TKGK-00057 書名  唐詩選画本,三編5巻 刊   5冊 所蔵者 東京学芸大学附属図書館 (備考) 函号  921.43/TAC 撮影  国際マイクロ写真工業社 令和2年度 国文学研究資料館 【表紙題箋】【判読できず】 【見返し】 五七言律排律《割書:不許翻刻|千里必究》 唐詩選画本《割書:三編|五冊》 東都書肆  嵩山房蔵 【左丁】 題唐詩画譜 夫画者影也。人心之霊。即物 輒印。山水卉【草】樹禽獣人物。 鑑諸本注諸想。親炙全 影。然後可以影耳。此図固 【右丁】 不由全影。全影輒印。尚 猶不易。矧通於詩以影於 物。蓋不難其難。鑑諸末 反於本。其工夫謂之何乎。 如其優劣非知画者不克。 【左丁】 吾亦奚言邪吾亦奚言邪。 寛政三年辛亥春三 月  君山唐世済識      【印】唐世済印【印】美卿氏    赤峰 田順書      【印】順印【印】赤峰田氏 【右丁】 自序 蘇長君品王摩詰詩。々中 有画何必摩詰。唐人皆然。 葢唐人之取興象。無不有 雅致。凡宮室之美。華実之 毛。人物之庶。苑囿之富。台榭 陂池之観。山沢河海之楽。述 【左丁】 其景情者。充溢於言語之外。 可以意思得之。不可以註釈 解之。故施諸画図其神思清 雅。精彩暢麗。非後世可及。画 譜五七絶句。既行於世。踵而逮 此集。余也麁工。敢侵狗鶩之 譏。以便於童蒙解詩之路逕。 【右丁】 不敢伝諸有識人也。若夫線 車竹馬之玩。幼稺所不能無。以 之易嬉戯之具。自然得唐人 之指趣。有識君子恕余之罪。 不亦多幸乎。       高田円乗撰       【印】高正和【印】文庸斎 【左丁】 五言律    埜     望 【挿絵】 【右丁】   野望 王績 東皐薄暮 ̄ニ望 ̄ム徙倚 ̄トシテ 欲_二何 ̄クニ依 ̄ント_一樹々皆秋色山々 惟落暉牧人駆 ̄テ_レ犢 ̄ヲ返 ̄リ 【左丁】 獵馬帯 ̄ヒテ_レ禽 ̄ヲ帰 ̄ル相 ̄ヒ顧 ̄テ 無_二相識_一長歌懐 ̄フ_二 采薇 ̄ヲ_一 《割書:葬弃隠士玄芝書之》 【印「■■居」「玄芝」】 《割書:○とうかうはくぼにのそむ。しいとしていづくによらんとほつす。じゆ〳〵みなしうしよく。さん〴〵| たゞらくき。ぼくじんとくをかつてかへり。りやうばきんをおびてかへる。あいかへりみるにあいしるなし| ちやうかさいびをおもふ》 《割書: くれかた只ひとり東方のおかやまへきて人家もない野外をのぞみ見てより所もなくぶらりとして| 居るにつねさへものさびしひにやま〳〵は秋の色をもよほし夕日かげのていもあはれにおもはるゝ| をくをみれば夕ぐれゆへうしを先たてゝかへるもあり狩人は馬のくらにとりけだものをくゝりつけて| かへるがちかづきてもなければたれを相手にかたるものもない此やうにたよりもなくなるものかい| にしへはくい【伯夷】が無道をかなしんでさいびの詩をうとふたと同し事じや》 【挿絵】 【右丁】 【印「■■■■」】   晩 ̄ニ次 ̄ル_二楽郷県 ̄ニ_一         陳子昂 故郷杳 ̄トシテ無 ̄シ_レ際 ̄リ日暮且 ̄ツ 孤征 ̄ス川原迷 ̄ヒ_二旧国 ̄ニ_一 道路入 ̄ル_二辺城 ̄ニ_一野戍 【左丁】 荒煙断 ̄ヘ深山古木平 ̄ナリ 如何 ̄ソ此 ̄ノ時 ̄ノ恨噭々 ̄トシテ 夜猿鳴 ̄ク 《割書:滕成|》【印 烏山】【印 滕忠成印】 《割書:○こきやういやうとしてかぎりなし。じつぼかつこせいす。せんげんきうこくにまよひ。どうろへんじやう| にいる。やじゆくわうゑんたへ。しんざんこぼくへいなり。いかんぞこのときのうらみ。きやう〳〵として| やゑんなく》 《割書: こきやうをふりかへりみればはるかにかぎりもない事じやひとりたびの事ゆへほつ〳〵と日くれ| までも宿へつくまではゆかねばならぬものうい事じやまへかた此所へきた時とは何もかもちがふた| とおもへば別て心ほそひみちのかたはらにやまじろなどの有所をみればこれは少しむかしにかはらぬ| やうに思はるゝどこもかしこもあれはてゝ人かげもないだん〳〵山おくをみれば古木の枝などがた| たいらに揃てみゆる只さへかなしひにかまひすしくさるなどの鳴を聞てはたへられぬ》 【挿絵】 【右丁】 春夜別_二友人 ̄ニ_一     陳子昂 銀燭吐 ̄キ_二青煙 ̄ヲ_一金尊 対 ̄ス_二綺筵 ̄ニ_一離堂思 ̄ヒ_二琴 瑟 ̄ヲ_一別路繞 ̄クル_二山川 ̄ヲ_一明月 【左丁】 隠 ̄レ_二高樹 ̄ニ_一長河没 ̄ス_二暁 天 ̄ニ_一悠々 ̄トシテ洛陽 ̄ニ去 ̄ラハ此 ̄ノ会 有 ̄ン_二何 ̄レノ年 ̄ニカ_一   《割書:|北■書》【印「■■」】 《割書:○ぎんしよくせいゑんをはききんそんきゑんにたいすりどうきんしつをおもひべつろさんせんを| めぐるめいげつこうじゆにかくれちやうかきやうてんにぼつすゆう〳〵としてらくように| さらばこのくわいいづれのとしにかあらむ》 《割書: 夜さかもりのことゆへぎんばくなどでかざつたりつはなろうそくを立てとぼすゆへけふりもこく| はきけつこうなたるへさけを入てうすものゝむしろに対してあるちそうのよいあいさつである| さて今夜はなれざしきてことをたんしにぎやかにうちはやしてくれらるゝがあすわかれて| 山川をめぐるをりからおもひ出すであらふかれこれして居るうちによひの内みへた明月も| 大木のかげにかくれあまの川もにしへながれてみうしのふたゆふ〳〵として明日らく| 陽へさつてあるならばこのくわいをいつのとしにするであらふとなごりをかしみ礼をいふ》 【挿絵】 【右丁】 送_二-別 ̄ス崔著作 ̄カ東征 ̄スルニ_一       陳子昂 金天方 ̄サニ粛殺白露 始 ̄メテ専-征 ̄ス王 ̄ノ師非 ̄ス_レ楽 ̄ムニ _レ戦 ̄ヲ之 ̄ノ子慎 ̄メ_レ佳 ̄スルコトヲ_レ兵 ̄ヲ海 【左丁】 気侵 ̄シ_二南部 ̄ヲ_一辺風掃 ̄ラフ_二 北平 ̄ヲ_一莫 ̄レ_下売 ̄テ_二盧龍 ̄ノ塞 ̄ヲ_一 帰 ̄テ邀 ̄ルコト_中麟閣 ̄ノ名 ̄ヲ_上 《割書:○きんてんまさにしゆくさつ。はくろはしめてせんせいす。わうのしたゝかひをたのしむにあらす。このこへいを| よみすることをつゝしめ。かいきなんほうをおかし。へんふうほくへいをはらふ。ろりやうのさいをうつて。かへつて| りんかくのなをもとむることなかれ》 《割書: きん天は秋の天の事で金天秋物をならすさつばつの時に乗してせいばつすると言が古の礼であるゆへ| 白露の七月に初てとうせいするさて王者の師を出さるゝは征ありせんありとてぜひなく兵をつかわさるれ| どもさきのものかしづまれは直にかへさるゝぎて戦をたのしふ思召てはない兵をこのみいくさずきをせぬやう| にしやれとなり海きへん風ともにゑびす共が中国の方へ侵しこんてくるに付てそこもとをせいばつにつ| かわさるゝ心得のために言てやるろりやうさいあたりでよいくらいにこしらへ事をして夫をうりつけ| て帰りきりんかくなとの名をあらはすと言やうな事をしやるな此じふん有た事じや》 【挿絵】 【右丁】 【印】 蓬莱三殿 ̄ニ侍 ̄テ_レ宴 ̄ニ承 ̄テ_レ 勅 ̄ヲ咏 ̄ス_二終南山 ̄ヲ_一 杜審言 北斗挂 ̄リ_二城辺 ̄ニ_一南山 倚 ̄ル_二殿前 ̄ニ_一雲標金闕迥 ̄カニ 樹杪玉堂懸 ̄ル半嶺 【左丁】 通_二佳気 ̄ヲ_一 中峰繞 ̄ル_二瑞 煙_一小臣持 ̄シテ献 ̄ス_レ寿 ̄ヲ長 ̄ク此 ̄ニ戴 ̄ク_二堯天 ̄ヲ_一 滕成 【印 滕忠成印】 《割書:○ほくとじやうへんにかゝり。なんざんてんせんによる。うんへうきんけつはるかに。じゆへうきよくたうかゝる。| はんれいかきをつうし。ちうほうすいゑんめくる。せうしんちしてしゆをけんす。なかくこゝにきやうてんを| いたゝく》 《割書: 御酒ゑんか有てしんげんもお供をして終南山と言題をつくりませいとをゝせ付られてつくる長安は北斗星の| 真下に当てあるゆへ北城ともいふ北斗かきんりのうへにつらなつてあり終南山はほうらいでんのはなのさきに| つゝと高くもたれかゝつてある三でんよりみれは金闕かはるかに雲のはつれに見ゆる玉堂は天子の御座なされる所| を言こゝでは終なん山の上に山神堂か高くかゝつてみゆるそうもしてみねはつりあいがわるい南山のいたゝきの木を| うちこして山神とうかみへる御所のかきがなんさんのみねまて通しとゝいて天子の目出たいずいゑんか中峰| まてめぐつてある小臣寿を献してながくぎやうのことく御世につかへてをりたいものじや》 【挿絵】 【右丁】  和 ̄ス_二晋陵 ̄ノ陸丞早春 ̄ノ遊望 ̄ヲ_一         杜審言 独 ̄リ有 ̄テ_二宦遊 ̄ノ人 ̄ノミ_一偏 ̄ヘニ驚 ̄ク_二 物候 ̄ノ新 ̄ナルニ_一雲霞出 ̄テヽ_レ海 ̄ヲ 曙 ̄ケ梅柳度_レ江春 ̄ルナリ【注】淑 【左丁】 気催 ̄シ_二黄鳥 ̄ヲ_一晴光転 ̄ス_二 緑蘋 ̄ヲ_一忽 ̄チ聞 ̄テ_レ歌 ̄フヲ_二古調 ̄ヲ_一 帰思欲 ̄ス_レ沾 ̄サント_レ巾 ̄ヲ     【印】圓【印】乗 《割書:○ひとりくわんゆうのひとのみあつて。ひとへにぶつこうのあらたなるにおどろく。うんかかいをいてゝあけ。はい| りうゑをわたつてはるなり。しゆくきくわうてうをもよふし。せいくわうりよくひんをてんす。たちまち| こてうをうたふをきいて。きしきんをうるほさんとほつす》 《割書: せつぶつきこうのうつりかわりあらたまるにおとろく朝の雲やかすみかあかくみへてうみより日の出か| みゆる梅柳もまだ花のさかぬ時分じやが江南の方へきてみれは花もひらき柳もみどりである叔【淑】気の| あたゝかなきがうくひすなとをさいそくしてなりせうきくさもまばらに日のかげにきら〳〵うつゝてみゆる| 其元のすぐれた古調の中にこきやうかこいしいと言う作てあるを見てわれもこきやうへかへりとうなつて| きんをうるほさんとほつす》 【注 「春ルナリ」の「ル」衍ヵ】 【挿絵】 【右丁】 和 ̄ス_二康五 ̄カ望 ̄テ_レ月 ̄ヲ有 ̄ルヲ_一レ懐 ̄ヒ         杜審言 明月高秋迥 ̄カナリ愁人独-夜 ̄ニ 看 ̄ル暫 ̄ク将_レ弓並 ̄ニ曲 ̄リ翻 ̄テ与_レ扇 【左丁】 倶 ̄ニ円【団】 ̄カナリ露濯 ̄イテ_二清輝 ̄ヲ_一苦(サ) ̄ヘ風飄 ̄カヘシテ_二 素影 ̄ヲ_一寒 ̄シ羅衣一 ̄タ【「ビ」脱ヵ】此 ̄ニ鑒 ̄ツテ【注】頓 ̄ニ 使 ̄ム_二別離 ̄ヲ難 ̄カラ_一   《割書:茂松堂■【乗ヵ】阿書》 《割書:○めいげつかうしうはるかなり。しうしんとくやにみる。しはらくゆみとならひにまかり。かへつてあふきととも| にまとかなり。つゆせいきをそゝひてさへ。かせそゑいをひるかへしてさむし。らいひとたひこゝにうがつに【注】とんに| べつりをしてかたからしむ》 《割書: 秋のそら高くすみわたり月がたかくかゝり只さへものあわれしやに懐ある愁人がひとりみるゆへ| いよ〳〵かなしひこの比まて弓はり月てあつたがはや十五夜に成てうちわのなりになつた露かおり| て月もさへきら〳〵そゝくやうにみゆる風も月影のさへきつた素影をひるがへしていよ〳〵寒くみへる| たびははかないものしや八月比寒くなつてもまだ夏衣のまゝているこれらをみるにつけても別離の| しにくいを頓にがてんしてある》 【注 「鑒ツテ」を「うがつに」と読んでいる。送り仮名が異なる。また「鑒」に「うがつ」の読みは無し。「うがつ」は「鑿」。別資料では「鑒」は「てらされ」と読んでいる。】 唐詩選画本巻一終 【挿絵】 【見返し】 【裏表紙】 【表紙題箋】 《割書:五言律|》 【そのほかは判読できず】 【見返し】 【左丁】 五言律   幽州   夜    飲 【挿絵】 【右丁】         張説 涼風吹_二夜雨 ̄ヲ_一蕭瑟 ̄トシテ 動 ̄ス_二寒林 ̄ヲ_一正 ̄ニ有 ̄リ_二高堂 ̄ノ 宴_一能忘 ̄ンヤ_二遅暮 ̄ノ心 ̄ヲ_一 軍中宜 ̄ク【左送り仮名:シ】_二剣舞 ̄ス_一塞 【左丁】 上重 ̄ス_二笳音 ̄ヲ_一不 ̄ンバ_レ作 ̄ラ【二点脱ヵ】辺 城 ̄ノ将 ̄ト_一誰 ̄レカ知 ̄ン_二恩遇 ̄ノ深 ̄キコトヲ【一点脱ヵ】        山弦?山【印】■【州ヵ】 《割書:○りやうふうやうをふき。せうしつとしてかんりんをうごかす。まさにかうたうのゑんあり。よくちぼのこゝ| ろをわすれんや。ぐんちうよろしくけんぶすべし。さいしやうかいんをおもんず。へんじやうのしやうと| ならずんば。たれかおんくうのふかきことをしらん》 《割書:  秋の事ゆへ涼風が雨をふき風のをとがものさびしく聞へる高どうに酒ゑんをもよほしなぐ|  さめてくれらるゝがことしもはやすへになつたとおもひ出してわすれかねるちぼは月日のくれ|  ゆく事なれとも年の寄までこゝろざしをとげぬといふ意てあるぐん中の事なれはつねに|  つるぎの舞なとをする吹ものといへば胡人が重にする笳をふくがみやこにない事ゆへちそう|  にすれどかへつてかなしうなる此やうに辺塞に来てもてはやさるゝも天子の御おんのふかいゆへ|  じやへんさいの大しやうに成てみねはしれぬ》 【挿絵】 【右丁】  秋思    李白 燕支黄葉落 ̄ラン妾 望 ̄テ自登 ̄ル_レ台 ̄ニ海上碧雲 断 ̄ヘ単于秋色来 ̄ル 胡兵沙塞 ̄ニ合 ̄シ漢使玉 【左丁】 関 ̄ヨリ回 ̄ル征客無 ̄シ_二帰 ̄ル 日_一空 ̄ク悲 ̄ム蕙草 ̄ノ摧 ̄ルコトヲ      茂松堂書 《割書:○ゑんしかうゑうおつらん。せうのぞんてみづからたいにのぼる。かいしやうへきうんたへ。せんうしう| しよくきたる。こへいしやさいにがつし。かんしぎよくくわんよりかへる。せいかくかへるひなし。むなし| くかなしむけいさうのくだくることを》 《割書:  秋のことゆへ我おつとの居るゑんし山あたりも木の葉もこうやうしてちつたであらふと思ふ|  に付てみづから台にのぼりて我おつとの居る方はあそこかとうみの上を見れども一向なにの|  わかちもなくくもがかゝつて秋の色のものさびしひ気がみへてたゞ遠ひのみであるきけば胡人|  どもがさわいていくさ真さい中でこの比みやこからいたおつかいが玉関から先へとをりかねてかへ|  つたと云が我おつとは征客なればかへるといふ事もなしわるくしたらおつとのかへらぬうち|  に顔色もおとろへやうかなげかわしひ事じや》 【挿絵】 臨  洞   庭 【右丁】   臨_二洞庭_一           孟浩然 八月湖水平 ̄カナリ涵_レ虚(-) ̄ヲ混(-)_二太 清 ̄ニ_一気 ̄ハ蒸 ̄ス雲夢沢波 ̄ハ撼 ̄カス 岳陽城欲 ̄スルニ_レ済 ̄ラント無 ̄シ_二舟楫_一 【左丁】 端-居 ̄シテ恥 ̄ツ_二聖明 ̄ニ_一坐 ̄カラ観 ̄ル垂 ̄ルヽ _レ釣 ̄リヲ者 ̄ノ徒 ̄ニ有 ̄リ_二羨 ̄フ_レ魚 ̄ヲ情_一       山三楽書【印】■【州ヵ】 《割書:○はつげつこすいたいらかなり。きよをひたしてたいせいにこんず。きわむすうんぼうたく。なみはう| ごかすかくやうじやう。わたらんとほつするにしうしふなし。たんきよしてせいめいにはづ。いな| がらみるつりをたるゝもの。たゞにうをゝねらふじやうあり》 《割書:  八月比湖水が一面にまつたいらに成てことの外ひろいゆへ太清にこんじてひとつにみへる朝日|  の出るじふん雲夢の下から水がむれあがり大なみががくやうろうの石がきにうちつける済は|  天下を治る事なり舟楫は天下を治る才の事になるわれもひとつ天下を治めてみたひ|  と思へど才がないゆへ御当代の聖明にはぢてつゝくりと手をこまぬいてなにもせず実は我も|  才はあれど天子がくらいゆへわがきりやうがしれぬと云ことじやわれも居なからつりをする|  ものをみてうをがほしいと思へどつり道具をこしらへぬはたゞおもふばかりて世に出てこう|  をたてたいとおもへども此方からへつらふ所ぞんはないといふ意てある》 【挿絵】 【右丁】  題_二義公禅房_一  孟浩然 義公習 ̄フ_二禅■【注】 ̄ヲ_一結 ̄シテ_レ宇 ̄ヲ 依 ̄ル_二空林 ̄ニ_一戸外一峯 秀 ̄テ階前衆壑深 ̄シ夕 【左丁】 陽連 ̄リ_二雨足_一空翠 落_二庭陰_一看_二【-脱ヵ】取 ̄シテ蓮花 ̄ノ 浄 ̄ヲ_一方 ̄ニ知 ̄ル_二不染 ̄ノ心 ̄ヲ_一《割書:東岳■【俊ヵ】書|》 《割書:○ぎこうぜんしゆくをならふ。うをむすんでくうりんによる。こぐわいいつほうひいで。かいぜんしう| かくふかし。せきやううそくつらなり。くうすいていいんおつ。れんげのきよきをかんしゆして。| まさにふせんのしんをしる》 《割書:  ぎこうといふ人はざぜん好て引こんて人かげもないはやしをこだてにとりて庵室を|  作つてある気色もよく座敷の戸をひらくと向ふに一峯がひいてゞみゆる下をみれは|  谷〳〵がふかくみゆるをりふし夕立がふつて雨のあしが雲中にすきたつてみへ木が高く|  しげり蓮花のきよらかに咲てあるをみて心も世ぞくにそまぬ清浄なと云事を|  知た》 【注 ■は「宇」ヵ。原文は「禅寂」であり「寂」の誤記ヵ】 【挿絵】 【右丁】  観_レ猟  王維 風勁 ̄フシテ角弓鳴 ̄ル将軍 猟 ̄ス_二渭城 ̄ニ_一草枯 ̄レテ鷹眼疾 ̄ク 雪尽 ̄キテ馬蹄軽 ̄シ忽 ̄チ 過 ̄キテ_二新豊 ̄ノ市 ̄ヲ_一還 ̄ツテ帰 ̄ヘル_二細 【左丁】 柳営 ̄ニ_一回_二-看 ̄スレハ射 ̄ル_レ鵰 ̄ヲ処 ̄ヲ_一 千里暮雲平 ̄カナリ      山三楽書【印】 《割書:○かぜこはふしてかくきうなる。しやうぐんいじやうにかりす。くさかれてようがんとく。ゆ| きつきつきてばていかろし。たちまちしんほうのいちをすぎて。かへつてさいりうゑいにかへる。| てうをいるところをくわいかんすれば。せんりぼうんたいらかなり》 《割書:  冬になると風がはげしくゆみのにべもかはいてつるの音がなつてかりをするに|  よい時■【くヵ】らゆへしやうぐん渭城へかりに出らるゝくさもかれてたかのかけひきも目はやに|  するどく雪もきへうさききつねの居所もしれ鳥も飛よくむまのあしもかるく|  面白いかりをしてまもなく長安の新豊の市をすぎて細柳営にかへるはや日も|  くれ合に成て一日猟をした所をふりかへりみれははるかに遠くくもがかゝつてたいら|  にみゆるかりといふものは面白いもので思はず遠ひ所までゆくものじや》 【挿絵】 【右丁】  寄_二左省杜拾遺_一         岑参 聯歩 ̄シテ趨 ̄リ_二丹陛 ̄ニ_一分曹限 ̄ル_二 紫微 ̄ニ_一暁 ̄ハ随 ̄テ_二 天杖 ̄ニ_一入 ̄リ暮 ̄ニハ 惹 ̄テ_二御香 ̄ヲ_一帰 ̄ル白髪悲 ̄ミ_二 【左丁】 花落 ̄ルヲ_一青雲羨 ̄ム_二鳥 ̄ノ飛 ̄ヲ_一 聖朝無 ̄シ_二闕事_一自覚 ̄フ 諌書 ̄ノ稀 ̄ナルコトヲ 《割書:北■【印】|》 《割書:○れんほしてたんへいにわしり。ふんさうしびにかぎる。あかつきはてんぢようにしたがつていり。| くれにはぎよかうをひいてかへる。はくはつはなのおつるをかなしみ。せいうんとりのとぶをうら| やむ。せいてうけつじなし。みつからおぼふかんしよのまれなることを》 《割書:  参内するをりはきざはしを聯歩して上り退ては禁裏の御殿の左右にやくしよがあるにより紫|  微をかぎり分曹しておるあかつきに参内するをりは天仗のほこなどを持た役人がわれにしたが|  つている帰りには天子の御香のかほりがしやうぞくなどへうつゝて帰るかやうにはくはつに成まで|  つとめてもやくがへもせず花のおつるをみても又此春もむなしく過ゆくよとなげかわしひせい|  うんは立身むきの事なりわれも天子へ御いさめ申上てこうを立たいと思へともけつかうな|  御代て闕事がないゆへおいさめ申事がないといふて実は御いさめ申てもとりあげがないと云》 【挿絵】 自薊北帰 【右丁】  自_二薊北_一帰 ̄ル           高適 駆 ̄ル_レ馬 ̄ヲ薊門 ̄ノ北々風 辺馬哀 ̄ム蒼茫 ̄タリ遠 山 ̄ノ口 ̄リ豁達 ̄トシテ胡天開 ̄ク五 【左丁】 将已 ̄ニ深 ̄ク入 ̄リ前軍止 ̄タ半 ̄ハ 廻 ̄ル誰 ̄レカ憐 ̄ム不 ̄シテ_レ得_レ意 ̄ヲ長 剣独 ̄リ帰 ̄リ来 ̄ルコトヲ         《割書:北■書【印】|》 《割書:○むまをかるけいもんのきた。ほくふうへんばかなしむ。さうばうたりゑんざんのほとり。くわつたつ| としてこてんひらく。ごしやうすでにふかくいり。せんぐんまたなかばかへる。たれかあわれむこゝろを| ゑずして。ちようけんひとりかへりきたることを》 《割書:  敗軍のにげあしの事ゆへむまもかなしみ追立て薊門の北より帰る山路のいり口に入てみれば|  はてしもみへぬゆへこれはならぬと馬をおい立て出たれば豁達とおしひらいたる所へ出てみれば|  やはり胡の地じやとおどろくやうすを云さて此度のいくさのまけになつたは先手の大しやうが|  深入をしてうち死をしたゆへじやこのやうにすご〳〵と大わきざしをさして帰るといふは無|  念なと思へどもたれもあわれみなぐさめてくれるものはあるまい》 【右丁】 【挿絵】 唐詩選画本巻二終 【見返し】 【裏表紙】 【表紙】 【題簽 擦れ】