越葵文庫の翻刻テキスト

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家譜

家譜《割書：吉邦公｜》享保元年　三十一

　　吉邦様《割書：享保元年丙申｜》

吉宗様御代《割書：八月十三日｜将軍　宣下》

享保元年丙申《割書：此年正徳六年｜六月廿二日》

　　一　正月朔日於　御本丸年始御規式有之
　　一　同日為年始御祝儀御使者中川主膳《割書：重｜祐》を以例之通
　　　　御太刀馬代被献之
　　　　　　但主膳旧臘五日福井出立
　　一　正月三日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃台

　　　　御酒代被献之
　　一　同日於　御座所御謡初御祝儀有之
　　一　正月七日為若菜御祝儀御使者を以例之通御肴被献之
　　一　正月十一日年始三ヶ日之御規式相済候為御祝儀江戸
　　　　表江御書被指出之御肴一種被献之
　　一　同日暮《割書：六｜時》下谷池端ゟ出火北風強大火ニ相成霊巌嶋
　　　　御長屋《割書：百三十｜間余》御類焼
　　一　正月十三日右同断ニ付御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿江御留守居
　　　　大関新五左衛門《割書：直｜看》罷出右之趣相達之
　　一　同日　梅姫様塔之沢江御入湯之御内意御伺書御用番
　　　　井上河内守《割書：正｜岑》殿江御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》を以
　　　　被指出之
　　　　　　　　　口上之覚
　　　　　　私妻病身其上痛所御座候湯治可然之旨
　　　　　　河野良以申候依之相州塔之沢江入湯為仕
　　　　　　土候此段得御内意申候以上
　　　　　　　正月　　　　　　　　　松平伊予守
　　一　正月十四日御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿ゟ御呼出御留守居大関

　　　　新五左衛門《割書：直｜看》罷出候処　梅姫様塔之沢御湯治御勝手次
　　　　第被成候様御附紙を以御指図有之
　　一　正月廿五日右同断ニ付為御礼江戸表江御書《割書：御用番｜一名》被指出之
　　一　正月廿六日旧冬被　仰出候酒造米之儀ニ付御留守居宮北
　　　　長左衛門《割書：定｜由》左之通書付持参御勘定所江指出之
　　　　　　　　酒造米之覚
　　　　　　　　　越前国
　　　　一　米弐万三百六拾三石弐斗　　　古米ゟ造来候高
　　　　一　米壱万八千三百八拾八石四斗　元禄十丑年造高
　　　　一　米五千三百三拾四石　　　　　正徳五未年造高
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　但丑年三分一積
　　　　右者領知之内造酒屋之分吟味仕書面之通ニ
　　　　御座候以上
　　　　　　正徳六丙申年正月　　松平伊予守家来
　　　　　　　　　　　　　　　　　　宮北長左衛門
　　　　　　　　御勘定所
　　一　二月朔日本多孫太郎《割書：長｜員》江戸表之屋敷去月十八日類焼

　　　　之段達　御聞候処普請頭等申付候様ニ　思召ニ付為御手
　　　　当去年上ヶ米之内千俵御返被下
　　一　二月十九日御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿ゟ御呼出御留守居大関
　　　　新五左衛門《割書：直｜看》罷出候処今度御料所巡見被　仰付候儀ニ付
　　　　左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　　　覚
　　　　　　一　今度国々御料所村々巡見被指遣候ニ付右之
　　　　　　　　面々相通り候道筋掃除并道橋一切作り申
　　　　　　　　間敷候馳走として送り迎之者出候儀可為
　　　　　　　　無用事
　　　　　　一　右之面々　御朱印員数之外人馬入候ハヽ其所
　　　　　　　　定之駄賃銭有之者其定之通定無之処者
　　　　　　　　近辺御定之割合を以駄賃銭取之人馬
　　　　　　　　可出候　御朱印之外ニ賃なしの人馬一人
　　　　　　　　一疋も不可出之事
　　　　　　一　巡見通り候道筋ニ而も百姓農業の儀少も
　　　　　　　　無遠慮いとなみ候様ニ可被申付事
　　　　　　一　私領村々に若巡見令旅宿候共少々の小屋

　　　　　　　　かけ取繕者不及申畳替可為無用古く候而も
　　　　　　　　不苦候賄道具等も有合候を借可申事
　　　　　　一　旅宿に可成家一村ニ三軒無之所者寺又ハ
　　　　　　　　村を隔候てなりとも不苦事
　　　　　　一　泊昼休の場所ニ而入用之飯米塩噌薪并酒
　　　　　　　　肴油野菜等者其所之相場次第売候様ニ
　　　　　　　　可被申付事
　　　　　　一　其所ニ無之商売物脇ゟ遣置売セ申間敷候
　　　　　　　　衣類諸道具ハ勿論酒肴にても持寄売
　　　　　　　　候儀堅可為停止事
　　　　　　一　右之面々金銀米銭衣類道具者不申及
　　　　　　　　酒肴菓子等迄一切受用無之筈候間内々
　　　　　　　　ニ而も堅音信不仕様ニ知行所之者共江可被
　　　　　　　　申付候若内々ニ而音信仕旨相聞るにおゐてハ
　　　　　　　　可為曲事候間其旨急度可被申付事
　　　　　　一　何方見分仕候共私領ゟ之音物等も一切
　　　　　　　　受用無之筈候間音物者不及申使者飛
　　　　　　　　脚被出候儀も堅可為無用事

　　　　　　一　右之面々家来末々迄在々において衣類
　　　　　　　　道具等ハ買不申様ニ申渡候間得其意
　　　　　　　　商売不仕様ニ可被申付事
　　　　　　一　野道の馳走として新規に茶店等作り
　　　　　　　　候儀堅可為無用事　　
　　　　　　　右者今度御料所国々江巡見被指遣候ニ付往
　　　　　　　来之道筋者私領村々をも可罷通候間書
　　　　　　　面之条々先達而地頭ゟ領地村々江申触無
　　　　　　　相違様に急度可被申付候以上
　　　　　　　　　申二月
　　一　二月廿一日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　二月廿五日御老中久世大和守《割書：重｜之》殿御渡之御書付左之通
　　　　大目付中ゟ御廻状来
　　　　　　　諸大名屋敷近所出火之節人数指出し被消
　　　　　　　火候節火消之面々馳付候而も水之手を取切ら
　　　　　　　れ難儀之事ニ候由相聞へ候自今以後者相互ニ
　　　　　　　水をも汲取候様ニ仕此外何事ニ限らす相互ニ

　　　　　　火を消故障無之違論等之事も無之様ニ家中
　　　　　　之輩江常々可被申付候定火消之面々江も此旨
　　　　　　相達候以上
　　　　　　　　二月
　　一　閏二月十二日　梅姫様御湯治之儀当春者江戸表火事も
　　　　繁道中筋等御懸念之旨中務大輔《割書：昌｜平》様思召之趣申来
　　　　候ニ付御参勤後迄御指延被成候様江戸表江被
　　　　仰進之
　　一　閏二月廿二日右同断ニ付御指延ニ相成候儀為御伺御用番
　　　　戸田山城守《割書：忠｜真》殿江御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》被指
　　　　出之
　　一　同日御用番戸田山城守《割書：忠｜真》殿御書付を以向後三月朔日
　　　　五月朔日節句も間近事ニ候間月次之出仕無之旨
　　　　御書付を以被　仰出候段大目付中ゟ御廻状来
　　一　閏二月廿三日　八十宮様江御祝儀之御使者《割書：御老中阿部｜豊後守殿》相
　　　　済候為御祝儀御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》を以干鯛
　　　　一箱鯣一箱御樽代二千疋被献之《割書：去月廿七日御書付｜御渡以下同断》一位様
　　　　月光院様江御使者御留守居宮北長左衛門《割書：定｜由》を以鯣一箱

　　　　御樽代千疋宛被指上之
　　一　閏二月廿九日大目付中川淡路守《割書：重｜泰》殿ゟ申来ニ付御留守居
　　　　宮北長左衛門《割書：定｜由》罷出候処左之通御書付を以被申渡之
　　　　　　　　　　条々
　　　　　　一　総領家所領之内を分知し別
　　　　　　　　御朱印を頂戴なき面々総領家を相続す
　　　　　　　　へきものなく其つゝき近きによりて一子を
　　　　　　　　以て本家の養子とすへき由を望申
　　　　　　　　御恩許におゐてハ自分の家ハ養子を以て
　　　　　　　　相続に及ふへからす其身一代之後其分知者
　　　　　　　　本家江還し附らるへき事
　　　　　　　　　　附
　　　　　　　　　　息男多くして一人を以本家の養子と
　　　　　　　　　　し一人を以自分の家を相続せしめ候者其
　　　　　　　　　　願に任せらるへき事
　　　　　　一　前条のことくに一子を以本家を相続せしめ
　　　　　　　　或ハ老後に及ひ或ハ病身に至るといへとも
　　　　　　　　其家を譲るへきものなき故によりて隠居の
　　　　　　　　願も難申輩者其旨を言上すへし別儀を以て







　　　　　　　　公儀の勤仕ハ御免許有へき事
　　　　　　　　　附
　　　　　　　　　分知之所領も身一代後に本家ヘ還し入候
　　　　　　　　　上者常々召仕候家人等流浪無之様に本家に
　　　　　　　　　おゐて扶助之事ハ勿論たるへき事
　　　　　　一　総領家所領の内を分知して別
　　　　　　　　御朱印を頂戴し其家相立候面々総領家を
　　　　　　　　相続すへきものなきに依て
　　　　　　　　御恩許を蒙り其一子を以本家の養子に遣す
　　　　　　　　といへとも既に本家の外に其家を立下され候
　　　　　　　　上者自分も又親族の中を撰ひ其家を相続せ
　　　　　　　　しむへきにおゐてハ其旨を言上して上裁
　　　　　　　　を伺ふへき事
　　　　　　　　　附
　　　　　　　　　たとひ別に其家相立候とも其身本家を続
　　　　　　　　　候におゐては此例にハ准すへからさる事
　　　　　　　　右条々宜得其旨候者也
　　　　　　　　　　正徳六年申閏二月
　　一　同日大目付中ゟ左之通御廻状来
　　　　　　　最前相触候節屋敷違変有之候ハ四人之内江

　　　　　　　被相届候様ニ申達置候得共届無之方も有之候
　　　　　　　居屋敷之外拝領屋敷相対替并抱屋敷町
　　　　　　　屋敷伺相済他江被譲候節者拙者共四人之内江
　　　　　　　弥書付可被指出候尤家来所持之屋敷も右
　　　　　　　同事可被相心得候只今迄心得違ニ而届無之も
　　　　　　　数多有之候故相窺右之趣相達候様被　仰渡
　　　　　　　如此順達廻状留りゟ淡路守江可被相返候
　　　　　　　　　　閏二月　　　　　山岡助右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　　佐々木五郎左衛門　　　　　　　　　　　　　　　　　　　嶋田佐渡守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　中川淡路守
　　一　三月四日　八十宮様江御祝儀之御使者相済候為御歓
　　　　御使者真田源太左衛門《割書：幸｜明》江戸表江被指出之《割書：去月十九日｜御触達》今日
　　　　福井出立
　　一　三月十五日右同断御使者真田源太左衛門《割書：幸｜明》江戸着御用番江
　　　　御書指出之《割書：御留守居大関｜新五左衛門同道》
　　一　三月廿日福井　御発駕東海道通御旅行

　　一　四月四日品川駅御休ゟ直ニ御参府為御案内御老中江
　　　　御廻勤
　　一　同日《割書：八｜時》右同断ニ付　上使御老中井上河内守《割書：正｜岑》殿御越
　　　　上意之趣御達有之《割書：上使御取｜扱如例》右為御礼御老中御側御用人江
　　　　御廻勤
　　一　四月十三日　御登　城御参勤之御礼被　仰上《割書：昨十二日｜御用番阿部》
　　　　《割書：豊後守殿ゟ｜連名之御切紙来》例之通御太刀銀綿御献上被　召連候御家来
　　　　狛伊勢《割書：澄｜孝》　御目見被　仰付御退出掛為御礼御老中
　　　　御側御用人江　御廻勤
　　一　同日右同断ニ付御使者を以例之通　一位様　月光院様江
　　　　縮緬白銀被指上之
　　一　四月十五日中務大輔《割書：昌｜平》様御在所江之御暇被　仰出御馬
　　　　初而御拝領ニ付為御礼御用番幷御側御用人江　御勤
　　一　四月十八日御参府ニ付御使者を以例之通色奉書紙被献之
　　　　一位様　月光院様江両面打曇鳥子紙被指上之
　　一　同日今度　女御御入　内ニ付出羽守《割書：宣｜維》様京都江御祝儀之
　　　　御使被　仰出候ニ付為御礼御用番幷御側御用人江
　　　　御使者被指出之



　　一　同日御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》殿江御逢対　御勤
　　一　四月廿一日御国御料所巡見衆坂井郡池上ゟ加州江被罷越
　　一　同日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江御逢対
　御勤
　　一　四月廿二日御老中井上河内守《割書：正｜岑》殿江
　御逢対　御勤
　　一　四月廿三日御老中久世大和守《割書：重｜之》殿江御逢対　御勤
　　一　四月廿四日醍醐宮様薨御ニ付
　　　　公方様御機嫌御伺之儀御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》殿江御使者
　　　　御留守居を以御伺被成候処不及其儀旨御指図有之
　　一　四月廿七日御老中戸田山城守《割書：忠｜真》殿江御逢対　御勤
　　一　四月廿八日大目付横田備中守《割書：由｜松》殿ゟ申来御留守居宮北
　　　　長左衛門《割書：定｜由》罷出候処左之通御書付一通被相渡之
　　　　　　一位様江御祝儀物御礼事ニ付献上物其外不時
　　　　　　之進上物等向後無用ニ候右之趣
　　　　　　一位様　思召ニ候次岩倉梅園江贈物ニ不及候
　　　　　　此段可被相達候
　　　　　　　四月
　　一　四月廿九日荻野孫右衛門《割書：政｜封》儀年寄馬上難儀ニ付駕乗
　　　　御免之儀願申上候ニ付御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》を以

　　　　御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》殿江左之通御願書被指出之
　　　　　　　　　　　　　　　　　　用人役
　　　　　　　　痛所有之馬上　　　　　荻野孫右衛門
　　　　　　　　不自由ニ而難相勤候　　　　当申六十五歳
　　　　　　右者拙者家来ニ而御座候駕籠
　　　　　　御免之儀奉願候以上
　　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守
　　　　　　　四月廿九日　　　　　御名乗御書判

　　　　　　　　阿部豊後守殿
　　一　四月晦日御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　　　　長左衛門《割書：定｜由》罷出候処
　　　　公方様少々御不例ニ付御機嫌為御伺明朔日御登
　　　　城可被成旨御書付被相渡之
　　一　同日右同断ニ付　御機嫌為御伺御用番并御側御用
　　　　人江御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》被指出之
　　一　五月朔日御登城被成候処御白書院於大廊下御老中
　　　　御側御用人列座ニ而
　　　　公方様御不例ニ付

　　　　文昭院様御遺言之通紀伊中納言《割書：吉｜宗》様御後見被
　　　　仰出昨日二ノ丸江被為入旨御老中間部越前守《割書：詮｜房》殿本多
　　　　中務大輔《割書：忠｜良》殿御達有之御引取再出席
　　　　公方様御不例御養生不被為叶昨夜　薨御之旨
　　　　御達有之
　　一　同日右同断ニ付　御機嫌為御伺御用番江御使者御留　　　　守居大関新五左衛門《割書：直｜看》被指出之
　　一　同日右同断ニ付京都所司代水野和泉守《割書：忠｜元》殿江御書被遣之
　　一　五月二日
　　　　中納言様御機嫌為御伺二ノ丸江　御登　城御退出掛
　　　　御老中御側御用人江　御廻勤
　　一　同日右同断　御機嫌為御伺御用番戸田山城守《割書：忠｜真》殿江
　　　　御使者御留守居宮北長左衛門《割書：定｜由》被指出之
　　　　　　但右御使者之儀六日迄朝夕被指出之其以後一度ツヽ
　　　　　　　被指出候儀不記之
　　一　同日
　　　　中納言様御儀向後
　　　　上様と可奉　称旨被　仰出

　　一　同日御用番戸田山城守《割書：忠｜真》殿ゟ御老中連名之御切紙を以
　　　　御用之儀候間明三日御登城被成候様申来
　　一　五月三日《割書：五｜時》
　　　　上様御機嫌為御伺　御本丸江御登城夫ゟ二ノ丸江御登城
　　　　御奏者番被謁之相済再　御本丸江御登城被成候処於
　　　　波之間御老中列座増上寺　御霊屋御普請御手伝
　　　　被　仰付旨御用番戸田山城守《割書：忠｜真》殿御達有之右為御礼
　　　　御退出掛御老中御側御用人江　御廻勤若年寄中江
　　　　御使者御使番被指出之
　　一　同日右同断ニ付御国許江御徒飛脚《割書：小木｜甚助》早駆ニ而被指遣之
　　一　五月四日右同断ニ付京都所司代水野和泉守《割書：忠｜之》殿江御書
　　　　被遣之
　　一　同日右同断ニ付御家老御城代江　御書被成
　　一　同日　御機嫌為御伺二ノ丸江御登城御退出掛御用番
　　　　戸田山城守《割書：忠｜真》殿江　御出御達御誓詞之儀被　仰入
　　　　　　御代替ニ付誓詞仕度奉存候
　　　　　　不及其儀御事ニも奉存候得共
　　　　　　心底顕筆紙候得者本望奉存候

　　　　　　　可然様御指図被成可被下候以上
　　　　　　　　　　五月四日　　　　松平伊予守
　　一　五月六日増上寺　御霊屋御普請御用掛御老中
　　　　久世大和守《割書：重｜之》殿江　御出御逢被成《割書：一昨三日｜御申込》
　　一　五月七日御中陰　御機嫌為御伺御使者御留守居
　　　　宮北長左衛門《割書：定｜由》を以桧重一組被献之《割書：去四日御書付｜御渡》於二ノ丸
　　　　相納之
　　一　同日《割書：夕七｜時》
　　　　公方様　御尊骸増上寺江御葬送
　　一　五月八日　御朦中　御機嫌為御伺御用番戸田山城守《割書：忠｜真》殿江
　　　　御勤
　　一　五月九日右同断　御機嫌為御伺二ノ丸江　御登　城《割書：去六日｜御触達》
　　一　五月十一日《割書：五｜時》右同断　御機嫌為御伺二ノ丸江　御登　城《割書：去九日大目付ゟ｜御廻状来》
　　一　同日今度　御霊屋御普請御手伝被　仰出候ニ付左之通
　　　　町在江御用金被　仰出之
　　　　　　　　　　　　　町奉行
　　　　　　　　　　　　　　海福猪兵衛支配下
　　　　　　　　金九千両　　　　　福　井　町
　　　　　　　　　　　　　郡奉行
　　　　　　　　　　　　　　武曽権左衛門支配下
　　　　　　　　金五千八百両　　　上　領

　　　　　　　　　　　　同　
　　　　　　　　　　　　　　須崎三郎右衛門支配下　
　　　　　　　　同断　　　　　　　下　領
　　　　　　　　　　　　金津奉行
　　　　　　　　　　　　　　水野善左衛門支配下
　　　　　　　　金四千四百両　　　川　北　領

　　　　　　　　　　　　　　本多孫太郎領分
　　　　　　　　金五千両　　　　　府中在々共江
　
　　　　　　　　　　　都合三万両

　　一　五月十六日　御朦中　御機嫌為御伺惣出仕ニ付二ノ丸江
　　　　御登　城《割書：去十四日｜御触達》
　　一　同日今度　御霊屋御普請御手伝被　仰出候ニ付御家中
　　　　拝知御充行之内末々之者迄御借可被成員数之儀者追而
　　　　可被　仰出候間此節柄猶以諸事致勘略可相勤旨於評定所
　　　　月番御家老酒井玄蕃《割書：知｜房》諸月番江申渡之
　　一　五月十九日　御朦中　御機嫌為御伺二ノ丸江御登　城
　　一　五月廿日今度　御霊屋御普請御手伝被　仰出候
　　　　御用ニ付御家老本多修理《割書：恒｜久》江戸表江
被為　召今日
　　　　福井出立
　　一　五月廿一日　御朦中　御機嫌為御伺御用番戸田山城守《割書：忠｜真》殿江

　　一　五月廿二日右同断　御機嫌為御伺御使者を以薯蕷
　　　　一籠《割書：三十｜本》被献之
　　一　同日右同断　御機嫌為御伺御用番戸田山城守《割書：忠｜真》殿江御使者
　　　　御留守居介荒川助右衛門《割書：正｜員》被指出候処此以後毎日之
　　　　御機嫌御伺ニ不及隔日又者二日置御指出候様被申聞之
　　一　同日《割書：四半｜時》
　　　　上様御内証ニ而　御本丸江御引移有之
　　一　同日御用番戸田山城守《割書：忠｜真》殿ゟ御呼出御留守居大関
　　　　新五左衛門《割書：直｜看》罷出候処明廿三日御代替之御誓詞可被成旨
　　　　左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　覚
　　　　　　一　明晩八半時山城守宅江被相
　　　　　　　　越
　　　　　　　　御代替之誓詞可被致候
　　　　　　一　誓詞前書者存念之通
　　　　　　　　調可被申候
　　　　　　一　罰文迄調可有持参候
　　　　　　一　判形者手前ニ而致され

　　　　　　　　血刺者山城守宅ニ而
　　　　　　　　可被致候
　　　　　　一　宛所老中五人座並之
　　　　　　　　通可被調候
　　　　　　　　　以上
　　　　　　　　五月廿二日
　　一　五月廿三日右同断ニ付御用番戸田山城守《割書：忠｜真》殿江
　　　　御出御誓詞被成
　　　　　　　　　　起請文前書
　　　　　　一　御代替ニ付而弥以重
　　　　　　　　公儀御仕置等急度可相守事
　　　　　　一　被　仰付候儀聊疎略不奉存可抽
　　　　　　　　忠勤事
　　　　　　一　万一悪心之輩承届候者不移時刻可
　　　　　　　　申上候御家門始并公家方縦雖為
　　　　　　　　親類縁者知音之好以邪儀於申合者
　　　　　　　　一味仕間敷事
　　　　　　　　　右条々於相背者

　　　　　　梵天帝釈四大天王総日本六十余州大小神祇
　　　　　　殊伊豆箱根両所権現三嶋大明神八幡大菩薩
　　　　　　天満大自在天神部類眷属神罰冥罰各可
　　　　　　罷蒙者也仍起請文如件
　　　　　　　正徳六丙申年五月廿三日　松平伊予守御書判
　　
　　　　　　　　　土屋相模守殿
　　　　　　　　　井上河内守殿
　　　　　　　　　阿部豊後守殿
　　　　　　　　　久世大和守殿
　　　　　　　　　戸田山城守殿
　　一　五月廿四日《割書：五｜時》御朦中　御機嫌為御伺
御本丸江御登
　　　　城《割書：去十九日｜御触達》
　　一　同日
　　　　公方様薨御ニ付運正寺儀焼香ニ江戸表江可罷出旨
　　　　増上寺ゟ申来候処右書状相滞日数延引ニ成相達候ニ付
　　　　煩ニ而難罷出趣御取扱ニ相成
　　一　五月廿六日　御機嫌為御伺御用番戸田山城守《割書：忠｜真》殿江

　　　　御使者御留守居介荒川助右衛門《割書：正｜員》被指出候処向後三日置ニ
　　　　可被指出旨被申聞之
　　一　五月廿七日《割書：四｜時》
　　　　上様増上寺江御参詣ニ付　還御後　御機嫌為御伺
　　　　御城江御使者御留守居宮北長左衛門《割書：定｜由》被指出之御目付
　　　　稲葉多宮　殿被謁之
　　一　五月廿八日御使者御奏者番岡部右京《割書：主｜貞》を以《割書：本堂江御香奠白銀三十枚被献之《割書：去十六日御書付｜御渡》
　　一　同日御朦中為　御機嫌伺惣出仕ニ付御登　城《割書：去廿六日｜御触達》
　　一　六月朔日右同断為　御機嫌伺惣出仕ニ付御登　城《割書：去廿六日｜御触達》
　　一　六月四日御普請奉行大岡能登守《割書：忠｜相》殿ゟ御普請御手伝
　　　　之丁場小屋御渡ニ付御役人被指出首尾能御受取
　　　　相済右為御届御老中久世大和守《割書：重｜之》殿其外御役人中江
　　　　御使者被指出之
　　一　六月六日暑中ニ付　御機嫌為御伺御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿江
　　　　御勤
　　一　同日右同断ニ付御使者を以例之通御国産索麪被献之
　　　　　　但例年御肴一種被相添候得共当節ニ付其儀無之



　　一　六月七日御手伝御普請場　御郭之境竹矢来柵之内之方
　　　　御普請出来ニ付為御見分今日　御出被成
　　一　六月九日　御朦中為　御機嫌伺国持并四品以上出仕ニ付
　　　　御登　城《割書：去三日｜御触達》
　　一　六月十三日御手伝普請場江為御見分　御出被成
　　一　六月十五日為　御機嫌伺惣出仕ニ付　御登　城《割書：去三日｜御触達》
　　一　六月十八日御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿御渡之御書付左之通
　　　　大目付中ゟ御廻状来
　　　　　　月光院様江御祝儀物御礼事ニ付而献上物其外
　　　　　　不時之進上物等向後無用ニ候右之趣
　　　　　　月光院様思召ニ候次ニ女中江も贈物不及候此段
　　　　　　可被相達候　竹姫君様江も向後指上物無用ニ候
　　　　　　　　六月
　　一　六月十九日御手伝御普請場江為御見分　御出被成
　　　　公儀御役人中江御逢有之
　　一　六月廿日御国産初鯖例年五月初頃御献上被成候処
　　　　御中陰ニ付御指扣被成候処時節相後損候ニ付御献上不被成
　　　　候段御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿江御使者御留守居宮北長左衛門《割書：定｜由》

　　　　を以御届有之
　　一　六月廿一日　御忌明ニ付為　御機嫌伺惣出仕ニ付御登
　　　　城
　　一　同日右同断為御祝儀御使者御留守居介荒川助右衛門《割書：正｜員》
　　　　を以鯛《割書：三｜》一折被献之《割書：去九日御書付｜御渡》御側衆北条対馬守《割書：氏｜澄》殿後
　　　　刻披露可有之旨被申聞之
　　一　六月廿二日
　　　　上様御本丸江御移徙之為御祝儀御使者御奏者番家宮
　　　　治部左衛門《割書：信？｜綱》を以《割書：御留守居宮北｜長左衛門同道》昆布一箱鯣一箱御樽二荷被献之
　　　　《割書：去九日御書付｜御渡》
　　一　同日御移徙御祝儀相済候為御歓御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿江
　　　　御勤
　　一　六月廿四日明後廿六日御代替御礼之節真之御太刀
　　　　御献上ニ付銘書等御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿江御使者御留守居
　　　　宮北長左衛門《割書：定｜由》を以御届有之
　　一　六月廿五日御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿江御呼出御留守居宮北
　　　　長左衛門《割書：定｜由》罷出候処左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守




　　　　　　明廿六日
　　　　　　御代替御礼之節先格之通御白書院ニ而
　　　　　　御右之方着座可被致候
　　　　　　　　六月廿五日
　　一　六月廿六日　御代替御祝儀ニ付　御登　城《割書：御直｜垂》御太刀《割書：国吉代金｜七枚》
　　　　一腰《割書：御金具赤銅葵御紋《割書：金｜》御鎺《割書：金｜》御鞘《割書：梨子地葵｜御紋蒔絵》｜御柄糸御鞘巻御帯取緒紫》御馬一匹《割書：代黄金｜十両》御献上
　　　　於御白書院御先格之通御三家様御次ニ御着座御礼被
　　　　仰上相済　御下　城御帰殿之上御上下被召替右御礼
御着
　　　　座二而被　仰上候為御礼御老中御側御用人若年寄中江
　　　　御廻勤
　　一　六月廿八日右同断ニ付京都所司代水野和泉守《割書：忠｜之》殿江御書
　　　　被遣之
　　一　六月廿九日増上寺仮御霊屋江　御参詣夫ゟ御普請場
　　　　御見分被成
　　一　七月朔日　御登　城被成候処御礼相済候後御老中
　　　　列座ニ而年号享保と改元被　仰出候旨御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》殿
　　　　御達有之
　　一　七月四日御老中久世大和守《割書：重｜之》殿江御逢対　御勤




　　一　七月五日御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　　　　長左衛門《割書：定｜由》罷出候処荻野孫右衛門《割書：政｜封》駕乗相願候ニ付当四月
　　　　御願書被指出候儀ニ付左之通被相渡之
　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守家来
　　　　　　　　　　　　　　　　　　荻野孫右衛門
　　　　　　右駕籠願相済候誓紙班判元御目付平岡
　　　　　　市右衛門宅ニ而見候事
　　一　同日右同断ニ付御目付平岡市右衛門　殿宅江御留守居
　　　　大関新五左衛門《割書：直｜看》罷出誓詞日限之儀相伺候処明六日九時ゟ
　　　　八時迄之内御留守居同道罷出候様御指図有之
　　一　七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金
　　　　被献之
　　一　同日荻野孫右衛門《割書：政｜封》駕乗御免之儀於
御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》殿
　　　　御願之通被　仰出其節御指図之趣ニ付孫右衛門儀御留守居
　　　　宮北長左衛門《割書：定｜由》同道御目付平岡市右衛門　殿宅江罷出馬上難
　　　　相勤旨之誓詞致血判指出之右相済取次所江罷出持
　　　　参之太刀銀馬代取次江相渡御礼申述之夫ゟ為御礼
　　　　豊後守殿江罷出

　　一　同日右同断ニ付為御礼御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》殿江御使者
　　　　御使番被指出之御目付平岡市右衛門　殿江御使者大御番
　　　　被指遣之
　　一　七月七日増上寺　御霊屋御普請御用掛御老中久世
　　　　大和守《割書：重｜之》殿江御普請御用掛相勤候御家来之内御逢之
　　　　儀兼而　仰入置候処明八日朝明後九日朝之内代リ候而可
　　　　罷出旨被申聞候段大和守殿家来ゟ申来
　　　　　　但右ニ付狛伊勢初御留守居迄罷出候得共不記之
　　一　七月十九日御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》殿江御逢対　御勤
　　一　七月廿日御手伝御普請場江為御見分御出
　　　　公儀御役人中江御逢有之
　　一　七月廿三日結城七社江為御代参味岡市九郎《割書：久｜中》被指遣之
　　　　御初穂銀壱枚宛被供之
　　一　七月廿五日御老中井上河内守《割書：正｜岑》殿江御逢対　御勤
　　一　七月廿七日御老中久世大和守《割書：重｜之》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　　　　長左衛門《割書：定｜由》罷出候処左之通御書付を以被申聞
　　　　　　　　増上寺
　　　　　　　　有章院様御仏殿

　　　　　　　　御木作初地曳日時
　　　　　　　　　　八月二日《割書：己丑｜》時巳
　　　　　　　　御柱立日時
　　　　　　　　　　同　五日《割書：壬辰｜》時巳
　　　　　　　　　以上
　　一　七月廿八日御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　　　　長左衛門《割書：定｜由》罷出候処諸国巡見被　仰出候ニ付御書付被相渡之
　　　　　　但天和元酉年御渡之御書付と同様ニ付不記之
　　一　七月廿九日御老中久世大和守《割書：重｜之》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　　　　長左衛門《割書：定｜由》罷出候処左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　八月二日増上寺
　　　　　　　　有章院様御仏殿御木作始地曳ニ付染
　　　　　　　　帷子半袴着用増上寺江可被相越候
　　　　　　　　　但同月五日御柱立之節者被相越不及候
　　一　七月晦日増上寺江御参詣夫ゟ御普請場江御出被成
　　一　八月朔日為御祝儀御登　城例之通御太刀馬代御献上
　　一　八月二日増上寺　御霊屋御木作初御地曳有之ニ付《割書：六半｜時》
　　　　御出御老中久世大和守《割書：重｜之》殿其外御役人中并酒井修理大夫《割書：忠｜音》殿
　　　　御出合被成御規式首尾能相済四時前　御帰殿



　　一　同日御用番久世大和守《割書：重｜之》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　　　　長左衛門《割書：定｜由》罷出候処左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　長福様近日二ノ丸為入候得共御内々之
　　　　　　　　御事ニ候故出仕并御祝儀献上等者先
　　　　　　　　無之筈ニ候献上物有之節者此方より可申
　　　　　　　　渡候為心得相達候以上
　　　　　　　　　八月
　　一　八月六日御家老狛伊勢《割書：澄｜高》本多修理《割書：恒｜久》駕乗願之儀ニ付
　　　　御用番久世大和守《割書：重｜之》殿江御留守居宮北長左衛門《割書：定｜由》を以御書
　　　　付被指出之
　　　　　　　　　　　　　　家老
　　　　　　　　　　　　　　　狛　伊勢
　　　　　　　　　　　　　　　　　当申ニ三十八歳
　　　　　　　　　痔之痛有之馬上計ニ而難
　　　　　　　　　相勤候間月切乗物奉願候
　　　　　　　　　　　　　　　本多修理
　　　　　　　　　　　　　　　　　当申ニ五十一歳
　　　　　　　　　筋気足痛馬上計ニ而難
　　　　　　　　　相勤候間乗物奉願候
　　　　　　　右者私家来当地ニ而用事


　　　　　　　申付候右之通痛所有之馬上
　　　　　　　計ニ而難相勤候間乗物
　　　　　　　御免被成候様奉願候以上
　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守
　　　　　　　　　八月六日　　　御名乗御書判
　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　久世大和守様
　　一　八月七日御用番久世大和守《割書：重｜之》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　　　　長左衛門《割書：定｜由》罷出候処昨日指出之御家来乗物御免
　　　　之儀御願之通御免被　仰出誓詞之判元御目付於
　　　　稲葉多宮　殿宅見可被申段被申聞之
　　一　八月九日御手伝御普請場江為御見分　御出被成
　　一　同日狛伊勢《割書：澄｜孝》本多修理《割書：恒久｜》《割書：御留守居宮北｜長左衛門同道》御目付稲葉多宮　殿
　　　　宅江罷出乗物之誓紙指出之
　　一　八月十二日御老中井上河内守《割書：正｜岑》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　　　　長左衛門《割書：定｜由》罷出候処左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守
　　　　　　来ㇽ十五日公家衆御馳走御能之節御折

　　　　　　　　一合可有献上候
　　　　　　　　　　八月
　　一　八月十三日《割書：六時｜過》　将軍　宣下ニ付　御登　城《割書：御朱｜帯》御太刀
　　　　馬代　御献上
　　一　同日右同断ニ付京都所司代水野和泉守《割書：忠｜之》殿江御書被遣之
　　一　八月十五日公家衆御馳走之御能有之ニ付御使者御留守居
　　　　宮北長左衛門《割書：定｜由》を以桧御折一合被献之《割書：去十二日御書付｜御渡》
　　一　八月十六日　将軍　宣下之御規式相済候為御歓御老中
　　　　若年寄中　御廻勤《割書：去九日｜御触達》
　　一　八月十九日御使者を以例之通御国産初鱈被献之
　　一　八月廿日御手伝御普請場江為御見分　御出被成
　　一　八月廿三日御用番久世大和守《割書：重｜之》殿江御逢対　御勤
　　一　八月廿五日増上寺　御霊屋御普請御手伝被　仰出
　　　　候ニ付先達而御家中御借米被　仰出候儀ニ付月番御家老
　　　　稲葉宋女《割書：正｜方》左之通書付を以諸月番江申渡之
　　　　　　　　今度御普請御手伝ニ付御物入之程難計候ニ付
　　　　　　　　面々拝知幷御擬作之内至末々迄当暮別紙
　　　　　　　　書付之通御借被成候数年拝知之内御借被成



　　　　　　　　勝手困窮可仕と御難儀思召候得共右之趣ニ候得者
　　　　　　　　無是非被　仰付候但当年迄右之通ニ御借被成来年者
　　　　　　　　御勝手被成様も候間洗とも御免被成度思召候得共
　　　　　　　　御物入共之上ニ候得者御考被成只今迄御借被成候
　　　　　　　　過半ハ　御免可被成候尤百石以下ハ御借被成間敷
　　　　　　　　候間当年迄之儀ニ候条面々取続相勤候様ニ
　　　　　　　　思召候以上
　　　　　　　　　　　八月廿五日
　　　　　　　　　〆
　　　　　　　　御借米定書之覚
　　　　　　一　高弐万石取高ゟ壱ツ六歩通上納米可指上事
　　　　　　一　高三千石ゟ四千五百石迄高ゟ壱ツ五歩通上納
　　　　　　　　米可指上事
　　　　　　　　　但江戸詰之時者高ゟ五歩通上納之事
　　　　　　　　　　御普請御用相勤候面々者四歩通上納之事
　　　　　　一　高千五百七拾五石ゟ弐千六百石迄高ゟ壱ツ四歩通
　　　　　　　　上納米可指上事
　　　　　　　　　但江戸詰之時者高ゟ四歩五厘通上納之事　

　　　　　　一　高千石ゟ千三百五拾石迄高ゟ壱ツ三歩通上納
　　　　　　　　米可指上事
　　　　　　　　　　但江戸詰之時者高ゟ四歩通上納之事
　　　　　　一　高六百石ゟ九百石迄高ゟ壱ツ弐歩通上納米
可指上事
　　　　　　　　　　但江戸詰之時者右同断
　　　　　　　　　　　御普請御用相勤候面々ハ三歩通上納之事
　　　　　　一　御代官付御蔵出共ニ五百五拾石取以下高ゟ壱ツ
　　　　　　　　通上納米可指上事
　　　　　　　　　　但江戸詰之時者右同断
　　　　　　　　　　　御普請御用相勤候面々ハ右同断
　　　　　　一　御合力米被下面々知行高積壱ツ通上納米
　　　　　　　　可指上事
　　　　　　一　御切米弐拾壱石取以上并御合力銀被下面々知行
　　　　　　　　高積壱ツ通上納米可指上事
　　　　　　　　　　附
　　　　　　　　　　　御扶持方之分ハ除之
　　　　　　　　　　但江戸詰之時者右同断
　　　　　　　　　　　御普請御用相勤候面々ハ右同断
　　　　　　一　御切米弐拾石ゟ拾石迄知行高積八歩通上納

　　　　　　　　米可指上事
　　　　　　　　　　附　
　　　　　　　　　　　御扶持方之分ハ除之
　　　　　　　　　　但江戸詰之時者三歩通上納之事
　　　　　　　　　　　御普請御用相勤候弐拾石取ゟ拾壱石取迄
　　　　　　　　　　　之面々弐歩通上納拾石取之分ハ上納米
　　　　　　　　　　　御免之事
　　　　　　一　御切米九刻ゟ四石五斗迄知行高積七歩通上納
　　　　　　　　米可指上事
　　　　　　　　　　附
　　　　　　　　　　　御扶持方之分ハ除之
　　　　　　　　　　但江戸詰之時者弐歩五厘通上納之事
　　　　　　　　　　　御普請御用相勤候面々ハ上納米御免之事
　　　　　　一　弐百人扶持取知行高積高ゟ壱ツ弐歩通上納
　　　　　　　　米可指上事
　　　　　　　　　　但江戸詰之時者四歩通上納之事
　　　　　　一　拾五人扶持ゟ百人扶持迄御扶持方米計被下置
　　　　　　　　面々知行高積壱ツ通上納米可指上事
　　　　　　　　　　但江戸詰之時者右同断
　　　　　　　　　　　御普請御用相勤候面々ハ三歩通上納之事

　　　　　　一　拾人扶持ゟ拾四人扶持迄御扶持米計被下置
　　　　　　　　面々知行高積八歩通上納米可指上事
　　　　　　　　　　但江戸詰之時者三歩通上納之事
　　　　　　　　　　　御普請御用相勤候面々ハ弐歩通上納之事
　　　　　　一　七人扶持ゟ九人扶持迄御扶持米計被下置面々ハ
　　　　　　　　知行高積七歩通上納米可指上事
　　　　　　　　　　但六人扶持以下上納米御免之事
　　　　　　一　御切米八俵取ゟ五俵取迄壱人ニ米四斗宛上　　　　　　　　納米可指上事
　　　　　　　　　　附
　　　　　　　　　　　御扶持方之分ハ除之
　　　　　　　　　　但江戸詰之時者壱人ニ壱斗弐升宛上納之事
　　　　　　　　　　　御普請御用相勤候面々ハ上納米御免之事
　　　　　　一　御切米五俵取ゟ以下壱人ニ米三斗宛上納米可指
　　　　　　　　上事
　　　　　　　　　　附
　　　　　　　　　　　御扶持方之分除之
　　　　　　　　　　但江戸詰之時者壱人ニ壱斗宛上納之事　　　　　　一　江戸江参前年并江戸ニ相詰候年者右江戸詰
　　　　　　　　定之通ニ上納可指上罷帰年者御国並同年


　　　　　　　　可致上納事
　　　　　　一　江戸并他国江御使者馬持以上身体相応ニ人馬
　　　　　　　　召連罷越候者江戸詰並之上納米可指上事
　　　　　　一　御切米取江戸表御使其外御用ニ付罷越不時ニ
　　　　　　　　逗留仕候儀有之時上納御借被成内者末々迄
　　　　　　　　逗留中増扶持方被下上納御免無之事
　　　　　　一　定御供之内御国ニ被残置候面々ハ御国並之
上納
　　　　　　　　可仕事
　　　　　　一　江戸御参勤御供仕罷越其年五月中迄ニ自然
　　　　　　　　御返被成面々有之候者其年之御借米御国並
　　　　　　　　之上納可仕六月以後ニ至而御返被成候者其年之
　　　　　　　　御借米江戸ニ相詰候並上納可仕定詰之面々御国江
　　　　　　　　御返被成候而も六月以後罷帰候者其年之御借米
　　　　　　　　江戸詰並上納可仕末々ニ至迄可右准事
　　　　　　一　江戸表江御使者ニ罷越候面々道中軽ㇰ仕罷越
　　　　　　　　於江戸御貸人被　仰付筈上納之儀者御定之通
　　　　　　　　可仕事
　　　　　　一　役料知之分上納御免之事

　　　　　　一　本知三百五拾石三百石被下置面々之百石之分ハ役
　　　　　　　　料同事上納御免之事
　　　　　　一　今度右之外御普請ニ付被　召寄御用掛リ之
　　　　　　　　者共与内ハ御家中江ハ御懸ヶ不被成候事

　　一　同日右同断ニ付月番御家老稲葉采女《割書：正｜方》左之通書付
　　　　を以て諸向江申渡之
　　　　　　　　　　　　　　　　惣御武具方
　　　　　　一　惣武具方支配之諸色只今迄も其心得者
　　　　　　　　可有之候得共猶以今度諸役所急度御改ニ
　　　　　　　　候間此以後御用ニ付被召上候諸色随分御入用
　　　　　　　　減候様ニ被相心得自然各了簡ニ難及儀も候ハヽ
　　　　　　　　夫々江被相伺其上奉行中江も可被遂相談候尤
　　　　　　　　月々増減ハ可有之候得共一ヶ年之御入用ニ至而
　　　　　　　　只今迄之御金高成候而者御勝手御取続難被
　　　　　　　　成依之今度御改被　仰渡儀ニ候間其心得を以
　　　　　　　　可被相考候尤一月之御入用当九月ゟ月々委
　　　　　　　　細ニ元払金高相記翌月三日迄ニ御勘定所江可
　　　　　　　　指出候尤役人申付置候以上


　　　　　　　　　　申八月
　　　　　　　　　　　〆
　　　　　　　　　　　　　　　樋口小左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　堀　豊左衛門
　　　　　　一　御舟御網等之御入用只今迄も御費無之様ニ
　　　　　　　　其心得可有之候得共猶以今度諸役所急度
　　　　　　　　御改ニ候間此以後弥御費無之様ニ被相心得各
　　　　　　　　了簡ニ難及儀者夫々江被相伺其上奉行中江
　　　　　　　　可被遂相談候尤月々増減可有之候得共壱ヶ年
　　　　　　　　之御入用ニ至而只今迄之御金高ニ成候而者
　　　　　　　　御勝手御取続難被成依之今度御改被　仰
　　　　　　　　渡儀ニ候間可被得其意候尤一月之御入用当
　　　　　　　　九月ゟ委細元払金高相記翌月三日迄ニ御勘
　　　　　　　　定所江可被指出候尤役人中も申付置候以上
　　　　　　　　　　申八月
　　　　　　　　　　　〆
　　　　　　一　御普請方各支配之場所新御普請所者不

　　　　　　　　及申所々破損繕所之儀只今迄も麁末成儀者
　　　　　　　　有之間敷候得共猶以て今度急度御改ニ候間此以
　　　　　　　　後御入用随分減候様ニ可被相心得候惣而御普請
　　　　　　　　方江入候竹木鉄物石類其外諸色并諸職人入
　　　　　　　　方共ニ遂吟味夫々御普請場所ニ而つかひ候諸
　　　　　　　　色随分軽御入増ニ成不申候様ニ役人末々迄其心
　　　　　　　　得可相勤候尤月々請払ニ 増減可有之候得共
　　　　　　　　壱ヶ年御入用ニ至而只今迄之御金高ニ成候而者
　　　　　　　　御勝手御取続難被成依之今度御改被　仰
　　　　　　　　渡儀ニ候間其心得を以随分被相考各了簡ニ
　　　　　　　　難及儀者昼夜ニ不限奉行中江被相談其上壱月
　　　　　　　　之御入用当九月ゟ月々委細元払金高相記翌
　　　　　　　　月三日迄ニ御勘定所江可指出候尤役人中申付置候
　　　　　　　　以上
　　　　　　　　　　申八月
　　　　　　　　　　　〆
　　　　　　　　　　　　　　　　　　御作事方
　　　　　　一　御作事方新御普請所者不申及御城廻其



一　

　　　　　　　　外所々破損繕所之儀只今迄も麁末成儀有
　　　　　　　　之間敷候得共猶以今度急度御改ニ候間此以後
　　　　　　　　御入用随分減候様ニ可被相心得候惣而御作事ニ入候
　　　　　　　　竹木釘鉄物其外諸色并諸職人入方共ニ遂
　　　　　　　　吟味夫々御普請場所ニ而つかひ候諸色随分
　　　　　　　　軽御入増ニ成不申候様ニ役人末々迄其心得可
　　　　　　　　相勤候尤月々請払共ニ増減者可有之候得共
　　　　　　　　壱ヶ年之御入用ニ至而只今迄之御金高ニ成
　　　　　　　　候而者御勝手取続難被成依之今度御改
　　　　　　　　被　仰渡儀ニ候間其心得を以随分被相考各
　　　　　　　　了簡ニ難及儀者昼夜ニ不限奉行中江被相談
　　　　　　　　其上壱月之御入用当九月ゟ月々委細元払
　　　　　　　　金高ニ相記翌月三日迄ニ御勘定所江可被指出候
　　　　　　　　尤役人申付置候以上
　　　　　　　　　　申八月
　　　　　　　　　　　〆
　　　　　　　　　　　　　　　　　津田藤蔵
　　　　　　　　　　　　　　　　　岸　茂左衛門

　　　　　　一　御鷹方支配諸事御用只今迄も其心得可有
　　　　　　　　之候得共猶以今度諸役所急度御改ニ候間此
　　　　　　　　以後弥御費無之様ニ可被申付候尤人足等之儀も
　　　　　　　　減候様ニ御寄場等之御普請等之儀人足減候様ニ
　　　　　　　　被相考可被申付候各了簡ニ難及儀も候ハヽ夫々江
　　　　　　　　被相伺其上奉行中江可被遂相談候以上
　　　　　　　　　　申八月
　　　　　　　　　　　〆
　　　　　　　　　　　　　　　　　　東郷門大夫

　　　　　　一　御鵜方支配諸事之御用只今迄も其心得
　　　　　　　　可有之候得共猶以今度諸役所急度御改ニ
　　　　　　　　候間弥此以後諸事御費無之様ニ可被申付候
　　　　　　　　尤時々渡り人其外人足等之儀減候様ニ可被
　　　　　　　　申付候自分了簡ニ難及儀も候ハヽ夫々江被相伺
　　　　　　　　其上奉行中江可被遂相談候以上
　　　　　　　　　　申八月
　　　　　　　　　　　〆
　　　　　　　　　　　　　　　　　　御祐筆部屋

　　　　　　一　於御祐筆部屋御用之諸紙遣方之儀只今迄も
　　　　　　　　其心得ハ可有之候得共近年別而紙高直其上
　　　　　　　　大分之紙高ニ相聞へ候間此以後随分紙麁末ニ
　　　　　　　　不成様ニ可被相心得候尤今度諸役所急度御改
　　　　　　　　有之随分御入用減候様ニと被　仰渡候間只今ゟ
　　　　　　　　者猶以御祐筆部屋ニ而御用かきそん之外御費ニ不
　　　　　　　　成様ニ相心得尤御書紙等書損之反古御祐
　　　　　　　　筆部屋坊？主麁末ニ不仕取集指置可申候諸紙
　　　　　　　　御納戸ゟ請取儀も此以後時々奉行中裏判手
　　　　　　　　形を以受取可被申候尤月々御入用高吟味有
　　　　　　　　之筈ニ候間其節右取集反古等御勘定所江
　　　　　　　　指出候様ニ□主共可被申渡候則於御勘定所
　　　　　　　　諸役所月々御入用吟味之役人申付置候以上
　　　　　　　　　　申八月
　　　　　　　　　　　〆
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　御膳番中
　　　　　　一　御膳方諸事御入用御費無之様ニ只今迄も
　　　　　　　　其心得可有之候得共猶以今度諸役所急度

　　　　　　　　御改ニ候間弥此以後諸事念を入御相伴等之
　　　　　　　　儀も吟味之上御費無之様ニ可被申付候何ニ不
　　　　　　　　寄不時之御物入有之節者奉行中江可被遂
　　　　　　　　相談候御台所月々御入用増減一ヶ月切御台
　　　　　　　　所方役人手前吟味有之筈ニ候以上
　　　　　　　　　　申八月
　　　　　　　　　　　〆
　　　　　　　　　　　　　　　　　　奥御納戸
　　　　　　一　奥御納戸方支配御召類之諸色只今迄も
　　　　　　　　其心得者可有之儀ニ候得共猶以今度諸役所
　　　　　　　　急度御改ニ候間此以後御召類仕込物等ニ付随
　　　　　　　　分御入用減候様ニ被相心得自然各了簡ニ難
　　　　　　　　及儀も候ハヽ夫々江被相伺其上奉行中江も可被
　　　　　　　　遂相談候尤月々増減者可有之候得共壱ヶ年
　　　　　　　　之御入用ニ至而只今迄之御金高ニ成候而者
　　　　　　　　御勝手御取続難被成依之今度御改被　仰渡
　　　　　　　　儀候間其心得を以被相考候尤壱月之御入
　　　　　　　　用当九月ゟ月々委細ニ元払金高相記翌月

　　　　　　　　三日迄ニ御勘定所江可被指出候尤役人申付置候
　　　　　　　　以上
　　　　　　　　　　申八月
　　　　　　　　　　　〆
　　　　　　　　　　　　　　　　　御腰物方
　　　　　　一　御腰物方支配之諸色只今迄其心得者可有之
　　　　　　　　候得共猶以今度諸役所急度御改ニ候間此以後
　　　　　　　　御用ニ付被召上候諸色随分御入用減候様ニ被相心得
　　　　　　　　自然各了簡ニ難及儀も候ハヽ夫々江被相伺其上
　　　　　　　　奉行中江も可被遂相談候尤月々増減者可有之候得共
　　　　　　　　一ヶ年之御入用ニ至而只今迄之御金高ニ成候而者御勝
　　　　　　　　手御取続難被成依之今度御改被　仰渡儀ニ候間
　　　　　　　　其心得を以可被相考候尤一月之御入用当九月ゟ月々
　　　　　　　　委細ニ元払金高相記翌月三日迄ニ御勘定所江
　　　　　　　　可被指出候尤役人申付置候以上
　　　　　　　　　　申八月
　　　　　　　　　　　〆
　　　　　　　　　　　　　　　　　　御裏方

　　　　　　　　　　　　　　　御鳥部屋方
　　　　　　一　御裏并御鳥部屋御用之諸色吟味之儀只
　　　　　　　　今迄も其心得可有之候得共猶以今度諸役所
　　　　　　　　急度御改ニ候間此以後弥諸事被致吟味可被
　　　　　　　　申付候御植木覆諸事御庭方御用人足等之
　　　　　　　　儀も御入用減候様ニ可被申付候諸役人手前月々
　　　　　　　　御入用之増減一ヶ月切御吟味有之筈ニ候
　　　　　　　　惣而諸役所只今迄之通壱ヶ年之御入用御金
　　　　　　　　高ニ成候而者御勝手御取続難被成付今度御改
　　　　　　　　被　仰渡儀ニ候間其心得を以可被申付候諸事
　　　　　　　　奉行中江相談之上可被申付候以上
　　　　　　　　　　申八月
　　　　　　　　　　　〆
　　　　　　　　　　　　　　　御納戸方
　　　　　　一　仕立払共ニ御納戸御召類并御進物其外諸色
　　　　　　　　仕込諸色払共ニ只今迄指而麁末成儀者有之
　　　　　　　　間敷候得共猶以今度急度御改ニ候間此以後御入
　　　　　　　　用随分減候様ニ可被相心得候尤月々仕込払共ニ

　　　　　　　　増減者可有之候得共壱ヶ年之御入用ニ至而只
　　　　　　　　今迄之御金高及候而者御勝手御取続難被成
　　　　　　　　依之今度御改被　仰渡儀ニ候間其心得を以随
　　　　　　　　分被相考各了簡ニ難及儀者昼夜ニ不限奉行
　　　　　　　　中江被相伺其上壱ヶ月之御入用九月ゟ月々
　　　　　　　　委細ニ元払金高ニ相記翌月三日迄ニ御勘定所江
　　　　　　　　可被指出候尤役人申付置候以上
　　　　　　　　　　申八月
　　　　　　　　　　　〆
　　　　　　　　　　　　　　　　　高橋吉兵衛
　　　　　　一　二ノ丸御花檀并御得絵方御用只今迄も諸事
　　　　　　　　御費無之様ニ其心得可有之事ニ候得共猶以
　　　　　　　　今度諸役所急度御改ニ候間此以後弥諸事
　　　　　　　　御費無之様ニ被相心得諸事奉行中江相談
　　　　　　　　之上諸事御入用減候様ニ可被申付候御庭方御植
　　　　　　　　木覆人足等御費無之様ニ了簡之上可被申付候
　　　　　　　　諸役所壱ヶ年之御入用金高只今迄之御金
　　　　　　　　高ニ成候而者御勝手御取続難被成候ニ付今度

　　　　　　　　御改被　仰渡月々之諸役所一ヶ月之御入用当九月ゟ
　　　　　　　　委細御吟味有之筈ニ候間其心得を以諸事可
　　　　　　　　被申付候以上
　　　　　　　　　　申八月
　　　　　　　　　　　〆
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　御茶道
　　　　　　一　御茶方諸事御用之儀只今迄も其心得可
　　　　　　　　有之儀ニ候得共猶以今度諸役所急度御改ニ
　　　　　　　　候間此以後弥被入念御茶麁末ニ成不申候様ニ
　　　　　　　　被申付其外御茶方御道具手置或軽キ御道具
　　　　　　　　ニ而も相調候節者奉行中江遂相談調可被申候只
　　　　　　　　今迄之通御入用御金高ニ成候而者御勝手御取続
　　　　　　　　難被成付今度御改諸役所江被　仰渡月々之
　　　　　　　　御入用当九月ゟ諸役人之手前壱ヶ月切御入
　　　　　　　　用御吟味之筈ニ候間其心得を以御費無之
　　　　　　　　様ニ可被申付候以上
　　　　　　　　　　申八月
　　　　　　　　　　　〆

　　　　　　　　　　　　　　　　　諸役人
　　　　　　一　諸役方諸事支配ニ付只今迄も麁末成儀者
　　　　　　　　有之間敷候得共猶以今度急度御改ニ候間此
　　　　　　　　以後御入用随分減候様ニ可被相心得候惣而諸役所
　　　　　　　　被召上候諸色遂吟味随分御入増ニ成不申候様ニ
　　　　　　　　支配之者共も其心得を以可相勤候尤月々請払
　　　　　　　　共ニ増減者可有之候得共壱ヶ年之御入用ニ至而
　　　　　　　　只今迄之御金高ニ成候而者御勝手御取続難相
　　　　　　　　成依之今度御改被　仰渡儀ニ候間無油断随
　　　　　　　　分被相考了簡ニ難及儀者昼夜ニ不限此方江
　　　　　　　　相達其上壱月之御入用当九月ゟ月々委細ニ
　　　　　　　　元払金高ニ相記翌月三日迄ニ御勘定所江
　　　　　　　　可被指出候尤役人申付置候以上
　　　　　　　　　　申八月
　　　　　　　　　　　〆
　　　　　　　　　　　　　　　　　　本多武兵衛
　　　　　　一　京都御買物諸色尤只今迄も其心得者可有
　　　　　　　　之儀ニ候得共猶以今度諸役所急度御改ニ

　　　　　　　　候間此以後御納戸物之分ハ不申及其外御買物并
　　　　　　　　諸雑用渡方御入用随分減候様可被相心得候仮
　　　　　　　　令御召類其外ともニ直段高直成物自分
　　　　　　　　了簡ニ難及儀も候ハヽ其節之様子ニゟ江戸
　　　　　　　　御国奉行中江被遂相談可被相調候惣而壱ヶ　　　　　　　　年之御入用只今迄之御金高ニ成候而者御勝手
　　　　　　　　御取続難被成依之今度御改被　仰渡儀ニ候間
　　　　　　　　其心得を以可被相考候尤壱月之御入用当九　　　　　　　　月ゟ月々委細元払金高并諸雑用共ニ帳
　　　　　　　　面ニ相記翌月御国御勘定所迄可被指出候尤
　　　　　　　　役人申付置候以上
　　　　　　　　　　申八月
　　　　　　　　　　　〆
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　御馬方
　　　　　　一　御馬方支配之諸色只今迄も其心得者可有
　　　　　　　　之候得共猶以今度諸役所急度御改ニ候間此
　　　　　　　　以後御用ニ付被召上候諸色并御馬道具之破　　　　　　　　損繕等随分御入用減候様ニ被相心得自然各了

　　　　　　　　簡ニ難及儀も候ハヽ夫々江被相伺其上奉行中江も
　　　　　　　　可被遂相談候尤月々増減者可有之候得共一ヶ年
　　　　　　　　之御入用ニ至而只今迄之御金高ニ成候而者御勝手
　　　　　　　　御取続難被成依之今度御改被　仰渡儀ニ候間
　　　　　　　　其心得を以可被相考候尤一月之御入用当九月ゟ
　　　　　　　　月々委細ニ元払金高ニ相記翌月三日迄ニ御勘定
　　　　　　　　所江可被指出候尤役人申付置候以上
　　　　　　　　　　申八月
　　　　　　　　　　　〆
　　一　八月廿六日《割書：六時｜過》将軍　宣下相済候為御祝儀　御登
　　　　城《割書：御直｜垂》御太刀馬代《割書：黄金｜十両》御献上於御白書院年始御規式
　　　　之通御三家方御次ニ御着座ニ而御礼被　仰上《割書：去廿一日｜御触達》
　　一　八月廿七日去廿二日於御老中井上河内守《割書：正｜岑》殿年中御献
　　　　上物之儀書付指出候様覚え被申聞候ニ付御留守居宮北長左衛門《割書：定｜由》
　　　　左之通書付持参指出之
　　　　　　　　　　覚
　　　　　　《割書：在府｜在国》　年中献上物
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守

　　　　　　　　　　御太刀一腰
　　　　　　　　　　綿弐百把
　　　　　　　　　　白銀三百枚
　　　　　　　　右参勤御礼申上候節致献上候
　　　　　　　　　在所之物
　　　　　　　　　　五色奉書紙十束
　　　　　　　　右参勤御礼申上候以後為土産差上
　　　　　　　　　在所之物
　　　　　　　　　　初鯖三十刺一箱
　　　　　　　　右毎年五月指上
　　　　　　　　　在所之物
　　　　　　　　　　索麪千把一箱
　　　　　　　　　　干鯛　　一箱
　　　　　　　　右毎年暑気之節差上
　　　　　　　　　　黄金壱枚
　　　　　　　　右温生見玉之為御祝儀毎年差上
　　　　　　　　　在所之物
　　　　　　　　　　初鱈三
　　　　　　　　右毎年七八月頃差上
　　　　　　　　　在所之物
　　　　　　　　　　生鱈三宛

　　　　　　　　右寒中両度毎年差上
　　　　　　　　　　鯛　一折
　　　　　　　　右若菜之為御祝儀毎年差上
　　　　　　　　　　御肴一種宛
　　　　　　　　右在府之節毎月朔日十一日十五日十八日為
　　　　　　　　御精進解生肴或干肴差上申候
　　　　　　　　　在所之物
　　　　　　　　　　奉書紙三十束
　　　　　　　　　　昆布　一箱
　　　　　　　　　　鯣　　一箱
　　　　　　　　　　御樽　一荷
　　　　　　　　右在着為御礼以使者指上之
　　　　　　　　　　干肴　一箱　暑気之節
　　　　　　　　　　干肴　一箱　寒気之節
　　　　　　　　右在所ゟ為伺御機嫌使者指出候節差上
　　　　　　　　　　干肴　一箱
　　　　　　　　右従在所毎月為伺御機嫌飛札差出候其節
　　　　　　　　御肴ハ隔月ニ差上申候

　　　　　　　　　　以上
　　　　　　　　但右御書付之内御参勤并生見玉若菜御献
　　　　　　　　　上之儀者相除指出候様御指図ニ付認置再指出候
　　　　　　　　　得共不記之
　　一　八月廿八日　将軍　宣下御規式相済候ニ付京都所司代
　　　　水野和泉守《割書：忠｜之》殿江御書被遣之
　　一　八月廿九日増上寺　御霊屋江　御参詣夫ゟ御普請場江
　　　　為御見分　御出被成
　　一　同日於江戸御家老狛伊勢《割書：澄｜孝》本多修理《割書：恒｜久》并荻野孫右衛門《割書：政｜封》
　　　　列座ニ而御膳番御腰物方を初役々江左之通書付を以申
　　　　渡之
　　　　　　　　　覚
　　　　　　　　今度御普請御手伝就被　仰出候御入用高過
　　　　　　　　分候依之常御入用共最前御簡略之儀被　仰
　　　　　　　　出候得共猶又諸御用之儀縦急御用在之候共
　　　　　　　　御奉行共江申達相談之上事相極候様ニ可被
　　　　　　　　申談候向後壱ヶ月之御入用高積在之毎月
　　　　　　　　相改増減吟味之上相談有之筈候間随分御入

　　　　　　　　増無之様相考可申旨被　仰出候以上
　　　　　　　　　　八月
　　一　九月朔日増上寺
　　　　有章院様　御霊屋御棟札之儀ニ付御老中久世大和守《割書：重｜之》殿江
　　　　御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》を以左之通御書付被指
　　　　出之
　　　　　　　　今度増上寺
　　　　　　　　有章院様御霊屋御普請御手伝被
　　　　　　　　仰付難有奉存候就夫私家代々結構之御取
　　　　　　　　扱ニ被成下候
　　　　　　　　御厚恩之程難有仕合奉存候然処兄越前守
　　　　　　　　綱昌儀三十一年以前迄相勤候其節も越前国一
　　　　　　　　円者不被下置候得共　御判物　御内書ニも
　　　　　　　　越前少将と披成下候其上　御筋目を以登
　　　　　　　　城之節惣下座被　仰付候綱昌病気ニ付貞享
　　　　　　　　三寅年領知被減再兵部大輔江被　仰付其節ゟ
　　　　　　　　御判物　御内書ニも越前之二字被指除登
　　　　　　　　城之節下座も不被　仰付候此度右　御霊屋江

　　　　　　　　定而御棟札可被　仰付と奉存候左候者私官名も
　　　　　　　　御記可被下と奉存候候右官名江越前之二字前々
　　　　　　　　之通御加被遊被下候様ニ奉願候此等之趣可然様
　　　　　　　　奉願候以上
　　　　　　　　　　八月　　　　　　　　松平伊予守
　　　　　　　　　　　〆
　　　　　　　　　　　　覚
　　　　　　　　《割書：家康公御二男岡崎｜三郎信康公御次》　　　　　　《割書：参河守｜》　
　　　　　　　　　　高六拾七万石　　　　中納言秀康
　　　　　　　　慶長五年《割書：庚》子十一月越前国拝領

　　　　　　　　　　　　　　　　　　秀康嫡子　参河守
　　　　　　　　　　高同断　　　　　　　宰相忠直
　　　　　　　　慶長十二年《割書：丁｜》未年家督無相違拝領故有之
　　　　　　　　豊後国江蟄居

　　　　　　　　　　　　　　　　　　秀康次男　　宰相
　　　　　　　　　　高五拾弐万五千石　　松平伊予守忠昌

　　　　一　寛永元年《割書：甲｜》子越前国拝領之秀康遺跡
　　　　　　相続之趣　上使土井大炊頭殿を以被　仰出家来



　　　　　　本多伊豆守を始其外数輩忠昌江可相勤旨
　　　　　　上意之趣有之
　　　　　　　　此時迄於越後高田弐拾五万石被下越後少将と披成下候
　　　　一　同二年《割書：乙｜》乙丑於上野国之内鷹場被下之
　　　　一　同三年《割書：丙｜》寅　御上洛ニ付忠昌上京被任正四位
　　　　　　参議
　　　　一　同九年《割書：壬｜》申八月越前ゟ江戸江罷通女御関所
　　　　　　罷通事家老共判形を以可通旨御老中ゟ奉
　　　　　　書来ル
　　　　一　同十四年《割書：丁｜》丑肥前国天草嶋原一揆歳を超而
　　　　　　の時忠昌発向仕度旨願之処
　　　　　　家光公　上意願之所存　御感被成候得共嶋原
　　　　　　一揆程之儀ニ被指向ニ不及候若可被成御動座程
　　　　　　之事有之者其節者為　御名代可被指向之
　　　　　　旨依之重而願不申上
　　　　一　国元江　上使林丹波守殿を以御鷹之鶴拝領
　　　　　　　　此以後在世中被下之
　　　　一　同二十年《割書：癸｜》未五月国元江御暇被　仰出節

　　　　　　上使阿部豊後守殿を以大鷹三居御馬一疋銀千
　　　　　　枚時服百拝領之
　　　　一　年始　御相伴被　仰付并登　城之節惣下座
　　　　一　御判物御内書御書き判越前宰相と披成下
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　此外略之

　　　　　　　　　　　　　　　　忠昌嫡子　　　少将
　　　　　　　高同断　　　　　　　　松平越前守光通
　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　右高之内　　　　　忠昌次男
　　　　　　　　　　五万石　　　　　松平中務大輔昌勝　
　　　　　　　　　　　　　　　　　同　三男
　　　　　　　　　　弐万五千石　　　松平兵部大輔吉品
　　　　一　国元江御暇之節　上使御老中銀千枚御袷百
　　　　　　御鷹二居御馬一疋拝領家来一人　御目見
　　　　　　時服四《割書：共ニ御紋紅裏添｜》御羽織《割書：御紋｜》被為頂戴
　　　　一　在府中拝領物御鷹之鷭同雲雀同鶴在国
　　　　　　之節も御鷹之鶴宿次奉書を以拝領之
　　　　一　年始御相伴并登　城之節惣下座如先規
　　　　一　御判物　御内書越前少将と披成下
　　　　　　　　　　　　　　越前守光通養子　少将
　　　　　　　　高同断　　　　　　松平兵部大輔吉品

　　　　　　一　延宝ニ年《割書：甲｜》寅四月奉書を以被為召五月
　　　　　　　　越前守願之通家督無相違被　仰付
　　　　　　一　同三年《割書：乙｜》卯閏四月吉品初而国許江之御暇被
　　　　　　　　仰出　上使稲葉美濃守殿を以銀千枚御袷百
　　　　　　　　御鷹二居御馬一疋拝領之家来一人　御目見
　　　　　　　　御紋時服四御羽織如先規被為頂戴
　　　　　　一　年始御相伴并登　城之節惣下座其外如先規

　　　　　　　　　　　　　　　実ハ右中務大輔昌勝嫡子
　　　　　　　　　　　　　兵部大輔養子　　　　　少将
　　　　　　　　　高同断　　　　　　　松平越前守綱昌
　　　　　　一　延宝四年《割書：丙｜》辰七月願之通兵部大輔隠居被
　　　　　　　　仰付家督無相違被下
　　　　　　一　同年十二月来年頭之御規式　御相伴如先
　　　　　　　　規被　仰付
　　　　　　一　同五年《割書：丁｜》巳四月国元江初而御暇上使土屋但馬守殿
　　　　　　　　拝領物家来　御目見等先規之通
　　　　　　一　同八年《割書：庚｜》申八月被任少将
　　　　　　一　年始御相伴并登　城之節惣下座如先規
　　　　　　一　貞享三年《割書：丙｜》寅閏三月病気ニ付蟄居被



　　　　　　　　仰付
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　少将
　　　　　　　　　高弐拾五万石　　　　松平兵部大輔吉品
　　　　　　一　貞享三年《割書：丙｜》寅閏三月綱昌病気ニ付高被減先
　　　　　　　　規之城地其儘御預ヶ再相勤
　　　　　　　　　此時同氏中務大輔拝知別二成ㇽ
　　　　　　一　同年四月自先規拝知之鷹場御取上ヶ
　　　　　　一　同年十一月御鷹之鶴拝領
　　　　　　一　同四年《割書：丁｜》卯五月　上使阿部豊後守殿を以御暇
　　　　　　　　被　仰出銀三百枚御袷三十御馬一疋拝領之
　　　　　　一　元禄九年《割書：丙｜》子十二月被任少将
　　　　　　一　同十五年《割書：壬｜》午十一月被為　召葵御紋可致着
　　　　　　　　用旨被　仰出
　　　　　　一　同年十二月来年頭之御規式如先規着座
　　　　　　　　御相伴被　仰付
　　　　　　一　同十六年《割書：癸｜》未四月　上使稲葉丹後守殿を以
　　　　　　　　御暇被　仰出銀五百枚時服五十御馬一疋拝領之
　　　　　　　　御礼之節家来一人　御目見御袷四被為
　　　　　　　　頂戴

　　　　　　　　　此時ゟ数減尤御紋付不被下
　　　　　　一　同年四月長刀為持可申旨被　仰出
　　　　　　一　御内書被下置候節此時ゟ越前之二字被指除
　　　　　　　　福井少将ㇳ被成下候尤惣下座も不被　仰付候
　　　　　　一　宝永七年《割書：庚｜》寅七月願之通隠居被　仰付家
　　　　　　　　督無相違被　仰付
　　　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守吉邦

　　一　九月二日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　一　九月三日御手伝御普請場江為御見分　御出被成
　　一　九月十一日御登　城　将軍　宣下御祝儀之御能御見物
　　　　御饗応御頂戴被成
　　一　九月十二日右同断御能御見物之為御礼御登　城《割書：去七日｜御触達》
　　一　九月十五日御老中久世大和守《割書：重｜之》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　　　　十郎左衛門《割書：定｜由》罷出候処今度　御代替ニ付　御判物御朱印
　　　　被下之儀ニ付御書付被相渡之
　　　　　　但右御書付者宝永七寅年　御判物御頂戴之節之
　　　　　　　御書付と同様ニ付不記之

　　一　九月十六日御朱印御用掛朽木民部少輔《割書：植｜元》殿石川近江守《割書：総｜茂》殿江
　　　　御使者御使番被遣之《割書：昨十五日久世｜大和守殿御指図》
　　一　九月十八日高屋善右衛門《割書：長｜英》病気大切ニ付為御尋御書
　　　　被下之
　　一　九月廿二日御用番戸田山城守《割書：忠｜真》殿江御逢対
　　　　増上寺御普請場江　御出被成
　　一　九月廿三日御手伝御普請場江為御見分　御出被成
　　一　九月廿七日右同断御普請場江　御出被成
　　一　九月晦日増上寺御仏殿江　御参詣夫ゟ御普請場江
　　　　御出被成
　　一　同日御老中久世大和守《割書：重｜之》殿ゟ御呼出御留守居宮北十郎衛門《割書：定｜由》増上寺
　　　　罷出候処
　　　　有章院様　御仏殿江銅燈籠御献上之儀左之通御書付
　　　　を以被申渡之
　　　　　　　　　増上寺
　　　　　　　　　有章院様　御仏殿江銅燈籠可被献之候
　　　　　　　　　寸法等之儀者去巳年之通可被心得候
　　　　　　　　　　右来年二月上旬迄出来候様可被致候以上

　　　　　　　　

　　　　　　　　九月
　　一　十月七日　将軍　宣下御振廻之儀ニ付大目付中ゟ左之通
　　　　御廻状来
　　　　　　　　　　　覚
　　　　　　一　老中振廻之節勝手座敷江通され候儀可為
　　　　　　　　無用事
　　　　　　一　玄関前掛廊下可為無用事
　　　　　　　　　附
　　　　　　　　　　雨天之節者玄関前手傘可用事
　　　　　　一　門内莚者敷せ候とも薄縁者可為無用事
　　　　　　一　座敷飾之書付出し候儀可為無用事
　　　　　　一　勝手江相詰候親類中其外之面々名書付出し
　　　　　　　　候儀者只今迄之通にて可然候事
　　　　　　　右之通より〳〵可被相達候以上
　　　　　　　　十月
　　一　十月十三日
　　　　有章院様　御位牌御国運正寺江御安置ニ付右　御法号
　　　　御先物頭本多十郎兵衛《割書：重｜安》江守護被　仰付今日江戸御屋敷出立
　　一　十月十四日今度　女御御入　内之節
　　　　　　　　　　　

　　　　禁裏御所并　女御御方江御献上物之儀ニ付大目付中ゟ
　　　　御廻状来
　　一　十月十五日増上寺　御霊屋御建形始ニ付為御見分
　　　　御出被成
　　一　十月十六日増上寺　御霊屋御普請御手伝御勤ニ付勝
　　　　山御上納銀之儀当年者御上納不被成段御勘定組頭江
　　　　被　仰入候処御延引可被成旨被申聞之
　　一　十月十九日御手伝御普請場江為御見分　御出被成
　　一　十月廿一日重陽御祝儀御献上ニ付而之御内書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　十月廿二日右同断ニ付　御登　城　御代初而　御内書御頂
　　　　戴之御礼被　仰上《割書：昨廿一日大目付中｜御達》
　　一　十月廿四日《割書：四半｜時》御手伝御普請場江為御見分　御出被成
　　一　同日
　　　　有章院様　御法号御先物頭本多十郎兵衛《割書：重｜安》道中守
　　　　護今日福井江着直ニ運正寺江罷出相納之其節御家老初
　　　　御役人相詰
　　一　十月廿五日御老中井上河内守《割書：正｜岑》殿江御逢対　御勤

　　一　十月廿六日御用番久世大和守《割書：重｜之》殿江御逢対
御勤
　　一　十月廿八日御不快ニ付　御登　城御断
　　一　十月晦日於運正寺
　　　　有章院様　御位牌御安置之御供養有之
　　一　十一月二日　女御　御入　内ニ付為御祝儀御使者太田三弥
　　　　京都江被指出之
　　　　禁裏御所江御太刀馬代《割書：黄金｜二十両》　女御御方江白銀十枚
　　　　被献之三弥今日福井出立
　　一　十一月五日今度　御判物御頂戴之儀ニ付御老中阿部
　　　　豊後守《割書：正｜喬》殿江御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》を以左之通
　　　　御願書被指出之
　　　　　　　　今度就
　　　　　　　　御代替　御判物可被為頂戴之旨就夫私家代々
　　　　　　　　以御筋目結構被　仰付　御判物　御内書名　
　　　　　　　　所越前少将と被成下候三十一年以前迄相勤候
　　　　　　　　兄越前守綱昌時分迄右之通被成下先格之通
　　　　　　　　其砌迄登　城之節惣下座被　仰付候右越前守
　　　　　　　　儀越前国一円者不被下置候得共　御判物

　　　　　　　　御内書ニも前々之通越前少将と被成下候然処
　　　　　　　　綱昌病気付貞享三寅年高被減再同氏
　　　　　　　　兵部大輔江被　仰付　御判物　御内書ニも越
　　　　　　　　前之二字被指除福井少将と被成下候尤登　城
　　　　　　　　之節惣下座其節ゟ不被　仰付候此外者先格之
　　　　　　　　通段々結構被　仰付難有仕合奉存候此度
　　　　　　　　御判物頂戴之節前々通名所越前之二字
　　　　　　　　被指加被下候様ニ奉願候等之趣宜様奉願候以上
　　　　　　　　　　十一月五日　　　　　　松平伊予守
　　一　同日右同断被指出候ニ付　御棟札之儀尚又御老中久世
　　　　大和守《割書：重｜之》殿江御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》を以左之通
　　　　御書付被指出之
　　　　　　　　今度　御判物被為頂戴候付名所越前之二
　　　　　　　　字前々之通被指加被下候様ニ御用懸り阿部
　　　　　　　　豊後守殿迄願申上置可然可有御座哉と先頃
　　　　　　　　御内意相窺申候処相願可然被思召候旨被仰
　　　　　　　　下候依之今朝右願豊後守殿迄指出申候就
　　　　　　　　夫先達而　御棟札之名所其許様迄相願置

　　　　　　　　申候通弥以被懸御心可被下候偏奉願候以上
　　　　　　　　　　　十一月五日　　　　　松平伊予守
　　一　十一月六日御手伝御普請場江為御見分御出被成
　　一　十一月十六日今度　御判物御頂戴之儀ニ付　御判物御用
　　　　掛り朽木民部少輔《割書：植｜元》殿石川近江守《割書：総｜茂》殿江御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》
　　　　左之通書付持参指出之
　　　　　　今度就
　　　　　　御代替　御判物被為頂戴候間領分之郷村高
　　　　　　辻帳指上申候様ニ被　仰出候就夫家代々領分
　　　　　　之高辻帳指上候節家老共名印を以指上来候
　　　　　　後越前守綱昌時分迄右之通御座候然処六年
　　　　　　以前卯年　御判物被下候付領分之郷村帳
　　　　　　可指上旨被　仰出則指上申候高被減候以後伊予守
　　　　　　初而郷村帳指上候其節大久保加賀守様右御用
　　　　　　御懸りニ而御座候付先規之段々委細ニ申上候処
　　　　　　御聞被置候由御挨拶ニ御座候然処外之御帳も
　　　　　　段々上り最早伊予守帳面迄ニ罷成候得共何之

　　　　　　　　御沙汰も無御座候延々ニ罷成候付安藤右京亮様江
　　　　　　　　も右之段申上置候其以後右京亮様ニ而被仰渡候
　　　　　　　　者此度者先直名印ニ而可指上旨被仰渡候付此
　　　　　　　　上願被申上候而者弥延々ニ罷成候付任御指図先
　　　　　　　　直名印ニ而指上被申候此度　御判物被為
　　　　　　　　頂戴候付前々之通高辻帳指上申候右ニ申上候
　　　　　　　　通代々家老共名印ニ而指上来候此等之趣各様
　　　　　　　　迄申上置度如此御座候御席之節宜様ニ被仰
　　　　　　　　上可被下奉頼候以上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守内
　　　　　　　　　　十一月十六日　　　　大関新五左衛門
　　一　十一月十九日　女御　御入　内之為御祝儀惣出仕ニ付
　　　　御登　城《割書：昨十八日｜御触達》
　　一　十一月廿二日御老中阿部豊後守《割書：正｜喬》殿江　御出御逢対被成
　　　　夫ゟ御普請場江為御見分　御出被成
　　一　同日　御判物御用掛朽木民部少輔《割書：植｜元》殿石川近江守《割書：総｜茂》殿ゟ
　　　　御留守居江左之通御切紙来
　　　　　　　　　御判物　御朱印并写領知目録同写明廿三日

　　　　　　　　五半時近江守宅江持参可有之候以上
　　　　　　　　　　十一月廿二日　　　　石　　近江守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　朽　　民部少輔

　　　　　　　　　　　　松平伊予守殿
　　　　　　　　　　　　　　　　　留守居中
　　一　十一月廿三日　御判物　御書出御領知目録共写相添御家老
　　　　本多修理《割書：恒｜久》持参《割書：御留守居宮北｜十郎左衛門同道》石川近江守《割書：総｜茂》殿江指出之
　　一　十一月廿五日御老中阿部豊後守《割書：正｜喬》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　　　　十郎左衛門《割書：定｜由》罷出候処寺社　御朱印之儀ニ付左之通御書付
　　　　被相渡之
　　　　　　　　　　　覚
　　　　　　　　御朱印頂戴之寺社之輩不依寺社領之多
　　　　　　　　少境内計之雖為
　　　　　　　　御朱印於令所持者　御朱印可被下之間御料
　　　　　　　　私領に在之寺社領　御朱印ニ写を差添来
　　　　　　　　酉正月より三月迄之内江戸江致持参朽木民部少輔
　　　　　　　　石川近江守所江相達候様可被触之候以上

　　　　　　　　　　申十一月
　　一　十一月晦日増上寺江　御参詣夫ゟ御普請場江為御見分
　　　　御出被成
　　一　十二月五日寒中ニ付　御機嫌為御伺御用番く久世大和守《割書：重｜之》殿江
　　　　御勤
　　一　十二月七日御手伝御普請場江為御見分　御出被成
　　一　十二月十一日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被献之
　　一　十二月十四日増上寺　御仏殿江御参詣夫ゟ御普請場江
　　　　為御見分　御出被成
　　一　十二月十五日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：二｜番》生鱈
　　　　被献之
　　一　十二月十八日大目付中ゟ御鷹居通り候節往来之者下馬
　　　　致し候者も有之様ニ相聞候間向後下馬ニ不及旨御廻状来
　　一　十二月十九日御手伝御普請場江為御見分　御出被成
　　一　十二月廿一日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　一　十二月廿四日増上寺御仏殿江御参詣夫ゟ御普請場江
　　　　為御見分　御出被成




　　　　（裏表紙）

家譜

【表紙】
【題箋】
《題：家譜《割書：吉品公》《割書：従貞享三年閏三月｜到同四年》　十六》

吉品様《割書：従貞享三年丙寅閏三月｜至同四年丁卯》

昌親様御再勤　此年七月昌明￣ト御改
　　吉品様　　宝永元年　御一字御拝領
　　　　　　　吉品￣ト御改

綱吉様御代
　貞享三年丙寅
　　一　閏三月六日依召　御登城《割書：四時｜前》出羽守《割書：綱｜近》様大和守《割書：直｜矩》様
　　　　若狭守《割書：直｜明》様￣ニ￣も御登城被成候処《割書：昨五日御切紙｜御到来》於御黒書院
　　　　御廊下御老中《割書：并》御側御用人牧野備後守《割書：成｜貞》殿列座
　　　　上意之趣大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿御達有之

　　　　上意之趣
　　　　　去頃彦坂壱岐守を以越前守病気之様子
　　　　　御尋之処気色不宜趣達
　　　　　上聞御大法有之ニ付領分被召上旨
　上意之趣奉得其意候追付越前守江為申聞国許江も
　早々可申遣旨
　昌親様御請被仰上其節加賀守殿左之通
　上意之趣御達有之
　　　　　上意之趣
　　　　　　兵部大輔両人之儀御筋目有之ニ付
　　　　　　新規ニ二十五万石被仰付則福井之城
　　　　　　御預被遊旨
　阿部豊後守《割書：正｜武》殿又々左之通御達有之
　　　　　　越前守江存生之内二万俵被下置旨
　右御礼被仰上備後守殿御取合有之御退去夫ゟ為
　御礼御老中御側御用人若年寄中御側衆江
　御廻勤
一閏三月六日右同政断ニ付瀧主計《割書：明｜矩》石川宗左衛門《割書：成｜政》早駆ニ而
　御国許江被遣之

一閏三月九日
　綱昌様江御頂戴之御判物御領知御目録共御返上
　可被成旨彦坂壱岐守《割書：重｜紹》殿を以御伺被成今朝壱岐守殿江
　御出右御判物御目録共壱岐守殿江御渡被成
一同月十一日彦坂壱岐守《割書：重｜紹》殿御越御用之儀被仰談其節
　家綱様ゟ
　光通様江御頂戴之御判物并御領知御目録共壱岐守殿江
　御渡被成
一同日江戸表ゟ之御使瀧主計《割書：明｜矩》石川宗左衛門《割書：成｜政》福井江着
　於月番御家老斉藤民部《割書：定｜之》宅本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老并
　御城代江去六日被仰出候上意并御請之趣演説之
　畢而同席狛拾十大夫《割書：雅｜陣》酒井孫四郎《割書：元｜宜》江も同人申渡之
　相済即刻高知ゟ以下諸士之面々呼出右之趣民部
　申渡之
一同日両町奉行郡奉行江町并在々江左之通相触候様被仰出
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　町奉行江
　　　　　　　覚
　　　一金銀米銭大豆雑穀等ニ至迄商売之儀値段

　前々ニ不相替取遣可仕事
一当町中并御領分ニ可成所々ハ札遣ニ
　可被仰付け間左様相心得取遣可

一諸商売前々之通可仕候附諸職人作料唯今迄ニ
　不相替自今高直不仕訳候分如在仕間敷事

右之趣可相聞者也

　　〆

　　　　　　　　　　　　　郡奉行江
　
　　　覚
一殿様御病気故御大法之通御領知被召上
　二万俵宛
　殿様江為御合力被進御筋目有之ニ付御憐之
　趣ニ而
　大殿様江新視ニ二十五万石被進福居御城
　御領被為成候事
一御領分ケ被仰出候内如前之御仕置堅可相聞候
　若我侭成仕形又ハ狼藉成儀仕候者御領分ニ

　　　　成候者ハ不申及公領ニ成候者ニ而も其咎之品々
　　　　被仰立急度曲事可被仰付事
　　　一田地田畠猶以情入時節候間作付可申事
　　　　　附未進等之儀無滞納所可仕事
　　　一金銀米銭大豆雑穀等ニ至迄商売之儀直段
　　　　前々ニ不相替取遣可仕事
　　　一諸商売前々之通可仕候附諸職人役料只今迄ニ
　　　　不相替自今高直ニ不仕訳候分如在仕間敷事

　　　右之趣可相守者也

一閏三月十一日江戸諸番ニ罷越面々重而御指図有之迄
　出立相見合候様被仰出御奏者番大谷助六重照毛受
　左門頼久鈴木多宮江御家老申渡之
一同日明里御蔵米此節御入用之儀も可有之候間米出候儀
　先差留候様ニ御奉行蟹江刑部右衛門董平大谷儀左衛門好行江
　御家老申渡之
一同日御普請之儀川除用水等ニ限り申所之外ハ見合延引
　可仕旨御普請奉行上月八郎左衛門宜冨江御家老申渡之
一同月廿八日御登城《割書：昨日七日御老中阿部豊後守殿ゟ｜連名之御切紙来【？】》御領知御拝領之

　御礼被仰上御太刀《割書：信国代｜金五枚》一腰御小袖五十黄金五十枚
　御献上　御台様江銀五十枚縮緬二十巻被指上之御退出掛
　右為御礼御老中御側御用人若年寄中江御廻勤
一閏三月二十八日右同断ニ付本多孫太郎《割書：長員｜》初御家老
　御城代江御書被成
一同月廿九日《割書：酉刻｜》鳥越御屋敷ゟ霊岸島御屋敷江御引移
　有之於御座之間御長蚫御祝被成夫ゟ於中書院
　御奏者番御番頭御役人御近習之面々奥表御小姓
　二行罷出御礼申上御長蚫自分頂戴之畢而御番士其外
　諸役人迄右同断罷出御長蚫自分頂戴之
一四月遡日右同断ニ付御使者御留守居荒川善右衛門《割書：正武｜》を以
　右御引移之段御老中江御達有之
一同日　御再勤後月次初而御登城
一同月七日　御先代御拝領之御鷹場被差上
　　　但右御鷹場同月廿九日御鳥見江御引渡有之
一同月九日御精進揚ニ付御使者を以御肴《割書：鯛｜》一折被献之
　《割書：御老中江｜御伺之上》右御披露済之捻御奉書御用番戸田
　山城守《割書：忠昌｜》殿ゟ来
【割書の改行のうち一部は検索の便を考慮して単語や人名が分轄されないようにした。】

　　　　　　　上書
　　　　　　　　松平兵部大輔殿　　　　忠昌
　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　戸田山城守
　　　　　鯛一折被献之候主首尾好遂披露候
　　　　　恐々謹言
　　　　　　　四月九日
　　　　　　但御精進揚御肴被献上候ニ付捻御奉書之儀以後
　　　　　　　定例故不記之
一四月十二日御使者を以御国産初鯖被献之右御披露
　済之捻御奉書御用番戸田山城守《割書：忠昌｜》殿ゟ来
　　　　　　　上書
　　　　　　　　松平兵部大輔殿　　　　忠昌
　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　戸田山城守

　　　　　領内之刺鯖一箱被献之候首尾好
　　　　　遂被露候恐々謹言

　　　　　　四月十二日　　　　　　忠昌書判
　　　　　但初鯖被献候ニ付捻御奉書之儀以後定例故
　　　　　　不記之

一同月十三日江戸表ゟ御使御奏者番萩野源右衛門《割書：正封｜》
　福井着

一四月十五日於本多孫太郎《割書：長員｜》宅孫太郎初御家老列座
　御使萩野源右衛門《割書：政封｜》侍座御意之趣左之通高知初諸士江
　申渡之
　　　御意之趣
　　　　　先月廿八日ニ御領知之御礼御首尾克被仰上候
　　　　　爰元御屋敷無別条其許静之旨追々被
　　　　　聞召御満足被遊候今度被仰出趣ニ候得者
　　　　　御家久敷侍共之儀候間何卒被召仕度被
　　　　　思召候得共御高大分減候得者難及御手当
　　　　　其段御難儀千万思召候何も侍共迷惑
　　　　　可仕与御不便被思召候御相談之上ニ而追々
　　　　　可被仰出候先夫迄ハ其身共之為ニも候条何茂
　　　　　噪敷無之様ニ仕可罷在候
一同月十八日御精進揚ニ付御使者を以御肴鯛一折被献之
一同月廿一日右同断ニ付御使者を以御肴鯛一折を献之
一同月廿二日今度御再動被仰出候ニ付本多孫太郎長員ゟ
　公辺江献上物之儀御伺被成候処如先規差上候様御老中
　松平日向守信之殿指図有之

一　四月廿五日後精進揚ニ付御使者を以御肴《割書：鯛｜》一折被献之
　　　　但右御精進揚御献上之儀毎月九日十八日廿一日廿五日
　　　　　御在府年定例故以後不記之
一　同日御関所女通手形之事今切御関所奉行松平主馬助　殿ゟ
　　御老中江被相伺候處以前之通家老共以判形可相通旨
　　御指図有之段申来ニ付遠州今切信州福嶋上州横川
　　御関所江御家老判鑑取替指出之
　　　　但今切江者主馬助殿迄御書を以被遣福嶋江者江戸ゟ
　　　　　罷帰大御番嶋崎市郎左衛門を以被遣之横川江者

　　　　　於江戸表御支配之方屋敷迄御使者を以被遣之
一　同月廿九日江戸表ゟ為御用横目西尾伝兵衛《割書：正｜虎》被遣今日
　　福井江着依之御家老斎藤民部《割書：定｜之》宅江御家老御役人
　　寄合有之
一　五月四日
　　厳有院様七回御忌御法事有之ニ付　御機嫌為御伺
　　御使者を以葛一箱并薯■一籠被献之右御披露
　　済之之捻御奉書御老中大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿ゟ来
　　　　　　　　上書
　　　　　　　　　松平兵部大輔殿

　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　葛一箱并薯■一籠被献之作
　　　　　　首尾好遂披露候恐々謹言
　　　　　　　五月四日　　　　　　忠朝書判
　　　　　　但　御機嫌御伺等ニ而御献上物有之節者其度毎
　　　　　　　　捻御奉書出候得共同様ニ付以後不記之
一　五月八日右同断御法事ニ付
　　公方様東叡山江御参詣依之御豫参　御勤
　　　　但御法事ニ付御香奠御献上可有之候得共御記録類ニ不詳
一　同日右同断ニ付於万福山御茶湯御執行有之
一　同月《割書：日不｜詳》為端午御祝儀御使者御留守居を以御帷子《割書：三｜》
　　御単《割書：ニ｜》被献之追而　御内書於　御城御渡有之

　　　　為端午之祝儀帷子単物数五到来
　　　　悦思食候委曲お大久保加賀守可述候也
　　　　　　五月十八日御黒印
　　　　　　　　　　　　　福井侍従とのヘ

　　綱昌様御合力米御証文御裏判之儀御老中大久保
　　加賀守《割書：忠｜朝》殿江先達而御達被成候處左之通御書付
　　今日御渡有之

　　　　　　　　覚
　　　　　松平越前儀領知被　召上為御合力米弐万俵
　　　　　《割書：但三斗五升入｜》従當寅年被下之間■引付向後
　　　　　以連判之内裏判手形可被相渡候以上
　　　　　　貞享三刁
　　　　　　　　四月晦日　　　　　　　　日向印
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　山城印
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　豊後印
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　加賀印
　　　　　　　　　　　　　　下嶋市兵衛殿
　　　　　　　　　　　　　　青木与右衛門殿
一　五月廿三日御留守居杉浦内藏允《割書：正｜照》殿内藤出羽守《割書：正｜房》殿
　　彦坂壱岐守《割書：重｜照》殿酒井能登守　殿所々御関所女通手形
　　御頼之節御留守居荒川善右衛門《割書：正｜武》加賀藤左ヱ門《割書：■｜■》両人之
　　証拠判を以向後御証文御申請可被成ニ付両人判鑑
　　為指出候段御書を以被　仰遣之

一　五月《割書：日不｜詳》御幕御紋之儀彦坂壱岐守《割書：重｜紹》殿を以御内々御談
　　有之候処前々之通可然旨御指図ニ付道中御荷物■符
　　之儀も是迄之通葵御紋御用被成
一　六月四日暑中ニ付御使者を以御国産素麵干鯛
　　被献之右御披露済之捻御奉書御老中阿部
　　豊後守《割書：正｜武》殿ゟ来
　　　　　　　　上書
　　　　　　　　　松平兵部大輔殿　　　　正武
　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　素麵一箱并御肴一種被献之作
　　　　　首尾能遂披露候恐々謹言
　　　　　　　六月四日　　　　　　　正武書判
　　　　　　但右素麵被献候ニ付捻御奉書之儀以後定例故
　　　　　　　不記之

一　同月六日江戸表ゟ為御用御家老稲葉采女《割書：正｜信》被遣
　　《割書：去月十六日｜出立》今日福井江着
一　同月十日於御家老稲葉采女《割書：正｜信》宅本多孫太郎《割書：長｜■》初
　　

　　御家老并酒井玄蕃《割書：元｜知》有賀左衛門《割書：■｜方》酒井孫四郎《割書：元｜宣》
　　列座今度御暇被下候面々江　御意之趣左之通
　　采女申渡之
　　　　御意之趣　
　　　　　今度新規御領知被　仰出候何茂　御家久敷
　　　　　者共ニ有之候間不残被　召仕度被為　思召
　　　　　候得共只今之御高ニ而ハ難及候故被
　　　　　召抱候何茂迷惑可仕与其段別而　御憐愍
　　　　　被為　思召候
　　　　　　　〆
　　　　　今度不被　召抱候付御城下御領分之内又者
　　　　　一類共何方ニ成共罷在儀少も不苦候屋敷
　　　　　明候儀も勝手次第緩々と差上可申候以上
　　　　　　　〆
　　　　　　　但御暇被下候姓名不記之
　　於同席御目付左之通相達之
　　　　一　居屋敷緩々と仕舞勝手次第可差上事
　　　　一　屋敷惣圍有之ハ何ニ而も其儘差置本屋ハ被下候事
　　　　一　屋敷之内有之樹木丈ニ伸候者可被差置事

　　　一　尺之分之樹木ハ勝手次第取可申但家僕并
　　　　　飛石同断事

一　六月十一日於御家老稲葉采女《割書：正｜信》宅本多孫太郎《割書：長｜■》初
　　酒井孫四郎《割書：元｜宣》迄列座被　召出面々江　御意之趣左之通
　　采女申渡之
　　　　　今度御領知被　仰出趣ニ候得者何茂新規被
　　　　　召仕候只今迄被充行高ゟ半減被成下候間可得
　　　　　其意候何も迷惑可仕与　御不便　思召候得共
　　　　　
　　　　　今程之御高ニ而ハ被　思召候様ニハ難被成候条
　　　　　諸事軽仕可相勤候以上
　　　　　　　覚
　　　一　拝知何茂半減
　　　一　百五拾石取ハ百石
　　　一　百石取ハ御減無之
　　　一　五拾石取ハ右同断
　　　　　　但右被　召出候面々姓名不記之

一　六月十一日与力御預ケ之面々江役与力之外被相止候ニ付
　　左之通稲葉采女《割書：正｜信》申渡之畢而与力之者江可申聞旨之
　　書付其頭々江御目付相渡之
　　　　　面々与力共之儀　御不便被為　思召候得共今度
　　　　　被相止候間可被得其意候
　　　　　　　〆
　　　　　　　　与力之者江申聞書付
　　　一　居屋敷緩々と仕舞勝手次第可差上事
　　　一　屋敷惣囲有之ハ何ニ而も其侭差置本屋ハ

　　　　　被下候事
　　　一　屋敷之内有之樹木幷家僕飛石勝手次第
　　　　　取可申事

一　同月十四日
　　東宮御所御築地御入用銀御金奉行江御納被成
　　　　但右被　仰出候御上納銀負数之儀御記録類ニ不詳
　　　一　右御上納相済候間段同月十九日京都所司代土屋相模守殿江
　　　　　御書を以御達被成

一　六月十六日為嘉定御祝儀　御登　城
一　同月十七日　公儀御用ニ付御国卿村帳御使者を以　
　　大手御勘定所江被指出之　
一　同月十八日御国絵図幷御城絵図御使者を以　御城
　　中之口江被指出之彦坂壱岐守《割書：重｜紹》殿御受取
一　同月廿三日前々ゟ御金御用立候上方之者共江御返金
　　難被成ニ付口入之者共江左之通申達候様　京都御留守居
　　松江善兵衛《割書：房｜丘》幷大津ニ被指置候漕ぎ六郎兵衛《割書：定｜氏》方江御家老ゟ
　　申遣之

　　　　　　　　　覚
　　　　　越前守殿先代ゟ各口入之借銀有之候処ニ打続
　　　　　国許不作其後無拠儀共ニも勝手逼迫故先手
　　　　　相定通返済も然々不被成兼々難儀ニ存候処
　　　　　今度越前守殿領知被　召上候兵部大輔殿江
　　　　　新知被　仰付候得共高減候得者自今以後返済
　　　　　可被致様も無之大分之金銀失却二可成事
　　　　　何と迷惑之段■推察候乍此上勝手
　　　　　取続候者数年用事をも頼入別而心入之

　　　　　各之事候間何分ニも相談可有之事ニ候得共
　　　　　当分不及了簡候間先為断以使者申入作
　　　　　右之趣銀主中江御申達可被給候以上
　　　　　　　六月十三日

一　七月四日御使者を以御国産初鱈被献之右御披露
　　済の之捻御奉書御老中戸田山城守《割書：忠｜昌》殿ゟ来
　　　　　　　　上書
　　　　　　　　　松平兵部大輔殿　　　　　忠昌
　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　戸田山城守
　　　　　　鱈一折被献之候首尾好遂披露作
　　　　　　恐々謹言
　　　　　　　　七月四日　　　　　　忠昌書判
　　　　　　　但初鱈被献候ニ付捻御奉書之儀以後定例故
　　　　　　　　不記之

一　同月五日御先物頭江下馬御門番并切手御門
　　助番之外太鼓御門番をも可相勤旨被　仰出之
一　同月七日御再勤後節勺初而　御登　城

一　七月十三日大和守《割書：直｜矩》様出羽国山形江所替被　仰出三万石
　　御加増《割書：都合十｜万石》上野介《割書：近｜栄》様五千石御加増被　仰付《割書：都合二万石》
一　同月廿三日　札銀之儀種々御吟味之上彦坂壱岐守《割書：市｜■》殿江も
　　被　仰談猶又御家老狛杢允《割書：貞｜澄》ゟ以書付壱岐守殿江
　　御伺候上御相談相極ル札銀高ゟ三ケ二捨リ三ケ一分
　　新札ニ而御渡可被成旨被　仰出
一　同月廿五日右同断ニ付御勘定所ゟ諸向江左之通
　　相■之
　　　　　今度御領地新規ニ被　仰出候付札銀不残捨り　　　　　　　　　　可申儀候得共何茂迷惑可仕旨
　　　　　御憐愍　思召御相談之上ニ而高ゟ三ケ一新札ニ
　　　　　改可相渡候条其旨可相心得者也

一　七月《割書：日不｜詳》　御名乗昌明様与御改被成
一　八月朔日為御祝儀　御登　城御太刀馬代《割書：黄金｜十両》御献上
一　同月五日御老中戸田山城守《割書：忠｜昌》殿江御呼出ニ付御家来
　　被召出候処福井神明神社領　御朱印御渡有之右為
　　御礼山城守殿江御使者御家老松平庄兵衛《割書：正｜恒》被指出之









一　八月九日　御登　城御領知御書出御頂戴被成

　　　　　　　　　　　　　越前国
　　　　　高二拾五万石　　　　足羽郡之内
　　　　　　　　　　　　　　　吉田郡之内
　　　　　　　　　　　　　　　南條郡之内
　　　　　　　　　　　　　　　今立郡之内
　　　　　　　　　　　　　　　丹生郡之内
　　　　　　　　　　　　　　　坂井郡之内

一　同月十四日御領知御拝領之為御祝儀御老中御招請
　　被成度旨彦坂壱岐守《割書：重｜紹》殿迄被　仰込候処今日壱岐守殿江
　　御家老狛杢允《割書：貞｜澄》御招ニ而来月十一日御老中何茂御越
　　可被成之由且又先頃御能御拝見之御祝儀御兼
　　被成候ニ付能興行被成候儀も御承知之旨書付を以被申聞之
　　　　但右ニ付翌十五日御老中不残江御出被成
一　同月十六日今度御役料被下置面々江百俵宛被下旨

一　八月九日　御登　城御領知之御書出御頂戴被成
　　　　　　　　　　　　　越前国
　　　　　高二拾五万石　　　　足羽郡之内
　　　　　　　　　　　　　　　吉田郡之内
　　　　　　　　　　　　　　　南條郡之内
　　　　　　　　　　　　　　　今立郡之内
　　　　　　　　　　　　　　　丹生郡之内
　　　　　　　　　　　　　　　坂井郡之内

一　同日右同断ニ付本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老幷御城代江
　　御書被成
一　同月十四日御領知御拝領之為御祝儀御老中御招請
　　被成度旨彦坂壱岐守《割書：■｜紹》殿迄被　仰込候処今日壱岐守殿江
　　御家老狛杢允《割書：貞｜澄》御招ニ而来月十一日御老中何茂御越
　　可被成之由且又先頃御能御拝見之御祝儀御兼
　　被成候ニ付能興行被成候儀も御承知之旨書付を以被申聞之
　　　　但右ニ付翌十五日御老中不残江御出被成
一　同月十六日今度御役料被下置面々江百俵宛被下旨

　　先達被　仰出候得共御蔵出三ツ五分免ニ而百石宛可
　　被下旨被　仰出
一　八月廿六日御領知之郷村帳御渡有之
一　九月七日為重陽御祝儀御使者を以御小袖《割書：五｜》被献之
　　追而　御内書於　御城御渡有之

　　　　　　為重陽之御祝儀小袖五到来歓思候
　　　　　　委曲阿部豊後守可述候也
　　　　　　　　五月七日　御墨印

　　　　　　　　　　　　　　福井侍従とのヘ
　　　　　　　但右御献上ニ付而之　御内書御再勤後同断ニ付
　　　　　　　　以後不記之
　
一　同月十日御領知被　仰出候為御祝儀御招請ニ付御老中
　　大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿戸田山城守《割書：忠｜昌》殿若年寄■垣安芸守《割書：重｜定》殿
　　御同道ニ而　御城ゟ直々ニ御越節御門外迄御留守居
　　両人罷出致御案内御白洲江御家老初御役人共
　　罷出御玄関薄縁迄　御出迎《割書：御一門方と｜御一所ニ》御案内ニ而

　　御書院江御通御長蚫出御奏者番初御役人中御揃
　　之上御能《割書：老松　田村　東所｜三輪　祝言》初御料理出《割書：三汁｜九菜》御引物《割書：切りま｜不こ》
　　加賀守殿ゟ其御■江御直々御引被成　中務大輔《割書：昌｜時》様ニも
　　山城守殿ゟ其御■江御引被成再御肴《割書：カ者｜やき》御持参
　　山城守殿ゟ其御■江御引被成御盃事有之■而
　　御一門様方御出席御対面相済加賀守殿ゟ御家来狛
　　杢允《割書：貞｜澄》初御役人御留守居迄御盃被下之山城守殿ゟ
　　御家来松平庄兵衛《割書：正｜恒》初御役人御留守居迄右同断被下
　　之御饗相済加賀守殿ゟ杢允初幷瀧主計《割書：明｜矩》
　　
　　美濃部助作《割書：茂｜英》萩野源右衛門《割書：政｜封》荒川善右衛門《割書：正｜武》江御盃被下之
　　山城守殿ゟ庄兵衛初幷高屋伊織《割書：長｜英》永見治部右衛門《割書：義｜正》
　　稲葉彦四郎　江右同断被下之御退出之節最前
　　御出迎之所迄御送被成夫ゟ為御礼加賀守殿
　　山城守殿安芸守殿江　御勤被成
　　　　　但今日御越無之御老中阿部豊後守　殿御側御用人牧野
　　　　　　備後守　殿江御使者を以御茶一袋美濃柿一籠生肴
　　　　　　一籠宛被遣之若年寄秋元但馬守　殿松平伊賀守　殿
　　　　　　喜多見若狭守　殿江御肴一種宛被遣之






一　十月十六日今度御高相減候ニ付郡奉行支配下左之通
　　不同ニ相成候へ共当年ハ割替無之候間其儘可致
　　支配旨郡奉行三人江被　仰出之
　　　　御高弐拾五万三十石　改出共々
　　　　　内
　　　　　　四千七百石　　　御城下廻引高石場高共々
　　　　　　弐千石　　　　　府中町分
　　　　　残而
　　　　　　弐拾四万六千三百石
　　　　　　　内　　　　　　　　 大宮彦右衛門支配
　　　　　　　　三万三千弐百弐拾石　　　　　　　川北領
　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　 渋谷与五左衛門支配
　　　　　　　　拾万六千八百拾壱石　　　　　　　上領
　　　　　　　　　　　　　　　　 岡八郎兵衛支配
　　　　　　　　拾万六千弐百六拾九石　　　　　　中領


一　十一月十一日　上使有馬宮内《割書：剛｜放》殿を以　御再勤後初而
　　御鷹之鶴御拝領
一　同月廿八日寒中ニ付御使者を以御国産《割書：一｜番》生鱈被献之
　　右御披露済之捻御奉書御老中大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿ゟ来
　　　　　　　上書
　　　　　　　　　松平兵部大輔殿　　　　　　　　　忠朝


　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守

　　　　　　鮮鱈三被献之候首尾好遂披露作
　　　　　　恐々謹言
　　　　　　　　十一月廿八日　　　　忠朝書判
　　　　　　　但生鱈被献候ニ付捻御奉書之儀以後定例故不記之

一　十一月晦日右同断《割書：二｜番》生鱈被献之
一　十二月廿八日為歳暮御祝儀　御登　城

一　同月《割書：日不｜詳》為歳暮御祝儀御使者を以御小袖《割書：五｜》被献之
一　此年毛矢城之■ニ罷在候御家中之面々今度御暇
　　被下候者共之明屋敷江屋敷替被　仰付其跡御取払
　　明地ニ相成













貞享四年丁卯
　一　正月朔日為年始御祝儀　御登　御太刀馬代
　　　《割書：黄金｜十両》御献上呉服御拝領
　一　同月四日当年
　　　公方様御厄年ニ付旧臘伊勢江御使番大井田新九郎《割書：経｜■》
　　　被差遣之御祈禱御頼被成候處於
　　　両宮御祈禱《割書：太神｜楽》有之右御祈禱今日相済
　　　　但右御祈禱之御祓等新九郎持参罷帰候節於路地
　　　　　御使者三沢甚右ヱ門　江相渡之江戸表江指上之

一　正月七日為御上初御使者を以御肴《割書：鯛一行目｜》一折被献之
　　右御披露済之捻御奉書御老中戸田山城守《割書：忠｜昌》殿ゟ来
　　　　　　上書
　　　　　　　松平兵部大輔殿　　　　　　　　　忠昌
　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　戸田山城守
　　　　　鯛一折被献之作首尾好遂披露之
　　　　　恐々謹言
　　　　　　　正月七日　　　　　　忠昌書判
　　　　　　但右被献候ニ付捻御奉書之儀以後定例故不記之

一　同月廿一日瀧主計《割書：明｜矩》儀御小姓美濃部助作《割書：茂｜英》与不儀之
　　趣相聞御役柄ニ不似合仕形ニ付旧冬御役御取上
　　御国許江御返被成其後御吟味有之候処弥以
　　不儀之段相聞候ニ付主計幷忰平蔵儀御物頭出渕
　　平兵衛《割書：盛｜許鈴木彦太夫》《割書：重｜忠》御預ニ相成
一　同月廿八日
　　公方様御厄年ニ付観理院江御頼去廿六日ゟ今日迄
　　御祈禱有之

一　二月四日於伊勢
　　西宮御祈禱之御祓等観理院江御頼御預被成
　　　　但三沢甚右ヱ門持参江戸着不詳
一　同月七日今度江戸表御番割有之向後御書院番
　　二組大御番四組御留守居二組江被成候ニ付右之段今日
　　御番頭江被　仰出之
一　同日侍中末期養子之願申上候ハヽ自今以後番頭
　　其願之書付之判本を見其品承届可相達之自然
　　番頭病気又ハ指合申事候ハヽ筆次を以可相改旨

　　被　仰出之
一　同月十二日於瑞源寺去十日暁ゟ今朝迄　松桂院様
　　御一周忌御法事御執行有之谷中南泉寺も
　　去十一日晩ゟ今日迄御法事御執行有之
一　同月廿七日江戸表ゟ横目村上三太夫《割書：正｜峰》被遣之瀧
　　主計《割書：明｜矩》忰平蔵儀切腹被　仰付
一　三月廿八日於浄光院昨廿七日晩ゟ今朝迄　清池院様
　　廿七回御忌御法事御執行有之於天徳寺も去廿六日ゟ
　　今日迄　布興姫様ゟ今御法事御執行有之ヽ　

一　四月四日御呼出ニ付《割書：昨三日御老中ゟ｜御切紙ニ而申来》御留守居加賀藤左ヱ門《割書：成｜興》
　　御城江罷出候處於柳之間歳暮御祝儀ご御献上ニ
　　付而之　御内書御用番戸田山城守《割書：忠｜昌》殿御渡有之
　　其節藤左ヱ門江御袷御ニ拝領被　仰付藤左ヱ門罷帰　御内書
　　指上之於　御座之間御頂戴被成《割書：御上下｜御着用》藤左ヱ門江
　　御長蚫　御直々被下之夫ゟ右為御礼山城守殿江
　　御勤
　　　　但端午重陽歳暮共右御礼勤之儀以後不記之
一　同月六日御老中大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿戸田山城守《割書：忠｜昌》殿江

　　御逢対　御勤
一　同月十三日御使者を以御国産初鯖被献之
一　同月十七日御用番戸田山城守殿《割書：忠｜昌》殿ゟ御呼出御家
　　狛杢允《割書：真澄御留守居荒川｜　　善右衛門同道》罷出候處御城廻石垣破損所幷
　　先年御伺相済御堀渡残之分御普請被成度段
　　御願被成候ニ付而之御奉書山城守殿御渡有之
　　　　　　　　　　以上
　　　　　　越前国福井城三丸石垣弐箇所崩候ニ付而
　　　　　　築直度旨絵図朱引之趣承届候如元可有








　

　　　　　　■禰候次堀浚之儀先年以奉書相達候所
　　　　　　残有之由得其意候是又可被浚候きょうきょ恐々謹言
　　　　　　　貞享四卯
　　　　　　　　四月十六日　　　戸田山城守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠昌書判
　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正武書判
　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠朝書判

　　　　　　　　　松平兵部大輔殿


一　四月十七日右同断ニ付為御礼御用番戸田山城守《割書：忠｜昌》殿江
　　御勤
一　同月廿八日
　　禁裏《割書：御諱｜朝仁》御即位《割書：三月廿一日｜御受禅》
一　五月朔日右同断ニ付御使者高知笹治大学《割書：武｜■》副使
　　御物頭松原四郎兵衛《割書：扁｜■》京都江指出之
　　禁裏御所
　　仙洞御所
　　女院御所　准后御方江御祝物被献之大学等今日
　　






　　福井出立
　　　　但右御品物不詳
一　五月二日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子
　　御単被献之　御臺様江白銀《割書：五｜枚》被指上之
一　同月四日　御即位相済候為御祝儀　御登　城
一　同月六日右同断ニ付御使者御留守居を以
　　公方様江二種一荷被献之
一　同月廿五日　上使御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿を以御国許江之
　　御暇被　仰出銀三百枚御袷御三十御拝領

一　同日　御登　城御暇之御礼被　仰上御馬御拝領
一　六月九日暑中ニ付御使者を以例之通御国産素麵
　　干鯛被献之
一　同月十日江戸　御発駕東海道通御旅行
一　同月十三日於月番御家老本田左兵衛《割書：直｜重》宅今度
　　銀札破捨被　仰出候ニ付面々拝知之内ゟ米指上申度旨
　　高知初諸士之面々一同口上弐書付を以申上候段達
　　御聞候處左之通被　仰出候旨諸月番江左兵衛申渡之
　　　　　今度札銀破捨就被　仰付寸志米差上可被申旨ゝ

　　　　　　則達
　　　　　　御耳候處別而　御喜悦被為　思召候此節之
　　　　　　儀ニ候得者何茂可致迷惑候条御受用被■
　　　　　　間敷候乍去札破捨被　仰付候儀御勝手迄
　　　　　　ニ而ハ何共難被■候間去物成残米札銀御蔵ニ
　　　　　　納リ有之候条其内千石以上弐歩通り九百石
　　　　　　以下壱歩弐厘右之通先被残置札破捨可被
　　　　　　仰付候其分ハ速々相渡ルニ而可有之候
　　　　　　　　但御切米御扶持方之面々ハ御借不被成候

　　　　　　　　一　本多孫太郎江其家来本田庄左衛門
　　　　　　　　　　呼出申渡之

一　六月十三日右同断ニ付銀札不残破捨被　仰付候ハヽ
　　諸町人ゟ応分限少分宛成■指上可申旨先達而
　　相願候ニ付今日願之通差上候様被　仰出之
　　　　但諸町人江右願之通被　仰付候ニ付在方之者共江も
　　　　応分限銀札差上候様被　仰出之
一　同月十六日銀札不残破捨被　仰出候ニ付御勘定所ゟ

　　　　　則達
　　　　　御耳候處別而　御喜悦被成　思召候此節之
　　　　　儀ニ候得者何茂可致迷惑候条　御受用被遊
　　　　　間敷候乍去札破捨被　仰付候儀御勝手迄
　　　　　ニ而ハ何共難被■候間去■成残米札銀御蔵ニ
　　　　　納り有之候条其内千石以上弐歩通り九百石
　　　　　以下壱歩弐厘右之通先被残置札破捨可被
　　　　　仰付候其分ハ速々相渡ルニ而可有之候
　　　　　　　但御切米御扶持方之面々ハ御借不被成候

　　　　　一　本田孫太郎江者家来本多庄左エ門
　　　　　　　呼出渡之

一　六月十三日右同断ニ付銀札不残破捨被　仰付候ハヽ
　　諸町人共ゟ応分限少分宛成共指上可申旨先達而
　　相願候ニ付今日願之通差上候様被　仰出之
　　　　但諸町人江右願之通被　仰付候ニ付在方之者共江も
　　　　　応分限銀札差上候様被　仰出之
一　同月十六日銀札不残破捨被　仰出候ニ付御勘定所ゟ

　　左之通相触之
　　　　　當廿一日ゟ札銀遣御止被成候間可被得其意候
　　　　　同廿二日ゟ同晦日迄之内二面々所持之札不残
　　　　　駒屋善左衛門方江致持参金子銭ニ被替可申候
　　　　　則札銀百目ニ小判壱両之両替ニ而相渡候
　　　　　右日限過候而ハ替不申筈ニ候以上

一　六月十六日御帰城之節御家中之面々是迄大馬出
　　御門内迄罷出候得共今度ゟ不残於　御本丸
　　
　　御目見被　仰付候間　御本丸江罷出候様被　仰出之
一　同月十八日暑中ニ付　御機嫌為御伺御道中ゟ
　　御使者を以御肴一種被献之
一　同月十九日瓦御門番之内六人《割書：牧野主殿　藤沼市左衛門｜太田三弥　岡部新九郎》
　　《割書：松原右衛門｜西尾主税》御着城之節ゟ前々之通瓦御門御番被
　　仰付其餘小身之面々ハ迷惑之儀も可有之候間先
　　御用捨被成旨被　仰出
一　同月廿三日《割書：未下｜刻》　御着城高知之面々不残於
　　鉄砲之間　御目見諸士者御広間ゟ鶴之間御使番所

　　大御番所迄順々ニ並居　御通掛一同　御目見申上
　　於　御座之間御家老江御長蚫被下之畢而㺚狚之
　　間江　御出座本多孫太郎《割書：長｜員》初高知之面々御家老息
　　御留守居迄御長蚫被下之於鉄炮之間御家老
　　出席御用人瓦御門番御番頭同息ニ行ニ罷出
　　御長蚫自分頂戴之於御書院諸物頭ゟ諸士并同
　　子供二行ニ罷出御長蚫自分頂戴之御式相済
　　御座所江被為　入
一　六月廿四日右同断ニ付為御帰国御礼御使者本多

　　勘解由《割書：富｜敬》江戸表江被指出之今日福井出立
一　同月晦日今度銀札遣被相止候ニ付破捨之書付
　　差出候様御家老ゟ御奉行江申渡候処左之通指出之
　　　　　　　　覚
　　　　一　銀五拾八貫九百九拾壱匁　　大宮彦右衛門支配下ゟ
　　　　一　銀五拾五貫目　　　　　　　岡　八郎兵衛支配下ゟ
　　　　一　銀四拾五貫弐百七拾匁　　　渋谷与五左衛門支配下ゟ
　　　　　　　〆百五拾九貫弐百六拾壱匁
　　　　一　銀百五拾貫目　　　　渥美新右衛門支配下
　　　　　　　　　　　　　　　　　　福井町中ゟ

　　　　一　銀五拾貫目　　　　　府中町内ゟ
　　　　一　銀百二拾貫目　　　　御家中ゟ
　　　　　　　是ハ去寅〆拝儀残米御蔵ゟ可相渡内千石以上ハ
　　　　　　　弐歩返り九百石以下ハ壱歩弐厘返り御借之分

　　　　六口
　　　　　〆四百七拾九貫弐百六拾壱匁
　　　　　　　此銀高御借被成候此分速々御返シ被下筈ニ被
　　　　　　　仰聞候也
　　　　一　銀三百弐拾貫目　　　　　御蔵納り札破捨之分　

　　　　　　惣合七百九拾九貫弐百六拾壱匁
　　　　惣札高九百三拾九貫八百目
　　　　右引残而
　　　　　百四拾貫五百三拾九匁
　　　　　　此小判千四百五両壱歩余ニ而不残札銀替申筈
　　　　　　　但両替壱両ニ付百匁宛

一　七月朔日向後出仕諸御礼有之節本多孫太郎《割書：長｜員》初
　　高知之面々不及着座候間自分之御礼相済候ハヽ

　　可致退出旨被　仰出之
一　七月四日於　御座所今度地方割被　仰付高六百石ゟ
　　以上地方被下置夫ゟ以下者御蔵出ニ而被下置候間可存
　　其旨段諸月番江御家老斎藤民部《割書：定之｜》申渡之
　　　　但千石ニ円村一村宛被下
一　同日本多孫太郎《割書：長員｜》拝知之内円村弐十ケ所被下置候此分
　　山川共ニ可致支配此外ハ御家中並相給ニ而被下候
　　旨被　仰付
一　同日組之者左之通増被　仰出

　　《割書：只今迄忍之者上役十人御預之処｜外ニ跡々之通下役之者十人江被仰付》　　　　御軍者
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　井原源兵衛
　　《割書：御杉形之者五人小頭壱人一組ニ六人宛増｜跡々之通都合弐十一人組ニ被仰付》　　御杉形頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　水野善左衛門
　　同断　　　　　　　　　　　　　同　加藤十左衛門
　　《割書：御長柄之者十人小頭壱人一組ニ十一人宛増｜都合四十壱人組ニ被仰付》　御長柄頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松原五兵衛
　　同断　　　　　　　　　　　　　同　東新五右衛門
一　七月《割書：日不詳｜》為御生見玉御祝儀御使者を以黄金

　　《割書：十｜両》被献之
一　七月九日御帰国為御礼御使者本多勘解由《割書：冨｜敬》を以
　　奉書紙三十束并昆布一箱干鯛一箱御樽一荷被献之
　　勘解由　御城江罷出御献上物指上之其節御用番
　　戸田山城守《割書：忠｜昌》殿出座
一　同月十日御生見玉御祝儀被献候ニ付而之御奉書
　　於御老中宅被相渡之
　　　　　為生見玉之御祝儀黄金十両被献之候
　　　　　首尾好遂披露候恐々謹言

　　　　　　　　　　　　　　戸田山城守　
　　　　　　　七月十日　　　　　忠昌書判
　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　正武書判
　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　忠朝書判

　　　　　　松平兵部大輔殿

一　同月十一日月次　御機嫌為御伺御書被指出之
一　同月十二日御帰国御礼御使者本多勘解由《割書：冨｜敬》
　　御城江罷出候処御返書御渡有之其節勘解由江
　　

　　御時服《割書：三｜　》拝領被　仰付
一　七月廿一日御書を以例之通御国産初鱈被献之
一　同月廿五日於御家老稲葉采女《割書：正｜信》宅御家中拝知
　　地方御蔵出共に御書出被下之　御朱印は重而
　　可被下旨被　仰出之趣高知初知行被下面々え申達
　　御書出采女相渡之
一　同月廿六日御家中子供之御礼初而於　御座所
　　被為　請
一　同月《割書：日不｜詳　》端午之御祝儀御献上に付而之　御内書於
　　御城御渡有之其節御留守居え御時服拝領被仰付
　　　　　但右御内書八月十三日於御国許御頂戴右御礼
　　　　　御書被指出之
一　八月朔日為御祝儀御使者を以御太刀馬代被献之
一　同月五日　御再勤後初而御軍帳出来に付御用掛り之
　　面々え御褒美被下之
一　同月十一日月次　御機嫌為御伺御使者河村郷右衛門《割書：氏｜定》
　　江戸表え被指出之御肴一種被献之郷右衛門今日
　　福井出立

一　八月廿一日瓦御門番牧野主殿《割書：易｜之》太田酸三弥菅沼市左衛門《割書：家｜次》
　　岡部新九郎《割書：貞｜則》松原右衛門《割書：嘉｜白》西尾主税《割書：宗｜鋪》御着城之砌ゟ
　　瓦御門御番相勤候処以後御番御免被成只今迄瓦
　　御門番与相唱名目被相改向後寄合与相唱候様被
　　仰出之
一　同日右同断に付瓦御門番之儀狛杢允《割書：貞｜澄》稲葉采女《割書：正｜信》
　　酒井玄蕃《割書：元｜知》与力之者共え御番被仰付昼夜三人宛為
　　相勤御城代有賀左衛門《割書：政｜方》与力之者一人宛泊番斗に相加り
　　為相勤候様被　仰出
一　同月廿三日御招請に而松岡え　御出被成
一　九月四日今度御条目御改に付於　御座所左之通
　　御定書一通宛諸月番え月番御家老本多
　　佐兵衛《割書：直｜重》相渡之次之間に御目付列席覚書一通宛
　　相渡之
　　　　　　　　定
　　　　　一従　公儀被　仰出　御法度之旨不可相背
　　　　　　忠孝仁義之道専可相嗜事
　　　　　一緒侍武具馬具等無油断可用意之無益之

　道具を不可好其上武芸無懈怠可鍛錬事
一乗馬は如定三白石以上并役料扶助之輩
　不断可持之事
一知行之所務清廉に可沙汰之郷村不可
　令衰弊事
一結徒党成誓約之儀堅可停止之縦親類
　縁者寄親寄子たりといふとも贔屓偏
　頗不可有事
一不依何事訴訟有之節は月番之家老え
　番頭或支配頭を以可達之番外は其並之
　輩を以可達之猥に以内縁不可相達事
一寄合番頭以上は私に婚姻を結ふへからす
　此外之諸侍遂内約之上月番之家老え
　可相達事
　　　附近習之輩は伺内意之上月番之家老え
　　　可相達事
一養子は同姓相応之者可選之若可然者
　於無之は他姓之内吟味を加へ由緒を正し

　存生之内可願之但五十歳以上十七歳以下
　之輩末期之養子は僉議之上可立之縦
　実子たりといふとも筋目違たる儀不
　可立之事
一本主之構有之者尤不可相把若駈込者
　有之本主ゟ断りあらは目付之者え相達
　大科人は返之小科之者は可追放事
　　　附手負たる者不可隠置事
一行死罪者有之時申付る輩之外一切其場え
　不可駈集事
　　附追懸者同然之事
一喧嘩口論は不忠不孝之至也堅可存
　此旨万一有之時番所は其座切可相斗
　之番人無之処は其場え近き輩可相斗之
　猥に不可駈集令荷担者は其科本人ゟ
　重かるへき事
一博奕好色或は落書張文等恥を忘れ
　侍に不似合作法不可有事

一他所之侍当地罷通刻猥に屋敷え呼入
　又は出逢ふへからす但理りあらは
　月番之家老え相達差図之上可
　参会事
一私用有之而従福井五里外え罷越又は
　城下を離れ一宿之時は月番之家老え
　相達任其旨可罷出若違背之族は
　可為越度品により可為罪科事
一乗物は寄合番頭以上或は二千石以上之
　嫡子或は五十歳以上曁【および】幼稚之輩免許之
　此外病人は目付之者え相達可受差図
　猥に不可令駕乗事
　　　附法躰之《見せ消ち：背｜輩》は制外之事
一家宅之営作嫁娶之規式振舞衣類音信
　贈答其外万事可為簡略事
一其組之頭申渡儀不可違背惣而我慢の
　心なく忠実を励み家中可令一統事
右条々定之畢堅可相守者也

　　　貞享四年九月日
　　　　〆
　　　　　覚
一　養子跡目之事御条目之通に候但及末期
　　願之書付有之節は御番頭又は支配人え
　　判本を見せ可被申候番外之衆中は其
　　並之輩え判本を見せ可被申候
一　私用有之御城下より外へ被罷越儀
　　御条目之通候但松岡丸岡等え被罷越節は
　　一宿無之とも月番之御家老中迄
　　可被相達候
一　乗物之事御条目之通に候乍然年若
　　衆中は馬上乍然可応　思召候
一　万事簡略之儀御条目之通に候就中
　　振舞其外参会之節料理等成程かろく
　　酒不可過三返候
一　衣類之事御番出仕之節又は参会等にも
　　専麁服を可有着用候

　　　　以上
　　　　　　　　　　　　　　　丹羽八左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　村上三大夫
　　　　　　　　　　　　　　　西尾伝兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　海福勘助
一　九月四日　中務大輔《割書：昌｜勝》様御招請有之於
　　御本丸御饗応有之其節仙鉃様菊千代様
　　重千代様にも御同道
一　同月七日為重陽御祝儀御使者を以例之通
　　御小袖被献之追而　御内書於　御城御渡
　　有之御家来拝領物等如例
一　同日右同断に付御使者を以　御台様え白銀《割書：十｜枚》
　　被指上之
一　同月十一日月次　御機嫌為御伺御書被指出之
一　同月十三日於三ノ丸諸組之者同中被　仰出
一　同月十八日頼母《割書：吉｜透》様去六日初而　御目見被　仰付
　　候に付右為御礼江戸表え御使者被指出之

一　九月廿八日御代官都筑長左衛門　殿松田又兵衛　殿
　　平岡吉左衛門　殿御招於　御本丸御饗応有之
　　御代官中御越之節大御番所え高屋伊織《割書：長｜英【原本確認】》出迎
　　御書院え案内着座之節御家老若年寄出座
　　挨拶有之畢而本多孫太郎《割書：長｜員》高知之面々出座
　　御代官中挨拶相済　御出座御対顔韃靼之
　　間え御同道着座之上御長蚫出御料理出《割書：三汁｜十菜》
　　引物　御直に御引被成御吸物御酒一所に被　召上
一　十月八日
　　浄光院様御像堂孝顕寺え御建立被　仰出
一　同月九日月次　御機嫌為御伺御使者堀
　　十兵衛《割書：久｜律》江戸表え被指出之御肴一種《割書：干鰈｜っ三十枚》被献之
　　十兵衛今日福井出立
一　同日為御湯治三国え　御出被成御先乗高田
　　金太夫《割書：正府｜　　》《割書：組召連鉄｜炮五挺》被　召連御先御道具《割書：御弓立五組｜御矢箱一荷》
　　《割書：御手筒二挺御休机御傘御立笠大鳥毛御鑓御具足櫃｜突留御鑓二御腰物筒御持鑓御■鑓御茶弁当》被為持同十六日
　　御帰殿
一　十一月三日　越後守《割書：光｜長》様御配流　御免江戸表え

　　御召返に相成御合力米三万俵被下旨御一門様方え
　　被　仰出《割書：去月｜廿四日》候に付為御礼御使者高田浅右衛門《割書：一｜氏》
　　江戸表え被指出之今日福井出立
　　　　但浅右衛門江戸着日不詳同月十三日御返書御渡有之
一　十一月九日月次　御機嫌為御伺御書被指出之
一　同月十九日　越後守《割書：元｜長》様え柳原に而御屋敷被下旨
　　御一門様方え被　仰出《割書：去る｜九日》候に付為御礼御書被指出之
一　同月廿一日於御家老斎藤民部《割書：定｜之》宅金津奉行大宮
　　彦右衛門《割書：茂｜冨》渋谷与五左衛門《割書：正｜敏》岡八郎兵衛《割書：富｜久》え
　　左之通在々え之御条目相渡之面々於在々
　　組頭庄長百姓共に為読聞証文為仕可ｍ申旨
　　申渡之
　　　　　　定
　　　　一公儀より被　仰出御制札之条々相背
　　　　　へからす就中きりしたん宗門油断
　　　　　なく相改へし組頭并庄屋長百姓
　　　　　五人組はいふに及はす雑家やもめ
　　　　　召仕之者共に至迄残りなく常々宗門を

　正し寺証文を取置念を入吟味すへし
　若替りたる宗旨を願ひ不審なる者
　あらは早速可申来かくし置外より
　顕はるゝに於ては庄屋長百姓其五人組迄
　可為罪科事
一御蔵并給所惣百姓年来習はしあしく
　有之候間向後耕作万事念を入其時節を
　たかえす油断なく精出し常々親に
　孝をつくし夫婦兄弟むつましく親類
　縁者友百姓にいたる迄互に心をあわせ
　身を持立候様に仕悪念を捨善心を
　はけみ我慢を止め正路に可仕事
一御年貢米納銀納其外万納物等御勘定所
　定之通相守急度皆済仕るへし若定之
　時節相延難渋仕候はゝ催促をうけ其
　まかない彼是いよ〳〵迷惑可仕間催促を
　受不申内に精出し皆済可仕事
　　　附納所皆済不仕以前金銀米銭自分に

　其外借地之者召仕之者共に至る悪事
　無之様に吟味仕るへし若悪事出来
　候はゝ組合之者はいふに不及庄屋長
　百姓迄可為越度事
一老て子なく幼少にて親にはなれ《見せ消ち：惑｜或》は
　後家になり或は長病又はかたわになり
　身の寄所なく身上おとろえ立かたき
　者あらは縁者はいふに不及庄屋長百姓
　五人組心をそえ引立とらせ可申事
　　附右之者共持高有之候はゝ外へ取うしなひ
　　　不申様に庄屋長百姓五人組立合
　　　意を入心を可付事
一村中にて勝れて身持心さしよく
　農業所作精に入御年貢等て手に正路に
　皆済仕者あらは書付置可申来吟味
　之上御褒美を可被下又は左様之者
　無拠子細有之俄に倒れ候はゝ御手当
　可有之且又常々農業所作を勤めす

　昼夜あそび歩行公事好を致し
　出入等を取持村中をさまたけ人々の
　異見をも不用不届成者あらは可申来
　僉議之上曲事に可申付かくし置後日に
　相知候はゝ庄屋長百姓其五人組可為
　越度事
一御用之儀諸役等組頭庄屋申渡趣に
　したかひ急度相勤へし若相背御用
　滞候はゝ可為越度事
一村次宿次之配符遅々無之様に仕次々
　可遣御急用之時弐ッ印之配符は其宿
　村え相達候刻限を書付判形仕早懸に
　次々へ可遣若相滞候はゝ其村之庄屋其
　宿之問屋可為越度事
一公事訴訟其外何事によらす申出る
　時御蔵百姓は代官へ断差図をうけ
　可申来給知百姓は組頭を以可申来事
　　　附給所之公事沙汰地頭はかまひ無之事

一公領は申に及はす他領他村并友百姓に
　対して道理なき公事訴訟境目論等
　一切停止すへし但無拠子細有之公事
　訴訟仕時は庄屋長百姓其五人組立合
　念を入吟味を遂たしか成証文証銘有之
　理分無紛儀に候はゝ言葉をかさらす
　訴状をしょう正直に認可申来若虚言をかまえ
　非分をかさり申出るにおゐては当人は
　いふに不及庄屋長百姓迄可為越度事
　　附追目安を出し又は裁許を待兼
　　　直訴紙仕又は内縁を以取扱ひ頼
　　　申儀かたく停止すへき事
一惣百姓印判常々大切に取持可仕庄屋
　長百姓は判鑑を帳面に致し組頭へ
　相渡此方へ持参可仕若印判紛失仕候歟
　又は仕替候時は組頭同道にて印判持参仕
　帳面に可付事
一何事によらす他領他村え手形証文仕

　遣申事堅く停止すへし若無拠子細
　有之時は庄屋長百姓へ断組頭を以此方へ
　申来差図を可受事
　　附諸事証文念を入判形仕へし最前判
　　　形仕後日に不存よし申候はゝ曲事に可
　　　申付事
一山林田畠永代売買仕候はゝ証文に庄屋
　長百姓判形を加え此方へ申来裏判を
　取へし郡所之裏判なき永代証文は
一作売買同前たるへき事
　　附散田百姓上証文有之又は質物流れ
　　　落高証文有之は不及沙汰事
一青田并秋手米前銀を入置買申事
　堅停止すへし若相背売買仕候はゝ
　買主可為損料事
一伝馬人足出し申時は組之者に組頭立合
　判形を取置へし其外何に而も御用
　之物出し申時は其役人の受取手形を

　取置へし若過不足有之時は組頭庄屋
　立合算用を遂過不足無之様に郷盛
　致し小百姓に郷盛之趣申聞せ合点
　之上判形を取以後出入無之様に可仕事
　　附諸算用出入有之時は組頭庄屋
　　　長百姓其五人組立合吟味致し
　　　指引可仕惣而算用出入三年に
　　　不可過事
一御立山御立薮并山林竹木等之御法度
　山奉行之下知を相守るへし用水并水
　論等之儀用水奉行へ可相達事
一何事によらす一味神水之儀はいふに
　不及惣而徒党かましき事一切停止
　すへし若相背ものあらは早速可申
　来かくし置後日に顕はるゝにおいてｈ於いては
　庄屋長百姓迄可為罪科事
一喧嘩口論かたく慎むへし公領は申に
　不及他領他村并友百姓に対して相手へ

　かさつ成事仕かけ又は刀脇差をさし
　弓鑓を持出百姓に不似合かた有之
　候はゝたとひ理分たりといふ共急度
　曲事に可申付事
一博奕賭之諸勝負并宿一切停止すへし
　若相背ものあらは当人はいふに及はす
　庄屋長百姓其五人組迄可為罪科事
一盗賊悪党者有之時は村中聞付次第
　早速可出合惣而堂宮等にあやしき者
　たゝすみ候はゝ見のかしに不仕急度可
　相改事
一火之用心昼夜無油断心掛へし若
　火事有之時は早速かけあつまり消
　鎮め可申事
　　附御制札焼失不仕様に可心懸事
一御国追放之者并居村追放之者立帰
　候を差置事堅可停止若かくし置又は
　見のかし仕候はゝ庄屋長百姓可為

　　【次ページと同文のため翻刻せず】

　　越度事
一　諸道具衣類其外何によらす慥成
　　受人なくして質に取へからす惣而あや
　　しき物受人なくして売買仕満しき
　　事
一　旅人飛脚之者其外何ものにても頻りに
　　煩出しまたハ酒に酔道路に倒臥候者
　　あらハ其処へ近き者とも出合介抱致し
　　様子見届可通之若相果候ハヽ庄屋長

　　百姓立合荷物諸道具衣類等屹度急度
　　相改番人付置可申来事
　　　附手負たるものかくし置へからす
　　　　早々可申来事
一　往還之旅人一宿之儀ハ格別其外
　　行衛知れさる不審成ものに一夜之
　　宿もかし申ましき事
一　奉公人に対して不礼仕ろへからす
　　路次にて行逢ふ時ハ馬よりおり笠を

　　　　　　　ぬくへき事
　　　　　一　手代小役人等へ何によらす■仕る
　　　　　　　へからす惣而馳走かましき儀堅停止
　　　　　　　すへき事
　　　　　一　あやつり奇舞妓其外見物遊ひ
　　　　　　　物之類一切村中に差置ましき事
　　　　　一　衣類食物其外万事分に過たる奢
　　　　　　　仕らす■を持立候様に常々可相守事
　　　　　右條々村々庄屋方ニ写置毎年正月七日

　　　　　両度無懈怠村中之者ニ為読聞猶又
　　　　　庄屋長百姓相心得常々怱百姓に為
　　　　　申聞急度可相守者也仍下知如件
　　　　　　貞享四年丁卯十一月

一　十一月廿八日新保浦之者為船商売当四月　　
　　奥州南部へ罷越帰帆之節能登沖ニ而難風ニ
　　逢五月朝鮮国江致漂流候ニ付右船宗対馬守《割書：義｜■》殿ゟ
　　大坂江被送届候處同所町奉行小田切喜兵衛《割書：■｜利》殿

　　被遂吟味之上船御渡有之候段同所ニ被差置候
　　御家来ゟ申上候ニ付此段御老中江御達可然候
　　ハヽ宜御達有之候様彦坂壱岐守《割書：重｜紹》殿江御書を以
　　被　仰遣之
一　十二月四日寒中ニ付　御機嫌為御伺御使者
　　井上半太夫《割書：恒｜尭》江戸表江被指出之御肴一種被献之
　　半太夫今日福井出立
　　　　但半太夫江戸着日不詳同月廿一日御返書御渡有之
一　同月七日年始御祝儀御献上之御使者松原

　　三郎兵衛　今日福井出立
一　同月十五日　越後守《割書：光｜長》様御配所ゟ御帰府
一　同月十八日寒中ニ付御書《割書：十二日｜日附》を以例之通御国産《割書：一｜番》
　　生鱈被献之
一　同月廿六日為歳暮御祝儀御使者を以例之通
　　御小袖被献之　御臺様江白銀《割書：十｜枚》被指上之
一　同日大目付高木伊勢守《割書：守｜蔵》殿ゟ申来御留守居
　　罷出候処捨馬御制禁之儀ニ付左之通御書付并
　　口上書御渡有之

　　　　　　　御書付
　　　　　　　　　覚
　　　　　捨馬之儀ニ付段々被　仰出処頃日も捨馬
　　　　　仕候物有之候急度御仕置可被　仰付候得共
　　　　　先此度も流罪被　仰付候向後捨馬
　　　　　仕候者抱有之者可被重科者也
　　　　　　　十二月　日

　　　　　　　　　口上之覚
　　　　　捨馬不仕候様ニ被　仰出候得共相背者

　　　　　有之最前遠嶋被　仰付段々御仕置之處
　　　　　今以右之族有之重々不届至極ニ候得共
　　　　　御慈悲を以今度も右同罪被　仰付候
　　　　　御領私領共ニ急度申付畢竟生類憐之
　　　　　候処専一ニ可仕候此以後捨馬致候者其わけにより
　　　　　御代官地頭可為越度候以上
　　　　　　　十二月　日
　　　　　　　竪紙之書付者高札ニたて添高札無之
　　　　　　　場所者新規ニ建置之候

一　十二月廿七日三河守《割書：綱｜国》様御配流御免被　仰出

【裏表紙】

家譜

家譜《割書：吉品公｜》《割書：従元禄元年｜到同二年》十七

吉品様《割書：従元禄元年戊辰｜至同二年己巳》

元禄元年戊辰《割書：此年貞享五年｜九月晦日改元》
　　一　正月朔日於　御本丸年始御規式有之於　御座之間本多
　　　　孫太郎《割書：長｜員》并御家老太刀目録持参御礼申上之御盃頂戴
　　　　御熨斗被下之御盃　御前江被　召上畢而於韃靼之間本多
　　　　左兵衛《割書：通｜重》太刀目録持参御礼申上之御盃頂戴御長蚫被下之
　　　　於表御書院高知初引渡序之面々太刀目録持参御礼申上之
　　　　御盃頂戴御長蚫被下之相済寄合初長袴以上之面々
　　　　太刀目録持参御礼申上之御流之御盃頂戴御長蚫

　　　　被下之於大広間諸物頭御使番之面々并御書院番一番二番
　　　　大御番一番ゟ四番迄御留守居番一番二番新番之面々鳥目
　　　　持参御礼申上御流之御盃頂戴御長蚫取次ニ而被下之畢而
　　　　与力諸役人御礼被為　請相済諸職人進物献上御礼申上被為
　　　　入於鉄砲之間御医師并御茶道御絵師御礼申上御流之御盃
　　　　頂戴御長蚫被下之於韃靼之間奥御小姓表御小姓御礼申上
　　　　御流之御盃頂戴御長蚫取次ニ而被下之畢而桒山宗庵《割書：政｜甫》
　　　　右同断御長蚫被下之相済於長囲爐裏之間一統御礼申上
　　　　者共一同並居御礼申上之

　　一　同日年始御祝儀御使者松原三郎兵衛を以御太刀馬代
　　　　被献之
　　一　正月二日於　御本丸御座之間御家老之嫡子太刀目録持参
　　　　年始之御礼申上之御盃頂戴御長蚫被下之同庶子御礼
　　　　申上御流之御盃頂戴御長蚫被下之於御書院高知之
　　　　嫡子太刀目録持参御礼申上御盃頂戴御長蚫被下之畢而
　　　　寄合番外子供御礼申上右同断被下之諸物頭御使番
　　　　御番組之子供御礼申上御流之御盃頂戴御長蚫取次ニ而被下之
　　一　同月三日旧臘《割書：十四｜日》御献上之二番生鱈被指立候得共故障出来

　　　　御献上無之二付又々今日御書を以被指立之
　　　　　　但御献上日不詳
　　一　同日《割書：夜｜》御謡初御祝儀有之御家老ゟ御盃台献上之
　　　　本多孫太郎《割書：長｜員》御家老初水戸平兵衛《割書：朝｜栄》山川内膳《割書：朝｜澤》酒井
　　　　孫四郎《割書：元｜宣》迄御盃頂戴御肴被下之畢而寄合之面々ゟ諸士迄
　　　　召出之御酒被下之
　　一　正月六日越後守《割書：光｜長》様御帰府初而　御目見被　仰付候《割書：旧臘｜廿五日》為
　　　　御礼御使者堀勘左衛門《割書：長｜圓》江戸表江被指出之今日福井出立
　　一　同日於　御本丸泉蔵院初御菩提寺中年始之御礼被為
　　　　請
　　一　同月七日為御上初御使者を以例之通御肴被献之
　　一　同日旧臘《割書：廿七｜日》三河守《割書：綱｜国》様御配流御免被　仰出候為御礼御使者
　　　　石原平右衛門江戸表江被指出之今日福井出立
　　一　同日於　御本丸諸町人年始之御礼被為　請
　　一　同月八日於　御本丸諸寺院之年始御礼被為　請　　
　　一　同月十一日年始三ヶ日之御規式相済候為御祝儀御使者江川
　　　　浅之丞江戸表江被指出之御肴一種被献之浅之丞今日
　　　　福井出立

　　一　正月十一日於　御本丸御具足之餅御披御祝儀有之於
　　　　御座之間本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老御相伴被仰付御盃被下
　　　　御前江も被　召上畢而於御同所御家老之嫡子同庶子御奏者
　　　　番等餅御長蚫　御直ニ被下之於大広間高知初寄合ゟ
　　　　諸物頭御番組迄右之面々子供等御餅御長蚫自分ニ頂戴
　　　　之畢而与力諸役人迄右同断頂戴之
　　一　同月十三日御参勤御時節為御伺御使者平井斗之丞江戸表江
　　　　被指出之今日福井出立
　　一　同月十六日評定初ニ付　御使者御膳番を以評定所江御鷹之
　　　　鴨被下之
　　一　同月十八日ゟ同廿二日迄例之通於　御本丸御祈祷被　仰付
　　　　《割書：十八日十九日玄成院廿日大長院｜廿一日松玄院廿二日寛祥院》
　　一　同月廿一日加藤兵助殿ゟ申来候ニ付御留守居荒川善右衛門《割書：正｜武》
　　　　罷出候処鉄砲御改之儀ニ付左之通口達有之証文形被相渡之
　　　　　　　　　　　口達書
　　　　　　一　御領内所柄物忩ニ而百姓難儀仕為用心鉄砲
　　　　　　　　古ゟ所持来分ハ其まゝ可被差置筈


　　　　　　一　御領内山方ニ而畜類多出作毛を荒百姓難儀仕
　　　　　　　　玉込不申候鉄砲ニ而おとし申度古ゟ所持来候ハ
　　　　　　　　其まゝ可被差置筈
　　　　　　一　御領内山方ニ而古ゟ猟師鉄砲ニ而狩仕渡世を送リ
　　　　　　　　申者ハ持来鉄砲其儘可被差置筈
　　　　　　　　右之通被遂御吟味百姓共申分紛無御座候ハヽ何郡
　　　　　　　　何村百姓之名并何匁玉之鉄砲何挺一人ツヽ委曲
　　　　　　　　記置尤御書付之通手形請取置申筈其外無故
　　　　　　　　百姓鉄砲所持仕候ハすきと御取上可被成筈是も
　　　　　　　　何郡何村百姓名何匁玉之鉄砲何挺所持仕候を
　　　　　　　　御取上被成候由帳面委記置申筈
　　　　　　一　御領内寺社　御朱印地たりといふ共無御遠慮
　　　　　　　　御改可被成筈
　　　　　　一　御領内ニ罷在候浪人鉄砲切者ニ而弟子抔ニ指南
　　　　　　　　為可仕鉄砲所持仕候か又ハ鉄砲稽古いたし有付
　　　　　　　　のため申立ニ仕度旨申候ハヽ申分をたゝされ
　　　　　　　　可被差置筈尤借地借屋ニ而罷在候者御書付之通
　　　　　　　　手形受取置申筈其外浪人鉄砲所持仕候分ハ

　　　　　　　　皆々御取上可被成候右之浪人他国江罷出候ニ付
　　　　　　　　鉄砲持参仕度又ハ払申度旨申候ハヽ調申所を
　　　　　　　　吟味其上ニ而御書付を以御断被　仰達其上ニ而
　　　　　　　　鉄砲御渡被成筈
　　　　　　一　御家中并町在郷江他国ゟ由緒有之候浪人
　　　　　　　　参事も可有之候其浪人鉄砲持来候共御定之通
　　　　　　　　御取上可被成筈
　　　　　　一　御領内町人鉄砲為売買所持仕者も可有之候
　　　　　　　　又ハしち物ニ預リ置鉄砲も可有之候左様之預リ
　　　　　　　　鉄砲ハ持主江断請返シ申候ハヽ其持主両方
　　　　　　　　承届其外売買仕候鉄砲ハ其まゝ被差置何町
　　　　　　　　なにかしと申者方ニ何匁玉之鉄砲何挺と一町〳〵
　　　　　　　　委曲帳面記置尤御書付之通手形請取置可申事
　　　　　　　　御当地ニ而御町奉行中ヘ被　仰付右之通御吟味
　　　　　　　　之事候

　　一　正月廿七日御用番ゟ御呼出ニ付御参勤御伺御使者平井
　　　　斗之丞罷出候処当四月中御参府可被成旨御老中連名之

　　　　御奉書御渡有之
　　一　二月九日月次　御機嫌為御伺御使者三寺与右衛門《割書：信｜成》
　　　　江戸表江指出之御肴一種被献之与右衛門今日福井出立
　　一　同月十二日於瑞源寺去十日ゟ今朝迄　松桂院様三回御忌
　　　　御法事御執行有之
　　一　三月七日孝顕寺江御建立之
　　　　浄光院様御像堂御普請御成就ニ付　御遷座有之
　　　　　　但右ニ付今日ゟ八日迄御供養有之
　　一　同月廿四日御留守中大御番士御番之儀ニ付　御意之趣
　　　　大御番頭水谷織部《割書：勝｜乗》毛受小三郎《割書：教｜洪》永見治部右衛門《割書：義｜正》江月番
　　　　御家老稲葉采女《割書：治｜房》左之通申渡之
　　　　　　大御番之面々御留守中七ツ蔵御番所江八番ニ可
　　　　　　相勤旨被　仰出之并御番頭三人ニ而泊三番
　　　　　　罷出候儀難相勤儀ニ候間泊番不時ニ罷出可相勤候
　　　　　　嶋田清左衛門江戸御供ニ被　召連候此番組之者共
　　　　　　当番之節も惣而昼夜共ニ他番相番之無隔
　　　　　　御番頭之面々ハ不時ニ罷出可相勤旨
　　一　同月廿四日御留守中二ノ丸御馬屋前中仕切小門〆切下馬御門ゟ

　　　　切手御門江通抜無之様被　仰出之
　　一　同日御留守中与力之者共瓦御門御番被相止太鼓御門御番可
　　　　相勤旨組頭之面々江被　仰出之
　　一　同日御留守中太鼓御門番与力之者共江被　仰付候間御先物頭之
　　　　面々下馬御門切手御門両所江相分レ可相勤旨被　仰出
　　一　三月廿五日福井　御発駕東海道通御旅行
　　一　同日右同断ニ付為御案内御老中江御書被指出之
　　一　四月九日江戸御屋敷江　御着右為御案内御老中御側
　　　　御用人若年寄中江御使者御留守居被指出之
　　一　同月十日右同断ニ付為御案内御老中御側御用人
　　　　若年寄中江　御廻勤
　　一　同日右同断ニ付　上使御老中大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿御越其節
　　　　御玄関薄縁ゟ二三間先敷石之上迄　御出迎御案内ニ而
　　　　加賀守殿御書院江御通　上意之趣御達有之　御請被
　　　　仰上御長蚫御直ニ御居被成《割書：御料理出候得共御断｜御吸物も御辞退》加賀守殿御退出
　　　　後為御礼御老中御側御用人若年寄中江　御廻勤
　　一　同月十二日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例

　　一　四月十五日　御登　城《割書：昨十四日御老中阿部｜豊後守殿ゟ御切紙来ル》御参勤之御礼
　　　　被　仰上御太刀一腰銀二百枚綿百把御献上　御台様江銀
　　　　二拾枚縮緬《割書：紅｜白》十巻被指上之御退出掛御老中御側御用人
　　　　若年寄中御側衆江　御廻勤
　　一　同月廿一日地蔵町御門際土居ニ有之候時鐘今度観音町
　　　　土手江相移候様被　仰出
　　一　同月廿六日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
　　一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単
　　　　被献之白銀被指上之
　　一　同月六日御参府ニ付為御土産御使者御留守居荒川善右衛門《割書：正｜武》
　　　　を以五色奉書紙十束被献之右御披露済之捻御奉書
　　　　御老中戸田山城守《割書：忠｜昌》殿ゟ来ル

　　　　　　　　　上書
　　　　　　　　　　松平兵部大輔殿　　　　　忠昌
　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　戸田山城守
　　　　　　　　色奉書紙被献之候首尾好遂披露候
　　　　　　　　恐々謹言

　　　　　　　　　　　五月六日　　　　　　　忠昌書判
　　　　　　　但右色奉書紙被献候ニ付捻御奉書之儀以後定例故
　　　　　　　　不記之

　　一　五月六日右同断ニ付御使者原平左衛門《割書：正｜武》を以
　御台様江
　　　　両面打曇鳥子紙《割書：五百｜枚》被指上之
　　　　　　但彦坂壱岐守殿を以御老中土屋相模守殿迄御伺之上
　　　　　　　被指上之
　　一　六月十二日為嘉定御祝儀　御登　城御着座ニ而御礼
　　　　被　仰上御退出掛右為御礼御老中御側御用人江
　　　　御廻勤
　　　　　　但嘉定御祝儀御登城之儀以後定例故不記之
　　一　同月十八日仙鉄様初而　御目見被　仰上候ニ付右為御礼
　　　　御老中御側御用人江　御廻勤
　　一　同月廿六日暑中ニ付御使者を以例之通御国産索麪干鯛
　　　　被献之
　　一　七月三日御家老斎藤民部《割書：定｜之》死去

　　　　　　但右病気為御尋御小屋江両度御出有之
　　一　七月六日為生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金
　　　　被献之
　　一　同月廿三日御奏者番溝口市左衛門《割書：隆｜重》を以斎藤民部《割書：定｜之》牌前江
　　　　《割書：持宝院ニ｜有之》御香奠五枚被下之
　　一　同月廿七日　御使者を以例之通御国産初鱈被献之
　　一　八月朔日　御登　城例之通御太刀馬代御献上
　　一　同月五日大橋御普請出来渡初有之
　　　　　　但右渡初之儀是迄京町大黒屋長左衛門同俵左衛門代々被仰付
　　　　　　　候得共俵左衛門親御咎被　仰付候ニ付被相止今度ハ本町
　　　　　　　両替屋荒木善左衛門駒屋長右衛門と申者江被仰付
　　一　同月廿五日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　九月四日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖
　　　　被献之白銀被指上之　
　　一　十月六日　御登　城被成候処《割書：昨五日御老中ゟ｜御切紙来ル》年号元禄と
　　　　改元被　仰出候旨御老中御達有之
　　一　十一月十日政姫様御名豊？姫様と御改被成

　　一　十一月十九日浄光院後住之儀増上寺江御頼之処知残と申僧江
　　　　被申付候段増上寺ゟ申来候ニ付右知残　御目見之儀先例之通
　　　　相成候様寺社奉行戸田能登守《割書：忠｜真》殿江御使者御留守居加賀
　　　　藤左衛門《割書：成｜興》を以被　仰遣之
　　一　同日切支丹御証文御使者御留守居加賀藤左衛門《割書：成｜興》を以被指出之
　　一　同月廿四日浄光院《割書：知｜残》入院之為御礼登　城
　　　　公方様　御目見被　仰付
　　一　十二月三日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於御城
　　　　御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　同月六日於孝顕寺昨五日晩ゟ今朝迄　長勝院様七十回御忌
　　　　御法事御執行有之
　　一　同月十四日　上使石丸数馬《割書：定｜勝》殿を以　御鷹之鶴御拝領
　　　　数馬殿此　御屋形江御越之節御玄関ニ而御奏者番大谷助六《割書：重｜照》
　　　　嶋田清左衛門《割書：重｜矩》鶴請取之御書院江持参之節御玄関薄縁之
　　　　上迄　御出迎御会釈有之御案内ニ而数馬殿御書院江御通
　　　　上意之趣御達有之鶴御頂戴被成御長蚫　御直ニ御居被成
　　　　御料理并御吸物等御断ニ而御退出其節最前御出迎之処迄
　　　　御送被成夫ゟ為御礼　御登　城御退出掛御老中御側御用人

　　　　若年寄中　御廻勤
　　一　十二月廿一日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　　　白銀被指上之
　　一　同月廿二日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被献之
　　一　同月廿五日鉄砲御改ニ付当春《割書：正月｜廿一日》加藤兵助殿ゟ被相尋候儀
　　　　ニ付御使者を以左之通改帳面被指出之
　　　　　　高二十五万石
　　　　　　　　越前国足羽郡福井城下町
　　　　　　一　鉄炮五挺炮　　　　　玉目三拾匁宛
　　　　　　一　鉄炮三挺　　　　　　玉目弐拾匁宛
　　　　　　一　鉄炮弐挺　　　　　　玉目拾五匁宛
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　　　　　玉目拾壱匁五分
　　　　　　一　鉄炮拾七挺　　　　　玉目拾匁宛
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　　　　　玉目八匁六分
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　　　　　玉目八匁五分
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　　　　　玉目七匁宛
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　　　　　玉目六匁三分




　　　　　　一　鉄炮弐挺　　　　　　玉目六匁宛
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　　　　　玉目五匁六分
　　　　　　一　鉄炮弐挺　　　　　　玉目五匁宛
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　　　　　玉目四匁七分
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　　　　　玉目四匁三分
　　　　　　一　鉄炮七挺　　　　　　玉目四匁宛
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　　　　　玉目三匁八分
　　　　　　一　鉄炮七挺　　　　　　玉目三匁七分宛
　　　　　　一　鉄炮五挺　　　　　　玉目三匁六分宛
　　　　　　一　鉄炮六拾挺　　　　　玉目三匁五分宛
　　　　　　一　鉄炮六挺　　　　　　玉目三匁四分宛
　　　　　　一　鉄炮五拾弐挺　　　　玉目三匁三分宛
　　　　　　一　鉄炮五挺　　　　　　玉目三匁弐分宛
　　　　　　一　鉄炮弐拾三挺　　　　玉目三匁宛
　　　　　　一　鉄炮弐挺　　　　　　玉目弐匁宛
　　　　　　　　　
　　　　　　　　　越前国吉田郡古市村町
　　　　　　
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　　　　　玉目四匁三分

　　　　　　　　　　越前国坂井郡南金津村町
　　　　　　一　鉄炮三挺　　　　　　玉目三匁三分宛
　　　　　　　　　　同国同郡金津新町
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　　　　　玉目三匁五分
　　　　　　　　　　同国同郡北金津町
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　　　　　玉目三匁五分
　　　　　　　　　　同国同郡三国浦町
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　　　　　玉目三匁三分
　　　　　　　　　　同国南條郡府中町
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　　　　　玉目拾匁
　　　　　　一　鉄炮弐挺　　　　　　玉目五匁宛
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　　　　　玉目四匁
　　　　　　一　鉄炮弐挺　　　　　　玉目三匁三分宛
　　　　　　一　鉄炮弐拾三挺　　　　玉目三匁宛
　　　　　　一　鉄炮八挺　　　　　　玉目弐匁五分宛
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　　　　　玉目壱匁
　　　　　　　　　　同国同郡北府村町
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　　　　　玉目三匁五分

　　　　　　　　右町八ヶ所鉄炮弐百五拾四挺売人所持仕候
　　　　　　右状者領分町八ヶ所為商売鉄炮弐百五拾四挺
　　　　　　町人所持仕候若此鉄炮ニ而悪事殺生なと仕候歟又ハ
　　　　　　商買之外縦親子兄弟にて御座候共余人江借申候ハヽ
　　　　　　本人は不申及町年寄五人組迄可為曲事旨急度申付
　　　　　　置候右之趣相背候ハヽ何様之曲事ニも可被　仰付旨
　　　　　　町年寄五人組鉄炮持主方ゟ手形取置申候右之外
　　　　　　鉄炮所持之町人無御座候

　　　　　　　　　　　　　　　越前国足羽郡福居庄長者町住所
　　　　　一　鉄炮壱挺　　　玉目三匁五分　浪人　熊本木工右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　同国同郡同庄中嶋新寺町住所
　　　　　一　鉄炮壱挺　　　玉目三匁五分　浪人　鈴木茂大夫
　　　　　　　　　　　　　　　同国同郡同庄東三上町住所
　　　　　一　鉄炮弐挺　　　玉目《割書：拾匁｜三匁五分》　浪人　浪人　小倉儀左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　同国同郡同庄松本南横町住所
　　　　　一　鉄炮壱挺　　　玉目三匁三分　浪人　今井弥兵衛

　　　　　　　　　　　　　　　越前国足羽郡福居庄西源寺町住所
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　浪人　吉川源左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　同国同郡同庄東子安町住所
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目拾匁　　　浪人　横崎長左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　同国同郡同庄松本志比口住所
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目拾五匁　　浪人　村田弥七
　　　　　　　　　　　　　　　同国坂井郡小幡村住所
　　　　　　一　鉄炮弐挺　　玉目三匁五分宛　浪人　飯沼源左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　同国同郡佐野村住所
　　　　　　一　鉄炮弐挺　　玉目《割書：四匁｜三匁五分》　浪人
　有賀斎宮
　　　　　　　　　　　　　　　同国同郡岸水村住所
　　　　　　一　鉄炮弐挺　　玉目六匁宛　　浪人　嶋田彦五郎
　　　　　　　　　　　　　　　同国同郡三国浦住所
　　　　　　一　鉄炮弐挺　　玉目三匁五分宛　浪人　石川七之助
　　　　　　　　　　　　　　　同国同郡同浦住所
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　浪人　冨田行運

　　　　　　　　　　　　　　　越前国今立郡大滝村住所
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁三分　浪人　鈴木甚五大夫
　　　　　　　　　　　　　　　同国丹生郡蒲生浦住所
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁　　　浪人　木村左五大夫
　　　　　　　　　　　　　　　同国同郡大谷村住所
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁弐分　浪人　久代柏了
　　　　　　　　　　　　　　　同国南條郡今庄村住所
　　　　　　　　　　　　　　　同国同郡府中引接？寺前住所
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　浪人　林弥左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　同国同郡府中今道町住所
　　　　　　一　鉄炮三挺　　玉目《割書：百匁｜弐拾匁｜三匁五分》　　浪人　吉見休意
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁　　　浪人　大場又兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　同国同郡同所本町住所
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目弐匁五分　浪人　木村平右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　同国同郡同所大門町住所　
　　　　　　一　鉄炮弐挺　　玉目《割書：三匁五分｜弐匁五分》　　浪人　原田又左衛門

　　　　　　　　　　　　　　　越前国今立郡府中南小路町住所
　　　　　　一　鉄炮弐挺　　玉目《割書：拾匁｜三匁五分》浪人　鳥山吉左衛門

　　　　　　　　　越前国足羽郡勝見村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　　　　吉兵衛
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目拾匁　　　　　　市右衛門
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　　　　喜右衛門　
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁壱分　　　　猪兵衛
　　　　　　　　　同国同郡渡村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　　　　八大夫
　　　　　　　　　同国同郡南居村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　　　　三郎左衛門
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目四匁　　　　　　甚右衛門
　　　　　　　　　同国同郡三尾野村　
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　　　　六兵衛
　　　　　　　　　同国同郡今市村

　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁四分　　　長右衛門
　　　　　　　　　越前国足羽郡稲津村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　　　吉左衛門
　　　　　　　　　同国同郡荒木新保村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁三分　　　孫大夫
　　　　　　　　　同国同郡椙谷村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁三分　　　十兵衛
　　　　　　　　　同国同郡堺寺村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目四匁　　　　　九兵衛
　　　　　　　　　同国同郡東新町村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目四匁　　　　　三四郎
　　　　　　　　　同国同郡蔵作村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目四匁　　　　　新左衛門
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　　　庄左衛門
　　　　　　　　　同国同郡朝谷村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　　　甚兵衛
　　　　　　　　　同国同郡角原村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁三分　　　惣右衛門

　　　　　　　　　越前国足羽郡北山村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁三分　　市郎兵衛
　　　　　　　　　同国同郡徳光村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　　彦左衛門
　　　　　　　　　同国同郡鉾ヶ崎村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目四匁　　　　孫兵衛
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目四匁五分　　半内
　　　　　　　　　同国同郡浄教寺村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁六分　　才右衛門
　　　　　　　　　同国吉田郡重立村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目拾匁　　　　理右衛門
　　　　　　　　　同国同郡京善村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁三分　　如意庵
　　　　　　　　　同国同郡市野々村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁六分　　平右衛門
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　　与三兵衛
　　　　　　　　　同国同郡永平寺門前大工村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　　藤右衛門

　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁三分　　源左衛門
　　　　　　　　　越前国吉田郡小野村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目拾匁　　　　三大夫
　　　　　　　　　同国同郡藤巻村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁六分　　惣左衛門
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁三分　　興行寺
　　　　　　　　　同国同郡上森田村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁四分　　甚右衛門
　　　　　　　　　同国坂井郡砂子坂村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁三分　　惣右衛門
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目四匁　　　　弥左衛門
　　　　　　　　　同国同郡権世村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　　次郎左衛門
　　　　　　　　　同国同郡山竹田村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁三分　　次大夫
　　　　　　　　　同国同郡三国浦
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁三分　　仁左衛門
　　　　　　　　　同国同郡泥原新保浦　

　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁三分　　新左衛門
　　　　　　　　　越前国坂井郡豊原村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　　豊原寺
　　　　　　　　　同国今立郡大滝村
　　　　　　一　鉄炮弐挺　　玉目《割書：三匁三分｜三匁七分》　　　和泉
　　　　　　　　　同国同郡南井村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　　長右衛門
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁三分　　久右衛門
　　　　　　　　　同国同郡　磯部村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目拾匁　　　　弥左衛門
　　　　　　　　　同国同郡中村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　　善右衛門
　　　　　　　　　同国丹生郡茗荷村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁弐分　　三助
　　　　　　　　　同国同郡杉本村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　　十三郎
　　　　　　　　　同国同郡牛ヽ屋村　　　
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　　又右衛門

　　　　　　　　　越前国丹生郡上海浦
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁　　　　七兵衛
　　　　　　　　　同国同郡新保浦
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　　宗兵衛
　　　　　　　　　同国南條郡宇津尾村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　　藤兵衛
　　　　　　　　　同国同郡広野村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目四匁三分　　《割書：百姓｜》山ノ腰
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目四匁　　　　《割書：百姓｜》的場
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁三分　　《割書：百姓｜》妙願
　　　　　　　　　同国同郡橋立村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　　《割書：百姓｜》うしろ
　　　　　　　　　同国同郡板取村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　　三郎左衛門
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目四匁　　　　佐左衛門
　　　　　　　　　同国同郡帰村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁　　　　　弥三郎
　　　　　　　　　同国同郡今庄村

　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目四匁　　　　又十郎
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目四匁三分　　八郎右衛門
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目四匁　　　　五左衛門
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁三分　　願満寺隠居
　　　　　　　　　越前国南條郡鯖波村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目四匁五分　　七兵衛
　　　　　　　　　同国同郡四郎丸村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　　彦右衛門
　　　　　　　　　同国同郡府中旗町村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目四匁　　　　長左衛門
　　　　　　　　　同国同郡赤萩村
　　　　　　一　鉄炮壱挺　　玉目三匁五分　　惣百姓
　　　　　　　　　右鉄炮九拾七挺今度取上置申候
　　　　　　右取上鉄炮之内三拾挺浪人所持仕候故今度取上置
　　　　　　申候其内浪人有付候歟又ハ子細有之受取度旨申候ハゝ
　　　　　　様子承届急度御断申上其上相渡可申候此以後何方ゟ
　　　　　　浪人参候共相改鉄炮所持仕候者早速取上可申候自今
　　　　　　以後弥浪人手前鉄炮所持不仕候様改可申候

　　　　　　一　越前国足羽郡之内　　　　　　　百三拾弐ヶ村
　　　　　　一　同国吉田郡之内　　　　　　　　六拾八ヶ村
　　　　　　一　同国坂井郡之内　　　　　　　　九拾八ヶ村
　　　　　　一　同国今立郡之内　　　　　　　　四拾ヶ村
　　　　　　一　同国丹生郡之内　　　　　　　　三拾五ヶ村
　　　　　　一　同国南條郡之内　　　　　　　　四拾一ヶ村
　　　　　　　　　右四百六拾三ヶ村鉄炮所持之者無御座候
　　　　　　右拙者領分四百六拾三ヶ村寺社共相改候処鉄炮所持之者
　　　　　　無御座候弥自今以後無断鉄炮所持仕間敷旨堅申付
　　　　　　村切二名主五人組ゟ手形取置申候為其如此御座候以上
　　　　　　　御朱印地　　越前国足羽郡三橋村組町ハ無御座候
　　　　　　　　　　　高百石　　　　無山号　　寿福院
　　　　　　右　御朱印地壱ヶ村寺共相改候処鉄炮所持之者無御座候
　　　　　　弥自今以後無断鉄炮所持仕間敷旨私領同事ニ堅申付
　　　　　　名主五人組方ゟ手形取置申候為其如此御座候已上
　　　　　　　元禄元戊辰年十二月十日　　松平兵部大輔《割書：印判｜》書判
　　　　　　　　　　　加藤兵助殿
　　　　　　　　　　　中坊長兵衛殿

　　　　　　但右之外兵助殿并藤堂伊予守殿連名充所ニ而右
　　　　　　　之趣之帳面一丹？被指出候得共不記之
　　一　十二月廿七日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：二｜番》生鱈
　　　　被献之

元禄二年己巳
　　一　正月朔日為年始御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代
　　　　御献上呉服御拝領
　　一　同日於　御屋形年始御規式有之
　　一　同月三日為御謡初御祝儀御使者御留守居を以御盃台
　　　　御酒代《割書：銀一｜枚》被献之
　　一　同月七日為御上初御使者を以例之通御肴《割書：鯛｜一》一折被献之
　　一　三月廿二日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於

　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　四月朔日御家老稲葉采女《割書：治｜房》死去
　　　　　　但病気急症ニ付御登城前為御尋御小屋江　御出被成
　　一　同月八日遊行上人油町乗久寺ニ滞留ニ付為御尋御使者
　　　　日比野八兵衛《割書：正｜倫》被遣之蝋燭二百挺薯蕷一籠被遣之
　　　　　　但四日ゟ滞留ニ而五月二日出立ニ付其節御使者大御番堀十兵衛
　　　　　　　を以銀十枚被遣之
　　一　同月十一日　上使御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿を以《割書：上使御越之旨御目付被申｜候段御小人目付罷越□奉之》
　　　　御国許江之御暇被　仰出例之通白銀御袷御拝領相模守殿此
　　　　御屋形江御越之節御玄関薄縁ゟ二三間先敷石之上迄
　　　　御出迎夫ゟ御案内ニ而御書院江御通　上意之趣御達有之直ニ
　　　　御拝領物御頂戴被成御長蚫　御直ニ御居被成御料理《割書：三汁｜九菜》
　　　　出御断ニ付引之御吸物も御辞退御茶出之畢而　御出座
　　　　御請被　仰上御退出之節最前御出迎之所迄御送被成相済右為
　　　　御礼御老中御側御用人江　御廻勤
　　一　同月十二日　御登　城御暇之御礼被　仰上例之通御馬御拝領
　　　　御退出掛為御礼御老中御側御用人若年寄中江

　　一　四月十四日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
　　一　同月十五日御暇之御礼後二付御登城無之
　　一　同日御拝領之御馬御老中戸田山城守《割書：忠｜昌》殿ゟ使者ニ而為率
　　　　来ル御馬方宮下円四郎《割書：幸｜雄》受取之狛帯刀《割書：改江｜貞》相渡其節
　　　　御玄関江　御出帯刀御手綱差上御頂戴相済於渡之間右
　　　　使者江御長蚫被下之御返答有之
　　一　同月《割書：日不｜詳》　御養子之儀ニ付御同願之趣左之通御老中江
　　　　被指出之
　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　奉願覚
　　　　　　　私儀男子無御座候候付自然於在所
　　　　　　　相果候ハゝ松平長門守弟長吉儀被
　　　　　　　召出如何様ニも遺跡被　仰付被下候ハゝ
　　　　　　　有難可奉存候以上
　　　　　　　　　　　　　　　　　松平兵部大輔
　　　　　　　　　元禄ニ己四月　　　　　御書判　
　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　大久保加賀守様

　　　　　　　　　　阿部豊後守様
　　　　　　　　　　戸田山城守様
　　　　　　　　　　土屋相模守様

　　　　　　一　実子無御座候ニ付養子願ニ奉存候事
　　　　　　一　段々御厚恩之御儀有難奉存罷在候自分ゟ
　　　　　　　　養子願申上候事憚多御座候間似合敷養子
　　　　　　　　被　仰付被下之様申上度奉存候併
　　　　　　　　上江御苦労を申上ル様ニ可有御座哉之事
　　　　　　一　今越前病気前之娘養子ニ仕置九歳ニ罷成候
　　　　　　　　聟養子願可申上哉之事

　　　　　　右之趣御内証御相決被成可被下候
　　　　　　　　　　〆

　　一　四月廿四日御奏者番溝口市左衛門《割書：隆｜重》を以稲葉采女《割書：治｜房》牌前江
　　　　《割書：心月寺ニ｜有之》御香奠銀五枚被下之
　　一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単

　　　　被献之白銀被指上之
　　一　五月十日江戸　御発駕東海道通御旅行
　　一　同月廿三日　御着城
　　一　同月廿五日右同断ニ付御礼御使者高知芦田内匠《割書：賢｜詮》江戸
　　　　表江被指出之奉書紙并昆布干鯛御樽被献之内匠今日
　　　　福井出立
　　　　　　但内匠江戸着献上物相納候日不詳
　　一　六月四日暑中ニ付　御機嫌為御伺御使者山中猪兵衛
　　　　江戸表江被指出之御肴一種被献之猪兵衛今日福井出立
　　　　　　但猪兵衛江戸着日不詳同月十八日御返書被相渡之
　　一　同月十二日御帰国御礼御使者芦田内匠《割書：賢｜詮》　御城江罷出
　　　　候処御返書御渡有之内匠江御時服拝領被　仰付
　　一　同月十八日暑中ニ付御書を以例之通御国産索麪干鯛被献之
　　一　同月廿五日為御川狩市波江　御出被成《割書：七月朔日｜御帰館》
　　　　　但御供之次第三国江御出之節之通被召連
　　一　七月三日勝山御代官都筑長左衛門　殿御支配所坂井郡御簾尾村ニ
　　　　致住居候切支丹類族本人無清次男桶屋太右衛門と申者致病死
　　　　候処他太右衛門儀御家ゟ　公儀江被指出候人別帳ニ名前有之者

　　　　ニ付右病死之段切支丹奉行江御家ゟ御達被下候様長左衛門殿ゟ
　　　　御家老迄申来ル
　　　　　　但右ニ付為改御簾尾村江御目付海福猪兵衛被遣之
　　一　七月六日為生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
　　一　同日切支丹類族桶屋太右衛門と申者致病死候儀ニ付切支丹奉行
　　　　小幡三郎左衛門殿江御証文御直判ニ而被指出之其節左之通
　　　　御書被指添之

　　　　　　一筆令啓達候然者越前国福井城下ニ最前
　　　　　　　罷在切支丹本人無清と申者之二男桶屋太右衛門儀
　　　　　　　都筑長左衛門御代官所御簾尾村居住仕候当五月
　　　　　　　二日致病死候付其砌長左衛門方ゟ相改御断申候処
　　　　　　　我等方ゟも可申達旨藤堂伊予守殿長左衛門方江御申聞
　　　　　　　候故則御断申候得者死骸をも相改重而証文可出旨
　　　　　　　御指図之太右衛門儀御領ニ罷在者ニ候ヘハ年々
　　　　　　　寺証文にも此方ゟハ取置不申候其段指上候帳面ニも
　　　　　　　相記候然共伊予守殿任御指図太右衛門死骸為改
　　　　　　　申候相果日数過候故難見分候ヘ共長左衛門相改候を致

　　　　　　　証拠証文指出申事御座候右之趣為可得御意如
　　　　　　　此候恐惶謹言
　　　　　　　　七月六日
　　　　　　　　　　小幡三郎左衛門様
　　　　　　　　但被指出候御証文御記録不相見候ニ付御書相記之

　　一　七月廿一日於孝顕寺昨廿日晩ゟ今朝迄　清涼院様五十回御忌
　　　　御法事御執行有之
　　一　同月廿五日為御川狩市波江御出被成《割書：同晦日｜御帰殿》
　　一　同月廿八日御書を以例之通御国産初鱈被献之
　　一　八月朔日為御祝儀御使者を以例之通御太刀馬代被献之
　　一　同日永平寺入院ニ付登　城於大広間　御逢十帖一本指上之
　　　　御奏者番披露之孝顕寺華蔵寺鎮徳寺　御目見被
　　　　仰付畢而於韃靼？之間永平寺江御料理《割書：三汁｜九菜》出御引物　御直ニ
　　　　御引被成孝顕寺相伴被仰付
　　一　同月十一日松平庄兵衛《割書：正｜恒》酒井孫四郎《割書：元｜宣》千石宛御加増御家老職
　　　　被　仰付狛帯刀《割書：政｜貞》百人扶持被下御家老並被　仰付

　　一　八月廿一日月次　御機嫌為御伺御使者野村市郎左衛門《割書：朝｜由》を以
　　　　御肴一種被献之
　　　　　　但市郎左衛門去ル九日御国表出立
　　一　九月七日為重陽御祝儀御使者を以御小袖被献之
　　　　追而　御内書於御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　同日右同断ニ付御使者を以　御台様江白銀被指上之
　　一　十月四日御泉水御茶屋御普請御成就
　　一　同月九日月次　御機嫌為御伺御使者立岩孫八江戸表江
　　　　被指出之御肴一種被献之孫八今日福井出立
　　　　　　但孫八江戸着日等不詳
　　一　同日為御鷹狩三国辺江　御出被成《割書：同十五日｜御帰殿》
　　一　同月廿五日為御鷹狩吉江江御出被成《割書：同晦日｜御帰殿》
　　一　十一月十二日来月三日　高照院様十七回御忌御相当ニ付谷中
　　　　南泉寺江為御代拝御奏者番溝口市左衛門《割書：隆｜重》被指遣之今日
　　　　福井出立
　　一　同月十五日於　御本丸武芸　御覧有之
　　一　同月廿二日去十六日ゟ　御頭痛気被成御座候処御熱も有之
　　　　未御爾々無之二付以飛脚江戸表江　御容体被　仰遣

　　一　十一月廿四日　御容体御爾々無之二付京都医師有馬涼及
　　　　御頼被成度ニ付御使者松原善左衛門《割書：矩｜成》二而京都江被指遣之
　　　　善左衛門今日福井出立
　　一　同月廿六日右同断ニ付御使者彦坂又兵衛《割書：重｜庸》江戸表江被指出之
　　　　御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江御達又御一門様方江為御知被成
　　　　又兵衛今日福井出立
　　一　同月廿八日京都医師有馬涼及今日福井江着《割書：旅宿京町｜駒屋善右衛門》即刻
　　　　御座所江罷出　御容体被相伺御薬指上
　　一　同月　御病気御平愈御祈祷之御札守御家中并諸役人
　　　　末々御扶持人町在之者且寺社方ニ至迄追々指上
　　一　十二月三日於華蔵寺去朔日暁ゟ今朝迄高照院様十七回
　　　　御忌御法事御執行有之於瑞源寺も今日御法事御執行
　　　　有之
　　　　　　但於谷中南泉寺も御法事御執行有之
　　一　同月七日御病気之趣　中務大輔《割書：昌｜勝》様初御一門方江為御知
　　　　有之二付御医師一人御国許江御遣被下候様右之御方々様ゟ
　　　　御老中迄御願被成候処御願之通御医師長嶋道仙老被遣候旨
　　　　被　仰出之

　　一　十二月八日右同断ニ付長嶋道仙老江戸出立依之大御番坂田
　　　　与兵衛《割書：永｜春》并御徒両人被指添
　　一　同月十日寒中ニ付例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被献之
　　　　　　但例年御在国年者御書を以被献候得共此節　御病気ニ付
　　　　　　　御判難被成ニ付御書無之
　　一　同月十一日　御容体御同篇与申内御爾々無之二付有馬涼及
　　　　薬御改町医師山崎道仙薬ニ被為替
　　　　　　但右ニ付涼及翌十二日福井出立
　　一　同月十二日寒中ニ付　御機嫌為御伺御使者比企佐左衛門《割書：栄｜□》を以
　　　　御肴一種被献之
　　　　　　但佐左衛門去朔日御国表出立
　　　　　　一　此節　御病気ニ而御判難被成ニ付御書不被指出
　　一　同月十四日寒中ニ付例之通御国産《割書：ニ｜番》生鱈被献之
　　　　　　但一番生鱈之通御書無之
　　一　同月十五日重陽之御内書御渡且御家来拝領物之為御礼
　　　　御使者藤田惣大夫《割書：重｜賢》江戸表江被指出之今日福井出立
　　　　　　但御書可被指出処御不快ニ而御判難被成ニ付御使者
　　　　　　　被指出之

　　一　十二月十六日　公儀御医師長嶋道仙老福井江着ニ付《割書：旅宿下呉服町｜発坂屋》
　　　　即刻御使番被遣同道ニ而道仙老　御座所江被相越其節御玄関
　　　　式台迄御家老御奏者番出迎鉄砲之間御次囲炉裏之間江
　　　　高知之面々表長囲炉裏之間江寄合触頭町奉行御奉行御目付
　　　　相詰道仙老　御居間江御通　御脈被相伺御薬被指上
　　　　　　但今日ゟ毎日道仙老　御座所江被相越　御脈診察有之
　　一　同日右同断ニ付為御礼御使者寄合高田浅右衛門《割書：一｜氏》江戸表江
　　　　被指出之今日福井出立
　　　　　　但　浅右衛門江戸着日不詳正月廿二日御返書御渡有之
　　一　同月廿二日長嶋道仙老御薬一廻御服用之処御相応被成少々
　　　　御快ニ付此段御達且右ニ付道仙老暫逗留之儀御願被成度旨
　　　　御口上被　仰含御小姓頭奥田平右衛門　江戸表江被指出之
　　　　中務大輔《割書：昌｜勝》様御初御一門様方并土屋相模守《割書：政｜直》殿彦坂壱岐守《割書：重｜綱》殿江
　　　　被仰進之
　　一　同月廿九日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　　　白銀被指上之

家譜

【表表紙】
【題字箋】
《題：家　譜《割書：忠昌公》《割書：従慶長八年｜到寛永六年》　三》

【見返し】

【左丁】
忠　昌　様　《割書：従慶長二年丁酉｜至寛永六年己巳》

【右丁】
【白紙】

【左丁】
　　　　　　伊予守
　　　　　　　忠昌様

　慶長二年丁酉
　　一　十二月十四日於摂州大坂　御誕生《割書：御本卦兌｜御性火》奉称　
　　　　虎松様《割書：後虎之助と｜御改》
　　　　秀康様御二男御母中川氏《割書：称岡山殿｜忠直様と御同母》
　　一　月日生魂明神《割書：江》　御宮参有之

【右丁】
【白紙】

【左丁】
　慶長五年庚子
　　一　月日
　　　　虎松様大坂城内証人屋敷《割書：ニ》被為在候処石田治部少輔《割書：三｜成》
　　　　姦謀《割書：ニ｜》依《割書：而》大坂表及騒動候《割書：ニ｜》付
　　　　秀康様下野国小山御陣中ゟ戸田六兵衛《割書：ニ》　御密旨を
　　　　被　仰含大坂《割書：江》被遣候《割書：ニ》付御附添罷在榊原六右衛門
　　　　謀略《割書：ニ｜　而》
　　　　虎松様城外御屋敷《割書：江》　御移被成

【右丁】
【白紙】

【左丁】
　慶長六年辛丑
　　一　七月廿八日
　　　　秀康様越前《割書：江｜》　御入国
　　　　虎松様城州伏見ゟ御一所《割書：ニ｜》北庄御城《割書：江》　御着

【右丁】
【白紙】

【左丁】
秀忠様御代
　慶長十二年丁未
　　一　閏四月八日
　　　　秀康様於北庄　御城　御逝去
　　一　十一月《割書：日不｜詳》
　　　　虎松様依　召駿府《割書：江｜》　御越
　　　　神君《割書：江｜》　御目見被　仰上其節　上意《割書：ニ｜而》於勝方《割書：神君御妾｜太田新六郎《割書：康｜資》》
　　　　《割書：養女実陰山｜長門守《割書：氏｜寅》女》御養《割書：ニ｜》被為成夫ゟ江戸《割書：江》　御参府《割書：本多佐渡守《割書：正｜信》侯【殿ヵ】｜此節駿府《割書：ニ｜》被居》
　　　　《割書：候《割書：ニ｜》付御同道之儀｜佐渡守殿《割書：江》被仰付》

【右丁】
　　　　秀忠様《割書：江｜》　御目見被　仰上自此以後御側《割書：ニ｜　而》御養育
　　　　可被成旨被　仰出本多佐渡守《割書：正｜信》殿《割書：江》御保護被　仰付直《割書：ニ｜》
　　　　御城《割書：ニ｜》被成　御座
　　一　月日上総国市原郡姉ヶ崎一万石御拝領依之
　　　　忠直様ゟ岡部豊後《割書：長｜起》永見志摩《割書：吉｜次》上三川左衛門《割書：實｜基》毛受
　　　　角之助《割書：延洪後小｜　　三郎》安藤次太夫　等以下拾余人被為　附


【左丁】
　慶長十六年辛亥
　　一　四月十二日
　　　　禁裡《割書：御諱｜政仁》御即位《割書：去月廿七日｜御受禅》

【右丁】
【白紙】

【左丁】
　慶長十七年壬子
　　一　十月《割書：日不｜詳》
　　　　虎之助様《割書：御改名｜月日不詳》御在江戸之処越前国北庄騒動《割書：久世但馬｜岡部自休》
　　　　《割書：争｜論》之趣　御聴被成無御心許被　思召北庄《割書：江｜》　御越
　　　　忠直様と御一所《割書：ニ｜》御取鎮被成度《割書：ニ｜》付御暇御願被成候処
　　　　神君被　聞召御若年《割書：ニ｜》者御神妙《割書：ニ｜》被　思召候得共追《割書：而》
　　　　双方共御呼出御糺断可有之候間御止被成候様被　仰出

【右丁】
【白紙】

【左丁】
　慶長十九年甲寅
　　一　二月七日宇都宮弥三郎《割書：末｜房》近衛信基公ゟ依吹挙
　　　　神君ゟ
　　　　虎之助様《割書：江｜》被為附《割書：此時改氏名称｜城井弥左衛門》
　　一　七月十四日城井弥左衛門《割書：末｜房》
　　　　神君《割書：江｜》　御目見被　仰付其節家伝之射法吉辰を撰
　　　　御相伝可申上旨被　仰出御刀《割書：来国｜俊》黄金三百両被下置之
　　　　依　台命氏名を宇都宮治部左衛門と改

【右丁】
　　一　八月朔日宇都宮治部左衛門《割書：末｜房》
　　　　神君《割書：江｜》泰平弓一張《割書：天一弓ト云｜了戒作》矢鏃二《割書：同｜作》鎗《割書：左巴｜ノ銘》一本献上之
　　　　其節明後三日
　　　　虎之助様《割書：江｜》艾蓬射法御相伝申上候様　台命有之
　　一　同月廿日依　台命宇都宮治部左衛門《割書：末｜房》於駿府天下平均
　　　　御武運長久之射法一七日興行被　仰付相済候《割書：ニ｜》付
　　　　神君ゟ馬二疋拝領被　仰付
　　　　　　　但元和元年夏
　　　　　　　　忠昌様《割書：ニ｜》従ひ大坂表《割書：江｜》罷越候得共依病気戦場《割書：江｜》

【左丁】
　　　　　　　　不罷出其後病死
　　一　九月《割書：日不｜詳》
　　　　虎之助様江戸浅草御屋敷ゟ　長勝院様御機嫌為御伺
　　　　御使榊原新兵衛《割書：重｜成》北庄《割書：江｜》被遣
　　　　　　　但自此以前右御屋敷御拝領年月日不詳
　　一　十月朔日豊臣秀頼諸浪人を集大坂表騒乱《割書：ニ｜》付
　　　　神君　秀忠様御出馬被　仰出
　　一　月日今度大坂表《割書：江｜》御出陣之節前髪有之者ハ出陣
　　　　不相成旨風聞有之由

【右丁】
　　　　虎之助様御聞被成毛受角之助《割書：延洪》を被為
　　　　召密《割書：ニ｜》　御前髪を為御執被成佐藤段右衛門　《割書：ニ｜》
　　　　御月代被　仰付候処段右衛門御辞退申上岡部豊後《割書：長｜起》
　　　　永見志摩《割書：吉｜次》《割書：ニ》相告候《割書：ニ｜》付両人驚早速此段本多佐渡守《割書：正｜信》殿迄
　　　　相届達　上聞候処ケ様成事を誰か為申聞候哉との
　　　　上意《割書：ニ｜而》御思慮之程御神妙之至と　御感賞有之
　　一　十一月十一日
　　　　神君駿府　御出馬《割書：同月廿三日二条｜御城《割書：江》着御》
　　一　同月廿三日

【左丁】
　　　　秀忠様江戸　御出馬
　　一　同日右同断《割書：ニ｜》付
　　　　虎之助様御出馬被成《割書：先達《割書：而》被　仰出本多｜佐渡守《割書：正｜信》殿と御相備》御供《割書：ニ》者岡部
　　　　豊後《割書：長｜起》永見志摩《割書：吉｜次》狛杢允《割書：孝｜澄》酒井小隼人《割書：重｜成》杉田
　　　　権之助《割書：三｜正》上三川左衛門《割書：實｜基》毛受小三郎《割書：延｜洪》松原作左衛門　関
　　　　治兵衛　野村十大夫《割書：朝｜敞》安藤次大夫　榊原新兵衛《割書：重｜成》磯野
　　　　六左衛門《割書：吉｜同》奈須左五右衛門　池山茂左衛門　鷺谷與五左衛門　松浦
　　　　九郎右衛門《割書：正｜親》吉田五左衛門《割書：祥｜武》柳下喜左衛門　栗原作兵衛《割書：宗｜久》馬渕
　　　　五郎兵衛《割書：勝｜尚》田中與次兵衛　戸田六兵衛　石川甚左衛門《割書：光｜重》海老原

【右丁】
　　　　主膳　上田自齋等被　召連
　　一　十一月十日
　　　　秀忠様城州伏見《割書：江｜》　着御
　　　　虎之助様《割書：ニ｜》も今日御同所《割書：江｜》　御着
　　一　同月十五日
　　　　神君　秀忠様二条御城　御出馬
　　一　十二月六日
　　　　秀忠様摂州岡山《割書：江｜》御陣を被為　移候《割書：ニ｜》付御本陣
　　　　御書院之左右御守衛被為蒙　仰本多佐渡守《割書：正｜信》殿《割書：江｜》も

【左丁】
　　　　右同様被　仰付
　　一　同月廿二日大坂《割書：と｜》御和睦
　　一　同月廿四日右同断《割書：ニ｜》付為御祝儀
　　　　神君　秀忠様両御本陣《割書：江｜》
　　　　忠直様と御一所《割書：ニ｜》御登　営　御目見被　仰上
　　一　同月廿五日
　　　　神君茶磨山　御陣営ゟ　御入洛

【右丁】
【白紙】

【左丁】
　元和元年乙卯《割書：此年慶長二十年｜七月十三日改元》
　　一　正月三日
　　　　神君駿府《割書：江》為　御帰城京都　御発駕《割書：二月十四日｜御帰城》
　　一　同月十一日岡山之御陣所於
　　　　秀忠様御前
　　　　虎之助様御元服被叙任従五位下侍従兼伊予守御諱字
　　　　御拝領被称忠昌《割書：御年｜十九》
　　　　　宣旨

【右丁】
　　　　　　　　　　従五位下源朝臣忠昌
　　　　　　　従二位行権大納言藤原朝臣資胤
　　　　　　　宣奉　　勅件人宜令任侍従者
　　　　　　　　慶長廿年正月十一日掃部頭兼大外記造酒助教中原朝臣師生《割書：奉》
　　　　　　　　　　　　　　　
　　一　正月十九日
　　　　秀忠様岡山御陣所御引払伏見御城《割書：江｜》被為　入
　　　　　　　但　忠昌様《割書：ニ｜》も御同様《割書：ニ｜》可有之候得共不詳
　　一　同月廿四日
　　　　秀忠様伏見御城ゟ二条御城《割書：江｜》被為　移

【左丁】
　　一　同月廿七日於二条御城従四位下御叙位
　　一　同月廿八日
　　　　秀忠様京都　御発駕
　　　　　　　但　忠昌様《割書：ニ｜》も御一所《割書：ニ｜》同所　御発駕可被成候得共不詳
　　一　二月七日
　　　　忠昌様於遠州中泉
　　　　神君《割書：江｜》　御目見被　仰上此時御鷹御拝領
　　一　同月十四日
　　　　秀忠様江戸　御帰城

【注　「泟」の右横に「酉」を付記。「中」の左横に「教」の偏「孝」を、右横に「教」の旁「攵」を付記。「原」の左横に「朝」の偏「龺」を、右横に「朝」の旁「月」を付記。】

【右丁】
　　　　　　　但　忠昌様《割書：ニ｜》も御同様《割書：ニ｜》　御着可有之候得共不詳
　　一　四月四日豊臣秀頼再諸浪人を集関東《割書：江｜》敵対之企
　　　　有之《割書：ニ｜》付
　　　　神君駿府　御出馬
　　一　同月十日右同断《割書：ニ｜》付
　　　　秀忠様江戸　御出馬
　　一　同日右同断《割書：ニ｜》付御後ゟ
　　　　忠昌様御出馬《割書：如去冬本多｜佐渡守《割書：正｜信》殿御相備》御供《割書：ニ｜》者岡部豊後《割書：長｜起》上三川
　　　　左衛門《割書：實｜基》永見志摩《割書：吉｜次》狛一右衛門　酒井小隼人《割書：重｜成》杉田

【左丁】
　　　　権之介《割書：三｜正》毛受小三郎《割書：延｜洪》松原作左衛門　関治兵衛　野村十大夫《割書：朝｜敞》
　　　　安藤次大夫　吉田竹右衛門　榊原新兵衛《割書：重｜成》磯野六左衛門《割書：吉｜同》
　　　　鷺谷與五右衛門　杉浦九郎右衛門《割書：正｜親》柳下喜左衛門　吉田五左衛門《割書：祥｜武》
　　　　池山茂左衛門　大野七之介　佐藤三之丞　山葉八郎右衛門
　　　　奈須左五右衛門　田中與次兵衛　戸田六兵衛　高瀬弥右衛門
　　　　栗原作兵衛《割書：宗｜久》石川甚左衛門《割書：光｜重》海老原主膳　馬渕五郎兵衛《割書：勝｜尚》
　　　　東条法雲　上田自齋　等被　召連
　　一　四月十八日
　　　　神君二条御城《割書：江｜》　着御

【右丁】
　　一　四月廿一日
　　　　秀忠様城州伏見《割書：江｜》　着御
　　　　忠昌様《割書：ニ｜》も　御後備《割書：ニ｜　而》御同所《割書：江｜》　御着
　　一　五月五日
　　　　神君二条御城　御出馬　
　　　　秀忠様伏見御城　御出馬大坂表《割書：江｜》御旗を被進
　　一　同月六日
　　　　忠昌様御後備《割書：ニ｜》被成御座候処御先発之　思召有之《割書：ニ｜》付
　　　　途中ゟ御急被成

【左丁】
　　　　秀忠様平岡明神《割書：江｜》　御参詣之所《割書：江｜》　御出被成
　　　　忠直様之御先手《割書：ニ｜》御加被成度旨本多佐渡守《割書：正｜信》殿を以
　　　　御伺被成候処御承引無之《割書：ニ｜》付又々
　　　　秀忠様《割書：江｜》　御宜御願被成候得共　御許容無之《割書：ニ｜》付此上者
　　　　御軍法御背被成御咎有之候共無是非次第《割書：ニ｜》被　思召
　　　　諸軍勢を御駈抜暮時平野迄　御着陣被成御使者
　　　　鷺谷與五右衛門　を以右之趣
　　　　忠直様《割書：江｜》被　仰進御備御加被成此夜
　　　　忠直様《割書：と｜》平野《割書：ニ｜》御同陣被成

【右丁】
　　一　同日夜
　　　　忠直様ゟ御使者小栗忠八　《割書：江｜》被　仰含今日
　　　　神君之　上意御恥辱《割書：ニ｜》被　思召明日之合戦諸手《割書：ニ｜》不拘
　　　　御先発被成度《割書：ニ｜》付追付　御出陣可被成旨被　仰進候依之
　　　　忠昌様御前《割書：江｜》岡部豊後《割書：長｜起》等初被　召出敵城《割書：江｜》寄せ候足場之
　　　　模様《割書：并》口々ゟ本丸迄之道筋遠近等之儀御尋被成其上
　　　　被　仰出候者ケ様之刻戦功心懸候事者誰ニも不可劣候得共
　　　　殊更無拠御仕合《割書：ニ｜》付少も無油断人之跡《割書：ニ｜》不相成城内《割書：江｜》
　　　　押込一番乗被成度候間左様相心得可尽粉骨且又

【左丁】
　　　　早速馬《割書：ニ｜》物飼ひ兵糧を認候様被　仰付亥刻過密《割書：ニ｜》御陣取
　　　　御出馬天王寺指《割書：而》　御進被成
　　一　五月七日暁
　　　　忠直様御先手右《割書：ニ｜》本多丹下《割書：成｜重》左《割書：ニ｜》本多伊豆守《割書：冨｜正》相備居候
　　　　真中《割書：江｜》将棊頭《割書：ニ｜》　御出張天王寺と茶磨山《割書：ニ｜》御向敵将
　　　　森豊前守《割書：勝｜永》備《割書：ニ｜》御対御備被成候処時刻も相移候《割書：ニ｜》付
　　　　忠昌様御備ゟ鉄炮為御懸被成御馬を被進頻《割書：ニ｜》
　　　　御下知被成候故仕卒競ひ進み物合詰り手詰之合戦《割書：ニ｜》移り候
　　　　折柄烈風吹起り敵之旗色乱候《割書：ニ｜》付敵備《割書：ニ｜》崩色立たり皆突崩せと

【右丁】
　　　　御大音《割書：ニ｜》て　御下知被成敵兵を追討黒門《割書：江｜》御押寄
　　　　八町目之町口《割書：ニ｜　而》　御自身敵兵　御討取其首関治兵衛
　　　　を以
　　　　神君御本陣《割書：江》被遣直《割書：ニ｜》天王寺口之柵を破り御押入大手之
　　　　一番乗被成御旗奉行上三川左衛門《割書：實｜基》御旗を御備先《割書：ニ｜》押立
　　　　御鎗奉行榊原新兵衛《割書：重｜成》と力を合相進桜門《割書：江｜》御旗を押立
　　　　候得共城内《割書：ニ｜》敵兵不相見一ノ木戸を閉堀を満可入便り
　　　　無之処《割書：江｜》水野日向守《割書：勝｜成》殿旗奉行神谷久右衛門と申者來候付
　　　　越前少将先手松平伊予守今日天王寺口之一番乗也

【左丁】
　　　　先程より二番乗を待居候事《割書：ニ》候間此場所御渡可申候
　　　　後之旗を可被待と言捨《割書：而｜》御旗を相進
　　　　忠昌様《割書：ニ｜》者猶亦　御自身御高名御心懸真先《割書：ニ｜》御進被成
　　　　候処甲冑黒《割書：ク｜》鎧たる武者《割書：城方之大勇士｜念流左大夫》　御左之方ゟ進寄
　　　　御草摺外れを切付候を御外し早くも　御馬ゟ御下立被成
　　　　候得は二之太刀《割書：ニ｜　而》御馬取を一打《割書：ニ｜》致夫ゟ必至《割書：ニ｜》成て切て
　　　　懸り候《割書：ニ｜》付
　　　　忠昌様無違間御鎗《割書：ニ｜》て手強御戦被成《割書：此時十文字御鎗｜片鎌御突折被成》候処
　　　　御側《割書：ニ｜》有之安藤治大夫　鷺谷與五右衛門　御脇を詰両人共

【右丁】
　　　　少々手疵負候得共敵は両人に隔られ候故刀を捨
　　　　忠昌様《割書：江｜》飛懸り候《割書：ニ｜》付御組合被成候得共終に下《割書：ニ｜》被為
　　　　成候処《割書：江｜》石川忠左衛門　吉田五左衛門《割書：祥｜武》　瓜生権右衛門　駈付敵之後ゟ
　　　　引組候得共無双之大力《割書：ニ｜　而》容易難組伏候処毛受小三郎《割書：延｜洪》
　　　　馳来り敵之臀を突候得は少し撓候故
　　　　忠昌様下ゟ御刎返し被成候《割書：ニ｜》付五左衛門其侭組伏不離
　　　　早く御討被成候様申上候《割書：ニ｜》付御討留被成右之首甲付《割書：ニ｜　而》池山
　　　　茂左衛門　を以茶磨山御本陣《割書：江｜》被入御実検猶御勇々敷
　　　　本丸迄被為押詰未之中刻及落城此時御手勢《割書：ニ｜　而》首数

【左丁】
　　　　都合五拾七級御討取
　　　　　　　但左大夫を御討留被成候節於其場小三郎《割書：江｜》左大夫之
　　　　　　　　帯候刀忠左衛門《割書：江｜》鎧袖五左衛門《割書：江｜》頬当被下置之
　　　　　　　一此時御手勢之内岡部豊後守《割書：長｜起》大野七之介　佐藤
　　　　　　　　三之丞　山葉八郎右衛門　右四人討死
　　一　五月八日
　　　　神君茶磨山　御陣所ゟ二条之御城《割書：江｜》被為　入
　　一　同月九日
　　　　秀忠様岡山　御陣所御引払伏見之御城《割書：江｜》被為　入

【右丁】
　　一　同日右同断《割書：ニ｜》付
　　　　忠昌様大坂表ゟ
　　　　忠直様と御一所《割書：ニ｜》伏見之御屋敷《割書：江｜》被為　入御逗留有之
　　一　月日於伏見本多佐渡守《割書：正｜信》殿宅《割書：江｜》永見志摩《割書：吉｜次》御呼出
　　　　忠昌様御戦功之次第《割書：并》時刻場所等迄委被相尋《割書：ニ｜》付
　　　　志摩具《割書：ニ｜》申達候処諸手を御越一番乗被成其上
　　　　御自身之御手柄旁以格別之御戦功と御挨拶有之
　　一　五月十日今度大坂出陣之諸大名二条之御城《割書：江｜》登　城
　　　　被　仰出候《割書：ニ｜》付

【左丁】
　　　　忠直様　忠昌様　出羽守《割書：直｜政》様御同道御登　城
　　　　神君　秀忠様《割書：江｜》　御目見被　仰上此時
　　　　忠直様　出羽守《割書：直｜政》様《割書：江｜》御褒賞之　上意有之候処
　　　　忠昌様《割書：ニ｜》は三側目斗之後《割書：ニ｜》被成御座別段之　上意無之《割書：ニ｜》付
　　　　御延上り松平伊予守是《割書：ニ｜》罷在候と御大音《割書：ニ｜　而》被　仰　上
　　　　候得は
　　　　神君御驚被成夫《割書：ニ｜》居候歟今度之戦功自分之手柄旁
　　　　抜群之高名及感賞と之　上意有之
　　一　六月十六日嘉定《割書：ニ｜》付二条之御城《割書：江｜》

【右丁】
　　　　忠直様と御一所《割書：ニ｜》御登　城御祝儀被　仰上
　　一　閏六月十日於二条之御城
　　　　神君《割書：江｜》　御目見被　仰上
　　一　七月十三日年号元和と改元
　　一　同月十九日
　　　　秀忠様伏見　御発駕《割書：八月四日江戸｜御帰城》
　　一　八月四日
　　　　神君京都　御発駕《割書：同月廿三日駿府｜御帰城》
　　一　十一月《割書：日不｜詳》常陸国新治郡下妻《割書：御高｜三万石》御拝領《割書：御年｜十九》

【左丁】
　元和二年丙辰
　　一　三月廿七日
　　　　神君太政大臣　御拝任
　　一　四月十七日
　　　　神君於駿府　薨御《割書：安国院様と｜奉称》
　　一　八月《割書：日不｜詳》信濃国埴科郡川中島城《割書：後松代御高｜拾ニ万石》御拝領《割書：御年｜二十》

【右丁】
【白紙】

【左丁】
　元和三年丁巳
　　一　六月《割書：日不｜詳》
　　　　秀忠様御上洛《割書：ニ｜》付
　　　　忠昌様川中島ゟ　御上京《割書：御逗留之｜日数等不詳》
　　　　　　　但此以前川中島《割書：江｜》御入部之月日不詳

【右丁】
【白紙】

【左丁】
　元和四年戊午
　　一　正月十一日安芸国広島城主浅野但馬守《割書：長｜晟》殿御養方
　　　　御妹　花姫様《割書：初長光姫■【実ヵ】左京大夫《割書：幸｜長》殿｜御女慶長十二年御誕生》御縁組被　仰合《割書：御媒稲葉｜内匠頭《割書：正｜成》殿》
　　一　三月《割書：日不｜詳》越後国頸城郡高田城《割書：御高二十｜五万石》御拝領《割書：御年｜二十二》
　　　　此時依　台命稲葉内匠頭《割書：正｜成》被為　附《割書：本姓越智元領一万石此時｜於越後糸魚川一万石御加増》
　　　　《割書：都合領｜ニ万石》
　　　　　　　但此以後御初入之月日不詳
　　一　四月朔日　花姫様《割書：江｜》御結納被進

【右丁】
　　一　月日御菩提寺無之《割書：ニ｜》付高屋筑後《割書：重｜正》を為御使美濃国
　　　　伊自良東光寺住持瑞雲和尚を御請待於越後高田
　　　　一寺御建立有之号冨士山東光寺《割書：臨済｜派》

【左丁】
　元和五年己未
　　一　月日於江戸龍ノ口御屋鋪御拝領
　　一　十一月二日　花姫様《割書：御年｜十五》龍ノ口御屋鋪《割書：江｜》　御入輿
　　　　御婚姻御整被成

【右丁】
【白紙】

【左丁】
　元和六年庚申
　　一　四月四日　花姫様龍ノ口御屋敷　御発駕同十四日
　　　　越後国高田御城《割書：江｜》　御着
　　一　五月十五日江戸ゟ越後国高田《割書：江｜》　御帰城
　　　　　　　但江戸　御発駕日不詳
　　一　六月朔日御婚姻御整被成候為御祝儀御家中之面々《割書：江｜》
　　　　御料理被下　花姫様《割書：江｜》御家老始頭立候面々
　　　　御目見被　仰付

【右丁】
　　一　六月六日
　　　　秀忠様御女　千代姫君様《割書：御諱｜和子》女御　宣下有之
　　一　同月十八日
　　　　女御御入　内有之
　　一　七月六日為御生見玉之御祝儀御使者を以黄金十両
　　　　被献之追《割書：而｜》　御内書於　御城御渡有之
　　　　　　　　為生見玉嘉儀黄金十両至来悦入候
　　　　　　　　尚酒井雅樂頭可申候也
　　　　　　　　　　七月六日御黒印

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守とのへ

【右丁】
【白紙】

【左丁】
　元和八年壬戌
　　一　月日江戸　御城御天守御普請御手伝被為蒙
　　　　仰右《割書：ニ｜》付御普請惣奉行永見志摩《割書：吉｜次》被　仰付右御普請中
【付箋】　□【忠ヵ】様度々御普請場《割書：江｜》被為　成志摩《割書：江｜》御懇之
　　　　□意有之
　　　　　　　但越後国村上城主堀丹後守《割書：直｜寄》殿も御旗下故御一所《割書：ニ｜》
　　　　　　　　御手伝被相勤之
　　一　九月《割書：日不｜詳》　花姫様当春ゟ御病気之処御尓々無之《割書：ニ｜》付

【付箋】建誌《割書：ニ》八年四月二十一日トア■【リヵ】

【□は付箋に隠れ不可読】

【右丁】
　　　　京都ゟ医師《割書：姓名｜不詳》被　召呼御薬御服用被成候得共
　　　　次第《割書：ニ｜》御疲労相増候《割書：ニ｜》付御医師長谷川法眼《割書：名不｜詳》御頼
　　　　被成江戸ゟ高田《割書：江｜》参着御薬御服用被成

【左丁】
家光様御代《割書：此年七月廿七日｜御政替御護》
　元和九年癸亥
　　一　三月十五日
　　　　忠直様御国政不穏御廃徙被　仰出候《割書：ニ｜》付今日北庄
　　　　御城御発途豊後国萩原《割書：江｜》御徙被成
　　一　五月廿九日《割書：辰下｜刻》　花姫様於越後国高田　御逝去《割書：御年｜十八》
　　一　六月十八日　花姫様御遺骸高田冨士山東光寺《割書：江｜》
　　　　御葬送《割書：高田ゟ十八町西御殿山と｜申所《割書：ニ》而奉荼毘》御法号
　　　　黄梅院殿竹芳珠青大禅定尼

【右丁】
　　一　七月廿七日
　　　　家光様将軍　宣下有之
　　一　八月六日
　　　　家光様御参　内此節
　　　　忠昌様御随従
　　一　同日　出羽守《割書：直｜政》様被叙従四位下
　　一　同月九日永見民部　様於越後国高田御卒去同所
　　　　冨士山東光寺《割書：江｜》御葬送御法号
　　　　向源院殿雄山宗英大居士

【左丁】
　　　　　　　但
　　　　　　　　秀康様御弟《割書：ニ｜》候処御出生《割書：御母｜法弘院》後
　　　　　　　　神君御対面も無之《割書：ニ｜》付長勝院様御取扱《割書：ニ｜　而》
　　　　　　　　秀康様御引取北庄《割書：ニ｜》御住居《割書：中之馬場《割書：ニ｜》｜御屋敷有之》被成候処
　　　　　　　　長勝院様御卒去後
　　　　　　　　忠昌様御世話被成高田《割書：ニ｜》御徙住被成
　　一　月日
　　　　忠直様御廃徙《割書：ニ｜》付御跡御相続之儀
　　　　忠昌様《割書：江｜》被　仰出候処　仙千代様被為　在候《割書：ニ｜》付固御辞退


















【右丁】
　　　　被　仰上

【左丁】
　寛永元年甲子《割書：此年元和十年｜二月晦日改元》
　　一　四月十五日　上使御老中土井大炊頭《割書：利｜勝》殿を以
　　　　忠昌様《割書：江｜》
　　　　秀康様御遺跡御相続越前国御高五拾万石余《割書：并｜》北庄
　　　　御城地共其侭御拝領之段被　仰出　仙千代様御事
　　　　思召被為　在候間御安堵被成候様　御内意有之此節本多
　　　　伊豆守《割書：冨｜正》を初百五人之面々
　　　　忠昌様《割書：江｜》可相勤旨被　仰出本多飛騨守《割書：成｜重》儀は御直参《割書：ニ｜》被
　　　　召返其侭丸岡《割書：ニ｜》被指置

【右丁】
　　一　月日　仙千代様越後国高田弐拾五万石御拝領有之
　　一　六月八日越前国之内大野郡大野五万石　出羽守《割書：直｜政》様《割書：江｜》
　　　　《割書：是迄上総国｜姉ヶ崎一万石》同郡勝山三万石　大和守《割書：直｜基》様《割書：江｜》木ノ本弐万五千石
　　　　長光丸《割書：直｜良》様《割書：江｜》御分御拝領
　　一　月日御目付嶋田治兵衛《割書：利｜政》殿北庄《割書：江｜》参着郷村高辻帳《割書：五十万五千｜二百八十石余》
　　　　御渡有之此節本多飛騨守《割書：成｜重》殿本多伊豆守《割書：冨｜正》両人《割書：江｜》六千二百八拾
　　　　二石宛為御加増被下之
　　一　七月十九日越後国高田ゟ北陸道通越前《割書：江｜》　御入国北庄を
　　　　福井と御改被成《割書：天守之傍《割書：ニ｜》福井と云名井｜有之其名《割書：ニ｜》依而被改之》
【次行、綴代の重なりにより判読難につき、推測】
　　一　同月《割書：日不｜詳》　御入国《割書：ニ》付左之通御掟被　仰出□□

【左丁】
　　　　　　　　　　掟
　　　　　　一　従　公儀被　仰出御法度之旨不可相背之事
　　　　　　一　諸侍武具可専相嗜事
　　　　　　　　　附弓鉄砲其々之得道具不断可令鍛練
　　　　　　一　知行弐百石より以上乗馬可令所持至■【てヵ】其以下者
　　　　　　　　可為心懸次第面々持鑓同前之事
　　　　　　一　役儀不可令惰怠之事
　　　　　　一　諸侍縁辺之儀雖為女身不申上私《割書：ニ｜》不可相宛
　　　　　　　　之事
　　　　　　一　博奕諸勝負停止之事

【右丁】
　　　　　　一　他所之侍と不可着合但古来之為縁者
　　　　　　　　親類は年寄共番頭《割書：江｜》断可参事
　　　　　　一　喧嘩口論仕間敷事
　　　　　　一　手負不可隠置之事
　　　　　　一　火事出来之時不申付者其所《割書：江｜》参間敷事
　　　　　　一　追懸者何事《割書：ニ｜　而》も令成敗有之時不申付者
　　　　　　　　出合間鋪事
　　　　　　一　諸侍不寄上下縁者親類寄親寄子たりと
　　　　　　　　いふとも頼母したて贔屓偏頗仕間敷事

【左丁】
　　　　　　一　軍陣其外於何事も物立申付候下知相背
　　　　　　　　間敷事
　　　　　　一　諸侍福井庄中ゟ外《割書：江｜》私用在之罷出候時は
　　　　　　　　年寄共又ハ與頭《割書：江｜》相断得其意可参事
　　　　　　右条々堅可相守其旨若於令違背者可為
　　　　　　曲事者也仍如件
　　　　　　　　寛永元年七月日

　　一　八月《割書：日不｜詳》右同断《割書：ニ｜》付左之通被　仰出

【右丁】
　　　　　　　　　　御家中武具之御定
　　　　　　一　籏折懸三幅地黒《割書：ク｜》半月白《割書：ク｜》其外《割書：ニ｜》面々之
　　　　　　　　紋《割書：ヲ｜》可付事
　　　　　　一　弓ぬりこめ
　　　　　　一　うつほしかり毛
　　　　　　一　鉄炮袋なへし《割書：ニ｜　而》くろく
　　　　　　一　長柄身と石付かけて弐間三尺惣笛巻さや
　　　　　　　　鳥毛
　　　　　　一　組頭武頭指物思々に可仕事

【左丁】
　　　　　　一　大小姓馬廻之侍衆差物地黒《割書：ク｜》金半月竿付之方《割書：ニ｜》
　　　　　　　　面々名々字を可書付事
　　　　　　一　与力之差物地黒《割書：ニ｜》半月朱其下《割書：ニ｜》寄親之紋を付
　　　　　　　　竿付之方《割書：ニ｜》自身之名々字を可書付事
　　　　　　一　御家中騎馬之差物与力同事半月之下《割書：ニ｜》主人之
　　　　　　　　紋《割書：ヲ｜》可付事
　　　　　　一　御家中弓鉄炮指物壱本しなひ地黒半月朱其下《割書：ニ｜》
　　　　　　　　一与宛あひ紋《割書：ヲ｜》同事に可付事
　　　　　　一　同具足黒《割書：ク｜》紋ハ思々張笠黒《割書：ク｜》金之丸三《割書：ツ｜》宛可付

【右丁】
　　　　　　　　事
　　　　　　右御役付之ことく急度可相嗜者也
　　　　　　　　寛永元年八月日
　　　　　　　　　　〆

　　　　　　　　　　御軍法役付之事
　　　　　　一　壱万石　《割書：旗十本｜弓十張》　　　《割書：馬上拾五騎｜主人共々》
　　　　　　　　　　　《割書：鉄炮弐拾五挺｜長柄三十本》　　　《割書：此外指鑓｜》
　　　　　　一　九千石　《割書：旗九本｜弓九張》　　　《割書：馬上拾三騎｜主人共々》
　　　　　　　　　　　《割書：鉄炮弐拾挺｜長柄弐拾八本》　　　《割書：此外指鑓｜》

【左丁】
　　　　　　一　八千石　《割書：旗八本｜弓八張》　　　《割書：馬上拾壱騎｜主人共々》
　　　　　　　　　　　《割書：鉄炮拾七挺｜長柄弐拾六本》　　　《割書：此外指鑓｜》
　　　　　　一　七千石　《割書：旗七本｜弓七張》　　　《割書：馬上拾騎｜主人共々》
　　　　　　　　　　　《割書：鉄炮拾五挺｜長柄弐拾四本》　　　《割書：此外指鑓｜》
　　　　　　一　六千石　《割書：旗六本｜弓六張》　　　《割書：馬上八騎｜主人共々》
　　　　　　　　　　　《割書：鉄炮拾三挺｜長柄弐拾壱本》　　　《割書：此外指鑓｜》
　　　　　　一　五千石　《割書：旗五本｜弓五張》　　　《割書：馬上七騎｜主人共々》
　　　　　　　　　　　《割書：鉄砲拾壱挺｜長柄十八本　》　　　《割書：此外指鑓｜》
　　　　　　一　四千石　《割書：旗四本｜弓四張》　　　《割書：馬上六騎｜主人共々》

【右丁】
　　　　　　　　　　　《割書：鉄炮九挺｜長柄槍五本》　　　《割書：此外持鑓｜》
　　　　　　一　三千石　《割書：旗三本｜弓三張》　　　《割書：馬上四騎｜主人共々》
　　　　　　　　　　　《割書：鉄炮七挺｜長柄槍壱本》　　　《割書：此外持鑓｜》
　　　　　　一　弐千石　《割書：旗二本｜弓二張》　　　《割書：馬上三騎｜主人共々》
　　　　　　　　　　　《割書：鉄炮五挺｜長柄七本　》　　　《割書：此外持鑓｜》
　　　　　　　　　但此以下記録致磨滅不詳候事

　　　　　　　　　　御家中侍衆着物之事
　　　　　　一　当国之せんし羽二重ほそり絹紬可致着

【左丁】
　　　　　　　　自然持来古キ小袖於在之はしたきに可仕
　　　　　　　　御事立之面々又ハ他所より客来使者在之時は
　　　　　　　　可為各別者也
　　　　　　　　　　寛永元年八月日
　
　　　　　　　　　　御家中振舞之定
　　　　　　一　汁弐ッ　此内精進
　　　　　　一　さい三ッ　但もりませなし
　　　　　　　　　　此外かうの物
　　　　　　一　酒三篇　但さかつきは気分次第

【右丁】
　　　　　　　　　　すひ物無用取さかな一種は不苦
　　　　　　一　他国さかな一切無用之事
　　　　　　一　木具仕ましき事　但へきは不苦事
　　　　　　右之通可得其意候但他所ゟ之客来は各別
　　　　　　たるへき者也
　　　　　　　　寛永元年八月日
　　　　　　　　　〆
　　　　　　　　　　条々　　　　　　　　福井町札
　　　　　　一　従　公儀被　仰出御法度不可相背之事

【左丁】
　　　　　　一　山林竹木根不可伐採事
　　　　　　一　喧嘩口論不可仕之事
　　　　　　一　博打賭勝負一切仕間敷事
　　　　　　一　弓鉄炮《割書：ニ｜　而》諸鳥《割書：ヲ｜》打取同綱わな《割書：ニ｜　而》も御赦
　　　　　　　　無之所にて一切取間敷事
　　　　　　一　諸奉公人《割書：江｜》対し町人百姓等慮外仕間敷事
　　　　　　一　狼藉人亦は手負人於在之者其者押置奉行所《割書：江｜》
　　　　　　　　可申断之事
　　　　　　一　先地頭之時御領中より欠落之者何様之義

【右丁】
　　　　　　　　在之共可罷還被遂穿鑿其上《割書：ニ｜　而》望之地《割書：江｜》
　　　　　　　　居住可被　仰付事
　　　　　　一　従御領内男女無其理他国《割書：江｜》一切出間敷之事
　　　　　　一　男女永代売買仕間敷事
　　　　　　　　　但御領之内《割書：ニ｜　而》年季《割書：ニ｜》置候儀ハ可為各別
　　　　　　一　田畠あらし申間敷之事
　　　　　　一　伝馬人足手形なくして出すへからす事
　　　　　　右条々違犯之輩於在之者速可被処厳科
　　　　　　者也仍下知如件

【左丁】
　　　　　　　　寛永元年八月日　　狛木工允
　　　　　　　　　　　　　　　　　永見志摩
　　　　　　　　　　　　　　　　　本多伊豆
　　　　　　　　　〆
　　　　　　　　　　定
　　　　　　一　萬御高札之御法度之趣百姓中節々為
　　　　　　　　申聞猥《割書：ニ｜》無之様仕置可在事
　　　　　　一　御年貢米雑穀納様升目以下如御定之奸曲
　　　　　　　　無之様《割書：ニ｜》斗升斗かき升ますかき判之すはり

【このコマ前頁と重複と思われます】

【右丁】
　　　　　　　　候《割書：ニ｜》て可被相納同金銀綿麻以下秤目如御定
　　　　　　　　可被納事
　　　　　　一　御年貢納所之内在郷《割書：ニ｜而》手代衆逗留之中
　　　　　　　　百姓之造作《割書：ニ｜》不罷成様《割書：ニ｜》為自分賄仕《割書：ニ｜》付而
　　　　　　　　御定之三人之扶持宛之外《割書：ニ｜》九月ゟ極月時分迄
　　　　　　　　出入百日之間臨時壱人扶持可被下候事
　　　　　　一　御代官手代之義知行取衆は高弐千五百石《割書：ニ｜》
　　　　　　　　壱人宛切米取御代官衆は高弐千石《割書：ニ｜》壱人宛
　　　　　　　　何も下代之御切米拾三石《割書：ニ｜》三人扶持宛可有

【左丁】
　　　　　　　　御下行之事
　　　　　　一　御代官所之百姓前より上代官之儀は不及申
　　　　　　　　下代小者以下として礼物一切取間敷事
　　　　　　一　御代官所之百姓役家壱間《割書：ニ｜》付壱年《割書：ニ｜》一日宛代官
　　　　　　　　自分《割書：ニ｜》可召仕若所用之時隙入不被召仕百姓日用
　　　　　　　　銀一日《割書：ニ｜》付而五分《割書：ツゝ｜》可取之次《割書：ニ｜》百姓之為
　　　　　　　　人足之代遣候者一疋《割書：ヲ｜》人足弐人に可相立
　　　　　　　　御定之外伝馬人足私として召仕間敷事
　　　　　　一　公儀之御用有之在郷へ被罷出候時上代官

【右丁】
　　　　　　　　之分は伝馬人足当用之限可召仕下代内之者
　　　　　　　　人馬つかふましき事
　　　　　　一　御代官所《割書：ニ｜》　公儀御用無之時下代居住させ
　　　　　　　　ましき事
　　　　　　一　御代官所中へ自分下代迄も借シ方一切仕
　　　　　　　　間鋪事
　　　　　　一　郷中小百姓手前ゟ　公儀之入用庄屋取あつめ
　　　　　　　　申候物《割書：ニ｜　は》其時々に算用聞庄屋若非分候者
　　　　　　　　可被申上候事

【左丁】
　　　　　　一　庄屋として小百姓《割書：ニ｜》対し不謂義不懸申様に
　　　　　　　　兼《割書：而｜》可被申付若百姓中申分《割書：ニ｜　は》聞届相済
　　　　　　　　可被申下《割書：ニ｜》て落着不仕候は奉行所へ即時《割書：ニ｜》
　　　　　　　　可被申上事
　　　　　　一　諸奉公人御鷹師衆御餌指衆御家中衆共
　　　　　　　　在郷《割書：ニ｜》て非分被仕候は則可被申上所用《割書：ニ｜》て村中
　　　　　　　　泊被申候は宿賃京銭三文宛百姓《割書：ニ｜》とらせ
　　　　　　　　可被申事
　　　　　　一　御代官郡奉行　公儀御用《割書：ニ｜》て在々《割書：江｜》罷越候時

【右丁】
　　　　　　　　百姓之造作《割書：ニ｜》不罷成様《割書：ニ｜》堅申付賄仕候は如
　　　　　　　　御定入用何御用《割書：ニ｜》参候と文言にのせ手形
　　　　　　　　百姓《割書：ニ｜》出し御年貢之内《割書：ニ｜　而》可有下行奉行
　　　　　　　　代官たりといふとも私用《割書：ニ｜　而》在々へ罷出候は
　　　　　　　　飯米宿賃急度可有持参事
　　　　　　一　御代官所中田畠新開之見立才覚可被仕事
　　　　　　一　御為悪敷儀不可仕御法度不相背様《割書：ニ｜》上代官
　　　　　　　　下代共誓紙取付奉行所《割書：江｜》可差上事
　　　　　　一　御領中《割書：江｜》御用被　仰付大細事共《割書：ニ｜》早速可被

【左丁】
　　　　　　　　申付但分《割書：ニ｜》不応衆　御意之由下々《割書：ニ｜　而》申　掠
　　　　　　　　族も若在之者御為如何候間其々之奉《割書：ヲ｜》慥《割書：ニ｜》
　　　　　　　　聞届《割書：ニ｜　而》宿老中奉行所迄一書を以追《割書：而｜》可被申上事
　　　　　　一　百姓壱万石与郡奉行御代官衆相談《割書：ニ｜　而》百姓
　　　　　　　　欠落不仕田畠不作無之様《割書：ニ｜》連判可被申付事
　　　　　　一　米万御年貢物百姓入札相符等手代庄屋
　　　　　　　　小百姓私曲無之諸代官中聞合万事俵物
　　　　　　　　以下高下不同無之様《割書：ニ｜》可被申付如何《割書：ニ｜》
　　　　　　　　公儀御徳分参候共褒賄悪才覚は可為

【右丁】
　　　　　　　　遠慮事
　　　　　　右条々如件
　　　　　　　《割書：子八月廿一日｜》　　　　　　狛木工允
　　　　　　　　　　　　　　　　　　永見志摩
　　　　　　　　　　　　　　　　　　本多伊豆
　　　　　　　　　　〆　　　　諸御代官中

　　　　　　一　検見衆在々逗留中賄主人《割書：ニ｜　ハ》一飯《割書：ニ｜　付》米壱升宛
　　　　　　　　内之者以下《割書：ニ｜　ハ》一飯《割書：ニ｜　付》米五合宛之積り一汁

【左丁】
　　　　　　　　一菜《割書：ニ｜》百姓へ為賄所々《割書：ニ｜》て当座之手形《割書：ヲ｜》出し
　　　　　　　　当座所務之内《割書：ニ｜　て》　公儀より御下行可被成事
　　　　　　一　伝馬人足之儀当用之分村次宿次《割書：ニ｜》可為出之事
　　　　　　一　検見之様々在之《割書：ニ｜》て被　仰付検見衆面々見様
　　　　　　　　各別之分相談《割書：ニ｜》て時々《割書：ニ｜》相究御帳《割書：ヲ｜》作り可
　　　　　　　　被差上此以前給人御蔵入案内者有之所は
　　　　　　　　其引別可有覚悟不知所は当立毛見斗次第
　　　　　　　　たるへき事
　　　　　　一　川かけ永荒附荒地詰可被　仰付事

【右丁】
　　　　　　一　万高札如御法度可被申付百姓前ゟ主人之儀は
　　　　　　　　不及申下々として礼義礼物取間敷事
　　　　　　右条々如件
　　　　　　　　寛永元年八月日　　　　狛木工允
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　永見志摩
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　本多伊豆
　　　　　　　　　検見奉行中
　　　　　　　　　　〆

【左丁】
　　　　　　　　　検見中法度
　　　　　　一　今度従　公儀被　仰出御法度相背申
　　　　　　　　間敷之事
　　　　　　一　上下共《割書：ニ｜》たはこ停止之事
　　　　　　一　用もなき《割書：ニ｜》百姓之家ヘむさと出入之事
　　　　　　一　樹木竹木ことはりきりとりさはり申間敷事
　　　　　　　　　《割書：付｜》百姓之子共男《割書：ニ｜》よらすむさとなふり
　　　　　　　　　　無下知してうちたゝき申間敷事
　　　　　　一　上下共《割書：ニ｜》口論仕候は曲事たるへき事

【右丁】
　　　　　　一　賄之法度書外之外百姓之もの貪取喰
　　　　　　　　申ましき事
　　　　　　一　御法度《割書：ニ｜》眼前御書付候へとも弥百姓之物少も
　　　　　　　　もらひ又は礼物取たのまれ申間敷候事
　　　　　　　　同見隠聞隠申ましき事
　　　　　　一　わらちあしなかさうりかひ候てはき可申候百姓《割書：ニ｜》
　　　　　　　　つくらせ取候は曲事たるへき事
　　　　　　　　　　〆

【左丁】
　　　　　　　　　　覚
　　　　　　一　壱人　　　　道具持
　　　　　　一　壱人　　　　馬取
　　　　　　一　壱人　　　　小姓
　　　　　　一　壱人　　　　荷物付侍
　　　　　　一　壱人　　　　てあき侍
　　　　　　一　三人　　　　あしかる
　　　　　　一　壱人　　　　主人
　　　　　　　　　已上十壱人

【右丁】
　　　　　　　　　村次
　　　　　　一　はさみ箱持　　　人足壱人
　　　　　　一　みのはこ
　　　　　　一　のりかけ　　　　馬弐疋
　　　　　　一　はたせ《割書：ニ｜》て　　　馬一疋
　　　　　　　　　〆

【左丁】
　　　　　　　　　泊昼休《割書：ニ｜　而》馳走人已下
　　　　　　一　やさいきさみに出候　壱人
　　　　　　一　水汲たき木もち米つき以下五人
　　　　　　一　きもいり　　　　　　壱人
　　　　　　一　定夫　　　　　　　　壱人
　　　　　　　　　〆

　　　　　　　　　定
　　　　　　一　主人三人代官衆壱人此主人四人之侍分一所《割書：ニ｜　而》

【右丁】
　　　　　　　　賄泊宿は各別但三人御宿之内順番たる
　　　　　　　　へき事
　　　　　　一　同四人之中間小者之分の賄三人の宿の内
　　　　　　　　主のまかなひの番《割書：ニ｜》あたらさる宿にて一所
　　　　　　　　是も順番但御代官之宿各別にあるへ
　　　　　　　　からさる事

　　　　　　　　　　献立主人四人分朝夕
　　　　　　《割書：ひるやすみはいらす｜》

【左丁】
　　　　　　　　さい《割書：二つの内｜　　しやうしん壱｜　　うをは何にても》　汁《割書：としやうか｜なか》
　　　　　　　　　　　　　　　　食《割書：ひるやすみは必｜こまくたるへし》
　　　　　　　　　　引《割書：而｜》
　　　　　　一　かうの物斗
　　　　　　一　さけあうなし　　清濁
　　　　　　　　　　同内之者侍分足軽迄
　　　　　　　　さい一ッ　　《割書：汁な｜めし》　《割書：但とまり《割書：ニ｜》て自然｜あらはとじやう》

【右丁】
　　　　　　　　　　同中間小者之分
　　　　　　　　さい壱ッ　　《割書：汁な｜めし》
　　　　　　　　　　さけにこり一へん
　　　　　　　　　　ことりき　同前

【左丁】
　　一　月日　御入国之節東光寺瑞雲和尚被　召連一寺
　　　　御建立《割書：小山田多門屋敷｜跡今上之橋》《割書：ニ｜》付越後高田之冨士山東光寺を
　　　　被引移　黄梅院様《割書：并｜》向源院様御霊骨を御迎移
　　　　黄梅院様御石塔御造営有之右御石塔左之方《割書：ニ｜》
　　　　向源院様御遺骨も相納之
　　一　月日本多伊豆守《割書：冨｜正》江戸表《割書：江｜》罷出御加増之御礼
　　　　申上候処
　　　　公方様御目見被　仰付其節此度
　　　　忠昌様《割書：江｜》御相続被　仰付候付為国老如前々仕置等

【右丁】
　　　　可申付旨　上意有之追《割書：而｜》御暇被下御馬《割書：并｜》時服
　　　　拝領被　仰付

【左丁】
　寛永二年乙丑
　　一　正月朔日於　御本丸年始御規式有之
　　　　　　　但御規式之次第不詳
　　一　月日福井　御発駕江戸表《割書：江｜》御出府被成
　　一　七月四日去子年御相続被　仰出候《割書：ニ｜》付増上寺《割書：江｜》　思召を以
　　　　浄光院様御位牌御建被成向後御忌日御参詣可被成旨
　　　　被　仰出
　　　　　　　但御位牌は大方丈《割書：江｜》御安置《割書：ニ｜》相成

【右丁】
　　一　此年於上野国下野国之内御鷹場《割書：上野国山田郡相生境ゟ新田｜郡江田大館大井田由良邑楽郡》
　　　　《割書：世良田鳥山一井辺笠懸野生品ノ明神迄｜下野国足利郡足利ゟ佐野境迄》御拝領

【左丁】
　寛永三年丙寅
　　一　月日本多飛騨守《割書：成｜重》殿《割書：江｜》子共之内一人可被　召仕旨
　　　　忠昌様御意被成候《割書：ニ｜》付飛騨守殿ゟ其段　公辺《割書：江｜》被相願候処
　　　　五男主税《割書：重｜方》指出候様　上意有之則
　　　　公方様　大御所様御目見被　仰付主税儀嶋田弾正忠《割書：利｜政》殿
　　　　飛騨守殿同道《割書：ニ｜　而》江戸御屋敷《割書：江｜》参上　御目見被　仰付
　　　　知行三千石被下置《割書：此時民部と｜改名》
　　一　三月廿六日　上使御老中阿部備中守《割書：正｜次》殿を以御国許《割書：江｜》之

【右丁】
　　　　御暇被　仰出御鷹《割書：二｜居》御馬《割書：一｜匹》白銀《割書：五百｜枚》巻物《割書：二百｜巻》御拝領
　　　　大御所様ゟ　上使御老中井上主計頭《割書：正｜就》殿を以御鷹《割書：二｜居》御馬《割書：一｜匹》
　　　　白銀《割書：五百｜枚》御小袖《割書：五｜十》御拝領　大御台様ゟ御使大野仁兵衛　殿
　　　　を以御小袖《割書：十｜》　天樹院様ゟ御使同人を以純子《割書：二十｜巻》鳫《割書：五｜羽》御頂戴
　　　　之
　　　　　　　但此以後　御参府御帰国等度毎不詳《割書：ニ｜》付相知候分斗
　　　　　　　　記之
　　一　五月廿日此度　御上洛有之《割書：ニ｜》付御老中連名之御奉書
　　　　を以左之通御達有之

【左丁】
　　　　　　　　　　以上
　　　　　　　　一　筆致啓達候
　　　　　　　　御上洛之儀来月廿日就吉日江戸可
　　　　　　　　被成出御之旨被　仰出候其御心得尤候
　　　　　　　　恐々謹言
　　　　　　　　　《割書：五月廿日｜》　　　　　堀田加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　《割書：正盛書判》
　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　《割書：忠秋書判》
　　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　《割書：信綱書判》
　　　　　　　　　　　　　　　　　酒井讃岐守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　《割書：忠勝書判》

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　　　土井大炊頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　《割書：利勝書判》
　　　　　　　　　　　　　　　　　酒井雅楽頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　《割書：忠世書判》
　　　　　　　　　　松平伊予守殿
　　　　　　　　　　　　　　　人々御中
　　一　六月《割書：日不｜詳》
　　　　公方様　大御所様御上洛《割書：ニ｜》付
　　　　忠昌様福井　御発駕西近江通　御上京《割書：御旅館知恩院｜末寺四条大雲寺》
　　一　八月十九日於京都正四位下参議御叙任《割書：御年｜三十》

【左丁】
　　　　　　　　但従四位下侍従ゟ　御昇進
　　一　同日　出羽守《割書：直｜政》様被任侍従　大和守《割書：直｜基》様被叙従四位下
　　　　《割書：是迄被称結城衆｜自此時被称松平》長光丸《割書：直｜良》様被叙任従四位下土佐守
　　一　九月《割書：日不｜詳》今度　行幸《割書：ニ｜》付鞍置馬被指出候様被
　　　　仰出候《割書：ニ｜》付五匹被指出之
　　一　同月六日
　　　　主上二条御城《割書：江｜》　行幸此時
　　　　公方様《割書：ニ｜》　御従被供奉《割書：御束帯御拝領之丁子唐草模様之｜御袍御着用御馬廻布衣六人馬副》
　　　　《割書：二人添舎人二人｜長刀持一人笠持一人》

【右丁】
　　　　　　　但此時尾張大納言《割書：義｜直》様紀伊大納言《割書：頼｜宣》様駿河大納言《割書：忠｜長》様
　　　　　　　　水戸中納言《割書：頼｜房》様仙台中納言《割書：政｜宗》殿加賀中納言《割書：利｜常》殿
　　　　　　　　薩摩中納言《割書：家｜久》殿
　　　　　　　　忠昌様備前宰相《割書：忠｜雄》殿会津宰相《割書：忠｜郷》殿迄御騎馬
　　　　　　　　《割書：ニ｜　而》一行其外は二行
　　一　九月七日為重陽御祝儀
　　　　公方様　大御所様《割書：江｜》御小袖五宛被献之追《割書割書：而｜》　御内書於
　　　　御城御渡有之
　　　　　　　　為重陽之祝儀小袖五被相送之

【左丁】
　　　　　　　　欣悦至候猶酒井雅楽頭可述候謹言
　　　　　　　　　《割書：九月七日｜》　　家光御書判
　　　　　　　　　　　　　　　越前
　　　　　　　　　　　　　　　　宰相殿

　　　　　　　　為重陽之祝儀小袖五到来歓入候
　　　　　　　　猶土井大炊頭可述候也
　　　　　　　　　《割書：九月七日｜》　　秀忠御黒印

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　越前
　　　　　　　　　　　　　　　　宰相殿
　　一　九月十日　
　　　　主上二条御城ゟ　還幸
　　一　同月《割書：日不｜詳》　大和守《割書：直｜基》様《割書：江｜》本多伊豆守《割書：冨｜正》女土佐守《割書：直｜良》様《割書：江｜》
　　　　本多飛騨守《割書：成｜重》殿女を御縁組被成度旨於京都
　　　　大御所様《割書：江｜》
　　　　忠昌様御願被成候処　上意を以御願之通被　仰出之
　　一　同月《割書：中｜旬》京都　御発駕福井　御帰城
　　一　同月廿日先達《割書：去六｜日》而

【左丁】
　　　　主上二条之御城《割書：江｜》　行幸之節為御祝儀綿《割書：千｜把》被献之
　　　　候処右御奉書今日被相渡之
　　　　　　　　今度　行幸之節為御祝儀綿千把
　　　　　　　　被成御進上候則遂披露候之処
　　　　　　　　被入御念之段御機嫌之御事《割書：ニ｜》御座候
　　　　　　　　相心得可申入旨為御意如此候恐々謹言
　　　　　　　　　《割書：九月廿日｜》　　　　　稲葉丹後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正勝書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　内藤伊賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠重書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　酒井讃岐守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠勝書判

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　　　酒井雅楽頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠世書判
　　　　　　　　　　　松平伊与守殿
　　一　十二月七日
　　　　公辺ゟ御書付を以左之通被　仰出之
　　　　　　　一絹紬之事壱端付長《割書：サ｜》大工かね三丈
　　　　　　　　弐尺幅壱尺四寸
　　　　　　　一布木綿之事壱端付長《割書：サ｜》大工之かね
　　　　　　　　三丈二尺幅壱尺三寸

【左丁】
　　　　　　　　右織物之寸尺御掟之上長幅不足絹
　　　　　　　　布於賣作は来年卯四月朔日ゟ
　　　　　　　　見合候輩可取之者也
　　一　同月廿一日為歳暮御祝儀御小袖《割書：五｜》被献之追《割書：而｜》
　　　　御内書於　御城御渡有之
　　　　　　　　為歳暮慶賀小袖五到来善覚候
　　　　　　　　猶酒井雅楽頭可述候也謹言
　　　　　　　　　《割書：十二月廿七日》　　家光　御書判

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　越前
　　　　　　　　　　　　　　　　宰相殿

【左丁】
　寛永四年丁卯
　　一　正月朔日於　御本丸御座之間年始御規式有之御年寄
　　　　太刀目録持参御礼申上之三献之御祝頂戴畢而於
　　　　御座敷本多民部少輔《割書：重｜方》太刀目録持参御礼申上之
　　　　御盃頂戴御吸物被下之御盃指上之於御書院
　　　　瓦御門番《割書：引渡｜席》太刀目録持参御礼申上之引渡出御盃
　　　　頂戴御長蚫被下之畢而瓦御門番并御番頭太刀目録
　　　　持参御礼申上之御盃頂戴御長蚫被下之於大広間

【右丁】
　　　　物頭母衣御使番奥表御番士番外￣レ之者は半袴を着御樽代
　　　　百疋宛持参御礼申上之御盃頂戴御長蚫御奏者番
　　　　取次《割書：ニ｜　而》被下之
　　一　同日為年始御祝儀御使者を以御太刀馬代《割書：黄金｜二十両》被献之
　　一　正月二日於御書院法躰之面々太刀目録持参御礼
　　　　申上之
　　一　同日夜御謡初御祝儀有之本多伊豆守《割書：冨｜正》初瓦御門番迄
　　　　御盃臺献上有之畢而改名之者太刀目録持参名替之
　　　　御礼申上之

【左丁】
　　　　　　　但以後　御在国年定例故不記之
　　一　同月三日於大広間与力之者共御樽代百疋宛持参
　　　　御礼申上之　御流之御盃被下御長蚫御奏者番
　　　　取次《割書：ニ｜　而》被下之
　　　　　　　但年始御礼之儀以後略之
　　一　同月八日年始御祝儀被献候《割書：ニ｜》付而之　御内書御渡
　　　　有之
　　　　　　　　為改年之嘉儀太刀一腰馬代黄金
　　　　　　　　二十両被相送之欣然之至候猶酒井

【右丁】
　　　　　　　　雅楽頭可申候謹言
　　　　　　　　　《割書：正月八日》　　家光御書判

　　　　　　　　　　　　　　　越前
　　　　　　　　　　　　　　　　宰相殿

　　一　正月十一日勘定初御祝儀有之御年寄《割書：并｜》牧野丹後守《割書：易｜貞》
　　　　高田遠江守《割書：一｜英》野村十大夫《割書：朝｜敞》御奉行御横目等出席有之
　　一　同月十五日於大広間御切米取之御代官御樽代百疋宛
　　　　持参御礼申上之　御流之御盃被下御長蚫

【左丁】
　　　　御奏者番取次《割書：ニ｜　而》被下之畢而町年寄共同職人共
　　　　銘々進物献上御礼申上之惣町中ゟ鳥目三拾貫
　　　　献上之
　　　　　　　但御切米御代官三日与力之次《割書：ニ｜》御礼可申上筈之処
　　　　　　　　子細有之今日《割書：ニ｜》相成
　　　　　　　一町人献上之鳥目は如前々御返《割書：ニ｜》相成
　　一　同月十九日於御書院東光寺孝顕寺河南法泉寺
　　　　本瑞寺称念寺西超勝寺之御礼被為　請夫ゟ於
　　　　大広間諸寺院之御礼被為　請

【右丁】
　　　　　　　但浄光院不快《割書：ニ｜》付登　城無之
　　　　　　　一前々は六日八日両日《割書：ニ｜》被為　請候処当年は御用
　　　　　　　　有之御延引《割書：ニ｜》相成
　　一　正月廿日御具足之餅御祝有之於　御座間御年寄《割書：江｜》
　　　　御餅《割書：并｜》御吸物御盃被下之畢而於大広間右以下之諸士
　　　　御餅《割書：并｜》御長蚫自分頂戴之
　　　　　　　但右御具足之御餅御祝之儀以後略之
　　一　同月廿一日御普請役御定左之通被　仰出
　　　　　　　　　　御普請役御定之条々

【左丁】
　　　　　　　一御上洛《割書：并｜》江戸御供之時御普請役之事　前
　　　　　　　　三十日後三十日役儀引可被申事江戸《割書：江｜》御使之時
　　　　　　　　前十日後十日引可被申事但俄被　仰付時は
　　　　　　　　罷帰候而廿日分引可被申事
　　　　　　　一五日路ゟ上之所《割書：江｜》御使《割書：ニ｜》被遣候時は役義前
　　　　　　　　五日後五日引可被申候五日ゟ以下は前三日後三日
　　　　　　　　引可被申事
　　　　　　　一御普請無之時分御使《割書：ニ｜》参候は何時《割書：ニ｜》而も御普請
　　　　　　　　役出候時分如御定致算用引次可申事

【右丁】
　　　　　　　一与力無之衆御供使之時与力役は各別之儀也
　　　　　　　一御供御使《割書：ニ｜》被参候侍衆は磯野六左衛門酒井
　　　　　　　　外記手形を以右如御定役儀引可被申事付
　　　　　　　　罷帰候日限同両人重而書付を以算用可被
　　　　　　　　申事
　　　　　　　一何《割書：ニ｜　而》も御用被　仰付足軽役引申事有之は
　　　　　　　　其時奉手形《割書：ニ｜　而》引同隙明は日限も右奉候
　　　　　　　　書付《割書：ニ｜　而》重而算用可被申事
　　　　　　　一江戸《割書：江｜》証人上候衆役義之事証人罷立候前十日

【左丁】
　　　　　　　　同在江戸中同罷帰候後十日如此知行高之
　　　　　　　　内半分役引可被申事
　　　　　　　一侍衆《割書：江｜》御用被　仰付役義引申時は年寄衆ゟ
　　　　　　　　可出證文事手形於無之は役儀引申事一切
　　　　　　　　無用之事
　　　　　　　一足軽役之事未遣任候は一人《割書：ニ｜》付銀七分宛可出候
　　　　　　　　煩之由申候は検使を立於詐病は未遣同事《割書：ニ｜》
　　　　　　　　　日用銀可出実病《割書：ニ｜》候は一日《割書：ニ｜》銀三分《割書：ツ丶｜》算用仕
　　　　　　　　可出事

【右丁】
　　　　　　　一御家中役儀未遣之事一人《割書：ニ｜》同銀七分《割書：ツヽ｜》可出事
　　　　　　　一役帳相渡候間如帳面役義可被申付事
　　　　　　　一未遣之日用銀有之仁《割書：ニ｜》は急度致催促取立
　　　　　　　　可被申候異議於有之は言上可被申事
　　　　　　　　右如此御定仍如件

　　　　　　　　　《割書：寛永四年卯正月廿一日　》　　本　伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　永　志摩守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　狛　木工
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松　備前守

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　杉　権之介
　　　　　　　　　　　　　吉田竹右衛門殿
　　　　　　　　　　　　　武曽権左衛門殿

　　一　正月廿六日年始為御祝儀　出羽守《割書：直｜政》様　大和守《割書：直｜基》様
　　　　土佐守《割書：直｜良》様御越於　御本丸御對顔三献之御祝有之
　　　　《割書：御銘々御太刀｜目録御持参》　御三方様御家来朝日丹波《割書：重｜正》棚橋勝介
　　　　乙部九郎兵衛　三好十右衛門　津田九郎次郎　　御目見被
　　　　仰付太刀目録を以御礼申上右相済於　御前御拝領

【右丁】
　　　　御鷹之鶴庖丁被　仰付　出羽守様御初御餐應有之
　　　　本多淡路守《割書：重｜能》殿《割書：飛騨守殿｜嫡》本多伊豆守《割書：冨｜正》永見志摩守《割書：吉｜次》狛
　　　　木工《割書：孝｜澄》《割書：并｜》丹波御相伴被　仰付九郎兵衛勝介十右衛門
　　　　九郎次郎《割書：江｜》も於御次被下之
　　一　正月廿七日昨日御披有之候御拝領之鶴御料理被　仰付
　　　　瓦御門番御番頭父子共頂戴被　仰付
　　一　同月廿八日物頭《割書：并｜》母衣御使番迄右同様頂戴被　仰付
　　一　同月廿九日晦日両日《割書：ニ｜》御番組之面々《割書：江｜》右同様頂戴被　仰付
　　　　　　　但御鷹之鶴御拝領度毎頂戴之儀以後不記之

【左丁】
　　一　同月《割書：日不｜詳》　仙千代《割書：光｜長》様御望《割書：ニ｜》付初花御茶壺其外
　　　　御重器之内被進之
　　一　三月十四日　御所労《割書：ニ｜》付御願之上摂州有馬郡有馬
　　　　温泉《割書：江｜》為　御湯治福井　御発駕《割書：御逗留中｜御旅館池坊》
　　　　　　　但有馬表《割書：江｜》御到着且　御湯治日数《割書：并｜》　御帰国之月日等
　　　　　　　　不詳
　　一　四月十二日摂州有馬ゟ　御帰国《割書：ニ｜》付御使者国枝牛之助《割書：良｜次》
　　　　江戸表《割書：江｜》被指出之
　　　　公方様　大御所様《割書：江｜》奉書紙《割書：十束｜宛》被献之

【右丁】
　　　　　　　但右御使者江戸着日等不詳
　　一　五月四日為端午御祝儀
　　　　公方様　大御所様《割書：江｜》御帷子御単物御袷被献之
　　　　右　御内書於　御城御渡有之
　　　　　　　　為端午之祝詞帷子単物袷数十被相送之
　　　　　　　　歓入候猶酒井雅楽頭可申候也謹言
　　　　　　　　　《割書：五月四日》　　　　家光御書判

　　　　　　　　　　　　　　　　越前
　　　　　　　　　　　　　　　　　■相殿

【左丁】
　　　　　　　　為端午之佳節帷子単物袷数十
　　　　　　　　到来喜覚候猶土井大炊頭可述候也
　　　　　　　　　《割書：五月四日》　　　　秀忠御黒印

　　　　　　　　　　　　　　　　越前
　　　　　　　　　　　　　　　　　宰相殿
　　一　五月九日先達《割書：而｜》有馬ゟ　御帰国《割書：ニ｜》付御使者【を以ヵ】奉書紙
　　　　被献候《割書：ニ｜》付
　　　　大御所様ゟ之　御内書御渡有之

【右丁】
　　　　　　　　従有馬就帰国使者殊奉書十束到来
　　　　　　　　悦覚候然者湯治相応之様相聞珎重
　　　　　　　　思食候当地参勤不遅事候間緩々
　　　　　　　　と保養肝要也猶土井大炊頭可述候也
　　　　　　　　　《割書：六月九日》　　　　秀忠御書判

　　　　　　　　　　　　　　　　越前
　　　　　　　　　　　　　　　　　宰相殿

　　一　五月廿四日此度有馬ゟ　御帰国《割書：ニ｜》付御使者を以御献上物

【左丁】
　　　　有之候節　御内書を以能々御養生緩々　御在国可被成旨
　　　　且又土井大炊頭《割書：利｜勝》殿嶋田騨正《割書：利｜政》殿ゟも御添状を以右之趣
　　　　申来《割書：ニ｜》付為御礼御使者本多主馬　江戸表《割書：江｜》被指出之
　　　　公方様　大御所様《割書：江｜》蠟燭《割書：八十｜目掛》三百挺宛被献之
　　　　　　　但右御使者江戸着日不詳
　　　　　　　一右　御内書御伝来無之
　　一　同月廿五日
　　　　公方様御不例之段江戸表ゟ申来《割書：ニ｜》付　御機嫌為御伺御使者
　　　　高畑勘解由　早駈《割書：ニ｜》而江戸表《割書：江｜》被指出之

【右丁】
　　一　七月五日為七夕御祝儀御使者を以黄金十両被献之
　　　　右　御内書御渡有之
　　　　　　　　為七夕之慶事黄金十両被相贈之
　　　　　　　　歓然之至候猶酒井雅楽頭可述候謹言
　　　　　　　　　《割書：七月五日》　　　家光御書判

　　　　　　　　　　　　　　　　越前
　　　　　　　　　　　　　　　　　宰相殿

　　一　同月廿八日為八朔御祝儀御太刀馬代被献之右

【左丁】
　　　　御内書御渡有之
　　　　　　　　為八朔之祝詞黄金十両被相贈之
　　　　　　　　欣然之至候猶酒井雅楽頭可述候謹言
　　　　　　　　　《割書：七月廿八日》　　家光御書判

　　　　　　　　　　　　　　　　　越前
　　　　　　　　　　　　　　　　　　宰相殿

　　一　九月四日今度中山道　御出府可被成《割書：ニ｜》付御国許御年寄ゟ
　　　　井口長太夫を以木曾路之内伝馬二百疋無滞継立之儀

【右丁】
　　　　御頼被成度旨書状相添山村甚兵衛《割書：良｜勝》殿《割書：江｜》相達之
　　　　其外之宿々問屋共《割書：江｜》も右之趣申遣之
　　　　　　　但　御国御発駕《割書：并｜》御参府之月日等御記録類不詳
　　一　此年吉田郡《割書：ニ｜》有之候荒地開発被　仰付新田《割書：千百七拾五石｜七斗四升八合》
　　　　出来北野新田と云
　　　　　　　但右荒地之儀は黒龍川流付変北野上村同下村
　　　　　　　　大和田村寺前村河合新保村磯部新保村■【之地ヵ】
　　　　　　　　元川欠地之由

【左丁】
　寛永五年戊辰
　　一　十一月廿五日縁組被　仰付節千石以上は　御意を以被　仰付
　　　　千石以下は内証申合候上御年寄ゟ言上可仕旨被　仰出
　　一　月日江戸　御城御普請御手伝被蒙　仰右《割書：ニ｜》付本多
　　　　伊豆守《割書：冨｜正》杉田権之助《割書：三｜正》《割書：江｜》御普請惣奉行被　仰付
　　一　十二月十二日右同断《割書：ニ｜》付杉田権之助《割書：三｜正》小倉左馬助　《割書：并｜》
　　　　小奉行等江戸表《割書：江｜》被指遣之
　　一　同日

【右丁】
　　　　大御所様ゟ御拝領之　御鷹之鶴於　御城御料理被
　　　　仰付御年寄初江例之通頂戴被　仰付
　　　　　　　但右　御鷹之鶴御拝領月日御記録類不詳
　　一　十二月十四日
　　　　東照大権現御宮御建立《割書：御宮地福井神明宮西ノ方後年清水｜御門内《割書：江｜》被移其跡《割書：江｜》被移普観寺》御普請
　　　　御成就《割書：ニ｜》付　御肖像《割書：於東叡山御本坊恵眼大師｜御開眼相済京都　■■　在》為御迎三岡
　　　　次郎左衛門《割書：佐｜栄》京都《割書：江｜》被指遣之
　　一　同月十六日御家中諸士養子之儀私《割書：ニ｜》仕間敷致言上
　　　　候得は　思召《割書：ニ｜　而》被　仰付歟或相対《割書：ニ｜》誰《割書：ニ｜　而》も可仕旨被

【左丁】
　　　　仰出歟其人々之様子《割書：ニ｜》より可被　仰付旨被　仰出之
　　一　同日江戸表ゟ松本覚右衛門到着《割書：去十一日｜江戸出立》阿倍四郎五郎《割書：正｜之》殿之
　　　　書状持参江戸御普請御手伝丁場御望被成可然旨申来
　　　　　　　但右《割書：ニ｜》付永見志摩守《割書：吉｜次》狛木工允《割書：孝｜澄》夜通し府中《割書：江》罷越
　　　　　　　　本多伊豆守《割書：冨｜正》江相談之上覚右衛門《割書：江｜》御返書　相渡
　　　　　　　　江戸表《割書：江｜》指出之
　　一　同月廿七日《割書：亥｜刻》
　　　　東照大権現御遷　宮《割書：昨廿六日｜京都ゟ御着》　御輿本多伊豆守《割書：冨｜正》永見志摩守《割書：吉｜次》
　　　　御幣狛木工允《割書：孝｜澄》御太刀杉田采女《割書：正治｜》《割書：父権之助｜名代》御弓《割書：二｜張》酒井外記《割書：重｜成》

【右丁】
　　　　磯野六左衛門《割書：吉｜同》御天蓋小御幣三人《割書：姓名｜不詳》　御輿添御使番四人
　　　　御供手長之平士二十人智楽院権僧正《割書：浅草観音別當伝法院｜住持御国御宮別當兼帯》代
　　　　常福院《割書：并｜》鏡意坊《割書：智楽院｜使僧》当所天台宗之僧七人《割書：江｜》被
　　　　仰付御供養有之
　　　　　　　但右御用《割書：ニ｜》付江戸表ゟ去《割書：ル｜》十三日智楽院代常福院《割書：并｜》使僧
　　　　　　　　鏡意坊参着有之
　　　　　　　一御供養常福院《割書：并｜》鏡意坊《割書：江｜》銀子二十枚宛被下之
　　　　　　　　其外七人之僧《割書：江｜》米十俵被下之
　　一　十二月廿八日右同断《割書：ニ｜》付　御参詣御太刀馬代御献備

【左丁】
　　　　御拝有之神酒御頂戴被成相済御年寄御太刀馬代献備
　　　　神酒頂戴有之
　　一　同日江戸御普請御手伝御用《割書：ニ｜》付江戸表《割書：江｜》出立之者共来正月
　　　　十一日ゟ十三日迄《割書：ニ｜》三組宛人足共召連可致出立旨被　仰出之

【右丁】
【白紙】

【左丁】
　寛永六年己巳
　　一　正月朔日於　御城年始御規式有之
　　一　同月二日於御書院太田安房守《割書：資｜武》加藤宗月《割書：康｜寛》太田修理亮
　　　　太刀目録持参御礼申上之引渡出御盃頂戴御長蚫被下之
　　　　多賀谷左近　山川讃岐守《割書：朝｜重》右同前次　大名分子共太刀
　　　　目録持参御礼申上之御盃頂戴御長蚫被下之
　　　　御医師共御樽代百疋宛持参御礼申上之
　　　　　　　但右二日御礼之次第去《割書：ル｜》卯年《割書：ニ｜》不詳候処此年御記録《割書：ニ｜》

【右丁】
　　　　　　　　相見へ候《割書：ニ｜》付此記之
　　一　正月五日田安御門御普請御手伝御用《割書：ニ｜》付本多伊豆守《割書：冨｜正》
　　　　江戸表《割書：江｜》出立為御普請目付秋田内蔵丞《割書：光｜勝》も被指遣候《割書：ニ｜》付
　　　　左之通　御直書を以御法令被　仰出之
　　　　　　　　　　覚
　　　　　　　一公儀御普請由断有間鋪事
　　　　　　　一金銀入候事不苦候之間御普請之手廻由断
　　　　　　　　有間敷候事
　　　　　　　一伊豆守申付候儀少も違背申間敷候権之助儀

【左丁】
　　　　　　　　同前之事
　　　　　　　一他所之ものといひこと仕間敷候若手前ゟ
　　　　　　　　仕懸候は従類共《割書：ニ｜》成敗可申付候あひてより
　　　　　　　　仕懸候もまけ候はゝ右同罪可申付事
　　　　　　　一才覚たていたし伊豆守権之助《割書：ニ｜》申聞■■【せすヵ】
　　　　　　　　御はた本衆と付合申間敷候自然見廻申
　　　　　　　　方候共右両人《割書：江｜》ことはらすして参間敷事
　　　　　　　　　　《割書：正月五日》　　　　　　　　花押

【右丁】
一　正月六日孝顕寺《割書：江｜》　御参詣御帰殿後　御宮別當代
　　常福院《割書：并｜》孝顕寺之御礼被為　請之
　　　　　但右御礼被為　請候儀以後定例故不記之
一　同月八日於御書院浄光院東光寺華蔵寺法泉寺次《割書：ニ｜》
　　本瑞寺西超勝寺神明別當寿福院之御礼被為　請畢而於
　　大広間惣寺社之御礼被為　請之
　　　　　但右御礼之儀以後定例故不記之
一　同日田安御門御普請場《割書：江｜》
　　公方様被為　成御用掛之者共一同　御目見被　仰付

【左丁】
一　同月七日江戸田安御門御普請御用《割書：ニ｜》付被指出候人足之内
　　九人同九日於近江国中河内雪頽《割書：ニ｜》逢圧死有之
一　同月十七日
　　東照大権現御宮《割書：江｜》　御参詣御幣神酒御頂戴御拝有之
　　御年寄御幣神酒頂戴大名分侍中祗候御幣頂戴有之
　　　　　但今日　御宮御門開之諸人参詣御免
一　同月廿三日田安御門御普請御用掛之者共《割書：江｜》左之通御書被成
　　　　　一筆申遣候然者去八日
　　　　　将軍様我等御普請場《割書：江｜》被為　成御機嫌能

【右丁】
　　　　　　　何も《割書：江｜》被掛　御詞候由大慶不過之候則為
　　　　　　　御礼年寄中迄以書状申上候其元之儀万事
　　　　　　　伊豆守権之介相談《割書：ニ｜》而入念可申候謹言
　　　　　　　　正月廿三日　　宰相　花押

　　　　　　　　　　　　　　　笹治大膳との
　　　　　　　　　　　　　　　牧野丹後守との
　　　　　　　　　　　　　　　松原右衛門尉との
　　　　　　　　　　　　　　　岩上左兵衛との
　　　　　　　　　　　　　　　水谷織部との

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　本多主馬との
　　　　　　　　　　　　　　　堀　多面との
　　　　　　　　　　　　　　　野村権太夫との
　　　　　　　　　　　　　　　秋田内蔵之丞との
　　　　　　　　　　　　　　　武曽権左衛門との
　　　　　　　　　　　　　　　小倉左馬之助との

一　正月廿四日於　御城白山賢聖院一日二夜之護摩執行御祈祷
　　有之
一　同月廿七日於　御城越智山大長院大般若経転読御祈祷
　　有之此節神領五拾石先規之外御寄附被成

【右丁】
一　正月廿八日山伏共《割書：江｜》被　仰付於　御城火伏之御祈祷有之
一　閏二月六日
　　公方様御不例御咳気之由江戸表ゟ申来《割書：去月廿九【八ヵ】日｜立飛脚》　御機嫌為
　　御伺高畑勘解由　江戸表《割書：江｜》被指出之今日福井出立
　　　　　但右御使者江戸着日不詳
一　同月七日
　　公方様御熱気強御疱瘡《割書：ニ｜》も可被為　在哉之段江戸表ゟ
　　申来《割書：去ル朔日｜立飛脚》候《割書：ニ｜》付　御機嫌為御伺永見志摩守《割書：吉｜次》江戸表《割書：江｜》
　被指出之今日福井出立

【左丁】
　　　　　但右御使者江戸着日不詳
一　同月八日右同断《割書：ニ｜》付御全快之為御祈祷　御宮常福院
　　白山賢聖院越智山大長院《割書：江｜》護摩修行被　仰付
一　同日
　　公方様御疱瘡之処　御気色能候得共先早速今庄辺迄
　　御出被成御様子御待合可然旨江戸表ゟ申来候処兼而
　　御機嫌為御伺　御出立被成度　思召《割書：ニ｜》付直《割書：ニ｜》子刻
　　御発駕木本駅迄　御出被成
一　同月十一日江戸表《割書：江｜》愈　御出府被成度　思召《割書：ニ｜》付御供之者共

【右丁】
　　十四日《割書：ニ｜》福井出立候様木本　御止宿ゟ被　仰遣之
一　閏二月十四日旧冬　出羽守《割書：直｜政》様御不快《割書：ニ｜》付松平長門守《割書：秀｜就》殿ゟ
　　為御見廻被遣候女中江戸表《割書：江｜》罷帰候《割書：ニ｜》付今切御関所女通
　　手形之儀　出羽守《割書：直｜政》様御家老朝日丹波《割書：重｜正》ゟ申来候《割書：ニ｜》付
　　御年寄狛木工允《割書：孝｜澄》ゟ指遣之
　　　　　従越前江戸《割書：江｜》通《割書：リ｜》申候女房之事
　　一　女房壱人乗物《割書：但お局｜》
　　一　年拾九之女壱人
　　一　年三十一之女壱人

【左丁】　　
　　一　年二十三之女壱人
　　一　年三十七之女壱人
　　一　年弐《割書：ツ｜》之女子壱人
　　一　年廿五之女壱人
　　一　年拾三之女壱人
　　一　同年之女壱人
　　一　年拾六之女壱人
　　　　　〆上下拾人
　　右之女房は松平長門守殿御前之お局同召仕候者共

【右丁】
　　　　　御座候松平出羽守旧冬煩《割書：ニ｜》付而江戸ゟ為見廻と
　　　　　罷上只今下リ被申候間御番所無相違御通シ
　　　　　奉頼候仍如件
　　　　　　寛永六年巳閏二月　　　　狛木工允

　　　　　　　今切御番所
　　　　　　　　服部権太夫殿
　　　　　　　　同　木工助殿

一　閏二月十五日今度
　　公方様御不例《割書：ニ｜》付御祈祷被　仰付候御札守小倉兵部

【左丁】
　　石原平右衛門を以江戸表《割書：江｜》被献之
　　　　　但於江戸表献上之日不詳
一　同日今度　御出府《割書：ニ｜》付昨日可致出立御供之面々白鬼女川
　　大水《割書：ニ｜》付今日福井出立
一　同月十六日今度笹治大膳《割書：正｜時》子右近　為証人江戸表《割書：江｜》
　　罷出候《割書：ニ｜》付附添罷越女共今切御関所通手形御年寄
　　狛木工允《割書：孝｜澄》ゟ指遣之
　　　　　　　従越前江戸《割書：江｜》越候女之事
　　　　　一　年四拾五之女壱人

【右丁】
　　　　以下略
　　　　　　〆拾人也
　　右之女共越前宰相内笹治大膳子右近江戸《割書：江｜》
　　為証人被指上候故付候而遣候なり以下召仕之者《割書：ニ｜》而
　　候条御役所無相違御通シ奉頼候仍如件
　　　寛永六年巳閏二月十六日　　　狛木工允

　　　　　服部権大夫殿
　　　　　同　木工之助殿

【左丁】
　　　　　但右近儀出立之日御記録類不詳
一　閏二月《割書：日不｜詳》
　　公方様御不例之処諸大名為伺　御機嫌参府之儀御停止
　　之旨被　仰出候得共押《割書：而｜》　御機嫌御伺被成度
　　思召神奈川駅迄　御出被成候処品川《割書：ニ｜》新関出来御目付
　　出張有之由御承知被成同駅ゟ御舩《割書：ニ｜　而》浅草御屋敷《割書：江｜》
　　御着直《割書：ニ｜》御老中迄御使者を以今度
　　公方様御不例之処参府之儀御指留《割書被成：ニ｜》候得共無　御心許
　　思召《割書：ニ｜》付　御様体御伺被成度押《割書：而｜》　御出府被成候段御達

【右丁】
　　有之候処達　上聞御機嫌《割書：ニ｜》被　思召
　　大御所様御対顔可被遊旨被　仰出候《割書：ニ｜》付早速　御登
　　城被成候処　御座近被為　召余人《割書：ニ｜》御変《割書：り｜》御一人御出府
　　之段御深志之至　御満悦之旨　上意有之
　　　　　但追《割書：而｜》　御病気御全快之上　御帰国被成候得共月日
　　　　　　御記録類不詳
　　　　一　右　御機嫌御伺之儀元御世譜を初諸書《割書：ニ｜》秋
　　　　　　大御所様御不例《割書：ニ｜》付と有之候得共杉田壱岐守
　　　　　　勤中留記之内《割書：ニ｜》木本迄　御出張之事相見へ其上

【左丁】
　　　　　　五月ゟ十一月迄　御在国之儀右留記《割書：ニ｜》有之《割書：ニ｜》付
　　　　　　此所《割書：ニ｜》相記之
一　六月十七日
　　東照大権現御社領左之通御寄附有之
　　　　奉寄進　東照権現御社領之事
　　　　　　　　　　　　　　《割書：越前国足羽郡》
　　　　　高三百石　　　　　　　　国松村
　　　　右依奉勧請当国令寄附所如件
　　　　　　　　　　　　　　　　宰相
　　　　　寛永六年《割書：己｜巳》六月十七日　　忠昌
　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　当社
　　　　　　　　　　　　　　　　　別當御房

【右丁】
一　六月廿七日田安御門御普請場《割書：江｜》
　　大御所様被為　成其節御家来本多伊豆守《割書：冨｜正》永見志摩守《割書：吉｜次》
　　御前《割書：江｜》被　召出御懇之　上意有之
一　七月三日志比庄吉祥山永平寺祚天《割書：常智｜禅師》儀
　　公辺《割書：江｜》対《割書：シ｜》不調法之儀有之《割書：ニ｜》付江戸表《割書：江｜》御呼出御吟味相済
　　永平寺御追放越前関東中京大坂江戸駿河尾張紀伊
　　御払《割書：ニ｜》被　仰出候間祚天儀帰寺之上右之趣申渡手形を取
　　江戸表《割書：江｜》可相廻旨御老中連名之御奉書江戸表ゟ本多
　　伊豆守《割書：冨｜正》書状指添御国許《割書：江｜》相廻之

【左丁】
　　　　　但右《割書：ニ｜》付永平寺後住被　仰付候迄伝来之什物悉
　　　　　　永平寺役僧共と立合相改預《割書：り｜》置候様孝顕寺
　　　　　　心月寺鎮徳寺安穏寺乗国寺総光寺永春寺
　　　　　　宗福寺《割書：江｜》被　仰付之
一　同月八日右同断之処永平寺祚天帰寺之途中
　　於尾州熱田駅不快之段使僧を以相達候《割書：ニ｜》付祚天召連
　　帰候様被　仰付平塚清兵衛　熱田迄被指遣之
一　同月十一日
　　公方様御不例《割書：ニ｜》付　御機嫌為御伺稲垣治部左衛門《割書：重｜成》

【右丁】
　　江戸表江被指出之
　　　　　但治部左衛門江戸着日等不詳
一　七月十二日平塚清兵衛　永平寺祚天同道福井江着
　　ニ付高田遠江守《割書：一｜英》佐野式部《割書：影｜利》島田内蔵助《割書：重｜員》を以て御奉書
　　之趣祚天江被　仰渡且請証文指出候様申渡之左之通
　　指出之
　　　　　今度於江戸拙僧事被遂御裁許不届之仕合ニ
　　　　　付而為　上意与永平寺御追放被成其上越前国
　　　　　関東中京大坂尾張国紀伊国駿河国致居住

【左丁】
　　　　　間敷旨従御年寄中御奉書之趣被　仰渡通
　　　　　得其意奉存候然上は右之所々ニ罷在間敷候
　　　　　仍証文如件
　　　　　　寛永六年《割書：己｜巳》七月十二日　　祚天判

　　　　　　本多伊豆守殿

一　同月十三日祚天御国出立ニ付海福瀬左衛門《割書：重｜之》藤縫殿助
　　御国境迄被為附之

【右丁】
一　七月十四日祚天御国出立之御達書并請証文今日
　　江戸表江被指遣之
一　同月十七日
　　公方様御不例之処　御快段申来候ニ付御使者原平左衛門《割書：正｜■》
　　江戸表江被指出之
　　　　　但平左衛門江戸着日不詳
一　九月《割書：日不｜詳》田安御門御普請御手伝相済候ニ付本多伊豆守《割書：冨｜正》
　　於　御城御暇被下御馬時服拝領被　仰付
一　同月十二日田安御門御普請御手伝相済候ニ付而之　御内書於

【左丁】
　　御国許　御頂戴有之右為御礼御使者三浦四郎左衛門
　　今日江戸表江被指立之
　　　　　但御内書組頭之面々罷帰候節持参有之右　御内書
　　　　　　御伝来無之
一　同月十八日本多伊豆守《割書：冨｜正》御普請御用相済江戸表ゟ帰着ニ付
　　福井江罷出御礼申上之
一　同月十九日本多伊豆守《割書：冨｜正》杉田権之助《割書：三｜正》御普請御用首尾能
　　相勤候ニ付於　御城御料理頂戴被　仰付御腰物被下之
　　　　　但権之助御国許江着日不詳

【右丁】
一　九月廿日右同断ニ付江戸表ゟ罷帰候組頭武頭御料理
　　頂戴被　仰付御小袖被下之
一　十月十日
　　忠直様御女亀姫様高松殿《割書：好仁｜親王》江御縁組ニ付江戸表江
　　御使者御使番力丸藤左衛門《割書：治｜時》被遣之亀姫様江銀子百枚
　　綿五百把　仙千代様江御樽肴被遣之
一　十一月四日
　　大御所様下総国東金江御鷹野ニ被為　成候ニ付
　　御機嫌為御伺千野佐兵衛　江戸表江被指出之

【左丁】
　　公方様　大御所様江干鱈三十枚宛被献之
　　　　　但佐兵衛江戸着日不詳
一　同月上旬福井　御発駕　御参府被成
　　　　　但江戸表江　御着日不詳
一　同月廿三日来午年江戸御屋敷御普請有之ニ付足軽共之内
　　弐百人《割書：内九拾二人｜御門番》御国許ニ相残其余不残為御用江戸表江指遣之
一　同月廿六日当年江戸　御城御普請御手伝ニ付
　　公辺御役方江御進物御入用銀高五拾貫目余ニ相成右之銀も
　　御普請御入用ニ付御普請銀之通御家中割懸りニ可相成処

【右丁】
　　思召ニ而御償ニ可被成下旨被　仰出
一　十二月六日福井ゟ江戸表江罷越女有之ニ付今切御関所通
　　手形御年寄ゟ指遣之
　　　　　　　　越前ゟ江戸江罷越候女之事
　　　　　一年弐拾七之女壱人也
　　　　　右之女は鍋島信濃殿之御内喜多島外記と
　　　　　申仁之召仕越前福井庄ゟ於江戸鍋島信濃守殿之
　　　　　御屋敷迄引越申候条無相違御通候而可被下候以上
　　　　　　寛永六年巳極月六日　　　杉田権之介

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　本多伊豆守
　　　　　今切女留
　　　　　　御奉行衆中　参
　　　　　但是迄宛所両人名前ニ而有之候処此処は御奉行
　　　　　　衆中与有之ニ付再記之
一　同月十一日　仙千代様御元服被叙任従四位下少将被称
　　越後守光長

【裏表紙】

家譜




　家　譜《割書：吉邦公｜》　《割書：従享保五年｜到　同六年》　三十四

　吉邦様《割書：従享保五年庚子｜至　同六年辛丑》

享保五年庚子

　一、正月朔日於　御本丸年始御期式規式有之
　一、同日為年始御祝儀御使者寄合稲垣安右衛門《割書：重｜信》を以例
　　　之通御太刀馬代被献之
　　　　　但安右衛門旧臘五日福井出立
　一、同月三日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃台
　　　御酒代比被献之
　一、同月七日奈須為若菜祝儀御使者を以例之通御肴■被献之

　一、正月十一日年始三ヶ日之御規式相済候為御祝儀江戸表江
　　　御書被指出之御肴一種被献之
　一、同月廿一日御家中奉公人之儀ニ付左之通御書付を以被　仰出之
　　　　　　　　　　定
　　　　　一、御家中奉公人高給ニ召置候役前々ゟ御法度ニ候
　　　　　　　得共年々高給を望申趣ニ相聞不届千万ニ候
　　　　　　　只今迄金銀くるい候ニ付其通ニ候得共来春ゟ
　　　　　　　新金通用ニ候間慶長金通用之節之通奉公
　　　　　　　人給金可被相定事ニ候得共近年奉公人払

　　　　　　　底ニ候故其通ニ被指置候来春出替之節当亥
　　　　　　　春召抱候給金之通乾金之積ニ引合可召抱候
　　　　　　　背御法度高給ニ召抱候ハヽ主人可為不調法候
　　　　　　　間可被得其意候
　　　　　一、下々出替之節無拠用事申立又ハ引込裃致
　　　　　　　候趣ニ而当分かくれ居奉公人致払底高給を
　　　　　　　望候者在之ニ付当暮ゟ町奉行郡奉行江被　仰付
　　　　　　　来正月ゟ申立をいたし商人ニ罷成或ハ致休
　　　　　　　息引込候品々者親子兄弟たたりといへ共語五七日

　　　　　　　廿日を重ね候而者指置間敷旨被　仰出候
　　　　　　　　　附奉公人病身ニ持而春中ゟ奉公難相勤引込
　　　　　　　　　　候者共夏中ニいたり致快気候とも其年
　　　　　　　　　　中町方ハ其町切在辺ハ其村ゟ堅出間敷候
　　　　　　　　　　自然無拠用事ニ付引込候者其主人より
　　　　　　　　　　其品を書付其支配江相達候ハヽ可指置候筈
　　　　　　　　　　ニ候家来之者共頼申候とも不遂吟味無
　　　　　　　　　　作与断書指出申ましき事
　　　　　　　　右之通被　仰出候上者下々高給を望奉公人

　　　　　　　　抱不申面々江者百姓召仕候様被　仰出候惣而我
　　　　　　　　侭仕者有之ハ相知次第急度御仕置ニ可被
　　　　　　　　仰付旨ニ候右之趣面々家来共江堅可被申付候
　　　　　　　　以上
　　　　　　　　　　亥十二月
　　　　　　　　　　　〆

　　　　　　　　　　　定
　　　　　一、当春出替之節下々高給ニ不召抱様ニ度々

　　　　　　　相触候処今以下々高給を望有付を見合罷
　　　　　　　在候様荷ニ相見江候此段ハ奉公人共申合仕趣ニ候
　　　　　　　奉公人之内高給を望候ハヽ頭取仕者も有之様ニ
　　　　　　　相聞不届之事ニ候下々給銀旧冬相触候通
　　　　　　　乾金之積を以可めす召抱候奉公人ニより給金高
　　　　　　　下可有之事ニ候得共当春迄之給銀を承其
　　　　　　　上主人見分次第少々之増減ニ而可召抱候御定
　　　　　　　之通構も無之哉先主江相届候節猶又給銀
　　　　　　　之員数をも可承候若奉公人先主ニジ而之給

　　　　　　　銀を偽申品之者候ハヽ品々御目付中江可被相
　　　　　　　達候急度御仕置可被　仰付候自然主人存違ニ而
　　　　　　　家来を不便ニ存当春迄召仕候給銀を尋来候
　　　　　　　方江過を申遣儀有之候ハヽ以後主人可為越度候
　　　　　　　何様之奉公人ニ而も給銀ｋ金弐両壱歩を可限候
　　　　　　　年々奉公人高給ニ成候儀主人可致難儀儀ニ付
　　　　　　　度々御触被指出候処面々其程思慮無之奉公
　　　　　　　人我侭を申又ハ高給之手立を仕候者を等
　　　　　　　閑ニいたし候事堅有之間敷事ニ候間面々

　　　　　　　　此旨を被存不届者早々目付中江可被相達候以上
　　　　　　　　　　正月
　　　　　　　　　追而例年之通奉公人動曽而相見不申候
　　　　　　　　　間面々只今迄召仕候家来二月二日ニ暇出シ
　　　　　　　　　候而事欠候八ヽ直ニ只今迄之家来召仕可被
　　　　　　　　　申候但主取いたし先様江参り候筈ニ而断
　　　　　　　　　申達候八ヽ暇遣可被申候無左候而代り人無之
　　　　　　　　　手前ニ被致迷惑候ハヽ右之通直ニ召仕可被申候
　　　　　　　　　給銀之儀者ｓ少々指引相対可有之事候

　　　　　　　　　自然右之品ニ可仕段申聞候處宮々申立
　　　　　　　　　を致し合点不仕者有之候ハヽ早々其訳
　　　　　　　　　目付中江可被申達候以上

一　二月十二日御用番久世大和守《割書：重｜之》殿ゟ御呼出御留守居大関
　　新五左衛門《割書：直｜看》罷出候處小狐丸太刀御尋之儀ニ付用人を以左之通
　　御書付被相渡之
　　　　　　　　　覚
　　　　　　小狐と申太刀いにしへハ摂家方ニ被致所持其
　　　　　　

　　　　　　後建仁寺大統庵ニ有之候処紛失候以後越前
　　　　　　国ニ有之由先年風聞候右之太刀若神社等
　　　　　　納置候儀無之候哉其外領内在家迄被致
　　　　　　候共前々越前国中ニ有之たる儀候八ヽ其趣以
　　　　　　後之様子も承度候小狐之太刀世上ニ而宗近
　　　　　　作与申ならハし候得共此小狐宗近作にてハ
　　　　　　無之候右太刀猫切とも雷切とも唱候先者小狐
　　　　　　と申由ニ候以上

一　二月廿一日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於　御城
　　御渡有之御家来拝領物等如例
一　同月廿八日永平寺ニ被指置候　御石塔守磯間宗卜与申者
　　儀年罷寄難相勤旨願ニ付御免被成右跡永平寺塔
　　頭隆昌院江被　仰付弐人扶持被下之
一　三月三日永平寺登　城十帖一本指上之於韃靼之間
　　御逢有之
一　同月廿一日福井　御発駕東海道通御旅行

一　三月廿五日御老中久世大和守《割書：重｜之》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　　十郎左衛門《割書：定｜由》罷出候処打物鍛冶之儀ニ付左之通御書付相渡之
　　　　　　　　　覚
　　　　一　領内ニ有之鍛冶之儀最前相達候ニ付書付被指
　　　　　　出候右書付之内ニ而者能打候と存候鍛冶打申候
　　　　　　刀脇指之内一腰可被指出候
　　　　一　右書付之内差別難仕鍛冶両人有之候ハヽ
　　　　　　一腰ツヽ両腰可被出候同しくハ壱人之作一腰
　　　　　　差出候様可被心得候

　　　　一　右者当時打物仕居申候鍛冶打置候道具之
　　　　　　事候鍛冶手前ニ不有合候ハヽ打置候を才
　　　　　　覚候而可被出候新規ニ打立候ニ者不及候以上
　　　　　　　　　三月
一　同月廿六日御老中久世大和守《割書：重｜之》殿江小狐丸太刀之儀ニ付
　　御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》左之通書付持参指出之
　　　　　　　　　覚
　　　　　　　先頃被　仰出候小狐太刀之儀伊予守領内吟味
　　　　　　　仕候然処領分足羽郡之内阿波賀村ニ春日

　　　　　　　明神之社御座候往古ゟ奉納者之由申伝候而
　　　　　　　宗近与銘有之刀在之候則太刀鍛冶棒鞘ニ而
　　　　　　　御座候由右社之神主吉田宮内少輔与申候
　　　　　　　親ハ吉田日向守与申候右日向守書付置候哉
　　　　　　　右棒鞘之上ニ小狐丸彰与書付有之候由則右
　　　　　　　太刀之格好等委細書付指越候ニ付指上申候右
　　　　　　　之太刀いか様の訳ニ而何方ゟ奉納之事ニ候哉
　　　　　　　右太刀之儀ニ付何にても承伝候事ハ無御座候
　　　　　　　哉与吟味仕候得共其段者曽而相知レ不申候由

　　　　　　　申越候此外領内不残吟味仕候江共外ニハ
　　　　　　　無御座候由申越候右之趣御序宜被仰上可被
　　　　　　　下候以上
　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守内
　　　　　　　　　三月廿六日　　　　　大関新五左衛門
　　　　　　　　　　覚
　　　　　　　一　宗近刀　一腰
　　　　　　　　　　二字銘宗近但太刀銘
　　　　　　　　　長サ弐尺弐寸弐歩余

　　　　　　　　　元幅八分半
　　　　　　　　　切先横手際幅四歩
　　　　　　　　　帽子長サ七分
　　　　　　　　　重子鎺元ニ而弐分余
　　　　　　　　　同横手際ニ而壱歩
　　　　　　　　　反リ物打ニ而壱寸壱分半
　　　　　　　　　中心作リ四寸八分半
　　　　　　　　　目釘穴弐ツ
　　　　　　　　　直刃

　　　　　　　　　以上
一　三月廿八日東叡山
　　大猷院様御仏殿御類焼ニ付御老中戸田山城守《割書：忠｜奥／真？》殿江御留
　　守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》罷出御勤之儀相伺候処御使札被指
　　出候様御指図有之
一　同日於天徳寺昨廿七日晩ｙゟ今朝迄　清池院様五十回
　　御忌御法事御執行有之於運正寺も御茶湯御執
　　行有之
一　四月四日品川駅御休ゟ直ニ　御参府為御案内御老中

　　御廻勤
一　四月五日御用番井上河内守《割書：正｜■》殿江《割書：暁七半｜時過》御出御逢被成
一　同日御参府ニ付　上使御老中水野大和守《割書：忠｜之》殿御越
　　上意之趣御達有之《割書：上使御取扱｜如例》御退出後右為御礼御老中
　　御廻勤
一　同月八日御老中久世大和守《割書：重｜之》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　　十郎左衛門《割書：定｜由》罷出候処先達而被　仰達候阿波賀春日社ニ有之候
　　小狐丸太刀之■可被指出旨且又右之太刀鞘并袋箱等■
　　只今迄之侭ニ而指出候様被申聞之

一　同月九日先達而被　仰出候御国鍛冶打物之儀ニ付御老中
　　久世大和守《割書：重｜之》殿江御留守居大関新五左衛門《割書：直｜■》左之通書付持参
　　指出之候処播磨之方被指出候様被申聞之
　　　　　　　　　　覚
　　　　　　　刀鍛冶
　　　　　　　一　　山城守国清
　　　　　　　　　右打立候出来宜御座候然共時にニより業
　　　　　　　　　出来不出来御座候
　　　　　　　刀鍛冶
　　　　　　　一　　播磨大極重高

　　　　　　　　右打立候出来山城程ニ者無御座候得共業
　　　　　　　　能御座候

　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守内
　　　　　　　　　四月九日　　　　大関新五左衛門

一　四月十三日　御登　城御参勤之御礼被　仰上例之通
　　御太刀銀綿御献上之畢而被　召連候御家来本田修理《割書：恒｜久》
　　御目見被　仰付相済右為御礼御老中若年寄中
　　御廻勤　　　
一　同月十六日先達而被　仰出候御国鍛冶播磨打刀一腰

　　左之通御書付添御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》を以
　　被指出之
　　　　　　先日被仰渡候打物之儀在所罷在候拙者家来
　　　　　　播磨大極重高細工者大概ニ仕候得共業能
　　　　　　御座候依之打置候刀一腰差出申候以上
　　　　　　　　四月十五日　　　　　松平伊予守

一　同月十七日　初姫様於福井御誕生御母辻氏《割書：於八重方｜》
一　同日御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿ゟ御呼出御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》









　　罷出候処出火之節御人数火消可被指出旨被　仰渡左之通
　　御書付御渡有之

　　　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守
　　　　　　出火之節風烈可及大火様子ニ候八ヽ防可被
　　　　　　仰候自身罷出候儀ニ者無之候騎馬其外人
　　　　　　数斗可被指出候右人数等別紙書付之通可被
　　　　　　相心得候就夫火事之時分留守居之者之者成共
　　　　　　壱人榊原式部大夫上屋敷表門通角辻番所江
　　　　　　出し置可被申候御目付御使番之内を以防之儀
　　　　　　
　　　　　　可被　仰付候間御指図之場所江召連人数指出
　　　　　　可被申候右用意之人数ハ屋敷之内可被指置
　　　　　　候留守居之者彼辻番所迄出候儀小火又ハ遠方
　　　　　　之火事ニ者不及其儀候
　　　　　　　　四月
　　　　　　火消之人数幷侍共召連候下人共ニ
　　　　　　　　惣人数　　　　三四百人程
　　　　　　　　馬上　　　　　六七騎
　　　　　　　　満とひ　　　　弐本

　　　　　　　火消之外人数多被指出候得者火事場込合候
　　　　　　　故右之通ニ候間騎馬之者召連候下人等随分少々
　　　　　　　召連候様ニ可被申付候幷抱灯多持候儀是又込
　　　　　　　合其上火之元之ためにも悪敷候間可成程ハ
　　　　　　　減少可然事
　　　　　　　　　四月
　　　　　　　火之番被　仰付候面々御当地ニ而鳶之者召抱
　　　　　　　候も有之候得共鳶之者無之候而も事済可申候
　　　　　　　常火消ニ者去年より右躰鳶之者相止候得共差

　　　　　　　支も無之候間火之番被　仰付候面々其段相心
　　　　　　　得御当地ニ而鳶之者抱用ひ候儀可被致無用候
　　　　　　　以上
一　同日御老中戸田山城守《割書：忠｜真》殿ゟ御呼出御留守居大関新五左衛門《割書：直｜■》
　　罷出候処東叡山類焼之寺院作事之儀ニ付左之通御書付
　　被相渡之
　　　　　　此度東叡山類焼之寺院破風作相止小棟作ニ
　　　　　　仕火事之ために候間ひきく惣躰ちいさく軽く
　　　　　　致作事そうろう候様ニ申渡候宿坊■米所も用事足り
　　　　　　

　　　　　　候迄ニ仕無用之儀者差置可被申候右之段類焼
　　　　　　寺院江申渡候間可被得其意候
　　　　　　　　　四月
一　四月十八日御参府ニ付為御土産御使者を以例之通御宮　
　　奉書紙被献之
一　同月廿二日御用版井上河内守《割書：正｜■》殿ゟ御呼出御留守居大関
　　新五左衛門《割書：直｜■》罷出候処去々年ゟ鶴白鳥菱喰雁鴨献上且
　　又音物等仕間敷旨被　仰出候得共白鳥菱喰雁鴨も当
　　冬ゟ献上幷音物ニ可仕鶴者自今も相用申間敷旨御書付
　　
　　被相渡之
一　同月廿五日向後御国産物御献上之節ハ前日品物　御覧可
　　被成旨被　仰出
一　同月廿六日先達而御尋有之候小狐丸昨五日■■御老中
　　久世大和守《割書：重｜之》殿江御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》持参指出之
一　同月廿九日御老中久世大和守《割書：重｜之》殿ゟ御呼出御留守居大関新五左衛門《割書：直｜■》
　　罷出候処先達而被指出候小狐丸彰　上覧相済候ニ付請取罷
　　帰候様被申聞之其節新五左衛門江安波賀春日社来歴且
　　京都建仁寺塔頭大統庵春日社江訳合も有之候歟公家

　　方武家方之内右社江帰依之様子も有之候ハヽ是又
　　委細書付可指出旨被申聞之
一　同日右同断ニ付御留守居大関新五左衛門《割書：直｜■》左之通書付持
　　参指出之
　　　　　　　　　口上之覚
　　　　　　最前差出候小狐太刀　御覧も相済候付御返被成
　　　　　　請取申候
一　越前国安波賀社之儀春日明神勧請仕置候
　　由緒伝記并右社江公家武家之中ニ而藤原氏

　　之帰依之訳有之候哉京建仁寺塔頭大銑庵
　　右社江何と歟品も有之社候哉之儀■許ニ而も
　　相知不申候
一　安波賀村之内右社有之故所之者者安波賀
　　社与申習し候
軽事如何或ハ誤字ニハ無之事
　　　　　　軽事御座候　軽ハ銑ノ誤記　随
　　右越前国足羽郡安波賀村春日社者従
　　王城料■ニ相当り御冷泉院之御宇鬼門鎮守之
　　勅願所与申伝候領主朝倉弾正左衛門永林入道敏景ゟ
　　

　　　　　同左衛門■義景時代ニ者社領も多社家数百人も在之
　　　　　候由義景没落以後段々■■仕旧跡斗相残ル躰ニ
　　　　　在之候由承伝候其以後先祖中納言秀康越前国
　　　　　拝領入部以後少之山林抔寄付被申付候由其以後同氏
　　　　　兵部大輔時分右之社段々及大破候付社建立仕候少々
　　　　　扶持抔申付候然共神主難取續御座候付当伊予守
　　　　　社領五拾石申付候尤別当者無御座候神主吉田宮内少副
　　　　　与申者ニ而御座候此外■許ニ而者相知不申候間在所江
　　　　　申遣吟味仕追而可申上候右之趣共相違之程も難斗

　　　　奉存候得共承伝候通先各様迄御物語仕候以上
　　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守
　　　　　　　四月廿九日　　　　　大関新五左衛門

一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単被献之
一　同月五日御使者を以て例之通御国産初鯖被献之
一　同月《割書：日不｜詳》御老中列座水野和泉守《割書：忠｜之》殿講義御役人中江被
　　申渡候御書付之写　思召を以御国江御廻之上左之通被
　　仰出
　　　　　　　　　覚

一　米穀之類損失無之能出来候様ニ■々無油断
　　可被申付事
一　有来田畑損亡無之様■々心掛普請可被申付候
　　又ハ川除等之悪敷成たる所者能為致候儀専
　　要之事
一　新田出来候儀者宜事ニ候得共外之害ニなくさる
　　所者被申付可然候大概古田畑或ハまくさ場等之
　　障ニ成候事度々有之儀二候条左様成所者可
　　為無用事

一　差当り入用ニ而も無之山林を伐出シ受易致
　　候儀堅可為無用事
一　食物者勿論其外諸■潤沢ニ候とも猥りニつ
　　かひ捨不申候様ニ酒菓子類むさ■多く作り
　　出し候ハいぬ様ニ可被相心得事
一　当時売買之諸■別而不足なると申物も
　　無之処ニ此上■数多く仕出し候とても人ニ分
　　限を越物をつかひ候得者事足不申畢竟
　　国の襄となり無益之事ニ候米穀菜種之
　　

　　外ハ金銀衣服諸道具類ニ至迄新規之品者
　　勿論有来物ニ而も相増仕出し候儀猥りニ被申
　　付間敷事
一　有来之外遊所物見世并売買等ニ而も人多く集
　　候様致候儀者所ニにぎわいを申立といふとも
　　猥ニ被申付間敷事
一　故なくして高物儀等高直ニ売出し候八ヽ過分
　　之利徳をむさぼり候とての儀二候条被遂吟味
　　いたさせ被申間敷事

　　　但商物一所ニ請込下直ニ売出すなと申すといふ
　　　　とも是又取上申間敷事
一　国々所々より出し候諸色運送不自由候■又者
　　途中之■にて損失無之様心を附可申事
一　近年緒願事取上不被申候処去年以来承届
　　候様ニ被　仰出候就夫緒人一同之御救ニ可成儀者
　　可被申付候左も無之品者取上被申間敷候一同之
　　御救ニ者米穀能出来候儀者人々分限を守費不
　　致候様ニ御仕置之旨と相心得可被申付候此外

　　宮々之儀を申立候とも其事取扱候者之徳用
　　ニハ成候得とも諸人江行わたり命をつなき候ニハ
　　不罷成却而悪敷事共ハ出来可申候条件之　　
　　趣能々被相考可被申付候以上
　　　　享保五子五月


　　　　　覚
一　諸願申出候内吟味之上難済願者如此之品ニ而不
　　相調候段書付を以訴訟人江可申聞候証文いた
　　
　　させ候者無用ニ仕重而罷出候ハヽ過料可申
　　付由申渡其上ニ而も訴訟罷出候ハヽ過料可申付候
一　親子兄弟其の外之親類ニ而も御科御免之願
　　且又裁許之儀ニ付而も願是者別段之事ニ候間
　　只今迄之通可相心得候
一　奉行所ニ而不取上願老中若年寄等江訴訟罷
　　出候節奉行所江出候哉与相尋未罷出候由申候ハヽ
　　其節之奉行江可出旨若奉行所江出候得共取
　　上無之由申候ハヽ訴訟取上奉行中江相渡

　　　　　　条其節相談之上愈不取上願ニ候ハヽ再過料
　　　　　　可申付候万一可相立品も候ハヽ猶又吟味之上裁
　　　　　　許可申付候右之書付三奉行所江和泉守相渡之
　　　　　　　　享保五子五月十六日

一　五月十八日先達而被　仰出候安波賀春日社来歴其外之
　　書付共御国ゟ相廻候ニ付御老中久世大和守《割書：重｜之》殿江御留守居
　　大関新五左衛門《割書：直｜■》持参指出之
　　　　但書付之目録有之候得共不記之

一　同月廿三日御老中久世大和守《割書：重｜之》殿ゟ御呼出御留守居罷出
　　候処諸国堤川除等之儀ニ付左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　　覚
　　　　　　　諸国堤川除或ハ旱損所等之普請之儀一国
　　　　　　　一国又ハ廿万石以上之面々ハ只今迄之通多日
　　　　　　　遍く候其以下自普請に難成打捨置候而者亡
　　　　　　　所に可成程之儀ニ而其領主之力ニも難及大キ
　　　　　　　なる普請ニ候ハヽ其所御料私領之無差別国
　　　　　　　役割合ニ而出来尤　公儀よりも右入用被加ニ而
　　　　　

　　　　　　可有之候間自分普請に難成節ハ其段可被
　　　　　　申出候委細者御勘定奉行江承合可被申候
　　　　　　　但廿万石以上　ニ而も高之内国を隔て小分之
　　　　　　　　領地はふれ候場所者廿万石以下同前多日
　　　　　　　　遍く候以上
　　　　　　　　　子五月

一　六月十三日御老中水野和泉守《割書：忠｜之》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　　十郎左衛門《割書：定｜由》罷出候処和泉守殿御出座左之通御書付を以被
　　
　　申渡之
　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守
　　　　　　　　　　　　　　　日野小左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　美濃部勘右エ門　御代官所
　　　　　　　　　　　　　　　柴村藤兵衛
　　　　　　　高拾万三千石餘　　越前国之内
　　　　　右之所御代官被　仰付候内従当年御領所ニ
　　　　　被　仰付之候間口米をも可被到所努候御仕置
　　　　　其外諸事入念可被申付候此儀ニ付而者追而
　
　　　　　　
　　　　　

　　　　　　相達品も有之候且又御勘定奉行ゟ追而村
　　　　　　附帳相渡可申候村方被請取儀者村附帳相
　　　　　　渡候以後右御代官ゟ可引渡之候
　　　　　　　但右御領所之内給領などに相渡候儀有之
　　　　　　　　候ハヽ御勘定奉行ゟ可相達候間可被仰其意候
　　　　　　　　以上
　　　　　　　　　子六月

一　同日右同断ニ付左之通御口上書御持参御老中　御廻勤

　　　　　　　　　口上覚
　　　　　　只今水野和泉守殿江家来之者被召寄越前之
　　　　　　国御代官所之内当年ゟ御預ケ所ニ被　仰付候旨
　　　　　　委細以御書付被仰聞趣致承知奉得其意候
　　　　　　此段為可申上致伺公候以上
　　　　　　　　六月十三日　　　　　松平伊予守

一　六月十五日御老中水野和泉守《割書：忠｜之》殿江御出御逢被成候處
　　今度御預所江　仰ぎ者出候御代官御吟味候得共可然者も

　　無之右被　仰出候儀ニ候得者風俗等も相直り御料も見習
　　手本ニも仕候様ニ御仕置可被　仰付旨是以兼而御領分御仕
　　置宜相■候故之儀与御物語有之其節左之通御書付を以
　　御達有之
　　　　一　諸国御蔵所之御仕置者大切之事ニ候処不切者
　　　　　　成代官者手代まかせニも致置候哉御蔵所之内百　　
　　　　　　姓困窮ニ及び其上風俗よろしからさる儀共
　　　　　　有之趣ニ相聞候今度新規ニ代官可被　仰付者
　　　　　　別而御吟味之御事ニ被仰共不足之儀ニ候条追而

　　　　　　相応之者被　仰付候迄ハ何も家来差遣し御
　　　　　　年貢収納致させ候様にとの御事ニ候
　　　　一　御仕置等之儀ニ付大法者御勘定奉行江可被承合
　　　　　　候得共其所之只今迄之致くせをハ■合被
　　　　　　申間敷候畢竟下ニ而申付候儀ニハ筋あしき
　　　　　　儀共も有之事ニ候故件之儀相止候様ニとの
　　　　　　御事ニ而何茂江御預ケ被　仰付事
　　　　一　右之通ニ候間只今迄其所相勤候手代なと其
　　　　　　筋を存候と申立候とも一切召抱被申間敷候

　　勿論名主庄屋なと風儀あしく候ハヽ早々
　　指替候様ニ可被申付事
一　御年貢収納之儀を始其外村々江家来指廻
　　候儀随分数すくなく可成程者家来指遣し
　　不申様ニ可被相心得候幷御領所筋ニ遂置候家
　　来も是又人数すくなく可被申付事
一　御年貢納方之儀百姓ニ得心致させ定免ニ相極
　　候様ニ連々以可被申付事
　　　但只今迄高免下免地面不相応之所者連々

　　　　直し候様可被申付事
一　公事訴訟裁許申付候儀格別之儀者勘定所江　
　　可被相達候大概之儀者手前ニ而可被申付候
　　　但右何程迄ハ手前ニ而可申付哉　の事
　　　　御領所ニかけ置候家来員数之儀者追而可
　　　　被相達事
　　　　　　以上
右相済越前者所悪敷候得者定免之儀早速者難
被成趣御達被成候処連々以可被仰付旨且又公事

　　　　　訴訟御裁許之儀当座■〆ニ而手錠等之類軽キ儀者
　　　　　其通ニ而宜候得共及死罪儀者御勘定所迄御達可被
　　　　　成旨和泉守殿御達有之
　　　　　　但右ニ付
　　　　　　　秀康様御定之御法式
　　　　　　　忠昌様以来御仕置被　仰付置候趣を以
　　　　　　　御仕置可被　仰付旨御挨拶有之

一　六月十六日今度御領所江　仰出候ニ付本多大蔵《割書：長｜■》初御家

　　老御城代江　御書被成
一　同月十八日暑中ニ付御使者を以例之通素麵干鯛被献之
一同月十九日大手御勘定所江御奉行■江刑部右衛門《割書：■｜喬》御留守居
　　宮北十郎左衛門《割書：定｜由》御勝手受込畑中儀兵衛《割書：景｜英》罷出候処《割書：昨十八日御勘定組頭｜吟味役ゟ申来》
　　御勘定組頭木村四郎兵衛　及小出加兵衛　殿列座ニ而御領訴
　　村附帳面被相渡之
一　同月廿一日暑中ニ付　御機嫌為御伺御用番戸田山城守《割書：忠｜真》殿江
　　御勤
一　同月廿五日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　








　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　六月廿六日御代官柴村藤兵衛　殿江御勝手受込畑中儀兵衛《割書：景｜英》
　　罷出候処《割書：昨廿五日｜■来》御領所郷村帳幷書付共被相渡之
　　　　但美濃部勘右エ門　殿日野小左衛門　殿ニ而者同月廿八日右同様
　　　　　被相渡之
一　同月廿八日御老中久世大和守《割書：重｜之》殿率居ニ付
　　公方様　御機嫌為御伺御老中井上河内守《割書：正｜■》殿水野和泉守《割書：忠｜之》殿江
　　御使者御留守居被指出之
一　七月朔日御老中水野和泉守《割書：忠｜之》殿ゟ御呼出　　御留守居宮北
　　
　　十郎左衛門《割書：定｜由》罷出候処御領所定免之儀ニ付御書付被相渡之
　　　　　　但右御書付御記録類不相見
一　同月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
一　同月十六日　上使曾我平次郎　殿を以御鷹之雲雀御拝領
　　於御玄関御奏者番岡部左膳《割書：起｜平》林八右衛門《割書：正｜■》雲雀受取之
　　平次郎殿御越之節敷出《割書：五枚｜目》迄御出迎夫ゟ御案内ニ而平次郎殿
　　御書院江御通　上意之趣御達有之雲雀御頂戴相済御長
　　蚫　御直ニ御居御勝手江御入被成御料理出之御断ニ付引之
　　再　御出座御請被　仰上相済御退出之節最前御出迎之








　　處迄御送被成剃れ夫ゟ為御礼　御登　城御奏者番内藤丹後守
　殿
　　被謁之御退出掛御老中　御廻勤
一　七月十九日御用番井上河内守《割書：正｜■》殿江御逢対　御勤
一　同月廿八日高森御代官美濃部勘右エ門　殿支配之分御引渡
　　ニ付御領所御用掛り之御役人共廣瀬迄罷出受取之
一　同日三丁火消御人数御指出之儀以来者三丁之内ニ而も町
　　火事ニ者御指出ニ不及御曲輪内斗御指出被成候様於殿中
　　御目付稲葉多宮　殿御直ニ被申上之
一　八月昨日為御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代御献上

一　同月六日昨五日御老中水野和泉守《割書：忠｜之》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　　十郎左衛門《割書：定｜由》罷出候処南条郡之内脇本村近所ニ清水村与申
　　在所有之哉且右村ニ熊野権現之社有之哉之旨用人を以
　　被相尋候ニ付今日左之通書付持参指出之
　　　　　　　　　　越前国南条郡之内
　　　　　　　　　　　　　　窪嶋作右衛門様御支配下
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　清水村

　　　　　　　右村之内ニ熊野之社御座候由脇本村ゟ清水村迄
　　　　　　　行程六丁程御座候西之山手江相当り申候由御座候以上





　　　　　　　　　八月

一　八月八日高森御代官美濃部勘右エ門　殿御支配所郷村帳去ル
　　四日受取相済右罷出候御役人共直ニ吉江迄罷越石田御代官
　　柴村藤兵衛　殿御支配所郷村帳今日受取之
一　同月十三日御領所之儀ニ付御用掛り之面々江　被　仰渡候御書
　　付鈴木彦太夫《割書：長｜英》江戸表ゟ持参罷帰候ニ付今日於御家老狛
　　伊勢《割書：澄｜■》宅酒井丹下《割書：知｜房》芦田右衛門《割書：賢｜詮》稲葉采女《割書：正｜方》列座右御書
　　付御用掛り之面々江伊勢相渡之

　　　　　　　　　　　　　　　　　鈴木彦太夫江
　　　　　　　　覚
　　　　一　御領所御所務方其方専可相勤候寺社を初萬
　　　　　　端公事等御仕置筋者井上半太夫可申談候尤江口
　　　　　　次郎兵衛申談可申上候第一ニ御代官共手代等ま
　　　　　　いなひ取候哉依怙仕候歟此段能々心を付附可申上候
　　　　　　御所務方第一ニ者候得共是者表向之事ニ而候夫ゟハ
　　　　　　右之段重ク候間此儀肝要ニ可遂心候御所務筋ニも
　　　　　　六ケ敷事候ハヽ半太夫与相談可申候公儀にも以新

　　法被　仰付儀共も多候間古法而已ニ而■明不申事ハ
　　申談以新法相■可申候此外山奉行用水奉行江も
　　能々申付第一まいなひうけ候哉の事吟味可申候
　　以上
　　　　七月　日
　　　　　〆
　　　　　　　　　　　　　　鈴木彦太夫
　　　　　　　　　　　　　　井上半太夫
　　　　　　　　　　　　　　江口次郎兵衛

　　　　　覚
一　御領所之公事ハ相伺候之上裁許可申事御領
　　分ハ前々少之儀ハ不相伺候得共先少之儀も相伺
　　可申事
一　寺社之事本末を改置書記可申事幷浪人又ハ
　　庵室之僧其外遊民等疑敷者吟味候而以書付
　　可申上事
一　御制札文字之消候所斗削候而墨入可申事浦
　　方添高札自然無之所候ハヽ立添可申事

一　大事ニよらす何事ニ而も百姓家寺社等も破損之
　　事候ハヽ可申上事
一　寺社之事卒爾之取扱不可有候尤一向寺猶以之
　　事ニ候
一　生死帳之之申を拵置江口次郎兵衛方ニ而一ケ月晦日ニ
　　組頭改置申達様ニいたし相記置可申事幷他国江
　　出入他家中御家中江も奉公ニ出候者委細次郎兵衛方ニ
　　記置可申事
一　第一江戸表江罷出訴候事有之節申開キ有之

　　様ニ左之仕置可申事是ハ小事ニも証文取置可
　　申候殊ニ組頭を贔屓不仕様ニ可遂心事小百姓ニ
　　組頭与申分ニ而江戸江訴候事可有候間組頭能々
　　相心得是も証文能々取置候様ニ可申聞置事
一　惣而御領分取扱候ニ申つヽ■候儀ハ十分道理ニ無
　　之儀不改儀も可有之候畢竟無理成事ニ候得者
　　御領所之儀少も過チかと存儀者我を立不申
　　早速相改可申付事専一ニ候
一　来春宗旨大改可被　仰付事

一　餘り候御金ハ彦太夫半太夫封仕り置相伺可申事
一　川除所有之節者　公儀江御伺之儀候間彦太夫
　　半太夫次郎兵衛共ニ罷出見分仕可申上事
　　　　　以上
　　　　七月　日
　　　　　　〆
　　　　　　　　　　　　　　　江口次郎兵衛江
　　　　　覚
一　御領所百姓之儀兎角旧悪ハ御捨被成候間左様

　　相心得只今迄悪事承候者も又者御領分百姓共之
　　非分之出入無理申者成共少も其段構不申向後
　　之善悪次第取扱可申候旧悪御捨被成事百姓共
　　江も被　仰聞事ニ候畢竟他国之百姓初而取扱申
　　品与可被相心得候万端彦太夫半太夫江少之儀可申
　　談候第一手代組之者少之まいなひも取不申様ニ
　　堅く可申付候万端勤方宜候共此儀有之候ハヽ
　　不調法至極たるへく候殊更組之者共能々可
　　申付候在辺江罷出候而不■■ニ候得者宮々あた
　　　　

　　り申候様成事も在之様ニ相聞候御領分之百
　　姓者左様之儀口外致シ候得者又あたり候故相尋
　　候而も堅不申候得共御領所之百姓者後々
　　公儀向江如何様之品ニ而可申出も難斗候其上
　　寺社等江参候而も其方不申付儀も申候様成事ニ
　　有之候間左様之儀かたく可申付候手代者不
　　及申組之者等も勝手能手廻仕者候ハヽ御領所
　　江者少も手廻不仕外江者無遠慮かくし不申
　　仕候様ニ承届置可申候手代組之者外勤宜候共

　　又ハ外之儀ニ不念不調法候共其段者其品次第御客
　　免可有之候まいなひ少ニ而も請在辺ニ而■■ニあい
　　又あれ申躰之者候ハヽ急度御成敗可被　仰付候
　　間此段堅可申付候様鈴木彦太夫可申達者也
　　　　七月日

　　　　　　　　　　　　　御領所御代官共江
一　御領所御納所之儀勤様御領分之取扱与而已存候
　　而者如何ニ候第一面々切ニ不仕仲ケ間申合一等ニ可
　　

　　仕候其上鈴木彦太夫江申談可相勤候取立厳敷
　　仕事迄与存候而者相違ニ候又餘りゆるかせニ仕不取
　　立候而も実なき事にニ候間此間を彦太夫江承候而可申
　　談候惣而御納所之儀百姓之内成り候者不成者を吟
　　味仕置可申候下代な等金銀米口入為致方便を以納
　　所為致候事是より紛敷事も候間堅相止可申候
　　第一手代共少之まいなひも取不申様堅可申付候
　　此儀専一ニ候右相背候ハヽ御取立棒旁万端勤能候
　　而も面々不調法至極たるへく候手代共万一不算用

　　之上ニ而引負等出来候共御吟味之上其品有之ハ
　　御客面之訳も有之候得共此まいなひニあひ候者ハ
　　急度御成敗可被成候間可存其旨候惣躰御領所
　　江者手代共金銀米手廻シニ借不申様ニ可申付候手
　　代共之内金銀たくわへ候者有之ハ外江手廻り仕事
　　少も不苦候間かくし不申仕候様ニ承届可申候猶
　　彦太夫江万端承可相勤者也
　　　　　七月日
　　　　　　　　　　　　山奉行
　　　　　　　　　　　　　　松尾源五左衛門

　　　　　山奉行江御領所山之儀被　仰付覚
一　御領所百姓共江被　仰付御条目之通相背者候ハヽ
　　鈴木彦太夫井上半太夫江口次郎兵衛江可申談事
一　百姓共伺候儀鈴木彦太夫江申達之相談之上可冷指
　　図事
一　御林竹木員数改書記可申事
一　御林ニ而御領所御用之外竹木為伐申間敷事
一　寺社方御朱印所ニ無之分ハ竹木改置可申事
一　惣而舟渡之船頭共ニ竹木持帰り候百姓有之ハ

　　吟味可致由可申付事幷川筋竹木流候百姓有
　　之ハ吟味可申事
一　在々墓松先年之通除可申事
一　御家中侍中竹木等植物之儀申来候ハヽ様子聞
　　届手形可出事
　　　　以上
右源吾左衛門江御領所御領分同事ニ打込相勤候様同
断相渡之
　但用水奉行之儀も山奉行同事ニ御領所御領分

　　共ニ兼役被　仰付
　　　　　御領所百姓江山奉行可申渡覚
一　御林ニ而竹木堅伐取申間敷事
一　在々四壁之竹木并持山之竹木共ニ自分伐取申
　　間敷事子細有之之儀申度時者山奉行江其様子
　　相達可受指図事
　　　附
　　　　植木他所江遣候節も右同事
一　家作り候者ハ山奉行江断手形を取竹木伐可申
　　事

　　　附
　　　　竹木手形を取外ニ売候ハヽ過料致取可申事
一　無断竹木切申候ハヽ大小ニより過料致取可申事
一　心松猥ニ切取売申間敷事
一　従古来之参■山之内林有之所自分持山ニ持間
　　敷事
一　山畠山幷自分持山ニ而も林有之所焼畑新畑仕間
　　敷事若仕度節者山奉行江相断可受指図事
一　新規ニ炭焼申間敷事仕度事候ハヽ山奉行江相
　　断可受指図事

　　　　一　やきうるし一切仕間敷事
　　　　　　　以上

一　八月十八日舟寄御代官日野小左衛門　殿御支配所御引渡ニ付
　　御役人共罷越郷村帳宗門御改帳鉄砲御改帳其外尾帳類
　　受取之
一　同月廿六日御使者を以例之通御国産初鱈《割書：三｜》被献之
一　同月廿九日御勘定所江御領所之村々庄屋長百姓共組頭
　　同道ニ而呼出鈴木彦太夫《割書：長｜英》井上半太夫《割書：恒｜充》江口次郎兵衛《割書：幸｜宏》列座ニ而
　　
　　百姓共江被　仰出候　御意之御書付幷御条目之御書付一組
　　頭切ニ次郎兵衛為読聞御条目一通宛相渡之惣百姓共江ハ廻在之
　節可申聞旨申渡之
　　　　　　　御意之御書付
　　　一　今度御領所被　仰出候百姓等第一ニ可存儀者納所
　　　　　無滞事随分わたかまりなく有躰ニ納可申候仕
　　　　　置之事ハ条目ニ出之候間可相守事也
　　　　　中納言殿以来なしみの百姓共たれ■別而困
　　　　　窮不仕納所首尾能相勤候様ニ思之処也御料ニ
　　　　　
　　　　　
　　　　　

　　成候而も三十年餘に及ひ候得共家中之侍共江
　　対し又ハ領分之百姓江も慮外之仕形法外之
　　儀も可有之ニ付如何ニ存る者も可有之候其段少
　　もかまひ無之畢竟只今迄之悪事ハ是を捨
　　置候向後御領之内専下知を守届く候私を存し
　　非分之公事訴訟友百姓難儀迷惑せしむる
　　事■々あるへかし■分に過たる奢なく盗徒
　　党之宿等仕事幷博奕堅く相つつしむへし
　　最初ハ慰の如くに仕るといへとも事つもり

　　候而者其家をつふし仕置にあい一ツも益なき
　　事候此外第一ニ禁る儀ハ御領所之役人幷手代
　　足軽等を少之まいなひ音物ｓ■■すへから次
　　此まいなひ音物之儀ハ定而作もキを悪きと■
　　みめあかし守る様ニし又ハ非分之公事理分ニ
　　成様ニもの事たるべけれ者皆我身ニ悪事有
　　之上多事ニ候間向後まいなひ音物仕者有之ハ
　　急度遂言上重キ罪科に可行之間能々此旨を
　　存候様惣百姓共江鈴木彦太夫井上半太夫江口次郎兵衛
　　
　　

　　可申聞者也
　　　　享保五年子七月日

　　　　定
一　公儀より被　仰出御制札之條々相背へからす第
　　一きりしたん宗門油断なく相改へし組頭幷
　　庄屋長百姓五人組ハいふに不及雑家やもめ召
　　使之者共ニ至迄不残■々宗門を正し寺証
　　文を取置念を入吟味すへし若かハりたる宗旨

　　を願ひ不審なる者あらハ早速可申来隠し置外
　　よりあらわるヽにおいてハ庄屋長百姓其五人
　　組迄急度可処罪科事
一　惣百姓等年来ならハし悪敷有之間向後耕
　　作万事念を入其時節をたかへす油断なく請出
　　し常々親に孝をつくし夫婦兄弟むつましく
　　親類縁者友百姓に至る迄楽ニ心を合身を持立
　　候様ニ我■をやめ正路に可仕事
一　年貢米納銀納其外万納物に勘定所定之通

　　相守急度替済可仕若定之時節相定難渋仕候ハヽ
　　催促をうけ其まかなひ彼是愈迷惑可仕間催促
　　をうけ不申内に精出し皆済可仕事
　　　附
　　　　納所皆済不仕己前金銀米選銭自分に取ちら
　　　　し申ましき事
一　組頭ハ諸用之儀油断なく相勤者其組下之郷村万
　　事心を附惣百姓道々仕置相守候様ニ精々可念入若
　　組下ニ対して私曲をかまへ依怙贔屓仕候ハヽ僉議
　　之上急度曲事ニ可申付事

一　庄屋幷長百姓ハ諸用之儀不滞様ニ精に入其村々
　　惣百姓年中耕作之時節をたかへす油断なく
　　精出し身を持立候様ニ心を付へし身持無沙汰なる
　　者共にハ意見を加へ引立候様可仕若小百姓に対し
　　て非道なる儀有之候ハヽ僉議之上急度曲事ニ
　　可申付事
一　五人組ハ組合之内常々万事助合農業所作を
　　はけみ年貢等精出し納所可仕組合之内所作を
　　不精に仕身持心さし悪敷納所油断仕者あらハ
　　

　　庄屋長百姓江断随分意見仕引立申へし其外
　　借地之者召仕之者共にいたる迄悪事無之様ニ
　　吟味可仕若悪事出来候ハヽ組合之者ハいいふに
　　及す庄屋長百姓迄可為越度事
一　年寄て子供なく幼少にて親にはなれ或ハ後
　　家になり或ハ長病又ハかたわに成身の寄り所
　　なく見のうへおとろへ立かたき者あらハ縁者有
　　いふに不及庄屋長百姓五人組心をそへ引立とら
　　せ可申事

　　　附
　　　　右之者共持高有之候ハヽ外へ取うしなひ不
　　　　申様ニ庄屋長百姓五人組立合念を入心を可付
　　　　事
一　村中にてすくれて身持心さして農業所作
　　精に入年貢等年々正路に皆済仕者あらハ書付
　　置可申来吟味之上褒美を可遣又ハ左様之者無
　　拠子細有之俄に倒候ハヽ手当可有之候且又道々
　　農業所作を勤めめす昼夜あそひありき公事
　　このみをし出入等を取持村中をさまたけ人々

　　之意見をも不用不届なる者あらハ可申来僉
　　議之上曲事に可申付隠し置後日に相知候ハヽ
　　庄屋長百姓五人組迄可為越度事
一　諸用之儀諸役等組頭庄屋申渡趣にしたかい
　　急度可相勤若相背き諸用滞候ハヽ可為越度
　　事
一　村次宿次之配符遅々無之様ニ仕次々江可遣急
　　用之時■■印之配符ハ其祝損宿村江相達候刻限
　　を書付判形仕早駆に次々江可遣若相滞候ハヽ

　　其村之庄屋其宿之問屋可為越度事
一　公事訴訟其外何事ニよらす申出る時ハ代官江
　　断指図をうけ可申事
一　御料ハ不申及他領他村幷友百姓に対して
　　道理なき公事訴訟境目論等一切停止すへし
　　但無拠子細有之公事訴訟仕時ハ庄屋長百姓
　　其五人組立合念を入吟味を遂たし■なる証文
　　証跡有之理分無拠儀に候ハヽ言葉をかさらす
　　訴訟を正直に認可申来若虚言をかまへ非分を

　　かさり申出るにおいてハ当人ハいふに不及庄屋
　　長百姓迄可為越度事
　　　附
　　　　追目安を出し又ハ裁許をまかて直訴訟
　　　　又ハ内縁を以取あつかひ頼申儀かたく停
　　　　止すへき事
一　惣百姓印判常々大切ニ所持可仕庄屋長百姓ハ判
　　鑑を帳面にいたし組頭江相渡此方江持参可仕若
　　印判紛失候歟又ハ仕かへｓ候時ハ組頭同道にて印
　　判持参仕帳面ニ可仕事

一　何事によらす他領他村江手形証文仕遣申事
　　堅停止すへし若無拠子細有之時ハ庄屋長
　　百姓江断組頭を以此方江申来差図を可請事
　　　附
　　　　諸事証文念を入判形仕へし最前判形仕
　　　　後日に不存由申候ハヽ曲事に可申付事
一　青田幷秋手米前銀を入置買申事堅停止
　　すへし若相背売買仕候ハヽ買主可為損料
　　事
一　伝馬人足出し申時ハ組之者ニ組頭立合判形
　

　　を取置へし其外何ニ而も用事之物出し申時ハ
　　其役人之受取手形を取置へし若過不足有
　　之時ハ組頭庄屋立合算用を遂過不足無之様ニ
　　郷盛仕り小百姓に郷盛り之趣申聞せ合点之上
　　判形を取以後出入無之様ニ可仕事
　　　附
　　　　諸算用出入有之時ハ組頭庄屋長百姓其
　　　　五人組立合吟味せしめ指引可仕惣而算用
　　　　出入三年に不可過事
一　立山立藪幷山林竹木等之法度役所之下知

　　を相守へし用水幷水論等之儀役所江可相達事
一　何事によらす一味神水之儀ハいふに不及惣而　　
　　徒党かましき事一切停止すへし若相背者あら
　　は早速可申来隠し置後日にあらわるヽにおい
　　て■庄屋長百姓まて可為罪科事
一　喧嘩口論かたく慎へし御料ハ申に不及他領
　　他村幷友百姓江対して相手へかさ■なる事申
　　懸又ハ刀■指をさし弓鑓等を持出百姓に不似
　　合しかた有之候ハヽたとひ理分たりといふ共　

　　　　　　急度曲事に可申付事
　　　　一　博奕かけの諸勝負幷宿一切停止すへし若
　　　　　　相背者あらハ当人ハいふに不及庄屋長百姓
　　　　　　其五人組迄可為罪科事
　　　　一　盗賊悪党者在之時ハ村中聞付次第早速可
　　　　　　出合惣而堂宮山林等にあやしきものたゝすみ
　　　　　　候ハヽみのかし不仕急度可相改事
　　　　一　火の用心昼夜無油断心懸へし若大事有之
　　　　　　時ハ早速かけあつまり消静め可申事
　　　　　　　附御制札焼失不仕様ニ可心懸事
　　　　一　領分国中追放者幷居村追放之者立帰候を指
　　　　　　置事堅停止すへし若隠し置又みのかしに
　　　　　　仕候ハヽ庄屋長百姓可為越度事
　　　　一　諸道具衣類其外何によらすたしかなる請人
　　　　　　なくして質に取へからす惣而あやしき物受
　　　　　　人なくして売買仕間敷事
　　　　一　旅人飛脚之者其外何者にてもしきりに煩
　　　　　　出し道路に倒臥候者あらハ其所江近き者出合

　　　　　　介抱之様子見届可通之若相果候ハヽ庄屋長百
　　　　　　姓立合荷物諸道具衣類等急度相改番人付置
　　　　　　可申来事
　　　　　　　　附手負たる者隠し置へからす早々可申
　　　　　　　　　来事
　　　　一　往還之旅人一宿之儀者格別其外行衛不知不
　　　　　　審なる者に一夜之宿もかし申間敷事
　　　　一　侍に対して不礼仕へからす路次にて行あふ
　　　　　　時ハ馬よりおり笠をぬき候へし惣而奉公人に
　　　　　　対し慮外之仕形仕間敷事
　　　　一　手代小役人等江何によらす音物仕へからす惣而馳
　　　　　　走かましき儀堅停止すへき事
　　　　一　あやつりかふき其外見物遊ひ物之類一切村中
　　　　　　に指置間敷事
　　　　一　衣類食物其外万事分に過たるおこり不仕身
　　　　　　を持立候様に常々可相守妻子に至る迄専麁服
　　　　　　を用ひ百姓に不似合衣類堅停止之事
　　　　　　　附　小百姓共猥に脇指さし往来仕間敷事

　　　　一　田畠永代売買仕間敷事
　　　　一　旅行之外乗物に乗へからす
　　　　　　　　但病人極老之者ハ各別之事
　　　　一　他国江商買又ハかせきに罷出る者ハ何方江罷越
　　　　　　候段役所江相断可申事何用たり共一年を限り
　　　　　　に罷帰又罷出度候ハヽ相改相断候之上ニ而可出事
　　　　　　たとひ近国ニ而早速罷事ニ候共罷出節役所江
　　　　　　相達可受指図事
　　　　　　　附国中にても他領幷他家中江奉公に出候ハヽ
　　　　　　　　其段役所江可相達事
　　　　一　於江戸惣御構江之内乗掛ハ不及申　馬に乗申
　　　　　　間敷事
　　　　右条々村々庄屋方ニ写置毎年正月七月両度無
　　　　懈怠村中之者ニ読聞せ猶又庄屋長百姓相心得
　　　　常々惣百姓ニ申聞せ急度可相守者也
　　　　　　享保五年七月日
　　　　但右御条目之儀於江戸御老中水野和泉守殿江
　　　　　御達御一見之上御国表江御廻ニ相成

　　一　九月三日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　一　同日於御国表御預所之村々不残御引渡相済候為御届
　　　　御老中水野和泉守《割書：忠｜之》殿江御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》
　　　　被指出之
　　一　同月廿二日　松姫様御逝去ニ付為　御機嫌伺惣出仕
　　　　ニ付御登　城《割書：昨廿一日｜御触達》
　　一　十月二日御鷹餌指之儀ニ付大目付中ゟ左之通御廻状来一
　　　　　　　　覚
　　　　一　居屋敷中屋敷下屋敷場広成屋敷ハ内江入
　　　　　　御鷹之餌鳥取候筈ニ候間餌指頭次第門内江
　　　　　　入候様ニ可申付候事
　　　　一　長屋廻りハ勿論菜園場其外見くるしから
　　　　　　さる所江者案内之者をつけ差遣し候様ニ可被申
　　　　　　付候事
　　　　一　居宅構之内或ハ内証向なとへハ堅入込不申筈ニ
　　　　　　申渡候間無遠慮差留候様ニ可被申付候事
　　　　一　餌鳥之外ハ取不申筈ニ候惣而猥成儀或権威
　　　　　　かましき様子も候ハヽ無遠慮早々御鷹匠頭迄

　　　　　　可被申届候事
　　　　　　　　但給物者勿論馳走かましき儀堅無用之事
　　　　一　万一うたかわしき餌指相越候ニおゐては差留
　　　　　　置是又御鷹匠頭幷其筋々江被相届候事
　　　　　右之趣可被相触候以上
　　　　　　　　子十月
　　一　十月四日
　　　　常憲院様十三回御忌御法事中ニ付御機嫌為御伺御用番
　　　　井上河内守《割書：正｜岑》殿江　御勤
　　一　同月十日右同様御法事ニ付
　　　　公方様東叡山江　御参詣依之御予参御勤《割書：去二日｜御触達》
　　一　同月十一日右同断ニ付於萬福山御法事御執行有之
　　一　同日右同断ニ付御使者御奏者番岡部左膳《割書：起｜平》を以東叡山
　　　　中堂江御香奠銀十枚被献之
　　一　同日御法事済惣出仕ニ付　御登　城
　　一　同月廿一日重陽御祝儀御献上ニ付而之御内書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　同月晦日切支丹御証文御目付荒川助右衛門《割書：正｜員》を以横田

　　　　備中守《割書：由｜松》殿久松豊前守《割書：定｜持》殿江被指出之
　　　　　　但右御証文之内江当年ゟ御預所之儀も御書入御指出被成
　　一　十一月廿日御鷹之御用ニ付御尋被成儀有之候間御国ニ罷在候
　　　　御鷹匠塚谷源左衛門《割書：正｜次》福田門左衛門　両人之内一人被指出候様御目付
　　　　稲葉多宮　殿ゟ御留守居迄申来
　　一　十二月三日　上使御使番松平与左衛門　殿を以御鷹之雁ニ
　　　　御拝領与左衛門殿御越之節御奏者番岡部左膳《割書：起｜平》林八右衛門《割書：正｜容？》
　　　　雁受取之其節御玄関敷出迄御出迎御会釈有之御案
　　　　内ニ而与左衛門殿御書院江御通　上意之趣御達有之雁
　　　　御頂戴御長蚫御直ニ御居御勝手江御入被成再御出座
　　　　御請被　仰上相済御退出之節最前御出迎之所迄御送
　　　　被成右為御礼　御登　城御奏者番被謁之夫ゟ御老中
　　　　若年寄中江　御廻勤
　　一　同月九日御拝領之御鷹之雁為御披御一門様方其外
　　　　御旗本中御招請有之
　　一　同月十六日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被献之
　　一　同月十八日寒中ニ付　御機嫌為御伺御用番戸田山城守《割書：忠｜真》殿江
　　　　御勤

　　一　十二月十九日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：二｜番》生鱈被献之
　　一　同日大久保佐渡守《割書：常｜春》殿ゟ申来御鷹匠塚谷源左衛門《割書：正｜次》吹上
　　　　御庭江罷出候処於御長屋桒山内匠殿幷戸田五助　殿出
　　　　座於御国表御鷹飼方幷仕懸様等之儀御尋有之
　　一　同月廿一日歳暮為御祝儀御使者を以例之通御小袖《割書：五｜》
　　　　被献之
　　一　同月廿五日御用番戸田山城守《割書：忠｜真》殿ゟ御呼出御留守居大関
　　　　新五左衛門《割書：直｜看》罷出候処下田湊之儀ニ付左之通御書付被相渡之
　　　　　　　覚
　　　　　　一　下田ハ湊口よろしからさるに付風波之節難乗
　　　　　　　　入或ハ舟破損におよひ其上乗おとしの舟も
　　　　　　　　多く旁諸廻船之者共難儀仕候由相聞候ニ付
　　　　　　　　御吟味之上浦賀港ニ御番所被仰付事
　　　　　　一　諸廻船之儀者米穀を始其外炭薪材木等無
　　　　　　　　滞留運送候様ニ被　仰付儀候間向後植木庭石
　　　　　　　　其外遊道具之類積廻し不申筈ニ候条此旨
　　　　　　　　船持共江可申付事
　　　　　右御番所替り候ニ付判鑑等引替其外之儀ニ付

　　　　　而も浦賀奉行江可聞合候事
　　　　　　　　　　　　以上
　　　　　　　　　　　　　　　十二月
　　一　十二月廿八日　御登　城被成候処
　　　　公方様少々御不例ニ付　御目見無之依之御機嫌為御伺
　　　　御用番戸田山城守《割書：忠｜真》殿江御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》被指出
　　　　候処軽キ御様体故不及其儀旨用人申聞之
　　一　同月廿九日大久保佐渡守《割書：常｜春》殿江御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》御鷹匠
　　　　塚谷源左衛門《割書：正｜次》同道罷出候処《割書：昨晩御留守居江｜手紙来》佐渡守殿出座今度為
　　　　御用被召寄候処御用相済候ニ付銀五枚被下之御勝手次第
　　　　御返シ被成候様被申聞之

享保六年進辛丑
　　一　正月朔日為年始御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代
　　　　御献上呉服御拝領
　　一　同月三日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃台御酒
　　　　代被献之
　　一　同月七日為若葉御祝儀御使者を以例之通御肴《割書：鯛｜三》被献之
　　一　同月十九日御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿ゟ御呼出御留守居大関
　　　　新五左衛門《割書：直｜看》罷出候処関八州之内鉄炮之鳥商売之儀向後無

　　　　用ニ可致旨之御書付被相渡之
　　一　正月廿一日御家中縁組之儀ニ付左之通書付を以被　仰出之
　　　　　一　縁組願申上儀或ハ聟養子ニ仕又者身近き親
　　　　　　　類共互ニ養子ニ仕婚礼仕事ハ養子相願候節可
　　　　　　　申上たとへ一類共江申合置候共兄弟伯母姪ニ
　　　　　　　罷成候筋ハ追而相願申候共向後御取揚有之
　　　　　　　間敷事
　　　　　一　寺社幷御家中家来江縁組仕候事相伺ニ不及
　　　　　　　旨先年被　仰出候得共此以後者前々之通相伺可
　　　　　　　申事町人百姓之儀者相伺ニ不及候但御預所
　　　　　　　之儀者町人百姓たりとも相伺可申事
　　　　　一　御預所より出候女一通り召仕候儀ハ其通妾と名
　　　　　　　付取扱候程之儀者目付中江向後可相達置事
　　　　　　　　以上
　　　　　　　　　　　正月
　　一　二月十一日於運正寺昨十日暁ゟ今朝迄
　　　　清浄院様廿三回御忌法事御執行有之於深川霊巌寺□
　　　　右同様御執行有之

　　一　二月十二日越後守《割書：宣｜冨》様於御在所御病気御大切ニ付御医師
　　　　御一門様方ゟ御願被成候処御願之通被　仰出候ニ付為御礼御老中
　　　　水野和泉守《割書：忠｜之》殿江御使者御留守居助中村八大夫《割書：豊｜躬》被指出之
　　一　同月十四日東叡山内勧成院出火ニ付御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿江
　　　　御使者御留守居助中村八大夫《割書：豊｜躬》被指出之
　　一　同月十五日越後守《割書：宣｜冨》様御卒去ニ付浅五郎　様江　上使を以
　　　　御香奠御拝領ニ付為御礼御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿江御使者
　　　　御留守居助中村八大夫《割書：豊｜躬》被指出之
　　一　同月十八日御目付稲葉多宮　殿江去十六日御内証ニ而被指
　　　　遣候御鷹之道具　御城江持参大久保佐渡守《割書：常｜春》殿江被指出
　　　　候処早速被入　上覧一段之御首尾之由多宮殿此御屋形江
　　　　御越御達有之
　　一　同月廿一日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於　御城
　　　　御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　同月廿八日　御座所御部屋御普請御出来ニ付　初姫様
　　　　御移徙御内証ニ而御祝儀有之
　　一　三月三日神田辺ゟ出火東叡山黒門仁王門類焼ニ付御用番
　　　　戸田山城守《割書：忠｜真》殿江御使者被指出之

　　一　三月廿六日浅五郎　様江御老中連名之御切紙昨廿五日御到
　　　　来ニ付為御名代御用番戸田山城守《割書：忠｜真》殿江御出被成候処
　　　　越後守《割書：宣｜冨》様御遺領無御相違被　仰出旨御老中列座ニ而御達
　　　　有之夫ゟ浅五郎　様江御出　上意之趣被　仰達再山城守殿江
　　　　御出御達被成候儀被　仰入且又此方様御礼も被　仰入
　　一　四月十二日御老中井上河内守《割書：正｜岑》殿ゟ御呼出御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》
　　　　罷出候処紅葉山御予参之儀ニ付左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守
　　　　　　　　来ㇽ十七日紅葉山　御社参被遊候四月十七日者
　　　　　　　　各別之儀候間向後　御社参之節予参
　　　　　　　　御目見いたし還御以後拝礼可仕旨被　仰出候
　　　　　　　　　　　丑四月
　　一　同日　上使御老中井上河内守《割書：正｜岑》殿を以御国許
江之御暇被
　　　　仰出例之通白銀御袷御拝領《割書：上使御取扱｜如例》
　　一　同月十五日　御登　城御暇之御礼被　仰上御馬幷御鷹二
　　　　居御拝領畢而被　召連候御家来本多修理《割書：恒｜久》御目見被　仰付
　　　　退座例之通御時服拝領被　仰付相済右為御礼御老中幷
　　　　所司代松平伊賀守《割書：忠｜周》殿若年寄中　御廻勤

　　　　　　但伊賀守殿出府中ニ付　御直勤
　　一　同日御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿ゟ御呼出御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》
　　　　罷出候処御拝領御鷹之儀ニ付左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　御暇付而被下候御鷹二居今程塒入
　　　　　　　　候間致塒出候節可相渡候
　　一　四月十六日御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿江御出　御逢被成
　　一　同月十八日御拝領之御馬《割書：真坂青｜六歳》御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿ゟ
　　　　使者ニ而為牽来
　　一　同月廿日明廿一日御発駕ニ付為御案内御老中　御廻勤
　　一　同月廿一日江戸　御発駕中山道通御旅行
　　一　同月廿二日菖蒲兜立物計箔置候而鑓長刀之類者箔置
　　　　間敷旨大目付中ゟ御廻状来
　　一　同月廿九日秤之儀ニ付大目付ゟ左之通御廻状来
　　　　　　　　諸秤千木新古ニ不限修復糸付等内々ニ而
　　　　　　　　拵用候儀堅仕間敷候此段向々江可被相
　　　　　　　　触候以上
　　　　　　　　　丑四月

　　一　五月三日　御着　城
　　一　同日右同断ニ付　初姫様江初而　御対顔絹五疋三種一荷
　　　　被進之　初姫様ゟも綿三十把三種一荷被進之
　　一　同日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単被献之
　　一　同月四日御帰国ニ付為御礼御使者杉田平馬《割書：冨｜正》
江戸表江
　　　　被指出之例之通奉書紙幷昆布干鯛御樽被献之平馬
　　　　今日福井出立
　　一　同月十五日御帰国御礼御使者杉田平馬《割書：冨｜正》江戸着御用番
　　　　水野和泉守《割書：忠｜之》殿江罷出御書指出之
　　一　同月十八日　公儀御寺々之御仏殿向以来御霊屋と
　　　　相唱候様被　仰出候旨江戸ゟ申来
　　一　同月廿五日御書を以例之通御国産初鯖被献之
　　一　同日於　御城大目付彦坂壱岐守《割書：治｜敬》殿御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》江
　　　　鳥献上幷音物之儀ニ付左之通御書付御渡有之
　　　　　　　　去子四月鳥献上且又音物之儀御触有之
　　　　　　　　献上ハ二充？音物には或二或一可為勝手
　　　　　　　　次第旨相達候塩鳥も同前之事候間
　　　　　　　　弥其旨可被申合候以上

　　　　　　　　　丑五月
　　一　五月廿八日御帰国御礼御使者杉田平馬《割書：冨｜正》　御城江罷出
　　　　御献上物相納之月次御礼後平馬　御目見被　仰付再
　　　　罷出自分之御礼申上御太刀銀馬代献上之相済為御礼
　　　　御老中若年寄中江廻勤
　　一　同日於　御本丸御目付真杉所左衛門《割書：宣｜甫》荒川助右衛門《割書：正｜員》左之通
　　　　御自筆御書付之写壱通宛諸月番江相渡之
　　　　　　一　学文なくて叶さる事ニ候常々文道嗜可
　　　　　　　　申候猶又武芸おこたらす専稽古可有之候
　　　　　　　　年若面々いたつらに暮し申間敷候
　　　　　　一　去年於江戸申聞候ことく馬持之面々見苦敷
　　　　　　　　無之様ニ可在所持候若曲馬又ハ手ニ合不申候而
　　　　　　　　払候とも前々ゟ下馬殊之外見苦敷馬有之候
　　　　　　　　其程了簡可有之候第一乗心能馬所持専
　　　　　　　　要ニ候
　　　　　　一　着類之儀正徳元年ニ申出し候ことく弥以堅
　　　　　　　　相守可申候近年次第ニ宜敷品も見聞候間

　　　　　　　　猶又定之通新ニ急度相守可申候来年江戸
　　　　　　　　供之面々衣装持参候ハ各別自今拵候ハヽ目
　　　　　　　　立候類宜敷品相調候事
　　　　　　一　音物之儀弥以堅ㇰ相守可申候近年別而不相
　　　　　　　　守候様ニ相聞候間正徳元年ニ申出し候ことく親
　　　　　　　　子兄弟のかたへ軽キ物相送り候儀ハ心次第幷
　　　　　　　　医者師匠？の方江礼物を遣し候外親類縁者
　　　　　　　　たりといふとも無用候
　　　　　　一　振舞之儀正徳元年ニ申出し候ことく猶以堅ㇰ相
　　　　　　　　守可申候上立候面々ハ今以相慎候趣ニ而尤至極候
　　　　　　　　中より以下の面々次第ニ不相守法外ニ相聞候
　　　　　　　　此段不了簡之至候向後定之通新ニ急度相守
　　　　　　　　可申候
　　　　　　　　　　　　五月
　　一　五月廿九日御帰国御礼御使者杉田平馬《割書：冨｜正》　御城江罷出
　　　　候処於桧之間御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿御返書御渡有之
　　　　其節平馬江御時服三拝領被　仰付
　　一　六月朔日於　御本丸御目付真杉所左衛門《割書：宜｜甫》荒川助右衛門《割書：正｜員》

　　　　御近習之面々左之通　御自筆御書付を以相達之
　　　　　　　　此間申出候書付之趣面々相心得可申候着類之
　　　　　　　　儀江戸表にて着用ならさる物用申候表向
　　　　　　　　より見苦敷ハ不苦候且又猥ニ表向幷軽キ物
　　　　　　　　共と出合候儀了簡可有之事候仲ヶ間出合ハ
　　　　　　　　平生給候料理にて度々参会和順有之様ニ
　　　　　　　　可有之候尤武士之作法を不乱様可相心得候扨
　　　　　　　　又表向よりハ近習之面々江対し上を敬候て
　　　　　　　　相応より諸事慇懃に仕事候手前よりも又
　　　　　　　　先方之人体見はからひ慇懃に可有之候先方之
　　　　　　　　敬ニ乗し大体にいたし候ハ上之威光をかり無礼
　　　　　　　　私曲のもとたるへく候此段好々心を附可申候
　　　　　　　　　　　　五月
　　一　六月《割書：日不｜詳》御預所之内百姓共用水奉行幷御代官之下代江
　　　　致御音物候ニ付御仕置之儀左之通御書付を以御老中
　　　　水野和泉守《割書：忠｜之》殿江御達有之
　　　　　　　　　　口上
　　　　　　　　越前国御預所之内坂井郡大牧村百姓与三右衛門

　　　　　　　　と申者丹生郡小川村百姓吉兵衛と申者此間
　　　　　　　　拙者役人共江音物指出候其段申聞ニ付僉議申
　　　　　　　　付候処弥其趣ニ候故兼而右之趣者不仕様ニ堅申
　　　　　　　　付置候処相背候故国中追放申付候死罪之
　　　　　　　　儀者前方其品可申達儀ニ候追放迄之事ニ候
　　　　　　　　故右之通ニ申付候へとも御預被成候以後初ゟ申付
　　　　　　　　候儀故御聞被置被下候様ニと申進事ニ候以上
　　　　　　　　　　　六月四日　　　　　松平伊予守
　　一　六月廿二日暑中ニ付　御機嫌為御伺御使者太田三郎兵衛《割書：久｜休》
　　　　江戸表江被指出之御肴一種被献之三郎兵衛今日福井出立
　　一　同月廿三日諸国人別改之儀ニ付大目付中ゟ左之通
　　　　御廻状来
　　　　　　　　諸国領知之村々田畑之町歩郡切に書記
　　　　　　　　幷百姓町人社人男女僧尼等其外之ものに
　　　　　　　　至迄人数都合領分限ニ書付可被指出候奉公人幷
　　　　　　　　又ものハ不及書出候惣而拝領高之外新田等
　　　　　　　　高ハ不及記町歩計可被書出候但無高ニ而反

　　　　　　　　別計之新田も可為同然候右書付之儀付難
　　　　　　　　心得事候ハヽ御勘定所江可聞合候書付者下之
　　　　　　　　勘定所江可被出候以上
　　　　　　　　　　丑六月
　　一　六月廿五日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　同月廿九日大目付彦坂壱岐守《割書：治｜敬》ゟ申来御留守居大関
　　　　新五左衛門《割書：直｜看》罷出候処御勘定奉行筧播磨守《割書：正｜輔》殿列座ニ而
　　　　先達而御廻達有之候諸国領知之村々田畑町歩幷人
　　　　別之儀ニ付左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　　覚
　　　　　　一　諸国領知之村々田畑之町歩幷人数等可被書出旨
　　　　　　　　先達而相触候尤高之儀者拝領高新田高共ニ書
　　　　　　　　載被申ニ不及候右者いつれも町歩此度被改候儀
　　　　　　　　ニ而者曽而無之候只今迄其所々ニ相知ㇾ有之候
　　　　　　　　帳面之町歩可被書出候
　　　　　　一　百姓町人社人男女僧尼等其外之者共迄惣人
　　　　　　　　数書出し候ニ付是又此度被改候ニ者及はす候

　　　　　　　其所々ニ相知ㇾ有之候帳面之人数可被書出候
　　　　　　　尤二重ニ不成又ハ不残様ニ可被相心得候
　　　　　一　人数之儀去年分成共当年分成共委ㇰ相知ㇾ
　　　　　　　候人数高認可被出候左候ハヽ何之年之人数高ニ候
　　　　　　　との儀可被書載候且又何歳以上認候と申わけ
　　　　　　　書加可被指出候但奉公人幷又者書出ニ及はす
　　　　　　　候旨相達候者勿論武家方計之儀ニ候
　　　　　右之外ニも若難心得儀も候ハヽ猶又御勘定所江
　　　　　可被聞合候以上
　　一　七月朔日御家中先祖由緒等御尋ニ付左之通被　仰出候
　　　　　　　　　　覚
　　　　　　　面々先祖　御家江罷出候者以来代々之名氏
　　　　　　　名乗幷本国生国
　　　　　　　上之御代々之内先祖何国ニ而被召出候哉
　　　　　　　御家江不罷出以前ハ何方ニ相勤候哉惣而先
　　　　　　　祖之儀相知候分ハ不残書付被指出候以上
　　　　　　　　　　七月朔日
　　一　同月五日暑中ニ付御書を以例之通御国産索麪干鯛被献之

　　一　七月六日御生見玉為御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
　　一　同月八日暑中　御機嫌御伺之御使者太田三郎兵衛《割書：久｜休》去
　　　　五日江戸着今日御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿江罷出御書指
　　　　出之
　　　　　　但三郎兵衛翌九日　御城江罷出御献上物相納之
　　一　同月廿一日大目付横田備中守《割書：由｜松》殿御普請奉行久松豊前守《割書：定｜持》殿江
　　　　古切支丹類族養子婚儀死去之御証文三通御目付堀十兵衛《割書：久｜律》
　　　　を以被指出之
　　　　　　但右三通之内養子御証文之儀者母方続四代過候得者
　　　　　　御届ニ不及旨ニ而重而被相返之
　　一　同月廿四日板取二ツ屋細呂木三御番所締リ之儀ニ付月番
　　　　御家老酒井丹下《割書：知｜房》於　御座所御城代本多民部《割書：成｜□》江左之通
　　　　覚書相渡之
　　　　　　板取二ツ屋口木戸昼夜明置候得共之此以後
　　　　　　夜中ハ先年通木戸を指申筈依之
　　　　　　木戸明立仕ため下番四人ツヽ申付夜中
　　　　　　計両人宛隔番相勤申筈ニ候夜中往
　　　　　　来之者理リ之訳承届疑敷者之外

　　　　　　早速明通シ旅人差支不申様ニ仕筈ニ候
　　　　　　間其段上番下番之者共江可被申付候右
　　　　　　四人之下番ハ百姓共之内郡奉行申渡
　　　　　　筈候猶又目付中も可申付候間左様ニ可被
　　　　　　相心得候木戸鑰之儀最前之通上番之者江
　　　　　　相渡之被申候様
　　一　七月廿五日右同断ニ付金津奉行水野善左衛門《割書：勝｜満》江月番
　　　　御家老酒井丹下《割書：知｜□》左之通覚書を以申渡之
　　　　　　細呂木口木戸昼夜明置候得共此以後夜中者
　　　　　　先年之通木戸を指申筈依之木戸明立仕
　　　　　　ため下番四人申付夜中計両人宛隔番ニ相
　　　　　　勤申筈ニ候夜中往来之者理リ之訳承届疑敷
　　　　　　者之外ハ早速明通し旅人指つかへ不申様ニ仕
　　　　　　筈ニ候右下番之者百姓共之内遂吟味一人ニ壱人
　　　　　　扶持宛被下筈ニ候間其通可被申付候右上番下番
　　　　　　共ニ右之通相□相勤候様ニ念入可被申付候木戸
　　　　　　鑰も最前之通上番之者江相渡し置可被申候

　　一　七月廿六日御預所御廻米遭難風去ㇽ十八日松平陸奥守《割書：宗｜村》殿
　　　　御領分牡鹿郡小渕浦江致入津候旨御留守居宅江御同人留守
　　　　居書付持参相達候ニ付宮北十郎左衛門《割書：定｜由》御勘定所江罷出右
　　　　之趣相達候処其場所役人指出致吟味候様御勘定頭神谷
　　　　武右衛門　殿御指図ニ付小算若栗与五兵衛と申者幷組之者指
　　　　添小渕浦江指越之今日江戸出立
　　　　　　但与五兵衛閏七月廿四日江戸表江罷帰
　　一　八月朔日為御祝儀御使者を以例之通御太刀馬代被献之
　　一　同月三日御老中水野和泉守《割書：忠｜之》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　　　　十郎左衛門《割書：定｜由》罷出候処御預所村替被　仰出旨左之通御書付
　　　　を以被申渡之
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守
　　　　　　　　　高拾万五千石余　　　　越前国
　　　　　　　　　只今迄之御預ヶ地村方最寄悪敷候
　　　　　　　　　ニ付此度割直し候郷村帳面於御勘定所
　　　　　　　　　可相渡候以上
　　　　　　　　　　　丑八月
　　一　同月四日御書を以例之通御国産初鱈被献之

　　一　八月五日去ㇽ三日御預所村替被　仰出候ニ付御勘定所江御奉行
　　　　雨森儀右衛門《割書：周｜英》御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》罷出候処郷村高帳被相
　　　　渡之
　　一　同日　初姫様福井神明宮江御宮参
　　一　同月十五日兵庫頭《割書：直｜好》様御下屋敷御拝領ニ付為御礼江戸表江
　　　　御書被指出之
　　一　同月廿一日御用番戸田山城守《割書：忠｜真》殿江御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》
　　　　罷出当秋御領内洪水ニ而田畑損毛之御届書指出之
　　　　　　越前国之内松平伊予守領内当閏七月十四日ゟ
　　　　　　雨降出翌十五日夜中大雨洪水ニ而田畑川除等
　　　　　　損亡仕候足羽郡南條郡今立郡坂井郡吉田
　　　　　　郡右五郡之内ニ而田方壱万石余畑方三百町之
　　　　　　余水押ニ罷成候川除右同郡之内ニ而四拾町之余
　　　　　　及大破候右之趣各様迄御物語仕置候様ニ申越候
　　　　　　間罷出候以上
　　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守
　　　　　　　　　八月廿一日　　　　　　　宮北十郎左衛門
　　一　同月廿七日御勘定奉行駒木根肥後守《割書：政｜方》殿ゟ申来御留守居
　　

　　　　大関新五左衛門《割書：直｜看》罷出候処左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　北国幷出羽奥州筋領地有之面々廻米之儀
　　　　　　　　只今迄下田御番所江懸り不申候間東廻シ不罷成
　　　　　　　　候得共当時浦賀御関所ニ成候ニ付廻船何も一統ニ
　　　　　　　　浦賀ニ而改請候故東海廻シ不苦候得者西海
　　　　　　　　廻ゟ各別道法も近ㇰ手廻シも宜候何も廻米之
　　　　　　　　儀も手次第東海廻ニ被致可然候為心得相通候
　　　　　　　　　　東海廻シ之儀致付さる事故公儀御廻米之儀も
　　　　　　　　　　吟味之節何角差支候儀も有之候様ニ申
　　　　　　　　　　たる事ニ候共畢竟障り無之儀ニ而御廻米も右之
　　　　　　　　　　通ニ候
　　　　　　　　　　　　丑八月
　　一　九月朔日主税頭《割書：知｜清》様御願之通御隠居金之助《割書：明｜矩》様江御家督
　　　　《割書：奥州白川｜新田一万石》被　仰出
　　一　同日御勘定所ゟ申来皆崎徳兵衛《割書：方｜時》罷出候処御預所当年
　　　　之御年貢米之内六千六百石大坂御蔵詰ニ可致旨御書付被相渡之
　　一　同月三日為重陽御祝儀御使者を以例之通小袖被献之

　　一　九月十一日金之助《割書：明｜矩》様御家督被　仰出候為御礼江戸表江
　　　　御書被指出之
　　一　同月廿九日御老中水野和泉守《割書：忠｜之》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　　　　十郎左衛門《割書：定｜由》罷出候処御預所百姓行路之儀ニ付左之通御書付
　　　　被相渡之
　　　　　　窪嶋作右衛門支配所越前国南條郡春日野村
　　　　　　庄屋太右衛門と申者常々実体成者ニ而両親江
　　　　　　孝行ニ仕村中百姓共江も心を添諸事申付等
　　　　　　宜候由ニ候弥左様成者ニ候哉御自分領分之内向
　　　　　　寄之村々百姓共も太右衛門儀実体成者ニ而両
　　　　　　親江も孝行ニ仕村中百姓等江も申付等宜沙
　　　　　　汰承及候哉承合可被申聞候
　　　　　　　　　　越前国南條郡春日野村
　　　　　　　　　　同国同郡別所村
　　　　　　　　　　同国同郡下中津原村
　　　　　　　　　　同国同郡中津原村
　　　　　　　　　　同国同郡白崎村

　　　　　　　　　　同国同郡妙法寺村
　　　　　　　　　　同国同郡千福村
　　　　　　　　　　同国同郡池上村
　　　　　　　　右之村々百姓共太右衛門儀申立候間書面之
　　　　　　　　村々江被尋候ニハ不及候右向寄之村々之内
　　　　　　　　百姓共江相尋可被申聞候
　　一　十月二日御老中水野和泉守《割書：忠｜之》殿ゟ御呼出御留守居大関
　　　　新五左衛門《割書：直｜看》罷出候処諸大名参勤之節供連并於江戸火消等
　　　　御用被　仰付候節之人数之儀ニ付左之通御書付被相渡之
　　　　　　一　諸大名参勤之節従者之員数不可及繫多
　　　　　　　　之旨
　　　　　　　　御代々御条目ニも被　仰出候然共在江戸中
　　　　　　　　御番所火之鷭等被　仰付候ニ付而人数多ク被差
　　　　　　　　出候依之自今以後在江戸相応ニ大概人数
　　　　　　　　之御定被　仰出候事
　　　　　　一　近年ハ江戸ニ而御用被　仰付候節下人之内江
　　　　　　　　雇人を指かへ勤させ候ニ相聞候向後右体
　　　　　　　　之儀堅無用ニ候殊今度人数之儀被　仰出候

　　　　　　　　上ハ御定之通急度人数召置可被申候若又
　　　　　　　　少々余り之人数有之候共差出被申間敷候尤不
　　　　　　　　相応之場所ハ被　仰付間敷候万一人数御用之時ハ
　　　　　　　　勿論領内より人数召寄御軍役之通堅可被相
　　　　　　　　勤事
　　　　　　　　　　　　　　　弐拾万石
　　　　　　　　　　　馬上　拾五騎より廿騎迄但自身被召連候共
　　　　　　　　　　　足軽　百弐三拾人
　　　　　　　　　　　中間人足弐百五拾人より三百人迄

　　　　　　　　　　　　　　　拾万石
　　　　　　　　　　　馬上　拾騎
　　　　　　　　　　　足軽　八拾人
　　　　　　　　　　　中間人足百四五拾人

　　　　　　　　　　　　　　　五万石
　　　　　　　　　　　馬上　七騎
　　　　　　　　　　　足軽　六拾人
　　　　　　　　　　　中間人足百人
　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　壱万石

　　　　　　　　　　　馬上　三四騎
　　　　　　　　　　　足軽　弐拾人
　　　　　　　　　　　中間人足三拾人
　　　　　　一　只今迄小人数ニ而被相勤事済候場所者尤
　　　　　　　　其通たるへき事
　　　　　　一　弐拾万石以下此外之知行高者右御定ニ准し
　　　　　　　　心得可被申事
　　　　　　　　　　　以上
　　　　　　　　　丑十月
　　一　十月十三日御老中水野和泉守《割書：忠｜之》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　　　　十郎左衛門《割書：定｜由》罷出候処御暇之節御拝領之御鷹今暮時着
　　　　年寄大久保佐渡守《割書：常｜春》殿ニ而御渡有之候間役人可罷出旨御書
　　　　付被相渡之
　　一　同日右同断ニ付若年寄大久保佐渡守《割書：常｜春》殿江
御留守居大関
　　　　新五左衛門《割書：直｜看》水野藤兵衛并御鷹匠？福田門左衛門　奥村九助
　　　　同道罷出候処御鷹匠？頭戸田五介　殿佐野左之通御書付新五左衛門江
　　　　被相渡其後於広間御鷹被相渡之
　　　　　　　　　　　　　　　　戸田五介預リ御鷹

　　　　　　一　雁捉　　　　　　　亥十月朔日献上朝鮮人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　朝鮮
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　沢七郎右衛門
　　　　　　一　鴨捉　　　　　　　子十一月七日献上佐竹右京大夫
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　岩瀬村
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　村越半七
　　一　十月十九日御用番戸田山城守《割書：忠｜真》殿ゟ御呼出御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》
　　　　罷出候処下馬札之儀ニ付諸大名出仕之節供立之儀左之通
　　　　御書付被相渡之
　　　　　　　　　　　　追手
　　　　　　一　今度下馬札前々之所とハ違拾間余下リ候間
　　　　　　　　出仕日幷常日共右下馬札前ニ而下馬鑓率馬
　　　　　　　　共ニ相残可申候東之方ゟ参候者ハ酒井阿波守
　　　　　　　　辻番前通リ下馬札見通ニ而右之通可相心得候
　　　　　　　　　　但常日者鑓率馬等腰懸之内江入置候儀不苦候
　　　　　　　　　　　　退出之節ハ鑓馬共ニ下馬所江下ヶ供可仕候
　　　　　　一　御畳蔵脇ニ下馬札立候間常日共ニ右下馬所ニ而
　　　　　　　　鑓率馬共可相残候腰懸江入置候儀ハ同前之事
　　　　　　　　　　　　内桜田

　　　　　　　一　今度下馬札南東江弐拾間程下ヶ両所両所江相立
　　　　　　　　　候間常日共右之処ニ而下馬鑓率馬共残置可
　　　　　　　　　申事
　　　　　　　右者来ル廿一日ゟ下馬札相立候間可得其意候
　　　　　　　　　　以上
　　　　　　　　　　十月
　　一　十月廿一日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於　御城
　　　　御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　十一月三日来寅年御参勤御時節為御伺御使者荻野四郎右衛門《割書：永｜忠》
　　　　江戸表江被指出之今日福井出立
　　一　同月六日当夏御暇之節御拝領之御鷹福井江着ニ付於
　　　　御本丸　御頂戴被成
　　　　　　但御鷹去月十八日江戸出立
　　一　同月七日右同断ニ付為御礼江戸表江御書被指出之
　　一　同月十五日御参勤御時節御伺之御使者荻野四郎右衛門《割書：永｜忠》江戸
　　　　着御用番戸田山城守《割書：忠｜真》殿江罷出御書指出之
　　一　同日　初姫様御髪置御祝儀有之
　　一　同月十七日御拝領之御鷹捉飼之雁《割書：一｜》鴨《割書：一｜》御使者中村

　　　　八大夫《割書：豊｜躬》を以被献之八大夫今日福井出立
　　一　十一月十八日御参勤御時節御伺之御使者荻野四郎右衛門《割書：永｜忠》
　　　　御用番戸田山城守《割書：忠｜真》殿江罷出候処来年四月中御参府可
　　　　被成旨之御奉書被相渡之
　　一　同月廿日寒中ニ付　御機嫌為御伺御使者大野三左衛門《割書：正｜扶》江戸
　　　　表江被指出之御肴一種被献之三左衛門今日福井出立
　　一　同月廿五日御鷹捉飼之雁鴨御献上之御使者中村八大夫《割書：豊｜躬》
　　　　昨廿四日江戸着今朝　御城江罷出御献上物相納之
　　一　同月廿七日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被献之
　　一　十二月朔日右同断《割書：二｜番》生鱈被献之
　　一　同月三日破魔弓羽子板雛同諸道具子共手遊之人形等
　　　　金銀之飾并寸法等之儀ニ付大目付中御廻状ニ而左之通申来
　　　　　　　　　　覚
　　　　　　一　破魔弓
　　　　　　　　　金銀之箔并かな物無用たんろくしやうにて
　　　　　　　　　彩色可申候惣体菖蒲甲に可准事
　　　　　　一　羽子板
　　　　　　　　　飾に用ひ候大き成羽子板并はね自今可為

　　　　　　　　　停止常用ひ候羽子板にいたし尤結構に仕
　　　　　　　　　間敷事
　　　　　　一　雛
　　　　　　　　　八寸より上可為無用近年結構成ひな段々
　　　　　　　　　有之候間次第を遂而軽く可仕事
　　　　　　一　同諸道具
　　　　　　　　　梨子地ハ勿論蒔絵無用に可仕候上之道具
　　　　　　　　　たりとも黒塗に可仕候金銀之かな物可為
　　　　　　　　　無用事
　　　　　　一　子共もて遊ひに致し候人形八寸より上ハ仕出し
　　　　　　　　申間敷候惣而祝ひの作り物の類自今金銀の彩
　　　　　　　　色金入り幷純子等の衣装又ハ人形類台に載せ候儀
　　　　　　　　一ツ宛載せ候ハ各別二ツより上載せ候作り物無用ニ
　　　　　　　　致し都而結構ニ仕出間敷候右之通来寅年より
　　　　　　　　急度可相心得候有来候作り物之類当年中
　　　　　　　　商売之儀者勝手次第に可仕候来年よりハ有合候
　　　　　　　　とても右之品々商売致し候儀可為停止事
　　　　　　右之通先達而町奉行江申渡候左候得ハ来春よりハ

　　　　　　不用訳に候間献上等にも致間敷事候可被存其趣候
　　　　　　以上
　　　　　　　　　丑十二月
　　一　同日《割書：昼｜時》御中症御煩出被成ニ付医師為御呼寄御使者
　　　　御使番熊野覚右衛門　京都江被指遣之《割書：御徒両｜人指添》今日福井出立
　　一　同日右同断ニ付御徒飛脚《割書：中沢｜藤次郎》江戸表江被指立之
　　一　同日右同断御病気御指重ニ付御使者御使番坂井六郎右衛門《割書：元｜監》
　　　　早駆ニ而江戸表江指遣之
　　一　同日《割書：亥｜刻》於御座所　御逝去
　　一　十二月四日右同断ニ付岡部左膳《割書：起｜平》嶋田宇右衛門《割書：繁｜□》公儀江御達之
　　　　書付并御医師共之御様体書持参早駆ニ而江戸表江出立
　　　　　　　　松平伊予守儀当付三日昼時煩出し中寒卒
　　　　　　　　中風之病症ニ而手医師有賀玄哲岡部玄伯
　　　　　　　　真下宗円岡部元常并松平中務大輔医師細井
　　　　　　　　玄春と申者共致療治候得共不相叶同夜亥ノ
　　　　　　　　下刻致卒去候
　　　　　　　　　　御医師共御様体書
　　　　　　　　殿様御機嫌能被成御座当三日五ツ半時御膳

　　　　　　　　御平生之通被　召上花蔵寺江御寺参被遊候而
　　　　　　　　御帰九ツ時御家老中目付中御用御達被遊
　　　　　　　　相済候以後　御左之御足御痺被遊候様ニ御覚江
　　　　　　　　御目舞之御心ニ被成御座候哉御多はこに御酔
　　　　　　　　被遊候様ニ御覚候由　御意被成候而御正気無御座
　　　　　　　　様ニ相見候故幷河一九郎奇応丸差上申候処
　　　　　　　　御痰沫之内ニ御食少交リ御吐被遊候御左之
　　　　　　　　御腹より差上リ御痰御咽江甚敷集リ申ニ付
　　　　　　　　御針度々指上申候蘇香円姜汁ニ而指上申候処
　　　　　　　　事之外粘リ候御痰大分御吐被遊候得共御正気
　　　　　　　　ハ付不申候御脈体塞リ尤御左之方強御塞リ
　　　　　　　　被成候御小便無御覚二三度御通被成候御煎湯江
　　　　　　　　竹瀝姜汁入差上申候処其以後契発シ御脈供
　　　　　　　　数ニ被為見候然共御正気ハ通不申候七時過独
　　　　　　　　参湯指上可申と御枕を少揚申候得者御呼
　　　　　　　　吸御絶被遊候依之百会人中神闕丹田三里陰
　　　　　　　　白湧泉御灸仕候得共少も御通不被成御手
　　　　　　　　足次第ニ御冷被成候右之御病症何も相考申

　　　　　　　　候処中寒卒中風之御症と奉窺候
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　細井玄春
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　有賀玄哲
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　岡部玄伯
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　真下宗円
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　岡部元常
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　吉田元盛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　榎並芸碩
　　一　同日右同断ニ付於御家老部屋御家中之面々江左之通御家老
　　　　申渡之
　　　　　　　　殿様中寒卒中風御症御煩出御養生
　　　　　　　　御叶不被遊昨三日之夜御卒去被成候兼而
　　　　　　　　於江戸表御帰国之節御同姓様之内御聟
　　　　　　　　御養子御願之趣御老中迄被　仰上置候
　　　　　　　　左様相心得可罷在候以上
　　　　　　　　　　十二月四日
　　一　同日右同断ニ付他国ゟ御代参御悔等之為使者留板

　　　　取江先物頭今村段右衛門《割書：正｜羽》二ツ屋江堀豊左衛門《割書：汎｜長》細呂木江柳原
　　　　六右衛門《割書：成｜次》指出之
　　一　同日寒中　御機嫌御伺之御使者大野三左衛門《割書：正｜扶》昨三日
　　　　江戸着御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿江罷出御書指出之
　　　　　　但三左衛門五日御城江罷出御献上物相納之
　　一　十二月七日御使番酒井六郎右衛門《割書：元｜監》江戸着ニ付御用番井上
　　　　河内守《割書：正｜岑》殿江御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》左之通書付持参
　　　　相達之
　　　　　　　　当三日暮六時早追ニ而在所差立候使者今暁到
　　　　　　　　着仕候伊予守当三日昼時過ゟ食滞之様子
　　　　　　　　ニ而気分不宜尤吐も御座候由暁方ゟ左之足少
　　　　　　　　しひれ惣体気分悪敷脈体不宜大切之様子ニ
　　　　　　　　相見申候由依之京都江早速医師申越候由申
　　　　　　　　遣候右之趣為可申上罷出候以上
　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守内
　　　　　　　　　　　十二月七日　　　大関新五左衛門
　　一　同日右同断ニ付御医師御願被成度ニ付中務大輔《割書：昌｜平》様
　　　　左之通御願書御持参御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿江被　仰達之

　　　　　　　　　　口上
　　　　　　　　松平伊予守当月三日ゟ相煩食滞之様子ニ而手
　　　　　　　　医師共薬服用仕候得共重容体ニ而以之外大切ニ
　　　　　　　　御座候由今朝申越候依之常々相薬ニ御座候間
　　　　　　　　河野松庵老越前福井江被指遣被下候様奉願候
　　　　　　　　若松庵郎相障儀も御座候ハヽ別紙書付之内被
　　　　　　　　仰付被遣被下候様奉願候以上
　　　　　　　　　十二月七日　　　　　　　松平中務大輔

　　　　　　　　井上河内守様
　　　　　　　　　別紙
　　　　　　　　　　橘　隆庵老
　　　　　　　　　　藤本立泉老
　　　　　　　　　　井関玄洗老
　　一　同日右同断之処河野松庵老御遣可被成旨被　仰出依之為御礼
　　　　中務大輔《割書：昌｜平》様御老中若年寄中御廻勤
　　一　同日御病気為御尋宿次之御奉書御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿

　　　　ニ而被相渡之御物頭長野八太夫　を以伝馬町問屋迄指遣之
　　　　　　但右御奉書御国許江十一日相達候得共御席逝去後ニ付翌
　　　　　　十二日御使番下山半左衛門大御番岩村門右衛門を以江戸表江
　　　　　　指出之
　　一　同日右同断ニ付為御礼中務大輔《割書：昌｜平》様御老中若年寄中御廻勤
　　一　十二月八日《割書：暁｜七時》河野松庵老江戸表出立ニ付道中松江善兵衛《割書：房｜□》
　　　　并御徒二人《割書：中沢藤次郎｜伊藤助八》被指添之
　　　　　　但松庵老箱根湯本迄御越之処御逝去之旨申来候ニ付江戸江被引戻
　　一　同日御逝去御注進之御使者岡部左膳《割書：起｜平》嶋田宇右衛門《割書：繁｜例》
　　　　江戸着ニ付御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿江大和守《割書：基｜知》様御越御達被成
　　　　　　但御逝去四日之御達ニ相成候ニ付以来四日之御忌日ニ相成
　　一　同月九日右同断ニ付御仮養子千次郎　様御服忌之儀ニ付
　　　　大和守《割書：基｜知》様ゟ左之通御書付を以御伺被成候処千次郎　様御服
　　　　忌之儀者追而御伺可被成旨且又御跡式之儀者　公儀ゟ可被
　　　　仰出候間家中之者共気遣不仕候様可被　仰聞旨御指図
　　　　ニ付大和守《割書：基｜知》様此　御屋形江御越中務大輔《割書：昌｜平》様御列座ニ而
　　　　御家老初御役人江被　仰聞之
　　　　　　同姓伊予守当四月在所江之御暇被下置発



　　　　　　足之砌実子無御座候ニ付同姓金之助弟千次郎儀
　　　　　　養子ニ奉願置候処此度伊予守致死去候付千次郎江
　　　　　　忌服受候様ニ可仕候哉奉伺之候以上
　　　　　　　　十二月九日　　　　　　　松平大和守
　　一　十二月十日御病気為御見舞　智高院様ゟ笹木治右衛門
　　　　梅姫様ゟ近藤加太夫　中務大輔《割書：昌｜平》様ゟ久世少吉《割書：貞｜等》被進之今日
　　　　福井江着
　　一　同日参河町ゟ出火霊厳嶋御屋敷御長屋不残御類焼
　　　　梅姫様天徳寺江御披被成
　　　　　但御屋形向者御別条無之
　　一　同月十三日御逝去御日取并御養子之儀ニ付左之通書付
　　　　一通宛諸月番江御家老相渡之
　　　　　　　　江戸ゟ御飛脚到来
　　　　　　　　昇安院様　御逝去被遊旨井上河内守殿江
　　　　　　　　大和守様被成御越御達被成候　御逝去之御日
　　　　　　　　取四日ニ罷成候左様相心得可申候御養子様之儀
　　　　　　　　金之助様御弟　千次郎様御聟御養子之事候
　　　　　　　　中書様ニも御家中之面々何も致安堵万端相

　　　　　　　　慎可罷在旨御意之由申来候可被得其意候以上
　　　　　　　　　　十二月十三日
　　一　同日右同断ニ付本多大蔵《割書：長｜教》初御家老江中務大輔《割書：昌｜平》様ゟ
　　　　被仰遣御口上之趣左之通申来
　　　　　　　　殿様御気分色々　御養生被遊候得共不相叶
　　　　　　　　当四日未刻被遊　御卒去之段岡部左膳嶋田
　　　　　　　　宇右衛門早駆被指越被為絶言語候　御心底之儀
　　　　　　　　何も可被察候何も心底之程被遊　御察御愁傷
　　　　　　　　被遊事候乍去　御国之儀御仕置等諸事大切
　　　　　　　　至極之事ニ候間大蔵初め何も随分入念可被申付候
　　　　　　　　此段第一之儀と被　思召候不及被　仰候得共追
　　　　　　　　腹ハ天下御定法之儀落髪之儀も御用ニ相懸リ
　　　　　　　　候者共相願候共　中書様御指図ニ候間堅可被
　　　　　　　　致無用候各別之御由緒之者之儀ハ相願候ハヽ
　　　　　　　　中書様江可被相伺候御指図無之ニ落髪堅
　　　　　　　　無用被　思召候此段能々申遣候様ニ被　仰付候
　　　　　　　　乍此上　御跡之儀御仮養子　千次郎様御事
　　　　　　　　大和守様委細被　仰談御同心之御事候河内守殿江

　　　　　　　　昨日　御越被成候節右之趣被　仰達　大和守様ニも
　　　　　　　　委細被　仰達候処御承知之事ニ候間
　　　　　　　　御跡子細有之間敷哉と被　思召候何も可被致
　　　　　　　　安堵候　中書様此度之儀被遊　御愁傷段猶
　　　　　　　　又御跡御別条有之間敷被　思召候間福井
　　　　　　　　ニ而惣侍中致安堵候様ニ各委細　中書様　御意
　　　　　　　　之趣被申渡　御城下不致騒動候様ニ諸事念入
　　　　　　　　可被申聞候右之趣可申越旨被入　御念　御意如此候
　　　　　　　　以上
　　　　　　　　　　　十二月八日
　　一　同日　上使御奏者番三浦壱岐守《割書：明｜敬》殿を以御香奠銀三百枚
　　　　御拝領
　　一　十二月十五日　御跡目之儀ニ付本多大蔵《割書：長｜教》初御家老列座月番
　　　　酒井丹下《割書：知｜房》左之通書付を以諸月番江申渡之
　　　　　　　　江戸表ゟ昨日大野三左衛門早駆ニ而来着当九日井上
　　　　　　　　河内守殿江　千次郎様御忌服之儀従　大和守様
　　　　　　　　御窺被成候処　千次郎様御忌服ハ追而可被

　　　　　　　　仰出候
　　　　　　　　昇安院様　御跡式之儀者従　上可被　仰出候間
　　　　　　　　家中之者共気遣不仕候様ニ可被　仰聞旨河内守殿
　　　　　　　　被　仰出候間各可有恐悦候　中書様ニも御満悦
　　　　　　　　被成旨可申聞旨　御意之旨申来候以上
　　　　　　　　　　　十二月十五日
　　一　十二月十八日《割書：午｜刻》運正寺江　御送葬　御法号
　　　　　昇安院殿前中大夫羽林次将任誉知真本栄大居士
　　一　同月廿七日於運正寺去ㇽ廿三日暁ゟ今日迄御当座御法
　　　　事御執行有之
　　一　同月廿八日右同断ニ付昨廿七日ゟ今朝迄豊姫様ゟ御法
　　　　事有之

享保七年壬寅
　　一　正月八日於運正寺昨七日暁ゟ今朝迄御三十五日御法事
　　　　御執行有之

　　一　正月十四日右同断御六七之御法事御取越御執行
　　　　有之
　　一　同月廿二日御四十九日ニ付昨廿一日暁ゟ今朝迄初姫様ゟ
　　　　御法事御執行有之
　　一　同月廿三日於天徳寺右同断御法事御執行有之
　　一　三月三日於運正寺御百ヶ日御法事御執行有之
　　一　同月十二日御位牌大安寺江御安置御供養有之
　　一　七月廿七日御霊屋御普請御成就ニ付御供養有之
　　　　　　但陽寿院様御切髪去月三日御廟江御納ニ相成

　　　　　　吉邦様御部屋住之内
　　一　元禄十四年三月十五日御養子之御礼被　仰上候節
　　　　御太刀金馬代御小袖十　御献上　御台様　桂昌院様江
　　　　銀十枚紗綾十巻宛被指上之
　　一　同年十二月廿八日御叙爵之御礼被　仰上候節
　　　　御台様　桂昌院様江白銀五枚宛被指上之

　　一　宝永元年十一月十五日御一字御拝領之御礼被　仰上
　　　　候節御太刀御馬代并御小袖十　御献上　御台様
　　　　一位様江白銀十枚干鯛一箱宛被指上之
　　一　同年十二月廿八日御任官之御礼被　仰上候節御太刀
　　　　御馬代并御小袖　御献上
　　　　中納言様江御太刀銀馬代被献之　御台様　一位様
　　　　御簾中様江白銀五枚宛被指上之
　　一　宝永五年九月廿八日御婚姻之御礼被　仰上候節
　　　　御小袖十
　　　　大納言様江白銀二十枚　御献上
　　　　　　　御勤中
　　一　御国許江御暇之節御拝領物
　　一　御帰国御礼使者被差上節御献上物
　　一　御参勤之節御献上物
　　　右三度共御献上御拝領且御家来　御目見等
　　　御先代之通
　　　　　　　年中御祝儀御献上物并御国産御献上共
　　　　御先代之通

　　　　　　　　御内証御献上物
　　　　御参勤御礼後為御土産五色奉書紙十束被献之
　　　　御台様江両面打曇鳥子紙五百枚被指上之
　　一　御纏御馬験御旗以下　御先代之通

家譜

【表紙】
【題箋】

《題：家譜《割書：昌親公》《割書：従延宝四年八月｜到貞享三年閏三月》十二》

【見返し】

【左丁】

昌親様《割書：従延宝四年丙辰八月至｜貞享三年丙寅閏三月》

【右丁】
白紙

【左丁】
　　　　　昌親様御隠居以後

延宝四年丙辰
　一八月廿六日　御登　城　御隠居之御礼被　仰上御太刀《割書：中川｜郷》
　　《割書：代　金｜五千貫》御馬代《割書：黄金｜　》御時服十《割書：内御単三｜　御袷二》御掛物《割書：佛智｜墨蹟》御献上相済
　　御退座再被為　召　御出座　御前近ク御進被成候様再三
　　上意ニ付　御側近ク　御進被成候処其方強願申由被　聞召
　　其上病者之由ニ候間願之通隠居被　仰付候越前守未年若ニ

【右丁】
　　候条国許万事仕置等其方江被　仰付候間無遠慮可申付之旨
　　上意有之難有段　御請被　仰上　御退出
一九月十三日依　召御登城被成候処於御黒書院　御目見日光江
　　御参詣御国許江之御暇被　仰出御鷹《割書：二｜》御馬《割書：一｜》御拝領御退出掛
　　為御礼御老中若年寄中并酒井河内守《割書：忠｜挙》殿江　御廻勤
一　同月十四日御拝領之御馬御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿ゟ使者ニ而
　　為牽来表御書院江　御出稲葉采女《割書：治｜房》御馬請取手綱差上
　　御頂戴相済被為　入掛於渡之間使者御逢御長蚫被下之
　　御返答有之右為御礼美濃守殿土井能登守《割書：利｜房》殿江御使者

【左丁】
　　御留守居被指出之
一　同月十六日江戸　御発駕日光江　御参詣同廿三日　御帰府
一　同月廿八日霊巖島御屋敷　御発駕東海道通御旅行
一　十月六日御拝領之御鷹為請取若年寄堀田備中守《割書：正｜俊》殿江彦坂
　　又兵衛《割書：重｜康》御鷹匠磯部鴨左衛門　臼井新右衛門　罷出《割書：昨五日阿部｜四郎五郎殿ゟ申来》御鷹
　　二居請取罷帰
一　同月十一日御拝領之御鷹《割書：二｜居》奥津助三郎　并御鷹匠磯部
　　鴨左衛門　臼井新右衛門　被指添御国許江被指遣之
一　同月十二日今庄駅御泊ゟ吉江江　御立寄高屋伊織　宅ニ而

【右丁】
　　御昼休夫ゟ福井三ノ丸　御座所江　御着被成本多孫太郎《割書：長｜員》初
　　御家老并御宿老江御長蚫被下之御料理御相伴被　仰付御盃
　　被下之畢而御奏者番其外御役人御小姓頭横目御徒頭御膳番
　　等江御長蚫被下之
一　十月十三日右同断ニ付御礼御使者寄合西尾仁左衛門　江戸表江
　　被指出之今日福井出立
一　同月廿三日御拝領之御鷹着ニ付為迎高橋吉兵衛　今庄迄
　　罷越福井町口迄大関吉左衛門　罷出御鷹着之節　御座所
　　御玄関江荒川権七　海福勘介　御広間江御家老罷出其節

【左丁】
　　鉄炮之間迄　御出御鷹御頂戴被成
一　同月廿五日御帰国之為御礼御使者西尾仁左衛門　を以御肴
　　二種御樽一荷被献之仁左衛門　御目見被　仰付
一　同月廿九日御使者西尾仁左衛門　御城江罷出候処御返書御渡
　　有之其節仁左衛門江御時服三拝領被　仰付
一　十一月廿日御使者西尾仁左衛門　御目見且拝領物被　仰付候為
　　御礼御使者江戸表江被指出候処右御返書今日被相渡之
一　同月廿三日御使者原平左衛門　を以当秋御拝領之御鷹捉飼之
　　雁鴨被献之平左衛門今日福井出立

【右丁】
　　　　　但平左衛門江戸着日不詳十二月七日御返書被相渡之
一　十二月四日御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿ゟ御呼出御留守居彦坂又兵衛
　　御城江罷出候処御鷹之鶴御拝領ニ付御老中連名之御奉書并鶴
　　一羽宿継證文添御渡有之
一　同月九日宿継御奉書を以御拝領之御鷹之鶴福井江着於
　　御座所御頂戴有之
　　　　　一筆令啓達候
　　　　　公方様益御機嫌能被成御座候間可御心
　　　　　安候将又御鷹之鶴拝領候之条　以　宿次
【左丁】
　　　　　差越之候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守
　　　　　　十二月四日　　　　　　　数直書判
　　　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　広之書判
　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　正則書判
　　　　　　　松平兵部大輔殿
　右御請御書御徒飛脚を以被指出之

一　十二月十日右同断ニ付為御礼御使者御番頭佐野内膳《割書：影｜平》江戸
　　表江被指出之今日福井出立
　　　　　但右御礼御使者柄之儀於江戸表
　　　　　　綱昌様ゟ御伺被成候処御番頭被指出可然旨御指図有之
　　　　　一内膳江戸着日并　御目見御返書御渡等月日御記録類不詳
一　同月十六日先達而
　　綱島様江　上使を以御鷹之鶴御拝領有之候為御礼江戸表江
　　御使者被指出候処右御返書今日於御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿被相
　　渡之
一　同月廿一日寒中ニ付
　　公方様御機嫌為御伺御書を以御肴被献候処右御返書今日
　　於御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿被相渡之

【右丁】
白紙

【左丁】
延宝五年丁巳
一　正月朔日為年始御祝儀御使者を以御太刀馬代《割書：黄金｜十両》
　　被献之
一　五月廿二日今度
　　綱昌様御国許江御暇且日光御参詣之儀御願之通
　　被　仰出候為御礼御書被指出候処右御返書今日於御老中
　　久世大和守《割書：広｜之》殿被相渡之
一　六月二日

【右丁】
　　綱昌様御帰国ニ付為御礼御使者井原番右衛門《割書：頼｜文》江戸
　　表江被指出之干鯛一箱被献之番右衛門今日福井出立
　　　　但番右衛門江戸着日并献上物相納候日限不詳同月廿一日

　　　　　御返書被相渡之
一　七月九日暑中ニ付
　　公方様御機嫌為御伺御書を以御肴一箱被献候処右
　　御返書今日於御老中土屋但馬守《割書：数｜直》殿被相渡之
一　同月十四日御使者井原番右衛門《割書：頼｜文》　御目見且拝領物被
　　仰付候為御礼御書被指出候処右御返書今日於御老中

【左丁】
　　土屋但馬守《割書：数｜直》殿被相渡之
一　九月十九日御参府御時節之儀御伺被成候処今日御奉書を以
　　来年八月中御参府被成候様被　仰出之

　　　　一筆令啓候
　　　　公方様益御機嫌能被成御座候間　可
　　　　御心安候然者其方参府時分之儀及
　　　　高聴候処来年八月中可致参上之旨
　　　　被　仰出候可被得其意候恐々謹言

　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守
　　　　　　　　九月十九日　　　　　　　数直書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　広之書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正則書判
　　　　　　　　松平兵部大輔殿

一　十一月十九日今度《割書：去ル｜三日》　備中守《割書：直｜堅》様江御合力米《割書：一万｜俵》被下旨
　　被　仰出候ニ付右為御礼江戸表江御使者被指出候処
　　右御返書今日於御老中大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿被相渡之
一　十二月廿二日御老中ゟ御呼出御留守居罷出候処御鷹之鶴
　　御拝領ニ付御老中連名之御奉書并鶴一羽宿継證文
　　添御渡有之
一　同月廿六日宿継御奉書を以御拝領之御鷹之鶴福井江
　　着於　御座所御頂戴有之
　　　　但御礼御使者可被指出候得共御記録類不詳

【右丁】
白紙

【左丁】
延宝六年戊午
一　正月朔日為年始御祝儀御使者を以例之通御太刀馬代
　　被献之
一　五月四日今度
　　綱昌様御参勤之御礼被　仰上候節　御懇之　上意を以
　　昌親様御事　御尋有之候ニ付為御礼江戸表江御使者被指出之
　　御肴一種被献候処右御返書今日於御老中土屋但馬守《割書：数｜直》殿被相渡之
一　同月九日今度

【右丁】
　　綱昌様御鷹之鷭御拝領ニ付為御礼御書被指出候処右
　　御返書今日於御老中土屋但馬守《割書：数｜直》殿被相渡之
一　六月五日松岡江　御出　中務大輔《割書：昌｜勝》様と御同道ニ而御川狩有之
一　同月廿五日
　　女院御所薨御ニ付《割書：御法号｜東福門院様》
　　公方様御機嫌為御伺江戸表江御使者被指出候処右御返書
　　今日於御老中大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿被相渡之
一　同月廿九日
　　東福門院様御当座御法事有之ニ付京都江御使者

【左丁】
　　伊野次郎大夫被指出之御香典銀五枚被献之
一　七月《割書：日不｜詳》福井　御発駕中山道通　御旅行
一　八月五日今度
　　綱昌様御鷹之雲雀御拝領ニ付為御礼江戸表江御使者
　　被指出候処右御返書今日被相渡之
一　同月九日　御隠居後初而　御参府鳥越御屋敷江
　　御着
　　　　但御帰国以前者霊厳島御屋敷ニ御住居被成候処今度之
　　　　　御参府ゟ鳥越御屋敷御住居被成　万姫様ニ者御引移

【右丁】
　　　　　無之霊厳島御屋敷ニ御住居被成
一　同日
　　綱昌様御婚姻之御礼被　仰上候ニ付
　　昌親様ゟ御使者を以二種一荷被献之
一　同月十日　御参府ニ付　上使御奏者番酒井日向守《割書：忠｜能》殿鳥越
　　御屋敷江御越　上意之趣御達有之
一　同月十五日　御登　城御参府之御礼被　仰上御馬代《割書：黄金｜十匁》
　　御時服十御献上
一　月日今度御参府ニ付御国産色奉書紙《割書：十｜束》被献之

【左丁】
一　十二月十一日　上使設楽市左衛門《割書：貞｜政》殿を以御鷹之靏御拝領
　　右為御礼　御登　城夫ゟ御老中并酒井河内守《割書：忠｜挙》殿江
　　御廻勤若年寄中江御使者彦坂又兵衛《割書：重｜庸》市左衛門殿江御使者
　　長沼権兵衛被指出之

【右丁】
白紙
　
【左丁】
延宝七年己未
一　正月七日為年始御祝儀　御登　城御礼被　仰上
一　四月廿一日　御登　城《割書：昨廿日御老中大久保｜加賀守《割書：忠｜朝》殿ゟ御奉書来》被成候処御国許江之
　　御暇被　仰出御鷹御馬御拝領
一　同月廿三日江戸　御発駕中山道通　御旅行
一　五月六日福井江　御着
一　同月七日右同断ニ付御礼御使者永見治部右衛門《割書：義｜正》江戸
　　表江被指出之今日福井出立

【右丁】
一　五月廿八日　御帰国之為御礼御使者永見治部右衛門《割書：義｜正》を以
　　二種一荷被献之治部右衛門　御目見被　仰付
一　六月朔日御使者永見治部右衛門《割書：義｜正》御城江罷出候処
　　御奉書御渡有之其節治部右衛門江御帷子三拝領被　仰付
一　同月廿三日御使者永見治部右衛門《割書：義｜正》　御目見且拝領物被
　　仰付候為御礼御使者被指出候処今日御返書被相渡之
一　同月廿六日暑中ニ付　御機嫌為御伺御書被指出候処右
　　御返書今日於御老中大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿被相渡之
一　十月廿九日御老中ゟ御呼出ニ付留守居罷出候処御鷹之鶴

【左丁】
　　御拝領ニ付御老中連名之御奉書并鶴一羽宿継證文
　　添御渡有之右ニ付御徒武田七右衛門指添御国許江指立之
一　十一月四日《割書：子｜刻》宿継御奉書を以御拝領之御鷹之鶴福井江　
　　着於　御座所御頂戴相済御請御書御徒《割書：近藤｜小右衛門》飛脚
　　を以江戸表江被指出之
一　同月五日　右同断ニ付　為御礼御使者笹治兵庫《割書：義｜次》
　　江戸表江被指出之御書并宿継證文持参今日福井出立
　　　　　但兵庫江戸着日不詳
一　同月《割書：日不｜詳》　御帰国之節御拝領之御鷹

【右丁】
　　綱昌様御拝領之御鷹と一所ニ福井江着ニ付於
　　御本丸御頂戴被成
一　十二月八日当夏御拝領之御鷹捉飼之雁鴨御使者
　　島崎市郎右衛門　を以被献之今日福井出立
　　　　但市郎右衛門江戸着日不詳同月廿三日右御返書被相渡之
一　同月廿七日寒中御機嫌為御伺御書被指出候処右
　　御返書今日於御老中宅被相渡之

【左丁】
綱昌様
　　《割書：ナラン｜》
綱吉様御代《割書：八月廿三日｜将軍　宣下》
　延宝八年庚申
　　一　正月朔日為年始御祝儀御使者菅沼市左衛門《割書：家｜次》を以例之通
　　御太刀馬代被献之
　　　　但市左衛門旧臘七日御国表出立
　　一　同日右同断ニ付本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老　御座所江罷出
　　　　御雑煮御相伴被　仰付御盃被下之高知之面々并有賀


【右丁】
　　左衛門　斉藤民部《割書：定｜之》多賀谷権大夫《割書：大｜広》稲垣安右衛門《割書：重｜猶【？】》御長蚫
　　被下之瓦御門番以下　御目見無之御帳ニ附罷帰
一　正月十一日年始三ヶ日之御規式相済候為御歓御用番
　　土井能登守《割書：利｜房》殿江御書被指出之
　　　　　但右御返書同月廿五日被相渡之
一　五月十一日
　　公方様御不例ニ付　御様体為御伺御使者安島定之丞
　　早駈ニ而江戸表江被指出之今日福井出立
一　同月《割書：日不｜詳》舘林宰相《割書：綱｜吉》様去ル七日　御養君被　仰出

【左丁】
　　御官位御昇進ニ付為御歓御使者香西八郎兵衛《割書：正｜佐》
　　御老中江被指出之
　　　　　但右御使者御国許ゟ被差出候趣ニ而江戸表ニ詰居候八郎兵衛
　　　　　　相勤之
一　同月十三日
　　公方様去ル八日薨御ニ付《割書：御法号｜厳有院様》
　　大納言様御機嫌為御伺御使者有賀斎宮　早駈ニ而
　　江戸表江被指出之今日福井出立
一　同月十七日御使者有賀斎宮　江戸表江着御老中江

【右丁】
　　御書指出之
一　五月十八日
　　大納言様御朦中御機嫌為御伺御使者　八木平六《割書：昔｜由》
　　江戸表江被指出之今日福井出立
　　　　但六月朔日右御返書於土井能登守《割書：利｜房》殿被相渡之
一　六月《割書：日不｜詳》於東叡山
　　厳有院様御当座御法事有之ニ付為　御名代松平庄兵衛《割書：正｜徳》
　　を以御香奠銀十枚被献之

【左丁】
一　同月十二日
　　大納言様御朦中御機嫌為御伺御使者大井田角右衛門
　　を以海苔一箱被献之
　　　　　但角右衛門五月廿九日御国表出立
　　　　　一右御返書六月十四日被相渡之
一　同月廿一日
　　大納言様近々　御本丸江　御移徙被為　在旨被
　　仰出候ニ付御使者中川六左衛門《割書：重｜好》江戸表江被指出之今日
　　福井出立

【右丁】
一　六月廿二日御代替之為御祝儀御使者本多修理《割書：冨｜敬》江戸
　　表江被指出之今日福井出立
一　七月十日暑中　御機嫌為御伺御使者井上孫大夫　を以
　　御肴被献之
　　　　但右御使者御国表ゟ被指出候趣ニ而江戸表ニ相詰居候孫大夫
　　　　　を以被献之
一　同月十一日　御移徙為御祝儀御使者中川六左衛門《割書：重｜好》を以一種
　　一荷被献之
　　　　但御目録者　御本丸ニ而指上御品物者二ノ丸江相納之

【左丁】
一　同月十六日右同断ニ付御老中連名之御奉書御渡有之
　　　　　今度就御本丸御移徙為御祝儀以使者
　　　　　一種一荷目録之通被献之候右之趣
　　　　　首尾好遂披露候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　堀田備中守
　　　七月十六日　　　　　　　　　　　正俊書判
　　　　　　　　　　　　　　　　土井能登守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　利房書判
　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠朝書判
　　松平兵部大輔殿

【右丁】
一　七月廿一日　御代替之為御祝儀御使者本多修理《割書：冨敬素袍｜　長袴着》を以
　　御本丸江御太刀馬代被献之　御台様江白銀五枚干鯛一箱
　　鶴姫君様江白銀三枚鯣一箱御使者同人を以被指上之
　　二ノ丸江相納之
一　同日今度《割書：去ル｜十日》
　　上様御本丸江御移徙首尾能被為　済候為御歓御書被指
　　出之
一　同月廿三日今度　御代始之儀ニ付少之間成共御参府被成
　　度旨御書《割書：去ル二日｜日附》を以御伺被成候処来春重而御伺被成候様

【左丁】
　　御老中連名之御返書今日被相渡之
　　　　　但右御請御書八月四日被指出之
一　同月廿九日　御代替御祝儀之御使者本多修理《割書：冨｜敬》　御城江
　　罷出候処御奉書御渡有之其節修理江御帷子三御単一拝領
　　被　仰付
　　　　　但右御礼御書八月十二日被指出之
一　八月四日今度　御代替之御礼首尾好相済候為御歓御書
　　被指出之
一　同月廿二日

【右丁】
　　法皇御所去ル十九日崩御ニ付京都所司代戸田越前守《割書：忠｜昌》殿江
　　御書被指出之
一　八月廿五日右同断ニ付
　　上様御機嫌為御伺御使者伊藤条左衛門　江戸表江被指出之
　　今日福井出立
　　　　　但条左衛門江戸着日不詳閏八月七日御返書被相渡之
一　同月廿七日
　　綱昌様少将御拝任ニ付為御礼御使者土浦市郎兵衛《割書：則｜明》江戸
　　表江被指出之御肴一種被献之市郎兵衛今日福井出立

【左丁】
　　　　但市郎兵衛江戸着日不詳閏八月十日御返書被相渡之
一　閏八月二日
　　将軍　宣下《割書：去月｜廿三日》相済候為御歓御書被指出之
　　　　但同月十六日御返書被相渡之
一　同月十二日
　　将軍　宣下相済候為御祝儀御使者陰山与兵衛　を以御太刀
　　馬代《割書：黄金｜十両》被献之
　　　　　但右御使者御国許ゟ被指出候趣ニ而江戸表ニ詰居候与兵衛を以
　　　　　　被献之

【右丁】
一　閏八月廿三日右同断ニ付御老中連名之御奉書被相渡之

　　　　　今度　将軍　宣下相済付而為御祝儀
　　　　　以使者御太刀一腰御馬代黄金十両
　　　　　被献之候右之趣首尾好遂披露候
　　　　　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　堀田備中守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正俊書判
　　　　　　　閏八月廿三日　　　　土井能登守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【利房書判ヵ】

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠朝書判
　　　　　　　松平兵部大輔殿
一　十一月廿一日　桂昌院様三ノ丸江御引移《割書：去十｜二日》被為済候ニ付
　　為御祝儀御書被指出之
一　同月廿七日
　　若君様《割書：徳松様｜》　西丸江御移徙被為在候為御祝儀　西丸江
　　御使者荒川三郎大夫《割書：茂｜貞》を以干鯛一箱御樽一荷被献之

【右丁】
　　　　但右御使者御国許ゟ被指出候趣ニ而江戸表ニ相詰居候三郎大夫
　　　　　を以被献之
一　同日右同断ニ付御使者秋田三五左衛門　を以
　　公方様江干鯛一箱御樽一荷被献之　御本丸江相納之
　　御台様江御使者同人を以右同断被指上之
一　十二月四日右同断
　　公方様　若君様江御使者を以御樽肴被献候ニ付而之
　　御奉書被相渡之

【左丁】
　　　　　今度
　　　　　若君様西丸就御移徙為御祝儀
　　　　　公方様江以使者一種両樽被献之候首尾能
　　　　　遂披露候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　板倉内膳正
　　　　　　十二月四日　　　　　　　　重道書判
　　　　　　　　　　　　　　　　堀田備中守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正俊書判
　　　　　　　　　　　　　　　　土井能登守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　利房書判

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠朝書判
　　　　　松平兵部大輔殿
　　　〆

　　今度就西丸御移徙為御祝儀
　　若君様江以使者一種両樽被献之候
　　首尾能遂披露候恐々謹言

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　　板倉内膳正
　　　　　　十二月四日　　　　　　　　重道書判
　　　　　　　　　　　　　　　　堀田備中守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正俊書判
　　　　　　　　　　　　　　　　土井能登守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　利房書判
　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠朝書判
　　　　　松平兵部大輔殿

【右丁】
一　十二月七日御参府之儀再御伺被成候処最前御指図之通
　　至来春御伺被成候様御返書被相渡之

　　　　　御状令拝見候
　　　　　公方様益御機嫌能被成御座恐悦旨
　　　　　尤候将又参府之儀就
　　　　　御代替被伺之由紙面之趣承届候最前
　　　　　如相達到来春重而可被相窺之候念入
　　　　　候段及

【左丁】
　　　　　高聴候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　板倉内膳正
　　　　　　十二月七日　　　　　　　　重道書判
　　　　　　　　　　　　　　　　堀田備中守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正俊書判
　　　　　　　　　　　　　　　　土井能登守　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　利房書判
　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠朝書判
　　　　　　松平兵部大輔殿

【右丁】
白紙

【左丁】
天和元年辛酉　《割書：此年延宝九年｜九月廿九日改元》
一　正月朔日為年始御祝儀御使者を以
　　公方様　若君様江御太刀馬代被献之
一　同日於御座所年始之御礼被為　請御家老御宿老
　　御礼申上御雑煮御吸物御相伴被　仰付御盃被下之畢而
　　於奥之御間高知之面々并水戸内匠《割書：朝｜袛》山川内膳《割書：朝｜沢》水戸
　　平兵衛《割書：朝｜栄》多賀谷権大夫《割書：大｜広》稲垣安右衛門《割書：重猶》御礼申上御長蚫

【右丁】
　　御直々被下之相済於鉄炮之間番頭瓦御門番一統御礼
　　申上之奥江被為　入御跡ニ而二行罷出御長蚫自分頂戴之
　　再鉄炮之間　御着座御近習表御小姓御右筆長囲炉裏
　　之間並居一同御礼申上之奥江被為　入御跡ニ而二行ニ罷出
　　御長蚫自分頂戴之
　　　　但御家老御宿老等　御本丸御規式相済　御座所江罷出番外
　　　　　諸物頭御使番御番士等何も　御目見無之御帳ニ附罷帰
一　正月廿五日於増上寺
　　台徳院様五十回御忌御法事有之ニ付御使者を以御香奠

【左丁】
　　被献之
一　正月廿九日先達而《割書：去十｜六日》御書を以御参府御時節御伺被成候処
　　今日於御老中宅御奉書被相渡之
　　　　　御状令拝見候
　　　　　公方様倍御機嫌能被成御座恐悦之旨
　　　　　尤候将又参勤時分之儀至春可被伺之由
　　　　　旧臘呈奉書候付而被相窺之候紙面之通及
　　　　　高聞候之処同氏越前守帰国以後可有
　　　　　参府之旨被　仰出候可被得其意候恐々

【右丁】
　　　　　謹言　
　　　　　　　　　　　　　　　　板倉内膳正
　　　　　　正月廿九日　　　　　　　　重道書判
　　　　　　　　　　　　　　　　堀田備中守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正俊書判
　　　　　　　　　　　　　　　　土井能登守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　利房書判
　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠朝書判
　　　　　　松平兵部大輔殿
一　二月五日今度
　　台徳院様五十回御忌御法事首尾能相済且　御参詣被為

【左丁】
　　在御機嫌能還御之旨御承知被成候ニ付御歓之御書被指出之
　　　　但同月十二日御返書被相渡之
一　四月廿七日従去月十六日
　　綱昌様御気色悪敷于今御尓々無之段
　　昌親様於御国許御承知被成候ニ付御老中迄御達之御書
　　被指出候処右御返書今日於御老中宅被相渡之
　　　　　御状令拝見候同氏越前守従先月
　　　　　十六日気色悪に候然ニ無之旨承及
　　　　　之由得其意候依之被差越使者江紙面

【右丁】
　　　　　之趣及　高聴候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　四月廿七日　　　　　　　　正武書判
　　　　　　　　　　　　　　　　板倉内膳正
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　重道書判
　　　　　　　　　　　　　　　　堀田筑前守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正俊書判
　　　　　松平兵部大輔殿
一　五月八日於東叡山
　　厳有院様御一周忌御法事有之ニ付御使者伊藤勘兵衛
　　を以御香奠銀五枚被献之

【左丁】
　　　　但同月廿八日御奉書被相渡之
一　同月十一日
　　綱昌様御帰国後御参府被成候様当春御指図有之候得共
　　御病気ニ而御帰国無之ニ付御参府之儀再為御伺江戸表江
　　御使者嶋崎市郎右衛門　被指出之今日福井出立
　　　　但市郎右衛門江戸着日不詳
一　同月廿三日右同断ニ付御老中連名之御奉書於御老中宅
　　被相渡之
　　　　　御状令拝見候参勤時分之儀同氏越前守

【右丁】
　　　　帰国以後可有参府之旨最前奉書
　　　　遣之候雖然越前守就病気重而以使者
　　　　被伺之候紙面之通及言上候処当八月
　　　　中可致参上旨被　仰出候可被存其趣候
　　　　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　五月廿三日　　　　　　　　正武書判
　　　　　　　　　　　　　　　　板倉内膳正
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　重道書判
　　　　　　　　　　　　　　　　堀田筑前守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正俊書判
　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠朝書判

【左丁】
　　　　　　松平兵部大輔殿
一　五月十九日
　　厳有院様御法事首尾能相済去八日御参詣被為
　　在　御機嫌能　還御之旨　御承知被成候ニ付御歓之御書被
　　指出之
一　六月九日暑中ニ付
　　公方様　若君様御機嫌為御伺御書被指出之
　　　　但　同月十九日右御返書被相渡之

【右丁】
一　七月廿九日福井　御発駕中山道通　御旅行
一　八月十五日鳥越御屋敷江御着
一　同月廿一日　御参府ニ付鳥越御屋敷江　上使御奏者番
　　稲葉丹後守《割書：正｜通》殿御越　上意之趣御達有之丹後守殿御退出
　　後右為御礼丹後守殿江　御勤
一　同月廿三日御登　城御参府之御礼被　仰上御太刀
　　馬代《割書：黄金｜十両》御帷子五《割書：内御単｜二》御献上
　　若君様江右同断御献上
一　同日右同断ニ付御使者を以御台様江縮緬《割書：紅｜白》五巻被指上之

【左丁】
一　同月廿九日今度　御参府ニ付御使者を以
　　公方様江御国産色奉書紙十束被献之
　　若君様江御翫作物并染紙二箱被献之右御披露済
　　之捻御奉書御用番阿部豊後守《割書：正｜武》殿
　　若君様御附御老中板倉内膳正《割書：重｜道》殿ゟ来
　　　　捻御奉書上書
　　　　　松平兵部大輔殿　　　　　　　　　　　　　正武
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　候也奉書紙十束被献之候
　

【右丁】
　　　　首尾好遂披露候恐々謹言
　　　　　　八月廿九日　　　　　　　正武書判

　　　　捻御奉書上書
　　　　　　松平兵部大輔殿　　　　　　重道
　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　板倉内膳正
　　　　若君様江御翫作物并染紙
　　　　二箱被献之候首尾好遂
　　　　披露候恐々謹言

【左丁】
　　　　　　八月廿九日　　　　　　　　重道書判
一　十一月朔日鳥越御屋敷江　上使駒井二郎左衛門《割書：昌｜保》殿を以
　　御鷹之鶴御拝領

【右丁】
白紙

【左丁】
天和二年壬戌

一　正月七日為年始御祝儀　御登　城《割書：昨六日御老中｜連名之御切紙来》御礼被仰上
　《割書：御長袴｜御着用》
一　七月廿七日御登城被成候処《割書：昨廿六日御老中戸田｜山城守《割書：忠｜昌》殿ゟ御切紙来》御国許江之御暇
　　被　仰出御馬并御掛物《割書：俊明極｜》御拝領有之
　　　　　但右御掛物者　公儀御代替後初而御暇ニ付御拝領有之
一　同月廿九日御拝領之御馬御老中戸田山城守《割書：忠｜昌》殿ゟ使者ニ而
　　為牽来

【右丁】
一　八月六日江戸　御発駕中山道通御旅行
一　同日十八日福井江　御着
一　同日為御帰国御礼御使者本多修理《割書：冨｜敬》江戸表江被指出之
　　公方様　若君様江御樽肴被献之修理今日福井出立
　　　　但修理江戸着日并　御目見等之儀不詳九月十九日右御返書
　　　　　御渡有之
一　九月廿一日今度朝鮮人信使御礼首尾能相済候ニ付御歓之
　　御書被指出候処右御返書今日於御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿被
　　相渡之

【左丁】
天和三年癸亥

一　二月廿四日旧臘《割書：廿八｜日》浜町御上屋敷御類焼ニ付右御屋敷地
　　御用地ニ相成候はゝ被差上度之旨
　　昌親様ゟも御願被成候処右御返書今日於御老中大久保
　　加賀守《割書：忠｜朝》殿被相渡之
　　　　　　御状令披見候同姓越前守上屋敷之儀
　　　　　　御用地罷成候者差上度之旨得其意候
　　　　　　其方并同氏中務大輔も同前被相願候由

【右丁】
　　　　　　不届候各申談及
　　　　　　高聞候処一段之首尾候則屋敷奉行江
　　　　　　申渡候可被存其趣候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　二月廿四日　　　　　　忠朝書判
　　　　　　　　松平兵部大輔殿
一　三月二日今度
　　春宮《割書：朝仁｜親王》　　中宮宣下首尾能相済候ニ付右御歓之
　　御書江戸表江被指出之

【左丁】
　　　　但同月十三日右御返書被相渡之
一　同月十五日浜町御上屋敷御差上被成度之旨御願被成候処
　　御願之通被　仰出候ニ付御礼御書被指出候処右御返書今日
　　於御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿被相渡之
一　四月十八日今度　鶴姫君様御水痘之処軽御様体之旨
　　御承知被成猶以御様体御伺之御書被指出之
　　　　但同月廿五日右御返書被相渡之
一　同月廿日於東叡山
　　大猷院様三十三回御忌御法事有之ニ付御使者

【右丁】
　　今泉岡右衛門　を以御香奠被献之
　　　　但同月廿五日右御奉書被相渡之
一　四月《割書：日不｜詳》　鶴姫君様御水痘御快然御酒湯相済候ニ付
　　右御歓之御書被指出之
　　　　但五月四日右御返書被相渡之
一　五月《割書：日不｜詳》先達而於日光山
　　大猷院様御法事首尾能相済且
　　公方様東叡山江　御参詣御機嫌能　還御之旨御承知被
　　成候ニ付御歓之御書被指出之

【左丁】
　　　　但同月十一日右御返書被相渡之
一　閏五月朔日先頃地震ニ而日光山所々破損候得共
　　御宮并御堂無御別条之旨御承知被成候ニ付御歓之
　　御書被指出之
　　　　但同月十三日右御返書被相渡之
一　同月廿一日
　　若君様少々御不例之旨御承知被成候ニ付御様体為御伺
　　御書被指出之
一　同月廿三日　御参府御時節御伺之御書被指出之

【右丁】
一　六月四日
　　若君様御病気之処御養生不被為叶　薨御《割書：同五月｜廿八日》
　　ニ付
　　公方様御機嫌為御伺江戸表江御使者本多五郎右衛門《割書：武正道中｜　五日振》
　　被指出之
　　　　但五郎右衛門江戸着日不詳
一　同月十六日　御参府御時節御書を以御伺被成候ニ付今日
　　於御老中宅当九月中御参府可被成旨之御奉書被相渡之
一　同月廿二日暑中ニ付

【左丁】
　　公方様御機嫌為御伺御書被指出候処右御返書今日於
　　御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿被相渡之
一　九月二日福井　御発駕東海道通　御旅行
一　同月十五日鳥越御屋敷江御着
一　同月十八日右同断ニ付　上使牧野因幡守《割書：富｜成》殿鳥越御屋敷江
　　御越　上意之趣御達有之
一　十月十日　御登　城《割書：昨九日御老中大久保｜加賀守《割書：忠｜朝》殿ゟ御切紙来》御参府之御礼被
　　仰上
一　同月十二日　御参府ニ付例之通色奉書紙并御肴被献之

【右丁】
一　十月十八日　上使柴田七左衛門《割書：康｜能》殿を以　御鷹之鶴御拝領
　　右為御礼　御登　城

【左丁】
貞享元年甲子《割書：此年天和四年｜二月廿一日改元》
一　正月朔日為年始御祝儀御使者仙石権右衛門《割書：高｜成》を以
　　御太刀馬代被献之
一　同月七日為年始御祝儀　御登　城《割書：昨六日御老中｜連名之御切紙来》御礼
　　被仰上
一　七月十三日　御登　城被成候処御国許江之御暇被　仰出
　　御馬御拝領有之
一　同月十五日御拝領之御馬御老中ゟ使者ニ而為乗来ル

【右丁】
一　七月晦日江戸　御発駕中山道通　御旅行
一　八月十三日福井江　御着
一　同月十四日右同断ニ付為御礼御使者永見治部右衛門《割書：義｜正》
　　江戸表江被指出之今日福井出立
一　同月廿七日御使者永見治部右衛門《割書：義｜正》昨廿六日江戸着今日
　　御用番江御書指出之

一　九月五日於　御城《割書：去月｜廿八日》御老中堀田筑前守《割書：正｜俊》殿不慮
　　之儀《割書：稲葉石見守《割書：正｜休》殿｜被討果》有之候旨御承知被成候ニ付

【左丁】
　　公方様御機嫌為御伺江戸表江御使者三沢甚右衛門《割書：冨｜久》
　　被指出之今日福井出立
　　　　但甚右衛門江戸着日不詳同月十二日右御返書被相渡之
一　同月六日　御帰国為御礼御使者永見治部右衛門《割書：義｜正》を以
　　御樽肴被献之治部右衛門　御目見被　仰付
一　同月十日御使者永見治部右衛門《割書：義｜正》　御城江罷出候処
　　御返書御渡有之其節治部右衛門江御時服三拝領被　仰付
一　十二月三日
　　綱島様御領知之　御判物御頂戴《割書：去月｜廿一日》被成候為御礼江戸

【右丁】
　　表江御使者荻野治部左衛門《割書：永｜吉》被指出之今日福井出立
　　　　但治部左衛門江戸着日不詳
一　十二月四日寒中ニ付
　　公方様御機嫌為御伺御書被指出之
　　　　但同月十三日右御返書被相渡之
一　同月十六日
　　綱昌様　御判物御頂戴之御礼御使者荻野治部左衛門《割書：永｜吉》江
　　御返書御渡有之
一　同月十九日御領知目録御渡有之候ニ付右為御礼御書被

【左丁】
　　指出之
一　同月晦日日光表火災有之候得共《割書：去ル｜廿日》御宮并御仏殿
　　御別条無之段御承知被成候ニ付御歓之御書被指出之

【右丁】
白紙

【左丁】
貞享二年乙丑
一　正月朔日為年始御祝儀御使者飯田忠四郎　を以例之通
　　御太刀馬代被献之
　　　　但忠四郎旧臘七日御国表出立
一　同日於　御座所例之通年始之御礼被為　請
一　同月十八日
　　公方様少々　御不例之処御快然之旨御承知被成候ニ付御歓
　　之御書被指出之

【右丁】
　　　但同月廿七日右御返書被相渡之
一　正月廿二日右同断之処去十一日御表江　出御被遊候旨
　　御承知被成候ニ付御歓之御書被指出之
　　　　但二月三日右御返書被相渡之
一　二月廿九日今度
　　新院御所崩御ニ付
　　公方様御機嫌為御伺江戸表江御使者被指出之
　　　　但　御書今日日附ニ而御使者者江戸表ニ相詰居候御近習野本
　　　　　二郎左衛門　御国許ゟ被遣候趣ニ而被指出之

【左丁】
　　　　一　三月十九日右御返書被相渡之
一　同日右同断ニ付京都所司代稲葉丹後守《割書：正｜通》殿江御書被
　　指出之
一　三月三日　鶴姫君様去月廿二日紀伊中将《割書：綱｜教》様江御入輿相済候
　　為御祝儀江戸表江御使者酒井孫八《割書：元｜房》被指出之被献物
　　有之孫八郎今日福井出立
　　　　但孫八郎江戸着日并御献上之御品物等不詳
　　　　一三月十六日右御返書御渡有之
一　同月十八日　鶴姫君様御入輿後始而　御城江御入被成候為

【右丁】
　　御歓御書被指出之
　　　　但同月廿八日右御返書被相渡之
一　四月廿三日　御参府御時節為御伺御書被指出之
一　五月二日右同断ニ付九月中御参府可被成旨之御奉書
　　於御老中宅被相渡之
一　六月十九日暑中ニ付
　　公方様御機嫌為御伺御書被指出之
　　　　但六月廿九日右御返書被相渡之
一　八月廿七日福井　御発駕東海道通　御旅行

【左丁】
一　九月十一日鳥越御屋敷江　御着
一　同月十二日昨日　御参府ニ付御用番戸田山城守《割書：忠｜昌》殿并
　　阿部豊後守《割書：正｜武》殿江　御勤
一　同月十三日右同断ニ付　上使御奏者番堀田対馬守《割書：正｜俊》殿
　　御越　上意之趣御達有之
一　同月廿一日　御登　城《割書：昨廿日御用番戸田｜山城守《割書：忠｜昌》殿ゟ被切紙来》御参府之御礼被
　　仰上御太刀金馬代御時服十御献上御退出掛右為御礼
　　御老中御側御用人若年寄中江　御廻勤
一　同日右同断ニ付御使者を以　御台様江縮緬《割書：二十｜巻》被差

【右丁】
　　上之
一　九月廿五日今度御参府ニ付御使者を以例之通
　　色奉書紙《割書：十｜束》被献之
一　十一月十四日鳥越御屋敷江　上使柴田七左衛門《割書：康｜能》殿を以
　　御鷹之鶴御拝領

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　■■■■

【左丁】
貞享三年丙寅

一　正月七日為年始御祝儀　御登　城
一　二月十二日　万姫様御逝去谷中南泉寺江御葬送
　　御法号　《割書：大正十五年七月品川｜海晏寺墓地ニ》【スタンプ一部読めず】
　　松桂院殿元貞寿栄大姉
一　閏三月五日御用之儀候間明六日四時前　御登　城可被成旨
　　御老中連名之御奉書阿部豊後守《割書：正｜武》殿ゟ来

【裏表紙】

家譜

《題：家譜　吉邦公　《割書：従享保二年
到　同三年》　　三十二　》

　　　　吉邦様　《割書：従享保に年丁酉
至同三年戊戌》

享保二年丁酉
一正月朔日於　御屋形年始御規式有之
一同日為年始御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代御献上
　呉服御拝領
一正月三日昨夜　梅姫様御流産ニ付来ル六日迄御穢ニ付
　御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》を以御達且又右之趣ニ付
　御謡初御祝儀御献上不被成段同人を以御達有之
一同日右同断ニ付御老中久世大和守《割書：重
之》殿江御使者御留守居

　大関新五左衛門《割書：直
看》を以増上寺近辺火事等有之節者御普
　請場所江御出馬可被成哉又者御家来斗可被指出哉之旨
　御伺被成候処御家来斗被指出候様御指図有之
一正月七日為若菜御祝儀御使者を以例之通御肴《割書：鯛
三》被献之
一同日地震ニ付　御機嫌為御伺　御城江御使者御留守居宮北
　十郎左衛門《割書：定
由》被指出之
一同日夜尾張町ゟ出火之処増上寺辺風下ニ相成候ニ付御普
　請場江　御出馬被成
一正月九日増上寺　御仏殿江　御参詣夫ゟ御普請場江

　為御見分　御出被成
一正月十六日御城下町人共昨年ゟ米高直ニ而難儀之処
　猶以高直其上大雪ニ而困窮之由ニ付為御救米五百俵
　御貸可被成旨被　仰出
一正月十八日御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿江御逢対　御勤
一正月廿一日御老中久世大和守《割書：重
之》殿江右同断　御勤
一正月廿二日本多孫太郎《割書：長
員》此中ゟ疱瘡相煩候ニ付為御尋
　御書被下之
一同日去廿日夜東叡山之内火事有之候得者　御宮

　御仏殿共御別条無之ニ付為御歓御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿江
　御使者御留守居被指出之
　　但東叡山并増上寺共寺中出火之節者向後御勤可有之
　　　筈ニ被　仰出
一同日《割書：夕七
時》小石川筋ゟ出火之処北風強ク大火ニ相成御上屋敷
　不残御類焼《割書：七半
時》右ニ付霊厳嶋御中屋敷江御披被成候処
　風下ニ而甚危候得共防等厳重被　仰付御別条無之右ニ付
　早速増上寺江　御出馬被成候処御道筋火勢強ク御出難
　被成ニ付一旦御引取焼通候後御普請場江　御出被成翌

　廿三日暁六半時霊厳嶋御屋敷江　御帰被成
一同日右同断御類焼ニ付　梅姫様天徳寺江御披被成
一同日右同断ニ付御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿江御使者御留守居
　宮北十郎左衛門《割書：定
由》を以御類焼之段御届被成
一同日右同断ニ付御国許江御徒飛脚《割書：竹田
仁左衛門》被指遣之
　　但仁左衛門廿七日福井江着
一正月廿三日今度大火ニ而御曲輪内迄致類焼候得共　御城
　廻御別条無之ニ付為御歓御老中　御廻勤
一同日今度御上屋敷御類焼候得共増上寺御普請御手　

　伝之儀其儘御勤被成度ニ付御用掛り御老中久世大和守《割書：重
之》殿江　
　御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》を以左之通御書付被指出之
　　　昨晩火事ニ付私居屋敷不残類焼仕候故霊厳
　　　嶋中屋敷江引越罷在候左様御座候得者此度居
　　　屋敷類焼仕ニ付而御手伝場所万一　御免被遊
　　　御沙汰も御座候者何とそ其儘相勤申度念願ニ
　　　奉存候此等之趣被御聞置可被下候依之御内意
　　　申上候何分ニも宜様奉頼候以上
　　　　　正月廿三日　　　　　　松平伊予守

一同日　梅姫様天徳寺ゟ中務大輔《割書：昌
平》様之浅草御屋敷江　
　御引越移被成
一正月廿四日増上寺　御仏殿江　御参詣夫ゟ御普請場江
　為御見分　御出被成
一正月廿五日　御登　城《割書：昨廿四日御老中
連名之御切紙来》被成候処御老中列座ニ而
　御用番阿部豊後守《割書：正
喬》殿左之通御書付を以御達有之
　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守
　　　居屋敷類焼付而増上寺
　　　有章院様　御仏殿御手伝可被遊　御免候得共

　　　御普請も過半出来ニ付弥只今迄之通相勤度由
　　　願之通達
　　　上聞候依之願之通被　仰付候別而大儀被　思召候

一同日右同断ニ付為御礼御老中若年寄中　御廻勤
一同日右同断ニ付御家老御城代江　御書被成
一同日《割書：七
時》御上屋敷御類焼ニ付　上使柴田七左衛門　殿を以
　御尋有之右為御礼御老中　御廻勤若年寄中江
　御使者被指出之

一正月廿六日今度御上屋敷御類焼候得共増上寺御普請
　御手伝其儘御願之通被　仰出且又　上使を以御類焼
　御尋有之候ニ付京都所司代水野和泉守《割書：忠
之》殿江御書両通
　被遣之
一正月廿七日御用番阿部豊後守《割書：正
喬》殿江御逢対　御勤夫ゟ
　増上寺御普請場江為御見分　御出被成
一正月廿九日本多孫太郎《割書：長
員》死去ニ付御用番阿部豊後守《割書：正
喬》殿江
　左之通御書付を以御達有之
　　　　　口上

　　　私家来本多孫太郎儀当月十日頃ゟ相煩候処
　　　疱瘡ニ罷成色々養生仕候得共不相叶当廿三日
　　　死去仕候由唯今在所ゟ申遣候右之趣為可得
　　　御意以使者申入候以上
　　　　　正月廿九日　　　　　　　松平伊予守
　　　　　　　　　　　松平伊予守家来本多孫太郎世忰
　　　　　　　　　　　　　　　　　　本多大蔵
一二月二日霊厳嶋御中屋敷御小屋掛出来ニ付　梅姫様

　中務大輔《割書：昌
平》様御屋敷《割書：浅
草》ゟ御帰被成
一二月六日御手伝御普請場江為御見分　御出被成
一二月九日本多孫太郎《割書：長
員》死去之処養子大蔵《割書：長
教》未若年之
　儀ニ候得者府中仕置等諸事松平主馬《割書：正
恒》本多民部《割書：成
広》両人
　申談取扱候様主馬民部江被　仰付右之趣主馬府中江
　罷越大蔵并家老共江可申聞旨且又家督之儀も無相違
　可被　仰出候間其段も内意可申聞旨被　仰出候ニ付主馬府
　中江罷越右之趣大蔵并家老共江申聞之
一二月十一日寄合佐野又太郎《割書：影
賞》を以本多孫太郎《割書：長
員》牌前江《割書：府中
龍泉寺ニ》

　《割書：有
之》御香奠銀五枚被下之
一二月十五日御使番大谷儀左衛門《割書：好
澄》を以本多大蔵《割書：長
教》朦中
　御尋有之薯蕷一籠被下之
一二月十六日近江守《割書：直
之》様御登城被成候処是迄御蔵米壱万俵
　被下候処御筋目被　思召地方ニ而壱万石被下旨被　仰出
　候ニ付右為御礼御老中江御使者御留守居被指出之
一二月十八日御用番井上河内守《割書：正
岑》殿江御逢対　御勤
一二月廿一日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　御城御渡有之御家来拝領物等如例

一同日増上寺御普請場江為御見分　御出被成　公儀御役人江
　御逢有之
一二月廿七日増上寺御普請場江為御見分　御出被成
一二月廿九日大目付中ゟ向後三月朔日月次之御礼無之
　五月朔日者御礼有之筈之旨御廻状来ル
一三月三日出羽守《割書：宣
維》様御母清寿院様御卒去ニ付御用番阿部
　豊後守《割書：正
喬》殿江御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》を以左之通
　御届書被指出之
　　　松平出羽守母病気罷在候処養生不相叶昨夜

　　　四時致死去候私為ニ実姉ニ而御座候乍去私儀
　　　兵部大輔受家督候筋目ニ付続遠罷成候然共
　　　実右之続ニ御座候故姉半減之受忌服申候右
　　　為御届如是御座候以上
　　　　　三月三日　　　　　　松平伊予守
　　　　　別紙
　　　　　　姉半減之忌
　　　　　　　十日　　　　　《割書：三月二日ゟ
同十一日迄》
　　　　　　姉半減之服
　　　　　　　四十五日　　　《割書：三月二日ゟ
四月十七日迄》

一同日右同断ニ付増上寺御普請場之儀ニ付御老中久世
　大和守《割書：重
之》殿江左之通御伺書被指出之
　　　松平出羽守母病気罷在候処養生不相叶昨夜
　　　四時致死去候私為ニ実ハ姉ニ而御座候得共兵部大輔
　　　受家督候筋目ニ付続遠罷成候然共実右之趣
　　　御座候故半減之受忌服申候依之今二日ゟ同
　　　十一日迄日数十日之内忌中ニ罷在候右之趣御用番江
　　　御届仕候就夫万一増上寺近所出火之節御普
　　　請所江私罷出候儀ハ差控家来差出可申候哉

　　　宜御指図被成可被下候以上
　　　　　三月三日　　　　　　　　松平伊予守
　　　　　　但右被指出候処御尤候間御家来斗被指出候様
　　　　　　　返答有之
一三月十二日御忌明ニ付増上寺御普請場江為御見分
　御出被成
一三月十三日御条目被　仰出候ニ付為御歓御老中　御廻勤
　　但去十一日御条目被　仰出候節御忌中ニ而　御登　城無之
　　　ニ付昨十二日御老中戸田山城守殿迄御伺之上　御勤被成

一同日本多大蔵《割書：長
教》江養父孫太郎跡知無相違被下置府中
　其儘御預
一三月十四日増上寺　御仏殿江　御参詣夫ゟ御普請場江
　為御見分　御出被成
一同日今度被　仰出候御条目之写御老中戸田山城守《割書：忠
真》殿ゟ
　松平加賀守《割書：綱
紀》殿留守居江御渡ニ付順達ニ而相廻
　　　御条目写
　　　　　武家諸法度
　　一文武忠孝を励し可正礼義事

　　一参勤交替之儀毎歳可守所定之時節従者之
　　　員数不可及繁多事
　　一人馬兵具等分限に応し可相嗜事
　　一新規之城郭構営堅禁止之居城之隍塁
　　　石壁等敗壊之時者達奉行所可受差図也櫓
　　　屏門以下者如先規可修補事
　　一企新規結徒党成誓約并私之関所新法之
　　　津留制禁事
　　一江戸并何国にても不慮之儀有之といふとも

　　　猥不可懸集在国之輩者其所を守り下知を
　　　可相待也何所にて雖行刑罸役者之外不可
　　　出向可任検使之左右事
　　一喧嘩口論可加謹慎私之諍論制禁之若無
　　　拠子細有之者達奉行所可受其旨不依何事
　　　令荷荷担者其咎本人よりおもかるへし并本主
　　　之障有之もの不可相抱事
　　　　付
　　　　　頭有之輩之百姓訴論者其支配江令
　　　　　談合可済之有滞儀者評定所江差出之

　　　可受捌事
　　一国主城主壱万石以上近習并諸奉行諸物頭
　　　私不可結婚姻捴而公家と於結縁辺者達奉行
　　　所可受差図事
　　一音信贈答嫁娶之規式或饗応或家宅営作等
　　　其外万事可用倹約捴而無益之道具をこの
　　　ミ不可致私之奢事
　　一衣裳之品不可混乱白綾公卿以上白小袖諸大夫
　　　以上免之事

　　　　付
　　　　　徒若党之衣類者羽二重絹紬布木綿弓
　　　　　鉄炮之者者紬布木綿其以下ニ至りてハ
　　　　　万に布木綿可用事
　　一乗輿者一門之歴々国主城主壱万石以上并国大
　　　名之息城主及侍従以上之嫡子或年五十以上
　　　許之儒医諸出家者格外事
　　一養子ハ同姓相応之者を撰ひ若無之におゐてハ
　　　由緒を正し存生之内可致言上五十以上十七歳
　　　以下之輩及末期雖致養子吟味之上可立之

　　　縦雖実子筋目違たる儀不可立事
　　　　付
　　　　　殉死之儀弥令制禁事
　　一知行之所務清廉沙汰之国郡不可令衰弊道路
　　　駅馬橋舟等無断絶可令往還事
　　　　付
　　　　　荷船之外於御船ハ如先規停止事
　　一諸国散在之寺社領従古至于今所付来者不
　　　可取放之勿論新地之寺社建立弥令停止之
　　　若無拠子細有之者達奉行所可受差図事
　　一万事応江戸之法度於国々所々可遵行事

　　右条々堅可相守之当家代々潤色之故無所改正
　　仍用天和法制者也
　　　享保二年三月十一日
　　　　但右ニ付為御届山城守殿江御使者被指出之

一同日御老中久世大和守《割書：重
之》殿ゟ御呼出御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》
　罷出候処左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守
　　　来ル十九日朝四時

　　　有章院様 御仏殿上棟有之候右之刻限以　　
　　　前直垂着用増上寺可被相詰候
　　　　　三月十四日
一三月十五日来ル十九日増上寺
　有章院様御仏殿御上棟ニ付其節御普請場江被指置候
　御家来可被指出哉之旨御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》を以
　左之通御伺書被指出之
　　　　　口上之覚
　　　来ル十九日

　　　有章院様　御仏殿御上棟付御場所江申付
　　　置候家来共茂差出可申候哉先年
　　　文昭院様　御仏殿御上棟之節御手伝之家
　　　来熨斗目半上下着用仕廻廊ニ相詰候由承之
　　　候間奉伺候以上
　　　　　三月十五日　　　　　松平伊予守
　右被指出候処左之通御返答有之
　　　御書付之趣致承知候御用相勤候御家来共
　　　装束先例之通ニ而廻廊江相詰候様可被仰付由

一三月十六日大橋御普請当正月ゟ取懸出来之処来十九日
　吉日ニ付先年之通駒屋善五郎荒木長右衛門両人共妻子
　召連致渡初候様可申渡旨町奉行海福猪兵衛《割書：■
好》江御家老
　申渡之
一三月十八日増上寺御普請場江為御見分　御出被成
一三月十九日《割書：六時
前》
　有章院様御霊屋御上棟ニ付増上寺江　御出本坊ニ而
　御装束御直《割書：御直
垂》御仏殿江　御詰御規式首尾能相済《割書：四
時》
　再本坊江　御出御装束御直《割書：御熨斗目
御長上下》御上棟首尾能相済候
　
　為御届増上寺方丈御勤夫ゟ御老中　御廻勤
一同日右同断相済候ニ付御普請場ニ被指置候御人数御引
　取被成候ニ付為御届御用掛り御老中久世大和守《割書：重
之》殿江
　御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》被指出之其外御役人中江
　茂御使者被指出之
一三月廿日御普請御成就御上棟首尾能相済候ニ付京都
　所司代水野和泉守《割書：忠
之》殿江御書被遣之
一三月廿五日御老中久世大和守《割書：重
之》殿江御逢対　御勤
一三月廿六日御用番阿部豊後守《割書：正
喬》殿江御逢対　御勤

一四月朔日巡見使鳥井権之助　殿天野伝兵衛　殿近々御国江
　被相越候ニ付若狭国三方村御泊迄御使者御先物頭柘植伊太夫《割書：景
林》
　被指遣之
一四月三日地震ニ付　御機嫌為御伺御用番久世大和守《割書：重
之》殿江
　御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》被指出之
一四月十日御老中阿部豊後守《割書：正
喬》殿ゟ御呼出御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》
　罷出候処本多大蔵《割書：長
教》献上物之儀ニ付去月廿九日被指出候御書付江
　御付札并御書取を以左之通御指図有之
　　　　　覚
　　　私家来本多孫太郎家督忰大蔵江申付候
　　　依之前々之通献上物等差上申様ニ仕度奉存候
　　　此等之趣宜御指図奉願候以上
　　　　　三月廿九日　　　　　松平伊予守
　　　　　〆

　　　　　覚
　　　　　　　　　　　松平伊予守家来
　　　　　　　　　　　　　　　本多大蔵
　　　右為継目之御礼先規之通御太刀銀馬代

　　　奉書紙弐十束指上申候様奉願候宜御指図
　　　奉願候以上
　　　　　三月廿九日　　　　　松平伊予守

　　　　　御付札
　　　　　　右之通差上候様ニ可被致候
　　　　　　　〆

　　　　　年中献上物覚
　　　　　　　　　松平伊予守家来
　　　　　　　　　　　　　　　本多大蔵

　　一蒸鰈　　　　　一箱五十枚
　　　右為年頭之御祝儀献上仕候
　　一小紋鳥子紙　　一箱五百枚
　　　右為端午之御祝儀献上仕候
　　一豊原素麪　　　一箱五百把
　　　刺鯖　　　　　一箱弐十刺
　　　右為七夕之御祝儀献上仕候
　　一判大奉書紙　　二箱十束
　　　右為重陽之御祝儀献上仕候

　　一判間奉書紙　　　二箱十束
　　　右為歳暮之御祝儀献上仕候
　　　　以上
　　　　　御付札
　　　　　　年中献上物右之通差上候様ニ可被致候
　　　　　　〆
　　　　　　　　　　　　　御書付
　　　　　　　　　　　　　　　本多孫太郎遺物
　　　　　御刀《割書：延寿国吉
代金拾枚》
　　　右如先格為遺物差上候様可被致候

一同日右同断ニ付為御礼御用番阿部豊後守《割書：正
喬》殿江御使者
　御使番被指出之
一四月十一日巡見使福井江御越ニ付三橋口迄為御出迎御家老
　酒井玄蕃《割書：知
房》本多修理《割書：恒
久》稲葉采女《割書：正
方》罷出其節御馳走付
　御目付井上半大夫《割書：恒
■》御先物頭柘植伊大夫《割書：景
林》御取合巡見使御逢
　有之
一同日右同断福井御泊ニ付鳥井権之助　殿《割書：宿慶松
五右衛門》江御使者
　寄合皆川多左衛門《割書：勝房》《割書：町奉行海福
猪兵衛同道》小菅伊右衛門　殿《割書：宿天下屋
庄右衛門》江松原
　右衛門《割書：嘉隆
》《割書：御先物頭柘植
伊大夫同道》被指遣之其節鯉二喉宛被遣候得共御受納無之

一四月十二日巡見使福井出立ニ付加賀口御門内迄為御見送
　御家老酒井玄蕃《割書：知
房》本多修理《割書：恒
久》稲葉采女《割書：正
方》罷出
一四月十四日巡見使昨夜棗郷止宿之処雨天ニ付逗留ニ相成
一四月十六日《割書：夜四
時》下寺町油屋喜右衛門と申者之地名子ゟ出火
　南風強西山町迄焼失類焼家数百拾軒
一四月十九日御老中久世大和守《割書：重
之》殿江御逢対　御勤
一四月廿日巡見使金津御泊ゟ加州江御越ニ付為御馳走被為
　付候御役人共為御見送罷出御医師共者御国境迄見
　送罷帰

一四月廿一日御用番井上河内守《割書：正
岑》殿江本多孫太郎《割書：長
員》遺物并
　大蔵《割書：長
教》為継目之御礼左之通献上之御書付御使者御留
　守居大関新五左衛門《割書：直
看》を以被指出之
　　　　　　　　　　　松平伊予守家来
　　　　　　　　　　　　　　　　本多孫太郎遺物
　　　御刀《割書：延寿国吉
代金拾枚》
　　　　　覚
　　　　　　　　　　　松平伊予守家来
　　　　　　　　　　　　　　　　本多大蔵

　　　右為継目之御礼先規之通御太刀銀馬代
　　　奉書紙二十束以使者差上申候以上
　　　　　四月廿一日　　　　　松平伊予守
一四月廿五日
　有章院様御一周忌御法事ニ付
　公方様　御機嫌為御伺御用番井上河内守《割書：正
岑》殿江　御勤
一同日右同断ニ付　御機嫌為御伺御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》
　を以御檜重一組被献之《割書：去四日
御触達》

一同日今度
　有章院様御仏殿御普請御手伝被　仰出候ニ付町在江
　御用金被　仰出候処無滞致上納御普請も御成就ニ相成
　御機嫌ニ被　思召候ニ付其段頭立候者江可申渡旨被　仰出依之
　評定所江町奉行金津奉行郡奉行支配下之者召連罷
　出其節右之趣月番御家老稲葉采女《割書：正
方》申渡之
一四月廿九日
　有章院様御一周忌御法事ニ付
　公方様増上寺江　御参詣依之　御予参《割書：御束
帯》　御勤《割書：去廿五日
御触達》

一同日右同断ニ付於運正寺御茶湯御執行有之
一五月朔日右同断ニ付御使者御番頭高田小左衛門《割書：一章
》《割書：熨斗目
長袴》
　を以増上寺本堂江　御香奠銀十枚被献之《割書：去月二日
御触達》
一同日御法事済ニ付御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》を以御精
　進揚之御肴《割書：鯛
五》一折被献之《割書：去月廿四日
御書付御渡》
一同日　御登　城《割書：昨晦日御用番井上河内守殿ゟ
御老中連名之御切紙来》被成候処今度御普請
　御手伝之儀ニ付段々　御懇之　上意有之其上御腰物
　《割書：左弘安御刀
代金廿五枚》御拝領被成御退出右為御礼御老中　御廻勤
　若年寄中江御使者御物頭御側衆江御使者御使番被指出之

一同日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
一五月二日今度御腰物御拝領ニ付本多大蔵《割書：長
教》初御家老
　御城代江　御書被成
一五月三日
　公方様御服明ニ付紅葉山江　御参詣依之御予参《割書：御束
帯》
　御勤《割書：去月廿九日
御触達》
一五月四日右同断　御参詣相済候為御歓惣出仕ニ付
　御登　城《割書：昨三日大目付中
御触達》
一同日為端午御祝儀御使者を以例之通　御帷子御単

　被献之
一同日大目付中ゟ鉄炮御改之儀ニ付左之通御廻状来
　　　　　覚
　　一鉄炮改之儀向後関八州者貞享四年に被　仰出候
　　　趣ニ相心得鉄炮改役江相伺可受差図候事
　　　　但猪鹿狼多く出田畑をあらし候節ハ不及相伺
　　　　　御料私領寺社領共ニ月切日切を極玉込鉄炮
　　　　　にてうたせ其段早速鉄炮改役江可相届候打
　　　　　仕廻候ハヽ鉄炮取上て是又其趣改役江可相届
　　　
　　　　　候事
　　一江戸より十里四方ハ猟師たりといふ共一切ニ
　　　鉄炮取上可申事
　　　　但猪鹿狼多く出田畑をあらし人馬江懸り
　　　　　百姓及難儀候節ハ鉄炮改役江相伺可受差図
　　　　　候事
　　一関八州之外之国々ハ鉄炮改役江例年証文等
　　　差出候事以来不及其儀候尤猥ニ無之様ニ御料
　　　私領寺社領共急度可申付候事

　　　右之趣可被得其意候以上
　　　　　享保二酉年五月

一五月十二日《割書：五時
前》　上使御老中井上河内守《割書：正
岑》殿を以御国許江之
　御暇被　仰出例之通白銀御袷御拝領
一同日右同断ニ付為御礼御老中井上河内守《割書：正
岑》殿江
　御勤夫ゟ　御登　城御暇之御礼被　仰上例之通御馬并
　御腰物《割書：備前国守家
代金五十枚》御拝領畢而被　召連候御家来狛
　伊勢《割書：澄
孝》　御目見被　仰付退座御時服拝領被　仰付相済

　為御礼御老中若年寄中　御廻勤
　　但右御腰物者　公儀御代替後初而ニ付御拝領
一五月十三日御老中戸田山城守《割書：忠
真》殿井上河内守《割書：正
岑》殿阿部
　豊後守《割書：正
喬》殿久世大和守《割書：重
之》殿江　御出御逢被成
一五月十五日御拝領之御馬《割書：栗毛
五歳》御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿ゟ
　使者ニ而為牽来
一同日《割書：六
時》今度増上寺御普請御用掛之御家来御呼出ニ付
　《割書：昨十四日久世大和守殿ゟ御留守居
御呼出ニ而御書付を以被申渡》先達而名前被指出候御役人　御城江罷出
　候処御老中久世大和守《割書：重
之》殿出座御褒美被下置旨被　仰渡

　左之通拝領被　仰付
　　　　　《割書：銀五十枚
時服五羽織》　　　　　　　　惣奉行　狛　伊勢
　　　　　《割書：銀五十枚
時服四羽織》　　　　　　　　副奉行　林　八左衛門
　　　　　《割書：銀弐十枚
時服三羽織》　　　　　　　　用人　　笹治兵庫
　　　　　同断　　　　　　　　　　番頭　　高田小左衛門
　　　　　同断　　　　　　　　　　同　　　多賀谷靱負
　
　　　　　同断　　　　　　　　　　元〆　　大関新五左衛門
　　　　　同断　　　　　　　　　　同　　　小川与右衛門
　　　　　《割書：銀拾枚
時服二羽織》　　　　　　　　目付　　大野三左衛門
　　　　　同断　　　　　　　　　　同　　　大宮彦右衛門
　　　　　同断　　　　　　　　　　普請方　津田源之丞
　　　　　同断　　　　　　　　　　同　　　簗田太郎大夫

　　　　　同断　　　　　留守居　宮北長左衛門
　　　　　同断　　　　　同　　　荒川助右衛門
　　　右相済伊勢初為御礼御老中若年寄中江廻勤

一同日右同断ニ付為御礼御老中　御廻勤
一同日右同断御普請御手伝相済候ニ付於　御座間狛伊勢《割書：澄
孝》江
　御刀《割書：三原代
金六枚》林八右衛門《割書：正
容》江御脇指《割書：経家代
金二枚》被下之
　　但右御用相勤候者江末々迄被下物有之候得共不記之

一五月十六日近々御発駕ニ付御仮養子之御書付御用番
　戸田山城守《割書：忠
真》殿江御持参被成
一五月十七日明後十九日御発駕ニ付為御案内御老中　御廻勤
一五月十八日御家老酒井玄蕃《割書：知
房》乗物御免之儀ニ付御用番
　戸田山城守《割書：忠
真》殿江御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》を以御願
　書被指出之
一五月十九日《割書：五
時》江戸御発駕中山道通御旅行
一五月廿五日御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　十郎左衛門《割書：定
由》罷出候処去十八日被指出候御家老酒井玄蕃《割書：知
房》
　　

　駕乗御免御願之儀ニ付左之通御書付被相渡之
　　　　　乗物願　　　酒井玄蕃
　　　御目付平岡市右衛門方ニ而
　　　誓詞判元見候様申達置候
一五月廿九日御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿ゟ本多大蔵《割書：長
教》留守居
　之者御呼出ニ付罷出候処明朔日大蔵継目之御礼献上物并
　孫太郎遺物指上候様用人を以被申聞之
一六月朔日《割書：九半
時》　御着　城
一同日本多大蔵《割書：長
教》ゟ家老本多久左衛門《割書：留守居間真柄
十郎左衛門同道》を以御太刀馬代《割書：銀三
枚》

　奉書紙二十束并孫太郎遺物御刀《割書：延寿国吉
代金十枚》献上之御礼後
　於檜之間御奏者番松平備前守《割書：正
久》殿出座首尾能献上可
　被遂披露旨御申聞有之
一六月二日　御帰国ニ付為御礼有賀小右衛門《割書：政
庸》江戸表江被指
　出之例之通奉書紙并昆布干鯛御樽被献之小右衛門今日
　福井出立
一同日本多大蔵《割書：長
教》家老本多久左衛門留守居同道御用番戸田
　山城守《割書：忠
真》殿江罷出候処《割書：昨晩山城守殿用人ゟ
留守居迄手紙来》今度献上物ニ付而之御奉書
　左之通用人を以被相渡之

　　　書状令披見候継目付而以使者御太刀一腰
　　　御馬一疋并奉書紙二十束且孫太郎遺物
　　　延寿国吉之御腰物献上之候御序有之而
　　　遂披露候両通紙面之趣各一覧之事候不
　　　具謹言
　　　　六月朔日　　　　　戸　山城守
　　　　　　　　　　　　　　　　忠真書判
　　　　　本多大蔵殿

一六月四日本多大蔵《割書：長
教》継目之御礼相済候ニ付御礼勤之儀
　御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿迄御留守居ゟ相伺候処御飛札被
　指出候様御指図有之
一六月五日於川端御茶屋相撲　御覧御家老初毎々拝
　見被　仰付面々罷出
一六月十二日暑中ニ付　御機嫌為御伺御使者下山半左衛門《割書：尚
恭》
　江戸表江被指出之串海鼠一箱被献之半左衛門今日福井出立
一六月十三日御帰国御礼御使者有賀小右衛門《割書：政
庸》江戸着《割書：留守居大関
新五左衛門同道》
　御用番井上河内守《割書：正
岑》殿江御書指出之

一六月十六日御目付平岡市右衛門　殿江御家老酒井玄蕃《割書：知
房》
　罷出痛所有之馬上斗難相勤旨之誓紙持参致血判
　指出之其節御目付中江御頼之御書《割書：去四日
日付》指出之相済於
　取次所持参之銀馬代取次迄相渡之
一同日本多大蔵《割書：長
教》継目ニ付先達而使者を以献上物首尾能指
　上候ニ付為御礼江戸表江御書被指出之
一六月廿一日組之者於預ケ之面々江左之通御書付を以被　仰出
　　　面々組之者召抱候節可致吟味儀ニハ候へ共御
　　　用ニ難立者も相見候間此以後猶以念を入遂吟味
　　　
　　　不調法不宜体之者不召置様ニ可仕候以上
　　　　　六月廿一日
一六月廿二日御家老之嫡子元服名替等之御礼之節
　御家老着座有之候得共年始御礼之節着座無之儀ニ付
　右御礼之節も及其儀間敷哉之旨相伺候処以来年始御礼
　之節も御家老着座可致旨被　仰出
一六月廿三日暑中ニ付御書を以例之通御国産素麪
　干鯛被献之
一六月廿四日暑中　御機嫌為御伺御使者下山半左衛門《割書：尚
恭》

　昨廿三日江戸着今日御用番井上河内守《割書：正
岑》殿江罷出御書
　指出之
　　但半左衛門翌廿五日　御城江罷出御献上物相納之
一同日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書於　御城御渡
　有之御家来拝領物等如例
一六月廿六日芦田右衛門《割書：賢
詮》御家老職被　仰付
一六月廿七日御用番井上河内守《割書：正
岑》殿ゟ御留守居迄左之通御切
　紙来
　　　　　　　　　　　　　松平伊予守使者
　　　　　　　　　　　　　　　有賀小右衛門
　
　　　右明廿八日　御目見被　仰付候間五時
　　　御城江可差出候且又自分之御礼茂
　　　可申上候条可存其趣候以上
　　　　　六月廿七日　　　　　井　河内
　　　　　　　　　　　　松平伊予守殿
　　　　　　　　　　　　　　　留守居
　　右為御請小右衛門儀御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》同道
　　河内守殿江罷出
一六月廿八日右同断ニ付御帰国御礼御使者有賀小右衛門《割書：政
庸》　　
　

　御城江罷出《割書：御留守居大関
新五左衛門同道》御献上物相納小右衛門　御目見被　仰付
　再罷出自分之御礼被　仰付御太刀銀馬代献上相済為
　御礼御老中若年寄中江廻勤
一七月三日右同断御使者有賀小右衛門《割書：政
庸》　御城江罷出候処
　《割書：昨二日御用番ゟ
御留守居迄御切紙来》於檜之間御用番井上河内守《割書：正
岑》殿御返書御渡
　有之其節小右衛門江御時服三拝領被　仰付
一七月六日御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金
　被献之
一八月朔日為御祝儀御使者を以例之通御太刀馬代

　被献之
一八月三日今度御判物御頂戴之節　御名代之儀主税頭《割書：知
清》様江
　御頼ニ相成候ニ付御老中阿部豊後守《割書：正
喬》殿江御使者御留
　守居大関新五左衛門《割書：直
看》を以御届有之
一八月十二日於運正寺去十日晩ゟ今朝迄《割書：二夜
三日》
　探源院様七回御忌御法事御取越執行有之於天徳寺も
　御茶湯御執行有之
一八月十三日今度御判物御頂戴之節名代之儀ニ付御懸り
　御奏者番石川近江守《割書：総
茂》殿江御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》左之通

　書付持参指出之《割書：去十日
御指図》
　　　御判物被為頂戴候節
　　　松平伊予守名代
　　　　　　　　　松平主税頭
　　　　　　　代　向井将監
　　　右之通御座候以上
　　　　　八月十三日　　松平伊予守家来
　　　　　　　　　　　　　　宮北十郎左衛門

一八月廿一日瑞源寺御普請出来ニ付
　探源院様御位牌花蔵寺ゟ今日御遷座有之
一八月廿三日今度御判物御頂戴之節御名代主税頭《割書：知
清》様江
　御頼之趣先達而石川近江守《割書：総
茂》殿江被指出候処是迄御朱印
　御頂戴之御方者御名代不相成候得共此度者先規ニ不
　拘御頂戴之御方ニ而も御名代御勤御構無之段去廿日
　被　仰出候ニ付中務大輔《割書：昌
平》様江御頼替ニ相成候ニ付近江守殿江
　新五左衛門左之通書付持参指出之
　　　御判物被為頂戴候節

　　　

　　　　　　　松平伊予守名代
　　　　　　　　　　　　松平中務大輔
　　　　　右之通御座候以上
　　　　　　　　　　　松平伊予守家来
　　　　　　　　　　　　　　大関新五左衛門
　　　　但去廿日被　仰出之趣ニ付近江守殿用人ゟ申来
　　　　　新五左衛門罷出候処御指図ニ而者無之候得共御頼替
　　　　　之方可然旨申聞其節中務大輔様ニ相成候得者
　　　　　御代ニ不及由申聞候ニ付右之通相成右之趣

　　　　　御老中阿部豊後守殿江も御達有之候処御承
　　　　　知之旨被申聞之
一八月廿九日
　有章院様御仏殿御普請御手伝被　仰付候ニ付昨年
　来御家中御借米被　仰出候得共御普請も御成就ニ付
　当年ゟ左之通御用捨可被成旨被　仰出
　　　　　覚
　　一地方ニ而被下六百石以上五歩通上納之事
　　一御代官付并明里御蔵出之面々五百五拾石ゟ

　

　　　百石迄三歩五厘通上納之事
　　一役料共ニ弐百七拾五石弐百五拾石被下面々馬所持
　　　仕候ニ付本知之分弐歩五厘通上納之事
　　一御合力米被下面々知行高ニ積三歩五厘通
　　　上納之事
　　一御扶持方弐百人扶持被下候分知行高ニ積
　　　五歩通上納之事
　　一御扶持方百人扶持ゟ弐拾五人扶持迄被下候
　　　面々知行高ニ積三歩五厘通上納之事

　　一役料知被下面々馬役料之分上納免之事
　　一本知三百五拾石ゟ三百石迄被下候面々百石之分役
　　　料同事上納御免之事
　　一御合力米取知行高ニ積三百五拾石ゟ三百石迄ニ
　　　相当候者内百石者役料同事御免之事
　　一知行百石ニ不満分并御扶持方弐拾人扶持ゟ
　　　以下其外御切米取之分上納御免之事
　　一当年御供帰并御手伝御普請御用相勤
　　　当春ニ至罷帰候面々馬持之分上納高ゟ半分

　　　御免其外馬不持分三ケ一御免之事
　　　　　酉八月
一九月三日津田伝七《割書：宗
則》津田三六　鉄炮百打　御覧被成候処
　三六儀百中致候ニ付為御褒美御袷御上下伝七儀者百之
　内九十八中候ニ付御袷壱被下之
一同日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
一九月六日於川端御茶屋他国相撲　御覧被成御家老ゟ
　諸物頭御使番迄拝見被　仰付
一九月十二日御判物御頂戴ニ付為御名代中務大輔《割書：昌
平》様御登

　城被成候処　御黒書院江
　公方様出　御松平加賀守《割書：綱
紀》殿松平薩摩守《割書：吉
真》殿松平肥後守《割書：正
容》殿
　松平下総守《割書：忠
雅》殿御名代之御次江御列座被成御奏者番三浦
　壱岐守《割書：明
敬》殿御披露ニ而御敷居内壱畳目ニ而御一統御礼
　被　仰上　上意有之畢而御老中阿部豊後守《割書：正
喬》殿御判
　物御順ニ御渡有之御頂戴相済御退出掛為御礼御老中
　若年寄中江御廻勤夫ゟ此御屋形江御越御判物御拝見
　御家老初御役人江拝見被　仰付候上御家老酒井玄蕃《割書：知
房》江
　御渡被成

　　但右ニ付御留守居大関新五左衛門　御城江罷出居中務大輔様
　　　御頂戴之上御持出御箱江御入被成候節新五左衛門　受取
　　　之中ノ口ニ而守護之御物頭江相渡之
一同日於瑞源寺去十日晩ゟ今朝迄《割書：二夜
三日》
　探源院様七回御忌御法事御執行有之於谷中南泉寺も
　十一日晩ゟ今朝迄御執行有之
一九月十三日例年御献上之初鱈出来不申候ニ付御献上
　不被成段為御届御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿江御使者御留守
　居宮北十郎左衛門《割書：定
由》被指出之

一九月十六日今度御頂戴之御判物御国表江指上之道
　中守護山中久兵衛　林又左衛門《割書：長
良》今日常盤橋御屋敷
　出立
一同日御朱印御用掛り石川近江守《割書：総
茂》殿ゟ申来御留守居
　宮北十郎左衛門《割書：定
由》罷出候処御領知目録出候間郷村帳近日被
　指出候様用人を以被申聞之
一九月十九日上野介《割書：近
栄》様御卒去
一九月廿二日御献上之御鷹犬御徒《割書：平尾
与一右衛門》其外御犬牽共指
　添江戸表江被指立之今日福井出立

　　但右御犬之儀去ル十五日御目付稲葉多宮殿御留守居江
　　　御内意御申聞有之
一九月廿八日山中久兵衛　林又左衛門《割書：長
良》御判物守護今日着
　ニ付於　御本丸御頂戴被成
一同日右同断ニ付為御礼江戸表江御使者笹治尚膳《割書：正
方》被指
　出之
一同日常盤橋御屋敷御奥向御普請出来ニ付　梅姫様今日
　《割書：四半
時》霊厳嶋御屋敷ゟ御移徒有之
一十月五日先達而御奏者番石川近江守《割書：総
茂》殿ニ而指図有之候
　
　郷村帳御奏者番朽木民部少輔《割書：植
元》殿江御留守居宮北
　十郎左衛門《割書：定
由》持参指出之
一十月九日水野和泉守《割書：忠
之》殿加判之列被　仰出候為御歓江戸
　表江御書被指出之
一同日大目付松平石見守　殿江御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》罷出
　候処《割書：去七日
御触達》左之通御書付一通被相渡之
　　　　　覚
　　一百姓地に近年抱屋敷数多有之候御鷹場
　　　之障にも罷成其上猥に抱屋敷所持候者

　　　無益之事にも候条右之趣を以抱屋敷構之
　　　囲取払可申候勿論向後新規之抱屋敷弥
　　　停止なるへき事
　　一居所無之面々者不及申指当致住居候歟或
　　　拝領之屋敷江取続ケ候抱屋敷又者親類家人
　　　不差置候ハ可難成子細候ハヽ其わけ委細相
　　　達指図を受囲可指置事
　　一年貢地にても町中或屋敷続に有之抱
　　　屋敷之囲ハ伺之上其儘指置不苦事

　　一右品々之外ハ抱屋敷之分囲取払候儀来戌
　　　二月を限家之儀ハ勝手次第連々に取払可
　　　申事
　　　　但竹木しけり候所ハ差図を受切払可申事
　　一居屋敷斗にて外ニ屋敷所持無之輩之抱
　　　屋敷も囲ハ取払家差置候儀勝手次第た
　　　るへく候若居宅類焼之刻抱之家に致住居候
　　　内者家之廻り当座之囲ハ不苦候不致住居候
　　　節囲指置候儀者不罷成候事

　　　　但下屋敷可被下格にていまた下屋敷無之
　　　　　面々ハ願次第相応に下屋敷可被下候間抱
　　　　　屋敷者取払可申事
　　一陪臣浪人町人ハ抱屋敷不罷成候然共陪臣者
　　　主人浪人町人ハ所々支配より相願格別の
　　　わけ相立候ハヽ吟味之上指図可有之事
　　一囲取払候共作物等いたさせ地斗抱置候分ハ
　　　勝手次第たるへく候耕作人差置候百姓並
　　　之家ハ取払候に不及候事

　　一寺社百姓等之抱屋敷も可為同前候事
　　右抱屋敷之儀横田備中守嶋田佐渡守佐々木五郎右衛門
　　山岡助右衛門方ゟ可致指図候囲取払候節ハ度々に屋敷
　　改江可被相達候以上
　　　　酉十月
一十月十一日御判物御頂戴之御礼御使者笹治尚膳《割書：正
方》江戸
　着御用番井上河内守《割書：正
岑》殿江罷出《割書：御留守居宮北
十郎左衛門同道》御書指出之
一十月十三日御用番井上河内守《割書：正
岑》殿ゟ御呼出ニ付御留守居
　罷出候処御献上之御鷹之犬若年寄大久保佐渡守《割書：常
春》殿迄

　指出候様被申聞之
一十月十五日御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》を以御鷹之
　犬二匹被献之今朝若年寄大久保佐渡守《割書：常
春》殿江罷出左之
　通御目録添指上之佐渡守殿玄関江御鷹方戸田五介　殿
　小栗長右衛門　殿支配之者罷出受取之其後佐渡守殿
　新五左衛門江御返答被仰聞退出指添罷越候御徒《割書：平尾
与一右衛門》并御犬
　引共ハ御指図ニ付夫ゟ浜御殿江罷越相納之
　　　　　進上
　　　　　　放仕込
　　　　　　　　御鷹犬《割書：白
薄白》　　二匹

　　　　　　　　　以上
　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守

一十月十六日御判物御頂戴之御礼御使者笹治尚膳《割書：正方
》《割書：御留守
居大関》
　《割書：新五左衛門
同道》　御城江罷出候処《割書：昨十五日御用番ゟ
御留守居迄御切紙来》於檜之間御用番井上
　河内守《割書：正
岑》殿出座御返書御渡有之其節尚膳江御時服三拝
　領被　仰付旨被申渡之御品者御奏者番松平備前守《割書：正
久》殿
　被相渡之右ニ付為御礼御老中若年寄中江廻勤
一十月廿一日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於

　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一十月廿六日御判物御頂戴御礼御使者笹治尚膳《割書：正
方》御時服
　拝領被　仰付候為御礼江戸表江御書被指出之
一十月廿九日御判物御用掛り朽木民部少輔《割書：植
元》殿江御留守居
　宮北十郎左衛門《割書：定
由》罷出候処御領知目録御渡有之《割書：昨廿八日御留守居
迄御切紙来》
一十月晦日大目付中ゟ左之通御廻状来
　　　　　覚
　　　居屋敷斗にて外ニ屋敷所持無之輩之抱
　　　屋敷も囲ハ取払家差置候儀勝手次第たる
　
　　　へく候若居宅類焼之刻抱之家に致住居候
　　　内者家之廻り当座之囲ハ不苦候不致住居候節
　　　囲指置候儀ハ不罷成候旨最前被　仰出候得共常々
　　　囲無之候而者難儀可仕候其上囲之広狭も火事
　　　之砌俄にハ極かたく可有之候間此節より家
　　　之廻り斗に随分せまく囲可致候尤家より如
　　　何程之廻り囲仕度段横田備中守殿嶋田佐渡守
　　　佐々木五郎右衛門山岡助右衛門迄相達指図次第可仕候
　　　以上

　　　　　酉十月
一十一月四日来戌年御参勤御時節為御伺御使者御使番
　山本右衛門八《割書：重
教》江戸表江被指出之今日福井出立
一十一月十一日御領知目録御徒飛脚《割書：川地
仲右衛門》ニ而到着ニ付御頂
　戴之為御礼江戸表江御書《割書：御日付
十三日》被指出之
一十一月十五日御参勤御時節御伺之御使者山本右衛門八《割書：重
教》江戸
　着御用番久世大和守《割書：重
之》殿江罷出《割書：御留守居大関
新五左衛門同道》御書指出之
一十一月十九日御用番久世大和守《割書：重
之》殿ゟ御呼出御使者山本
　右衛門八《割書：重
教》罷出候処来戌年八月中御参府可被成旨之

　御奉書御渡有之
一十一月廿一日当六月御触達有之候儀ニ付先達而御上屋敷
　之御書付被指出候処　公儀御役人も相増紙等好と有之候
　ニ付相延今日御上屋敷并砂村新田御抱屋敷之御書付
　左之通被指出之御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》持参嶋田佐渡守《割書：正
信》殿江
　指出之
　　　　　覚
　　　拝領　　　　　常盤橋之内
　　　一上屋敷　　　　九千六拾六坪六合
　　　

　　　右屋敷ニ致住宅候
　　右之外所持之屋敷者先達而書出候通相
　　違無御座候以上
　　　　享保二丁酉年九月　　　松平伊予守
　　　　　横田備中守殿
　　　　　嶋田佐渡守殿
　　　　　佐々木五郎右衛門殿
　　　　　山岡助右衛門殿
　　　　　　　　　　　　
　　　　　覚　　　　　　《割書：
　　本所砂村新田之内伊奈半左衛門殿御支配》
　　一抱屋敷　　無年貢地　　　弐万坪
　　右者水地ニ而囲家作無御座候以上
　　　　享保二丁酉年十一月　松平伊予守家来
　　　　　　　　　　　　　　　　酒井玄蕃

一十二月二日来年御参勤御時節御使者を以御伺被成候処
　昨年来御仏殿御普請御手伝御勤被成候ニ付御時節
　相延来年八月中御参府可被成旨被　仰出候為御礼江戸

　表江御書被指出之
一十二月四日寒中　御機嫌為御伺御使者原　平左衛門《割書：正
明》江
　戸表江被指出之御肴一種被献之平左衛門今日福井出立
一十二月五日来年始御祝儀之御使者斉藤民部《割書：定
武》江戸表江
　被指出之今日福井出立
一十二月十二日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：一
番》生鱈被献之
一同日増上寺
　有章院様御仏殿御御普請御手伝御勘定請帳出来ニ付
　御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》持参御勘定所江罷出《割書：小役人共
指添》相納之

一同日右同断ニ付為御届御老中久世大和守《割書：重
之》殿江御使者
　御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》被指出之
一十二月十六日御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿ゟ御呼出御留守居大関
　新五左衛門《割書：直
看》罷出候処増火消之儀ニ付左之通御書付を以
　被　仰渡
　　　　　覚
　　一増火消被　仰付候節火元江ハ不相越火先の方
　　　防の場所迄被出御目付御使番之内江相談之
　　　上何方成共防可被申候事

　　一何方成共防留候儀御奉公ニ候間増火消被
　　　仰付候共屋敷風下ニ候ハヽ其儘被致在宅防可　
　　　被申候火事場江被出候以後屋敷風下ニ成候ハヽ
　　　則帰宅可有之候事
　　　防場所なとの儀兼々御目付中江被聞合置
　　　可然候
一十二月十八日来年始之御使者斉藤民部《割書：定武
》《割書：去十六日
江戸着》今朝
　御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿江罷出《割書：御留守居大関
新五左衛門同道》御書指出之
一同日寒中　御機嫌御伺之御使者原　平左衛門《割書：正
明》　御城江

　罷出御献上物《割書：鯣
》相納之
一同日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：二
番》生鱈被献之
一同日大目付中ゟ左之通御廻状来
　　一為御鷹野　御成之節　還御以後諸大名より
　　　月番老中宅江以使者　御機嫌相伺候儀且又
　　　在国在邑之面々より茂飛札差越候事無用
　　　可仕候事
　　一御堀廻り之時茂同前ニ候事
　　一御門番之面々主人者裏付上下可致着用候

　　　家来者可為常之通事
　　一所々御門番之面々　還御以後為伺　御機嫌
　　　登城に不及尤月番老中宅迄使者差越候に
　　　も不及事
　　一大手桜田御門番斗　御留守中可相詰候御
　　　道筋之御門番者　御成之節致　御目見
　　　候ハヽ可致帰宅事
　　　　但大手桜田之外御道筋之御門番朝六時過之
　　　　　御供触にて候ハヽ主人可相詰それより早き

　　　　　御供触之節者相詰ニ不及　還御之節
　　　　　御目見可仕事
　　一御道筋ニ而無之御門番ハ相詰に不及手桶等
　　　ならへ置候にも不及事
　　一御道筋屋敷廻りに出し置候挑燈ハ無用ニ仕
　　　辻番斗に置可申候事
　　　　但門前にハ挑燈差置可申事
　　一御道筋ならへ手桶無用ニ仕辻番斗ニ少々
　　　差置可申候事

　　一御道筋掃除等無用に仕可為常之通候尤
　　　御道筋之外者猶以不及其儀事
　　一御道筋より注進之儀　御駕籠廻り候節一度
　　　可仕事
　　一御道筋町々商物置かんはんのれん等ニ至迄
　　　其儘差置可申候惣而何事も常之通可仕候事
　　一町々ハ行燈斗ニ而挑燈無用に可仕事
　　一町々芝居等之事　御道筋障り無之方ハ構
　　　無之様ニ可申付事

　　右之通可被相達候以上
一十二月廿一日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
一同日古切支丹類族塗師屋八兵衛娘病死ニ付右為御届
　切支丹奉行衆江御目付真杉所左衛門《割書：■
■》御証文持参指出之
　　　　　古切支丹之類族病死之覚
　　一越前国足羽郡福井城下古切支丹無清嫡男
　　　本人同前塗師屋八兵衛娘はる儀当酉九月十四日
　　　六十一歳ニ而病死則檀那寺右城下浄土真宗
　　　於玄照寺取置申候

　　　右之通類族致病死候間御断如此候以上
　　　　　享保二丁酉年十二月十三日　　　松平伊予守　御印　御書判
　　　　　　　横田備中守殿
　　　　　　　駒木根肥後守殿　充所振替一通宛


享保三年戊戌

一正月朔日於　御本丸年始御規式有之
一同日為年始御祝儀御使者斉藤民部《割書：定
武》を以例之通御太
　刀馬代被献之
一正月三日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃台
　御酒代被献之
一正月七日為若菜御祝儀御使者を以例之通御肴《割書：鯛
三》
　被献之

一正月十一日年始三ケ日之御規式相済候為御祝儀江戸
　表江御書被指出之御肴《割書：鯣
》一種被献之
一同日大目付中ゟ方角火消并増火消之面々火事場江召
　連候騎馬之者場所込合候ニ付向後火事場ゟ一二町程脇
　ニ而馬ゟ下り可申旨御廻状来
一正月廿九日嶋田佐渡守《割書：正
信》殿ゟ申来御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》
　罷出候処砂村新田御抱屋敷之儀ニ付左之通御書付を以
　被申聞
　　　　　覚《割書：折返裏ニ張紙ニ
松平伊予守殿砂村新田抱屋鋪》
　　一抱屋敷囲家作当二月迄ニ取払可申旨去年
　　　被　仰出候弥無遅滞取払早々屋敷改衆江
　　　相届其趣此方江も可被申聞候
　　　　但作人之百姓並之家者其儘可被差置候
　　一惣囲之薮者内見へすき候程ニ可被致候其
　　　外竹木者得差図切払可申候
　　　　　正月
一二月十一日御作事役所只今迄切手御門之内ニ有之
　候処鉄御門後以前之所江御返ニ相成候間可引移旨被

　仰出
　　但右鉄御門之内是迄　清照院様　豊姫様被為
　　　入候跡明候ニ付右之通被　仰出
一二月十二日於瑞源寺昨十一日晩ゟ今朝迄　松桂院様三十
　三回御忌御法事御執行有之於谷中南泉寺も右
　同様御執行有之
一二月廿一日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一二月廿三日御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿ゟ御呼出御留守居

　大関新五左衛門《割書：直
看》罷出候処左之通御書付被相渡之
　　　兼而参府之節人少に召連候様に被　仰出候通
　　　弥人少に可召連候火消等被　仰付候御用之た
　　　め与存家来余分召連差置候儀も可有之
　　　候得共向後者相減し有合候人数にて御用
　　　相勤候様ニ可被心得候其上道中召連候人数
　　　等茂大勢に候得者込合候間召連不申候而難
　　　叶者は追々に差下候様に可仕候以上
一二月廿六日御勘定所江御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》御台所

　頭落合七右衛門　同道罷出候処《割書：去ル廿四日御勘定組頭木村
四郎兵衛殿ゟ御留守居江切紙■》御普請御手
　伝御勘定帳御改首尾能相済御老中を初御役人中
　御印形相済御渡ニ付請取之
　　　　　覚
　　一金千六百七拾壱両三歩
　　一銀四千百九拾五貫六百八拾九匁四分
　　　此金六万九千九百弐拾八両銀九匁四分《割書：壱両
六拾匁かへ》
　　一米五千五百六石四斗六升六合
　　　此金壱万四千四百九拾両弐歩銀拾弐匁《割書：壱両
三斗八升かへ》

　　三口〆
　　　八万六千九拾両弐歩銀六匁四分也
　　　　右三口享保元申同二酉同三戌諸職人手前江
　　　　度々ニ請取
一二月廿七日右同断ニ付為御届御普請奉行大久保下野守《割書：忠
位》殿
　伊勢伊勢守《割書：貞
欶》殿江御使者大御番被指出之
一同日先達而被　仰出有之候火事之節防場之儀為問合
　御目付鈴木伊兵衛　殿江御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》罷出候処左之通
　御書付を以被申聞之

　　　　　出火之節防場書付
　　　本郷筋より出火之節防場
　　　　駿河台土手通稲荷宮地前侍屋敷
　　　　昌平橋之内松平対馬守屋敷神田橋之内
　　　　酒井左衛門佐屋敷
　　　本郷筋ゟ浜町迄之防場
　　　　筋違橋外明キ地前本多唐之助屋敷
　　　　柳原土手通小柳町白銀町土手通小伝馬町
　　　小石川筋ゟ出火之節防場

　　　　小石川御門之内松平讃岐守屋敷小川町
　　　　水野壱岐守屋敷脇きれと
　　　牛込筋より出火之節防場
　　　　牛込御門内御番所　田安御門外火消
　　　　屋敷前通り広道侍屋敷
　　　大久保筋より出火之節防場
　　　　市谷御門内土手通侍屋敷糀町通
　　　　紀伊国殿御屋敷
　　　四ツ谷筋より出火之節防場

　　　　赤坂喰違外紀伊国殿御屋敷
　　　　赤坂田町裏松平安芸守屋敷
　　　日本橋筋より出火之節防場
　　　　四日市広小路町屋茅場町牧野因幡守
　　　　屋敷八丁堀松平因幡守屋敷京橋川通り
　　　　金六町芝口御門外河岸通り芝口町
　　　　　　以上
一二月廿八日於　御城御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿御渡之
　御書付松平陸奥守《割書：宗
村》殿留守居ゟ左之通廻達有之

　　　前々ゟ万事可用倹約之旨被　仰出候殊ニ近
　　　年度々火災ニ付而家作軽く仕候得共屋敷数ケ
　　　所所持之面々ハ兼而減少之心得可有之候分
　　　限相応より広キ屋敷ハ御用之節指上候様ニ被
　　　仰付候とも勿論替地者被下間敷候以上
　　　　　戌二月
一同日　御居間御上棟御祝儀有之
一三月三日永平寺入院ニ付登　城十帖壱本指上之於韃靼
　之間　御逢有之

一三月十日異国船渡来之節取扱方之儀西国筋ニ而之
　取扱方兼而聞合置候様昨年御帰国御道中ニ而御家老
　酒井玄蕃《割書：知
房》江被　仰付置候儀ニ付於江戸表御留守居大関
　新五左衛門《割書：直
看》及問合候書付先達而相廻候ニ付今日於評定所
　金津奉行郡奉行御目付江月番御家老狛伊勢《割書：澄
孝》左之
　通書付一通宛相渡之
　　　　　覚
　　　異国船福井御領分浦たとへハ陸ゟ三里
　　　或ハ五里斗も向を通り北か南江罷越候時者

　　　たとへ異国船与相見申候共江戸表江之御注
　　　進ニ不及候尤左様之節者異国船通り候与申
　　　事浦々にても批判不仕候様ニ可被　仰付候事
　　一異国船若いかりをおろし罷在様子ニ相見
　　　候時ハ早速御領分浦続不残相触番船差出
　　　昼之内も浜辺江所之者浦続其所々江大勢罷
　　　出夜ニ入候時者陸ニ而かかり焼きひしく用心
　　　之体ニ見せ陸江上り不申候様ニ仕事専一ニ候由
　　　いかりをかけ申事ハ北国浦にてハ商物之た

　　　めにいかりをかけ申事ハ稀ニ可有御座由西国
　　　辺別而きひしく沖買不罷成候付異国船を
　　　したひ日本船参候様ニ申合か又ハ水薪抔の
　　　才覚のため滞留仕事可有御座哉若左様
　　　之時者水薪ハ勿論何にても所望之物差
　　　越候事堅御法度ニ候惣而異国船へ様子尋の
　　　為メ書通なと有之所去申年有之候以之
　　　外大切之事ニ而于今相済不申候由長崎奉行与
　　　取扱罷成末々共ニ殊之外六ケ敷事之由

　　一浦々一等ニ海辺ニ而かかり火焼候得者用心きひ
　　　しく相見候付近付不申かかり火無之所か
　　　又ハ人無之場所とくと考小舟ニ而寄せ山へ
　　　上り瀧なと有之所ニ而ハ水を汲又ハ薪ニ可
　　　成物をひろい取候由若左様之時者長崎表ゟ
　　　番船出し唐船をしたひ見送り遠見致し候故
　　　其趣見付申候得者長崎表ニ而相知申候若
　　　左様之時者不存与申事申分ケ立不申候法
　　　ニ而御座候由左様之時者尤昼夜共ニ海はた

　　　警固足軽又ハ番船廻り申付候事能候由何レ
　　　之道ニも上り不申候様ニきひしく仕候事第
　　　一之由
　　一御領分浦々異国船いかりを懸滞船之体相
　　　見候時江戸表御屋敷江御注進被成様異国船
　　　之注進在之時早速其所之郡代代官大目付
　　　三人程之名付ニ而見分之上福井表江注進有
　　　之筈候其状ニ御家老中添状被成爰許江被遣
　　　事候右注進之書状案文別紙ニ在之候

　　一右御注進之飛脚早追ニ而被遣事
　　一右御注進之跡ニ帰帆之体ニ御座候ハヽ唐船壱
　　　艘ニ送船二艘程拵御領分境迄見送り最早
　　　帆影も見不申候時一時斗も其さかひに罷在
　　　帰帆之趣早追ニ而御注進可被成事
　　　此御注進之書状文言別紙ニ有之事
　　一帰帆有之迄ハ相替儀無之未帰帆之体
　　　相見不申候由二日置或ハ三日置御注進被成事
　　一船数追々増候ハヽ其時々御注進被成事

　　一異国船いかり懸候節平地者警固仕能御座
　　　候由山有之所者用心仕にくゝ御座候由申候
　　　間其御心得可被成事
　　一番船浦続無断絶廻シ夜ハ番舟烑灯有又ハ
　　　烑灯無之船もましへ廻し候事能御座候由申候
　　一兵器を出シ候事ハ先ハ御当地より御下知を以
　　　御出被成事ニ候大筒石火矢等はなし候事ハ勿
　　　論玉なし鉄炮にても先ハ御見合被成事候此
　　　外之儀ハ如何様之事ニ而もきひしく相見候様ニ

　　　被成事専一ニ御座候事
　　一万一陸江上り候時其所ニ留置いか様之用事
　　　にて上り候何与申所ニ留置候帯剣仕者ニ御座
　　　候と歟又ハ帯剣不仕者ニ御座候とか様子相
　　　尋候処通シ不申候とか又通詞申候ハヽ其申
　　　口委御書付御家老中添御状被成被遣事候
　　　万一左様之節ハ御下知之上長崎奉行江御引
　　　渡被成事候殊之外六ケ敷御事尤四五年も懸り
　　　申様ニ申候随分上り不申候様仕事第一之由

　　　申候
　　一異国船江通路仕事堅御停止ニ御座候遠見
　　　仕事能御座候若遠く御座候得者見違有之
　　　事候其段ハくるしからす候由申候
　　一兵船之沙汰ニ御座候ハヽ御家老中も御見分
　　　尤御注進状別ニ被遣事
　　一異国船いかりおろし滞留之時者御隣国
　　　之浦々所之郡代より内通申遣事候
　　一番船ニハ一艘ニ先ハ物頭壱人ツヽ指添申候事

　　　之由是ハ舟之様子見届尤帰帆以後罷帰舟
　　　之儀御座候事
　　一異国船滞留之内海辺を廻り候番船見分
　　　仕儀第一廻り之内ニ船之様子見届ケ万一
　　　日本船跡ゟ罷越通路之体も相見候歟若左
　　　様之時ハ右之日本船押留申候ヘハ能候由
　　　申候然共此等之日本舟ハ盗人舟ニ而御座候
　　　ニ付兵器も所持仕候依之寄り候時其心得仕
　　　事肝要之由申候事

　　　　　享保三戊戌年二月
　　　　　　　秘　　
　　一異国船兵船与相見候時者別而江戸表江御注進
　　　早速被　仰遣御事兵船与はかり申来候而者
　　　兵船とハ何を以兵船与見申旨御尋之事ニ
　　　御座候間兵船与相見候様子を有増ニ先被
　　　仰越追々見届次第委細御注進有之事
　　一商船ニ而も大船ニ而候得者出所ニより異国船
　　　にハ大筒石火矢等仕懸有之物之由申候人家
　　　
　　　遠キ山中なとゝ見申候得者鉄炮を打候而試
　　　上り申事有之由其音を能々承候事肝
　　　要之由又異国ニ而少々取合も御座候得者悪
　　　風ニ出合日本江おとされ参懸り候事共も
　　　古来御座候由申候万一左様之船にて候得者
　　　陸江上り申訳を仕度与申候由夫共ニ首尾
　　　次第出合不申候而不叶儀者出来候得者私
　　　にて此方よりも出合承候事も御座候由兎
　　　角ニ陸江上ケ申事ハ悪敷御座候由申候事

　　一人家遠キ山中与見申候得者右之通鉄炮打候而
　　　試候由若左様之時者上り候者共対兵器罷在
　　　者ニ候左様之時者其乗候船兵器も候哉私具共ニ
　　　能々見届対日本候而之趣ニ候得者此方より鉄
　　　炮打候而も首尾次第不苦候由又様子ニゟ御下知
　　　次第にも被成候御事候其所を能々見計候事
　　　肝要之由
　　一兵船とも不見商船とも不見時者何船とも未
　　　相知不申候得共異国船とハ相見江候段御注進

　　　能候由尤船之仕立及見候通有増被仰越猶
　　　又追々御注進有之事
　　一兵船与慥ニ相見大勢乗鉄炮打取懸候様子ニ
　　　候得者此方よりも大鉄炮にて打ちらし候事
　　一兵船にても沖に有之分ニ而ハ　御下知御請被成
　　　事
　　一大筒ニ而万一打ちらし候時者先初ニハ百匁斗之
　　　鉄炮能御座候由一所にて数多打候事者悪敷
　　　御座候由所をかへ申候而うち申事能候由此等

　　　之趣西国筋定法之由申候事
　　一船見分ニ万一参候時者百匁斗之鉄炮仕懸小鉄
　　　炮も入其外熊手取縄等尤鎗さやはつし罷
　　　越候由一艘ニ大勢乗候事悪敷由尤大鉄炮者悪
　　　敷御座候由水主手代り召連候事肝要之由申候
　　一おとし鉄炮玉込ニ而打可申之旨　御下知之事
　　　有之由左様之時者船之左右江打見合申候由
　　一兵船陸江上り候心得ニ而段々近陸へより申候時者
　　　相図を定近辺之浦之者共声を立馳集候
　
　　　様ニ西国筋定法ニ被　仰付置候由
　　一日本船異国船をしたひ来通路仕候を見付申
　　　候得者召捕へ候御定法候若左様之者有之召捕
　　　候得者　御忠節之御事之由仲買仕候者者猶
　　　以召捕候事
　　一異国人ハ何とそ船より陸へ上り不申候様ニ厳
　　　仕候事肝要之由万一上り申候得者猶以始終
　　　六ケ敷事御座候由申候事
　　　　　享保三戊戌年二月

一三月十三日《割書：夜四
時》勝見村中次右衛門与申者家ゟ出火十四日暁鎮
　火家数百十壱軒焼失
一三月廿八日今度宝永六ゟ享保二迄九年御番御改宝永
　七ゟ享保三迄御供御改ニ付右年数相勤候者江於　御本丸
　今日御褒美被下之
　　但於江戸も四月十三日詰之面々江御褒美被下之
一四月二日御勘定頭大久保下野守《割書：忠
位》殿北条新左衛門　殿ゟ申
　来御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》罷出候処御国絵図之儀ニ付左之通
　御書付被相渡之

　　　　覚
　　　越前国三国湊辺ゟ
　　　　若狭
　　　　加賀
　　　右弐ケ国之内見当ニ可成山有之候ハヽ三国湊
　　　辺何と申所ゟ何国何と申山相見へ候との事
　　　書付出シ可被申候越前国と他国と境之山ハ
　　　無用候但他領と他領との境之山ハ相兼見
　　　当用可申事尤一ケ所ゟ他国弐ケ所茂三ケ所も

　　　　幼少之面々ハ外介添一人可為勝手次第候
　　　右草履取一人挟箱持一人但挟箱持者中之
　　　御門外ニ可被残候
　　　雨天之節者笠持一人
　　一諸番頭諸物頭布衣以上之御役人并中奥御小
　　　姓衆三千石以上之寄合侍弐人草履一人挟
　　　箱持一人雨天之節ハ笠持一人
　　一三千石以下之寄合布衣以下御役人中奥
　　　御番衆惣御番衆侍一人草履取一人挟箱持一人

　　　雨天之節ハ笠持一人
　　一医師侍一人草履取一人挟箱持一人薬箱持
　　　一人雨天之節ハ笠持一人
　　一御城に部屋無之面々ハ挟箱中之御門之
　　　外ニ可被残事
　　　　但御役人者可為只今迄之通事
　　一江戸中往還之節供廻小勢に可被列候縦国持
　　　たりといふとも騎馬一騎歟二騎供鎗二本か
　　　三本ニ過へからす惣体又者等軽可被列事

　　一九千石より五千石迄
　　　　侍七人か八人迄
　　一四千石より三千石迄
　　　　同六人か七人
　　一弐千石より千石迄
　　　　同四人か五人
　　一九百石より三百石迄
　　　　同二人か三人
　　一弐百石

　　　　同一人か二人
　　一五千石以上ハおさへ足軽弐人
　　一三千石ゟ四千石迄おさへ足軽壱人
　　一三千石以下おさへ足軽無用
　　　　但番頭并芙蓉間御役人ハおさへ足軽壱人
　　一軽輩ハ長柄傘可為無用事
　　一陪臣之輩召列候供之者人数に准し弥
　　　小勢に可被申付事
　　右之趣急度可被相守候惣体供之者風俗目立

　　　不申候様ニ作法宜申付道をもたｇ片付通り者
　　　障に不罷成候様ニ可被申付候以上
　　　　　卯閏九月日
　　　　　　右之節山城守殿御口上ニ而被　仰聞候
　　　御城内外召連候供廻り等之儀先年被　仰出候処
　　　近年猥ニ成候間元禄十二卯年被　仰出候通弥相
　　　守可被申付候以上
　　　　　四月
一同日大目付内藤日向守《割書：正
岑》殿ゟ今朝御触達ニ付御宅江御留

　守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》罷出候処左之通御口上ニ而被申聞之
　　　近年登　城之節越前家其外諸大名方
　　　刀持乱ニ御式台之上江揚候向後左之御書付
　　　之外者揚候事無用ニ候切石之上ニ居候儀も
　　　決而不相成候旨被申聞之
　　　　御玄関式台江刀持上り候分
　　　　　松平加賀守　　松平肥後守
　　　　　松平讃岐守　　松平若狭守
　　　　　松平越後守　　松平出雲守　

　　　　　松平伊予守　　松平左衛門督
　　　　　松平日向守　　松平大学頭
　　　　　　　　　　　《割書：
肥後守嫡子》
　　　　　松平播磨守　　松平大膳大夫
　　　　　松平左京

一四月十五日於　御本丸左之通被　仰出候　御直筆之
　写壱通宛諸番頭江月番御家老稲葉采女《割書：正
方》相渡之
　其外諸向江者致書添相渡之
　　　博奕好色ハ従先代之法令厳重ニ候処近頃
　　　
　　　諸士之内其品有之様ニ相聞候面々番組并其
　　　子共ニ至迄常々心を付未発之節可加異見
　　　事候今度可遂吟味候得共　思慮有之故先
　　　不及其儀候猶又番組之輩江万端相慎候様ニ
　　　可申聞候以上
　　　　　四月十五日
　　　諸番頭江右之書付を以被　仰渡候間何茂為
　　　心得申聞候支配之者組等有之輩者無油断
　　　可被申付候

　　　　但支配組之者無之面々江者此支配之者以下
　　　　　之文体除之
一四月晦日御普請奉行嶋田佐渡守《割書：正
信》殿ゟ砂村新田御抱
　屋敷外廻り之竹木不残御切払来月十日迄ニ根迄堀取
　候様御廻状ニ而申来
一同日
　有章院様三回御忌ニ付於運正寺御茶湯御執行有之
一五月朔日於増上寺

　有章院様三回御忌御法事有之ニ付御使者菅沼与一郎《割書：次
由》
　を以《割書：御留守居大関
新五左衛門同道》同所本堂江御香奠銀十枚被献之《割書：去月十一日
御書付御渡》
一五月二日為端午御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
一五月三日中務大輔《割書：昌
平》様今日御帰邑ニ付御立寄於　御本丸
　御対顔
一五月七日御書を以例之通御国産初鯖被献之
一五月十一日月次　御機嫌為御伺江戸表江御書被指出之
　御肴一種被献之
一同日　浄円院様《割書：公方様
御実母》今度紀州ゟ御下向去ル朔日江戸

　

　御着二ノ丸江被為入候ニ付為御歓江戸表江御書被指出之
　《割書：去二日
御触達》
一五月廿三日本多大蔵儀家来井上八左衛門本多久左衛門松本
　源五右衛門与申者召連御家老狛伊勢《割書：澄
孝》宅江罷出候ニ付
　《割書：昨廿二日御家老ゟ
申達之》　御意之趣左之通御書付を以伊勢申渡之
　　　　　本多大蔵家老共江申聞覚
　　　近年御代替以後孫太郎時分ゟ府中諸事仕
　　　置之趣福井表御仕置ニ致相違　御不審被
　　　思召候儀共有之候孫太郎存命ニ候ハヽ　思召も

　　　可被　仰聞儀ニ候得共死去ニ候得者無其儀候代々
　　　府中御預ケニ候得者仕置之家風茂可有之
　　　事ニ候得共以後者大蔵年若ニ候得者福井
　　　表御仕置相考万端念を入可申付候重而
　　　御不審之趣も有之候ハヽ家老共越度ニ被
　　　思召候間其節者急度可被　仰付候兼而無油
　　　断委細ニ申談可申付候以上
　　　　　五月廿三日
一五月廿五日大目付中ゟ　御城内供廻之儀ニ付左之通御廻

　状来
　　　　　覚
　　　御城内外召連候供廻等之儀近年猥ニ成候付
　　　而元禄十二卯年被　仰出候通可被相守之旨相触
　　　候処いまた行届さる所も有之様ニ相見候故再
　　　往相触候間此以後猥ニ有之ニおゐてハ人別ニ
　　　承届にても可有之候条弥堅可被相守候以上
　　　　　戌五月
　　　　　覚

　　　諸大名下乗之場所之儀前々と違猥ニ成候付
　　　向後ハ国持大名たりといふ共大手之方ハ張
　　　番所東之角を限り内桜田之方ハ張番所
　　　向御堀端東之角を限り被致下乗可然候以上
　　　　戌五月

一六月六日去月廿八日御普請奉行嶋田佐渡守《割書：正
信》殿ゟ御抱
　屋敷之儀ニ付御廻状ニ而案紙来候ニ付御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》
　左之通書付持参今日佐渡守殿江指出之
　　　　　覚

　　　本所砂村新田之松平伊予守抱屋敷先達而
　　　書付差出候通水地ニ而囲家作無御座候尤向後
　　　抱屋敷ニ取立不申抱地ニ而野畑ニ仕差置可
　　　申候以上
　　　　戌三月　　　　　松平伊予守家来
　　　　　　　　　　　　　　　　　酒井玄蕃
一六月十一日先達而被　仰出候御領分ゟ近国見当山之儀
　ニ付御勘定奉行大久保下野守《割書：忠
位》殿江御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》
　左之通書付持参指出之

　　　　　越前国福井領より加賀国若狭国見
　　　　　当山見通之覚
　　一越前国福井領坂井郡之内浜坂浦与申所
　　　之台より丑之方ニ当り加賀国大正持領江
　　　沼郡之内小塩崎与申所海上江出張松林有之
　　　平山相見申候海上見渡壱里半余程
　　　　但越前国三国湊より浜坂浦者子丑之間ニ
　　　　　当り申候行程四里
　　一同国同領分丹生郡之内下海浦海辺出先

　　　之山より午未之間ニ当り若狭国遠敷郡之内
　　　泊ケ嶽とも大山とも申山相見申候海上見
　　　渡大概弐拾里余程
　　一同所より未ノ方ニ当り若狭国大飯郡之内青葉
　　　山与申山相見申候海上見渡大概弐拾三四里程
　　　　但越前国三国湊より右下海浦ハ午未
　　　　　之間ニ当り申候道程拾壱里余
　　　　　　以上
　　　　　六月　　　　　　　松平伊予守内
　　　　　　　　　　　　　　　　宮北十郎左衛門

一六月十二日於運正寺昨十一日晩ゟ今朝迄　清照院様七回
　御忌御法事御取越御執行有之
　　但七月十四日御相当之処　御発駕後ニ相成ニ付御取
　　　越ニ相成
一六月十四日於深川霊厳寺　清照院様七回御忌御法
　事御取越御執行有之
　　但盆中ニ相成候ニ付御取越ニ相成
一六月十八日暑中　御機嫌為御伺御使者寒江九左衛門
　江戸表江被指出之御肴一種被献之九左衛門今日福井

　出立
一六月十九日御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿ゟ御呼出ニ付御留守居
　大関新五左衛門《割書：直
看》罷出候処左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　　　　　松平伊予守
　　　亀井戸村屋敷江為見分明廿日役人
　　　可参候間可得其意候尤掃除等不及候
　　　　　六月十九日

一六月廿日本庄御屋敷江公儀御役人奥御納戸松下

　千介　殿小十人番頭能勢三十郎　殿御鳥見組頭海野新五左衛門　殿
　為見分被相越坪数等被相改候ニ付《割書：昨十九日於御用番
水野和泉守殿被申聞》御留守居大関
　新五左衛門《割書：直
看》罷出左之通図面指出之

【図あり】
　　　　　　　　　　　西

　　　南　　　百五十間四方　　　弐万弐千五百坪程

　　　　　　　　　　　東

　　　　　建家百五拾坪程　但四棟ニ而


一六月廿二日　御判物御領知目録例年御参勤之節江戸
　表江為御持被成候得共当年ゟ写斗為御持可被成旨被
　仰出
一六月廿四日御勘定奉行大久保下野守《割書：忠
位》殿ゟ申来御留守居
　宮北十郎左衛門《割書：定
由》罷出候処先達而被指出候近国見当山御書
　付之上猶又左之通御書付被指出候様被申聞之
　　　　越前国福井領坂井郡之内
　　　　浜坂浦之台ゟ
　　一加賀国江沼郡小塩崎
　　　
　　　　同国同領丹生郡下海浦ゟ
　一若狭国遠敷郡泊りケ嶽
　一同国大飯郡青葉山
　　右之通福井領ゟ加賀若狭見当之山々書
　　面之通御座候以上
　　　但右案紙之通被指出候得共不詳
一六月廿五日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一六月廿八日於　御本丸左之通御書付を以諸月番江月番

　御家老狛伊勢《割書：澄
孝》申渡之
　　　御家中侍中并其以下ニ至る迄武芸相嗜
　　　候事古今不珎候得共斗静謐之時節候得者
　　　怠り安キ儀も可有之候向後他をかへりみす随
　　　分情ニ入可為修行候別而親掛之面々隙ニ罷在
　　　候間専稽古可有之候人々之嗜第一
　　　上江之御《見せ消ち：法｜奉》公与被　思召旨被　仰出候条面々
　　　可被存其旨候以上
　　　　　六月廿八日

一同日御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿ゟ御呼出御留守居大関
　新五左衛門《割書：直
看》罷出候処唐船抜荷之儀ニ付左之通御書付
　被相渡之
　　　　　覚
　　一唐船持渡之諸色抜荷仕売買之者今以
　　　不相止不届ニ候向後買元不慥疑敷品有之
　　　候ハヽ不可相求於訴出者僉議之上其荷物
　　　可被下尤抜買仕者有之候由沙汰承候共是又
　　　可訴出縦同類たりといふとも其科をゆるし

　　　御褒美被下之其上あたをなさゝる様ニ可
　　　申付候若存しなから不申出者有之於令
　　　露顕者急度可行罪科事
　　一海上にて唐船見懸候ハヽ縦行違ニ候共唐
　　　船之遥ニ間を隔可罷通尤唐船かゝり有之
　　　浜辺ニ同様ニ舟かゝりいたし候ハヽ遂僉議可被
　　　行罪科候間国々所々におゐて西国小国往
　　　来之舟持候者共へ常々急度可申付事
　　右之趣堅被申渡置外より相知さる以前面々
　　
　　領知支配下より相改出し候様ニ無油断可被申付候
　　若違犯之者有之時者伺之上仕置可被申付候以上
　　　　戌六月
一六月廿九日暑中ニ付　御書を以例之通御国産素麪
　干鯛被献之
一六月《割書：日不
詳》常盤橋御屋敷御普請御成就
一七月三日暑中　御機嫌御伺之御使者寒江九左衛門　去月
　廿九日江戸着今日御用番久世大和守《割書：重
之》殿江罷出御書指
　出之

一同日右同断ニ付御用番久世大和守《割書：重
之》殿御用掛り御老中
　水野和泉守《割書：忠
之》殿江為御届御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》
　被指出之
一七月《割書：日不
詳》屋敷奉行落合善兵衛《割書：義
忠》高田孫左衛門《割書：孝
量》先達而屋
　敷替法式之儀共其品今度相極度旨相達候ニ付御吟味
　之上左之通御定之御書付今朝於　御座所善兵衛江御家
　老稲葉采女《割書：正
方》相渡之
　　　　　屋敷改之定

　　一屋敷替被　仰付候節本人家明ニ而断有之

　　　組之者共指遣相改畳惣而敷物少も手付
　　　無之筈則屋敷奉行罷越見分可仕候敷物
　　　之儀ハ茶の間ゟ奥尤表座敷之分畳敷可
　　　有之事
　　　　但物置小部屋之類ハうすへりにても不苦候
　　　　　茶の間ゟ以下ハうすへりにても筵にても
　　　　　不苦候右屋敷屋敷奉行江請取本人江
　　　　　相渡候以後相対ニ而取替候儀者敷物其
　　　　　外共ニ可為勝手次第事

　　一立具類可有処不足無之様ニ相改可申候惣而
　　　内外共ニ敷居鴨居有之処立具為立請取
　　　可申候
　　　　但戸之儀ハふすまニ而も障子ニ而も板戸ニ而も
　　　　　構有之間敷事然共所ニゟ相応之趣
　　　　　可有之候雨戸之儀ハ必可為板戸事
　　一棚等之儀浮物ニ而取候跡損不申分ハ構無之
　　　仕付ニ而跡損申事ニ候ハヽ為取不申筈惣而浮物ハ
　　　格別敷詰候石板或ハ踏段等兎角仕付ニ而地ニ付

　　　置候物之分ハ堀起不申筈ニ候地ニ付置候物之
　　　内唐臼ハ浮道具之内ニ候堀上ケ取候事構無之
　　　候又ハ浮道具之内二階有之所ハ梯子残し
　　　置申筈井戸有之所ハ釣瓶残置筈ニ候
　　　　但石燈籠又ハ地ニ伏置候石鉢之類ハ断を
　　　　　請為取可申候筧溜之類ハ其儘可指置事
　　一植木草花庭石少も手付無之筈ニ候惣而屋
　　　敷中新敷土之動候処ハ能々可致吟味事候
　　　受取渡相済相対者構無之事

　　一子共又ハ兄弟ニ而も自分ニ御奉公相勤候者別
　　　部屋建置同姓屋敷替之節引取申度旨断
　　　有之時者其段御家老中江相達得指図相
　　　渡可申候尤分部屋候節屋敷奉行迄断有之
　　　時覚書ニ留置可申事
　　　　但隠居ニ而も兄弟ニ而も無息之者ハ部屋建置
　　　　　候而も取申事難成定候乍去浪人之親
　　　　　類願申上屋敷之内ニ別宅建住居候者
　　　　　其部屋建候砌屋敷奉行江断留書有之

　　　　　分ハ屋敷替之節御家老中江相達為取
　　　　　可申候縦自分ニ御奉公相勤者ニ而も部屋本
　　　　　屋ニ建続取候跡本屋損候歟勿論本屋之
　　　　　内ニ而部屋有之分ハ渡不申筈候尤右之
　　　　　部屋取候跡ハ能為繕請取可申事
　　一長屋之分敷物不残相渡可申候其外板敷
　　　立具石板踏壇二階之梯子戸障子天井裏
　　　板等迄少も手付不申其儘可為指置候惣而長
　　　屋ニ付置候庇之分ハ一切為取申間敷事

　　一本屋長屋土蔵共ニ一与間々に有物委細書付
　　　可為致張紙事右張紙之通帳面為致帳之
　　　奥書右帳面之通相改差上申者也ト書付
　　　名之下ニ印判為致可申候請取之方江直ニ改
　　　相渡帳之奥ニ右帳面之通相改無相違慥ニ受
　　　取申者也ト書付判形取可申候帳ハ屋敷奉行
　　　方ニ取置可申候事
　　一御役屋敷入替之節者畳敷物其儘差置互ニ
　　　入替可申候植木ハ前々ゟ有来候外自分ニ
　　　
　　　植申分丈ゟ内之木ハ断有之候ハヽ可相渡候
　　　其外法之通相改請取渡可仕事
　　一自分願ニ而相対之屋敷替ハ願之通相叶
　　　申断を承届屋敷帳ニ名を付替申迄ニ而入
　　　替之時分先規之通構申ニ不及候事
　　一新地ニ而屋敷被下節御茶園地与名付荒子
　　　頭預之地ハ割渡申候砌屋敷奉行中組之者
　　　召連罷出奉行代小算之者も罷出歩数相
　　　改渡シ可申候但御定歩数之外ニ見分次第悪

　　　水地三尺通割渡筈境之垣ハ一方宛支配有
　　　之筈ニ候御高之内百姓地ニ而相渡候節者御代
　　　官検地奉行江下代共召連罷出何も立合割渡
　　　可申候
　　一跡目無之上り屋敷在之節家屋敷請取申儀
　　　常法之通改可申事
　　一御暇被下候明屋者目付中ゟ断有之次第早速
　　　組之者両人宛指遣門前ニ付置候而浮道具之　　
　　　外敷物竹木庭石建具類出シ不申様ニ断申浮

　　　道具不残取払候節請取候組之者指遣能々
　　　吟味為仕相違無之候ハヽ一ト間々張紙為致尤
　　　植木庭石等迄委細書付可申候
　　　　但草花之類ハ不及書付候張紙之通帳面ニ
　　　　　写帳之奥書右帳面之通相改無相違
　　　　　慥ニ指上申者也与書付本人親類之内
　　　　　判形為致可申候其節不及申屋敷奉行
　　　　　罷越見分可仕事其跡御持筒足軽番
　　　　　人付尤番人も慥ニ預り申与書付判取

　　　　　可申候其後奉行中江相達御作事方ゟ
　　　　　町大工壱人請取候而両組ゟ立合為致絵
　　　　　図候而月番之御家老中迄可指出候其
　　　　　節屋敷願之順帳も写一所ニ指出可申事
　　一与力屋敷入替ハ構申ニ不及頭ゟ断を請屋
　　　敷帳ニ名を付替置可申事
　　一役人屋敷入替りハ奉行中ゟ断有之次第組之
　　　者共指遣相改明屋番人御長柄之者為相勤可
　　　申事

　　一御徒屋敷ハ頭中ゟ断有之次第組之者共指
　　　遣御徒小頭一所ニ立合立具敷物等不足無之歟　
　　　改尤帳はり紙支配之儀ハ御徒小頭取扱明屋ニ
　　　拝領人有之迄ハ番人御長柄之者為相勤可
　　　申候
　　　　但役人屋敷ハ番人奉行中ゟ支配御徒屋敷ハ
　　　　　御徒頭ゟ可申付候役人御徒御鷹匠御料理人
　　　　　屋敷不及絵図候事
　　一御鷹匠御料理人屋敷改も屋敷奉行ゟ相改番

　　　人御長柄之者為相勤可申事
　　一町屋敷被下者有之候而も改之儀屋敷奉行
　　　方ゟハ構申ニ不及事
　　右之条々向後可相守之者也
　　　　享保三戊戌年七月

一八月朔日為御祝儀御使者を以例之通御太刀馬代被献之
一八月二日御参府為御案内御老中御廻勤夫ゟ常盤
　橋御屋敷江　御着

一八月三日《割書：六時
前》御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿江　御出御逢被成
一同日御参府ニ付　上使御老中久世大和守《割書：重
之》殿御越
　上意之趣御達有之《割書：上使御取扱
如例》右為御礼御老中　御廻勤
一八月六日常盤橋御屋敷御普請御成就ニ付為御祝
　儀掛り役人初末々迄被下物有之
一八月九日《割書：六半
時》　御登　城御参勤之御礼被　仰上例之
　通御太刀銀御献上畢而被　召連候御家来芦田右衛門《割書：賢
詮》
　御目見被　仰付右為御礼御老中　御廻勤
一八月十五日御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿ニ而左之通御書付

　を以被　仰渡之
　　　領分出火之節百軒以下焼失候ハヽ御届
　　　不及候
　　　　但城内又ハ関所ニ候ハヽ格別ニ候
一八月十八日御参府ニ付為御土産例之通色奉書紙
　十束被献之
一八月廿一日釈■ニ付《割書：六半
時》聖堂江　御出《割書：御長
袴》御太刀
　金馬代御献備有之
　　但釈典之節者御使者之処林大学頭殿江御約

　　　束ニ而　御出被成
一八月廿五日御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿ゟ御呼出御留守居
　罷出候処兼而被　仰入置候　将軍　宣下御祝儀御老中
　御招請之儀来月十三日何茂御越可被成之旨御書付
　被相渡之
一同日右同断ニ付為御礼御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿江
　御勤残御老中江御使者御家老芦田右衛門《割書：賢
詮》被指
　出之若年寄中江御使者御奏者番林　八右衛門《割書：正
容》被指
　出之

一九月三日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
一九月十一日御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿ゟ御呼出御留守居大関
　新五左衛門《割書：直
看》罷出候処来十三日　将軍　宣下御招請之儀
　御延引可被成旨御書付被相渡之
【頭書】宣下之下御祝儀
　　　　ノ三字脱セシニハ
　　　　アラサル歟
一九月十二日水戸中納言　様御逝去ニ付為　御機嫌伺惣
　出仕ニ付　御登　城
一九月十八日御老中井上河内守《割書：正
岑》殿ゟ御呼出御留守居大関
　新五左衛門《割書：直
看》罷出候処　将軍　宣下御祝儀御招請之儀
　来廿六日何茂御出之旨御書付被相渡之

一九月廿六日　将軍　宣下為御祝儀御老中御招請御饗
　応能被　仰付御退出後為御礼御越之御老中江　御勤
一九月廿九日右同断ニ付御一門様方并御出入御旗本中
　御招請有之
一十月六日近江守《割書：直
之》様御卒去
一十月七日御老中水野和泉守《割書：忠
之》殿御渡之御書付左之通
　大目付中ゟ御廻状来
　　一今度御法事中為伺御機嫌在府之万石
　　　以上之分御檜重御干菓其外御精進

　　　物類可有献上旨先頃相達候得共不及献上
　　　候事　　
　　一御法事相済御精進明之御肴茂不及献上
　　　候事
　　右之趣可被相触候
　　　　十月
一十月十一日
　文昭院様七回御忌御法事ニ付　御機嫌為御伺御用
　番戸田山城守《割書：忠
真》殿江　御勤

一十月十四日右同断ニ付於運正寺御茶湯御執行有之
一同日右同断ニ付
　公方様増上寺江　御参詣依之　御予参　御勤《割書：去八日
御触達》
一十月十五日右同断ニ付御使者御奏者番林　八右衛門《割書：正
容》を以
　増上寺本堂江　御香奠銀拾枚被献之《割書：去月十日
御書付御渡》
一十月十八日結城御旧臣之者先年ゟ同所孝顕寺を以
　御目見相願候ニ付伊佐岡次郎右衛門早見次郎左衛門与申者
　於長囲炉裏之間　御通掛之　御目見被　仰付扇子
　箱一箱ツヽ《割書：五本
入》献上畢而御料理御吸物御酒被下之罷帰

　節御時服二綿三把宛拝領被　仰付
一十月廿一日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一同日御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　十郎左衛門《割書：定
由》罷出候処左之通御書付被相渡之
　　　前々も被　仰出候通若出火之節者屋敷廻り
　　　二三町之間ハ人数差出し小火之内に消候様ニ
　　　可致候居屋敷ニ不限中屋敷下屋敷にても
　　　家来数差置候面々ハ家来差出し可申候尤

　　　人数小勢之分ハ不苦候条随分早くかけ付
　　　候様に兼々急度可申付候人数指出候ハヽ其
　　　場所にて御目付御使番之内江可申届候自然
　　　近所之出火に人数指出し候事遅滞候ハヽ
　　　其子細御目付より承届ニ而可有之候以上
　　　　戌十月
一同日御国産之初鱈当年も取不申候ニ付御献上難
　被成ニ付御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿江御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》
　を以御届有之

一閏十月十三日御屋敷御拝領被成度ニ付御用番久世
　大和守《割書：重
之》殿江御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》を以左之通
　御願書被指出之
　　　本所竪川通弐万弐千五百坪之下屋敷拝領
　　　地為御用先頃被　召上候其節屋敷数有之
　　　付而代地ハ不被下候旨御書付を以被　仰出奉
　　　得其意罷在候就夫本所砂村新田之内
　　　古来ゟ無年貢地ニ而弐万坪之抱地御座候
　　　水地ニ而囲家作ハ前々ゟ不罷成所ニ而御座候

　　　就中先年地震以後海続ニ罷成只今ハ境
　　　目可仕様も無御座候右之通ニ御座候得者御
　　　用ニ立申地ニも無御座候得共御鷹場近所之
　　　儀ニも御座候間右抱地差上申度奉存候私儀
　　　居屋敷之外霊厳嶋ニ拝領屋敷一ケ所御座候
　　　母并家来差置申候此外ニハ抱屋敷も所持
　　　不仕候依之何方ニ而成共相応之屋敷地今
　　　一ケ所被下置候様ニ奉願候不苦思召候ハヽ可然
　　　様御内談被成可被下候奉願候以上

　　　　　閏十月
一閏十月廿八日御用番久世大和守《割書：重
之》殿ゟ御呼出御留守居
　大関新五左衛門《割書：直
看》罷出候処金銀通用之儀ニ付左之通御書
　付被相渡之
　　　　　新金銀を以当戌十一月より通用可仕覚
　　一金吹直被　仰付段々出来ニよりて最前相触
　　　候通来亥年を限乾字金通用停止ニ候依之
　　　向後諸色相対を以直段相極候半ハ格別献
　　　上被下金又ハ給金借金払残金等すへて

　　　前々ゟ定来候員数ニ而通用候儀左之通被
　　　仰出候事
　　　　付乾字金にて何両与申取やり候得とも
　　　　　当戌十一月より新金ニ而何両と申取や
　　　　　り可仕候尤乾字金通用有之内ハ新
　　　　　金之代りニ乾字金引替之法を以遣候
　　　　　儀ハ勝手次第之事
　　一金ハ正味之有目ニ吹直され足金ニ不及候故
　　　右之如く出来候得共銀ハ正味不足多有

　　　之ニよつて灰吹銀ニ而足銀被　仰付候処近
　　　年山々より出候銀之出方ニ而者弐拾ケ年余
　　　にても成就計かたく候依之金之通向後銀
　　　之有目ニ而吹直被　仰付候員数ニしたかひ
　　　通用候儀是又左之通被　仰出候事
　　　　付通用銀ニ而何枚何貫目与申取やりニ候得共
　　　　　当戌十一月ゟ新銀にて何枚何貫目与申
　　　　　取やり可仕候通用銀等通用有之内ハ新
　　　　　銀の代りニ通用銀引替之法を以遣候

　　　　　儀者勝手次第之事
　　一乾字金引替ハ当戌年より来ル寅年迄
　　　五ケ年ニ限るへし元禄金引替ハ来亥年ニ
　　　可限事
　　　　　新金銀引替之法
　　　乾字金元禄金与新金引替之儀只今迄之
　　　通相違無之
　　　　　慶長之古銀并新銀拾貫目ニ付
　　　元禄銀ハ弐割半増　

　　　　拾弐貫五百目を以代之
　　　　　但元禄銀ハ正味之割合無相違故只今
　　　　　　迄之割合
　　　宝永銀ハ六割増
　　　　拾六貫目を以代之
　　　中銀ハ拾割増
　　　　弐拾貫目を以代之
　　　三宝銀ハ拾五割増
　　　　弐拾五貫目を以代之

　　　四宝銀ハ三拾割増
　　　　四拾貫目を以代之
　　　右之割合を以当戌十一月より来ル寅年迄
　　　五ケ年ニ限り急度可引替事
　　一年貢并小物成諸運上之類員数を定元禄
　　　九子年以前ゟ納来候金銀ハ新金銀にても
　　　只今迄之員数相納へし子年ゟ納来候
　　　分ハ新金銀ニ而者半減たるへし但子年より
　　　納来候品にても古来之格を以納候分ハ新

　　　金銀ニ而も員数差別なく可相納事
　　一元禄九子年より以来請負ニ而直段相極候
　　　類此以後も右員数を可用分ハ当時之直段
　　　積りを以極直可申事
　　一年貢并小物成諸運上諸色ともに元禄九子
　　　年ゟ当戌閏十月迄其時々之直段積りを以
　　　相極候品々納残り又ハ諸色代物払残之
　　　類ハ乾字金百両之所ハ新金五拾両通用銀
　　　拾貫目之所ハ新銀弐貫五百目可遣之事

　　一献上并被下金銀古来よりの格式有之付新
　　　金銀にても差別無之世上祝儀取かハし或ハ
　　　礼物等遣候儀可准之事
　　一借金銀ハ元禄九子年以前借用之返済残りハ
　　　新金銀にても其員数可返之子年以来之借
　　　用ハ金百両之所江新金五拾両銀拾貫目之
　　　所ハ新銀弐貫五百目可相返事
　　一給金銀ハ元禄九子年前後共ニ差別なく新
　　　金銀にても只今迄之員数たるへし然とも

　　　相対を以召抱候わたり奉公人之類ハ近来
　　　之給金銀員数を不可用猶又相対次第た
　　　るへき事
　　　　付元禄九子年以来金銀位悪敷成つゝきか
　　　　　ね候子細を以別段ニ金銀遣候類ハ元高新
　　　　　金銀にて遣候上ハ増金銀ハ相止可申事
　　一合力等入用之積りを以相極候類ハ元禄九子
　　　年以前相極候分ハ新金銀にても其員数
　　　たるへし尤子年以来相極候品ハ半減たるへ

　　　き事
　　右之通堅可相守此外之儀ハ書面之趣ニ可准之
　　且又割合改り候ハ宝永以来の銀斗之事ニ候得者
　　新金銀銭両替或ハ売買之直段等ニ付紛敷
　　手たて仕におゐてハ急度御僉議之上可被
　　処厳科者也
　　　　戌閏十月
一同日大目付松平石見守　殿ゟ申来御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》
　罷出候処左之通御書付被相渡之

　　　御成之節大名衆下屋敷抱屋敷等ニ而御供之
　　　面々若したゝめなといたし候ため料理之用意
　　　をも仕候様ニ相聞候火之元旁不宜儀候間料理之
　　　儀者勿論茶たはこにてもたとへ所望候共出シ
　　　候儀堅無用ニ候間其趣可被心得候以上
　　　　　閏十月
一十一月三日善次郎《割書：直
好》様江近江守《割書：直
之》様御遺領《割書：越後糸魚川
壱万石》無御相
　違被　仰出右ニ付為御礼御老中江御使者御留守居被指
　出之

一十一月四日御勘定奉行大久保下野守《割書：忠
位》殿ゟ申来御留守居
　大関新五左衛門《割書：直
看》罷出候処雛ケ嶽之儀ニ付左之通御書付
　被相渡之
　　　越前国南条郡上中下平吹三ケ村之内日名ケ
　　　嶽者右三ケ村之内ニ而いつかたニ有之候哉右之
　　　絵図壱枚差越候間此絵図其許ニ而東西を
　　　付日名ケ嶽之山形を書載可被差出候若日
　　　名ケ嶽ハ三ケ村之村形ゟ隔り候而此絵図斗
　　　ニ而難書記候ハヽ其元ニ而白紙を継足シ書載

　　　可被申候以上
　　　　　閏十月
一十一月廿二日寒中ニ付　御機嫌為御伺御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿江
　御勤
一十一月廿三日大目付横田備中守《割書：由
松》殿ゟ申来御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》
　罷出候処《割書：去廿一日
御触達》切支丹類族之儀ニ付左之通御書付被相渡之
　　　　　覚
　　一類族之者只今迄追放ニハ不罷成候得共追
　　　放申付候而も不苦候事
　　
　　一離別又ハ養子之義絶ニ而類族をはなれ候者ハ
　　　二季ニ両判之証文を以可相届候変死病死
　　　死罪欠落遁世等ハ二季ニ無判之以書付可
　　　相届事
　　右之趣向後可被心得候以上
　　　　戌十一月
一十二月三日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一
番》生鱈被献之
一十二月六日於孝顕寺　長松院様百回御忌御茶湯御執
　行有之

一十二月八日御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿御渡之御書付之由ニ而
　御評定所ゟ御留守居迄左之通申来　　
　　　御仕置除候月日之事向後無御構
　　　　但重キ御祝日且又御祥月之御忌日之前日
　　　　　除可申候
　　　右之通何茂相心得罷在候依之申上置候
　　　以上
　　　　　十二月八日
　　　　但別紙除日之書付有之候得共不記之

一十二月十一日歳暮為御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
一同日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：二
番》生鱈被献之
一同日孝顕寺隠居　儀兼而寺号被相願候処新寺町宗福寺
　末寺清光院儀檀家も無之退転同様ニ付幸之儀故寺
　号寺地共隠居江申請孝顕寺末寺ニ仕度旨願書指出
　候処願之通被　仰付之
一十二月十八日善次郎《割書：直
好》様御叙爵御名兵庫頭与被　仰出右ニ付
　為御礼御用番井上河内守《割書：正
岑》殿江御使者御留守居被指出之　

【裏表紙】

家譜

家譜《割書：吉品公｜》《割書：従宝永三年｜到同五年》二十四

吉品様《割書：従宝永三年丙戌｜至同五年戊子》

宝永三年丙戌
　　一　正月朔日於　御本丸年始御規式有之
　　一　同日為年始御祝儀御使者多賀谷助之進《割書：□｜福》を以例之通御太刀
　　　　馬代被献之
　　　　大納言様江右同断初而被献之
　　　　　　　但助之進旧臘七日御国表出立
　　一　同月七日為御上初御使者を以例之通御肴被献之

　　一　正月十一日年始三ヶ日之御規式相済候為御祝儀江戸表江
　　　　御使者被指出之御肴一種被献之
　　　　大納言様江右同断初而被献之右御使者今日福井出立
　　一　同日本多孫太郎《割書：長｜員》江重キ御用之節者加判可致旨被仰付
　　一　同月廿五日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：二月七日｜御帰殿》
　　一　二月廿五日右同断吉江江　御出被成《割書：三月朔日｜御帰殿》
　　一　同月廿六日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書并御奉書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　三月廿四日於浄光院去廿二日ゟ今朝迄
　　　　大安院様三十三回御忌御法事御執行有之於大安寺天徳寺
　　　　御法事御執行有之
　　一　四月八日於浄光院去四日ゟ今日迄《割書：五昼｜夜》
　　　　浄光院様百回御忌御法事御執行有之於孝顕寺も御法事
　　　　御執行有之
　　一　同月廿一日本妻不持者妾腹之倅　御目見之願向後取次申間
　　　　敷候組御侍子供御徒相勤并御取立之者之儀者其節其趣可申
　　　　達旨諸番頭江被　仰出之
　　一　同月廿三日御本城橋掛替御普請出来ニ付御城代并御留守居

　　　　為渡初御本城橋ゟ登　城本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老并御役人迄
　　　　御廊下橋ゟ登　城於鉄砲之間御長蚫御吸物頂戴之御祝
　　　　儀有之
　　一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単
　　　　被献之
　　　　大納言様江銀五枚被献之　御台様江白銀被指上之
　　一　同月二十一日御書を以例之通御国産初鯖被献之
　　　　大納言様江右同断初而被献之
　　一　六月十三日暑中ニ付　御機嫌為御伺江戸表江御使者被指
　　　　出之御肴一種被献之
　　　　大納言様江右同断初而被献之右御使者今日福井出立
　　　　　　　　　但七月五日御返書御渡有之
　　一　同月十五日来ル十八日御国表御発駕ニ而御参府可被成筈之処
　　　　御眼病其上御眩暈気指起候付暫御養生被成廿五六日頃
　　　　御発駕被成度旨御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江御達之儀ニ付徳山
　　　　五兵衛《割書：重｜年》殿大岡治右衛門《割書：忠｜久》殿江御書被遣之
　　一　同月廿三日於増上寺　桂昌院様御一周忌御法事有之二付御使者
　　　　宇都宮藤一郎《割書：教｜綱》を以御香奠銀五枚被指上之

　　一　六月廿六日福井　御発駕東海道通御旅行
　　一　同日暑中ニ付御書を以例之通御国産索麪干鯛被献之
　　　　大納言様江右同断初而被献之
　　一　七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金
　　　　被献之
　　　　大納言様江右同断初而被献之右御披露済之御奉書西丸
　　　　御老中ゟ来
　　　　　　　　為生見玉之御祝儀黄金十両被献之候
　　　　　　　　首尾好遂披露候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　本多伯耆守
　　　　　　　　　七月六日　　　　　　　正永書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　小笠原佐渡守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　長重書判
　　　　　　　　　　松平兵部大輔殿
　　　　　　　　　　　但右被献候ニ付而之御奉書以後同様ニ付不記之
　　一　同月十日品川駅御泊ゟ直ニ霊巌嶋御屋敷江　御着夫ゟ為
　　　　御案内御老中御側御用人江御廻勤
　　一　同月十一日御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿江御逢対　御勤
　　一　同日御参府ニ付　上使土屋相模守《割書：政｜直》殿御越　上意之趣御達

　　　　有之《割書：上使御取扱｜如例》御退出後為御礼御老中御側御用人若年
　　　　寄中江　御廻勤
　　一　七月廿五日　御登　城《割書：昨廿四日御用番井上河内守殿ゟ｜御老中連名之御切紙来》
　　　　公方様　大納言様出御御参勤之御礼被　仰上例之通御太刀
　　　　銀綿御献上畢而被　召連候御家来松平庄兵衛《割書：正｜恒》御目見被
　　　　仰付御太刀銀馬代蝋燭《割書：二百｜挺》献上
　　　　大納言様江御献上之御太刀一腰銀三百枚於　御本丸蘓鉄之間
　　　　御奏者番家来江御留守居相渡之夫ゟ　西丸江　御登　城御礼被
　　　　仰述御奏者番被謁之　御下城夫ゟ御老中御側御用人若年
　　　　寄中江　御廻勤庄兵衛　西丸江罷出御奏者番松平兵庫頭　殿江
　　　　自分献上之御太刀銀馬代指上之　御目見之御礼申上兵庫頭殿
　　　　被謁之夫ゟ為御礼御老中御側御用人若年寄中江廻勤
　　一　同日右同断ニ付御使者を以例之通　御台様江縮緬白銀被指上之
　　　　御簾中様江銀二十枚初而被指上之
　　一　同月晦日右同断ニ付為御出産御使者を以例之通色奉書紙
　　　　被献之　御台様江両面打曇鳥子紙被指上之
　　　　大納言様江御使者を以五色奉書紙《割書：十｜束》初而被献之御品御目
　　　　録共　西丸江相納之

　　一　八月朔日為御祝儀　御登　城御太刀馬代御献上御礼被
　　　　仰上
　　　　大納言様江御献上之御太刀馬代之御品御目録共於蘓鉄
　　　　之間御奏者番堀左京亮《割書：直｜利》殿家来江御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》
　　　　相渡之
　　一　同月二日
　　　　吉邦様御同道ニ而御老中稲葉丹後守《割書：正｜通》殿江御逢対
　　　　御勤
　　一　同月三日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江徳山五兵衛《割書：重｜年》殿を以
　　　　吉邦様御国許江御暇之御願書被指出之
　　一　同月四日御老中小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿ゟ御呼出御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》
　　　　罷出候処先達而御伺被成候　御簾中様江打曇鳥子紙御献
　　　　上之儀御延引被成候様用人を以御指図有之
　　一　同日山口修理《割書：重｜明》殿御奥方於久様《割書：備中守《割書：直｜堅》様｜御女》御卒去依之御養方
　　　　御姪之御忌服被為請候ニ付左之通御達有之
　　　　　　忌　　三日《割書：八月四日ゟ｜同六日迄》
　　　　　　服　　七日《割書：八月四日ゟ｜同十日迄》

　　　　　右之通ニ御座候以上
　　　　　　　八月四日　　　　　　松平兵部大輔
　　一　八月九日御老中大久保加賀守《割書：忠｜増》殿江御逢対　御勤
　　一　同日御老中ゟ左之通連名之御切紙来
　　　　　　　　　　同氏大炊頭御用之儀有之明十日登城之
　　　　　　　　　　事候其方も可有出仕候以上
　　　　　　　　　　　八月九日　　　　　井上河内守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉丹後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋相模守
　　　　　　　　　　　松平兵部大輔殿
　　一　同月十日
　　　　吉邦様御同道ニ而御登城被成候処於波之間御老中列座御願
　　　　之通

　　　　吉邦様御国許江御暇被　仰出畢而於御黒書院御礼被
　　　　仰上
　　　　吉邦様江御馬御時服御拝領相済御同道ニ而　西丸江
　　　　御登　城御礼被　仰上夫ゟ御老中御側御用人若年寄中江
　　　　御廻勤
　　一　同日右同断ニ付本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老并御城代江　御書
　　　　被成
　　一　同日御使者を以例之通御国産初鱈被献之
　　一　同月十一日
　　　　吉邦様御同道ニ而御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿　西丸御老中
　　　　本多伯耆守《割書：正｜永》殿江御逢対　御勤
　　　　　　　　但翌十二日稲葉丹後守殿江も右同断　御勤被成
　　一　同月十二日大風ニ而御城廻塀等所々破損其外御領分町在之内
　　　　百六十五軒潰家有之
　　一　同日御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿ゟ御呼出ニ付御留守居罷出候処昨
　　　　十一日披指出候御伺書ニ御付紙を以御指図有之
　　　　　　　　　御伺書
　　　　　　　　　　同姓大炊頭在着之為御礼

　　　　　　　　　公方様　大納言様江以使者何様之物致献上
　　　　　　　　　可然哉使者柄重キ使者又ハ番頭格之者之内
　　　　　　　　　差上可申哉相伺候御指図被成可被下候以上
　　　　　　　　　　八月十一日　　　　　　　　松平兵部大輔
　　　　　　　　　　　　〆
　　　　　　　　　御附紙
　　　　　　　　　　公方様江
　　　　　　　　　　　　　縮緬三十巻二種一荷
　　　　　　　　　　大納言様江
　　　　　　　　　　　　　二種一荷
　　　　　　　　　　右之通可被献之候使者柄之儀者可為勝手
　　　　　　　　　　次第候
　　　　　　　　　　　　〆
　　　　　　　　　　公方様江
　　　　　　　　　　　　　奉書紙　　三十束
　　　　　　　　　　　　　二種
　　　　　　　　　　　　　一荷
　　　　　　　　　　大納言様江

　　　　　　　　　　　　二種
　　　　　　　　　　　　一荷
　　　　　　　　　右者私在着之節為御礼使者差上候時分
　　　　　　　　　致献上候以上
　　　　　　　　　　八月十一日　　　　　松平兵部大輔
　　　　　　　　　　　〆
　　　　　　　　御伺書ニ被指添候松平安芸守殿御嫡備後守殿之例書
　　　　　　　　　　　覚
　　　　　　　　　縮緬　三十巻
　　　　　　　　　二種
　　　　　　　　　一荷
　　　　　　　　　右者松平備後守在着之為御礼右之通被致献
　　　　　　　　　上候以上
　　　　　　　　　　　〆
　　一　八月十三日今度
　　　　吉邦様御国許江御暇被　仰出候ニ付為御祝儀御使稲葉九助
　　　　を以

　　　　吉邦様江御太刀金馬代御時服《割書：御単物一染御帷子一｜白御帷子一》ニ種一荷被進之
　　　　吉邦様ゟも御使萩野孫右衛門《割書：政｜封》を以御太刀金馬代御拝領之御時
　　　　服二二種一荷被進之
　　一　同日大目付中ゟ御預之者之有無書付可被差出旨御廻状来候ニ付
　　　　左之通御届書被指出之
　　　　　　　御預之者有之候哉無之候哉致書付可差出
　　　　　　　旨家来之者迄被仰越候手前当分御預之者
　　　　　　　無御座候以上
　　　　　　　　　八月十三日　　　松平兵部大輔
　　一　八月十四日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》
　　　　を以
　　　　吉邦様御在国中御勤之儀左之通御伺書被指出之
　　　　　　　　　覚
　　　　　　一　月次為伺御機嫌以飛札相勤可申哉之事
　　　　　　一　公方様　大納言様所々江　御成之節以飛札相勤
　　　　　　　　可申哉之事
　　　　　　一　寒気為伺　御機嫌以使札相勤可申哉之事

　

　　　　　　一　来参勤之時節伺可申様子之事
　　　　　　一　来年頭之御太刀
　　　　　　　　公方様　大納言様江以使者献上可仕事
　　　　　　一　年始御規式相済候付為御始以飛札相勤可申哉
　　　　　　　　之事
　　　　　　右之通同姓大炊頭在所ニ罷在候内勤之儀御指図
　　　　　　被成可被下候以上
　　　　　　　　八月十四日　　　　　　　松平兵部大輔
　　一　八月十七日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿ゟ御呼出御留守居罷出候処去
　　　　十四日御伺被成候
　　　　吉邦様御在国中御勤之儀松平大隅守《割書：維｜豊》殿松平備後守《割書：吉｜長》殿
　　　　御問？合右之通御勤可被成旨用人を以御指図有之
　　一　同月廿三日
　　　　吉邦様江戸　御発駕東海道通御旅行
　　一　同月二十五日
　　　　吉邦様江日野西中納言《割書：国｜豊》殿御女御縁組之御願書徳山五兵衛《割書：重｜年》殿
　　　　を以御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江被指出之其節中納言殿者広橋

　　　　儀同《割書：兼｜賢》様之御子ニ而
　　　　光通様御叔父之御続有之段覚書被指添之
　　　　　　　　但於京都も九月六日中納言殿ゟ伝　奏迄御願書被指出之
　　　　　　　一　当夏御使者永見治部右衛門　京都江被遣御縁組之儀御内証ニ而
　　　　　　　　　被仰合
　　一　九月四日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　　　大納言様江銀十枚被献之　御台様江銀十枚被指上之　御簾中様江
　　　　同七枚初而被指上之
　　一　同月五日
　　　　吉邦様　御着城
　　一　同月十五日《割書：夜四｜半時》地震ニ付　御機嫌為御伺即刻御用番稲葉
　　　　丹後守《割書：正｜通》殿并小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江　御勤
　　一　同月廿一日
　　　　吉邦様御着城ニ付御在国中之通下馬御門開置可申旨
　　　　被　仰出
　　一　十月廿三日御登城之節　御城内御杖御用被成度ニ付大目付
　　　　横田備中守《割書：由｜松》殿迄御内証御問？合之為御留守居松原善左衛門《割書：矩｜成》
　　　　を以左之通被　仰遣之

　　　　　　私儀年寄候付登　城之節御城内杖を突
　　　　　　申度候何方迄御断申達儀候哉以書付申入
　　　　　　事候ハゝ書付之様子御調可被下候旁承度以
　　　　　　使者得御意候由
　　一　十月廿八日　御城内御杖御用被成度旨去廿三日御問合之儀
　　　　ニ付大目付横田備中守《割書：由｜松》殿江御留守居松原善左衛門《割書：矩｜成》罷出候処
　　　　左之通直答有之
　　　　　　被仰下候趣承知仕候ヶ様之儀急度格式者無御座候
　　　　　　御年寄之御老中方江無急度御物語被成候へ者埒
　　　　　　明可申と存候其以後別而御出入之御目付中一両人江
　　　　　　軽御物語被成可然奉存候此方同役共江御断ニ及
　　　　　　不申候猶又御口上之通同役共江寄々可申聞候由
　　　　　　　但右ニ付御老中土屋相模守殿江申達候様被　仰付村上
　　　　　　　　三大夫ゟ相模守殿用人迄相達之
　　一　同月廿七日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書并御奉書
　　　　於　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　同月廿八日御登城被成候処
　　　　公方様御不例ニ付　出御無之

　　　　大納言様御礼被為　請筈之旨且又右ニ付　御様体為御伺
　　　　明日御登城可被成旨御用番秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿御達有之
　　一　同日夕右同断ニ付　御機嫌為御伺御用番秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿江
　　　　御使者御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》被指出之
　　　　　　但御不例中右御使者被指出候儀以後不記之
　　一　十月廿九日右同断ニ付　御機嫌為御伺　御登　城
　　一　同日当暮京都御用達共江御返金之儀御指支ニ相成無御拠
　　　　ニ付金子御借被度候間左之通致才覚指上候様被　仰出
　　　　　　　　　金弐千五百両　　　　　福井町中
　　　　　　　　　同　八百両　　　　　　上領
　　　　　　　　　同　七百両　　　　　　川北領
　　　　　　　　　同　八百両　　　　　　下領
　　　　　　　　　同千八百両　　　　　　府中町
　　　　　　　　　　　〆
　　一　十一月三日《割書：五半｜時》御登城被成候処《割書：昨二日御老中連名之｜御切紙来》於御白書院御老中
　　　　列座　　
　　　　吉邦様江日野西中納言《割書：国｜豊》殿御女梅姫様御縁組御願之通被
　　　　仰出候旨御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿御達有之相済　西丸江

　　　　御登　城御礼被仰述御奏者番堀左京亮《割書：直｜利》殿被謁之
　　　　御下城夫ゟ為御礼御老中御側御用人若年寄中江
　　　　御廻勤
　　一　十一月四日右同断ニ付御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江　御勤
　　一　同月七日
　　　　公方様御様体為御伺御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江御使者御留
　　　　守居堀十兵衛《割書：久｜律》被指出候処　御快ニ付明日ゟ　御機嫌御伺之
　　　　御使者被指出候ニ不及旨被申問之
　　一　同月九日右同断ニ付為歓御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿御側御用人
　　　　松平右京大夫《割書：輝｜貞》殿松平伊賀守《割書：忠｜周》殿江御使者御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》
　　　　被指出之
　　　　　　但御同列方御直勤ニ候得共御不快御使者被指出之
　　一　同月十日御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿ゟ御呼出御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》
　　　　罷出候処昨九日御伺被成候
　　　　吉邦様御参勤御時節之儀来亥年三月中御参府可被成旨
　　　　御指図有之
　　一　同月十一日
　　　　公方様御不例御快然之為御祝儀　御登　城夫ゟ西丸江

　　　　御登　城
　　一　十二月十日寒中ニ付　御機嫌為御伺御用番大久保加賀守《割書：忠｜増》殿江
　　　　御勤夫ゟ残ㇽ御老中　御廻勤
　　一　同月十二日右同断ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被献之
　　一　同月十五日右同断《割書：二｜番》生鱈被献之
　　一　同月廿一日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　　　大納言様江銀十枚被献之　御台様江銀十枚被指上之
　　　　御簾中様江右同断初而被指上之
宝永四年丁亥　
　　一　正月朔日為年始御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代御献上
　　　　呉服御拝領
　　一　同日於　御屋形年始御規式有之
　　一　同月三日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃台御酒代
　　　　被献之
　　一　同月七日為御上初御使者を以例之通御肴被献之

　　一　正月廿八日　御痛所有之二付御登城御断
　　一　二月五日
　　　　吉邦様ゟ御使者酒井典膳《割書：知房》を以　梅姫様江御結納被進
　　　　候ニ付
　　　　吉品様ゟ右同断為御祝儀御使者松原八左衛門《割書：嘉｜雄》を以日野西
　　　　中納言《割書：国｜豊》殿江御太刀金馬代奉書紙《割書：十｜束》ニ種一荷《割書：御樽代｜千疋》佐久丸殿江
　　　　御太刀金馬代ニ種一荷　梅姫様江鬠紙《割書：五十｜帖》ニ種一荷智？宝院様
　　　　西台様江昆布一箱干鯛一箱御樽代千疋宛被進之
　　　　　　但八左衛門去月廿六日御国表出立二月十日福井江帰着
　　一　同月廿六日歳暮御祝儀御献上ニ付而之御内書并御奉書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　三月六日
　　　　吉邦様昨五日御着府ニ付御同道ニ而御用番大久保加賀守《割書：忠｜増》殿江
　　　　御勤
　　一　同月十五日右同断ニ付
　　　　吉邦様御同道ニ而　御登　城御礼被　仰上相済御同道ニ而
　　　　西丸江　御登　城御礼被　仰述　御下城夫ゟ御老中御側
　　　　御用人江　御廻勤

　　一　四月十二日　上使御老中秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿を以御国許江之御暇
　　　　被　仰出例之通白銀御袷御拝領《割書：上使御取扱｜如例》御退出後為御礼御老中
　　　　御側御用人江御廻勤
　　一　同月十三日　御登　城御暇之御礼被　仰上例之通御馬御拝領
　　　　畢而被　召連候御家来本多四郎右衛門《割書：恒｜久》　御目見被　仰付相済
　　　　桧之間江御老中稲葉丹後守《割書：正｜通》殿出座四郎右衛門江御時服《割書：四｜》拝領
　　　　被　仰付相済夫ゟ　西丸江　御登　城御退出出掛御老中御側御用人
　　　　若年寄中　御廻勤四郎右衛門自分之為御礼　西丸江登　城
　　　　夫ゟ御老中御側御用人若年寄中江廻勤
　　一　同月十五日御拝領之御馬老中稲葉丹後守《割書：正｜通》殿ゟ使者ニ而
　　　　為率来
　　一　同月廿二日明日御発駕ニ付為御案内御老中　御廻勤
　　一　同月廿三日江戸　御発駕中山道通御旅行
　　一　五月三日え為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単
　　　　被献之
　　　　大納言様江銀五枚被献之　御台様　御簾中様江白銀被指上之
　　一　同月七日　御着城
　　一　同月九日右同断ニ付為御礼御使者狛舎人《割書：孝｜澄》江戸表江被指出之

　　　　今日福井出立
　　一　五月廿三日御縁組御取結有之候為御相礼日野西中納言《割書：国｜豊》殿ゟ
　　　　御使者鵜飼内記を以御太刀銀馬代昆布一箱干鯛一箱御樽一荷
　　　　被進之於　御本丸内記　御目見被　仰付御盃被下御刀《割書：西連代？｜金五枚》
　　　　一腰被下之畢而於鉄炮之間御料理被下之
　　一　同月廿八日為御帰国御礼御使者狛舎人《割書：孝｜澄》を以例之通奉書
　　　　紙并昆布干鯛御樽被献之
　　　　公方様　大納言様御目見被　仰付御奏者番黒田甲斐守殿
　　　　披露退去再罷出自分之御礼申上御太刀銀馬代献上御奏
　　　　者番鳥居播磨守《割書：忠｜救》殿披露相済退去
　　一　六月二日右同断御使者狛舎人《割書：孝｜澄》　御城江罷出候処《割書：御用番ゟ｜申来》
　　　　於桧之間御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿御返書御渡有之其節舎人江
　　　　御時服《割書：三｜》拝領被　仰付御奏者番本多弾正少弼《割書：忠｜晴》殿被相渡之
　　一　同月三日右同断御使者狛舎人《割書：孝｜澄》　西丸御老中本多伯耆守《割書：正｜永》殿江
　　　　罷出候処《割書：昨二日｜申来》御返書御渡有之
　　一　同月五日　越後守《割書：光｜長》様御所労ニ付　上使を以御尋有之候為御礼
　　　　江戸表江御書被指出之
　　一　同月十一日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書并御奉書於

　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　六月廿一日暑中ニ付　御機嫌為御伺御使者加藤伝内《割書：恒｜久》江戸
　　　　表江被指出之
　　　　公方様　大納言様江御肴一種宛被献之伝内今日福井出立
　　一　同月廿三日於増上寺　桂昌院様三回御忌御法事有之二付
　　　　御使者宇都宮藤一郎《割書：教｜綱》を以《割書：御留守居大関｜新五左衛門同道》同所本堂江御香奠
　　　　銀五枚被指出之《割書：去月十五日｜御書付御渡》
　　一　同月廿五日暑中ニ付御使者を以例之通御国産索麪干鯛
　　　　被献之
　　一　七月四日桂昌院様御法事首尾能相済候為御歓御使者
　　　　石原平右衛門《割書：重｜治》江戸表江被指出之今日福井出立
　　一　同月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
　　一　同月十一日於　西丸
　　　　若君様御誕生奉称　家千代様
　　一　同月十八日右同断ニ付御七夜為御祝儀御使者笹治太郎右衛門《割書：高｜澄》
　　　　を以《割書：御留守居村上｜三大夫同道》
　　　　公方様江干鯛一箱鯣一箱御樽代千疋被献之《割書：去十三日御書付｜御渡以下同断》於
　　　　御城大広間御品御目録共御奏者番三浦壱岐守　殿家来江

　　　　相渡之御使者宇都宮藤一郎《割書：教｜綱》を以《割書：御留守居堀｜十兵衛同道》
　　　　大納言江右同断被献之
　　　　家千代様江御道具《割書：箱入｜台居》御産衣《割書：代銀｜二十枚》干鯛一箱御樽代千疋被献之
　　　　於　西丸殿上之間御品御目録共御奏者番松平宮内大輔　殿家
　　　　来江相渡之　御台様江御使者大関甚五右衛門《割書：弘｜□》を以干鯛一箱御樽
　　　　代千疋被指出之二丸御門ニ而相納之　御簾中様江御使者山村
　　　　郷介　を以右同断被指上之坂下御門ニ而相納之　御産婦江銀
　　　　十枚御介添江銀三枚御乳人江同断御さし江銀二枚惣女中江
　　　　銀二十枚被遣之
　　一　七月廿日
　　　　家千代様御誕生ニ付為御祝儀御使者佐野又太郎《割書：影｜賞》江戸
　　　　表江被指出之《割書：去十三日御書付｜御渡》今日福井出立
　　　　　　但八月二日御返書御渡有之
　　一　八月朔日為御祝儀御使者を以例之通御太刀馬代被献之
　　　　家千代様江右同断初而被献之
　　一　同日
　　　　家千代様御七夜御祝儀相済候為御歓御使者熊谷小兵衛《割書：正｜長》
　　　　江戸表江被指出之《割書：去月廿日｜御伺済》今日福井出立

　　　　　　但同月十二日御返書御渡有之
　　一　八月三日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：同七日｜御帰殿》
　　一　同月十三日稲葉多門《割書：正｜方》御家老職被　仰付
　　一　同月十六日御老中井上河内守《割書：正｜岑》殿并小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿ゟ
　　　　御呼出御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》罷出候処
　　　　家千代様御七夜御祝儀御献上ニ付而之御奉書被相渡之
　　　　　　　　　　家千代様御七夜御祝儀如目録被献之候
　　　　　　　　　　首尾好遂披露候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　井上河内守
　　　　　　　　　　　　七月十八日　　　　　正岑書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠増書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋相模守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　政直書判
　　　　　　　　　　　　　松平兵部大輔殿
　　　　家千代様為御七夜御祝儀
　　　　大納言様　家千代様江如目録被献之候首尾好
　　　　遂披露候恐々謹言

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　本多伯耆守
　　　　　　　　七月十八日　　　　　　　　　正永書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　小笠原佐渡守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　長重書判
　　　　　　　　　　松平兵部大輔殿
　　一　八月十七日於浄光院去十五日暁ゟ今朝迄　慶寿院様五十回
　　　　御忌御法事御執行有之
　　一　同月廿日万福山御仏殿御修復出来昨晩御遷座相済候ニ付
　　　　今日御供養有之
　　一　同月廿七日　天称院様御病気御大切之段申来候ニ付為御見舞
　　　　御使者小川与右衛門《割書：英｜中》江戸表江被指遣之今日福井出立
　　一　同日　天称院様《割書：故出羽守《割書：綱｜隆》様｜御奥方》御養生無御叶御逝去天徳寺江御葬
　　　　送御法号
　　　　天称院殿揚誉了月円清大姉
　【頭注】此註□□□□□□へ
　　　　　入ルヘキモノナラン
　　一　九月二日右同断ニ付御養方御叔母之御忌服《割書：実ハ｜御□》被為　請候旨
　　　　御用番秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿并本多伯耆守《割書：正｜永》殿江御留守居ゟ御届書
　　　　指出之
　　一　同月五日右同断ニ付為御代焼香大谷助六《割書：重｜照》江戸表江被指

　　　　遣之御香奠銀十枚被供之助六今日福井出立
　　一　九月七日浄光院《割書：風｜外》儀去三日出府ニ付
　　　　吉邦様ゟ為御届御用番寺社奉行并増上寺方丈江御使者
　　　　御留守居被指出之
　　　　　　　但風外出府之砌
　　　　　　　　御父子様御忌中ニ付御届之儀御留守居ゟ御老中土屋
　　　　　　　　相模守殿迄相伺候処
　　　　　　　　吉邦様御忌明之上御届ニ而可然旨御指図有之
　　一　同月十五日浄光院《割書：風｜外》為入院之御礼登　城
　　　　公方様御目見被　仰付
　　一　同月十九日御書を以例之通御国産初鱈被献之
　　一　同月《割書：日不｜詳》為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖
　　　　被献之《割書：御書日附八月｜廿一日》
　　　　大納言様江銀十枚被献之　御台様　御簾中様江白銀
　　　　被指上之
　　　　　　　但右御献上御忌中ニ付御延引御忌明之上被献之
　　一　十月六日
　　　　家千代様去月廿八日薨御ニ付

　　　　公方様　大納言様　御機嫌為御伺御使者酒井彦六《割書：元｜備》江戸
　　　　表江被指出之今日福井出立
　　　　　　但同月十六日御返書御渡有之
　　一　十月十四日御用番大久保加賀守《割書：忠｜増》殿ゟ御呼出御留守居堀
　　　　十兵衛《割書：久｜律》罷出候処左之通御書付一通御渡有之
　　　　　　　　　　覚
　　　　　　一　御軍役のため常々用所に遣不申差置候
　　　　　　　　古金銀ハ只今迄新金銀ニ引替不申候而可
　　　　　　　　有之候今程世間金銀払底之事候間
　　　　　　　　御軍用之金銀も出之引替候而之上御軍役
　　　　　　　　之金銀ハのけ置候様ニ可被仕候遠国にて海川
　　　　　　　　をへたて引替候儀不自由之面々ハ其段
　　　　　　　　御勘定奉行江達之向寄之御代官所江遣シ
　　　　　　　　引替候様ニ成共可被仕候事
　　　　　　一　金銀銭札遣之所々も有之候而札遣無之所
　　　　　　　　通用のため不宜候条向後札遣停止之事ニ
　　　　　　　　候間其所々江申遣之相達候日より五十日を
　　　　　　　　限相止可被申候事

　　　　一　知行所百姓之手形ニ而地頭江金子を借り物
　　　　　　成之時節ニ而無之収納之証文百姓方江渡し
　　　　　　候も有之様ニ相聞候向後右之類可為無用候
　　　　　　且又百姓田畑等質物ニ書入させ金子地頭江借リ
　　　　　　候儀弥可為停止候事
　　　　　　　　　以上
　　　　　　　　亥十月
　　一　十月廿日右同断ニ付御国表札銀相止不残金銀ニ引替可有
　　　　之段被　仰出之
　　一　同月廿五日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：十一月七日｜御帰殿》
　　一　同月廿九日重陽御祝儀御献上ニ付而之御奉書土屋相模守《割書：政｜直》殿
　　　　西丸御老中小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿ニ而御渡有之
　　　　　　但御忌中ニ而日限過御献上被成候ニ付　御内書無之御奉書
　　　　　　　相成
　　一　十一月三日御参勤御時節為御伺御使者樋口小左衛門《割書：安｜隆》江戸
　　　　表江被指出之今日福井出立
　　一　同月十七日　越後守《割書：光｜長》様御卒去《割書：御法号｜慧照院殿》依之御服忌之儀林
　　　　大学頭　殿江御問合ニ相成候処御養方御祖父之御続ニ候得共

　　　　御養母様江御対面無之ニ付御服忌無之段被申聞之
　　一　十一月十八日御老中ゟ御呼出御使者樋口小左衛門《割書：安｜隆》罷出候処来年
　　　　四月中御参府可被成旨御老中連名之御奉書御渡有之
　　一　同月十九日先達而　越後守《割書：光｜長》様御病気之節　上使を以御尋
　　　　有之候為御礼江戸表江御書被指出之
　　一　同月廿三日　越後守《割書：光｜長》様御卒去ニ付御国表今日ゟ十日之間
　　　　普請鳴物等停止被　仰出之
　　一　同月廿八日先達而《割書：去十｜九日》三ノ丸内市村勘右衛門《割書：賢｜通》居屋敷焼失ニ付
　　　　御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿江御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》左之通相達之
　　　　　　　　　口上
　　　　　　兵部大輔在所城内三之曲輪之内侍屋敷一軒
　　　　　　当月十九日致焼失候類火も無御座早速消リ
　　　　　　申候此段御届可申上之旨在所ゟ申来候ニ付罷出候
　　　　　　以上
　　　　　　　　　　　　　　松平兵部大輔家来
　　　　　　　　　　　　　　　　　堀　十兵衛
　　一　同月廿九日　越後守《割書：光｜長》様御逝去ニ付為御代焼番嶋田清左衛門《割書：重｜休》
　　　　江戸表江被指遣之今日福井出立

　　一　十一月晦日右同断ニ付備前守《割書：宣｜富》様江　上使を以　御香奠御拝領
　　　　有之候ニ付為御礼江戸表江御書被指出之
　　一　十二月四日寒中ニ付　御機嫌為御伺御使者堀豊左衛門《割書：汎｜長》江戸
　　　　表江被指出之　
　　　　公方様　大納言様江御肴一種宛被献之豊左衛門今日福井出立
　　　　　　但同月十八日御返書御渡有之
　　一　同月五日先達而諸国札遣停止被　仰出候ニ付御領内銀札去月
　　　　廿五日切ニ不残金銀ニ引替相済候段御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江
　　　　御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》罷出相達之
　　一　同月廿三日御書を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被献之
　　一　同月廿五日右同断《割書：二｜番》生鱈被献之
　　一　同月廿九日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖
　　　　被献之
　　　　大納言様江銀十枚被献之　御台様　御簾中様江白銀被指
　　　　上之

宝永五年戊子
　　一　正月朔日於　御本丸年始御規式有之
　　一　同日為年始御祝儀御使者牧野清兵衛《割書：易｜相》を以ｒ例之通御太刀
　　　　馬代被献之
　　　　　　但清兵衛旧臘七日御国表出立
　　一　同月四日中務大輔《割書：昌｜平》様四品被　仰出候《割書：旧臘｜廿三日》為御礼江戸表江
　　　　御書被指出之

　　　　 正月七日為御上初御祝儀御使者を以例之通御肴被献之
【頭注　御上初に御祝儀の三字是ゟ上ニ例なし如何】
　　一　同月十一日年始三ヶ日之御規式相済候為御祝儀江戸表江御書
　　　　被指出之御肴一種被献之
　　一　閏正月四日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：同六日｜御帰殿》
　　一　同月七日御老中井上河内守《割書：正｜岑》殿ゟ御呼出御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》
　　　　罷出候処近年御入用之品々有之其上去冬武州相州駿州三ヶ国
　　　　之内砂積候《割書：十一月廿三日富士山焼出致震動｜灰石砂等降同廿五日又々右同断》村々御救旁之儀ニ付諸国高役金
　　　　御領私領共高百石二付金弐両宛之積を以在々ゟ取立当三月
　　　　を限ニ　公儀御金蔵江可相納旨御書付を以被申渡之
　　一　同月廿五日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：二月七日｜御帰殿》
　　一　二月十二日於瑞源寺去十日晩ゟ今朝迄　松桂院様二十三回御忌
　　　　御法事御執行有之於谷中南泉寺も右同様御執行有之
　　一　同月十三日　八重姫君様《割書：水戸少将《割書：吉｜孚》様｜御簾中》安産ニ付為御歓御使者水野
　　　　善左衛門《割書：勝｜満》江戸表江被指出之今日福井出立
　　一　同月廿八日御番頭江左之通被　仰出
　　　　　　只今迄新規被　召出者或新知被下置或御役儀
　　　　　　被　仰付又者跡目被下御番入被　仰付或御扶持方
　　　　　　御切米ニ被成下面々右為祝儀仲ヶ間又ハ同役等振

　　　　　　廻申儀有之由ニ候向後右振廻之儀停止可仕旨
　　　　　　被　仰出候間右之旨御番組中江可被申渡候以上
　　　　　　　　二月
　　一　三月十一日京都表火事有之《割書：去八｜日》
　　　　禁裏　院中炎上ニ付所司代松平紀伊守《割書：信｜庸》殿江御使者御使番
　　　　柘植伊右衛門《割書：景｜林》被指出之今日福井出立
　　　　　　但日野西中納言殿ニも御類焼ニ付為御見舞伊右衛門被遣之
　　一　同月十二日右同断ニ付
　　　　禁裏御所
　　　　仙洞御所
　　　　春宮御機嫌為御伺京都所司代松平紀伊守《割書：信｜庸》殿江御書被指
　　　　出之
　　一　同月十三日先達而被　仰出候高割役金御領分中御取立之分
　　　　御上納ニ付　公儀御金蔵江相納之
　　一　同月十四日京都表大事有之候得共二條御城御別条無之為
　　　　御歓御使者水野藤兵衛《割書：宗｜普》江戸表江被指出之《割書：御書日附｜十二日》今日福井
　　　　出立

　　一　三月十六日今度立坊立后　宣下相済候為御歓御使者山名
　　　　次郎右衛門《割書：重｜貞》江戸表江被指出之今日福井出立
　　一　同月廿一日先達而日野西中納言《割書：国｜豊》殿御屋敷御類焼ニ付　梅姫様
　　　　御国表江御引取被成度旨御老中江御伺之儀大岡治右衛門《割書：忠｜久》殿迄
　　　　被　仰遣左之通御願書被指遣之
　　　　　　　　覚
　　　　　　今度京都大事出来日野西中納言屋敷致
　　　　　　類焼候借宅不自由ニ而可罷在所無之難儀仕
　　　　　　旨候依之中納言娘祝言相調候迄在所江引取置
　　　　　　申度願奉存候以上
　　　　　　　　三月廿一日　　　　　松平兵部大輔
　　一　同月廿五日福井　御発駕中山道通御旅行
　　一　四月二日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿ゟ御呼出御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》罷出
　　　　候処　梅姫様御国許江御引取之儀御願之通被　仰出候旨被申
　　　　渡之
　　一　同月九日板橋駅ゟ　御着府【　脚注　御着府直ニ為御案内御老中方等｜御廻勤ノ序例ナリ此時無之ハ如何】
　　一　同月十日右同断ニ付　上使御老中大久保加賀守《割書：忠｜増》殿御越

　　　　上意之趣御達有之《割書：上使御取扱｜如例》御退出後為御礼御老中御側
　　　　御用人若年寄中江　御廻勤
　　一　四月十二日　御登　城《割書：昨十一日大久保加賀守殿ゟ｜御老中連名之御切紙来》御参勤之御礼被　仰上
　　　　例之通御太刀銀綿御献上畢而被　召連候御家来本多四郎右衛門《割書：恒｜久》
　　　　御目見被　仰付御太刀銀馬代蝋燭献上相済　西丸江　御登
　　　　城夫ゟ為御礼御老中御側御用人若年寄中江　御廻勤
　　一　同月十四日御老中連名之御切紙を以浅草御蔵火消被蒙　仰
　　　　　　但右ニ付御不快之節ハ
　　　　　　　吉邦様御名代御指出被成度旨御願被成候処不苦旨御指図有之
　　一　同日御参府ニ付為御土産御使者を以例之通五色奉書紙
　　　　被献之　御台様江両面打曇鳥子紙被指上之
　　一　同月廿一日　御内証ゟ御見台被献之御使者御留守居を以御老中
　　　　土屋相模守《割書：政｜直》殿迄被指出之
　　一　同日　梅姫様為御迎御家老松平庄兵衛《割書：正｜恒》初京都江被指遣之
　　　　今日福井出立
　　一　同月廿五日先達而
　　　　禁裏炎上ニ付　天機為御伺御使者毛受孫兵衛《割書：利｜以》
　　　　奉書紙五十束被献之《割書：御書日附｜十八日》江戸表ゟ被指出候趣ニ而孫兵衛今日



　　　　福井出立
　　一　五月二日御使者毛受孫兵衛《割書：利｜以》　禁裏内御玄関江罷出御献
　　　　上物相納《割書：此節為案内伝｜奏ゟ雑掌被相添》右ニ付伝　奏ゟ《割書：柳原前大納言殿｜高野前中納言殿》左之通御御返翰
　　　　御渡有之
　　　　　　芳翰令被見候去月八日
　　　　　　禁裏　御所方炎上候雖然弥御安全之御事候
　　　　　　依之為窺
　　　　　　御機嫌以使者目録之通被献之則　奏達候処
　　　　　　御感悦之御事候恐々謹言
　　　　　　　　五月二日　　　　　　　保春
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　資廉
　　　　　　　　　松平兵部大輔殿
　　一　同月三日為端午御祝儀御使者を以　ごれ例之通御帷子御単被献之
　　　　大納言様江銀五枚被献之　御台様　御簾中様江白銀被指上之
　　一　同月五日　梅姫様福井江御着
　　　　　　但去月廿九日京都御発輿東近江路御旅行

　　一　五月六日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
　　一　六月六日暑中ニ付　御機嫌為御伺御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿江
　　　　御勤
　　一　同日右同断ニ付御使者を以例之通御国産索麺干鯛被献之
　　一　同月七日右同断ニ付
　　　　大納言様御機嫌為御伺　西丸御用番小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江
　　　　御勤
　　一　同月十一日御勝手向御指支其上
　　　　吉邦様御婚礼前御普請御入用等有之ニ付町在江左之通
　　　　御用金被　仰出
　　　　　　　　　　　金子五千両　　　　　渥美新右衛門支配下
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　福井町中
　　　　　　　　　　　金子千四百両　　　　水野善左衛門支配下
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　川北領
　　　　　　　　　　　金子千六百両　　　　武曽権左衛門支配下
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　下領
　　　　　　　　　　　同断　　　　　　　　周防猪左衛門支配下
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　上領
　　　　　　　　　　　金子弐千五百両　　　本多孫太郎領
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　府中分
　　一　同月廿二日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書并御奉書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例

　　一　六月廿九日今度　松姫君様松平若狭守《割書：吉｜徳》殿江《割書：加賀宰相《割書：綱｜紀》殿｜御嫡》御入
　　　　輿ニ付御使者を以色糸百斤被献之右御披露済之捻御奉
　　　　書御老中秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿ゟ来
　　　　　　　　　上書
　　　　　　　　　　松平兵部大輔殿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　喬朝
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　今度　松姫君様御入輿付而色糸百斤被献之候
　　　　　　　　右之趣各申談及
　　　　　　　　高聞候恐々謹言
　　　　　　　　　　六月廿九日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　喬朝書判
　　一　七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
　　一　八月朔日為御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代　御献上
　　一　同月六日御領分岡本村下太田村印内村北府村高瀬村平出村
　　　　新保村岩永村　公料千福村上太田村と中務大輔様御領分小野
　　　　村勝蓮華村と参剝山出入之儀ニ付双方共江戸表江致出訴候処

　　　　御裁許相済今日双方江左之通御裁許書日相渡之
　　　　　　　　越前国南條郡千福村印内村平出村北府村
　　　　　　　　岩永村高瀬村丹生郡上太田村下太田村新保村
　　　　　　　　岡本村丹生郡小野村勝蓮花村山論之事拾ヶ村
　　　　　　　　百姓訴候ハ参剝山ニ而弐ヶ村之者致焼畑漆桒
　　　　　　　　栽立ニ付入合場狭ㇰ候由申之二ヶ村百姓答候ハ国
　　　　　　　　法ニ而三間ニ一本宛苗木累年栽立候畑之儀是又
　　　　　　　　切替作リ来旨申之遂糺明処累年苗木栽
　　　　　　　　立候証拠無之拾ヶ村ゟ山手銀米取之参剝山
　　　　　　　　□シ山ニ致来ル上ハ向後参剥山入合場ニ新林焼畑
　　　　　　　　一切不可致之裁許之趣双方江書下条可為後
　　　　　　　　鑑者也
　　　　　　　　　宝永五年戊子八月六日　　　平　若狭印
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　石　安房印
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　中　出雲印
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　萩　近江印
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　坪　能登印
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松　壱岐印

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丹　遠江印
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　本　弾正印
　　　　　　　　在所御暇ニ付無加印　　　　三　備前
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　鳥　播磨印
　　一　八月九日御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江御逢対　御勤
　　一　同月廿八日　梅姫様福井御発輿中山道通江戸表江被為趣
　　　　《割書：九月十三日｜江戸御着》
　　一　同日右同断ニ付信州福嶋御関所女通手形山村甚兵衛　殿江
　　　　左之通御家老ゟ指出之
　　　　　　　越前国福井庄ゟ江戸江罷通女事
　　　　　　　　　女上下四拾六人　内《割書：小女四人｜髪切壱人》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　《割書：乗物弐拾挺｜籠乗物弐拾六挺》
　　　　　　　　右者日野西前中納言殿息女并召仕候女共ニ而御座候
　　　　　　　　松平大炊頭江縁組被　仰出候処当春京都火事
　　　　　　　　ニ付松平兵部大輔願申上在所江引取置候此度於
　　　　　　　　江戸兵部大輔屋敷江引越申候条御関所無相

　　　　　　　　違御通可被下候仍後日之証文如件
　　　　　　　　　寛永五戊子年八月廿八日　　稲葉多門
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　酒井典膳
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　本多孫太郎
　　　　　　　　　信州福嶋御関所
　　　　　　　　　　　山村甚兵衛殿
　　一　九月七日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　　　大納言様江銀十枚被献之　御台様御簾中様江白銀被指上之
　　一　同月十三日
　　　　吉邦様御婚礼御勢【整】被成夫ゟ表江被為　入
　　　　吉品様江御対顔右為御祝儀御太刀馬代《割書：黄金｜十両》ニ種一荷御持参
　　　　相済
　　　　吉品様ニも大奥御部屋江被為　入於　御居間御対顔御太刀
　　　　馬代ニ種一荷被進之
　　一　同月廿八日　御登　城《割書：昨廿七日御老中｜連名之御切紙来》
　　　　吉邦様御婚礼相済候御礼被　仰上
　　一　同月廿九日当年御物入差湊御勝手御指支ニ付左之通御家中江

　　　　増御借米被　仰出
　　　　　　　　　　　　　　覚
　　　　　　一　地方ニ而被下知行六百石以上壱ツ通上納之事
　　　　　　一　御代官附幷明里御蔵出シ被下知行之面々五百五拾石
　　　　　　　　以下七歩通上納之事
　　　　　　一　御合力銀米被下面々知行高ニ積七歩通米上納之事
　　　　　　　　　　　　但扶持方之分ハ除之
　　　　　　一　御切米取弐拾壱石以上ハ知行高ニ積七歩通上納之事
　　　　　　　　　　　　但扶持方之分ハ除之
　　　　　　一　御切米取弐拾石ゟ拾石余迄ハ知行高ニ積リ五歩通
　　　　　　　　上納之事
　　　　　　　　　　　　但扶持方之分ハ除之拾石以下之御切米取末々迄
　　　　　　　　　　　　　上納御免之事
　　　　　　一　御扶持方取十五人扶持ゟ上被下面々知行高ニ積
　　　　　　　　七歩通上納之事
　　　　　　一　御扶持方取十四人扶持ゟ拾人扶持迄被下面々知行
　　　　　　　　高ニ積五歩通上納之事
　　　　　　　　　　　　但九人扶持ゟ以下ハ上納御免之事

　　　　　　一　役料知被下置面々馬役料之分上納御免之事
　　　　　　一　本知三百五拾石三百石被下置面々百石之分役料同
　　　　　　　　事上納御免之事
　　　　　　一　役料共ニ弐百七拾五石弐百五拾石被下置面々馬所持仕
　　　　　　　　候付本知之分五分通上納之事
　　　　　　一　当年江戸ニ相詰罷在候面々并来春御留守詰ニ罷
　　　　　　　　越者共何茂御借米御免之事
　　一　十月廿九日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書并御奉書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　十二月五日寒中ニ付　御機嫌為御伺御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江
　　　　御勤
　　一　同月七日右同断ニ付
　　　　大納言様御機嫌為御伺　西丸御用番小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江御勤
　　一　同月十二日
　　　　大納言様御麻疹ニ付　御機嫌為御伺
　　　　吉邦様御同道ニ而　御登　城《割書：昨晩大目付中ゟ｜御廻状来》夫ゟ御用番土屋
　　　　相模守《割書：政｜直》殿江　御勤
　　一　同月廿五日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被献之

　　一　同日右同断《割書：二｜番》生鱈江戸表江着候得共同日之着ニ付御献上無之
　　一　十二月《割書：日不｜詳》為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　　　大納言様江銀十枚被献之　御台様　御簾中様江白銀被指上之

家譜





家譜　　《割書：宗矩公　　従享保十一年｜　　　　　到同十二年》　　　四十

宗矩様《割書：従享保十一年丙午｜至同十二年丁未》

享保十一年丙午

　一、正月朔日於　御屋形年始御規式有之諸士之御礼
　　　被為　請初而御流被下之
　一、同日為年始御祝儀御使者御奏者番水谷織部《割書：勝｜紀》を以
　　　御太刀馬代被献之
　　　大納言様江右同断被献之
　　　　　　但御痛所ニ而　御登　城御断ニ付御使者を以被献之

　一、正月三日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃台
　　　御酒代被献之
　一、同月七日為若菜御祝儀御使者を以例之通御肴《割書：鯛｜三》
　　　被献之
　一、同月十六日於　御本丸今日ゟ廿日迄　御先代之通御祈
　　　祷執行被　仰付
　　　　　但右御祈祷之儀以後定例故不記之
　一、二月廿日御老中松平伊賀守《割書：忠｜周》殿ゟ歳暮之御内書
　　　御渡可被成候間明廿一日御家来一人　御城江被指出候様

　　　御切紙来
　一、同月廿一日右同断ニ付御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》　御城江罷出
　　　候処歳暮御祝儀御献上似ニ付而之　御内書御老中松平伊賀守《割書：忠｜周》殿
　　　御渡有之其節一右衛門江縮緬二巻拝領被　仰付旨被申聞之御品
　　　者御奏者番丹羽式部少輔《割書：■｜氏》殿被相渡之夫ゟ　西丸江罷出候処
　　　大納言様江右同断御献上ニ付而之御奉書　西丸御老中安藤
　　　対馬守《割書：信｜賢》殿被相渡之一右衛門罷帰　御内書指上之御頂戴被成
　　　　　　　　　　為歳暮之祝儀小袖
　　　　　　　　　　一重到来歓思召候猶

　　　　　　　　　　松平伊賀守可申候也
　　　　　　　　　　十二月廿七日御黒印

　　　　　　　　　　　　　　　　　松平千次郎とのへ
　　　　　　　　　　為歳暮之御祝儀以使者
　　　　　　　　　　御小袖一重進上之候遂
　　　　　　　　　　披露候處一段之仕合候
　　　　　　　　　　恐々謹言

　　　　　　　　　　　　　　　　安藤対馬守
　　　　　　　　　　　十二月廿七日　　信賢書判
　　　　　　　　　　　　松平千次郎殿
　　　　　　　但右歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書并御奉書
　　　　　　　　御元服以前与同様ニ付以後不記之
　一、二月廿二日五節句　御登　城之儀ニ付御先手六郷主馬殿を以
　　　御用番松平左近将監《割書：乗｜邑》殿江左之通御願書被指出之
　　　　　　　　　　私儀五節句御礼登　城仕度
　　　　　　　　　　願奉存候以上

　　　　　　　　　　　二月　　　　松平千次郎
　一、同日大目付中ゟ御領分人別御改之儀ニ付左之通
　　　御廻状来
　　　　　　　　　　　覚
　　　　　一、去ル丑年被指出候通諸国領地之百姓町人社
　　　　　　　人男女左右に僧尼等其外之者共迄不残今年相改
　　　　　　　壮惣人数郡切ニ書記領分限ニ可被指出候此度ハ田畑
　　　　　　　町歩被書出ニ不及人数斗書付当四月ゟ霜

　　　　　　　月迄之内勝手次第可被指出候尤何月改何歳
　　　　　　　以上認候と申訳加へ可被申候且又武家方之
　　　　　　　奉公人并又ものハ不及被書出候事
　　　　　一、向後者相触候尓不及子年与午年尓今年
　　　　　　　通可被相心得候事
　　　　　右之趣万石以上并老中若年寄中支配被可被相
　　　　　触候若難心得儀も候ハヽ猶又御勘定所江可承合候
　　　　　自今至尓其年■ハヽ右之通り書出候様ニ可被相達候
　　　　　勿論子年午年与有之ハ今年ゟ七年目［　］

　　　　　事候御料之分ハ御代官ゟ御勘定所え私領之
　　　　　分は頭支配え書付出候様ニ可被達候以上
　　　　　　　午二月

一　二月廿四日御用番松平左近将監《割書：乗｜邑》殿ゟ御呼出御留守居
　　大関新五左衛門《割書：■｜■》罷出候処五節句　御登　城御願之儀ニ付
左之通御書付を以被　仰出
　　　　　　　　　　　　　　　　松平千次郎
　　　　　五節句御礼可有登　城候

　　　　　　各え御礼ニは被致
　　　　　　御目見候以後可被相越候
一　三月二日明三日節句初而　御登　城被成候ニつき付為御届
　　御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿　西丸御老中安藤対馬守《割書：信｜賢》殿え
　　御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》被指出之
一　同月三日《割書：六半｜時》左兵衛督《割書：直｜常》様御同道ニ而節句初而　御登　城
　　於大廣間侍従之御席ニ而御礼被　仰上畢而　西丸え御登
　　城御奏者番中御謁ニ而御礼被　仰上夫ゟ御帰殿《割書：九時｜過》再
　　御出右為御礼御老中　御廻勤若年寄中え御使者

　　御留守居大谷一右衛門被指《割書：次｜安》出之
一　三月五日御使者を以例之通御国産干鰈被献之
一　同月廿七日於品川天龍寺
　　豊仙院様三回御忌御取越御茶湯御執行有之
一　四月十八日御精進揚ニ付御使者を以例之通御肴《割書：■｜二》被献之
一　同月廿七日於運正寺昨廿六日晩ゟ今朝迄
　　豊仙院様三回御忌御法事御執行有之於天徳寺も右
　　同様御執行有之
一　同月廿八日大目付中ゟ今度　西丸分限帳新規御調ニ付


　　御本丸之通明細書御指出被成候様且又向後　御本丸西丸御両
　　所江御指出可被成旨御廻状来
一　五月二日御預所御年貢米今度大坂玉造御蔵請ニ相成候
　　儀ニ付掛り役人大坂表江被指出且人馬等御門出入之儀為御届
　　同所御城番戸田大隅守《割書：忠｜■》殿江京都役寺沢勘左衛門《割書：正｜意》被指出之
一　同月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単衣被献之
一　同月九日御家老之息并女婚姻相済候為御礼御肴一種ツヽ
　　献上これ之儀
　　昇安院様御代ゟ相止候処向後軽御肴致献上所度旨御家

　　老中談之上相伺献上ニ相成候段於　御屋形御奏者番江
　　御家老酒井与三左衛門《割書：元｜■》申聞之
一　五月十一日大目付彦坂壱岐守《割書：治｜敬》殿江御使者御留守居大谷
　　一右衛門《割書：次｜安》を以御明細書被指出之

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　養父松平中務大輔　実父松平主税頭
　　　　　　　　　　　　　　　　本国参河
　　　　一　高三拾万石　　越前国　　　　　　　　　　　松平千次郎
　　　　　　　　　　　　　　　　生国武蔵　　　　　　　　　午十四歳
　　　　　　　　　享保十一年五月　　　　居城越前国福井

一　同日若杉村地上往還狐橋修復之節古来ゟ致往来候村々五


　　拾奈菜七ヶ条入用銀指出候処今度間部下総守《割書：詮｜言》殿領分上糸生
　　村下糸生村両村入用銀指出候事無之由申候而受不申候
　　ニ付郡奉行ゟ下総守殿役人迄申遣猶又先年普請役致候帳
　　面写指越候処古来ゟ到来候趣を以以来相勤候様ニと申渡
　　候由下総守殿役人ゟ申来
一　同月十五日
　　大納言様御袖被為　留候為御歓老中并西丸御老中安藤
　　対馬守《割書：信｜賢》殿江御使者御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》被指出之《割書：去十三日｜御触達》
一　同月十七日東叡山江初而　御参詣　御宮并御仏殿江御太刀

　　　馬代銀一枚宛御献備有之
一　五月廿二日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
一　同月廿四日増上寺江初而御参詣御仏殿江小太刀馬代銀一
　　枚宛御献備有之
一　同月廿五日於御馬場御家中之面々乗馬　御浼被成
一　同月晦日御勘定奉行稲生下野守《割書：正｜武》殿ゟ申来御留守居大谷
　　一右エ門《割書：次｜安》罷り候処北条安房守《割書：氏｜英》殿列座ニ而最前も御達有之候
　　越前ゟ出候御用紙宰領　儀今以人多指添罷出候趣ニ付
　　愈以明来御伝馬振放ニ而宰領不指添指越候様可申付旨
　　
　　被申聞之
一　六月十日　浄圓院様《割書：公方様之｜御実母》昨九日御逝去ニ付明十一日
　　公方様為伺御機嫌惣仕候処御痛所有之ニ付　御登
　　城不被成旨為御届御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿江御使者御留
　　守居宮北十郎左衛門《割書：宅｜由》を以被指出之
一　同月十一日右同断ニ付
　　公方様御機嫌為御伺御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿　西丸御老中
　　安藤対馬守《割書：信｜賢》殿江御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》被指出之
　　《割書：昨十日｜御■■》







一　六月十二日御■中　御機嫌為御伺御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿
　　西丸御老中安藤対馬守《割書：信｜賢》殿江御使者御留守居大谷一右エ門《割書：一行目｜二行目》
　　被指出之《割書：昨十一日｜御謁達》
　　　　　但十三日も右同断御使者被指出之
一　同月十五日右同断ニ付御■中　御機嫌為御伺薯蕷一籠《割：三十｜本》
　　被献之
　　大納言様江右同断被献之《割書：去十一日｜御謁達》右御披露之捻奉書
　　御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿　西丸御老中安藤対馬守《割書：信｜賢》殿ゟ来



　　　　　　　　上書
　　　　　　　　　松平千次郎殿　　　　　　　　　　忠之

　　　　　　　　　　　　　　　　表書
　　　　　　　　　　　　　　　　　水野和泉守

　　　　　　　今朝薯蕷一籠進上
　　　　　　　之候遂披露候恐々謹言
　　　　　　　　六月十五日　　　　忠之書判
　　　　　　但対馬守殿ゟ之捻御奉書も同様ニ付不記之
一　同月十六日右同断ニ付　御機嫌為御伺御用番水野
　




　　　和泉守《割書：忠｜之》 殿　西丸御老中安藤対馬守《割書：信｜賢》殿江御使者御留
　　守居大谷一右エ門《割書：次｜安》被指出之
　　　　　但右御使者二三日ニ一度ツヽ被指出候得共以後不記之
一　六月十九日右同断　御機嫌為御伺御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿
　　西丸御老中安藤対馬守《割書：信｜賢》殿江　御勤《割書：御先手六郷主馬殿｜御同道》
一　同月廿五日　初姫様御■落之御祝儀有之
一　同月廿六日暑中例年之素麵御献上之儀御用番江御伺
　　被成候処　御中陰中ニ付重而御伺被成候様御指図有之
一　七月二日暑中　御機嫌為御伺御用番松平左近将監《割書：乗｜邑》殿

　　西丸御老中安藤対馬守《割書：信｜賢》殿江　御勤《割書：御先手六郷主馬殿｜御同道》
一　同日御使者を以例之通御国産素麵被献之
一　同月六日明七日御■中　御機嫌為伺惣出仕之処暑気
　　御中被成候ニ付　御登　城不被成旨御使者を以御用番
　　松平左近将監《割書：乗｜邑》殿江御届被成
一　同月十三日右同断ニ付　御機嫌為御伺御使者御留守居
　　大谷一右衛門《割書：次｜安》を以林檎一籠《割書：千四百｜余入》被献之《割書：去月十一日｜御触達》於　御城御側
　　衆土屋











　　居御呼出御渡之御書付左之通廻達有之
　　　　　　　只今迄御馬献上之面々諏訪部文右衛門方ニ而
　　　　　　　見分之上献上可在之候得共向後ハ文右衛門
　　　　　　　不及見分候間可被献馬毛附并歳附等書
　　　　　　　付候而本多伊予守江相達可被得指図事
　　　　　　　　　　午七月
一　七月廿五日御家中御借米之儀ニ付左之通書付を以
　　諸月番江月番御家老本多修理《割書：恒｜久》申渡之
　　　　　　御勝手之儀今以御難儀之御事候得共御家
　　　　　　
　　　　　　中猶更困窮仕儀候故御借米去年半分
　　　　　　御免被成候残之内当暮又三ケ一御免可被成
　　　　　　下候江戸表幷京都ニ相詰候面々者三ケニ御免
　　　　　　之事候条面々可被得其意候以上
　　　　　　　　七月廿五日
一　同月廿八日八朔　御登　城之儀五節句外之趣ニ付　御登城可被
　　成旨御用番松平伊賀守《割書：忠｜■》殿江御使者御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》
　　を以御届被指出之
一　同日　御中陰明ニ付御精進揚之御肴御献上之儀
　　

　　御用番松平伊賀守《割書：忠｜周》殿江御伺被成候処御献上ニ不及旨御指
　　図有之
一　八月朔日為御祝儀　御登　城小太刀馬代御献上御礼
　　被　仰上
　　　　　但今日ゟ浅五郎様二も初而　御登　城ニ付御礼席之儀者　
　　　　　　浅五郎様ゟ御先手ニ被　仰上筈之旨先達而大目付彦坂
　　　　　　壱岐守殿御書付を以被仰達猶尚又御供嶋田宇右衛門大谷
　　　　　　一右衛門江も被仰聞候ニ付今日ゟ御先ニ御礼被　仰上
一　同月二日御預所御廻米船二艘長門国臺浦郡之沖ニ而致　　
　　
　　枝船候趣松平長門守《割書：吉｜元》殿家老ゟ江戸御屋敷迄申来候ニ付
　　御勝手役林新助《割書：重｜■》　公儀御勘定所江罷出木村四郎兵衛　殿江
　　右之趣相達之
一　同月三日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金
　　被献之
　　　　但右御献上之儀去朔日於　殿中大目付松平相模守殿
　　　　　御留守居大谷一右エ門江書付を以被申聞之
一　同月六日御預所雪垣代鷹■代道銀鎰役銀向後相止可
　　申旨於御勘定所被相達之候ニ付御用懸り御老中水野










　　　　　　和泉守《割書：忠｜之》殿江御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》左之通書付を以相達之
　　　　　　　　　　　　覚
　　　　　　一　雪垣代　　　　一　鷹■代
　　　　　　　　右只今迄在々ゟ取立郷帳ニ組御算用仕来候得共
　　　　　　　　外　御料ニ無御座儀ニ候間向後　御指免被遊候由
　　　　　　一　道銀　　　　　一　鎰役銀
　　　　　　　　右只今迄取立右御用相勤候者江相渡申候得共
　　　　　　　　外　御料ニ無御座儀候間向後取立候儀相止可申由
　　　　　　右之趣昨五日於御勘定所駒木根肥後守様被仰聞候

　　　　　　由ニ而八木清五郎様被仰渡候以上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松平千次郎内
　　　　　　　　　八月六日　　　　　　　　宮北十郎左衛門

一　同日御老中水野和泉守《割書：忠｜之》殿ゟ端午之　御内書御渡可有　
　　之候間明七日御家来一人　御城江被指出候様御切紙来
一　八月七日右同断ニ付御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》　御城江罷出
　　候処端午御祝儀御献上二付而之　御内書御老中水野和泉守《割書：忠｜之》殿
　　被相渡之其節十郎左衛門江縮緬《割書：二｜巻》拝領被　仰付旨申渡之
　　御品者御奏者番太田備中守《割書：資｜晴》殿被相渡之相済
　西丸御老







　　　中安藤対馬守《割書：信｜賢》殿出座
　　　大納言様江右同断御献上二付而之御奉書御渡有之十郎左衛門
　　　罷帰　御内書指上之御頂戴被成
　　　　　　　　為端午之祝儀帷子単物致
　　　　　　　　来歓思召候猶水野和泉守可
　　　　　　　　申候也
　　　　　　　　　五月三日御黒印

　　　　　　　　　　　　　　松平千次郎とのへ

　　右御請御書御使者御使番を以被指出之
一　八月十一日御用番松平左近将監《割書：乗｜邑》殿ゟ御呼出ニ付御留守居
　　罷出候処御領内ゟ出候駒之儀ニ付左之通御書付
　　被相渡之
　　　　　　領内与り駒出乗料ニいたし家中乗馬ニ而致
　　　　　　成候ハヽ献上仕可然儀も可有之候就夫駒出候ハヽ
　　　　　　大概壱ケ年ニ何疋程宛出候哉可被申聞候献上仕
　　　　　　可然候者其段者追而可及指図候
　　　　　　　但領分与り駒出不申候者其趣も可被申聞候

一　八月十二日右同断ニ付御同所江御留守居を以左之通御書付
　　被指出之其節御留守居ゟも書付指出之
　　　　　　　　　
　　　　　　　　　口上覚

　　　　　　昨日家来之者被召呼被仰聞候御書付之お趣
　　　　　　致承知候私領分ゟ駒出不申候以上

　　　　　　　　八月十二日　　　　　松平千次郎

　　　　　　　　　〆

　　　　　　　　　覚
　　　　　
　　　　　　松平千次郎領分ゟハ駒出不申候家中
　　　　　　乗馬在々用馬者越後信濃産之
　　　　　　馬用申候以上

　　　　　　　　　　　　　松平千次郎内
　　　　　　　　八月十二日

一　八月廿二日御使者を以例之通御国産初鱈被献之
一　同月廿九日月次御礼　御登　城御願ニ付御用番松平
　　左近将監《割書：乗｜邑》殿江御先手六郷主馬　殿を以願左之通被指出之
　　　　　　　私儀月次御礼登　城仕度願奉存候
　　　　　　以上
　　　　　　　八月　　　　　　松平千次郎
一　同月晦日御用番松平左近将監《割書：乗｜邑》殿ゟ御呼出御留守居大谷
　　一右衛門《割書：次｜安》罷出候処御書付を以月次　御登　城御願之通
　　被　仰出右為御礼御同所江御使者御使番被指出之

一　同日右同断ニ付明日ゟ　御登　城可被成旨為御届御用番
　　松平左近将監《割書：乗｜邑》殿来月御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿江御使者
　　御留守居被指出之
一　九月一日《割書：六半｜時》月次初而　御登　城御礼被　仰上
一　同日右同断ニ付《割書：九半｜時》再　御出為御礼御老中　御廻勤若年
　　寄中江御使者御留守居被指出之
一　同月三日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
一　同月《割書：日不｜詳》　御元服之御内願小野次郎右衛門　殿を以御用番
　　水野和泉守《割書：忠｜之》殿江御口上ニ而被　仰達候処御聞置ニ相成










　

　　　　　但右御内願之儀御右筆蜷川八右衛門　殿先達而御留守
　　　　　　居宮北十郎左衛門江被申聞候ニ付御並方相調候処急度
　　　　　　御願与申事者無之候得共御老中迄御内証被　仰
　　　　　　入候趣ニ付右之通御取扱ニ相成
一　九月四日《割書：六時｜以前》御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿幷戸田山城守《割書：忠｜甫》殿　西丸
　　御老中安藤対馬守《割書：信｜賢》殿江御応対《割書：一行目｜二行目》　御勤《割書：御先手六郷｜主馬殿御同道》
一　同月十三日御家老酒井刑部《割書：知｜房》酒井與三左衛門《割書：元｜■》印形相改候
　　ニ付遠州新居上州碓氷信州福嶋三御関所江御家老判鑑
　　被指出之

　　　　　但右様之節判鑑引替之儀以後定例故不記之
一　同月廿日御家老狛伊勢《割書：澄｜孝》乗物之儀ニ付御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿江
　　御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》を以御願書被指出之
　　　　　但右ニ付廿三日和泉守殿江御留守居御呼出ニ而御願之通被
　　　　　　仰出其節廿八日御目付稲葉多宮殿宅ニ而誓詞可致旨
　　　　　　被申聞之
一　同月廿六日御預所御廻米先達而長門国沖合ニ而破船致候
　　右船乗組之船頭百姓共御勘定頭駒木根肥後守《割書：昌｜方》殿ニ而御吟
　　味相済候ニ付勝手次第御国江返候様御役人江肥後守殿被申








　　聞之
一　九月廿九日北潟吉崎濱坂三ケ村出入之儀ニ付金津奉行水野
　　善左衛門《割書：勝｜満》吟味之上御奉行所ゟ左之通書付相渡之
　　　　　　　　　　覚
　　　　一　吉崎濱坂北潟三ケ浦古来ゟ入潟猟船数書付
　　　　　　指出向後入潟猟船書付指出候通増舟致間敷
　　　　　　事
　　　　一　吉崎浦ゟ潟之内江坊塚之儀川之中故難相
　　　　　　知候さヽへハ向後坊塚破損修覆之儀ハ格別ニ候

　　　　　　新規ニ致間敷事
　　　　一　吉崎濱坂猟師入潟北方浦東端ゟ猟船入猟仕
　　　　　　間敷事
　　　　一　北方之者共漁数只今迄之通ニ致候向後新
　　　　　　敷仕出し申間敷事　　
　　　　一　北潟之猟師共濱坂浦吉崎浦際ゟ猟船入
　　　　　　申間敷事
　　　　　　　附
　　　　　　　　右之外ハ只今迄之通三ケ浦入交猟可致事
　　　　　右三ケ浦之儀向後入潟ニ而猟仕儀申分無之様ニ

　　　　致可申候若相違之儀候ハヽ其浦致吟味川運上
　　　　之儀ハ古来ゟ相極候ヘハ為指上入潟猟之儀取揚可申
　　　　候此等之趣御家老中被仰渡者也
　　　　　　　　　　　　　　　　　蝓江善右衛門
　　　　　　享保十一年丙午九月　　千本藤左ヱ門　
　　　　　　　　　　　　　　　　　雨森新七
　　　　
一　十月八日運正寺■套《割書：■｜■》儀去月廿六日遷化ニ付月番之
　　寺社奉行江御使者を以左之通被　仰遣之

　　　　　　　　覚
　　　　　　越前国福井運正寺風外病気候処養生
　　　　　　不相叶致死去候右之趣増上寺方江被相達候
　　　　　　後住之儀前々御目見仕来候故御案内申
　　　　　　入候以上
　　　　　　　　　十月八日
一　同月十二日《割書：六｜時》御老中松平伊賀守《割書：忠｜周》殿江御逢対　御勤《割書：御先手｜六郷》
　　《割書：主馬殿｜御同道》
一　同月廿一日御使者を以例之通御国産塩鮎子籠献之

一　同日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書幷御奉書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　十月廿四日運正寺後住之儀一文字席善達与申者江先
　　達而増上寺方丈ニ而被申前に付候段案内申来候ニ付右善達今
　　日被召寄於　御対面所御礼申上之十帖一本指上之料紙　　
　　理被下之
一　同月廿五日毛屋明地一万五千四百八拾坪桜馬場前明地
　　九千四百弐拾三坪余東光寺裏g五千五十坪三ケ所〆弐万
　　九千九百五拾三坪余之内を以御足軽以上之屋敷地ニ可相宛

　　旨屋敷奉行懇谷小兵衛《割書：正｜宜》江御家老申渡之
一　十一月十一日御老中水野和泉守《割書：忠｜之》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　　十郎左衛門《割書：定｜由》罷出候処本所御下屋敷御用ニ付被指上旨
　　被申渡之左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　　　　　　　　　　松平千次郎
　　　　　　南本所五ツ目六千三百九拾九坪餘之下屋敷
　　　　　　御用候間可被指上候且又西北之南ニ有之茶
　　　　　　屋幷西之方ニ有之候拾五間之長屋之内
　　　　　　北之方ニ而五間残益可申候其外之土蔵幷■家

　　　　　　　等ハ不残可被引取候尤茶屋之方ニ附候二間梁
　　　　　　　七間餘之家も可被引取候委細御普請奉行
　　　　　　　承合可被相渡候
　　　　　一　右為代地巣鴨水野隼人上り北之内ニ而元坪
　　　　　　　之通被下候間御普請奉行相続可被請取候
　　右為御請御同所江御使者御使番被指出之
一　同日右同断御替地御拝領ニ付為御礼御用番松平左近将監《割書：■｜邑》殿江
　　御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》被指出之
一　十一月十四日御風気ニ付明十五日　御登　城不被成候段御用

　　番并　西丸御老中江御使者御留守居被指出之
一　同月十八日浅五郎　様御跡式又三郎《割書：■｜■》様江被仰出津山五万石
　　御城地共御拝領ニ付為御礼御老中江御使者御留守居宮北
　　十郎左衛門《割書：定｜由》被指出之
一　同月十九日大久保朴玄老死去ニ付
　　大納言様　御機嫌為御伺　にｓ西丸御老中安藤対馬守殿江
　　御使者御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》被指出之《割書：昨十八日｜御■達》
一　同月廿日
　　大納言様　御機嫌為御伺　西丸江　御登　城可被成之處

　　　《割書：昨十九日｜御■達》御風気ニ付　御登　城不被成段為御届御用番幷
　　西丸御老中江御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》被指出之
一　同日右同断ニ付　御機嫌為御伺西丸御老中安藤対馬守《割書：■｜賢》殿江
　　御使者御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》被指出之
一　十一月廿四日
　　大納言様　御機嫌為御伺　西丸御老中安藤対馬守《割書：■｜賢》殿江
　　御使者御留守居被指出之
一　同月廿七日巣鴨御拝領地今日御渡ニ付御役人御奉行
　　御目付御留守居被指出之首尾能御受取有之

　　　　　但昨廿六日御普請奉行鈴木伊勢守殿江御留守居
　　　　　　御呼出ニ而被申渡之ニ付六郷主馬殿江　御名代御願　　　　　　■処伊勢守殿不快ニ而御出無之ニ付主馬殿も御出無之
一　同月廿八日右同断相済候為御届御用番松平左近将監《割書：乗｜邑》殿江
　　御使者御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》を以左之通被指出之
　　　　　口上覚
　　　　　　先頃被　仰渡候
本所

　　　　　　御届申達候以上
　　　　　　　　十一月廿八日
一　同日御老中水野和泉守《割書：忠｜之》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　　十郎左衛門《割書：定｜由》罷出候処来月中　御官位　御字可被　仰
　　出候間其節御献上物之儀御伺被成候様御内意被申
　　聞之
一　同日御用番松平左近将監《割書：■｜邑》殿ゟ御呼出御留守居罷出候処
　　御国ニ而出候馬之儀ニ付左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　領内ニ而馬出生無之由先達而被申聞候夫ニ付

　　　　　　　　越前■■馬共多出申候右者他国之馬越前
　　　　　　　　ニ而仕立出■候物と相聞候右之通之馬領内ニ
　　　　　　　　在之哉左候ハヽ何疋程馬数出候哉可被申聞候
一　同日　御元服之節御献上■之御伺書御老中水野
　　和泉守《割書：忠｜之》殿江御使者御留守居を以被指出之
一　十二月朔日御風気ニ付　御登　城御断
一　同月三日本所御下屋敷今日御普請奉行鈴木伊勢守　殿
　　御受取ニ付御役人共被指出御渡有之
一　同日右同断ニ付為御届御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿江御使

　　者御留守居被指出之
一　同日御老中水野和泉守《割書：忠｜之》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　　十郎左衛門《割書：定｜由》罷出候処先達而被指出候御献上物御伺書ニ
　　御附札を以御指図有之
　　　　　但右御伺書御記録類不相見
一　十二月五日
　　大納言様御縁中　御機嫌為御伺西丸御老中安藤対馬守《割書：信｜賢》殿江
　　御使者御留守居被指出之
一　同月九日御老中水野和泉守《割書：忠｜之》殿ゟ御呼出御留守居宮北

　　十郎左衛門《割書：定｜由》罷出候処　御元服被　仰出候節之御作法書幷
　　御伺被成候御名兵部大輔与御改被成候様御書付を以
　　御指図有之
一　同月十日　御元服之儀ニ付御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿ゟ
　　左之通連名之御切紙来
　　　　　　明十一日元服被
　　　　　　仰付候間五半時可有登　城候以上
　　　　　　　十二月十日　　　松平伊賀守
　　　　　　　　　　　　　　　松平左近将監









　　　　　　　　　　　　　水野和泉守

　　　　　　　　　　松平千次郎殿

一　十二月十二日《割書：五｜時》　御登《割書：御幼年ニ付諏訪｜安芸守殿御同道》於御黒書院
　　御元服御縁類ニ而　御目見被　仰上御小サ刀■侭御下段
　　御敷居之内　御右之方ニ　御着座其節　御字之折紙
　　《割書：御一字｜宗》御老中御取次ニ而　御頂戴御次之間江御持退此　
　　時従四位下侍従被　叙任之旨御老中御達有之再御縁

　　類江御出座御礼被　仰上御太刀一腰御馬《割書：■■■■｜青毛》一匹白銀
　　三十枚縮緬十巻御献上畢而御次江御退座御献上物引
　　之重而最前之処江　御着座御盃御頂戴御腰物御拝
　　領《割書：青江貞次｜代金十五■》御次江御持退御小サ刀与御拝領之御刀ニ御指
　　替御縁類ニ而御礼被　仰上御次江御退去此節御献上
　　之御刀一腰《割書：■■■■｜代金十■》被指上之重而御腰指被帯御出座
　　御老中　言上有之又々最前之処江　御着座其節御■
　　子入御老中御取合ニ而御礼被　仰上畢而御退出今日ゟ
　　御名

　　兵部大輔宗矩様与被　称
　　大納言様江御太刀一腰白銀三十枚縮緬十巻御馬《割書：■背衣着｜栃栗毛》
　　一匹御太刀一腰《割書：毛■国吉｜代金十枚》御献上
　　　　　　但右之節　上意ニ千次郎今年十六歳来年者十
　　　　　　　七歳之事ニ候得者元服可致其上先兵部大輔致
　　　　　　　長命候如其致長命様ニ　思召旨
一　同日右同断ニ付為御礼御老中若年寄中　御廻勤《割書：諏訪■■守殿｜御同道》
一　十二月十二日御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　　十郎左衛門《割書：定｜由》罷出候処口　宣御渡之儀ニ付御老中ゟ京都所司

　　代牧野佐渡守《割書：■｜■》殿江之御奉書御渡有之
　　　　但右御奉書御徒飛脚《割書：■■｜■■■》を以京都江被指遣之
一　同日御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿西丸御老中安藤対馬守《割書：■｜邑》殿江
　　御逢対　御勤
一　同月十五日御頸痛気ニ付　御登　城御断
一　同月十九日御老中松平左近将監《割書：■｜■》殿松平伊賀守《割書：忠｜■》殿江
　　御逢対　御勤
一　同日御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》儀今度　御名乗下之字相考
　　指上且　御元服ニ付骨折候ニ付御褒美御小袖一被被下之









一　同日今度御祝事ニ付　初姫様江初而為御祝儀昆布一折
　　鯛三一折御樽代千疋御使者御奏者番多賀谷靱負《割書：廣｜福》を以
　　日進之
　　　　但是迄進物等御取扱無之候得共此度　陽寿院様
　　　　　思召ニ而以来年頭端午暑気重陽御四切寒気歳
　　　　　暮御使御奏者番を以可被進旨被　仰出
一　十二月廿一日為御歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
一　同日口　宣御頂戴之御使者寄合富永新左衛門《割書：■｜長》今日
　　福井出立

一　同月廿二日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被献之
　　右御披露済之捻御奉書御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿　西丸
　　御老中安藤対馬守《割書：■｜■》殿ゟ来
　　　　　　　　上書
　　　　　　　　　松平兵部大輔殿　　　　　　　忠之
　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　表書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　水野和泉守

　　　　　　　今朝生鱈三被献之候遂披露
　　　　　　　候處一段之御仕合候恐々謹言

　　　　　　　

　　　　　　　　　　十二月廿二日　　　　　　　忠之書判
　　　　　但御簡易対馬守殿ゟ之捻御奉書も　同様ニ付不記之右御奉書　　　　　　
　　　　　　御官位後初而ニ付記之以後惣而之御奉書類少将
　　　　　　御拝任迄ハ書面等同様ニ付不記之
一　十二月廿五日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：ニ｜番》生鱈被献之
　　　　　但
　　　　　　大納言様　御成ニ付翌廿六日被献之
一　同日御領分ゟ駒出候儀先達而御尋ニ付御老中松平左近将監《割書：重｜邑》殿江
　　御留守居ゟ左之通書付指出之

　　　　　　　　　口上覚
　　　　　　松平兵部大輔領分在々ニ而馬被扱仕候者年々四五月
　　　　　　比ゟ七八月比迄能登越中越後之内ニ而駒共追々
　　　　　　相求兵部大輔家中乗馬其外在々用馬ニ売
　　　　　　申候尤近国江も売遣申候急度仕立申程之儀ニ而者
　　　　　　無御座候得共右馬主共足付ニ而指出申候員数之儀者
　　　　　　年々■多少ハ在之候得共大概百五六拾疋餘ニ御座候以上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松平兵部大輔内
　　　　　　　　十二月廿五日

一　十二月廿六日口　宣御頂戴之御使者富永新左エ門《割書：康｜長》去四日
　　京着今日所司代牧野佐渡守《割書：英｜成》殿江罷出御老中ゟ之御奉書
　　指出之
一　同月廿八日為歳暮御祝儀御登　城被成候処御用之儀候間
　　御残被成候様被　仰出御礼後御老中松平伊賀守《割書：忠｜■》殿出座来
　　年始御白書院　御着座御相伴被　仰出候旨御達有之
　　夫ゟ　西丸江　御登　城御着座之御礼も被　仰上御退出
　　■為御礼御老中　御廻勤
一　同日口　宣御頂戴御使者富永新左衛門《割書：■■京都役■｜　　■■■同道》傳
　　
　　奏中山大納言　殿亭江罷出候処《割書：昨廿七日所司代ゟ御呼出ニ而｜両人罷出候処御達》口　宣等
　　御渡有之退出直ニ牧野佐渡守《割書：英｜成》殿江罷出右御渡相済候段
　　相達之其節佐渡守殿ゟ御老中江之御返書御渡有之
　　幷■緒之免状用人を以被相渡之
一　同日右同断ニ付左之通御官物御祝儀物相納之
　　　　　　　　　　五位成
　　　　　　　禁裏江　　　　黄金一枚
　　　　　　　法皇御所江　　白銀三枚
　　　　　　　親王御所江　　白銀三枚







　

　　　　　　　内侍所江　　　白銀四拾目
　　　　　　　　　　四位成
　　　　　　　禁裏江　　　　黄金一枚
　　　　　　　法宣御所江　　白銀三枚
　　　　　　　親王御所江　　白銀三枚
　　　　　　　内侍所江　　　白銀四拾目
　　　　　　　　　　侍従成
　　　　　　　禁裏江
　　　　　　　　御太刀　　　一腰

　　　　　　　　御馬代　　　白銀五拾枚
　　　　　　　　官銭弐百貫文
　　　　　　　法皇御所江
　　　　　　　　御太刀　　　一腰
　　　　　　　　御馬代　　　白銀三拾枚
　　　　　　　親王御所江
　　　　　　　　御太刀　　　一腰
　　　　　　　　御馬代　　　白銀三拾枚
　　　　　　　内侍所江

　　　　　　　　　白銀　　　　二枚
　　　　　　　　　　御掛緒御礼物
　　　　　　　　禁裏江　　　　白銀五枚
　　　　　　　　法皇御所江　　同　三枚
　　　　　　　　親王御所江　　同　三枚
　　　　　　　　　飛鳥井家江　　　白銀三枚
　　　　　　　　　　但五位成四位成共御所方御附上臈御局等江
　　　　　　　　　　　御縮物有之候得共略之
一　十二月《割書：日不｜詳》御持鎗之儀今度　御名も御改之儀ニ付

　　吉品様為御持之菖蒲葦鞘之月劔之御鎗ニ御替
　　被成片鎌御鎗者御代々為御持之事ニ候得共
　　思召ニ而御止被成
　　　　　但片鎌御鎗之儀者
　　　　　　大安院様　清浄院様為御持被成候後
　　　　　　昇安院様　豊仙院様為御持被成候処御代々御短
　　　　　　命之御事ニ候間御替被成候様　陽寿院様　思
　　　　　　召之旨御物語ニ付御替被成












享保十二年丁未

　一　正月朔日為年始御祝儀初而　御登　城御白書院江　　
　　　公方様出御御三家様次江　御着座ニ而御礼被　仰上
　　　小太刀馬代御献上呉服御拝領
　一　同月十一日於京都御渡之口　宣宣旨等御徒飛脚《割書：■■｜■左衛門》ニ而
　　　江戸着ニ付御頂戴被成即刻為御礼御老中　御廻勤

　　　　　口宣案


　　　　　　上卿庭田中納言
　　　　　　　享保十一年十二月十一日　　　　　　宣旨

　　　　　　　　　　源　宗矩

　　　　　　　　　　　宣叙従五位下

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奉
　　　　　　　　　　　　　　　蔵人右少辯兼右衛門権佐藤秀定

　　　　　口宣案

　　　　　　上卿冷泉中納言
　　　　　　　享保十一年十二月十一日　　　　　　宣旨

　　　　　　　　　　従五位下源宗矩

　　　　　　　　　　　宣任兵部大輔

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奉　　　　　　　　　　　　　　　　蔵人左少　　　　辯藤原植房
　　



　　宣旨


　　　　　　従五位下源朝臣宗矩

　　　　正三位行権中納言藤原朝臣爲久
　　　　宣奉　　救　件　人　宣　令任
　　　　兵部大輔　者
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奉
　　　　　享保十一年十二月十一日■■■■造酒正中朝原■臣師守

　　口宣案

　　　上釉清閑寺中納言
　　　　享保十一年十二月十一日　　　　　　　宣旨


　　　　　　従五位下源宗矩

　　　　　　　宣叙従四位下
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奉
　　　　　　　　　　　　蔵人右中辯藤原宜誠

　　　　　位記

　　　　　　　　　　従五位下　源朝臣宗矩
　　　　　　　　　　　右可従四位下　
　　　　　　　中務表節兵欄宣勤羽衛　
　　　　　　　精誠無■風夜在公宣申
　　　　　　　栄級用■■章可依前件
　　　　　　　主者施行
　　　　　　　　享保十一年十二月十一日

　　　　　　　　　中務卿　開
　　　　　　　　　正四位下行中務大輔臣藤原朝臣國廣　宣
　　　　　　　　　中務少輔従五位上臣中原朝臣職永　《割書：奉｜行》
　　　　　正二位行権大納言臣　　　　　　　　　致教　　　　　　　　　正二位行権大納言臣　　　　　　　　　冬凞
　　　　　正二位行権大納言臣　　　　　　　　　惟道
　　　　　正二位行権大納言臣　　　　　　　　　兼近
　　　　　従二位行権大納言臣　　　　　　　　　常雅
　　　　　内教坊別当従二位行権大納言臣　　　　公詮

　　権大納言正三位臣　　　　　　　　　　　　　　　　基香
　　権大納言正三位兼行右近衛大将臣　　　　　　　　　房凞
　　権大納言正三位臣　　　　　　　　　　　　　　　　光栄
　　権大納言正三位臣　　　　　　　　　　　　　　　　雅季
　　従二位行権中納言兼左衛門督臣
　　正三位行権中納言臣　　　　　　　　　　　　　　　爲久
　　正三位行権中納言臣　　　　　　　　　　　　　　　治房
　　正三位行権中納言臣　　　　　　　　　　　　　　　重孝
　　正三位行権中納言臣　　　　　　　　　　　　　　　公福

　　正三位行権中納言臣　　　　　　　　　　　　　　　資時
　　権中納言従三位臣　　　　　　　　　　　　　　　　益光
　　権中納言従三位臣　　　　　　　　　　　　　　　　高顕
　　権中納言従三位臣　　　　　　　　　　　　　　　　経秀
　　権中納言従三位臣等言
　　制書如右請奉
　　制附外施行謹言
　　　享保十一年十二月十一日
　　制可
　　　月日辰時従五位下行大外記兼掃部頭造酒正中原朝臣師守

　　　　　　関白十一位朝臣
　　　　　　大政大臣■
　　　　　　左大臣正二位朝臣
　　　　　　右大臣正二位朝臣
　　　　　　内大臣従二位兼行左近衛大将朝臣
　　　　　　無品兵部卿　　　親王
　　　　　　正四位上行右大辯俊将
　　　　　　告従四位下源朝臣宗矩奉
　　　　　　制書如右符到奉行

　　　　　　従四位下行兵部大輔季憲
　　　　　　　　　　　　　　　大録
　　　　　　　　　　　　　　　少録
　　　　　　　　　　　　　　　少録
　　　　　　　享保十一年十二月十一日

　　　口宣案
　　
　　　　上卿園大納言
　　　　　享保十一年十二月十一日　　

　　　　　　　　従四位下源宗矩
　　　　　　　　　宣任侍従
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奉
　　　　　　　　　　　　蔵人頭右大辯藤原俊将

　　宣旨　
　　　　　　　従四位下源朝臣宗矩
　　　権大納言正三位藤原朝臣基香
　　　宣奉　　　■件人宣冷任
　　　侍従者
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奉
　　享保十一年十二月十一日大外記兼掃■頭造酒正中原朝臣師守

　従四位下行兵部大輔季憲　

　　　　　　　　　　大録
　　　　
　　　　　　　　　　少録

　　　　　　　　　　少録

　享保十一年十二月十二日
　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　

　　口宣案
　　　　　　　　　　　　　　　　　　重複

　　　上卿園大納言
　　　　享保十一年十二月十一日　　　　　　　　宣旨
　　　　　　　
　　　　　　　従四位下源宗矩
　　　　　　　　
　　　　　　　　宜任侍従

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奉　
　　　　　　　　　　　蔵人頭右大辯藤原俊将

　　宣旨　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　重複

　　　　　　　従四位下源朝臣宗矩

　　　　権大納言正三位藤原朝臣基香

　　　　宣奉　　　■件人宣令

　　　　侍従者

　　　享保十一年十二月十一日大外記兼掃

　　　　　　　掛緒免状之事
　　　　　福井侍従殿　飛鳥井中将
　　　　蹴　鞠　為　門　弟　紫　■
　　　　冠　懸　之　事　窺
　　　　叡　慮　可　免　之　如　件
　　　　　享保十一年
　　　　　　十二日十一日　　　　　雅香

一　正月十七日御用番松平左近将監《割書：■｜邑》殿ゟ御呼出御留守居罷出
　　候処御国仕立之馬御献上ニ付左之通御書付被相渡之

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松平兵部大輔
　　　　　　領内より出候馬当年来年之内ニ一疋
　　　　　　献上可有之候其以後者四五年ニ一度宛
　　　　　　献上之儀も可有之候
一　同日御勘定奉行筧播磨守《割書：正｜■》殿ゟ申来御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》
　　罷出候処寛永年中御国泥原新保浦竹内藤右衛門与申者
　　遭難風韃靼国江罷越候其節之覚書一冊御渡有之
　　此趣ニ相違無之哉御用与申ニ而者無之候得共致吟味
　　指出候様被申聞之

一　閏正月五日御鎗御稽古ニ付中村政右衛門《割書：行｜■》江戸表江被　召
　　寄政右衛門今日福井出立
一　同月十一日御勘定奉行筧播磨守《割書：正｜■》殿先達而被相尋候新覚書一冊
　　保浦浦竹内藤右衛門漂流之御国ゟ相廻り候ニ付
　　御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》持参播磨守殿江指出之
一　二月五日御家督為御祝儀御老中御招請被成度旨御先年
　　六郷主馬　殿を以御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿江殿江被　仰入
一　同月七日御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　　十郎左衛門《割書：定｜由》罷出候処来月十八日何も御越可被成旨御書付

　　を以被申聞之右ニ付為御礼和泉守殿江　御勤残御老中江
　　御使者被指出之
一　三月十八日御家督為御祝儀御老中御招請御餐応有之
一　同月廿二日右同断御一門様方幷御簇本中御餐応有之
　　　　但廿六日廿九日も同断
一　同月廿ハ日巣鴨御下屋敷近所水野隼人正《割書：直｜忠》殿上り屋敷
　　御用地三万六千五百坪御領地被　仰出鈴木伊勢守　殿
　　御渡ニ付御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》罷出請取之
一　四月朔日運正寺登　城入院之御礼申上之









　　公方様御目見被　仰付
一　四月十三日於江戸侍中武芸　御覧被成
一　五月七日公領杉崎下真柄村之御領分北村与間部若狭守《割書：詮｜方》殿
　　領分大夫村之用水出入之儀ニ付公領春日野村太右エ門与申者
　　右取扱致候得共事済不申候ニ付公領下真柄村ゟ一人罷出
　　候ニ付北村ゟも一人江戸表江罷出度旨相願候ニ付罷越候様
　　可申付旨郡奉行皆川三左衛門《割書：勝｜囿》江御家老酒井刑部《割書：知｜房》申
　　渡之
一　同月廿二日於　御本丸御家中侍中武芸　御名代御覧有之

　　　　但追々有之候得共不記之けんけん
一　同月廿六日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
一　六月三日暑中ニ付御使者を以例之通御国産素麵被献之
一　同日大和守《割書：基｜知》様御願之通兵庫頭《割書：■｜■》様御養子被　仰出
　　兵庫頭様是迄之御領知相添被下候段被　仰出
一　同月八日　初姫様先達而ゟ御水痘之処御快ニ付御酒湯
　　御祝儀有之
一　同月十六日為嘉祥御祝儀初而　御登　城御礼被仰上
　　御菓子御頂戴被成　

一　同日公料杉崎下真柄村与御領分北村与間部若狭守《割書：詮｜方》殿
　　領分与用水出入之儀ニ付先達而公料御領之百姓江戸
　　表江罷出訴状指出候処右出入之儀三役所ゟ立合之
　　上取扱相済し候様於御勘定所被　仰渡候ニ付訴状之
　　儀若狭守殿役人江御渡之旨御勘定組頭林兵右衛門　殿ゟ
　　申来
一　七月十七日
　　公方様来年四月日光山江御社参可被成旨被　仰出
一　八月十二日於運正寺昨十一日晩ゟ今朝迄

　　■源院様十七回御忌御法事御取越御執行有之於天徳寺も
　　右同様今朝御執行有之
一　同月十六日御勝手御不如意ニ付於評定所御家中御借米
　　之儀ニ付月番御家老本田逢殿《割書：成｜■》左之通御書付を以諸月
　　番江申渡之
　　　　　　御家中御借米之儀去ル辰年三ケ年之内■被
　　　　　　仰出去暮迄段々被減当暮ハ御用捨之筈ニ候処
　　　　　　近年御入用之儀共指湊御勝御難儀之御事候
　　　　　　御家中之儀も別而勝手困窮之儀ニ候者
　　
　

　　　　　　御苦労被　思召候得共右之御勝手向ニ候故
　　　　　　当暮ゟ面拝知御擬作之内別紙目録之通上
　　　　　　米被　仰付候条被仰其意弥以倹約仕被続候様ニと
　　　　　　被　思召旨被　仰出候以上
　　　　　　　　　八月十六日
　　　　　　　但別紙目録辰之年之通故此所ニ略之外ニ被指
　　　　　　　　添書付之留
　　　　　　今度御借米地方取五歩通御代官附三歩五厘通
　　　　　　其外御扶持方御合力御切米取末々迄四年以前辰年
　　　　　　
　　　　　　之通被　仰出候間可被仰其意ハ猶又委細之儀承度候ハヽ
　　　　　　御奉行共江可被相尋候以上
　　　　　　　　八月十六日
一　同日右同断ニ付町在江左之通御用金被　仰出
　　　　　　一　小判弐千両　《割書：竜之年之通｜》　大宮彦右衛門支配下
　　　　　　一　同八百五拾両《割書：辰之年百両増｜》水野吉左エ門支配下
　　　　　　一　同六百両　　《割書：辰之年百両増｜》皆川三左衛門支配下
　　　　　　一　同六百両　　《割書：辰之年百両増｜》彦坂又兵衛支配下
　　　　　　一　同六百両　　《割書：辰之年百両増｜》稿生八郎右衛門支配下





　　　　　　一　同三百両《割書：辰之年ニ四百五拾両減｜》府中在々
　　　　　　一　同五拾両《割書：辰之年ニ百両減｜》　　　松岡町
　　　　　　　　〆五十両
一　八月十七日於運正寺　慶寿院様七十回御茶湯御執
　　行有之
一　同月廿三日大橋懸替御普請出来渡初有之
一　九月三日御使者を以例之通御国産初鱈被献之
一　同月十二日於瑞源寺昨十一日晩ゟ今朝迄

　　■源院様十七回御忌御法事御執行有之於谷中南泉寺も
　　右同様御執行有之
一　同月廿日御用番松平伊賀守《割書：忠｜周》殿ゟ御老中連名之御切紙
　　来浅草御蔵火之御番被　仰蒙
一　同月廿三日兵庫頭《割書：明｜■》様御■留御名土佐守様与御改
一　十月五日御使者を以例之通御国産塩鮎子籠被献之
一　十一月五日　上使御使番伏見織部　殿を以御鷹之鳫初而
　　御拝領右為御礼　御登　城御退出懸御老中若年寄

一　十一月廿二日御拝領之鷹御披御一門様其外尾旗本中
　　御招請御囃子有之
一　同月廿五日　勝姫様今日ゟ御疱瘡
一　同月廿八日月次　御登　城御断
　　　　但右御断之儀者
　　　　　大納言様未御疱瘡不被遊候ニ付御手前ニ疱
　　　　　瘡有之御方も御登城御断之旨ニ付御登城不被成
　　　　　十二月朔日も同断
一　同月《割書：日不｜詳》松平右衛門督《割書：吉｜泰》殿松平淡路島守《割書：綱｜矩》殿留守居ゟ御老
　　
　　中御渡之御書付左之通廻達有之
　　　　　　於在々所々神事仏事其外不依何事新
　　　　　　規之儀堅不可取■若無拠子細有之ハ奉行所
　　　　　　又ハ地頭江相達可任指図段令有来儀■例ニ
　　　　　　替たる品不可仕出候
　　　　右之趣堅可相守若違背之輩有之ハ其所之
　　　　名主年寄等急度可為曲事候以上
　　　　　　《割書：未｜》十一月
一　同月《割書：日不｜詳》於　公辺左之通被　仰出候旨御留守居ゟ指出

　　　　一　惣領を養子ニ遣候儀本家抔江遣候ハヽ格別其
　　　　　　外ハ一切有間敷事ニ候間願出候ハヽ取上ケ申間
　　　　　　敷事
　　　　一　一子を無拠子細ニ而本家之養子ニ遣し実子
　　　　　　出生候ハヽ格別養子仕間敷■申届其以後実
　　　　　　子出生致し其段頭支配江吟味之上家督可被　　　
　　　　　　下候事
　　　　右之通向後可相心得候併唯今迄一子を自分勝手ニ而
　　　　高増等江養子ニ遣置当時コレハ吟味之上家督可被
　　　　
　　　　下候事右之趣組支配有之面々ハ為心得寄ヽ可
　　　　相達候以上
　　　　　　《割書：未｜》十一月
一　十二月三日御勘定組頭木村四郎兵衛　殿ゟ申
　　来　御本丸江御奉行千本藤左ヱ門《割書：憲｜■》幷御勝手役林新助《割書：重｜■》
　　罷出候処御勘定奉行駒木根肥後守《割書：■｜方》殿筧播磨守《割書：正｜■》殿
　　出座惣御領所役人江御領所御取箇之儀吟味行届候
　　ニ付御所替相増御老中水野和泉守《割書：忠｜之》殿一段之儀二被存候
　　由尚又御所替取■り不申候様肥後守殿被申聞之

一　十二月四日於運正寺昨三日ばん晩ゟ今朝迄
　　昇安院様七回御忌御法事御執行有之於天徳寺も右
　　同様御執行有之
一　同月七日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被献之
　　　　但西丸江ハ　勝姫様御疱瘡中ニ付御指扣御献上無之
一　同月十二日右同断《割書：ニ｜番》生鱈被献之
一　同月十六日寒中ニ付　御機嫌為御伺御老中幷西丸御老
　　中得江　御廻勤
一　同月十七日　勝姫様御疱瘡御快然御酒湯御祝儀有之

一　同月廿三日御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》を以御国仕
　　立之御馬一匹《割書：栗毛五歳｜長守■》初而被献之若年寄本多伊予守《割書：■｜■》殿江　
　　為率罷出候処　西丸御厩江相納候様御指図有

家譜

《題：家譜》《割書：吉品公｜》《割書：従宝永七年｜到正徳二年》二十六

吉品様《割書：従宝永七年庚寅｜至正徳二年壬辰》

宝永七年庚寅
　　一　七月五日
　　　　吉邦様志摩守《割書：直｜丘》様御登城被成候処於御白書院縁頬
　　　　吉品様御願之通御隠居御家督無御相違被　仰出候旨御用番
　　　　本多伯耆守《割書：正｜永》殿御達有之相済志摩守様此御屋形江御越
　　　　右之趣被　仰上夫ゟ御請之為　御名代御老中御廻勤御隠居之
　　　　為御礼　御名代信濃守《割書：直｜之》様御老中并御側御用人間部越前守《割書：詮｜房》殿

　　　　若年寄中江御廻勤
　　一　七月七日右同断ニ付霊巌嶋御屋敷御裏ゟ御船ニ而鳥越
　　　　御屋敷江　御引移
　　一　同日節句ニ候得共鳥越御屋敷内者肩衣着用ニ不及向後元日
　　　　之外肩衣着用ニ不及旨被　仰出
　　一　同月十八日御用番本多伯耆守《割書：正｜永》殿ゟ御呼出御留守居大関
　　　　新五左衛門《割書：直｜看》罷出候処先達而加賀爪次郎右衛門　殿を以御伺被成候
　　　　御隠居御礼之節御献上物之儀御伺之通御献上被成候様御指
　　　　図有之
　　一　同月廿七日明廿八日御隠居之御礼御使者を以被　仰上御老中
　　　　連名之御切紙来
　　一　同月廿八日右同断ニ付御使者嶋田清左衛門《割書：重｜休》を以御隠居之御礼
　　　　被仰上御太刀金馬代御時服十《割書：御単三御袷二《割書：紅｜裏》｜御帷子五》被献之外ニ御小
　　　　脇指《割書：粟田口吉光｜代金二百枚》御茶入《割書：唐物｜勢至》被献之　御台様江御屏風一双《割書：四皓七賢｜古法眼筆》
　　　　被指上之
　　一　同月晦日御足痛其上御持病有之御国許江御越御養生
　　　　被成度ニ付
　　　　吉邦様ゟ左之通御願書被指出之御用番本多伯耆守《割書：正｜永》殿迄








　　　　志摩守《割書：直｜丘》様を以御指出被成《割書：加賀爪次郎右衛門殿｜御同道》
　　　　　　同氏兵部大輔足痛其上菜持病も有之ニ付先頃
　　　　　　願之通隠居被　仰付難有仕合奉存候就夫
　　　　　　在所江罷越緩々養生仕度奉存由申候不苦
　　　　　　思召候ハヽ御暇之儀奉願候何分ニも可然様御取　　　　　　成奉願候以上
　　　　　　　　七月晦日　　　　　　　　松平大炊頭
　　　　　　　　
　　　　　　　　本多伯耆守様
　　一　八月六日
　　　　吉邦様御登城被成候処《割書：昨五日御老中連名之｜御切紙来》御願之通
　　　　吉品様御国許江之御暇被　仰出御羽織《割書：五｜》御拝領被　仰付候旨
　　　　御老中御達有之御退出掛右為御礼御老中若年寄中江
　　　　御廻勤夫ゟ鳥越御屋敷江　御出　御対顔之上　仰出之趣被
　　　　仰上再為　御名代御老中御側御用人　御廻勤若年寄中
　　　　御側衆江御使者被指出之
　　一　同月七日　御在国中　公辺御勤之儀ニ付御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿江
　　　　吉邦様ゟ御伺書被指出候処追而左之通附札を以御指図有之






　　

　　　　　　　　　覚
　　　　　　　同姓兵部大輔御暇被下候付此以後勤之儀相伺　　　　　　　申候
　　　　　一　福井江到着之為御礼以使者二種一荷献上可
　　　　　　　仕候哉
　　　　　　　　御附札
　　　　　　　　　　伺之通可被献候
　　　　　一　寒気暑気為伺　御機嫌以使者御肴一種献
　　　　　　　上可仕候哉
　　　　　　　　御附札
　　　　　　　　　　伺之通可被献候
　　　　　一　年頭御礼以使者御太刀金馬代可指上候哉
　　　　　　　　御附札
　　　　　　　　　　伺之通可被献候
　　　　　一　参府之時分之儀何頃相伺可申候哉
　　　　　　　　御附札
　　　　　　　　　　病気快時分見合可被伺候
　　　　右之趣御指図被成可被下候以上

　　　　　

　　　　　　　　　八月七日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　松平大炊頭
　　一　八月九日江戸　御発駕中山道通御旅行
　　　　　　但御発駕之節谷中南泉寺江　御参詣
　　一　同月十九日今度御帰国二付御在国中御礼事等之儀ニ付
　　　　御用人渡辺十郎左衛門《割書：重｜祐》ゟ左之通諸向江相達之
　　　　　　　　　　　　　　　　本多浅次郎
　　　　　　　　　　　　　　　　酒井数馬
　　　　　　　　　　　　　　　　本多左門

　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉帯刀
　　　　　　　大殿様被為　入被相勤趣御国江御着之節
　　　　　　　御泉水屋敷江罷出菅沼与三高屋六郎左衛門江致
　　　　　　　対面可有退出候年始五節句歳暮寒暑之
　　　　　　　御機嫌不時之御歓等も御泉水江罷出右両
　　　　　　　人江可有対面事
　　　　　　　　　　　　　　　　御城代　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　御留守居　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　渡辺十郎左衛門　
　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　花木権大夫
　　　　　　　　　　　　　　　　奉行中
　　　　　　　　　　　　　　　　味岡彦八
　　　　　　　　　　　　　　　　高田金大夫
　　　　　　　　　　　　　　　　目付中
　　　　　　　　　　　　　　　　御側物頭中
　　　　　　　　　　　　　　　　御側医師中
　　　　　　　　　　　　　　　　八木平六
　　　　　　　　　　　　　　　　岸茂左衛門

　　　　　　　　　　　　　　　　御膳番中
　　　　　　　　　　　　　　　　御腰物方
　　　　　　　　　　　　　　　　御小納戸役
　　　　　　　　　　　　　　　　葉山宗庵　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　落合祐忍
　　　　　　　大殿様被　為入各被相勤趣年始五節句歳
　　　　　　　暮寒暑之　御機嫌伺月次之御礼日御泉
　　　　　　　水屋敷江可罷出旨ニ候以上
　　　　　　　　　　　　　　　　水戸市之進

　　　　　　　　　　　　　　　　山川右膳
　　　　　　右同断
　　　　　　　　　　　　　　　　寄合中
　　　　　　　　　　　　　　　　番頭中
　　　　　　　　　　　　　　　　触頭中
　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉要人
　　　　　　　　　　　　　　　　水野善左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　番外中
　　　　　　御家老中江罷越筈
　　　　　　　　但番組中ハ不依何事月番御家老中江罷出
　　　　　　　　　可申上候以上
　　　　　　　　　　　　　　　　御持筒頭中　
　　　　　　　　　　　　　　　　御先筒頭中
　　　　　　　　　　　　　　　　小栗五郎太夫
　　　　　　　　　　　　　　　　御徒頭中
　　　　　　　　　　　　　　　　御水主頭
　　　　　　　　　　　　　　　　御杉形頭

　　　　　　　　　　　　　　　　御長柄頭
　　　　　　　　　　　　　　　　郡奉行
　　　　　　　大殿様被為　入各相勤趣不依何事月番
　　　　　　　御家老中江罷越可申上候以上
　　一　八月廿三日福井江　御着直ニ御泉水御屋敷江被為　入
　　一　同月廿四日右同断ニ付為御礼御使者寄合松原八左衛門《割書：嘉｜雄》江戸
　　　　表江被指出之
　　一　同月廿九日　竹姫君様有栖川正仁親王江御縁組被　仰出候為
　　　　御歓江戸表江御書被指出之
　　一　閏八月六日為御帰国御礼御使者松原八左衛門《割書：嘉｜雄》を以昆布一箱
　　　　干鯛一箱御樽一荷被献之八左衛門　御城江罷出《割書：御留守居村上｜三大夫同道》御献上物
　　　　相納之桧之間江御老中秋元但馬守《割書：喬｜知》殿出座御奏者番池田
　　　　丹波守《割書：輝｜禄》殿披露其節後刻可被遂披露旨但馬守殿被申聞之
　　一　同月十五日右同断御使者松原八左衛門《割書：嘉｜雄》　御城江罷出候処《割書：昨十四日｜御用番ゟ》
　　　　《割書：御留守居迄｜御切紙来》於御白書院
　　　　公方様御目見被　仰付畢而再罷出自分之御礼申上御太刀
　　　　銀馬代献上御奏者番松平宮内少輔　殿披露
　　一　同日右同断ニ付御国許ゟ御礼勤之儀御用番秋元但馬守《割書：喬｜知》殿江

　　　　御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》罷出相伺候処御飛札被指出候様御指図有之
　　一　閏八月十八日御使者松原八左衛門《割書：嘉｜雄》御城江罷出候処《割書：昨十七日御用番ゟ｜御留守居迄御切紙来？》
　　　　於桧之間御用番秋元但馬守《割書：喬｜知》殿御返書御渡有之其節
　　　　八左衛門江御時服《割書：三｜》拝領被　仰付旨但馬守殿被申聞之御品者
　　　　御奏者番土井山城守《割書：利｜意》殿被相渡之夫ゟ八左衛門拝領物之為
　　　　御礼御老中御側御用人江廻勤
　　一　同月廿五日御使者松原八左衛門《割書：嘉｜雄》　御目見被　仰付候為御礼江戸
　　　　表江御書被指出之
　　一　十二月二日寒中　御機嫌御伺御使者浅見徳右衛門《割書：重｜休》御国許ゟ
　　　　被指出候趣ニ而御用番秋元但馬守《割書：喬｜知》殿江罷出御書《割書：去月十九日｜日付》指出之
　　一　同月三日右同断御使者浅見徳右衛門《割書：重｜休》　御城江罷出御献上之
　　　　串海鼠一箱相納之御側衆保田内膳正　殿後刻披露可有之
　　　　旨被申聞之
　　一　同月四日先達而ゟ《割書：去月｜廿日》御不快ニ付為御見廻
　　　　吉邦様ゟ御使笹治主鈴《割書：正｜武》被遣之今日着ニ付御目見被
　　　　仰付
　　一　同月廿日御快ニ付御月代御剃御床被為　揚
　　一　同月廿八日









　　　　吉邦様御登城御居残ニ而来年始御礼御着座ニ而　仰上
　　　　候様被　仰出候ニ付御礼勤之儀御留守居ゟ御用番秋元但馬守《割書：喬｜知》殿迄
　　　　相伺候処御使札被指出候様御指図有之

正徳元年辛卯《割書：此年宝永八年｜四月廿五日改元》
　　一　正月朔日為年始御祝儀御使者永見波門《割書：成｜昭》を以例之通御太刀
　　　　馬代被献之
　　　　　　但波門旧臘六日御国表出立
　　一　同月廿一日
　　　　吉邦様年始御礼御着座被　仰出候ニ付
　　　　吉品様ゟ為御礼御国許ゟ被指出候趣ニ而御使者蠏江十大夫

　　　　御用番大久保加賀守《割書：忠｜増》殿江罷出御書《割書：十一日｜日附》指出之
　　一　四月十二日
　　　　吉邦様初而御国許江之御暇被　仰出候ニ付御礼勤之儀御用番
　　　　大久保加賀守《割書：忠｜増》殿迄御留守居ゟ相伺候処御使札被指出候様御指
　　　　図有之
　　一　同月十七日御病気御再発之趣ニ而御眩暈指起暫　御正気
　　　　不被為　附候ニ付御医師者御脈相伺候上有賀玄哲《割書：一｜閑》薬御服
　　　　用被成
　　一　同日右同断ニ付茂呂多右衛門《割書：勝｜温》道中七日振ニ而江戸表江被指遣之
　　一　同月十八日右同断之処打続御快方ニ付御徒飛脚《割書：上坂｜甚五右衛門》江戸表江
　　　　被指立之
　　一　同月廿一日
　　　　吉邦様御国許江之御暇被　仰出候為御礼御使札之趣ニ而
　　　　江戸表江御書被指出之
　　　　　　但於江戸表相勤候御使者不詳五月七日御返書御渡有之
　　一　同日国許ゟ之御使茂呂多右衛門《割書：勝｜温》江戸表江着　御様体申上
　　　　候ニ付
　　　　吉邦様ゟ為御見廻　御使高屋善右衛門《割書：長｜英》御国表江被指遣之








　　　　今日江戸御屋敷出立
　　一　四月廿三日
　　　　吉邦様江戸　御発駕中山道通御旅行
　　一　同月廿四日　御様体以之外御指重ニ付御道中迄御腰物役
　　　　桒山権兵衛《割書：重｜共》被指遣之
　　一　同日右同断ニ付京都ゟ医師御招被成度ニ付御使番八田金右衛門《割書：栄｜次》
　　　　早駆ニ而京都江被指遣之
　　一　同月廿六日
　　　　吉邦様ゟ御病気御見廻之御使高屋善右衛門《割書：長｜英》福井江着
　　　　御泉水御屋敷江罷出候ニ付御目見被仰付御口上善右衛門
　　　　御直ニ申上之
　　一　同月廿七日御腰物役桒山権兵衛《割書：重｜共》於信州望月駅御様体之趣
　　　　吉邦様江申上之右ニ付御医師為御願同駅ゟ御使者御使番
　　　　土屋十郎右衛門《割書：貴｜充》江戸表江被指遣之
　　一　同月廿八日右同断御使者土屋十郎右衛門《割書：貴｜充》江戸着ニ付中務大輔《割書：昌｜平》様
　　　　志摩守《割書：直｜丘》様此　御屋敷江御越御医師之儀御相談有之
　　一　同月廿九日右同断ニ付御医師御願之御書付御用番大久保
　　　　加賀守《割書：忠｜増》殿江中務大輔《割書：昌｜平》様御持参御指出被成《割書：向井将監殿｜御同道》






　　一　同日御用番大久保加賀守《割書：忠｜増》殿ゟ御呼出御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》
　　　　罷出候処御病気御尋之御奉書宿継証文添御渡有之
　　　　右御奉書御先物頭梁田太郎大夫《割書：為｜長》持参伝馬町問屋迄指遣之
　　一　五月朔日御用番大久保加賀守《割書：忠｜増》殿ゟ御呼出御留守居大関
　　　　新五左衛門《割書：直｜看》罷出候処御願之通御医師河野松庵老御国許江
　　　　被遣旨被　仰付候段被申聞之
　　一　同日御使番八田金右衛門《割書：栄｜次》儀京都医師伊藤玄寿同道昨廿九日
　　　　夕福井江着玄寿即刻御泉水御屋敷江罷出　御脈相伺之
　　　　今朝再相伺候上玄寿薬御服用
　　一　同月二日
　　　　吉邦様福井江　御着毛矢通　御本丸江被為　入夫ゟ御泉水
　　　　御屋敷江　御出　御対顔
　　一　同月四日御病気御尋之御奉書板取駅ゟ致持参候由ニ而郡奉行
　　　　周防猪左衛門《割書：佐｜賢》朝四時　御座所江罷出指出之御奏者番御泉水
　　　　御屋敷江罷出御奉書指上　御覧被成
　　　　　　　　　其方病気之段及
　　　　　　　　　高聞候処無油断養生可仕旨
　　　　　　　　　上意候依之如此候恐々謹言











　　　　　　　　　　　　　　　井上河内守
　　　　　　四月廿九日　　　　　　　正岑書判
　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠増書判
　　　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　喬知書判
　　　　　松平兵部大輔殿
　　　　　　但右御請御書幷宿継証文江戸表江被指遣之
　　　　　　　中河内□郡奉行組之者指添之
　　一　五月五日右同断ニ付為御礼御使者御番頭菅沼与一郎《割書：□｜由》
　　　　江戸表江被指出之
　　　　　　　但右御使者柄之儀御奉書御渡之砌御用番大久保加賀守殿迄
　　　　　　　　御留守居ゟ相伺候処
　　　　　　　　吉品様ゟ者御物頭
　　　　　　　　吉邦様ゟ者御使番可然旨御指図之由江戸表ゟ申来
　　　　　　　　候得共出立後二相成候ニ付其儘被指出之
　　　　　　一　与一郎同月十七日江戸着十八日御返書被相渡之
　　一　同日伊藤玄寿薬御服用ニ候得共昨夜ゟ　御腹合悪敷
　　　　御疲と相見江候ニ付玄寿薬御止有賀玄哲《割書：一｜閑》岡部玄伯《割書：忠｜活？》
　　　　相談御薬指上之






　

　　一　五月六日
　　　　吉邦様御帰国ニ付
　　　　吉品様ゟ為御礼御国許ゟ被指出候趣ニ而御使者松原一学
　　　　御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿江罷出御書《割書：四月廿一日｜日附》指出之
　　一　同月十三日御医師河野松庵老去二日江戸出立《割書：道中御側物頭溝田｜市左衛門被指添》
　　　　今日福井江着《割書：旅宿｜一乗町》直ニ御泉水御屋敷江被相越於御書院
　　　　吉邦様御逢有之
　　　　吉品様御寝間ゟ御出座《割書：御羽織被為　召｜御上下ハ御側ニ置》御長蚫出畢而御診察
　　　　有之相済於御寝間御料理出今日ゟ松庵老薬　御服用被成
　　　　　　但此以後御寝間御診察有之度毎
　　　　　　　吉邦様御越御寝間迄御同道被成
　　一　同日右同断ニ付為御礼御使者御先物頭柘植伊右衛門《割書：景｜林》江戸
　　　　表江被指出之今日福井出立
　　　　　　但伊右衛門同月廿二日江戸着翌廿三日御用番江御書指出之
　　一　同月十七日御医師河野松庵老ゟ御馳走附大谷助六《割書：重｜照》大野
　　　　三左衛門《割書：正｜矩》を以　御様体御大病ニ存候ニ付御薬難指上候間江戸
　　　　表江御返被下候様御家老本多四郎右衛門《割書：恒｜久》迄被相達候ニ付其段






　　　　吉邦様御聞候処達而御指留被成候ニ付逗留ニ相成其儘御薬
　　　　被指上之
　　　　　　但十九日迄ニ御薬一廻リニ相成候処御相応之趣ニ付猶又
　　　　　　　御留被成度旨御願之御書江戸表江被指出之
　　一　五月廿五日右同断ニ付御使者蠏江十大夫　御国許江被指出候趣
　　　　ニ而御老中江罷出河野松庵老御留被成度旨御願之御書
　　　　指出之
　　　　　　但右御使者御国許ゟ可被指出□御届迄ニ而宜由松庵老被申
　　　　　　　候ニ付御飛札被指出候得者中務大輔《割書：昌｜平》様志摩守《割書：直｜丘》様
　　　　　　　御相談ニ而御使札可然旨御指図ニ付於江戸表認置指出之
　　一　同月廿六日御老中井上河内守《割書：正｜峯》殿ゟ御呼出御使者蠏江十大夫
　　　　罷出候処河野松庵老御指留之儀御願之通被　仰出候旨之江
　　　　御奉書御渡有之其節松庵老江之御奉書も一所ニ御渡有之
　　　　　　但右ニ付大御番堀権左衛門《割書：宗｜良》を以御国表江指上之同月晦日
　　　　　　　福井着
　　一　六月二日暑中ニ付　御機嫌為御伺御使者渥美権兵衛
　江戸
　　　　表江被指出之今日福井出立《割書：御書日附｜六日》
　　　　　　但同月十九日御老中江御書指出之

　　一　同日御医師河野松庵老薬御服用明三日ニ而三廻リニ相成
　　　　候ニ付来ル四日出立被罷帰度旨松庵老被申達候得共五日ゟ
　　　　土用ニ付暑中ニ三日之　御様体診察御願被成度旨
　　　　吉邦様ゟ御老中迄御書《割書：三日｜日附》被指出之
　　一　六月六日　御様体御快方ニ付河野松庵老明七日出立ニ付
　　　　為御祝儀綿百把鯖五十刺被遣之
　　　　吉邦様ゟ御使者を以銀三百枚昆布一箱鯣一箱御樽代
　　　　千疋被遣之
　　一　同月七日御医師河野松庵老福井出立江戸表江被罷帰
　　　　　　但右ニ付熊谷小兵衛被指添
　　一　同日右同断ニ付為御礼御使者皆川多左衛門《割書：勢｜房》江戸表江被指出之
　　　　今日福井出立
　　　　　　但多左衛門同月廿一日江戸着廿三日御用番江御書指出之
　　一　八月廿七日　御様体昨日ゟ御勝不被成候ニ付有賀玄哲《割書：一｜閑》薬
　　　　御止田代万貞《割書：長｜敕？》薬　御服用ニ相成
　　一　九月朔日御用番井上河内守《割書：正｜峯》殿ゟ御呼出御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》
　　　　罷出候処御病気御尋之御奉書宿継証文添御渡有之右
　　　　御奉書御先物頭梁田太郎大夫《割書：為｜長》持参
伝馬町問屋迄差遣之





　　一　九月五日右同断　御尋之御奉書福井江着於御泉水御屋敷
　　　　右御奉書　御覧被成
　　　　　　　　　　其方病体及
　　　　　　　　　　高聞候之処弥無油断養生可仕旨
　　　　　　　　　　上意候依之如此候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　九月朔日　　　　　正喬書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　井上河内守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正峯書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠増書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　喬知書判
　　　　　　　　　　　　松平兵部大輔殿
　　一　同日御病気次第御指重ニ付京都医師謙良院高森正
因　
　　　　両人之内被　召寄度ニ付
　　　　吉邦様ゟ御使番出渕平兵衛《割書：盛｜房》早駆ニ而京都江被指遣之
　　　　　　但右両人故障有之候ハヽ京都御留守居本多武兵衛《割書：武｜雅》致
　　　　　　　相談可然医師致同道候様被　仰付

　　一　九月六日御病気御尋之為御礼御使者寄合本多小助《割書：良｜正》
　　　　江戸表江被指出之今日福井出立
　　一　同月十日御使番出渕平兵衛《割書：盛｜房》を以被召呼候京意医両人共不快ニ付
　　　　中山延柳と申医師平兵衛同道ニ而福井江着御泉水御屋敷江
　　　　罷出　御脈相伺之　御病気御太切至極ニ付御薬指上候儀御断
　　　　申上候得共
　　　　吉邦様強而御願被成候ニ付御薬指上之
　　　　　　但翌十一日　御脈再相伺候処弥御太切ニ付御薬難指上候間
　　　　　　　御暇被下候様申上候得共御残念　思召候間今一貼成共
　　　　　　　御薬指上候上御暇可被下旨被　仰出候ニ付御薬指上直ニ
　　　　　　　京都江罷帰
　　一　同月十二日《割書：未｜刻》於御泉水御屋敷御逝去《割書：御年｜七十二》
　　一　右同断ニ付　公辺江御達且御一門様方江為御知御使者
　　　　御側物頭大野三左衛門《割書：正｜矩》御使番樋口小左衛門《割書：安｜隆？》江戸表江被指出之
　　　　今日福井出立
　　一　同月十四日　御遺言ニ付瑞源寺江御葬送被成度旨昨
十三日
　　　　運正寺江被　仰出候処　御家御宗門之事ニ候得者右之儀御請
　　　　難仕旨相達候ニ付御奏者番嶋田宇右衛門《割書：重｜休》寺社町奉行渥美










　　　　新右衛門《割書：友｜信》御目付井上半大夫《割書：恒｜堯》罷越　御意之趣再応相達候得共
　　　　御請不仕候ニ付本多孫太郎《割書：長｜員》并御家老ゟ　思召相伺候上再
　　　　右三人を以　御意之趣左之通運正寺江申遣之
　　　　　　　　　御口上之覚
　　　　　　　昨日被　仰遣候通渥美新右衛門江御申越
委細
　　　　　　　御聞被成候併
　　　　　　　大殿様御遺言之事候間　尊骸者瑞源寺江
　　　　　　　被為　入候様可被成
　　　　　　　殿様百年之後者運正寺江御越可被成候此趣
　　　　　　　可申達由
　　　　　　　　　九月十四日
　　一　九月十六日右同断被　仰出候得共運正寺《割書：風｜外》御請不仕候ニ付町
　　　　奉行役所江浄土宗之内安養寺清源寺清円寺法奥寺呼出
　　　　御葬送之節先運正寺江被為　入運正寺初一派之住職之焼香
　　　　御請ニ相成其後瑞源寺江御葬送可被成候間右之趣運正寺江
　　　　相達候様寺社町奉行渥美新右衛門《割書：友｜信》申渡之候
　　一　同月十七日右同断之処右四ヶ寺罷越候以前運正寺《割書：風｜外》儀致





　　　　退院候ニ付罷帰右之趣寺社町奉行渥美新右衛門《割書：友｜信》宅江罷出
　　　　相達候ニ付為追手与力共指遣候処府中正覚寺ニ止宿之由ニ付
　　　　新右衛門罷越御用之儀候間致帰寺候様申達候処致承引今日
　　　　暮時致帰寺候ニ付御評議之上御家老酒井典膳《割書：知｜房》狛舎人《割書：孝｜澄》本多
　　　　四郎右衛門《割書：恒｜久》運正寺江罷遣　御意之趣左之通被　仰下候ニ付運正寺
　　　　御請仕
　　　　　　　　此間嶋田宇右衛門渥美新右衛門井上半大夫を以被
　　　　　　　　仰遣候処御請不被申上昨日被致退院と
　　　　　　　　御聞被成候依之明日　御出棺之節運正寺江
　　　　　　　　御立寄和尚之引導焼香御請被成其上一派之
　　　　　　　　衆中之焼香御請夫ゟ　尊骸者　御遺言之通
　　　　　　　　瑞源寺江可被為　入候此段可申達　思召候
　　一　同月十八日《割書：未｜刻》御泉水御屋敷　御出棺清水御門前ゟ西ノ馬場通
　　　　運正寺江　御入棺和尚御引導御葬送之御式有之
　　　　御法号
　　　　　探源院殿中大夫前羽林次将順誉龍山和祥大居士
　　　　夫ゟ瑞源寺江　御納棺御式有之相済後之山江奉葬　御法号
　　　　　探源院殿前羽林次将順誉龍山悟徹大居士







　　一　九月十九日霊巌嶋御屋敷江　上使大御番頭高木主水正　殿を以
　　　　御香奠《割書：銀三｜百枚》御拝領其節中務大輔《割書：昌｜平》様大和守《割書：直｜知》様御越
　　　　吉邦様為　御名代中務大輔様御請被成夫ゟ為御礼井伊
　　　　掃部頭《割書：直｜通》殿御老中并御側御用人間部越前守《割書：詮｜房》殿江中務大輔様
　　　　御勤
　　一　同月廿二日於瑞源寺去ㇽ廿日ゟ今日迄御当座御法事御執行
　　　　有之
　　一　同月廿七日於運正寺去ㇽ廿五日ゟ今日迄御法事御執行有之
　　一　十月三日於瑞源寺御三七御法事　梅姫様ゟ御執行有之
　　一　同月十日於瑞源寺御四七日御法事　清照院様ゟ御執行有之
　　一　同月十七日天徳寺江　御位牌御安置被成為御供養御法事
　　　　御執行可被成旨被　仰出
　　一　同日於瑞源寺御三十五日御法事御執行有之
　　一　十一月朔日於瑞源寺昨晦日晩ゟ今朝迄御四十九日御法事
　　　　御執行有之
　　一　同月十二日於瑞源寺昨十一日晩ゟ今日迄御百ヶ日御法事御取
　　　　越御執行有之
　　一　十二月廿三日於運正寺昨廿二日晩ゟ今朝迄《割書：一夜｜別事？》御百ヶ日御法事





　　　　御執行有之
　　一　同日大安寺江　御位牌御安置御供養有之

正徳二年壬辰
　　一　九月三日瑞源寺江　御霊屋御造立御普請御成就ニ付御供
　　　　養有之
　　　　　　但当春二月廿九日被　仰出

　　　　　　　　　　御再勤後
　　一　御国許江御暇之節御拝領物
　　　　　　上使御老中
　　　　　　　銀五百枚　　　御袷五十
　　　　　　於御前
　　　　　　　御馬一匹
　　　　　　此節被　召連候御家来一人　御目見御時服《割書：四｜》被下置

　　　　　　　但元禄十四巳年迄白銀三百枚御袷三十御拝領
　　　　　　　　御家来御目見無之処同十六未年ゟ右之通
　　　　　　　　相成

　　一　御帰国御礼使者被指上候節御献上物
　　　　　　　奉書紙三十束　　二種一荷
　　　　　　此御使者　御目見被　仰付御太刀銀馬代献上御礼
　　　　　　申上之御暇之節御時服《割書：三｜》被下置
　　　　　　　但御使者　御目見之儀元禄十六未年ゟ右之通相成
　　一　御参勤之節御献上物　　　把
　　　　　　　　銀三百枚　綿二百枚
　　　　　　此節被　召連候御家来一人御目見御太刀銀馬代
　　　　　　蝋燭二百挺献上之
　　　　　　　但元禄十五午年迄銀二百枚綿百把御献上御家来
　　　　　　　　御目見無之処宝永元申年ゟ右之通相成
　　　　　御台様江
　　　　　　銀二十枚　縮緬十巻
　　　　　　　但桂昌院様江も同様被指上之

　　　　　　

　　　　　　　　一　此節女中江為御土産夫々江銀子被遣之
　　　　　　大納言様江
　　　　　　　　銀三百枚
　　　　　　御簾中様江
　　　　　　　　銀二十枚
　　　　御内証ゟ為御土産御献上物
　　　　　　公方様江
　　　　　　　　五色奉書紙十束
　　　　　　御台様江
　　　　　　　　両面打曇鳥子紙五百枚
　　　　　　大納言様江
　　　　　　　　五色奉書紙十束
　　　　右之外年々御内証御献上物
　　　　　　元禄五申年　　　　　　同七戌年
　　　　　　　御屏風二双　　　　　　御硯箱御料紙箱
　　　　　　同九子年　　　　　　　同十一寅年
　　　　　　　銀御香炉二　　　　　　御屏風二双
　　　　　　同十三辰年　　　　　　同十五午年
　　　　　　　金入十巻　　　　　　　十炷香箱

　　　　　　宝永元申年　　　　　　同三戌年
　　　　　　　御台子一飾　　　　　　御内証御献上無之
　　　　　　同五子年
　　　　　　　御見台
　　　　　右色奉書紙之外右之通
　　　　　公方様江被献之
　　一　御在府中御拝領物
　　　　　　上使御使番
　　　　　　　御鷹之鶴
　　一　年中御祝儀御献上物
　　　　　　　年頭　　　　　御太刀馬代黄金一枚
　　　　　　　御謡初《割書：正月｜三日》　　御盃台《割書：金土器二御酒代｜銀一枚添》
　　　　　　　御上ヶ初《割書：同七｜日》　　御肴《割書：饌？｜二》
　　　　　　　　　但若菜之御祝儀也
　　　　　　　端午　　　　　御帷子五《割書：内御単｜二》
　　　　　　　七夕　　　　　鯖代黄金一枚
　　　　　　　八朔　　　　　御太刀馬代黄金一枚
　　　　　　　重陽　　　　　御小袖五

　　　　　　　歳暮　　　　　　御小袖五
　　　　　　　端午重陽歳暮之御祝儀被指上候節三度共
　　　　　　　御内書於　御城柳之間御老中御留守居江御渡
　　　　　　　其節御奏者番御取次ニ而御留守居江御時服《割書：二｜》
　　　　　　　被下之
　　　　　御台様江
　　　　　　　端午　　　　　　銀五枚
　　　　　　　重陽　　　　　　同十枚
　　　　　　　歳暮　　　　　　同
　　　　　大納言様江
　　　　　　　年頭　　　　　　御太刀金馬代
　　　　　　　端午　　　　　　銀五枚
　　　　　　　八朔　　　　　　御太刀金馬代
　　　　　　　重陽　　　　　　銀十枚
　　　　　　　歳暮　　　　　　同
　　　　　　此外御精進揚御肴并御国之名産等　御本丸江
　　　　　　御献上之通被指上御参勤之節　御目見之御家来
　　　　　　銀馬代献上之

　　　　　御簾中様江
　　　　　　　端午　　　　　　銀三枚
　　　　　　　重陽　　　　　　同七枚
　　　　　　　歳暮　　　　　　同
　　一　御精進揚《割書：毎月八日十七日二十四日｜右精進日翌朝御肴《割書：□□□｜□□》》御献上
　　　　　　但御在府年計
　　一　年中御国産物御献上
　　　　　　初鯖三十刺　　　　　四月中《割書：又ハ｜五月》
　　　　　　索麪千把《割書：箱肴｜添》　　暑中
　　　　　　初鱈三　　　　　　　六七月中《割書：又ハ｜八月》
　　　　　　生鱈三宛　　　　　　寒中両度

　　一　御纏御馬印御旗以下御先規之通御用之
　　　　　　但右之
　　　　　　　光通様御代御使番之者ハ幌？ニ被仰付候処元禄九年正月
　　　　　　　十一指物ニ御改白地四半半月黒

家譜

《題：家譜　　宗矩公　　《割書：従享保九年五月
到同年十二月》　　三十八》

　　　宗矩様　《割書：従享保九年甲辰
五月至十二月》

享保九年甲辰
一五月十一日為　御名代志摩守　様御用番水野和泉守　殿江
　御越被成候処御老中列座ニ而　中務大輔家督無相違千次郎江
　被　仰付候間其段可被申達旨御達有之志摩守様直ニ此　
　御屋形江御越其節御玄関板之間迄　御出迎被成御同道ニ而
　御書院江御通右被　仰出之趣御達有之御長蚫御祝被成
　御料理出志摩守様為御請和泉守殿江御越被成夫ゟ為御礼

　

　御老中若年寄中江御廻勤
一同日右同断ニ付京都所司代松平伊賀守　殿江御書被遣之
　　但御老中江御礼勤有之候節者其毎度御書被指出
　　　候儀以後定例故不記之
一同日右同断ニ付御国許江御書院番頭本多主殿　被指遣之
一同日右同断ニ付御家老ゟ御使番中村八太夫　道中七日振
　御国許江指立之
一五月十三日御用番安藤対馬守　殿ゟ御呼出御留守居大関
　新五左衛門《割書：直
看》罷出候処先達而御伺被成候御家督御礼之節
　
　御献上物之御伺書ニ御付札を以御指図有之
　　但御名代ニ而御礼被　仰上候得者御家来御指出ニ不及
　　　旨且又御馬者御国立之御馬有之候ハヽ可被指上無
　　　之候ハヽ御持合之御馬ニ而宜候間御買上ニハ不及旨御指
　　　図有之
一同月十八日御忌明ニ付御用番水野和泉守　殿江御留守居宮北
　十郎左衛門《割書：定
由》罷出端午御祝儀御献上之儀相伺候処追而御指図
　可有之旨被申聞之
一同月十九日御用番水野和泉守　殿ゟ御呼出御留守居宮北
　

　十郎左衛門《割書：定
由》罷出候処端午御祝儀御献上之儀最早不及其儀
　旨御指図有之
一五月廿一日御家督御礼之儀御名代を以被　仰上度且又其
　節御献上物之御支度御出来ニ付御用番水野和泉守　殿江
　御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》左之通書付持参指出之
　　　松平千次郎儀幼年之儀御座候間
　　　家督之御礼以名代可申上候以上
　　　　　五月廿一日
　　　　　　〆
　
　　　松平千次郎家督之御礼申上候節
　　　指上候品々不残支度出来仕候右
　　　為可申上罷出候以上
　　　　　五月廿一日　　　　　松平千次郎内
　　　　　　　　　　　　　　　　　大関新五左衛門
一同日大目付彦坂壱岐守　殿江御留守居大谷一右衛門　左之通
　御明細書持参指出之
　　　　　　　　　　　　　　　　養父松平中務大輔　実父松平主税頭
　　一高三拾万石　越前国《割書：本国参河
生国武蔵》　　松平千次郎　辰十二歳
　　　　　　　　　　　　　　　　　居城　越前国福井
　　　　　　　享保九年五月

一同日於江戸御家中倹約之儀於御家老部屋本多修理
　左之通御書付を以諸向江申渡之
　　　　　覚　
　　一向後不依何事差上物一切御停止之事
　　　拝領物も無之事
　　一面々衣服之儀麁服を専可用事御番御供御使
　　　之節たりとも御国絹并細八丈等御構無之候惣而
　　　結構成衣類目にたつ装束堅御停止之事
　　　女中たりとも右同事

　　一参会之節ハ一汁一菜外ニ香物此外ハ堅御停止
　　　之事縦他所之者たりとも一汁三菜香物共ニ
　　　其外堅仕間敷事万一晴成来客候節饗応之
　　　品仕儀者目付中江相達置可仕事
　　一音物堅御停止之事父子兄弟之外者軽き物ニ而　
　　　も堅御停止之事女中ゟ互之取扱も右同事
　　　堅仕間敷事吉凶共ニ同事ニ候此音物之儀ニハ
　　　紛敷事も有之候間以後者御目付共可相改候間
　　　其段急度可相心得事

　　　　但師匠医者之儀ハ各別之事
　　一此節　公儀御勤も無之儀に候間面々勝手取続
　　　候様ニ専簡略可仕候他出仕候共不忍体ニ仕末々
　　　何方ニ而も相慎可申事
　　　　　五月
　　　右之趣交代之節仲ケ間江可被申達候以上
一五月廿二日御家督被　仰出候ニ付江戸表ゟ御使御書院番頭
　本多主殿　去廿日福井江着ニ付今朝於　御本丸御家中之
　
　面々江月番御家老稲葉采女申渡之
一同月廿五日御国産初鯖御献上之儀御用番水野和泉守　殿江
　御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》罷出相伺候処御家督御礼以後御伺
　被成候様御指図有之
一同日御家督御礼之節御名代志摩守　様御勤可被成ニ付
　右為御達御用番水野和泉守　殿江志摩守様御勤被成
一同月廿六日本多民部　酒井与三左衛門　御家老職被　仰付
一同月《割書：日不
詳》御先代ゟ為御持被成候鎌御鎗之儀御替被成
　候而可然哉与御家中之者批判も有之候得共格別之御道

　具之儀ニ而候得者為御持無之而者如何ニ付新刃為御打ニ相
　成鞘形も少々御替ニ相成羅紗も青色ニ而御家督以後為
　御持可被成旨被　仰出
一五月廿七日御用番水野和泉守　殿江左之通御老中連名
　之御切紙来
　　　明廿八日家督之御礼被　仰付候間
　　　其方為名代同姓志摩守五時登
　　　城候様可被致候以上
　　　　　五月廿七日　　　　松平左近将監

　　　　　　　　　　　　　　安藤対馬守
　　　　　　　　　　　　　　水野和泉守
　　　　　松平千次郎殿
　　　右御請御書御使者御使番を以被指出之
一同月廿八日《割書：五
時》為　御名代志摩守　様　御登　城被成御家
　督之御礼被　仰上夫ゟ此　御屋形江御越小書院ニ而
　御対顔御礼相済候趣被　仰達御料理出御盃事有之
　夫ゟ為於御礼志摩守様御老中若年寄中御廻勤

一同日右同断ニ付御献上物左之通御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》
　御城江罷出相納之
　　　御太刀　　一腰《割書：作り太刀
》
　　　黄金　　　五枚
　　　紗綾　　　弐拾巻
　　　御馬　　　二疋《割書：裸背　　鹿毛
衣きせ　栗毛》
　　　御刀　　　一腰　無銘　《割書：雲次代金拾五枚
弐❓ニハ三寸六歩半》
　　　　　　　　元禄十一年寅極月極
　　但御城老女中五人江白銀三枚宛表使三人江二枚宛御贈物有之
一同日若年寄松平能登守　殿江御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》并
　御馬方両人指添罷出御献上之御馬為牽参候段申達
　候処御指図ニ付諏訪部文右衛門　殿江罷越御厩江相納之
　　　　　覚
　　　御馬　　　　　二疋
　　　　内
　　　　　鹿毛　南部立野田　　《割書：五歳
弐寸五分》
　　　　　栗毛　越後国瀬戸　　《割書：四歳
三寸五分》
　　一御手綱　麻段筋
　　一面懸紫麻

　　一轡十文字
　　一手助紅
　　一御馬衣紺てれき嶋浦片色　
　　一口取縄紫練繰
　　一鼻革赤塗餅月金紋
　　　　とちかね
　　　　ねり之つな
　　一洗轡引手綱共
　　一■【祠？】懸縄
　　　　但右御馬具二疋共同断
　　　　以上
　　　　　　　　　　　　　　松平千次郎

一同日右同断ニ付為御祝儀於　御座之間御家老御相伴被
　仰付御雑煮御吸物出御盃頂戴御肴　御手自被下之次ニ
　御傅役岡部左膳被　召出御盃頂戴御長蚫　御直ニ被下之畢而
　御奏者番ゟ番外並之面々迄御長蚫　御直ニ被下之御番
　組之面々　御目見披　仰付御長蚫自分頂戴之
一五月廿九日右同断ニ付京都所司代松平伊賀守　殿江御書被
　遣之

一同日右同断ニ付本多大蔵　初御家老御城代江　御書被成
一五月《割書：日不
詳》於江戸御家中洗湯御免之儀先当分者相止候様被
　仰出
一六月三日御使者御留守居大谷一右衛門　を以御先代之通御国
　産初鯖《割書：三十
刺》被献之
一同月六日暑中ニ付御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》を以御先
　代之通素麪一箱《割書：千把
入》被献之右御披露済之捻御奉書御用
　番松平左近将監　殿ゟ来
　　　上書
　　　　松平千次郎殿　　　　　　乗邑
　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　松平左近将監
　　　今朝素麪一箱進上之候遂
　　　披露候之処一段之仕合候
　　　恐々謹言
　　　　　六月六日　　　　　乗邑書判
一同月七日暑中ニ付　御機嫌為御伺御用番松平左近将監　殿江
　御使者御留守居大谷一右衛門　被指出之

　　但御初年ニ付御使者被指出之
一六月八日　勝姫様浅草御屋敷江御引移被成
一同月十六日奥　御居間江　御移被成右為御祝儀御家老并
　御奏者番其外御役人御近習等江御赤飯御吸物御酒被下之
一同月廿一日御家督相済候ニ付屋敷奉行江御留守居大谷
　一右衛門　左之通書付持参指出之
　　　　　口上
　　　松平千次郎当五月亡父中務大輔家督無相違
　　　被　仰付候依之先達而書出置候通屋敷不残所持
　　　
　　　仕候御帳面名所相直候様奉願候以上
　　　　　六月　　　　　　　松平千次郎内
　　　　　　　　　　　　　　　　大谷一右衛門
　　　　　　伊藤伝十郎様
　　　　　　大久保弥三郎様
　　　　　　石■七兵衛様
　　　　　　蜂屋修理様
一同月廿三日御用番松平左近将監《割書：乗
邑》殿ゟ御呼出御留守居大関

　新五左衛門《割書：直
看》罷出候処音信贈答并嫁娶之儀ニ付左之通御書
　付被相渡之
　　　　　覚
　　一音信贈答嫁娶之規式饗応等万事倹約を可用
　　　旨前々ゟ毎度被　仰出候弥以右之趣急度被相守
　　　猶又此度被　仰出候条々左之通相心得可被申事
　　一婦人之衣服近年結構ニ相見へ候向後大名之
　　　妻子たりといふ共軽き縫金絲等を用ひ猥に
　　　結構成衣類拵被申間敷候殊に召仕之女に至てハ
　　　
　　　猶以上下之差別有之候様に堅可被申付候此度
　　　定直段町中江相触候間其趣を可被存事
　　一新規塗物之事国持大名之調度たり共軽き
　　　梨子地蒔絵に過へからす妻女之乗物挟箱長
　　　持等之類ハ黒塗蒔絵之紋より上の結構いたす
　　　へからす其余之輩は黒塗軽き蒔絵或はい
　　　つ懸等を用ひ乗物ハ黒塗いし金物又ハ天鵞
　　　絨色挟箱長持之類ハ黒塗或ハ溜塗を用へし
　　　蒔絵之紋無用之事

　　　　但湯殿道具類ハ木地溜塗之外一切いたす
　　　　　へからさる事
　　一夜着蒲団或ハ貝桶挟箱之覆唐織金入之類
　　　不可用之長持屏風箱等之覆ハ絹布又ハ革を
　　　可被用事
　　一婚姻之行列供乗物拾挺に過へからさる事
　　一祝儀之饗応弥近例に随ひ其内菜数等省略
　　　すへし常々参会ハ大身たりといふとも二汁六
　　　菜に過へからす但香の物共に右之数たるへし

　　　惣而吸物肴ハ料理之菜数に准し減少すへき事
　　一婚姻祝儀物之取かハし近年礼物被　仰出候
　　　趣に准し可有斟酌事
　　右之品々万石以上其分限相応を景計ひ可取用之候
　　以上
　　　　辰六月
　　　　万石以上江口上ニ而被　仰渡候覚
　　　祝儀饗応之節たりといふ共附後段出し候
　　　儀無用ニ可被致候料理一通り相済候上尚又滞座

　　　之節者後段出し候儀者勿論ニ候後段出し候以後
　　　差つゝき急度引替之料理出し候儀も有之様子
　　　相聞候左様之事可為無用候畢竟馳走之品斗に
　　　後段■【も？】出　又料理等出し候様成無用之結構を
　　　不致儀候
一六月廿五日御家中簡略之儀ニ付於評定所月番御家老
　酒井丹下　左之通書付を以諸月番江申渡之
　　　　　定
　　一家中供廻之事

　　　面々格式ニかまひなく身上ニ応し随分軽く召連
　　　高知たりと云者御城下にてハ或乗物或乗馬一
　　　事を可用但年若ニ候者ハ専馬上尤之事
　　　附
　　　江戸表御供之面々又ハ御使者ニ罷越時分大身
　　　小身共ニ人数分限より軽く可召連他■【処？】江御使者
　　　之節者身体相応ニ可召連事
　　一屋作之事
　　　新敷作事軽き儀にても無用たるへし但無拠
　　　儀者各別ニ候破損あらハ修覆の致し様見苦敷ハ

　　　不苦事
　　一着類之事
　　　高知之面々寄合格其並之番外迄ハ絹紬木綿
　　　を着し物頭使番迄ハ紬木綿を可着番組以下ニ
　　　至而者年始礼日之出仕たりといふ共木綿紙
　　　子之外着すへからす古キ小袖下着ニハ不苦帷子
　　　上下者当分有合ニ古キ可着といふとも此以後支
　　　度仕候ハヽ布木綿之外可為無用但拝領物者各
　　　別ニ候且又御国ニ而他所之使者等取扱仕者右之定
　
　　　に不及といへとも是又麁相成小袖可用之候隠居
　　　并医師之類勿論女之衣服ハ其品不被　仰出候
　　　得者身上ニ応し軽きを用可申事
　　付
　　　面々組支配之者并召仕之男女衣服右ニ応し麁
　　　服を着し候様ニ申付無油断可有吟味事
　　一振舞之事
　　　家督役儀等之祝を初停止たるへし親類縁者
　　　其外共ニ折々参会仕節ハ一汁一菜外ニ香の物
　　　酒三返之外出すへからす吸物肴可為無用夜会之

　　　節も可准之尤酒宴ハ堅有之間敷事
　　付
　　　在江戸中何も参会之儀猶以軽く他所より得客候
　　　共御定ニ応し軽く可有饗応事
　　一音物之事
　　　他所之取遣并医者師匠のかたへ礼物を遣の外ハ
　　　親類縁者たりといふとも祝儀愁事の音信を
　　　始無用ニ致すへし但親子兄弟のかたへ軽きもの
　　　相送之儀ハ可為心次第事
　　付
　　　音物之儀ハ紛敷儀も有之由父子兄弟之外ハ軽キ

　　　物ニ而も堅停止之事ニ候間存其旨女中より■
　　　■取扱も吉凶共ニ右同事ニ堅仕間敷事
　　一諸道具之事
　　　当分遂事■■■■■物相求候儀者一切可為
　　　無用事
　　一婚礼之事
　　　前々御定有之候得共此後諸事成次第軽く
　　　致し祝儀もの舅聟之間斗取扱ひ当日迄ニ
　　　相仕廻後日之振舞等者可為無用事

　　一法事之事
　　　心さし迄ニ軽く可致執行私宅ニ而いとなみ候共
　　　料理等御定之品ニ可任事
　　附
　　　香奠者忌を請候者并舅聟ハ心次第に仕其外ハ
　　　無用之事
　　一奉加之事
　　　前々より御停止候猶以奉加ニ似寄候事共等一切
　　　取扱ひ致間敷事
　　右従先規被相定候御法令之通当時猶又相改被

　　仰出候重而御指図被　仰出候迄ハ此趣堅可相守候近年
　　御家中上下共ニ勝手困窮難儀之儀候得共御手
　　当　難被成時節ニ候間此旨能々致了簡御定之外
　　たる儀無之様可致候江戸に相詰候節者江戸ニての
　　被　仰出候間其通相守何とそ取続御奉公可相
　　勤候末々に至迄准之可申付候努々❓疎略に存間
　　敷候此以後ハ目付中ゟ吟味可有之候条面々得其意
　　急度相守可申者也
　　　　享保九辰年

　　　　　六月日
一同日　御代替ニ付遠州荒井御関所女通手形御家老判鑑
　松平伊豆守　殿江御使者を以被指出候処追而是迄之判鑑使者
　を以被相返之
一六月廿八日　御幼年ニ付御国政之儀御家老申談之上相勤候
　事故一紙之起証文御家老申談之上相整江戸表江指上之
一七月六日為御生見玉御祝儀御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》
　を以御先代之通黄金十両被献之　御城柳之間江御老中

　安藤対馬守《割書：信
友》殿出座御奏者番内藤伊賀守　殿江指上之右
　御披露済之捻御奉書対馬守殿ゟ来
　　　上書
　　　　松平千次郎殿　　　　　重行
　　　　　　　　　　　表書
　　　　　　　　　　　　安藤対馬守
　　　　為生見玉之御祝儀黄金
　　　　十両進上之候遂披露候処
　　　　一段之仕合候恐々謹言

　　　

　　　　　七月六日　　　　　重行書判
一七月九日御用番安藤対馬守《割書：信
友》殿ゟ松平加賀守　殿留守居
　御呼出左之通御書付を以被申渡候由加賀守殿留守居ゟ廻
　達有之
　　　妾を妻に仕候儀猥にハ有之間敷事ニ候得共
　　　若品々有之及其儀候ハヽ向後万石以上ハ月番
　　　老中其外者面々之頭支配江可被達置候無左
　　　候而者妻之忌服又ハ養母等之忌服まきらハし
　　　
　　　く候ニ付申通候
　　右之通寄々可申通候以上
　　　　　辰七月
一同月十二日是迄盆中水向両銀弐枚被供候分者銀壱枚銀壱
　枚被供候分者金弐百疋被供筈御香奠も右ニ准取扱可申旨
　御奏者番菅沼与三　江御家老申渡之
一同月十四日於運正寺昨十三日晩ゟ今朝迄　清照院様十三回
　御忌御法事御執行有之
一同月《割書：日不
詳》切支丹類族之者病死ニ付切支丹御改彦坂壱岐守　殿
　

　建部志摩守　殿江御家老芦田右衛門　左之通御届書被指
　出之
　　　　　転切支丹之類族病死之覚
　　　越前国足羽郡福井城下松平千次郎家来転切
　　　支丹田代養仙孫本人同前田代養山嫡男田代
　　　養元当辰二月廿七日八拾弐歳ニ而病死仕候旦那寺
　　　右城下禅宗泰清院ニ而取置申候
　　　右之通壱人類族病死仕候千次郎幼年付拙者
　　　共ゟ御断申上候以上

　　　　　享保九甲辰年七月　　　　松平千次郎内
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　芦田右衛門　無判
　　　　　　彦坂壱岐守様
　　　　　　建部志摩守様
一七月《割書：日不
詳》当節御簡略ニ付江戸表ニ而小荷駄者御馬廿五疋御繋
　可被成旨被　仰出
一八月朔日為御祝儀御使者御物頭堀新左衛門　を以御先代之
　通御太刀馬代《割書：黄金
十両》被献之右御披露済之捻御奉書御用番
　水野和泉守《割書：忠
之》殿ゟ来

　　但御幼年ニ而御登城無之ニ付御使者を以被献之
　　　上書
　　　　松平千次郎殿　　　　　忠之
　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　水野和泉守
　　　為八朔之御祝儀以使者御太刀
　　　一腰馬代黄金十両進上之候
　　　遂披露候処一段之仕合候恐々謹言
　　　　八月三日　　　　　　　忠之書判

一八月九日御使者御留守居大谷一右衛門　を以御先代之通御国
　産初鱈《割書：三
》被献之右御披露済之捻御奉書御用番水野和泉守　殿ゟ
　来
　　　上書
　　　　松平千次郎殿　　　　　忠之
　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　水野和泉守
　　　今朝初鯖三進上候遂披
　　　露候処一段之仕合候恐々謹言
　　　　八月九日　　　　　　　忠之書判
　

一八月十一日於評定所御家中御借米之儀ニ付左之通書付
　を以月番御家老稲葉采女　諸月番江申渡之
　　　御勝手近年打続御物入多殊更当暮弥以御難
　　　儀之事候故御家中拝知御擬作之内末々迄別紙
　　　目録之通当暮ゟ三年之内御借米被　仰出候御家
　　　中之儀も勝手困窮難儀之段相聞候付何とそ
　　　被成様も可有之哉と色々被及御相談候へ共外
　　　御才覚之儀も必至与不相調可被成様無之ニ付
　　　右之通被　仰出事ニ候御勝手之模様次第三
　
　　　年之間ニ而可成程者少々宛ニ而も御指許可被成
　　　儀ニ候間万事艱難仕取続御奉公可相勤旨
　　　被　仰出候条面々可被得其意候
　　　　八月十一日
　　　　　覚　
　　一地方取六百石以上五歩通
　　　　但江戸詰者壱歩五厘通
　　一御蔵出七拾五石以上三歩五厘通
　　　　但江戸詰之時ハ壱歩五毛通

　　　　附
　　　　　本知三百石ゟ三百七拾五石迄之分
　　　　　役料並百石者弐歩通江戸詰之時ハ六厘通
　　一同断五拾石以下弐歩五厘通
　　　　但江戸詰之時ハ七厘五毛通
　　一御役料百石弐歩通
　　　　但江戸詰之時ハ六厘通
　　一同断五拾石之分三歩五厘通
　　　　但江戸詰之時ハ壱歩五毛通
　　一御合力米被下面々六拾石以上知行高ニ積り

　　　三歩五厘通
　　　　但江戸詰之時ハ壱歩五毛通
　　　　附
　　　　　馬所持之面々ハ百石分役料右同事
　　一同断五拾俵以下弐歩五厘通
　　　　但江戸詰之時ハ七厘五毛通
　　一御切米弐拾壱石以上知行高ニ積り三歩五厘通
　　　　御扶持方之分ハ除之
　　　　但江戸詰之時ハ壱歩五毛通
　　一御切米弐拾石ゟ拾石迄知行高ニ積り弐歩五厘通

　　　　御扶持方之分ハ除之
　　　　但江戸詰之時ハ七歩五毛通
　　一御切米九石ゟ四石五斗迄并九俵取共ニ知行高ニ
　　　積　壱歩七厘五毛通
　　　　御扶持方之分ハ除之
　　　　但江戸詰之時ハ五厘弐毛五弗通
　　一弐百人扶持百五拾七人半扶持御扶持方米斗
　　　被下置候面々知行高ニ積り五歩通
　　　　但江戸詰之時ハ壱歩五厘通

　　一百人扶持ゟ拾五人扶持迄右同断三歩五厘通
　　　　但江戸詰之時ハ壱歩五毛通
　　一拾四人扶持ゟ拾人扶持迄右同断弐歩五厘通
　　　　但江戸詰之時ハ七厘五毛通
　　一九人扶持ゟ七人扶持迄右同断壱歩七厘五毛通
　　　　但江戸詰之時ハ五厘弐毛五弗通
　　　　附
　　　　　六人扶持被下上納米御免之事
　　一御切米八俵ゟ四俵迄之分壱人ニ京升八升宛
　　　　但江戸詰之時ハ弐升四合宛

　　一御合力金五拾両ゟ拾弐両取迄之面々知行高ニ
　　　積り三歩五厘通
　　　　御扶持方之分ハ除之
　　　　但江戸詰之時ハ壱歩五毛通
　　一御合力金拾両ゟ五両取迄之面々右同断弐歩
　　　五厘通
　　　　御扶持方之分ハ除之
　　　　但江戸詰之時ハ七厘五毛通
　　一御合力金四両ゟ三両取迄之面々右同断壱歩

　　　七厘五毛通
　　　　御扶持方之分ハ除之
　　　　但江戸詰之時ハ五厘弐毛五弗通
　　一御合力金弐両ゟ壱両取迄之面々壱人ニ京升
　　　八升宛
　　　　但江戸詰之時ハ弐升四合宛
　　一春替江戸江参候者其前年并相勤候年共ニ
　　　右江戸詰定之通弐歩通上納可指上罷帰候年ハ
　　　御国並歩高ゟ馬持之分半分御免其外侍分

　　　末々迄三ケ一御免之事
　　　　附
　　　　　右三月頃江戸江参其年五月中迄ニ自然
　　　　　御返被成面々有之候ハヽ其年之上納江
　　　　　戸詰帰年之並ニ可仕六月以後ニ至而御返シ
　　　　　被成候ハヽ其年之御借米江戸ニ相詰候並
　　　　　上納可仕定詰之面々御国江御返し被成候而も
　　　　　六月以後罷帰候者其年之御借米江戸詰
　　　　　並上納可仕末々ニ至迄可右准事
　　一秋替江戸江参候者も春替之通其前年并罷
　　
　　　越候年共右江戸詰定之通弐歩通上納可指上
　　　罷帰年ハ暮ニ罷帰候而も江戸詰帰年並
　　　之上納可仕事
　　　　附
　　　　　八月頃ニ参候面々有之候ハヽ其年之上
　　　　　納江戸詰帰年之並ニ可指上霜月以後
　　　　　御返し被成候ハヽ其歳之御借米江戸ニ相詰
　　　　　候並上納可仕事
　　一十月ニ至江戸江参候者ハ其年并罷帰候年共ニ
　　　右江戸詰定之通弐歩通上納可指上事

　　　附
　　　　十月ニ参自然極月中迄ニ御返被成面々
　　　　有之候ハヽ其年之御借米ハ江戸詰定之通
　　　　一歩通上納可仕翌正月以後御返被成候ハヽ其
　　　　年之御借米江戸ニ相詰候並上納可仕事
　　一江戸并他国御使者馬所持以上身代相応ニ人馬
　　　召連罷越候者江戸詰並之上納可指上事
　　一御切米取江戸表江御使其外就御用罷越不時ニ
　　　逗留仕候儀有之時上納米御借被成内ハ末々迄
　　　逗留中増扶持方米被下上納御免無之事

　　一定御供之内御国江被残置候面々ハ御国並ニ上
　　　納可仕事
　　一江戸表江御使者ニ罷越候面々道中軽く仕罷
　　　越於江戸御貸人被　仰付筈上納之儀ハ御定
　　　之通可仕事
　　　　　八月
一八月《割書：日不
詳》　勝姫様御合力米以後弐千五百俵被進右之内
　ニ而男女共ニ扶持切米切符銀被下筈春成院江ハ以後年々七十
　両ツヽ被下段被　仰出

一九月三日為重陽御祝儀御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》を以
　御先代之通御小袖二《割書：熨斗目花色御紋御裏茶
黒綸子御紋御裏紅》被献之　御城柳之間江
　御用番松平左近将監　殿出座御奏者番内藤丹後守　殿江指
　上之
一同日於運正寺昨二日晩ゟ今朝迄　正受院様御一周忌御法
　事御執行有之
一同月五日今度御家中御借米被　仰出候ニ付　陽寿院様
　智高院様　勝姫様御合力米之内も御借可被成旨被　仰出
一同月廿一日右同断ニ付京都　明姫様御合力米之内も御借

　可被成旨被　仰出
一同日右同断ニ付京都御用達町人共御借金御返済両三年
　御断之儀ニ付御奉行雨森儀右衛門　京都江被指遣之今日
　福井出立
一同月廿六日　初姫様此中ゟ御様体ニ付京都医師被召寄候ニ付
　御使者御使番飯沼九太夫《割書：御徒山野井
次兵衛指添》道中三日振被指遣之今日
　福井出立
一同月廿九日　御幼年之儀ニ付諸役方誓紙被　仰付
一同月《割書：日不
詳》　御代替ニ付御関所女通手形之御家老判鑑上州

　碓氷者於江戸内藤丹波守　殿引替相済信州福嶋江小栗而治右衛門
　を以被指遣之御書并判鑑持参引替相済御国江罷帰
一十月二日　初姫様御様体ニ付被召寄候京都医師上田養安今
　日福井着御部屋江罷出御様体相伺之
一同月九日御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》を以御先代之通御国
　産塩鮎子籠被献之右御披露済之捻御奉書御用番安藤
　対馬守《割書：重
行》殿ゟ来
　　　上書
　　　　松平千次郎殿　　　　　重行
　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　安藤対馬守

　　　今朝塩鮎子篭一箱進上之候
　　　遂披露候処一段之仕合候
　　　恐々謹言
　　　　十月九日　　　　　　　重行書判
一同月十日於万福山
　常憲院様十七回御忌御茶湯御執行有之
一同月十四日於運正寺
　文昭院様十三回御忌御茶湯御執行有之
一同月十五日於増上寺

　文昭院様御法事有之ニ付御使者御奏者番磯野多宮
　《割書：御留守居宮北
十郎左衛門同道》を以御香奠銀五枚被献之《割書：去月十九日
御触達》
一同日　初姫様御様体御順快ニ付為御祝御家老御役人江
　於御部屋御料理被下之
一十月廿一日御領分定友村与間部下総守　殿領分野岡村与用
　水争論之処元之通為致候様御勘定頭駒木根肥後守　殿先
　達而被申聞候ニ付其旨百姓共江郡奉行申渡之
一同日御御家老本多縫殿　乗物御附岡部左膳　駕籠御免
　之儀ニ付左之通御用番安藤対馬守《割書：重
行》殿江御願書被指出之
　　　　
　　　　　　　　　　　　家老
　　　　　　　　　　　　　本多縫殿
　　　　　　　　　　　　　　　当辰五十七歳
　　　右者私家来当地ニ而用事申付候痛所
　　　有之馬上斗ニ而難相勤候間乗物被成
　　　御免候様ニ奉願候以上
　　　　十月廿一日　　　松平千次郎《割書：幼年故致印判
》
　　　　　　　　　　　　　　　　　御印判
　　　　　　安藤対馬守様

　　　　　　　　　　　　　岡部左膳
　　　　　　　　　　　　　　　当辰五十歳
　　　右者私家来当地ニ而用事申付候痛所
　　　有之馬上斗ニ而難相勤候間駕籠被成
　　　御免候様ニ奉願候以上
　　　　十月廿一日　　　松平千次郎《割書：幼年故致印判
》
　　　　　　　　　　　　　　　　　御印判
　　　　　　安藤対馬守様

一十月廿四日　初姫様御様体御順快ニ付京都医師上田養安
　儀昨廿三日御暇被下拝領物被　仰付今日出立候ニ付御使
　番飯沼九太夫　道中被指添
一同月廿五日切支丹御証文御幼年ニ付御家老本多縫殿
　印判書判ニ而建部志摩守　殿彦坂壱岐守　殿江指出之
　　但右御証文指出之儀以後定例故不記之
一同月廿六日御用番安藤対馬守《割書：重
行》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　十郎左衛門《割書：定
由》罷出候処先達而御頼被成候本多縫殿　岡部左膳
　乗物御免之旨左之通御書付を以被申渡之

　　　　　乗物　　　本多縫殿
　　　　　駕籠　　　岡部左膳
　　　右乗物駕籠願相済候於御目付
　　　稲葉多宮宅誓詞判元見候事
一十月廿七日右同断ニ付御家老本多縫殿　岡部左膳　御目
　付稲葉多宮　殿宅江罷越誓詞相調夫ゟ為御礼御用番
　安藤対馬守《割書：重
行》殿并目付中江相勤
一十一月十一日於東叡山
　常憲院様十七回御忌御法事有之ニ付御使者御奏者番

　宇都宮治部左衛門　を以御香奠銀五枚被献之《割書：去十八日
御触達》同所御本
　坊江相納之
一同日御法事済ニ付御用番水野和泉守　殿江御使者御留守居
　大谷一右衛門　被指出之
一同月十五日　長福様御事今日御弘メ在之以来
　若君様与可奉　称旨被仰出
一同月十六日右同断ニ付京都所司代松平伊賀守　殿江御書
　被遣之
　　但公儀御祝儀事　御機嫌伺等ニ而御老中江相勤有之候

　　　節之御書被指出候儀以後定例故不記之
一十一月廿一日
　若君様御弘為御祝儀惣出仕ニ付《割書：去十九日
御触達》御使者御奏者番
　宇都宮治部左衛門　を以
　公方様江御太刀金馬代被献之　御城於檜之間御奏者番
　高木主水正　殿江指上之
　若君様江同断被献之　西丸御当番之御奏者番家来江
　相渡之
一同日右同断ニ付御用番并

　若君様御御老中安藤対馬守《割書：重
行》殿江御使者御留守居
　大谷一右衛門　被指出之《割書：去十九日
御触達》
一同月廿二日今度御弘メニ付
　若君様江年中御勤之儀御使者御留守居を以御用番水野
　和泉守《割書：忠
之》殿江御伺被成候追而御指図可有之筈之旨被申
　聞之御書付者被相返之
一同月廿五日寒中ニ付御機嫌為御伺御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿江
　御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》被指出之
一十二月朔日寒中ニ付御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》を以御先

　代之通御国産《割書：一
番》生鱈《割書：三
》被献之右御披露済之捻御奉書
　御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿ゟ来
　　　　　　上書
　　　　　　　松平千次郎殿　　　　忠之
　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　水野和泉守
　　　今朝生鱈三進上之候遂
　　　披露候処一段之仕合候
　　　恐々謹言

　　　　　十二月朔日　　　　　忠之書判
　　　右御献上ニ付而之御披露済之捻御奉書以後定例
　　　故不記之
一十二月二日
　若君様江御名乗
　家重様与被進候為御祝儀惣出仕ニ付右為御歓御用番
　松平左近将監《割書：乗
邑》殿御付御老中安藤対馬守《割書：重
行》殿江御使者
　御留守居被指出之《割書：昨朔日
御触達》

一十二月六日寒中ニ付御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》を以御先
　代之通《割書：二
番》生鱈《割書：三
》被献之
一同月八日初雪ニ付　御機嫌為御伺御使者御留守居大関
　新五左衛門《割書：直
看》　御城江被指出之御目付長谷川与左衛門　殿江謁之
　　但右初雪ニ付　御機嫌御伺之儀以後定例故不記之
一同月十六日評定納ニ付御伺御膳番を以御先代之通評定所江
　御鷹之鴨《割書：二
》被下之
一同月《割書：日不
詳》松平伊賀守　殿加判之列被　仰付
一同月廿一日為歳暮御祝儀御使者御留守居大谷一右衛門　を以
　
　御先代之通御小袖二《割書：熨斗目裏茶
綸子裏紅》被献之
一同月廿九日大目付中ゟ二ノ丸江年中出仕并献上物之儀ニ付
　左之通御廻状来
　　　　　二丸江出仕之覚
　　　　年始
　　一元日御三家初松平加賀守溜詰其外万石以上登
　　　城之面々嫡子共布衣以上之御役人法印法眼之
　　　医師可有出仕且又表高家寄合三四人宛并御番
　　　衆一組ゟ一両人宛小役人も一役ゟ一両人宛出仕之事

　　一二日外様万石以上并嫡子喜連川左兵衛督可有出仕候
　　　表高家三四人并小役人無官医師等一向より一両人宛
　　　且又御番衆一組より一両人宛次嶋浦惣検校出仕之事
　　一三日無官万石以上并嫡子次岩松満次郎出仕之事
　　　　　月次
　　一朔日御三家并松平加賀守溜詰出仕之事
　　一十五日万石以上并嫡子出仕之事
　　一廿八日布衣以上御役人可有出仕候法印法眼之
　　　医師寄合一両人宛出仕之事

　　　　　五節句
　　一御三家初松平加賀守溜詰其外万石以上并嫡子
　　　布衣以上之御役人可有出仕候法印法眼之医師
　　　寄合二三人宛小役人一役ゟ一両人宛出仕之事
　　　　　八朔日
　　一右同前ニ出仕之事
　　一惣而御礼事ニ者出仕之事
　　一惣出仕有之候節者御三家初松平加賀守溜詰
　　　其外万石以上并嫡子布衣以上之御役人可有出

　　　仕候法印法眼之医師寄合二三人宛小役人一役ゟ
　　　一両人宛出仕之事
　　　右之通来巳年始より御本丸相済而不込合様ニ
　　　可有出仕由可被触候寺社輩町人職人等ハ不及罷出候
　　　以上
　　　　　辰十二月

　　　若君様江献上物之覚
　　一端午重陽歳暮之御祝儀物之儀
　　
　　　公方様江当時被指上候通時服二宛可有献上候
　　一年頭八朔之御太刀御馬代
　　　公方様江献上員数之通可被指上候
　　一参勤御礼献上物
　　　公方様江
　　　　当時被指上候通之
　　　　白銀員数　　　　　　　　　拾万石以上
　　　　　外之品被指添に不及候
　　　　金壱枚　　　　　　　　　　《割書：五万石より
九万九千石迄》
　　　　　外之品被指添に及候
　　　　銀三枚　　　　　　　　　　《割書：壱万石より
四万九千石迄》

　　　　　外之品被指添に不及候
　　　　同壱枚　　　　　　　　　万石以下
　　　　　外之品被指添に不及候
　　　右御太刀相添候事
　　一帰国帰城御礼献上物
　　　公方様江
　　　　《割書：御樽肴并外之品
相添被指上候面々ハ》　　　　　御樽肴斗
　　　　《割書：三種二荷被指上候
面々ハ》　　　　　　二種一荷
　　　　《割書：二種一荷被指上候
面々ハ》　　　　　　一種一荷

　　　　《割書：一種一荷被指上候
面々ハ》　　　　　　箱肴一荷
　　一若菜之御祝儀差上来候面々ハ
　　　公方様江献上之員数之通可被指上候
　　一七夕御祝儀之鯖代差上来候面々ハ
　　　公方様江献上之員数之通可被指上候
　　一口切御茶指上来候面々ハ
　　　公方様江献上之員数之通可被指上候
　　一諸大名より年中御機嫌伺之献上物之品度数共ニ

　　　公方様江献上通ニ可被指上候
　　一御謡初之節御盃台被指上ニ不及候
　　　来年始より右書面之通可有献上候年頭八朔
　　　之御太刀目録并端午重陽歳暮之御祝儀之
　　　時服ハ御本丸江可被相納候此外之献上物ハ二丸江可
　　　被指上候
　　　右之趣可被相触候以上
　　　　　辰十二月
一十二月《割書：日不
詳》品川天龍寺者　見性院様御開基ニ而外檀越ニ無之処
　
　豊仙院様御相続ニ相成候ニ付此以後
　豊仙院様御位牌御安置御廟所御建立ニ相成御霊供等
　格別ニ御寄附無之候而者寺難相立趣天龍寺《割書：菩
宝？》ゟ相願候ニ
　付以後三斗俵弐百俵宛年々可被下旨被　仰出

【裏表紙】

家譜

《題：家譜　吉品公　》　　　　　　　　　　　　　　従宝永元年
　　　　　　　　　　　　　　到同　二年　　　二十三

　　　　　吉品様　従宝永元年甲申
　　　　　　　　　至同二年乙酉

宝永元年甲申《割書：此年元禄十七年
四月十三日改元》
一正月朔日於　御本丸年始御規式有之
一同日為年始御祝儀御使者毛受源兵衛《割書：利
以》を以例之通御太刀
　馬代被献之
一同月七日為御上初御使者を以例之通御肴被献之
一同月十一日年始三ケ日之御規式相済候為御祝儀御使者横井
　庄八　江戸表江被指出之御肴一種被献之庄八今日福井出立　

一二月三日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：同七日
御帰殿》
一同月四日内膳《割書：直
知》様御小姓被　仰付《割書：去月
廿三日》候ニ付為御礼江戸表江
　御書被指出之
一同月九日月次　御機嫌為御伺御使者宮北長左衛門《割書：定
由》江戸
　表江被指出之御肴一種被献之長左衛門今日福井出立
　　但同月廿二日御返書御渡有之
一同月廿五日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一同日今度御参勤之節本多孫太郎《割書：長
員》被　召連候ニ付孫太郎儀
　
　御先規駕乗御免之儀徳山又兵衛《割書：重
年》殿大岡次右衛門《割書：忠
久》殿を以
　御老中土屋相模守《割書：政
直》殿迄左之通御内意御伺書被指出之
　　　　　覚
　一本多孫太郎親内蔵助儀者正保三戌年其御地江
　　罷出候節三拾三歳之時部屋住之時分ゟ乗物ニ而
　　相勤候其砌古越前守御断申達候趣旧記致焼
　　失不相知候孫太郎手前ニ者覚書有之候
　　孫太郎三拾六歳罷成候以上
　　　但同月十日於御用番小笠原佐渡守殿駕乗御免之儀

　　　　御願之通被　仰出之
一三月三日永平寺登　城十帖一本指上於撻担之間御逢有之畢而
　御料理《割書：三汁
九菜》出引物　御直ニ御引被成孝顕寺鎮徳寺相伴
　被　仰付
一同月四日出羽守《割書：綱
近》様御願之通民部少輔《割書：吉
透》様御養子被　仰出《割書：去月
廿二日》
　候ニ付為御礼江戸表江御書被指出之
一同月十五日民部少輔《割書：吉
透》様江被下候壱万石出羽守《割書：綱
近》様江御返ニ
　相成候ニ付為御礼江戸表江御書被指出之
一同月廿三日御用番稲葉丹後守《割書：正
通》殿ゟ御呼出御留守居村上三太夫《割書：正
峯》

　罷出候処御城廻石垣御普請御手伝被　仰出候ニ付　御奉書
　御渡有之
　　但右御奉書御徒飛脚を以御道中迄指上之
一同日内膳《割書：直
知》様御叙爵内膳正与御改被成候ニ付為御礼江戸表江
　御書被指出之
一同月廿六日福井　御発駕中山道通御旅行
一同月廿八日江戸御城廻御普請御手伝被　仰出候御奉書濃州
　赤坂駅迄着於同駅　御被見有之
　　今度　御城廻石垣御普請付而其方儀御手

　　伝被　仰付候間可被存其趣候例之時分参府
　　有之而御用可被相勤候為心得先達而如斯候
　　恐々謹言
　　　三月廿二日　　　　　稲葉丹後守
　　　　　　　　　　　　　　　正通書判
　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　喬朝書判
　　　　　　　　　　　　　小笠原佐渡守
　　　　　　　　　　　　　　　長重書判
　　　　　　　　　　　　　土屋相模守
　　　　　　　　　　　　　　　政直書判
　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　正武書判
　　　　　　　松平兵部大輔殿
一同日右同断ニ付為御礼同駅ゟ江戸表江御使者被指出之
　　但四月七日御返書御渡有之
一三月晦日右同断ニ付御家老松平庄兵衛《割書：正
恒》初御役人共
　御用掛り被　仰付出府候様被　仰出
一同日
　昌邦様御登城被成候処年号宝永与改元被　仰出候旨
　御老中御達有之

一四月四日御普請御手伝被蒙　仰候ニ付町在江左之通御用金
　被　仰出之
　　金六千両　　　　　　　　　福井町中
　
　　金四千両宛　　　　　　　　上領
　　　外高掛高百石ニ付百匁宛　中領
　　　　　　　　　　　　　　　川北領
　　
　　金三千両　　　　　　　　　府中町中
　　外本多孫太郎知行所高掛り右同断　
　　
　　〆金高弐万千両
　　　外高掛り〆四千両
一同月五日右同断ニ付御家中江御借米被　仰出
一同月九日板橋駅ゟ直ニ御参府為御案内御老中　御廻勤
　夫ゟ霊厳嶋御屋敷江　御着
一同月十日右同断ニ付　上使御老中稲葉丹後守《割書：正
通》殿御越
　上意之趣御達有之《割書：上使御取扱
如例》御退出後為御礼御老中御側御用人
　若年寄中江　御廻勤
一同日御用番小笠原佐渡守《割書：長
重》殿ゟ左之通御老中連名之御切紙来
　　猶以家来一人
　　御目見被　仰付候間召連可被罷出候以上　

　　　明十一日四時登　城参勤之御礼可被申上候
　　　以上
　　　　四月十日　　　　　稲葉丹後守
　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　小笠原佐渡守
　　　　　　　　　　　　　土屋相模守
　　　　　　　松平兵部大輔殿

一四月十一日　御登　城御参勤之御礼被　仰上御太刀一腰銀三
　百枚綿二百把御献上畢而本多孫太郎《割書：長
員》　御目見被　仰付
　奉書紙《割書：二十
束》御太刀銀馬代献上相済御退出掛御老中御側
　御用人若年寄中江　御廻勤
　　但御再勤後右御礼之節銀二百枚綿百把御献上之処去年
　　　御暇之節御拝領物相増候ニ付御伺之上向後右之通御献上ニ
　　　相成且又家来　御目見之儀も今度ゟ如御先規被　仰出之
一同日右同断ニ付　御台様　一位様江例之通白銀縮緬被指上之
一同月十二日　鶴姫君様御逝去ニ付

　公方様御機嫌為御伺　御登　城ゟ　一位様御機嫌為御伺
　御老中秋元但馬守《割書：喬
朝》殿江　御勤
　　但翌十三日右同断　御登　城ゟ　一位様御機嫌為御伺
　　　本庄安芸守殿江　御勤十五日も　御登　城
一同日右同断ニ付御用番小笠原佐渡守《割書：長
重》殿并御側御用人松平
　右京大夫《割書：輝
貞》殿江御使者御留守居被指出之
　　但十五日迄毎日御使者被指出之
一四月十五日右同断ニ付　御機嫌為御伺御使者を以御檜重一組
　被献之

一同月十八日
　公方様御機嫌為御伺御用番小笠原佐渡守《割書：長
重》殿并御側御用人
　松平右京大夫《割書：輝
貞》殿江　御勤　一位様御機嫌為御伺御老中秋元
　但馬守《割書：喬
朝》殿江　御勤
一同月廿三日御参府ニ付為御土産御使者を以例之通五色奉書紙
　被献之
一同日御普請奉行ゟ申来ニ付加賀藤左衛門《割書：成
興》高田金大夫《割書：正
府》罷出
　候処御普請御手伝之場所書被相渡之
　　　　　　　　　　　　　　　　　松平兵部大輔

　　一御玄関前二重御櫓
　　　　附武者溜石垣
　　一二丸銅御門并御多門
　　一塩見坂高石垣并御多門二重御櫓
　　一上梅林坂御門二重御櫓辺
一四月廿六日御長刀為御持之儀是迄御指控被成候得共追々御先
　規ニ被為復候ニ付為御持被成度旨先達而御老中土屋相模守《割書：政
直》殿江
　大岡治右衛門《割書：忠
尚》殿を以御達被成候処今日於御同所治右衛門殿江左之通
　御書付御渡有之

　　松平兵部大輔殿長刀御持セ有之度願之事
　　美濃守各江茂申談以前御持セ候得者新規と申
　　にても無之候其上近年段々結構ニ被　仰付御事
　　ニ候長刀勝手次第御持セ尤ニ候
　一大炊殿ハ列之部屋住之衆被聞合其通被成尤ニ候
　　　四月廿六日　　　　　　土屋相模守

一同月廿八日御城廻御手伝御場所今日ゟ御普請相始ル依之鍛
　冶橋呉服橋之間七ケ所ニ小屋相建御人数被指置

一五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単
　被献之　御台様　一位様江白銀被指上之
一同月八日於東叡山
　厳有院様廿五回御忌御法事有之ニ付
　公方様御参詣依之御予参　御勤
一同日右同断ニ付於万福山御茶湯御執行有之
一同月九日右同断ニ付御使者御番頭嶋田清左衛門《割書：重
休》を以東叡山
　中堂江御香奠被献之
　　但御香奠員数御記録類ニ不詳

一同月十日御法事相済候ニ付御使者を以御精進揚之御肴一種
　被献之
一同月十三日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
一同月十四日御内証ゟ御台子被献之御老中土屋相模守《割書：政
直》殿迄
　御使者を以被指出之右御披露済之御切紙相模守殿ゟ来
　　　被献候御台子於御内証首尾能披露
　　　相済候此段為可申入如斯御座候以上
　　　　五月十四日　　　　　土屋相模守
　　　　　松平兵部大輔様

一五月十八日御普請ニ付霊厳嶋ニ有之候大石《割書：三
十》被指上度旨
　御老中土屋相模守《割書：政
直》殿江御内々御伺被成候処御勝手次第被成
　候様御指図有之
一同月十九日御手伝御普請場江
　昌邦様ニも為御見廻御指出被成度旨先達而御老中土屋
　相模守《割書：政
直》殿江御伺被成候処今朝相模守殿江御逢対御勤之節
　御伺之通被成候様御指図有之
一同月廿一日
　昌邦様御同道ニ而御普請場江為御見分　御出被成
　
　　但同月廿七日ニも右同断　御出被成
一同月晦日出羽守《割書：綱
近》様御願之通御隠居御養子民部少輔《割書：吉
透》様江御家
　督無御相違被　仰出
　　但右ニ付御礼勤可有之候得共御記録類不詳
　　一六月五日出羽守外記ト御改民部少輔様出羽守ト御改被成
一六月十日内匠頭《割書：昌
平》様御弟内記《割書：昌
純》様御卒去依之今日ゟ来ル十二日迄
　御養方御従弟之御忌御受被成
一同日右同断ニ付御普請御勤之儀御老中秋元但馬守《割書：喬
朝》殿江
　御伺被成候処御忌中之間御勤御無用被成候様御指図有之

一六月十五日右同断ニ付御国表三日之間鳴物停止被　仰出之
一同月廿二日暑中ニ付御使者を以例之通御国産素麺干鯛被献之
一同月廿五日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
一同月廿六日御使者を以例之通御国産初鱈被献之
一同月廿九日御手伝場所之内御玄関前武者溜御普請出来ニ付
　御引渡有之
一八月朔日為御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代御献上　

一同月廿二日御手伝場所之内銅御門并御多門御普請出来ニ付
　御引渡有之
一九月三日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　御台様　一位様江白銀被指上之
一同月廿九日於評定所先達而《割書：四月
五日》被　仰出候御家中御借米之儀
　左之通書付を以諸月番江月番御家老酒井与三左衛門《割書：元
宣》申渡之
　　　　　覚
　一最前如被　仰聞置候今度御普請御手伝御勤
　　被遊付面々拝知并御擬作之内至末々迄別紙書付

　　之通御借被成候御家中も連々勝手難儀仕事
　　候ヘハ軽キ様ニと様々御相談候へ共兼而御不如意
　　候ヘハ可被遊様も無之此趣被　仰出候何とそ少も
　　早ク御返シ可被成　思召候事
　一御借米之儀ニ付猥ニ家来江暇を出し候儀ハ此刻
　　如何敷且ハ下之者迷惑可仕候尤只今迄之通持詰
　　候様ニハ難成事候間少々ハ減シ猶以外之儀如何様
　　ニも致簡略成次第ハ召抱置可申候上下一等之儀
　　候間給分等減候儀下々ニ候共何角申者有之

　　間敷事
　　　附三百石以上并役料被下置面々其高百石
　　　　分を以弥馬所持可仕事
　一倹約之儀ハ前々被　仰出候へ共御借米之内於
　　以急度相守御国ニ而ハ侍中当番出仕之節も麁
　　服布木綿専致着用目立候衣類堅無用ニ可
　　仕候尤妻子以下准右可申候振舞之儀ハ弥以全
　　停止役人中為御用寄合候節も一汁一菜之外
　　不可出之親類縁者等出合候とも可応右候酒ハ無

　　用ニ仕若有合候共軽ク可出之其外万端簡略
　　可有之事
　　　附音信贈答之儀医師薬礼等之儀ハ各別其外
　　　　之儀ハ雖為親類縁者堅無用可仕事
　一御家中裏判借銀之儀御借米被　仰出事候ヘハ
　　返弁之儀只今迄之通ニハ難成事ニ候其分ニ差置
　　候而ハ貸主迷惑可仕候間札所ゟ御貸被成通り当
　　暮ゟ弐割宛之積を出し此内壱割半ハ利足ニ
　　用残所ハ元入ニ仕候様ニ被　仰出候間向後其趣相心
　　
　　得可申事
　一畢竟　上之御不勝手故右之通ニ候ヘハ面々ハ不
　　及申妻子等ニ至迄艱難仕取続相勤候儀此節専
　　要之御奉公と被　思召候間いつれも其旨を可
　　奉存事
　右之趣被　仰出候
　　　九月　日
　　〆
　　　　　御借米定書之覚

　一高弐万石取高ゟ壱ツ六歩通上納米可差上事
　　 但江戸詰之時ハ高ゟ七歩通上納之事
　一高三千石ゟ四千五百石迄高ゟ壱ツ五歩通上納米可差
　　上事
　　　但江戸詰之時ハ六歩通上納之事
　一高千六百五拾石ゟ弐千六百石迄高ゟ壱ツ四歩通上
　　納米可差上事
　　　但江戸詰之時ハ高ゟ五歩五厘通上納之事
　一高千石ゟ千五百石迄高ゟ壱ツ三歩通上納米可差上事
　　　
　　　但江戸詰之時ハ五歩通上納之事
　一高六百石ゟ九百石迄高ゟ壱ツ弐歩通上納米可差上事
　　　但江戸詰之時ハ右同断
　一御代官付御蔵出共ニ五百五拾石取以下高ゟ壱ツ通
　　上納米可差上事
　　　但江戸詰之時ハ右同断
　一御合力米被下面々知行高ニ積壱ツ通上納米可
　　差上事
　一御切米弐拾壱石取以上并御合力銀被下面々知行

　　高ニ積壱ツ通上納米可差上事
　　　　　附御扶持方之分ハ除之
　　　但江戸詰之時ハ右同断
　一御切米弐拾石ゟ拾石迄知行高ニ積八歩通上納米
　　可差上事
　　　　　附御扶持方之分ハ除之
　　　但江戸詰之時ハ四歩通上納之事
　一御切米九石ゟ四石五斗迄知行高ニ積七歩通上納米
　　可差上事

　　　　　附御扶持方之分ハ除之
　　　但江戸詰之時ハ三歩五厘通上納之事
　一十五人扶持ゟ上御扶持米斗被下置候面々知行高ニ
　　積壱ツ通上納米可差上事
　　　但江戸詰之時ハ五歩通上納之事
　一十人扶持ゟ十四人扶持迄御扶持米斗被下置候面々
　　知行高ニ積八歩通上納米可差上事
　　　但江戸詰之時ハ四歩通上納事
　一七人扶持ゟ九人扶持迄御扶持米斗被下置候面々
　　

　　知行高ニ積七歩通上納米可差上事
　　　但六人扶持以下上納米御免之事
　一御切米八俵取ゟ五俵取迄壱人ニ米四斗宛上納米
　　可差上事
　　　　　附御扶持方之分ハ除之
　　　但江戸詰之時ハ壱人ニ弐斗宛上納之事
　一御切米四俵取壱人ニ米三斗宛上納米可差上事
　　　　　附御扶持方之分ハ除之
　　　但江戸詰之時ハ壱人ニ壱斗五升宛上納之事

　一江戸江参前年并江戸ニ相詰候年共ニ右江戸詰
　　定之通ニ上納可差上罷帰年ハ御国並同事ニ
　　可致上納事
　一江戸并他国江御使者馬持以上身体相応ニ人馬
　　召連罷越候者江戸詰並之上納可指上事
　一御切米取江戸表江御使其外御用ニ付罷越不時ニ
　　逗留仕候儀有之時上納御借被成内ハ末々迄逗
　　留中増扶持方被下上納御免無之事
　一定御供之内御国ニ被残置候面々ハ御国並之上

　　納可仕事
　一江戸御参勤御供仕罷越其年五月中迄ニ自
　　然御返被成面々有之候ハヽ其年之御借米
　　御国並上納可仕六月以後ニ至而御返被成候ハヽ其年
　　之御借米江戸ニ相詰候並ニ上納可仕定詰之面々
　　御国江御返被成候而も六月以後ニ罷帰候ハヽ其年
　　之御借米江戸詰並ニ上納可仕至末々迄右ニ可准
　　事
　一江戸表江御使者ニ罷越候面々道中軽仕罷越
　　
　　於江戸御貸人被　仰付筈上納之儀ハ御定之通
　　可仕事
　一役料知之分上納御免之事
　一本知三百五拾石三百石被下置面々百石之分役
　　料同事上納御免之事
　　　　以上
一同日右同断ニ付　清照院様　豊姫様御分料之内八歩通
　御借被成
一十月十日於御家老酒井与三左衛門《割書：元
宣》宅今度御普請御手伝

　御入用金於京都御才覚可相調筈之処御手筈致相違必至
　御指支ニ相成候ニ付又々町在江左之通御用金被　仰出候乍然
　最前大分之御用金差上候上ニ又々被　仰出候儀下々之者可致
　迷惑与被　思召候得共御普請御用御指支ニ相成候而者御大
　事ニ付無拠被　仰出儀ニ候間此段末々迄申聞精を出し候様ニ可
　申渡旨町奉行郡奉行江左之通書付を以与三左衛門申渡之
　　　　　覚
　一金四千両　　　　　渥美新右衛門支配下
　　　　　　　　　　　　　福井町中

　一金子四百両ツヽ　　田中条左衛門郡下　
　　　　　　　　　　　　　上領
　　　　　　　　　　　岡三郎右衛門郡下　
　　　　　　　　　　　　　中領
　一金子弐百両　　　　大宮彦右衛門支配下　
　　　　　　　　　　　　　川北領
　一金弐千両　　　　　本多孫太郎領分　
　　　　　　　　　　　　　府中町在々共ニ
　　〆壱万両
　　但右之内三分一十月中残ル分霜月極月両月ニ指上候様
　　　被　仰出　　　　

一十月廿六日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一同月廿七日御老中ゟ左之通連名之御切紙来
　　御用之儀候間明廿八日五半時可有登　城候
　　以上
　　　十月廿七日　　　　　稲葉丹後守
　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　小笠原佐渡守

　　　　　　　　　　　　　土屋相模守
　　　　松平兵部大輔殿
　　　　　但昌邦様江も御切紙御到来
一同月廿八日
　昌邦様御同道ニ而　御登　城於御黒書院御縁通御一所ニ
　御目見被　仰上　上意有之畢而御次之間江御退座御脇指
　御取被成　御出座御下段御敷居之内西之方江　御着座其節
　御折紙《割書：御一字
吉》御老中土屋相模守《割書：政
直》殿被指出　御一人宛　御出座

　御頂戴御次之間江御持退再最前之所江　御着座御礼被
　仰上御老中御取合有之御長蚫　御手自被下之　御出座
　御頂戴御帰座之時
　昌明様江御刀《割書：青江直次
代金三十枚》
　昌邦様江御刀《割書：備前真守
代金二十五枚》御拝領御次之間江御持退御脇差与
　御拝領之御刀与御差替御縁通江御一所ニ　御出座御礼被
　仰上御老中御取合有之御退去御退出掛右為御礼御老中
　御側御用人若年寄中江　御廻勤
一同日右同断ニ付京都所司代松平紀伊守《割書：信
庸》殿江御書被遣之
　
一同日右同断ニ付本多孫太郎《割書：長
員》初御家老御城代江御書被成
一同月廿九日御一字御拝領ニ付御名乗字撰之儀林大学頭殿江
　御頼被成
一十一月朔日御登城被成候処《割書：昨廿九日老中
連名之御切紙来》於浪之間御普請御手伝
　御勤被成候為御褒美御小袖《割書：三
十》御拝領畢而於御白書院
　御目見被　仰上其節御普請果敢取家来共精を出候旨御老中
　秋元但馬守《割書：喬
朝》殿言上御懇之　上意有之御退去夫ゟ右為御礼
　御老中御側御用人江　御廻勤
一同日右同断ニ付本多孫太郎《割書：長
員》初御家老御城代江御書被成

一十一月二日御名乗
　吉品様与御改被成《割書：林大学頭殿
撰考》
一同月七日普請御手伝御用掛之御家来共登　城被　仰付
　蘇鉄之間江御老中秋元但馬守《割書：喬
朝》殿出座左之通御褒美被下之
　御奏者番松平弾正忠　殿被相渡之
　　銀五十枚御時服五御羽織　　　惣奉行
　　　　　　　　　　　　　　　　　松平庄兵衛
　　銀五十枚御時服四御羽織　　　副奉行
　　　　　　　　　　　　　　　　　高屋善右衛門
　　銀二十枚御時服三御羽織　　　御用人
　　　　　　　　　　　　　　　　　大谷助六
　　
　　同　　　　　　　　　　　　　御番頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　中川杢之助
　　　　　　　　　　　　　　　　　天方五郎左衛門
　　同　　　　　　　　　　　　　元〆役
　　　　　　　　　　　　　　　　　加賀藤左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　高田金太夫
　　銀十枚御時服二御羽織　　　　御目付
　　　　　　　　　　　　　　　　　井上半太夫
　　　　　　　　　　　　　　　　　厚木才兵衛
　　同　　　　　　　　　　　　　御普請奉行
　　　　　　　　　　　　　　　　　上月八郎左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　今村段右衛門　

　　銀十枚御時服二御羽織　　　御留守居
　　　　　　　　　　　　　　　　松原善左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　堀　十兵衛
一十一月九日内膳正《割書：直
知》様御卒去依之今日ゟ来十一日迄御養方御甥之
　御忌被為　請
一同日右同断ニ付御普請場御勤之儀御老中江御伺被成候処御忌
　中之間御勤御無用被成候様被指図有之
一同月十三日出羽守《割書：吉
透》様御一字御拝領従四位下侍従御叙任
一同月十五日　御登　城《割書：昨十四日御用番秋元但馬守殿ゟ
連名之御切紙来》御一字御拝領之

　　御礼被　仰上御刀《割書：信国代金
十枚》一腰綿二百把御馬代《割書：黄金
十両》御献上
　御台様　一位様江紗綾十巻御肴一種宛被指上之御退出掛為
　御礼御老中御側御用人若年寄中江　御廻勤
一同月廿日御手伝御普請不残御成就ニ付
　吉邦様御同道ニ而御普請場江　御出被成
一同月廿一日右同断ニ付　公儀御役人江御引渡有之
　　但右ニ付御家老松平庄兵衛初追々御国江罷帰
一十二月六日甲府中納言《割書：綱
豊》様　御養君被　仰出昨五日　西丸江被為
　移候ニ付　御登　城御祝儀被　仰上《割書：昨五日御老中
連名之御切紙来》
　

一十二月七日右同断ニ付為御歓御老中御側御用人若年寄中江
　御廻勤
一同月九日
　公方様ゟ　中納言様江　御諱
　家宣様与被進
一同月十一日依　召
　吉邦様御登城被成候処於御白書院御老中列座被任侍従旨
　御用番稲葉丹後守《割書：正
通》殿御達有之
一同月十二日右同断ニ付

　吉邦様御同道ニ而御用番稲葉丹後守《割書：正
通》殿江御逢対　御勤
　　但残ル御老中江追々御逢対　御勤被成
一同月十八日寒中ニ付　御機嫌為御伺御老中江　御勤
一同月廿一日御養君被　仰出候為御祝儀　御登　城《割書：御直
垂》
　公方様　中納言様出御御太刀目録《割書：御太刀一腰御馬
一疋代黄金十両》御持参
　御目見被　仰上
　　但中納言様江御献上之御太刀馬代者二ノ丸江御使番相納之
一同月廿二日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一
番》生鱈被献之
一同月廿八日

　吉邦様御同道ニ而　御登　城《割書：昨廿七日御用番稲葉丹後守殿ゟ
御老中連名之御切紙来》
　吉邦様御任官之御礼被　仰上二種一荷御献上
　中納言様江御樽肴被献之御退出掛御老中御側御用人若年
　寄中江　御廻勤
一十二月廿九日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　中納言様江銀十枚初而被献之　御台様　一位様江白銀被指上之


宝永二年乙酉
一正月朔日為年始御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代被献上
　呉服御拝領
一同月二日内匠頭《割書：昌
平》様御妹興津姫様御卒去ニ付御養方御従弟之
　御忌被為　請
一同日御使者を以例之通御国産《割書：二
番》生鱈被献之
一同月七日為御上初御使者を以例之通御肴被献之

　中納言様江右同断初而被献之右御披露済之捻御奉書西丸
　御老中本多伯耆守《割書：正
永》殿ゟ来
　　　　　上書
　　　　　　松平兵部大輔殿　　　　　正永
　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　本多伯耆守
　　　　　中納言様江御肴一種被献之候首尾好遂
　　　　　披露候恐々謹言
　　　　　　正月七日　　　　　　正永書判

　　但右捻御奉書之儀御国産并　御機嫌御伺又ハ御精
　　　進揚等ニ而御献上有之節其度毎出候得共同様ニ付
　　　以後不記之
一正月九日御精進揚ニ付御使者を以
　中納言様江御肴一種初而被献之
　　但右精進揚御献上之儀
　　　公方様御同様ニ付以後不記之
一二月十一日於浄光院昨十日晩ゟ今朝迄
　清浄院様七回御忌御法事御執行有之於深川霊厳寺も右

　同様御執行有之
一二月廿五日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於御城御渡
　有之御家来拝領物等如例其節
　中納言様江御献上ニ付而之御奉書御渡有之
　　　中納言様江為歳暮之御祝儀以使者如目録
　　　被献之候首尾好遂披露候恐々謹言
　　　　十二月廿九日　　　　　本多伯耆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　正永書判
　　　　　　　　　　　　　　　稲葉丹後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　正通書判

　　　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　喬朝書判
　　　　　　　　　　　　　　　小笠原佐渡守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　長重書判
　　　　　　　　　　　　　　　土屋相模守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　政直書判
　　　　　松平兵部大輔殿
　　　　　　但右被献候ニ付而之御奉書以後同様ニ付不記之　
一三月五日
　公方様右大臣　御転任
　中納言様大納言　御拝任ニ付

　吉邦様御同道ニ而　御登　城《割書：御束
帯》
一三月十五日右同断ニ付為御祝儀御使者を以
　大納言様江御太刀馬代被献之
　　但御転任為御祝儀
　　　公方様江御献上物等可有之候得共不詳
一同月廿二日　御転任為御祝儀御能有之ニ付左之通御老中
　連名之御切紙来
　　今度　御昇進為御祝儀来廿六日御能被
　　仰付候間可致見物旨被　仰出候着長袴五半時

　　同氏大炊頭同道可有登　城候以上
　　　三月廿二日　　　　　　　本多伯耆守
　　　　　　　　　　　　　　　稲葉丹後守
　　　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　小笠原佐渡守
　　　　　　　　　　　　　　　土屋相模守
　　　　松平兵部大輔殿
　　　　　但右ニ付御登城御能御見物可被成候得とも
　　　　　　御記録類不詳

一四月十三日　上使御老中秋元但馬守《割書：喬
朝》殿を以御国許江之御暇
　被　仰出例之通白銀御袷御拝領《割書：上使御取扱
如例》御退出後為御礼
　御老中御側御用人江　御廻勤
一同月十四日　御登　城御暇之御礼被　仰上例之通御馬御拝領
　畢而被　召連候御家来酒井典膳《割書：知
房》　御目見被　仰付退座御時
　服拝領被　仰付相済御退出掛右為御礼御老中御側御用人
　若年寄中江　御廻勤
一同月十五日御拝領之御馬御老中稲葉丹後守《割書：正
通》殿ゟ使者ニ而為
　牽来

一同月廿六日江戸　御発駕中山道通御旅行
一閏四月九日　御着城
一同月十一日右同断ニ付為御礼御使者稲葉多門《割書：正
方》江戸表江
　被指出之今日福井出立
一同月十五日御書を以例之通御国産初鯖被献之
一同月廿八日為御帰国御礼御使者稲葉多門《割書：正
方》を以例之通奉
　書紙并昆布干鯛御樽被献之
　公方様　大納言様　御目見被　仰付退去再罷出自分之御礼
　申上御太刀銀馬代献上

一五月二日右同断御使者稲葉多門《割書：正
方》御城江罷出候処於檜
　之間御返書御渡有之其節多門江御時服拝領被　仰付
一同月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単
　被献之
　大納言様江銀五枚初而被献之　御台様　一位様江白銀被指上之
一同月十八日本多此面《割書：恒
久》御家老職被　仰付
一同月晦日紀伊中納言《割書：綱
教》様御逝去ニ付
　公方様御機嫌為御伺御使者木滑忠太夫　江戸表江被指出之
　今日福井出立

　　但六月十二日御返書御渡有之
一六月二日暑中ニ付　御機嫌為御伺御使者水野藤兵衛《割書：宗
普》江戸
　表江被指出之御肴一種被献之藤兵衛今日福井出立
　　但同月十八日御返書御渡有之
一同月六日右同断ニ付御書を以例之通御国産素麺干鯛
　被献之
　大納言様江右同断初而被献之
一同月九日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書於　御城
　御渡有之御家来拝領物等如例其節
　

　大納言様江御献上ニ付而之御奉書御渡有之
　　　大納言様江為端午之御祝儀以使者如目録
　　　被献之候首尾能遂披露候恐々謹言
　　　　五月三日　　　　　　本多伯耆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　正永書判
　　　　　　　　　　　　　　稲葉丹後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　正通書判
　　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　喬朝書判
　　　　　　　　　　　　　　小笠原佐渡守
　　　　　　　　　　　　　　　　　長重書判
　　　　　　　　　　　　　　土屋相模守
　　　　　　　　　　　　　　　　　政直書判
　　　
　　　　　松平兵部大輔殿
　　　　　　但右被献候ニ付而之御奉書以後同様ニ付不記之
一六月廿六日
　吉邦様嘉定御登城之節御着座被　仰出候ニ付為御礼江戸
　表江御書被指出之
一同月廿七日　一位様御不快ニ付　御機嫌為御伺御使者河村
　郷右衛門《割書：氏
睦》江戸表江被指出之《割書：去十八日於江戸表
御指図》今日福井出立
一同月廿九日　一位様去廿二日御逝去ニ付　御機嫌為御伺御使者

　寄合牧野清兵衛《割書：易
相》江戸表江被指出之今日福井出立
　　但七月十日御返書御渡有之
一七月十八日右同断ニ付御朦中　御機嫌為御伺御御使者八十嶋
　三左衛門　を以
　公方様　大納言様江御檜重一組宛被献之
　　但三左衛門去七日御国表出立
一八月十三日御使者を以増上寺　桂昌院様御霊前江御香奠
　被指上之
一同月十八日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之

　大納言様江右同断初而被献之
　　但右御祝儀
　　　公方様御朦中ニ而相延候ニ付今日被献之
一同月廿一日御書を以例之通御国産初鱈被献之
　大納言様江右同断初而被献之
一同日於評定所御借米御免之儀ニ付左之通諸月番江月番御家老
　松平庄兵衛《割書：正
恒》申渡之
　　　御普請御手伝ニ付御家中御借り米去年増
　　　之分今年御免被成去々年之通ニ被　仰出候尤百石ニ
　　

　　　不満分ハ不残御免被成候左様可被相心得候
　　　　〆
　　　面々簡略之儀先年より被　仰出猶又去年も被
　　　仰聞候何も連々勝手可被致難儀候ヘハ此以後取続
　　　候様弥簡略尤ニ候
一八月廿六日為八朔御祝儀例之通御太刀馬代被献之《割書：去十六日
御指図》
　大納言様江右同断初而被献之　御城於蘇鉄之間御奏者番池田
　丹波守《割書：輝
禄》殿家来江御品御目録共御留守居村上三太夫《割書：正
峯》相渡之
　　但例年御使者御物頭を以被献之候得共当年ハ
　　　
　　　公方様御朦中ニ而相延候ニ付御物頭御使者相止御留守居持参
　　　御奏者番家来江相渡之
一同日対山様《割書：紀伊大納言■■【光貞？】様
》御逝去ニ付
　公方様御機嫌為御伺御使者堀新左衛門《割書：直
正》江戸表江被指出之
　今日福井出立
　　但九月九日御返書御渡有之
一九月三日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　大納言様江銀十枚初而被献之　御台様江白銀被指上之追而
　御内書於　御城御渡有之御家来拝領物等如例其節

　大納言様江御献上ニ付而之御奉書御渡有之
　　　為重陽御祝儀以御使者如目録被献之候
　　　首尾好遂披露候恐々謹言
　　　　九月七日　　　　　本多伯耆守
　　　　　　　　　　　　　　　正永書判
　　　　　　　　　　　　　小笠原佐渡守
　　　　　　　　　　　　　　　長重書判
　　　　　松平兵部大輔殿
　　　　　　但右被献候ニ付而之御奉書以後同様ニ而不記之
一九月七日備前守《割書：宣
富》様出羽守《割書：吉
透》様御所労ニ付御両所江上使を以

　御尋有之候ニ付為御礼江戸表江御書被指出之
一同月九日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：同十三日
御帰殿》
一同月十二日出羽守《割書：吉
透》様御卒去《割書：去六
日》ニ付御国表三日之間鳴物停
　止被　仰出之
一同月十三日右同断ニ付為御悔御使者稲葉九助　江戸表江被
　指遣之
一同月十六日先達而出羽守《割書：吉
透》様御所労之節　上使を以御病気御尋
　有之候為御礼江戸表江御書被指出之
一同月十八日出羽守《割書：吉
透》様御卒去ニ付庄五郎《割書：宣
維》様江　上使を以御香

　奠御拝領有之候為御礼江戸表江御書被指出之
一九月廿三日紀伊少将《割書：頼
職》様御逝去ニ付
　公方様御機嫌為御伺御使者河合瀧右衛門《割書：重
成》江戸表江被指出之
　今日福井出立
一十一月三日出羽守《割書：吉
透》様御遺領《割書：雲州松江
十八万六千石》御嫡庄五郎《割書：宣
維》様江無御相違
　被仰出《割書：去月
廿一日》候ニ付為御礼江戸表江御書被指出之
一同月四日御参勤御時節為御伺御使者根来清太夫《割書：春
房》江戸表江
　被指出之今日福井出立
一同月五日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：同七日
御帰殿》

一同月六日備前守《割書：宣
富》様御屋敷御類焼ニ付鳥越御屋敷御借被成度旨
　御頼ニ付御貸被成
一同月十三日　高照院様三十三回御忌御相当ニ付来月於南泉寺
　御法事御執行ニ付為　御代参味岡彦八《割書：久
成》江戸表江被指遣之
　今日福井出立
一同月十八日御老中稲葉丹後守《割書：正
通》殿ゟ御呼出ニ付御使者根来
　清太夫《割書：春
房》罷出候処来年七月中御参府可被成旨御老中連名之
　御奉書御渡有之
一同月廿五日寒中ニ付　御機嫌為御伺御使者山元右衛門八　江戸表江
　

　被指出之
　公方様　大納言様江御肴一種宛被献之右衛門八今日福井出立
　　但十二月六日御返書御渡有之
一十二月二日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：一
番》生鱈被献之
　大納言様江右同断初而被献之
一同月三日於華蔵寺去朔日ゟ今朝迄　高照院様三十三回御忌
　御法事御執行有之於谷中南泉寺も右同様御執行有之
一同月六日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：二
番》生鱈被献之　
　大納言様江右同断被献之

一同月《割書：月不
詳》為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　大納言様江銀十枚被献之　御台様江白銀被指上之
　御簾中様江同十枚初而被指上之

【裏表紙】

家譜

家譜　吉品公　従元禄三年
　　　　　　　到同六年　　　十八

吉品様　《割書：従元禄三年庚午｜至同六年癸酉》

元禄三年庚午
　一　正月朔日年始御祝儀　御不快に付於　御座所
　　　御略式に相成於御書院御家老并酒井玄蕃《割書：元｜知》
　　　一同御礼申上御長蚫自分頂戴之畢而御三之
　　　間え被為　出其節御奏者番初御役人御近習
　　　表御小姓之面々御囲之間ゟ焼火之間迄一同並
　　　居御礼申上相済御家老御奏者番　御本丸え
　　　罷越於㺚狚之間本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老御影

　　長蚫頂戴之畢而高知初諸士并諸役人迄於席々
　　御影長蚫頂戴之
　　　　但諸物頭ゟ以下之面々は御奏者番取次に而頂戴之
　　　一二日子供御礼之節も於御本丸右同様御影長蚫
　　　　頂戴之
一　同日為年始御祝儀御使者恒岡安右衛門《割書：利｜喜》を以例之通
　　御太刀馬代被献之
一　正月三日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃台
　　御酒代被献之
一　同月七日為御上初御使者を以例之通御肴被献之
一　同月九日長嶋道仙さ薬御服用　御病気御快に付
　　為御礼御使者狛杢允《割書：貞｜治》江戸表え被指出之今日
　　福井出立
　　　　但杢允ど同月十九日江戸着
　　　　一正月廿三日御老中阿部豊後守殿に而御返書御渡有之
一　同日右同断に付長嶋道仙さ江戸表え被罷帰今日福井
　　出立に付御使番熊谷小兵衛《割書：正｜長》道中被指添之
一　同月十一日年始三ヶ日之御規式相済候為御祝儀
　　

　　御使者田中条左衛門　江戸表え被指出之御肴一種
　　被献之条左衛門今日福井出立
一　正月十三日御参勤御時節為御伺御使者千本
　　長右衛門《割書：久｜長》江戸表え被指出之今日福井出立
　　　　　　　但長右衛門江戸着日不詳
一　同月廿七日御老中ゟ御呼出御使者千本長右衛門《割書：久｜長》
　　罷出候処当四月中御参府可被成旨之御奉書御渡
　　有之
一　二月九日月次　御機嫌為御伺御使者柳原助左衛門《割書：高｜広》江戸
　　表え被指出之御肴一種被献之助左衛門今日福井
　　出立
一　同日御病気御全快に付今日御床被為　揚
一　同月十五日　御病後初而　御本丸え被為　移於
　　御座之間本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老并酒井玄蕃《割書：元｜知》
　　御家老嫡子え御長蚫被下之相済於撻狙之間高知併
　　水戸平兵衛《割書：朝｜栄》山川内膳《割書：朝｜沢》え御長蚫被下之於大広間
　　寄合番頭以下新番は一統御目見被　仰付

　　被為　入御跡に而二行に罷出御影長蚫頂戴之右相済
　　御病気御全快之為御祝儀御家老初近習
　　御手廻表当番之面々え御赤飯御酒御吸物
　　被下之
一　二月廿四日於浄光院去る廿二日ゟ今日迄《割書：二夜｜三日》
　　大安院様十七回御忌御法事御執行有之於
　　大安寺も御法事御執行有之
　　　　但三月御相当之処御発駕後に相成に付御取越に相成
一　三月三日於　御本丸御座之間本多孫太郎《割書：長｜員》初

　　御家老御礼申上御長蚫菱餅被下之畢而於大広
　　間高知初諸士之面々二行に罷出御礼申上菱餅
　　自分頂戴之
一　同月十九日御番皆勤之面々え御褒美被下之
一　同月廿六日福井　御発駕東海道御旅行
一　四月九日品川駅御泊ゟ直に御参府為御案内
　　御老中戸田山城守《割書：忠｜昌》殿土屋相模守《割書：政｜直》殿え　御勤夫ゟ
　　霊厳嶋御屋敷え御着
　　　　但残る御老中御側御用人若年寄中え御廻勤

　　　　　　可被成之処
　　　　　　公方様牧野備後守《割書：成｜貞》殿被　御成に付　御勤無之
　　　　　　還御後　御参府為御案内御使者御留守居被指
　　　　　　出之翌十日　御廻勤被成
一　四月十一日右同断に付　上使御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿
　　御越　上意之趣御達有之《割書：上使御取扱｜如例》御退出後右為
　　御礼御老中御側御用人若年寄中え　御廻勤
一　同月廿二日《割書：六半｜時》　御登　城《割書：昨日一日御用番戸田｜山城守《割書：忠｜昌》殿ゟ御切紙来》　御参勤之
　　御礼被　仰上例之通　御太刀銀線御献上　御台様え

　　白銀縮緬被指上之御退出掛御老中御側御用人
　　若年寄中え　御廻勤
一　同日歳暮御祝儀御献上に付而之　御内書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　同月廿六日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
一　同月廿九日御用番戸田山城守《割書：忠｜昌》殿え御養子之御願書
　　御持参被成
　　　　　私儀男子無御座候付松平長門守弟長吉
　　　　　十三歳に罷成候致養子私養娘十歳罷成候

　　　　　一所に仕度願奉存候右之段長門守共申合候
　　　　　何分にも可然様被
　　　　　仰上可被下候以上
　　　　　　元禄三年四月　　　　　松平兵部大御印判
　　　　　　　大久保加賀守殿
　　　　　　　阿部豊後守殿
　　　　　　　戸田山城守殿
　　　　　　　土屋相模守殿

一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子
　　御単被献之白銀被指上之
一　同月六日御参府に付為御出産御使者を以例之通
　　色奉書紙被献之　御台様え両面打曇鳥子紙
　　被指上之
一　同月九日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿え御越諸事御簡略
　　被成度旨　御直達被成
一　同月十三日右同断に付御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿ゟ彦坂
　　壱岐守《割書：重｜紹》殿を以御願之通御倹約可被成旨御指図有之

　　　　但右に付御一門様初兼而御音信有之御方々え御音物等
　　　　　御断被　仰遣
一　五月廿一日御倹約之儀に付御書付を以被　仰出之
　　　　但右御書付御記録類に不詳
一　同月廿六日鳥越御屋敷地続大和守《割書：直｜矩》様御屋敷地
　　御貰に相成今日御引渡有之に付御留守居加賀
　　藤左衛門《割書：成｜興》御附御目付河津善太夫《割書：崇｜祐》罷越受取之
一　同月廿九日《割書：四｜時》御登城被成候処《割書：昨廿八日御用番阿部｜豊後守□殿ゟ御切紙来》御老中
　　列座御頼之通松平長門守《割書：吉｜就》御弟長吉様
《割書：大膳大夫《割書：綱｜広》殿御三男延宝｜六年十二月四日御誕生》御養子被　仰出候旨御用番阿部
　　豊後守《割書：正｜□》殿御達有之御退出掛右為御礼御老中
　　御側御用人若年寄中え　御廻勤
　　　　但長門守御在国に付右為御祝儀御使者岩村伝右衛門
　　　　　長州え被遣之
一　同日右同断に付京都所司代内藤大和守《割書：重｜頼》殿え御書
　　被遣之
一　同日右同断に付御使井原源兵衛《割書：□｜□》御国許え被遣之
　　今日江戸御屋敷出立

一　六月二日右同断に付為御礼御老中え御遇う逢対
　　御勤
一　同月四日《割書：六半｜時》
　　長吉様霊厳嶋御屋敷御引越《割書：向井将監殿｜御同道》有之
　　為御迎松平庄兵衛《割書：正｜恒》被遣之被為　入節白洲え
　　御家老御奏者番初御役人罷出大広間え御物頭初
　　御番組之面々罷出御式台板之間迄御出入之
　　御旗本中御迎に被罷出表御書院え御着座之上
　　昌明様御出座御対顔有之其節御持参之御太刀

　　金馬代時服《割書：二｜十》二種二荷御奏者番大谷助六
　　披露之御長蚫出畢而長門守《割書：吉｜就》殿御家来口羽助之進
　　太刀目録持参　御目見被　仰付御長蚫　御直に被
　　下之相済
　　長吉様御同道に而奥御書院え被為　入御長蚫出
　　御雑煮御吸物出三献之御祝有之御盃
　　長吉様え被進其節御大小《割書：御太刀備前兼光代金二十枚｜御脇差備前兼政代金六枚》被進之

　　向井将監《割書：正｜□》殿御持出
　　長吉様え被指上之御返盃之節

　　長吉様ゟ御刀《割書：三池代金｜六枚　　》一腰被進之将監殿御持出被指上
　　之畢而助之進被　召出
　　昌明様御盃被下之御刀《割書：直江志津｜代金三枚》一腰被下之御盃
　　御前え被　召上相済表御書院え　御出座御客方与
　　御一所に御料理出《割書：三汁｜八菜》御囃子仕舞等被　仰付御客方与
　　御盃事有之畢而御家老被　召出御盃被下之御盃
　　御前え被　召上畢而於中書院
　　長吉様え附参候面々　御目見被　仰付御長蚫
　　被下之相済

　　長吉様御玄関ゟ表通御部屋え《割書：隅之御茶屋に｜御仮住居》被為
　　入御附波々伯部小右衛門《割書：和｜□》被　召出御刀《割書：代金｜三枚》被下之其外
　　御附之面々え御長蚫被下之
一　六月五日御引越相済候為御吹聴
　　長吉様御同道に而御老中御側御用人若年
　　寄中え　御廻勤
　　　　但御老中并牧野備後守《割書：成｜貞》殿えは
　　　　　長吉様御太刀金馬代御持参有之
一　同日右同断に付

　　長吉 様御祝儀之御礼被為　請於奥書院
　　御家老初酒井権七高屋善右衛門《割書：重｜□》御礼申上之
　　御長蚫被下之夫ゟ於中書院御近習之面々御礼
　　申上之御長蚫被下之畢而於表御書院諸物頭ゟ
　　御番組之面々迄御礼申上御長蚫取次に而被下之
　　於中書院御医師御礼申上御長蚫被下之畢而
　　奥表御小姓之面々御礼申上御長蚫取次に而被下之
　　諸役人御徒之者御馬方御帳付共　御通還之
　　御目見被　仰付

一　六月七日江戸表ゟ之御使井原源兵衛《割書：頼｜紀》昨六日福井え
　　着に付於御本丸今度御願之通
　　長吉様御養子に被　仰出候段諸月番え月番御家老
　　申渡之
一　同月九日今度足羽郡愛宕山黒龍大明神之社再
　　興被　仰出成就に付今日遷宮有之
一　同月十八日暑中に付御使者を以例之通御国産索麪
　　干鯛被献之

一　同日御部屋御普請出来に付今日
　　長吉様御移徒有之
　　長吉様御部屋え
　　昌明様被為　入御同座に而御粥御祝被成御家老并
　　高屋善右衛門《割書：重｜英》波々伯部小右衛門《割書：頼｜洪》坂井道眠御相伴被
　　仰付御吸物出御盃事有之畢而
　　長吉様ゟ御家老初え御盃被下之
一　同日右同断為御祝儀
　　昌明様ゟ御使御奏者番大谷助六《割書：重｜照》を以二種二荷
　　被進之
　　長吉様ゟも御使波々伯部小右衛門《割書：頼｜洪》を以右同断被進之
一　同月十九日暑中に付　御機嫌御伺御用番土屋
　　相模守《割書：政｜直》殿御側御用人牧野備後守《割書：成｜貞》殿　御勤
一　同日御引越被為済候為御祝儀　清姫様霊厳嶋
　　御屋敷え被為　入於大奥
　　長吉様え御対顔御長蚫出御雑煮出御祝相済
　　昌明様御出座御三人様御一所に御料理《割書：二汁｜六菜》被
　　召上　清姫様ゟ

　　長吉様え御帷子三《割書：内御単｜一　　》
　　昌明様え御菓子一組御肴一種被進之其外
　　御役人并御附波々伯部小右衛門《割書：頼｜洪》初御部屋附之面々えも
　　御祝儀被下之暮時鳥越御屋敷え御帰殿
一　六月廿七日日光御普請御成就　正遷座首尾能
　　相済候為御祝儀　御登　城
一　七月三日
　　長吉様御同道に而　御登　城《割書：昨二日御同番戸田山城守殿ゟ｜御老中連名之御切紙来》
　　御養子之御礼被　仰上

　　昌明様ゟ
　　公方様え御太刀金馬代綿百把御献上　御台様え
　　縮緬十巻被指上之
　　長吉様ゟ
　　公方様え御太刀金馬代御帷子御単　御献上
　　御台様え白銀十枚紗綾巻被指上之相済御退
　　出掛為御礼　御同道に而御老中御側御用人
　　若年寄中え　御廻勤
一　同日右同断に付本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老并

　　御城代え御書被成
一　七月四日
　　長吉様御同道に而御老中え御逢対　御勤
一　同月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通
　　黄金被献之
一　同月廿八日御使者を以例之通御国産初鱈被献之
一　八月朔日為御祝儀　御登　城例之通御太刀
　　馬代御献上
一　同月七日
　　長吉様御同道に而御登城被成候処《割書：昨六日御用番土屋｜相模守　殿ゟ　　》
　　《割書：長吉様御同道御登城｜被成候様御切紙来　》 　日光山　御遷座相済候為御祝儀
　　来る十二日御能有之に付御見物被成候様被　仰出
　　御退出掛為御礼御老中御側御用人え御廻
　　勤
一　同月十一日御代官所坂井郡御簾尾村に罷在候切
　　支丹類族桶屋太右衛門与申者去年致病死候に付
　　太右衛門妻并娘五人共太右衛門兄神宮寺町塗師屋
　　八兵衛方え引越参度旨御代官都筑長左衛門　殿え

　　願出候に付長左衛門殿ゟ切支丹奉行藤堂伊予守殿に
　　被相伺候処願之通可被申付旨指図之由長左衛門殿ゟ
　　申来候に付御家ゟも御達相済勝手次第致候様
　　八兵衛に申付候様今日町奉行渥美新右衛門《割書：友｜信》え月番
　　御家老申渡之
一　八月十二日
　　長吉様御同道に而　御登　城御能　御見物被成
一　同日御能に付御使者御留守居加賀藤左衛門《割書：□｜□》を以
　　御桧重一箱御肴《割書：魲｜三》一折被献之《割書：去七日御書付｜御渡　　　　》
一　同月十三日
　　長吉様御同道に而　御登　城昨日御能　御見物之
　　御礼被　仰上御退出掛御老中御側御用人え御廻勤
一　同月十四日
　　長吉様御同道に而御用番大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿え御逢対
　　御勤
一　同月十五日御能御見物之為御礼御使者御留守居
　　原平左衛門《割書：正｜□》を以御肴《割書：鯛｜　》被献之
一　同月十七日於浄光院昨十六日晩ゟ今朝迄　慶寿院様

　　三十三回御忌御法事御執行有之於小石川伝通院も
　　天称院様ゟ右同様御執行有之
一　八月十八日端午御祝儀御献上に付而之　御内書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　九月三日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖
　　被献之白銀被指上之
一　九月五日弘文院え《割書：後東□林｜大学頭之改名》
　　長吉様御名乗字撰之儀御頼被成
一　同月十日
　　長吉様御同道に而御用番阿部豊後守《割書：正｜直》殿え御逢対
　　御勤
一　同月廿五日御倹約之儀今度　公辺え被　仰達候に付
　　御家中も弥倹約可相守旨於評定所諸月番え
　　月番御家老狛杢允《割書：貞｜澄》申達之左之通御書付
　　相渡之
　　　　一御家中侍中屋作不応分限普請
　　　　　可為無用事軽可仕事
　　　　一武具馬具之嗜可為肝要兵具之外不入

　道具一切不可相求事
一衣類之儀絹紬可着之尤小身之輩は木綿
　紙子等をも可用但江戸表にて着不被仕
　古￣キ衣類は何に而も不苦候惣而夏冬共に
　麁服を可用附妻女之衣類応右麁相
　なる衣服可着事
一出仕之節木綿裏付上下専可着之戻之肩衣
　何にても上下替不苦但御客御使は有之
　節は可有其品事
一面々組支配之者并召仕之男女衣類御家中
　准御触段之麁服を着仕様に可申付事
一振舞停止但自然参会之節は兼而如御定
　軽一汁三菜香物共に酒三返軽肴一種
　食物有合之吸物軽肴一種可出之尤酒
　可為同前事
一年始五節句惣而祝儀事家内にての取扱
　諸事軽可仕為祝儀音物取遣候儀堅停止

　但父子舅聟兄弟迄は軽祝儀取遣不苦事
一音物之事医師他所之取遣は格別其外は
　停止并面々内所ゟ之音信取遣堅可為無用
　但親類之内縁者は舅聟兄弟分迄は軽
　音物不苦事
一祝言之節舅聟祝儀之取遣太刀馬代
　樽肴軽可仕附聟引手物千石以下之輩は
　古身にても新身にても有合次第大小之内
　一腰可遣之此外は一切可為無用但兄弟分之
　者迄は太刀馬代女中兄弟には樽代百疋
　不可過之小身之面々は准右軽取遣可仕
　諸道具等は自先規御定之通弥堅可
　相守事
一祝言之振舞三千石以上は二汁五菜香物共に
　吸物肴二種酒三返千石以上は二汁三菜
　外香物吸物肴一種酒同断千石以下は
　応右猶又軽可仕事
一千石以下輩袋茶詰候儀停止事

　　　　　　一　家督振舞家老中招請之節ハ祝言之
　　　　　　　　料理可為同前事
一　　　　　　　江戸御供之面々衣類之儀御客有之節
　　　　　　　　又ハ御使者ニ罷越候刻ハ格別御番相勤候
　　　　　　　　節ハ麤服を可用雖為礼日上下替不苦但
　　　　　　　　持来衣類ハ何にても不限定紋有合ニ可着之
　　　　　　　　附召仕之下々ニ至迄衣類来■軽仕候様
　　　　　　　　可申付事
　　　　　　一　在江戸中面々振舞停止但寄合候共不断之
　
　　　　　　　　軽料理ハ可為格別自他所得客候共軽
　　　　　　　　可致饗応事
　　　　　　一　江戸表江之御使者之時分ハ大身小身共ニ
　　　　　　　　人数分限ゟ軽召連不苦候鑓にも応人数
　　　　　　　　為持可申候他国江御使之節ハ身体相応ニ
　　　　　　　　可召連候御使之品により人数之儀其節
　　　　　　　　目付中江相達可得差図事
　　　　　　一　御家中書中取遣薄奉書以下にて可相調
　　　　　　　　他所之儀ハ格別事　　　　

　　　　　　一　諸奉加一切不可入并仏事等軽可致■行事

　　　　　　右者従前々被　仰出趣候得共今度
　　　　　　公儀江　御簡略就被　仰上於御家中も猶以
　　　　　　諸事軽可仕事候自然違輩之輩抱有之者
　　　　　　被　仰出品も可有之候条堅可相守者也
　　　　　　　　九　月　日
一　十月　切支丹類族柏屋喜兵衛娘病死ニ付切支丹
　　御奉行中江御達有之

一　十一月三日
　　長吉様御実母昌寿院殿死去
一　同月七日　初雪ニ付　御機嫌為御伺　御城江御使者
　　御留守居加賀藤左ヱ門《割書：■｜■》被指出之
一　十二月十日　上使大嶋雲四郎　殿を以御鷹之靄
　　御拝領右為御礼　御登城夫ゟ御老中　御廻勤
一　同月十一日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書
　　於　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　同月十八日寒中ニ付　御機嫌為御伺御老中

　　御側御用人江　御勤
一　十二月十八日為歳暮御祝儀御使者を以例之通
　　御小袖被献之白銀被指之
一　同月廿六日内匠様御叙爵被　仰出候ニ付右為御礼
　　御用番大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿御側御用人牧野
　　備後守《割書：■｜貞》殿江　御勤
一　同月晦日寒中御献上之生鱈一番二番共今夕
　　《割書：七時｜過》到着之処明日者御献上難被成ニ付其段御用番
　　大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿迄御達之上御献上無之

一　同日
　　長吉様年始御礼之儀御伺被成候処正月三日
　　御登城被成候様御指図有之





















元禄四年辛未
　
　一　正月朔日於　御屋形年始御規式有之御登城前　　
　　　長吉様御太刀馬代御持参於　御座之間年始之
　　　御祝儀被　仰上三献之御祝有之
　　　　　但年始御祝儀　御対顔之儀以後不記之
　一　同日年始為御祝儀　御登　城例之通御太刀
　　　馬代御献上呉服御拝領
　一　同日　御帰殿後年始之御礼被為　請








一　正月三日
　　長吉様為年始御祝儀初而　御登　城御太刀
　　馬代《割書：黄金｜十両》御献上御礼被　仰上呉服御拝領
一　同日御謡初為御祝儀御使者を以例之通御盃臺
　　御酒代被献之
一　同月七日為御上初御使者を以例之通御肴被献之
一　同月十七日御献上之生鱈昨夕亦復到着候得共今日
　　御日柄ニ付御献上難被成日間も相延候得共無御心許
　　ニ付其段御用番阿部豊後守《割書：正｜武》殿江御達上御献上無之

一　同月廿六日今度昌平坂江聖堂御建立ニ付通鑑節要
　　玉煙堂法帖幷深衣十具御寄附御使者御留守居
　　加賀藤左ヱ門《割書：成｜與》を以聖堂江被納之
一　二月廿一日　公領之百姓於御城下侍中ニ対し
　　慮外其外　乗打等不致様於御代官所堅被申付段
　　御代官諸星内蔵助　殿下代之者町奉行渥美
　　新右衛門《割書：友｜信》方江罷越物語致候段新右衛門相違之依之
　　兼而被　仰出与有之候候得共猶以御代官中ハ不及申
　　下代等ニ至迄野辺ニ而行合候節無礼無之様町在江

　　可申付旨町奉行郡奉行江月番御家老本多
　　左兵衛《割書：直｜重》申渡之
一　三月十日御内証ゟ三所物五通弐二所物五通《割書：彫物師渡藤江｜被　仰付出来》
　　被献之《割書：御伺｜之上》御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿迄御使者御留守居
　　村上三太夫《割書：正｜峰》を以被指出之右御献上物御側御用人
　　牧野備後守《割書：■｜■》殿被　仰談被遂披露候段相模守殿ゟ
　　御切紙来ル
一　四月十四日　上使御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿を以御国
　　許江之御暇被　仰出例之通白銀御袷御拝領

　　相模守殿御越之節
　　長吉様御同道ニ而表御門■込少外迄御出迎被成
　　《割書：右之外　上使｜御取扱如例》相模守殿御退出後為御礼御老中御側
　　御用人江　御廻勤
一　同月十五日《割書：六半｜時》　御登　城御暇之御礼被　仰上例之通
　　御馬御拝領御退出掛為御礼御側御用人
　　若年寄中江　御廻勤　　「御側」■「御老中」《割書：ノミ■■｜セ■ナラ■》　
一　同月十八日御拝領之御馬御老中大久保加賀守《割書：忠｜■》殿ゟ
　　使者ニ而為牽来ル








一　四月廿一日御養子之為御祝儀松平長門守《割書：■｜■》殿御招請
　　長門守殿御書院江御着座之時御持参之御太刀
　　披露之
　　長吉様御長蚫御居被成御料理出《割書：三汁｜九菜》
　　昌明様　長吉様御引物御引被成■而長門守殿
　　御家来完戸備前粟屋帯刀四羽助之進志道兵庫
　　御相伴被　仰付御盃被下之長門守殿ゟも酒井
　　與三左衛門《割書：元｜■》高屋善右衛門《割書：■｜■》波々はく伯部小右衛門《割書：■｜■》江御盃被下
　　相済奥御書院江御通御菓子御吸物出

一　同月廿七日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　五月二日大目付高木伊勢守《割書：森｜■》殿ゟ申来御留守居
　　罷出候処悲田宗御制禁之儀ニ付左之通御書院付
　　被相渡之
　　　　　　　　　口上之覚
　　　　　日蓮宗之内不受不抱之儀ハ従兼而御制
　　　　　金ニ候然処小湊誕生寺碑文谷法華寺谷中
　　　　　感応寺悲田宗と号不受不抱之邪義を
　　　　　

　　　　　相立候ニ付今度悲田宗堅停心二被　仰付之
　　　　　宗旨相改候向後悲田宗之輩受不抱ニ成共
　　　　　又ハ他宗ニなり共心次第改可申候以上
　　　　　　　未四月晦日

一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子
　　御単被献之白銀被指上之
一　同月四日江戸　御発駕東海道通御旅行
一　同月十六日　御着城

一　同月十八日右同断ニ付為御礼御使者高知杉田
　　弾正《割書：三｜■》江戸表江被指出之今日福井出立
一　同月廿六日坂井玄蕃《割書：元｜■》病気ニ付京都医師有馬
　　凉及被召寄玄蕃療治御頼被成度ニ付御使者
　　皆川與一右衛門《割書：■｜■》早駆ニ而京都江被遣之今日福井出立
　　　　但六月九日凉及福井着
一　同月《割書：日不｜詳》御書を以例之通御国産初鯖被献之
一　六月朔日為御帰国御礼御使者杉田弾正《割書：■｜■》を以
　　例之通奉書紙幷昆布干鯛御樽被献之

　　　　　但弾正去月廿九日江戸着御用番江御書指出之
一　六月二日御使者杉田弾正《割書：三｜竹》　御城江罷出候処御返書
　　御渡有之其節弾正江御時服拝領被　仰付
一　同月九日月次　御機嫌為御伺御使者を以御肴
　　一種被献之
　　　　但右御使者御国許ゟ被指出候趣ニ而江戸ニ会相詰居候永見
　　　　金太夫相勤之
一　同月廿二日御勘定組頭ゟ申来候ニ付御勘定所江御勝手役
　　罷出候処　先御代勝山御領之内ニ而御借米之御上納残

　　年賦之御願御勘定奉行中御取次難被成ニ付急ニ
　　御上納ニハ不及候得共先一年分之内追々少宛成共
　　御上納被成可然旨御勘定組頭申聞之
一　六月廿六日於月番御家老本田左兵衛《割書：道｜重》宅諸月番江
　　左之通申渡之
　　　　　　　　覚
　　　　一　博奕之儀兼而制禁之処今度博奕仕候者
　　　　　　数多有之候ニ付御仕置ニ被　仰付候侍屋敷
　　　　　　長屋において博奕仕候由ニ候間自今以後
　　　　　　

　　　　　　　面々支配之者幷召仕之下々至迄堅相守
　　　　　　　候様ニ可申付候
　　　　　一　親類縁者たりといふとも常々行跡難
　　　　　　　見届者ハ屋敷之内ニ差置申間敷候
　　　　　一　小身之輩宿かり等猥ニ差置申間敷候若
　　　　　　　差置不申候而不叶儀ニおいてハ吟味之上慎成
　　　　　　　者ニ候ハヽ請人を相立差置可申候尤宿かりの
　　　　　　　様子をも無油断自分ニ見廻り可申付候江戸
　　　　　　　留守の節ハ猶以一類共念を入遂吟味可差置候ヽ
　　　　　　　
　　　　　　　右之趣今度被　仰出候条急度可被相守候相背
　　　　　　　輩於有之ハ主人可為越度候以上
　　　　　　　　　六月廿六日
一　七月朔日暑中ニ付御書を以例之通御国産素麵
　　干鯛被献之
一　同月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通
　　黄金被献之
一　同月十九日　中務大輔《割書：昌｜勝》様御病気ニ付為御見舞
　　矢野権平《割書：清｜長》江戸表江被遣之今日福井出立

一　七月廿九日御書を以例之通御国産初鱈被献之
一　八月朔日為御祝儀御使者を以例之通御太刀馬代
　　被献之
一　同月九日月次　御機嫌為御伺御使者磯部金左衛門　を以
　　御肴一種被献之金左衛門今日福井出立
一　同月十七日野廻り御供大御番士是迄八番ニ相勤候処
　　向後十二番ニ相勤子供御供ハ十番ニ相勤候様被　仰出之
一　同月十九日御台所方江御倹約之儀御書付を以被　仰出之
　　　　但右被　仰出之御書付御記録類不詳

一　同月廿五日御倹約ニ付御馬数被減向後江戸御国共ニ
　　都合五十疋ニ可相定旨被　仰出之
　　　　　但此以後　思召ニ而六十疋ニ被相定
一　閏八月十一日　御本丸幷御門所御番之儀ニ付左之通
　　被　仰出之
　　　　　一　御先物頭太鼓御門御番相勤候処御用捨ニ相成
　　　　　　　下馬御門切手御門両御番所江加り相勤候様
　　　　　　　　但下馬御門八番切手御門六番ニ相成
　　　　　一　表御番士　御本丸御番被相止　御座所斗御番
　　　　　　　

　　　　　被　仰付是迄四番ニ相勤候得共向後八番ニ相勤候様
　　　一　御目付　御本丸泊御番相勤候処表御番士御番
　　　　　御免ニ付御目付御番も御免被成候旨
　　　一　狛杢允本田左兵衛坂井玄蕃右三人之與力
　　　　　只今迄瓦御門御番相勤候処向後太鼓御門御番
　　　　　可為相勤旨
　　　一　有賀左衛門與力只今迄瓦御門泊り之加番相勤
　　　　　候處向後出仕幷於　御本丸御祈禱之節瓦
　　　　　御門江相詰候様可申付旨

一　閏八月十四日為端午重陽■為御祝儀是迄御家老ゟ
　　時服献上有之候処向後不及献上旨被　仰出之
一　同月十八日御武具蔵是迄御番無之処向後御武具
　　奉行泊番一人宛十番ニ相勤候様被　仰出之
一　同月廿一日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　九月六日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿ゟ御呼出服忌令増減
　　御書付二通御渡有之
　　　　　但右御書付御記録類不詳

一　九月七日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖
　　被献之白銀被指上之
一　同月九日月次　御機嫌為御伺御使者勝田新六《割書：定｜重》
　　江戸表江被指出之御肴一種被献之新六今日福井出立
一　十月九日為御鷹狩三国江　御出被成《割書：同十六日｜御帰殿》
一　同月廿五日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：十一月七日｜御帰殿》
一　十一月九日月次　御機嫌為御伺御使者土浦次右衛門
　　江戸表江被指出之御肴一種被献之次右衛門今日福井出立
一　同月十一日切支丹御改之御証文江戸表江被指出之

一　同月十九日寒中　御機嫌為御伺江戸表江御使者
　　被指出之御国許之御肴一種被献之右御使者今日
　　福井出立
一　同月廿五日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈
　　被献之
一　同月廿七日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　十二月十二日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：二｜番》生鱈
　　被献之

　一　十二月廿六日
　　　長吉様御登城《割書：中務大輔《割書：昌｜勝》｜御同道》被成候処《割書：昨廿五日阿部豊後守《割書：正｜武》殿ゟ｜御老中連名之御切紙来》
　　　御老中列座ニ而四品被　仰付候旨御達有之相済御退
　　　出掛御老中御側御用人江　御廻勤
　一　同月廿六日
　　長吉様御名監物様与御改御名乗
　　　昌方様与被称
　一　同月廿九日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖
　　　被献之白銀被指上之

元禄五年壬申
　一　正月朔日於　御本丸年始御規式有之
　一　同日年始御祝儀御使者天方金五右衛門《割書：友｜重》を以例之通
　　　御太刀馬代被献之
　　　　　　但金五右衛門旧臘四日御国表出立
　一　同日
　　　監物様為年始御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代
　　　御献上呉服御拝領


　　　　但旧臘 御任官ニ付 当年ゟ元日之御礼ニ相成
一　正月三日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃臺
　　御酒代被献之
一　同月七日為御上初御使者を以例之通御肴被献之
一　同日
　　監物様御登　城四品被　仰付候御礼被　仰上御太刀
　　馬代《割書：黄金｜十両》御時服《割書：五｜》御献上相済　御退座其節口宣
　　之儀ニ付御老中ゟ京都所司代小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江之
　　御奉書阿部豊後守《割書：正｜武》殿御渡御直々　御請被成

　　　　但右御奉書御徒飛脚を以御国表江被指遣之
一　同月八日御領分之内浦々之猟船難風ニ逢三十相艘破船
　　有之
　　　　但右三十艘之猟師百六十九人之内九人溺死八十一人行衛不知
一　同月九日旧臘《割書：廿六｜日》
　　監物様四品被　仰出候為御礼御使者西尾仁左衛門《割書：宗｜■》江戸
　　表江被指出之今日福井出立
一　同月十一日年始三ヶ日之御規式相済候為御礼御使者
　　東新五右衛門《割書：祐｜重》江戸表江被指出之御肴一種被献之新五右衛門

　　今日福井出立
一　正月十二日
　　監物様年始之御礼元日初而被　仰上候為御礼御書
　　被指出之
一　同月十三日御参勤御時節為御伺御使者平井牛之亟
　　江戸表江被指出之今日福井出立
一　同月十五日
　　監物様月次初而　御登　城御礼被　仰上
一　同月廿一日口　宣御渡之儀ニ付御老中ゟ京都所司代
　　
　　小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江之奉書御使者御番頭富永
　　新左衛門《割書：長｜祐》江持参被　仰付江戸表江被指出候趣ニ而京都江
　　被差遣之新左衛門今日福井出立
　　　　但新左衛門着日幷口　宣御渡等之儀御記録類不詳
一　同月廿六日　豊姫様御衆銖持水初御祝儀有之松平庄兵衛《割書：正｜恒》
　　妻御筆指上之
一　二月廿九日御老中江御呼出ニ付御使者平井牛之亟
　　罷出候処四月中御参府可被成旨之御奉書御渡有之
一　二月七日於京都御渡有之候口　宣宣旨幷所司代

　　小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿ゟ御老中江之御返書御使者御番頭
　　富永新左衛門《割書：長｜重》持参今日福井着
　　　　　但口　宣初位記等御持参無之
一　二月九日右同断ニ付口　宣宣旨等粕谷嘉左ヱ門《割書：元｜武》江持参
　　被　仰付江戸表江被指遣之嘉左ヱ門今日福井出立

一　同月十二日於瑞源寺去十日ゟ今日迄《割書：二夜｜三日》　松桂院様七回
　　御忌御法事御執行有之於谷中南泉寺も御法事
　　御執行有之
一　三月三日

　　監物様節句初而　御登　城御礼被　仰上
一　同月六日月次　御機嫌為御伺江戸表江御使者
　　被指出之御肴一種被献之右御使者今日福井出立
一　同月廿三日御番皆勤之面々江御褒美被下之
一　同月廿六日福井　御発駕東海道通御旅行
一　四月九日品川駅御昼休ゟ直々　御参府為御案内
　　御老中戸田山城守《割書：忠｜昌》殿土屋相模守《割書：政｜直》殿御側御用人
　　柳沢出羽守《割書：保｜明》殿江　御勤霊岸嶋御屋敷江　御着
　　　　但今日御側御用人牧野備後守《割書：■｜■》殿江　御成ニ付右之外






　　　　　御勤無之翌十日残ル老中幷備後守殿若年寄中江
　　　　　御廻勤
一　四月十日右同断ニ付　上使御老中土屋相模守　殿
　　御越其節
　　監物様御同道ニ而御門迄御出迎御案内ニ而相模守殿
　　御書院江御通　上意之趣御達有之《割書：上使御取扱｜如例》相模守殿
　　御退出後為御礼御老中江　御廻勤
一　同月十八日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例

一　同月廿一日　御登　城《割書：昨廿日御用番阿部豊後守　殿ゟ｜御老中連名之御切紙来》御参勤之
　　御礼被　仰上例之通御太刀銀綿御献上　御臺様江白銀
　　縮緬被指上之御退出掛御老中御側御用人若年寄
　　中江　御廻勤
一　同日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単
　　被献之白銀被指上之
　　　　但廿六日ゟ御法事ニ付引上可被成旨御老中ゟ御指図有之
一　同月廿五日御参府ニ付為御出産御使者を以例之通色奉書
　　紙被献之　御臺様江両面打曇鳥子紙被指上之

一　四月廿六日御内証ゟ御屛風二叟《割書：一双猥帷子柳■　狩野洞雲筆｜一双紅梅白梅　狩野養卜筆》
　　被献之《割書：御伺｜之上》御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿迄御使者御留守居
　　腹平左衛門《割書：正｜武》を以指出之右御披露済之御切紙
　　相模守殿ゟ来
　　　　　　被献候御屛風牧野備後守申談於
　　　　　　御内証首尾好披露相済候間可御心
　　　　　　安候此段為可申入如此御座候以上
　　　　　　　　四月廿六日　　　　土屋相模守
　　　　　　　　松平兵部大輔様

一　五月三日於東叡山
　　厳有院十三回御忌御法事有之ニ付　御機嫌為御伺
　　御使者御留守居加賀藤左衛門《割書：■｜■》を以御桧重一組被献之
一　同月八日　右同断ニ付
　　公方様東叡山江御参詣依之御豫参　御勤
一　同日右同断ニ付於万福山茶湯御執行有之
一　同月九日右同断ニ付御使者永見治郎右衛門《割書：義正　深帷子｜長袴着》を以
　　東叡山御経堂江御香奠銀十枚被献之
　　監物様ゟ御使者出渕平兵衛《割書：盛｜許》を以御香奠銀三枚被献之

　　《割書：去月廿六日｜御書付御渡》
一　五月九日御法事相済候ニ付御使者御留守居加賀
　　藤右衛門《割書：成｜■》を以後精進揚之御肴《割書：鯛｜三》被献之
一　同月十日御老中土屋相模守《割書：■目｜■》殿ゟ御呼出御留守居原
　　平左衛門《割書：■｜■》罷出候処御並之御大名方御講読御拝聴御願
　　被成候間御願被成可然旨御内意有之
一　同月十一日御老中御側御用人江御出御講読御拝聴之
　　御願被　仰入
一　同月十二日　

　　監物様御同道ニ而御老中御側御用人江御出
　　監物様ニも御講読御拝聴被成度旨御願被　仰入
一　同月廿一日御側御用人柳沢出羽守《割書：保｜明》殿江御出御講読
　　御拝聴之御願被　仰入
　　　　但同月廿七日ニも
　　　　　監物様御同道ニ而右同断被　仰入
一　同月廿九日於東光寺　黄梅院様七十回御忌御茶湯
　　御執行有之

一　六月五日長濱町之末ゟ勝見御門迄之内明地之処町屋
　　為建候様被　仰出
　　　　但右地所与地方ニ而郡奉行支配ニ候得共惣御曲輪福御門
　　　　之儀ニ候得共右之町屋町奉行可致支配之旨七月廿一日
　　　　被　仰出
一　同月九日暑中ニ付　御機嫌為御伺御老中御側
　　御用人江　御廻勤
一　同月十一日暑中ニ付御使者を以例之通御国産素麵
　　干鯛被献之

一　同月十四日
　　監物様御同道ニ而御側御用人幷林大学頭《割書：信｜篤》殿江御出
　　御講読御拝聴之願被　仰入
一　同月十六日為嘉定御祝儀
　　監物様御同道ニ而　御登　城
　　監物様ニ者嘉定初而　御登　城ニ付御退出掛御老中
　　御側御用人江　御廻勤
一　同月廿九日
　　監物様御同道ニ而御側御用人柳沢出羽守《割書：保｜明》殿江御出

　　御講読御拝聴之御願被　仰入
　　　　　但七月十一日ニも又右同断被　仰入
一　七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
一　同月十二日御使者を以例之通御国産初鱈被献之
一　同月廿七日大和守《割書：直｜矩》様五万石御加増《割書：都合十｜五万石》出羽国山形ゟ陸奥国
　　白川江御転封右ニ付為御礼御用番大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿并
　　御側御用人牧野備後守《割書：成｜■》殿江　御勤
一　八月朔日為御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代
　　御献上

　　監物様ニ者御風気ニ付御登城御断御使者を以御太刀
　　馬代被献之
一　同月廿七日
　　監物様御同道ニ而御側御用人柳沢出羽守《割書：保｜明》殿江御出御講読
　　御拝聴之御願被　仰入
一　同月廿八日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　同月《割書：日不｜詳》永平寺御石塔御守前々ゟ御坊主両人被附置候処
　　被相止今度塔頭地蔵院江御石塔御守幷掃除等之儀

　　御頼ニ相成
一　九月朔日　中務大輔《割書：昌｜勝》様於御在所御病気御指発不軽
　　段申来ニ付《割書：去月廿五日｜飛脚》為御見廻御膳番勝山藤五郎《割書：幸｜照》早駆
　　ニ而被遣之
　　　　　　但藤五郎九月四日松岡江着
一　同月三日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　白銀被指上之
一　同日　中務大輔《割書：昌｜勝》様御病気ニ付
　　昌明様内匠頭《割書：昌｜平》様御同道ニ而御老中大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿江

　　御出御内談之上右御病気ニ付御医師御遣被下候様且又
　　内匠頭様為御看病御在所江御暇被下置候様右両様之
　　御願書御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江被指出之
一　同日夕右同断ニ付御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿ゟ御呼出御留守居
　　原　平左衛門《割書：正｜武》罷出候處御願之通内匠頭《割書：昌｜平》様江被　仰出候旨
　　被申渡之依之為御礼御老中御側御用人江
　　御廻勤
一　九月五日御奏者番溝口市左衛門《割書：隆｜重》毎日松岡江罷越
　　御容躰相伺其趣江戸表江可申上旨月番御家老申渡之







一　九月十三日
　　監物様御同道ニ而御側御用人柳沢出羽守《割書：保｜明》殿江御出
　　御講読御拝聴之之御願被　仰入
一　同月十六日御老中大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿土屋相模守《割書：政｜直》殿江
　　御使者御留守居原　平左衛門《割書：正｜武》を以去ル九日内匠頭《割書：■｜平》様松岡江
　　御着御医師奥山隆庵■同日着早速御診察有之
　　御薬御服用且御容躰者御同篇之段御国許ゟ申来候段
　　御達有之
一　十月五日　中務大輔《割書：昌｜勝》様追々御快御医師美山隆庵を

　　去月廿三日松岡立今日帰着ニ付右為御礼御用番戸田
　　山城守《割書：忠｜昌》殿先月御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江　御勤残御老中
　　御側御用人江御使者被指出之
一　同月十三日
　　監物様御同道ニ而御側御用人柳沢出羽守《割書：保｜明》殿江御出
　　御講読御拝聴之御願被　仰入
　　　　　　但同月廿三日ニも又々右同断被　仰入
一　十一月十四日　桂昌院様《割書：綱吉様｜御実母》江御内証ゟ綿百把鯛五
　　一折被指上之御使者御留守居加賀藤左ヱ門《割書：成｜興》を以六角









　　

　　越前守　殿迄被指出之
一　十一月廿五日　上使柳原伊織　殿を以例之通　御鷹之鶴
　　御拝領
一　十二月四日重陽御祝儀御献上ニ付而之御内書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　同月九日寒中ニ付　御機嫌為御伺御老中御側御用人江
　　御廻勤
一　同月十日於孝顕寺昨九日暁ゟ今朝迄　嶺巌好雪様
　　五十回御忌御法事御執行有之

一　同月十一日御老中連名之御切紙を以本庄御火消被蒙　仰
　　　　　　　　　本庄火消被　仰付佐之間井上中務少輔
　　　　　　　　　浅野内匠頭増山兵部少輔被相談可有
　　　　　　　　　勤仕候以上
　　　　　　　　　　十二月十一日　　　土屋相模守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　戸田山城守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　松平兵部大輔殿

一　十二月十二日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈
　　被献之
一　同月十三日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江御逢対　御勤
一　同月十四日寒中ニ付　桂昌院様御機嫌為御伺本庄
　　因幡守《割書：宗｜資》殿江　御勤
一　同日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：二｜番》生鱈被献之
一　同月十八日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　白銀被指上之
一　同月廿七日　上使藤■采女《割書：永｜次》殿を以
　　
　　監物様江御鷹之雁初而御拝領
一　同日右同断ニ付本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老御城代江
　　御書被成
一　同月廿八日御登城之節本庄辺出火有之候共大火ニも無之
　　候ハヽ御家来共被差置事故御出馬ニ及間敷旨御老中
　　大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿御達有之候段大目付高木伊勢守《割書：守｜■》殿小田切
　　土佐守《割書：直｜利》殿於　御城御達有之
一　同日本庄御火消御人数被差置御小屋江為御見分












元禄六年癸酉

　一　正月朔日為年始御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代
　　　御献上呉服御拝領
　　　監物様ニも　御登　城例通御太刀馬代御献上呉服
　　　御拝領
　一　同日於　御屋形年始御規式有之
　一　同月三日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃臺
　　　御酒代被献之

一　正月七日為御上初御使者を以例之通御肴被献之
一　同月十一日　御具足之餅御披御祝儀有之
　　監物様ニ茂御同座被成御家老御相伴被　仰付■而
　　諸士江御餅被下之
一　同月十二日
　　監物様御同道ニ而御側御用人柳沢出羽守《割書：保｜明》殿江御出
　　御講読御拝聴之御願被　仰入
　　　　　但同月廿六日ニも又々右同断被　仰入
一　二月三日

　　綱昌様御合力米當年ゟ三度ニ御受取被成候様相成候ニ付
　　御証文御裏判之儀御用番戸田山城守《割書：忠｜昌》殿江御使者
　　御留守居原平左衛門《割書：正｜武》を以御頼被置候処御裏判御調御渡
　　有之
一　同月十九日
　　監物様御同道ニ而御登城被成候處《割書：昨十八日御老中連名｜之御切紙来》
　　御願之通来ル廿二日御講読御拝聴可被　仰付旨御老中
　　御達有之右為御礼御老中御側御用人若年寄中江
　　御廻勤

一　二月廿二日
　　監物様御同道ニ而　御登　城御講読御拝聴被成御退出
　　掛為御礼御同道ニ而御老中御側御用人江　御廻勤おそば御側衆江　
　　御使者被指出之

一　同月廿三日
　　監物様御同道ニ而　御登　城御講読御拝聴之御礼
　　被　仰上
一　同日右同断ニ付御使者を以昆布一箱干鯛一箱御樽代千疋
　　被献之

　　監物様ゟも干鯛一箱御樽代千疋被献之
一　同月廿九日御講読御拝聴之為御礼
　　監物様御同道ニ而ニ而御老中戸田山城守《割書：忠｜昌》殿江　御勤
一　三月廿三日
　　監物様御袖留御祝儀有之表江被為入於奥御座敷
　　昌明様江御対顔御長蚫出御雑煮御祝御盃事有之
　　相済於詩仙之間御一所ニ御膳《割書：三汁｜八菜》被召上■而
　　監物様ゟ御家老初高屋善右衛門《割書：重｜英》迄御盃被下之御奏者番
　　其外御役人江御長蚫被下之
　　

　　昌明様ゟ
　　監物様御附　飯田忠四郎　稲葉九助　小幡宇兵衛　中山勘左衛門え
　　御長蚫被下之
一　同日右為御祝儀
　　監物様ゟ御使者波々伯部小右衛門《割書：頼｜洪》を以
　　昌明様え三種一荷被進之
　　昌明様ゟ御使仙石権右衛門《割書：高｜命》を以
　　監物様え二種一荷被進之
一　三月廿八日於浄光院昨廿七日晩ゟ今朝迄　清池院様廿三回
　　御忌御法要御執行有之於天徳寺も　布與姫様ゟ右同様
　　御執行有之
一　四月十四日歳暮御祝儀御献上に付而之　御内書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　同日　上使御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿を以御国許え之御暇
　　被　仰出例之通白銀御袷御拝領《割書：上使□取□｜如例　　　》右為御礼御老中
　　御側御用人え　御廻勤
一　同月十五日　御登　城御暇之御礼被　仰上例之通御馬

　　御拝領御退出掛右為御礼御老中御側御用人若年寄中え
　　御廻勤
一　四月十六日御用番阿部豊後守《割書：正｜武》殿ゟ御呼出御留守居原
　　平左衛門《割書：正｜武》罷出候処御暇被　仰出本庄火消御免被成候に付
　　右場所に被指置候御人数御引揚之義御伺之通御勝手次第
　　御引取被成候様被申渡之
　　　　　　但右に付翌十七日御人数御引取に相成
一　同月十八日御拝領之御馬御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿ゟ
　　使者に而為率来
一　同月十九日御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿え御逢対　御勤
一　同月廿七日明日御発駕に付為御案内御老中御側御用人え
　　御廻勤
一　同月廿八日江戸　御発駕東海道御旅行
一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単
　　被献之追而　御内書於　御城御渡有之御家来拝領物等
　　如例
一　同日右同断に付御使者を以　御台様え例之通白銀被指上之
一　同日御書を以例之通御国産初鯖被献之

一　五月十一日　御着城
一　同月十二日右同断に付為御礼御使者高知斎藤民部《割書：定｜武》
　　江戸表え被指出之奉書紙并昆布干鯛御樽代被献之民部
　　今日福井出立
　　　　　但民部江戸着献上物相納候日不詳
一　同月廿二日御家老本多左兵衛《割書：直｜重》病気に付為養生御役
　　御免被成
一　同月廿七日御使者斎藤民部《割書：定｜武》　御城え罷出候処御返書
　　御渡有之其節民部え御時服拝領被　仰付
一　六月十日御帰国之為御祝儀
　　監物様ゟ御使小幡宇兵衛　を以二種一荷別段干菓子
　　一箱粕漬一桶被進之於　御座所御囲之間　御目見被
　　仰付御長蚫被下之
　　　　　　但宇兵衛江戸出立之日不詳
一　同月廿二日暑中に付御書を以例之通御国産索麪干鯛
　　被献之
一　同月廿四日永平寺入院に付登　城於大広間御逢十帖
　　一本指上之御奏者番披露之孝顕寺鎮徳寺

　　御目見被　仰付畢而於韃靼之間御料理出《割書：三汁｜九菜》御引物
　　御直に御引被成孝顕寺鎮徳寺相伴被　仰付於大広間
　　長老三人一同　御目見被　仰付被為　入御跡に而御料理《割書：二汁｜七菜》
　　被下之
一　六月廿五日浦方為御遊覧　御出被成《割書：今日□崎浦□□七月五日｜宿□□保浦　　御帰殿》
一　同月廿七日暑中　御機嫌御伺御使者真杉所左衛門《割書：宣｜甫》
　　昨日江戸着今日御用番戸田山城守《割書：忠｜昌》殿え罷出《割書：御留守居松原｜善左衛門同道》
　　御書指出之
一　同日右同断御使者真杉所左衛門《割書：宣｜甫》　御城え罷出《割書：御留守居原｜平左衛門同道》
　　御献上之御肴《割書：干｜鯛》一箱相納之
一　同月廿九日御用番戸田山城守《割書：忠｜昌》殿ゟ御呼出御使者真杉
　　所左衛門《割書：宣｜甫》罷出候処《割書：御留守居松原｜善左衛門同道》御返書御渡有之
一　七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金
　　被献之
一　同月九日鉄炮改之御証文今日江戸表え被指出之
一　同月十八日　中務大輔《割書：昌｜勝》様御病之処御大切之趣江戸
　　表ゟ申来に付為御見廻御使者河村藤八《割書：氏｜睦》江戸表ゟ指遣
　　今日福井出立

一　同日　内匠頭《割書：昌｜平》様今度《割書：去五｜日　》奥御詰被蒙　仰候に付為御礼
　　御使者鈴木宇左衛門《割書：頼｜祥》江戸表え指出之今日福井出立
　　　　　　但宇左衛門江戸着日不詳八月十八日御返書御渡有之
一　七月廿一日御書以例之通御国産初鱈被献之
一　同日為御鷹狩吉江え　御出被成《割書：同廿三日｜□□□　》
一　七月廿七日　中務大輔《割書：昌｜勝》様於江戸御卒去御法号
　　見性院殿前中書大郷鉄関了無大居士《割書：大正十五年七月品川｜海雲寺　　　　　　　》
一　八月朔日為御祝儀御使者を以例之通御太刀馬代被献之
一　同日於浄光院去月廿六日ゟ今日迄
　　隆芳院様五十回御忌御法事御取越御執行有之
　　　　　但来戌年御相当之処御参勤年に付御取越に相成
一　同月二日　中務大輔《割書：昌｜勝》様御卒去に付
　　監物様ゟ御使津田市兵衛《割書：暉｜成》早駈に而被遣之今日福井え着
　　　　　　但右に付十七日迄御忌被為　請
一　同日右同断に付為御悔御使者林八右衛門《割書：正｜容》江戸表え被遣之
　　且御代焼香被　仰付御霊所え御御香奠銀十枚被供之八右衛門
　　今日福井出立
一　同月九日　中務大輔《割書：昌｜勝》様御法号江戸表ゟ相廻《割書：去七｜日　》候に付

　　於孝顕寺昨八日晩ゟ今朝迄御法事御執行有之
一　八月十八日月次　御機嫌為御伺御使者今立治大夫《割書：正｜房》
　　江戸表え被指出之今朝福井出立
　　　　　　但治大夫江戸着日不詳
一　九月七日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　白銀被指上之
一　同月廿五日内匠頭《割書：昌｜平》様え御父中務大輔《割書：昌｜勝》様御遺領無御相
　　違《割書：去廿｜一日》被　仰出候に付内匠頭《割書：昌｜平》様ゟ為御知御使者藤堂勘解由左衛門
　　被遣之今日福井え着
一　同月廿七日本庄奉行多賀又四郎　殿ゟ此度江戸絵図御改
　　に付本庄御屋敷坪数致絵図被指出候様昨廿六日御留守居
　　原平左衛門《割書：正｜武》方迄申来候に付右御屋敷絵図今日平左衛門ゟ
　　指出之
一　十月四日　内匠頭《割書：昌｜平》様え御家督無御相違被　仰出候為
　　御礼御使者榊原助左衛門《割書：高｜広》江戸表え被指出之今日福井出立
一　同月十四日右同断御礼御使者榊原助左衛門《割書：高｜広》今朝江戸着
　　御用番戸田山城守《割書：忠｜昌》殿え罷出《割書：御留守居原｜平左衛門同道》御書指出之
　　　　　但同月十六日御返書御渡有之

一　十月廿日月次　御機嫌御伺御使者堀金七《割書：直｜成》昨十九日
　　江戸着今日御用番戸田山城守《割書：忠｜昌》殿え罷出《割書：御留守居松原｜善左衛門同道》御書
　　指出之
　　　　　　但金七去九日御国表出立
一　同月廿一日右同断御使者堀金七《割書：直｜成》御城え罷出《割書：御留守居松原｜善左衛門同道》
　　御献上御肴《割書：干｜鱚》一箱相納之
一　同月廿二日御用番戸田山城守《割書：忠｜昌》殿ゟ御呼出御使者堀
　　金七《割書：直｜成》罷出候処《割書：御留守居原｜平左衛門同道》御返書用人を以被相渡之
　　　　　　但山城守殿御渡可被成之処御用多に付取次を以被相渡段用人
　　　　　　申聞之
一　同月廿五日為御鷹狩三国え　御出被成
　　　　　　但御帰殿之日不詳
一　十一月十八日為御鷹狩吉江え　御出被成《割書：十九日｜御帰殿》
一　同月廿五日重陽御祝儀御献上に付而之　御内書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　十二月十八日為歳暮御祝儀御使者を以例之通小袖
　　被献之白銀被指出之
一　同日大和守《割書：直｜矩》様御次男源之助《割書：宣｜富》様　越後守《割書：光｜長》様御養子に

　　被　仰出
一　同日大和守《割書：直｜矩》様御嫡久太郎《割書：基｜知》様御叙爵和泉守与御改
　　若狭守《割書：直｜明》様嫡所時郎《割書：直｜常》様御叙爵左兵衛与相改
一　十二月廿一日寒中に付御書を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被献之
一　同日寒中　御機嫌御伺御使者小川藤九郎《割書：忠｜辰》今朝
　　江戸着《割書：去十日御国表｜出立　　　　》御用番阿部豊後守《割書：正｜武》殿え罷出《割書：御留守居原｜平左衛門同道》
　　御書指出之
一　同月廿二日御用番阿部豊後守《割書：正｜武》え御呼出御使者小川
　　藤九郎《割書：忠｜辰》罷出候処《割書：御留守居松原｜善左衛門同道》御返書用人を以被相渡之
　　　　　　　但豊後守殿御渡可被成之処御用多に付取次を以
　　　　　　　　被相渡段用人申聞之
一　十二月廿九日寒中に付御書を以例之通御国産二番
　　生鱈被献之

家譜






　





　　家譜《割書：昌親公》《割書：従延宝二年｜到四年八月》　十一

　　　






　　　　昌親様　《割書：従延宝二年甲寅至｜同四年丙辰八月》


【右・丁　白紙】




【左・丁】

延宝二年甲寅
　一五月六日依召
　　昌親様御登城　其節越後守《割書：光｜長》様出羽守《割書：綱｜隆》様大和守《割書：直｜矩》様
　　但馬守《割書：直｜良》様《割書：ニ》も御登城被成候処於御黒書院御老中列座
　　光通様御遺領無御相違
　　昌親様《割書：江》被仰出候　上意之趣御大老酒井雅樂頭《割書：忠｜清》殿左之通


　　御書付を以御達有之
　　　越前守儀常々公儀御為大切《割書：ニ》奉存其上年齢
　　　盛成処卒去一入御哀惜被思召候　跡職之儀
　　　書付願之通尤に思召候　依之兵部大輔《割書：ヘ》無相違
　　　被仰付候　然者越前守実子無之段先年病気
　　　之砌いつれも迄被申聞候内々兵部大輔を猶子に
　　　可被仕様《割書：ニ》兵部大輔承及権蔵も有之故歟以逝誓
　　　辞退仕様《割書：ニ》被聞召候　其段者越前守に対しての
　　　義《割書：ニ》候為御仕置従公儀被仰付候条為各別之間

　　　兵部大輔《割書：幷》一類中可被存其旨由上意候　已上

　　　　　五月六日
　　但吉江御領知二万五千石只都合四十七万五千二百八十石余御領知《割書：ニ》相成
　　一中務大輔《割書：昌｜勝》様《割書：ニ》も御登城可被成処御所労《割書：ニ》付御登城無之

　一同日右同断《割書：ニ》付御使荒川半太夫御国許《割書：江》被指遣之　本多
　　孫太郎《割書：長｜員》初御家老并御城代《割書：江》御書被成
　一同日御養子并権蔵様之儀《割書：ニ》付御一門様方《割書：江》左之通被
　　仰遣之

　　　　　　　覚








　　　　一今度越前守跡式職結構拙者被仰付段々　
　　　　　御懇之上意難有仕合《割書：ニ》奉存候　其刻乍卒爾
　　　　　申出候中務世忰仙菊義猶子《割書：ニ》仕度旨奉願候
　　　　　此上弥願之通被仰付候様《割書：ニ》各様も御取持奉願候
　　　　一権蔵儀但馬守殿《割書：ニ》被指置被致苦労候段於拙者
　　　　　別而難義奉存候得共越前守存生《割書：ニ》被申越家来共《割書：ニ》も
　　　　　為申聞候旨御座候故唯今対面可仕共難申候　併
　　　　　家督之儀拙者《割書：ニ》被仰付候上ㇵ権蔵《割書：江》合力《割書：ニ》而も
　　　　　心安仕諸事用等を達シ遣し度存候条何分《割書：ニ》も

　　　　　但馬守殿へ被仰達御合点被成候様《割書：ニ》御肝煎可被下候
　　　　　拙者方ゟ使者を以成共可申達候ヘ共若御返事を
　　　　　指つかへ候義御座候へㇵ如何《割書：ニ》候間大和守殿御相談
　　　　　被成可然様《割書：ニ》御指図頼入候
　　　　一権蔵御目見《割書：江》之義但馬守殿御願之由《割書：ニ》御座候
　　　　　拙者も各様御同意《割書：ニ》申入可然候ㇵゝ是亦首尾
　　　　　宜様《割書：ニ》被仰談頼存候　若但馬守殿右両条各様
　　　　　被仰候而御承引無之候ハゝ御老中《割書：ヘ》御内意を窺候而
　　　　　成共願申度奉存候　右之条々存寄口上書懸







　　　　　御目候　御指図頼入候　以上

　　　　　　　五月六日

　一五月十二日依召御登城　仙菊様《割書：中務大輔様｜御嫡子》出羽守《割書：綱｜隆》様大和守《割書：直｜矩》様《割書：ニ》茂
　　御登城被成候処御老中列座
　　昌親様兼而御頼之通仙菊様御養子《割書：ニ》被仰出旨御達有之
　　　　但中務大輔《割書：昌｜勝》様《割書：ニ》茂御登城可被成之処御腹痛《割書：ニ》付
　　　　　御登城無之
　一同月十四日江戸表ゟ之御使荒川半太夫福井《割書：江》着　御家老永見

　　志摩守《割書：通｜洪》狛木工之允《割書：貞｜澄》半太夫同道　浄光院《割書：江》罷越於御霊前御願之通
　　御家督無相違
　　昌親様《割書：江》被仰出候旨申上　夫ゟ於御泉水御屋敷御家老御城代
　　列座御家督無相違被仰出難有被思召候　乍去
　　思召趣茂有之候得共上意重ク段々御品御分被仰出上者
　　不被及兎角旨扨又但馬守様《割書：ニ》御座候御方様之儀者曽以
　　不被為成候事故其外御養子被成度被思召候　従
　　上被為仰付被下候様《割書：ニ》与御願御老中迄被仰達候旨月番
　　飯田主米諸士《割書：江》申渡之


　一五月十六日《割書：申｜刻》鳥越御屋敷ゟ霊岸嶋御屋敷《割書：江》御引移依之
　　仙菊様《割書：ニ》茂御同道　右為御祝儀
　　仙菊様ゟ
　　昌親様《割書：江》御太刀銀馬代二種二荷被進之　中務大輔《割書：昌｜勝》様ゟ
　　御使渋谷弥三兵衛を以
　　昌親様《割書：江》菱喰《割書：ニ》
　　仙菊様《割書：江》鯉二喉被進之　右御進物御披露相済御引渡
　　御雑煮御吸物出御盃事有之
　　仙菊様《割書：江》御腰物《割書：一文｜字》被進之　向井将監殿被持出　畢而御料理出


一同月廿九日《割書：未｜刻》
　仙菊様霊岸嶋御屋敷《割書：江》御引越右為御祝儀御使川越宇右衛門を以
　仙菊様《割書：江》御太刀銀馬代御帷子《割書：六内｜平物二》三種被進之
一六月五日御登城《割書：昨四日御老中｜連名之御切紙来》御家督之御礼被仰上
　御太刀《割書：為御代金｜八枚》一腰綿五百把黄金百枚御献上　畢而被召連候
　御家来永見志摩守《割書：吉｜洪》御太刀銀馬代時服五狛木工允《割書：貞｜澄》御太刀
　銀馬代時服四稲葉采女《割書：浩｜房》蘆田図書《割書：吉｜賢》御太刀銀馬代時服
　三宛笹治刑部《割書：直｜次》松平主馬《割書：昌｜詮》杉田小平次《割書：三｜竹》太田安房御太刀
　銀馬代献上　一人宛御目見被仰付


　一同日右同断《割書：二》付御使者を以御台様《割書：江》銀百枚綿百把
　被指上之
　一同日
　大安院様御遺物
　公方様御台様《割書：江》被献之
　　　　但御品物ハ
　　　　　光通様御譜《割書：ニ》委有之故略之
　一同日御中陰中上下町口為御固御物頭戸田七兵衛水野
　権太夫平井清左衛門奈良左近右衛門《割書：高｜良》佐久間猪右衛門三寺


　　久左衛門比企佐左衛門《割書：義｜重》伊藤勘兵衛《割書：長｜秀》江御番被仰付置候処
　　御家督被仰出候《割書：ニ》付御番引可申旨被仰出之
　一六月六日御家督御礼首尾能被仰上御家来八人被召連
　　御目見被仰付候《割書：ニ》付本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老并御城代《割書：江》
　　御書被成
　一同月八日本理院様《割書：家光様之｜御台様》御逝去依之御機嫌為御伺
　　御登城可被成之処御不快《割書：ニ》付御断
　一同月十二日御精進揚《割書：ニ》付御使者御留守居矢嶋七右衛門を以
　　御肴《割書：鱸｜二》被献之　右御披露済之捻御奉書御老中久世












　　大和守《割書：広｜之》殿ゟ来ル

　　　　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　　　　　松平兵部大輔殿　　　広之
　　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　久世大和守


　　　　　　　　鱸二進上之候遂披露候之処一段之
　　　　　　　　御仕合候　恐々謹言

　　　　　　　　　六月十二日　　　　　　広之書判

　一六月廿三日暑中《割書：ニ》付御機嫌為御伺御使者を以
　　御先代之通御国産索麪《割書：十｜把》鯖《割書：三十｜刺》被献之　右御披露済之捻御奉書


　　御老中久世大和守《割書：広｜之》殿ゟ来

　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　松平兵部大輔殿　　　　　広之
　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　
　　　　　索麪一器《割書：并》鯖三十刺進上之候　遂
　　　　　披露之処一段之御仕合候　恐々謹言
　　　　　　六月廿三日　　　　　　広之書判
　一同月二十四日
　　大安院様御遺骨浄光院ゟ大安寺《割書：江》御納被成








　
　一六月廿九日今度
　　大安院様御位牌高野山《《割書：江》御安置《割書：ニ》相成候《割書：ニ》付京都《割書：江》罷越
　　先達被仰付置候御位牌請取高野山大徳院《割書：江》相納候様
　　桑原源太左衛門加藤金兵衛《割書：江》被仰付之
　一七月五日於浄光院昨四日夕方ゟ今朝迄
　　大安院様御百ヶ日御法事御執行有之　　於大安寺茂御石塔
　　御供養有之
　一同月六日為御生身魂御祝儀御使者を以御先代之通
　　黄金《割書：十｜両》被献之　御台様《割書：江》鯖《割書：五十｜刺》一箱御樽一荷被指上之


　一同月七日御不快《割書：ニ》付御登城御断
　一同月九日盆中踊辻相撲御法度之旨被仰出
　一同月十七日
　　仙菊様御養子之御礼被仰付候間明十八日四時前御同道《割書：ニ》而
　　御登城可被成之旨渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿ゟ申来
　一同月十八日
　　昌親様仙菊様御同道《割書：ニ》而御登城御養子之御礼可被
　　仰上処御不快《割書：ニ》付御登城御断　依之御使者芦田図書《割書：吉｜賢》を以
　　公方様《割書：江》御太刀金馬代猩々緋十間被献之　御台様《割書：江》晒布二十疋









　　被指之
　　仙菊様《割書：ニ》者御登城被成御太刀金馬代御時服《割書：二｜十》御献上
　　御養子之御礼被仰上
　　　　但昌親様御不快《割書：ニ》而御同道無之《割書：ニ》付殿中御心添之儀
　　渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿《割書：江》御頼被成
　一同日御使者を以御先代之通御国産初鱈《割書：三｜》被献之
　一七月十九日上使稲葉清左衛門《割書：正｜定》殿を以御鷹之雲雀《割書：三｜十》御拝領
　　清左衛門殿此御屋形《割書：江》御越之節雲雀御玄関《割書：ニ》而御留守居富岡
　　又三郎請取《割書：此節御番頭両人共御使者《割書：ニ》｜出不居合候《割書：ニ》付又三郎請取之》御書院《割書：江》持参　其節


　　昌親様御不快《割書：ニ》付為
　　御名代仙菊様渡之間御次迄御出迎御案内《割書：ニ》而清左衛門殿
　　御書院《割書：江》御通上意之趣御達有之《割書：此節御気色悪敷由緩々御養生｜被成候様御懇之上意茂御達有之》
　　御請相済御拝領之雲雀御吸物《割書：ニ》而御盃事有之　御料理者御断《割書：ニ》付
　　不出御退出之節御玄関迄御送被成　右為御礼
　　仙菊様御登城御老中《割書：江》御使者皆川多左衛門《割書：■｜■》若年寄中并酒井
　　河内守《割書：忠｜挙》殿《割書：江｜》御使者御番頭御奏者番中其外芙蓉間御役人《割書：江｜》
　　御使者御物頭御使番御書院番士被指出之
　一同日御国産初鱈被献候《割書：ニ｜》付而之捻御奉書御老中土屋






　　但馬守《割書：数｜直》ゟ来

　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　　松平兵部大輔殿　　　数直　
　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守
　　　　　
　　　　　領国之初鱈三進上之候遂披露候之処
　　　　　一段之御仕合候　恐々謹言
　　　　　　　七月十九日　　　　数直書判
　一七月廿七日万姫様鳥越御屋敷ゟ霊岸嶋御屋敷《割書：江》御引移
　一八月朔日御不快《割書：ニ》付御登城御断　依之御使者酒井孫四郎《割書：元｜宣》を以


　　御太刀馬代《割書：黄金｜十両》被献之
　一同月四日今度御家督無御相違被仰出候　為御祝儀御使者
　　天方五郎左衛門《割書：友｜貞》を以
　　禁裏《割書：江》御太刀馬代并三種二荷被献之
　　女院御所
　　本院御所《割書：江》茂被献物有之《割書：御品｜不詳》五郎左衛門今日江戸出立
　一同月十七日於浄光院去ル十五日ゟ今朝迄
　　慶寿院様十七回御忌御法事御執行有之
　一九月九日為重陽御祝儀本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老ゟ御小袖








　　御袷献上之
　　　　　但重陽御祝儀御家来ゟ献上之儀以後定例故
　　　　　　不記之
　一九月廿三日
　　女院御所御普請御成就《割書：去年｜炎上》申十九日御移徙被為
　　済候《割書：ニ》付為御祝儀京都御留守居松江善兵衛《割書：房｜丘》を以銀二十枚
　　二種一荷被献之
　一十月三日上使大久保彦兵衛殿を以御病気御尋有之
　　右為御礼


　　御名代仙菊様御登城　御退出掛御老中若年寄中《割書：江》
　　御回勤
　一同日右同断《割書：ニ》付本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老《割書：江》御書被成
　一十一月十二日上使加藤平内殿を以御鷹之鶴御拝領
　　上使御越之以前御玄関《割書：江》御番頭両人罷出鶴受取御書院《割書：江》
　　持参　平岡殿御越之節渡リ間御次迄御出迎御会釈有之
　　御案内《割書：ニ》而平内殿御書院《割書：江》御通　上意之趣御達有之《割書：此時御気色｜御尋之》
　　《割書：上意茂｜有之》鶴御頂戴相済御勝手《割書：江》被為入御長蚫御直《割書：ニ》御居
　　被成　御請相済御料理御吸物等御断《割書：ニ》而御退出　右為御礼








　　御名代仙菊様御登城　御退出掛御老中并酒井河内守《割書：忠｜挙》殿《割書：江》
　　御廻勤
　　　　但右御礼御登城可被成之処御不快《割書：ニ》付御名代《割書：ニ》而御礼
　　　　　被仰上
　一十一月十三日右同断《割書：ニ》付本多孫太郎初御家老并御城代《割書：江》
　　御書被成
　一十二月三日於谷中南泉寺高照院様御一周忌御法事
　　御執行有之　於華蔵寺も昨二日晩ゟ今朝迄御法事御執行有之


　一同月五日御病気御快然《割書：ニ》付御老中《割書：江》御廻勤
　一同月十日《割書：四｜時》御登城《割書：昨十一日御老中阿部｜播磨守殿ゟ御切紙来ル》御肴一種御献上
　　御病後之御礼被仰上　御退出掛御老中并酒井河内守《割書：忠｜挙》殿《割書：江》
　　御廻勤
　一同月十一日
　　仙菊様御同道《割書：ニ》而御家督後初而東叡山并増上寺《割書：江》
　　御参詣　公儀御代々様御霊前《割書：江》御太刀馬代銀五枚宛
　　御献備有之
　一同月十五日御登城可被成処俄《割書：ニ》御不快且又今晩御老中


　　御招請《割書：ニ》付御養生被成度旨《割書：ニ》而御登城御断
一　同日　御家督之為御祝儀御老中酒井雅楽頭《割書：忠｜清》殿稲葉
　　美濃守《割書：正｜則》殿久世大和守《割書：広｜之》殿土屋但馬守《割書：数｜直》殿御招請御饗応《割書：ニ》
　　能被仰付
　一十二月廿五日寒中《割書：ニ》付御使者を以御先代之通御国産《割書：一｜番》
　　生鱈《割書：三》被献之
　一同日御隠居御内願之儀《割書：ニ》付阿部四郎五郎《割書：正｜之》殿《割書：江》左之通
　　御書翰被遣之
　　　　　　尚々御両人一同に相談申可然候ハ者兎角大隅殿


　　　　　　御同道可有之候　以上
　　　　今朝御両殿《割書：ヘ》参上首尾好得貴意罷帰候
　　　　事之外寒気にて散々頭痛いたしこまり申候
　　　　扨又八兵衛指越昨日之申残シ申進し候
　　　　大隅殿と御相談可有之旨珍重存候　大隅殿と
　　　　直談申度候ヘ共余日無之候間可然様《割書：ニ》頼入候
　　　　廿七日自然召候事有之候へハ跡《割書：ニ》成申候くり言《割書：ニ》
　　　　候ヘ共何とも相勤にくき事のミ《割書：ニ》候　内々御物語
　　　　申候通罷出彼是いたし候程上下のため如何《割書：ニ》













候


　　　　存所《割書：ヘ》度々上使被下置候御礼申上候ハてハ
　　　　上《割書：江》たいし慮外《割書：ニ》罷成候旨被仰候故気色を
　　　　押罷出御老中招請迄相勤候　此上ハ有無ノ
　　　　御訴訟申上度事《割書：ニ》候　大隅殿御相談にて可然様《割書：ニ》
　　　　頼入候かとく被仰付候節も申度事も候へ共
　　　　永々敷候間申残シ之旨御老中ヘ申候　此段
　　　　貴様《割書：ヘ》も御物語申候　兎角罷出相勤候程
　　　　悪敷事のミ《割書：ニ》て候間少も早ク引籠候て
　　　　仙菊《割書：ニ》相勤させ候様仕度候　大隅殿《割書：へ》相談申


　　　　可然候ハ者何とそ明日御同道にて御越待入申候
　　　　此書状明朝御出前《割書：ニ》越申度存相調置候　以上
　　　　　廿五日
　　　　　　阿部四郎五郎様
　　　　追而本紙《割書：ニ》申入候通何かと存つゝけ候程少も
　　　　はやく引籠申可然存候
　　　　上《割書：江》慮外《割書：ニ》罷成候旨被仰候故罷出
　　　　御老中招請迄相勤申候　最早同御申上
　　　　可然時節先日大隅殿も御老中


　　　　申請候上ニてハ御断申上候事も可罷成候と
　　　　御申候　此段貴様も一座《割書：ニ》御聞候　定而
　　　　御失念ハ有之間敷候　以上
　一十二月廿七日昨日御老中ゟ御切紙を以今日御登城被成候様
　　申来候得共御腹痛《割書：ニ》付御登城御断
　一同日為歳暮御祝儀御使者を以御先代之通御小袖《割書：五》被献之
　一同日寒中《割書：ニ》付御使者を以御先代之通御国産《割書：二｜番》生鱈被献之
　一同日為歳暮御祝儀本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老《割書：并》御城代ゟ御小袖
　　或御肴等献上之


　　　　　但歳暮御祝儀御家来ゟ献上之儀以後定例故不記之
　一十二月廿八日御気色悪敷旨被仰立昨日御登城無之《割書：ニ》付
　　御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿ゟ書翰を以明日明後日之内
　　御登城被成候様申来
　　　　　　猶以公儀次第《割書：ニ》御勤メ被遊乍憚可然奉存候
　　　　一筆致啓上候　昨日者御気色悪敷御登城
　　　　　　何かと御座候へㇵ貴殿様御身ヲ御立【た】て被成候道理《割書：ニ》
　　　　不被成無御心元奉存候何とそ明日明後日之内
　　　　　　罷成候かと奉存候　いか様貴殿《割書：ニ》可申上候已上　　　　
　　　　御登城被成候様《割書：ニ》仕度候　年頭《割書：ニ》ハ紀伊殿水戸殿
　　　　御連座之思召《割書：ニ》御座候間明日明後日之内










　　　　御登城被成候様《割書：ニ》仕度候　貴様御代《割書：ニ》前々之
　　　　御左法相止申候てハ越前守殿御心さしニも
　　　　相違仕る事《割書：ニ》候　今朝渡部大隅殿阿部四郎五
　　　　参候て一昨日ヵ御見廻申候ヘ共不懸御目候　何とそ
　　　　年内《割書：ニ》御登城被成候様《割書：ニ》仕度由被申候故私可申
　　　　遣旨申事《割書：ニ》御座候　御家之為第一ハ
　　　　公儀御奉公と被思召御勤メ御尤奉存候　以上
　　　　　　極月廿八日　　　　　稲葉美濃守


　　　　　　松平兵部大輔様
　　　　　　　　　　　人々御中

　一同日右同断《割書：ニ》付稲葉美濃守《割書：正｜則》殿《割書：江》左之通御返書被遣之
　　　　　尚々貴殿様御懇意共御礼難申尽奉存候
　　　　　先刻四郎五郎殿へハ此段申越候間定而申上《割書：ニ》而
　　　　　可有之候　以上
　　　　御懇書忝拝見仕候　私気色之儀御尋忝
　　　　奉存候　度々御懇意之趣御礼之段兎角
　　　　筆紙《割書：ニ》難申尽奉存候　来年頭之御礼之趣






　　　　御内意之段過分至極奉存候　結構成仕合
　　　　度々有難上意共貴殿様御存知之通
　　　　候へㇵ身《割書：ニ》余有難奉存候事《割書：ニ》御座候　今《割書：ニ》不始
　　　　儀《割書：ニ》候ヘ共私不調法者之事《割書：ニ》候ヘ者度々罷出
　　　　仕そこないいたし其上気色悪敷しか〳〵
　　　　御奉公も不申上候ヘハ如何敷越前守存念も
　　　　たがい申様《割書：ニ》存候　有難上意共重り候ヘ者そら
　　　　おそろしく奉存候間早ク御免被遊候様《割書：ニ》仕度
　　　　願《割書：ニ》御座候　少も自己を以申上にてハ無御座候


　　　　何とそ御了簡被成世忰為能様《割書：ニ》奉頼候
　　　　恐惶謹言
　　　　　十二月廿八日
　　　　　稲葉美濃守様
　　　　　　　　　　貴報

　一同日御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿ゟ申来候儀《割書：ニ｜》付左之通
　　渡部大隅守《割書：綱｜貞》殿《割書：江｜》被仰遣之
　　　　　尚々美濃守殿《割書：へ》可然様《割書：ニ》御礼之段
　　　　　頼入存候　以上


　　　　昨日者御越忝存候　気色悪敷候故不得御意
　　　　只今美濃守殿ゟ色々御懇意《割書：ニ》而御札被下
　　　　忝存候　拙者気色次第《割書：ニ》罷出候様《割書：ニ》被仰下
　　　　候ヘ共第一気色悪敷其上存旨も候間相勤
　　　　かたき由慮外を不顧御返事申候御対面
　　　　之節可然様御礼之段頼入存候　先日も申入
　　　　候通我等事不調法者《割書：ニ》候ヘハいたしそこ
　　　　ないもあぶなく其上気色も悪敷候ヘハ
　　　　しか〳〵御奉公不申上候処《割書：ニ》色々有難


　　　　上意共重り候ヘ者そらおそろしき事《割書：ニ》存候間
　　　　少も早ク御免被成候様《割書：ニ》仕度存候条能様阿
　　　　四郎五郎殿と御相談被成可被下候奉頼候奉頼候　以上
　　　　　　十二月廿八日
　　　　　　　大隅様

　一同日右同断《割書：ニ》付渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿ゟ左之通御返書来
　　　　先刻者尊書忝拝見御城ゟ直《割書：ニ》他出
　　　　只今帰宅処不能御請候　先以美濃守殿ゟ


　　　　今日色々御懇意之書札被遣御満悦被
　　　　思召候　御礼可申達之旨奉得其意候　被
　　　　仰付候御紙面之趣無是非御事《割書：ニ》
　　　　御座候　乍此上越州様御存念御立
　　　　被成候へかしと憚多候へ共念願而已《割書：ニ》
　　　　奉存候　何も伺公仕可得貴意候条早々
　　　　愚報申上候　以上
　　　　　十二月廿八日　　　　渡辺部大隅守


　　　　　　兵部大輔様
　　　　　　　　　参貴報

　一同日御登城之儀《割書：ニ》付阿部四郎五郎《割書：正｜之》殿《割書：江》左之趣御書翰
　　被遣之
　　　　尚々貴様御心入可之段忝存候　此上如何様《割書：ニ》も
　　　　頼入候間可然様《割書：ニ》御分別可被下候　以上
　　　　　八兵衛方へ御札之趣具拝見申候　我等
　　　　　気色今日者弥能罷成候　明日何とそ登
　　　　　城仕官位なと被仰付当年頭相勤御暇


　　　　前願申上可然之旨御偽にて無之段
　　　　御誓文にて被仰越候通いかにも承届申候
　　　　併明日罷出候而官位被仰出候へ者我等為《割書：ニ》ハ
　　　　なんほう能キ事《割書：ニ》候へ共有難上意重り
　　　　候程そらおそろしく存候　又公儀之御為
　　　　家之為身之為と被仰越候　其段者如何
　　　　《割書：ニ》も左様《割書：ニ》候へ共罷出相勤候程何かに悪敷
　　　　存所も候へㇵ貴様思召と少々相違申様《割書：ニ》
　　　　存候　世間にて思案ちかい申旨取沙汰
　　　　

　　　　可有之由是ㇵ内存《割書：ニ》候へㇵ此段如何様
　　　　申候ても不苦候　兎角少も早ク引籠申か
　　　　諸事能キと存詰罷在候　大隅殿貴様
　　　　頼入申候間可然様《割書：ニ》御相談候而可被下候　貴様之
　　　　御為迄悪敷有之旨被仰越候へ共何れの
　　　　道《割書：ニ》而も同事《割書：ニ》候　此上首尾好願相調候様《割書：ニ》
　　　　頼入存候　美濃守殿御懇意之段兎角を
　　　　筆紙難申尽存候　何分《割書：ニ》も貴様頼申候間
　　　　可然様《割書：ニ》被仰達候而可被下候　昨日も御越忝


　　　　存候　度々御出御懇札忝存事候　此上ㇵ
　　　　首尾好様《割書：ニ》奉頼候　以上
　　　　　　十二月廿八日
　　　　　　　阿部四郎五郎様
　　　　　　　　　　　　御報
　　　　　追啓官位之儀ㇵ被仰出次第大納言《割書：ニ》成共罷成事
　　　　　少も〳〵遠慮ㇵ無之候へ共罷出彼是いたし候程
　　　　　家之威光うすく成申候様《割書：ニ》存候間少も〳〵早ク
　　　　　引籠世忰《割書：ニ》勤させ申度存候　上使之御礼ㇵ
　　　　　申上御両典様《割書：ヘ》も召連御目《割書：ニ》かけ申候上ㇵ最早


　　　　能時分と存候故如此申進候事《割書：ニ》候　以上
　一同日右同断《割書：ニ》付阿部四郎五郎《割書：正｜之》殿ゟ御家老皆川多左衛門《割書：勝｜専》迄
　　左之通御返書来
　　　　尚々何共申上候《割書：ニ》たヘす候ゆへ不申上候　ケ様《割書：ニ》御座候ㇵゝ
　　　　当夏から何とそ御相談も可有之事《割書：ニ》候処《割書：ニ》
　　　八兵へ所ヘ遣し候趣入御披見候よし奉承知候
　　　　別而残念《割書：ニ》奉存候　已上
　　　とかく御出御勤候事罷成間敷候旨とかく
　　　可申上様無御座候　此上大隅と致相談可然
　　　之様《割書：ニ》と被仰下候何といたし可然哉拙者心底《割書：ニ》







　　　十方無御座候　他出唯今帰宅仕候処ヘ美濃守殿
　　　御状被下候　何とも御笑止千万成事《割書：ニ》候　拙者《割書：ニ》明朝
　　　致同公候へとの御事《割書：ニ》而いか様《割書：ニ》御あいすさつ可仕も
　　　難計候　何を申候而も御同心無之上ㇵ最早
　　　不及申上候　一昨日美濃守殿《割書：ヘ》得御意候義も皆々
　　　拙者偽之様《割書：ニ》罷成候へとも其段も不苦候よし
　　　被仰下候へ者拙者も不苦奉存候　両通之御受
　　　不申上候も余成御事と奉存候故如斯御座候
　　　御報中心能御座候よし一段之御事《割書：ニ》御座候


　　　右之趣宜預御取成候　恐惶謹言
　　　　　　　　　　　　　阿部四郎五郎
　　　　　十二月廿八日　　　　　　正之書判

　　　　　皆川太左衛門殿

　一同日御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿ゟ再書翰を以是非《割書：ニ》々々明日
　　明後日之内御登城被成年頭御礼茂被仰上候様申来
　　　　　　尚々公儀ㇵ奉公と被思召候ㇵゝ御勤仕可然
　　　　　乍御報御自筆之尊書拝見仕候被仰聞
　　　　　奉存候　貴様《割書：ニ》万事御つとめ被成候て御ゆつり








　　　不被遊候ㇵゝ越前守殿御心《割書：ニ》も叶不申其上御国も
　　　　趣奉得其意候　仙菊殿御為能様《割書：ニ》と被思召候儀
　　　落付申間敷と奉存候　此段御心安ク被召遣候衆一人
　　　　御尤奉存候　然上ㇵ是非〳〵明日明後日之内
　　　ツゝ被召出御聞被遊候ても相違御座有間敷と存候　以上
　　　　御登城被成候而年頭御勤仕可然奉存候　貴様
　　　　御代《割書：ニ》御官位も御すゝミ不被成候ㇵゝ仙菊殿
　　　　官位可被仰付様無御座候　其上当年ㇵ常陸介殿
　　　　松平大七殿仙菊殿官位之御さた無御座候
　　　　万一貴殿様御登城も不被成候ㇵゝ御名代
　　　　被仰付候儀も可有之やと被思召事も御座
　　　　可有候　左様《割書：ニ》ㇵ参かたく存候　取越すいさん


　　　　申上候事御免可被下候　私不調法ㇵ不及是非《割書：ニ》候
　　　　御代々之御為と存申儀《割書：ニ》候間あしき事ㇵ
　　　　御すて可被遊御免候　恐惶謹言
　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　十二月廿八日　　　　　　　　正則書判
　　　　　
　　　　　松平兵部大輔様
　　　　　　　　　　人々御中

　一同日右同断《割書：ニ》付御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿《割書：江》左之通御返書
　　被遣之







　　　　度々御札忝拝見御返事之段兎角筆紙
　　　　難申候　扨々御懇意之段忝仕合《割書：ニ》奉存候
　　　　明朝四郎五郎方ヘ申聞可得御意候　拙者以参上
　　　　可申儀《割書：ニ》候ヘとも気色悪敷罷在候間具《割書：ニ》四郎五郎方ヘ
　　　　可申達候　恐惶頓首
　　　　　　十二月廿八日
　　　　　　稲葉美濃守様
　　　　　　　　　　貴報

　一十二月晦日去廿七日依召御登城可被成之処御腹痛《割書：ニ》付


　　御断《割書：ニ》相成候得出【共】御快《割書：ニ》付今日御登城御目見被
　　仰上　御懇之上意有之被任侍従之旨被仰出御礼被
　　仰上　御退座之節年始御礼御先代之通御白書院御相伴被
　　仰付旨被仰出　相済御退で【出】掛御老中若年寄中并酒井
　　河内守《割書：忠｜挙》殿《割書：江》御廻勤
　　　　但此節可被任少将旨之御沙汰有之《割書：ニ》付其段御内々御辞退
　　　　　被成葵御紋も態々御着用無之桐御紋御用被成
　一同日右同断《割書：ニ》付本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老并御城代《割書：江》御書被成
　一同日侍従御拝任《割書：ニ》付御老中ゟ京都所司代永井伊賀守《割書：尚｜庸》殿《割書：江》之









　　連名之御奉書御渡有之
　　　　松平兵部大輔事為従四位下諸大夫之処
　　　　侍従《割書：位階｜如元》被仰付候口宣等之儀伝奏衆迄被申入
　　　　相調候様《割書：ニ》尤候　恐々謹言
　　　　　延宝二　　　　　　　　　　　　　阿部播磨守
　　　　　　十二月晦日　　　　　　　　　　　　正能書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　数直書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　広之書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正則書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　酒井雅樂頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠清書判


　　　　　永井伊賀守殿
　　　但右御奉書今日御徒《割書：福田甚左衛門》飛脚を以御国許《割書：江》被指遣之


　　【右・丁　白紙】



　　【左・丁】

延宝三年乙卯
　一正月朔日朝於御屋形年始御規式有之　於御座之間
　　仙菊様御太刀目録御持参　御対顔御祝儀被仰上夫ゟ御同道《割書：ニ》而大奥《割書：江》
　　被為入三献之御祝有之
　一同日為年始御祝儀御登城《割書：御直垂｜御着用》於御白書院御太刀
　　目録《割書：御馬代黄金｜ニ十両》御持参御礼被仰上　御先代之通御着座御相伴
　　被仰付　呉服御拝領
　一同日御帰殿後於御座之間御家老太刀目録持参御礼


　　申上之　三献之御祝儀御相伴被仰付　相済於小書院御番頭
　　御奏者番初番外之面々御礼申上　御盃頂戴御長蚫
　　御直《割書：ニ》被下之　畢而於表御書院御物頭《割書：并》諸士御流之御盃
　　頂戴　御長蚫取次《割書：ニ》而被下之　畢而被為入於御座之間御小姓共
　　御礼申上　御流之御盃頂戴之御長蚫取次《割書：ニ》而被下之
　一正月二日御書初御馬御乗初有之
　一同月三日為御謡初御祝儀御使者を以御先代之通御盃台
　　《割書：御土器｜二》御酒代《割書：銀｜一枚》被献之
　一同日為年始御祝儀
　　

　　仙菊様初而御登城　御礼被仰上
　一同日夜於御屋形御謡初御祝儀有之
　一同月四日年始三《割書：ケ｜》日之御規式相済候　為御祝儀御老中《割書：江》
　　御使者御留守居被指出之
　一同日年始御祝儀御着座《割書：ニ》而被仰上候《割書：ニ》付本多孫太郎《割書：長｜員》初
　　御老中《割書：并》御城代《割書：江》御書被成
　一同月七日御登城《割書：昨六日渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿ゟ｜申来》御任官之御礼被
　　仰上　御太刀金馬代御時服《割書：十》御献上　御台様《割書：江》御使者を以
　　白銀《割書：二十｜枚》被指上之











　一同日為御上初御使者を以鯛一折被献之　右御披露済之
　　捻御奉書御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿ゟ来

　　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　　松平兵部大輔殿　　　　　正則
　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　鯛一折被献之候遂披露之処
　　　　　一段之御仕合候　恐々謹言
　　　　　　　正月七日　　　　　　　　　正則書判
　　正月十一日於御屋形御具足餅御祝有之


　一同月十五日御不快《割書：ニ》付御登城御断
　一同日旧冬御任官被仰出候為御祝儀御使者を以
　　禁裏御所《割書：江》御太刀馬代被献之
　　女院御所《割書：江》被献物有之《割書：御品物｜不詳》
　一同日御任官《割書：ニ》付御老中ゟ京都所司代《割書：江》之御奉書御渡
　　《割書：ニ》付被指立候御徒飛脚今日福井《割書：江》着《割書：ニ》付瓦御門番永見牛之助《割書：江》
　　右御奉書持参被仰付京都《割書：江》被指遣之　今日福井出立
　　　　但牛之助京都着日幷口宣御渡之月日御記録類不詳
　一正月廿八日御不快《割書：ニ》付御登城御断










　一二月十一日下馬御門内三ノ丸《割書：江》御座所御営築之儀被
　　仰出候《割書：ニ》付御普請之儀御普請奉行小川治兵衛《割書：江》月番御家老
　　永見志摩《割書：吉｜洪》申渡之
　一同月十八日歳暮御祝儀被献候《割書：ニ》付而之御内書御渡《割書：ニ》付
　　御留守居御城《割書：江》罷出候処於柳之間御内書御渡有之

　　　　　為歳暮之祝儀小袖五到来歓思召候
　　　　　委曲酒井雅樂頭可述候也
　　　　　　十二月廿七日　御黒印


　　　　　　　　　　　　　　越前侍従殿とのへ

　　右為御礼御老中并酒井河内守《割書：忠｜挙》殿《割書：江》御使者御留守居
　　被指出之
　一三月朔日口宣御頂戴有之
　　　　口宣案
　　　　　上卿三条大納言
　　　　　　延宝二年十二月晦日　　　　宣旨
　　　　　　　源昌親朝臣
　　　　　　　　宜任侍従

　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奉
　　　　　　　　　　　　蔵人頭左近衛権中将藤原公量
　　　　宣旨　　　　　　　
　　　　　　　　　従四位下行兵部大輔源朝臣昌親　　
　　　　権大納言正三位藤原朝臣　　　　　実通　　
　　　　宣奉　　　　　　　勅件人宜令任
　　　　侍従者
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奉
　　　　　延宝二年十二月卅日大外記兼掃部頭造酒正中原朝臣師貞

　一三月廿四日於浄光院去廿日ゟ今日迄
　　大安院様御一周忌御法事御執行有之


　　　　但於西久保天徳寺茂廿三日夕ゟ今朝迄布与姫様ゟ御法事
　　　　　御執行有之
　一四月十三日御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿土屋但馬守《割書：数｜直》殿ゟ御奉書
　　を以来ル　十七日者
　　大猷院様二十五回御忌御法事御執行中《割書：ニ》付紅葉山ゟ
　　還御以後烏帽子直垂《割書：ニ》而紅葉山《割書：江》御参詣可被成旨来ル
　　廿日者東叡山
　　大猷院様御仏殿《割書：江》御豫参可被成旨申来
　一同月十七日御不快《割書：ニ》付紅葉山《割書：江》御参詣無之


　一四月廿日於東叡山
　　大猷院様二十五回御忌御法事有之
　　公方様御参詣《割書：ニ》付御豫参御勤《割書：御装｜束》
　　　但昌親様《割書：ニ》者侍従之御末席《割書：ニ》御着座被成筈之処御家ㇵ
　　　　格別之事《割書：ニ》候間少将之次《割書：江》御着座可被成旨御老中御指図之趣
　　　　細川越中守《割書：綱｜利》殿御伝有之《割書：ニ》付御同官之御方を御差越松平陸奥
　　　　守
　　　　《割書：綱｜村》殿
　　　　次《割書：江》御着座被成
　一同月廿一日右同断《割書：ニ》付東叡山《割書：江》御使者御番頭《割書：御留守居｜同道》を以御香奠
　　銀二十枚被献之
　一同日於泉蔵院去十九日ゟ今日迄


　　台徳院様三十五回御忌御法事御執行有之
　一同日御登城　御法事首尾能相済候御歓被仰上
　一同月《割書：日不｜詳》於江戸表左之通被仰出之
　　　　　　　覚
　　　　一御留守中法事御取次仙菊様御広間にて
　　　　　可仕事
　　　　一侍中節々御門外ヘ不罷出候様助六可申付事
　　　　　罷出候節ㇵ飯川彦兵衛へ相断可罷出事
　　　　一境町見物仕事一両度者御免被遊候　五三人宛も






紙


　　　　　申談不相忍可参事
　　　　一御門出入夜五時已後可為停止　但無拠用所有之
　　　　　候者夜中之儀者石川伝右衛門可相断事
　　　　　　　以上
　　　　　　　月日
　一四月《割書：日不｜詳》去年御国中違作《割書：ニ》付国民為御救勝山御領御物成
　　御蔵詰之儀御見合《割書：ニ》相成候様願之趣左之趣御家老狛
　　木工允《割書：貞｜澄》稲葉采女《割書：治｜房》ゟ渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿《割書：ヘ》申達之
　　　　去寅年国中存外作違申《割書：ニ》付在々町迄米


　　　　雑穀相改当作之麦も考国中養積見申候処
　　　　夏中秋迄も続兼申仕合《割書：ニ》御座候　依之米高直
　　　　《割書：ニ》付下之者迷惑仕候間国中直段究京升四斗
　　　　五升俵にして銀弐拾五匁六分《割書：ニ》仕蔵米を出し
　　　　所々《割書：ニ》而為致小売候得共米不足《割書：ニ》付取続不申候
　　　　尤他国米も才覚付候得共無御座候　何とそ当
　　　　作時分迄続候様にと申付候　然者右之通御座候ヘハ
　　　　飢申者も数多可有御座与存候付勝山寅ノ御物成
　　　　御蔵詰之儀見合為指登申度候条御相談被成


　　　　可被下候　以上
　　　　　但右願之儀御勘定衆罷成間敷旨申候《割書：ニ》付御取上
　　　　　　無之段御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿ゟ御指図有之候旨
　　　　　　大隅守殿ゟ申来
　一閏四月朔日上使御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿を以御国許《割書：江》之
　　御暇被仰出白銀千枚御袷百御拝領　美濃守殿御越之以前
　　御拝領之銀御袷来　御取次受取御書院御床前《割書：江》並置
　　美濃守殿御越之節
　　昌親様仙菊様御同道《割書：ニ》而御玄関御式台板縁迄
　


　　御出迎　夫ゟ御案内《割書：ニ》而美濃守殿御書院《割書：江》御通上意之趣御達
　　有之　御請相済御長蚫御直《割書：ニ》御居被成　御吸物出御盃事
　　有之　御料理御断《割書：ニ》而御退出
　一同日《割書：五時｜過》御登城　御暇之御礼被仰上　御鷹《割書：二》御馬《割書：一》御拝領　畢而
　　被召連候御家来狛木工允《割書：貞｜澄》御目見被仰付退去　木工允《割書：江》
　　御袷四《割書：内紅裏｜一》御羽織《割書：一》拝領被仰付　相済御退去掛御老中若年寄中幷
　　酒井河内守《割書：忠｜挙》殿《割御永井書：江》御廻勤
　一同日右同断《割書：ニ》付京都所司代永井伊賀守《割書：尚｜庸》殿《割書：江》御書被遣之
　一同日右同断《割書：ニ》付本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老御城代《割書：江》御書被成











一同日出羽守《割書：綱｜隆》様於御在所雲州松江御卒去
一閏四月二日御拝領之御馬御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿ゟ使者《割書：ニ》而
　為牽来　右御馬御玄関《割書：江》牽出之　御家老狛木工允《割書：貞｜澄》御手綱
　指上御頂戴被成　相済於渡之間右使者《割書：江》御逢御長蚫被下之
　御返答有之
一同月四日御拝領之御鷹為請取堀田備中守《割書：正｜俊》殿宅《割書：江》御留守居
　飯川彦兵衛《割書：正｜俊》御鷹匠堀権左衛門《割書：宗｜良》臼井新右衛門罷出候処御鷹御渡
　有之　右御鷹受取罷帰於大書院御頂戴被成
　仙菊様《割書：ニ》茂御出座御頂戴被成


一同月十五日御使者を以御先代之通御国産初鯖《割書：三十｜刺》一箱被献之
　右御披露済之捻御奉書稲葉美濃守《割書：正｜則》殿ゟ来

　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　松平兵部大輔殿　　　　正則
　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　領国之鯖一箱被献之候遂披露候之処
　　　一段之御仕合候　恐々謹言
　　　　　同四月十五日　　　　正則書判
一同月廿一日江戸御発駕　中山道通御旅行


一五月三日為端午御祝儀御使者を以御先代之通御帷子
　御単御袷被献之　追而御内書於御城御渡有之　其節
　御家来拝領物被仰付
一同月五日今庄駅御泊ゟ吉江《割書：江》被為入皆川多左衛門《割書：勝｜重》宅《割書：ニ》而
　御昼休　夫ゟ福井《割書：江》御着御先代之通浄光院《割書：江》御参詣　相済
　永見志摩《割書：吉｜洪》宅《割書：江》被為入　夫ゟ御着城《割書：申ノ｜刻》於御座之間三献ノ
　御祝有之　御家老初芦田図書《割書：吉｜賢》御相伴被仰付　御盃被下之
一同月六日右同断《割書：ニ》付為御礼御使者永見志摩《割書：吉｜洪》江戸表《割書：江》被指出之
　今日福井出立


一同月十二日右同断《割書：ニ》付
　女院御所御機嫌為御伺御使者津田八右衛門京都《割書：江》被指出之
　奉書紙《割書：十｜束》鯖《割書：三十｜刺》被献之　八右衛門今日福井出立
一同月十五日御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿卒去《割書：ニ》付《割書：去ル｜三日》
　公方様御機嫌為御伺御使者渥美新右衛門《割書：文｜信》江戸表《割書：江》被指出之
　今日福井出立

一同日為御家督御祝儀年始御規式之通御家老初諸士小役人迄
　御礼被為請


一五月十六日右同断《割書：ニ》付御家中子供《割書：幷》御医師之御礼
　被為請
一同月十八日権蔵様御登城初而御目見被仰上
一同月廿一日出羽守《割書：綱｜隆》様御卒去《割書：ニ》付雲州松江月照寺《割書：江》
　多賀谷権大夫《割書：大｜広》被指遣之　御香奠銀三拾枚被供之
一同月廿二日権蔵様御儀御同姓様方依御願御目見可被
　仰付旨去八日但馬守《割書：直｜良》様《割書：江》被仰出候《割書：ニ》付右為御礼御使者
　佐野六郎右衛門江戸表《割書：江》被指出之　今日福井出立


一同月廿八日為御帰国御礼御使者永見志摩《割書：吉｜洪》を以奉書紙《割書：四十｜束》
　二種一荷被献之　志摩御目見被仰付　退去再罷出自分之
　御礼申上　御太刀銀馬代蝋燭三箱献上之
一同月廿九日右同断御使者永見志摩《割書：吉｜洪》御城《割書：江》罷出候処御返書
　御渡有之　其節志摩《割書：江》御時服《割書：三》御羽織《割書：一》拝領被仰付
一同月晦日権蔵様去十八日初而御目見被仰付候《割書：ニ》付為御礼
　御使者林又左衛門《割書：勝｜重》江戸表《割書：江》被指出之　今日福井出立
　　　但又左衛門江戸着日不詳　六月十四日御返書御渡有之
一同日甲斐守《割書：綱｜近》様《割書：江》御父出羽守《割書：綱｜澄》様御遺領《割書：雲州松江｜十八万六千石》無御相違被









　仰出
一六月朔日永平寺《割書：江》御参詣
一同月三日暑中《割書：ニ》付御機嫌為御伺御使者里村彦太夫
　江戸表《割書：江》被指出之　御肴一種被献之　彦太夫今日福井出立
　　　但彦太夫江戸着日不詳　同月十五日御返書御渡有之
一同月五日暑中《割書：ニ》付御書を以例之通御国産索麪被献之
一同月六日今度御新宅御普請御出来来ル九日御移徙有之《割書：ニ》付
　御番之儀左之通被仰出候旨夫々《割書：江》月番御家老稲葉采女《割書：治｜房》


　申渡之

　　　　　　　　　　　　御広間御番頭
　　　　　　　　　　　　　　　花木外記
　　　　　　　　　　　　　　　富永新左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　酒井孫四郎
　　　　　　　　　　　　　　　毛受長兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　天方五郎左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　嶋田清左衛門
一御広間番中六番《割書：ニ》相勤候処御新宅《割書：江》被成











　御座候内者泊り番十二番《割書：ニ》可相勤即御留守居番組
　中も加番《割書：ニ》相勤候面々本番同事《割書：ニ》相勤候様
　可申渡旨御番頭中者唯今迄之通可相勤旨被
　仰出候　御本城《割書：ニ》被成御座時者本之通《割書：ニ》御番
　供番可相勤旨
　　　　〆


　　　　　　　　　　　　瓦御門番月番
　　　　　　　　　　　　　　　佐野左京
　　　　　　　　　　　　　　　有賀斎宮


　　　　　　　　　　　　　　　中川六左衛門
一瓦御門番中六番《割書：ニ》相勤候処御新宅《割書：江》被成
　御座内者泊り番十二番可相勤旨被仰出候
　御本城被成御座内者本番之通六番《割書：ニ》可相勤旨

　　　　　　　　　瓦御門御番組
　　　　　　一番　　　　岡部新九郎
　　　　　　　　　　　　飯沼十郎右衛門
　　　　　　　　　　　　水谷六郎左衛門
　　　　　　　　　　　　松原角左衛門


　　　　　二番　　　　　　　　松原右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　多賀谷権太夫
　　　　　　　　　　　　　　　吉田三弥
　　　　　三番　　　　　　　　牧野主殿
　　　　　　　　　　　　　　　毛受監物
　　　　　　　　　　　　　　　本多又左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　永見牛之介
　　　　　四番　　　　　　　　西尾仁左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　酒井孫八
　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　瀧主計
　　　　　　　　　　　　　　　笹治八太夫
　　　　　五番　　　　　　　　高田小左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　菱沼市左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　笹治兵庫
　　　　　六番　　　　　　　　佐野左京
　　　　　　　　　　　　　　　有賀斎宮
　　　　　　　　　　　　　　　中川六左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　恒岡助八
　　　　　〆


　　　　　　　　　　　御先筒頭月番
　　　　　　　　　　　　　　　浅田宇右衛門
　　　　　　　　　　　切手御門当番
　　　　　　　　　　　　　　　本多次郎左衛門
一下馬御門太鼓御門切手御門物頭御番所者弐拾歳
　以上之忰有之面々御家老中《割書：江》相伺指図次第
　代番出之可相勤旨

　　　　　　　下馬御門御番帳


　　　　　　一番　　　那須左五右衛門
　　　　　　二々　　　力丸藤左衛門
　　　　　　三々　　　本多源五左衛門
　　　　　　四々　　　比企佐左衛門
　　　　　　五々　　　浅田宇右衛門
　　　　　　六々　　　伊野次郎太夫
　　　　　　七々　　　松原四郎兵衛

　　　　　　　太鼓御門御番帳

　　　　　　　


　　　　　　一番　　　佐久間猪右衛門
　　　　　　二々　　　三寺久左衛門
　　　　　　三々　　　林　又左衛門
　　　　　　四々　　　梶　久助
　　　　　　五々　　　津田源之丞
　　　　　　六々　　　久嶋武太夫

　　　　　　　切手御門御番帳
　　　　　　一番　　　水谷長兵衛


　　　　　　二々　　　本多次郎左衛門　
　　　　　　三々　　　津川弥左衛門
　　　　　　四々　　　根来左京
　　　　　　五々　　　西尾甚兵衛
　　　　　　　〆


　　　　　　　御書院番頭
　　　　　　　　　　仙石権右衛門
　　　　　　　　　　桑原源太左衛門


　　　　　　　　　　狛　十太夫
　　　　　　　　　　石丸造酒之介

御座所御番
　一御書院番中御本城被成御座候内者四番《割書：ニ》
　　相勤候処御座所《割書：江》被成御座候内《割書：者》泊り番《割書：者》
　　八番《割書：ニ》可相勤旨
　　　　〆　

　　　　　　　御使番月番
　　　　　　　　　　秋田六郎右衛門
　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　大藤金左衛門
　一御使番中御本城被成御座内《割書：者》四番相勤候処
　　御座所《割書：ニ》御座被成内《割書：者》泊り番《割書：者》八番《割書：ニ》可相勤旨
　　被仰出候　御本城《割書：ニ》被成御座時《割書：者》本之通御番
　　四番可相勤旨

　　　　　　　御使番御番帳
　　　　　一番　　　波々伯部角兵衛
　　　　　　　　　　林　六左衛門


　　　　　　　　　　葛巻治部右衛門
　　　　　　　　　　川合与三兵衛
　　　　　　　　　　成田吉左衛門

　　　　　二々　　　松原五兵衛
　　　　　　　　　　平岡仁兵衛
　　　　　　　　　　石原平右衛門
　　　　　　　　　　高屋七郎右衛門
　　　　　　　　　　榊原六郎左衛門


　　　　　三々　　　香西八郎兵衛　　
　　　　　　　　　　小倉平左衛門
　　　　　　　　　　長谷川武右衛門
　　　　　　　　　　彦坂又兵衛
　　　　　　　　　　佐野六郎左衛門

　　　　　四々　　　渥美助左衛門
　　　　　　　　　　出渕平兵衛


　　　　　　　　　　秋田六郎右衛門
　　　　　　　　　　渥美新右衛門
　　　　　　　　　　大藤金左衛門

　一六月九日御新宅《割書：下馬御門内三ノ丸《割書：江》御営築｜自是御座所之相唱》御普請御成就《割書：ニ》付《割書：吉江之御館をも｜御引御建添》
　　御本丸ゟ御移徙有之　右為御祝儀於御座之間本多
　　孫太郎《割書：長｜員》初御家老《割書：幷》本多民部《割書：道｜重》酒井玄蕃《割書：元｜知》芦田図書《割書：吉｜賢》
　　皆川多左衛門《割書：勝｜重》永見淡路《割書：吉｜政》稲垣安右衛門《割書：重｜猶》伊藤宗恕《割書：宗｜恕》江御
　　料理
　　御相伴被仰付　於御次之間御書院番頭御奏者番其外御役人


　　御小姓御料理被下之　右之内御出座宛被召出御盃頂戴之
　　御肴御直《割書：ニ》被下之　大名分瓦御門番御番頭物頭御使番出仕之
　　面々者月番御家老出席《割書：ニ》而御長蚫自分頂戴之
　一同月十日御帰国御礼御使者永見志摩《割書：吉｜洪》御目見且拝領物
　　被仰付候　為御礼御使者榊原六郎左衛門江戸表《割書：江》被指出之
　　今日福井出立
　一同月十五日今度初而御帰国《割書：ニ》付為御祝儀
　　仙菊様ゟ御使皆川平右衛門《割書：勝｜郷》を以銀拾枚御帷子二御単一日進之
　　万姫様ゟ御使松田半兵衛を以銀拾枚御単被進之









　一同月二十四日鯖波《割書：江》為御川狩被為入　御先乗市村勘右衛門
　　《割書：組召連｜鉄砲十挺》長谷川仁兵衛《割書：正吉》《割書：組召連杉形｜御鑓十本》被召連御先道具《割書：御弓立一組御弩瓢｜一穂御床杭御傘》
　　《割書：御立笠大鳥毛御鑓御具足櫃｜笈突留御鑓二本御腰物筒二》被為持《割書：七月朔日｜御帰殿》
　一七月六日為御生身魂御祝儀御使者を以黄金《割書：十｜両》被献之
　　御台様《割書：江》鯖御樽被指上之
　一同月八日市波《割書：江》為御川狩被為入《割書：同十三日｜御帰殿》
　　　　但御供立鯖江《割書：江》被為入候節《割書：与》御同様


　一同月九日御生身魂御祝儀被献候《割書：ニ》付而之御奉書
　　被相渡之

　　　　御状令披見候為生身魂之御祝儀
　　　　黄金十両被献之候遂披露候之処
　　　　一段之御仕合候　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　数直書判
　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　　　　　　　　　　広之書判







数直


　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　正則書判


　　　　　　　　松平兵部大輔殿



　一七月十九日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
　一同日於御泉水御屋敷相撲御覧有之


　一八月朔日為御祝儀御使者御物頭石川伝右衛門を以
　　御太刀馬代《割書：黄金｜十両》被献之
　一同日於御本丸御礼被為請畢而町人共一同
　　御目見被仰付　右例之通綿幷御肴献上
　一同月三日於御泉水御屋敷中村権太夫《割書：尚｜行》宮北長右衛門《割書：定｜重》
　　荒川彦太夫慶増団右衛門《割書：酒井玄蕃｜与力》弟子鎗術
　　御覧有之
　一同月十三日
　　公方様御機嫌為御伺御使者山田市郎右衛門江戸表《割書：江》被指出之


　　御国許之御肴一種被献之　市郎右衛門今日福井出立
　　　　　但市郎右衛門江戸着日不詳
　一八月十五日為御鷹狩勝見筋《割書：江》被為出　御帰御船《割書：ニ》而
　　酒井玄蕃《割書：元｜知》下屋敷《割書：江》被為入　御膳召上其節玄蕃《割書：江》御酒
　　御吸物御相伴被仰付　同姓弥一郎孫八《割書：元｜房》孫四郎《割書：元｜宣》《割書：江》茂
　　御盃頂戴　御肴御直《割書：ニ》被下之　夫ゟ庭中三階之茶屋《割書：ニ》而
　　御目見御興有之
　一同月《割書：日不｜詳》左之通御書付を以被仰出之


　　　　　　　家中武具之定
　　　　一旗折懸三幅地黒半月朱其下に面々之
　　　　　紋を可付事
　　　　一弓塗籠
　　　　一靱黒塗組紋ハ心次第
　　　　一鉄砲袋なめしにて黒
　　　　一長柄身と石つきかけて弐間三尺惣篭巻鞘
　　　　　鳥毛


　　　　一番組之外指物思ひ〳〵に可仕事
　　　　一大小姓馬廻之指物地黒金ノ半月竿付の
　　　　　方に名々字を可書付事
　　　　一与力の指物地黒半月朱其下《割書：ニ》寄親の
　　　　　紋を付竿付の方《割書：ニ》自分の名々字可書付
　　　　　事
　　　　一家中自分之騎馬指物与力同事半月
　　　　　之下《割書：ニ》主人之紋を可付并弓鉄砲之者指物
　　　　　壱本しない地黒半月朱其下に主人の


　　　　　紋を可付事

　　　　　　附具足黒紋ハ思々張笠黒金之丸三《割書：ツ》宛
　　　　　　可付事
　　　　右之通急度可相嗜但軍法役付者組頭ヘ
　　　　尋之可相守者也
　　　　　　延宝三年八月日

　　　　　　定
　　　　一従公儀被仰出御法度之旨不可相背


　　　　　事
　　　　一諸侍武具専可相嗜之《割書：并》弓鉄砲其外
　　　　　面々の得道具不断可令鍛錬事
　　　　一兵具之外不入道具を好私之奢不可致事
　　　　一乗馬者如先期之定三百石以上可所持之
　　　　　供之時者百石以上可持之事
　　　　一諸士不寄何事訴訟於有之者如前々
　　　　　当番之年寄迄以番頭可申之　番外者
　　　　　其並之輩を以可相達　以他所衆堅不可申之事


　　　　一喧嘩口論堅禁制畢　若有之時令荷担者
　　　　　其咎可重　於本人猥其場《割書：江》不可懸集事
　　　　　　附手負たる者不可隠置事
　　　　一本主之構有之者不可相抱有大科人之告者
　　　　　急度可返之　軽き罪之者に至ハ侍者届
　　　　　次第退散すへし　小者中間ハ可返之事
　　　　一不寄何事結徒党成誓約或ハ親類縁者
　　　　　或寄親子たりといふ共贔負偏頗
　　　　　不可仕事


　　　　一轉奕諸勝負《割書：并》不行儀之好色其外侍に
　　　　　不似合作法仕間敷事
　　　　一行死罪者有之時申付輩之外一切其場《割書：江》
　　　　　不可懸集事
　　　　　　　附追懸者同前事
　　　　一千石以上者私不可結婚　夫より以下
　　　　　小身之輩ハ内証遂相談年寄方《割書：江》可
　　　　　相達之事
　　　　一家宅営作或嫁娶之儀式或衣服饗応《割書：并》
　　　　　音信贈答以下制法之通堅相守之弥可為
　　　　　簡略事
　　　　　不孝之者有之ハ可処罪科事
　　　　一乗輿者千石以上《割書：并》式千国以上之嫡子或
　　　　　年五十以上墜十五歳以下或医師聴之
　　　　　組小身若年免許之輩ハ可為各別又
　　　　　行歩不叶病人ハ横目之者共《割書：ヘ》相断可
　　　　　受指図　若背此旨猥令駕乗相定
　　　　　過料可出之事


　 　　　一他所之侍当地罷通刻家中之侍不可出合
　　　　　但於為親類縁者ハ年寄方《割書：江》達之随
　　　　　左右可参会事
　　　　一諸侍私用在之候而自福居庄五里外《割書：江》於罷
　　　　　越者年寄方《割書：江》相断任其旨可罷出　若
　　　　　違背族在之ハ如定過料可出之事
　　　　一諸事其組之頭申渡事不可致違背
　　　　　事
　　　　右之条々准先制之旨定之畢可相守


　　　　者也　仍如件
　　　　　延宝三年八月日

　　　　　定
　　　　一御番不参之面々為過料高六百石以上ハ
　　　　　銀子壱枚　五百石以下ハ銀弐拾目宛可出之事
　　　　一長病大病之者番頭《割書：江》相断横目中《割書：江》
　　　　　煩之体相見せ可申事
　　　　一御番之面々半分宛食代可仕事


　　　　一御番之面々番所《割書：江》可相詰　若別之座敷《割書：ヘ》
　　　　　猥に出候者過料代物百匹可出事
　　　　一所々於御番所高雑談不仕神妙に可相詰
　　　　　事
　　　　右之条々堅可相守者也
　　　　　　延宝三年八月日

　　　　
　　　　　　条々
　　　　一寺社領《割書：江》非分申懸間敷事


　　　　一地下人迷惑之子細候而走之儀有之ハ其村之
　　　　　庄屋壱万石之組頭として留置可相達之
　　　　　遂穿鑿可申付事
　　　　一夏成其在所之畠方之高百石に付壱ツ半
　　　　　物成可納所之　但法之外悪所之地者見計
　　　　　可有用捨事
　　　　一諸納所升之上秤目如御蔵入可納所事
　　　　一高百石付夫米納五石宛給人可相納悪所者
　　　　　見立候而可有用捨遠夫小役等何にても申


　　　　　賭間敷之　若無拠用在之時百姓を雇
　　　　　於召仕者扶持方を出人足壱人付一日に日用
　　　　　銀五分宛馬一疋付飼料大豆弐升銀壱匁
　　　　　五分宛口付共可致下行但
　　　　　公儀御普請時者可為各別事
　一高百石付糠五斗入廿俵藁弐拾把詰六
　　拾束宛可納之事
　一高百石付雪垣之代銀五匁宛可納之事
　右此旨可相守者也


　　　延宝三年八月日

　一九月朔日於御本丸多賀谷三郎左衛門林孫左衛門飯島新左衛門《割書：由｜因》
　　恩田儀兵衛《割書：貞｜則》河合源太夫弟子弓術御覧有之
　　　　　　但今日之出仕相止
　一同月七日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖
　　被献之　追而於御城御内書御渡有之　御家来拝領
　　物等如例
　一同月十五日於御泉水御屋敷津田源之丞《割書：時｜成》長谷川武右衛門《割書：勝｜盛》


　　龍田宇左衛門《割書：斎藤民部｜与力》弟子炮術御覧有之
　一九月十八日弓術炮術鎗術師匠共《割書：江》御料理被下之
　　御小袖一宛拝領被仰付
　　　　　　但初而御覧《割書：ニ》付被下之
一同月廿日於増上寺嵩源院様五十四御忌御法事
　有之《割書：ニ》付御香奠被指上候処右御奉書今日被相渡之

　　　　　今度嵩源院様御遠忌之御法事
　　　　　御執行付而御香奠被献之候　於増上寺
　　　　　首尾好奉納之事候　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守
　　　　　　九月廿日　　　　　　　　数直書判
　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　　　　　　　　　　　　広之書判
　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　　正則書判

　　　　　　松平兵部大輔殿

　一同日於御座所御書院寛祥院《割書：江》御祈禱被仰付

　　


　　孔雀経読誦有之
　一九月廿一日吉江《割書：江》為御鷹狩被為入《割書：同廿三日｜御帰殿》
　一十月十一日
　　公方様御機嫌為御伺江戸表《割書：江》御使者被指出之　今日
　　福井出立
　　　　　但御使者江戸着不詳　十一月廿二日御返書御渡有之
　一同月廿日於御泉水御屋敷具御聞被成
　一同月廿九日御代替《割書：ニ》付今切御関所女通手形御家老ゟ
　　判鑑差出《割書：ニ》付中根平十郎《割書：正｜致》殿《割書：江》御書を以遣之


　一十一月七日当夏御拝領之御鷹捉飼之雁鴨御使者秋田
　　六左衛門を以被献之　今日福井出立
　　　　　　但六左衛門江戸着不詳
　一同月十三日重陽之御内書御頂戴且御家来拝領物
　　被仰付候　為御礼御使者被指出候処右御返書今日御渡有之
　一同月十四日横川御関所女通手形半鑑御家老ゟ指出候《割書：ニ》付
　　御関所預り堀田備中守《割書：正｜俊》殿《割書：江》御書を以被遣之
　一同月廿一日
　　禁裏御所御造営御成就《割書：ニ》付為御祝儀御使者笹治兵庫《割書：義｜次》










　　京都《割書：江》被指出之
　　禁裏御所《割書：江》御太刀馬代《割書：黄金一行目｜三枚二行目》
　　女御方《割書：江》白銀《割書：二十｜枚》被献之　兵庫今日出立
　一十一月廿三日
　　仙菊様御登城御元服御一字《割書：綱》御拝領被称
　　綱昌様従四位下侍従兼越前守御叙任
　一同月廿五日寒中《割書：ニ》付
　　公方様御機嫌為御伺江戸表《割書：江》御使者被指出　御肴一種被献之
　　御使者今日福井出立
　　　　　但右御使者江戸着日不詳　十二月九日御返書御渡有之
　一同月廿八日今度
　　本院御所炎上《割書：廿五日》ニ付
　　禁裏御所
　　女院御所
　　本院御所御機嫌為御伺京都《割書：江》御使者被指出之　御使者
　　今日福井出立
　一同日右同断《割書：ニ》付御使者長谷川武右衛門《割書：勝｜盛》江戸表《割書：江》指出之　今日
　　福井出立


　　　　　但武右衛門江戸着不詳　十二月九日御返書御渡有之
　一十一月廿九日今度
　　綱昌様御元服御官位被仰付候為御礼御使者笹治大学《割書：良｜次》
　　江戸表《割書：江》被指出之　今日福井出立
　一十二月三日於華蔵有之寺去朔日ゟ今日迄高照院様三回御忌
　　御法事御執行有之　於谷中南泉寺も御法事御執行
　　有之
　　　　但此節華蔵寺《割書：江》寺領七拾石被為附候旨被仰出之
　一同月七日寒中《割書：ニ》付御書を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被献之
　一同月為年始御祝儀御使者牧野主殿《割書：易｜之》江戸表《割書：江》被指出之　今日
　　福井出立
　一同月十日於孝顕寺昨九日夕ゟ今朝迄巌■好雷様三十
　　三回御忌御法事御執行有之
　一同月十一日
　　綱昌様御元服御叙任為御礼御使者笹治大學《割書：良｜次》を以
　　綿《割書：二百｜把》二種一荷被献之　大学御目見被仰付　追而御返答
　　御渡有之　其節大学《割書：江》御時服拝領被仰付
　一同日


　一綱昌様御叙任《割書：ニ》付御老中ゟ京都所司代永井伊賀守《割書：尚｜康》殿《割書：江》之
　　御奉書寄合菱沼市左衛門《割書：家｜次》持参　今日福井出立
　一十二月廿三日先達而《割書：去月｜廿五日》
　　本院御所炎上《割書：ニ》付為御見廻御使者大井田九右衛門京都《割書：江》
　　被指出之
　　本院御所《割書：江》奉書紙《割書：十｜束》被献之　久右衛門今日福井出立
　一同日徳丸様《割書：越後守《割書：光｜長》様御嫡｜実御次男》御元服被叙任従四位下侍従被称
　　三河守綱国《割書：御一字｜御拝領》
　一同月廿六日権蔵様御叙爵備中守直堅《割書：与》御改
　一同日出羽守《割書：綱｜近》様被任侍従　若狭守《割書：直｜明》様被叙従四位下　大助《割書：近｜時》様
　　《割書：上野介《割書：近｜栄》様｜御嫡》御叙爵式部少輔《割書：与》被改
　一同月廿七日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖《割書：五》被献之
　　追而於御城御内書御渡有之　御家来拝領物等如例
　一同日右同断《割書：ニ》付御使者を以御台様《割書：江》白銀《割書：十｜枚》被指上之
　一同月廿八日寒中《割書：ニ》付御使者を以例之通御国産《割書：ニ｜番》生鱈
　　被献之
　一同日
　　綱昌様御元服《割書：ニ》付而之御礼御使者笹治大學《割書：良｜次》










　　御目見且拝領物被仰付候　為御礼御使者上月武右衛門《割書：宜｜富》
　　江戸表《割書：江》被指出之　今日福井出立

　一此年吉江《割書：ニ》有之候時鐘福井地蔵町御門際土居《割書：江》被相移
　一此年吉江《割書：ニ》而御勧請有之候宗像明神之社
　　御座所御庭之内《割書：江》御引移被成
　一此年華蔵寺大随和尚隠居地相願候《割書：ニ》付於足羽郡小山谷
　　寺地被下　御合力米二拾俵被下之　号高照山瑞源寺
　　　　　但吉江御建立之御支度有之材木を以普請有之

延宝四年酉辰
　一正月朔日於御本丸年始御規式有之　於御座之間本多御礼
　　孫太郎《割書：長｜員》初御家老太刀目録持参御礼申上之　畢而於奥
　　御書院本多民部《割書：道｜重》太刀目録持参御礼申上之　相済於御座間
　　高知初太刀目録持参御礼申上之　被為入於奥御書院
　　万姫様御附隂山与兵衛幷御小姓中御礼申上御流之御盃頂戴
　　御長蚫御直《割書：ニ》被下之　御膳後再表《割書：江》被出諸士之御礼
　　被為請


　一同日為年始御祝儀御使者牧野主殿《割書：易｜之》を以御太刀馬代被献之
　一正月二日於御本丸御家老之嫡子初諸士之嫡子庶子御医師迄
　　御礼被為請
　一同月三日宜御頂戴之御使者菱沼市左衛門《割書：家｜次》京都御用
　　相済今日福井《割書：江》帰着
　一同日《割書：晩》御謡初御祝儀有之
　一同月五日京都所司代永井伊賀守《割書：尚｜庸》殿ゟ御老中《割書：江》之御返書
　　御徒《割書：長沼五郎右衛門》飛脚を以江戸表《割書：江》被指出之
　一同月六日於御本丸御菩提寺初寺院之御礼被為請　畢而諸町人御礼　
　　被為請　　
　　　　　但同月八日惣寺社御礼被為請
　一同月七日為御上初御使者を以例之通御肴《割書：鯛》被献之
　一同月十一日年始三ケ日之御規式相済候　為御祝儀御使者岡部
　　五郎兵衛《割書：元｜成》江戸表《割書：江》被指出之　御肴一種被献之　五郎兵衛今日福
　　井出立
　　　　　　但五郎兵衛江戸着不詳　正月廿五日御返書御渡有之
　一同月十八日御参勤御時節為御伺江戸表《割書：江》御使者被指出之
　　御使者今日福井出立
　　　　　但右御使者江戸着不詳









　一正月廿日於御座所御家老中召仕之女出替之儀《割書：ニ》付左之通御家老中　
　　《割書：幷》　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　町中《割書：江》相触候様町奉行《割書：江》月番御家老稲葉采女《割書：治｜房》申渡之
　　　　　御家中召仕之女二月八月両季之出替何も僉議
　　　　　之上不宜儀《割書：ニ》相極自今以後者三月五日ゟ明三月
　　　　　五日迄《割書：ニ》一季之出替《割書：ニ》相定可申候
　一同月廿七日甲府宰相《割書：綱｜吉》様御疱瘡《割書：ニ》付
　　公方様御機嫌為御伺御使者葛巻治部右衛門《割書：盛｜矢》江戸表被指出之
　　今日福井出立
　　　　　但治部右衛門江戸着不詳
　一同月《割書：日不｜詳》福島御関所女通手形之儀《割書：ニ》付山村甚兵衛殿《割書：江》御家老
　　判鏡指出之
　一二月朔日御参勤御時節御伺《割書：ニ》付而之御奉書於御老中宅御渡有之
　　　　　御状令拝見候
　　　　　公方様益御機嫌能被成御座珍重之旨尤之
　　　　　事候　将又参勤時分之儀以使者相伺之候及
　　　　　高聞候之処当四月中可致参府之由被
　　　　　仰出之候　可被得其意候　恐々謹言
　 　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　数直書判









　　　　　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　広之書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正則書判

　　　　　　松平兵部大輔殿

　一三月二日
　　大安院様三回御忌御相当《割書：ニ》付高野山《割書：江》御代参大関助左衛門《割書：直｜政》
　　被指遣之
　一同月十日歳暮之御内書御渡之節御家来拝領被仰付候
　　御礼御使者被指出候処右御返書今日被相渡之
　一同月十四日勝山平泉寺《割書：江》御参詣十五日御帰殿
　一同月廿四日於浄光院去廿日ゟ今日迄
　　大安院様三回御忌御法事御執行有之　於大安寺《割書：も》御茶湯
　　御執行有之
　一同月晦日為御参勤福井御発駕
　一四月八日於浄光院昨七日晩ゟ今朝迄
　　浄光院様七十回御御忌御法事御執行有之
　一同月十二日御着府　右御案内御老中若年寄中《割書：并》酒井


　　河内守《割書：忠｜挙》殿《割書：江》御使者並河平右衛門被指出之
　一四月十三日御参府《割書：ニ》付上使御老中土屋但馬守《割書：数｜直》殿此
　　御屋形《割書：江》御越　上意之趣御達有之　御退出後右為御礼
　　御老中《割書：江》御廻勤
　一一同月十四日明十五日四時前御登城御参勤之御礼可被
　　仰上旨且又御家来永見志摩《割書：吉｜洪》飯田主米《割書：安｜成》儀も
　　御目見被仰付候間被召連候様御老中土屋但馬守《割書：数｜直》殿御指図
　　之旨渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿阿部四郎五郎《割書：正｜之》殿ゟ申来
　一同月十五日《割書：五｜時》御登城御参勤之御礼被仰上　御太刀《割書：一｜腰》銀《割書：三百｜枚》
　　綿《割書：五百｜把》御献上畢而御家老永見志摩《割書：吉｜洪》御太刀銀馬代奉書紙《割書：十｜束》
　　飯田主米《割書：安｜成》御太刀銀馬代蠟燭《割書：二百｜挺》献上御目見被仰付　相済
　　御退出掛右為御礼御老中若年寄中《割書：幷》酒井河内守《割書：忠｜挙》殿《割書：江》
　　御廻勤
　一同日右同断《割書：ニ》付御使者を以御台様《割書：江》銀《割書：三百｜枚》■紙《割書：五十｜帖》被指上之
　一同日右同断《割書：ニ》付京都所司代永井伊賀守《割書：尚｜庸》殿《割書：江》御書被遣之
　一同日右同断《割書：ニ》付本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老御城代《割書：江》御書被成
　一同月十九日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
　一同日上使新庄与三右衛門《割書：直｜方》を以御鷹之鷭《割書：五》御拝領















　　與三右ヱ門殿此　御屋形江御越之節御玄関ニ而御拝領之鷭花木
　　外記《割書：吉｜時》請取之御書院江持参其節御広間板縁迄　御出迎
　　御案内ニ而輿三右衛門殿御書院江御返　上意之趣御達有之
　　御頂戴相済長蚫　御直御居被成御拝領之鷭御吸物ニ而
　　御盃事有之御料理ハ御断ニ付不出御退出之節御玄関迄
　　御送被成右為御礼　御登　城夫ゟ御老中江　御廻勤
　　　　　但是迄御老中江御使者被指出候得共今度　御廻勤被成
一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単御袷
　　被献之追而　御内書於　御城御渡有之御家来拝領物等如例

一　六月十三日暑中ニ付御使者を以例之通素麵干鯛被献之
一　同月廿一日評定所御勝手向御不如意ニ付左之通諸月番江
　　月番御家老狛杢允《割書：貞｜澄》申渡之
　　　　　殿様御勝手必至とふ被為　成御借銀高弐万貫■
　　　　　御座候ニ付今度従江戸■江刑部右衛門被遣何も相談
　　　　　可仕依之面々存寄も於有之者可申上旨
　　　　　　　但御借銀高御勝手諸積之御帳諸月番江御奉行
　　　　　　　　読聞之
一　七月六日為　御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金

　　被献之　御臺様江鯖《割書：五十｜刺入》一箱小樽一荷被指上之
一　七月八日　上使三好備前守《割書：勝｜仕》殿を以　御鷹之雲雀《割書：二十｜》　御拝領
　　備前守殿此　御屋形江御越之節御玄関ニ而雲雀花木外記《割書：■｜時》
　　請取之御書院江持参其節御広間板縁迄　御出迎御案内ニ而
　　備前守殿御書院江御返　上意之趣御達有之御頂戴相済
　　御長蚫　御直ニ御居被成御拝領之雲雀御吸物ニ而御盃事
　　有之御料理を御断ニ付不出御退出之節御玄関迄　御送被成
　　右御礼御不快ニ付為　御名代
　　綱昌様　御登　城夫ゟ御老中　御廻勤

一　同月十八日上野介《割書：近｜栄》様御登　城《割書：昨十七日御老中土屋｜但馬守殿ゟ御切紙を以被仰出》被成候処飛鳥井
　　大納言《割書：雅｜章》殿御孫女《割書：清姫様｜》
　　昌親様御養女《割書：實｜御姪》被成
　　綱昌様江御縁組被成度段
　　昌親様兼而御願之通被　仰出候旨御老中土屋
　　但馬守《割書：■｜直》殿御達有之上野介様御退出掛此　御屋形江御越
　　右之趣被　仰上之右為御礼御老中若年寄中幷酒井
　　河内守《割書：忠｜■》殿江御使者御家老飯田主米《割書：安｜成》被指出之
　　　　　但昌親様御不快ニ付上野介様被為　召ヽ








一　七月十九日御使者を以例之通御国産初鱈《割書：三｜》被献之
一　同月廿日渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿阿部四郎五郎《割書：正｜之》殿此　御屋形江御越
　　明廿一日御用之儀候間　御父子様《割書：幷｜》上野介《割書：近｜栄》様御同道四時分
　　御登　城被成候様可申達旨御老中被　仰渡候段御達有之
一　同月廿一日
　　昌親様　綱昌様幷上野介《割書：近｜栄》様御同道　御登　城被成候処於
　　御白書院御老中列座兵部太夫存知も有之旨ニ而強而願之段
　　被　聞召届未年若ニも候得共病者ニも有之間願之通被
　　仰付家督無相違越前守江被　仰出候併大国之儀越前守

　　若年ニも候間国之仕置等諸事無遠慮差図可仕旨
　　上意之段御大老酒井雅樂頭《割書：忠｜清》殿御達有之
　　昌親様御請ニ者重畳御懇之　上意難有仕合奉存候私儀
　　不調法者之儀候得共譜代之家老家来共も有之候間万事
　　相談仕　御威光を以国静成様ニ随分仕置等申付越前守
　　御奉公可為仕旨被　仰上相済　御退出
一　同月廿二日御表ゟ
　　綱昌様御部屋江　御移替被成　万姫様ニも御一所ニ御移替
　　被成
　　














　　　昌親様御相続以後
一　御国許江御暇之節御拝領物
　　　但御鷹者　御初入ゟ御拝領
一　御参勤之節御献上物幷　御臺様江指上物
一　御在府中　御鷹之鳥類御拝領
一　御在国中　御鷹之鶴御拝領
一　年中御祝儀物又御精進揚御肴御献立
一　年中御国産御献上
一　御帰国御礼御使者を初御家来

　　　　御目見拝領物献上物等
　　　右
　　　光道様御代ｄ同断
　　　　但御臺様江者　御参勤之節之外七夕鯖三十刺御樽一荷
　　　　　歳暮白銀十枚宛被指上此外定式物無之
　　　　　〆
一　御纏御馬印御旗等
　　忠昌様　光通様御代之通御用之

　　
　　【裏　表紙】

家譜

【表紙】
【題箋】
《題：家譜《割書：吉邦公》《割書：従天和元年｜到寶永七年七月四日》二十七》

【左丁】
吉邦様《割書：従天和元年辛酉至寶永｜七年庚寅七月四日》

　　　　　　　伊豫守
　　　　　　　　吉邦様　初昌尚又昌邦と御改
　　　　　　　　　　　　寶永元年吉邦と御改
綱吉様御代
天和元年辛酉　此年延寶九年
　　　　　　　十月九日改元

一正月十二日《割書：丑
刻》　於江戸浅草御屋敷御誕生《割書：御本卦兌
御性木》
　奉称
　勝千代様後

　　　吉品様御養子と被為　成
　　　　　中務大輔昌勝様之御六男御母秋山氏
　　　　　　　　　　　　　　　　　知久秋山六大夫女後
　　　　　　　　　　　　　　　　　号智高院



天和三年癸亥

　一正月廿六日先達而ゟ御疱瘡之処御快ニ付御酒湯御祝儀有之
　一十一月十五日御袴着御祝儀有之

元禄六年癸酉
　一十一月十五日御名
　　伊織様と御改被成

元禄八年乙亥

　一四月二日　御袖留御祝儀有之

　　元禄十年丁丑

　　　　一二月十一日御前髪被為　執

【右丁　白紙】
【左丁】
元禄十四年辛巳

一　三月五日《割書：朝七｜半時》霊巖嶋御屋敷江　御出《割書：御供廻り松岡様之｜御振合にて御馬上》
　　昌明様と御同道にて御登城被成候処御老中列座ニ而
　　昌明様御願之通《割書：去月廿六日御願書｜被指出》御養子被　仰出候旨御用番
　　土屋相模守《割書：政｜直》殿御達有之御退出掛為御禮御同道ニ而御老中
　　若年寄中江　御廻勤

一　同日右同断ニ付御供廻り御乗物御道具等之儀御用番

【右丁】
　　土屋相模守《割書：政｜直》殿江
　　昌明様ゟ御伺被成候処御勝手次第被成候様御指圖有之

一　三月六日朝御乗物幷御道具御供中浅草御屋敷江為御迎
　　罷越霊巖嶋御屋敷江被為入
　　昌明様　御同道ニ而御側衆幷志摩守《割書：直｜丘》様本庄安藝守　殿
　　大岡美農守《割書：忠｜高》殿徳山五兵衛《割書：重｜年》殿江　御勤夫ゟ浅草御屋敷江
　　御帰被成

一　同月七日浅草御屋敷ゟ霊巖嶋御屋敷江御引移夫ゟ
　　昌明様と御同道ニ而御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿江
【左丁】
　　御逢對　御勤　御帰殿後裏御座敷江御同道　御着座
　　御長蚫御吸物出三献之御祝有之
　　昌明様ゟ御盃被進之其節御大小《割書：御刀備前守家代金十五枚｜御脇指信國代金十枚》被進之
　　大岡美農守《割書：忠｜高》殿被指出被指上之
　　伊織様ゟ御返盃有之於御同所御料理出《割書：三汁｜八菜》御客衆御相伴
　　ニ而御祝有之相済角御屋敷江被為　入
　　　　　但表御居間御普請至来不申ニ付御一所ニ御住居被成

一　同月十五日御名
　　大炊様と御改被成

【右丁】
一　同日
　　昌明様と御同道ニ而御登　城《割書：昨十四日御老中ゟ｜御切紙来》御養子之御禮
　　被　仰上御太刀金馬代御小袖十御献上《割書：去九日御伺濟｜以下同断》
　　御臺様　桂昌院様江紗綾十巻白銀十枚宛被指上之御退去
　　掛御同道ニ而御老中若年寄中江　御廻勤

一　三月廿五日
　　昌明様と御同道ニ而御老中小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江御逢對
　　御勤

一　同月廿七日御同道ニ而御老中稲葉丹後守《割書：正｜通》殿江右同断
【左丁】
　　御勤

一　四月廿二日御同道ニ而御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿江右同断
　　御勤

一　同月廿五日御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿ゟ御呼出御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》
　　罷出候処五節句御登城之儀
　　昌明様御願之通被　仰出候ニ付左之通御書付御渡有之
　　　　　　　五節句御禮ニ可被有出仕候
　　　　　　　　各江御禮ニハ　御目見被致候以後可被相越候

一　五月五日　御登　城初而節句之御禮被　仰上《割書：志摩守直丘様｜御同道》

【右丁】
一　八月朔日為御祝儀　御登　城

一　十二月十八日志摩守《割書：直｜丘》様と御同道ニ而御登城被成候処《割書：昨十七日御老中ゟ｜連名之御切紙来》
　　於御白書院御老中列座被叙四品之旨御老中秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿
　　御達有之御請被　仰上御退出掛御老中幷御側御用人若年
　　寄中江　御廻勤今日ゟ
　　大炊頭昌尚と被称

一　同日右同断ニ付御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》を以御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江
　　左之通御伺書被指出之

【左丁】
　　　　　覺
　　　一　今日四品ニ被　仰出候ニ付同姓兵部大輔在所ゟ以
　　　　　使者御禮可申上候其節献上物如何様之品指上
　　　　　可然哉之事
　　　一　使者柄之儀番頭格好之者を以御禮可申上哉之事
　　　一　私名則大炊頭ニ罷成候此旨御用番ニ御届可申
　　　　　達哉之事
　　　　　　　以上
　　　　　十二月十八日　　　松平大炊頭

【右丁】
　　　　　　但右被指出候處
　　　　　　　昌明様ゟ御禮之儀御使札可被指出候御使者柄
　　　　　　　之儀者御勝手次第御献上物ニハ不及旨御指圖
　　　　　　　有之

一　同日右同断ニ付本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老御城代江　御書被成

一　十二月十九日右同断ニ付御留守居村上三大夫《割書：長｜峯》を以御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江
　　左之通御伺書被指出之

　　　　　　　覺
　　　　　私官位之御禮被　仰付候節献上物之儀御指圖
【左丁】
　　　　　被成可被下候私並之献上物別紙書付懸御目候以上
　　　　　　　十二月十九日　　　松平大炊頭
　　　　　　　　〆
　　　　　　　覺
　　　　一　四品被　仰出御禮申上候節
　　　　　　公方様江
　　　　　　　御太刀
　　　　　　　金馬代
　　　　　　　御小袖五

【右丁】
　　　　　　　御臺様江
　　　　　　　　白銀五枚
　　　　　　　三之丸様江
　　　　　　　　白銀五枚
　　　　　　　右之通献上可仕哉

　　　　　　　御城女中江
　　　　　　　　銀三枚　　右衛門佐殿
　　　　　　　　同二枚　　大典侍殿
【左丁】
　　　　　　　　同断　　　重齢殿【高瀬？】
　　　　　　　　同断　　　松元殿
　　　　　　　　同断　　　豊小路殿
　　　　　　　　同一枚　　おそゝ殿
　　　　　　　　同壱枚宛　御表使四人
　　　　　　右之通部屋住並之趣ニ御座候
　　　　　　　但右被指上候処御伺之通御献上被成候様御指圖
　　　　　　　　有之

一　十二月廿一日内匠頭《割書：昌｜平》様と御同道ニ而御用番秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿江

【右丁】
　　御逢對　御勤夫ゟ土屋相模守《割書：政｜直》殿江　御勤《割書：御同道徳山｜五兵衛殿》

一　十二月廿二日徳山五兵衛《割書：重｜年》殿ゟ申來荻野孫右衛門《割書：政｜封》罷出候處
　　月次御登城之儀
　　昌明様ゟ御願可被成哉
　　昌尚様ゟ御願可被成哉之旨五兵衛殿ゟ御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿迄
　　被相伺候処御國表ゟ被指出候而者延引ニ相成候間
　　昌尚様ゟ御願被成可然旨御指圖之趣五兵衛殿被申聞之
　　　　但右ニ付御叙位之御禮相濟以後御願可被成候之旨
　　　　　五兵衛殿迄御留守居江相伺候処其後相模守殿ゟ申來
【左丁】
　　　　　村上三大夫罷出候処四品以上之御方之儀者被達
　　　　　上聞候儀ニ付早速御願被成可然旨之由用人金子岡右衛門
　　　　　を以被申聞之

一　同月廿七日御用番秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿江徳山五兵衛《割書：重｜年》殿を以左之通
　　御願書被指出之
　　　　私儀官位被　仰出有難奉存候此以後月次之
　　　　御禮申上度奉願候以上
　　　　　十二月廿七日　　　松平大炊頭

【右丁】
一　十二月廿八日　御登　城《割書：熨斗目御長袴｜御着用》御叙位之御禮被　仰上
　　《割書：昨廿七日秋元但馬守殿ゟ｜御老中連名之御切紙來》御太刀馬代《割書：黄金｜十両》御小袖五御献上　御臺様
　　桂昌院様江白銀五枚宛被指上之御退出掛御老中幷御側御用人
　　若年寄中江　御廻勤
　　　　但御城女中江御贈物之儀不記之

一　同日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》を以左之通
　　御伺書被指出之
　　　　　　　　　　覺
　　　　一　當晦日歳暮御禮之儀同姓兵部大輔跡々ゟ
【左丁】
　　　　　　相勤候通私儀も登　城可仕哉之事
　　　　一　年頭之御禮登　城仕儀兵部大輔元朝ニ跡々ゟ
　　　　　　御禮申上候私儀も元朝ニ登　城可仕哉之事
　　　　　　　　以上
　　　　　　　十二月廿八日　　　松平大炊頭
　　　　　　　　但右被指出候御歳暮之儀者月次御禮以前ニ付
　　　　　　　　　御無用ニ可被成候年始之儀者元朝ニ御登
　　　　　　　　　城可被成旨御指圖有之

一　同月廿九日御老中秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿ゟ御呼出ニ付御留守居

【右丁】
　　罷出候處口　宣御渡之儀ニ付御老中ゟ京都所司代
　　松平紀伊守《割書：信｜庸》殿江之御奉書御渡有之
　　　　但右御奉書御徒飛脚《割書：原田｜長兵衛》を以御國表江被指遣之正月
　　　　　七日福ゐ江着

【左丁】
元禄十五年壬午
一　正月朔日年始御祝儀初而　御登　城於白書院御禮
　　被　仰上呉服御拝領
　　　　　　但御太刀馬代御献上之儀不詳

一　同月五日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》を以
　　左之通御伺書被指出候処御並之通御勤可被成旨御指圖
　　有之

【右丁】
　　　　　　口上之覺
　　　　上野増上寺其外　御成之節　還御為伺
　　　　御機嫌以使者部屋住並之通可奉伺哉御指
　　　　圖被成可被下候以上
　　　　　正月五日　　　　　松平大炊頭

一　正月十一日御老中秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿ゟ御呼出御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》
　　罷出候処旧臘御願被成候月次御登城之儀御願之通被　仰出
　　候旨被申渡左之通御書付被相渡之
【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　松平大炊頭
　　　　月次御禮可有登　城候
　　　　　各江御禮ニハ　御目見被致候以後可被相越候

一　同月十三日口　宣御頂戴之儀ニ付御老中ゟ京都所司代江之
　　御奉書御使者寄合松原八左衛門《割書：嘉｜雄》持参被　仰付京都江被指
　　出之今日福井出立

一　同月十五日月次初而　御登　城御禮被　仰上

一　同月十八日御使者松原八左衛門《割書：嘉｜雄》去十六日京着今日所司代
　　松平紀伊守《割書：信｜庸》殿江罷出御書幷御老中ゟ之御奉書差出之

【左右丁区切り判然とせず】
一　正月廿六日傳　奏衆亭江御呼出ニ付御使者松原八左衛門《割書：嘉｜雄》罷出
　　候處高野前大納言《割書：保｜春》殿柳原前大納言《割書：資｜兼》殿御列座ニ而口　宣等
　　御渡有之其節御献上之御官物左之通雑掌江相渡之
　　　　　従五位下諸大夫成
　　　禁裏江黄金一枚
　　　仙洞御所江白銀三枚
　　　女院御所江同三枚
　　　准后御方江同三枚
　　　女御御方江同三枚

　　　内侍所江同四拾目

　　　　　従四位成
　　　禁裏江黄金一枚
　　　仙洞御所江白銀三枚
　　　女院御所江同三枚
　　　准后御方江同三枚
　　　女御御方江同三枚
　　　内侍所江同四拾目

【右丁】
　　　　　　但諸大夫成従四位成共　御所方御附上臈御局等江
　　　　　　　御贈物有之候得共略之
　　右相濟所司代松平紀伊守《割書：信｜庸》殿江罷出口　宣等受取御献上
　　物相納候段相達之

一　二月六日松原八左衛門《割書：嘉｜雄》御頂戴之位記口　宣等持参去月晦日
　　京都出立去四日帰着ニ付右口　宣等御使者巖田惣太夫《割書：重｜堅》を以
　　江戸表江指上之今日福井出立

一　同月十五日右同断御使者巖田惣太夫《割書：重｜堅》江戸着ニ付口　宣等
　　御頂戴被成
【左丁】
　　　口　宣案

　　　　上卿　中山大納言
　　　　　元禄十三年十二月廿一日　　　宣旨
　　　　　　　源　昌尚
　　　　　　　　冝叙従五位下
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奉
　　　　　　　　　　蔵人頭左近衛権中将藤原隆長

【右丁】
位記
　　　　　源朝臣昌尚
　　　　　　右可從五位下
　　中務性理恪勤功効克宣
　　慶賞攸鐘抑惟令典宣授
　　榮爵用光寵章可依前件
　　主者施行
　　　
　　　元禄十三年十二月廿一日
【左丁】
　　　　無品中務卿邦永親王　　　　　　　　　　　　　　宣
　　　　從四位上行中務大輔臣藤原朝臣資順　　　　　　　奉
　　　　從五位下少外兼記守中務少輔内記臣中原朝臣職永　行
　　正二位行権大納言兼右近衛大將臣　　　　　　　　　伊季
　　正二位行権大納言臣　　　　　　　　　　　　　　　通誠
　　從二位行権大納言兼左近衛大將臣　　　　　　　　　綱平
　　從二位行権大納言臣　　　　　　　　　　　　　　　豊忠
　　從二位行権大納言臣　　　　　　　　　　　　　　　持實

【右丁】
　　從二位行権大納言臣　　　　　　　　　　　　篤親
　　從二位行権大納言臣　　　　　　　　　　　　熈定
　　権大納言正三位臣　　　　　　　　　　　　　公全
　　権大納言正三位臣　　　　　　　　　　　　　家久
　　從三位守権大納言臣　　　　　　　　　　　　師孝
　　從二位行権中納言臣　　　　　　　　　　　　隆眞
　　從二位行権中納言臣　　　　　　　　　　　　隆慶
　　正三位行権中納言臣　　　　　　　　　　　　實富
　　正三位行権中納言臣　　　　　　　　　　　　基勝
【左丁】
　　正三位行権中納言臣　　　　　　　　　　　　頼重
　　正三位行権中納言臣　　　　　　　　　　　　定経
　　権中納言從三位臣　　　　　　　　　　　　　致季
　　権中納言從三位臣　　　　　　　　　　　　　経音
　　権中納言從三位臣
　　権中納言從三位兼行左近衛権中將臣吉忠等言
　　制書如右請奉
　　制附外施行謹言
　　　元禄十三年十二月廿一日

【右丁】
　　制可
　　　月日辰時　　正四位下大外記兼造酒掃部正頭中原朝臣師庸
　　　　　　　　　　　　左中弁　輝光

　　關白從一位朝臣
　　大政大臣闕
　　左大臣
　　右大臣正二位朝臣
　　内大臣正二位朝臣
　　式部卿闕
【左丁】
　　從三位行左大辨尹隆
　　告從五位下源昌尚
　　制書如右符致奉行
　　正二位行式部大輔
　　正五位下少納言兼侍従式部少輔明経博士弘賢
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大録
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　少録
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　少録
　　　元禄十三年十二月廿一日

【右丁】
　　口　宣案

　　　　上卿　花山院大納言
　　　　　元禄十四年十二月十八日　　　宣旨
　　　　　　　　従五位下源昌尚
　　　　　　　　　宣叙従四位下
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奉
　　　　　　　　　　　蔵人頭右大辨藤原輝光

　位記
【左丁】
　　　　　從五位下源朝臣昌尚
　　　　　　　右可從四位下
　　中務表節兵欄宣勤羽衛
　　精誠無懈夙夜在公宣増
　　朝章式加階級可依前件
　　主者施行
　　　　元禄十四年十二月十八日
　　　　　無品中務卿邦永親王　　　　　　　　　　宣
　　　　　正四位下行中務大輔臣藤原朝臣資順　　　奉

【右丁】
　　　　從五位下守中務少輔兼行少内記臣中原朝臣職永　　行
　　正二位行権大納言兼右近衛大將臣　　　　　　　　　伊季
　　正二位行権大納言臣　　　　　　　　　　　　　　　通誠
　　從二位行権大納言兼左近衛大將臣　　　　　　　　　綱平
　　從二位行権大納言臣　　　　　　　　　　　　　　　豊忠
　　從二位行権大納言臣　　　　　　　　　　　　　　　持實
　　從二位行権大納言臣　　　　　　　　　　　　　　　公量
　　從二位行権大納言臣　　　　　　　　　　　　　　　篤親
　　権大納言従三位臣　　　　　　　　　　　　　　　　公全
【左丁】
　　権大納言従三位臣　　　　　　　　　　　　　　　　家久
　　権大納言従三位臣　　　　　　　　　　　　　　　　師孝
　　正三位行権中納言臣　　　　　　　　　　　　　　　爲茂
　　正三位行権中納言臣　　　　　　　　　　　　　　　時方
　　正三位行権中納言臣　　　　　　　　　　　　　　　基勝
　　正三位行権中納言臣　　　　　　　　　　　　　　　通躬
　　正三位行権中納言臣　　　　　　　　　　　　　　　頼重
　　正三位行権中納言臣　　　　　　　　　　　　　　　致季
　　正三位行権中納言臣　　　　　　　　　　　　　　　経音

【右丁】
　　正三位行権中納言臣　　　　　　　　　　　　　　　昭尹
　　正三位行権中納言臣　　　　　　　　　　　　　　　尹隆
　　正三位行権中納言兼左近衛中將臣吉忠等言
　　制書如右請奉
　　制附外施行謹言
　　　元禄十四年十二月十八日
　　制可
　　　月日辰時　正四位下大外記兼掃部頭造酒中原朝臣師庸
　　　　　　　　　　　　左中辨　　兼廉
【左丁】
　　關白従一位朝臣
　　大政大臣闕
　　左大臣正二位朝臣
　　右大臣正二位朝臣
　　内大臣正二位朝臣
　　式部卿闕
　　正二位行式部大輔豊長
　　参議従三位行左大辨俊清
　　告従四位下源朝臣昌尚奉

【右丁】
　　制書如右符到奉行
　　式部少輔闕
　　　　　　　　　　　大録
　　　　　　　　　　　少録
　　　　　　　　　　　少録
　　　　元禄十四年十二月十八日
　口　宣案
【左丁】
　　　上卿　花山院大納言
　　　　元禄十四年十二月十八日　　　宣旨
　　　　　　従四位下源昌尚朝臣
　　　　　　　宜任大炊頭
　　　　　　　　　　蔵人頭右大辨藤原輝光

　　宣旨

　　　　　　　従四位下源朝臣昌尚
　　　従二位行権大納言藤原朝臣持實

【右丁】
　　　　宣奉　　　勅件人宜令任
　　　　大炊頭者
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奉
　　　　　元禄十四年十二月十八日大外記兼掃部頭造酒正
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　中原朝臣師庸
　　　　　　但右位記口　宣之内元禄十三年と有之分ハ於京都
　　　　　　年月を被替□候ニ而今度一所ニ御渡之儀被相
　　　　　　見江候ニ付其儘相記之

一　　三月廿八日　桂昌院様御叙位御祝儀之御能有之ニ付為
　　　御見物御登　城
　　　公方様御自身被遊候御能御拝見被成
【左丁】
一　　四月十日
　　　昌明様御参府ニ付　上使御老中土屋相模守《割書：一政｜直》殿御越其節
　　　昌明様と御一所ニ御送迎被成
　　　　　　但上使御越之節御一所ニ御送迎之儀以後不記之

一　六月十一日嘉定御祝儀御登城之儀昨十日徳山五兵衛《割書：重｜年》殿大岡
　　治右衛門《割書：忠｜両》殿を以
　　昌明様ゟ御老中土屋相模守《割書：一政｜直》殿迄御内意御伺被成候処御登城
　　被成候様今日御指圖有之

一　同月十六日

【右丁】
　　昌明様と御同道ニ而　御登　城嘉定御祝儀初而被　仰上御退
　　出掛為御禮御老中幷御側御用人仁　御廻勤

一　六月晦日暑中ニ付　御機嫌為御伺
　　昌明様と御同道ニ而御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江　御勤

一　八月朔日為御祝儀
　　昌明様と御同道ニ而　御登　城御太刀馬代御献上

一　十一月廿七日今度葵御紋御着用被　仰出候ニ付
　　昌明様と御同道ニ而御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江　御勤夫ゟ為
　　御禮
【左丁】
　　昌尚様御用番秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿江　御勤

一　十二月二日
　　昌明様と御同道ニ而御老中稲葉丹後守《割書：正｜通》殿江御逢對　御勤

一　同月十八日御老中小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江右同断　御勤

一　同月廿八日歳暮御祝儀御登城之儀ニ付
　　昌明様ゟ御用番稲葉丹後守《割書：正｜通》殿江左之通御伺御書被指出候処
　　明廿九日御指圖可有之旨被申聞之
　　　　　　　口上之覺
　　　　為歳暮之御祝儀同姓大炊頭儀明後晦日

【右丁】
　　　　為致登　城度奉存候御指圖被成可被下候為
　　　　伺以使者申達候以上
　　　　　　十二月廿八日　　　　松平兵部大輔

一　十二月廿九日右同断ニ付御用番稲葉丹後守《割書：正｜通》殿江御留守居
　　村上三大夫《割書：正｜峯》罷出候処御先格之通御登城被成候様御指圖有之
　　　　但御登城之儀御記録類不詳

【左丁】
元禄十六年癸未
一　正月朔日為年始御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代御献上
　　呉服御拝領

一　二月廿一日釋菜ニ付聖堂江　御参詣御太刀馬代御献備有之

一　同月廿二日
　　公方様松平右京大夫《割書：輝｜貞》殿江　御成ニ付還御後　御機嫌為御伺
　　御用番秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿江御使者御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》被指出之

【右丁】
　　　　　　但還御後御機嫌御伺之儀以後定例故不記之

一　五月十九日御用番稲葉丹後守《割書：正｜通》殿江御逢對　御勤

一　同月廿三日地震ニ付
　　公方様御機嫌為御伺御用番稲葉丹後守《割書：正｜通》殿江御使者
　　御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》被指出之　一位様御機嫌為御伺御老中
　　秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿江御使者御留守居松原善左衛門《割書：矩｜成》被指出之

一　六月朔日月次御登城御退出掛
　　昌明様御帰國之御禮御使者　御目見被　仰付候為御禮
　　御老中幷若年寄中江　御廻勤
【左丁】
一　同月十一日暑中ニ付　御機嫌為御伺御用番小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江
　　御勤

一　同月十四日右同断ニ付　一位様御機嫌為御伺御老中秋元
　　但馬守《割書：喬｜朝》殿江　御勤

一　同月十六日為嘉定御祝儀　御登　城御禮被　仰上御菓子
　　御頂戴
　　　但右御登城御菓子御頂戴之儀以後不記之

一　同月廿九日御名乗
　　昌邦様と御改被成

【右丁】
　　　　但御字撰之儀
　　　　　昌明様ゟ廣瀬幽閑ニ被　仰付

一　八月四日諏訪安藝守《割書：忠｜虎》殿御奥方菊姫様御卒去之処御妹ニ付
　　十日ニ四十五日之御忌服御受被　成候段御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江
　　御書付を以て御留守居ゟ相達之

一　十月十二日御用番稲葉丹後守《割書：正｜通》殿江御逢對　御勤

一　同月廿日　一位様御不快ニ付御機嫌為御伺老中秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿幷
　　本庄安藝守《割書：宗｜資》殿江　御勤

一　十一月二日地震ニ付　御機嫌為御伺御用番小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江
【左丁】
　　御使者御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》被指出之

一　同月廿三日大地震ニ付　御機嫌為御伺御用番小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江
　　御勤　一位様御機嫌為御伺御老中秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿江　御勤
　　　　但右　御機嫌御伺之御使者毎日被指出候処強地震相止
　　　　　候ニ付廿五日ゟ不及其儀旨被　仰出

一　十二月十日寒中ニ付　御機嫌為御伺御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江
　　御勤

一　同月十二日右同断ニ付　一位様御機嫌為御伺御老中秋元
　　但馬守《割書：喬｜朝》殿幷　本庄安藝守《割書：宗｜資》殿江　御勤

【右丁　白紙】
【左丁】
寶永元年甲申《割書：此年元禄十七年｜四月十三日改元》

一　正月朔日為年始御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代御献上
　　御禮被　仰上御盃御頂戴呉服《割書：しゝら熨斗目｜綸子蝶裏紅》御拝領

一　四月十三日　鶴姫君様御逝去ニ付
　　公方様御機嫌為御伺
　　昌明様御同道ニ而　御登城夫ゟ　一位様御機嫌為御伺
　　御老中秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿江　御勤

【右丁】
一　四月十四日右同断ニ付　御登　城夫ゟ　一位様御機嫌為御伺
　　本庄安藝守《割書：宗｜資》殿江　御勤
　　　　　但翌十五日も御登城

一　同月十八日
　　公方様御服中　御機嫌為御伺
　　昌明様と御同道ニ而御用番小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿幷御側御用人江
　　御勤　一位様御機嫌為御伺御老中秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿江　御勤

一　同月廿二日
　　公方様御忌明ニ付
【左丁】
　　昌明様と御同道ニ而御用番小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿幷御側御用人江
　　御勤

一　同月廿八日御登　城今日ゟ御長刀為御持被成《割書：御老中土屋相模守政尚殿江｜御伺之上》

一　同月晦日御登城被成候処《割書：去廿八日於御戴｜大目付中御達》年号寶永と改元被
　　仰出候旨御老中御達有之

一　五月九日於東叡山
　　厳有院様御法事有之ニ付御使者花木右門　を以御香奠
　　銀三枚被献之

一　同日御法事相濟候為御祝儀　御登　城御老中幷御側御用人

【右丁】
　　若年寄中江御使者御使番被指出之

一　五月廿一日今度
　　昌明様御手傳被蒙　仰候御城廻石垣御普請御場所為
　　御見分御同道ニ而　御出被成
　　　　但以後毎度御出被成候得共不記之

一　六月十日中務大輔《割書：昌｜平》様御弟内記《割書：昌｜純》様御卒去之処御實方
　　御兄ニ付半減《割書：十日四十｜五日》之御忌服被為　受候段御使者御留守居
　　松原善左衛門《割書：矩｜成》を以御老中江御達有之
　　　　　【《割書：大正十五年七月品用｜梅安寺墓地ニ□□》の刻印あり】

一　同月廿二日暑中ニ付御機嫌為御伺御用番秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿江
　　　　　　　　【後筆　昌純□】
【左丁】
　　御勤　一位様御機嫌為御伺本庄安藝守《割書：宗｜資》殿江　御勤

一　八月朔日為御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代御献上

一　九月十九日御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿卒去ニ付《割書：去十｜七日》
　　公方様御機嫌為御伺御用番小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿幷御側御用人江
　　御使者御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》被指出之

一　十月廿七日御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿ゟ左之通御切紙来
　　　　御用之儀候間明廿八日五半時可有
　　　　登　城候以上
　　　　　　十月廿七日　　稲葉丹後守

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　小笠原佐渡守
　　　　　　　　　　　　　土屋相模守
　　　　松平大炊頭殿
　　　　　但昌明様江も右同様之御切紙来

一　十月廿八日
　　昌明様と御同道ニ而　御登　城於御黒書院御縁通御一所ニ
　　御目見被　仰上　上意有之畢而御次之間江御退座御脇差
【左丁】
　　御取被成御出座御下段御敷居之内西之方江　御着座其節
　　御折紙《割書：御一字｜吉》御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿被指出　御一人宛御出座
　　御頂戴御次之間江御持退再最前之処江　御着座御禮被　
　　仰上御老中御取合有之御長蚫　御手自被下之御出座
　　御頂戴御帰座之時御刀《割書：備前真守｜代金二十五枚》御拝領《割書：相模守殿｜御渡有之》御次之間江
　　御持退御脇差と御拝領之御刀と御差替御縁通江御一所ニ
　　御出座御禮被　仰上御老中御取合有之御退座右為御禮
　　御退出掛御老中幷御側御用人若年寄中江　御廻勤

一　同月廿九日右同断ニ付御名乗御改被成候ニ付御名乗下之字

【右丁】
　　広瀬幽閑ニ下見被　仰付林　大学頭《割書：信｜篤》殿江御相談有之

一　十一月二日今日ゟ　御名乗
　　吉邦様と御改被成

一同月九日内膳正《割書：直｜和》様御卒去之処御従弟ニ付三日ニ七日之御忌服
　　被為　請候段御用番秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿江御使者を以御達有之

一　同月十五日
　　吉品様と御同道ニ而　御登　城《割書：昨十四日御用番秋元但馬守殿ゟ｜御老中連名之御切紙来》御一字
　　御拝領之御禮被　仰上御太刀《割書：青江恒次｜代金七枚》一腰御馬一疋《割書：代黄金｜十両》　御小袖十
　　御献上　御臺様　一位様江白銀十枚干鯛一箱宛被指上之
【左丁】
　　御退出掛御老中幷御側御用人若年寄中江　御廻勤

一　十二月六日甲府中納言《割書：綱｜豊》様御養君被　仰出候ニ付
　　吉品様と御同道ニ而　御登　城御祝儀被　仰上

一　同月七日右同断ニ付為御祝儀御老中幷御側御用人若年寄中江
　　御廻勤

一　同月十日御用番稲葉丹後守《割書：正｜通》殿ゟ左之通御切紙来
　　　　　御用之儀候間明十一日四時可有
　　　　　登　城候以上
　　　　　　　十二月十日　　　本多伯耆守

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　稲葉丹後守
　　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　　小笠原佐渡守
　　　　　　　　　　　　　　土屋相模守
　　　　　松平大炊頭殿

一　十二月十一日御登城被成候処《割書：染御小袖｜御着用》於御白書院御老中列座
　　被任侍従之旨御用番稲葉丹後守《割書：正｜通》殿御達有之右為御禮
【左丁】
　　御退出掛御老中御側御用人若年寄中江　御廻勤

一　同月十二日
　　吉品様と御同道ニ而御用番稲葉丹後守《割書：正｜通》殿江御逢對
　　御勤

一　同月十五日御用番稲葉丹後守《割書：正｜通》殿ゟ御呼出御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》
　　罷出候処口　宣御頂戴之儀ニ付御老中ゟ京都所司代松平紀伊守《割書：信｜庸》殿江
　　之御奉書用人楠本源左衛門を以被相渡之
　　　　　　松平大炊頭事侍従《割書：位階｜如元》被　仰付候口　宣等之儀
　　　　　　相調候様ニ傳　奏衆迄可被申入候恐々謹言

【右丁】
　　　　　寶永元申　　　　　　本多伯耆守
　　　　　　十二月十一日　　　　　正永書判
　　　　　　　　　　　　　　　稲葉丹後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　正通書判
　　　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　喬朝書判
　　　　　　　　　　　　　　　小笠原佐渡守
　　　　　　　　　　　　　　　　　長重書判
　　　　　　　　　　　　　　　土屋相模守
　　　　　　　　　　　　　　　　　政直書判
　　　　　松平紀伊守殿

一　十二月十六日
【左丁】
　　吉品様と御同道ニ而御老中土屋相模守《割書：政｜通》殿江御逢對
　　御勤

一　同日口　宣御頂戴之儀ニ付御老中ゟ御渡之御奉書御徒飛脚
　　《割書：吉井｜太郎右衛門》を以京都江被指遣之

一　同月十八日寒中ニ付　御機嫌為御伺
　　吉品様と御同道ニ而御老中御側御用人江　御勤

一　同月十九日
　　吉品様と御同道ニ而御老中秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿江御逢對
　　御勤

【右丁】
一　十二月廿一日　御養君被　仰出候為御祝儀
　　吉品様と御同道ニ而　御登　城《割書：御直垂｜御着用》
　　公方様　中納言様出御御馬代《割書：黄金｜十両》御献上御禮被　仰上
　　御退去
　　　　　但中納言様江御献上之御太刀馬代者御使者二ノ丸江罷出相
　　　　　納之

一　同日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿ゟ御呼出御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》罷出
　　候處御任官之御禮被　仰上節御献上物之儀去十二日
　　吉品様ゟ御伺被成候儀ニ付用人を以左之通御書付被相渡之
【左丁】
　　　　　　　官位御禮之節
　　　　　　　　　　　　　松平大炊頭ゟ
　　　上様江
　　　　御太刀
　　　　金馬代
　　　　御小袖五

　　　一位様江
　　　　白銀五枚
　　　御臺様江
　　　　白銀五枚
　　　中納言様江
　　　　御馬代白銀十枚

【右丁】
　　　御廉中様江
　　　　白銀五枚
　　　　　　　　　　　松平大炊頭兵部大輔ゟ
　　　上様江
　　　　二種一荷
　　　中納言様江
　　　　一種一荷
　　　　右之通可被献之候
　　　　　但右御献上之儀去十二日相模守殿迄
　　　　　　吉品様ゟ御伺書被指出候處御並方之内御先
　　　　　　例承合候様用人を以被申聞候得共御部屋住ニ而
【左丁】
　　　　　侍従御任官之御例無之ニ付其段申達候得者
　　　　　四品之御例ニ而宣旨被申聞候ニ付有馬筑後守殿
　　　　　松平土佐守殿承合候処御太刀金馬代小袖五宛
　　　　　被献之其節御両所之御父ニハ御在國ニ付御使者
　　　　　斗被指出候趣ニ付其段申達候処今日右之通御指
　　　　　圖有之

一　十二月廿七日御用番稲葉丹後守《割書：正｜通》殿ゟ左之通御切紙来
　　　明廿八日五半時登　城任官之御禮可
　　　被申上候以上

【右丁】
　　　　十二月廿七日　　　本多伯耆守
　　　　　　　　　　　　　稲葉丹後守
　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　小笠原佐渡守
　　　　　　　　　　　　　土屋相模守
　　　松平大炊頭殿
　　　　但吉品様江も右同様御切紙来

一　十二月廿八日
【左丁】
　　吉品様と御同道ニ而　御登　城《割書：御長袴｜御着用》御任官之御禮被　仰上
　　御太刀馬代《割書：黄金｜十枚》御小袖五御献上
　　中納言様江御太刀馬代《割書：白銀｜十枚》被献之　御臺様　一位様
　　御簾中様江白銀五枚宛被指上之御退去掛御老中幷御側
　　御用人若年寄中江　御廻勤
　　　但此節御城老女中等江御贈物有之候得共不記之

一　同日口　宣御頂戴之御使者寄合高田小左衛門《割書：一｜氏》昨廿七日京都
　　着江戸表ゟ被指立候趣ニ而所司代松平紀伊守《割書：信｜庸》殿江罷出御書幷
　　御老中ゟ之御奉書指出之《割書：本多□兵衛｜同道》夫ゟ傳　奏柳原大納言《割書：資｜廉》殿

【右丁】
　　　高野前大納言《割書：保｜春》殿江罷出御口上之趣相達之

【左丁】
寶永二年乙酉
一　正月朔日為年始御祝儀　御登　城
一　同月七日傳　奏高野前大納言《割書：保｜春》殿亭ニ而口　宣御渡可被成候間
　　来十日朝罷出候様且又御官物も相納候様所司代松平紀伊守《割書：信｜庸》殿
　　用人ゟ手紙ニ而申来候ニ付御使者高田小左衛門《割書：一｜氏》為御請紀伊守殿江
　　罷出

一　同月十日右同断ニ付御使者高田小左衛門《割書：一｜氏》傳　奏高野前大納言《割書：保｜春》殿

【右丁】
　　亭江罷出候處柳原大納言《割書：資｜廉》殿御列座ニ而口　宣御渡有之其節
　　左之通御官物相納之夫ゟ所司代松平紀伊守《割書：信｜庸》殿江罷出口　宣
　　御渡相濟候段相達候処紀伊守殿出座御老中江之御返書御渡
　　被成其節懸緒之免状も御渡有之
　　　　　　　侍従成
　　　　　禁裏江御太刀馬代白銀三十枚《割書：官銭｜百貫文》
　　　　　仙洞御所江御太刀馬代白銀二十枚
　　　　　女院御所江白銀二十枚
　　　　　准后御方江同二十枚
【左丁】
　　　　　女御御方江同二十枚
　　　　　内侍所江同二枚
　　　　　　　懸緒御禮物
　　　　　禁裏江白銀五枚
　　　　　仙洞御所江同三枚
　　　　　女院御所江同三枚
　　　　　准后御方江同三枚
　　　　　女御御方江同三枚
　　　　　　　　　　飛鳥井家江同三枚

【右丁】
一　同日右同断ニ付御頂戴之口　宣宣旨幷所司代ゟ御老中江之
　　御返書等京都ゟ御徒飛脚《割書：吉井｜太郎右衛門》を以江戸表江指上之

一　同日右同断ニ付御使者高田小左衛門《割書：一｜氏》京都出立
　　　　　　但同月十五日福井江着

一　正月十八日京都表ゟ之御徒飛脚《割書：吉井｜太郎右衛門》到着ニ付口　宣御頂戴
　　被成

　　　　　口　宣案
【左丁】
　　　　上卿　菊亭右大將
　　　　　　寶永元年十二月十一日
　　　　　　　従四位下源吉邦朝臣
　　　　　　　　宜令任侍従
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奉
　　　　　　　　　　蔵人頭右近衛権中將藤原兼親
　　宣旨
　　　　　　　　従四位下源朝臣吉邦
　　　　正二位行権大納言兼右近衛大將藤原朝臣伊季

【右丁】
　　　　宣奉　　　　敕件人宣令任
　　　　侍従者
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奉
　　　　　寶永元年十二月十一日大外記兼掃部頭中原朝臣師庸

一　正月廿一日右同断ニ付為御禮御老中幷御側御用人若年寄中江
　　御廻勤

一　三月五日
　　公方様右大臣
　　中納言様大納言江　御昇進ニ付
【左丁】
　　吉品様と御同道ニ而　御登　城《割書：御束｜帯》

一　同月廿二日　御昇進之為御祝儀来廿六日御能被　仰付候間
　　御同道ニ而御登城御見物被成候様
　　吉品様江御老中連名之御切紙来
　　　　但右ニ付御登城可被成候得者御記録類不詳

一　六月十六日為嘉定御祝儀　御登　城於御白書院御着座御禮
　　被　仰上御退出掛為御禮御老中御側御用人江　御廻勤若年
　　寄中江御使者御留守居被指出之
　　　　但出羽守様細川兵部大輔殿藤堂和泉守殿と御一所ニ今日之御禮

【右丁】
　　　　御着座被　仰付旨於梅之間土屋相模守殿相達有之

一　六月十八日　一位様御不快ニ付
　　公方様御機嫌為御伺　御登　城夫ゟ　一位様御機嫌為御伺
　　御老中秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿江　御勤

【左丁】
寶永三年酉戊
一　正月朔日為年始御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代御献上
　　呉服御拝領
　　　　但大納言様江も右同断献上

一　同月廿九日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江　御逢對　御勤

一　二月十八日御老中大久保加賀守《割書：忠｜增》殿江　御逢對　御勤

一　三月十九日御老中井上河内守《割書：正｜岑》殿江　御逢對　御勤

【右丁】
一　六月十三日暑中ニ付　御機嫌為御伺御用番大久保加賀守《割書：忠｜增》殿江
　　御勤

一　同月廿三日於東叡山　桂昌院様一周忌御法事有之ニ付
　　御使者稲垣安右衛門《割書：重｜信》を以御香奠銀二枚被指上之

一　同月廿四日右同断御法事濟惣出仕ニ付　御登　城

一　八月朔日為御祝儀　御登　城
　　公方様　大納言様江御太刀馬代御献上御禮被　仰上


一　同二日
　　吉品様と御同道ニ而御老中稲葉丹後守《割書：正｜通》殿江御逢對
【左丁】
　　御勤

一　同月四日山口修理《割書：重｜明》殿奥方於久様《割書：備中守直□｜御女》御卒去之處
　　御養方御従弟ニ付御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江御使者御留守居
　　村上三大夫《割書：正｜峯》を以て左之通御届書指出之
　　　　忌　三日《割書：八月四日ゟ｜同六日迄》
　　　　服　七日《割書：八月四日ゟ｜同十日迄》
　　右之通ニ御座候以上
　　　　　八月四日

【右丁】
一　八月十日
　　吉品様と御同道ニ而御登城被成候処《割書：昨九日御老中ゟ｜御切紙来》御老中列座
　　吉品様ゟ御願之通《割書：去三日徳山五兵衛殿を以御用番｜土屋相模守殿江御願書被指出》御國許江之御暇被
　　仰出御時服《割書：三｜十》被下候旨御老中御達有之御請被　仰上相濟
　　御前江被為　召　御目見被　仰上御馬一疋御拝領右為御禮
　　西丸江　御登　城夫ゟ御老中若年寄中江　御廻勤

一　同月十一日
　　吉品様と御同道ニ而御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江御逢對　御勤

一　同月十二日
【左丁】
　　吉品様と御同道ニ而御老中稲葉丹後守《割書：正｜通》殿江御逢對　御勤

一　同月十五日御拝領之御馬御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿ゟ使者ニ而為卛
　　来其節御式臺江御出御馬方塚田喜兵衛《割書：直｜孝》御馬請取之萩野孫右衛門《割書：政衛｜尉》
　　相渡之孫右衛門御手綱指上之御頂戴有之被為　入刻於御對面
　　取次之間右使者江御長蚫被下之御返答有之

一　同月十七日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿ゟ御呼出ニ付御留守居村上
　　三大夫《割書：正｜峯》罷出候処先達而《割書：去十｜四日》
　　吉品様ゟ御伺被成候御在國中御勤之儀松平大隅守　殿松平
　　備後守　殿御聞合被成其通御勤可被成旨用人を以被申聞之

【右丁】
一　八月廿二日明日御發駕ニ付為御案内御老中御側御用人
　　若年寄中江　御廻勤

一　同月廿三日江戸　御發駕東海道通御旅行

一　九月五日　御着城
　　　　　但御家老始御出迎等
　　　　　　吉品様御着城之節之通故不記之

一　同月六日右同様ニ付為御禮御使者高田新兵衛　江戸表江被指
　　出之
　　公方様江縮緬三十巻昆布一箱干鯛一箱御樽一荷
【左丁】
　　大納言様江昆布一箱干鯛一箱御樽一荷被献之新兵衛今日
　　福井出立

一　同月十八日御使者高田新兵衛　去十六日江戸着今日御用番
　　稲葉丹後守《割書：正｜通》殿江罷出御書指出之其節明十九日　御城江
　　可罷出旨指圖有之

一同月十九日御使者高田新兵衛　御城江罷出御献上物相納其節
　　檜之間江御用番稲葉丹後守《割書：正｜通》殿出座御奏者番本多弾正少弼《割書：忠｜晴》殿江
　　御目録指上之夫ゟ　西丸江罷出候處檜之間江御老中小笠原
　　佐渡守《割書：長｜重》殿出座御奏者番堀左京亮《割書：直｜利》殿江御目録指上之

【右丁】
　　　　但右御使者被指出候儀ニ付御献上物之儀先達而《割書：去月｜十一日》
　　　　　吉品様ゟ御用番土屋相模守殿迄御伺有之

一　九月廿五日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：同晦日｜御帰致》

一　同月廿七日於　御本丸御家中之者弓　御覧被成
　　　　但迄々武藝　御覧被成候得共不記之

一　十月十二日為御遊覧会津江　御出被成《割書：同十六日｜御帰致》

一　十一月三日
　　吉品様御登城被成候處
　　吉品様江日野西中納言　殿御女梅姫様御縁組之儀御願之通
【左丁】
　　被仰出
　　　　但右御縁組之儀先達而《割書：八月｜廿五日》
　　　　　吉品様ゟ徳山五兵衛殿を以御用番土屋相模守迄御願書
　　　　　被指出之

一　同月六日
　　公方様御不例ニ付　御機嫌為御伺江戸表江御書被指出之
　　　　但同月十四日御返書被相渡

一　同月十日来亥年御参勤御時節之儀
　　吉品様ゟ御伺被成候処三月中御参府可被成旨御指圖有之

【右丁】
一　十一月廿一日
　　公方様御不例　御快然ニ付為御歓御使者山名次郎右衛門《割書：重｜員》江戸
　　表江被指出之今日福井出立
　　　但十二月三日御返書御渡有之

一　同月廿三日御縁組御願之旨被　仰出候ニ付御禮御書被指出
　　候処右御返書今日被相渡之

一　同月廿九日御参勤御時節被　仰出候ニ付御禮御書被指出候処右
　　御返書今日被相渡之

一　十二月五日寒中ニ付　御機嫌為御伺御使者木滑忠大夫
【左丁】
　　江戸表江被指出之今日福井出立

【右丁　白紙】

【左丁】
寶永四年丁亥
一　正月朔日為年始御祝儀御使者寄合冨永新左衛門《割書：義｜祐》を以《割書：御留守居村上｜三大夫同道》
　　御太刀馬代《割書：黄金｜十両》被献之
　　大納言様江右同断　被献之
　　　　但新左衛門旧臘五日御國表出立
　　　　一同月廿三日御用番井上河内守殿幷小笠原佐渡守殿ニ而御奉
　　　　　書被相渡之

【右丁】
一　正月十三日年始三ケ日之御規式相濟候為御祝儀江戸表江御書
　　被指出之
　　　　但同月廿三日御返書被相渡

一　二月五日　梅姫様江為御結納御使者御家老酒井典膳《割書：知｜芳》を以
　　《割書：去月廿五日｜御国表出立》御小袖五《割書：綸子三縮緬一｜龍門一》御帯二筋《割書：黒幸菱■織｜白宝尽》末廣一本畳紙
　　二折白銀百枚昆布一箱鰑一箱塩雉子一箱鴨一折鯛一折御樽
　　五荷被進之右為御祝儀日野西中納言《割書：國｜豊》殿江御太刀一腰御馬
　　一疋《割書：代黄金｜十両》御小袖三重昆布一箱干鯛一箱鯣一箱御樽二荷
　　佐久丸殿江御太刀馬代《割書：黄金｜十両》沙綾五巻昆布一箱干鯛一箱御樽一荷
【左丁】
　　知寶院様西臺様江縮緬五巻昆布一箱干鯛一箱御樽代千疋宛
　　被進之
　　　　但
　　　　　吉品様ゟ御使者松原八左衛門を以被進物有之

一　同月廿三日福井　御發駕東海道通御旅行

一　三月五日川崎駅御休ゟ直ニ霊巖嶋御屋敷江　御着

一　同月六日右同断ニ付
　　吉品様と御同道ニ而御用番大久保加賀守《割書：忠｜增》殿江　御勤

一　同月十四日御用番大久保加賀守《割書：忠｜增》殿ゟ御老中連名之御切紙来

【右丁】
　　　　　明十五日五半時登
　　　　　城参府之御禮可被申上候以上
　　　　　　　三月十四日　　　井上河内守
　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　稲葉丹後守
　　　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　土屋相模守
　　　　　　松平大炊頭殿
【左丁】
一　同月十五日右同断ニ付　御登　城御参府之御禮被　仰上御太刀
　　金馬代綿百把御献上夫ゟ　西丸江　御登　城御太刀金馬代
　　御献上退出掛御老中御側御用人若年寄中江　御廻勤

一　同日右同断ニ付京都所司代松平紀伊守《割書：信｜庸》殿江御書指遣之

一　同月十八日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江御逢對　御勤

一　六月廿三日於増上寺　桂昌院様三回御忌御法事有之ニ付
　　御使者稲垣安右衛門《割書：重｜信》を以御香奠銀二枚被指上之

一　同廿四日右同断御法事濟惣出仕ニ付　御登城
《割書：去廿一日｜被　仰出》
　　御老中被謁之

【右丁】
一　七月三日暑中ニ付　御機嫌為御伺御用番稲葉丹後守《割書：正｜通》殿幷
　　小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江　御勤

一　同月十一日
　　若君様御誕生ニ付為御祝儀　御登　城御老中被謁之夫ゟ
　　西丸江　御登　城其節御名
　　家千代様と奉称候段御老中御達有之

一　同為月十四日
　　家千代様御機嫌為御伺　西丸御用番小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江
　　御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直｜音》被指出之
【左丁】
一　同月十五日
　　家千代様御機嫌為御伺　御登　城御老中被謁之

一同月十八日
　　家千代様御七夜為御祝儀惣出仕ニ付　御登　城御老中
　　被謁之夫ゟ　西丸江　御登　城

一　同日右同断ニ付御使者長野八太夫　を以
　　公方様江干鯛一箱御樽代千疋被献之《割書：去十三日御書付｜御渡以下同断》於　御城大廣間
　　御奏者番三浦壱岐守《割書：明｜喬》殿家来江御品御目録共相渡之
　　大納言様江御使者早川三左衛門　を以一種千疋

【右丁】
　　家千代様江右同断被献之於　西丸殿上之間御奏者番松平
　　宮内少輔　殿家来江相渡之

一　八月朔日為御祝儀　御登　城
　　公方様　大納言様　家千代様江御太刀金馬代御献上御禮
　　被　仰上
　　　　　　但
　　　　　　　家千代様江御献上之儀大目付中ゟ御廻達有

一　同月十六日御老中井上河内守《割書：正｜岑》殿小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿ゟ御呼出
　　御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》罷出候處
【左丁】
　　家千代様御七夜御祝儀被献候ニ付而之捻御奉書被相渡之
　　　上書
　　　　松平大炊頭　　　　　　　　　正岑
　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　井上河内守
　　　家千代様為御七夜御祝儀如目録被献之候
　　　首尾好遂披露候恐々謹言
　　　　　七月十八日　　　　　　　正岑書判
　　上書
　　　松平大炊頭殿

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　小笠原佐渡守
　　　　　家千代様為御七夜御祝儀
　　　　　大納言様　家千代様江如目録被献之候
　　　　　首尾好遂披露候恐々謹言
　　　　　　　七月十八日　　　　　長重書判

一　八月廿七日外記《割書：綱｜通》母　天称院様《割書：忠昌様御女故出羽守綱隆様｜御奥方》御逝去
　　天徳寺江御送葬御法号　天称院殿揚誉了月圓清大姉

一　同月廿八日右同断ニ付御老中秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿本多伯耆守《割書：正｜永》殿江
　　御使者御留守居を以左之通御届書被指出之
【左丁】
　　　　　松平外記母昨日致死去候右續之儀実者伯母ニ而
　　　　　御座候得共拙者儀兵部大輔養子ニ罷成候ニ付
　　　　　續違御座候然共実方之續を以半減之受忌
　　　　　服申候依之為御届申進候
　　　　　　　忌《割書：八月廿七日ゟ｜九月六日迄》
　　　　　　　服《割書：八月廿七日ゟ｜十月十二日迄》
　　　　　右之通ニ御座候以上
　　　　　　　八月廿八日　　　松平大炊頭

一　九月七日御忌明ニ付御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江

【右丁】
　　御勤

一　九月廿三日御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江御逢對　御勤

一　同月廿八日為月次御禮御登城被成候処御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿
　　出座
　　家千代様御不快之処今朝御逝去被遊候段御達有之右ニ付
　　大納言様御機嫌為御伺　西丸江　御登　城

一　同日右同断ニ付　御機嫌為御伺御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿　西丸
　　御用番小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江御使者村上三大夫《割書：正｜峯》被指出之

一　同月廿九日右同断ニ付　御機嫌為御伺　御登　城夫ゟ
【左丁】
　　西丸江　御登　城

一　同日右同断ニ付　御機嫌為御伺御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿幷小笠原
　　佐渡守《割書：長｜重》殿江御使者御留守居堀十兵衛
《割書：久｜律》被指出之

一　十月朔日　御登　城御禮被　仰上夫ゟ
　　大納言様御機嫌為御伺　西丸江　御登　城
　　　　　但今日ゟ　御本丸御機嫌伺ニ不及　西丸も明日ゟ御伺ニ不及旨
　　　　　　被　仰出

一　同日
　　大納言様御機嫌為御伺　西丸本多伯耆守《割書：正｜永》殿江御使者

【右丁】
　　御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》被指出之

一　十月四日夕地震ニ付　御機嫌為御伺御用番大久保加賀守《割書：忠｜增》殿幷
　　本多伯耆守《割書：正｜永》殿江御使者御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》被指出之

一　同月五日朝地震ニ付　御機嫌為御伺　両御丸江御使者御留
　　守居大関新五左衛門《割書：直｜音》被指出之

一　同月十二日寶池院様《割書：三宝院御隠居｜御臺様之御兄》御逝去ニ付
　　大納言様御機嫌為御伺御老中小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿本多伯耆守《割書：正｜永》殿江
　　御使者御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》被指出之

一　十二月二日
【左丁】
　　大納言様御不快ニ付　御機嫌為御伺　西丸江　御登　城

一　同月十日初雪ニ付　御機嫌為御伺　両御丸江御使者御留守居
　　大関新五左衛門《割書：直｜音》被指出之
　　　　　但初雪　御機嫌御伺之儀以後定例故不記之

一　同月廿三日寒中ニ付　御機嫌為御伺御用番秋元但馬守《割書：喬｜知》殿幷
　　本多伯耆守《割書：正｜永》殿江　御勤

【右丁　白紙】

【左丁】
寶永五年戊子

一　正月朔日為年始御祝儀　御登　城御太刀馬代御献上呉服
　　御拝領夫ゟ　西丸江　御登　城御祝儀被　仰上

一　同月廿三日御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江御逢對　御勤

一　同月廿八日御痛所有之ニ付御登城御断

一　閏正月十五日右同断ニ付御登城御断
　　　　　但十八日ゟ　御登　城

【右丁】
一　二月二日　八重姫君様御安産為御歓惣出仕ニ付《割書：大目付中ゟ｜申来》
　　御登　城夫ゟ　西丸江　御登　城御老中被謁之

一　三月七日　立坊　立后　宣下相濟候為御祝儀　御登城《割書：大目付中ゟ｜申着》
　　御老中被謁之夫ゟ　西丸江　御登　城

一　同月十二日去八日
　　禁裏院中炎上ニ付　御機嫌為御伺惣出仕ニ付《割書：大目付中ゟ｜申来》
　　両御丸江　御登　城御老中被謁之

一　同月廿八日月次御登城之節御老中列座ニ而今度尾張中納言様
　　御妹松姫様
【左丁】
　　公方様御養女ニ被　仰出候旨御老中御達有之右ニ付為御歓
　　西丸江も　御登　城

一　四月十日　松姫君様松平若狭守《割書：吉｜徳》殿江《割書：加賀宰相明紀殿｜御嫡》御縁組被
　　仰出候為御祝儀惣出仕ニ付　御登　城御歓被　仰上夫ゟ
　　西丸江　御登　城御帰殿後再
　　吉品様之為御名代御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿　西丸御用番
　　小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿幷御側御用人江　御勤

一　五月五日　梅姫様福井江御着《割書：御迎御供御家老｜松平庄兵衛》
　　　　但去月廿九日京都御發輿東近江路御旅行

【右丁】
一　六月六日暑中ニ付　御機嫌為御伺
　　吉品様と御同道ニ而御用番井上河内守《割書：正｜峯》殿江　御勤

一　同月七日右同断ニ付
　　大納言様御機嫌為御伺
　　吉品様と御同道ニ而　西丸御用番小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江　御勤

一同月十六日為嘉定御祝儀　御登　城例之通御菓子御頂戴

一　同月廿六日　竹姫君様松平久千代 《割書：正｜邦》殿《割書：肥後守正之殿｜御嫡》御縁組被
　　仰出候為御祝儀惣出仕ニ付　御登　城御老中被謁之

一　八月朔日為御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代御献上
【左丁】
一　同月九日
　　吉品様と御同道ニ而御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江御逢對　御勤

一　同月廿八日　梅姫様福井御發輿中山道通江戸表江被為　趣《割書：御供御家老｜松平庄兵衛》

一　九月十三日　梅姫様霊厳嶋御屋敷江御着御婚姻御整被成
《割書：御待上臈向井｜持臣殿御女》

一　同月十四日御婚禮相濟候ニ付
　　吉品様と御同道ニ而御用番大久保加賀守《割書：忠｜增》殿幷土屋相模守《割書：政｜直》殿江　御勤

一　同月廿八日　御登　城御婚姻之御禮被　仰上
　　公方様江御小袖十
　　大納言様江白銀二十枚御献上

【右丁】
一　十月十六日　梅姫様先達而ゟ麻疹之処御快ニ付御酒湯
　　御祝儀有之

一　十一月十五日御不快ニ付御登城御断

一　同月十九日　松姫君様松平若狭守《割書：吉｜德》殿江昨十八日御入輿
　　相濟候為御祝儀惣出仕之処御麻疹ニ付御登城御断依之
　　御用番秋元但馬守殿《割書：喬｜知》殿　西丸御用番本多伯耆守《割書：正｜永》殿江御祝
　　儀之御使者御使番被指出之

一　同日右同断ニ付御使者御使番葛巻治部右衛門《割書：包｜格》を以
　　公方様江干鯛一箱昆布一箱御樽代五百疋被献之於
【左丁】
　　御本丸御品御目録共御奏者番鳥居播磨守《割書：忠｜政》殿家来江
　　相渡之　御臺様江御使者御使番比企佐左衛門《割書：栄｜爵》を以干鯛一箱
　　御樽代五百疋被指上之於二ノ丸御門番所御品御目録共
　　播磨守殿家来江相渡之

一　同月廿二日御麻疹御快ニ付御酒湯御祝儀有之

一　同月廿八日御麻疹後尓々無之ニ付御登城御断
　　　　　　但十二月朔日ゟ御登城被成

一　十二月五日寒中ニ付御機嫌為御伺
　　吉品様と御同道ニ而御御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江　御勤

【右丁】
一　十二月七日右同断ニ付
　　大納言様御機嫌為御伺
　　吉品様と御同道ニ而　西丸御用番小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江　御勤

一　同月十日
　　大納言様御麻疹ニ付　御機嫌為御伺
　　吉品様と御同道ニ而　西丸江　御登　城《割書：昨晩大目付中ゟ｜御廻狀着》夫ゟ御用番
　　土屋相模守《割書：政｜直》殿江　御勤
　　　　但昨晩も　西丸御用番小笠原佐渡守殿江御使者被指出之

一　同月十一日右同断ニ付　西丸御用番小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江御使者
【左丁】
　　御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》被指出之
　　　　但十三日も御使者御留守居村上三大夫被指出

一　同月十二日右同断ニ付　西丸江　御登　城御老中被謁之

一　同月十五日
　　大納言様御麻疹御快然御酒湯御祝儀相濟候為御祝儀
　　惣出仕ニ付　御登　城御歓被　仰上夫ゟ　西丸江　御登　城

【右丁　白紙】
【左丁】
家宣様御代《割書：五月朔日｜將軍　宣下》
寶永六年己丑
一　正月朔日為年始御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代御献上
　　呉服御拝領

一　同日御帰殿後為　御名代諸士之御禮被為　請

一　同月六日
　　公方様御麻疹ニ付　御機嫌為御伺御用番大久保加賀守《割書：忠｜增》殿江

【右丁】
　　御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直｜音》被指出
　　　但御酒湯被為　掛候通毎日御使者被指出候様大目付中ゟ
　　　　　御觸達有之候ニ付御使者可被指出儀ニ付候得共不詳

一　正月七日右同断ニ付　御機嫌為御伺
　　吉品様と御同道ニ而　御登　城《割書：昨六日｜御觸達》御老中被謁之夫ゟ　西丸
　　御用番本多伯耆守《割書：正｜永》殿江　御勤

一　同月十日
　　公方様御麻疹御快然之為御歓
　　吉品様と御同道ニ而御登城被成候処《割書：昨九日｜御觸達》昨夜ゟ御様躰指重
【左丁】
　　今朝　薨御之旨御老中御達有之右ニ付
　　大納言様御御機嫌為御伺　西丸江　御登　城

一　同月十一日右同断ニ付
　　吉品様と御同道ニ而　西丸江　御登　城夫ゟ御側御用人間部
　　越前守《割書：詮｜房》殿江　御勤
　　　　但十五日迄隔日ニ御登城被成候様御老中御達有之

一　同月十六日御縁中　御機嫌為御伺　西丸江　御登　城
　　　　但右御機嫌為御伺之儀ニ付折々御登城被成御登城無之
　　　　　日者御用番幷御側御用人迄毎日御使者被指出候得共

【右丁】
　　　　　　以後不記之

一　正月廿六日右同断　御機嫌為御伺御使者御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》
　　を以葛粉一箱被献之《割書：御伺｜之上》

一　二月十一日　浄光院様《割書：常憲院様｜御臺様》昨夜御逝去ニ付
　　大納言様御機嫌為御伺惣出仕ニ付
　　吉品様と御同道ニ而　西丸江　御登　城

一　同日御謁達ニ付今日ゟ御月代御剃被成

一　同月十五日中務大輔《割書：昌｜平》様弟枩《割書：昌｜貴》様御卒去之処御弟ニ付半
　　減之忌服被為　請候段御用番小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江御使者
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【別筆　昌實印】
【左丁】
　　御留守居大関新五左衛門《割書：直｜音》を以て御届被成

一　同月十七日於東叡山
　　常憲院様御法事有之明十八日万石以上御番奠献上ニ付
　　御用番小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿迄御伺被成候処御忌明之上御伺
　　被成候様御指圖有之

一　同月十五日御使者笹治太郎右衛門《割書：髙｜澄》を以東叡山
　　常憲院様御霊前江御香奠銀五枚被献之同所御本坊江
　　相納之
　　　　但御忌明ニ付御老中大久保加賀守殿江御伺之上被献之

【右丁】
一　二月廿八日於東叡山　浄光院様御當座御法事有之ニ付
　　御使者御使番比企佐左衛門《割書：栄｜藉》を以御香奠銀二枚被指上之同所中
　　堂江相納之

一　三月九日暁上野辺出火ニ付為　御名代御出馬浅草御蔵江暫
　　御詰被成候処及鎮火候ニ付御帰被成候様御蔵衆御達ニ付御引取
　　被成

一　四月二日　御代替之為御祝儀
　　吉品様と御同道ニ而　御登　城御太刀金馬代御献上年始
　　之通御着座ニ而御禮被　仰上夫ゟ御老中御側御用人若年
【左丁】
　　寄中江　御廻勤

一　同月六日右同断ニ付御使者御使番築田太郎大夫《割書：喬｜長》を以
　　御臺様江銀五枚干鯛一箱秘指上之太郎大夫二ノ丸江相納之

一　五月朔日　将軍　宣下ニ付　御登　城《割書：御束｜帯》

一　同月十一日　将軍　宣下相濟候為御祝儀　御登　城《割書：御狩｜衣》
　　御太刀一腰御馬一疋《割書：代黄金｜十両》御献上御禮被　仰上夫ゟ御老中
　　御側御用人若年寄中江　御廻勤

一　同月十三日　将軍　宣下之為御祝儀明後十五日御能被
　　仰付候間為御見物御登城被成候様御老中連名之御切紙

【右丁】
　　来右為御禮　西丸江　御登　城

一　五月十五日右同断ニ付　御登　城御能御見物被成

一　同月十六日右同断ニ付御見物之為御禮　西丸江　御登　城

一　同月十八日右同断為御礼御老中御側御用人若年寄中江
　　御廻勤
　　　　　但去十六日御廻勤可被成処一両日之内ニ御勤被成候様御指圖ニ付
　　　　　　今日　御勤被成

一　六月十九日　御臺様従三位　勅許被　仰出候為御祝儀惣出仕
　　ニ付　西丸江　御登　城《割書：昨十八日｜御觸達》御祝儀被　仰上
【左丁】
一　同月廿一日暑中ニ付御機嫌為御伺御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江
　　御勤

一　同日　御臺様御叙位之為御祝儀御使者御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》
　　を以昆布一箱干鯛一箱御樽代五百疋被献之《割書：去十八日｜御觸達》三大夫
　　西丸江罷出相納之　御臺様江御使者海福楮兵衛《割書：本｜好》を以右同断
　　被指上之坂下御門番所江相納之
一　八月朔日為御祝儀　西丸江　御登　城例之通御太刀馬代御献上

一　十月十三日水戸中将《割書：吉｜喜》様御逝去ニ付
　　公方様御機嫌為御伺　御登　城

【右丁】
一　十月廿一日
　　主上御疱瘡御酒湯相濟候為御祝儀　西丸江　御登　城《割書：服紗｜御小袖》
　　於御白書院御　御目見被　仰上

一　十一月三日
　　公方様御本丸江御移徒《割書：昨ニ｜日》相濟候為御祝儀　御登　城《割書：熨斗目半｜御上下》
　　御目見被　仰上

一　同月四日右同断ニ付御老中御側御用人若年寄中江
　　御廻勤

一　同日右同断ニ付御使者御先物頭栃屋半右衛門《割書：久｜豊》を以鯣一箱御樽
【左丁】
　　一荷被献之《割書：九月廿六日｜御觸達》於　御本丸御奏者番安藤長門守《割書：信｜友》殿家来江
　　相渡之　御臺様江御使者大井田新九郎《割書：公｜仲》を以て鯣一箱御樽代
　　三百疋被指上之於二ノ丸御門番所相納之

一　十二月十日於東叡山
　　常憲院様御一周忌法事御取越御執行有之
　　公方様御参詣依之御豫参　御勤《割書：御束｜帯》

一　同月十一日右同断ニ付御使者笹治太郎右衛門《割書：高｜澄》を以御香奠銀三枚
　　被献之

一　同日右同断御法事濟惣出仕ニ付　御登　城御老中被謁之

【右丁】
一　十二月十八日寒中ニ付　御機嫌為御伺御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江
　　御勤

一　同月廿一日
　　新院御所　崩御ニ付《割書：去十｜七日》
　　公方様御機嫌為御伺　御登　城御老中被謁之

【左丁】
寶永七年庚寅
一　正月朔日為年始御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代御献上
　　呉服御拝領

一　二月十日於東叡山　浄光院様御一周忌御法事ニ付御使者奈良
　　八大夫　を以御香奠銀二枚被指上之中堂江相納之

一　同日右同断相濟候為御歓惣出仕ニ付　御登　城御老中被謁之

一　三月十日

【右丁】
　　公方様紅葉山江　御参詣依之御豫参　御勤

一　三月十二日右同断初而　御参詣相濟候為御祝儀惣出仕ニ付
　　御登　城

一　同月廿一日今度為　勅使日野西中納言《割書：國｜豊》殿江戸表江参着ニ付
　　御滞留中御招請且御旅宿江御見廻被成度旨御用番本多
　　伯耆守《割書：正｜永》殿迄御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》を以御伺被成候処御勝手
　　次第可被成旨御指圖有之
　　　　但右ニ付廿三日御旅宿江御見廻四月二日此御屋形江御招
　　　　　請有之

【左丁】
一　同月廿六日右同断御指圖之趣品川豊前守《割書：伊｜氏》殿織田
　　能登守《割書：長｜福》殿江御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》を以御届有之

一　四月四日御用番井上河内守《割書：正｜峯》殿江左之通御老中連名之
　　御切紙来
　　　　明日蹴鞠被遊
　　　　上覧候付可致見物旨被　仰出候条被着
　　　　長袴四時以前可有登　城候以上
　　　　　　四月四日　　　　井上河内守
　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　本多伯耆守
　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　小笠原佐渡守
　　　　　　松平大炊頭殿
　　　　　　　猶以為御禮今日者不及登　城候以上

一　四月五日右同断ニ付　御登　城《割書：熨斗目御長袴｜御着用》蹴鞠　御見物
　　被成

【左丁】
一　同月六日蹴鞠御見物之為御禮　御登　城

一　同月七日
　　吉品様御参府ニ付　上使御老中小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿御越
　　上意之趣御達有之右御禮為　御名代御老中若年寄中江
　　御廻勤
　　　　　但
　　　　　　吉品様御足痛被成候得共佐渡守殿江者　御勤被成

一　同月十五日御登城被成候処《割書：昨十四日御老中ゟ｜御切紙着》
　　公方様出御御一統之　御目見相濟畢而御儒者林七三郎《割書：信｜充》殿

【右丁】
　　出座御條目御讀渡有之御退出掛御老中御側御用人江
　　御廻勤

一　六月廿六日暑中ニ付　御機嫌為御伺御用番大久保加賀守《割書：忠｜增》殿江
　　御勤

一　七月四日
　　吉品様江御老中連名之御切紙を以
　　吉邦様御用之儀候間明五日四時御登城被成候様申来

【左丁　白紙】

【裏表紙】

家譜

【表表紙】
【題字箋】
《題：家　譜《割書：光通公｜》《割書：従萬治三年｜至寛文三年》六》

【右丁】見返し

【左丁】扉

光通様《割書：従萬治三年庚子｜至寛文三年癸卯》

【右丁】
白紙

【左丁】
万治三年庚子
一　正月朔日於　御本丸奥御座敷年始御祝儀之御規式
　　有之御家老御用人太刀目録持参御礼申上之御盃頂戴
　　御肴被下之畢而於奥御書院本多民部《割書：重｜方》太刀目録持参
　　御礼申上之御盃頂戴御肴被下之於表御書院高知初
　　瓦御門番番外之面々等太刀目録持参御礼申上之御盃
　　頂戴御肴被下之於御広間御物頭御使番之面々并御書院番
　　一番ゟ四番迄大御番一番ゟ六番迄御留守番一番ゟ六番迄

【右丁】
　　新番一番二番鳥目持参御礼申上之御盃頂戴御長蚫
　　御奏者番取次ニ而被下之畢而諸役人之御礼被為　請之
一　正月二日於　御本丸奥御座敷御家老之嫡子太刀目録持参
　　御礼申上之御盃頂戴御肴被下之於表御書院高知之
　　嫡子太刀目録持参御礼申上之御盃頂戴御肴被下之畢而
　　水戸内匠《割書：朝｜祇》山川内膳《割書：朝｜成》太刀目録持参御礼申上之御盃
　　頂戴御肴被下之相済於御同所御医師共鳥目持参御礼
　　申上之御長蚫被下之畢而瓦御門番番外之嫡子太刀目録
　　持参御礼申上之御盃頂戴御肴被下之畢而高知初番外

【左丁】
　　迄之庶子御礼申上之御盃被下之
一　同月三日与力之御礼被為　請鳥目持参御礼申上之
　　御流之御盃頂戴御長蚫御奏者番取次ニ而被下之畢而職人等之
　　御礼被為　請之
一　同日晩御謡初御祝儀有之本多内蔵助《割書：昌｜長》御家老ゟ御盃台
　　献上之内蔵助初水戸内匠《割書：朝｜祇》山川内膳《割書：朝｜成》迄御盃頂戴御肴
　　被下之瓦御門番之面々ゟ召出之御酒被下之
一　同月六日於　御本丸御書院安楽院并御菩提寺中年始之
　　御礼被為　請之於御同所永平寺代僧并鎮徳寺理光院

【右丁】
　　照護寺之御礼被為　請之
一　正月七日於　御本丸御広間諸町人年始之御礼被為　請之
　　　　　但諸町人御縁頬ニ而御礼申上之
一　同月八日於　御本丸御書院華蔵寺法泉寺龍花院
　　超勝寺誠照寺年始之御礼被為　請之畢而惣寺社之
　　御礼被為　請之
　　　　　但右年始御礼御式此年初而御記録ニ相知候ニ付此ニ記之以後
　　　　　　定例故不記之
一　同月廿四日於　御本丸去ル廿日ゟ今日迄賢聖院大長院松玄院江

【左丁】
　　恒例之御祈祷被　仰付右御祈祷中賢聖院初年始之
　　御礼被為　請之
　　　　　但右御祈祷之儀以後定例故不記之
一　二月《割書：日不｜詳》御門所開閉并御番之儀ニ付番改江左之通被　仰出之
　　　　一御城中所々御門朝者六ツ時開キ晩ハ御夜詰次第ニ
　　　　　閉可申候御用有之節ハ承届其趣改之可相通
　　　　　御留守中ハ明六ツニ開暮六ツニ閉可申事
一　御番帳判形之事晩ハ六ツ半時朝ハ六ツ時小印形を
　　取可申無断して遅参候輩可為不参事

【右丁】
　　　附若印判失念候ハ丶次之番に印取申へく候
　　　　又其節於失念ハ不参同前之事
一御番不参之儀　御本丸者瓦御門并太鼓御門
　下馬御門切手御門何も頬當御門之外ニ而出合候ハ丶
　可為不参頬當より内ハ不参仕間敷事
　　附惣頭中急用在之申合候儀候ハ丶下馬御門より
　　　太鼓江は可参内之御門より外之御門江出候ハ丶
　　　可為不参改中も御本丸より段々ニ可相改事
一惣侍中江戸御供同御留守番并他所江御使ニ

【左丁】
　参候者当日之外前後十日充可為休事
　　附江戸より御帰城之節御先江罷帰候者御着迄休
　　　可申候御着前十日ゟ内ニ御先江参候ハ丶御供並ニ
　　　休可申候十日過候分ハ休申間敷事
一御泊鷹野御供面々休御出前一日御帰城之日ゟ
　可為三日事
一当番之面々御国中日帰之御使ニ参候節夜ニ
　入候ハ丶可為休但御使之先に数日泊候ハ丶御泊
　鷹野同前之事

【右丁】
　　　　　一惣御番中以助番之数本番之勤ニ相立間敷事
　　　　　　万治三年二月日
一　三月八日先達而
　　隆芳院様御石塔大安寺江御造立被　仰出候処
　　御成就ニ付今日御供養有之
一　同日大安寺江坂井郡田谷村南楢原村北楢原村四十谷村
　　深谷村大年村柿谷村之内ニ而寺領三百石御寄附被成
一　同月新田義貞朝臣戦死之所吉田郡福万村地之上《割書：字向｜田》ニ
　　石碑御建立被成

【左丁】
　　　　　石碑表
　　　　　　　　暦応元年閏七月二日
　　　　　　新田義貞戦死此所
　　　　　同裏
　　　　　　万治三歳在庚子春三月建之
　　　　　　自没期至于今年三百二十五歳

　　　　　但暦応元年ゟ万治三年迄三百二十三年也此ニ三百
　　　　　　二十五歳と有之ハ書損ニ而可有之哉
一　同月《割書：日不｜詳》為　御参勤福井　御発駕

【右丁】
一　四月五日川崎駅ゟ直ニ　御着府
一　同月六日右同断ニ付　上使御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿御越
　　上意之趣御達有之右為御礼酒井雅樂頭《割書：忠｜清》殿阿部豊後守《割書：忠｜秋》殿江
　　御使者永見帯刀被指出之
一　同月十三日　御登　城　《割書：昨十二日御老中阿部｜豊後守殿ゟ御切紙来》　御参勤之御礼被
　　仰上
一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単御袷
　　被献之追而　御内書於　御城御渡有之御家来拝領物等
　　如例

【左丁】
一　同月廿九日　上使弓削多源七殿を以御鷹之鷭五御拝領
　　於御広間御頂戴鷭御吸物ニ而御盃事有之源七殿御退出
　　後為御礼　御登　城御老中江御使者御番頭被指出之
一　七月廿三日　上使桑山猪兵衛　殿を以御鷹之雲雀御拝領
　　雲雀御玄関ニ而御番頭山田伊織　受取之御書院江持参御頂戴
　　被成御長蚫　御直ニ御居御料理出候得共御断ニ付雲雀之
　　御吸物出之猪兵衛殿御退出後為御礼　御登　城御老中江
　　御使者御番頭天方半左衛門　被指出之
一　九月七日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之

【右丁】
　　追而　御内書於　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　十月廿七日　上使下曾根三十郎　殿を以御鷹之鶴御拝領鶴
　　於御玄関御番頭受取之御書院江持参御頂戴三十郎殿
　　御退出後為御礼　御登　城夫ゟ御老中江　御勤
一　十一月十五日　国松姫様《割書：御｜姉》飛鳥井左中将《割書：雅｜直》殿江御入輿御婚姻
　　御整被成
　　　　但先年本多飛騨守《割書：重｜照》殿江御縁組之処御離縁ニ相成去戌年之
　　　　　春江戸表ゟ御帰御国ニ御住居被成候処今度御再嫁有之
一　十二月廿七日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之

【左丁】
　　追而　御内書於　御城御渡有之

【右丁】
白紙

【左丁】
寛文元年辛丑《割書：此年万治四年｜四月廿五日改元》
一　正月朔日為年始御祝儀　御登　城御太刀馬代《割書：黄金｜二枚》御献上
　　呉服御拝領
一　同日於　御屋形年始御規式有之
一　二月廿六日　市姫様於江戸御屋敷御逝去小石川伝通院江
　　御葬送御法号　《割書：大正十五年七月品川｜海晏寺墓地ニ改葬ス》
　　良覚院殿昌誉万岳栄連大童女
　　　但右御寺ニ御石塔御位牌等当時無之
一　同月《割書：日不｜詳》先達而　禁裏炎上ニ付御使者嶋田清左衛門　京都江

【右丁】
　　被指出之《割書：御書日附｜十九日》
　　禁裏御所江綿百把
　　仙洞御所江奉書紙五十束
　　新院御所江右同断
　　女院御所江鬠紙百帖蠟燭五百挺
　　女御御方江鬠紙五十帖被献之
一　四月廿二日　上使御老中松平伊豆守《割書：信｜綱》殿を以御国許江之
　　御暇被　仰出例之通白銀御袷御拝領右為御礼伊豆守殿江
　　御勤残ル御老中江御使者永見帯刀　被指出之

【左丁】
一　同月廿三日　御登　城　《割書：昨廿二日　上使松平｜伊豆守殿御達》御暇之御礼被　仰上
　　例之通御馬御拝領夫ゟ右為御礼御老中并保科肥後守殿江
　　御勤
　　　　但右御暇ニ付江戸　御発駕并　御帰城月日御記録類ニ不詳
一　同月廿五日御拝領之御馬御老中松平伊豆守《割書：信｜綱》殿ゟ使者ニ而
　　為率来其節御玄関前江　御出手綱御直ニ御請取御頂戴
　　永見帯刀江　御渡夫ゟ御書院江被為　入使者江御返答有之
　　御長蚫被下之
一　同月廿九日御使者を以御国産初鯖被献之

【右丁】
　　右御披露済之捻御奉書御老中松平伊豆守《割書：信｜綱》殿ゟ来

　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　　松平越前守殿　　　　　信綱

　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　国元之初鯖被献之候遂披露候之処
　　　　　　一段之御仕合候恐々謹言
　　　　　　　四月廿九日　　　　　　信綱書判

【左丁】
　　　　　　但　従是以前ニも初鯖御献上之事可有之候得共御記録ニ
　　　　　　　不詳
　　　　　　一右初鯖被献候ニ付而之捨御奉書初而此所記之以後
　　　　　　　定例故不記之
一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単
　　御袷被献之
一　六月《割書：日不｜詳》伝馬并駄賃荷物等御定書福井大橋札之辻江
　　左之通相掲之

【右丁】
　　　定
一　御傳馬并駄賃荷物壱駄ニ付四十貫目事
一　福居大橋より浅水へ駄賃銭壱駄に付四十九文
　　同舟橋江三十五文但人足賃は馬の半分たる
　　へき事
一　宿賃之事薪代共に壱人に付六文馬には十二文
　　たるへき事
　　附人馬之賃宿賃以下御定之外増銭取もの
　　　於在之者三十日可為籠舎并其町之庄屋

【左丁】
　　為過料五貫文其外者家一軒より百文宛可出
　　之事
一　傳馬駄賃馬多入候時は其町より在々の馬をも
　　やとひ荷物遅々無之様に夜中によらす
　　雨風之時も可出之事
一　往還之輩に対し非分申懸におゐては可為
　　曲事
　　右条々　公儀御定之通也若於違犯之輩
　　有之者糺咎之軽重或死罪籠舎或可為

【右丁】
　　　　　過料者也仍下知如件
　　　　　　　寛文元年六月日　　　奉行
一　七月八日暑中　御機嫌御伺御使者被指出候処右
　　御返書今日被相渡之
　　　　　御札令拝見候
　　　　　公方様御機嫌能被成御座目出度
　　　　　被存候甚暑之節付而猶以御様体為可被
　　　　　相伺之被差越使者候弥御平安七夕御表
　　　　　出御諸御礼有之候之間可被心易候将又其国之

【左丁】
　　　　　索麪并御肴被献之候右之趣遂披露候処
　　　　　一段之御仕合候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　七月八日　　　　　　　正則書判
　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　　　　　　　　　　　酒井雅樂頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠清書判
　　　　　　松平越前守殿
　　　　　但右御返書之定例不相記候得共此御返書御文体も違且

【右丁】
　　　　　　　　暑中御機嫌御伺之廉も相知候ニ付此ニ記之
一　七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
一　八月五日来年
　　公方様日光山江御参詣ニ付御刀筒御挟箱之内御献上被成度旨
　　寒江甚右衛門　を以御用番稲葉美濃守　殿迄御伺被成候処
　　御大名方御献上物無之儀ニ候間御無用ニ可被成旨御指図有之
一　八月《割書：日不｜詳》通用金銀之儀御国中銀札遣ニ被成度旨御願被成
　　候処御願之通被　仰出候ニ付向後銀札遣ニ被　仰出之
一　十月十日御用番ゟ御呼出有之御留守居罷出候処　御鷹之

【左丁】
　　鶴御拝領ニ付御老中連名之御奉書并鶴御渡有之
　　　　　　御鷹之鶴拝領候之間以宿次差越之候
　　　　　　委曲従留守居中可相達候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　十月十日　　　　　　　正則書判
　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　　　　　　　　　　　酒井雅樂頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠清書判
　　　　　　松平越前守殿

【右丁】
　　　　　但右御拝領之鶴福井着日不詳
一　十一月三日　御先代ゟ御拝領之御鷹場《割書：上野国｜下野国之内》今度館林
　　右馬頭《割書：綱｜吉》様御領知ニ相成候ニ付替地御拝領被成度御願之
　　御書御使者を以被指出候処右替地左之通被下候旨御老中
　　連名之御奉書御渡有之
　　　　　　　御札令拝見候其方鷹場今度右馬頭殿江
　　　　　　　為領知就被遣之差替拝領被仕度之由
　　　　　　　得其意候依之被相越使者候右之趣達
　　　　　　　高聞候之処於佐倉被替下之旨被

【左丁】
　　　　　　　仰出候可被存其趣候猶使者可演説候
　　　　　　　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　十一月三日　　　　　正則書判
　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　　　　　　　　　　　酒井雅樂頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠清書判
　　　　　　松平越前守殿
　　　但右御替地下総国ニ而佐倉辺より南は曽我野生実

【右丁】
　　　　　千葉堂検見川辺北は利根川を限上総国之内ニ而
　　　　　北は長南境ゟ南は久留利境速野辺迄東は海辺を限
一　十二月《割書：日不｜詳》為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　追而　御内書於　御城御渡有之其節御家来江時服拝領
　　被　仰付之

【左丁】
寛文二年壬寅
一　正月七日為御上初御使者を以鯉一折被献之右御披露
　　済之御奉書阿部豊後守《割書：忠｜秋》殿ゟ来
　　　　　鯉一折被献之候遂披露候之処一段之
　　　　　御仕合候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　正月七日　　　　　　　　忠秋書判

　　　　　　　松平越前守殿

【右丁】
　　　　　但右御奉書　御代初而被献候処江可記事　ニ候ヘ共御奉書
　　　　　　無之ニ付初而此処ニ記以後は定例故不記之
一　正月八日御鷹場之御替地被　仰出候御礼御使者被指出
　　候処御返書御渡有之
　　　　　御札令拝見候
　　　　　公方様益御機嫌能被成御座珎重之旨
　　　　　得其意候将又其方鷹場之替地被
　　　　　仰付之忝被存候由尤之事候因茲被差越
　　　　　使者候入念候段可及

【左丁】
　　　　　上聴候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　正月八日　　　　　　　正則書判
　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　　　　　　　　　　　酒井雅樂頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠清書判
　　　　　　松平越前守殿
一　同月廿五日年始三ケ日之御規式相済候為御祝儀
　　御国許ゟ御使者を以御肴被献候処右御返書今日

【右丁】
　　被相渡之
一　二月九日
　　公方様先頃少々　御咳気之処早速御快然先月十七日
　　紅葉山　御宮江　御参詣被為　在候ニ付為御怡御書被指出候処
　　右御返書今日被相渡之　
一　同月廿五日歳暮御祝儀被献候ニ付　御内書御頂戴且又
　　御家来拝領物被　仰付候御礼御書被指出候処右御返書
　　今日於御老中宅被相渡之
　　　　　但右御礼御書初而　御在国之節可記事ニ候得共

【左丁】
　　　　　御記録類ニ不詳ニ付初而此所ニ記之以後は定例故
　　　　　不記之
一　三月十八日於本多内蔵助《割書：昌｜長》宅左之通諸向江申渡之
　　　　　先年　御直被　仰聞通御家之儀自余とは替候
　　　　　条万事用簡略心懸可有之与被　思召処
　　　　　近年諸侍不入好結構驕有之故歟大身小身
　　　　　共ニ手前不如意之由被聞召及沙汰之限千万ニ候間
　　　　　向後面々奉得此旨相守先規条目之趣其外ニも
　　　　　不致費所を嗜ニ可仕者也

【右丁】
　　　　　　三月十八日
一　三月《割書：日不｜詳》福井　御発駕東海道通　御旅行
一　四月五日座頭瞽女初而御家中施行米之儀左之通
　　相触之
　　　　一壱万石ゟ五千石迄
　　　　　　米五俵　　　　　座頭
　　　　　　米弐俵半　　　　瞽女
　　　　　　米壱俵　　　　　橋ノ下
　　　　　　米壱俵　　　　　岡ノ者

【左丁】
　　　　一五千石ゟ三千石迄
　　　　　　米三俵　　　　　座頭
　　　　　　米壱俵半　　　　瞽女
　　　　　　米壱俵　　　　　橋ノ下
　　　　　　米壱俵　　　　　岡ノ者
　　　　一弐千石ゟ千石迄
　　　　　　米弐俵　　　　　座頭
　　　　　　米壱俵　　　　　瞽女
　　　　　　米半俵　　　　　橋ノ下

【右丁】
　　　　　　米半俵　　　　　岡ノ者
　　　　一九百石ゟ三百石迄
　　　　　　米壱俵　　　　　座頭
　　　　　　米半俵　　　　　瞽女
　　　　　　米壱斗　　　　　橋ノ下
　　　　　　米壱斗　　　　　岡ノ者
　　　　一弐百五拾石ゟ弐百石迄
　　　　　　銀十匁　　　　　座頭
　　　　　　銀五匁　　　　　瞽女

【左丁】
　　　　　　銀三匁　　　　　橋ノ下
　　　　　　銀三匁　　　　　岡ノ者
　　　　一百石
　　　　　　銀五匁　　　　　座頭
　　　　　　銀弐匁五分　　　瞽女
　　　　　　銀弐匁　　　　　橋ノ下
　　　　　　銀弐匁　　　　　岡ノ者
　　　　　　　〆
一　四月《割書：日不｜詳》御家中婚姻取扱之節御規定左之通被　仰出之

【右丁】
　　　　　　祝言取遣定
　　　　一五千石以上
　　　　　一手道具黒塗蒔絵
　　　　　一供乗物五挺之上無用
　　　　　一長持十之上無用但油単有之は木綿
　　　　　一葛籠挿箱は右之諸道具可応
　　　　　一祝之餅行器三荷
　　　　一四千九百石ゟ三千石迄
　　　　　一手道具右同前

【左丁】
　　　　　一供乗物三挺ゟ上無用
　　　　　一長持八ツ上無用ゆたんは右同前
　　　　　一葛籠挿箱右同前
　　　　　一祝之餅行器弐荷
　　　　一弐千九百石ゟ千石迄
　　　　　一手道具右同前
　　　　　一供乗物弐挺之上無用
　　　　　一長持六ツ之上無用ゆたんなし
　　　　　一葛籠挿箱右同前

【右丁】
　　　　　一貝桶無用
　　　　　一金屛風無用
　　　　　一祝之餅行器壱荷
　　　　一九百石ゟ五百石迄
　　　　　一手道具黒塗
　　　　　一供乗物壱挺
　　　　　一長持四ツ之上無用ゆたんなし
　　　　　一葛籠挿箱右同前
　　　　　一貝桶無用

【左丁】
　　　　　一金屛風無用
　　　　　一祝之餅行器壱荷
　　　　一四百石ゟ三百石迄
　　　　　一手道具黒塗
　　　　　一長持三ツ之上無用ゆたんなし
　　　　　一葛籠挿箱右同前
　　　　　一貝桶無用
　　　　　一金屛風無用
　　　　　一祝之餅行器壱荷

【右丁】
　　　　一弐百石ゟ百石迄
　　　　　一手道具黒塗
　　　　　一長持弐ツ
　　　　　一葛籠挿箱右同前
　　　　　一貝桶無用
　　　　　一金屛風無用
　　　　　一祝之餅行器壱荷
　　　　一舅聟祝儀取遣り太刀馬代樽肴其外親類縁者
　　　　　并下々迄互進物無用之事

【左丁】
　　　　　一衣類高直之物仕間敷事
　　　　　一惣而梨子地道具一切仕間敷候但古来ゟ用意仕置候
　　　　　　梨子地蒔絵道具有之者此節横目中江相断可申事
　　　　　一祝言之料理弐千石ゟ上ハ三迄
　　　　　一千九百石ゟ以下ハ二迄但料理御定之外少者不苦事
　　　　　一膳部木具ニ而も可為心次第事
　　　　　一盃之台大身小身共ニ一ツ之外可為無用事
　　　　　右条々堅御法度之旨可被得其意候以上
　　　　　　　　寛文弐年
　　　　　　　　　　　寅卯月日

【右丁】
一　四月十一日神奈川駅御泊ゟ　御着府
一　同月十二日　御参府ニ付　上使御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿御越
　　上意之趣御達有之右為御礼美濃守殿江　御勤残御老中江
　　御使者御家老有賀小右衛門《割書：正｜成》被差出之
一　同月十四日御用番稲葉美濃守《割書：正｜則》殿ゟ捻御奉書来
　　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　　　松平越前守殿　　　　　　　　正則
　　　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　明十五日参勤之御礼可有之候
　　　　　　　　之間四時分御登　　城尤候

【左丁】
　　　　　　　　恐々謹言
　　　　　　　　　　　四月十四日　　　　　　正則書判
一　同月十五日《割書：五半｜時》　御登　城御参勤之御礼被　仰上御太刀金馬代
　　御時服御献上御披露相済　御退座畢而被　召連候御家老
　　御目見被　仰付相済　御退出掛為御礼御老中　御廻勤
一　同月廿八日　上使能勢次左衛門《割書：頼｜宗》殿を以　御鷹之鷭《割書：大鷭二｜小鷭三》
　　御拝領右為御礼　御登　城御老中若年寄中江御使者
　　《割書：御留守居｜御使番》被指出之
一　五月朔日諸国大地震

【右丁】
一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単
　　御袷被献之追而　御内書於　御城御渡有之御家来
　　拝領物等如例
一　同月四日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
一　同月晦日御国許地震《割書：去ル｜朔日》ニ而　御城御門升形石垣勝見口
　　冠木門等破損ニ付御修復被成度旨御伺被成候処如元
　　御普請御被成候様御奉書来右為御礼御老中江御使者御家老
　　酒井玄蕃《割書：元｜知》被指出之
一　七月五日　上使下曾根三十郎《割書：信｜貞》殿を以　御鷹之雲雀御拝領

【左丁】
　　三十郎殿御越之節御門際ニ而雲雀御家老有賀小右衛門《割書：正｜成》請取
　　御玄関ニ而御奏者番飯沼十郎右衛門《割書：政｜刑》請取御書院江持参
　　三十郎殿御通之節渡之間御次迄　御出迎御会釈有之三十郎殿
　　御座敷江御通　上意之趣御達有之雲雀御頂戴御請被　仰上
　　畢而御長蚫御直ニ御居被成直ニ御拝領之雲雀御吸物ニ而御盃事
　　有之三十郎殿御退出之節御玄関迄　御送被成右為御礼
　　御登　城御老中江御使者御留守居冨岡又三郎被指出之
一　九月三日御使者を以御国産初鱈被献之右御披露済之
　　捻御奉書御老中阿部豊後守《割書：忠｜秋》殿ゟ来ル

【右丁】
　　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　　松平越前守殿　　　　　忠秋
　　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　国許之初鱈被献之候遂披露候之処
　　　　　　一段之御仕合候恐々謹言
　　　　　　　九月三日　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　但従是以前ニも初鱈御献上之事可有之候得共御記録類ニ不詳
　　　　　一右初鱈被献候ニ付而之捻御奉書初而此所ニ記之以後は定例故不記之
一　九月七日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　追而　御内書於　御城御渡有之御家来拝領物等如例

【左丁】
一　十月十日　上使並木十左衛門殿を以　御鷹之鶴御拝領十左衛門殿
　　御越之先鶴御玄関ニ而御奏者番飯沼十郎右衛門《割書：政｜刑》酒井十之丞《割書：充｜房》
　　請取御書院江持参十左衛門殿御越之節渡り之間迄御出迎御会釈
　　有之御案内ニ而御書院江御通　上意之趣御達有之鶴御頂戴被成
　　御請被　仰上畢而御長蚫　御直ニ御居被成御吸物出御盃事有之相済
　　十左衛門殿御退出之節御玄関迄御送被成右為御礼　御登　城御礼
　　被　仰上夫ゟ御老中江　御廻勤若年寄中江御使者被指出之
一　同日右同断ニ付御家老御城代江御書被成
　　　　　但右御書被成候儀以後定例故不記之

【右丁】
一　十一月四日去年御替被下候御鷹場　御巡見被成度旨御願
　　被成候処御奉書を以御願之通御暇被　仰出之
　　　　　其方儀今度鷹場被替下候付而彼地
　　　　　被見舞度之由及
　　　　　上聞候処可罷越之旨被
　　　　　仰出候可得其意候恐々謹言
　　　　　　十一月四日　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　松平越前守殿
一　同月六日江戸　御発駕総州御鷹場江御出被成

【左丁】
　　　　　但今日舟橋　御休曾我野　御泊其余御休泊不詳
一　同月《割書：日不｜詳》御鷹場ゟ御使者を以御鷹之雁二被献之
一　同月十二日右同断ニ付御披露済之御奉書御渡有之
　　　　　　御札令拝見候
　　　　　　公方様益御機嫌能被成御座目出度被存
　　　　　　之由得其意候将又今度御暇鷹場江
　　　　　　被相越念之旨尤之御事候依之御使者
　　　　　　鷹之雁二被献之候右之趣遂披露
　　　　　　候之処入念之段御喜色之御儀候

【右丁】
　　　　　委曲使者可為演説候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　十一月十二日　　　　　　正則書判
　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　　酒井雅樂頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠清書判
　　　　　　松平越前守殿
一　十一月十七日
　　公方様御咳気ニ而去ル十五日表　出御無之ニ付御鷹場より
　　御使者を以　御機嫌御伺之御書被指出候処右御返書今日
　　被相渡之

【左丁】
　　　　　御札令拝見候
　　　　　公方様少々御咳気付而去十五日為
　　　　　御養生御表ヘ　出御不被遊之趣
　　　　　相達御様体依被承度被差越
　　　　　使者候差儀無之早速御　快然
　　　　　御膳等能被召上候間可御心安候入念
　　　　　候之段可及　台聞候委曲使者
　　　　　可令演説候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　十一月十七日　　　　　　正則書判

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　　酒井雅樂頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠清書判
　　　　　　　松平越前守殿
一　十一月廿一日
　　公方様御咳気御快然ニ付御鷹場ゟ御使者を以御書
　　被指出候処右御返書今日被相渡之
　　　　　　御札令拝見候
　　　　　　公方様御咳気早速御快然益御機嫌
　　　　　　能被成御座候趣相達珎重之旨　得

【左丁】
　　　　　　其意候依之被差越使者候念入候段
　　　　　　可及　台聞候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　十一月廿一日　　　　　正則書判
　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　　酒井雅樂頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠清書判
　　　　　　　松平越前守殿
一　同月廿八日御鷹場ゟ　御帰府被成
一　同月晦日御奉書を以　御鷹之鶴御拝領有之
　　　　　　御鷹之鶴被遣之候委曲従留守居

【右丁】
　　　　　　中可相達候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　十一月晦日　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　　　　　　　　　　　酒井雅樂頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠清書判
　　　　　　　　松平越前守殿
一　十二月朔日　御登　城御鷹場ゟ御帰府之御礼被　仰上
　　雁二被献之
一　同月十八日寒中ニ付御使者を以御国産生鱈被献之右御披露
　　済之捻御奉書御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿ゟ来
【左丁】
　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　松平越前守殿　　　　　　　正則
　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　国元之鱈被献之候遂披露候之処
　　　　　一段之御仕合候恐々謹言
　　　　　　十二月十八日　　　　　　正則書判

　　　　但寒中生鱈御献上之事　従前々可有之候得共不詳処
　　　　　右御披露済之御奉書有之ニ付初而此ニ記之
一　同月廿七日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖三《割書：熨斗目御紋｜■珍■紗》

【右丁】
　　被献之
一　十二月廿八日右近様《割書：出羽守《割書：直｜政》様｜御嫡》御叙爵被称右近大夫隆政
一　月日
　　新院御所御移徙相済候為御祝儀御使者小島與五右衛門《割書：好｜寛》
　　京都江被指出之奉書紙《割書：二十｜束》三種二荷被献之

【左丁】
寛文三年癸卯
一　正月朔日朝於　御屋形御座之間年始御規式有之
　　兵部大輔様御越御太刀目録御持参於御同所　御対面三献之
　　御祝有之
　　　　　但兵部大輔様御在府之時者御登　城前御越有之候得共以後定例
　　　　　　故不記之
一　同日為年始御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代御献上
　　呉服御拝領

【右丁】
一　同日　御帰殿後於　御座之間御家老太刀目録持参御　礼
　　申上之三献之御祝御相伴被　仰付相済證人永見百助
　　《割書：帯刀｜次男》御用人御礼申上御盃頂戴御長蚫　御直ニ被下之《割書：太刀目録持参無之｜引渡も不出以下同断》
　　畢而於小書院御番頭御奏者番初番外之面々御礼申上御盃
　　頂戴御長蚫　御直ニ被下之相済　御前様御附山田十郎右衛門
　　太刀目録持参御礼申上右同断被下之於表御書院御物頭并
　　諸士御流之御盃頂戴御長蚫取次ニ而被下之畢而諸役人之御礼
　　被為請之　御前様御附之面々御流之御盃頂戴御長蚫
　　取次ニ而被下之被為　入於　御座之間御小姓共江右同断被下之

【左丁】
一　正月二日於中御書院昨日当番之面々年始御礼申上御流之
　　御盃頂戴御長蚫被下之夫ゟ於小書院御医師共江右同断被下之
一　同月三日於小書院山田半助　《割書：十郎右衛門｜倅》年始御礼申上御流之御盃
　　頂戴御長蚫　御直ニ被下之於中御書院御家中子共御礼申上
　　御流之御盃頂戴御長蚫取次ニ而被下之
一　同日夜御謡初御祝儀有之御家老初諸士迄御盃被下之
一　同月七日為御上初御使者を以例之通御肴被献之
一　同月十一日於　御座之間御具足之餅御祝有之御家老御相伴
　　被　仰付畢而證人初御奏者番番外之面々江御餅　御直ニ被下之

【右丁】
　　夫ゟ於表御書院諸士江御餅被下二行ニ罷出自分頂戴之相済
　　御前様御附山田十郎右衛門　同半助　其外御附之面々罷出御餅
　　被下之於中御書院御医師共江御餅被下之
　　　　　但　御具足餅御祝之儀
　　　　　　忠昌様御代は　公辺を始正月廿日御祝有之候へ共
　　　　　　大猷院様御忌日相成ニ付承応元年ゟ　公辺御祝十一日ニ相成
　　　　　　候ニ付其節より御家ニ而も御日取替ニ相成候儀ニ可有之候へ共当年迄之処不詳
一　正月十五日御拝領之御鷹場ニ而百姓共生変之雁捕指上候ニ付右雁
　　御献上被成度旨寒江甚右衛門　を以御老中迄御伺被成候処一段之儀ニ候間
　　早速明日御献日被成候様御用番阿部豊後守《割書：忠｜秋》殿御指図有之

【左丁】
一　同月十六日御使者寒江甚右衛門《割書：信｜安》を以生変之雁被献之《割書：阿部豊後守殿迄｜被遣之》
　　右御披露済之捻御奉書阿部豊後守《割書：忠｜秋》殿ゟ来ル
　　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　　松平越前守殿　　　　　　　忠秋
　　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　符替之雁被献之候遂披露候処
　　　　　一段之御仕合候恐々謹言
　　　　　　　正月十六日　　　　　　　忠秋書判
一　二月十四日　布里姫様《割書：御｜妹》江土井信濃守《割書：利｜直》殿ゟ御使者御家老
　　石原九郎兵衛を以御結納被進之御料理被下之《割書：此節　兵部大輔様与｜御同居ニ付鳥越御屋敷江》

【右丁】
　　《割書：相勤｜之》御使者同人を以
　　光通様江右為御祝儀三種二荷被進之《割書：霊岸島御屋敷江｜相勤也》御家老
　　有賀小右衛門《割書：正｜成》酒井玄蕃《割書：元｜知》御口上承之長蚫出之御吸物御酒被下之
一　二月十八日
　　禁裡御所御移徙為御祝儀御使者山本五郎左衛門　京都江
　　被指出之奉書紙《割書：三十｜束》三種二荷被献之
　　　　　但外御所方は　御移徙未済ニ付献無之
一　同月廿七日　布里姫様土井信濃守《割書：利｜直》殿江御入輿御婚姻御整被成
　　　　但　此節　兵部大輔様与御同居ニ付鳥越御屋敷ゟ御入輿

【左丁】
一　三月二日為御聟入土井信濃守《割書：利｜直》殿此　御屋形江御越御太刀
　　金馬代御小袖二御持参於御表御披露相済御同道ニ而大奥江
　　被為入御盃事有之御大小被進之相済信濃守殿表江御　出
　　於御書院御家老初夫々御逢御盃被下之畢而於御同所
　　光通様御前江信濃守殿之御家老石原九郎兵衛　大野三左衛門
　　被召出御盃被下御腰物被下之相済信濃守殿初御一門之御方々江
　　御料理出之《割書：信濃守殿御家老両人御書院｜御次之間ニ而御料理被下之》御饗応御囃子《割書：高砂東北｜猩々》
　　有之
一　同月廿九日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於　御城御渡有之

【右丁】
　　御家来拝領物等如例
一　四月十三日
　　公方様為日光　御参詣江戸　御発駕《割書：廿四日｜還御》
一　同月廿七日
　　禁裡《割書：御諱｜織仁》御即位《割書：正月廿六日｜御受禅》
一　同日去廿四日
　　公方様日光山ゟ　還御被　遊候為御祝儀御使者冨岡又三郎
　　を以白鳥一羽昆布一箱鯣一箱御樽三荷被献之

【左丁】
一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単
　　御袷被献之追而　御内書於　御城御渡有之御家来拝領物等
　　如例

一　同月四日　御即位相済候為御祝儀御使者笹治刑部《割書：直｜次》を以
　　禁裡御所江御太刀銀三拾枚
　　法皇御所　本院御所江御太刀銀弐拾枚宛
　　新院御所江御太刀銀拾枚　女院御所江銀弐拾枚　女御御方江
　　銀五枚被献之

【右丁】
一　同日　上使御使番久保平左衛門《割書：勝｜周》殿を以　御鷹之鷭御拝領

一　同月七日　御即位相済候為御祝儀御使者寒江甚右衛門
　　を以昆布一箱鯣一箱御樽一荷被献之

一　同月十日　御登　城　布里姫様御婚姻ニ付而之御礼被
　　仰上御時服十御献上

一　同月十八日明十九日御能有之ニ付為御見物　御登　城被成候様

【左丁】
　　御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿ゟ捻御奉書来ル

　　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　　松平越前守殿　　　　　　　正則

　　　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　明日御能被　仰付候可致見物之旨
　　　　　上意候被存其趣辰刻以前御登城
　　　　　尤候恐々謹言

【右丁】
　　　　　　　　五月十八日　　　　　　正則書判
　　右為御礼　御登　城

一　五月十九日　御登　城御能御見物被成
一　同日右同断ニ付御折一合被献之

一　同月廿日昨日御能御見物被成候ニ付為御礼　御登　城

一　同月廿三日　御登　城《割書：昨日御老中阿部豊後守殿ゟ｜御奉書来ル》被成候処武家諸

【左丁】
　　法度并殉死御制禁之段被　仰出之
　　　　　　　武家諸法度
　　　　一文武弓馬之道専可相嗜事
　　　　一大名小名在江戸交替之儀毎歳守所相定之時節
　　　　　可致参勤従者之員数弥不可及繁多以相応
　　　　　可減少之但公役者任教令可随分限事
　　　　一新儀之城郭構営堅禁止之居城之湟塁石壁
　　　　　以下取壊之時は達奉行所可受其旨也矢倉塀門
　　　　　等者如先規可修補事

【右丁】
一　於江戸并何国譬何等之事雖有之在国之輩者
　　守其所可相俟下知事
一　雖於處々行刑罰役者之外不可出向可任検使之
　　左右事
一　企新儀結徒党成誓約之儀制禁事
一　諸国主并領主等不可致私之諍論平日須加
　　謹慎若有可及遅滞之儀は達奉行所可受其旨
　　事
一　国主城主一万斛以上近習并物頭は私不可結婚姻

【左丁】
　　事
　　　附与公家於結縁辺は向後達奉行所可受
　　　　差図事
一　音信贈答嫁娶儀式饗応或家宅営作等
　　弥可為簡略其外万事可用倹約事
一　衣装之品不可混乱白綾公卿以上白小袖諸大夫
　　以上聴之紫袷紫裡練無紋小袖猥不可着之事
一　乗輿は一門之歴々国主城主一万斛以上并国大名之
　　息城主曁侍従以上之嫡子五拾以上或医陰之

【右丁】
　　両道病人免之其外禁濫吹但免許之輩は各別
　　也至于諸家中者於其国撰其人可載之事
一　本主之障有之者不可相抱若有叛逆殺害人之
　　告者可返之向背之族者或返之或可追出之事
一　陪臣質人所献之者可及追放死刑時は達奉行
　　所可受其旨若当座有難遁儀而斬戮之者其
　　子細可言上事
一　知行所務清廉沙汰之不致非法国郡不可
　　衰弊事

【左丁】
一　道路駅馬舟梁等無断絶不可令往還之停滞
　　事
一　私関所新法之津留制禁事
一　五百斛以上之船停止之但荷舟は制外事
一　諸国散在寺社自古至今所附来者向後不可取放事
一　耶蘇宗門之儀於国々所々弥堅可禁止之事
一　不孝之輩於有之者可処罰科事
一　万事応江戸之法度於国々所々可遵行事
右条々准当家先例之旨今度潤色而定之訖堅

【右丁】
　　　　　可相守者也
　　　　　　　寛文癸卯五月廿三日
　　　　　　　〆
　　　　　　　　口上之覚
　　　　　殉死者古より不義無益之事なりといましめ
　　　　　置といへとも被　仰出無之故近年追腹之者
　　　　　許多有之向後左様之存念可有之者ニは
　　　　　常々其主人より殉死不仕様に堅可申合候若
　　　　　以来於有之者亡主不覚悟可為越度跡目之

【左丁】
　　　　　息も不令抑留儀不届被為　思召者也
　　　　　　五月廿三日
　　　　　　〆
一　五月廿五日　上使御老中阿部豊後守《割書：忠｜秋》殿を以御国許江之御暇
　　被　仰出例之通白銀千枚御袷百御拝領《割書：上使御取扱｜如例》右為御礼
　　豊後守殿江　御勤残ル御老中江御使者被指出之
一　同月廿六日《割書：五｜時》　御登　城御暇之御礼被　仰上例之通御馬御拝領
　　畢而被　召連候御家老　御目見被　仰付相済　御下城夫ゟ
　　御老中　御廻勤

【右丁】
一　同日　出羽守《割書：直｜政》様被叙任従四位上少将
一　六月六日江戸　御発駕同九日日光山江　御参詣
　　東照宮江銀拾枚
　　大猷院様御霊前江銀三拾枚被献之右相済夫ゟ直ニ
　　御帰国被成
一　同月十三日　国松姫様御実母死去《割書：称二ノ丸殿｜法名慶光院》
一　同日日光　御参詣相済候ニ付為御礼御道中ゟ御使者被
　　指出候処右御返書於御老中被相渡之
　　　　　　　御札令拝見候

【左丁】
　　　　　　　公方様益御機嫌能被成御座恐悦候得
　　　　　　　其意候酷暑之節付而猶以為可　被　相伺
　　　　　　　御様体被差越使者候弥御勇健之　御事
　　　　　　　候間可御心安候将又今度首尾好御暇去
　　　　　　　九日日光登山拝礼被有之恙候由承届候
　　　　　　　入念候段可及
　　　　　　　上聞候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　六月十三日　　　　　　正則書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　酒井雅楽頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠清書判
　　　　　　　　松平越前守殿
一　六月廿二日《割書：午｜刻》　御着城
一　同月廿三日為　御帰国御礼御使者松平主馬《割書：正｜詮》江戸表江被
　　指出之
一　同日諸士登　城被　仰付於御広間今度
　　公辺ゟ被　仰出候武家諸法度并殉死御制禁之段被
　　仰出之
一　同日暑中ニ付御使者を以例之通索麪被献之

【左丁】
　　　　　但御在国年者　御書を以被献之廉ニ候得共当年は
　　　　　御帰国御道中ニ相成御日附六ケ敷候ニ付御使者ニ而被献ニ相成
一　七月六日御家中婚姻取扱之節供連并供乗物等之儀ニ付
　　当四月被　仰出有之候処今度山内隼人妹石丸造酒助江
　　婚姻之節辻固并供連抔多有之候儀　思召ニ不相叶候ニ付
　　外様江も申聞候様ニと御近習之者江左之通被　仰出之
　　　　　　　覚
　　　　一　諸道具成程軽キ物用可申事
　　　　　　　附数も差当無之候而不叶物斗

【右丁】
　　　　一衣類小袖帷子共々京染箔鹿子之類帯ニ至迄一切
　　　　　無用但持来分はくるしからす
　　　　一夜着蒲団何も当国之絹紬可用事
　　　　一召仕之女小女共ニ六人
　　　　　　附召仕之女主ゟもらひ候共絹帯着候事無用

一　同日　御帰国ニ付
　　女院御所御機嫌為御伺京都江御使者牧野九郎左衛門　被
　　指出之例之通奉書紙《割書：十｜束》鯖《割書：三十｜刺》被献之

【左丁】
　　　　　但右御使者被指出候儀先前ゟ可有之候へ共御記録類ニ不相見
　　　　　　当年之御記録ニ有之ニ付初而此ニ記之
一　七月七日御書を以例之通御国産初鱈三被献之
一　同日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
一　同月八日坂井郡三国江為　御鷹狩被為　入《割書：同十三日｜御帰城》
一　同月九日御帰国為御礼御使者松平主馬《割書：正｜詮》を以奉書紙《割書：三十｜束》
　　鯣干鯛御樽被献之主馬　御目見被　仰付退去再自分之
　　御礼被　仰付御太刀馬代献上之
　　　　　但右御献上ニ付而之御返書御渡之日限不詳

【右丁】
一　八月朔日為御祝儀御使者を以例之通御太刀馬代被献之
一　同月御帰国御礼御使者御目見且拝領物被　仰付候ニ付而之
　　御礼御書御国許ゟ御使者を以御用番江被指出之
一　同月廿八日
　　女院御所　御移徙為御祝儀御使者を以
　　女院御所江縮緬《割書：紅｜白》二十巻三種二荷被献之
　　　　　但右御祝儀被献之儀諸家よりは無之候得共御家よりは常ニ
　　　　　　ケ様之節被指上遊有之候間
　　　　　　女院江斗被献候様ニと御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿御指図ニ付

【左丁】
　　　　　　被献之
一　九月七日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　追而　御内書於　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　十月十二日御鷹之鶴御拝領ニ付於御用番宅御老中連名之
　　御奉書并鶴御渡有之右ニ付御徒勝木安大夫指添御国許江
　　指立之
一　同月十六日宿継御奉書を以御拝領之鶴福井江着於
　　御本丸御頂戴
　　　　　　一筆令啓達候

【右丁】
　　　　公方様益御機嫌能被成御座候之旨
　　　　可御心安候将又御鷹之鶴拝領候条
　　　　以宿次差越之候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　十月十二日　　　　　　広之書判
　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　正則書判
　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　酒井雅樂頭
　　　　　　　　　　　　　　　　忠清書判
　　　　　　松平越前守殿
一　十月十八日鶴御拝領御礼御使者佐野式部《割書：香｜里》今日福井出立

【左丁】
一　十一月朔日右同断為御礼御使者佐野式部《割書：香｜里》を以御肴被献之
　　式部　御目見被　仰付退去再自分之御礼被　仰付御太刀馬代献上之
一　同月二日御使者佐野式部《割書：香｜里》御城江罷出候処御返書御渡有之
　　式部江御時服二御羽織拝領被　仰付
一　同月十八日御家中衣類之儀ニ付左之通被　仰出之
　　　　　　御家中衣類之御定
　　　　一於御国御小姓中衣類絹紬之外不可着之惣而箔類
　　　　　可為無用但持来ふるき衣類は不■【苦ヵ】事
　　　　一大身小身ともに妻子之衣裳絹紬よりうへ不

【右丁】
　　　　　　可着之事
　　　　　　　付箔類可為無用但有来ふるき衣類下着には
　　　　　　　　可用之事
　　　　　一帷子右同前但代銀壱枚を不可過次面々召仕之
　　　　　　女衣類是に応しそれより下を可用事
　　　　　　　卯十一月十八日

一　十一月　鶴御拝領之御礼御使者　御目見且拝領物被
　　仰付候ニ付而之御礼御書御使者を以被指出之

【左丁】
一　十二月十九日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈
　　被献之
一　同月廿七日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　追而　御内書於　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　同月廿八日　中務大輔《割書：昌｜勝》様四品被　仰付
一　同月《割書：日不｜祥》衣類其外振廻并供連等之儀ニ付左之通被　仰出之
　　　　一衣服絹紬よりうへの物不可着之
　　　　　　但其より下軽ほと可然事
　　　　　　　附持来ふるき衣類下着ニ不苦事

【右丁】
　　　　一羽織并肩衣袴持来ふるきは何ニ而も可着之事
　　　　一羅紗之褐羽不可着之縦令持来古といふとも一切
　　　　　停止事
　　　　右違背輩は為過科銀子壱枚可出之但従他所
　　　　御客来使者等有之節者可為各別者也
　　　　　〆
　　　　一大身小身共に妻女の衣裳絹紬よりうへ不可着之
　　　　　惣而薄類可為無用但有来ふるき衣類下着ニは
　　　　　可用之事

【左丁】
　　　　一振舞二汁三菜但一汁は精進菜は盛ませなし
　　　　　外ニ香物はくるしからさる事
　　　　一酒三返吸物肴一種外取肴一色可出之事
　　　　　　附他国肴一切可停止事
　　　　一後段之吸物何ニても有合の肴二色可出之酒
　　　　　同前事
　　　　　　附木具一円可為無用但道きは不苦事
　　　　右堅可相守此旨但自他所客来有之節は可為
　　　　各別并嫁娶之時は横目中可受差図者也

【右丁】
　　　　　　寛文三十二月日
　　　　　　　〆
　　　　　　御礼日出仕之面々
　　　　　　御本丸橋ゟ内江供可召連人数之定
　　　　一年寄中は　　　　　　　侍五人挿箱持壱人
　　　　　　　　　　　　　　　　草履取壱人雨降ニ傘持壱人
　　　　一大名分は　　　　　　　侍三人草履取壱人
　　　　　　　　　　　　　　　　雨降ニ傘持壱人
　　　　一奏者番中は　　　　　　侍弐人挿箱持壱人
　　　　　　　　　　　　　　　　草履取其外右同前

【左丁】
　　　　一番頭中は　　　　　　　侍弐人草履取壱人
　　　　　　　　　　　　　　　　雨降ニ傘持壱人
　　　　一物頭使番其外小身共ニ　侍壱人
　　　　　　　　　　　　　　　　其外右同前
　　　　右之通可相守者也但瓦御門番当番之面々は可為
　　　　各別者也

　　　　　　　条々
　　　　一御城腰掛ニ而ほうから希仕者有之は為過料
　　　　　銀子拾匁可取之事

【右丁】
　　　　一腰懸にて臥候者有之者過料右同前事
　　　　一腰懸にて謡まひ小歌尺八吹候者有之者過料
　　　　　右同前事
　　　　右之条々堅可相守者也若於相背輩有之者可為
　　　　曲事者也

【裏表紙】

家譜


　　　家譜《割書：綱昌公｜》《割書：従延宝六年｜到同八年》十四

　　　綱昌様《割書：従延宝六年戊午｜至同八年庚申》

延宝六年戊午
　　一　正月朔日於　御本丸年始御規式有之　御座之間本多
　　　　孫太郎《割書：長｜員》初御家老太刀目録持参御礼申上之三献之御祝
　　　　御相伴被　仰付御盃頂戴御長蚫被下之畢而於奥御書院
　　　　本多民部《割書：重｜方》御礼申上之御盃頂戴御長蚫被下之於表御書院
　　　　高知初引渡席之面々太刀目録持参御礼申上之御流之　　
　　　　御盃頂戴御長蚫被下之相済歌合初長袴以上之面々太刀
　　　　目録持参御礼申上之御流之御盃御長蚫被下之畢而

　　　　於大広間諸物頭御使番之面々并御書院番一番ゟ四番迄
　　　　大御番一番ゟ六番迄御留守番一番ゟ六番迄新番一番
　　　　二番迄鳥目持参御礼申上之御流之御盃頂戴御長蚫
　　　　取次ニ而被下之
　　一　同日為年始御祝儀御使者石川惣左衛門を以御太刀
　　　　一腰御馬一疋《割書：代黄金｜二十両》被献之大広間三之間江御大老
　　　　御老中列座御奏者番御請取有之
　　　　　　但惣左衛門閏十二月七日御国表出立
　　一　正月二日於　御本丸御座之間御家老之嫡子太刀目録
　
　　　　持参年始之御礼申上之御盃頂戴長蚫被下之畢而於
　　　　御書院御医師共鳥目持参御礼申上之御流之御盃頂戴
　　　　御長蚫被下之相済於御同所高知初長袴以上之子供
　　　　御礼申上之御流之御盃頂戴御長蚫被下之畢而於大広間
　　　　諸物頭初惣侍中之子供御礼申上之御流之御盃頂戴
　　　　御長蚫取次ニ而被下之
　　一　同月三日与力之者共年始之御礼被為　請大流之御盃
　　　　頂戴御長蚫取次ニ而被下之
　　一　同月五日　御代替ニ付於　御座之間本多孫太郎《割書：長｜員》永見

　　　　志摩《割書：通｜洪》御家老初其外江御朱印　御直ニ被下之畢而於
　　　　大広間御家中知行被下面々不残江右同断被下之御奏
　　　　者番相渡之
　　一　正月六日泉蔵院初御菩提寺年始御礼被為
　　　　請
　　一　同月七日諸町人年始之御礼被為　請
　　一　同日為御上初御使者を以例之通御肴《割書：鯛｜》被献之
　　一　同月惣寺社年始之御礼被為　請
　　一　同月十一日年始三ヶ日之御規式相済候為御祝儀江戸表江
　　　　御使者被指出之御肴一種被献之
　　　　　　但右御使者江戸着日不詳同月廿五日御返書御渡有之
　　一　同月十八日　御参詣御時節為御伺江戸表江御使者被指出之
　　　　　　但右御使者江戸着日不詳
　　一　二月朔日御老中ゟ御呼出ニ付　御参勤御伺之御使者
　　　　罷出候処当四月中　御参勤可被成旨御老中連名之
　　　　御奉書御渡有之
　　一　同月廿五日月次　御機嫌為御伺御使者加藤武右衛門《割書：重｜之》
　　　　江戸表江被指出之御肴一種被献之武右衛門今日福井出立

　　　　　　但武右衛門江戸着日不詳三月十日御返書相渡之
　　一　三月十四日永平寺登　城御菓子一箱指上之於御書院
　　　　御逢有之御料理出御引物御直ニ御引被成孝顕寺
　　　　鎮徳寺相伴被仰付
　　一　同月廿日於　御本丸与力之者共弓術炮術　御覧有之
　　一　同月廿七日福井　御発駕東海道通　御旅行
　　一　四月九日江戸御屋敷江　御着右為御案内御老中
　　　　若年寄中并酒井河内守《割書：忠｜挙》殿江御使者長沼権兵衛被
　　　　指出之
　　一　同月十日　御参府ニ付　上使老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿御越
　　　　上意之趣御達有之美濃守殿御退出後右為御礼御老中并
　　　　酒井河内守《割書：忠｜挙》殿江　御廻勤若年寄中江御使者御番頭被指出之
　　一　同月十一日《割書：五｜時》御登　城御太刀一腰銀三百枚綿五百把御献上
　　　　御参勤之御礼被　仰上畢而被召連候御家来稲葉采女《割書：治｜房》御太刀
　　　　銀馬代蝋燭《割書：二百｜挺》斎藤民部《割書：定｜之》御太刀銀馬代献上一人宛　御目見被
　　　　仰付相済　御退出掛右為御礼御老中若年寄中并酒井
　　　　河内守《割書：忠｜挙》江　御廻勤
　　一　同月十二日右同断ニ付京都所司代戸田越前守《割書：忠｜昌》殿江御書被

　　　　遣之
　　　　　　但所司代江御書被遣候儀以後定例故不記之
　　一　同日右同断ニ付本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老御城代江御書
　　　　被成
　　　　　　但右御書被成候儀以後定例故不記之
　　一　四月十三日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
　　一　同月十九日　上使稲葉清左衛門《割書：正｜定》殿を以　御鷹之鷭御拝領
　　　　清左衛門殿此　御屋形江御越之節於御玄関冨永新左衛門《割書：長｜盛》鷭
　　　　請取之御書院江持参其節御広間板之間迄
　
　　　　御出迎御案内ニ而清左衛門殿御書院江御通　上意之趣
　　　　御達有之鷭御頂戴被成御請被　仰上畢而御長蚫御居
　　　　被成御拝領之鷭御吸物ニ而御盃事有之御料理者
　　　　御断故不出之清左衛門殿御退出之節御玄関迄御送被成
　　　　夫ゟ右為御礼御登　城　御退出掛御老中江
　　　　御廻勤
　　一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子
　　　　御単御袷被献之
　　一　同月十五日　御不快ニ付　御登　城御断

　　一　五月廿九日
　　　　女院御所御不例ニ付　御機嫌為御伺御使者冨永
　　　　才右衛門京都江被指出之御肴一種被献之
　　一　六月朔日　御不快ニ付御登　城御断
　　一　同月六日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　同月七日暑中ニ付御使者を以例之通御国産索麪干鯛
　　　　被献之
　　一　同月十六日為嘉定御祝儀　御登　城
　　一　同月廿日
　　　　女院御所薨御ニ付《割書：去十｜五日》
　　　　公方様御機嫌為御伺　御登　城
　　　　　　但右同断ニ付廿二日迄毎日　御登　城
　　一　同月廿一日右同断ニ付京都江之御使者且御香奠被献之儀
　　　　御老中迄御伺被成候処重而御指図有之段御老中御達
　　　　有之候旨渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿ゟ申来
　　一　同月廿六日　但馬守《割書：直｜良》様御卒去京都東山禅林寺江
　　　　御葬送《割書：御法号｜松巌院様》

　　一　六月廿八日
　　　　女院御所薨御ニ付
　　　　法皇御所　本院御所御機嫌為御伺御使者日下部
　　　　善大夫京都江被指出之
　　　　　　但善大夫京都着日不詳
　　一　同月廿九日
　　　　東福門院様《割書：女院｜御所》御当座御法事有之ニ付御使者佐野内膳《割書：影｜平》
　　　　京都江被指出之御香奠銀二十枚被献之《割書：御伺｜之上》内膳今日
　　　　江戸御屋敷出立
　　　　　　但内膳京都着日且御香奠献備之日不詳
　　一　七月七日為御生身玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
　　　　於　御城柳之間御老中久世大和守《割書：広｜之》殿御請取有之
　　一　同月九日御使者を以例之通御国産初鱈被献之
　　一　同月十九日　上使高木忠右衛門殿を以御鷹之雲雀《割書：三｜十》御拝領
　　　　忠右衛門殿此　御屋形江御越之節於御玄関冨永新左衛門《割書：長｜盛》
　　　　雲雀請取之御書院江持参其節御広間板之間迄
　　　　御出迎御案内ニ而忠右衛門殿御書院江御通　上意之趣御達
　　　　有之雲雀　御頂戴御請被　仰上畢而御長蚫御居被成

　　　　 御拝領之雲雀御吸物ニ而御盃事有之料理御断ニ付
　　　　不出之忠右衛門殿御退出後右為御礼　御登　城夫ゟ御老中
　　　　御廻勤酒井河内守《割書：忠｜挙》殿并若年寄中江御使者御番頭
　　　　被指出之
　　一　七月廿一日　清姫様鳥越御屋敷ゟ霊雁嶋御屋敷江
　　　　御引移於大奥御婚姻御整被成
　　一　同月廿二日右同断ニ付為御三目御祝儀御使斎藤半左衛門を以
　　　　万姫様江五百八十之餅被進之　万姫様ゟも御使藤田加左衛門《割書：信｜勝》を以
　　　　右同断被進之
　　一　同日右同断ニ付　万姫様御住所江
　　　　綱昌様　清姫様被為　入　万姫様江黄金十枚三種二荷
　　　　被進之　清隙様ゟ綿百把にニ種一荷被進之
　　一　八月朔日為御祝儀　御登　城御太刀馬代御献上
　　一　同月三日於東叡山　高巌院様三回御忌御法事有之ニ付
　　　　御使者嶋田清左衛門《割書：重｜季》を以御香奠銀五枚被指出之
　　一　同月九日　御登　城被成候処御黒書院江
　　　　公方様出御御帷子五《割書：たて深二薄梯一｜浅黄一白一》御単三《割書：あや縞一繻珍一｜紗綾一》
　　　　御袷二《割書：熨斗目一練縞｜竪深紅裏一》御献上御婚姻之御礼被　仰上

　　一　同日右同断ニ付　清姫様ゟ御使者を以御帷子二《割書：染立一｜白一》御単一
　　　　《割書：繻｜珍》御袷二《割書：熨斗目一｜綸子たて紅裏》被献之
　　　　昌親様ゟもニ種一荷被献之
　　一　八月廿一日若狭守《割書：直｜明》様江御父但馬守《割書：直｜良》様御遺領《割書：大野郡大野｜五万石》
　　　　無御相違被　仰出
　　一　九月七日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　一　同月十五日甲府宰相《割書：綱｜重》様御逝去ニ付
　　　　公方様御機嫌為御伺　御登　城
　　　　　　但右同断ニ付翌十六日も　御登　城
　　一　同月十八日御精進揚ニ付御使者を以例之通御肴被献之
　　一　十月廿三日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　同月廿八日浄光院入院ニ付登　城
　　　　公方様御目見被　仰付
　　一　十二月三日　上使石尾七兵衛殿を以　御鷹之鶴御拝領
　　　　七兵衛殿此　御屋形江御越之節於御玄関御番頭両人
　　　　鶴受取御書院江持参其節御玄関縁端迄
　　　　御出迎御会釈有之御案内ニ而七兵衛殿御書院江御通

　　　　上意之趣御達有之鶴御頂戴御請被　仰上畢而御長蚫
　　　　御居被成御料理出七兵衛殿御退出後右為御礼
　　　　御登　城夫ゟ御老中并酒井河内守《割書：忠｜挙》殿江
　　　　若年寄中江御使者御番頭被指出之
　　一　同日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被献之
　　一　十二月九日　上使を以
　　　　昌親様江　御鷹之鶴御拝領ニ付為御礼御老中
　　　　若年寄中幷酒井河内守《割書：忠｜挙》殿江御使者御番頭被指出之
　　一　同月十二日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：二｜番》生鱈被献之
　　一　同月廿一日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　一　同月廿五日　清姫様ゟ端午重陽歳暮御献上之儀御老中迄
　　　　御伺被成候処御伺之通御献上被成候様渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿を以
　　　　御指図有之
　　一　同月二十六日　清姫様ゟ初而歳暮御祝儀御使者を以
　　　　御時服《割書：三｜》被献之
　　一　同月廿七日去廿四日ゟ御発熱之処今日ゟ御疱瘡ニ
　　　　相成

延宝七年己未
　　一　正月朔日　御屋形年始之御規式御疱瘡ニ付御略式ニ
　　　　相成　
　　一　同日右同断ニ付　御登　城御断依之御使者嶋田清左衛門《割書：重｜季》
　　　　を以御太刀馬代被献之
　　一　同月三日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃台
　　　　御酒代被献之
　　一　同月七日為御上初御使者を以例之通御肴《割書：鯛｜》被献之

　　一　正月十二日御疱瘡被為　済候ニ付御酒湯御祝儀有之
　　一　同月十五日御疱瘡後御爾々無之ニ付　御登　城御断【行】
　　一　二月廿五日
　　　　主上御疱瘡ニ付　御様体為御伺御使者市橋孫平次
　　　　京都江被指出之
　　　　　　但孫平次京都着日不詳
　　一　三月六日
　　　　主上御疱瘡被為　済去朔日御酒湯被為　掛候為御祝儀
　　　　御登　城可被成旨被　仰出候処御不快ニ付御用番久世大和守《割書：広｜之》殿江
　　　　御留守居を以御伺被成候処為　御名代御使者被指出候様
　　　　御指図有之
　　一　同日右同断ニ付為御祝儀御使者斎藤民部《割書：定｜之》　御城江
　　　　被指出候処諸大名　御目見後於桧之間御用番久世大和守《割書：広｜之》殿
　　　　被謁之
　　一　同月十九日
　　　　主上御疱瘡被為　済御酒湯被為　掛候為御祝儀御使者
　　　　京都御留守居松江善兵衛《割書：房｜行》を以
　　　　禁裏御所江御太刀馬代《割書：銀三｜十枚》被献之


　　一　同日　御登　城《割書：昨十八日御老中久世｜大和守殿ゟ御切紙来》御病後之御礼被　仰上干鯛
　　　　一箱御献上相済　御退出掛右為御礼御老中并酒井河内守《割書：忠｜挙》殿江
　　　　御廻勤
　　一　四月十日　上使大関勘右衛門　殿を以例之通　御鷹之鷭《割書：五｜》
　　　　御拝領
　　一　同月十五日《割書：六時｜過》　上使御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿を以御国許江之
　　　　御暇被　仰出例之通白銀御袷御拝領
　　一　同日《割書：五時｜過》右同断ニ付　御登　城御暇之御礼被仰上
　　　　御先代之通御鷹《割書：二｜》御馬《割書：一｜》御拝領畢而被　召連候御家来
　　　　 稲葉采女《割書：治｜房》　御目見被　仰付退座御袷《割書：四｜》御羽織《割書：一｜》拝領
　　　　被　仰付相済　御退出掛右為御礼御老中若年寄中并
　　　　酒井河内守《割書：忠｜挙》殿江　御廻勤
　　一　同日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
　　一　同日御拝領之御馬御老中大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿ゟ
使者ニ而為牽来
　　　　　　但御鷹者塒出之上御渡ニ相成
　　一　同月廿一日
　　　　昌親様御国許江之御暇被　仰出候ニ付右為御礼御老中
　　　　若年寄中幷酒井河内守《割書：忠｜挙》殿江御使者斎藤民部《割書：定｜之》

　　　　被指出之
　　一　四月廿九日江戸　御発駕東海道通　御旅行
　　一　五月《割書：日不｜詳》為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単
　　　　御袷被献之追而　御内書於　御城御渡有之御家来
　　　　拝領物等如例　
　　一　同月十二日　御着城直ニ　御座所江被為　入
　　　　昌親様江　御対顔御長蚫出夫ゟ　御本丸江被為　入
　　一　同月十三日右同断ニ付為御礼御使者杉田壱岐《割書：三｜竹》江戸表江
　　　　被指出之今日福井出立
　　一　同月十八日先達而福井　御城廻リ御堀浚并土居御普請之儀
　　　　御伺被成候処今日御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿ゟ御奉書を以
　　　　御指図有之
　　　　　　　　　　　　以上
　　　　　　　越前国福居城惣曲輪堀弐ヶ所埋候付而浚之土居
　　　　　　　破損繕之裏土被仕度旨絵図之通得其意候
　　　　　　　及言上候処如元以連々普請可申付之旨被
　　　　　　　仰出候可被存其趣候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守　　　
　　　　　　　　　延宝七未　　　　　　　　　　正則書判
　　　　　　　　　　五月十八日

　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠朝書判
　　　　　　　　　　松平越前守殿

　　一　五月廿八日為御帰国御礼御使者杉田壱岐《割書：三｜竹》を以奉書紙五十束
　　　　昆布一箱干鯛一箱御樽一荷被献之壱岐　御目見被
　　　　仰付退去再自分之御礼被　仰付御太刀銀馬代献上之
　　　　　　但　御初入之節二種一荷被指添候処御例ニ相成
　　一　六月朔日御使者杉田壱岐《割書：三｜竹》　御城江罷出候処御返書
　　　　御渡有之其節壱岐江御帷子二御羽織一拝領被
　　　　仰付
　　一　同月八日
　　　　東福門院様御一周忌御法事有之ニ付御使者久嶋
　　　　武大夫京都江被指出之御香奠銀二十枚被献之武大夫
　　　　今日福井出立
　　一　同月十一日御帰国御礼御使者杉田壱岐《割書：三｜竹》御目見且拝領物
　　　　被　仰付候為御礼江戸表江御使者被指出之御肴一種
　　　　被献之

　　　　　　但右御使者江戸着日不詳同月廿三日御返書御渡有之
　　一　六月十六日暑中ニ付　御機嫌為御伺御使者江川浅之丞　　　
　　　　江戸表江被指出之御肴一種被献之浅之丞今日福井出立
　　　　　　但浅之丞江戸着日不詳同月廿六日御返書御渡有之
　　一　同月十九日暑中ニ付御書を以例之通御国産索麪干鯛
　　　　被献之
　　一　同月《割書：日不｜詳》渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿ゟ申来候ニ付酒井孫四郎《割書：元｜宣》荒川善右衛門《割書：□｜武》
　　　　罷出候処御拝領御鷹場上総国長南領鹿多出作毛荒候ニ付
　　　　一村江鉄砲壱挺宛致拝借度旨百姓共御老中迄願出候ニ付
　　　　右願書御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿ゟ大隅守殿江被相渡御国許江
　　　　相廻候様御達有之候旨被申聞孫四郎江右願書被相渡之
　　一　同月廿九日右同断長南領百姓共願書御国許江相廻候ニ付
　　　　御評議之上鉄砲御貸渡ニ相成御徒壱人御持筒組七人指添
　　　　上総国御鷹場江可被遣候間於彼地横山弥兵衛并御徒之者
　　　　任指図鹿為打候様取計可申旨横目中江御家老狛杢《割書：貞｜澄》
　　　　申渡之
　　一　七月三日御書を以例之通御国産初鱈被献之
　　一　同月五日御老中久世大和守《割書：広｜之》殿卒去ニ付《割書：去月｜廿六日》

　　　　公方様御機嫌為御伺江戸表江御使者被指出之
　　一　七月《割書：日不｜詳》為生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金
　　　　被献之
　　一　同月廿日永平寺入院ニ付登　城十帖一巻指上之於大
　　　　広間　御逢有之終而鎮徳寺　御目見被　仰付十帖
　　　　一本献上
　　一　八月朔日為御祝儀御使者林又左衛門《割書：勝｜重》を以例之通御太刀
　　　　馬代被献之
　　　　　　但右御使者御国表ゟ被指出候趣ニ而江戸表ニ詰居候
　　　　　　又左衛門を以被献之
　　一　同月六日　清姫様御袖被為　留候為御祝儀御使陰山
　　　　与兵衛を以　清姫様江御小袖《割書：代銀二｜十枚》二種一荷被進之
　　　　昌親様ゟも右為御祝儀縮緬《割書：十｜巻》二種一荷被進之与兵衛
　　　　今日福井出立
　　一　同月十一日於評定所自今以後御家中之者致死去
　　　　跡目無之者之妻子無親類流浪仕候者母妻子共ニ
　　　　其年之物成五分一被下候但親兄弟伯父甥迄有之者江者
　　　　御構不被成筈之旨御書院番頭大御番頭御留守番頭

　　　　御用人新番頭江月番御家老稲葉采女《割書：治｜房》申渡之
　　一　八月十二日月次　御機嫌為御伺江戸表江御使者被指出之
　　　　御国許之御肴一種被献之
　　　　　　但右御使者江戸着日不詳同月廿六日御返書御渡有之
　　一　同月十三日於松尾寺山大筒町打　御覧有之永見
　　　　志摩《割書：通｜洪》初与力持之面々御小屋江相詰右之面々江御吸物
　　　　御菓子御相伴ニ而被下之御用人御奏者番初御小姓頭
　　　　横目中御医師迄御菓子被下之鉄砲師役之者五人江も
　　　　右同断被下之其外弟子之面々江御菓子一折并与力共江も
　　　　同二折被下之
　　　　　　　　　　拾弐町之場
　　　　　　　　　　　　　　　　仕掛台
　　　　　　弐百目筒　　　　　　　　　長谷川八郎右衛門
　　　　　　　　幕通三間半越
　　　　　　三百目筒　　　　　　　　　山本吉大夫
　　　　　　　　後江切九間越壱間
　　　　　　五百目筒　　　　　　　　　津田源之丞
　　　　　　　　後江切弐間幕通

　　　　　　百目筒　　　　　　　高田三郎左衛門
　　　　　　　　越拾壱間三尺後江切弐間半
　　　　　　百目筒　　　　　　　津田鉄右衛門
　　　　　　　　越九間後江切十四間
　　　　　　　　　　　　　　永見志摩与力
　　　　　　　　　　　　　　　　朝日与五左衛門
　　　　　　三百目筒
　　　　　　　　越八間幕通　　　奥山七郎左衛門
　　　　　　　　　　　　　　杉田壱岐与力
　　　　　　　　　　　　　　　　松尾金左衛門
　　　　　　弐百目筒
　　　　　　　　田ノ中江落ル　　中俣一郎左衛門
　　　　　　　　　　　　　　太田安房与力
　　　　　　三百目筒　　　　　　横倉七大夫
　　　　　　　　同断
　　　　　　　是ゟ手前
　　　　　　　　　　　　　　永見志摩与力
　　　　　　弐百目筒　　　　　　村松三郎兵衛
　　　　　　　　前拾八間越三間
　　　　　　　　　　　　　　笹治大学与力
　　　　　　三百目筒　　　　　　塙　忠左衛門
　　　　　　　　後切弐拾三間幕通
　　　　　　　　　　　　　　有賀左衛門与力
　　　　　　三百目筒　　　　　　宮尾仁右衛門
　　　　　　　　越三間



　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　斎藤民部与力
　　　　　　三百目筒　　　　　　　　　　　　立田宇左衛門
　　　　　　　　前一間越九間
　　　　　　百目筒《割書：丁場ニ在合候付俄ニ被仰付｜前二間□□【之切】幕下拾三間》周防猪左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　　笹治大学与力
　　　　　　百目筒　　　　　　　　　　　　　逸見市十郎
　　　　　　　　《割書：前切弐十三間幕通｜幼少ニ候ヘとも打申候由達　御耳俄被　仰付》
　　一　八月十八日今度上総国御鷹場江鉄砲御廻ニ相成候ニ付
　　　　中川御番所通手形裏判之儀松平因幡守殿石川美作守殿江
　　　　御頼被成候処相調候ニ付右御挨拶御書被遣之
　　一　同月廿五日　高照院様御石塔瑞源寺江御建立之儀
　　　　被　仰出之
　　一　同月廿九日若狭守《割書：直｜明》様大野ゟ福井御屋敷江御着夫ゟ
　　　　御本丸江御越有之其節御玄関迄御家老御宿老罷出
　　　　鶴之間ニ高知之面々詰居鉄砲之間迄御出迎被成奥
　　　　御寝間江御返　御対顔有之御雑煮御料理《割書：三汁｜十菜》出
　　　　昌親様　綱昌様御引物御居被成
　　　　綱昌様御同座ニ而御膳被召上御家老本多民部《割書：道｜□【重】》御相伴

　　　　被　仰付若狭守様ゟ御家老御宿老江御盃被下之
　　一　九月七日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　　　追而　御内書於　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　同月十一日　清姫様御着帯御祝儀有之
　　一　同月十三日　備中守《割書：直｜方》様於赤坂溜池初而御屋敷御拝領
　　一　同月廿三日日光　御宮御普請御成就去七日正遷宮首尾能
　　　　相済候為御歓御書被指出之
　　一　同月廿六日若狭守《割書：直｜明》様ゟ御招請ニ付大野江被為　入其節
　　　　御太刀馬代御持参被成
　　一　十月十一日月次　御機嫌為御伺江戸表江御使者被指出之
　　　　御国許之御肴一種被献之
　　　　　　但右御使者江戸着日不詳同月廿五日御返書御渡有之
　　一　同月十九日御評定所江御呼出ニ付御留守居荒川善右衛門《割書：正｜武》
　　　　罷出候処　越後守《割書：光｜長》様御家来中根長左衛門罪科有之ニ付
　　　　御家江御預被成候旨御老中堀田備中守《割書：正｜俊》殿被申渡之依之
　　　　御先物頭林又左衛門《割書：勝｜重》大御番香西八郎兵衛《割書：正｜佐》騎馬ニ而御徒六人
　　　　足軽十六人召連御同所江罷出候処長左衛門御渡ニ付受取
　　　　御屋敷江罷帰大御番士四人被附置《割書：為警固足軽｜六人被附置》

　越後守様江御渡之御書付
　　　　　　　家中江可申渡事
　　一　当夏一統誓紙仕候以後神文を背互ニ和順之
　　　　体無之故雖令下知合点不仕候故此度達
　　　　上聞御僉議之上評定所ニ而別紙書附之通一門
　　　　中江御預被成候此上不義之者有之候ハヽ逆意
　　　　同前ニ候間左様可相心得事
　　一　先日如申渡前方誓詞差上騒動之儀者子細
　　　　有之付而不届無之候一統之誓詞不用事対父子
　　　　逆意同前ニ候間此上ハ家中不残致和順奉公
　　　　可相勤候右之通於相背者可為曲事候間此旨
　　　　具ニ可申聞候已上
　　　　　延宝七未年十月十九日

　御裁許書
　　一　永見大蔵儀今度小栗美作事ニ付而荻田
　　　　主馬一統之者相静可申処左様不仕其上越後守
　　　　在国ニ候処相伺不中美作宅江押寄騒動為仕
　　　　候事

　　　　一　荻田主馬一統之者誓紙を取徒党為仕候事
　　　　一　大蔵儀越後守当地江召寄候処無遠慮居屋敷江
　　　　　　落着頭取仕候者共度々相集密談仕候事
　　　　　　右之段越後守三河守対し不届　思召候遠島雖
　　　　　　可被　仰付被成御用捨松平大膳大夫江御預
　　　　一　荻田主馬儀今度美作儀ニ付越後守在国所不得
　　　　　　下知大蔵江一味徒党の者とも誓紙為仕候事
　　　　一　越後守参勤以後又不儀之訴訟申出候ニ付誤之
　　　　　　誓紙仕候以後も一味之者共不相静様ニ仕候儀
　　　　　　不届之事
　　　　一　越後守三河守為宜存候由申儀共願之通申付候処
　　　　　　又候我儘成儀申出候事右之段越後守三河守
　　　　　　対し不届被　思召候切腹雖可被　仰付候代々相勤
　　　　　　来候者共ニ候間被成御用捨主馬儀松平出羽守江
　　　　　　御預
　　　　一　片山外記事今度小栗美作儀申立大蔵致一味
　　　　　　候儀越後守為を不存我儘なる訴訟国許江戸
　　　　　　屋敷家中騒動為仕候事

　　　　一　越後守僉議之上誓詞をも被申付候以後不相静様ニ
　　　　　　申成候段不届事
　　　　一　中根長左衛門事江戸留守居ニ罷在越後守不相伺
　　　　　　永見大蔵方より誓詞之儀申越候処当地ニ罷在
　　　　　　候者共誓詞集隠竊ニ国許江遣候事
　　　　一　今度誤候一統之誓詞仕候以後も不相静様ニ
　　　　　　申成し騒動仕候事
　　　　一　渡辺九十郎事目付役をも仕候処大蔵主馬申合
　　　　　　荷担いたし候事右之段越後守三河守江対し
　　　　　　不届ニ被　思召候切腹可被　仰付候得とも御用捨
　　　　　　被成候
　　　　一　片山外記儀伊達遠江守江御預中根長左衛門儀
　　　　　　松平越前守江御預渡辺九十郎儀松平大和守江
　　　　　　御預

　　一　同日御預ニ相成候中根長左衛門御国許江被遣候儀ニ付御老中
　　　　堀田備中守《割書：正｜俊》殿江御留守居ゟ左之通伺書指出候処
　　　　御同所ニ而御附紙を以御指図有之

　　　　　　　　松平越後守家来中根長左衛門松平越前守ニ
　　　　　　　　御預ニ付相伺申覚
　　　　一　中根長左衛門儀国元江指越候道中乗物常之
　　　　　　乗物ニ可仕哉之事
　　　　　　　　御附紙
　　　　　　　　　　勝手次第可然候事
　　　　一　長左衛門刀脇差等家来之者刀脇差如何可仕哉之事
　　　　　　　　御附紙
　　　　　　　　　　長左衛門刀脇差ハ於国元可被相渡候家来
　　　　　　　　　　之者ニハ道中ゟ可被差免候以上
　　　　一　道中指添遣候侍并足軽人数如何程付可申哉之事
　　　　　　　　御附紙
　　　　　　　　　　物頭一人侍弐人足軽拾人被指添可然候事
　　　　一　箱根今切御関所江御証文可被遣哉之事
　　　　　　　　御附紙　
　　　　　　　　　　不及証文事
　　　　一　於国元指置候所番之者如何程付置可申哉之事
　　　　　　　　御附紙
　　　　　　　　　　何方ニ而も勝手次第〆り能所可被指置候番所者
　　　　　　　　　　壱ヶ所足軽計被指置可然候事
　　　　一　指置候屋敷之内者自由ニ可申付哉并家来之者
　　　　　　用事有之節者門外江出し可申哉之事

　　　

　　　　　　　　御附紙
　　　　　　　　　屋敷之内自由可被申付哉之由尤候家来之者
　　　　　　　　　門外江出し候儀ハ先可為無用之事
　　　　一　於国元扶持方いヶほと可申付哉之事
　　　　　　　　御附紙
　　　　　　　　　五人扶持可然候事
　　　　一　長左衛門家来宗門改候儀如何可申付哉之事
　　　　　　　　御附紙
　　　　　　　　　可為無用候事
　　　　一　長左衛門并家来之者江一類共方より書状取かわせ
　　　　　　候儀如何可仕哉之事　　
　　　　　　　　御附紙
　　　　　　　　　可為無用事
　　　　一　長左衛門諸道具望申分ハ越後国江取遣し可申哉
　　　　　　之事
　　　　　　　　御附紙
　　　　　　　　　能改可被相渡候事
　　　　　　　　　　以上
　　一　十月廿日飛鳥井一位《割書：雅｜章》様御逝去《割書：去｜十二日》ニ付為　御代焼香花木
　　　　外記《割書：吉｜時》京都江被指遣之御香奠銀三十枚被供之外記今日
　　　　福井出立
　　一　同月廿三日当夏御暇之節御拝領之御鷹《割書：二｜居》御渡有之

　　一　十月廿五日今度中根長左衛門儀御国許江御引取被成候ニ付
　　　　右長左衛門引連罷帰候様御先物頭飯川彦兵衛《割書：正｜俊》大御番
　　　　小川藤右衛門《割書：定｜時》水野源七《割書：宗｜友》江月番御家老本多左兵衛《割書：道｜重》申渡之
　　　　右ニ付御徒目付一人御徒二人被指添候ニ付此段可申聞旨横目并
　　　　御徒頭江同人申渡之
　　一　同月廿七日　御鷹之鶴御拝領ニ付於御用番宅御老中
　　　　連名之御奉書并鶴一羽宿継証文添御渡有之右ニ付
　　　　御徒沢忠兵衛指添御国許江指立之
　　一　同月廿九日　越後守《割書：光｜長》様御家来罪科有之者共　越後守様
　　　　御願之通御一門方江御預ニ相成候ニ付右為御礼御使者水野
　　　　源七《割書：宗｜友》江戸表江被指出之今日福井出立
　　　　　　但右御使者江戸着日不詳
　　一　十一月二日宿継御奉書を以御拝領之鶴福井江着其節
　　　　御玄関江狛十大夫《割書：雅｜際》渡辺権左衛門《割書：重｜祐》罷出鶴請取鉄砲之間
　　　　御縁頬江持参於御同所鶴御頂戴御奉書　御覧被成

　　　　　　一筆令啓達候
　　　　　　公方様益御勇健被成御座候之間可御心安候

　　　　　　将又御鷹鶴拝領之条以宿次差越之候
　　　　　　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　堀田備中守
　　　　　　　　十月廿七日　　　　　　　　　　　正俊書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　土井能登守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　利房書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠朝書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正則書判

　　　　　　　　　　　松平越前守殿
　　　　右御請御書御徒飛脚を以江戸表江被指出之
　　一　十一月三日右同断ニ付為御礼御使者太田安房江戸表江
　　　　被指出之御肴一種被献之安房今日福井出立
　　　　　　但安房江戸着日并御献上物相納候月日不詳
　　一　同日瑞源寺江御建立之　高照院様御石塔御成就ニ付
　　　　御供養有之
　　一　同月十一日於評定所月番御家老稲葉采女《割書：治｜房》左之通
　　　　書付を以諸月番江申渡之
　　　　　　　　　　口上之覚

　　　　　　御家中之面々連々勝手不罷成候ニ付何
　　　　　　とそ成立候様色々　御相談有之候へ共
　　　　　　何も被存通之　御勝手ニ候へハ御難儀被
　　　　　　為　思召候然共少にても面々勝手取続
　　　　　　候様ニ与被為　思召如此被　仰出候間弥致
　　　　　　簡略取続候様仕此以後勝手之願不申上様ニ
　　　　　　可被致候若勝手無沙汰仕成候者不宜
　　　　　　可被為
　　　　　　思召候条被得其意堅相守可被申候以上

　　　　　　　　　条々
　　　　一　兵具之外不入道具一切不相求之諸事
　　　　　　可為簡略事
　　　　一　衣類絹紬より上之物不可着之小身之輩者
　　　　　　木綿紙子等専可用但持来古衣類下着には
　　　　　　不苦へ為羽織有来古□【者ヵモ】羽二重迄ハ可着たとえ縦ふるしと
　　　　　　いふとも毛織之羽織合羽一切可為停止羽二重
　　　　　　ニ而も新羽織ハ可随指図事

　　　　一　出仕之節木綿裏付之上下専可着之戻之
　　　　　　肩衣上下替不苦尤有来ふるきハ何にても
　　　　　　可用之事
　　　　一　帷子可用地布持来晒布者不苦他所より
　　　　　　御客御使者有之節者可為各別事
　　　　一　女中衣類従先規被　仰出通縫箔かのこ停止
　　　　　　惣而高直成物不可着之附召仕之女茶之間
　　　　　　より以下之女絹類晒布一切不可着之
　　　　　　茶之間以上之女たりといふ共絹より以上之
　　　　　　衣類不可着但主人よりとらせ候ハ各別之事
　　　　一　面々召仕之給分相定数量之通可相守之
　　　　　　但それより軽は勿論可為相対次第事
　　　　一　音信贈答一切可為無用但医師并他所之
　　　　　　取遣者可為各別事
　　　　一　諸奉加一切不可入事附仏事等者軽可執行事
　　　　一　振舞停止但参会之節軽一汁二菜外ニ香物
　　　　　　酒三返軽肴者一種可出之至夜陰何にても
　　　　　　食物有合之吸物肴一種可出之従先規

　　　　　　右之通雖被　仰出此節候得者弥堅可相守之事
　　　　一　祝言之取遣先年被　仰出候通堅可相守之事
　　　　一　江戸御供之節衣類之儀先年被　仰出通絹紬
　　　　　　木棉裏付袴ニ而も不苦就中御番勤申節者
　　　　　　麁相なる木棉の上下可着之但持来衣装者
　　　　　　何にても常紋に不限有合に可着之事
　　　　　　　附下々衣類右に応成程軽仕候様可申付事
　　　　右条々従前々被　仰出趣弥可用倹約旨候条向後
　　　　猶以諸事可致簡略若違背之事者連々達
　　　　御聞不宜可被　思召候之条無油断堅可相守者也
　　　　　　十一月　日
　　　　　　　〆
　　　　　
　　　　　　　　覚
　　　　一　江戸御供番之面々四百石ゟ三百石迄ハ江戸御供之
　　　　　　春ゟ馬所持仕御供相勤罷帰候翌年之春ゟ馬
　　　　　　御免人減少可仕事
　　　　一　御国ニ罷在候面々四百石ゟ三百石迄ハ物頭六番

　　　　　　御留守居番番外共ニ半分宛隔年人馬所持
　　　　　　可仕事
　　　　一　弐百五拾石取之面々指上候寸志米之内壱歩
　　　　　　減可出之但江戸御供番者弐歩減可指上候
　　　　一　弐百石取之寸志米之内壱歩五厘減可出之
　　　　　　但江戸御供番者弐歩五厘減可指上候
　　　　一　百五拾石取ゟ以下者寸志米之内弐歩五厘減可出之
　　　　　　但江戸御供番者三歩減可差上候
　　　　一　五百石ゟ九百石迄者弐百石劣之恰合諸事可仕事
　　　　一　千石以上者身体ゟうちはに諸事可仕事
　　　　一　定御供之内三百石取ゟ已上者面々指上候寸志　　　
　　　　　　米半分減可出之自然御国ニ被指残四年廻ニ
　　　　　　参候者御国罷有候内両年者只今迄上納仕候通
　　　　　　可指上候
　　　　一　定御供之内二百五拾石取以下者隔年之御供
　　　　　　並ゟ壱歩減寸志米可有之若御国ニ被指残
　　　　　　四年廻ニ参候者御国ニ罷在候内両年者隔番之
　　　　　　御供中並寸志米可指上候

　　　　一　江戸定詰之者共之面々指上候寸志米高より
　　　　　　三ヶ一減可指上候
　　　　一　与力之者共之寸志米之内弐歩減可指上候
　　　　　　　　〆
　　　　　
　　　　　　　　　覚
　　　　一　御扶持方願之通被　仰付面々諸事勝手猶以
　　　　　　相詰可申事
　　　　一　衣類之儀者可着紬木綿紙子専木棉を
　　　　　　用御番等相勤可申事
　　　　一　縁者親類たりといふとも曽而手前にて出来合
　　　　　　等も為給候儀遠慮可有之惣而費かましき儀
　　　　　　仕間敷事
　　　　一　屋作等可為無用但破損繕仕候ハて不叶儀者
　　　　　　番頭江申達役所江相断可任指図事
　　　　一　娘并兄弟有付候者横目中江相断諸事可任
　　　　　　指図事
　　　　右之条々堅相守向後少にても借銀仕間敷候

　　　　　　此以後勝手不調法之体於有之者被遂御僉儀
　　　　　　急度可被　仰付候条可被得其意候已上
　　　　　　　　〆

　　　　　　　　　　　　　　　　　　医者江
　　　　一　弐百五拾石取ゟ以上之面々指上候寸志米之内壱歩
　　　　　　減可出之但江戸御供被　召連候者其年之寸志
　　　　　　不残　御免
　　　　一　弐百石取者寸志米之内壱歩五厘減可出之但
　　　　　　江戸御供被　召連候者其年之寸志不残　御免
　　　　一　百五拾石取ゟ以下者寸志米之内弐歩五厘減
　　　　　　可出之但江戸御供被　召連候者其年之寸志
　　　　　　不残　御免
　　　　　　　　以上

　　　　　　　　　口上
　　　　　　向後於江戸与内被下間敷候条御国ニ而も只今迄
　　　　　　之通与内出之間敷候已上

　　　　　　　　　　　　　　　〆

　　一　十一月十二日当夏御暇之節御拝領之御鷹
　　　　昌親様御拝領之御鷹と一所ニ福井江着右ニ付赤坂迄
　　　　長崎平右衛門被指遣之御鷹　御城江着之節瓦御門橋之
　　　　外迄西尾伝兵衛《割書：正｜虎》海福勘介《割書：本｜好》御玄関白洲江御奏者番
　　　　御小姓頭町奉行御奉行横目御玄関江本多孫太郎《割書：長｜員》初
　　　　御家老罷出於鉄砲之間
　　　　昌親様御同座ニ而御鷹御頂戴被成
　　一　同月廿六日御預ニ相成候　越後守《割書：光｜長》様御家来中根長左衛門儀
　　　　江戸御屋敷ゟ御国許江御引取ニ付御先物頭飯川彦兵衛《割書：正｜俊》
　　　　《割書：組十人｜召連》大御番小川藤右衛門《割書：定｜時》水野源七《割書：定｜友》其外御徒目付一人御徒二人
　　　　指添長左衛門致警固今日福井江着依之平塚三五右衛門上リ
　　　　屋敷江被入置横目平岡左五右衛門川越宇右衛門丹羽八左衛門
　　　　八田金右衛門《割書：知｜秋》秋田六郎右衛門《割書：勝｜憲》彼屋敷江罷越従　公儀被
　　　　仰出并　御意之趣長左衛門江申聞之
　　　　　　　　　覚

　　　　一　従　御公儀扶持方五人扶持相渡候様ニと堀田
　　　　　　備中守殿被　仰渡候旨
　　　　一　屋敷之内自由ニ罷在様可仕旨被　仰渡旨
　　　　一　刀脇指相渡候様ニと被　仰渡候旨
　　　　一　召仕之者共之儀屋敷之内ゟ外へハ不可罷出旨
　　　　　　　　以上

　　　　　　御意之趣
　　　　　　　　　　覚
　　　　一　今日到着被仕候幸明屋敷依有之当分被指置候
　　　　　　狭不自由ニ可被存と被　思召候
　　　　一　手前諸道具取寄被申度候者横目共迄可被
　　　　　　申聞候何時にても為取寄可申候
　　　　一　物頭伊野次郎大夫松原四郎兵衛戸田七兵衛節々
　　　　　　見廻用事候者相達候様ニと被　仰付候間無遠慮
　　　　　　用事之儀者右之者共江可被申談旨
　　　　一　岡本儀右衛門と申者諸事用事為相達ニ屋敷之内
　　　　　　妻共に引越被指置候間内用可被申談旨
　　　　一　自然火事有之節右物頭三人之者屋敷迄

　　　　　　手寄次第被走退候様ニ被　仰付候間左様可
　　　　　　被相心得旨
　　　　　　　　　以上
　　一　十一月廿七日中根長左衛門儀昨廿六日福井江着ニ付従
　　　　公儀被　仰出之通申付被指置候段御老中江御届之儀為
　　　　御頼御書を以渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿阿部四郎五郎《割書：正｜之》殿江被　仰遣之
　　一　同月廿九日鶴御拝領御礼御使者太田安房　御城江罷出
　　　　候処御返書御渡有之其節安房江御小袖御羽織拝領
　　　　被　仰付
　　一　同日当夏御拝領之御鷹捉飼之鳫鴨御使者長谷川
　　　　八郎右衛門《割書：勝｜盛》を以被献之今日福井出立
　　　　　　　　但八郎右衛門江戸着日等不詳同月十三日御返書御渡
　　　　　　　　有之
　　一　十二月三日於美蔵寺去ル朔日ゟ今日迄　高照院様七回
　　　　御忌御法事御執行有之於谷中南泉寺も右同様
　　　　御執行有之
　　一　同月九日寒中ニ付　御機嫌為御伺江戸表江御使者

　　　　被指出之御国許之御肴一種被献之右御使者今日
　　　　福井出立
　　　　　　　　但右御使者江戸着日不詳同月廿三日御返書御渡有の　　一　十二月十日鶴御拝領御礼御使者太田安房　御目見且
　　　　拝領物被　仰付候為御礼江戸表江御使者被指出之右
　　　　御使者今日福井出立
　　　　　　　　但右御使者江戸着日不詳同月廿三日御返書御渡有之
　　一　同月十九日御家老酒井玄蕃《割書：元｜知》乗物　御免之儀御願被成
　　　　候処願之通被　仰出候ニ付為御挨拶御目付江
　　　　御書被遣之
　　一　同月廿一日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被献之
　　一　同月廿三日　清姫様来正月御臨月ニ付御安産之為御呪
　　　　昌親様ゟ七村《割書：徳光勝見福万安原｜福村金屋福田》之
菜刀被進之
　　　　　　但右村々ゟ一挺宛取集被進之御誕生迄御産所屋之
　　　　　　上ニ指置候様御広敷川野迄小川治兵衛ゟ申置之
　　　　　　御七夜過候而御国表江相廻り御守脇指ニ御打立ニ相成
　　　　　　候由
　　一　十二月廿七日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖

　　　　被献之追而　御内書於　御城御渡有之御家来拝領物等
　　　　如例
　　一　同日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：二｜番》生鱈被献之
　　一　同月廿八日頼母《割書：直｜丘》様《割書：出雲｜母里》御叙爵美作守と御改
　

綱昌様□
綱吉様御代《割書：八月廿三日｜将軍　宣下》
　延宝八年庚申
　　一　正月朔日於　御本丸御居間年始御規式有之
　　　　　　但　御風気ニ付御番頭ゟ以下之御礼今日者不被為請
　　一　同日為年始御祝儀御使者菅沼市左衛門《割書：家｜次》を以御太刀馬代
　　　　《割書：黄金｜十両》被献之
　　　　　　但市左衛門旧臘七日御国表出立
　　一　同日《割書：四時｜過》為年始御祝儀　御座所江被為　入御対顔之上

　　　　御雑煮御吸物御祝有之　御帰殿
　　　　昌親様ニも　御本丸江被為　入右同断御祝有之
　　一　正月三日《割書：六｜時》　御宮御仏殿并浄光院美蔵寺江御参詣
　　　　御帰殿後諸士年始之御礼被為　請
　　一　同日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃台御酒代
　　　　被献之
　　一　同月七日為御上初御使者を以例之通御肴《割書：鯛｜三》被献之
　　一　同月九日　清姫様御安産御女子御誕生奉称
　　　　政姫様《割書：後豊姫□｜朋姫と御改》
　　一　同月十一日年始三ヶ日之御規式相済候為御祝儀江戸表江
　　　　御使者被出之御肴一種被献之
　　　　　　但同月廿五日右御返書御渡有之
　　一　同月十八日　御参勤御時節為御伺江戸表江御使者被指出之
　　　　右御使者今日福井出立　　　　
　　　　　　但右御使者江戸着日不詳
　　一　同月廿二日　清姫様御安産ニ付為御祝儀　御使皆川
　　　　平右衛門《割書：勝｜郷》を以　清姫様江昆布一箱鯣一箱御樽一荷
　　　　政姫様江御産衣二重昆布一箱干鯛一箱御樽一荷

　　　　被進之平右衛門今日福井出立
　　一　二月四日御老中ゟ御呼出ニ付　御参勤御伺之御使者罷出
　　　　候処当四月中　御参府可被成旨之御奉書御渡有之
　　一　同月廿五日月次　御機嫌為御伺江戸表江御使者被指出之
　　　　御肴一種被献之
　　　　　　但三月九日右御返書御渡有之
　　一　同月廿九日御家来吉田一貞《割書：円節｜》《割書：御針｜医師》儀
　　　　公方様御目見被　仰付其節以後御用之節者可罷出旨
　　　　御老中堀田備中守《割書：正｜俊》殿被申渡之
　　一　三月十五日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　同月十七日
　　　　大安院様七回御忌御相当ニ付紀州高野山大徳院江為
　　　　御代拝仙石権右衛門《割書：高｜成》被遣之御香典銀拾枚被供之
　　　　浄光院　隆芳院様御霊前江同銀三枚宛被供之
　　一　同日諸士剣術槍術　御覧有之
　　一　同月十九日諸士炮術弓術　御覧有之
　　一　同月廿四日於浄光院去廿日ゟ今日迄

　　　　大安院様七回御忌御法事御執行有之於大安寺も右同様
　　　　御執行有之
　　一　三月廿七日為　御参勤福井　御発駕
　　一　同日右同断ニ付為御案内御老中江御書被指出之
　　一　四月十日　御着府
　　一　同月十一日　御参府ニ付　上使御老中大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿
　　　　此　御屋形江御越　上意之趣御達有之
　　一　同月十五日　御登　城《割書：昨十四日御老中土井｜能登守《割書：利｜房》殿ゟ御切紙来》例之通御太刀銀綿
　　　　御献上　御参勤之御礼被　仰上畢而御家来本多左兵衛《割書：道｜重》
　　　　松平庄兵衛《割書：正｜恒》　御目見被　仰付
　　一　同月十八日御精進揚ニ付御使者を以例之通御肴《割書：鱸｜》被献之
　　一　同月十九日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
　　一　同月廿六日　上使新庄与三右衛門殿を以　御鷹之鷭
　　　　御拝領
　　一　同月《割書：日不｜詳》於　御屋形左之通被　仰出之
　　　　　　　在江戸之内何も寄合出来合之料理振舞候共
　　　　　　　前々ゟ御定之通堅相守可申候惣而費かまし　
　　　　　　　き儀仕間敷候軽料理ニ而寄合又ハ夏中

　　　　　　暑時分ハ御裏土塀之外江折節涼罷出候儀者
　　　　　　不及遠慮候自然舟ニ而罷出候儀も昼之内者
　　　　　　不苦候御屋敷之外江むさと罷出不申様
　　　　　　相心得可申候以上
　　一　五月六日
　　　　公方様御不例ニ付　御機嫌為御伺甲府宰相《割書：綱｜豊》様館林
　　　　宰相《割書：綱｜吉》様并御三家方御登　城有之ニ付　御登　城被成候処
　　　　於大下馬諸大名登城御差留ニ付今大路道三老方江
　　　　御立寄御見合被成夫ゟ　御帰殿
　　一　同月七日　御登　城《割書：昨六日御老中ゟ｜申来》被成候処館林宰相様御養君
　　　　被　仰出候旨御老中御達有之且又従二位大納言御叙任二ノ丸江
　　　　被為　移候段被　仰出相済夫ゟ二ノ丸江　御登　城
　　　　御目見被　仰上
　　一　同月八日
　　　　公方様薨御《割書：御法号｜巌有院様》
　　一　同日右同断ニ付御使加賀藤左衛門《割書：成｜興》吉田権之丞早駆ニ而
　　　　御国許江被指遣之

　　　　　　但藤左衛門権之丞同月十三日福井江着依之御家老
　　　　　　永見志摩《割書：通｜洪》宅江高知初諸士御医師迄呼出
　　　　　　公方様薨御之段且又鳴物停止之旨申渡之
　　一　同日　御朦中　御機嫌為御伺御使者を以御菓子一箱
　　　　被献之右御披露済之捻御奉書御老中堀田備中守《割書：正｜俊》殿ゟ来
　　　
　　　捻御奉書上書
　　　　松平越前守殿　　　　　　　　　　　　正俊
　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　堀田備中守
　　　　　御菓子被献之候首尾好遂
　　　　　披露候恐々謹言　　
　　　　　　　五月十三日　　　　　　　　　正俊書判
　　一　五月十九日御代替ニ付左之通御誓紙御指出被成
　　　　　　　　　起請文前書
　　　　一　御代々従先祖之御厚恩難有奉存事
　　　　一　先御代之通不相易
　　　　　　当上様江弥無二心可相勤事
　　　　一　対御為悪敷義他人者不及申雖為親類
　　　　　　縁者一味仕間敷事

　　　　　　右条々堅可相守之若於致違背者
　　　　　　梵天帝釈四大天王惣日本国中六十余州
　　　　　　大小神祇伊豆箱根両所権現三嶋大明神
　　　　　　八幡大菩薩天満大自在天神部類眷属神罰
　　　　　　冥罰可罷蒙者也仍起請文如件
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松平越前守
　　　　　　延宝八年《割書：庚｜》申五月十九日　　御名乗御書判

　　　　　　　　酒井雅楽頭殿
　　　　　　　　稲葉美濃守殿
　　　　　　　　大久保加賀守殿
　　　　　　　　土井能登守殿
　　　　　　　　堀田備中守殿
　　一　同日　御朦中　御機嫌為御伺御使者を以枇杷一籠被献之
　　　　右御披露済之捻御奉書御老中堀田備中守《割書：正｜俊》
殿ゟ来
　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　松平越前守殿　　　　　　　　　　正俊
　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　堀田備中守
　　　　　　
　　　　　　　枇杷一籠被献之候首尾好遂披露候
　　　　　　　恐々謹言

　　　　　　　　　　五月十九日　　　　正俊書判
　　一　五月廿五日右同断ニ付御使者を以薯蕷被献之
　　　　右御披露済之捻御奉書御老中堀田備中守《割書：正｜俊》殿ゟ来
　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　松平越前守殿　　　　　　　　　　　　　正俊
　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　堀田備中守
　　　　　　
　　　　　　薯蕷被献之候首尾好遂披露候
　　　　　　恐々謹言
　
　　　　　　　　　　　五月廿五日　　　　　正俊書判

　　一　六月二日
　　　　東福門院様三回御忌御法事有之ニ付京都江御使者
　　　　被指出之御香奠被献之
　　一　同月十五日　御朦中　御機嫌為御伺御使者を以黒海苔　
　　　　一箱被献之右御披露済之捻御奉書御老中
　　　　土井能登守《割書：利｜房》殿ゟ来
　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　松平越前守殿　　　　　　　　　　　　　利房

　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　土井能登守
　　　　　　黒海苔一箱被献之候首尾好
　　　　　　遂披露候恐々謹言
　　　　　　　　六月十五日　　　　　　利房書判
　　一　六月《割書：日不｜詳》於東叡山
　　　　巌有院様御当座御法事有之ニ付御使者を以御香奠
　　　　白銀五十枚被献之《割書：去十六日｜御伺済》
　　一　同月廿三日暑中ニ付御使者を以例之通御国産索麪被献之
　　一　同月廿七日
　　　　巌有院様御位牌泉蔵江御安置右ニ付御供養有之
　　一　同月廿九日御精進揚ニ付御使者を以て鱸一折被献之
　　一　七月九日右同断ニ付御披露済之捻御奉書御老中
　　　　堀田備中守《割書：正｜俊》殿ゟ来
　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　松平越前守殿　　　　　　　　正俊
　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　堀田備中守
　　　　　　鱸一折被献之候首尾好遂披露候

　　　　　　恐々謹言
　　　　　　　七月九日　　　　　　　　　　　　正俊書判

　　一　七月十日
　　　　上様御本丸江　御移徙ニ付御祝儀　御登　城《割書：昨九日御老中堀田｜備中守《割書：正｜俊》殿ゟ申来》
　　一　同日右同断ニ付御使者を以被献物有之《割書：去三日｜御伺済》
　　　　　　但御献上之御品物不詳
　　一　同月廿一日
　　　　上様御代替之御礼被為　請候ニ付　御登　城御刀《割書：行助代？｜金六枚》
　　　　一腰御献上《割書：去月十五日｜御伺済》御礼被　仰上年始御式之通　御着座ニ而御祝
　　　　御相伴被　仰付
　　一　同月廿三日右同断ニ付本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老御城代江
　　　　御書被成
　　一　同月廿八日御使者を以例之通御国産初鱈被献之
　　一　同月廿九日　政姫様御宮参有之
　　一　八月十七日於浄光院昨十六日ゟ今朝」迄　慶寿院様廿三回
　　　　御忌御法事御執行有之
　　一　同日明十八日五時　御登　城可被成旨之御奉書御老中大久保

　　　　 加賀守《割書：忠｜朝》殿ゟ来
　　一　八月十八日　御登　城被成候処御老中列座ニ而被任左近衛
　　　　権少将候旨御達有之御退出掛右為御礼御老中若年寄中并
　　　　酒井河内守《割書：忠｜挙》殿江　御廻勤　
　　　　　　但今日ゟ　御登　城之節御門ニ□御番所其外共御先規之通
　　　　　　惣下座被　仰出
　　一　右同断ニ付本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老御城代江御書被成
　　一　同月十九日
　　　　法皇御所《割書：御諱｜政仁》崩御《割書：御水尾帝｜》
　　一　同月廿一日明後廿三日　将軍宣下有之ニ付　御登　城可被成旨
　　　　捻御奉書御老中大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿ゟ来

　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　松平越前守殿　　　　　　　　　　　　忠朝
　　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　明後廿三日　将軍　宣下之勅使院使
　　　　　　御対顔候間束帯ニ而可有登　城　候
　　　　　　恐々謹言
　　　　　　　　　八月廿一日　　　　　　　　忠朝書判

　　一　同日　　
　　　　法皇御所　崩御ニ付来廿三日迄鳴物停止之旨被　仰出
　　一　八月廿三日　将軍　宣下ニ付　御登　城《割書：御束帯｜御輿》
　　一　同月廿六日　将軍　宣下被為　済候ニ付
　　　　公方様東叡山　御参詣被成依之　御予参御勤
　　一　閏八月四日右同断ニ付増上寺江　御参詣ニ付　御予参御勤
　　一　同月九日明十日　御登　城御任官之御礼可被　仰上旨之
　　　　御奉書御老中土井能登守《割書：利｜房》殿ゟ来
　　一　同月十日　御登　城《割書：御長袴｜御着用》御任官之御礼被　仰上御太刀馬代《割書：黄金｜十両》
　　　　御時服二十《割書：内袷四単六｜帷子十》御献上　御台様江白銀二十枚
　　　　鶴姫様江白銀十枚被指上之
　　一　同月十一日明十二日　将軍　宣下之為御祝儀　御登
　　　　城可被成旨之捻御奉書御老中土井能登守《割書：利｜房》殿ゟ来
　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　　松平越前守殿　　　　　　　　　　　利房
　　　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　土井能登守
　　　　　明十二日五時装束ニ而登
　　　　　城以太刀目録　将軍　宣下之御祝儀可被

　　　　　申上候恐々謹言
　　　　　　閏八月十一日　　　　　　　　利房書判
　　一　閏八月十二日　将軍　宣下之為御祝儀　御登　城御礼被
　　　　仰上御太刀馬代御献上
　　一　同月廿二日　御城廻リ御修復之儀兼而御伺相済候得共今度
　　　　公儀御代替ニ付重而御伺被成候処左之通御老中連名之
　　　　御奉書今日被相渡之
　　　　　　　　　　　以上
　　　　　　越前国福居城絵図朱引之通惣曲輪堀弐ヶ所
　　　　　　埋候後之土手破損之所繕之裏土被仕度之由
　　　　　　得其意候以連々如元可有修復候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　延宝八申　　　　　　　　　　　忠朝書判
　　　　　　　　閏八月廿二日　　　　　堀田備中守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正俊書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　土井能登守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　利房書判

　　　　　　　　　松平越前守殿

　　一　閏八月《割書：日不｜詳》
　　　　法皇御所　崩御ニ付
　　　　本院御所御機嫌為御伺京都江御使者被指出之
　　一　同月《割書：日不｜詳》
　　　　法皇御所御当座御法事ニ付御使者を以御香奠被献之
　　一　九月五日　公儀御代替ニ付御領分在々吉利支丹宗門御改
　　　　被　仰出御先物頭伊野次郎大夫戸田七兵衛《割書：成｜清》御使番葛巻
　　　　治部右衛門《割書：盛｜久》水野善左衛門《割書：勝｜満》江廻在被　仰付
　　一　同月七日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　　　追而　御内書於　御城御渡有之御家来拝領物等
　　　　如例
　　一　同日御用番堀田備中守《割書：正｜俊》殿ゟ御家来御呼出ニ而今度口
　　　　宣御頂戴之儀ニ付御老中ゟ京都所司代戸田越前守《割書：忠｜昌》殿江之
　　　　御奉書被相渡之
　　　　　　但右ニ付御徒飛脚《割書：栗原｜浅右衛門》を以御国許江被指遣之
　　一　同月廿三日右同断ニ付江戸表ゟ被指出候趣ニ而御使者
　　　　牧野主殿《割書：易｜之》右御奉書持参被　仰付京都江被指出之
　　　　主殿今日福井出立

　　　　　　但主殿同月廿六日京都着
　　一　十月三日所司代戸田越前守《割書：忠｜易》殿ゟ御呼出御使者牧野
　　　　主殿《割書：易｜之》罷出候処　御任官ニ付而之口　宣御渡有之
　　一　同月七日御使者牧野主殿《割書：易｜之》　御任官ニ付而之御官物
　　　　相納之
　　　　　　　禁裏御所江
　　　　　　　　御太刀馬代《割書：白銀三十枚｜》
　　　　　　　　　但上臈御局等江御贈物略之以下同断
　　　　　　　本院御所江
　　　　　　　　御太刀馬代《割書：白銀三十枚｜》
　　　　　　　女御御方江
　　　　　　　　白銀二十枚
　　　　　　　内侍所江
　　　　　　　　白銀二枚
　　　　　　　　　但是迄御任官之節者御官銭上リ候得共
　　　　　　　　　飛鳥井少将難波少将殿御指図ニ而相止

　　一　同日口　宣御渡御官物上相済候後御礼御使者
　　　　同人を以
　　　　禁裏御所江御太刀馬代《割書：黄金｜十両》縮緬《割書：十｜巻》
　　　　本院御所江縮緬《割書：十｜巻》
　　　　女御御方江同《割書：五｜巻》被献之
　　一　十月八日今度　公儀ゟ被　仰出候酒造之儀左之通町在江
　　　　相触候様町奉行郡奉行江月番御家老狛杢允《割書：貞｜澄》
　　　　申渡之
　　　　　　　　　覚
　　　　　　諸国在々にて当年寒作之酒八木員数之儀
　　　　　　去年之半分可作之若令違背多造之族
　　　　　　あらハたとひ後日に露顕たりといふ共可為
　　　　　　曲事候条訴人に出へし急度御褒美可被下之
　　　　　　違犯之輩者勿論其名主五人組迄可被行
　　　　　　罪科但来年二月より右之酒商買可仕其
　　　　　　以前には一切売へからさる者也
　　　　　　　　九月日
　　一　十一月五日少将御拝任之口　宣　御頂戴有之

　　一　十一月十三日　将軍　宣下之為御祝儀御老中御招請
　　　　御饗応ニ能被　仰付
　　　　　　但御老中御越之節御玄関押□迄　御出迎御退出之
　　　　　　節も御同所迄御送被成
　　　　一　御給仕之面々御三家方御同様長袴着用
　　一　同月十七日御蔵給知共当納所滞ニ付書付之通在々組頭
　　　　村庄屋長百姓ニ申渡無油断入米仕様可申付旨郡奉行江
　　　　月番御家老稲葉采女《割書：治｜房》申渡之
　　　　一　御蔵給知共当納所滞ニ付入米無油断仕様ニ
　　　　　　最前相触候処難渋之体依之御代官給人中ゟ
　　　　　　難渋仕候段断有之者遂吟味難渋ニ於相極ニ者
　　　　　　品ニゟ或死罪或妻子共御国追放可被　仰付尤
　　　　　　組頭村庄屋長百姓立合可致吟味於不吟味仕ニハ
　　　　　　本人同罪可被　仰付事
　　　　一　御仕置被　仰付百姓之持高組頭庄屋念入相改
　　　　　　入百姓可仕若入百姓於無之ハ同名江可申付事
　　　　一　百姓於中間金銀米銭不寄何互ニ隠曽而預リ
　　　　　　合申間敷候難渋者御仕置ニ被　仰付候節猶以

　　　　一　被遂御僉議預リ候者於有之者急度曲事可被　仰付候
　　　　一　他領江何ニ而も隠預ヶ置候者少分たりとも被遂
　　　　　　御吟味急度曲事可被　仰付事
　　　　一　寺社并至門前者迄百姓手前ゟ金銀米銭雑穀等
　　　　　　預ル沙汰相聞候間預リ候者早々可申出候不寄何者
　　　　　　惣而何に而も預リ候ハヾ組頭庄屋迄可相断候此旨
　　　　　　寺社江急度可申渡事
　　　　　　　　十一月

　　一　十一月廿日御老中大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿ゟ御呼出
御留守居罷出候処
　　　　屋敷近火之節火消役被　仰出候間家来共可被指出旨被
　　　　仰渡之
　　一　同月廿二日於御家老稲葉采女《割書：治｜房》宅御家中当年之
　　　　御借米御免被成候旨諸月番江采女申渡之
　　　　　　　　覚
　　　　一　去年当年不作ニ付何も勝手致迷惑候段
　　　　　　達　御□候時分柄　上ニも御勝手御難儀之□
　　　　　　候へ共当年者寸志　御用捨被遊来年作毛も

　　　　　　能有之候者御借リ可被成候弥可致簡略旨ニ□
　　　　　　以上
　　　　　　　　　十一月廿二日
　　一　十二月五日　公儀ゟ酒造之儀去年之半分可作旨先達而
　　　　被　仰出候得共新酒造之儀当年来年停止之旨猶又被
　　　　仰出候間右之趣町在江相触候様町奉行郡奉行江月番
　　　　御家老狛木工允《割書：貞｜澄》申渡之
　　一　同月九日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈
　　　　被献之
　　　　若君様江右同断初而被献之右御披露済之捻御奉書
　　　　御老中堀田備中守《割書：正｜俊》殿ゟ来

　　　　　　　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　　　　　　　　松平越前守殿　　　　正俊
　　　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　堀田備中守
　　　
　　　　若君様江鮮鱈被献之候首尾好
　　　　遂披露候恐々謹言

　　　　　　　　　十二月九日　　　　　正俊書判

　　一　十二月十二日右同断御国産《割書：二｜番》生鱈被献之
　　一　同月廿三日御老中土井能登守《割書：利｜房》殿ゟ御呼出御留守居
　　　　罷出候処　越後守《割書：光｜長》様御家来小栗美作儀御僉議中
　　　　御預ヶ被成候旨被　仰渡之且又御目付中ゟ案内有之ニ付
　　　　御評定所江御家来被指出候処御目付宮城監物殿
　　　　美作儀被相渡候ニ付御屋敷江引取之
　　　　　　但此時途中為警固奈良左近右衛門《割書：高｜良》八田金右衛門《割書：知｜秋》并
　　　　　　大御番士四人其外御徒八人足軽二十人被遣之
　　一　同月　為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖
　　　　被献之
　　　　若君様江御小袖《割書：代銀｜三十枚》初而被献之

家譜






家譜《割書：吉品公｜》　《割書：従元禄十三年｜至同十四年》二十一






吉　品　様　《割書：従元禄十三年庚辰｜至同十四年辛巳》

元禄十三年庚辰

　一　正月朔日於　御本丸年始御規式有之
　一　同日為年始御祝儀御使者佐野又太郎《割書：影｜賞》を以例之通御太刀
　　　馬代被献之
　　　　　　　但又太郎旧臘七日御国表出立
　一　同月六日旧臘《割書：廿五｜日》備前守《割書：宣｜富》様被任少将候為御礼江戸表江
　　　御書被指出之

一　正月七日為御上初御使者を以例之通御肴被献之
一　同月十一日年始三ヶ日之御規式相済候為御祝儀御使者浅見
　　徳右衛門《割書：重｜久》江戸表江被指出之御肴一種被献之徳右衛門今日福井
　　出立
　　　　　　　但同月廿六日御返書御渡有之
一　同月廿五日万福山之　御宮御修復ニ付今夜《割書：酉下｜刻》仮御宮江
　　御遷座有之
一　二月九日月次　御機嫌為御伺御使者大藤助蔵《割書：茂｜雅》江戸表江
　　被指出之御肴一種被献之助蔵今日福井出立

　　　　　　但同月廿二日御返書御渡有之
一　同月十一日於浄光院昨十日暁十日暁【晩…17行目暁と比べると…】ゟ今朝迄
　　清浄院様御一周忌御法事御執行有之於深川霊厳寺も　
　　右同様御執行有之
一　同月十七日万福山之　御宮御修復出来ニ付今暁仮御宮ゟ　
　　正遷　宮有之
一　同月廿四日於浄光院去廿二日暁【晩】ゟ今朝迄
　　大安院様廿七回御忌御法事御執行有之於大安寺も昨
　　廿三日暁【晩】ゟ今朝迄御法事御執行有之

　　　　　　　但三月御相当之処御発駕後ニ相成ニ付御取越御執行有之
一　二月廿五日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：三月朔日｜御帰殿》
一　同月廿六日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　三月三日永平寺入院ニ付登　城於韃靼之間　御逢十帖一本
　　指上之御奏者番披露之孝顕寺鎮徳寺　御目見被　仰付
　　畢而御料理出ル《割書：三汁｜九菜》御引物　御直ニ御引被成孝顕寺鎮徳寺
　　相伴被　仰付
一　同月十九日福井　御発駕中山道通御旅行

　　　　　　　但来月
　　　　　　　　大献【猷】院様御法事有之ニ付御引上御発駕被成
一　同月廿四日於天徳寺
　　大安院様廿七回御忌御法事御執行有之
一　四月二日板橋駅ゟ直ニ御参府為御案内御老中御側御用人江
　　御廻勤七時過霊巌嶋御屋敷江御着
一　同月三日右同断ニ付御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江御逢対
　　御勤夫ゟ若年寄中江　御廻勤
一　同日右同断ニ付　上使御老中秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿御越　上意之趣

　　御逢有之御退出後為御礼御老中御側御用人江　御廻勤
一　四月四日　御登　城《割書：昨三日御用番土屋相模守殿ゟ｜連名之御切紙来》御参勤之御礼被
　　仰上例之通御太刀銀綿御献上　御臺様江白銀縮緬被指上之
　　桂昌院様江右同断被指上之御退出掛為御礼御老中
　　御側御用人若年寄中江　御廻勤
一　同月八日於日光山
　　大献【猷】院】様五十回御忌御法事有之ニ付　御機嫌為御伺御使者
　　を以御桧重一組被献之
一　同月十二日右同断ニ付日光表江為　御名代永見治部右衛門《割書：義｜正》

　　被指遣之《割書：御留守居堀｜十兵衛同道》御香奠銀五枚被献之治部右衛門今日江戸出立
　　　　　　但同月十八日三仏堂江罷出御香奠相納之
一　同月廿日於東叡山右同断御法事有之ニ付
　　公方様御参詣依之御豫参　御勤《割書：御束｜帯》
一　同月廿一日御法事相済候ニ付御使者御留守居村上三太夫《割書：正
峯》を以
　　御精進揚之御肴《割書：干｜鯛》一箱被献之
一　同日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単被献之
　　御臺様　桂昌院様江白銀被指上之
　　　　　　但廿六日ゟ　公儀御法事ニ付御引上ニ相成

一　四月廿二日御参府ニ付為御出【土】産御使者を以例之通五色奉書紙
　　被献之　御臺様江両面打曇鳥子紙被指上之
一　同月廿八日於東叡山
　　厳有院様廿一回御忌御法事有之ニ付　御機嫌為御伺御使者
　　御留守居村上三太夫《割書：正｜峰》を以御桧重一組被献之
一　五月四日右同断ニ付　御機嫌為御伺御用番阿部豊後守《割書：正｜武》殿江
　　御勤
一　同月八日右同断ニ付
　　公方様御参詣依之御豫参　御勤《割書：御衣｜冠》

一　同日右同断ニ付於万福山御茶湯御執行有之
一　同月九日右同断ニ付東叡山江御使者大谷助六《割書：重
照》　《割書：御留守居村上｜三太夫同道》を以
　　御香奠銀五枚被献之
一　同日御法事相済候ニ付御使者御留守居松原善左衛門《割書：矩｜成》を以御精進
　　揚之御肴《割書：干小｜鯛》一箱被献之
一　同日右同断ニ付御登城可被成処御風気ニ付御断
一　同月十日去年御帰国之節御指出被成候御仮養子之御願
　　書御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿ゟ切紙添御返有之
一　同月十二日御使者を以例之通御国産初鯖被献之




　


一　五月十八【五】日　御内證ゟ金入十巻被献之《割書：去十三日土屋｜相模守殿迄御伺之上》御使者御留守居
　　村上三太夫《割書：正｜峰》を以御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿迄被指出之右御披露
　　済之御切紙相模守殿ゟ来
　　　　　　　　　被献候金入於御内證首尾好披露
　　　　　　　　　相済候此段為可申入如斯御座候以上
　　　　　　　　　　五月十五日　　　　　土屋相模守

　　　　　　　　　　　松平兵部大輔様


一　同月十六日御用番阿部豊後守《割書：正｜武》殿御側御用人江御出御講読
　　御拝聴之御願被　仰入
　　　　　　但十八日ニも御出被成
一　六月六日暑中ニ付御使者を以例之通御国産素麵干鯛被献之
一　七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
一　同月九日勘定所普請出来ニ付勘定初御祝儀有之
　　　　　　但是迄之勘定所鉄御門後《割書：当時之御作事｜役所》ニ有之候処
　　　　　　　清照院様御住所ニ相成ニ付川口御門内杉田五太夫屋敷江
　　　　　　　所替ニ相成
　　　　　　　

一　七月十一日御使者を以例之通御国産初鱈被献之
一　同月十二日御側御用人江御出御講読御拝聴之御願被仰入
一　同月廿一日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例来例
一　同月廿二日切支丹類族狩野興硯《割書：元｜房》忰出生ニ付切支丹奉行江
　　御届証文被指出之
一　八月朔日為御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代御献上
一　同月九日御側御用人江御出御講読御拝聴之御願被　仰入
一　九月二日御用番阿部豊後守殿《割書：正｜武》殿江御使者御留守居村上三太夫《割書：正｜峰》

　　を以　清照院様　豊姫様御国許江御遣被成　豊姫様御縁
　　組之儀者其後於京都被　仰合度旨御願書被指出之
　　　　　　但右御願之儀当年四月御老中土屋相模守殿迄御伺相済
　　　　　　　候得共御用番迄改而御願被成候様相模守殿御指図ニ付
　　　　　　　御願書被指出之
一　同月三日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　御臺様　桂昌院様江白銀被指上之
一　同月五日御用番阿部豊後守《割書：正｜武》殿ゟ御呼出御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》
　　罷出候処　清照院様　豊姫様御国許江御越之儀御願之通

　　御勝手次第可被成候　豊姫様御縁組之儀者其節ニ至御伺被成
　　候様御指図有之依之為御礼御老中御側御用人江　御廻勤
一　九月七日御側御用人江御出御購読御拝聴之御願被　仰入
一　同月十八日　清照院様御国住居御願之通被　仰出候ニ付為
　　御迎被遣候御目付御物頭大御番士等十三人今日江戸御屋敷江着
一　同月十九日右同断ニ付御使者御留守居村上三太夫《割書：正｜峰》を以御老中
　　土屋相模守《割書：政｜直》殿江左之通御達有之

　　　　　　　　　　　御口上

　　　　　　　同姓越前後室同娘儀在所江指越ニ付信州
　　　　　　　善光寺越後五智如来江参詣仕度由兼而願
　　　　　　　申候得共海道三筋之内北国道者此節路次悪敷
　　　　　　　由承候故中山道指越可申由先頃御内意申達
　　　　　　　候処未北国通不苦候旨承候付望之北国通来ル
　　　　　　　廿六日為致発足指越申候此段為可得御意以使
　　　　　　　者申入候御用番阿部豊後守殿江も近日指越候段
　　　　　　　御届可申達哉御指図次第御案内可申入与旨申付候
　　　　　　　　但右ニ付御用番阿部豊後守殿江も御使者同人を以御達
　　　　　　　　






　　　　　　　　　有之
一　九月廿六日《割書：七時｜前》　清照院様　豊姫様江戸御発輿北陸道通帰国江
　　被為趣《割書：御供御家老｜酒井典膳《割書：知｜芳》》
一　十月十三日　清照院様　豊姫様福井御着
　　　　　　　但鉄御門後是迄之勘定所御普請有之御住居被成
一　同月廿日尾張大納言《割書：光｜友》様於御国許御逝去《割書：去ル十｜六日》ニ付　御機嫌為
　　御伺　御登　城
一　同月廿三日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江御使者御留守居村上三太夫《割書：正｜峰》
　　を以　清照院様　豊姫様去ル十三日御国許江御着之段御達有之

一　同月廿八日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江御使者御留守居村上三太夫《割書：正｜峰》
　　を以　豊姫様御縁組之儀御内意御伺被成
一　十一月七日御側御用人江御出御購【講】読御拝聴之御願被　仰入
一　同月十八日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　同月廿四日御養子之儀ニ付大岡美濃守《割書：忠｜高》殿ゟ御老中土屋
　　相模守《割書：政｜直》殿江被遣候書翰案并相模守殿ゟ之御返書美濃守殿ゟ
　　書翰ニ而左之通申来
　　　　　　　　　甚寒之節弥御堅達被成御座珍重奉存候






　　然者内々被仰聞候趣土屋相模守殿江手紙
　　を以申進候処ニ昨夕如此被仰越候即手紙懸
　　御目申候思召之通何茂被相達候此上者事済
　　候儀ニ御座候間御養子御願之上ニ而可然奉存候
　　私ゟ相模守殿江申進候手紙之案文御披見ニ
　　入申候猶尊面ニ可申上候以上
　　　　　十一月廿四日

　美濃守殿ゟ相模守殿江之書翰之写
　　以手紙申上候甚寒之節弥御息災御勤被遊

　　珍重奉存候然者此間松平兵部大輔殿私宅江御出
　　候間養子之儀其元様ニも何角御世話被成候間
　　早ク御願上ニ而可然旨申達候処兵部殿被申者御大
　　法も有之儀早速願上申度与心底ニ存候へ共
　　監物病気ニ付而相模守殿江得御内意とかく
　　御前江出候病気ニ無御座候只今ハ洗与能候得共
　　一度相煩候様子ニ而難出候故其段御物語申候処ニ
　　左候へハ監物家相続難成候間大膳太夫殿江
　　返し候へと何も御老中任御指図戻シ候然處

　　監物あなたへ参候而病気之様子ニも無之方ニ
　　徘徊仕候歴々之方同道ニ而振舞等ニも参候其上
　　近年之内　御目見等もいたさせ可申なとヽ請
　　合被申方も有之由及承候左様ニ而者兵部殿
　　一分立不申御奉公難仕候若右之通成行候ハヽ
　　養子仕候而も養子も難儀可仕申と存候故一両
　　年も右之様子承届申度存候而貴公様へとや
　　かく申達候此段ハ何共申出シ難候由兵部殿被申
　　候間私申候ハ一度病気にて引込被申方重而
　　
　　御目見江なとヽ有之儀中々御座有間敷候
　　拙者成共請合可申候間養子早ク御願被成可然
　　と申候へハ我等も左様二も存候へとも右之通ニ
　　監物徘徊致シ請合候歴々も有之旨ニ候へハ無覚
　　束候此趣共御手前様へ卒度御内意くれ候へ
　　与申候私病気ニ罷在候へハ伺公仕候而申上儀も難
　　成候ニ付申上事ニ御座候御意次第兵部殿へ可申
　　遣候以上

　　　　　　　　十一月廿二日

　　　　　　　昨日者御手紙令披見候御気分次第ニ御快候由
　　　　　　　珍重存候寒気之時分候間折角御保養専一ニ
　　　　　　　存候然者松平兵部大輔殿存念之趣令承知候併
　　　　　　　監物殿ニハ兎角之とんちやく無之縦気分快
　　　　　　　候而末々御目見被　仰付儀有之候共其段者
　　　　　　　公儀次第之事候被相返候上ハ兵部殿少も御構
　　　　　　　無之儀と存候監物殿義ニハ御構無之早ク養子

　　　　　　　被御申立可然候右之段出羽殿各々も申談候間
　　　　　　　此旨兵部殿江可有御申達候以上
　　　　　　　　十一月廿三日　　　　　　土屋相模守

　　　　　　　　　　　　　　　　大岡美濃守様

一　十一月《割書：日不｜詳》右同断ニ付為御使大谷助六《割書：重｜照》松岡江被相遣内匠頭《割書：昌｜平》様江
　　左之通被仰遣候
　　　
　　　　　　　　　御口上之覚



　　

　　寒気之節候得共弥御機嫌能被成御座候哉
　　御聞被成度思召候此表御留守御替被成儀も
　　無御座御前様相続御快候間御心安可被思召候兵部様
　　ニも御息災御在府被成候然者御養子之儀御願
　　可然旨土屋相模守殿御直談ニも大岡美濃守殿を
　　以而当夏ゟ度々被仰越候得共思召有之彼是
　　と被仰延候然処美濃守殿を以達而御養子御願
　　候様ニ御申候故少々御存念有之御延引被成旨
　　被仰候得共其段如何様之思召ニ候与美濃守殿
　　
　　御尋ニ付御内存段々被仰達置候処ニ先月廿一日
　　相模守殿ゟ志摩守様を以又々御養子御願可然旨
　　被仰越候ニ付委細之儀美濃守殿江被仰置候由御挨
　　拶被成候得者其趣相模守殿江御達可被成旨ニ而
　　御帰被成候故右之様子追付美濃守殿江被仰遣
　　候処美濃守殿当秋頃ゟ御病気故相模守殿江以手
　　紙最前御存念被仰達候趣御申越相模守殿ゟ
　　御返答之切紙美濃守殿ゟ被指越候手紙之案文
　　一所ニ美濃守殿ゟ被遣御披見被成候相模守殿ゟ御返
　　　

　　　　　　事之趣思召之様ニハ無之様ニも候得共出羽守殿各
　　　　　　被仰談と有之事ニ候得者只今何角之御願御延
　　　　　　引難被成儀与思召候ニ付御願可被仰上旨被仰候
　　　　　　内々御存念ニ而ハ今以被仰進義御遠慮ニも思召
　　　　　　候得共伊織様御養子ニ被成度思召被仰進候
　　　　　　其許様ゟも小笠原佐渡守殿江好々被得御内意可
　　　　　　然思召候其以後御返事次第御願被仰上候而可　
　　　　　　有之候依之御使者を以被仰進候御存念被仰達候
　　　　　　趣者美濃守殿ゟ相模守殿江被指越候手紙案文
　　
　　　　　　之通御座候則右之案文相模守殿ゟ御返事
　　　　　　両通之写被進候間御覧可被成候右之御内存故
　　　　　　度々御誘ニ候得者御延被成置候右之趣渋谷権左衛門
　　　　　　江も被仰聞候以上
　　　　　　　但美濃守殿ゟ相模守殿江被遣候書翰案文幷
　　　　　　　　　相模守殿ゟ之御返事者前条有之故略之
一　十一月廿六日　豊姫様御儀花山院大納言殿江御縁組之儀去ル十四日
　　花山院殿ゟ中山大納言殿を以伝　奏衆江御願書被指出候旨
　　飛鳥井左衛門督殿ゟ申来

一　十二月朔御用番阿部豊後守殿《割書：正｜武》殿江丹■遠江守《割書：長｜守》殿を以
　　豊姫様御儀飛鳥井左衛門督殿御養女ニ被遣花山院大納言殿江
　　御縁組被成度段御願書被指出之
一　同月二日右同断ニ付京都所司代松平紀伊守《割書：信｜庸》殿且飛鳥井
　　右衛門督殿江御書被遣之
一　同月四日霊巌嶋御屋敷御普請出来ニ付御移徙御祝儀
　　有之
一　同月五日《割書：五時｜過》御登城被成候処《割書：昨四日御用番ゟ御老中｜連名之御切紙来》御老中列座
　　豊姫様御養女ニ被遣且御縁組之儀御願之通ニ被　仰出候旨
　　
　　御用番阿部豊後守《割書：正｜武》殿御達有之右為御礼御老中御側
　　御用人若年寄中江　御廻勤
一　同日右同断ニ付京都所司代松平紀伊守《割書：信｜庸》殿江御書被遣之
一　同日内匠頭《割書：昌｜平》様御妹興津姫様大田原飛騨守《割書：清｜信》殿江御縁組
　　御願之通被仰出候ニ付為御礼御老中御側御用人江御使者
　　被指出之
一　同月七日寒中ニ付御機嫌為御伺御用番阿部豊後守《割書：正｜武》殿江
　　御勤　
一　同月九日水戸中納言《割書：光｜国》様於御国許御逝去《割書：去六｜日》ニ付　御機嫌為御伺
　　　









　　御登　城《割書：昨八日御用番阿部｜豊後守殿御指図》御老中被謁之
一　十二月十日右同断ニ付　御機嫌為御伺御老中御側御用人江
　　御使者被指出之
一　同月十一日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被献之
一　同月十四日右同断《割書：ニ｜番》生鱈被献之
一　同月十六日御国絵図之儀ニ付御領分一郡之内同村名無之様ニ
　　可致旨被仰候段江戸表ゟ申来候ニ付遂吟味候処本村枝村共ニ
　　村数五十一ケ村同名有之ニ付村名為改候段江戸表江申遣之
一　同月十八日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之

　　尾臺様　桂昌院様江白銀被指上之

　　　











元禄十四年辛己

　一　正月朔日為年始御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代御献上
　　呉服御拝領
一　同日於　御屋形年始御規式有之
一　同月三日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃臺御酒代
　　被献之
一　同月七日為御上初御使者を以例之通御肴被献之

一　正月十八日　鶴姫君様御疱瘡ニ付
　　公方様　鶴姫君様　御機嫌為御伺御用番小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿
　　幷秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿江　御勤《割書：昨十七日佐渡守殿｜ニ而御指図》
　　　　　　但廿二日二も右同断ニ付御両所江　御勤有之
一　同月廿六日　鶴姫君様御酒湯被為　掛為御祝儀御用番
　　小笠原佐渡守《割書：正｜重》殿江　御勤
一　同日旧冬御使者大谷助六《割書：重｜照》松岡江被遣伊織様御儀御養子ニ被成
　　度旨被　仰込候ニ付御承知之趣内匠頭《割書：昌｜平》様ゟ御返答有之
　　　　　　但右ニ付助六儀御返答書持参今日出立二月　江戸表江参着

一　二月十一日於浄光院　昨十日暁ゟ今朝迄
　　清浄院様三回御忌御法事御執行有之於深川霊巖寺も
　　右同様御執行有之
一　同月十六日御屋形御座之間御普請御成就ニ付御上棟
　　御祝儀有之
一　同月廿二日先達而御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江大岡美濃守《割書：忠｜高》殿
　　徳山五兵衛《割書：重｜年》殿を以内匠頭《割書：昌｜平》様御弟伊織様御養子ニ御願被成
　　度旨御内意御伺被成候処御願被成候様今日御指図有之
一　同月廿五日歳暮御祝儀御献上二付而之　御内緒於







　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　二月廿六日御用番秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿江志摩守《割書：直｜丘》様徳山五兵衛《割書：重｜年》殿
　　を以御養子之御願書被指出之
　　　　　　　　私儀男子無之ニ付先年松平長門守弟監物
　　　　　　　　養子ニ奉願候処被　仰出難有仕合奉存候監物
　　　　　　　　事去ル丑之年乱心仕一旦快候ヘ共
　　　　　　　　御前江難出病気之段申上其節任御指図松平
　　　　　　　　大膳太夫方江返シ申候依之家督相続之男子
　　　　　　　　無御座候故同姓内匠頭弟伊織養子ニ奉願被

　　　　　　　　伊織儀廿歳ニ罷成候右之趣内匠頭共申合候何分
　　　　　　　　二も可然様被仰上可被下候以上
　　　　
　　　　　　　　　　元禄十四巳
　　　　　　　　　　　二月廿六日　　　　　松平兵部大輔

　　　　　　　　　　　　阿部豊後守殿
　　　　　　　　　　　　土屋相模守殿
　　　　　　　　　　　　小笠原佐渡守殿
　　　　　　　　　　　　秋元但馬守殿
　　　　　　　　　　　　稲葉丹後守殿
　　　　　　　　　　　　






　　

一　二月廿九日釈菜ニ付聖堂江御参詣小太刀馬代御献備有之
一　三月四日於月番御家老酒井典膳《割書：知｜房》宅　今度御養子御願書　　
　　御指出被成候ニ付左之通諸士江典膳申渡之
　　　　　　　　　　今度御養子之儀御月【右側に「用」あり】番秋元但馬守殿江
　　　　　　　　　　志摩守様徳山五兵衛殿を以伊織様御養子ニ　
　　　　　　　　　　被遊度旨御願被　仰上候被　仰出段其御計
　　　　　　　　　　難被成候得共先右之段何茂江可申聞由
　　　　　　　　　　御意候以上

一　同日御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿ゟ左之通御老中連名之御切紙来
　　　　　　　　御用之儀候間明五日四時同氏　　　
　　　　　　　　伊織同道可有登　城候以上
　　　　　　　　　三月四日　　　　稲葉丹後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　あ秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　小笠原佐渡守
　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋相模守
　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　松平兵部大輔殿

／漢字（ふりがな）

一　三月五日伊織様此　御屋形江被為入《割書：七半｜時》　御同道ニ而
　　御登　城《割書：六半｜時》被成候処御老中列座ニ而御願之通伊織様御養子
　　被　仰出候旨土屋相模守《割書：政｜直》殿御達有之御退出掛為御礼
　　御同道ニ而御老中若年寄中江　御廻勤
一　同日右同断ニ付京都所司代松平紀伊守《割書：信｜庸》殿江御書被遣之
一　同月六日右同断ニ付御使御小姓頭永見宇右衛門《割書：安｜洪》御国許江被指
　　遣其節松岡江も相勤候様被　仰付今日江戸出立
　　　　　　但同月十三日福井江着ニ付於　御本丸右御養子被　仰出候儀
　　　　　　　御家中之面々江月番御家老申渡之

一　同月七日
　　伊織様浅草御屋敷ゟ霊雁嶋御屋敷江御引移有之
一　同日右同断ニ付
　　伊織様御同道ニ而御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿江
　　御勤
一　同月九日御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿ゟ御呼出御留守居村上三太夫《割書：正｜峰》
　　罷出候御養子之御礼被　仰上節御献上物之御伺書ニ御附
　　札を以御指図有之
一　同月十四日於殿中浅野内匠頭《割書：長｜■》殿吉良上野介《割書：義｜英》殿を被及







　　刃傷候儀ニ付　御機嫌御伺之儀御留守居村上三太夫《割書：正｜峰》を以御老中
　　土屋相模守《割書：政｜直》殿江御伺被成候処不及其儀旨御指図有之
一　同日御養子御礼之儀ニ付左之通御老中連名之御切紙来
　
　　　　　　　　同氏伊織儀
　　　　　　　　御目見被　仰付候間明十五日五時同道
　　　　　　　　可有登　城候依之其方儀も御礼可被
　　　　　　　　申上候条可被存其趣候以上

　　　　　　　　　三月十四日　　　　　　稲葉丹後守

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　小笠原佐渡守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋相模守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守

　　　　　　　　　　松平兵部大輔殿

一　三月十五日《割書：六半｜時》
　　伊織様御同道ニ而　御登　城御養子之御礼被　仰上御太刀
　　金馬代綿百把御献上　御台様　桂昌院様江白銀十枚宛御機嫌

　　被指上之《割書：去九日｜御伺済》
　　伊織様初而之　御目見被　仰上御太刀金馬代御小袖十
　　御献上
　　伊織様御名今日ゟ
　　大炊様与御改被成御退出掛　御同道ニ而御老中若年寄中江
　　御廻勤
一　同日右同断ニ付京都所司代松平紀伊守《割書：信｜康》殿江御書被遣之
一　同日右同断ニ付本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老幷御城代江　御書被成
一　三月廿二日

　　大炊様御同道ニ而御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿江御逢対　御勤　
一　同月廿五日
　　大炊様御同道ニ而御老中小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江御逢対　御勤
一　同月廿六日　御居間御普請出来ニ付御移徒御祝儀有之
一　同月廿七日
　　大炊様御同道ニ而御老中稲葉丹後守《割書：正｜道》殿江御逢対　御勤
一　四月十二日　上使御老中小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿を以御国許江之御暇
　　被　仰出例之通白銀御袷御拝領《割書：上使御取扱｜如例》御退出後為御礼御老中
　　御側御用人江　御廻勤
　









一　四月十二日　御登　城御暇之御礼被　仰上例之通御馬御拝
　　領御退出掛為御礼御老中御側御用人若年寄中江
　　御廻勤
一　同日御用番秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿ゟ御呼出御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》罷出
　　候処左之通御書付御渡有之大目付安藤筑後守《割書：信｜峰》殿ニ而も御書付
　　一通被相渡之

　　　　　　　　　　　覚
　　　　　　　　参勤交代之節従者之員数及■多間敷旨
　　　　　　　　兼而被　仰出候弥人多無之様ニ可被致候大勢差
　　　　　　　　
　　　　　　　　つとひ候而ハ宿之人馬共ニ及困窮候間不召■
　　　　　　　　候而不叶分ハ日を替■先江遣し道中込合不申
　　　　　　　　様ニ可被相心得候以上
　　　　　　　　　　巳四月日

　　　　　　　　　大目付安藤筑後守殿ゟ被相渡御書付
　　　　　　　　　　　覚
　　　　　　　　街道筋 人馬御定之儀兼而何も如承知東海道ハ
　　　　　　　　五十疋五十人中山道ハ廿五人廿五疋之御定ニ候然共
　　　　　　　　只今迄ハ近郷ゟ寄セ人馬致置御大名中御通之
　　　　　










　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　時分人馬差支不申候様ニ致来候ヘ共中山道之儀
　　　　　　　　　年々困窮申ニ付神尾備前守支配之時分ゟ致■■候
　　　　　　　　　其後拙者江加役被　仰付候而も度々相願候御領之儀ハ
　　　　　　　　　毎度御手当私領之儀ハ尾張殿を初御手当之事ニ
　　　　　　　　　候へ共此以後ハ左様二も難成候中山道之内十一宿
　　　　　　　　　別而困窮申候是ハ何も山中谷合故介郷無之十
　　　　　　　　　一宿之内ゟ■ニ申合人馬介合相勤候へ共一宿ニ
　　　　　　　　　廿五疋廿五人さへ漸相勤候へハ他之宿へ之助難
　　　　　　　　　成由申候依之久貝因幡守ヘ致相談宿之者召寄
　　　　　　　　　
　　　　　　　　　致吟味候処右之通介郷無之付定之外難相勤由
　　　　　　　　　申候就夫御老中江も得御内意候処木曽路御通之
　　　　　　　　　御衆中江御内証可申旨ニ候御家之儀者御大身ニ候
　　　　　　　　　へハ御家中御人多

一　四月廿一日明日御発駕ニ付為御案内御老中御側御用人江御勤
一　同月廿二日江戸　御発駕東海道通御旅行
一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単被献之
　　御臺様　桂昌院様江白銀被指上之
一　同月六日　御着城
一　同日右同断ニ付為御礼御使者高知笹治大学《割書：良｜次》江戸表江
　　被指出之例之通奉書紙幷昆布干鯛御樽被献之大学今日
　　福井出立
　　　　　　但大学江戸着日不詳

一　同月十五日去五日
　　大炊様節句始而　御登　城御礼被　仰上候為御礼江戸表江
　　御使者被指出之右御使者今日福井出立
　　　　　　　但同月廿七日御返書御渡有之
一　同月廿三日御帰国御礼御使者笹治大学《割書：良｜次》
御城江罷出候処
　《割書：昨廿二日御用番ゟ｜申来》於檜之間御返書御渡有之其節大学江お　御時服拝領
　　被　仰付
一　六月九日月次　御機嫌為御伺御使者松原源左衛門《割書：永｜明》江戸表江
　　被指出之御肴一種被献之源左衛門今日福井出立










一　六月十五日暑中ニ付　御機嫌為御伺御使者根来清太夫《割書：春｜房》江戸　
　　表江被指出之御肴一種被献之清太夫今日福井出立
　　　　　　但同月廿九日御返書御渡有之
一　同月十八日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書於　御城御渡
　　有之御家来拝領物等如例
一　同月廿日去十八日白山遷宮之節加州尾添村之大野郡牛首村
　　風来村与百姓共致争論手負等出来ニ付御老中江御届之儀
　　大岡美濃守《割書：忠｜高》殿迄被　仰遣之追而落着之上再左之通被
　　仰遣之

　　　　　　　　　　覚
　　　　　　一　白山本社大御前幷別山両社之遷宮導師ハ
　　　　　　　　越前平泉寺玄成院相勤候大汝一社之遷宮
　　　　　　　　導師ハ高野之僧衆相勤候
　　　　　　一　大御前遷宮六月十八日朝之内無別条相済候
　　　　　　　　同日大汝遷宮可有之処加州尾添村之者越州
　　　　　　　　牛首村風嵐村之者与於山上致口論及闘諍
　　　　　　　　当日延引十九日大風雨故相延廿日大汝遷宮
　　　　　　　　相済候依之別山遷宮も相済候由

　　　　　　　一　右口論之様子ハ最前申遣候通別而相替儀無之候
　　　　　　　　　以上
一　六月廿二日暑中ニ付御書を以例之通御国産素麵干鯛
　　被献之
一　同月廿五日為御湯治新保浦江　御出被成《割書：七月朔日｜御帰殿》
一　同月廿九日足羽郡市波村本向寺先代之内西本願寺江対シ
　　忠節之儀有之候を本覚寺先祖之趣ニ当本覚寺儀申立致
　　出世候段不届ニ被　思召ニ付御目付長谷川仁兵衛　京都江被遣右
　　之趣門跡江被　仰遣候処　思召次第ニ被　仰付候様返答ニ付父

　　子共御国追放被　仰付
一　七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
一　同月廿一日御書を以例之通御国産初鱈被献之
一　同日為御川狩市波江　御出被成《割書：同廿三日｜御帰殿》
一　八月朔日為御祝儀御使者を以例之通小太刀馬代被献之
一　同月三日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：同七日｜御帰殿》
一　同月四日先年被　仰出候御国絵図清書出来候段御達有之
　　候處井上大和守《割書：正｜■》殿御指図ニ而今日御評定所江指出之
　　安藤筑後守《割書：信｜■》殿松前伊豆守　殿久貝因幡守《割書：正｜方》殿別座ニ而








　　御請取有之
一　八月九日月次　御機嫌為御伺御使者河合茂介　江戸表江
　　被指出之御肴一種被献之茂介今日福井出立
　　　　　　　但同月廿二日御返書御渡有之
一　九月七日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　御臺様　桂昌院様江白銀被指上之
一　同月十日先達而《割書：去月十八日｜十九日》御国許洪水ニ付御領分御損毛之
　　御届書江戸表江左之通被相廻之
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松平兵部大輔領内

　　　　　　　　　八月十八日十九日洪水ニ付損毛之覚
　　　　　一　田畠高八万三千七百七拾石余
　　　　　　　　内
　　　　　　　　　四千八百弐石余　　　川欠砂埋永恙
　　　　　　　　　壱万九千三百七拾四石余　　恙
　　　　　　　　　　但四五ケ年内ニハ田地ニ可成歟
　　　　　　　　　四万六千九拾四石余　　　一■恙
　　　　　　　　　壱万三千五百石余　　　　水押
　　　　　　　　
　　　　　一　川除岡堤共ニ崩五千百拾間余

　　　　　　　一　同■ね崩三十五ケ所
　　　　　　　一　流家頽家三百四拾四軒
　　　　　　　一　流死九人
　　　　　　　一　流死馬七疋
　　　　　　　　　　以上
　　　　　　　　　巳九月十日
　　　　　　　　　但右御届書於江戸御用番阿部豊後守殿江御留守居指出之

一　九月廿一日右同断之節川口御門外堀塀下石垣一ケ所長二間高
　　
　　八尺崩候ニ付如元築直被成度旨御老中迄御書被指出之
一　同月廿六日花山院大納言殿ゟ　豊姫様江為御結納御使者
　　横山隼人正　を以御小袖《割書：白唐織幸菱段■■｜志■萌黄地紋からくさ》三重御附帯《割書：白唐織■｜片く■段》
　　《割書：唐織赤白｜た■都くし》二筋緋御袴一腰昆布一折■一折塩鯛一折御樽二荷
　　被進之
　　昌明様江御太刀一腰御馬一疋《割書：代黄金｜十両》昆布一折塩鯛一折御樽
　　一荷　清照院様江昆布一折塩鯛一折杉原十帖縮緬《割書：紅｜白》五巻
　　御樽一荷御使者同人を以被進之右御使者江緒腰物一《割書：備前■次■｜七枚五両》
　　被下之

　　　　　　　但右御品物飛鳥井左衛門■殿亭迄被遣候ニ付御使者堤安右衛門
　　　　　　　　請取之同月廿九日福井江着
一　十月二日内膳《割書：直｜知》様奥御詰被　仰付《割書：去月｜十九日》候ニ付為御礼御使者渥美
　　八左衛門　江戸表江被指出之今日福井出立
一　同月五日御用番稲葉丹後守《割書：正｜通》殿ゟ御呼出御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》
　　罷出候処御城廻り石垣御修復御願ニ付而之御奉書御渡有之

　　　　　　　　　　　以上

　　　　　　　　越前国福井城従三丸西南之方外曲輪
　　　　　　　
　　　　　　　　石垣壱ケ所崩候付而築直度旨絵図書付之通
　　　　　　　　得其意候如元可有修復候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉丹後守
　　　　　　　　　元禄十四巳　　　　　　　　　正通書判
　　　　　　　　　　十月四日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　■■書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　小笠原佐渡守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　長重書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋相模守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　政直書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正武書判

　　　　　　　　　　　松平兵部大輔殿　　　　　　　　






一、十月九日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：同十六日｜御帰殿》
一、同日月次　御機嫌為御伺江戸表江御使者被指出之御肴
　　一種被献之右御使者今日福井出立
　　　　　　　但同月廿一日御返書御渡有之
一、同月廿一日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一、同月廿五日為御鷹狩金津江　御出被成《割書：同晦日｜御帰殿》
一、同日御参勤御時節為御伺御使者御使番国枝小市郎《割書：冥｜真》江戸

　　表江被指出之今日福井出立
一、同月七日今度《割書：去月｜廿五日》若狭守《割書：直｜明》様御願之通御隠居御嫡？左兵衛《割書：■｜常》様江
　　御家督無御相違被　仰出且又出羽守《割書：綱｜次》様御願之通御弟頼母《割書：近｜憲》様江
　　御分知《割書：雲州之内｜新田八万石》被　仰出候ニ付右為御礼御使者長坂茂之介
　　江戸表江被指出之今日福井出立
　　　　　　　但同月十九日御返書御渡有之
一、同月十八日御用番ゟ御呼出ニ付御参勤御時節御伺尾御使者国枝
　　小市郎《割書：冥｜真》罷出候処来年四月中御参府可被成之御奉書
　　御渡有之

一、十二月十日寒中ニ付　御機嫌為御伺御使者周防伊左衛門《割書：佐｜賢》
　　江戸表江被指出之御肴一種被献之伊左衛門今日福井出立
　　　　　　　但同月廿五日御返書御渡有之
一、同月十五日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被献之
一、同月十八日
　　大炊様御登城被成候処御老中列座四品被　仰出被称
　　大炊頭昌尚様
一、同月廿八日
　　昌尚様四品被　仰出候為御礼御使者御奏者番酒井彦六《割書：■｜■》江戸

　　表江被指出之今日福井出立
　　　　　　但彦六江戸着日不詳正月十日御返書御渡有之
一、同日頼母《割書：近｜憲》様御叙爵被　仰出候為御礼江戸表江御使者被指出之
一、同月廿九日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　御台様　桂昌院様江白銀被指出之

家譜

《題：家譜　宗昌公》
　　　　　　　　　　　　　　《割書：従享保六年
到同七年》　　三十五　
　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　宗昌様　　《割書：従享保六年辛丑
至同七年壬寅》

　　　　　　　　中務大輔
　　　　　　　　　宗昌様　《割書：初於松岡　昌興
又昌平与被　称》


　　吉宗様御代
　　　享保六年辛丑
一十二月十一日依　召　御登　城大和守《割書：基
知》様左兵衛督《割書：直
常》与御一
　所ニ御出座被成候処御老中列座御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿
　御書付を以左之通御達有之

　　松平伊予守死去之段達
　　御耳候病気養生之間□【もカ】無之其上壮年
　　事候処別而御残念被
　　思召候伊予守男子無之付兼々同姓千次郎を
　　仮養子願置候得共近年越後守死去浅五郎儀者
　　未若年之事候得者今度伊予守跡幼少之者ニ
　　相続被　仰付候儀一家之者共ハ不及申
　　上之御為も不可然被
　　思召候中務大輔事ハ先伊予守正統之孫之儀

　　候故伊予守跡式越前国福井城弐拾五万石并当
　　時之所領五万石都合三拾万石被下置候千次郎儀者
　　則中務大輔養子被
　　仰付候之間成長之上伊予守娘与婚姻為致候
　　様ニトノ　思召候事
　右相済夫ゟ常盤橋御屋敷江被為　入大和守様左兵衛督様
　御同座ニ而御家老狛伊勢《割書：澄
孝》被　召出右御書付之趣
　御意有之畢而御侍中江伊勢申渡之
一同日　御相続被　仰出候ニ付御使狛伊勢《割書：澄
孝》を以右之趣　

　千次郎様江被　仰進之
一同日右同断ニ付御奏者番嶋田宇右衛門《割書：繁
■》御国元江被遣之
　宇右衛門今日江戸出立
一同日右同断ニ付京都所司代松平伊賀守《割書：忠
周》殿江御書被遣之
一同日右同断ニ付本多大蔵《割書：長
教》初御家老御城代江　御書被成
一十二月十二日　上使御奏者番三浦壱岐守《割書：明
敬》殿を以御香奠
　銀三百枚御拝領右為御礼御老中　御廻勤若年寄中江
　御使者被指出之
一同月《割書：日不
詳》右同断ニ付京都所司代松平伊賀守《割書：忠
周》殿江御書被遣之

一同月十五日月次初而　御登　城於御黒書院御礼被
　仰上候処　御前近被為　召其節伊予守跡式被　思召結
　構被　仰付難有奉存候旨御老中水野和泉守《割書：忠
之》御取合
　有之幼稚之者ニ跡式被　仰付事如何被　思召被　仰付候
　諸事入念可申付旨　上意有之右ニ付今度伊予守跡
　式　御懇之以　上意私江被　仰付越前福井之城廿五
　万石并只今迄之領知五万石都合三拾万石被下置難有仕　
　合奉存候不肖之私江国民御預被遊候段無覚束奉存候得共
　上意之儀ニ候得者奉畏難有奉存候殊伊予守願申上

　置候通千次郎儀伊予守願之通被　仰付被下置候様ニ私ニ同
　事奉願候処千次郎儀私養子ニ被　仰付成長之後伊予守
　娘与婚姻為仕候様ニ被　仰付伊予守存念も相立旁難有
　仕合重々　御厚恩与奉存旨御請被　仰上候処幼稚之儀
　諸事入念可申付旨重而　上意有之右為御礼御老中
　御廻勤追而京都所司代松平伊賀守忠周殿江御書付被遣之
一十二月十六日浅草御屋敷ゟ常盤橋御屋敷江御引
　移於　御居間御雑煮御吸物出御家老狛伊勢《割書：澄
孝》御相
　伴被　仰付御盃頂戴肴被下之盃　御前江被　召
　
　上畢而明石縫殿《割書：正
庸》被　召出御盃頂戴御肴被下之盃
　御前江被　召上
　千次郎様ニも大和守《割書：基
知》様与御同道ニ而被為入初而　御対顔
　御盃事有之
一同日右同断ニ付為御案内御老中若年寄中江御使者
　被指出之
一同月十八日御登　城被成候処《割書：昨十七日御老中
連名之御切紙来》御老中列座被任
　侍従其上来年始御礼御着座被　仰出候旨御用番水野
　和泉守《割書：忠
之》殿御達有之

一同日右同断ニ付本多大蔵《割書：長
教》初御家老江　御書被成
　　但右様之節御書被成候儀以後定例故不記之
一同日右同断ニ付京都所司代松平伊賀守《割書：忠
周》殿江御書被遣之
一同日
　昇安院様御法号大御番毛利与七《割書：武
照》道中守護江戸
　着ニ付直ニ天徳寺江被遣之　梅姫様今日ゟ　陽寿院様与
　被称
　　但御切髪翌寅年六月三日
　　　昇安院様御廟之下江御納ニ相成

一同日
　吉邦様御病気御尋之御奉書御国表ゟ相帰候ニ付
　御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿迄被指出候得共其儘御渡被成
一十二月廿一日江戸表ゟ之御使御奏者番嶋田宇右衛門《割書：繁
■》福井江
　着ニ付御家中之面々并松岡之諸士登　城本多大蔵《割書：長
教》初
　御家老并秋田八郎兵衛《割書：敏
昭》出席宇右衛門侍座　御意之趣
　於席々月番御家老酒井丹下《割書：知
房》申渡之
一同月廿二日大目付彦坂壱岐守《割書：治
■》殿ゟ今度御相続ニ付
　御明細書被指出候様申来候ニ付御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》

　を以壱岐守殿江左之通被指出之
　　　　　　　　　　　　本国三河　父松平中務大輔
　　　　　一高三拾万石　越前国　従四位下侍従　松平中務大輔
　　　　　　　　　　　　生国越前　居城越前福井

一十二月廿三日御老中水野和泉守《割書：忠
之》殿江御逢対　御勤
一同月廿五日御老中戸田山城守《割書：忠
真》殿江右同断　御勤
一同月廿七日為歳暮御祝儀御使者を以　御先代之通
　御小袖五被献之
一同日

　千次郎様年始　御登　城之儀御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿江御留
　守居を以御伺被成候処不及其儀旨御指図有之
一同月廿八日　御登　城《割書：昨廿七日御老中
連名之御切紙来》侍従御拝任之御礼
　被　仰上御太刀金馬代御小袖十　御献上
一同日
　千次郎様常盤橋御屋敷江　御引移被成
一同月廿九日板取二ツ屋細呂木江為使者留被指出置候御先物
　頭今村段右衛門《割書：正
■》堀豊左衛門《割書：汎
長》榊原六右衛門《割書：成
次》引取候様被
　仰付今日福井江罷帰

享保七年壬寅
一正月朔日為年始御祝儀　御登　城於御白書院御三家様
　御次江　御着座御礼被　仰上御太刀馬代御献上御吸物
　出御盃御頂戴御時服御拝領被成
一同月七日侍従御拝任ニ付御老中ゟ京都所司代松平
　伊賀守《割書：忠
周》殿江之御奉書於御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿
　御渡有之右ニ付御徒飛脚《割書：井原
嘉六》を以京都江被指遣之
一同月九日右同断ニ付口　宣御頂戴之御使者寄合

　牧野清兵衛《割書：易
相》京都江被指出之今日福井出立
一同日於　御屋形御具足之餅御披御祝儀有之
　　但於御国者御中陰ニ付御式無之
一正月十四日於御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿書籍御尋之儀ニ付
　左之通御書付被相渡之
　　　　　覚
　一目録之書籍共御用ニ候間所持候ハヽ可被指上候
　　自分所持無之候ハヽ家来又ハ領知之寺社百
　　姓町人等ニ至迄相尋右之書於有之者差上候

　　様ニ可被致候
　一新国史より風土記迄ハ御蔵尓全部無之候
　　　但風土記ハ豊後出雲御蔵尓有之候
　一本朝月令より類聚国史迄書付候通巻数者
　　御蔵尓有之候得共端本尓て候此闕巻之分
　　所持候者可被指上候
　一右書物之儀ニ付而承合候事ニ候ハヽ林大学頭
　　父子江可被相談候以上
　　　　　寅正月

　　　　　目録
　　　新国史　本朝世紀　寛平御記　延喜御記
　　　律集解　令　　　　令抄　　　弘仁式
　　　貞観式　法曹類林　為政録　　風土記
　　　本朝月令《割書：一巻
三巻ヨリ六巻マテ》　律《割書：二巻ヨリ六巻マテ
八巻ヨリ十二巻マテ》
　　　令集解《割書：二十五ヨリ二十七巻マテ
三十七巻
三十九巻》

　　　類聚三代格《割書：二巻　四巻
六巻　九巻ヨリ十一巻マテ》

　　　類聚国史　六巻ヨリ八巻マテ　十巻
　　　　十二巻ヨリ十五巻マテ　　　十七巻ヨリ三十巻マテ
　　　　三十三巻ヨリ三十五巻マテ　三十七巻ヨリ三十九巻マテ
　　　　四十一巻ヨリ四十六巻マテ　四十八巻ヨリ五十三巻マテ
　　　　五十五巻ヨリ七十巻マテ
　　　　七十六巻　
　　　　七十九巻
　　　　八十一巻ヨリ八十六巻マテ　八十八巻ヨリ百巻マテ
　　　　百二巻ヨリ百六巻マテ　百八巻ヨリ百四十六巻マテ

　　　　百四十八巻ヨリ百五十八巻マテ　百六十巻ヨリ百六十四巻マテ
　　　　百六十六巻ヨリ百七十巻マテ
　　　　百七十二巻
　　　　百七十四巻ヨリ百七十六巻マテ　百七十八巻ヨリ百七十九巻マテ
　　　　百八十一巻ヨリ百八十四巻マテ　百八十六巻ヨリ二百巻マテ
　　　　　以上

一正月十八日御預所村々之内可及餓死体之者千弐百余人
　有之ニ付組頭朝宮村門左衛門上天下村庄兵衛与申者ゟ御救
　
　米之儀願出候ニ付米百四十九俵余御貸被成《割書：壱人暮之者一日壱合ツヽ
弐人口ゟ五勺ツヽ》
一同月廿五日評定初御祝儀有之
　　但御鷹之鴨被下無之
一同月廿六日口　宣御頂戴之御使者寄合牧野清兵衛《割書：易
■》伝
　奏衆亭江罷出候処侍従御拝任之口　宣御渡有之夫ゟ
　於所司代松平伊賀守《割書：忠
周》殿御老中江之御返書御渡有之
　　口宣案
　　　　　　　　　　　上卿広幡大納言
　　　　　　　　　　　　享保六年十二月十八日

　　　　　　　従四位下源昌平朝臣
　　　　　　　　宣任侍従
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奉
　　　　　　　　　　　　蔵人左小弁藤原兼栄

　　　宣旨
　　　　　　従四位下源朝臣昌平
　　　　従二位行権大納言藤原朝臣差兼廉
　　　　宣　奉　　　敕件人宜令任

　　　　侍従者　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奉
　　　　　享保六年十二月十八日大外記兼掃部頭造酒正■■中原朝臣師岑

一同日右同断ニ付口宣并御返書共御徒飛脚《割書：井原
嘉六》を以江戸
　表江指上之
一正月廿七日御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿ゟ左之通連名之御切
　紙来
　　　明廿八日五時登
　　　城相続之御礼可被申上候　

　　以上
　　　　正月廿七日　　水野和泉守
　　　　　　　　　　　戸田山城守
　　　松平中務大輔殿

　　
　　別紙
　　　　家来八人
　　　　御目見被　仰付候間召連
　　　　可被罷出候以上
　　　　正月廿七日

一正月廿八日　御登　城相続之御礼被　仰上御太刀
　《割書：備前国景光
代金五枚》一腰御馬一匹《割書：代黄金
五十枚》御小袖五十御献上畢而被　召
　連候御家来狛伊勢《割書：澄
孝》芦田右衛門《割書：賢
詮》本多修理《割書：恒
久》時服二
　御太刀馬代銀壱枚宛松平主馬《割書：正
恒》笹治尚膳《割書：正
方》酒井与三左衛門《割書：元
珍》
　中根靱負《割書：雲
逢》明石縫殿《割書：正
庸》御太刀馬代銀壱枚宛献上一
　人宛　御目見被　仰付相済右為御礼御老中若年

　寄中江　御廻勤御側衆江御使者御物頭被指出之伊勢初
　西丸御厩迄罷越半袴着太刀銀馬代持参為御礼御老
　中若年寄中江廻勤
一同日右同断ニ付京都所司代松平伊賀守《割書：忠
周》殿江御書被指
　遣之
　　但御老中江御礼勤等有之候節所司代江御書被指
　　　遣候儀以後定例故不記之
一同日若年寄岡部左膳《割書：起
平》
　千次郎様御附ニ被　仰付且又左之通御書付を以被

　仰付
　　　　　　　　　　　　　　袖うら
　　　　　　　　　　　　　　　岡部左膳江申付覚
　　　　　一千二郎
　　　　　　学文武芸　先祖事并操錬等
　　　　　　昇安院事大切ニスヘキ事
　　　　　一手あらくなき様ニ　
　　　　　一第一慈悲之事
　　　　　一卑賎ニナキ様ニ

　　　　　一ハさら事なき様ニ側ノ者ニ申付事
　　　　　一あふなき慰なき様ニ
　　　　　一養■■　一灸なとすへ食よ■■■
　　　　　一気之つまらさる様ニ
　　　　　一手前を気つかひニ不思様ニ
　　　　　一わる智恵付ぬ様ニ
　　　　　一近処之者一和■■■様ニ　　　一近処　　初様
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　■　　■か
　　　　　一陽寿ゐん殿智高いん殿なし■■付様ニ
　　　　　一部屋火之本念を入浅草へ引越候事念を入事
　　　
　　　　　一お初伊織へ伝言八重へ伝言
　　　　　　孫右衛門其外医師共付々へ念を入申付様ニ
　　　　　一家老共　大蔵　主馬　民部へ伝言

一二月五日御抱相撲之者共不残御暇被下
一同月六日御老中水野和泉守《割書：忠
之》殿ゟ御留守居御呼出ニ而
　左之通御書付被相渡之
　　　　御尋書物之儀ニ付本朝月令より類聚国
　　　　史迄書付之通之巻数ハ御蔵ニ有之候由

　　　先達而相触候得共右者書違ニ而候書付之
　　　巻数御蔵ニ無之候間此旨被致承知書付之
　　　巻数之通可被指上候其外者前方之通ニ可被
　　　相心得候以上
　　　　　寅二月
一二月十三日
　吉邦様御遺腹　伊織様於福井御誕生御母辻氏《割書：姓八重方
》
一同月十六日於評定所御家中御借米之儀当年分不残
　御免被成候旨月番御家老稲葉采女《割書：正
方》諸月番江申渡之
　　　御家中御借米之儀自当年不残被成
　　　御免候
　　　　　　　　　　　　　前文「当年／乃（の）」
　　　　　　　　　　　　　本文「自当年」
　　　　　　　　　　　　　　分自意義如何或ハ書損カ

　　　昇安院様ニも御免被成度　思召之由
　　　御相続も被成面々勝手困窮之様子も被及
　　　聞召候故旁右之通被　仰出候弥倹約相慎
　　　御奉公向専一可心懸旨　御意候以上
　　　　二月十六日
　　　右相済於次之席御目付ゟ左之通相達之
　　　　一御借米不残　御免ニ候得者如前々高知中者

　　　　町江被出節牽馬可有之事
　　　一衣服之儀段々　御先代御定在之候其趣ニ相守り
　　　　候共又者所持仕候方ニハ何成共着仕事不苦候間
　　　　左様可被相心得候此外之御定之儀共ハ追而被
　　　　仰出候迄ハ相守可申候
一同日奥向御普請出来ニ付奥　御居間江　御移り被成
一二月十八日為御相続御祝儀御老中御招請之儀ニ付六郷
　主馬　殿を以御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿江左之通被指出之
　　　相続之為祝儀各様申請度奉存候
　
　　　三月中旬ゟ末被仰合被下候者可承候以上
　　　　二月　　　　　　　　　　松平中務大輔
一同月十九日右同断ニ付御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿ゟ御呼出
　御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》罷出候処左之通御書付を以
　被申渡之
　　　　　　　　　　　　　　　　松平中務大輔
　　　相続之為祝儀振舞来月十三日
　　　之晩何茂可相越候

　　　　　　二月
　右ニ付為御礼和泉守殿江　御勤残御老中江御使者
　御家老芦田右衛門　被指出之
一二月廿一日御老中水野和泉守《割書：忠
之》殿ゟ御呼出ニ付御留守居
　御城江罷出候処歳暮御祝儀御献上ニ付而之御内書
　御渡有之
　　　為歳暮之祝儀小袖五
　　　到来歓思食候委曲水野
　　　和泉守可述候也

　　　　十二月廿七日　御黒印
　　　　　　　　　　　　　福井侍従とのへ

一同日御相続為御祝儀三月十三日御老中御招請被成候
　ニ付其節御出被成候様若年寄中江御使者御番頭を以
　被　仰遣之
一同月廿二日御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿ゟ申来御留守居大関
　新五左衛門《割書：直
看》罷出候処左之通御書付被相渡之
　　　科人追放之事

　　　右科之品ニ依而扶持を召放候歟或者家財闕
　　　所又ハ其品軽くハ過料等それ〳〵に可被申付
　　　儀者勿論ニ候件之悪事有之候もの領内に
　　　差置候を嫌ひ他所江放遣候儀者有之間敷事
　　　ニ候近年於公儀者追放もの先ハ無之様ニ被　仰付
　　　候間於国々所々其旨を存猥に追放有之間敷候
　　　然共喧嘩なとにて双方疵付候者歟又ハ侍な
　　　と品ニより追放被申付却而可然趣も可有之候
　　　間其段者格別之事ニ候

　　右之通可被相心得候以上
一二月廿五日於評定所御法令之儀ニ付月番御家老
　稲葉采女《割書：正
方》左之通御書付を以諸月番江申渡
　　　御家之御法式
　　　先両　御代　御条目之趣弥以急度可相
　　　守旨被　仰出候尤　思召有之候ハヽ追而可被
　　　仰出由候依之別而御書付者不相渡候面々
　　　可被存其旨候以上
　　　　二月廿五日

一二月廿七日御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿江六郷主馬　殿を以
　伊織様御儀御次男之御取扱ニ相成度旨昨廿六日
　御願書被指出候処今日主馬殿御招ニ而御勝手次第ニ
　被成候様御指図有之
　　但御誕生之儀去十九日和泉守殿江御留守居を以
　　　御達被成候節御次男之御取扱ニ可被成
　　　思召ニ而可有之哉御指図ニ而者無之由被申聞
　　　候ニ付右之　思召ニ候間追而御頼可被成旨
　　　御達之上右之通御頼被成

一同日右同断ニ付為御礼御老中　御廻勤
一三月朔日於浅草御屋敷　勝姫様御誕生御母杉山氏
　おもん？方
一同月五日　伊織様御誕生之為御祝儀御使立岩長六
　を以　伊織様江御大小一腰《割書：御刀■■■
御脇指康光》御産着二重《割書：白綾一
■■一》
　二種一荷被進之其節
　千次郎様ゟ二種一荷　陽寿院様ゟも御産着一重犬張子
　一対干鯛一折昆布一折御樽代五百疋被進之
　　但長六去月廿五日江戸出立

一三月十二日
　昇安院様御位牌大安寺江御安置御供養有之
一同日明十三日御老中御招請之儀ニ付御老中江御使者
　御家老芦田右衛門《割書：賢
詮》被指出之若年寄中江御番頭被指
　遣之其外御役人中江御使者御使番被遣之
一同月十三日　御登　城《割書：昨十二日御老中
連名之御切紙来》於御黒書院　御目見
　被　仰上御着座之時御一字《割書：宗■
》御折紙御老中井上
　河内守《割書：正
岑》殿御渡御頂戴被成御次江御持退御目付稲葉
　多宮　殿江御預再御出座其節御太刀《割書：備前国守長
代金十枚》一腰御馬

　一匹《割書：代黄金
十両》綿二百把御献上御奏者番高木主水正《割書：正
陳》殿披露
　河内守殿御取合有之御礼被　仰上御退座御献上物引之
　最前之席江御出座御引渡出其上御脇指《割書：■■光代金
三十枚》一腰
　御拝領御次間江御持退右御脇指与御指替御出座御礼
　被　仰上御老中御取合有之御退去今日ゟ御名乗
　宗昌様与被　称
一同日為御相続御祝儀御老中初御役人中御招請有之
　御老中水野和泉守《割書：忠
之》殿御越之節中仕切御門二三間手前迄
　御出迎御会釈有之御案内ニ而御書院江御通着座之節

　御長蚫出之其節
　千次郎様御出座和泉守殿初江御逢有之《割書：六郷主馬殿
御取合有之》御勝手江
　被為　入候上御料理出《割書：三汁
九菜》御引物御直ニ上座ゟ段々千鳥掛ニ
　御引被成和泉守殿与御盃事有之若年寄中与御盃事
　之節御取肴別ニ出　御自身御持参被成夫ゟ御役人中不
　残御盃事有之右之内御囃子有之和泉守殿ゟ酒井丹下《割書：知
房》
　芦田右衛門《割書：賢
詮》明石縫殿《割書：■
■》岡部左膳《割書：起
平》江御盃被下之《割書：十二人罷出筈之
処御■■故右之》
　《割書：通■
■》相済御退出之節最前御出迎之処迄御送被成右為御
　礼和泉守殿江　御勤若年寄中江御使者御番頭被指出之

一同日右同断ニ付御出無之御老中江御茶一種檜重一組鯛
　一折若年寄中江御茶一種鯛一折宛御使者御留守居を以
　被遣之
一三月十五日　御登　城被成候処月次御礼後御老中列座ニ而
　左之通御書付を以御達有
　　　　　覚
　　　一御代々　御年忌御法事之節毎度
　　　　勅使被　仰付候得共兼々　思召之品有之ニ付当
　　　　四月之御法事ゟ　御辞退被　仰上候且又読

　　　経之儀も自今以後者千部を限り或者三百部
　　　或者百部可被　仰付候間私之法事も准之分
　　　限相応ニ可致修行事
　　　　但作法等者略すへからさる事
　　一近代礼物等莫太之所多末々之輩に至ては
　　　外をかさり実義を失ひ候事共に候条是又
　　　減少被　仰出候大概別紙ニ在之事
　　右礼物法事等之品今度先被　仰出候其余家内之
　　事ニおゐてハ尤面々覚悟あるへく候或ハ倹約ニ事

　　を寄礼儀を麁略し却而自己之栄耀を好む之
　　儀猶以慎あるへき事に候以上
　　　　寅三月
　　　　　被下献上御礼物員数減少之覚大概
　　　只今迄　　　　　此度■■　
　　　一金百枚以上ハ　　拾枚
　　　一同五拾枚ハ　　　五枚
　　　一同《割書：三拾枚
二拾枚》ハ　　　三枚
　　　一同《割書：拾枚
五枚》ハ　　　　弐枚
　　　　　但五枚已下者壱枚

　　　一銀千枚以上ハ　　百枚
　　　一同五百枚ハ　　　五拾枚
　　　一同《割書：三百枚
二百枚》ハ　　　三拾枚
　　　一同百枚ハ　　　　弐拾枚
　　　一同五拾枚ハ　　　拾枚
　　　一同《割書：三拾枚
二拾枚》ハ　　　五枚
　　　一同《割書：拾枚
五枚》ハ　　　　三枚
　　　　　但五枚以下ハ壱枚
　　　一時服百以上ハ　　《割書：縮緬
紗綾》之内三拾巻

　　　一同《割書：五拾
三拾》ハ　　　　《割書：縮緬
紗綾》之内弐拾巻
　　　一同弐拾ハ　　　　《割書：縮緬
紗綾》之内拾巻
　　　一同《割書：拾より
五ツ迄》ハ　　　《割書：縮緬
紗綾》之内五巻
　　　一同四ツハ　　　　《割書：縮緬
紗綾》之内三巻
　　　一同《割書：三ツ
弐ツ》ハ　　　　《割書：縮緬
紗綾》之内弐巻
　　　一綿三百把以上ハ　　五拾把
　　　一同弐百把ハ　　　　三拾把
　　　一同百把ハ　　　　　弐拾把
　　　一晒布百疋以上ハ　　三拾疋

　　　一同《割書：五拾疋
三拾疋》ハ　　弐拾疋
　　　一同弐拾疋ハ　　拾疋
　　　一同拾疋ハ　　五疋
　　　一此外領内土産物献上是又減少之筈ニ候并
　　　　常式ニ而も御樽肴之外領分土産ニあらさる
　　　　物者献上相止候事
　　　一惣而数種差上候類者其品之内減し申筈
　　　　ニ候事
　　　一端午重陽歳暮時服数之儀大身小身共ニ
　　　
　　　　一重宛可被指上事
　　　一隠居并遺物御道具類献上相止候事
　　　一香奠被下候儀右白銀減少之員数たるへき事
　　　一御褒美又ハ公役ニ付臨時之被下物者只今迄
　　　　之通たるへき事
　　　右之通ニ相極候間私之礼物等も右ニ准し可申候
　　　且又献上物之儀此度改り候事候間此砌者其時々
　　　月番之老中江可被相伺候事
　　　　　以上

　　　　　　寅三月

一三月十八日吉辰ニ付　初姫様　伊織様　御座所御用屋
　敷江御移被成
　　但右御用屋敷之儀向後御部屋与相唱可申段被
　　　仰出
一同月廿八日松平民部大輔《割書：吉
元》殿《割書：長門萩之
城主》ゟ御和順之儀
　吉邦様御代被仰込候得共御整無之候処御相続以前
　宗昌様ニハ諸事御通達と有之候儀ニ付此度左兵衛督《割書：直
常》様

　を以是迄浅草御屋敷ニ被為　在候節之通御取扱被成度旨
　被仰込候ニ付大和守《割書：基
知》様江御相談之上今日於　御城大和守様
　左兵衛督様御取合ニ而御対頼有之民部大輔殿　御城ゟ直ニ御越
　ニ付為御返礼　御出被成
　　但浅草御屋敷ニ被為　在候節之通ニ而改而御和順之
　　　御取扱者無之
一四月七日大目付横田備中守《割書：由
松》殿ゟ申来御留守居大関
　新五左衛門《割書：直
看》罷出候処百姓質田地之儀ニ付左之通御書付被相
　渡之

　　　惣而百姓質田地年季明キ以後金子済方相
　　　滞候儀訴出候へ者只今迄ハ金高ニより五六十日
　　　七八十日之日切申付候而一度之日切ニ不相済候ヘハ
　　　流地ニ申付日延ニ者不申付候是者江戸町方ニ而
　　　質入屋敷之取扱之格ニ准し日延ニ不為致候
　　　然とも地方之儀如此申付候へ者分限宜もの
　　　質流之田地大分取集又ハ田地連々町人等之手ニ
　　　入候様ニ成候田地永代売御制禁ニ而候処おのつ
　　　から百姓田地ニ離レ候事者永代売同前之儀候条
　
　　　自今者質田地一切流地ニ不成様ニ只今迄質入ニいた
　　　し置候分又ハ当然訴出ニ而出入ニ成候分共質年季
　　　明候ハヽ手形仕置させ小作年貢にてと前方極置
　　　分者壱割半之利積り之外ハ金主之損失ニ致只今
　　　迄質地之小作年貢滞有之ハ壱割半之利金積り
　　　を以元金之内江加入其後ハ無利之済崩之積り金
　　　高壱割半宛年々返済之定ニ手形申付元金切次
　　　第幾年過ニ而も地主江相返様ニ可致候いまた年季
　　　掛り有之分共訴出候者是又向後右之通利分壱割　

　　　半之積り改之手形仕置させ可申候
　　一質地之裁判之格法前条之通此度相改候付五ケ年
　　　以前酉年以来限之訴出候分ハ只今迄裁許を流
　　　地ニ成来候分と而も当然元金不残指遣シ田地取戻し
　　　度と願出候者には請戻させ可申候但流地持候者之
　　　方ニ而田地配分致し置又者年季売質地等も致
　　　置候分者其儘ニ致し請戻させ申間敷候流地取候
　　　ものへ手前ニ田地有之分斗右之通請戻させ
　　　候様ニ可申付候事

　　一自今ハ質田地を以金子借り候事其所之田地
　　　直段弐割引之積りを以手形ニ名主庄屋組頭
　　　加判可仕候質地主直ニ小作いたさせ候といふ共
　　　向後小作之年貢壱割半之利積りを以小作
　　　入上ケ可相究候是ゟ高利ニ不可致候壱割半ゟ利
　　　安ニ質借致候儀者相対次第たるへき事
　　右之趣堅可相守候若違背之輩あらハ可為
　　曲事者也
　　　　享保六丑年十二月

　　　　〆
　　　惣而百姓質田地之儀裁判之仕方此度相改り
　　　質流し不致筈候委細之趣者御勘定所江
　　　可被承合候以上
　　　　寅四月
　　　　但十二月之分ハ御取紛ニ而旧臘御達落ニ相成候ニ付
　　　　　今日被相渡候旨備中守殿被申聞之
一四月十三日　伊織様福井　神明宮江御宮参御代拝若年
　寄荻野孫右衛門《割書：政
対》江被　仰付

一同月晦日於運正寺
　有章院様七回御忌御法事御執行有之
一同月《割書：日不
詳》御代替ニ付遠州新居上州碓氷御関所女通
　手形御家老判鑑御留守居望月八郎右衛門《割書：信
光》持参松平
　伊豆守《割書：信
祝》殿内藤丹波守《割書：政
苗》殿江左之通指出之
　　　上包
　　　　松平中務大輔家老共
　　　　　　　　　　　　判鑑
　　　　　遠州新居
　　　　　　御関所　　　　判鑑

　　　松平中務大輔内
　　　　　　　酒井丹下　　印判　書判
　　　　　　　狛　伊勢　　同　　同
　　　　　　　芦田右衛門　同　　同
　　　　　　　本多修理　　同　　同
　　　　　　　稲葉采女　　同　　同
　　右之内在所罷在者以判
　　形御通可被下候以上
　　　享保七年
　　　　寅四月

　　　但碓氷御関所江指出候も右同様ニ付不記之
一五月十日養子之儀ニ付於　公儀被　仰出之趣万石以上江も
　相達候様御老中戸田山城守《割書：忠
真》殿御指図之旨ニ而大目付中ゟ
　左之通御甲廻状来
　　　養子いたし候者若養子を返し候儀有之時最前
　　　致養子候以後実子出生候共其実子家督ニ者被
　　　仰付間敷候間又養子を可奉願候然とも右返し候
　　　養子何ことそ行跡悪敷候品有之歟病気ニ而
　　　決而御奉公難成儀ニ相究り養子返し候ハヽ頭

　　　支配とくと承届実方江も相尋無相違候ハヽ其品
　　　申上頭支配ゟ実子を家督ニ可奉願候軽キ病気
　　　又者養父之心ニ叶不申候一通之儀迄ニ而養子
　　　返し候得者実子ニ家督者被　仰付間敷候但右実
　　　子御奉公被　仰付間敷との儀ニ而無之候分地奉
　　　願候歟外江養子なと■遣候儀ハ可為勝手次第候
　　　以上
　　　　　寅
　　　　　　五月

一五月廿九日於東光寺　黄梅院様百回御忌御茶湯御執
　行有之
一六月二日　勝姫様浅草御屋敷ゟ常盤橋御屋敷江御引
　移被成
一同月十五日　伊織様御箸初御祝儀有之
一同月十六日為嘉定御祝儀　御登　城被成候処於桜之間
　今日之御礼御相伴被　仰出候旨御老中水野和泉守《割書：忠
之》殿
　御達有之右ニ付御着座御礼被　仰上御菓子御頂戴
　被成

一六月廿三日於江戸左之通被　仰出之趣詰合之諸士江御目
　付ゟ相達之
　　　御先代侍中洗湯江参候儀　御免被成罷越候得
　　　共洗湯ゟ直ニ乱髪之体ニ而　御曲輪内等歩行
　　　仕候様ニ相聞依之寄々洗湯江参候儀致遠慮
　　　候様ニ被　仰付候乍尓洗湯之儀者保養ニも罷
　　　成其上御屋敷御長屋等も詰り難儀之旨被
　　　聞召病人等も有之候へ者却而如何ニ被
　　　思召候付右之趣堅相慎申候而洗湯ニ罷越候
　　　
　　　儀者無遠慮罷越候様ニと　思召ニ候事
　　一御先代ゟ御法度とハ無之候へ者面々寄合之儀
　　　致遠慮候様ニ相聞候左候得者相互ニ疎遠ニも
　　　成可申候間御定之通一汁一菜外ニかうの物
　　　料理ニ而寄合候儀勝手次第仕候様ニ
　　　思召ニ候事
　　一謡之儀表向御長屋ニ而者独吟之外者謡不申
　　　様ニ被　仰付置候へとも相互ニ寄合候節外音
　　　曲者致無用乱かハしく無之様ニ四五人程ニ而

　　　謡候儀者不苦候間面々左様可被相心得事
　　　　但内御長屋之儀者只今迄之通御構無之事
　　右之趣共御屋敷御曲輪之内ニ而面々気詰可致
　　難儀事ニ被　思召ニ付　御憐愍之趣ニ而被　仰付
　　候間面々其旨を存相慎候儀ハ堅相守可申事
　　　　　六月
　　　　　　〆

　　　四日　十二日　廿七日
　　右三日之儀重キ　御精進日ニ付外音曲者勿

　　論謡等も遠慮可仕事
　　　　　六月

一七月二日　勝姫様御箸初御祝儀有之
一同月三日　御登　城《割書：去朔日於　御城
大目付中御達有之》被成候処御老中列座御用番
　水野和泉守《割書：忠
之》殿御書付を以左之通御達有之
　　　御旗本ニ被召置候御家人
　　　御代々段々相増候御蔵入高も先規ゟ者多候得共
　　　御切米御扶持方其外表立候御用筋渡方引合

　　　候而者畢竟年々不足之事候然共只今迄ハ所々
　　　御城米を被廻或　御城金を以急を被弁彼是
　　　漸御取つゝきの事ニ候得共今年ニ至而御切米等も
　　　難相渡御仕置筋之御用御手支ニ候夫ニ付
　　　御代々御沙汰も無之事ニ候へ共万石以上之面々ゟ者
　　　米指上候様ニ可被　仰付と　思召候左候半者御家人
　　　之内数百人も御扶持可被　召放ゟ外者無之候故
　　　御恥辱を不被顧被　仰出候高壱万石ニ付八木百
　　　石之積可被指上候且又此間和泉守ニ被　仰付随分
　　　
　　　遂僉議納方之品或新田取立候儀申付候様ニとの
　　　御事ニ候得共近年之内ニ者難相調可有之候条
　　　其内年々上ケ米被　仰付ニ而可有之候因茲在
　　　江戸半年宛被成　御免候間緩々致休息候様ニ
　　　と被　仰出候
　　　　何も在府之儀ニ付而者江戸人多ニ■候故兼而
　　　　思召も有之たる事ニ候間此已後在府之間
　　　　も少キ儀ニ候条可成程者人数可被相減候
　　　　　　覚

　　一参勤御暇之儀只今迄外様四月御譜代六月
　　　交替被　仰付候得共向後者一同ニ三月中九月中
　　　交替可被　仰付候事
　　一嫡子御暇被下候者者其父在所江到着以後六十日
　　　過候而可致参府候事
　　一在所又者居所有之面々ニ而も幼少若年之者江者
　　　御暇被下間敷候併一年半者御暇之格ニ准シ御門
　　　番火之番等被　仰付間敷候尤半年充ハ在府之
　　　格ニ而右御用等可被　仰付候事

　　一上ケ米之儀大坂御蔵江成とも当地御蔵江成共
　　　面々勝手次第上ケ米高半分宛春秋両度ニ可
　　　被相納候事
　　　　但米ニ而難納面々者金子ニ而其節之張紙直
　　　　　段を以可被納候事
　　一当年者上ケ米高半分之積秋中可被相納候事
　　　　以上
一七月四日御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿ゟ御呼出御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》
　罷出候処長々御在府被成候ニ付当月末歟来月初御国許江

　之御暇可被　仰出旨用人赤星弥三左衛門を以被申聞之
一七月十八日信州福嶋御関所女通手形御家老判
　鑑御使者原平左衛門《割書：正
明》を以山村甚兵衛　殿江被指遣之平左衛門
　今日江戸御屋敷出立
　　但右判鑑之儀当二月被指遣候処故障有之候ニ付此
　　　度被指遣之文面新居与同様ニ付不記之
　　一平左衛門福嶋着判鑑指出候処是迄之御判鑑
　　　并御家老判鑑も被相返之廿九日御国江帰着
一同月廿七日於運正寺

　昇安院様御霊屋御普請御成就ニ付御供養有之
一同月廿九日御献上之御国産初鱈江戸表江指立之
　　但於江戸表御献上之日不詳
一同月《割書：日不
詳》御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　十郎左衛門《割書：定
由》罷出候処左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　　　　　　　松平中務大輔江
　　　　　覚
　　一帰国御礼参勤伺暑寒御機嫌伺者可　

　　　為使札候其外之御礼事并拝領之鷹授候
　　　鳥抔者可為飛札候事
　　一年始八朔之御太刀者以当地之者可被献候事
　　右之外重立候御礼事之節者月番江可被伺
　　之候以上
　　　　寅七月
一八月朔日為御祝儀　御登　城御太刀馬代御献上
一同月六日　上使御老中戸田山城守《割書：忠
真》殿を以御国許江之
　御暇被　仰出白銀三十枚縮緬二十巻御拝領山城守殿

　此　御屋形江御越　上意之趣御達有之御長蚫　御直ニ
　御居被成其節
　千次郎様御出座山城守殿江御逢被成
一同月七日右同断ニ付為御礼　御登　城
　公方様御目見被　仰上御先代之通御鷹二居御馬一疋
　并御腰物《割書：中嶋来代金
十五枚》一腰御拝領畢而被　召連候御家来酒井
　丹下《割書：知
房》　御目見被　仰付紗綾三巻拝領被　仰付
　　但御腰物者御相続後初而之御暇ニ付御拝領
一同日

　千次郎様江御名乗
　昌昭様与被進右為御祝儀御太刀金馬代二種一荷
　被進之
　昌昭様ゟも右同断被進之
一八月十三日於三ノ丸今日ゟ諸組之者目中被　仰付
一同月十六日　御入国ニ付御番組之者福井松岡御一統之
　御番割被　仰付候ニ付松岡諸士之席左之通被　仰出
　　一見性院様御代之御取立之侍中今度
　　　御相続ニ付仍旧功御取立之席　御免之事

　　一当御代御取立侍中二代目年数五年以前
　　　酉年迄之分席相身体末座被　仰付事
　　一当御代現身并二代目共ニ御取立侍中五年
　　　已来享保三年ゟ之分新番組江被　仰付■
一同日右同断ニ付左之通寄々可申達旨御目付堀十兵衛　江
　御家老狛伊勢《割書：澄
孝》申渡之　
　　　今度松岡侍中御番割入者先仮之儀ニ候得共
　　　段々御吟味之上別紙書付之通被　仰付候向
　　　後家督被　仰付候節者　御家御先々之通ニ

　　　侍中末々迄席等可被　仰付候間其旨可被存事
　　　　　〆
　　　今度松岡侍中依旧功御取立之者席
　　　御免被遊候福井侍中
　　　大安院様以来旧功之面々御取立席も此度
　　　御免可被遊候へとも此節相障儀も有之ニ付
　　　先其通ニ被指置候被為　入御番割被　仰付候砌
　　　御吟味之上段々　御免之　思召有之候間左様
　　　相心得候様

一八月十九日江戸　御発駕東海道通御旅行右ニ付為
　御見立大田原飛騨守《割書：扶
清》殿并藤枝若狭守《割書：■
■》殿向井将監　殿
　を初御出入之御旗本中御越ニ付於御書院御逢有之
　中奥江被為　入候後御料理出月次　御目見ニ罷出候者共
　并諸家様御附使者江御料理被下之再　御居間江被為
　入節分之大豆御祝被成畢而御家老初江御長蚫被下之
　御立以後
　千次郎様御書院江　御出御客衆江御挨拶有之為御跡
　祝飛騨守殿御初江御赤飯御吸物御肴出宝生将監同丹次郎

　喜多十太夫罷出小謡有之相済何も御退出
一同日右同断ニ付為御案内御老中若年寄中江御使者
　御留守居被指出之
一八月廿五日御勘定頭水野伯耆守《割書：信
■》殿ゟ申来御留守居望月
　八郎右衛門《割書：信
光》罷出候処伯耆守殿御逢有之猿楽配当米之儀
　ニ付左之通御書付被相渡之
　　　　　覚
　　高三拾万石　　　　　　壱万石ニ付弐石弐斗割
　　一米六拾六石　　　　　　配当米
　　　右者当寅年四座之猿楽配当米割之儀
　
　　　元領知之分相加■候ニ付如斯候向後書面之通
　　　毎年九月中限之浅草御蔵江金子ニ而御納
　　　可被成候米直段之儀ハ金壱両ニ付壱石五斗端
　　　銀者六拾六匁替之積りニ御座候以上
　　　　寅八月　　　　　　　　辻　六郎左衛門　印
　　　　　　　　　　　　　　　杉岡弥六郎　　　印
　　　　　　　　　　　　　　　萩原源左衛門　　印
　　　　　　　　　　　　　　　筧　播磨守　　　印
　　　　　　　　　　　　　　　駒木根肥後守　　印

　　　　　　　　　　　　　　　大久保下野守　印
　　　　　　　　　　　　　　　水野伯耆守　　印
　　　　　　　　　　　　　　　石川近江守　　印
　　　　　　　　　　　　　　　大久保佐渡守　印
　　　　　　　　　　　　　　　大久保長門守　印
　　　　　松平中務大輔殿
一九月二日　御着　城其節瓦御門舟橋際迄御目付共
　
　罷出御玄関白洲江御用人御奏者番初御役人不残板之間江
　御家老并本多民部《割書：成
■》中根靱負《割書：■
逢》荻野孫右衛門《割書：政
■》秋田八郎兵衛《割書：敏
昭》
　岡部左膳《割書：起
平》罷出御広間ニ当番之御番頭并御番士相詰
　御広間御書院縁側ゟ御書院附床之後迄高知之子共
　御用人子共番頭寄合番外諸物頭御使番其外番外並之
　面々並居御使番所同縁側ニ番組之面々雑居一同　御目見
　申上之鉄炮之間西縁頬本多大蔵《割書：長
教》初高知之面々着座
　御杉戸を隔水戸市之進《割書：■
兼》山川右膳《割書：近
朝》浦上十左衛門　時計之
　間ニ御医師御右筆表御納戸指物之間前髪子共罷在
　

　韃靼之間南頬御家老嫡子并松平庄兵衛《割書：正明
》《割書：主馬
嫡子》本多
　孫作《割書：道好
》《割書：民部
嫡子》罷出於席々　御意有之奥　御居間江
　御着座御長蚫御祝被成大蔵初御家老并高知之面々ゟ
　中根内蔵丞《割書：■■
》《割書：靱負
嫡子》荻野藤八《割書：了｜》《割書：孫右衛門
嫡子》迄御長蚫被下之
　夫ゟ御裏通　御座所江被為　入御祝之御料理出大蔵初
　御家老并民部靱負孫右衛門八郎兵衛左膳御相伴被　仰付
　御盃被下之御規式相済御裏通御部屋江被為　入伊織様
　初姫様江　御対顔
一九月三日右同断ニ付為御礼御使者高知狛市右衛門《割書：政
貞》江戸

　表江指出之　御先代之通奉書紙十束干鯛一箱
　鯣一箱御樽一荷被献之市右衛門今日福井出立
一同日為重陽御祝儀御使者御留守居大谷一右衛門《割書：次
安》を以御小
　袖二《割書：熨斗目一
黒綸子一》被献之　御城柳之間江御老中安藤対馬守《割書：重
行》殿
　出座御奏者番丹羽式部少輔《割書：倚
氏》殿江指上之
一同月五日浅草御屋敷　陽寿院様御居間御普請出
　来御上棟御祝儀有之
一同月六日御参勤御時節御伺之儀ニ付大目付中ゟ
　左之通御廻状来

　　　参勤時分之儀三月参府之面々ハ
　　　十一月中可被伺九月参府之面々ハ二月
　　　中可被伺候
　　　　但参勤交替只今迄之通之面々ハ唯
　　　　　今迄之時節ニ参勤可被伺候
　　　　　寅九月
一九月七日
　浄光院様御忌日毎月八日孝顕寺江御代拝被
　仰付旨御奏者番江被　仰出

一同月八日　実相院様御位牌孝顕寺江御建向後毎月
　御参詣可被成旨被　仰出
一同月十一日孝顕寺之御位牌所狭詰り候ニ付
　中納言様御像堂之内江　長勝院様　清凉院様御位牌
　御入被成候様致度旨孝顕寺ゟ相伺候ニ付右之通可致旨
　寺社町奉行大宮彦右衛門《割書：定
富》江月番御家老狛伊勢《割書：澄
孝》
　申渡之
一同月十五日御帰国御礼御使者狛市右衛門《割書：■
■》江戸着
　御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿江罷出《割書：御留守居望月
八郎右衛門同道》御書指出之

一同日於　御本丸年始御規式之通ニ而御相続之御礼
　被為　請
　　但翌十六日子共之御礼被為　請
一同日御老中水野和泉守《割書：忠
之》殿御渡之御書付松平右衛門督《割書：吉
泰》殿
　松平安芸守《割書：吉
長》殿丹羽左京太夫《割書：季【秀？】
延》殿留守居ゟ左之通廻状来
　　　此度諸宗本寺より諸寺院江掟書指出候依之
　　　自今法事之節者勿論常之饗応等軽ク可
　　　取計候間僧家におゐて麁末之仕方と被存
　　　間敷候惣而法事を初其外寺院に懸合候儀
　　　
　　　者本寺之掟を承合候而可然候為心得相達候以上
　　　　　寅九月
一九月十六日月次　御機嫌為御伺江戸表江御書被指出之
　且又今度　芳姫君様御誕生御歓之御書も一所ニ被指
　出之《割書：去六日
御触達》
一同月十七日御裏通万福山御宮江御参詣被成
　　但向後右之通ニ被　仰出且又御参詣之節者御供之
　　　分者勿論御近習　御目通江罷出候分并御徒之者
　　　小道具之者御草履取迄服穢御改之旨被　仰出

一九月十八日先達而御作事奉行御普請奉行中ゟ御触達
　之儀ニ付江戸表江左之通御届書被指出之
　　　　　覚
　　　慶長年中寛永年中
　　　御城廻り御普請御手伝相勤候趣書付可
　　　差出候旨御触ニ付於国許遂吟味候処於其御地
　　　留守居之者共先頃書付差上候通相易儀無
　　　御座候為御答如此候以上
　　　　　九月十八日　　　　　松平中務大輔

一同月十九日御相続後初而松岡江　御出天龍寺江御参詣
　其外諸社江御参詣被成
　　但初而ニ付御供廻江戸御勤之通被　召連重而ゟ野
　　　廻り御供之通可被　召連旨被　仰出
一同月廿二日　伊織様御胎毒ニ而御眼御煩《割書：嬰
■》ニ被成候ニ付
　先達而御使番坂田七右衛門《割書：永
常》被遣御呼寄ニ相成候美濃国　
　岐阜之目医師馬嶋大智坊昨廿一日福井江着今日御部
　屋江罷出御様体相伺之
一同月廿三日御着城為御祝儀出羽守《割書：宣
澄》様ゟ御使者富永

　権右衛門を以御太刀金馬代二種一荷被進之権右衛門於
　御本丸　御目見被　仰付御直答有之
　　但権右衛門江御時服二銀五枚被下之
一九月廿六日右同断為御祝儀
　昌昭様ゟ御使日比源右衛門　を以御太刀金馬代二種一荷
　被進之　御座所於　御居間　御目見被　仰付御長
　蚫被下之
　　但源右衛門去十三日江戸出立
一同月廿七日朔日与間近ニ相成ニ付向後廿八日之月次御礼
　
　被相止候段被　仰出
一同月廿九日御着城之為御祝儀諏訪安芸守《割書：忠
虎》殿ゟ御使
　者前田浅右衛門を以御太刀金馬代二種一荷被進之浅右衛門於
　御本丸　御目見被　仰付御直答有之
　　但浅右衛門江御時服二銀五枚被下之
一同月晦日新田開発之儀ニ付大目付中ゟ左之通御廻状来
　　　惣而自今新田畑可有開発場所者吟味次第
　　　障り無之におゐては開発可被　仰付候夫ニ付
　　　右地所私領村附之地先ニ而只今迄開発可致

　　　筋ニ而も此度新田御吟味ニ付いまた開発不仕有
　　　之候場所之分ハ山野又ハ芝地等或ハ海辺之
　　　出洲内川之類新田畑ニ可成地所ハ　公儀より
　　　開発可被　仰付候乍然私領一円之内ニ可開新田ハ
　　　公儀より御構無之候為心得此旨相通し候
　　　　　寅九月
一同日御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿ゟ御留守居迄左之通御切紙来
　　　在所到着御礼之使者狛市右衛門明朔日
　　　五時　御城江可指出候且又自分之御礼も
　　　
　　　可申上候間可存其趣候以上
　　　　　九月晦日　　　　　　水　和泉
　　　　　　　　　松平中務大輔殿
　　　　　　　　　　　　　　　　留守居
一十月朔日右同断ニ付御帰国御礼御使者狛市右衛門《割書：政
貞》
　御城江罷出《割書：御留守居大関
新五左衛門同道》御献上物相納之月次御礼後於御白
　書院
　公方様御目見被　仰付御奏者番松平伊豆守《割書：信
祝》殿披露退　　

　座再罷出自分之御礼申上之御太刀銀馬代献上之
　御奏者番牧野因幡守《割書：英
成》殿披露夫ゟ右為御礼御老中
　若年寄中廻勤
一同日切支丹御改久松豊前守《割書：定
■》殿横田備中守《割書：由
松》殿江切支丹
　類族病死之御届書御目付矢野右衛門作　を以左之通被指
　出之
　　　　　　　転切支丹之類族病死之覚
　　　越前国足羽郡転切支丹田代養仙嫡男本人同
　　　前田代養山聟すけ夫大岡源左衛門当寅正月
　　　
　　　四日六拾歳ニ而病死旦那寺江戸谷中天台宗於
　　　感応寺取置之候将又右源左衛門儀先年御金
　　　奉行相勤候処正徳五未年八月病気ニ付小普
　　　請朽木周防守組江入享保四亥年八月ゟ当時
　　　有馬内膳支配ニ而罷在旨此度相知レ申候
　　右之通類族致病死候間為御断如此候以上
　　　　　享保七壬寅年九月　　　　　松平中務大輔　無御判
　　　　　　　久松豊前守殿
　　　　　　　横田備中守殿　宛所振替壱通宛

　　　　

一十月二日御着城之為御祝儀左兵衛督《割書：直
常》様ゟ御使者佐治
　九郎兵衛を以御太刀金馬代紗綾五巻干鯛一箱御樽代五
　百疋被進之九郎兵衛於　御本丸　御目見被　仰付御直答
　有之
　　但九郎兵衛江御時服二銀五枚被下之
一同日　伊織様御眼段々御快ニ付馬嶋大智坊御暇被下銀五百
　枚鴨三被下之　伊織様ゟも綿二十把干鱈五枚被下之
一同月三日於谷中南泉寺昨二日晩ゟ今朝迄　高照院様
　五十回御忌御法事御取越御執行有之
　
一同月四日御帰国御礼御使者狛市右衛門《割書：政
貞？》　《割書：御留守居宮北
十郎左衛門　同道》
　御城江罷出候処《割書：昨三日御用番ゟ
御留守居迄御切紙来》於檜之間御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿
　御返書御渡有之其節市右衛門江紗綾二巻拝領被　仰付旨
　被申渡之御品者御奏者番松平伊豆守《割書：信
祝》殿被相渡之
　夫ゟ為御礼御老中若年寄中廻勤
　　但市右衛門同月十九日福井江帰着
一同月五日孝顕寺儀先　御代願申上毎年当十五日ゟ致
　禁足候ニ付是迄之通致禁足度段願之趣寺社町奉行
　大宮彦右衛門《割書：定
富》評定所江相達之

一十月十一日月次　御機嫌為御伺江戸表江御書被指出之
　　但右御書毎月被指出候儀以後常例故不記之
一同月十二日御帰国御礼御使者狛市右衛門《割書：政
■》御目見且
　拝領物被　仰付候為御礼江戸表江御書被指出之
　　但右御書同月廿二日御留守居持参御用番江指出之
一同月十九日御着城之為御祝儀浅五郎　様ゟ御使者北郷
　門左衛門を以御太刀金馬代昆布一箱鯣一箱被進之門左衛門
　於　御本丸　御目見被　仰付御直答有之
　　但門左衛門江時服二銀五枚被下之

一同月廿日御用番安藤対馬守《割書：重
行》殿ゟ御留守居迄左之通
　御切紙来
　　　重陽之　御内書可相渡候間明五半時
　　　御城江可罷出候以上
　　　　　十月廿日　　　　　安　対馬
　　　　　　　　　　松平中務大輔殿
　　　　　　　　　　　　　　　留守居
一同月廿一日右同断ニ付御留守居大谷一右衛門《割書：次
安》　御城江罷出
　候処重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於柳之間

　　　御用番安藤対馬守《割書：重
行》殿御渡有之其節一右衛門江紗綾二
　　　巻拝領被　仰付旨対馬守殿被申渡之御品者御奏者番
　　　松平能登守《割書：乗
賢》殿被相渡之
　　　　　為重陽之祝儀小袖一重
　　　　　到来歓思食候委曲安藤
　　　　　対馬守可述候也
　　　　　　九月七日　御黒印
　　　　　　　　　　　　　　福井侍従とのへ

一同日御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》を以御国産塩鮎
　子籠《割書：五
十》一箱被献之於　御城御側衆有馬兵庫頭殿ゟ
　指上之
　　但於松岡被献候御例を以被献
一十月廿二日右同断ニ付御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿ゟ御呼出
　　御留守居大谷一右衛門《割書：次
安》罷出候処右御献上ニ付而之御返書
　　被相渡之
　　　　　御状令披見候
　　　　　公方様益御機嫌能被成御座

　　　　　恐悦旨尤候随而塩鮎子籠一箱
　　　　　被献之候各申談遂披露候処
　　　　　一段之御仕合候恐々謹言
　　　　　　十月廿一日　　　　戸田山城守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠真　裏判
　　　　　　松平中務大輔殿

一十月廿五日去十四日
　公方様増上寺江　御参詣ニ付　還御後　御機嫌為御伺
　
　江戸表江御書被指出之
　　但右還御後　御機嫌御伺之儀以後定例故不記
一同月廿六日切支丹御改横田備中守《割書：由
松》殿久松豊前守《割書：定
■》殿江
　御目付矢野右衛門作　を以左之通御証文被指出之
　　一切支丹宗門従前々無懈怠今以相改申候
　　　先年被　仰出候御法度書之趣弥相守
　　　御預所并私領中在々所々ニ至迄遂穿鑿
　　　家中之者共下々迄是又致僉議候処不審
　　　成者無御座候事

　　一右切支丹之類族之者共常々行跡疑敷儀
　　　無御座候事
　　一御預所并領中在々所々家中之者下々
　　　またものに至迄若此以後不審成者於
　　　有之者早々可申達事
　　　　　以上
　　　　享保七壬寅年十月　　松平中務大輔　御印判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　御判
　　　　　　横田備中守殿

　　　　　　久松豊前守殿　　宛所振替一通宛
　　　　但右御証文之儀以後定例故不記之
一十一月朔日御用番安藤対馬守《割書：重
行》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　十郎左衛門《割書：定
由》罷出候処当秋御暇之節御拝領之御鷹御渡
　之儀ニ付左之通御書付を以被申聞之
　　　御暇之節被下候御鷹可相渡候間今晩
　　　暮時大久保佐渡守宅江家来可相越候

　

　　　　　十一月朔日
一同日右同断ニ付御鷹為請取大御番山名喜平次《割書：成
庸》并御鷹
　匠岸伝之丞《割書：清
房》同忠介　同忠八御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》同
　道若年寄大久保佐渡守《割書：常
春》殿江罷出候処佐渡守殿出座
　新五左衛門江御拝領之御鷹相渡候間御国江も宜申上候旨
　被申聞之御引之上戸田五介　殿出座御鷹二居御渡有之
　伝之丞忠介罷出受取之其節左之通御書付御渡有之
　　　　　戸田五介預り御鷹

　　一鳫捉　　　亥十一月十三日松平陸奥守献上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　遠嶋追合
　　　　　　　　　　　　　　御鷹匠同心
　　　　　　　　　　　　　　　　　　高井平助
　　一鴨捉　　　丑十一月朔日佐竹右京大夫献上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　小松原
　　　　　　　　　　　　　　御鷹匠同心
　　　　　　　　　　　　　　　　　　駒塚権九郎

　　　　　戸田五介預御鷹
　　一遠嶋追合　　　　　　　据前同心　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　高井平助　

　　　　　　　　　　　手明同心　
　　　　　　　　　　　　　　　増山与八
　　一小松原　　　　　据前同心　
　　　　　　　　　　　　　　　駒塚権九郎
　　　　　　　　　　　手明同心　
　　　　　　　　　　　　　　　加納十次郎
　　右請取罷帰候節御玄関江御家老稲葉采女初
　　御奏者番并御役人等罷出夫ゟ御奏者番御鷹之
　　先江立御書院於三ノ間右御鷹
　　昌昭様御拝見被成

一十一月三日出羽守《割書：宣
維》様江　伏見邦永親王姫宮御縁組御願
　之通被　仰出候為御礼江戸表江御書被指出之
一同日於瑞源寺　高照院様五十回御忌御茶湯御執行
　有之於華蔵寺も右同様御執行有之
一同月五日先達而重陽之　御内書御渡且御家来拝
　領物之為御礼江戸表江御書被指出之
一同日伊藤宜斎講談初而　御聞被成御家老之子共等
　御相伴被　仰付
一同月九日御着城之為御祝儀松平民部大輔《割書：吉
元》殿ゟ御使

　者草苅太郎右衛門を以御太刀金馬代二種一荷被進之太郎右衛門
　於　御本丸　御目見被　仰付御直答有之
　　但太郎右衛門江御時服二銀二十枚被下之
一十一月十四日　芳姫君様御逝去ニ付
　公方様御機嫌為御伺江戸表江御書被指出之
一同月十七日於　御座所　御居間御軍帳御番割之儀御奏
　者番御目付等江　御直ニ被仰付右ニ付左之通被仰出
　　　　　覚
　　一松岡御取立ニ而無之侍中福井御取立ニ而
　　　
　　　無之侍中座列割入之儀家督又ハ被
　　　召出候年数次第段々割加申事
　　　　知行取ハ高次第割入御切米取御扶持取ハ
　　　　御擬作之多少を不論向後共ニ右両様年
　　　　数次第打交せ割入之
　　　　但福井侍中之内最前家督等之節御扶
　　　　持被下其以後御切米被下置其節座席も
　　　　相定候面々ハ家督之年数顧ニ不及御切
　　　　米被下置候節之席ニ被指置事

　　一福井　御代々侍中席相極　有之面々ハ
　　　右列之通此度席相改不及事
　　一福井侍中と松岡侍中と年数并禄等も同
　　　様ニ候ハヽ福井侍中を上座ニ被指置事
　　一御手廻ニ而御合力銀被下面々座列之儀部屋住
　　　之趣ニ而相勤候故年数ニ不相構其父之応
　　　座配ニ只今迄之座列其儘被指置候事
　　一御扶持方被下部屋住之趣ニ而相勤者も右ニ
　　　准事

　　一御相続ニ付当寅年松岡侍中御取立之席
　　　御免之分并此度御番割ニ付福井
　　　御代々御取立之侍中席　御免之分右双方共ニ
　　　現身ハ最初御取立之年数二代三代目ハ家督
　　　被下候年月次第割入之事
　　　　但知行被下候者ハ高次第座配相定事
　　右之通今度御番割法被　仰出候此以後之儀ハ
　　御家御先格之通可被　仰付事
　　　　　〆

　　　今度就　御相続福井　御代々御取立侍
　　　中依旧功御吟味之上別紙御書付之通座
　　　席　御免被遊候間可被得其意候以上
　　　　　当寅年御番割付被　仰出覚
　　一大安院様　探源寺様　清浄院様右
　　　御三代御取立之侍中不残席　御免候事
　　一昇安院様御代御取立之侍中五年以前酉年
　　　迄之分二代三代目ハ相身体末座ニ被仰出事
　　一同御代御取立現身并戌年ゟ五年以来ハ二代共ニ

　　　此度席　御免無之其儘被指置事
　　　　　以上
　　　　　〆
　　　新御番之面々席之儀　御代々先格之通此度
　　　被　仰出候猶又為心得別紙御書付之趣可被申
　　　聞候以上
　　　　　覚
　　一新番之面々ハ御切米御扶持方被下番入之年
　　　月にも不限一分〳〵吟味之上席被相定先

　　　規ゟ　御代々御定ニ付此度席御改無之其
　　　儘被指置候追而御書院大御番御留守番江入被下
　　　節者御取立　御免之者共其外御吟味を以
　　　其席々江入可被下事
　　　　　〆
　　　諸役輩以下之者共福井松岡格式同様ニ向後
　　　福井之通此度被　仰出候間別紙御書付之趣
　　　各支配々江可被申聞候以上
　　　　　覚

　　一諸役輩以下之者共福井松岡格不同候得共其
　　　役々ニ准シ格式一同ニ向後　御家御法之通被
　　　仰付事
　　　　但追而ハ　上ゟ御吟味次第人別ニ其品被
　　　　　仰付儀も可有之事
　　　　　〆
　　　但御家中一同江被　仰出之月日不詳
一十一月十九日浅草御屋敷　陽寿院様御住所御普請
　出来ニ付御移徒有之

一十一月廿日於松岡御頂戴之　御朱印郷村帳共松岡ゟ
　福井江御引取ニ相成
一同月廿一日　実相院様御位牌孝顕寺江御建御供養
　有之
一同月廿二日当秋御暇之節御拝領之御鷹福井江着
　於　御本丸御頂戴被成
一十二月二日寒中ニ付
　公方様御機嫌為御伺御使者周防七平《割書：佐
賀》江戸表江被指
　出之今日福井出立

一同日松平民部大輔《割書：吉
元》殿ゟ御歓使者之為御返礼御使者
　寄合太田三弥　長門国萩江被指遣之御太刀金馬代二
　種一荷被進之三弥今日福井出立
一同月四日於運正寺去二日晩ゟ今朝迄
　昇安院様御一周忌御法事御執行有之於天徳寺も右
　同様御執行有之
一同月六日神田新白銀町ゟ出火西北之風ニ而及大火常
　盤橋御屋敷風下ニ相成候ニ付金之助《割書：明
矩》様之御屋敷江
　昌昭様御立退　勝姫様ニハ霊岸嶋　智高院様御住

　所江御立退被成候得共北東之風ニ吹替り御屋敷御別
　条無之
一十二月十日切支丹類族之者病死且縁組之儀ニ付江戸
　表江左之通御証文被指出之
　　　　　転切支丹類族病死之覚
　　　越前国足羽郡福井城下転切支丹狩野
　　　久兵衛嫡男本人同前九郎次郎孫狩野興碩
　　　娘かく当寅十月廿三日十歳ニ而病死旦那
　　　寺同城下禅宗東光寺ニ而取置申候

　　一同系狩野興碩娘かの当寅十一月八日十四歳ニ而
　　　病死旦那寺右同寺ニ而取置申候
　　右之通類族致病死候間為御断如此ニ候
　　以上
　　　享保七壬寅年十二月　　　　松平中務大輔　御無判
　　　　　　　横田備中守殿
　　　　　　　久松豊前守殿　　宛所振替一通宛

　　　　　転切支丹類族婚儀之覚
　　　越前国足羽郡福井城下転切支丹狩野
　　　久兵衛嫡男本人同前九郎次郎孫山伏良学院
　　　離別之妻きち娘は■儀同城下松原
　　　善左衛門家来小林吉兵衛与申者之妻ニ当
　　　寅八月婚儀相調申候
　　右之通類族致婚儀候間為御断如此ニ候
　　以上
　　　　享保七壬寅年十二月　　　　　松平中務大輔　御無判

　　　　　　　横田備中守殿
　　　　　　　久松豊前守殿　　宛所振替一通宛
　　　　但緒於江戸表指出候月日不詳

一十二月十一日寒中ニ付御書を以御国産生鱈三被献之
　御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》　御城江持参御側衆戸田
　肥前守　殿江指上之
一同月十三日寒中　御機嫌御伺之御使者周防七平《割書：佐
賀》

　江戸着御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿江罷出《割書：御留守居望月
八郎右衛門同道》御書
　指出之
　　但同月十六日御返書被相渡之
一十二月十六日評定納ニ付御使御膳番を以評定所江御鷹
　之鴨二被下之
一同月十九日御書を以御国産《割書：二
番》生鱈被献之御留守居
　宮北十郎左衛門《割書：定
由》　御城江持参御側衆有馬兵庫頭　殿江
　指上之
一同月廿一日為歳暮御祝儀御使者御留守居大関

　新五左衛門《割書：直
看》を以御小袖二《割書：熨斗目一
染■■一》被献之於　御城柳之間
　御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿出座御奏者番丹羽式部少輔《割書：倚
氏》殿江
　指上之
一同月廿三日於　御座所御倹約之儀ニ付月番御家老芦田
　右衛門《割書：賢
詮》左之通書付江を以諸向江申渡之
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　諸役所
　　一前々御簡略之儀被　仰出候得共近年御勝
　　　手方諸事御入用ニ付今度諸役所急度御改
　　　此已後随分御入用減候様ニ被　仰渡候尤請払

　　　有之面々者不及申其外共ニ右之趣を相考
　　　譬少分之御用又者取人等ニ至迄諸事御費ニ
　　　不成様ニ相心得不依何請取渡方共ニ此方江相
　　　達指図之上取扱可有之候尤出勤之面々
　　　居役之者共ニ勤様麁抹無之様ニ被相心得其
　　　内少分之儀ニ而も御為ニ成候儀も候ハヽ無遠
　　　慮相達可被申候惣而入用只今迄之通ニ而者
　　　御勝手御取続難被成ニ付諸事被　仰渡
　　　儀ニ候間左様相心得可被相勉候以上

　　　　　十二月廿三日
　　但御右筆部屋御普請方御作事方等を初御茶
　　　方迄右同様申渡有之候得共御趣意同様ニ付
　　　不記之

【裏表紙】

家譜

《題：家譜》《割書：吉邦公》《割書：従正徳四年｜到同五年》三十

吉邦様《割書：従正徳四年甲午｜至同五年乙未》

正徳四年甲午
　　一　正月朔日於　御本丸年始御規式有之
　　一　同日為年始御祝儀御使者寄合波々伯部八左衛門《割書：頼｜安》を以
　　　　例之通御太刀馬代献之
　　　　　　但八左衛門旧臘五日御国表出立
　　一　同日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃台御酒代
　　　　被献之
　　一　正月五日中務大輔《割書：昌｜平》様御屋敷御類焼ニ付為御見舞

　　　　御使者上月武左衛門《割書：景｜隆》を以御小袖《割書：御紋二｜白一》御中綿三把蚫一折
　　　　米百俵被進之　智高院様江八丈縞二端保多絹弐疋
　　　　桒染絹弐疋綿二十把蚫一折被進之御附々にも被下物
　　　　有之
　　　　　　但武左衛門旧臘廿九日御国表出立
　　一　正月七日為若菜御祝儀御使者を以例之通御肴《割書：鯛｜二》被献之
　　一　正月十一日年始三ヶ日之御規式相済候為御祝儀江戸表江
　　　　御書被指出之御肴一種被献之
　　一　正月廿日御番頭之面々御書付を以左之通被　仰出
　　　　　　面々番頭中何事によらす訳不相立品を其了簡
　　　　　　致さす願申上候儀ハ　上を不憚不届之事ニ候近年
　　　　　　其趣相聞候間此以後ハ品により被　仰付様も可
　　　　　　有之候且番頭能遂吟味候而取次可被申候願候
　　　　　　得者とて不承届儀を猥に相達候儀ハ番頭不
　　　　　　調法に可被　思召候可被存其旨候以上
　　　　　　　　正月廿一日
　　一　二月六日　智高院様御儀兼而御引取御節被成度　思召
　　　　候得共御指障之訳も有之御延引之処旧冬中務大輔《割書：昌｜平》様




　　　　御屋敷御類焼之節ゟ此御屋敷ニ御仮住被成候事幸之
　　　　儀ニ付以後御留置被成度旨御家老酒井玄蕃《割書：知｜房》を以
　　　　中務大輔様江被　仰進之
　　一　二月十一日越後守《割書：宣｜富》様御女松平元太郎《割書：宗｜元》殿江《割書：民部大輔殿｜御嫡》御縁組
　　　　被　仰出候為御礼江戸表江御書被指出之
　　一　二月廿一日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於　御城
　　　　御渡有之御家来拝領物？如例
　　一　二月廿八日中務大輔《割書：昌｜平》様御帰邑之節　御座所江立寄
　　　　ニ付　御対顔有之
　　一　二月廿九日米雑穀共高直ニ而町在共難儀致候ニ付願之上
　　　　沖之口留被　仰付候得共旧冬ゟ益高直ニ相成候ニ付沖之
　　　　口明候而他国米入候様可被成下旨町人共ゟ願之趣町奉行
　　　　海福猪兵衛《割書：本｜好》相進候ニ付願之通被　仰出
　　一　三月二日中務大輔《割書：昌｜平》様御帰　邑ニ付為御歓松岡江
　　　　御出被成
　　一　三月三日永平寺登　城十帖壱本指上之韃靼？之間
　　　　御逢有之
　　一　三月五日中務大輔《割書：昌｜平》様御屋敷御類焼ニ付何角御指支








　　　　可有之と之　思召ニ而御使荻野孫右衛門《割書：政｜封》を以銀十枚
　　　　被進之
　　一　三月十一日永平寺庫裏ゟ出火《割書：去ル九｜日》寺中不残焼失ニ付
　　　　為御見舞御使者御使番葛巻治部右衛門《割書：包｜格》を以銀五十枚
　　　　瀉海苔？一曲被遣之
　　一　三月十三日中務大輔《割書：昌｜平》様御招請於　御本丸御饗応有之
　　一　同日遊行上人油町乗久寺ニ去十日ゟ滞留ニ付御使者
　　　　御使番市村勘右衛門《割書：賢｜通》を以蝋燭弐百挺瀉海苔一曲被遣之
　　一　三月十六日中務大輔《割書：昌｜平》様ゟ御招請ニ付松岡江　御出被成
　　一　三月十七日遊行上人近々発足ニ付御使者御使番山本
　　　　右衛門八　を以銀十枚被遣之
　　一　三月廿一日福井　御発駕東海道通　御旅行
　　一　同日　智高院様常盤橋御屋敷ニ御住居之処霊巌嶋
　　　　御屋敷江御引移被成
　　一　三月晦日御勘定頭大久保大隅守《割書：忠｜親》殿江御留守居大関
　　　　新五左衛門《割書：直｜看》罷出候処《割書：去廿八日｜御触達》左之通御領分添高札之御書付
　　　　被相渡之
　　　　　　　　　　条々










　　一　浦々におゐて船を借り候て異国船のぬけ
　　　　荷を買取候もの有之由相聞え候自今已後
　　　　はたとへ初より其事の子細をしらすして
　　　　借し候とも其船の船頭水主はぬけ荷買取
　　　　候ものゝ同罪に行はるへく候然る上は諸国
　　　　浦々の船頭水主つね〳〵申合せをき候てもし
　　　　ぬけ荷買候ものに船を借し合せ候ハヽからめとり
　　　　候て長崎奉行所又は其所の御代官所地頭へ
　　　　なりとも程近き所え申出へしもし又船中
　　　　にてはとらへかたき事も候ハヽ何方へなりとも
　　　　船をつけ候所にて其所のものに告しらせから
　　　　めとり候て其所に預けをき是又長崎奉行
　　　　所又は其所の御代官所地頭へなりとも申出
　　　　へし其船頭水主には急度御ほうひを下さ
　　　　るへき事
　　一　浦々の船頭水主たとひぬけ荷買取候事を申
　　　　合せ候とも或は船中にてなりとも或は船を
　　　　つけ候所にてなりともぬけ荷買取候ものを

　　　　からめとり候事前にしるし候ことに仕候ハヽ初
　　　　より申合せ候罪科をゆるされ御ほうひは船
　　　　借り候時に申合せ候代物の一倍を下し置るへ
　　　　き事
　　　　　附
　　　　　其船の事□船主船頭等相対にて借し候
　　　　　とも其水主のはたらきにより候てぬけ
　　　　　荷買取候もの幷に申合せ候船頭等からとり候ハヽ
　　　　　其水主に被下候御ほうひの事是又船借り候
　　　　　時船主船頭等と申合せ候代物の一倍を下さる
　　　　　へき事
　　　一諸国浦方におゐてぬけ荷買取候もの有之
　　　　由を告知らせ候もの有之候ハヽ其所の者共早
　　　　速に出合ひ候てからめとるへし若油断せしめ
　　　　とりにかし候におゐては急度其罪科に行
　　　　はるへき事
　　　　右条々急度相守るへき者也
　　　　　　正徳四年二月日
　　一　四月三日品川駅御休ゟ直ニ　御参府為御案内御老中

　　　　御廻勤夫ゟ常盤橋御屋敷江　御着
　　一　四月四日右同断ニ付　上使御老中井上河内守《割書：正｜峯》殿御越
　　　　上意之趣御達有之《割書：上使御取扱｜如例》右為御礼御老中　御廻勤
　　　　　　但御書院無之ニ付於仮御座敷御請被成
　　一　同日御用番久世大和守《割書：重｜之》殿江　御勤
　　一　四月六日御用番久世大和守《割書：重｜之》殿ゟ御呼出御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》
　　　　罷出候処　月光院様江被指上物之儀ニ付昨五日被指出候御伺　　
　　　　書江左之通御附札を以御指図有之
　　　　　　　　　　　覚
　　　　　　一位様江
　　　　　　　　　白銀　二十枚
　　　　　　　　　縮緬　十巻《割書：紅｜白》
　　　　　　私参勤之御礼申上候節右之通従前々指上申候
　　　　　　月光院様江も御同様ニ指上申度奉存候御指図
　　　　　　被成可被下候以上
　　　　　　　　四月五日　　　　　　　　松平大炊頭
　　　　　　御附札
　　　　　　　　　白銀　十枚
　　　　　　　　　　　　　　　可被指上候
　　　　　　　　　縮緬　十巻

　　　　　　　　　　覚
　　　　　　一位様江
　　　　　　　　両面打曇鳥子紙五百枚箱入
　　　　　　私参勤之御礼申上候以後右之通前々ゟ差上申候
　　　　　　月光院様江も御同様ニ指上申度奉存候御指図
　　　　　　被成可被下候以上
　　　　　　　　四月五日　　　　　　　松平大炊頭
　　　　　　御附札
　　　　　　　此通可被指上候
　　一　四月十一日　御登　城《割書：昨十日御用番久世大和守《割書：重｜之》殿ゟ｜連名之御切紙来》御参勤之
　　　　御礼被　仰上例之通御太刀銀綿御献上畢而被　召連候
　　　　御家来酒井玄蕃《割書：知｜房》御目見被　仰付夫ゟ為御礼
　　　　御老中　御廻勤
　　一　同日右同断ニ付御使者を以　一位様江白銀二十枚縮緬《割書：紅｜白》十巻
　　　　月光院様江白銀十枚縮緬《割書：紅｜白》十巻被指上之
　　一　同日御用番久世大和守《割書：重｜之》殿御書付左之通大目付中ゟ
　　　　御廻状来
　　　　　　御城廻笠かふり候儀常盤橋御門呉服橋御門




　　　　　　鍛冶橋御門数寄屋橋御門日比谷御門外桜田
　　　　　　御門半蔵御門田安御門清水御門雉子橋御門
　　　　　　一橋御門神田橋御門右御門之内ニ而供之者ハ
　　　　　　勿論家来其外一僕連候体之者尤町人等笠か
　　　　　　ふり候儀一切無用ニ可仕候雨天之節ハ制外ニ候以上
　　　　　　　　四月
　　一　四月十二日御用番久世大和守《割書：重｜之》殿江御逢対　御勤
　　一　四月十三日御老中井上河内守《割書：正｜岑》殿江右同断　御勤
　　一　同日遊行上人府中滞留ニ付御使者御使番市村勘右衛門《割書：賢｜通》
　　　　を以御袷二《割書：紗綾｜羽二重》被遣之
　　一　四月十六日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江御逢対　御勤
　　一　四月十八日　御参府ニ付為御土産御使者を以例之通　　　　色奉書紙被献之
　　一　同日右同断ニ付御使者出渕平兵衛《割書：盛｜房》を以《割書：御留守居村上｜三大夫同道》一位様
　　　　月光院様江両面打曇鳥子紙五百枚宛被指上之
　　一　同日御老中阿部豊後守《割書：正｜喬》殿江御逢対
　御勤
　　一　四月廿一日御老中秋元但馬守《割書：喬｜知》殿江
右同断　御勤
　　一　五月三日為端午御祝儀御使を以例之通御帷子御単

　　　　被献之　一位様江白銀五枚　月光院様江同三枚被指上之
　　一　五月三日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江御招請ニ付御出被成候処
　　　　松平民部大輔　殿と兼而御不通之儀ニ付相模守殿御内話
　　　　有之ニ付其節委細御返答被　仰入候得共尚又左之通
　　　　御使者御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》を以御口上書被指遣之
　　　　　　　　　口上　　　
　　　　　　一昨日松平民部大輔儀被仰聞思召寄辱存候其節品
　　　　　　宜敷取扱も無之候故先其通ニ致置候旨御挨拶
　　　　　　申候此儀ハ入組候事故右之刻御直談難申述
　　　　　　右之通御挨拶申候去冬同名越後守娘民部大輔
　　　　　　息元太郎江縁組可及相談と越後守存寄候節
　　　　　　家来渥美図書と申者拙者留守ニ差置候酒井
　　　　　　玄蕃と申者方江罷越申聞候ハ越後守娘松平
　　　　　　民部大輔息元太郎方江可致縁組之被存候得共
　　　　　　拙者と不和之事ニ候得者拙者存知も有之間敷
　　　　　　候哉縁組相調候上ハ民部大輔江対談も可致候哉
　　　　　　此旨越後守申付罷越候ニ而ハ無之候右之段了
　　　　　　簡候而返答承度之由申候ニ付家来玄蕃挨拶
　　　　　　

　　　　　　申候ハ委細致承知候此儀者互ニ□□之存知
　　　　　　之事ニ候得者一分ニ而者相極メ返答難申候
　　　　　　兎角在所江申越大炊頭存知をも承候而可
　　　　　　申達之段申聞其以後右之趣在所江申越
　　　　　　候付委曲致承知候元太郎江之縁組之儀ハ何
　　　　　　分ニも勝手次第ニ被致候様ニ民部大輔江和順之
　　　　　　儀者来春参勤之上取扱之趣次第ニ了簡も可
　　　　　　致之旨家来玄蕃越後守家来図書迄申聞
　　　　　　候様ニ申遣則其節図書江拙者存知之通玄蕃能
　　　　　　越申聞候其後越後守方ゟ右縁組為知一通リ
　　　　　　之書状到来最前互ニ家来共談候趣之儀ハ
　　　　　　兎角を不申越候ニ付縁組之儀何分ニも勝手次
　　　　　　第ニ相談候様返答ニ申遣候然処拙者今度参府
　　　　　　ニ三日前図書方ゟ家来玄蕃方迄大炊頭参府
　　　　　　御礼等も十五日迄ニ相済候ハヽ十六日十八日十九日
　　　　　　此三日之中大炊頭手透次第越後守方江罷越
　　　　　　候様ニ左候ハヽ民部大輔儀も申越対面有之様ニ可
　　　　　　致之旨越後守申付候趣ニ而手紙を以て申越候最

　　　　　　前ゟ之趣ニ候得共未民部大輔殿江大炊頭対談
　　　　　　之儀ハ得貴意候段返答も無之事其上未参
　　　　　　府も不致候付手紙之趣致承知候兎角大炊頭致
　　　　　　参府候而申聞其上ニ而可申達之旨返答仕候段
　　　　　　拙者江申聞候付不達儀ニ候間其中之儀ニ可致候旨
　　　　　　渥美図書方迄家来酒井玄蕃方ゟ返答為申
　　　　　　越候其以後越後守私宅江罷越候節申聞候ハ
　　　　　　民部大輔ニ対面仕候様ニ致度候近日家来を以
　　　　　　可申越之由申聞候付其儀ハ被申聞様之趣ニ
　　　　　　仍而返答可申之旨挨拶申候処其以後越後守
　　　　　　家来図書為使者四月十三日指越候口上書
　　　　　　之趣一昨日者御参府之御礼首尾能相済目
　　　　　　出度存候拙者儀も昨日以上使御暇被仰出例之通
　　　　　　品々拝領今朝登　城御礼首尾能申上難有仕合
　　　　　　存候然者先日も御直談申候通松平民部大輔殿江
　　　　　　御対談之儀御同心可被下候ハゝ来ル十六日十八日
　　　　　　十九日御出可被下候左候ハゝあなたへも可申遣候
　　　　　　右之趣為可得御意以使者申入候由

　　　　　　家来玄蕃江図書面談仕右之口上書相渡候処
　　　　　　其節拙者留守故追而為返事家来玄蕃を以
　　　　　　越後守方江申越候口上書之趣
　　　　　　先刻者為御使者渥美図書被遣候処致他出
　　　　　　御返答延引罷成候先以首尾能御暇被　仰出如例
　　　　　　品々御拝領今朝御礼被　仰上候由目出度存候
　　　　　　然者松平民部大輔殿江対談之儀委細之趣致
　　　　　　承知候尤□仰聞ニ可任候得共参勤之刻故打続
　　　　　　用事共御座候間先此度ハ御延引可被下候捨置
　　　　　　申儀ニも無御座候間来春御参府之節御相談
　　　　　　可致候左様御意得可被成候此段宜申由右之通
　　　　　　返答旁以使者越後守方江申遣候処其以後
　　　　　　四月廿三日越後守方ゟ以使者申越候口上書之趣
　　　　　　愈御堅固御座候而珍重存候然者先日渥美図書
　　　　　　を以松平民部大輔殿江御対談之儀申達候処為
　　　　　　御返答以酒井玄蕃方被仰聞候御口上之趣致承
　　　　　　知候其節玄蕃図書江対談申置被帰不及再
　　　　　　御挨拶候拙者儀近日致発足候来春御相談可

　　　　　　被成之由御勝手次第と存候最早拙者方よりハ申
　　　　　　達間敷候右之御挨拶旁以使者申達候以上
　　　　　　右之使者拙者留守之内罷越候付追而使者口上書
　　　　　　之趣致承知候由一通り之返答ニ而以使者申遣候右之
　　　　　　趣ニ而御座候得者終ニ対談之儀得其意候段挨拶
　　　　　　不仕内日限を究拙者を招キ民部大輔江致対面
　　　　　　候様ニ押極メ申越候儀も何と哉覧参り不届様
　　　　　　ニも被存候其上拙者一分之存知ニも候ハゝ早速
得
　　　　　　其意申事も可有御座候得共兼而ハ御存知被成候
　　　　　　通之儀ニ候得者類家之者共之内歟又ハ互ニ心
　　　　　　安ク申談衆中を以成共申聞拙者同心之上ニ而日限
　　　　　　相究候儀ニ候ハゝ得其意可申事ニ存候右之趣
　　　　　　迄ニ而対面之儀ハ外之存知も如何之様ニも存候
　　　　　　其上不遅事ニ候得者来年同姓中務大輔なとも
　　　　　　致参勤一往遂相談類家之者江も一通り申聞
　　　　　　其上ニ対面同心之段越後守方江可申越と存
　　　　　　捨置申儀ニも無之候由申越候処勝手次第最早
　　　　　　越後守方ゟハ申間敷之旨ニ候得共拙者不能了

　　　　　　簡儀ニ御座候右之趣得御意候事類家之者之
　　　　　　儀候得者如何二も存候得共思召寄被仰聞段辱
　　　　　　存候付委細得御意候乍此上越後守と拙者儀ニ
　　　　　　御座候得者強而拙者存念を立可申心底ニハ無
　　　　　　御座候此等之趣御聞置被成可被下候為其以使者
　　　　　　得御意候以上
　　　　　　　　　五月五日　　　　　　松平大炊頭
　　　　右之通御口上書被指出候得共尚又重而御不通
　　　　被成候御訳柄左之通被仰遣之
　　　　　　先頃御内々得御意候通松平民部大輔之和順
　　　　　　難致趣者監物儀病気乱心之様子付
　　　　　　御前江指出候段難仕兵部大輔願申上為引籠
　　　　　　為致養生候然処松平大膳大夫方ゟ願申上為
　　　　　　養生引取申度旨付相返シ候其後監物病気
　　　　　　乱心之体ニ無之趣ニ致成シ諸事不遠慮成
　　　　　　仕形ニ而方々為致徘徊候依之兵部大輔偽之
　　　　　　様ニ罷成心外之儀弥右之趣ニ候ハゝ其通ニ難
　　　　　　差置覚悟をも究罷在候処其中如何様之品ニ

　　　　　　御座候哉監物儀長州萩江罷越候故事静候
　　　　　　其節之儀者定而及御聞も可被成候其砌取扱
　　　　　　之方江対候而も旁難致訳ニ御座候年久敷事
　　　　　　候得者右之段荒増得御意候此趣故民部大輔と
　　　　　　和順致悪キ事御座候先日も得御意候通来年
　　　　　　同氏中務大輔致参勤并類家之者共も右之趣
　　　　　　申聞遂相談其上ニ越後守江兎角之儀可申遣
　　　　　　存念罷在候処先頃越後守方ゟ返事之趣ニ
　　　　　　候得者最早不及其儀候末々越後守江対シ相障
　　　　　　可申儀可有御座歟此段別而気之毒存そ候右之趣
　　　　　　御聞置被成可被下候以上
　　　　　　　　六月
　　一　五月十一日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
　　一　五月十六日御用番井上河内守《割書：正｜峯》殿ゟ御呼出御留守居大関
　　　　新五左衛門《割書：直｜看》罷出候処金銀之儀ニ付左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　覚
　　　　　　慶長年中定置れ金銀之法元禄年中に
　　　　　　至而始而其品を改められ宝永の初銀の品を

　　　　　　改められ候よりこのかた諸物の価も年々に高
　　　　　　直になり来り世の難儀に及候によりて
　　　　　　前御代御治世の始より金銀の品慶長の法の
　　　　　　ことくになし返さるへきよしの
　　　　　　御本意に候といへとも近世以来諸国山々ゟ出
　　　　　　来り候金銀の数古来のことくに無之候を以てたや
　　　　　　すく其御沙汰に及はれす候処に就中元禄之金
　　　　　　は折損し候につきて其通用難儀に候由を聞
　　　　　　召及はれまつ其御沙汰有之候其後に至りて
　　　　　　宝永之銀も其通用難渋し候事
　　　　　　御聴に達し其故を尋ねきはめられ候に
　　　　　　及ひ世に通行し候所の銀次第に其品宜し
　　　　　　からさる物とも出来り候事相しれ早速に銀
　　　　　　吹出し候事を停止せられ其事の由来を
　　　　　　御糺明之上其御沙汰あるへき
　　　　　　御旨に候処に既に御不例日々に重らせ
　　　　　　られ候ニつきて去々年辰十月十一日に御書
　　　　　　付を以て　思召之ほとを被　仰出候これに
　　　　　　

　　　　　　よりて
　　　　　　当御代に至り候よりこのかた世の人の申沙汰
　　　　　　し候事共をも尋きわめられ各僉議の上を
　　　　　　以て金銀の品慶長の法のことくになし返
　　　　　　さるへき事に議定せられ候其通用の法
　　　　　　引替の定等の事ハつまひらかに別紙に相
　　　　　　見へ候ことくに候今度此御沙汰におゐてハ
　　　　　　前御代の御旨によられ天下後代迄のためを
　　　　　　以ての音琴御事に候上は貴賤貧富を撰はす
　　　　　　皆々御定の旨を相守り其切の終るへき所をよろ
　　　　　　しく覚悟あるへき事ニ候もし一身の利潤を
　　　　　　はかり候ために何事によらす其通り相滞候
　　　　　　事共仕り出し候におゐてハ
　　　　　　前御代の御旨
　　　　　　当御代の御沙汰を違犯候のみにあらす天下
　　　　　　後代迄之罪人たるへきものに候ヘハ急度其罪
　　　　　　を糺され候て厳科に行はるへき事に候是又
　　　　　　其旨を相心得候へき者也

　　　　　　　　正徳四年《割書：甲｜》午五月十五日
　　　　　　　　〆
　　　　　　今度被　仰付候金銀の品慶長御定のことくに
　　　　　　なし返され候事ハ去々年辰十月十一日
　　　　　　前御代被　仰出候　御旨によられ天下後代迄の
　　　　　　ために御沙汰候上は　公儀御費用の事等者
　　　　　　論するにたらす候雖然近世以来諸国山々より
　　　　　　出来候所の金銀むかしのことくに無之候を以て
　　　　　　元禄以来之き金銀等ことことく皆相改り候迄者
　　　　　　多くの年月を経へきに候こゝを以て其切終
　　　　　　り候迄の間金銀通用の法を定められ候条々
　　　　一　今度被　仰付候新金銀并に慶長以来元禄
　　　　　　七年迄の古金古銀ハいふに及はす元禄宝永
　　　　　　の金銀皆々これを通用すへし但し元禄宝永
　　　　　　等の金銀の事　公儀之御定におゐてハ
　　　　　　慶長之法のことくに金一両を以て銀六拾匁
　　　　　　に相当せられ候□いへとも内々におゐてハ歩
　　　　　　金歩銀等をくはへ候て通用し来り候事ハ

　　　　　　其品々の高下同しからさる故に候然る上は
　　　　　　これより後も元禄以来品々の金銀を以て
　　　　　　慶長の法の金銀と其品同しく通用之事ハ
　　　　　　有へからす候これによりて慶長以来只今
　　　　　　通用之金銀にいたる迄をのをの其品之高
　　　　　　下によりて割合之次第を定められいつれの
　　　　　　金銀にても有合候に随ひて皆々通用し候
　　　　　　法を定められ候其割合之次第ハ別紙に相
　　　　　　見へ候事
　　　　　　何事によらす物之価を定め候事ハ只今通用
　　　　　　し候金積り銀積りを以て其直段をたて候て
　　　　　　其金銀之事ハ有合候に随ひいつれの金銀に
　　　　　　ても割合之定を以て新古の撰ひなく通
　　　　　　用すへき事
　　　　　　　附　借金借銀の事　是又此例に准すへき事
　　　　一　御料所御年貢の金銀納を始てすへて上納
　　　　　　之金銀等是又只今通用候金積り銀積りを
　　　　　　以て勘定し其金銀の事ハ有合候に随ひい

　　　　　　つれにても割合の定を以て通用あるへし
　　　　　　公儀御用之代金代銀として被下候所も割合
　　　　　　の定を以ていつれの金銀にても用ひらるへく候
　　　　　　世上におゐて上下通行の法皆々此例に准
　　　　　　すへき事
　　　　一　大判之事ハ元禄年中に改められ候所も慶長
　　　　　　之大判ニ引くらへ候に其品大きに下り候にも
　　　　　　あらす折損し候事もなく候によりて宝永
　　　　　　七年只今通用之金を被　仰付候時も此御沙
　　　　　　汰には及ハれす候今度におゐても小判一歩判等
　　　　　　相改り候以後に御沙汰あるへく候其間ハ
　　　　　　公儀より被下候所も献上之所も其外私ニ用ひ候
　　　　　　所も皆々只今迄用ひ来り候大判を以て通
　　　　　　用あるへき事
　　　　一　公儀江献上之銀并被下候銀の事是又只今
　　　　　　通用の銀積りを用其銀の事ハ只今迄用
　　　　　　ひ来り候銀にても又ハ割合の定を以て今度被
　　　　　　仰付候新銀を用ひ候とも新古の撰ひなく通

　　　　　　用あるへし一枚二枚の馬代等に至りてもこれに
　　　　　　准すへき事
　　　　一　今度被　仰付候新金新銀を以て元禄以来品々
　　　　　　の金銀に引替候事ハ年を経へき事に候によ
　　　　　　りて諸国在々所々の手寄次第に連々に引
　　　　　　替候ために江戸京大坂三ヶ所におゐて引替所
　　　　　　を定め置引替候ものと相対し割合の
　　　　　　定のことく其事の煩なく引替へく候由を
　　　　　　相定められ候事
　　　　　　　附もし用事に就て今度の新金銀を以て
　　　　　　　只今迄通用之金銀に引替たき者候にお
　　　　　　　ゐてハ是又割合の定を以て其望次第
　　　　　　　引替候様ニ相定められ候事
　　　　一　今度被　仰付候金銀之事ハ慶長年中より
　　　　　　元禄七年迄の間通用し候古金古銀と其品相
　　　　　　同しく候上は元禄七年以前之古金銀ハ引
　　　　　　替候に及はす今度の新金銀と相交え候て
　　　　　　永く通用有へき事

　　　　　　右条々今度被　仰付候金銀世にあまねく
　　　　　　流布し候まての間ハ公私貴賤共によろしく
　　　　　　遵行へき者也
　　　　　　　　正徳四年《割書：甲｜》午五月十五日
　　　　　　　　　新古金銀割合次第
　　　　一　慶長の古金は只今通用之金に拾割増右
　　　　　　慶長之古金《割書：世上におゐて｜往古金と称す》壱両には只今通用の
　　　　　　金弐両を用ゆへし今度被　仰付候新金ハす
　　　　　　なわち此古金と其品同しく候故に其割増も
　　　　　　又これに同し
　　　　　　　附只今通用之金と元禄の金とハ其品に高
　　　　　　　下ありといへとも其形の大小あるを以此
　　　　　　　二品は其差別なく一様ニ用ゆへし但し
　　　　　　　只今通用之金之元禄金と引替候例
　　　　　　　元禄金百両につきて歩金として只今
　　　　　　　通用之金弐両弐歩ツヽを増し加へ来り
　　　　　　　候処にもし其法を改められ候ハヽ元禄
　　　　　　　金を所持し候者のために不可然候に

　　　　　　　　よりて自今以後も引替所におゐて此二品之　　　　　　　　金を引替候にハ歩金の法ハ只今迄の例の
　　　　　　　　ことくすへき由を定められ候
　　　　一　慶長の古銀者只今通用之銀ニ拾割増右慶長
　　　　　　の古銀《割書：世上におゐて｜往古銀と称ス》壱貫匁には只今通用の銀弐貫
　　　　　　目を用ゆへし今度被　仰付候新銀ハすなハち
　　　　　　此古銀之其品同しく候故に其割増も又これに
　　　　　　同し
　　　　　　　附只今通用の銀凡宝永七年以来出来ゟ
　　　　　　　所の品々《割書：世上におゐて｜三宝四宝等と称す》其差別なく一様に
　　　　　　　用ゆへし
　　　　一　元禄の銀は只今通用の銀に六割増右元禄銀
　　　　　　《割書：世上におゐて｜元字銀と称す》一貫目にハ只今通用之銀一貫六百目
　　　　　　を用ゆへし
　　　　一　宝永始の銀は只今通用の銀に三割増右宝永
　　　　　　始の銀《割書：世上におゐて｜宝字銀と称す》壱貫目にハ只今通用の銀壱貫
　　　　　　三百目を用ゆへし此割合次第ハ別紙の定書に
　　　　　　相見へ候ことくに今度被　仰付候新金新銀世に

　　　　　　あまねく流布し候迄の間に新古を撰はす皆々
　　　　　　通用あるへきために定めらるゝ所に候就中只
　　　　　　今通用の銀の事ハ慶長　古銀に引くらへ候に
　　　　　　其品大に同しからす候へハ其品に応し候て割
　　　　　　増を定められ候ハヽ　公儀御費用にも及ハす
　　　　　　して慶長御定の品のことくになし返さるへき
　　　　　　事に候へとも世のためにおゐてハ其損失あるへき
　　　　　　事に候を以てわつかに拾割増の法に定めら
　　　　　　れ候て其ふ足の所におゐては　公儀御費用
　　　　　　を以て償はれ候所にて候是則
　　　　　　前御代の御旨によられ天下後代迄のために
　　　　　　御沙汰有之事に候条よろしく其旨を相
　　　　　　心得候て此定を相守るへき者也
　　　　　　　　正徳四年甲午五月十五日
　　　　　　　　〆
　　　　　　　　諸国商人両替し候輩に可申渡事
　　　　　　元禄宝永以来金銀の品改り候度々に其通用
　　　　　　相滞つゐにハ世の難儀に至り候事両替し候

　　　　　　　商人等みたりに金銀の品を高下□過分の
　　　　　　　利倍を求め候ゟ事起るの由に候今度金銀の
　　　　　　　品皆々慶長の古法のことくになし返され候と
　　　　　　　いへとも元禄以来の金銀ことことく皆相改り
　　　　　　　迄は其年数久しかるへきによりて其間金銀
　　　　　　　通用割増等の法を定められ候凡金銀銭等の
　　　　　　　両替を以て家業とし候上は其時に応して
　　　　　　　相当の相場ハあるへき事勿論に候若これより
　　　　　　　後に至りて両替の上につきて世の金銀通
　　　　　　　用の事相さまたけ候事仕り出し候者有之
　　　　　　　におゐてハ其者をハ急度厳科に行はれ其
　　　　　　　由を以て訴出候におゐてハ彼罪犯の者の家
　　　　　　　財を以てよろしく褒美の御沙汰あるへく候者也
　　　　　　　　　　午五月十五日
　　一　五月廿一日　豊姫様御儀烏丸左少弁《割書：光｜栄》殿江御縁組之
　　　　御願書左之通六郷主馬　殿を以御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿江

　　　　　　同氏後越前守娘今度烏丸左少弁方江縁組
　　　　　　望ニ付指遣申度願奉存候此等之趣可然様
　　　　　　御取成奉願候以上
　　　　　　　　五月廿一日　　　松平大炊頭
　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　口上
　　　　　　本紙願申上候後越前守娘儀先年亡父兵部大輔
　　　　　　願申上飛鳥井中納言方江養子ニ指越花山院大納言殿江
　　　　　　縁組仕候処婚礼已然大納言殿病気ニ付飛鳥井
　　　　　　中納言方江不縁之断被申越依之其後右之娘
　　　　　　縁組仕儀候者其節兵部大輔願可申達哉之段
　　　　　　徳山又兵衛大岡治右衛門を以土屋相模守殿江得御
　　　　　　内意候得者一度飛鳥井中納言方江養子願相
　　　　　　済候上者重而不及願候縁組相究候者其節御届
　　　　　　可申達之旨被仰聞候其以後転法輪中将殿ゟ
　　　　　　右之娘縁組望之段飛鳥井中納言方江被申入
　　　　　　及相談事済候付飛鳥井中納言方ゟ両伝奏
　　　　　　月番高野前中納言殿迄指出候願之趣兵部大輔

　　　　　　存念と相違之儀御座候付其砌松平紀伊守殿迄
　　　　　　兵部大輔御断申達右之縁組相止其節ゟ飛鳥井
　　　　　　中納言方江断申遣不通ニ罷成候付右之娘最初ゟ
　　　　　　今以在所指置候依之今度願申上儀御座候此儀ハ
　　　　　　最前ゟ之趣土屋相模守殿委細御承知之儀ニ候
　　　　　　故此度も先達而御内意申達候且又当飛鳥井
　　　　　　侍従儀類家之者共和順之趣取扱候付只今ハ
　　　　　　状通も仕事御座候右之趣も宜御物語頼入候以上
　　　　　　　　五月廿一日　　　　　松平大炊頭
　　一　六月四日勝田元哲《割書：月光院様｜御実父》死去ニ付
　　　　公方様　月光院様御機嫌為御伺御用番并御側
　　　　御用人江御使者御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》被指出之《割書：大目付中ゟ｜御触達》
　　一　同日諸大名登城之節下乗之場所前々と違張番所を
　　　　行越候由ニ付向後国持大名ニ而も百人組張番所中程迄之
　　　　内ニ而下乗可有之旨大目付中ゟ御廻状来
　　一　同日雷鳴強候ニ付　御機嫌為御伺御用番并御側
　　　　御用人江御使者被指出之
　　一　六月十三日御登城被成候処《割書：昨十二日御用番ゟ御老中｜連名之御切紙来》御老中列座

　　　　豊姫様御縁組御願之通被　仰出候旨御用番秋元但馬守《割書：喬｜知》殿
　　　　御達有之右為御礼御老中御側御用人若年寄中
　　　　御廻勤
　　　　　　但於京都者同月十八日烏丸左少弁殿御参　内之処両伝
　　　　　　　奏列座ニ而御願之通被　仰出候由
　　一　同日右同断ニ付京都所司代松平紀伊守《割書：信｜庸》殿江御書被遣之
　　一　同日暑中ニ付御使者を以例之通御国産索麪干鯛被献之
　　一　六月十四日御家老杉田五郎兵衛《割書：□｜□》於御国表病気大切ニ付
　　　　御尋之御書被下之
　　一　六月十六日為嘉定御祝儀御登　城例之通御菓子御頂戴
　　一　六月十八日暑中ニ付御機嫌為御伺御用番秋元但馬守《割書：喬｜知》殿江
　　　　御勤
　　一　六月廿五日端午御祝儀御献上ニ付而之御内書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
　　一　七月十二日於運正寺昨十一日晩ゟ今朝迄　清照院様三回
　　　　御忌御法事御執行有之
　　　　　　但於深川霊巌寺も昨十一日御法事御執行有之

　　一　七月十四日於運上寺昨十三日晩ゟ今朝迄　豊姫様ゟ右同断
　　　　御法事御執行有之
　　一　七月十七日御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》殿ゟ御呼出御留守居大関
　　　　新五左衛門《割書：直｜看》罷出候処御屋敷東之方明地二駒寄御附被成度
　　　　ニ付去十四日御内意御伺被成候処重而御願二不及御勝手
　　　　次第可被成旨今日御指図有之
　　　　　　　　　　　口上
　　　　　　私居屋敷前常盤橋御門御番所之後支配之
　　　　　　地境目軽ク駒寄を附内二外繋致度奉存候
　　　　　　之趣願申上候而も苦間敷候哉御内意相伺申儀
　　　　　　御座候以上
　　　　　　　　　七月　　　　　　　　松平大炊頭
　　　　　　　　但右ニ付道奉行松下権兵衛殿江御届有之
　　一　七月廿三日御屋形御普請出来御上棟御祝儀有之
　　一　七月廿五日三国湊締之儀ニ付町奉行金津奉行郡奉行
　　　　御水主頭江左之通書付を以御家老申渡之
　　　　　　　　　　　覚
　　　　一　三国ニ而水戸口出シ候諸廻船問屋形ゟ荷物商

　　　　　　物等何ニ而も積出シ申節問丸方江相断奉行組
　　　　　　郡組ニ問丸壱人宛差添罷出積荷不何寄一々
　　　　　　番人と立合相改其上ニ而川口之切手可出事
　　　　一　水戸口入舟有之候ハヽ其舟之宿より番所并立合
　　　　　　之者問丸江も早速積荷之書付差出シ可受改候
　　　　　　商物揚申事ニ候ハヽ其時少分之儀ニ而も改之
　　　　　　者共江相断可受吟味候仮初ニも間入之舟問屋共江
　　　　　　通路之小舟遣候ハヽ時々ニ断可致通路惣而間入之
　　　　　　舟ニ小舟之通路仕時者右改之者共江相断可受
　　　　　　吟味候無断小舟之通路仕間敷事
　　　　一　水戸口出入共ニ御法度之諸色何ニ而も問屋方ニ
　　　　　　預リ置間敷候縦他領之者又ハ他国之者より預リ
　　　　　　申候共少分之物ニ而も預リ置間敷く候自然無拠
　　　　　　訳有之候て問屋其外諸商人共方江預リ置申
　　　　　　儀有之候ハヽ其品々改之者ニ相断可受吟味事
　　　　一　諸廻船三国水戸口江致間入候ハヽ諸色積荷之付
　　　　　　を取即刻番所并改之者共江可相断事暫然り
　　　　　　居申内舟ゟ舟江商物売買仕候義古来ゟ御法

　　　　　　度之事候向後猶以堅仕間敷候若不叶売買仕
　　　　　　儀有之候ハヽ夫々之宿問屋江相断改之者共江其
　　　　　　段相達問屋改之者共右之舟江参立合致吟味
　　　　　　問屋帳面ニ付売買せ可申候無断為致売買候ハヽ
　　　　　　宿問屋不念ニ可成候間間入之舟在之次第宿問
　　　　　　屋ゟ舟共江可相断候若宿無之舟ハ暫之内も不
　　　　　　可差置早速追出可申候猶又右之舟共出舟之
　　　　　　時早々番所改之者江相断積荷之諸色最前
　　　　　　之書出ニ引合致吟味舟為出可申候出入猥ニ為致
　　　　　　候ハヽ宿問屋急度可為越度事
　　　　一　三国問屋并諸商人共ニ御法度之諸商物内々ニて
　　　　　　申合致売買之旨前々ゟ其聞有之候ニ付今度
　　　　　　御吟味之儀被　仰出事ニ候間向後少々物ニ而も隠
　　　　　　候て売買仕義有之候ハヽ急度曲事ニ可被
　　　　　　仰付候間召仕等末々之者共迄念を入可申付事
　　　　一　川舟持申者福井其外方々江諸荷物運送仕
　　　　　　内江留出入ともに何にても御法度之物猥ニ致
　　　　　　運送間敷旨水主共江能々可申聞候自然無拠

　　　　　　訳有之積廻申儀有之候ハヽ上リ下リ共福井
　　　　　　ニ而ハ御水主之小頭三国ニ而ハ改之者江相断可申事
　　　　　右之条々堅可相守者也
　　　　　　　正徳四年午七月日
　　　　　　　　　覚
　　　　　　安居両渡其外川筋之村々川舟持共舟大小ニ
　　　　　　よらす福井并三国又ハ方々之川筋荷物致運
　　　　　　送候義三国沖之江出入共ニ被指留候御法度之俵
　　　　　　子其外諸色何方ゟ頼候共上リ下リ共ニ不可積廻候
　　　　　　自然無拠訳有之候ハヽニ而者御水主
　　　　　　小頭江相断改を可受候三国ニ而ハ番所問丸并改之
　　　　　　者江可相断候川筋之在々又ハ他領村々ニ而頼候共
　　　　　　口留御法度之物ハ不何寄少之物ニ而も無断
　　　　　　不可積廻之事
　　　　　右之通堅可相守者也
　　　　　　　正徳四年午七月日
　　一　八月朔日為御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代御献上
　　一　同日於運正寺昨晦日晩ゟ今朝迄

　　　　隆芳院様七十回御忌御法事御執行有之
　　一　同日御老中阿部豊後守《割書：正｜喬》殿江御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》
　　　　を以御代々之御書付被指出之
　　　　　　権現様御子
　　　　　　台徳院様之　　　　　　越前中納言秀康
　　　　　　御兄

　　　　　　権現様御孫　　　中納言嫡子
　　　　　　台徳院様之　　　　　　松平三河守忠直
　　　　　　御甥　　　　　　　　　　　　　　宰相
　　　　　　　　　故有而豊後国江　配流

　　　　　　権現様御曽孫　　三河守嫡子
　　　　　　高田様御腹ニ而　　　　松平越後守光長
　　　　　　台徳院様御孫　　　　　　　　　　中将
　　　　　　　　　三河守訳ニ付家督ハ不被　仰付越後高田弐拾五万石
　　　　　　　　　被下此時迄伊予守忠昌越後高田弐拾五万石被下
　　　　　　　　　罷在候伊予守中納言家督被　仰付越前福井江
　　　　　　　　　罷越候付而其跡を越後守江被下候

　　　　　　権現様御孫　　　中納言次男
　　　　　　台徳院様之　　　　　　松平伊予守忠昌
　　　　　　御甥　　　　　　　　　　　　　　宰相
　　　　　　　　　中納言秀康家督被　仰付福井之城　御預ヶ

　　　　　　権現様之　　　　伊予守嫡子
　　　　　　御曽孫　　　　　　　　松平越前守光通
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　少将

　　　　　　　　　　　　　実ハ越前守弟に而養子ニ被
　　　　　　実ハ　　　　　仰付越前守家督被　仰付候
　　　　　　権現様之　　　　　松平兵部大輔吉品
　　　　　　御曽孫　　　　　　　　　　　　少将

　　　　　　　　　　　　　実ハ古松平中務大輔子ニ而兵部大輔甥ニ而
　　　　　　実ハ　　　　　御座候養子被　仰付兵部大輔家督相続仕候　　
　　　　　　権現様之　　　　　松平越前守綱昌
　　　　　　御玄孫　　　　　　　　　　　少将
　　　　　　　　綱昌病気故領知被　召上再兵部大輔江高之内
　　　　　　　　弐拾五万石被下

　　　　　　　　　　　　　実ハ古松平中務大輔子ニ而兵部大輔
　　　　　　実ハ　　　　　甥ニ而養子被仰付
　　　　　　権現様之　　　　　松平大炊頭吉邦
　　　　　　御玄孫　　　　　　　　　　　侍従
　　　　
　　　　　　　已上
　　　　　　　覚
　　　　一　中納言秀康越前国拝領出府之節
　　　　　　台徳院様御鷹野ニ御事寄品川迄　御出向被遊
　　　　　　御対顔夫ゟ御同道ニ而　御本丸江被為　入候由
　　　　　　中納言駕籠　御本丸御玄関ニ而横ニ附候由於
　　　　　　御玄関
　　　　　　台徳院様御互御先江と御会釈有而為御案内と
　　　　　　上意ニ而御先江被為　立候由於御奥御饗応相済
　　　　　　夫ゟ中納言二之御丸江罷越候由家老共其外之

　　　　　　供廻リ侍共御老中方御屋敷一軒御明ヶ逗留中
　　　　　　被差置候由
　　　　一　中納言卒去以後家督相続之儀嫡子三河守
　　　　　　忠直江被　仰付候然処故有而豊後国江配流此
　　　　　　時忠直嫡子古越後守光長仙千代と申候忠直
　　　　　　右之訳故古越後守家督ハ不被　仰付中納言遺
　　　　　　跡ハ伊予守忠昌江被　仰付候忠昌儀ハ忠直弟
　　　　　　ニ而中納言次男ニ而御座候伊予守江　御懇之
　　　　　　上意共有而福井之城其侭御預ヶ一門之外者
　　　　　　殿文字用可申旨　仰出候　御内書頂戴之節ニ
　　　　　　御書判ニ而被下置候伊予守参府之節ハ品川迄
　　　　　　上使被成下着即刻登　城　御目見被　仰付候登　　　　　　城之節惣下座被　仰付候
　　　　一　正保二年酉八月伊予守死去嫡子古越前守光通
　　　　　　万千代丸と申候十歳ニ而家督被　仰付候登城候節ハ
　　　　　　直ニ御座之間江被為　召御側ニ被指置候同年
　　　　　　之暮被任侍従慶安元子十二月廿一日於御黒書
　　　　　　院元服被任少将兼越前守被　仰付旨

　　　　　　上意有而御礼献上物着座之内御披露相済
　　　　　　御盃頂戴　御手自御肴被下之加へ候処御腰
　　　　　　物以酒井河内守拝戴常之御礼申上之時井伊
　　　　　　掃部頭江対而御礼申上此節　命有而又一献を
　　　　　　勧む自是以後席相定候付表ニ而御礼申上候
　　　　　　諸事先格之通尤年始御相伴も被　仰付候且又
　　　　　　御暇之節白銀千枚御袷百御馬御鷹二居拝領
　　　　　　之参勤御暇之節共ニ家老共両人充御目見被
　　　　　　仰付御暇之節御紋御袷拝戴之被　仰付候依之
　　　　　　松平加賀守儀も家老両人充越前守同事
　　　　　　御目見被　仰付旨被　仰出候由古越前守妻
　　　　　　公方様御台様江献上物被　仰付尤不時女使も
　　　　　　指上　御機嫌伺可申旨被　仰出候
　　　　一　古越前守死去家督之儀御懇之
　　　　　　上意を以兵部大輔江被　仰付候拝領物家来
　　　　　　御目見等之儀先格之通被　仰付候
　　　　一　兵部大輔家督後越前守綱昌江被　仰付拝領
　　　　　　物等家来　御目見之儀前々之通被　仰付候

　　　　　　常憲院様　将軍　宣下之節御相伴少将ニ被
　　　　　　仰付候尤惣下座綱昌妻も先格之通
　　　　　　公方様　御台様江献上物被　仰付候然処綱昌
　　　　　　病気ニ罷成候訳迄を以先祖ゟ之領知被　召上其
　　　　　　節兵部大輔江高之内弐拾五万石被下置候
　　　　　　御筋目有之家柄故先祖代々ニ不相替福井
　　　　　　城ハ其儘御預ヶ被成旨　御懇之
　　　　　　上意を以被　仰付候其以後元禄九年子十二月
　　　　　　五日被任少将同十五年午十一月廿五日被為　召向後
　　　　　　御紋之通着用可仕旨被　仰付同十六年未四月
　　　　　　在所江之御暇被下候節拝領物銀五百枚時服五
　　　　　　十ニ増被下候半智之刻ゟ此節迄ハ銀三百枚時服
　　　　　　三十被下置候本知之節ハ白銀千枚時服百御馬
　　　　　　并御鷹二居拝領之仕候宝永元年申十一月廿八日
　　　　　　父子共ニ被為　召　御一字拝領之其節
　　　　　　御手自御熨斗頂戴之御刀拝領之大炊頭儀も
　　　　　　右同様ニ被　仰付候尤　御手自御熨斗頂戴之
　　　　一　宝永七寅年　兵部大輔隠居願之通被仰付家

　　　　　　督大炊頭江被下置候
　　　　一　大炊頭儀兵部大輔養子ニ願之通元禄十四年巳三月
　　　　　　五日被　仰付同年十二月十八日初官四品被　仰付其以
　　　　　　後宝永元年十二月十一日侍従被　仰付候部屋住之
　　　　　　重官之儀ハ其例稀候之由
　　　　一　兵部大輔最初隠居初而御暇之節御馬御鷹二
　　　　　　居拝領之　　
　　　　一　常憲院様御代始而兵部大輔隠居ニ而参府御暇
　　　　　　之節御馬拝領御鷹者一統ニ相止候ニ付不被下候
　　　　　　御代替リニ付御掛物《割書：俊明極｜》於　御前拝領之
　　　　　　隠居之内御鷹不相止内者前々之御鷹之鶴
　　　　　　拝領之
　　　　一　右ニ住候外代々御鷹之鶴御鷹之鶏御鷹之
　　　　　　梅首鶴拝領之
　　一　八月四日烏丸右中弁《割書：光｜栄》殿ゟ御結納御使者雑掌荒木
　　　　大学を以　豊姫様江紗綾《割書：紅｜白》十巻干鯛一箱鯣一箱昆布一
　　　　箱御樽一荷被進之其節為御祝儀
　　　　吉邦様江御太刀馬代《割書：銀三｜枚》干鯛一箱　梅姫様江干鯛





　　　　一箱昆布一箱御樽代五百疋被進之
　　　　豊姫様江縮緬《割書：紅｜白》二巻干鯛一箱御樽代三百疋被進之大学儀
　　　　京都御留守居本多武兵衛《割書：武｜雅》方迄来
　　　　　　但右御品物道中御徒指添同月九日御国表江相廻候ニ付
　　　　　　　御用人飯田治左衛門御部屋江持参指上之
　　一　八月六日御使者を以例之通御国産初鱈被献之
　　一　八月十六日御老中秋元但馬守《割書：喬｜知》殿卒去ニ付
　　　　公方様御機嫌為御伺御用番久世大和守《割書：重｜之》殿江御使者
　　　　御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》被指出之
　　一　八月廿日今度
　　　　隆芳院様七十回御忌ニ付致殉死候七人之者寺々江御使御近習
　　　　高田金太夫《割書：正｜□》を以御香奠銀壱枚宛被下之
　　　　　　但昨十九日可被下処右被　仰出之飛脚滞留ニ付
今日ニ相成
　　一　八月廿一日御用番久世大和守《割書：重｜之》殿江六郷主馬　殿を以
　　　　将軍　宣下為御祝儀御老中御招請被成度旨被　仰入
　　一　八月廿三日御用番久世大和守《割書：重｜之》殿江御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》
　　　　罷出候処《割書：用人ゟ｜□紙来》将軍　宣下御祝儀御招請之儀来月十ハ日
　　　　御越可被成旨之御書付被相渡之






　　一　八月廿九日来月
　　　　探源院様御忌月ニ付瑞源寺運正寺江御代拝御用人
　　　　相勤候様被　仰出
　　　　　　但御在府年ハ向後右之通可相勤旨被　仰出
　　一　八月《割書：日不｜詳》智高院様御合力米向後年々弐千俵宛可被
　　　　進旨被　仰出
　　一　九月四日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　　　一位様江銀十枚　月光院様江同五枚被指上之
　　一　同日御馬屋馬場ニ而御侍中御扶持人并又者末々迄相撲
　　　　御覧有之
　　　　　　但相撲ニ出候御侍并御徒之者迄江御吸物御酒被下之
　　一　九月十六日御屋形表向御普請御成就ニ付御移徙御祝儀
　　　　有之
　　一　九月十八日　将軍　宣下為御祝儀御老中御招請九時過
　　　　御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿阿部豊後守《割書：正｜喬》殿戸田山城守《割書：忠｜真》殿御同道
　　　　ニ而御越若年寄大久保佐渡守《割書：常｜春》殿森川出羽守《割書：重｜胤》殿其外
　　　　御役人中御越御饗応御囃子有之相済八半時御退出右
　　　　為御礼御老中江　御勤若年寄中江御使者宇都宮治部左衛門





　　　　被指出之
　　一　九月十九日御縁組御取結有之候為御相礼御使者本多
　　　　武兵衛《割書：武｜雅》を以烏丸右中弁《割書：光｜栄》殿江御太刀金馬代干鯛一箱
　　　　被進之　梅姫様ゟ昆布一箱干鯛一箱御樽代千疋被進之
　　　　豊姫様ゟ　瑶林院様江綿廿把御樽代千疋被進之
　　一　九月廿五日東長田御代官日野小左衛門　殿先達而陣屋江
　　　　御着ニ付御使者御使番荒川助右衛門《割書：正｜負》を以御肴《割書：小｜鯛》一籠被遣之
　　一　九月廿九日御老中松平紀伊守《割書：信｜庸》殿江御逢対　御勤
　　一　十月五日
　　　　文昭院様三回御忌御法事ニ付御機嫌為御伺御桧重
　　　　一組被献之《割書：去月廿七日｜御触達》
　　一　十月七日右同断ニ付御機嫌為御伺御用番并御側
　　　　御用人江　御勤
　　一　十月十三日出羽守《割書：宣｜維》様御屋敷内《割書：御長｜屋》去五日出火ニ付御遠慮
　　　　之処　御免ニ付為御礼御老中御側御用人江御使者御留守
　　　　居被指出之
　　一　十月十四日
　　　　文昭院様三回御忌ニ付於運正寺御茶湯御執行有之



　　一　十月十五日於増上寺
　　　　文昭院様御法事有之ニ付御使者林八右衛門《割書：正｜容》を以
　　　　御香奠銀十枚被献之同所本堂江相納之《割書：去月十四日｜御書付御渡》
　　一　同日右同断相済候ニ付月次御礼後　御居残ニ而首
　　　　尾能相済候御歓被　仰上《割書：去十二日｜御触達》
　　一　同日右同断ニ付御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》を以
　　　　御精進揚之御肴《割書：鯛｜三》被献之《割書：去十二日｜御触達》
　　一　十月十六日御簾揚之儀是迄御取立之者ニ而勤来候得共
　　　　御側近相勤重キ御役儀ニ付御手廻リ之内ニ而両人被
　　　　仰付以来役名　御駕籠附と御改ニ相成
　　一　十月廿三日御老中戸田山城守《割書：忠｜真》殿江御逢対　御勤
　　一　十月廿五日重陽御祝儀御献上ニ付而之御内書於御城
　　　　御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　十一月二日於東叡山
　　　　常憲院様七回御忌御取越御法事ニ付御機嫌為御伺
　　　　御桧重一組被献之《割書：去月廿七日｜御書付御渡》
　　一　十一月四日右同断ニ付　御機嫌為御伺御用番并御側
　　　　御用人江　御勤

　　一　十一月十日右同断ニ付於万福山御茶湯御執行有之
　　一　十一月十一日右同断ニ付御使者岡部右京《割書：主｜貞》を以東叡山本
　　　　堂江御香奠銀十枚被献之《割書：九月廿七日｜御書付御渡》
　　一　同日右同断相済候為御歓　御登　城
　　一　同日右同断ニ付御使者を以御精進揚之御肴《割書：鯛｜五》被献之
　　一　同日御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》殿江御使者御留守居を以御名
　　　　御改被成度旨之御書付被指出之
　　一　十一月十八日大目付横田備中守《割書：由｜松》殿江御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》
　　　　罷出候処《割書：昨十七日｜御廻状来》異国船抜荷之儀ニ付左之通御書付被
　　　　渡之浦々高札場江相掲候様被申渡之
　　　　　　　　条々
　　　　一　異国船より抜荷を買取候金元をいたし人を
　　　　　　雇ひ候て抜荷仕候もの有之由相聞候間彼族
　　　　　　を訴人仕るにおゐてハ吟味之上金元仕候者之
　　　　　　金銀米銭家財等迄不残可被下之事
　　　　一　抜荷仕候ものを同類の内より召捕へ或ハ訴人
　　　　　　仕候ものには右之荷物御褒美として可被下之事
　　　　一　唐人とぬけ買を申合又ハ右之言合之取次い





　　　　　　たし或ハぬけ荷物仕なれたるもの并抜荷物に
　　　　　　雇れ或ハ其事に携り候者の事訴人仕るに
　　　　　　おゐてハ急度御ほうひを可被下たとひ同
　　　　　　類たりといふとも其科をゆるし賃銀礼
　　　　　　銀当申合候員数之一倍可被下之事
　　　　　　　附只今迄ぬけ荷仕候者の宿いたし或ハぬけ
　　　　　　　　取候荷物預リ隠し置候もの或ハ手合
　　　　　　　　仕候ものたりといふとも訴人仕候ハヽ是
　　　　　　　　又其科をゆるし御褒美被下候事右同
　　　　　　　　前たるへき事
　　　　　　右之条々急度可相守之若存なから隠し
　　　　　　置外より令露顕者其科本人可為同前者也
　　　　　　　　正徳四年十一月日　　　奉行
　　一　十一月廿一日御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》殿江御逢対　御勤
　　一　十一月廿三日御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》殿御渡之御書付左之通
　　　　大目付中ゟ御廻状来
　　　　　　　　　　　覚
　　　　　　近年東海道可被罷通面々中山道往来有之由

　　　　　　相聞候知行所江むより違候衆中中山道被通候
　　　　　　儀ハ如何ニ候向後むより違候面々中山道被通候ハヽ
　　　　　　其わけ各月番迄相伺可被任指図候以上
　　　　　　　　　午十一月
　　一　十二月二日琉球人登城ニ付　御登　城《割書：御直｜垂》
　　一　同日右同断ニ付登城相済候為御歓御用番并御側御用人江
　　　　御使者御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》被指出之
　　一　十二月六日右同断御暇之登城ニ付　御登　城《割書：御直｜垂》
　　一　同日琉球人御暇首尾能相済候為御歓御用番并御側御用人江
　　　　御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》被指出之
　　一　十二月八日御国産生鱈着候得共道中ニ而損候ニ付御献上
　　　　無之
　　　　　　但右ニ付又々指立候様御国表江被　仰付
　　一　十二月九日寒中ニ付御機嫌為御伺御用番松平紀伊守《割書：信｜庸》殿江
　　　　御勤
　　一　十二月十六日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈
　　　　被献之
　　一　十二月十八日御登城被成候処《割書：昨十七日御用番松平紀伊守殿ゟ｜御老中連名之御切紙来》御老中

　　　　列座ニ而任左近衛少将之旨御達有之夫ゟ為御礼御老中
　　　　御側御用人若年寄中江　御廻勤御側衆江御使者御使番
　　　　被指出之
　　一　同日御老中阿部豊後守《割書：正｜喬》殿ゟ御呼出御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》
　　　　罷出候処先達而被　仰達候改名之儀御勝手次第被成候様
　　　　書付被相渡之
　　一　同日昨巳年米高直ニ付御城下町人共願之上米三百俵
　　　　御貸被成去月迄ニ上納相済候処当年も米諸色共高
　　　　直ニ而困窮之者数多有之ニ付御貸米六百俵相願候ニ付
　　　　御吟味之上下行米三百俵被下之外二弐百俵御貸被成
　　一　十二月十九日御名
　　　　伊予守様と御改被成於御座之間本多修理《割書：恒｜久》荻野孫右衛門《割書：政｜対》江
　　　　御祝之御赤飯御吸物御相伴被　仰付御盃被下之
　　一　同日御用番松平紀伊守《割書：信｜庸》殿并井上河内守《割書：正｜峯》殿江　御勤
　　　　御任官之御礼御改名之吹聴被　仰述阿部豊後守《割書：正｜喬》殿江も
　　　　為御吹聴　御勤残御老中御側御用人若年寄中江御使者
　　　　御留守居御使番被指之
　　一　同日右同断ニ付京都所司代水野和泉守《割書：忠｜元》殿江御書被遣之




　　一　同日右同断ニ付本多孫太郎《割書：長｜員》初家老江　御書被成
　　一　十二月廿一日御老中戸田山城守《割書：忠｜真》殿土屋相模守《割書：政｜直》殿江　御勤
　　一　同日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之　一位様
　　　　月光院様江白銀被指上之
　　一　同日御用番松平紀伊守《割書：信｜庸》殿ゟ御呼出ニ付御留守居罷出候処
　　　　御任官之御礼被　仰上候節御献上物之儀去十九日御伺
　　　　被成候通被指上候様御指図有之
　　　　　　但十九日披指出候御伺書御記録類二ニ不相見
　　一　十二月廿二日御老中阿部豊後守《割書：正｜喬》殿江御逢対　御勤
　　一　十二月廿三日御老中久世大和守《割書：重｜之》殿江右同断　御勤
　　一　同日御用番松平紀伊守《割書：信｜庸》殿江御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》罷出御任
　　　　官御礼之節御献上物之御仕度出来之旨相達之
　　一　十二月廿五日切支丹類族田代養元妹《割書：大岡源右衛門殿｜奥方》病死ニ付切支丹
　　　　奉行横田備中守《割書：由｜松》殿柳沢備後守《割書：信｜尹》殿江御証文被指出之
　　一　十二月廿七日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：二｜番》生鱈被献之
　　一　十二月廿八日《割書：五時｜前》　御登　城《割書：御長袴｜御着用》御任官之御礼被　仰上
　　　　《割書：昨廿七日御用番松平紀伊守殿ゟ｜連名之御切紙来》御太刀金馬代御時服十　御献上一位様
　　　　月光院様江銀二十枚宛被指上之《割書：去廿一日」｜御伺済》御退出掛為御礼

　　　　御老中御側御用人江　御廻勤若年寄中江御使者御留守居
　　　　村上三大夫《割書：正｜峯》被指出之

　正徳五年乙未
　　一　正月朔日於　御屋形年始御規式有之
　　一　同日為年始御祝儀　御登　城於　御白書院御一統之
　　　　御礼被　仰上例之通御太刀馬代御献上呉服御拝領
　　一　正月三日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃台
　　　　御酒代被献之
　　一　同日夜御謡初御祝儀有之
　　一　正月四日口宣御頂戴之儀ニ付松原右衛門《割書：嘉｜陸》京都江被指出之

　　　　今日福井出立
　　一　正月七日為若菜御祝儀御使者を以例之通御肴《割書：鯛｜三》被献之
　　一　正月九日旧臘御任官ニ付伊勢両　宮并城州石清水江為
　　　　御代参須崎三郎右衛門《割書：光｜倫》被遣之今日江戸御屋敷出立
　　　　　　但三郎右衛門二月九日江戸帰着
　　一　正月十三日御任官ニ付中務大輔《割書：昌｜平》様ゟ為御祝儀御使者
　　　　中川主鈴《割書：重｜光》を以御太刀馬代二種一荷被進之
　　一　同日御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿ゟ御呼出御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》
　　　　罷出候口　宣御頂戴之儀ニ付御老中ゟ京都所司代水野
　　　　和泉守《割書：忠｜之》殿江之御奉書被相渡之
　　一　正月十四日右同断ニ付右御奉書大御番荻野四郎右衛門《割書：永｜忠》
　　　　を以京都江被指遣之今日江戸御屋敷出立
　　一　正月廿三日荻野四郎右衛門《割書：永｜忠》京都着ニ付持参之御奉書御使者
　　　　松原右衛門《割書：嘉｜陸》所司代水野和泉守《割書：忠｜之》殿江罷出《割書：御留守居本多｜武兵衛同道》指出之
　　一　正月廿七日伝奏徳大寺右大将《割書：公｜全》殿江御使者松原右衛門《割書：嘉｜陸》
　　　　《割書：御留守居本多｜武兵衛同道》罷出候処《割書：昨廿六日所司代水野和泉守殿｜用人ゟ本多武兵衛迄手紙ニ而申来》両伝　奏御列座ニ而
　　　　口　宣宣旨等御渡有之畢而
　　　　禁裏御所

　　　　法皇御所　女院御所江之御献上物武家御式台江
　　　　罷出《割書：両伝　奏雑掌｜差副》相納之御返答有之相済　内侍所江之
　　　　御献上物相納之
　　　　　　但右兵衛二月朔日京都出立同五日福井江帰着
　　一　二月四日御老中井上河内守《割書：正｜岑？》殿ゟ御呼出御留守居村上
　　　　三大夫《割書：正｜峯》罷出候処寛文五巳年
　　　　東照宮五十回御忌之節御香奠御献上之儀ニ付左之通
　　　　御書付を以御尋有之
　　　　　　　　寛文五巳　　　
　　　　　　　　　　四月十七日
　　　　　　権現様五十回御忌御法会付而
　　　　　　　　御太刀目録
　　　　　　右之節服穢付而日光江使者不被
　　　　　　差越候服明ヶ東叡山本坊江
　　　　　　御太刀目録奉納之事哉其節之
　　　　　　儀書付可被指越候
　　　　右ニ付御留守居ゟ書付指出之

　　　　　　権現様五十回御忌御法会之節古
　　　　　　越前守服穢有之ニ付而日光江御太刀
　　　　　　目録献上不仕候依之服明キ東叡山
　　　　　　御本坊江御太刀目録奉納仕候哉と
　　　　　　御書付を以御尋被成候吟味仕候処
　　　　　　其節之旧記焼失仕相知不申候故
　　　　　　右為可申上罷出申候以上
　　　　　　　　　　　　　松平伊予守留守居
　　　　　　　二月四日　　　　　　村上三大夫
　　一　二月六日
　　　　公方様御不例ニ付御機嫌為御伺御用番并御側
　　　　御用人江御使者御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》被指出之
　　一　同日右同断ニ付根津昌泉院江御祈祷御頼有之
　　一　同日於伝通院　天樹院様五十回御忌御法事有之ニ付
　　　　御使者西尾源太左衛門《割書：教｜長》を以御香奠銀五枚被指上之《割書：先月晦日｜御伺済》
　　一　二月七日大御番荻野四郎右衛門《割書：永｜忠》江戸着《割書：去廿七日｜京都出立》口　宣宣旨
　　　　指上候ニ付御頂戴被成《割書：熨斗目｜御上下》
　　　　　　　口　宣案

　　　　　　上卿坊城大納言
　　　　　　　正徳四年十二月十八日　　　宣旨
　　　　　　　　侍従源吉邦朝臣
　　　　　　　　　宜任左近衛権少将　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奉
　　　　　　　　　　　蔵人右中弁藤原光栄
　
　　　　　宣旨
　　　　　　　　　従四位下行侍従源朝臣吉邦
　　　　　　　　従二位行権大納言藤原朝臣俊清
　　　　　　　　　　　　　　　　勅件人宣令任
　　　　　　　　左近衛権少将者
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奉
　　　　　　　　　正徳四年十二月十八日大外記兼掃部頭造酒正中原朝臣師英
　　一　同日右同断ニ付為御礼御老中御側御用人江
　　　　御廻勤
　　一　同日右同断ニ付京都所司代水野和泉守《割書：忠｜之》殿ゟ御老中江之
　　　　御返書御使者御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》を以御用番戸田山城守《割書：忠｜真》殿江
　　　　被指出之
　　一　二月八日

　　　　公方様御不例為御伺御用番并御側御用人江御使者
　　　　御留守居被指出之
　　一　二月十一日於運正寺昨十日晩ゟ今朝迄
　　　　清浄院様十七回御忌御法事御執行有之於深川
　　　　霊巌寺も右同様御執行有之
　　一　二月十三日朝《割書：四｜時》瑞源寺本堂ゟ出火寺中不残焼失御霊屋
　　　　御位牌等者無御別条候得共　高照院様御位牌者御焼失
　　一　二月廿一日歳暮御祝儀御献上ニ付而之御内書於御城
　　　　御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　二月廿二日御老中戸田山城守《割書：忠｜真》殿江御逢対　御勤
　　一　三月十三日　智高院様御居間御普請出来ニ付御引移
　　　　有之
　　一　三月十五日御登城被成候処
　　　　公方様御快然　御目見有之候ニ付為御歓御退出掛
　　　　御老中并御側御用人江　御廻勤
　　　　　　但正月十五日御登城之節ゟ御目見無之処今日初而
　　　　　　　御目見有之
　　一　三月廿一日御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》殿江
御逢対　御勤

　　一　三月廿二日御任官為御祝儀御一門様方并御旗本中
　　　　御招請有之
　　一　三月廿五日右同断ニ付御出入御旗本中御招請有之
　　一　同日御屋敷地御手狭ニ付御添地御拝領被成度ニ付
　　　　左之通御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》を以御老中
　　　　井上河内守《割書：正｜峯》殿迄御内意被　仰達之
　　　　　　　　　口上
　　　　　　私居屋敷詰リ申候而致難儀候就夫今度松平
　　　　　　甲斐守居屋敷酒井左衛門佐と入替被　仰付候由
　　　　　　承候因玆屋敷表入込候所此度割合之御序ニ
　　　　　　何とそ添被下候様偏奉願候此段難相叶儀
　　　　　　御座候ハヽ御預ヶ地ニ成共罷成候様奉願候尤
　　　　　　急度相願申越ニ而者無御座候御心易も御座
　　　　　　候ニ付御内々ニ而御物語仕度如是御座候何とそ
　　　　　　被添御心可被下候奉願候
　　　　　　　　三月　　　　　　　　松平伊予守
　　一　三月廿六日御老中井上河内守《割書：正｜峯》殿江御逢対　御勤
　　一　三月廿九日地震ニ付　御機嫌為御伺御用番并御側

　　　　御用人江御使者御留守居被指出之
　　一　四月四日今度松平甲斐守《割書：吉｜里》殿揚屋敷御預ヶニ相成候旨ニ付
　　　　渡方等之儀可申談間御役人之内両三人罷出候様御普請奉行
　　　　嶋田佐渡守《割書：正｜信》殿ゟ申来
　　　　　　但右ニ付罷出候御役人姓名不詳
　　一　四月五日御老中久世大和守《割書：重｜之》殿江御逢対　御勤
　　一　同日松平甲斐守《割書：吉｜里》殿揚屋敷御預ニ付御家来罷越候処
　　　　御普請奉行役人地方役人并甲斐守殿家来立合今日
　　　　御引渡有之
　　一　四月八日松平甲斐守《割書：吉｜里》殿揚屋敷不残御請取ニ相成候ニ付
　　　　右為御届御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》殿江御使者御留守居
　　　　被指出之御普請奉行中江御使者御使番被指遣之
　　一　四月十二日於日光山
　　　　東照宮百回御忌御法会ニ付御使者御番頭恒岡安左衛門《割書：利｜喜》
　　　　《割書：御留守居助野村｜一郎左衛門同道》御太刀馬代《割書：黄金｜十両》被献之《割書：三月六日｜御書付御渡》安左衛門今日
　　　　江戸御屋敷出立
　　　　　　但同月十七日日光山本坊江相納之
　　一　四月十五日《割書：六半｜時前》上使御老中戸田山城守《割書：忠｜真》殿を以御国許江之






　　　　御暇被　仰出例之通白銀御袷御拝領《割書：上使御取扱｜如例》右為
　　　　御礼山城守殿江　御勤
　　一　同日《割書：五時｜過》御登　城御暇之御礼被　仰上例之通御馬御拝領
　　　　畢而被　召連候御家来本多修理《割書：恒｜久》　御目見被　仰付退
　　　　去其節修理江御時服拝領被　仰付右相済為御礼直ニ
　　　　御老中御側御用人若年寄中江　御廻勤
　　一　四月十六日御老中久世大和守《割書：重｜之》殿江御逢対
　　一　四月十七日
　　　　東照宮百回御忌ニ付於万福山御宮昨十六日朝ゟ今朝迄
　　　　御法事御執行有之
　　一　四月十八日先達而御預ニ相成候松平甲斐守《割書：吉｜里》殿揚屋敷
　　　　今度酒井左衛門佐《割書：忠｜真》殿江拝領ニ付今日御役人共被指出
　　　　御普請方御役人立合ニ而左衛門佐殿家来江相渡之右割
　　　　残リ之文是迄之通御預ニ相成
　　一　同日御用番久世大和守《割書：重｜之》殿御側御用人間部越前守《割書：詮｜房》殿
　　　　本多中務大輔《割書：忠｜良》殿江　御出今度日光御法会首尾能
　　　　相済候御歓被　仰入残御老中若年寄中江御使者
　　　　御使番被指出之









　　　　　　但御登城可被成之処御暇御礼後二付其儀無之
　　一　同日御用番久世大和守《割書：重｜之》殿ゟ御呼出御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》
　　　　罷出候処左之通御書付被　仰渡之
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守
　　　　　　居屋敷狭候ニ付而今度松平甲斐守
　　　　　　上ヶ屋敷御用残地之内屋敷裏之方ニ而
　　　　　　八百六拾坪余添被下之候委細御普請奉行
　　　　　　可被承合候
　　一　同日右同断ニ付為御礼御老中御側御用人江御廻勤
　　　　若年寄中江御使者御使番被指出之
　　一　四月十九日御拝領之御馬《割書：鹿毛｜五歳》御用番久世大和守《割書：重｜之》殿ゟ
　　　　使者ニ而為牽来
　　一　同日御用番久世大和守《割書：重｜之》殿江御逢対御勤
　　一　四月廿一日於日光山今度御法会首尾能相済候為御祝　　　　儀御使者御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》を以干鯛一箱鯣一箱御樽
　　　　一荷被献之《割書：去月六日｜御書付御渡》
　　一　同日御拝領之御添地御普請奉行嶋田佐渡守《割書：正｜信》殿

　　　　御越御引渡有之右相済候為御届御用番久世
　　　　大和守《割書：重｜之》殿江御使者御留守居被指出　　　　之
　　一　同日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江御逢対　御勤
　　一　四月廿二日御老中松平紀伊守《割書：信｜庸》殿江右同断　御勤
　　一　四月廿三日御老中阿部豊後守《割書：正｜喬》殿江右同断　御勤
　　一　四月廿五日御老中戸田山城守《割書：忠｜真》殿江
右同断　御勤
　　一　四月廿七日御帰国前ニ付例之通御仮養子之御書付《割書：御封｜物》
　　　　御持参御用番久世大和守《割書：重｜之》殿江御指出被成
　　一　四月廿九日御老中戸田山城守《割書：忠｜真》殿江
御勤
　　一　五月二日端午為御祝儀御使者を以例之通御帷子
　　　　御単被献之白銀被指上之
　　一　同日明三日　御発駕ニ付為御案内御老中御側御用人江
　　　　御廻勤
　　一　五月三日江戸　御発駕中山道通　御旅行
　　　　　　但是迄御道中御関札御名御認之処此度ゟ福井
　　　　　　　少将と御認ニ相成
　　一　五月十五日松平甲斐守《割書：吉｜里》殿揚屋敷割残リ之分柳原
　　　　式部大輔《割書：政｜邦》殿江御渡ニ付《割書：昨十四日御普請奉行嶋田佐渡守殿用人小倉半内｜と申者御留守居大関新五左衛門御小屋江罷越申達》

　　　　宇都宮治部左衛門　大関新五左衛門《割書：直｜看》堀十兵衛《割書：久｜律》等罷出式部大輔殿
　　　　家来と立合引渡相済其節嶋田佐渡守《割書：正｜信》殿　御
　　　　朽木丹後守《割書：定｜盛》殿大久保下野守《割書：忠｜佐》殿御越御指図有之右相
　　　　済候為御届御用番松平紀伊守《割書：信｜庸》殿江御使者御留守居
　　　　大関新五左衛門《割書：直｜看》被指出之
　　一　同日《割書：未｜刻》　御着　城
　　一　五月十六日右同断ニ付為御礼御使者大谷助六《割書：重｜照》江戸表江
　　　　被指出之例之通奉書紙并昆布干鯛御樽被献之助六
　　　　今日福井出立
　　一　五月十八日御書を以例之通御国産初鯖被献之
　　一　五月廿三日新知又者御加増被下置候者是迄急度御礼
　　　　申上候儀者無之処向後右之御礼可申上旨左之通
　　　　御書付を以被　仰出
　　　　　　一　番外以上新知知行御加増
　　　　　　　　　右太刀馬代ニ而御礼可申上事
　　　　　　　　　　但馬代百疋宛
　　　　　　一　物頭以下新知知行御加増
　　　　　　　　　右鳥目ニ而御礼可申上事

　　　　　　　　　　 但鳥目代五匁宛
　　　　　　一　御小姓被　召出候節向後表向之通太刀ニ而
　　　　　　　　御礼可申上事《割書：此条本文ニ太刀トアリ但書ニ馬代トアリ｜誤写ナルカ又ハ脱字アルカ》
　　　　　　　　　　但馬代弐匁宛
　　　　　　一　御切米御扶持方之御加増ハ御礼ニ不及
　　　　　　一　高知格之者御加増被下候節銀馬代
　　　　　　　　　　已上
　　一　五月廿八日御帰国御礼御使者大谷助六《割書：重｜照》江戸着
　　　　御用番松平紀伊守《割書：信｜庸》殿江罷出《割書：御留守居大関｜新五左衛門同道》御書指出之
　　一　六月六日泥原新保浦江左之書付之趣申渡候様郡奉行
　　　　武曽権左衛門《割書：重｜寛》江御家老申渡之書付
相渡之
　　　　　　　　覚
　　　　　　今度三国湊他国出入之船積荷物諸商
　　　　　　物口銭取立申筈三国問丸共江被仰付候間
　　　　　　其方支配下泥原新保浦他国出入之船材木
　　　　　　并諸商物口銭問丸共致吟味取立可申候間
　　　　　　新保浦与頭共致吟味船積荷物書出相違
　　　　　　無之様ニ相認三国材木役人三国問丸共方江指

　　　　　　出諸荷物口銭洩不申候様ニ与頭共江急度可
　　　　　　被申渡候口銭之儀ハ三国一所ニ致し問丸共
　　　　　　方ゟ差上候様ニ申渡候間其旨新保与頭共江
　　　　　　可被申渡候以上
　　　　　　　　正徳五未年六月日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　武曽権左衛門殿
　　一　六月十一日御帰国御礼御使者大谷助六《割書：重｜照》　御城江罷出
　　　　《割書：昨十日御用番戸田山城守殿ゟ｜御留守居江御切紙来》御献上物相納《割書：御留守居村上｜三大夫同道》畢而
　　　　公方様　御目見被　仰付退去再罷出自分之御礼
　　　　申上御太刀銀馬代献上之
　　一　六月十五日右同断御使者大谷助六《割書：重照｜》《割書：御留守居大関｜新五左衛門同道》
　　　　御城江罷出候処《割書：昨十四日御用番ゟ｜御留守居江御切紙来》於桧之間御用番戸田山城守《割書：忠｜真》殿
　　　　御返書御渡有之其節助六江御時服三拝領被　仰付
　　一　六月廿一日暑中　御機嫌為御伺御使者上三川太兵衛
　　　　江戸表江被指出之御肴一種被献之太兵衛今日福井出立
　　一　六月廿三日
　　　　公方様　月光院様無卦ニ被為入候ニ付御三家方之
　　　　御模様ニ寄御祈祷可被　仰付旨江戸表江被　仰遣之

　　　　　　但根津昌泉院江御祈祷御頼ニ相成候得共月日不詳
　　一　六月廿五日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　　　　　　　為端午之賀儀帷子単物
　　　　　　　　五到来祝着候委曲松平
　　　　　　　　紀伊守可述之候也
　　　　　　　　　五月二日御黒印
　　　　　　　　　　　　　　　　　福井少将殿
　　　　　　　但右御祝儀御献上ニ付而之　御内書以後同様
　　　　　　　　ニ付不記之
　　一　六月廿ハ日暑中ニ付御書を以例之通御国産索麪
　　　　干鯛被献之
　　一　七月三日暑中　御機嫌御伺之御使者上三川太兵衛
　　　　江戸着御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿江罷出御書指出之
　　一　七月四日豊姫様近々京都江御発輿ニ付為御暇
　　　　乞　御座所江御招請御饗応有之
　　一　七月六日為生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金

　　　　被献之
　　一　七月七日御用番井上河内守《割書：正｜峯》殿御渡之御書付大目付中ゟ
　　　　左之通御廻状来
　　　　　　公事訴詔有之者共奉行役人中并
　　　　　　其家来之末々といふとも内縁を求め
　　　　　　音物を相贈り候　儀制禁有之候
　　　　　　違犯之輩に至而ハたとひ理運之
　　　　　　公事其謂ある訴詔といふとも一切に
　　　　　　許容有へからす若又裁許之後
　　　　　　年月を過き相聞え候といふとも急度
　　　　　　其沙汰に及はれ罪科に行はるへき
　　　　　　者也
　　一　七月十三日　豊姫様近々京都江御発輿ニ付為御餞
　　　　別銀五十枚干鯛一折被進之　梅姫様ゟも綿三十把鯣
　　　　一折被進之
　　一　七月十四日
　　　　公方様御不例ニ付　御機嫌為御伺御用番并御側御用　　　　人江御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》被指出之

　　　　　　但十七日迄御使者毎日被指出之十八日ゟ八月四日迄隔日ニ
　　　　　　被指出候得共不記之
　　一　七月十六日右同断ニ付根津昌泉院江御祈祷御頼有之
　　　　　　但御三家方ニ而御執行ニ付御頼ニ相成
　　一　同日右同断ニ付御用番并御側御用人江御留守居村上　　　　三大夫《割書：正｜峯》罷出相伺候処　御様体追々御快然之段用人
　　　　申聞之
　　一　七月十七日右同断ニ付御同所江御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》
　　　　罷出相伺候処同様申聞之
　　一　七月十九日《割書：五半｜時》　豊姫様烏丸右中弁《割書：光｜栄》殿江御入輿ニ付
　　　　福井御発輿御道中御供御先乗根来清大夫《割書：春｜房》対御
　　　　鑓弐本御挟箱二御長刀御跡箱二御茶弁当御水桶御茶
　　　　碗箱御菓子弁当一荷御召替御輿御跡押荻野孫右衛門《割書：政｜封》
　　一　七月廿日
　　　　公方様御不例之段江戸ゟ申来候ニ付　豊姫様今庄御泊ゟ
　　　　御帰被成
　　一　七月廿一日右同断ニ付為御届京都所司代水野和泉守《割書：忠｜之》殿江
　　　　御使者本多武兵衛《割書：武｜雅》被指出候ニ付今日御徒飛脚《割書：朝倉｜源左衛門》京都江










　　　　被指遣之今日福井出立
　　一　同日
　　　　公方様御不例為御伺御使者加藤所左衛門《割書：次｜堅》江戸表江被指
　　　　出之今日福井出立
　　一　七月廿五日当春《割書：三月｜十四日》切支丹類族田代道伯致病死候ニ付
　　　　切支丹奉行横田備中守《割書：由｜松》殿駒木根肥後守　殿江御留守居
　　　　堀十兵衛《割書：久｜律》を以御届書被指出之
　　一　同日
　　　　公方様御不例御快然之旨江戸表ゟ申来候ニ付　豊姫様
　　　　来廿八日京都江御発輿被成候ニ付右之趣為御届飛脚之者
　　　　京都江被指遣之
　　一　七月廿七日
　　　　公方様御不例　御機嫌為御伺江戸表江御書被指出之
　　一　同日於孝顕寺昨廿六日ゟ今朝迄　見性院様廿三回御忌
　　　　御法事御執行有之
　　　　　　但右ニ付両日共　御参詣
　　一　七月廿八日　豊姫様福井御発輿京都江被為　趣
　　一　同日御不例　御機嫌御伺之御使者加藤所左衛門《割書：次｜堅》江戸着

　　　　御用番江罷出《割書：御留守居大関｜新五左衛門同道》御書指出之
　　一　七月廿九日
　　　　公方様御不例ニ付観理院江御祈祷御頼被成
　　一　同日右同断ニ付　豊姫様御入輿御指延被成候趣御用番
　　　　井上河内守《割書：正｜岑》殿江御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》罷出達之
　　一　八月朔日為御祝儀御使者を以例之通御太刀馬代被献之
　　一　八月二日御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿ゟ御呼出御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》
　　　　罷出候処今度御不例ニ付　豊姫様御婚姻之儀御指延
　　　　被成候趣先達而御達被成候得共打続　御快ニ付御勝手
　　　　次第被成候様用人を以被申聞之
　　一　八月三日豊姫様京都御着烏丸右中弁《割書：光｜栄》殿江御入輿
　　　　御婚姻御整被成
　　一　八月十五日御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》江御使者御留守居大関
　　　　新五左衛門《割書：直｜看》を以去月廿八日　豊姫
様御国表御発輿去三日
　　　　御京着御婚姻相済候趣御届被成
　　一　同日右同断ニ付御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》
殿江御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》
　　　　左之通口上書持参相伺候処御飛札被指出候様御指図有之
　　　　　　伊予守姪当三日京着仕即日烏丸右中弁方江

　　　　　　婚姻相整候由申越候右御礼申上候節献上物
　　　　　　之儀支度仕度去月井上河内守様江奉伺候処
　　　　　　姪之儀御座候得者御礼申上候ニ不及尤献上物ニも
　　　　　　不及候由御指図被成候右之趣在所江申遣伊予守
　　　　　　承知仕候就夫飛札を以右御礼之御連紙差
　　　　　　出候様ニ可申遣趣夫共ニ指扣可申哉此等之趣
　　　　　　奉伺在所江申遣度奉存候御席之節宜被
　　　　　　仰上可被下候奉願候以上
　　　　　　　　八月十五日　　　　松平伊予守内
　　　　　　　　　　　　　　　　　　大関新五左衛門
　　一　八月廿一日深川御抱屋敷今度松平伊賀守　殿江御譲之
　　　　儀ニ付御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》殿江御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》
　　　　左之通書付持参指出之
　　　　　　深川海辺新田之内伊奈半左衛門様
　　　　　　御支配所之内ニ抱屋敷御座候最前
　　　　　　牧野因幡守様御抱屋敷ニ而御
座候処
　　　　　　相対之上先年乞請被申候右之
　　　　　　抱屋敷此度相願候上松平伊賀守様江
　　　　　　差遣被申筈内証申談候深川御屋

　　　　　　敷改御役人様方伊奈半左衛門様江
　　　　　　明廿二日御届仕筈御座候右之趣各様迄
　　　　　　御物語仕置候様被申越候間罷出申候
　　　　　　御席之節可然様被仰上可被下候奉頼候
　　　　　　以上
　　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守留守居
　　　　　　　八月廿一日　　　　　　大関新五左衛門
　　一　九月三日深川屋敷改飯田四郎左衛門　殿ゟ申来御留守居大関
　　　　新五左衛門《割書：直｜看》罷出候処先達而御届有之候深川御屋敷之
　　　　儀御用番江被相伺候処御勝手次第候様候様御指図之
　　　　旨被申聞之
　　一　九月四日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖
　　　　被献之白銀被指上之
　　一　九月六日深川御抱屋敷松平伊賀守　殿江御引渡有之
　　一　九月七日御書を以例之通御国産初鱈被献之
　　一　九月十五日烏丸右中弁《割書：光｜栄》殿ゟ今度御婚姻首尾能御整
　　　　被成候為御祝儀御使者雑掌荒木大学　を以御太刀金
　　　　馬代昆布一箱干鯛一箱御樽一荷瑶林院様ゟ昆布
　　　　一箱鯣一箱御樽代千疋被進之　梅姫様江紗綾二巻

　　　　干鯛一箱御樽代五百疋瑶林院様ゟ干鯛一箱御樽代
　　　　五百疋被進之於　御本丸韃靼？之間大学　御目見被
　　　　仰付畢而於鉄炮間御料理被下之
　　一　九月十七日
　　　　公方様御不例御快然去六日　御表江　出御被遊候ニ付
　　　　為御歓御使者御先物頭本多十郎兵衛《割書：重｜安》江戸表江被指
　　　　出之今日福井出立《割書：去六日大目付中ゟ｜御触達》
　　一　九月廿一日大目付横田備中守《割書：由｜松》殿ゟ申来御留守居大関
　　　　新五左衛門《割書：直｜看》罷出候処左之通御書付御用番久世大和守《割書：重｜之》殿
　　　　御渡二候間写取可申旨被申聞之
　　　　　　近来在々所々ニ而みかさつけと申す事
　　　　　　はやり候由相聞え候博奕同事ニ候右
　　　　　　御領私領におゐて急度制禁あるへく候
　　　　　　惣して何事によらす如此の事相催
　　　　　　し候におゐてハ其頭取并取持候者共
　　　　　　からめ置早速注進あるへき者也
　　　　　　　　未九月
　　一　九月廿八日
　　　

　　　　公方様御不例御快然御歓之御使者本多十郎兵衛《割書：重｜安》江戸
　　　　着御用番江罷出《割書：御留守居大関｜新五左衛門同道》御書指出之
　　一　九月廿九日惣出仕ニ而
　　　　八十宮様《割書：法皇御所之｜皇女》
　　　　公方様江　御入輿之儀被　仰出有之
　　一　十月五日中山出雲守　殿ゟ申来御留守居宮北長左衛門
　　　　罷出候処江戸三十三堂先年類焼之処今度再興被
　　　　仰出　公儀ゟ被下物有之ニ付万石以上之面々ゟも出金
　　　　有之候様ニ御書付を以被申聞之
　　　　　　但御家ニ而者五十両被指出筈
　　一　十月《割書：日不｜詳》　豊姫様御袖被為留
　　一　十月十一日今度
　　　　八十宮様御入輿被　仰出候為御歓御使者三沢甚右衛門《割書：富｜久》
　　　　江戸表江被指出之今日福井出立
　　一　十月廿二日田代道伯《割書：陽｜慶》於江戸所持之町屋敷売払候ニ付
　　　　御普請奉行嶋田佐渡守《割書：正｜信》殿江左之通之書付御家老稲葉
　　　　采女《割書：正｜方》指出之
　　　　　　　　　　　覚





　　一　家来町屋鋪《割書：表口七尺八寸｜裏行拾九間》／四拾坪五合三勺（通塩町町奉行支配）
　　　　　　外ニ四拾壱坪七合三勺者向河岸表口拾六間四尺
　　　　　　五寸裏行弐間半但所並相願蔵地ニ罷成候
　　一　家来町屋鋪《割書：表口四間弐尺七寸｜裏行拾九間三尺六寸》／八拾六坪三合（永富町町奉行支配）
　　　　　　但是者通塩町町屋敷之内広小路ニ罷成候
　　　　　　　代地被下置候
　　　　右弐ヶ所家来田代道伯致所持候
　　　右者伊予守方ゟ書出候家来町屋敷弐ヶ所今度
　　　久保町市兵衛と申町人望候ニ付指遣申そ候右之趣
　　　久世大和守様ヘ申上去七日引渡相済申候伊予守
　　　在所ニ罷在御届之儀延引罷成候間先私ゟ
　　　御断申上候伊予守方ゟ御届書と追而引替
　　　可申候以上
　　　　　　　　　　　　　松平伊予守内
　　　　正徳五乙未年十月　　　　稲葉采女
　　　　　中川淡路守様
　　　　　嶋田佐渡守様
　　　　　天野弥五右衛門様
　　　　　渡辺外記様

　　一　十月廿三日
　　　　八十宮様　御入輿被　仰出候御祝儀之御使者三沢甚右衛門《割書：富｜久》
　　　　江戸着御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿江罷出御書指出之
　　一　同日大目付中川淡路守《割書：重｜泰》殿ゟ申来御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》
　　　　罷出候処左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　　覚
　　　　　　元禄十年諸国酒造米之数を改定められ
　　　　　　運上之事被　仰出其後宝永の初度々に元禄
　　　　　　の定数を減すへき由被　仰出候然ルに酒運上
　　　　　　之事出来候以後酒高直に至り世上のため
　　　　　　不可然候に付て　前御代初酒運上之事
　　　　　　御免許候へ共諸物高直の由を以て酒下直
　　　　　　にも無之其上又酒造米之数も違法之事
　　　　　　候由相聞え候急度御吟味可有之候へ共当年ハ
　　　　　　諸国豊熟之由に候間別儀を以て寒造之酒
　　　　　　元禄十年之定数三分壱に限り此外新酒等
　　　　　　一切に禁止せられ候当年寒造之酒ハ来
　　　　　　春二月より売出すへし上方之酒船積

　　　　　　改等の事ハ厳密之御沙汰可有之候すへて
　　　　　　酒造之法違犯之輩罪科に行はるへき次
　　　　　　第ハ御代々の御例に任せられ其御沙汰
　　　　　　可有之者也
　　　　　　　　　未十月
　　一　十月廿五日重陽御祝儀御献上ニ付而之御内書於御城
　　　　御渡有之御家来拝領物等如例
　　　　　　為重陽之賀儀小袖五
　　　　　　到来祝着候委曲戸田
　　　　　　山城守可述之候也
　　　　　　　　九月七日御黒印
　　　　　　　　　　　　　　　　　福井少将殿
　　　　　　　但右御祝儀御献上ニ付而之御内書以後
　　　　　　　　同様ニ付不記之
　　一　十一月朔日於川端御茶屋相撲被　仰付高知ゟ御番頭
　　　　寄合番外諸物頭御使番并右之子供表御医師迄見物
　　　　被　仰付
　　一　十一月四日来申年御参勤御時節為御伺御使者大谷

　　　　儀左衛門《割書：好｜澄》江戸表江被指出之今日福井出立
　　一　十一月五日於川端御茶屋相撲被　仰付御書院番大御番
　　　　新番同子供并与力諸役人一統席迄見物被　仰付
　　一　十一月十五日御参勤御時節御伺之御使者大谷儀左衛門《割書：好｜澄》
　　　　江戸着御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》殿江罷出《割書：御留守居宮北｜長左衛門同道》御書
　　　　指出之
　　一　十一月十八日御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》殿ゟ御呼出御使者大谷儀左衛門《割書：好｜澄》
　　　　罷出候処来年四月中御参府可被成旨之御奉書相渡
　　　　有之
　　一　十二月二日御勘定奉行水野伯耆守　殿ゟ申来御留守居
　　　　罷出候処案紙を添左之通御書付被相渡之
　　　　　　追而造酒屋無之候ハヽ是又書付可被指出候以上
　　　　　先達而被　仰出候造酒米之儀付領知之内
　　　　　造酒屋有之分吟味ニ而別紙案文之通委細
　　　　　帳面記来正月中迄大手御番所後御勘定所江
　　　　　可被差出候已上
　　　　　　　十二月　　　　　　　大久保大隅守
　　　　　　　　　　　　　　　　　水野因幡守

　　　　　　　　　　　　　　　　　水野伯耆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　伊勢伊勢守
　　　　　　　　　　　　　　　　　杉岡弥太郎
　　　　　　　　　　　　　　　　　萩原源左衛門
　　　　　　　　　案紙
　　　　　　　　　　造酒米之覚
　　　　　　　　　　　　　何国
　　　　　　　　一　米何程　　　古米ゟ造来候高
　　　　　　　　一　米何程　　　元禄十丑年造高
　　　　　　　　一　米何程　　　正徳五未年造高
　　　　　　　　　　　　　　　　　但丑年三分一之積り
　　　　　　　右者領知之内造酒屋之分吟味仕書面之通
　　　　　　　御座候已上
　　　　　　　　　　年号月　　　　　誰家来
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　誰印
　　　　　　　　　　　　御勘定所
　　一　十二月九日寒中　御機嫌為御伺御使者高坂武右衛門《割書：好｜吏》

　　　　江戸表江被指出之御肴一種被献之武右衛門今日福井出立
　　一　十二月十四日御老中戸田山城守《割書：忠｜真》殿御渡之御書付左之通
　　　　大目付中ゟ御廻状来
　　　　　　寄合辻番所ニおゐて番人の外に
　　　　　　かろき者共を差置又ハ人あつめ
　　　　　　仕り事有之由相聞へ候自今以後右之通
　　　　　　之事ニ而越度出来り候ハヽ急度重科
　　　　　　に行はるへき者也
　　　　　　　　未十二月
　　一　十二月十九日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈
　　　　被献之
　　一　十二月廿一日歳暮為御祝儀御使者を以例之通御小袖
　　　　被献之白銀被指上之
　　一　十二月廿二日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：二｜番》生鱈
　　　　被献之
　　一　同日寒中　御機嫌御伺之御使者高坂武右衛門《割書：好｜吏》江戸
　　　　着御用番戸田山城守《割書：忠｜真》殿江罷出御書指出之
　　　　　　但武右衛門翌廿三日　御城江罷出御献上物相納之

　　一　十二月廿三日切支丹類族之者病死并出生之者有之ニ付
　　　　切支丹奉行横田備中守《割書：由｜松》殿駒木根肥後守　殿江御使者
　　　　御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》を以御証文被指出之
　　　　　　　　　　古切支丹類族病死之覚
　　　　　　一　越前国足羽郡福井城下古切支丹柏屋喜兵衛
　　　　　　　　曽孫本人同前ねゑ次女らく倅権当未八月
　　　　　　　　七日四十二歳ニ而病死旦那寺右城下浄土宗
　　　　　　　　浄覚寺ニ而取置申候
　　　　　　　右之通類族一人致病死候間為御断如此候以上
　　　　　　　　正徳五乙未年十二月十三日　松平伊予守《割書：御印判｜》御書判

　　　　　　　　　　横田備中守殿
　　　　　　　　　　　　　　　　宛所振替一通宛
　　　　　　　　　　駒木根肥後守殿

　　　　　　　　　　転切支丹之類族出生之覚
　　　　　　　　越前国足羽郡副城下私家来転切支丹
　　　　　　　　狩野九兵衛孫狩野奥碩倅当未八月出生
　　　　　　　　鉄次郎と申候居所宗旨旦那寺父同前ニ而

　　　　　　　　御座候
　　　　　　　右之通類族壱人致出生候間為御断如此候以上
　　　　　　　　正徳五乙未年十二月十三日　松平伊予守

　　　　　　　　　横田備中守殿
　　　　　　　　　　　　　　　　宛所振替一通宛
　　　　　　　　　駒木根肥後守殿
　　一　十二月《割書：日不｜詳》
　　　　清浄院様　清照院様為御菩提京都上善寺江常念仏
　　　　御頼被成右為念仏料年々米百俵ツヽ御寄附被成

　　　　　裏表紙

家譜

家譜　光通公《割書：従延宝元年｜到同二年》九






　　　光通様《割書：従延宝元年癸丑｜至同二年庚寅》

延宝元年癸丑《割書：此年寛文十三年｜九月廿二日改元》
一正月朔日為年始御祝儀御登城御白書院江
　公方様出御紀伊中納言《割書：光｜貞》様水戸宰相《割書：光｜国》様御引続
　光通様御太刀目録御持参《割書：御上段ゟ｜三畳目》御礼被仰上宰相様
　御次ニ御着座御引渡出夫ゟ初献之御盃中納言様宰相様
　御頂戴御次ニ
　光通様最前之御席江御出座御盃御頂戴御加有之
　其御盃御持御復座之時呉服台御上段ゟ五畳目

　六畳目ニ掛出之再御出座御頂戴又御復座二献之御盃
　御銚子出御引渡与引替御雑煮出中納言様御出座御盃
　御頂戴御盃御本席江御持退其御盃宰相様ゟ
　光通様江御順盃ニ而御頂戴相済御銚子入三献之御盃
　御銚子出御雑煮与引替兎御吸物出中納言様宰相様御一人ツヽ
　御出座御盃御頂戴御盃御本席江御持退宰相様ゟ
　光通様江御順盃ニ而御頂戴相済御銚子入御吸物引之
　畢而御退座
　　　　但年始御礼之次第是迄委難相分候処此年御手続相知
　　　　　候ニ付爰ニ記之

一同日於御屋形年始御御規式有之
一正月三日御謡初為御祝儀御使者を以例之通御盃台
　御酒代被献之
一同月七日為御上初御使者を以例之通御肴《割書：鯛｜三》被献之
一二月廿三日歳暮御祝儀御献上ニ付而之御内書於
　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一同月廿六日於伝通院時廿五日晩ゟ今朝迄
　良覚院様十三回御忌御茶湯御執行有之
一三月廿七日御領分之女他領江遊女ニ遣間敷旨被

　仰出候ニ付於評定所町奉行加藤十右衛門《割書：正｜武》寒江甚右衛門《割書：安｜信》郡
　奉行鈴木宇左衛門《割書：重｜政》小嶋権大夫江御家老稲葉采女《割書：治｜房》申渡之
一三月廿八日於浄光院去廿四日晩ゟ今朝迄
　清池院【光通正妻・国姫】様三回御忌御法事御執行有之於天徳寺茂
　廿六日ゟ今朝迄布与姫様ゟ右同断御執行有之右ニ付
　増上寺方丈為諷経天徳寺江被相越此節
　光通様御参詣御香奠銀二十枚被供之
　　　　但於浄光院御法事有之ニ付於江戸表ハ御法事無之
一同日於大安寺清池院様御石塔御成就ニ付御供養

　有之
一四月十一日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
一同月十二日上使御使番駒井次郎左衛門殿を以
　御鷹之鷭御拝領《割書：上使御取扱｜如例》右為御礼御登城御大老
　御老中江御使者御番頭若年寄中江御使者御物頭被
　指出之
一同月十四日上使御老中土屋但馬守《割書：数｜直》殿を以御国許江之
　御暇被仰出例之通白銀御袷御拝領《割書：上使御取扱｜如例》右為御礼
　但馬守殿江御勤御大老初残ル御老中江御使者御家老飯田

　　主米《割書：安｜成》被指出之
一　四月十五日《割書：五半｜時》　御登　城御暇之御礼被　仰上御鷹
　　御馬御拝領畢而御家老飯田主米《割書：安｜成》　御目見被　仰付退座
　　御時服御羽織拝領被　仰付相済　御退出掛右為御礼
　　御老中若年寄中江　御廻勤
一　同月十六日御拝領之御馬御用番土屋但馬守《割書：数｜直》殿ゟ使者
　　ニ而為牽来
一　五月二日江戸　御発駕御供立御弓三十張御矢箱二荷御先乗
　　榊原十郎左衛門《割書：成｜信》杉形御鑓二十本御鑓奉行奈良左近右衛門《割書：高｜良》
　　
　　御弓立二組御弩瓢二穂御牀机御傘御立笠投鞘御鑓
　　二本大鳥毛御鑓御具足革船二荷御具足櫃笈御鞍置
　　馬御乗掛馬御挟箱突留御鑓二本御腰物筒三御徒御駕
　　御持鑓御長刀御傘御挟箱御召替御馬御乗掛馬御茶
　　弁当徒御供二十人馬上御供十一人乗掛御供五人御跡押
　　御家老飯田主米《割書：安｜成》　召連中山道通　御旅行被成
　　　　御休泊

　　　　五月二日御休　　　　御泊　　　　三日御休
　　　　　　蕨　　　　　　　　大宮　　　　鴻巣

　　　　　御泊　　　　　四日御休　　　　御泊
　　　　　　熊谷　　　　　本庄　　　　　　板鼻
　　　　　五日御休　　　御泊　　　　　　六日御休
　　　　　　坂本　　　　　軽井沢　　　　　岩村田
　　　　　御泊　　　　　七日御休　　　　御泊
　　　　　　望月　　　　　和田　　　　　　諏訪
　　　　　八日御休　　　御泊　　　　　　九日御休
　　　　　　洗馬　　　　　熱【贄】川　　　　　　宮越
　　　　　御泊　　　　　十日御休　　　　御泊
　　　　　　須原　　　　　妻籠　　　　　　中津川
　　　　　十一日御休　　御泊　　　　　　十二日御休
　　　　　　大湫　　　　　太田　　　　　　加納
　　　　　御泊
　　　　　　関ヶ原《割書：但垂井御泊之筈候得共前日京都火事｜之儀申来ニ付御泊替ニ相成》
　　　　　十三日御休　　御泊　　　　　　十四日御休
　　　　　　春照　　　　　木本　　　　　　中河内
　　　　　御泊　　　　　十五日御休　　　
　　　　　　今庄　　　　　鯖江　　　　　　御着城

　　　　　但先前中山道御旅行之所御行列幷御
　　　　　　可相記候得共是迄之御記録類ニ不詳此年相見ヘ候ニ付
　　　　　　相記之
一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単
　　御袷被献之追而　御内書於　御城御渡有之御家来
　　拝領物等如例
一　同月八日頼母《割書：直｜丘》様江御父右近太夫《割書：隆｜政》様御遺領《割書：出雲母里｜一万石》無
　　御相違被　仰出
一　同月十一日於美濃国太田駅去九日










　　禁裏御所炎上之段　御聞被成候ニ付
　　女院御所　女御御方御機嫌為御伺同駅ゟ京都江御使者
　　被指出之
一　同日京都火災有之候処二条御城御別条無之趣ニ付江戸
　　表江御使者を以御書被指出之
　　　　但右御使者江戸着日不詳同月十六日御返書被相渡之
一　五月十二日美濃国関ヶ原駅御止宿之処
　　禁裏御所炎上ニ付
　　主上近衛基凞公亭江　御遷幸
　　法皇御所始御披御安全之旨京都御留守居松田

　　弥右衛門手代ゟ注進《割書：弥右衛門出福｜中ニ付》有之ニ付同駅ゟ江戸表江
　　御使者を以御書被指出之
　　　　但右御使者江戸着日不詳同月十九日御返書被相渡之
一　同月十五日　御着城
一　同月十六日　御帰国為御礼御使者本多左兵衛《割書：逍｜重》江戸表江
　　被指出之奉書紙《割書：五十｜束》被献之左兵衛今日福井出立
一　同月廿五日　御帰国ニ付例之通
　　女院御所御機嫌為御伺御使者清水又兵衛《割書：重｜庸》京都江
　　被指出之奉書紙《割書：十｜束》刺鯖《割書：三十｜刺》被献之
【清水又兵衛の諱は「姓名録」松平文庫で確認済】

一　六月七日　御帰国御礼御使者本多左兵衛《割書：道｜重》　御城江
　　罷出候処御返書御渡有之其節左兵衛江御帷子
　　御単拝領被　仰付
　　　　但　左兵衛　御城江罷出御献上物相納
　　　　　　公方様　御目見被　仰付候月日不詳

一　同月七日暑中ニ付
　　公方様御機嫌為御伺御使者三崎喜兵衛　江戸表江
　　被指出之御肴一種被献之喜兵衛今日福井出立

　　　　　但喜兵衛江戸着日不詳同月廿日御返書被相渡之
一　同月十日御老中板倉内膳正《割書：重｜矩》殿卒去ニ付
　　公方様御機嫌為御伺御使者葛巻治部右衛門《割書：盛｜久》江戸表江
　　被指出之今日福井出立
　　　　　但治部右衛門江戸着日不詳同月廿三日御返書被相渡之
一　同日出雲国大社江　御代拝石丸造酒助被指遣之御太刀
　　馬代《割書：黄金｜十両》被供之
一　同月十二日　御城廻御門塀櫓等迄御普請御成就ニ付
　　為御祝儀御使御家老狛杢之允《割書：貞｜澄》を以御普請惣奉行
【本多左兵衛の諱は「姓名録」松平文庫で確認済】

　芦田図書《割書：吉｜賢》江金馬代綿《割書：百｜把》三種二荷被下之此節図書家来
　清水武右衛門難波金大夫清水佐左衛門江時服二宛其外七人
　之者江帷子二宛被下之
　　　　但酒井孫四郎初御普請御用掛り相勤候面々江被下物
　　　　　有之候得共略之
一同日右同断ニ付為御祝儀芦田図書《割書：吉｜賢》ゟ銀馬代二種一荷
　献上之
一六月十四日暑中ニ付御書を以例之通御国産素麺
　干鯛被献之

一同月十八日御帰国御礼御使者本多左兵衛《割書：道｜重》
　御目見且拝領物被仰付候為御礼御使者松原四郎兵衛《割書：嘉｜明》江戸表江
　被指出之今日福井出立
　　　　　但四郎兵衛江戸着日不詳七月二日御返書被相渡之
一同月廿日権蔵様坂井郡荒谷村ニ兼而御蟄居之処紀州
　高野山江御越御出家可被成旨御書置被成右御住所を今夜
　竊ニ御立江戸表え江御発足被成此時糠田武右衛門与申者其外
　七八人御供ニ被召連
一同月廿一日

　禁裏炎上ニ付御機嫌為御伺御使者本多又左衛門《割書：武｜正》京都江
　被指出之
　禁裏御所江綿百把
　法皇御所江奉書紙二十束
　新院御所江同十束
　女院御所江鬠紙百帖女御御方江同三十帖被献之又左衛門今日
　福井出立
一六月廿四日権蔵様御出府被成候ニ付御使者御使番
　並河平右衛門《割書：興｜勝》を以越後守《割書：光｜長》様出羽守《割書：綱｜隆》左之通御書

　被進之

　　以使札致啓上候然者内々御物語仕候者在郷へ差越
　　置候処頃日当国を罷出候其御地へ罷越候由
　　承候致参着如何様之儀可申上も不知候得者
　　先達而御老中江以書状得御意可申儀不存も
　　右御老中江ハ不能書状候依之貴様迄為御心得
　　申達置候恐惶
　　　　六月廿四日

　　　　越後中将様
　　　　松平出羽守様

　　　但但馬守様兵部大輔様渡辺大隅守殿江も右同様被
　　　　仰遣之御先ニ寄御文面小異有之
一六月廿五日右同断ニ付為追手堀十兵衛《割書：信｜知》下山藤兵衛
　被指遣候処今日相模国藤沢駅追付候而御国許江御帰
　被成候様申上候得共御聞入無之ニ付御跡ゟ江戸表江

　罷越
一同月廿七日権蔵様御出府被成候二ニ付但馬守《割書：直｜良》様ゟ
　右之通御家老迄被仰遣之

　　　　猶々権蔵殿儀内々御名ハ承候得共終ニ不逢
　　　　御目候之処不慮ニ御越越前守殿思召之程
　　　　迷惑申事候以上
　以飛札令啓候越前守殿弥御無異御座候哉
　暑気之時分無心元存候然者昨廿六日権蔵殿

　　拙者方迄御越被成驚入存候爰許一門中も
　　多候処我等方へ御越之儀大慶ニハ存候ヘ共
　　越前殿思召之程令迷惑候ニ付沙汰も有之
　　候ハヽ各可然様頼入候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　　松　但馬守
　　　　　六月廿七日　　　　　　　　　　　　御書判

　　　　　永見志摩殿
　　　　　狛　木工允殿

　　　　　稲葉采女殿
　　　　　飯田主米殿

一七月二日三国金津江為御鷹狩被為入御先乗
　矢野伝左衛門《割書：宗清｜》《割書：但召連｜鉄炮十挺》奈良左近右衛門《割書：高良｜》《割書：但召連｜杉形御鎗十本》被
　召連御先道具《割書：御弓立一組御弩瓢一穂御牀机御傘御立笠｜大鳥毛御槍御具足柩突留御槍二御腰物筒御持道具》
　《割書：御茶弁当｜》被為持同十二日御帰殿
一同日権蔵様之儀ニ付但馬守《割書：直｜良》様ゟ左之通被仰遣之
　　　　今度権蔵殿風与私宅江御越候ニ付如何様之儀

　　　　ニ而御越候哉御一門方多御座候処ニ小身成
　　　　自分方へ御出候事不存寄候由申候得共
　　　　越後守殿可立寄存無之候出羽守殿ハ
　　　　伯母被居候へ共是又不存寄候自分儀者
　　　　存入たる儀在之ニ付御越候御国ニおゐて
　　　　在郷之住居何共迷惑仕候此上ハ可然様ニ
　　　　頼入候併越前守様御為悪敷儀ニ候者自是
　　　　何方へ成共立退可申候外へ参候儀如何
　　　　候而者切腹成共可仕候間如何様ニも指図

　　　　次第与御申候ニ付先留置申候尤世上沙汰
　　　　無之様と御一門方へ被仰談候越前様御ためを
　　　　不存権蔵殿第一与取持申儀ニ而無之候御腰物
　　　　を以誓言仕候何とそ御思案ニ而御子様無
　　　　御座事ニ候間此度首尾能御同心被遊
　　　　可然存候今朝於殿中渡辺大隅守殿
　　　　致参会候所雅楽頭殿此儀御聞之由被仰候と
　　　　物語二御座候此上者可然様ニ御相談頼入候由
　　　　大隅殿江茂申候権蔵殿心底御手手様へ

　　　　対し少もそむき可申義無之候御堪忍
　　　　被成可被下候若御承引難被成候ハヽ被仰聞
　　　　次第拙者相はからひ可申候少も違背申
　　　　間敷候其上ニ而者拙者覚悟之程も御座候
　　　　其段不及申候権蔵殿御気量諸事御心
　　　　くばり以下無残所御様子ニ而か様之御子様
　　　　御持被成御取立無之者無是非事ニ御座候
　　　　末々御自分様ニも御おとり被成間敷
　　　　程ニ存候御一門様方大隅殿ゟ御了簡之趣

　　　　申立候ハ如何様共各次第と有之御返事
　　　　被遊可被下候七十ニ余り一生之御無心ニ御座候間
　　　　此上者不便と思召但馬守如此申上候上者無
　　　　是非事与被仰候者世上之者も悪敷者
　　　　申間敷候世上ニ而悪敷申拙者儀ニ候得共
　　　　此事ハむさといたし候而者中納言様
　　　　御名出申事ニ御座候左候へ者御手前様も
　　　　如何ニ御座候態々権蔵殿御頼候而御越候
　　　　事ニ候得者其段被思召分可被下候万一

　　　　御子様ニ被成候事御同心無御座候ハヽ権蔵殿
　　　　御かんとふ御免被成拙者へ可被下候幸
　　　　若狭守壱人ニ而力なく候間老後之便りニ
　　　　仕度存候とかく来春参勤被遊候
　　　　刻面上ニ御相談可仕候越後守殿出羽守殿ハ
　　　　御公儀へ伝而も能候間両所之内へ御越候様
　　　　ニと申候へ共権蔵殿合点無之拙者も
　　　　其元思召迷惑ニ存候已上
　　　　　　七月
一七月六日為御生見玉御祝儀御書を以例之通
　黄金被献之　御台様江鯖御樽被指上之
一同月十日御書を以例之通御国産初鱈被献之
一同日渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿江先達而権蔵様之儀ニ付
　御使番並河平右衛門《割書：興｜勝》を以被仰遣候ニ付而之御返書
　大隅守殿ゟ平右衛門江被相渡之
　　　　　　猶以何方江も相談なく存寄早々申上無
　　　　　　遠慮たわけ者ハ御存候間如斯御座候何方
　　　　　　江も御沙汰成被下間敷候御出入之甲斐も

　御座候かしと秀康公奉念候以上
一筆啓上仕候然者並河平右方ニ被仰下候趣
　奉得其意候
一権蔵殿不計御国本御発足道中御無為
　松但馬殿御下屋しき御参着一段之
　御事ニ御座候路次ニ而不慮之儀も有之か
　又ハ他門へ御越被成候ハヽ難儀千万ニ可有
　御座処ニ右之通大慶奉存候
一永見所ニ被成御座候時分加様ニも御座候ハヽ

　御手前様江対し不儀之御仕合と可奉存
　候へとも其時分者兎角之御構なく
　在郷へ御蟄居被仰付候故如斯之段御尤ニ
　御座候此度道中被成御座候御様体乱気
　之者被仰付様無残一々御仕廻流石御血筋を
　御顕し被成と我々恐悦此事ニ候御一門之内
　但馬守殿へ御越被成候御遠慮も致感入候
　御先祖秀康卿も権現様何角と御意
　被成本多作左へ御預

　太閤様江人質御養子ニ被遣其上結城晴友ニ
　御養子ニ御越関ケ原御陣ニいたつて
　御惣領家を御顕シ越前一国被遣候権蔵殿
　御下向御吉例目出大慶不可過之奉存候
一権蔵殿御器量御手前様ニ見まかひ一入
　御成長之様ニ御賢弟兵部殿被仰聞早速
　懸御目度存但馬殿江罷越申入候所
　御手前様江御遠慮ニ而御逢不被成候達而
　御断申上候得共難面不被遂御会顔候
　定而私ニ御逢被成候者御帰参之儀をも
　御頼被成候かと人々之存処をも如何与
　被思召右之通ニても可有之候哉遠路
　之処御見廻申上すこ〳〵と罷帰候
　へとも御気然之正敷一々乍憚奉考
　懸御目候ゟも喜帰宅仕候未一門ニも
　御対顔無之由ニ御座候
一権蔵殿御事江戸中之者取沙汰残
　所も無御座候御老中も御聞拙者ニ様子

　御尋候間有増御挨拶仕候越後守殿出羽守殿
　但馬守殿大和守殿兵部大輔殿此度平右ニ
　急度御断可被仰遣候へ共貴様思召如何と
　御遠慮ニ而御延引之様及承候此上者兎角
　之御思案も御座有間敷様ニ奉存候
　只今迄永見ニ御預置候儀何も無疑様ニ
　被存候其上何角被仰権蔵殿不慮も
　有之候ハヽ但馬守殿すたり申候
一越後守殿来十二日何も御寄合被成筈ニ候

　拙者儀も致伺公様ニ被仰下候多分何茂
　思召寄ニ候間此度者御同心可然奉存候私
　存命之内埒御明被下候者御出入之甲斐
　有之候かと奉存候何茂様江無御相談存
　寄申上候間必々御沙汰被成下間しく候
　恐惶謹言
　　七月十日　　　　　渡辺大隅守

　　越前守様
　　　　　参人々御中

　　一　七月十七日右同断渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿ゟ御返書参候
　　　　ニ付再左之通御書被遣之
　　　　　　　　猶以被仰聞迄も無御座幸之儀と存候得共
　　　　　　　　自先年思案之上之儀ニ候へ者今以思案
　　　　　　　　相違無御座候一々御了簡可被置候
　　　　　
　　　　　　　今月十日之御状並河平右衛門持参いたし
　　　　　　　十六日一々令披見候先以御無事御勤之旨
　　　　　　　珍重存候
　　　　　一　最前以平右衛門申進候者之儀ニ付段々御申
　　　　　　　聞之通承届候先以色々結構成儀ニ御取成
　　　　　　　被仰聞之趣過当之至存候然者自最前
　　　　　　　御存之通之仕合其上先年十ヶ年計も
　　　　　　　已前旧妻呼越シ養度段再三申候得共
　　　　　　　所存有之候故同心不仕其已後も再三願候ニ付
　　　　　　　旧妻へハ所存之段少々申聞候其以後承届
　　　　　　　兎角之儀不申候然ル処去年発足前
　　　　　　　同姓出羽守達而色々申聞対我等不興

　　　　　　被致候得共右存故同心不申候其以後越後
　　　　　　中将夫婦被申様有之候へ共右之通ニ候御覚も
　　　　　　可有之候貴殿其段御申聞石谷土入土屋
　　　　　　兵部喜多見久大夫方も異見ニ候へ共何もへ
　　　　　　右之通申置候然処今度ヶ様成儀仕出し
　　　　　　道中もさハかしく其上但馬守所へ志有之
　　　　　　おゐてハ何分とも在所被罷在刻可申達処
　　　　　　如此之仕合之儀ニ候得者兎角此上御返事難
　　　　　　申候手前心底兼而存之事ニ候間弥被思
　　　　　　召分可給候扨又我等取相於無之候但馬守
　　　　　　為不可然候由御申聞一入ヶ様成儀致出候儀
　　　　　　不届千万ニ存候併此段ハ貴殿之御事
　　　　　　候故申遣候ひそかに被致当分兎角と
　　　　　　無之候共但馬守為少も不苦と存候其段ハ
　　　　　　御了簡可有候此上但馬守為一通と存何分
　　　　　　ニも我等和候ても右之所存相違無之旨
　　　　　　甲斐御座有間しき儀と御了簡可有
　　　　　　御座と存候御自分別而得御書候詮有之

　　　　　　様ニと被仰聞候其段ハ我等もいかにも
　　　　　　致了簡候へ共右之段々先年　上聞相達
　　　　　　候様ニ承候故様々思案之上ニ　公儀江さへ
　　　　　　御断申上重而不及御沙汰候様ニと申上
　　　　　　上ハ御了簡候而可被下候越後中将を始兄
　　　　　　弟共と為御相談ニと存御報早々申入候
　　　　　　恐惶
　　　　　　　　七月十七日
　　　　　　　渡辺大隅守殿
　　一　八月朔日為御祝儀御使者を以例之通御太刀馬代
　　　　被献之
　　一　同月十一日
　　　　公方様御機嫌為御伺御使者白樫三郎兵衛江戸表江
　　　　被指出之御肴一種被献之三郎兵衛今日福井出立
　　　　　　但三郎兵衛江戸着日不詳同月廿五日御返書被相渡之　
　　一　同月十二日於松尾寺山大筒町打　御覧有之狛
　　　　木工允《割書：貞｜澄》太田安房　山内隼人斎藤民部《割書：定｜之》有賀左衛門《割書：正｜方》
　　　　杉田小平次《割書：三｜竹》笹治大学《割書：良｜次》　御先江罷越御小屋ニ相詰

　　　　　　　　　　　　　永見志摩与力
　　　　手前ニ而百目　　　　　　　村松三郎兵衛
　　　　　　前切拾七間幕通
　　　　　　　　　　　　　山内隼人与力
　　　　手前ニ而百目　　　　　　　木村彦右衛門
　　　　　　後弐拾間幕通弐間下
　　　　　　　　　　　　　笹治刑部与力
　　　　手前ニ而三百目　　　　　　逸見茂大夫
　　　　　　後四拾壱間越拾間
　　　　　　　　　　　　　斎藤民部与力
　　　　手前ニ而三百目　　　　　　立田宇右衛門
　　　　　　前切玉付不知

　　　従是台
　　　　百八拾目　　　　　　　　　長谷川武右衛門
　　　　　　越七間前七間
　　　　五百目　　　　　　　　　　津田源之丞
　　　　　　越弐間後三尺
　　　　弐百目　　　　　　　　　　虎走弥兵衛
　　　　　　後弐拾九間越八間　　
　　　　三百目　　　　　　　　　　山本吉大夫
　　　　　　前三拾間越三間

　　　　　　　　　　　　　永見志摩与力
　　　　　　　　　　　　　　　　　朝日与五左衛門
　　　　三百目　　　　　　　　　　中俣瀬兵衛
　　　　　前拾四間落九尺　　　　　奥山七郎右衛門

　　　　　　　　　　　　　狛木工允与力
　　　　　　　　　　　　　　　　　岩崎孫右衛門
　　　　三百目　　　　　　　　　　関七郎左衛門
　　　　　前拾四間越壱間　　　　　嶋武右衛門

　　　　　　　　　　　　　杉田小平次与力
　　　　　　　　　　　　　　　　　松尾金左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　有田小左衛門
　　　　弐百目　　　　　　　　　　中俣市郎左衛門
　　　　　後六拾間幕通　　　　　　有沢五左衛門

　　一　八月十四日於　御本丸飯嶋新左衛門《割書：由｜因》弟子并林孫左衛門
　　　　弟子分之者射術　御覧被成
　　一　同月十五日於　御本丸多賀谷三郎右衛門　恩田儀兵衛《割書：貞｜則》
　　　　弟子并川合源大夫弟子分之者射術
　　　　御覧被成

　　一　八月十九日江戸表去五日大風雨ニ候得共御曲輪之中
　　　　御別条無之ニ付為御歓御書被指出之
　　　　　　但九月朔日右御返書被相渡之
　　一　九月六日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖
　　　　被献之追而　御内書於　御城御渡有之御家来
　　　　拝領物等如例
　　一　同日右同断ニ付御使者を以例之通
　　　　御台様江白銀《割書：十｜枚》被指上之
　　一　同月九日先達而《割書：去月｜廿三日》
　　　　女御御方御安産　姫宮《割書：御諱｜采子》御降誕ニ付為御歓江戸表江
　　　　御書被指出之
　　　　　　但同月十九日御返書被相渡之
　　一　同月十九日当夏御暇之節御拝領之御鷹塒出ニ付
　　　　於堀田備中守《割書：資｜宗》殿御渡有之
　　一　同月廿二日年号延宝と改元
　　一　十月五日先達而《割書：八月｜廿三日》
　　　　女御御方御安産　姫宮御降誕ニ付為御祝儀御使者
　　　　石原平右衛門《割書：重｜長》京都江被指出之

　　　　禁裏御所江御太刀金馬代
　　　　法皇御所江右同断
　　　　女院御所江紗綾《割書：紅｜白》十巻昆布一箱鯣一箱御樽一荷
　　　　女御御方江白銀十枚昆布一箱鯣一箱御樽一荷
　　　　姫宮様江御産衣三重昆布一箱鯣一箱御樽一荷被
　　　　献之平右衛門今日福井出立
　　一　十月七日当夏御暇之節御拝領之御鷹福井江着
　　　　ニ付水落駅迄三寺与右衛門《割書：信｜清》大関
吉左衛門赤坂迄本多
　　　　平大夫被遣之御鷹　御城江着之節瓦御門橋之
　　　　外迄大関助左衛門《割書：直｜正》荒川権七　白洲江御奏者番横目
　　　　御玄関江御家老罷出御鷹於御広間御頂戴相済
　　　　高知之面々瓦御門番番頭江拝見被　仰付御長蚫
　　　　被下之其外御用人番外当番之面々迄不残御長蚫
　　　　被下之
　　一　同月十二日
　　　　公方様御機嫌為御伺御使者東新五右衛門《割書：祐｜正》江戸表江
　　　　被指出之御肴一種被献之新五右衛門今日福井出立
　　　　　　但新五右衛門江戸着日不詳同月廿ニ日御返書被相渡之

　　一　十一月五日先達而年号改元被　仰出候為御祝儀
　　　　御書被指出候処右御返書於御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿
　　　　今日被相渡之
　　一　同月十三日御使者加藤牛兵衛を以当夏御拝領
　　　　御鷹捉飼之雁鴨被献之牛兵衛今日福井出立
　　　　　　但牛兵衛江戸着日不詳同月廿五日御返書被相渡之
　　一　同月十四日御鷹之鶴御拝領ニ付於御用番宅御老中
　　　　連名之御奉書并鶴御渡有之右ニ付御徒川崎仁右衛門《割書：勝｜次》
　　　　指添御国許江指立之
　　一　同月十九日《割書：卯｜刻》宿継御奉書を以御拝領之鶴福井江着
　　　　於御玄関御書院番士請取之大広間ニ而花木外記《割書：吉｜時》
　　　　荒川十右衛門《割書：直｜盛》江相渡之於　御座之間御奉書御覧鶴
　　　　御頂戴被成
　　　　　　一　筆令啓達候
　　　　　　公方様益御機嫌能被成御座候間可
　　　　　　御心安候将又御鷹之鶴拝領候
　　　　　　之条以宿次差越之候恐々謹言

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守
　　　　　十一月十四日　　　　　　　　　　数直書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　広之書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正則書判
　　　　　　　　　松平越前守殿
　　　　右相済御請御書即刻通飛脚を以被差立之
　　一　十一月廿日浄光院住職代々常紫衣之儀御願《割書：越後守《割書：光｜長》様と被仰｜合御一所ニ御願被指出》
　　　　被成候処御願之通被仰出
　　　　　　但右之趣御達有之候様御老中被申聞候由渡辺大隅守殿ゟ
　　　　　　　御国許江申来
　　一　同日右同断ニ付御老中ゟ京都諸司代永井伊賀守《割書：尚｜庸》殿江之
　　　　御奉書御老中ニ而被相渡之依之御奉書御徒飛脚宮川
　　　　一郎兵衛を以御国表江相廻之
　　　　　　但右御徒飛脚同月廿七日福井着
　　　　　御奉書
　　　　　　越前国福井庄浄光院事依為

　　　　　　中納言秀康卿菩提所常紫衣被
　　　　　　仰付之候　勅許候様伝
　　　　　　奏衆迄可被申入候恐々謹言
　　　　　　　延宝元丑　　　　　　土屋但馬守
　　　　　　　　十一月廿日　　　　　　数直書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　広之書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正則書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　酒井雅楽頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠清書判
　　　　　　　　　　永井伊賀守殿
　　一　十一月廿二日　御鷹之鶴御拝領ニ付為御礼御使者太田
　　　　安房　江戸表江被指出之今日福井出立
　　一　同月廿九日御使番出渕平兵衛《割書：盛｜許》召仕之中間八助と申者
　　　　傍輩之下女と致密通候ニ付両人共成敗仕度旨平兵衛ゟ
　　　　相達候ニ付可致心次第旨於評定所御使番月番並河
　　　　平右衛門《割書：奥｜勝》御家老稲葉采女《割書：治｜房》申渡之
　　一　同月晦日浄光院常紫衣被仰出候ニ付御老中ゟ京都所司代
　　　　永井伊賀守《割書：尚｜庸》殿江之御奉書渥美新右衛門《割書：友｜信》持参被　仰付
　　　　　　但新右衛門出立并京都着日不詳

　　一　十二月三日兵部大輔様御実母高照院殿《割書：浦上｜氏》死去
　　一　同月四日浄光院常紫衣被仰付候為御礼御使者斎藤
　　　　民部《割書：定｜之》江戸表江被指出之今日福井出立
　　　　　　但民部江戸着日不詳
　　一　同月五日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被献之
　　一　同日寒中　御機嫌為御伺御使者河合源大夫　江戸表江
　　　　被指出之御肴一種被献之源大夫今日福井出立
　　　　　　但源大夫江戸着日不詳
　　一　同月十五日　御鷹之鶴御拝領之為御礼御使者太田
　　　　安房　を以御肴被献之安房　御目見被　仰付退座再
　　　　自分之御礼被　仰付追而御返書於御城御渡有之安房江
　　　　御小袖《割書：三｜》御羽織拝領被仰付
　　一　同日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：ニ｜番》生鱈被献之
　　一　同月廿一日万助【出雲松江藩】《割書：綱｜近》様《割書：出羽守《割書：綱｜隆》様｜御嫡》御元服被叙従四位下甲斐守と
　　　　御改
　　一　同月廿二日蟇目山江為追鳥狩被為　入御家老初大名分
　　　　瓦御門番御番頭諸物頭御番士等五十歳以下十五歳以上
　　　　之面々被　召連

　　　　　　但江端橋詰ニ而着到附有之
　　一　十二月廿七日御鷹之鶴御拝領御礼御使者太田安房
　　　　御目見且拝領物被　仰付候為御礼小嶋与五右衛門《割書：好寛｜寛》江戸表江
　　　　被指出之今日福井出立
　　　　　　但与五右衛門江戸着日不詳
　　一　同月《割書：日不｜詳》為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　　　追而　御内書於御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　同日右同断ニ付御使者を以例之通御台様江白銀《割書：十｜枚》被指上之
延宝二年甲寅
　　一　正月朔日於　御本丸年始御規式有之
　　一　同日為年始御祝儀御使者水谷治左衛門《割書：氏｜慶》を以例之通御太刀
　　　　馬代被献之
　　　　　　但治左衛門旧臘七日御国表出立
　　一　同月十一日年始三ヶ日之御規式相済候為御祝儀御使者
　　　　秋田六郎右衛門《割書：勝｜憲》江戸表江被指出之御肴一種被献之六郎右衛門
　　　　今日福井出立

　　　　　　但六郎江戸着日不詳
　　一　正月十三日
　　　　法皇御所旧冬御移徙相済候為御祝儀御使者大井田
　　　　九右衛門　京都江被指出
　　　　法皇御所江奉書紙《割書：二十｜束》三種ニ荷
　　　　女院御所江二種一荷被献之九右衛門今日福井出立
　　一　同月十八日　御参勤御時節御伺御使者波々伯部角兵衛《割書：繁｜長》
　　　　江戸表江被指出之
　　　　　　但角兵衛江戸着日并御奉書被相渡候月日不詳
　　一　同月廿三日　権蔵様之儀ニ付御使者吉岡竹右衛門を以
　　　　越後守《割書：光｜長》様江左之通被仰進之
　　　　　　態以使札致啓上候先以余寒候得共弥御堅固
　　　　　　被成御座候由珍重奉存候先日者早々私宅へも
　　　　　　御出忝奉存候於御国本　下野守殿御気色
　　　　　　弥御快気之由珍重奉存候拙者儀無異儀
　　　　　　罷在当年ハ気色好吉年ニ而家来共
　　　　　　年始之祝儀を請申候間御心安可被思召候
　　　　一　去夏但馬守殿へ走込候者之儀ニ付而従隅州　

　　　　　　其節両度書状被指越候得共自先年
　　　　　　御物語仕候通之者故何を改可申越品無
　　　　　　之ニ付隅様【州ヵ】令返報及早々候其以後手前
　　　　　　存之段弥可申達と存候へ共但馬守殿我等
　　　　　　存念御存無之過言も有之由承候ニ付
　　　　　　各々申達候儀も先致延引候頃日同姓
　　　　　　兵部大輔致参着各御参会之様子をも
　　　　　　具ニ為申聞候但馬殿御為笑止被思召之旨
　　　　　　承御尤奉存候我等儀も御同然存候然共自
　　　　　　最前度々被仰聞候得共其刻御物語申候
　　　　　　通今以思案相違無御座候上ハ世倅ニ仕候儀
　　　　　　不及申世倅ニ而無之上ハ御沙汰ニ被及間敷
　　　　　　儀ニ候得共御目見抔と但馬殿思召候共世倅ニ
　　　　　　仕候儀と御目見之儀者以八幡大菩薩ふつと
　　　　　　不罷成候間左様御心得被成可被下候此段者御心得ニ
　　　　　　可成と存申上候尤参勤之砌御直談可被成候由
　　　　　　兵部為申聞承候共何ヶ度被仰聞候而も右之趣
　　　　　　之儀ニおゐて御挨拶ニ及間敷と迷惑仕候委細

　　　　　　吉田竹右衛門差越候条口上申含候恐惶謹言
　　　　　　　　正月十三日
　　　　　　　　　越後中将様
　　　　　　　猶以先年も申上候通一通世倅と被思召被仰聞
　　　　　　　之段御御尤ニ奉存候へ共所存有之右之通度々
　　　　　　　御物語候仕者之儀ニ御座候参勤之上世倅と
　　　　　　　之御沙汰被仰聞候共兎角之御挨拶ニも不
　　　　　　　被及儀慮外之体可為と迷惑仕候委細ニ不被
　　　　　　　申上候故御不審ニ被思召候処も御尤と存候以上
　　　　　　但中務大輔様大和守様渡辺大隅守殿江も右同様被
　　　　　　仰進御先ニ寄御文面小異有之
　　一　正月廿八日今度浄光院常紫衣被仰付候為御礼出府ニ付
　　　　登　城　御目見被　仰付且御小袖拝領被　仰付　依之右為
　　　　御礼御使者成田吉左衛門江戸表江被指出之今日福井出立
　　　　　　但吉左衛門江戸着日不詳
　　一　二月十五日
　　　　公方様御機嫌為御伺御使者水野半兵衛江戸着江被
　　　　指出之御肴一種被献之半兵衛今日福井出立

　　　　　　但半兵衛江戸着日不詳
　　一　同日　権蔵様之儀ニ付御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿江左之通
　　　　被仰遣之　
　　　　　　　猶以両度但馬守殿まて御断申上候故貴様を初
　　　　　　　とかくの儀不申達候去夏御暇乞之刻被仰出候故
　　　　　　　有増御物語仕候右之段内存之通申入置候以上
　　　　　　内状致啓上候先以
　　　　　　公方様増御機嫌能被為成御座候由度々
　　　　　　承目出度儀共不過之奉存候次ニ貴様弥御
　　　　　　堅固御勤之由珍重存候我等儀も無為ニ
　　　　　　休息仕参勤仕度存候者【間ヵ】来月下旬か
　　　　　　四月二日三日頃発足可仕と存候
　　　　一　去夏同姓但馬守方へ走込申者之儀先年
　　　　　　上聞ニも達候様ニ土屋但馬守殿ゟ同姓兵部
　　　　　　大輔御暇之刻被　仰聞候故其節但馬守殿
　　　　　　迄書状を以御断申上置其以後我等
　　　　　　但馬守殿へ参候而直談ニも御断申上置候ニ付
　　　　　　貴様と申なから但馬守殿手まへ遠慮仕

　　　　　　去夏書状を以も不申入候先月此者之儀
　　　　　　同姓越後守を初何も一類共へふつと
　　　　　　申切置候其趣采女方ゟ伊織方へ申越
　　　　　　候様ニと申付候間定而御聞可被成と存候右之通
　　　　　　候間彼者落着何も相談可仕と存候へ共同姓
　　　　　　但馬守我等存之子細をも了簡不仕去夏　　　
　　　　　　からの様子承候へハ各々へも申上各々御取
　　　　　　あつかいニも罷成候而者我等儀以之外
　　　　　　迷惑仕候兼而御断申上置候者之儀候間御
　　　　　　取上者有間敷候得共若上ゟ被召出候訳ニも
　　　　　　罷成候而者すしめちかい候と存候者を我等
　　　　　　見かわし罷在候儀成間敷と存至極仕候間
　　　　　　左様に御心得被成可被下候貴様へ我等内存
　　　　　　不得御意候儀如何被存故如此ニ御座候
　　　　　　恐惶謹言
　　　　　　　　　二月十五日
　　　　　　稲葉美濃守様
　　　　　　　　　人々御中

　　一　二月六日下野守《割書：綱｜賢》様《割書：越後守様｜御嫡》御卒去《割書：正月｜晦日》ニ付為
　　　　御代焼香越後国高田長恩寺江中川六左衛門《割書：重｜好》被指遣之
　　一　三月十八日今度於牧野嶋勧進的被　仰付候ニ付去六日ゟ　　
　　　　興行有之惣奉行有賀左衛門《割書：正｜方》并横目一人宛毎日
　　　　相詰今日ニ而相済《割書：去五日吉辰ニ付射場入有之候処俄雨天ニ相成候ニ付｜六日ゟ相始一七日興行之処打続雨天ニ付日数相延》
　　　　金的三ツ共射上候ニ付右射手之師多賀谷三郎左衛門　川合
　　　　源大夫　林孫右衛門　飯嶋新左衛門《割書：由｜因》恩田儀兵衛《割書：貞｜則》江
　　　　御本丸於指物之間御小袖一御羽織一宛被下之
　　　　　　　　　　　　　多賀谷三郎左衛門弟子
　　　　　　　　　　　　　　　長右衛門子
　　　　　金的射手　　　　　　　　　　戸田勝大夫
　　　　　　　　　　　　　　　有賀左衛門与力
　　　　　　同　　　　　　　　　　　　青木四郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　飯嶋新左衛門弟子
　　　　　　同　　　　　　　　　　　　笹治八大夫
　　　　但十七日為　御名代永見志摩《割書：通｜洪》狛木工允《割書：貞｜澄》右場所江罷越
　　　　一　右相済候ニ付勧進元弓屋某江銀弐枚被下之
　　一　閏月廿一日　御在府中御無難被遊　御勤候様ニとの為御念願
　　　　伊勢　両宮并朝熊江高塚吉右衛門　城州石清水并
　　　　愛宕江高村四郎左衛門《割書：成｜房》為　御代参被遣候旨御直被

　　 　　仰付之
　　一　同日御城下廻り被為　出寒江甚右衛門《割書：信｜安》宅江　御腰被為
　　　　掛御吸物御菓子被　召上　御帰殿
　　一　三月廿四日去十二日ゟ御痰気御指発今日ニ至候而者
　　　　御指重之　御様体之段為御達御使番伊野次郎大夫
　　　　渥美助左衛門《割書：吉｜次》江戸表江被指出之今夜《割書：酉｜刻》福井出立
　　　　　　但次郎大夫助左衛門江戸着日不詳
　　一　同日《割書：戌｜刻》於　御本丸　御逝去《割書：御年｜三十九》
　　一　同日右同断ニ付江戸表江為御注進酒井孫四郎《割書：元｜宣》石川
　　　　太左衛門即刻出立
　　一　同月廿五日右同断ニ付　兵部大輔様ゟ江戸表江左之通
　　　　御届書被指出之
　　　　　　　越前守近年病気其上当月十二日ゟ持病之
　　　　　　　痰指出家来井上養伯と申者之薬服用仕
　　　　　　　其後岡部高伯と申者之薬服用仕廿四日
　　　　　　　之昼八時ゟ散々之様子ニ而同夜五時ニ相果候
　　　　　　　　　三月廿五日　　　松平兵部大輔

　　　　　　但右御届書江戸表江相達候日不詳
　　一　三月廿六日　御棺浄光院江奉移
　　一　同月廿八日去亥年御病気中四月廿日御認之
　　　　御遺書御家老稲葉采女《割書：治｜房》御宿老芦田図書《割書：吉｜賢》持参
　　　　福井出立
　　一　同月晦日　兵部大輔様江御悔之御奉書於御老中
　　　　宅被相渡之
　　　　　　　松平越前守病気処養生不相叶去廿四日
　　　　　　　卒去之由使者口上之趣及　高聴御哀惜之
　　　　　　　御事候誠ニ不及是非儀御心痛察入候
　　　　　　　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守
　　　　　　　　　三月晦日　　　　　　　数直書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　広之書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正則書判
　　　　　　　松平兵部大輔殿
　　一　四月二日江戸御屋敷江　上使御奏者番戸田伊賀守《割書：忠｜昌》殿を以

　　　　　　 御香奠銀五百枚御拝領　中務大輔《割書：昌｜勝》様出羽守《割書：綱｜隆》様御越
　　　　　　御請有之
　　　　一　同日此度
　　　　　　光通様御逝去ニ付御国御締之儀ニ付兵部大輔様江之
　　　　　　御奉書於御老中宅被相渡之
　　　　　　　　御状令被見候最前被差越使者以後其
　　　　　　　　国中福井城内家中之輩迄別条無之
　　　　　　　　由以使者被申越之趣承届候雖不及申候
　　　　　　　　無遠慮万事可被申付候猶使者可令
　　　　　　　　演説候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守
　　　　　　　　　四月二日　　　　　　　　数直書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　広之書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正則書判
　　　　　　　　　松平兵部大輔殿
　　一　四月七日於浄光院御葬式有之《割書：大安寺江御納被成度｜御遺言之旨御家老ゟ大安寺》
　　　　《割書：黙印和尚江申談候処　御代々様御棺浄光院江被為　入御先例ニ候得者於｜浄光院御葬儀有之可然旨黙印和尚申出候ニ付於浄光院御葬式有之》

　　　　大安寺黙印和尚最初ニ焼香法語等相済浄光院方丈
　　　　焼香御葬式相済於寺中奉荼毘
　　　　　　御法号
　　　　　　　於大安寺　
　　　　　　　　大安寺殿前越州大守左少将萬休無無大居士
　　　　　　　　　但右御法号者御在世中御望ニ付大安寺開山大愚和尚
　　　　　　　　　奉法諡之
　　　　　　　於浄光院
　　　　　　　　大安寺殿前羽林次将賢誉徳超萬休大居士
　　一　四月八日御家老稲葉采女《割書：治｜房》御宿老芦田図書《割書：吉｜賢》昨七日
　　　　御一門様江罷出御遺書之趣申上候処越後守《割書：光｜長》様江御寄合
　　　　有之御相談之上出羽守《割書：綱｜隆》様今日采女図書被召連御用番
　　　　土屋但馬守《割書：数｜直》殿江御越越前守書置之通無相違被
　　　　仰付被下置候様一門共何も奉願候由被仰達左之通御遺書
　　　　并本多孫太郎《割書：長｜員》初ゟ之願書被指出之
　　　　　寛文十一辛亥年四月兼而御認置之御直書
　　　　　　拙者儀実子無御座候同姓兵部大輔儀くるし
　　　　　　からす被為思召候ハヽ何分ニも家とくニ被仰付

　　　　　　被下候様ニと奉願候家督ニ被仰付家御立
　　　　　　ふたいの家来分散不仕候様ニ於被　仰付者
　　　　　　誠以御高恩之上御高恩ニ可奉存候此趣可
　　　　　　然様ニ死後ニ御披露仰所候恐惶謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　　松平越前守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　御書判
　　　　　　　　四月廿日　　　　　　　　
　　　　
　　　　　　　酒井雅楽頭殿
　　　　　　　阿部豊後守殿
　　　　　　　稲葉美濃守殿
　　　　　　　久世大和守殿
　　　　　　　土屋但馬守殿
　　　　　　　板倉内膳正殿
　
　　　　　　以別紙如此ニ御座候拙者父伊与守義ばく
　　　　　　たい之御取立其身一代難有御高恩之
　　　　　　段朝夕拙者倅之時分申聞申出刻者
　　　　　　いつとても泪をなかし申候拙者せかれ

　　　　　　なから忘置申間布旨申聞候然所ニ
　　　　　　其身何之御奉公も不申上相果候果候
　　　　　　刻も右之段度々申出外の申置少も
　　　　　　不申候たゞ右之段失念仕間布由
　　　　　　計申候拙者迄ニも無御座中務大輔ニも
　　　　　　くれ〳〵申候中務義ハ失念仕候をも不存候
　　　　　　扨又拙者義不存寄伊与守家督被
　　　　　　仰付其上
　　　　　　大猷院様色々上意共御座候而御奉公
　　　　　　相勤候御好も被仰聞せかれニ御座候所ニ身ニ
　　　　　　不相応けつかう之　上意被　仰聞当分
　　　　　　せかれ故なに之わきまへも無御座候所ニ
　　　　　　年々
　　　　　　上意之趣存出又同姓古出羽守たへす
　　　　　　上意之段申聞候年々難有仕合共ニ奉存
　　　　　　父伊与守申聞候所もあつ〱存出一入身之
　　　　　　不届成所迷惑仕候迄ニ而罷在候
　　　　一　せかれと申何之御奉公も不申上所当

【頭注】
大安公之　
思召難有事ニ候
此御書面相見候て
只落涙袖をしほる
より外無之我等も
将軍家之
御懇之
台命を蒙リ候
海嶽之
鴻恩已ニ
文恭公慎徳公又
御当代之
御懇命ニ浴候事
大安公ニまされり
大安公之
御徳にも不及して
如斯浴
御【治か？】化候事日夜恐入
毛骨竦【疎は誤記】然たり此上ハ
弥忠勤他日事あらハ
衆人ニ先つて尽力せす
んハあるへからす拙劣
頑愚恐入候也此御書を
見て泣かさるものは
人非人なり余り
公之思召奉恐察候へハな
くより外無之衆人亦仰
之
公之盛徳を感服し
我凡愚に砭りせんことを
希ふ也　　慶永　花押

　　　　　　御代様々難有儀共拙者年程之内拙者
　　　　　　ことくニ難有
　　　　　　上意被　仰聞候者ハ不承候誠御高恩之
　　　　　　上之御高恩あけてかそへかたく奉存
　　　　　　此趣幾重ニも〳〵死後ニも御礼之段
　　　　　　何分ニも奉願候次ニ日比各之御引廻
　　　　　　忝奉存候就中雅楽頭殿御心入故諸事
　　　　　　相勤能忝義申つくしがたく候美濃守
　　　　　　殿ゆいしよ仰立御懇意誠申つくし
　　　　　　かたく存候
　　　　　一拙者実子無御座ニ付尤筋目申立候
　　　　　　へ者兵部ゟ可然者も御座候へ共家督与
　　　　　　申上せんなき義又ハ罷成ず子さい
　　　　　　有之候故尤すしめかへり見ず兵部
　　　　　　義申上候伊与守義被為思召付次ニハふた
　　　　　　い之家来於大坂御先骨折之者すし
　　　　　　め之者共各々被思召付兵部大輔ニ似合布
　　　　　　於被　仰付誠以御高恩ニ可奉存候兵部義も

　　　

　　　　　　実子之様ニ家来不存兵部も又仕にくき
　　　　　　所も眼前ニ存候ヘ共拙者存命仕度ニ而も病
　　　　　　気ニ罷成候者陳代ハ兵部ゟ外無御座候
　　　　　　兼々家来共も申候と承候家来之存
　　　　　　尤と我等儀も常々存罷在候又但馬守
　　　　　　中務大輔本多飛騨守所兵部仕にくき
　　　　　　所御座候此段ハ兄弟共ニ申置候就中
　　　　　　同性出羽守ニ申合候右之段をも各々
　　　　　　御了簡被成ニおいてハ弥相勤能義ニ
　　　　　　御座候別而各々奉願候此上ハ兵部儀
　　　　　　別而之御取立者之義候間何分ニも
　　　　　　各々御引廻可被下候
　　　　一　御披露之連状兼而調置候間文体
　　　　　　不つかう之義多可有御座候尤此書状も
　　　　　　可為其通候条其心得被成可被下候
　　　　　　恐惶謹言
　　　　　　　　　　　　　松平越前守
　　　　　　　　四月廿日　　　　御書判

　　　　　　　　　　酒井雅楽頭様
　　　　　　　　　　阿部豊後守様
　　　　　　　　　　稲葉美濃守様
　　　　　　　　　　久世大和守様
　　　　　　　　　　土屋但馬守様
　　　　　　　　　　板倉内膳正様


　　　　　　　　　竪物　
　　　　　　　　　　　覚書
　　　　　　越前守願之通兵部大輔江家督家中
　　　　　　侍共何も奉願儀ニ候得共兵部大輔無拠
　　　　　　被申様御座候得者不及是非候兵部
　　　　　　大輔願有之由申聞候此上者兵部大輔
　　　　　　受指図候得者越前守存念も相立候様ニ
　　　　　　存候間兵部大輔願之通相叶候様奉願候
　　　　　　以上
　　　　　　　三月廿八日
　　　　　　　　　　　　　　　本多孫太郎
　　　　　　　　　　　　　　　永見志摩【花押】
　　　　　　　　　　　　　　　狛木工允【花押】

　　　　　　　　　　　　　　　飯田主米　【花押】
　　　　　　　　　　　　　　　稲葉采女　【花押】
　　　　　　　　　　　　　　　本多民部　【花押】
　　　　　　　　　　　　　　　芦田図書　【花押】
　　　　　　　　　　　　　　　酒井玄蕃　【花押】
　　　　　　　　　　　　　　　酒井十之丞【花押】
　　一　同日右同断ニ付　兵部大輔様ゟ御一門様方江左之通
　　　　御書被進之
　　　　　　　　　一筆致啓上候今度稲葉采女芦田
　　　　　　　　　図書差越申候趣者越前守日来之
　　　　　　　　　書置二通為致持参候私儀結構成
　　　　　　　　　趣ニ候如何様とも可任其意事ニ候得共
　　　　　　　　　色々存旨候間家老共其外用事ニ
　　　　　　　　　加候者共と致詮議候得者得其意候
　　　　　　　　　越前守跡目於被　仰付者拙者願之段者
　　　　　　　　　中務世倅仙菊儀正統ニも候得者当国
　　　　　　　　　之儀被　仰付候様ニと奉願候越前守

　　　　　　家来共へも右之趣申聞候処何も承届候
　　　　　　此段御相談被成可被下候委細両人
　　　　　　之者可申上候恐惶謹言
　　　　　　　　　　　　　　　松平兵部大輔
　　　　　　　　三月廿八日　　　　　昌親　花押
　　　　　
　　　　　　　越後中将様
　　　　　　　松平但馬守様
　　　　　　　松平出羽守様
　　　　　　　松平大膳大夫様
　　　　　　　松平大和守様
　　一　四月十七日於浄光院去十一日ゟ今朝迄御当座御法事
　　　　御執行有之　
　　一　同月廿一日御香奠御拝領之節　兵部大輔《割書：昌｜親》様ゟ御礼
　　　　御使者被指出候処今日御返書被相渡之
　　　　　　御状令披見候同氏越前守卒去付而
　　　　　　以上使御香奠被遣之家来共迄難有
　　　　　　奉存候因玆被差越使者候入念候段

　　　　　　各申談可及言上候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　　　四月廿一日　　　　　　　広之書判
　　　　　　松平兵部太輔殿
　　一　四月廿八日於浄光院昨廿七日ゟ今朝迄御三十五日御法事
　　　　御執行有之於大安寺も今朝御法事御執行有之
　　一　五月十三日於浄光院昨十二日夕ゟ今朝迄御四十九日
　　　　御法事御執行有之
　　一　六月五日御遺物左之通御献上
　　　　　　公方様江
　　　　　　　　　御刀　　　郷義弘
　　　　　　　　　　　　　　　代金二百枚
　　　　　　　　　御掛物　　琦楚石　　　　
　　　　　　　　　御茶壷　　初春
　　　　　　御台様江
　　　　　　　　　御軸物　　世尊寺行尹卿筆
　　　　　　　　　御香炉　　青瓷

　　一　六月廿四日
　　　　大安院様御遺骨浄光院ゟ田谷村万松山大安寺江
　　　　御納ニ相成ニ付浄光院方丈　御遺骨奉守護《割書：御遺骨｜御駕ニ奉》
　　　　《割書：掛右御駕ニ｜浄光院乗》御駕附海福勘助《割書：本｜好》矢木平六《割書：昔｜由》御供仙石
　　　　権右衛門《割書：高｜成》本多平大夫　荒川十右衛門《割書：直｜盛》　御先江御家老酒井
　　　　玄蕃《割書：元｜知》相詰於同寺御供養有之　御廟所江　御納骨
　　一　七月五日於浄光院昨四日夕ゟ今朝迄御百ヶ日御法事
　　　　御執行有之於大安寺も御石塔御成就御供養有之
　　一　同月十六日
　　　　大安院様御分骨浄光院ゟ志比荘吉祥山永平寺江
　　　　御納ニ付浄光院方丈奉守護《割書：御分骨御駕ニ奉掛｜右御駕ニ浄光院乗》御駕附
　　　　海福勘助《割書：本｜好》矢木平六《割書：昔｜由》御供仙石権右衛門《割書：高｜成》本多平大夫　
　　　　荒川十右衛門《割書：直｜盛》　御先江御家老酒井玄蕃《割書：元｜知》相詰於同寺
　　　　御供養有之　
　　一　同月廿一日右同断紀州高野山江御納ニ付　御分骨御駕之者
　　　　奉背負大谷助六《割書：重｜政》仙石権右衛門《割書：高｜成》荒川十右衛門《割書：直｜盛》奉守護今日
　　　　福井出立
　　　　　　但於高野奥ノ院字筑前嶋ニ　御石塔御建立大徳院奉守護






　　　　　御位牌も同院ニ御安置有之御供養之節　御代焼香大谷
　　　　　助六相勤之　
　　一　大安寺江　御肖像御安置《割書：為御追薦｜昌親様御安置》
　　　　　　但延宝四年丙辰十月京都ゟ大仏師左京進《割書：康｜乗》被為　召御彫
　　　　　　　刻被　仰付翌丁巳年四月廿四日御成就

　　　　　　御在世中
　　　一　御国許江御暇之節御拝領物
　　　　　　上使御老中
　　　　　　　白銀　　千枚
　　　　　　　御袷　　百
　　　　　　　　但承応二年癸巳初而御暇之節者御帷子百御単百
　　　　　　　　　御拝領被成明暦元年乙未御暇之節ゟ如斯御拝領
　　　　　　於　御前
　　　　　　　御馬　　一匹

　　　　　　同
　　　　　　　御鷹　　二居
　　　　　　　　但寛文九年己酉御暇之節ゟ御拝領
　　　　　一　御暇御礼之節被　召連候御家来一人
　　　　　　　御目見被　仰付御時服四《割書：葵　御紋｜内紅裏有之》御羽織一《割書：葵｜御紋》
　　　　　　　被下置
　　一　御帰国御礼御使者被差上節御献上物
　　　　　　　奉書紙　五十束
　　　　　　　　此御使者　御目見被　仰付自分御太刀銀馬代を以
　　　　　　　　御礼申上御暇之節御時服三御羽織被下置
　　一　御参勤之節御献上物
　　　　　　　白銀　三百枚
　　　　　　　綿　　五百把
　　　　　一　御参勤御礼之節被　召連候御家来両人宛
　　　　　　　御目見被　仰付御太刀銀馬代奉書紙十束或蝋燭
　　　　　　　二百挺又者御太刀銀馬代計其格ニ寄献上之

　　一　明暦三丁酉年江戸大火之砌被　仰出有之寛文
　　　　六丙午年迄御太刀金馬代御時服十被献之被
　　　　召連候御家来両人御太刀銀馬代計献上之

　　　　御台様江
　　　　　鬠紙　　五十帖　　
　　　　　白銀　　三十枚
　　　　　　但此節女中江為御土産銀子夫々江被遣之

　　一　御着府之節直ニ御老中御勤無之御屋鋪江
　　　　御着以後以御使者《割書：番｜頭》御案内有之　上使後為御礼
　　　　御老中江　御勤被成
　　
　　一　御在府中御拝領物
　　　　　上使御使番中
　　　　　　御鷹之鷭　　　五　　四五月中
　　　　　同断
　　　　　　同雲雀　　　　三十　六七月中

　　　　　同断
　　　　　　同鶴　　　　　　　　十月十一月中
　　一　御在国之節御拝領物
　　　　　以宿継御奉書
　　　　　　御鷹之鶴
　　　　　　　右為御礼以御使者御国之御肴一種御献上
　　　　　　　御使者　御目見被　仰付自分御太刀銀馬代を以
　　　　　　　御礼申上御暇之節御時服三御羽織被下置
　　一　年中御祝儀献上物
　　　　　年頭　　　　　御太刀馬代《割書：黄金｜二枚》
　　　　　御謡初《割書：正月｜三日》　御盞台《割書：金土器二｜御酒代銀一枚》
　　　　　御上ヶ初《割書：同｜七日》　御肴一折《割書：鯛或｜鯉》
　　　　　　但若菜之御祝儀也
　　　　　端午　　　　御帷子御単御袷《割書：惣数｜十》
　　　　　　但寛文六丙午年迄五之処同七丁未年ゟ右之通ニ
　　　　　　　相成

　　　　　七夕　　　鯖代《割書：黄金｜一枚》
　　　　　八朔　　　御太刀馬代《割書：黄金｜一枚》
　　　　　重陽　　　御小袖五
　　　　　歳暮　　　御小袖五
　　　　　　但寛文六丙午年迄重陽歳暮共御小袖三
　　　　　　　被献候処同七丁未年ゟ右之通相成
　　一　端午重陽歳暮之御祝儀被差上候節於
　　　　御城柳之間御留守居江御老中《割書：御用｜番》御内書御渡
　　　　有之此節御奏者番御取次ニ而端午ニ御時服三
　　　　重陽歳暮ニ御時服二宛御留守居江被下置
　　　　　御台様江
　　　　　　　端午
　　　　　　　重陽　　　　銀十枚宛
　　　　　　　歳暮
　　　　　　　
　　　　　　　七夕《割書：鯖五十刺御樽一荷｜或ニ種一荷》

　　　　　　但此余　御参勤之節之外例式之被指上物等不詳
　　一　御精進揚　毎月十七日廿日廿四日右三度之
　　　　　　　　　御精進日翌朝御肴御献上《割書：御在府｜年計》
　　　　　生肴　　一種或干肴一箱
　　一　年中御国産物御献上
　　　　　初鯖　　三十刺　　四月中《割書：又者｜五月》
　　　　　索麪　　千把《割書：箱肴｜添》暑中
　　　　　初鱈　　三　　　　六七月中《割書：又者｜八月》
　　　　　生鱈　　三宛　　　寒中両度
　　一　御在国中毎月　御機嫌為御伺御国許ゟ
　　　　御使者被指出之其節御国産之御肴一種宛
　　　　被献之

　　　　　　国姫様御在世中
　　一　公方様　御台様江時々之御祝儀以御使者
　　　　御献上有之其節御三家御簾中方御献上物と
　　　　御同席ニ而御披露有之《割書：御献上之品｜不詳》
　　一　公儀御法事之節御香奠被指上之

　　一　御纏御馬印御旗等
　　　　忠昌様御代之通御用之
　　　　　　但御使番指物相止紺地縨【幌か】ニ《割書：出ニ金｜釘》御改被成

家譜

　　　家譜 《割書：綱昌公｜》 《割書：従天和元年｜到元禄十二年》十五

　　　綱昌様《割書：従天和元年辛酉至｜元禄十二年己卯》

天和元年辛酉《割書：此年延宝九年｜九月廿九日改元》
　　一　正月朔日為年始御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代
　　　　御献上御礼被　仰上呉服御拝領夫ゟ　西丸江　御登　城
　　一　同日於　御屋形年始御規式有之於　御座之間御家老
　　　　本多左兵衛《割書：道｜重》太刀目録持参御礼申上之御盃被下之畢而
　　　　於御同所斎藤民部《割書：定｜之》松平庄兵衛《割書：正｜恒》御流之御盃被下之夫ゟ
　　　　於表御書院諸士并諸役人迄御礼被為　請
　　一　同月三日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃台御酒代

　　　　被献之
　　一　正月四日年始三ヶ日之御規式相済候為御祝儀御老中江御使者
　　　　被指出之
　　一　同月七日為御上初御使者を以例之通御肴《割書：鯛｜》被献之
　　　　若君様江右同断初被献之
　　一　同月十四日御老中土井能登守《割書：利｜房》殿ゟ御家老御呼出ニ付斎藤
　　　　民部《割書：定｜之》罷出候処先年御預ニ相成御国許ニ被指置候
　　　　越後守《割書：光｜長》様御家来中根長左衛門御僉議之儀有之ニ付御国許ゟ被
　　　　召寄候様被　仰渡之
　　一　同月廿日来廿四日増上寺　御仏殿江　御参詣ニ付御束帯ニ而
　　　　辰刻以前　御先江御越可被成旨之御奉書御老中板
　　　　内膳正《割書：重｜道》殿ゟ来
　　一　同月廿三日御預之中根長左衛門儀江戸表江被召呼候ニ付
　　　　御先物頭戸田七兵衛《割書：成清｜》《割書：組二十人｜召連》大御番石川忠右衛門《割書：武｜清》長坂
　　　　与五左衛門服部門兵衛野本藤兵衛其外御医師本宮祐節
　　　　御徒目付一人御徒二人指添致警固今日福井出立
　　一　同月廿四日
　　　　台徳院様五十回御忌御法事ニ付

　　　　公方様増上寺江　御参詣依之　御予参御勤
　　一　同日右同断ニ付　還御後　御機嫌為御伺御留守居彦坂
　　　　又兵衛《割書：重｜庸》　御城江被指出之
　　　　　　但此節　御機嫌御伺ニ不及旨御目付中被申達候得共前々ゟ
　　　　　　ヶ様之節　御機嫌御伺御使者被指出候段御目付中江
　　　　　　又兵衛申達之
　　一　正月廿五日右同断ニ付御使者御番頭天方五郎左衛門《割書：友｜貞》
　　　　《割書：御留守居｜同道》を以
　　　　台徳院様御霊前江御香奠銀五十枚被献之
　　一　同日御登　城御法事首尾能相済候御歓被　仰上
　　一　同月《割書：日不｜詳》　公儀御代替ニ付諸国巡見使被指出候ニ付左之通
　　　　御書付を以被　仰出
　　　　　　　　　　　　覚
　　　　　　一　今度諸国巡見雖被　仰付国絵図城絵図無
　　　　　　　　用之事
　　　　　　一　人馬家数改無之事
　　　　　　一　御朱印之外人馬御定之通駄賃銭取之人馬
　　　　　　　　無滞可出之事

　　　　　　一　何方見分仕候共使者飛脚音信物一切可為無用
　　　　　　　　但案内之者入候処ハ其断可有之事
　　　　　　一　掃除等可為無用但道橋有来通可仕事
　　　　　　一　泊々之宿所作事等可為無用并茶屋新規ニ
　　　　　　　　作之申間敷事
　　　　　　一　国廻リ之面々泊リ〳〵ニ而舂米其所之以相場可売
　　　　　　　　之其外売物常々其所之直段ニ売可
　　　　　　　　申事
　　　　　　右条々国主領主御代官江先達而可被相触者也

　　　　　　　　　正月日
　　　　　　　　　　覚
　　　　　　一　宿々畳之表替無用古候共不苦事
　　　　　　一　湯殿雪隠若無之所者成程軽可被致之事
　　　　　　一　たらい柄杓鍋釜古候而も不苦若無之処ハ軽
　　　　　　　　支度可被致事
　　　　　　一　宿ニ可成家一村ニ三軒無之処者寺ニ而も又者村隔
　　　　　　　　候而も不苦事
　　　　　　一　其所ニ無之売物脇ゟ遣置為売之申間敷事

　　　　　　　　附衣類諸道具者不及申菓子酒肴等者
　　　　　　　　猶以持寄申候儀可被致無用事
　　　　　　　　　　正月日
　　一　正月右同断被　仰出候ニ付御国許江被相越巡見使大関勘左衛門《割書：□｜□》殿
　　　　中根長左衛門殿内藤十之丞殿被申渡有之ニ付御留守居ゟ左之通
　　　　箇条書ニ而相廻之
　　　　　　一　判鑑被遣候飛脚買物等之時分家来衆と申参候而
　　　　　　　　判形持参候者右判形ニ引合無相違候上者用事相達
　　　　　　　　可申候偽者可有之候間判形無之者用達申間敷由
　　　　　　　　扨右之判鑑紛失仕候節其者御断なく越度ニ被
　　　　　　　　仰付間敷事
　　　　　　　　御断以後御相談可有之由右之判形御順見已後
　　　　　　　　於江戸ニ御取返シ可被成由
　　　　　　一　泊リ宿昼休家内ニ女年寄たりとも一切指置申
　　　　　　　　間敷事
　　　　　　一　前髪有之者少人たり共指置申間敷事
　　　　　　一　湯殿雪隠軽く杉葉葺ニ而もくるしからす候事
　　　

　　　　　　一　万事費成儀無之様ニ可仕候由下民御労ニ候間堅
　　　　　　　　其旨可被相守之由
　　　　　　一　越前国江御移リ被成刻加州ニ而三泊前ニ飛脚ニ而
　　　　　　　　御案内可有之由

　　一　月日右同断　被申渡有之ニ付御国表ニ而御取扱之儀御留守居ゟ
　　　　相伺候処御指図有之ニ付左之通ヶ条書ニ而御国表江相廻之
　　　　　　一　道通国元大雪ニ御座候□日間難御通道損候所々
　　　　　　　　少々可有御座候舟渡リ歩渡所なと瀬替申儀も
　　　　　　　　可有御座候最前指上候道通リ相違背之処々
　　　　　　　　相改置重而国境御越候節御案内可申上由申上
　　　　　　　　候得者尤之由被　仰候事
　　　　　　一　泊リ宿御不自由ニ有之処寺宿之儀相伺候得者
　　　　　　　　不苦候之由御申候事
　　　　　　一　越後佐渡越中能登加賀此国ニ泊和何程可有
　　　　　　　　御座哉とあい相尋候得者九十泊リニ而其已後越前国江
　　　　　　　　御移リ之由左候ヘハ七月上旬自然御滞留之所々も
　　　　　　　　有之候者盆時分御越可有之日積ニ候之

　　　　　　一　昼休此方ゟ書付差上候得共御申出無之ニ付此旨
　　　　　　　　相尋候得共其段者勝手次第と御申候然共此方書付
　　　　　　　　指上候通御用意御尤候事
　　　　　　一　御廻国衆三月廿六日弥江戸発足ニ而御座候翌日
　　　　　　　　御屋敷迄相尋ニ遣シ右之通ニ御座候
　　一　二月四日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例其節
　　　　若君様江右御祝儀御献上ニ付而之御奉書御渡有之
　　　　
　　　　　　　　為歳暮之御祝儀
　　　　　　　　若君様江銀子三十枚被献之候首尾好遂
　　　　　　　　披露候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　　板倉内膳正
　　　　　　　　　十二月廿八日　　　　　　重道書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　堀田備中守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正俊書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　土井能登守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　利房書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠朝書判

　　　　　　　　　松平越前守殿

　　一　同日御領之中根長左衛門儀御国許ゟ召連昨三日江戸表江
　　　　着ニ付指置候場所之儀御伺被成候処小栗美作《割書：正｜矩》と同屋敷江
　　　　指置不苦之旨御老中土井能登守《割書：利｜房》殿御指図有之
　　一　二月十五日拾月番御家老狛杢允《割書：貞｜澄》宅吉田竹右衛門
　　　　本多源五右衛門　江府中江罷越本多源太郎《割書：長｜員》母智光院江
　　　　御意之趣左之通申渡候様杢允申渡之且又源太郎家来
　　　　岡部木工左衛門塩谷藤兵衛本多庄右衛門本多十左衛門呼出竹右衛門
　　　　源五右衛門府中表江被遣候段申渡　御意之趣之書付相渡之
　　　　　　　口上之覚

　　　　　　一　智光院諸事表向之儀をも少々承様ニ被為及
　　　　　　　　聞召候左様ニ候而ハ孫太郎為以之外不宜事候間
　　　　　　　　向後弥構不申孫太郎養育之儀迄可被致
　　　　　　　　御意候最前
　　　　　　　　大安院様御代ニも以て本多左近被　仰聞趣其己後
　　　　　　　　毛受監物吉田竹右衛門以両人被　仰聞通弥相
　　　　　　　　被申様ニと被為　思召候己上
　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　〆
　　　　　　一　智光院江　御意之趣弥被用候様ニ可申達候此

　　　　　　已後内所ニ而も表向之儀智光院何様ニ被申共
　　　　　　少も用申間敷候も勿論表向之儀下より申聞
　　　　　　間敷候岡部木工左衛門儀役儀も久々相勤其上
　　　　　　智光院前も節々罷出用事等も相達候様ニ被為
　　　　　　聞召候間弥右之趣合点参様ニ具可申聞候孫太郎儀ニ
　　　　　　候得ハ諸事作法も能仕置等宜有之様ニ成立申様ニ
　　　　　　被成度　御苦労ニ被為　思召候故何も共江も
　　　　　　思召之段被　仰聞候間左様相心得可申候已上
　　　　　　　　　〆

　　　　　　智光院方ゟ霊台院殿江孫太郎儀諸事相伺
　　　　　　申様ニ有之候而ハ大和守様も御聞被成御指図なとも
　　　　　　有之様ニ而ハ孫太郎為末々如何ニ被為　思召候事
　　　　　　　但此ヶ条者右書付相渡候節口上ニ而四人之者江
　　　　　　　　申渡之
　　一　三月十五日御登　城御帰殿後　御病気御指起
　　　　　　但此以後　御登　城無之　御国許江之御暇も不被仰出
　　一　同月十六日右同断ニ付
　　　　昌親様江為御注進御徒頭堀平大夫《割書：長｜治》江戸表出立

　　　　　　但平大夫同月廿日福井江着
　　一　同月十七日右同断ニ付重而為御注進八田金右衛門《割書：知｜秋》大関五郎右衛門《割書：直｜正》江戸表出立
　　　　　　但金右衛門等同月廿二日福井着
　　一　同月廿二日御注進使者ニ付
　　　　昌親様ゟ芦田図書《割書：吉｜賢》松平主馬《割書：正｜詮》江戸表江被指遣之
　　一　四月朔日東叡山
　　　　厳有院様御霊前江銅燈籠二基御献備
　　一　同月十九日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
　　　　若君様江右同断初而被献之
　　一　同月廿五日為端午御祝儀御使者御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》
　　　　を以例之通御帷子御単御袷被献之
　　　　若君様江御帷子《割書：代銀｜二十枚》初而被献之右御披露済之御奉書
　　　　追而於　御城御渡有之
　　　　　　為端午之御祝儀
　　　　　　若君様江銀子二十枚被献之候首尾能遂
　　　　　　披露候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　五月三日　　　　　　　　正武書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　板倉内膳正
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　重道書判

　　　　　　　　　　　　　　　　　 堀田筑前守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正俊書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠朝書判

　　　　　　　　　　松平越前守殿

　　一　同日御使者御留守居を以
　　　　若君様江菖蒲御兜一飾初而被献之
　　一　五月九日於東叡山

　　　　厳有院様御一周忌御法事有之ニ付御使者水谷
　　　　織部《割書：勝乗｜》《割書：御留守居｜同道》を以御香奠銀二十間枚被献之
　　　　清姫様ゟ御使者宇野長兵衛を以同五枚被献之
　　一　六月四日
　　　　公方様御服明ニ付御使者を以御肴一種被献之《割書：御伺｜之上》
　　　　右御披露済之捻御奉書御老中板倉内膳正《割書：重｜道》殿ゟ来ル

　　　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　　　松平越前守殿　　　　　　　重道

　　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　板倉内膳正
　　　　　　
　　　　　　御肴一種被献之候首尾好遂
　　　　　　披露候恐々謹言
　　　　　　　　
　　　　　　　　六月四日　　　　　　　　　重道書判

　　一　同月五日巡見使何方迄被相越候哉為聞調先達而
　　　　吉田竹右衛門組之者越中国迄被指遣候処御国江者
　　　　六月廿一日頃被相越候積之由罷帰相達候ニ付為御案内
　　　　竹右衛門加州迄被遣候旨被　仰出之
　　一　同月九日暑中ニ付御使者を以例之通御国産索麪干鯛
　　　　被献之
　　　　若君様江右同断初而被献之
　　一　同月十八日巡見使福井御泊之節太田十蔵山内小太郎并
　　　　瓦御門番之内五人御泊之近所節々相廻候様且又
　　　　横目江も夜中相廻六番ニ相定節々相廻火之元用心可申付旨
　　　　被　仰付之

　　一　六月廿一日御預之　越後守《割書：光｜長》様御家来小栗美作《割書：正｜矩》儀
　　　　御城江可被指出旨御老中ゟ申来ニ付御留守居御物頭其外
　　　　御徒足軽等警固ニ而被指出候処
　　　　公方様於　御前美作御僉議有之
　　一　同月廿二日小栗美作《割書：正｜矩》儀奢不忠之段不届被思召切腹被
　　　　仰付候ニ付霊巌島御屋敷江為検使大目付彦坂壱岐守《割書：重｜綱》殿
　　　　御目付戸田八郎兵衛殿松平孫大夫殿御越御書院南之御縁頬ニ
　　　　右三人列座白洲江美作引出シ壱岐守殿美作江罪科之次第
　　　　被申渡之切腹被　仰付《割書：介錯杉形御鑓奉行｜奈良左近右衛門《割書：高｜良》》
　　一　同月廿三日御預之中根長左衛門儀水谷左京亮《割書：勝｜宗》殿江御預替ニ
　　　　相成候ニ付御渡有之且又長左衛門家来両人も御同所江相渡候様
　　　　御指図有之
　　一　同月廿六日　越後守《割書：光｜長》様越後国高田糸魚川両城被　召放
　　　　伊予国松山江御配流領主松平隠岐守《割書：定｜通》殿江御
　　　　預於予州之内
　　　　壱万俵被下之三河守《割書：綱｜国》様備後国福山江御配流領主水野
　　　　美濃守《割書：勝｜重》殿江御預三千俵被下之
　　一　同月廿七日大和守《割書：直｜矩》様上野介《割書：近｜栄》様越後家騒動御取扱之儀




　　　　不参届候ニ付閉門被　仰出
　　一　七月六日為　御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金
　　　　被献之
　　　　若君様江右同断初而被献之　御台様江鯖御樽被指上之
　　一　同月十八日御使者を以例之通御国産初鱈被献之
　　一　同月十九日　鶴姫様昨十八日紀伊中将《割書：綱｜教》様江御縁組被
　　　　仰出候為御祝儀惣出仕被　仰出候得共　御病気ニ付　御登
　　　　城御断依之右為御祝儀　両御丸江斎藤民部《割書：定｜之》被指出之
　　　　《割書：御伺｜之上》
　　一　同月廿六日右同断ニ付為御祝儀御使者御番頭毛受長兵衛《割書：教洪｜》
　　　　《割書：御留守居｜同道》を以
　　　　公方様江白鳥一羽干鯛一箱昆布一箱御樽二荷被献之
　　　　鶴姫君様江鶴一羽干鯛一箱御樽代千疋被指上之
　　　　若君様江御使者狛十大夫《割書：雅｜際》を以白鳥一羽干鯛一箱昆布一箱
　　　　御樽二荷被献之
　　一　同日右同断ニ付　清姫様ゟ御使者を以
　　　　公方様　若君様江ニ種一荷宛被献之　鶴姫君様江一種
　　　　千疋被指上之

　　一　八月朔日　御病気ニ付　御登　城御断依之御使者御番頭
　　　　毛受長兵衛《割書：教｜洪》を以御太刀馬代被献之
　　　　若君様江御使者石川宗左衛門を以右同断初而被献之
　　一　同月廿一日
　　　　昌親様御参府ニ付　上使御奏者番稲葉丹後守《割書：正｜通》殿鳥越
　　　　御屋敷江御越有之依之右為御礼御老中若年寄中江御使者
　　　　御番頭被指出之
　　一　同月廿三日
　　　　昌親様御参府之御礼相済候ニ付為御礼御老中若年寄
　　　　中江御使者斎藤民部《割書：定｜之》被指出之
　　一　九月六日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　　　若君様江右同断《割書：代銀｜三十枚》初而被献之
　　一　同月廿一日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例其節
　　　　若君様ニ右御祝儀御献上ニ付而之御奉書も御渡有之

　　　　　　　為重陽之御祝儀
　　　　　　　若君様江銀子三十枚被献之候首尾能遂

　　　　　　披露候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　板倉内膳正
　　　　　　　　九月廿一日　　　　　　　　重道書判
　　　　　　　　
　　　　　　　　松平越前守殿
　　一　十月九日年号天和と改元有之候旨被　仰出依之為御祝儀
　　　　御用番堀田筑前守《割書：正｜俊》殿江御使者御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》被指出之
　　一　十一月朔日
　　　　昌親様江　上使を以　御鷹之鶴御拝領有之依之為御礼
　　　　御老中若年寄中江御使者御番頭被指出之
　　一　同月十六日
　　　　若君様昨十五日　御髪置御規式相済候ニ付為御祝儀御老中江
　　　　御使者御番頭毛受長兵衛《割書：教｜洪》若年寄中江御物頭波々伯部
　　　　角兵衛《割書：繁｜長》被指出之
　　一　同月十八日右同断ニ付為御祝儀御使者鈴木多宮《割書：直賢｜》《割書：御留守居｜同道》を以
　　　　若君様江白鳥一羽干鯛一箱御樽代二千疋被献之
　　一　十二月十二日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被献之
　　　　若君様江右同断被献之

　　一　十二月十八日当年大飢饉ニ付収納相滞御家中迷惑之段達
　　　　御聴候処御勝手も御難儀之御時節ニ候得共当年面々指上候
　　　　寸志米　御免被成候間勝手可取続旨被　仰出趣諸月番江
　　　　月番御家老稲葉采女《割書：治｜房》申渡之
　　一　同月廿一日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　　　若君様江右同断《割書：代銀｜三十枚》被献之
　　一　同日御使者御留守居を以
　　　　若君様江御破魔弓并毬打玉被献之
　　一　同月廿二日寒中ニ付御使者を以例之通《割書：ニ｜番》生鱈被献之
　　　　若君様江右同断被献之

天和二年壬戌
　　一　正月朔日年始御祝儀　御登　城御病気ニ付御断依之
　　　　御使者御番頭毛受長兵衛《割書：教｜洪》を以御太刀馬代被献之
　　一　同日於　御屋形御居間年始御祝儀有之其余御規式
　　　　無之
　　　　　　但　御病気ニ付御礼不被為請御預長蚫諸士自分ニ
　　　　　　　　頂戴之
　　一　同月三日為年始御祝儀御使者御番頭毛受長兵衛《割書：教｜洪》を以

　　　　若君様江御太刀馬代被献之
　　一　同日為御謡初御祝儀御使者例之通御盃台御酒代
　　　　被献之
　　一　正月七日為御上初御使者を以例之通御肴《割書：鯛｜》被献之
　　　　若君様江右同断被献之
　　一　二月三日歳暮御祝儀御献上ニ付而之御内書并御奉書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　同月十日大和守《割書：直｜矩》様閉門　御免播磨国姫路《割書：十五｜万石》被　召上於
　　　　豊後国日田七万石被下之上野介《割書：近｜栄》様閉門　
御免御領地之内
　　　　壱万五千石被　召上
　　一　三月十五日御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿ゟ御呼出ニ付御留守居村上
　　　　三大夫《割書：正｜峯》被指出候処御火消役《割書：去□年｜被蒙　仰》　御免被成旨被　仰出
　　一　同月十六日若狭守《割書：直｜明》様大野ゟ播磨国明石江御転封壱万石
　　　　御加増《割書：都合｜六万石》被蒙　仰依之為御礼御老中并御側御用人
　　　　牧野備後守《割書：成｜貞》殿江御使者被指出之
　　一　四月十一日於評定所今度土井能登守《割書：利｜房》殿大野城御拝領ニ付
　　　　右引渡為御用江戸表ゟ有馬宮内《割書：則｜故》殿今藤五左衛門殿被相越
　　　　候ニ付板取駅ゟ大野領境迄道橋掃除人馬等無滞御馳走可





　　　　致旨郡奉行渋谷与五左衛門《割書：正｜敏》山下八右衛門江月番御家老
　　　　本多左兵衛《割書：道｜重》申渡之
　　一　四月十九日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
　　　　若君様江右同断被献之
　　一　同月廿二日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単御袷
被献之
　　　　若君様江御帷子《割書：代銀｜二十枚》被献之追而　御内書并御奉書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　同月廿五日御精進揚ニ付御使者を以例之通御肴一種被献之
　　一　五月九日於東叡山
　　　　厳有院様三回御忌御法事有之ニ付御使者高屋伊織《割書：長英長袴着｜御留守居》
　　　　《割書：同｜道》を以御香奠銀二十枚被献之　清姫様ゟ御使者宇野
　　　　長兵衛を以同五枚被献之
　　一　同月廿一日若狭守《割書：直｜明》様播州明石江御所替ニ付大野御発駕依之
　　　　為御馳走郡奉行両人被指出之
　　一　同月廿四日右同断ニ付福井ニ有之所之若狭守《割書：直｜明》様御屋敷
　　　　御返シ被進候段彼方御家老ゟ此方御家老江申来
　　一　同月廿五日此度高札御改替ニ付御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿ゟ左之通

　　　　御書付被相渡之右写追而御国高札場江相掲之
　　　　　　　　　条々
　　　　　　一　毒薬并にせ薬種売買之儀弥堅制禁之
　　　　　　　　若於商売仕者可被行罪科たとひ同類たりと
　　　　　　　　いふとも訴人に出ル輩ハ急度御褒美可被下事
　　　　　　一　似せ金銀売買一切可為停止自然持参ニおゐてハ
　　　　　　　　両替屋ニ而打つふし其主に可返之并はつしの
　　　　　　　　金銀似せ金銀ハ金座銀座江遣し可相改事
　　　　　　　　　附似せ者すへからさる事
　　　　　　一　寛永之新銭金子壱両ニ四貫文勿論壱分ニハ
　　　　　　　　壱貫文御料私領共に年貢収納等ニも御定之
　　　　　　　　員数たるへき事
　　　　　　一　新銭之儀いつれの所ニ而も　御免なくして一円
　　　　　　　　不可鋳出之若違犯之輩有之者可為罪科事
　　　　　　　　　附悪銭似銭古銭此外撰へからさる事
　　　　　　一　新作之慥ならさる物商売致すへからさる事
　　　　　　一　諸色の商売或一所に買置しめうり或申合
　　　　　　　　高直ニ致すへからさる事

　　　　　　一　諸職人申合作料手間賃等高直にすへからす
　　　　　　　　惣而誓約をなし結徒党儀可為曲事事
　　　　　　右条々可相守此旨若違犯之族於有之ハ可被
　　　　　　処厳科者也仍下知如件
　　　　　　　天和二年五月八日　　　　奉行

　　　　　　　　　定
　　　　　　一　忠孝をはけまし夫婦兄弟諸親類かむつ
　　　　　　　　ましく召仕之者ニ至迄憐愍を加へし若
　　　　　　　　不忠不幸者あらは可為重罪事
　　　　　　一　万事おこり致すへからす屋作衣服飲食
　　　　　　　　等におよふ迄倹約を可相守事
　　　　　　一　悪心を以ていつわり或無理を申掛或利欲を
　　　　　　　　かまへ人の害をなすへからす惣而家業可勤事
　　　　　　一　盗賊并悪党者有之ハ訴人ニ出へし急度
　　　　　　　　御褒美可被下事
　　　　　　　　　　附博奕堅令停止事
　　　　　　一　喧嘩口論令停止之自然有之時其場へ猥

　　　　　　　　不可出向又手負たる者隠置へからさる事
　　　　　　一　被行死罪之族在々刻被仰付輩之外
　　　　　　　　不可馳集事
　　　　　　一　人売買堅令禁止之并年季に召仕下人
　　　　　　　　男女共に十ヶ年を限るへし其定数を過者可為
　　　　　　　　罪科事
　　　　　　　　　　附譜代之家人又ハ其所に住来輩他所相越在付
　　　　　　　　　　妻子をも令所持其上科なき者を不可呼返□
　　　　　　右条々可相守之於有違犯之輩ハ可被処厳科旨所被
　　　　　　仰出也仍下知如件
　　　　　　　　　天和二年五月日　　　　　　奉行

　　　　　　　　　　　定
　　　　　　　　切支丹宗門ハ累年御制禁たり自然不審成者
　　　　　　　　有之ハ可申出為御褒美
　　　　　　　　　　　はてれんの訴人　　銀五百枚
　　　　　　　　　　　いるまんの訴人　　銀三百枚
　　　　　　　　　　　立かへり者の訴人　同断

　　　　　　　　同宿并宗門の訴人　　銀百枚
　　　　　　右之通可被下之たとひ同宿宗門の内たりと
　　　　　　いふ共訴人に出る品により銀五百枚可被下之
　　　　　　かくし置他所ゟあらハるゝにおゐてハ其所之
　　　　　　名主并五人組迄一類共に可被処厳科者也
　　　　　　仍下知如件
　　　　　　　　天和二年五月日
　　一　五月廿七日朝鮮人来聘御用掛水野右衛門大夫《割書：忠｜春》殿ゟ御呼出
　　　　御留守居罷出候処左之通書付被相渡之
　　　　　　　　覚
　　　　　　一乗鞍馬　　　　　　　　　　七疋
　　　　　　　　壱疋ニ口付弐人沓籠持壱人
　　　　　　　　長柄傘絹合羽并足軽壱人宛
　　　　　　一鞍替具　　　　　　　　　　拾六疋分
　　　　　　　　壱疋分ニ口付弐人沓籠手傘
　　　　　　　　紙合羽并足軽壱人宛
　　　　　　右者当秋朝鮮人来朝之節自吉田三島迄又帰国

　　　　　　　之時三嶋より吉田迄使者壱人指添可被出之事
　　　　　　一乗鞍馬鞍替具御定之所江使者召連罷越御馳走
　　　　　　　人并御代官江相達其已後宗対馬守家頼馬割之
　　　　　　　役人ニ申談可任指図事
　　　　　　　　　以上
　　　　　　　　五月廿七日

　　一　六月十八日暑中ニ付御使者を以例之通御国産索麪干鯛
　　　　被献之
　　　　若君様江右同断被献之
　　一　七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
　　　　若君様江右同断被献之　御台様江鯖御樽被指上之
　　一　同月十二日御使者を以例之通御国産初鱈被献之
　　　　若君様江右同断被献之
　　一　同月十六日土井能登守《割書：利｜房》殿大野江入部ニ付途中為御馳走
　　　　郡奉行両人被指出之
　　一　同月廿七日
　　　　昌親様御国許江御暇被仰出依之為御礼御老中若年寄

　　　　中江御使者斎藤民部《割書：定｜之》被指出之
　　一　八月朔日　御登　城御病気ニ付御断依之御使者嶋田七郎左衛門《割書：重｜矩》
　　　　《割書：御留守居｜同道》を以御太刀馬代被献之
　　　　若君様江御使者高屋伊織《割書：長｜英》を以右同断被献之
　　一　同月十一日今度於江戸表天下一号金銀之看板御法度之旨
　　　　被　仰出候ニ付右之段町在江相触候様町奉行郡奉行江月番
　　　　御家老本多左兵衛《割書：道｜重》申渡之
　　一　同月十三日御使者御留守居を以
　　　　若君様江御翫《割書：夷舞｜人形五》一飾鯛一折被献之右御披露済之
　　　　捻御奉書御老中大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿ゟ来
　
　　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　　　松平越前守殿　　　　　　　忠朝
　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　
　　　　　若君様江御翫作物并御肴一種被献之候
　　　　　首尾能遂披露候恐々謹言
　　　　　　八月十三日　　　　　　　　　　忠朝書判
　　一　同月今度朝鮮人為来聘江戸表江罷出候ニ付参州吉田駅迄

　　　　御使者杉形御鎗奉行水野善左衛門《割書：脇｜満》御書院番本多助七被指遣
　　　　馬十一疋《割書：内四疋｜御用意》沓籠九荷《割書：内二荷｜御用意》長柄傘十本《割書：内三本｜御用意》鞍替具十六疋分
　　　　沓籠十六荷被指出之善左衛門等参州吉田駅《割書：十三日｜》ゟ豆州
　　　　三嶋駅《割書：十七｜日》迄相送之《割書：御人数都合｜百八十人》
　　　　　　但帰路之節も三嶋駅《割書：十一月｜二十六日》迄右同断被指出之
　　一　八月廿七日朝鮮人登　城ニ付　御登　城可被成候処御病気ニ付御断
　　一　同月廿八日朝鮮人登　城相済候為御歓惣出仕被　仰出候得共
　　　　御病気ニ付　御登　城御断依之為御歓老中并御側御用人江
　　　　御使者御番頭嶋田七郎左衛門《割書：重｜矩》被指出之
　　一　九月三日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　　　若君様江右同断《割書：代銀｜三十枚》被献之
　　一　十月廿七日大和守《割書：直｜矩》様侍従末席被　仰出
　　一　十一月十五日政姫様御髪置御祝儀有之
　　一　同月十九日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書并御奉書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　十二月六日御使者御留守居を以
　　　　若君様江御翫《割書：朝比奈三郎曽我｜五郎□□【力競ヵ】人形二》御肴一種被献之
　　一　同月廿二日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之

　　　　若君様江右同断《割書：代銀｜三十枚》被献之
　　一　同日御使者を以例之通
　　　　若君様江御破魔弓并毬打玉被献之
　　一　十二月廿五日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被献之
　　　　若君様江右同断被献之
　　一　同月廿八日右同断御国産《割書：一｜番》生鱈被献之
　　　　若君様江右同断被献之
　　一　同日浜町御屋敷御類焼霊巌島御屋敷も御長屋少々
　　　　御類焼
天和三年癸亥
　　一　正月朔日年始御祝儀　御登　城御病気ニ付御断依之
　　　　御使者御番頭嶋田七郎左衛門《割書：重｜矩》を以御太刀馬代被献之
　　一　同日於　御屋形御居間年始御祝儀有之
　　　　　　但御病気ニ付諸士之御礼今日者不被為請
　　一　同月二日御読初御鷹御居初有之畢而於小書院仙石権右衛門《割書：高｜威》
　　　　初諸士其外諸役人迄一同並居年始之御礼申上之被為入御跡ニ而
　　　　御家老出席何も二行ニ罷出御長蚫自分頂戴之畢而於維摩

　　　　之間奥御小姓表御小姓并御医師御長蚫自分頂戴之畢而
　　　　於御裏御馬御乗初有之
　　一　正月三日為年始御祝儀御使者御番頭嶋田七郎左衛門《割書：重｜矩》を以
　　　　若君様江御太刀馬代被献之
　　一　同日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃台御酒代
　　　　被献之
　　一　同月七日為御上初御使者を以例之通御肴《割書：鯛｜》被献之
　　　　若君様江右同断被献之
　　一　二月四日御用番大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿江斎藤民部《割書：定｜之》を以旧臘御類焼ニ
　　　　相成候浜町御上屋敷御用地ニ相成候ハヽ被指上度旨御願書被
　　　　指出之
　　一　同月廿二日右同断御願被成候処
　　　　昌親様　中務大輔《割書：昌｜勝》様ゟも御願被成候様御用番大久保
　　　　加賀守《割書：忠｜朝》殿ゟ御内意有之依之右御二方様ゟ御願書御指出被成
　　　　候ニ付再御使者を以加賀守殿江御達有之
　　一　同月《割書：日不｜詳》御家老永見志摩《割書：通｜洪》死去ニ付陣前江《割書：本瑞寺｜有之》石川宗左衛門
　　　　を以御香奠銀十枚被下之
　　一　同月廿三日

　　　　春宮　中宮　宣下相済候為御祝儀　御登　城可被成之処
　　　　御病気ニ付御断依之御老中江御伺之上為御祝儀
　　　　両御丸江御使者斎藤民部《割書：定｜之》被指出之
　　一　二月廿四日御用番大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿ゟ御呼出御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》
　　　　罷出候処去ル四日御願被成候浜町御上屋敷地被差上候様被
　　　　仰出
　　　　　　但御替地追而御願可被成旨被　仰達置候得者其後
　　　　　　御病気ニ付右御願不被指出之
　　一　同月廿七日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書并御奉書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　三月六日浜町御上屋敷地為御請取大久保甚右衛門《割書：長｜□》殿田中孫十郎殿
　　　　御越有之御家老稲葉采女《割書：治｜房》被遣御引渡有之右相済候為
　　　　御届御用番阿部豊後守《割書：正｜武》殿江御使者御使番被指出之
　　一　同月廿八日於浄光院昨廿七日晩ゟ今朝迄　清池院十三回
　　　　御忌御法事御執行有之於天徳寺も　布与姫様ゟ右同様
　　　　御執行有之
　　一　四月十四日　鶴姫君様御水痘御酒湯相済候為御祝儀御老中
　　　　若年寄中江御使者被指出之

　　一　同日於日光
　　　　大猷院様三十三回御忌御法事有之ニ付
　　　　公方様御機嫌為御伺御使者を以御杉重一組被献之《割書：此十三日｜御伺済》
　　一　四月十六日右同断ニ付御披露済之捻御奉書御老中戸田
　　　　山城守《割書：忠｜昌》殿ゟ来

　　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　　　松平越前守殿　　　　　　　　忠昌
　　　　　　　　　　　　　　　　表書
　　　　　　　　　　　　　　　　　戸田山城守
　　　　　　御菓子一折被献之候首尾好遂披露候
　　　　　　恐々謹言
　　　　　　　　四月十六日　　　　　　　　忠昌書判

　　一　同月廿日日光表江為　御代拝冨永新左衛門《割書：長｜盛》《割書：御留守居村上｜三大夫同道》被
　　　　指遣之
　　　　大猷院様御霊前江御香奠銀三十枚被献之
　　一　同月廿一日御法事相済候為御歓　御登　城可被成之処
　　　　御病気ニ付御断依之右為御歓御老中江御使者御留守居
　　　　被指出之

　　一　四月廿七日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
　　　　若君様江右同断被献之
　　一　同月廿九日御使者を以例之通
　　　　若君様江菖蒲御兜被献之
　　一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単御袷
　　　　被献之
　　　　若君様江御帷子《割書：代銀｜二十枚》被献之
　　一　同月廿一日於評定所下女半下絹晒之衣類致着候儀
　　　　公辺ゟ御法度之旨最前被　仰出候得共頃日不致遠慮者も
　　　　有之趣相聞候間今度御徒目付横目組之者為改被指出候若
　　　　相背候者於有之者其主人可為不念候達　御聴候ハヽ
　　　　公儀御法度之儀　御苦労ニ可被　思召候間御念入可申付旨
　　　　諸月番江御家老申渡之
　　一　同月廿四日江戸大地震ニ付御機嫌為御伺両御丸江御使者
　　　　御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》被指出之
　　一　同月廿六日日光表大地震《割書：去廿｜四日》ニ付　御機嫌為御伺御老中并
　　　　御側御用人牧野備後守《割書：成｜貞》殿江御使者御番頭被指出之
　　一　閏五月朔日土井能登守《割書：利｜房》殿於御在所御急病ニ付御医師御頼

　　　　被成度旨能登守殿ゟ去月廿三日申来候付岡部高伯《割書：快｜意》半井為竹《割書：瑞｜宝》
　　　　平野玄察《割書：心｜貞》追々被遣右之者共御薬指上候得共御養生無御叶
　　　　同廿五日卒去之段御国許ゟ申来候ニ付右之趣御用番大久保
　　　　加賀守《割書：忠｜朝》殿迄御達被成
　　　　　　但昌親様ゟも御国許ゟ御書を以右之趣御達有之
　　一　閏五月十三日
　　　　若君様御不例ニ付御機嫌為御伺　御登　城可被成之処
　　　　御病気ニ付　御登　城無之　西丸江　御機嫌為御伺
　　　　御使者御留守居被指出之《割書：御用番江｜御伺之上》御大老并御老中江も御使者
　　　　御留守居被指出之
　　一　同月十六日右同断ニ付堀田豊前守《割書：正｜休》稲垣安芸守《割書：重｜定》殿ゟ
　　　　御家来吉田一貞《割書：円｜節》江奉書を以御用之儀有之ニ付追付　西丸江
　　　　可罷出旨申来ニ付一貞久々相煩候得共早速　西丸江罷出候処
　　　　御用被　仰付然ル処右病気之趣御目付中江申上御様体不
　　　　相伺罷帰
　　一　同月廿八日暑中ニ付御使者を以例之通御国産索麪干鯛
　　　　被献之
　　　　若君様江右同断被献之

　　一　同日《割書：酉下｜刻》
　　　　若君様薨御《割書：御法号｜浄徳院様》
　　一　閏五月廿九日右同断ニ付　御機嫌為御伺　御登　城可被成之処
　　　　御病気ニ而　御登　城難被成ニ付為　御名代御家老稲葉采女《割書：治｜房》
　　　　《割書：御留守居彦坂｜又兵衛同道》御城江被指出《割書：采女御城江罷出候前阿部豊後守殿江為｜御届罷出候処豊後守殿　御城江御詰御留守ニ候得共》
　　　　《割書：右之趣取次迄申達置｜直ニ御城江罷出》御悔并
　　　　公方様御機嫌御伺被成候処御目付中根主税《割書：慶｜正》殿取次を以
　　　　御口上之趣得其意候主税殿可被謁筈候得共御用多ニ付御逢
　　　　無之候間御帳ニ留退出可有之旨御指図有之
　　一　同日右同断ニ付御大老并御老中若年寄中江御使者御家老
　　　　稲葉采女《割書：治｜房》被指出之
　　一　同日右同断ニ付武村甚兵衛野本藤兵衛早駆《割書：五日｜□》ニ而御国許江
　　　　被遣之
　　　　　　但甚兵衛等六月四日福井江着
　　一　六月四日右同断ニ付於御国表普請鳴物停止之段被　仰出之
　　一　同月五日　御朦中御機嫌為御伺御使者を以御杉重一組
　　　　被献之右御披露済之捻御奉書御老中戸田山城守《割書：忠｜昌》殿ゟ
　　　　来ル

　　　　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　　　　　松平越前守殿　　　　　　　忠昌
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　戸田山城守
　　　　　　杉重御菓子一組被献之候可遂披露候
　　　　　　恐々謹言
　　　　　　　　六月五日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠昌書判

　　一　六月十一日右同断ニ付御使者を以熟瓜《割書：百｜入》一籠被献之右御披露済之
　　　　捻御奉書御老中戸田山城守《割書：忠｜昌》殿ゟ来
　　　　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　　　　　松平越前守殿　　　　　　　忠昌
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　戸田山城守
　　　　　　熟瓜一籠被献之候可遂披露候
　　　　　　恐々謹言
　　　　　　　　六月十一日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠昌書判

　　一　同月十六日　御忌明ニ付御使者御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》を以鯛《割書：三｜》一折被献之
　　　　右御披露済之捻御奉書御老中戸田山城守《割書：忠｜昌》殿ゟ来
　　　　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　　　　　松平越前守殿　　　　　　　忠昌
　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　戸田山城守
　　　　　　　　鯛一折被献之候遂披露候恐々謹言
　　　　　　　　　　六月十六日　　　　　　　　　　忠昌書判

　　一　六月廿六日御使者を以例之通御国産初鱈被献之
　　一　七月朔日於浄光院昨廿九日晩ゟ今朝迄　専光院様廿三回
　　　　御忌御法事御執行有之
　　一　同月六日端午御祝儀御献上ニ付而之御内書於　御城御渡
　　　　有之御家来拝領物等如例
　　一　同日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
　　　　御台様江鯖御樽被指上之
　　一　八月朔日　御病気ニ付　御登　城御断依之御使者冨永新左衛門《割書：長｜盛》
　　　　を以御太刀馬代被献之
　　一　同月三日本多孫太郎《割書：長｜員》儀病気ニ付御使三沢甚右衛門《割書：□｜□》被遣之
　　　　御尋之御書被下之甚右衛門今日江戸御屋敷出立
　　一　九月五日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　一　同月十六日本多孫太郎《割書：長｜員》先達而ゟ不快之処追日快ニ付弥無油断
　　　　可有養生旨御書被成

　　一　九月十八日
　　　　昌親様御参府ニ付鳥越御屋敷江　上使有之依之為御礼
　　　　御老中若年寄中江御使者御番頭被指出之
　　一　十月十日
　　　　昌親様御参府之御礼相済候ニ付為御礼御老中若年寄中江
　　　　御使者御家老代松平庄兵衛《割書：正｜恒》被指出之
　　一　十一月九日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於　御城御渡有之
　　　　御家来拝領物等如例
　　一　同月十日日光　正遷宮相済候《割書：去｜七日》為御歓御用番江御使者
　　　　御留守居荒川善右衛門《割書：正｜武》被指出之
　　一　同月晦日今度松平主馬殿遠州今切御関所奉行被蒙
　　　　仰《割書：石川又四郎殿｜跡》候ニ付御関所女通手形判鑑引替ニ付御家老ゟ
　　　　左之通判鑑指出之

　　　　　　　遠州今切
　　　　　　　　御関所　　　　　　　　　　　判鑑
　　　　　　　　　　　　松平越前守内
　　　　　　　　　　　　　狛　木工允《割書：印判｜》書判
　　　　　　　　　　　　　稲葉采女　《割書：印判｜》書判

　　　　　　　　　　　　　　本多左兵衛《割書：印判｜》書判
　　　　　　　以上
　　　　　　天和三年
　　　　　　　亥
　　　　　　　　十一月晦日
　　　　　　此内国許ニ罷有者之
　　　　　　以判形御通可被下候以上
　　一　十二月三日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈
　　　　被献之
　　一　同月五日御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿ゟ御呼出ニ付
御留守居罷出
　　　　候処参河依頼御当家之書籍自分家之留書所持候ハヽ可被
　　　　差出旨被　仰渡之　
　　一　同月十日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：ニ｜番》生鱈被献之
　　一　同月十八日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　　　　　但廿一日節分ニ付今日被献之
　　一　同月廿五日初雪ニ付　御機嫌為御伺御老中江御使者御留守居
　　　　荒川善右衛門《割書：正｜武》被指出之

貞享元年甲子《割書：此年天和四年｜二月廿一日改元》
　　一　正月朔日年始御祝儀　御登　城御病気ニ付御断依之
　　　　御使者石川宗左衛門を以御太刀馬代被献之
　　一　同日於　御屋形年始御規式有之於奥　御居間三献之御祝
　　　　有之相済於　御座之間本多左兵衛《割書：道｜重》太刀目録
持参
　　　　御礼申上之御盃被下之松平庄兵衛《割書：正｜恒》御流之御盃頂戴
　　　　御長蚫被下之
　　　　　　但御病気ニ付此外諸士之御礼今日者不被為請

　　一　正月二日於中書院諸士一同並居年始之御礼申上之被為
　　　　入御跡ニ而御家老出座何も二行ニ罷出御長蚫自分頂戴之
　　　　相済於御次之間御近習之面々御小姓御医師迄一同御礼
　　　　申上之被為　入於奥長囲炉裏間御長蚫自分
　　　　頂戴之
　　一　同日御読初御書初相済御鷹御居初御馬御乗初有之
　　一　同月三日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃台御酒
　　　　代被献之
　　一　同月七日為御上初御使者を以例之通御肴《割書：鯛｜》被献之
　　一　同月廿二日御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿ゟ御呼出ニ付御留守居罷出候処
　　　　左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　　　口上之覚
　　　　　　御感状或　御書或御褒美先祖被下候之趣并家来
　　　　　　之者ニも其品於有之者委細書付可被指出候
　　　　　　以上
　　　　　　　　　正月廿二日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　堀田下総守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　松平越前守殿

　　一　二月廿二日御精進揚ニ付御使者を以例之通御肴《割書：鯛｜》被献之
　　　　　　但昨廿一日可被献処　公儀御法事ニ付御伺之上今日被献之
　　一　同月廿三日歳暮御祝儀御献上ニ付而之御内書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　同月廿八日年号貞享と改元有之候旨被　仰出候ニ付為
　　　　御祝儀御大老并御用番江御使者御留守居荒川善右衛門《割書：正｜武》
　　　　被指出之
　　一　三月三日　御病気ニ付　御登　城御断
　　一　同月七日先達而《割書：正月｜廿二日》御書付を以被　仰出有之候御家中之者
　　　　先祖江
　　　　権現様　台徳院様　大猷院様ゟ致頂戴候御感状并御書其
　　　　写相添御褒美被下候書付共江戸表江指出之玉木源太夫
　　　　持参今日福井出立
　　一　同月十六日旧冬《割書：十二月｜五日》被　仰出候
　　　　秀康様　忠昌様　光通様御代之御留書御使者御家老
　　　　本多左兵衛《割書：道重｜》《割書：御留守居荒川｜善右衛門同道》を以御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿江被指出之
　　　　　　但右御書上別記有之ニ付此ニ不記之
　　一　同月廿一日今度　御三代之御留書被指上相済候ニ付

　　　　御機嫌思召松平庄兵衛《割書：正｜恒》江御小袖《割書：一｜》御羽織《割書：一｜》狛十大夫《割書：雅｜陣》江御小袖《割書：一｜》
　　　　被下之野治汝謙《割書：宗｜益》江銀《割書：十｜枚》被下之
　　一　三月廿三日御老中戸田山城守《割書：忠｜昌》殿ゟ御呼出御留守居荒川善右衛門《割書：正｜武》
　　　　罷出候処　御先代御頂戴之御朱印ニ写相添可被指出旨
　　　　御書付を以被申渡之
　　一　同月晦日先達而《割書：正月｜廿二日》被　仰出有之候ニ付今度御国許ゟ相廻候
　　　　御家中之者先祖江　公辺ゟ致頂戴候御感状并御書共写
　　　　相添御褒美被下候書付共御使者狛十大夫《割書：雅｜陣》《割書：御留守居荒川｜善右衛門同道》を以
　　　　御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿江被指出之
　　　　　　但右御感状并御書共別記ニ有之ニ付此ニ不記之
　　一　四月七日　鶴姫君様紀伊中将《割書：綱｜教》様江来春御入輿之儀被
　　　　仰出候ニ付為御祝儀御老中江御使者御物頭被指出之
　　一　同月十一日狛十大夫《割書：雅｜陣》瀧主計《割書：明｜矩》儀斎藤民部《割書：定｜之》松平庄兵衛《割書：正｜恒》
　　　　同様御家老連判可致旨被　仰付三百石ニ宛御加増被下
　　一　同月十五日
　　　　公方様御痛訴有之表　出御無之ニ付　御機嫌為御伺
　　　　御大老并御用番江御使者御留守居被指出之
　　　　　　但右同断ニ付廿一日迄毎日御使者被指出之



　　一　同日万姫様森大内記《割書：長｜継》殿御屋敷江御越御滞留有之《割書：同月廿六日｜御帰館》
　　一　四月廿二日
　　　　公方様御痛所御平愈ニ付　御機嫌御伺ニ不及旨被仰出《割書：昨｜廿一日》
　　　　候ニ付為御歓御大老御用番并御側御用人江御使者御使番被指出之
　　　　　　但諸大名中直勤有之候得共御病気ニ付御使者被指出之
　　一　同月廿五日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
　　一　同月廿六日
　　　　公方様御痛所洸？と御平愈御表江　出御ニ付為御歓御大老
　　　　御老中御側御用人江御使者酒井孫四郎《割書：元｜宣》被指出之
　　　　　　但諸大名中直勤有之候得共御病気ニ付御使者被指出之
　　一　同日先達而《割書：三月｜廿三日》御老中戸田山城守《割書：忠｜昌》殿御指図ニ付
　　　　御先代御頂戴之　御判物ニ写相添御使者御家老本多左兵衛《割書：道重｜》
　　　　《割書：御留守居荒川｜善右衛門同道》を以御奏者番土屋相模守《割書：政｜直》殿江被指出之《割書：昨廿五日相模守殿ゟ｜申来》御受取
　　　　御披見之上写御留置御本紙者被相返之
　　一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単御袷
　　　　被献之
　　一　同月五日於維摩間例之通端午御祝儀有之御家老本多
　　　　左兵衛《割書：道｜重》江御盃被下之松平庄兵衛《割書：正｜恒》仙石権右衛門《割書：高｜成》并御奏者番




　　　　御番頭迄御手自粽被下之
　　一　六月十日暑中ニ付御使者を以例之通御国産索麪干鯛被献之
　　一　同月十五日於泉涌寺
　　　　東福門院様七回御忌御法事有之ニ付御使者加藤武右衛門《割書：重｜之》を以
　　　　御香奠銀二十枚被献之
　　　　　　但武右衛門去六日御国表出立
　　一　同月《割書：日不｜詳》　公儀ゟ致頂戴候　御朱印所持之寺社有之候ハヽ
　　　　御朱印ニ写相添当七月八月之内土屋相模守《割書：政｜直》殿本多淡路守《割書：忠｜英》殿江
　　　　指出候様被　仰出
　　一　七月六日為生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
　　　　御台様江鯖御樽被指上之
　　一　同月九日御使者を以例之通御国産初鱈被献之
　　一　同月廿二日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　同月廿三日
　　　　昌親様御暇之御礼被　仰上御馬御拝領被成候ニ付為御礼
　　　　御大老御老中御側御用人若年寄中江御使者斎藤民部《割書：定｜之》
　　　　被指出之

　　一　八月朔日　御病気ニ付　御登　城御断依之御使者
　　　　酒井孫四郎《割書：元｜宣》を以御太刀馬代被献之
　　一　同月廿八日於　御城御大老堀田筑前守《割書：正｜俊》殿を若年寄稲葉
　　　　石見守《割書：正｜休》殿被討果候ニ付
　　　　公方様御機嫌為御伺御老中并御側御用人江御使者
　　　　御留守居被指出之
　　　　　　但諸大名中直勤有之候得共　御病気ニ付御使者
　　　　　　被指出之
　　一　同日右同断ニ付　御機嫌為御伺　御城江御使者御留守居
　　　　被指出之《割書：御用番阿部｜豊後守殿御指図》
　　　　　　但右同断ニ付九月朔日迄毎日御使者被指出之
　　一　九月三日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　　　御台様江白銀被指出之
　　一　同月六日斎藤民部《割書：定｜之》御家老職被　仰付五百石御加増被下
　　一　同月九日於維摩間重陽御祝儀有之御家老本多左兵衛《割書：道｜重》
　　　　斎藤民部《割書：定｜之》江御盃被下之畢而御奏者番御番頭迄御菓子
　　　　御手自被下之
　　一　同月廿三日鶴姫君様御入輿之儀来丑二月と被　仰出候ニ付

　　　　為御歓御老中并御側御用人江御使者御留守居被指出之
　　一　十月六日本多孫太郎《割書：長｜員》儀不快ニ付京都医師名古屋玄意薬致
　　　　服用候処遠路ニ而療治届兼候ニ付上方江罷越薬致服用相留
　　　　不致候ハヽ外医師之薬致服用養生仕度旨并母智高院
　　　　致同道度段相願候処智高院儀同道之儀ハ御免無之
　　　　上京之儀願之通被仰付
　　　　　　但右ニ付御持筒頭出渕平兵衛江道中并京都滞留中
　　　　　　孫太郎江被附置候間病気之様子追々致注進候様被　仰付
　　一　十一月十四日　万姫様松平伯耆守　殿御屋敷江御越被成《割書：同十七日｜御帰館》
　　一　同月十九日御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿ゟ御呼出御留守居荒川善右衛門《割書：正｜武》
　　　　罷出候処明後廿一日御領知之　御判物御頂戴之筈ニ候此節
　　　　御病気ニ候得者御一類中之内被指出候様被申聞之
　　一　同月廿一日右同断ニ付　御名代中務大輔《割書：昌｜勝》様御登　城
　　　　御判物御頂戴直ニ此　御屋形江御越其節
　　　　綱昌様御玄関式台迄　御出迎御同道ニ而御書院江御通
　　　　御判物御頂戴被成

　　　　　　　御判物
　　　　　　　　越前国今立郡并足羽郡之内百五拾弐箇村

　　　　　　吉田郡之内百拾四箇村丹生郡之内百八拾八箇村
　　　　　　南条郡之内八拾三ヶ村坂井郡之内弐百五拾九ヶ村大野
　　　　　　郡之内六拾八箇村高五拾弐万五千弐百八拾石余《割書：目｜録》
　　　　　　《割書：有別｜紙》事内五万石松平中務大輔可進退之残四拾
　　　　　　七万五千弐百八拾石余充行之訖全可令領知之状
　　　　　　如件
　　　　　　　　　　貞享元年九月廿一日御花押
　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　越前少将殿
　　　　右相済為御礼　御名代中務大輔様御老中并御側御用人　
　　　　牧野備後守《割書：成｜貞》殿若年寄中江御廻勤《割書：御礼勤之儀御老中阿部｜豊後守殿江御伺之上》
　　一　十一月廿三日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　十二月是迄御用之御書判今度御頂戴　御判物之
　　　　公方様御花押ニ似寄候ニ付　御書判御改被成
　　一　同月十日本多淡路守《割書：忠｜英》殿ゟ御呼出《割書：昨九日｜申来》ニ付御留守居罷出候処
　　　　御領知目録御渡有之
　　一　同月十三日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被献之

　　一　十二月十八日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　一　同月廿六日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：二｜番》生鱈被献之


貞享二年乙丑
　　一　正月朔日年始御祝儀　御登　城御病気ニ付御断依之
　　　　御使者酒井孫四郎《割書：元｜宣》を以御太刀馬代被献之
　　一　同日　御屋形於　御座之間年始御祝儀有之
　　　　　　但御病気ニ付諸士之御礼今日ハ不被為請
　　一　同月二日於中書院諸士其外諸役人迄一同並居年始之
　　　　御礼申上之被為　入御跡ニ而御家老出座何も二行ニ罷出
　　　　御長蚫自分頂戴之相済於御次之間奥御小姓表御小姓并

　　　　御医師御絵師一同並居御礼申上之被為　入於維摩之間
　　　　御長蚫自分頂戴之
　　一　同日御読初相済御鷹　御居初御馬　御乗初有之
　　一　正月三日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃台
　　　　御酒代被献之
　　一　同月七日為御上初御使者を以例之通御肴《割書：鯛｜》被献之
　　一　同月八日
　　　　公方様御不例ニ付　御機嫌為御伺御用番并御側御用人江
　　　　御使者御留守居被指出之
　　　　　　但右同断ニ付御快然迄毎日御使者被指出之
　　一　同月十一日右同断　御機嫌御伺之御使者御用番江
　　　　被指出候処御快然ニ付御表江　出御被遊候段用人を以
　　　　被申聞之依之為御歓御用番并御側御用人江御使者
　　　　御家老斎藤民部《割書：定｜之》被指出之
　　一　同月廿五日　鶴姫君様近々紀伊中将《割書：綱｜教》様江
御入輿ニ付為
　　　　御祝儀御使者を以綿五百把被献之右御披露済之
　　　　御奉書御老中大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿ゟ来
　　　　　　今度　姫君様御祝言ニ付而綿五百把

　　　　　　被献之右之趣各相談及
　　　　　　上聞候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　正月廿五日　　　　　　　　忠朝書判

　　　　　　　　松平越前守殿

　　一　正月廿七日　鶴姫君様御入輿御日限《割書：来月｜廿二日》被　仰出候ニ付
　　　　為御歓御用番并御側御用人牧野備後守《割書：成｜貞》殿江
　　　　御使者被指出之
　　一　同月《割書：日不｜詳》御国絵図御改正被　仰出瀧主計《割書：明｜矩》江惣奉行
　　　　被　仰付
　　一　二月十五日浄光院《割書：寂｜良》登　城於御白書院入院之御礼被　仰付
　　　　依之為御礼御老中并御側御用人牧野備後守《割書：成｜貞》殿江
　　　　御使者酒井孫四郎《割書：元｜宣》被指出之寺社奉行中江御使者
　　　　御使番被指出之
　　一　同月廿二日
　　　　新院御所《割書：御諱｜良仁》崩御《割書：後西帝｜》

　　一　二月廿三日　鶴姫君様昨廿二日紀伊中将《割書：綱｜教》様江御入輿相済候
　　　　為御祝儀　御登　城可被成之処御病気ニ付御断依之為
　　　　御祝儀御老中御側御用人若年寄中江御使者御家老
　　　　斎藤民部《割書：定｜之》被指出之
　　一　同日右同断ニ付為御祝儀御使者御留守居荒川
　　　　善右衛門《割書：正｜武》を以昆布一箱干鯛一箱御樽代千疋
　　　　被献之　御台様江干鯛一箱御樽代千疋被指上之
　　　　清姫様ゟ御使者を以昆布一箱干鯛一箱御樽代五百疋
　　　　被献之　御台様江昆布一箱干鯛一箱御樽代
　　　　五百疋被指上之
　　一　同月廿六日
　　　　新院御所崩御ニ付
　　　　公方様御機嫌為御伺　御登　城可被成之処御病気ニ付
　　　　御断依之　御機嫌為御伺御用番阿部豊後守《割書：正｜武》殿江
　　　　御使者御留守居被指出之
　　一　三月四日右同断ニ付
　　　　禁裏御所
　　　　本院御所御機嫌為御伺京都江御使者御先物頭被指出之

　　一　同日右同断ニ付御使者同人を以泉涌寺江御香奠銀二十枚
　　　　被献之《割書：御老中江｜御伺之上》
　　　　　　但右御使者京都着日不詳
　　一　三月十八日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　四月六日　鶴姫君様御入輿相済候為御祝儀御触有之
　　　　ニ付御使者御留守居荒川善右衛門《割書：正｜武》を以御折一合
　　　　被献之
　　一　同月廿三日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
　　一　四月　浄光院先住教波遷化前常念仏之儀相止可申旨
　　　　塔頭之者江申置候趣役僧ゟ相達候ニ付其段
　　　　昌親様達　御聞候処念仏相止候旨と如何ニ被　思召候ニ付
　　　　為念仏料米五拾俵被下之
　　一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単
　　　　御袷被献之
　　一　六月廿一日暑中ニ付御使者を以例之通御国産索麪干鯛
　　　　被献之
　　一　七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金

　　　　被献之　御台様江鯖御樽被指上之
　　一　七月廿一日御使者を以例之通御国産初鱈被献之
　　一　同月廿九日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　同月《割書：日不｜詳》当春被　仰出候御国絵図出来
　　　　　　但右御国絵図二枚江戸表江瀧主計《割書：明｜矩》持参被　仰付
　　　　　　御扣一枚并下絵図御城代有賀左衛門江御預
　　一　八月十六日御国絵図持参瀧主計《割書：明｜矩》江戸表江着
　　　　　　但　公辺江指出候月日御記録類不詳
　　一　九月三日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　一　同月十三日
　　　　昌親様御参府ニ付鳥越御屋敷江　上使有之依之為
　　　　御礼御老中御側御用人若年寄中江御使者水谷
　　　　織部《割書：勝｜乗》被指出之
　　一　同月十九日御用番戸田山城守《割書：忠｜昌》殿ゟ御呼出御留守居
　　　　荒川善右衛門《割書：正｜武》罷出候処左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　覚
　　　　　　馬の筋のへ候儀第一用方ニ不宜其上不仁成

　　　　　　儀ニ付　御厩に立候御馬共先年より
　　　　　　御停止被　仰出候得共向後堅御制禁被
　　　　　　仰出者也
　　一　九月廿一日
　　　　昌親様御参府之御礼相済候ニ付為御礼御老中
　　　　御側御用人若年寄中江御使者瀧主計《割書：明｜矩》被指出之
　　一　十月廿六日布与姫様霊巌嶋御屋敷江被為　入御逗留
　　　　御饗応有之《割書：同廿九日麻生｜御屋敷江御帰館》
　　一　十一月十四日
　　　　昌親様江　御鷹之鶴御拝領依之為御礼御老中
　　　　御側御用人若年寄中江御使者被指出之
　　一　同月《割書：日不｜詳》御老中松平日向守《割書：信｜之》殿ゟ御呼出ニ付御留守居
　　　　罷出候処左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　　覚
　　　　　　一　今度於遠州秋葉祭と申ならハし在々　
　　　　　　　　村次ニ送渡末々に而ハ人多集他国迄送之
　　　　　　　　不届之仕形ニ付段々御仕置被　仰付候事
　　　　　　一　於国々所々向後新規之祭礼無用ニ候

　　　　　　　　無拠子細有之者寺社奉行衆江可被
　　　　　　　　相伺候事
　　　　　　一　有来神事祭礼無懈怠如前々弥
　　　　　　　　軽可執行候事
　　　　　　　　　　　十一月日

　　一　十二月三日於華蔵寺去朔日晩ゟ今朝迄《割書：二夜｜三日》
　　　　高照院様十三回御忌御法事御執行有之於谷中
　　　　南泉寺も昨二日晩ゟ今朝迄右同様御執行有之
　　一　同月四日最前本多修理《割書：冨｜敬》江御預ニ相成候本多孫太郎《割書：長｜員》
　　　　家来岡部木工左衛門儀不届之者ニ候相間急度可被　仰付
　　　　候得共内蔵助代ゟ久々役儀をも相勤候者ニ候間御用捨
　　　　被成下孫太郎江被下候間右木工左衛門并倅木工之助儀
　　　　改易可申付旨修理江御家老斎藤民部《割書：定｜之》申渡之
　　一　同日
　　　　昌親様ゟ之御使横目村上三大夫《割書：正｜峯》去月廿六日江戸出立
　　　　今日福井着御老中ゟ彦坂壱岐守《割書：重｜綱》殿を以去月十二日
　　　　昌親様江　御内意有之候覚書并　御直書一通持参

　　　　於御家老斎藤民部《割書：定｜之》宅御家老一統江三大夫相達之
　　　　　　御内意覚書
　　　　　　　御同氏越前殿御病気之御様体世上にてハ
　　　　　　　不宜沙汰候永々御引込　御目見も無之候万一
　　　　　　　風と御死去候ハヽ御跡職之儀御大法有之候得者
　　　　　　　如何難計候左候得者只今之内兵部殿御了簡も
　　　　　　　可有御座儀ニ存候近年御願之筋も有之候哉と
　　　　　　　見合候得共其儀無之ニ付御家之事ハ何も
　　　　　　　大切ニ存候故兵部殿越前殿御為と何も存寄
　　　　　　　御内意申進候直ニ可申候得共差当御返答□
　　　　　　　如何と存候出入被仕衆も不存候ニ付而彦坂
　　　　　　　壱州を以申達候以上
　　　　　　　　　但御直書御記録類ニ不詳

　　一　同日夕同断ニ付御家老狛木工允《割書：貞｜澄》宅江高知ゟ
　　　　御使番迄月番之面々相招之本多左兵衛《割書：道｜重》斎藤民部《割書：定｜之》
　　　　列座ニ而右御直書之趣木工允相達之
　　一　十二月十四日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於

　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　十二月十八日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一｜番》
　　　　生鱈被献之
　　一　同月廿三日右同断《割書：二｜番》生鱈被献之
　　一　同月廿七日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖
　　　　被献之

貞享三年丙寅
　　一　正月朔日年始御祝儀　御登　城御病気ニ付御断依之
　　　　御使者を以御太刀馬代被献之
　　一　同月七日為御上初御使者を以例之通御肴《割書：鯛｜》被献之
　　一　同月《割書：日不｜詳》御家中并町在ニ至迄近年奉公人少ク不自由ニ付
　　　　御国之者他国江奉公又者稼ニ不罷出候様兼而被　仰出も
　　　　有之候得共自今以後尚以堅相守候様急度可申付旨
　　　　町奉行郡奉行江被　仰出之

　　一　二月十二日　万姫様御逝去谷中南泉寺江御葬送御法号
　　　　松桂院殿元貞寿栄大姉
　　一　同月十三日　御宮別当泉蔵院儀是迄智楽院末寺ニ
　　　　候処向後日光御門主直末寺ニ相成候様被　仰達候処
　　　　今度直末寺ニ相成候趣江戸表ゟ申来右ニ付為御礼
　　　　江戸表江罷出候様泉蔵院江御家老斎藤民部《割書：定｜之》
　　　　申渡之
　　　　　　但右ニ付泉蔵院追而出府之上東叡山役者ゟ
　　　　　　左之通免許書相渡

　　　　　　越前国足羽郡福居城下万福山泉蔵院者
　　　　　　当国
　　　　　　東照宮別当所也因茲今般任城主之
　　　　　　懇望被属東叡山之末寺訖且復於越前国
　　　　　　中当住春朝一代被聴着木蘭色於他所者
　　　　　　可憚之也者社役勤行等無怠慢可抽檀越
　　　　　　長久之懇祈之旨依
　　　　　　輪王寺宮御気色執達如件

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　伝法心院
　　　　　　　　貞享三年五月廿六日　　　　　　　　　　判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大円覚院
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　判
　
　　　　　　　　　　　　泉蔵院現住
　　　　　　　　　　　　　　　　春朝

　　一　二月　御城下絵図出来
　　　　　　但去年秋被　仰出之
　　一　三月十二日於瑞源寺去十日晩ゟ今朝迄《割書：二夜｜三日》
　　　　松桂院様御当座御法事御執行有之
　　一　同月廿四日於浄光院去廿ゟ今日迄《割書：五昼｜夜》
　　　　大安院様十三回御忌御法事御執行有之於大安寺も
　　　　軽御執行有之
　　一　閏三月六日依　召
　　　　昌親様并御同姓様方　御登　城被成候処於御黒書院
　　　　御老中并御側御用人列座御老中大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿
　　　　上意之趣左之通御達有之

　　　　　　上意之趣
　　　　　　　去頃彦坂壱岐守を以越前守病気之様子
　　　　　　　御尋之処気色不宜趣達
　　　　　　　上聞御大法有之ニ付領分被　召上旨
　　　　畢而御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿又々左之通御達有之
　　　　　　　越前守存生之内二万俵被下置旨
　　一　五月四日鳥越御屋敷江御引籠
　　一　同月右同断ニ付御養子以前ゟ被　召仕候者其外御近習
　　　　且御厚恩之面々鳥越御屋敷ニ御奉公相勤度段相願候ニ付
　　　　左之通被為　附之
　　　　　　　　五百俵
　　　　　　　　　元千三百石　　　　　　　　狛　十大夫
　　　　　　　　五百俵
　　　　　　　　　元千二百石　　　　　　　　毛受　左門
　　　　　　　　五百俵
　　　　　　　　　元千二百石　　　　　　　　石川惣左衛門
　　　　　　　　弐百俵
　　　　　　　　　元四百石　　　　　　　　　一柳小平次
　　　　　　　　三百俵　
　　　　　　　　　元九百石　　　　　　　　　堤　甚三郎
　　　　　　　　百五拾俵
　　　　　　　　　元三百石　　　　　　　　　河津善大夫

　　　　　　　　百　俵
　　　　　　　　　元弐百石　　　　　　　　　樋口小左衛門
　　　　　　　　百　俵
　　　　　　　　　元弐百石　　　　　　　　　酒井七郎兵衛
　　　　　　　　百五拾俵
　　　　　　　　　元三百石　　　　　　　　　高塚甚兵衛
　　　　　　　　七拾五俵
　　　　　　　　　元百五拾石　　　　　　　　奈良伊右衛門
　　　　　　　　七拾五俵
　　　　　　　　　元百五拾石　　　　　　　　上田藤助
　　　　　　　　百　石
　　　　　　　　　元弐百石　　　　　　　　　林　八大夫
　　　　　　　　百　石　　　　　　　　　　　田嶋藤七
　　　　　　　　百　石　　　　　　　　　　　畑　寛右衛門
　　　　　　　　七拾弐俵　　　　　　　　　　高田伝六
　　　　　　　　七拾弐俵　　　　　　　　　　小栗源蔵
　　　　　　　　七拾弐俵　　　　　　　　　　牧野藤大夫
　　　　　　　　七拾弐俵　　　　　　　　　　長谷川三六
　　　　　　　　七拾弐俵　　　　　　　　　　荒川善次郎
　　　　　　　　七拾弐俵　　　　　　　　　　遠山奥右衛門
　　　　　　　　七拾弐俵　　　　　　　　　　桑山権之助
　　　　　　　　百　俵
　　　　　　　　　元弐百石　　　　　　　　　恒岡太郎吉
　　　　　　　　七拾弐俵
　　　　　　　　　元三拾石七人扶持　　　　　仙石小三郎
　　　　　　　　七拾弐俵　　　　　　　　　　永見又五郎


　　　　　　　五人扶持　　　　　　　　　　畑　金蔵
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　足立牛之丞
　　　　　　　百　俵　　　　　　　　　　　吉岡六兵衛
　　　　　　　百　俵
　　　　　　　　元百五拾石　　　　　　　　伴　弥五兵衛
　　　　　　　七拾五俵
　　　　　　　　元百五拾石　　　　　　　　加藤長右衛門
　　　　　　　六拾五俵
　　　　　　　　元百石　　　　　　　　　　二宮彦右衛門
　　　　　　　六拾五俵
　　　　　　　　元三拾石四人扶持　　　　　上田三郎右衛門
　　　　　　　六拾五俵
　　　　　　　　元弐拾八石五人扶持　　　　井上角右衛門
　　　　　　　五拾五俵
　　　　　　　　元三拾石五人扶持　　　　　井上勘七
　　　　　　　五拾五俵
　　　　　　　　元三拾石五人扶持　　　　　松山九兵衛
　　　　　　　四拾五俵
　　　　　　　　元弐拾石五人扶持　　　　　加藤又助
　　　　　　　四拾五俵
　　　　　　　　元弐拾石五人扶持　　　　　井上新平
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　橋本治兵衛　
　　　　　　　百　俵　　　　　　　　　　　黒子道由
　　　　　　　五人扶持　　　　　　　　　　黒子由仙
　　　　　　　十五石三人扶持　　　　　　　佐藤金兵衛
　　　　　　　十五石三人扶持　　　　　　　橋本太郎兵衛
　　　　　　　十五石三人扶持　　　　　　　中田惣兵衛

　　　　

　　　　　　　　十五石三人扶持　　　　　　　小田忠左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　五十嵐仁左衛門
　　　　　　　　十三石三人扶持　　　　　　　飯沢庄左衛門
　　　　　　　　十五石三人扶持　　　　　　　伴　久右衛門
　　　　　　　　十三石三人扶持　　　　　　　井上徳左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　沢崎与五左衛門
　　　　　　　　十三石三人扶持　　　　　　　叶間長左衛門
　　　　　　　　十一石三人扶持　　　　　　　渡辺喜大夫
　　　　　　　　十一石三人扶持　　　　　　　朝宮弥四右衛門
　　　　　　　　十三石三人扶持　　　　　　　福田又助
　　　　　　　　十三石二人扶持　　　　　　　大倉六右衛門
　　　　　　　　七石二人扶持　　　　　　　　吉田久大夫
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大谷三大夫
　　　　　　　　十三石三人扶持　　　　　　　長崎玄斎
　　　　　　　　七石五斗二人扶持ツヽ　　　　　　宗知
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　円斎
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　宗仙
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　玄碩

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　休玄
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　全斎
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　長順
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　閑碩
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　円佐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　木工斎
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　意斎
　　　　　　　　　　　　　　　　　　門野助八
　　　　　　右之外　清姫様左之通被為附之
　　　　　　　　　　　　　　　　　　松江善兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　御取次
　　　　　　　　　　　　　　　　　　小堀市右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　　大源久大夫　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　井上源左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　　中野太郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　御料理人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　柳原仁兵衛
　　一　九月廿六日鳥越御屋敷大奥御普請出来ニ付　清姫様
　　　　豊姫様霊巌嶋御屋敷ゟ御引移被成

元禄三年庚午
　　一　正月廿七日於鳥越御屋敷　浅次郎様御誕生御母竹村氏
　　　　《割書：於伝之方竹村｜八郎左衛門《割書：正｜光？》女》

元禄十二年己卯
　　一　正月　旧臘ゟ御不快ニ付御医師共薬御服用被成候処
　　　　廿三日夜御腹痛其上疼御差起被成早速御開被成候得共
　　　　其以後惣体御気色御差支御疲労被成候ニ付御医師
　　　　長嶋道仙老御頼薬御服用被成
　　一　二月七日御病気次第御指重被成　
　　一　同月十一日《割書：辰｜刻》於江戸鳥越御屋敷　御逝去《割書：御年｜三十九》
　　一　同月十三日《割書：夜九｜時》深川霊岸寺江　御葬送御法号

　　　　清浄院殿前越州刺史従四位下羽林次将明誉光岸照哲大居士

　　一　二月十七日於霊岸寺去十五日ゟ今朝迄御当座御法事御執行
　　　　有之
　　一　三月二日於浄光院昨朔日晩ゟ今朝迄
　　　　清浄院様御当座御法事御執行有之
　　　　　　但右御法号去月廿九日江戸表ゟ御徒飛脚ニ而相廻ル
　　一　同月十六日於霊巌寺御三十五日御法事　清照院様ゟ
　　　　御執行有之
　　一　五月廿二日於同寺去廿日ゟ今朝迄御百ヶ日御法事
　　　　清照院様ゟ御執行有之
　　一　同日於浄光院去廿日夕ゟ今朝迄御百ヶ日御法事御執行
　　　　有之

　　　　　　　　　　清姫様《割書：寛文三年御誕生御名八重姫様と奉称《割書：後清姫と｜御改》｜御父者飛鳥井左中将雅通卿》

延宝四年丙辰
　　一　七月十八日
　　　　昌親様御養女ニ御成被成
　　　　綱昌様江御縁組
　　一　十一月十八日
　　　　綱昌様ゟ御使者を以御結納被進之

延宝五年丁巳
　　一　九月廿六日京都御発輿東海道通江戸表江被為
　　　　趣《割書：十月十一日江戸｜御屋敷江御着》
延宝六年戊子（戊午の誤りか？）
　　一　七月廿一日鳥越御屋敷　霊岸（巌？）嶋御屋敷江御引移
　　　　御婚姻御整被成
　　一　八月九日御婚姻之為御礼御使者を以
　　　　公方様江御帷子二《割書：染立一｜白一》御単一《割書：鱈｜珍》御袷《割書：熨斗目一綸子｜たて紅裏一》被献之
　　一　十二月廿五日端午重陽歳暮御献上之儀
　　　　綱昌様ゟ御伺被成候処御伺之通御献上被成候様御老中ゟ
　　　　御指図有之
　　　　　　但右都度之御献上之儀略之
延宝八年庚申
　　一　正月九日御安産　御女子御誕生
貞享三年丙寅
　　一　九月廿六日　政姫様御同道ニ而霊巌嶋御屋敷ゟ鳥越御屋
　　　　敷江御引移

元禄七年甲戌
　　一　四月十三日御疱瘡之処御平癒ニ付御酒湯御祝儀有之

元禄十二年戊寅（十一年が戊寅、十二年は己卯）
　　一　二月十一日
　　　　綱昌様御逝去ニ付御薙髪被称　清照院様

元禄十三年己卯（十三年は庚辰）
　　一　九月廿六日　豊姫様《割書：初｜政姫様》御同道ニ而江戸御発輿北陸道
　　　　通御国許江被為　趣《割書：十月三日福井江御着｜御供酒井典膳》
　　　　　　但鉄御門後勘定所之跡江御住居被成

正徳二年壬辰
　　一　七月十四日御逝去《割書：御年｜五十》
　　一　同月十六日森巌山運正寺江御葬送《割書：御大｜送》御法号
　　　　清照院殿嶽誉浄慧鏡空大善尼

　　　　　　綱昌様御勤中
　　一　御国許江御暇之節御拝領并　御帰国御礼
　　　　御献上物
　　　　　　但奉書紙御樽肴被指□之御鷹者二度目ゟ
　　　　　　御拝領
　　一　御参勤之節御献上物
　　一　御在府中御鷹之鳥類御拝領

　　一　御在国中御鷹之鶴御拝領
　　一　年中御祝儀物又御精進揚御肴御献上
　　一　御帰国御礼御使者を初御家来　御目見拝領物并
　　　　献上物等

　　　右
　　　光通様　昌親様御代同断

　　　若君様江
　　　　年頭　　御太刀金馬代
　　　　端午　　御帷子代銀二十枚御兜一飾
　　　　八朔　　御太刀金馬代
　　　　重陽　　御小袖代銀三十枚
　　　　歳暮　　御小袖代銀三十枚御破魔弓毬打玉
　　　　　但御兜御破魔弓御献上之御使者御三家方同様
　　　　　於梅之間指上之
　
　　　御台様江　
　　　　端午　　銀六枚

　　　　七夕　　鯖《割書：五十｜刺入》一箱御樽一荷
　　　　重陽　　銀十枚
　　　　歳暮　　同断

　　　年中御国産物
　　　　初鯖三十刺　　　　　　四月中《割書：又者｜五月》
　　　　索麪千把《割書：御箱肴｜添》　　　　暑中
　　　　初鱈三　　　　　　　　六七月中
　　　　生鱈三宛　　　　　　　寒中両度


　　　　綱昌様御勤中
　　　　　清姫様ゟ

　　　公方様江
　　　　年頭　　御樽代千疋箱肴一種
　　　　端午
　　　　重陽　　御時服三宛
　　　　歳暮

　　　　　　但右御献上之御使者　御城江罷出候節御三家之

　　　　　　　　　御簾中ゟ御献上之御使者同様御老中
　　　　　　　　　御披露有之

　　　若君様江
　　　　端午
　　　　重陽　　　　　　　　御時服三宛
　　　　歳暮

　　　御台様江
　　　　歳暮　　　　　　　　御樽代千疋箱肴一種
　　　右之通被指上之
　　　　　但右御献上之儀　清池院様之御例を以
　　　　　綱昌様ゟ御伺之上此外不時之御祝儀并
　　　　　御機嫌御伺且又御法事之節御香奠御献上之儀
　　　　　御表ゟ御老中江御伺之上御勤有之
　　　　　　　〆

　　一　綱昌様御代御纏御馬印御籏以下　御先代之通
　　　　御用被成

家譜

【表紙】
【題箋】
《題：家譜《割書：忠昌公｜》《割書：従寛永七年｜到正保四年》　四》

【右丁】
見返し

【左丁】
忠　昌　様　《割書：従寛永七年庚午｜至正保四年丁亥》

【右丁・白紙】

【左丁】
寛永七年庚午
　一　八月五日切支丹宗門御改ニ付左之通指出之
　　　　　一てうす門徒御穿鑿之儀ハ先年堅如被
　　　　　　仰付候唯今も猶以御改候我等共内若党中間ニ
　　　　　　至迄壱人も無御座候壱人宛宗師を改判
　　　　　　申付候間以来若祈人御座候は曲事ニ可被
　　　　　　仰付候仍如件
　　　　　　　　　　　　　　　　諸士
　　　　　　　八月五日　　　　　　姓名判

【右丁】
　　　　　　　　　御使番衆中
　　　　　　　　組諸士以下末々迄手形指出之
　　　　　一　てうす門徒御穿鑿之儀ハ先年堅如被仰付候
　　　　　　　唯今猶以御改候へ共此村中ニ壱人も無御座候
　　　　　　　若隠置候は十人組之者共御成敗可被仰付候
　　　　　　　仍如件
　　　　　　　　　　　　　　判ハ庄屋并十人組之内頭壱人ツゝ
　　　　　　　　八月五日　　　　　百姓判
　　　　　　　　御奉行所
　　　　　　　但町人共ゟも手形可指出候へ共御記録ニ不相見

【左丁】
一　同日百姓共他国江奉公或稼等ニ罷出候事御制禁之儀ニ付
　　左之通証文指出之
　　　　　一　当村中ゟ他国ヘ奉公人或ハ費用取ニ参不申候
　　　　　　　若罷越候者御座候は其名を唯今書上候而
　　　　　　　其身を急度呼帰可申候若遅ニ仕候は十人組
　　　　　　　之者曲事ニ可被　仰付候他国ヘ奉公人遣申間敷由ハ
　　　　　　　先年村中ゟ一札判仕指上候其上毎年右之通
　　　　　　　御触御座候間当年迄も油断ハ不仕候以来之儀
　　　　　　　此御書物之通尚以他国ヘ奉公人費用取壱人も

【右丁】
　　　　　出し申間敷候若違背仕候は曲事可被　仰付候
　　　　　仍如件
　　　　　　八月五日　　　　　　　　百姓判

　　　　　　御奉行所

一　九月十二日
　　禁裏《割書：内親王｜御諱興子》　御即位《割書：去巳年十一月｜八日御受禅》
一　冬江戸表　御発駕御帰国被成

【左丁】
　　　　　但　御発駕御帰国共月日不詳

【右丁・白紙】

【左丁】
寛永八年辛未
　一　正月二日為年始御祝儀御使者を以御太刀馬代被献之
　　　酒井阿波守《割書：忠｜行》殿披露之
　一　二月十二日　上使を以　御鷹之雁御拝領
　一　四月廿二日御使者石川宗左衛門《割書：乙｜成》を以御樽肴被献之
　　　其節宗左衛門儀　御目見被　仰付
　　　　　但右御献上之御趣意不詳
　一　五月廿七日御奉書を以巣鷂【鶴ヵ】《割書：二｜居》御拝領

【右丁】
　一　六月廿三日御使者永見志摩守《割書：吉｜次》を以蠟燭《割書：三百｜挺【提ヵ】》被献之
　　　其節志摩守於　御座之間　御目見被　仰付太刀馬代
　　奉書紙《割書：十｜束》献上御礼申上之
　　　　　但鷂御拝領ニ付而之御礼使者ニ可有之候得共御記録類
　　　　　　不詳
　一　月日依御願本多伊豆守《割書：冨｜正》二男源七郎《割書：冨｜次》儀御旗本江被　召出

【左丁】
寛永九年壬申
　一　正月朔日
　　　大御所様御不例ニ付年始御礼無之
　一　同月十三日　上使を以　御鷹之鶴御拝領右為御礼
　　　御登　城
　一　同月廿一日為年始御祝儀　西丸江　御登　城御老中
　　　土井大炊頭《割書：利｜勝》殿御謁有之御太刀馬代酒井阿波守《割書：忠｜行》殿御請取
　　　　　　但　大御所様御不例ニ付　御目見無之

【右丁】
一　正月廿四日
　　大御所様薨御《割書：台徳院様と｜奉称》
一　同月廿六日
　　大御所様御尊骸増上寺江　御葬送
一　二月廿四日
　　大御所様御遺物御脇指《割書：青木｜国次》御拝領且又
　　公方様ゟも御遺物銀之内白銀《割書：五十｜枚》御拝領
一　六月十六日嘉定ニ付　御登　城於大広間　御目見被　仰上
　　御祝之餅御頂戴

【左丁】
一　同月廿三日　上使土屋市之丞　殿を以林檎二籠御拝領
一　七月八日　上使御使番を以　御鷹之雲雀《割書：三｜十》御拝領
一　八月朔日為御祝儀　御登城御太刀目録御献上御礼被
　　仰上酒井阿波守《割書：忠｜行》殿御披露
一　同月《割書：日不｜詳》御関所通手形之儀ニ付御老中連名之御奉書来
　　　　　一　筆致啓達候御領分ゟ江戸へ参候女之儀
　　　　　以家老中手形可被相越候為其如斯候恐惶謹言
　　　　　　八月廿三日　　　　　青山大蔵少輔
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　幸成書判
　　　　　　　　　　　　　　　　内藤伊賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠重書判

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　　　永井信濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　尚政書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　酒井讃岐守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠勝書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　土井大炊頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　利勝書判

　　　　　　　　松平伊予守殿
　　　　　　　　　　　　人々御中

　　　　　但御関所女通手形之儀は此以前ゟ御年寄名前ニ而
　　　　　　有之候処此度改而御奉書を以被　仰出候御趣意不詳

【左丁】
一　九月六日為重陽御祝儀御使者を以御小袖被献之右御使者
　　御前江被召出
　　　　　但自此以前重陽御祝儀御献上之御使者
　　　　　　御前江被　召出候儀不詳
一　十月八日
　　台徳院様御一周忌相済候迄　御滞府被成度旨御願被成候処
　　御願之通被　仰出
一　同月廿日　御登　城　御目見無之　御退去
　　　　　但今日駿河大納言《割書：忠｜長》様上州高崎江御逼塞之儀被

【右丁】
　　　　　　仰出有之
　一　十一月十三日
　　　公方様先達而ゟ　御不例之処　御全快ニ付為御祝儀
　　　御登　城於御黒書院　御目見被　仰上
　一　同月十八日　上使御使番を以御菓子御拝領
　一　同月廿六日　上使を以　御鷹之鴈《割書：二｜羽》御拝領
　一　此年森巌山浄光院江
　　　台徳院様御霊屋御建立有之


　【左丁】
寛永十年癸酉
　一　正月廿四日
　　　台徳院様御仏殿御成就ニ付銅灯籠《割書：御廟瑞｜籬之内》御献備有之
　一　三月廿日御国許江之御暇　上使土井大炊頭《割書：利｜勝》殿酒井
　　　讃岐守《割書：忠｜勝》殿御両人を以被　仰出例之通御拝領物有之
　一　四月廿二日　出羽守《割書：直｜政》様大野ゟ《割書：五万｜石》信濃国筑摩郡松本江《割書：七万｜石》
　　　御転封

【右丁・白紙】

【左丁】　
寛永十一年甲戌
　一　月日為　御参勤福井　御発駕　御出府被成
　　　　　　但　御発駕御着府共月日不詳
　一　二月八日　御鷹之鶴御料理被　仰付候間　御登　城可
　　　被成之段御老中連名之御奉書来
　　　　　　　昨日御鷹之鶴明昼御料理被
　　　　　　　仰付候之間可有登城之旨
　　　　　　　上意候其御心得ニ而四過御出尤候恐々謹言

【右丁】
　　　　　　　二月八日　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　酒井讃岐守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠勝書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　土井大炊頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　利勝書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　酒井雅楽頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠世書判

　　　　　　　　松平伊予守殿
　　　　　　　　　　　　　人々御中

【左丁】
　一　春《割書：月日｜不詳》江戸海辺之荒地望有之輩江可被下之旨被
　　　仰出候ニ付霊巌島荒地御拝領被成度段御願被成候処
　　　御願之通被　仰出
　　　　　　但連々御築立ニ相成御普請御出来後霊巖島御屋敷とも
　　　　　　　又谷之御屋敷とも相唱之
　一　月日
　　　公方様当秋　御上洛被成候ニ付一旦　御帰国之上
　　　御上京被成候様被　仰出
　一　五月《割書：日不｜詳》右同断ニ付　御帰国
　一　月日今度　御上京ニ付御道中并　御在京中之御法令

【右丁】
左之通被　仰出之
　　　　　　条々
　　一　公儀御法度不可相背事
　　一　路次中宿々ニ而押買狼藉非分成儀少も
　　　　仕間鋪事
　　一　宿賃駄賃無沙法仕間敷事
　　一　舩渡其外猥成儀少も無之様ニ奉行人被
　　　　仰付候条下知相背間敷事
　　一　宿札剥申間鋪事

【左丁】
　　一　対宿札割衆悪口申間敷事
　　一　長刀大脇指寸御定之外大成を不可指
　　　　何ニ而も色鞘指間敷事《割書：刀鞘計二尺九寸｜脇指柄共ニ二尺五寸》
　　一　中間小者草履取絹類之着物同上帯下帯
　　　　衣裏袖縁ニも仕間敷裏衣袖縁之事ハ
　　　　布木綿ニ而も色違たる物ニ而も仕間敷事
　　　　　附縫箔ニ而紋所仕間敷事
　　一　大撫付下髭宜間敷事
　　一　宿々ニ而上下ニ不寄小歌を諷尺八を吹三味線を

【右丁】
　　　引萬むさと不行儀成儀も仕間敷事
　一　脇道すへからさる事
　一　請人無之新参者不可相抱事
　右之条々相背族於有之者御直下々ニ至而ハ
　與頭より過料被　仰付猶軽重ニ随ひ可有御沙汰
　又若党又小者ハ主人より過料出させ其身可被
　遂糺明旨被　仰付者也
　　寛永十一戊五月日
　　　〆

【左丁】
　　　　過料定
　一　押買狼藉仕者銀子三枚與頭又ハ主人より
　　　可出事
　一　宿賃駄賃無沙汰仕候者銀子二枚可出事
　一　舟渡其外所々ニ而奉行下知を背候者銀子
　　　二枚可出事
　一　宿札剥候者銀子二枚可出事
　一　対宿札割衆悪口申候者銀子二枚可出事
　一　長刀大脇指色鞘指候者銀子二枚可出事

【右丁】
　一　中間小者草履取絹類着物同上帯下帯
　　　襟袖縁之事は縦布木綿ニ而候共色違たる
　　　物付候者過料銀子二枚可出事
　一　宿々ニ而小歌諷尺八を吹三味線を引万
　　　むさと不行義成事候者代物壱貫文可
　　　出事
　一　脇道仕候者代物壱貫文可出事
　一　請人無之新参者抱候者銀子二枚可出事
　　右仍如件

【左丁】
　　　　寛永十一年戌五月日
　　　　　〆

　　　　京都ニ而
　　　　　辻番衆江被　仰付御法度
　一　公儀御法度之儀可為格別事
　一　喧嘩辻斬すり抔致し走篭候者棒すくめに
　　　致し其町之者ニ可相渡事
　一　火事其外何様之騒敷儀候共番所之木戸を
　　　堅一切出入仕セ間敷事

【右丁】
　　　　　　　　〆

　　　　　　　　同
　　　　　　　　　横目中江御法度
　　　　　一　侍中為御使者罷出候節奉行之衆より手形を取
　　　　　　　可参候帰候時右之通可申事
　　　　　一　侍中諸親類抔江見廻候時分外記多宮江相断
　　　　　　　手形取可参事
　　　　　一　武頭與中之衆関札より外へ罷出候者吟味
　　　　　　　手形を為持可遣事

【左丁】
　　　　　一　侍中召仕之者用之儀ニ而関札より外へ遣候者
　　　　　　　主々より手形を為持可遣事
　　　　　一　自然御屋敷中廻火事之時分侍中ハ表竹垣
　　　　　　　より外迄罷出御下知次第ニ可仕候御殿より二三町
　　　　　　　へたゝり候火事ニハ一切罷出間敷事
　　　　　一　何方ニ而喧嘩有之候共一円罷出間敷事
　　　　　　　　　〆
一　六月廿五日今度　御上京ニ付為御先備出立之面々
　　　　　　　　　　　　　　　　飯沼源左衛門

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　　　鉄炮組三十人
　　　　　　　　　　　　　　　西尾十之丞
　　　　　　　　　　　　　　　　　同　　二十人
　　　　　　　　　　　　　　　力丸藤左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　同　　二十人
　　　　　　　　　　　　　　　江川易右衛門　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　同　　二十人
　　　　　　　　　　　　　　　有沢太左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　同　　二十人

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　本多民部
　　　　　　　　　　　　　　　太田修理
　　　　　　　　　　　　　　　高田小左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　佐野式部
　　　　　　　　　　　　　　　杉山八兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　萩野内膳
　　　　　　　　　　　　　　　高田河内
　　　　　　　　　　　　　　　栂　長兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　渡辺牛兵衛

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　奥田松右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　丹羽善右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　荒川九太夫
　　　　　　　　　　　　　　　大野七之助
　　　　　　　　　　　　　　　渡辺弥次右衛門

　　　　　　　　　　　　　　　那須左五右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　三寺久左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　剣持六郎右衛門

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　御横目
　　　　　　　　　　　　　　　藤縫殿之助
　　　　　　　　　　　　　　　藤田清兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　松下三弥
　　　　　　　　　　　　　　　小池九右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　簗田太郎太夫
　　　　　　　　　　　　　　　松原善左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　土屋次郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　土屋玄番

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　木下久馬之助
　　　　　　　　　　　　　　　長谷川八郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　国枝小六
　　　　　　　　　　　　　宿割
　　　　　　　　　　　　　　　香西太郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　鈴木源兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　片岡与左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　伊達武兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　三沢甚右衛門

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　中根金太夫

一　六月廿六日　御上京ニ付福井　御発駕《割書：水落｜御昼休》府中
　　本多丹波守《割書：富｜正》館江被為　入暫　御休息丹波守初
　　御目見夫ゟ河野浦御止宿翌廿七日御舩ニ而敦賀江
　　御越御逗留有之
　　　　　　　　　　　　御供之面々
　　　　　　　　　　　　　一番
　　　　　　　　　　　　　　　平岡右近

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　山田伊織
　　　　　　　　　　　　　　　飯田主米助
　　　　　　　　　　　　　　　小倉十左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　毛受角之助
　　　　　　　　　　　　　　　川瀬又右衛門

　　　　　　　　　　　　　　　野本源五右衛門

　　　　　　　　　　　　　　　大井田宇右衛門

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　大宮彦右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　伊藤玄蕃
　　　　　　　　　　　　　　　堤　易左衛門
　　　　　　　　　　　　　乗かけ
　　　　　　　　　　　　　　　寺沢七郎左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　千野七郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　寿広
　　　　　　　　　　　　　　　難波新兵衛
　　　　　　　　　　　　　かち
　　　　　　　　　　　　　　海福権兵衛
　　　　　　　　　　　　　　堀　宗三郎

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　大井田角右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　藤　与五右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　京我権三郎
　　　　　　　　　　　　　　　粕谷伝左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　磯貝甚太夫
　　　　　　　　　　　　　　　吉田佐次右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　鷺谷右衛門助
　　　　　　　　　　　　　　　木滑三郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　御先乗
【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　香吹喜左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　鉄炮組三拾人
　　　　　　　　　　　　　　　丹羽久之丞
　　　　　　　　　　　　　　　　　同二拾人
　　　　　　　　　　　　　　　平塚三郎左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　弓組三拾人
　　　　　　　　　　　　　　　加藤武右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　杉形組三拾人
　　　　　　　　　　　　　乗かけ
　　　　　　　　　　　　　　　根来半兵衛

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　　　古庵
　　　　　　　　　　　　　　　　　清閑

　　　　　　　　　　　　　二番
　　　　　　　　　　　　　　　大谷修理
　　　　　　　　　　　　　　　飯沼主膳
　　　　　　　　　　　　　　　小倉兵部
　　　　　　　　　　　　　　　有賀左近
　　　　　　　　　　　　　　　荒川右衛門太

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　成田角左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　沼野七右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　原　八左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　高屋善右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　松原角左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　本多五郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　かち
　　　　　　　　　　　　　　　木村刑部
　　　　　　　　　　　　　　　瀧　七之介
　　　　　　　　　　　　　　　福井庄左衛門

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　佃　弥兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　小柴角太夫
　　　　　　　　　　　　　　　林　孫右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　小川藤右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　松沢郷左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　加藤六郎左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　市川利右衛門

　　　　　　　　　　　　　御先乗

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　猪子平左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　鉄炮組三拾人
　　　　　　　　　　　　　　　内藤十郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　同　三拾人
　　　　　　　　　　　　　　　大宮彦右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　異風二拾人
　　　　　　　　　　　　　　　松原角左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　同　二拾人

【右丁】
　　　　　　　　　　　御手廻御道具奉行
　　　　　　　　　　　　　　　冨田久右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　伊黒弥三右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　波々伯部源之丞
　　　　　　　　　　　　　　　小倉市左衛門
　　　　　　　　　　　御泊迄御先江参面々
　　　　　　　　　　　　　　　本多丹波守
　　　　　　　　　　　　　　　永見志摩
　　　　　　　　　　　　　　　酒井外記

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　鈴木多宮
　　　　　　　　　　　　　　　　　道意
　　　　　　　　　　　　　　　　　正庵
　　　　　　　　　　　　　　　吉岡三太夫
　　　　　　　　　　　　　　　戸祭兵太夫
　　　　　　　　　　　　　　　星野猪右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　安部市兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　生間庄右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　筒井七郎右衛門

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　坂部八左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　片屋久左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　大内猪左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　坂内八郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　落合馬左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　横田九左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　高畑角太夫
　　　　　　　　　　　　　　　阿波加半左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　宇野善左衛門

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　若月忠兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　森田庄兵衛

　　　　　　　　　　　　　御宿割
　　　　　　　　　　　　　　一番
　　　　　　　　　　　　　　　蠏江次郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　井口兵右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　高橋五左衛門
　　　　　　　　　　　　　　二番

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　津田源之丞
　　　　　　　　　　　　　　　内藤五郎太夫
　　　　　　　　　　　　　　　桑原猪兵衛
　　　　　　　　　　　　　　三番
　　　　　　　　　　　　　　　設楽三郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　本郷半右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　井上孫左衛門
　　　　　　　　　　　御先御荷物奉行
　　　　　　　　　　　　　　　川名弥五兵衛

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　磯野右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　岸与三左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　寺祇庄左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　渥美新右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　小栗勘兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　林　六左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　原　藤左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　山田九左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　松田助右衛門

「【右丁】
一　六月廿七日　御跡ゟ参面々
　　　　　　　　　　　　　　　吉田竹右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　鉄炮組二十人
　　　　　　　　　　　　　　　真田五郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　同　二十人
　　　　　　　　　　　　　　　山原勘右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　同　二十人
　　　　　　　　　　　　　　　橋本宇門
　　　　　　　　　　　　　　　　同　二十人

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　大井田道夢
　　　　　　　　　　　　　　　　御のほり
　　　　　　　　　　　　　　　遠藤源右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　御　長柄
　　　　　　　　　　　　　　　稲葉出雲
　　　　　　　　　　　　　　　多賀谷市正
　　　　　　　　　　　　　　　岩上左京
　　　　　　　　　　　　　　　嶋田三十郎
　　　　　　　　　　　　　　　毛受将監

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　奥村宮内
　　　　　　　　　　　　　　　丹羽八左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　国枝平右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　水野内匠
　　　　　　　　　　　　　　　留沢主水
　　　　　　　　　　　　　　　栗原善兵衛
　　　　　　　　　　　　　　御横目
　　　　　　　　　　　　　　　林　又左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　千本長右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　高田太郎右衛門

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　本多甚五左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　服部靱負
　　　　　　　　　　　　　　　加藤十右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　山上加兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　津田刑部
　　　　　　　　　　　　　　　石川佐左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　大藤金左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　中村市右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　浅香八之丞

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　藤田市郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　近藤次右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　田中与次兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　岩村伝右衛門
　　　　　　　　　　　　　　宿割
　　　　　　　　　　　　　　　熊谷与太夫
　　　　　　　　　　　　　　　大町宇右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　土屋次郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　黒坂角兵衛

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　荻野平内
　　　　　　　　　　　　　　　豊田弥五右衛門

一　七月朔日敦賀　御発駕西近江路通　御旅行ニ而
　　《割書：朔日御泊今津｜二日御泊和尓》同三日晩京都　御着　御旅館北野
　　松梅院　　於京都御客来挨拶之面々
　　　　　　　　　　　　　　一番
　　　　　　　　　　　　　　　本多民部

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　岩上左京
　　　　　　　　　　　　　　　伊藤玄蕃
　　　　　　　　　　　　　　　高田河内
　　　　　　　　　　　　　　二々
　　　　　　　　　　　　　　　稲葉出雲
　　　　　　　　　　　　　　　高田小左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　国枝平右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　飯沼源左衛門
　　　　　　　　　　　　　　三々

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　太田修理
　　　　　　　　　　　　　　　多賀谷市正
　　　　　　　　　　　　　　　佐野式部
　　　　　　　　　　　　　　　丹羽八左衛門
　　　　　　　　　　　　　御広間番
　　　　　　　　　　　　　　一番
　　　　　　　　　　　　　　　那須左五右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　水野内匠
　　　　　　　　　　　　　　　小池九右衛門

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　林　又左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　剱持六郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　中村市右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　荒川九太夫
　　　　　　　　　　　　　　　岩村伝右衛門
　　　　　　　　　　　　　　二番
　　　　　　　　　　　　　　　本多五郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　簗田太郎太夫
　　　　　　　　　　　　　　　三寺久左衛門

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　林　六左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　留沢主水
　　　　　　　　　　　　　　　設楽三郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　奥田松右衛門
　　　　　　　　　　　　　　三々
　　　　　　　　　　　　　　　堤　易左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　津田源之丞
　　　　　　　　　　　　　　　栗原善兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　藤　縫殿之助

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　藤田清兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　香西六郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　渥美新右衛門
　　　　　　　　　　　　　御広間
　　　　　　　　　　　　　　一番
　　　　　　　　　　　　　　　高屋善右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　里村庄之助
　　　　　　　　　　　　　　　井口兵右衛門
　　　　　　　　　　　　　　二番

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　大井田宇右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　小嶋権太夫
　　　　　　　　　　　　　　三番
　　　　　　　　　　　　　　　原　八左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　野本源五右衛門
　　　　　　　　　　　　御進物指引之役
　　　　　　　　　　　　　　一番
　　　　　　　　　　　　　　　松下三弥
　　　　　　　　　　　　　　　本多甚五左衛門

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　津田刑部
　　　　　　　　　　　　　　　磯野右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　大町宇右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　三沢甚右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　熊谷与太夫
　　　　　　　　　　　　　　二々
　　　　　　　　　　　　　　　有賀左近
　　　　　　　　　　　　　　　松原善左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　服部靱負

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　土屋次郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　土屋玄番
　　　　　　　　　　　　　　　鈴木源兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　小栗勘兵衛
　　　　　　　　　　　　　御進物取次
　　　　　　　　　　　　　　一番
　　　　　　　　　　　　　　　本多甚五左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　津田刑部
　　　　　　　　　　　　　　　磯野右衛門

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　伊黒弥一右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　木下久馬之助
　　　　　　　　　　　　　　　渡辺牛兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　浅香八之丞
　　　　　　　　　　　　　　　大町宇右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　木村刑部
　　　　　　　　　　　　　　　渡辺弥次右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　岸与三左衛門
　　　　　　　　　　　　　　二々

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　松原善左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　服部靱負
　　　　　　　　　　　　　　　土屋玄番
　　　　　　　　　　　　　　　長谷川八郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　波々伯部源之丞
　　　　　　　　　　　　　　　国枝小六
　　　　　　　　　　　　　　　土倉四郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　山上加兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　大野七之助

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　中根金太夫
　　　　　　　　　　　　　　　片岡与左衛門
　　　　　　　　　　　　　表御門番
　　　　　　　　　　　　　　　香吹喜左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　猪子平左衛門
　　　　　　　　　　　　　裏御門番
　　　　　　　　　　　　　　　丹羽久之丞
　　　　　　　　　　　　　　　内藤十郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　辻々御番

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　吉田竹右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　西尾十之丞
　　　　　　　　　　　　　　　武曽権左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　真田五郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　平塚三郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　力丸藤左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　大井田道夢
　　　　　　　　　　　　　　　山原勘右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　遠藤源右衛門

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　江川易右衛門
　　　　　　　　　　　　　　加藤武右衛門
　　　　　　　　　　　　　　有沢太左衛門
　　　　　　　　　　　　　　橋本宇門
　　　　　　　　　　　　御供番
　　　　　　　　　　　　　一番
　　　　　　　　　　　　　　大宮彦右衛門
　　　　　　　　　　　　　　成田角左衛門
　　　　　　　　　　　　　　毛受角之助

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　波々伯部源之丞
　　　　　　　　　　　　　　長谷川八郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　土倉四郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　国枝小六
　　　　　　　　　　　　　　山上加兵衛
　　　　　　　　　　　　　　井上孫左衛門
　　　　　　　　　　　　　　中根金太夫
　　　　　　　　　　　　　　高橋五左衛門
　　　　　　　　　　　　　　近藤次右衛門

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　大野七之助
　　　　　　　　　　　　　　粕谷伝左衛門
　　　　　　　　　　　　　　磯間甚太夫
　　　　　　　　　　　　　　松沢郷左衛門
　　　　　　　　　　　　　　木滑三郎左衛門
　　　　　　　　　　　　　　市川利右衛門
　　　　　　　　　　　　　　松島太兵衛
　　　　　　　　　　　　　二々
　　　　　　　　　　　　　　松原角左衛門

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　小倉十左衛門
　　　　　　　　　　　　　　伊黒弥一右衛門
　　　　　　　　　　　　　　加藤十右衛門
　　　　　　　　　　　　　　木下久馬之助
　　　　　　　　　　　　　　渡辺牛兵衛
　　　　　　　　　　　　　　桑原猪兵衛
　　　　　　　　　　　　　　本郷半右衛門
　　　　　　　　　　　　　　渡辺弥次右衛門
　　　　　　　　　　　　　　浅香八之丞

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　田中与次兵衛
　　　　　　　　　　　　　　木村刑部
　　　　　　　　　　　　　　寺祇庄左衛門
　　　　　　　　　　　　　　岸与三左衛門
　　　　　　　　　　　　　　林　孫右衛門
　　　　　　　　　　　　　　小川藤右衛門
　　　　　　　　　　　　　　吉田左次右衛門
　　　　　　　　　　　　　　加藤六郎左衛門
　　　　　　　　　　　　　　鷺谷右衛門助

【左丁】
　　　　　　　　　　　番はつれの面々
　　　　　　　　　　　　　　戸祭兵太夫
　　　　　　　　　　　　　　星野猪右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　道意
　　　　　　　　　　　　　　　　正庵
　　　　　　　　　　　　　　　　友伯
　　　　　　　　　　　　　　　　正林
　　　　　　　　　　　　　　安部市兵衛
　　　　　　　　　　　　　　生間庄右衛門

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　筒井七郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　坂部八左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　片屋久左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　坂内八郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　大内猪左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　木村源之丞
　　　　　　　　　　　　　　　落合馬左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　高畑角太夫
　　　　　　　　　　　　　　　阿波加半左衛門

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　横田九左衛門
　　　　　　　　　　　御客来御使者之取次
　　　　　　　　　　　　　　一番
　　　　　　　　　　　　　　　那須左五右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　水野内匠
　　　　　　　　　　　　　　　高屋善右衛門
　　　　　　　　　　　　　　二番
　　　　　　　　　　　　　　　本多五郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　猪子平左衛門

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　小嶋権太夫
　　　　　　　　　　　　　　三番
　　　　　　　　　　　　　　　堤　易左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　内藤十郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　丹羽久之丞
　　　　　　　　　　　　　御広間
　　　　　　　　　　　　　　一番
　　　　　　　　　　　　　　　毛受将監
　　　　　　　　　　　　　　　杉山八兵衛

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　荻野内膳
　　　　　　　　　　　　　　二番
　　　　　　　　　　　　　　　嶋田三十郎
　　　　　　　　　　　　　　　奥村宮内
　　　　　　　　　　　　　御納戸番
　　　　　　　　　　　　　　一番
　　　　　　　　　　　　　　　原　藤左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　千野七郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　二番

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　松田助右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　根来半兵衛
　　　　　　　　　　　　　　一番
　　　　　　　　　　　　　　　三上壽庵
　　　　　　　　　　　　　　　難波新兵衛
　　　　　　　　　　　　　　二番
　　　　　　　　　　　　　　　田辺古庵
　　　　　　　　　　　　　　　　　清閑

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　御番改
　　　　　　　　　　　　　　一番
　　　　　　　　　　　　　　　片岡与左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　豊田弥五右衛門
　　　　　　　　　　　　　　二番
　　　　　　　　　　　　　　　荻野平内
　　　　　　　　　　　　　　　鈴木源兵衛
　　　　　　　　　　　　　　三番
　　　　　　　　　　　　　　　小栗勘兵衛

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　大町宇右衛門
　　　　　　　　　京都ニ而御宿割
　　　　　　　　　　　　　　　小嶋権太夫
　　　　　　　　　　　　　　　里村庄之助
　　　　　　　　　京都ニ而関札ゟ内夜廻之面々
　　　　　　　　　　　　　　　一番
　　　　　　　　　　　　　　　高田太郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　千本長右衛門

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　三沢甚右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　栂　長兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　内藤五郎太夫
　　　　　　　　　　　　　　　黒坂角兵衛
　　　　　　　　　　　　　　二番
　　　　　　　　　　　　　　　蟹江次郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　石川佐左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　丹羽善右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　大藤金左衛門

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　伊達武兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　熊谷与太夫

　　　　　　　　　　　同御屋敷之内夜廻横目
　　　　　　　　　　　　　　一番
　　　　　　　　　　　　　　　畑　加左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　蒔田孫左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　南部忠兵衛
　　　　　　　　　　　　　　二番

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　田辺喜右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　田中長三郎
　　　　　　　　　　　　　　　岩崎七之助
　　　　　　　　　　　同御歩行横目
　　　　　　　　　　　　　　一番
　　　　　　　　　　　　　　　栗田市兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　出浦与三右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　高橋九右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　長沼五左衛門

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　小森庄兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　山口与左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　寺内小左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　荒井五兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　中村武右衛門
　　　　　　　　　　　　　　二番
　　　　　　　　　　　　　　　戸井口次郎左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　大沢七左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　大里新右衛門

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　渋谷権左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　日下部清兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　大源長右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　植竹与兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　野村半兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　上松権兵衛
　　　　　　　　　　二番替之面々
　　　　　　　　　　　　　　　海福瀬左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　瀧　勘兵衛

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　堀　平太夫
　　　　　　　　　　　　　　　都筑右馬允
　　　　　　　煩故不参候　　　石川伝右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　坂田助右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　岡谷三郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　藤生玄番
　　　　　　　　　　　　　　　高畑勘解由
　　　　　　　同断　　　　　　波々伯部七太夫
　　　　　　　　　　　　　　　本多五太夫

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　片山左馬之助
　　　　　　　　　　　　　　　宮川八郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　本多源五左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　奥村弥次兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　末高権兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　山本太郎左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　出渕平兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　飯川吉左衛門
　　　　　　　煩故不参候　　　渋谷三郎兵衛

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　田中清左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　山内権左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　渡辺又十郎
　　　　　　　　　　　　　　　牧野権兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　山本清右衛門
　　　　　　　煩故不参候　　　松下半兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　波々伯部権左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　桑原十左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　新庄小左衛門

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　今村平兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　大野庄兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　高塚忠左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　佐久間忠兵衛
　　　　　　　煩故不参候　　　千野瀬兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　門池権右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　飯川彦兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　安井壱岐
　　　　　　　　　　　　　　　高屋半左衛門

【右丁】
　　　　　　　煩故不参候　　　源沢長右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　平岩新五左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　山中与五右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　沼野七右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　伏屋九郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　西尾吉之丞
　　　　　　　　　　　　　　　岩上縫殿之助
　　　　　　　　　　　　　　　鈴木主税
　　　　　　　　　　　　　　　多田市郎左衛門

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　日下部四郎三郎
　　　　　　　　　　　　　　　服部三郎左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　秋山左五兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　松島太兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　久世次郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　田中伝三郎
　　　　　　　　　　　　　　　小川藤右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　磯貝甚太夫
　　　　　　　　　　　　　　　木滑三郎右衛門

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　井伊七之丞
　　　　　　　　　　　　　　　塩谷又左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　立元
　　　　　　　　　　　　　　　　　友伯
　　　　　　　　　　　　　　　〆


一　七月十一日
　公方様御上洛

【左丁】
一　同月十二日右同断ニ付為御祝儀御使者を以
　　公方様江熨斗《割書：三十｜把入》一箱御樽一荷被献之
一　同月十六日　御上洛中　御機嫌為御伺御使者を以
　　塩鮎《割書：三百｜入》一箱被献之
一　同月十七日於福井　萬姫様御誕生御母本島氏《割書：後号｜光慶院》
一　同月十八日
　　公方様御参内
一　同日右同断ニ付為御祝儀御使者里村庄之助を以

【右丁】
　　禁裏江御太刀馬代《割書：黄金｜十両》被献之

一　七月十九日右同断ニ付御使者酒井外記《割書：重｜成》を以
　　女院御所江白銀《割書：五十｜枚》被献之

一　同日昨日　御参内被為　済候為御祝儀二条之御城江
　　御登城御太刀馬代《割書：黄金｜二十両》御献上御礼被仰上

一　閏七月四日
　　公方様御院参

【左丁】
一　同日右同断ニ付為御祝儀御使者里村庄之助を以
　　院御所江御太刀馬代《割書：黄金｜十両》被献之

一　同月五日右同断ニ付御使者本多五郎右衛門《割書：正｜次》を以
　　女院御所江御樽二荷白鳥《割書：二｜》鯣《割書：三十｜連》一折昆布《割書：三十｜把》一折被献之
一　同日　御上洛中　御機嫌為御伺御使者を以鱸《割書：二｜》被献之
一　同月七日右同断ニ付御使者を以素麵《割書：五百｜把》一箱被献之
一　同月九日右同断ニ付御使者を以海老《割書：三｜十》一折被献之

【右丁】
一　閏七月十一日右同断ニ付御使者を以切漬鱈《割書：五本｜入》一箱被献之
一　同月十六日今度　御朱印被下之儀ニ付御領分郷村高辻帳
　　認可被指出之旨御奉書来
　　　　　　　　猶々此趣就
　　　　　　　　上意申入候以上
　　　　　　　今度　御朱印御頂戴付而御領分郷村之
　　　　　　　高辻具被注付出来次第可有御出候為其如此候
　　　　　　　恐々謹言
　　　　　　　　同七月十六日　　　安藤右京進
　　　　　　　　　　　　　　　　　　重長書判

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　　　内藤伊賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠重書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　永井信濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　尚政書判

　　　　　　　越前
　　　　　　　　宰相殿
　　　　　　　　　　人々御中

一　同月十八日　御機嫌為御伺御使者本多五郎右衛門《割書：正｜次》を以
　　女院御所江美濃鮎鮓二桶素麵《割書：五十｜把入》一箱被献之
一　同日御上洛中　御機嫌為御伺御使者を以学鰹三被献之

【右丁】
一　閏七月廿一日右同断ニ付御使者を以鯛二 一折被献之
一　同月廿五日
　　公方様大坂江被為　成候ニ付　御機嫌為御伺同所江御使者を以
　　干鱈《割書：五十｜入》一箱御樽一荷被献之
一　同日
　　女院御所ゟ繻子《割書：十｜巻》御薫物一包御拝領
一　同月廿七日　御機嫌為御伺御使者本多五郎右衛門《割書：正｜次》を以
　　女院御所江雲雀《割書：百｜入》一曲被献之
一　同月廿八日於京都御国許江之御暇被　仰出白銀《割書：五百｜枚》

【左丁】
　　御時服《割書：御帷子五十｜御単五十》御拝領
一　同月廿九日　御上洛中　御機嫌為御伺御使者を以簀巻鱈五
　　梨子《割書：百｜入》一箱被献之
一　同月晦日
　　女院御所ゟ御折二御拝領
一　八月四日於京都　御領知之　御判物被下之
　　　　　御判物
　　　　　　越前国足羽北郡四万弐百廿石八斗余足羽南郡
　　　　　　五万五百廿四石七斗余今南東郡壱万五千

【右内】
　　　　　　廿六石余今南西郡三万九千七百八十
　　　　　　五石五斗余今北東郡之内三万五千七百
　　　　　　五拾弐石九斗余吉田郡之内八万四百
　　　　　　四十五石九斗余丹生北郡之内八万千
　　　　　　弐百十七石八斗余南仲条郡之内弐万
　　　　　　四千三百四十三石壱斗余坂南郡之内四万弐千
　　　　　　四百九十六石七斗余坂北郡之内九万四千七百
　　　　　　四十七石七斗大野郡之内七百十石四斗余
　　　　　　都合五十万五千弐百八拾石余《割書：目録在｜別替》事

【左丁】
　　　　　　如前々全可有領知之状如件
　　　　　　　寛永十一年八月四日　家光御書判

　　　　　　　　　　　　　　越前
　　　　　　　　　　　　　　　宰相殿
　　　　　　　　但此節御領知目録御渡之儀不詳
一　八月五日
　　公方様京都　御発駕《割書：同廿日江戸｜御帰城》
一　同日京都ゟ　　御帰城
　　　　　御休泊

【右丁】
　　　　　　二日御発駕
　　　　　　　　御休坂本　　御泊和尓
　　　　　　三日
　　　　　　　　御休大溝　　御泊海津
　　　　　　四日
　　　　　　　　御休湯川　　御泊二ツ屋
　　　　　　五日
　　　　　　　　御休鯖波
一　九月十七日
　　公方様日光　御社参
一　十月十三日日光御社参相済候為御祝儀御樽肴被献
　　候処右御奉書今日御渡有之
　　　　　　就日光　御社参御樽肴目録之通御進上候

【左丁】
　　　　　　遠路之処被入念之段御満足思召候右之趣
　　　　　　可申達之旨
　　　　　　上意候間如此候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　堀田加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　正盛書判
　　　　　　　十月十三日
　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　　　　　　　　　土井大炊頭
　　　　　　　　　　　　　　　　利勝書判
　　　　　　　越前
　　　　　　　　宰相殿
　　　　　　　　　　人々御中

【右丁】
一　此年南条郡二ツ屋村ニ口留番所被建之

【左丁】
寛永十二年乙亥
　一　春《割書：月日｜不詳》江戸浅草御門升形石垣等御普請御手伝被蒙
　　仰右御普請惣奉行本多丹波守《割書：冨｜正》杉田壱岐守《割書：三｜正》江被　仰付
　　　　　但此時伊豆国ゟ石切出シ築之至翌子年御成就右
　　　　　　御普請場江
　　　　　　公方様度々被為　成候内丹波守江　御召御羽織拝領
　　　　　　被　仰付
一　六月廿一日従　公儀武家諸法度被　仰出之

【右丁】
　　　　武家諸法度
一　文武弓馬之道専可相嗜事
　　　左文右武古之法也不可不兼備矣弓馬是
　　　武家之要樞也雖兵為凶器不得已而用之
　　　治不忘乱何不励条練乎
一　大名小名在江戸更替可相定也毎歳夏四月
　　中可致参勤僕従員数近来甚多且国郡
　　之費且人民之労也向後以其相応可減少之
　　但上洛之節者任教令公役者可随分限事


【左丁】
一　新儀之城郭構営堅禁止之居城湟塁石
　　壁以下敗壊之時達奉行所可受其旨也矢倉
　　塀門等之分者如先規可修補事
一　於江戸并何国仮令何事雖有之在国之輩者
　　守其所可相待下知事
一　雖於何処行刑罰役者之外不可出向但可任検使左右事
一　企新儀結徒党成誓約之儀制禁事
一　諸国主并領主等不可致私之諍論平日須加謹慎也
　　若有可及遅滞之儀者達奉行所可受其旨事

【右丁】
一　国主城主壱万斛以上并近習之物頭者私
　　不可結婚姻事
一　音信贈答嫁娶之儀或饗応或家宅営作等
　　当時甚至華麗自今以後可為簡略其外
　　万事可用倹約事
一　衣装之品不可混乱白綾公卿以上白小袖諸大夫
　　以上聴之紫袷紫裡練無紋之小袖猥不可
　　着之至于諸家中郎従諸卒綾羅錦繡之
　　飾服非古法令制禁事

【左丁】
一　乗輿者一門之歴々国主城主壱万斛以上
　　并国大名之息城主曁侍従已上之嫡子或
　　年五十以上或医陰之両道病人免之其外
　　禁濫吹但免許之輩者各別也至于諸家
　　中者於其国撰其人可乗之公家門跡諸出
　　世之衆者制外事
一　本主之障有之者不可相抱若有叛逆殺害
　　人之告者可返之向背之族者或返之或可
　　追出之事

【右丁】
　　　　一　陪臣質人所献之者可及追放死刑時者可任
　　　　　　上意若於当座有難遁儀而斬戮之者其子細
　　　　　　可言上事
　　　　一　知行所務清廉沙汰之不致非法国郡不可令
　　　　　　衰弊事
　　　　一　道路駅馬舟梁等無断絶不可令致往還之
　　　　　　停滞事
　　　　一　私之関所新法之津留制禁之事
　　　　一　五百斛以上之舩停止之事

【左丁】
　　　　一　諸国散在之寺社領自古至今所附来者向後
　　　　　　不可取放事
　　　　一　万事如江戸之法度於国々所々可遵行事
　　　　右条々准当家先制之旨今度潤色定之訖
　　　　堅可相守者也
　　　　　　寛永十二年乙亥六月廿一日
一　八月朔日　大和守《割書：直｜基》様大野郡勝山ゟ《割書：三万｜石》大野江《割書：五万｜石》御転封
　　土佐守《割書：直｜良》様木本ゟ《割書：二万｜五千石》勝山江《割書：三万｜五千石》御転封
一　九月十二日於福井　国松姫様御誕生御母某氏《割書：称二ノ丸殿後｜号慶光院》

【右丁】
　一　此年木本二万五千石《割書：土佐守様是迄之｜御領知》御預被　仰出

【左丁】
寛永十三年丙子
　一　月日浅草御門御普請御手伝御用相済候ニ付右人夫并
　　　余リ石を以霊巖島御屋敷御普請有之此以後御普請
　　　御成就之上　御住居ニ相成
一　三月十一日於江戸浅草御屋敷　千菊丸様御誕生《割書：御妾腹ニ付｜御次男之》
　　　《割書：御取扱ニ相成後｜中務大輔と御改》御母白石氏《割書：菊後号｜壽證院》
一　五月七日於福井　道姫様《割書：廣橋儀同三司｜兼賢卿御女》御安産御男子
　　　御誕生奉称

【右丁】
　　萬千代丸様
一　六月朔日新銭御鋳立《割書：寛永｜通宝ト云》自今日諸国通用

【左丁】
寛永十四年丁丑
　一　三月《割書：日不｜詳》是迄之御預地木本弐万五千石御加増被　仰出
　一　九月《割書：日不｜詳》　御本丸御普請御成就
　　　公方様御移徙《割書：八月｜廿七日》ニ付為御祝儀本多丹波守《割書：冨｜正》被指上其節
　　　御広蓋《割書：二｜十》大奉書紙《割書：五拾｜束》被献之
　一　十月廿九日右同断ニ付御披露済之御奉書御渡有之
　　　　　為御移徙御祝義以本多丹波守被申上并
　　　　　御広蓋廿大奉書紙五十束如目録被差上候

【右丁】
　　　　遂披露候処御機嫌被　思召候委曲口上可
　　　　被述候恐々謹言
　　　　　十月廿九日　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　　　　　　　　　酒井讃岐守
　　　　　　　　　　　　　　　　　忠勝書判
　　　　　　　　　　　　　　土井大炊頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　利勝書判
　　　　越前
　　　　　宰相殿
　　　　　　　人々御中

【左丁】
一　月日今度松倉長門守《割書：重｜次》殿領分肥前国島原并寺沢
　　兵庫頭《割書：賢｜高》殿領分肥後国天草之百姓切支丹宗門之徒
　　致蜂起候趣江戸表ゟ申来右ニ付御使者出渕平兵衛《割書：盛｜次》を以
　　島原表江　御発向被成度旨江戸表江御伺被成候処御老中ゟ
　　御返答有之候ニ付平兵衛罷帰御返答之趣申上之
　　　　　　今度島原之儀ニ付被相伺候処達
　　　　　　上聞御満悦被　思召候雖然一揆体之儀不及
　　　　　　被差向候自然　御動座被遊程之儀於有之者
　　　　　　為　御名代可被遣之旨　上意候由

【右丁】
　　　　　　但此時為御軍備御試土佐守様御同道堅達山江
　　　　　　　追鳥狩被為　入候ニ付御狩場江罷出申上之
一　月日右同断ニ付島原之様子為見分御徒弐人被指遣之
一　十二月三日右同断ニ付為御仕置江戸表ゟ御老中板倉
　　内膳正《割書：重｜昌》殿被遣再松平伊豆守《割書：信｜綱》殿被指遣候ニ付左之通
　　御老中連名之御奉書来
　　　　　　猶々大和守殿土佐守殿此由可被相伝候以上
　　　　　一筆令啓達候今度肥前国松倉長門守
　　　　　領分島原并肥後国寺沢兵庫頭領内天草之

【左丁】
　　　　　百姓共きりしたん宗門依令蜂起為
　　　　　上使板倉内膳正石谷十蔵被差遣之候早速
　　　　　可為落着候然者彼跡以下為御仕置松平
　　　　　伊豆守戸田左門被遣之候此趣可相達之旨
　　　　　就　上意如此候恐々謹言
　　　　　　十二月三日　　　　堀田加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　正盛書判
　　　　　　　　　　　　　　　酒井讃岐守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠勝書判
　　　　　　　　　　　　　　　土井大炊頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　利勝書判


【右丁】
　　　　　　　越前
　　　　　　　　宰相殿
　　　　　　　　　　人々御中
一　月日島原表出陣之諸将江為御見廻御徒渡辺弥兵衛
　　大沢七左衛門小森庄兵衛土屋宗右衛門高柳仁太夫田中
　　六右衛門木村十兵衛長江五兵衛高瀬弥太夫平尾弥助
　　藤井覚右衛門松比良一郎右衛門都合十二人被遣之
　　　　　但右之内松平伊豆守殿江宗右衛門水野日向守殿父子江
　　　　　　庄兵衛仁太夫被遣其余は何方江被遣候哉不詳

【左丁】
寛永十五年戊寅
一　二月十一日　出羽守《割書：直｜政》様信州松本ゟ《割書：七万｜石》出雲国島根郡松江江《割書：十八万｜六千石》
　　御転封御高之外隠岐国御預ニ相成
一　同月廿八日島原之一揆共御成敗相済依之去年為御見廻
　　被遣候御徒之者共同廿九日彼地出立御国許江罷帰《割書：帰着之日｜不詳》
　　　　　但何も於彼地働有之候ニ付御取立被成渡辺弥兵衛
　　　　　　大沢七左衛門　小森庄兵衛《割書：奥｜方》土屋宗右衛門《割書：貞｜利》高柳
　　　　　　仁太夫《割書：重｜正》江新知百五十石田中六右衛門　木村十兵衛《割書：信｜辰》

【右丁】
　　　　　　長江五兵衛　高瀬弥太夫　平尾弥助　藤井
　　　　　　覚右衛門　江新知百石被下置松比良一郎右衛門
　　　　　　儀は致討死候処男子無之ニ付娘江御扶持方被下之
一　月日肥前国島原之一揆共御成敗《割書：二月｜廿八日》相済候ニ付御歓被
　　仰上
　　　　　但右ニ付諸大名ゟ御歓被申上候節落城又ハ御誅代抔と
　　　　　　被申上候処
　　　　　　忠昌様ニは御成敗と被　仰上候ニ付
　　　　　　公方様思召ニ相叶候由

【左丁】
一　三月廿九日於福井　長松様御誕生《割書：御母｜国松姫様ト同》
一　七月廿六日於江戸御屋敷　徳松様御誕生《割書：御母｜千菊丸様ト同》
一　九月廿一日於福井　道姫様御安産御女子御誕生奉称
　　千姫様

【右丁】
白紙

【左丁】
寛永十六年己卯
一　正月九日於江戸御屋敷　徳松様御逝去小石川西岸寺江
　　御葬送御法号
　　自峯大真大童子　《割書：大正十五年七月品川｜海晏寺墓地ニ改葬ス》
　　　　　但右寺旧跡并寺号等不詳
一　月日山里御武具土蔵焼失
　　　　　但御貯御武具御不足ニ　思召ニ付御増製被
　　　　　　仰付度候処

【右丁】
　　　　　　公辺御届御憚之儀も有之ニ付御武器焼失之趣ニ
　　　　　　御取扱被成度栗原作兵衛《割書：宗｜久》江　御内命有之
　　　　　　御武器虫干之折を以取斗之候由
一　月日市川理右衛門　栗原作兵衛《割書：宗｜久》江戸表江被指遣之御武具
　　土蔵焼失之段《割書：御武器虫干之節色紙ニ｜煙草之火屑相残候哉之旨》御達有之
　　　　　但御届済之上御武器御増製被　仰付候ニ付京都ゟ
　　　　　　職人御呼寄井原番右衛門《割書：頼｜文》江御用掛リ被　仰付
一　月日右同断ニ付此節弥以天下太平之為　御立願伊勢
　　両宮城州石清水八幡宮江　御代参被遣之

【左丁】
一　八月《割書：日不｜詳》今度江戸御本丸炎上《割書：去十｜一日》ニ付　御機嫌為御伺
　　本多民部《割書：重｜方》被指上其節奉書紙《割書：五十｜束》御広蓋《割書：十｜枚》被献之
一　九月五日右同断ニ付御披露済之御奉書御渡有之
　　　　　就今度御本丸火事為御見廻被差越本多
　　　　　民部殊奉書紙五十束広蓋十枚目録之通
　　　　　進上之候遂披露候之処念之入候段御機嫌
　　　　　御事候恐々謹言

　　　　　　九月五日　　　阿部対馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　重次書判
　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　　　松平伊豫守殿

一　同日御祝言ニ付先達而　千代姫君様江被指上物ニ付而之
　　御奉書御渡有之
　　　　　今度就祝言被相越使者目録之通
　　　　　千代姫君様江被差上候右之通達
　　　　　上聞之処被入念候趣思召御機嫌候委曲

【左丁】
　　　　　使者可為演説候恐々謹言
　　　　　　九月五日　　　阿部対馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　重次書判
　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　　　松平伊豫守殿
　　　　　　　　　　　　人々御中
一　九月十六日右同断之処　上意之趣有之ニ付御老中連名之
　　御奉書御渡有之

【右丁】
　　　　　今度就御本丸火事被相越使者并広蓋十
　　　　　奉書紙五拾束被差上之候目録之通遂披露候
　　　　　之処念之入候段被　思召御機嫌候此由可相伝之旨
　　　　　依　上意如斯候恐々謹言


　　　　　　　　　　　　　　　阿部対馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　重次書判
　　　　　　九月十六日
　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　松平伊豫守殿
　　　　　　　　　　　人々御中

【左丁】
一　十月廿二日先達而《割書：九月｜頃》ゟ　御所労之処御尓々無之ニ付右之趣
　　江戸表江御使者を以御達被成候処左之通御老中連名之
　　御奉書御渡有之
　　　　　　　以上
　　　　　貴殿義所労ニ付而被相越使者御書面之趣
　　　　　承届則達
　　　　　上聞候処一段無御心許被思召為　上使中根
　　　　　大隅守被仰付之候玄琢義も京都ニ有之付而
　　　　　直ニ其地へ可罷越之旨被　仰出次飛脚ニ而

【右丁】
　　　　　申遣候間近日可相越候無油断保養
　　　　　肝要候旨　上意候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　阿部対馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　重次書判
　　　　　　十月廿二日
　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　松平伊豫守殿
　　　　　　　　　　　人々御中
一　十月廿六日　御所労少御快方ニ付御書を以右之段被

【左丁】
　　仰上候処左之通御老中連名之御奉書御渡有之
　　　　　　　当月十八日之御札致拝見候所労被得少験之由
　　　　　　　示預之趣達　上聞候処被　思召御機嫌候
　　　　　　　弥無油断保養肝要之旨　上意候追々
　　　　　　　吉左右可被申上候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　阿部対馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　重次書判
　　　　　　十月廿六日
　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判

【右丁】
　　　　　　　松平伊豫守殿
　　　　　　　　　　　人々御中
一　十月《割書：日不｜詳》　御所労ニ付　公儀ゟ被遣候御医師野間玄琢
　　法印京都ゟ福井江参着御薬御服用被成
一　月日　御病気為　御尋上使中根大隅守《割書：正｜成》殿早駈ニ而
　　福井江参着《割書：酒井外記宅江暫｜休息夫ゟ登　城》於　御城　御尋之趣御達
　　相済持参之御奉書被指上之
　　　　　　　　以上
　　　　　所労之由達

【左丁】
　　　　　上聞候処無御心元被　思召為　上使中根大隅守
　　　　　被差遣候無油断療養肝要之旨
　　　　　上意候委曲大隅守被　仰含候間不能詳候
　　　　　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　阿部対馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　重次書判
　　　　　　十月廿三日
　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　松平伊豫守殿
　　　　　　　　　　　人々御中

【右丁】
一　十一月九日野間玄琢法印御薬御服用之処少御快方ニ付
　　御書を以其段被仰上候処左之通御老中連名之御奉書
　　御渡有之
　　　　　　　　　以上
　　　　　　御札致拝見候玄琢法印其許江相越則薬
　　　　　　御服用之処被得験気候由示預之趣達
　　　　　　上聞候之処被　思召　御機嫌候弥無油断
　　　　　　養生肝要之旨　上意候猶追々御吉左右
　　　　　　待入候恐々謹言

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　阿部対馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　重次書判
　　　　　　十一月九日
　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　松平伊豫守殿
　　　　　　　　　　　御報
一　同月十六日御所労ニ付
　　公方様ゟ　御本丸御宮御札守御頂戴有之候ニ付為御礼
　　御書被指出候処右御返書今日被相渡之

【右丁】
　　　　　尊札致拝見候今度就所労　御本丸
　　　　　御宮之御札可有頂戴之旨依　上意中根壱岐守
　　　　　知楽院僧正奉之被差越則被奉拝之忝冥加
　　　　　至極被存之由得其意候示預之趣達
　　　　　上聞候処被思召御機嫌候恐惶謹言
　　　　　　　　　　　　　　　阿部対馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　重次書判
　　　　　　十一月十六日

　　　　　　松平伊予守殿
　　　　　　　　　　　尊報

【左丁】
一　閏十一月《割書：日不｜詳》　上使を以　御病気　御尋且御医師野間
　　寿昌院被指遣候為御礼江戸表江酒井外記《割書：重｜成》被指出
　　料紙《割書：五十｜束》蒸鰈一箱被献之
一　同月十八日右同断ニ付而之御奉書御渡有之
　　　　　今度就所労被遣　上使其上為養生寿昌院
　　　　　被仰付之種々御懇之
　　　　　上意重畳忝被存候旨得其意候因茲
　　　　　早速本復之段珎重候為右之御礼酒井外記
　　　　　被差越之并其国之料紙五十束蒸鰈一箱

【右丁】
　　　　目録之通遂披露候之処則使者
　　　　御前江被召出念之入候段被思召　御機嫌候
　　　　弥保養肝要之旨被　仰出候委曲外記方
　　　　可為演説候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　阿部対馬守
　　　　　閏十一月十八日　　　　　　重次書判
　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　越前宰相殿
　　　　　　　　　人々御中

【左丁】
一　十二月廿八日先達而酒井外記《割書：重｜成》被指出候節　御目見被
　　仰付御服拝領被　仰付候為御礼御書被指出候処右
　　御返書今日被相渡之
　　　　尊札致拝見候
　　　　公方様御機嫌能被成御座候儀珎重旨奉
　　　　得其意候弥御快然候之間御心易可被思召候
　　　　将又今度為御礼酒井外記被差進候之処
　　　　御前江被召出弥可有養生之旨被　仰出其上
　　　　外記方御服拝領重畳忝被存之趣承届候

【右丁】
　　　　右之趣各申談達　上聞候恐惶謹言
　　　　　　　　　　　　　　　阿部対馬守
　　　　　十二月廿八日　　　　　　　重次書判

　　　　　　越前
　　　　　　　宰相様
　　　　　　　　　尊報

【左丁】
寛永十七年庚辰
一　二月《割書：日不｜詳》　御所労弥御本復被成候哉為　御尋被遣候
　　上使林丹波守殿福井参着其節　御鷹之鶴御拝領
　　被成
　　　　　　所労弥本復候哉無御心元被　思召候因茲
　　　　　　林丹波守為　上使御鷹之鶴被遣之候委曲
　　　　　　可述口上候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　正月廿九日　　　　　　忠秋書判

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　松平伊予守殿
　　　　　　　　　　人々御中
一　月日右同断ニ付為御礼江戸表江御使者被指出之御樽肴被献之
一　二月廿八日右御礼御使者被指出候ニ付而之御奉書御渡有之
　　　　　今度為　上使林丹波守被差遣候之儀御満足之由
　　　　　得其意尤存候依之為御礼被差越使者并御樽肴
　　　　　進上之候右之趣遂披露候処使者被召出
　　　　　御前ニ入念之段被思召御機嫌候恐々謹言

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　阿部対馬守
　　　　　二月廿八日　　　　　　　　重次書判
　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　越前
　　　　　　宰相殿
　　　　　　　　人々御中

一　三月《割書：日不｜詳》今度　御本丸御普請ニ付大鳥子紙《割書：二万｜枚》被献之
一　四月十一日　福松様《割書：後兵部大輔｜吉品様》於福井御誕生御母浦上氏《割書：於■方｜》
一　同月十三日今度　御本丸御普請御成就　御移徙《割書：四月｜五日》ニ付
　　為御祝儀御膳具并御重箱被献候処右御奉書今日御渡有之

【右丁】
　　　　　今度為御移徙御祝儀御膳之具一通并
　　　　　御重箱五組被献之候目録之通遂披露候之処
　　　　　念之入候段被　思召御機嫌候此旨可申入之由依
　　　　　上意如斯候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　四月十三日　　　　　　　　忠秋書判

　　　　　　松平伊予守殿
　　　　　　　　　　人々御中

【左丁】
一　七月廿一日　清涼院様於江戸御屋敷　御卒去渋谷長谷寺
　　御葬送御法名
　　清涼院殿久窓貞昌大姉《割書：後品川天龍寺江｜御改葬》　《割書：大正十五年七月品川｜海晏寺墓地ニ改葬ス》
　　　　　但右長谷寺地所之儀ハ山口但馬守《割書：重｜雅》殿下屋敷ニ候処
　　　　　　寛文年中山口家と久敷諍論之儀有之山口家及
　　　　　　断絶候程之事ニ而右諍論中永々無住ニ相成候ニ付
　　　　　　品川天龍寺江御改葬ニ相成且天龍寺　御石塔并
　　　　　　御位牌ニ者貞昌之字貞澄と有之
一　八月廿六日

【右丁】
　　万千代丸様《割書：御年｜五》福井　御発駕始而　御参府《割書：九月九日｜江戸御着》

【左丁】
寛永十八年辛丑
一　四月五日
　　万千代丸様　千菊丸様御同道ニ而平川口ゟ　御登　城於
　　大奥
　　公方様江初而　御目見被　仰上其時御介添之老女両人《割書：仙石｜御局》
　　御前江被　召出白銀二拾枚宛被下置之
　　　　　但此時
　　　　　　万千代丸様　千菊丸様御献上御拝領物等可有之

【右丁】
　　　　　　候得共御記録類不詳
一　八月三日於　御本丸
　　竹千代様《割書：後｜家綱様》御誕生
一　同月十五日
　　若君様御誕生ニ付為御歓　御参府被成度旨御伺被成
　　候処右御返書今日御渡有之
　　　　　　尊札致拝見候今度
　　　　　　若君様御誕生儀目出度思召候旨尤存候
　　　　　　寔珎重々々此事候早々示預之趣達

【左丁】
　　　　　　上聞候然者為御悦御参府有之度由承候
　　　　　　其段者必御無用候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　八月十五日　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　　松平伊予守殿
　　　　　　　　　　　　貴報
一　九月八日右同断為御祝儀御使者を以献物有之候処右御奉
　　書今日御渡有之

【右丁】
　　　　　若君様為御誕生之御祝儀被差越使者
　　　　　殊目録之通被献之候遂披露候之処念之
　　　　　入候段御機嫌仁被　思召候此由可相伝之旨依
　　　　　上意如此候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　九月八日　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判

　　　　　　　松平伊予守殿
　　　　　　　　　　　人々御中

【左丁】
一　十一月《割書：日不｜詳》御国許江　上使山口備前守《割書：重｜植》殿を以　御鷹之鶴
　　御拝領右為御礼御使者国枝又兵衛《割書：良｜次》江戸表江被指出之
　　御樽肴被献之
一　十二月朔日右御礼御使者被指出候ニ付而之御奉書御渡
　　有之
　　　　　今度山口備前守為　上使御鷹之鶴被遣候
　　　　　之儀重畳忝被存為御礼国枝又兵衛被差
　　　　　越之并御樽肴被献之右之趣遂披露
　　　　　候之処使者御前江被召出念之入候段御機嫌

【右丁】
　　　　　之御事候委曲又兵衛可為演説候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　阿部対馬守
　　　　　　十二月朔日　　　　　　　重次書判
　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　松平伊予守殿
　　　　　　　　　　人々御中

【左丁】
寛永十九年壬午
一　三月廿三日為　御参勤福井　御発駕此時　土佐守《割書：直｜良》様
　　御同道
一　月日右同断之処御道中ニ而　御所労ニ付参州赤坂駅近辺ニ
　　《割書：赤坂ゟ三里加茂村｜加茂明神神主宅》　御逗留御養生被成右之段御使者を以
　　江戸表江御達有之
一　閏三月五日　布里姫様於福井御誕生《割書：御母｜福松様ニ同》
一　四月七日御道中ニ而　御所労ニ付為　御尋御老中連名之

【右丁】
　　　御奉書御渡有之
　　　　　　　　以上
　　　　　一　筆令啓達候貴殿儀於三州赤坂持病
　　　　　差発候往還之地候故二三里脇江被相越
　　　　　養生有之由使者口上之趣承届達
　　　　　上聞候処一段無御心元被　思召候無油断療養
　　　　　専一之旨被　仰出候被得其意保養有之而気色
　　　　　快験次第参上尤候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　 阿部豊後守
　　　　　　卯月七日　　　　　　　忠秋書判

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　　松平伊予守殿
　　　　　　　　　　　　人々御中
一　月日右同断之処　御快方ニ付近々加茂村　御発駕被成
　　御道中緩々　御参府可被成之段御使者を以江戸表江
　　御達有之
一　四月九日右同断ニ付而之　御奉書御渡有之
　　　　　　御札令拝見候

【右丁】
　　　　　　公方様　若君様弥御機嫌能被成御座候間
　　　　　　可御心安候将又貴殿義日光御社参前可有
　　　　　　参府と被存先月廿三日国元発足之処於路次
　　　　　　被引風候然共少験ニ付而三州赤坂迄御越之処
　　　　　　気分再発候故彼近所ニ而養生被有之少々被得
　　　　　　快験候間近日被相立道中緩々可有参上之段
　　　　　　承届候示預之趣達　上聞候処弥無油断療養
　　　　　　肝要之旨被仰出候委曲使者可為演説候恐々
　　　　　　謹言

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　卯月九日　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判

　　　　　　　松平伊予守殿
　　　　　　　　　　　　御報
　　一　四月《割書：日不｜詳》　御所労少御快ニ付駿州嶋田駅迄御越之処
　　　　御尋之　上使嶋田勝五郎《割書：利｜》殿到着ニ付為　御名代土佐守《割書：直｜良》様
　　　　御出迎　上使御請被成　御尋之趣勝五郎殿御達有之其節
　　　　左之通御奉書御渡有之




　

【右丁】
　　　　　　　所労無御心元被　思召為　御使嶋田勝五郎
　　　　　　　被差遣之候　上意之趣委細可述口上候
　　　　　　　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　卯月十日　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判

　　　　　　　　松平伊予守殿
　　　　　　　　　　　　　人々御中
　
　　　　　　　但此後　御着府日不詳

【左丁】
　　一　五月十一日惣出仕被　仰出諸大名登　城酒井讃岐守《割書：忠｜勝》殿
　　　　を以交代之儀左之通被　仰出之
　　　　　　　自当年各始而交代被　仰付候間得其意毎年
　　　　　　　四月参勤之期不違様ニ可仕其代リ事ハ
　　　　　　　別ニ以書付被　仰出
　　一　六月廿九日諸国万民及困窮之趣達　上聞候処為御憐愍
　　　　国主城主江左之通被　仰出之
　　　　　　　覚
　　　　　一　当年者諸国人民草臥候百姓少々可令用捨





　　　　此上若当作毛も於損亡者来年者可為飢饉
　　　　倹約之儀兼而雖被　仰出諸士も弥存其旨
　　　　万事相慎可減少之町人百姓以下食物迄も
　　　　其覚悟致不及飢様相計勿論百姓等共常々
　　　　猥ニ八木不給様ニ可申付事
　　一　百姓年貢等之儀損亡なき所申掠不可
　　　　未進事
　　一　当年者相定役儀之外者百姓を使申間敷事
　　一　五穀之類費ニ不成様ニ可申付事
　　一　来年より本田畠ニたばこ作申間敷事
　　右之条々被　仰出之間被得其意家中之者并
　　領内地内之輩町人百姓等堅可申付者也
　　　寛永十九年　　　　五味金右衛門
　　　　六月廿九日　　　小堀遠江守
　　　　　　　　　　　　石川土佐守
　　　　　　　　　　　　曽我丹波守
　　　　　　　　　　　　久貝因幡守
　　　　　　　　　　　　永井日向守

　　　　　　　　　　　　　　　永井信濃守
　　　　　　　　　　　　　　　板倉周防守
　　一　八月十三日十四日両日今度
　　　　若君様御誕生為御祝儀於浅草御屋敷御老中初
　　　　御招請御饗応ニ能興行有之
　　一　同月下旬証人本多内蔵助《割書：昌長｜》《割書：丹波守｜嫡子》為代弟主膳《割書：冨｜重》江戸表江
　　　　罷出依之内蔵助御暇被下其節時服拝領被　仰付
　　一　同月廿三日　英勝院様《割書：忠昌様水戸頼房様御養母太田氏｜神君薨御之後尼と御成被称英勝院》御卒去
　　　　相州鎌倉英勝寺江《割書：為御住職御建立被成｜候得共御存生中御入寺無之》御葬送
　　　　　　　但　忠昌様思召ニ而福井浄光院江御位牌御安置有之
　　一　九月《割書：日不｜詳》相模国於鎌倉英勝寺　英勝院様御法事有之ニ付
　　　　御願之上江戸ゟ　御参詣被成三日　御逗留有之
　　　　御帰府
　　　　　　但右　御参詣御願之節御老中ゟ御由緒御尋有之ニ付
　　　　　　先年　
　　　　　　神君思召ニ而於勝之方御養ニ被為成候儀御達有之

寛永二十年癸未
　　一　三月《割書：日不｜詳》太田安房守《割書：資｜武》忰右馬之介為証人江戸表江罷出
　　一　五月十一日　上使御老中阿部豊後守《割書：忠｜秋》殿を以御国許江之御暇　　　
　　　　被　仰出御鷹《割書：三｜居》御馬《割書：一｜匹》白銀《割書：千｜枚》御袷《割書：百｜》御拝領
　　　　若君様ゟ　上使御老中牧野内匠頭《割書：信｜成》殿を以御袷《割書：五
十》御拝領

　　一　六月十五日泥原新保浦藤右衛門と申者先達而出羽国秋田を指
　　　　為商致出船候処難風ニ出合戌亥之方之嶋江致漂流罷帰
　　　　候節右嶋之様子書絵図女之着物其外瓔珞鹿角等
【頭書】
六月五日
五月廿九日　頭■

　　　　持帰差出候ニ付御使者飯川彦兵衛《割書：正｜成》藤右衛門召連
　　　　江戸表江被指遣之右御届之御書并持帰候品共御老中江
　　　　被指出之
　　一　五月廿九日異国船渡来之儀ニ付御老中ゟ御奉書御渡有之
　　　　　　　　今度筑州大嶋江従異国伴天連四人いるまん
　　　　　　　　一人同宿五人差渡之処松平右衛門佐番之者相改
　　　　　　　　捕之則従右衛門佐長崎之奉行山崎権八郎所江
　　　　　　　　遣之由注進候常々入念候故以小船密々渡候処
　　　　　　　　早速見出之搦捕候之義　御機嫌之事
　　　　　　　　然者於領内海上見わたし候所に不断番之者
　　　　　　　　差置之無油断可有穿鑿旨被　仰出候可被
　　　　　　　　得其意候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部対馬守
　　　　　　　　　五月廿九日　　　　　　　重次書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判

　　　　　　　　　松平伊予守殿
　　　　　　　　　　　　　人々御中







　　一　六月《割書：日不｜詳》今度　公辺ゟ被　仰出之通異国船御改之儀ニ付
　　　　海上遥ニ見通候処江二ヶ所程番所を建自分組之者を
　　　　付置候様三国御代官水野彦左衛門江被　仰付之
　　一　八月十二日今度
　　　　若君様御移徙《割書：七月｜廿五日》相済候ニ付
　　　　公方様　若君様江為御祝儀御使者を以被献物有之
　　　　候処右奉書御渡有資
　　　　　　　今度二丸三之丸就御移徙被差越使者殊
　　　　　　　公方様江三種二荷
　　　　　　　若君様江梨地蒔絵之広蓋十被献之候
　　　　　　　遂披露之処入念之段御機嫌被思召候此由
　　　　　　　可相伝之旨依　上意如此候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　阿部対馬守
　　　　　　　　八月十二日　　　　　　重次書判
　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判

　　　　　　　　松平伊予守殿
　　　　　　　　　　　　　人々御中

　　一　九月七日　御即位之儀京都江被　仰進候ニ付御老中
　　　　連名之御奉書御渡有之
　　　　　　一　筆令啓達候累年
　　　　　　女帝就　御在位当年吉辰故　菅宮
　　　　　　御即位之儀可被成御沙汰被　思召
　　　　　　禁裏仙洞江御執奏之事候此由可相伝之旨
　　　　　　依　上意如此候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　阿部対馬守
　　　　　　九月七日　　　　　重次書判
　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　　　　　　　酒井讃岐守
　　　　　　　　　　　　　　　忠勝書判
　　　　　　松平伊予守殿
　　　　　　　　　　　人々御中
　　一　十月《割書：日不｜詳》御国許江　上使御小姓組々頭嶋田五郎兵衛《割書：直｜次》殿を以
　　　　御鷹之鶴御拝領其節御奉書持参有之
　　　　　　　為　上使以嶋田五郎兵衛御鷹之鶴被遣之候
　　　　　　　仰之趣委細可為演説候　恐々謹言

　　　　　　　　　　　　　　　阿部対馬守
　　　十月三日　　　　　　　　　　　重次書判
　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判

　　　　　松平伊予守殿

　　一　十月《割書：日不｜詳》右同断ニ付為御礼御使者萩野勘解由左衛門
　　　　江戸表江被指出之御樽肴被献之
　　一　十一月十日右同断ニ付而之御奉書御渡有之
　　　　　　　　御札致拝見候為上使以嶋田五郎兵衛御鷹之鶴
　　　　　　　　被遣之儀御満足之旨得其意存候依之被
　　　　　　　　差越荻野勘解由左衛門御樽肴被献候右之趣
　　　　　　　　遂披露候処念之入候段御機嫌之御事
　　　　　　　　猶使者可為演説候　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　阿部対馬守
　　　　　　　　十一月十日　　　　　重次書判
　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判　
　　　　　　　　松平伊予守殿

　　一　十一月廿一日
　　　　禁裏《割書：御諱｜紹仁》御即位《割書：十月三日｜御受禅》
　　一　十二月四日今度四兵衛と申者御国許之田代養仙子
　　　　養竹并無清三竹切支丹之由訴出候ニ付御吟味之儀有之段
　　　　御奉書を以申来候ニ付御使者設楽三郎右衛門ニ被　仰付
　　　　養仙父子并無清三竹召連江戸表江被指出之
　　一　同月十日　御即位相済候為御祝儀御使者御番頭嶋田
　　　　内蔵助《割書：重｜季》被指出候ニ付而之御奉書御渡有之
　　　　　　御札致拝見候先月廿一日
　　　　　　御即位首尾能相済
　　　　　　公方様江御機嫌に可被思召与目出度被存之由
　　　　　　得其意候因茲被差越嶋田内蔵助殊御樽
　　　　　　肴被献之候右之通遂披露候之処念之入候
　　　　　　之段御満足之御事委曲使者可為演説候
　　　　　　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　阿部対馬守
　　　　　　　十一月十日　　　　　　　重次書判
　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判




　　　　　　　　　　　松平伊予守殿

　　一　十二月十日於福井　長松様御逝去天女山孝顕寺江
　　　　御葬送御法号　
　　　　嶺巌好雪大童子
　　一　同月廿八日来申年正月
　　　　台徳院様御年回御法事之節御詰被成度御願之上
　　　　今日福井　御発駕御出府被成《割書：御家老御供｜酒井外記《割書：重｜成》》
正保元年甲申《割書：此年寛永廿一年｜十二月十六日改元》
　　一　三月十日加藤宗月《割書：康｜寛》子為証人江戸表江罷越
　　一　同月十三日狛伊勢守《割書：孝｜澄》娘為証人江戸表江罷越
　　一　同月十四日本多飛騨守《割書：成｜重》殿ゟ以使者領分三国滝谷
　　　　出村江前々ゟ着船有之候処今度切支丹御改ニ付右船
　　　　三国湊江引寄御改被成候故船泊リ無之迷惑仕候船改之
　　　　儀者飛騨守江茂昨年今年両度御奉書を以被
　　　　仰出候事ニ候間領分之儀者相改可申旨申来右ニ付

　　　　滝谷出村之儀者三国近所之事故船之出入相紛若
　　　　越度ニ茂相成候而者　公辺江申訳無之其上当国海陸
　　　　口々締之儀者此方ゟ手形を出申事ニ候殊更切支丹之儀者
　　　　大切之事故出村江着候船之儀是迄之通相改可申候
　　　　飛騨守殿ニ而御改之儀者御勝手次第可被成旨御家老ゟ相答
　　一　三月十五日　大和守《割書：直｜基》様大野ゟ《割書：五万｜石》出羽国山形江《割書：十五｜万石》御転封
　　　　土佐守《割書：直｜良》様勝山ゟ《割書：三万五｜千石》大野江《割書：五万｜石》御転封
　　一　同日　土佐守《割書：直｜良》様御旧領大野郡勝山三万五千石御領地ニ
　　　　被　仰付右ニ付瓦御門番之面々江在番被　仰出《割書：年々｜交代》
　　一　同月十六日御領分村々之御米蔵火災之節用心悪敷所
　　　　有之候ハヽ建替小ク致シ幾ヶ所ニ茂建替可申旨且火災之節
　　　　御蔵ニ火入候ハヽ其所之御代官可為越度旨被　仰出之　　　
　　　　　　　但金津表火災之節御蔵焼失ニ付右之通被　仰出之
　　一　同月廿六日今度　土佐守《割書：直｜良》様大野江御所替ニ付勝山
　　　　領分村々百姓共并御家中家屋敷締之儀且又今度
　　　　勝山三万五千石御預被　仰出候ニ付受取之儀御年寄ゟ
　　　　里村庄之助加藤十右衛門《割書：正｜武》を以　土佐守様御家老迄申遣之
　　　　　　但右申遣候処大野受取候上勝山御渡可申旨返答有之　






　　

　　一　九月《割書：日不｜詳》来酉年
　　　　公方様御厄年ニ付当年九月十二月来酉年正五九
　　　　十二月御札守御献上被成度ニ付於
　　　　東照大権現御宮并白山越知山護摩修行御祈祷被
　　　　仰付
　　一　同月《割書：日不｜詳》勝山御預リ所納方之儀御領分之並ニ可致旨
　　　　先達而御老中松平伊豆守《割書：信｜綱》殿被申渡之依之是迄
　　　　土佐守《割書：直｜良》様御領分之時納方之次第并御領分納方之
　　　　次第書付両様　公辺江指出之
　　一　月日右両様之書付被指出候処勝山之儀者
　　　　後誰ニ而茂拝領之為ニ候間　土佐守《割書：直｜良》様御領分之
　　　　時之並ニ申付納米者大津御蔵奉行江可相渡旨
　　　　公辺ゟ被　仰出之
　　一　十二月《割書：日不｜詳》来酉年
　　　　公方様御厄年ニ付於
　　　　東照大権現御宮并白山越知山三ヶ所御祈祷之
　　　　御札守被献之
　　　　　　　但御献上之日不詳

正保二年乙酉
　　一　正月朔日為年始御祝儀　御登　城《割書：是迄萌黄御直垂御着用｜之処去年御伺済之上》
　　　　《割書：今日ゟ透精好紫色｜御直垂　御着用》御白書院江
　　　　公方様出御水戸中納言《割書：頼｜房》様御礼相済
　　　　忠昌様御献上之御太刀目録酒井河内守《割書：忠｜清》殿被持出
　　　　御上段ゟ三畳目ニ置之御披露御礼被　仰上東之方
　　　　中納言様御次江　御着座御引渡出《割書：斎藤｜摂津守《割書：三｜友》殿》御頂戴夫ゟ
　　　　初献之御盃中納言様御頂戴右相済

　　　　忠昌様最前之御席江　御出座御盃　御頂戴御加有之
　　　　其御盃御持　御復座之時呉服台御上段ゟ三畳目与
　　　　四畳目境ニ出再　御出座御頂戴又　御復座二献之御盃
　　　　御銚子出御引渡与引替御雑煮出中納言様御出座御盃
　　　　御頂戴御加有之御盃御本座江御持退其御盃
　　　　忠昌様ゟ松平筑前守《割書：光｜高》殿松平相模守《割書：光｜仲》殿迄御順盃ニ而
　　　　御頂戴相済御銚子入三献之御盃御銚子出御雑煮与
　　　　引替兎御吸物出御盃　御頂戴《割書：御次第｜二献之通》相済御銚子入
　　　　御吸物引之畢而　御退座
　　　　　 但年始御礼被　仰上候御記録此年計相見候二付記之
　　一　四月十六日証人杉田主水《割書：正治｜》《割書：壱岐守｜忰》為代太田兵庫
　　　　出府右ニ付主水儀於　御城御暇被　仰出御袷ニ御羽織
　　　　拝領被　仰付御老中松平伊豆守《割書：信｜綱》殿御留守居年寄杉浦
　　　　内蔵允《割書：正｜友》殿列座被申渡之
　　　　　　但自此以前主水出府之月日不詳
　　一　同月廿三日於御白書院　
　　　　竹千代様御元服正二位大納言御叙任《割書：被称｜家綱様》御規式相済
　　　　御中壇江　出御御右之方ゟ御三家御父子御下壇江御出座








　

　　　　御祝儀被　仰上御退座次ニ　御左之方ゟ
　　　　忠昌様御出座相続而侍従以上之諸大名御出座一同御祝儀
　　　　被　仰上　御退座相済
　　　　公方様出御　勅使仙洞使院使江　御対顔相済御三家
　　　　御父子御出座御祝儀被　仰上御退去次ニ
　　　　忠昌様御出座最前之通諸大名御出座一同御祝儀被
　　　　仰上　御退去
　　一　四月廿五日右同断ニ付為御祝儀
　　　　大納言様ゟ　上使御附御老中松平和泉守《割書：乗｜寿》を以御袷《割書：十｜》
　　　　二種一荷御拝領右為御礼　御登　城御礼被　仰上
　　　　御老中被謁之
　　一　同月廿七日右同断為御祝儀　御登　城
　　　　公方様大広間江　出御《割書：巳ノ｜刻》
　　　　忠昌様御献上之御太刀目録酒井河内守《割書：忠｜清》殿被持出
　　　　御下段下ゟ三畳目ニ置之御披露御礼被　仰上畢而於
　　　　御白書院
　　　　万千代丸様御礼被　仰上
　　一　同日御本丸御礼相済直ニ二丸江　御登　城

　　　　大納言様御対面所江　出御《割書：午ノ｜刻》御三家御次ニ
　　　　忠昌様御礼被　仰上御献上之御太刀目録酒井日向守《割書：忠｜能》殿
　　　　御披露
　　　　万千代丸様ニ茂御礼被仰上
　　一　四月廿八日
　　　　大納言様御叙任之為御祝儀明日御能有之ニ付
　　　　御登城御見物被成候様　上使御使番能勢小十郎《《割書：頼｜隆》殿
　　　　を以被蒙　仰之
　　一　同月廿九日右同断ニ付御能為御見物　御登城御三家
　　　　御次ニ　御目見被　仰上畢而御能御見物七五三之御料理
　　　　御頂戴被成
　　一　五月三日為端午御祝儀御使者を以御帷子御単御袷被献之
　　一　大納言様江御帷子代并菖蒲御兜被献之
　　　　亀松様江右同断被指上之
　　一　同月六日御所労ニ付　上使を以　御尋有之
　　一　同月七日右同断ニ付
　　　　万千代丸様　千菊丸様　出羽守《割書：直｜政》様　御登城御礼被
　　　　仰上御奏者番被謁之




　　一　五月九日御奉書を以　御所労　御尋有之
　　　　　但　上使可被遣　思召候得共度毎　御逢有之由被
　　　　　聞召候ニ付御奉書被遣旨申来
　　　　一此以前毎々御尋之　上使有之趣ニ相見候得共
　　　　　御記録類不相見
　　一　同月十一日　上使御側御用人中根壱岐守《割書：正｜盛》殿を以
　　　　御所労　御尋有之右為御礼
　　　　万千代丸様御登城御礼被　仰上
　　一　同月十四日　御所労ニ付御医師御願被成診察有之
　　　　右ニ付　上使御老中松平伊豆守《割書：信｜綱》を以御様体
　　　　御尋有之夜ニ入候得共右為御礼
　　　　万千代丸様　出羽守《割書：直｜政》様　大和守《割書：直｜基》様　土佐守《割書：直｜良》様
　　　　御登城御礼被　仰上伊豆守殿被謁之
　　一　同月十九日　上使若年寄朽木民部少輔《割書：稙｜綱》殿を以御所労
　　　　御尋有之右為御礼
　　　　万千代丸様　出羽守《割書：直｜政》様　大和守《割書：直｜基》様　土佐守《割書：直｜良》様　御登
　　　　城御礼被　仰上御目付被謁之
　　一　同月廿二日御医師春也老を以御所労御尋有之右為




　　　　

　　　　　

　　　　御礼　出羽守《割書：直｜政》様　大和守《割書：直｜基》様　土佐守《割書：直｜良》様御登城御礼
　　　　被　仰上久世大和守《割書：広｜之》殿謁之
　　一　五月廿二日丹生郡米ヶ浦之百姓昨申年五月庄屋壱人
　　　　相残村人一同《割書：百六｜人》船ニ而致出奔候ニ付方々相尋候処越後
　　　　新潟ニ罷在候ニ付今日召連帰致吟味候処頭取市兵衛
　　　　六蔵孫市与申者行衛不相知候ニ付兵四郎次兵衛与申者
　　　　両人追而入牢申付之
　　一　閏五月朔日　上使御老中松平伊豆守《割書：信｜綱》殿を以　御所労
　　　　御尋有之
　　　　　　但右ニ付御礼勤可有之候得共御記録類不詳此後
　　　　　　　同様之分但書不記之
　　一　同月四日端午御祝儀御献上之御使者御呼出ニ付
　　　　御城江罷出候処於柳之間端午之　御内書御老中
　　　　御渡有之其節右御使者江御老中列座ニ而時服拝領
　　　　被仰付御奏者番被相渡之
　　一　同月五日今度　御不例ニ付於白山并越知山
　　　　御快気之御祈祷被　仰付候ニ付為御代参白山江嶋田
　　　　三左衛門《割書：重｜信》越知山江井口兵左衛門罷越



　　

　　一　閏五月十五日　上使御老中阿部豊後守《割書：忠｜秋》殿を以
　　　　御所労御尋有之
　　一　同月廿日　上使御側御用人中根壱岐守《割書：正｜盛》殿を以
　　　　御所労御尋有之
　　一　六月朔日上使御老中松平伊豆守《割書：信｜綱》殿を以
　　　　御所労御尋有之
　　一　同月四日　御不例ニ付足羽三社并一乗谷赤渕
　　　　大明神江御立願有之御祈祷被仰付
　　一　同月五日　上使御老中松平伊豆守《割書：信｜綱》殿を以
　　　　御所労御尋有之
　　一　同月十日　上使御側御用人中根壱岐守《割書：正｜盛》殿を以
　　　　御所労御尋有之右為御礼　
　　　　万千代丸様　大和守《割書：直｜基》様御登　城御礼被仰上御目付被謁之
　　一　同月廿五日　上使御老中松平伊豆守《割書：信｜綱》殿を以　御所労
　　　　御尋有之右為御礼
　　　　万千代丸様御登城御礼被仰上御老中被謁之
　　一　七月六日為御生見玉之御祝儀御使者を以黄金拾両
　　　　被献之於御城柳之間御老中被謁之








　　一　七月廿六日依　召大和守《割書：直｜基》様　土佐守《割書：直｜良》様御登　城被成候□
　　　　於御白書院御老中松平伊豆守《割書：信｜綱》殿阿部対馬守《割書：重｜次》殿阿部
　　　　豊後守《割書：忠｜秋》殿列座
　　　　忠昌様御所労之処以之外之御様子之由専御養生可被成旨
　　　　上意之趣御演達有之
　　一　八月朔日《割書：卯｜刻》
　　　　忠昌様於江戸霊巌島御屋敷　御逝去《割書：御年｜四十九》
　　一　同日右　御逝去之段御達有之
　　一　同月二日右同断ニ付　御城式日寄合相止候様被　仰出　
　　　　　　但尾張紀伊水戸之御三家江　上使御老中阿部対馬守《割書：重｜次》殿
　　　　　　を以右　御逝去之趣為御知有之
　　一　同日江戸霊巌島御屋敷　御出棺中山道通同十二日福井
　　　　御城江　御着棺
　　一　同月十三日　御出棺《割書：於御城諸士｜奉拝》森巌山浄光院江御葬送於
　　　　同寺　御荼毘有之　御法号
　　　　隆芳院殿前参議廓翁貞真大居士
　　一　同月十九日山内隼人《割書：直吉｜》《割書：法名大安雄切｜松竜山本妙寺》斎藤民部《割書：定信｜》
　　　　《割書：法名皎月浄運｜松尾山持宝院》鈴木多宮《割書：直恒｜》《割書：法名得翁善勝｜天女山孝顕寺》滝主計《割書：直房｜》




　　　　《割書：法名傑山宗節｜竜翔山宝泉寺》太田三弥《割書：申澄｜》《割書：法名休岩英竭｜富士山東光寺》山本左門《割書：直澄｜》
　　　　《割書：法名節堅存忠｜白竜山乗国寺》水野小刑部《割書：勝直｜》《割書：法名剣室玄利｜福聚山鎮徳寺》等七人各於
　　　　菩提寺殉死
　　一　八月《割書：日不｜詳》　上使川勝丹波守《割書：広｜綱》殿を以御香奠銀五百枚
　　　　被供之丹波守殿福井参着於浄光院
　　　　御霊前御代焼香有之《割書：此時太田兵庫御馳走附被仰付｜御帰之節茂今庄駅迄御見送ニ罷越》
　　　　　　　但丹波守殿八月十六日江戸出立九月十四日帰府候得共
　　　　　　　福井参着之日不詳
　　一　十月廿一日　御遺物左之通御献上
　　　　　　公方様江
　　　　　　　御刀　　　　正宗
　　　　　　　御脇指　　　青江国次《割書：最前｜御拝領》
　　　　　　　御茶入　　　ニ王
　　　　　　大納言様江
　　　　　　　御脇指　　　貞宗
　　　　　　　御掛物　　　茂古林《割書：最前｜御拝領》
　　　　　　亀松様江








　　　

　　　　　　　　　　　御脇指　　　来国光
　　　　　　　　長松様江
　　　　　　　　　　　御脇指　　　新藤五
　　　　　　　　千代姫君様江
　　　　　　　　　　　古今集　　　後光厳院宸筆
　　　　　　　　　　　御硯箱
正保三年丙戌
　　一　八月十二日志比庄吉祥山永平寺江　御納骨追而
　　　　御石塔御建立

正保四年丁亥
　　一　八月四日志比庄永平寺ニ御石塔御建立御成就
　　　　御供養有之
　　　　　　　但御石塔之側ニ殉死七人之石塔茂御造立
　　一　紀州高野山大徳院江　御霊牌御安置御石塔茂御建立
　　　　《割書：為御追薦｜光通様御建立》
　　一　江戸三縁山増上寺ニ　御霊牌御安置

【右丁】
白紙

【左丁】
　　　　　　　道姫様《割書：広橋儀同三司兼賢卿｜御女御誕生之年月日不詳》

　一　北庄江　御入輿於　御城御婚姻御整被成
　　　　　　　但　御入輿之年月日不詳
正保三年丙戌
　一　八月廿二日　万姫様　千姫様御同道福井御発輿
　　　江戸表江御出府被成　

万治元年戊戌　
　　一　八月十七日於江戸霊巌島御屋敷　御逝去小石川
　　　　伝通院江御葬送御法号《割書：□□｜□□》
　　　　慶寿院殿浄誉月窓清心大信女

　　一　紀州高野山大徳院江　御霊牌御安置同所ニ御石塔　
　　　　御建立
　　一　江戸三縁山増上寺江　御霊牌御安置
　　　　右重キ御事而已記之余之
　　　　忠昌様　光通様御譜ニ記之

【右丁】
白紙

【左丁】
　　　　　御相続以後
一　御家門之外者御書を初殿文字御用ニ相成
一　御参府之節品川迄　上使有之即刻　御登
　　城御目見於　御城御番所等都而惣下座
　　　　　但右二ヶ条被　仰出等之年月日不詳ニ付此所ニ記之
一　御参勤御礼之節御献上之御品物等不詳《割書：御家来共御目見之｜人数并献上物不詳》
一　御在府中年々相定候御拝領物不詳
一　御帰国御暇之節御拝領物年々不相定御家来

　　　　 御目見之人数并拝領物等不詳
　　　　　　　但本多伊豆守　出府ニ付御暇被下候節ハ御馬御時服
　　　　　　　　御羽織等被下候儀度々有之
　　一　御国産年々御献上不詳
　　一　御在国之節　上使を以　御鷹之鶴御拝領有之
　　
　　　　御纏　　　　　御先代之通
　　　　御馬印　　　　右同断
　　　　御旗　　　　　地黒半月白
　　　　御小馬印　　　大鳥毛
　　　　御家中惣旗　　地黒半月朱　　　
　　　　　但物頭以上ハ自分指物御使番ハ金ノ四半番組ハ
　　　　　地黒半月金御小姓ハ腰指銀ノ幣

【裏表紙】

家譜


　　【表紙】
　　【題箋】


　家譜　《割書：吉邦公》　《割書：正徳二年｜到同三年》　二十九








　　　　吉邦様　《割書：従正徳二年壬辰｜至同三年癸己》

正徳二年壬辰

　一　正月朔日於　御本丸年始御規式有之於　御座之間本多
　　　孫太郎《割書：長｜員》初御家老太刀目録持参御礼申上之御盃頂戴
　　　御長蚫被下之御盃　御前江被　召上畢而於表御書院高知
　　　初引渡席之面々太刀目録持参御礼申上之御盃頂戴御長
　　　蚫被下之畢而於御同所長袴以上之面々太刀目録持参御流
　　　之御盃頂戴御長蚫被下之諸物頭初御書院番一番二番
　　　大御番一番ゟ四番迄御留守番一番二番新番迄鳥目持

　　　参御礼申上之御流之御盃頂戴御長蚫取次ニ而被下
　　　之相済与力諸役人之御礼被為　請大流之御盃頂
　　　戴御長蚫取次ニ而被下之　於鉄砲之間御医師御絵師迄
　　　御礼申上之御盃頂戴　　御長蚫被下之　於韃靼之間
　　　奥御小姓表御小姓御礼申上之御流之御盃頂戴御長
　　　蚫取次ニ而被下之長囲炉裏之間江御馬方御普請方
　　　御小姓目付御徒之者御鷹方御帳付馬医御塩梅人一同
　　　並居御礼申上之
　一　同日為年始御祝儀　御先代之通御使者寄合酒井十之丞《割書：元｜隣》

　　　を以御太刀馬代《割書：黄金｜十両》被献之
　　　　　　　但十之丞旧臘六日御国表出立
　一　正月二日於　御座之間本多浅次郎《割書：長｜教》初御家老之嫡子太刀
　　　目録持参年始御礼申上之御盃頂戴御長蚫被下之於御書院
　　　長袴以上之嫡子太刀目録持参御礼申上之御流之御盃頂
　　　戴御長蚫被下之畢而高知之弟初番外次男迄御礼申上之
　　　御流之御盃頂戴御長蚫被下之諸物頭ゟ御番組之嫡子庶子迄
　　　御礼申上之御流之御盃頂戴御長蚫取次ニ而被下之
　一　同月三日夜於　御座所御謡初御祝儀有之御家老ゟ御盃


　　　台献上之
　一　正月六日於御本丸唯識院初御菩提寺之御礼被為請
　一　同月七日於御本丸御家中隠居之面々御礼申上之　相済
　　　諸町人之御礼被為請
　一　同日為若菜御祝儀御使者を以例之通御肴被献之
　一　同月八日於御本丸惣寺社之御礼被為請
　一　同月十一日於御本丸御具足之餅御披御祝儀有之　於
　　　御座之間本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老御相伴被仰付　本多浅次郎《割書：長｜教》
　　　并御奏者番等江御長蚫餅御直ニ被下之　於大広間高知初
　　　


　　　寄合諸物頭御番士迄御長蚫餅自分頂戴之　相済与力諸役
　　　人迄右同断頂戴之　於指物之間一統ニ御礼申上候者共二行ニ
　　　罷出頂戴之　其節御奏者番出席
　一　同日年始三ヶ日之御規式相済候為御祝儀江戸表江御書被指
　　　出之　御肴一種被献之
　一　同日年始御祝儀御献上ニ付而之御奉書於御老中宅被相渡之
　　　　　　　為年頭之御祝儀以使者御太刀一腰
　　　　　　　御馬代黄金十両被献之候　遂披露候処
　　　　　　　一段之御仕合候　恐々謹言


　　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　正月十一日　　　　　　正喬書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　井上河内守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正岑書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠増書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　喬知書判

　　　　　　　　松平大炊頭殿
　　　　　　　　　但右御献上ニ付而之御奉書以後定例故不記之

　一　正月廿六日来ル未年
　　　東照宮百回御忌ニ付


　　　公方様日光江御社参可被遊旨被仰出候ニ付為御歓御使者
　　　榎並左次右衛門《割書：重｜恒》江戸表江被指出之　今日福井出立
　一　二月十一日於瑞源寺昨十日晩ゟ今朝迄松桂院様廿七回御忌
　　　御法事御執行有之
　一　同月廿三日歳暮御祝儀御献上ニ付而之御内書於御城
　　　御渡有之　御家来拝領物等如例
　一　三月朔日庄五郎《割書：宣｜維》様御元服《割書：出羽守様与｜御改》御一字御拝領之為御礼
　　　江戸表江御書被指出之
　一　同月三日永平寺登城十帖一本指上之　於韃靼之間御逢







　　　有之
　一　三月四日志摩守《割書：直｜丘》様御願之通頼母《割書：直｜員》様御養子被仰出
　一　同月七日御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》殿ゟ御呼出　御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》
　　　罷出候処道中人馬之儀ニ付左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　　　　定
　　　　　　　一　御用にて道中往来之面々御朱印人馬之外
　　　　　　　　　添人馬多く相立候由相聞候　前々も申達候通
　　　　　　　　　無用之添人馬出させ候儀堅可為停止候
　　　　　　　　　御朱印員数之外ニ可入人馬之分ハ御定之賃銭


　　　　　　　　　無相違急度相払はせ可被申事
　　　　　　　一　御用に付て往来之面々或は在番或ハ諸大名惣而
　　　　　　　　　道中往還之輩人馬割之役人可有之事ニ候間
　　　　　　　　　御朱印人馬并賃人馬可入ほと相立させ賃人馬
　　　　　　　　　之分ハ賃銭無相違払ひ候様ニ人馬割役之者問屋
　　　　　　　　　場ニ相残し委細遂吟味候様可被申付候　其外之
　　　　　　　　　家来又ハ雇のもの共私に人馬駕籠出し候様に
　　　　　　　　　申掛候共役人之断無之候ハヽ一切差出間敷由宿々
　　　　　　　　　問屋場ニ而相断候様ニ可被申付候　道中之者共ニ
　　　　　　　　　も












　　　　　　　　　右之通可心得旨申渡事
　　　　　　　一　往来之面々其家来并末々雇之通人足近年ㇵ
　　　　　　　　　主人之権威を以道中にて非分之仕形等有之
　　　　　　　　　或は下々可持道具をも人足にもたせ其者ㇵ
　　　　　　　　　馬駕籠ニ乗或ㇵ賃銭をも不払者も有之由
　　　　　　　　　相聞候　向後ㇵ右之類之不届無之様ニ雇人足ㇵ不
　　　　　　　　　及申其受負之者迄急度申付可召連候　自今
　　　　　　　　　以後不法之族も於有之者道中宿々にて改之
　　　　　　　　　家来并雇之者たりとも其処に留置早速道中


　　　　　　　　　奉行江相訴候様申渡候間其旨を可被存事
　　　　　　　一　往来之面々家来并雇之者ニ至迄駄賃旅籠
　　　　　　　　　銭等無相違相払候様ニ急度可被申付候　旅籠
　　　　　　　　　銭等或は不相応に減し候て相渡し或ㇵ無相違
　　　　　　　　　受取候由証文為仕相払はさる輩も有之由相聞候
　　　　　　　　　向後右之通之儀共於有之者是又早速道中
　　　　　　　　　奉行江可申訴之由宿々江申渡候間可有其心得
　　　　　　　　　事
　　　　　　　一　諸荷物貫目之儀御定之通無相違様ニ可被申付候


　　　　　　　　　今度荷物貫目相改候場所定り若御定より
　　　　　　　　　重き荷物於有之者御用之荷物之由申とも
　　　　　　　　　継送るへからさる旨申付其外宿々江申渡候間
　　　　　　　　　其心得可有之　且又在番之面々京大坂駿府三度
　　　　　　　　　飛脚荷物近年ㇵ貫目重くかさ高成荷物有之
　　　　　　　　　夜通しにも往来候由相聞候　飛脚受負之者其外
　　　　　　　　　商人の荷物備へさる様に堅く被申付　尤在番之
　　　　　　　　　面々自分之荷物も御定之通を以猥ニに貫目重き
　　　　　　　　　荷物差出さる間敷候　古来より夜通しの飛脚ㇵ


　　　　　　　　　猥に相通しさる定候間向後無拠子細にて夜通
　　　　　　　　　しの飛脚出し候ハゝ番頭江其旨を達し番頭の
　　　　　　　　　証文を以差出さるへく候　飛脚受負の者共にも　　　　　　　
　　　　　　　　　此等之趣急度可被申付候　道中にても其心得を
　　　　　　　　　以改之　若貫目重き荷物有之歟又ㇵ証文無之
　　　　　　　　　夜通し相通り候ハゝ押置早速道中奉行江可訴之
　　　　　　　　　僉議之上飛脚宰領之者は不及申右請負人迄
　　　　　　　　　可為曲事旨申渡候間可有其心得事
　　　　　　　一　江戸京大坂其外国々より町人請負にて令往


　




　　　　　　　　　来候　御用之諸荷物近年貫目も重く荷数も
　　　　　　　　　多く道中人馬大分相立其上御用之儀を申立
　　　　　　　　　人馬賃銭不足に相払ひ其外不埒之仕形共
　　　　　　　　　有之由相聞候　向後御定之外貫目重く不仕
　　　　　　　　　其荷数貫匁ニ随ひ相立候人馬之賃銭無相
　　　　　　　　　違払之少も非分之儀仕間敷旨其御用奉之
　　　　　　　　　面々より念を入被申付向後右之類之儀無之様ニ
　　　　　　　　　可申渡候　道中にても改之　若貫匁重く候歟又ハ
　　　　　　　　　猥に荷物多く不審之儀も候ㇵゝたとい御用之


　　　　　　　　　荷物之由申とも継送らす其所に留置早速
　　　　　　　　　道中奉行江可訴之僉議之上荷物宰領ㇵ不及申
　　　　　　　　　請負人迄可為曲事旨申渡候間可有其心得事
　　　　　　　一　道中宿々の者共不埒之儀有之節者旅人に
　　　　　　　　　より其所之問屋年寄等二日路三日路も召呼ひ
　　　　　　　　　又ハ訴訟之ために付添ひ参候儀も有之由相聞候
　　　　　　　　　たとひ宿々のもの不届之仕形有之候共問屋
　　　　　　　　　年寄召呼候てハ其宿人少に成り御用も差支
　　　　　　　　　申事ニ候間向後ㇵ問屋年寄等召呼候儀ハ不及申


　　　　　　　　　訴訟のため付添ひ参候事も相止させ其趣をハ
　　　　　　　　　道中奉行江被申達奉行所ゟ僉議之上ニ急度可
　　　　　　　　　申付候可有其心得事
　　　　　　　右之條々近年道中之宿々御定之外ニ人馬多
　　　　　　　かゝり其外旅人不法之事共有之宿々ㇵ不及申
　　　　　　　助郷村々迄も及困窮之由相訴候ニ付委細穿鑿之
　　　　　　　上を以被仰出候　向後書面之趣急度可被相守之候
　　　　　　　たとひ組中支配并家来之不法有之候とも其番頭
　　　　　　　役所主人之越度に可被成候間其旨を可被相心得者也

　　　　　　　　　正徳二辰年三月
　一　三月十日於御本丸御家中之面々弓御覧被成
　一　同月十一日於御本丸武芸御覧御風気ニ付御家老江御名代
　　　被仰付
　一　同月十五日今度御用金指上候町在之者御目見被仰付　畢而
　　　御意之趣月番御家老酒井典膳《割書：知｜房》申渡之
　一　同月廿一日福井御発駕東海道御旅行
　一　同日右同断ニ付為御案内御老中江御書被指出之
　　　　但右御案内御書被指出候儀以後定例故不記之


　一　三月廿五日大和守《割書：基
知》様御願之通御弟主税頭《割書：知｜清》様江白川領之内
　　　新田一万石御分知被仰出
　一　四月三日品川駅御休ゟ直ニ御参府　為御案内御大老御老中
　　　御側御用人江御廻勤　夫ゟ浅草御屋敷江御着
　　　　但御本陣先達而焼失ニ付天龍寺ニ而御召替被成
　一　同月四日右同断ニ付上使御老中阿部豊後守《割書：正｜喬》殿御越右
　　　ニ付御門外迄御留守居三人罷出御玄関白洲江御家老御用人
　　　御目付罷出其節御門内蹴上込際迄御出迎御案内ニ而豊後守殿御書
　　　院江御通上意之趣御達有之　御長蚫御直ニ御居被成御吸物
　　　

　　　御料理出候得共御断故引之　御退出之節最前御出迎之処迄
　　　御送被成　夫ゟ右御礼御大老御老中御側御用人江御廻勤
　一　同月五日御用番大久保加賀守《割書：忠｜増》殿江御逢對御勤其節左之通
　　　御書付御持参被成
　　　　　　　　去年中者同氏兵部大輔仕合ニ付而前後度々
　　　　　　　　御懇之御尋
　　　　　　　　上使をも被成下成其已後爰元屋敷類火
　　　　　　　　之節も御尋被遊難有仕合共ニ奉存候　以上
　　　　　　　　　四月五日　　　　松平大炊頭




　一　四月九日赤松右衛門《割書：範｜主》殿御奥方《割書：お福□□故｜□□御女》御死去ニ付御用番大久保
　　　加賀守《割書：忠｜増》殿江左之通御届書被指出之
　　　　　　　　赤松信濃守嫡子右衛門妻今暁死去仕候　是ハ
　　　　　　　　私従弟之続ニ而御座候故服忌を受申候
　　　　　　　　　　　忌　三日　《割書：四月九日ゟ｜同十一日迄》
　　　　　　　　　　　服　七日　《割書：四月九日ゟ｜同十五日迄》
　　　　　　　　右之通ニ御座候　以上
　　　　　　　　　　四月九日　　　　　松平大炊頭
　一　同月十二日御用番大久保加賀守《割書：忠｜増》殿ゟ御老中連名之御切紙


　　　を以明十三日御登城　御参勤之御礼可被仰上旨且又御家来一人
　　　被召連候様申来
　一　同月十三日《割書：五半｜時》御登城御太刀一腰銀三百枚綿二百把御献上
　　　御参勤之御礼被仰上御懇之上意有之　畢而被召連候御家
　　　来狛伊勢《割書：澄｜孝》御目見被仰付御太刀銀馬代蠟燭二百挺献上之　右
　　　相済御下城　夫ゟ御大老御老中御側御用人江御廻勤
　一　同日右同断ニ付御使者を以御台様江銀二十枚縮緬《割書：紅｜白》十巻
　　　被指出之
　一　同日右同断ニ付京都所司代松平紀伊守《割書：信｜庸》殿江御書被遣之





　
　　　　　　但右所司代江御書被遣候儀以後定例故不記之
　一　同日右同断ニ付本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老御城代江御書被成
　　　　　　但右御書被成候儀以後定例故不記之
　一　四月十五日御登城　今日ゟ御先規之通御鎗御馬等大下馬之
　　　腰掛江入置之
　一　同日主税頭様《割書：知｜清》様隼人正様《割書：近｜朝》様帝鑑之間御譜代席被仰出
　一　同月十八日御参府ニ付為御土産御先代之通御使者御留守居
　　　堀十兵衛《割書：久｜律》を以
　　　公方様江五色奉書紙《割書：十｜束》二箱被献之　御台様江両面打雲


　　　鳥子紙《割書：五百｜枚》一箱被指出之
　一　同日右同断ニ付御披露済之捻御奉書御用番大久保加賀守《割書：忠｜増》殿ゟ
　　　来　　　　
　　　　　　　　　　　上書
　　　　　　　　　　　　松平大炊頭殿　　　　　忠増
　　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　色奉書拾束并御肴一種被献之候
　　　　　　　　遂披露候処一段之御仕合候　恐々謹言
　　　　　　　　　　四月十八日　　　　　　　　忠増書判










　　　　　　　　但右御献上ニ付捻御奉書之儀以後定例故不記之
　一　同日《割書：八半｜時》御用番大久保加賀守《割書：忠｜増》殿ゟ御老中連名之御切紙来
　　　　　　　　猶以熨斗目袷麻半上下可有
　　　　　　　　着用候　以上
　　　　　　　御用之儀候間明十九日五半時可有
　　　　　　　登城候　以上
　　　　　　　　四月十八日　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　井上河内守
　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守

　　　　　　　　松平大炊頭殿

　一　四月十九日《割書：五半｜時》御判物御頂戴ニ付御登城《割書：熨斗目｜半御上下》御白書院江
　　　公方様出御　侍従以上之御方五人宛御一所ニ御出席　於御縁頬
　　　《割書：御障子際｜一畳目》御礼被仰上御一人宛御奏者番披露上意《割書：夫江》有之
　　　御下段御敷居之内御出座　上意《割書：領知之｜判物》有之　御大老御老中
　　　御取合有之　御判物御老中大久保加賀守《割書：忠｜増》殿順々御渡御頂
　　　戴被成　相済御退去《割書：於大広間縁頬御留守居｜大関新五左衛門江御渡被成》夫ゟ為御礼御大老御老中
　　　御側御用人江御廻勤





　 一　同日右同断ニ付京都所司代松平紀伊之《割書：信｜庸》殿江御書被遣之
　一　同日右同断ニ付本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老御城代江御書被成
　一　四月廿日
　　　女院御所薨御《割書：去十｜四日》ニ付廿五日迄鳴物停止被仰出
　一　同月廿一日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単
　　　被献之　御台様江白銀被指上之
　一　同月二十四日
　　　女院御所薨御ニ付
　　　公方様為御機嫌伺惣出仕ニ付御登城《割書：昨廿三日大目付中ゟ｜御廻状来》


　一　同月廿六日清照院様御病気ニ付先日ゟ田代万貞《割書：■｜■》薬御服用
　　　被成候得共御尓々無之ニ付今日ゟ大月斎庵薬御服用被成
　一　同月廿九日於東叡山
　　　厳有院様三十三回御忌御法事ニ付
　　　公方様御機嫌為御伺御桧重一組被献之
　一　五月朔日清照院様大月斎庵薬御服用ニ候得共御尓々無之
　　　ニ付馬淵亨庵《割書：賢｜正》江御転薬
　一　同月三日清照院様御病気ニ付京都医師被召寄度ニ付
　　　御使番江川宗治京都江被指遣之　今日福井出立


　　　　　　　　　但同七日京都医師三輪了哲同道ニ而帰着
　一　五月八日
　　　厳有院様三十三回御忌ニ付於万福山昨七日晩ゟ今朝迄御法事
　　　執行有之
　一　同日
　　　厳有院様御法事ニ付
　　　公方様東叡山江御参詣　依之御予参御勤《割書：去三日大目付中ゟ｜御廻状来》
　一　同月九日京都医師三輪了哲今日御部屋江罷出清照院様
　　　御脈御伺御薬指上之


　一　同日
　　　厳有院様御法事ニ付御使者宇都宮藤一郎を以御香奠銀十枚
　　　被献之
　一　同日右同断御法事済ニ付惣出仕　依之御登城《割書：去七日｜御触達》
　一　同月十日清照院様御病気御見廻桑山権兵衛《割書：重｜栄》御国表江
　　　被指遣之　今日江戸出立
　　　　　　　　但権兵衛十六日福井江着
　一　同月十一日京都医師三輪了哲今日御暇被下罷帰候ニ付
　　　御使番大谷儀左衛門《割書：好｜澄》被指添之


　一　五月十三日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
　一　同月十五日清照院様為御見廻中務大輔《割書：昌｜平》様御越被成
　　　　　　　但江戸表ゟ御帰邑之節御立寄
　一　同日信濃守《割書：直｜之》様御譜代席被仰出候ニ付為御礼御大老
　　　御老中御側御用人江御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》被指出之
　一　同月十七日安藤右京亮《割書：信｜友》殿松平備前守《割書：正｜久》殿ゟ左之通御留守居江
　　　御切紙来　　　
　　　　　　　　　大炊頭殿御領地目録可相渡候間
　　　　　　　　　明後十九日六半時右京亮宅江各内


　　　　　　　　　一人可被相越候　以上
　　　　　　　　　　　　五月十七日　　松　備前守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　安　右京亮

　　　　　　　　　　松平大炊頭殿
　　　　　　　　　　　　　　留守居中

　一同月十八日京都所司代松平紀伊之《割書：信｜庸》殿ゟ御呼出御留守居本多
　　武兵衛《割書：武｜雅？》罷出候処
　　禁裏御所方御築地料御上納之儀ニ付左之通御書付御渡有之


　　　　　　　　　宝永七年寅年
　　　　　　　　禁裏御所方并堂上方築地入用高割
　　　　　　高弐拾五万石
　　　　　　　　此割
　　　　　　　　　銀七拾四貫五百四拾壱匁四分九厘七毛
　　　　　　　　右之通候間可被得其意候　上納之儀者於江戸
　　　　　　　　御勘定奉行江可被相尋候
　　　　　　　　　　五月　　　　　松平紀伊守
　　　　　　　　　
　　　　　　　　　松平大炊頭殿


　一　五月十九日安藤右京亮《割書：信｜友》殿江御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》罷出候処
　　　松平備前守《割書：正｜久》殿列座ニ而御領知目録御渡有之
　一　同月廿二日
　　　大安院様御代之通三ノ丸御門之時太鼓御復興ニ相成割場
　　　人分御門際ニ有之候処之時鐘所被相止右之鐘米町江御移
　　　被成
　　　　　　但米町是迄之時鐘者先年調子聞之座頭恵茂都与申者
　　　　　　　福井江来候節調子悪敷ニ付右之鐘有之候ハヽ御国次
　　　　　　　第ニ致衰微候間御替被成候様申達候趣も有之ニ付


　　　　　　　被相除今日ゟ右之通ニ相成
　一　六月十三日為御見廻中務大輔《割書：昌｜平》様御越被成　清照院様江御対顔
　　　京都医師可被召呼旨御相談被成　依之御使番土屋十郎右衛門《割書：貴｜充》
　　　早駈ニ而京都江被指遣之
　一　同月十五日大目付中川淡路守《割書：重｜恭》殿ゟ申来　御留守居大関新五左
　　　衛門《割書：直｜看》
　　　罷出候処左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　参勤之節供之人数弥以人少ニ可被召連候
　　　　　　　　御門番相勤候面々者前々ゟ出仕日之節人多入
　　　　　　　　候付供之者大勢召連候只今迄ハ当番切ニ相勤
　　　　　　　　


　　　　　　　　候得者自今以後ハ出仕日之節従非番と人数助合
　　　　　　　　相勤候様ニ被仰出候
　　　　　　　　此趣を以国持大名衆参勤之節費之人数不召
　　　　　　　　連候様可被相心得候　委細者書付相廻候
　一　同月十九日土屋十郎右衛門《割書：貴｜充》京都医師立田養元同道　昨十八日
　　　福井江
　　　着ニ付今日養元御部屋江罷出御様体相伺之
　　　　　　　但御薬之御服用無之
　一　同月廿日清照院様為御見廻中務大輔《割書：昌｜平
》様御越被成御医師
　　　之儀御相談有之


　一　六月廿一日暑中ニ付御使者を以例之通御国産索麵御肴《割書：□》被献之
　一　同月廿三日御用番秋元但馬守《割書：喬｜知》殿ゟ御呼出　御留守居村上三太夫《割書：正｜峯》
　　　罷出候処左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　上屋敷之外所々屋敷次ニ抱屋敷之分所并
　　　　　　　　坪数書付可被指出候預り地も有之候ハヽ是又
　　　　　　　　書付可被出候
　　　　　　　　　但家来抱地も書付可被出候
　　　　　　　　　　六月
　一　同月廿四日右同断ニ付御用番秋元但馬守《割書：喬｜知》殿江御留守
　　　居村上
　　　三太夫《割書：正｜峯》を以左之通御書付被指出之
　　　　　　　　　　松平大炊頭所々屋敷所坪数之覚
　　　　　　　　鳥越屋敷
　　　　　　右坪数七千六百拾九坪半
　　　　　　　内
　　　　　　　　四千七百坪　　　　拝領地
　　　　　　　　二千九百拾九坪　　百姓地抱屋敷
　　　　　　　本庄下屋敷亀戸村之内
　　　　　　右坪数二万二千五百坪　拝領地
　　　　　　　深川海辺新田之内
　　　　　　　













　　　　　　右坪数七千拾四坪　　　　百姓地抱屋敷
　　　　　　　本庄砂村新田之内
　　　　　　右坪数二万坪　　　　　　水地百姓地抱屋敷
　　　　　　　但水地故家作囲無御座候
　　　　　　　　六月廿四日
　　　　　右之外預り屋敷并家来抱屋敷無御座候
　　　　　　　　覚
　　　　　　　　　　　　　松平大炊頭家来
　　　　　　　　　　　　　　　　本多孫太郎


　　　　　　　拝領屋敷所坪数
　　　　　北本庄一二之橋間通元御竹蔵之跡
　　　　　　　　　　　　　　坪数千六百五拾坪
　　　　　　　六月廿四日
　一　六月廿五日暑中ニ付御機嫌為御伺御用番秋元但馬守《割書：喬｜知》殿江
　　　御勤
　一　同月廿六日端午御祝儀御献上ニ付而之御内書於御城
　　　御渡有之　御家来拝領物等如例
　一　同月廿九日京都医師立田養元今日御暇被下罷帰候ニ付御使番


　　　土屋十郎右衛門《割書：貴｜充》被指添之
　一　七月六日為御生身魂御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
　一　同月十四日《割書：丑｜刻》清照院様於福井御逝去　御法号
　　　清照院殿嶽誉浄慧鏡空大善尼
　一　同月十六日清照院殿御遺骸運正寺江御送葬
　一　同月十九日清照院様御逝去ニ付御忌服之儀林大学《割書：信｜篤》殿江
　　　御問合之上御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》殿江左之通御届書被指出
　　　之
　　　　　　同氏越前守妻先年在所江引取指置申候
　　　　　　先頃ゟ相煩候処養生不相叶当十四日致死去


　　　　　　候由只今申越候　是ハ故飛鳥井中将娘ニ而同氏
　　　　　　兵部大輔致養女ニ越前守与一所ニ仕候　依之私為ニ
　　　　　　姉之続ニ罷成候　然者右婚儀ニ付而之続故姉半
　　　　　　減之服忌請申候為御届申達候
　　　　　　　姉之服忌半減
　　　　　　　　忌十日　　　七月十四日ゟ廿三日迄
　　　　　　　　服四十五日　七月十四日ゟ八月廿八日迄

　　　　　　　　七月十九日　　　　　　松平大炊頭







　　　　　　　　別紙
　　　　　　　　　越前守妻致死去候付而続之覚
　　　　　　　　　　従弟　　　　松平中務大輔
　　　　　　　　　七月十九日


　一　七月廿五日松山弥五太夫《割書：　｜　》并妻今度御国江引越之処切支丹類
　　　族
　　　之者ニ付居処替之御証文御使者を以切支丹奉行江被指出之
　一　同日
　　　禁裏御所方御築地入用銀御上納之儀ニ付先達而京都所司代
　　　ニ而御渡之御書付相添左之通御伺書御留守居村上三太夫《割書：正｜峯》
　　　持参御勘定奉行萩原近江守《割書：重｜秀》殿江指出之
　　　　　　　禁裏御所方并堂上方御築地入用高割
　　　　　　高二拾五万石
　　　　　　　此割銀七拾四貫五百四拾壱匁四分九厘七毛
　　　　　　　　但壱万石ニ付
　　　　　　　　　銀二貫九百八拾壱匁六分御厘九毛余
　　　　　　　　七月廿五日　　　　　松平大炊頭


　一　七月廿六日清照院様御法号御国表ゟ相廻り候ニ付昨廿五
　　　日
　　　晩ゟ今朝迄於深川霊巌寺御茶湯御執行有之
　一　同月晦日於運正寺去廿八日晩ゟ今日迄清照院様御当座御
　　　法
　　　亊御執行有之
　一　八月朔日為御祝儀御登城例之通　御太刀馬代御献上
　一　同月四日於運正寺昨三日晩ゟ今朝迄豊姫様ゟ清照院様
　　　御法事御執行有之
　一　同月六日
　　　禁裏御所方御築地御入用銀御留守居を以御上納有之　蓮
　　　地
　　　御金蔵江相納候処御金奉行ゟ左之通証文被相渡之
　　　　　　　　請取申銀子之事
　　　　　　合七拾四貫五百四拾壱匁四分九厘七毛者丁銀関包
　　　　　　　但壱万石ニ付銀二貫九百八拾壱匁六分五厘九毛
　　　　　　　　余
　　　　　右是者禁裏御所方并堂上方御築地銀高二拾五万石
　　　　　之割を以御上納仍如件
　　　　　　　　　正徳弐年《割書：辰》八月六日　杉　庄次郎印判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　神尾十郎左衛門印判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　石井治左衛門印判















　　　　　　　　　　　　　　　　　　　諸星清左衛門印判
　　　　　　　　　　　　　松平大炊頭殿

　一　同日右同断ニ付為御届御老中秋元但馬守但馬《割書：喬｜知》殿江御使者
　　　御留守居村上三太夫《割書：正｜峯》被指出之　京都所司代松平紀伊之《割書：信｜庸》殿江
　　　御書被遣之
　 一　八月十二日於雲正寺去十日晩ゟ今朝迄《割書：二夜｜三日》
　　　探源院様御一周忌御法事御取越御執行有之　於天徳寺ニ


　　　御法事御執行有之
　一　同月十六日御用番大久保加賀守《割書：忠｜増》殿ゟ御呼出御留守居大関新五
　　　左衛門《割書：直｜看》
　　　罷出候処今度諸国公領江御徒目付巡見ニ被遣候儀ニ付左之通
　　　御書付被相渡之
　　　　　　　一　今度国々御料所村々巡見被指遣候付右面々
　　　　　　　　　相通り候道筋掃除并道橋一切佐ケ申間敷候御
　　　　　　　　　馳
　　　　　　　　　走として送り迎之者出候儀可為無用事
　　　　　　　一　右之面々御朱印員数之外人馬入候ハゝ其所
　　　　　　　　　定之諸賃銭有之ハ其定之通無之処ハ



　　　　　　　　　近辺之御定之割合を以駄賃銀取之人馬可出候
　　　　　　　　　御朱印之外ニ賃なしの人馬一人一疋も不可
　　　　　　　　　出之事
　　　　　　　一　順見通り候道筋にても百姓農業之儀少も
　　　　　　　　　無遠慮いとなみ候様ニ可被申付事
　　　　　　　一　私領村々に若巡見舎旅宿候共少々之小屋掛ケ
　　　　　　　　　取繕ひハ不及申畳替可為無用古ク候とも不苦候
　　　　　　　　　繕道具等も有合候を借可申事
　　　　　　　一　旅宿に可成家一村に三軒無之処ハ寺又ハ村を


　　　　　　　　　隔候而成とも不苦事
　　　　　　　一　泊昼休之場所にて入用之飯米塩味噌薪并酒
　　　　　　　　　肴油野菜等ハ其所之相場次第売候様ニ可被
　　　　　　　　　申付事
　　　　　　　一　其所に無之商売物脇ゟ遣置売せ申間敷候　衣
　　　　　　　　　類諸道具は勿論肴にても持寄売候儀堅
　　　　　　　　　可為停止事
　　　　　　　一　右面々金銀米銭衣類道具ハ不及申酒肴菓子
　　　　　　　　　等迄一切受用不申筈ニ候間内々にても堅音信不仕


　　　　　　　　　様知行所之者共江可被申付候若内々にても音
　　　　　　　　　信仕旨相聞るにおゐてハ可為曲事候間其旨急度
　　　　　　　　　可被申付事
　　　　　　　一　何方見分仕候とも私領かたの音物等一切受用
　　　　　　　　　無之筈候則音物ハ不及申使者飛脚被出候儀も
　　　　　　　　　堅可為無用事
　　　　　　　一　右面々家来下々迄在々におゐて衣類道具等ハ
　　　　　　　　　買不申様に申渡候間得其意商売不仕様ニ
　　　　　　　　　可被申付事

　　　　　　　一　野道の馳走として新規に茶店等作り候儀
　　　　　　　　　堅可為無用事
　　　　　　　　右者今度御料国々江順見被差遣候付往来之
　　　　　　　　道筋ハ私領村々をも可罷通候間書面之條々
　　　　　　　　先達而地頭ゟ領地村江申触無相違様ニ急度可
　　　　　　　　被申付候　以上
　　　　　　　　　　辰八月
　一　八月十八日於運正寺　清照院様御三十五日御法事御執行有之
　一　同月廿二日於三ノ丸組之者目中有之


　　　　　　　但廿八日迄ニ而相済
　一　九月二日於運正寺昨朔日晩ゟ今朝迄清照院様御四十九日
　　　御法事御執行有之
　一　同日去月十日御国許大風ニ付御用番井上河内守《割書：正｜峯》殿江左之通
　　　御届書被指出之
　　　　　　　　　　越前国福井領八月十日昼時ゟ大風ニ而
　　　　　　　　　　同日暮時風相止申候
　　　　　一　城中別条無御座候　然者曲輪之塀板抔所々
　　　　　　　吹取家作も少々損申候


　　　　　一　侍屋敷足軽家并町屋民家寺社共ニ余程致
　　　　　　　破損候
　　　　　一　民家潰家少々有之候　其節怪我人無御座候
　　　　　　　当作毛風強南へ当り申候旨指極損毛之処ハ未タ
　　　　　　　相見不申候由
　　　　　　　　　同領浦々ニ而破船之覚
　　　　　一　猟船三十四艘
　　　　　　　　死人三十二人
　　　　　一　猟船二艘并水主共ニ行方不相知候


　　　　　　　此人数十三人
　　　　　　　　　以上
　　　　　　　　九月二日　　　　　　　松平大炊頭

　一　九月三日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖五《割書：綸子黒｜八丈織紅表》
　　　《割書：紋羽二重黒縮緬浅黄｜小紋紅裏》被献之　御台様江白銀被指上之　　
　一　同日於瑞源寺
　　　探源院様御霊屋御普請出来ニ付今日御供養有之
　一　同月十二日於瑞源寺去十日ゟ今朝迄


　　　探源院様御一周忌御法事御執行有之　於谷中南泉寺も御法
　　　亊御執行有之
　一　同月十三日大目付横田備中守《割書：由｜松》殿ゟ書付来
　　　　　　　　来十五日神田明神之祭礼上覧ニ付月次之
　　　　　　　　御礼無之候向後も明神之祭礼有之年者十五日之
　　　　　　　　御礼不被為　請候右之旨可被相触候
　　　　　　　　　　九月十二日

　一　九月廿九日


　　公方様御不例ニ付御機嫌為御伺御用番并御側御用人江
　　御使者御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》被指上之《割書：昨廿八日於御老中｜井上河内守殿被仰出》
　一　同日御献上之初鱈当年も于今出来不申候ニ付御献上難被成段
　　　御用番井上河内守《割書：正｜峯》殿江御留守居を以御達有之
　一　九月《割書：日不｜詳》左之通被仰出
　　　　　　　一　古物御道具払代銀
　　　　　　　一　御蔵目払米売立代銀
　　　　　　　一　御切米取新知被下候時返上切米代銀
　　　　　　　一　知行取十月以後御暇被下歟又ハ死去跡目無之分


　　　　　　　　　先納残米売立代銀
　　　　　　　一　御蔵日切之手形取後レ米売立代銀
　　　　　　　一　御立山下刈売立有之之代銀
　　　　　　　一　御家中上り知并御切米御扶持方
　　　　　　　右七ヶ条向後御貯江相納除置可申者也
　　　　　　　　正徳二《割書：壬》辰年九月日

　一　十月朔日足羽郡阿波賀春日社え社領五拾石御寄附被仰出
　一　同月二日


　　　公方様御不例ニ付御機嫌為御伺御用番并御側御用人江
　　　御使者御留守居村上三太夫《割書：正｜峯》被指上之
　　　　　　　　但三月五日も右同断御使者被指上之
　一　十月五日右同断ニ付根津住心院江御祈祷御頼被成今日相済
　　　候ニ付御使者を以御祈禱料銀十枚被遣之
　一　同月六日右同断ニ付御機嫌為御伺御用番秋元但馬守《割書：喬｜知》殿
　　　御側御用人真鍋越前守《割書：詮｜房》殿本多中務大輔《割書：忠｜良》殿江御勤
　一　同月九日大目付横田備中守《割書：由｜松》殿御勘定頭大久保大隅守《割書：忠｜□》殿ゟ
　　　申来　御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》罷出候処浦々高札之儀ニ付口上書相添


　　　左之通御書付被相渡之
　　　　　　　此度諸国浦々添高札御案文被仰出候　只今迄
　　　　　　　高札有之処者右之御文言札ニ認其際ニ可被相
　　　　　　　立候　左候ハゝ何方ニ建候段書付銘々ニ両人方江可
　　　　　　　被指出候　高札間違之処も此御書付を以急度相守
　　　　　　　候様入念可被申付候　則御案文写遣之候　以上
　　　　　　　　　十月　　　　　　　　横田備中守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保大隅守

　　　　　　　　　〆


　　　　　　　　　前々より浦々高札相建公儀之船ハ不及申
　　　　　　　　　諸廻船共ニ猥成儀無之様ニ被仰付候処逢難風
　　　　　　　　　候節も所之者共船之助にハ不相成却而破船
　　　　　　　　　候様ニいたし掛荷物を納させ或いは上乗船頭と
　　　　　　　　　申合不法之儀共有之様に相聞へ不届ニ候　御料
　　　　　　　　　は御代官私領ハ地頭より常々遂吟味毛頭不埒
　　　　　　　　　不仕様ニ急度可被申付候　若此上不埒之儀於有
　　　　　　　　　之者後日相聞候とも其処ハいふに不及所之
　　　　　　　　　物迄可被行重科候　其上其所之御代官地頭迄


　　　　　　　　　可為越度事
　　　　　　　一　御城米船近年破損多候ニ付今般諸事相改別而
　　　　　　　　　大切可仕旨申渡船足之儀ニ深ク不入様ニ大坂船は
　　　　　　　　　大坂奉行　其外国々之船ハ其所支配之御代官より
　　　　　　　　　船足定之所ニ極印を打船頭水主之人数を不減
　　　　　　　　　少様に急度申付令運漕筈ニ候　依之湊江寄候
　　　　　　　　　船之分は船頭水主人数幷船足極印之通無相違哉
　　　　　　　　　送状に引合急度相改帳面に記置上乗船頭印形
　　　　　　　　　致させ右書物其前に留置御料ハ御代官　私領は


　　　　　　　　　地頭江差出之御代官并地頭ゟ御勘定奉行迄可
　　　　　　　　　被差出候　且又極印より船足深ク入候船有之候ハゝ
　　　　　　　　　積候俵数委細に改之　御城米之外船頭私之運
　　　　　　　　　賃を取り他之米穀或は商売之荷物等積入
　　　　　　　　　候歟又は水主人数定之内令減少候ハゝ私に積
　　　　　　　　　入候荷物ハ其所に取揚置水主人数不足之分ハ
　　　　　　　　　其所にて慥成水主を雇せ為致出船其上にて
　　　　　　　　　右之訳早速御御勘定奉行江可訴之事
　　　　　　　一　破船有之節浦々の者出会荷物船具等取揚


　　　　　　　　　候刻盗取候歟又ハ不届之仕形於有之ハ船頭より
　　　　　　　　　不隠置有体に早速可訴之事
　　　　　　　　右之條々急度可相守　若違犯之輩於有之者詮
　　　　　　　　儀之上可被行罪科　不吟味之子細も候ハゝ其所支
　　　　　　　　配之御代官又ハ地頭迄可為越度者也
　　　　　　　　　　　辰八月

　一　同日
　　　公方様御不例ニ付御機嫌為御伺御用番江御使者被指出之　
　一　十月十日右同断ニ付御用番并御側御用人江御勤


　一　十月十一日右同断惣出仕ニ付御登城《割書：昨十日御用番江｜御勤之節用人申上之》
　一　同日右同断御機嫌為御伺御用番并御側御用人江御使者
　　　被指出之
　　　　　　　但十三日迄毎日被指出之
　一　同月十三日右同断御機嫌為御伺御登城
　一　同月十四日右同断御登城被成候処
　　　公方様薨御ニ付御大老井伊掃部頭《割書：直｜興》殿并御老中列座掃部頭殿
　　　左之通御達有之
　　　　　　　公方様御不例色々御養生被遊候得共不被


　　
　　　　　　　為叶今朝薨御被遊候　御跡之儀者若君様被成
　　　　　　　御座候付御譲り被成候　御幼稚之御事候間何も
　　　　　　　念被入相勤可被申候
　右相済上意被成置候　御書付林七三郎《割書：信｜充》殿被持出読渡有之畢而
　御老中秋元但馬守《割書：喬｜知》殿金銀之儀御達有之
　　　
　　　　　御遺書
　　　　　　不肖之身
　　　　　　東照宮之神統を承しよりこのかた天下の
　　　　　　政事常に神徳を嗣ん事を以て心とす　然


　　　　　　るに在世の日短くして其志の遂さる事今に
　　　　　　及ていふへき所をしらす古より主幼く国
　　　　　　危き代々を見るに其世の人権を争ひ党を
　　　　　　たて其心相和らかすして相疑ふによらさ
　　　　　　るかな胡越の人も船を同しくして水を
　　　　　　渡るに其心を一ツにし其力を共にする時は風
　　　　　　波之難をも渡るへし况哉今の世の人当家創
　　　　　　業の後治平百年之間に相生れ相長と成事
　　　　　　誰か　之　東照宮の神恩によらさる者の


　　　　　　あるへき人々其神徳に報ひ奉り世の為人の
　　　　　　為を存せハ古之主幼く国危き代々の事共を
　　　　　　以て深き戒とすへし　若其志なからんに
　　　　　　おゐては当家ノ厄難といふのミにあらす
　　　　　　尤是天下人民の不孝たるへし　凡天下の
　　　　　　貴賤大小よろしく相心得へき事に思召者也
　　　　　　　　正徳二年十月九日　御黒印
　　　　　　
　　　　　　〆


　　　　　但馬守殿御達
　　　　　　　兼而金銀之儀近年悪敷罷成候付
　　　　　　　権現様御條目之通ニ可被仰付之思召候得共
　　　　　　　薨御被遊ニ付其儀無御座候　乍然連々以元禄迄之
　　　　　　　金銀之通ニ可仰付旨ニ候　ケ様之儀迄を常々
　　　　　　　被為懸御心被仰置候間何も左様可被相心得
　　　　　　　候由
　一　同日右同断ニ付
　　　若君様御機嫌為御伺御用番秋元但馬守《割書：喬｜知》殿御側御用人


　　　間部越前守《割書：詮｜房》殿本多中務大輔《割書：忠｜良》殿江御使者御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》
　　　被指出之
　一　十月十五日
　　　若君様御機嫌為御伺御登城　其節向後
　　　上様与可奉称旨御老中御達有之
　一　同日御登城前御台様御機嫌為御伺御用番秋元但馬守《割書：喬｜知》殿江
　　　御勤
　一　同日《割書：夕》御機嫌為御伺御用番并御側御用人江御使者被指出之
　　　　　　但御使者被指出候儀御登城被成候日ニハ夕方斗被指出


　　　　　　　御登城無之日者朝夕共可被指出旨御並方被仰合毎日
　　　　　　　被指出候得共以後不記之
　一　十月十六日御朦中御機嫌為御伺御登城
　　　　　　　但同十八日ニも御登城
　一　同月十九日御用番秋元但馬守《割書：喬｜知》殿江御出　今度御代替御誓
　　　紙之儀ニ付左之通被仰入候処但馬守殿御逢有之　追而御案内
　　　可有之旨御挨拶有之
　　　　　　　　　口上
　　　　　　　　御代替ニ付誓紙仕度奉存候不及其儀御事
　　　　　　　　


　　　　　　　　ニも奉存候得共心底顕筆紙候得者本望奉存候
　　　　　　　　此段御直談申度伺公仕候得共御用多可有御座
　　　　　　　　候間御用人を以相伺申候可然様御指図被成可
　　　　　　　　被下候　以上
　　　　　　　　　　十月十九日　　　　松平大炊頭

　一　同月廿日金銀之儀ニ付左之通大目付中ゟ御廻状来
　　　　　　　　上古以来我国にて金銀を生し候事数す
　　　　　　　　くなく天下の財用とほしく候ひし事共は


　　　　　　　世の人伝承たる所にて候　然るに
　　　　　　　東照宮御治世の始慶長七年に及ひて天運
　　　　　　　の時至り候故歟神徳の感しいたされ候故歟
　　　　　　　天下の宝山一時に開け始めて金銀の生し
　　　　　　　出候事我国の始よりこのかたいまた其例
　　　　　　　を聞かす　これより□□□□公私貴賤の財用ゆた
　　　　　　　かに事足り候のミにあらす　我国の外よりも
　　　　　　　金銀を求むへきために渡来候国々其数多く
　　　　　　　これによりて又我国の資用もゆたかに事


　　　　　　　足り候て今日に至候　皆是
　　　　　　　東照宮の神恩にあらすとは申すへからす
　　　　　　　寛永年中我国に渡来候事を禁せられ候国々
　　　　　　　多しといへとも今に至て年々に渡来候所も其
　　　　　　　数猶すくなからす候を以て我国の金銀ハ万
　　　　　　　国の宝にすくれ候事世の人又推知へき所
　　　　　　　にて候　然るに又慶長より以来或は異国の中
　　　　　　　に流れ入或は大災の度に焼うせ或は神社仏
　　　　　　　閣衣服器財のために費やし用ひ□所凡九


　　　　　　　十余年の間我国の金銀大半を減し候故に天
　　　　　　　下の財用相通し候事其始に及ひかたくこれに
　　　　　　　よりて元禄年中金銀の法を改め造られ我国
　　　　　　　通用の金銀又其数を倍し候　然れとも其金
　　　　　　　銀の品は
　　　　　　　東照宮の定置れし処には大きに及はす候に
　　　　　　　よりて工商の類あらたに造り出され候金銀の
　　　　　　　價を賤しミ各其利を失ふへからさる事を
　　　　　　　謀り諸物の價を増し加えて商売し候ニ及ひて


　　　　　　　諸物の價ハ年々に貴く金銀の價は年々に
　　　　　　　賤しくなり来りてつゐには公私貴賤ハ難
　　　　　　　儀にハ至りぬ　異朝にして往古より其宝貨之
　　　　　　　品高下同しからさる事共にて就中中古
　　　　　　　以来ハ宝鈔ニて紙を以て金銀にかへ候て天下
　　　　　　　に通用せしめ候事今に至る□□□□相聞へ候
　　　　　　　元禄以来の金銀たとひ其品は下り候□□
　　　　　　　異朝の宝鈔にはくらふへからす然れは我
　　　　　　　国の四民各其家業を相伝へて其財用を相


　　　　　　　通し候事
　　　　　　　東照宮より以来代々の国恩□□候所を存し候
　　　　　　　其今□□は金銀の價もさのミハ□□□　諸物の
　　　　　　　價もさのミ□□して今日□■■□及は
　　　　　　　しむへ□□しかれ共■を重　　利を争ひ
　　　　　　　候事ハ工商の類の争ひニ候らへはあなかちに
　　　　　　　咎むへからす　只偏に其■公私貴銭□□□□
　　　　　　　□□今更是非を論するに及へからすを以て
　　　　　　　此等之事者年久□□知召され候御事に候を以て


　　　　　　　御代の初より常に御心に懸けられ候所ハ金銀
　　　　　　　の品本のことくに諸物の價も平かにいかにも
　　　　　　　して天下の煩を除るへき御本意に候得共
　　　　　　　凡ハ物一たひやふれ候後もとの如くになし
　　　　　　　返し難き来ハ定まれることはりにて中に
　　　　　　　■今日金銀の□を本のことくになし返
　　　　　　　され候事尤以て難き事に候　若然るへきい
　　　　　　　われも■□今の金銀を以て本の如くに
　　　　　　　なし返され候はんには天下に通用し来り候


　　　　　　　金銀ハ俄に其数の事を減し天下の人各者
　　　　　　　家財□□□□又工商の類の利を謀り心ハ
　　　　　　　本の如くに候はゝ諸物の價は其半を減して
　　　　　　　商売し候事も有へからす　然らは金銀の類ハ
　　　　　　　今迄の事を減諸物の價貴く候事ハ今迄の
　　　　　　　如くに候はんには公私貴賤之難義只今よりハ
　　　　　　　猶甚しきに至り大候へき哉此等之儀に□□て
　　　　　　　卒爾の御沙汰にも及ひ難候内に新金之事
　　　　　　　或は大にあひ候ては流れらせ或ハ遊にふれ候
　　　　　　　

　　　　　　　其ては折損し其宝を失ひ候輩有之由
　　　　　　　聞召及はれやむ事を得られす　先其品を
　　　　　　　本の如くに改造るへき由被仰出候　其■の少し
　　　　　　　く候事ハ不可然候得とも金銀の法本の如く
　　　　　　　になし返され候にては天下に通用し候金
　　　　　　　の数其半を減すへき事尤以て不可然事
　　　　　　　に有之候故に候ひき　然るに又新銀の値次
　　　　　　　第に其品下り候而去年の冬に到りて銀
　　　　　　　に通用し候国々貴賤の難義に及ひ候由


　　　　　　　聞召され殊に不可然事に思召され候を以て
　　　　　　　新銀を造り出し候事をは停止せられ候
　　　　　　　此上は猶更に金銀之品本の如くになし返
　　　　　　　さるへき事日々に御心を尽され候　但天下の
　　　　　　　宝は天下と共に宝とすへき物に候上は
　　　　　　　思召にまかせて御決定あそはされ難き
　　　　　　　御事ニ候　たとひ今日金銀の品を本の如く
　　　　　　　になし返され其数の半を減□□□慶長
　　　　　　　以前の代々にくらへ候ハヽ天下の財用猶ゆたか
　　　　　　　

　　　　　　　なるへき事ハ万々倍し候へし　然る上は天下
　　　　　　　の貴賤相■に存　候所我国の金銀ハ万国に
　　　　　　　すくれ候て万代の後迄の宝にすへきは□□
　　　　　　　之さたを以各其ざい財宝の半を失ひ候たる
　　　　　　　其品を本の如くになし通さるへき御事と
　　　　　　　存し工商の類も相立に存し候所金銀の品
　　　　　　　もとの如くになしへされ候ハゝたとひ其利
　　　　　　　を失ひ候□る諸物の價ハ其半を減　　も商
　　　　　　　商仕るへき事ニ候と存　候ハゝ年来の


　　　　　　　御本意の如くすみやかに金銀の品を本の
　　　　　　　如くになし返され天下の煩を除れ候へし
　　　　　　　若天下の貴銭の存する処も今日通用の金
　　　　　　　銀其数の半を減せられ□□□候可然御事
　　　　　　　と存し工商の類も其利の半を失ひ候はん
　　　　　　　事はかなしむへからすと存し候におゐてハ
　　　　　　　天下の人と共に其時を御待合せ可有之候
　　　　　　　只いつれの道にも金銀の事は我国万代
　　　　　　　まてのために


　　　　　　　東照宮定め置れし法の如くになし返さ
　　　　　　　るへき御本意に候間天下の貴銭■しく
　　　　　　　此旨を存すへきに被仰出候者也
　　　　　　　　　辰十月十一日
　一　十月廿一日御蒙中御機嫌為御伺御用番并御側御用人江
　　　御勤
　一　同月廿三日右同断御機嫌為御伺御登城《割書：作廿二日
｜御■■》
　一　同日御老中阿部豊後守《割書：正｜喬》殿ゟ御呼出御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》
　　　罷出候処用人を以左之通御書付被相渡之　


　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　覚
　　　　　　　一　明後廿五日之朝六半時豊後守宅江被相越
　　　　　　　　　御代替之誓詞可被致候
　　　　　　　一　誓詞前書者存念之趣詞可被申候
　　　　　　　一　爵文迄調可有持参候
　　　　　　　一　判形ハ其前ニ而被致血判者豊後守宅ニ而可被
　　　　　　　　　致候
　　　　　　　一　宛所掃部頭老中五人座並之通可被調候
　　　　　　　　　　　以上


　　　　　　　　　十月廿三日
　一　十月廿四日於運正寺昨廿三日晩ゟ今朝迄清照院様百ケ日
　　　御法事御執行有之
　一　同月廿五日御老中阿部豊後守《割書：正｜喬》殿江御出御代替ニ付而之
　　　御誓詞被成
　　　　　　　　　起請文前書
　　　　　一　御代替ニ付而弥以重
　　　　　　　公儀御仕置等急度可相守事
　　　　　一　被仰付候儀聊概略不奉存可抽


　　　　　　　忠勤事　
　　　　　一　万一悪心之輩承届候者不移時刻可
　　　　　　　申上候　御家門始幷公家方縦誰為
　　　　　　　親類縁者知音之好以邪儀於申合者
　　　　　　　一味仕間敷事
　　　　　　　　右條々於相背者
　　　　　　　　梵天帝釈四大天王総日本六十余州大小神祇
　　　　　　　　殊伊豆箱根両所権現三島大明神八幡大菩薩
　　　　　　　　天満大自在天神部類眷属神罰冥罰各可


　　　　　　　　罷蒙者也　仍起請文如件
　　　　　　　　　正徳二壬辰年十月廿五日　松平大炊頭

　　　　　　　　　　井伊掃部頭殿
　　　　　　　　　　土屋相模守殿
　　　　　　　　　　秋元但馬守殿
　　　　　　　　　　大久保加賀守殿
　　　　　　　　　　井上河内守殿
　　　　　　　　　　阿部豊後守殿
　　　
　　　　　　　　

　　　　


　一　同日右同断ニ付御願之通被仰出候為御礼御大老御老中江
　　　御廻勤
　　　　　　但右御廻勤之儀大目付横田備中守殿御達有之
　一　十月廿八日惣出仕ニ付御登城《割書：去廿六日｜御触達》
　一　同日大目付横田備中守《割書：由｜松》殿御普請奉行柳沢備後守《割書：信｜尹》殿ハ切支丹
　　　御証文一通宛長谷川仁兵衛《割書：澄｜□》持参指出之
　一　同二十九日御台様御儀向後天英院様与可奉称旨大目付中ゟ
　　　御廻状来ル
　一　十一月朔日惣出仕ニ付御登城《割書：去月廿六日｜御触達》


　　　　　　　但同三日ニも御登城
　一　同月七日御蒙中御機嫌為御伺御用番并御側御用人江
　　　御勤
　一　同月九日惣出仕ニ付御登城《割書：去七日｜御触達》
　一　同日御登城前天英院様御機嫌為御伺御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》殿江
　　　御勤
　一　同日大目付横田備中守《割書：由｜松》殿ゟ申来　御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》罷出候
　　　処
　　　御代替御礼之節御太刀御献上被成候様書付を以被申渡之
　一　同月十五日惣出仕ニ付御登城《割書：去十三日｜御触


　一　同日
　　　文昭院様御当座御法事ニ付御使者岡部又次郎《割書：起｜平》を以《割書：御留守居｜同道》
　　　増上寺本堂江御香奠銀三十枚被献之《割書：去九日｜御触達》
　一　十一月廿日右同断ニ付運正寺壽福院為諷経出府　今日増上寺江
　　　参拝相済
　一　同月廿一日惣出仕ニ付御登城《割書：去十九日｜御触達》
　一　同月廿六日先達而《割書：八｜月》被仰出有之候儀ニ付所々御屋敷之御書付
　　　左之通御普請奉行嶋田佐渡守《割書：正｜富》殿江被指出之
　　　　　　　　　　覚


　　　　　一　下屋敷　　　　　　　　《割書：新鳥越》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　四千七百坪
　　　　　一　下屋敷　　　　　　　　《割書：本庄亀井戸村之内》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　弐万弐千五百坪
　　　　　一　抱屋　(《割書：年貢地｜家作囲相済》　　　　《割書：新鳥越》　《割書：清野与右衛門支配》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　弐千九百拾九坪五合
　　　　　　　　道法日本橋まで弐拾四町程
　　　　　　　右者新鳥越下屋敷地続ニ而先年ゟ抱添一所ニ囲置申候
　　　　　　　上屋敷類焼ニ付今程致住宅候
　　　　
　　　　　一　抱屋敷《割書：年貢地｜家作囲相済》　《割書：深川海辺新田小名木沢通伊奈半左衛門支配
》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　七千拾四坪
　　　　　　　　道法日本橋迄弐拾八町程
　　　　　一　抱屋敷　無年貢地　　《割書：本所砂村新田之内　伊奈半左衛門支配》
　　　　　　　　　　　　　　　　　弐万坪

























沢砂村新田之内


　　　　　　　　道法日本橋迄二里程
　　　　　　　右先年求置申候得共水地故家作囲不罷成所ニ而御座候
　　　　　一　家来拝領屋敷　　　　　《割書：本庄一二之橋間通元御竹蔵跡》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　千六百五拾坪　　　
　　　　　　　右者家来本多孫太郎拝領屋敷ニ而在江戸之節者致
　　　　　　　住宅候
　　　　　一　家来屋敷《割書：表口七尺八寸｜裏行拾九間》　　通塩町　　　町奉行支配
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　四拾坪五合三夕　　　　　　　　　
　　　　　　　　 外ニ
　　　　　　　　　四拾壱坪七合三夕ハ向河岸表口拾六間四尺五寸裏
　　　　　　　　　行弐間半

　　　　　　　　　　但所並ニ相願蔵地ニ罷成候
　　　　　一　家来町屋敷《割書：表口四間弐尺七寸｜裏行拾九間三尺六寸》　　永富町　　町奉行支配
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八拾六坪三合


　　　　　　　　　但是ハ通塩町町屋敷之内広小路に相成候代地ニ被
　　　　　　　　　　下置候
　　　　　　　右二ケ所家来田代道伯致所持候
　　　　　　　右之外抱屋敷預り地并町屋敷自分ハ不及申家来ニも
　　　　　　　無御座候且又支配無之親類縁者男女共不致所持候　以
　　　　　　　上
　　　　　　　　正徳二壬辰年十一月廿六日　　松平大炊頭
　　　　　　　　　
　　　　　　　　　中川淡路守殿
　　　　　　　　　嶋田佐渡守殿
　　　　　　　　　天野弥五右衛門殿　




中


　　　　　　　　　　渡辺外記殿
　一　十二月五日惣御役人江左之通御書付を以被仰出
　　　　　　　一　諸役之面々最前も被仰出通候御用之品軽重□□
　　　　　　　　　先例ありといふとも其筋を正し遂吟味常々思慮
　　　　　　　　　を尽し麁末無之様に可相勤　手代組之者等ニ至迄
　　　　　　　　　御用勤方毎度念を入申付支配之面々其趣を不承届
　　　　　　　　　儀をかりにもなおさりに致し其通りに差置申
　　　　　　　　　間敷候　軽キ者共御用をしも〳〵へ申付或は取扱
　　　　　　　　　□において吟味不行届致候様宜しからさる


　　　　　　　　　趣も有之様に相聞候　此儀ハ畢竟其頭の不念たる
　　　　　　　　　へく候
　　　　　　　一　異見を達する儀ハ諸役之面々頭たる者の覚悟有之
　　　　　　　　　事に候　下情を不通異見を不聞ハ私意を立忠節を
　　　　　　　　　放失するの基に候　最前此趣御条目に被載と
　　　　　　　　　いへとも未其沙汰不相聞候面々此旨を専可有思慮
　　　　　　　　　事に候
　　　　　　　　　附まいないを受下を貪の儀ハ猶更条目に雖不及
　　　　　　　　　　若左様の族有之ハ急度可被仰付候　能々此旨を存
　　　　　　　　　　支配の者共へも堅常々可申付候






　　


　　　　　　　　　十二月日
　一　十二月十八日御登城於御白書院御代替之御礼被仰上
　　　　　　　但前々ゟ御代替御礼之節者年始之通御着座ニ而被仰上
　　　　　　　　候処
　　　　　　　　此度者
　　　　　　　　御幼君様之御事故諸事御略式ニ相成候ニ付御官位頂
　　　　　　　　ニ而
　　　　　　　　御礼被仰上
　　　　　　一　此節ゟ御牽馬ニ葵御紋之御鞍覆御用被成
　一　十二月廿三日本多孫太郎《割書：長｜員》勝手難義之趣御家老迄相達候ニ付其
　　　段
　　　達御聞候処御手当被成下候ニ付御家老ゟ左之通相達之


　　　　　　　　御自分儀勝手必至之難義之段被及聞召候得共委細
　　　　　　　　被存通此節御勝手御差支之砌ニ候得者被取続候様ニ
　　　　　　　　被成下候儀者不被任思召ニ候　就夫父子共ニ府中江
　　　　　　　　被罷越諸事致簡略何とそ江戸表勤并府中仕
　　　　　　　　置等被申付候　其内者
　　　　　　　　御宮御仏殿大之番御免福井諸之儀も御用捨被遊候
　　　　　　　　尤御用之節者可被為召候　且又乍少分貯米之内
　　　　　　　　を以金子五百両御内証ニ而被遣候事足り可申儀ニも
　　　　　　　　無之候得者御自分儀ニ候得者別而御苦身被思召









　　


　　　　　　　　右之通ニ候条父子共ニ随分倹約候而被続候
　　　　　　　　様ニ□被
　　　　　　　　思召候
　　　　　　　　以上

　　　　　　　　　　十二月廿三日
　　一　十二月廿五日寒中ニ付例之通御国産《割書：一｜番》生鱈指立之
　　一　同日
　　　　上様正二位大納言御拝任ニ付為御祝儀御登城
　　一　同月廿七日志摩守《割書：直｜丘》様御卒去
　　一　同日寒中ニ付例之通御国産《割書：ニ｜番》生鱈被指立之
　　　　　但右両度之内翌巳年正月四日被献壱度之分御献上
　　　　　　日不詳


家継様御代《割書：四月二日｜将軍宣下》
　正徳三年癸巳
　　一　正月朔日為年始御祝儀御登城　於御白書院
　　　　御一統之御礼被仰上　入御以後御同席ニ而
　　　　御三家并松平加賀守《割書：綱｜紀》殿与御一所ニ御着座　御吸物
　　　　御酒御祝被成呉服御拝領
　　　　　　但上様御幼年ニ付年始御礼御略式ニ相成
　　一　同日於御屋形年始御規式有之
　　一　正月七日為若菜御祝儀御使者を以例之通御肴《割書：■｜三》












　一　被献之
　一　正月廿五日於評定所村方締之儀ニ付金津奉行郡奉行江
　　　御家老ゟ左之通書付相渡之

　　　　　　　　覚
　　　　　一　村々ニ而耕作并家業かせき常々毎日段々
　　　　　　　相勤様之事
　　　　　一　村々ニ而百姓給物之事
　　　　　　　　但勝手宜敷者共ハ品可有事


　　　　　一　村々ニ而男女衣類之様子并寺方其外心付ケ
　　　　　　　勤方之事
　　　　　　　　但右同断
　　　　　一　村々ニ而売物等調方之事
　　　　　一　村々ニ而借銀借米返済仕時節之事
　　　　　　　　但質物取遣リ之儀者其時節可有之事
　　　　　　　在辺ニ而村法も可有事ニ候間右書付之趣
　　　　　　　村々ニ而承届庄屋長百姓判形を取尤支
　　　　　　　配之組頭も加判形村切ニ帳面差出候様ニ

　　　　　　可申付候以上
　　　　　　　　正月
一　二月六日
　　文昭院様御法号御先物頭堀江源左衛門《割書：久｜真》道中寺守護
　　今日福井着直ニ運正寺江罷出相納之其節
　　御家老初御役人迄罷出
一　二月十四日右同断ニ付御位牌御安置之
　　御供養有之
一　同日於運正寺清照院様御石塔御成就ニ付
　

　　御供養有之
一　二月《割書：日不｜詳》旧臘　公儀ゟ浦々添髙札之儀被
　　仰出候ニ付右添髙札被相建候浦方之御書付
　　左之通大目付中江被指出之
　　　　松平大炊頭領分越前國之内
　　　　添御髙札建申浦方之覚
　　　　　　　　　　　南條郡
　　　　河野今泉制札場　　　　大谷浦
　　　　河野浦々之地ニ建申候　　河野浦
　　　　　　　　　　　　　　　　今泉浦共ニ

　　　　　　　　　　　　甲樂城浦
　　　　　　　　　　　丹生郡
新保宿制札場　　　　　　米浦
両浦之境ニ建申候
　　　　　　　　　　　　新保浦
　　　　　　　　　　　　　宿浦共ニ

蒲生茱崎制札場　　　　　蒲生浦
蒲生浦之地ニ建申候　　　　菜崎浦共

　　　　　　　　　　　　大味浦
　　　　　　　　　　　　大丹生浦
　　　　　　　　　　　　南菅生浦
　　　　　　　　　　坂井郡
　　　　　　　　　　　　糸崎浦
　　　　　　　　　　　　和布浦
　　　　　　　　　　　　免鳥村
　　　　　　　　　　　　濱住村
　　　　　　　　　　　　川尻村
　　　　　　　　　　　　白方村
　　　　　　　　　　　　泥原新保浦


　　　　　　　　　　　　　　　　　三国浦
　　　　　　　　　　　　　　　　　宿浦
　　　　　　　　　　　　　　　　　米ケ脇浦
　　　　　　　　　　　　　　　　　吉崎浦
　　　　　　　　　〆
　　　　　　　　　　　二十ケ所
　　　　　　　　右之浦方前々ゟ制札有之今度御高札
　　　　　　　　建添申候　以上
　　　　　　　　　　二月


　　　　　　　　　松平大炊頭領分越前国之内前々ゟ
　　　　　　　　　御高札無之浦々此度御高札写仕相渡
　　　　　　　　　相守候様申付候浦方
　　　　　　　　　　　　　　　　南条郡
　　　　　　　　　　　　　　　　　大良浦
　　　　　　　　　　　　　　　　　上海浦
　　　　　　　　　　　　　　　　　下海浦
　　　　　　　　　　　　　　　　坂井郡
　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　北菅生浦渡り


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　長橋浦
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松陰浦
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　蓑浦
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大窪浦
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　弐ツ屋村
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　西畑村
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大橋屋村
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　小橋村共ニ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　石新保村

　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　濱坂浦
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　北方浦
　　　　　　　　　　　　〆
　　　　　　　　　　　　　十四ケ所
　一　二月二十九日頼母《割書：直｜員》様江御父志摩守《割書：直｜丘》様御遺領無相違
　　　被仰出
　一　三月廿三日御居屋敷御拝領被成度旨之御願書
　　　丹羽遠江守《割書：長｜守》殿《割書：御用｜御頼》を以御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》殿江
　　　被指出之　


　　　　　　私曾祖父同氏伊予守代龍口ニ而居屋敷致拝
　　　　　　領候処酉年大火事以後御用地ニ被召上替
　　　　　　地浜町ニ而被下候　其後越前守代浜町屋敷被
　　　　　　召上候可罷成儀御座候者御城近所ニ而居屋敷
　　　　　　拝領仕度願奉存候　龍口居屋敷被召上候以後ハ
　　　　　　霊巌島中屋敷江引越申候　去々年類焼ニ付
　　　　　　当分浅草鳥越之屋敷ニ罷在候　右願之通居
　　　　　　屋敷被下置候ハゝ鳥越之屋敷者差上可申候　此段
　　　　　　宜様被仰談被下候様奉願候　以上

　　　　　　　三月廿三日　　　　　　松平大炊頭
　　　　　　但右御居屋敷御城近クニ而御拝領御願被成候儀者此節
　　　　　　　上様御幼年ニ付御深慮有之候事之由
　一　三月晦日御登城被成候処《割書：昨二十九日御老中｜連名之御切紙来》於御白書院縁
　　　頬御老中列座御願之通御曲輪内ニ而御屋敷御拝領
　　　被仰出候旨御老中阿部豊後守《割書：正｜喬》殿御達有之
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松平大炊頭
　　　　　常盤橋之内松平下総守上ケ地四千五百坪余隣松平
　　　　　式部少輔居屋敷弐千八百坪余都合七千三百坪余一所


　　　　　　被下之浅草鳥越拝領屋敷抱地共願之通可差上候
　一　同日右同断ニ付本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老江御書被成
　一　四月二日将軍宣下ニ付御登城《割書：御装束｜帯》
　一　四月十三日今度御拝領之御屋敷御普請奉行伊勢
　　　伊勢守《割書：貞｜頼》殿御渡ニ付御家老本多修理《割書：恒｜久》初御役人罷越
　　　受取之
　一　四月十五日将軍宣下御祝儀之御能為御見物
　　　御登城《割書：昨十四日御老中｜連名之御切紙来》於帝鑑之間金銀之饗応御頂戴
　一　四月十六日御拝領之御屋敷江御移徙有之


　一　同日上使御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿を以御国許江之
　　　御暇被仰出　例之通白銀御袷御拝領《割書：上使御取扱｜如例》
　一　同日右同断ニ付御登城御礼被仰上　於御前例之通
　　　御馬御小脇指《割書：備前兼光代金｜三十五枚》御拝領　畢而被召連候御家来
　　　本多修理《割書：恒｜久》御目見被仰付　御時服《割書：四｜》拝領被仰付
　　　被仰付
　　　　　但御小脇指者公儀御代替後初而ニ付御拝領
　一　四月十八日御拝領之御馬《割書：鹿毛六歳｜長四寸弐分》御老中井上河内守《割書：正｜喬》殿ゟ
　　　使者ニ而為牽来
　一　四月十九日今度御上ケ地ニ相成候鳥越御屋敷御普請
　











　　


　　　奉行伊勢伊勢守《割書：貞｜頼》殿江御引渡有之
　一　四月廿日今度御居屋敷御拝領ニ付御留守為御用
　　　被指置候ニ付御家老酒井典膳《割書：知｜房》江戸表江被召寄今日福井
　　　出立
　一　四月《割書：日不｜詳》将軍宣下御祝儀御饗応之儀ニ付公儀ゟ
　　　左之通被仰出
　　　　　　今度
　　　　　　将軍宣下諸家御祝儀饗応次第
　　　　一　前例老中を饗応有之候家々者可被任其嘉
　　　　　　

　　　　　　例候但於今度者屋敷座敷等之修理に及はれす
　　　　　　饗応の儀式に至ても諸事の結構あるへ
　　　　　　からさる事
　　　　一　前例能興行有之候囃興行せられ囃興
　　　　　　行の前例有之候者謡斗にて可被備其儀式事
　　　　一　老中を饗応之外一門他家之衆中を招請せ
　　　　　　られ能囃子等興行の例有之候家之於今度者
　　　　　　老中を饗応の日一門他家之衆中を招請せられ
　　　　　　老中の饗応礼畢候　後において其参会之衆中


　　　　　　の為に一献の礼を設けられ此外他日の招請に
　　　　　　及ふへからさる事
　　　　　　右者近世の風俗毎時結構に過き諸国上下ハ
　　　　　　財用事足らす候由相聞江候　然則万事に就て
　　　　　　無用の費を減し節倹に従はるへき事当時の
　　　　　　急務たるへく候　依之今度の御祝儀を始て各
　　　　　　其心得あるへく候を以て識定する所に候条宜
　　　　　　被得其旨候様に可被申達候　以上
　　　　　　　　巳四月


　
　一　五月五日此度御帰国之節も御出殿御通先の儀ニ付左之通
　　　被仰出
　　　　一　御通之節侍中参り候共走隠れ申ニ不及候
　　　　　　遠近ニよらす致下座可罷在候
　　　　一　御通之節他国他領之早飛脚等急用之者参懸
　　　　　　候ハゝ不指押通し可申候
　　　　一　町御通之節亭主隠れ申ニ不及候　見せを下り相
　　　　　　慎可罷在候　女并子供等ハ其儘見せニ罷在候而も不苦候
　　　　　　職有之者共御通とて前方より職相止申し間　
　　　　


　　　　　　敷候御通之節迄右之通可仕候　惣而掃除之儀
　　　　　　御通被成とて念を入仕間敷候　人足を雇ひ或ハ
　　　　　　職人共手間費申事仕間敷候
　　　　　　中書様者不及申外之御方御通り之節ハ随分
　　　　　　念を入掃除等可仕候
　　　　　　　　五月
　一　五月六日近く御発駕ニ付御仮養子之御書付御用番
　　　秋元但馬守《割書：喬｜知》殿江御持参御指出被成
　一　五月九日江戸御発駕東海道通御旅行　其節


　　　御先御弓《割書：二十｜張》御箭箱《割書：二｜荷》杉形御鑓《割書：二十｜本》御弓立《割書：二｜組》
　　　御弩瓢《割書：二｜穂》御傘御立笠投鞘御鑓《割書：二｜本》大鳥毛御鑓
　　　御甲箱御具足櫃《割書：二》御羽織筥御貝御鞍並馬《割書：三｜疋》
　　　御挟箱《割書：二》突笛御鑓《割書：二｜本》御腰物箱《割書：二》御長刀御跡御持
　　　道具御枕鑓御床几御傘御挟箱《割書：四》御召替馬《割書：二｜疋》
　　　御乗掛馬御茶弁当被持之　御供御家老本多
　　　修理《割書：恒｜久》召連之
　一　五月十三日御勘定組頭稲葉与一右衛門殿ゟ申来御勝手
　　　請込役佐野善兵衛罷出候処御拝借御上納之儀ニ付









　　
　　　左之通被申聞之
　　　　　　　勝山御物成銭上納之儀最前帳面被指出趣
　　　　　　　御勘定頭中江被仰達候処御書付之趣御承知
　　　　　　　被成候　然共上納之儀御座候間年々上納可然存候
　　　　　　　御不勝手之儀ニ御座候へ者員数之儀ハ御指図
　　　　　　　無之候　多少ニ不寄年々上納可被成旨御座候
　　　　　　　右之通御両人被仰渡候
　　　　　　　　但右御願被成候儀御記録類不詳
　一　五月廿一日御着城


　一　五月廿二日右同断ニ付為御礼御使者狛市右衛門《割書：政｜貞》江戸
　　　表江被指出之　例之通奉書紙并昆布干鯛御樽被献之
　　　市右衛門今日出立
　　　　　　　但右御使者出立前御目見之節是迄御時服被下
　　　　　　　　候処御倹約ニ付此度ゟ御上下《割書：一｜》被下之
　一　五月廿五日御用番秋元但馬守《割書：喬｜知》殿ゟ御呼出御留守居村上
　　　三太夫《割書：正｜峯》罷出候処左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　　　　　條々
　　　　　一　女之衣類自今以後小袖之表一ツに就て


　　　　　　　　上之御用之物は其代銀五百目を限り万石
　　　　　　　　以上の用之物は四百目を限り其余は三百目を
　　　　　　　　限り夫ゟ高直之物一切に商売すへから
　　　　　　　　さる事
　　　　　　　　　附
　　　　　　　　　　女帯之類其外何物に限らす此例に準し
　　　　　　　　　　其價を軽くし商売すへき事
　　　　　　一　女之衣類絹紬等に限らす其下地は下品の
　　　　　　　　物にて縫鹿子等は不相応の物たとひあつらへ候
　　　　　　　　者有之候共一切に仕り出すへからさる事


　　　　　　一　男女之衣類に限らす自今以後或は珍ら
　　　　　　　　しく或は新らしき織物染物之一類一切に
　　　　　　　　仕り出すへからさる事
　　　　　　右近年以来女之衣類種々結構に及ひ其上
　　　　　　長崎表に渡り来候織物京都糸類を始縫鹿子染
　　　　　　物等の手間代も相増し其價以之外高値に至り
　　　　　　尤以て不可然事に就て御制禁の所ニ候　或は
　　　　　　衣類の下地を差遣はし金銯縫箔鹿子等の
　　　　　　代銀斗にて御定之通りに合候様に仕り或ハ小袖


　　　　　　二ツ三ツの價を合て其ひとつの代銀とし
　　　　　　或は珍らしき模様新らしき染色等其好に
　　　　　　任せて仕出し候類すへて此等事のによりて御法
　　　　　　度もやふれ候事に候得者若自今以後何事に
　　　　　　よらす御制禁の旨に違犯之輩有之におゐてハ
　　　　　　急度重科に行はるへし　たとひ何方共よりあつ
　　　　　　らへ来候といふ共御制禁の物共うけかふに及
　　　　　　はすのかれ難き子細も有之においては早速
　　　　　　町奉行所に訴出其沙汰に任すへき者也


　　　　　　正徳三年癸巳五月日
　　　　　　　　〆
　　　　　　長崎表において近年打続き糸類すくなく渡り
　　　　　　来り京都織殿の者共其渡世を失ひ候由去年の春
　　　　　　前御代御聴に達し織物之類和糸を兼用ひ家
　　　　　　業をも取続候様可仕之旨被仰出候　然処に去年以
　　　　　　来真綿并絹紬等商売仕候者共申候処ハ二十年以来
　　　　　　京都江上り候和糸の数次第に相増し諸国より出候
　　　　　　真綿絹紬等年々其数を減し京都にて和糸


　　　　　　を用候事相止候ハヽ真綿絹紬等の代下直も可罷成
　　　　　　由ニ候 真綿絹等の数減候事も不可然ニ候得者長崎
　　　　　　表江渡来之織物糸類等の数も減し京都織殿の者
　　　　　　共も渡世を失ひ候事ハ彼是以て尤不可然事共ニ候
　　　　　　前御代思召も有之被仰出候御事に候上者自今以
　　　　　　後も京都織殿の者共和糸を兼用ひ候て織物等の
　　　　　　数をも仕り出し候様に仕り且又只今迄糸綿等仕り出
　　　　　　し候国々は申に及はす其外の国々にても御料私
　　　　　　領にかきらす桑蚕に宜しかるへき土地にて糸綿


　　　　　　をも仕り出し候ハヽ其品々の利潤のためのミにあらす
　　　　　　織物糸類并真綿絹紬等の類ニ後々に及ひ候てハ世
　　　　　　上通用のためと宜しかるへく候　但し桑蚕に宜し
　　　　　　かるへき土地并糸綿仕り立候事等は武家方并田
　　　　　　舎の者共不案内の事に可有之候間すへて此等の物
　　　　　　商売仕候者者其心得可有之事に候　以上
　　　　　　　巳五月
　一　五月廿八日於御本丸月次御礼後左之通御書付を以諸
　　　月番江御家老申渡之


　　　　　　面々簡略之儀最前被仰出通之処衣服参会之節
　　　　　　饗応酒宴等之儀少々不相応之趣も有之様に相聞候
　　　　　　此以後尚以弥堅可相慎旨思召ニ候　第一下之為に段々
　　　　　　被仰出事候条能々此旨を可有思慮事候　以上
　　　　　　　五月日
　一　閏五月三日御帰国御礼御使者狛市右衛門《割書：政｜貞》江戸着　御用
　　　番江罷出御書指出之
　一　閏五月八日先達而《割書：去月｜廿五日》於江戸表被仰出候儀ニ付左之通
　　　御目付ゟ相触之


　　　　　近年御家中簡略就被仰出候侍中衣類之儀御定有之候
　　　　　然処妻娘等之衣類結構ニ有之様ニ相聞候　今度江戸
　　　　　表にても女之衣類價之定式被仰出候　依之御家
　　　　　中之妻娘等夫之准衣類弥可用麁服候　向後美
　　　　　麗之衣類着仕女有之候ハヽ夫之可為不調法候　右江戸
　　　　　表ニ而被仰出候ハ三百匁以上之小袖之表京都江誂申
　　　　　者有之候ハヽ京都商売人方ゟ町奉行所江訴申筈ニ
　　　　　有之候　此趣面々得其意堅可被相慎候　以上
　　　　　　閏五月八日
　


　一　閏五月十一日御書を以例之通御国産初鯖被献之
　一　同日主税頭《割書：知｜清》様御屋敷《割書：■岩｜下》御拝領ニ付為御礼江戸表江
　　　御書被指出之
　一　閏五月十二日大安寺江御建立之
　　　探源院様御石塔御成就ニ付御供養有之
　一　閏五月十五日御帰国御礼使者狛市右衛門《割書：政｜貞》御城江罷出
　　　《割書：御留守居大関｜新五左衛門例之通》御献上物相納之　月次御礼後
　　　公方様御目見被仰付　御奏者番朽木民部少輔《割書：植｜元》殿
　　　披露　再罷出自分之御礼申上之　御太刀銀馬代献上之


　　　御奏者番安藤右京亮《割書：信｜友》殿披露退去　夫ゟ為御礼御大
　　　老御老中御側御用人江廻勤
　一　閏五月十八日右同断御使者狛市右衛門《割書：政｜貞》御城江罷出候処
　　　《割書：昨十七日一行目｜御用番二行目》
　　　《割書：阿部豊後守殿ゟ御留守居迄｜御切紙を以申来》於桧之間御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》殿出座
　　　御返書御渡有之　其節市右衛門江御時服《割書：三》拝領被仰付旨
　　　豊後守殿被申渡　御品者御奏者番三浦壱岐守《割書：明｜敬》殿市右衛門江
　　　被相渡之
　一　閏五月廿九日当年米高直ニ而町方難義仕候ニ付沖口御留
　　　被下其上御蔵之籾拝借仕度上納之儀者当暮可指上旨
　　　











　　　願出候得共右両様共此節御取上難被成ニ付御吟味之上
　　　元禄十六未年之例を以御蔵米三百俵御貸可被成旨
　　　被仰出
　 一　六月朔日暑中ニ付御機嫌為御伺御使者大御番比企
　　　佐左衛門《割書：業｜搶》江戸表江被指出之　御肴一種被献之　佐左衛門
　　　今日福井出立
　一　六月六日右同断ニ付御書を以例之通御国産索麵
　　　干鯛被献之
　一　六月廿六日御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》御城江罷出候処《割書：昨廿五日｜御用番
》
　　　


　　　《割書：門部豊後守殿ゟ御留守居迄｜御切紙を以申来》柳之間江御用番阿部豊後守《割書：正｜喬》殿出
　　　　座　端午御祝儀御献上ニ付而之御内書御渡有之
　　　　其節新五左衛門御時服《割書：二》拝領被仰付旨豊後殿被申聞之
　　　　御品者御奏者番松平対馬守《割書：■｜■》殿新五左衛門江相渡之
　一　六月廿九日常盤橋御屋敷御守殿御普請御出来ニ付
　　　梅姫様御移徙御祝儀有之
　一　七月二日於桜之馬場寄相撲御覧　其節御家中之
　　　面々望次第見物ニ罷出候様被仰出
　一　七月六日為生身魂御祝儀御使者を以例之通





　　　黄金被献之
　一　七月十二日於運正寺昨十一日晩ゟ今朝迄清照院様御一
　　　周忌御法事御執行有之　同十三日夕ゟ十四日朝迄
　　　豊姫様ゟ右同様御執行有之
　一　同日右同断ニ付於深川霊巌寺御茶湯御執行有之
　一　七月十七日於松尾寺山町打場本多次郎大夫《割書：丈｜広》与力之者
　　　大筒打候ニ付御覧有之
　一　七月廿日於孝顕寺泰陽院様百回御忌御茶湯御執行
　　　有之


　一　同日切支丹類族狩野興碵《割書：元｜房》娘出生ニ付切支丹奉行横田
　　　備中守《割書：由｜松》殿柳沢備後守《割書：信｜尹》殿江御届之御証文被指出之
　一　七月廿一日於愛宕山長谷川八郎右衛門《割書：■｜■》大筒打候ニ付御覧有之
　一　八月朔日為御祝儀御使者御留守居物頭根来清太夫《割書：■｜房》を以
　　　《割書：御留守居大関｜新五左衛門内迄》例之通御太刀馬代被献之　御城大広間御老中
　　　列座　御奏者番森川出羽守《割書：重｜■》殿江指上之
　一　八月六日尾張中納言《割書：吉｜道》様御逝去ニ付　
　　　公方様御機嫌為御伺御使者御先物頭大崎左太夫《割書：正｜■》江戸
　　　表江被指出　今日福井出立之











　　　


　一　八月十一日御書を以例之通御国産初鱈被献之
　一　八月十二日於運正寺去十日晩ゟ今朝迄《割書：二夜｜三日》
　　　探源院様三回御忌御法事御取越御執行有之　於天徳寺ニ
　　　御茶湯御執行有之
　一　八月十九日石田御代官森山又左衛門殿高森御代官美濃部
　　　勘右衛門殿陣屋江初而御着ニ付御使番を以小鯛一折宛
　　　被遣之
　　　　　但去四日古部豊右衛門殿馬場源兵衛殿代国江御支配取替被
　　　　　　仰付候跡被仰蒙


　一　八月廿一日御普請方御作事方用水方之儀ニ付左之通
　　　御書付を以被仰出
　　　　　　　　　　　　　　　御普請奉行江

　　　　　一　川除御普請之事先規ハ御奉行共支配仕川除
　　　　　　　役人被仰付置破損所等之儀郡所ゟ達有之節
　　　　　　　右之役人差越御普請申付由ニ候　向後先々之通
　　　　　　　可被仰付旨ニ候間川除之儀御普請奉行被相勤ニ
　　　　　　　不及候　尤大普請之節ハ被仰付儀可有之事
　　　　　一　川除役人并往還道作奉行共ニ野田仁右衛門甲斐


　　　　　　　次郎兵衛中村甚左衛門笹川庄左衛門右四人今度同役ニ
　　　　　　　被仰付候　此者共只今迄御普請奉行支配ニ
　　　　　　　候得共右之趣ニ付御奉行共支配ニ被仰付事
　　　　　一　川除小杖之儀ハ御普請奉行組御先組之内御勘定
　　　　　　　所ゟ申遣次第可被差出事
　　　　　一　御普請奉行面々組之内手引五人宛被下来候処
　　　　　　　向後二人宛被下候并御先足軽引ケ人之内別紙書
　　　　　　　付之通被相止候間御普請方相勤候様ニ可被申付
　　　　　　　事


　　　　　一　前々御普請方割場之役所無之御用ハ御普請
　　　　　　　奉行之宅ニ而相勤人割ハ大手御門之内又者只
　　　　　　　今之割場之所ニ而者仕御普請道具ハ御櫓ニ差
　　　　　　　置由ニ候　此以後右之通被申付割場之役所御土
　　　　　　　蔵共ニ可被致無用事
　　　　　右之趣可被得其意候　以上
　　　　　　　　正徳三巳年
　　　　　　　　　八月廿一日
　　　　　　　　〆


　　　　　　　　　　　　　　　御作事奉行江
　　　　　一　前々破損方役人無之破損所有之候得者御作
　　　　　　　事奉行遂見分御奉行共江相談之上申付候　此
　　　　　　　以後先規之義可相勤旨被仰出候間左様ニ可被
　　　　　　　相心得候　関又十郎石井甚平勤方之儀者此度
　　　　　　　品を被替被仰付候事
　　　　　一　御作事所諸色入方之儀ハ小算并奉行組立合
　　　　　　　改判仕候得共払方ニハ構不申由ニ而向後払方
　　　　　　　之儀も御門外江諸色出し候節小算立合共ニ


　　　　　　　其町場〳〵江之出通ひニ改判仕其上ニ而御門
　　　　　　　之通切手出し候様ニ被致吟味可有候　毎日少
　　　　　　　宛之払方之儀ハ御作事所ニ帳面ニ記日〳〵ニ
　　　　　　　改判為仕一ヶ月切ニ払手形可被相極事
　　　　　一　新御作事并破損之御修復有之節其品に
　　　　　　　より其場江御証文ハ小算之内小奉行可差出
　　　　　　　之間御入用之物小奉行改判之通ひを以御作事
　　　　　　　所ゟ相渡払方残り物ともニ小奉行之判行を取
　　　　　　　被致吟味時々ニ其場切之惣御入用帳一冊ニ而相


　　　　　　　見候様仕立将又右之帳手形ニ改判為仕置可被
　　　　　　　申候　勿論残之物有之者御作事所江可持返事
　　　　　　　　附
　　　　　　　　　軽き破損所にて者前方御作事奉行令
　　　　　　　　　見分御大工積り書為仕置吟味之上所々一
　　　　　　　　　ニ度ニ打合候てハ御作事所にて諸色紛敷
　　　　　　　　　猥ニ罷成儀可有間一両所宛段々ニ申付
　　　　　　　　　是又其場切ニ払手形可被相極事
　　　　　一　近年町大工棟梁相極置御作事有之所々江
　　　　　　　差出候由　其段向後被相止御扶持人棟梁迄にて有
　　　

　　　　　　　合次第相仕廻可被申候　町棟梁無之候而不叶
　　　　　　　節者其節計御奉行共申談吟味之上可被申
　　　　　　　付事
　　　　　　　　附
　　　　　　　　　御扶持人棟梁五人之内一人大工水役取立ニ
　　　　　　　　　引ケ有之由　此以後其者も並之通御作事
　　　　　　　　　御用為相勤水役取立之儀者大工庄屋両
　　　　　　　　　人ニ可被申付事
　　　　　一　御作事方小杖之加人并壁塗御先足軽之
　　　　　　　内ゟ定渡り之儀被相止候間小杖ハ御作事組


　　　　　　　有合次第可被申付候　多ク入申儀有之儀節者
　　　　　　　御勘定所江可被相達候　壁塗も破損所有之節計
　　　　　　　相断請取可被申事
　　　　　　右之趣可被得其意候　以上
　　　　　　　　正徳三巳年
　　　　　　　　　八月廿一日

　　　　　　　　〆


　　　　　　　　　　　　　　　奉行中江


　　　　　一　在々川除御普請之儀古来之通支配被
　　　　　　　仰付候事
　　　　　一　野田仁右衛門甲斐次郎兵衛中村甚左衛門笹川庄左衛門
　　　　　　　奉行方支配ニ付被仰付右四人江川除役并往
　　　　　　　還道奉行共ニ被仰付候往還道奉行ハ右之
　　　　　　　内ニ而替り〳〵相勤其外川除方相勤候様可被
　　　　　　　申渡候　相勤様之品今度被差出帳面之趣を以
　　　　　　　諸事可被申付事
　　　　　一　関又十郎石井甚平御普請御作事吟味役


　　　　　　被仰付則申渡候条右之御用共差図可有之
　　　　　　事
　　　　　　　以上
　　　　　　　　　此外
　　　　　　　　　　往還道佐新中間之内六人
　　　　右只今往還之内公領他領之地も有之ニ付被減
　　　　事
　　　　　巳八月廿一日
　　　　　〆


　　　　　　　　　　　　金津奉行
　　　　　　　　　　　　　　　　　江
　　　　　　　　　　　　郡奉行
　　　　　　在々用水普請近年事重ク成候故夫に応し
　　　　　　他村より加勢人足等大分出し失却仕在辺も
　　　　　　致迷惑由相聞候　先規ハ用水普請上ゟ御構無之
　　　　　　其村切又ハ井組切ニ人足を出し井堰等仕杭木抔
　　　　　　入候節者郡奉行より山手形を取木を為伐被下
　　　　　　江筋水分等之儀者郡方ゟ致支配候由今度先々
　　　　　　之通ニ仕候様ニ被仰出候間被得其意候　只今


　　　　　　　有来水道鎖前損次第ニ仕後々ハ如古来井堰
　　　　　　　計ニ而相済候様に致し人足等費し不申様に
　　　　　　　被申付他領出合用水百姓誘に難成儀其外差
　　　　　　　支候事有之節者郡所ゟ注進仕候様ニ可被申付候
　　　　　　　依之用水奉行被相止候　以上
　　　　　　　　　巳八月廿一日

　一　八月廿九日去ル十六日中務大輔《割書：昌｜平》様江戸御屋敷御普請小
　　　屋出火ニ付御遠慮御伺被成候得共不及其儀旨被仰出候ニ付


　　　為御礼江戸表江御書《割書：九月朔日｜日付》被指出之
　一　同日於評定所御書院番頭ゟ以下之諸月番江御家老
　　　稲葉多門《割書：正｜方》左之通書付を以申渡之
　　　　　　　御医師并御馬方御鷹方其外番組たりといふ共
　　　　　　　芸により被召出或ハ結構ニ被仰付候輩跡目之節者
　　　　　　　其子之器量次第跡目格式等増減可有之旨被
　　　　　　　仰出候間兼而此段可被相心得候　但シ家職鍛錬のミに
　　　　　　　あらす　公務をはけミ惣体慎宜しく此等之趣を以
　　　　　　　御取立被遊候者共之儀者可為格別候　以上



　　　　　　　　〆

　　　　　　　　　覚
　　　　　　　侍中手前に介抱之姪従弟等之浪人女一向寺町
　　　　　　　在家江縁付候事自分養娘ニ致し遣候ハヽ願申上
　　　　　　　筈ニ去々年申聞置候得共右養娘ニ致し遣候儀ハ
　　　　　　　不及申此以後実娘姉妹ニ而も御家中之又者并御
　　　　　　　領分之町在家江縁付候儀者為取申趣ニ取扱可申
　　　　　　　事ニ候間願申上ニ不及　尤目付中江も相断ニ不及候
　　

　　　　　　　右之内一向寺并社家等江縁付候儀者何方によらす
　　　　　　　願可申上　勿論町在家ニ而も公領他領之者江為取候儀
　　　　　　　者只今迄之通願書付可差出事
　　　　　　　　　八月廿九日
　一　九月朔日鯖江御代官窪嶋作右衛門殿陣屋初而御着ニ付
　　　為御見舞御使者御使番を以小鯛一折被遣之
　　　　　　但去月六日森山又左衛門殿美濃部勘右衛門殿与一所ニ被仰
　　　　　　　蒙
　一　九月三日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖
　　　被献之　一位様月光院様江白銀被指上之


　一　九月十二日於瑞源寺去ル十日ゟ今朝迄《割書：二夜｜三日》
　　　探源院様三回御忌御法事御執行有之　三日共
　　　御参詣　於谷中南泉寺も昨十一日晩ゟ今朝迄右同断御執
　　　行有之
　一　同日御泉水御屋敷奥向建物瑞源寺隠居所ニ被下置
　　　旨被仰出
　一　九月十八日舟寄御代官金丸四郎兵衛殿陣屋江御着ニ付
　　　御使者御使番を以小鯛一折被遣之
　一　九月廿六日葛野御代官小泉市太夫殿陣屋江御着ニ付


　　　御使者御使番を以右同断被遣之
　一　九月廿七日大目付横田備中守《割書：由｜松》殿ゟ申来　御留守居大関
　　　新五左衛門《割書：直｜看》罷出候処高札立替之儀ニ付左之通御書付被
　　　相渡之
　　　　　　　　　覚
　　　　　　　一　今度御料村々高札建直リ候間私領只今迄
　　　　　　　　　公儀之高札を請建直候高札有之所ハ文言
　　　　　　　　　横田備中守大久保大隅守江被承合可被建直候　京大
　　　　　　　　　坂其外奉行附之分ハ其面々より備中守大隅守江


　　　　　　　可被承合候　諸国之寺社領も寺社奉行ゟか可被
　　　　　　　改之候　是亦右両人江可被承合事
　　　　　一　浦高札有之所之分者御領私領寺社領奉行附
　　　　　　　共ニ場所書付右両人方江可被指出事
　　　　　一　御関所高札いまた建不置所ハ其場所書付
　　　　　　　文言等も書写是又右両人方へ可被指出候　若唯
　　　　　　　今迄高札無之御関所も候ハゝ其旨書付両人
　　　　　　　方江可被出事
　　　　　　　　　　以上


　　　　　　　　巳九月

　　　　　　　　　覚
　　　　　　　今度御料私領寺社領共ニ高札建直リ之儀
　　　　　　　ニ付御書付出候　就夫只今迄
　　　　　　　公儀之高札を請建置候分ハ不及申右之外ニわけ
　　　　　　　有之支配并領主地頭替り候ても古来ゟ建来候
　　　　　　　高札有之ハ是又帳面ニ記当十二月中迄之内に
　　　　　　　備中守大隅守江銘々可被指出候　以上


　　　　　　　　　巳九月　　　　　　横田備中守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保大隅守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　杉岡弥太郎

　一　九月廿九日烏丸左少辨《割書：光｜栄》殿御老母瑶林院様ゟ雑掌荒木
　　　大学を以左少辨殿江豊姫様御縁組被成度之旨先達而
　　　京都御留守居本多武兵衛《割書：■｜■》迄被仰込候ニ付其段達御聞
　　　候処御同心之旨御返答ニ相成
　一　十月十四日


　　　文照院様御一周忌ニ付於運正寺御茶湯御執行有之
　一　十月十五日於増上寺
　　　文照院様御法事有之ニ付御使者毛受孫兵衛《割書：□｜□》を以《割書：御留守｜居村上》
　　　《割書：三太夫｜同道》御香奠銀十枚同所本堂江被献之
　一　十月廿五日右同断御法事相済候御歓江戸表江御使者　　　
　　　鱸九郎右衛門《割書：師｜重》被指出之　今日福井出立
　一　同日重陽御祝献上ニ付而之御内書於御城
　　　御渡有之　御家来拝領物等如例
　一　同日切支丹御証文両通御目付小川与右衛門《割書：英｜中》を以例之通

　　　
　　　　切支丹奉行江被指出之
　　　　　一　切支丹宗門従前々無懈怠今以相改申候　先年
　　　　　　　被仰出候御法度書之趣弥相守私領中在々
　　　　　　　所々ニ至迄遂穿鑿家中之者下々迄是又
　　　　　　　致僉議候処不審成者無御座候事
　　　　　一　古切支丹之類族之者共常々行跡疑敷儀
　　　　　　　無御座候事
　　　　　一　領中在々所々家中之者下々またものに至迄
　　　　　　　若此以後不審成者於有之者可申達事


　　　　　　　　　以上
　　　　　　　　正徳三巳年十月十五日　松平大炊頭《割書：御印判》御書判

　　　　　　　　　　横田備中守殿
　　　　　　　　　　　　　　　　宛所振替一通宛
　　　　　　　　　　柳沢備後守殿
　　　　　　　但右御証文被指出候儀定例故以後不記之
　一　十月廿八日徳川五郎太様去ル十八日ご御逝去ニ付
　　　公方様御機嫌為御伺御使者御先物頭堀江源左衛門《割書：久｜貞》
　　　被指出之　今日福井出立


　一　十一月四日来午年御参勤御時節御伺御使者御使番
　　　市村勘右衛門《割書：賢｜通》江戸表江被指出之　今日福井出立
　一　十一月十八日御参勤御時節御伺之御使者市村勘右衛門《割書：賢｜通》
　　　昨十七日江戸着　御用番久世大和守《割書：重｜之》殿江届出《割書：御留守居大関｜新五左衛門同道》
　　　御書指出之
　一　十一月廿一日右同断御使者市村勘右衛門《割書：賢｜通》御用番久世
　　　大和守《割書：重｜之》江罷出候処《割書：今朝｜申来》来午年四月中御参ニ付可被成
　　　旨御老中連名之御奉書御渡有之
　一　同日寒中ニ付御機嫌為御伺御使者井原儀太夫


　　　江戸表江被指出之　御肴一種被献之　儀太夫今日福井出立
　一　十一月廿六日月光院様御叙位之為御祝儀御使者大御番
　　　木内甚兵衛《割書：盛｜許》江戸表江被指出之　今日福井出立
　一　十一月廿七日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈
　　　被献之
　一　十二月朔日右同断《割書：二｜番》生鱈被献之
　一　十二月三日寒中御機嫌御伺之御使者井原儀太夫
　　　江戸着　御用番江罷出御書指出之
　　　　　　　但儀太夫翌四日御城江罷出御献上物相納之













　一　十二月五日為御山狩足羽郡蟇目山江御出被成
　一　十二月十一日月光院様御叙位之為御祝儀御使者大御番
　　　木内甚兵衛《割書：盛｜許》を以《割書：御留守居村上｜三太夫同道》
　一　公方様江鶏一箱御樽代千疋被献之　月光院様江右同断
　　　被指上之
　一　十二月十八日為歳暮御祝儀御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》
　　　を以例之通御小袖被献之　一位様江銀十枚月光院様江
　　　同五枚被指上之
　一　十二月廿二日只今迄表惣泊御番之者宵ニ致書判翌朝印


　　　判致来候得共向後者宵之内書判御夜詰引後印判
　　　致候様被仰出



　【裏表紙】

家譜

【表紙】
【題箋】
《題：家譜《割書：光通公》《割書：従寛文十年｜到同十二年》八》

【見返し】

【左丁】

光通様《割書：従寛文十年庚戌｜至同十二年壬子》

【右丁】
白紙

【左丁】
寛文十年庚戌
一　正月朔日例年之通年始御規式有之
　　　　　但去年　御城御焼失後芦田図書　方ニ被成御座候ニ付　
　　　　　　御本丸之趣を以図書屋敷ニ而御規式有之
一　同　日為年始御祝儀御使者有賀斎宮　を以例之通御太刀馬代被献之
　　　　　但斎宮旧臘六日御国表出立
一　同月七日為御上初御使者を以例之通御肴鯛被献之右
　　御披露済之御奉書御老中久世大和守《割書：広｜之》殿ゟ来
　　　　　陽春之御慶珎重候先以

【右丁】
　　　　　公方様益御勇健被成御座年始之諸御礼
　　　　　首尾好相済候之間可被心安候随而鯛一折被献之候
　　　　　遂披露候之処一段之御仕合候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　　正月七日　　　　　　　広之書判
　　　　　　　松平越前守殿
　　　　但御上初御肴被献候ニ付而之御奉書初而被献候処江相記可申事ニ候得共
　　　　　御記録類不詳此年御上初御奉書有之ニ付記之以後定例故不記之
一　正月十一日年始三ケ日之御規式相済候段江戸表ゟ申来候ニ付

【左丁】
　　為御祝儀御使者髙村四郎左衛門《割書：成｜房》江戸表江被指出之御肴
　　一種被献之四郎左衛門今日福井出立
　　　　　但四郎左衛門江戸着日不詳
一　同月十八日　御参勤御時節為御伺御使者榊原十郎左衛門《割書：成｜信》
　　江戸表江被指出之今日福井出立
　　　　　但十郎左衛門江戸着日不詳
一　二月朔日右同断御使者榊原十郎左衛門《割書：成｜信》御呼出ニ付御用番江
　　罷出候処四月中　御参府被成候様御老中連名之御奉書被相渡之
一　同月廿五日

【右丁】
　　公方様御機嫌為御伺御使者毛受又左衛門　江戸表江被指出之
　　御国許之御肴一種被献之又左衛門今日福井出立
　　　　但又左衛門江戸着日御返書御渡日限等不詳
一　三月十日夜
　　東照大権現御宮并　公儀御代々様御仏殿是迄神明西方ニ
　　御鎮座之処今度清水御門内江御所替ニ相成候ニ付　御仮殿江
　　御遷座有之　御輿御供本多左近《割書：正｜房》美濃部半七《割書：茂｜成》
一　同月十一日《割書：六半｜時》右同断ニ付　御宮并　御仏殿江　御参詣有之
一　同日《割書：五｜時》　御本丸御鍬初御祝儀有之ニ付　御天守台江被為

【左丁】
　　入御家老并芦田図書《割書：吉｜賢》を初其外御普請奉行江御長蚫被下之
　　御普請方諸役人共於　御前御長蚫取次ニ而被下之
一　三月十五日夜　御城御普請相始候ニ付地鎮之御祈祷有之
一　同月十九日平泉寺　御参詣
一　同月廿三日昨年ゟ芦田図書《割書：吉｜賢》宅ニ被成　御座近々
　　御発駕ニ付図書江御料理被下御盃頂戴御腰物《割書：元｜重》拝領
　　被　仰付同人家来依田弥太郎　清水佐左衛門　難波八郎右衛門
　　右三人江御料理被下　御目見被　仰付時服一宛被下之
　　図書妻江御使仙石権右衛門《割書：髙｜成》を以鶴《割書：一｜羽》綿《割書：五十｜把》二種一荷被下之

【右丁】
一　三月廿五日　御城御普請ニ付御普請奉行并諸役人江
　　御料理被下
一　同月廿九日福井　御発駕中山道通　御旅行
一　四月十二日《割書：五半｜時》板橋駅ゟ　御着府右為御案内御大老御老中
　　若年寄中江御使者被指出之
一　同月十三日《割書：未｜刻》　御参府ニ付　上使御老中土屋但馬守《割書：数｜直》殿御越
　　上意之趣御達有之《割書：上使御取｜扱如例》右為御礼但馬守殿江　御勤残ル
　　御老中并酒井河内守《割書：忠｜擧》殿江御使者本多左近《割書：正｜房》被指出之
　　若年寄中江御使者御番頭被指出之

【左丁】
一　同月十五日　御登　城《割書：一昨十三日上使之節御登城之儀｜土屋但馬守殿御達有之》御参勤之御礼
　　被　仰上御太刀銀綿例之通御献上御披露相済畢而本多
　　左近《割書：正｜房》御太刀馬代奉書紙《割書：十｜束》献上酒井玄蕃《割書：元｜知》御太刀馬代
　　蠟燭《割書：二百｜挺》献上　御目見被　仰付相済　御退出掛御老中
　　若年寄中江　御廻勤
一　同日右同断ニ付御使者を以例之通　御台様江銀《割書：三十｜枚》鬠紙《割書：五十｜帖》
　　被献之
一　同月廿二日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単

【右丁】
　　御袷被献之
一　五月十九日先達而ゟ　国姫様御病気之処今度御本復被成候ニ付
　　為御祝　思召を以牢舎之者御赦免被成
一　同月廿三日御使者御留守居飯川彦兵衛《割書：正｜俊》を以雀鷂《割書：大緒｜啄木》
　　雀𪀚《割書：大緒｜紅》被献之彦兵衛御鷹方脇田奥右衛門《割書：正｜成》木村
　　助四郎　同道若年寄堀田備中守《割書：資｜宗》殿宅江罷出右御鷹
　　公儀御鷹方江相渡之右御披露済之捻御奉書御老中
　　稲葉美濃守《割書：正｜則》殿ゟ来ル

【左丁】
　　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　　松平越前守殿　　　　正則
　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　雀鷂雀𪀚被献之候堀田備中守相談遂
　　　　　披露候処一段之御仕合候恐々謹言
　　　　　　五月廿三日　　　　正則書判
一　同月廿九日大目付中ゟ之御触達之趣今日於評定所町在并
　　其外　御朱印所寺社領江茂可相触旨町奉行郡奉行江
　　御家老稲葉采女《割書：治｜房》申渡之

【右丁】
　　　　覚
一　当年は八木不足候間於諸国在々所々何によらす
　　八木不費様ニ急度可被申付候事
一　当秋中迄新酒造之儀堅可為停止之旨可被
　　相触事
一　辻売并振売之酒一切可為無用事
　　右之通急度被申付之若違背之輩於有之者
　　訴人に出へし御穿鑿之上御褒美可被下之旨
　　可相触之者也

【左丁】
　　　　戌五月七日
　　　　　〆
　　　　　　口上之覚
一　領内　御朱印所々寺社領江も新酒造之儀
　　御停止之通被相触之手形可被取置候事
一　領分并寺社領右書付之通被相触日より三十日
　　過候ハヽ違背之輩於有之者可行曲事之旨被
　　申付其通りニ可被改之事

【右丁】
　　　　　　　以上
　　　　　　〆

一　六月六日暑中ニ付御使者を以例之通御国産索麪干鯛
　　被献之
一　同月十三日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　同月十六日為嘉祥御祝儀　御登　城大広間江

【左丁】
　　公方様出御御礼被　仰上落縁毛氊之上ニ御着座御祝
　　之御菓子　御前江上り候節御菓子片木ニ載之御通番被持出
　　御着座之御方江被居之　御前江被　召上其上御頂戴之
　　片木御持御退座被成

一　同月廿九日　上使久保平左衛門《割書：勝｜周》殿を以例之通　御鷹之
　　雲雀《割書：三十｜》御拝領右為御礼　御登　城御大老御老中
　　若年寄中江御使者御番頭被指出之

【右丁】
一　七月三日御使者を以例之通御国産初鱈被献之
一　同月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金
　　被献之　御台様江鯖《割書：五十｜刺》一箱御樽一荷被指上之
一　八月朔日為御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代御献上
一　同月十七日於浄光院　慶寿院様十三回御忌御法事
　　御執行有之於伝通院も　 萬姫様《割書：御｜妹》ゟ御茶湯御執行
　　有之右ニ付　御参詣有之御香奠銀十枚被供之

【左丁】
一　九月五日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖
　　被献之
一　同月十八日
　　東照大権現御宮并　公儀御代々様　御仏殿《割書：清水御門｜内》
　　御出来ニ付　御仮殿ゟ今日　御遷宮等有之御規式常福院
　　取行之　御輿御供本多民部《割書：道｜重》
一　九月廿五日大目付中ゟ之御触達之趣今日於評定所

【右丁】
　　町奉行郡奉行江左之通御家老稲葉采女《割書：治｜房》申渡之
　　　　　　　　覚
　　　　一諸国在々所々にて当戌年寒作之酒八木員数
　　　　　之儀去年之通可造之若令違背多作之族あらは
　　　　　縦後日に露顕候とも可為曲事候条訴人ニ出へし
　　　　　急度御褒美可被下之事
　　　　一御領私領之内に有之寺社領之儀縦　御朱印所
　　　　　ニ而高之外たりといふとも先条之通其所之御代官

【左丁】
　　　　　領主より急度相触可被申事
　　　　　　　　以上
一　同月廿七日去酉年御拝借金御上納方之儀　公辺ニ而左之通
　　相極候旨江戸表御家老本多左近《割書：正｜房》酒井玄蕃《割書：元｜知》ゟ案文ニ而
　　申来候ニ付證文認御家老ゟ江戸表江相廻之《割書：　｜一》
　　　　　　拝借仕銀子之事
　　　　一銀弐千七百五拾貫目　　但金五万両分
　　　　　　是者大坂　御城ニ而請取申分
　　　　一銀六千四百弐拾八貫百四拾匁弐分弐厘

【右丁】
　　　　　是者越前国勝山領御蔵入明暦元未年ゟ寛文
　　　　　七未年迄十三年之御物成分
　　　　二口銀合九千百七拾八貫百四拾弐匁弐分弐厘
　　右是者越前国福居居城当年酉三月焼失ニ付
　　右之銀九千百七拾八貫百四拾弐匁弐分弐厘越前守
　　拝借仕候処実正御座候来戌年ゟ巳年迄二拾ケ年を
　　限壱ケ年ニ銀四百五拾八貫九百七匁余宛毎年無滞上納仕
　　御勘定仕上可申候為後日仍如件
　　　　寛文九年酉　　　　　　稲葉采女
　　　　　　　　　　　　　　　　　　書判

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　飯田主米
　　　　　　　　　　　　　　　　　　書判
　　　　　　　　　　　　　　　酒井玄蕃
　　　　　　　　　　　　　　　　　　書判
　　　　　　　　　　　　　　　本多左近
　　　　　　　　　　　　　　　　　　書判
　　　　　　　　　　　　　　　永見頼母
　　　　　　　　　　　　　　　　　　書判
　　　　須田伝左衛門殿
　　　　西尾彦四郎殿
　　　　南条小兵衛殿

【右丁】
一　九月廿八日　御城御普請為見分江戸表ゟ岩村門右衛門《割書：一｜清》
　　被指越其節本多孫太郎《割書：長｜員》初メ御家老并芦田図書《割書：吉｜賢》其外
　　御普請御用掛之面々江御書被下
一　十月四日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於　御城御渡
　　有之御家来拝領物等如例
一　同月廿二日　国姫様御病気御本復御床揚御祝儀有之
一　同月廿九日　上使甲斐庄喜右衛門《割書：正｜親》殿を以　御鷹之鶴御拝領
　　《割書：上使御取｜扱如例》右為御礼　御登　城夫ゟ御老中　御廻勤

【左丁】
一　十二月六日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被献之
一　同月十八日右同断ニ付御使者を以例之通御国産《割書：二｜番》生鱈被献之
一　同月廿七日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之

【右丁】
白紙

【左丁】
寛文十一年辛亥
一　正月朔日為年始御祝儀　御登　城御白書院江
　　公方様出御紀伊中納言様御礼相済
　　光通様御太刀目録《割書：御馬代黄金｜十両》御持参御礼被　仰上
　　中納言様御次ニ　御着座御引渡数之御土器出夫ゟ初献
　　之御盃中納言様御頂戴御返盃有之被　召上候御盃御銚子ニ
　　戴之御酌御下段三畳目ニ扣有之時
　　光通様御出座御盃御頂戴御加有之御復座之時

【右丁】
　　呉服台出之《割書：中奥御小姓｜役之》再御出座御頂戴又御復座二献之
　　御盃御銚子出御引渡と引替御雑煮出　御前江被召上候
　　御盃中納言様御出座御頂戴御本席江御持退明三方御小姓衆
　　引之中納言様御手前ニ有之御盃御酌取之手ニ載之
　　光通様江盛之御頂戴相済三献之御銚子出御雑煮と
　　引替兎之御吸物出　御前江被召上候御盃中納言様御出座
　　御頂戴御本席江御持退其御盃御酌取之
　　光通様江盛之御銚子入御吸物引之御一同御礼被
　　仰上御退去

【左丁】
一　同日於　御屋形年始御規式有之

一　同月七日為御上初御使者を以例之通御肴《割書：鯛｜三》被献之

一　二月九日ゟ同十一日迄　布与姫様御道具御使者石原
　　平右衛門《割書：重｜長》堀新左衛門《割書：直｜成》を以松平信濃守《割書：綱｜茂》殿御屋敷江被成
　　御送宰領御徒二十人被指添

一　同月十二日　布与姫様松平信濃守《割書：綱｜茂》殿江　御入輿為御輿

【右丁】
　　迎松平下総守《割書：忠｜弘》殿此　御屋形江御越　兵部大輔様并渡辺
　　大隅守《割書：綱｜貞》殿御見送被成《割書：兵部大輔様大隅守殿｜御玄関ニ而御長蚫御祝御退出》於信濃守殿門内
　　御輿御家老本多左近《割書：正｜房》酒井玄蕃《割書：元｜知》相渡之丹後守《割書：光｜茂》殿
　　《割書：信濃守殿｜御父》御家来鍋嶋刑部鍋嶋弥平左衛門請取之御貝桶美濃部半七《割書：茂｜成》
　　相渡之岩村内蔵助　請取之於奥御婚姻被成御整左近
　　玄蕃半七仙石権右衛門《割書：高｜成》飯川彦兵衛《割書：正｜俊》御座敷江附上り三献之
　　御祝鍋嶋帯刀《割書：正｜泰》殿御相伴ニ而被下之御料理出畢而
　　信濃守殿御出座御相伴ニ而御吸物出御盃之上ニ而左近
　　玄蕃半七権右衛門江者御刀一宛被下之

【左丁】
　　　　但御留守居北条右近大夫《割書：氏｜叔》殿町奉行渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿御両人被達　上聞御取持ニ而
　　　　　御入輿之節御道筋町中掃除警固等町奉行ゟ被申付之
一　同月十三日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於　御城御渡
　　有之御家来拝領物等如例
一　同月十四日御三ツ目為御祝儀松平信濃守《割書：綱｜茂》殿江御使者
　　御留守居矢嶋七右衛門《割書：宗｜重》を以五百八十之餅并三種一荷被進之
　　信濃守殿ゟも御使者田中九右衛門　を以右同断被進之
一　同日松平信濃守《割書：綱｜茂》殿為御聟入此　御屋形江御越御太刀金馬代
　　御小袖十御持参其外彼御方之御一門松平下総守《割書：忠｜弘》殿吉良

【右丁】
　　上野介《割書：義｜英》殿土井大炊頭《割書：利｜重》殿水野隼人正《割書：忠｜直》殿岡部内膳正《割書：行｜隆》殿
　　鍋嶋摂津守《割書：直｜之》殿鍋嶋帯刀《割書：正｜泰》殿北条右近大夫《割書：氏｜叔》殿御越御太刀
　　金馬代御持参表御座敷ニ而御対面御祝物御披露相済御同道ニ而
　　信濃守殿大奥江被為入三献之御祝有之相済再表御座敷江
　　御出座御料理出畢而御盃出御囃子《割書：高砂東北｜祝言》相始御盃事有之
　　信濃守殿江御大小《割書：御刀御拝領之行光｜御脇指新藤五国広》被進渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿被持出之
　　右御大小信濃守殿御指替御礼被申述御脇指は其儘御帯
　　御刀者摂津守殿御請取御次江御持退夫ゟ御招之御方々と
　　御盃事有之摂津守殿江御盃之上御刀被進大隅守殿

【左丁】
　　持出被渡之畢而丹後守《割書：光｜茂》殿《割書：信濃守殿｜御父》御家来鍋嶋刑部　鍋嶋
　　弥平左衛門　生野織部　岩村内蔵助　被　召出御盃之上御刀
　　被下之大隅守殿被渡之《割書：御座敷迄｜御家老持出之》鍋嶋源右衛門　田中九左衛門
　　川波権兵衛　江御盃被下之《割書：右御家来共於｜御次之間御料理被下之》信濃守殿ニも本多
　　左近《割書：正｜房》酒井玄蕃《割書：元｜知》美濃部半七《割書：茂｜成》石丸造酒介　仙石権右衛門《割書：高｜成》
　　稲垣安左衛門《割書：重｜猶》山田十郎右衛門　花木外記《割書：吉｜時》寒江甚右衛門《割書：信｜安》冨岡
　　又三郎《割書：長｜賢》川越宇右衛門　飯川彦兵衛《割書：正｜俊》矢嶋七右衛門《割書：宗｜重》堀十兵衛《割書：信｜知》
　　平岡佐五右衛門　堀文左衛門《割書：長｜重》市村勘右衛門　三寺与右衛門《割書：信｜清》出渕
　　七兵衛　大関助左衛門《割書：直｜正》江御盃被下之畢而小栗善左衛門　石丸

【右丁】
　　庄左衛門　渋谷弥惣兵衛　皆川多左衛門《割書：勝｜重》江御盃被下之右
　　御酒宴相済御茶終候処ニ而御庭江御馬《割書：大黒　因幡打御鞍同鐙｜紫大総之装束式ふく切付》乗出
　　信濃守殿江被進之信濃守殿御縁際江御出手綱御戴被成
　　《割書：左近御庭江下り｜手綱取差上之》右相済信濃守殿御初御退出有之
一　二月十六日御五ツ目御祝儀ニ付松平信濃守《割書：綱｜茂》殿江　御出被成
　　丹後守《割書：光｜重》殿信濃守殿江御太刀金馬代御小袖五重宛
　　布与姫様江御小袖三重三種二荷御妹女江白銀三拾枚
　　被進之御盃事有之信濃守殿ゟ御刀《割書：来国｜光》被進之御饗応
　　相済　御退出

【左丁】
　　　　　但此節本多左近《割書：正｜房》酒井玄蕃《割書：元｜知》美濃部半七《割書：茂｜成》被　召連
　　　　　　其餘被　召連候御家来名元旦信濃守殿ニ而御家来御取扱之
　　　　　　次第不詳
一　同月廿七日御老中土屋但馬守《割書：数｜直》殿ゟ左之通捻御奉書来ル
　　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　　松平越前守殿　　　　　数直

　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守
　　　　　明廿八日四時過被致登城婚礼相済候御礼

【右丁】
　　　　　可被申上候恐々謹言
　　　　　　二月廿七日　　　　　　　　数直書判

一　二月廿八日　御登　城　布与姫様御婚姻済之御礼被
　　仰上御時服十被献之　御台様江銀三十枚被指上之
　　国姫様　布与姫様ゟ御小袖五宛被献之　御台様江銀十枚宛
　　被指上之
一　同月《割書：日不｜詳》大目付中ゟ申来ニ付御留守居　御城江罷出候処左之通
　　御書付被相渡之

【左丁】
　　　　　　　　　覚
　　　　　一一季居出替之時節たるの間宗門之儀念入改之
　　　　　　耶蘇宗門にて無之旨請人を立可被召抱事
　　　　　一耶蘇宗門今以密々有之而所々ゟ捕来間不審
　　　　　　なる者不有之様ニ面々領内をも無油断入念可被
　　　　　　申付事
　　　　　一領中被相改之不審成者不可差置候若耶蘇宗門
　　　　　　隠置他所ゟ顕におゐては庄屋五人組可為曲事旨
　　　　　　手形被取置之毎年改之旨趣具被書註之

【右丁】
　　　　　保田若狭守青木遠江守へ可被相渡之此外頭々
　　　　　支配人有之面々は改之書付頭々支配方迄可差
　　　　　上之其頭々支配人ゟ組中書付取置之何も相違
　　　　　無之旨註一紙是又毎歳若狭守遠江守へ可被相渡之
　　　　　事
　　　　　　但耶蘇宗門御制禁之高札歴年序文字見へ
　　　　　　　かぬるにおゐては新敷可被立替事
　　　　　　　　寛文十一年二月日
　　　　　但右被　仰出ニ付以後毎歳宗門掛り御奉行へ　御直判之御證文

【左丁】
　　　　　　被差出之
一　三月十一日右同断御書付之趣於評定所御家老稲葉采女《割書：治｜房》
　　町奉行郡奉行等江申渡之
一　同月廿八日町奉行渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿初其外御旗本中此
　　御屋形江御招能興行有之
一　同日　国姫様於江戸御屋敷　御逝去《割書：御年｜三十六》

　　　　　御辞世御歌
　　　　　　よきことをきはめつくしてよきにいま
　　　　　　帰るうれしきけふのくれかな

【右丁】
一　月日　国姫様御遺骸西窪天徳寺江御葬送御法号
　　清池院殿法誉性龍大禅定尼　《割書：大正十五年七月品川｜海晏寺墓地ニ改葬ス》
　　　　　但後増上寺江　御位牌御安置有之紀州高野山并志比荘
　　　　　　永平寺江御石塔御建立被成
　
一　四月二日　国姫様御逝去ニ付　上使朽木伊予守《割書：植｜昌》殿を以
　　御朦中　御尋有之右為御礼　御名代　兵部大輔様御老中
　　若年寄中江御廻勤
一　月日　国姫様御在世中御歌御添削之儀照光院御門主江兼而
　　御頼被為　在候ニ付御送り被成候御詠草

【左丁】
　　法皇御所入　叡覧　勅点被為　在未タ御下ケ無之内
　　御逝去之旨達　叡聞御哀悼被　思召清池之二字を
　　御染筆《割書：御宸筆｜浄光院ニ相納》有之
　　新院御所ニも御追悼之　御製被為　在候ニ付照光院御門主ゟ
　　御哀之御歌を被添　勅点之御詠草共ニ
　　光通様江被送進之
　　　　　ひとひ御物かたりのゝち彼詠草とりいてゝ
　　　　　すゝろにもよほされしまゝに
　　　　　　後西院
　　　　　　　御製

【右丁】
　　　　　あるはなきならひもかなしうつもれぬ
　　　　　ことの葉のみはなを残る世に

　　　　　越前の守なりける人の妻みまかりにし後
　　　　　清池の二字を
　　　　　法皇宸翰をそめられくたし給ひ
　　　　　新院もまたかの読置し哥ともの御座の
　　　　　右にありしを御覧あらせおはしまして
　　　　　あるはなきならひもかなしといふ

【左丁】
　　　　　御製御口すさひありしかは予もとし月
　　　　　哥の事なと尋ねられしを思ひ出られて
　　　　　其人は菩提のためと心さして金字心経一巻
　　　　　書写しつたなきことのはをつらね国の守へ
　　　　　をくり侍りし
　　　　　　　　　　　　　　　　　　照高院宮
　　　　　おもへ人色に染しもそのまゝに
　　　　　空しととける法のまことを
　　　　　　　　述懐

【右丁】
　　　　　帰山ありとはきけとあるかひも
　　　　　なき人したふなけきをそ思ふ
　　　　　勅点之御詠草
　　　　　　　早春霞
　　　　　きのふけふ春にしられてあつま路や
　　　　　関の名にたつ　あさかすみかな
　　　　　　　春田雨
　　　　　小山田の苗代水やますらをか
　　　　　こゝろにかなふはるさめのそら

【左丁】
　　　　　　　山家待時鳥
　　　　　しのひねはわれさへきかて爰もなほ
　　　　　よのほかならぬ山ほとゝきす
　　　　　　　夕納涼
　　　　　松かけは秋やかよひてまたきより
　　　　　ゆふへのかせの袖にすゝしき
　　　　　　　七夕
　　　　　たなはたは年に一夜もつらからし
　　　　　たへせぬ中のちきりとおもはゝ

【右丁】
　　　　　　　月前草花
　　　　　かけやとす尾花か露をふくからに
　　　　　月もみたるゝ野辺のあき風
　　　　　　　山家秋夕　
　　　　　ゆふくれのあきにはたえぬ山なから
　　　　　うき世にかへるこゝろともなし
　　　　　　　初雁
　　　　　かへるやまありと頼みてふるさとや
　　　　　わかれこし路のはつかりのこゑ

【左丁】
　　　　　　野外鹿　
　　　　　をしかなく野への千種に置露の
　　　　　こゝろくたけて妻やこふらむ
　　　　　　　時雨雲
　　　　　定めなき世のことはりを神無月
　　　　　そらにしくれの雲やみすらむ
　　　　　　　枯野
　　　　　秋にみし千種のはなのいろ〳〵も
　　　　　かれ野の霜におもかはりして

【右丁】
　　　　　　　遠村雪
　　　　　ひとすしの煙はかりにすむ人の
　　　　　ありとしらるゝゆきの山もと
　　　　　　　歳暮
　　　　　ひとゝせをあたに暮してきのふけふ
　　　　　をしむや何のこゝろなるらむ
　　　　　　　祈逢恋
　　　　　おもふそよむかしはものをとはかりに
　　　　　はては神さへつらからむ身を

【左丁】
　　　　　　　不逢恋
　　　　　逢ふ事はおもひもかけすおなし世に
　　　　　すむはかりなるなくさめもうし
　　　　　　　寄松祝
　　　　　君のみそいく十かへりのはなも見む
　　　　　まつにちとせのかけをならへて

一　四月十三日　御忌明ニ付　御登　城夫ゟ御大老御老中江
　　御廻勤

【右丁】
一　四月十八日御老中土屋但馬守《割書：数｜直》殿ゟ左之通捻御奉書来ル
　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　松平越前守殿　　　　　数直
　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守
　　　　　明後廿日東叡山　御堂被遊　御参詣之間
　　　　　衣冠之装束ニ而辰后刻　御先江参上
　　　　　尤候恐々謹言
　　　　　　四月十八日　　　　　　数直書判

【左丁】
一　同月廿日於東叡山
　　大猷院様二十一回御忌御法事有之
　　公方様御参詣ニ付　御豫参《割書：御衣｜冠》御勤被成
一　同日
　　大猷院様二十一回御忌ニ付日光山江　御代拝稲垣安左衛門《割書：重｜猶》
　　被遣之《割書：御留守居矢嶋｜七右衛門同道》御香奠銀二十枚被献之
一　同日右同断ニ付於萬福山昨十九日晩ゟ今朝迄御法事
　　御執行有之
一　同月廿一日《割書：辰｜刻》　御登　城今度於日光山御法事首尾能

【右丁】
　　相済且又昨廿日東叡山　御参詣御機嫌能　還御之御祝儀
　　被　仰上右為御歓御老中并酒井河内守《割書：忠｜擧》殿江御使者
　　御留守居飯川彦兵衛《割書：正｜俊》被指出之
一　四月廿二日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
一　同月廿三日　上使御老中板倉内膳正《割書：重｜矩》殿を以御国許江之
　　御暇被　仰出例之通白銀御袷御拝領《割書：上使御取扱｜如例》
一　同月廿四日《割書：五半｜時》　御登　城御暇之御礼被　仰上御鷹二居
　　御馬一疋御拝領畢而御家老本多左近《割書：正｜房》　御目見被　仰付
　　退座御袷四《割書：御紋内一｜紅裏》御羽織《割書：御｜紋》拝領被　仰付相済　御退出掛

【左丁】
　　右為御礼御老中若年寄中并酒井河内守《割書：忠｜擧》殿江
　　御廻勤
一　同月廿五日御拝領之御馬御老中久世大和守《割書：広｜之》殿ゟ使者ニ而
　　為牽来
一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単御袷
　　被献之追而　御内書於　御城御渡有之御家来拝領物等
　　如例
一　同月十二日江戸　御発駕中山道通　御旅行
一　同月廿五日《割書：午｜刻》　御着城

【右丁】
一　同日　御城御普請出来後初而　御帰国ニ付　御移徙之御祝儀
　　有之於奥御座敷御家老御局并芦田図書《割書：吉｜賢》御相伴被　仰　付
　　御書院番頭大御番頭其外当番之面々御酒御吸物被下之
　　　　　但廿六日侍中不残役人迄御長蚫被下之
一　五月廿七日為　御帰国御礼御使者有賀左衛門《割書：政｜方》江戸表江被指出之
　　奉書紙被献之左衛門今日福井出立
　　　　　但左衛門江戸着日且又御献上物相納候儀等不詳
一　同日　御本丸御普請出来ニ付為　御移徙御祝儀御使御家老
　　飯田主米《割書：安｜成》を以御普請惣奉行芦田図書《割書：吉｜賢》江御時服《割書：十内｜五単》三種

【左丁】
　　二荷被下之此節図書家来三人江御帷子二宛同八人江同一宛被下之
　　　　　但右之外御用掛相勤候面々江被下物有之候得共略之
一　六月三日　御帰国ニ付
　　女院御所御機嫌為御伺御使者を以例之通奉書紙鯖被献之
一　同月八日　清池院様御法事於浄光院来七月御執行有之ニ付
　　御分骨為御迎酒井十之丞《割書：充｜房》江戸表江被指遣之今日福井出立
　　　　　但右御分骨七月十三日福井江御着
一　同月十日御宿老酒井玄蕃《割書：元｜知》久々不快ニ付御家老永見頼母《割書：通｜洪》
　　本多左近《割書：正｜房》飯田主米《割書：安｜成》稲葉采女《割書：治｜房》為御使被遣御宿老本多

【右丁】
　　民部《割書：道｜重》芦田図書《割書：吉｜賢》立合被　仰付御役御免被成候間緩々養生
　　可致旨被　仰出右ニ付玄蕃為御礼登　城《割書：民部図書｜同道》御前江被
　　召出緩々養生仕候様　御意有之
一　六月十六日暑中ニ付御書を以例之通御国産索麺干鯛被献之
一　同日暑中ニ付
　　公方様御機嫌為御伺御使者大藤金左衛門《割書：直｜政》江戸表江被指出之御肴
　　一種被献之金左衛門今日福井出立
　　　　　但金左衛門江戸着日并御返書御渡等不詳
一　同月廿八日　御帰国御礼御使者有賀左衛門《割書：正｜方》　御城江罷出候処

【左丁】
　　御返書御渡有之左衛門江御帷子御単拝領被　仰付
一　七月六日為御生見玉御祝儀御書を以例之通黄金被献之
　　御台様江刺鯖御樽被差上之
一　同月十日於浄光院去八日ゟ今朝迄　清池院様御百ケ日御法事
　　御執行有之
一　同月十六日　御帰国御礼御使者有賀左衛門《割書：正｜方》　御目見且拝領物
　　被　仰付候為御礼御使者大谷甚五兵衛　江戸表江被指出之
　　今日福井出立
　　　　　但し甚五兵衛江戸着日并御返書御渡等不詳

【右丁】
一　七月廿五日御書を以例之通御国産初鱈被献之
一　八月朔日為御祝儀御使者御物頭力丸藤左衛門《割書：重｜時》を以例之通
　　御太刀馬代被献之
　　　　　但右御使者御国許ゟ被指出候趣ニ而江戸表ニ相詰居候藤左衛門を以
　　　　　　被献之
一　同日於浄光院去月廿五日ゟ今朝迄
　　隆芳院様廿七回御忌御法事《割書：千部｜経》御執行有之
一　同月十二日
　　公方様御機嫌為御伺御使者木内半助　江戸表江被指出之

【左丁】
　　御肴一種被献之半助今日福井出立
　　　　　但半助江戸着日不詳同月廿五日御返書被相渡之
一　九月二日　清池院様御石塔紀州高野山江御建立ニ付右為
　　御用高野山江仙石権右衛門《割書：高｜成》被遣之
一　同月五日今度　御帰国ニ付　御代参加藤金兵衛《割書：宗｜能》を以伊勢
　　内宮江銀六枚　外宮江同六枚朝熊江同二枚被供之城州
石清水江
　　銀五枚愛宕江同五枚　御代参市橋弥平次　を以被供之
　　　　　但　御帰国度毎御拝領銀之内を以被供候儀定例故以後
　　　　　　不記之

【右丁】
一　九月七日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　追而　御内書於　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　同月九日先達而ゟ御不例ニ而長々御不食被成候ニ付右之趣
　　越後守《割書：光｜長》様ゟ御老中迄御内々御達被成候段　御同所様ゟ飛脚を以
　　被　仰越今日福井江着ニ付為御返事御徒之者《割書：中野助太夫｜井上八太夫》早飛脚ニ而
　　今日江戸表江被遣之渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿江も御家老ゟ書翰を以
　　御様体委細申遣之
一　同月十一日今度　御帰国ニ付　御代参有賀左衛門《割書：正｜方》を以白山
　　本社江銀弐枚被供之

【左丁】
　　　　　但　御帰国度毎　御代参被遣御拝領銀之内被供候儀定例故
　　　　　　以後不記之
一　同月十三日　越後守《割書：光｜長》様ゟ為　御病気御見廻御使者後藤
　　儀左衛門　被遣之追而儀左衛門罷帰候節御家老ゟ左之通御容体書
　　相渡之
　　　　　　　覚
　　　　　八月十二日迄之気色之様子最前申上候其以後之
　　　　　病体
　　　　一気色相替事無御座候併頃日者やせも少増立居

【右丁】
　　　　　少弱相見へ申候
　　　　一食物最前如申上およそ飯少も給不被申候蕎麦切
　　　　　葛饅頭魚物枝柿野菜等最前之通ニ給被申候
　　　　一八月十八日七愈ニ灸被仕快御座候
　　　　一食物胸つかへ候事無御座吐逆も弥止申候
　　　　一夜寝兼被申候事最前同事ニ御座候
　　　　一九月一日迄岡部高伯薬用被申候
　　　　一九月三日ゟ津田道意薬給被申候気色替事無御座
　　　　　候得共痰之気味弥快御座候

【左丁】
　　　　一脈体平生ゟ少弱御座候得共指而替事無御座候以上
　　　　　　九月十四日　　　　　　　　御医師連名
　　　　　　　〆
　　　　　　　覚
　　　　　食事之様子先月十二日ゟ今月十四日迄之食事
　　　　　最前申上候通之物目も同前ニ御座候其内出来不出来
　　　　　御座候百二三十匁ゟ弐百匁迄之内一日ニ両度宛給之
　　　　　申候に今飯は少も給不被申候頃日は食後痰心も
　　　　　うすく快事多御座候以上

【右丁】
　　　　　　　〆
　　　　　　　覚
　　　　一菜汁椀壱ノ目拾五匁程
　　　　一葛饅頭壱ノ目拾九匁
　　　　一焼鮎壱ノ目大小ニゟ弐三拾匁ノ間
　　　　一丸焼茄子壱ノ目弐拾弐三匁
　　　　一しゝみの汁椀壱ノ目弐拾弐三匁
　　　　一さゝけあへ物ちよく壱ノ目弐拾弐三匁
　　　　一干鱈一切ノ目六七匁

【左丁】
　　　　一すいき酢ニ而ちよく壱ノ目三拾匁
　　　　一菓子枝柿壱ノ目拾匁
　　　　右者最前申上候食物此内頃日は給不被申物も御座候
　　　　一大根汁
　　　　一沖津鯛
　　　　一からしあへ菜
　　　　一こうたけのに物
　　　　一串蚫に物
　　　　右者此食物頃日給被申候

【右丁】
　　　　　　〆
一　九月十三日　廉貞院様《割書：故九条左大臣道房公政所｜忠直様御女　秀忠様御養女》　御逝去
　　京都東福寺江御葬送御法号
　　廉貞院殿機爽俊巧大姉
一　同月十四日　御病気為　御尋宿継御奉書於御老中宅
　　御渡有之右ニ付御国許江指立之
一　同月十五日御一門様方ゟ　御病気為御見廻医師長谷川
　　玄通被遣之玄通今日福井江着　御容体相伺之御薬指上之
一　同月十九日　御病気　御尋宿継御奉書福井江着御頂戴

【左丁】
　　有之即刻御請御書被指出之
　　　御奉書
　　　　一筆令啓達候
　　　　公方様益御勇健被成御座候間可御心安候
　　　　将又其方不食之由及
　　　　台聴候之処無御心許被　思召候無油断可有療養
　　　　旨依
　　　　上意如此候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　板倉内膳正
　　　　　九月十四日　　　　　　　　重矩書判
　　　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　数直書判

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　広之書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正則書判

　　　　　　　　松平越前守殿

一九月廿日右同断ニ付為御礼御使者比企佐左衛門《割書：義｜重》江戸表江
　　被指出之今日福井出立
　　　　　但佐左衛門江戸着日不詳

【左丁】
一　同月廿六日　廉貞院様御逝去ニ付
　　女院御所御機嫌為御伺御使者伊野次郎大夫　京都江被指出之
　　且又東福寺江御香奠銀十枚被供之次郎大夫今日福井出立
一　同月廿八日　兵部大輔様御帰邑ニ付福井江御越於　御本丸
　　御対顔有之去ル十四日御暇之御礼被　仰上候節　御前近被為
　　召
　　光通様御容体　御尋御懇之　上意有之且又無御心許
　　被　思召旨御老中土屋但馬守《割書：数｜直》殿被相伝之候段被　仰上之
一　同日於紀州高野山　清池院様御石塔御成就ニ付御供養

【右丁】
　　有之
一　九月晦日御老中江御呼出　御病気　御尋之御礼御使者
　　比企佐左衛門《割書：義｜重》罷出候処御返書被相渡之
　　　　　御札令拝見候
　　　　　公方様益御機嫌能被成御座珎重候旨尤之事候
　　　　　将亦其方儀不食之趣被
　　　　　聞召無油断可遂養生之由
　　　　　上意之通以奉書相達忝之旨承届候因茲
　　　　　為御礼被差越使者候然者気分逐日快験之由

【左丁】
　　　　　得其意候右之段及言上候処御喜色之御儀候
　　　　　猶以療養専要之旨被　仰出候委曲使者可令
　　　　　演説候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　板倉内膳正
　　　　　　九月晦日　　　　　　　　　　重矩書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　数直書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　広之書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正則書判
　　　　　松平越前守殿

【右丁】
一　同日　兵部大輔様御暇御礼之節　上意を以　御病気
　　御尋有之候為御礼御使者天方五郎左衛門《割書：友｜貞》江戸表江
　　被指出之
　　　　　但五郎左衛門江戸着日不詳
一　十月七日当夏御拝領之御鷹福井江着於　御本丸奥
　　御座敷御頂戴有之
一　同月十一日
　　公方様御機嫌為御伺御使者三崎喜兵衛　江戸表江
　　被指出之御肴一種被献之喜兵衛今日福井出立

【左丁】
　　　　　但喜兵衛江戸着日不詳同月廿五日御返書被相渡之
一　同月十三日　兵部大輔様御帰邑之節　御病気
　　御尋有之候御礼御使者天方五郎左衛門《割書：友｜貞》　御城江罷出候処
　　右御返書御渡有之
　　　　　御札令拝見候
　　　　　公方様倍御機嫌能被成御座珎重候旨
　　　　　尤之事候将又去頃同氏兵部大輔御暇之節
　　　　　其方気色之様子御尋之趣兵部大輔相達之
　　　　　最前奉書重畳忝之由得其意候依之

【右丁】
　　　　　為御礼被差越天方五郎左衛門候入念候段覃
　　　　　高聞候委曲使者可為演説候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　板倉内膳正
　　　　　　十月十三日　　　　　　　　重矩書判
　　　　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　数直書判
　　　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　広之書判
　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正則書判
　　　　　　松平越前守殿

【左丁】
一　十月廿六日大目付ゟ御留守居江左之通御書付御渡有之
　　　　一於諸国にせ薬種一切停止たるへし若にせ
　　　　　薬種商売仕輩あらは訴人に出へし急度
　　　　　御褒美可被下之事
　　　　　　附毒薬一切売買不可仕事
　　　　一商売之輩諸色一所に買置しめうり仕
　　　　　へからす并申合諸事高直ニいたすへからさる事
　　　　一諸職人申合作料手間賃等高直ニ仕へから
　　　　　さる事

【右丁】
　　　　　右条々可相守此旨若違背之族於有之者
　　　　　糺軽重或死罪或流罪たるへし惣而誓約を
　　　　　なし結党輩あらは御穿鑿之上可被行
　　　　　厳科者也仍下知如件
　　　　　　　寛文十一年十月廿六日
　　　　　但御国江相廻り候上福井府中今庄金津三国新保
　　　　　　河野勝山之高札場ニ相掲之
一　十月廿九日長谷川玄通指上候御薬御服用之処次第
　　御快去十六日ゟ御食付被成候ニ付御暇被下銀《割書：百｜枚》綿《割書：百｜把》

【左丁】
　　被下之
一　十一月十五日御使者伊藤宗恕を以
　　法皇御所　新院御所江黄金十枚奉書紙五束宛
　　被献之　照高院御門主江黄金十枚奉書紙五束被進之
　　　　但右御献上者　清池院様御追悼之御礼ニ而も可
　　　　　有之候得共御趣意不詳
一　同月十五日御家老本多左近《割書：正｜房》死去
一　同月廿三日　御病気御快然ニ付先達而ゟ　御病気毎度
　　御尋有之候為御礼御使者永見志摩《割書：通｜洪》江戸表江

【右丁】
　　 被指出之今日福井出立　
一　十二月四日　御鷹之鶴御拝領ニ付於御用番宅御老中連名之
　　御奉書幷鶴御渡有之右ニ付御徒竹田平右衛門指添御国許江
　　指立之
一　同月九日宿継御奉書を以御拝領之鶴福井江着於
　　御本丸御頂戴有之右御請御書通飛脚を以被指出之
一　同日寒中ニ付
　　公方様御機嫌為御伺御使者森勘太夫江戸表江被指出之
　　御肴一種被献之勘太夫今日福井出立
【左丁】
　　　但勘太夫江戸着日不詳同月廿三日御返書被相渡之
一　同月十日寒中御献上之生鱈江戸着候得共道中ニ而損候ニ付
　　御献上無之
一　同月十一日御鷹之鶴御拝領ニ付為御礼御使者杉田小平次三竹
　　江戸表江被指出之御礼御書幷宿継証文持参今日福井出立
一　同月十五日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被献之
一　同日御病気御尋之為御礼御使者永見志摩《割書：道｜洪》を以
　　御肴被献之志摩御目見被仰付酒井河内守《割書：忠｜挙》殿
　　披露退去再自分之御礼被仰付御太刀馬代奉書紙《割書：十｜束》

【右丁】
　　献上之
一　十二月十六日御使者永見志摩《割書：通｜洪》　御城江罷出候処御返書
　　御渡有之志摩江御小袖五御羽織一拝領被　仰付
一　同月廿二日御書を以当夏御拝領　御鷹捉飼之鷹一鴨一
　　被献之右御披露済之御返書於御老中久世大和守《割書：広｜之》殿宅被相渡之
一　同日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：二｜番》生鱈被献之
一　同月廿三日於　御本丸御家中借銀之儀ニ付御家元飯田主米《割書：安｜成》
　　左之通諸月番江申渡之
　　　　　　　覚

【左丁】
　　　　　一御家中之面々借銀有之分利足高下委書付
　　　　　　又利なしの分も少も不残書出可被申候勿論貸主之
　　　　　　名付仕出し可被申事
　　　　　一買掛払申儀不成分是も書付出し可被申事
　　　　　一頼母子掛銀出銀共に借ニ而出し申分書出し
　　　　　　可被申事
　　　　　一親類縁者より借用之分も不残書出し可被申
　　　　　　自然貸主之名顕しかたきも可有之間左様之
　　　　　　分者口入か請人之名書付出し可被申事

【右丁】
　　　　　一妻女子共之銀子借用之分も相済候はて不叶儀者
　　　　　　是も書出し可被申事
　　　　　一与力中之借銀是も別旨【帋＝紙】書付出し可被申事
　　　　　一来年江戸御供番之面々支度銀江戸中来秋迄
　　　　　　遣銀借用可有候はゝ其積りをも書出し可被申事
　　　　　一借銀無之分者其通書出し可被申事
　　　　　右借銀有之面々少も不残書出し可被申隠置
　　　　　後日相知候はゝ不届之儀に候条各被得其意有体に
　　　　　つくろひなく書出し可被申者也

【左丁】
一　十二月廿四日冨永新左衛門《割書：長｜盛》番組戸祭兵太夫　若党野坂八郎兵衛と
　　申者兵太夫名を借買掛借銀等致候ニ付搦置致成敗度段
　　相願候得共兵太夫並之面々江被下候例無之ニ付右願御取揚
　　無之翌廿五日斬罪有之
一　同月廿七日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
一　同月廿八日　御鷹之鶴御拝領為御礼御使者杉田小平次《割書：三｜竹》を以
　　御肴被献之小平次　御目見被　仰付退去再自分之御礼被
　　仰付御太刀馬代献上之
一　同日耶蘇宗門御改ニ付御家老連判之證文保田若狭守《割書：宗｜雪》殿

【右丁】
　　青木遠江守《割書：義｜継》殿江指出之
一　十二月廿九日鶴御拝領御礼使者杉田小平次《割書：三｜竹》　御城江罷出候処
　　御返書御渡有之小平次江御小袖三拝領被　仰付
一　同日　御病気　御尋御礼御使者永見志摩《割書：通｜洪》　御目見且
　　拝領物被　仰付候為御礼御使者川合庄太夫　江戸表江被
　　指出之
　　　　　但庄太夫江戸着日不詳翌子年正月十一日御返書被相渡之

【左丁】
寛永【文】十二年壬子
一　正月朔日於　御本丸年始御規式有之
　　　　　但御病後故御略式ニ而御礼被為　請
一　同日為年始御祝儀御使者本多又左衛門《割書：武｜正》を以　例之通
　　御太刀馬代被献之
　　　　　但又左衛門旧臘七日御国表出立
一　同月三日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃台
　　御酒代被献之

【右丁】
一　正月五日年始ニ付伊勢　両宮并朝熊江為　御代参井上
　　孫之進　城州石清水并愛宕江毛受又左衛門　被遣之
一　同月十八日　高真院様《割書：故出羽守《割書：直｜政》様｜　》七回御忌ニ付雲州松江
　　月照寺江為　御代参香西半兵衛　被遣之今日福井
　　出立
一　同月廿八日大目付ゟ申来ニ付　御城江御留守居罷出候処
　　大目付高木伊勢守《割書：守｜久》殿大岡佐渡守《割書：忠｜種》殿奉公人出替之
　　儀ニ付左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　覚
【左丁】
　　　　　下々出替之儀弥三月五日切たるへし但国々知行
　　　　　所のものゝ相対次第いつにても不苦諸大名
　　　　　家来たりといふとも江戸大坂其外他国ニ而抱候
　　　　　ものは三月五日を限へき者也
　　　　　　　子二月六日
　　　　　右相済左之通口上ニ而被申渡之
　　　　一一季居之奉公人三月五日出替可申旨最前
　　　　　御旗本中江も被　仰渡候得共二月二日ニも
　　　　　出替在之候間自今以後三月五日出替可申旨

【右丁】
　　　　　家中江可被仰渡旨御座候若去年當二月
　　　　　二日迄之約束ニ而召抱申候共請人相断三月
　　　　　五日迄可被召置候依之町奉行中江も右之段
　　　　　被　仰渡候間違儀申者在之間敷候国元も自今
　　　　　以後右之通可被　仰付候
　　　　一上野　御宮二王門之前ニ而　御城外下馬の
　　　　　ことく同勢残置可申事
　　　　一鳥居之外之御門同内下馬之ことく侍歩行
　　　　　之者下々迄残置可申事

【左丁】
　　　　一鳥居之内之御門ゟ神前迄召連人数内下馬ゟ
　　　　　御玄冠前迄召連候ことく自今以後相心得
　　　　　可申候
一　正月晦日歳暮御祝儀御献上ニ付而者　御内書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　二月朔日　御参勤御時節御伺之御使者被指出候処如
　　御定四月中　御参府可被成旨之御奉書於御老中
　　被相渡之
一　同月三日於浄光院昨二日晩ゟ今朝迄　高真院様七回

【右丁】
　　御忌御法事御執行有之
一　二月五日於　御本丸御家中勝手向不如意之面々御救
　　可被成旨　御意之趣御家老飯田主米《割書：安｜成》左之通
　　書付を以諸士江申渡之
　　　　　　侍中勝手不如意之面々就御助成申渡覚
　　　　一近年御家中侍中借銀過分に成行身上難続
　　　　　面々数多有之故何とそ　御救被成度被
　　　　　思召当暮ゟ物成之内借銀之多少に随ひ御蔵江
　　　　　出し置御蔵ゟ八木五万俵余御足被成御家中

【左丁】
　　　　　借銀　公儀江御引請三四年之内貸主方江洗と
　　　　　御済替被下三四年之後　公儀江上納仕候様ニ
　　　　　被成候事
　　　　一右借銀之内御蔵ゟ拝借之金銀利付之分不残
　　　　　利足へらし壱割に被成被下候間脇々之借銀も
　　　　　壱割に利足相立可被遣候高利に貸置候者可為
　　　　　迷惑かに候へ共元利不残三四年之内御済被下
　　　　　其上御蔵銀も利付之分不残壱割ニ被成候故
　　　　　右之通ニ被相究候事

【右丁】
　　　　一勝手不如意之面々無是非買掛有之分今度
　　　　　被相改候此分も壱ケ年ニ三分一宛三年之間ニ
　　　　　洗と相済候様ニ可被成候間右買懸仕置候町人共江
　　　　　此旨面々ゟ可被相知候事
　　　　一借銀持之面々借銀之多少に随ひ物成之内壱免
　　　　　或は壱免余或は八九歩六七歩唯今迄之知行
　　　　　物成免之高下によりそれ〳〵に指上置年々
　　　　　其米ニ而借銀済候積り算用仕可置候
　　　　　公儀ゟ役人被　仰付壱人宛物成指上候多少に

【左丁】
　　　　　付而面々借銀相済次第上置候物成御返シ被成
　　　　　少も相違無之様ニ仕候事
　　　　一右之通に被相極候然共借銀軽衆中又者
　　　　　大借銀たりといふ共様子ニゟ自分之支配に仕
　　　　　指置度被存候はゝ可被任其意候間其断御勘定所迄
　　　　　可被申達候物成之内上置少不自由ニ候共借銀之
　　　　　利足御へらし被下諸事勝手能様之儀ニ
　　　　　候へは　御影を以借銀早済申度と被存候ハゝ
　　　　　指図之通物成上置可被申候御介抱之儀ニ候へは

【右丁】
　　　　　面々心次第ニ被成候事
　　　　　　附面々物成納所之様子は別紙に書付有之候
　　　　　　　壱人宛之様子者重而細に可相究事
　　　　　　　　　以上
　　　　　　　　二月日

　　　　　　　　　覚
　　　　一高百石ニ付壱貫匁迄之借銀者少借銀之事
　　　　一高百石ニ付壱貫匁余ゟ弐貫匁迄中借銀之事

【左丁】
　　　　一高百石ニ付弐貫匁余ゟ上は大借銀之事
　　　　　　　　　　　少借銀弐ッ九分ニ而所務之事
　　　　　　　　　　　中借銀弐ッ六分ニ而所務之事
　　　　　　　　　　　大借銀弐ッ五分ニ而所務之事
　　　　　　　　　　　　但百石ニ付四貫匁当ゟ五貫
　　　　　　　　　　　　　九百匁迄之借銀持は弐ッ三分ニ
　　　　　　　　　　　　　同六貫匁当ゟ九貫九百匁
　　　　　　　　　　　　　迄之借銀持は弐ッ弐分同
　　　　　　　　　　　　　拾貫匁ゟ上之借銀弐ッ壱分ニ
　　　　　　　　　　　　　所務之事

　　　　　　　　　　　少借銀三ッに所務之事
　　　　　　　　　　　中借銀弐ッ七分ニ而所務之事
　　　　　　　　　　　大借銀弐ッ六分に所務之事
　　　　　　　　　　　　但百石ニ付四貫匁当ゟ五貫
　　　　　　　　　　　　　九百匁迄之借銀持は弐ッ四分
　　　　　　　　　　　　　同六貫匁当ゟ九貫九百匁迄之

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　借銀持は弐ッ弐分同拾貫匁ゟ
　　　　　　　　　　　　　上之借銀弐ッ壱分ニ所務之事

　　　　　　　　　　　少借銀三ッニ所務之事
　　　　　　　　　　　大中借銀弐ッ八分ニ所務之事
　　　　　　　　　　　　但百石ニ付四貫匁当ゟ五貫九百匁
一四百石ゟ九百五拾石迄　　迄之借銀持は弐ッ六分同六貫匁
　　　　　　　　　　　　　当ゟ九貫九百匁迄之借銀は
　　　　　　　　　　　　　弐ッ五分同拾貫匁ゟ上之借銀は
　　　　　　　　　　　　　弐ッ四分ニ所務之事

一三百五拾石以下　　　大中少借銀共三ッに所務之事
　　　　　　　　　　　　但百石ニ付六貫匁当ゟ九貫九百匁
　　　　　　　　　　　　　迄之借銀持は弐ッ七分同拾貫匁ゟ
　　　　　　　　　　　　　上之借銀は弐ッ六分所務之事
　　以上
　二月日

【左丁】
一御家中家宅造作衣類饗応之儀前々御法度
　之通弥可被相守候衣類之儀は先年御定之通堅
　可相守儀ニ候得共猶以御家中為　御示と被
　思召去夏御手廻之衆中衣類軽被　仰付候
　其様子各見及可申事ニ候処末々迄其旨不相
　心得様ニ被　思召候自今以後何分ニも軽被仕可為
　尤事
一江戸御供中衣類支度之儀は小袖上下等日頃之
　三分一用意可被仕候於江戸も着木綿縞上下

【右丁】
　御使等相勤不苦　思召ニ候事
一諸事衣食等簡略可仕之旨被　仰出候得共
　人馬之儀は減少難被成　思召ニ候条面々可成程
　相嗜所持可被仕候事
右之通諸事倹約之被　仰出ニ候然共万端気味合
悪儀又者対町人百姓等非分之様子無之様ニ面々
至于召仕下々迄急度可被申付者也
　　　二月五日

【左丁】
一先年之被　仰出ニも小身之輩木綿紙子等専
　可着旨ニ候此段弥被得其意御番所江も木綿
　紙子等可被着候きら能候者応　御意間敷候間
　面々成程衣服相麁ニ可仕候
一人馬所持之儀者物成之内指上候而も可成積を以今度
　借銀持之衆中　御救被成候其内三百石取之分
　自然勝手内証之趣ニより馬所持難仕道理
　為詰仁有之者横目中迄可被致相談候
一江戸御供中当年之支度銀書出被申候

【右丁】
　　　　　其分御貸被成筈ニ候以上
一　二月六日於伝通院　天樹院様《割書：秀忠様｜御女》七回御忌御法事有之ニ付
　　御使者毛受長兵衛《割書：教｜洪》を以御香奠銀十枚被指上之
一　同月九日大瀧村江為御鷹狩被為　入御先乗川越四郎右衛門《割書：組召連｜鉄炮十挺》
　　長谷川仁兵衛正吉《割書：組召連杉形｜御鑓十本》被召連御先道具《割書：御弓立一組御弩瓢一穂｜御牀机御傘御立傘》
　　《割書：大鳥毛御鑓　御具足櫃　突留御鎗二｜御腰物筒　御持道具　御茶弁当》被為　持同十一日於月野尾山迄鳥狩
　　被　仰付其節中川縫殿介　石丸造酒助　仙石権右衛門江勢子
　　大将被　仰付其余御供之面々勢子ニ罷出《割書：御獲遊｜二十八》同十二日於
　　おやま山右同断被　仰付《割書：御獲物｜二十三》同十六日　御帰城

【左丁】
一　同月廿一日《割書：申ノ｜刻》　天崇院様於牛込御屋敷御逝去
一　同月廿四日御預所大野郡勝山納米之儀ニ付御勘定奉行ゟ
　　御留守居江左之通書付被相渡之

　　　　　越前勝山領御預ケ所納米大津御蔵詰ニ被申付
　　　　　候様ニと最前申遣候へ共去亥之納米之儀者先
　　　　　千石大津江被相届如跡々彼地御蔵衆立合入札
　　　　　を以可被相払相残分は大津払直段ニ不被構
　　　　　地払可被申候是又運賃懸り物指加大津払直段ゟ

【右丁】
　　　　　地払下直候様ニも当り候者早々此方江可被得下知候
　　　　　跡々被仕上之御勘定之表地払宜相見へ候ニ付
　　　　　如此候以上
　　　　　　　　　　　　　　　　平　次郎左衛門
　　　　　　二月廿四日　　　　　竹　八郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　役　七左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　松　猪右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　徳　五兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　杉　内蔵允

【左丁】
　　　　　松平越前守殿
　　　　　　　　　　家来

一　二月廿六日　天崇院様御遺骸天徳寺江御葬送御法号
　　天崇院殿穏誉泰安豊寿大善女人
　　追而越後国高田長恩寺江御瘞埋
一　同月廿七日　天崇院様御逝去ニ付
　　公方様御機嫌為御伺御使者桑原源太左衛門　江戸表江被
　　指出之今日福井出立
　　　　　但源太左衛門江戸着日不詳三月七日於御老中板倉内膳正《割書：重｜矩》殿
　　　　　　御返書被相渡之

【右丁】
一　同日右同断ニ付
　　女院御所御機嫌為御伺御使者高塚吉右衛門　京都江被指出之
　　今日福井出立
一　三月十五日今度西本願寺門跡弟寂淳福井掛所江為入院
　　下向ニ付今日登　城於御座敷　御逢有之寂淳ゟ御太刀銀
　　馬代毛氊《割書：十｜枚》指上之門跡ゟ使者下間宮内を以箱肴二種指上之
　　披露相済寂淳江御料理出《割書：五々｜三》御相伴ニ而御吸物御酒被下之
　　召連候家来下間宮内上原数馬　御目見被　仰付御盃被下之
　　寂淳退出之節鶴之間迄御送被成

【左丁】
一　同月十九日鉄御門石垣御普請本多孫太郎《割書：長｜員》江御手伝被
　　仰付置候処出来ニ付孫太郎家来岡部杢左エ門　佐久間安左衛門
　　本多助左衛門　菅沼吉右衛門　御城江被　召出　御目見被　仰付
　　御小袖并御羽織被下之
一　同月廿日於　御城御家老列座　御城御近火之節消防方
　　之儀　御意之趣左之面々江稲葉采女《割書：治
｜房》申渡之
　　　　一大手御門
　　　　一鉄御門
　　　　一柳町口御門

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　　毛受監物
　　　　　　　　　　　　　　　　牧野主殿
　　　　　　　　　　　　　　　　多賀谷権太夫
　　　　　　　　　　　　　　　　高田小左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　有賀斎宮
　　　　　　　　　　　　　　　　杉田小平次
　　　　　　　　　　　　　　　　瀧　主計
　　　　　　　　　　　　　　　　永見牛之介
　　　　　　　　　　　　　　　　松原角左衛門

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　　中川六左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　山田伊織
　　　　　　　　　　　　　　　　大宮彦右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　高田長左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　国枝平兵衛
一漆御門
一御鷹部屋前御門
　　　　　　　　　　　　　　　　太田三弥
　　　　　　　　　　　　　　　　岡部新九郎

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　　笹治兵庫
　　　　　　　　　　　　　　　　水谷治左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　酒井孫四郎
　　　　　　　　　　　　　　　　狛　十大夫
　　　　　　　　　　　　　　　　毛受長兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　本多又左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　菅沼市左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　笹治七左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　国枝七之丞

【左丁】
　　　　右御門風上ニ火事有之節一ケ所江非番之内ゟ弐人宛
　　　　罷出火くす又者伝火なと有之者為消可申候以上
　　　　一清水御門
　　　　右御門風上ニ火事有之節御留守物頭之内非番ゟ
　　　　一人宛罷出火くす又者伝火なと有之者為消可申候
　　　　以上
一　三月廿一日於評定所御家中縁組之儀ニ付左之通被　仰出之
　　　　　　　覚
　　　　一御家中侍中并子共妻女持可申時分過候而縁組不仕

【右丁】
　　　　　候儀何とそ子細無之候ては不可然候時節相応妻女
　　　　　持申儀可応　御意候事
　　　　一侍中縁辺之事むさといたしたるもの妻女に
　　　　　仕候事不可然候但由緒有之儀ニ候者如何様之縁組も
　　　　　様子に可寄候無左候而無筋目妻女持候者誕生之
　　　　　忰　御目見なと望申節品により可有滞儀候但
　　　　　最初之妻女死去之後者可為各別事
　　　　一千石以下之侍中縁組之事兼而被　仰出候通
　　　　　下にて致相談可被申候伺　御意候節右之縁組

【左丁】
　　　　　自然　思召有之可致無用之旨被　仰聞候へは別之
　　　　　縁辺之儀をも致遠慮重而申出し兼候者有之様ニ
　　　　　達　御耳候向後曽而不致遠慮何ケ度も相伺可被申事
　　　　右者御家中縁組無滞達　御耳事済面々迷惑不仕
　　　　候様にと被　思召又者侍中并子供若者其然と縁組ニも
　　　　不及私を以むさと不似合女妻女として無筋目
　　　　子なと持不申様ニとの　思召に付而如此候者也
　　　　　　三月
一　同日於評定所御切米取之御侍中勝手不如意之者共御救

之儀ニ付諸番頭江左之通御家老稲葉采女《割書：治｜房》申渡之
　　　　　　　覚
　　　　一面々借銀有之分利足高下委書付又利なしの
　　　　　分も不残書出し可被申候勿論貸主之名書出シ
　　　　　可被申事
　　　　一買掛払申儀不成分是も書出し可被申事
　　　　一頼母子懸銀出銀共に借候而出し申分書出し可
　　　　　被申事
　　　　一親類縁者より借用之分も不残書出し可被申候自然

　　　　　貸主之名顕し難きも可有之候間左様之分ハ口入歟
　　　　　請人之名書出し可被申事
　　　　一当年江戸御供番之面々支度銀江戸中当秋迄
　　　　　遣銀借用可有之候ハヽ其積をも書出し可被申事
　　　　一借銀無之分は其通に書出し可被申事
　　　　右借銀有之面々少も不残書出し火可被申候若隠置
　　　　後日相知候者不届之儀ニ候間各被得其意有躰に
　　　　つくろひなく書出し可被申者也
　　　　　　三月廿一日

【右丁】
　　　　　　　　追而借銀書付当廿五日廿六日両日之内御勘定所迄出シ
　　　　　　　　可被申候封印判可被仕事
　　　　一妻女子共之銀子借用之分も相済候はて不叶儀候はゝ
　　　　　是も書出し可被申事
一　三月廿二日狛杢允《割書：貞｜澄》御家老職被　仰付
一　同月廿六日　慶寿院様十七回御忌御相当之節
　　隆芳院様　慶寿院様御石塔紀州高野山ニ御建立
　　可被成旨被　仰出
一　同月廿八日於浄光院去廿四日晩ゟ今朝迄

【左丁】
　　清池院様御一周忌御法事御執行有之
一　同日今度　清池院様御位牌大安寺江御安置ニ付
　　今日御供養有之
一　四月二日福井　御発駕中山道通　御旅行
一　同月五日於評定所　御本丸御近火之節火防之儀
　　左之通被　仰出之
　　　　一御本丸御屋形之上　　　火防之者百四拾五人
　　　　右屋根之上ニ而火防之者共下知役之諸士左之通
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　稲垣伝七

　　　　　　　　　　　　　　　　高塚吉右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　末高木工左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　中根猪兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　市橋孫平次
　　　　　　　　　　　　　　　　本多武兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　小栗惣大夫
　　　　　　　　　　　　　　　　永田四郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　荒川三郎大夫
　　　　　　　　　　　　　　　　渋谷与五左衛門

　　　　　　　　　　　　　　　　岡八十郎
　　　　　　　　　　　　　　　　石川貫介
　　　　　　　　　　　　　　　　冨岡孫助
　　　　　　　　　　　　　　　　井上牛大夫
　　　　　　　　　　　　　　　　岩村左大夫
　　　　　　　　　　　　　　　　羽中田市左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　小森庄兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　大崎左次右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　中村十郎兵衛

　　　　　　　　　　　　　　　　磯貝金兵衛
　　　　　　　　　二十人
一同樋合并御座【庭】之内　　　火防之者五拾人
右樋合并御庭之内見廻り下知役之者諸士左之通
　　　　　　　　　　　　　　　　鈴木彦大夫
　　　　　　　　　　　　　　　　佐野六郎左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　大野庄兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　雪吹喜左衛門

　　　　　　　　　　　　　　　　秋田新八
　　　　　　　　　　　　　　　　春日源之丞
　　　　　　　　　　　　　　　　瀧市右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　木内半介
　　　　　　　　　　　　　　　　木内甚兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　加藤四郎左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　山上八郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　柳【榊】原次郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　高坂武右衛門

【右丁】
　　　　　　但右之内木内半介加藤四郎左衛門榊原次郎兵衛者役之儀
　　　　　　　ニ付御断申上右為代橋本杢兵衛伴平大夫関
　　　　　　　六之丞被　仰付之
一　四月十三日《割書：未ノ｜刻》江戸御屋敷江　御着右為御案内御大老
　　御老中若年寄中江御使者被指出之
一　同月十四日　御参府ニ付　上使御老中久世大和守《割書：廣｜之》殿
　　御越　上意之趣御達有之《割書：上使御取扱｜如例》右為御礼大和守殿江
　　御勤残御老中江御使者飯田主米《割書：安｜成》被指出之若年寄中江御使者
　　嶋田清左衛門《割書：重｜季》冨永新左衛門《割書：長｜盛》被指出之

【左丁】
一　同月十五日《割書：五｜時》　御登　城《割書：昨十四日上使久世｜大和守殿御達有之》　御参勤之御礼
　　被　仰上御太刀銀綿例之通御献上御披露相済
　　御退座畢而御家来飯田主米《割書：安｜成》御太刀馬代蠟燭献上
　　美濃部半七《割書：茂｜成》御太刀馬代献上　御目見被　仰付相済
　　御退出掛右為御礼御老中若年寄中江　御廻勤
一　同日右同断ニ付御使者を以例之通
　　御台様江銀《割書：三十｜枚》鬠紙《割書：五十｜帖》被指上之
一　同月廿八日　御痛所《割書：御歩行｜御不自由》ニ付　御登　城御断
一　同月廿九日　上使渡辺筑後守《割書：正｜》殿を以例之通御鷹之鷭五

【右丁】
　　御拝領《割書：上使御取扱｜如例》右為御礼御用番久世大和守《割書：廣｜之》殿并御大老
　　酒井雅樂頭《割書：忠｜清》殿江　御勤残御老中若年寄中江御使者
　　嶋田清左衛門《割書：重｜季》冨永新左衛門《割書：長｜盛》被指出之
　　　　　但右為御礼　御登　城可被成処御病後御 歩行御不自由ニ付
　　　　　　御断被成
一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単御袷
　　被献之
一　同月五日　御痛所《割書：御歩行｜御不自由》ニ付　御登　城御断
一　同月六日御使者を以例之通御国産初鯖被献之

【左丁】
一　同月十一日土井信濃守《割書：利｜直》殿御奥方　布里姫様《割書：御｜妹》御不快ニ付
　　御快気為御祈祷伊勢　両宮并朝熊江為　御代参糟谷
　　彦左衛門《割書：元｜教》被指遣之今日江戸出立
　　　　　但城州石清水并愛宕江も為　御代参戸田安兵衛被遣之
　　　　　　同月十五日福井出立
一　同月十五日　御痛所《割書：御歩行｜御不自由》ニ付　御登　城御断
一　六月御勘定奉行中ゟ御留守居迄堀田上野介《割書：正｜信》殿扶助米
　　之儀ニ付左之通書付来
　　　　　　堀田上野介儀今度酒井修理大夫ニ御預ケ若州

【右丁】
　　　　　小浜江被指遣候付為扶助米弐千俵上野介ニ被下之候
　　　　　修理大夫家老手形ニ我等共裏判ニ而可被相渡
　　　　　之旨書替役人石津九兵衛大久保平兵衛方江従
　　　　　御老中證文被遣候九兵平兵ゟ者越前守殿
　　　　　宛所ニ書出可被申候間越前国勝山領御蔵入去
　　　　　亥年納米之内小浜迄相届於彼地閏六月
　　　　　七月中右之手形を以修理大夫家来江可被相渡候
　　　　　小浜迄入用之儀は跡々ゟ定来候通吟味之上
　　　　　被相渡御勘定可被相立候以上

【左丁】
　　　　　　子六月　　　　　　　　　杉　内蔵允
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　印判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　徳　五兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　印判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　松　猪右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　印判
　　　　　　　松平越前守殿
　　　　　　　　　　　　家来
一　六月十二日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　同月十六日当年盆中躍無之様被　仰出候間浜町河原

【右丁】
　　勝見河原木田口広場四居口之広場其外大勢相集候場所
　　江者海福瀬左衛門《割書：重｜之》堤安左衛門《割書：正｜氏》那須左五右衛門平岡左五右衛門
　　組之者指出為追払自身ニも見廻り致シ追払候而も散り兼
　　候はゝ一両人も打捨ニ致し躍辻相撲等堅可相制旨右四人江
　　御家老稲葉采女《割書：治｜房》申渡之
一　六月廿八日　御登　城御断
一　閏六月二日　中務大輔《割書：昌｜勝》様御実母寿證院殿《割書：白石｜氏》死去依之
　　御国表来ル九日迄鳴物高声停止之旨被　仰出
一　同月三日暑中ニ付御使者を以例之通御国産索麺干鯛

【左丁】
　　被献之
一　同月八日御使者御留守居飯川彦兵衛《割書：正｜俊》を以雀鶏《割書：大緒｜真敬》雀鵝《割書：大緒｜啄木》
　　被献《割書：先達而御留守居を以御老中｜堀田備中守殿江御伺之上》
一　同月九日右同断ニ付御披露済之捻御奉書御老中板倉内膳正《割書：重｜矩》殿ゟ来
　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　松平越前守殿　　　　　　　　　重矩
　　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　板倉内膳正
　　　　　雀鶏雀鵝被献之候堀田備中守相談
　　　　　遂披露候之処一段之御仕合候恐々謹言
　　　　　　　閏六月九日　　　　　　重矩書判

【右丁】
一　閏六月廿三日　上使御使番溝口孫左衛門　殿を以御鷹之雲雀《割書：三｜十》
　　御拝領《割書：上使御取扱｜如例》右為御礼　御登　城御大老御老中若年寄
　　中江御使者御番頭被指出之
一　同月廿七日御使者を以例之通御国産初鱈被献之
一　七月六日為御生身玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
　　御台様江鯖《割書：五十｜刺》壱箱御樽一荷被指上之
一　同月廿一日於孝顕寺去十九日晩ゟ今朝迄　清涼院様三十三回
　　御忌御法事御執行有之
一　八月朔日為御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代

【左丁】
　　御献上
一　九月七日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖
　　被献之
一　同月十六日於評定所御家来永見志摩《割書：通｜洪》大目付ゟ之
　　御触達一通町奉行郡奉行江相渡町在江相触候様申渡之

　　　　　　覚
　　　　一諸国在々所々ニ而当年寒造之酒八木員数
　　　　　之儀去年之通可作之若令違背多造之族

【右丁】
　　　　　あらは仮後日に露顕候共可為曲事之条訴人に
　　　　　出へし急度御褒美可有之違犯之輩は勿論
　　　　　其名主五人組迄可被行罪科但来年二月ゟ
　　　　　右之酒商売可仕其以前には一切売之へから
　　　　　さる事
　　　　　　附当座造之新酒者以来まて堅可為停止事
　　　　一たはこ本田畑に作之儀弥可為無用年内より
　　　　　急度可被申付事
　　　　一御領私領の内に有之寺社領之儀

【左丁】
　　　　　御朱印所にて高之外たりといふ共其所之
　　　　　守護人御代官より急度相触堅可被申事
　　　　　　　　以上
　　　　　　　子九月
一　九月十六日　御妹布里姫様《割書：土井信濃守殿｜御奥方》御逝去深川
　　雲光院江御葬送《割書：十七｜日》御法号
　　照亮院殿湛誉寂玄光円大姉
一　同月廿三日右同断ニ付来ル廿九日迄七日之間鳴物停止被
　　仰出

【右丁】
一　十月二日霊巌島御屋敷海手之方境杭為御打被成候ニ付為改
　　御屋敷奉行本郷庄三郎《割書：長｜栄》殿阿部四郎五郎《割書：政｜継》殿大久保甚右衛門《割書：長｜昌》殿
　　御被官大工頭梁三人下奉行七人召連御越有之
一　同日右同断ニ付御家老狛杢允《割書：貞｜澄》ゟ御屋敷奉行江左之通
　　證文指出之
　　　　　　霊巌島松平越前守屋敷南方海手先年
　　　　　　拝領之内之由候得共川口狭罷在候ニ付今度為
　　　　　　替地町屋之方ニ而傍尓【示】杭絵図之通相渡
　　　　　　可申旨御老中被仰渡候間打置候傍尓【示】杭
　
【左丁】
　　　　　　之趣相守自今以後築出申間舖候以上
　　　　　　右被仰渡候通承知違背仕間舖候為後日
　　　　　　如斯御座候以上
　　　　　　　寛文十二《割書：壬｜　子》年十月二日　　狛　杢允判
　　　　　　　　本郷庄三郎様
　　　　　　　　阿部四郎五郎様
　　　　　　　　大久保甚右衛門様

一　同月三日御屋敷地境杭打相済候ニ付為御礼御用番板倉

【右丁】
　　内膳正《割書：重｜矩》殿江御使者御留守居飯川彦兵衛《割書：正｜俊》被指出之
一　十月十一日　上使神尾若狭守《割書：元｜珍》殿を以御鷹之鶴御拝領
　　《割書：上使御取扱｜如例》右為御礼　御登　城夫ゟ御老中江　御廻勤
一　同日　中務大輔《割書：昌｜勝》様御在所江之御暇被　仰出候為御　礼
　　御老中若年寄中江御使者御使番被指出之
一　同月《割書：日不｜詳》一季居奉公人出替之儀当二月六日大目付中ゟ
　　御留守居江被申渡有之候処三月は　御参勤前ニ而御供之
　　面々家来指替候ニも都合悪敷且百姓共村々江引込候而も
　　耕作之時節ニ後レ指支之儀共有之ニ付如何相心得可申哉

【左丁】
　　渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿江御家老飯田主米《割書：安｜成》ゟ及問合候処江戸大坂ニ而
　　他国之者召抱候出替は三月五日同所ニ而も国之者は
　　公辺ニ而御構無之候尤国々之儀は勝手次第之旨御指図有之
一　同月十九日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於　御城
　　御渡有之御家来拝領物等如例
一　十二月三日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈
　　被献之
一　同月十一日右同断ニ付御使者を以例之通御国産《割書：二｜番》生鱈
　　被献之

【右丁】
一　十二月十九日保科肥後守《割書：正｜之》殿卒去《割書：十八｜日》之処
　　女院御所御弟ニ付　御機嫌為御伺京都江御使者被指出之
　　　　　但右御使者今日江戸御屋敷出立
　　　　　一此節　公辺江も　御機嫌御伺可有之候得共御記録類不詳
一　同月廿七日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
一　同月廿八日　兵部大輔様四品被　仰付

【裏表紙】

家譜

【表表紙】
【題字箋】
《題：家譜《割書：吉品公｜　》《割書：従元禄七年｜到同九年》十九》

【右丁】見返し
【左丁】扉

　吉品様《割書：従元禄七年甲戌｜至同九丙子》
　

元禄七年甲戌
　一正月朔日於　御本丸年始御規式有之
　一同日為年始御祝儀御使者を以例之通御太刀馬代
　　被献之
　一同日
　　監物様為年始御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代
　　御献上呉服御拝領

　一正月三日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃台
　　御酒代被献之
　一同月七日為御上初御使者を以例之通御肴被献之
　一同月十一日年始三ヶ日之御規式相済候為御祝儀江戸表江
　　御使者被指出之御肴一種被献之右御使者今日福井出立
　　　　　　　但同月廿三日御返書御渡有之
　一同月十二日旧冬　越後守《割書：光｜長》様御願之通源之助《割書：宣｜富》御養子
　　被　仰出候ニ付而之御礼御使者長坂久大夫昨江戸着
　　《割書：去二日御同表｜出立》今日御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江罷出《割書：御留守居原｜平左衛門同道》御書

　　指出之
　　　　　　但同月十五日御返書御渡有之
　一同月十四日
　　監物様去ル十二日ゟ御発熱之処今日ゟ御疱瘡ニ相成
　一同日右同断ニ付御国表江為御使大御番萩原猪大夫《割書：政｜冨》
　　早駆ニ而被指遣之
　　　　　　但猪大夫十八日福井着
　一同月十九日右同断ニ付為御見廻高屋善右衛門《割書：重｜英》早駆ニ而
　　江戸表江被指遣之

　一正月廿六日御参勤御時節為御伺御使者被指出候処当
　　四月中御参府可被成旨之御奉書今日御渡有之
　一同月二十廿七日
　　監物様御疱瘡御平癒御酒湯御祝儀有之
　一二月《割書：一日不｜詳》月次　御機嫌御伺江戸表江御使者被指出之
　　御肴一種被献之
　　　　　　但御使者江戸着日不詳
　一三月二日於桜之馬場本多孫太郎《割書：長｜員》初寄合迄乗馬
　　御覧有之

　一同月五日御勝手御不如意ニ付当番ゟ御家中　拝　知并
　　御充行之内御借可被成ニ付左之通被仰出之
　　　　　　御勝手年々御不如意就中去暮必至之御事
　　　　　　当春　御参勤之御用意も難被遊様子ニ付旧冬
　　　　　　海福猪兵衛上方江被遣御勝手之儀様子申談候
　　　　　　両替善五郎儀前々ゟ御用承故仕送り之儀申談
　　　　　　御請申上江戸表御用相調候右之御返済御蔵入
　　　　　　ニ而難相整ニ付各拝知并御擬作之内当暮ゟ一両
　　　　　　年御借可被遊旨左様可被相心得候猶又委細之

　　　　　　儀者追々可被　仰出候先何も為心得可申聞由但
　　　　　　江戸御供之面々并火消ニ被召寄面々当暮ハ御借り
　　　　　　不被成候以上
　　　　　　　　三月五日
　一三月廿二日於　御座所今度被　仰出候御借米員数之
　　書付諸月番江相渡且又筒■【簡略】之儀先年被仰出候ゟハ
　　猶以粗服を用専木綿着仕万事可致倹約旨月番
　　御家老松平庄兵衛《割書：正｜恒》申渡之

　　　　　　　　　覚
　　　　　一地方ニ而被下六百石以上壱ツ返【通】上納之事
　　　　　一御代官付き并明里蔵出之面々五百五拾石以下
　　　　　　七歩通上納之事
　　　　　一御合力銀米取免積三ツ五歩ニ〆知行高ニ積
　　　　　　七歩通米上納之事
　　　　　　　但扶持方之分ハ除之
　　　　　一御切米取弐拾壱石ゟ上ハ知行高ニ積七歩通
　　　　　　上納之事

【右丁】
　　　　　　　但扶持方之分ハ除之
　　　　　一拾五人扶持ゟ上御扶持米迄被下置面々知行
　　　　　　高ニ積七歩通上納之事
　　　　　一御切米取弐拾石ゟ下ハ末々迄知行高ニ積
　　　　　　五歩通上納之事
　　　　　　　但扶持方之分ハ除之
　　　　　一拾四人扶持ゟ拾人扶持迄御扶持米斗被下
　　　　　　置候面々知行高ニ積五歩通上納但九人扶持ゟ
　　　　　　下ハ上納御免之事

【左丁】
　　　　　一江戸京定詰定御供之分ハ末々迄上納
　　　　　　御免之事
　　　　　一三年四年過当年江戸御供之面々当暮
　　　　　　上納御免来年罷帰候者暮之上納馬持
　　　　　　之分高ゟ半分御免其外侍分三ヶ一御免
　　　　　　之事
　　　　　一当年江戸ゟ罷帰候御留守居番之面々
　　　　　　当暮之上納馬持之分高ゟ半分御免
　　　　　　其外侍分ハ三ヶ一御免来年ハ並之上納

【右丁】
　　　　　　可仕来春御留守番罷越候面々当暮来年
　　　　　　上納御免之事
　　　　　一役料知被下置面々馬役料之分上納御免
　　　　　　之事
　　　　　一本知三百五拾石三百石被下置面々百石之分
　　　　　　役料同事上納御免之事
　　　　　一役料共弐百七拾五石弐百五拾石被下置面々
　　　　　　馬所持仕候付本知之分五歩通上納之事
　　　　　一他国江応知行高人馬召連罷越候時ハ其

【左丁】
　　　　　　年之上納御免之事
　　　　　一火消御用ニ付江戸江相詰候面々其年之
　　　　　　上納御免帰候年ハ御供番並ニ上納之事
　　　　　一定御供之内御国ニ被残置候面々ハ並之
　　　　　　上納可仕事
　　　　　一江戸表江御使者罷越候面々道中軽仕罷越
　　　　　　於江戸御貸人被　仰付筈上納之儀者御定
　　　　　　之通ニ可仕事
　　　　　一江戸定御供三年四年過之面々江戸詰

【右丁】
　　　　　　之内御参勤年五月中ニ罷帰候者其年
　　　　　　之上納江戸御供帰年之並ニ可仕六月以後ニ
　　　　　　罷帰候者其年之上納御免之事
　　　　　　　但定詰之面々ハ可唯右事
　　　　　一御切米取江戸表江御使其外就御用罷
　　　　　　越不時ニ逗留仕候儀有之時上納御借被成
　　　　　　内ハ末々迄逗留中増扶持方被下上納者
　　　　　　御免無之事
　　　　　一役人以下御切米取末々迄当年江戸江相詰候

【左丁】
　　　　　　者共当暮上納御免来年罷儀候者暮之
　　　　　　上納御国並可仕来春御留守ニ相詰候者共
　　　　　　当年来暮上納御免之事
　　　　　一江戸京方之役人御徒以下末々迄御用使ニ
　　　　　　被遣候共上納之儀ハ御定之通可仕事
　　　　　　　　三月日
一三月廿五日福井　御発駕東海道通御旅行
一同月廿八日　備中守《割書：直｜堅》様御嫡岩次郎《割書：直｜知》様初而　御目見
一四月九日品川御昼休ゟ直ニ　御参府為御案内御老中

【右丁】
　御廻勤霊巖島御屋敷江　御着
一四月十一日御用番阿部豊後守《割書：正｜武》殿江御逢対　御勤夫ゟ
　若年寄中江　御廻勤
一同日御参府ニ付　上使御老中戸田山城守《割書：忠｜昌》殿御越　上意之趣
　御達有之《割書：上使御取扱｜如例》御退出後右為御礼御老中御側御用人　
　若年寄中江　御廻勤
一同月十四日《割書：六半｜時》　御登　城《割書：昨十三日御用番阿部豊後守殿ゟ｜御老中連名之御切紙来》
　御参勤之御礼被仰上例之通御太刀銀綿御献上
　御台様江白銀縮緬被指上之御退出掛為御礼御老中御側御用人

【左丁】
　若年寄中江　御廻勤
一同月十八日歳暮御祝儀御献上ニ付而之御内書於
　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一同月廿一日御側御用人柳沢出羽守《割書：保｜明》殿江御出御講談
　御拝聴之御願被　仰入
一同月廿二日御参府ニ付為御土産御使者を以例之通色
　奉書紙被献之　御台様江両面打墨鳥子紙被指上之
一同月廿六日御老中連名之御切紙を以本庄火消被蒙　仰
　　　　　　本庄火消被

【右丁】
　　　　　仰付候間被存其趣可有勤仕候以上
　　　　　　　四月廿六日　　　　　土屋相模守
　　　　　　　　　　　　　　　　　戸田山城守
　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守

　　　　　　　　松平兵部大輔殿

一四月廿七日右同断ニ付為御礼御老中御側御用人江御廻勤

【左丁】
　若年寄中江御使者御留守居松原善左衛門《割書：矩｜成》被指出之
一同日御内証ゟ御料紙箱御硯箱被献之御老中土屋
　相模守《割書：政｜直》殿迄御使者加賀藤左衛門《割書：成｜興》を以被指出之右御披露
　済之御切紙相模守殿ゟ来ル
　　　　　　被献之候御料紙箱御硯箱於御内証
　　　　　　首尾好披露相済候間可御心安候此段為可
　　　　　　申入如此御座候以上
　　　　　　　四月廿七日　　　　　土屋相模守
　　　　　　　　松平兵部大輔様

【右丁】
一五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子
　御単被献之白銀被指上之
一同月十日御側御用人柳沢出羽守《割書：保｜明》殿江御出御講談
　御拝聴之御願被　仰入
一同月十三日桂昌院様江御内証ゟ奉書紙《割書：五十｜束》生肴一種
　被指上之《割書：本庄因幡守殿迄｜御問合之上》御使者原平左衛門《割書：正｜武》を以本庄
　因幡守《割書：宗｜資》殿迄被指出之
一同日
　監物様御同道ニ而御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江御出

【左丁】
　監物様御疱瘡相済候ニ付御病後之御礼被仰上度旨御願
　之趣被　仰入
一同月十四日上野介《割書：近｜栄》様壱万石御加増被　仰出候為御礼御用
　番土屋相模守《割書：政｜直》殿御側御用人江　御勤
一同月十五日
　監物様　御登　城御病後之御礼被　仰上御箱肴一種
　御献上右ニ付
昌親様此時ハ昌明様ナラン
一同月廿二日御使者を以例之通御国産初鯖被献之

【右丁】
一閏五月十二日松平主膳《割書：吉｜広》殿江《割書：長門守《割書：吉｜就》殿御養子｜監物様御兄》出羽守《割書：綱｜近》様御女
　御縁組被　仰出依之御礼勤之儀御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江
　御伺之処不及其儀
　監物様ニハ御勤有之候様御指図ニ付
　監物様為御礼御老中御側御用人江　御廻勤
一同月十四日
　監物様御同道ニ而御側御用人柳沢出羽守《割書：保｜明》殿江御出
　御講談御拝聴之御願被　仰入
一六月四日暑中ニ付　御機嫌為御伺

【左丁】
　監物様御同道ニ而御老中江　御勤　桂昌院様御機嫌
　為御伺本庄因幡守《割書：宗｜資》殿江　御勤
一同月五日右同断ニ付御使者を以例之通御国産索麪干鯛
　被献之
一同月十一日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一同月十八日
　監物様御同道ニ而御側御用人柳沢出羽守《割書：保｜明》殿江御出御講談
　御拝聴之御願被　仰入

【右丁】
一七月三日御使者を以例之通御国産初鱈被献之
一同日　桂昌院様江御内証ゟ御国産初鱈三被指上之《割書：御問合｜之上》
　御使者加賀藤左衛門《割書：成｜興》を以本庄因幡守《割書：宗｜資》殿迄被指出之
一同月六日為御生身玉御祝儀御使者を以例之通黄金
　被献之
一八月朔日為御祝儀
　監物様御同道ニ而　御登　城例之通御太刀馬代御献上
一同日
　隆芳院様五十回御忌御法事去年御執行有之候得共

【左丁】
　御正当ニ付昨廿九日晩ゟ今朝迄於浄光院御茶湯御執行
　有之
　　　但右ニ付殉死之面々寺々江市村勘右衛門　を以御香奠
　　　　銀一枚宛被下之
一同月十二日松平主膳《割書：吉｜広》殿御元服　御一字御拝領ニ付
　監物様為御礼御老中御側御用人江　御廻勤
一同月十四日
　監物様御同道ニ而御側御用人柳沢出羽守《割書：保｜明》殿江御出
　御講談御拝聴之御願被　仰入

【右丁】
一九月五日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　白銀被指上之
一同月十五日御足痛ニ付御登城御断
一同月廿九日
　監物様御同道ニ而御側御用人柳沢出羽守《割書：保｜明》殿江御出
　御講談御拝聴之御願被　仰入
一十月十三日　桂昌院様ゟ伊勢江御代参《割書：六角越前守殿｜》被遣候処
　帰府ニ付為御歓御肴一種御樽代千疋被指上之御使者
　加賀藤左衛門《割書：成｜興》を以本庄因幡守《割書：宗｜資》殿迄被指出之

【左丁】
一同月十四日
　監物様御同道ニ而御側御用人柳沢出羽守《割書：保｜明》殿江御出
　御講談御拝聴之御願被　仰入
一同月廿一日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一十一月廿七日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈
　被献之
一同月廿八日桂昌院様江御内証ゟ御国産生鱈二被指上之《割書：昨廿七日｜御■■》
　御使者加賀藤左衛門《割書：成｜興》を以本庄因幡守《割書：宗｜資》殿迄被指出之

【右丁】
一同日本庄筋出火ニ付御出馬被成候段御用番阿部豊後守《割書：正｜武》殿江
　御留守居三沢甚右衛門《割書：富｜久》を以御届有之
一十一月廿九日法華宗善行寺正法寺本寿寺不義之儀
　有之破却被　仰付候ニ付寺社奉行渥美新右衛門《割書：友｜信》方ゟ京都
　本寺江申遣候処妙満寺《割書：本寿寺｜本寺》本能寺《割書：正法寺｜本寺》立本寺《割書：善行寺｜本寺》ゟ
　使僧を以新右衛門方迄左之通申来ル
　　　　　　乍恐口上
　　　　此度三箇寺不義ニ付破却被　仰付候就夫当地諸
　　　　寺中江正法寺善行寺御預被遊候処不慮ニ欠落

【左丁】
　　　　仕候依之閉門遠慮被　仰付候段御尤ニ奉存候然共
　　　　此方末寺共之儀ニ付一宗之諸寺及難儀候段本能寺
　　　　立本寺妙満寺於三ヶ寺迷惑仕候間以御了簡御赦
　　　　免被遊被下候ハヽ忝可奉存候以上
　　　　戌　　　　　　　　　　本能寺役者
　　　　十一月日　　　　　　　　常　性　院　　
　　　　　　　　　　　　　　　立本寺役者
　　　　　　　　　　　　　　　　勧　持　院
　　　　　　　　　　　　　　　妙満寺役者
　　　　　　　　　　　　　　　　法　性　院
　　　　御奉行所

【右丁】
　　　　使僧口達之趣
　　　　　　今度三ヶ寺不義之様子不及是非本寺迄迷惑至
　　　　　　極仕候御国法之儀大切之儀ニ候得ハ此上難申上奉存候
　　　　　　得共寺号之儀ハ其儘被下置候ハヽ難有可奉存由
一　十二月三日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：二｜番》生鱈
　　被献之
一　同月十三日
　　監物様御同道ニ而御側御用人柳沢出羽守《割書：保｜明》殿江御出
　　御講談御拝聴之御願被　仰入

【左丁】
一　同月十八日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　白銀被指上之
一　同日源之助《割書：宣｜冨》様《割書：越後守《割書：元｜義》様｜御養子》四品被　仰付

【右丁】
白紙

【左丁】
元禄八年乙亥
一　正月朔日為年始御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代
　　御献上呉服御拝領
　　監物様ニも御登　城例之通御太刀馬代御献上呉服御拝領
一　同日於　御屋形年始御規式有之
　　監物様御帰殿後御名代ニ而諸士之御礼被為請
一　同月三日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃台

【右丁】
　　御酒代被献之
一　正月七日為御上初御使者を以例之通御肴被献之
一　同月十三日
　　監物様御同道ニ而御側御用人柳沢出羽守《割書：保｜明》殿江御出
　　御講談御拝聴之御願被　仰入
一　二月廿八日御登城被成候処御礼後御老中列座ニ而御講談
　　御拝聴被　仰付候間来月朔日
　　御父子様御同道御登城可被成旨御達有之

【左丁】
一　三月朔日
　　監物様御同道ニ而　御登　城御講談《割書：易｜経》御拝聴被成御退
　　出掛右為御礼御老中御側御用人若年寄中江　御廻勤
一　同月九日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　同月十五日
　　監物様御前髪執之儀ニ付御留守居村上三大夫《割書：正｜峯》を以御老中
　　土屋相模守《割書：政｜直》殿江左之通御伺書被指出之

　　　　　　　同姓監物儀近日前髪為執申度存候
　　　　　　　依之得御内意候以上
　　　　　　　　三月十五日　　　　松平兵部大輔

一　三月十六日右同断ニ付御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿ゟ御呼出
　　御留守居村上三太夫《割書：正｜峰》罷出候処御前髪執之儀御勝手次第
　　被成候様御指図有之
一　同月廿一日
　　監物様御前髪被為　執於奥御書院

　　昌明様江　御対顔御長蚫御雑煮出御盃事有之
　　其節
　　監物様江御刀《割書：備前｜則光》一腰被進之
一　同月廿二日右同断ニ付
　　監物様御同道ニ而御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿御用番阿部
　　豊後守《割書：正｜武》殿江　御勤
一　同月廿五日
　　監物様御同道ニ而御側御用人柳沢出羽守《割書：保｜明》殿松平
　　右京太夫《割書：輝｜員》殿江御出御購読御拝聴之御願被　仰入

一　三月二十六日今度《割書：去月｜廿二日》坂井郡丸岡城主本多飛騨守《割書：重｜光》殿領
　　知被召上松平壱岐守《割書：仲｜澄》殿江御預ケ御嫡■斗　殿者京極喜内《割書：高｜通》殿江
　　御預ケ被　仰出候ニ付丸岡騒動之儀も難斗ニ付御徒目付并
　　組之者等不目立様彼近辺江指出候様御目付江月番御家老
　　申渡之
一　同月廿七日右同断ニ付御先物頭熊谷小兵衛《割書：正｜長》江組之者召連
　　今庄迄罷越板取二ツ屋御関所之儀念を入可申付旨月番
　　御家老申渡之
一　四月二日大和守《割書：直｜矩》様御病気為御養生御出府御願之上御在

　　所御発途被成候處御道中ニ而《割書：下野国｜錫柳沢》御大切ニ付御嫡和泉守《割書：基｜知》様
　　為御看病御越被成度且御医師被遣被下候様和泉守様ゟ
　　御願被成候処御願之通被　仰出候ニ付　右為御礼御用番江御使者
　　被指出之
一　同月十日
　　監物様御同道ニ而御側御用人柳沢出羽守《割書：保｜明》殿江御出御講読
　　御拝聴之御願被　仰入
一　同月十四日　上使御老中大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿を以御国許江之
　　御暇被　仰出例之通白金御袷御拝領《割書：上使御取扱｜如例》其節
追付
　　









　　御登城被成候様御達有之
一　同日　御登　城御暇之御礼被　仰上例之通御馬御拝領御退
　　出掛右為御礼御老中御側御用人若年寄中江御廻勤
一　四月十五日大和守《割書：直｜矩》様御卒去《割書：五法号｜天祐院殿》
一　同月十八日御拝領之御馬御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿ゟ使者ニ而為牽来
一　同月廿六日江戸　御発駕東海道通御旅行
一　五月朔日御使者を以て例之通御国産初鯖被献之
一　同月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単被献之
　　白銀被指出之

一　同日丸岡城為御請取土井甲斐守《割書：■｜知》殿御城下筏町通通行
　　ニ付松本四辻江御家老酒井興三左衛門《割書：元｜宣》御使番今村伝兵衛《割書：正｜■》
　　被指出之御在番分部隼人正《割書：信｜政》殿上四ゟ通行ニ付其節右同様
　　大橋詰江罷出
一　同月四日丸岡之城引渡之御目付　上使成瀧右衛門　殿
　　渡辺弥之助　殿御城下通行ニ付大橋詰江御家老酒井
　　興三左衛門《割書：元｜宣》御使者今村伝兵衛《割書：正｜司》被指出之
一　同月九日　御着城

一　五月十日右同断ニ付御礼御使者松平主馬《割書：正｜恒》江戸表江
　　被指出之今日福井出立
一　同月廿五日為御帰国御礼御使者松平主馬《割書：正｜恒》を以例之通
　　奉書紙幷昆布干鯛御樽被献之主馬　御城江罷出
　　《割書：昨廿四日御留守居ゟ｜御用番江伺之上》御献上物相納之其節檜之間江御用番戸田
　　山城守《割書：忠｜昌》殿出座御奏者番朽木伊豫守《割書：■｜二行目》殿江御目録主馬
　　指上之
　　　　　但主馬去ル廿二日江戸着廿三日御用番江御書指出

一　同月廿九日右同断御使者松平主馬《割書：正｜恒》　御城江罷出候処
　　《割書：昨廿八日御用番戸田｜山城守殿ゟ申来》於檜之間御用番戸田山城守《割書：忠｜昌》殿御返書御渡
　　有之其節主馬江御時服三拝領被　仰付旨山城守殿被申
　　聞之御品者御奏者番黒田甲斐守《割書：長｜重》殿主馬江被相渡之
　　相済主馬拝領物之為御礼御用番幷土屋相模守《割書：政｜直》殿江
　　相勤
一　同月《割書：日不｜詳》御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿ゟ御呼出御留守居罷出
　　候處御精進揚御献上之御肴向後干肴塩肴之内可被
　　






　　献旨被　仰渡之
一　六月九日和泉守《割書：基｜知》様江御父大和守《割書：直｜矩》様御遺領《割書：奥州白川｜拾五万石》無御相違
　　被　仰出
一　同月十二日於浄光院昨十一日暁ゟ今朝迄　慶寿院様三十
　　三回御忌御法事御執行有之
一　同月十六日御領分ｎ丹候間生郡大丹生浦并足羽郡小字坂郷
　　十六四ケ村猪廉多ク土田畑を荒百姓共致難儀候間威鉄砲
　　御貸被下候様願出候ニ付江戸表江御伺之上大丹生浦江鉄砲

　　二挺小宇坂郷十四ケ村江壱挺宛御貸渡ニ相成玉之儀者勿論
　　大豆小豆之類たりとも入候儀堅無用可致鉄砲打候者ハ庄屋
　　壱人ニ限若庄屋故障有之節者長百姓打候様可致親子兄
　　弟ニ而も鉄砲貸申義ハ堅停止可申付旨郡奉行江月番御家老
　　申渡之
一　同月《割書：日不｜詳》右同断ニ付鉄砲御御改中江左之通御証文被指出之

　　　　　　　越前国丹生郡之内一ケ村
　　　　　　　一　鉄砲弐挺

　　　　　　　同国足羽郡之内十四ケ村
　　　　　　　　一　鉄砲十四挺
　　　　　　　右拙者領分之内廉猪多クッ出作毛荒レ百姓迷惑仕候
　　　　　　　就夫玉込不申候鉄砲ニ而おとし申度存鉄砲十六挺
　　　　　　　當亥ノ六月ゟ同八月迄百姓ニ預ケ申度旨奉願候処
　　　　　　　願之通被　仰付候若右之鉄砲ニ玉を込悪事仕出シ
　　　　　　　申候■又ハ殺生なと仕候ハヽ本人ハ不及申ニ名主五
　　　　　　　人組迄可為曲事旨急度申付置候此鉄砲之儀作人ハ
　　　　　　　不及申ニ縦親子兄弟ニ而御座候共鉄砲預り主之外
　　　　　　　
　　　　　　　余人江借申儀曾而以仕間敷段堅ク可申付候右之趣
　　　　　　　相背候ハヽ何様之曲事ニも可申付旨名主五人組
　　　　　　　鉄砲預り主方ゟ手形取置申候為其必此御座候
　　　　　　　以上　　　　　　　　　　　　　　　　　御印判
　　　　　　　　元禄八乙亥年六月日　　　松平兵部大輔　御書判
　　
　　　　　　　　　　　　　加藤兵助殿
　　　　　　　　　　　　　中坊長兵衛殿
一　六月十八日暑中ニ付御書を以例之通御国産素麵干鯛
　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　被献之
一　六月廿四日暑中　御機嫌御伺御使者大藤金左衛門《割書：直｜重》昨廿一日
　　江戸表《割書：去十一日御国表｜出立》今日御用番大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿江罷出《割書：御留守居松原｜善左衛門同道》
　　御書指出之
一　同月廿五日右同断御使者大藤金左衛門《割書：直｜重》御城江罷出
　　《割書：御留守居松原｜善左衛門同道》御献上之御肴《割書：干｜鱚》一箱相納之
　　　　　　但右御返書同月廿六日御用番大久保加賀守殿ニ而御渡有之

一　七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之

一　同月弓師役之者江巧者成弟子共五六人宛召連罷出候様
　　被　仰付於川端御茶屋■術御■有之相済師役初弟
　　子供江御赤飯被下之
一　同月七日
　　監物様御頭痛気ニ付御登城御断
一　同月廿日町奉行川口摂津守《割書：重｜嫌》殿ゟ御切紙を以本多飛騨守《割書：重｜■》殿
　　元家来木村左五太夫御尋之儀ニ付岡部半兵衛《割書：元｜成》同道ニ而可罷出候
　　若半兵衛不罷在候ハヽ御留守居斗罷り出候様御留守居迄申来
一　同月廿一日右同断ニ付御留守居松原善左衛門《割書：矩｜成》町奉行所江







　　罷出候処大目付前田安芸守《割書：直｜勝》殿町奉行川口摂津守《割書：重一嫌》殿
　　能勢出雲守《割書：頼｜相》殿其外安藤与十郎《割書：信｜岑》殿松野八郎兵衛《割書：助｜義》殿列
　　座御尋者木村左五太夫与申者今以不罷出候依之御家来岡部
　　半兵衛《割書：元｜成》儀者小■之儀ニ候得者左五太夫彼方江手寄参候儀も
　　可有之候間半兵衛江尋出候様可被申付旨安芸守殿被申渡之
一　同日御書を以例之通御国産初■被献之
一　同日　桂昌院様江御内証ゟ例之通御国産初■被指上之
一　七月廿三日商売鉄砲之内九挺売掛申度段町人共願出候ニ付
　　願之通被　仰付依之右御証文一通宛鉄砲御役加藤

　　兵助　殿中坊長兵　殿江御使者御留守居を以被指出之　
一　八月朔日為御祝儀　御使者を以例之通御太刀馬代被献之
一　同月六日　桂昌院様江御内証ゟ御屋敷内御樹木之梨子
　　被指上之　御使者御留守居松原善左衛門《割書：矩｜成》を以本庄因幡守《割書：■｜■》殿迄
　　被指出之
一　同月九日丸岡城有馬左兵衛之佐《割書：■｜■》殿江御拝領ニ付御引渡相済
　　御在番分部隼人正《割書：信｜政》殿御目付成瀬瀧右衛門　殿渡辺弥之助殿彼
　　地発足御城下通行ニ付大橋詰江御家老狛杢允《割書：貞｜澄》御使者
　　堀又右衛門《割書：元｜■》被指出之

　　









一　八月廿一日月次　御機嫌御伺御使者簗田勘太夫《割書：為｜長》昨
　　廿日江戸着《割書：去九日御国表｜出立》今日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江罷出《割書：御留守居｜三沢甚右ヱ門》
　　《割書：同｜道》御書指出之
　　　　　　但同月廿三日御返書御渡有之
一　同月廿二日右同断御使者簗田勘太夫《割書：為｜長》　御城江罷出《割書：御留守居松原｜善左衛門同道》
　　御献上之御肴《割書：鮮干｜鯛》相納之
一　九月朔日
　　監物様御登城之節先達而被　仰出候御尋者木村佐左五太夫在訴
　　相知候ニ付御家来岡部半兵衛《割書：元｜成》ニ御預ケ被置候
彼者之妻子御構
　　
　　無之候間勝手次第出方江成共被遣不苦旨美作守《割書：直｜■》様迄
　　大目付前田安芸守《割書：直｜勝》殿被申聞候旨美作守様ゟ御達有之
一　同月五日南条郡川内村中村二ケ所江同郡奥野村ニ有之候
　　文言之通割札相■候様郡奉行坂田右近右衛門《割書：永｜春》江月番御家老
　　松平庄兵衛《割書：正｜恒》申渡之
　　　　　　　　　條々
　　　　　　一　手判なくして他国江女不可相返事











　　　　　　

　　　　　　　一　商人其外往来之者庄屋長百姓遂吟味
　　　　　　　一　手負其外不審成者有之ハ留置奉行所江
　　　　　　　　　早速告可来事　
　　　　　　　一　自然狼藉者かけ落之届あ■■所の者出
　　　　　　　　　合留置其処江可申遣事
　　　　　　　一　相定御法度之諸色不可相通事
　　　　　　　　右之條々堅可相守者也
　　　　　　　　　　元禄八年九月日　　　　奉行

　　　　　　但奥野ニ村之割札年号ハ明暦二年■有之
一　九月十一日為御鷹狩吉江江御出被成《割書：同十六日｜御帰殿》
一　十月五日御長柄之者一組四十八人宛之処今度四人宛増被
　　仰付一組都合五十二人宛ニ相成
一　同月九日為御鷹狩三国江　御出被成《割書：同十九日｜御帰殿》
一　同月月次　御機嫌為御伺御使者御先物頭本多九太夫《割書：重｜安》江戸
　　表江被指出之御肴一種被献之九太夫今日福井出立
　　　　　　但九太夫江戸着日不詳同月廿ニ日御返書御渡有之
一　同月廿二日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於

　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　十月廿五日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：十一月六日｜御帰殿》
一　十一月廿九日銭相場之儀ニ付左之通御家中并町在江被
　　仰出之
　　　　　　一　近年銭七十文■■と直段を立被遣仕候古
　　　　　　　　銭直段にて当月晦日迄売掛り之分者小判
　　　　　　　　六十六■之両替積りニ可致被遣事
　　　　　　一　貸方質物代被遣候儀ハ最前約諾之通可
　　　　　　　　致相対次第事

　　　　　　一　當極月朔日ゟ金銀相場■■銭被遣仕七十文
　　　　　　　　之銭直段相止可申事
　　　　　　右之通相守向後金銀相場ハ無之銭直段立候儀
　　　　　　停止被　仰出候間可得其旨候以上
　　　　　　　　十一月
一　十二月三日於■蔵寺昨二日暁ゟ今朝迄　高照院様ニ十三回
　　御忌御法事御執行有之於谷中南泉寺も去朔日暁ゟ
　　今日迄《割書：二夜｜三日》御法事御執行有之
一　同月四日寒中ニ付　御機嫌為御伺御使者横井庄八《割書：■｜■》

　　江戸表江被指出之御肴一種被献之庄八今日福井出立
一　同日寒中ニ付例之通御献上《割書：一｜番》生鱈江戸表江被指立之
　　　　　　　但御献上之日不詳
一　十二月九日右同断《割書：ニ｜番》生鱈江戸表江被指立之
　　　　　　　但右同断
一　同月十九日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　白銀被指上之




元禄九年丙子　

一　正月朔日於　御本丸年始御規式有之
一　同日為年始御祝儀御使者酒井縫殿《割書：元｜■》を以例之通御太刀馬代
　　被献之
　　　　　　但縫殿旧臘七日御国表出立
一　同日
　　監物様為年始御祝儀　御　登城例之通御太刀馬代


　　御献上呉服御拝領
一　正月三日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃臺御酒代
　　被献之
一　同月七日為御上初御使者を以例之通御肴被献之
一　同月十一日年始三ヶ日之御規式相済候為御祝儀御使者
　　宮北長左衛門《割書：実｜由》江戸表江被指出之御肴一種被献之長左衛門
　　今日福井出立
　　　　　但同月廿ニ日御返書御渡有之
一　同日　桂昌院様御年賀《割書：御七｜十》ニ付為御祝儀二種一荷

　　《割書：御樽代｜千疋》被指上之御使者御留守居三沢甚右ヱ門《割書：富｜久》を以本庄
　　因幡守《割書：宗｜資》殿迄被指出之
一　同日御使番指物是迄母衣ニ《割書：賀珍｜色》金之釘出之処向後御改
　　白地四半ニ黒之天衝相用候様被仰出
一　同日御参勤御時節為御伺御使者木内甚兵衛《割書：定｜盛》江戸表江
　　被指出之今日福井出立
　　　　　　但甚兵衛江戸着日不詳
一　同月廿六日御老中ゟ御呼出ニ付御使者木内甚兵衛《割書：定｜盛》罷出
　　候處當四月中御参府可被成旨御老中連名之故奉書








　　御渡有之
一　正月廿七日本庄因幡守《割書：宗｜資》殿ゟ御呼出ニ付御留守居罷出候処
　　桂昌院様御年賀之節被指上物有之候ニ付右為御祝儀
　　桂昌院様御内証ゟ縮緬《割書：紅｜白》五巻御箱肴一種被下候段因幡守殿
　　被　仰渡之
　　　　　　但右ニ付御指し出す禮使者被指出儀御無用之旨候得共初而之儀
　　　　　　　ニ付御承知之上為御礼御使者川瀬次太夫江戸表江
　　　　　　　被指出之
一　二月八日御家中子供　御目見之儀幼少ニ而罷出候■如何ニ
　
　　思召候間向後十歳以上願可申上旨被　仰出
一　同月九日月次　御機嫌為御伺江戸表江御使者被指出之
　　　　　　但同月廿一日御返書御渡有之
一　同日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：同十六日｜御帰殿》
一　同月廿四日於浄光院去廿ニ日暁ゟ今朝迄《割書：二夜｜三日》
　　大安院様三十三回御忌御法事御執行有之
　　　　　　但三月御相当之処御発駕後ニ相成ニ付御取越ニ相成
一　三月朔日
　　監物様　御登　城《割書：昨廿九日｜被　仰出》御購読御拝聴被成

一　三月四日於月番御家老狛　杢允《割書：貞｜澄》宅所々ゟ仰出之
　　御書付幷　思召之御書付諸月番江杢允相渡之
　　　　　　一　於京都猥ニ刀を指紛敷者有之ニ付国々よ里
　　　　　　　　用事ニ而致上京候ハヽ其品可相達旨京都町
　　　　　　　　御奉行所ゟ京役本多武兵衛江被　仰聞之間
　　　　　　　　刀を指候者京都江差越候ハヽ御家中より　ハ
　　　　　　　　武兵衛かた江相達寺社幷町在々よりハ支配
　　　　　　　　所迄可達由《割書：元禄四未年｜十二月被　仰出二行目》　
　　　　　　一　町在々ニ而乳無之者賃を可取ため養ひ子
　　　　　　　　
　　　　　　　　仕事無用ニ可仕惣而幼稚之子養候時其所之
　　　　　　　　庄屋長百姓等ニ相断差図を受穏便ニ仕
　　　　　　　　間敷由可申付旨《割書：元禄八亥年｜十二月被　仰出》
　　　　　　一　夜ニ入五時以後罷通者把燈ともし筈夜ニ
　　　　　　　　入用事　無之ニハ下々猥ニ不罷出様面々家来
　　　　　　　　可申付旨《割書：前々ゟ相定事ニ候得共｜又々当年被　仰出》
　　　　　　思召之御書付
　　　　　　一　何茂寄合候時分最前被　仰出趣相守可申候
　　　　　　　　自然酒宴之節内外不慮之儀出来候得者

　　　　　　　　公私之為如何敷事ニ候其上勝手之失却ニも
　　　　　　　　候間向後猶以油断無之陽可相心得
　　　　　　　　思召に候以上
　　　　　　　　　　三月四日

一　三月廿五日福井　御発駕東海道通御旅行
一　四月九日品川駅御泊ゟ直ニ御参府為御案内御老中
　　御側御用人若年寄中江　御廻勤霊巌嶋御屋敷江
　　御着

一　同月十日右同断ニ付　上使御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿御越
　　上意之趣御達有之《割書：上使御取扱｜五例》御退出後右
為御礼御老中ゝ
　　御側御用人江　御廻勤
一　同月十一日　御登　城《割書：昨十日御用番阿部豊後守殿ゟ｜連名之御切紙在》御参勤之
　　御礼被　仰上例之通御太刀銀綿御献上　御臺様江白銀
　　縮緬被指上之御退出掛為御礼御老中御側御用人
　　若年寄中江　御廻勤
一　同月十四日御側御用人柳沢出羽守《割書：保｜明》殿松平右京太夫《割書：輝｜員》殿江
　御出御講読御拝聴之御願被仰入

一　四月十八日御参府ニ付為御土台御例の通り使者を以例之通五色
　　奉書紙幷御肴一種被献之　御臺様江両面打曇鳥子紙
　　被指上之
一　同月十九日右同断ニ付御使者を以　桂昌院様江例之通奉書紙
　　幷御肴一種指之
一　同月廿一日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単
　　被献之白銀被指上
　　　　　　但廿七日ゟ　公儀御法事有之ニ付御引揚ニ相成
一　同月廿二日御内証ゟ銀御香炉二《割書：柳■｜孔雀》被献之《割書：昨廿一日土屋相模守殿江｜御伺之上》

　　御使者御留守居村上三太夫《割書：正｜峰》を以御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿迄
　　被指出之右御披露済之御切紙相模守殿ゟ来

　　　　　　　　被伏候銀御香炉於御内証首尾能披露
　　　　　　　　相済候間可御心易候右之段為可申入如此御座候
　　　　　　　　以上
　　　　　　　　　　四月廿二日　　　　土屋相模守

　　　　　　　　　　　松平兵部大輔様



　　　　　　　　　

一　同日御老中連名之御切紙を以本庄御火消被蒙　仰
　　　　　　　
　　　　　　　本庄火消被　仰付候間諏訪安芸守増山
　　　　　　　兵部少輔被相談可有勤仕候以上
　　　　　　　　　四月廿二日　　　　　土屋相模守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　戸田山城守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　松平兵部大輔殿

一　五月朔日　
　　厳有院様十七回御忌御法事ニ付　御機嫌為御伺御使者
　　御留守居村上三太夫《割書：正｜峰》を以御桧重一組被献之《割書：去月廿七日｜御伺済》
一　同月八日右同断ニ付
　　公方様東叡山江　御参詣依之為御名代
　　監物様御豫参　御勤
　　　　　　但去ル五日御書付を以　御参詣之節御豫参御勤可被成旨
　　　　　　被　仰出其節御門番火之番当番者不及豫参旨
　　　　　　被　仰出候ニ付


　　　

　　　　　　　監物様御名代御勤被成
一　同日右同断ニ付於万福東叡山江御使者あまかたごろうｚ天方五郎左衛門《割書：友重御留守居｜　　村上三太夫》
　　《割書：同｜道》を以御香奠銀十枚被献之
　　監物様ゟも御使者林八右エ門《割書：正容同道｜　　同上》を以香奠銀三枚被献之
一　同日
　　監物様御同道ニ而　御登　城法事首尾能相済候御歓
　　被　仰上御退出掛御老中御側御用人江　御廻勤
一　同日右同断ニ付御使者御留守居代国枝小助《割書：奠｜真》を以御精進

　　揚之御肴《割書：干｜鯛》被献之
一　同月十三日
　　監物様御同道ニ而御側御用人江御出御講読御拝聴之
　　御願被　仰入
一　同月十六日　公領御代官中下代共迄町奉行渥美新右衛門《割書：友｜信》ゟ
　　与力杉田清左衛門　差遣先之御代官中江ハ申達置候儀ニ而此方
　　御領分之百姓ハ當城下を馬ニ乗不罷通筈往還ニ而も他
　　国他領之侍通合候節町人百姓慮外無之様前々ゟ申付
　　

　　置候儀ニ候且又盗賊人等　公領他領江遁去候共押然押置
　　候而其趣申達儀ニ候捨子捨馬等有之捨主被相知候ハヽ楽ニ為
　　相知可申趣為及物語候処下代共承知之旨申聞候由月番
　　御家老江新右衛門相達之
一　六月九日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例　
一　同日十一日
　　監物様御同道ニ而御側御用人江御出御講読拝聴之
　　御願被　仰入

一　同月廿二日大地震ニ付　御機嫌為御伺御用番大久保
　　加賀守《割書：忠｜朝》殿江御使者御留守居松原善左衛門《割書：矩｜成》被指出之
　　桂昌院様江も御機嫌為御伺本庄因幡守《割書：宗｜資》殿江御使者
　　被指出之
一　同月廿六日暑中ニ付御使者を以例之通御国産素麵干鯛
　　被献之
一　七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金
　　被献之
一　同月十一日

　　監物様御同道ニ而御側御用人江御出御講読御拝聴之
　　御願被　仰入
一　同日大目付仙石伯耆守《割書：久｜尚》殿ゟ申来御留守居罷出候処向後
　　御臺様　姫君様　桂昌院様江差上物何ニ不依御老中
　　御側御用人江相伺可致献上旨御書付被相渡之
一　七月廿二日大地震《割書：去十｜九日■》ニ付　御機嫌為御伺御用番大久保
　　加賀守《割書：忠｜朝》殿江　御勤
一　同月廿八日御使者を以例之通御国産初鱈被献之
一　八月朔日為御祝儀

　　監物様御同道ニ而　御登　城例之通御太刀馬代被献之
一　同月七日
　　監物様御同道ニ而御側御用人江御出御講読拝聴之
　　御願被　仰入
一　九月二日《割書：夜｜》土屋相模守《割書：政｜直》殿下屋敷《割書：本｜庄》出火ニ付　御出馬被成
一　同月三日右同断ニ付御用番江御留守居松原善左衛門《割書：矩｜成》を以
　　左之通御届書被指出之
　　　　　　　　　　覚
　　　　　　　昨夜九時過本庄土屋相模守下屋敷内長屋

　　　　　　　致出火焼失仕候彼地二指置候私家来之者も
　　　　　　　駆付消留申候私儀も罷出候為御断如此御座候以上
　　　　　　　　九月三日　　　　　　　松平兵部大輔
一　同日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　御臺様　桂昌院様江白銀被指上之
　　　　　　但右御祝儀　桂昌院様江初而被指上候得共御伺書等御記
　　　　　　　縁類ニ不詳
一　九月六日切支丹類族塗師屋八兵衛与申者致病死候ニ付
　　
　　切支丹奉行江御届有之
一　同月十二日
　　監物様御同道ニ而御側御用人江御出御講読御拝聴之
　　御願被　仰入
一　十月朔日
　　監物様御御不快ニ付御登城御断
一　同月十二日
　　監物様御同道ニ而御側御用人江御出御講読御拝聴之
　　御願被　仰入

一　十月十六日酒給候儀相慎候様御旗本衆且又町中江も
　　左之通被　仰出諸大名江者被　仰出も無之候得共江戸ニ詰
　　居候者致承知可然　思召候ニ付右御書付之写御番所江指
　　出候旨江戸表ゟ申来候ニ付御国表ニ而も無急度寄ニ相■
　　候様今日御目付江月番御家老申渡之
　　　　　　　　　　　覚
　　　　　　一　酒に酔心ならす不届仕候もの粗有之候兼而
　　　　　　　　より大酒仕候儀停止候得共弥以酒給候儀人ニ
　　　　　　　　相慎可申事

　　　　　　一　客等有之候而も酒給候儀無用候事
　　　　　　　　　但酒狂之者有之候ハヽ酒為給候者も可為■度事　　　　　　一　酒商売仕候もの連々減候様ニ可仕事
　　　　　　右之通急度可相守於違背者可為曲事候以上
　　　　　　　　於
一　同月廿二日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　十一月六日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江御逢對　御勤
一　同月十二日　

　　監物様御同道ニ而御側御用人江御出御講読御拝聴之
　　御願被　仰入
一　十一月十四日
　　本院御所　崩御《割書：去十｜日》ニ付
　　公方様御機嫌為御伺
　　監物様御同道ニ而　御登　城
　　　　　但右同断ニ付翌十五日も御登城有之
一　同月十六日右同断ニ付京都御勤向之儀御用番土屋
　　相模守《割書：政｜直》殿迄御伺被成候處貞享二丑年

　　後西院　崩御之節之通御使者を以御香奠御献上被成候様
　　御指図有之
一　同月廿一日右同断ニ付於御国許今日ゟ来廿七日迄普請鳴物等
　　停止被　仰出
一　同月廿五日右同断ニ付江戸表ゟ被指立候趣ニ而御使者御先物頭
　　松原四郎兵衛《割書：嘉｜明》京都江被指■之御香奠銀十枚被献之
　　監物様ゟも同三枚被献之四郎兵衛今日福井出立
一　同月廿九日先年ゟ安居大渡之渡船割賦指出候村々之内
　　公領ニ相成候村方ゟ割賦銀出不申ニ付船賃を取相渡候處

　　公領下一光村五太子村ゟ割賦銀出可申候間前々之通相成候様
　　去戌年願出候ニ付小渡船之割賦銀も指出候ハヽ御免可被成旨
　　被仰出候処今度彼辺公領村々ゟ入用銀指出可申候間小渡
　　船も被　仰付被下候様願出候旨御代官稲葉平右衛門　殿ゟ
　　郡奉行仙谷喜左衛門　迄申来候段喜左衛門相達候ニ付願之通
　　被　仰付
一　十二月五日御登城《割書：昨四日御用番戸田山城守殿ゟ｜連名之御切紙来》於御白書院縁類御老中
　　列座被任左近衛権少将之旨御達有之御退出掛右為御礼御老中
　　御側御用人若年寄中　御廻勤御奏者番中其外芙蓉

　　之間御役人中江御使者被指出之
一　同日右同断ニ付為御礼
　　監物様御老中御側御用人江　御廻勤
一　同月六日右同断ニ付本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老御城代江御書
　　被成
一　同月十日
　　監物様御同道ニ而御側御用人江御出御講読御拝聴之
　　御願被　仰入
一　同月十一日　御登　城《割書：昨十日御老中連名之｜御切紙来》　御任官之御礼

　　被　仰上御太刀馬代《割書：黄金｜十両》御小袖《割書：十》御献上御退出掛為御礼
　　御老中御側御用人若年寄中江　御廻勤
一　同日右同断ニ付　御臺様　桂昌院様江白銀二十枚宛被指
　　上之
一　十二月十四日今度御任官ニ付為御礼御老中戸田山城守《割書：忠｜昌》殿
　　土屋相模守《割書：政｜直》殿大久保加賀守《割書：忠｜朝》殿江　御勤
一　同月廿一日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　御臺様　桂昌院様江白銀被指上之
一　同日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被献之

一　同月廿二日右同断ニ付　御機嫌為御伺御老中戸田
　　山城守《割書：忠｜昌》殿江　御勤
一　同月廿五日右同断ニ付御使者を以例之通御国産《割書：二｜番》生鱈
　　被献之
一　同月晦日御用番戸田山城守《割書：忠｜昌》殿ゟ御呼出御留守居松原
　　善左衛門《割書：矩｜成》罷出候処御任官之口　宣御頂戴之儀ニ付御老中ゟ
　　京都所司代小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江之御奉書御渡有之









表紙

家譜

家譜《割書：宗矩公｜》《割書：従正徳五年｜到享保九年五月｜》　三十七

宗矩様《割書：従正徳五年乙未至享保｜九年甲辰五月》

　　　　　　　　　兵部大輔
　　　　　　　　　　　宗矩様《割書：初昌昭享保十一年　御一字御拝領｜宗矩と御改》

家継様御代
　正徳五年乙未

　　一、三月廿六日於武州江戸愛宕下御屋敷　御誕生《割書：御本卦坤｜御性金》
　　　　奉称
　　　　千次郎様

大和守　様御次男主税頭　様之御次男御母某氏《割書：後称｜清心院》









吉宗様御代
　享保六年辛丑
　　一、十二月十一日
　　　　吉邦様御在国中仮御養子之処
　　　　昌平様御相続被　仰出候ニ付其節御養子ニ被　仰出御成
　　　　長之上
　　　　吉邦様御女之御婚姻之儀被　仰出候趣御用番水野
　　　　和泉守　殿を以被　仰出

一　十二月十六日
　　昌平様常盤橋御屋敷江御引移ニ付大和守　様之御同
　　道ニ而御越初而　御対顔有之
一　同月廿七日来年始御礼之儀
　　昌平様ゟ御用番水野和泉守　殿迄御伺被成候処不及其
　　儀旨御指図有之
一　同月廿八日吉辰ニ付常盤橋御屋敷江　御引移其節
　　昌平様ゟ為御迎若年寄岡部左膳　被遣之被為　入候上　　
　　三献之御祝有之為御待請左兵衛督　様幷御出入之御旗

　　本中御指請有之










享保七年壬寅

　一　正月朔日
　　　昌平様御帰殿後為年始御祝儀小太刀銀馬代　御持参
　　　御表江　御出
　　　昌平様江　御対顔三献之御祝有之
　一　同月六日　陽寿院様御住所江　御出初而　御対顔有之
　一　同月十一日御表江　御出被成御具足之餅御祝有之

一　正月廿八日若年寄岡部左膳　御附ニ被　仰付
一　二月九日霊巖嶋御屋敷江　御出　智高院様江初而　御対顔
　　有之
一　三月十三日御相続之為御祝儀御老中御招請ニ付御書院江
　　御出被成
　　宗昌様之御同道ニ而御老中水野和泉守　殿江御逢有之
一　八月六日
　　宗昌様江　上使御老中戸田山城守　殿を以御国許江之御従
　　被　仰出候ニ付御書院江　御出山城守殿江御逢被成《割書：向井将監殿｜御取含有之》

　　　　　但御幼年ニ付御送迎無之
一　同月七日
　　宗昌様与御名乗
　　昌昭様与御附被進之於　御居間御折紙　御直ニ被進之
　　御頂戴畢而御吸物出御盃事有之右為御祝儀
　　宗昌様ゟ御使青山登　を以御太刀金馬代一種一荷被進之
　　昌昭様ゟも御使笹治権右衛門　を以
　　宗昌様江右同断被進之
一　九月十三日

一　宗昌様去二日　御着城ニ付為御祝儀御使日比源右衛門　を以
　　小太刀金馬代二種一荷被進之源右衛門今日江戸御屋敷出立
一　十二月六日神田新白銀町ゟ出火之処御屋敷風下ニ付金之助様
　　御屋敷江御立退被成
　　　　但夜四半時鎮火ニ付御帰館被成






享保八年癸卯

　一　正月朔日於　御屋形年始之御礼被為　請於　御座間
　　　御家老御礼申上御雑煮御吸物御相伴御盃頂戴御肴
　　　被下畢而御奏者番御役人御礼申上御長蚫　御直ニ被下之
　　　相済御近習之面々御長蚫自分頂戴之夫ゟ於御広間物
　　　頭幷御番組之面々一統之御礼被為　請
　一　同月二日御馬御乗初有之
　

一　五月六日浅草御屋敷御普請出来ニ付今日　御引移被成
一　八月五日本多淡路守　殿率去之処御實方御伯父ニ付半滅
　　之御服忌御受被成
一　九月朔日金之助　様初而　御登　城　御目見被　仰付候ニ付為
　　御歓御使嶋田宇右衛門　を以御太刀銀馬代二種一荷被進之
一　同月二日　
　　宗昌様御参府ニ付為御侍請常盤橋御屋敷江　御出被成
一　同月四日右同断ニ付　上使御越ニ付常盤橋御屋敷江　御出
　　被成　上使御老中安藤対馬守　殿江御逢有之《割書：六郷主馬殿｜御■旨有之》

一　同月七日　伊織様於御国許御病気御大切之趣申来候ニ付
　　為御見舞御徒飛脚《割書：寒江与五太夫｜》道中七日振ニ而被指立之
　　　　但與五太夫小田原迄罷越候処御逝去之旨申来候ニ付罷帰
一　同月廿一日今度御簡略之儀ニ付是迄御駕廻り十人御供
　　仕候内二人減御召替御馬当分御減御茶弁当も御上屋
　　敷江　御出之節者可被相止旨被　仰出

享保九年甲辰
　　一　正月朔日為年始御祝儀常盤橋御屋敷江御越御太刀銀
　　　　馬代御持参　御対顔有之
　　一　同月十一日常盤橋御屋敷江御越被成
　　　　宗昌様と御一所ニ御具足之餅御祝有之
　　一　三月十三日
　　　　宗昌様江御暇之為　上使御老中安藤対馬守　殿御越二付

　　　　常盤橋御屋敷江御越御逢被成《割書：□□【六郷】主馬殿｜御□【取】合有之》
　　一　四月十六日
　　　　宗昌様御所労ニ付常盤橋御屋敷江御越　御詰被成
　　　　　　但御逝去迄毎日御越被成
　　一　同月廿日右同断ニ付為　御代参伊勢両　宮并城州石清水江
　　　　長谷部喜作　被指遣之
　　一　同月廿七日右同断之処御様体御大切ニ付常盤橋御屋敷江御越
　　　　被成
　　一　同日右同断ニ付御国許江為御使大御番柘植忠□【太】郎《割書：御徒□□｜□□衛門□□》
　　　　道中五日振ニ而被指立之
　　一　同日右同断之処《割書：□□｜刻》御逝去依之御用番松平左近将監　殿江
　　　　左之通御達書河内守　様御持参御指出被成
　　　　　　　　覚
　　　　　　松平中務大輔病気養生不相叶今戌ノ
　　　　　　刻死去仕候以上
　　　　　　　　四月廿七日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松平河内守

　　　　　　　　　　　別紙
　　　　　　　　　　　　　　松平中務大輔
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　辰五十歳

　　　　　　　　　　　　　　　　松平千次郎
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　辰十二歳
　　一　同日右同断ニ付御用番松平左近将監　殿江御留守居左之通
　　　　書付持参指出之
　　　　　　　　　　　松平中務大輔死去忌懸覚
　　　　　　　嫡子　　　　　　　　　　　　松平千次郎
　　　　　　　甥　　　　　　　　　　　　　松平出羽守
　　　　　　　同　　　　　　　　　　　　　大田原飛騨守
　　　　　　　実姪　　　　　　　　　　烏丸中納言
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　裏方
　　　　　　　　以上
　　　　　　　　　松平千次郎服忌之覚
　　　　　　一　忌《割書：四月廿七日ゟ｜五月十七日迄》
　　　　　　一　服《割書：辰四月ゟ｜巳四月迄》
　　　　　右父中務大輔四月廿七日致死去候付左之通
　　　　　忌服受申候
　　一　同日右同断ニ付御国許江為御使御番頭中川主膳　御徒
　　　　頭河合彦作　道中五日振ニ而被指立之

　　一　同日今日ゟ常盤橋御屋敷江　御引移被成
　　一　同日今日ゟ
　　　　殿様と可奉称旨御目付ゟ相触之
　　一　四月廿九日　上使御奏者番丹羽式部少輔　殿を以御香奠
　　　　銀三十枚御拝領　上使御越之節志摩守様御門蹴込迄
　　　　為御名代御出迎被成
　　　　昌昭様ニ者御式台迄　御出迎被成夫ゟ御案内ニ而御書院江
　　　　御通　上意之趣御達有之《割書：松平中務大輔卒去付而御香奠白銀三拾枚｜被下之病気快方之由被及聞召候間御尋も》
　　　　《割書：不被遊候急差重相果又｜御残念被　思召候》畢而御退出之節最前　御出迎之処迄御送
　　　　被成志摩守様ニも同断御送被成右為御礼御名代志摩守様
　　　　御老中御廻勤若年寄中江御使者御使番被指出之追而京都
　　　　所司代松平伊賀守　殿江御使者京都詰寺沢勘左衛門
　　　　出之
　　　　　　但御書可被遣之処御幼年ニ付御使者被指出之
　　一　閏四月朔日
　　　　宗昌様御逝去ニ付江戸表ゟ之御使中川主膳　河合彦作
　　　　今日福井江着依之於御家老狛伊勢　宅　御逝去之段
　　　　御家中之面々江月番御家老申渡之

　　　　　　但於　御座所右之趣可申渡之処夜中ニ付於御家老宅申渡之
　　一　同日右同断ニ付板取江御先物頭赤宇伴三右衛門　二ツ屋江小林
　　　　又右衛門　細呂木江岡半右衛門　為使者留被指出之
　　一　閏四月二日右同断ニ付大御番岩村門左衛門《割書：御徒伊黒定七｜指添》道中
　　　　七日振ニ而江戸表江指立之
　　　　　　但門左衛門同月九日江戸着
　　一　同月十一日御先物頭萩野四郎右衛門
　　　　豊仙院様御法号道中守護福井江着ニ付御奏者番水谷
　　　　織部　指添運正寺江相納之
　　一　同月十七日御勘定頭大久保下野守　殿建部彦次郎　殿ゟ申来
　　　　候ニ付大手勘定所江御留守居大谷一右衛門　罷出候処御国許ゟ
　　　　江戸迄之道程可書出旨御指図ニ付左之通書付一右衛門持参
　　　　御勘定所江指出之
　　　　　　　　　　　　覚
　　　　　　　　　福井城ゟ
　　　　　　　　　　　江戸江　　　道程百三十一里半
　　　　　　　　右之通ニ御座候以上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　松平千次郎家来
　　　　　　　　　閏四月十七日　　　　　　大谷一右衛門

　　一　閏四月廿三日御用番安藤対馬守　殿江御家督御礼之節
　　　　御献上物之御伺書御留守居持参指出之
　　　　　　　　松平千次郎家督之御礼申上候節
　　　　　　　　献上物
　　　　　　御太刀　　　　　　　一腰
　　　　　　金　　　　　　　　　五枚
　　　　　　紗綾　　　　　　　　廿巻
　　　　　　御馬　　　　　　　　二疋
　　　　　　御刀《割書：代金廿枚｜》　　　　　一腰
　　　　　　　　　　以上

　　　　　　　　　　　　　　　　松平千次郎

　　　　　　献上之御刀
　　　　　　　　　雲次《割書：代金廿枚｜弐尺三寸八分》

　　　　　　　　　　　　　　　　三宝殿
　　　　　　　　　　　　　　　　豊岡殿
　　　　　　銀三枚ツヽ　　　　　高瀬殿

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　外山殿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　尾上殿
　　　　　　　　　　同弐枚ツヽ　　　　　表丈三人
　　　　　　一　家督之御礼申上候節以名代御礼申上候而も
　　　　　　　　家来之者
　　　　　　　　御目見可被　仰付哉奉窺御内意候以上
　　　　　　　　　　　閏四月廿三日　　　松平千次郎
　　　　右被指出候処御家来　御目見之儀左之通御附札を以
　　　　御指図有之
　　　　　　　　家督之御礼以名代被申上候節之家来
　　　　　　　　被指出不及候重而
　　　　　　　　御目見願被致候節可被伺候
　　一　同日大目付北條安房守　殿ゟ申来御留守居大谷一右衛門
　　　　罷出候処村方用水之儀ニ付左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　　覚

一　在々用水掛引井路之儀川中に井堰を立水を
　　引わけ候処堰之仕方小より川下之井水■不足
　　不も無様手前勝手之■様に■■仕候故及争論
　　或両類に井口有之場所片類之井口付替候時
　　双方不申合一方之自由に任せ仕替候故今出訴候
　　願有之候自今右躰之儀双方致相対普請仕
　　節者立合無■様ニ可致候若滞儀有之歟又者　
　　不法之事仕候時者其節より十二ケ月を限於訴
　　之■可有裁断右期月過金出訴候候ハヽ不取上候事

一　郡境村境山野之論又者賃田地等之儀其外奉行
　　所江訴出候事■付証拠無之非分之儀■も何角
　　与申紛■又証拠有之儀二年経候得者其事
　　を申掠及出訴相手村方之難儀に及せ其上双
　　方村々困窮之元に成不届ニ候条向後如期之
　　筋不訴出若此類之事訴出僉議之上巧之訳相
　　知候においてハ其咎め可申付候事
　　　　以上
　　　　辰閏四月

　　　　　但右御書付之趣御廻状ニ而諸大名相廻り候得共御家替
　　　　　　御礼以前ニ付御呼出ニ而被相渡之
一　閏四月《割書：日不｜詳》御領所之儀御老中水野和泉守御留守居宮北
　　十郎左衛門　罷出相伺候処只今迄之通御心得被成候様用人を以
　　御指図有之
　　　　　但右之通御指図有之ニ付御家替以後再御伺無之
一　同月廿八日御用番安藤対馬守　殿ゟ御呼出御留守居大関
　　新五左衛門　罷出候処先達而被指出候御伺書ニ御附紙を以御献
　　上之御腰之儀廿枚与被指出候得共十五枚之御道具

　　御献上被成候様御指図有之
一　五月朔日端午御祝儀御献上之儀御忌中ニ付御献上不被
　　成候段御用番水野和泉守　殿江御留守居大谷一右衛門　罷出
　　相伺候処御忌明之上御伺被成候様御指図有之
一　同月三日御家督被　仰出候節御幼年ニ付御名代御指出
　　被成度旨御用番水野和泉守　殿江御留守居大関新五左衛門《割書：■｜■》
　　左之通御書付持参指出之
　　　　　　　　松平千次郎家督被　仰付候節幼年之
　　　　　　　　儀ニ御座候間一類共之内名代差出可申与

　　　　　　　　　　奉存候以上
　　　　　　　　　　　五月三日
　　　　　但右之節御名代之御親類方御名前御指出被成候様
　　　　　　被申聞之
一　五月五日御家督御礼之節御献上之御腰物先達而
　　御指図有之付御用番水野和泉守　殿江御留守居大関
　　新五左衛門《割書：■｜■》罷出候ハ金拾五枚之御刀《割書：雲｜次》可被献旨御書付を以
　　相伺候処御承知之旨被申聞之
一　同月十日御用番水野和泉守　殿ゟ左之通連名之御切

　　紙来ル
　　　　　　　　猶以被致月■可被
　　　　　　　　参候以上
　　　　　　御用之儀候間明十一日九半時過一類中　　
　　　　　　一人同道和泉守宅江可被相越候幼年付而
　　　　　　難被参候者為名代尤一類中一人可被
　　　　　　差越候以上
　　　　　　　　五月十日　　　松平左近将監
　　　　　　　　　　　　　　　安藤対馬守

　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　水野和泉守


　　　　　　　　松平千次郎殿

　　　　　右御請御書御使者を以被指出之

一　同日右同断ニ付為　御名代志摩守　様御出可被成旨御使者
　　御留守居宮北十郎左衛門　を以御達有之

家譜

《題：家譜　吉品公》　　　　　　　　　　　　　　　《割書：従元禄十五年
到同十六年》　二十二

　吉品様　従元禄十五年壬午
　　　　　至同十六年癸未

元禄十五年壬午
一正月朔日於　御本丸年始御規式有之
一同日為年始御祝儀御使者菅沼与市郎《割書：次
由》を以例之通御太刀
　馬代被献之
一同月七日
　昌尚様御叙位之御礼被　仰上候為御礼江戸表江御書被指
　出之

一同日御書を以例之通御国産《割書：二
番》生鱈被献之
一正月十日
　昌尚様年始御祝儀初而御登城被成候為御礼江戸表江御書
　被指出之
一同月十一日御老中秋元但馬守《割書：喬
朝》殿ゟ御呼出御留守居罷出候処
　旧臘徳山五兵衛《割書：重
年》殿を以御願被成候
　昌尚様月次御登城之儀御書取を以御願之通被　仰出之
一同日年始三ケ日之御規式相済候為御祝儀御使者立岩長左衛門幸政


　江戸表江被指出之御肴一種被献之長左衛門今日福井出立
一同月廿五日
　昌尚様月次初而御登城《割書：去十
五日》被成候為御礼江戸表江御書
　被指出之
一同日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：二月七日
御帰殿》
一同月《割書：日不
詳》旧臘御留守居松平主計頭《割書：近
鎮二行目》殿ゟ御書付を以
　御関所通手形之儀被相尋候ニ付御留守居ゟ左之通書付
　指出之
　一越前国ゟ江戸江入女へ并乱心囚人罷通候節者

　　何方御関所罷通家来手形ニ而相通兼而御関
　　所ニ判鑑有之候哉与御尋之事
　　東海道ハ遠州今切御関所兵部大輔家老共
　　手形を以罷通候尤兼而御関所江判鑑指出
　　置申候
　　中山道ハ信州福嶋御関所右同断御座候北国
　　通ハ越後国関川上野国横川両御関所江越後
　　国高田御領主之御証文出申候故兵部大輔
　　家老共受合証文指越右御証文申受罷通候

　右越前国御領并兵部大輔領分ゟ江戸江罷通
　候儀右之通ニ御座候
一越前国ゟ他国江罷通候道中関所何ケ所有之
　何方ゟ番人差置候哉と御尋之事
　　右近江国境板取加賀国境細呂木并越前国之内
　　敦賀郡江罷越候境ニツ屋右之所々ニ兵部大輔方ゟ
　　番人差置城下之町支配申付候者之判形を以
　　昼夜共ニ相通申候兵部大輔領内口留番所ニ
　　右之通先規より申付来候

　一鉄炮等差遣候節ハ何方ゟ手形出候哉与御尋
　　之事
　　　右鉄炮江戸表江取寄候節ハ御老中江御断申候以上
一二月九日月次御機嫌為御伺御使者比企佐左衛門《割書：栄
■》江戸表江
　被指出之御肴一種被献之佐左衛門今日福井出立
　　　　　但同月廿一日御返書御渡有之
一同月十二日於瑞源寺去十日晩ゟ今朝迄　松桂院様十七回御忌
　御法事御執行有之
一同月十五日御近習荒川十右衛門《割書：直
盛》京都江被指出之飛鳥井宰相殿江

　左之通被　仰込十右衛門今日福井出立
　　　　　　　覚
　一花山院大納言殿病気快旧臘当春朝参之由候得共
　　旧冬風早中納言殿江夜中見廻被申不都合之
　　様子共有之由家来之者ニ中納言殿密ニ御申
　　聞候趣申越承病気再発有之間敷様ニも不相
　　聞無心許趣共ニ候結納之祝儀相済上ハ兎角婚
　　礼ハ可相調儀ニ候へ共右之様子ニ候へハ先年西園寺
　　之趣も有之自然左様之品ニ罷成候ハヽ御養娘

　　分ニ而差越儀ニ候処其許御為ニも如何此方も猶以
　　之儀ニ候病気之様子次第其許ニ而御了簡御取扱
　　之わけも可有御座儀与存候無心許様子も無之
　　儀ニ候ハヽ当年発足余日無之留守中ニハ難相調
　　候間来春御暇被　仰出致帰城追付婚礼相調候ニ而
　　可有之候委細病気之趣無御底意可被仰聞候依之
　　近習ニ心安召仕候荒川十右衛門与申者差越申候於
　　其許安田右京父子弥申談候様被　仰付可被下候以上

一二月廿五日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：同廿九日
御帰殿》
一同月廿六日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一同月廿七日大目付安藤筑後守《割書：信
本》殿ゟ申来候留守居村上三太夫《割書：正
事》
　罷出候処左之通御書付被相渡之
　　　　　　　覚
　一誰城下ゟ江戸迄之道程但日本橋迄一国之内
　　誰城下ゟ誰城下迄之道程
　一万石以上居所有之所江戸迄之道程右同意

　一海陸有之所又者往還両道有之処ハ両様書分
　　可被指出候以上
　　　但御同国之御領主方江者御家ゟ被　仰伝道程
　　　　書付御取寄一紙ニ可被差出旨御達有之
一二月廿八日先達而《割書：去月
晦日》御勘定頭萩原近江守《割書：重
秀》殿ゟ御書付を以
　御領分口留之儀被相尋候ニ付今日御留守居堀十兵衛《割書：久
律》ゟ左之通
　答書指出之
　　越前国御代官所村々百姓他国江穀物致売買候
　　御領分口留之所々御座候而百姓難儀仕由ニ御座候
　　
　　右口留之所々江御代官ゟ判鑑遣置無滞穀物
　　指遣候様ニ致度旨願出候間様子承合度存候以上
　　　正月
　　　〆

　　　答書
　　　　口上之覚
　一越前之内松平兵部大輔領分所々口留ニ而商
　　人百姓等為売買他国江出申候米穀ハ差押出し
　　不申候故　御領御百姓致迷惑得候間御代官中様

　　御判鑑を以　御領御百姓売買之米穀口留無
　　滞出申候様ニ致度旨願候間様子御聞合被成度由
　　此段兵部大輔江為申聞候ニハ及申間敷候間役人共
　　方迄可申遣旨被　仰渡ニ付在所家老共方江申遣
　　候処承知仕家老共方ゟ申越候趣ハ
　一口留之儀先規より其年之耕作之様子ニより
　　国中米穀多少相考凶年ニ候ヘハ諸民為救ニ候故
　　他国江出候市人之米穀ハ口留ニ而差押還而他国
　　ゟ米穀入申候并此方蔵米等も過半地払ニ申
　　
　　付候ケ様ニ不仕候而ハ米高直ニ罷成諸民困窮仕ニ付
　　古来ゟ如此仕来候取分近年上方筋米高直ニ付
　　御領并私領方尤此方領分町人百姓共勝手宜敷
　　者共米穀出し申度旨願申者多御座候得共凶年ニ
　　ハ右之通口留不申付候得者国中　御領私領共米
　　高直ニ罷成諸人軽者共必至与及困窮候儀ニ御座候
　　間如前々申付候様ニ仕度奉存候尤只今迄
　　御領御用米之分ハ不申及其外御領主方蔵米
　　之分ハ断次第相通申候

　　右之趣自在所申遣候以上
　　　二月廿八日　　　　松平兵部大輔留守居
　　　　　　　　　　　　　　　堀　十兵衛　

一三月廿一日　桂昌院様御叙位之為御祝儀御使者川崎三郎助《割書：宗
鋪》
　江戸表江被指出之
　公方様江二種一荷《割書：御樽代
千疋》　被献之　桂昌院様江右同断被指上之
　三郎助今日福井出立
　　　但四月四日御披露済之御奉書御渡有之
一同月廿三日上野介《割書：近
栄》様御隠居御嫡式部少輔《割書：近
時》様江御家督《割書：出雲国
広瀬》無

　御相違被　仰出
一同月廿六日福井　御発駕東海道通御旅行
一四月九日品川駅ゟ霊厳嶋御屋敷江御着夫ゟ為御案内御老中
　御側御用人江御廻勤
一同月十日右同断ニ付御用番小笠原佐渡守《割書：長
重》殿江　御勤
一同日右同断ニ付　上使御老中土屋相模守《割書：政
直》殿御越　上意之趣
　御達有之御退出後為御礼御老中御側御用人江御廻勤
　　但御送迎共　御父子様御門外迄御出被成
一同月廿二日　御登　城《割書：昨廿一日御用番小笠原佐渡守殿ゟ
御老中連名之御切紙来》御参勤之御礼

　被　仰上例之通御太刀銀綿御献上　御台様江白銀縮緬被指上之
　一位様江右同断被指上之御退出掛為御礼御老中御側御用人
　若年寄中江　御廻勤
一四月廿八日御勘定頭萩原近江守《割書：重
秀》殿ゟ又々御書付を以御領分
　口留之儀被尋候儀ニ付御留守居堀十兵衛《割書：久
律》左之通書付指出之
　一越前之内山方之村々田方少分其上米性悪敷
　　候故跡々ゟ御年貢米之分金納ニ仕候付口留之
　　節者別而米穀下直ニ罷成候故他国江付送払候而
　　其代金を以金納并外之雑穀買調夫食之助ニ

　　仕候与御百姓共申候由
　　　右御書付之通山方并浦方ハ田方少分御座候故
　　　作米夫食ニも不足ニ付米穀払納所難仕故挊
　　　を以相納候ニ付古来ゟ金納ニ仕候
　一困窮之御百姓ハ年内直段相極他国之者ゟ金子
　　受取御年貢相納翌年春夏中米穀売渡候者
　　御座候由去巳二月下旬ゟ十一月半迄他国江出候雑
　　物通路留候故百姓共致迷惑候由福井役人共江
　　御代官手代中ゟ達御座候処於然者日限相極

　　付送候様ニと申入ニ付手代中判鑑被差越候然共
　　農業之透見合人馬雇候故日限ハ難極由手代中ゟ
　　達ニ付左候ハヽ米穀出し候儀御止候様ニと福井役
　　人共ゟ申入候尤　御領私領用米之外口留之節者
　　他国江米穀一切不出由申入候得共去年口留之節者
　　御蔵入商売之米穀日数を限り出し可申段福井
　　役人共方ゟ申越上ハ此方領分之外ハ無構出し申様ニ
　　御代官中御達御座候由
　　　右御書付之通困窮百姓共儀ハ私領ニ而も年
　　　
　　　内外借用を以相納翌年之作米ニ而金米之儀ハ
　　　相対ニ而致返済又金子借出候而其年之納所ニ
　　　相納候ニ付困窮之百姓共儀ハ年々作米跡引ニ
　　　罷成候而春夏之内困窮百姓手前ニ米所持
　　　仕儀不罷成年内金子貸渡候百姓町人手前ニ
　　　米穀所持仕儀ニ御座候米穀口留ニ申付候儀ハ豊
　　　年ニ無御座候而も作毛大体米穀過分高直ニ無
　　　御座年ハ留不申凶年之節ハ国中軽キ者共為
　　　救口留申付兵部大輔蔵米も過半地払ニ申付

　　　儀ニ御座候不作毎度之儀就中近年不作打
　　　続ニ付口留ニ申付候処去巳ノ三月御代官古郡
　　　文右衛門殿手代中ゟ　御領御百姓共払米他国江
　　　出申度段願出候旨去春始而役人共方迄申来ニ付
　　　越前之内御領主方御蔵御用米之外ハ御領
　　　知之内町人百姓等売米一切出不申候へ共
　　　御領御百姓共之儀ニ候間国中〆之障ニも不罷
　　　成様子も御座候ハヽ致吟味出し候様ニ可申達由
　　　役人共江申渡候ニ付他国江出候俵数日切之儀

　　　手代中迄役人御相談申入候処耕作之透次
　　　第ニ出し可申儀ニ候へ者日切ハ難致由御百姓共
　　　申候由手代中ゟ申来候故御百姓共商売米
　　　願ニ付去春ゟ初而口留之節も出し申候由国
　　　中段々承伝弥米穀高直ニ罷成　御領并私
　　　領共ニ勝手困窮仕諸民及難儀申事御座候
　　　尤勝手宜町人百姓等勝手ニハ罷成候へ共宜者ハ
　　　人数も無御座難儀仕候者共万民之儀ニ御座候
　　　越前之内　御領困窮之百姓御同事之儀ニ

　　　御座候間右之趣御百姓共江も被申聞御百姓払
　　　米も凶年口留之節ハ跡々之通他国江出し不申
　　　様ニ致度存段則役人去春御代官所迄差越申
　　　入候口留申付候内他国江出来御料米之外ハ越
　　　前御領主方蔵米御用米之内他国江御出し候節ハ
　　　時々御断御座候而俵数承出し申候御領主方御領地之
　　　内町人百姓等商売之米穀ハ出し不申候
　　一御代官所之米穀ハ外之雑穀と紛不申様ニ御吟
　　　味之上御代官中ゟ判鑑を以御百姓共勝手次第
　　　
　　　無滞他国江付送り候而売払其代金を以御年貢
　　　上納并雑穀調候ヘハ百姓■ニ罷成候間右之通兵部大輔
　　　役人と御申合被成度由御代官中ゟ御勘定所江御達
　　　御座候間何レニも兵部大輔領分之内改ニ障り不申御代
　　　官所之米穀通路成候様ニ了簡之儀御聞被成度
　　　被仰聞得其意奉存候
　　　　右御書付之通　御料御百姓米之儀ハ御代官所
　　　　御吟味之上ハ私領米と紛無御座儀ニ奉存候へ共
　　　　御料御百姓等商米之儀願之儀ニ付口留之節も

　　　　他国江出し候与国中之者承伝候ヘハ米穀所持
　　　　仕候者共見合払不申ニ付他国江出し候御百姓共
　　　　米穀ハ少々ニ御座候而も売米無之殊ニ夏中別而
　　　　軽キ者困窮仕時節米高直ニ罷成国中之軽キ
　　　　者共及難儀候者万民之儀ニ御座候　御料御百
　　　　姓共払米之儀も只今迄之通ニ被　仰付被下様
　　　　仕度奉存候此段御用人中迄相達候様ニ与申
　　　　聞候ニ付致伺公候以上
　　　　
　　　　　四月廿七日　　　　松平兵部大輔留守居
　　　　　　　　　　　　　　　　　　堀　十兵衛
一四月廿八日
　昌尚様御養子之為御祝儀内匠頭《割書：昌
平》様御招請内匠頭様
　内記《割書：昌
純》様御同道ニ而御越御書院江御通御長蚫出御持参之
　御太刀馬代御奏者番披露之畢而御料理出《割書：三汁
九菜》御囃子有之
　御家老狛杢《割書：貞
澄》初江内匠頭様ゟ御盃被下之内匠頭様御家来
　白石十郎右衛門《割書：信
久》於御書院御相伴被　仰付
一同月廿九日御参府ニ付為御土産御使者を以例之通色奉書紙

　被献之
一四月晦日右同断ニ付御使者を以例之通　御台様江両面打曇
　鳥子紙被指上之
一五月二日御内証ゟ十■香箱被献之御老中土屋相模守《割書：政
通》殿迄
　御使者御留守居村上三太夫《割書：正
峯》を以被指出之右御披露済之御切紙
　相模守殿ゟ来
　　被献候御十■香箱於御内証首尾好
　　披露相済候右之段為可申入如此御座候
　　以上

　　　五月二日　　　　　土屋相模守
　　　　　松平兵部大輔様
一同月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単
　被献之　御台様一位様江白銀被指上之
一同月十一日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
一同月廿七日酒造米御改之儀ニ付先達而御老中稲葉丹後守《割書：正
通》殿ゟ
　御書付を以御尋有之候ニ付御留守居堀十兵衛《割書：久
律》左之通書付
　

　指出之
　　　　酒造米之覚
　　越前国知行所高弐拾五万石
　　　一米四万五千九百七拾壱俵　元禄十丑年酒造米
　　　　　酒屋弐百五拾五軒
　　　右之通村々相改酒造米致吟味如此御座候以上

　　　　元禄十五年午五月　　松平兵部大輔内
　　　　　　　　　　　　　　　　堀十兵衛印

　　　　　　御勘定所
　　　　　　　〆

　　越前国知行所高弐拾五万石
　　　一米三万六千弐百八俵　　元禄十一寅年酒造米
　　　　　酒屋弐百弐拾八軒　　
　　　　外米千九百九拾六俵　　株高
　　　　　酒屋弐拾七軒
　　　是ハ寅年相休罷在ニ付元来之酒株所持仕
　　　候分書出し申候尤造候年相知レ不申ニ付
　　　株書出シ申候
　　右之通村々相改酒造米致吟味如此御座候以上

　　　　元禄十五年午五月　　松平兵部大輔内
　　　　　　　　　　　　　　　　　堀十兵衛印
　　　　　御勘定所

一六月十一日御用番土屋相模守《割書：政
直》殿ゟ御老中連名之御切紙を以
　浅草御蔵火之御番被　仰付候間藤堂備前守　殿被　仰合
　御勤可被成旨申来
一同月廿七日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例

一同月廿九日暑中ニ付御使者を以例之通御国産素麺干鯛被献之
一同月晦日右同断ニ付　御機嫌為御伺
　昌尚様御同道ニ而御用番土屋相模守《割書：政
直》殿江　御勤
一同日御老中土屋相模守《割書：政
直》殿ゟ御呼出御留守居堀十兵衛《割書：久
律》罷出候処
　去ル廿七日被指出候御領分札遣之儀ニ付而之御伺書ニ御書取を以
　御指図有之
　　御伺書
　　　年来勝手不力之上去秋在所洪水損毛ニ付弥
　　　致難儀候依之領内十年金銀札遣ニ仕度奉存候

　　　以上
　　　　六月廿七日　　　松平兵部大輔
　　御書取
　　　当午年ゟ十ケ年領内札遣之儀勝手次第
　　　可被致候
一七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
一同月十日御勘定頭戸川備前守《割書：安
広》殿ゟ申来御奉行山中
　久兵衛　罷出候処御領分口留之儀ニ付鯖江御代官古郡文右衛門　殿ゟ
　公辺江被指出候願書之写二通被相渡存寄重而可申旨被申渡

　乍然文右衛門殿ゟ被申通り判鑑出俵ニ印有之紛無之候ハヽ
　其通ニ被成候而も可然と存候尤役人中存寄も可有之候へ共
　此儀難成旨重而御達有之候ハヽ此以後何そ相障候儀も可
　有之候ヘハ兎角御了簡御申聞被成旨備前守殿御達有之
　　　　覚
　一越前国拙者御代官所南条郡高壱万石余之
　　村々山中ニ而米之性不宜候ニ付年々御年貢米　　
　　金納被　仰付候右金納直段ハ毎年十月廿五日ゟ
　　十一月五日迄同国福井三国敦賀三ケ所米相場
　

　　之内高直段を以得御下知弐匁高ニ相究御物
　　成米代金取立申候処去巳春取立可申右村々
　　御年貢金大分未進御座候付詮議仕候ヘハ松平
　　兵部大輔方ゟ三国之米穀二月下旬ゟ口留被申付
　　候故払米他国江出候儀不罷成金納遅滞仕候
　　其所ニ而ハ別而下直ニ売渡高直成敦賀払之
　　直段を以上納仕候段百姓共迷惑仕候旨訴申候
　一山中海辺之百姓ハ何方ニ而も田畑耕作之外ニ薪
　　秣を売或麻蚕又漁猟を以渡世仕候右私御代

　　官所山中ハ第一田方少分ニ而米之性悪敷御座
　　候故金納ニ被　仰付候
　一御領私領共困窮之百姓斗ニ不限勝手宜百
　　姓共も数多有之左様之百姓ハ豊年凶年之無
　　差別金銀自由ニ仕候故口留之節も難儀不仕候
　　御料山中金納村々困窮之百姓共雪中ハ農
　　業并薪等之かせき不罷成候故秋中刈採之
　　稲粟稗すり立翌年雪消候以後江州若州并
　　敦賀辺江差出し夫食之外ハ不残売払金子上

　　納仕来候
　一去年ハ二月下旬雪有之節ゟ口留ニ付払米
　　差支百姓共難儀仕候段兵部大輔家来迄拙者
　　手代申遣候ヘハ御代官所金納村々払米ハ不及
　　子細早速口留之者共江可申遣候へ共外之米ニ紛
　　不申為判鑑并米員数書付可遣之旨返答ニ付
　　米員数判鑑遣候ヘハ付送り日数之限可相極旨
　　兵部大輔家来重而申越候付日数を限人馬雇
　　之儀農業ニ障難罷成ニ付其段拙者手代申

　　遣候其内彼々延々ニ罷成候於然者当年者先所
　　ニ而売払可申候へ共来年も如此口留有之払
　　米差支御年貢金上納滞候ヘハ難儀仕候向後
　　口留之節金納村々払米ハ不時ニ相通候様ニ百姓共
　　願候段申遣候ヘハ来年之儀前廉難究候其節ニ
　　至り可申越旨兵部大輔家来返答申来候
　一右口留之節も外々私領払米ハ其地頭役人ゟ断
　　之上差遣候由及承候御代官所百姓売米も用米
　　同然ニ御座候　御料私領入組候所々余国ニも数

　　多御座候へ共御料之米穀出入ハ断次第通路
　　仕候今年も二月末ゟ口留ニ而今以通路不罷成候由
　　向後口留之節御代官所払米ハ外之商売穀
　　物と紛不申様ニ俵印并員数相究拙者判鑑
　　を以百姓共勝手次第口留之所々無滞通路仕
　　候様ニ奉願候直段宜売払候ヘハ御年貢金早速
　　取立御蔵入百姓■ニ罷成候ニ付申上候以上
　　　午六月　　　　　　　古郡文右衛門印

　　　覚
　一越前国私領払米之儀商人買請候以後口留於
　　有之ハ地頭断を以可被指出約束ニ而買取口留ニ
　　罷成候ヘハ領主用米之由申断通路仕候由及
　　承候
　一能州御代官商売塩竹木他国江遣候儀松平加賀守
　　領分口留之所江先年ハ拙者添状を以御代官所
　　大庄屋共判鑑ニ而通路仕候へ共近年彼地役所ニ
　　手代差置候付拙者判鑑口留之所々江遣置何

　　時ニ而も無滞通路仕候以上
　　　　午六月　　　　　　　　古郡文右衛門
一七月十六日右同断ニ付戸川備前守《割書：安
広》殿江御奉行山中久兵衛
　《割書：御留守居松原
善左衛門同道》を以左之通御口上書被指出之其節指支申儀出来候ハヽ
　追而御内談可申旨久兵衛申達候処御承知之旨備前守殿返答
　有之
　　　口上
　　先日家来之者被　召寄在所口留之儀被仰聞

　　候趣致承知候萩原近江守殿被仰談御差図次第
　　何分ニも可申付候以上
　　　　七月十六日
一八月朔日為御祝儀
　昌尚様御同道ニ而御登　城例之通御太刀馬代御献上
一同月二日御勘定頭久貝因幡守《割書：正
方》殿ゟ申来御留守居村上三太夫《割書：正
峯》
　罷出候処御国郷村帳ニ御相給不相知候間御相給有之村々
　肩書致シ被指出候様被申渡之
一同月四日御使者を以例之通御国産初鱈被献之

一八月廿一日先達而大目付中ゟ御尋有之候越前国道程之書付
　御留守居加賀藤左衛門《割書：成
興》村上三太夫《割書：正
峯》持参御絵図小屋江指出之
　　　越前国往還筋并城下居所ゟ国境迄道程之覚
　一加賀国橘村ゟ越前国細呂木村江出ル道国境ゟ越
　　前国板取村ゟ近江国中河内村江出ル道国境峠迄
　　　拾八里拾三町四拾六間
　　　内
　　　　弐拾七町十間　　　加賀国境越前国壱黒山ゟ国境迄
　　　　　　　　　　　　　此境ニ字無御座候
　　　　弐拾弐町三拾六間　近江国境越前国壱黒山ゟ国境峠迄
　一松平兵部大輔城下越前国足羽郡福井ゟ
　　
　　東海道
　　　越前近江両国境迄拾壱里八町
　　北陸道
　　　越前加賀両国境迄七里五町四拾六間
　　右福井城下ゟ
　　　同国丸岡城下迄弐里弐拾七町三拾間余
　　　同大野城下迄九里
　一有馬左衛門佐城下同国坂井郡丸岡ゟ
　　　東海道
　　　　　越前近江両国境迄拾四里弐拾四町余

　　　北陸道
　　　　越前加賀両国境迄三里三拾町拾六間
　　右丸岡城下ゟ
　　　　同国大野城下迄九里
　一土井甲斐守城下同国大野郡大野ゟ
　　　東海道
　　　　越前近江両国境迄拾八里拾九町弐拾四間
　　　北陸道
　　　　越前加賀両国境迄拾六里弐拾六町四拾間
　一松平内匠頭居所同国吉田郡松岡ゟ

　　　東海道
　　　　越前近江両国境迄拾三里三拾弐町三拾六間
　　　北陸道
　　　　越前加賀両国境迄八里弐拾六町四拾間
　一小笠原大学居所同国大野郡勝山ゟ
　　　東海道
　　　　越前近江両国境迄拾八里三拾弐町三拾六間
　　　北陸道
　　　　越前加賀両国境迄九里三拾町拾六間
　一松平兵部大輔家来本多孫太郎指置候同国

　　南条郡府中ゟ
　　　東海道
　　　　越前近江両国境迄六里八町拾弐間
　　　北陸道
　　　　越前加賀両国境迄拾弐里五町三拾四間
　　右道程之儀今度之御絵図之面相違無御座候
　　此外他国往還筋万石以上之居所無御座候
　一江戸江之往還道
　　　東海道

　　　中山道
　　　北陸道
　　右三筋ニ而御座候以上
　　　元禄十五壬午年八月廿一日　　松平兵部大輔内
　　　　　　　　　　　　　　　　　　加賀藤左衛門　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　　村上三太夫　印
一閏八月三日大目付折井淡路守《割書：正
辰》殿ゟ申来御留守居村上三太夫《割書：正
峯》
　罷出候処武家補任御用ニ付御叙任之御書付可被指出旨ニ而案
　紙一枚被相渡之

一九月三日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　御台様　一位様江白銀被指上之
一同月十日大目付折井淡路守《割書：正
辰》殿江御使者御留守居堀十兵衛《割書：久
律》
　を以御叙任之御書付被指出之
一同月十八日大目付折井淡路守《割書：正
辰》殿ゟ申来御留守居松原善左衛門《割書：矩
成》
　罷出候処
　隆芳院様　清浄院様御叙任之御書付可被指出旨御書付
　被相渡之
一同月廿一日右同断ニ付大目付折井淡路守《割書：正
辰》殿江御使者御留守居
　
　松原善左衛門《割書：矩
成》を以
　隆芳院様　清浄院様御叙任之御書付被指出之
一同月廿九日御領分浦々之廻船於海上難風ニ遭左之通破損
　有之候段金津奉行郡奉行ゟ相達之
　　　　　　　　　　　　　　金津奉行
　　　　　　　　　　　　　　　大宮彦右衛門支配下
　一破損船大小三拾壱艘
　　内　拾壱艘　　　　宿浦之船

　　　八艘　　　　　　米ケ脇浦之船
　　　拾弐艘　　　　　三国浦之船
　　此船頭水主人数四百四拾三人
　　　内　弐百九拾五人死

　　　　　　　　　　　　　　　　中領郡奉行
　　　　　　　　　　　　　　　　　田中条左衛門支配下
　一破損船大小四拾弐艘
　　内　三拾九艘　　　泥原新保浦之船

　　　　弐艘　　　　　上海浦之船
　　　　壱艘　　　　　新保浦之船
　　此船頭水主人数八百七人
　　　内　百六拾六人死

　　　　　　　　　　　　　　　　上領郡奉行　
　　　　　　　　　　　　　　　　　岡　三郎右衛門支配下
　一破損船壱艘
　　　但乗捨
　　　　　　　　　　　河野浦之船
　　船頭水主廿五人不残小船ニ乗助り申候

一十月三日昨夜風雨強候ニ付　御機嫌為御伺御用番土屋
　相模守《割書：政
直》殿江御使者御留守居堀十兵衛《割書：久
律》被指出之
一同月五日銀札通用之儀ニ付御家中并御領分町在江左之通
　被　仰出之
　　　　　覚
　一今度福井御領分金銀取遣向後札銀遣被
　　仰付候札元金屋弥助札所荒木七郎右衛門駒屋善五郎江
　　被　仰付当月十五日ゟ十一月十五日迄之内右両人
　　方ニ而札銀を渡金銀銭ニ取替候間金銀銭持参

　　札銀ニ取替此以後御領内札銀之取遣無滞可致
　　但十一月十五日迄札銀ニ引替候中ハ金銀札銀共ニ
　　取遣可致候十一月十六日よりハ金銀取遣堅御停止
　　之事
　一諸商借銀借物質物之取遣共ニ自今以後札銀
　　を以可相極尤諸直段其外諸事取遣金銀銭を以
　　相極候儀御停止又ハ最前ゟ借銀借物質物等金
　　銀銭ニ而極置候分も向後札銀を以取遣可仕事
　一小判壱両ニ札銀六拾匁相渡金子ニ替候時ハ六拾匁
　

　　弐分ニ相極候事
　一白銀ハ百目ニ札銀百三匁五分相渡白銀受取候時ハ
　　百四匁ニ相極候事
　一銭ハ小判壱両分四貫百八拾四文ニ札銀六拾匁可相
　　渡銭受取候時ハ札銀六拾匁弐分相極候以後ニ
　　至而相場高下有之時ハ直段立替可申事
　一銭遣壱匁迄ハ可致取遣壱匁壱分ゟ以上ハ札
　　銀遣ニ可仕事
　一往還駈通之旅人道筋ニ而金銀を以遣銭買
　
　　申度与申時ハ可売之其外ハ脇々ニ而金銀銭之
　　両替仕間敷事
　一他国他領之商人御領分江参商物売買仕候者
　　宿主ゟ札銀遣之儀申聞金銀銭共ニ札銀ニ取替
　　させ商仕候様ニ可致候罷帰候時ハ札所ニ而金銀ニ
　　替無滞様ニ可致尤内証ニ而金銀取遣堅仕間
　　敷事
　一御納所并上納銀之分向後札銀を以可収納事
　　右之通札銀遣被　仰付自今以後於御領内金

　　銀銭取遣堅御停止ニ候自然札銀遣相滞候者
　　有之候ハ可申出急度可被遂御僉議候間町在之
　　所々末々ニ至迄可得其意者也
一十月十八日兵庫《割書：近
朝》様江御父式部少輔《割書：近
時》様御遺領《割書：出雲国
広瀬》無御相違
　被　仰出候ニ付為御礼御老中御側御用人江御使者御留守居村上
　三太夫《割書：正
峯》被指出之
一同月廿七日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　御城御渡有之御家来拝領物如例
一十一月六日遠州今切御関所奉行成瀬瀧右衛門　殿佐野与八郎　殿

　御役御免御関所奉行被相止久世出雲守《割書：重
之》殿江《割書：参州吉田
城主》御関所
　支配被　仰付候ニ付御関所女通手形御家老判鑑《割書：御書
御指添》御留守居
　堀十兵衛《割書：久
律》持参出雲守殿宅江指出之
　　　遠州荒井
　　　　御関所　判鑑
　　　　　　　松平兵部大輔内
　　　　　　　　　　狛　木工　　　印判　書判
　　　　　　　　　　酒井典膳　　　印判　書判
　　　　　　　　　　松平庄兵衛　　印判　書判
　　　　　　　　　　酒井与三左衛門印判　書判

　　右之内在所罷在者以判形御通可被下候以上
　　　元禄十五年
　　　　午十一月
　　　但是迄今切与相認来候得共今切ハ渡り之名ニ而御関
　　　　所ハ荒井ニ有之候間向後遠州荒井与認候様
　　　　出雲守殿御指図有之
一十一月十一日　一位様御不快ニ付御様体為御伺御老中秋元但馬守《割書：喬
朝》殿江
　御使者御留守居村上三太夫《割書：正
峯》被指出之
　　但翌十二日も右同断御使者被指出之

一同月十三日　一位様御病気御全快ニ付為御歓御老中江御勤
　可被成処御不快《割書：御風
気》ニ付為　御名代
　昌尚様御勤被成
一同月十五日御不快ニ付御登城御断
一同月十六日当秋廻船致破損候御領分浦々江為御救左之通
　米被下之
　一米百五拾俵　　　金津奉行大宮彦右衛門支配下
　　　　　　　　　　　　三国湊
　　　　　　　　　　　　三国宿浦　
　　　　　　　　　　　　米ケ脇浦　以上三ケ浦江被下

　一米百俵　　　　　郡奉行田中条左衛門支配下
　　　　　　　　　　　　　泥原新保浦江被下
一同日坂井郡糸崎浦百姓共近年致困窮収納未進等多出来
　ニ付何卒収納相立為可申一浦之者一同申合去々年辰之暮ゟ
　日数千日之間茶酒煙草致停止夫ニ応シ諸事簡略可仕段
　誓を致し其以後急度相守収納精出候段奇特被　思召為御褒
　美来々申年迄年々米三拾俵宛可被下旨被　仰出
一十一月廿三日寒中ニ付御機嫌為御伺
　昌尚様御同道ニ而御老中江　御勤

一同月廿五日御登城被成候処《割書：昨廿四日御用番ゟ
連名之御切紙来》於御白書院御老中
　列座向後葵御紋御着用可被成旨御用番阿部豊後守《割書：正
義》殿御達
　有之御退出掛為御礼御老中江　御廻勤
　　但御再勤以後御謙退ニ而桐御紋御着用之処右之■被　仰出之
一同月廿七日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一
番》生鱈被献之
一同月廿八日今度葵御紋御着用被　仰出候ニ付為御礼御内証ゟ
　段子二十巻干鯛一箱被献之御老中土屋相模守《割書：政
直》殿迄御使者
　御留守居村上三太夫《割書：正
峯》を以被指出之右御披露済之御切紙
　相模守殿ゟ来

　　被献候段子并御肴於御内証首尾好
　　披露相済候右之趣為可申入如斯御座候以上
　　　十一月廿九日　　　　土屋相模守
　　　　松平兵部大輔様
一十二月二日於月番御家老酒井典膳《割書：知
房》宅御家中御借米御免
　之儀左之通諸月番江典膳申渡之
　　面々勝手難儀仕候段被聞召

　　御苦労被　思召ニ付御借米何茂不残御返
　　被遊度　思召ニ候得共御勝手難被成候故先
　　御借米之内当午暮知行百石以上者半分
　　御返百石ニ不満御擬作之分ハ不残御返被成候
　　此段可申聞旨被　仰出候以上
一同月四日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：二
番》生鱈被献之
一同月十四日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　御台様　一位様江白銀被指上之
一同月十八日御老中小笠原佐渡守《割書：長
重》殿江御逢対　御勤

一十二月廿八日御登城被成候処御居残ニ而来年始之御礼御白
　書院御着座御相伴可被　仰付旨御用番稲葉丹後守《割書：正
通》殿
　御達有之右為御礼御老中若年寄中江　御廻勤


元禄十六年癸未
一正月朔日為年始御祝儀　御登　城於御白書院　御着座
　御礼被　仰上御太刀馬代御献上呉服御拝領
一同日於　御屋形年始御規式有之
　昌尚様御名代ニ而諸士之御礼被為　請
一同月三日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃台御酒代
　被献之

一正月七日為御上初御使者を以例之通御肴被献之
一二月十八日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一同月廿四日御老中稲葉丹後守《割書：正
通》殿ゟ旧臘御書付を以
　御尋之儀ニ付御留守居松原善左衛門《割書：矩
成》ゟ御勘定所江左之通
　書付指出之
　　　　覚
　　　　　　　　　　　　　　　　高弐拾五万石
　　　　　　　　　　　　　　　　　松平兵部大輔領知

　　越前国
　　一高弐百六拾四石五斗弐升四合八勺　元禄十五午年
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　多葉粉作候所々
　　　　此町歩拾八町弐反壱畝弐拾歩
　　　　此訳
　　　　　九町壱反弐拾五歩　　当未之年　たはこ相止穀類作候所々
　　　　　九町壱反弐拾五歩　　当未之年　たはこ作可申所々
　　　右之通御座候以上
　　　　元禄十六癸未年二月廿四日　　　松平兵部大輔内
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松原善左衛門
　　　　　御勘定所　　　

一三月十四日今立郡落井村与　公領同郡川嶋村与用水之儀ニ付
　争論出来川嶋村之者去年江戸表江致出訴候ニ付検使被遣候上
　両村之者江戸表江御呼出今日左之通御裁許書被相渡之
　　　越前国今立郡川嶋村与同郡落井村用水論
　　　之事川嶋村之者申越隣郷戸口磯部落井赤坂
　　　新堂川嶋六ケ村之者河和田川堰入堀筋堀之互ニ
　　　用水取来候処川嶋村田地之内丁かまち勘定
　　　まち六町歩之用水堀筋猥ニ大石を以落井村
　　　之者堰留候旨訴之落井村之者答候ハ六ケ村
　
　　　用水堀筋銘々相極候然ニ落井村田地之内鍋丸江
　　　引取候用水堀新規ニ川嶋村田地江可引取之旨申
　　　掠候右堀筋ニ石埋置候儀者鍋丸之田地低其上堀
　　　筋曲り落井村十六町歩江用水懸り兼候ニ付古
　　　来ゟ石埋置候由申之右為検使平岡次右衛門手代
　　　小宮山勘平鈴木三郎兵衛手代安立喜右衛門差遣之
　　　遂検分之処六ケ村堀筋銘々難相分候丁かまち
　　　勘定町六町歩之内四町歩者川嶋村之用水
　　　堀低ク其上鍋丸之堀筋右四町歩江相続有之

　　　上者前々ゟ落井村用水分取候段無紛相見間向
　　　後分水ニ致之昼夜十二時之内従未刻戌刻迄
　　　川嶋村四町歩之田地江引取有之其外ハ落井村
　　　田地江可引之尤有来通川嶋村四町歩江取候堀
　　　幅敷弐尺ニ致之落井村十六町歩之堀幅敷
　　　四尺相定畢勿論川嶋村六町歩之内弐町歩之
　　　田地ハ如前々川嶋村用水可引取之且論所之石
　　　堰前々ゟ致置候旨落井村之者雖申之証拠不
　　　慥条向後石堰取払之水無滞様可致之為後

　　　証如此書記之双方江下置之間不可違失者也
　　　　元禄十六癸未三月十四日　中　　出雲判
　　　　　　　　　　　　　　　　戸　　備前判
　　　　　　　　　　　　　　　　久　　因幡判
　　　　　　上方■江被遣候ニ付無加判
　　　　　　　　　　　　　　　　萩　　近江
　　　　　　　　　　　　　　　　丹　　遠江判
　　　　　　　　　　　　　　　　保　　越前判　
　　　　　　　　　　　　　　　　松　　伊豆判
　　　　　　　　　　　　　　　　本　　弾正判

　　　　　　　　　　　　　　　　　阿　飛騨判
　　　　　　　　　　　　　　　　　永　伊賀判
一三月廿八日於浄光院昨廿七日ゟ今朝迄　清池院様三十三回
　御忌御法事御執行有之於天徳寺も右同様御執行有之
一同月廿九日御用番土屋相模守《割書：政
直》殿江御使者御留守居村上三太夫《割書：正
峯》
　を以御城廻り御修復之御願書被指出之
一四月二日御老中土屋相模守《割書：政
直》殿ゟ御呼出御留守居村上三太夫《割書：正
峯》
　罷出候処御城廻り御修復御願之儀ニ付左之通御老中連名之

　御奉書御渡有之
　　　　　　　　以上
　　　越前国福井之城二丸東之方塀下石垣壱ケ所
　　　三丸西之方土橋水敲石垣壱ケ所損候付而修補
　　　仕度旨絵図書付之通得其意候如元可被申
　　　付候恐々謹言
　　　　元禄十六未
　　　　　三月晦日　　　　　　土屋相模守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　政直書判
　　　　　　　　　　　　　　　稲葉丹後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　正通書判
　　　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　喬朝書判
　　

　　　　　　　　　　　　　　　小笠原佐渡守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　長重書判
　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　正武書判
　　　　　松平兵部大輔殿
一四月十三日　上使御老中稲葉丹後守《割書：正
通》殿を以御国許江之
　御暇被　仰出白銀五百枚御袷五十御拝領丹後守殿此
　御屋形江御越　上意之趣御達有之其節明日御登城御暇
　之御礼被　仰上候様且又御家来一人　御目見被　仰付候間

　被　召連候様御達有之《割書：上使御取扱
如例》御退出後為御礼御老中御側
　御用人若年寄中江　御廻勤
　　但御再勤後御暇之節白銀三百枚御袷三十御拝領之処
　　　今年ゟ右之通相成
一同月十四日　御登　城御暇之御礼被　仰上御馬御拝領畢而
　被　召連候御家来狛杢《割書：良
澄》　御目見被　仰付於檜之間杢江御袷
　四拝領被　仰付相済御退出掛為御礼御老中御側御用人
　若年寄中江　御廻勤
　　但御再勤後御家来　御目見無之処此度如御先規御家来

　　　御目見拝領物等被　仰付
一四月十五日寺社奉行阿部飛騨守《割書：正
喬》殿ゟ御呼出御留守居堀
　十兵衛《割書：久
律》罷出候処永平寺可致出府旨被　仰渡候様被申渡且又
　其節左之通致持参候様可被仰渡旨ニ而書付被相渡之
　　　　　覚
　　　　　　　　　　　　　　越前国
　　　　　　　　　　　　　　　永平寺
　一正法眼蔵面授巻
　一前住帳
　一辰巳午三ケ年之推挙状

　一道元禅師嗣書并血脈
　右之通致持参候様可被　仰付候以上
　　四月
一同月十六日浅草火之御番御免被成之旨被　仰出《割書：御称松平
大蔵大輔殿》
一同月十八日御拝領之御馬御用番阿部豊後守《割書：正
武》殿ゟ使者ニ而
　為牽来
一同月廿二日御老中小笠原佐渡守《割書：長
重》殿秋元但馬守《割書：喬
朝》殿江御逢対
　御勤
一同月廿六日江戸　御発駕東海道通御旅行

一五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単被献之
　御台様　一位様江白銀被指上之
一同月十一日　御着城
一同月十二日右同断ニ付為御礼御使者高知杉田五郎兵衛《割書：三
竹》江戸
　表江被指出之今日福井出立
一同月晦日御用番稲葉丹後守《割書：正
通》殿ゟ御切紙を以御帰国御礼
　御使者明朔日　御城江罷出候様且又自分御礼も可被　仰付旨御留
　守居迄申来
一六月朔日為御帰国御礼御使者杉田五郎兵衛《割書：三
竹》を以例之通

　奉書紙并昆布干鯛御樽被献之月次御礼後於白書院
　五郎兵衛　御目見被　仰付退去再罷出自分之御礼申上御太刀
　馬代献上相済夫ゟ為御礼御老中御側御用人若年寄中江
　廻勤
　　但御再勤後右御使者　御目見無之処此度ゟ如御先規
　　　御目見且自分御礼も被　仰付
一同月三日右同断御使者杉田五郎兵衛《割書：三
竹》　御城江罷出候処御返書
　御渡有之其節五郎兵衛江御時服拝領被　仰付
一同月九日暑中ニ付　御機嫌為御伺御使者鈴木宇左衛門《割書：■
祥》江戸

　表江被指出之御肴一種被献之宇左衛門今日福井出立
　　但同月廿一日御返書御渡有之
一同日　豊姫様御縁組之儀御離縁相成候ニ付大岡治右衛門《割書：忠
久》殿徳山
　又兵衛《割書：重
年》殿迄被　仰遣御口上書左之通江戸表江被指遣之
　　我等孫娘四年以前飛鳥井宰相致養子花山院
　　大納言殿江縁組仕度段申上候処願之通被　仰出候
　　其以後大納言殿病気ニ付而今指越不申候然ル処
　　大納言殿気色長引可申体之由ニ而頃日花山院
　　入道殿ゟ宰相方江不縁之断有之旨宰相方ゟ
　　
　　申来候故得其意候段致返答候依之入道殿
　　宰相方ゟ伝奏中迄申達由ニ候間右之趣土屋
　　相模守殿迄御物語頼入存候
　　　　六月
　　　但於江戸表御使者相勤候月日不詳
一六月十日為御湯治大味浦江　御出被成《割書：同十四日
御■■》
一同月十二日御帰国御礼御使者杉田五郎兵衛《割書：三
竹》　御目見被
　仰付且自分御礼申上候為御礼御使者川瀬次大夫《割書：興
治》江戸
　表江被指出之今日福井出立

一六月十四日暑中ニ付御書を以例之通御国産素麺干鯛被献之
一同月廿七日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一同月晦日今度　豊姫様御離縁ニ相成候ニ付最前花山院殿ゟ
　被進候御結納御小袖【以下読めず】　　御返シ相成候ニ付飛鳥井宰相殿
　家来迄相渡候様京都御留守居本多武兵衛■■方迄申遣候様被
　仰出
　　但昌明様　清照院様江之御祝物者御返却無之
一七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之

一同月十八日御書を以例之通御国産初鱈被献之
一八月朔日為御祝儀御使者を以例之通御太刀馬代被献之
一同月八日紀州高野山江被建置　御代々様御石塔之囲垣等所々
　破損ニ付御修復被　仰出破損奉行関又十郎《割書：元
■》高野山江被指
　遣之今日福井出立
　　但浄光院様御石塔場御修復之儀者備前守様ゟ可被
　　　仰付歟御家ニ而可被　仰付歟備前守様御家老迄申談
　　　候様被　仰出候ニ付書状を以及懸合候処彼方ゟ御修復
　　　被　仰付候も御遠慮ニ候間従御双方被　仰付候様被成度

　　　之由備前守様御家老大熊六左衛門佐久間主計ゟ申来候
　　　ニ付伺　思召候処少も不及御遠慮候間彼方ゟ御修復被
　　　仰付候様可申遣旨被　仰出候ニ付右之趣六左衛門主計江
　　　申遣之右之段高野山大徳院江も御家老ゟ書翰
　　　を以申遣之
一八月九日月次　御機嫌為御伺御使者樋口小左衛門《割書：安
隆》江戸表江
　被指出之御肴一種被献之小左衛門今日福井出立
　　但同月廿一日御返書御渡有之
一同月十六日於評定所月番御家老松平庄兵衛《割書：■
■》御倹約之儀
　
　諸向江申渡之左之通御書付一通宛相渡之
　　近年段々御入用共相重り至今年御勝手必
　　至と差支依之猶又御簡略被　仰出候面々役方
　　諸事御入用之儀末々迄委敷遂吟味御費無
　　之様ニ可被致候尤先年御簡略之儀被　仰出趣ニ
　　相替儀者無之候得共猶以御書付之通申渡候
　　　〆
　　　　　　　　　　　　　御武具方支配江
　　御武具御破損方御用先年之御定半分被減銀

　　高弐貫匁被　仰付候処近年御入増も無之候得共
　　新規出来之御道具有之節者連々出来此節
　　御銀高出不申候様ニ弥相考可申付候以上
　　　〆
　　　　　　　　　　　　　御鷹方支配江
　　御鷹方御用諸事御入用無御座様ニ弥遂吟
　　味可申付御鷹之餌代尤御かこひ鳩并餌米共ニ
　　末々迄入方之儀遂吟味御入用減候様相考可申
　　付候所々御鷹場御用人歩等之儀人数多ク懸り

　　不申候様ニ所々御鳥見共ニ申付只今迄申付候人
　　数ゟ減出来候様ニ御鳥見共能致吟味役方江も申
　　談候様ニ可申付候以上
　　　〆
　　　　　　　　　　　　　御馬方支配江
　　御馬方諸事御用少々之儀ニ而も御入用無御座
　　様ニ相考御用ニ立不申御馬者弥遂吟味可相
　　伺候以上
　　　〆

　　　　　　　　　　　　　　御膳番江
　　御膳御料理一汁四菜御香物共ニ外ニ御吸物
　　御好ハ格別御膳斗并御相伴五人三菜香物共ニ
　　右御相伴五人之外ハ有合候者何ニ而も取合菜数
　　不足之分ハ不苦候御膳方諸事御入用之儀相
　　考御費無御座様ニ御奉行共申談可申付候御鷹
　　野御川狩之節御弁当御膳之外ハ応右何ニ而も軽
　　御肴可申付候以上
　　　〆

　　　　　　　　　　　　　　御腰物方江
　　御腰物方諸御入用高御定先年壱ケ年ニ四
　　貫目之御定ニ候得共其以後戌ノ年ゟ右之内
　　半分被減被　仰渡候得共向後一ケ年ニ壱貫匁
　　之御銀高ニ而増銀無御座様ニ相考可申付候御用
　　之品々御奏者番共江時々相達受差図可申渡
　　諸事申付候御用之儀御入用相考御奉行共申
　　談御入増ニ不成様ニ遂吟味可申付候以上
　　　〆

　　　　　　　　　　　　　奥御納戸役江
　　御召類先年御定之通其内色替差引御用
　　相調候儀有之候ハヽ其程相考御入増ニ不成様ニ
　　可致御定之外色増ニ成候儀ハ時々御奉行共江
　　申談其上可申渡尤御小袖御袷御帷子時々之　
　　御羽織御定より増候分ハ時々之御召類相済候
　　以後右御入増之様子委細書付御家老中江
　　可申達候以上
　　　〆

　　　　　　　　　　　　　金津奉行
　　　　　　　　　　　　　郡奉行　江　
　　郡方支配之所々川除道橋等御入用諸事相考
　　御奉行共申談軽申付御入用多無之様ニ可申付候
　　御鷹場其外諸事人歩入用之儀組之者弥能
　　遂吟味候様ニ申付只今迄より人数減候様ニ可
　　申付候以上
　　　〆
　　　　　　　　　　　　　御普請奉行
　　御普請方川除共ニ諸事軽申付御入用無御座

　　

　　様ニ相考可申付尤川除御普請軽申付候者損
　　御入用之儀も可有之候得共損候者ゝ又可申付積ニ
　　申談御入用無之様ニ相考尤人歩入方之儀弥遂
　　吟味御奉行共申談軽可申付候以上
　　　〆
　　　　　　　　　　　　　御水主頭江
　　御船修理諸事御入用之儀早速不申付候ても
　　御用不差支分ハ見合申付指当御用之儀ハ御入
　　用軽様ニ弥遂吟味其趣御奉行共申談可申付候

　　以上
　　　〆
　　　　　　　　　　　　　御作事奉行江
　　御作事方諸御用御入方弥遂吟味御奉行共申談
　　少も御銀高減出来候様ニ相考可申付尤御作事方
　　御用品々之儀ニ候得者軽御用之儀ニても御入用増
　　減之考も有之儀ハ其趣申来候方迄相達其上
　　可申付尤人歩等之儀弥遂吟味人数減候様ニ相考
　　可申付候以上
　　　〆

　　　　　　　　　　　　　表御納戸役江
　　表御納戸諸事御買物弥念を入可致吟味直
　　段之儀弥吟味下直ニ成候様ニ相考御奉行共江可
　　申談候以上
　　　〆
　　　　　　　　　　　　　御鵜方支配江
　　御鵜方御用諸事少々之儀ニ而も御入用ニ不成
　　様ニ相考御奉行共申談可申付候以上
　　　〆

一八月廿五日御家老狛杢《割書：貞
澄》病気ニ付御使者粕谷伝左衛門《割書：元
武》京
　都江被遣之医師有馬恭安被召呼候処今日伝左衛門同道ニ而
　福井江着
　　但恭安九月廿日福井出立其節大御番奈良左近右衛門同道被　仰付
一九月六日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　御台様　一位様江白銀被指上之
一同月九日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：同十六日
御帰殿》
一同月十九日御家老狛杢《割書：貞
澄》大病ニ付杢宅江　御尋有之
一同月廿五日御家老狛杢《割書：貞
澄》去十九日死去ニ付御奏者番大谷

　助六　を以杢牌前江《割書：通安寺ニ
有之》御香奠銀五枚被下之
一十月九日月次　御機嫌為御伺御使者大谷金太夫《割書：好
澄》江戸
　表江被指出之御肴一種被献之金太夫今日福井出立
　　但同月廿一日御返書御渡有之
一同日為御鷹狩金津江　御出被成《割書：同十二日
御帰殿》
一同月廿五日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：十一月七日
御帰殿》
一同月廿七日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一同月廿九日上野御宿坊明静院焼失以後普請無之ニ付鳥

　越御屋敷表御建物之分可被下旨被　仰出
一十一月四日御参勤御時節為御伺御使者御使番大崎佐太夫《割書：正
友》
　江戸表江被指出之今日福井出立
一同月五日伊勢山田奉行堀隠岐守　殿江御使者御使番堀江
　源左衛門《割書：久
貞》を以左之通被　仰遣之源左衛門今日福井出立
　　拙者領分札遣之儀願申上去午ノ年より銀札
　　取扱申候同国松岡台町ニ借宅仕罷在候源右衛門
　　と申者似セ札仕候故致詮議召捕牢舎申付置候
　　右似セ札之板其御地山田ニ而判屋弥五郎与申者彫

　　申候弥五郎忰是も弥五郎と申同国津藤堂
　　大学頭殿城下ニ罷在候此父子之者右之似セ札彫
　　申候則似セ札当人源右衛門白状之趣其外様子別紙
　　書付懸御目候御僉議被成御大法之通被仰付可被
　　下候為其以使者申入候源右衛門儀ハ領分之者ニ候間
　　仕置ニ申付候趣江戸表江相伺可申候以上
　　　十一月六日　　　　　　松平兵部大輔使者
　　　　　　　　　　　　　　　　堀江源左衛門
　　　但源左衛門儀十一月十九日福井江帰着隠岐守殿御承知

　　　　之旨御返答之趣御家老迄相達之
一十一月廿一日御老中ゟ御呼出御使者御使番大崎佐太夫《割書：正
友》罷出候処
　来年四月中御参府可被成旨之御奉書御渡有之
一十二月三日寒中ニ付　御機嫌為御伺御使者井原源助《割書：■
知》江戸
　表江被指出之御肴一種被献之源助今日福井出立
　　但同月十五日御返書御渡有之
一同日同断ニ付御書を以例之通御国産《割書：一
番》生鱈江戸表江被指立之
一同月九日右同断《割書：二
番》生鱈被指立之
　　但両度共御献上之日不詳

一十二月　為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　御台様　一位様江白銀被指上之

【裏表紙】

家譜




　家譜　《割書：昌親公》　《割書：従寛永十七年｜到延宝二年三月》　　十

【右・丁　】



【左・丁】

　　昌親様　　《割書：従寛永十七年庚辰｜至延宝二年甲寅三月》

【右・丁白紙】




【左・丁】


　　　　　　　　兵部大輔
　　　　　　　　　昌親様
　
　　家光様御代
　　　寛永十七年庚辰
　　　　一四月十一日於福井御誕生《割書：本卦巽｜御性金》奉称
　　　　　福松様
　　　　　忠昌様御五男御母浦上氏《割書：於夏方後高照院殿｜浦上内記《割書：宗｜春》女》

【右・丁　白紙】





【左・丁】
正保二年乙酉
　一十月十九日
　　忠昌様御遺領
　　万千代様《割書：江》被仰出候節御高之内二万五千石
　　福松様御配知御拝領《割書：御年｜六》
　一十二月廿日右御知行御拝領被仰出候　為御礼江戸表《割書：江》
　　御使者被指出奉書紙三千束被献《割書：御幼年《割書：ニ》付御使者｜を以被献之》候《割書：ニ》付左之通
　　御返書御渡有之

　　　今度御知行拝領之儀着之旨得其意候
　　　固茲被差越使者奉書紙三十束進上之候
　　　右之趣遂披露候処念之入候段
　　　御満悦之御事候　委曲使者可令演説候
　　　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　阿部対馬守
　　　　十二月廿日　　　　　　　《割書：重次書判》
　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　《割書：信綱書判》

　　　　松平福松殿


正保三年丙戌
　一正月朔日為年始御祝儀御使者を以御太刀馬代被献之
　一同月十六日右同断《割書：ニ》付而之御奉書於御老中宅被相渡之
　　　為年頭之御礼被差越使者殊御太刀一腰
　　　御馬一疋進上之候　遂披露候処被思召
　　　御機嫌候　猶使者可述候　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　阿部対馬守
　　　　正月十六日　　　　　　　　　《割書：重次書判》
　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　《割書：信綱書判》


























　　　　
　　　　　　松平福松殿

　一四月廿七日福井御発駕　江戸表《割書：江》被為趣御妹布里姫様
　　御実母高照院様御同道
　　　　但江戸御着日不詳
　一此年《割書：月日｜不詳》御名辰之助様《割書：与》御改


慶安元年戊子《割書：此年正保五年｜二月十五日改元》
　一七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以白銀被献之
　　御老中松平伊豆守《割書：信｜綱》殿被請取之
　一十一月三日御在所之儀越前丹生郡立町郷吉江《割書：江》御構被成度段
　　御伺被成候処御勝手次第被成候様御老中松平伊豆守《割書：信｜綱》殿
　　御指図有之

【右・丁　白紙】




【左・丁】

慶安三年庚寅
　一三月廿九日西丸御普請《割書：ニ》付大間合鳥子紙三千枚被献之
　一九月十九日
　　大納言様西丸《割書：江》御移徙《割書：ニ》付為御祝儀御使者を以御道具《割書：錫白鳥｜十》
　　被献之

【右・丁　白紙】



【左・丁】

家綱様御代《割書：八月十八日｜将軍宣下》
　慶安四年辛卯
　　一八月九日日光山
　　　大猷院様御仏殿御普請《割書：石垣之｜右寄》御手伝
　万千代様《割書：与》御一所被蒙仰
　　一十二月廿九日従五位下兵部大輔御叙任御名乗被称
　　　昌親様《割書：御年｜十二》

　　　　　　　　　　上卿四辻大納言
　　　　　　　　　　　慶安四年十二月廿九日　宣旨

　　　　　　　　　　　
　　　　源昌親
　　　　　宜叙従五位下
　　　　　　蔵人右中辨藤原熈房　奉

　　　位記
　　　　源朝臣昌親
　　　　　右可従五位下
　　中務恪勤而守規抗直而達
　　義益竭忠謀丕成功効宜授
　

　　龍章以申栄級可依前件主
　　者施行
　　　慶安四年十二月廿九日
　　　　　　無品中務卿　　智忠親王宣


　　　　従五位上守中務大輔臣源朝臣通廉奉
　　　　中務少輔従五位上臣藤原朝臣祐宜行
　正二位行権大納言臣　　　　　　公信

　　　　　　
　　　　従二位行権大納言臣　　　　　　　　通純
　　　　従二位行権大納言臣　　　　　　　　公理
　　　　従二位行権大納言臣　　　　　　　　公富
　　　　従二位行権大納言臣　　　　　　　　隆量
　　　　正三位行権大納言臣兼右近衛大将臣　　房輔
　　　　従二位行権中納言臣　　　　　　　　為適
　　　　従二位行権中納言臣　　　　　　　　言總
　　　　従二位行権中納言臣　　　　　　　　共綱
　　　　従二位行権中納言臣　　　　　　　　雅章



　　　　正三位行権中納言臣　　　　　　　　定逸
　　　　正三位行権中納言臣　　　　　　　　実教
　　　　正三位行権中納言臣　　　　　　　　広通
　　　　正三位行権中納言臣　　　　　　　　宜順
　　　　正三位行権中納言臣綏光等言
　　　　制書如右請奉
　　　　制附外施行謹言
　　　　　慶安四年十二月廿九日
　　　　制可

　　月日辰時正五位上行大外記兼掃部頭造酒正直講中原朝臣師定
　　　　　　　　　　　　　　右中辨熈房
　関白従一位行左大臣朝臣
　太政大臣《割書：闕》
　右大臣正二位朝臣
　内大臣正二位兼行左近衛大将朝臣
　二品兵部卿貞清親王
　従五位下守兵部大輔雅広
　正四位上行右辨俊広



　告従五位下源昌親奉
　制書如右符至奉行
　兵部少輔従五位下尚宜
　　　　大録
　　　　少録
　　　　少録
　　
　　慶安四年十二月廿九日


　　　　　　　従五位下源朝臣昌親
　　　　　従二位行権大納言藤原朝臣公理
　　　　　宜奉　　　　　勅件人宜令任
　　　　　　兵部大輔
　　　　　　　慶安四年十二月廿九日大外掃部頭造酒正直講中原
　　　　　　　朝臣師定《割書：奉》



承応元年壬辰
　一二月六日日光御普請為御見分
　　光通様御越被成候《割書：ニ》付御一所《割書：ニ》江戸御発駕日光表《割書：江》御越
　　被成
　一三月九日
　　光通様御同道《割書：ニ》而日光ゟ御帰府
　一五月廿二日日光御普請御手伝相済候《割書：ニ》付為御褒美於
　　御城御家来《割書：御普請｜奉行》江御時服二銀十枚拝領被仰付

【右・丁　白紙】





【左・丁】

明暦元年乙未《割書：昨年承応四年｜四月十三日改元》
　一五月十三日御登城被成候処初而御在所《割書：江》之御暇被仰出其節
　　御袷《割書：十》御拝領
一同月廿七日江戸御発駕中山道通御旅行
一六月十一日丹生郡立町郷芳江《割書：江》御入部

【右・丁　白紙】



明暦三年丙申　　
　一三月廿八日
　　公方様御疱瘡《割書：ニ》付御様体之趣御奉書を以被仰出之
　　　　　一筆令啓候
　　　　　公方様従去廿四日御頭痛気之処自一昨
　　　　　夜御疱瘡少々拝見候一段軽御様体
　　　　　被成御座候間可御心安候　此趣従脇々
　　　　　相聞候者可為気遣与如此候隠雖不及申候

　　　　其元被有之尤候　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　三月廿八日　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　　　　　　　　　酒井雅楽頭
　　　　　　　　　　　　　　　　忠清書判

　　　　　　松平兵部大輔殿

一四月十五日右同断《割書：ニ》付御機嫌為御伺江戸表《割書：江》御使者被指立
　候処右御返書今日被相渡之



一同月十七日右同断《割書：ニ》付御書を以再御機嫌御伺被成候処
　御快《割書：ニ》付重而御様体御伺《割書：ニ》不及旨之御返書今日被相渡之
一同月十九日
　公方様御疱瘡御快然《割書：ニ》付御酒湯相済候為御祝儀江戸表《割書：江》
　御使者被指出之　御樽肴被献候処右御返書今日被相渡之
一六月十一日御登城　御参勤之御礼被仰上　御太刀金馬代
　奉書紙御献上
　　　但吉江御発駕江戸御着日不詳





















【右・丁　白紙】


【左・丁】


明暦三年丁酉
　一九月四日御登城被成候処御在所《割書：江》之御暇仰出
　　其節御袷《割書：十》
　　御拝領

【右・丁　白紙】



【左・丁】

萬治元年戊戌《割書：此年明暦四年｜四月十三日改元》
　一十一月五日御屋敷於鳥越御拝領
　　　　　但
　　　　　　光通様御屋敷《割書：ニ》被成御座候処御屋敷御拝領《割書：ニ》付御普
　　　　　　請有之
　　　　　　御引移有之候得共月日不詳

【右・丁　白紙】



【左・丁】

萬治二年己亥
　一正月十四日
　　公方様御前髪被為執候御祝儀之御能御見物之儀《割書：ニ》付
　　御老中連名之御切紙来
　　　今度御前髪被執之候為御祝儀明日
　　　御能被仰付候間可致見物之旨
　　　上意候被存其趣辰刻以前登
　　　城尤候　以上

　　　　　
　　　　　正月十四日　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　酒井雅楽守

　　　　　　松平兵部大輔殿



萬治三年庚子
　一五月六日今度森内記《割書：長｜継》殿《割書：作州津山｜城主》御女万姫様《割書：寛永｜十八年》
　　《割書：辛巳三月十日御誕生御母池田｜備中守《割書：永｜幸》殿御女鶴姫様》御縁組被仰出候《割書：ニ》付為御礼江戸表《割書：江》御　　　
　　使者
　　被指出候処右御返書今日被相渡之
　　　但右御縁組被仰出候月日御記録類不詳

　　　　御状令披見候
　　　　公方様益御機嫌能被成御座恐悦之旨

　　　　尤之事候将又其方縁辺之儀被
　　　　仰出忝被存之由承届候　依之為御礼被差越
　　　　使者候　入念之段可及
　　　　上聞候　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　五月六日　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　　　　　　　　　　　酒井雅楽頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠清書判

　　　　　松平兵部大輔殿



寛文二年壬寅
　一正月朔日為年始御祝儀
　　光通様《割書：与》御同道《割書：ニ》而御登城御礼被仰上
　一九月廿七日万姫様鳥越御屋敷《割書：江》御入輿御婚姻御整
　　被成
　一十月二日右同断《割書：ニ》付為御婿入森大内記殿《割書：江》御出被成
　一同月三日右同断《割書：ニ》付森大内記殿御招請有之
　一同月十五日右同断《割書：ニ》付御登城御婚姻之御礼被仰上
　　御時服《割書：三》御献上































　　　　　　　　　　　　　　　　　

【右・丁　白紙】





【左・丁】

寛文三年壬卯
　一八月廿八日依御霊敷《割書：五月｜廿一日》吉江《割書：江》宗像神社《割書：田心姫命たぎ【湍】津｜姫命市杵島姫命》御建立
　　有之

【右・丁　白紙】



【左・丁】



寛文四年甲辰
　一閏五月十三日
　　光通様御頂戴之御判物《割書：ニ》御領知御書込《割書：ニ》而御拝領
　　被成候《割書：ニ》付為御礼江戸表《割書：江》御使者被指出候処右御返書
　　今日被相渡之
　一六月《割書：日不｜詳》御参勤御時節為御伺江戸表《割書：江》御使者被指出候処
　　如例年九月中御参府可被成旨之御奉書被相渡之
　一八月廿八日御登城御参勤之御礼被仰上　銀馬代御献上


一十月廿七日御鷹之雁御拝領
一十二月廿八日四品被仰出《割書：御年｜二十五》

　　　　　　上卿徳大寺大納言
　　　　　　　　寛文四年十二月廿八日　宣旨
　　　　　　　　　従五位下源昌親
　　　　　　　　　　宜叙従四位下　　　　《割書：奉》
　　　　　　　　　　　蔵人権右少辨藤原経尚



　　　　　　　　　　従五位下源朝臣昌親
　　　　　　　　　　右可従四位下
　　　　　　　　中務表節兵欄宜勤羽衛精
　　　　　　　　誠無懈夙夜在公宜増朝章
　　　　　　　　式加階級可依前件主者
　　　　　　　　施行
　　　　　　　　　　寛文四年十二月廿八日
　　　　　　　　　　　中務卿　《割書：闕》
　　　　　　　　　　　従四位下行中務大輔臣源朝臣資冬宣
　　　　　　　　　　　従四位上行中務少輔藤原朝臣祐宜奉行








　　　　　　　　　　　　　　　









　　　　　　　　　正二位行権大納言臣　　　　　　　頼業
　　　　　　　　　正二位行権大納言兼右近衛大将臣　基熈
　　　　　　　　　従二位行権大納言臣　　　　　　　基福　　　
　　　　　　　　　従二位行権大納言臣　　　　　　　隆貞
　　　　　　　　　従二位行権大納言臣　　　　　　　俊広
　　　　　　　　　従二位行権大納言臣　　　　　　　実維
　　　　　　　　　権大納言正三位臣　　　　　　　　通茂
　　　　　　　　　権大納言正三位臣　　　　　　　　経光
　　　　　　　　　権大納言正三位臣　　　　　　　　公規


　　　　　　　　　権大納言正三位臣　　　　　　　　内房
　　　　　　　　　正三位行権中納言兼式部大輔臣　　知長
　　　　　　　　　正三位行権中納言臣　　　　　　　熈房
　　　　　　　　　正三位行権中納言臣　　　　　　　季賢
　　　　　　　　　正三位行権中納言臣　　　　　　　基賢
　　　　　　　　　正三位行権中納言臣　　　　　　　雅房
　　　　　　　　　正三位行権中納言臣　　　　　　　資熈
　　　　　　　　　正三位行権中納言臣　　　　　　　定誠
　　　　　　　　　権中納言従三位臣　　　　　　　　実起

　　　　　　　　　
　　　　　　権中納言従三位臣忠幸等言
　　　　　　制書如右請奉
　　　　　　制附外施行謹言
　　　　　　　　寛文四年十二月廿八日
　　　　　　制可
　　　　　　　月晨時正四位行大外記兼掃部守造酒正中原朝臣
　　　　　　　　　　　　　　　　　右中辨光雄
　　　　　　摂政左大臣正二位朝臣
　　　　　　太政大臣《割書：闕》


　　　　　　右大臣正二位朝臣
　　　　　　内大臣正二位兼行左近衛大将朝臣
　　　　　　兵部卿《割書：闕》
　　　　　　兵部大輔《割書：闕》
　　　　　　参議従三位行右大辨経慶
　　　　　　告従四位下源朝臣昌親奉
　　　　　　制書如右符到奉行
　　　　　　従四位下兵部少輔永貞










　　　　　　　　　　　　　　大録
　　　　　　　　　　　　　　少録
　　　　　　　　　　　　　　少録
　　　　寛文四年十二月廿八日



寛文五年乙巳
　一正月朔日為年始御祝儀
　　光通様《割書：与》御同道《割書：ニ》而御登城御礼被仰上
　一同月廿八日御登城四品被仰出候御礼被仰上　御太刀
　　馬代《割書：黄金｜一枚》御献上
　一七月九日上使三宅内蔵助《割書：康｜広》殿を以御鷹之雲雀御拝領
　一九月六日御登城　御在所《割書：江》之御暇被仰出其節御時節《割書：十》
　　御拝領

【右・丁　白紙】



【左・丁】

寛文六年酉午
　一六月《割書：日不｜詳》御参勤御時節御伺被成候処例年通九月中
　　御参府可被成旨之御奉書於御老中宅被相渡之
　一八月《割書：日不｜詳》為御参勤吉江御発駕
　一同月廿八日江戸御着

【右・丁　白紙】



【左・丁】
寛文七年丁未
　一正月朔日為年始御祝儀
　　光通様《割書：与》御同道《割書：ニ》而御登城御礼被仰上
　一七月四日上使新庄与三右衛門《割書：直｜方》殿を以御鷹之雲雀
　　御拝領
　一九月《割書：日不｜詳》御在所《割書：江》之御暇被仰出
　一同月《割書：日不｜詳》江戸御発駕

【右・丁　白紙】



【左・丁】



寛文八年戊申
　一二月四日江戸上野辺ゟ出火之処次第《割書：ニ》大火《割書：ニ》相成鳥越御屋敷
　　御類焼
　一四月《割書：日不｜詳》御書を以鯖一箱被献之
　一八月廿九日江戸御着

【右・丁　白紙】


【左・丁】



寛文九年己酉
　一正月朔日為年始御祝儀
　　光通様《割書：与》御同道《割書：ニ》而御登城御礼被仰上
　一七月廿三日上使溝口源右衛門殿を以御鷹之雲雀御拝領
　一九月十五日御登城御在所《割書：江》之御暇被仰出其節御時服《割書：十》
　　御拝領
　一十月廿一日芳江《割書：江》御着
　一十二月廿三日来正月


　台徳院様三十三回御忌御法事御執行有之《割書：ニ》付
　御出府被成度段御伺被成候処右御返書今日被相渡之
　　　　御状令被見候来年正月
　　　　台徳院様御遠忌之御法事就御執行
　　　　同姓越前守参勤有之度之由被相伺候間
　　　　可為参上歟《割書：与》示給候越前守儀無用之旨
　　　　被仰出候条其方茂延引尤候　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　十二月廿三日　　　　　　　　　忠清書判　
　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判


　　　　　　　　　　　　　　　　酒井雅樂頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠清書判

　　　　　　松平兵部大輔殿

【右・丁　白紙】



【左・丁】

寛文十年庚戌
　一正月廿七日今度於増上寺
　　台徳院様三十三回御忌御法事有之《割書：ニ》付御使者を以御香奠
　　被献候処右御奉書今日被相渡之
　一五月三日為端午御祝儀御使者を以御帷子《割書：三》被献之
　一六月《割書：日不｜詳》暑中《割書：ニ》付御書を以索麵一箱被献之
　一九月十一日江戸御着
　一同月十五日御登城御参勤之御礼被仰上　御太刀馬代
　　《割書：黄金｜十両》奉書紙《割書：五｜箱》御献上


　一十一月六日上使久保平左衛門殿を以御鷹之雁御拝領右為
　　御礼御登城
　一十二月十六日浅草御蔵火消被蒙仰《割書：六郷伊賀守殿｜御跡》



寛文十一年辛亥
　一正月朔日為年始御祝儀御登城　御太刀馬代御献上於
　　御黒書院御礼被仰上　御盃御頂戴呉服御拝領《割書：広蓋《割書：ニ》｜載之》
　一六月十六日為嘉定御祝儀御登城　於大広間御礼被仰上
　　御菓子御頂戴有之
　一七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以銀三枚被献之
　一同月十九日上使柘植平右衛門殿を以御鷹之雲雀御拝領
　一八月朔日為御祝儀御登城　於大広間御礼被仰上　御太刀
　　馬代御献上


　一九月十四日御登城御在所《割書：江》之御暇被仰出　其節御時服《割書：十》
　　御拝領　畢御前《割書：江》被為召
　　光通様御病気御尋之上意有之且又無御心許被
　　思召之旨御老中土屋但馬守《割書：数｜直》御伝達有之
　一同月廿八日御帰邑《割書：ニ》付福井《割書：江》御越
　　光通様《割書：江》御対顔被成十四日御暇之御礼被仰上候節
　　御病気御尋之趣被仰上之
　一同月《割書：日不｜詳》御帰邑《割書：ニ》付為御礼江戸表《割書：江》御使者被指出之
　　御肴一種被献之


　一十月十三日右同断御礼御使者《割書：江》左之通御返書御渡有之
　　　　　　　御状令披見候
　　　　　　　公方様益御機嫌能被成御座珍重之旨
　　　　　　　尤之事候将又其頃首尾好御暇在所到着
　　　　　　　忝之由得其意候　依之為御礼以使者
　　　　　　　御肴一種進上之候　左之趣遂披露候之
　　　　　　　処一段之仕合候次御暇之節
　　　　　　　上意之趣同氏越前守《割書：江》被相達之為御礼
　　　　　　　使者到来付而別紙之通是又承届候
　　　　　　　











　　　　　　　恐々謹言　
　　　　　　　　　　　　　　　板倉内膳正
　　　　　　　十月十三日　　　　　　重矩書判
　　　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　数直書判
　　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　　　　　　　　　　　　広之書判
　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　　正則書判

　　　　　　　　　　松平兵部大輔殿


寛文十二年壬子
　一閏六月《割書：日不｜詳》暑中《割書：ニ》付御機嫌為御伺御書被指出
　一同月廿九日御参勤御時節御使者を以御伺被成候処例年之通
　　九月中御参府可被成旨之御奉書今日被相渡之
　一八月晦日為御参勤吉江御発駕
　一九月十二日江戸御着
　一同月十五日御登城御参勤之御礼被仰上　御太刀馬代《割書：黄金｜十両》
　　奉書紙《割書：五｜箱》御献上

【右・丁　白紙】




【左・丁】

延宝元年壬丑《割書：此年寛文十三年｜九月廿二日改元》
　一正月朔日為年始御祝儀
　　光通様《割書：与》御同道《割書：ニ》而御登城御礼被仰上
　一七月六日上使天野弥五右衛門《割書：長｜重》殿を以御鷹之雲雀御拝領
　一九月十五日御登城　御在所《割書：江》之御暇被仰出
　　　但右御暇被仰出候得共高照院様御不快《割書：ニ》付御老中迄
　　　　御内達之上御発駕御見合被成
　一十二月三日高照院様於鳥越御屋敷御卒去


　一十二月四日高照院様御遺骸谷中瑞応山南泉寺《割書：江》御葬送
　　御法号　　《割書：大正十五年七月品川｜海妟寺墓地ニ改葬ス》
　　高照院殿千峯慈松大姉
　一同月十九日江戸御発駕


延宝二年甲寅
　一正月三日吉江《割書：江》御着　直《割書：ニ》福井《割書：江》御越
　　光通様《割書：江》御対顔
　一二月廿二日
　　光通様《割書：江》左之通御誓言之御書被進之
　　　乍慮外奉捧一書候　旧冬権蔵殿事申上
　　　候得者事之外御立腹被成御子《割書：ニ》而無御座之旨
　　　御誓文《割書：ニ》而御意被成候故奉得其意指置申候
　　　左様《割書：ニ》御座候ヘハ初終之儀如何之思召《割書：ニ》御座候哉

　　　就夫風聞承候ヘハ私なと当国之事可被仰付
　　　御内心も可有之哉と下々申旨御座候　加様之儀
　　　申上候事おかしく奉存候得共万々一左様之
　　　思召も御座候ヘハもつたいなき御事絶言語申候
　　　か様《割書：ニ》御断りましき事申上候も何とやらん
　　　はちかわしき事《割書：ニ》御座候ヘとも万々一左様思召
　　　御座候共日本大小神祇を以御請申上間敷候
　　　まことしからぬ事《割書：ニ》御座候間先かろく申上候
　　　追而江戸へ御越被成候間中将殿出羽殿御相談
　　　

　　　之ためおかしき事なから申上候　此段者別而
　　　御為奉存候故おわらい被遊候事もかへり不見
　　　申上候御事《割書：ニ》御座候　已上

　　　　　　　　　　　　　　松平兵部大輔
　　　　二月廿二日　　　　　　　　　　御判
　
　一三月廿四日《割書：戌｜刻》
　　光通様御逝去
　一同月廿五日右同断《割書：ニ》付江戸表《割書：江》左之通御届書被指出之







　　　　
　　　　越前守近年病気其上当月十二日ゟ
　　　　持病之痰指出家来井上庸養伯《割書：与》申者之
　　　　薬服用仕其後岡部高伯《割書：与》申者之薬服用
　　　　仕二十四日之昼八時ゟ散々之様子《割書：ニ》而同夜五時《割書：ニ》
　　　　相果候
　　　　　三月二十五日　　　　　松平兵部大輔

　一三月廿八日右同断《割書：ニ》付御一門様方《割書：江》御書を以左之通
　　被仰進之

　　　　　
　　　　　　一筆致啓上候今度稲葉采女芦田
　　　　　　図書差越申候趣者越前守日来之
　　　　　　書置二通為致持参候私儀結構成趣《割書：ニ》候
　　　　　　如何様《割書：ニ》も可任其意事《割書：一ニ》候得共色々存
　　　　　　旨候間家老共其外用事《割書：ニ》加候者共と致
　　　　　　詮議候得者得其意候越前守跡目於被
　　　　　　仰付者拙者願之段者中務世忰千菊儀
　　　　　　正統《割書：ニ》も候得者当国之儀被仰付候様《割書：ニ》与奉






















　　　　　　願候越前守家来共へも右之趣申聞候処何茂
　　　　　　承届候此段御相談被成可被下候　委細両人
　　　　　　之者可申上候　恐惶謹言

　　　　　　　　　　　　　　　　松平兵部大輔
　　　　　　　　三月廿八日　　　　　昌親　花押
　　　　　　　越後中将様
　　　　　　　松平但馬守様
　　　　　　　松平出羽守様
　　　　　　　松平大膳大夫様
　　　　　　　松平大和守様

　　　　　　以別紙致啓上候御連状《割書：ニ》申上候通越前守
　　　　　　書置之留披見仕候処拙者儀結構成
　　　　　　書面《割書：ニ》候　貴様兼而御存知之通《割書：ニ》候得者
　　　　　　難請仕合《割書：ニ》御座候条家老共其外用事《割書：ニ》
　　　　　　加り候者共と致詮議候得者得其意左候ハ者
　　　　　　拙者存寄承度由申《割書：ニ》付千菊事申出シ
　　　　　　候処尤之旨申候故家来共へも右之趣申







　　　　　　聞候得者何も同心仕候此段渡部大隅守殿
　　　　　　阿部四郎五郎殿へも申越候間御相談被成
　　　　　　可被下候去夏其許へ参候仁之儀ハ家来共
　　　　　　中之々承引仕間敷様子《割書：ニ》候為御心得之申上候
　　　　　　委細稲葉采女芦田図書《割書：へ》具《割書：ニ》御尋可被
　　　　　　成候　拙者儀其御地《割書：ヘ》致伺公願之断段可
　　　　　　申上儀《割書：ニ》候ヘ共御下知無之内当国罷出候事も
　　　　　　いかゝと奉存候故両人を差越申候　何も様
　　　　　　御相談被成被仰下次第可罷越候　恐惶謹言
　　　　　　　　三月廿八日
　　　　　　　松　出羽守様

一三月晦日
　光通様御逝去《割書：ニ》付御朦中御尋之御奉書於
　御老中宅被相渡之

　　　　　　　　松平越前守病気処養生不相叶去
　　　　　　　　廿四日卒去之由使者口上之趣及










　　　　　　　　高聴御哀惜之御事候誠不及是非儀
　　　　　　　　御心底察入候　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守
　　　　　　　　　三月晦日　　　　　　　数直書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　広之書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正則書判

　　　　　　　　松平兵部大輔殿

一四月《割書：日不｜詳》右同断《割書：ニ》付御礼御使者江戸表《割書：江》被指出之
　　　　但同月廿日右御返書被相渡之
一同月二日此度
　光通様御逝去《割書：ニ》付　御国許御締之儀為御達江戸表《割書：江》
　御使者被指出候処模擬御返書今日被相渡之
　　　　　
　　　　　御状令披見候最前被差越使者以後
　　　　　其国中福井城内家中之輩迄別条
　　　　　無之由以使者被申越之趣承届候雖不











　　　　　　


　　　　　及申候無遠慮万事可被申付候　猶使者
　　　　　可令演説候　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　土屋但馬守
　　　　　　四月二日　　　　　数直書判
　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　　　　　　　　　　広之書判
　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　　　　　　　正則書判

　　　　　松平兵部大輔殿殿

一四月七日於浄光院
　光通様御遺骸御葬送御式有之
一同日渡辺大隅守殿阿部四郎五郎殿《割書：江》御書を以
　思召之趣被仰遣之
　　　　　　乍御状去月晦日御札令拝見候先以
　　　　　　越前守仕合《割書：ニ》付御奉書被成下難有
　　　　　　奉存候　則御請差上申候忌中いかゝ
　　　　　　被思召候ハ者先延引可仕候　兎角御指図


　　　　　次第《割書：ニ》候両度之使之儀御老中《割書：へ》被仰達
　　　　　之旨忝存候申ても〳〵越前守儀拙者
　　　　　心底御最察被成可被下候　貴様御事も久々の
　　　　　御近付別而御心易御語被成候《割書：ニ》御残多
　　　　　思召之旨御尤《割書：ニ》存候
　　　　一家老共両人程早々指越可申之旨被仰
　　　　　越候　去月廿八日稲葉采女芦田図書
　　　　　指遣候　此節ハ着可仕と存候　其節拙者
　　　　　願之段申上候一門共と御相談被成可然様《割書：ニ》

　　　　　奉願候　此度之儀《割書：ニ》候ヘハ申達迄ハ無御座
　　　　　候ヘ共尚以御情を御出し相調候様《割書：ニ》被成
　　　　　可被下候　此段ハ先日具《割書：ニ》申入候間申残候
　　　　　兎角拙者心底之段御察被成可被下候
　　　　　爰元《割書：ニ》拙者一人《割書：ニ》てもいかゝニ存候故中務
　　　　　被遣被下様《割書：ニ》と奉頼候　此段頼入存候　当国
　　　　　相替儀無之城内町在ニ無別条候
　　　　　替儀候ハ者追々可得御意候　恐惶謹言
　　　　　　
　　　　　　卯月七日










　　　　

　　　　　
　　　　　　　渡部大隅守様

　　　　　　其元へ使者指越申候ニ朔日之御札
　　　　　　拝見如仰越後守仕合拙者心底之段
　　　　　　御察之通《割書：ニ》候就者御奉書被成下難有
　　　　　　奉存候　今度御請指越申候忌中如何《割書：ニ》
　　　　　　思召候ハ者御指図次第《割書：ニ》延引申候様《割書：ニ》と
　　　　　　大隅守殿ヘも申進候間左様御心得
　　　　　　被成御相談《割書：ニ》て可然様頼存候


　　　　　一美濃守殿ヘ貴様被仰達候趣美濃殿
　　　　　　御挨拶之段承届申候　被入御念之通
　　　　　　忝存候
　　　　　一越前守末期之節福居《割書：ニ》罷在看病
　　　　　　いたし此上之仕合《割書：ニ》候　廿四日《割書：ニ》朝参候様
　　　　　　《割書：ニ》と使者越候　去月中旬ゟ不食も
　　　　　　いたしふら〳〵と気色悪敷旨承
　　　　　　候故拙者可参と存候所故早々参候へ者
　　　　　　昼時分ゟ気色おもり夜五ツ過《割書：ニ》


　　　　　　相果申候　美濃殿《割書：ヘ》貴様御挨拶少々
　　　　　　相違申候所御座候ヘ共其段ハ不苦事と存候
　　　　　一色々風説被仰下具《割書：ニ》承届申候事新
　　　　　　義《割書：ニ》候得共忝存事《割書：ニ》候　拙者願之段ハ去月
　　　　　　廿八日稲葉采女芦田図書《割書：ニ》申進候間
　　　　　　定而具《割書：ニ》御物語可申候　我等存寄ハ去夏
　　　　　　其元へ参候仁ヘ遠慮《割書：ニ》てハ無之候間左様
　　　　　　御心得可被成候　当春越前守申候ハ子《割書：ニ》て
　　　　　　無之候ヘハ家督いたし候義ハ不及申
　　　　　　御目見ヘ之儀も存寄無之旨つよき
　　　　　　誓文《割書：ニ》而申候故出羽守方ヘ此段申越候
　　　　　　左様《割書：ニ》候ヘㇵ拙者存念ハ無之候内《割書：ニ》御存
　　　　　　之通《割書：ニ》候へハ兎角之儀難任其意存候
　　　　　　其上何かと仕にくき事のミ候故越前守
　　　　　　為《割書：ニ》も成申間敷候　左様《割書：ニ》て如何と存事《割書：ニ》候
　　　　　　何《割書：ニ》つけ候ても千菊《割書：ニ》被仰付候様《割書：ニ》被仰付候様《割書：ニ》願存候
　　　　　　千菊《割書：ニ》被仰付候ても中務当国之義
　　　　　　諸事申付候事ハ家来共同心不仕候


　　　　　　拙者《割書：ニ》諸事家老共と相談申様《割書：ニ》と之
　　　　　　義候ハ者如何様《割書：ニ》も請可申家来共
　　　　　　之様子《割書：ニ》ハ此段も采女図書御物語可申候
　　　　　　拙者無遠慮申入候　恐惶謹言

　　　　　　　卯月七日

　　　　　　　阿部四郎五郎様

　　　　　　追啓本紙《割書：ニ》申入候通去候通去月廿八日両人
　　　　　　爰元出し申候此節ハ着可仕と存候間
　　　　　　
　　　　　　両人之者具《割書：ニ》御物語可申候　先書《割書：ニ》申入
　　　　　　候通爰元《割書：ニ》て家来共《割書：ニ》申聞其上《割書：ニ》而
　　　　　　其元《割書：ヘ》願之段申上事《割書：ニ》候　御返亊《割書：ニ》も
　　　　　　御情を御出シ可被成之旨被仰越左様
　　　　　　《割書：ニ》者無之候共疑申事《割書：ニ》てハ無御座候　弥
　　　　　　御思案被成首尾能相調候様《割書：ニ》奉頼候
　　　　　　願之段調候へㇵ拙者義事之外御奉公
　　　　　　仕よく候おそからぬ事《割書：ニ》候へ共願相叶
　　　　　　候共配分之地なと之義ㇵ曾而拝領仕






　　　　　　間敷候此段も御思案被成可被下候　以上

　　　　　　　七日

　　　　　　追而御心易存候故筆にまかせ申進候
　　　　　　　　　　　　　　　　　火中〳〵

一四月十四日御老中土屋但馬守《割書：数｜直》殿ゟ御呼出《割書：阿部四郎五郎殿ゟ鳥越｜御屋敷《割書：江》申来》
　御留守居桑原治部左衛門罷出候処御老中連名之御奉書
　御渡有之　右御奉書御番士吉田三左衛門《割書：御徒喜多嶋｜猪左衛門指添》を以
　御在所吉江表《割書：江》指上之


一同月十九日御番士吉田三左衛門御奉書持参吉江《割書：江》着
　
　　　　　　一筆令啓候
　　　　　　公方様益御機嫌能被成御座候間可被
　　　　　　御心安候　将又御用之儀候間可致参府之旨
　　　　　　被仰出候被得其意道中不被相急
　　　　　　可被罷越候　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守
　　　　　　　四月十四日　　　　　　数直書判
　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　　　　　　　　　　　　広之書判


　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　　正則書判
　　　　　　　　　　　　　　酒井雅樂頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　忠清書判

　　　　　　　松平兵部大輔殿

一四月廿一日先達而
　光通様御逝去之節霊岸嶋御屋敷《割書：江》上使を以御香奠
　御拝領被成候《割書：ニ》付御礼御使者江戸表《割書：江》被指出候処右御返書


　今日被相渡之

　　　　　御状令披見候　同氏越前守卒去付而
　　　　　以上使御香奠被遣之家来共迄難有
　　　　　奉存候　因茲被指越使者へ入念之段各
　　　　　申談可及言上候　恐々謹言

　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　四月廿一日　　　　　　広之書判

　　　　　　松平兵部大輔殿


一四月廿二日今度御老中連名之御奉書御到来《割書：去十九日》
　《割書：ニ》付吉江御発駕東海道通御旅行
一五月二日鳥越御屋敷《割書：江》御着
一同月三日御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿《割書：江》御逢對　御勤
一同月五日御一門様方御同道《割書：ニ》而明六日御登城可被成之旨御老中
　連名之御切紙来ル

【裏表紙　文字なし】

家譜

《題：家　譜　《割書：宗矩公｜　　　享保十年》三十九》

【見返し】

【左丁】
宗　矩　様　《割書：享保十年乙巳｜》

【右丁】
白紙

【左丁】
享保十年乙巳

一　正月朔日於　御屋形年始御規式有之
一　同日為年始御祝儀御使者御奏者番嶋田宇右衛門《割書：紋付素袍｜着》を以
　　御先代之通御太刀一腰御馬代黄金十両被献之　御城於大
　　広間御奏者番松平玄蕃頭殿江指上之
　　若君様江御使者同人を以右同断被献之御奏者番《割書：西丸御｜当番》
　　土屋但馬守《割書：陳｜直》殿家来江相渡之

【右丁】
　　　　但御幼年ニ付御使者を以被献之
一　正月三日為御謡初御祝儀御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》を以
　　御先代之通御盃台《割書：松竹鶴亀｜金土器二》御酒代銀壱枚被献之御城於
　　殿上之間御坊主組頭江相渡之
一　同月四日年始三ヶ日之御規式相済候為御祝儀御用番水野
　　和泉守《割書：忠｜之》殿江御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》被指出之
一　同月五日右同断ニ付京都所司代牧野佐渡守《割書：英｜成》殿江御使者
　　被指出之
　　　　但御書被遣御先様ニ候得共此節佐渡守殿在府ニ付御使者被遣之

【左丁】
一　同月七日為若菜御祝儀御使者御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》を以
　　御先代之通御肴《割書：鯛｜三》被献之於　御城御側衆有馬兵庫頭　殿
　　後刻披露可有之旨被申聞之
　　若君様江御使者同人を以右同断被献之於二ノ丸御側衆松平
　　内匠頭殿後刻披露可有之旨被申聞之右御披露済之捻
　　御奉書御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿二ノ丸御老中安藤対馬守《割書：信｜賢》殿ゟ
　　来
　　　　　　　　　上書
　　　　　　　　　　松平千次郎殿　　　　忠之
　　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　水野和泉守

【右丁】
　　　　　為若菜之御祝儀鯛三
　　　　　進上之候遂披露候処
　　　　　一段之仕合候恐々謹言
　　　　　　正月七日　　　　　　忠之書判
　　　　但対馬守殿ゟ之捻御奉書も右同様ニ付不記之
一　正月十日
　　公方様東叡山江　御参詣ニ付還御後　御機嫌為御伺
　　御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》被指出之御目付酒井頼母殿

【左丁】
　　被謁之
　　　　但右御参詣還御後御機嫌御伺之儀以後定例故不
　　　　　記之
一　同月十一日御具足之餅御祝有之於　御座之間御家老
　　御相伴被　仰付相済岡部左膳《割書：起｜平》ゟ御奏者番御側迄御餅
　　御直ニ被下之畢而於表御書院御先代之通御餅被下之
　　　　但右御餅御祝之儀以後定例故不記之
一　同日於御勘定所御勘定始御祝儀有之御家老初御役人
　　迄罷出

【右丁】
　　　　但右御祝儀之儀以後定例故不記之
一　正月十六日評定始ニ付御使御膳番を以評定所江御鷹之
　　鴨ニ被下之
　　　　但右鴨被下候儀以後定例故不記之
一　同月十七日御勘定頭稲生下野守　殿北条安房守《割書：氏｜英》殿ゟ申
　　来《割書：昨十六日連名ニ而｜切紙来》御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》御城江罷出候処御用
　　紙荷物之儀ニ付左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　覚
　　　　　越前御用紙荷物之儀宰領相止差越候

【左丁】
　　　　　様ニ可被致候事
一　同月廿五日御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿二ノ丸御老中安藤
　　対馬守《割書：信｜賢》殿ゟ御呼出御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》罷出候処
　　年始御太刀馬代御献上ニ付而之捻御奉書御渡有之
　　　　　　上書
　　　　　　　松平千次郎殿　　　　　　　忠之
　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　水野和泉守
　　　　　　為年頭之御祝儀以使者御太刀
　　　　　　一腰御馬代黄金十両進上之候

【右丁】
　　　　　　　遂披露候処一段之仕合候
　　　　　　　恐々謹言
　　　　　　　　正月十一日　　　忠之書判
　　　　　　但対馬守殿ニ而御渡之捻御奉書と同様ニ付不記之
一　二月十一日於深川霊巖寺昨十日晩ゟ今朝迄
　　清浄院様廿七回御忌御法事御執行有之於運正寺ニ
　　右同様御執行有之
一　同月廿一日御家中御借米御免之儀ニ付於評定所月番

【左丁】
　　御家老酒井與三左衛門《割書：文｜珍》左之通書付を以諸月番江申渡之
　　　　　　御勝手御不如意ニ付去年御家中江御借米之儀
　　　　　　被　仰出候処御家中末々ニ至迄此節困窮至極
　　　　　　ニ候旨相聞候ニ付今以御勝手之儀は御難儀被遊事
　　　　　　ニ候得共猶又別而御簡略被　仰付御家中御借米
　　　　　　之内当暮半分　御免可被成下候表向難被成儀も
　　　　　　段々御吟味被　仰付候而右　御免被成員数被　仰出
　　　　　　候間此段難有奉存面々随分艱難仕取続此節御奉
　　　　　　公と存可相勤候以上

【右丁】
　　　　　　　　二月廿一日
　　　　但御切米拾石以下之者は不残　御免被成其段は御奉行
　　　　　共ゟ夫々江相達
一　同日右同断ニ付　陽寿院様　智高院様　朋姫様　初姫様
　　勝姫様日野西様御合力米御借被成候分不残当暮之御借
　　被成間敷旨被　仰出
一　二月廿五日御用番松平左近将監《割書：乗｜邑》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　　十郎左衛門《割書：定｜由》罷出候処御国目付之儀ニ付左之通御書付を以
　　被　仰出

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　御使者
　　　　　　　　　　　　　　　　高力平八郎
　　　　　　　　　　　　　　二丸御書院番安藤伊勢守組
　　　　　　　　　　　　　　　　溝江源左衛門
　　　　　　　　領分江為御目付被差遣之
　　右為御請左近将監殿江御使者御使番被指出之
一　同日今日ゟ廿八日迄於御本丸御家中侍中武芸　御名代
　　御読有之
一　同月廿六日御国目付被　仰出候御礼為　御名代河内守《割書：直｜好》様
　　御用番松平左近将監《割書：乗｜邑》殿江御勤御進被成残御老中江御使者

【右丁】
　　御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》被指出之若年寄中江御使者御使番
　　被指出之
一　同日右同断ニ付京都所司代牧野佐渡守《割書：英｜成》殿江御書被遣之
一　二月廿七日道中人馬之儀ニ付大目付中ゟ左之通御廻状来
　　　一　東海道宿人馬不足故別而助郷村々及難儀候ニ付
　　　　　此度宿々人馬不足無之様ニ被仰出余計之人
　　　　　馬は不差置筈ニ候依之在藩諸大名其外往来
　　　　　之者向後入用之人馬は致先触差出させ賃
　　　　　銭急度相払可被申候差掛り入用之人馬出さ

【左丁】
　　　　　せ候ハゝ問屋江申付候共相対を以雇かさつ成儀
　　　　　無之様ニ可被相心得候尤問屋不届有之候ハゝ
　　　　　其段追而道中奉行江可被相達候
　　　一　諸大名道中一日ニ三頭程宛人馬不差支様ニ可被
　　　　　相通候川留りニ而逗留差湊候節は右之順を以
　　　　　段々ニ可被相通候以上
一　三月四日去月十二日出之継飛脚箱駿州沼津駅ゟ蒲原駅
　　之間ニ打刻捨有之候趣沼津御本陣清水助左衛門と申者ゟ訴出
　　候ニ付同廿六日御徒目付林弥兵衛被指遣之吟味之上助左衛門儀

【右丁】
　　不調法ニ付御本陣御取揚右跡間宮喜右衛門と申者江被　仰付
一　三月五日御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》を以御先代之通
　　御国産干鰈《割書：三十｜枚入》一箱被献之於　御本丸御側衆加納遠江守　殿
　　後刻披露可有之旨被申聞之
　　若君様江御使者同人を以右同断被献之於二ノ丸御側衆松平
　　内近【匠】頭殿後刻披露可有之旨被申聞之右御披露済之
　　捻御奉書御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿二ノ丸御老中安藤対馬守《割書：信｜賢》殿ゟ
　　来
　　　　　　　上書
　　　　　　　　松平千次郎殿　　　　　忠之

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　水野和泉守
　　　　　　　今朝干鰈一箱進上之候
　　　　　　　遂披露候処一段之仕合候
　　　　　　　恐々謹言
　　　　　　　　三月五日　　　　　忠之書判
　　　　　但対馬守殿ゟ之捻御奉書も同様ニ付不記之

一　同月六日七日於　御本丸御家中侍中射術御名代御読【覧】

【右丁】
　　有之
一　三月十二日御国目付高力平八郎　殿溝口孫左衛門　殿此
　　御屋形江御越ニ付於　御対面所御逢有之
一　同月廿一日御国目付御国表江御越ニ付右為御用有賀本次郎
　　高田小左衛門《割書：一｜■》屋敷御借被成本次郎江御泉水御屋敷小左衛門江
　　筏町御屋敷御貸可被成旨被　仰出
一　同月廿七日於運正寺昨廿六日朝ゟ今朝迄
　　豊仙院様御一周忌御法事御執行有之於品川天龍寺
　　御茶湯御執行有之

【左丁】
一　四月四日
　　若君様初而御鷹野　御成ニ付　還御後　御機嫌為御伺
　　御老中安藤対馬守《割書：信｜賢》殿江御使者御留守居被指出之
一　同月六日御国目付高力平八郎　殿溝口孫左衛門　殿御招請
　　御囃子被　仰付其節御願【頼】ニ而諏訪伊勢守《割書：忠｜林》殿諸事御名代
　　御勤被成
一　同月八日
　　若君様　御元服従二位大納言　御拝任為御祝儀直衣特【狩】衣等
　　ニ而明九日惣出仕ニ付《割書：去五日大目付中｜御触達》御勤之儀御用怠【懸】り御老中

【右丁】
　　水野和泉守《割書：忠｜之》殿江御留守居を以御伺被成候処不及御勤旨
　　御指図有之
一　四月十八日
　　大納言様　御元服御官位之為御祝儀惣出仕之処
　　御幼年ニ付御使者御奏者番渋谷弥税《割書：熨斗目｜長上下着》を以
　　公方様江御太刀金馬代被献之《割書：去十日｜御触達》御城於檜之間御奏
　　者番丹羽式部少輔《割書：薫｜氏》殿江指上之
　　大納言様江御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》を以右同断被献之
　　於二ノ丸御奏者番高木主水正《割書：正｜陳》殿江指上之

【左丁】
一　同日右同断ニ付為御歓御用番松平伊賀守《割書：忠｜周》殿二ノ丸御老中
　　安藤対馬守《割書：信｜賢》殿江御使者御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》被指出之
一　同日右同断ニ付京都所司代牧野佐渡守《割書：英｜成》殿江御書被遣之
一　同日御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》を以御精進揚之御肴
　　《割書：鯉｜二》被献之於　御本丸御側衆有馬兵庫頭　殿後刻披露可
　　有之旨被申聞之
　　大納言様江御使者同人を以右同断被献之於二ノ丸御側衆松平
　　内匠頭殿後刻披露可有之旨被申聞之右御披露済之捻
　　御奉書御用番松平伊賀守《割書：忠｜周》殿二ノ丸御老中安藤対馬守《割書：信｜賢》殿ゟ

【右丁】
来
　　　　　　上書
　　　　　　　松平千次郎殿　　　　　忠周
　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　松平伊賀守
　　　　　　今朝鯛二進上之候遂披
　　　　　　露候処一段之仕合候
　　　　　　恐々謹言
　　　　　　　四月十八日　　　　忠周書判
　　　　但対馬守殿ゟ之捻御奉書は同様ニ付不記之

【左丁】
一　四月廿二日御国目付高力平八郎　殿ゟ申来御留守居大関
　　新五左衛門《割書：直｜看》罷出候処溝口孫左衛門　殿列座ニ而来廿五日御両人共
　　御発足ニ而道中十一泊ニ而来月六日御国表御着之筈被申聞之
一　同月廿三日右同断ニ付為御餞別御使者御使番を以干菓子
　　一箱鯛一折宛被遣之且又御暇乞為　御名代御家老本多
　　縫殿《割書：成｜広》被遣之
一　同月廿五日御国目付衆今日御発足ニ付御留守居大関
　　新五左衛門《割書：直｜看》大御番伊東十之丞《割書：祐｜良》御医師加藤養安森栄庵御
　　徒目付《割書：田嶋｜■■》御徒三人《割書：堀金太夫加納伊右衛門｜力丸治左衛門》道中被指添之

【右丁】
一　同日右同断ニ付為御届御用番松平伊賀守《割書：忠｜周》殿江御使者
　　御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》被指出之
一　四月廿七日於天徳寺昨廿六日晩ゟ今朝迄
　　豊仙院様御一周忌御法事御執行有之
一　五月朔日
　　公方様御厄年ニ付山王観理院江御祈禱御頼被成御使者
　　御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》を以銀十枚被供之《割書：御服明ニ付今日｜御頼ニ相成》右ニ付為
　　御届御用番松平左近将監《割書：乗｜邑》殿江御使者同人被指出之
　　　　但此節正五九月　公儀御祈禱之儀は同人を以御頼被成候得共

【左丁】
　　　　　　右御祈禱以後定例故不記之
一　同月三日為端午御祝儀御先代之通御使者御留守居
　　宮北十郎左衛門《割書：定｜由》を以御帷子《割書：浅黄｜御紋付》御単《割書：黒綸子｜御紋》被献之　御城
　　柳之間江御老中水野和泉守《割書：忠｜之》殿出座御奏者番土岐
　　丹後守　殿江指上之
　　大納言様江御使者同人を以右同断被献之二ノ丸柳之間江
　　御老中安藤対馬守《割書：信｜賢》殿出座御奏者番太田備中守《割書：資｜晴》殿江
　　指上之
一　同月六日御国目付高力平八郎　殿《割書：御旅宅有賀｜本次郎屋敷》溝口孫左衛門　殿

【右丁】
　　《割書：高田小左衛門｜屋敷》福井江着御両人御越之節為御迎中河内迄御目付
　　土屋十郎右衛門《割書：貴｜充【ヵ】》御国境迄郡奉行皆川三左衛門《割書：勝｜■》道奉行中村甚左衛門《割書：成｜宣》
　　今庄御置【昼】迄御書院番頭水谷織部《割書：勝｜紀》御用人波々伯部八左衛門《割書：頼｜安》幷
　　御奉行千本藤左衛門《割書：憲｜成》御目付上月武左衛門　罷出府中御泊迄
　　御中老秋田八郎兵衛御用人中川伝兵衛　渡辺太郎左衛門　其
　　外大御番士御徒目付御徒御坊主迄被指遣之白鬼女川江御水
　　主頭大藤治兵衛《割書：茂【ヵ】｜雅》郡奉行松尾源左衛門　水落御休迄御目付片山
　　弥五右衛門《割書：■｜繕》郡奉行彦坂又兵衛《割書：重｜行》罷出同所ゟ御先乗御先物頭
　　土屋小治太《割書：真｜竹》萩野四郎右衛門《割書：永｜忠》木田町端迄御徒頭海福忠左衛門

【左丁】
　　河合彦作《割書：■｜■》町奉行大宮彦右衛門《割書：■｜■》大馬出御門外迄御家老幷
　　松平庄兵衛《割書：正｜■》大御番頭菅沼与一郎《割書：次｜由》御用人多賀谷舎人《割書：■｜福》御奉
　　行雨森新七《割書：政｜■》御側物頭中村太郎左衛門《割書：■｜■》御旅宅近所迄御用人ゟ
　　御物頭罷寄【出】逗留中御旅宅江御先物頭ゟ御使番大御番士相詰
一　五月七日右同断ニ付御目付中ゟ御老中江御達之儀ニ付御使番
　　小川治兵衛《割書：敦｜軋》副使大御番堀八郎右衛門《割書：久｜仲》書状持参今日福井出立
一　同日両御目付ゟ御家老本多修理《割書：恒｜■》江左之通御書付被相渡之
　　　一　我等共両人爰許江到着以後領内相替儀無御座
　　　　　候哉若往来之衆も有之候ハゝ【ヽ】何日被通候段可

【右丁】
　　　　　　被申聞候
　　　　一　惣而近国相替儀被聞及候ハヽ被申聞候様いたし
　　　　　　度存候事
　　　　一　御城下ハ不申及御領内火事喧嘩等有之候ハヽ
　　　　　　可被仰聞候事
　　　　 　　　　以上
一　五月九日於両御目付御旅宅御家老初御城代御留守居迄
　　御逢有之
　　　　但御用人御奏者番を初御番組之御侍迄追々御逢有

【左丁】
　　　　　之候得共不記之
一　同月十五日御使者御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》を以御先代之通
　　御国産初鯖《割書：三十｜刺》被献之
　　大納言様江右同断被献之右御披露済之捻御奉書御用番
　　松平左近将監《割書：乗｜邑》殿二ノ丸御老中安藤対馬守《割書：信｜賢》殿ゟ来

　　　　　　　上書
　　　　　　　　松平千次郎殿　　　　　　乗邑

　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　松平左近将監

【右丁】
　　　　　　　　今朝鯖一箱進上之候遂
　　　　　　　　披露候処一段之仕合候
　　　　　　　　恐々謹言
　　　　　　　　　五月十五日　　　乗邑書判
　　　　　但対馬守殿ゟ之捻御奉書も同様ニ付不記之
一　同日御国目付去六日福井江着ニ付御目付ゟ御老中江之御用
　　状持参之御使番小川治兵衛《割書：敦｜軋》大御番堀八郎右衛門《割書：久｜仲》江戸着《割書：御留守｜居宮北》
　　《割書：十郎左衛門｜同道》御用番松平左近将監《割書：乗｜邑》殿江罷出右御用状指出之

【左丁】
　　　　但十六日左近将監殿江御留守居御呼出ニ而治兵衛等勝手次第
　　　　　御国江罷帰候様御指図有之
一　五月廿二日両御目付中　御城御見分有之右ニ付極楽橋
　　御門際江御城代御留守居御奏者番一人御目付一人罷出
　　御玄関白洲江秋田八郎兵衛御奏者番御側渡辺太郎右衛門　罷出
　　御式台板之間下迄御家老罷出夫ゟ御目付一人御奏者番
　　一人御家老本多修理　御先立大広間ニ暫着座有之《割書：此節御床ニ｜両三方長蚫》
　　《割書：幷御朱印台二ツ｜御上段ニ飾有之》夫ゟ奥御居間江御通御庭ゟ御櫓御天守台等
　　御見分有之御廊下橋ゟ二ノ丸江御越　御座所御庭ゟ御書

【右丁】
　　院江御上り其節御料理出《割書：一汁｜三菜》御家老御相伴ニ而相済最前
　　之通御本丸江御帰直ニ御厩江御越切手御門ゟ御出外惣
　　御曲輪御見分有之
一　五月廿四日
　　大納言様御鷹野ニ御成之節　還御後御機嫌伺ニ不及
　　旨大目中ゟ御廻状来
一　同月廿九日一向宗田嶋興宗寺院家職之儀
　　豊仙院様御代御使者を以西本願寺江御頼被成候得共
　　寺法ニ相障儀も有之不相整候処福井掛所之後ニ而地

【左丁】
　　面少々御寄附も被成被下候ハゝ外江も不相障整可申旨輪
　　番之者町奉行江申聞候ニ付御評議之上先　御代御頼被成
　　置候儀ニ付達御聴候処御寄附可被成旨被仰出先達而
　　御使者を以被　仰込候処早速興宗寺院家職之儀本願寺
　　ニ而被申付候ニ付右為御挨拶御使者寺沢勘左衛門　を以奉書
　　紙十束刺鯖十刺被遣之
一　六月朔日御国目付高力平八郎殿溝口弥左衛門殿福井江
　　御着之為御歓御使者井上源右衛門　被指遣之両御目付江鯉
　　二喉ツゝ被遣之

【右丁】
　　　　但源右衛門去月十五日江戸出立
一　六月五日御勝手向御指支之儀ニ付左之通御書付を以
　　御簡略之儀諸役向江御家老申渡之
　　　　　　江戸御国ニ而諸役方江以書付可申聞覚
　　　　　兼而御勝手御不如意付段々御簡略之儀被仰
　　　　　出候得共人々御役儀ニ付御簡略之品無之役所ニ
　　　　　相見候弥御勝手段々御物入共有之候ニ付必至ニ御極
　　　　　儀之御事ニ候得は少分之事ニ而も下々而細に遂
　　　　　吟味御入用ニ掛り候儀は奉行中江とくと被申談

【左丁】
　　　　　随分麁抹ニ無之僉議ニ詰り候事ハ取捌可有之候
　　　　　別而此節御奉公は存能々了簡可有之候只今度之
　　　　　御家風相心得罷在候而ハ御費之筋も多可有之候間
　　　　　少々之儀ニ而も不任我意存付候事御為ニ候間
　　　　　御家風相改り候儀も不苦候間無遠慮存寄被申
　　　　　達幾重にも奉行中可被申談候毎度御簡略之
　　　　　儀被仰出儀候間跡々之趣こゝニ存候而ハ此節必至
　　　　　之御難儀ニ可罷成候其訳ハ近年御不如意ニ付他
　　　　　国御国共ニ御借銀之分去年御断ニ　仰達

【右丁】
　　　　　被指置候得共何を以御取続之程難斗時節ニ候此上
　　　　　御難儀之筋ニ罷成候而ハ　御公私共御勤難可成
　　　　　儀かも及可申候左候時ハ御家中上下共ニ及難儀儀
　　　　　申儀ニ可有之候故只今之内別而御簡略之儀毎
　　　　　度なから被仰出候間人々此旨を被存少分之
　　　　　儀ニ而は　御為之儀可被存候以上
　　　　　　　六月

　　　　　　仲ケ間中幷御書院番組之内　　御奏者月番
　　　　　　諸役方江も右御書付を以申　　　波々伯部八左衛門
【左丁】
　　　　　　渡候様ニ御書院番頭之内水谷
　　　　　　織部可申通由
　　　　　　右御書付之趣諸役方表
　　　　　　御納戸御花畑幷京都役寺沢　　奉行中
　　　　　　勘左衛門江も可申通
　　　　　　　　　奉行中江申渡覚
　　　兼而御勝手御不如意付御簡略儀毎度被
　　　仰出儀各存之通ニ候猶以御入用共相重り以後御取
　　　続御難儀之儀此間申談通候左候得者各無油断
　　　可被申談事候得共猶又少分之儀ニ而も御費無之様ニ

【右丁】
　　　　　被相考諸役方吟味可有之候御簡略之儀も毎度
　　　　　被　仰出儀候得共諸役所末々迄御簡略之儀麁抹ニ
　　　　　無之様ニ別紙書付之通諸役所月寄我等見可
　　　　　申候間帳面ニ相仕立させ可被指出候御簡略麁抹
　　　　　之族ニ有之候ハゝ其上急度遂吟味可申候御作
　　　　　事方御破損見積幷川除見積等随分被遂僉議少
　　　　　ニ而も指延不苦所は被相止不叶儀は御入用減候様ニ可被
　　　　　申談候在々人足之儀別紙書付を以申渡候間郡
　　　　　奉行中江被申達書付指出候様ニ可被致候野扶

【左丁】
　　　　　持諸昼飯等ニ至迄渡方随分可被遂吟味候其外
　　　　　諸御用共ニ右ニ応シ細に吟味可有之候諸事御勘
　　　　　定所之趣古来ゟ御定有之事ニ候得共猶又被相
　　　　　改可然筋も有之候ハゝ無遠慮ニ申談我等方江可
　　　　　被相達候其上吟味可有之候今度猶又御簡略之
　　　　　品諸役所江被　仰渡候間御入用之儀は少々
　　　　　事ニ而も御勝手役之者之随分被申談御物入之
　　　　　筋も有之役所ハ無遠慮可被相達候御吟味可有
　　　　　之候各御用之趣表立候儀も多事ニ候得者右御用

【右丁】
　　　　　之申談ニ而御勝手御用之儀吟味延引ニ及申儀も
　　　　　可有之様ニ被存候間随分御用後レ不申候様ニ第
　　　　　一御簡略吟味可有之候御勝手役之者共江も可被
　　　　　遂吟味末々吟味及延引不申候様ニ急度可被申付候
　　　　　別而此節御難儀之時節之儀ハ各存知之前ニ候間
　　　　　能々可被申談候以上
　　　　　　　六月
　　　　　　月寄帳調様之事
　　　一　辰十月ゟ月々月寄請帳相仕立尤元方払方

【左丁】
　　　　　委細ニ書付巳ノ五月迄之分可被指出候当巳九月
　　　　　迄之分重而惣寄帳出来可申事ニ候左候得者御物
　　　　　成小物成運上金御借銀共ニ元方之寄払方之
　　　　　寄一ケ年分可相知事ニ候
　　　一　右月寄帳諸役所現金何程相払外何程ハ何
　　　　　月分御買物之内御買懸ニ成候分書付出候様ニ
　　　　　可被致候
　　　一　辰新納ゟ御蔵米月寄帳も相調指出候様ニ可被
　　　　　致候

【右丁】
　　　一　江戸表ゟ相廻り候月寄帳も右之通可被相心得候
　　　　　尤去十月ゟ段々相廻り候御金高幷払方御買懸り
　　　　　ニ成候分月々委細ニ帳面ニ仕立可被指越候以上
　　　　　　　　六月
　　　　　　　在々川除之事
　　　一　川除諸人足毎日入用之人高御用ニ懸り候者遂
　　　　　吟味郡組之者明日何程宛指出候様ニと前日人
　　　　　足高村々江割出し候由相聞候右村々ゟ毎日相
　　　　　勤候人足書付普請仕上ケ之節郡組之者勘
【左丁】
　　　　　定所江書付指出候様ニ郡奉行中江可被相達候追而
　　　　　吟味申付儀可有之候
　　　一　右之外何御用ニ不限在辺江罷出候面々人足遣
　　　　　様之儀無益之人足も有之様ニ相聞候間随分
　　　　　致吟味書付指出候様ニ可被申聞候追而吟味之
　　　　　品可有之候以上
　　　　　　　六月
　　　　　　　　　　　　　　　　　　雨森新七江申達覚
　　　　　今度江戸表江罷越候間別而御簡略之儀一統申

【右丁】
　　　　　達候趣被相心得随分江戸表ニ而も油断無之吟
　　　　　味可被申付候諸役所月寄之儀江戸表ニ而者去年ゟ
　　　　　被　仰付青山久内遂吟味此方江相廻儀ニ候得共
　　　　　此以後ハ我等見可申候間今度相渡候別紙書付之
　　　　　通江戸表ニ而も月寄帳仕立候而相廻し候様ニ可被申付候
　　　　　江戸表御入用別而減申儀ハ相見不申候其段ハ御自
　　　　　分存知之通ニ候間猶又罷越蟹江善右衛門申談段々
　　　　　吟味可有之候
　　　　　御上御身之上之儀ハ大切之儀ニ候間御簡略之節と

【左丁】
　　　　　申なから過分之御物入ハ各別左も無之儀者了
　　　　　簡可有之事候間随分諸役所無益之御費吟
　　　　　味可有之候御長屋囲等之儀も定有之候間随
　　　　　分被致吟味不叶儀ハ御入用減し候様被相心得左も
　　　　　無之儀ハ相止候様ニ可被致候幷御国ゟ廻り候御納
　　　　　戸御用之儀も随分被致吟味払方とくと被承
　　　　　届可被申渡候御買物御扶持方直段等吟味之儀も
　　　　　別而吟味可有之事ニ候間其段可被相心得候御買
　　　　　懸之儀も右御買懸之儀ハ当時御取捌も無之候

【右丁】
　　　　　近年御買掛之儀も当時之御買掛之折受不申
　　　　　候様ニ被致人別判形を取置随分可被入念候御勝手
　　　　　向之儀古来ゟ御法も有之儀ニ候得共猶又被相改
　　　　　可然儀ハ松岡ニ而被　仰付候御法式も可有之儀ニ候両
　　　　　様共ニ被相考何らニ而も相改も御為ニ可成儀ハ少も
　　　　　古役之面々江遠慮無之被申談猶又被相改可然
　　　　　■【筋】　我等方江内状を以可被申越候其外ニも江戸表
　　　　　諸役所随分被遊吟味其方心底ニ合不申難見届
　　　　　役所も有之候ハゝ同役中江品々可被申越候言上可

【左丁】
　　　　　遊吟味候当年罷越候御勝手役赤尾久右衛門江も右
　　　　　之趣委細可被申聞候少も御簡略油断無之様可被
　　　　　申付候以上
　　　　　　　六月
　　　　　　　　　　　　　　　御目付中
　　　　　御勝手御疑儀之儀各兼而被存通ニ候処御物入之
　　　　　相重り候ニ付別而御難儀候依之諸役所江猶又御勘
　　　　　略之忝被仰出候間奉行中吟味可有之候得共
　　　　　各ニも御簡略麁抹之族も有之候ハゝ被承次第早々

【右丁】
　　　　　可被申聞候跡々各ニは御役筋違候得共奉行中江も
　　　　　御用之儀ハ被申談事ニ候間火消人割等ニ不限随分
　　　　　無益之御費無之様ニ被相心得奉行中可被申談候
　　　　　御勝手之儀別紙ニ申達通此上御難儀之御事ニ
　　　　　成候而ハ御公私共ニ御勤難被成筋ニも及可申候左候時ハ
　　　　　御大切至極之儀ニ候間能々此旨了簡可有之候以上
　　　　　　　　六月
　　　　　　　右諸役方書付相渡之　　御普請奉行中
　　　　　　　同断　　　　　　　　　御作事奉行中

【左丁】
　　　　　　　同断　　　　　　　　御勝手請込共
　　　　　　　外ニ相渡書付之留
　　　　　　　　　　　　　　　　御勝手請込共江申渡覚
　　　　　従最前度々御簡略之儀被　仰渡面々心得可罷
　　　　　在事ニ候得は近年段々御勝手御物入相重も御難
　　　　　儀之時節ニ候故猶又今度書付を以諸役所江御簡
　　　　　略油断無之様ニ被　仰渡候別而奉行中江も吟
　　　　　味有之様ニ申達候間面々江も其旨可被申聞候条
　　　　　奉行中指図を受末々迄御簡略之儀麁抹ニ無

【右丁】
　　　　　之様ニ随分吟味可有之候御勝手向諸御用少々之
　　　　　儀ニ而も面々御為と存寄候儀ハ少も遠慮無之同役
　　　　　何も罷出奉行中江相達相談有之様ニ可致候奉行
　　　　　中ゟも面々江一々可遂吟味候間其旨相心得面々存
　　　　　寄之儀奉行中存知ニ合不申候事候とも御為之
　　　　　筋ニ候ハゝ幾度も申談候様ニ可相心得候面々勤方之
　　　　　儀少も不吟味之儀無之様ニ堅相心得末々御役人
　　　　　共勤方常々相考善悪共ニ奉行中江委細ニ可相
　　　　　達候少ニ而も御簡略之筋麁抹之族も有之候ハゝ

【左丁】
　　　　　急度可被遂御吟味候間面々其旨相心得常々吟
　　　　　味油断無之様ニ可申談候以上
　　　　　　　六月

一　六月十日御国目付中為御用大御番片岡武兵衛《割書：御徒河合｜久左衛門指■》江戸
　　表江被指出之今日福井出立
　　　　但先達而御城御見分相済且暑中御機嫌為御伺
　　　　　御目付中ゟ御老中江被指出
一　同月十一日御国目付中本多大蔵《割書：長｜■》初御家老御城代幷

【右丁】
　　中根靱負宅江被相廻
一　同日暑中ニ付御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》を以例之通
　　御国産索麵一箱《割書：也長蚫｜附》被献之
　　大納言様江右同断被献之
一　六月十三日暑中　御機嫌為御伺御用番水野和泉守　殿幷
　　二ノ丸御老中安藤対馬守《割書：信｜賢》殿江御使者御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》
　　被指出之
一　同月廿一日
　　大納言様　西丸江　御移徙被為済候為御祝儀御使者御留

【左丁】
　　守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》を以
　　大納言様江昆布一箱塩鯛一箱御樽二荷被献之《割書：去十八日｜御■達》御品
　　御目録共西丸於殿上之間御奏者番高木主水正　殿家
　　来江相渡之
一　同日右同断ニ付為御歓御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿　西丸御老中
　　安藤対馬守《割書：信｜賢》殿江御使者御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》被指出之
一　同日御国目付中去月廿二日　御城御見分相済候ニ付為御届
　　被指越候大御番片岡武兵衛　江戸着御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿江
　　罷出《割書：御留守居宮北｜十郎左衛門同道》御目付中ゟ之御用状指出候処御受取ニ相成御使

【右丁】
　　者勝手次第罷帰候様御指図有之
一　同日右同断御見分相済候為御届御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿江
　　御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》被指出之
一　六月廿五日
　　大納言様江端午御祝儀御献上ニ付而之御奉書　西丸御老中
　　安藤対馬守《割書：信｜賢》殿ニ而被相渡之
　　　　　為端午　御祝儀以使者御帷子
　　　　　単物進上之候遂披露候之処
　　　　　一段之仕合候恐々謹言

【左丁】
　　　五月三日
　　　　　　　　　　　　安藤対馬守
　　　　　　　　　　　　　　信賢書判
　　松平千次郎殿
一　七月二日御目付中御用ニ付大御番高田九左衛門《割書：■■御徒｜指■》今日
　　　井出立
　　　　但大納言様西丸江御移徙ニ付御目付中御勤有之
一　同月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄
金《割書：十｜両》被献之

【右丁】
　　大納言様江右同断被献之
一　七月十二日　西丸御老中安藤対馬守《割書：信｜賢》殿ゟ御呼出御留守
　　居罷出候処
　　大納言様　西丸江　御移徙相済候御祝儀御献上ニ付而之
　　捻御奉書被相渡之
　　　　　　　上書
　　　　　　　　松平千次郎殿　　　　　信賢
　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　安藤対馬守

【左丁】
　　　　　今度
　　　　　大納言様西丸御移徙為御祝儀
　　　　　以使者御樽肴進上之候遂披露候処
　　　　　一段之仕合候恐々謹言
　　　　　　　六月廿三日
　　　　　　　　　　　　　　　　　信賢書判
　　右御請御書御使者御使番を以被指出之
一　同月十九日御預所丹生郡白瀧村下河原村大事ニ付御国
　　目付中ゟ御届有之右御用之御徒飛脚江戸着ニ付御留守居

【右丁】
一　宮北十郎左衛門《割書：定｜由》御用番松平伊賀守《割書：忠｜周》殿幷御預所御用懸り
　　御老中水野和泉守《割書：忠｜之》殿江為御届罷出
一　七月廿一日御国目付中今日ゟ御領分御預所共為御見
　　分廻在有之
　　　　　但十五泊ニ而八月六日福井江被罷帰
一　同月廿二日近々　御目見之御願御指出被成度ニ付右為
　　御案内浅五郎様御初御一門様方江御家老本多縫殿成広
《割書：御留守居助下山｜半左エ門同道》被遣之出羽守《割書：宜｜継》様御初御在国之御方々江御書
　　被進之

【左丁】
一　同月廿六日御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》を以例之通御国
　　産初鱈三被献之
　　大納言様江右同断被献之
一　同月廿七日於品川天龍寺昨廿六日晩ゟ今朝迄　見性院様三
　　十三回御忌御法事御執行有之於松岡天龍寺も右同様
　　御執行有之於孝顕寺今朝御茶湯御執行有之
一　同月廿八日御国目付中去廿一日御国中為見分被罷出候
　　ニ付御用番松平伊賀守《割書：忠｜周》殿江為御届御使者御留守居大谷
　　一右衛門《割書：次｜安》被指出之

【右丁】
一　八月朔日為御祝儀御使者御側物頭平本作右衛門　を以例之通
　　御太刀馬代被献之
　　大納言様江右同断被献之於　御本丸御奏者番《割書：西丸｜御留守》土岐
　　丹後守《割書：頼｜稔》殿家来江相渡之
一　同月三日《割書：六時｜過》大和守《割書：基｜知》様之御同道ニ而御用番松平左近将監《割書：乗｜邑》殿江
　　御出御逢被成《割書：昨二日御先手六郷主馬殿を以｜御内意被　仰入》御目見之御願被　仰入
　　夫ゟ御老中戸田山城守《割書：忠｜真》殿水野和泉守《割書：忠｜之》殿松平伊賀守《割書：忠｜周》殿江
　　御勤　西丸御老中安藤対馬守《割書：信｜賢》殿江も御出御逢被成
　　　　但初而御逢ニ付御持参之趣ニ而御先ニ御留守居大谷一右衛門を以

【左丁】
　　　　左近将監殿対馬守殿江御太刀金馬代被遣之
一　同月七日大和守《割書：基｜知》様御同道ニ而御老中水野和泉守《割書：忠｜之》殿松平
　　伊賀守《割書：忠｜周》殿戸田山城守《割書：忠｜真》殿江　御出初而御逢被成
　　　　但和泉守殿伊賀守殿山城守殿江も初而御逢ニ付御太刀金
　　　　　馬代被遣之
一　同日御用番松平左近将監《割書：乗｜邑》殿江御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》
　　を以　御目見之御支度御献上物其節御目見之御家
　　来相揃候段御案内被　仰入
一　同月九日御目付中御領分幷御預所共見分相済去六日福井江

【右丁】
　　　　　被罷帰候ニ付御用番江御届為御用岡嶋円右衛門《割書：長堅御徒井原｜幸左衛門指添》今
　　　　　日福井出立
　　　一　同日御勘定奉行鈴木伊勢守　殿ゟ昨八日申来御留守居
　　　　　大谷一右衛門《割書：次｜安》罷出候処御屋敷数坪数幷其訳之書付可指出
　　　　　旨被申聞候ニ付今日一右衛門左之通書付持参指出之
　　　　　　　　　　　覚
　　　　　　　　一浅草屋敷壱万九百坪余
　　　　　　　　右者
　　　　　　　　大猷院様御代大故伊予守致拝領故中務大輔

【左丁】
　　　　　　　　　分知之節差遣候後中務大輔当家相談之
　　　　　　　　　時分所持来候
　　　　　　　　一本庄五ツ目屋敷六千五百坪余右者
　　　　　　　　　大猷院様御代故中務大輔拝領仕候右弐ケ
　　　　　　　　　所共ニ中務大輔所持来只今千次郎左之通
　　　　　　　　　屋敷一所ニ致所持候
　　　　　　　　一常盤橋上屋敷九千六十坪余
　　　　　　　　　宝永三癸巳年後伊予守拝領仕候
　　　　　　　　一霊巌島屋敷弐万七千坪余

【右丁】
　　　　　大猷院様御代大故伊予守拝領仕候
　　　　右之通不残唯今千次郎致所持候以上
　　　　　　八月九日　　　　　松平千次郎内
　　　　　　　　　　　　　　　　　大谷一右衛門

　　　　別紙
　　　　　中務大輔相続被　仰付候節浅草屋敷可被召
　　　　　上候旨御内意御座候処其節今以厄介多御座候
　　　　　ニ付上屋敷ニ指置可申処無御座候霊巖嶋ニハ
　　　　　伊予守母儀居申候ニ付此屋敷指上候而は難儀

【左丁】
　　　　　仕候旨御内々申上候処夫故ニ御座候哉只今ニ
　　　　　至も被召上候御沙汰無御座候

一　同日御老中松平伊賀守《割書：忠｜周》殿ゟ御呼出御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》
　　罷出候処御屋敷儀用人を以御尋ニ付鈴木伊勢守殿江
　　指出候書付之趣申達之
一　八月十四日御用番松平左近将監《割書：乗｜邑》殿ゟ左之通御老中連名
　　之御切紙束且又其節御家来八人可被召連旨申来
　　　　　明十五日

【右丁】
　　　　　御目見被　仰付候間五半時可有登
　　　　　城候以上
　　　　　　八月十四日　　　　　松平伊賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　松平左近将監
　　　　　　　　　　　　　　　　水野和泉守

　　　　　松平千次郎殿

【左丁】
一　八月十五日《割書：六半｜時》大和守《割書：基｜知》様御同道ニ而　御登　城
　　公方様　大納言様　出御於御黒書院初而
　　御目見御太刀金馬代縮緬十一巻御献上御懇之
　　上意有之
　　大納言様江も御太刀金馬代縮緬三巻御献上畢而被　召
　　連候御家来酒井刑部《割書：知｜■》本多縫殿《割書：成｜広》酒井与三左衛門《割書：元｜純》
　　御太刀銀馬代紗綾二巻宛松平庄兵衛《割書：■【直ヵ】｜時》杉田平馬《割書：冨｜正》
　　秋田八郎兵衛《割書：敏｜昭》岡部左膳《割書：起｜正》宇都宮勘解由　御太刀馬代
　　銀一枚宛献上　御目見被　仰付相済右為御礼御退

【右丁】
　　出懸御老中若年寄中　御廻勤
　　　　但
　　　　　大納言様江御家来ゟ献上物之儀刑部縫殿
　　　　　与三左衛門は御太刀銀馬代二枚　其余一枚　献
　　　　　上之御老中廻勤之節何も太刀銀馬代持
　　　　　参之
一　同日右同断ニ付追而京都所司代牧野佐渡守《割書：英｜成》殿江
　　御使者同所詰寺沢勘左衛門《割書：正｜■》被指出之御太刀金馬代
　　被指遣之

【左丁】
一　同日右同断ニ付御徒目付中江御書被遣之
一　同日右同断ニ付本多大蔵《割書：義｜教》初御家老御城代江
　　御書被成
一　八月十九日御附岡部左膳《割書：起｜平》高知格御家老加判
　　被仰付
一　同日御国目付中御領分見分相済候為御届被指
　　出候岡嶋円右衛門《割書：長｜堅》江戸者ニ付御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》同道
　　御用番松平左近将監《割書：乗｜邑》江罷出御用状指出之
一　同月廿一日於三ノ丸今日ゟ諸組之者目中有之

【右丁】
一　八月廿二日御老中水野和泉守《割書：忠｜之》殿ゟ御呼出御留守居
　　宮北十郎左衛門《割書：定｜由》罷出候処浅草屋敷御用ニ付左之通
　　御書付被相渡之
　　　　　　　　　　　　　松平千次郎
　　　　　最前相達候浅草屋敷之儀霊巌嶋
　　　　　下屋敷江成共其外之屋敷江成共家
　　　　　作被引取隠居被移候ハヽ右屋敷可被指
　　　　　上候其段御普請奉行江も申渡置候

【左丁】
一　同月廿三日於江戸組之者目中有之
一　同月廿五日初而　御目見首尾能被　仰上候為御祝儀
　　御国目付御両人江御使者御留守居大関新五左衛門《割書：■｜■》を以
　　御太刀金馬代被遣之
　　　　但新五左衛門儀御目付ニ附添御国ニ罷在候ニ付右
　　　　　御使者相勤之
一　同月廿六日右同断ニ付為御歓両御目付中　御本丸江
　　御越御家老江御口上被相達之
一　同月廿八日表御居間江被為　移

【右丁】
　　　　但是を之　御居間江陽寿院様近々御引移
　　　　ニ付表江被為移
一　九月三日為重陽御祝儀御使者を以例之通
　　御小袖被献之
　　大納言様江右同断被献之
一　同月五日浅草御屋敷被指上ニ付陽寿院様常盤橋
　　御屋敷江御引移被成
一　同月六日吉日ニ付《割書：庚子｜日》御甲冑御召初有之御奏者番嶋田
宇右衛門《割書：繁■【用ヵ】麻上下｜　　着》御具足指上之御着用御床机ニ御踞被成御家

【左丁】
　　老酒井刑部《割書：知｜■》酒井与三左衛門《割書：元｜珍》御目見被仰付刑部与三左衛門幷
　　御附岡部左膳《割書：起｜平》江御長蚫被下之《割書：御左■之御太刀■谷■■御右御■■｜嶋田宇右衛門》
　　相済御甲冑被為祝御吸物御祝有之左膳江御相伴被仰付
一　同月九日御産神高縄稲荷登礼ニ付御代参御側物頭
　　平本作野右衛門《割書：良｜隆》被遣之御初穂銀壱枚被供之御家老幷御奏
　　者番御役人御近習等江御赤飯御吸物御酒被下之
一　同月廿三日浅草御屋敷被指上ニ付勝姫様霊巖嶋御屋敷江
　　御引移被成
一　同月廿四日両御目付中帰府御伺之為御用大御番市橋次郎兵衛《割書：忠近｜》

【右丁】
　　《割書：御徒力丸次左衛門｜指添》江戸着御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿江御留守居同道罷出
　　御用状指出之
　　　　但次郎兵衛去十三日御国発足
一　九月晦日両御目付中帰府之御奉書若年寄中御渡ニ付高力
　　平八郎　殿宅ニ而右御奉書御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》江被相渡候
　　ニ付大御番市橋次郎兵衛《割書：忠近御徒力丸次左衛門｜指添》右御奉書持参今日江戸
　　御屋敷出立
一　十月三日河内守《割書：直｜好》様御縁組御願之通被　仰出候ニ付為御礼
　　御用番松平伊賀守《割書：忠｜周》殿江御使者被指出之

【左丁】
一　同月七日御老中水野和泉守《割書：忠｜之》殿ゟ松平陸奥守《割書：吉｜村》殿留守居江
　　御書付を以今度大判古来之金位に御吹直元禄年中御吹
　　立之大判以来停止之旨通達有之
一　同月九日御使者を以例之通御国産塩鮎子籠被献之
　　大納言様江右同断被献之於西丸御側衆松平内匠頭　殿後刻
　　披露可有之旨被申聞之
一　同月十六日両御目付中江御合力米之代金御奉行雨森
　　儀右衛門《割書：周｜英》持参両御目付家来江相渡候処左之通請取書指出之
　　　　　　　覚

【右丁】
一　高三千石　　　　辰年蔵入本免平均


　　　此半物成米四百五拾六石九升
　　　　　　　　　　　高ゟ三ツ四厘六弗三
　　　　外
　　　口米拾三石六斗八升三合
　　　夫米七拾五石
　　三口米〆五百四拾四石七斗七升三合納升
　　此京升六百弐拾壱石四斗壱合　高ゟ四ツ壱分四厘弐弗余
　　此俵千三百六拾壱俵四斗弐升五合　但四斗五升六合入
　　
【左丁】
　　此代銀弐拾七貫弐百三拾八匁六分四厘但壱俵弐拾匁
　　此小判口百五拾三両三歩銀拾二匁六分四厘
　　　　　　　　　　　　　　但両替六拾匁
右者御合力米金御書付之通慥受取申候為
後日仍如件
　享保十巳年十月十六日　　　高力平八郎内
　　　　　　　　　　　　　　　　山下嘉内印　　
　　　　　　　　　　　　　　　　青木助太夫印
　　　松平千次郎様御内
　　　　寒江九左衛門殿

【右丁】
　　　　覚
一　高千石　　　　　辰年蔵入本免平均
　　此半物成米百五拾弐石三升　高ゟ三ツ四厘六弗三
　　　　外
　　口米四石五斗六升壱合
　　夫米弐拾五石
　三口米〆百八拾壱石五斗九升壱合納升
　　此京升弐百七石壱升四合　高ゟ四ツ壱分四厘弐弗余
　　此俵四百五拾三俵四斗四升六合　但四斗五升六合入

【左丁】
　　此代銀九貫七拾九匁五分六厘但壱俵歟拾匁
　　此小判百五拾壱両壱歩銀四匁五分六厘
　　　　　　　　　　　　但両替六拾匁
右者御合力米金御書付之通慥受取申候
為後日仍如件
　　享保十巳年十月　　溝口孫左衛門内
　　　　　　　　　　　　久保田政右衛門印
　　　　　　　　　　　　浅井甚左衛門印
　　寒江九左衛門殿

【左丁】
一　十月十八日松岡御館向幷御家中屋敷連々福井江御引
　　取被成度ニ付御用番松平伊賀守《割書：忠｜周》殿江御先手六郷主馬殿
　　を以左之通御書付被指出之
　　　　　私領分越前国松岡在之候屋敷幷家
　　　　　中以下迄連々福井城下江引取申度
　　　　　奉存候以上
　　　　　　十月　　　　　松平千次郎

　　　　　　松平伊賀守様
【左丁】
　　　　但右御一名ニ而被指出候処御指図ニ而充所無之御切
　　　　　紙ニ而被指出
一　同日浅草御下屋敷被指上候ニ付今日御普請奉行鈴木
　　伊勢守　殿朽木丹後守　殿家来被指越首尾能引渡相済
一　同日右同断ニ付為御届御老中水野和泉守《割書：忠｜之》殿松平
　　伊賀守《割書：忠｜周》殿江御使者御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》被指出之
一　同月廿日御用番松平伊賀守《割書：忠｜周》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　　十郎左衛門《割書：定｜由》罷出候処先達而御願被成候松岡御館向初御家
　　中屋敷御引取之儀御願之通被仰出旨御指図有之

【右丁】
一　同日御老中松平左近将監《割書：乗｜邑》殿ゟ御切紙を以明廿一日重
　　陽之　御内書御渡可被成旨申来
一　十月廿一日右同断ニ付御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》　御城江罷
　　出候処御老中松平左近将監《割書：乗｜邑》殿　御内書御渡有之其節
　　十郎左衛門江縮緬二巻拝領被仰付旨被申聞之御品者御奏　　者番高木主水正　殿十郎左衛門江被相渡之十郎左衛門罷帰
　　御内書指上之　御頂戴被成《割書：御上下｜御着用》
　　　　　　為重陽之祝儀小袖一重
　　　　　　到来歓思食候猶松平

【左丁】
　　　　　左近将監可申候也
　　　　　　九月七日御黒印
　　　　　　　　　　　　松平千次郎とのへ
一　同日右同断ニ付初而　御内書御頂戴之為御礼御老中御廻勤
一　同月廿五日御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》西丸江罷出候処《割書：昨廿四日御切紙｜を以申候》
　　於聊之間御老中安藤対馬守《割書：信｜賢》殿重陽御祝儀御献上ニ
付而之御奉書御渡有之
　　　　　為重陽之御祝儀以使者

【右丁】
　　　　　　御小袖一重進上之候遂披
　　　　　　露候之処一段之仕合候
　　　　　　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　安藤対馬守　
　　　　　　　　　　　　　　　信賢書判
　　　　　　　九月七日
　　　　　　　　松平千次郎殿
　　　　但右御祝儀御献上ニ付而之　御内書御奉書共
　　　　　御元服以前と同様ニ付以後不記之
一　十一月朔日御国目付中江左之通目録添絵図類幷御帳共

【左丁】
　　被指出之
　　　　　　　　御絵図覚
　　　　一　御城絵図　　　　　　　　一枚
　　　　一　御城下御家中寺社幷町絵図一枚
　　　　一　御国絵図　　　　　　　　一枚
　　　　一　御領所幷御領分絵図　　　一枚
　　　　　　　外
　　　　一　松岡絵図　　　　　　　　一枚
　　　　　右何も上り御絵図也

【右丁】
　　　　　但御両所御扣絵図一通宛差出ス
　　　　　　此内松岡御家中絵図之御扣ハ平八郎殿江斗
　　　　　　指出ス
　　　　　　　御帳数覚
　　　一　御尋之品々御答書　　一冊
　　　一　御尋之内別帳　　　　一冊
　　　一　城堀深サ書付　　　　一通
　　　一　郷村帳　　　　　　　一冊
　　　一　分限帳　　　　　　　一冊

【左丁】
　　　一　寺社別帳　　　　　　一冊
　　　一　寺社扶助覚　　　　　一冊一冊ハ一通ノ誤ナラン
　　　一　穢多非人書付　　　　一通
　　　　　　〆御帳六冊　書付弐通
　　　　　右之外
　　　一　天守台絵図　　　　　一枚
　　　　　　平八郎殿御好ニ付指出ス
　　　一　追而平八郎殿ゟ御尋ニ付御答書一冊
　　　　　　十月十日ニ指出ス

【右丁】
　　　一　右同断　　　　　　　　　　一冊
　　　　　　同月十六日差出ス
　　　一　右同断　　　　　　　　　　一冊
　　　　　　同十七日差出
　　　一　分限帳請帳出来以後役替
　　　　　其外品替り候分相記指出　　一冊

　　　一ノ字脱ヵ　《割書：■之内を以召抱｜候書付》一通
　　　　　　平八郎殿迄被指出之
　　　一　郷村帳之内無高村書付　　　一冊
　　　　　　平八郎殿ゟ御尋ニ付指出

【左丁】
　　　一ノ 字脱ヵ　《割書：好ニ付而御家中｜》一冊
　　　　　〆十六色
　　　一　御同人ゟ御尋ニ付御城石垣
　　　　　高サ書付　　　　　　　　　一通
　　　　　　是ハ新五左衛門江戸ニ而指出ス趣ニ付持参之
　　　　　　御帰府以後指出


一　十一月二日御国目付中今日福井御発足ニ付道中御使番下山
　　半左衛門《割書：尚｜恭》御医師平野玄察本山為仙妻木宗雲幷御徒

【右丁】
　　之者三人被指添之
一　同日右同断ニ付御道具附として大御番浅見徳右衛門《割書：重林御徒一人｜指添》
　　御目付中江道中附添被指立之
一　同日右同断ニ付為御注進御使番加賀九郎右衛門《割書：時｜照》大御番八木
　　平六《割書：当｜房》江戸表江被指出之今日福井出立
一　十一月十一日御国目付中去二日福井出立ニ付御用番江御届
　　之御用状持参之御使番加賀九郎右衛門《割書：時｜照》大御番八木平六《割書：当｜房》江
　　戸着御用番松平左近将監《割書：乗｜邑》殿江御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》同道
　　罷出御用状指出之

【左丁】
一　同月十四日御国目付中今日江戸着ニ付神奈川幷品川迄
　　御使者被遣之
一　同月十六日右同断ニ付為御礼御老中御廻勤若年寄
　　中江御使者御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》被指出之
一　同月十八日道中奉行北條安房守《割書：氏｜英》殿稲生下野守《割書：正｜武》殿ゟ申
　　来御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》罷出候処諸国ゟ出候御用紙宰
　　領多道中致混乱候間御国ゟ出候御用紙も宰領少可指出
　　旨被申聞之左之通書付被相渡之
　　　　　　　覚

【右丁】
　　　　　越前御用紙荷物之儀宰領相止指越
　　　　　候様可被致候事
一　十二月朔日浅五郎様初而　御目見被　仰上候為御礼御用
　　番水野和泉守《割書：忠｜之》殿　西丸御老中安藤対馬守《割書：信｜賢》殿江御使者
　　御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》被指出之
一　同日御国目付高力平八郎　殿溝口孫左衛門　殿帰府御目見
　　相済今日初而御出ニ付於御書院御逢被成
一　同月七日寒中ニ付御機嫌為御伺御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿
　　西丸御老中安藤対馬守《割書：信｜賢》殿江御使者御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》

【左丁】
　　被指出之
一　同月十六日御国目付高力平八郎　殿溝口孫左衛門　殿帰
　　府御目見も相済候ニ付為御祝儀今日御招請御囃子有之
一　同月十八日金之助様御叙爵被　仰出候為御礼御用番
　　水野和泉守《割書：忠｜之》殿西丸御老中安藤対馬守《割書：信｜賢》殿江御使者
　　御留守居大谷一右衛門《割書：次｜安》被指出之
一　同月廿一日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　大納言様江右同断被献之
一　同日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈《割書：三｜》被献之

【右丁】
　　大納言様江右同断被献之
一　十二月廿五日来年始御登城之儀ニ付御留守居宮北
　　十郎左衛門《割書：定｜由》を以正月御用番松平伊賀守《割書：忠｜周》殿江左之通御届
　　書被指出候処御承知之旨被申聞之
　　　　　私儀願申上来年始登　城可仕之奉存候処
　　　　　少々痛所も御座候ニ付登城不仕候依之願之
　　　　　儀も指扣申候右為御届如此御座候以上
　　　　　　　　　　　　　　　　　松平千次郎
　　　　　　　十二月廿四日

【左丁】
　　　　　別紙
　　　　　　御太刀
　　　　　　金馬代
　　　　　右以使者元朝献上之仕度奉存候以上
　　　　　　　　　　　　　　　　　松平千次郎
　　　　　　　十二月廿四日
一　同日右同断ニ付為御届御用番水野和泉守《割書：忠｜之》殿江御使者
　　御留守居宮北十郎左衛門《割書：定｜由》被指出之
一　同月廿八日御寝間御普請出来ニ付御移徙有之
一　同月廿九日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：二｜番》

【右丁】
　　生鱈《割書：三｜》被献之
　　大納言様江右同断被献之

【左丁】
白紙
【見返し】

【裏表紙】

家譜










　家譜　《割書：光通公》　《割書：従寛文四年｜到同九年》　　七

【右・丁　白紙】



【左・丁】


　　光通様　《割書：従寛文四年申辰｜至同九年己酉》

【右・丁白紙】




【左・丁】
寛文四年申辰
　一正月朔日於御本丸年始御規式有之
　一同日為年始御祝儀御使者を以御太刀馬代《割書：黄金｜二十両》被献之
　一同月七日為御上初御使者を以例之通御肴《割書：鯉｜二》被献之
　一同月十一日年始三ケ日之御規式相済候為御祝儀御使者
　　国枝小一郎《割書：■｜辰》江戸表《割書：江》被差出之　御肴一種被献之小一郎
　　今日福井出立
　　　但小一郎江戸着不詳　同月廿六日御返書被渡之

一正月十三日旧臘中務大輔《割書：昌｜勝》様四品《割書：ニ》被仰付候《割書：ニ》付為御礼
　御使者水野太兵衛江戸表《割書：江》指出之　今日福井出立
　　但太兵衛江戸着日不詳　同月廿八日御返書日相渡之
一同月十八日於増上寺
　台徳院様三十三回御忌御法事有之《割書：ニ》付御使者を以御香典
　白銀五十枚被献之
一同月廿日左之通被仰出之
　一御家中道具持中間小者草履取出替之時分
　　棟梁之者在之切米分量其外諸事指図仕候由
　　連々其聞候　向後左様之者於有之《割書：ㇵ》急度可為曲事
　　之条面々下々堅可申付事
　一道具持中間小者草履取上帯下帯えり袖へり等《割書：ニ》も
　　絹類一切仕間敷候　向後ぬいはくの紋所停止
　　之事　若於相背者過料拾匁可取之事
　一太鼓御門切手御門内《割書：江》御家中若党《割書：并》下々
　　木履あした一切はき申間敷候於背族《割書候　：ㇵ》過料
　　銀五匁可取之候但自分草履取を召連候者之分《割書：ㇵ》
　　木履をはき可申事


　　　　　　寛文四辰正月廿日


一正月廿八日
　台徳院様三十三回御忌御法事《割書：ニ》付御霊前《割書：江》御香典
　被献候処御奉書今日被相渡之
一二月六日
　台徳院様御法事首尾能被為済候《割書：去月｜廿四日》為御悦御使者
　長谷川仁兵衛《割書：正｜吉》江戸表《割書：江》被指出
　之　御肴一種被献之　仁兵衛
　今日福井出立
　　但仁兵衛江戸着日不詳　同月廿一日御返書被相渡之
一同月廿六日杉田主水《割書：正｜治》忰五郎三郎儀当年為証人可指出
　筈之処不快《割書：ニ》付為代弟五郎吉指上度《割書：ニ》付旧冬御願被指出
　候処御願之通被仰出候《割書：ニ》付証人奉行中《割書：江》御挨拶之御
　被遣之
一三月朔日御家中《割書：江》左之通横目ゟ相触之
　一御家中下々對侍中無礼之者間々在之候由
　　向後若党中間小者草履取《割書：ニ》至迄路地《割書：ニ》而侍中《割書：ニ》
　　出合候ㇵゝ縦見知不申候共道をよけ慮外不仕可
　　罷通旨面々下々《割書：江》可被申付候　若相背者有之ㇵ
　　　
　　







　　横目出候間見合次第依其品或者相打擲或ㇵ主人《割書：江》
　　可相届候条堅可被申付候
　　右之趣可相触旨御家老中申渡候間可被得
　　其意候　以上
　　　　　三月朔日　　　　　　横目中
一三月廿八日為御参勤福井御発駕
一四月七日為証人相詰笹治辰千代太田長次郎御暇《割書：ニ》付御城《割書：江》被召
　出
　公方様御目見被仰付　御時服御羽織拝領被仰付為代罷出候
　狛藤次郎杉田五郎吉右同様御目見被仰付　御太刀銀馬代　
　献上之
一同日御領知之御朱印可被下旨被仰出候為御礼御使者
　被指出候処右御返書今日被相渡之
　　御札令拝見候就可被成下領地之
　　御朱印旨留守居迄渡之候書付趣被得
　　其意忝之由尤之事侯因茲被差越使者ヘ
　　入念候段各相談可及
　　上聞候　恐々謹言
　　　　四月七日　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判

　　　　　　松平越前守殿
一四月十一日御着府右為御案内御老中初《割書：江》御使者被指出之
一同月十二日御参府《割書：ニ》付上使御老中阿部豊後守《割書：忠｜秋》殿御越
　上意之趣御達有之《割書：上使御取扱｜不詳》右為御礼豊後守《割書：江》御勤残ル
　御老中《割書：江》御使者本多内蔵助《割書：昌｜長》若年寄土屋但馬守《割書：教｜直》殿土井
　能登守《割書：利｜房》殿《割書：江》御使者飯田主采《割書：安｜成》被指出之
一同月十三日《割書：五｜時》御登城御参勤之御礼被仰上　御太刀金馬代
　御小袖《割書：十》御献上　畢而本多内蔵助《割書：昌｜長》酒井玄蕃《割書：元｜知》
　御目見被仰付　御太刀銀馬代献上　相済御退出掛為御礼
　御老中御回勤

一同月廿三日上使柘植平右衛門殿を以例之通御鷹之鷭《割書：五》
　御拝領御玄関《割書：ニ》而天方五郎右衛門《割書：友｜貞》鷭請取之　平右衛門殿此
　御屋形《割書：江》御越之節渡之間表口迄御出迎御案内《割書：ニ》而平右衛門殿
　御書院《割書：江》御通　上意之趣御達有之　鷭御頂戴御長蚫
　御直《割書：ニ》御居被成御拝領之鷭御吸物《割書：ニ》而御盃事有之　相済
　御退出之節御玄関薄縁之処迄御送被成　為右御礼
　御登城御老中若年寄中并酒井河内守《割書：忠｜挙》殿《割書：江》御使者被指出之
一同日右同断《割書：ニ》付御家老并加藤内膳《割書：吉｜賢》《割書：江》御書被成御拝領之鷭被
　下之
　　但右御拝領《割書：ニ》付御家老初《割書：江》御書被成鷭被下候儀以後定例
　　　故












　　　　　　不記之

一四月二十五日明廿六日御能有之《割書：ニ》付為御見物御登城被成候様
　御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿ゟ御奉書来　右御礼
　御登城
一同月廿六日御能為御見物御登城被《割書：長袴｜御着用》御能相済
　御退出　百人番所《割書：ニ》而御召替被成御礼再御登城
一同日御能有之《割書：ニ》付御使者堀勘左衛門《割書：長｜常》を以御折一合被献之
一同月廿九日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
一五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単

　御袷被献之
一同月廿日御領知目録并別紙目録御判物御用御掛り《割書：永井伊賀守尚庸殿｜小笠原山城守長矩殿》江
　御使者御家老飯田主采《割書：安｜成》を以被指出之　郷村高辻帳御留守居
　寒江甚右衛門《割書：信｜安》持参指出之
一同月廿一日御精進揚《割書：ニ》付御使者を以例之通御肴《割書：鱸｜一》被献之
一同月廿二日《割書：五時｜過》御登城《割書：昨日御老中阿部豊後守殿ゟ｜捻御奉書来ル
》御黒書院《割書：江》
　公方様出御御礼被仰上候処御前近ク被召御代替
　御書被成下之旨上意有之　御半物御頂戴被成
　　　越前国足羽今立両郡并吉田丹生南条坂井



　

　　　大野五郡之内都合五十二万五千二百八十石余《割書：目録在｜別紙》
　　　其内五万石松平中務大輔二万五千石松平兵部大輔
　　　可進退残四十五万五千二百八十石余如前々宛行
　　　之訖全可領地之状如件
　　　　　寛文四年四月五日御判
　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　越前少将殿

　相済御城下御帰殿之上中務大輔《割書：昌｜勝》様《割書：今朝ゟ御屋形《割書：江》｜為御待請被成》
　於御書院右御判物御拝見被成　御同所《割書：ニ》而御家老共

　拝見被仰付　相済再御出殿《割書：九時｜過》右為御礼御老中《割書：并》御用
　御掛り永井伊賀守《割書：尚｜庸》殿小笠原山城守《割書：長｜矩》殿江御回勤
　　但寛永十一年御頂戴之御判物《割書：并》正保二年被指出候越前国
　　　絵図十二郡《割書：ニ》候処今度御渡之御判物ゟ越前国八郡《割書：ニ》御改
　　　御渡有之
一五月廿五日御精進揚《割書：ニ》付御使者を以例之通御肴《割書：鯉｜一》被献之
一閏五月九日間合鳥子紙被献候処右御披露済之捻御奉書
　御老中阿部豊後守《割書：忠｜秋》殿ゟ来ル
　　　　　捻奉書上書
　　　　　　松平越前守殿　　　　　忠秋　　






　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　間似合鳥之子紙被献之候遂披露候
　　　　　　之処一段之御仕合候　恐々謹言
　　　　　　　閏五月九日　　　　　忠秋書判
一六月三日暑中《割書：ニ》付御使者を以例之通御国産索麺《割書：千｜把》《割書：并》
　御肴一種被献之
一同月廿七日上使河野権左衛門殿を以例之通御鷹之雲雀
　《割書：三｜十》御拝領　右為御礼御登城御老中若年寄中《割書：江》御使者
　御留守居被指出之

一七月四日為御生御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
一同月七日御登城　御帰殿後於御寝間本多内蔵助《割書：昌｜長》初
　御家老御奏者番御礼申上　御撮餅被下之
一同月十日御留守居寒江甚右衛門《割書：信｜安》御城《割書：江》罷出《割書：昨九日御老中久世｜山城守殿ゟ御切紙来ル》
　候処端午御祝儀御献上《割書：ニ》付而之御内書御渡有之
　甚右衛門
　拝領物等如例
一同月十八日御精進揚《割書：ニ》付御使者を以例之通御肴《割書：鯉｜一》被献之
一同月晦日御使者を以例之通御国産初鱈被献之
一八月朔日為御祝儀御登城　例之通御太刀馬代御献上




















一八月九日太鼓御門所《割書：江》横目ゟ左之通書付指出之
　　　　　　　覚
　　一此御門ゟ切手御門迄御家中下々通ぬけ候儀
　　　此以前より御法度《割書：ニ》候　愈堅相改通ぬけ候者
　　　をㇵ通し申間敷事
　　　　但御家老中其外御用人之下々御用《割書：ニ》付而
　　　　　罷通候者各別之事
　　　　　　寛文四辰八月九日　　　　横目中
　　　　　　　太鼓御門下番所


　　 一切手御門右同然
　　　　小門覚
　　一太鼓御門ゟ切手御門両門之間下々
　　　通ぬけ候事此前ゟ御法度《割書：ニ》候愈堅可相改候
　　　七ッ蔵御番之衆中之下々御家老中其外
　　　御用人之下々御用《割書：ニ》付て罷通候者各別之事
　　一同月十七日於伝通院去十五日ゟ今朝迄
　　　慶寿院様七回御忌御法事御執行有之
　　一同月廿二被御家老酒井与三左衛門《割書：重｜成》死去

一八月《割書：日不｜詳》大橋掛替御普請成就
　　　但惣奉行笹治刑部《割書：ニ》被仰付之
一九月七日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　追而御内番於御城御渡有之　御家来拝領物等如例
一十月六日上使久保平左衛門《割書：勝｜周》殿を以例之通御鷹之鶴
　御拝領《割書：上使御取扱｜如例》右御礼御登城
一同月十八日御精進揚《割書：ニ》付御使者を以例之通御肴一種被献之
一同月十九日今度御鷹場《割書：江》御湯治之儀御願被成候処今日
　御願之通御暇被仰出候旨御大老酒井雅楽頭《割書：忠｜清》殿被申聞く候段

　渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿ゟ申来　為右御礼御登城　夫ゟ御老中
　御回勤
一同月廿一日《割書：寅下｜刻》御鷹場《割書：江》為御湯治江戸御発駕右為
　御案内御老中《割書：江》御使者御留守居被指出之
一同月晦日去廿八日雪降候《割書：ニ》付御機嫌為御伺御鷹場ゟ
　御使者被指出候処右御返書今日於御老中久世山城守《割書：広｜之》殿
　被相渡之
一十一月三日御鷹場ゟ御献上之水𩿤持参被仰付候御使者
　堀平八江戸着　御老中《割書：江》罷出御書指出之
水（ケ）𩿤（リ）《割書：音札今按本草｜■■為■■一種【ヵ】》






一十一月四日右同断《割書：ニ》付御使者天方五郎左衛門《割書：友貞》《割書：御留守居富岡｜又三郎同道》を以
　御鷹之水札守《割書：五》被献之
一同月五日右同断御披露済之御返書御老中阿部豊後守《割書：忠｜秋》殿
　御渡有之
　　　御札令拝見候雖寒気之節候
　　　公方様益御機嫌能被成御座珍重之旨
　　　得其意候猶以御様体為可被伺之
　　　被差越使者候弥御勇健之御事候間
　　　可御心安候　将又今程於鷹場緩々
　　　入湯辱之旨承届候随而鷹之水札被献
　　　之候　各相談遂披露候之処一段之
　　　御仕合候　恐々謹言

　　　　十一月五日　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　松平越前守殿
一同月六日七日於御屋形御鷹場ゟ被遣候鴨御吸物《割書：ニ》而
　諸士《割書：江》被下之
一同月十三日御鷹場ゟ御帰府《割書：申下｜刻》

一十一月十四日右同断《割書：ニ》付為御案内御老中若年寄中《割書：江》御使者
　御留守居寒江甚右衛門《割書：信｜安》被指出之
一同日御用番阿部豊後守《割書：忠｜秋》殿《割書：江》御留守居寒江甚右衛門《割書：信｜安》罷出
　御湯治ゟ御帰《割書：ニ》付御礼被仰上度且其節御箱肴一種
　御献上被成度旨相伺候処明十五日御登城可被成旨且又
　御箱肴一種御献上被成候様豊後守殿ゟ使者を以御指図
　有之
一同日十五日御登城御箱肴一種御献上　御鷹場
　御湯治ゟ御帰府之御礼被仰上御懇之
　
　上意有之
一同日右同断《割書：ニ》付御家老酒井玄蕃《割書：元｜知》《割書：江》御書被成
一十二月三日寒中《割書：ニ》付御使者を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被
　献之
一同月廿三日右同断《割書：ニ》付御使者を以例之通御国産《割書：二｜番》生鱈
　被献之
一同月廿七日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖
　被献之　追而御内書於御城御渡有之　御家来拝領物等
　如例






　一十二月廿八日兵部大輔《割書：昌｜親》様四品被仰付右《割書：ニ》付為御礼御老中《割書：江》
　　御使者美濃部半七《割書：茂｜成》被指出之


寛文五年乙巳
　一正月朔日為年始御祝儀御登城例之通御太刀馬代
　　御献上　呉服御拝領
　一同日於御屋形年始御規式有之
　一同月七日為御上初御使者を以例之通御肴《割書：鯛》被献之
　一同月十八日御精進揚《割書：ニ》付御使者を以例之通御肴《割書：蚫｜十》被
　　献之
　一同月廿一日右同断《割書：ニ》付御使者を以例之通御肴《割書：鯛｜二》被献之

一同月廿五日右同断《割書：ニ》付御使者を以例之通御肴《割書：鯉｜ニ》被
　献之
一三月十四日御娣国松姫様《割書：飛鳥井左中将《割書：雅｜直》殿｜御奥方》御逝去　京都
　黒谷光守院《割書：江》御葬送　御法号
　松雲院殿天誉青看大夫人
一同月十八日御使者御留守居富岡又三郎《割書：長｜賢》を以赤生之
　鶏被献之　又三郎御鷹方大関弥五郎《割書：正｜次》同道
　若年寄
　永井伊賀守《割書：尚｜庸》殿宅《割書：江》罷出右鶏公儀御鷹方加藤牛之助《割書：江》
　相渡之候処直《割書：ニ》登城候間御使者《割書：茂》御城《割書：江》可罷出旨


　伊賀守殿御指図《割書：ニ》付又三郎御城《割書：江》罷出候処御老中
　稲葉美濃守《割書：正｜則》殿出座御献上之御鷹於黒書院
　上覧有之候旨被仰渡之
　　但外々ゟ献上之御鷹者上覧無之候得共御家ゟ御献上
　　　其上珍敷生替之御鷹故上覧有之旨美濃守殿又三郎《割書：江》
　　　仰聞
一四月廿一日御精進揚《割書：ニ》付御使者を以例之通御肴《割書：鯉》被献之
一同日《割書：六半時｜過》上使御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿を以御国許《割書：江》之御暇
　被仰出　例之通白銀千枚御袷百御拝領《割書：上使御取｜扱如例》





































一同日上使後《割書：四｜時》御登城御暇御礼被仰上例之通
　御馬御拝領　畢而被召連候御家来酒井玄蕃《割書：元｜知》
　御目見被仰付其節御時服四拝領被仰付　御退去掛為
　御礼御老中御回勤
一四月廿二日本多内蔵助《割書：昌｜長》登城《割書：昨廿一日御老中御稲葉美濃守《割書：正｜則》殿ゟ｜内蔵助《割書：江》御切紙来》於
　御黒書院御目見御暇被仰出　御袷四御羽織一拝領被
　仰付
一同日本多内蔵助《割書：昌｜長》御礼後兼而御内願被成置候御下屋敷
　之儀御願通於本所亀戸村《割書：百五拾軒四方｜二万二千五百坪》拝領


　仰出候旨内蔵助《割書：江》御老中被申渡之
一同日右同断《割書：ニ》付為御礼御老中并酒井河内守《割書：忠｜挙》殿《割書：江》
　御回勤
一同日御拝領之御馬御老中久世山城守《割書：広｜之》殿ゟ使者《割書：ニ》而為
　乗来
一同月廿七日御使者を以例之通御国産初鯖被有之
一五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単
　御袷被献之追而御内書於御城御渡有之　御家来拝領
　物等如例
　


















一五月十一日御屋敷奉行徳山五兵衛《割書：重｜政二》殿本郷庄三郎《割書：長｜栄》殿
　北見五郎左衛門《割書：重｜恒》殿本荘《割書：江》相越御拝領之御下屋敷地御引
　渡有之　本多内蔵助《割書：昌｜長》罷越請取之　右為御礼御老中
　若年寄中《割書：江》御回勤
一同月廿五日《割書：四｜時》江戸御発駕
一六月九日御着城
一同月十一日御帰国《割書：ニ》付為御礼御使者本多左門《割書：道｜重》江戸表《割書：江》
　被指出之　今日福井出立
一同月十三日暑中《割書：ニ》付


　公方様御御機嫌為御伺御使者榊原十郎左衛門《割書：成｜信》江戸表《割書：江》被
　指出之御肴一種被献之　十郎左衛門今日福井出立
　　　但十郎左衛門江戸着不詳
一同月廿三日御帰国《割書：ニ》付
　女院御所御機嫌為御伺御使者小倉平左衛門《割書：祐｜元》を以例之通
　奉書紙《割書：十｜束》鯖《割書：三十｜刺》被献之
一同月廿八日為御帰国御礼御使者本多左門《割書：道｜重》を以奉書紙《割書：五十｜束》
　被献之　左門御目見被仰付退去再自分之御礼被
　仰付　御太刀馬代献上之















一六月廿九日御使者本多左門《割書：道｜重》御城《割書：江》罷出候処御返書
　御渡有之　左門《割書：江》御帷子御単拝領被仰付
一同月《割書：日不｜詳》日光《割書：江》為御名代大谷助六《割書：重｜政》被遣之
一七月七日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
一同月十二日御帰国御礼御使者海福猪兵衛《割書：本｜好》江戸表《割書：江》指出
　之　今日福井出立
一同月十三日御書《割書：去四日｜日付》を以例之通御国産初鯖被献之
一同日依召兵部大輔《割書：昌｜親》様御登城被成候処御前《割書：江》被為


　召御代々証人被召置候得共御代御静謐其上
　権現様五十年御遠忌茂相済候得者寺以家中証人差上候儀
　御赦免被成候旨上意有之　此段兵部大輔様《割書：ニ》而
　光通様《割書：江》被仰進之《割書：ニ》付早駈《割書：四日｜振》《割書：ニ》而雨森儀右衛門《割書：興｜正》
　御国表《割書：江》差立之
　　但儀右衛門福井着日不詳
　　一自足以前証人共罷出候節者御太刀馬代献上
　　　御目見被仰付御暇之節者御時服二御羽織一宛拝
　　　領被仰付且又本多内蔵助《割書：昌｜長》加藤宗月《割書：康｜寛》笹治大膳《割書：正｜■》

















　　太田安房《割書：資｜武》右四人之証人差出候節者公儀ゟ御扶持被
　　下之
一七月廿一右同断《割書：ニ》付御怡且為御礼御使者本多左近《割書：正｜房》
　江戸表《割書：江》被指出之　今日福井出立
一同月廿二日暑中《割書：ニ》付御書を以例之通御国産索麵《割書：千｜把》干鯛
　被献之
一八月朔日為御祝儀御使者御物頭長谷川八郎右衛門《割書：一｜安》を以
　例之通御太刀馬代被献之
　　但右御使者御国許ゟ被指出候趣《割書：ニ》而江戸表《割書：ニ》相詰居候


　　　八郎右衛門を以被献之
一同月三日西丸御殿御修復出来去月廿一日
　公方様始而被為成候《割書：ニ》付為御歓御老中《割書：江》御書被指出之
　　但於江戸表指出候日限等不詳　同月十三日御返書被相渡之
一同月十日
　公方様御機嫌為御伺御使者平岡仁兵衛平江戸表《割書：江》
　被指出之　御国許之御肴一種被献之　仁兵衛今日
　福井出立
一同月十五日証人御赦免被仰出候　為御礼御使者本多






























赦免被

　左近《割書：正｜房》を以二種一荷被献之　左近御目見被仰付
一八月十六日御使者本多左近《割書：正｜房》御城《割書：江》罷出候処御返書
　御渡有之　左近《割書：江》御帷子御単拝領被仰付
　　御札令拝見候
　　公方様益々御機嫌能被成御座恐悦之旨得其意候
　　将又先頃在府之諸大名依召登城　諸家中
　　証人御赦免之儀被仰出之　其方家中証人之儀茂
　　御免之段従同姓兵部大輔相達着之由尤之事候
　　就夫為御礼被差越本多左近御樽肴被献之候


右之趣及台聴候処御前《割書：江》被召出入念
候之段御喜色之御事候　委曲者可令演説候
恐々　謹言
　　　　　　　　　　　　　久世大和守　
　　　　八月十六日　　　　　　《割書：広之書判》
　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　　　　　　　《割書：正則書判》
　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　《割書：忠秋書判》
　　　　　　　　　　　　　酒井雅楽守
　　　　　　　　　　　　　　　《割書：忠清書判》
　　　松平越前守殿
一同月廿九日右同断御使者本多左近《割書：正｜房》御目見拝領物

　　　　被　仰付候為御礼御使者江戸表江被指出之今日福井出立
　　　　　　但御使者江戸着日不詳九月十三日御返書被相渡之
　　一　同日本多内蔵助《割書：昌｜長》女広橋頭弁《割書：貞｜茂》殿江縁組之儀御願被成候処
　　　　御願之通被　仰出候ニ付為御礼御使者江戸表江被指出之
　　　　今日福井出立
　　　　　　但御使者江戸着日不詳
　　一　九月七日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　　　追而　御内書於　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　同月十一日江戸表先月廿九日風雨強候得共　御城廻御別条無
　　　　之ニ付為御歓御老中江御書被指出之
　　　　　　但同月廿三日御返書被相渡之
　　一　同月十二日御預所勝山領御物成御拝借之儀去年ニ而拾ヶ年
　　　　之御年限相済候得共又々当巳年ゟ来ル未年迄三ヶ年
年延
　　　　御拝借被成度旨渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿を以
御願御指出被置候処御願
　　　　之通被　仰出御上納振者御勝手能様ニ可被成旨大隅守殿ゟ申来
　　　　候ニ付為御礼御使者本多又左衛門《割書：武｜正》江戸表江被指出之今日福井出立
　　　　　　但又左衛門江戸着日不詳
　　一　同月廿七日

　　　　公方様御機嫌為御伺御使者堤安左衛門《割書：正｜武》江戸表江被指出之
　　　　御肴一種被献之安左衛門今日福井出立
　　一　同日永見帯刀《割書：吉｜洪》宅江被為入御饗応ニ能興行有之
　　一　同月廿九日狛木工允《割書：貞｜澄》宅江被為入御饗応ニ能興行有之
　　　　　　但此以後御家来屋敷江被為入候儀有之候得共略之
　　一　月日《割書：不｜詳》御預所勝山領御物成御拝借御上納方之儀今度
　　　　相極候ニ付　公儀御役人江請書之書状左之通御家老ゟ指出之
　　　　　　一筆致啓上候然者越前守御預ヶ勝山三万五千石
　　　　　　之物成去未年ゟ辰年迄十ヶ年拝借被仰付候
　　　　　　今度御訴詔【訟】申上当巳年ゟ未年迄又三年
　　　　　　拝借前後十三年ニ拝借ニ罷成候来ル申年御勘定
　　　　　　仕末七年之内毎年十三年分之拝借上納皆済
　　　　　　仕筈ニ今度御究被成候右之御定之通無相違
　　　　　　上納可仕候為其如斯御座候恐惶謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　酒井玄蕃
　　　　　　　　寛文五年　　　　　　　元知判
　　　　　　　　　　　　　　　　　有賀小右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正成判
　　　　　　　　　　　　　　　　　永見帯刀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　吉洪判
　　　　　　　　　　　　　　　　　本多内蔵助　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　昌長判　






　　　　　　

　　　　　　　　　　　　岡田豊前守様
　　　　　　　　　　　　妻木彦右衛門様
　　一　十一月五日　御鷹之鶴御拝領ニ付於御老中宅連名之御奉書
　　　　并鶴宿継証文御渡有之依之御徒中村安右衛門《割書：正｜元》差添
　　　　御国許江指立之
　　一　同月七日
　　　　公方様御機嫌為御伺御使者加藤門右衛門　江戸表江被指出之
　　　　御肴一種被献之門右衛門今日福井出立
　　　　　　但門右衛門江戸着日不詳同月廿一日御返書被相渡之
　　一　十一月九日《割書：亥｜刻》宿継御奉書を以御拝領之鶴福井江着
　　　　於　御本丸御頂戴有之
　　一　同月十一日右同断ニ付御礼御使者西尾仁左衛門《割書：貞｜嗣》江戸
　　　　表江被指出之　御書并宿継証文持参今日福井出立
　　一　同月廿八日鶴御拝領之為御礼御使者西尾仁左衛門《割書：貞｜嗣》を以
　　　　御肴《割書：干｜鯛》一箱被献之仁左衛門　御目見
被　仰付
　　一　同月廿九日御使者西尾仁左衛門《割書：貞｜嗣》　御城江罷出候処
　　　　御返書相渡有之仁左衛門江時服二御羽織拝領被
　　　　仰付





　　一　十二月四日
　　　　公方様御機嫌為御伺御使者水野権大夫　江戸表江被指出
　　　　之御肴一種被献之権大夫今日福井出立
　　一　同月七日年始御祝儀之御使者稲垣安右衛門《割書：重｜猶》江戸表江
　　　　被指出之今日福井出立
　　一　同月十三日鶴御拝領御礼御使者西尾仁左衛門《割書：貞｜嗣》　御目見
　　　　被　仰付且拝領物被　仰付候為御礼御使者江戸表江被指出
　　　　之今日福井出立
　　一　同月十五日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被
　　　　献之
　　一　同月廿二日右同断御国産《割書：二｜番》生鱈被献之
　　一　同月廿七日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被
　　　　献之追而　御内書於　御城御渡有之御家来拝領物等
　　　　如例

寛文六年丙午
　　一　正月朔日於　御本丸年始御規式有之
　　一　同日為年始御祝儀御使者稲垣安右衛門《割書：重｜猶》を以例之通御太刀馬代被献之
　　一　同月七日為御上初御使者を以例之通御肴被献之
　　一　同月十一日年始三ヶ日之御規式相済候為御祝儀御使者白樫
　　　　三郎兵衛　江戸表江被指出之御肴一種被献之三郎兵衛今日
　　　　福井出立
　　　　　　但三郎兵衛江戸着日不詳同月廿八日御返書被相渡之
　　一　同月十八日御参勤御時節為御伺御使者小嶋与五右衛門《割書：好｜寛》江戸

　　　　表江被指出之御書持参今日福井出立
　　　　　　但与五右衛門江戸着日等不詳
　　一　二月三日右同断御使者小嶋与五右衛門《割書：好
｜寛》御呼出ニ付御用番ニ
　　　　罷出候処左之通御奉書被相渡之
　　　　　　御札令拝見候
　　　　　　公方様益御機嫌能被成御座珍重旨
　　　　　　得其意候将又参勤時分儀以使者被
　　　　　　相伺之候如御定当四月中参府尤候
　　　　　　猶使者可令演説候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　二月三日　　　　　　　　　　広之書判
　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　　正則書判
　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　酒井雅楽頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　忠清書判
　　　　　　松平越前守殿
　　一　二月三日　出羽守《割書：直｜政》様於江戸表御逝去追而御在所雲州松江
　　　　月照寺江御葬送御法号
　　　　高真院殿歓誉一空道喜大居士

　　一　二月九日右同断ニ付為御悔雲州松江江御使者石丸造酒介
　　　　江戸御屋敷江御使者平井佐右衛門被指遣之
　　一　同月十五日　出羽守《割書：直｜政》様御遺骸雲州松江月照寺江御納被
　　　　成候ニ付同所江為　御代焼香有賀小右衛門《割書：正｜成》被遣之御香奠
　　　　銀百枚被供之小右衛門今日福井出立
　　一　同月十六日　天樹院【千姫】 様御逝去《割書：去六｜日》ニ付
　　　　公方様御機嫌為御伺御使者牧野猪右衛門　江戸表江被指出之
　　　　今日福井出立
　　　　　　但猪右衛門江戸着日不詳同月廿八日御返書被相渡之
　　一　同月十八日右同断ニ付
　　　　女院御所御機嫌為御伺御使者寒江宗右衛門《割書：俊｜重》京都江
　　　　被指出之今日福井出立
　　一　三月十六日於伝通院　天樹院様御当座御法事有之ニ付
　　　　御使者酒井十之丞《割書：□｜信》を以御香奠銀十枚被差上之
　　　　国姫【光通正妻】様ゟ御使者御附山田七右衛門を以御香奠銀三枚
被指上之
　　一　同月廿九日福井　御発駕東海道通　御旅行
　　一　四月十一日信濃守《割書：綱｜隆》様江御父　出羽守《割書：直｜政》様御遺領《割書：雲州松江十八万｜六千石》
　　　　無御相違被　仰出之

　　一　四月十二日品川駅御泊ゟ　御屋形江御着《割書：八｜時》右為御案内
　　　　御老中初江御使者被指出之
　　一　同月十三日　御参府ニ付　上使御老中久世大和守《割書：広｜之》殿御越
　　　　上意之趣御達有之《割書：上使御取扱｜不詳》右為御礼大和守殿江　御勤残リ
　　　　御老中江御使者御家老酒井玄蕃《割書：元｜知》被指出之
　　一　同月十五日《割書：五｜時》御登　城《割書：昨十四日御用番久世大和守《割書：広｜之》殿ゟ連名之御奉書｜来ル其節使者口上ニ御家来一人被召連候様申達之》　
　　　　御参勤之御礼被　仰上御太刀金馬代御袷十御献上畢而御家老
　　　　酒井玄蕃《割書：元｜知》御目見被　仰付御太刀銀馬代献上相済御退出
　　　　掛右為御礼御大老御老中若年寄中并酒井河内守《割書：忠｜挙》殿江
　　　　御廻勤
　　一　同月十九日　上使渡辺筑後守《割書：正｜》殿を以
　御鷹之鷭御拝領《割書：上使御取｜扱如例》
　　　　右為御礼　御登　城御老中若年寄中并酒井河内守《割書：忠｜挙》殿江御使者
　　　　被指出之
　　一　同月廿七日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
　　一　同月廿九日信濃守《割書：綱｜隆》様御願之上御弟上野介《割書：近｜栄》様《割書：直政様｜御二男》江御領　　　　国雲州之内新田三万石《割書：熊儀郡｜広瀬》右近
大夫《割書：隆｜正》様《割書：直政様｜御三男》江同
　　　　壱万石《割書：同郡｜母里》御分知有之
　　一　五月五日　御登　城御帰殿後御家老中初其外諸士御礼被為

　　　　請粽被下之
　　　　　　但粽被下之儀前々も可有之候得共御記録ニ不詳当年
　　　　　　　御記録ニ有之ニ付初而爰ニ記以後定例故不記之
　　一　六月廿一日暑中ニ付御使者を以例之通御国産索麪干鯛
　　　　被献之
　　一　七月三日御使者を以例之通御国産初鱈被献之　
　　一　同月廿三日　上使渡辺筑後守《割書：正｜》殿を以例之通　御鷹之雲雀
　　　　御拝領《割書：上使御取｜扱如例》右為御礼　御登　城御老中若年寄中并
　　　　酒井河内守《割書：忠｜挙》殿江御使者被指出之
　　一　八月朔日為御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代御献上
　　一　十月廿七日　上使柘植平右衛門　殿を以例之通　御鷹之鶴御拝
　　　　領《割書：上使御取｜扱如例》右為御礼　御登　城夫ゟ御老中并酒井河内守《割書：忠｜挙》殿江
　　　　御廻勤
　　一　十二月廿一日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被献
　　　　之
　　一　十二月廿七日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　一　同月廿八日下野守《割書：綱｜賢》様《割書：越後守《割書：光｜長》様｜御嫡》被任少将

寛文七年丁未
　　一　正月朔日為年始御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代御献上
　　　　呉服御拝領
　　一　同月於御屋形年始御規式有之
　　一　同月七日為御上初御使者を以例之通御肴《割書：鯛｜》被献之
　　一　同日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：二｜番》生鱈被献之
　　一　同月十三日　高真院様御一周忌ニ付雲州松江月照寺江
　　　　為御代参石川伝右衛門　を以御香奠銀二拾枚被供之伝右衛門

　　　　今日江戸御屋敷出立
　　一　二月六日於伝通院　天樹院様御一周忌御法事有之ニ付御使者
　　　　飯沼十郎右衛門《割書：政｜刑》を以御香奠銀拾枚被指上之
　　一　同月八日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　三月十五日今度為　勅使飛鳥井家父子参向ニ付蹴鞠
　　　　上覧有之ニ付　御登　城《割書：御長袴御着用前日御用番｜稲葉美濃守《割書：正｜則》殿ゟ御奉書来ル》御見物
　　　　被成相済　御退出百人番所ニ而御半袴ニ被召替再　御登
　　　　城右御礼被　仰上之
　　一　同月廿二日　上使加藤平内　殿を以例之通　御鷹之鷭
　　　　御拝領右為御礼　御登　城
　　一　四月十七日例年東叡山　御宮江御参詣之節長御袴被為
　　　　召候得共当年ゟ御直垂被為　召
　　一　同月廿日於東叡山
　　　　大猷院様十七回御忌御法事有之
　　　　公方様御参詣ニ付　御予参御勤《割書：御装｜御衣冠》
　　　　　　但　右　御予参御勤之儀前日御老中ゟ御奉書ニ而申来
　　一　同月廿一日

　　　　大猷院様御法事首尾能相済候ニ付為御祝儀　御登　　　　　城　御退出掛御老中并酒井河内守《割書：忠｜挙》殿江　御廻勤
　　一　四月廿三日　上使御老中土屋但馬守《割書：数｜直》殿を以御国許江之御暇
　　　　被　仰出例之通銀千枚御袷百御拝領《割書：上使御取扱｜如例》
　　一　同日《割書：五半｜時》御登　城御暇之御礼被　仰上例之通御馬御拝領
　　　　畢而御家老酒井玄蕃《割書：元｜知》　御目見被　仰付退座御袷四
　　　　御羽織一拝領被　仰付相済　御退出掛御老中若年寄中
　　　　并酒井河内守《割書：忠｜挙》殿松平甲斐守《割書：輝｜綱》殿江　御廻勤
　　一　同月廿五日御拝領之御馬御老中板倉内膳正《割書：重｜矩》殿ゟ使者ニ而為牽来
　　一　同日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
　　一　五月三日為端午御祝儀御使者を以御帷子御単御袷《割書：惣御品｜数十》
　　　　被献之追而御内書於　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　　　　　但是迄惣御数五之処当年ゟ十ニ相成候得共其訳御記録類不詳
　　一　同月十三日《割書：五｜時》為　御帰国江戸　御発駕
　　一　同月廿五日《割書：九｜時》御着　城
　　一　同月廿六日　御帰国為御礼御使者稲葉采女《割書：治｜房》江戸表江
　　　　被指出之今日福井出立
　　一　六月五日暑中　御機嫌為御伺御使者久嶋武大夫江戸表江

　　　　被指出之御肴一種被献之武大夫今日福井出立
　　　　　　但武大夫江戸着日不詳
　　一　同日暑中ニ付御使者を以御国産索麪【素麺】干鯛被献之
　　　　　　但　御書を以被献之廉ニ候得共御帰国御道中ニ相成候ニ付去ル
　　　　　　　　卯年之例を以御使者ニ而被献之
　　一　六月十日　御帰国ニ付
　　　　女院御所御機嫌為御伺御使者川越宇右衛門　を以例之通
　　　　奉書紙刺鯖被献之宇右衛門今日福井出立
　　一　同月十八日暑中　御機嫌為御伺御使者久嶋武大夫　御老中
　　　　宅江罷出候処御返書被相渡之
　　一　同月十九日大和守《割書：直｜矩》様播州姫路江御転封
　　一　同月《割書：日不｜詳》為御帰国御礼御使者稲葉采女《割書：治｜房》を以奉書紙《割書：五十｜束》
　　　　被献之采女　御目見被　仰付退去再自分之御礼被　仰付
　　　　御太刀馬代銀献上之
　　一　同月廿一日御使者稲葉采女《割書：治｜房》御城江罷出候処御返書御渡
　　　　有之采女江御帷子御単拝領被　仰付
　　一　七月二日三国江為　御鷹狩　御出被成《割書：同月十三日｜御帰　城》
　　一　同月七日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金

　　　　被献之御台様江二種一荷被指上之
　　一　七月十三日御帰国御礼御使者稲葉采女《割書：治｜房》　御目見且
　　　　拝領物被　仰付候為御礼御使者長谷川仁兵衛《割書：正｜吉》江戸表江
　　　　被指出之今日福井出立
　　　　　　但仁兵衛江戸着日不詳
　　一　同月十九日御書を以例之通御国産初鱈被献之
　　一　同日巡見使甲斐庄喜右衛門《割書：正｜親》殿神保四郎右衛門　殿鳥井
　　　　権之助　殿今日丸岡ゟ福井江被相越候ニ付舟橋迄
　　　　御出被成《割書：麻御上下｜御着用》四方天又兵衛《割書：政｜信》前ニ而　御逢被成
　　　　　　但巡見使御国中止宿左之通
　　　　　／金津（七月十四日十五日）　　／三国新保（十六日）　　／丸岡（十七日十八日）
　　　　　／福井（十九日廿日）　　　　　／松岡（廿一日廿ニ日）　／光明寺（廿三日廿四日）
　　　　　／勝山（廿五日）　　／大野（廿六日廿七日廿八日）　　　／市波（廿九日）
　　　　　／府中（八月朔日二日）　夫ゟ河野浦江被相越
　　一　八月朔日為御祝儀御使者西尾仁左衛門《割書：貞｜嗣》を以例之通御太刀
　　　　馬代被献之
　　　　　　但仁左衛門去月十九日御国表出立

　　一　八月七日　　
　　　　公方様御機嫌為御伺御使者葛巻治部右衛門《割書：盛｜之》江戸
　　　　表江被指出御肴一種被献之治部右衛門今日福井出立
　　　　　　但治部右衛門江戸着日不詳同月廿一日御返書被相渡之
　　一　九月七日為重陽御祝儀御使者を以御小袖《割書：五｜》被献之追而
　　　　御内書於　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　　　　　但是迄御小袖三之処当年ゟ五ニ相成候得共其訳　　　　　　　御記録類不詳　
　　一　同日右同断ニ付御使者を以　御台様江白銀十枚被指上之
　　一　同月十六日大和守《割書：直｜矩》様御転封後播州姫路江御入部ニ付為
　　　　御祝儀御使者稲垣安左衛門《割書：重｜猶》被遣今日福井出立
　　一　同月十七日
　　　　公方様御機嫌為御伺御使者兼松七郎兵衛　江戸表江被　
　　　　指出御肴一種被献之七郎兵衛今日福井出立
　　　　　　但七郎兵衛江戸着日不詳同月廿八日御返書被相渡之
　　一　同月廿三日大奥向御普請御成就　国姫様　布与姫様御移徙
　　　　有之右為御祝儀御使西尾伝兵衛　江戸表江被指遣之
　　　　国姫様江長歳之御壺《割書：青｜松》三種二荷　布与姫様江二種一荷

　　　　被進之伝兵衛今日福井出立
　　　　　　但御移徙之月日不詳
　　一　十月十六日
　　　　公方様御機嫌為御伺御使者牧野九郎左衛門江戸表江被指
　　　　出之御肴一種被献之九郎左衛門今日福井出立
　　　　　　但九郎左衛門江戸着日不詳十一月朔日御返書被相渡之
　　一　十一月十六日
　　　　公方様御機嫌為御伺御使者馬渕五郎兵衛《割書：勝｜政》江戸表江被
　　　　指出之御肴一種被献之五郎兵衛今日福井出立
　　　　　　但五郎兵衛江戸着日不詳十二月朔日御返書被相渡之
　　一　同月廿一日　御鷹之鶴御拝領ニ付於御用番宅御老中
　　　　連名之御奉書幷鶴宿継証文御渡有之依之御徒竹田
　　　　平右衛門　指添御国許江指立之
　　一　同月廿五日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈
　　　　被献之
　　一　同日《割書：亥｜刻》宿継御奉書を以御拝領之鶴福井着於　御本丸
　　　　御頂戴右御請御書即刻飛脚ニ而被指出之
　　一　同月廿七日右同断御礼御使者松原右衛門《割書：嘉｜明》御書幷宿継



　　　　証文持参今日福井出立
　　一　十二月二日寒中ニ付
　　　　公方様御機嫌為御伺江戸表江御使者被指出之御肴
　　　　一種被献之
　　一　同月四日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：二｜番》生鱈被献之
　　一　同月《割書：日不｜詳》鶴御拝領之為御礼御使者松原右衛門《割書：嘉｜明》を以
　　　　御肴被献之右衛門　御目見被　仰付
　　一　同月十三日御使者笹治三左衛門　を以
　　　　法皇御所江絵鳥子紙《割書：三百｜枚入》一箱五色鳥子紙《割書：三百｜枚入》一箱布目
　　　　奉書紙《割書：五束｜入》一箱麝香《割書：一｜棗》御鷹之鴨《割書：三｜》
　　　　新院御所江五色鳥子紙《割書：三百｜枚入》一箱打曇鳥子紙《割書：三百｜枚入》一箱布目
　　　　奉書紙《割書：五束｜入》一箱御鷹之鴨《割書：三｜》被献之
　　　　照高院御門主江色鳥子紙《割書：三百｜枚入》一箱屏風鳥子《割書：十双｜分》奉書紙《割書：十｜束》
　　　　一箱被進之三左衛門今日福井出立
　　　　　　　但右御献上之御趣意不詳
　　一　同月十八日御使者松原右衛門《割書：嘉｜明》　御城江罷出候処御返書御渡
　　　　有之其節右衛門江綿衣拝領被　仰付
　　一　同月廿七日為歳暮御祝儀御使者を以御小袖《割書：五｜》被献之追而

　　　　御内書於　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　　　　　但是迄御小袖三之処当年ゟ五ニ相成候得共其訳御記録
　　　　　　　類ニ不詳
　　一　十二月廿八日為歳暮御祝儀例年之通御家老江御小袖被下之
　　一　同日御家老ゟ例年之通御飾餅献上之
　　一　同月廿九日鶴御拝領御礼御使者松原右衛門《割書：嘉｜明》　御目見被
　　　　仰付且拝領物被　仰付候為御礼御使者雪吹孫左衛門　江戸
　　　　表江被指出之今日福井出立
　　　　　　　但孫左衛門江戸着日不詳
　　一　月日先年《割書：明暦｜元年》白山本社修造之儀ニ付御預所勝山領之内
　　　　牛首十六ヶ村と加州領二ヶ村《割書：尾添村｜一ヶ村不詳》と争論有之候処今度牛首
　　　　十六ヶ村幷加州領二ヶ村共美濃国笠松御代官杉田九郎兵衛　殿
　　　　支配所ニ相成
　　　　　　　但白山本社修造之儀者　公儀ゟ被　仰付ニ相成遷宮等之儀者
　　　　　　　　古来之通平泉寺執行之

寛文八年戊申
　　一　正月朔日於　御本丸年始御規式有之
　　一　同日為年始御祝儀御使者冨永新左衛門《割書：長｜盛》を以例之通御太刀
　　　　馬代被献之
　　　　　　　但新左衛門旧臘七日御国表出立
　　一　同月七日為御上初御使者を以例之通御肴被献之
　　一　同月十一日飯田主米《割書：安｜成》御家老職被　仰付
　　一　同日年始三ケ日之御規式相済候為御祝儀御使者林　六左衛門

　　　　江戸表江被指出之御肴一種被献之六左衛門今日福井出立
　　　　　　　但六左衛門江戸着日不詳同月廿五日御返書被相渡之
　　一　正月十八日御参勤御時節為御伺御使者伊野次郎大夫　江戸
　　　　表江被指出之次郎大夫今日福井出立
　　一　同月廿日　高真院様三回御忌ニ付雲州松江月照寺江
　　　　御代参香西八郎兵衛《割書：正｜佐》を以御香奠銀二十枚被供之八郎兵衛
　　　　今日福井出立　　
　　一　二月朔日御老中ゟ御呼出　御参勤御時節御伺御使者伊野
　　　　次郎大夫　罷出候処如御定四月中　御参府可被成旨之御奉書
　　　　被相渡之
　　一　同月四日上野辺ゟ出火之処次第ニ大火ニ相成　中務大輔《割書：昌｜勝》様
　　　　浅艸橋外御屋敷　兵部大輔《割書：昌｜親》様鳥越御屋敷御類焼
　　一　同月八日江戸表去朔日大火之処　御城御別条無之ニ付
　　　　公方様御機嫌為御伺御使者白樫三郎兵衛　江戸表江被指
　　　　出之今日福井出立
　　　　　　但三郎兵衛江戸着日不詳同月十三日於御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿
　　　　　　　御返書被相渡之
　　一　同月十日去四日東叡山近火ニ付《割書：御宮初　御仏殿｜御別条無之》







　　　　公方様御機嫌為御伺御使者渥美助左衛門《割書：吉｜次》江戸表江被差
　　　　出之今日福井出立
　　　　　　但助左衛門江戸着日不詳同月十六日於御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿
　　　　　　　御返書被相渡之
　　一　二月十一日江戸　御城去六日御近火ニ付　御機嫌為御伺御使者
　　　　矢嶋七右衛門《割書：宗｜重》江戸表江被指出之今日福井出立
　　　　　　但七右衛門江戸着日不詳同月十七日於御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿御返
　　　　　　　書被相渡之
　　一　同日右同断之節　御城中江火屑入候得共御別条無之趣
　　　　御聞被成候ニ付為御怡御使者波々伯部角兵衛《割書：繁｜長》江戸表江被指出
　　　　之今日福井出立
　　　　　　但角兵衛江戸着日不詳同月十七日於御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿
　　　　　　　御返書被相渡之
　　一　同月《割書：日不｜詳》於伝通院　天樹院様三回御忌御法事有之ニ付
　　　　御使者を以御香奠銀拾枚被指上之　国姫様ゟも同銀三枚
　　　　被指上之
　　一　同月《割書：日不｜詳》御勝手向不如意ニ付知行之内并御切米之内指上
　　　　申度旨一統ニ申上候ニ付其段入　御聴候処御大慶ニ者被為







　　　　思召候得共先年も五歩通リ御借被成候間此段者何共
　　　　御意難被成候間年寄共何様共相計候様ニと被　仰出
　　一　二月廿六日右同断ニ付於永見帯刀《割書：吉｜洪》宅　御意之趣諸士江申
　　　　渡之左之通書付相渡之
　　　　　但　御意之趣者前ケ条ニ有之ニ付略之
　　　　　　　　　覚
　　　　　　　御家中知行三ツ五歩ニ納所仕其上を御借リ被成儀
　　　　　　　可有之御勝手諸事御簡略被遊候間其様子ニより
　　　　　　　三ツ六歩か七歩ニも可成候先面々勝手為心得如此ニ候
　　　　　　　然とハ当暮可相究候間其内小身成者共別而痛
　　　　　　　可申候間大身江者此上も御借リ被成小身之方江
　　　　　　　増シ被下儀可有之内々左様ニ相心得可被申候以上
　　　　　　　　　二月廿六日
　　一　三月六日　
　　　　公方様御機嫌為御伺江戸表江御使者被指出之御肴一種被
　　　　献之
　　一　同日於永見帯刀《割書：吉｜洪》宅従　公儀被　仰出候御触之趣町奉行
　　　　郡奉行江相渡之



　　　　　　　　　　覚
　　　　　一　於諸国在々所々酒造之儀累年之半分たる
　　　　　　　へき由去年相触之畢当年者又去年之半分
　　　　　　　可造之旨其所之領主并奉行人御代官より
　　　　　　　堅申付之其減少之員数書記之御勘定所迄
　　　　　　　可被指上之事
　　　　　一　領内御代官所ニ有之寺社領之分ハ縦
　　　　　　　御朱印所ニ而高之外たりといふ共其所之領主
　　　　　　　御代官より酒造之員数相改之可被書出之事
　　　　　一　たはこ本田畑ニ作之儀弥為御停止之間是又
　　　　　　　急度可被申付之事
　　　　　　　　　　　以上
　　　　　　　　　申ノ二月日
　　一　三月十五日於永見帯刀《割書：吉｜洪》宅自今以後百姓代官ニ被　仰付候間
　　　　御代官役　御免被成候旨御代官之面々江申渡之
　　　　同日御勝手御不如意ニ付御家中ゟ拝知之内指上申度旨
　　　　一統申上候ニ付今日出仕後諸士一統　御前江被　召出知行七年
　　　　平均ニ被　仰付当暮ゟ御借被成候間一統弥以簡略可仕旨

　　　　御直ニ被　仰渡之
　　一　三月十八日右同断ニ付於永見帯刀《割書：吉｜洪》宅免合書付左之通
　　　　諸士江相渡之
　　　　　一　御蔵給所共ニ百姓代官ニ被成事
　　　　　一　御家中知行七年之平均ニ相極以後
　　　　　　　　四ツ弐分以上之知行ハ　　　三ツ八分ニ納所可仕
　　　　　　　　四ツ壱分之知行ハ　　　　　三ツ七分
　　　　　　　　四ツ三ツ九分之知行ハ　　　三ツ六分
　　　　　　　　三ツ八分七分六分之知行ハ　三ツ五分
　　　　　　　　三ツ五分之知行ハ　　　　　三ツ四分
　　　　　　右之通納所仕免合ゟ余ル分ハ当霜月中ニ御蔵江
　　　　　　御借被成未進有之ハ来春夏中ニ
　　　　　　公儀ゟ取立被遣筈若借候者御蔵ゟたし可被下候
　　　　　　免付之内五厘迄ハ下江加ヘ六厘ゟハ上江加ル筈
　　　　　　当年者面々知行之内指上申度旨申上ルニ付而
　　　　　　右之通御借リ分ニ被成候
　　一　同日今度御借米被　仰出候ニ付御家中倹約之儀左之通横目ゟ
　　　　相触之

　　　　　　　　御法度書
　　　　　一　兵具之外一切不入道具不可相求之諸事
　　　　　　　可為簡略事
　　　　　一　家宅作事仕候節者指図を極横目中江
　　　　　　　相達随左右可造之事
　　　　　一　衣類老若共ニ絹紬より上之物不可着之少身
　　　　　　　之輩者木棉紙子を専可用但持来古小袖下着ハ
　　　　　　　不苦羽織何ニ而も古は可着之縦古シといふとも
　　　　　　　毛織之褐羽一円停止たり扨又羽二重以上之
　　　　　　　新敷羽織は有来たり共横目中江相断可任指図
　　　　　　　帷子ハ地布を可用持来ふるき曝布ハ不苦但他所
　　　　　　　より御客御使者有之節ハ各別之事
　　　　　　　　　附妻女之衣裳先年御定之通弥堅守之事
　　　　　一　出仕之節木綿裏付之上下専可着之或袴或もしの
　　　　　　　　肩衣上下替不苦
　　　　　　　　　但持来古きハ何ニ而も可用之事
　　　　　　　　　附雖為木綿高直成類一切可為無用之事
　　　　　一　江戸御供之刻高三百石之面々人数七人八人ニ不可過事

　　　　　一　音信贈答一切可為無用但医師并他所之取遣ハ各別事
　　　　　一　諸奉加一切不可入之事
　　　　　一　嫁娶之節饗応之儀先年御定之通堅可守之
　　　　　　　祝儀取遣自今以後弥以軽可致聟引出物者
　　　　　　　千石以下之輩ハ新身之刀一腰可出之此外一切可
　　　　　　　為無用事
　　　　　一　面々参会之節於料理出者一汁二菜外ニ香物
　　　　　　　但菜盛ま□【せ】なし酒三返肴一種可出之吸物後段
　　　　　　　可為無用又は及夜陰出会之刻者何にても食物一種
　　　　　　　吸物之外不可出之酒肴右同前事
　　　　　　　　　附千石以下之面々濃茶一円停止之事
　　　　　　右条々堅可相守之者也
　　　　　　　　三月
　　　　　　　　　　覚
　　　　　一　御番之刻若弁当於持参者焼飯香物一色たるへし
　　　　　　　酒一切可為無用事
　　　　　一　於御国御足軽共御供并勤番之節袴着仕間布事
　　　　　一　面々召仕之下々町へ罷出酒給不申候様ニ堅可申付事
【参考　福井市史　資料編６　 (近世４上では「ませなし」と読んでいる。】

　　　　　　　　　　以上
　　　　　　　　　　　　　　　江戸御供番江
　　　　　　　　　　条々
　　　　　一　今度被　仰出候条目之趣相守於江戸も弥以諸事
　　　　　　　可為簡略事
　　　　　一　衣類絹紬木綿の裏付袴不苦但持来候衣類
　　　　　　　何ニ而も有合にて着用之事
　　　　　　　　附毛織のかつは縦所持いたし古といふとも一円
　　　　　　　　可為無用事
　　　　　一　下々衣類右に応し成程軽用之候様可申付事
　　　　　　　　　　以上
　　　　　　　　　申三月
　　一　三月十六日於評定所寺院造作之儀ニ付従　公儀被
　　　　仰出之趣左之通町奉行郡奉行江御家老申渡之
　　　　　　　　寺院造作之定
　　　　　一　梁行三間を限へし但桁行者心次第たるへし
　　　　　一　仏壇角屋三間四方を限へし
　　　　　一　四方しころ庇壱間半を限へし

　　　　　一　小棟作たるへし
　　　　　一　臂木作より上之結構無用たるへし
　　　　　　　右堂舎客殿方丈庫裏其外何ニ而も此定より
　　　　　　　梁間広く作へからす若広可作子細於有之者
　　　　　　　町奉行迄可相断在々ハ郡奉行江相断可任指図候
　　　　　　　以上
　　　　　一　他国より弘通之出家参候儀一切停止之事
　　　　　　　　　　　三月日
　　一　三月十七日《割書：亥刻｜御供揃》平泉寺江御参詣翌十八日《割書：未｜刻》　御帰殿
　　一　同月廿一日太鼓御門下馬御門番人是迄ハ一組切ニ而相勤候処
　　　　川除御普請之節役人足多ク出役不致候ニ付以後上番四人計
　　　　手組ニ而相勤下番者他組ニ而相勤候様被　仰出之
　　一　同月廿五日於評定所小黒町茂兵衛地蔵堂村又右衛門三十八社村
　　　　吉兵衛等百姓代官被　仰付候旨御家老永見帯刀申渡之
　　　　上野次右衛門　嶋田三左衛門　郡奉行鈴木宇左衛門　水谷長兵衛
　　　　侍座左之通書付読渡之
　　　　　一　今度在々之様子役人中吟味仕候処ニ百姓共
　　　　　　　費之儀少々有之間向後者其法を改百姓




　　　　　　　代官被成委細僉儀仕候様ニと役人中江被仰渡候事
　　　　　一　只今迄有来小役等百姓費迷惑仕候儀者役人中
　　　　　　　僉議之上御赦免可被成候其余めいを以納所等
　　　　　　　無滞可相勤事
　　　　　一　百姓自分ニ諸事費分限不似合奢仕無法
　　　　　　　之儀吟味之上急度御法度ニ可被仰付旨是又
　　　　　　　役人中江被　仰渡候自今以後在々申触候御法度
　　　　　　　堅可相守事
　　一　三月《割書：日不｜詳》福井　御発駕東海道通　御旅行
　　一　四月十一日品川駅御泊ゟ直ニ御着府右為御案内御老中
　　　　若年寄中幷酒井河内守《割書：忠｜挙》殿松平美作守《割書：定｜房》殿江御使者被指出之
　　一　同月十三日　御参府ニ付　上使御老中板倉内膳正《割書：重｜矩》殿御越
　　　　酒井玄蕃《割書：元｜知》芦田図書《割書：吉｜賢》御門内迄罷出其節御玄関御式台
　　　　板之間際迄御出迎御案内ニ而御書院江御通　上意之趣
　　　　御達有之御退出之節御式台下薄縁迄御送被成右為
　　　　御礼内膳正殿江御勤残御老中并酒井河内守《割書：忠｜挙》殿江御使者
　　　　御家老酒井玄蕃《割書：元｜知》被指出之
　　一　同月十四日御老中土屋但馬守《割書：数｜直》殿ゟ御参勤御礼之儀ニ付

　　　　　　　捻御奉書来
　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　　　　　松平越前守殿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　数直
　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守

　　　　　　　明十五日　御目見有之候間四時分御登
　　　　　　　城参勤之御礼可被申上候恐々謹言
　　　　　　　　　四月十四日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　数直書判
　　　　　
　　　　　　　　　　覚
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　酒井玄蕃
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　芦田図書
　　　　　　右両人共　御目見之儀御座候間可被召連候以上
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守
　　一　四月十五日《割書：五｜時》御登　城　御参勤之御礼被　仰上御太刀銀《割書：三百｜枚》
　　　　綿《割書：五百｜把》御献上畢而御家老酒井玄蕃《割書：元｜知》御太刀銀馬代
　　　　奉書紙《割書：十｜束》芦田図書《割書：吉｜賢》御太刀銀馬代蝋燭《割書：二百｜挺》献上





　　　五十三ページと同じ

　　　　御目見被　仰付相済　御退出掛右為御礼御老中
　　　　若年寄中江　御廻勤
　　一　同日右同断ニ付御使者を以例之通　御台様江銀《割書：三十｜枚》鬠紙《割書：五十｜帖》
　　　　被指上之
　　一　四月十九日《割書：午｜刻》　上使能勢次左衛門《割書：頼｜宗》殿を以例之通御鷹之鷭
　　　　御拝領右為御礼　御登　城御老中若年寄中并酒井
　　　　河内守《割書：忠｜挙》殿松平美作守《割書：定｜房》殿江御使者被指出之
　　一　同月廿三日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
　　一　同月廿七日永見帯刀《割書：吉｜洪》宅江在々組頭共七十三人呼出百姓
　　　　代官被　仰付旨申渡之且又小役運上御赦免之書付相渡之
　　　　　　　　古来田畠より上り来納所之外小役諸運上等
　　　　　　　　自今以後免除被成者也但山手以下地に付而
　　　　　　　　納来諸色者如前々可出之右之外百姓勝手の
　　　　　　　　納物有之者奉行方ゟ可致下知者也
　　
　　　　　　　　　　　年々如定可納所覚
　　　　　一　夫米
　　　　　一　口米

　　　　　一　大豆《割書：年々相場のことく｜可遂算用》
　　　　　一　糠
　　　　　一　藁
　　　　　　　　　　已上　
　　　　　如此百姓等御憐愍之御政道之上者弥励農
　　　　　業不可致油断者也
　　　　　　寛文八年
　　　　　　　　申ノ卯月日　　　　　帯刀印判
　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　惣百姓中

　　一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子
　　　　御単御袷被献之
　　一　同月十八日於永見帯刀《割書：吉｜洪》宅当年夏成夫銀綿麻大豆
　　　　小豆小物成之書付左之通大名分御城代瓦御門番御広間
　　　　御書院番頭中物頭御使番其外番外江相渡之
　　　　　　　当年夏成夫銀綿麻大豆小豆小物成毎年
　　　　　　　取来通納所可被仕但右之内諸色直段者
　　　　　　　町之相場に相随ひ算用仕筈に公儀御定ニ候
　　　　　　　当暮物成指引者御勘定所之直段次第可

　　　　　　　被遂算用当秋ゟ面々知行所従公儀可為
　　　　　　　支配候条未進取立如例年順路に可被致納所
　　　　　　　百姓等に非分之儀不申懸様ニ知行方申付ル
　　　　　　　下々江堅可被申渡事候以上
　　　　　　　　　　五月十八日
　　一　五月《割書：日不｜詳》津留之儀　公儀ゟ御尋ニ付左之通書付指出
　　　　之　
　　　　　　　　　覚
　　　　　
　　　一　米雑穀他国江出シ申候年之様子ニより領内
　　　　　不足之節者他国よりも入申候
　　　一　蝋漆油木実他国江出申候年之様子ニより領内不
　　　　　足之節者留申候
　　　一　塩他国江出不申候領内不足之節者他国ゟハ
　　　　　入申候
　　　一　大豆年々領内不足ニ付而他国江出シ不申候
　　　　　他国ゟハ入申候
　　　一　鮭鱒鱈領内払底之節者他国江出シ不申候

　　　　　　　他国ゟハ入申候
　　　　　　右者松平越前守領内米雑穀諸色津留出入
　　　　　　之様子如斯御座候者也糸綿麻此外少分之物
　　　　　　別儀無御座候者也
　　　　　　　　　　　　　　　　　　本多内蔵助
　　　　　　　寛文八年申五月　　　　　　　　書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　永見帯刀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　酒井玄蕃
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　飯田主米
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　書判
　　一　六月十六日暑中ニ付御使者を以例之通御国産索麪
　　　　干鯛被献之
　　一　同月十七日端午　御内書御渡之儀ニ付左之通御切紙来
　　　　　　端午之　御内書可相渡候間明十八日
　　　　　　四時分家来一人　御城迄可被差越候
　　　　　　以上
　　　　　　　六月十七日　　　　　板倉内膳正

　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　松平越前守殿

　　一　六月十八日右同断ニ付御家来一人　御城江罷出候処端午
　　　　御祝儀御献上ニ付而之　御内書御渡有之御家来拝領
　　　　物等如例
　　一　七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金
　　　　被献之　御台様江鯖御樽被指上之
　　一　同月八日　上使甲斐庄喜右衛門《割書：正｜親》殿を以　御鷹之雲雀
　　　　御拝領《割書：上使御取｜扱如例》右為御礼　御登　城御老中若年寄中江
　　　　御使者被指出之
　　一　同月十二日於永見帯刀《割書：吉｜洪》宅来ル十八日ゟ御家中知行所
　　　　上江御請取支配被仰付筈ニ付未進取立之書付諸月番江
　　　　相渡之
　　　　　一　御家中面々知行未進之儀去未之未進之分ハ
　　　　　　　給人損領無之様ニ被成可被下候其前々ゟ之




　　　　　　　未進ハ取立申ニ及間敷事
　　　　　一　去免合ニ付而百姓前遂算用其上ニ而分
　　　　　　　明ニ指引可有之事
　　　　　一　前々未進去年之物成ニ而引取其上を去未進ニ
　　　　　　　被仕候儀者無用之事
　　　　　一　去免合之内納所不定之分を書付可被指上候百姓
　　　　　　　前を改可申候間各慥算用可被入念候事
　　　　　　　　附未進之書付ハ来ル八月廿日切ニ書付御勘定所迄
　　　　　　　　可被指上候
　　　　　一　当月十八日ゟ面々知行所
　　　　　　　公儀江請取支配申付筈候十八日以後知行所江自分
　　　　　　　之下知催促人等遣被申間敷事
　　　　　右之通各可被得其意候納所之分量所務之日切
　　　　　彼是追而可申触候以上
　　　　　　　七月十二日
　　一　七月十六日御使者を以例之通御国産初鱈被献之
　　一　八月朔日為御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代御献上
　　一　同月五日《割書：五時｜前》諸大名惣出仕被　仰出候ニ付　御登　城《割書：昨四日｜御老中》

《割書：稲葉美濃守殿ゟ｜捻御奉書来ル》　被成候処御老中列座ニ而左之通御達有之
　　　　　　奥平美作守相果候砌追腹仕者有之由達
　　　　　　上聞候兼而無詮儀ニ被為思召候故先年御法度ニ
　　　　　　被　仰出候処ニ右之仕合不届被為　思召候御仕置
　　　　　　之儀ニ候間急度可被　仰付候得共美作守儀先祖
　　　　　　御家江御忠節之者其上従
　　　　　　大猷院様当
　　　　　　公方様江御附被為成候御由緒も候得者其誤を
　　　　　　御免知行高之内弐万石被　召上出羽之中山形江
　　　　　　被遣候旨
　　　　　　　　奥平美作守死去之砌追腹之者
　　　　　　　　　　知行高三百石　　杉浦右衛門兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　子
　　　　　　　　　　　　　　　　　　杉浦善右衛門
　　　　　　　　　　家中江養子ニ遣　権田吉十郎
　　　　　　　　此両人切腹被　仰付
　　　　　　　　　　　　　　　　聟
　　　　　　　　　　　　　　　　　　奥平五太夫
　　　　　　　　　　　　　　　　　　伊奈田瀬兵衛
　　　　　　　　此両人追放被　仰付

　　一　八月六日昨日於　御城被　仰渡之趣於　御屋形御書院次
　　　　之間御家老酒井玄蕃《割書：元｜知》諸士江申渡之
　　　　　　一　追腹之者一僕ニも自然可有之事ニ候得者従
　　　　　　　　公儀准被　仰渡可被　仰付候条可得其意候尤
　　　　　　　　主人江遺恨にて奥平如家来仕者も可有之
　　　　　　　　事ニ候左様之儀能々考可有旨
　　　　　　　　　但　御直ニ可被　仰渡筈之処少々御不例ニ付玄蕃申渡之
　　　　　　　　　一　於御国九月三日於本多内蔵助宅諸士江申渡之
　　一　八月《割書：日不｜詳》御国通用升之儀　公辺ゟ御尋ニ付左之通書付
　　　　指出之
　　　　　　一　納升壱升入《割書：京升ニ壱合三夕｜七才三札余増》
　　　　　　一　扶持升壱升入《割書：京升ニ壱夕壱才｜減》
　　　　　　一　町升壱升入《割書：京升ニ壱合五夕｜壱才ニ札減》
　　　　　　右者松平越前守領分町在々従古来用申升
　　　　　　如斯御座候以上

　　　　　　　　　　　　　　　　本多内蔵助
寛文八申八月　　　　　　　　　　　　　書判
此前後共永見帯刀とあり　　　　　永見志摩
誤ニはあらさる歟如何　　　　　　　　　書判
　　　　　　　　　　　　　　　　酒井玄蕃
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　書判
　　　　　　　　　　　　　　　　飯田主米
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　書判
　　　　　　　　　差添書
　　　　　　一　米町勘左衛門親宗円年八十
　　　　　　一　同町久左衛門親善長年七十二
　　　　　　右両人申候者納升一俵ハ町升五斗六升ニ被仕候是ハ
　　　　　　勝家代より極申歟判有之升即勝家判と申升
　　　　　　取遣仕候其後
　　　　　　隆芳院殿御入国被遊釣掛升極リ納升一俵を五斗
　　　　　　三升六合に取遣仕候京升扶持升此ニ色町にてハ
　　　　　　六十年以来無御座候
　　　　一　勝家代之升と釣掛升との違ひハ一夕の内少しにて
　　　　　　御座候五斗六升廻しに仕候勝家代の升ハ釣無御座候
　　　　　　升かけにてそき計ニ仕五斗六升に計申候就夫

　　　　　　　そき不申為釣掛五斗三升六合の御定極リ候
　　　　　　　右当町に升之儀存候者可有之と詮議仕候得者
　　　　　　　両人之者如斯申候此外存候者無御座候
　　一　九月七日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　一　十月朔日近々濃州笠松御代官杉田九郎兵衛殿牛首村幷
　　　　加州尾添村等為巡見被相越之由ニ付牛首十六ヶ村家数　　
　　　　人馬数帳并物成高所務帳《割書：本多内蔵助永見帯刀｜飯田主米判形居》并白山
　　　　絵図須崎三郎右衛門《割書：俊｜□》海福瀬左衛門《割書：重｜次》江持参被　仰付今日
　　　　牛首村江被指出置
　　一　同月二日笠松御代官杉田九郎兵衛　殿福井昼休ニ付本多
　　　　内蔵助《割書：昌｜長》永見帯刀《割書：吉｜洪》
飯田主米《割書：安｜成》同道旅宿《割書：石場金屋｜七兵衛》江相越
　　　　今度御引渡申所々村付所務方帳面等役人共持参申付
　　　　先達而牛首村江指出置候間御見分之上右帳面御請取
　　　　可被下旨申達之
《割書：十月ノ誤｜》一　九月九日笠松御代官杉田九郎兵衛　殿巡見相済帰路
　　　　又々福井昼休ニ付永見帯刀《割書：吉｜洪》飯田主米《割書：安｜成》旅宿江相越
　　　　且又先達而於牛首村海福瀬左衛門《割書：重｜次》江御所望有之候白山
　　　　絵図写《割書：道法付ハ難｜相分ニ付不記》香西半兵衛　持参指出之

　　　　　　　但九郎兵衛殿牛首村藤兵衛江被申聞候者万事仕置之儀者兼而
　　　　　　　　越前守様ゟ被　仰付候通可相守候其方儀従
　　　　　　　　中納言様御代々御合力米等拝領仕来事ニ候得者往々
　　　　　　　　とても何とそ可然様ニ可申付旨被申聞候由
　　一　十月廿五日重陽御祝儀御献上ニ付而之御内書於
　　　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　同月廿九日　上使渡辺吉左衛門　殿を以例之通　御鷹之鶴
　　　　御拝領《割書：上使御取扱｜如例》右為御礼　御登　城夫ゟ御老中并酒井
　　　　河内守《割書：忠｜挙》殿江　御廻勤
　　一　十一月廿八日両御供番之中ゟ壱人宛与内奉行江立合役申
　　　　付候様被　仰出候ニ付右役儀日比八兵衛《割書：正｜倫》江被　仰付之
　　　　　　　　但於江戸表も久世弥兵衛右同様被　仰付之
　　一　十二月六日於孝顕寺去四日ゟ今日迄　長勝院様五拾回　
　　　　御忌御法事御執行有之
　　一　同月十六日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被
　　　　献之
　　一　同月廿一日《割書：五｜時》御登　城《割書：昨廿日稲葉美濃守殿ゟ｜御奉書来》被成候処
　　　　御懇之　上意ニ而　布与姫様松平丹後守《割書：光｜茂》殿《割書：肥前国佐｜賀城主》御嫡








　　　　信濃守《割書：綱｜茂》殿江御縁組被　仰出　御下　城夫ゟ為御礼御老中
　　　　若年寄中并酒井河内守《割書：忠｜挙》殿江　御廻勤
　　一　同日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：二｜番》生鱈被献之
　　一　十二月廿七日大和守《割書：通｜矩》様被任侍従
　　一　同日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
寛文九年己酉
　　一　正月朔日為年始御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代御献上
　　　　呉服御拝領
　　一　同日於　御屋形年始御規式有之
　　一　同月七日為御上初使者を以例之通御肴《割書：鯛｜三》被献之
　　一　同月十五日年始ニ付伊勢両　宮幷浅熊江　御代参加藤弥次兵衛
　　　　被指遣之今日江戸出立
　　一　同日右同断二付城州石清水并愛宕江　御代参長坂与五太夫



　　　　被指遣之今日福井出立
　　一　正月廿九日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於　御城御渡
　　　　有之御家来拝領物等如例
　　一　二月廿九日松平信濃守《割書：綱｜茂》殿ゟ　布与姫様江為御結納御使者
　　　　諫早豊前を以御小袖《割書：五｜重》帯《割書：ニ｜筋》雉子《割書：三十｜二》一折鯛《割書：二｜十》一折鯣一折鮱一折
　　　　昆布一折御樽五荷被進之右為御祝儀
　　　　光通様江御太刀金馬代御小袖《割書：十｜》鶴《割書：二｜》鱒一折昆布一折御樽三荷
　　　　国姫様江縮緬《割書：三十｜巻》塩鯛一折鮭《割書：三｜十》一折昆布一折御樽三荷被進之
　　　　於御書院豊前　御目見被　仰付太刀目録を以御礼申上之御吸物出
　　　　御盃被下之御腰物《割書：備前｜近景》被下之酒井玄蕃《割書：元｜知》持出相渡之相済
　　　　御料理被下之
　　一　三月廿五日於評定所当年江戸御留守詰罷越面々道中御法度之儀
　　　　先例之通申渡之
　　　　　　　　覚
　　　　　今度御屋敷御留守番ニ被罷下衆御国ゟ江戸迄一統
　　　　　可被参事
　　　　一　泊者宿割次第可為一宿事
　　　　一　宿々ニ而亭主ニ非分成儀申懸間敷候勿論御定之通






　　　　　　宿賃駄賃可出之
　　　　　　　附竹木伐採間敷事
　　　　一　泊々におゐて好色不行儀其外猥成儀一切仕間敷事
　　　　　　　附博奕幷小歌尺八其外むさと高声仕間敷事
　　　　一　駄賃馬不論跡先対馬方狼藉仕間敷事荷物之
　　　　　　重さ如御定可為四拾貫目附からしり荷物五貫目
　　　　　　之外本駄賃之事
　　　　一　舟渡他所之衆と込合候ハヽ縦及暮候共待合一統に
　　　　　　渡可被申事
　　　　一　於道中或ハ大名衆或ハ歴々参会之節下馬一礼之後　　　
　　　　　　可被参候縦無時宜方江逢候共行儀正敷道を除
　　　　　　可被通事
　　　　一　道中如何様之儀有之共酒井十之丞と可被申談候事
　　　　　　　三月
　　　　但右者定例ニ可有之候得共是迄之御記録無之此年之御記録ニ相見ヘ候ニ付記之　
　一　四月十五日《割書：巳ノ｜下刻》勝見村中永雲寺門前ゟ出火の処大火ニ相成
　　　御本丸御建物を初御門々　御天守并御櫓等迄御焼失《割書：東之方三ノ丸｜御門幷乾ノ》
　　　《割書：御櫓｜一ヶ所残》御家中家数六百十四軒《割書：内侍屋敷三百七十九軒与力三十三軒｜御扶持人末々足軽共二百二軒》寺三十七宇
　

























　　　　町屋二千六百七十六軒《割書：此町数｜五十九町》焼失夜亥刻過鎮火即刻為御注進
　　　　御使番渥美助左衛門《割書：吉｜次》林勘太夫《割書：吉｜房》早駆ニ而江戸表江指遣之
　　　　　　　但委細之儀者翌十六日飛脚を以申上之
　　一　同月十八日《割書：六半｜時》　上使御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿を以御国許江之御暇
　　　　被　仰出例之通白銀《割書：千｜枚》御袷《割書：百｜》御拝領《割書：上使御取｜扱如例》
　　一　同日《割書：五半｜時》　御登　城御暇之御礼被　仰上御鷹《割書：二｜》御馬《割書：一｜》御拝領有之
　　　　畢而御家老酒井玄蕃《割書：元｜知》　御目見被　仰付於御次之間御袷《割書：四｜》
　　　　御羽織《割書：一｜》拝領被　仰付相済　御退出掛右為御礼御老中若年寄中幷
　　　　酒井河内守《割書：忠｜挙》殿江　御廻勤
　　　　　　　但御鷹者　御代初而当年御拝領
　　一　同月十九日御拝領之御馬御老中土屋但馬守《割書：数｜直》殿ゟ使者ニ而
　　　　為牽来ル
　　一　同月廿一日御拝領之御鷹為請取若年寄永井伊賀守《割書：尚｜庸》殿宅江
　　　　御留守居飯川彦兵衛《割書：正｜俊》御鷹匠安田弥五郎　堀権左衛門　同道
　　　　罷出候処御鷹御渡有之
　　　　　　　一雁捉　　一
　　　　　　　一鴨捉　　一　
　　　　右御鷹請取罷帰於御書院　御頂戴有之相済右為御礼







　　　　伊賀守殿江　御勤
　　一　四月廿一日今度御国許大火之御注進渥美助左衛門《割書：吉｜次》森勘太夫《割書：吉｜房》
　　　　御屋敷江着ニ付今朝御使者美濃部半七《割書：茂｜成》を以御国許
　　　　御城御焼失并　御城下大火之段御老中江御達有之其節
　　　　左之通書付持参差出之
　　　　　　　　　　覚
　　　　　　一侍屋敷三百七十九軒
　　　　　　一足軽家百軒
　　　　　　一町数五十九町
　　　　　　一寺屋敷三十七軒
　　一　同月廿二日去十六日立之飛脚到着ニ付昨廿一日御届残之分
　　　　美濃部半七《割書：茂｜成》ゟ左之通御老中江相達之
　　　　　　一百三十五軒
　　　　　　　内
　　　　　　　　三十三軒　　与力
　　　　　　　　三十六軒　　徒之者
　　　　　　　　二十七軒　　坊主
　　　　　　　　三十九軒　　諸役人
　　一　同日右同断ニ付　上使御小姓組番頭大久保出羽守《割書：忠｜朝》殿を以



　

　　　　　　

　　　　御尋有之出羽守殿此　御屋形江御越之節御広間板縁際迄
　　　　御出迎御会釈有之御案内ニ而御書院江御通　上意之趣御達
　　　　有之　御請被　仰上御長蚫出之御吸物出御盃事有之
　　　　相済出羽守殿御退出右為御礼御老中若年寄中并酒井
　　　　河内守《割書：忠｜挙》殿　上使出羽守殿江　御廻勤
　　一　四月廿五日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
　　一　同月《割書：日不｜詳》此度　御城御焼失ニ付　御帰国之節ゟ芦田図書《割書：吉｜賢》宅江
　　　　御仮住居可被成旨被　仰出之
　　　　　　　但右ニ付新ニ仮　御座之間を建図書家来共者外屋敷江
　　　　　　　相移
　　一　同月《割書：日不｜詳》大目付中ゟ申来ニ付　御城江御留守居罷出候処
　　　　法花不受不施之宗門上江者受不施之様ニ仕内々不受不施を
　　　　立候寺有之由相聞候左様之寺ゟハ吉利支丹改之請判取候事
　　　　無用之由被　仰渡有之
　　　　　　　但於御国許者同月廿六日右之段被　仰出有之
　　一　五月朔日御家老酒井玄蕃《割書：元｜知》被登　城候様ニ兵部大輔様　御城ゟ
　　　　被　仰遣候ニ付玄蕃早速致登　城候処御老中列座御用番久世
　　　　大和守《割書：広｜之》殿被　仰渡ニ而金五万両御拝借被　仰出依之右為










　　　　御礼 　御登　城　御退出掛御老中若年寄中并酒井
　　　　河内守《割書：忠｜挙》殿江　御廻勤
　　一　五月二日江戸　御発駕中山道通　御旅行
　　一　同日今度火事ニ付職人共作料高直ニ可相成ニ付御作事方ニ而
　　　　職人共作料左之通相極リ候間御家中之面々も左様相心得
　　　　可申旨横目ゟ相触之
　　　　　　　　　諸職人作料之覚
　　　　　　一上大工壱人弐匁六分　　扶持無之
　　　　　　一中大工壱人弐匁弐分　　同　
　　　　　　一下大工壱人壱匁八分　　同
　　　　　　一中桧皮壱人弐匁弐分　　同
　　　　　　一下桧皮壱人壱匁八分　　同
　　　　　　一木挽壱人壱匁八分　　　同但口挽ハ相対
　　　　　　一石屋壱人弐匁八分　　　同
　　　　　　一畳屋壱人弐匁弐分　　　同
　　　　　　一日雇壱人
　　　　　　　此書付之通従　公儀米ニ而被下候を銀弐拾弐匁五分之
　　　　　　　御直段ニ直シ如斯ニ候以上

　　　　　　　右之通リ　公儀之御直段ニ候条御家中之面々
　　　　　　　諸職人此直段より高直雇被申間敷候若高直ニ
　　　　　　　作料取可申と申者候ハヽ可被申達候過料取申筈ニ候
　　　　　　　可被得其意候以上
　　　　　　　　　五月二日　　　　　　　　横目中
　　　　　　　　追而先日相触候通作事急不被申付緩々と被仕可然旨ニ候
　　一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単御袷
　　　　被献之追而　御内書於　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　同月十四日　御帰国芦田図書《割書：吉｜賢》屋敷江被為　入《割書：今度御城｜御焼失ニ付》
　　一　同月十五日　御帰国為御礼御使者大谷助六《割書：重｜政》江戸表江被指出之
　　　　今日福井出立
　　一　同月十六日先達而　御城御焼失ニ付金子御拝借被　仰出
　　　　御老中ゟ大坂御役人江之御指紙御家来江御渡ニ付為御礼
　　　　御老中江御使者を以御諸書被指出之
　　　　　　　　但右御書江戸詰之大御番士御国許ゟ持参之趣ニ而指出之
　　　　　　　　　日不詳
　　一　同月廿一日此節芦田図書《割書：吉｜賢》宅ニ被成　御座候得共川筋無
　　　　遠慮往来可仕且又火事ニ逢候者共　御通行之節作事等




　　　　不及遠慮旨被　仰出之
　　一　同日　御城御焼失ニ付御拝借ニ相成候金子之内御家中
　　　　類焼之者共江左之通拝借可被　仰付且又　公辺江御上納之儀者
　　　　来戌年ゟ十ヶ年ニ被指上筈ニ候得共御家中江御貸被成候分ハ
　　　　亥年ゟ上納可仕旨被　仰出之
　　　　　　　　　覚
　　　　　　一　四万石　　　　　　壱人
　　　　　　　　　　小判五百両
　　　　　　一　壱万石　　　　　　壱人
　　　　　　　　　　小判弐百両
　　　　　　　　六千石ゟ　　
　　　　　　　　五千八百石迄　　　弐人
　　　　　　　　　　小判三百両　　但壱人ニ百五拾両
　　　　　　一　五千石　　　　　　壱人
　　　　　　　　　　小判百三十両
　　　　　　　　四千石ゟ
　　　　　　　　三千七百五十石迄　弐人
　　　　　　　　　　小判弐百四十両　但壱人ニ百弐拾両
　　　　　　　　三千五百石ゟ
　　　　　　　　三千石迄　　　　　五人
　　　　　　　　　　小判五百五拾両　但壱人ニ百拾両



　　　　　　一　弐千五百石　　　　　壱人　　
　　　　　　　　　　小判百両
　　　　　　　　弐千弐百石ゟ
　　　　　　　　弐千石迄　　　　　　三人
　　　　　　　　　　小判弐百七拾両　　但壱人ニ九拾両
　　　　　　一　千五百石　　　　　　六人　　
　　　　　　　　　　小判四百弐拾両　　但壱人ニ七拾両
　　　　　　　　千三百石ゟ
　　　　　　　　千五拾石迄　　　　　拾人
　　　　　　　　　　小判六百両　　　　但壱人ニ六拾両
　　　　　　　　千石ゟ
　　　　　　　　九百石迄　　　　　　拾壱人
　　　　　　　　　　小判五百五拾両　　但壱人ニ五拾両
　　　　　　　　八百石ゟ
　　　　　　　　七百石迄　　　　　　八人
　　　　　　　　　　小判三百弐拾両　　但壱人ニ四拾両
　　　　　　　　六百石ゟ
　　　　　　　　五百石迄　　　　　　弐拾九人
　　　　　　　　　　小判八百七拾両　　但壱人ニ三拾両
　　　　　　　　四百五拾石ゟ
　　　　　　　　三百石迄　　　　　　六拾六人
　　　　　　　　　　小判千三百弐拾両　但壱人ニ弐拾両
　　　　　　　　弐百五拾石ゟ
　　　　　　　　百五拾石迄　　　　　九拾三人
　　　　　　　　　　小判千三百九拾五両　但壱人ニ拾五両

　　　　　　一　百石 　　　　　　　弐拾八人
　　　　　　　　　　小判弐百八拾両　　但壱人ニ拾両
　　　　　　　　百五拾石ゟ
　　　　　　　　百石迄　　　　　　与力百弐人　　
　　　　　　　　　　小判七百拾四両　　但壱人ニ七両
　　　　　　　　　小判〆八千七百五拾九両
　　　　　　　　　　此銀四百九拾貫五百目余
　　　　　　一　切米取　　　　　　四拾九人
　　　　　　　　　小判弐百四拾五両　　但壱人ニ五両
　　　　　　一　役人御歩行御帳付御台所人　五拾六人
　　　　　　　　　小判百拾弐両　　　　但壱人ニ弐両
　　　　　　　　御土蔵番諸手代御足軽
　　　　　　　　坊主鳥飼丸鳥持　　弐百三拾壱人
　　　　　　　　　銀拾壱貫五百五拾匁　但壱人ニ五拾匁
　　　　　　　　　此小判弐百六両壱歩
　　　　　　　　御小道具御中間御小人
　　　　　　　　御下男　　　　　　　　弐拾弐人
　　　　　　　　　小判拾六両弐歩　　　但壱人ニ三歩
　　　　　　　　小判〆五百七拾九両三歩
　　　　　　　　　此銀三拾弐貫四百七拾匁
　　　　　　　　二口小判〆九千三百三拾八両三歩

　　　　　　　　　　此銀五百弐拾弐貫九百七拾目余
　　一　同日右同断ニ付町中江銀子弐百貫匁被下置候旨町奉行江
　　　　被　仰出之
　　　　　　　　町家焼失之覚
　　　一　惣家数千八百拾九軒　　　　　
　　　　　　　此間口六千五百五拾間半
　　　　　　　　　　内
　　　　　　上町間口千八百九拾九間半
　　　　　　　小判千八百九拾九両弐歩　但壱間ニ壱両ツヽ
　　　　　　中町間口千七百八拾弐間　
　　　　　　　小判八百九拾壱両　　　　但壱間ニ弐歩ツヽ
　　　　　　下町間口弐千八百七拾三間
　　　　　　　小判七百拾八両壱歩　　　但壱間ニ壱歩ツヽ

　　一　五月廿一日先達而　御城御焼失ニ付御拝借金被　仰出候ニ付
　　　　御老中ゟ大坂御役人江之御指紙并此方御家老ゟ
　　　　公辺御役人江指出候証文案紙江戸表ゟ須崎三郎右衛門《割書：俊｜屋》持参
　　　　今日福井江着

　　一　五月廿五日今度火事ニ付　御城惣郭之松焼候分堀除其跡ニ
　　　　如前々松植候様被　仰出依之吉池孫兵衛立岩名右衛門高岡
　　　　勘太夫　右奉行被　仰付
　　一　同月廿七日本多内蔵助《割書：昌｜長》去ル廿一日死去ニ付内蔵助牌前《割書：府中｜竜泉寺》江
　　　　飯田主米《割書：安｜成》を以御香奠銀弐拾枚被下之
　　一　同月廿八日今度被　仰出候御拝借金於大坂御渡ニ付請取
　　　　宰領力丸藤左衛門《割書：重｜時》三寺久左衛門　服部三郎兵衛《割書：包｜保》岡九郎左衛門　江
　　　　御老中ゟ之御指紙并御家老永見帯刀《割書：吉｜洪》酒井玄蕃《割書：元｜知》飯田
　　　　主米《割書：安｜成》連判証文一通持参被　仰付大坂表江被指遣之藤左衛門等
　　　　下宰領足軽六拾四人新荒子拾壱人新中間拾九人召連今日
　　　　福井出立

　　　　　　　指紙
　　　　　　　　　　覚　
　　　　　　　　松平越前守居城炎上ニ付而金五万両分ニ
　　　　　　　　白銀弐千七百五拾貫匁拝借候間家老共
　　　　　　　　手形取之可被相渡候然者従来戌年壱ヶ年ニ
　　　　　　　　弐百七拾五貫目宛十ヶ年ニ可為上納候間
　　　　　　　　皆済上此証文并家老共之手形可被
　　




　　　

　　　　　　 相返之候以上

　　　　　　寛文九酉
　　　　　　　五月四日　　　　　　　　　　但馬判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大和判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　美濃判
　　　　　彦坂壱岐守殿
　　　　　石丸石見守殿
　　　　　永田伝左衛門殿
　　　　　筧五郎太夫殿
　　　　　水野彦五郎殿
　　　　　蔦木次左衛門殿
　　　但御家老ゟ指出候手形御記録類ニ不詳

　　一　五月《割書：日不｜詳》為御帰国御礼御使者大谷助六《割書：重｜政》を以奉書紙《割書：五十｜束》
　　　　被献之助六　御目見被　仰付退去再自分之御礼被

　　　　仰付御太刀馬代献上之
　　一　五月《割書：日不｜詳》御使者大谷助六《割書：重｜政》御城江罷出候処御返書御渡
　　　　有之助六江御帷子御単拝領被　仰付
　　　　　　　御札令拝見候
　　　　　　　公方様益御機嫌能被成御座珍重之旨尤之
　　　　　　　御事候将又先頃首尾好御暇其上御懇之
　　　　　　　上意色々拝領今度初而御鷹被遣之且又息女
　　　　　　　縁辺之儀迄被　仰付重畳難有之由得其意候
　　　　　　　去十四日就帰国為御礼被差越大谷助六郎奉書紙
　　　　　　　十箱被献之候右之趣遂披露候処
　　　　　　　御前江被　召出之入念候段御喜色之御儀候委曲
　　　　　　　使者可為演説候恐々謹言　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守
　　　　　　　　五月　　　　　　　　　　　数直書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　広之書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正則書判
　　　　　　　　　　松平越前守殿

　　一　六月五日広橋儀同兼賢公薨去ニ付為　御代焼香
　　　　本多左兵衛《割書：道｜重》京都江被指遣御香奠銀五拾枚被供之
　　　　左兵衛今日福井出立
　　一　同月十九日御金宰領力丸藤左衛門《割書：重｜時》三寺久左衛門　服部
　　　　三郎兵衛《割書：包｜保》岡九郎左衛門　於大坂御拝借金五万両分白銀二而
弐千七百五拾貫目　　　貫目請取今日福井江帰着
　　　　　　　　但於大坂御金請取之日不詳
　　一　同日　御帰国御礼御使者大谷助六《割書：重｜政》御目見且拝領物
　　　　被　仰付候為御礼御使者蠏江刑部右衛門《割書：董幸》江戸表江被指出之
　　　　今日福井出立
　　　　　　但刑部右衛門江戸着日不詳七月朔日於御老中御返書被相渡之
　　一　同月廿一日暑中　御機嫌為御伺御使者出渕平兵衛《割書：盛｜許》
　　　　江戸表江被指出之御肴一種被献之平兵衛今日福井出立
　　　　　　但平兵衛江戸着日不詳七月五日御返書被相渡之
　　一　同月廿六日御家老永見帯刀《割書：吉｜洪》去ル廿日死去ニ付帯刀牌前江
　　　　有賀左衛門《割書：正｜方》を以御香奠銀拾枚被下之
　　一　同月廿八日本多左近《割書：正｜房》御家老職被　仰付
　　一　同日本多内蔵助《割書：昌｜長》跡知倅孫太郎《割書：長｜員》江無相違被下置候旨





















　　　　名代本多左近《割書：正｜房》江被　仰付且又孫太郎儀幼少之事ニ候条致
　　　　成人候迄左近江陳代被　仰付府中之仕置等可申付旨左近并
　　　　孫太郎家来井上八左衛門　佐久間治部右衛門　本多十左衛門　岡部
　　　　七郎兵衛　岡部木工左衛門　松本金左衛門　江　御直ニ被
　　　　仰渡之
　　一　六月晦日御書を以例之通御国産初鱈被献之
　　一　七月六日暑中ニ付御書を以例之通御国産索麺干鯛
　　　　被献之
　　一　同月七日今度今庄村江百姓共遣牛馬之市立八月朔日ゟ
　　　　九月中迄致商買度旨今庄村庄屋并村役人共ゟ相願候ニ付
　　　　願之通被　仰付候段於御用場《割書：芦田図書《割書：吉｜賢》｜屋敷》郡奉行小嶋権太夫　江
　　　　御家老飯田主米《割書：安｜成》申渡之
　　一　同月十四日　御帰国ニ付
　　　　女院御所御機嫌為御伺御使者長谷川三右衛門　を以
　　　　例之通奉書紙鯖被献之三右衛門今日福井出立
　　　　　　　但例年　御帰国之砌被献廉ニ候得共広橋
　　　　　　　儀同様之御服中ニ付如何被成候哉御伺被成候処
　　　　　　　不苦旨申来ニ付今日御使者被指出之






　　一　七月十五日於山里御土蔵御武具役笠原新五右衛門　大内
　　　　七郎兵衛《割書：好｜古》久世市左衛門　中山一郎兵衛　小栗勘兵衛　大瀬
　　　　猪兵衛　榎並左次右衛門《割書：重｜長》柳下六之丞《割書：隆｜員》本庄弥太夫　真杉
　　　　儀右衛門　右拾人　御前江被　召出今度　御城内焼失之節
　　　　御武具土蔵消防方宜相残リ候儀　御満足ニ被　思召候段
　　　　御意有之一人ニ金三両宛　御直ニ被下之
　　一　同月十九日
　　　　公方様御機嫌為御伺江戸表江御書被指出之
　　一　同月廿一日本多孫太郎《割書：長｜員》ゟ江戸表江使者を以継目之為
　　　　御礼御太刀銀馬代奉書紙《割書：二十｜束》献上之且又内蔵助遺物御腰物
　　　　《割書：城州｜国行》一腰献上之追而御披露済之御奉書被下之
　　一　同月廿五日　御城御普請被成度ニ付御使者を以左之通
　　　　御老中江御書被指出之
　　　　　　一　筆致啓上候今度当城火事自櫓二階門并
　　　　　　升形石垣火失之所々連々以如元普請仕度存
　　　　　　相記絵図各迄得御意候間於可被達
　　　　　　上聞儀候御序之節
　　　　　　御前可然様御取成奉頼存候委曲使者口上

　　　　　　申含候恐惶謹言
　　　　　　　七月廿五日
　　　　　　　　　　　　　　　　　松平越前守
　　　　　　　稲葉美濃守様
　　　　　　　久世大和守様
　　　　　　　土屋但馬守様

　　一　七月晦日永見帯刀《割書：吉｜洪》跡知《割書：壱万｜三千石》倅頼母《割書：通｜洪》江被下置御家老職
　　　　被　仰付
　　一　八月朔日為御祝儀御使者渡辺又兵衛《割書：正利｜》《割書：御留守居｜同道》を以
　　　　例之通御太刀馬代被献之
　　　　　　　但又兵衛去月十八日御国表出立
　　一　同月九日本多孫太郎《割書：長｜員》継目ニ付献上物并内蔵助遺物
　　　　指上候処被達　上聞孫太郎江御奉書被下候為御礼
　　　　御老中江御使者を以御書被指出之
　　　　　　　但右御書江戸表ニ相詰居候井口宇右衛門　御国許ゟ持参之趣ニ而
　　　　　　　指出之日不詳同月廿二日御返書被相渡之
　　一　同月十日先達而御国ゟ所々江之道度隣国城下江之道程

　　　　海上之儀も書記可指出旨大目付北條安房守《割書：氏｜長》殿ゟ御留守居江
　　　　申来候ニ付今日御使者吉田竹右衛門　を以被指出之
　　　　　　　従福井東海道百三十二里中山道百三十七里北陸道
　　　　　　　百四十五里大野八里松岡二里十三町吉江二里廿八町
　　　　　　　丸岡三里十三町府中五里勝山七里十一町三国
　　　　　　　五里《割書：川舟｜七里》河野九里廿町《割書：従三国海上｜十八里》敦賀十六里《割書：従三国廿五里｜従河野七里》
　　　　　　　大聖寺九里金沢廿里三十町細呂木七里十六町
　　　　　　　小松十三里廿三町美濃八幡廿八里壱町《割書：油坂迄｜廿二里一町》飛騨
　　　　　　　高山三十九里三町《割書：三国峠迄｜廿二里三町》彦根廿七里三町《割書：長ノ尾崎迄｜十二里廿三町》
　　　　　　　小浜廿八里《割書：木ノ目峠迄｜十三里》加州宮崎十七里能登福浦三十
　　　　　　　五里小浜《割書：三国ゟ海上｜三十五里》
　　一　八月十三日
　　　　公方様御機嫌為御伺御使者香西八郎兵衛《割書：正｜佐》江戸表ゟ
　　　　被指出之御肴一種被献之今日福井出立
　　　　　　但八郎兵衛江戸着日不詳同月廿七日御返書被相渡之
　　一　同月十四日　御城御再築之儀ニ付御国許ゟ御使者を以
　　　　御願御書被指出《割書：去月｜廿五日》候処御奉書今日被相渡之
　　　　　　　　　以上






　　　　　　福井城去比火事付而櫓二階門升形石垣等
　　　　　　焼失之所々注絵図并覚書以使者被差越之候
　　　　　　紙面之通及
　　　　　　上聞候以連々如元可有普請候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　寛文九酉　　　　　　　　正則書判
　　　　　　　　　　八月十四日　　土屋但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　数直書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　広之書判
　　　　　　　　松平越前守殿

　　一　八月十五日当夏　御城御焼失後大手柳町口并木田口江　　　
　　　　為御締御番士被指出置候処　御城御締も出来候ニ付
　　　　被相止候旨被　仰出之
　　一　九月七日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　　　追而　御内書於　御城御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　同月十三日《割書：昨夜五時｜過御供揃》平泉寺江　御参詣御先乗波々伯部九兵衛《割書：茂好｜》
　　　　《割書：組召連｜鉄砲十挺》御供番二番《割書：ニ十｜人》被　召連勝山郡奉行大熊勘左衛門方江
　　　　被為　入御清有之　御装束《割書：熨斗目｜御長袴》被　召替夫ゟ神前江
　　　　御参詣其節御初穂銀百枚《割書：御拝領｜之銀子》被供　御下向之節本坊江








　　　　御立寄賢聖院　御目見被　仰付時服二頂戴被　仰付
　　　　御帰之節再勘左衛門方江被為　入御弁当被　召上
　　　　御帰殿《割書：未ノ｜下刻》
　　　　　　但白山本社江御太刀目録金子二枚《割書：御拝領｜銀》銀子一枚　大己貴江
　　　　　　　御太刀目録金子一枚《割書：御拝領｜銀》上銭二貫　別山江御太刀目録
　　　　　　　金子一枚《割書：御拝領｜銀》上銭二貫被供之
　　一　九月晦日御番組之内当四月類焼之面々御番御免被成置候処
　　　　来月朔日ゟ如元御番御供可相勤旨被　仰出之
　　一　同日瓦御門番以後壱人宛泊番相勤候様被　仰出之
　　一　十月二日　御妹千姫様《割書：松平大膳大夫《割書：綱｜広》殿｜御奥方》御逝去江戸貝塚青松寺江
　　　　御葬送御法号
　　　　高寿院殿永誉殊光円貞大姉
　　一　同月八日右同断ニ付為　御代焼香中川縫殿介　江戸表江
　　　　被遣御香奠銀三十枚被供之縫殿介今日福井出立
　　一　同月廿六日
　　　　公方様御機嫌為御伺御使者長沼権兵衛　江戸表江被指出之
　　　　御肴一種被献之権兵衛今日福井出立
　　　　　　但権兵衛江戸着日不詳閏十月八日於御老中御返書被相渡之

　　　　　　


　　一　十月廿七日当夏牢屋焼失之処今度普請出来ニ付 例之通
　　　　重罪之者壱人棟梁大工江被下候様願出候ニ付願之通被
　　　　仰付候旨於御用場大熊勘左衛門　并町奉行江被　仰出之
　　一　閏十月十一日　女御《割書：鷹司殿｜姫君》御入　内ニ付御老中ゟ渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿江
　　　　被相渡候由ニ而大隅守ゟ左之通御書付来ル
　　　　　　　御書付
　　　　　　　　　覚
　　　　　　禁裏
　　　　　　　　御太刀御馬代黄金三枚
　　　　　　女御之御方
　　　　　　　　白銀弐拾枚
　　　　　　女御御所
　　　　　　　　同断
　　　　　　右之通今度　女御御入　内ニ付而為御祝儀以使者
　　　　　　被差上之尤候以上
　　　　　　　閏十月十一日
　　　　　　　松平越前守殿
　
　　一　同月十一日御使者三沢甚右衛門《割書：正｜世》を以当夏　御帰国之節
　　　　御拝領御鷹捉飼之雁《割書：一｜》鴨《割書：一｜》被献《割書：御書十四日｜日附》甚右衛門今日
　　　　福井出立
　　　　　　但道中七日八日ニ而参着之積ニ付右之日附相成












　　　　　　　

　　　　　　一甚右衛門江戸着日等不詳同月廿三日於御老中御返書被相渡之
　　一　閏十月廿三日　御鷹之鶴御拝領ニ付於御用番宅
　　　　御老中連名之御奉書幷鶴宿継証文御渡有之右ニ付
　　　　御徒一橋藤左衛門指添御国許江指立之
　　一　同月廿七日宿継御奉書を以御拝領之鶴福井着於
　　　　御本丸　御頂戴有之
　　一　同月廿九日右同断ニ付為御礼御使者酒井孫四郎《割書：元｜宣》
　　　　江戸表江被指出之御肴一種被献之孫四郎今日福井出立
　　　　　　　但孫四郎江戸着幷御目見之月日不詳
　　一　十一月九日　女御御入　内《割書：十一月｜廿一日》ニ付為御祝儀御使者水谷
　　　　治左衛門《割書：氏｜慶》を以
　　　　禁裏江御太刀馬代《割書：黄金｜三枚》　女御御方　女院御所江白銀二十枚宛
　　　　被献之《割書：去月十一日御書付｜を以被　仰出》治左衛門今日福井出立
　　一　同月十八日寒中　御機嫌為御伺御使者水野権大夫
　　　　江戸表江被指出之御国許之御肴一種被献之権大夫
　　　　今日福井出立
《割書：十 一（◦）月　二ノ誤タルベシ》　　但権大夫江戸着日不詳十一月四日御返書被相渡之
　　一　同日鶴御拝領御礼御使者酒井孫四郎《割書：元｜宣》



　　　　御城江罷出候処御返書御渡有之其節孫四郎江御小袖
　　　　御羽織拝領被　仰付
　　一　十一月廿三日寒中ニ付御書《割書：十六日｜日附》を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈
　　　　被献之
　　一　同日来年　御城御普請有之ニ付今日於御用所長坂
　　　　与五大夫　江御作事奉行被　仰付之
　　　　　　　但此時初而御作事奉行役被　仰付
　　一　同月《割書：日不｜詳》　公儀ゟ　仰出之儀ニ付所々高札場江左之通
　　　　相掲之
　　　　　　　　　　定
　　　　　　一寛永之新銭金子壱両に四貫文勿論壱分には
　　　　　　　可為壱貫文之売買若致違背高下のうりかひ
　　　　　　　仕にをいてハ双方より其売買の一倍為過料
　　　　　　　可出之其町之年寄弐百疋其外者家一軒より
　　　　　　　拾疋宛為過怠可出之事
　　　　　　一大かけわれ銭かたなしなまり銭新悪銭此外
　　　　　　　不可選若えらふもの五銭を押てつかふ者
　　　　　　　有之者或其所に三日さらし或十日可為籠舎

　　　　其時之過料同前事
　　一　新銭之儀何之所にても御免 なくして一切不可
　　　　鋳出若違背之輩有之者可為曲事
　　一　新銭被　仰付上者縦有来悪銭たりといふとも
　　　　或礼銭或散銭等にも不可取扱事

　　　　　　定
　　一　公儀より被　仰出御法度之趣不可相背事
　　一　人売買一円停止たり若猥之輩於有之者
　　　　分其軽重或死罪籠舎或可為過料事
　　　　　　附口入同罪事
　　一　福居庄幷国之中往還之百姓等家中侍者不及申
　　　　雖為他国仁急度下馬仕惣而脱笠可踞事
　　一　諸奉公人対于町人百姓非分狼藉不可仕勿論
　　　　町人百姓として奉公人に慮外いたすへからさる事
　　一　年季之事男女共に相対次第但廿年過者
　　　　可為譜代事
　　一　火事若令出来者役人并可受町奉行之下知事

　　　　　一　牢人上下によらす宿を借時請人の手形を
　　　　　　　奉行所江相達以裏判可借之事
　　　　　一　喧嘩口論堅停止たり自然有之時至于其場
　　　　　　　一切不可出向事
　　　　　一　被行死罪者有之刻役者之外至于其所不可
　　　　　　　懸集事
　　　　　一　手負ハ不及申科人不可隠置之事
　　　　　一　立辻門并深あミ笠を着顔をつゝミ隠
　　　　　　　へからさる事
　　　　　右条々堅可相守者也仍執達如件
　　　　　　寛文九年十一月日　　　　　奉行
　　　　　但福井之外者火事并門立辻立之ケ条相除之
　　一　同日右同断ニ付浦々高札場江左之通相掲之
　　　　　　　　　条々
　　　　　一　公儀之船者不及申諸廻船共遭難風時者
　　　　　　　助船を出し船不破損様に成程可入精事
　　　　　一　船破損之時其所近き浦之者入精荷物船具等
　　　　　　　取揚へし其揚所之荷物之内浮荷物ハ二十分一

　　　　　　　　沈荷物ハ十分一川舟者浮荷物三十分一沈荷物
　　　　　　　　弐十分一取揚者に可遣之事
　　　　　　一　沖にて荷物はぬる時は着船之湊にをいて
　　　　　　　　其所の代官下代庄屋出合遂穿鑿船に
　　　　　　　　相残荷物船具等之分可出証文事
　　　　　　　　　附船頭之者と申合荷物盗取之はねたる
　　　　　　　　　　よし偽申にをいてハ後日に聞といふとも
　　　　　　　　　　船頭ハ勿論申合輩悉可被行死罪事
　　　　　　一　湊に永々船を懸置輩あらハ其子細を所之者
　　　　　　　　相尋日和次第早々出船いたさすへし其上にも
　　　　　　　　令難渋は何方之船と承届之其浦之地頭
　　　　　　　　代官江急度可申達事
　　　　　　一　御城米廻之刻船具水主不足之悪船に不可
　　　　　　　　積之并日和能節於令船破損者船主沖之
　　　　　　　　船頭可為曲事惣而理不尽之儀申懸之又は
　　　　　　　　私曲於有之者可申出之縦雖為同類其科を
　　　　　　　　ゆるし御褒美可被下之且又あたを不成様ニ
　　　　　　　　可被　仰付之事

　　　　　　一　自然寄船并荷物流木にをいてハ揚置之へし
　　　　　　　　半年過迄荷主於無之者揚置之輩可取之　　
　　　　　　　　若右之日数過荷主雖為出来不可返之雖然
　　　　　　　　其所之地頭代官指図を受へき事
　　　　　　一　博奕惣而賭之勝負弥堅可為停止事
　　　　　　右条々可相守此旨若悪事仕にをいてハ申出へし
　　　　　　急度御褒美可被下之科人ハ罪之軽重ニした
　　　　　　かひて可為御沙汰者也
　　　　　　　寛文九年十一月日　　　　奉行

　　一　同日右同断ニ付福井高札場江左之通相掲之
　　　　　　　　条々
　　　　　　一　近年八木大豆高直成故宿々令困窮之間
　　　　　　　　福居大橋より浅水江駄賃銭壱駄に付五十九文
　　　　　　　　乗懸荷ハ人共に同前荷なくして令乗は三十
　　　　　　　　八文人足賃ハ弐十九文舟橋江四十弐文荷なしに
　　　　　　　　のらハ弐十八文人足賃ハ弐十壱文可取之事
　　　　　　一　往還之輩次馬人足近年甚多に付而宿々
　　　　　　　　令窮困之間縦国持大名たりといふとも家中



　　　　　　　　共に一日に次馬二十五疋次人足廿五人に過へからす
　　　　　　　　此外人馬入にをいてハ其日をのそき跡先江
　　　　　　　　順々に可遣之事
　　　　　　　　　附人馬共に伝馬次にて御定のことく可
　　　　　　　　　　次之若次来宿々を追通輩あらは
　　　　　　　　　　御穿鑿の上人馬不出之町の問屋年寄
　　　　　　　　　　可為曲事
　　　　　　一　乗物壱丁に次人足六人山乗物ハ四人にて
　　　　　　　　御定の人足賃を取可相送之事
　　　　　　一　長櫃壱棹三十貫目を限へしそれよりおもき
　　　　　　　　荷物ハ持はこふへからす人足壱人に五貫目の
　　　　　　　　荷積にて三十貫目ハ人足六人それより
　　　　　　　　軽き荷物は貫目に随ひ人数減少すへし
　　　　　　　　此外いつれの荷物も可准之事
　　　　　　一　乗懸荷物は五貫目迄は荷なしにのる
　　　　　　　　駄賃銭可為同前それよりおもき荷物ハ本
　　　　　　　　駄賃銭可取之事
　　　　　　　　　附夜返【「通」ヵ】しハ荷なしにのる馬たりといふとも

　　　　　　　　　　本駄賃可取之事
　　　　　　　右条々可相守之若違背之族有之者
　　　　　　　縦後日に相聞といふとも糺咎之軽重或死罪
　　　　　　　籠舎或可為過料者也仍下知如件
　　　　　　　　　寛文九年十一月日　　　　奉行
　　一　十二月二日　御鷹之鶴御拝領御礼御使者酒井孫四郎《割書：之｜宣》
　　　　御目見且拝領物被　仰付候為御礼御使者松平五兵衛
　　　　江戸表江被指出之今日福井出立
　　　　　　但五兵衛江戸着日不詳同月廿日御返書被相渡之
　　一　同月五日寒中ニ付御書《割書：廿七日｜日附》を以例之通御国産《割書：ニ｜番》生鱈
　　　　被献之
　　一　同月六日　女御御入内相済候為御祝儀御使者を以　
　　　　御老中江御書被指出之
　　　　　　但右御書江戸詰之大御番士御国許ゟ持参之趣ニ而
　　　　　　　指出之日不詳
　　一　同月廿七日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖
　　　　被献之追而　御内書於　御城御渡有之御家来拝領物等
　　　　如例

　　一　同日稲葉采女《割書：治｜房》御家老職被　仰付
　　一　十二月《割書：日不｜詳》来年正月
　　　　台徳院様三十三回御忌御法事御執行有之ニ付
　　　　御参府被成度段御伺被成候処可為無用之旨御指図
　　　　有之

家譜

【表紙】
【題箋】
《題：家譜《割書：秀康公》《割書：従天正二年｜到慶長十二年》　一》

【見返し】

【左丁】
秀康様《割書：従天正二年甲戌至｜慶長十二年丁未》

【右丁・白紙】
【左丁】
　　　　　　越前世譜

　　　　　　　秀康様《割書：於結城暫被称｜秀朝又被復秀康》

　天正二年申戌
　　一　二月八日辰刻於遠江国敷智郡浜松庄宇布見村中村
　　　　源左衛門正吉宅　御誕生《割書：御本卦乾｜御性火》

【右丁】
　　　於義丸様与奉称《割書：御誕生前年十一月廿九日之夜御母浜松之｜御城ゟ宇布見村之郷士中村源左衛門宅江御移》
　　　《割書：御出生前後本多作左衛門｜重次万事取斗之》
　　　神君第二之御子御母永見氏《割書：於万方後薙髪号長勝院殿｜参州住人永見淡路守吉英女》
　一　九月十一日米大明神江　御宮参有之


【左丁】
　天正四年丙子
　一　正月中旬
　　　於義丸様遠州宇布見村ゟ参州岡崎之城
　　　三郎信康様御許江被為　移
　一　於義丸様御誕生被成候砌ゟ
　　　神君思召有之　御対顔無之段
　　　信康様ニハ兼々御存知之事故
　　　神君岡崎江被為　入候節能折柄ニ付本多作左衛門重次江
　　　被　仰含

【右丁】
　　　神君与　信康様御対座之節　御座之間之障子を
　　　於義丸様江為御敲被成候を
　　　神君御聞咎被成候ニ付
　　　信康様御座を被為　立
　　　於義丸様之御手を引　御前江御出被成私弟
　　　於義丸ニ御座候与被　仰上候得者
　　　神君初而　御対顔之御事故　御機嫌不斜
　　　御膝江御抱上被成丈夫成生立也与御喜悦之御様子ニ
　　　被為　在其節

【左丁】
　　　信康様致成長候ハヽ私力ニ茂可相成末頼敷存候与
　　　御取合被　仰上此時
　　　於義丸様
　　　神君ゟ来国光之御脇指御拝領被成

【右丁・白紙】

【左丁】
　天正七年己卯
　　一　四月七日
　　　　長丸様《割書：後｜秀忠様》御誕生《割書：御母｜西郷氏》
　　一　九月十五日
　　　　信康様於遠州二股城御自殺《割書：御年｜二十一》同所山上ニ奉葬
　　　　御法号
　　　　騰雲院殿
　　　　　　　但後年御埋葬之所ニ清滝寺を御建立　御法号
　　　　　　　　清瀧寺殿与御改

【右丁・白紙】

【左丁】
　天正八年庚辰
　　一　九月廿日
　　　　神君御四男福松丸様《割書：後称薩摩守忠吉｜尾張清須城主》御誕生《割書：御母｜西郷氏》
　　一　十一月
　　　　神君御女振姫君様御誕生《割書：御母｜穴山氏》

【右丁・白紙】

【左丁】
　天正十年壬午
　　一　四月十六日信長公武田四郎勝頼を討亡帰陣之
　　　　時遠州浜松之　御城江被立寄其節
　　　　於義丸ニ茂　御対面有之候処御才智御器量
　　　　被為勝候与御賞美有之

【右丁・白紙】

【左丁】
　天正十一年癸未
　　一　九月十三日
　　　　神君御五男万千代様《割書：後称武田五郎信吉｜常陸国水戸城主》御誕生《割書：御母｜穴山氏》

【右丁・白紙】

【左丁】
　天正十二年甲申
　　一　十一月先達而織田信雄　秀吉公与及矛楯被
　　　　相逼候ニ付信雄
　　　　神君江縋り援兵を被相乞依之為御加勢御出陣
　　　　於尾州小牧山御合戦御勝利之上御帰陣之処
　　　　其後亦復　秀吉公勢州羽津迄被打出候ニ付
　　　　神君ニ茂尾州清洲迄再　御出陣有之候処信雄
　　　　秀吉公与和睦相調候ニ付岡崎城江御引取被成其後
　　　　秀吉公ゟ

【右丁】
　　　　神君御親族之内御養子ニ被成度旨毎度以使者
　　　　御所望有之候得共御許容無之候処信雄再応依
　　　　被勧申御承知被成
　　　　於義丸様を可被遣旨　御返答有之
　　一　十二月十二日右同断御約定相済候ニ付
　　　　於義丸様遠州浜松之　御城　御発途摂州大坂江
　　　　被為赴右ニ付
　　　　神君ゟ石川伯耆守康昌《割書：初｜数正》被差添并康昌次子
　　　　勝千代数重《割書：後玄蕃頭｜康長》本多作左衛門重次子仙千代

【左丁】
　　　　《割書：後飛騨守｜成重》小栗大六重常牧野主殿盛富《割書：後｜易貞》等御附
　　　　被成
　　一　同月廿二日
　　　　於義丸様於大坂　秀吉公之御養子与被為成
　　　　秀之字御授り被成
　　　　秀康様与奉称　秀吉公ゟ為厨料於河内国
　　　　一万石被進之

【右丁・白紙】

【左丁】
　天正十三年乙酉
　　一　七月十一日　秀吉公被任関白
　　　　秀康様御元服従四位下侍従兼参河守御叙任
　　　　《割書：御年｜十二》
　　一　十一月十三日岡崎御城代石川伯耆守康昌
　　　　秀吉公ニ心を通し岡崎城致出奔候ニ付本多
　　　　作左衛門重次存念ニハ忰仙千代大坂ニ差置候而者
　　　　質子ニ相当世上之疑茂可有之哉与仙千代を竊ニ
　　　　呼返候ニ付其後為代

【右丁】
　　　　神君ゟ重次兄本多孫左衛門重富子源四郎《割書：後伊豆守｜富正》
　　　　を被遣

【左丁】
　天正十四年丙戌
　　一　五月
　　　　秀康様射術御稽古ニ付葛巻源八郎重氏《割書：後改｜吉田》
　　　　《割書：一水軒｜印西》御指南申上之
　　一　八月
　　　　秀康様大坂江御越被成候後茂
　　　　神君御上洛無之ニ付　秀吉公御憤り被成既ニ
　　　　秀康様を可被害与之浮説有之此由
　　　　神君被聞召参河守者秀吉江養子ニ指越候上者

【右丁】
　　　　 我子ニ而無之子を殺而も不苦儀ならハ可為勝手
　　　　次第事との仰也　此事於万様御聞及被成如何様共
　　　　秀康様与可為御一所与竊ニ参州を御出大坂江
　　　　御越被成村田意竹御附添罷越
　　一　十月十三日
　　　　神君浜松之御城御立被成十五日岡崎城江
　　　　御着暫御滞留之処十八日　秀吉公ゟ人質之趣ニ而
　　　　大政所《割書：秀吉公｜御母堂》　岡崎城江着ニ付廿日
　　　　神君岡崎城御立被成

【左丁】
　　一　同月廿七日
　　　　神君御上洛
　　一　十一月
　　　　神君聚楽亭江被為　入　秀吉公及
　　　　秀康様御対顔　御酒宴始り御盃為御取替
　　　　種々之御饗応有之候上秀吉公
　　　　秀康様江近頃謡之被致稽古候得者目出度被謡
　　　　候得与被仰候処無御遅々御謡被成其上諸事
　　　　御取廻宜ニ付

【右丁】
　　　　神君殊外御大悦被思召
　　一　十一月廿五日
　　　　禁裏《割書：御諱｜周仁》御即位《割書：十一月七日｜御受禅》

【左丁】
　天正十五年丁亥
　　一　三月朔日嶋津修理大夫義久為御征伐秀吉公九州江
　　　　御進発ニ付
　　　　秀康様《割書：御歳｜十四》御同道ニ而初而　御出陣
　　一　四月朔日嶋津修理大夫義久之加勢秋月長門守種長之
　　　　家臣熊井備中三千之精兵を以筑前国岩錯城【注】ニ楯籠を
　　　　一時責ニ可致旨　秀吉公被下知大手江者岐阜少将
　　　　秀信を為大将蒲生飛騨守氏郷を差添搦手江者
　　　　羽柴筑前守利家《割書：本姓｜前田》を為先手二之手ニ

【注　岩石城ヵ】

【右丁】
　　　　秀康様を為大将佐々内蔵助成政水野惣兵衛忠重を
　　　　被差添
　　　　秀康様御攻向山半分程御進ミ被成候処ニ而最早
　　　　落城ニ候間御勢を被向ニ不及旨利家氏郷ゟ被申越
　　　　秀康様此注進を御聞被成早ク及落城城攻之手筈ニ
　　　　御逢不被成御残念ニ被思召候哉御涙被為含候得者
　　　　成政忠重両将共ニ敵城之ケ様ニ早ク落去仕と申者
　　　　御大将之御武威強き故ニ候得者是以御手柄ニ而候と
　　　　奉申慰追而於　秀吉公御前

【左丁】
　　　　秀康様之御事を成政申出し流石ニ徳川殿之御子息程
　　　　御座候と大ニ致感賞候処　秀吉公夫者成政か心得
　　　　違也　秀康事ハ家康之子ニ而候を我等養子ニ
　　　　致候故弓矢形儀者此秀吉ニ似而其通り成ハと被仰候由
　　一　五月廿日野崎兵部丞楯籠候日向国山崎城を
　　　　秀康様諸軍ニ擢て夜中御責役被成城主兵部丞
　　　　致降参候ニ付山崎城を御受取此段御注進有之
　　　　候処秀吉公大ニ被感之
　　一　六月六日　秀吉公九州御出陣ニ付先達而

【右丁】
　　　　神君ゟ被遣候使節本多豊後守広孝を
　　　　秀吉公御前江被召此度秀康事於日向国山崎
　　　　城攻勇猛之次第広孝彼手に属せし上は其節之
　　　　様子見分之通り罷帰委細可致演説旨被　仰含
　　　　御暇被下《割書：広孝岩錯城攻之節先登之功有之又山崎城攻之時も｜秀康様に属し有功故御饗応之上拝領物被　仰付》
　　　　同月廿二日駿府に帰其旨
　　　　神君江申上候処　御喜悦被遊

【左丁】
　天正十六年戊子
　　一　四月
　　　　秀康様左近衛権少将御拝任《割書：御年｜十五》
　　一　同月十四日
　　　　主上秀吉公之聚楽亭江　行幸其節鳳輦之
　　　　御後に　秀吉公を初
　　　　秀康様にも諸大名と同被供奉
　　一　同月十六日於聚楽亭寄松祝之御題に而和歌之
　　　　御会席有之　秀吉公を始

【右丁】
　　　　秀康様にも御席に御連被成其節御詠歌
　　　　　　たまをみかくみきりの松は幾千とせ
　　　　　　　君かさかえんためしなるへし
　　一　同月十八日
　　　　主上聚楽亭ゟ　還幸

【左丁】
　天正十七年己丑
　　一　月日於聚楽之馬場　秀吉公乗馬見物之節
　　　　秀康様御乗馬被成候処　秀吉公馬役之士不伺而
　　　　致乗馬其上御馬前を妨候に付
　　　　秀康様御憤被成御馬上に而御手討に被成
　　　　秀吉公にも馬役之仕業非礼也と被思召
　　　　秀康様之御軽捷成を御賞美有之

【右丁・白紙】

【左丁】
　天正十八年庚寅
　　一　今春　結城左衛門督晴朝様《割書：下総国｜結城城主》御家臣多賀谷安芸守正広を
　　　　京都聚楽亭江被遣　晴朝様御老年班白にも御成被成
　　　　候得共御世継無之に付御先代政光様江従
　　　　右大将家《割書：頼朝｜公》　朝光様を被遣候古例を引而　秀吉公御氏族
　　　　之内御養子に被成度旨被相願候処　秀吉公被聞召結城は
　　　　無隠武門之名家ニ候得は尋常之養子は難指越幸
　　　　先達而秀康を養置候間可遣旨仰ニ付其段安芸
　　　　罷帰　晴朝様江申上之

【右丁】
　　一　三月二日　秀吉公大軍を率北条左京大夫氏政
　　　　父子御征伐之節
　　　　秀康様ニ茂御同道ニ而相州小田原江　御進発被成
　　一　五月廿四日　秀吉公小田原御長陣之中
　　　　晴朝様為御見舞御参陣被成候処先達而下野国
　　　　鹿沼小山榎本之三城御攻取被成候御手柄を
　　　　秀吉公御賞美被成種々被饗応弥
　　　　秀康様を御養子之御契約有之　晴朝様厚
　　　　其恩を被謝

【左丁】
　　一　月日
　　　　秀康様近々結城江御引越被成候ニ付
　　　　神君ゟ御教諭書左之通被進御附罷越御家来共江も
　　　　御誡書被下之

　　　　　　御教諭書
　　　　　　　結城は古き家也家法定式多かるへし
　　　　　　　新法を立てす務て古法を守り政法は
　　　　　　　旧臣と能相議し諫を納れ我意を立る

【右丁】
　　　　　　　事なく君は臣を疑はす臣は忠義を忘れ
　　　　　　　さるやうに礼を正ふし大臣に対し礼を
　　　　　　　守り土民には仁を以て是を恵み又旧臣に
　　　　　　　政務を任する時は主の威さかり其好む所を
　　　　　　　抑へるは器量なくてはならす其所に心を付
　　　　　　　人の善悪を知るへし今度随従し行く
　　　　　　　近臣と結城代々の近臣と隔なく遣ひ寵臣
　　　　　　　とて人を隔つる事勿れ士民は皆同し人也
　　　　　　　分る事あるへからす仁道を以賞罰を

【左丁】
　　　　　　　明かにするは士民を率るの大綱なり仁道を
　　　　　　　悪しとしては武家の正道を失ふ仁道は
　　　　　　　武の本体也其業は賞罰なり賞は有功を
　　　　　　　挙け罰は有罪を懲す是仁の根原也と
　　　　　　　覚ゆへし有功に数種あり忠勤の功才
　　　　　　　芸の功軍の功人毎にこれなきは稀也其功
　　　　　　　を能知るは我の正しきより是を知る其
　　　　　　　功を大小となく空くせさる処は賞の信也
　　　　　　　親族寵臣貴賤となく其罪を赦さゝるは

【右丁】
　　　　　　　罰の信也古語に両葉にして去らすんは
　　　　　　　斧鉞を用んとあれは能心を用ひ賞罰を
　　　　　　　正し執行るへし政務を怠り仁道の実を
　　　　　　　忘れ仏道の慈悲の意を遏そ【てヵ】斧鉞を用
　　　　　　　ゆるか如き大害を生する事多し故に
　　　　　　　賞罰は国家を治る釘大轄也俗に云家は
　　　　　　　末代主は一代と云は忠信の言也旧臣は諫を
　　　　　　　云ひ我意を捨れは家門長久なり
　　　　　　　　〆

【左丁】
　　　　　　御家来共江御誡書
　　　　　　　下として上を犯す事なく人も又礼を以て
　　　　　　　主を敬し遂には下も又礼に習て作法
　　　　　　　正しくなる者也其身正しからされは合すと
　　　　　　　雖も行はれすと云へは自ら守る処政道の
　　　　　　　第一也と思ふへし奢は生し易き者なれは
　　　　　　　命する処の目付は家の目付とのみ思ふ
　　　　　　　へからす目を付る所は我身の目付善悪の
　　　　　　　諫言及ひ士民の目付也朔望の勤に我に

【右丁】
　　　　　　　対する如き心を実にして毎月怠る事有
　　　　　　　へからす此は我家の定法也三たひ吾身を
　　　　　　　省みるの聖語此中にある也家臣目代の
　　　　　　　談話は近臣を退くるなれとも人先つ
　　　　　　　其事をしる類は武道に疎漏なる家に
　　　　　　　あり事は漏るゝを以て破れ謀は密を以て
　　　　　　　成るといふ然るに奸佞の臣は闇君幼主を
　　　　　　　誑らかし家臣目代の詞を証として推て
　　　　　　　沙汰に及事多し近臣等目代家臣の

【左丁】
　　　　　　　密事を探り知る輩は佞奸也と思ふへし
　　　　　　　密事の漏る事は近臣の悪心の者有と
　　　　　　　知るへし闇君幼主の行跡の非或は密事
　　　　　　　を語り玉ふを諫るは忠臣也常に心に
　　　　　　　応する事をなし君の心に協はんと思ふ
　　　　　　　者は不忠と思ふへし都而主には物を云ひ
　　　　　　　難き者なるに此所は君臣共に能思ひ
　　　　　　　覚ゆへし近臣は殊に旧臣に和し勤切
　　　　　　　忠臣の人をみるへし汝等も家中の鏡と

【右丁】
　　　　　　　ならんと思ひ勤むへし
　　一　八月
　　　　秀康様小田原御陣御引払夫ゟ下総国結城郡
　　　　結城之城江　御引越《割書：是ゟ先晴朝様ゟ多賀谷｜安芸守を御迎に被指越》
　　一　同月六日　晴朝様御隠居
　　　　秀康様結城之御家督拾万千石御相続有之
　　　　此日　晴朝様御養女　鶴姫様《割書：実水戸但馬守重通女｜晴朝様御外孫》と
　　　　　御婚姻被為整
　　一　同月　秀吉公右為御祝儀小田原ゟ直に結城江

【左丁】
　　　　御越三日御滞留有之夫ゟ奥州表江為一揆御退治
　　　　御向被成同十日黒川之城に至九月朔日京都聚楽江
　　　　御凱旋
　　一　十二月十日先達てゟ奥州葛西表之一揆九戸修理亮
　　　　政実を為将同類再相起候に付
　　　　秀康様御先手之御大将被蒙　仰榊原式部大輔康政を
　　　　為先鋒諸将を御率今日奥州白川江御出陣被成
　　　此以前
　　　　神君ゟ山川讃岐守晴重江御書を以白川江出陣可致旨

【右丁】
　　　　被　仰付亦復出陣中御書被下
　　　　　　　　　　　　　　御書
　　　　　　　　　　　　　　　急度申候仍奥州
　　　　　　　　　　　　　　　葛西表一揆等
　　　　　　　　　　　　　　　差起付而今度
　　　　　　　　　　　　　　　浅野弾正少弼殿
　　　　　　　　　　　　　　　被下候乍大儀白河
　　　　　　　　　　　　　　　迄被相移尤候聊
　　　　　　　　　　　　　　　不可有由断候謹言【斎之ヵ】

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　十一月十四日　家康御花押

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　山川讃岐守殿

　　　　　　　　　　　　　　　奥口可有出
　　　　　　　　　　　　　　　陣之由申越候
　　　　　　　　　　　　　　　処に早々被罷
　　　　　　　　　　　　　　　立之段令祝着候
　　　　　　　　　　　　　　　寒気之時分

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　苦身入候　
　　　　　　　　　　　　　　　猶期来信候
　　　　　　　　　　　　　　　謹言【得之ヵ】
　　　　　　　　　　　　　　　十二月二日　家康御花押

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　山川讃岐守殿

【左丁】
　天正十九年辛卯
　　一　正月五日先達而　秀吉公ゟ石田治部少輔三成を以
　　　　神君江奥州之一揆為御征伐御出馬被成候様被
　　　　仰遣依之今日武州岩槻迄　御出陣被遊候処
　　　　一揆相静候ニ付同十三日江戸江　御帰城山川讃岐守
　　　　晴重奥州江出陣中働之儀ニ付御書被下
　　　　　　　　　　　　御書
　　　　　　　　　　　　　今度結城少将至
　　　　　　　　　　　　　奥州表出陣之処

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　人数召連被致供
　　　　　　　　　　　　　被入精儀於家康
　　　　　　　　　　　　　令祝着候此由於京都
　　　　　　　　　　　　　具可申上候委細者
　　　　　　　　　　　　　小栗五郎右衛門尉可申候
　　　　　　　　　　　　　謹言
　　　　　　　　　　　　　　正月十七日　家康御花押

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　山川讃岐守殿

【左丁】
　　一　四月《割書：日不｜詳》於結城　鶴姫様御安産御女子様《割書：御名｜不詳》
　　　　御誕生
　　一　秀吉公朝鮮征代【伐】御企ニ付諸将御手配其節
　　　　秀康様肥前国名護屋迄　御出陣之儀被蒙　仰

【右丁・白紙】

【左丁】
　文禄元年壬辰《割書：此年天正二十年｜十一月廿八日改元》
　　一　三月
　　　　秀康様肥前国名護屋迄　御出陣被成多賀谷
　　　　虎千代《割書：後左近｜三経》本多源四郎富正等従之其兵千
　　　　五百人
　　一　月日
　　　　神君御六男辰千代様《割書：後称越後少将忠輝｜越後国高田城主》御誕生
　　　　《割書：御母｜山田氏》

【右丁・白紙】

【左丁】
　文禄三年甲午
　　一　正月　秀吉公城州伏見ニ城を御築
　　　　秀康様ニ茂同所ニ御屋敷を被構
　　一　月日
　　　　秀康様肥前国名護屋ゟ伏見江　御帰陣有之
　　一　十一月九日　御女子様御逝去《割書：御年｜四》御法号
　　　　松樹院殿香誉梅心大童女
　　　　　　　但浄土宗江御葬送被成度　思召候処結城ニ浄土宗
　　　　　　　　之寺無之ニ付下総国飯沼弘経寺住僧存把檀誉

【右丁】
　　　　　　　　戦闘を避暫此地ニ罷在候を被招御葬送有之翌
　　　　　　　　文禄四年乙未一寺御建立存把を開基ニ被成
　　　　　　　　壽亀山弘経寺松樹院与号
　　一　月日
　　　　神君御七男松千代様御誕生《割書：御母｜山田氏》　

【左丁】
　文禄四乙未
　　一　二月《割書：日不｜詳》
　　　　神君御女松姫君様御誕生《割書：御母｜太田氏》
　　一　三月廿八日聚楽郭内
　　　　神君御邸江　秀吉公を御招請御饗応有之
　　　　神君　秀忠様ゟ品々御進物有之
　　　　秀康様ゟ茂小袖《割書：三｜十》被進之
　　一　六月十日
　　　　国丸様《割書：後参河守｜忠直様》於結城御誕生御母中川氏《割書：称岡｜山殿》

【右丁】
　　一　七月《割書：日不｜詳》
　　　　神君御八男仙千代様御誕生《割書：御母｜志水氏》
　　一　月日近年御軍用多御差支ニ付右御用為御取
　　　　調本多源四郎富正結城江被遣之
　　　　　　但源四郎結城江罷越役人ニ謀リ山林之竹木を
　　　　　　　売払判金拾枚を得且又御国政を申渡急き
　　　　　　　伏見ニ帰判金指上候処　御喜悦ニ而右之内一枚
　　　　　　　源四郎江被下之

【左丁】
　慶長元年丙申《割書：此年文禄五年｜》


　　一　十一月廿七日年号慶長と改元被　仰出

【右丁・白紙】

【左丁】
　慶長二年丁酉
　　一　九月廿八日
　　　　秀康様参議御拝任《割書：御年｜廿四》
　　一　十二月十四日　虎松様《割書：後伊予守｜忠昌様》於摂州大坂
　　　　御誕生《割書：御母｜国丸様と同》

【右丁･白紙】

【左丁】
　慶長三年戊戌
　　一　八月朔日　喜佐姫様於大坂御誕生《割書：御母三谷出雲守長基女｜於駒後号月照院》
　　一　同日　秀吉公御病気次第ニ御指重ニ付
　　　　秀頼卿幼弱之際者
　　　　神君伏見ニ　御在城天下之政務を御裁判被成
　　　　秀頼卿を御守護可有之且又
　　　　秀忠様　秀康様羽柴利勝《割書：後前田肥前守｜利長》之内
　　　　二将者大坂ニ在勤替々一将者帰国休息可有之旨
　　　　被　命

【右丁　】
　　一　八月十八日　秀吉公於城州伏見薨去葬同国　
　　　　阿弥陀峰《割書：京都｜東南》御法号　国泰院殿雲山俊龍大居士
　　　　後《割書：翌亥年｜四月十八日》　勅賜神号豊国大明神
　　一　十二月朔日　秀吉公御遺物五智則重之刀《割書：二尺七寸｜五分》
　　　　御拝受

【左丁】
　慶長四年己亥
　　一　正月十二日　松千代様御逝去葬参州岩津妙心寺
　　　　御法号　栄昌院殿
　　一　閏三月七日此度石田治部少輔三成之姦智我侭を
　　　　諸大名深悪ミ可誅之旨
　　　　神君江雖訴之故　秀吉公之依為寵臣御許容
　　　　無之三成ニ者居城江州佐和山江可致蟄居之旨被
　　　　仰聞候得共路次之難を気遣致遅滞候ニ付
　　　　秀康様江三成を御送被成候様被　仰出堀尾帯刀

【右丁】
　　　　吉晴中村式部少輔一氏被差添依之今日伏見ゟ
　　　　御送被成御途中為御用心御家臣何も腹巻胴
　　　　丸抔致着込足軽共ニ者鉄砲ニ火付火縄を添為
　　　　御持被成醍醐山科辺迄　御出之処此処彼処
　　　　木陰ニ五騎十騎程ツヽ人数相見へ候ニ付
　　　　秀康様御気配被成候処佐和山ゟ三成為迎罷越候
　　　　家来高野越中大山伯耆舞兵庫等にて彼是
　　　　五六十騎ニも相成江州勢多迄御出被成候得者又々
　　　　三成家来大場土佐柏原彦右衛門人数召連迎ニ罷出

【左丁】
　　　　候ニ付三成
　　　　秀康様江路次御送被下忝段致拝謝此処ゟ御帰
　　　　被下候様申上候得共　御聞入不被成佐和山迄御送届
　　　　可被成旨被　仰聞候処吉晴を以強而御断申上候者
　　　　家来共も追々迎ニ罷越候間偏ニ此処ゟ御帰被下候様
　　　　申上候ニ付御家臣土屋左馬助昌春を佐和山迄被
　　　　為送
　　　　秀康様ニ者此処ゟ伏見江　御帰被成吉晴一氏等も
　　　　御一所ニ罷帰り

【右丁】
　　　　秀康様御途中之次第且勢多ニ而御取斗之儀
　　　　御年若ニ候処万事御行届被成候儀と
　　　　神君江被申上候得者各方ニ左様ニ被思候者秀康身ニ
　　　　取而者本懐也と被　仰候由且又昌春者三成を居城
　　　　佐和山迄無難送届候ニ付三成謝之昌春を饗応し
　　　　刀《割書：正｜宗》一腰自身持出是ハ故太閤御秘蔵之御指料ニ候処
　　　　致拝領候由ニ而昌春江相渡若
　　　　秀康様入　御覧思召ニ応し御指料ニも相成候ハヽ
　　　　本懐之旨申述候ニ付昌春持帰指上之

【左丁】
　　一　九月七日今度
　　　　神君伏見ゟ大坂江　御下向被成候ニ付伏見之御城
　　　　御留守を
　　　　秀康様江被　仰付十二ヶ条之御条目を以被
　　　　仰含
　　　　　　　但右十二ヶ条之御条目諸書不相見
　　一　同月九日
　　　　神君為重陽之御祝儀大坂本城江　御出秀頼卿江
　　　　御対顔之節於殿中可奉害之由風説有之候処


【右丁】
　　　　御無難西丸江　御帰被成候得共直ニ伊奈図書を
　　　　伏見江為御使被遣
　　　　秀康様ニ者御城を御守伏見之諸兵者急き
　　　　大坂江可被指越旨被　仰遣依之
　　　　秀康様御下知ニ而翌十日未明伏見之諸兵を
　　　　大坂江被指向
　　　　秀康様ニ者御手勢を以本丸を御固被成所々
　　　　口々　御自身御巡見有之御留守御守衛被成右
　　　　御手配之次第逐一御認被成

【左丁】
　　　　神君江被指上候処其御気配之程を　御感心被成
　　　　秀康者天晴親ニ生れ勝れりと　上意有之候由
　　　　　　但神君翌年六月迄大坂西丸ニ被成御座候ニ付
　　　　　　　秀康様ニも同六月迄伏見御城御留守被成
　　一　十月八日
　　　　神君ゟ大野修理亮治長を下総国結城江配流被
　　　　仰付
　　　　秀康様江御預被　仰出
　　　　　　但先月九日

【右丁】
　　　　　　　神君大坂城江御出之節可奉害之風説大野
　　　　　　　修理亮土方勘兵衛所為之由増田右衛門尉長束
　　　　　　　大蔵大輔申上候ニ付修理亮勘兵衛両人共
　　　　　　　配流被　仰付由

【左丁】
　慶長五年庚子
　　一　正月朔日為年始之御祝儀
　　　　神君大坂本城江　御出秀頼卿江御対顔
　　　　秀康様ニも御同様被為　入秀頼卿江御対顔
　　　　六月八日今度奥州若松之城主上杉中納言景勝
　　　　為御征伐
　　　　神君江戸表江近々　御発途《割書：六月十六日大坂西丸御発途｜七月二日江戸表江御着》
　　　　可被成ニ付
　　　　秀康様ニ者御先ニ今日城州伏見　御首途

【右丁】
　　一　七月十九日上杉景勝為御征伐
　　　　秀忠様江戸表ゟ奥州会津江　御出陣ニ付
　　　　秀康様ニも　御出馬被成此時
　　　　神君ゟ常陸国水戸之城主佐竹右京大夫義宣江
　　　　御使者嶋田治兵衛重次を以会津江出陣可有之旨
　　　　被　仰遣候処大坂ニ妻子指置候ニ付難相勤旨御返答
　　　　申上之其後
　　　　神君奥州江　御出馬被成候ハヽ義宣乗其虚江戸
　　　　を可襲之風説有之ニ付先為水戸之押御家臣

【左丁】
　　　　水谷右京大夫勝俊居城常陸国下館を相守其甥
　　　　皆川山城守広照為加勢同城ニ被指置候処義宣却而
　　　　為救景勝奥州赤館江致出張之由注進有之ニ付
　　　　右京大夫勝俊等も御先手榊原式部大輔康政手江
　　　　相加リ下野国鍋掛之駅江出陣
　　一　七月廿四日
　　　　神君下野国小山江　御着陣之処石田治部少輔三成
　　　　奸謀を企畿内中国西国等之諸将を語らひ上方
　　　　騒乱之由追々依有注進御親族且股肱之臣を御本陣江

【右丁】
　　　　御招被成御軍議有之節本多佐渡守正信申候者
　　　　此度上杉景勝御征伐ニ従此表ニ罷在候諸大名
　　　　何も人質大坂ニ指置候得者心中も難斗候間
　　　　此輩者御返被成一旦関東を固メ候而時機を
　　　　御見斗可然と申上候得者諸人其儀可然と申候処
　　　　井伊兵部少輔直政進出天下之安危在此一挙と存
　　　　候得者早々御旗を被返上方之逆徒御誅戮可
　　　　被成儀ニ候処失其期徒ニ此地ニ被止候事存も不依
　　　　事也と申切而其座を立退候得者

【左丁】
　　　　秀康様ニ者直政申条尤と被　思召旨被　仰上候処
　　　　神君ニも可然　思召由ニ而直政を被　召返猶又御軍議
　　　　有之追而直政并本多中務大輔忠勝を以諸大名
　　　　被　召集此度上方逆徒御征伐之大議有之其節
　　　　上方表ニ人質指置候面々者無遠慮可被罷上旨
　　　　被　仰出候処福嶋左衛門大夫正則浅野左京大夫幸長を
　　　　初諸将御答ニ者何顧妻子而可存異心候哉何も
　　　　御出馬之御先手ニ進ミ共ニ逆徒を可討亡と申上
　　　　ニ付弥三成御征伐ニ相極右ニ付景勝押之儀者

【右丁】
　　　　秀康様被指置可然旨正信申上候故
　　　　秀康様を被為　召景勝押之儀を御頼被成度
　　　　仰有之候処
　　　　神君上方江　御馬を於被為向者御先手之儀者
　　　　是非共
　　　　秀康様御勤被成度旨被　仰上候処
　　　　神君被　仰聞候者老年ニ者候得共上方表之儀者
　　　　馬を向ケ退治可致事心易候景勝事者若年ゟ
　　　　勇猛之聞元【えヵ】有其上輝虎以来武辺馴候剛者共

【左丁】
　　　　生残候得者旁以剛敵ニ候間景勝押之儀者其方ニ而
　　　　無之候半【事ヵ】而者無心許候間此儀を偏ニ頼入と之
　　　　仰ニ付
　　　　秀康様暫御思案被成再応重キ　上意ニ候得者
　　　　身不肖ニ者候得共惣大将被　仰付候ハヽ宇都宮ニ止リ
　　　　屹度景勝を押可申候間御心易被思召候様被
　　　　仰上候処正信御傍二而承之偖も只今之御答智勇
　　　　兼備天下太平之基を含る御金言也ケ様之公達
　　　　被為持候者我君之御果報勇々敷御事と奉祝

【右丁】
　　　　神君ニ者御感涙を被流御喜悦不斜景勝押之
　　　　惣大将被　仰付其節御具足一領為御取出
　　　　御若年ゟ被為召一度も御後レを不被為取御具足ニ
　　　　候得者御譲被成候旨且御采幣稲葉義弘之御刀
　　　　をも御添御拝領被成此時関東ニ被相残諸将ニ者
　　　　出羽国山形ニ最上出羽守義光越後国春日山城ニ堀
　　　　左衛門督秀治陸奥国中村城ニ相馬長門守義胤
　　　　岩手沢城ニ羽柴越前守政宗《割書：本姓｜伊達》南部城ニ南部
　　　　信濃守利直下野国那須黒羽根城ニ大関左衛門佐資増

【左丁】
　　　　為加勢岡部内膳正康綱服部石見守正成太田原城ニ
　　　　太田原備前守晴清同出雲守政清《割書：備前守｜子》為加勢伊王野
　　　　又次郎資友《割書：下総守｜子》那須与市資景《割書：太郎｜資清子》福原安芸守
　　　　資保岡本宮内少輔義保烏山城ニ成田左馬允氏範臣
　　　　佐野城ニ佐野修理大夫信吉山川城ニ山川民部少輔朝信
　　　　上野国厩橋城ニ平岩主計頭親吉三蔵城ニ《割書：父之｜所領》松平
　　　　新次郎一生《割書：五左衛門｜近正子》下総国小美川城ニ《割書：父之｜所領》松平又八郎
　　　　忠利《割書：主殿助｜家忠子》矢作城ニ《割書：父之｜所領》鳥居左京亮忠政《割書：彦右衛門｜元忠子》佐倉城ニ
　　　　武田万千代信吉様之家臣府川城ニ松平勘四郎信一

【右丁】
　　　　上総国勝浦城ニ植村土佐守泰忠各其城を守て
　　　　景勝之兵を可拒旨被　仰付
　　一　月日此度上方及騒動候処　虎松様於万様岡山殿
　　　　大坂城内証人屋敷ニ被為　在候ニ付
　　　　秀康様小山御陣中ゟ戸田六兵衛を為御使大坂ニ
　　　　御附添罷在榊原六右衛門江御密書被遣候ニ付其後
　　　　虎松様御熱気有之御疱瘡ニも可被為　在候得者
　　　　秀頼卿江御遠慮も有之ニ付城外御屋敷江御開
　　　　被成度旨　於万様ゟ増田右衛門尉長盛江御達之上

【左丁】
　　　　右之御方々御出城被成此旨小山御陣所江六右衛門ゟ
　　　　申上之
　　一　七月廿八日多賀谷左近三経之父修理大夫重経在所
　　　　常陸国下妻ニ居心を■【變変ヵ】し佐竹右京大夫義宣ニ謀を通
　　　　加勢を乞而小山之御本陣江夜討之事を謀候得共
　　　　義宣加勢延引ニ付修理大夫ゟ為催促花沢某を
　　　　水戸《割書：義宣｜之居城》江遣候処某之父源太左衛門左近ニ従小山に
　　　　罷在候ニ付為対面立寄候趣左近聞及源太左衛門江子細
　　　　相尋候処水戸江為使者罷越帰路之由相答候ニ付

【右丁】
　　　　左近怪ミ持参之書翰竊為取出致披見候処
　　　　小山之陣江夜討可有由ニ付此方ゟも手を可合之旨
　　　　令承知候然共彼所不案内ニ依而夜討之駆引無
　　　　覚束候是よりも見分人を以方角案内を探得
　　　　其上ニ而共ニ夜討を可相働候間先夫迄者御延引
　　　　可然候近日是ゟ委細可申入之旨義宣ゟ之書翰ニ付
　　　　大ニ驚其旨早速
　　　　秀康様江申上候処直ニ
　　　　神君御本陣江被　仰上之

【左丁】
　　一　八月朔日
　　　　神君小山御陣所　御立同月四日江戸江　御帰城
　　一　八月廿四日
　　　　秀忠様上方表逆徒為御誅伐惣軍三万八百余人ニ而
　　　　下野国宇都宮　御発途二付
　　　　秀康様御馬上ニ而御供之士四五人被召連御見送
　　　被成候処
　　　　秀忠様御一人御軍列を御離被成御馬上ニ而御密語
　　　　有之御互ニ御別被成

【右丁】
　　　　秀康様ニ者上杉景勝押之為惣大将宇都宮本丸ニ
　　　　御在城輔翼ニ者内藤外記正重軍監ニ者松平出羽守
　　　　忠政二ノ丸ニ小笠原兵部大輔秀政総郭ニ羽柴藤三郎
　　　　秀行《割書：本姓｜蒲生》里見安房守義康内藤左馬介政長凡其兵
　　　　二万五千人士を練将を励し武威厳重ニ御警衛被成
　　　　且又騎卒を被召集候而今度景勝之押ニ相残候上者
　　　　景勝を於不亡者生而再帰城之存念無之何も其盟を
　　　　可成と被　仰出候ニ付夫々誓詞を申上此節
　　　　神君那須七党之人質を可収旨　上意ニ而那須大三郎資晴

【左丁】
　　　　大田原備前守晴清伊王野下総守資信大関左衛門佐資増
　　　　千本大和守通長福原安芸守資保芦野弥左衛門政泰之
　　　　人質を被取収置此時分松平右衛門大夫康寛《割書：信濃国佐久郡｜芦田城主》有故而
　　　　《割書：今春於大坂討御籏本｜之士小栗三助》高野山ニ致潜居罷在候処先頃ゟ井伊兵部少輔
　　　　直政を以御招被成候ニ付此度宇都宮之御陣所江罷出
　　　　秀康様江　御目見申上候処御懇之　御意有之日光口
　　　　相固候様被　仰付直ニ被指置之《割書：此時改氏名称｜加藤四郎兵衛》
　　一　九月朔日
　　　　神君上方表逆徒為御誅伐江戸　御出馬被成依之為御附使者

【右丁】
　　　　村田伝右衛門近氏《割書：御徒目付林三左衛門御徒真崎｜作兵衛山名与次兵衛被指添之》被指遣之
　　　　　　　　　但伝右衛門関ケ原合戦之節敵兵を討取　御実検ニ入
　　一　九月《割書：日不｜詳》下野国芦野大田原辺　御巡見之節上杉景勝ニも
　　　　為領内見分奥州白河迄罷越然処
　　　　神君之御留守を窺景勝七万余兵を引率し長沼江出
　　　　江戸江攻上旨風説致し諸軍不穏候ニ付
　　　　秀康様ゟ御使者水谷右京大夫勝俊を以此間其表江御出勢
　　　　之由定而御聞及も可有之候内府父子者上方之逆徒等誅伐之為
　　　　出勢ニ付手前儀留守を預リ相残斯の如く徒然ニ候処其元白川辺迄

【左丁】
　　　　御出勢之由相聞へ候幸之儀ニも有之候間此方江御勢を被差向
　　　　間敷候哉然におゐてハ手前儀も当城ゟ出馬致し野州□
　　　　野間において一戦を相遂け可申旨被　仰遣景勝返答ニ者
　　　　今度内府御父子上方江出馬あられ候ニ付其元御留守□
　　　　残られ御徒然に御暮之旨致承知候手前儀も諸方之
　　　　寄手共勢を引入候ニ付今程相手なしに罷成手透ニも
　　　　有之候得者縦令其元ゟ不被仰越候共致出勢度所趣【存ヵ】ニ
　　　　候得共亡父謙信以来人之留守をねらひ取掛候如き之儀ハ
　　　　決して不致家法ニ付我等心ニ難任残念之至候と返答

【右丁】
　　　　有之ニ付其後取沙汰も相止諸軍相静
　　一　九月《割書：日不｜詳》上杉景勝之兵越後国江致出張候ニ付同国長岡之
　　　　城主堀美作守親良出勢及防戦候処得勝利候趣宇都宮江
　　　　書翰を以注進有之ニ付
　　　　秀康様ゟ御返書ニ今月七日会津ゟ兵を出翌八日得利
　　　　首数級を被獲之事忠功毎度之事賞するに不堪忠志
　　　　不浅旨被　仰遣之
　　一　同月十五日於美濃国関ヶ原
　　　　神君石田治部少輔三成等と御合戦有之候処御勝利ニ付

【左丁】
　　　　即日
　　　　神君ゟ嶋田治兵衛重次を為御使宇都宮
　　　　秀康様御陣営江被遣其節　御自筆之御書被進之

　　　　　　　　御書
　　　　　　　　　今度濃州表之合戦ニ勝利得事　
　　　　　　　　　偏ニ其方奥州表手強被押関東
　　　　　　　　　静謐之故也一世之大慶不過之候
　　　　　　　　　恐々
　　　　　　　　　　九月　　家康

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　　三河守殿

　　一　月日右同断二付
　　　　両御所様江御徒山本作兵衛棗八右衛門被指遣御祝儀被
　　　　仰上之
　　一　月日依
　　　　神君御下知
　　　　秀康様宇都宮之御陣所御引払有之
　　一　月日今度濃州関ヶ原御合戦之節

【左丁】
　　　　秀康様上杉景勝を御押被成候御勲功ニ付
　　　　神君ゟ播磨越前両国之内任御望可被進旨
　　　　秀忠様ゟ　御内意有之依之
　　　　秀康様御近臣等江御物語有之候処越前国者要害
　　　　堅固ニ付御拝領被成可然旨長谷部采女茂連等申上
　　　　候ニ付越前国御拝領被成度段被　仰上之
　　一　十一月《割書：日不｜詳》結城江以　上使越前国《割書：六拾八｜万石余》御拝領被
　　　　仰出《割書：関東筋未穏ニ付｜当分結城ニ御在城》依之為御礼大坂江《割書：西御所様｜大坂ニ而成　御座》御使者小栗
　　　　五郎左衛門兼友被差上之

【右丁】
　　一　十一月十八日
　　　　神君御九男五郎太様《割書：後尾張大納言｜義直卿》御誕生《割書：御母｜志水氏》

【左丁】
　慶長六年辛丑
　　一　正月四日旧冬越前国御拝領之為御礼被指上候御使者
　　　　小栗五郎左衛門兼友江
　　　　秀忠様ゟ　御自筆之御返書御渡被成

　　　　　　　御書
　　　　　　　　御状本望之至候仍越前国御拝領
　　　　　　　　御祝着之由ニ而以小栗五郎左衛門被仰上候段
　　　　　　　　尤存知誠目出度存候此方弥静謐御座候間
　　　　　　　　可御心易候尚期後音候恐々謹言

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　　　　中納言
　　　　　　　　　　正月四日　　　　　秀忠御花押

　　　　　　　　　　結城宰相様

　　一　二月　越前国足羽郡北庄城《割書：去年青木紀伊守秀以国被除保科｜肥後守正光ニ被預置ニ付早速御受取》
　　　　《割書：可然旨伊奈備前守忠次方ゟ｜御家老高木豊前守迄申来》為受取本多志摩守富正《割書：後｜伊豆守》被遣
　　　　御仕置等被　仰付之
　　一　七月

【左丁】
　　　　秀康様越前江　御入国ニ付結城　御発駕被成
　　　　此時結城御重代之御家臣共之内結城を立去候儀
　　　　惹情難堪者も有之相残候者江者　御城内之御器財
　　　　被分下之《割書：此子孫に｜今有之》　
　　　　　　　但結城之儀者養和元年閏二月廿八日小山七郎
　　　　　　　　朝光様《割書：後被称結｜城上野介》被封ゟ
　　　　　　　　秀康様御代ニ至迄十八代御在住年暦四百
　　　　　　　　二十一年《割書：御城ハ下野下総之国堺土地嚝平御城之｜東ニ大日沼ト云深淵あり御領地者下妻》
　　　　　　　　《割書：三十三郷下館三十九郷冨谷十七郷｜長沼十二郷山川十三郷合而百八郷也》且又

【右丁】
　　　　　　　秀康様御黒印被下寺社《割書：後　公儀｜御朱印与相成》四十
　　　　　　　七ヶ所有之右石高合而四百八拾三石六斗八升
　　　　　　　又地子　御免之地も有之《割書：此反畝歩二十｜一町二畝八歩》
　　一　七月廿四日上杉景勝帰服之事去年ゟ
　　　　秀康様江懇願ニ付
　　　　両御所様江被　仰上御宥免之事相調景勝上洛
　　一　同月廿八日
　　　　秀康様先達而伏見表御参着被成其後御国
　　　　許江之御暇被　仰出直ニ西近江路ゟ今日初而北庄

【左丁】
　　　　御城江　御着
　　　　国丸様　虎松様　喜佐姫様ニも御引移有之其節
　　　　多賀谷左近三経《割書：元常陸国｜下妻領主》山川菊松朝貞《割書：後讃岐守元下野｜国山川領主》
　　　　水谷右京大夫勝俊《割書：元常陸国下館領主右京大夫ハ道中濃州｜合戸之渡ゟ被　召返　神君江被　召出本領其儘》
　　　　《割書：被下其甥水谷｜織部政慶罷越》岩上左京朝吉等《割書：是を称｜結城四老》蒙
　　　　上意御国江罷越
　　一　御入国之上御家臣左之面々在所ニ被指置之

　　　　　　　《割書：南条郡》
　　　　　　　　府中城《割書：三万六千七百五十石｜内壱万六千八百石与力》　　本多志摩守富正

【右丁】
　　　　　　　　　但台命有之当城ニ被指置
　　　　　　　《割書：大野郡》
　　　　　　　　大野城《割書：三万五千石内｜壱万八千石与力》　　　　土屋左馬助昌春
　　　　　　　《割書：坂井郡》
　　　　　　　　丸岡城《割書：二万五千五十石内｜壱万五千五十石与力》　　　今村大炊之信
　　　　　　　《割書：坂井郡》
　　　　　　　　柿原《割書：三万二｜千石》　　　　　　　　多賀谷左近三経
　　　　　　　《割書：吉田郡》
　　　　　　　　花谷《割書：一万七｜千石》　　　　　　　　山川菊松朝貞

【左丁】
　　　　　　　《割書：敦賀郡》
　　　　　　　　津内《割書：一万千廿石｜内六千廿石与力》　　　　　　清水丹後孝正
　　　　　　　《割書：大野郡》
　　　　　　　　勝山《割書：九千八百四十石内｜六千八百四十石与力》　　　　林　長門定正
　　　　　　　《割書：大野郡》
　　　　　　　　木本《割書：五千｜石》　　　　　　　　　加藤四郎兵衛康寛
　　　　右之外諸士江夫々知行御加増被　仰付
　　　　　　　但往古十二郡之処後八郡ニ改今見易為依八郡記之
　　　　　　　　且又高禄ニ而も御城下ニ罷在面々ハ爰ニ不記之
　　一　月日御城下市町之地子米御免被成且百姓之収納幷

【右丁】　
　　　　村役等御緩め被成追々御仁恵之御改事被　仰出
　　一　八月朔日愛宕山江　御登御城下　御覧被成此時町人共
　　　　臂綿并鳥目若干致献上候処綿者御受被成《割書：以後八朔｜為嘉例》
　　　　鳥目者御返しニ相成
　　一　同月五日於江州伊香郡中河内　河内丸様《割書：又国麻呂出羽後称｜出羽守直政領雲州》
　　　　《割書：松｜江》御誕生《割書：御母｜喜佐姫様ニ同》
　　一　同月上旬　晴朝様　鶴姫様於万様結城ゟ越前江御引移
　　　　　　　但晴朝様ニ者暫く丹生郡片糟村仮御住居被成其後
　　　　　　　　北庄添御門向ニ御屋敷出来御移被成

【左丁】
　　一　八月十三日
　　　　秀忠様ゟ左之通　御自筆を以被　仰進之
　　　　　　　　　　　　　其許へ御下着
　　　　　　　　　　　　　可被成と存以飛脚
　　　　　　　　　　　　　申入候定而其
　　　　　　　　　　　　　地御仕置等可被
　　　　　　　　　　　　　仰付と察入候将又
　　　　　　　　　　　　　御目いかゝ御さ候
　　　　　　　　　　　　　哉千万無御心元

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　存候不及申候へとも
　　　　　　　　　　　　　無御由断御養生専
　　　　　　　　　　　　　一候万事重而
　　　　　　　　　　　　　可申入候間不能具候
　　　　　　　　　　　　　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　八月十三日　秀忠御花押

　　　　　　　　　　　　御上書
　　　　　　　　　　　　　越前宰相殿大納言
　　　　　　　　　　　　　　　　　人々御中　

【左丁】
　　一　九月北庄之御城御改築ニ付御普請初有之《割書：旧之｜本城ハ》
　　　　《割書：今之外曲輪添｜御門之内ニ而堀一周也》　御本丸二ノ丸者
　　　　神君御指図之御縄《割書：御天守台ニ名井有｜因而御本城之地与被定》三ノ丸其余之縄ハ
　　　　吉田修理義寛江被　仰付《割書：添御門■之石垣ハ｜旧之石垣を用と云》御普請惣奉行ハ
　　　　清水丹後孝正此時依　上意諸大名ゟ人夫を出し石垣等
　　　　被築之
　　一　此年結城御菩提寺之内天女山孝顕寺を北庄江摸シ
　　　　山号寺号共同様ニ而《割書：此砌賢ノ字相用｜後賢之字相用》一寺御建立其節
　　　　結城孝顕寺之住職舜国和尚を茂被召呼開山と

【右丁】　　
　　　　成し御菩提所と被定《割書：結城孝顕寺者政朝様御開基之処年経而｜破損ニ及候ニ付慶長四年之春　秀康様寺地を》
　　　　《割書：城西ゟ城南ニ移新ニ孝顕寺を被建《割書：今之結城｜孝顕寺是也》｜舜国其儘住職罷在候処今度北庄江被召連》其余結城ゟ罷越寺院
　　　　数多有之夫々寺地被下之


【左丁】
慶長七年壬寅
　　一　二月七日　仙千代様御逝去葬尾州名古屋高岳院御法号
　　　　高岳院殿
　　一　三月七日
　　　　神君御十男長福様《割書：後記伊大納言｜頼宜卿》御誕生《割書：御母｜正木氏》
　　一　去年御入国以来天下之諸大名中為御祝■【賀ヵ】自身被参
　　　　或者使者被指越其内福島左衛門大夫正則《割書：芸州広｜島城主》今春
　　　　国許ゟ江戸表江参府之序北庄江被参於御城御饗応
　　　　有之帰路之節年寄江茂為御礼被相廻其後前田

【右丁】　
　　　　肥前守利長《割書：加州金｜沢城主》池田三左衛門輝政《割書：播州姫｜路城主》等も被参是又於
　　　　御城御饗応有之《割書：此節利長ハ柿原多賀谷｜左近館江茂被立寄》
　　一　五月八日於伏見佐竹右京大夫義宣江常陸国八十万石被
　　　　召上於出羽国《割書：城地｜秋田》ニ拾万石余被下旨被　仰出候ニ付異心之儀茂
　　　　難斗ニ付其節
　　　　秀康様江御内命有之三千余之御人数御備被為置
　　一　八月廿九日　
　　　　神君御母公　伝通院様於江戸御逝去依之
　　　　秀康様伏見ゟ中山道通　御出府被成其節御行列

【左丁】
　　　　内ニ鉄炮《割書：百｜挺》為御持被成候処於上野国碓氷御関所
　　　　番士之者押留ニ付其旨達　御聴候処番人共我等を
　　　　聢与不存故ニ而可有之其段能申聞候様被　仰出候ニ付
　　　　具ニ申聞候処　公儀之於御関所御制禁之儀ニ付誰殿
　　　　彼殿与申儀無之抔口々難言申ニ付其難言を　御立腹
　　　　被成御供之者江切捨ニ可致旨被　仰付候得者番士之者驚
　　　　逃去候得共為御持之鉄炮ハ御国許江御返被成右番士共
　　　　江戸表江罷出達　上聞候処　
　　　　秀忠様被　聞召番士之人を不知者撰也不被殺者仕

【右丁】　　
　　　　合也与　上意有之由此以後御往来之節道中道橋
　　　　掃除御旅館等迄念入候様道中筋領主方江被　仰出


【左丁】
神君御代
　慶長八年癸卯
　　一　正月二十一日敦賀郡気比宮并常宮御再建被　仰出
　　一　月日足羽郡北庄神明《割書：弐拾｜石》同八幡《割書：三拾｜石》同愛宕山《割書：三拾｜石》
　　　　同心月寺《割書：拾六｜石》吉田郡永平寺《割書：弐拾｜石》大野郡白山平泉寺《割書：弐百｜石》
　　　　坂井郡豊原寺《割書：五拾｜石》丹生郡越知山《割書：五拾｜石》同郡織田大明神
　　　　《割書：三拾｜石》今立郡水落神明《割書：五拾｜石》南条郡大塩八幡《割書：三拾｜石》同郡
　　　　日長嶽《割書：三拾｜石》同郡慈眼寺《割書：弐拾｜石》敦賀郡気比《割書：百拾八石七｜斗壱升八合》
　　　　同郡常宮《割書：三拾五石弐｜斗弐升四合》同郡天神《割書：五｜石》同郡西福寺《割書：弐拾｜石》

【右丁】　
　　　　夫々被寄附之
《割書：往 石（◦）ヲ往 古（◦）ニシ》　但往石十二郡之処後八郡ニ改今見易為ニ依八郡記之　
　　一　二月十二日伏見御城江以　勅使
　　　　神君将軍　宣下有之其節
　　　　秀康様源三位之御座列被　仰出
　　一　同月廿五日
　　　　神君将軍　宣下御拝賀御参　内之節
　　　　秀康様御塗輿ニ而被　供奉
　　一　同日

【左丁】
　　　　秀康様従三位御叙位《割書：御年｜三十》
　　一　八月十日
　　　　神君御十一男鶴千代様《割書：後水戸中納言｜頼房卿》御誕生《割書：御母｜志水氏》
　　一　九月十一日武田萬千代信吉様《割書：常陸国｜水戸城主》御逝去葬常州
　　　　水戸浄鑑院御法号浄鑑院殿

【右丁・白紙】

【左丁】
　慶長九年甲辰
　　一　正月廿八日於御国　吉松様御誕生《割書：御母｜於房方》
　　一　三月廿五日於御国　五郎八様《割書：改七郎再改五郎八後｜称大和守直基領播州姫路》御誕生
　　　　《割書：御母三好越後守長虎女後号品量院　五郎八様御誕生之砌ゟ今継結城家之｜御内慮ニ而　晴朝様与御同居被成慶長十二年十一月廿八日依　台命結城家之》
　　　　《割書：御家系を｜被為継》
　　一　四月廿日
　　　　秀康様江戸江御参府被成其後江戸御立御上京
　　　　之節六月五日濃州岐阜ニ御止宿之処福島左衛門大夫正則
　　　　江戸江為参勤同所ニ止宿有之

【右丁】
　　　　秀康様御旅館江被参謁見之節被申候者卿者故
　　　　太閤御養子と被為成候得者秀頼卿と兄弟也今徳川家
　　　　大柄を雖被握卿者秀頼卿を補佐可被成事也於然者
　　　　正則力を尽シ忠を励可申旨被申是ゟ後正則と交を被
　　　　為絶
　　一　七月十七日於江戸西丸
　　　　竹千代様《割書：後家｜光公》御誕生《割書：御母｜御簾中》
　　一　同日城州伏見
　　　　秀康様之御屋敷江

【左丁】
　　　　神君被為　入種々御饗応之上相撲
　　　　上覧ニ被入其節貴戚及歴々之大名方御次ニ相伴有之
　　　　其外諸家之老臣庭上ニ並居相撲追々相済嵐追手
　　　　《割書：御家｜来》加賀之順礼《割書：前田利長之士｜松村惣次郎異名》と取組初番追手勝二番目
　　　　巡礼勝三番目之及取組之処双方天下名誉之力士成故
《割書：挙（◦）ヲ拳（◦）ニシ》見物之上下是稀代之壮観と一同挙を握難唾を
　　　　呑有之処追手秘術を揮而順礼を投候得者庭上之
　　　　見物　御前をも打忘れ褒賞之声雖制不相止
　　　　其時

【右丁】
　　　　秀康様御座を被為　立庭上を屹度　御見廻し
　　　　被成候得者諸人一同致平伏相静
　　　　神君還御之上御近習之面々江今日之相撲珍敷見物事
　　　　何も見候哉と　上意有之何も追手順礼と相撲
　　　　勝負之評申上候処
　　　　神君ニ者其儀ニ者無之
　　　　秀康様之御威風ニ而庭上之諸人相静リ候を
　　　　御感有之事ニ候由
　　一　十一月廿四日於御国　長光丸様《割書：又土佐守後称但馬守｜直良《割書：初直久直輝｜成政直富》領越前大野》御誕生

【左丁】
　　　　《割書：御母津田左衛門信益女｜於奈和方後号長寿院》
　　一　此年
　　　　秀康様以　台命被復御本姓被称徳川

【右丁・白紙】

【左丁】
秀忠様御代
　慶長十年乙巳
　　一　四月十六日　
　　　　秀忠様将軍　宣下有之
　　一　同日
　　　　秀康様権中納言可被任之旨　御内命有之
　　一　今度
　　　　秀忠様江　御政務被為　譲候ニ付
　　　　神君

【右丁】
　　　　秀康様を被為　召其方ニも以来江戸表江参勤
　　　　有之候様頼　思召之旨　上意有之候処御請ニ者
　　　　上意之趣奉畏候兄弟とハ乍申　御政務　御譲之上者
　　　　主君と可致尊敬儀者勿論之事ニ御座候間子孫ニ至迄
　　　　永勤仕可致旨被　仰上候得者
　　　　神君御満足被　思召
　　　　秀忠様ニも此以後尚以御礼譲厚格外之御取扱被
　　　　為　在候由
　　一　四月

【左丁】
　　　　長吉様《割書：初国｜丸様》御国ゟ江戸江初而御参府高木大膳《割書：老臣｜豊前守子》
　　　　御附被成
　　一　七月廿六日
　　　　秀康様権中納言御拝任《割書：御年｜三十二》
　　一　同月
　　　　秀康様御所労ニ付為御療養大野郡白山麓一瀬村
　　　　温泉江御湯治被成

【右丁・白紙】

【左丁】
　慶長十一年丙午
　　一　三月三日
　　　　長吉様御元服従四位下右近衛権少将ニ御叙任
　　　　奉称　三河守様《割書：御年｜十二》
　　一　七月
　　　　禁裏仙洞御手狭ニ付御築地御取広《割書：東北一｜町余宛》御普請
　　　　有之諸大名江御手伝被　仰付
　　　　秀康様総督被蒙　仰
　　一　九月廿一日

【右丁】
　　　　神君城州伏見　御発駕江戸表江　御下向ニ付
　　　　秀康様御留守被蒙　仰伏見ニ　御在城被成
　　一　北庄御城去ル丑年ゟ御普請有之処至今年悉
　　　　御成就
　　一　当冬駿河国府中御城
　　　　神君御隠居所ニ被定御建広御修築有之ニ付
　　　　本多伊豆守富正を御手伝ニ被遣候処於富士山
　　　　材木を為伐出候様　台命有之

【左丁】
　慶長十二年丁未
　　一　正月朔日
　　　　神君御女市姫君様御誕生《割書：御母｜太田氏》
　　一　同月本多伊豆守富正於富士山材木を伐沼津迄
　　　　曳出直ニ駿府江罷出及言上候処
　　　　神君御目見被　仰付　御手自大左文字之御腰物
　　　　拝領被　仰付関ヶ原御陣ニ被為指御秘蔵之御品ニ
　　　　候得共今般之御褒賞ニ被下旨　上意有之只今ゟ
　　　　長刀も為持候様　御免被成其節御料理頂戴

【右丁】
　　　　被　仰付之
　　一　神君御奥向御座之間壺之内江大石曳入候様本多
　　　　伊豆守富正江被　仰付伊豆守家士江申付為曳入候処
　　　　磯野茂之助と申者木遣之音頭を取曳入候を
　　　　神君御簾之内ゟ　上覧有之　御機嫌宜敷
　　　　大ニ御笑被遊直ニ於　御前伊豆守始侍共江も御餅
　　　　御酒被下置事畢而伊豆守江御暇被下時服拝領
　　　　被　仰付
　　一　三月朔日

【左丁】
　　　　秀康様伏見御城為御留守　御在城之処御不快ニ付
　　　　御帰国被成度旨御使者を以
　　　　神君江被　仰上今日伏見　御発途　御帰国被成
　　　　《割書：御着城｜日不詳》
　　一　同月廿八日下野守忠吉様《割書：尾張国｜清須城主》御逝去葬増上寺
　　　　御法号性高院殿
　　一　月日本多伊豆守富正嗣子無之ニ付御四男
　　　　吉松様を養子二被下
　　一　月日

【右丁】
　　　　秀康様当春ゟ御病気之趣を参州岡崎之城主
　　　　本多豊後守広重被聞及遥々越前江被参
　　　　秀康様御容体を被伺此事を同国西尾城主本多
　　　　縫殿助康俊被聞伝広重之帰城を待岡崎江被参
　　　　候処広重被及落涙被申候者黄門秀康卿ニ者
　　　　当世無類英将成ニ大病之趣天命と者乍申不及
　　　　是非痛敷残念之至ニ候と被申康俊西尾城江被帰
　　　　家臣共江被語候者豊後守之被致方当世ニ者遠慮も
　　　　可有儀過分ニ者存候得共黄門之違例日々増重キ

【左丁】
　　　　病体ニ聞候得者此侭打過候も不本意我等も黄門之
　　　　病気を尋問可申と無程越前江被参御容体を
　　　　被伺候処
　　　　秀康様御喜悦不斜御寝所江通可申と被
　　　　仰出康俊罷通節蔀遣戸破れ損障子古ひ煤
　　　　たる処を過御寝所江被罷出候処　御居間之
　　　　障子も一間ツヽ切張ニ而繕有之扨御席を隔御病
　　　　体を被伺候処
　　　　秀康様御側江御呼被成遠路尋来之段不浅

【右丁】
　　　　思召由ニ而近寄候而様子被見候様ニと康俊之手を
　　　　御取被成肌を撫被見候へ如此肉脱羸痩極リ候上者
　　　　本復之事存も不寄此度来訪之懇志謝ニ無期と
　　　　被　仰述候処康俊無辞涙ニ咽ひ　御居間退出
　　　　被致其後在所西尾江帰城之上家士等ニ被申候者
　　　　先達而豊州越前江被越黄門容体之趣相語被及
　　　　落涙候も宜なる哉黄門ニ者天下之貴族ニ而又
　　　　大国を被領候ニ殿中之質素無奢体世二難有事共也と
　　　　大ニ被致感激其後康俊も専倹約を守武辺をも

【左丁】
　　　　益被嗜候由
　　一　四月廿九日
　　　　秀康様先達而ゟ御違例ニ付京医成方院驢庵を
　　　　被召呼様々御療養被成候得共次第ニ
　　　　御病体不軽　思召候ニ付於佐局を駿府江被遣被
　　　　仰上候者私儀病気重存命不定之体ニ罷成候先達而
　　　　薩摩守死去之処又私迄御先立可申仕合不及是非
　　　　奉存候依之御暇乞申上候と之御口上之趣及言上候処
　　　　神君御驚被遊中納言事は度々之忠功不可勝計

【右丁】
　　　　然処越前一国宛行置候事残念ニ　思召之由被　仰出
　　　　御病中御慰労旁近江下野之内越前江相加都合
　　　　百万石之　御墨付於佐局江御渡被成候ニ付局持参
　　　　急キ帰路之処御逝去之儀参州岡崎ニおゐて致承知
　　　　大切成　御墨付ニ付御逝去之事乍承越前江持参
　　　　候事如何と存岡崎ゟ引返し駿府江罷出御逝去之段
　　　　及言上　御墨付奉返上候由
　　一　閏四月八日《割書：巳ノ｜下刻》
　　　　秀康様於北荘御城　御逝去《割書：御年｜三十四》天女山孝賢寺江

【左丁】
　　　　御葬送御法号
　　　　孝顕寺殿三品黄門吹毛月珊大居士《割書：御石塔ニ者｜孝賢寺殿吹毛月珊大居士と有之》
　　　　引続二夜三日之御法事御執行有之
　　一　右同断ニ付　鶴姫様御離縁ニ相成《割書：後長勝院様御取計｜ニ而烏丸光広卿江御再》
　　　　《割書：縁元和七年辛酉七月二十九日御逝去｜京都本満寺江御葬送御法号蓮乗院殿》
　　一　閏四月九日永見右衛門長次於大円山心月寺殉死
　　　　《割書：法名俊巌玉英家臣田村金兵衛｜為主殉死法名香岳浄運》同十一日土屋左馬助昌春於
　　　　天女山孝賢寺殉死《割書：葬大野桑折東雲寺法名閑窓道有｜家臣長沼長右衛門為主殉死法名豊山常安》
　　一　秀康様御逝去之儀達　台聴候処御用之旨被

【右丁】
　　　　仰含御国江為　上使近藤登之助秀用早駈ニ而被指越
　　　　其節本多伊豆守富正江　御内書被下殉死之儀御指留
　　　　被成
　　　　　　　　　　今度黄門可令
　　　　　　　　　　供之由達而存之旨
　　　　　　　　　　被聞食及候沙汰之
　　　　　　　　　　限候至三河守於取立者
　　　　　　　　　　忠節不浅思召之
　　　　　　　　　　間深可存其旨候也

【左丁】
　　　　　　　　　　　後卯月十六日　　御黒印
　　　　　　　　　　　　　　本多伊豆守とのへ
　　　　其後再殉死之者為御指留
　　　　神君より年寄江　御内書被下本多上野介正純ゟも
　　　　書翰来
　　　　　　　　　　　　家康　御花押
　　　　　　　　　　中納言死去付而追
　　　　　　　　　　腹切可令伴と申者共

【右丁】
　　　　　　　　　　在之由と及聞召候
　　　　　　　　　　致其死易立其主
　　　　　　　　　　難と有之若於有
　　　　　　　　　　左様之意越前肝
　　　　　　　　　　要之地候間別手置
　　　　　　　　　　可被仰付候中納言存
　　　　　　　　　　忠輩者加様之儀有
　　　　　　　　　　間敷候若於在之者子孫迄
　　　　　　　　　　可有御絶由御意旨候也

【左丁】
　　　　　　　　　　　閏四月廿四日　御黒印
　　　　　　　　　　　　　　越前年寄中
　
　　　　　　　本多上野介殿ゟ書翰
　　　　　　　　　一書申入候然者【？】中納言様御遠
　　　　　　　　　　行被為成候付而追腹被成御切衆有之
　　　　　　　　　　付而近藤登ニ御内書指遣候重而
　　　　　　　　　　追腹切被申候者十類共ニ御成敗
　　　　　　　　　　可被　仰付由御諚候弥其旨ニ御座候間
　　　　　　　　　　其心得可被成【？】候近藤登之介被上候

【右丁】
　　　　　　　　　　時分以書状可申入候処急被遣候付而
　　　　　　　　　　不申入候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　本　上野介
　　　　　　　　　　　後卯月廿五日　　　正純書判
　　　　　
　　　　　　　　　　　　今村大炊殿
　　　　　　　　　　　　本多伊豆殿
　　　　　　　　　　　　片山主水殿
　　　　　　　　　　　　由木左衛門殿

【左丁】
　　一　孝賢寺江御葬送之儀
　　　　神君被　聞召我家浄土宗之外他宗無之ニ付浄土宗江
　　　　可致改葬旨被　仰出京都知恩院満誉僧正を越前江
　　　　下向被　仰付依之北荘江浄土宗一寺御建立
　　一　閏四月廿七日
　　　　忠直様江戸御立《割書：今日御遺領御相続｜被　仰出候ニ付直ニ御発途》五月十日北荘江
　　　　御帰着被成此節大樹寺乗誉も
　　　　忠直様江従而参着満誉僧正も此程到着有之
　　一　五月十一日満誉僧正御導師ニ而今度御建立之御寺江

【右丁】
　　　　御改葬御法号
　　　　浄光院殿前黄門森巌道慰運正大居士《割書：御石塔ニハ前｜黄門之三字被除》
　　　　右御寺を号森巌山浄光院運正寺引続七昼夜之
　　　　御法会御執行有之

　　一　秀康様御遺物
　　　　　　　神君江
　　　　　　　　御腰物《割書：左文字》
　　　　　　　　古今和歌集《割書：定家卿筆》

【左丁】
　　　　　　　秀忠様江
　　　　　　　　御腰物《割書：貞宗》
　　　　　　　　伊勢物語《割書：俊成卿筆》

　　一　天女山孝賢寺江　御肖像御安置《割書：為御追善｜忠直様御安置》
　　一　紀州高野山ニ　御霊牌御安置　御石塔も御建立《割書：為御｜追薦》
　　　　《割書：忠直様｜御建立》
　　一　江戸三縁山増上寺ニ　御霊牌御安置《割書：後為御追薦｜忠昌様御安置》

【右丁】
　　　　　　　秀康様御在世中
　　一　江戸　御参府　御帰国之節々従
　　　　両御所様御鷹御犬等を御道中江被遣於所々
　　　　御遊猟被成　御着府之日従
　　　　神君御途中迄　上使被進
　　　　秀忠様ニ者御鷹野ニ被寄御事為御迎品川或者
　　　　板橋辺迄被為　成御同道ニ而　御城江被為
　　　　入《割書：秀康様ニも御玄関迄御駕ニ被為　召｜秀忠様御会釈ニ而御先江被為　入》夫ゟ於大奥御饗応
　　　　有之　御在府中二ノ丸ニ被為　入《割書：此頃江戸二御屋敷無之｜御供之面々者大久保加賀守》

【左丁・白紙】

【右丁】
　　　　《割書：忠常屋敷其外｜年寄中屋敷ニ被指置》五七日又者一両月ニ而　御帰国
　　一　秀康様御参府被成御滞留中二ノ丸ゟ　御本丸江
　　　　御登　城被成毎も夕御膳迄御料理被進候由或日
　　　　秀康様少々御不快ニ付俄ニ御下リ被成御玄関迄
　　　　御退出被成候処御供居合不申二ノ丸迄御供呼ニ遣候様
　　　　被　仰候得者御見送之年寄中指掛リ当番之御旗本衆
　　　　御供被致候様ニと御指図ニ付両御番衆を初其外小十人
　　　　御徒ニ至迄御供ニ而二ノ丸　御殿江　御引取被成

【左丁】
　　一　秀康様御代
　　　　　　御纏《割書：大四半》　　　白地朱ノ丸
　　　　　　御旗　　　　　　右同前《割書：結城ニ而之御旗者白地｜上ニ麾桐下ニ三ッ頭右巴》
　　　　　　御馬印　　　　　銀ノ棒《割書：巻絹与被号結城｜以来御用之》

【裏表紙】

家譜

家譜　宗昌公　《割書：従享保八年
到同九年》　　三十六

　　　　　宗昌様 　《割書：従享保八年癸卯
至同九年甲辰》

享保八年癸卯
一正月朔日於　御本丸年始御規式有之於　御座間
　本多大蔵《割書：長
教》初御家老太刀目録持参御礼申上御盃
　頂戴御肴被下之畢而御用人御礼申上御盃頂戴
　御肴被下之於韃靼之間松平主馬《割書：正
恒》本多民部《割書：成
■》御礼
　申上御盃頂戴御長蚫被下之表江被為　入候節於鉄炮
　之間縁頬有賀元次郎《割書：正
逢？》御礼申上之御奏者番披

　露之《割書：幼年
ニ付》夫ゟ於大広間高知初寄合番外諸物頭御使番
　御番組新番迄御礼被為　請之被為　入再　御着座与
　力諸役人御扶持被下候諸職人共御礼被為　請畢而鉄
　炮之間　御着座御医師同子共御茶道御絵師共
　御礼被為　請相済韃靼之間　御着座奥表之御小姓
　御礼被為　請畢而時計之間江　御出長炉之間雑居之
　者共一統之御礼被為　請之
一同日為年始御祝儀御使者御番頭高田小左衛門《割書：一
乗？》を以
　御太刀一腰御馬代黄金十両被献之於　御城大広間御老中
　
　出座御奏者番牧野因幡守《割書：英
成》殿江指上之
一正月二日於　御本丸　御座間御家老之嫡子太刀目録持
　参御礼申上之御盃頂戴御長蚫被下之夫ゟ於大広間
　磯野多宮《割書：治
通》佐々木大之進《割書：長
好》其外松岡ゟ昨日不罷出御番組
　之面々御礼被為　請之畢而高知高家寄合番外之嫡子
　太刀目録持参御礼申上御流頂戴御長蚫被下之夫ゟ高知
　寄合番外之庶子御流頂戴御長蚫被下之相済諸物頭ゟ諸
　御番組之嫡子次男之御礼被為　請之
一同月三日為御謡初御祝儀御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》

　を以御先代之通御盃台《割書：金土
器二》御酒代《割書：銀一
枚》被献之
一正月五日於　御座所鉄炮之間御謡初御祝儀有之御用
　人ゟ御役人奥御医師迄御吸物御酒被下之相済夫ゟ於
　御座間御囃子有之御奏者番御側奥御医師拝聴被　仰付
一同月六日於　御本丸御菩提寺之年始御礼被為　請
一同月七日為若菜御祝儀御使者御留守居大谷一右衛門《割書：次
安》
　を以御先代之通御肴《割書：鯛
三》被献之右御披露済之御奉書
　御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿ゟ来
　　　為若菜之御祝儀鯛三
　
　　　被献之候遂披露候之処
　　　一段之御仕合候恐々謹言
　　　　　正月七日　　戸田山城守
　　　　　　　　　　　　　　忠之書判
　　　　　松平中務大輔殿
一同日於　御本丸御家中隠居之面々年始之御礼被為
　請畢而惣町人之御礼被為　請
一同月八日惣寺社之年始御礼被為　請

一正月九日於　御本丸松岡惣寺社之年始御礼被為　請
一同月十一日於　御本丸御具足餅御祝有之於　御座間本多
　大蔵《割書：長
教》初御家老御相伴被　仰付畢而御家老息御用人
　御奏者番等御餅御長蚫被下之夫ゟ於大広間高知初
　寄合番外諸番組并与力諸役人迄御餅御長蚫自分ニ
　頂戴之相済被為　入刻於指物之間在辺御宿之者
　御目見被　仰付
一同日年始三ケ日之御規式相済候為御祝儀江戸表江
　御書被指出之御肴■【鯣？】被献之

一同日勘定始ニ付御家老并御用人御勘定所江出
　席右御祝儀有之其節御留守居并御奏者番水谷
　織部《割書：勝
紀》御奉行御目付郡奉行勘定奉行同席ニ而御吸
　物出於次之間御代官江御吸物被下御家老盃事有之
一同月十四日於　御座所松岡ニ有之候御武具類山里御武
　具土蔵江引移可申旨御武具支配土屋十郎右衛門《割書：■
充》江月番
　御家老狛　伊勢《割書：澄
孝》申渡之
一同月十六日評定初ニ付御使御膳番を以評定所江御鷹
　之鴨二被下之

一正月十七日御老中水野和泉守《割書：忠
之》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　十郎左衛門《割書：定
由》罷出候処預所之儀ニ付左之通御書付被相渡之
　　　明十八日四時鈴木彦太夫名代
　　　一人　御城江可罷出候
　　　　正月十七日

一同月十八日右同断ニ付鈴木彦太夫《割書：長
英》為名代御奉行雨森
　儀右衛門周英《割書：御留守居宮北
十郎左衛門同道》　御城江罷出候処於檜之間御老中水野
　和泉守《割書：忠
之》殿出座御預所御仕置宜段御逢有之十郎左衛門江左

　之通御書付御渡有之且又彦太夫御用精を入候ニ付為
　御褒美御時服被為頂戴之旨被　仰渡御奏者番土井
　甲斐守《割書：利
知》殿御取次ニ而儀右衛門江御渡有之右為御礼御老中
　若年寄中廻勤
　　　　　　　　　　　　　　　松平中務大輔
　　　御預ケ所御所務高之儀御代官共支配之節ハ
　　　諸事引方多候処被遂吟味引方等段々立帰
　　　御所務方相増候旨旧冬書付被差出候常々
　　　念を入被申付も宜敷故与相聞江一段之儀ニ候

　　　右相済彦太夫江被　仰渡之趣御同朋原田良阿弥
　　　を以十郎左衛門江左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　檜之間
　　　　　　時服三　　　　　松平中務大輔家来
　　　　　　　　　　　　　　　　　鈴木彦太夫
　　　　御預ケ所御所務高之儀精出し具ニ遂吟味
　　　　候故御代官共支配之節より御所務高相増
　　　　候依之拝領物被　仰付之
一正月廿日御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿江松岡御館向之儀ニ付
　
　左之通御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》書付持参相達之
　　　松平中務大輔去々年迄罷在候越前国松岡
　　　屋敷先其儘指置候間左様御心得可被下候此段
　　　各様迄御物語仕候様ニ在所ゟ申越候御序之
　　　節可然様奉頼候以上
　　　　　正月廿日　　　　　松平中務大輔内
　　　　　　　　　　　　　　　　大関新五左衛門
一同月廿四日御拝領之御鷹授飼之鳫鴨御書相添御徒
　飛脚《割書：本多
丹蔵》を以江戸表江被指立之

一正月廿七日於御家老部屋月番御家老狛　伊勢《割書：澄
孝》御簡
　略之儀書付を以諸向江申渡之
　　　御相続之砌ゟ御物入も多御勝手御取続
　　　難被成御簡略之儀被　仰出事候第一
　　　公儀御勤御武役等之儀其上御家中諸人者
　　　及難儀可申儀ニ付面々役方ニ而少々御費之
　　　儀も無之様ニ念を入御奉行共申談急度御簡
　　　略之筋相立申候様ニ可仕由被　仰出候
一同月廿九日御預所御所務高之儀ニ付被　仰出有之

　且又御家来鈴木彦太夫《割書：長
英》拝領物被　仰付候為御礼
　江戸表江御書被指出之
一二月朔日御勘定衆石川四郎右衛門　殿ゟ申来候ニ付御勘定
　所江御勝手役皆崎徳兵衛《割書：方
時》罷出候処先年　御判物ニ指
　添御渡ニ相成候御領知目録御用ニ候間右御領知目録ニ
　松岡御領知を郡々江書加一紙ニ相認被指出候様被申聞之
一同日当秋御参勤御時節為御伺御使者小栗九右衛門《割書：頼
律》江　
　戸表江被指出之
一同月二日御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》を以御拝領之

　御鷹授飼之鳫一鴨一被献之於　御城御側衆戸田
　肥前守　殿江指上之
　　但御書を昨朔日御用番戸田山城守殿江御留守居望月
　　　八郎右衛門指出之
一二月三日御老中戸田山城守《割書：忠
真》殿ゟ御呼出御留守居望月
　八郎右衛門《割書：信
光》罷出候処年始御祝儀御献上ニ付而之御奉
　書被相渡之
　　　為年頭之御祝儀以使者
　　　御太刀一腰御馬代黄金十
　　　
　　　両被献之候遂披露候処一段之
　　　御仕合候恐々謹言
　　　　　正月十一日　　　安藤対馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　重行書判
　　　　　　　　　　　　　水野和泉守
　　　　　　　　　　　　　　　　忠之書判
　　　　　　　　　　　　　戸田山城守
　　　　　　　　　　　　　　　　忠真書判
　　　　　松平中務大輔殿
　　　　

一二月四日御勘定奉行中ゟ御領所去寅年中於仕置者
　書付可指出且又向後者年々正月中可指出旨御廻状来
一同月七日御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿ゟ御呼出御留守居大関
　新五左衛門《割書：直
看》罷出候処葵御紋之儀ニ付左之通御書付被相
　渡之
　　　　　　　　　　　　　　　松平中務大輔家来
　　　御直参之面々葵御紋付衣類之儀ニ付此度
　　　触書付出候依之御三家家中之面々江御三家
　　　方御着用之衣類只今迄被遣つけ候者之
　　　
　　　外ハ猥ニ無之様可有之儀ニ候段相達候間右ニ
　　　准しみたりに無之様可被致候
一同月八日於　御屋形御家老稲葉采女《割書：正
方》御簡略之儀ニ付
　岡部左膳《割書：起
平》初御奏者番御留守居御目付等江左之通書付
　を以申渡之
　　　御簡略之儀最前被　仰出候　御相続之砌ゟ
　　　御物入多過分之御不足付御簡略之御積被
　　　仰付候相定り候ハヽ役方江可被　仰渡候ケ様ニ
　　　段々御勝手御不如意ニ成候而ハ第一

　　　公儀御務欠　御武役之障りニも可成儀末々ハ
　　　御家中諸人之難儀ニも可成儀与被　思召候間
　　　急度御簡略被　仰付候何も御役之儀ハ
　　　公儀向御務其外表向御外聞江掛り候御用
　　　多候得者事により御奉行共へ難被申談筋
　　　も可有之候御奉行共も御簡略之儀なから
　　　指図も難致儀も可有之候間諸事御役儀互ニ
　　　意地無之細ニ被申談右之趣何も相心得少々
　　　之儀ニ而も捨り不申様ニ申談　御為之儀ニ候間
　　
　　　御費無之様ニ可相心得候以上
　　　　〆
　　　御簡略之儀最前被　仰出候　御相続之砌ゟ
　　　御物入多過分之御不足ニ付御簡略之御積被
　　　仰付候相定り候ハヽ役方江可被　仰渡候ケ様ニ段々
　　　御勝手御不如意ニ成候而者第一
　　　公儀御務欠　御武役之障りにも可成儀末々ハ
　　　御家中諸人之難儀ニも可成儀与被　思召候間
　　　急度御簡略被　仰付候右之趣何も相心得

　　　少分之儀ニ而も捨り不申様申談　御為之儀ニ候間
　　　御費無之様ニ可被相心得候以上
　　右之通下山清左衛門藤田加左衛門　御部屋御膳番
　　御腰物方御納戸鈴木清八江申渡
一二月十五日御家中養父養子之儀ニ付左之通寄々可申
　通旨於　御本丸御家老狛　伊勢《割書：澄
孝》御目付江申渡之
　　　御家中養父養子之間和順仕可罷在儀与
　　　被　思召候間随分和順仕可申候且又二度之
　　　養子之儀今度秋田三五左衛門高田三郎左衛門被
　　　
　　　仰付候此者共之儀者　思召有之被　仰付候間
　　　重而之例ニ被成間敷候間左様可相心得候
一同日当秋御参勤御時節御伺之御使者小栗九右衛門《割書：頼
律》
　去十三日江戸着今日御用番安藤対馬守《割書：重
行》殿江罷出
　御書指出之
一同月十八日御用番安藤対馬守《割書：重
行》殿ゟ御呼出右同断御使
　者小栗九右衛門《割書：頼
律》罷出候処左之通御返書被相渡之
　　　御状令披見候
　　　公方様益御機嫌能被成御座恐悦旨

　　　尤候将又参勤時分之儀以使者相伺候
　　　及　上聞候処御定当九月中可致参
　　　府由被　仰出候可被存其趣候恐々謹言
　　　　　二月十六日　　　安藤対馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　重行書判
　　　　　　　　　　　　　水野和泉守
　　　　　　　　　　　　　　　　忠之書判
　　　　　　　　　　　　　戸田山城守
　　　　　　　　　　　　　　　　忠真書判
　　　　　松平中務大輔殿
一二月廿一日御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》　御城江罷出候処於柳之
　間歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書御老中水野
　和泉守《割書：忠
之》殿御渡有之其節新五左衛門江紗綾《割書：二
巻》拝領被　仰付旨　　
　被申聞之御品者御奏者番仙石信濃守　殿被相渡之
一同月廿六日石川四郎左衛門　殿ゟ先達而《割書：去
朔日》御達有之候御領知
　目録写出来ニ付御勝手役皆崎徳兵衛《割書：方
時》持参御勘定所江指
　出候処小出加兵衛　殿被請取之
一同月廿八日御相続之為御祝儀町在之者江左之通
　被下之

　　　米百五拾八俵　　　大宮彦右衛門支配下
　　　鯣三百弐拾把　　　　　　　　　福井町
　　　　以上

　　　米五拾俵　　　　　水野善左衛門支配下
　　　鯣百把　　　　　　　　　　　　在々

　　　銀五枚
　　　鯣三拾把　　　　　　　　　　　三国町

　　　同断　　　　　　　　　　　　　両金津町
　　　　以上

　　　米三拾俵　　　　《割書：尾高治部左衛門
佐々木大之進》支配下　　　
　　　鯣百把　　　　　　　　　　　　松岡町

　　　米五拾俵　　　
　　　鯣百把　　　　　　　　　　　　在々
　　　　以上

　　　米五拾俵　　　　　河合瀧右衛門支配下
　　　鯣百把　　　　　　　　　　　　在々

　　　銀五枚
　　　するめ卅把　　　　　　　　　　五ケ粟田部
　　　　以上

　　　米五拾俵　　　　　井原丞助支配下
　　　鯣卅把　　　　　　　　　　　　在々

　　　銀五枚
　　　するめ卅把　　　　　　　　　　泥原新保浦
　　　　以上

　　　銀十枚
　　　するめ百把　　　府中町在々
　　　　以上

一三月朔日御使者御留守居望月八郎右衛門　を以御国産干
　鰈被献之於　御城御側衆有馬兵庫頭　殿江指上之
一同月三日右同断ニ付御老中安藤対馬守《割書：重
行》殿ゟ御呼出御留
　守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》罷出候処右御献上ニ付而之御奉書
　被相渡之
　　　御状令披見候
　　　公方様益御機嫌能被成御座
　　　恐悦旨尤候随而干鰈一箱被献
　　　之候各申談遂披露候処一段之
　　　御仕合候恐々謹言
　　　　三月朔日　　　安藤対馬守
　　　　　　　　　　　　　重行書判
　　　　松平中務大輔殿
一同月十五日松岡江　御出被成《割書：十九日
御帰殿》

一同日狛市右衛門《割書：政
貞》江新知七百石被下松岡為惣締可被遣旨
　被　仰付左之通御書付を以被　仰出
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　狛市右衛門江
　　　一於松岡追而屋敷可被下候事
　　　一松岡御家中并寺社町郡方共ニ公事訴
　　　　詔或ハ願等之儀其支配之面々月番江相達候
　　　　前一応御自分江申達筈ニ候間御役人共申達
　　　　候ハヽ被遂吟味可被加了簡候最其上ニ而月
　　　　番江相達候様ニ差図可有之事

　　　一喧嘩口論其外急成御用有之節ハ早速指
　　　　図被申付追而御役人共月番江相達候様ニ可
　　　　被申付事
　　　一松岡出火有之節ハ　御屋形江罷出諸事指
　　　　図可被申付事
　　　右之外勤方之儀存寄も有之候ハヽ連々可被申
　　　聞事
　　　　　三月十五日
一三月廿四日於運正寺去廿二日晩ゟ今朝迄《割書：二夜
三日》

　大安院様五十回御忌御法事御執行有之於天徳寺も
　御法事《割書：一夜
別事》御執行有之
一四月朔日永平寺登　城十帖一本指上之於韃靼之間
　御逢有之
一同月十三日《割書：五半
時》於桜馬場御家中侍中乗馬　御覧有之
一同月十八日於　御本丸御家中侍中武芸　御覧有之
　　但弓鉄炮迄追々　御覧有之候得者不記之
一同月廿六日御倹約ニ付左之通被　仰出之趣御奏者番
　《割書：御鷹御為
懸》笹治権右衛門《割書：尚
澄》江月番御家老酒井丹下《割書：知
房》書付

　を以申渡之
　　一御鷹数可被減旨被　仰出
　　　　黄鷹十二居之内　《割書：二居追付可減旨
三居秋とや出以後可減旨》
　　　　鶴十八居之内　《割書：八居追付可減旨
五居秋ニ至可減筈》
　　一御鵜右同事
　　　　惣数之内ニ而八羽被減旨
　　　　　是ハ御川狩之節御相伴被　仰付内ニて
　　　　　御側物頭初御近習之内御奏者子共中江

　　　　御貸之鵜数御吟味ニ而右之通被減
一四月廿九日美濃国伊自良谷東光寺儀　黄梅院様御由
　緒ニ付富士山東光寺を以願之上為御仏供料年々米拾弐
　俵宛可被遣旨被　仰出
一五月朔日運正寺洞誉《割書：風
外》儀登　城入院之御礼申上之
　公方様御目見被　仰付夫ゟ此　御屋形江罷出候ニ付
　昌昭様御目見被　仰付
一同月三日為端午御祝儀御使者御留守居宮北
　十郎左衛門《割書：定
由》を以御帷子御単被献之於　御城柳之間

　御老中安藤対馬守《割書：重
行》殿出座御奏者番丹羽式部少輔《割書：倚
氏》殿江
　指上之
一同月六日浅草御屋敷御普請出来ニ付
　昌昭様御移徒有之
一同月七日運正寺洞誉《割書：風
外》致登　城候処於柳之間御老中
　安藤対馬守《割書：重
行》殿出座御暇被下御奏者番土屋但馬守　殿
　御取次ニ而御帷子単三拝領被　仰付
一同月九日御使者御留守居大谷一右衛門《割書：次
安》を以御国産初鯖
　《割書：三十
刺》被献之於　御城御側衆加納遠江守　殿江指上之

一五月十日右同断ニ付御用番安藤対馬守《割書：重
行》殿ゟ御呼出
　御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》罷出候処右御献上ニ付而之御返
　書被相渡之
　　　御状令披見候
　　　公方様益御機嫌能被成御座　　
　　　恐悦旨尤候随而初鯖一箱被献之候
　　　各申談遂披露候処一段之御仕合候
　　　恐々謹言
　　　　　　　　　　　安藤対馬守

　　　　五月九日　　　　　重行書判
　　　　松平中務大輔殿
一同月十六日御勝手御不如意ニ付御簡略之儀於評定所
　月番御家老狛伊勢《割書：澄
孝》左之通書付を以諸向江申渡之
　　　　　　　　　　　《割書：御奏者月番并御書院番頭
御鷹方惣支配》
　　　　　　　　　　　　　　笹治権右衛門
　　　若殿様初御内輪之御取扱之儀已後御祝儀　　　　　　　

　　　御印迄ニ軽キ御肴迄ニ而御取扱被遊筈并御付々
　　　之者共江被下物之儀ハ不残相止品ニより不被下
　　　候而不叶儀ハ可被相伺候
　　　　此以後　御召之御着類被下置候分近年御小
　　　　袖代金ニ而被下置候儀已後相止候間御古着
　　　　有之節段々ニ被下候様可被相心得候
　　一御書院番筆頭其番頭在江戸之節ハ渡り中間
　　　被下置筈ニ候得共御簡略ニ付来春ゟ被相止筈
　　一下坂康意槌打四人之内弐人御簡略ニ付被相止
　
　　　播磨江被下候槌打両人之内壱人相止

　　　賀茂山廻池田覚太夫
　　　御在国之節被下置候俵子五俵御簡略ニ付当
　　　年ゟ相止
　　　　　覚
　　　於御右筆部屋諸紙并飛脚仕立候節認物
　　　諸色費無之様ニ吟味可有之事
　　　　　覚

　　一諸紙類　　　一蝋燭　　　一絹類
　　一晒縮類　　　一綿　　　　一素麪
　　一諸肴御国肴共　　　　　　一御菓子類
　　　右御土産并御進物之品々御入用軽キ様ニ可被
　　　致吟味事
　　一為御褒美　御召類并金銀不時ニ被下候節吟味
　　　之上時々相伺請指図可被申事
　　　　　覚
　　一御家老中　　一高知中　　一寄合中

　　一御近習
　　　右他国御使者被　仰付候節被下
　　一江戸表御火消御用相勤罷帰節被下
　　一江戸表ニ而御腰物番相勤候面々夏御帷子
　　　壱□宛御上下一行宛冬御小袖壱□宛御上下
　　　壱行宛被下
　　一御奉行共江戸交代之節御帷子壱□被下
　　一御台所頭御台所目付御塩梅之者迄御上下
　　　被下

　　一河村郷右衛門寺沢勘左衛門罷帰候節御小袖御上下
　　　被下
　　一於江戸下山清左衛門藤田加左衛門御小袖壱ツ宛被下
　　一為御褒美　御召類不時ニ被下候儀并御褒美
　　　金銀被下候事
　　　　　　　　　　御奏者御書院番頭御馬方惣支配
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　本多主殿
　　　御馬飼料之儀古来御定之通被　仰付候間
　　　其段可被申渡之事
　　一松岡御馬屋中間江川勘右衛門爪髪相勤候ニ付被下
　　　
　　　置候御切米当暮ゟ相止
　　　　　　　　　　　　　　　　　大御番頭月番
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　中川主膳
　　　右御番組筆頭其番頭在江戸之節渡り中間
　　　被下置候得共御簡略ニ付来春ゟ被相止旨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　御目付月番
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丹羽八郎
　　一高橋伴右衛門渡り中間当年ハ被下置来春ゟ
　　　相止
　　一江戸常詰御徒目付相定ル被下金当暮ゟ相止
　　一野村一郎左衛門組之内《割書：波多野喜多右衛門
》鞢細工仕ニ付而

　　　壱人扶持被増下分来月ゟ相止
　　一金津奉行水野善左衛門支配細呂木御関所下番人両人
　　　之内御簡略ニ付而一人被相止
　　　　　　　　　　　　　　　　　　郡奉行
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　河合瀧右衛門
　　　板取二ツ屋御関所下番四人宛ニ而夜中斗両人
　　　宛隔番ニ相勤筈ニ候処御簡略ニ付両人宛ニ致し
　　　一人宛隔番ニ相勤筈ニ候
　　　　　　　　　　　　　　　　　　御奉行月番
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　雨森新七
　
　　　此以後並拝借願候儀ハ格別不時ニ拝借之願
　　　有之候而も御取上無之候間人々左様可相心
　　　得候併依品願申上儀も可有之候此段ハ人々
　　　了簡も可有之事
　　　鵜飼内記　吉田好意　野波重左衛門　松屋加兵衛
　　　中村常信
　　　御勝手御不如意ニ付右之者共へ被下置候御扶
　　　持方御合力銀之内高ゟ半分当年先御預り
　　　被成由此段京都江可申遣旨

　　　　金屋弥助　慶松五右衛門　後藤覚左衛門
　　　右者只今迄之通御扶持被下置筈
　　　　　　　　　　　　　　江戸表ニ而
　　　　　　　　　　　　　　　　　岡部左膳
　　　若殿様浅草御屋敷御移被遊候以後御一門様
　　　方御付届御断并御家来不時ニ被下物等可被
　　　相止事併難去訳有之可被下置儀ハ其節ニ至
　　　可被相伺事
　　　　　　　　　　　　　　　　　天陽院

　　　近年隠居意閑江被下置候御扶持方五人
　　　ふち添被下置候得共御勝手御不如意ニ付
　　　右五人扶持之儀ハ当年ゟ被相止候
　　　　長尾一学　　　分部松朔　　　　辻　円庵
　　　　井上因碩　　　坪田翫石　　　　本阿弥一郎兵衛
　　　　宝生将監　　　同　丹次郎　　　池嶋立佐
　　　　古満休伯　　　越前屋一左衛門　屋根屋長兵衛
　　　　岡村屋小兵衛　吉田屋九兵衛　　小幡屋一郎兵衛
　　　御勝手御不如意ニ付右之者共へ被下置候御扶持方

　　　御合力銀之内高ゟ半分当年先御預り被成候旨
　　　　佐野与五左衛門
　　　右御勝手御不如意ニ付被下置候御合力金高ゟ
　　　半分当年ゟ御預り被成候旨
　　　　外防之者御吟味之上弐拾人斗も可被減哉之由
　　　　追而申渡
　　　　長尾順庵　鶴沢善琢　縣　三悦
　　　右之者共御簡略ニ付而御暇被下旨但御簡
　　　略斗ニ而も無之不宜訳も有之候得者御構
　　
　　　等之儀ニも及不申養琢儀ハ霊岸嶋御屋敷
　　　之内御貸置候へ共此節立退申ニ而迷惑ニ及候ハヽ
　　　先其儘可罷在候若又外へ可罷出存ニ候ハヽ勝
　　　手次第ニ可仕候尤三人共ニ御簡略ニ付而御暇被下
　　　趣ニ候ヘハ已後御出入之儀も願候ハヽ可被仰付事ニ
　　　候間さ候ハヽ可被申越候由此者共之儀当十八日
　　　御飛脚ニ江戸表御家老稲葉采女江申遣之
　　　　　　　　　　　　御書院番御庭方御小道具役
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　唐沢十助　

　　　御飼鳥之儀御用ニ無之分御家中望之者も
　　　候ハヽ被下ニ而此已後数を減候様ニ可致旨御犬之
　　　儀も右之通ニ仕数減候ハヽ御犬江懸り候者之儀ハ
　　　相止御飼鳥と一□ニ御坊主長賀ニ預ケ候様ニ
　　　可仕旨
一六月三日於　御座所当年江戸御供之御奏者番御奉
　行御目付江月番御家老芦田右衛門《割書：賢
詮》左之通書付を以
　申渡之
　　一今年江戸御供ニ被　召連候御人数之儀跡々
　
　　　格式も有之儀ニ候へとも御勝手御不如意ニ付
　　　御人数被減可被　召連　思召候唯今迄之御
　　　行列無構兼役ニ而事済候分ハ相用江戸表ニ而も
　　　御用大概指支不申程御人数被　召連万一御火
　　　消御用等被　仰出候者其節ハ御人数可被　召寄
　　　候間左様相心得奉行中共申談被減候而不苦
　　　分ハ末々ともニ御人数減候而可然候今年御供ニ
　　　本多修理被　召連候儀ニ候間何も了簡不及儀ハ
　　　修理方江承合右之趣致書付可指出旨

一六月七日町奉行中山出雲守《割書：時
春》殿ゟ申来御留守居大関
　新五左衛門《割書：直
看》罷出候処新和薬之儀ニ付左之通御書付被相渡之
　　一越前松平中務大輔殿領分見習之者
　　　　福井領松本町　甚吉　　　　　同町　　　弥助
　　　　同上之橋町　　武右衛門　　　同室町　　権兵衛
　　　　同上呉服町　　久五郎　　　　同八幡町　半左衛門
　　　　同本町　　　　由兵衛
　　　右見覚候薬種　
　　一小　遠志　スヽメハキ　　　一小　辛夷　コフシ
　　一小　小黒三稜　クサスケ　　一小ノ小　大葉麦門冬　ヒルツトクサ
　　一小　海金沙　カニクサ　　　一中　続断　ブンフクサ
　　一中　茵蔯　スキチヽゴ　　　一中　澤蘭　シラ子
　　一小ノ小　羗活　クサナ　　　一小ノ小　淫羊藿　ミクモサウ
　　一大　兎絲子　子ナシツル
　　　　以上拾一種
　　　大ト有之ハ《割書：■■分
不苦》　　　　中ハ大之三分一
　　　小ハ大ノ十分一　　　　　小ノ小ハ大ノ百分一

　　　右新和薬山方より江戸吟味会所江持参之
　　　節葉之付候■【を？】一種ニ二三本宛相加へ差出可申候
　　　　　卯六月
一同日　豊姫様御名今日ゟ　明姫様与御改被成
一六月十九日美濃国黄梅院儀先達而《割書：四月
廿九日》結構被　仰付候
　為御礼罷出其節蓮華翁茶壺指上度旨ニ而持参
　致候得共右茶壷之儀者
　神君様ゟ
　秀康様江被進之　御自筆も指添有之格別御由

　緒之物故御受納無之御返却ニ相成
　　　抑■之蓮華翁つめ返■いたし候
　　　鶴可致賞味とふ儀候来月五日ニハ
　　　待入候委細ハ使者口上ニ可申もの也
　　　　　二日　　　　　　　家康
　　　　　　　　　越主との　参
一同月廿日暑中　御機嫌為御伺御使者加藤十右衛門《割書：正
恒》
　江戸表江被指出之今日福井出立　　

一六月廿五日暑中ニ付御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》を以
　御先代之通御国産素麪《割書：千把
入》一箱《割書：包長蚫
添》被献之於
　御城御側衆加納遠江守　殿江指上之
一同日御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》　御城江罷出候処於柳之間
　端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書御老中安藤
　対馬守《割書：重
行》殿御渡有之其節十郎左衛門江紗綾二巻拝領被
　仰付旨被申聞之御品者御奏者番高木主水正《割書：正
陳》殿
　被相渡之
　　　為端午之祝儀帷子単物
　
　　　到来歓思召候委曲安藤
　　　対馬守可述候也
　　　　　五月三日　御黒印
　　　　　　　　　　　　福井侍従とのへ
一同月廿六日御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿ゟ御呼出御留守居大関
　新五左衛門《割書：直
看》罷出候処素麪御献上ニ付而之御返書被相渡之
　　　御状令披見候
　　　公方様益御機嫌能被成御座恐悦旨

　　　尤候随而素麪一箱被献之候各申談
　　　遂披露候処一段之御仕合候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　水野和泉守
　　　　　六月廿五日　　　　　　　忠之書判
　　　　　松平中務大輔殿
一同日
　昌昭様江当年ゟ御分量金之儀千両ツヽ陽寿院様江
　五千俵ツヽ可被進旨被　仰出候趣御家老稲葉采女《割書：正
方》

　浅草御屋敷江罷出申上之
一七月三日暑中　御機嫌御伺之御使者加藤十右衛門《割書：正
恒》昨
　二日江戸着御用番松平左近将監《割書：乗
邑》殿江罷出御書指出之
一同月六日為御生見玉御祝儀御使者御留守居大関
　新五左衛門《割書：直
看》を以黄金十両被献之於　御城柳之間御用番
　松平左近将監《割書：乗
邑》殿出座御奏者番土屋但馬守《割書：陳
直》殿江指上之
一同月七日右同断ニ付御用番松平左近将監《割書：乗
邑》殿ゟ御呼出
　御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》罷出候処右御献上ニ付而之御奉
　書被相渡之

　　　為生見玉之御祝儀黄金十両被献之候
　　　遂披露候処一段之御仕合候恐々謹言
　　　　　七月六日　　　　松平左近将監
　　　　　　　　　　　　　　　　　乗邑書判
　　　　　　　　　　　　　安藤対馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　重行書判
　　　　　　　　　　　　　水野和泉守
　　　　　　　　　　　　　　　　　忠之書判
　　　　　松平中務大輔殿

一七月十二日於運正寺去十日晩ゟ今朝迄《割書：二夜
三日》
　探源院様十三回御忌御法事御取越御執行有之
　於瑞源寺も右同様御執行有之
一同月十九日今日ゟ於三ノ丸組之者目中被　仰付
一八月朔日為御祝儀御使者御留守物頭堀豊左衛門《割書：■
長》を以御太刀
　馬代被献之　御城於大広間御老中列座御奏者番高木
　主水正《割書：正
陳》殿江指上之
一同月六日今度江戸江　御発駕之節御城下御道筋敷
　砂併白鬼女川波渡場之儀拵不致候様被　仰出

一八月七日為御川狩松岡江　御出被成《割書：九日
御帰殿》
一同月九日今度関東三ケ寺ゟ禅宗寺締之儀触出候ニ付
　天女山孝顕寺儀者
　浄光院様御由緒ニ付三ケ寺江被　仰遣随会地ニ可被成
　下段被　仰出
一同月十二日於谷中南泉寺昨十一日晩ゟ今朝迄
　探源院様十三回御忌御法事御取越御執行有之
一同月十五日御家中倹約之儀於　御本丸御家老狛
　伊勢《割書：澄
孝》左之通御家中之面々江可申達旨御目付月番
　
　大谷儀左衛門《割書：好
澄》江申渡之
　　　　　覚
　　　御家中倹約之儀従
　　　御先代被　仰出候通相慎可申事ニ候振廻等
　　　之儀和順之儀ニ候得者付合之儀者各別饗
　　　応之儀　御先代被　仰出候通堅相守可申候
　　　音物之儀も最前相究り候通以後紛敷無之
　　　様可仕候衣服之儀尚以之儀候
　　　御代初有合候物ハ致着候様被　仰出候儀面々

　　　心得違候哉別而衣服過麗ニ相見候様も有之
　　　候間堅相慎以後麁服を用可申候御勝手も御不
　　　如意之時節ニ候得者面々兼而了簡も可有之
　　　候間急度倹約相守候様ニとの　思召候面々可
　　　被得其意候以上
　　　　　八月十五日
一八月十九日福井　御発駕東海道通御旅行
一同日右同断ニ付為御案内御老中江御書被指出之
一同月廿七日御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》を以御国
　
　産初鱈三被献之於　御城御側衆戸田肥前守　殿江
　指出之
一同日御用番安藤対馬守《割書：重
行》殿ゟ御呼出御留守居大関
　新五左衛門《割書：直
看》罷出候処八朔御祝儀御献上ニ付而之御奉書
　被相渡之
　　　為八朔之御祝儀以使者御太刀
　　　一腰御馬代黄金十両被献之候
　　　遂披露候処一段之御仕合候恐々謹言
　　　　　八月三日　　　　　松平左近将監
　　　　　　　　　　　　　　　　　　乗邑書判

　　　　　　　　　　　　　　　　安藤対馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　重行書判
　　　　　　　　　　　　　　　　水野和泉守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠之書判
　　　　　　　松平中務大輔殿
一八月廿八日御用番安藤対馬守《割書：重
行》殿ゟ御呼出御留守居大関
　新五左衛門《割書：直
看》罷出候処初鱈御献上ニ付而之御返書被相渡之
　　　御状令披見候　　
　　
　　　公方様益御機嫌能被成御座恐悦旨
　　　尤候将又初鱈三被献之候各申談
　　　遂披露候処一段之御仕合候恐々謹言
　　　　　八月廿七日　　　　　安藤対馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　重行書判
　　　　　松平中務大輔殿
一同日大目付中ゟ百姓質田地之儀ニ付左之通御廻状来
　　一去々丑冬中相触質地之類流地ニ不成裁

　　　判有之候処右之通ニても質地請返し候
　　　事も成兼却而迷惑いたし候者有之金
　　　銀貸し借りも手支候由相聞候ニ付当卯九月
　　　より丑年以前之通取捌有之筈ニ候事
　　一金銀不致返斉質地をも不相渡及出入候時ハ
　　　可訴出儀勿論に候得共年久敷儀ハ取上無之
　　　候間享保元申年以前之出入ハ訴出間敷事
　　一丑年以来当卯八月中迄奉行所又ハ私領
　　　ニても質地年賦ニ請戻し候裁判申付証文
　　　
　　　致置候分ハ弥其通ニ可相心得候然共此上相
　　　対を以質流しにいたし候とも勝手次第
　　　之事
　　右此旨を以可相守者也
　　　　享保八卯年八月
一九月二日品川駅御休ゟ直ニ御参府為御案内御老
　中　御廻勤夫ゟ常盤橋御屋敷江　御着《割書：八半
時》
一同日　伊織様御病気御太切ニ付江戸表江御徒飛脚
　《割書：岡嶋
惣左衛門》指立之

一九月三日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖二被献之
一同日　伊織様御逝去
一同日右同断ニ付江戸表江大御番佐野伊八《割書：元一
》《割書：御徒田中■【幸】次右衛門
指添》
　道中七日振ニ而指立之
一同月四日御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿江御逢対　御勤
一同日御参府ニ付　上使御老中安藤対馬守《割書：重
行》殿此
　御屋形江御越ニ付御門外迄御留守居三人罷出於玄関
　白洲江御家老御用人御目付罷出其節御門蹴込外迄
　御出迎御案内ニ而対馬守殿御書院江御通　上意之趣
　
　御達有之長蚫　御直ニ御居被成畢而
　昌昭様御出座《割書：御先手六郷
主馬殿御取■》御逢被成夫ゟ御料理《割書：三汁
■■》出候得共
　御断ニ而引之御退出之節最前御出迎之処迄御送被成
　右為御礼御老中　御廻勤
一同日今度御参勤御礼之節御献上物之儀去寅年被
　仰出候趣ニ付御太刀并銀三十枚綿三十把被献候段御用番
　水野和泉守《割書：忠
之》殿江御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》罷出相達候処
　御承知被成候旨被申聞之其節御家来献上物之
　儀も相伺候処是迄二百挺献上之蝋燭百挺献上候様

　御指図有之
一九月六日　伊織様御遺骸運正寺江御送葬御法号
　正受院殿唯誉願照即光大童子
一同月八日於運正寺昨七日ゟ今朝迄　正受院様御当座
　御法事御執行有之
一同月九日　伊織様御病気御太切ニ付御国許ゟ御徒飛
　脚《割書：岡嶋
惣左衛門》着ニ付為御見舞御膳番高坂武右衛門《割書：伊
吏》早駈ニ而御国
　許江被指遣之
　　但武右衛門江戸出立之処箱根ニ而御逝去之旨承候ニ付江戸江罷帰候

一同月十日　伊織様御逝去ニ付為御届御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿江
　御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》左之通書付持参指出之
　　　　　口上
　　　松平中務大輔二男伊織儀於在所先月末頃ゟ
　　　少々不快ニ御座候故手医師共薬服用仕段々快
　　　御座候処変症指出当三日辰下刻死去仕候由乍
　　　夜中申遣候伊織儀当卯ニ二歳罷成候七歳未
　　　満之者ニ御座候故中務大輔ニ忌服も無御座尤
　　　日数過候儀故遠慮も無御座候得共為御届罷

　　　出候以上
　　　　　九月十日　　　　松平中務大輔内
　　　　　　　　　　　　　　　　　宮北十郎左衛門
一同日御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿ゟ御老中連名之御切紙来且又
　御家来一人　御目見被　仰付旨申来
　　　明十一日五半時登　城参勤之御礼
　　　可被申上候以上
　　　　　九月十日　　　　松平左近将監
　　　　　　　　　　　　　安藤対馬守
　　　　　　　　　　　　　水野和泉守

　　　　　松平中務大輔殿
一九月十一日右同断ニ付　御登　城御参勤之御礼被
　仰上御太刀銀《割書：三十
枚》綿《割書：三十
把》御献上畢而被　召連候御家来稲葉
　采女《割書：正
方》　御目見被　仰付御太刀銀馬代蝋燭百挺献上右
　相済　御退出掛為御礼御老中若年寄中　御廻勤
一同月十五日御領分南条郡定友村与間部下総守《割書：詮
言》殿領分
　同郡野岡村与争論之儀ニ付御代官窪嶋作右衛門　殿先達而ゟ
　出張候処今日見分相済

一九月十六日御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿ゟ左之通御老中連名之
　御切紙を以東叡山火之御番被　仰出
　　　東叡山火之番為松平民部大輔代被
　　　仰付候間被得其意可有勤仕候以上
　　　　　九月十六日　　　　松平左近将監
　　　　　　　　　　　　　　安藤対馬守
　　　　　　　　　　　　　　水野和泉守
　　　　　松平中務大輔殿
　
一同月十九日御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿江　御出御還被成
　　但火之御番被　仰出候ニ付　御勤
一同月廿日御目付稲葉多宮　殿ゟ左之通御書付を以申来
　　　熊鷹仕込飼立之儀存知候御家来有之此度詰
　　　合ニ■左候ハヽ其姓名書付早々可被指出候尤
　　　御国元ニ而右之通存候者又ハ御鷹方之者承伝
　　　候者も可有之哉其段も■申聞可有之候急御用
　　　ニ候以上
　　　　　九月廿日　　　　　稲葉多宮

　　　　　　　　　　　　松平中務大輔殿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　留守居
一九月廿一日
　昇安院様御石塔大安寺江御建立被成候間辰年
　御帰城前出来候様可致旨被　仰出
一同月廿二日御老中戸田山城守《割書：忠
真》殿江御逢対　御勤
一同月廿三日御老中松平左近将監《割書：乗
邑》殿江右同断　御勤
一同月廿八日　勝姫様御髪置御祝儀有之宇都宮
　治部左衛門　妻御白髪指上之

一十月七日於運正寺　正受院様御三十五日御茶湯御執
　行有之
一同月十八日御使者を以例之通御国産塩鮎子籠被献之
一同月廿一日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一同日於運正寺　正受院様御四十九日御法事御執行有之
　御石塔御成就ニ付御供養有之
一十一月二日大目付中ゟ向後諸大名中屋敷下屋敷抱屋敷共
　出火之節者居屋敷同様指控之儀伺指出候様御廻状来

一十一月三日　上使御使者酒井小平次　殿を以御鷹之鳫二
　御拝領小平次殿御越之先於御玄関御奏者番本多主殿《割書：■
正》
　菅沼与三《割書：次
孝》鳫受取之御門蹴込際迄御留守居三人罷出
　御玄関白洲江御家老御奏者番罷出御越之節御玄関敷
　出迄御出迎御会釈有之御案内ニ而御書院江御通　上意之
　趣御達有之鳫御頂戴御長蚫　御直ニ御居勝手江
　御入被成再御出座御請被　仰上相済御退出之節最前
　御出迎之処迄御送被成夫ゟ右為御礼　御登　城
　御奏者番丹羽式部少輔《割書：倚
氏》殿被謁之御退出懸御老中
　
　若年寄中　御廻勤
一十一月四日御用番安藤対馬守《割書：重
行》殿江　御出御逢被成鳫
　御拝領之御礼被　仰述
一同月五日御領分定友村与間部下総守《割書：詮
言》殿領分出入之儀ニ付
　御代官窪嶋作右衛門　殿本保陣屋江両村之者御呼出ニ而論所
　御見分之絵図面被為見候上相違も無之候ハヽ其旨印形可
　致旨且又双方共来正月十日頃発足ニ而江戸表江可罷出旨御申
　渡有之
一同月十三日御鷹之鳫御披ニ付御一門様方并御旗本中

　御招請
一十一月廿五日御扶持方御切米之面々向後江戸詰罷越候節増
　扶持支度銀被下候儀左之通御書付を以被　仰出
　　　　　覚
　　　　表御番侍中
　　一御扶持方三拾五人扶持ゟ三拾人扶持迄之面々在
　　　江戸中六人扶持被下高百五拾石取同事ニ可相勤
　　　事
　　一同弐拾人扶持ゟ以上之面々在江戸中五人扶持被下
　　　
　　　高百石取同事ニ可相勤事
　　一同弐拾人扶持ゟ以下之面々在江戸中五人扶持
　　　被下其上道中并在府中荒子一人御貸被成百石
　　　取同事ニ可相勤事
　　一御切米弐拾石ニ四人扶持迄ハ支度金三両可被下置
　　　事
　　　　但半年之詰者金弐両可被下置事廿石ニ五人扶持■
　　　　　御定之通支度金不被下筈
　　一同弐拾石以下者銀五枚支度銀可被下置事

　　　　但半年詰之面々ハ銀三枚可被下置事
　　一御扶持方拾人扶持ゟ御切米拾五石三人扶持被下置候
　　　面々者江戸詰相除品ニより右之面々江戸詰被　仰付候
　　　節者別段ニ御吟味之上御手当可被　仰付事
一十二月四日於運正寺去二日晩ゟ今朝迄《割書：二夜
三日》
　昇安院様三回御忌御法事御執行有之於天徳寺も右
　同様御執行有之
一同月八日於御泉水御屋敷　千五郎様御誕生御母某氏
　《割書：於袖方
》

一同月十二日於運正寺昨十一日晩ゟ今朝迄　正受院様御百ケ日
　御法事御取越御執行有之
一同月十五日　千五郎様御七夜御祝儀有之
一同月十六日於御国許今度　千五郎様御誕生ニ付御用番
　水野和泉守《割書：忠
之》殿江御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》左之通書付持参
　指出之
　　　　　口上覚
　　　松平中務大輔於在所当八日妾腹ニ男子出生
　　　仕候由申越候右之趣御聞被置被下候様ニ各様迄

　　　御物語可仕置旨被申付候御序之刻宜被　仰上
　　　可被下候以上
　　　　　十二月十六日　　　　松平中務大輔内
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大関新五左衛門
一同日　千五郎様江御祝儀之為御使御徒頭前波多門　を以
　御産衣二重三種一荷被進今日江戸御屋敷出立
　　但多門同月廿五日福井江着御祝儀物指上之
一同日孝顕寺儀於江戸表関三ケ寺江御頼被遣候随意会
　会下長之儀先達而《割書：十月
廿三日》相済候ニ付江湖之為入用五拾石

　御増都合三百石可被下旨被　仰出
一十二月十九日寒中ニ付　御機嫌為御伺御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿江
　御勤
一同日右同断ニ付御使者を以例之通御国産《割書：一
番》生鱈被献之
一同月廿一日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖二被献之
一同月廿二日寒中ニ付御使者を以例之通御国産《割書：二
番》生鱈被献之
一同月廿八日月次為御礼　御登　城御礼後御居残ニ而歳
　暮之御祝儀被　仰上

享保九年甲辰
一正月朔日《割書：六
時》　御登　城於御白書院御三家方御次ニ御着
　座御礼被　仰上御太刀馬代御献上御盃御吸物御頂戴
　御時服御拝領
一同日於　御屋形年始御規式有之　御帰殿後諸士之
　御礼被為　請
一同月三日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃台御
　酒代被献之

一正月七日為若菜御祝儀御使者を以例之通御肴《割書：鯛
三》被献之
一同日　千五郎様御宮参右為御代拝　神明天王松岡
　春日社江秋田八郎兵衛《割書：敏
昭》被遣之
一同月十二日　千五郎様此中ゟ御病気之処御太切之趣ニ付
　江戸表江御徒飛脚《割書：坂■
■右衛門》指立之
一同日右同断之処御養生無御叶亥ノ下刻御逝去仍之江戸
　表江大御番荒川宗右衛門　《割書：御徒多田
■■指添》早駈ニ而指立之
一同月十五日　千五郎様御遺骸運正寺江御送葬御法号
　深広院殿来誉無底慧海大童子

一同月十八日於運正寺昨十七日晩ゟ今朝迄　深広院様御当
　座御法事御執行有之
一同日大御番荒川宗右衛門　江戸着ニ付　千五郎様御逝去之趣
　御用番松平左近将監《割書：乗
邑》殿江為御届御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》
　被指出之
一同月廿二日於評定所御勝手御不如意ニ付御家老狛伊勢《割書：澄
孝》
　左之通書付を以諸向江申渡之
　　　　　覚
　　　御勝手之儀常々御不如意ニ候処就中当春

　　　御不足金多　御帰国前別而御難儀之事ニ候
　　　間於面々役方諸事御用申付候儀少分之御入
　　　用ニ候共只今迄相定候儀者当分被相止候間
　　　左様ニ可被相心得候其中不被　仰付不叶御用
　　　之儀者前広被致吟味委細書付奉行中江
　　　指出其上狛伊勢差図次第可被申付候縦
　　　御意を以被　仰付候儀ニ候共早速伊勢江相達
　　　可被請指図候差図無之被申付候ハヽ役方之可
　　　為不調法候被為　入候ハヽ猶又御簡略之儀可被
　　
　　　相究候間其節可被　仰出候夫迄之儀右之通
　　　急度可被相心得候以上
　　　　　正月廿二日
一正月廿八日　御登　城被成候処《割書：昨廿七日御老中
連名之御切紙来》月次御礼後於御白
　書院御足高之　御朱印被下之旨御用番松平左近将監《割書：乗
邑》殿
　御達有之　御朱印御渡御頂戴被成右為御礼御老中
　若年寄中　御廻勤御側衆江御使者御使番被指出之
一同日五十之御年賀御内祝有之
一二月二日御用番安藤対馬守《割書：重
行》殿ゟ御呼出御留守居大関

　新五左衛門《割書：直
看》罷出候処今度　御朱印御頂戴ニ付御領知目
　録御渡有之右ニ付為御礼御老中江御使者御留守居被
　指出之
一二月十三日於運正寺　深広院様御三十五日御茶湯御執
　行有之
一同月十六日天徳寺江　深広院様御位牌御安置ニ付御供
　養有之
一同月十七日大目付中ゟ米穀下直諸色高直之儀ニ付左
　之通御廻状来

　　　米穀去年より段々下直ニ候処其外諸色之
　　　直段高直ニ付諸人及難儀候酒酢醬油味噌
　　　類者米穀を以造出し候物候ヘハ米直段ニ可准
　　　儀勿論ニ候且又竹木炭薪塩油織物等一切之
　　　売買物或諸色之職人ニ至迄直に米穀を以
　　　作り不出といへとも工手間人夫之賃銭何も
　　　飯米を元として積立候事ニ候得者諸物之
　　　直段も米准し下直ニ可売出道理候右之段
　　　去年中より可申付候得共いまた間も無之

　　　事故不及其儀候当年ニ至ても前々直段位
　　　を以致商売候者過分之利徳を心かけ候て
　　　の事に候条此以後直段引下ケ可申候如斯
　　　申聞候上其儀無之におゐてハ三月朔日ゟ其
　　　筋々遂僉議急度曲事ニ可申付候件之趣
　　　国々所々江も相触候間諸色仕出候所ゟ元直段
　　　引下ケ不申候ハヽ其手寄之商売人可訴出候
　　　若打捨置候ハヽ是又可為曲事者也
　　　　　辰二月

　　　米穀下直ニ候処諸色直段ハ高直ニ付諸人及難儀候依之
　　　江戸京大坂奈良堺其外奉行所ニおゐて町中相触候別
　　　紙為披見相廻し候間此趣意を被存諸国■造り出しハ
　　　諸色御料ハ御代官私領ハ其領主ゟ職人商売人共逐一遂
　　　吟味元直段下直ニ売出候様ニ急度可被申付候以上
　　　　　辰二月
一同日御勝手御不如意ニ付去月廿二日於御国表被　仰出候儀
　ニ付左之通書付添御家老本多修理《割書：恒
久》諸向江申渡之
　　　　　覚
　　　

　　　御勝手之儀御難儀付今度於御国許別紙之通
　　　御役方江狛伊勢申渡候間此表ニ而も　御公用御勤之
　　　儀者各別之儀御私用并御褒美等被下金銀等之儀迄
　　　も委細被致吟味前広千本藤左衛門へ可被相達候急成儀者
　　　承届指図可申候へ共品により少分之儀ニ而も此節之儀ニ
　　　候ヘハ今度御用掛狛伊勢江被　仰付候間御国江被申越
　　　伊勢江被相達差図次第可有之候間兼而左様被相
　　　心得御用指支不申候様ニ前方了簡可有之候右
　　　之趣急度可被相意得候以上
　　　　　二月
　　但於御国申渡之書付者先月廿二日処ニ有之ニ付不記之
一二月廿日於品川天龍寺昨十九日晩ゟ今暁迄　梅林院様十三
　回御忌御法事御執行有之
　　但廿一日朝迄御執行可有之処品川筋　御成有之ニ付
　　　御引上ニ相成
一同月廿一日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一同日松岡之窪椚室三ケ村共打続ニ付町役郷役両様共相
　勤候処御城下松本三橋木田三ケ村之通在方之役御免之

　儀相願候ニ付願之通御免被成
一二月廿九日於運正寺　深広院様御石塔出来ニ付御供養有之
一三月五日御使者を以例之通御国産干鰈被献之
一同日御不快ニ付《割書：御不
食》河野松庵老薬御服用候処尓々無
　之ニ付渋江通玄院江御転薬被成
一同月十三日　上使御老中安藤対馬守《割書：重
行》殿を以御国許江之
　御暇被　仰出白銀五十枚紗綾二十巻御拝領《割書：上使御取扱
如例》
　上意之趣御達有之御請被　仰述其節明後十五日
　御礼　御登　城可被成旨且又御家来一人被　召連候様

　御達有之相済御退出右為御礼御老中　御廻勤
一三月十五日右同断ニ付　御登　城御礼被　仰上　御懇之
　上意有之例之通御鷹御馬御拝領畢而被　召連候御家
　来本多修理《割書：恒
久》　御目見被　仰付紗綾《割書：三
巻》拝領被　仰付
　相済右為御礼御老中若年寄中　御廻勤
一同日土井豊前守《割書：■
■》殿御姉浄照院様《割書：照■院様
御女》御卒去ニ付
　御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿江左之通御届書被指出之
　　　土井豊前守姉病気罷在候処養生不相叶
　　　今巳ノ上刻致死去候拙者従弟之続ニ御座

　　　候付今日ゟ三日之内忌中罷在候右為御届
　　　申達候以上
　　　　　三月十五日　　　　松平中務大輔
　　　　別紙
　　　　　忌《割書：三月十五日ゟ
同十七日迄》　　　松平中務大輔
　　　　　服《割書：三月十五日ゟ
同廿一日迄》
一三月十八日御拝領之御鷹於若年寄大久保佐渡守《割書：常
春》殿
　御渡有之

一同日御拝領之御馬御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿ゟ使者ニ而為牽来
一同月十九日御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿江御逢対　御勤
一同日御不快御快方ニ者候得共　御発駕御日限廿六日之処
　渋江通玄院御止被申御老中御挨拶之趣も有之ニ付
　御延引被　仰出
一同月廿五日来巳年
　公方様御厄年ニ付山王観理院江御祈祷御頼被成《割書：去十一日
御■■》
一四月五日御用番松平左近将監《割書：乗
邑》殿ゟ御呼出御留守居大谷
　一右衛門《割書：次
安》罷出候処昨四日御書付を以御家来之内駕乗

　　　御免御願之儀ニ付左之通御書付を以被申渡之
　　　　　　　乗物断　　　松平中務大輔家来
　　　　　　　　　　　　　　　　芦田右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　宇都宮治部左衛門
　　　　　　　駕籠断　　　　　　大関新五左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　宮北十郎左衛門
　　　　　右者乗物駕籠断　相済候誓詞判元
　　　　　御目付稲葉多宮宅ニ而見申候事
一四月六日御発駕御日限之儀ニ付御用番松平左近将監《割書：乗
邑》殿江

　左之通御届書被指出之
　　　私儀在所江之御暇被下候付早速御当地
　　　発足可仕候処不快ニ罷在候故先月初ニ渋江
　　　通玄院薬服用仕只今迄致保養候然処気
　　　色も快御座候間当十八九日頃発足可仕与存候
　　　尤通玄院相談仕候処苦カル間敷旨申候間右
　　　之通相究申候此段御聞被置可被下候以上
　　　　　四月六日　　　　　　　松平中務大輔
一同月七日乗物駕籠御免之儀ニ付芦田右衛門《割書：賢
詮》宇都宮

　治部左衛門《割書：信
綱》大関新五左衛門《割書：直
看》宮北十郎左衛門《割書：定
由》儀御目付稲葉多宮　殿
　宅江罷出誓詞相済　右ニ付為御礼御用番松平左近将監《割書：乗
邑》殿江
　御使者被指出之
一四月十三日御不快御同篇之中二三日五不出来ニ付又々
　河野松庵老江御転薬
一同月十四日右同断之処河野松庵老御指図ニ付杉枝検校与
　申者御呼寄鍼術被　仰付
　　但右検校儀　公儀御用ニ而毎度致登　城候者之由
一同日右同断ニ付十九日之　御発駕御延引被　仰出

一同月十五日右同断之処御太切之趣ニ相成候ニ付御徒飛脚
　《割書：川地
■右衛門》御国許江被指立之
一同月十七日右同断ニ付栗本瑞見老江御転薬
一同月十八日右同断ニ付御用番松平左近将監《割書：乗
邑》殿江六郷主馬　殿
　を以左之通御願書被指出之
　　　私儀当春ゟ少々不快罷在手医師■薬服
　　　用仕候処少々不食も仕其上浮腫之気味も
　　　有之短息ニ御座候ニ付二月始ゟ河野松庵薬服
　　　用仕候相替儀も無御座候ニ付先月始ゟ渋江通玄院

　　　薬服用仕候処次第食事も進浮腫も引申候
　　　処五六日以前ゟ気色指滞候付当十三日夜ゟ又々
　　　松庵薬服用仕候処辞退申候付昨晩ゟ栗本瑞見
　　　薬服用仕候瑞見も重キ様子之由申候依之当夏
　　　中迄致滞府保養仕度奉願候以上
　　　　　四月十八日　　　　　　　　松平中務大輔
一四月十九日右同断ニ付御付札を以御願之通被　仰出右為
　御礼御老中若年寄中江御使者御留守居被指出之
一同月廿二日右同断之処少々御快方ニ付御用番松平

　左近将監《割書：乗
邑》殿江御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》左之通御届書被指出之
　　　松平中務大輔気色当十七日迄同篇之内指引
　　　御座候十七日晩ゟ栗本瑞見老御薬給申候少々
　　　宛快罷成候当十九日ゟ別而快方ニ罷在候至今日
　　　打続快短息も静ニ罷成候食事一昨廿日中并
　　　至夜中割粥百四拾匁余給申候通しも能腫
　　　気も少々宛引申候昨廿一日中并至夜中割粥
　　　百四拾匁余給申候今四時過丸粥八拾九給
　　　申候右同刻瑞見老御見廻脈も能相見江惣体

　　　快方之由御申候以上
　　　　　四月廿二日
一四月廿六日栗本瑞見老薬御服用被成候得共御同篇
　之趣ニ付御薬断被申上候ニ付飛騨守《割書：■
■【近朝？】》様志摩守《割書：直
員》様河内守《割書：直
好》様
　諏訪伊勢守《割書：忠
林》殿江
　昌昭様御相談有之候処昨夜中ゟ少々御快方ニ付瑞見老
　強治御断も無之ニ付其儘薬御服用被成
一同月廿七日八半時過俄ニ御変症指起御療養難被成
　御叶趣ニ付御用番松平左近将監《割書：乗
邑》殿江為御届御留守居宮北

　十郎左衛門《割書：定
由》左之通指出之
　　　松平中務大輔気色段々快方ニも罷在候処今
　　　八半時ゟ少々癇積差上り次第指重り至
　　　極及大切申候右為御届罷出候以上
　　　　　四月廿七日　　　　松平中務大輔内
　　　　　　　　　　　　　　　　宮北十郎左衛門
一同日右同断ニ付大御番柘植忠太郎《割書：彰■
》《割書：御徒■■
庄右衛門指添》御国許江
　被指立之
一同日御様体御指重御指詰被成候趣ニ付御用番松平

　左近将監《割書：乗
邑》殿江御留守居大谷一右衛門《割書：次
安》左之通指出之
　　　松平中務大輔病気今八半時ゟ癇積差上り
　　　次第ニ指重り最早指詰り候様子ニ相見江申候
　　　右為御届罷出候以上
　　　　　四月廿七日　　　　松平中務大輔内
　　　　　　　　　　　　　　　　大谷一右衛門
一同日御養生不被為　叶於常盤橋御屋敷　御逝去《割書：戌
刻》右ニ付
　為御達御用番松平左近将監《割書：乗
邑》殿江河内守《割書：直
好》様御出被成
　其節左之通御書付被指出之

　　　　　　覚
　　　松平中務大輔病気養生不相叶今戌之刻
　　　死去仕候以上
　　　　　四月廿七日　　　　松平河内守
　　　　　　〆
　　　　　　　　別紙
　　　　　　　　　　　　松平中務大輔
　　　　　　　　　　　　　　　　辰五十歳
　　　　　　　　　　　　松平千次郎
　　　　　　　　　　　　　　　　辰十二歳

一同日右同断ニ付大御番頭中川主膳　御徒頭河合彦作
　御国許江被指遣之四半時過江戸御屋敷出立
一四月廿九日　上使御奏者番丹羽式部少輔《割書：倚
氏》殿を以御香奠
　銀三十枚御拝領
一閏四月五日暮六時　御出棺西窪天徳寺江御送葬御法号
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大正十五年七月品川
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　海晏寺墓地ニ改葬ス
　豊仙院殿従四位下前拾遺補閥円誉照元安住大居士
一同月十日於天徳寺去八日ゟ今朝迄御当座御法事御執
　行有之

一同月十一日御先物頭荻野四郎右衛門　御法号持参月番
　御家老狛伊勢《割書：澄
孝》宅江着ニ付御奏者番水谷織部　請取之
　直ニ運正寺江相納之
　　但四郎右衛門去二日江戸出立
一同月十七日於天徳寺御三七日御法事御執行有之
一同月廿四日於天徳寺御四七日御法事御執行有之於運正寺も
　右同様御執行有之
一五月二日於天徳寺御三十五日御法事御執行有之於運正寺も
　右同様御執行有之

一五月四日御髪落等有之ニ付宮塚多内　守護被　仰付今日
　福井江着ニ付運正寺御石塔之内江相納候迄御寺江預置
　候様御奏者番笹治権右衛門　多内江申渡之多内運正寺江持
　参助心院江相渡之
一同月九日於天徳寺御六七日御法事御執行有之於運正寺も
　右同様御執行有之
一同月十六日於天徳寺御四十九日御法事御執行有之御石
　塔御成就ニ付於　御廟所御供養有之於運正寺も
　御法事御執行有之

一同月廿七日松岡天龍寺江御位牌御安置御供養有之
　御法号
　豊仙院殿廓山了義大居士
一六月廿七日於運正寺御石塔御成就御供養有之追而
　於大安寺も御石塔御成就御供養有之
　　但先達而江戸表ゟ相廻候御髪落等御納ニ相成

　　　宗昌様御在勤中
享保七寅年　公儀御改革被　仰出候後初而御国許江
御暇之節
　　一御拝領物
　　　上使御老中
　　　　銀五十枚
　　　　縮緬二十巻
　　　於御前
　　　　御鷹二居
　　　　御馬一匹
　　　同断
　　　　御腰物一腰《割書：此御腰物者御相続後初而之御暇
ニ付而也》

　　　　此節御家来一人御目見御巻物三被為拝領之
　　一御帰国御礼使者被指上節御献上物
　　　奉書紙十束
　　　二種一荷
　　　　此御使者　御目見被　仰付銀馬代を以自分御礼
　　　　申上御暇之節御巻物二被下置之
　　一御参勤之節御献上物
　　　　銀三十枚
　　　　綿三十把

　　　　　此節御家来一人　御目見蝋燭百挺銀馬代献上
　　一御参勤御礼被　仰上候後為御土産
　　　五色奉書紙十束

　　一年中御祝儀御献上物
　　　年頭　　　　　御太刀馬代黄金一枚
　　　御謡初《割書：正月
三日》　　御盃台　《割書：松竹鶴亀土器二
御酒代銀一枚添》
　　　御上ケ初《割書：同七日但若菜
之御祝儀》　鯛一折
　　　端午　　　　　　　《割書：御単物一
染御帷子一》

　　　七夕《割書：御生見玉之
御祝儀》　　黄金一枚
　　　八朔　　　　　　御太刀馬代黄金一枚
　　　重陽　　　　　　《割書：熨斗目御小袖一
染綾紗御小袖一》
　　　歳暮　　　　　　同断
　　　　《割書：端午重陽歳暮御祝儀御献上之　御内書出候節御留守居江
巻物二拝領被　仰付》

　　一年中御国許之名産御献上物
　　　初鯖　　　　　　一箱《割書：三十刺
入》　五月中
　　　素麪　　　　　　一箱《割書：千把
入》　暑気之節
　　　初鱈　　　　　　三　　　七月中
　　　　　　　　　　　　　　　亦ハ八月

　　　生鱈　　　　　　三　　　寒中両度
　右品々如御先代
　外ニ松岡ニ而御献上ニ相成候内
　　　干鰈　　　　　　一箱《割書：二十
入》　《割書：三月末■
四月中旬迄之内》
　　　子籠塩鮎　　　　一箱《割書：五十
入》　《割書：九月
十月》中
　右以後御代々御例ニ相成

　　一年中御献上物
　　　鯣　　　　　　　一箱　　御在国中

　　　　右年始三ケ日御規式済之御書ニ指添
　　　生肴　　　　一種　　御在府中
　　　　右四月十八日為御精進揚被指上
　　　鳫一
　　　鴨一
　　　　右御拝領御鷹授飼之節被指上

　　一年中御拝領物
　　　雲雀　　三十　　　《割書：七月
八月》中

　　　鳫　　　二　　　　《割書：十月
十一月》中

　　一御纏御馬印御旗以下御先代之通

【裏表紙】

家譜

《題：家譜　吉邦公》　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　享保四年　　　三十三

　　　　　吉邦様　享保四年己亥

享保四年己亥

一正月朔日於　御屋形年始御規式有之
一同日為年始御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代御献
　上呉服御拝領
一正月三日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃台
　御酒代被献之
一同日御屋形御謡初御祝儀之儀向後被相止候段被　仰出
　　但右御謡初者被相止候得共御奏者番ゟ御役人迄御吸物
　

　　　御酒被下之宝生丹次郎近藤権右衛門両人江以来共時
　　　服一宛為御祝儀被下旨被　仰出
一正月七日為若菜御祝儀御使者を以例之通御肴被献之
一二月十四日下谷筋ゟ出火北風強大火ニ相成常盤橋河岸迄
　致焼失候得共御屋敷御別条無之
一二月十五日御用番久世大和守《割書：重
之》殿ゟ御呼出御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》
　罷出候処昨日御近火之節消防方之儀委細書付可指
　出旨用人を以被申聞候ニ付左之通書付持参指出之
　　昨十四日火事之節常盤橋之内松平伊予守
　　
　　居屋敷江火屑参候処手勢ニ而防申候弐十六ケ所
　　少々宛屋根江火付候得共是又手勢ニ而消申候
　　丹羽左京太夫様秋元伊賀守様戸田靱負様追々
　　御越被成候右御人数屋根江御揚被成候細川越中守様
　　松平大炊頭様松平土佐守様御人数追々参候是亦
　　屋根江上り申候暫御見合之上御人数御引取被成候以上
　　　　二月十五日　　　　　　松平伊予守内　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　大関新五左衛門
一二月廿一日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於

　　　

　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一三月四日烏丸頭弁《割書：光
栄》殿為　勅使江戸表江参向ニ付御滞留
　中御招請被成度ニ付御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿江御使者御留守居
　大関新五左衛門《割書：直
看》を以左之通御伺書被指出之
　　　今度従京都烏丸頭弁罷下り候私為ニ姪聟ニ而
　　　御座候依之逗留之内旅宿江見廻手前江も招
　　　申度奉存候右之趣宜御指図奉奉頼候以上
　　　　　三月四日　　　　　　　　松平伊予守

一三月六日御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿ゟ御呼出御留守居大関
　新五左衛門《割書：直
看》罷出候処右御伺之儀御勝手次第可被成旨御指
　図有之
一三月九日烏丸頭弁《割書：光
栄》殿参着ニ付為御見廻旅宿江
　御出被成
一三月十日　梅姫様御懐妊御臨月ニ付河野松庵老湯川寿三老
　兼而御頼被成候処昨夜ゟ御産之気ニ付両人共御見廻有之
　候得共当番ニ而被罷帰候ニ付御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿江御使者
　御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》を以左之通御口上書被指出之

　　　私妻五月産月ニ而御座候ニ付河野松庵頼置
　　　申候松庵指合申候ハヽ湯川寿三見廻申様ニ是又
　　　頼置申候然処妻此間不快ニ罷在候処昨夜ゟ別而
　　　動気差発り虫気も有之産之侯ニ相見江申候
　　　然処右両人今日当番ニ而致登　城候由寿三ハ明
　　　日迄不罷帰候ニ付見廻申儀不罷成候由申候松庵ハ
　　　御用も無御座候得者昼時過ニも罷帰候由承伝候
　　　妻右之通ニ而大切之趣ニ相見江申候間可罷成儀ニ
　　　御座候ハヽ松庵儀早ク見廻申様ニ仕度奉存候

　　　此等之趣不苦思召候ハヽ宜様奉頼候以上
　　　　　三月十日　　　　　　　　　　松平伊予守

　　　　但右御口上書被指出候得共於　御城山城守殿江
　　　　　松庵老御咄有之　御城ゟ直ニ御出ニ付山城守殿ゟ
　　　　　別段御返答無之
一同日右同断之処《割書：八
時》御流産ニ相成
一同日右同断ニ付五日之間御産穢ニ付御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿江
　御使者御留守居を以御届書被指出之

一三月十五日　若君様御誕生ニ付為御祝儀惣出仕依之
　御登　城《割書：熨斗目
御上下》御退出掛御老中　御廻勤若年寄中江
　御使者御使番被指出之
一三月十六日右同断ニ付京都所司代松平加賀守《割書：忠
周》殿江御書
　被遣之
一三月廿一日今度　御誕生之　御男子様御名　源三様与
　被称旨大目付横田備中守《割書：由
松》殿ゟ申来
一三月廿五日用水之儀ニ付左之通村替之御願書被指出之
　　　御料御代官美濃部勘右衛門支配所越前国吉田
　　　
　　　郡之内志比境村道通白山麓ゟ流出候鳴鹿川与
　　　申大川有之右之川ゟ志比境村之上烏帽子
　　　岩与申際ゟ堰をいたし岸端ニ川筋を立同郡
　　　之内私領内高三万五千六百石余之村々田地
　　　用水并家中町給水ニ古来ゟ取来候処大川ニ而
　　　御座候故水出之節者川之瀬替り候故近年志比
　　　境村之前土砂流入付寄之嶋大分出来申ニ付
　　　只今川原畑ニ罷成候夫故用水口下り其上大
　　　川向江付用水之掛り悪敷成候故川中江堰を

　　　出し水を掛ケ候ニ付水掛り不宜殊ニ荒川故出水
　　　之節者度々堰実流申候其毎度普請申付候
　　　得共大川ニ而早速出来不申田地度々旱損仕家
　　　中給水も切れ候而迷惑仕候然共用水口御料所
　　　之儀ニ御座候故川通浜之内掘割候而水取候儀も
　　　難仕候右之通大切之水筋ニ御座候間水口替り
　　　候節ハ付替等之普請自由ニ申付候様ニ仕度候
　　　依之領内之内何方ニ而成共右志比境村高
　　　弐百弐拾石余之所村替被　仰付被下候様ニ奉
　　　
　　　願候左候得者旱損等之難儀も無之第一家中町
　　　之給水差不申儀ニ御座候是等之趣可然様
　　　奉頼候右志比境村若御代官所江之人馬次之村
　　　ニ而指支も候ハヽ只今迄之通無滞様ニ為相勤
　　　可申候以上
　　　　　三月　　　　　　　　　　松平伊予守
一同日御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿ゟ御呼出御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》
　罷出候処左之通御書付被相渡之
　　　　　覚

　　一養子願之儀続無之候共元来一家ニ而当時取か
　　　わしもいたし候程之内ニ而相応之者を可相
　　　願筈ニ候間向後ハ養子願之時親類書差出候
　　　節右一家之内存寄之者無之ニおゐてハ其品
　　　書加へ可申事
　　一他人を婿養子にいたし候者同姓之内養子ニ
　　　致すへき相応之者無之時之儀ニ候間同姓を
　　　差置他人を婿養子ニ願申間敷候然共同姓
　　　之内養子ニ可仕筈之者病身歟又何と歟存寄
　
　　　有之ニおゐてハ其わけを立他人を婿養子ニ
　　　願候者各別之事
　　一惣而養子之儀同姓相応之者を選ひ若無之に
　　　おゐてハ由緒を正し願候様ニとの事御条目
　　　にも有之候間右二ケ条之趣弥相心得可申事
　　　　　以上
　　　　亥三月
一三月廿九日常盤橋御屋敷辻番所江　公儀御徒目付御小人

　目付罷越御屋敷東之方土居柵木取払候様御目付中
　御指図之旨申聞之
一四月四日　御座所ニ当春新規ニ御座敷御作事有之
　出来之処　思召も有之候間早速取払候様被　仰出之
一四月五日京都中寺町ニ罷在候友見与申道心者町奉行
　大宮彦右衛門《割書：定
富》宅江
　大安院様御絵像并御局長光院位牌持参罷越右
　御絵像之儀友見母於京都長光院江心易仕候故長光院
　死去之後母之方ニ預り置候処弐拾年以前母儀相果
　
　友見儀も老年ニ罷成忰も無之候得者大切之御絵像
　麁末ニ相成候而者如何ニ候間御請取被下候様申聞候段彦右衛門
　相達候ニ付御吟味之上御絵像御戒名并長光院位牌共
　御請取ニ相成運正寺江御安置有之
一四月九日　御座所ニ新規御出来之御土蔵并御用屋敷ニ
　有之御土蔵共取払候様被　仰出
一四月十三日　上使御老中水野和泉守《割書：忠
之》殿を以御国許江之
　御暇被　仰出例之通日銀御袷御拝領《割書：上使御取扱
如例》右為御礼
　御老中　御廻勤

一四月十五日　御登　城《割書：去十三日上使之節
御直ニ御達》御暇之御礼被　仰上
　例之通御馬御拝領畢而被召連候御家来芦田右衛門《割書：賢
詮》
　御目見被　仰付退座御時服拝領被　仰付相済右為御礼
　御老中若年寄中江　御廻勤
一四月十六日御用番井上河内守《割書：正
岑》殿江　御出御逢被成
一四月十八日御拝領之御馬御用番井上河内守《割書：正
岑》殿ゟ使者
　ニ而為牽来
一四月廿日近々　御発駕ニ付為御案内御老中　御廻勤
一四月廿二日江戸　御発駕中山道通御旅行

一四月廿三日御用番井上河内守《割書：正
岑》殿ゟ御呼出御留守居大関
　新五左衛門《割書：直
看》罷出候処当秋朝鮮人来朝ニ付左之通御書付
　被相渡之
　　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守
　　　　　　　　　　　　鞍置馬拾疋
　　　　　　　　　　　　　但壱疋分
　　　　　　　　　　　　　　　足軽壱人
　　　　　　　　　　　　　　　口付二人
　　　　　　　　　　　　　　　轡籠持

　　　　　　　　　　　　長柄傘
　　　　　　　　　　　　絹合羽
　　　　　　　　　　　　合羽籠持
　　　　　　　　　　　　挑灯持
一右当秋従朝鮮国信使来朝付而遠州舞
　坂より江戸迄鞍置馬出之可被相送候尤来朝
　之節斗可被指出候事
一余計之馬少々ハ替りも用意可致候得共多
　くハ無用ニ候事

一鞍皆具改不及取繕可被用之事
一当秋も前々之通美濃路通ニ候事
一乗鞍馬御定之処江使者召連罷越御馳走人并
　御代官江相達其以後宗対馬守馬割之役人
　申談可任差図事
一信使到着之日限等委細松平対馬守横田
　備中守大久保下野守江可被承合候事
　　　以上
　　四月

一五月朔日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
一五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
一五月四日　御着　城
一同日御用番戸田山城守《割書：忠
真》殿ゟ御呼出御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》
　罷出候処用人罷出御呼出ハ有之候得共御用之儀者水野和泉守《割書：忠
之》殿江
　罷出承候様申聞候ニ付和泉守殿江罷出候処和泉守殿出座
　御願被成候志比境村替之儀ニ付左之通御書付御渡有之
　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守
　　　御代官所越前国吉田郡志比境村之事其方
　　　
　　　領内江用水之掛り悪敷田地荒候付而右志比境
　　　村を其方領内ニ而願之通村替被　仰付之候
　　　御勘定奉行江も申渡候間可被得其意候以上
一五月五日　御帰国ニ付為御礼御使者高知酒井与三左衛門《割書：元
珍》
　江戸表江被指出之例之通奉書紙并昆布干鯛御樽
　被献之与三左衛門今日福井出立
一五月六日志比境村々替御願之通被　仰出候ニ付御礼勤
　之儀御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿江御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》罷出
　相伺候処御飛札被指出候様御指図有之

一同日大目付中ゟ　源三様御病気之処御養生無御叶
　御逝去被成候段御廻状来
一同日右同断ニ付御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿江御留守居宮北
　十郎左衛門《割書：定
由》罷出御勤向之儀相伺候処御使札被指出候様
　御指図有之
一五月八日
　西厳院様為御追善向後毎月十日於孝顕寺懺法
　御執行可被成旨被　仰出之御法事料毎月新金三両ツヽ
　被供之

　　但右御執行之儀　智高院様思召ニ付被　仰出之
一五月十三日今度御代官所吉田郡志比境村与御領分同郡
　藤巻村与御願之通村替被　仰出候為御礼江戸表江御書
　被指出之
一五月十五日　源三様御逝去ニ付
　公方様御機嫌為御伺御使者比企佐左衛門《割書：栄
槍》江戸表江被指出之
　今日福井出立
一五月十六日御帰国御礼御使者酒井与三左衛門《割書：元
珍》今日江戸着
　御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿江罷出《割書：御留守居大関
新五左衛門同道》御書指出之

一五月廿日大目付横田備中守殿《割書：由
松》殿江御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》
　罷出候処《割書：昨十九日
御触達》朝鮮人来朝ニ付左之通御書付被相渡之
　　　今度朝鮮人御馳走被相勤ニ付而其向之御用掛
　　　御役人江音物之付届堅有之間敷候且又
　　　於御馳走所何によらす馳走かましき儀
　　　一切無之様可被相心得候
　　　　　五月
一同日御勘定頭大久保下野守《割書：忠
位》殿ゟ申来御留守居大関
　新五左衛門《割書：直
看》御勝手役長岡六右衛門　召連大手御勘定所江
　
　罷出候処今度村替被　仰付候志比境村代り藤巻村被指上
　筈ニ付右村高并五ケ年之内之免委細相認指出候様被申
　聞之
一五月廿四日右同断ニ付藤巻村御取立之帳面案紙之
　通相認御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》持参大手御勘定所江
　指出之
一五月廿五日　源三様御逝去ニ付
　公方様御機嫌為御伺被指出候御使者比企佐左衛門《割書：栄
槍》江戸
　着御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿江罷出御書指出之

一六月朔日御帰国御礼御使者酒井与三左衛門《割書：元
珍》　御城江罷出
　御献上物相納之月次御礼後　御目見被　仰付畢而自分
　之御礼申上之御太刀銀馬代献上之
　　但右御使者去月廿八日致登　城候処
　　　公方様御不例ニ付俄ニ御礼相止今日　御目見被
　　　仰付
一六月三日右同断御使者酒井与三左衛門《割書：元
珍》　御城江罷出候処
　御返書御渡有之其節与三左衛門江御時服拝領被　仰付
一六月五日暑中ニ付　御機嫌為御伺御使者石川弥五右衛門《割書：武
包》
　
　江戸表江被指出之御肴一種《割書：串海
鼠》被献之弥五右衛門今日福井
　出立
一同日暑中ニ付御書を以例之通御国産素麪干鯛被献之
一六月六日於　御城左之通御書付を以被　仰出
　　　　　覚
　　　居屋敷中屋敷下屋敷抱地町屋敷並
　　　屋敷預り等之帳面此以後屋敷改方ニ而相調
　　　候ニ付屋敷違変并名改継目家督等之儀只今迄
　　　横田備中守三宅大学佐々木五郎右衛門方江届候

　　　通向後屋敷改江直ニ相届可被申候右之趣向々江
　　　可被相達候以上
　　　　　亥六月
一六月十六日御家老稲葉采女《割書：正
方》乗物御免願之儀ニ付御用番
　久世大和守《割書：重
之》殿江左之通御願書被指出之
　　　　　　　　　　　　　　　家老
　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉采女
　　　　　　　　　　　　　　　　　当亥ニ五拾三歳
　　　　　痔痛有之馬上斗ニ而難相勤候間
　　　　　乗物奉願候
　　　右者私家来当地ニ而用事申付候右之通
　　　痛所有之馬上斗ニ而難相勤候間乗物被成
　　　御免候様奉願候以上
　　　　　六月十六日　　　　　　松平伊予守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　御書判
　　　　　久世大和守様
一六月十八日暑中　御機嫌御伺之御使者石川弥五右衛門《割書：武
包》
　江戸着御用番久世大和守《割書：重
之》殿江罷出御書指出之

　　　　但弥五右衛門翌十九日　御城江罷出御献上物相納之
一六月廿五日　梅姫様相州塔沢江御入湯被成可然旨河野
　松庵老湯川寿三老被申候ニ付当秋御湯治可被成ニ付其節
　智高院様ニも御同道被成候様御家老稲葉采女《割書：正
方》を以
　被　仰進候処先此度者御延引可被成旨御返答有之
一同日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書於　御城御渡
　有之御家来拝領物等如例
一六月晦日御用番久世大和守《割書：重
之》殿ゟ御呼出御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》
　罷出候処先達而被指出候御家老稲葉采女《割書：正
方》乗物　御免
　　
　御願之通被　仰出旨御書付被相渡之且又外ニ火事之儀ニ付
　御書付一通御渡有之
　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊予守家来
　　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉采女
　　　右乗物御免願誓詞判元御目付佐々木
　　　五郎右衛門宅ニ而見候事
　　　　　〆
　　　　　覚
　　　出火之時増火消被　仰付罷出火事場御用

　　　仕廻月番宅江被届候筈之事
　　一以奉書相達候所々無相違防候趣又ハ右指図
　　　之場所江不相越内其場所焼通候ニ付何方を
　　　防候与申趣又者御目付御使番之内誰指図
　　　誰申談防候与申趣等之儀書付候而被指出候様
　　　兼而可被相心得候事
　　　　　六月
一七月二日御家老稲葉采女《割書：正
方》駕乗願之儀御願之通被
　仰出候ニ付采女儀御目付佐々木五郎右衛門　殿宅江罷出馬上
　
　難相勤旨之誓紙指出之
一七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
一七月十八日御家老稲葉采女《割書：正
方》乗物御免御願之通被
　仰出候ニ付為御礼江戸表江御書被出之
一七月廿二日御勘定奉行大久保下野守《割書：忠
位》殿ゟ申来御留守居
　大関新五左衛門《割書：直
看》大手御勘定所江罷出候処御勘定組頭鈴木
　弥三右衛門　殿列座ニ而村替之儀ニ付左之通御証文二通被相渡之
　　　　　　　松平伊予守村替割書替
　　　　　　　　　越前国吉田郡之内　美濃部勘右衛門

　　　　高弐百弐拾六石四斗六升　　　志比境村
　　　右者松平伊予守領内江用水掛之儀ニ付依願村
　　　替被　仰付高三百六拾五石三合之内江割合被下之
　　　候間従当亥年物成郷村可被相渡候御老中御証
　　　文者御勘定所指置如此候以上
　　　　　享保四年亥七月　　　鈴木弥三右衛門印
　　　　　　　　　　　　　　　吉田左兵衛　　印
　　　　　　　　　　　　　　　木村四郎兵衛　印
　　　　　　　《割書：御用ニ付
無加印》　　　　　小出加兵衛

　　　　　　　　　　　　　　　正木藤右衛門　印
　　　　　　　　　　　　　　　稲葉与一右衛門印
　　　　　　　無出座　　　　　奥野忠兵衛
　　　　　美濃部勘右衛門殿

　　　　松平伊予守村替割書替
　　　　　越前国南条郡之内　　　窪嶋作右衛門
　　　　高百三拾八石五斗四升三合　　　上平吹村之内
　　　　　外

　　　　　　　　米九升弐合　　　山手
　　　　　　　　米六石八斗九升　夫米
　　　　　　　　銀拾弐匁七分　　三把木役
　　　　　　　　銀壱匁　　　　　室役　　
　　　　　　　　銀八分　　　　　川役
　　　　　　　　糠八俵
　　　　　　　　　此代銀弐匁四分
　　　　　　　　藁百拾六束
　　　　　　　　　此代銀拾匁四分

　　　右者松平伊予守領内江用水掛り之儀ニ付依願村
　　　替被　仰付高三百六拾五石三合之内江割合被下之
　　　候旨従当亥年物成郷村可被相渡候御老中御証
　　　文者御勘定所差置如此候以上
　　　　　享保四年亥七月　　　　鈴木弥三右衛門印
　　　　　　　　　　　　　　　　吉田左兵衛　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　木村四郎兵衛　印
　　　　　　《割書：就御用
無加印》　　　　　　　　小出加兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　正木藤右衛門　印

　　　　　　　　　　　　　　　稲葉与一右衛門　印
　　　　　　　　無出座　　　　奥野忠兵衛
　　　　　　　窪嶋作右衛門殿
　　　　但右御証文写取候上御代官美濃部勘右衛門　殿窪嶋作右衛門　殿江
　　　　　可相渡旨被申聞之
一七月廿三日漆御門続キ御堀塀下石垣壱ケ所崩候ニ付
　御修復被成度ニ付御書并絵図面等左之通江戸表江
　被指出之

　　　此絵図之表朱引之通曲輪堀塀下之石垣
　　　壱ケ所損申候修復仕度奉願候以上
　　　　　享保四己亥年七月　　松平伊予守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　御書判

一七月廿七日於孝顕寺昨廿六日晩ゟ今日迄《割書：二夜
三日》　見性院様
　廿七回御忌御法事御執行有之
一七月廿八日大目付横田備中守《割書：由
松》殿ゟ申来御留守居宮北
　十郎左衛門《割書：定
由》罷出候処三笠博奕之儀ニ付左之通御書付被相
　渡之

　　　三笠博奕御停止候処此頃武士屋敷并寺社　　
　　　にても右博奕いたす由風聞有之左様之儀
　　　別而仕間敷事ニ候只今迄町方斗相改候得共
　　　向後武士屋敷寺社ニ至迄改若右体之儀も
　　　候ハヽ急度可被遂御譣儀旨被　仰出候条其旨
　　　被相心得常々堅可被申付候右之趣可被相触候以上
　　　　　亥七月

一八月朔日為御祝儀御使者を以例之通御太刀馬代被献之

一同日於　御城公儀御役人中江左之通被　仰出之
　　　五十以上十七以下之者急養子願判元見申
　　　候事可為無用候但　五十以上ニ而も忰相果
　　　候而間も無之養子願之事ニ候ハヽ可為各
　　　別事
　　右之趣頭々支配面々江可相達事
一同日松平対馬守《割書：近
禎》殿ゟ朝鮮人去月十九日壱岐国風本着
　船之由ニ候間一両日中鞍置馬御当地御差立御定之
　場所江可被指出旨御廻状来
　

一八月七日右同断ニ付迎馬為御用舞坂迄被指出候東郷
　三郎右衛門《割書：安
貞》酒井六郎右衛門《割書：元
監》人馬引纒今日福井出立
一八月九日中務大輔《割書：昌
平》様去月十六日御鷹之雲雀初而御拝
　領被成候ニ付為御礼御老中江御使者御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》
　被指出之
一八月十日御用番井上河内守《割書：正
岑》殿ゟ左之通御留守居江御切紙来
社ノ上寺ノ字ヲ
略セルナラン　
　　　　領分之内社領之
　　　　御朱印可相渡候間明十一日之晩八ツ時
　　　　過壱人私■【処？】江可参候以上

　　　　　八月十日　　　　　　井　河内
　　　　　松平伊予守殿　
　　　　　　　　　　　家来
一八月十一日右同断ニ付御用番井上河内守《割書：正
岑》殿江御留守居宮北
　十郎左衛門《割書：定
由》罷出候処福井神明社領　御朱印ニ左之通覚書
　一通添御渡有之
　　　　　覚
　　　領分之内寺社領
　　　御朱印相渡候条可被渡之候為御礼寺社人
　　　

　　　江戸江罷出ニ不及候尤頂戴相済候段者
　　　河内守方江可被申聞候以上
　　　　　八月七日
一同日　梅姫様当秋塔沢江御湯治被成候ニ付御願之
　御口上書江戸表江被指出之
一八月十四日御目付稲葉多宮　殿御越御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》
　御逢御国許ニ御所持之鶉捉之鷂
　公方様御望ニ付二居ニ而も三居ニ而も早速被指越候様ニ
　可申上候其上ニ而鷹之様子次第御貰可被成由ニ候間
　
　右之趣早飛脚を以御国許江可申上旨被申聞之
一八月十六日御用番井上河内守《割書：正
岑》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　十郎左衛門《割書：定
由》罷出候処奉公人之儀ニ付左之通御書付被相渡之
　　　　　覚
　　　諸奉公人之請人欠落又者不届有之御仕
　　　置ニ成候共自今家主致継判候ニ不及主人与
　　　奉公人相対ニ可仕候此外奉公人給金借金
　　　等之儀ニ付請人又者家主五人組なとを屋敷
　　　方江留置済方申付候事堅無之筈ニ候請

　　　人滞於有之者其主人ゟ奉行所江断次第
　　　不埒有之候ハヽ吟味之上急度可申付候
　　右之趣町中江相触候此外ニも町奉行ゟ申渡候
　　品有之候間承合度儀も候ハヽ町奉行江可
　　被相尋候以上
　　　　亥八月
一同日右同断ニ付町奉行中山出雲守《割書：時
春》殿用人江御留守居
　承合候処御直談可有之旨申来候ニ付大関新五左衛門《割書：直
看》罷
　
　出候処出雲守殿左之通御書付壱通被持出外々江者不指
　出候得共御家之儀故為心得為見被申段被申聞之
　新五左衛門江被相渡之
　　一諸奉公人欠落之儀主人断次第給金済方
　　　之儀請人江急度申付候事
　　　　但給金済方請人江申付候以後若滞候ハヽ請
　　　　　人身体限り可申付事
　　一取逃引負等之欠落者主人断次第請人三十
　　　日切之尋申付不尋出ニおゐてハ過料可申付

　　　若及数度候ハヽ曲事ニ可申付候欠落者尋出
　　　候ハヽ取逃物売払候共買主ゟ戻させ申へし
　　　金子なと遣ひ捨候事分明ニ候ハヽ捨ニ可致候
　　　尤請人過料者差免給金斗ハ済方可申付事
　　　　但請人奉公人之下受人取置候而請人相弁候金子
　　　　　下請人江掛り度旨願出候共相対者格別御役
　　　　　所ゟハ申付間敷事
　　一惣而取逃引負之儀若請人兼々存知候様子ニ
　　　候ハヽ急度遂詮儀其上之落着次第請人御仕
　　　
　　　置可申付事
　　一町人之召仕欠落取逃引負等之儀も右之通可
　　　相心得事
　　一右之類若請人致欠落候而も請人欠落以前ニ家
　　　主江預置其品御役所江も断於有之者請人之
　　　可済金過料共家主江可申付事
　　　　但家主欠落者之店請人江掛り度旨願出
　　　　　候共相対者格別御役所ゟハ申付間敷候事
　　一欠落者有之主人ゟ請人を預候節ハ家主方江

　　　召連参預申べく候主人方も請人を呼寄候節
　　　及数度不罷越儀も候半候主人方ゟ奉行所江断
　　　次第吟味之上可申付候事
　　一奉公人出入ニ付主人ゟ断有之候共請人之家主
　　　不及異儀急度預り置可申候但借金筋ニ付
　　　而者店之者を預り申間敷事　
　　一請人欠落以後主人ゟ断有之候とも取上申
　　　間敷事
　　一取逃引負之欠落者之請人自然欠落いたし候
　
　　　ハヽ主人見合ニ本人召連可来候本人を尋出候ハヽ
　　　取逃物者前条ニ有之通申付右欠落者当宿
　　　有之店受人取置候ハヽ不慥成者之請ニ立指
　　　置候品を以其店請人江過料可申付候若又当
　　　宿之者店請人も取置不申指置候ハヽ尤当
　　　宿江過料可申付候右取逃引負いたし候者ハ勿
　　　論御仕置可申付事
　　一諸借金買掛り出入之儀訴出候ハヽ日切又ハ其者之
　　　身体限りにも可申付候証文ニ加判人有之ニおゐてハ

　　　尤当人加判人両方ゟ済方可申付候事
　　　　但当人加判人共ニ致欠落候ハヽ右出入ハ捨り
　　　　　たるへし右之出入畢竟相対之儀ニ候間
　　　　　御役所ニ而済方申付候節当人与加判人
　　　　　斗江証文申付家主加判ニ不及候事
　　一門前払之儀只今迄之通可申付候右門前払ニ
　　　成候当人重而之住所見届元家主出入相掛り
　　　候ハヽ尤当人身体を限ニ可申付候当家主江ハ
　　　金子申付間敷事

　　一請人欠落又ハ不届有之御仕置ニ成候とも自今
　　　家主致継判候ニ不及主人者奉公人相対ニ可仕候
　　　此外奉公人給金借金等之儀ニ付請人又ハ家主五
　　　人組抔を屋敷方江留置済方申付候事堅無之
　　　筈ニ候受人滞於有之者其主人ゟ御役所江断次
　　　第不埒有之候ハヽ吟味之上急度可申付候事
　　一奉公人出入并諸借金買掛り等之儀本人滞候得者
　　　家主又ハ店請人江近来段々申付候得共右条々　
　　　之通向後相極候事

　　右之趣急度相心得可申旨町中江可触知
　　者也
　　　　亥八月
一八月廿二日去十一日御国表被指出候　梅姫様塔沢江御湯治
　之御願書《割書：九日
日付》御用番井上河内守《割書：正
岑》殿江御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》
　持参指出之
　　　　　口上覚
　　　私妻病身御座候ニ付常々河野松庵湯川寿三
　　　
　　　薬服用仕候為養生湯治可然之旨両人申候
　　　依之相州塔沢江三廻程入湯為仕度奉存候右之趣
　　　得御内意申候間可然様御指図被成可被
　　　下候奉頼候以上
　　　　　八月九日　　　　　　松平伊予守
　　　　　井上河内守様
一八月廿四日御用番井上河内守《割書：正
岑》殿ゟ御呼出御留守居大関
　新五左衛門《割書：直
看》罷出候処一昨日被指出候　梅姫様御湯治之

　御願書ニ御付紙を以御勝手次第御越可被成旨御指図
　有之
一八月廿六日　公儀ゟ御渡之　御朱印於御家老芦田右衛門《割書：賢
詮》
　宅御家老列座寿福院江右衛門相渡之
一同日高森御代官美濃部勘右衛門　殿ゟ光明寺村迄役人被指
　出先達而村替ニ相成候志比境村御引渡可有之旨ニ付御代官
　中村又兵衛　御勝手請込役佐藤善兵衛　下役之者召連罷
　出候処帳面を以御引渡有之且又為代被指上候藤巻村も
　同所ニ而上帳を以相渡之

一八月廿九日右同断之処被指上候村高ゟ御領ニ相成候村高
　不足之分公料御領分ケ郷之上平吹村之内を以御領ニ
　相成候処今日鯖江御代官窪嶋作右衛門　殿ゟ役人被指出御引
　渡ニ付御代官堀庄左衛門　其外御勝手請込等上平吹村江
　罷出候処帳面を以御引渡有之
一九月三日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
一同月六日御書を以例之通御国産初鱈被献之
一同月八日三丸外曲輪并下石垣壱ケ所崩候ニ付御修復
　被成度旨江戸表江御書被指出之

　　但右御願之儀先達而被指出候処絵図面等
　　　公儀御右筆衆御指図之趣も有之ニ付改而被指出之
一九月廿七日朝鮮人来聘ニ付被指出候東郷三郎右衛門《割書：安
貞》酒井
　六郎右衛門《割書：元
監》舞坂ゟ《割書：去十
九日》江戸東本願寺迄首尾能相勤今日
　御屋敷江引取候ニ付右為御届御老中井上河内守《割書：正
岑》殿并
　松平対馬守《割書：近
禎》殿江御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》罷出相達之
一十月二日　梅姫様今度塔沢御湯治之節御関札之儀
　御留守居ゟ御並方相調候処左様之儀無之趣ニ付其段
　申上候処御願も被指出御出之事ニ候得者御懸札有之

　可然旨被　仰出候ニ付御懸札左之通可相認旨御家老ゟ江戸
　表江申遣之
　　　福井少将室　旅宿
　　　福井少将室　昼休

一同日御老中井上河内守《割書：正
岑》殿ゟ御呼出御留守居大関新五左衛門《割書：直
看》
　罷出候処福井三ノ丸塀下石垣御修復御願済之御奉書被相渡之
　　　　　以上
　　　越前国福井城三丸外郭

　　　東方石垣壱箇所崩候付而
　　　築直之事絵図朱引之通
　　　得其意候如元可有修補候
　　　恐々謹言
　　　　享保四亥
　　　　　九月廿九日　　　井上河内守
　　　　　　　　　　　　　　　　正岑書判
　　　　　　　　　　　　　水野和泉守
　　　　　　　　　　　　　　　　忠之書判
　　　　　　　　　　　　　戸田山城守
　　　　　　　　　　　　　　　　忠真書判

　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　　　　　　　　　　　重之書判
　　　　松平伊予守殿

一十月五日岡西光寺持分足羽郡岡保村庵地ニ有之
　隆芳院様　慶寿院様御戒名彫付候御石塔運正寺江
　為御引可被成旨運正寺西光寺江被　仰出之
　　但右庵地ニ有之候子細不詳
一同月十三日朝鮮人登　城御礼相済候為御歓江戸表江

　御使者大御番東新五右衛門《割書：祐
張》被指出之今日福井出立
一十月十九日　梅姫様相州塔沢江為御湯治江戸御発輿被成
　其節対御鑓《割書：二本
》御挟箱《割書：二
》御傘御長刀跡御箱《割書：二
》御薬
　箪司御菓子弁当御長持《割書：二棹
》御茶弁当御水樽御荷
　桶其外御供御先乗御物頭野村市郎左衛門《割書：朝
由》御宿割一人
　御番士御供六人御徒五人主殿御徒弐人御徒目付二人御医師
　三人御広敷御用人壱人乗物十挺女中駕四人御供押宇都宮
　治部左衛門《割書：信
綱》
一同日右同断ニ付為御届御用番水野和泉守《割書：忠
之》殿江御留守居
　
　宮北十郎左衛門《割書：定
由》罷出相達之
一十月廿一日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一同月廿二日　梅姫様塔沢江御着被成
　　但河崎戸塚大磯三御泊
一同月廿五日朝鮮人登　城御礼首尾能相済候為御歓
　被指出候御使者東新五右衛門《割書：祐
張》昨廿四日江戸着御用番久世
　大和守《割書：重
之》殿江罷出御書指出之
　　但右御返書廿七日御渡有之

一十一月三日御用番久世大和守《割書：重
之》殿ゟ御呼出御留守居宮北
　十郎左衛門《割書：定
由》罷出候処打物鍛冶之儀ニ付左之通御書付を以
　被申聞之
　　一領分之内ニ居候打物仕候鍛冶何人程有之
　　　候哉人別ニ名書付可被指出候此内誰々ハ別而打
　　　物能仕候与有之儀付札ニ成共被書付候事
　　一右鍛冶共之内当時打物細工ハはやり用不申
　　　候得共此内誰々ハ家筋にて古来ゟ作之筋目
　　　にて今以打物仕家業相続いたし在之候与申

　　　儀是又付札ニ成共書付可被出候事
　　　　　以上
一十一月四日来子年　御参勤御時節為御伺御使者岡
　半右衛門《割書：矩
睦》江戸表江被指出之今日福井出立
一同月十五日右同断御使者岡半右衛門《割書：矩
睦》江戸着御用番
　戸田山城守《割書：忠
真》殿江罷出御書指出之
一同月十八日　梅姫様去十五日塔沢御立今日常盤橋御屋
　敷江御帰着
一同月廿一日去三日御用番久世大和守《割書：重
之》殿ニ而御国打物鍛

　冶之儀ニ付御書付御渡有之候ニ付打物鍛冶御吟味被
　仰付候処最前被指出候山城下坂播磨之外上総長三郎其
　余ニ家筋之鍛冶無之ニ付長三郎由緒書并古来ゟ
　御国ニ罷在候鍛冶共只今跡絶或ハ他国江罷出又ハ鍛冶
　不仕者共之書付一通江戸表江被指出之
一同日御家中御借米之内御免之儀左之通御書付を以
　被　仰出之
　　　御家中御借米之儀　御苦身ニ被　思召
　　　候得共去々年も被　仰出候通近年御物
　　　
　　　入共之上ニ候故不被任　思召候然共今年悪
　　　作面々難儀可仕儀ニ候間乍少分御借米之
　　　内壱歩通　御免被成候以上
　　　　　十一月廿一日
一十一月廿六日御勘定奉行大久保下野守《割書：忠
位》殿ゟ申来御留守居
　大関新五左衛門《割書：直
看》罷出候処若州青葉山見当之儀ニ付左之通
　御書付被相渡之
　　　越前国丹生郡下海浦ゟ若狭国青葉山者
　　　いつれのかたに当り候哉東西南北筋有

　　　之紙壱枚并丈木壱本遣之候此紙を板江張
　　　付青葉山見へ候処ニ而右紙之上ニ而磁石を
　　　振り其所之南北すへ置扨筋引十文字之
　　　中すみきりもみの所江丈木之墨筋を
　　　当て見当ニ而青葉山を見通し直ニ右之紙ニ
　　　見通しの通り墨引いたし可被差越候
　　　　但青葉山之形を絵書頂上ゟ墨引を引
　　　　　通し手前ニ下海浦与書付可被差出候
　　一右下海浦ゟ青葉山不相見候ハヽ其辺之青
　　
　　　葉山見へ候所より見定右みへ候場所之村に
　　　ても山野ニ而も其名を書付候事
　　　前段之通可被相心得候以上
　　　　　十一月
一十二月二日寒中　御機嫌為御伺御使者海福勘介《割書：■
■》江戸
　表江被指出之御肴一種《割書：鯣
》被献之勘助今日福井出立
一同日於江戸諸借金買懸等之御書付左之通出候趣ニ付
　町奉行郡奉行江も為心得為見置候様御目付荒川助右衛門《割書：■
■》江
　御家老芦田右衛門《割書：賢
詮》申渡之

　　　　　覚
　　一惣而借金銀買掛等之儀人々相対之事ニ候得者
　　　自今ハ右之出入奉行所ニ而取扱無之筈ニ候乍
　　　然欲心を以事を工ミ候出入ハ不届之訳糺明之
　　　上御仕置ニ可申付候間可訴出候事
　　一右之趣ニ候得者只今迄奉行所ニ而取上日切等
　　　申付段々済寄候金銀出入も向後奉行所ニ而者
　　　不申付候間無滞急度返済可申候
　　　右之趣可相心得候事

　　　　　亥十一月
一十二月四日先月三日御用番久世大和守《割書：重
之》殿ゟ御留守居
　御呼出打物鍛冶御尋之儀ニ付御留守居宮北十郎左衛門《割書：定
由》
　左之通書付持参指出之
　　　越前国松平伊予守領内刀鍛冶跡断絶
　　　又者他国江罷出候覚
　　一丹波守兼常
　　　　五十四五年以前跡断絶候
　　一筑後紙兼則

　　　　五十年以前奥州江参候由承及候
　　一大和守正則
　　　　四十年程以前跡致断絶候
　　一河内守儀植
　　　　右同断
　　一伯耆守広高
　　　　右同断
　　一下総守兼正
　　　　四十年程以前江州彦根江罷越候

　　一相模守国綱
　　一忰　和泉守国広
　　　　三十年以前致断絶其忰壱人御座候得共
　　　　鍛冶不仕候
　　一加賀守定広
　　　　二十年以前大坂江罷越候
　　一近江守次広
　　　　二十年以前加州金沢江罷越候
　　一武蔵守兼中

　　　三四年以前相果其跡鍛冶不仕候
　　右都合拾壱人
　　　　　亥十二月

　　　越前国松平伊予守領内罷在候刀鍛冶共
　　　之覚
　　　　　　　　　　　　　　　　下坂
　　　先祖下坂市右衛門与申候右市右衛門儀近江国
　　　下坂与申所ニ鍛冶仕罷在候其後在所へ罷出
　
　　　美濃国関江罷越於彼地刀鍛冶方ニ罷在二三
　　　年修行仕候由其以後京都江参暫罷在越前江
　　　罷越同国一乗包則方ニ罷在一両年修行仕
　　　罷在内一乗没落仕候故福井江罷出住宅仕
　　　越前下坂与申候其砌ハ当伊予守先祖中納言
　　　秀康越前江入部之節御座候由其刻諸国御巡
　　　見之御衆越前江御越之節下坂打御刀を御一
　　　覧之処宜候ニ付而北国御仕廻之節迄ニ大小打
　　　立置候様ニ御申則刀脇指打候而御巡見衆江

　　　進候由其以後受領仕肥後大掾藤原下坂与銘を改
　　　申候扨御巡見之御方江差出候刀脇指江戸表ニ而
　　　御様被成候処大切レ仕候由右之段
　　　権現様達　上聞右市右衛門江戸表江被　召寄
　　　御刀御脇指被　仰付指上候由中納言殿よりも
　　　合力米被申付候其以後右市右衛門江戸表江被
　　　召寄従
　　　権現様　御一字并御紋被下置其節ゟ肥後
　　　大掾藤原康継与銘を打申候則　御紋も其
　　
　　　節ゟ彫付申候由御扶持五十人扶持被下置猶又
　　　江戸表ニ而屋敷も拝領仕上下之御伝馬八疋之
　　　御朱印頂戴仕候由其節中納言殿ゟも知行
　　　弐百石被申付江戸表与越前ニ兼而相勤申候由
　　一台徳院様御代二代目康悦肥後大掾を相止
　　　康継と斗銘打申候様ニ被　仰付候尤江戸表江
　　　も被　召寄候由其後江戸定詰可仕旨被　仰出
　　　依之引越申度旨中納言殿江申達候処下坂
　　　儀者越前に何とそ指置度旨被申ニ付阿倍

　　　四郎五郎様を以市右衛門申候者忰右馬之助儀未
　　　若年御座候故弟四郎右衛門儀　御公用相勤申
　　　候得共此者を越前江差越度旨願申上候得者
　　　松平伊豆守様阿部豊後守様御内意被　仰付候者
　　　右馬之助儀乍若年
　　　権現様御取立鍛冶之儀候間御扶持方相違有
　　　間敷旨被　仰渡則四郎右衛門儀越前江罷越名を
　　　も市左衛門与相改申候先祖市右衛門ゟ当下坂市左衛門迄
　　　五代ニ罷成候　御朱印之儀先年火事之節焼

　　　失仕候由申候

　　　　　　　　　　　　　　　　　　山城
　　　先祖者備前国菊一文字則宗子孫ニ而御座候
　　　則宗ハ
　　　後鳥羽院御宇正月之御番鍛冶ニ而御座候由
　　　一文字并十六葉之菊御紋被下置菊一文字与
　　　号申候由其子助宗駿河国嶋田ニ住居仕候由
　　　其子孫筑後守助宗天正年中ゟ信濃国水
　　　内郡住居仕候由

　　一只今之山城曾祖父始者嶋田彦八与申後吉左衛門与
　　　申候由此者儀　上総介様江被　召出候処浪人仕
　　　其節先伊予守忠昌信州於松代呼出八拾石
　　　十人扶持申付候其以後越前国福井江罷越
　　　候節知行百五拾石是又先伊予守申付候寛永
　　　四年山城大掾与受領仕菊之御紋被下候
　　　宣旨に令所持仕候由其節献上仕候　御太刀之
　　　銘長橋之　御玄関二ノ間奥御座敷ニ而被　仰付
　　　候由其後

　　　大猷院様御上洛之砌板倉周防守様御奉ニ而
　　　従
　　　禁裏御太刀被　仰付之旨先伊予守江被　仰
　　　渡則申付　御太刀作之指上候右之　御太刀
　　　大猷院様江被進候由申候
　　一曾祖父助宗嫡子国清嶋田吉左衛門与申候此者も
　　　鍛冶仕候処部屋住之内病死仕候依之受領不仕候
　　一国清嫡子市左衛門与申始者吉五郎と申候先伊予守
　　　呼出召仕候処病死仕候

　　一右国清二男後吉左衛門国宗与申候此者江助宗
　　　跡知申付候
　　一右吉左衛門国宗者助宗二男ニ而只今之山城祖
　　　父ニ而御座候此国宗者実者助宗娘方之孫ニ而
　　　御座候得共細工器用ニ御座候付助宗二男ニ申付
　　　助宗存生之内ゟ別ニ合力米申付候助宗果候
　　　刻只今之山城九八郎親新兵衛江跡目可申付
　　　旨申候処右新兵衛相願右国宗江跡知申付候
　　　新兵衛ニハ別ニ扶持切米申付候寛文十年受領之

　　　宣旨被成下菊之御紋并一文字　御免被成旨
　　　日野大納言様被仰渡候由
　　一弐拾年以前新兵衛相果只今之山城九八郎江
　　　合力米申付十四年以前京都江罷越山城大掾
　　　之　宣旨頂戴仕跡々之通菊之御紋一文字
　　　御免被成段日野中納言様被仰渡候由細工も器
　　　用ニ御座候而打物大概ニ仕候

　　　　　　　　　　　　　　　　播磨
　　　先祖兼植於濃州関鍛冶仕罷在候得共為修行

　　　　在所を罷出越前国一乗包則方ニ二三年罷
　　　　在候処一乗没落以後福井江罷出住居仕候其以後
　　　　中納言殿福井江被罷越其節ゟ受領仕播磨大掾
　　　　藤原重高与銘を打申候尤合力米申付候兼植
　　　　より只今之播磨迄五代ニ罷成候打物細工大概ニ
　　　　仕候
　　　　　　　　　　　　　　　　上総
　　　一先祖久兵衛与申候此者銘者宗房与打申候刀
　　　　脇指者多ク打不申候右久兵衛儀ハ下坂先祖
　
　　　　肥後守与申者筋目有之肥後守子分ニ仕置
　　　　候様ニ承伝候右久兵衛忰長三郎与申候銘者
　　　　宗次与打申候右長三郎忰も長三郎与申候
　　　　銘者宗次与打申候処受領仕上総守宗道与銘
　　　　打申候只今之上総長三郎為親ニ而御座候以上
　　　　　　亥十二月
　　　　　　上総長三郎銘
　　　　　　　　　　　上総守藤原宗道
　　　　長三郎儀未受領不仕候得共親之受領ヲ

　　　用候而右之通銘切申旨候
　　　　十二月
一十二月五日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：一
番》生鱈被献之
一同月十一日右同断《割書：二
番》生鱈被献之
一同月十四日寒中　御機嫌御伺之御使者海福勘介《割書：定
順》昨
　十三日江戸着御用番井上河内守《割書：正
岑》殿江罷出御書指出之
　　但勘介翌十五日　御城江罷出御献上物相納之
一同月十六日下馬太鼓切手三御門所共ニ只今迄聢与致
　
　し候御定書無之ニ付当夏御家老狛伊勢《割書：澄
孝》御目付堀十兵衛《割書：久
律》江
　申渡前々ゟ之御定書等取集御定書案文出来ニ付
　達　御聞候処左之通三御門所江被　仰出之
　　　　下馬御門　定
　　一御先物頭一人宛昼夜相勤勿論下番之御足
　　　軽等急度申付出入共ニ紛敷者可遂吟味た
　　　とへ御用たりといふ共猥に不可相通之并
　　　於下番所不礼不作法之仕形無之様ニ可申付事

　　一御門之番所に有之御弓五張鉄炮廿挺
　　　御鎗十本其外共ニ念を入可飾置事
　　一御門明六ツ時開暮六ツ時〆可申候但暮六ツ時
　　　より御夜詰過候迄ハ小門斗可開置惣而
　　　御留守之時ハ小門斗開　御在江戸之時ハ暮
　　　六ツ時切ニ小門も〆可申事
　　一乗馬并持鑓等一切不可入之但御門内ニ居屋敷
　　　有之分ハ各別之事
　　一末々之者出入并諸色持出持入候品々
　　
　　　御本丸并二ノ丸之方ハ太鼓御門ニ而相改
　　　御座所之方ハ　御座所之御門ニ而可相改候
　　　然者紛敷儀者一通令吟味可相通之惣而下々
　　　頭巾赤わた帽子かふり通候儀可禁之事
　　　　付
　　　　　駈込者乱心酒狂体之者不可入之放レ馬
　　　　　出入ともに可指押事
　　一他国者ハ不及申　公領他領之者僧俗男女ニか
　　　きらす不可相通　御領分之者と云とも用事
　　　無之者不可入事

　　　

　　　付
　　　　御座所江之使者飛脚等不案内ニ而下馬
　　　　御門迄罷越候ハヽ差押置当番之奏者
　　　　番中江相達可任指図但松岡ゟ之御使者
　　　　同御用之飛脚并為窺　御機嫌侍中
　　　　罷越候儀者可相通之御用屋敷御城代
　　　　屋敷江罷越者者　公領他領者勿論之
　　　　儀松岡より参候とも指押置其屋敷江
　　　　相達内より断次第可相通事
　　一於御城中末々之者并御家中之下々男
　
　　　女ニ至る迄病気又者怪我を致し駕籠乗物ニ
　　　のせ御門出候節者其支配人其主人ゟ断を受目
　　　付中江も断駕籠乗物ニのせ申由ニ候ハヽ其段承
　　　届猶又様子を見可相通事
　　一職人日傭町在々之者参掛り右之品出来候ハヽ
　　　断之趣右ニ准し相改可通事
　　一男女共ニ上下ニかきらす内より出候駕籠乗物
　　　之儀者其所より断を受可相通候然共疑敷相
　　　見得候事有之候ハヽ乗物之内相改可通之事

　　一御城中ニおゐて自然喧嘩口論等不慮之儀
　　　有之其儀ニ付出入之者末々者不及申侍中
　　　といふとも猥に不可相通目付中可任差図事
　　一夜中御門〆り以後御座所江出入之事御用
　　　私用ニかきらす侍中并末々又者に至る迄往
　　　還ともニ御番改直断又ハ差紙を以可相通之或ハ
　　　被為　召或ハ御用ニ付罷出由ニ候とも前広御番
　　　改之断無之におゐてハ御番改江相達断之上
　　　可通之且又　御本丸御座所并七ツ蔵御番人

　　　之宿より急用有之御番所江申達時者其宿
　　　よりの使御門ニ指押置其品御番所江申遣御番
　　　改吟味之上断を以可相通事
　　一惣而御門しまり候てハ断之上入候者も罷出候節ハ
　　　御番改之差紙を取可相通事
　　　　付
　　　　　目付中より断有之分ハ御門〆り以後之
　　　　　出入ニ而も御番改之断ニ不及可通之事
　　一御門〆り以後御家老中御用人御留守居御奏者
　　　番御小姓支配之方鈴木忠右衛門御奉行御目付右之

　　　面々御用ニ付罷通節者出入共ニ御番改之断ニ不及
　　　可相通事
　　　　付
　　　　　右之面々夜中　御本丸御座所江御用
　　　　　ニ付人差越儀有之候ハヽ其品承届御門
　　　　　段々組之者差添可指遣事
　　一御門〆り以後御用屋敷御城代屋敷より出入之
　　　儀御番改之断に不及御用屋敷ハ其支配人御城
　　　代屋敷者其主人之断に可任事
　　一夜明以前御鷹野御川狩等之御供之面々罷

　　　出節御触一時以前ゟ御門可相通事
　　一夜中　御城下出火之節役懸り之面々尤目付
　　　中書付有之者共ハ断承届可相通之此外者
　　　到其節御家老中下知又ハ目付中可任差図
　　　事
　　　　付
　　　　　御家老中御城火消定火消之面々ハ馬
　　　　　印可入之大事之節与いふとも持鎗者不
　　　　　可入事
　　一於御番所火之本念を入於下番所焼火等不

　　　仕様ニ可申付事
　　一御番所之御道具損候節者役方江相達取替
　　　可申事
　　一証拠印別紙書付之通相渡候役人替り候節ハ
　　　目付中江相達証拠印取替可申事
　　右条々可相守之惣而昼夜共ニ相滞品之儀於
　　有之者目付中江相達可任差図者也
　　　　享保四己亥年十二月十六日

　　　　　太鼓御門　定
　　一組頭中之与力昼三人夜両人宛可相勤下番之
　　　御足軽等江申聞出入共ニ紛敷者可遂吟味たとへ
　　　御用たりと云とも猥に不可相通但太鼓御門
　　　御先物頭番所たるによりて下番者御先足軽
　　　可差出之諸事上番之指図にまかせ不礼不
　　　作法之仕形無之様ニ其頭兼々可申付事
　　一御門之番所ニ有之御弓五張鉄炮廿挺御鎗
　　

　

　　　十本其外共ニ念を入可飾置事
　　一御門明ケ六ツ時開暮六ツ時〆可申但御本丸江
　　　被為　成節ハ大御門開之常ハ小門斗可開置事
　　一駕籠乗物等一切不可相通但寺院之内先規より
　　　年頭其外共に　御本丸橋迄乗物にて致登
　　　城分ハ別紙書付之通可通之事
　　一女中ハ駕籠乗物并歩行ニ而罷通候而付々ゟ
　　　断有之ハ往還共ニ可相通其外不可通事
　　一諸事御用ニ付罷通ル末々之御扶持人侍中之

　　　供廻其外共ニ紛敷無之者ハ不及吟味其内軽キ
　　　者ハ其頭其支配之木札判形を改出入共ニ可
　　　相通之　御城中江諸色持入候者其断承届可
　　　通　御城中ゟ諸色持出候ハ其支配其役方より
　　　或ハ断或ハ指紙を以可通之其分別紙書付
　　　之通証拠印可取置之当番之葛籠持等者
　　　面々之名札を以可改之惣而下々頭巾赤わた帽
　　　子木履あしたにて通候儀可禁之事
　　　　付
　　　　　駈込者乱心酒狂体之者不可入之放レ馬

　　　　　出入共ニ可指押事
　　一侍中を初道筋手寄故私用ニ而太鼓御門ゟ切手
　　　御門之間通抜候事致遠慮候得者下々猥ニ通
　　　抜候体之者有之候ハヽ不可通之但　御座所往
　　　還り候儀者各別之事
　　一御武具蔵之御鉄炮御用ニ付出入之儀者役方之
　　　指紙ニ而可通之其外之鉄炮者御城内一切不可
　　　相通但侍中之鉄炮御覧ニ付面々為持出候ハ各
　　　別之事

　　一他国者者不及申　公領他領之者僧俗男女ニか
　　　きらす一切不可相通御領分之者といふとも御用
　　　無之者不可通之此段下馬切手両御門ニ而相
　　　改事ニ候得共若改落シ罷通儀候ハヽ前後江不
　　　及遠慮吟味次第下番之者差添両御番所
　　　之内罷通候方江送り返シ可申事
　　　　付
　　　　　御在江戸之節松岡之御使者七ツ蔵御番
　　　　　所江罷越候儀候ハヽ先達而御番所江相達其
　　　　　上ニ而可通候事

　　一於御城中末々之者并御家中之下々ニ至迄
　　　病気又者怪我を致し駕籠乗物ニのせ御門
　　　出候節者其支配人其主人ゟ断を請目付中
　　　江も断駕籠乗物ニのせ申由ニ候ハヽ其段承
　　　届猶又様子を見可相通事
　　一職人日傭町在々之者参掛り右之品出来候ハヽ
　　　断之趣右ニ准し相改可通事
　　一男女共ニ上下にかきらす内より出候駕籠乗
　　　物之儀者其所より断を請可相通候然共疑敷相

　　　見江候事有之候ハヽ乗物之内相改可通之事
　　一於　御城中自然喧嘩口論等不慮之儀有之
　　　其儀ニ付出入之者末々ハ不及申侍中といふ
　　　とも猥ニ不可相通目付中可任差図事
　　一暮ニ及ひ太鼓御門ゟ切手御門江罷通候者其内
　　　両方之御門〆り立込になり候ハヽ其趣承届不
　　　案内迄之儀ニ候ハヽ其入候方之御門より早速可
　　　出之紛敷儀も候ハヽ留置目付中江可相達事
　　一夜中御門〆り以後御用私用ニ不限侍中并末々

　　　又者ニ至迄往還ともニ御番改直断又ハ指紙を以
　　　可相通中支切御門江ハ御足軽指添可申送事
　　一夜中御鷹野ニ御出被遊ニ付御馬御用之者前々之
　　　通可相通候　御座所御馬屋江夜飼料持参候者
　　　是又前々之通可相通候若無拠御用御馬屋より
　　　申来候節者　御座所当番奏者番中江相伺可
　　　任差図事
　　一御門〆り以後　御本丸并七ツ蔵御番人之宿ゟ
　　　急用有之御番所江申達候時者其品下馬御門
　
　　　より可相伝間其趣御番所江申遣御番改吟味
　　　之上断を以可相通事
　　一惣而御門〆り候てハ断之上入候者も罷出候節ハ
　　　御番改之差紙を取可相通事
　　　　付
　　　　　目付中ゟ断有之分ハ御門〆以後之出入
　　　　　にても御番改之断ニ不及可通之事
　　一御門〆以後御家老中御城代御用人御留守居
　　　御奏者番御小姓支配之方鈴木忠右衛門御奉行
　　　御目付右之面々御用ニ付罷通節ハ出入共ニ

　　　御番改之断ニ不及可相通事
　　　付
　　　　右之面々夜中　御本丸江御用ニ付人指
　　　　越儀有之候ハヽ其品承届御門段々組
　　　　之者差添可指遣事
　　一夜中前後之御門番所ゟ御用之儀申来候ハヽ
　　　御足軽を以段々可申送　御座所江相達ル品有
　　　之時者奏者番中又ハ御番改江是又御足軽を以
　　　可申遣事
　　一御在江戸　御留守之節御番人之外役所江罷出
　　　
　　　侍中并役人別紙書付差出候番人不見知時者
　　　仮名を可相尋事
　　一御城下出火之節昼夜共ニ別紙書付之通可相
　　　通之此外者至其節御家老中下知又ハ目付中
　　　可任差図事
　　　　付
　　　　　御家老中御城代御城火消定火消之
　　　　　面々ハ馬印可入之火事之節与いふとも
　　　　　持鎗者不可入事
　　　一御番所之御道具損候節者役方江相達取替

　　　可申事
　　一証拠印別紙書付之通相渡候役人替り候節ハ
　　　目付中江相達証拠印取替可申事
　　右条々可相守之惣而昼夜共ニ相滞品之儀於
　　有之者目付中江相達可任差図者也
　　　　享保四己亥年十二月十六日

　　　切手御門　定
　　一本番御留守物頭加番御先物頭右之内一人宛昼
　
　　　夜相勤勿論下番之御足軽等江急度申付出入
　　　共ニ紛敷者可遂吟味たとへ御用たりといふとも
　　　猥に不可相通之并於下番所不礼不作法之仕
　　　形無之様ニ可申付事
　　一御門之番所に在之御弓五張御鉄炮十挺御鎗五
　　　本其外共ニ念を入可飾置事
　　一御門明六ツ時開暮六ツ時〆可申候但出仕之日者
　　　大御門開常者小門斗開置事
　　一乗馬駕籠乗物并持鑓等一切不可入之事

　　一女中者駕籠乗物并歩行ニ而罷通候も付々より
　　　断有之ハ往還ともニ可相通其外者不可通事
　　一諸事御用ニ付罷通末々之御扶持人侍中之供
　　　廻其外共ニ紛敷無之ハ不及吟味其内軽キ者ハ
　　　其頭其支配之木札判形を改出入共ニ可相通之
　　　御城中江諸色持入候者其断承届可通御城中ゟ
　　　諸色持出候者其支配其役方より或ハ断或者指
　　　紙を以可通之証拠印可取置之当番之葛籠
　　　持等者面々之名札を以可改之惣而下々頭巾
　　
　　　赤わた帽子木履あしたにて通候儀可禁之
　　　事
　　　　付
　　　　　駈込者乱心酒狂体之者不可入之放レ馬
　　　　　出入共ニ可指押事
　　一侍中を初道筋手寄故私用ニ而切手御門ゟ太
　　　鼓御門之間通抜候事致遠慮候得者下々猥ニ通
　　　抜候体之者有之候ハヽ不可通之但　御座所往
　　　還り之儀ハ各別之事
　　一御武具蔵之御鉄炮御用ニ付出入之儀者役方之

　　　指紙ニ而可通之其外之鉄炮ハ御城内一切不可
　　　相通之但侍中鉄炮御覧ニ付面々為持出候ハ各別
　　　之事
　　一他国者者不及申　公領他領之者僧俗男女ニか
　　　きらす一切不可相通御領分之者といふとも御用
　　　無之者不可通事　　
　　　　付
　　　　　松岡之御使者同御用之飛脚等若不案
　　　　　内ニ而罷越候とも下馬御門江相廻り候様ニ
　　　　　可申達事

　　一於御城中末々之者并御家中之下々ニ至迄
　　　病気等ニ付駕籠乗物にのせ御門を出し候節
　　　者其支配人其主人より断之上目付中江断有之
　　　候哉之儀承届様子相改可通之職人日傭町
　　　在々之者参掛り急病又ハ怪我を致し歩行
　　　ニ而難出ニ付目付中江も断駕籠乗物にのせ
　　　申由ニ候ハヽ其段承届猶又様子を見可相通
　　　事
　　一男女共に上下にかきらす内より出候駕籠

　　　乗物之儀ハ其所ゟ断を請可相通候然共疑敷相
　　　見江候事在之候ハヽ乗物之内相改可通之事
　　一於御城中自然喧嘩口論等不慮之儀有之其
　　　儀ニ付出入之者末々ハ不及申侍中といふとも
　　　猥に不可相通目付中可任差図事
　　一暮に及切手御門より太鼓御門江罷通候者其
　　　内両方之御門しまり立込ニ成候ハヽ其趣承届
　　　不案内迄之儀ニ候ハヽ其入候方之御門より早速
　　　可出之紛敷儀も有之ハ留置目付中江可相達事

　　一夜中切手御門之出入ハ大概無之候得共自然
　　　御用私用ニ不限侍中并末々又者ニ至迄往還
　　　之儀有之候ハヽ目付中又ハ御番改直断又者
　　　指紙を以可相通事
　　　　付
　　　　　夜中太鼓御門江申送候品又ハ御座所江
　　　　　相達儀有之奏者番中并御番改等江申
　　　　　遣節者御足軽を以中支切御門番迄申
　　　　　越段々可申送事
　　一御在江戸　御留守之節切手御門ハ惣而昼夜

　　　ともに出入一切相止但御玉蔵之番人并二ノ丸
　　　御花畑役人同支配之者ハ如法相改可相通其
　　　外不時之御用役人之差紙有之候而も目付中
　　　奥書無之候而ハ不可通事
　　一目付中御用ニ而罷通儀者　御在国又ハ　御留守
　　　之節ともに昼夜ニ不限可相通事
　　一御城下出火之節昼夜共ニ別紙書付之通可相
　　　通之此外ハ至其節御家老中下知又ハ目付中
　　　可任差図事

　　　　付
　　　　　御家老中御城代御城火消定火消之
　　　　　面々ハ馬印可入之火事之節といふとも
　　　　　持鎗ハ不可入事
　　一御馬屋江在々より飼料并御馬屋古稾等為
　　　掃除罷通人馬ハ其品御門ニ而相断可通候帰
　　　候節ハ御馬屋より人指添御門番所ニ而相断通
　　　可申事
　　一御番所之御道具損候節者役方江相達取替
　　　可申事　

　　一証拠印別紙書付之通相渡候役人替り候節ハ
　　　目付中江相達証拠印取替可申事
　　右条々可相守之惣而昼夜共ニ相滞品之儀
　　於有之者目付中江相達可任差図者也
　　　　享保四己亥年十二月十六日

一右御門々御定書被　仰出候ニ付御目付江左之通
　御家老相渡之
　　　　　覚書之留

　　　今度御門御定書被　仰出候ニ付向後
　　　御本丸　御座所并七ツ蔵御番人之宿ゟ
　　　御門〆り以後急用有之御門迄人指越候
　　　節者其使御門に指押置其品御番所江可相
　　　達候条用事之訳書付当人判形仕御番改江
　　　可指出候其書付を取猶又遂吟味御門相
　　　通候様御番改ゟ御門江相断右之使可相通候
　　　事
　　右覚書を以御番頭并御番改江申達置候様

　　　御目付月番荒川助右衛門江相渡之
一十二月廿一日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖
　被献之　

【裏表紙】

家譜

【表紙】
【題箋】
《題：家譜《割書：忠直公》《割書：従文禄四年｜到慶安四年》　二》

　　　　　　　忠直様　従文禄四年乙未
　　　　　　　　　　　至慶安四年辛卯

　　　越前守
　　　　忠直様

文禄四年乙未
一六月十日於下総国結城郡結城　御誕生《割書：御本卦坤
御性金》
　奉称
　国丸様《割書：後長吉与
御改》
　秀康様御嫡男御母中川氏《割書：称岡山殿後薙髪号清涼院殿
備前国人真嶋出雲守一元女》

　《割書：至一元子出雲守
一茂賜氏中川》


慶長六年辛丑
一八月
　秀康様越前江　御入国ニ付
　国丸様下総国結城ゟ越前北庄江御引移被成

秀忠様御代
　慶長十年乙巳
　一四月《割書：日不
詳》
　　長吉様《割書：御改名
月日不詳》　初而江戸江御参府高木大膳
　　《割書：老臣豊前守
子》御供

慶長十一年丙午
一三月三日
　長吉様於
　秀忠様御前御元服被叙任従四位下右近衛少将兼
　参河守《割書：御年
十二》御諱字御拝領被称忠直其節御腰物
　《割書：来国
次》御拝領
　　宣旨
　　　　従四位下源朝臣忠直

　　権中納言従三位藤原朝臣頼宣
　　宣奉　勅件人宣令任右近衛権少将者
　　　慶長十一年三月三日掃部頭兼大外記造酒助教　正河内権守中原朝臣師生奉


慶長十二年丁未
一閏四月八日
　秀康様御逝去《割書：御法号
孝贒寺様》天女山孝贒寺江　御葬送
　有之右之趣
　神君被　聞召浄土宗江可致改葬旨依　台命於北庄
　浄土宗一宇御建立有之則号森厳山浄光院
　運正寺
一同月廿七日於江戸表　御遺領無御相違被　仰出

一同日江戸表　御発駕東海道　御旅行五月十日北庄江
　御帰着《割書：此時参州大樹寺之
乗誉被　召連》
一五月十一日先達而
　神君上意茂有之ニ付今日浄光院江　御改葬
　《割書：御法号
浄光院様》智恩院満誉僧正御導師ニ而右之御式
　被為行
一月日為　御家督之御礼　御参府
　両御所様江　御目見御礼被　仰上被　召連候御家来
　本多伊豆守《割書：富
正》　御目見被　仰付《割書：此余御目見被　仰付候御家来
有之候得共姓名不詳》

　其節
　両御所様御座近く伊豆守を被為　召越前者大国殊ニ
　肝要之地ニ候処
　忠直様御若年ニ而　御家督被　仰付候事ニ候得者御仕置等
　可入念旨且又御年十六七ニ茂被為　成候ハヽ　姫君様を御縁組
　可被　仰出旨　上意有之
一十一月《割書：日不
詳》　虎松様駿府江御出
　神君江　御目見被　仰上直ニ江戸江御越
　秀忠様江　御目見其節上総国姉ケ崎《割書：一万
石》御拝領

一十一月廿七日依　台命五郎八様結城之御家系を被為
　継被称結城五郎八《割書：後被称
松平》晴朝様御側ニ而　御成長被成
　《割書：御賄料五千石
御受継被成》
一十二月廿八日右同断ニ付　五郎八様江戸表江御名代
　を以御礼被　仰上
　両御所様江御献上物有之
一此年於山手御屋敷御拝領本多伊豆守《割書：冨
正》江茂於浅草
　屋敷拝領被　仰付
　月日未詳吉松様本多伊豆守養子□府中城ニ御移


慶長十三戊申
一此年《割書：月日
不詳》御帰国
一六月十六日　喜佐姫様
　秀忠様御養女ニ被　仰出今日北庄御発輿江戸江　御出府
一七月十七日　喜佐姫様毛利藤七郎《割書：秀
就》殿江《割書：周防長門両国之主
後松平長門守与被称》　
　御縁組被　仰出今日　御城ゟ御入輿《割書：慶長十五年
御■■【婚姻？】》御供
　御老中酒井雅楽頭《割書：忠
世》殿土井大炊頭《割書：利
勝》殿
一同月十八日今度駿府　御城御普請御成就

　神君御移徒ニ付為御祝儀御国許ゟ御使者を以御脇指《割書：国
安》
　白銀《割書：二百
枚》綿《割書：五百
把》被献之御奏者番青山民部少輔殿披露



慶長十四年己酉
一正月三日本多吉松《割書：秀康様
御四男》於府中死去《割書：六
歳》葬同所
　正覚寺法号超岳院月照光雲大童子
一三月四日大野郡大野城《割書：元土屋左馬助《割書：昌
春》居城
之処殉死後没収》小栗五郎左衛門《割書：正重
》
　《割書：後備
後守》江御預被成
一五月五日　長光丸様御実母津田氏《割書：於奈和
之方》於北庄
　三ツ橋《割書：父左衛門《割書：信
益》
宅》死去葬同所法興寺《割書：法名
長寿院》

慶長十六年辛亥
一三月廿日本多伊豆守《割書：富
正》叙爵　被仰付今日於京都
　従五位下之口　宣頂戴有之
一同月廿二日徳川家御先祖新田大炊助義重朝臣江
　従四位下鎮守府将軍
　神君御父三河守広忠卿江正二位権大納言御贈
　官位有之
一同月廿三日御贈官為御拝謝

　神君御参　内天酌御頂戴其節尾張宰相《割書：義
直》様
　遠江宰相《割書：頼
宣》様
　忠直様ニ茂御参　内御同様天酌御頂戴有之勧修寺
　権大納言光豊卿被扶持之
　　　　但　御上京并御帰国之月日不詳
一四月十二日
　禁裡《割書：御諱
政仁》御即位《割書：去月廿七日
御受禅》
一同月《割書：日不
詳》国松丸様　五郎八様北庄ゟ御上京二條
　御城江御登城
　神君江初而　御目見被　仰上
　　　　但　五郎八様御馬一疋御拝領有之　国松丸様御拝領物之儀
　　　　　　不詳
一九月五日　勝姫君様《割書：秀忠様
御女》北庄江為　御入輿江戸
　御発輿御老中土井大炊頭《割書：利
勝》殿秋元但馬守《割書：泰
朝》殿大御番頭
　渡辺山城守《割書：吉
綱》殿并近藤登之助《割書：秀
用》殿都築弥左衛門《割書：為
政》殿御附
　長谷川筑後守《割書：正
成》殿等御供被　仰付
一同月十一日　勝姫君様駿府江　御立寄
　神君江　御対顔同十八日同所ゟ越前江　御発輿

一九月廿八日　勝姫君様府中本多伊豆守《割書：富
正》館江被為
　入御鉄醬初御祝儀有之《割書：伊豆守妻
御筆差上之》夫ゟ北庄江　御入輿於
　御城御婚姻御整被成



慶長十七年壬子
一正月朔日駿府江御使者を以年始御祝詞被　仰上候処
　右御使者
　神君御目見被　仰付本多上野介《割書：正
純》殿披露之
一同月十五日東国及北国之諸大名ニ盟書指上候様去ル
　五日被　仰出候ニ付左之通御誓書被差上之
　　　　　　　　　條々
　　　　一去年四月十二日前右府様如被　仰出任
　　　　　

　　　　　右大将家以来代々将軍家法式被考損益而
　　　　　重而於被出御目録者弥堅可守其旨事
　　　　一背御法度違　上意輩各国々不可隠置事
　　　　一各抱置之諸侍中若為叛逆殺害之由於有
　　　　　其届者互不可相抱事
　　　　右條々若於相背者被遂御糺明忽可被処
　　　　厳科者也
　　　　　慶長十七年
　　　　　　正月十五日　　　　　津軽越中守
　　　　　　　　　　　　　　　　南部信濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　安房侍従
　　　　　　　　　　　　　　　　最上侍従
　　　　　　　　　　　　　　　　会津侍従
　　　　　　　　　　　　　　　　秋田侍従
　　　　　　　　　　　　　　　　立花侍従
　　　　　　　　　　　　　　　　大崎侍従
　　　　　　　　　　　　　　　　越前少将
　　　　　　　　　　　　　　　　米澤中納言
一十月廿日先達而久世但馬与《割書：禄壱
万石》岡部自休与《割書：禄千七
百石》　　　

　給知百姓之儀ニ付及争論《割書：但馬給知之百姓妻女残置為稼他国江
罷越候節三年不帰候ハヽ可致再嫁旨》
　《割書：約定之処其期茂過不帰ニ付自休給知石森村之百姓江致再嫁候後先夫
罷帰及異論候処先夫を殺者有之後夫之仕業歟と疑候内又後之夫婦を》
　《割書：焼殺す者有之候を但馬家来之仕業
成由ニ自休及聞但馬江解死人を求》ニ付竹嶋周防　牧野主殿《割書：易
貞》等
　内済取計候得共自休益申募候処今村掃部《割書：之
信》清水
　丹後《割書：孝
正》林伊賀《割書：定
正》等自休ニ致荷担周防取計方但馬
　贔屓之旨申立両刀を奪御櫓江押込置但馬を致讒訴
　候処但馬儀不届ニ被　思召ニ付一人罷出切腹可仕旨　御使本多
　伊豆守《割書：富
正》を以《割書：掃部等兼而伊豆守を妬此折柄但馬之手を假
可殺与之底意ニ而此御使を被命候様取計之》被　仰付候処
　但馬御請不申上我一人可致切腹段不存寄旨書認掃部

　丹後両人江相伝度旨ニ而伊豆守江相渡其節但馬忰半兵衛　并
　家来共伊豆守を可討果様子ニ相見へ候得者但馬堅制留
　我等死後ニ可致申開者者彼人也と申ニ付伊豆守無難ニ
　門前迄引取候処江亦復　御使石川佐左衛門　大井田監物《割書：房
仲》
　両人を以但馬儀直ニ可攻取旨伊豆守江　御下知有之多賀谷
　左近茂被指向伊豆守与一同ニ攻入候処但馬暫相働屋敷江
　火を放候而父子共自殺　
一十月廿一日由木西安　《割書：初
左衛門》上田隼人　久世但馬　ニ與シ候段
　不届ニ被　思召ニ付為討手青木芳斎　《割書：本名
新兵衛》永井善左衛門《割書：安
盛》

　給知百姓之儀ニ付及争論《割書：但馬給知之百姓妻女残置稼他国江
罷越候節三年不帰候ハヽ可致再嫁旨》
　《割書：約定之処其期茂過不帰ニ付自休給知石森村之百姓江致再嫁候後先夫
罷帰及異論候処先夫を殺者有之後夫之仕業歟と疑候内又後之夫姉を》
　《割書：焼殺す者有之候を但馬家来之仕業
成由ニ自休及聞但馬江解死人を求》ニ付竹嶋周防　牧野主殿《割書：易
貞》等
　内済取計候得共自休益新申募候処今村掃部《割書：之
信》清水
　丹後《割書：孝
正》林伊賀《割書：定
正》等自休ニ致荷担周防取計方但馬
　贔屓之旨申立両刀を奪御櫓江押込置但馬を致讒訴
　候処但馬儀不届ニ被　思召ニ付一人罷出切腹可仕旨　御使本多
　伊豆守《割書：冨
正》を以《割書：掃部等兼而伊豆守を妬此折柄但馬之手を假
可殺与之底意ニ而此御使を被命候様取計之》被　仰付候処
　但馬御請不申上我一人可致切腹段不存寄旨書認掃部

　丹後両人江相伝度旨ニ而伊豆守江相渡其節但馬忰半兵衛　并
　家来共伊豆守を可討果様子ニ相見へ候得者但馬堅制留
　我等死後ニ可致申開者者彼人也と申ニ付伊豆守無難ニ
　門前迄引取候処江亦復　御使石川佐左衛門　大井田監物《割書：房
仲》
　両人を以但馬儀直ニ可攻取旨伊豆守江　御下知有之多賀谷
　左近茂被指向伊豆守与一同ニ攻入候処但馬暫相働屋敷江
　火を放候而父子共自殺
一十月廿一日由木西安　《割書：初
左衛門》上田隼人　久世但馬　ニ與シ候段
　不届ニ被　思召ニ付為討手青木芳斎　《割書：本名
新兵衛》永井善左衛門《割書：安
盛》

　両人西安方江被指向此時隼人茂西安方ニ罷在候ニ付両人共
　一所ニ自殺
一月日右騒動之儀ニ付双方共為御聞糺本多伊豆守《割書：富
正》
　竹嶋周防　并今村掃部《割書：之
信》清水丹後《割書：孝
正》林伊賀《割書：定
正》等
　御呼出之旨江戸表ゟ申来《割書：掃部丹後伊賀之御指図
無之内先達而駿府江罷越》
　　　　　但此以前　虎之助様於江戸右騒動　御聞被成無御心許
　　　　　　被　思召北庄江御越被成度御願被成候処
　　　　　　神君被　聞召追而双方共御呼出御糺断可有之間
　　　　　　御若年之儀候得者御止り被成候様被　仰出

一閏十月十八日右同断ニ付本多伊豆守《割書：富
正》竹嶋周防　両人
　江戸表江到着
一同月廿七日先達而本多伊豆守《割書：富
正》竹嶋周防　を為讒訴
　今村掃部《割書：之
信》清水丹後《割書：孝
正》林伊賀《割書：定
正》駿府江罷出其砌
　神君江戸表江　御下向ニ付掃部等直ニ江戸表江罷出候処
　神君忍辺江　御鷹野被為　成候ニ付其御先江罷越致
　訴訟候ニ付伊豆守周防茂江戸表ゟ被為　召今日於忍
　御止宿土井大炊頭《割書：利
勝》殿を以双方之訴訟被為糺右取調之趣
　達　御聴候処追而

　秀忠様与御一所ニ御聴可被成旨被　仰出
一十一月廿七日本多伊豆守《割書：冨
正》竹嶋周防　并今村掃部《割書：之
信》
　清水丹後《割書：孝
正》林伊賀《割書：定
正》等西丸江御呼出於
　神君　秀忠様御前双方訴訟之趣　御糺断有之
　
　　伊豆守訴訟書
　　　急度申入候夜前久世但馬守御奉行中江之御返札
　　　披見申候然者右ニ百姓一札上申候付但馬守所江彼者
　　　御預可被成与掃部殿与被入御念大瀬長右衛門を以
　　　貴様へ御断被成候処ニ貴様百姓等証拠分明之由
　　　
　　　被　仰聞御届無之候左ニ候得者彼者悪名之者
　　　貴様より御出し可有之歟兎角御奉行□
　　　貴様を御相手ニ仕候上与脇ニてさはき手有間敷候
　　　今日　殿様御前ニ而　御直之唀に可致候
　　　但馬守方之儀者江口朝日丹波抔引別も御座候間
　　　不申及候訴人を起請ニ而御遁被成候衆何茂
　　　御触可被成候御相手ニ可罷成候恐惶謹言
　　　　八月廿七日　　　岡部自休判
　　　　本多伊豆守様　参
　

　　　ケ様ニ自休方より我等方へ書状を差越申候
　　　拙子申候ハ百姓一札を上申刻掃部方より
　　　大瀬長右衛門与申者を使ニ差越申候間頓而参
　　　請合可申与口上之返事申遣候翌日広沢兵庫
　　　致同道掃部所江参候而相談申候得者書付之
　　　躰迄ニ而ハ如何ニ候間弥百姓之口を〆相尋其上ニ而　
　　　但馬守方へ可申遣由ニ候間掃部兵庫拙子三人之方ゟ
　　　尋之触使仕候矢野伝左衛門与申者之方へ石森村之
　　　百姓共出し候得と申遣候得者百姓共ハ在所へ
　
　　　罷帰候由伝左衛門方より返事申ニ付打過申処ニ
　　　拙子一人油断之様ニ自休申候儀さりとてハ
　　　不及分別申候処ニ中川出雲守今村掃部助方
　　　より自休但馬出入請合可申候間拙子ニも可罷出候由
　　　申候得共拙子を相手と指候儀自休取持為云
　　　申与存候而不罷出候事九月六日に岡部自休
　　　直ニ目安を指上御唀を待兼同十一日ニ自休
　　　北庄を罷出下り申処ニ林伊賀守跡より追駈
　　　江州小谷ニ而追付濃州大垣ニ同十七日迄逗留　　

　　　可仕之由申合候由ニ而伊賀守者罷帰中川出雲守
　　　今村掃部清水丹後守両三人使として門奈
　　　左近右衛門朝夷文右衛門指越大垣より自休を返し
　　　申候ケ様ニ致上者自休一人之覚悟とハ不存候
　　　其意趣者　少将殿一廉之唀をも相待不申
　　　むさと罷出候儀御為を存る年寄共ニ候者
　　　御国之内をハ出申間敷候処ニ自休を取持又候哉
　　　十月十三日自休を下し申而已ならす御使番
　　　稲垣伊右衛門ニ路銭迄為取候而自休ニ相添下し
　
　　　申候者　少将殿御為を存る年寄共ニ而者
　　　無御座候て　十月十七日ニ竹嶋周防守御城ニ
　　　被召籠夫より御城御門々之御番増し掃部
　　　丹後両人手形ニ而御城之出入させ申事十月
　　　十二日之夜より掃部手前之侍共を丸岡より
　　　五騎十騎宛夜々忍ニ自分屋敷へ召寄其上
　　　十七日より多賀谷左近永見右衛門老を掃部
　　　屋敷へ番ニ入申候出雲掃部抔者御城内清水
　　　丹後所ニ昼夜共ニ罷在由廿日ニ但馬御成敗

　　　之時も多賀谷左近老永見右衛門老掃部屋敷ニ而
　　　鎧はせ拙者罷出候跡ニ而人数を出し申候於北庄
　　　掃部屋敷と伊豆屋敷と垣一重ニ而御座候処ニ
　　　余多之人数を取籠置伊豆身を引申様ニ仕□
　　　候得共於手前毛頭誤り無御座ニ付少茂動転
　　　不仕候事十七日未刻ニ福岡伊織森川内蔵允
　　　為御使但馬守を伊豆守に御預被成候由ニ候間
　　　拙者申上候者息子半兵衛茂加賀より罷越居申候間
　　　誰ニ而も御目付を被下候様ニと御使衆へ申候得者
　
　　　重而伊豆一人ニ御預被成之旨御使ニ候間御請仕り
　　　其上ニ而府中ゟ侍共召寄但馬守番ニ付置申候事
　　　同十九日年寄共ゟ伊豆守方へ小栗備後守大町
　　　靱負両人を以今度四人之訴人申様ニも於伊豆者
　　　何共申分無之候間気遣なく御城江罷出■
　　　此公事出入談合仕候へ若気遣ニ存候者両三人
　　　誓紙を以て可申由申越候得共我等返事ニ者
　　　於手前毛頭気遣可致儀無之候間各誓紙ニも
　　　及不申候兎角今度自休但馬出入之儀最前ゟ

　　　如申候我等不届之様ニ自休申掛候間不罷出候
　　　其上訴人罷出候上者彼訴人口次第ニ可有御座間
　　　今更罷出候儀ニ及不申候但別ニ御用候者可罷出と
　　　返事申候重而年寄共御為を存る伊豆ニ而候間
　　　罷出但馬自休出入談合最之由被申越候ニ付而
　　　御為ニ而御座候者可罷出候与返事仕候得者又右之
　　　使を以御城へ罷出事但馬心ゆるす間敷候間罷出
　　　候儀無用之由被申越候間任其意不罷出候事
　　　同廿日年寄共方より林久助岡部治部両人
　
　　　使として拙子ニ但馬所へ参り彼訴人之書付
　　　申口を但馬ニ申聞せ但馬一人罷出切腹仕候様之
　　　才覚可致由申越候早其砌ニ罷成拙子参候事
　　　一段迷惑仕候誠ニ事を巧拙者相果申様ニと
　　　仕掛候得共　少将殿御為と存不及是非彼
　　　訴人之書物致持参但馬ニ相見せ一々申渡候
　　　但馬一人切腹仕候様ニと種々申候得共但馬
　　　申分者一往之御対決も無之訴人之片口斗ニ而
　　　如斯被　仰付候間罷出切腹ハ　御城ニ罷在

　　　年寄共覚悟として拙子を挟み出し足軽同前ニ
　　　申付候段外聞実儀共ニ迷惑仕候与申上領掌
　　　不仕候事同廿一日由木西安上田隼人を各へ被　仰付
　　　御成敗被成候事右之趣被遂御穿鑿可然様ニ
　　　被　仰付可被下候拙子儀ハ余人ニ相替り於何事ニ茂
　　　少将殿御為之儀おろそかに不存奉仰候其意趣ハ
　　　中納言殿御取立之故を以　少将殿御代ニも
　　　両御所様別而被為加御不便■【恙？】御諚を奉請重畳之
　　　御取立者之儀ニ御座候条年寄共妬如斯
　
　　　仕懸候仕合外分実儀迷惑仕候御為ニ対毛頭
　　　御奉公弓断無御座候故前々ニも少も不相替今以
　　　少将殿御懇ニ御座候右之条々被為聞食分被下
　　　候様ニ宜御披露所仰候仍如件
　　　　霜月　　　　　　　　本多伊豆守
　　　　御奉行中
右之通伊豆守訴状差上候ニ付御聞糺被遊候処掃部可致申開
《割書：中川出雲守妻内縁之故を以訴状之条々
清涼院様ゟ御内通ニ而掃部等兼而承知之由》伊豆守黙居候処右之外
可申上儀無之哉と本多佐渡守《割書：正
信》殿御尋ニ付伊豆守別ニ

三ケ条巾着ゟ取出指出之
　　　　　富正自巾着出三ケ条
　　　一臣在所府中者往来繁多常有費多此故
　　　　秀康卿賜三千石之賄領丸岡者辺土故如右
　　　　無費先々以来不賜賄領然近年欺幼君以
　　　　私領三千石事
　　
　　　一此度但馬御成敗之刻以若輩多賀谷左近を
　　　　臣か後備とし剰以鉄炮令打臣之備廿四歳
　　　　忰不出父子上天守見物仕事

　　　一臣賜高禄為一老■御奉書以臣在座上然処
　　　　不憚　公儀御奉書御請并制札其外連判之書
　　　　掃部一老以臣為二老且又先代深悪有者追放
　　　　之族於我類葉勿論懇意之輩皆々退返■■
　　　　調略之事
右之ケ条
神君御覧被遊掃部ニ御尋被遊候処御請不分明ニ付
若年成少将ニ而有之ニ歴々罷在何として如件騒動ニ為
及候哉与被　仰候得者掃部申候ハ御幼少とハ申なから　

　早十七ニ御成他ニ実ニ御発明ニ付万事　御直ニ被　仰付候故
　我々共少もいろい申儀不罷成候ニ付如此ニ成もて行候と
　申上候ヘハ
　神君愈　御気ニ違ひ少将未若年なれハ何之訳を
　存すへしや第一伊豆を但馬方へ遣候事古於鎌倉　
　梶原が土佐を京都堀川へ指遣ける謀略同事大臆病
　不忠者可追立旨被　仰出
一十一月廿八日今村掃部《割書：之
信》等御裁許相済夫々へ配流被
　仰付掃部者奥州岩城鳥居左京亮《割書：忠
政》殿江清水丹後《割書：孝
正》者

　同国中村相馬大膳大夫《割書：利
胤》殿江林伊賀《割書：定
正》者出羽山形最上
　出羽守《割書：義
光》殿江御預岡部自休　者死罪被　仰付本多伊豆守《割書：富
正》ハ
　申状相立向後益忠勤を竭シ国政を可執旨竹嶋周防　茂
　忠志厚を以如元政事を可議旨被　仰付《割書：此後周防江戸表出立之処
最前両刀を被奪候を恥》
　《割書：於駿州鞠子
駅自殺》
一十二月十二日来春
　禁裏　仙洞御造営有之ニ付諸大名江於手伝被仰出右之内
　仙洞御所東ノ方御築地御手伝被蒙　仰

慶長十八年癸丑
一正月朔日駿府江御使者を以年始御祝詞被　仰上
　右御使者
　神君御目見被　仰付大沢兵部大輔《割書：基
宿》殿披露之
一四月《割書：日不
詳》越前国御仕置為御用従江戸土井大炊頭《割書：利
勝》殿
　北庄江参着
一月　日今村掃部《割書：之
信》徒党之者中川出雲《割書：一
茂》広沢兵庫
　落合美作　配流《割書：出雲ハ信濃国美作ハ
紀伊国兵庫ハ所不知》谷伯耆　改易被　仰付

一五月十九日於駿府本多伊豆守《割書：冨
正》江越前国江罷帰
　国中仕置等可申付旨之　御判物
　神君ゟ被下置御暇被　仰出
一六月四日御旗本本多丹下《割書：成重　作左衛門殿嫡子
　　　初仙千代》上意を以
　忠直様江御附属被　仰付禄四万石被下今村掃部《割書：之
信》跡　
　坂井郡丸岡城ニ被差置
一月日清水丹後《割書：孝
正》林伊賀《割書：定
正》遠流之跡敦賀郡敦賀《割書：丹後
在所》
　大野郡勝山《割書：伊賀
在所》為守衛瓦御門番被遣《割書：以後年々
交代》



慶長十九年甲寅
一四月六日駿府江　御参着同八日御登　城
　神君江　御目見被　仰上白銀《割書：二百
枚》綿《割書：三百
把》御献上畢而
　本多丹下《割書：成
重》本多伊豆守《割書：冨
正》　御目見被　仰付御若年之
　御事ニ候得者両人御後見可致旨　上意有之
一七月廿日　晴朝様於北庄漆御門向御屋敷御逝去《割書：御年
八十一》
　天女山孝顕寺江御葬送御法号
　泰陽院殿宗静孝善大居士

一十月朔日豊臣秀頼諸浪人を集大坂表騒乱ニ付
　神君　秀忠様御出馬之段被　仰出
一同月三日右同断ニ付
　神君近々　御出馬ニ付
　忠直様ニ茂御人数被　召連　御出馬被成候様於駿府
　上使を以被蒙　仰
一同月六日右同断ニ付駿府ゟ
　忠直様御直書を以本多丹下《割書：成
重》本多伊豆守《割書：冨
正》江御人数引纒
　江州坂本辺迄致出張　御着陣を可奉待旨被　仰付
　
一同月八日右同断ニ付御備組之儀本多伊豆守《割書：富
正》ゟ左之通
　相達之
　　　　　　御備組
　　　　　一番
　　　　　　　　　　　　　吉田修理
　　　　　　　　　　　　　牧野主殿
　　　　　　　　　　　　　山田又右衛門
　　　　　　　　　　　　　稲場馬右衛門
　　　　　　　　　御目付　堀田清右衛門
　　　　　二番
　　

　　　　　　　　　　　　　本多伊豆守
　　　　　　　　　御目付　田口源左衛門
　　　　　　　　　御目付　山上甚左衛門
　　　　　三番
　　　　　　　　　　　　　山川讃岐守
　　　　　　　　　　　　　国枝頼母助
　　　　　　　　　御目付　羽中田善兵衛
　　　　　四番
　　　　　　　　　　　　　山内内蔵助
　　　　　　　　　　　　　荻野河内

　　　　　　　　　　　　　谷　左衛門
　　　　　　　　　　　　　林　甲斐
　　　　　　　　　　　　　山名土佐
　　　　　　　　　　　　　小田喜太郎
　　　　　　　　　御目付　窪田嶋助兵衛
　　　　　五番
　　　　　　　　　　　　　本多丹下
　　　　　　　　　御目付　中根助右衛門
　　　　　六番
　　　　　　　　　　　　　多賀谷左近
　　　　　　　　　　　　　大藤小太郎

　　　　　七番
　　　　　　　　　　　　　荻田主馬
　　　　　　　　　　　　　笹治大膳
　　　　　　　　　　　　　長田義太夫
　　　　　八番
　　　　　　　　　　　　　小栗備後
　　　　　　　　　　　　　山岡備前
　　　　　　　　　　　　　中川駿河
　　　　　　　　　　　　　平松三十郎
　　　　　　　　　御目付　諏訪源左衛門

　　　　　九番
　　　　　　　御旗本惣馬廻
　　　　　拾番
　　　　　　　　　　　　　永見右衛門佐
　　　　　　　　　　　　　太田安房
　　　　　　　　　　　　　柴田帯刀　　　
　　　　　　　　　御目付　槙田治大夫
　　　　　拾壱番
　　　　　　　　　　　　　高屋越後
　　　　　　　　　　　　　片山主水

　　　　　　　　　　　　富永刑部
　　　　　　　　　　　　長谷部左馬助
　　　　　　　　　　　　浅羽左衛門
　　　　　　　　　　　　安福和泉
　　　　　　　　　　　　原　縫殿
　　　　　　　　　　　　村田伝右衛門
　　　　　　　　　　　　日下部左馬助
　　　　　　　　　　　　落合八郎右衛門
　　　　　　　　御目付　桜井弥五右衛門
　　　　　右御備押如斯御座候間各御相談ニ而御使番衆
　　　　　指図次第可被入御念候以上

　　　　　　十月八日　　　　　　　本多伊豆守書判
　　　　　　　各中
一十月十一日
　神君駿府　御出馬大坂表江　御進発
一同日先陣本多伊豆守《割書：富
正》同志摩《割書：重看　伊豆守
　　　養子》御人数引纒
　府中を発同十二日後陣之面々北庄出立
一同月十五日御人数不残《割書：都合壱万
五千人》江州坂本迄着
　御着陣を奉待
一同月十六日

　忠直様江州坂本迄　御着陣《割書：惣御人数
二万余ニ相成》右ニ付
　御陣所之儀何方江御定可被成哉之旨為御伺
　神君御宿陣尾州名護屋迄御使者被指出之
　　　但駿府　御出馬日不詳
一十月十八日坂本ゟ被指出候御使者名護屋之
　御宿陣江罷出　御陣所之儀相伺候処西岡東寺九條辺
　御陣取可被成旨御指図有之
一同月廿一日　御陣中御法令左之通被　仰出之
　　　　　　　　定

　　　一背法度先手并其組を離本多伊豆無下知
　　　　して一切罷出間敷候若違背之族有之者
　　　　成敗可申付事
　　　一諸事組頭之指引背間敷候附他之家中江
　　　　用所有之而ハ組頭江理可参事
　　　一御かハゐ所？江参濫妨狼籍并何方ニ而も放火
　　　　仕間敷候事
　　　一今度於陣中当家中ゟ之欠落人他国之衆ニ
　　　　雖有之理不尽捕申間敷候但罪之軽重ニより

　　　　組頭へ申断年寄中迄可申事
　　　一備押定之如前後仕間敷事
　　　一陣取之儀奉行渡次第ニ異儀ニ及間敷事
　　　一於陣中馬を放候ハヽ為過銭代物壱貫文
　　　　可取之事
　　　右條々相背族於有之者速可被処厳科者也
　　　仍如件
　　　　寅十月二十一日　　　御各■　花押
一十月廿二日御指図之通坂本ゟ下京江　御陣を被為　移
　
　一同月廿三日
　　神君二條御城江　着御
　一同日
　　秀忠様江戸　御出馬
　一同月廿五日加藤宗月《割書：康
寛》儀　公辺江御憚之儀有之御国ニ
　　被相残候得共御人数出立後江州坂本迄致出張候処
　　本多佐渡守《割書：正
信》殿ゟ宗月江書翰を以御咎有之大久保
　　相模守《割書：忠
隣》殿与ハ聟舅之儀ニ付出陣不可然旨申来候得共
　　宗月不聞入候ニ付又々佐渡守殿ゟ越前大野城者一揆之恐
　　

　有之候間彼地江罷帰城を守り候様申来右之趣も有之ニ付
　本多丹下《割書：成
重》本多伊豆守《割書：富
正》小栗備後守《割書：正
重》ゟ宗月江書翰を以
　大野城者要地ニ茂候得者彼城ニ移諸事念入御城番致候様
　御意之趣申遣候ニ付宗月御国江罷帰此砌　出羽《割書：直
政》様ニも
　御国ニ御残り被成候儀御残念ニ付御出陣被成度　思召
　之旨
　忠直様御承知被成御差留之御使者被遣候処既今庄駅迄
　御出張被成候故於彼所於出合申御口上申上候得共強而
　御伺之上御出陣被成

一同日於二條御城
　神君大坂城攻之御軍議有之諸軍未相揃候得共先ツ
　先手を以可攻撃与之　上意ニ而藤堂和泉守《割書：高
虎》殿を
　為先鋒片桐市正《割書：且
元》殿を為軍監
　忠直様御大将ニ而本多美濃守《割書：忠
政》殿并伊勢国之兵を以
　為副軍　御進発被成候様被　仰出
一十月廿九日今度　御先陣被蒙　仰候ニ付御旗を被進
　河内之内小山近邑を被放火直ニ小山ニ御陣取被成
一十一月五日

　忠直様摂州住吉江　御陣を被為　移
一十一月十日
　秀忠様伏見　着御
一同月十二日
　秀忠様伏見ゟ二條御城江　渡御
　神君御対顔
一同月十五日
　神君　秀忠様二條御城　御進発
一同月十六日

　忠直様摂州岡山近辺江　御陣を被為　移
一同月十七日
　神君摂州住吉江　御着陣ニ付
　忠直様同所江　御越　御目見被　仰上
一同日
　秀忠様摂州平野　御着陣
一同月十八日
　神君　秀忠様茶臼山江　御登遥ニ諸手之陣取
　御覧有之

　神君住吉之　御陣営江　御帰之節
　忠直様御陣所江被為　入
一十一月廿九日於北庄　勝姫君様御安産御男子御誕生
　奉称　仙千代様《割書：後被称越後守光長越後
高田廿四万五千石御拝領》
一十二月四日暁加州勢潜ニ真田左衛門佐《割書：幸
村》相守出丸江押寄ニ付
　御先手本多丹下《割書：成
重》本多伊豆守《割書：富
正》を初吉田修理《割書：義
寛》多賀谷
　左近　等追々人数を押出候処城内石川肥後守《割書：康
勝》持口
　櫓ゟ出火有之ニ付南條中務少輔《割書：光
明》か内応之火と心得
　丹下伊豆守等御旗本江使者を以早々御繰詰被成候様
　
　申上弥先手江致下知堀瑞迄押寄湟中之柵を破り塀下江
　取付んと致候得共城方弓鉄炮ニ而厳敷相防攻飽倦候ニ付
　出羽《割書：直
政》様御憤強湟端迄御進被成既ニ御馬を可被乗入処
　御介■天方山城《割書：通
■【綱？】》御大将者平士之働御無用与御諫申上
　候得者御馬験を湟際江立候様御指図有之ニ付御旗奉行
　藤木藤左衛門御馬験を進候処士卒是を見復進而塀下ニ附
　此時城中防矢益厳敷諸家之軍勢死傷数多有之依之
　神君ゟ御使番を以諸軍引揚候様御指図有之ニ付
　忠直様水谷兵部　を以其旨御下知有之候得共丹下

　伊豆守互ニ相競ひ引揚不申候ニ付再小栗五郎左衛門《割書：正
高》を以
　御下知有之候得共両人鉄炮を以城之挟間を為閉塀下ニ
　堪居候ニ付荻田主馬　丹下之馬験を引取五郎左衛門者
　伊豆守之馬験を引取候故両人無是非引取《割書：申
刻》候ニ付山川
　讃岐守《割書：朝
貞》国枝頼母《割書：家
次》後殿ニ而御人数引揚之
　　　　但此時士分廿四人雑兵百拾弐人陪臣之侍分八十五人
　　　　　同雑兵三百五拾余人戦死此外手負之者武頭二人
　　　　　士分八拾余人陪臣之侍分二百人同雑兵七百余人
一同日夜右同断ニ付本多丹下《割書：成
重》本多伊豆守《割書：富
正》

　神君御本陣江被為　召《割書：此時加賀藤堂井伊
等之家臣茂被為　召》御下知も無之ニ御軍法を
　破り城攻致し候儀を御糺明有之ニ付若者之卒忽ニ而取懸り候故
　不得止相進候旨伊豆守御答申上候処惣して懸るハ懸り
　ても引ハ見苦敷物なりと　上意ニ付丹下御請ニハ
　右之儀者定而惣寄手之事ニも可有之候丹下等におゐてハ
　今朝未明ニ押寄湟中之柵を破り塀を乗取らんと致候処
　急ニ引揚候様御下知ニ依て不得止引揚候与申上
　　　　但此節抜懸之者を
　　　　　秀忠様御憤被成御刑罸可被成旨

　　　　　神君江御伺被成候処御軍法を破候罪ハ重候得共
　　　　　不顧死相働候者勇士之役ニ候間御許容可被成旨
　　　　　御諚有之候由
一十二月九日
　神君御本陣江長臣共之内を被為　召候ニ付山本内蔵頭《割書：成
■【季？本？】》
　被指出候処攻口御場所被　仰出
　　　　但右御場所之儀不詳
一同月十一日井伊掃部頭《割書：直
孝》殿大炮を以天王寺口を被攻其節
　御家御陣所ゟ大炮を被打懸

一同月十六日炮術鍛錬之者数十人を撰城中江大炮小炮を
　被為打掛候様被蒙　仰
　　　　但藤堂和泉守《割書：高
虎》殿江も右之段被　仰出
一同月十七日茶臼山御本陣江　御登営
　神君江　御目見被　仰上土井大炊頭《割書：利
勝》本多上野介《割書：正
純》殿
　披露之其節　上意ニ将軍家之重宝日本之樊噲也と
　御成長被成候を　御悦被成
一同月十九日岡山　御本陣江　御登営
　秀忠様江　御目見被　仰上

一十二月廿二日大坂与　御和睦
一同月廿四日右同断ニ付為御祝儀
　神君　秀忠様両　御本陣江　御登営　御目見被
　仰上　虎之助様　出羽守《割書：直
政》様ニ茂御同様　御目見被
　仰上
一同月廿五日
　神君茶臼山　御陣営ゟ　御入洛
一同日　御和睦相整候ニ付越前加賀近江伊勢等之人夫を以
　石垣を毀湟を埋候様被　仰出

一同月廿七日本多丹下《割書：成
重》
　神君江御国産之生鱈献上之

元和元年乙卯《割書：此年慶長廿年
七月十三日改元》
一正月三日
　神君京都　御発駕《割書：二月十四日駿府
御帰城》
一同月十一日　虎之助様御元服従五位下侍従御叙任有之被称
　伊予守忠昌
一同月十九日
　秀忠様岡山　御陣所御引払伏見御城江被為　入
一同月廿三日北庄江　御帰城《割書：是迄之御陣所并
御発駕之日不詳》
　　　　但昨年十二月廿五日於大坂諸大名来春二日三日之頃

　　　　　大坂を発し致帰国候様被　仰出有之
一正月廿四日
　秀忠様伏見御城ゟ二條御城江被為　移
一同月廿七日　伊予守様従四位下御叙位有之
一同月廿八日
　秀忠様京都　御発駕《割書：二月十四日江戸江
御帰城》
一四月四日豊臣秀頼再諸浪人を集関東江敵対之企
　有之ニ付意為御征伐
　神君駿府　御出馬

一同月十日右同断ニ付
　秀忠様江戸　御出馬
一同月十一日右同断ニ付江戸表ゟ御奉書を以四月中旬城州
　伏見迄　御出勢被成候様且又如去年本多丹下《割書：成
重》
　本多伊豆守《割書：冨
正》御先手可被　仰付旨被蒙　仰
一同日今度大坂江　御出馬ニ付本多丹下《割書：成
重》本多
　伊豆守《割書：冨
正》初御先手之面々同十二日之両日ニ御国出立
一同月十四日北庄　御出馬
一同月十七日江州坂本迄　御出張其旨御注進被成候処

　城州西岡向明神江　御陣取可被成旨御指図有之
一四月十八日右同断ニ付西岡向明神江　御陣を被為　移
一同日
　神君御入洛二條御城江　着御
一同月廿一日
　秀忠様城州伏見御城江　着御
一五月五日
　神君二條　御出馬
　秀忠様伏見　御出馬大坂表江御旗を被進

一同月六日
　忠直様昨夜四條縄手ニ御宿陣ニ付今朝道明寺
　表之合戦ニ御出合無之直ニ平野江　御着陣被成
　早速本多丹下《割書：成
重》本多伊豆守《割書：冨
正》両人を
　神君千塚之　御陣営江被指出明七日之御軍令御伺
　被成候処　御前江被　召出今朝道明寺表之合戦を
　皆昼寝して不知りしか明日之先手者加賀之筑前守■
　申付候間と計の　上意ニ而本多佐渡守《割書：正
信》殿江
　御向ひ被成故中納言者日本に知られたる武勇之

　将ニ而上杉之強敵さへも心安押へ■か名を天下に
　揚たる其子之三河守か今朝之油断者親之名を
　穢す事也明日之合戦も加賀に後て越前家之
　武道ハ捨り候与御噺有之候故両人恐入無是非罷帰
　右之趣一々申上候へ者殊之外御残念被　思召明日之
　合戦ニ者是非可致討死与之　御意ニ付左程　思召被為
　詰候ハヽ御軍令者兎も角茂明日者無二無三ニ御勢を
　被進城中江一番乗被成可然旨丹下伊豆守申上候ニ付
　夜ニ入吉田修理《割書：義
寛》被為　召御軍議有之候処何角も

　御任せ被成候様修理申上候ニ付追付　御出馬可被成段
　相触候様梶原美濃守　太田安房守《割書：資
武》江被　仰付
　伊予守様　出羽《割書：直
政》様江茂御使小栗忠八　を以此段
　被　仰進
一五月七日暁《割書：丑ノ
刻》
　忠直様御出馬其以前　伊予守様御初御先手本多丹下《割書：成
重》
　本多伊豆守《割書：富
正》吉田修理《割書：義
寛》等出勢藤堂和泉守《割書：高
虎》殿陣所
　前を押越天王寺を押行候処松平筑前守《割書：利
常》殿先手之
　出勢ニ行合候ニ付理不尽ニ追越んと致候処加州勢備を

　立切今日之御先手者筑前守蒙候上ハ此陣ゟ先江者
　通す間敷与差留候得共御先手之面々無二無三ニ押
　通んと迫合候処江修理馬を乗出し筑前守殿ニ者岡山
　筋之御先手三河守者天王寺表之御先手を蒙候右之趣
　筑前守殿ゟ御申渡ハ無之哉大切之御軍令を麁略ニ
　被存候歟其上場所■違候与言捨押通り候故加州勢も無
　是非相控居候ニ付御旗本を初惣軍無難ニ押行
　天王寺と茶磨山ニ向御先手真中ニ伊予守様右ニ丹下
　左ニ伊豆守将棋頭ニ相成都合十六隊ニ被備

　　　　　　　御備組
　　　　　　　　　一番備
　　　　　　　　　　　　　　本多丹下
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽三百人
　　　　　　　　　　　　　　本多伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽三百人
　　　　　　　　　　　　　　佐野五郎大夫
　　　　　　　　　　　　　　　　足軽四十人
　　　　　　　　　　　　　　伊達与兵衛

　　　　　　　　　　　　　　　　足軽三十人
　　　　　　　　　　　　　　西尾仁左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　足軽三十人
　　　　　　　　　　　　　　御家中子共馬上三百
　　　　　　　　　　　　　　余騎
　　　　　　　　　　　　　　　　足軽五百余人召連
　　　　　　二番備
　　　　　　　　　　　　　　吉田修理
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽百四十人

　　　　　　　　　　　　　　山本摂津守
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽百人
　　　　　　　　　　　　　　片山主水正
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽百人
　　　　　　　　　　　　　　荻田主馬
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽二百人
　　　　　　　武頭
　　　　　　　　　　　　　　林　久助
　　　　　　　　　　　　　　　　足軽百五十人
　

　　　　　　　　　　　　　　服部三大夫
　　　　　　　　　　　　　　　　足軽二十五人
　　　　　　　　　　　　　　戸田庄右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　足軽三十人
　　　　　　　　　　　　　　御家中子共馬上
　　　　　　　　　　　　　　二百五十騎　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　足軽五百人召連
　　　　　　　三番備
　　　　　　　　　　　　　　伊予守様

　　　　　　　　　　　　　　出羽様
　　　　　　　　　　　　　　朝日丹波守
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽五十人
　　　　　　　　　　　　　　国枝頼母
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽五十人
　　　　　　　　　　　　　　笹治大膳
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽百人
　　　　　　　　　　　　　　菅沼伊賀
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽三十人

　　　　　　　　　　　　　　岡部淡路
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽三十人
　　　　　　　　　　　　　　片桐丹波
　　　　　　　　　　　　　　原　隼人
　　　　　　　　　　　　　　三崎新左衛門
　　　　　　　　　　　　　　橋山八蔵
　　　　　　　　　　武頭
　　　　　　　　　　　　　　青木新左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　足軽二十五人

　　　　　　　　　　　　　　桜井武兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　足軽二十五人
　　　　　　　　　　　　　　渥美半右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　足軽三十人
　　　　　　　　六番組
　　　　　　　　　一番
　　　　　　　　　　　　　　水野大蔵
　　　　　　　　　　　　　　多田茂右衛門
　　　　　　　　　　　　　　加藤小兵衛
　　　　　　　　　　　　　　春秋兵庫
　　　　　　　　　　　　　　奥村桐之丞
　　　　　　　　　　　　　　菅谷小源太

　　　　　　　　　　　　　　堀　次郎左衛門
　　　　　　　　　　　　　　松井小右衛門
　　　　　　　　　　　　　　鮫嶋権八
　　　　　　　　　　　　　　武井伝六
　　　　　　　　　　　　　　秋本左近
　　　　　　　　　　　　　　市橋平兵衛
　　　　　　　　　　　　　　牧　伝兵衛
　　　　　　　　　　　　　　小野左源太
　　　　　　　　　　　　　　植田孫兵衛
　　　　　　　　　　　　　　山崎隼人
　　　　　　　　　　　　　　早川兵八
　　　　　　　　　　　　　　長谷川伝次
　　　　　　　　　　　　　　水嶋四郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　菅谷勝三郎
　　　　　　　　　　　　　　本間太郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　藤岡右近
　　　　　　　　　　　　　　戸室庄九郎
　　　　　　　　　　　　　　小山右京

　　　　　　　　　　　　　　長岡弥次右衛門
　　　　　　　　　　　　　　江川次郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　金田長大夫
　　　　　　　　　　　　　　細井又兵衛
　　　　　　　　　　　　　　橋本惣右衛門
　　　　　　　　　　　　　　矢野伝左衛門
　　　　　　　　　　　　　　横倉長兵衛
　　　　　　　　　　　　　　落合善右衛門
　　　　　　　　　　　　　　尾崎又右衛門
　　　　　　　　六番組
　　　　　　　　　二番
　　　　　　　　　　　　　　天方山城
　　　　　　　　　　　　　　片山刑部
　　　　　　　　　　　　　　小貫助大夫
　　　　　　　　　　　　　　朝比奈又右衛門
　　　　　　　　　　　　　　柴田段右衛門

　　　　　　　　　　　　　　芳賀左衛門
　　　　　　　　　　　　　　室伏金右衛門
　　　　　　　　　　　　　　岡部吉十郎
　　　　　　　　　　　　　　藤岡喜大夫
　　　　　　　　　　　　　　玉岡八蔵
　　　　　　　　　　　　　　多賀谷式部
　　　　　　　　　　　　　　山崎与左衛門
　　　　　　　　　　　　　　多賀谷将監
　　　　　　　　　　　　　　山田信濃
　　　　　　　　　　　　　　長谷川権吉
　　　　　　　　　　　　　　須川藤兵衛
　　　　　　　　　　　　　　村田半左衛門
　　　　　　　　　　　　　　鶴見九兵衛
　　　　　　　　　　　　　　小倉太左衛門
　　　　　　　　　　　　　　山田勘九郎
　　　　　　　　　　　　　　岩本強右衛門
　　　　　　　　　　　　　　妹尾又左衛門
　　　　　　　　　　　　　　上坂助右衛門

　　　　　　　　　　　　　　金井茂左衛門
　　　　　　　　　　　　　　高木喜右衛門
　　　　　　　　　　　　　　阿部七右衛門
　　　　　　　　　　　　　　日名地又右衛門
　　　　　　　　　　　　　　大野与左衛門
　　　　　　　　　　　　　　真瀬理左衛門
　　　　　　　　　　　　　　安藤甚左衛門
　　　　　　　　　　　　　　小栗木工左衛門
　　　　　　　　　　　　　　羽山三右衛門
　　　　　　　　　　　　　　柳川久兵衛
　　　　　　　六番組
　　　　　　　　　三番
　　　　　　　　　　　　　　嶋田右京
　　　　　　　　　　　　　　石倉勘兵衛
　　　　　　　　　　　　　　伊藤惣左衛門
　　　　　　　　　　　　　　山井甚左衛門

　　　　　　　　　　　　　　朝比奈金兵衛
　　　　　　　　　　　　　　山添弥次右衛門
　　　　　　　　　　　　　　古田作左衛門
　　　　　　　　　　　　　　若名助兵衛
　　　　　　　　　　　　　　窪嶋半助
　　　　　　　　　　　　　　愛沢牛之介
　　　　　　　　　　　　　　瀧　新左衛門
　　　　　　　　　　　　　　松田平左衛門
　　　　　　　　　　　　　　辻村九郎左衛門
　　　　　　　　　　　　　　黒川八左衛門
　　　　　　　　　　　　　　高梨理内
　　　　　　　　　　　　　　木曽外記
　　　　　　　　　　　　　　水科新助
　　　　　　　　　　　　　　矢野右衛門作
　　　　　　　　　　　　　　花塚修理
　　　　　　　　　　　　　　牛木新兵衛
　　　　　　　　　　　　　　関　弾正
　　　　　　　　　　　　　　室嶋勘兵衛
　　　　　　　　　　　　　　伊藤清兵衛
　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　藤木九左衛門
　　　　　　　　　　　　　　山口軍八
　　　　　　　　　　　　　　梁　甚次郎
　　　　　　　　　　　　　　植田次大夫
　　　　　　　　　　　　　　田口源太左衛門
　　　　　　　　　　　　　　熊井九右衛門
　　　　　　　　　　　　　　中井治安
　　　　　　　　　　　　　　原　藤左衛門
　　　　　　　　　　　　　　中久喜四郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　平塚将監
　　　　　　　　　　　　　　白井源左衛門
　　　　　　　　　　　　　　本多左京
　　　　　　　　　　　　　　久保嶋半介
　　　　　　　右三番備馬上二百三十騎
　　　　　　　足軽三百六十人

　　　　　　　御旗本先
　　　　　　　　　一番備　
　　　　　　　　　　　　　　永見民部殿
　　　　　　　　　　　　　　　　与力三十騎
　　　　　　　　　　　　　　　　足軽五十人
　　　　　　　　　　　　　　伊岐七郎左衛門
　　　　　　　　　　　　　　浅羽左衛門
　　　　　　　　　　　　　　富岡弥右衛門
　　　　　　　　　　　　　　原　縫殿助
　　　　　　　　　　　　　　岡谷隼人
　　　　　　　　　　武頭　　
　　　　　　　　　　　　　　深沢七郎左衛門
　　　　　　　　　　　　　　原田七右衛門

　　　　　　　　　　　　　　高須半市
　　　　　　　　　　　　　　門奈左近右衛門
　　　　　　　右馬上七十余騎足軽三百七十人

　　　　　　　御旗本先
　　　　　　　　　二番備
　　　　　　　　　　　　　　長谷部采女
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽五十人
　　　　　　　　　　　　　　加藤宗月
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽五十人　

　　　　　　　　　　　　　　永見志摩
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽五十人
　　　　　　　　　　　　　　笹治兵庫
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽三十人
　　　　　　　　　　　　　　坂井与右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽三十人
　　　　　　　　　　　　　　谷　伯耆
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽三十人
　　　　　　　　　　　　　　安福和泉
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽三十人
　　　　　　　　　　　　　　山田織部
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽五十人
　　　　　　　　　　　　　　林　甲斐
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽三十人
　　　　　　　　　　　　　　水谷兵部
　　　　　　　　　　　　　　山田又右衛門
　　　　　　右馬上七十余騎足軽三百五十人余
　　　　　御旗本先
　　　　　　　三番備
　　　　　　　　　　　　　　中川駿河守

　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽五十人
　　　　　　　　　　　　　　荻野河内守
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽五十人
　　　　　　　　　　　　　　谷　左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽五十人
　　　　　　　　　　　　　　高田遠江
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽三十人
　　　　　　　　　　　　　　山岡備前守
　　　　　　　　　　　　　　　　与力二十人
　　　　　　　　　　　　　　　　足軽五十人
　　　　　　　　　　　　　　柴田帯刀

　　　　　　　　　　　　　　　外足軽三十人
　　　　　　　　　　　　　　水谷刑部
　　　　　　　　　　　　　　平松三十郎
　　　　　　　　　　　　　　皆川平右衛門
　　　　　　　　　　　　　　山名土佐
　　　　　　　　　　　　　　生駒右近
　　　　　　　右馬上七十余騎足軽二百六十人
　　　　　御旗本先
　　　　　　　四番備
　　　　　　　　六番組
　　　　　　　　　　　　　　石川志摩
　　　　　　　　　　　　　　平井瀬兵衛
　　　　　　　　　　　　　　大井田監物　

　　　　　　　　　　　　　　大見彦三郎
　　　　　　　　　　　　　　森　半兵衛
　　　　　　　　　　　　　　安藤作右衛門
　　　　　　　　　　　　　　成田清左衛門
　　　　　　　　　　　　　　大熊修理
　　　　　　　　　　　　　　馬場二郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　石岡源内
　　　　　　　　　　　　　　大沢忠次郎
　　　　　　　　　　　　　　三寺久左衛門
　　　　　　　　　　　　　　鈴木五郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　三沢甚右衛門
　　　　　　　　　　　　　　川村久右衛門
　　　　　　　　　　　　　　大瀬与左衛門
　　　　　　　　　　　　　　高須左五右衛門
　　　　　　　　　　　　　　生田吉兵衛
　　　　　　　　　　　　　　岡登清左衛門
　　　　　　　　　　　　　　伊達半蔵
　　　　　　　　　　　　　　馬込弥右衛門

　　　　　　　　　　　　　　大沢甚兵衛
　　　　　　　　　　　　　　志村仙介
　　　　　　　　　　　　　　癸生川伝内
　　　　　　　　　　　　　　柳田主膳
　　　　　　　　　　　　　　毛塚右京
　　　　　　　御旗本先
　　　　　　　　　六番組
　　　　　　　　　　　　　　松山内蔵介
　　　　　　　　　　　　　　中川四郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　三原田八右衛門
　　　　　　　　　　　　　　藤生玄蕃
　　　　　　　　　　　　　　山岡伝兵衛
　　　　　　　　　　　　　　野本右馬
　　　　　　　　　　　　　　梅沢左内
　　　　　　　　　　　　　　岩倉彦左衛門
　　　　　　　　　　　　　　矢野伝左衛門

　　　　　　　　　　　　　　星　右京
　　　　　　　　　　　　　　嶋村伊右衛門
　　　　　　　　　　　　　　原川又兵衛
　　　　　　　　　　　　　　林　半左衛門
　　　　　　　　　　　　　　安藤長蔵
　　　　　　　　　　　　　　寺田助兵衛
　　　　　　　　　　　　　　横井太郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　今泉五郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　太田源右衛門
　　　　　　　　　　　　　　小鹿又五郎
　　　　　　　　　　　　　　黒沢牛兵衛
　　　　　　　　　　　　　　牛木弥四郎
　　　　　　　　　　　　　　館　弥右衛門
　　　　　　　　　　　　　　野本勘三郎
　　　　　　　　　　　　　　高田六大夫
　　　　　　　　　　　　　　高徳半十郎

　　　　　　　御旗本先
　　　　　　　　　六番組
　　　　　　　　　　　　　　小栗夏吉
　　　　　　　　　　　　　　井上太左衛門
　　　　　　　　　　　　　　岩上大膳
　　　　　　　　　　　　　　青木内蔵介
　　　　　　　　　　　　　　木内三大夫
　　　　　　　　　　　　　　早川治左衛門
　　　　　　　　　　　　　　比奈治部右衛門
　　　　　　　　　　　　　　荒川伊右衛門
　　　　　　　　　　　　　　永田四郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　飯嶋次右衛門
　　　　　　　　　　　　　　又川文左衛門
　　　　　　　　　　　　　　石川左介
　　　　　　　　　　　　　　大嶋忠兵衛
　　　　　　　　　　　　　　磯沼孫右衛門
　　　　　　　　　　　　　　大町靱負
　　　

　　　　　　　　　　　　　　三宅五左衛門
　　　　　　　　　　　　　　羽中田縫殿
　　　　　　　　　　　　　　浜野三四郎
　　　　　　　　　　　　　　大曽宮内
　　　　　　　　　　　　　　神山八左衛門
　　　　　　　　　　　　　　小柳津四郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　松本二郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　茂久惣左衛門
　　　　　　　　　　　　　　多賀谷靱負
　　　　　　　　　　　　　　大川与兵衛
　　　　　　　　　　　　　　津田新左衛門
　　　　　　右四番備合馬上八十余騎
　　
　　　　　御旗本先
　　　　　　　五番備
　　　　
　　　　　　　　大番　　　　岩上越中
　　　　　　　　　　　　　　山形内匠　　　
　　　　　　　　　　　　　　斎藤又兵衛
　　　　　　　　　　　　　　渥美助左衛門
　　　　　　　　　　　　　　水野半兵衛
　　　　　　　　　　　　　　田中勘助
　　　　　　　　　　　　　　朝夷孫右衛門
　　　　　　　　　　　　　　田中六左衛門
　　　　　　　　　　　　　　吉沢大学
　　　　　　　　　　　　　　松田宇左衛門
　　　　　　　　　　　　　　友松半介
　　　　　　　　　　　　　　古田新七
　　　　　　　　　　　　　　大串弁之助
　　　　　　　　　　　　　　牧　左衛門
　　　　　　　　　　　　　　窪嶋助兵衛
　　　　　　　　　　　　　　岡部惣五郎
　　　　　　　　　　　　　　菅沼新五左衛門

　　　　　　　　　　　　　　松村松声
　　　　　　　　　　大番二
　　　　　　　　　　　　　　青木新右衛門
　　　　　　　　　　　　　　岡部五郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　朝比奈小隼人
　　　　　　　　　　　　　　妹尾右馬之介
　　　　　　　　　　　　　　力丸藤左衛門
　　　　　　　　　　　　　　向坂長左衛門
　　　　　　　　　　　　　　大石半弥
　　　　　　　　　　　　　　神谷権右衛門
　　　　　　　　　　　　　　三井孫兵衛
　　　　　　　　　　　　　　西尾吉左衛門
　　　　　　　　　　　　　　赤見与斎
　　　　　　　　　　　　　　本多新左衛門
　　　　　　　　　　　　　　海福久右衛門
　　　　　　　　　　　　　　波々伯部九兵衛
　　　　　　　　　　　　　　堀　清左衛門

　　　　　　　　　　　　　　伊岐善大夫
　　　　　　　　　　　　　　萩原長兵衛
　　　　　　　　　　　　　　関根九左衛門
　　　　　　　　　　　　　　鈴木七兵衛
　　　　　　　　　　大番三　
　　　　　　　　　　　　　　丹羽勘兵衛
　　　　　　　　　　　　　　大須賀喜左衛門
　　　　　　　　　　　　　　和田伊兵衛
　　　　　　　　　　　　　　磯　彦左衛門
　　　　　　　　　　　　　　山田小斎
　　　　　　　　　　　　　　西沢藤左衛門
　　　　　　　　　　　　　　中嶋源左衛門
　　　　　　　　　　　　　　山本清右衛門
　　　　　　　　　　　　　　菅沼角兵衛
　　　　　　　　　　　　　　渡辺兼右衛門　
　　　　　　　　　　　　　　横江弥五右衛門
　　　　　　　　　　　　　　鈴木市右衛門

　　　　　　　　　　　　　　三室庄兵衛
　　　　　　　　　　　　　　土屋一兵衛
　　　　　　　　　　　　　　佐川四郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　鈴木小兵衛
　　　　　　　　　　　　　　小石清左衛門
　　　　　　　　　　　　　　寺沢勘左衛門
　　　　　　　　　　　　　　渡辺牛兵衛
　　　　　　　　　　　　　　関　内匠
　　　　　　　　　　　　　　橋本左大夫
　　　　　　　　　　大番四　
　　　　　　　　　　　　　　多賀谷権大夫
　　　　　　　　　　　　　　小池半兵衛
　　　　　　　　　　　　　　間宮民部
　　　　　　　　　　　　　　松田権之助
　　　　　　　　　　　　　　羽中田新七
　　　　　　　　　　　　　　国枝平右衛門
　　　　　　　　　　　　　　稲垣惣介

　　　　　　　　　　　　　　嶋田次郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　朝夷松右衛門
　　　　　　　　　　　　　　桜木助之進
　　　　　　　　　　　　　　諏訪治右衛門
　　　　　　　　　　　　　　由井五郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　安部円斎
　　　　　　　　　　　　　　前波庄兵衛
　　　　　　　　　　　　　　西村左五右衛門
　　　　　　　　　　　　　　厚木弥三郎
　　　　　　　　　　　　　　永田儀大夫
　　　　　　　　右五番備合馬上八十九騎《割書：内五騎
与力》
　　　　　　　御旗本
　　　　　　　　　六番備
　　　　　　　　　　大小姓組一

　　　　　　　　　　　　　　日比勘解由
　　　　　　　　　　　　　　■山八兵衛
　　　　　　　　　　　　　　山本与市
　　　　　　　　　　　　　　黒沢源左衛門
　　　　　　　　　　　　　　都築藤右衛門
　　　　　　　　　　　　　　海福瀬左衛門
　　　　　　　　　　　　　　高田辰之助
　　　　　　　　　　　　　　林　六兵衛
　　　　　　　　　　　　　　野本右近
　　　　　　　　　　　　　　大藤金三郎
　　　　　　　　　　　　　　山村与三右衛門
　　　　　　　　　　　　　　都築二郎左衛門
　　　　　　　　　　　　　　中井太兵衛
　　　　　　　　　　　　　　荻野小大膳
　　　　　　　　　　　　　　柘植小平太
　　　　　　　　　　　　　　間嶋牛兵衛
　　　　　　　　　　　　　　稲葉左太郎
　　　　　　　　　　　　　　三浦九蔵

　　　　　　　　　　　　　　落合八郎左衛門
　　　　　　　　　　　　　　石川惣左衛門
　　　　　　　　　　　　　　高屋内記
　　　　　　　　　　　　　　雪吹長三郎
　　　　　　　　　　　　　　小山田多門
　　　　　　　　　　　　　　乙部九郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　朝比奈利兵衛
　　　　　　　　　　　　　　本多長五郎
　　　　　　　　　　　　　　遠山甚五兵衛
　　　　　　　　　　　　　　篠原平左衛門

　　　　　　　　大小姓組二
　　　　　　　　　　　　　　近藤縫殿之介
　　　　　　　　　　　　　　落合孫大夫
　　　　　　　　　　　　　　上村将監
　　　　　　　　　　　　　　山名二郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　早川八十郎
　　　　　　　　　　　　　　加藤次郎右衛門

　　　　　　　　　　　　　　上坂喜兵衛
　　　　　　　　　　　　　　袖谷権平次
　　　　　　　　　　　　　　津田庄五郎
　　　　　　　　　　　　　　山本清九郎
　　　　　　　　　　　　　　門奈小九郎
　　　　　　　　　　　　　　矢野半弥
　　　　　　　　　　　　　　佐野喜太郎
　　　　　　　　　　　　　　本多内匠
　　　　　　　　　　　　　　柘植忠右衛門
　　　　　　　　　　　　　　片山清左衛門
　　　　　　　　　　　　　　野本次兵衛
　　　　　　　　　　　　　　堀　平右衛門
　　　　　　　　　　　　　　早川木工之介
　　　　　　　　　　　　　　三好六兵衛
　　　　　　　　　　　　　　稲場馬左衛門
　　　　　　　　　　　　　　横井長左衛門
　　　　　　　　　　　　　　内海五郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　荻田助市

　　　　　　　　　　　　　　小山田次兵衛
　　　　　　　　　　　　　　国枝牛之介
　　　　　　　　　　　　　　石丸次右衛門
　　　　　　　　　　　　　　本多七左衛門
　　　　　　　　　　　　　　村瀬忠兵衛
　　　　　　　　　　　　　　乙部清九郎
　　　　　　　右六番備合馬上六十余騎

　　　　　　　　　　　武頭
　　　　　　　　　　　　　　小嶋与五右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　足軽三十人
　　　　　　　　　　　　　　竹嶋八郎左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　足軽三十人
　　　　　　　　　　　　　　雪吹喜左衛門

　　　　　　　　　　　　　　　　足軽三十人
　　　　　　　　　　　　　　高徳主計
　　　　　　　　　　　　　　　　足軽三十人
　　　　　　　　　　軍奉行
　　　　　　　　　　　　　　梶原美濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽三十人
　　　　　　　　　　　　　　太田安房守
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽三十人
　　　　　　　　　　　　　　高木豊前守
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽百人

　　　　　　　　　　　　　　福岡伊織
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽五十人
　　　　　　　　　　近習
　　　　　　　　　　　　　　村田外記
　　　　　　　　　　　　　　福岡伊織
　　　　　　　　　　　　　　村田半市
　　　　　　　　　　　　　　中川彦右衛門
　　　　　　　　　　　　　　森川内蔵之丞
　　　　　　　　　　　　　　高徳数馬
　　　　　　　　　　　　　　小栗五郎左衛門
　　　　　　　　　　　　　　野本玄蕃
　　　　　　　　　　　　　　小栗忠八
　　　　　　　　　　　　　　伊藤七郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　藤野小刑部
　　　　　　　　　　　　　　棗　八右衛門
　　　　　　　　　　　　　　土方一之介　

　　　　　　　　　　　　　　山崎主膳
　　　　　　　　　　　　　　岡部右馬允
　　　　　　　　　　　　　　小寺図書
　　　　　　　　　　　　　　山本作兵衛
　　　　　　　　　　　　　　野間善兵衛
　　　　　　　　　　　　　　朝倉造酒
　　　　　　　　　　　　　　林　求之介
　　　　　右合二十騎
　　　　　　　　　　　　　　小姓三十騎
　　　　　　　　　　　　　　中小姓三十八騎
　　　　　切米取数多有之名字不記
　　　　　　　
　　　　　　　　母衣
　　　　　　　　　　　　　　石川佐左衛門
　　　　　　　　　　　　　　原　平左衛門
　　　　　　　　　　　　　　鷲山伝八
　　　
　　　　　　　　　　　　　　長谷川太郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　大藤小太郎
　　　　　　　　　　　　　　藤田大学
　　　　　　　　　　　　　　小栗次右衛門
　　　　　　　　　　　　　　幡鎌彦左衛門
　　　　　右八騎物見跡先を下知取次役

　　　　　　　　使番目付
　　　　　　　　　　　　　　剣持六郎右衛門
　　　　　　　　　　　　　　戸田伝市
　　　　　　　　　　　　　　大河原藤大夫
　　　　　　　　　　　　　　遠山弥左衛門
　　　　　　　　　　　　　　大沢三左衛門
　　　　　　　　　　　　　　斎藤三右衛門
　　　　　　　　　　　　　　江川安右衛門
　　　　　　　　　　　　　　須沢長右衛門
　　　　　　　　　　　　　　稲垣伊右衛門

　　　　　　　　　　　　　　佐藤彦兵衛
　　　　　　　　　　　　　　大場十兵衛
　　　　　　　　　　　　　　富岡清兵衛
　　　　　　　　　　　　　　山崎新左衛門
　　　　　　　　　　　　　　関根織部
　　　　　右十四人惣目付跡先見分
　　　　　足軽大将ゟ是迄旗本馬上百六十騎
　　　　　足軽五百六十人

　　　　　跡備
　　　　　　　　　　　　　　山川讃岐守
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽二百人

　　　　　　　　　　　　　　永見右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽二百人　
　　　　　右馬上百五十余騎
　　　　
　　　　　小荷駄奉行
　　　　　　　　　　　　　　落合美濃
　　　　　　　　　　　　　　　　与力
　　　　　　　　　　　　　　　外足軽五十人
　　　　　馬上五十余騎
　夜之明るを被為待候処
　神君御本陣ゟ御使番本多三弥《割書：正
重》殿を以今日之合戦急

　申間敷旨　御下知有之ニ付暫御見合被成候得共兼而
　合戦御急被成候■故為物見武者奉行梶原美濃守
　を初追々被指出巳之刻過三番目之物見真子刑部
　被遣候処乗帰り御先手ゟ鉄炮相始り頓而鎗合にも可相成
　様子与申上候得者直ニ御旗本相進候様被　仰出
　御立掛り御湯漬を被　召上《割書：福岡伊織
御配膳》最早餓鬼道江者
　落間■■真先ニ閻魔之庁ニ可着与御力足を御踏
　御馬ニ被為　召御進被成御先手丹下伊豆守等御軍令茂
　不相待諸手ニ先立真一文字城方江攻懸り粉骨を尽し

　相戦城方大将真田左衛門佐《割書：幸
村》之備を追崩森豊前守《割書：勝
永》等を
　追立京橋口之敵兵を討取西門ニ押入此時
　忠直様ニ者城門ゟ御旗を被入直ニ《割書：伊予守様ニ者此時御自身
■首二ツ御討取被成》
　《割書：出羽様御手江も
首三十一級虜二人》二ノ丸ニ火を放《割書：大野修理《割書：治
長》
宅》本丸迄　御乗取
　《割書：此日伊豆守京橋口之一番乗致　夫ゟ本丸江乗入為後日■■千畳敷大床之
絵張付を剥屏風《割書：千鳥
画》一双二枚折屏風《割書：水■
画》一掛物《割書：金山寺図
四幅対》茶磨一分捕之》
　未ノ中刻終ニ及落城《割書：御旗本江茂七賢人画之屏風《割書：■書記
筆》御分捕
有之其余之御分捕茂可有之候得共不詳》此時
　御手江敵兵数多《割書：首帳後ニ
記之》御討取被成右之段
　神君　秀忠様御本陣江御使者小栗治右衛門《割書：重
正》石川
　佐左衛門　を以被　仰上候処　御感悦不斜右両使　御前江被

　召出《割書：両人共御勘気之者ニ候得共此度
之儀ニ付御赦免被成旨　上意有之》拝領物《割書：治右衛門江鍵鎗
佐左衛門江素鎗》被
　仰付
　　　　但右合戦之節真田左衛門佐《割書：幸
村》を西尾仁左衛門《割書：宗
次》討取御宿
　　　　　勘兵衛《割書：政
倫》を野本右近《割書：正
則》討取何茂
　　　　　神君之御実検ニ入
　　　　一今日御軍勢一番ニ被進候儀吉田修理《割書：義
寛》一存之趣ニ
　　　　　致候得者其罪修理一人ニ相成追而御軍法御違背之
　　　　　御咎茂有間敷と死を極め其段死後本多伊豆守《割書：富
正》江
　　　　　可申伝旨家来大館備前と申者ニ委敷申含天満川　

　　　　　入水いたし相果候ニ付備前夫ゟ伊豆守を相尋修理
　　　　　申置候通申達再天満川江罷越致入水
一五月八日秀頼并淀殿昨日本丸■候節帯郭倉中江逃隠
　助命之儀被乞候得共御許容無之ニ付今日生害有之
一同日
　神君茶磨山　御陣所御引払二條之御城江被為　入
一同月九日
　秀忠様岡山　御陣所御引払伏見之御城江被為　入
一同日

　忠直様　伊予守様　出羽守《割書：直
政》様大坂表御引払伏見之
　御屋敷江被為　入
一同日伏見御城江本多丹下《割書：成
重》本多伊豆守《割書：富
正》御呼出ニ付罷出候処
　去七日城中江一番乗有之候儀者抜群之御戦功
　御感思召候得共御先手者松平筑前守《割書：利
常》江被　仰付候処
　夜中致出勢加賀勢を押抜御軍法を被相背候儀如何成子細候哉
　御不審之旨本多上野介《割書：正
純》殿を以御尋有之ニ付右之儀者
　家中吉田修理《割書：義
寛》与申者如何成所存ニ御座候哉去ル六日之夜中
　自分一手を引纒押出候ニ付私共両人茂無心許存跡を追

　出勢仕候故三河守旗本計難残致出勢候儀ニ御座候修理
　存寄之儀承届度存候得共其日一戦之刻城兵を追行
　天満川ニ而相果候ニ付其時之次第可承様茂無御座麁忽之至
　奉恐入候与丹下伊豆守御答申上之
一五月十日本多丹下《割書：成
重》本多伊豆守《割書：富
正》二條之御城江被為
　召於
　神君　秀忠様御前水野日向守《割書：勝
成》殿与大坂城一番乗之
　対決被　仰付候処城御乗取之次第丹下申分明白ニ付《割書：日向守殿
一番乗》
　《割書：被申ニ付其時越前家之旗を被見留候哉と丹下相尋候得者見受
候由被申ニ付左候ハヽ貴所ニ者二番乗ニ候進懸る時後者見られぬもの故》

　《割書：於越前家貴所之旗を
見る者一人も無之候与丹下相答》
　神君聞召一番ハ三河守二番ハ日向守たるへしと　上意有之
一同日今度大坂江出陣之諸大名二條之御城江登　城被
　仰出候ニ付
　忠直様　伊予守様　出羽守《割書：直
政》様御同道御登　城
　神君　秀忠様江　御目見被　仰上　上意ニ而
　忠直様御上段ゟ下一畳半計ニ御着座　出羽守様ニ茂
　御着座其節
　神君諸将江被為　向越前少将去七日之勇戦其功抜群

　甚鐘愛す直政茂幼弱之初陣ニ敵兵を生捕事実ニ
　大功なりと　上意有之候処諸将平伏奉感賞其時
　伊予守様御末座ゟ伊予守此ニ罷在候与被　仰上候得者
　神君御聞被成汝今度之戦功自分之手柄致感賞与
　上意有之
　忠直様ニ被為　向汝か父秀康ハ孝有て又忠を尽す
　汝茂又此度之戦功諸将ニ超へ英勇天下ニ無比類感状を
　可授儀なれ共宗室之儀ニ付不及其儀乍然子孫迄も
　必不可有疎略恩賞者後日ニ可沙汰与　上意有之当座之

　為御褒美
　神君ゟ初花之御茶入
　秀忠様ゟ御脇指《割書：貞
宗》御掛物《割書：牧谿筆
落雁画》御手自御拝領
　神君再被為　召汝か父秀康年来天下勇名之士を招養を以
　今度天下之耳目を驚かせし大功も相立候此上者猶以臣下を
　哀憐可致旨　上意有之
　　　　　　但此時本多丹下《割書：成
重》本多伊豆守《割書：富
正》小栗備後守《割書：正
重》荻田主馬
　　　　　　　御前江被為　召御懇之　上意有之伊豆守江貰金
　　　　　　　拝領被　仰付其余者拝領物不詳

一五月廿三日今度於大坂討取首数相記指出候様被　仰出候ニ付
　御使者富岡治兵衛を以左之通被指出之
　　　　　首帳
　　　　　一首一　　　　　　山上甚左衛門
　　　　　一同一　　　　　　田口源左衛門
　　　　　一同一　　　　　　田口源蔵
　　　　　一同一　　　　　　大熊九右衛門
　　　　　一同一　　　　　　江間勘助
　　　　　一同三　　　　　　朝比奈小隼人
　　　　　一同二　　　　　　村田外記
　　　　　一同一　　　　　　窪崎長五郎
　　　　　一同二　　　　　　高木長右衛門
　　　　　一同一　　　　　　増田作十郎
　　　　　一同二　　　　　　斎藤無意
　　　　　一同廿六　　　　　吉田修理
　　　　　一同八　　　　　　牧野主殿

　　　　　一同六　　　　　　柴田帯刀
　　　　　一同一　　　　　　稲葉馬右衛門
　　　　　一同十八　　　　　山川讃岐守
　　　　　一同八　　　　　　山岡備前
　　　　　一同十九　　　　　高屋越後
　　　　　一同十六　　　　　笹治大膳
　　　　　一同六　　　　　　富永刑部
　　　　　一同六　　　　　　日下部左馬助
　　　　　一同五　　　　　　安崎宇右衛門
　　　　　一同四　　　　　　浅羽左衛門
　　　　　一同四　　　　　　横江弥五右衛門
　　　　　一同二　　　　　　長田儀大夫
　　　　　一同一　　　　　　落合八郎右衛門
　　　　　一同三　　　　　　富田弥左衛門
　　　　　一同十三　　　　　西尾仁左衛門
　　　　　一同廿八　　　　　加藤宗月
　　　　　一同五　　　　　　服部三大夫
　　　　　一同廿一　　　　　荻田主馬

　　　　　一同十一　　　　　長谷部右馬助
　　　　　一同二　　　　　　山名土佐
　　　　　一同四　　　　　　谷　左衛門
　　　　　一同十二　　　　　永見民部
　　　　　一同三十八　　　　多賀谷左近
　　　　　一同三　　　　　　大藤小太郎
　　　　　一同廿六　　　　　落合美作
　　　　　一同三　　　　　　岩上越中
　　　　　一同三　　　　　　平松三十郎
　　　　　一同六　　　　　　谷　伯耆
　　　　　一同二　　　　　　林　甲斐
　　　　　一同六　　　　　　青木新兵衛
　　　　　一同五　　　　　　佐野五郎大夫
　　　　　一同十五　　　　　高須半市
　　　　　一同二　　　　　　嶋田右京
　　　　　一同一　　　　　　大場十兵衛
　　　　　一同七　　　　　　荻野河内
　　　　　一同二　　　　　　戸田庄右衛門

　　　　　一同二十　　　　　山本摂津
　　　　　一同十二　　　　　菅沼伊賀
　　　　　一同一　　　　　　桜井武兵衛
　　　　　一同二　　　　　　水谷兵部
　　　　　一同三　　　　　　高徳主計
　　　　　一同一　　　　　　関根織部
　　　　　一同七　　　　　　太田安房
　　　　　一同三　　　　　　多賀谷権大夫
　　　　　一同七　　　　　　国枝頼母
　　　　　一同七　　　　　　朝日丹波
　　　　　一同一　　　　　　伊達与兵衛
　　　　　一同一　　　　　　坂井与右衛門
　　　　　一同十　　　　　　笹治兵庫
　　　　　一同三十一　　　　片山主水
　　　　　一同二　　　　　　片桐丹後
　　　　　一同三　　　　　　丹羽勘兵衛
　　　　　一同一　　　　　　小栗忠八
　　　　　一同一　　　　　　剣持六郎右衛門

　　　　　一同二　　　　　　鷲山伝八
　　　　右之外諸番組近習小姓之輩并与力足軽等
　　　　之討取首略之
　　　　　一首五十七　　　　松平伊予守
　　　　　一同三十一　　　　松平出羽守
　　　　　一同百三　　　　　本多伊豆守
　　　　　一同六拾四　　　　本多丹下
　　　　　　惣首数都合三千七百五拾三級也
一六月十六日嘉定ニ付二條御城江御登　城御祝儀被　仰上
一閏六月六日
　神君於二條御城真言論議　御聞被成候付御登

　城御聴聞有之
一閏六月十九日従三位参議御叙任有之
　　　　但今度之御軍功為御褒美従四位少将ゟ直ニ
　　　　　御昇進
一同月廿日御登　城御叙任之御礼被　仰上其節本多
　丹下《割書：成
重》叙爵被　仰付飛騨守与改
一同月廿一日
　秀忠様御参　内ニ付
　忠直様被供奉
　
一同月廿七日於二條御城伶人奏楽有之ニ付御登　城御見物
　被成
一七月七日於伏見御城武家之諸法度被　仰出本多
　上野介《割書：正
純》殿被相達之
　　　　　武家諸法度
　　　一文武弓馬之道専可相嗜事
　　　　　左文右武古之法也不可不兼備矣弓馬者
　　　　　是武家之要枢也雖兵為凶器不得已而
　　　　　用之治不可忘乱何不励修練■【切？】乎

　　　一可制群飲佚遊事
　　　　　令條所載厳制殊重耽好色業博奕者
　　　　　是亡国之基也
　　　一背法度輩不可隠置於国之事
　　　　　法是礼節之本也以法破理以理不破法背法之類
　　　　　其科不軽矣
　　　一国々大小名并諸給人各相抱士卒有為叛逆
　　　　殺害人之告者速ニ可追出事
　　　　　夫挟野心者為覆国家之利器絶人民之

　　　　　鋒釼豈是允容乎
　　　一自今以後国人之外不可交置他国之者事
　　　　　凡因国其風是異也或自国之密事告
　　　　　他国或以他国之密事告自国侫媚之萌也
　　　一諸国居城雖為修補必可言上況新儀之構営
　　　　堅令停止事
　　　　　城過百雉国之害也■塁浚湟大乱之本也
　　　一於隣国企新儀結徒党者有之者早可致言上
　　　　事

　　　　　人皆有党亦■【少？】達者也是以或不順君父台
　　　　　違于隣里不守旧制何企新儀乎
　　　一私不可締婚姻事
　　　　　夫婚合者陰陽和合之道也不可容易睽曰
　　　　　匪寇婚媾志将通寇則失時桃夭曰男女以正
　　　　　婚姻以時国无鰥民也以縁成党是姦謀本也
　　　一諸大名参勤作法事
　　　　　続日本記制曰不預公事恣不得集己族京裡
　　　　　廿騎以上不得集行云々然則不可引率多勢

　　　　　百万石以下廿万石以上不可過二十騎十万石以下
　　　　　可為其相応蓋公役之時者可随其分限矣
　　　一衣装之品不可混雑事
　　　　　君臣上下可為各別白綾白小袖紫袷紫裏練
　　　　　無紋之小袖無御免衆猥不可有着用近代郎従
　　　　　諸卒綾羅錦繍等之飾服甚非古法制焉
　　　一雑人恣不可乗輿事
　　　　　古来依其人無御免乗家有之御免以後
　　　　　乗家有之然近来及家郎諸卒乗輿

　　　　　誠濫吹之至也於向後者国大名以上一門之
　　　　　歴々者不及御免可乗其外昵近之衆并
　　　　　医陰両道或六十以上之人或病人等御免以後
　　　　　可乗家郎従卒恣令乗輿者其主人可為
　　　　　越度但公家門跡并諸出世之衆者非制限
　　　一諸国諸侍可用倹約事
　　　　　富者弥誇貧者恥不及俗之凋弊無甚於
　　　　　此所令厳制也
　　　一国主可撰政務之器用事

　　　　　凡治国道在得人明察功過賞罰必当国
　　　　　有善人則其国弥殷国無善人則其国必亡
　　　　　是先哲之明誠也
　　　　右可相守此旨者也
　　　　　　慶長廿年卯七月日
一七月十三日年号元和与改元
一同月十八日於伏見御国許江之御暇被　仰出貰金御拝領
一同月十九日
　秀忠様伏見　御発駕《割書：八月四日江戸江
御帰城》

一七月廿三日於二條御城
　神君江御暇之御礼被　仰上
一同月《割書：日不
詳》京都　御発駕北庄江　御帰着
一八月四日
　神君京都　御発駕《割書：同月廿三日駿府
御帰城》
一九月廿一日本多伊豆守《割書：富
正》男千菊《割書：後内蔵助
昌長》為証人府中出立
　江戸表江罷出
　　　　但先達而本多佐渡守《割書：正
信》殿ゟ御差図有之
一十一月《割書：日不
詳》　伊予守様上総国姉崎ゟ《割書：一万
石》常陸国下妻江《割書：三万
石》

　御転封　
　　　　　　十一月廿九日仙千代様御誕生
一十二月廿九日来辰年ゟ年始之出仕官位ニ従ひ烏帽子
　狩衣大紋着用平士ハ素袍着可致登　城旨被　仰出之

元和二年丙辰
一正月朔日年始為御祝儀　御登　城
　秀忠様御白書院江　出御水戸少将《割書：頼
房》様御礼相済
　忠直様御献上之御太刀目録酒井讃岐守《割書：忠
勝》殿被持出御披露
　御礼被　仰上少将様御次江御着座御引渡□【出？】《割書：御給仕内藤
若狭守《割書：清
次》殿》
　御頂戴御順ニ三畳目江御出座初献之御盃御頂戴有之
　御盃御持御復座之時呉服台五畳目出《割書：高木主水正《割書：正
成》殿
皆川山城守《割書：隆
庸》殿》
　御出座御頂戴又御復座二献之御盃銚子出御引渡与

　引替御雑煮出順々御頂戴相済三献之御盃御銚子出
　御雑煮与引替兎御吸物出順々御頂戴畢而御退出
　伊予守様　出羽守《割書：直
政》様ニ茂御登　城御太刀馬代御献上
　御礼被　仰上御盃呉服御頂戴有之
一正月三日《割書：酉
刻》御謡初為御祝儀　御登　城
　秀忠様出御尾張宰相《割書：義
直》様遠江宰相《割書：頼
宣》様水戸少将《割書：頼
房》様
　御着座御式有之畢而
　忠直様御献上之御盃台酒井讃岐守《割書：忠
勝》殿披露之御盃

　御頂戴夫ゟ御酌替り　出羽守《割書：直
政》様召出之御盃頂戴
一二月《割書：日不
詳》
　神君御不例ニ付駿府ニ御詰被成候内　御前江被為　召
　公方様江御忠勤可被成旨　御遺言有之
一三月廿七日
　神君太政大臣御拝任
一四月十七日
　神君於駿府　御城薨御同国有都郡　久能山江
　御葬送《割書：安国院様与
奉称》

一月日先達而ゟ駿府江御詰被成候処今度
　神君薨御ニ付直ニ江戸表江　御参府
一五月十一日悪銭通用停止之儀ニ付左之通御触達有之
　　　　　　　　定
　　　一大かけ銭　　　一われ銭
　　　一形なし銭　　　一ころ銭
　　　一新悪銭　　　　一なまり銭
　　　右六銭之外ハ御蔵江茂納候間不可撰之金子
　　　壱分ニ壱貫文之売買たるへし若彼六銭之外
　　　撰候者并押而つかふ者有之糺明之上其面ニ
　　　火印を押へきもの也仍所定如件
　　　　元和二年五月十一日

一六月《割書：日不
詳》従　公儀御軍役御定之儀左之通被　仰出
　　　一五百石　　鉄炮一挺持鎗共ニ三本
　　　一千石　　　鉄炮二挺鎗五本
　　　　　　　　　弓　一張騎士一人
　　　一ニ千石　　鉄炮三挺鎗七本
　　　　　　　　　弓　二張騎士三人
　　　一三千石　　鉄炮五挺鎗十五本
　　　　　　　　　弓　三張騎士四人　旗一本
　　　一四千石　　鉄炮六挺鎗二十本
　　　　　　　　　弓　四張騎士五人　旗一本
　　　一五千石　　鉄炮十挺鎗廿二本
　　　　　　　　　弓　五張騎士七人　旗二本
　　　一壱万石　　鉄炮廿挺鎗五十本
　　　　　　　　　弓　十張騎士十四人　旗三本
　　　右可相守者也
　　　　　元和二丙辰年六月日

一七月《割書：日不
詳》　清凉院様本多千菊《割書：昌
長》被　召連御登
　城被成候処千菊儀
　秀忠様　御台様御目見被　仰付
　秀忠様ゟ御袷《割書：紅
裏》御帷子御単御羽織等拝領被
　仰付
　若君様ニ茂　御目見被　仰付　御手自御印籠御巾着
　拝領被　仰付
　　　但此以後　御台様御前江度々被　召出候由
一八月《割書：日不
詳》　伊予守様常陸国下妻ゟ《割書：三万
石》信濃国川中嶋江
　
　《割書：後松代
十二万石》御転封

元和三年丁巳
一正月《割書：日不
詳》
　神君御遺物御刀《割書：国次代銀
五千枚》一腰御拝領
一二月廿一日
　神君江
　東照大権現与神号　勅許有之
一三月九日
　東照大権現江正一位御贈位有之

一三月十五日
　東照大権現駿州久能山ゟ野州日光山江　御改葬
一四月五日於北庄　勝姫君様御安産御女子御誕生奉称
　亀姫様
一同月《割書：日不
詳》御登　城
　秀忠様江　御目見被　仰上候処去々年大坂ゟ　御帰国
　無程駿府江御詰直ニ　御参勤長々　御在府之段御苦労ニ
　思召候間　御帰国御休息被成候様　上意ニ而種々
　御拝領物有之

一月日　御名越前守与御改
一同月《割書：日不
詳》江戸　御発駕日光山江　御参詣夫ゟ直ニ中山道通
　御帰国
一八月廿六日　仙洞《割書：御諱
周仁》　崩御《割書：御謚
後陽成帝》

元和四年戊午
一三月《割書：日不
詳》　伊予守様信濃国川中嶋ゟ《割書：十二
万石》越後国高田江
　《割書：二十五
万石》御転封
一五月《割書：日不
詳》今立郡鳥羽野と申所萱原ニ而往来之左右
　草木生茂悪徒数多隠れ居致切剥往来之者致難渋
　候ニ付為旅人救荒知地打開人家を為建被成度
　思召候ニ付本多伊豆守《割書：富
正》并郡奉行渡辺牛兵衛《割書：長
久》両人被遣
　見分之上彼地ニ新ニ致家作候者有之候ハヽ諸役免許

　可被　仰付旨御領分中江相触候得共一人も抽致家作
　候者無之ニ付伊豆守牛兵衛両人彼地ニ屋敷を構近村
　野尻村中村岡野村田所村別段移村被　仰付候処追々
　打開右四ケ村致移住此を鳥羽野新町与言右ニ付岡野村江
　左之通諸役免許之高札被相建之
　　　　　　　　　　　　　鳥羽野新町
　　　　一当町諸役御免許被成候望次第屋敷可
　　　　　相渡家を相立可致居住事
　　　　一諸役御免除之上たれ〳〵によらす不謂

　　　　　之儀申懸もの在之ハ押置御奉行所江
　　　　　可申理事
　　　　一町中ニすり其外いたつら者ニ宿をかし
　　　　　申間敷■不審なる者あらは急度
　　　　　可申理事
　　　　一当所野山草かや盗苅取者在之ハ
　　　　　とらへ候て可申理事
　　　　　　　附野山へ牛馬猥ニはなし申間敷事
　　　　一町中夜番無懈怠可相勤事

　　　　右条々不可有相違者也仍如件
　　　　　午五月　　　　　渡辺牛兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　　判
一六月五日於北庄　勝姫君様御安産御女子御誕生
　奉称　鶴姫様与



元和五年巳未
一月日　大和守《割書：直
基》様御前髪被為執
一五月《割書：日不
詳》
　秀忠様御上洛ニ付　出羽守《割書：直
政》様被供奉
一同月廿一日御妹御逝去《割書：御名御年
齢不詳》浄光院江御葬送御法号
　智光院殿宝寿樹春花大禅定尼
一六月《割書：日不
詳》　出羽守《割書：直
政》様被叙従五位下
一十二月六日　長勝院様於北庄御逝去《割書：御年
七十二》孝顕寺江

　御葬送御法号
　長勝院殿松室妙載大姉志比庄永平寺江御分骨有之
　御法号
　長松院殿瑞嶺玄祥大姉
一十二月《割書：日不
詳》　出羽守《割書：直
政》様上総国市原郡姉ケ崎《割書：一万
石》御拝領


元和六年庚申
一五月《割書：日不
詳》為御参勤北庄　御発駕今庄駅迄　御出■■
　候処　御気色悪敷由ニ而長々御逗留御病気之趣ニ而
　同駅ゟ　御帰城
一六月六日
　秀忠様御女　千代姫君様《割書：御諱
和子》
　女御　宣下有之
一同月十八日

　女御御入　内有之
一九月廿九日長々　御参勤不被成候ニ付為御名代
　仙千代様北庄　御発駕
　　　　但御着府日不詳
一月　日鳥羽野新町四ケ村《割書：野尻中村
岡野田所》致移住候後追々
　諸方ゟ移住人家建連都合八ケ村ニ相成候ニ付右新町中江
　左之通諸役免許之証文郡奉行ゟ指遣之
　　　　宰相四位越前守松平忠直公御父子為御祈念
　　　　鳥羽野新町御取立被為成候処即家相立候儀
　　　　
　　　　忠節被為思召依之諸役免許屋鋪相渡間各居住
　　　　無疑可致諸職処仍証文如此
　　　　　元和六庚申年　　　　渡辺牛兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　判
　　　　　　　　　　　　　　　　鳥羽新町中

元和八年壬戌
一正月　去午年ゟ　御病気之趣ニ而《割書：御愛妾有之ニ付　勝姫君様与
御不和ニ相成　御心猛ク被為　成》
　長々　御参勤無之ニ付御病気為　御尋上使近藤縫殿助《割書：用
可》殿
　北庄江参着　御病体被相伺候上江戸表江出立《割書：道中相州大磯平塚
之間ニ而二月十日死去之由》
一月日為　御参勤北庄　御発駕濃州関ケ原迄　御越被成候処
　御病気之趣ニ而同駅ニ　御逗留
一四月《割書：日不
詳》
　秀忠様日光山江　御参詣

　

一十二月十七日当春ゟ濃州関ケ原駅ニ　御逗留《割書：此内御忍ニ而度々
北庄江被為　入候由》
　被成候処　御病気御快然無之趣ニ而同駅ゟ今日
　御帰城《割書：本多飛騨守《割書：成
重》本多伊豆守《割書：富
正》岡崎壱岐　を初御先備之面々
遠州見附迄相越罷在夫ゟ豆州三嶋駅ニ四五ケ月逗留罷在》
一十二月晦日御家臣永見右衛門　儀《割書：禄一万二
千三百石》不応　思召儀
　有之ニ付《割書：御前を憚候儀有之哉今度関ケ原ゟ　御帰城之節も
登城不致其後永平寺江可致蟄居旨被　仰付候へ共御請不申上候由》
　御憤被成討手被指向候ニ付右衛門暫相働屋敷江火を放候而及
　自殺

元和九年癸亥
一二月十日近年御国政不穏趣達　上聞候ニ付
　清涼院様江　御内命有之右ニ付　清涼院様今日
　江戸御出立
一同月廿一日先年ゟ鳥羽野荒地打開被　仰出候処追々
　住居出来候ニ付
　東照権現并
　浄光院様為御菩提比叡山坂本西教寺末寺ゟ鏡春沙門

　御招請岡野村江一寺御建立号長久寺右
　御両所様御肖像御安置被成候ニ付長久寺江左之通
　証文郡奉行ゟ指遣之
　　　　宰相四位越前守松平忠直公父子為御祈念
　　　　鳥羽野新町御取立之砌比叡山横川谷坂本
　　　　西教寺末寺長久寺鏡春沙門来而被求寺地
　　　　東西六拾間東黒水川南北九拾間南者堺道
　　　　相渡所無疑建立被各任之間証文如此
　　　　　元和九年癸亥
　　　　　　　二月廿一日　　渡辺牛兵衛

　　　
　　　　　　　　長久寺
　　　　　　　　　　御同宿中


一二月廿二日　清涼院様北庄江御着於浄光院
　忠直様江　御内意之趣左之通被　仰達　

　　　御内意之趣
　　　　　近年病気ニ而参府無之国中政道茂不穏候
　　　　　越前之国者要害之場所之処右之通ニ而者
　　　　　不可然候先致隠居候様　思召候無違背於
　　　　　及御請者仙千代江越前之家督無相違
　　　　　可被　仰付候尤隠居之地者西国ニ而可被下候
　　　　　所望之場所も有之候ハヽ可被任其意旨
　
　　　御請
　　　　　越前之家督無相違仙千代江被　仰付之由
　　　　　本望至極奉存候何分違背仕間敷候
　　　　　
　右御請相済候ニ付　清涼院様直ニ御出立御帰府之上
　御請之趣被達　上聞
一二月廿五日右同断ニ付
　仙千代様為御迎江戸表江罷越候様笹治大膳《割書：正
時》江被
　仰付同廿九日北庄出立
一同月廿九日為御仕置御用嶋田治兵衛《割書：利
政》殿阿部
　四郎五郎《割書：正
之》殿石河三右衛門《割書：利
政》殿北庄江御越
一三月十五日今度西国江可被成御隠居旨被　仰出候ニ付豊後国江
　為可被成　御徒今日北庄　御城御立《割書：二ノ丸御納戸土蔵《割書：七
蔵》之後
埋御門ゟ御出下馬御門前》

　《割書：南之方小路《割書：此時新ニ相開
今之豊後小路也》ゟ不明御門江被為入
川端河戸ゟ向江御越往還通り河野浦江被為入》敦賀江被為　入同所
　御逗留中孝顕寺三陽和尚江被　仰遣
　浄光院様御肖像を同所永昌寺江御迎被成於同寺
　御法事御執行有之《割書：追而御肖像三陽
和尚守護罷帰》此砌　御薙髪
　一伯様与被称
一三月《割書：日不
詳》
　仙千代様御帰国
一五月二日敦賀　御立豊後国萩原江被為　赴《割書：御道筋
不詳》
一六月《割書：日不
詳》豊後国大分郡萩原江　御着《割書：御居住之御屋敷五十間四方
表裏共御門有之外廻りニ幅》

《割書：六間之
湟有之》同国府内城主竹中采女正《割書：重
次》殿江江戸参勤御免ニ而
　御守衛被　仰付為御目付近藤勘右衛《割書：朋
政》殿駒井右京　殿
江戸表ゟ被相詰《割書：此年ゟ以後七月
交代ニ而二人ツヽ被罷越》
一月日従　公儀於豊後国之内為御賄料左之通御頂戴
　　　　　　　御賄料五千石之村々左之通
　　　一高六百七拾七石壱斗　　　　　　　津守村
　　　一同四百七拾六石六斗四升壱合　　　片嶋村
　　　一同千八拾石六斗九升壱合　　　　　下郡村
　　　一同三百七拾七石九斗五升弐合　　　羽田村

　　　一同八拾四石　　　　　　　　　本三川村
　　　一同八拾石弐斗壱升　　　　　　千歳村
　　　一同三百四拾壱石七斗八升　　　山津村
　　　一同八拾八石弐斗八升三合　　　乙津村
　　　一同百八拾九石六斗九升九合　　本曲村
　　　一同百拾弐石壱升五合　　　　　秋岡村
　　　一同八百弐拾壱石六斗五升九合　北石垣村
　　　一同五百八拾五石壱斗弐升九合　鉄輪村
　　　　　〆

　　　　　御国ゟ被　召連御妾
　　　　　　　　　　　　　　おらん
　　　　　　　　　　　　　　おむく
　　　　　　　　　　　　　　おいと
　　　　　豊後国ニ而被　召抱御妾
　　　　　　　　　　　　　　おつる
　　　　　　　　　　　　　　おくめ
　　　　　　　　　　　　　　おふり
　　　　　豊後国ニ而被　召仕者共
　　　　　　　　津守村住人　堤　治部　

　　　　　　　　　　　　　　　　堤　源右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　堤　又太郎
　　　　　　　　　右父子三人之外被　召仕候者共有之由ニ
　　　　　　　　　候得共名元不相知
一七月廿九日従　公儀御年寄江左之通　御黒印を以
　被　仰出之
　　　　　　　條々
　　　一忠直仕置等万事不相届故を以て越前国
　　　　仙千代丸被　仰付然上者従豊後国如何様之
　　　　
　　　　子細雖申来一切不可承引勿論自此方返事
　　　　仕間敷事
　　　一自然従豊後国申来儀無許容而不叶事者
　　　　先至江戸令言上以其上可及返答之由
　　　一家中諸法度之儀堅可申付若有違背之輩者
　　　　急度可申上之事
　　　右之趣家中之面々ニ対し不残申触能々可存
　　　其旨者也
　　　　　元和九年七月廿九日　御黒印

　　　　　　　　　　　　　　　　　本多飛騨守との
　　　　　　　　　　　　　　　　　本多伊豆守との
　　　　　　　　　　　　　　　　　小栗美作守との
　　　　　　　　　　　　　　　　　岡嶋壱岐守との
　　　　　　　　　　　　　　　　　本多七左衛門との
一月日　清涼院様再被蒙　御内命江戸表ゟ北庄江
　御越越前者至而寒国風雪甚候由御幼年之
　仙千代様御事御苦労ニ被為　思召其上　勝姫君様ニ茂
　久々遠国御住居　御安心不被為　成ニ付　御母子様御膝元ニ
　御差置御養育被成度候間御出府被成候様ニ与之
　上意之趣被　仰達

一閏八月《割書：日不
詳》江戸表ゟ
　仙千代様　勝姫君様為御迎秋元但馬守《割書：泰
朝》殿近藤石見守《割書：秀
用》殿
　御賄曽根源左衛門　殿阿部四郎右衛門　殿北庄江御越依之
　仙千代様　勝姫君様北庄　御発駕東海道通江戸表江
　御引越被成御家老小栗五郎左衛門　御目付長谷川筑後守《割書：正
成》等
　御供罷越
　　　　但江戸　御着之上　御城大奥御住居有之
　　　　一亀姫様　鶴姫様ニ茂御同道可有之候得共不詳

寛永三年丙寅
一正月《割書：日不
詳》於豊後国大分郡津守村新ニ御館御普請出来ニ付
　同国萩原村ゟ　御移被成《割書：今御館跡と称する□
八反八畝二十歩有之由》
　　　　但萩原村御館ハ海辺ニ而風波荒節ハ潮入ニ相成ニ付竹中
　　　　　采女正《割書：重
次》殿并御目付ゟ御地所替之儀江戸表江被相伺候上
　　　　　津守村へ御館御普請有之候由

寛永七年庚午
一正月廿日於豊後国津守村　松千代様《割書：後称永見市正長頼
越後守光長様御家臣と成》
　《割書：寛文七年丁未八月十六日
死去法名立源院》御誕生御母平賀氏《割書：お□
の方》
一十一月《割書：日不
詳》　亀姫様
　公方様御養女被　仰出《割書：後高松好仁親王御息所延宝九年辛酉
七月七日御逝去葬于越後高田長恩寺》
　《割書：御法号
宝珠院殿》

寛永八年辛未
一九月《割書：日不
詳》　鶴姫様
　公方様御養女被　仰出《割書：後九条道房公江御縁組寛文十一年辛亥
九月十九日御逝去葬于京都東福寺》
　《割書：御法号
廉貞院殿》

寛永九年壬申
一七月廿三日於豊後国津守村　熊千代様《割書：後称永見大蔵長良
越後守光長様御家臣と成》
　《割書：元禄十四年四月五日
於配所死去》御誕生《割書：御母同
松千代様》

寛永十一年甲戌
一二月《割書：日不
詳》日根野織部正《割書：吉
明》殿府内城主被　仰付候ニ付御館
　御守衛被成
　　　　但竹中采女正《割書：重
次》殿去ル酉年有罪而領知被除候ニ付織部正殿
　　　　　府内之城主ニ被　仰付候由
一月日於豊後国津守村　於閑様《割書：後越後守光長様御家臣小栗
美作正矩江御縁組寛文五年》
　《割書：乙巳五月十五日
死去法名高源院》御誕生《割書：御母同
熊千代様》

慶安三年庚寅
一九月十日於豊後国津守村　御逝去《割書：御歳
五十六》右之段日根野
　織部正《割書：吉
明》殿并被附置御目付中ゟ早速御達有之依之其後
　江戸表ゟ為御見届御使番真田長兵衛《割書：幸
政》殿被罷越
一十月十日　御遺骸豊後国生石村見仏山西厳院浄土寺江
　御葬送《割書：御火
葬》　御法号
　西厳院殿相誉蓮友一伯大居士
　右之外津守村御館跡《割書：御霊屋守
霊光庵》　并高野山江御分骨有之


















慶安四年辛卯
一三月《割書：日不
詳》　松千代様　熊千代様　於閑様御儀
　越後守《割書：光
長》様御願之上豊後国津守村ゟ越後国高田江
　御移被成

　　　　　　勝姫君様
慶長六年辛丑
一五月十三日於江戸　御城　御誕生
　奉称国姫君様与《割書：後勝姫君与
御改》
　秀忠様御四女御母　御台様《割書：浅井備前守
長政女》

慶長十六年壬子
一九月廿八日北庄江　御入輿《割書：九月五日江戸御発輿同十一日ゟ
十八日迄駿府ニ御滞留》於
　御城御婚姻被為整

寛永元年甲子
一八月《割書：日不
詳》　仙千代様御同道江戸江　御出府　御城大奥ニ
　御居住其後於牛込御屋敷御拝領有之　御引移被成奉称
　高田様

寛文十二年壬子
一二月廿一日《割書：未ノ
刻》於牛込御屋敷　御逝去光明山天徳寺江
　御葬送御法号
　天崇院殿穏誉泰安豊寿大姉
　引続一七日之御法事有之　上使御老中稲葉丹後守《割書：正
則》殿

　を以御香奠白銀千枚御拝領
　　　　但此以後七回御忌迄　上使を以白銀二百枚宛御拝領

　　　　　御在勤中
一御参府之節御献上物御暇之節御拝領物等之事
　不詳
一御絵御旗御馬印等
　秀康様御代之通御用御家中惣旗并印等ハ
　其組々ニ而替■

【裏表紙】

家譜

【表表紙】
【題箋】
《題：家譜《割書：吉品公｜　》《割書：従宝永六年｜到同七年》二十五》


【見返し】

【左丁】
吉品様《割書：従宝永六年已丑｜至同七年庚寅》

【右丁】
白紙

【左丁】
家宣様御代《割書：五月朔日｜将軍　宣下》
　宝永六年已丑

一　正月朔日為年始御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代
　　御献上呉服御拝領
　　　　　但
　　　　　　公方様御不例ニ付
　　　　　　大納言様御名代ニ而御礼被為　請

【右丁】
一　同日於　御屋形年始御規式有之
　　吉邦様御名代ニ而諸士之御礼被為　請
一　正月六日
　　公方様御麻疹ニ付御酒湯被為　掛候を　御機嫌為御伺
　　毎日御使者被指出候様大目付横田備中守《割書：由｜松》殿ゟ御廻状来
　　　　　　但右ニ付御使者可被指出候得共御記録類不詳
一　同月七日右同断ニ付　御機嫌為御伺
　　吉邦様御同道ニ而　御登　城《割書：昨六日｜御触達》御老中被謁之夫ゟ
　　西丸御用番本多伯耆守《割書：正｜永》殿江　御勤

【左丁】
一　同日為御上初御使者を以例之通御肴被献之
一　同月十日
　　公方様御麻疹御快然昨九日御酒湯被為　召候為御歓御登城
　　被成候処《割書：昨九日｜御触達》昨夜ゟ御様体御指重今朝　薨御被遊候旨御老中
　　御達有之右ニ付
　　大納言様御機嫌為御伺　西丸江　御登　城　西丸御用番本多
　　伯耆守《割書：正｜永》殿江御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直｜■【晋ヵ】》被指出之
一同月十一日右同断ニ付　
　　大納言様御機嫌為御伺　西丸江　御登　城夫ゟ御側御用人

【右丁】
　　間部越前守《割書：詮｜房》殿江　御勤
　　　　　　但十三日十五日ニも御登城被成候様御老中御達有之候得共
　　　　　　　御登城之儀不詳
一　正月十二日右同断ニ付御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江　御勤
一　同月十八日御縁中　御機嫌為御伺御檜重一組被献之
一　同月廿八日
　　公方様御尊骸東叡山江　御葬送《割書：御法号｜常憲院様》
一　二月四日

【左丁】
　　公方様薨御ニ付　御台様御院号　浄光院様と奉称候ニ付
　　浄光院儀院号を改候ニハ不及運正寺之寺号之方を可称旨於
　　御家老酒井典膳《割書：知｜房》宅浄光院江申渡之
　　　　　但右ニ付御家中幷町方江も無急度被　仰出
一　同月五日
　　吉邦様御同道ニ而御用番小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江　御出
　　御代替之　御誓詞被指上之
　　　　　　　　　起請文前書事
　　　　　一　奉対　御当家御奉公之儀毛頭疎略

【右丁】
　　奉存間鋪事
一　縦如何様之儀御座候共
　　御代々別而御厚恩之私儀御座候得者無
　　表裏別心一途御奉公可申上事
一　勿論雖親子兄弟知音好対
　　公儀存悪意者於有之者同心不仕可
　　奉抽忠節事
右之条々於相背者
　梵天帝釈四大天王惣日本国中

【左丁】
　六十余州大小神祇殊伊豆箱根
　両所権現三島大明神八幡大菩薩
　天満大自在天神部類眷属神罰
　冥罰各可罷蒙者也仍起請文
　如件
　　　　　　　　　　　　　松平大炊頭御書判
　　宝永六已丑年二月五日
　　　　　　　　　　　　　松平兵部大輔御書判

　　　土屋相模守殿

【右丁】
　　　　　　　　　　小笠原佐渡守殿
　　　　　　　　　　秋元但馬守殿
　　　　　　　　　　本多伯耆守殿
　　　　　　　　　　大久保加賀守殿
　　　　　　　　　　井上河内守殿

一　同日　公辺ゟ左之通御書付を以被　仰出
　　　　　　老中江　公儀向用頼之儀銘々有之候得共相
　　　　　　止候間向後月番之老中可被相伺候
一　同月九日御朦中　御機嫌為御伺御使者を以薯蕷一籠
　　被献之
一　同月十八日　浄光院様《割書：綱吉様之｜御台様》御逝去ニ付《割書：去ル｜九日》来廿四日迄普請
　　鳴物停止之旨於御国表被　仰出
一　三月十三日於月番御家老松平庄兵衛《割書：正｜恒》宅先年《割書：元禄十丑年｜十二月》於
　　公辺被　仰出候酒運上之儀御免被成候旨被仰出候ニ付其段
　　酒屋共江申渡候様町奉行金津奉行郡奉行江庄兵衛申
　　渡之
一　同月十八日浅草茅町出火ニ付　御出馬被成

【右丁】
一　三月十九日
　　常憲院様御法号御小姓下山彦三　江持参被　仰付候処道中
　　守護去十六日着ニ付万福山御仏殿江　御安置今日御供養
　　有之
一　四月二日　御代替之為御祝儀御登城年始之通御着座ニ而
　　御礼被仰上夫ゟ御老中若年寄中江　御廻勤
一　同月十二日　上使御老中小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿を以御国許江之御暇
　　被　仰出例之通白銀御袷御拝領《割書：上使御取扱｜如例》御退出後為御礼
　　御老中御側御用人江　御廻勤

【左丁】
一　同月十三日　御登城御暇之御礼被仰上御馬幷御腰物《割書：行平代｜千貫》
　　御拝領畢而被　召連候御家来本多四郎右衛門《割書：恒｜久》御目見被仰付
　　御時服四拝領被　仰付相済御退出掛御老中御側御用人
　　若年寄中江　御廻勤
　　　　　但御腰物者　公儀御代替後初而ニ付御拝領
一　同月十八日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
一　同月廿三日江戸　御発駕中山道通御旅行
一　同月《割書：日不｜詳》大目付中ゟ御留守居江左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　　　覚

【右丁】
一　猪鹿狼多出田畑荒シ人馬江も掛り候節ハ不及
　　相伺玉込鉄炮ニ而為打可被申事
　　　附目付ニ家来付置候儀幷打留候数寄々書付不及
　　　　差出事
一　玉込鉄炮免許之儀候間常威鉄炮幷月切威鉄
　　炮向後不及願事
一　猟師鉄炮相続幷増減之儀鉄炮改方江不及相伺
　　御代官領主地頭可為勝手次第事
一　用心鉄炮幷寄進鉄炮之事

【左丁】
一　商売鉄炮幷質物鉄炮之事
一　江戸之外諸国浪人所持之鉄炮幷浪人稽古鉄
　　炮之事
　右三ヶ条は前々之通相心得鉄炮改方江相窺可被
　任指図事
一　猟師幷荒候畜類打候外は在々幷町方迄猥鉄
　　炮打申間敷旨御代官領主地頭方ニ而常々遂
　　吟味毎歳一度宛鉄炮改方江證文可被指出事
　　　以上

【右丁】
　　　　　　　丑四月
一　五月二日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単被献之
一　同月七日　御着城
一　同月十日右同断ニ付為御礼御使者酒井與惣兵衛《割書：元｜陣》江戸表江
　　被指出之《割書：御書日附｜七日》今日福井出立
一　同月十一日　将軍　宣下相済候《割書：去ル｜朔日》為御祝儀御使者を以御太
　　刀馬代被献之
一　同日右同断ニ付為御歓御使者寄合水谷織部《割書：勝｜紀》江戸表江被指出之
　　今日福井出立
く
【左丁】
　　　　　　但織部同月廿三日江戸着同廿五日御返書御渡有之
一　　同月十六日右同断為御祝儀御太刀馬代被献候ニ付而之御奉公
　　於御老中宅被相渡之
　　　　　　　　今度
　　　　　　　　将軍　宣下相済候付而為御祝儀以使者
　　　　　　　　御太刀一腰御馬代黄金十両被之候
　　　　　　　　右之趣首尾好遂披露候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　井上河内守
　　　五月十六日　　　　　　　　正峰書判
　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　忠増書判

【右丁】
　　　　　　　　　　　　　　本多伯耆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　正永書判
　　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　喬朝書判　　
　　　　　　　　　　　　　　小笠原佐渡守
　　　　　　　　　　　　　　　　　永重書判
　　　　　　　　　　　　　　土屋相模守
　　　　　　　　　　　　　　　　　政直書判
　　　　　　　　　松平兵部大輔殿

一　五月廿三日　将軍　宣下之諸御礼相済候為御祝儀御使者
　　御先物頭国枝小一郎《割書：冥｜真》江戸表江被指出之今日福井出立

【左丁】
　　　　　　但小一郎六月五日江戸着同七日御返書御渡有之
一　同月廿六日　将軍　宣下相済候御祝儀之御能
　　吉邦様御見物之為御礼御使者大谷儀左衛門《割書：好｜澄》江戸表江被指出之
　　今日福井出立
　　　　　　但儀左衛門六月六日江戸着同十一日御返書御渡有之
一　同月廿七日御用番秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿ゟ御留守居迄御切紙を以御帰
　　国御礼御使者酒井與惣兵衛《割書：元｜陣》明廿八日　西丸江可指出旨且又自分
　　之御礼も被仰付旨申来右ニ付與惣兵衛儀為御請但馬守殿江
　　罷出《割書：御留守居堀｜十兵衛同道》

【右丁】
一　五月廿八日為御帰国御礼御使者酒井與惣兵衛《割書：元｜陣》を以例之通
　　奉書紙幷御樽肴被献之與惣兵衛　西丸江罷出《割書：御留守居村上｜三太夫同道》御献上
　　物相納之月次御礼後於御白書院
　　公方様御目見被　仰付御奏者番石川近江守《割書：総｜茂》殿披露御用番
　　秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿御取合有之退去再罷出自分之御礼被　仰付
　　御太刀銀馬代献上御奏者番本多弾正弼《割書：忠｜晴》殿披露退去右為
　　御礼御老中御側御用人若年寄中江廻勤
一　六月五日右同断御使者酒井與惣兵衛《割書：元｜陣》　西丸江罷出候処御返書
　　御渡有之其節與惣兵衛江御時服拝領被　仰付

【左丁】
一　同月十五日暑中ニ付　御機嫌為御伺御使者市村勘右衛門《割書：賢｜通》江戸
　　表江被指出之御肴一種被献之勘右衛門今日福井出立
一　同月廿一日暑中ニ付御書を以例之通御国産索麺干鯛被献之
一　同月晦日御台様御叙位之為御祝儀御使者早川吉左衛門
　　江戸表江被指出之
　　公方様江昆布一箱干鯛一箱御樽一荷《割書：御樽代｜千疋》被献之《割書：去十八日｜御賜達》
　　御台様江右同断被指上之吉左衛門今日福井出立
　　　　　但吉左衛門江戸着日不詳七月十二日御返書御渡有之
一　七月四日御家老松平庄兵衛《割書：正｜恒》年寄候ニ付隠居被　仰付

【右丁】
一　七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
一　同月七日御代替後初而　御内書御頂戴之為御礼羽中田
　　左近次　江戸表江被指出之今日福井出立
　　　　　　但御内書御渡之日不詳
　　　　　　一例年者御書被指出候得共御代替後初而ニ付御使者被指出之
一　同月十日御老中大久保加賀守《割書：忠｜増》殿ゟ御呼出御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》
　　罷出候処左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　常憲院様東叡山御仏殿江献上之覚
　　　　　　　　　銅灯籠　　二基

【左丁】
　　　　　　　　　地磐石《割書：高地より八寸｜指渡四尺五寸》地磐石上端より宝珠迄
　　　　　　　　　八尺二寸
　　　　　　右之通当年九月中出来候様ニ可被致候以上

一　同月十九日柏舎人《割書：孝｜澄》御家老職被仰付
一　同月廿一日於孝顕寺昨廿日晩ゟ今朝迄　清凉院様七十回御忌
　　御法事御執行有之
一　八月朔日為御祝儀御使者を以例之通御太刀馬代被献之
一　同月十一日御書を以例之通御国産初鱈被献之

【右丁】
一　九月七日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　御台様江白銀被指上之
一　同月十一日為御湯治泥原新保浦江御出被成《割書：同月十六日｜御帰殿》
一　十月四日御老中秋元但馬守《割書：喬｜朝》殿ゟ御呼出御留守居罷出候処
　　春宮御所御築地入用所司代迄御上納之儀ニ付左之通御書付被相
　　渡之
　　　　　　　去々年
　　　　　　　春宮新御殿出来之節御築地料如先例高掛りニ
　　　　　　　出候間松平紀伊守江被相達被指出候様可被致候

【左丁】
一　同月十二日御老中井上河内守《割書：正｜峯》殿ゟ御呼出御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》
　　罷出候処
　　禁裏御祈御移徙相済候段御承知被成候はゝ御使者被指出候様
　　可申上旨被申聞左之通御書付被相渡之
　　　　　　禁裏江
　　　　　　　御太刀
　　　　　　　御馬代黄金弐枚

　　　　　禁裏御移徙之御祝儀以使者可被献候日限之無構

【右丁】
　　　　　　使者京着次第献上之筈候衣服等委細松平紀伊守
　　　　　　可被得差図候以上
　　　　　　　十月
一　十月十六日於評定所御借米之儀ニ付左之通諸月番被　仰出之
　　　　　　　御家中御借米之儀去年被　仰渡通去暮増
　　　　　　　御借之分は当年御減可被成之処御才覚曽而不相
　　　　　　　調候故御勝手御難儀付今年も去年之通御借
　　　　　　　米被仰出候左様被相心得諸事随分致簡略可
　　　　　　　被相勤候以上

【左丁】
　　　　　　　十月十六日
一　同月十八日
　　常憲院様御霊前江御献備之銅燈籠出来ニ付御留守居大関
　　新五左衛門《割書：直｜看》大御番坂井善八《割書：久｜程》中村安右衛門《割書：元｜珍》東叡山江罷越御仏殿
　　前江相建之夫ゟ御老中大久保加賀守《割書：忠｜増》殿江罷出右之趣相達之
一　同月廿三日水戸中将《割書：吉｜享》様御逝去ニ付《割書：去ル｜十二日》
　　公方様御機嫌為御伺御使者平塚次郎兵衛　江戸表江被指出之
　　今日福井出立
一　同日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於御城御渡有之

【右丁】
　　御家来拝領物等如例
一　十一月三日
　　主上御疱瘡御酒湯被為　召候為御祝儀江川宗治　江戸表江
　　被指出之今日福井出立
　　　　　　但宗治江戸着日不詳同月十六日御返書御渡有之
一　同月四日御参勤御時節為御伺御使者御使番比企佐左衛門《割書：栄｜翦》江戸
　　表江被指出之今日福井出立
一　同日
　　公方様去二日　御本丸江御移徙相済候為御祝儀御使者宇都宮

【左丁】
　　藤一郎《割書：教｜綱》を以
　　公方様江昆布一箱鯣一箱御樽二荷被献之《割書：九月廿六日被仰出｜以下同断》
　　御台様江御使者村上三太夫《割書：正｜峯》を以鯣一箱昆布一箱御樽代千疋
　　被指上之於二ノ丸御門番所相納之
一　同月九日
　　主上御疱瘡御酒湯被為　召候為御祝儀御使者京都御留守居
　　本多武兵衛《割書：武｜雅》を以
　　禁裏御所江御太刀馬代《割書：白銀二｜十枚》被献之《割書：去月十九日｜被　仰出》於　御仮殿相納之　
　　山口安房守　殿曽根能登守　殿御受取有之

【右丁】
一　十一月十一日
　　公方様御移徙相済候御祝儀御献上ニ付而之御奉書御老中ゟ
　　来
　　　　　　　今度御本丸御移徙為御祝儀以使者御樽肴
　　　　　　　被献之候遂披露候処一段之御仕合候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　　井上河内守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正峰書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠増書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　本多伯耆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正永書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　喬知書判

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　小笠原佐渡守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　長重書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋相模守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　政直書判
　　　　　　　　　　松平兵部大輔殿

一　同月十二日傳　奏衆ゟ御呼出ニ付京都御留守居本多武兵衛《割書：武｜雅》高野
　　前大納言《割書：重｜條》殿亭江罷出候処庭田前大納言《割書：保｜春》殿御列座ニ而左之通
　　御返翰御渡有之
　　　　　　　　芳翰令披閲候

【右丁】
　　　　　　主上御疱瘡御快然為御酒湯之御祝儀
　　　　　　御太刀御馬代以使者被献之則令
　　　　　　奏達候処
　　　　　　叡感之御事候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　保春
　　　　　　　　　　　　　　　重條
　　　　　　　十一月十二日

　　　　　　　　松平兵部大輔殿

【左丁】
一　同月十三日
　　公方様御本丸江御移徙相済候為御祝儀御使者長野八太夫
　　江戸表江被指出之今日福井出立
　　　　　　但八太夫同月廿四日江戸着同廿六日御返書御渡有之
一　同月十六日　遷幸相済候為御祝儀御使者高田小左衛門《割書：一｜章》京都江
　　被指出之今日福井出立
一　同月十九日御老中ゟ御呼出御参勤御時節御伺之御使者
　　比企佐左衛門《割書：栄｜翦》罷出候処来年四月中御参府可被成旨御奉書
　　御渡有之

【右丁】
一　十一月廿四日於　御座所女奉公人之儀ニ付左之通御家中江
　　御触候様御目付江御家老稲葉多門《割書：正｜方》申渡之
　　　　　一　御家中召仕之女召抱候儀男肝煎仕旨ニ候此以後
　　　　　　　男肝煎不仕候様ニ堅可被申付候向後町中ニ而女
　　　　　　　肝煎之宿可申付候間女奉公人召抱候儀ハ右肝
　　　　　　　煎之宿江申遣召抱可被申候尤女之出替弥以可
　　　　　　　為三月五日候然共病人其外無拠儀ハ不可寄時
　　　　　　　節候
　　　　　一　女奉公人之儀肝煎之宿町中ニ而相究候ハゝ追而

【左丁】
　　　　　　　可相触候間右肝煎之宿江罷越差図次第有附
　　　　　　　可相究候
　　　　　一　与力幷年頭ニ　御流頂戴ニ罷出又は一統之御礼
　　　　　　　仕候格式之面々娘姉妹は可為勝手次第候其外之
　　　　　　　親類等手前ニ養置候女を奉公ニ出候ハゝ右肝煎
　　　　　　　之宿江指出可申候右之格式ゟ以下之者は娘姉妹
　　　　　　　たりといふとも肝煎之宿江遣有附可相極候
　　　　　　　　但面々家来之娘姉妹主人召抱候儀は各別其余は
　　　　　　　　　肝煎之宿江指越有附可相極候

【右丁】
　　　　　右之趣今度被　仰出候間面々堅相守組支配幷
　　　　　家来之者共江急度可被申付候以上
一　十一月廿五日　遷幸相済候為御祝儀御使者高田小左衛門《割書：一｜章》を以
　　禁裏御所江御太刀馬代《割書：黄金｜二十両》被献之於　新御殿相納之
一　同日越後守《割書：宣｜冨》様御一字御拝領ニ付為御礼江戸表江御書被指出之
一　同月廿七日傳奏高野前大納言《割書：重｜條》殿ゟ御呼出御使者高田小左衛門《割書：一｜章》
　　罷出候処《割書：御留守居本多｜甚【武】兵衛同道》左之通御返翰御渡有之
　　　　　芳翰令披閲候今度為
　　　　　遷幸之御祝儀以使者御太刀馬代被献之

【左丁】
　　　　　則令
　　　　　奏達候処　御感悦之御事候恐々謹言
　　　　　　　十一月廿六日　　　　　　保春
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　重條

　　　　　　　松平兵部大輔殿

一十二月五日外記《割書：綱｜近》様御卒去《割書：十一月｜十五日》ニ付庄五郎《割書：宣｜■【雄】》様江　上使を以
　　御香奠御拝領ニ付為御礼江戸表江御書被指出之

【右丁】
一　十二月十日於万福山
　　常憲院様御一周忌御法事御取越御執行有之
一　同月十一日於東叡山
　　常憲院様御法事御取越御執行有之ニ付御使者宇都宮
　　藤一郎《割書：教｜綱》を以同所中堂江御香奠銀十枚被献之
一　同日寒中ニ付　御機嫌為御伺御使者堀新左衛門《割書：直｜正》江戸表江
　　被指出之御肴一種被献之新左衛門今日福井出立
一　同日右同断ニ付例之通御国産《割書：一｜番》生鱈江戸表江被指立之
　　　　　但十五日江戸着十六日被献之

【左丁】
一　同月十三日
　　常憲院様御法事相済候為御歓御使者松原十太夫《割書：永｜明》江戸表江
　　被指出之今日福井出立
一　同月十五日寒中ニ付御国産《割書：二｜番》生鱈被指立之
　　　　　但右生鱈江戸着之処
　　　　　　新院御所崩御ニ付御献上無之
一　同月十七日
　　新院御所崩御
一　同月廿日右同断ニ付於御国表今日ゟ三日之間鳴物停止被

【右丁】
　　仰出
一　十二月廿七日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　御台様江白銀被指上之
一　同月晦日
　　新院御所崩御ニ付京都江御使者被指出之傳　奏庭田
　　前大納言《割書：保｜春》殿高野前大納言《割書：重｜條》殿迄御書被指出之
一　同日右同断ニ付江戸表江御書被指出之

【左丁】
宝永七年庚寅

一　正月朔日於　御本丸年始御規式有之
一　同日為年始御祝儀御使者太田三弥　を以例之通御太刀馬代
　　被献之
一　同月七日為御上初御使者を以例之通御肴被献之
一　二月十日於東叡山浄光院様御一周忌御法事有之ニ付

　　御使者栃屋半右衛門《割書：久｜豊》を以御香奠《割書：員数｜不詳》被指上之

【右丁】
一　二月十一日月次御機嫌為御伺江戸表江御書被指出之御肴
　　一種被献之
一　同月十九日浄光院様御一周忌御法事相済候為御歓御使者
　　香西直助　江戸表江被指出之今日福井出立
一　同月廿三日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於　御城
　　御渡有之御家来拝領物等如例
一　三月廿一日
　　公方様紅葉山江初而　御参詣《割書：去十｜一日》相済候ニ付為御歓江戸表江
　　御使者被指出之

【左丁】
一　同日福井　御発駕東海道通御旅行
一　四月六日霊巖島御屋敷江　御着為御案内御老中江
　　御使者被指出之
　　　　　但御直勤可被成処御所労ニ付御使者被指出之
一　同月七日御用番井上河内守《割書：正｜峯》殿江　御勤
一　同日御参府ニ付　上使御老中小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿御越
　　上意之趣御達有之右為御礼佐渡守殿江御勤残御老中
　　御側御用人若年寄中江
　　吉邦様御廻勤

【右丁】
　　　　　但御足痛ニ付
　　　　　　吉邦様御名代御勤
一　四月十五日
　　吉邦様御登城被成候処《割書：前日御老中ゟ｜御切紙来》
　　公方様御出御御一統之　御目見相済畢而御儒者林七三郎　殿出座
　　御条目御読渡有之御退出掛御老中御側御用人江　御廻勤
一　同日右同断ニ付為御歓御老中御側御用人江御使者留守居
　　村上三太夫《割書：正｜峯》被指出之
一　同月十八日御老中小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿ゟ御呼出御留守居堀

【左丁】
　　十兵衛《割書：久｜律》罷出候処諸家之留守居一同並居佐渡守殿出座今度
　　被　仰出候御条目御改正ニ付御書付銘々可相渡筈ニ候得共数多
　　ニ付無其義候間写取候上相廻候様被申聞松平加賀守《割書：綱｜紀》殿松平
　　左京太夫《割書：頼｜■》殿留守居江御書付一通宛被相渡之夫ゟ相廻候ニ付左之
　　通写被　仰付之
　　　　　一　文武之道を修め人倫を明にして風俗を正
　　　　　　　しくすへき事
　　　　　一　国郡家中の政務各其心力を尽し士民
　　　　　　　の怨苦を致すへからさる事

【右丁】
一　軍役の兵馬を整備へ公役の支度を儲蓄へ
　　き事
一　参勤之交替其定期違ふへからす従者の
　　員数其分限に過へからさる事
　　　附江戸城下召供の者貴賤大小又各其分限を守
　　　　るへき事
一　新築の城郭私ニ経営する事を聴さす其
　　修築に至ては堀土居石垣等は上裁を仰くへ
　　し矢倉門塀等は制限に非さる事

【左丁】
　　　附道駅橋渡人馬等いふに及はす私の関所津
　　　　留等往来の煩をなす事を聴さす荷船
　　　　の外五百斛以上の大船を造るへからさる事
一　大小の諸役諸番の頭人等権勢に依て人を凌き
　　公儀を假て私を営へからす同列相和らきて
　　衆議を会し上聞を塞すして下情を通し
　　偏頗なく贔屓あらす各其職事に練習し
　　て公務を精勤すへき事
一　貨賄を納て権勢の力を假秘計を廻して内縁

【右丁】
　　の助を求む皆是邪路を開きて正道を害す
　　政事のよりて傷るゝ所や一切に禁絶すへき
　　事
　　　附上裁を仰くへき事あるにおゐては或は
　　　　奉行或は頭人各其支配に就て可申上事
　　　　内奏秘計に渉らす譬理運の申条たり
　　　　といふ共特さらに恩許有へからさる事
　　　　群歓使遊の禁旧制阮に明白なり凡は奢靡を
　　　　競ひて礼制によらす財利を貪て廉恥を

【左丁】
　　不省妄に人材の長短を論し窃に時事の
　　得失を議す風を傷り俗を敗る事是より甚
　　しきはなし厳に禁止を加ふへき事
一　私領百姓の訴論は其領主裁断たるへし事若
　　他領に係るに於ては或は両地の領主互に相
　　通し或は支配の頭人各相会して議定すへし
　　事猶一決し難きにおいては評定所に裁決
　　を請けしむへき事
一　越境の違乱狂罪の追補等其余何事に限らす

【右丁】
　　私の評論に及ふへからす事若相和き難き
　　に至らは其趣を以て奉行頭人等に申すへき事
　　　附本主其仕途を禁するの輩召仕ふへからさる事
一　若非常之変有之時は其所在に随ひて或ひは
　　宅地或は領地各其所を守りて妄に動す速に
　　可注進其事若刑罰の事有之時は使たる者の
　　外私に出会ふ事をゆるさす凡使として指遣
　　す者其人の高下其事の大小を論せす敢て
　　対捍有へからさる事

【左丁】
　　　附殿中に於て急変出来らは同席の輩是を
　　　　取はかるへし其余は各其所を守りて妄
　　　　に動へからす若其同席に人なきに至ては
　　　　其所に近き者共執はからふへきは制限
　　　　にあらさる事
一　衣服居宅の制幷宴饗の供贈遺の物或は僭
　　侈に及ひ或は節倹に過皆是礼文の節に
　　あらす貴賤各其名分を守りて大過不及に
　　至るへからさる事

【右丁】
　　附衣服の制公卿以上白綾五位以上は白小袖を
　　　用ゆる事をゆるす紫袷紫裏練無紋
　　　等の小袖を用ゆる事をゆるさす軽き者共
　　　の衣服等各其分限を踰へからす其他皆
　　　宜旧制に可准事
一　乗輿の制凡万斛以上より国主の嫡子庶子城
　　主幷侍従以上の嫡子に至り其余年五十以上の
　　外妄に是を不許事
　　　附医師僧家は制外之事

【左丁】
一　婚姻は凡万石以上布衣以上之役人幷近習の輩等
　　私に相約する事をゆるさすもしくは公家の
　　人々と相議するに於ては先
　　上裁を蒙て後其約を可定嫁娶の儀式総て
　　旧を守りて各其分限に随ふへき事
　　　附近世の俗婚を儀するに或聘財の多少を論
　　　　し或は資装の厚薄を論し甚しくては
　　　　貴賤相当らさる者婚をなすに至る此等の
　　　　幣結一切に禁約すへき事

【右丁】
一　継嗣は其子孫相承すへき事論するに及はす
　　子なからんものは同姓の中其後たるへき
　　者を撰へし凡十七歳より以上は其後たるへき者を
　　撰現存の日に及ひて望請事をゆるす或は
　　実子たりといふとも立へき者の外を撰み或は
　　子なくして其後たるへき者を撰むの如き
　　死後親族家人等議定の上を以て
　　上裁を仰くへし若其望請ふ所理に於て不
　　相合幷其病危急の時にのそみて望請ふ所の

【左丁】
　　如きは其濫望をゆるすへからす然といへとも
　　或は父祖の功績或は其身の勤労他に異なる輩に
　　おゐては仮【假＝仮＝たとえ】望請ふ所なしといふ共別議を以て
　　恩裁の次第有へき事
　　　附同姓の中継嗣たるへき者なきに於ては旧
　　　　制に准して異姓の外族を撰みて言上す
　　　　へし近世の俗継嗣を定事或は我族類を
　　　　不問して其貨財を論するに至る人の道
　　　　たる如此なるへからす自今以後厳に禁

【右丁】
　　　　絶すへき事
一　殉死の禁更に厳制を加ふる処なり或は徒党
　　を植或は誓約を結ふの如き妄に非義を行
　　ひて敢て憲法を犯すの類一切に厳禁すへ
　　き事
一　諸国散在の寺社領古より寄附の地等是を没
　　却する事をゆるさす新建の寺社に至て
　　は停止既に訖りといへとも若故ありて望請へ
　　き事あるに於ては

【左丁】
　　上裁を仰く事をゆるす且は耶蘇の厳禁
　　はいふに及はすたとひ古より流布の諸宗
　　たりといふとも或は新異の法を立て或は
　　妖妄の説を作りて愚俗を欺き或は■【す】の類
　　是又厳禁すへき事
　右条と【々】旧章に由りてこれを修飾す総教令
　の及ふ所遠近一つによろしく遵行すへき者也
　　　宝永七年庚寅四月十五日

【右丁】
一　四月廿二日御足痛御尓々無之御参勤御礼難被　仰上ニ付
　　御献上物計先御指上被成度旨御用番井上河内守《割書：正｜峯》殿を向井
　　将監《割書：正｜盛》殿を以御伺被成候処同日夕御同所ゟ御呼出御留守居大関
　　新五左衛門《割書：直｜看》罷出候処今朝御伺被成候御献上物之儀明廿三日
　御献上有之候様御指図有之
一　同月廿三日右同断ニ付御使者高屋善右衛門《割書：長｜英》を以例之通御太刀
　　銀綿被献之　御台様江縮緬白銀被指上之
一　同月廿九日御参府ニ付為御土産御使者を以例之通五色奉書
　　紙被献之　御台様江両面打曇鳥子紙被指上之

【左丁】
一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単
　　被献之　御台様江白銀被指上之
一　同月十七日先達而ゟ御耳御頬之辺御腫被成候得共被為替
　　候儀無之処去ル十二日ゟ御寒熱致往来且又御持薬之儀
　　毎度ニ相成候ニ付御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿迄御留守居村上三太夫《割書：正｜峯》
　　を以右之趣御内々御達被成
一　同月廿一日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
一　同月廿二日御快ニ付御床被為　揚《割書：廿三日御月代被成｜御薬御止被成》
一　六月廿九日去夏ゟ御足痛ニ而御歩行御不自由ニ付御隠居

【右丁】
　　被成度旨之御願書御用番大久保加賀守《割書：忠｜増》殿江志摩守《割書：直｜丘》様
　　を以御指出被成《割書：加賀爪次郎右衛門殿｜御同道》
　　　　　御代々私儀御厚恩之上父子共ニ結構被
　　　　　仰付難有仕合奉存候何とそ御奉公相勤可申
　　　　　心底ニ而罷在候処去夏ゟ足痛歩行不叶其上
　　　　　持病も有之参府仕候得共登　城難成体ニ
　　　　　御座候色々養生仕候処今以相替儀無御座候
　　　　　当年七十一歳ニ罷成候得は老病之儀故早速
　　　　　可相勤程ニ快気仕間敷由医師衆も申候間隠居

【左丁】
　　　　　被　仰付同氏大炊頭江何分ニも家督被下置
　　　　　候様奉願候右之趣可然奉願候以上
　　　　　　　　　　　　　　　松平兵部大輔
　　　　　　　　　　　　　　　　　御名乗御書判
　　　　　　宝永七庚寅年
　　　　　　　　六月廿九日

　　　　　　土屋相模守殿
　　　　　　秋元但馬守殿
　　　　　　本多伯耆守殿
　　　　　　大久保加賀守殿

【右丁】
　　　　　　井上河内守殿

一　七月四日御用番本多伯耆守《割書：正｜永》殿ゟ左之通御老中連名之
　　御切紙来
　　　　　御用之儀候間明五日四時親類中之内
　　　　　一人幷同氏大炊頭登　城候様可被致候以上
　　　　　　　七月四日
　　　　　　　　　　　　　　　井上河内守
　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　本多伯耆守

【左丁】
　　　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守

　　　　　松平兵部大輔殿

【裏表紙】

家譜

【表紙】
【題箋】
《題：家譜《割書：光通公》《割書：従寛永十三年｜至萬治二年》　五》

【右・丁白紙】




【左・丁】



　　　光通様《割書：従寛永十三年丙子｜至萬治二年己亥》

【右・丁白紙】


【左・丁】

　　　　　越前守
　　　　　　光通様

家光様御代
　寛永十三年丙子
　　一五月七日於福井御誕生《割書：御本掛坎｜御性水》奉称
　　　萬千代丸様
　　　忠昌様御嫡子御母道姫様《割書：広橋俄同三司｜藤原兼賢公御女》




【右・丁白紙】


【左・丁】

　寛永十七年庚辰
　　一八月廿六日初而江戸江御参向　今日福井御発駕《割書：九月九日｜御着府》

【右・丁白紙】


【左・丁】
　　寛永十八年辛巳
　一四月五日平川口ゟ御登城　於大奥
　　公方様江初而御目見被仰上　千菊丸様ニ茂御同様
　　御登城初而御目見被仰上其時御介添之老女両人《割書：仙石并｜局》
　　御前江被召出白銀二枚宛被下之
　　　但此節御献上物等可有之候得共御記録類不詳

【右・丁白紙】


【左・丁】

　正保二年乙酉
　　一四月廿七日
　　　大納言様《割書：家光様》御元服御叙任被為済候御祝儀ニ付　
　　　万千代丸様御登城　於御白書院
　　　公方様江御太刀目録御献上御目見被仰上　畢而
　　　二之丸江御登城　於御対面所
　　　大納言様江御太刀目録御献上御目見被仰上
　　一五月七日上使を以

【右・丁】　
　　　忠昌様御所労御尋有之候　為御礼
　　　万千代丸様千菊丸様御同道御登城御礼被仰上
　　　御奏者番被謁之
　　一五月十一日上使を以右御同様御尋有之候　為御礼御登　城御礼
　　　被仰上
　　一同月十四日
　　　忠昌様御病気御尓々無之ニ付御医師御頼被成診察有之ニ付
　　　上使御老中を以御様体御尋有之候　為御礼御登城《割書：夜ニ｜入》御礼
　　　被仰上　御老中松平伊豆守《割書：信｜綱》殿被謁之

【左・丁】
　　一同月十九日上使若年寄を以
　　　忠昌様御所労御尋有之候　為御礼御登城御礼被仰上
　　　御目付被謁之
　　一六月朔日上使御側御用人を以右御同様御尋有之候　為御礼
　　　御登城御礼被仰上　御目付被謁之
　　一同月廿五日上使御老中を以右御同様御尋有之候　為御礼
　　　御登城御礼被仰被仰上　御老中被謁之
　　一八月朔日《割書：卯｜刻》
　　　忠昌様於霊厳島御屋敷御逝去《割書：御年｜四十九》






【右・丁】
一同日右御逝去之段御達有之
一八月二日右同断ニ付上使御老中阿部豊後守《割書：忠｜秋》を以
　御朦中御尋有之
一同日
　忠昌様御遺骸霊厳島御屋敷御出棺中山道通同十二日
　福井御城江御着棺
一同月十二日今度
　忠昌様御逝去ニ付御国御年寄江御老中連名之御奉書を以
　左之通被仰出之　今日福井江到着

【左・丁】
　　伊予守跡職之儀忌明候上可被仰出候仕置等
　　之儀万千代幼少之事候之間家老之輩
　　申談如前々堅可申付之旨上意候可存
　　其趣候　謹言
　　　　　　
　　　八月五日
　　　　　　　　　　　　阿部対馬守
　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　酒井讃岐守

　　　　　　　　　　　　

　　

【右・丁】
　　　　　　　　　　　本多丹波守殿
　　　　　　　　　　　永見志摩守殿
　　　　　　　　　　　杉田壱岐守殿
　　　　但狛伊勢守《割書：孝｜澄》酒井外記《割書：重｜成》両人者江戸表ニ在之ニ付御老中ゟ
　　　　　直ニ被仰付候故此御奉書ニ名元無之
一八月十三日
　忠昌様御遺骸浄光院江御葬送有之　御法号
　隆芳院殿前参議廓翁貞真大居士
一十月八日大奥女中江戸表江罷越候ニ付今切御関所手形

【左・丁】
　御年寄ゟ指出之
　　　　越前福井ゟ江戸江罷通女之事
　　一女房壱人年三拾　但乗物壱挺
　　一年三十六女壱人
　　一同四十之女壱人
　　一同拾六之女壱人
　　一同拾三之女壱人
　　一同四拾五之女壱人
　　　　女合六人上下共
　　　


　　　　　

【右・丁】
　　　　右之女者越前国福井ゟ於江戸松平万千代
　　　　屋敷迄参候間御口留無相違御通候而可被下候
　　　　永見志摩守狛伊勢守ㇵ江戸ニ罷有候条不及
　　　　判形候　為後日一札如件
　　　　　　正保弐年酉十月八日
　　　　　　　　　　　　　　　　杉田五郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　本多丹波守
　　　　　　　服部中殿
　　　　　　　服部木工之助殿
　　　　　但右女通手形之儀以後定例故不記之

【左・丁】
一十月十九日依御奉書御用番酒井讃岐守《割書：忠｜勝》殿宅江
　万千代丸様千菊丸様御越其外越後守《割書：光｜長》様松平長門守《割書：綱｜広》殿
　　《割書：長門｜萩城主》出羽守《割書：直｜政》様大和守《割書：直｜基》様御出并
　万千代丸様御家老千菊丸様御付茂罷出候処御老中
　松平伊豆守《割書：信｜綱》殿阿部対馬守《割書：重｜次》殿列座ニ而
　忠昌様御遺領無御相違
　万千代丸様江被下之　右御高之内千菊丸様江五万石福松様江弐万
　五千石被下旨　上意之趣讃岐守殿御達有之
一同月廿一日

【右・丁】 　
　万千代丸様千菊丸様出羽守《割書：直｜政》様大和守《割書：直｜基》様御同道ニ而
　御登城被成候処
　公方様御黒書院江出御
　万千代丸様御太刀《割書：長｜光》白銀《割書：千｜枚》
　綿《割書：五百｜把》御献上御家督之御礼被仰上御老中
　酒井雅樂頭《割書：忠｜清》殿御披露《割書：御献上物数多ニ付出御以前御黒書院｜東之間ゟ開御次之間江懸御進物番出之並置》千菊丸様御太刀
　白銀《割書：二百｜枚》綿《割書：三百｜把》御献上御分知之御礼被仰上次ニ御家老永見志摩守《割書：吉｜次》
　本多内蔵助《割書：昌｜長》狛伊勢守《割書：孝｜澄》酒井外記《割書：重｜成》御太刀馬代時服献上
　千菊丸様御付有賀左近《割書：正｜成》下山半左衛門《割書：尚｜信》御太刀馬代献上一人宛罷出
　御礼申上　太田備中守《割書：資｜宗》殿松平出雲守《割書：勝｜隆》殿披露之　畢而

【左・丁】
　万千代丸様出羽守様大和守様并志摩守内蔵助伊勢守外記再
　御前江被召出　万千代丸雖為幼少大国相続被仰付候間万事仕置等
　可入念旨　上意有之
　大納言様江御太刀白銀《割書：三百｜枚》綿《割書：五百｜枚》被献上之　阿部対馬守《割書：重｜次》殿出座牧
　野
　内匠頭《割書：信｜成》殿御請取之　志摩守内蔵助伊勢守外記ゟ茂時服銀馬代
　献上之
　　但福松様ニ者未御出府無之ニ付御礼御登城無之
　　　追而御使者被指出之　奉書紙三十束被献之
一同日右同断ニ付御使者を以天樹院様亀松様長松様江白銀《割書：五十｜枚》







【右・丁】
　綿《割書：百｜把》宛被指上之
一同日
　隆芳院様御遺物
　公方様大納言様江被献之　亀松様長松様江茂被指上之　御
　老中
　松平伊豆守《割書：信｜綱》殿阿部対馬守《割書：重｜次》殿御請取之
　　但御品物者
　　　忠昌様御譜ニ委細相記故略之
一十一月二日走百姓之宿致し候過料銀之儀ニ付郡奉行江左之　通被
　仰出之

【左・丁】
　　　　走百姓宿仕候過銭銀之覚
　　一本宿主ゟ銀壱枚可出也
　　一両隣向隣三ケ所ゟ銀弐拾匁宛可出也
　　一村庄屋長百姓ゟ銀拾匁宛可出也
　　一村中小百姓并寺ゟ銀五匁宛可出也
　　一後家やもめゟ銀弐匁宛可出也
　　右之通正保弐年霜月二日ニ相極候　寛永拾年酉
　　十一月十六日之御定ニハ過料銀右之壱倍ニ而候得共
　　過分之様子ニ而ハ其村つふれ申由ニ而近年者過料銀







【右・丁】 　　　　
　　　　取不申候由　左候得者百姓猥ニ走り候之間当年ゟ
　　　　如斯被仰付候間堅可被申付者也
　　　　　　正保弐年酉十一月二日

　　　　　　　　　　　　郡奉行衆中

一十一月九日
　東照大権現江宮号勅許有之
一同月廿日於本多丹波守《割書：富｜正》宅御門々開閉鍵之儀左之通相心得候様
　番頭之者江可申渡旨平岡右近《割書：通｜信》江申渡之

【左・丁】
　　　　一御本丸かはら門之かきハ同御門之番頭衆ニ相渡あけたくて
　　　　　可仕候事
　　　　一たいこの門かきハ同門之足軽頭江相渡あけたて
　　　　　可仕候事
　　　　一道具とめ門かきハ前々のことく加藤宗月江渡し
　　　　　可申事
　　　　一作事小屋わきの門かきハ同御門の足軽頭江相渡しあけ
　　　　　たて可仕事
一月日為御家督之御祝儀御老中御招請能興行有之


　　　　　

【右・丁】
一十二月晦日従四位下侍従叙任
　　但此節御元服之御式無之御座列茂不被仰出且御任官之
　　　御礼御献上物等不詳

　　　宣旨
　　　　　従四位下源朝臣光通
　　　正二位行権大納言藤原朝臣實秀
　　　宣奉　　勅件人宜令任
　　　侍従者
　　　　正保二年十二月卅日掃部頭兼大外記造酒中原朝臣師定奉

【左・丁】
　　　但京都所司代ゟ問合之趣ニ而ハ右　宣旨ハ後年御頂戴之由ニ
　　　　候得共此処ニ相記之　委細之儀ハ正保四年八月之処ニ有之
一同日来年始御礼　御先代之通於御白書院　御着座御相伴
　被　仰出
一同日大和守《割書：直｜基》様被任侍従
一此年御国絵図被差出之
　　但右御用掛大宮彦右衛門《割書：致｜人》海福瀬左衛門《割書：重｜次》

　　
　　　足羽郡
　　高四万弐百八石八斗九升九合　村不残　　万千代分
　　　村数六十二

【右・丁】 　　
　　足羽南郡勝山
　高五万千七百拾四石　　　　　　　　九拾村　万千代分
　　　　　　七斗二升九合　　　村ノ内
　　村数九十一　　　　　　　　　　　壱村　　土佐守分

　　吉田郡　　　　　　　　　　　　　壱村　　　勝山御領分
　高七万九千百九拾弐石壱斗　　　　　百拾四村　万千代領分
　　　　　　　　弐升五合　　　村ノ内　　　　　　
　　村数百十九　　　　　　　　　　　弐村　　　土佐守分
　　　　　　　　　　　　　　　　　　弐村　　　飛騨守分　

　　丹生北郡　　　　　　　　　　　　八村　　　　勝山御領分
　高八万七千五百三石壱斗六升　村ノ内壱村　　　　社領分
　　　　　　　　　　弐合　　　　　　百八拾八村　万千代分
　　村数弐百十　　　　　　　　　　　拾弐村　　　土佐守分
　　　　　　　　　　　　　　　　　　壱村　　　　幸若分

【左・丁】
　　今南東郡
　高壱万五千弐百拾五石　　　　　　　
　　　　　　七斗四升六合　　　村不残　　　万千代分
　　村数六十二

　　今南西郡
　高三万三千七百七拾四石　　　村不残　　　万千代分
　　　　　　壱斗壱合
　　村数四十二

　　今北東郡
　高三万五千七百八十四石　　　村不残　　　万千代分　
　　　　　　五斗四升七合
　　村数五十二
　　　　　　

【右・丁】
　　　南条郡　　　　　　　　　　　
　高三万七千三拾八石四斗　　村ノ内　八拾三村　万千代分
　　　　　　　　八升四合　　　　　　弐村　　　飛騨守分　　　
　　　村数八十五

　　　坂南郡
　高四万六千三百四拾七石　　村ノ内　百拾村　　万千代分
　　　　　　　　三斗三升　　　　　　弐村　　　飛騨守分
　　　村数百十二

　　　坂北郡　　　　　　　　　　　　　壱村　　　　社領分
　高拾三万八千六百拾四石二斗　村ノ内　百四拾八村　万千代分
　　　　　　　　　　四升九合　　　　　六拾七村　　飛騨守分
　　　村数弐百十六

【左・丁】
　　　大野郡　　　　　　　　　　　　　九拾三村　勝山御領分
　高九万三千五百四拾五石　　　村ノ内　六拾七村　万千代分
　　　　　　　三斗三合分　　　　　　　百弐村　　土佐守分
　 　　村数弐百六十二

　　敦賀郡　　　　　　　　　　　　　　壱村　　　社領分
　高弐万千三百六拾八石四斗　　村ノ内
　　　　　　　　　三斗壱合　　　　　　七十九村　讃岐守分
　　村数八十

惣村数合千三百九拾三村
　　　　内
　　三村　　社領分


【右・丁】
　　　百弐村　　勝山御領分　
　　　千拾八村　万千代分
　　　百拾七村　土佐守分　　　松平土佐守事
　　　七拾九村　讃岐守分　　　酒井讃岐守事
　　　七拾三村　飛騨守分　　　本多飛騨守事
　　　壱村　　　幸若村
　惣高六拾八万三百七石壱斗六合
　　　近江堺ゟ加賀堺迄道法
　　　　拾八里弐十八町三十五間
　　　

【左・丁】
　　　若狭堺ゟ加賀堺迄道法
　　　　弐拾三里弐十町三十五間
　　　敦賀堺ゟ加賀堺迄道法
　　　　拾八里弐十弐町三十五間
　　　　　但絵図者略之　書込之分斗記之
一此年江戸小石川伝通院《割書：江》
　隆芳院様御霊牌御安置有之
　　但此節之院主智哲後増上寺之住職被仰付候節
　　　御霊牌を増上寺方丈内仏《割書：江》奉移御供養申上之

【右・丁白紙】



【左・丁】

正保三年丙戌
　一正月朔日為年始御祝儀御登城於御白書院御礼】被
　　仰上　御先代之通御着座御相伴
　一同月十日江戸ゟ為御目付林丹波守殿堀三右衛門《割書：直｜治》殿御国江被遣
　　今日福井江参着
　　　但逗留中柳御門之内ニ屋敷を被定百日逗留
　一同月廿五日於永見志摩守《割書：吉｜次》宅千菊丸様江磯野石見《割書：吉｜副》平岡右近《割書：通｜信》
　　初数十人　福松様江皆川多左衛門《割書：勝｜重》高屋善右衛門《割書：寄｜宗》初数十人被為附候ニ付

【右・丁】　
　右之面々江申渡之
一二月《割書：日不｜詳》先年島原一揆蜂起之節御徒之者ニ差添被遣候足軽
　之内一人於彼地相働手負片足を落し罷帰候ニ付彼者一生
　御扶持米被下候様被仰付置候処去年
　隆芳院様御逝去之砌御厚恩を存詰致剃髪候ニ付飯沼十郎右衛門《割書：政｜刑》
　彼者之御扶持切米召放申付候処御年寄ゟ笹治与兵衛を以彼足軽
　召返し候様十郎右衛門江申渡候処足軽ニ而致剃髪候儀御法度ニ付召返し
　候儀成申間敷旨及返答候ニ付十郎右衛門組之者三十人之処廿九人ニ
　被仰付　彼者ハ別ニ元之通御扶持切米被下之

【左・丁】
一三月《割書：日不｜詳》本多丹波守《割書：富｜政》剃髪改名願之通被仰付元覚斎与改
　但右願去年公辺江指出之
一四月廿七日福松様布里姫様高照院殿今日福井御発駕
　江戸表江御引越被成
一五月十四日本多元覚斎《割書：富｜政》剃髪願之通被仰付候為御礼出府
一七月十二日本多元覚斎《割書：富｜政》依召登城《割書：忰内蔵助｜付添介抱》仕候処御老中
　松平伊豆守《割書：信｜綱》殿阿部豊後守《割書：忠｜秋》殿御介抱ニ而
　公方様江御目見申上　其節息災ニ成此馬ニ乗又々参勤致せとの
　上意ニ而御馬拝領被仰付　其後御暇被下候節茂時服頂戴被









【右・丁】　
　　仰付之
　　　　但同月晦日府中江罷帰
　一八月十二日
　　隆芳院様御遺骨志比荘吉祥山永平寺江奉納
　一同月廿二日　慶寿院様　万姫様　千姫様福井御発駕江戸表江
　　御引越被成　御供永見帯刀《割書：吉｜洪》
　一十二月晦日土佐守《割書：直｜良》様被任侍従　但馬守与御改

【左・丁】
正保四年丁亥
　一四月十二日従江戸為御目付下曾根三十郎《割書：信｜貞》殿喜多見五郎左衛門《割書：重｜恒》
　　殿被遣
　　今日福井参着
　　　　但七月廿四日福井出立追而帰府之上巻物十巻御使者を以
　　　　　被遣之
一同月十九日杉浦内蔵允《割書：正｜友》殿ゟ左之通書付被相渡之

　　　　　覚
　　　一知行高之事







【右・丁】
　　　一実子惣領之事
　　　一証人歳之事
　　　一次男を出候時ハ惣領証人ニ不罷成子細書付可申事
　　　一養子を為証人出シ候ハ実子無之子細を書付可出事
　　　　　附養子ハ親類歟他人歟或ハ養子たる歟其実父之
　　　　　　仮名委細ニ書付可出之事
　　　一母ハ子無之子細を書付可申事
　　　一兄弟有ハ証人ハ差次歟何番目と書付可申　惣領も差次も
　　　　証人ニ不成時者其子細を書付可出之事

【左・丁】
　　　一姉妹を証人ニ差上候ハ男之兄弟証人ニ不成子細を書付
　　　　可出事
　　　一孫を以証人とする時ハ嫡子之子歟二男三男之子歟且
　　　　外孫ならハ実父之仮名を書付可申事
　　　一娘を以証人とせハ実子無之歟子細を書付可出　又娘も
　　　　惣領娘歟二番目歟若末々之娘ならハ惣領娘者証人ニ
　　　　不成子細を書付可出事
　　　　　　正保四年丁亥四月日
一七月廿日上使林丹波守殿を以初而御鷹之雲雀御拝領有之

【右・丁】
一八月朔日於浄光院先月廿四日ゟ今日迄《割書：一七｜日》
　隆芳院様三回御忌御法事御執行有之
一同月四日於永平寺
　隆芳院様御石塔御成就ニ付御供養有之
　　但御造立之儀去戌年八月被　仰出之
一同月八日前田犬千代《割書：綱｜紀》殿ゟ御国綿御調被成度旨御頼之儀且
　以来文通方之儀共犬千代殿御家老ゟ御年寄江申来候ニ付
　左之通返書差遣之
　　御飛札令拝見候然者

【左・丁】
　　犬千代様為御用与綿千把於当地被成御調其元江
　　御取寄候之由御状之趣得其意則口留無異儀様ニ
　　申付候以来之儀者宮木采女殿長瀬五郎右衛門殿御両人
　　より爰元町奉行堤安左衛門方迄可蒙仰之旨御尤存候
　　其通ニ可被仰付候恐々謹言
　　
　　　　　八月八日　　　　　杉田五郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　狛伊勢守
　　　　　　　　　　　　　　永見志摩守
　　　　　　　　　　　　　　本多元覚斎

　　　　　　前田出雲守様





【右・丁】
　　　　　　　　　　　　　　長九郎左衛門様
　　　　　　　　　　　　　　津田玄蕃頭様
　　　　　　　　　　　　　　奥村河内守様
　　　　　　　　　　　　　　葛巻隼人様
　　　　　　　　　　　　　　横山左衛門様
一八月《割書：日不｜詳》京都所司代板倉周防守《割書：重｜宗》殿江戸より御帰京ニ付京都御留守居
　鈴木源兵衛《割書：重｜勝》御同所江罷出候処周防守殿御逢
　万千代様御成長御器量御勝被成候段御老中方御誉被成候旨
　被仰聞且又侍従成之口宣御頂戴被成候哉与御尋有之候由
　源兵衛ゟ御国許御年寄迄申来候ニ付侍従任官口宣未被致

【左・丁】
　頂戴任官之砌早速頂戴可被致儀ニ候得共未名茂名乗茂不
　相定候間名乗等被仰出候上口宣被致頂戴候様ニ仕度由ニ而
　延引被仕候様ニ被存候段源兵衛自分斗之趣ニ而周防守殿江
　御答申候様御年寄ゟ源兵衛方迄申遣之
一同月九日御国目付下曾根三十郎《割書：信｜貞》喜多見五郎左衛門《割書：重｜恒》殿江戸
　帰着ニ付御老中江御越之節御年寄永見帯刀《割書：吉｜洪》酒井外記《割書：重｜成》
　為御礼御一所ニ罷出候処御老中御対面有之　其節家老共国政
　念入候旨御老中江三十郎殿五郎左衛門殿御達有之
一同月廿六日右同断ニ付御年寄ゟ下曾根三十郎《割書：信｜貞》殿喜多見
















【右・丁】
　五郎左衛門《割書：重｜恒》殿江御礼書状指出之
一十一月十三日松平薩摩守《割書：光｜久》殿江被仰付　於王寺村犬追物
　上覧有之　右ニ付御相伴被仰出御見物御出被成　於桟敷御饗応
　御頂戴有之
一同月《割書：日不｜詳》近年米穀下直ニ付米費之ため於公領干飯被仰付
　候ニ付御預所勝山領当亥年之納米之内ニ而茂致干飯大津御蔵江
　可納旨被仰出之
　　　但員数之儀ハ御算用奉行下嶋市兵衛殿佐野主馬殿
　　　　下嶋庄五郎殿ゟ申来

【左・丁】
一同月《割書：日不｜詳》平泉寺ニ隠田有之由訴人有之ニ付見分之上撿地被
　仰付候処白山社領之外ニ高三百石三斗八升三合打出候ニ付御帳江
　附出今年ゟ所務申付当亥年被指出候　免附目録ニ茂書載
　公辺江被指出之
一十二月三日御預所勝山領干飯之儀ニ付左之通返翰御算用奉行江
　御年寄ゟ指遣之
　　亥霜月十五日之御書付致拝見候　然者越前勝山
　　御領当亥ノ納米を以干飯三百七十石申付来春大津江
　　相届御蔵江納可申之旨同干飯仕様之儀ハ壱合

【右・丁】
　　へりニつき候て寒の水にてむしよく干かますニ入納可申
　　之由久敷被為置候　御用ニ候間あらぬかなと無之様ニ
　　能々可念入之旨被仰越候通奉得其意候　則右之段
　　申付候　恐々謹言
　　　
　　　十二月三日　　　　　　　酒井外記
　　　　　　　　　　　　　　　杉田五郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　狛　伊勢守
　　　　　　　　　　　　　　　永見志摩守
　　　　　　　　　　　　　　　本多元覚斎

【左・丁】
　　　下嶋市兵衛殿
　　　佐野主馬　殿
　　　下嶋庄五郎殿

慶安元年　戊子　《割書：此年　正保五年｜二月十五日改元》　
一　正月上旬旧冬ゟ御疱瘡之処追々御快ニ付御酒湯御祝儀有之
一　同月十九日右同断ニ付　上使堀三右衛門《割書：直｜治》殿を以　御尋有之
一　閏正月十日　上使御使番を以　御鷹之雁《割書：一｜》御拝領
一　四月朔日旧冬ゟ御疱瘡ニ而年頭御礼不被　仰上候《割書：ニ｜》付今日為
　　年始御祝儀　御登　城於御黒書院御太刀目録御持参御礼
　　被　仰上候処　御前近く被為　召御軽痘　御喜悦之旨
　　上意有之

　一四月七日従江戸表為御目付徳永式部少輔《割書：昌｜成》殿蒔田数馬殿御国《割書：江｜》
　　被遣今日福井《割書：江｜》参着
　　　　　但七月十九日帰府
　一同月九日今度」
　　公方様日光《割書：江》御参詣《割書：ニ》付御留守中江戸中火事之時若人数
　　多く入用之節ㇵ御老中阿部豊後守差図次第火消人数可
　　指出之旨上意之趣御老中ゟ申来
　一同月十一日
　　公方様日光《割書：江》為御参詣明後十三日御発駕《割書：ニ》付御登


　　城御目見被仰上
　一同月廿五日今度日光ゟ還御《割書：ニ》付惣出仕被仰出御登城於
　　御白書院御目見被仰上候処御前近く被為召暫
　　御咄有之せ
　一六月十日日光《割書：江》為御参詣仙菊丸様御同道《割書：ニ》而今日江戸
　　御発駕　同十五日御参拝御太刀御馬代御献備之　同十八日
　　江戸《割書：江》御帰着
　一同月十四日大和守《割書：直｜基》様出羽国山形ゟ播磨国姫路《割書：江》御転封
　一同月《割書：日不｜詳》





　東照宮三十三回御神会ニ付為御追薦於御国許大赦被
　仰出
一七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以黄金被献之松平
　伊豆守《割書：信｜綱》殿被謁之
一同月七日為七夕御祝儀御登城於御白書院御礼被仰上
一八月十五日大和守《割書：直｜基》様於江戸御屋敷御逝去相州関本最乗寺江
　御葬送御法号
　仏性院殿鉄関了無大居士
一十月十四日藤松様江御父大和《割書：直｜基》様御遺領《割書：播磨国姫路｜拾五万石》無御相違

　被仰出
一同月廿八日
　万千代丸様江で出羽守《割書：直｜政》様御女御縁組被仰出
一十一月三日千菊丸様御在所吉田郡芝原荘江福松様御在所
　丹生郡吉江立町郷江御構被成度段御伺被成候処御勝手次第
　被成候様御老中松平伊豆守《割書：信｜綱》殿ゟ御指図有之
一同月廿日明廿一日御元服御任官被仰付候間御登城可被成旨
　御老中連名之御奉書来ル
一同月廿一日御登城《割書：御長袴｜御着用》被成候処御黒書院御上檀江

　公方様出御御同所御下檀御間之内ニ而御目見被仰上東之方
　下ゟ二畳目ニ御着座酒井河内守《割書：忠｜清》殿御披露御折紙御硯箱之蓋ニ
　載従御前河内守殿被持出候時御出座御頂戴
　（「御折紙」図）
　其時可為従四位下左少将兼越前守旨上意有之御礼被仰上
　御老中御取合相済御退座再御出座御太刀一腰《割書：長｜光》白銀《割書：五千｜両》
　綿《割書：二百｜把》御馬一匹《割書：御馬ハ御目録｜斗ニ而跡御納》御献上河内守殿御披露御礼被
　仰上最前之所江御着座御引渡出《割書：岡田讃岐守《割書：重｜治》殿｜役之》
　公方様被召上候御盃御銚子之上江載之御下段下ゟ二畳目ニ御酌
　被控候刻御出座御盃御頂戴御肴御手自被下御頂戴
　御復座御加有之其節河内守殿御刀《割書：左安吉｜代金五十枚》一腰被持出御頂戴
　被成御次之間江御持退御小サ刀ト御拝領之御刀ト御差替
　御出座御礼被仰上井伊掃部頭《割書：直｜孝》殿御取合有之上意ニ而又

　　一献御頂戴畢而御退去御白書院御上段江
　　大納言様出御御太刀一腰白銀《割書：三十｜両》綿《割書：二百｜把》御馬一匹《割書：上｜同段》御献上御礼
　　被仰上松平和泉守《割書：乗｜寿》殿御披露相済御退去従今日
　　越前守光通様与奉称
　　　　　但御老中御廻勤等可有之筈ニ候得共御記録類不詳
　一十二月晦日千菊丸様御叙爵有之
　　　　　但翌正月朔日御名中務大輔与御改可被成旨被仰出同六日
　　　　　　御名乗昌勝与被称

慶安二年己丑
　一正月朔日為年始御祝儀御登城
　一同月廿六日御年寄杉田五郎兵衛《割書：三｜正》死去
　一三月十五日月次初而御登城
　一四月十日
　　大納言様日光江為御参詣江戸御発駕同廿三日
　　還御
　一五月四日為端午御祝儀御使者を以御帷子御単御袷被献之

　　追而　御内書於　御城御渡有之
　　　　　　為端午之祝儀帷子単物袷数五到来歓覚作
　　　　　　委曲酒井雅樂頭聞述候也
　　　　　　　五月四日御黒印

　　　　　　　　　　　　　越前少将殿

一　六月八日藤松《割書：直｜矩》様播磨国姫路ゟ越後国村上江御所替被
　　仰付

一　八月十二日本多元覚斎《割書：富｜正》死去
　　　　　　　但右ニ付為遺物内蔵助ゟ使者を以
　　　　　　　　公方様江茶腕《割書：藤四｜郎》
　　　　　　　　大納言様江鞍《割書：駿河｜打》一口献上之
一　九月四日本多内蔵助《割書：昌｜長》江元覚斎遺領四万五千石之内四万石
　　被下置府中城ニ其儘被指置弟左近《割書：正｜房》ニ五千石被下之
一　同月七日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖《割書：三｜》被献之
　　追而　御内書於　御城御渡有之
　　　　　　為重陽之喜悦小袖三到来歓覚候委細

　　　　　　　酒井雅樂頭可述作也
　　　　　　　　　九月七日御黒印

　　　　　　　　　　　　　　　　越前少将殿

一　十一月廿七日従江戸為御目付林丹波守　殿佐久間宇右衛門　殿御国
　　江
　　被遣今日福井江参着
一　十二月二日上位を以御鷹場江之御暇被仰出今日江戸
　　御発駕上野国足利江御越同十四日　御帰府

一　同月廿五日　御前髪被為　執
一　此年福井大橋掛替有之本多内蔵助《割書：昌｜長》願之上右御　　普請
　　御手伝被　仰付之
一　此年足羽郡明里村江御米蔵御造立ゝ

【右・丁　白紙】


【左・丁】
慶安三年庚寅
　一正月朔日為年始御祝儀御登城
　一二月十三日御年寄永見志摩守《割書：吉｜次》死去
　一三月三日御国目付林丹波守殿平泉寺《割書：江》参詣帰路之処
　　御城下地蔵町ニ而急病指起死去
　　　　但右発病ニ付早速京都ゟ医師御呼寄之儀所司代板倉内膳正《割書：重｜矩》殿
　　　　　迄
　　　　　御達有之候得共死去ニ付御断《割書：ニ》相成
　　　　一御国役佐久間宇右衛門殿御差図《割書：ニ》而右遺骸丹波守殿知行所

【右・丁】
　　　　　濃州之某寺《割書：江》被指越御家ゟ茂侍中一人被差添江戸表《割書：江》
　　　　　茂
　　　　　侍中を以注進有之
一三月十日御国目付佐久間宇右衛門殿福井発足
　　　　但此年迄ニ而御国目付御仕向無之
一三月廿九日西丸御普請ニ付畳縁五百端被献之
一五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単
　御袷被献之　追而御内書於御城御渡有之
一七月廿一日万姫様《割書：御｜姉》出羽守《割書：直｜政》様御嫡久松様《割書：江》御入輿御婚礼
　御整被成

【左・丁】
　　但右御縁組月日等御記録類不詳
一九月七日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　追而御内書於御城御渡有之
一同月十日
　忠直様於豊後国大分郡津守村御逝去《割書：御法号｜西巖院様》同郡生石村
　見仏山浄土寺《割書：江》御葬送
一同月
　大納言様西丸《割書：江》御移徙ニ付為御祝儀御使者を以御広蓋十
　御長持五棹被献之











【右・丁】
　　　　　但本多内蔵助ゟ茂小奉書紙二十束献上之
　　一十一月十一日御領分浦々先月廿日晩ゟ廿一日迄大風雨津波
　　　ニ而
　　　家数五百軒余并船百艘余破損溺死三十三人斃牛馬十三疋
　　　有之候段御届書被指出之
　　　　但右津波起候以前大風雨ニ而潮干上り候故浦々之者致
　　　　　用意
　　　　　山上《割書：江》逃退候間死人斃牛馬等少く候由

【左・丁】
家綱様御代《割書：八月十八日｜将軍宣下》
　慶安四年辛卯
　　一正月朔日為年始御祝儀御登城
　　　公方様御不例ニ付
　　　大納言様御名代ニ而御礼被為請
　　一同月十八日松平長門守《割書：秀｜就》殿去ル五日御卒去ニ付喜佐姫様今日
　　　御剃髪被称龍昌院
　　一四月三日長松《割書：綱｜重》様《割書：称甲｜府殿》徳松《割書：綱｜吉》様《割書：称館｜林殿》為御賄料美濃信濃

【右・丁】　
　駿河甲斐上野之国之内ニ而拾五万石宛御領地被仰出之
一四月六日於東叡山
　東照宮御宮御造営《割書：去年｜被仰出》今日御上棟有之
一東照宮御宮御成就ニ付御供養有之
　大納言様御参詣紀伊大納言《割書：頼｜宣》様水戸中納言《割書：頼｜房》様御拝殿南之方《割書：ニ》
　御着座少将侍従之御方々御豫参有之
　　　但此節御家《割書：ニ》茂御豫参可被成候得共御記録《割書：ニ》不詳
一同月廿日《割書：午｜刻》

【左・丁】
　公方様薨御《割書：奉称｜大猷院殿》
一同月廿三日
　大猷院様御遺骸東叡山《割書：｜江》御入棺
一同月廿六日
　大猷院様御棺今暁《割書：寅｜刻》東叡山御発棺　日光山《割書：江》
　御葬送
一月日日光山
　大猷院様御霊前《割書：江》為御名代本多内蔵助《割書：昌｜長》被遣
　　但此節御香奠可被献候得共御記録類不詳






【右・丁】
一六月廿五日御代替御礼被為請候《割書：ニ》付御登城
　御目見被仰上
一七月廿一日本多内蔵助《割書：昌｜長》為家督之御礼登城
　公方様御目見被仰付　御太刀馬代并奉書紙献上之
　　但内蔵助儀家督被仰付候ニ付去寅年八月十六日府中
　　　発足江戸表《割書：江》罷出候処
　　　大猷院様御不例其後薨去ニ付右御礼相延今日被
　　　仰付之
一八月九日日光山

【左・丁】
　大猷院様御仏殿御普請《割書：石垣之｜石寄》御手伝被蒙仰
　　　　但此時中務大輔様辰之助様但馬守《割書：直｜良》様丸岡城主本多淡路守《割書：重｜能》
　　　　　殿《割書：ニ》茂御一所《割書：ニ》御手伝被仰出且又本多内蔵助《割書：昌｜長》《割書：江》茂
　　　　　右同被仰付之
一同月十八日将軍宣下ニ付御登城《割書：御束｜帯》
　　　　但右同断為御祝儀追而御老中御招請能興行有之
一九月十日日光御普請御用ニ付御年寄永見帯刀《割書：吉｜洪》今日
　福井出立日光表《割書：江》罷越
一十二月十二日従公儀左之通被仰出之





【右・丁】　
　　　一跡目儀養子者存生之内可致言上及末期中と
　　　　いふとも不可用之　雖然其父年五十以下之輩者
　　　　末期たりといふ共依其品可相立之候　勿論無筋
　　　　目者不可許容縦雖実子令忘却筋目違たる
　　　　遺言立間敷事
　一十二月廿五日越後守《割書：光｜長》様従三位中将御叙任有之　為右御礼
　　光通様御登城
　一同月廿九日辰之助様従五位下兵部大輔御叙任　御名乗
　　被称昌親

【左・丁】
承応元年壬辰《割書：此年慶安五年｜九月十八日改元》
　一正月朔日為年始御祝儀御登城
　一二月六日日光御普請為御見分江戸御発駕日光表《割書：江》御越
　　被成　中務大輔《割書：昌｜勝》様兵部大輔《割書：昌｜親》様《割書：ニ》茂御同道
　一三月九日日光ゟ御帰府　中務大輔《割書：昌｜勝》様兵部大輔《割書：昌一行目｜親二行目》様《割書：ニ》茂
　　御帰府
　一同月十五日今度日光ゟ御帰府《割書：ニ》付御登城御目見有之
　一四月廿八日日光御普請相済候《割書：ニ》付日光表惣御人数御引払江戸表《割書：江》

【右・丁】
　帰着
一五月廿二日今度日光御普請御手伝相済候《割書：ニ》付於同江戸
　御城御家来共《割書：江》為御褒美左之通頂戴被仰付
　　　　銀百枚　　　　　　　惣奉行
　　　　御時服　五　　　　　　永見帯刀
　　　　御羽織
　　　　　　　　　　　　　　同
　　　　同断　　　　　　　　　酒井與三衛門

　　　　銀五十枚　　　　　　本〆
　　　　御時服　三　　　　　　大宮彦右衛門
　　　　御羽織
　

【左・丁】
　　　　銀三十枚　　　　　　普請奉行
　　　　御時服　二　　　　　　武曾権左衛門
　　　　御羽織
　　　　　　　　　　　　　　同
　　　　同断　　　　　　　　　河瀬次大夫

　　　　銀二十枚　　　　　　物頭
　　　　御時服　二　　　　　　波々伯部権左衛門
　　　　御羽織
　　　　　　　　　　　　　　同
　　　　同断　　　　　　　　　西尾源太左衛門
　　　　　　　　　　　　　　同
　　　　同断　　　　　　　　　江川安右衛門
　　　　　　　　　　　　　　同
　　　　同断　　　　　　　　　山原勘右衛門
　　　　　　　　　　　　　　用方
　　　　同断　　　　　　　　　須崎三郎右衛門



























　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　

【右・丁】　　　　
　　　　　　　　　　　　　　同
　　　　　同断　　　　　　　　　高塚忠左衛門
　
　　　　　　　〆
　　　　此時公儀ゟ四千五百人扶持《割書：壱人｜壱升宛》御頂戴有之　其余
　　　　御拝領物之儀御記録類《割書：ニ》不詳

　一十二月廿八日出羽守《割書：直｜政》様御二男大助《割書：近｜栄》様御叙爵有之　被称上
　　野介

【左・丁】
承応二年　癸巳
　一正月朔日年始御祝儀御登城
二月十三日御預所勝山領之内新在家之村之庄屋又右衛門長百姓
　四郎右衛門惣右衛門与申者村中百姓共申合御代官恩田喜右衛門
　長村
　與右衛門《割書：并》手代共《割書：江》無実之事申懸其上公儀御役人方《割書：江》及
　訴訟候段不届至極《割書：ニ》付公辺《割書：江》御達之上右頭取三人之物共於
　小舟渡磔刑《割書：ニ》被行　右之者共之男子不残梟首《割書：ニ》被仰付
一同月十八日上使を御鷹之鶴御拝領















【右・丁】
一二月廿九日御領分在々家帳改為横目岡本左次右衛門津田
　源之丞《割書：時｜成》渡辺弥次右衛門雪吹孫左衛門被遣候《割書：ニ》付右四人《割書：江》
　郡奉行
　四人差添可相廻旨被仰出之
一四月十日万福山《割書：江》
　大猷院様御位牌御安置御開眼御供養有之
一同月廿日於万福山去十一日ゟ今朝迄
　大猷院様三回御忌御法事《割書：千部｜経》御執行有之《割書：御導師賢聖院｜衆僧百二十人》
一同月廿五日山方役所前々ゟ御法度之掟書無之《割書：ニ》付山奉行
　田中源五右衛門《割書：経｜高》藤田伝兵衛内達有之《割書：ニ》付今日於会所左之通

【左・丁】
　掟書月番御年寄相渡之
　　一御立山《割書：并》御立藪伐申間敷事
　　一在々四壁之竹木荒申間敷事
　　一百姓持藪荒申間敷自然自分之用《割書：ニ｜》遣申時者
　　　山奉行《割書：江》断可伐事
　　一さんはく山《割書：并》自然持山《割書：ニ》而も林有之所焼畑仕
　　　間敷事但持山之内林無之所者如前々之畑可仕事
　　一柴山《割書：ニ》一間《割書：ニ》壱本《割書：ツヽ》立木可仕事
　　一松杉槻桐如前々惣而伐申間敷事










【右・丁】
　　一家作り候百姓《割書：ハ》山奉行《割書：江》断手形を取木を可伐事
　　一雖為縦所持山御用《割書：ニ》付而竹木伐候時《割書：ハ》年寄次第《割書：ニ》
　　　如前々可伐申事
　　一古来ゟさんはく山之内林置自分持山《割書：ニ》仕間敷事
　　　右之条々堅相守急度可被申付者也
　　　　承応弐年巳ノ二月十六日　　酒井与三左衛門　判
　　　　　　　　　　　　　　　　　狛　伊勢　　　判
　　　　　　　　　　　　　　　　　永見帯刀　　　判
【左・丁】
　　　　　　　　　　　　　　　　　本多内蔵助

一五月朔日万福山御宮十町四方火事之節御持筒頭組之者
　召連罷出致防火候様被仰出且又町火消之者茂道筋能町人《割書：ハ》
　罷出相防候様町奉行《割書：江》被　仰出之
一同月七日証人狛長十郎《割書：後木工允貞澄｜伊勢守孝澄忰》為替松平勝千代　　《割書：主馬正詮忰》
　江戸表《割書：江》罷出候《割書：ニ》付
　公方様御目見被仰付　御奏者番披露之
一同月晦日上使御老中松平和泉守《割書：乗｜壽》殿を以初而御国許《割書：江》之
　御暇被仰出白銀《割書：千｜枚》御帷子《割書：百》御単《割書：百》御拝領





【右・丁】
一六月朔日御登城御暇之御礼被仰上御馬《割書：小田舎｜栗毛》一匹御拝領
　畢而御年寄酒井與三左衛門《割書：重｜成》御目見被仰付於御白書院
　次之間御老中列座輿三左衛門《割書：江》御時服四《割書：内御紋｜一ッ》御羽織拝領被
　仰付　御奏者番被相渡之
一同月廿七日江戸御発駕
一同月
　禁裏炎上《割書：六月｜廿二日》《割書：ニ》付天機為御伺御使者松原覚左衛門《割書：永｜成》京都《割書：江》
　被遣奉書紙《割書：百｜束》被献之
一閏六月十日御着城

【左・丁】
一同日右同断《割書：ニ》付為御礼御使者本多民部《割書：重｜方》江戸表《割書：江》被指出之
一月日御帰国御礼御使者本多民部《割書：重｜方》御城《割書：江》罷出《割書：昨日御老中｜ゟ申来》
　御献上之奉書紙《割書：五十｜束》相納之畢而
　公方様御前《割書：江》被召出御奏者番披露之退去再自分
　御礼被仰付御太刀銀馬代献上　御奏者番披露之
一月日右同断御使者本多民部《割書：重｜方》御城《割書：江》罷出候処《割書：昨日御老中ゟ｜申来》
　御返書御渡有之　御時服四御羽織拝領被仰付
一七月廿三日於御本丸諸士《割書：江》左之通御書付を以被仰出之
　　　　家中武具之覚










一籏折懸三幅地黒半月朱其下に面々の紋を
　可付事
一弓塗籠
一靱黒塗　但紋ハ心次第
一鉄砲袋　なめしにて黒
一長柄身と石つきかけて弐間三尺惣笛巻鞘鳥毛
一番組之外指物思ひ〳ヽに可仕事
一大小姓馬廻之差物地黒金ノ半月竿付の方に
　各々字を可書付事


一与力の差物地黒半月朱其下《割書：ニ》寄親の紋を付
　竿付之方《割書：ニ》自分の名々字可書付事
一家中自分之騎馬差物与力同事半月之下《割書：ニ》
　主人之紋を可付并弓鉄砲之者差物壱本しない
　黒半月朱其下《割書：ニ》主人の紋を可付事
　　附具足黒紋ハ思ひ〳〵張笠黒金之丸三ツ宛
　　　可付事
右之通急度可相嗜　但軍法役付ハ組頭《割書：江》尋之
堅可相守者也

【右・丁】
　　　　承応二年
　　　　　七月廿三日

　　　定
一従公儀被仰出御法度之旨不可相背事
一諸侍武具専可相嗜之并弓鉄砲其外面々の
　得道具不断可令鍛錬事
一兵具之外不入道具を好私之奢いたすべから
　さる事
一乗馬者如先規之定三百石以上可所持之侍之時者

【左・丁】
　百石已上可持之事
一諸侍不寄何事訴訟於有之者如前々当番之
　年寄迄以番頭可申之　番外者其並之輩を以
　可相達　以作所衆堅不可申之事
一喧嘩口論堅禁制畢若有之時令荷担者其咎
　可重　於本人猥其場《割書：江》不可懸集事
一手負党たる者不可隠置事
一本主之構有之者不相抱有大科人之告者急度
　可返之　軽キ罪之者《割書：ニ》至ㇵ侍ㇵ届次第追放すべし

【右・丁】　
　小者中間ㇵ可相返之事
一不寄何事結徒党成誓約或ㇵ親類縁者
　或寄親寄子たりといふとも贔屓偏頗不可
　仕事
一賭博諸勝負《割書：幷》不行儀之好色其外侍に不似合
　作法仕間敷事
一行死罪者有之時申付輩之外一切其場へ不可
　懸集事
　　付追懸者同前事
【左・丁】
一千石以上者私不可結婚姻　其ゟ以下小身之輩者
　内証遂相談年寄方ヘ可相達之事
一嫁娶取扱応分限軽可相調之横目之者共可受
　差図事
一乗輿者千石以上《割書：并》弐千石以上之嫡子或ㇵ年五十
　已上曁十五歳以下或ㇵ医師聴之但小身若年
　免許之輩ㇵ可為各別又行歩不叶病人者横目
　之者共《割書：江》相断可受差図　若背此旨猥令駕乗者
　相定過料可出之事

【右・丁】
一他所之侍当地罷通刻家中之侍不可出合但於
　為親類縁者《割書：者》年寄方《割書：江》達之随左右可参会事
一諸侍私用有之而従福居五里外《割書：江》於罷越者
　年寄方《割書：江》相断任其旨可罷出　若違背族有之者
　如定過料可出之事
一諸事其組之頭申渡事　不可致違背事
右之条々准先制之旨定之畢　堅可相守者也
仍如件
　　承応二年七月廿三日

【左・丁】
　　　条々
一寺社領《割書：江》非分申掛間敷事
一地下人迷惑之子細候而走候儀有之者其村々之庄屋
　壱万石之与頭として留置可相達之遂穿鑿
　可申付事
一夏成其在所之畠方之高百石《割書：ニ》付壱ッ半物成
　可納所之但法之外悪所之地者見斗可有用捨事
一諸納所升之上秤目如御蔵入可納所事

　　一高百石付而夫米納五石宛給人可相納　悪所者
　　　見立候而可有用捨遠夫小役等何にても申懸
　　　間敷之　若無拠用在之時百姓を雇於召仕者
　　　扶持方を出人足壱人《割書：ニ》付一日《割書：ニ》日用銀　　　五分宛馬
　　　壱疋付而飼料大豆弐升銀壱匁五分宛口付共《割書：ニ》
　　　可致下行
　　　　但公儀御普請時ㇵ可為各別事
　　一高百石《割書：ニ》付而糠五斗入弐拾俵藁弐拾把詰六拾束宛
　　　可納之事
　　一高百石付而雪垣之代金五匁宛可納之事
　　　右此旨可相守者也

　　　　　年月

　　　　　定
　　一御番不参之面々為過料高六百石以上ㇵ銀子壱枚五百石
　　　已下ㇵ銀弐拾目宛可出候事
　　一長病大病之者番頭《割書：江》相断横目中《割書：江》煩之　　　体相見せ
　　　可申事

　　一御番之面々半分宛食代可仕事
　　一御番之面々番所《割書：ニ》可相詰若別之座敷《割書：江》猥《割書：ニ》出候者
　　　過料代物百疋可出事
　　一所々於御番所高雑談不仕神妙《割書：ニ》可相詰事
　　右之条々堅可相守者也
　　　承応二年七月廿三日

一七月廿五日下乗所之儀左之通被仰出之
　　一乗物太鼓御門前頬当外迄駕乗可仕事
　　　　附乗物《割書：ㇵ》宗月屋敷前之堀際《割書：ニ》ならへ置可申候
一九月十九日五六年以前ゟ鯖江誠照寺与上河端村常楽寺与
　本末之争有之候《割書：ニ》付双方証文為出僉議有之候処誠照寺
　本寺《割書：ニ》相極《割書：リ》常楽寺御国追放被仰付
一十一月来午年御参勤御時節之儀御使者を以御伺被成候処
　猶又来年二月御伺被成候様御老中ゟ御返書御渡有之
一十二月廿八日越後守《割書：光｜長》様御嫡徳千代丸様従四位下侍従被叙任
　被称下野守綱賢






【左・丁】
承応三年申午
一二月御参勤御時節御伺被成候処四月中御参勤被成候様
　御老中ゟ御奉書御渡有之
一三月廿八日為御参勤福井御発駕
一四月十日御着府
一同月《割書：日不｜詳》御参府《割書：ニ》付上使御老中御越上意之趣御達有之
　夫ゟ御登城御参勤之御礼被仰上　御太刀銀《割書：三百｜枚》綿《割書：五百｜把》
　御献上　畢而御家来本多内蔵助《割書：長｜昌》御目見被仰付　御太刀

　銀馬代奉書紙《割書：二十｜束》献上之
一四月廿一日千姫様《割書：御｜妹》松平大膳大夫《割書：綱｜広》様《割書：江》御入輿
一同月廿八日
　光通様《割書：江》越後守《割書：光｜長》様御女国姫様《割書：寛永十三丙子年十二月十三日｜御誕生御母松平長門守《割書：秀｜就》殿御女》
　御縁組被仰出
一五月廿八日国松姫様《割書：御｜妹》本多飛騨守《割書：重｜照》殿《割書：江》御縁組被仰出
一六月廿三日中務大輔《割書：昌｜勝》様松岡《割書：江》初而御入部《割書：去ル十一日｜江戸御立》
一九月廿日
　主上《割書：御諱｜紹仁》崩御《割書：御諡｜後光明帝》
一十二月廿六日藤松丸様被叙従四位下被称大和守直矩



【左・丁】
明暦元年乙未《割書：此年承応四年｜四月十三日改元》
　正月朔日為年始御祝儀御登城
一二月《割書：日不｜詳》於江戸表左之通被仰出之
　　　　　覚
　　一侍小者はすㇵ成もの前々より御法度候間弥以
　　　堅可相守事
　　一歩行若党之衣類紗綾縮綿平縞羽二重絹紬
　　　布木綿之外停止之事

　　　　附弓鉄砲之者絹紬布木綿之外不可着　道具持
　　　　　中間小者草履取布木綿を可着　上帯下帯
　　　　　衣裏袖えり等にも絹類仕間鋪候縦布木綿
　　　　　にても色替たる物にていたすましく候　勿論
　　　　　縫箔の紋所不可仕事
　　一刀ㇵ弐尺八九寸脇差は壱尺八九寸是ゟ長ㇵ差申
　　　間布候　縦御定より短候とも其身の恰合に不似合
　　　目にかかり候刀脇差さゝせ申間鋪候事
　　一鰄鮫にせともに并色さや指せ申間敷候事
　　　　附金銀の鍔にせともに堅停止之事
　　一大髭大額なてつけ御法度候間又者若党中間
　　　小者草履取ㇵ不及申御直之下々にいたるまて
　　　堅可相守事
　　右前々より
　　公儀御法度之趣候間面々下々に堅可申付候　若
　　違犯之輩於有之者可為曲事者也
　　　　　　二月日

　　 一　三月《割書：日不｜詳》於江戸表左之通被　仰出之
　　　　　　　　　　　　　道中御法度書
　　　　　　一　御供之行列行儀正可仕事
　　　　　　一　御先跡高声高雑談仕間敷事
　　　　　　　　　　附脇道仕間敷事
　　　　　　一　御泊江御着之時行列之次第不乱御道具を立
　　　　　　　　御駕入候而より次第〳〵に入役人江可相渡事
　　　　　　一　翌朝　御出之時も右同前事
　　　　　　一　押之跡挟箱蓑箱可任押之下知事
　　　　　　一　御供行列之跡惣勢之中江乗掛ハ不及申からしり
　　　　　　　　乗込申間敷事
　　　　　　一　乗馬荷付馬行違儀
　　　　　　　　公儀御法度可相守事
　　　　　　一　船渡所々奉行人之請下知次第々々に可罷越猥舟
　　　　　　　　を取乗申間敷事
　　　　　　一　途中　召之輩草履取迄ニ而参歩行者道具持ハ行列
　　　　　　　　之場に可置但御使者ハ可為各別事
　　　　　　一　於　御泊宿火事出来之時被　仰付候火滅之外火本へ

　　　　不可参何茂御本陣江集可随御下知但 火本近
　　　　輩者可為各別事
　　　　　　附御道具者役人 懸付可出之事
　　一　自然喧嘩口論之時其場江猥不可懸集御本陣江
　　　　可相詰事　
　　　右之条々堅可相守者也
　
　　　　　　条々
　　一　対于往還之輩いひこと仕候者不論理非可為死罪事
　　　　　附竹木一円伐取申間鋪事　　
　　一　対宿割悪口仕にをゐてハ可為曲事
　　　　　附宿札剝取申間敷事
　　一　宿々ニ而亭主に非分成儀申懸間布事
　　　　　附御定之通宿賃駄賃可出之若於相背者
　　　　　　可為曲事
　　一　於泊々好色不行儀其外猥成事一切仕間敷事
　　　　　附博奕小歌尺八其外むさと高声仕間敷事
　　一　駄賃馬不論跡先対馬方狼藉仕間敷事

　　　　　　　　　　附荷物
　　　　　　　　　　　公儀御定之通よりおもく仕間布事
　　　　　　右条々堅相守之面々下々迄可申付候若相背輩
　　　　　　有之者分其軽重或過料或可為死罪事
　　　　　　　　三月　日

　　一　四月十二日　国姫様江御結納為御祝儀御使を以御小袖十
　　　　《割書：内綸子地赤縫箔裏紅梅一綸子地白染物裏紅梅ニ綸子縫箔裏紅梅一｜綸子無地縫箔裏紅梅一白練両面ニ白羽二重両面一黒紅梅裏もろうす一幸菱》
　　　　《割書：裏白｜練一》御帯二筋《割書：綸子染｜縫箔》昆布《割書：二十｜把》一箱鯣《割書：二十｜連》一箱鶴《割書：一｜羽》一箱
　　　　鱈《割書：ニ｜十》一箱塩鯛《割書：二｜》一折樽五荷被進之　越後守《割書：光｜長》様江御小袖十
　　　　《割書：内縮緬裏浅黄羽二重一熨斗目裏浅黄一綸子裏浅黄羽二重一紗綾裏浅黄｜羽二重一唐織縞裏浅黄羽二重二羽二重白両面二裏浅黄羽二重二》
　　　　昆布《割書：二十｜把》一箱鯣《割書：二十｜連》一箱鶴《割書：一｜羽》一箱鱈《割書：二｜十》一箱塩鯛《割書：二｜》一折御樽
　　　　五荷奥方様江御小袖十《割書：内□□いす裏紅梅一綸子地黒縫箔裏紅梅一｜綸子無地縫箔裏紅梅一綸子赤縫箔裏紅》
　　　　《割書：梅一綸子地白染柄裏紅梅一綸子地白染箔裏｜紅梅一紅綸子裏紅梅一白練両面一白羽二重両面一》昆布《割書：二十｜把》一箱鯣《割書：二十｜連》一箱
　　　　白鳥《割書：一｜羽》一箱干鱈《割書：二｜十》一箱塩鯛《割書：二｜》一折御樽五荷下野守《割書：綱｜賢》様江
　　　　御太刀一腰御馬代《割書：金一｜枚》昆布《割書：二十｜把》一箱鯣《割書：二十｜連》一箱白鳥《割書：一｜羽》一箱
　　　　御樽三荷被進之
　　　　　　但越後守様ゟ茂被進可有之候得共不詳







　

　　一　四月十三日　国姫様御婚姻ニ付　越後守《割書：光｜長》様御屋敷
　　　　御出輿霊巌島御屋敷江　御入輿小栗五郎左衛門
　　　　《割書：越後｜御家老》相渡本多内蔵助《割書：昌｜長》請取之御貝桶荻田隼人《割書：越後｜御家老》
　　　　相渡酒井与三左衛門《割書：重｜成》請取之夫ゟ大奥ニ而御婚姻御規式
　　　　相済御色直之御規式有之暫御休息之間江被為　入又々
　　　　御座敷江　御両人様被為　出　慶寿院様と御盃事有之
　　一　同月十八日為御婿入　越後守《割書：光｜長》様御屋敷江被為　入
　　一　同月廿二日為御舅入　越後守《割書：光｜長》様此御屋形江御越被成
　　一　五月十日　御登　城御太刀金馬代綿《割書：三百｜把》御献上御婚姻之
　　　　御礼被　仰上
　　一　同月十三日　上使を以御国許江之御暇被　仰出白銀《割書：千｜枚》御袷《割書：百｜》
　　　　御拝領
　　一　同月十四日　御登　城御暇之御礼被　仰上被為蒙
　　　　御懇之　上意例之通御馬御拝領畢而本多内蔵助《割書：昌｜長》酒井
　　　　与三左衛門《割書：重｜成》　御目見被　仰付退去右両人江御帷子三御単ニ
　　　　御羽織拝領被　仰付
　　一　五月廿七日江戸　御発駕　御帰国被成
　　　　　　　但　御着城日不詳








　　一　六月廿五日　竜昌院様《割書：秀康様御女喜佐姫故｜松平長門守《割書：秀｜就》殿御奥方》御逝去天徳寺江
　　　　御葬送御法号
　　　　竜昌院殿長誉光山秋英大姉
　　一　月　日江戸表江御家老酒井与三左衛門《割書：重｜成》被差遣御預所勝山領
　　　　三万五千石之御物成御拝借被成度旨御願被成候処御願之通
　　　　被　仰出之右為御礼本多民部《割書：重｜成》江戸表江被指遣之
　　一　七月三日白山本社修造之儀白山麓加賀国尾添村之者共
　　　　申立候ニ付金沢ゟ修造可有之旨当国牛首村之者及聞ニ付
　　　　尾添村江再三断申遣候得共不致承引尾添村と牛首村と
　　　　出入ニ相成候ニ付御老中松平伊豆守《割書：信｜綱》殿江被得御内意之上御
　　　　年寄ゟ
　　　　為使波々伯部九兵衛《割書：茂｜好》を以小松中納言《割書：利｜常》殿御家老迄
　　　　《割書：松平加賀守《割書：綱｜紀》殿｜幼年故御隠居》
　　　　《割書：小松中納言殿｜諸事御斗之由》左之趣申遣之
　　　　　　為御立願今度越前国白山社塔御造営荷被成由ニ而
　　　　　　人夫少々登山之由所之者申来候左候得者此方江可有
　　　　　　御断儀如何与存内越前守御暇被下帰国ニ付而申達
　　　　　　候得共御立願与有之上者何之国之社頭造営茂
　　　　　　可有之事歟然共古来ゟ国之守護修復申付来儀
　　　　　　其上今程者従公儀御預領之事ニ候得者左様之分

　　　　　　 越前守若候得共難心得候間寺社奉行衆江も相尋
　　　　　　可為其上儀候条無子細可有御造営筈ニ候ハゝ幸
　　　　　　杣取牛首風嵐之者仕来遷宮平泉寺玄成院
　　　　　　執行之儀従前々例ニ候得者所之者をも申付人足等
　　　　　　御馳走可申候由越前守被申候条左様ニ御心得可被
　　　　　　仰上候以上
　　　　　　　　　七月三日
　　一　七月廿日小松中納言《割書：利｜常》殿御家老ゟ御年寄迄左之通書翰来
　　　　　　一筆令啓達候先日小松迄御使者被指越由ニ候得共


　　　　　　金沢《割書：ニ》罷在御使者《割書：江》茂不懸御目候然者白山建営
　　　　　　之儀《割書：ニ》付而被仰越通承届申候　社頭破損仕候間致
　　　　　　建立候之由尾添村百姓共申故其分申付候　惣而
　　　　　　御隣国之儀候条境目等之出入無之様《割書：ニ》と中納言頼依
　　　　　　被申付置此度茂御添村申分御座候得共聞入不申候
　　　　　　寺社奉行衆《割書：江》可有御尋之由其段者如何様《割書：ニ》茂御勝手
　　　　　　次第存候　弥造営可仕与之儀《割書：ニ》候ハゝ自是御相談可
　　　　　　申入候条可預御心得候　恐惶謹言
　　　　　　　　七月廿日　　　　　　　奥村因幡守







　　　　　　　　　　　　　　　　　　津田玄蕃
　　　　　　　　　　　　　　　　　　小幡宮内
　　　　　　　　　　　　　　　　　　前田対馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　長　九郎左衛門
　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　本多内蔵助様
　　　　　　　　　　　狛　伊勢守様
　　　　　　　　　　　有賀小右衛門様
　　一　九月《割書：日不｜詳》在々江罷出候節之心得方之儀ニ付左之通被仰出之
　　　　　　　　　条々

　　一　御在国中御供之面々在々におゐて百姓共に対
　　　　諸事理不尽之儀仕間敷事
　　一　人馬之儀前々より如御定駄賃を出し面々の
　　　　名々字を書付差紙を可相渡事
　　　　　　附下々ハ一切馬に乗間敷事若相煩者
　　　　　　　有之ハ歩行目付に断可申事
　　一　宿次村送リの人足一切つかひ申間布候自然
　　　　御用有之刻者其品を書しるし奉りの人
　　　　差紙を可相渡事

　　一　夜に入松明をいたさせ申間敷候
　　　　　附上下によらす百姓の家に入火をたかせ又は
　　　　　　野菜以下所望いたすへからす若相対之上に
　　　　　　おゐては其代物を可遣事
　　一　田畠に入作毛一円踏あらし申間敷候
　　　　　附竹木を剪取或は沓鞋縄こも等に至迄
　　　　　　一切押取申間敷事
　　右条々侍中ハ不及申面々組中下々にいたる迄堅
　　可相守之若相背族有之ハ分其軽重可被処
　　曲事旨被　仰出者也
　　　　明暦元年九月日

明暦二年丙申
　　一　三月《割書：日不｜詳》為　御参勤福井　御発駕御供本多内蔵助《割書：昌｜長》
　　　　酒井与三左衛門《割書：重｜成》
　　一　四月十一日　御参府ニ付　上使御老中阿部豊後守《割書：忠｜秋》殿御越
　　　　上意之趣御達有之
　　　　　　　但　上使御越之節　御送迎之儀御記録類ニ不詳
　　一　閏四月十八日　御登　城於御黒書院　御参勤之御礼被
　　　　仰上御太刀白銀《割書：三百｜枚》綿《割書：五百｜把》御献上

　　　　　但御家来　御目見等之儀御記録類ニ不詳
　　一　七月六日　上使能勢小十郎《割書：頼｜隆》殿を以　御鷹之雲雀《割書：三｜十》御拝領
　　一　月日白山出入之儀ニ付於江戸松平加賀守《割書：綱｜紀》殿ゟ御使者服部
　　　　左源太を以被申遣趣も有之且又保科肥後守《割書：正｜之》殿も御取扱
　　　　有之候而白山本社修造之儀沙汰止ニ相成
　　一　九月十八日於福井御泉水屋敷　権蔵様御誕生御母
　　　　片桐氏《割書：於山後号｜松盛院》
　　一　十月廿九日　上使石川弥左衛門殿を以　御鷹之鶴御拝領
明暦三年丁酉　　
　　一　正月朔日為年始御祝儀　御登　城御太刀馬代御献上呉服
　　　　御拝領
　　一　同月十八日朝《割書：五時｜頃》本郷日蓮宗本妙寺ゟ出火之処北風烈敷
　　　　大火ニ相成霊巌島御屋敷御類焼
　　一　同月十九日朝《割書：五時｜頃》小石川ゟ出火之処北風烈敷大火ニ相成候ニ
　　　　付
　　　　御警衛之儀御案事被成　御城江　御出被成候処御門々
　　　　御物頭御警衛相整其組々之鉄砲ハ火縄ニ火を附並居





　　　　厳重ニ相固候ニ付　御帰被成候処終ニ　御城御焼失次第大火
　　　　ニ
　　　　相成龍ノ口御屋敷御類焼右ニ付松平大膳大夫《割書：綱｜広》殿御下屋敷《割書：青｜山》
　　　　江
　　　　御披被成其後浅草金龍山智楽院寺中御借被成暫
　　　　被為　入亦復　中務大輔《割書：昌｜勝》様御屋敷《割書：浅｜草》江被為　入
　　一　正月廿四日　西丸江御家来御呼出今度両御屋敷御類焼ニ付
　　　　早速御暇可被下旨　御内意有之
　　一　二月三日　上使御奏者番松平出雲守《割書：勝｜隆》殿を以御国許江之御暇
　　　　被　仰出白銀《割書：千｜枚》御袷《割書：百｜》御拝領
　　　　　　但右　上使　中務大輔《割書：昌｜勝》様御屋敷ニ而御請可有之候得共
　　　　　　　御記類ハ
　　　　　　　不詳
　　一　同月四日　御登　城御暇之御礼被　仰上御馬一匹御拝領　
　　一　同月十一日今度大火ニ付諸大名参勤之節献上物之儀御書付
　　　　を以左之通被　仰出之
　　　　　　　一　十万石以上国持大名先自当年三ヵ年之間参勤
　　　　　　　　　進上物ハ
　　　　　　　　　　時服十御太刀馬代黄金一枚
　　　　　　　　　　時服三重御太刀馬代金一枚
　　　　　　　　　　時服二重御太刀馬代金一枚






　　　　右之内を以応分限可差上事
　　一　九万石ゟ五万石迄御太刀馬代金一枚四万九千石
　　　　已下ハ御太刀馬代銀一枚
　　一　五万石ゟ以上国持大名迄歳暮之御祝儀献上之分
　　　　　御呉服五　同二重　同三ツ　同二ツ
　　　　右之通応分限此内を以可指上事端午重陽にハ
　　　　猶以可為減少此外常々ハ軽キ物を可有献上事
　　一　下々音信贈答ハ参勤端午歳暮ともに可為
　　　　無用事
　　　　　　二月十一日
　　一　二月《割書：日不｜詳》江戸　御発駕
　　　　　　　但本多内蔵助《割書：昌｜長》儀者　国姫様御懐胎ニ付右為御用
　　　　　　　　被相残
　　一　三月十日　御着城
　　一　同月《割書：日不｜詳》龍ノ口御屋敷地御用ニ付被差上《割書：此御屋敷地安藤右京進《割書：重｜長》殿｜酒井摂津守《割書：忠｜当》殿御両人ニ被下》
　　一　四月　於東叡山
　　　　大猷院様七回御忌御法事有之ニ付　慶寿院様国姫様ゟ
　　　　御使者を以　御香奠銀五枚宛被献之　

　　　　　　但　光通様御香奠御献上之儀御記録類不詳
　　一　五月八日於江戸御屋敷　国姫様御安産御女子御誕生
　　　　奉称　布与姫様
　　一　同月十四日龍ノ口御屋敷為替地於浜町《割書：西本願寺門跡屋敷地ニ御材木｜蔵内相添一万三千百七坪》
　　　　御屋敷地御拝領
　　一　月日京都花園妙心寺前住職大愚和尚《割書：諸相非相｜禅師》播州多賀郡
　　　　安田村法幢寺ニ罷在候段被　聞召天方五郎左衛門《割書：友｜貞》江被　仰
　　　　付御招
　　　　被成《割書：五郎左衛門与力吉田｜嘉左衛門彼地へ指遣》福井江着之上御使者嶋田三左衛門《割書：重｜信》を以
　　　　一寺
　　　　御建立可被成候間住職之儀御頼被成候条被　仰遣候処
　　　　老衰之由申立御断申上候ニ付再御使者被遣御口上ニ幼少ニ
　　　　而父ニ
　　　　離れ万事乍思我儘ニ成リ気之毒ニ候間自今者和尚之預
　　　　教訓度望ニ候間是非ニと被　仰遣候ニ付御請申上之依之寺地
　　　　之儀ハ
　　　　可然所ニ而見立可申上旨被　仰付ニ付御国中見廻候上坂井郡
　　　　田谷山可然旨申上之
　　一　八月十六日御書を以御国産初鱈被献之右御披露済之
　　　　御奉書於御老中被相渡之
　　　　　　　御札令拝見候
　　　　　　　公方様弥御機嫌能被成御座候間可被御心易候












　　　　　　　将又其国之初鱈被献之候遂披露之処
　　　　　　　一段之御仕合候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　八月十六日　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　　酒井雅楽頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠清書判
　　　　
　　　　　　　　　松平越前守殿
　　　　　但従是以前ニも初鱈御献上之事可有之候得共御記録類ニ
　　　　　　不詳ニ付此御奉書を以初而御献上之書法ニ准シ記之
　　一　九月七日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　　　追而　御内書於　御城御渡有之其節御家来江綿衣拝領
　　　　被　仰付
　　一　十月十九日　御城御普請ニ付間合鳥子紙三万枚并角石三十本
　　　　角脇石五本平石二十五本被献度旨御老中久世大和守《割書：広｜之》殿江
　　　　御願書被指出之
　　　　　　但御願済之月日不詳此以後追々被献之
　　一　十一月九日重陽御祝儀被献候ニ付　御内書御頂戴且又
　　　　御家来拝領物被　仰付候御礼御書被指出候処右御返書
　　　　今日於御老中被相渡之






　　　　　但初而御帰国之節右御礼御書被指出候儀可相記
　　　　　候得共其節之御記録ニ不詳此年初而相見候ニ付此ニ
　　　　　記之
　　一　十二月廿五日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖《割書：三｜》
　　　　被献之追而　御内書於　御城御渡有之
　　　　　　為歳暮佳事小袖三到来歓覚候委曲
　　　　　　酒井雅楽頭可述候也
　　　　　　　　十二月廿五日　御黒印
　　
　　　　　　　　　　　　　　　　越前少将殿

万治元年戊戌《割書：此年明暦四年｜四月十三日改元》
　　一　正月朔日為年始御祝儀御使者を以御太刀一腰御馬一匹《割書：代黄金｜十両》
　　　　被献之
　　　　　　但年始御馬代黄金二枚御献上之処此年黄金一枚
　　　　　　　御献上之訳合御記録類不詳
　　一　同月五日右同断献候ニ付而之御奉書御渡有之
　　　　　　　為年頭之御祝儀以使者御太刀一腰御馬代
　　　　　　　黄金十両被献之候遂披露候処一段之御仕合候

　　　　　　　　　　 恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　正月五日　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　酒井雅楽頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠清書判
　　　　　　　
　　　　　　　　　　松平越前守殿

　　一　正月十日霊巌島御屋敷御類焼
　　　　　但去年正月御類焼後少々御普請有之候処今日亦復
　　　　　　御類焼
　　一　四月廿三日江戸表江御家老酒井与三左衛門《割書：重｜成》被指遣去ル未年
　　　　御願被成候御預所勝山領御物成御拝借之儀去年ニ而
　　　　御年限相済候得共又々年延来ル辰年迄都合十ヶ年之間
　　　　御拝借被成度旨御願被成候処御願之通被仰出之
　　一　月　日花園妙心寺前住職大愚和尚開山ニ而於坂井郡
　　　　田谷村《割書：天台宗龍王山｜田谷寺之旧蹟》一寺御建立被称万松山大安寺御菩提所ニ
　　　　御定被成
　　一　五月《割書：日不｜詳》為端午御祝儀御使者を以御帷子御単御袷




　　　　被献之追而　御内書於　御城御渡有之其節御家来江
　　　　時服拝領被　仰付
　　一　七月二日暑中ニ付　御機嫌為御伺御国許ゟ御使者を以
　　　　御国産索麪并御肴被献候処右御返書今日被相渡之
　　一　七月《割書：日不｜詳》為御生見玉御祝儀御使者を以黄金十両被献之
　　一　同月九日右同断被献候ニ付而之御奉書於御老中被相渡之
　　　　　　　為御生見玉之御祝儀以使者黄金十両被献之候
　　　　　　　遂披露候処一段之御仕合候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　七月九日　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　　　　　　　　　酒井雅楽頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　忠清書判
　　　　　　　　　
　　　　　　　松平越前守殿
　　一　同月《割書：日不｜詳》当春霊巌島御屋敷御類焼ニ付　御参勤御延引
　　　　之処　慶寿院様御病気之旨申来ニ付為御看病
　　　　御出府被成度旨御願之上御早駆ニ而　御出府《割書：霊巌島御屋｜敷御小屋払之》
　　　　《割書：処江｜被為入》被成
　　　　



　　　　　但御願済并御着府之日限等不詳
　　一　七月十三日　慶寿院様御病気ニ付御医師御招之儀且
　　　　為御看病　御出府被成度旨御願之通被　仰出候為御礼
　　　　御使者被指出候処右御返書今日被相渡之
　　　　　　　御札令拝見候母儀依所労玄勝療治望付而
　　　　　　　可罷下之旨奉書差遣忝被存之由得其意候
　　　　　　　依之被差越使者候次其方儀茂致参府看病
　　　　　　　可有之旨以奉書相達重畳過分至極之段別紙之趣
　　　　　　　承届候入念候之通達
　　　　　　　召聞候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　七月十三日　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　　　　　　　　　　　酒井雅楽頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠清書判
　　　　　　　　　松平越前守殿

　　一　同月十八日　御出府ニ付　上使御老中松平伊豆守《割書：信｜綱》殿御越
　　　　上意之趣御達有之

　　一　七月廿一日　御登　城　御参府之御礼被　仰上
　　　　　　但御献上物并御家来　御目見等之儀御記録類不詳
　　一　月　日　慶寿院様御病気御指重ニ付
　　　　光通様江　上使　松平伯耆守《割書：氏｜信》殿を以　御尋有之
　　一　八月十七日　慶寿院様於霊巌島御屋敷御逝去追而
　　　　小石川伝通院江御葬送《割書：日不｜詳》御法号《割書：大正十五年七月品川｜海晏寺墓地ニ改葬ス》
　　　　慶寿院殿浄誉月窓清心大信女
　　一　同月十九日右同断ニ付為御悔　上使御奏者番井上河内守《割書：正｜利》殿
　　　　御越　上意之趣御達有之
　　　　　　但慶寿院様御入輿之節急度被経　上聞儀ニも無之処
　　　　　　依為御母　上使被成下候段難有被　思召候由
　　一　月　日於大安寺　慶寿院様御当座御法事御執行
　　　　有之
　　　　　　　但本坊普請中ニ付於寺内信解院御執行有之
　　一　閏十二月廿七日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖
　　　　被献之追而　御内書於　御城御渡有之

万治二年己亥
　　一　正月朔日為年始御祝儀　御登　城御太刀馬代御献上
　　　　呉服御拝領
　　一　同月十四日
　　　　公方様御前髪被為　執候《割書：去｜十一日》為御祝儀明日御能被
　　　　仰付候間　御登　城可被成旨御老中連名之御奉書来ル
　　　　　　　今度　御前髪被執之候為御祝儀明日御能
　　　　　　　被　仰付候可致見物之旨

　　　　　　　上意候被存其趣辰刻以前被登城尤候
　　　　　　　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守　
　　　正月十四日　　　　　　正則書判
　　　　　　　　　　　　阿部豊後守　
　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判　
　　　　　　　　　　　　松平伊豆守　
　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　　　　　　　酒井雅楽頭　
　　　　　　　　　　　　　　忠清書判
　　　　松平越前守殿

　　　但御登　城之有無御記録類不詳
　　一　二月九日御年寄狛伊勢守《割書：孝｜澄》死去
　　一　四月二日堀文左衛門《割書：長｜重》組之者居宅ゟ《割書：川口御門外舟蔵御門内｜今酒井外記屋敷之処》出火之処
　　　　大火ニ相成西之方町口両御門焼失并高知之面々過半居屋敷
　　　　類焼
　　一　同月《割書：日不｜詳》　上使を以御国許江之御暇被　仰出御拝領物有之
　　　　　　但御暇之御礼　御登　城并御発駕御着城之日等御記録類
　　　　　　不詳
　　一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単御袷
　　　　被献之追而　御内書於　御城御渡有之御家来拝領物等
　　　　如例
　





　　一　五月《割書：日不｜詳》　御帰国ニ付為御礼御使者笹治左兵衛《割書：直｜次》江戸表江
　　　　被指出之奉書紙被献之
　　　　　　但御使者江戸着并　御目見等之日限御記録類不詳
　　一　六月十四日右同断御礼御使者笹治左兵衛《割書：直｜次》　御城江罷出候処
　　　　御返書御渡有之
　　一　七月《割書：日不｜詳》為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金
　　　　被献之
　　一　八月朔日為御祝儀御使者を以御太刀一腰御馬代黄金
　　　　十両被献之
　　一　同日於江戸表御屋敷　国姫様御安産御女子御誕生奉称
　　　　市姫様
　　一　同月三月八朔之為御祝儀御使者を以御太刀馬代被献候二
　　　　付而之御返書於御老中被相渡之
　　　　　　御札令拝見候為八朔之御祝儀以使者御太刀
　　　　　　一腰御馬代黄金十両被献之候遂披露候之処
　　　　　　一段之御仕合候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　八月三日　　　　　　　正則書判
　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判

　　　　　　　　　　　　　　　 酒井雅楽頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠清書判
　　　　　　　　　　　松平越前守殿

　　一　八月《割書：日不｜詳》当夏《割書：四月｜二日》　御城下火事之節町口両御門焼失ニ付
　　　　御普請并石垣築直之儀御伺之御書御老中稲葉
　　　　美濃守《割書：正｜則》殿江御留守居飯川彦兵衛《割書：正｜成》持参指出之
　　　　　　一　筆致啓上候今度当地火事付町口両門櫓
　　　　　　　升形石失火之処連々以築直門立候儀并町之内
　　　　　　　橋台石垣少々広之申度存相記絵図各迄得
　　　　　　　御意候間於可被達
　　　　　　　上聞儀者御序之節御前可然様御取成奉頼存候
　　　　　　　委曲使者口上申含候恐惶謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　松平越前守
　　　　　　　　　　七月廿八日
　　　　　　　　酒井雅楽頭様
　　　　　　　　松平伊豆守様
　　　　　　　　阿部豊後守様
　　　　　　　　稲葉美濃守様
　　　但外ニ御書付絵図等被指出候由ニ候得共不詳

　　一　八月十四日江戸　御城御本丸御普請御成就ニ付為御祝儀
　　　　江戸表江御使者本多内蔵助《割書：昌｜長》被指出之
　　一　同月十九日於御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿　御城外曲輪御門
　　　　御普請御伺被成候ニ付而之御奉書御渡有之
　　　　　　　以上
　　　　　　　福居之城当四月炎焼付而西之方外曲輪
　　　　　　　町口両所之二階門建之同二ヶ所之升形石垣
　　　　　　　築直之事絵図之通得其意候如元可有
　　　　　　　普請候恐々謹言
　　　
　　　　万治二亥　　　　　　　　　稲葉美濃守　
　　　　　八月十九日　　　　　　　　　正則書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠秋書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　松平伊豆守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　信綱書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　酒井雅楽頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠清書判

　　　　　　　　松平越前守殿
　但御奉書御文言ニ連々以之文字無之ニ付追而御留守居ゟ
　　相伺候処御右筆之書落ニ候間左様御承知被成候様
　　可申上旨美濃守殿被申聞之







　　一　九月七日　御城御本丸御普請御成就　御移徙相済候《割書：去ル｜五日》
　　　　為御祝儀御使者本多内蔵助《割書：昌｜長》を以御太刀金馬代被献之
　　一　十月十五日本多内蔵助《割書：昌｜長》登　城御目見被　仰付御太刀
　　　　銀馬代献上之
　　一　同月廿一日　御移徙御祝儀之御使者本多内蔵助《割書：昌｜長》
　　　　御城江罷出候処《割書：昨日御老中阿部｜豊後守殿ゟ申来》於桧之間御老中列座御奉書
　　　　御渡御暇被下御小袖《割書：五内御紋三｜紅裏二》御羽織《割書：一御｜紋》拝領被　仰付
　　　　　　但十一月十二日内蔵助府中江帰着之上為御礼御老中江
　　　　　　　家来金沢牛兵衛と申者指出之
　　一　此年霊巌嶋御屋敷御普請有之
　　　　　　　但御成就之月日不詳





【裏表紙】

家譜

【表紙】
【題箋】
《題：家譜《割書：吉品公》《割書：従元禄十年｜到同十二年》　二十》

　　《題：吉品様》《割書：従元禄十年丁丑｜至同十二年己卯》

元禄十年丁丑

　一　正月朔日為年始御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代
　　　御献上呉服御拝領
　　　監物様ニも　御登　城太刀馬代御献上呉服御拝領
　一　同日於　御屋形年始御規式有之
　　　監物様　御帰殿後　御名代ニ而諸士之御礼被為　請
　一　同月三日為御謡始御祝儀御使者を以例之通御盃台
　　　御酒代被献之

一　正月七日為御上初御使者を以例之通御肴被献之
一　同月十一日口　宣御頂戴之儀ニ付御老中ゟ京都所司代江之
　　御奉書并御官物之御書付御徒飛脚を以京都御留守居
　　本多武兵衛《割書：直｜頼》方迄被指遣之
　　　　　　但右御奉書御徒飛脚を以御国許江被指遣御使者持参
　　　　　　可致儀ニ候得共此節道中筋深雪ニ付直ニ京都江遣之
一　同月十七日　備中守《割書：直｜堅》様御卒去天徳寺江御送葬《割書：十九｜日》御法号
　　法巌院殿正誉学心皎山大居士
　　　　　　但右ニ付御国表同月廿七日ゟ廿九日迄鳴物停止被仰出


一　同日同断之処御養方御兄弟御実方御甥両様之御続
　　ニ付御服忌御請方之儀御用番阿部豊後守《割書：正｜武》殿江御伺被成
一　同月十八日口　宣御頂戴之御使者寄合本多五郎右衛門《割書：武｜正》京都江
　　被指出之今日福井出立
一　同月十九日御用番阿部豊後守《割書：正｜武》殿ゟ御呼出御留守居罷出
　　候処去十七日御伺被成候御服忌之儀御養方御弟之御服
　　忌御請被成候様御指図有之
一　同月廿五日口　宣御頂戴之御使者本多五郎右衛門《割書：武｜正》去廿ニ日
　　京都着今日所司代小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江罷出《割書：御留守居本多｜武兵衛同道》御老中ゟ

　　　之御奉書指出之　　　　　
　　　　　　但御官物御礼物等之覚書御留守居本多武兵衛指出之
一　正月廿六日伝　奏正親町大納言殿柳原大納言殿亭江御使者
　　本多五郎右衛門《割書：武｜正》罷出《割書：御留守居本多｜武兵衛同道》御口上申述之
一　同月廿九日伝　奏正親町大納言殿亭江御使者本多五郎右衛門《割書：武正｜》
　　《割書：熨斗目長袴着御留守居｜本多武兵衛同道》罷出候処《割書：昨廿八日所司代小笠原｜佐渡守殿ゟ御留守居迄申来》柳原大納言殿御列座
　　ニ而口　宣　宣旨等御渡有之相済左之通御官物雑掌江
　　相渡之　　
　　　　　　　禁裏江白銀三拾枚

　　　　　　　仙洞御所江白銀二拾枚
　　　　　　　女院御所江白銀二拾枚
　　　　　　　准后御方江白銀拾枚
　　　　　　　内侍所江白銀二枚
　　　　　　　　但　御所方御附上臈御局等江御贈物有之候得共略之
　　夫ゟ所司代小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江罷出伝　奏衆ゟ口　宣　宣旨等
　　御渡相済且御　官物相納候段相達之
一　二月六日伝　奏柳原大納言殿亭江御使者本多五郎右衛門《割書：武｜正》
　　罷出《割書：昨五日所司代小笠原｜佐渡守殿ゟ申来》候処御礼物御献上之御使者

　　禁裏院中江可相勤旨御指図有之右ニ付左之通御献上物
　　相納之
　　　　　禁裏江黄金壱枚縮緬拾巻《割書：白｜》
　　　　　仙洞御所江白銀壱枚縮緬拾巻《割書：白｜》
　　　　　女院御所江縮緬五巻《割書：白｜》
　　　　　准后御方江縮緬三巻《割書：白｜》
　　右相済所司代小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江罷出御礼物相納候段相達之
　　此節御老中江之御返書御渡有之
一　二月七日口　宣　宣旨并所司代ゟ之御返書京都ゟ御徒飛脚

　　を以江戸表江指上之
　　　　　　但右口　宣幷御返書御使者御国表江持参御国許ゟ大
　　　　　　　御番士を以江戸表江可指上筈之処御国境道中筋深雪
　　　　　　　ニ付京都ゟ御徒飛脚を以直ニ指上之
一　同日御忌明ニ付御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江御逢対御勤
一　同月八日先達而ゟ
　　監物様御不快之処御爾々無之ニ付御医師長嶋道仙ニ御頼
　　御薬御服用
一　同月十一日御側用人中江御出御講談御拝聴之御頼被

　　　仰入
一　二月十三日　女御御入内ニ付為御祝儀京都江御使者寄合
　　皆川多左衛門《割書：勝｜郷》被指出之今日福井出立
一　同月十五日御登城被成候処御老中列座ニ而近年之内
　　公方様日光山江御参詣可被遊旨被仰出御退出掛為御歓
　　御老中御側御用人若年寄中　御廻勤
一　同月十六日口　宣　宣旨等京都ゟ着ニ付　御頂戴被成

　　　　　口宣案


　　　　　　　上卿　花山院大納言
　　　　　　　　　元禄九年十二月五日　宣旨
　　　　　　　　　　　侍従源昌明朝臣
　　　　　　　　　　　　　宜任左近衛権少将
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奉
　　　　　　　　　　　　　　　蔵人右中弁藤原宣顕
　
　　　　　　宣旨
　　　　　　　　　従四位下行侍従源朝臣昌明
　　　　　　　　従二位行権大納言藤原朝臣持実

　　　　　宣奉　　　　　敕件人宜令任
　　　　　左近衛権少将者
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奉
　　　　　　元禄九年十二月五日大外記兼■頭造酒正中■臣師庸

　　右相済為御禮御老中御側後用人若年寄中　御廻勤追而
　　京都所司代江御書被指遣之
一　同日京都所司代小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿ゟ之御返書御用番土屋
　　相模守《割書：政｜真》殿江御使者御留守居松原善左衛門《割書：矩｜成》を以被指出之
一　二月廿八日

　　監物様御病気ニ付御登城御断
一　同月晦日　御登　城　女御御入　内相済候《割書：去廿｜五日》御祝儀被　仰上
一　閏二月朔日右同断ニ付京都所司代小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江
御書　　
　　被指遣之
一　同月四日大目付中ゟ申来御評定所江御留守居松原善左衛門《割書：矩｜成》
　　罷出候處古ゟ有来候国絵面今度改り申ニ付委細ニ相調指出
　　候様被　仰出候間越前一国之絵面御家ゟ被指出候様被申渡之
一　同月十一日御側後用人江御書御購読御拝聴之御頼被仰入
一　同月十三備中守《割書：直｜堅》様御遺跡《割書：一万｜俵》無御相違御嫡岩次郎《割書：直｜和》様江







被　仰出候ニ付為御禮御老閏二月中江御使者被指出之
一　閏二消し止め候月十八日本庄緑町出火ニ付御出馬被成且御家来之者
　　消留候段御用番戸田山城守《割書：忠｜昌》殿江御使者を以御達有之
一　同月十ニ日先達而御国絵指被出指候様被　仰出候節先年
　　被差上候絵図御貸可被成旨被申渡有之ニ付今日御評定
　　所江御留守居松原善左衛門《割書：矩｜成》被一つ指出先年被指上候御国絵図
　　御拝借之儀御達有之候処追而可相渡旨被申聞
一　同月廿六日歳暮御祝ひ儀御献上ニ付而之　御内書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例

一　三月五日先達而ゟ
　　監物様御不快之処御差引有之御永引可被成御様子ニ付
　　松平庄兵衛《割書：正｜恒》当秋迄江戸表江御残被成酒井典膳《割書：知｜春》江為御迎
　　致出府候様被仰付
一　同月十三日御側用人江御書御講読御拝聴之御願被仰入
一　同月廿八日於浄光院昨廿七日暁ゟ今朝迄　青池院様廿七回
　　御忌御法事御執行有之於天徳寺も布輿姫様ゟ御法事　
　　御執行有之　
一　四月十日御側後用人江御書御講読御拝聴之御願被仰入

一　四月十四日　上使御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿を以御国許江之
　　御暇被仰出例之通白銀御袷御拝領《割書：上使御取扱｜如例》右為御禮
　　御老中御側御用人　御廻勤
一　同月十五日　御登　城御暇之御禮被仰上例之通御馬
　　御拝領ごた御退出掛右為御禮御老中御側御用人若年寄中
　　御廻勤
一　同日右同断ニ付本庄火之御番之儀御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江
　　御伺被成候処御勝手次第御人数御引取被成候様御指図有之
一　同月十九日御拝領之御馬御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿ゟ使者ニ而

　　為牽来
一　同月廿五日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
一　同日御評定所江御呼出ニ付御留守居松原善左衛門《割書：矩｜成》罷出候処
　　御国絵図之儀ニ付左之通御書付三通大目付安藤筑後守《割書：信｜本》殿　　
　　被相渡之
　　　　　　　　　　　覚
　　　　　　一　先年之絵図何茂江借渡申可申事
　　　　　　一　新絵図分割等其外古絵図之通可被仕候但古
　　　　　　　　来ゟ川筋違候処或新川新道新村又ハ新池



















　　沼等有之者被相改絵図ニ可被記事
一　国ニ御領私領幷寺社領正保二酉之年以来地
　　形ニ変り候処有之哉御代官領主又ハ寺社方江
　　被相尋変儀無之由申分ハ絵図被取候ニ不及古
　　絵図之通可被仕候尤変所有之分ハ其村斗
　　絵図を被取本絵図可被直事
　　　附
　　　　御領私領又ハ寺社領之分銘之所付書付
　　　　可相渡候間其上古絵図ニ有之村々ニ而被
　　　　相改様子被尋儀ハ其所々江直ニ可被相尋候　

一　正保二年以来論所等有之戴評相済候処ハ古
　　絵図と違候場所々々可有之間銘々御代官領
　　主又ハ寺社方江被相尋左様之所も有之ハ新絵
　　図ニ可被改之候
　　　但右論所之儀国境群境之外之入出者不及吟
　　　　味事
一　国境群境只今論所有之内証ニ而不済儀ハ
　　公儀江訴請裁評候様ニ被申達裁評済候以後
　　其所絵図ニ可被記事

　　　　　　　　附
　　　　　　　　　　只今及諍論　公儀江出候場所も出入相済候
　　　　　　　　　　以後絵図ニ可被記事
　　　　　　一　国境群境之外之出入者裁許ニ無構絵図仕立
　　　　　　　　可被申事
　　　　　　一　借渡候古絵図隣国之絵図仕候衆と申合国
　　　　　　　　境絵図之上ニ而改相違有之処ハ此方江可被相伺候
　　　　　　　　事
　　　　　　　　　　　以上
一　四月廿七日明廿八日御発駕ニ付為御案内御老中御側

　　御用人若年寄中　御廻勤
一　同月廿八日江戸　御発駕中山道通御旅行
一　同日先達而御城廻石垣築直シ之儀ニ付絵図面を以御伺被成候處
　　今日左之通御老中連名之御奉書御渡有之

　　　　　　　　
　　　　　　　越前国福井城本丸南方堀水敲石垣壱ケ所
　　　　　　　崩候ニ付築直度之旨絵図朱引之通得其意候
　　　　　　　如元可有修復候恐々謹言
　　　　　　　　　　元禄十丑　　　　　土屋相模守
　　　　　　　　　　　　四月廿八日　　　　政直書判

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　戸田山城守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠昌書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正武書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠朝書判

　　　　　　　　　　　松平兵部大輔殿

一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単被献之
　　御台様　桂昌院様江白銀被指上之
一　同月十二日　御着城

　　　　　　但例年御供之面々江御料理被下候得共御倹約ニ付
　　　　　　　当年ゟ相止
一　十四日右同断ニ付為御禮御使者高本多図書《割書：道｜重い》江戸　
　　表江被指出之昨日出立之趣を以福井出立
一　同日今度　八重姫君様水戸少将《割書：吉｜■》様江御縁組被　仰出候ニ付
　　先刻の通御肴献上仕度段本多孫太郎《割書：長｜負》ゟ相伺候ニ付御老中江
　　相伺可有献上旨御家老酒井興三左衛門《割書：元｜宣》ゟ及差図
一　同月《割書：日不｜詳》今度八重姫君様江水戸少将《割書：吉｜宇》様ゟ御結納被遣候ニ付
　　御道中ゟ為御歓江戸表江御使者被指出之












　　　　　　　但同月十八日御返書被相渡之
一　五月十八日今度《割書：去六｜日》越後守《割書：光｜長》様御隠居備前守《割書：宣｜富》様江御家督
　　《割書：三万｜俵》被　仰出候ニ付為御禮江戸表江御書被指出之
一　同月廿五日坂井郡之内白方村波寄村之　公領米納津村之地御
　　論有之江戸表江及出訴候処今日於御評定所双方江左之通
　　御裁許書被相渡之
　　　　　越前国坂井郡米納村与同郡白方村波寄村沼論
　　　　　之事米納津村百姓訴候ハ従前之致魚梳運上収
　　　　　来候処白方波寄両村之者沼江作毛植出候由申之白

　　　　　方波寄両村百姓■候ハ沼■上り次第作毛植立候由
　　　　　申之遂糺明処沼ハ白方波寄両村之■為地内
　　　　　米納津村百姓証文数通致所持運上米納津村地
　　　　　頭江収来上ハ白方波寄両村百姓申処■分ニ候向後
　　　　　白方波寄両村百姓沼江作毛不可植出之仍為後
　　　　　証必此双方江書下間不可違犯者也
　　　　　　元禄十年《割書：丁｜》丑五月廿五日　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　萩　近江印判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　井　対馬同断
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　稿　下野同断


　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　松　　美濃印判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　松　　伊豆同断
　　　　　　　　　　　　　　　　　　川　　摂津同断
　　　　　　　　　　　　　　　　　　戸　　能登同断
　　　　　　　　　　　　　　　　　　永　　伊賀同断
　　　　　　　　　　　　　　　　　　松　　志摩同断
　　　　　　　　　　　　　　　　　　井　　大和同断


一　五月廿六日為御帰国御礼御使者本多図書《割書：道｜重》を以例之通

　　奉書紙幷昆布干鯛御樽被献之
　　　　　但昨廿五日図書江戸着御用番戸田山城守殿江ご御書指出之
一　六月朔日右同断御使者本多図書《割書：道｜重》　御城江罷出候処
　　御返書御渡有之　其節図書江御時服三拝領被　仰付
一　同月九日暑中ニ付御書を以例通御国産素麵干鯛被献之
一　同月十三日右同断ニ付　御機嫌為御伺御使者磯部杢左エ門
　　を以御肴一種被献之
　　　　　　但杢左エ門去三日御国表出立
一　同月十八日御家老酒井玄蕃《割書：元｜知》隠居被　仰付倅典膳《割書：知｜房》江家　

　　　督被命御家老加判被　仰付与力御預被成
一　六月廿五日為御川狩市波江　御出被成《割書：七月朔日｜御帰殿》
一　七月二日大目付安藤筑後守《割書：信｜本》殿ゟ申来御留守居罷出候処
　　左之通御書付二通被相渡之
　　　　　　　　　　　　覚
　　　　　　一　逆罪之者仕置之事
　　　　　　一　致付火候者仕置之事
　　　　　　一　生類ニ疵付或損さし候者仕置之事
　　　　　　右之科人有之者遂僉議一領一家中迄ニ而障於

　　　　　　無之者向後不及伺江戸之御仕置ニ准し自分仕置
　　　　　　可被申付候但他所江入組候ハゞ月番老中迄可被相伺候
　　　　　　遠嶋ニ可申付科ハ領内ニ嶋於之無之者永牢或親類
　　　　　　縁者等江急度可被預置候且又生類あわれミの儀
　　　　　　兼々被仰出候通弥堅相守入念可被申付ものな者也
　　　　　　　丑六月
　　　　　　　　　　覚
　　　　一　今度新金ニ而武来判出来世間江相渡シ通用
　　　　　　自由の多めに候間国々所々迄其旨存商

　　　　　　　　売請取方渡方無滞弐朱判をも用可申候
　　　　　　　　弐朱判ハ壱分判半分之積たるべき事
　　　　　　一　大判小判壱分別勿論肴来通通用可仕事　　　　　　　　　　一　　前々相賜候而似セ金銀仕者有之ハ訴人に　　　　　　　　　　　　　ヘし縦同類たりといふとも其科をゆるし
　　　　　　　　急度御褒美被下あたをなさヽる無之
　　　　　　　　可申付候惣而金銀之細工仕者ハ其前ニ而心を付
　　　　　　　　少も疑敷儀を見およひ聞および候ハゞ
　　　　　　　　可申出隠置外よりあらハるヽにおいては

　　　　　　　　本人ハ不申及諸親類其所之者を可為曲事
　　　　　　　　者也
　　　　　　　　　丑六月日
一　同日御書を以例之通御国産初鱈被献之
一　七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被被献之
一　同月廿一日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：同廿三日｜御帰殿》
一　同月廿七日永平寺御泉水御屋敷江罷出十帖一本指上之
　　御透肴之御料理出《割書：二汁｜八菜》御膳御一所ニ被召上孝顕寺鎮徳寺
　　御相伴被　仰付

　　　　　　　但役僧七人江者於　御座所御料理被下之
一　七月《割書：日不｜詳》足羽郡安波賀村春日之社朝倉家滅亡之後致
　　荒癈候ニ付　思召を以再興且又山上江瀧殿権現御建立被
　　仰出
　　　　　　　但右ニ付朝倉家の之時分神主相勤候吉田権少副定澄と申者
　　　　　　　　之子孫吉田靱負幷倅権少副と申者江戸表ゟ被　召寄
　　　　　　　　神主被仰付十人扶持被下之
一　八月朔日為御祝儀御使者を以例之通御太刀馬代被献之
一　同月九日月次　御機嫌為御伺江戸表江御使者被指出之

　　御肴一種被献之右御使者今日福井出立
一　同月　先達而水戸中納言《割書：綱｜條》様ゟ御家之御系図御所望
　　ニ付被進候処其後語吟味有之御書出来之由ニ而中納言様ゟ
　　向井将監《割書：正｜盛》殿を以被遣之
一　同月廿五日今度酒井典膳《割書：知｜房》御家老加判被仰付候ニ付遠州
　　今切信州福嶋上州横川御関所女通手形判鑑為取替御家
　　老判鑑江戸表江指遣候ニ付御関所預り之御方江御書遣之
一　九月七日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　御台様　桂昌院様江白銀被指上之

一　九月九日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：同十六日｜御帰殿》
一　十月九日月次　御機嫌為御伺江戸表江御使者被指出之
　　御肴一種被献之右御使者今日福井出立
一　同日為御湯治金津江　御出被成《割書：同十六日｜御帰殿》
一　同月《割書：日不｜詳》重陽御祝儀御献上二付而之　御内書於　　御城お渡有之御家来拝領物等如例
一　同月十日大目付萩原近江守《割書：重｜秀》殿ゟ申来御留守居罷出候処
　　左之通御書付一通御渡有之
　　　　　　　　　　　　覚
　　　　　　
　　　　　　一　酒商売人多ク下々猥ニ酒を呑不届成儀共
　　　　　　　　仕候ニ付今度酒運上取立運上ニ応酒■■段
　　　　　　　　高直ニ成下々酒多給不申■就夫酒屋減候
　　　　　　　　分ハ其通ニ候事
　　　　　　一　運上之儀江戸幷御料ハ公儀江相納私領方ハ地
　　　　　　　　頭江可取立候事
　　　　　　一　運上之負教只今迄酒商売値段五割程ニ而高
　　　　　　　　直ニ成候■運上取立可申候酒若■ニ応し直段
　　　　　　　　高直就有之■之過不足ハ無構大概右之通

　　取立可申事
一　江戸ハ御用相達候御酒屋共之内四人右之改并
　　運上取立申筈ニ候在々ハ御代官ゟ相改手　ダイアイカイシ
　　　但酒屋家数多キ所ハ御代官手代斗ニ而ハ改委細ニ
　　　難成ニ付其所之酒屋之内一両人歟三四人程も
　　　酒屋数ニ応し改并運上取立之儀を申渡取
　　　立候筈之事　　　
一　運上取立候役儀申付候酒屋共手代なと差置

　　其儀ニ付入用等懸リ候積リを以失脚無之少々徳
　　分有之様ニ入用取セ申積ニ候間私領方ニ而も其
　　心得可有之事
一　右改并運上取之役相勤候酒屋も自分造り候
　　酒之運上ハ人並ニ出シ可申事
一　運上之儀造酒屋斗取立請売之酒屋ハ不及
　　運上候たとへハ他領之造酒屋ゟ請取仕候酒屋
　　有之候ハヽ何方ゟ請売候哉買本を聞届売ヒ
　　可申候何連之屋かたも珍重々不成運上取藩も

　　　　　無之様ニ可有吟味事
　　　　　　但右之趣於御国許ニ而十一月廿八日町在江町奉行
　　　　　　　郡奉行賜之
一　十月十三日先達而切支丹類族御医師田代養山《割書：道｜修》致病死候ニ付　　
　　切支丹奉行月番前田安芸守《割書：直｜勝》殿江三寺久左衛門を以左之通
　　被指出之
　　　　　　　　越前国足羽郡福居城下転切支丹田代養仙
　　　　　　　　嫡男自分手医師本人同前養山儀t當丑十月
　　　　　　　　三日八十五歳ニ而致病死候依之即刻検使指遣之相

　　　　　　　　死骸相改候処別条依無御座塩詰ニ申付置候
　　　　　　　　御指図次第可申付候以上
　　　　　　　　　元禄十丁丑年十月四日　　越前兵部輔御書判
　　　
　　　　　　　　　　前田安芸守殿　　　
　　　　　　　　　　小幡三郎左衛門殿　

一　同月廿日御関所女通手形之儀ニ付遠州今切御関所奉行
　　成瀬瀧右衛門　殿江御家老判鑑御留守居松原善左衛門《割書：矩｜成》持参
　　　　　

指出候節御老中証文不被指添候而ハ難更取旨被申聞候ニ付
再罷出先例之趣申達候得共承引無是ニ付御老中出屋
相模守《割書：政｜直》殿江御内意御伺被成度ニ付御国表ゟ被指出
候御書付
一通向井将籃《割書：正｜盛》殿江松平庄兵衛　持参指出之
　　　　　　覚　　
　　　遠州今切御関所江家来判鑑差遣候儀ニ付
　　　古越前守時分其以後我等江家督被　仰付候　
　　　節同姓越前代ニも終ニ御老中江御断申達候儀　
　　　尤御証文　申請候儀無御座候事

一　我等新規ニ被　仰出候砌家来今切判鑑之儀松平
　　主馬助殿ゟ先規之通ニ可仕之旨御老中江
　　仰渡候間家来共判鑑遣候様ニと被申判鑑相改
　　差越申候其以後松平半右エ門殿江仰付候砌成瀬
　　滝右衛門殿佐野與八郎殿江被仰付候砌も判鑑之儀
　　申達候処家共替り不申候ハヽ最前之判鑑用
　　申旨被申越候只今迄右之通ニ御座候
一　今度家来酒井典膳と申者役儀申付候故鳴瀬

　　　　　　　　　滝右衛門殿佐野與八郎殿江判鑑之儀相達候処
　　　　　　　　　瀧右衛門ゟ被申越候御老中御証文不差添候而ハ
　　　　　　　　　請取申儀難成成旨ニ御座候前々右之通ニ候故御証
　　　　　　　　　文申請候儀ハ曾而不存罷在候以前吉江ニ罷在候
　　　　　　　　　時分家来高屋六郎左衛門と申者役儀申付候節判
　　　　　　　　　鑑御老中ゟ御証文申請差添候由ニ而書付滝右衛門殿ゟ
　　　　　　　　　被差越候如何可仕候哉此趣相模守殿江御内意御伺
　　　　　　　　　可取下候以上
一　十月廿三日去十二日江戸大地震ニ付
　　公方様御機嫌為御伺江戸表江御使者被指出之右御使者今日
　　福井出立
　　　　　　但十一月四日御返書御渡有之
一　同月廿五日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：十一月朔日｜御帰殿》
一　同日切支丹類族御医師田代養山先達而病死之節切支丹奉行迄
　　御伺書被指出候処御指図相済候ニ付《割書：月日｜不詳》江戸表江左之通御届書
　　被指出之
　　　　　　　　　越前国足羽郡福居城下■切支丹田代養仙嫡
　　　　　　　　　男父不■以前出生本人同前田代養山儀當丑十月

　　　　　　　　三日八十五歳ニ而致病死候因玆即刻検使差遣死
　　　　　　　　骸相改候処別条依無御座候塩詰ニ申付置相伺
　　　　　　　　任御指図旦那寺ヽ同国足羽郡福居城下禅宗
　　　　　　　　泰清院ニ而土葬取置申候為其如斯ニ御座候以上
　　　　　　　　　元禄十丁丑年十月廿五　　松平兵部大輔《割書：御印判｜　御書判》

　　　　　　　　　　　前田安芸守殿
　　　　　　　　　　　小幡三郎左衛門殿　

一　同日近年三国湊水戸口瀬替り渡来之入船一ノ瀬ニ而致破損候
　　故入船少く相成候ニ付昼夜共一ノ瀬左右ニ船一艘宛出置水道を
　　教夜分ハ水戸口ニ目当之燈立置度旨室屋惣次郎と申者願出
　　候ニ付願之通可申付旨金津奉行大宮彦右衛門《割書：茂｜冨》江月番御家老申渡之
一　十一月四日御関所女通手形御家老判鑑之儀ニ付去月廿日
　　向井将監《割書：正｜盛》殿迄被仰遣候儀ニ付御老中ゟ御関所奉行成瀬
　　瀧右衛門　殿江御家老判鑑ニ而前々之通被取扱候様大目付中を以
　　被申開候得共彼是被申立候ニ付今日於御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿宅
　　瀧右衛門江右判鑑之儀向後共ニ前々之通被受取候様被申渡事

　　　済候段将籃殿ゟ申来　　
一　十一月十一日御参勤御時節為御伺御使者御使番堀十兵衛《割書：久｜律》
　　江戸表江被指出之今日福井出立
一　同月廿五日御用番ゟ御呼出御使者御使番堀十兵衛《割書：久｜律》罷出候処
　　来年四月中御参府可被成旨之御奉書御渡有之
一　同月廿六日寒中ニ付
　　公方様御機嫌為御伺御使者山名次郎右衛門《割書：重｜貞》江戸表江被指出之
　　御肴一種被献之次郎右衛門今日福井出立
　　　　　　但十二月九日御返書御渡有之

一　十二月四日今度　公辺ゟ被　仰出候趣ニ准シ酒運上取立儀
　　相極候ニ付右締御酒屋四人江被　仰付一人ニ手代四人宛被附御持
　　組幷御先組之内ゟ十五人選出之為立会候様被　仰出之
　　　　　　但右立合被　仰付候明跡ハ頭之ニ而召抱候様被　仰出之
一　同月九日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈
被献之
一　同日月御機嫌為御伺御使者真杉所左衛門《割書：亘｜甫》江戸表江
　　被指出之今日福井出立
　　　　　　但同月廿ニ日御返書御渡有之
一　同月十二日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：一｜番
》生鱈被献之











一　十二月十八日備前守《割書：宣｜富》様被任侍従
一　同月廿九日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　御台様　桂昌院様江白銀被指上之






元禄十一年戌寅

　一　正月朔日於　御本丸年始御規式有之
　一　同日為年始御祝儀御使者毛受孫兵衛《割書：利｜次》を以例之通御太刀
　　　馬代被献之
　　　　　　　但孫兵衛旧臘七日御国表出立
　一　同日右同断ニ付
　　　監物様御登城可被成之処　御不快ニ付御登城御断依之

　　御使者寄合花木平太夫《割書：元｜吉》を以御太刀馬代被献之
一　正月七日為同月廿九日御上初御使者を以例之通御肴被献之
一　同月十一日年始三ヶ日之御規式相済候為御祝儀御使者鈴木
　　宇左衛門《割書：雅｜祥》江戸表江被指出之御肴一種被献之宇左衛門今日福井
　　出立
　　　　　　但右御返書同月廿三日御渡有之
一　同月廿五備前守《割書：宣｜富》様美作津山城御領知十万石拝領ニ付
　　《割書：去十｜四日》為御礼御使者川村郷《割書：氏｜睦》江戸表江被指出之今日福井
　　出立

　　　　　　但二月九日御返書御渡有之
一　二月九日月次　御機嫌為御伺御使者八十嶋三左衛門　江戸表江　　
　　被指出之御肴一種被献之三左衛門今日福井出立
　　　　　　　但同月廿三日御返書御渡有之
一　同月十二日於瑞源寺去十日暁ゟ今朝迄　松桂院様十三回
　　御忌御法事御執行有之於谷中南泉寺も右同様御執
　　行　有之
一　同月廿五日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：同晦日｜御帰殿》
一　同日去年越前国絵面仕立被指上候様被　仰出候ニ付貞享三

　　寅年被指上候御国絵図御拝借被成度段御願被成候處
　　昨廿四日御勘定頭松平美濃守《割書：重｜良》殿ゟ御留守居迄請取ニ罷出
　　候様申来候ニ付今日加賀藤左ヱ門《割書：成｜興》松原善左衛門《割書：矩｜成》本庄絵図
　　小屋迄罷出候処正保二年被差上候御国十二郡之絵面并
　　郷帳二冊御渡有之
　　　　　　但右御国絵図御留守番高柳伝左衛門御国許江持参
　　　　　　　御徒両人組之者六人差添三月六日福井江着
一　同日府中龍泉寺江故本田伊豆守《割書：富｜正》ゟ知行取上太田村之内
　　ニ而寺領百石致寄附其後　御代々様ゟ御朱印有被下置候ニ付

　　貞享三寅年　公領ニ相成候得共御代官ゟ江戸表江被相伺候上
　　先規之通被附置候処去丑年領替相成候而ゟ右寺領不納ニ付
　　葛野役人迄龍泉寺ゟ種々相断候処今度右役人共ゟ龍泉寺
　　末寺迄上太田村之内■高之儀ニ付紛敷儀有之ニ付吟味之内
　　龍泉寺之納米百姓どもテマエニ為指置候得共吟味急ニは難
　　相極候ニ付右納米先龍泉寺江相納候様ニ百姓共江申付候段
　　申来候由龍泉寺ゟ相達之
一　二月廿六日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江御留守居村上三太夫《割書：正｜峰》罷
　　出深川ニ有之候牧野讃岐守《割書：英｜成》殿抱屋敷御相対御求被成度段

　　御内意相伺候処御勝手次第可被成旨御指図有之
一　二月晦日御用番阿部豊後守《割書：正｜武》殿ゟ御呼出御留守居村上
　　三太夫《割書：正｜峰》罷出候処左之通御書付一通御渡有之
　　　　　　　　　　覚
　　　　　　　　御領私領之内金銀銅山見立候而掘セ可申候
　　　　　　　　私領之内ニ有之ニおいてハ向後地頭可為所
　　　　　　　　務候且又寺社領ニ有之ハ御料ハ御代官私領ハ
　　　　　　　　地頭江可相伺候以上
一　三月十三日今度御求ニ相成候深川牧野讃岐守《割書：英｜成》殿抱屋敷
　　
　　引渡ニ付御留守居松原善左衛門《割書：矩｜成》御屋敷奉行中村安右衛門《割書：正｜元》
　　罷越請取之　
一　同月廿三日於　御座所御勝手向不如意ニ付去戌年ゟ
　　御家中拝知幷御宛充行之内御借被成候處左之通御免被成
　　候旨諸月番江御家老酒井典膳《割書：知｜房》申渡之
　　　　　　　　御勝手御不如意候故近年御家中拝知幷御■
　　　　　　　　作之内御借被成候然處面々勝手も難儀仕候様ニ
　　　　　　　　被　聞召御苦労ニ被　思召ニ付當寅ノ暮ゟ御借米
　　　　　　　　之内知行百石以上ハ半分御返百石ニ不満御■作

　　　　　　　　　之分ハ不残御返被成候百石以上も不残御返被遊度
　　　　　　　　　思召ニ候得共御勝手難被成事候故先右之通被
　　　　　　　　　仰出候来年ハ御■次第不残御返被遊ニ而可有之
　　　　　　　　　候条左様可相心得候以上
　　　　　　　　　　　三月廿三日
一　三月廿五日福井　御初駕中山道通御旅行
一　同日於御家老酒井典膳《割書：知｜房》宅高知之面々火消月番之火之
　　見櫓ニ鉦を掛置自然出火之節ハ為打候様被　仰出候旨本多
　　図書《割書：道｜重》芦田右衛門《割書：賢｜詮》江典膳申渡之

一　同月廿九日御国絵図郡教之儀ニ付御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江
　　御留守居村上三太夫《割書：正｜峰》罷出左之通御口上書持参御内意相伺
　　候處絵図御用掛リ之方江御伺可被成付旨御指図有之

　　　　　　　　相模守殿江之御書付
　　　　　　　　　　口上之覚
　　　　　　　今度越前国絵面仕立候付井上大和守殿ゟ小絵
　　　　　　　図二枚幷書付三通御渡同国領地之衆中江も
　　　　　　　右之書付之趣相達候様ニとの儀ニ御座候就夫郡
　　　　　　　教之儀正保二年古越前守差上げ候絵図十二郡ニ而












書きつ

　　　　　　　　御座候処寛文四年古越前守頂戴仕候
　　　　　　　　御判物八郡ニ候故其以後相改十四年以前差上候
　　　　　　　　絵図も八郡ニ相調候今度相借仕候絵図ハ古越前守
　　　　　　　　差上候十二郡之絵図ニ而御座候此度之絵図十二郡ニ
　　　　　　　　相調可申儀ニ候哉又ハ八郡ニ調可申候哉右之趣不
　　　　　　　　相極候而ハ同国領地之衆中江も難相達候故井上
　　　　　　　　大和守殿江相窺可申与存候間先此段得御内意候以上
　　　　　　　　　　但右ニ付御用掛井上大和守殿迄御留守居加賀藤左ヱ門　
　　　　　　　　　　　御口上書を以相伺候処郡数之儀者追も相極可申
　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　候間御同国之衆中江者先御達有之候様御指図
　　　　　　　　　　　有之
一　四月二日今度御拝借之御国絵図写出来次第大宮彦右衛門《割書：茂｜冨》
　　持参江戸表江罷出候様被　仰付之
一　同月九日板橋駅御休ゟ直ニ　御参府為御案内御大老井伊
　　掃部頭《割書：直｜■》殿御老中御側後用人江　御廻勤夫ゟ霊巖嶋御屋
　　敷江　御着
一　同月十日　右同断ニ付御用番小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江　御勤
一　同日右同断ニ付　上使御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿御越
　　






　　
　

　　上意之趣御達有之《割書：上使御取扱｜如例》右為御礼御大老御老中御側後用人
　　若年寄中江　御廻勤
一　四月十四日　御登　城《割書：昨十三日御用番小笠原佐渡守殿ゟ｜連名之御切紙来》御参勤之御礼江
　　仰上例之通御太刀銀綿御献上　御臺様　桂昌院様江白銀
　　縮面被指上之御退出掛為御礼御大老御老中御側御用人
　　若年寄中江　御廻勤
一　同月十五日御老中連名之御切紙を以浅草御蔵火之御番
　　被蒙　仰
　　　　　　　　浅草御蔵火之番被　仰付候　黒田伊勢守

　　　　　　　　被相読可有勤仕候以上
　　　　　　　　　四月十五日　　　　　小笠原佐渡守　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋相模守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　戸田山城守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　松平兵部大輔殿

一　同月廿三日　八重姫君様水戸少将《割書：吉｜孚》様江當夏中御入輿ニ付

　　　　　　　　　　

　　御使者御留守居を以綿三百把被献之
一　四月廿六日御参府ニ付為御出産御使者を以例之通五色奉書
　　紙并御肴被献之　御臺江両面打曇鳥子紙被指上之
一　同月廿八日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿ゟ御呼出ニ付御留守居罷出
　　候處　八重姫君様御入輿ニ付綿被献候ニ付而之御披露済之
　　御奉書御渡有之
　　　　　　　　今度　八重姫君様就御入輿綿三百把
　　　　　　　　被献之候右之趣各申談及
　　　　　　　　高聞候恐々謹言
　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋相模守
　　　　　　　　　四月廿五日　　　　　　　　政直書判

　　　　　　　　　　松平兵部大輔殿


一　同月廿九日　御内証ゟ御屛風二隻《割書：一双■■■書■狩野永■筆｜一双四季之花鳥狩野探雪筆》被献之
　　御使者御留守居村上三太夫《割書：正｜峰》を以御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿迄
　　被指出之
一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単
　　被献之　御臺様　桂昌院様江白銀被差上之













一　五月六日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
一　同月十四日　八重姫君様御入輿相済候《割書：昨十｜三日》為御祝儀
　　御登　城御老中被謁之御退出掛御大老御老中御側後用人
　　　御廻勤
一　同日右同断ニ付御使者御使番を以昆布一箱干鯛一箱御樽代
　　千疋被献之　御臺様　桂昌院様江干鯛一箱御樽代千疋宛
　　被差上之
一　六月十九日暑中ニ付　御機嫌為御伺御用番江　御勤
一　同月廿二日右同断ニ付御使者を以例之通御国産索麪干鯛
　　被献之
一　同月廿三日明後廿五日御能為御見物御登城可被成旨御老中
　　連名之御切紙阿部豊後守《割書：正｜武》殿ゟ来右為御礼　御登　城
　　夫ゟ御老中御側後用人江　御廻勤
一　同月廿五日《割書：六半｜時》　御登　城御能見物被成
一　同日右同断ニ付御使者御留守居村上三太夫《割書：正｜峰》を以御折一合
　被献之
一　同月廿六日　御登　城昨日御能御見物之御礼被　仰上御退
　　出掛御老中御側御用人若年寄中　御廻勤

一　六月《割書：日不｜詳》切支丹類族狩野九郎次郎《割書：元｜昭》女《割書：有賀｜玄哲妻》病死ニ付切支丹
　　奉行江御目付高田金太夫《割書：正｜府》を以御届御証文被指出之
一　七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
一　同日　喜知姫君様《割書：御養女実尾張｜中納言　様御女》御不快ニ付
　　公方様　御機嫌為御伺　御登　城
一　同日夕右同断ニ付喜知姫君様御様躰為御伺御用番土屋
　　相模守《割書：政｜直》殿御側御用人江　御勤
一　同月八日　喜知姫君様御逝去ニ付　御機嫌為御伺　
　　御登　城御大老御老中御側御用人并酒井昌氏樂頭《割書：忠｜挙》殿本庄

　　因幡守《割書：宗｜資》殿江御使者御留守居被指出之
　　　　　　但御退出掛御廻勤可被成候処暑気御障ニ付御使者被指出之
一　同日右同断ニ付　御機嫌為御伺御菓子一箱御献上被成度旨
　　御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江御伺生被成候處甲府并御三家之外ハ
　　不被献候間御無用可被成旨御指示有之
一　同月九日右同断ニ付　御機嫌為御伺御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿
　　御側御用人江　御勤
一　同月十一日右同断ニ付御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江御逢　
　　御機嫌御伺被成











一　七月十二日御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿江御使者御留守居村上
　　三太夫《割書：正｜峰》被指出　御城御本丸北之方御堀水敲石垣一ヶ所
　　御修復被成度旨絵図面を以御伺被成
一　同月十八日御使者を以例之通御国産初鱈被献之
一　同月廿一日御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿ゟおよびｄ御呼出ニ付御留守居罷出
　　候處去ル十二日被指出候御城廻石垣御修復御願ニ付而之御老中
　　連名之御奉書御渡有之
　　　　　　　越前国福井城従本丸北之方堀水敲石垣
　　　　　　　壱ヶ所損候ニ付修■有之度旨絵図来
　　　　　　　引之通得其意候如元可有普請候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋相模守
　　　　　　　　元禄十一寅　　　　　　　　　政直書判
　　　　　　　　　　七月十八日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　小笠原佐渡守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　■重書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　戸田山城守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠■書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正武書判

　　　　　　　　　　　松平兵部大輔殿

一　同日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書於　御城御渡　　





　　　　　　　　

　　有之御家来拝領物等如例
一　八月朔日為御祝儀　御登　城例之通御太刀馬代献上
一　同月六日御用番小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿ゟ御呼出御留守居松原
　　善左衛門《割書：矩｜成》罷出候処浅草御蔵火之御番黒田伊勢守《割書：長｜■》殿与御一
　　所ニ御勤之処伊勢守殿御免被成候間御一人ニ而御勤被成候様
　　被　仰出
一　九月五日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　御臺様　桂昌院様江白銀被指上之
一　同月六日《割書：五時｜過》中堂御供候節之為御祝儀　御登　城御既ニ

　　御待合被成
　　公方様御清相済候御左右御聞被成御玄関迄御上被成候処
　　御徒目付罷出只今数寄屋橋辺出火ニ付登城相止候間明日
　　御登城可被成旨申上之依之　御下　城
一　同日右同断ニ付御帰殿被成候處南風強大火ニ相成候ニ付浅草
　　御蔵御持場江　御出馬夜ニ入鎮火之上御引取被成右之趣御留守居
　　を以御用番戸田山城守《割書：忠｜昌》殿江御達被成
一　同日右同断火事ニ付鳥越御屋敷御類焼依之
　　綱昌様　清姫様　豊姫様谷中南泉寺江御■被成右ニ付

　　浅草御持場ゟ御帰之節御家老狛杢《割書：貞｜澄》其外御物頭三人
　　為御迎取遣霊巖島御屋敷江御移被成
　　監物様ニハ角之御茶屋ニ御住居被成
一　九月七日右同断ニ付東叡山　御仏殿御類焼依之
　　御機嫌為御伺　　御登　城《割書：御用番戸田山城守殿江｜御伺之上》
一　同日御用番戸田山城守《割書：忠｜昌》殿ゟ御老中連名之御切紙を以
　　東叡山火之御番被蒙　仰
　　　　　　　　東叡山火之番被　仰付候間丹羽越前守
　　　　　　　　被相談可有勤仕候以上

　　　　　　　　　九月七日　　　　小笠原佐渡守
　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋相模守
　　　　　　　　　　　　　　　　　戸田山城守
　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守

　　　　　　　　　　松平兵部大輔殿

一　同月八日右同断ニ付為御礼御老中御側後用人江　御廻勤
　　御大老若年寄中江御使者御留守居被指出之

一　九月廿一日備前守目《割書：宣目｜富》様両御屋敷御類焼ニ付　　　越後守《割書：光｜長》　様可為
　　御苦労之　思召旨ニ而金一万両御拝領被成候ニ付越後守様
　　御礼勤為御名代
　　昌明様御大老御老中御側御用人若年寄中江　御廻勤
　　　　　　但右御名代之儀
　　　　　　　昌明様上野介様御両人之内江御勤可被成旨御老中土屋
　　　　　　　相模守殿御指図有之
一　同日御側御用人柳沢出羽守《割書：保｜明》殿江御出御購読御拝聴之
　　御願被　仰入

一　同月廿二日御老中戸田山城守《割書：忠｜昌》殿江御呼出ニ付御留守居罷出
　　候處火事之節上野山中前々之通火防可被申候
　　御宮御仏殿与今度別ニ火消被　仰付候得共猶更申談防
　　可被申旨御書付御渡有之
一　同月廿九日御国絵図為御用大宮彦右衛門《割書：茂｜冨》江戸表江被指出之
　　今日福井出立
一　十月九日御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿ゟ御呼出御留守居村上
　　三太夫《割書：昌｜峰》罷出候処浅草ニ有之候本多孫太郎《割書：長｜■》屋敷御用ニ付
　　被召上候替地之儀を御普請奉行ゟ追而可相達旨被申渡之







一　十月十日大目付安藤筑後守《割書：信｜本》殿ゟ申来御留守居松原善左衛門《割書：矩｜成》
　　罷出候處火之用心之儀ニ付左之通御書付被相渡之
　　　　　　　　　　　覚
　　　　　　　　日之本弥堅可申付之自然出火之節火消を
　　　　　　　　不相待被当人与勿論遠所輩召連人数出之
　　　　　　　　消可申候火消段々参候を遠所之輩を引取
　　　　　　　　自分々々之屋敷火消候様可仕旨被　仰出之候
　　　　　　　　可被存其趣候以上
　　　　　　　　　　十月

一　同月十五日御老中阿部豊後守《割書：正｜武》殿江御使者御留守居を以今日
　　本多孫太郎《割書：長｜■》屋敷御普請奉行江御引渡相済候段御届被成
一　十一月十二日御側御用人中江御出御講読御拝聴之御願
　　被　仰入
一　同月廿一日《割書：五半｜時》上之筋出火ニ付　御出馬及鎮火候ニ付御引取被成
　　　　　　　但早速鎮火候ニ付御届無之
一　同日《割書：八時｜前》上野山内松林院出火ニ付　御出馬及鎮火候ニ付御引取
　　被成右之趣御使者御留守居村上三太夫《割書：正｜峰》を以御老中土屋
　　相模守《割書：茂｜直》殿江御達被成















一　十二月五日先達而《割書：去月｜十六日》三ノ丸内市村勘右エ門　屋敷消失候処御曲
　　輪之内ニ付御届可被成哉御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江御留守居
　　村上三太夫《割書：政｜峰》を以御内意御伺被成候處軽儀ニ候得共御曲輪内
　　之儀ニ候得者御届可被成旨御指図ニ付御用番小笠原佐渡守《割書：長｜■》殿江
　　左之通御届書被指出之
　　　　　　　　　　口上之覚
　　　　　　　拙者在所城内三ノ曲輪之内侍屋敷一軒先月
　　　　　　　廿六日致焼失候類火も無御座早速鎮申候右之趣
　　　　　　　為可得御意以丈志申入候以上

　　　　　　　　十二月五日　　　　　　松平兵部大輔

一　同月九日御側御用人中江御出御講読御拝聴之御願
　　被　仰入
一　同月十日《割書：九時｜過》石町二丁目ゟ出火北西風強大火ニ相成候ニ付　
　　東叡山江御出馬被成
一　同日右同断大火ニ相成霊巌嶋御屋敷御類焼《割書：七時｜前》依之
　　御場所迄申上候処内匠頭《割書：昌｜三》様御留守ニも候故浅草御屋敷江
　　御越被成度旨被　仰出候ニ付内匠頭様御家老渋谷種左衛門《割書：元｜忠》迄










　　狛杢《割書：真｜澄》御徒之者を以申遣之其内内記様伊織様ゟも直ニ被為
　　入候様ニ与上野迄御使者被遣候様ニ付暮時過浅草御屋敷江
　　被為　入
一　同日右同断御類焼之節
　　綱昌様　監物様　清姫様　豊姫様御裏火除御土蔵江
　　御披ニ付
　　昌明様ゟ御使加賀藤左ヱ門《割書：成｜興》を以
　　綱昌様　清姫様　豊姫様ニ者浅草御屋敷江御出被成
　　監物様ニ者松平大膳太夫《割書：綱｜廣》様御下屋敷■江御越被成候様被

　　仰進之酒井輿三左衛門《割書：元｜宣》儀を御屋敷ニ相残諸事可申付旨
　　被　仰付
一　同日御用番小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江御使者御留守居を以東叡山江
　　御出馬被成候得共御別条無之及鎮火候ニ付御引取被成候趣
　　且又御屋敷御類焼ニ付内匠頭《割書：昌｜平》様御屋敷江御移御住居
　　被成候段御達有之
一　十二月十一日　千代姫君様《割書：尾張大納言■様｜御簾中》御不快ニ付
　　公方様御機嫌為御伺御登城被成候処《割書：昨十日大目付中ゟ｜御廻達》　千代姫君様
　　御逝去之段御老中御達有之右ニ付御退出掛















　　


　　公方様御機嫌為御伺御大老御老中御側御用人江　御廻勤
一　十二月十二日右同断ニ付　御機嫌為御伺　御登　城
一　同日夜　御機嫌為御伺御用番小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江御使者
　　御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》被指出之其節今度御屋敷御類焼ニ付
　　東叡山火之御番御免被成候段用人を以被申聞之
　　　　　　但右被　仰出之趣御留守居御呼出ニ而被申渡筈ニ候幸御使者
　　　　　　　被遣候ニ付乍序被相達候旨用人申聞之
一　同月十三日火之御番御免ニ付為御礼　御登　城御老中
　　被謁之御退出掛御大老御老中御側御用人江　御廻勤

一　同日御縁中　御機嫌為御伺　御登　城御老中被謁之
一　同日右同断ニ付　御機嫌為御伺御用番御側御用人江御使者
　　被指出之
　　　　　　但右同断ニ付十五日も御使者被指出之　
一　同月十四日右同断ニ付　　御機嫌為御伺御使者御留守居松原
　　善左衛門《割書：矩｜成》を以御檜重一組被献之《割書：去十二日｜御伺■》　
一　同日右同断ニ付　御機嫌為御伺御用番御側御用人江御勤
一　同月十五日右同断ニ付　御機嫌為御伺　御登　城
一　同月十七日御縁中　御機嫌為御伺御用番小笠原佐渡守《割書：長｜重》江











　　御使者被指出之其節最早御機嫌御伺ニ不及旨用人を以
　　被申聞之
一　同日寒中御献上之生鱈着候得共　御縁中ニ付御献上
　　無之ゟ
一　十二月十九日　清姫様　豊姫様浅草御屋敷ゟ鳥越
　　御屋敷江御被成
一　同月廿一日寒中ニ付御使者を以例通御国産《割書：一｜番》生鱈被献之
一　同日鳥越御屋敷御普請御成就ニ者無之候得共浅草御屋敷
　　御手狭ニ付

　　綱昌様鳥越御屋敷江　御帰被成
一　同月廿二日右同断ニ付御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江御使者を以
　　御届被成
一　同日寒中ニ付　御機嫌為御伺御用番小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江
　　御勤
一　同月廿五日本多孫太郎《割書：長｜■》指上候浅草屋敷之代地於本庄《割書：二ツ｜目》
　　被下候ニ付今日甲斐庄喜右衛門《割書：正｜永》殿■川喜左衛門　殿鳥井久五郎　殿
　　御越御渡本多大膳　殿被受取相済右為御挨拶喜右衛門殿初江
　　御使者御留守居松原善左衛門《割書：矩｜成》被指出之













一　十二月晦日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　御臺様　桂昌院様江白銀被指上之







元禄十二年己卯

　一　正月朔日為年始御祝儀浅草御屋敷ゟ　御登　城例之通
　　　御太刀馬代御献上呉服御拝領
　一　同日　御帰殿後於御書院内紀様伊織様江　御対顔相済
　　　御家老初諸士之御礼被為　請
　　　　　　　但霊巌嶋御屋敷ニ罷在諸士替合罷出御礼申上之
　一　同月三日為御謡初御祝儀御使者を以例之通御盃臺御酒代

　　被献之
一　同日御使者を以例之通御国産《割書：二｜番》生鱈被献之
　　　　　　但右生鱈昨二日着ニ付御用番戸田山城守殿江御留守居松原
　　　　　　　善左衛門罷出例年両度宛被献候処最前着之節
　　　　　　　御縁中ニ付指扣一度斗献上ニ付又々国許江申遣致着候
　　　　　　　依之三ケ日之内ニ候得共生肴之儀ニ候得者如何可致哉之旨
　　　　　　　相伺候處今朝御献上被成候様御指図有之
一　正月七日為御上初御使者を以例之通御肴被献之
一　同月十一日於浅草御屋敷　御具足之餅御祝有之御家老

　　初諸士諸役人迄御餅被下之
一　同日霊巖嶋御屋敷御普請御成就ニ付御上棟御祝儀有之
一　同月十三日御側御用人中江御出御購読御拝聴之御願
　　被　仰入
一　同日右同断ニ付御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江御使者御留守居松原
　　善左衛門《割書：矩｜成》を以御達有之
一　同日《割書：酉下｜刻》
　　綱昌様於鳥越御屋敷　御逝去《割書：御法号｜清浄院様》深川霊雁寺江

　　御葬送《割書：十三日｜夜》　《割書：大正十五年七月品川｜洛晏寺墓地ニ改葬ス》
一　二月十二日右同断ニ付向井将監《割書：正｜盛》殿を以御用番阿部豊後守《割書：正｜武》殿江
　　御達有之
一　同月十三日右同断ニ付御用番阿部豊後守《割書：正｜武》殿江御使者御留守居
　　村上三太夫《割書：正｜峰》を以左之通御報忌御届被成
　　　　　　　　　　　忌報之覚
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松平兵部大輔
　　　　　　一　忌廿日　　《割書：二月十一より｜三月朔日迄》
　　　　　　一　服九十日　　《割書：二月十一日より｜五月十二日迄》

　　　　　　　松平越前儀死去仕候実ハ甥ニ而御産候得共
　　　　　　　養子ニ仕候付右之通忌服受申候以上
　　　　　　　　二月十二日
　　　　　　　　　忌服之覚
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松平監物
　　　　　　一　忌廿日　　《割書：二月十一日より｜三月朔日迄
》
　　　　　　一　服九十日　　《割書：二月十一日より｜五月十二日迄》
　　　　　　　　松平越前儀死去仕ニ付右之通忌服受申候以上
　　　　　　　　　二月十二日










一　二月十四日　上使朽木伊豫《割書：季｜綱》殿を以御縁中　御尋有之伊豫守殿
　　御越之節御裏塀重門迄御出迎御案内ニ而御書院江御通
　　上意之趣御達有之御退出後右為御礼御大老御老中御側
《割書：御福中御廻勤事実如何　若御同姓之御方｜御名代■■御廻勤被成候■別■■■頃》并伊豫守殿江　御廻勤若年寄中江御使者被指出之
一　同月十七日
　　綱昌様御逝去ニ付於御国表鳴物普請等来廿六日迄停止被
　　仰出之さいき
　　　　　　但昨十六日江戸表ゟ御徒飛脚福井江着
一　同日深川霊巖寺去十五日ゟ今日迄《割書：二夜｜三日》

　　清浄院様御当座御法事御執行有之
一　三月朔日
　　清浄院様御法号江戸表ゟ御徒飛脚《割書：喜多嶋｜助太夫》ニ而相廻候ニ付
　　於浄光院御茶湯御執行有之
一　同月六日坂井郡白方村波寄村之　公領米納津村之去丑年
　　地論有之於　公辺御裁許相済候処又々及争論候ニ付百姓共
　　江戸表江被呼出候上今日於御評定所左之通御裁許書
　　被相渡之
　　　　　　越前国坂井郡波寄村白方村之同郡米納津村去々年

　　浄論之砌米納津村受納之地江両處村百姓福不可植土
　　之旨申付候然處今般両村百姓申出候ハ米納津村之
　　者漠猟之地作毛致候由漠猟ハ各別耕作ハ為理不尽
　　之由訴之尤地ハ■為両村之地え米納津村受所ニ而
　　年貢収来上ハ漠猟作毛無嫌可収之両村百姓不可及
　　異儀年貢之儀ハ御代官任差図可収納之仍為鉱後証
　　絵図之面反歩記之引墨筋各加印判双方江下置之
　　条不可再■者也
　　　元禄十二年己卯三月六日　　久　忠左衛門　印

　清浄院様
　　　　　　　　　長崎江被遣候ニ付無加印
　　　　　　　　　　　　　　　　萩　　近江
　　　　　　　　　　　　　　　　井　　対馬　同
　　　　　　　　　　　　　　　　福　　下野　同
　　　　　　　　　　　　　　　　保　　越前　同
　　　　　　　　　　　　　　　　松　　伊豆　同
　　　　　　　　　　　　　　　　戸　　能登　同
　　　　　　　　　　　　　　　　永　　伊賀　同
　　　　　　　　　　　　　　　　松　　志摩　同

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　井　　大和　印

一　三月十八日歳暮御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　四月十日御側御用人中江御出御購読御拝聴之御願被
　　仰入
一　同月十二日御養方御妹　布興姫様《割書：松平信濃守《割書：綱｜茂》殿｜御奥方》御逝去麻布
　　正重寺江《割書：後改｜賢宗寺》御葬送《割書：御火｜葬》追而肥前国佐賀高伝寺江御納骨
　　御法号

　　寂光院殿圓誉知鏡大■《割書：初於正重寺｜台寿院■》
一　同日右同断ニ付御用番小笠原佐渡守《割書：長｜重》殿江御使者御留守居
　　松原善左衛門《割書：矩｜成》を以左之通御忌服御届被成
　　　　　　　　　　　忌服之覚
　　　　　　　　　　　　　　　　　　松平兵部大輔　　　　　　　　　　　　一　忌廿日《割書：四月十二日ゟ■目》　　　　　　
　　　　　　一　服九十日《割書：四月十二日ゟ｜七月十三日迄》
　
　　　　　　　　松平信濃守妻今暁病死仕候依之私儀妹之
　　　　　　　　忌服受申候■以書付申達候以上

　　　　　　　四月十二日
　　　　　　　　　忌服之覚

　　　　　一　忌廿日《割書：四月十二日ゟ｜五月二日迄》
　　　　　一　服九十日《割書：四月十二日ゟ｜七月十三日迄》
　　　　　　　松平信濃守妻今暁死去仕候ニ付伯母之忌服
　　　　　　　受申候以上

　　　　　　　　四月十二日
一　四月十四日遊行上人《割書：去■日｜福井着》乗久寺江逗留ニ付御使者大御番三沢

　　甚右ヱ門《割書：冨｜久》を以蠟燭二百■■■一籠被遣之
　　　　　　　但五月五日帰之節御使者大御番拓植伊右衛門を以銀子十枚被遣之
一　同月十九日　布與姫様御逝去ニ付御国表今日ゟ来ル廿八日迄
　　普請鳴物停止被仰出之
一　五月三日為端午御祝儀御使者を以例之通御帷子御単被献之
　　御臺様　桂昌院様江白銀被指上之
一　同日御忌明ニ付御老中御側御用人中江　御廻勤
一　同月六日御使者を以例之通御国産初鯖被献之
一　同月十四日　上使御老中戸田山城守《割書：忠｜昌》殿を以御国許江之

　　御暇被　仰出例之通白銀御袷御拝領右為御礼御老中
　　御側御用人中江　御廻勤
　　　　　但上使御越之節御門■■外迄　御出迎
一　五月十五日　御登　城御暇之御礼被　仰上例之通御馬御拝領
　　御退出掛御大老御老中御側御用人若年寄中江　御廻勤
一　同月十八日御拝領之御馬御老中戸田山城守《割書：忠｜昌》殿ゟ使者ニ而
　　為率来
一　同月廿二日於浄光院去廿日夕ゟ今朝迄《割書：二夜｜三日》
　　清浄院様御百ケ日御法事御執行有之

一　同月廿五日
　　監物様御病気之儀ニ付松平大膳太夫《割書：綱｜廣》殿江藤掛采女《割書：永｜次》殿
　　西尾七兵衛　殿を以左之通被　仰進之　
　　　　　　　　　　　　口上之覚
　　　　　　　　　　監物儀御存知之通三年以前より相煩候處其
　　　　　　　　　　節之様子罷出可相勤病気ニ無御座候而難儀
　　　　　　　　　　之仕合存候去年よりハ気色も能候得共罷出
　　　　　　　　　　相勤申候儀
　　　　　　　　　　上江憚存候故拙者至末■養子之願可申上存念



　　　　　　　　　

　　　　　ニ而罷在候然其土屋相模守殿江右之段御物語申
　　　　　候得者此通ニ而末語期之願相叶間敷候間逗留をも
　　　　　致病気之段も月番御老中迄申達罷越候様
　　　　　ニと被　仰聞事御座候右之趣為可得御意御両所
　　　　　を以如此候以上

一　五月廿六日右同断ニ付藤掛采女《割書：永｜次》殿西尾七兵衛　殿御越松平
　　大膳太夫《割書：綱｜廣》殿ゟ之御返答之趣御達有之
　　　　　　　　　　　口上覚

　　　　　　　　昨日者以御両所監物殿病気不快之趣委
　　　　　　　　細被仰下致承知候頃日暇之快様存候へハ致
　　　　　　　　仰天御即答不仕候此上者御思慮之通承届候
　　　　　　　　於只今者彼是茂御相談可仕儀候処延引之段
　　　　　　　　心外ニ罷成候角此通被仰通可被下候以上

一　同月廿七日御用番戸田山城守《割書：忠｜昌》殿江美作守《割書：直｜丘》様白井将監《割書：正｜盛》殿
　　を以
　　監物様御病気ニ付左之通御願書被指出之

　　　　　　　　同姓監物儀三年以前より相煩候処罷出
　　　　　　　　可相勤病気ニ而無御座候然其家相続
　　　　　　　　難為仕奉存候間弥引籠罷在候様仕度願
　　　　　　　　奉存候右之趣宜敷奉願候以上
　　　　　　　　　五月廿七日　　　　松平兵部大輔

　　　　　　　　　　阿部豊後守殿
　　　　　　　　　　戸田山城守殿
　　　　　　　　　　土屋相模守殿

　　　　　　　　　　小笠原佐渡守殿

一　五月廿八日《割書：八｜時》右同断ニ付御用番戸田山城守《割書：忠｜昌》殿ゟ申来美作守《割書：直｜丘》様
　　向井将監《割書：正｜盛》殿御同道ニ而御越被成候処御願之通御心次第ニ可被成
　　旨御達有之
一　同日右同断ニ付左之通御書付一通大岡美濃守《割書：忠｜高》殿御持参
　　有之
　　　　　　　　　　　覚
　　　　　　　松平監物事病気ニ付願相叶候ハヽ越前江

　　　　　　　　遣置度之由最前兵部大輔被申聞候得共
　　　　　　　　家督相続無之上ハ松平大膳太夫引取度旨ニ候ハヽ
　　　　　　　　被相返尤候此由可被達候以上
　　　　　　　　　　五月廿八日　　　
一　五月廿九日右同断之儀ニ付大岡美濃守《割書：忠｜高》殿ゟ左之通御書指来


　　　　　　　　　　尚々大膳太夫殿願ニ候ハヽ其通被成
　　　　　　　　　　訳も能御座候之間呉々申上候様こと
　　　　　　　　昨日者得尊意候其節被仰聞之趣今朝
　　　　　　　　　　相模守殿可申之条被仰其意御尤ニ御座候
　　　　　　　　相模殿江罷越委細申達候処思召有其通ニ

　　　　　　　　御座候得とも大膳太夫殿願ニ御座候ハヽ
　　　　　　　　己■■御通ニ被成可然候間其段申遣候様ニ　
　　　　　　　　との儀ニ御座候尤々仲間ヘハ御語可有
　　　　　　　　旨ニ御座候拙者式なとも大膳太夫殿　　
　　　　　　　　御引取有度被仰候ハヽ其通被遊可然
　　　　　　　　奉存候
一　加里御養子被仰達候儀茂相模守殿ヘ承候
　　処ニ何茂月番御老中ヘ被仰候事ハ間
　　左様可被成候由御さ候参を以右之趣

　　　　　　　　可申上候得とも当番ニ御座候故先之手代を以
　　　　　　　　申上候猶尊顔可申上候以上
　　　　　　　　　　五月廿九日
一　六月朔日右同断之儀ニ付大岡美濃守《割書：忠｜高》殿江左之通被
　　仰遣之候
　　　　　　　　　　尚々昨日者御番之■■仰越候間
　　　　　　　　　　下之願申入候御越帰二御越被成
　　　　　　　以手紙申入候昨朝大膳太夫方ゟ以使者申越
　　　　　　　　　間希哉兎角■々可　承度候以上
　　　　　　　候者監物茂今日願申上候間知セ申由申越候
　　　　　　　拙者返事ニ者如何様ニも御心次第ニ候拙者

　　　　　　　方ゟも存寄相模守殿ヘ申達候旨申遣候
　　　　　　　拙者方ヘ先引取候事申越候者御内こと之
　　　　　　　事ニ候間返事ニ仕様ニ可有之候■ハ
　　　　　　　指■■申義ニ存願申上候而何様ニ御返
　　　　　　　節有之候哉承度候為其如此候以上
　　　　　　　　六月朔日
一　右同断ニ付大岡美濃守《割書：忠｜高》殿ゟ左之通御返書来
　　　　　　　　　猶以今日御城帰ニ参候様被仰越候
　　　　　　　　　無■用所御座候躰ニゟ御見廻可申
　　　　　　御手紙拝見仕候昨朝大膳太夫殿ゟ　以
　　　　　　　　　上候已上

　　　　　　　御使者被仰越候ハ監物殿儀昨日願申上
　　　　　　　候間為御知らセ御申越候御返答ニハ如何様ニ茂
　　　　　　　御心次第ニ候御手前様より思召寄相模守殿江
　　　　　　　被仰達候旨御申越候之由御手前様得先引取
　　　　　　　候事御申越候旨御内意之事候間御返事
　　　　　　　之被成様も可有之候ヘ共差越申様ニ答候
　　　　　　　願御申上候て何様ニ御返答有之候哉御聞
　　　　　　　被成度也御尤奉存候定而美作守殿將籃方江
　　　　　　　山城守殿ゟ可被仰達与被存候大膳太夫有御願

　　　　　　　之旨ニ候間御返し候様ニ御老中ゟ被仰越候者
　　　　　　　弥其通ニ被遊可然与奉存候猶期貴面候以上
　　　　　　　　六月朔日
一　同日先月御用番戸田山城守《割書：忠｜昌》殿并土屋相模守《割書：政｜直》殿江
　　御書
　　監物様御儀ニ付松平大膳太夫《割書：綱｜廣》殿江御掛合相済候段御届被成
一　同日右同断ニ付松平大膳太夫《割書：綱｜廣》殿ゟ御願之上今夜御迎被遣
　　大膳太夫殿御屋敷江御引取二相成
一　六月四日御用番阿部豊後守《割書：正｜武》殿江御出御逢之上左之通

　　御願書御指出被成
　　　　　　　今度私儀在所江之御暇被下候同姓
　　　　　　　監物病気ニ付相続難罷成候間其段
　　　　　　　申上候就夫男子無御座候間若於在所相果
　　　　　　　候ハヽ同姓内匠頭旁伊織歳十九ニ罷成候
　　　　　　　致召出如何様ニも遺跡被仰付被下候様ニ
　　　　　　　奉願候以上
　　　　　　　　元禄十二年卯六月四日　　松平兵部大輔御書判

　　　　　　　　　阿部豊後守殿
　　　　　　　　　戸田山城守殿
　　　　　　　　　土屋相模守殿　
　　　　　　　　　小笠原佐渡守殿

一　六月七日尾張中納言《割書：綱｜誠》様御逝去《割書：昨五｜日》ニ付　御機嫌為御伺
　　御用番阿部豊後守《割書：正｜武》殿御側御用人江御使者御留守居堀
　　十兵衛《割書：久｜律》被指出之
　　　　　　但右同断ニ亭夕方も御留守居村上三太夫被指出之

一　六月八日右同断ニ付　御機嫌為御伺御使者を以御檜重一組
　　被献之《割書：去六日御用番阿部｜豊後守殿江御伺之上》
一　同日明九日御発駕ニ付為御案内御用番阿部豊後守《割書：正｜武》殿江
　　御勤
一　同日九日江戸　御発駕東海道通御旅行
　　　　　　但去月廿三日御発駕之筈之処御内用ニ而御延引二相成
　　　　　　　六日御日取之処尾張中納言様御逝去ニ付御老中江御伺
　　　　　　　之上又々御延引今日ニ相成
一　同月十一日江戸表ゟ御使御奏者番萩野孫右衛門《割書：正｜封》今日
　　
　　福井江着《割書：去ル二日｜江戸出立》於月番御家老酒井典膳《割書：知｜房》宅　御意之趣あｓ
　　御家老江相達之
　　　　　　　　若殿様御煩之処御出御勤可被遊御病気ニ而
　　　　　　　　無之御残念被　思召先其通ニ被成被置候得共
　　　　　　　　土屋相模守殿被仰御様子も有之付弥御引籠
　　　　　　　　被成候様御願被　仰上候処御心次第可被成旨
　　　　　　　　去廿八日被　仰出此段可申聞　御意候
　　　　　　　　御前ニも別而御難儀被　思召候以上
　　　　　　　　　六月

一　六月十二日右同断ニ付於月番御家老酒井典膳《割書：知｜房》宅本多之
　　孫太郎《割書：長｜員》初諸士以上御医師迄右御書付之趣典膳申渡之
一　同月十三日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書於
　　御城御渡有之御家来拝領物等如例
一　同月廿二日　御着城
一　同月廿三日右同断ニ付為御礼高知斎藤酒之亟《割書：定｜負》江戸表江
　　被指出之例之通奉書紙并昆布干鯛御樽被献之酒之亟
　　今日福井出立
　　　　　　但酒之亟江戸着日不詳

一　同月晦日暑中ニ付御書を以例之通御国産素麵干鯛被献之
一　七月六日為ｇ御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之
一　同日本多孫太郎《割書：長｜負》宅江御使者御家老松平庄兵衛《割書：正｜恒》酒井輿三衛門《割書：元｜宣》
　　被遣之孫太郎嫡子無之ニ付　浅次郎様を養子ニ被仰付旨
　　御意之趣両人相達之孫太郎御請申上即刻為御礼
　　御座所江罷出　御目見被　仰付御長蚫被下之
一　同月九日暑中　御機嫌為御伺之御使者堀金七《割書：直｜正》江戸着
　　《割書：去月廿五日｜御国表出立》御用番江御書指出之
　　　　　　但翌十日御返書御渡有之

一　同月十三日御帰国御礼御使者斎藤酒之亟《割書：定｜員》　御城江罷出
　　候處御返書御渡有之其節酒之亟江御時服拝領被　仰付
一　同月廿日當春大目付中ゟ被相渡候御書付諸国立添有之ニ付
　　板取二ツ屋ゟ細呂木迄之往還駅々并三国新保廣瀬今泉江
　　左之通相掲之
　　　　　　　　　　　　定
　　　　　　　　　人売買愈堅令禁止之召仕之下人男女共ニ
　　　　　　　　　年季十ケ年を限といへども向後年季之
　　　　　　　　　限無之譜代ニ召抱候共可為相対次第之間可存

　　　　　　　　　其旨者也仍如件
　　　　　　　　　　元禄十二年七月日　　　　　奉行

一　同月廿一日御書を以例之通御国産鰹被献之被献之
一　八月朔日為御祝儀御使者を以例之通御太刀馬代被献之
一　同月九日月次　御機嫌為御伺江戸表江御使者被指出之
　　御肴一種被献之右御使者今日福井出立
　　　　　　但同月廿二日御返書御渡有之
一　同日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：同十四日｜御帰殿》

一　九月七日為重陽御御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　御台様　桂昌院様江白銀被指上之
一　同月廿一日御老中戸田山城守《割書：忠｜昌》殿卒去ニ付《割書：去十｜日》
　　公方様御機嫌為御伺御老中江御書被指出之《割書：土屋相模守殿｜御指図》
一　同月晦日本多浅次郎《割書：長｜教》江戸表ゟ今日府中江着
一　閏九月九日月次　御機嫌為御伺御使者土屋甚三郎《割書：貴｜充》江戸
　　表江被指出之御肴一種被献之甚三郎今日福井出立
　　　　　　但同月廿一日御返書御渡有之
一　同日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：同月十六日｜御帰殿》

一　同月十九日本多孫太郎《割書：長｜員》養子之御礼被　仰付
　　御長蚫被下之畢而於御座敷御吸物出孫太郎江　御盃被下之
　　御盃　御前被　召上畢而　浅次郎江　御盃被下之此節
　　御刀《割書：左文字｜代金五枚》被下之　御盃　御前江被　召上　
一　同月廿五日為御鷹狩金津江　御出被成《割書：十月朔日｜御帰殿》
一　同月《割書：日不｜詳》町在江左之通御用金被　仰出
　　　　　　　　　　　　　　　　　渥美新右衛門支配下　
　　　　　　一　小判三千両　　　　　　福井町中

　　　　　　　　　　　　　　　　　金津奉行大宮彦右衛門支配下
　　　　　　一　同二千百八拾九両弐歩　川北領
　








　　　　　　　　　　　　　　　　　　郡奉行仙石喜左衛門支配下
　　　　　　　一　同千四百八拾七両弐歩　　中領
　　　　　　　　　　　　　　　　　　郡奉行木滑吉右衛門支配下
　　　　　　　一　同千五百八拾六両弐歩　　上領
　　　　　　　　　　　　　　　　　　本多孫太郎在所
　　　　　　　一　同千五百七両　　　　　　府中町
　　　　　　　　　　　　　　　　　　三郡下幷府中分共ニ在々
　　　　　　　一　同百九拾五両弐歩　高掛り百石ニ銀五匁ツヽ
　　　　　　　　〆九千九百六拾六両
　　　　　　　　　但三郡下府中町共ニ当暮来春来盆前右三度ニ
　　　　　　　　　　差上候筈福井町中ハ為替ニ致し当暮千五
　　　　　　　　　　百両指上残る千五百両来春来盆前両度ニ
　　　　　　　　　　差上候筈

一　十一月三日為御鷹狩吉江江　御出被成《割書：同月七日｜御帰殿》
一　同月四日御参勤御時節為御伺御使者御使番河崎三郎助《割書：宗｜鋪》
　　江戸表江被指出之今日福井出立
一　同月九日月次　御機嫌為御伺御使者加藤半兵衛《割書：重｜常》江戸
　　表江被指出之御肴一種被献之半兵衛今日福井出立
　　　　　但同月晦日御返書御渡有之
一　同月十四日　高照院様廿七回御忌御相当ニ付為　御代拝稲葉
　　九助　江戸表江被指遣之今日福井出立
一　同月十八日御用番ゟ御呼出御参勤御時節御伺御使者御使番











　　河崎三郎助《割書：宗｜鋪》罷出候処来年四月中御参府可被成旨御老中
　　連名之御奉書御渡有之
一　十一月廿五日寒中ニ付御書を以例之通御国産生鱈被献之
一　同月廿七日右同断ニ番生鱈被献之
一　十二月朔日朝於瑞源寺　高照院様廿七回御忌御法事御執
　　行有之
一　同月三日右同断ニ寺付於尊蔵寺去朔日暁ゟ今朝迄御法事
　　御執行於谷中南泉寺も右同様御執行有之
一　同月十四日為御歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之

　　御臺様　桂昌院様江白銀被指上之
一　同月十八日足羽郡莇生田村百姓喜右衛門与申者常々農業精
　　を出し候得共貧窮相暮シ時ニ寄妻子等乞食為致候躰ニ候
　　得共三十ケ年之間持高之上納年切ニ無滞致皆済候処近年
　　老衰耕作難行届由ニ而持高二拾三石之内拾石同村百姓ニ為取
　　代物も不受其所存ハ御納所大切ニ存ニ付遣候上ハ価可取趣意
　　無之由申惣而見持正敷者之由御代官ゟ相達候ニ付違
　　御聴候処奇特ニ被　思召為御褒美當作本納米分不残被下
　　置向後喜左衛門存生之内者年々　之趣ニ応し御手当可取

　　成下旨被　仰出候ニ付今日於勘定所郡奉行　御代官列座ニ而
　　喜左衛門江申渡之

家譜

【表紙】
【題箋】

　　　家譜《割書：綱昌公｜》《割書：従寛文元年｜到延宝五年》十三

　　　綱昌様《割書：従寛文元年辛丑｜至延宝五年丁巳》

　　　　　　　　　越前守
　　　　　　　　　　　綱昌様
家綱様御代
　寛文元年辛丑
　　一　五月八日於江戸浅草御屋敷　御誕生《割書：御本卦艮｜御性土》奉称
　　　　仙菊様
　　　　　　　中務大輔《割書：昌｜勝》様《割書：忠昌様｜御次男》之御嫡子御母者　菊姫様《割書：松平隠岐守《割書：定｜行》殿｜御女》
　　　　　　　後
　　　　　　　昌親様御養子ニ被為　成

寛文五年己巳【乙巳か】
　　一　十一月《割書：日不｜詳》御袴着御祝儀有之

寛文七年丁未
　　一　十一月晦日御紐直御祝儀有之

寛文八年戊申
　　一　四月廿三日　御登　城初而　御目見被　仰上御太刀銀馬代
　　　　御時服《割書：五｜》御献上

寛文九年己酉
　　一　正月三日為年始御祝儀　御登　城御礼被　仰上

寛文十年庚戌
　　一　正月三日為年始御祝儀　御登　城御礼被　仰上

延宝二年甲寅
　　一　五月十二日依召　御登　城被成候処
　　　　昌親様御願之通《割書：去六日｜御願達》御養子ニ被　仰付旨御老中
　　　　御達有之
　　一　同月廿九日　中務大輔《割書：昌｜勝》様御屋敷《割書：浅｜草》ゟ霊巌嶋御屋敷江
　　　　御引越《割書：未ノ｜刻》於御部屋御祝儀有之夫ゟ御家老并大名分
　　　　其外　御屋形ニ詰合之諸士迄　御目見被
　　　　御長蚫被下之

　　一　七月十八日　御登　城御養子之御礼被仰上御太刀
　　　　金馬代御時服二十御献上　御台様江御使者を以縮緬
　　　　《割書：数不｜詳》銀三十枚被指上之
　　　　　　只右　御登　城
　　　　　　　昌親様御同道可被成処　御不快ニ而　御登　城無之ニ付殿中御心添
　　　　　　　之儀渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿江御頼被成
　　一　十月三日　上使大久保彦兵衛殿を以
　　　　昌親様御病気　御尋有之候御礼為　御名代御登
　　　　城夫ゟ御老中若年寄中江　御廻勤　　
　　一　十一月十二日
　　　　昌親様御鷹之鶴御拝領之処　御不快ニ付御礼為　御
名代
　　　　御登　城夫ゟ御老中并酒井河内守《割書：忠｜挙》殿江　御廻勤

延宝三年乙卯
　　一　正月朔日　
　　　　昌親様御登　城前　御座之間江
　　　　仙菊様御太刀目録御持参　御対顔年始之御祝儀被　仰上
　　一　同月三日為年始御祝儀　御登　城御礼　仰上
　　　　　　但御献上等不詳
　　一　同月廿二日先達而ゟ　御水痘之処　御全快ニ付御酒湯御祝儀有之
　　一　四月廿一日於東叡山
　　　　大猷院様二十五回御忌御法事有之ニ付御使者御使番を以

　　　　御香奠銀五枚被献之
　　一　十一月十五日御袖留御祝儀有之右ニ付　御登　城御礼被　仰上
　　一　同月廿三日依　召　御登　城於御黒書院　御目見被　仰上
　　　　御一字《割書：綱｜》御拝領御次江　御退座其節被
　叙任従四位下侍従兼
　　　　越前守之旨御老中御達有之再　御出座御太刀《割書：青江正恒｜代金六枚》一腰白銀
　　　　三百枚御小袖二十御献上御礼被　仰上御着座御引渡出御下段
　　　　ニ畳目江　御出座御盃御頂戴御肴　御手自被下御頂戴
　　　　御復座御加有之其節御刀《割書：備前則房｜代金三十枚》一腰御拝領被成今日ゟ
　　　　越前守綱昌様と被　称
　　　　　　但御礼勤之儀御記録類不詳
　　一　同日右同断ニ付御使者斎藤半左衛門を以　御台様江白銀三十枚
　　　　被指上之
　　一　十二月十一日今度　御叙任之口　宣御頂戴之儀ニ付御老中ゟ
　　　　京都所司代永井伊賀守《割書：尚｜庸》殿江之御奉書御使者寄合菅沼
　　　　市左衛門《割書：家｜次》江持参被　仰付今日福井出立
　　　　　　但右御奉書於江戸表御渡且又御国江相廻候儀御記録類不詳
　　　　　　一　市左衛門京都着日不詳
　　一　同月《割書：日不｜詳》御使者寄合菅沼市左衛門《割書：家｜次》伝奏衆江罷出候処

　　　　口　宣宣旨等御渡有之
　　　　　　口宣案
　　　　　　　上卿　三条大納言
　　　　　　　　延宝三年十月十六日
　　　　　　　　　源綱昌　
　　　　　　　　　　宜叙従五位下　　　奉　　
　　　　　　　　　　　　蔵人右中弁藤原国豊


　　　　　　口宣案
　　　　　　　上卿　右大将
　　　　　　　　延宝三年十一月廿三日　　宣旨
　　　　　　　　　従五位下源綱昌　
　　　　　　　　　　宜叙従四位下　　　奉　　
　　　　　　　　　　　　蔵人左少弁藤原宣基


　　　　　　口宣案
　　　　　　　上卿　権大納言
　　　　　　　　延宝三年十一月廿三日　　宣旨
　　　　　　　　　従四位下源綱昌朝臣　
　　　　　　　　　　宜任侍従　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奉
　　　　　　　　　　　　蔵人右中弁藤原国豊
　　　
　　　　　宣旨
　　　　　　　従四位下源朝臣綱昌
　　　　　正二位行権大納言藤原朝臣雅房
　　　　　宣奉　　勅件人宜令任
　　　　　侍従者　
　　　　　　延宝三年十一月廿三日大外記兼掃部頭造酒正中
　　　奉
原朝臣師定


　　　　　口宣案
　　　　　　上卿　権大納言
　　　　　　　延宝三年十一月廿三日　　　宣旨
　　　　　　　　侍従源綱昌朝臣
　　　　　　　　　宜兼任越前守
　　　　　　　　　　　　蔵人頭上近衛権中将藤原羽林公量
　

　　　　　宣旨　
　　　　　　従四位下行侍従源朝臣綱昌

　　　　　正二位行権大納言藤原朝臣雅房
　　　　　　宣奉　勅件人宜令兼任
　　　　　　越前守者
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奉
　　　　　　　延宝三年十一月二十三日大外記兼掃部頭造酒正中原朝臣師定
　　　　　　　　但此節之位記不相見
　　一　十二月　御使者菅沼市左衛門《割書：家｜次》伝奏衆江罷出御献上之御官物
　　　　左之通雑掌江相渡之
　　　　　　　　従五位下諸大夫成御献上
　　　　　　禁裏江黄金一枚
　　　　　　法皇御所江白銀三枚
　　　　　　女院御所江白銀三枚
　　　　　　女御御方江白銀三枚
　　　　　　内侍所江銀子四拾目
　　　　　　　　従四位上成御献上
　　　　　　禁裏江黄金一枚
　　　　　　法皇御所江白銀三枚

　　　　　　女院御所江白銀三枚
　　　　　　女御御方江白銀三枚
　　　　　　内侍所江銀子四拾目　　　　　
　　　　　　　　侍従成御献上
　　　　　　禁裏江御太刀折紙白銀五十枚《割書：官銭二百｜貫文》
　　　　　　法皇御所江御太刀折紙白銀三十枚
　　　　　　女院御所江白銀三十枚
　　　　　　女御御方江白銀三十枚
　　　　　　内侍所江白銀二枚　　　　　
　　　　　　　　但諸大夫成ゟ侍従成迄　御所方御附上臈御局等江御贈
　　　　　　　　　物有之候得共略之
　　　　　　　　掛緒御礼物
　　　　　　禁裏江白銀五枚
　　　　　　法皇御所江白銀三枚
　　　　　　女院御所江白銀三枚
　　　　　　女御御方江白銀三枚
　　　　　　　　白銀三枚飛鳥井殿江　　

延宝四年丙辰
　　一　正月三日口　宣御頂戴之御使者寄合菅沼市左衛門《割書：家｜次》京都御用
　　　　相済今日福井江帰着
　　　　　　但右ニ付京都所司代永井伊賀守殿ゟ御老中江之御返書同月
　　　　五日御徒《割書：長沼五郎左衛門｜》飛脚を以江戸表江被指出之其節口　宣宣旨共
　　　　可相廻候得共於江戸表御頂戴之儀等不詳
　　一　六月十六日嘉定ニ付　御登　城御祝儀被　仰上
　　一　七月十八日上野介《割書：近｜栄》様御登　城被成候処飛鳥井大納言《割書：雅｜章》殿御孫女

　　　　清姫様
　　　　昌親様御養女ニ被成
　　　　綱昌様江御縁組之儀御頼之通被仰出旨土屋但馬守《割書：数｜直》殿
　　　　御達有之 上野介様御退出掛此御屋形江御越右之趣被仰達之
　　一　七月廿一日
　　　　昌親様綱昌様并上野介《割書：近｜栄》様御同道御登城　《割書：昨廿日渡辺｜大隅守殿阿部》
　　　　《割書：四郎五郎殿｜御越御達有之》被成候処於御白書院御老中列座兵部大輔存知も有之
旨
　　　　ニ而強願之段被聞召届候未年若ニも候得共病者ニも有之間願
之
　　　　通被　仰付家督無相違越前守江被仰付候難有可奉存旨併
　　　　大国之儀越前守年若ニも候間国之仕置等諸事無遠慮
　　　　指図可仕旨　上意之趣御大老酒井雅楽頭《割書：忠｜清》殿御達有之
　　　　昌親様御請被仰上御父子様御退出之処
　　　　綱昌様を御呼返ニ付渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿被指添御出席之処
　　　　今度兵部大輔強願申上付隠居被仰付候尋常之習実子
　　　　さへ年老迄家督譲兼候ニ兵部大輔未年盛ニ而早速家督
　　　　ゆつり候儀其方為ニ兵部儀厚恩之者候間随分孝行可相勤候
　　　　兵部大輔其方共大分之御取立之者と思召候間右之被
　　　　仰渡趣相守諸事兵部大輔任指図相背申間敷旨被









　　　　仰出候段御老中御達有之相済御退出掛為御礼御老中　　　　 若年寄中并酒井河内守《割書：忠｜挙》殿江御廻勤《割書：大隅守殿｜御同道》
　　一　七月廿一日御部屋ゟ御表江御移替有之
　　一　同月廿三日御家督被仰出候為御礼
　　　　昌親様綱昌様并上野介《割書：近｜栄》様御同道ニ而御大老酒井
　　　　雅楽頭《割書：忠｜清》殿御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿久世大和守《割書：広｜之》殿土屋但馬守《割書：数｜直》殿江
　　　　御勤
　　一　同月廿五日御精進揚御肴御献上之儀渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿を以
　　　　御老中迄御伺被成候処御家督御礼以前ニ付不及其儀旨
　　　　御指図有之
　　一　同月廿六日今般御家督被仰出候ニ付御使狛十大夫《割書：雅｜陣》副使
　　　　岩上宮内《割書：朝｜仲》御国許江被指遣之
　　　　　　但十大夫等八月二日福井江着ニ付於御本丸右之趣御家中之
　　　　　　　面々江月番御家老申渡之
　　一　同月廿八日御家督御礼以前ニ付　御登　城無之
　　一　八月朔日右同断ニ付御登城無之依之御使者花木外記《割書：吉｜時》
　　　　を以御太刀馬代《割書：黄金｜十両》被献之
　　　　　　但右御献上之儀御家督御礼以前ニ付如何可被成哉と御老中迄







　　　　　　御伺被成候処御使者を以可被献旨御差図有之
　　一　八月六日　御台様昨五日夜御逝去《割書：御法号｜高巌院様》ニ付為御悔御老中
　　　　若年寄中并酒井河内守《割書：忠｜挙》殿江御使者被指出之
　　一　同日右同断ニ付
　　　　公方様御機嫌為御伺　御登　城
　　　　　　但右同断ニ付翌七日も　御登　城有之
　　一　同月八日
　　　　公方様御忌中御機嫌為御伺御使者被指出之
　　　　　　但右同断ニ付十二日迄毎日御使者被指出之
　　一　同月九日　御台様御逝去ニ付
　　　　女院御所御機嫌伺之儀御伺被成候処御家督御礼無之内ニ候間
　　　　御無用可被成旨御老中御指図之由渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿ゟ申来
　　一　同月十二日
　　　　公方様御御忌被為　解候ニ付御精進揚之御肴御献上被成度旨
　　　　御月番久世大和守《割書：広｜之》殿迄御伺被成候処御無用之旨御指図有之
　　一　同月廿六日　御登　城御家督之御礼被　仰上御質太刀《割書：守家代金｜七枚》一腰
　　　　錦五百把

　　　　斎藤半左衛門銀馬代献上　御目見被　仰付相済依召
再
　　　　御出座被成候処　御前近御進被成候様再三　上意ニ付御側近
　　　　御進被成候処兵部大輔願ニ付隠居被　仰付其方江家督被
　　　　仰付候其方儀未若年候間諸事仕置等兵部指図を請候様
　　　　御直ニ上意有之難有旨御請被　仰上　御退出掛為御礼
　　　　御老中若年寄中并酒井河内守《割書：忠｜挙》殿江
　御廻勤七人之
　　　　御家来為御礼御老中若年寄中江廻勤
　　一　八月廿七日右同断ニ付本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老江御書被成
　　一　九月朔日東叡山　高巌院様御霊前江御使者花木
　　　　外記《割書：吉｜時》を以御香奠儀銀二十枚被指上之
　　　　　　但三月十二日ゟ十七日迄御法事有之御結願之日
可被指
　　　　　　　上処御家督御礼以前ニ付御延引今日被指上之
　　一　同月七日為重陽御祝儀　御先代之通御使者を以御小袖《割書：五｜》
　　　　被献之
　　一　同月十一日為御家督御祝儀御大老御老中初御招請御饗応
　　　　御囃子有之
　　一　同月十八日御精進揚ニ付　御先代之通御使者を以御肴《割書：鱸｜二》
　　　　被献之右御披露済之捻御奉書御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿ゟ

　来
　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　　松平越前守殿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正則
　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　鱸二被献之候遂披露候処一段之御仕合候
　　　　恐々謹言
　　　　　　　九月十八日
　　　　　　但御精進揚御肴被献候ニ付而之捻御奉書以後同様ニ付不記之
　　一　十月朔日御家督之為御祝儀御使者並河平右衛門《割書：興｜勝》を以
　　　　禁裏御所江御太刀馬代御樽肴被献之
　　　　女院御所江も御献上有之《割書：御品物｜不詳》
　　一　同月二日去年《割書：十一月｜廿五日》
　　　　本院御所炎上之処御普請御成就　御移徙ニ付御使者松江
　　　　善兵衛《割書：房｜丘》を以銀二十枚御肴一種被献之善兵衛今日福井出立
　　一　同月四日御聞番　御城江罷出候節向後蘇鉄之間江
通候様於　　
　　　　御城御老中列座土屋但馬守《割書：数｜直》殿被申渡候段渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿
　　　　阿部四郎五郎《割書：正｜之》殿ゟ申来
　　一　同月十八日御精進揚ニ付御使者を以例之通御肴《割書：鮮鯛｜二》被献之
　　一　十一月十六日御老中ゟ御呼出御留守居彦坂又兵衛《割書：重｜庸》　御城江罷出


　　　　 候処重陽御祝儀献上ニ付而之　御内書御老中御渡有之
　　　　其節又兵衛江御時服拝領被　仰付
　　　　　　　為重陽之祝儀小袖五到来歓思召候
　　　　　　　猶酒井雅楽頭可述候也
　　　　　　　　　九月七日　御黒印
　　　　　　　　　　　　　　　　越前侍従とのへ
　　　　　　　　但右御献上ニ付而之御内書以後同様ニ付不記之
　　一　十一月十八日御精進揚ニ付御使者を以例之通御肴《割書：鯛｜ニ》被献之
　　一　同日御使者酒井孫四郎《割書：元｜宣》京都江被遣　清姫様江為御結納
　　　　御小袖《割書：代銀｜百枚》綿百把帯二筋鶴二羽昆布《割書：二十｜把》一折鯣《割書：二十｜連》一折鯛《割書：十｜二》一折
　　　　鱈《割書：十｜二》一折御樽五荷被進之右為御祝儀飛鳥井大納言《割書：雅｜章》殿江金
　　　　馬代御小袖三重昆布《割書：二十｜把》一折鯣《割書：二十｜連》一折鯛《割書：二｜》一折御樽二荷被進之
　　　　昌親様ゟ　清姫様江勝鬠紙五十帖昆布《割書：二十｜把》一折鯣《割書：二十｜連》一折
　　　　御樽一荷大納言殿江金馬代昆布《割書：二十｜把》一折干鯛《割書：二｜十》一折御樽一荷
　　　　被進之　万姫様ゟ　清姫様江縮緬《割書：紅｜白》十巻昆布《割書：二十｜把》一折雉子《割書：三｜番》
　　　　一折御樽一荷大納言殿江昆布《割書：二十｜把》一折鯉《割書：二｜》一折御樽一荷被進之
　　　　孫四郎福井出立
　　

　　　　　　但孫四郎京都着日等不詳
　　一　十一月廿一日御精進揚ニ付御使者を以例之通御肴《割書：蚫｜十》被献之
　　一　同日　上使高木忠右衛門殿を以　御鷹之鶴御拝領忠右衛門殿
　　　　此　御屋形江御越之節御番頭両人御玄関江罷出鶴受取之
　　　　上使之御先江立御書院江持参其節渡之間御次迄
　　　　御出迎御会釈有之御案内ニ而忠右衛門殿御書院江御通
　　　　上意之趣御達有之鶴御頂戴相済御料理出之忠右衛門殿
　　　　御退出後右為御礼　御登　城夫ゟ御老中并酒井河内守《割書：忠｜挙》殿江
　　　　御廻勤若年寄中江御使者御番頭被指出之
　　一　同月廿五日御精進揚ニ付御使者を以例之通御肴《割書：干｜鱚》被献之
　　一　十二月四日御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿ゟ御呼出御留守居彦坂
　　　　又兵衛《割書：重｜庸》罷出候処
　　　　昌親様江御拝領之御鷹之鶴并御老中連名之御奉書宿継
　　　　証文添御渡有之右ニ付御徒今井甚五兵衛指添御国表江被指立之
　　一　同日右同断ニ付為御礼稲葉美濃守《割書：正｜則》殿江御使者狛十大夫《割書：雅｜陣》
　　　　被指出之残御老中若年寄并酒井河内守《割書：忠｜挙》殿江
御使者被
　　　　指出之
　　一　同日右同断ニ付

　　　　昌親様御礼御使者柄之儀御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿迄御伺
　　　　被成候処番頭被指出可然旨御指図有之
　　一　十二月五日　
　　　　昌親様江御鷹之鶴御拝領之為御礼　御登　城
　　一　同月十三日寒中ニ付　御先代之通御使者を以御国産《割書：一｜番》
　　　　生鱈被献之右御披露済之捻御奉書御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿ゟ
　　　　来
　　　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　　　　松平越前守殿　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正則
　　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　領国之鱈三被献之候遂披露候之処一段之
　　　　　　　　御仕合候恐々謹言
　　　　　　　　　　十二月十三日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正則書判
　　一　同月十六日右同断《割書：二｜番》生鱈被献之右御披露済之捻御奉書
　　　　御老中稲葉美濃守《割書：正｜則》殿ゟ来
　　　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　　　　松平越前守殿　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正則
　　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守

　　　　　　国元之鱈三被献之候遂披露候処一段之
　　　　　　御仕合候恐々謹言
　　　　　　　　十二月十六日
　　　　　　　　　但右御献上ニ付而之捻御奉書以後同様ニ付不記之
　　一　十二月廿日　御前髪被為　執度ニ付渡辺大隅守《割書：綱｜貞》殿を以御老中
　　　　稲葉美濃守《割書：正｜則》殿迄御伺被成候処御勝手次第被成候様御指図有之
　　一　同月廿二日為歳暮御祝儀本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老御城代并
　　　　大名分之面々ゟ御小袖御肴等献上之
　　　　　　但御家来ゟ歳暮御祝儀献上之儀以後定例故不記之
　　一　同日　御前髪被為　執御祝儀有之於　御座之間飯田主米《割書：安｜成》
　　　　本多左兵衛《割書：道｜重》斎藤半左衛門江御料理御相伴被　仰付其余御医師迄
　　　　御長蚫被下之
　　一　同日右同断ニ付為御祝儀御使仙石権右衛門《割書：高｜成》を以
　　　　昌親様江二種被進之
　　一　同月廿九日《割書：六半｜時》為歳暮御祝儀　御登　城御礼被　仰上相済
　　　　御退座之上来年始御礼　御先代之通御白書院
　　　　御着座御相伴被　仰出候旨御老中御達有之
　　一　同月晦日為歳暮御祝儀　御先代之通御使者を以御小袖《割書：五｜》




　　　　被献之


延宝五年丁巳
　　一　正月朔日為年始御祝儀　御登　城御白書院江
　　　　公方様出御紀伊中納言《割書：光｜貞》様水戸宰相《割書：光｜圀》様御礼相済
　　　　綱昌様御太刀目録《割書：御馬代黄金｜二十両》御持参御礼被　仰上宰相様御次ニ
　　　　御着座御引渡出《割書：御小姓｜役之》夫ゟ初献之御盃中納言様宰相様
　　　　御頂戴御返盃有之被　召上候御盃三方ニ載之御酌二畳目ニ
扣
　　　　有之時
　　　　綱昌様御出座御盃御頂戴御加有之其御盃御持御復座

　　　　之時呉服台御上段ゟ五畳目六畳目江掛出之《割書：中奥御小姓｜役之》再
　　　　御出座御頂戴又　御復座二献之御土器御銚子出御引渡と
　　　　引替御雑煮出中納言様御出座御盃御頂戴御加有之御本席江
　　　　御持退明三方御小姓衆引之中納言様御手前ニ有之御土器
　　　　御酌取之手ニ載宰相様
　　　　綱昌様江御順ニ盛之御頂戴相済御銚子入三献之御銚子
　　　　出御雑煮と引替兎御吸物出宰相様御出座御頂戴御本席江
　　　　御持退宰相様御手前ニ有之御土器御酌取之手ニ載之
　　　　綱昌様江盛之御頂戴相済御銚子入御吸物引之御一同御礼　　
　　　　被　仰上御退去
　　一　同日　御屋形年始御規式有之於　御座之間御家老飯田
　　　　主米《割書：安｜成》太刀目録持参御礼申上之着座之内御国御家老ゟ
　　　　献上之太刀目録披露有之三献之御祝相済於表御書院
　　　　諸士之御礼被為　請御流之御盃被下之
　　一　正月三日於小書院諸士之子供年始之御礼被為　請
　　一　同月　仙洞女院両御所炎上《割書：旧臘｜廿七日》ニ付　御機嫌為御伺御使
　　　　御使番出渕平兵衛《割書：盛｜許》を以
　　　　仙洞御所江奉書紙十束

　　　　女院御所江鬠紙五十帖被献之
　　　　　　　但御書日附同月六日
　　一　正月七日為御上初　御先代之通御使者を以御肴《割書：鯛｜二》一折
　　　　被献之右御披露済之捻御奉書御老中土屋但馬守《割書：数｜直》殿ゟ来
　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　松平越前守殿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　数直
　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守
　　　　鯛一折被献之候遂披露候之処一段之
　　　　御仕合候恐々謹言
　　　　　　正月七日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　数直書判
　　　　　　但右御献上ニ付而之捻御奉書以後同様ニ付不記之
　　一　同月九日為御謡初御祝儀御使者を以御盃台《割書：金縁｜御土器》御酒代《割書：銀｜一枚》
　　　　被献之
　　　　　　但旧臘　仙洞　女院両御所炎上ニ付御謡初御延引之処今日
　　　　　　御祝儀有之ニ付被献之
　　一　同日於　御屋形御謡初御祝儀有之《割書：夜四｜時前》於御書院御家老飯田
　　　　主米《割書：安｜成》本多左兵衛《割書：道｜重》江御盃被下之着座之面々江召出之御酒被下
　　　　御肴御直ニ被下之畢而惣侍中江召出之御酒被下之役者共江




　　　　時服被下之
　　　　　　　但御謡初之儀以後定例故不記之
　　一　正月十一日御具足之餅御披祝儀有之
　　一　同月十八日御勝手御不如意ニ付御家老稲葉采女《割書：治｜房》左之通諸士江申渡之
　　　　　　一御勝手御不如意付御家中知行之内御借リ可被成旨
　　　　　　　被　仰出依之当年者先四歩程御借リ可被遊旨御勝手
　　　　　　　之積被　仰付不参儀候者来年ゟㇵ五歩歟六歩も御借
　　　　　　　被成儀も可有之候
　　　　　　　但被　仰渡候書付之留何も知行之内御借可被成哉と
　　　　　　　御相談候得共御家中勝手不成段被及
　　　　　　　聞召当年者先四歩程御借被成にて可有之候指当り
　　　　　　　下々召抱申時分ニ候故被　仰聞候弥御勝手之積被
　　　　　　　仰付不参儀候者来年ゟ五歩歟六歩も御借り被成儀も
　　　　　　　可有之候簡略之品追而可被　仰出旨候条堅可相守候
　　　　　　　已上
　　　　　　　　正月十八日
　　一　同月廿九日御勘定所ゟ申来御留守居彦坂又兵衛《割書：重｜庸》罷出候処
　　　　御預所納米之儀ニ付左之通書付被相渡之

　　　　　越前国勝山領御預所去辰納米之内所ニ而例年
　　　　　米ニ而渡候者不時分残置其外者不残当春大津江
　　　　　相廻御蔵江可有上納候舟積運賃之儀跡々申入
　　　　　通可被得其意候不及申候へ共上乗船頭水主
　　　　　船道具俵拵等能々吟味之上早々可被相廻候以上
　　　　　　正月廿九日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　平　　次郎左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　　設　　長兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　石　　新左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　　設　　七左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　　竹　　八郎兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　佐　　主馬
　　　　　　　　　　　　　　　　　　徳　　五兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　岡　　角左衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　　甲斐　喜右衛門
　　　　　　　　　　　　　　　　　　杉　　内蔵允
　　　　松平越前守殿
　　　　　　　　　家来

　　一　二月廿三日　御城江御呼出ニ付御留守居罷出候処於柳之間歳暮
　　　　御祝儀御献上ニ付而之　御内書御老中御渡有之其節御留守居江
　　　　時服拝領被　仰付
　　　　　　為歳暮祝儀小袖五到来歓思召候　　　　
　　　　　　委曲酒井雅楽頭可述候也
　　　　　　　　十二月晦日御黒印
　　　　　　　　　　　　　　　越前侍従とのへ
　　　　　　　但右御献上ニ付而之　御内書以後同様ニ付不記之
　　一　三月十二日
　　　　女院御所御不例之処追日御快ニ付御歓旁　御機嫌為御伺
　　　　御使者御書院番士を以御箱肴一種被献之
　　一　同日於御家老稲葉采女《割書：治｜房》宅先達而被　仰出候御借米之儀ニ付
　　　　左之通書付を以諸月番江采女申渡之
　　　　　　最前被　仰渡通当暮ゟ免四歩之積リ御借リ被為成候
　　　　　　御勝手不被為成候ヘㇵ給知高ゟ平均四歩之積御借リ
　　　　　　被成候而ㇵ不足ニ候ヘ共御家中も勝手不如意之由
　　　　　　御聞及被成候ニ付先右之通被　仰出候当七月ゟ面々
　　　　　　給地致収納四歩之積リ可指上候懸リ免段々之

　　　　　　儀者追而可被　仰聞候間其節手前ニ而所務難仕
　　　　　　面々ハ御相談之上ニ而御蔵支配成可被下候已上
　　　　　　　三月日
　　一　三月廿八日於浄光院昨廿七日暁ゟ今朝迄　清池院様七回
　　　　御忌御法事御執行有之於天徳寺も廿六日暁ゟ今朝迄
　　　　布与姫様ゟ右同様御執行有之右ニ付今朝天徳寺江
　　　　御参詣御香奠銀十枚被供之
　　一　四月廿ニ日御使者を以　御先代之通御国産初鯖《割書：三十｜刺》被献之右
　　　　御披露済之捻御奉書御老中土屋但馬守《割書：数｜直》殿ゟ来
　　　　　　　　捻御奉書上書
　　　　　　　　　松平越前守殿　　　　　　　　　数直
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守

　　　　　　　領国之初鯖一箱被献之候遂披露候
　　　　　　　之処一段之御仕合候恐々謹言
　　　　　　　　　四月廿ニ日　　　　　　　数直書判
　　　　　　　　但右御献上ニ付而之捻御奉書以後同様ニ付不記之
　　一　同月廿三日《割書：六半｜時》　上使御老中土屋但馬守《割書：数｜直》殿を以初而御国許江之
　　　　御暇被　仰出白銀千枚御袷百御拝領但馬守殿此　御屋形江
　　　　御越之節御門前之橋迄御留守居両人御門外迄御家老飯田






　　　　主米《割書：安｜成》罷出其節御式台下段板之間迄　御出迎御案内ニ而
　　　　但馬守殿御書院江御通　上意之趣御達有之御長蚫　御直ニ御居
　　　　畢而吸物出《割書：御料理ハ｜御断》御盃事有之但馬守殿御退出之節最前御出迎之
　　　　所迄御送被成右為御礼御老中江御使者御使番被指出之
　　　　　　但是迄右御使者被指出候儀無之候得共阿部四郎五郎殿ゟ
　　　　　　　申来ニ付被指出之
　　一　同日《割書：五時｜過》　御登　城御暇之御礼被　仰上御馬一疋御拝領畢而被
　　　　召連候御家来飯田主米《割書：安｜成》　御目見被　仰付御袷《割書：四御紋｜内紅裏一》御羽織《割書：一｜御紋》
　　　　拝領被　仰付夫ゟ右為御礼御老中若年寄中并酒井
　　　　河内守《割書：忠｜挙》殿江　御廻勤
　　一　四月廿五日御拝領之御馬御老中土屋但馬守《割書：数｜直》殿ゟ使者ニ而
　　　　為率来於御玄関御家老飯田主米《割書：安｜成》請取之其節御玄関江
　　　　御出御手綱主米指上之御頂戴被成相済於渡之間右使者
　　　　御逢御長蚫被下之御返答有之
　　一　同月廿六日日光　御参詣之儀　御帰国之節　御参詣
　　　　被成候様御老中土屋但馬守《割書：数｜直》殿御指図有之候由渡辺
　　　　大隅守《割書：綱｜貞》殿ゟ申来
　　一　五月三日為端午御祝儀　御先代之通御使者を以御帷子


　　　　　　御単御袷被献之於　御城柳之間御老中久世大和守《割書：広｜之》
　　　　　　殿御請取有之
　　一　五月右同断ニ付本多孫太郎《割書：長｜員》初御家老ゟ御帷子御単献上之
　　　　　　但歩御家来ゟ端午御祝儀献上之儀以後定例故不記之
　　一　同月十四日江戸　御発駕日光山江　御参詣御供杉形御槍
　　　　二十本御槍奉行奈良左近右衛門《割書：高｜良》御先道具御弓立二組弩瓢
　　　　二穂大鳥毛御槍投鞘御槍二本御傘御立笠御床机御具足
　　　　櫃笈御具足革船二荷御乗掛馬御鞍置馬御挟箱突留
　　　　御槍二本御腰物筒三御徒御駕御持槍御長刀御傘御挟
　　　　箱御召替御馬御乗懸馬御茶弁当歩行御供十四人馬上御供
　 　　　十人御跡押御家老飯田主米《割書：安｜成》被　召連
　　　　　御休泊
　　　　　　　五月十四日御休　御泊　　十五日御休　　御泊
　　　　　　　　 草加　　　　　糟壁　　　栗橋　　　　小山
　　　　　　　十六日御休　　　御泊
　　　　　　　　鹿沼　　　　　　今市
　　一　同月十七日日光　御登山
　　　　東照宮
　　　　大猷院様御霊前江御太刀馬代銀十枚宛御献備御拝有之
　　　　　　　

　　一　同日日光　御発駕中山道通御国許江被為　趣
　　　　　　但御入国ニ付御途中ニ而日光　御参詣之御供立之外ニ御弓
　　　　　　　三十張御矢箱二歩行御供十人馬上七人乗懸御供七人
　　　　　　　相増被　召連
　　　　御休泊
　　　　　五月十七日御休　御泊　十八日御休　御泊　十九日御休
　　　　　　　今市　　　　　鹿沼　　　栃木　　佐野　　木崎

　　　　　御泊　　　　　廿日御休　　御泊　　廿一日御休　御泊
　　　　　　　倉ヶ野　　　松井田　　　軽井沢　　望月　　　和田

　　　　　廿二日御休　　御泊　　廿三日御休　　御泊　廿四日御休
　　　　　　　諏訪　　　　洗馬　　　藪原　　　上松　　水戸野

　　　　　御泊　　　　廿五日御休　　御泊　　廿六日御休　御泊
　　　　　　　中津川　　　大湫　　　　太田　　加納　　　　垂井

　　　　　廿七日御休　　御泊　　　廿八日御休　　御泊
　　　　　　　春照　　　　木本　　　中河内　　　　今庄

　　一　五月廿九日　御帰国ニ付今庄駅御泊ゟ府中本多孫太郎《割書：長｜員》館江
　　　　被為　入孫太郎江御太刀金馬代被下之畢而御料理指上之御家老
　　　　飯田主米《割書：安｜成》并本多左兵衛《割書：道｜重》大谷助六《割書：重｜政》皆川多左衛門《割書：勝｜重》等御相伴被
　　　　仰付孫太郎江御盃被下　御前江被　召上孫太郎家来之者十三人
　　　　御目見被　仰付夫ゟ府中　御立午刻　御着城
　　　　昌親様御待請於　御座之間三献之御祝有之畢而孫太郎初
　　　　御家老御宿老江御吸物御盃被下之相済助六多左衛門初










　　　　御奏者番御小姓頭并町奉行御奉行横目迄御長蚫　御直ニ被下之
　　　　　　但御先代者浄光院江　御参詣永見志摩　宅江　御立寄有之夫ゟ
　　　　　　　御着城ニ候得共　御初入故御手間取ニも相成ニ付其儀無之
　　　　　　　直ニ　御本丸江被為　入
　　一　六月二日右同断ニ付為御礼御使者狛木工之允《割書：貞｜澄》江戸表江被指出之
　　　　今日福井出立
　　一　同月《割書：日不｜詳》為　御帰国御使者狛木工之允《割書：貞｜澄》を以奉書紙五十束
　　　　ニ種一荷被献之木工之允　御目見被　仰付
　　　　　　但御先例ハ奉書紙計候得共御代初而ニ付御樽肴被指添之
　　一　同月十八日　御城江御呼出ニ付御留守居罷出候処於柳之間端に
　　　　御祝儀御献上ニ付而之　御内書御老中御渡有之其節御留守居江
　　　　御時服《割書：二｜》拝領被　仰付
　　　　　　為端午之祝詞帷子単物袷数十到来
　　　　　　喜思召候猶酒井雅楽頭可述候也
　　　　　　　　五月三日御黒印
　　　　　　　　　　　　　越前侍従とのへ
　　　　　　但右御献上ニ付而之　御内書以後同様ニ付不記之

　　一　六月廿一日御帰国御礼御使者狛木工之允《割書：貞｜澄》　御城江罷出候処
　　　　御返書御渡有之其節木工之允江御帷子御単御羽織拝領
　　　　被　仰付
　　一　同日　御帰国ニ付　御先代之通
　　　　女院御所御機嫌為御伺御使者加藤牛兵衛《割書：重｜之》京都江被指出之
　　　　奉書紙十束鯖三十刺被献之牛兵衛今日福井出立
　　一　同月廿二日去年十月京都仏師左京進《割書：康｜乗》江被　仰付候
　　　　大安院様御肖像御出来且於大安寺　御像堂御成就ニ付
　　　　今日　御安産御開眼御供養有之
　　一　同月廿三日暑中ニ付
　　　　公方様御機嫌為御伺江戸表江御使者被指出之御肴一種
　　　　被献之
　　　　　　但右御使者姓名并江戸着日等不詳七月七日御返書
　　　　　　御渡有之
　　一　同月廿八日右同断ニ付　御先代之通御書を以御国産索麺千把
　　　　御肴一種被献之
　　一　同月廿九日端午御祝儀御献上ニ付而之　御内書御渡且又
　　　　御家来拝領物被　仰付候為御礼御老中江御書被指出之

　　　　　　但右御礼御書被指出候儀以後定例故不記之
　　一　七月朔日御帰国御礼御使者狛木工允《割書：貞｜澄》　御目見且拝領物
　　　　被　仰付候為御礼江戸表江御使者被指出之
　　　　　　但右御使者姓名并江戸着日不詳同月十二日御返書
　　　　　　　御渡有之
　　一　同日於浄光院昨晦日暁ゟ今朝迄　専光院様十七回御忌
　　　　御法事御執行有之
　　一　同月六日為御生見玉御祝儀御使者を以　御先代之通黄金
　　　　《割書：十｜両》被献之
　　一　同月九日右同断ニ付御披露済之御奉書於御老中宅被相
　　　　渡之
　　　　　　為生見玉之御祝儀黄金十両被献之候遂
　　　　　　披露候之処一段之御仕合候恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　　土屋但馬守
　　　　　　　　七月九日　　　　　　　　　数直書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　久世大和守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　広之書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　稲葉美濃守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正則書判
　　　　　　　　松平越前守殿
　　　　　　　　　但右御献上ニ付而之御奉書以後同様ニ付不記之

　　一　七月十三日御書を以御国産初鱈被献之
　　一　同月廿一日　高巌院様御一周忌ニ付
　　　　公方様御機嫌為御伺御使者水谷六郎左衛門《割書：勝｜乗》江戸表江被
　　　　指出之今日福井出立
　　　　　　但六郎左衛門江戸着日不詳右御奉書八月十八日於御老中宅御渡
　　　　　　　有之
　　一　同日鉄砲初而　御稽古長谷川八郎右衛門《割書：勝｜盛》御指南申上之
　　一　同月十三日弓初而　御稽古飯嶋新左衛門《割書：由｜因》御指南申上之
　　一　八月朔日為御祝儀御使者を以例之通御太刀馬代被献之
　　一　同日於浄光院去月廿六日ゟ今朝迄
　　　　隆芳院様三十三回御忌御法事御執行有之
　　一　同月二日御家老飯田主米《割書：安｜成》御役　御免被成ニ付御使芦田
　　　　図書《割書：吉｜賢》皆川多左衛門《割書：勝｜重》を以左之通被　仰出之
　　　　　　其方儀病者ニも有之其上於江戸渡辺
　　　　　　大隅殿阿部四郎五郎殿迄願申分も有之
　　　　　　間御役難勤可存間旁ニ而御免被成
　　一　同月十三日
　　

　　　　隆芳院様三十三かい回御忌ニ付　御逝去之節致殉死候者之
　　　　後斎藤民部《割書：定｜之》山内小太郎太田三弥《割書：申｜増》滝主計《割書：明｜矩》鈴木
　　　　多宮《割書：直｜賢》水野善左衛門《割書：勝｜満》山本源左衛門《割書：常｜澄》江御使荒川十右衛門《割書：直｜盛》を以
　　　　御香奠銀三枚宛被下之
　　　　昌親様ゟも御使小川治兵衛《割書：英｜中》を以銀壱枚宛被下之
　　一　八月十六日月次　御機嫌為御伺御使者日下部善大夫江戸表江
　　　　被指出之御肴一種被献之善大夫今日福井出立
　　　　　　但善大夫江戸着日不詳同月廿九日御返書御渡有之
　　一　同月廿七日於三ノ丸今日ゟ惣御足軽共鉄砲弓日中被　仰付
　　　　御小姓頭一人宛出席有之
　　一　九月四日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　　一　同月十二日清姫様為御迎酒井玄蕃《割書：元｜知》初京都江被指遣之
　　　　今日福井出立
　　　　　　但同月十六日京都着
　　一　同月廿六日　清姫様京都御発輿東海道通江戸表江被為趣
　　　　酒井玄蕃《割書：元｜知》其外物頭両人大御番士御徒等御供罷越
　　一　同月廿八日松平主馬《割書：正｜詮》倅庄兵衛《割書：正｜恒》千石ニ而被召出

　　　　　　但向後出仕日本多左兵衛次ニ着座可致且又
　　　　　　　御宮御仏殿江御参詣之節者可相詰旨被仰出
　　一　十月二日
　　　　昌親様来午年　御出府御時節御伺被成候処八月中御参府
　　　　被成候様被　仰出候ニ付
　　　　綱昌様ゟ御礼御書御老中江被指出之
　　一　同月十一日　清姫様江戸御屋敷江御着

　　一　同月十四日月次　御機嫌為御伺御使者冨永才右衛門　江戸表江
　　　　被指出之御肴一種被献之才右衛門今日福井出立
　　　　　　但才右衛門江戸着日不詳同月廿六日御返書御渡有之
　　一　同月十九日重陽御祝儀御献上ニ付而之　御内書於　御城
　　　　御渡有之御家来拝領物等如例
　　一　同月廿九日右同断ニ付為御礼江戸表江御書被指出之
　　　　　　但右御礼御書被指出候儀以後定例故不記之
　　一　十一月二日　　
　　　　法皇御所　女院御所御移徙《割書：十一｜日》ニ付為御祝儀御使者
　　　　御使番松原五兵衛　京都江被指出之

　　　　法皇御所江奉書紙二十束二種一荷
　　　　女院御所江銀二十枚二種一荷被献之五兵衛今日福井出立
　　　　　　但五兵衛京都着日等不詳
　　一　十一月三日　備中守《割書：直｜堅》様御登　城罷成候処御蔵米一万俵宛
　　　　可被下旨　仰出
　　一　同月八日飯田主米《割書：安｜成》御暇被下置候様芦田図書《割書：吉｜賢》を以相願候処
　　　　末子亀太郎江五百石可被下間知行所之内何方ニ成共可致
　　　　蟄居旨被　仰出候得共御請不致夜中屋敷を明孝顕寺江
　　　　立退同十日上方江罷越
　　一　同月十五日　備中守《割書：直｜堅》様江御蔵米可被下旨被　仰出候為御礼
　　　　御使者成田吉左衛門　江戸表江被指出之御肴一種被献之吉左衛門
　　　　福井出立
　　　　　　但吉左衛門江戸着日等不詳同月廿九日御返書御渡有之
　　一　十二月七日本多左兵衛《割書：道｜重》御家老職被　仰付御充行千石御増被下
　　　　《割書：寛文五巳年｜千石ニ而被召出》
　　一　同日　公辺ゟ被　仰出有之候儀ニ付左之通御書被指出之
　　　　　　一筆令啓達候然者当国吉崎山旧跡

　　　　　　之儀依為要害之地破却可仕之旨被
　　　　　　仰出之趣得其意候則申付事候恐惶謹言
　　　　　　　　十二月七日
　　　　　　　　小笠原山城守様
　　　　　　　　太田摂津守様
　　　　　　　　板倉石見守様
　　一　十二月十六日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈
　　　　被献之
　　一　同日寒中ニ付
　　　　公方様御機嫌為御伺御使者三沢甚右衛門《割書：富｜久》江戸表江被指出之
　　　　御肴一種被献之甚右衛門今日福井出立
　　　　　　但甚右衛門江戸着日不詳同月廿九日御返書御渡有之
　　一　同月廿一日為追鳥狩
　　　　昌親様と御同道ニ而足羽郡蟇目山江　御出被成御家中五十歳
　　　　以下十五歳以上之面々被召連
　　一　同月廿三日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：二｜番》生鱈被献之
　　一　同月廿七日

　　　　昌親様　御鷹之鶴御拝領ニ付為御礼御老中江御書被
　　　　指出之
　　一　閏十二月二十七日為歳暮御祝儀御使者を以例之通御小袖
　　　　被献之

家譜


【表紙】
【題箋】

　家譜　《割書：吉邦公》《割書：従宝永七年七月五日｜到正徳元年十二月》二十八


　【見返し】

　【左丁】

　吉邦様《割書：従宝永七年庚寅七月五日｜至正徳元年辛卯十二月》


　【右丁・白紙】

　【左丁】
宝永七年庚寅

　一七月五日志摩守《割書：直｜丘》様御同道ニ而御登城被成候処於御白書院縁頬
　　御老中列座
　　吉品様御頼之通御隠居御家督無御相違被仰出候旨御用
　　番本多伯耆守《割書：正｜永》殿御達有之　御退出直ニ霊岸島御屋敷江被為
　　入右之趣
　　吉品様江被仰上　夫ゟ為御礼御老中御側御用人若年寄中江


　　御廻勤
　一同日右同断ニ付御使岡部又次郎《割書：起｜平》道中七日振御国許江
　　被遣之
　一同日巡見使島田藤十郎殿高井作右衛門殿筧助兵衛殿福井江
　　御越ニ付松本新町迄御家老狛舎人《割書：澄｜孝》本多四郎右衛門《割書：恒｜久》罷出御泊宿
　　江
　　御使者寄合松原八左衛門《割書：嘉｜雄》佐野又太郎《割書：影｜貞》高田小左衛門《割書：一｜章》被指遣其
　　節
　　鯉一喉宛被遣之候得共御受納無之
　　　但御泊宿江本多孫太郎并舎人四郎右衛門為御見廻罷越　翌日
　　　　六日御出立之節も三橋口迄四郎右衛門罷出

　一七月六日御用番本多伯耆守《割書：正｜永》殿江御逢對御勤
　一同日為御生見玉御祝儀御使者御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》を以
　　御先代之通黄金十両被献之　御城柳之間江御用番本多
　　伯耆守殿《割書：正｜永》殿出座御奏者番石川近江守《割書：総｜茂》殿江指上之
　　　　但右御献上之儀御家督御礼以前ニ付伯耆守江御留守居
　　　　　罷出相伺候処御献上被成候様御指図ニ付被献之
　一同月七日御家督後節句初而御登城
　　　　但右御登城之儀御家督御礼以前ニ付御用番本多
　　　　　伯耆守殿江御留守居罷出相伺候処御登城被成可然旨









　　　　　　御指図有之
　一七月十一日御精進揚ニ付御使者を以鮮鯛《割書：二》一折被献之《割書：御老中江｜御調之上》
　　右御披露済之捻御奉書御用番本多伯耆守《割書：正｜永》殿ゟ来
　　　　　　　　上書
　　　　　　　　　松平大炊頭殿　　　　　正永
　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　本多伯耆守

　　　　　　　　　御肴一種被献之候遂披露候処
　　　　　　　　　一段之御仕合候　恐々謹言

　　　　　　　　　　七月十一日　　　　　正永書判
　　　右ニ付御請捻御書御使者を以被指出之
　　　　但右御献上ニ付捻御奉書来并御請捻御書被指出候儀
　　　　　以後定例故不記之
　一同月十三日江戸表ゟ之御使岡部又次郎《割書：起｜平》昨十二日福井江着
　　ニ付御家督之儀於御本丸諸士江御家老申渡之
　一同月十五日今度御代替ニ付町在江左之通御用金被
　　仰出
　　　　　　一金五千両　　　渥美新右衛門支配下
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　福井町









　　　　　　　　　　　　　　水野善左衛門支配下
　　　　　　　　　　　　　　　　　　川北領
　　　　　　　　　　　　　　武曾権左衛門支配下
　一金弐千五百両宛　　　　　　　　　　下領
　　　　　　　　　　　　　　周防猪左衛門支配下
　　　　　　　　　　　　　　　　　　上領
　　　　　　　　　　　　　　本多孫太郎在所
　　　　　　　　　　　　　　　　　　府中
　一七月十八日御精進揚ニ付御使者御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》を以
　　串海鼠一箱被献之
　一同日御用番本多伯耆守《割書：正｜永》殿ゟ御呼出御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》
　　罷出候処御家督御礼之節御献上物并御隠居御礼之節
　　御献上物之儀御伺之通御献上可被成旨御指図有之


　　　但先達而加賀爪次郎右衛門殿を以御伺被成候得共月日不詳
　一同日御用番本多伯耆守《割書：正｜永》殿ゟ御呼出御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》罷
　　　出候処御家督御礼之節御先規之如ク御家来八人
　　御目見被仰付其節献上物前々之通可指上旨被仰聞
　　　但右ニ付翌十九日御家来八人名元并献上物之書付伯耆守殿江
　　　　御留守居大関新五左衛門持参指出之
　一同月廿日折井淡路守《割書：正｜辰》殿ゟ今度御家督ニ付明細書被
　　指出候様被申越候ニ付左之通御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》を以
　　淡路守殿江被指出之









　　　　　　　　本国参河　養父松平兵部大輔　実父松平中務大輔
　　　　　　　　　
　　　一高弐拾五万石　越前国　従四位下侍従　松平大炊頭
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　寅二十九歳
　　　　　　　　生国武蔵
　　　　　　宝永七年七月　　　　　居城
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　越前国福井

　一七月廿一日御精進揚ニ付御使者御留守居村上三太夫《割書：正｜峯》を以
　　鮮鯛《割書：三》一折被献之
　一同日切支丹類族良覚院妻今度致離別候ニ付良覚院儀
　　類族離候　御証文御目付河津善太夫《割書：崇｜祐》を以今日大目付横田
　　備中守《割書：由｜松》殿柳沢八郎右衛門《割書：信｜尹》殿江被指出之
　一同月廿四日今朝御用番本多伯耆守《割書：正｜永》殿江御留守居村上三太夫《割書：正｜峯》
　　罷出今度御目見之御家来到着之趣且献上物之書付
　　持参指出候処御受取被成今晩罷出候様御指図ニ付三太夫再罷
　　出候処御家来献上物先規之通指上候様先日及指図候
　　得共御献上物も御先例ヨリ減候儀ニ候得者献上物之内時服一ツ
　　減候様御附紙を以御指図有之
　一同月廿五日御精進揚ニ付御使者御留守居村上三太夫《割書：正｜峯》を以
　　生干鯛一箱被献之
　　　　但右御精進揚御献上之儀毎月十一日十五日十八日廿一日

　　　〇
　　　生ノ字ハ衍字
　　　　ナラン












　


　　　　廿五日御在府年定例故以後不記之
　一同日《割書：六時｜前》御用番本多伯耆守《割書：正｜永》殿江御出被成御序次第御家督
　　御礼被仰上度段御案内被仰入
　一同月廿七日御用番本多伯耆守《割書：正｜永》殿ゟ左之通御老中連名之
　　御切紙来且又其節御家来八人可被召連旨申来
　　　　明廿八日五時過登城家督之
　　　　御礼可被申上候　以上
　　　　　　七月廿七日　　　　井上河内守
　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守

　　　　　　　　　　　　　　　本多伯耆守
　　　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　松平大炊頭殿
　一同月廿八日五時御登城　御家督之御礼被仰上
　　公方様江御太刀一腰《割書：守重代｜金五枚》御時服五十《割書：十之内二宛｜御袷入紅裏》黄金五十枚御献
　　上　畢而御家来本多孫太郎《割書：長｜員》御太刀銀馬代時服《割書：四》酒井
　　典膳《割書：知｜房》御太刀銀馬代時服《割書：二》稲葉多門《割書：正｜方》芦田右衛門《割書：賢｜詮》本多
　　次郎太夫《割書：成｜広》松平庄右衛門《割書：正｜村》杉田平馬《割書：三｜治》荻野孫右衛門《割書：政｜封》御太刀銀馬
　　代献上
　　御目見被仰付　相済右為御礼御老中御側御用人若年寄








　　中江御廻勤直ニ鳥越御屋敷江被為入再
　　吉品様御隠居之御礼相済候御礼為御名代御老中
　　御側御用人御廻勤
　　　　但御目見之為御礼孫太郎初御老中御側御用人
　　　　　若年寄中廻勤
　一同日右同断ニ付御使者を以御台様江縮緬二十巻白銀
　　五十枚被指上之
　一同日右同断ニ付京都所司代松平紀伊守《割書：信｜庸》殿江御書被遣之
　一同日右同断ニ付御家老御城代江御書被成

　一七月廿九日右同断ニ付東叡山江御参詣御宮江御太刀
　　馬代《割書：銀五｜枚》被献之
　　大猷院様厳有院様常憲院様御霊前江同五枚宛
　　被献之
　一七月晦日右同断ニ付増上寺江御参詣　御仏殿江御太刀
　　馬代《割書：銀五｜枚》被献之
　一同日
　　吉品様御国許江御暇之御願書左之通今朝志摩守《割書：直｜丘》様
　　を以《割書：加賀爪次郎右衛門殿｜御同道》御用番本多伯耆守《割書：正｜永》殿江御指出被成候処


　　御請取有之
　　　　　同氏兵部大輔足痛其上持病茂在之ニ付先
　　　　　頃願之通隠居被仰付難有仕合奉存候　就夫
　　　　　在所江罷越緩々養生仕度奉存候由申候不苦
　　　　　思召候ハヽ御暇之儀奉願候　何分ニも可然様御執
　　　　　成奉頼候　以上
　　　　　　　七月晦日　　　　　　松平大炊頭

　　　　　　　　本多伯耆守様


　一八月朔日為御祝儀御登城　御先代之通御太刀一腰
　　御馬代《割書：黄金｜十両》御献上御礼被仰上
　一八月五日今朝御部屋ゟ御表江御移替有之　右為御祝
　　儀御家老初江御料理被下之
　一八月六日御登城被成候処《割書：昨五日御用番井上｜河内守殿ゟ御切紙来》御老中列座
　　先達而御願之通
　　吉品様御国許江之御暇被仰出御羽織《割書：五》御拝領被
　　仰出候段御達有之　右為御礼御老中御側御用人若年
　　寄中江御廻勤御側衆江御使者被指出之　夫ゟ鳥越


　　御屋敷江被為入御暇之趣被仰上　再
　　吉品様之為御名代御老中御側御用人江
　　御廻勤
　一同日右同断ニ付京都所司代松平紀伊守《割書：信｜庸》殿江
　　御書被遣之
　　　　但御願済又者御拝領物等有之御老中江御
　　　　　礼勤之節者其度毎御書被指出候儀定
　　　　　例故以後不記之
　一同日土屋相模守《割書：政｜直》殿鳥越御屋敷江御出ニ付


　　吉邦様御出御逢被成
　一八月七日今度
　　吉品様江御暇被仰出候為御礼御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿江御勤
　一同月九日
　　吉品様御発駕ニ付為御見立鳥越御屋敷江御出被成
　一同月十二日御老中秋元但馬守《割書：喬｜知》殿江御逢對御勤
　一同月十九日竹姫君様有栖川正仁親王江御縁組被仰出候
　　為御歓御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿御側御用人間部越前守《割書：詮｜房》殿江
　　御勤


　一八月廿日地震ニ付御機嫌為御伺御用番江御使者被指出之
　一同月廿三日御徒水野源六召仕之小者先達而致駈落候処今日
　　霊巌島御屋敷裏御門前橋之下ニ致自害罷在候ニ付町奉行
　　丹羽遠江守《割書：長｜守》殿江御留守居堀十兵衛《割書：久
律》罷出左之通相達之
　　　　霊巌島屋敷裏御門前之入川通橋下ニ壱人致
　　　　自滅罷在候者有之候　未死切不申立ニ御座候
　　　　因茲様子見分為致候処此方家中ニ召仕候
　　　　小者去頃駈落仕候者ニ而御座候　為御届罷出候
　　　　御指図次第屋敷江引取可申候其為致参上候　以上
　　　　　　　　　　　　　　　松平大炊頭留守居
　　　　八月廿二日　　　　　　　　　堀十兵衛


　　右指出候処於遠江守殿左之通返答有之
　　　　委細被仰聞趣致承知候彼者之儀町方ゟ致
　　　　支配候様可申付候間御構被成候ニ及不申候　然共
　　　　御屋敷ゟ駈落仕候者ニ候間思召次第相渡
　　　　可申候　其段追而可被仰聞候由
　一同月廿六日将軍宣下為御祝儀来月廿日迄御老中
　　御招請被成度旨向井将監《割書：正｜盛》殿を以御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿江


　　被仰入
　一八月二十八日御城代酒井与惣兵衛《割書：元｜陳》当夏ゟ不快ニ付御尋之
　　御書被下之　御徒飛脚《割書：高田｜玉三郎》を以御国表江相廻之
　一閏八月朔日御老中井上河内守《割書：正｜岑》殿ゟ御呼出御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》
　　罷出候処先日御達有之候御老中御招請之儀被申談候処
　　十月廿日過可被参旨且又日限之儀者其以前御聞合被成候様
　　被申聞之
　一同月五日御代替ニ付御関所女通手形御家老判鑑引替
　　ニ付上州碓氷内藤山城守《割書：政｜森》殿遠州荒井牧野大学《割書：■｜安》殿信州福島


　　山村甚兵衛殿江左之通判鑑指遣之


　　　　　　《割書：上州碓氷》
　　　　　　　御関所　判鑑
　　　　　　　　　　　松平大炊頭内
　　　　　　　　　　　　本多孫太郎　　《割書：印判》書判
　　　　　　　　　　　　酒井典膳　　　《割書：印判》書判
　　　　　　　　　　　　狛　舎人　　　《割書：印判》書判
　　　　　　　　　　　　本多四郎右衛門《割書：印判》書判
　　　　　　　　　　　　稲葉多門　　　《割書：印判》書判
　　
　　　　　　　右之内在所罷在者以判形御通









　　　　　　　可被下候　以上

　　　　　　　　宝永七年
　　　　　　　　　寅閏八月五日
　　　　　　　　但右御関所是迄上州横川与相認候得共於江戸
　　　　　　　　　表御伺之上此度ゟ碓氷与認ニ相成
　　　　　　　　一荒井福島共文面同様ニ付不記之且又
　　　　　　　　　御家老相替候歟又者改名之度毎引
　　　　　　　　　替有之候得共以後不記之


　一閏八月十五日

　　
　　吉品様御帰国御礼使者松原八左衛門《割書：嘉｜雄》御目見被
　　仰付候　為御礼御老中御側御用人江御廻勤
　一同月廿四日御老中連名之御切紙を以浅草御蔵火之
　　御番被仰出
　　　　　　浅草御蔵火之番被仰付候間被得
　　　　　　其意可有勤仕候　以上
　　　　　　　　閏八月廿四日　　　井上河内守
　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　本多伯耆守


　　　　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　
　　　　　　　　松平大炊頭殿

　一八月廿六日右同断ニ付為御礼御用番秋元但馬守《割書：喬｜知》殿江
　　御勤
　一同日浅草御蔵近所出火ニ付御出馬被成
　一同日智高院様御合力金是迄百両之処当年ゟ二百両
　　可被進旨被仰出

　一同月廿七日御用番秋元但馬守《割書：喬｜知》殿江御出浅草御蔵火之
　　御番被仰出候御礼被仰述
　　　　但先達而御逢不被成候ニ付再御出被成
　一九月三日為重陽御祝儀御先代之通御使者御留守居村上
　　三太夫《割書：政｜峯》を以
　　公方様江御小袖五被献之　御台様江銀十枚被指上之
　一同月四日浅草御蔵為御見分御出被成
　一同月十日昨九日御登城之節大目付中御書付を以
　　清陽院様《割書：甲府宰相《割書：綱｜重》様》御法事之節御予参之儀御達有之


　候ニ付大目付横田備中守《割書：由｜松》殿江左之通御届書被指遣之
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松平大炊頭
　　　　　　浅草御蔵火之御番故当十四日予
　　　　　　参相勤不申候　以上

　　　　　　　　九月十日
一九月十一日清陽院様御法事ニ付
　公方様江御御機嫌為御伺御使者を以御樽重一組被献之《割書：去七日｜御伺済》
　一同月十二日右同断ニ付
　　公方様御機嫌為御伺御用番大久保加賀守《割書：忠｜増》殿御側御用人


　　間部越前守《割書：詮｜房》殿江御勤
　一同月十四日
　　公方様増上寺江御参詣ニ付還御後御機嫌為御伺
　　御用番大久保加賀守《割書：忠｜増》殿江御使者被指出之
　　　　但還御後御機嫌御伺之儀以後定例故不記之
　一同月十五日清陽院様御法事ニ付御使者西尾仁左衛門《割書：宗｜輔》を以
　　増上寺本堂江御香奠銀十枚被供之
　一同月十六日今度御法事首尾能相済候ニ付惣出仕依之
　　御登城








　一九月廿五日去年之通御借米被仰付旨被仰出
　一十月三日
　　常憲院様三回御忌御法事ニ付
　　公方様江御機嫌為御伺御使者を以御樽重一組被献之《割書：去月四日｜御書付御渡》
　一同月五日右同断ニ付御機嫌為御伺御用番本多伯耆守《割書：正｜永》殿
　　御側御用人間部越前守《割書：詮｜房》殿江御勤
　一同月十日右同断ニ付於万福山御茶湯御執行有之
　一同月十一日右同断ニ付御使者西尾仁左衛門《割書：宗｜鋪》を以東叡山
　　中堂江御香奠銀十枚被献之《割書：去月四日｜御書付御渡》


　一同月廿六日御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》御城江罷出候処《割書：昨廿五日御老中秋元｜但馬守殿ゟ御切紙来》
　　重陽御祝儀御献上ニ付而之御内書御渡有之　其節
　　十兵衛江御時服拝領被仰付　十兵衛罷帰御内書指上之
　　於御座間御頂戴被成
　　　　　　為重陽之祝儀小袖五到来歓
　　　　　　思召候　委曲秋元但馬守可述候也
　　　　　　　九月七日　御黒印
　　　　　　　　　　　　　　福井侍従とのへ
　　　　　　　但右御献上ニ付而之御内書少将御拝任迄ハ










　　　　　　　　同様ニ付以後不記之
　一同日初而御内書御頂戴之為御礼御老中御側御用人江
　　御廻勤
　一十月廿七日御用番本多伯耆守《割書：正｜永》殿ゟ御呼出《割書：昨廿六日伯耆守殿用人ゟ｜御留守居迄手紙来》
　　堀十兵衛《割書：久｜律》罷出候処今度御即位之為御祝儀京都江献上
　　物之御書付御渡有之
　一同日御老中井上河内守《割書：正｜岑》殿大久保加賀守《割書：忠｜増》殿ゟ御呼出ニ付河内守殿江
　　御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》罷出候処将軍宣下御祝儀之御招請
　　来月六日御越可被成旨被申聞之　加賀守殿江御留守居大関


　　新左衛門《割書：直｜看》罷出候処御家督御祝儀之御招請十二月六日御出
　　可被成旨被申聞　右ニ付御礼即刻御両所江御勤残ル御老中江
　　御使者被指出之　若年寄中江御使者を以来月六日御老中
　　御招請ニ付其節御越被成候様被仰遣之
　一同月廿八日為御家督御祝儀十二月六日御老中御招請ニ付
　　其節御越被成候様御使者を以若年寄中江仰遣之
　一十一月三日竹姫君様江有栖川正仁親王ゟ御結納相済候
　　為御歓御用番并御側御用人江御使者被指出之《割書：昨二日｜御触達》
　一同月六日将軍宣下為御祝儀御招請ニ付御老中秋元







　但馬守《割書：喬｜知》本多伯耆守《割書：正｜永》殿大久保加賀守《割書：忠｜増》殿若年寄中御越
　御門外迄御留守居罷出御白洲江御家老初御役人共罷出
　其節御玄関薄縁迄御出迎御案内ニ而御書院江御通御長蚫
　出御奏者番初御役人中御揃之上御能初御料理出御盃事
　有之　畢而但馬守殿ゟ酒井典膳《割書：知｜房》萩野孫右衛門《割書：政｜封》仙石権右衛門《割書：高｜■》
　村上三太夫《割書：正｜峯》江御盃被下之　伯耆守殿ゟ稲葉多門《割書：正｜方》大谷助六《割書：重｜照》西尾
　仁左衛門《割書：宗｜鋪》堀十兵衛《割書：久｜律》江御盃被下之　加賀守殿ゟ高屋善右衛門《割書：長｜英》岡
　部
　又次郎《割書：起｜平》松平源太夫《割書：正｜好》大関新五左衛門《割書：直｜看》江御盃被下之　御先手加賀
　爪
　次郎右衛門《割書：信｜全》殿披露有之


　　　但右之節御給仕之面々長袴着用
　一十一月十四日今度琉球人来朝之節東叡山御仏殿江致参詣
　　候間御献上之銅灯篭御修復被成候様ニと執当中ゟ明静院迄
　　申来　右ニ付御修復被仰付
　一同月十八日琉球人御礼申上ニ付御登城《割書：御直｜衣》
　　　　但昨十七日御老中ゟ御切紙来
　一同月廿三日琉球人御暇被仰出登城ニ付御登城《割書：御直｜衣》　夫ゟ
　　右為御歓御用番并御側御用人江御使者被指出之
　一同月廿六日寒中ニ付御機嫌為御伺御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿江


　　御勤
　一同日右同断ニ付御使者御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》を以御先代之通御国
　　産《割書：一｜番》生鱈《割書：三》被献之
　一同日鉄砲御改之御証文左之通被指出之
　　　　拙者領分并御朱印地之寺社領共ニ鉄砲之儀
　　　　入念相改猥鉄砲打不申猟業且又畜
　　　　類防ニ事寄悪事仕間敷候段堅申付
　　　　置候　為其証文如斯御座候　以上


　　　　　宝永七庚寅年十一月廿六日　　松平大炊頭《割書：御印判》御書判

　　　　　　　仙石丹波守殿
　　　　　　　嶋田十兵衛殿
　　　　但右御証文毎年被指出候儀以後定例故不記之
　一同日
　　吉品様去十九日ゟ御食滞之気味被成御座候段御徒飛脚を以
　　御国表ゟ申来ニ付御様体為御見廻御使笹治主鈴《割書：高｜澄》道中
　　七日振御国許江被指遣之　今夜中江戸出立


　一十一月晦日初雪ニ付御機嫌為御伺御用番并御側御用人江
　　御使者被指出之
　　　　　　但右初雪御機嫌御伺之儀以後定例故不記之
　一十二月朔日寒中ニ付御使者御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》を以御国産
　　《割書：二｜番》生鱈《割書：三》被献之
　一同日暮時下谷筋出火ニ付御出馬被成
　一同月六日御家督為御祝儀御老中若年寄中初御役人中
　　御招請御饗応御囃子有之
　一同月十一日為歳暮御祝儀御先代之通御使者御留守居大関
　　

　　新五左衛門《割書：直｜看》を以
　　公方様江御小袖五被献之　御台様江御留守居堀十兵衛《割書：久｜律》を以
　　白銀十枚被指上之
　一同月十六日評定納ニ付御使御膳番を以評定所江御鷹之鴨《割書：二》
　　被下之
　　　　　但評定納之儀以後定例故不記之
　一同月十九日八半過柳原下元誓願寺前松平伊豆守《割書：信｜祝》殿中屋敷ゟ
　　出火之処北風強霊巌島御屋敷裏御長屋御馬屋等御類焼
　一同日晩浅草御蔵近所出火ニ付御出馬被成






　一十二月廿五日御用番本多伯耆守《割書：正｜永》殿江御留守居罷出候処《割書：昨日廿四日｜申来》
　　御判物御朱印之儀ニ付左之通御書付御渡有之
　　　　　　　　　覚
　　　　　一　万石以上之面々江領知之
　　　　　　　御判物御朱印被下付而安藤右京進松平
　　　　　　　備前守可相改旨被仰付候事
　　　　　一　御代々之御判物御朱印所持之面々者
　　　　　　　御判物御朱印ニ写を指添出之　右両人
　　　　　　　御本書拝見之上写を可留置候　勿論国郡
　　　　　　　


　　　　　　　郷村高辻注帳面可被指出之
　　　　　　　御朱印無之面々者領知之高国郡郷村
　　　　　　　委細書注両人江可被渡之事
　　　　　一　御加増拝領或取替之面々或
　　　　　　　御判物御朱印高之内領知分候面々者其
　　　　　　　旨趣具書注両人迄可被達之事
　　　　　右之外可被相伺儀者両人江可被承合候　以上
　　　　　　　　　　《割書：刁》　十二月
　一同日右同断ニ付左之通御届書被指出之


　　　　　　　　　覚
　　　　　　一　同氏中務大輔領知五万石私高之内
　　　　　　　　ニ而者無御座候　以上
　　　　　　　　　　十二月廿五日
　一十二月廿六日御用番秋元但馬守《割書：喬｜知》殿ゟ御呼出御留守居大関
　　新五左衛門《割書：直｜看》罷出候処今度火事之節御建物者御別条無之
　　候得共御長屋等御類焼之事ニ付浅草御蔵火之御番
　　御免被成候段被申聞之　右ニ付為御礼但馬守殿并間部
　　越前守《割書：詮｜房》殿本多中務大輔《割書：忠｜良》殿江御勤
　一同月廿八日為歳暮御祝儀御登城被成候処御居残ニ而来
　　年始御白書院御着座御相伴被仰付旨御用番秋元
　　但馬守《割書：喬｜知》殿御達有之　右為御礼御退出掛御老中御側
　　御用人江御廻勤
　一同月廿九日五時御用番秋元但馬守《割書：喬｜知》殿江御出御逢被成来
　　年始御着座被仰出候御礼被仰述夫ゟ御登城御礼被
　　仰上



【右丁・白紙】




【左丁】

正徳元年　辛卯　《割書：此年宝永八年｜四月廿五日改元》

　一正月朔日於御屋形年始御規式有之
　一同月為年始御祝儀御登城　於御白書院御着座御礼
　　被仰上　御太刀馬代《割書：黄金｜十両》御献上御盃御頂戴呉服御拝領
　　御退出掛御老中御側御用人江御廻勤
　　　　但御着座之御礼初而ニ付御廻勤
　一同日御帰殿後諸士之御礼被為請


　一正月三日為御謡初御祝儀御使者御留守居を以御先代之通
　　　御盃台《割書：鶴亀松竹｜金土器二》御酒代《割書：銀一｜枚》被献之
　一同日《割書：夜》於御屋形御謡初御祝儀有之
　　　　但御謡初之儀以後定例故不記之
　一同月四日年始三ケ日之御規式相済候　為御祝儀御老中御側御用人
　　若年寄中江御使者御留守居被指出之
　　　　但右御使者被指出候儀以後定例故不記之
　一同日右同断ニ付京都所司代松平紀伊之守《割書：信｜庸》殿江御書被指遣之
　　　　但右所司代御勤之儀以後定例故不記之
　一同月七日為御上初御使者御留守居村上三太夫《割書：正｜峯》を以鯛《割書：ニ》一折
　　被献之　右御披露済之捻御奉書御用番大久保加賀守《割書：忠｜増》殿ゟ来

　　　　　　　　　上書
　　　　　　　　　　松平大炊頭殿　　　　　　　忠増
　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　為若菜之御祝儀御肴一種被献之候
　　　　　　　　遂披露候処一段之御仕合候
　　　　　　　　恐々謹言
　　　　　　　　　　正月七日　　　忠増書判


　　　　　　　　　但右御献上ニ付而之捻御奉書以後定例故不記之
　一正月十一日於御座之間御具足之餅御披御祝儀有之御家老
　　御相伴被仰付御盃被下之　畢而於大広間諸士江御餅被下之
　一同月十二日
　　主上去朔日御元服ニ付為御祝儀惣出仕ニ付御登城《割書：去ル九日大目付中ゟ｜御廻状来》
　一同月十六日評定初ニ付御使御膳番を以評定所江御鷹之鴨《割書：二》被下之
　　　　但右評定初之儀以後定例故不記之
　一同月廿六日御即位御祝儀之御使者笹治尚膳《割書：正方　副使岩村｜伝右衛門》京着今日


　　伝奏庭田前大納言《割書：重｜條》殿并所司代松平紀伊守《割書：信｜庸》殿江御書指出之
　　　　但尚膳伝右衛門去廿二日御国表出立
　一二月朔日
　　公方様御年賀《割書：五｜十》ニ付御使者松原善左衛門《割書：矩｜成》を以根津住心院江
　　御祈禱御頼被成
　一同月三日於江戸表番頭其外末々迄左之通被仰出
　　　　　　　　　　覚
　　　　　　　当年御暇被仰出御帰国被遊候ハヽ御道中
　　　　　　　御供罷越面々供廻り等軽ク仕候様ニ与之









　　　　　　　思召候間兼而左様相心得可申候　右之趣可為
　　　　　　　申聞旨被仰出事候　以上
　　　　　　　　　二月三日
　　　　　　　　〆
　　　　　
　　　　　　　　　　覚
　　　　　　　前々ゟ御勝手不被為成候上去年
　　　　　　　大殿様御隠居御家督之御物入御祝儀之
　　　　　　　御振廻御能も度々有之其上火之御番も
　　　　　　　御勤旧臘御長屋御類焼旁御入用差つとひ
　　　　　　　御勝手ひしと不被為成候　就而者何も相渡候
　　　　　　　物も滞有之候困窮仕段被聞召段々相渡候様ニ
　　　　　　　被遊度由毎度被仰付候へ共不被任思召候　御簡
　　　　　　　略も被仰付少々宛も相渡候様ニ被仰出候間
　　　　　　　何も何とそ取続相勤候様ニと思召候　右之趣
　　　　　　　可申聞旨ニ候条面々左様可相心得候
　　　　　　　　　　二月三日
　一二月五日浄光院様《割書：常憲院様之｜御台様》三回御忌御法事ニ付
　　公方様江御機嫌為御伺為御樽重一組被献之《割書：六月晦日
｜御書付御渡》


　一二月七日於御家老狛舎人《割書：孝｜澄》宅御勝手御指支ニ付左之通
　　書付を以諸向江御家老申渡之
　　　　　　　御勝手ひしと指支御難儀ニ及候依之申談
　　　　　　　急度御簡略申渡候間面々被存其旨たとへ
　　　　　　　少分之御入用之儀ニ候とも被為入候迄ハ堅無
　　　　　　　用ニ可仕候　惣而御役儀ニ付御費と存寄之儀も候
　　　　　　　ハヽ此節御為之儀ニ候間無遠慮可被相達候　以上
　　　　　　　　　　二月七日　　　
　一同月十日浄光院様御法事ニ付御使者西尾仁左衛門《割書：宗｜鋪》を以　
　　

　　御香奠銀五枚被指上之　東叡山中堂江相納之
　一同日右同断御法事済惣出仕ニ付御登城《割書：去日｜御触達》
　一同月十一日於深川霊巌寺昨十日晩ゟ今朝迄
　　清浄院様十三回御忌御茶湯御執行有之於運正寺ニ
　　右同様御執行有之
　一同月十二日於江戸表御簡略之儀左之通被仰出
　　　　　　　　　　覚
　　　　　一御膳常御相伴弐人御朝夕御夕永共但不時御客
　　　　　　御相伴被遊時者御膳所ゟ一所ニ出ル筈


　　　　　一御書院不時御客うきふ御吸物御酒御肴一種
　　　　　一附床之間不時御客二汁五菜軽御料理御吸物
　　　　　　御肴一種御茶菓子御茶軽御干菓子
　　　　　一御同席ニ而御餅菓子出候時者うきふ御吸物
　　　　　　御酒御肴一種
　　　　　一御城御坊主一汁四菜軽キ御料理御酒御肴
　　　　　　一種但小谷最順石川意悦儀者附床不時御客之
　　　　　　御料理同事
　　　　　一常飯御賄此以後相止



　　　　　一 御旗本衆中之家来不時御賄御頼之節者
　　　　　　至其時一汁二菜ニ仕立可申事
　　　　　　　　二月十二日
　一二月十三日京都所司代松平紀伊守《割書：信｜庸》殿江同所御留守居本多
　　武兵衛《割書：武｜■》罷出候処《割書：昨十二日紀伊守殿｜用人ゟ申来》御献上物之御使者明後十五日
　　御官位順ニ相勤候様被申渡之
　一同月十五日御即位御元服之為御祝儀御使者笹治尚膳《割書：正｜方》
　　を以
　　禁裏御所江御太刀一腰御馬一疋《割書：代白銀｜二十枚》被献之長橋奏者所江


　　相納之　山口安房守《割書：直｜矩》殿御請取有之
　　仙洞御所江同十枚女院御所江白銀五枚被献之於御内
　　玄関相納之　新女院御所大准后御方江同五枚被献之
　一同日右同断ニ付伝奏高野前大納言《割書：保｜春》殿庭田前大納言《割書：重｜條》殿ゟ
　　左之通勅答有之
　　　　　　今度御即位御元服御祝儀指上　
　　　　　　御機嫌被思召候此段為申与之事候
　一同日当年御初入ニ付御帰国之節御先例之通府中本多
　　孫太郎《割書：長｜員》館江御立寄之儀先達而孫太郎ゟ御家老迄相願候ニ付


　　其段江戸表江御内意相伺候処此節惣而御簡略之折柄ニ付
　　御立寄被成間敷旨被仰出候ニ付其段御家老ゟ孫太郎江
　　相達之
　一同月十六日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿江御逢對御勤
　一同日去ル七日御簡略之儀諸向江申渡候趣御家老ゟ江戸表江
　　申上候ニ付左之通御書被成
　　　　　　　　一筆申遣候　然者勝手差支候付簡略之儀
　　　　　　　　各々申談家中之面々役人其外到末々迄
　　　　　　　　被申渡候趣委細相達尤之儀別而令満悦


　　　　　　　　事候　猶以諸事可然様取扱可被申候　為其如此候
　　　　　　　　恐々謹言
　　　　　　　　　二月十六日　　御名御判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　本多孫太郎殿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　狛　　舎人殿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　本多四郎右衛門殿
　一二月十八日御即位御元服相済候為御祝儀御太刀馬代
　　御献上ニ付伝奏ニ而左之通御返翰被相渡之
　　　　　　　　御即位御元服首尾能相済候為御祝儀


　　　　　　　　以使者御太刀馬代被献之　則令
　　　　　　　　奏達候処
　　　　　　　　叡感之御事候　謹言
　　　　　　　　　二月十八日　　　　　　保春
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　重條

　　　　　　　　　　松平大炊頭殿
　　　　　　　　　　　但尚膳等同月廿五日福井江帰着


　一同月十九日御即位相済候為御祝儀御使者御留守居を以
　　公方様江鯣一箱干鯛一箱御樽一荷被献之《割書：去月廿三日
｜御書付御渡》
　一二月廿一日今度御入国御入用金御不足ニ付町在江
　　左之通金子調達被仰付
　　　　　　　　　　　　　渥美新右衛門支配下
　　　　　千四百両　　　　　　　　福井町
　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　水野善左衛門支配下
　　　　　　　　　　　　　　　　川北領
　　　　　　　　　　　　　武曾権左衛門支配下
　　　　　七百両宛　　　　　　　下領
　　　　　　　　　　　　　周防猪左衛門支配下
　　　　　　　　　　　　　　　　上領

　　　　　〆三千五百両
　　　　但追而御返済可被成旨被仰出
　一二月廿二日御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿ゟ左之通御切紙来
　　　　歳暮之御内書可相渡候間明日


　　　　　　　五半時
　　　　　　　御城江家来可被差出候　以上
　　　　　　　　二月廿二日　　　　土屋相模守　

　　　　　　　　　松平大炊頭殿

　
　一同月廿三日右同断ニ付御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》御城江罷出


　　候処歳暮御祝儀御献上ニ付而之御内書御用番土屋相模守《割書：政｜直》殿
　　御渡有之　其節新五左衛門江御時服《割書：二》拝領被仰付新五左衛門罷帰
　　御内書指上之　於御座之間御頂戴被成

　　　　　　為歳暮之祝儀小袖到来歓思召候
　　　　　　委曲土屋相模守可述候也

　　　　　　　　十二月廿七日　御黒印
　　　　　　　　　　　　　　　　福井侍従との
　　　　　　　　但右御祝儀御献上ニ付而之御内書少将




　　　　　　　　御拝任迄ハ同様ニ付以後不記之　　　
　　　右御請御書相模守殿江御使者御使番を以被指出之
　　　　　但御先代ゟ御直勤被成候得共御同列方御調之上此度ゟ
　　　　　　右之通相成
　一同日御即位相済候為御祝儀御樽肴被献候ニ付而之捻
　　御奉書御老中井上河内守《割書：政｜岑》殿ゟ来

　　　　　　　上書
　　　　　　　　松平大炊頭殿　　　　正岑

　　　　　　　　　　　　　　裏書
　　　　　　　　　　　　　　　井上河内守


　　　　　　御即位相済候付而為御祝儀以使者
　　　　　　御樽肴被献之候　遂披露候処一段之
　　　　　　御仕合候　恐々謹言
　　　　　　　　二月廿三日　　　正岑書判
　　　　　　　　　但御祝儀事又者御機嫌御伺等ニ而御献上
　　　　　　　　　　物有之候節者度毎ニ捻御奉書出候得共
　　　　　　　　　　以後定例故不記之
　一三月七日今度竹屋宰相殿江戸表参向ニ付御使者御留守居
　　大関新五左衛門《割書：直｜看》を以御用番秋元但馬守《割書：喬｜知》殿江左之通御伺書


　　被指出候処御勝手次第可被成旨用人を以被申聞之
　　　　　　　今度従京都竹屋宰相殿下向被致候是者
　　　　　　　拙者妻為ニ実伯父ニ而御座候　依之逗留中宰相殿
　　　　　　　旅宿江見廻申度奉伺候　尤此方江も被参度旨
　　　　　　　被申候ハゝ妻方江も招申候様仕度候　右両品之儀
　　　　　　　相伺申候　御指図奉頼候　以上
　　　　　　　　　三月七日　　　　　　　松平大炊頭
　　　　　　　　　　但右御伺済之趣品川豊前守殿織田能登守殿江
　　　　　　　　　　　御使者を以御達有之


　 一三月十九日竹屋宰相殿去十六日御参着ニ付御旅宿江御見廻
　　被成
　一同月廿五日竹屋宰相殿御守殿江御越ニ付
　　吉邦様ニも御式台迄御出迎被成　夫ゟ御奥江御同道　御料
　　理《割書：三汁｜七菜》被進之　雑掌鵜飼内記御相伴被仰付
　一四月朔日御登城之節朝鮮人来朝之砌鳥越御屋敷辺通行
　　之儀も可有之候間御屋敷前御堀埋り候場所浚候而奇麗ニ
　　可被成旨嶋田佐渡守《割書：正｜信》殿御達有之
　一同月十二日上使御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿を以御国許江之


　　御暇被仰出白銀五百枚御袷五十御拝領　相模守殿御越之節
　　御門外木戸際迄御留守居罷出御玄関白洲江御家老御用人
　　罷出其節御門蹴込外迄御出迎御案内ニ而相模守殿御書院江
　　御通上意之趣御達有之　且又明十三日御登城被成其節
　　御家来一人可被召連旨御達有之　右御拝領物御頂戴
　　御長蚫御直ニ御居　畢而御料理《割書：三汁｜八菜》出《割書：■■故｜■■》御請被仰上　相済
　　夫ゟ相模守殿奥御居間江御通御菓子御吸物出暫御対話
　　ニ而相模守殿御帰其節最前御出迎之処迄御送被成　夫ゟ為
　　御礼御大老御老中御側御用人江御廻勤

　　
　一四月十三日御登城御暇之御礼被仰上　御馬一疋御拝領
　　畢而被召連候御家来酒井典膳《割書：知｜房》御目見被仰付退座
　　御時服拝領被仰付　相済夫ゟ右為御礼御大老御老中
　　御側御用人若年寄中江御廻勤
　一同月十五日御拝領之御馬《割書：栗毛｜五歳》御老中大久保加賀守《割書：忠｜増》殿ゟ
　　使者ニ而為牽来　其節御玄関江御出御家老酒井典膳《割書：知｜房》
　　御手綱指上之御頂戴　相済於渡之間右使者江御長蚫被下之
　　御返答有之
　一同月十六日御用番大久保加賀守《割書：忠｜増》殿江御逢對御勤











御


　一同日御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿ゟ御呼出御留守居村上三太夫《割書：正｜峯》
　　罷出候処朝鮮人来聘之節道中迄鞍置馬被指出候様左之通御書
　　付を以被申渡之
　　　　　　　　　　　　　　　　松平大炊頭
　　　　　　　　　　　　鞍置馬九疋
　　　　　　　　　　　　　但壱疋分
　　　　　　　　　　　　　　　　　　足軽壱人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　口付壱人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　轡籠持


　　　　　　　　　　　　　　　　　　長柄傘
　　　　　　　　　　　　　　　　　　絹合羽
　　　　　　　　　　　　　　　　　　合羽籠持
　　　　　　　　　　　　　　　　　　挑灯持
　　　　　　　　右当七月八月頃従朝鮮国信使来聘ニ
　　　　　　　　付而遠江国浜松ゟ伊豆国三島迄又帰
　　　　　　　　国之時三島ゟ浜松迄乗鞍馬出之可被
　　　　　　　　相送事
　　　　　　　一乗鞍馬御定之所江使者召連罷越御馳


　　　　　　　　　壱人并御代官江相達其以後宗対馬守馬割
　　　　　　　　　之役人江申談可任指図事
　　　　　　　　一信使到着之日限等委細本多弾正少弼
　　　　　　　　　仙石丹波萩原近江守江可被承合事
　　　　　　　　　　　以上
　　　　　　　　　　　　四月
　一四月十八日御老中秋元但馬守《割書：喬｜知》殿江御逢對御勤
　一同月十九日御老中阿部豊後守《割書：正｜喬》殿江御逢對御勤
　一同月廿二日
　

　　吉品様御病気御指起ニ付御国許ゟ之御使茂呂多右衛門《割書：勝｜■》
　　到着ニ付御病気為御見廻高屋善右衛門《割書：長｜英》御国許江被指遣之
　一同日明廿三日御発駕ニ付為御案内御大老御老中御側
　　御用人江御廻勤
　一同月廿三日江戸御発駕中山道通御旅行
　一同月廿六日御国許ゟ指立候《割書：去■｜二日》御徒飛脚《割書：水野｜彦太夫》信州追分駅
　　御泊江着
　　吉品様御病気御指重之趣御承知被成候ニ付御供勢
　　御減御道中御急被成



　一 四月廿七日御国許ゟ被指立候御腰物役桑山権兵衛《割書：重｜栄》於信
　　州
　　望月駅
　　吉品様御様体之趣申上候ニ付御医師為御願同駅ゟ御使者
　　御使番土屋十郎右衛門《割書：貴｜充》江戸表江被指遣之
　一同月廿九日右同断御使者土屋十郎右衛門《割書：貴｜充》昨廿八日江戸
着ニ付
　　中務大輔《割書：昌｜平》様志摩守《割書：直｜丘》様御相談之上御医師御願之御書付
　　御用番大久保加賀守《割書：忠｜増》殿江中務大輔様御持参御指出被成
　　《割書：向井将監殿｜御同道》
　一五月朔日御用番大久保加賀守《割書：忠｜増》殿ゟ御呼出　御留守居大関
　　新五左衛門《割書：直｜看》罷出候処御願之通御医師河野松庵老御国


　　許江被遣候旨被仰付候段被申聞之
　一同日御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿ゟ御呼出　御留守居罷出候処年
　　号正徳与改元被仰出候旨被申聞之
　一同月二日福井江御着毛矢通り御本丸江被為入　諸士子供迄
　　一同並居御目見有之　於御座間御長蚫御祝被成
　　《割書：本多孫太郎初御家老江御長蚫可被下処御急｜被成候ニ付■【御断？】御跡ニ而於韃靼之間自分頂戴之》　夫ゟ御裏通御泉水御屋
　　敷江御出
　　吉品様江御対顔御料理出《割書：二汁｜五菜》御盃事有之酒井典膳《割書：知｜房》
　　高屋善右衛門《割書：長｜英》御相伴被仰付























　　吉品様御寝間江被為入候御跡ニ而御附波々伯部小右衛門《割書：頼｜洪》初
　　詰合之
　　新番迄御長蚫御直ニ被下之　畢而御座所江被為入
　　　　　但吉品様ゟ被仰進候ニ付一旦御本丸江御着ニ相成
　一五月三日為端午御祝儀御先代之通御使者御留守居を以
　　御帷子御単被献之
　一同月四日御帰国為御礼御使者酒井宗右衛門江戸表被指出之
　　奉書紙三十束并昆布一箱干鯛一箱御樽一荷被献之
　　宗右衛門今日福井出立
　一同日右同断ニ付京都所司代松平紀伊守《割書：信｜庸》殿江御書被遣之


　　　　　但右御書之儀以後定例故不記之
　一同月五日
　　吉品様御江御病気御尋之御奉書御到来ニ付為御礼御使者
　　御先物頭栃屋半右衛門《割書：久｜豊》江戸表江被指出之　今日福井出立
　一同日
　　吉品様御病気二付
　　吉邦様ゟ伊勢両宮并城州石清水江為御代参御膳番
　　上月武右衛門《割書：景｜陸》被指遣之
　一同月七日御書を以御先代之通御国産初鯖被献之


　一五月十一日先達而年号改元被仰出候ニ付江戸表江御書被指出之
　一同月十三日御医師河野松庵老到着則刻御泉水江罷出候ニ付
　　為御待受御出被成松庵老診察相済御座所江御帰
　　被成
　一同月十四日右同断ニ付為御礼御使者寄合美濃部半七《割書：茂｜貞》
　　江戸表江被指出之
　一同日御泉水御屋敷江御出　河野松庵老御待請被成
　　吉品様御寝間江御同道　松庵老診察相済御座所江
　　御帰被成


　　　　但松庵老被罷出候度毎日々御泉水江御出被成候得共以後
　　　　　不記之
　一同月十七日
　　吉品様御病気御尋之御礼御使者御先物頭簗田太郎大夫《割書：為｜長》
　　御国許ゟ被指出候趣ニ而御用番江罷出御書指出之
　　　　　　但御国表ゟ栃屋半右衛門被指出候処道中ニ而致落馬痛所
　　　　　　　出来ニ付太郎大夫相勤之
　一同月廿五日御使者御金奉行蟹江十大夫《割書：茂｜斎》御国許ゟ被指出候趣
　　ニ而今日御用番江罷出河野松庵老御留被成度旨御願之







　　御書指出之
　　　　　但右之儀御届之御飛札ニ而宜旨松庵老被申候得共江戸
　　　　　　表ニ而中務大輔様志摩守様御指図ニ而右之通ニ相成
　一五月廿六日御老中井上河内守《割書：正｜岑》殿ゟ御呼出御使者蟹江十太夫《割書：茂｜斎》
　　罷出候処河野松庵老御指図留之儀御願之通被仰出候旨之
　　御奉書御渡有之　其節松庵老江之御奉書も一所ニ御渡有之
　一同月廿八日御帰国御礼御使者酒井宗右衛門　御城江罷出
　　御献上物相納之　畢而御目見被仰付　退去再罷出自分之
　　御礼申上御太刀銀馬代献上


　一同月晦日右同断御使者酒井宗右衛門御城江罷出候処
　　御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿御返書御渡其節宗右衛門江御時服拝領
　　被仰付
　一六月二日河野松庵老被罷帰度旨被申進候得共五日ゟ土用
　　ニ付暑中二三日之御様体診察御頼被成度ニ付暫御留被成
　　度旨江戸表江御書《割書：三日｜日付》被指出之
　一同月三日暑中ニ付御書を以御先代之通御国産索麵干鯛
　　被献之
　一同月六日河野松庵老明七日出立ニ付一乗町旅宿江御見廻








　　被成且又御使者を以銀三百枚昆布一箱鯣一箱御樽代千疋
　　被遣之
　一六月七日河野松庵老被罷帰候ニ付右為御礼芦田右衛門《割書：賢｜詮》江戸
　　表江被指出之御肴一種被献之　右衛門今日福井出立
　　　　　但右衛門同月廿一日江戸着廿三日御用番江御書指出之
　一同日暑中ニ付御機嫌為御伺御使者杉田段七江戸表江
　　被指出之　今日福井出立
　一同月九日御帰国御礼御使者酒井宗右衛門御目見且又
　　自分之御礼も被仰付候　為御礼御使者井原源兵衛《割書：頼｜智》江戸表江


　　被指出之　今日福井出立
　一同月十一日右同断御使者江御返書御渡之節拝領被仰付候
　　為御礼江戸表江御書被指出之
　　　　但右御礼御書被指出候儀以後定例故不記之
　一同月廿二日桂昌院様御法事之節
　　公方様御参詣有之候ニ付還御後　御機嫌為御伺江戸
　　表江御書被指出之
　　　　　但還御後渡御機嫌御伺之儀以後定例故不記之
　一同月廿五日端午御祝儀御献上ニ付而之御内書於御城

【十一日記事の下部に追記　但し画像不良】
　同月十一日右同断 御使者（◦◦◦）云々
　　右 御使者（◦◦◦）文体ゟ論スレハ無論井原ヲ指シタルニ相違ナカルヘシ果シテ■■
　　十一日二被指候事アルヘキ理ナシ万之ヲ廿一日ノ誤写トセンカ九日出立■■
　　■アリ是又理ニ合ハサルナリ或又此 御使者（◦◦◦）ヲ酒井トセンカ右文中■■
　　御目見御礼ノ為井原ヲ指出サレシナリ拝領物ノ為別ニ御書ヲ指出サル■■
　　■■■ス


　　御渡有之　其節御家来江御時服《割書：ニ》拝領被仰付
　　　　　　　為端午之祝儀帷子単物数五到
　　　　　　　来歓思召候　委曲大久保加賀守
　　　　　　　可述候也
　　　　　　　　　五月三日　御黒印
　　　　　　　　　　　　　　　　福井侍従殿
　　　　　　　　　　但御祝儀御献上ニ付而之御内書少将
　　　　　　　　　　　御拝任迄ハ同様ニ付以後不記之
　一七月六日為御生見玉御祝儀御使者を以例之通黄金被献之


　　右御披露済之御奉書於御老中宅被相渡之
　　　　　　為生見玉之御祝儀黄金十両被献之候
　　　　　　遂披露候処一段之御仕合候　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　七月六日　　　　　　　　　　　　正喬書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　井上河内守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正岑書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠増書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　喬知書判

　　　　　松平大炊頭殿





　


　　　　　　　　但右御祝儀御献上ニ付而之御奉書以後定例故
　　　　　　　　　不記之
　一同日端午之御内書御渡且御家来拝領物被仰付候為御礼
　　江戸表江御書被指出之
　　　　　但右御礼御書被指出候儀以後定例故不記之
　一七月十一日月次御機嫌為御伺江戸表江御書被指出之
　一同月廿九日梅姫様御着帯御祝儀有之
　一八月朔日為御祝儀御使者を以御太刀馬代《割書：黄金｜十両》被献之
　一同月二日先達而安藤右京亮《割書：信｜友》殿ゟ御国郷村帳写相添御奥書


　　御直判ニ而被指出候様申来候ニ付御書出ニ写相添御留守居
　　大関新五左衛門《割書：直｜看》持参今日右京亮殿江指出之
　　　　　　　但本紙之分同月十日被相返之
　一同月三日八朔御祝儀御献上ニ付而之御奉書於御老中宅
　　被相渡之
　　　　　　為八朔之御祝儀以使者御太刀一腰御馬代
　　　　　　黄金十両被献之候遂披露候之処一段之
　　　　　　御仕合候　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　八月三日　　　　正喬書判

　　　　　　　







　　　　　　　　　　　　　　　　井上河内守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正岑書判
　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠増書判
　　　　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　喬知書判

　　　　　　松平大炊頭殿
　　　　　　　但右御祝儀御献上ニ付而之御奉書以後定例故
　　　　　　　　不記之
　一八月十一日月次御機嫌為御伺江戸表江御書被指出之　御肴
　　一種被献之


　　　　　但御機嫌御伺之儀一度者御肴添一度者御書斗被指出
　　　　　　候儀御在国定例故以後不記之
　一同月十二日御袖留御着帯為御祝儀御使小栗九右衛門《割書：■｜■》
　　を以梅姫様江御小袖《割書：代銀｜十枚》并昆布一折干鯛一折御肴一折
　　御樽一荷被進之　九右衛門今日福井出立
　一同月十五日今度朝鮮人来聘ニ付道中迄鞍置馬被指出候ニ付
　　右為御用御先物頭国枝小一郎《割書：冥｜奥》大御番堀豊左衛門《割書：汎｜長》人馬引纏
　　今日福井出立
　一同月十六日御台様去六日浜御殿江被為入候ニ付御帰後

　　御機嫌為御伺御用番大久保加賀守《割書：忠｜増》殿迄御書被指出之
　一同日御用番大久保加賀守《割書：忠｜増》殿ゟ御呼出御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》
　　罷出候処左之通御書付被相渡之
　　　　　　　諸道巡検使言上之趣に就而国郡の治否悉く
　　　　　　　御聴ニ達る処ニ御料私領之間其善政特ニ
　　　　　　　著れ聞る所なく大抵風俗衰へ政事煩し
　　　　　　　く四民一ツに困窮に及ふ由被聞召
　　　　　　　御憂慮尤浅からさる所也　雖然
　　　　　　　御代始の日猶近く且ハ思召御旨有之に


　　　　　　　よりていまた御糺問の事あらす　自今
　　　　　　　以後御料の御役人国郡の諸領主凡大小の
　　　　　　　政事自ら懈る所なく四民各其生を遂
　　　　　　　しむへし　若他日に至りて旧弊猶改
　　　　　　　まる事なきにおゐては厳に其御沙汰を
　　　　　　　経らるへきよし被仰出者也
　　　　　　　　　正徳元年八月
　一九月朔日御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿ゟ御留守居御呼出ニ而
　　吉品様御病気御尋之御奉書御渡有之

　一九月二日
　　吉品様御病気次第御指重ニ付今日ゟ御泉水御屋敷江
　　朝夕両度宛御見舞被成
　一同月六日為重陽御祝儀御使者を以例之通御小袖被献之
　一同日
　　吉品様御病気御尋之御奉書御頂戴之為御礼御使者
　　荒川十右衛門《割書：貞｜■》江戸表江被指出之
　一同月七日
　　吉品様御病気御指重ニ付今日ゟ御泉水御屋敷江御詰被成
　　　


　　　　　但九日少々御快ニ付夜ニ入御座所江御帰被成
　一同月十二日
　　吉品様御逝去
　一同日右同断ニ付公辺江御達且御一門様方江為御知御使者
　　御側物頭大野三左衛門《割書：正｜■》御使番樋口小左衛門《割書：安｜隆》早駈ニ而江戸表江
　　被指遣之
　一同月十三日右同断ニ付為御使者留板取江御水主頭鈴木彦太夫《割書：長｜英》
　　二ツ屋江御長柄奉行三寺与右衛門《割書：信｜■》細呂木江杉形御鑓奉行
　　東郷三郎右衛門《割書：安｜貞》被遣之


　　　　但御三家御老中并井伊掃部守殿日光御門跡越後守様
　　　　　中務大輔様志摩守様清壽院様浄照院様智高院様
　　　　　御使者ハ相通其外者堅相断候様被仰付
　一九月十七日御葬送之儀ニ付
　　吉品様御遺言之趣運正寺江被仰付候得共御請不仕候ニ付
　　御家老酒井典膳《割書：知｜房》狛舎人《割書：孝｜澄》本多四郎右衛門《割書：恒｜久》被遣　御意之趣
　　被仰下候ニ付運正寺御請仕
　一同月十八日
　　吉品様御尊骸運正寺江御入棺御葬送之御式有之　夫ゟ


　　瑞源寺江御納棺御式有之　相済後之山江奉葬《割書：御法号｜探源寺様》
　　　　　但運正寺ニ而者奉称
　　　　　　探源院様
　一同月十九日霊巌島御屋敷江上使大御番頭高木主水正《割書：正｜陳》殿を以
　　御香奠銀三百枚御拝領中務大輔《割書：昌｜平》様御名代ニ而御頂戴
　一同日御用番井上河内守《割書：正｜岑》殿ゟ御呼出御留守居大関新五左衛門《割書：直｜看》罷出候処御朦
　　中御尋之御奉書御渡有之　右ニ付御徒飛脚《割書：柳下｜勝八》を以御国表江指上之
　一同月廿四日右同断御徒飛脚《割書：柳下｜勝八》福井着ニ付於御座所御奉書
　　御披見被成


　　　　　同氏兵部大輔卒去之儀及
　　　　　高聞候処可為愁傷被思召候此由
　　　　　可相達之旨依
　　　　　上意如斯候　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　九月十九日　　　　正喬書判
　　　　　　　　　　　　　井上河内守
　　　　　　　　　　　　　　　正岑書判
　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　忠増書判
　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　喬知書判


　　　　　　松平大炊頭殿

　一九月廿六日御香奠御拝領之為御礼御使者杉田平馬《割書：三｜治》江戸
　　表江被指出之　今日福井出立
　一同日御朦中御尋之為御礼御使者寄合恒岡安左衛門《割書：利｜喜》江戸
　　表江被指出之　今日福井出立
　一同月廿八日御座所ニ相詰候御供之侍中を初末々迄御出殿
　　無之日者詰御免被仰出候旨触頭永見波門《割書：成｜昭》并御手廻之面々江
　　岡部又次郎《割書：起｜平》相達之　末々《割書：御徒并押足軽御駕之者｜御草履取御小人》之儀者支配頭江同人









　　申渡之
　　　　但御小道具三人者是迄之通御草履取者二人之内一人相残
　　　　　候様申渡之
　一十月四日
　　吉品様為御追善御先代ゟ御勘気之者且者御構等被
　　仰付置候者共御赦免被仰出
　一同月十八日朝鮮人来朝御用ニ付被指出候御先物頭国枝小一郎《割書：冥｜奥》
　　大御番堀豊左衛門《割書：汎｜長》遠州浜松ゟ豆州三島迄相勤今日江戸御屋敷江
　　着ニ付右之趣御老中土屋相模守《割書：政｜直》殿并本多弾正少弼殿江御届
　

　　有之
　一同月十九日於御座所町奉行郡奉行江御家老酒井典膳《割書：知｜房》
　　左之通書付を以申渡之
　　　　　　　　　　　　　町奉行江
　　　　　　　町中商売之儀ニ付差支ル事あらハ其様子
　　　　　　　相考可申達事
　　　　　　　　但軽キ商売人迷惑不仕様ニ可致事
　一町人足猥ニつかひ不申様ニ遂吟味可申
　　付事


　　　　　　　十月十九日
　　　　　　　〆
　　　　　　　　　　　　　　　　金津奉行
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　江
　　　　　　　　　　　　　　　　郡奉行
　　　　　　人足多く猥ニつかひ不申候様ニ遂吟味可
　　　　　　申付事　たとえ御用之品差支候共百姓共
　　　　　　迷惑仕事候ハヽ其品可申達事
　　　　　　　十月十九日
　一十一月四日来辰年之御参勤御時節為御伺御使者大崎左大夫《割書：正｜友》


　　江戸表江被指出之　今日福井出立
　一同月五日御家中御借米御免之儀ニ付左之通御書付を以
　　被仰出
　　　　　　面々知行御擬作之内御借被成置難儀可仕与
　　　　　　御苦身ニ被遊候得共御不勝手之儀ニ候得共此節
　　　　　　不被任
　　　　　　思召候　依之何とそ先少分ニ而も御用捨被成
　　　　　　度旨ニ而当暮別紙之通被仰出候　以上
　　　　　　　　十一月五日
　　　　　　


　　　　　　　　　覚
　　　　一　地方取七百石以上壱ツ通前々上納有之内当年ハ
　　　　　　壱歩五厘通御免ニ而八歩五厘通上納
　　　　一　同江戸帰五歩通上納之内当年ハ七厘五毛通
　　　　　　御免ニ而四歩弐厘五毛通上納
　　　　一　同六百五拾石ゟ六百石迄壱ツ通上納之内当年ハ
　　　　　　弐歩通御免ニ而八歩通上納
　　　　一　御代官附五百五拾石ゟ三百五拾石迄七歩通上納之内
　　　　　　当年ハ弐歩通御免ニ而五歩通上納


　　　　一　同三百石ゟ百石迄七歩通上納之内当年ハ三歩通
　　　　　　御免ニ而四歩通上納
　　　　一　同江戸帰四歩六厘六毛通上納之内当年ハ弐歩通
　　　　　　御免ニ而弐歩六厘六毛通上納
　　　　一　同馬持五歩通上納之内弐歩通御免ニ而当年ハ
　　　　　　三歩通上納
　　　　一　同江戸帰弐歩五厘通上納之内壱歩通御免ニ而
　　　　　　当年ハ壱歩五厘通上納
　　　　一　御蔵出七歩通上納之内三歩通御免ニ而当年ハ


　　　　　　　四歩通上納
　　　　　一　役料高之内七歩通上納之分三歩通御免ニ而
　　　　　　　当年ハ四歩通上納
　　　　　一　御合力米取七歩通上納之内三歩通御免ニ而
　　　　　　　当年ハ四歩通上納
　　　　　一　御扶持方取七歩通上納之内三歩通御免ニ而
　　　　　　　当年ハ四歩通上納
　　　　　一　知行七拾五石以下并御切米取御扶持方取高
　　　　　　　百石ニ不及分ハ当年上納不残御免


　一十一月五日重陽御祝儀御献上ニ付而之御内書於御城御渡
　　有之　御家来拝領物等如例
　一同月十日向後万福山御宮御仏殿御参詣之節者表通ゟ
　　御参詣可被成旨被仰出


　一同月廿一日御家中江左之通御書付を以被仰出之
　　　　　　　　　　定
　　　　　一　家中供廻之事
　　　　　　　　面々格式ニかまひなく身上ニ応し随分軽く
　　　　　　　　召連高知たりと云とも御城下ニ而ハ或ハ乗

ゝ　　　　　　　　物或ハ乗馬一事を可用　但年若き者専馬
　　　　　　　　　上尤之事
　　　　　　　　附
　　　　　　　　　江戸表江御供之面々又ハ御使者等ニ罷越時分
　　　　　　　　　大身小身ともに人数分限より軽く可召連他
　　　　　　　　　国江御使者之節者身体相応ニ可召連事
　　　　　　一　屋作之事
　　　　　　　　　新敷作事軽き儀にても無用たるへし　但無
　　　　　　　　　拠儀者各別ニ候　破損あらハ修覆之致シ様
　　　　　　　　　見苦敷ハ不苦事
　　　　　　


　　　　　　一　着類之事
　　　　　　　　　高知之面々寄合格其並之番外迄ハ絹紬
　　　　　　　　　木綿を着し物頭使番迄ハ紬木綿を可着
　　　　　　　　　番組以下ニ至てハ年始礼日之出仕たりと
　　　　　　　　　いふとも木綿紙子之外着すへからす　古き
　　　　　　　　　小袖下着ニハ不苦帷子上下ハ当分有合ニ古き
　　　　　　　　　を可着といへとも此以後支度仕候ハヽ布木綿
　　　　　　　　　之外可為無用但拝領物ハ各別ニ候　江戸に
　　　　　　　　　おゐて御番御供御使者相勤節者御定に


　　　　　　　不及といへとも是又麁相なる小袖可用之候
　　　　　　　御国ニ而他所之使者等取扱仕者可為同前　隠居并
　　　　　　　医師之類勿論女の衣類ハ其品被不被仰出
　　　　　　　候得共身上ニ応し軽きを用可申事
　　　　　　附
　　　　　　　面々組支配□□并召仕之男女衣服右ニ応し
　　　　　　　麁服を着し候様ニ申付無油断可有吟味事
　　　　　一　振舞之事
　　　　　　　家督役儀等□祝を初一切停止たるへし
　　　　　　　親類縁者其外ともニ折々参会仕節は


　　　　　　　一汁一菜外ニ香の物酒三通之外出すへから
　　　　　　　す　吸物肴可為無用　夜会之節も可准之　尤
　　　　　　　酒宴者堅有之間敷事
　　　　　　附
　　　　　　　在江戸中何茂参会之儀猶以軽く他所ゟ
　　　　　　　得客候とも御定ニ応し軽可有饗応事
　　　　　一音物之事
　　　　　　　他所の取遣并医者師匠之方江礼物を遣之
　　　　　　　外ハ親類縁者たりといふとも祝儀愁事
　　　　　　　之音信を初無用ニ致すへし　但親子兄弟の


　　　　　　　かたへ軽き物相送り候儀者可為心次第事　
　　　　一　諸道具之事
　　　　　　　当分家事の闕さる物相求候儀一切可為
　　　　　　　無用事
　　　　一　婚礼之事
　　　　　　　前々御定有之候得共此以後諸事成次第
　　　　　　　軽く致し祝儀物舅聟の間斗取扱当日
　　　　　　　迄ニ相仕廻後日の振廻等も可為無用事
　　　　一　法事之事
　　　　　　　


　　　　　　　心さしまてニ軽く可致執行私宅にていと
　　　　　　　なみ候□□料理等御定の品に可任事
　　　　　　附
　　　　　　　香奠ハ忌を受候者并舅聟ハ心次第に仕
　　　　　　　其外者無用之事
　　　　一　奉加之事
　　　　　　　前々ゟ御停止候　猶以奉加ニ似より候事共ニ
　　　　　　　一切取扱致間敷事
　　　　　右追而御指図被仰出候迄ハ此趣堅可相守之　近年
　　　　　御家中上下とも勝手困窮難儀之段達


　　　　　　　御聴御苦身ニ被思召といへとも当時御手当難
　　　　　　　被成付今度旧記ニよつて右之條々新ニ被仰出候
　　　　　　　何とそ人々勝手取続き相応ニゆたかにあらし
　　　　　　　めんかため諸民に至るまて安□□□事を
　　　　　　　御思慮被遊によつて也　能々此旨を存知御定の
　　　　　　　外たる儀猶又面々覚悟を以他をかへりみす何分
　　　　　　　にも勝手次第此節致簡略取続御奉公可相勤候末々ニ
　　　　　　　至る迄是に准し可申付候　若おろそかに存し違
　　　　　　　背之輩於有之者被仰付品も可有候条面々


　　　　　　　被得其意急度可相守者也
　　　　　　　　〆

　　　　　　　　　　　　　　　　　　御目付江
　　　　　一　寄合其外夜廻之面々目付組之足軽一人宛
　　　　　　　御貸被成事
　　　　　一　御家中召仕之女肝煎宿之事
　　　　　　　右両様今度簡略被仰出ニ付先被相止事
　　　　　一　侍中娘姉妹又姪等御家中江奉公ニ差出候節
　　　　　　　目付中江相達筈之処此以後其儀ニ不及事
　　　　　　　　〆


　　　　　　　　　　　　　　　　　町奉行江
　　　　　　　一　御家中簡略之御定被仰出候町中にても
　　　　　　　　　其趣ニ准し奢かましき儀無之相慎家業
　　　　　　　　　不怠様ニ可申付事
　　　　　　　一　侍中江対し不礼之仕形無之様ニ可申付事
　　　　　　　　　　〆
　　　　　　　　　　　　　　　　　　郡奉行江
　　　　　　　一　御家中簡略之御定被仰出候在々にても
　　　　　　　　　其趣ニ准し少も奢たる儀無之家業専
　　　　　　　　　


　　　　　　　　　はけミ候様ニ可申付事
　　　　　　　一　侍中江対し不礼不仕様ニ可申付事
　　　　　　　　　　〆
　一　十一月廿二日於江戸梅姫様御安産《割書：御■始｜御□□》《割書：【御死胎御女子？】》
　一　同月廿三日朝鮮人登城首尾能相済候　為御祝儀御使者
　　　小栗与左衛門《割書：重｜英》江戸表江被指出之　今日福井出立
　一　同月廿五日御老中ゟ御呼出御参勤御時節御伺之御使者
　　　大崎左大夫《割書：正｜友》罷出候処左之通御奉書御渡有之
　　　　　　　　　御状令披見候


　　　　　　　　　公方様益御機嫌能被成御座恐悦之旨
　　　　　　　　　尤候　将又参勤時分之儀以使者被相伺
　　　　　　　　　之候　及
　　　　　　　　　上聞候処来年四月中可致参府旨被
　　　　　　　　　仰出候間可被存其趣候　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　　　　十一月廿五日　　　　　　正喬書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　井上河内守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正岑書判
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠増書判


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　喬知書判

　　　　　　　　　　松平大炊頭殿

　一　十一月廿八日御代初ニ付於御本丸左之通被仰出
　　　　　　　　　　　　條々
　　　　　　　一　公儀之御法度家之法式専可相守之事
　　　　　　　一　面々内外礼儀正鋪常々文道を嗜武芸を
　　　　　　　　　鍛錬し年若き者徒ニ有之間敷候　并家来


　　　　　　　　　　下々等憐憫を加へ可召仕事
　　　　　　　　一　町人百姓奢かましき儀無之家業不致油
　　　　　　　　　　断様ニ其奉行無断絶可申付　訴論之事
　　　　　　　　　　有之時者委細遂吟味下情を通し家老共江
　　　　　　　　　　相伺無私裁判致へし　惣而仁愛の心を以て
　　　　　　　　　　下をいたわり候様可有之事
　　　　　　　　一　惣役人其外之輩公私ニ付利心を指挟す万
　　　　　　　　　　事廉直ニ取扱ひ諸人心服仕様ニ可有之
　　　　　　　　　　且又役儀ニ付異見之節者可申達之　私之遠


　　　　　　　　　　慮を以て用を麁末に致へからす　尤為を存に
　　　　　　　　　　おゐてハ我慢の心有ましく候得共同役又ハ
　　　　　　　　　　其達者に無底意申談宜ニ可任候　其内下之
　　　　　　　　　　難儀を不顧儀ハ還而為にて有へからす候　其程
　　　　　　　　　　了簡を加ふへき事
　　　　　　　　　　　附
　　　　　　　　　　　　まいなひを受る事一分不慎のミに非す
　　　　　　　　　　　　畢竟用事の障たるうへハ可令禁止事
　　　　　　　　一　頭并役人たる者贔屓偏頗有へからす　他
　　　　　　　　　　人ハ不申及一類たりといふとも善悪あきら










　　　　　　　　　　かに其沙汰に及へし　すへて宜鋪を覆ひ悪
　　　　　　　　　　事を不達儀者同然之不届たるへき事
　　　　　　　　一　実義ありて忠孝を心掛候者其賞を可加
　　　　　　　　　　へつらゐを致し佞奸之仕形有之者勿論
　　　　　　　　　　制法を犯し不行跡之族軽重に随ひ急度
　　　　　　　　　　可所罪科　此段近習外様末々ニ至迄差別有
　　　　　　　　　　間敷候　たとひ勤方よろしきといふとも
　　　　　　　　　　不孝不埒之者立之間敷事
　　　　　　　　一　家督相続之上ハ家中并領分中不致困窮


　　　　　　　　　　様ニ申付儀
　　　　　　　　　　公儀江之忠義ニ候　然者当時資料不任心候　依
　　　　　　　　　　之
　　　　　　　　　　自身不断之上諸亊軽く万端夫ニ令准候　漸々
　　　　　　　　　　を以士民安泰なる様ニとの所為候　然者家中
　　　　　　　　　　之
　　　　　　　　　　輩其旨を存其身ハ不及申妻子以下迄堅為
　　　　　　　　　　致簡略過差なる儀無之様ニ相守候儀此節専
　　　　　　　　　　要之奉公たるへき事
　　　　　　　　　　　附
　　　　　　　　　　　　親類縁者其外共ニ相定軽き品にて
　　　　　　　　　　　　寄合之儀者可為各別候　折々交を





寄


　　　　　　　　　　　　致し何も可令和順事
　　　　　　　　　　右当家之法式者先代之條目載之畢
　　　　　　　　　　猶又此書付之趣面々可為心得者也
　　　　　　　　　　　正徳元年十一月日
　　　　　　　　　　　　　覚
　　　　　　　　　　面々《割書：番組ニ｜或ハ支配》不行跡成者有之候ハヽ一通りハ用捨も
　　　　　　　　　　可仕儀ニ候得共対役義事ニ候間同役遂相談
　　　　　　　　　　無遠慮月番之家老江可相達之旨先御代　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　被仰出候　然上ハ其身行跡宜敷御奉公年
　　　　　　　　　　


　　　　　　　　　　数をかさね相勤役儀等私なく情ニ入候者是
　　　　　　　　　　又吟味之上可相達旨思食候可被得其意候　以上
　一　同日本多孫太郎《割書：長｜員》初被下物且献上物之儀ニ付左之通被仰出
　　　　　　　　一　本多孫太郎始年頭之御太刀馬代之外差上
　　　　　　　　　　物無用之筈
　　　　　　　　　　　但孫太郎儀向後銀馬代ニ仕筈
　　　　　　　　一　御前様へ年始之御祝儀孫太郎御家老とも
　　　　　　　　　　御肴差上其外ハ無用之筈
　　　　　　　　　　右之外何事ニ不寄不時之指上物相止申筈


　　　　　一　只今迄相定り被拝領品々不寄何事相止申筈
　一　十二月二日梅姫様御安産ニ付為御祝儀御使武田宇左衛門
　　　を以梅姫様江昆布一箱干鯛一箱御樽一荷被進之宇左衛門
　　　今日福井出立
　一　同日伊藤宜斎《割書：道｜基》講談初而御聞被成
　一　同月三日寒中ニ付御機嫌為御伺御使者御使番千本長右衛門《割書：憲｜成》
　　　江戸表江被指出之御肴一種被献之　長右衛門今日福井出立
　一　同月五日御家中締之儀左之通御書付を以被仰出
　　　　　　　　　覚


　　　　　一　当番不参之面々其訳書付等指出ニ不及　或ハ
　　　　　　　番頭或ハ目付中江相達兼而御定之通過料
　　　　　　　可出之事
　　　　　一　侍中手前ニ介抱之姪従弟等之浪人女一向寺
　　　　　　　町在家江縁付候儀自分養娘ニ致し遣ニおゐ
　　　　　　　てハ願可申上事　無左候而者願ニ不及目付中江
　　　　　　　相断ニも不及事
　　　　　一　侍中末々之子又ハ弟等出家并医師之弟
　　　　　　　子ニ遣事御目見不仕分ハ願申上ニ不及


　　　　　　　目付中江者可相断事
　　　　　一　子共若出奔仕事候ハヽ乱心なと致し右之
　　　　　　　通ニ候哉相考可申達事
　　　　　一　御城下より五里内公領他領共日帰御暇取次
　　　　　　　を以願書付指出ニ不及　番外者月番之御家老江
　　　　　　　相断可罷越　番組之面々ハ番頭江相達得指
　　　　　　　図可罷越　於一宿仕者御領分たりといふとも
　　　　　　　前々之通書付を以月番之御家老江相伺
　　　　　　　可罷越事


　　　　　一　子共ハ番外番組共ニ御城下より五里外江
　　　　　　　罷越儀不及相窺候　何方ニ而も一宿仕儀ハ番外
　　　　　　　之子共ハ前々之通月番之御家老江相達番
　　　　　　　組之子共ハ番頭江相断可任差図事
　　　　　一　惣而日帰之分ハ目付中江相断ニ不及候　一宿之
　　　　　　　節者前後共ニ可相断事
　　　　　　　　　卯十二月五日
　　　　　一　医師中為療治遠方江罷越節日帰一宿共
　　　　　　　月番之御家老江自身罷越相断可罷越


　　　　　　　　取次を以願書付差出ニ不及候　医師之子共ハ
　　　　　　　　一宿二宿たりといふとも相断ニ不及勝手次第ニ
　　　　　　　　可罷越　尤医師中并子共日帰之分ハ目付中江
　　　　　　　　相断ニ不及　一宿之節者前後共ニ可相断事
　　　　　　　　　　　卯十二月五日
　一　十二月七日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：一｜番》生鱈被指立之
　一　同月十一日神田須田町ゟ出火霊巌島御屋敷御類焼
　一　同月十二日御用番大久保加賀守《割書：忠｜増》殿ゟ御呼出御留守居堀
　　　十兵衛《割書：久｜律》罷出候処御類焼御尋之宿継御奉書御渡有之　右ニ付


　　　御先物頭簗田太郎大夫《割書：為｜長》を以伝馬町問屋迄指遣之
　一　同月十三日霊巌島御屋敷御類焼之節梅姫様火除御土蔵江
　　　御披被成　夫ゟ相残候御茶屋ニ御仮住居之処今日鳥越御屋敷江
　　　御移被成
　一　同月十四日寒中ニ付御書を以例之通御国産《割書：二｜番》生鱈被指立之
　　　　　　　但両度之生鱈於江戸表御献上之儀不詳
　一　同月十六日御屋敷御類焼ニ付御尋之御奉書福井江着　於
　　　御座所御披見有之
　　　　　　　其方当地之居屋敷類火之段達

　
　　　　　　　上聞候之処奉書可相達旨依
　　　　　　　御諚以宿次如此候　恐々謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　阿部豊後守
　　　　　　　　十二月十二日　　　　正喬書判
　　　　　　　　　　　　　　　　井上河内守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　正岑書判
　　　　　　　　　　　　　　　　大久保加賀守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠増書判
　　　　　　　　　　　　　　　　秋元但馬守
　　　　　　　　　　　　　　　　　　喬知書判

　　　　　　　　松平大炊頭殿


　一　十二月十八日右同断ニ付為御礼御使者寄合松原角左衛門江戸
　　　表江被指出之　今日福井出立
　一　同月二十四日御屋敷御類焼ニ付御領分中江金子壱万両才覚
　　　被仰出候ニ付町奉行金津奉行郡奉行江左之通御家老申渡之
　　　　　　 　近年毎度御用金御才覚金被仰付候ニ付下々
　　　　　　　難義仕候段達
　　　　　　　御聞御苦身ニ被思召ニ付段々御簡略被
　　　　　　　仰付御取續被遊候　然処今度江戸表御屋敷
　　　　　　　類焼ニ付


　　　　　　　御参勤前鳥越御屋敷ニ御普請被仰付候
　　　　　　　右之御入用俄之儀ニ候得者御才覚可被遊趣　
　　　　　　　無之候　依之面々支配下ニ而別紙書付之通
　　　　　　　御才覚被仰付候　只今頃ケ様之御才覚被
　　　　　　　仰付候段
　　　　　　　上ニ茂御難儀至極ニ被思召候得共右之通可被遊
　　　　　　　様無之ニ付被仰付候　御返済之儀者年符ニ被成
　　　　　　　可被下置候間左様相心得末々江も右
　　　　　　　思召之段為申聞此節之儀ニ候間精出し
　　　　　　　


　　　　　　　指上候様可申聞候



　　【裏表紙】