【一段目】
かしま □□□さい〳〵これは
「こんどの大ちしんいへくらやいた
いしゆかへし大くし小くしの
なまづのかはやきしかしこの
せつのことはりけんきんうりが
かなめいしひやうたん〳〵ひやう
ばん〳〵ときこえるかしらぬ

くわじ
「モシ〳〵そこへゆくのは雷公と
おやぢどのではないか
 
おやぢ「そういふは火事公かどこへゆくのだ

くわじ「かしまさまがなまづを
やく火につかはれぬうち
きへるつもりさ

おやぢ「それが
いゝくわじやぢしんはやぼの
うへなしだ

くわじ「シテおまへ
がたはいきなせかいかね

かみなり「たちのきがはやると
いふから いんきよとこつそり
しんそうかいだ

くわじ「そいつは
おたのしみだが しかし らいこうはあけまいぜ

かみなり「なせ〳〵

くわじ「てまへはきんじょのごろつきだから

げいしや
「もし三みせんやさんこのごろはおいそがしいかへ

三みせんや
「どうして〳〵ぢしんこのかた
三すぢはおろか一トすぢの
おあしもとれずまこと
にこまつたよつぢさ
じつにどうしやうかと
おもふおまへなんぞはおでん
かんざけであつたまつたと
いふうわさでござり
ますぜ
【よつぢ= 乳房の痕の四つある猫の皮を使った三味線】
げいしや
「それもほんのあの
とうざサ ながくすると
みそをつけまするよ

せんどう
「ほんにわつちらがしやう
ばいもやつぱりにたり
よつたりでわづか
二朱が三てうの
ちよきがりさへ
できやせぬ

ごふくや
「いづくのうらぢも
おなじことかなきん
もうかる
はなしは
なく
ひまな
上田に
なんぎに
あをめ
ぐちばつ
かりを
 ゆうきじまサ

りやうり
「たんもの
よりは
口の
はやい
りやうりで
さへもくひてはなく
くわいせきしやう
ばいにn
なりやせぬ【二段目右端に続く】

【雷の右腕の下】
かみなり
「おいらもこん
どのちしんでは
いやもふまつ
さをになつて
かけだした

【二段目】
かしほんや
「イヤ わたくしなぞも
ほんはやき はらいはとれず
このくれは中本のなきほんサ
はやく一夜あけてわらひぼんの
せかいとしたいこのくろうを
しらぬのは おかこさん おまへだね

かこいもの
「なにさ たんなのうちがまる
やけゆへわたいのほうまで
おはちがまはらず
たべるものさへふじゆう
がちだw
がちだわね

はなしか
「その口かせぎにわたしらも
くみ合のしうのこはいろ
をつかひ しごとにでたが
口ほどにかたがたつしやに
きかぬゆへあふぎなめに
あいました これものちの
はなしのたねサ

おどりのしせう
「とうじんばなしで
おやしきのおきやうげんは
あがつたり なんぎな
ところへこんどのふぢま
しやうもやうも中むら
やでけがをせぬのが
    しあはせさ【三段目右端に続く】

【三段目】
小道ぐや
「じつにこんどのぢしんでは大小となく
どぞうをふるひみじん七ゝ子?にどうぐ
やはあきないはひまそのうへに
 せつぱつまつたかさくの
 いりよりふちかしらを
  かいております

 かうしやくし
  「ぢしんとくわじの
  かけもちから ながらう
 じやうのひやうろう
 ぜめ すでにらくぜう
するところよう〳〵
 やかうでとりつきました

とうぶつや
「みなさんよりはとり
わけてかひてのないとう
ぶつ けるゐ  いつそらしやや
とろめんか
じんめの毛なら
   うれるであらう【四段目右端に続く】

【左の煙の下】
三みせんや
「むねは二上りは
   ふるもん?
    くと?
こんどはきん
たまがそう
あがりだ

【四段目】
はいくわいし
「あきうどしう□
又ひまはなく□
こまらぬはいくわ□
百いんのてんりや□
とらねばこめの□
じに手にはは□
此せつは一くもで□

ごうち
「モシ そうしよう□
でこさるやつがれな□
おでいりのおやしき□
 みなつぶれど□
 かうといふめ□
  しゆもな□
  ほんのいの□
 つなぐのみ□
     ござ□

茶人
「ふねいちや
などはのうちう
だん〴〵うすち□
そこがみへればこ□
ちやはしあんを
せずはなりま□
まい

  くわんけ
  「たれか□
    とい□
     な□
     で□
二日このかた
一文のおあしも
 もらはぬ大き□
 そんじつに
  ぢしんはご□
    んの□
     け□
【くわんけの上】
けいしゃ
「なまづのしりふりは
あとがこわいョ

かみくづひろひ
「やけばに
  かみくづのないの
   わかつたが
ぢしんのいつたは
 よるだから
  あとに
  かみくづが
   あり
    そふ□
    もの□