられ身もちほうらつになり文吉は
かへつて其後しあんをしかへかせきてかねもちになる事を作るあまり
やんやともいはぬしゆかう也
うなき薬 《割書:寛政九巳| 二》  《割書:一九自画作| 》【薯蕷鰻鱺薬】
うらそえ左衛門と云ふうつかひ【鵜使ひ】のよくばりおやぢありにようほうもおなしよくはりばゝ也
せつせうすきにてどぜうふなをとり来りてくひけるにそれをぢゝかかひおく
う【鵜】がくひしとてうの舌をきりおひはなすぢぢはこれをきゝてかの舌きりすゝめ
の正直ぢゝかすゝめから宝物もらひし事を思ひ出してうのすみかをたつねて



うにあひ山のいもがはんぶんうなきになりかゝつたやつをみて金もふけ
せんとぬすみとり山師へ大金にするに山かはつれ山のいもかみなま
つたくのうなきになつて山師にきものをはくれぶちのめされるおかし
みうの鳥がうなき薬をつくる夢なとさすかおとけの名人
一九の作也此巻中に「あんの山の芋こんの山の芋掘つて来るは
何なるぞ頭かひらたくてぴんとはねずにぬらりとしたるはうな
ぎじや」と狂言歌のしやれもとんだおかしくて妙也
《割書:浦島|太郎》二度目の龍宮 《割書: |二》  《割書:通笑作|清長画》
浦島太郎龍宮より故郷へ帰り玉手箱をあけてぢゝゐとなりそのうへに
しつたものはひとりもなくしかたなけれは又々のつてきた亀かすゝめにま
かせ龍宮へたちもどり又々玉手箱のきとくにてわかくなり乙姫と
夫婦になる事を作る
福寿海 無(ム)量 ̄ノ品玉 《割書: |三 つたや板》  《割書:馬琴作|画名ナシ》

浅くさ辺にふだらくや大次郎と云ものありて女郎にはまりて或ひは
金をかり又は女房をりゑんし又はおやちにかんどうされし事終り
に大次郎まことは観音の化身なる事をいえり巻中に「金はかたき
にあらす帰ることの難き成へし」と云は名言也巻の末に唐来
山人の後序ありくささうしに後序あるはめつらし
《割書:衣食住|三箇 ̄ノ図》世帯評判記 《割書:享和壬戌【二年】|三 つたや板》  《割書:馬琴作|豊国画》
七もんじや七右衛門と云古道くやひやうとくを二笑といふありてゑひす講に古着ふる
道具を芝居の評判記になぞらへせたい道具の品定をする事をかきたり
いろ〳〵のおかしみさすかに著作堂也巻中におの〳〵さま御ひいき有しにしきで
さ八去年板の間へころげ落やきつぎの養生とゞかずついにめでたくなられまし
た則ち寺はせと物丁より二三里先茶わん山南京寺瀬戸物院唐草錦
手青士此さ八丈は皿やしきのおきくがゆう霊にて度々大当りをとられまし
たがおしひ道具をめてたくいたして残念〳〵」などおもしろし


金 ̄ガ降(フル)豊年 ̄ノ貢 《割書:享和二戌|三》  《割書:白銀台一丸作|子ー画【子興画】》
自序に十日の雨に道中双六のふり出しあれは五日の風に⺇巾(イカノボリ)【ママ、⺇は風がまえ(几)】のあがる悦ひ
ありかくおさまれる御代なれは剣(ツルキ)も牛の価となり兜も紙のはりことなる
云々 天より金がふるをはしめとして世界に金がありあまつてかへつてこま
る事をおかしくかきたり
隅田川恋 ̄ノ角文字 《割書:安永七戌|三 いせ次板》  《割書:桂子作|清経画》
吉田の少将の一族河内のぜんじ百つらがほん■ろけんをほつたんとしてあく人ほろひ吉田の御次
男松わか丸家をつぐ事 ■■■とのゝいもうと牛の御ぜんあく心藤島ゆきへの介にれんぼしかるにゆきへ
の介にこしもと藤島とわけあるを牛のごせんしつとみあらはす事家老梶塚かげゆ左衛門牛の
ごぜんに一味して松わかを失はんとたくむ事吉田のけらいにてゆへあつてせつ腹せし黒づか
けんばが家来竹■平蔵人あきらとし?なり主人のむすめお梅をすみた川にてかとはかしそ
れともしらす打ころす事梅わかのやつし也時代ものなりやんやともいはぬしゆかう
《割書:ひやう|ばん》鬼むすめ 《割書:安永七戌|二 丸小板》  《割書:末の半丁切てなければ作がありや|なしやしれす》

伯耆国だいせんのふもとなるそま人伝右衛門と云者ある時山中にて鬼の如きもの
出て伝右衛門につかみかゝるをまんまとしとめたり■■にこのぼうれい伝右衛門か妻の
はらにやとりて鬼の顔のやうなむすめをうみ山師がかひに来てうつてやり
両国にみせものに出し事をつくり其みせものゝ図并に唱歌の文句ものせ
たり又あんけらとうといふあめうりの図并その唱歌をのすこの双紙
はその頃両国《見せ消ち:の|に》鬼むすめのみせ物出又あんけらとうといふあめうりはやりたるを
かきたるものとみえたりしゆかうはつまらぬものなれともその時のはやり物
あれはめつらしきもの也好事家は珎蔵すへし右の図并に唱歌は
おのれか椎のみ筆にうつし入れたり
《割書:再|板》寺子たんか 《割書: |二 うろこ形板》  《割書:画工|名ナシ》 《割書:清倍|清満》の内なり
【以下読み難いので文字ごとに改行をいれます】
い いろはから学ひおほゆる手本かず
ろ ろんご孟子に有如く師匠の御恩親の御
は 初午ごとの寺のぼり毎年ふえる子供達
に 人形斗り書たがり双紙にそつと水をかけ
ほ ほして勢ひ出すふりするな
へ へんかんむりや字の作り篁買うて覚ゆへし
と とめらるゝ子は不 勢(せい)にていつも文庫にのせらるゝ
ち ちえは其身の生れつき三年習へばあがるもの


【短歌部分は読みやすさを優先して文字ごとに改行を入れる】
り りはつで大文字あしをやり掛奉る御宝前?
ぬ ぬかつて人におひぬかれその時困るは大さらひ
る るふする流義ある中にわけて尊円もてはやす
を をとなしやかにおとなびて三十老とほめられよ【原文:あれ一老とほめられよ】
わ わるあがきして芝居のまね机硯をそこなふな
か かるわさのまねう?つけ事寺ほうばいにうとまれる
よ よごれた顔?さへする時はほめる親こそおかしけれ
た 七夕からはぼんの内長い休みに忘るゝな
れ 礼楽社御の第一は物かく事のおもそ?かし
そ そらに覚はならす共今川庭訓大学の
つ 常に跡よみ朝ごとに心がくべしがつてんか
ね ねたりことして二親についえな銭をつかはすな
な ならひもせすに清書を幾度かいても同じ事
ら 楽かきするが得ものとて土蔵のかべにあまたみゆ
む むめは諸木の兄なれば道実惜しませ給ふ也
う うるさしといふ文字は又菅神時平の故事なれや
ゐ 居たり立たり硯水あるが上にも汲みたがり
の のろ〳〵するは手習がいやさのまくの手もちかや
お おこたる時は手もさがり皆かごぬけとなるものそ
く 口おしくても其折はかへらぬ昔はなたらし
や 休日斗りかぞへたてほうづえいねふりわきみして
ま まさかの折の時宜作法一つもらちはあかぬもの
け けいこはさま〴〵町の子は八さん九々をちとならへ
ふ 無精なくせにさつま芋どらやきなとはきついすき
こ 小謡シテワキかしこまり声高〳〵とうたふべし
え 江戸は指南も自由にてつゞみたいこの上手あり
て 天神講や畳銭人より先に出すへし
あ 朝習には一番の座につくやうに起たまへ
さ さいいへ人のめをさましぐわたびしするはいらぬ物
き きりやうある小は女でも八文字 篆(てん)字を書くもあり
ゆ ゆるかせにする母も有りきびしい父が薬ぞや
め めて度かしと申せとの御事まての御祐筆

み みやうがに叶ひたまのこしお部や様にもなる物ぞ
し 師匠は針にたとへて弟子はいと也大切に
ゑ ゑみをふくみておぢ恐れくれ〳〵もそむくまじ
ひ 人なみならめわんぱくは毎日しつへをいたゞいて
も もはや弟子には成がたし早々げさんさする事
せ 笑止千万とにかくに人のはげむをみ習ひて
す 末は能書と成るやうに朝夕筆道心がけ
京 京の北野ゝ聖廟へお礼参に上るへし
《割書:和田|阿佐利》■(チカラクラベ)陰陽尺鏡 《割書: |五 うろこ形板》
本(モト)津間之由来 《割書: |三 同》
往古(ムカシ)噂(ウハサ)放鳥 《割書: |二 同》
可児才蔵花 ̄ノ降 ̄フル里 《割書: |三 同》
盛遠夢浮橋 《割書:二 | 同》
八重 桜(サクラ)倭(ヤマト)歌 《割書:二 | 同》


義女再来記 《割書: |三 うろこ形板》
源九郎狐出世噺 《割書: |二 同》
後 ̄ノ三 稔(ネン)奥羽(ムツ)鏁(タノシミ) 《割書: |二 同》
《割書:笛 ̄ニ寄(ヨル)鹿|手白猿》音曲猿沢 ̄ノ月 《割書: |三 同》
鳥跡槿物語 《割書: |二 同》
《割書:木丸|判官》太平 樲(ハシラ) 《割書: |二 同》
吾妻権現 ̄ノ由来 《割書: |三 同》
童子廓雛形 《割書: |二 同》

大福長者蔵 《割書:寛政六甲寅|三 西宮新六板》  《割書:樹下石上作|政よし画》
自序に云 余先の年世の中豊年蔵を建餅は木になり金は蔓に出来て云々子供たましの
筆の跡へ又一ト戸前目出たひ蔵を建よと板元の西の宮がすゝめに云々とあり
ひしや門さまが豆まきをほつたんとして七福神か世の中へ福をさつけいろ〳〵
めてたい事をかきたり
天道浮世 ̄ノ出星操(デヅカヒ) 《割書:寛政六|三 西宮新六板》  《割書:式亭三馬作|豊国画》
自序に云所謂四季の四番続を十二幕の月ときり春のあしたの序開より大卅日
の大詰迄喜怒あい楽のひきもきらす大千世界の本舞台子故の闇(ヤミ)の黒幕あ
れは生死流転の早替り四季折々の演文(セリフ)附 ̄ケ因縁因果の廻り道具其前生の
楽屋をさがし云々まだ初舞台の御目見へに廻らぬ筆の操(アヤツリ)狂言云々
トありこれをみれは此本などは式亭が初作の頃のもの也 天帝のおあんじにて
諸星を下界へ下らせ人間のたましいをあやつりのやうにつかはせ給ふをほつたんとして
その星のうちに二八星と云わるき星ありて悪事をなす事よりいろ〳〵おかしき
人情をかきたりさすが後に大家となるへき筆力おもしろし但本文の書出しに


隠元禅師の曰世界は大戯場の如し云々書きたるは康煕帝を隠元と覚へ違たる也
竹斎老宝 ̄ノ山吹色 《割書:寛政六|三 つるや板》  《割書:築地善交作|画名ナシ》
巻首に  口上
一私儀此度扁鵲 其所退(ソコノ)け華佗はだしと申す古今未曽有の療治程々
工夫仕候間御望の御方様は御賑々敷御光駕の程偏に奉希候以上
   寅 正月                  薮内竹斎
右の薮内竹斎どの名医にいろ〳〵おかしき工夫してりやうぢする事をかきたり先
遠目かねにて人の腹の内をのぞく事を工夫す上焦の病ひは口から中焦はへそから
下焦はしりの穴からのそきてりやうちする故きゝめよく見とをしいしやと名を
とることばがきに曰「きさまの腹の中でせんしやくがでんぐりかへつてしやくせんといふ病
ひになつた云々「どうりで物まへにはとかくふさぎます」たなつしりの女のしりへ
たがをはめてりやうじする事あり 予按るに安政中のにしき絵にたな尻女にたがを
はめなとしてりやうぢする図あり此さうしのやきなをし成へし
眉間尺三 人(ニン)佲仃(ナマヱヒ) 《割書:寛政六|三》  《割書:京伝作|画名ナシ》【眉間尺三人酩酊】
自序に 上略 仏教の如是我聞小説の話説、道可道非常道と、三
千言の発語にしていつれのおほん時にか有けんとは五十四帖の序語なり
けり今は昔といへは物語めき抑是はといへは謡曲(ウタヒ)めき爰に哀とは
説経に唄ひ去程にと土佐節に語り善哉(センサイ)〳〵とは夢の告の発端
閻浮恋しやとは幽霊の出端なり或は声色の雨の降夜口上の東西
〳〵禅録の作麼生(ソモサン)云々 眉間尺のくびいろ〳〵のおかしき事あ
るをかけりみけん尺、破輪王、みけん尺かしうと伯中先生の三つの
首つきまとふしゆこうお七吉三武兵衛に生れかはる事なとおもしろき
妙作也
《割書:煩悩即席|菩提料理》四人詰 南片(ナンヘン)傀儡(アヤツリ) 《割書:寛政五丑|三 つるや板》  《割書:京伝作|画名ナシ》
巻首に 題新鐫稗史首、現在舞台 ̄ノ上、前生楽屋高 ̄シ、因縁十二 ̄ノ線(イト)、
           忽引 ̄ク南京 操(アヤツリ)、此狂詩京伝の作なるへし



方便和尚といへる人近きたとへをとりて人々を教へさとす事をほつたんとせり仏と鬼が
善悪いんゑんのいとをもちて人間をあやつり人形にするおもしろきしゆかう也
七福神伊達 ̄ノ船遊 《割書:午ノ正月トアリ 寛政十カ|三 つる喜板》  《割書:森羅亭万象作|北尾政美画》
七福神を仙台萩のやつしにしたる趣向也ゑひす三郎高尾をうけ出したから舟
にてより兼のみえおかし大黒さまか男之介のみえにて鼠のくせ者をこづちにてぶちのめ
すも大笑ひ也
《割書:正月|初夢》景清之塔 ̄ノ眠 《割書:《見せ消ち:午の正月トアリ□□|寛政十カ》|二 つる喜板》【景清塔の瞑】
色男 其所亦此処(ソコデモコヽデモ) 《割書:同カ|三》
《割書:栄花夢|後日 話(ハナシ)》金々先生造化 ̄ノ夢 《割書:寛政六寅|三 つたや板》  《割書:京伝作| 》【コマ28, 97】
金々先生栄花の夢を見し後あまりゆをさとり過たる所ある時ゆめの内
仙童にともなはれて深山に入り仙人にあひいろ〳〵天地造化の事をみる

事をかきたり金々先生心をあらためかせきてとなりぶげんとなる
夢にあらぬほんふの栄花の身となる所か例の妙作也
人心鏡 ̄ノ写絵 《割書:寛政八辰|三 つたや板》  《割書:京伝作|画名ナシ》
自序に 紅粉楼(ミジマヒベヤ)に照魔鏡あり忠臣蔵に阿房 ̄ノ鏡あり髭抜鏡の
凹(クボカ)なる懐中鏡の四角なる自恍惚(ウヌボレ)鏡に迷ふのも水鏡に悟るのも云々鬼
も仏もうつせはうつる胸の鏡の善悪邪正云々思ひついたるのべ鏡云々
京伝が人の心のかうしやくするをほつたんとして人間いろ〳〵のむねの鏡顔つき
と違ふ事をおもしろくしるす
《割書:黄(コ)金長者|白金長者》江戸砂子娘敵討 《割書:享和四子|つる喜板》  《割書:京伝作|画名ナシ》
此さうしは江戸の名所を人名とし渋谷の長者をほつたんとし白かね長
者の子朝日丸渋谷長者のむすめ撫子姫なれそめの事賊の頭道玄太郎
なてしこ姫をうははんとする事渋谷長者道玄にせつかいされる事かくれが
の茂平のむすめお玉の事なてしこ姫おやの顔を打事をしるす



《割書:教訓|善悪》いろは短歌 《割書:寛政十一未|二》  《割書:栄邑亭自作|子 興(カウ)画》
町家のむすこに徳蔵牛蔵と云二人あり徳蔵は善牛蔵は悪人

なる事をしゆかうとし牛蔵には黒玉つきそひて悪をすゝめ徳蔵には白玉
つきそひ有て善をすゝむある時牛蔵は徳蔵をそゝのかさんと手紙を
やるに徳蔵はつまらぬ事と思案してへんしをやる是則悪と善のいろ
はたんか也
い 《割書:いかにせうばい| 大事とて》 ろ 《割書:ろく〳〵人の| つきあいも》 は 《割書:はなしに出たる| 事もなく》
に 《割書:にくみそしりを| うくるのが》 ほ 《割書:ほめたる事には| あるまじき》 へ 《割書:へいぜいこゝろ| やすければ》
と 《割書:とくと御いけん| 申なり》 ち 《割書:ちとせをのべたく| おもふなら》 り 《割書:りちぎばかりで| まいるまじ》
ぬ 《割書:ぬらくらものと| いはれても》 る 《割書:るすつかふたり| うそもつき》 を 《割書:をり〳〵はまた| ゆさんせよ》

わ 《割書:わかきときは| 二度となし》 か 《割書:かり借銭が| あるとても》 よ 《割書:よもや手足も| もがれまじ》
た 《割書:たいくつのきて| しんきなる》 れ 《割書:れんがはいかい| うたもよみ》 そ 《割書:そのよなことは| やめにして》
つ 《割書:つね〴〵心| なぐさみに》 ね 《割書:ねおきのたひの| たのしみに》 な 《割書:ならあふならば| 三味小うた》
ら 《割書:らくにくらすが| 第一ぞ》 む 《割書:むふん別に| ほねをおり》 う 《割書:うつとしらしく| こせ〳〵と》
ゐ 《割書:一生らくをも| なされぬは》 の 《割書:後にくやんで| かへるまじ》 お 《割書:おのづと寿命|足はやし》
く 《割書:くらう苦けんが| 多ければ》 や 《割書:病ひもしぜんと| 出るなり》 ま 《割書:まめでたつしやか| 身の徳ぞ》
け 《割書:けいせいもかい| 酒ものみ》 ふ 《割書:ふらちな事が| あるとても》 こ 《割書:是さけゆへといへば|      すむ》
江 《割書:ゑしれぬ事こそ| きのどくさ》 て 《割書:てらばうばいの| よしみゆへ》 あ 《割書:あさはかなから| 申なり》

さ 《割書:さかりの花も| かげ木にて》 き 《割書:貴せんくんじゆの| 人〳〵の》 ゆ 《割書:ゆさん花見に| 出るころ》
め 《割書:めにもみえぬが| ほんゐかや》【「み」は原典にもない】 し 《割書:芝居もみねば| はなしなく》 ゑ 《割書:ゑきなく月日を| おくるゆへ》
ひ 《割書:人つきあひも| あしからん》 も 《割書:もそつと心| とり直し》 せ 《割書:せけんの人の| まじはりを》
す 《割書:少しは御心がけ|   可被成候》 京 《割書:歌にけふありてあすをもまたぬよの中に| たのしむが徳苦しむがそん》
徳蔵のへんじに イ 《割書:いさい承知は|候 らへど》 ロ 《割書:ろんじて申に| あらねども》
ハ 《割書:はゞかりながら| かくあらん》 ニ 《割書:にんけんたる| 境界は》 ホ 《割書:ほねおしますに| はたらけば》
ヘ 《割書:平生食事も| すゝむゆへ》 ト 《割書:徳なることには| そく才で》 チ 《割書:ち代よろつ代の| 寿命あり》
リ 《割書:立身出世も| まのあたり》 ヌ 《割書:ぬらくらものゝ| 末はみな》 ル 《割書:るひなきわるきも| 出るゆへ》
ヲ 《割書:をや兄弟に| 不孝なり》 ワ 《割書:わが心とは| いひながら》 カ 《割書:かん当の身と| なりゆけば》
ヨ 《割書:世にはすめども| すみかなく》 タ 《割書:たよる所も| なくなりて》 レ 《割書:れき〳〵衆を| みるたびに》
ソ 《割書:その時後かい| せしとても》 ツ 《割書:つね〳〵心| あしければ》 ネ 《割書:ねんころにせし| 人々も》
ナ 《割書:中〳〵其時| かまふまじ》 ラ 《割書:楽あれば又| 苦らうあり》 ム 《割書:むり非道なる| とんよくも》
ウ 《割書:うきかんなんから| 出るなり》 ヰ 《割書:いつれ命も| あやうけれ》 ノ 《割書:後の世までも| うかむまじ》
オ 《割書:おそらく寿命の|どくとなる》 ク 《割書:功どくほどこし| 忠孝を》 ヤ 《割書:やむ時をゑず| なさるれば》
マ 《割書:万宝家に| あつまれり》 ケ 《割書:けんくわ口ろん| その外の》 フ 《割書:ふりよななんを| ものがるへし》
コ 《割書:是善とく七分| の所かや》 ヱ 《割書:ゑきなき返事| とおぼされん》 テ 《割書:寺ほうばいの| よしみとて》



【紙の裏表に文字が書かれており、表面だけ読むのは難しい】
ア 《割書:あさからざりし| ごいけんを》 サ 《割書:さら〳〵わるふは| きかねども》 キ 《割書:きこうに御ぢよさい| なけれども》
ユ 《割書:遊山遊きやう| すく人は》 メ 《割書:めつたに大酒| いんよくが》 ミ 《割書:身のいたみとは| なるものと》
シ 《割書:しあんりやうけん| つまざれば》 ヱ 《割書:ゑきなき金銀| つかふゆへ》 ヒ 《割書:ひんなる身とは| ならるゝぞ》
モ 《割書:もし其やうな| 人あらば》 セ 《割書:せはやきがましう|候へど》 ス 《割書:すい分御いけん| 可被成候》
京 《割書:歌に けふあすと遊ひくらしたそのかはり| 末はくはすにかけまはるなり》
御覧(ゴロウジロ)親孝経 《割書:享和二戌|三 山口板》  《割書:三馬作|豊国画》
孝経の本文をしやれて大総平気の性(セウ)、第一、通子勘気、笑止 口舌(イザス)をはじ
めとしておかしく註釈す右の通子勘気とは夕霧伊左衛門を出せり一々

本文をしやれて最?新?の作なからがくや落のしさふなもの也かの京伝余
師の■きくに足もとへも及はぬもの也三馬がまだ顔のうれぬ時の
■■■えて巻中の書入れに「扨々くささうしのめばへもほねのおれた
もんた云々とあり
間合俗物譬問答 《割書: |三 つる喜板》  《割書:一片舎南龍作|子 興(カウ)画》
【ここより後ろ、画像処理をして表面の文字だけを拾ってみたが、以下の通り完成した文章にはなっていなかった。】
・狐の穴の古いのと年をへた傾城といづれ一をはしめとしておかしく註釈をり?
・鼻の用心はくらやみの棚と橋の下のおまんといづれ
 夏夜観於千代船中作酌酒次其跡 折助
饅頭招客行徳岸声如 豺狼(オヽカミ)面如蛙可憐身住井野堀三十二文是生
涯  盲人(メクラ)の垣のそきと一寸法師の豆蔵ひやかすといづれ・◦印がなくて
けいせいにはまると無手(テンホウ)?が狐つりの茶わんをとるといつれ・雁くびを壱
文の身代りにすると下手の将棋につけ木を歩の名代にするといづれ
・女の生酔と長刀草履のくにやつくといづれ・角力をつれた女房(カミ)
さんのうぬほれと娘のしゆすをもちなから神参りするといづれ・喰ひ
物もくはず金をためると寺で花見をするといづれ・高金をかりた


【裏に何か書いてあり、表の文と重なっており解読が困難であるが、画像処理などして表面の文字のみ読めそうな部分を左に記す。右丁前半は前コマの続きで何かの草稿なのか箇条書きのメモでしかない。通略三国志からいつもの調子に戻る】
質とわかき時の入れぼくろといづれ・あすか山でかわらをなけると色
里でつこふ金のまわるといづれ・芝居の女づれと風のなき日に凧を
あけるいづれ・矢とり女にのろくなると老僧がかげまにはまると
いづれ・女房に孝行をすると山いしやの玄関前といづれ・世継
うんだ妾(メカケ)のはなに富士の山といづれ・耳の穴のひろきと女郎のゑくぼの
穴といづれ
【図:横を向いて払子をもった達磨、もしくは耳たぶ】
    「ナニ耳をだせとへそんな事はしりいせんわな云々
    ■りより聞て左りへぬけるのは
     こゝろに悪のなきとしるへし
 なつでよのみる人ゆるせにとしより■■■■にそむることのは
通略三国志 《割書:年号ナシ|三 板元シレズ》  《割書:四国子作|清長画》【通略三極志】【コマ29-30】
 げんきんや徳右衛門のむすこ徳次郎よし原のてきろといふ女郎になしむ
 事をはしめとし三国志のおもかけをうつしおの〳〵通人の事にして
 かけりけんきんや徳次郎はげん徳也くわん東?や宇平次これくわんう也
 くすりやの■■■にて青龍湯をうる也

二人りの伊勢物語 《割書:年号シレス|三 西村板》  《割書:可笑作|清長画》【通風伊勢物語】
いせや徳右衛門といふ酒やのねんき子供に徳吉幸介といふ二人りあり徳吉と
ちがひ 幸介は子供の頃からしやれものいろけありて成長の後主人の金を盗み
てかけ落をなし「よこひろい男で引づるやうな黒なゝこの袷はおりに小もんちりめん
かはり八丈といふ所をふりかさねさやさや一本おとしさしおびは黒しゆすに赤糸で
きくじゆをおりこみうら付はふんぐりかへすやうなのをはき云々」とあるか此頃の
通人のなりをしらるひらつたいなりの男故なりひら〳〵とあた名して女子ども
がひやうもんしてみるをあまたの女にほれられそれ故なりひらといはれるとうぬぼ
れけりついに金をつかひはたしこつ食となる事又徳吉は■つていにしんぼう
して主人の家をゆづられ幸介をすくひかれかなしみ【彼が馴染みヵ】の女郎おきくを女房に
もたせ主人にわひ云すませる事なしるす
いろは短歌 《割書: |一》  《割書:富川房信画| 》
い 《割書:いかな日も人に|すぐれて|あさねして》 ろ 《割書:ろくな心は|もちもせで》 は 《割書:はらたちそふな| かほをして》


に 《割書:につこと笑ふ|事もなく》 ほ 《割書:ほうは高くて|はなひきく》 へ 《割書:べらり〳〵と| ぐちをきく》
と 《割書:とほうはなくて|物わすれ》 ち 《割書:ちゑは浅くて》 り 《割書:りこうぶり》
ぬ 《割書:ぬい針わざは|つちなれは》 る 《割書:るすにもなれは|ひるねする》 を 《割書:おとこわらべを| あいてにし》
わ 《割書:わらひくるふが| ゑものにて》 か 《割書:かみかしらをは|ゆひもせで》 よ 《割書:よそありきして| ぐちをきく》
た 《割書:高ごゑにての|ものかたり》 れ 《割書:れき〳〵衆の|まへにても》 そ 《割書:そさうな事を|いひちらし》
つ 《割書:つらの皮の| あつければ》 ね 《割書:ねんごろぶり|して人々に》 な 《割書:なれ〳〵しげな| 事をいふ》
ら 《割書:らくする事が|すきなれば》 む 《割書:むしやうに銭|をつかひすて》 う 《割書:うそつく事が|めいじんで》
ゐ 《割書:ゐふことのはは|いひもせで》 の 《割書:のうなし猿の|くせとして》 お 《割書:おふぢやはのみて| 酒もすく》

く 《割書:くい物ごのみ|ふだんして》 や 《割書:やさしき事は|つゆもなく》 ま 《割書:まがつたつらを| もちなから》
け 《割書:けせうけはひは| ついにせず》 ふ 《割書:ふすぼれ|よごれた有ありさまで》 こ 《割書:心こんぜう|わうちやくさ》
江 《割書:えしれぬ事に|せんせうし》 て 《割書:てまへのなら|ぬはくにはせで》 あ 《割書:足はみぢかく|ては長し》
さ 《割書:さしでゝ物を|いひたかる》 き 《割書:きげんのよかりし|折からは》 ゆ 《割書:ゆいしよ行ゑも|しらすして》
め 《割書:めにみぬ国の|はなしをば》 み 《割書:み た(てカ)きたやうに|かたりなし》 し 《割書:しりたる者か|とがむれば》
ゑ 《割書:ゑきなき事を|あらそひて》 ひ 《割書:ひづらをはつて|いひたがる》 も 《割書:もはやふつ|あきはてゝ》
せ 《割書:ぜひなくいとま|まいらする》 す 《割書:すきな男も|有るならば》 京 《割書:京いなかへも|ゑんにつけ》
一 《割書:一ごがあいだ|かはぬぞ》 《割書:歌に| 世の中にたでくふ虫は多く共此くせ馬にのりてあらじな》


かやうによみて女ほうをさりけれはしうとめかしこきものにて
やかて同しく短歌にて返事したりけるとなり
イ 《割書:いやならば其|当座には去り|   もせで》 ロ 《割書:六七年も| なれなじみ》 ハ 《割書:はな毛ののびた| うつけもの》
ニ 《割書:にあはぬふみの| 文ていや》 ホ 《割書:ほうさいものに|いひなして》 ヘ 《割書:へたげなくせを| つくるかな》
ト 《割書:とくとの事も|あらざるに》 チ 《割書:ちいさき事を|ぎやうさんに》 リ 《割書:りかうそふにも| とりなして》
ヌ 《割書:ぬらくらりとしたる|うそをつき》 ル 《割書:るりのやうなる| むすめをは》 ヲ 《割書:男ひでりも| ゆかぬもの》
ワ 《割書:わごせのやうな|はかものに》 カ 《割書:かへされしこそ| 嬉しけれ》 ヨ 《割書:よの人々は| りちぎにて》
タ 《割書:たれたのむとも| なけれども》 レ 《割書:れき〳〵人が| よひたがる》 ソ 《割書:そのときもどせと| いふならば》
ツ 《割書:つらの皮の| 用心せよ》 ネ 《割書:ねほれものゝ| ばかおとこ》 ナ 《割書:なまなかものに| だまされて》

ラ 《割書:らくをもしたる| 事もなく》 ム 《割書:むしやうにはた| らきつかはせて》 ウ 《割書:うるさきくらう| させし事》
ヰ 《割書:今さら思へば腹|  もたつ》 ノ 《割書:のうらく者の|くせとして》 オ 《割書:おほきなふりは| しはすれど》
ク 《割書:くふべきものゝ|なくなりて》 ヤ 《割書:闕文》 マ 《割書:同》
ケ 《割書:けつくの事に| 嬉しやな》 フ 《割書:ふつきな所へ| ゑんにつけ》 コ 《割書:子どもをあまた| もたせつゝ》
エ 《割書:えようゑいぐわに|くらさせて》 テ 《割書:てがらに| まゝは|たかせまし》 ア 《割書:あまたの人を|つかはせて》
サ 《割書:さかゆく末を| 見聞かんと》 キ 《割書:きげんがよくて| まんぞくや》 ユ 《割書:ゆく末久しく| ながらへば》
メ 《割書:めてたきものと| 人いはん》 ミ 《割書:みをは孫子に| まかせつゝ》 シ 《割書:しにぎは迄も| 手をひかれ》
ヱ 《割書:ゑい花にくらす|とみたまへや》 ヒ 《割書:ひんなるそなたを| むこにとり》
モ 《割書:物ほしさふな|顔みれは》




セ 《割書:せわやきくさの|たねとなる》
ス 《割書:すつきちゑん|をきり〴〵す》 一 《割書:いちから十まで|うれしやな》
 歌
世の中にたへて男のなくとまゝなまかはりのはむこにとらしな
彦山権現誓助太刀 《割書:安永十丑| 五》 《割書:   作名画名ミヘス| 》
                吉岡一味斎京極内匠けや村六助
か事をましめにかきたるもの也吉岡か妻二人の娘京極をうつ復仇
もの也
分解道胸中双六 《割書:享和三亥| 三 つたや板》  《割書:京伝作|画名ナシ》
巻首に自序あり道成寺の鐘の図を出して
  京鹿子娘道成寺鐘之銘
  家業夢中
  始終滅亡
  正直律義
  格別気楽
【鐘之銘の下】◦東海道の地名をぢぐりてそれる?
       一々おかしく註釈したるもの也
       たとつは 二ほんざし 品だま【ここまで】

【文章が途中から始まっているように見えるため、右丁との間に落丁があるかもしれない】
かごかきの類なり巻末に「老ぬれは忘るゝ事の多
かれと跡へもこさぬ年の関守」作者の自跋?なるへしおもしろし
《割書:高慢|狂訓》至無我(ムガニイタレ)人鼻心(ヒトハナコヽロ)神 《割書: |三 泉市板》  《割書:竹 ̄ノ塚 ̄ノ翁東子作|政よし画》【コマ136】
慢三郎号を慢といふもの雷の隠居とこゝろやすくなり雲にのりて無智国と
いふに至り諸芸のつまらぬ事を教へてかうまんのはな高くなり天狗に高
鼻をしはられる事又異人にたすけられその異人万三郎を諸けいの名人
たちの家【處?】へつれゆきはちをかゝせてたん〳〵はなをきつてしまふ趣向也
山時鳥 蹴転破瓜(ケコロノミヅアゲ) 《割書:寛政二戌|三》  《割書:京伝作|政よし画》【山鶗鴂蹴転破爪】
お竹といふ二百?のけころの水あけをしちやのむすこ十次郎ぜにやの徳次郎【ママ】といふ二人の
いろ男がつきだしをかひてお竹二人りにほれるをはしめとしておたけよし原三もんじやへくらかへ
してから竹といふちうさんとなりやはり十二郎徳三郎二人まふとなりかよふ事又
よし原の九郎介いなり朝日(アサヒ)如来と不和の事十二郎徳三郎はから竹をひとりの
ものにせんとたかひにとひ十二郎は九郎介へ徳三郎は旭へ願かけするに九郎介朝日おの〳〵
二人のかたをもち給ふいろ〳〵おかしき事さすかに妙作おもしろしから竹が



重次郎へいちやつゝめしづくしのことばに「ほれたどふしの中〳〵は
深く思ひをこめのめし思ふ中にもいさかひてかんしやくおこれはぶち
のめし茶めしな事をいわんすとこつちらからもつきのめしたつた
ひと夜もぬしさんにあわのめしなりやきになりて人をやるかやおみ
なめしふみて御さうをとうふめしなめししつみしこいのふちチンチヽ
リツつん〳〵とひそつてみても又をれてじやうこはめしなおかたじや
とくせつに口はまめのめしこがるゝむねのあづきめしぬしの心は
ひやめしとゆうきりにてはなけれともかゆやまんまでやう〳〵と命つな
いでいるわいなとはらはたてどもあつちらはむきめしならぬひき
わりのわりなき中とそ也にける」徳三郎へは汁つくしであたつゝ文(モン)に
「恋すれは人の心もしるなべのふたりとはなるいもしるにいのちもほんに
ちゞめしるしんても思ひきらすじるよのわる口に女郎かいぬかみそ
じるといわせるもわたしがかほのふうじるにはぢぬとがゝといく
ごましるならねどもしるだくさんをごちそうにとこのうちでは
くじらじるぷんとかほるはなつとうじるしかしながらにたこじる

やあんかうじるなやぼきやくのたぬきじるをもねせつけてよこにくる
のはかにじるのみなぬしゆへとしる人ぞしかしるなべの水ももらさぬ
中となる」重次郎徳三郎二人か身うけせんといふにから竹が心は二つ身は一つ
いきてはいられぬと思ひのあまりに身かふたつにさせてうせて?こんぱくを朝日(アサヒ)如来と
九郎介か重次郎徳三郎へそはせ給ふ事いとおかしくおもしろし巻末に云
此そうしのたねといふは二百文のぜに也今そのわりをしておめにかけん法に曰
いなりは五しや【五社】といひ又九郎介といへは五九四十九文也みだの本 ̄ンぐわんは四十八文徳
三郎の十九三て二十二文也七つや十二郎で七十二文也所へ三もんじやのから竹を二つ
にわつたから一文きなか【寸半】となる目を引て総高〆て右の二百文となりあとにぜに
きなかのこる此きなかのわりあまりにてこずつたからいなかむすめとこじ
つけたさんかんこゝてわかるよつてげだいも蹴転破瓜(けころのみづあけ)とつけたは 二百をわる
といふなぞさ云々  巻中にいなかむすめがおどりたして朝日如来九郎介の
          いこんを和らけはれさせたる事あり
小人国毇桜 《割書:寛政五丑|二 つたや板》  《割書:京伝作| 》【小人島毇桜】【コマ30-31, 46】
小人島の事をおかしくかきたり蟻を馬のやうにつかふ事蝿の力持かるわさのわさ?物?
なと大笑ひ也


福徳果報兵衛傳 《割書: 寛政五丑|三 つるや板》  《割書:京伝作| 》
大むかしの四海や和荘兵への子くはほう兵へといふやまし銭もふけせんと父の乗り
たる鶴にのりていろ〳〵な国をめぐりいろ〳〵おかしきあり天人やか久米の仙人や白猩々やとらの子まで
こきやうへつれてきてかねもふけせんとするにやりそこなひあてがはづれし
事なとおかしく書たり久米の仙人と天人と夫婦になりおむめ久米之助と名
を改めて羽衣せんべい木のはせんへいのみせを出したるなとおもしろし
明眼千人 盲(メクラ)仙術 《割書: |二 西村板》  《割書:一九自画作| 》
ある人はこねのとうちにゆきていきやうなひげの長い男にあひかの男おどけにめくら仙人
といふ仙人也といふをまにうけて江戸へつれかへり友たちにはなし仙人のけいこする
いろ〳〵おかしき事をしるす 椎園按るに一九後に此趣向をこゝかしこ
少し作りかへて仙術独稽古といふ標題にして出したり
《割書:小口に| 》天文 《割書: |二》  《割書:物蒙堂礼作|政演画》【世之中諸事天文】
巻首に京伝の序あり云 物蒙堂礼なる人白山の高みにすみ云々 このしゆかう
てんとうさまお月さまはせう神二十八宿の星天■地■土公なとの事をおかし

くかきたり
一狂言狐 ̄ノ書入(カキイレ) 《割書: 午|二 泉市板》  《割書:南杣笑楚満人| 》
まんかう院といふ法いnきゃういといふ通人の友たちとあすか山の花見の道で□
いん狐のねていた所をほらのか?いておとろかしたるをほつたんにて狐にばかさ
れ二人女郎かいに行きひろつた金ではらひをせし所木のはにてすてに女郎せ
せのものにぼうつにされんとせしをきやういがほんとうの金をだしてすくふ事
をかきたり
《割書:小口に| 》三川島 《割書: |二》 《割書:京伝作| 》【三河島御不動記】
神田三川丁のみたをしやのみせの不同木像がらくたの中に居給ふ所?まつぱ
たかそふこふ?院?と云山伏にかはれてからいろ〳〵のおかしみ不動の■■あいし給ふ
火ばちのたとんのせい女と化し不動さまとふうふになる事二人の子を
もちし所?おつとにせうたいをみられ「こひしくは尋ねきてみよいつみなるしのた
の家?にもゆる狐火」といふ歌を書のこしてたち去るくづのはのや《見せ消ち:つ|ツ》し不動さまおゑんと
道行などありて「くはゑんをせなに不動尊のうまくさばんだばくのなわむ
すふお宮ののきもはやこよいかぎりにすゞかけのときんわげさやしやくぜう




もしちに流れてしづむみは云々 あたち郡三 河(カハ)島村にあんちせられて
りやくある事をしるす「此頃は門前にとうじばできけれはうきよの遊人おほく
此三川しまへ来てあそふ事■なりぬ」といふ文あれは椎園按るに此さうし
は三川島の不動はやりし事ありて其時にkきしものならん
《割書:兼(カネタル)読本 ̄ヲ草双紙| 在于爰(コヽニアリ)身金言(ミニナルカネコト)》 《割書: |三 つるや板》  《割書:作名ナシ|画名モ》【在于爰身成金言】
弘化の頃山州のらう人 秦(ハダ)の平次の妻おつとを失ひ一子伝三と云をよく教へ
そたて伝三も孝心ふかき事母子とも心正しく母は子のためにさいゑんする事又
そのよめも貞女なる事をかくましめなるもの也「今寛政うの年に云々と云
文あれはその年のさうし也
《割書:六冊 懸(ガケ)|徳用草紙》 《割書:壬戌 《見せ消ち:寛政十四カ|享和二ナラン》|三 つたや板》  《割書:馬琴作| 》
此さうし標題の通り上の段は五大力 三画訓読(ミツノヨミコヱ)といふ表題、下の段は売 ̄リ切 ̄レ
申候切落咄と云表題にて本文は勝間源五兵へさの三五兵へ【人名要確認】五大力の作りかへ
也下の段は上なる本文のゑに今?せて作りし落し咄也かへつて本文より落し咄

のほうがおもしろし
浪速秤(ナニハバカリ)華兄(ムメノ)芬輪(フンリン) 《割書:寛政十三辛酉|つる喜板》  《割書:馬琴作| 》
大坂のなにはの梅次郎と云りちき男馬琴が所へ来りて天は秤の如くたるみ
ひつみなき事を物語るを趣向にして作りたるをほつたんとして夫婦の重さ
おんあいの重さ親の恩の重さわか身の重さ世渡の重さたのしみの重さ恋の
重荷の目方。六文銭の重さ命の重さなとにてそれをいち〳〵におかしみまじり
におしへみちびく註釈したもの也 六文銭の重さ《割書:青砥左衛門の|故事をひく》の所にわが友何かしが
歌に「ふんどうのおもりは下へたれたまへうきをはかりのめのとゞくたけ」巻末に
浪花の人の趣向をとりてたはれたる草紙を作るとて
   なには津の客や此たひふとあひし今のはなしをかくや此作馬琴
《割書:筆畊作(フテノカウサク)|稿裁着(シタヱノウヘツケ)》種蒔(タネマキ)三世相 《割書:壬戌享和二|三 つる喜板》  《割書:馬琴作| 》
自序あり 上略ちりやたらりや弧度御mたらしのけさくにとんと板元の文はちづかに及
べ友あんじのないはさりとは〳〵しんきな事じやへ筆のてまへも恥しくことしはあてゝひやうばんに



なるかならぬかならぬかなるかなるは瀧の水日はたつとも絶す問屋の催促に否(イヤ)ても
応(オウ)でもぜひにひとおんかき候へあゝらいそがはしやさあらは作をまいらせん云々
本文は喜怒哀楽の種物八品めしのたね こゞとのたね あそびのたね
後生のたね 恋のたね けんくわのたね しやくのたね なんたらほうしの
かきのたね なと出しすへて人の心のよきたねあしきたねをおかしく
書わけ《見せ消ち:作る|たり》又畑右衛門といふもの忰田之吉をよくしつけ権兵へと云ものは
忰なゑ太郎のしつけあしく末々畑右衛門おや子はとみさかへ権兵へおやこは仕合わるく
おちふれる事をかく巻末に農具にて大黒の作をみたて物に画き豊年出現
大穀 田(デン)としるし本文の末に「福といふ字をわくれは一(ヒトリ)の口田 ̄ヲモツテ示すと
なる田一まいあれは実に一人の口を養ふへし云々
猫奴牝(ネコノツマ)忠義 ̄ノ合奏(ツレビキ) 《割書:文化二乙丑|三 つるや板》  《割書:馬琴作|豊国画》
惣領の甚六といふ善人とたら福孫左衛門といふ悪 人(ガタ)とありて孫左衛門《見せ消ち:を|が》ある時途中にて猫を犬に
くひころさせんとする処を甚六来かゝりて其猫をたすけてわが家にかひ置けるよりその
猫が恩をかんじて甚六が孫左衛門にころされし時に甚六かからたにのりうつり

おのれか敵をおのれでうちし事いろ〳〵おかしきかたきうち也
滑稽(ジヤウダン)しつこなし 《割書:  文化二|三 山忠板》  《割書:一九作|月麿画》
仁和寺のあしかなへのぜうだんをはしめにいだし一九が鬼たけ一作月丸に初(ハツ)かつほのさし
みへおろしくすりをからしみそのなかへ入れくわせ苦しませる事そのいしゆかへしに一九
あたまへうるしをぬられる事うはばみかたき打の二人をのみて苦しむ事一つ
長やの左次兵へ太郎兵へゑのしまへゆくとちうにてせうたんしてついに三人
がぼうつになりその女ほうもほうつになる事をいかにもおかしくかきたり妙作也
ことばかきに「とかくたびはひさくりけの弥次郎兵へきたハチてなけれはおもしろくねへ」とあれはひさくり毛より後のさく也
《割書:叶福助|由来記》金生木(カネノナルキ)息子 《割書:文化二|三 山忠板》  《割書:一九作| 》
悟迷惑(ゴメイワク)心之鬼 武(タケ) 《割書:文化二乙丑|二 ゑのもと板》  《割書:曼亭改感和亭鬼武作【印】|   豊広画》
鬼たけあすか山にてさみせんをひき花見をする処へうんつく太郎ほうといふ天狗どの来り
羽うちわとさみせんをとりかへるをほつたんとしていとおかしく作れり
【題と説明の間に追記あり】此外題の画にフクスケがなで牛にのりし図あり福助のはしめてはやりし時の事なれはなり
両頭筆善悪日記 《割書:寛政十一己未|三》  《割書:京伝作| 》



山川や桃右衛門と云者四十を過て一子なしその妻ある時せんたく川といへる川にて
一つくきに桃の二つなるか流れ来りてひろひかへりて夫婦此もゝをくらふに一つは
あまく一つはにがしこれより桃右衛門か妻くわいたいして両頭の子をうむ
をほつたんとし成長するにしたかひ一つのくひは善心一つのくひは悪心なる
事をいろ〳〵おかしく作れり
《割書:こつちにも|くわうじんさま》有松染の始 ̄リ 《割書:文化八| 》  《割書:一九作| 》
一 ̄ノ谷嫩軍記 《割書: |三》   《割書: |春英画》
楠三代記 五
《割書:小口に| 》於臍茶 三
はらのあつまのまんなかに下やといふ処にへそと云ものありまことにあんらく
いんきよのみにて云々といふをほつたんとし両足がふそくをいひてむほん
をくわたて頭をなやます事なとありへそが和をむすふなとおかし
くかけり巻末きれて作銘ありやしれす
筆津虫音禽(フデツムシコヱノトリ〳〵) 《割書: |三 つるや》  京伝作
これはおかしきちなみある金?の?獣?単木をとり合せて■れにちう解(カイ)をつけ
たるもの也風車にみゝづくをはしめとしてひやうたんに駒鳥
九年母にだるまいんこ先代萩に女郎蜘むぎ茶に油鶏? おみなへし
にお玉じやくしのゑいろ〳〵ありされとも京伝なしては妙作ならす
安倍清兵衛一代八卦 《割書:寛政九丁巳| 三 つるや板》  馬琴作
きつねのくづのはのうみし安部のとう次子供の時より才物にてあまりいきすぎ
てはぢをかく事などありてついにうらないしやとなりいろ〳〵おかしき事あり
御慰忠臣蔵之 攷(カンガヘ) 《割書: |二 つるや板》
忠臣蔵の文の処をば残らすはんしものゝ画にてかきしもの也「【判じ物の図、逆さまの仲 手 本】云々」
堪忍五両 金言語(コガネノコトノハ) 《割書: 丙辰|三 つるや板》  馬琴作


忍(シノブ)や善右衛門と云ものりちきものにて一子善次郎にもかんにんの事ををおしへるをほつたんとし
善次郎■となりのおていと云みさほ正しき後家のむすめおせつと二人りたひをする事
これ両しんのいひつけかはゆひ子には旅をさせろの心也二人のものいろ〳〵うきかん
なんのたひをよの中の事になしておもしろくおしへになる事をかけり
本樹真猿浮気噺 《割書:戌|三 つたや板》  蔦唐丸自作
自序に恋川が無たい記、喜三二が見たい記、万象亭のいらい記、初中後の
趣は一也云々
天野邪九郎と云者人のまだ思ひつかぬ山をして金をもふけんといろ〳〵な
あんじをして一つもあたらぬ事をおかしくかきたり初子の日の小松引をさせ
る事をはじめとし年の暮に引づりすゝとてすゝとりの考へ「すゝとろう〳〵
とよひあるくにたのみてなき事をおはりとせり
嘘言(ウソ)然(シツカリ)故郷 土産(ミヤケ) 《割書: |三 西宮板》 《割書:作名ナシ|画名トモ》
せんどう徳兵へと云もの難風にて小人島へ吹つけられいろ〳〵のおかしみついに

小人をつれかへりて見世物に出し金をもふけ事をおはりとす
江戸 ̄ノ春一夜千両 《割書: |三 つたや板》  京伝作【コマ32, 97 】
もち丸や長者右衛門と云大金もち家内并に番頭下女でつちにまでそれ〳〵
に金をやりこんやちうにつかつたものには一ばいましにしてやるといふはうまい
はなし也さて人々いろ〳〵にくふうして金をつかふ事をしるす
《割書:富士流剣術|荒井流柔術》東海[街]道女敵討 《割書:文化十午|三   板》  《割書:三馬作|豊国画》【吾嬬街道女敵討】
   富士天龍軒と云けん術名人の老人荒井たん正左衛門と云やわらと?の
たつ人ありていこんをふくみたる事天龍斎か養子金弥男色の事にてころされる事
金龍斎があら井にころされる事百姓正兵へ荒井にころされその子かたき打の事
をかく文も絵も甚古風なもの也
敵討最上物語 《割書:文化五辰?|三》  《割書:三芳野多賀安作を 鬼武作|         国長画》【復讎最上紅花染】
千?ば家の武士はんだ■■のむすめ花をか喜さくといふものとみつ通の事
をはしめとし回国の六部佐治兵へといふものはからすふたりの情死をすくひ
花岡喜作を夫婦にする事出?ゐ?■■上の百姓与二郎兵への後妻か?に?■五郎作といふ




あく人とみつ通の事佐治兵へは六部へ出て与二郎兵へ方へとまり大病になり与二郎兵へへ金子を渡し置
あとをたのみ死する事右の金子ゆへに五郎作に与次郎兵へころされる事より■作は与次郎兵への
むすめ女郎にうられ代に衣?とてふにすけ太刀して五郎作をうつ事与次郎兵への後妻せんぴをくひじかい
する事
善悪邪正大勘定 《割書:天明四卯|三 つたや板》  東来三和作【コマ28】
自序に 富貴天にあり是を得るに梯(ハシゴ)を以てす忠孝二本の柱を立(タテ)百 行(カウ)を子(コ)となし
て一善を修せば一階をみ一 過(クハ)あれは一段 下(クダ)る善行積れば雲にも跨り天にも昇るべし
嗚呼童子勉(ツトメ)よや」とあり此序かた過たる書やうなれ共面白き所あり本文の趣向は
人の善悪おのれ■■胸より出る事をくわゐらいしよにたとへてほつたんとし人々の善悪事を
なすかずをおかしくかきたり■てつほうでうたれるをたすけ又雁を買ひてはなす四々の十六善
雁が八百善などの類也右を善門の部といふ又過門之部といふは悪事にて人をねたみにくむ女ほうが二九
十八過なとのるい也其内にてこしきな一せんめしを三ぜんほとこしたか三善なとの類也袁了凡の功
過格をおかしく書たるもの也巻末をゑびす講にてめてたくとめたりその事を
うつ詞かきに「億兆 恒河沙(ガウガシヤ)〳〵〽阿僧祇(アソウギ)〳〵〽那由他〳〵」なと梵法を用たるもおかし
又巻中に西行江口の■をほのめかしてあしのや与四郎といふもの出家して番頭にだま
されふげんほり?右衛門をなか?ませやうとて江口といふおいらんをかふ事をかきせつかく天へのぼ
つた九族?が天をくたる事をおかしくかきたりもと■の江口は与四郎のいひなづけにて
与四郎にな■れ?をやめさせあしのやのあとをとらせるちうもんゆへ也大笑ひ〳〵

垣根の外 《割書:天明四辰| 》
頼光山人【入?】 《割書: |五 西村板》  北尾政美画【頼光邪魔入?】
世中 洒落見(シャレケンノ)絵図 《割書:寛政三亥|三 つたや板》  《割書:京伝作|菊亭主人画》【コマ46】
      《割書:自序の末に山東|京伝識于菊亭|とありこのころは京伝菊亭と号せしとみゆ巻首の画|京伝書斎の額にも菊亭の字あり》
京伝が草あんの前を「しやれけんのゑづ〳〵」
とよんてよみうりが通る事をかきよみうりの詞書にも「おやぢもしやれれはむすこもしやれるむすめもしやれれはおんばもしやれるしやれ〳〵しやれけんのゑづ〳〵」とあり此頃かゝるよみうりあり
きしにやさて此本のしゆこうは世の中いろ〳〵にしやれる事をれいの名作おかしく書き
たり二三月ごろからまだ蚊にならぬほうふりか出て人をさしうなきにならぬ山のいもをかばやき
にしてうる新みせが出来男が血の道の薬をのみ下戸が水そうすいをくひなとするたくひ
也はしめにしはゐもきや?けんはやめにしてぶたいて団十郎か内をせうこへ?しにしてみせるをほつたん
とししまいにはあまり人々しやれ過て石のやうなかたちに京伝も■身なか?なる?なと
大笑ひなり
人間万事吹矢的 《割書:享和三亥|三 つるや板》  京伝作
自伝に神明の吹矢をみて居し事をかきて「ふく息の長きはたえすしてしかもまことの
的にあたらすねらいにゆがむ手の□の且つはづれ且つ八つあたりして一つも思ふつぼならず


云々と長明か方丈の記をもちり書きし□■し本文のはしらに吹矢の的にあたる
ガツタリを合多理(ガツタリ)にて多くの理を合すとこぢつけて世の中の人情すへて吹矢の如く
いろ〳〵の物を出すにたとへておもしろくおかしくつゞりたり巻 末(マツ)に作者京伝が吹矢をもちて
とぐ矢の根五郎の見たておもしろし
怪物(バケモノ)徒然草(ツレ〳〵グサ) 《割書: |二 つるや板》  京伝作【コマ27】
自序に 上略 蛍合戦の明(アカリ)をかりて六出(ユキ)女の燈(トモシビ)をかゝげ剪(キリ)禿の筆を執つ
て云々とかきたるはおもしろし本文のかき出しにも「夫 ̄レ ないといふやほがたうとく
みぬといふバケモノはたうとし」と書しもおもしろししゆかうは化物がかへつて人げんに
おそれるいろ〳〵■しき事也化物が百物がたりをまつぴるまあんとんつけてするをほつ
たんとす巻中にせつぶんの夜夫婦けんくわの内へ鬼がきて大にはつ?れ一首を
    よむ「ふくは内とまめはまけともおろかさは心の鬼のにげゆきもせず」
朝比奈異国めぐり 《割書:寛政四子|二 つるや板》  京伝作【霞之偶春朝日名】
朝比奈島めぐりして大人国小人島せい高島にようごの島くろんほうせんきやう国の
人八人を日本へつれきたりみせものなとに出しかねもふけせし事をおかしく作る
新極楽世界の咄 《割書: |三》  《見せ消ち:京伝|柿発斎》作 北尾政美画
《見せ消ち:自|京伝の》序に 上略「川には涼みの舟(フネ)後光をつらね陸には涅槃の別床(ワリドコ)をならべ仏の顔

も三会目には凡夫の箔をはがさんと欲す云々とかきたるはおもしろしこのしゆかうは
日本仏法わたりてより後生願ひ多く地こくはこんきうし極らくははんじやう
□て仏の居所もなけれは新こくらくをこしらへていろ〳〵おかしき事大文珠?やまたは
大仏や丈六の衆?名?もおかしあらいかにのぼさつ天人たち也思ひの外おもしろき
作也大出来〳〵
二重緞子三徳兵衛 《割書: |三 いづみや板》  《割書:慈悲成作|豊国画》
一寸徳兵衛と平野や徳兵衛天ぢく徳兵衛の事をおかしく作れり三人か善?ごんをするしゆかうしまいに三徳兵へが見さる聞ざるいはざる
のみえ《見せ消ち:一寸徳兵衛平野や徳兵衛|おかし三人が徳行》袁了凡か功過格のやつしにて悪いくろ豆善い白豆を用ゆ白豆くろく【とかく?】なりて三人か白豆
多くなりて三つの蔵をなかくたつる細?工?するものかてをみて【???】三徳といふものを思ひつき給ひ
はじむ■■入三とくのはしまり也といふを蔵?とせり
堪忍袋緒〆 ̄ノ善玉  つたや板  京伝作【コマ41-42】
陰徳両方 吉事計(ヨイコトバツカリ) つるや板 貸入  万宝
作 ̄リ習 ̄ヒ酒 ̄ノ佐 ̄ノ字   つるや板 同  万亀作


  阿房 者(ハ)寝待(ネテマテ)   つるや板 袋入 為軽作
  無束話(ツガモナイハナシノ)親玉   つるや板 袋入  万倍作
キ 我為 ̄ノ腹筋三略   薜蘿館板  万葉亭 好(スキ)町作
〃 鳩八幡     二        同【鳩八幡豆と徳利?/柱に「はとはちまん」とあり】
〃 《割書:花か|見たくは》よしのゝ由来 三 つたや 《割書:南陀伽紫蘭作|政のふ画》【花が見度くば芳野の由来】
〃 舎那王丸門出 ̄ノ夷(ヱビス) 明和六丑 二 《振り仮名:【瓢箪の印】|奥村》板 通塩丁 《割書:富川房信画|作名ナシ》
〃 今様吉田兼好 二 村板 作画名トモナシ
〃 へんけい   三    鳥居清経画
  源氏栄の芦払 二 《割書:高倉丁|二丁目【鱗の紋】川板》  同

  あふみ源氏 嗣(ヨツギ)雛形 三 延享四  同【近江源氏嗣雛形】
  《割書:編木|三八》疱瘡除  《割書:寛延二|   奥村板》
  妻恋稲荷 二 【丸の中に】山 板【妻恋稲荷由来?/柱に「つまこひいなり」とあり】
  庭荘子珍物茶話 二番 《見せ消ち:享和巳|》 馬琴作
  世 帯(タイ)── 三 享和壬戌  同【世帯評判記】【コマ115】
  花より団子──三 癸丑  同【花団子食家物語】【コマ108, 136】
   此冊子には馬琴の自序ありて
           放曼鬼武亭閲?
              山東京伝【印】
   如此あれはうかとみれは京伝の作かと思はる
   此頃は■■いまた世に用られぬ所にて京伝の名にて通りよくし【た、脱?】
   ものとみゆ
  《割書:高慢|狂訓》至無我(ムガニイタレ)人鼻心(ヒトハナゴヽロ)神 三 泉市板 《割書:竹の塚翁東子《見せ消ち:作|》《見せ消ち:序|》作|末に京伝作トアルイカニ? 政よし画》【コマ127】


大違宝舟 二  《割書:芝全交作|北尾重政画》【コマ91】
江戸の春一夜千両 三 つるや板  《割書:京伝作|同画》【コマ32, 97 】
《割書:老実(マジメナ)製法|滑稽(シヤレニモ)妙剤》親 ̄ノ讐(カタキ)胯(ウチマタ)膏薬 三 西宮板 三馬作
  此?自序に頃日(コノゴロ)報讐(カタキウチ)の青本行はるゝ事赤本の宿昔(ムカシ〳〵)といふとも是
  程にはあらし云々◦文化乙丑の板也これをみ?て?かたき打の流行■■■
  に■■しを知るへし
《割書:傾城常陸|芸者於照》浮世奢 ̄ノ判官 三  《割書:呉増佐作|清経画》
《割書:お花|半七》開帳利益 ̄ノ札遊合(メクリアヒ) 二  北尾政演画
  上巻のはしめの文中に両国と云所は日本一のすゝみにてやかたやねぶねは
  中(◦)ず(◦)【傍点は左】に横(ヨコ)たはり云々」と見え?て此冊子の時代しれたり
《割書:小口ガキ| 》いかいたわけ 三  富川房信画

やち大じん 二 【印、鱗形】板
《割書:鎧|宮》麻布一本松 三 同
《割書:梅|漬》膏(アブラノ)惚(ホレ)薬 二 同
五衰殿熊野 ̄ノ本地 三 同
《割書:宗祇|俳諧》行脚物語 二 同
変生男子悟 ̄リノ衣川 三 同【変成男子悟衣川】
《割書:家(ヤ)暮|大尽》色里 通(ガヨヒ) 二 同
《割書:現在(コノヨ)|未来(アノヨ)》鬼戯(オニトノジヤレ) 二 同




魁䰫(オニカミ)太平記 五 鱗形板
日本一癡(アホウノ)鑑 二     万葉好町画【式亭三馬のとは別】
骨髄芝居 好(ズキ)    奥村板
そが
みけん尺【眉間尺三人酩酊?】【コマ27, 119も】
なぞ尽し 一 つるや板【富川房信のとは別】
桃太郎後日 ̄ノ合戦 四
薄雪?  二 つるや板
しはい娘 三 鱗形板 鳥居清満画
大勘定  三     三和作【善悪邪正大勘定】【コマ28,134】
   袁了はんの功過格をしゆかうとなす

開帳   二     一九【𢭆師直開帳/おっかぶせもろなおかいちょう】
  忠臣蔵のことをかく
《割書:小口に| 》かぼちや昔噺 祖父(ヂヽイ)と婆々《割書:三| 【◦に村、村田屋】板》  清経画
     笠もりおせんの事を作る
つがもない 二  《割書:信■(朗カ)作【朗の横に小さな文字で書き入れあり読めず】|旭光画》【星月夜坊主道行/柱題「つがもない)】【旭光=北尾政美/信朗は信鮒の誤り】
     松ばや衛川の事をおかしく作る【大磯松葉屋の「ゑかわ」】
従夫以来記(ソレカライライキ) 三 つたや板   竹杖 為軽(スガル)作【コマ92】
かさの内   三     一九作【夜眼遠目笠之内】
おゑん    三【昔々於艶と云踊子?】
文武二道◦
◦万石通 ̄シ 三 つたや板  亀山人作【コマ49】
《割書:枯木花|大悲 ̄ノ利益》 享和二戌  三 つるや板   京伝作【コマ93】






《割書:無垢|世界》縞黄金 肌着(ハダギ)八丈 三 【山に本、大和田屋】板 《割書:北尾政美画|柿発斎作》
名筆◦
◦くりから丸
倶梨迦羅   明和二  三 奥村板  富川房信画
いぬい    明和五  三 うろこ形屋  清経画【乾局】
五人切    《割書:享和四|甲子》 三《割書: |食物の五人切也おもしろし》 京伝作【五人切西瓜割売】【コマ109】
万病回  寛政十  三   同【一刻価萬両回春】【柱題は「万両回」】【コマ30】
伊賀越乗掛合羽   三 【八角形に一】板
   市村座の狂言也中村里好其外役わり名あり
忠臣蔵       二 丸小板    清満画
  中村座の狂言也幸四郎其外役わり名あり ◦勘平の姿若衆也
  ◦定九郎せうぶかわ【菖蒲革】の形のきもの也
《割書:摂洲|経島》翁(カゾイロ)物語 《割書:明和二|酉》  三うろこ形板

《割書:白髪(シラガノ)|振袖》鬘(カツラノ)華婿  二
平仮名銭神問答 《割書:寛政十二| 》   京伝作
吹矢      同【コマ134-135】
見通 ̄シうらなひ     一九作
《振り仮名:買_レ飴|アメヲカツタラ》凧やろ咄 二     馬琴作【買飴紙鳶野弄話】
《割書:かち〳〵山|ちよん〳〵幕》引返狸之忍田妻 二 つるや板 《割書:芝全交作|政美 画》
全交智恵 ̄ノ程 二       《割書:全交作|政のふ画》
鞍馬山出世 ̄ノ羽団(ウチハ) 三 【◦に村】板   富川房信画

   《割書:あはゝ|三太郎》三代菅笠 二 つるや板   富川房信画
   廿四かう 《割書:寛政十三|酉》 三      《割書:蘭奢亭香保留作|子興画》
     しろくや三八といふ男廿四孝のかうしやくを聞て廿四孝のおやかう〳〵の事を
     さま〴〵たはけをつくす事をおかしく書たり
   落はなし  二
クロ 《割書:さがみ|入道》千疋犬 二 【◦村】板
クロ 清明二本菊  《割書:二| つるや板》
   《割書:栄花程 ̄ハ五十年|蕎麦(ソハ) ̄ノ価 ̄ハ五十錢》見(ミルガ)徳一 炊(スイノ)夢 三
クロ 《割書:猪俣|小平六》大峯物語 二 うろこ形板

クロ 鎗の
   権三
   女讎(めかたき)淀鯉口 三 うろこ板
     《見せ消ち:やりの権三の事をおかし|》
   《割書:伊せの浦|阿漕が浦》誓の網 《割書:明和|五》 三《割書:  西|【丸に十】|  宮》板   清経画
   浮世 宿替(ヤドガヘ)女将門 《割書:明和|六》 二    同画
      はだかそうこう院の事をしるす
   《割書:善悪|両頭》   三      京伝作
   曽我          長喜画【根無草曽我和物】
   《割書:袋|入》阿房(あほう)者(ハ)寝待(ネテマテ) 一 つるや板 万象亭門人 竹杖すかる作【印】
            豊国画
クロ 平家女ごの島   二【丸に村】板    鳥居  画

   うん       三      一九作【運開大黒傘?】
     小口ガキにうんと斗りアリ運 ̄ハ人 ̄ニ在 ̄リと云外題か◦
         ◦おもしろき趣向也 







題しれす         三  鬼武作
  小ばや源之丞と云大のひきやうもの親のかたき可児増五郎
  と云ものをけん術の師匠大 館(ダテ)堅 三(さう)と云人の助太刀にて
  まんまとかたきをうち■■めしかへされし所其おんを
  三?は?【しらヵ】す堅三がおなし家中へめし出されしをねたみて
  どくがいし■■の?■れて終に堅三の弟子万平と
  いふもの師のかたきを打し事をかきしめつらしきかた
  きうち也妙作といふへし
忠臣瀬戸物蔵       三  一九作
  おもしろきしゆかう也
《割書:鐘入| 》七人化性 漉返(スキカヘス)柳 ̄ノ黒髪 三 【山】喜板  喜三二【鐘入七人化粧/漉返…は改題本】
景清百人         二  同 作【景清百人一首】
嗚乎(オヤ)愚舗話(バカラシイハナシ)  三《割書:享和二|戌》  一九作◦十偏斎トアリ
  享和元年六月回向院にてさがのシヤカ開帳右につきどらか如来しんぼう

  かう大寺にて開帳ある事をおかしく作る
悟迷惑(ゴメイワク)心之鬼武 三 乙丑孟春   《割書:豊広画|鬼武作》【コマ131】
  あすか山の花見に作者三みせんをひいて遊ふを天狗がみておもしろがり三みせんと
  羽うちわと取かへる事をほつたんとして作れり
串戯(チヤバン)狂言一夜 附(ヅケ)   三《割書:文化巳|錦耕堂板》   《割書:一九作|月麿画》【コマ38】
  いろ〳〵の立茶番をかきたり
箱入娘面屋人形   寛政三       京伝【箱入娘面屋人魚】【コマ45-46】
三輪山猿の手柄   寛延二巳      《割書:恋川雪町|同春町跋》
和かん【今渡唐織曽我】
正札附【正札附息子質】【コマ40】
山の主【山主我独】【コマ30】






江戸の春一夜千両
象棋【春之駒象棊行路?/柱題に「象棋」とある】
玉あん【押懸竜宮の御客?/柱題「玉あん」】
宮於多福       樹下石上作【市土産於多福神/柱題「宮おたふく」】
見通し        京伝
式亭三馬自惚鏡    三馬
有喜世諺草      一九
二人亭主       同【鼻下長生男?】
笑初黄金島台     呉竹【笑門黄金島台】

ほへと短歌      《割書:通笑門人| 》道笑【コマ14-106】
《割書:江戸|錦》楊柳《割書:桜草(サクラサウ)カ| 》    《割書:飯盛作|四方赤良跋》【桜草野辺錦】【コマ103】
外題知らす      《割書:浅野初右衛門|画島や仁三郎が事》
文武二道万石通    喜三二【コマ49】
羽衣         竹の塚翁【雲飛脚二代羽衣/柱題「羽衣」】
造化    寛政六  京伝【金々先生造化夢】【コマ28, 97, 120】
七色合点豆 享和四  同【コマ107】
風神         一九【風乃神/風廼神】


学問      享和三  桜川慈悲成【文盲先生珍学問】
人心鏡写絵        京伝【コマ32, 120】
江子砂子         同【江戸砂子娘敵討】【コマ120】
胸算用【京伝の「悪魂後編 人間一生胸算用」】【コマ20も】
早道【早道節用守/柱題「早道」】【コマ19】
子玉元祖【一九の「河童尻子玉」?】
深山草化物新話 享和二  夢中庵作二【正しくは夢中庵作三】
妙薬           一九【蝦蟇妙伝/柱題「めうやく」】
化物           同【怜悧怪異話/外題「化物」柱題「はけ者」】

心学           同【心学時計草】【コマ28】
通の春【通の春歳且開/柱題「つうの春」】
天神記落咄        楚満人
三味せん         慈悲成
壬生踊戯作面目      慈悲成
前髪名古屋
《割書:多武峯|大明神》正一位織冠      閑(カン)徳斎【正しくは蘭徳斎】
平家物語         同
《割書:小口ガキニ| 》敵討 ̄トアリ外題不知  年号不知 三  《割書:芝全交作|紅翠斎門人 式上亭柳郊画》【親の敵現歟夢也】
    石部金太夫と云人の子うつの介といふもの◦



おや金太夫をむね木悪五郎といふものに打れて敵打の願ひを出し主君かた井殿ゟ
不動国行の刀と金百両をいたゞき夫婦づれにて敵打に出かけた所が敵を打事いやになりし
事又敵悪五郎はたんな寺にかくまいもらひ居るうち和尚かいけんに一念ほつきしてどふそ
かたきを打れやらんときをもむ事★又大詰に金太夫出て汝らかのらくら武士をなを         【★のあたりに以下を挿入か】かたき打の帰
さんため主君と申合せしはかり事也といふ事面白きしゆかう也鬼武かひきやう
なむすこの敵打にけん術の先生か助太刀して打せしが後に恩を仇にしてその先生■毒がいして
その弟子とのにおのれか打れると同じ?の妙作といふへし【卑怯な息子の敵討ちはコマ141にある「題しれず」】
《割書:小口ガキ| 》かたき打 《割書:外題不知|年号同》 三 《割書:一九作|菊麿画》【讐敵夜居鷹】
 柴原家の臣尾形東馬と云武へん者【武辺者】を同家中左久間源十郎と云ふ武人
 うつて立のきしをその子妹と源十郎敵打に出し?と三郎【とう三郎?】もうもくとなり妹おつと清すけと
 いふもの助太刀してかたきを打事をしるす
《割書:赤本鱗形や板| 》姥が池ゑづくし 二 画名なし 画風古し【淺草姥か池一家】
 浅草川にてはまなりたけなりともなり観音を網にて引きあくるをはしめとす一つやのうばの
 娘の名をかつら姫と云観音ちごとげんじ「日をくれて云々のうたを笛にふき給ふ事
 をのす観音□少年とげんじ一つやにとまり娘れんぼしてちきりをこめ少年の身がはり
 に死すうばいかりて少年をおひかけて大蛇となり成仏して不動とげんじ

 むすめは弁天とげんす□□□□て此頃の赤本黒本黄ひやうしにくらふれは大
也竪六寸横四寸三分
也■の外題
 竪 四寸七ト分
 横 二寸五ト分

【図中】
丁巳新䥴稗説 《割書:馬琴子|述作》
大黒楹(だいこくはしら)黄金(こかねの)
柱礎(いしすべ)下 《割書:通油丁|鶴屋版》



【画像を縦にした状態で、左上】
 武勇(ぶゆう)
東(あづま)
  錦画(にしきゑ)
   下

【同、左上】
異療(いりやう)
寝鼾(いびき)
種(ぐさ)下
   【ノト、山口屋の印】山口版

 新
 版
   【山に吉、榎本屋】

【同、右下】
《割書:高芋(たかいも)|卑芋(ひくいも)》芋世中(いものよのなか) 上 【山に吉の印】《割書:榎|本》


【同、左下】
 馬琴作
世諺口(よのたとへくちから)
紺屋雛(こうやひな)
形(がた) 下
【山に蔦】通油町
     蔦十版
 己未春

【上部絵の中】
 《振り仮名:敵討|かたきうち》
《振り仮名:岬|みさきの》《振り仮名:幽壑|ほら》
   後編上


○交《振り仮名:無癡|ナシタハケノ》安売  三冊
   三馬作 国直画
のろ作と云ものゝ一子のろ松子ともの時より
いろ〳〵たはけをつくす事をしるす
 馬琴がうき世よの助とかいふ名聞すき
 の男の事を書しと同趣也是はかの太申
 といふあほうの名聞家の事をほのめかし作り
 たりといふ馬鹿といふ名高くなりしといふ
 事を落とせり右の三馬の作はかののろ松
 終に戯作者となりて名をうる事を悦ふ事
 を落とせりおのれか身にせしさん三馬がぶ案面
 白し此やうなる難作は古き所にも有しと覚ゆ
 近頃上かたの草双紙にも右のやうなる趣向の物
 あり
【左側次コマ】

【右側貼紙、貼紙下は前コマで翻刻】
蜂屋文庫
2011
【左側】
キ 頼政名歌 ̄ノ芝  三冊   楚満人作《割書:まじめの時代|もの也》
、名和長年一代記  冊 近刻
、十四傾城腹之内 芝全交 自序に「腹に心肝の父母あり惣領の腎
 六水をへらす則(トキン)は肺は頤で追れ脾は虚空に高ぶる十四傾城此虚に
 乗(ゼウ)せは手のある奴(ヤツ)に足を付け各算用算談有り手の三年は年一□□【一はい】
 足の算用三里の灸手管にはめたる大妙傾足の小陰大陰婦手の能(ヨウ)
 ない釘の折れ足の能(ヨウ)ない大生酔手の小便病目にぬり足の大用□隠(チン)壺【雪隠壺】
どつ経(ケイ)さつ経(けい)をう浮雲(アブナ)エイヤらやつと追《振り仮名:止|トメ》た何を《振り仮名:留|トメ》た筆を《振り仮名:留|トメ》
たと爾云」この序文前の十四傾城の書目の所に書入へし
 椎園云此序文おもしろく十四経の女□をぢぐり□□□なれ共惜しむら
 く□楽や落ちならんか



【見返し】

【裏表紙】