地震(ぢしん)けん 「扨(さて)もこんどの大ぢしん家(いへ)はぐはら〳〵  大へんな人はあはてゝどつちの方へ   参(まい)りましよ 合  土蔵(どぞう)と瓦(かわら)でつぶされ  て親父(おやぢ)に子供(こども)がしかられてやつとはい  〳〵にけ出してこつちの方へサアきなせへ 「火事(くわじ)は所々(しよ〳〵)へもゑあがりにげる人こそ身  ひよこ〳〵またぐら〳〵どつちの方へ参(まい)り  ましよ 合 やつたらむしやうとかけあるき  ぢ様(さま)がば様の手を引(ひい)てはいる内こそ  あらばこそお舟(ふね)へサアきなせへ 「扨もふり出す大雨(おおあめ)にらいはごろ  〳〵いなびかりみなびしよぬれ   野宿(のしゆく)はできません 合 大へん〳〵  大さはぎ大工さんは手間(ま)を上(あげ)てしから  れたこれから段々(だん〳〵)世(よ)が直(なを)り金(かね)設(まふけ)てサアきなせへ