【左丁】 【上段・大文字の讃】 直利(なおり) 家茂(いへも) 遊都足(ゆつたり) 仁茂優(ひともゆ) 都多理(つたり)      無斎越讃【讃者の号・不明】 【上段餅を捧げる男】 このたびは思ひがけない大がねをもふけました しかしゆりつぶれた所やるいせうした 人なぞはさぞこまるだろうからなんでもやすく うる心だそれでももふかるからしかたがない かねのなるをもつているこいつはわたくしのことで ござろうなむ地しん大明神〳〵ヲヤ 大きなこへをした地しん大明神 〳〵大金をもふけさし          給へ〳〵 【中段右からの言葉・人物は見えず】 ふさげとしたおかげたそうでねへと ながくうまひしるをすふこともならず  かうたくへひとばんいくこともできねへほど   さて又あんまりよくのふかひやうだか    此年が五百両にもなればよい        からどうふぞ守つてくだ              さいまし 【中段右・小判を両手に持つ男】 こまいかきのとま【以下欠落】 なせうばいでもコレ□【以下欠落】 とふりこばんをたくわへ【以下欠落】 もふけた所がありがてへ【以下欠落】   これからかるたくて【以下欠落】      ひやかしと出かけ           やせう 【中段・頭に手をやる手甲の男】 やねやのたけくぎをくつてもさつはり  うまくねへせかいであつたぶんには   どふもいそがしいからけつかう     だけれどそこもここも       いちどきだからイヤ        出来るとはいふものゝ         こばんでぶたれ          かとあり           がたひ            〳〵 【中段左・反物を捧げる男】 わつちらなどはぢしんたの火事だのせけんのさはぎて なくちやもふかりやせんこんなことがないとがきどうの ていそうだうまいさけでものむにや人のなき そうなものをかぶせてほるくらひのちへだ      なまづさんいゝくふうがあらば           おしへてくんな                 さいよ 【下段右・袋に手を入れている男】 こんどのちしんかねへと  くちかひあがる所た 【下段左・帳面を開く男】 どかたといつて人かいやしくいふされ共どかたで 道中がなるものかといつて道中の土は何も   ならねへな御とうちの土を壱升金一升といふ    所たとかたの子ゑんまの子といつしよに      いふけれとおいらアおくらだと        かのおやしきの御用にはよつほど          どしやがいるからするがのふじの            山をそつくりとりよせたら              せわがなくよかろう                こいつはなまつとのゝ                  ちからてなくちや                     いくめへて 【一枚の紙面の右半分】 《題:諸職(しよしよく)吾(ご)沢(たく)銭(せん)》 【上段・大文字の讃】 地震(じしん) 訶良(から) 革(あらため) 天(て) 尚(なを) 代賀(よが) 【中段左・左掌を開き右手を金箱に置いている男】 こんどのぢしんで山の土は大かた  きりだしたがまだ〳〵入用と   みへてちうもんがたくさんだ    から今山にできてある     ちいさい木をひとばんの       うちにたいぼくに         なるやうに守て          下さいま 【中段中・片肌脱ぎの男】 なんだかんだと いふが かいうんと いふのはこんどの ぢしんだこれから 大がねと取のだソレしゆつ   せのさかののぼりたちだ        えんさらほい        〳〵 【中段左・上を向き合掌する男】 わたしは とうしんをうるものたか 此ころはつちをかつぐ   のが大ぜにゝなる   そふだからかついでみますに  どふもおもくていけませんから 五人りきても十人りきにもなる やうにお守り下さいましそのかはり 一代なまづをたへませんからとふぞ       おねがひ〳〵〳〵 【下段右・鉢巻し袖をまくる男】 わつちらはひいきになるおとくひ様がおゝひからどうふもこんなに    いそがしいのではこまるからかくべつよくのふかい       ことはいゝやせんからとふぞ十人りきになる           やうに守つてくださいやし                 なまづさまたのみで                   ございます 【下段左・右手に小判を持ち腹に黄色い財布の男】 せけんではやたらになまづをわるくいふが    南無ぢしん大明神さまだまづ      こんなにかねもふけをさして           くださるさるはなまづ様の 【下段左からの言葉・人物なし】 ツイ どろ〴〵と やらかした ばかりてソレ 大きにさいはいだがあんまりよくのふかいことはいはねへから このさいふに十五六ばいかねがとれてほどのよいとくいの どつさりふへるやうに守つてくださいましそうなるとおまへの すきなとうなすのかばやきとかしろだまのうまにへひやうたんに    さけを入て上やすからどうぞ願のとふりかなへ給へ〳〵