改   □□行□□    版 《題:七ついろは》   【山にや】 正   音訓假字□    □ 【右丁】 《題:七字伊呂波》【横書き】【図】 【左丁】 帝(みかど)より弘法大師(こうぼふだいし)に金剛定寺(こんがうでうじ)の額(がく)を 書(かゝ)せ、奉らせん為(ため)に高尾(たかを)山へ勅使(ちよくし)を立 させ給ひけるに折(をり)ふし霖雨(ながあめ)のひにて清滝(きよたき) 川の水おびたゝしく岸(きし)をひたして渡(わた)る事を 得(え)ずとかく思ひ煩(わづら)ふ所に大師ほのかに 此事を聞(きゝ)給ひて川の西(にし)の脇(きは)に出 むかひ給ひければ勅使(ちよくし)は東(ひがし)の岸(きし)に 居(ゐ)て彼(かの)額(かく)をさゝげけるに杳(はるか) なる川の面(おもて)をへたてゝ大なる筆(ふで) に墨(すみ)を満(ふめ)て額(かく)に向ひて書(かき)給ふに ふしぎや其(その)墨(すみ)雰(きり)のごとくにして向ふの 額(がく)の面にふりかゝる程(ほ□□)に垂露(すいろ)の点(はん)あざや かに顕(あらは)れて入木(ゆうほく)の勢(いきほ)ひ乱(みた)れず居(すは)りけるとなり 【下段】 【図】