【貼付題箋】 職人部類     都筑【朱筆「大東」上書】氏蔵書         【朱角印】大東蔵書 【枠外朱角印】 都筑氏蔵書印 【上に重ねて押印】 大東蔵書 職人部類序【朱丸蔵書印】    【朱角印】大東蔵書 そのはしめや觴をうかへる江の流に筆を そそき百の工のわさをうつして梓弓つくれる ものヽ子の箕をつくるためにそなへしもかたくな なる丙丁童子のために奪はれそのたくみ の老画師も今はその国の底なる人の 数にさへ入ぬるを玉くしけふたゝひ 【右丁】 うつはものをとくして花さく春の桜木 にちりはむる事とはなりぬよりてその ことはりを冠師にかうふらしめて硯の海 に棹さし侍るもかのたくみのはしめ終りを しるし侍るものならし 天明四のとし甲辰の春        四方赤良 【左丁】 採(さい)画(くわ)職(しよく)人(にん)部(ぶ)類(るい)  上    冠(かむり)師(し)   鏡(かヽみ)磨(とき)   大(たい)工(く)    鍛(か)治(ち)   織(おり)殿(との)   具(く)足(そく)師(し)    糸(いと)組(くみ)   元結扱(もとゆいこき)  紙漉(かみすき)    鍔師(つばし)   御簾屋(みすや)   靭師(うつほし)    籠作(かこつくり)   鞠屋(まりや)   硝子吹(びいどろふき) 【右丁】 【下部に冠を持つ男図】 冠(カムリ) その冠の  濫觴(ハシマリ)は 人皇第四の帝 懿徳天皇天地人の 三冠を制たまひ 其後天武の帝の 御時に至て男女 はしめて髪を結ふ事をなす 是より漆塗の冠を用ひて 【左丁】 【烏帽子を持つ男図】 禮儀定れり今の紗冠烏帽子も  こヽに起源といふ又文武帝の  比より厚額うす額透額を 制す透ひたひは其頂に繊月の  ことく羅をもて張る世に 月額ともいへり十五歳以上の  童子爰に壮氣を洩させん事を 謀るとかしこくも君か代のおん めくみ仰くも恐あり百官儀々  として是をいたゝく 烏帽子は数品算ふるに  いとまなし中にも風折ゑほし 在五中将業平を      はしめとすといふ 【右丁】 【下に女二人の図】 鏡(カヽミ) 唐土はいさ 知らす我朝 には三種の 神寶宝祚 連綿として 内侍所の影清 後鳥羽院 御製にも 七の社のます 鏡と神あり ます倭国の 寶ことに婦人は 第一身たしなみの具にして 待宵の嬬屋(ツマヤ)のかさり衣〳〵の姿鏡 【左丁】 【下に鏡を研ぐ男の図】 いつれを何れとくらへなむ 古書に曰むかし夫婦のものあり わりなき別をなすその夫トは 国をへたつ其時に婦人 夫にせつなる別をかなしみ 朝夕手馴たる鏡を出して 是を破るふたヽひ此われたるを 合せむ事を誓ふ   年経ても夫古郷へ   帰らす婦もその  なけきをわすれさるもの  日々に疎くついに 他の人と契る時に其鏡 鵲と化してその夫のもとに  いたる夫其婦の   仇心を知る鏡のうらに  かさヽきをつける事は         此縁なりとそ 【下に手斧をかける男の図】 【右丁】  工匠(タクミ) 日本紀 ̄ニ神武天皇元年 經(ツクリ)-_二始(ハシム)帝宅於 橿(ス)原 ̄ノ宮_一 ̄ニ此 時天 ̄ノ明 ̄ル日命掌 ̄ルト_二工匠_一 ̄ヲ 荘子云郢人 堊(シラツチ以テ) 漫(ヌリテ)_二其 ̄ノ鼻 端_一 ̄ニ若 ̄ニシテ_二蠅翼_一使 ̄シメ_二_レ匠石 ̄ヲ 斲(ケツラ)_一_レ之 ̄ヲ 運(メクラシテ)_レ 斤(テオノヲ) 成_レ風盡 ̄シテ_レ堊 ̄ヲ而不_レ傷 【刀を鍛える男と男児の図】 【右丁】 鍛(カ) 治(チ) 【左丁】 周の世の桃氏をはしめ 我朝には崇神天皇に 起る文武の御宇に 天国あり剱の諸刃を   ふたつに割是を  刀といふとそ夫より 代々に傳へつたへて   もろ国に良工あり  小鍛治宗匠を     はしめとして   かそふるに何指を       もつて         せむ 【右丁】 甲(ヨロイ) 甲 ̄ハ釋名 ̄ニ云 似 ̄リ_三物 ̄ノ之有 ̄ルニ_二鱗甲_一 始 ̄テ作 ̄ル_レ之 ̄ヲ人 ̄ノ異説 多 ̄シ 【左丁】 【下に鎧を組む男の図】 續日本紀 ̄ニ云 光仁天皇寚龜 十一年八月勅 ̄シテ 今革 ̄ノ之為_レ 甲  俗呼 ̄テ_レ 甲 ̄ヲ 稱 ̄ス_二具足 ̄ト_一  蓋此六具満足 ̄ノ  之通-稱耳 【右丁】 【糸組をする女の図】 糸組(イトクミ) 京都に  はしまると云 もとより   糸は 婦人の   常に 取あつかふ  ものなれは 其組もの それ〳〵に  工夫   し  三条糸屋何某か廓にわかき婦人を   多くならへてその職を専とす買人 【左丁】 【出来上がった糸組を整える女の図】  そこに至つて其好むところの組物   即席に組たてつかはす京わらんへ    多くつとひあつまる今も     組糸は婦人の職とは            なれり 【右丁】 【下に元結を作る男の図】 鬙(モトユヒ) 君こすは  ねやへもいらし   こむらさき  我もとゆひに    霜は置      とも と詠しは古今集に ありてふるき      言の葉        なから 樛(コキ)元結と  賞さるものは 寛文の比より起る紙捻(コヨリ)を  長く縷(ヨリ)て水にひたし   車にて縷をかけて 【左丁】 水をしこくゆへに樛(シコキ)元結  なりとそ又文七もとゆひ            とは   紙の名なりと      いヽ傳ふ        詳ならす 【右丁】 【織り機に糸をかける男の図】 織(ヲリ)  殿(トノ) 【左丁】 【機を織る男の図】 應神天皇三十七年 の春 阿知使主(アチシヌシ)都加(トカ) 使主(トヌシ)を呉國につかはし 縫工女(キヌヌイヒメ)をもとめ給ふ 兄媛(アニヒメ)弟媛 呉織(クレハトリ) 穴織(アヤハトリ) 四たりの婦来たれり 是はしめなり   金襴(キンラン) 唐織(カラヲリ)は    京都西陣野本氏     俵屋何某か織出す所       はしめなりとそ 【右丁】 【紙漉をする女の図】 紙(カミ) 聖徳太子  唐土より    来れる 曇徵と  いへる   ものと 工夫ありて はしめて帋を  漉事を   得給ふ 【左丁】 【紙を整える男の図】 それより代々おしうつり  國〳〵の名産檀紙奉書を 上品として  かそふるにいとま       なし 京都は    紙屋川の流 ありて其職をなす 東都は麻布関口或は 今戸山谷の神嵐の        夕べ 何となく淋しき  砧は四季を わかたぬ遠音  こそは   ことさらに  哀ふかし 【右丁】 【彫り物図案を見る男の図ヵ?】 雕鐫(ホリモノ) 世に後藤氏をもつて稱す  傳へて云後藤四郎兵衛祐乗は 普光院義教公の家臣たり  一旦義教公の怒にふれて   獄舎に入れり比は六月炎天の しのきかたきを籠守是をあはれみ  桃実をあたふ祐乗大に歓ひ其核の   面に山王二十一社幷に猿六十六疋を 彫たり其細密人間のなす業に  あらす義教公是を聞たまひ 御覧あり誠に奇なるものとて  其罪を赦し則祐乗に命して 刃剱の飾の具を造しむ其神   妙にして禽獣草木人形等生るか  ことしついに雕鐫の家をおこす 其彫る所のもヽのさねは今 【左丁】 【彫り物細工をする男の図】 常陸國にあつて日吉の  神躰となす其子宗乗より  代々つヽきて      彫工妙手也 【右丁】 【簾を編む老人と若者の図】 鉤簾(ミス)  又   翠簾   風雅集 【左丁】 雨晴るヽ  風はおり〳〵    吹いれて  こすの間     匂ふ  軒の梅かえ  永福門院    内侍 【右丁】 【小刀を渡そうとするヵ母子の図】 靭(ウツホ) 【左丁】 【靭師主従の図】 三才圖會云 靭 ̄ハ 以_二皮革 ̄ヲ_一為 ̄ル_レ之 隨_二弓弩及箭大 小長短_一用_レ之   萬葉集に ますらをの   ゆき取負て    出ていかは  別れを惜しみ   なけきけん       妻 【右丁】 【籠を編む男の図】 籠(カコ) 篭は和名   にして  唐土には 籃(カタミ)といふ   種類多く 農業の具  あるひは   家飾の具なり 駿河に生る竹  いたつてよろしく 【左丁】 【籠を編む男に茶を差し出しながら猫と遊ぶ男児の図】 其業をなすもの  そこに集る 摂州有馬に   又産あり 花器菜籠を  はしめとして 甚妙なる   細工をなす  世に名産とす 【右丁】 【鞠を作る若い男の図】 鞠(マリ) 鞠は 黄帝  作らしめ たまふと 本朝へは 皇極天皇    の時  はしめて   わたる 母帝なれは 是を翫ひ  たまはす 【左丁】 【鞠を作る壮年男の図】 文武帝 大寶元年 はしめて蹴鞠あり  相続て 後鳥羽院是を  賞し給ふ 飛鳥井中将雅經郷【ママ、卿】 此道に達したまひ  世々蹴鞠の師祖とす   庶流わかれて  難波家あり両家を   もつて世に鳴る所なり   夫木集に    慈圓 花のもとにかけてかすそふまりの音の  なつまぬほとに雨そゝくなり 【右丁】 【硝子吹きの男の図】 硝子(ヒイトロ) 【左丁】 【硝子吹きの若者の図】 本朝のものならず 外国より出ると云 紅毛人持来れるを始とす 其製いたつて美なり 中興長崎に是を製する ことをえて花洛坂場に傳へ 其業をなすものあり近比は 東都に其職行はれ品類数多 器物の物数寄徴明也 まことに四海おさまれる 君か代の徳化溢れかヽる 外國に産するものまても 残りなく鳩集すは 有かたき聖代ならすや 【左丁】 彩画職人(さいくわしよくにん) 部類(ふるい) 下  扇折(あふきをり)   琴師(ことし)   面打(めんうち)  筆結(ふてゆい)   土(かはら)器師(けし)  畳指(たヽみさし)  轆轤(ろくろ)細工(さいく) 経師(きやうし)   賀留多屋(かるたや)  傘張(からかさはり)  磨(いしうす)切(きり)  針師(はりし)  硯彫(すヽりほり) 【右丁】 【扇面を折る女の図】 扇(アフキ) 事物紀源云 黄帝内傳 ̄ニ有_二 五-明-扇 ̄ノ之起 ̄リ_一 今以招 ̄ク_二涼風 ̄ヲ_一 者周 ̄ノ武王所 _レ作 ̄タマフ也【原本は玉】 其品数多ありと  いへとも就中  神宮皇后三韓を   責たまふ時    かうふりの羽を見て 【右丁】 【扇の骨を入れようとする女の図】 はしめて扇を作  らしめ給ふは 我朝の濫觴にして  代々官家に檜扇あり 光源氏五條  あたりの夕顔も  惟光か取あへぬ    用となせり 斑妙か閨のかこちくさ  へんことなき恋路にも   都しのふほとのゆかしさ    涼風は勿論にして  男をふなの中にも    わりなき姿ならすや 【右丁】 【琴を作る男の図】 琴(コト) 唐土には琴瑟と わかれ品類是分る 本朝の琹は旧事紀に いふ天(アマ)の詔琴(ノリコト)  大(オヽ)己(アナ)貴(ムチノ)命(ミコト)持給ひ  しとあり和琴(ワコン)は  河海(カカイ)抄に出たり 又弓六張ををならへて  引鳴らしたるより 天 細(ウス)女(メノ)命 天(アマ)香(カ)の弓 たて並へ絃をならし 給ふ故事なり 【左丁】 【煙管に火をつける検校?】 今玩婦十三絃は 筝(ソウノコト)といふなり宇多帝の とき築【ママ】紫彦山にて 色子(イロコ)といふ命婦の曲を 唐人に傳えられし事あり 築紫琹ともいふ又 ある説には十三絃は 二十五絃をわりて半 略したる也十二調子を あはせり初の一絃名のみ はかりにてひく事なし 同しく半琴と云爰に八橋流は 寛文の比築紫の法水といふ僧 筝を八橋検校に傳ふ今以      築紫曲といふとそ 【右丁】 【面打ちの老人の図】 面(メン) 人皇  三十四代 推古天皇の    御宇 聖徳太子  和國安民の ために天地の 神を祭たまふ  此時三十六番の 【左丁】 【老人に話しかける男の図】  面を作らしめ  秦河勝をして 楽を作らしめ  神事をなさしめ  たまふ其後 神楽(シンカク)の扁を除き   楽を略して    申楽の      起りといふ 【右丁】 【筆つくりの老人の図】 筆(フテ) 上代始めて  造る所   詳ならす  ことの製する所も   又異なり今の 【左丁】 【筆の毛を整える少年の図】 毫は蒙沽より  傳へて毛穎是を      製すと   拾遺愚抄【ママ、草】  定家 ぬしや誰   見ぬ世の事を    うつしをく   ふてのすさみに    うかふ面かけ 【右丁】 【器を作る男の図】 土器(カハラケ) 洛の東山  源艸の 里に  多く 是を業と  なすもの    居れり  最上品とす 東都は箕輪  かな杉のわひしさ   土の轆(ロク)轤(ロ)の音 【左丁】 【男の妻と男児の図】 かすかにさすかに  陶つくりと   いふほとにも       あらて あるほとの日南に  ならへ立うら〳〵と 陽炎もゆる雨あかりの  朝けしき鶯の聲   なよ竹の    まはら垣に  そこ爰鄙ひたる   住居にこそ    何とやら哀       深し 【右丁】 疉(タヽミ) 本朝式云掃部 ̄ノ 寮(カミ) 長疉短疉 ̄トテ 禁裡【ママ】 ̄ノ 御疉 ̄ハ   長七尺厚二寸二分 三公及 ̄ヒ 門跡 ̄ハ   長六尺六寸厚一寸八分  吉野高野兩山亦用_レ之  故 ̄ニ 呼 ̄テ 曰_二高野間 ̄ト_一 【左丁】 【畳を作る男の図】 畿内 ̄ノ 民家 ̄ハ   長六尺三寸厚一寸七分  謂 ̄フ_二之 ̄ヲ 京間 ̄ト_一 関東 ̄ノ 民家 ̄ハ   長五尺八寸厚一寸六分  謂 ̄フ_二之田舎間 ̄ト_一 【右丁】 【轆轤回しを手伝う男と妻子の図】 轆轤(ロクロ) 玉櫛笥箱根 山中に温泉の 涌出するところ 七所ありてなゝ 温泉と云此山 家に多くこの 業をなすもの ありいつれの時 □□といふ事を しらす工み出せる 其細工いたつて妙なり 【左丁】 【轆轤細工をする男の図】 槐樹柊梅桜 神代杉をもつてす 是を江都には湯本 細工とす殊さらに 称美す文房机上 飾の具をはしめ 包厨家飾に至るまて このむ所に随はさるは なし是を   挽(ヒキ)物(モノ)工(シ)といふ 【右丁】 【表装する男の図】 經師(キヤウシ) 【左丁】 經工は佛家に用ゆる  所の継經を製す   此業をなすもの 為に帋細工をよくす 故に表具あるひは屏風 襖の類或は色紙  短冊にいたるまて   いつとなくこの業を  なすもの兼たり   実は經師表具工    張付工なと     差別あるへき     ことなりとそ 【右丁】 【かるた札の形を整えているヵの若者の図】 賀留多(カルタ)  又 骨牌 阿蘭陀人是を 玩ふ寛永のころ 崎陽の人民俲て たはむれとせり 其製古今同し からす今もてあそふ 所の製は外黒くして 内白なり画く處  青色 巴宇【ハウ=棒】 と云   赤色 伊須【イス=剣】 といふ    圓形 於留 【オウル=貨幣】 といひ 【左丁】 【かるたの絵柄を書く男の図】  半圓 骨扶【コップ=盃】 と云四品 各十二共に四十八枚也 則其一は虫の形 豆牟 と云 二より九にいたる まて其數目を 画く十は僧形  十一は騎馬   十二ハ武将也 又○加宇(カウ)     ○宇牟須牟(ウンスン) なといふありすへて 南蛮國の   ことはなり 【右丁】 【傘張りをする男の図】 傘(カラカサ) 博物志 ̄ニ 云魏 ̄ノ 神元帝 始 ̄テ 為 ̄ル_レ傘 ̄ヲ    古今集 みさふらい【御侍】   みかさともふせ【御傘と申せ】     宮城野の 木の下露は  雨に   まされり 【左丁】 文禄三年泉州堺の商人  納屋助左衛門といふもの呂宋(ルソン)より   帰来れり其時傘蝋燭    をの〳〵千挺つヽを献す     今用ゆるところの      傘是なりとそ 【右丁】 【臼をひく手を休めて煙管の火を貸す男の図】 磨(ヒキウス) 日本紀 ̄ニ云推古天皇 十八年高麗 ̄ノ僧曇徵 來 ̄テ造 ̄ル_二碾磨(アツウス) ̄ヲ_一此 ̄レ其 ̄ノ始 ̄メ也 【左丁】 【火を借りる獅子舞の男の図】 今世俗に   用ゆる  揄磨(ヒキウス)是なり  其石は   摂州    御影より   出る所をもて    最上とせり 【右丁】 【針づくりをする男の図】 針(ハリ) 説文 ̄ニ以_レ鍼 ̄ヲ結 ̄フ_レ衣 ̄ヲ 曰_レ縫 ̄ト 所-_二以 ̄ノ其縫 ̄ヲ_一 者 ̄ヲ曰_レ鍼 ̄ト俗作 ̄ル_レ針 ̄ニ 也 【左丁】 【針を包む女の図】  又 本朝應神天皇   十四年の春百済國    よりふたりの     婦人を貢とす 其工みなる事  甚妙也是縫ものヽ   はしめなり 其 製する所は京都  姉か小路翠簾屋をもつて   世に鳴る五十本を以て     一匹といふ 帝王世紀云大昊制 ̄ストイウトキハ_二 九針 ̄ヲ_一 則縫-針(モノヌイハリ) ̄モ亦 ̄タ始 ̄ル_二于比 ̄ヨリ_一 【右丁】 【硯を彫る男の図】 硯(スヽリ) 西京襍記 天子 ̄ハ以_レ玉 ̄ヲ為 ̄ス _レ硯且唐-人只 多以_レ瓦 ̄ヲ為_レ硯 ̄ト 五雜組 ̄ニ云 端州 ̄ノ石最 ̄モ良 ̄シ益ス_二墨靑 紫色 ̄ヲ_一者可 ̄シ_二直(アタイ)千金 ̄ナル_一 【左丁】 【石切をする男と男児の図】   源氏物語 姫君御硯をやをら 引よせて手習のやうに 書ませ給ふを是に書 たまへ硯には書付さ なりとて紙奉り給へ そとあり 見る石の硯に   物はかヽさりき  ふしのやうじも【竹の楊枝も】    つかはさりけり        菅家 【右丁】 大東蔵書【蔵書朱角印】 【左丁】 跋 黄帝(くはうてい)始(はしめて)宮室(きうしつ)をつくり給てより 荒(あれ)たる明穴(あきあな)山野(さんや)に多(おほ)く伯余(はくよ) 初(はしめ)て衣(ころも)を製(せい)せしより古衣(ふるぎ)のこの 葉(は)塵塚(ちりつか)にみてり抑(そも〳〵)聖(ひぢり)の思食(おぼしめし)付(つき)より 細工(さいく)は流(りう)〳〵みち〳〵の職人(しよくにん)次第(しだい)に 年(とし)経(へ)て繁栄(はんえい)せしかばちよつとあげ 【右丁】 ては計(かぞふ)べからずこゝに畫工(くはこう)岷江(みんかう)なる ものきはめて丹青(たんせい)に精(くはし)しそのつくり絵(え) のこまやかなるは千枝(ちえたの)つねのりゆるしつべく 又やまと絵のなよひかなるや浮世(うきよ)又平(またへい)逡(そこ) 巡(のけ)なるべしされば岷江一たび縞素(かうそ)に ふんでを下せしより鋳(ゐ)もじの蹈鞴(たゝら) 自然(しぜん)に人籟(じんらい)を生(せう)し木地(きち)挽(ひき)の轆轤(ろくろ) 【左丁】 忽(たちまち)独楽(こま)のことく廻(まは)る今その眞(しん)を寫(しや)する に至(いたつ)ては惣(すべて)の職人 筆端(ひつたん)にうごくいづれ 百工(ひやつこう)殊相(しゆさう)を窮(きはめ)て當時(とうじ)貴賤(きせん)の眼(め)をよろこ ばしめんと梓(あつさ)にながうことぶきせしかば 何(なんぞ)以て足(たら)ずとせんやよし麒麟(きりん)凌(りやう) 煙(えん)の下(もと)にたヽざる物(もの)から            朱楽菅江 【「大東蔵書」朱角印】 【裏表紙】