【表紙】 嘉永四亥七月十八日ゟ同廿九日              迄  白山道中名所筆記        安沢村         八尾顕十郎 【右丁 白紙】 【左丁】  正月中の八日白山に【えヵ】入湯  の道には【てヵ】 ■■【露にヵ】しめる■■【鞋草ヵ】     加減や湯の首途      滅   鳴川にて    石を 鶺鴒の叩くに余る        水の音 定政村 石盛村 く 栗盛村 漆原村 崎村 福庄村 熊堂 磯部■村 樋爪村 ■安村 落間村 此辺ゟ川北用水取口三つあり 上金屋村道の旁ニ宮あり又地 内ニ大樹あり大きさ四抱余り 二つ屋村ニ酒屋あり 鳴麻 吉浪 浄法寺 東栃原 ■頭鳴村 此所ニ栄あり 東野村 志比原 荒町村 内波村 此村ゟ栃ケ宮え別る〃道有又村上ニ万年橋 といふあり長さ丗四五間斗り両方而しての詰ニ石垣 弐丈斗り積上げこうろぎ橋ニ而中杭なし 水ゟ弐丈五尺斗り勝山の町人亀屋と云 人■ら由是ゟ勝山江一里又是ゟ少し 行て屋の右手向ふの川岸ニ御泉水松と 云ふ所あり牛の鼻に■■またいりし風景 よし勝山ゟ十丁斗りこなたに寄麓なる 原あり殿様御休是の所あり是ゟ勝山迄 道の美簾なる事他に異る 勝山町家寄 簾なり 勝山ゟ栃ケ宮江壱里 栃ケ宮ゟ少シ行テ清水 あり河尻江一里斗首江別るる道あり河尻ゟ 杵橋江八丁あり村の上ニ杵橋あり橋の元大 樹繫茂して甚だ涼し又橋のこなたに■■ 瀧有道の馬手向ふ乃山ニあり此辺ニ鴨足と いふ作り多し田も少〃あり唐黍多く■麻 畑有こまかにして長さひくし稗畑有        此辺山■して谷深し杵橋 ゟ少し上て弓手の谷に水流岩お多し 道より見下して風景よし杵橋村ゟ大原 村江一里村上ニ土橋あり此辺ニ鶯鳴く 其声春のことし大原村早森茶屋迄壱 里十丁斗りこなたに二本杉あり此所ゟ平 泉あり寺道甚だ間道之平泉寺江道のり四 里 早森ゟ大原峠江 二里此山ニぶなの木         此所にて白山有由 あり又大木■倒て■る事多し早森 ゟ三ツ谷四里半此間民家なし三谷ゟ こなたによき■あり又村の上ニ■あり長さ六 七間斗り三ツ谷ゟ一ノ瀬村江一里一ノ瀬村 ニ山上改役所あり源五といふ者有白山の 支配人之宿家三軒あり座敷山中に稀 なるふしん寄廉也夫ゟ橋有橋を越し 白山之鳥居あり又別山分る〃道あり 八丁行て湯あり 御手洗山の両方ニあり本山別山ゟ鳥居の 下ニて落合一の鳥居下道のかたはらニ燈籠 あり鳥居ゟ上る坂甚だきふ也三丁斗り上て 階子坂あり又鳥居ゟ十丁斗り上に一ノ宮有 不動明王 鳥居与り一里上之檜宮ノ■本尊泰 證大師御作甚多た古くして御姿わ■■けだし腰ゟ下朽 て奈し脇士多し又半里斗り上之刺刀窟有 道ノ馬手ニ窟の中地蔵夥し又半里上に仙人窟あ り道の弓手也 又 上に御花畑有又上に■塚 あ又上に畜生谷夫ゟ一里上に仏ケ原といふ所山 の峰也少し行て御前御室あり是ゟ御本■江八丁 此辺谷又雪あり又霜降松多し長短クしてハイ ヒヤク■とし其肥えたる中妙なり又シャクナンケあり 墨百合ありお室二間半に四間向ふに泰澄大師 御自作の像有御紋乃戸開ありかた■ニ鉦あり 上ニ白山御手向乃行燈あり六銅二而蠟燭立又囲 炉裏乃中ニ大きなるゴトクあり又大なる■子(かんす)有 薪生松ニて其煙る〃中云ふも更なり参詣の洗 人猪の子乃ことし連■に(ここ)かしこに■たり又 起たり風雨を凌ぐ斗りニ而さながら野宿に ■とし又かたやニ少き間あり水屋あり■に山 案内の者居住■十間斗り下りて小き池あり 諸人此水ニ而飯米を磨く其つめたき事寒中乃 ことし御室にて御本體見たれとも八丁あり少シ上に ザンゲ石ありまた少し上■高天原體あり中ニ二神あり 又少し上に天照皇御神御誕生地あり其ゟ御本體 宮の三方ニ玉石垣あり少し下りて六道■地蔵有 夫ゟ千歳池此池上に雪何丈ともなくあり其上を ■行津■たき寒中■■■■夫ゟ采女體此神 黄金神なる由今ハ墨し夫ゟ奥の院此山甚 ケンサン惣而八丁ウエハ岩山ニ而尋常乃山なら須奥乃 院ニ而参詣乃諸人古鞋草を捨る此辺ニ雷鳥 遊ふ其姿雉子の雌ニ■■■少しちいさし夫ゟ 地獄谷上へ六体地蔵あり専一不■稲地獄 第二鍛冶屋地獄剣山御室岩血の池地獄油 屋地獄夫ゟ下山 申丙ニ当る比叡山見ゆ南に伊吹山見ゆ北■ 立山見ゆ東に鎗ヶ嶽見ゆ辰巳ニ駒ヶ岳見ゆ 北寅に木曽御嶽見ゆ在何も御本體の後ろ     大原辺ニて鶯の鳴声を■して 紅葉せぬ此奥山や 奥山や■さ之鳴かて鳥の声   白山の梺ニて 御手洗耳心清めん胸乃■ 御手洗乃水を鏡に胸の■    御前室ニ籠りて 月雪を世界離れて見る日か南    白山乃温泉に温りて  朝■の中も匂ふて湯乃煙 諸国の出逢ふ■しも■花野哉 参解石 高天原大神宮 高天原大神宮 出産の窟 ■環■■家浄願金剛堂 峰見神社