【コマ3の右半分】 ◇◇大阪毎日新聞連載◇◇ 野に叫【ぶもの】 松竹蒲田撮影所超特作現代映畵 原作・・・・・佐藤紅綠 脚色・・・・・村上徳三郎 撮影・・・・・桑原昂 製作プロローグ  さきに麗人若者よなぜ泣くかの原作 者佐藤紅綠氏が東京日々新聞大阪毎日 新聞紙上に發表せる名作を蒲田の巨匠 島津保次郎監督が完壁の映畵化である  主演するもの蒲田のオールスター 鈴木・高田・岩田・藤野・及川・澤・若 水・山内・武田の大兢演變轉多き人生 の表裏を縦横に描破し社會争闘を綴り て蒲田空前の巨大篇とはなる 堂々たる出演者 鈴木傳明 髙田稔 岩田祐吉 蒲田空前オールスターキ【ヤスト】 武田春郎 山内光 石田良吉 岡田宗太郎 藤野秀夫 澤蘭子 及川道子 伊達里子 若水絹子 葛城文子 鈴木歌子 吉川滿子 高松榮子 松竹映畵主題歌 野に叫ぶもの サトウハチロー作詞 堀内敬三作曲 一、戀の望みを 投げすてゝ 霧にとけ行く わが姿 かすむ泪の 月の笠 弱いと強いは 紙一重 二、たつた六年 月なれど 變りはてたる ひとごころ むかしをかくす 目のマスク 弱いと強いは 紙一重 三、彈む手球が 男をば 投げてころがす 面白さ あとでわびしい しのび泣き 弱いと強いは 紙一重 四、金といふ宇と 戀の字と もしもこの世に ないならば どんなに樂だらう さびしかろ 弱いと強いは 紙一重 五、去り行く影を 引きとめて はなれたこゝろを 大正舘週報 ・・第三〇九號・・ 一九三一・・九・三〇・・ 發行所朝鮮京城櫻井町大正舘福崎濱之助 編輯兼發【行人中水友之助】 【コマ3の左半分】 ◇松竹獨占映畵化擭得◇ 【野に叫】ぶもの 愈々次週大公開 【蒲田空前オールスターキ】ヤスト 富士龍子 若水照子 浪花友子 高峰秀子 市川右太衛門プロ超特作 小石榮一入社第一回作品 市川右太衛門主演・大江美智子・・助演 十三番目の同志 つなぐのは まことの糸より 他にない 弱いと強いは 紙一重 1 ひとのこゝろが 變ろとまゝよ うたがひ始めりや きりがない よごれた涙は おいてきぼりよ さみしく笑つて 暮しませう 2 知らないふりして 知り過るのよ いつも横目で すまし顏 よごれた涙は おいてきぼりよ さみしく笑つて 暮しませう 3 過ぎた昔は 云わないことよ 昨日は忘れて 明日ばかり 汚れた涙はお おいてきぼりよ さみしく笑つて 暮しませう 4 戀ととびらを たゝくは誰よ 開けよかやめよか 一思案 よごれた涙は おいてきぼりよ さみしく笑つて 暮しませう 【編輯兼發】行人 中水友之助 印刷所 東亞出版印刷社 ◇◇大阪毎日新聞連載◇◇ ◇松竹獨占映畵化擭得◇ 野に叫ぶもの 愈々次週大公開 松竹蒲田撮影所超特作現代映畵 原作・・・・・佐藤紅綠 脚色・・・・・村上徳三郎 撮影・・・・・桑原昂 製作プロローグ  さきに麗人若者よなぜ泣くかの原作 者佐藤紅綠氏が東京日々新聞大阪毎日 新聞紙上に發表せる名作を蒲田の巨匠 島津保次郎監督が完壁の映畵化である  主演するもの蒲田のオールスター 鈴木・高田・岩田・藤野・及川・澤・若 水・山内・武田の大兢演變轉多き人生 の表裏を縦横に描破し社會争闘を綴り て蒲田空前の巨大篇とはなる 堂々たる出演者 鈴木傳明 髙田稔 岩田祐吉 蒲田空前オールスターキヤスト 武田春郎 山内光 石田良吉 岡田宗太郎 藤野秀夫 澤蘭子 及川道子 伊達里子 若水絹子 葛城文子 鈴木歌子 吉川滿子 高松榮子 富士龍子 若水照子 浪花友子 高峰秀子 市川右太衛門プロ超特作 小石榮一入社第一回作品 市川右太衛門主演・大江美智子・・助演 十三番目の同志 松竹映畵主題歌 野に叫ぶもの サトウハチロー作詞 堀内敬三作曲 一、戀の望みを 投げすてゝ 霧にとけ行く わが姿 かすむ泪の 月の笠 弱いと強いは 紙一重 二、たつた六年 月なれど 變りはてたる ひとごころ むかしをかくす 目のマスク 弱いと強いは 紙一重 三、彈む手球が 男をば 投げてころがす 面白さ あとでわびしい しのび泣き 弱いと強いは 紙一重 四、金といふ宇と 戀の字と もしもこの世に ないならば どんなに樂だらう さびしかろ 弱いと強いは 紙一重 五、去り行く影を 引きとめて はなれたこゝろを つなぐのは まことの糸より 他にない 弱いと強いは 紙一重 1 ひとのこゝろが 變ろとまゝよ うたがひ始めりや きりがない よごれた涙は おいてきぼりよ さみしく笑つて 暮しませう 2 知らないふりして 知り過るのよ いつも横目で すまし顏 よごれた涙は おいてきぼりよ さみしく笑つて 暮しませう 3 過ぎた昔は 云わないことよ 昨日は忘れて 明日ばかり 汚れた涙はお おいてきぼりよ さみしく笑つて 暮しませう 4 戀ととびらを たゝくは誰よ 開けよかやめよか 一思案 よごれた涙は おいてきぼりよ さみしく笑つて 暮しませう 大正舘週報 ・・第三〇九號・・ 一九三一・・九・三〇・・ 發行所朝鮮京城櫻井町大正舘福崎濱之助 編輯兼發行人 中水友之助 印刷所 東亞出版印刷社 松竹キネマ蒲田撮影所特作品 原作・・・・・菊池寛 脚色・・・・・小田喬 撮影・・・・・濵村義康 池田義信監督作品 婦人俱樂部誌上・・・・連載 松波貞子・・栗島すみ子   俳優木戸新一・・・山内光 妹淸子・・・田中絹代    女優花田静枝・・・谷崎龍子 父良平・・・武田春郎    聲樂家田川美枝子・龍田静枝 母保子・・・葛城文子    貞子の子類子・・・高峰秀子 幸田正二郎・齋藤達雄    或る夫・・・・・・鹿島俊策 須永七郎・・日守新一    その妻・・・・・・若葉信子 西脇安雄・・月田一郎    女學校の小使い・・水島喬太郎 撮影監督津田信次・西村靑兒 下宿の伜豊・・・・菅原秀雄 [梗槪] 松波家の令嬢貞子と淸子の姉妹は共に美しかつた。姉貞子は相愛の幸田正二郎へ 嫁ぐことになり、親達は娘のために贅を盡してやつたが、その裏面には別莊を手放すなど の苦腦があつた。富豪の妻として華やかな生活を送る貞子は夫の友人須永七郎と淸子を結 婚させようとしたが淸子は輕薄な須永を嫌つた。父松波良平の病死--女學校卒業後郊外 のさゝやかな家へ移つた淸子は、或日大學生の西脇と相識り。快活な西脇は淸子の眸から 離れなくなつたが、貞子は『少し貧弱ね』なんて云つた。二年程過ぎ、西脇と淸子は新家 庭を持つた。西脇夫婦の愼しい幸福にひきかへ貞子は類子の母となつてゐたに拘らず、貞 子の家庭は放縦糜爛、須永は貞子に幸田と聲樂家田川美枝子の情交あることを話した。其 後松田玉穂として日東キネマ入社第一回作品『南國の女』を作る女優こそ幸田の家を出た 貞子で、俳優の木戸とかなり深い關係になつてゐた。數年が過ぎた或日西脇の文化住宅に 意外な訪客、それはみすぼらしく變つた貞子だつた。西脇は放縦な過去の報ひとして貞子 に退去を強ひたが、女の心は女のみぞ知る、況んや姉妹なれば猶更に--幸田や美枝子と 争論し、嘆願し、説服して類子を取戻し、眞實の母性愛に甦つた貞子は西脇夫婦に迎へら れるのだつた。 主題歌『姉妹』 作詞 加藤げんじ 作曲 蒲田音樂部 (貞子) 花ならば牡丹鳥ならば 孔雀のやうに華やかに わたしは生きて行きたいの 戀も眞實も若い日の みんなはかないまぼろしよ 人はお金で生きるもの (淸子) いいえ姉さんわたしなら ひとすぢ燃ゆる愛の燈に かたくすがつて生きますわ たとへまづしい生活でも 愛する人と一緒なら なんの浮世の雨と風 (貞子) 昨日は東今日は西 追ふたのしみのみぢかくて のこる憂ひのこの長さ 昨日の虹はいまいづこ 茨のみちに行きくれて たびは淋しい妹よ (淸子) お歸りなさいお姉さま 荒野のはてに燈がとまる 可愛い坊やの待つ家へ この世は愛で生きるもの 涙を拭いて唄ひましよう よき母様の子守唄 掠奪よめご 松竹京都下加茂特作映畵 松竹笑人聯盟記念作品 二川文太郎入社第一回監督 『掠奪よめご』 原作・・・瀧澤英輔 脚色・・・紫之塚乙馬 撮影・・・杉山公平 ・主要役割・ 井住屋久左エ門・・・・小泉嘉輔 伜久太郎・・・・・・・吉谷久雄 神居志賀之亟・・・・・志賀靖郎 娘お仁浦小町のお露・・北原露子 海賊鬼五郎・・・・・・横尾泥海男 鯱のおたか・・・・・・千曲里子 伜宗五郎・・・・・・・風間宗六 ・ものがたり・ [略筋] むかし〳〵大昔、南の國の或る濱邊に 御仁村と云ふ處がありまして、ずつと神代には 鬼共の出沒したといふ、鬼女ケ島が沖にそびへ てゐて、いつの世からともなく、村人の間には 力、腕力、強者こそ、すべての勝利者になれる といつた風習が傳統的に醸されてゐたのであり ます。  村の鎮守の森に神主さんで神居志賀之丞と呼 ぶ人がありましたその娘の小露を己が物にせん と村の若者達は腕に練をかけてゐました。處が 小露には既に久太郎と云ふ戀人がありました。  或る一日小露をかけての宮相撲が開かれまし た。若者達は我こそ五人抜きの一等賞を勝得ん と戰ふのであつた。  この日何處から來たのか一人の大男が現はれ て小露を攫つて逃げました。  久太郎の悲しみや如何に、奮然起つた久太郎 は村を後に鬼共が住むと聞く海の彼方の鬼女ケ 島を指して向ふ事になりました。  日本一の桃太郎ならぬ久太郎が鬼女ケ島での 大奮闘--大活躍--小露を連れてもどりまし たとさ、めでたし〳〵。 松竹キネマ蒲田撮影所作品松 竹ニユース班・・・特別撮影 眼の新聞 松竹ニユース