【表紙】 【右側背表紙近くの張り紙に JAPONAIS 【表紙裏の張り紙】 JAPONAIS  339 【文字無し】 【文字無し】 【文字無し】 【メモ書き風】 339 R.B   1843 } 3278 【外題】 契情草履打(けいせいざうりうち) 【外題の左側のラベル】 12 【画中の提灯右側】 げだひ 国貞画 【画中の提灯左側】 ぜんご 六冊 【画面左下部 丸の中に】 上 東西「草冠+庵」南北作              招福迎慶 柳川重信図 けいせい草履打(ざうりうち)全六冊 文政五年        西宮春松軒梓 壬午初春 鏡山(かゞみやま)の狂言綺語(きやうげんきぎよ)。いざ立(たち)よりて看官(ごけんぶつ)。合巻(がふくわん)の冊子(さうし)年経(としへ)ぬるまで。老(おい)たる も若(わか)きも復讐(ふくしう)の小説(せうせつ)に目(め)を怡(よろこ)ばすこと世(よ)に流行(りうかう)するや茲(こゝ)に久(ひさ)し。其流行(そのりうかう)の 逸疾(いちはや)き。鰹(かつを)のさしみは黄肌(きはだ)の鱍(まぐろ)【鱍=黄鰭、キハダマグロ】に寵(てう)を奪(うば)はれ。江戸前の鱣(うなぎ)は穴子(あなご)の蒲(かば) 焼(やき)に権(けん)を執(と)らる。七変化(しちへんげ)さへ割増(わりまし)して十二月 八景(はつけい)の所作(しよさ)を愛(めで)。暑中(しよちう)の冷(ひやつ) 水(こい)はやり風の為(ため)に五苓湯(ごれいたう)麦湯(むぎゆ)の熱(あつ)きを賞(しやう)す。夫(それ)羽折の長 短(たん)目識(もくし)す るに遑(いとま)あらす。染色(そめいろ)の浅深究(せんしんきはめ)て測(はかり)がたし。密妾(かこひもの) 鼻(はな)について寝臭(ねぐさ)き 女房(にようばう)に劣(おと)り。籠細工(かございく)目に 倦(あき)て朝皃(あさがほ)の花のはかなきを詠(なが)む。流行 段々だんぼさん【意味不明】廃(すた)れてかん〳〵踊(をどり)の一品(いちぼん)たいさうにおこなはる。物換(ものかは)り 星移(ほしうつ)りて。実(げに) 名(めい)月のかがみ山。磨(みが)きあげたる傾城(けいせい)のざうり打(うち)。うつて かはつた新米新粉。喰気(くひけ)と下卑(げび)てはならさりや。この手(て)をつくした作者(さくしや) の腸(はらわた)。一ぱいうけた色気(いろけ)のたつぷり。うつろふものは世中(よのなか)の。人のこゝろの はなにぞ有(あり)ける。   文政五年           晋米斎五粒述 「米齋」と書いた瓢箪型の印     壬午孟陬 【右丁】 ゆく春やさうりの裏に国ひとつ 南北 大磯(おほいそ)  舞鶴屋(まひづるや)    の   全盛(ぜんせい)    岩藤(いはふぢ) 【左丁】 うはさうり  うつゝに    きけは   おいらんの    かたきうつ     とてさはく       挙酒         柳川  故松助常世の二人が鏡山の狂言の絵に 岩藤や尾上の    東西庵   ■【壱ヵ】南【角ヵ】の散てより      岩藤(いはふぢ)が妹(いもと)女郎(ぢよらう)尾上(をのへ)        はじめ浦里(うらざと)といふ 【右丁】 真言(しんごん)  杢(もく)   次(じ)    郎(らう) 【左丁】 音羽屋(おとはや)   伊太八(いだはち)   山屋豆腐を      賞味して よし原や     東西庵   花ととうふの     いろ白し 【右丁】 五尺(ごしやく) 染五郎(そめごらう) 竹村を  出て山屋      に  いる月は 【左丁】 もなかとやいはん  おほろとやいはむ      五常亭         道守 大磯芸妓(おほいそのけいしや)    於初(おはつ)         たつね    その風を    て   敵と悪む   ありく 花の頃     なつの夕暮東西庵 【右丁 文字無し】 【左丁】 【四角い囲みの中】よみはじめ あしかゞのばつか【幕下】に ぞくするあふみのぐん りやうかゞみ山の太しゆ はんぐわんときかねのかしんに しんごん杢二良【「郎」の略】といへるわかもの あり此杢二良わかげのいたりにて▲ ▲おくむきの 女子に心かよはせ けるにやある夜つぼね口の にはにしのび入らんとせし時 おくごてんのしまりをあづかる もの川くらのしんといへるもの杢二良とは 夜のあやめにつゆしらずヤレとうぞくよいであへ〳〵といふに せんかたなくとらへくらのしんもとらへて今は何とせんすべなく にがさんとするにもはやおもやくにん【重役人】はいふにおよばず 主人のみゝにまで入りしかばぜひなくとうぞくの つみにおちてすでにしおきばにひかれてつみ せらるべきにきはまりぬ此ときいばらてん ぜんといふものとのゝたいけんをためしまゐらせんと▼▲ ▼▲ たちとりの やくをこひうけ 夕ぐれよりしおき ばにいたりくびきる じこくをまつうち 天にはかにかきくもりて 大あめしのをみだし しんどうらいでんして さらにものゝ あいろも【丸に十の字のマーク】 【丸に十の字のマーク】 わから ざりけり てんせん しおきの じこくと 【四角い囲みの中】つぎへ▲ 【左端の小さな囲み】 これまではねん〳〵 さい〳〵かはらぬ ものがたりの ほつたんなり ゑぐみ【絵組み】あたら しきをみ給へ 【四角い囲みの中】つゞき あらむしろの上に 杢二良【「郎」の略】をなをらせヱイと こゑかけたちひらめくと みえしがかたはらのこものが くびをうちおとし杢二良が いましめをきりほどき何か さゝめきてくわいちうより そくばく【沢山】のきんすをあたへ おとしやりぬこれ何ゆゑ ありてたすけしやてんぜんが むねに一もつあることのちにぞ おもひあはされけるされば此夜 杢二良をたすけしこと  しるものさらになかりけり 〇こゝにあしかゞあそんはふう りうのきみにてもつぱら きぶつをこのませ給ふしかるに かゞみ山のいへにひめおくをし 鳥のかうろうといへるむかし 百さいこく【百済国】のわうじより此国に おくりし品なりゆゑありて かゞみ山家に伝来すあしかゞ どのかねてしよもうせらるゝに よりてもの川くらのしんつかひの やくをかうむりかのをし鳥の かうろうをたづさへみやこに          おもむきぬ× ×時に五月下じゆんのことなりしが ふりつゞくさみだれにやすがはの 水かさまさりてたび人のゆきゝ たへたりしかるにくらのしんはにち げんちこくなりがたき主よう【主用】 なれば水かさのおつるをもど かしくおもひことにせいきう なる老人のことなればかねて 馬じゆつにたつしたれば馬 のはらおびをしめあげ みなぎる安川にのり入れすで にむかふのきしにいたらんとする ときのりたる馬にはかにさわぎ くらのしんをふるひおとし川 しものかたへながれゆくくらの しんぬきてをきつておよぎし が何ものかはしらず水中を くゞりくらのしんがわき はらをさしとほしくわい ちうなす所のをし鳥の かうろうをうばひとりて うせにけりつきしたがふ けらいおひ〳〵ちうしん なすにそ時二良おどろき あわてゝそのばしよに いたるといへどもかたきは たれといふしやうこも なくたゞ父くらのしんがむな しきなきからをおしうごかして なくよりほかはなかりけりさそ 此ことのおもむきあしかゞどのへ【桝形の中に×点】 【桝形の中に×点】 きこえたて まつり又せがれ 時二良へはとうぞく のせんぎをおほせ つけられけり 【頭部欄外】 二巻 【上部】 木屋丁【「町」の略】に のきをなら べるかしざしき まだはる わかき鶯の こゑをさそふ てつまおとの もれくる梅の かきねごしやみおと ろへし時次【ママ】良まどの しやうじをおしあけて 四方打ながめ ひとりごと 「むかひざしき のあのつま おとはせい ふがまくらを かこつこうけい のきよくわれは それにあらで はてしなき病 のゆかアノ鶯 さへ時を しりて ねをはつするに たちゐもまゝ ならぬらう人の 羽ぬけどり をし鳥の かうろの▼▲ 【中部】 ▼▲ せんぎ もなほ ざりに あまつさへ かたきと共に 天をいたゞく むねんさチヱヽ  よく〳〵〼 【下部】 〼ぶ うんに つき はて たり  ト こぶ しを にぎり はら 〳〵と 泪を こぼ せば そば に つき そふ 下べ の 染 五良も らく るいを おさへて にが わらひ 「わかだんな さまとした ことが【四角の囲みの中】つきへ 【右丁】 【四角い囲みの中】つゞき 何をきなきな【くよくよ】おつしやりますごびやうき さへ御ほんぶくあそばせばみたからをせんさく なしかたきのくびをひつさげめでたくきこく あそばすにも時さへいたればアノ梅の 花とおなじやうにひらくる ごうんは今のうちアレ又おせきが でるはねりやくをめし あがりませドリヤおせなかを たゝき ませう  ▼▲【上部左側】 ▼▲ 【四角の囲みの中】向ざしきの文だん 「コレヤ浦里さまだんな 【左丁上部へ】 さまとごいつしよに 此かしざしきへでやう じやう【出養生】あそばしても かへつておもるその ごびやうきこちの だんなはせんしう さかいでたれしらぬ ものもない松屋水 月(げつ) といはるゝ道具の目きゝ しやちやのゆのせつは たび〳〵ひがし山さまへ めされけつこうなお薬を てうだいなされてあなたに しんぜてもこれほども しるしのないはもし恋やみ とかいふやうなことじやござり ませぬかないまあなたのおしらべ あそばした琴うたのしやうが【唱歌】は かたおもひのあはれぬまくらを うらやむ紅閨(かうけい)のきよくいとしい とのごそひたいとのごのあるはむりと おもはぬ二八の花のむすめごさま はゝごさまにははやくおわかれあそ ばしてわらのうへからおそだて申た 此うばえんりよなさるはみづくさしと なじりとはれてむすめぎのほにあらはれし【合印△の中に▼】 【右丁左側中段】 【合印△の中に▼】はづ かしさ やつと こらへて うばが そばにより 「きよねんの 【左丁中段】 はるとほきあづまの かまくらとやらの ちやきだうぐやの 伊太八さまといふ とのごみやこのぼりの そのついでのたがひに きゝおよびしどうぐ やどしたづねて みへたそのときに こちのとゝさんはかこひ じまんのうすちやの ちそうその時の きやくぶりよいとの ごとおもひそめたる いろぶくさむねは ぐら〳〵にへがまの あけていはれぬ ふたおきのとやかう おもふそのうちに いつかあづまの たびだんすそれが ぢびやうのちやしやくとなり此かし ざしきに出やうじやうあけても くれてもわすられぬいだ八さま【合字】の おもかげにいきうつしなる むかふのかしやのおぶけさま【「次へ」を四角く囲む】 【右丁下段】 「あひた けれど わしや はづ かしうて ならぬ 【左丁下段】 「わた しが それ  と みたは ひが  目 では ある まい それ 〳〵 その はづかし がることがさ なんの此  わしに えんりよ    は   ない    ぞへ 【右丁上部】 【「つゞき」と四角く囲む】あさゆふみやる二かいのまどいまはなか〳〵あの とのごにおもひがまさる此やまひすいりやうして たもいのとあとはなみだの ひざのうへうばの おかねは浦里が せなかをさすり▼一▲ 【右丁下部】 ▼一▲「すりや いつぞや みへた あづまの おきやく 伊太八 さまを みそめ  また 向ふの お武  け さまが 伊太  八 さまに 【合印〇に×】 【左丁下部】 【合印〇に×】よく にて ござる ゆへ いた八 あな たを 思ふて  その 御病  気と おつ しやるので ござんすか おほかた それであろ とすのりやう してゐまゝた むかふのおぶけ さまもぶら〳〵 わづらひこれも 大かた恋やみの 出やうじやう おまへさまにこがれ てゐるかもしれぬ それなれば【合印枡の中に菱形】 【左丁中部】 【合印枡の中に菱形】おもひ あふた中じや さいはひあさ ばんことばを かけあふ【「次へ」を四角で囲む】 【右丁上段】 【「つゞき」を四角で囲む】むかひのしもべのしゆうにうちつけていふたら あちらもあいたくちへもちこむとりもちト そやしたてふみしたゝめてたまはれト うばはしゆじん思ひのいつしんに時次良が 方にいたりけるこそまめ〳〵し さて浦里がうばのおかねは 染五良にあふて 浦里がふみを わたしこゝろの ほどをのべ けるにぞ 染五良も 心の せつ なるを あはれに 思ひ やがて 時次良に ▼▲ 【右丁中段】 ▼▲ことのよしをつげけるに ものがたき大にいかり 大まう【大望】ある身をもちて みだりがましきことにたづ さはり世の人のうしろわらひを うくべきわれとおもふか此ふみ 見るもけがらはしやトいたくのゝ しれば染五良はさかやきをなでゝ いふやう御しゆじんにはたゞことを わくことなくひとすぢにおぼし 【左丁】 □給ふはかたくなとや申さんかの娘が おやは人にしられし道具やのことなれば ふんじつ【「紛失」の古称】のかうろをたづぬるたよりにも なるべきかとおもはれ候むかし牛若 御ぞうしはじやうるりごぜんにれんぼ してふくしうのいちみをかたらひし ためしもありなぞと口をすになして さま〴〵いひすゝむれば時二良もやう やくにうけひきおくりし玉づさ【手紙】をひらき みるに筆のはこびのうつくしさぶんていの いやしからざるにすこしは心もときめく 時二良がゑがほをみてとりりやうし【料紙】すゞりを さしいだせばかへしごとのふみさへも をとこもじにさら〳〵とかい やりけるにぞ染五良はうけ とりてむかひのうばを 小手まねきしてわたせば うばはこよなくよろこび 時二良がふみをみすれば むすめはたちまちじやう きのいろもつや〳〵と ぎば【耆婆=昔、天竺にいたと伝えられる名医の名】がひでんのめう やくよりきゝめのはやき きぐすりはいろよきへんじのふみならん さてある日まつ屋水月は東山どのへめされてこよひは 夜もふけべきさたなればうばはこれをさいはひと思ひ【合印四角の中に×】 【左丁下段】 【合印 四角の中に×】たがひのしゆうをしのびあはする 手はづをしめしあふて日のくるゝ      をぞまちにける 〇さえかへるさむさに春ともしらず  ふる雪にふくるにしたがひまちわび  る浦里はねやのあかりをとほ  ざけてすがごもなら  ぬ四布【よの】ぶとん  ふたぬのあけて  まつとぼそ  もしや心の  かはりしか  なぜに  との  ごの 【合印〇の中に×】 【左丁下段】 【合印 〇の中に×】おそき ぞと いねては おきつ 又いねつ まくら がみさへ いたづらに 油じまぬぞ うらめしき ととき うつ かねを かゞ なへ て【「かがなべて=指折り数えて】 ▲ ▲ といき つくより ほかぞなき   【四角く囲んで】つぎへ 【上段】 【四角く囲んで】つゞき とうぞくのなんを おそれしゆゑなりしかるに いまぬすまれしはわが おちどなりといひつゝ おちちりし時次良が ふみをみてさては むすめがかくし男の わざなるやと思ひ むすめとうばを いたくせめとふにぞ つゝむにつゝまれず ありのまゝにもの がたれば水月は大に いかりにくきらうにんが たくみいでむかふのかし ざしきにいたりかゞみを とりもどさんとかないの 下男をめしぐし【連れて行く】むかひの いへにぞいたり時二良が方 にはこよひしのぶべきやくそく なりしが夕がたゟの大ゆきに 大きにあてられくるしはな はだしきゆへ下良【郎の略】の染五良はいしやの 方へいたりてるすなるあとに時二良 一人やまひにくるしみゐたりける所へ 松やすいげつがいへの下男どもてんでに 六尺ぼうをたづさへヤレぬすびとようちすへて【合印〇の中に二】 【中段】 【合印 〇の中に二】くゝしあげよと いひさまうつて かゝるをやみつかれ たる時二良しん たいじざいならず といへどもおぼへ の手のうち ゆんでめでに なげつけたり 此手なみに おそれいかゞ してとらへん 「そばにこし のものがあれば よういにかゝられず などゝたちさはぐばかりなり 此時里ぶぎやうの夜まはりの やくにんとほりかゝりぬすびとゝ のゝしるこゑに十手とりなは たづさへ内にふみこみとつた といふに時二良はやくにんと みるより手むかひもせず じんじやうにいましめを うけたり此時松や水月 やく人のまへにひさまづき ことのよしをつぶさに ごんじやうなすにぞ やく人はなはつきの時二良に たづぬるにこよひは雪に〼 【下段】 〼あたり やまひに くるしみ しのぶ べき やく そくは なほ ざり にせ し こと ども を もの がた る内 下良 の染 五良 いしやの 方より くすりを とりて もどり 此ていを みておどろ きいさゝかも いつわる所も なくこよひの 病きを  かたり【四角い囲みの中に】次へ 《割書:御かほの|妙薬》美艶仙女香(びゑんせんぢよかう)一包四拾八文 此(この)御くすりは享保(きやうほ)十一年廿一 番(ばん)の船主(せんしゆ)伊孚九(いふきう)と云(いへ)る 清朝人(せいてうじん)長崎偶居(なかさきぐうきよ)のとき時(とき)丸山中(まるやまなか)の近江屋(あふみや)の遊女菊野(ゆうぢよきくの)に 授(さづけ)たる顔(かほ)の薬(くすり)の奇方(きはう)なり伝(つたへ)ていふ清朝(せいてう)《割書:今の|から》にて宮中(きうちう)の 婦人常(ふじんつね)に此薬(このくすり)を用(もちひ)て粧(けはひ)をかざるとぞ右(みぎ)の伝方(でんはう)故有(ゆゑあつ)て 予が家(いへ)に伝(つた)へたるを此度世(このたびよ)に弘(ひろ)むるものなり今世上(いませじやう)に顔(かほ) の薬(くすり)と称(しよう)するものあまたありて色(いろ)はいづれも初霜(はつしも)のおき まどはせる菊(きく)なれども家方(かはう)の妙薬(みやうやく)は別種(べつしゆ)の奇剤(きざい)なれば 世上(せじやう)の顔(かほ)のくすりと一列(ひといろ)に下看(みなし)給ふことなかれ       功能(かうのう)左にしるす ▲常(つね)に用ていろを白くしきめをこまかにす▲はたけそばかすによし ▲できものゝあとをはやく治(なほ)す▲いもがほに用てしぜんといもを治(なほ)す ▲にきびかほのできものに妙なり▲はだをうるほす薬(くすり)ゆゑ 常(つね)に用ゆれば歳(とし)たけてもかほにしはのよる事なし ▲惣身(そうみ)一切のできものによし▲ひゞあかぎれあせもに 妙なり股(もゝ)のすれにはすれる所へすり付てよし 調合売弘所《割書:江|戸》南てんま町三丁目        いなりしん道     坂本氏         いなりの東どなりにて 【囲みの中】 《割書:口|上》右の御くすり十包以上御もとめ被下候はゞ当時(たうじ)三芝居 立者(たてもの)  立役(たちやく)女形(をんながた)正めい自筆(じひつ)の御扇子けいぶつとして差上申候間 十包以上御求め被遊候節は御好(このみ)の役者(やくしや)名前(なまへ)御しるし御こして被下候其置先■ 【囲みの外】 〇用ひやう 水にてとき御つけて被□【成ヵ】候 【白紙】 【白紙】 【白紙】 【白紙】 【白紙】 【文字無し】 【裏表紙の裏(見返し) 文字無し】 【裏表紙 文字無し】 【冊子の背表紙の写真】 KEI SEI ZO RI UTSI 【資料整理番号のラベル】 339 【冊子の天或は地から撮った写真】 【冊子の小口の写真】 【冊子の天或は地から撮った写真】