【撮影ターゲット】 【表紙】 【右下図書票】 596。1 To68 青山 【左端書名の題箋】 《割書:魚類r|精進》早見献立集 【右頁 見返し 赤色】 早見 献立 帳 《割書:初篇|》 【左頁】 料理てふことを書たる ふみ其世にくさ〳〵あわれと 其一わたりに書しるし てもふみきたにわかち とき折のまけにそなへ したゆみまたたくひ なくそ覚ゆかくいはんは 【右頁】 おこかましけれとこは向猶 たのみたしか雪によりて からは物せし故に南竹 さて文の名に早見の 文字からふらせしも 吉礼かゆゑにこそ   東籬亭主人誌 【左頁】 客(きやく)主(あるじ)并 諸役方(しよやくかた)座席(ざせき)の図(づ) 【上段】 座敷(ざしき)奉行(ふぎやう)は 次(つぎ)の間(ま)に座(ざ)して 坐敷(ざしき)のもやふを 伺(うかゞ)ひ飯汁(はんじう)のもり かへ引(ひき)もの酒肴(しゆかう)等 遅速(ちそく)なきやう 配膳人(はいぜんにん)に下知(げぢ) し 初中後(しよちうご)心(こゝろ)を くばるべし 座敷方(ざしきかた) 【下段】 配(はい)せん人は起居(たちゐ)もの しづかにしてこれまた 座(ざ)しきのやうす一々 座敷(さしき)奉行(ぶぎやう)に達(たつ)して その下知(げぢ)をうくべし 配膳人(はいぜんにん) 【右頁  図では主が離れて客に対座している】 主(あるじ)は末座(ばつざ)に 客座(きやくさ)に対(たい)し て座(ざ)し初中(しよちう) 後(ご)のあいさつ等 心(こゝろ)を配(くば)り 少(すこ)しも ゆだんあるべ    からず         主座(あるしのざ) 【左頁  図では左から 上客と二客が床の間を背にして座す】 【二名の配膳人が上客と二客にそれぞれ 引もの、二の膳をすえている】   二客        二之膳すへ様  上客          引もの           すへ様 【右頁】 【台所 竈の前の煮方の図】 煮方(にかた) 四季(しき)寒暖(かんだん) にしたがひ夫(それ)々(〳〵)の かげんは煮方(にかた)の 巧拙(こうせつ)にありいか程(ほど) 山海(さんかい)の珍味(ちんみ)を尽(つく) すともかげんあしきは ふちそうといふべし 【左頁】 【台所 調理をする料理方 包丁で野菜の皮を剥いている】 料理方 家(いへ)々(〳〵)の流義 ありて等(ひと)しくは いふべからずされど あまり巧(たくみ)なれは しぜんの美(び) 味(み)をうしなふ 事あり 心すへし 【右丁】 【図は 献方が饗応全般の指図をしている】 献方(こんかた) 献方(こんかた)は饗応(きやうわう)の惣奉行(さうぶぎやう)にして しばらくも其席(そのさ)を退(しりぞ)く事なく 居(ゐ)ながら座敷(ざしき)のもやうをかんがへ 料理(れうり)煮方(にかた)の怠(おこた)りを正(たゞ)し 給史(きうし)配膳(はいせん)に卒忽(そこつ)なからしむ 其事(そのこと)に馴(なれ)ざる人の勤(つと)め得(う) べきにあらずかし 【左丁】 《割書:魚類|精進》早見(はやみ)献立帳(こんだてちやう)    凡例(はんれい) 一 夫(それ)貴人(きにん)高位(かうゐ)の御館(みたち)には庖丁(はうちう)  料理(れうり)の家元(いへもと)ありて御慶賀(ごけいが)の  軽重(けいぢう)により五々三七五三 或(あるひ)は  高盛(たかもり)平盛(ひらもり)等 夫(それ)々(〳〵)古例(これい)法式(はふしき)皆(みな)  家元(いへもと)の秘伝(ひでん)にして素人(しろうと)の倣得(ならう)る  事(こと)にあらず此(この)早見(はやみ)献立帳(こんだててう)は  畢竟(ひつきやう)民間(みんかん)の遊宴(ゆうゑん)または仏事(ふつじ) 【右丁】  なんどに素人(しろうと)の手料理(てれうり)集(あつ)めたる  ところなれば識者(ものしりびと)その式法(しきはふ)なき  を咎(とが)むる事なかれ 一 寒中(くはんちう)二汁(にじう)七 菜(さい)の献立(こんだて)をしる  すといへども㊄㊂の印(しるし)を付て五  菜(さい)三菜をわかつ五の印(しるし)のみを  集(あつ)むるときは一汁(いちじう)五菜(ごさい)となる  三菜(さんさい)もこれに順(じゆん)じてしるべし 一 四季(しき)十二 段(だん)にわかつて其 献立(こんだて)を  なすといへども年(とし)々(〳〵)の寒暖(かんだん)に 【左丁】  よりて河海(かかい)の鱗(うろくず)はもとより山野(さんや)の  菓菜(くはさい)にいたるまで生熟(せいじゆく)の遅速(ちそく)  あり故(かるがゆへ)に月(つき)々(〳〵)わくるといへども前後(せんご)  を見合(みあは)せ用捨(やうしや)あるべし尤(もつとも)その  地(ち)の陰陽(いんよう)にしたがひ産(さん)ぶつに又  ふ同(どう)ありあるひは同し品(しな)にても至(いたつ)て  賞翫(しやうくはん)する処もあり又 却(かへつ)て馳走(ちさう)  にならざるもあり他邦(たはう)に至(いたり)ては其所(そのところ)  の風土(ふうと)にならひて作略(さりやく)あるべし 【右丁】   目録 〇正月   《割書:魚類二組|精進一組》  〇初丁ヨリ 〇二月   同《割書:二組|一組》  〇五丁ヨリ 〇三月   同上   〇八丁ヨリ 〇春三月  同《割書:三組|二組》  〇十一丁ヨリ 〇四月   同《割書:二組|一組》  〇十六丁ヨリ 〇五月   同上   〇十九丁ヨリ 〇六月   同上   〇廿二丁ヨリ 〇夏三月  同三組ツヽ〇廿五丁ヨリ 〇七月   同《割書:二組|一組》  〇三十一丁ヨリ 【左丁】 〇八月   同上   〇三十五丁ヨリ 〇九月   同上   〇三十九丁ヨリ 〇秋三月  同《割書:二組|三組》  〇四十三丁ヨリ 〇十月   同《割書:二組|二組》  〇四十八丁ヨリ 〇十一月  同上   〇五十二丁ヨリ 〇十二月  同    〇六十丁ヨリ 〇冬三月  同    〇六十丁ヨリ 〇台引重引      〇七十丁ヨリ 〇料理心得      〇八十三丁ヨリ    已上 【右丁】 二汁(にじゆう)七菜(しちさい)椀数(わんかす)の事(こと)並 書方(かきかた) 【上段】  献立 生盛(いけもり)  汁(しる) 坪皿(つほざら)  飯(めし)  香(かう)の物(もの)  二(に)の膳(ぜん) 刺味(さしみ)  二ノ汁(しる)   《割書:ちよく付》  引テ 大猪口(ちよく) 平皿(ひらざら)  吸物(すひもの) 茶碗(ちやわん)      くはし   已上 【下段】  上(うえ)の献立(こんだて)は二汁(にじゆう)  香(かう)七さいといふ香(かう)と  いふは香(かう)のものをも  菜(さい)かずに入(い)るゆゑ也  本七菜(ほんしちさい)といふときは  杉焼(すぎやき)あるひは中皿(ちうざら)など  香(かう)のものをかずに入(いれ)る  七菜(しちさい)をいふ五菜三さ  いもこれに同じ ◯今(いま)の世(よ)には坪皿(つほざら)は  不流行(ふりうかう)なれども本(ほん)  料理(れうり)には必(かな)らず用ゆ  る事なり三さい五  さいにはくはしわんにしても  引べし 【左丁】 一汁(いちじゆう)本五菜(ほんごさい)《割書:本文に㊄本文の|印(しるし)を合す》一汁(いちじゆう)三菜(さんさい)《割書:同く㊂の|印(しるし)を合す》 【上段】   献立 ㊄刺味(さしみ)  汁(しる)     飯(めし)   香のもの  引テ ㊄大猪口(ちよく) ㊄平皿(ひら) ㊄菓子(くはし)椀(わん)《割書:平皿をふ用|ときはくはし椀|にしてそへ出す》 ㊄茶碗(ちやわん)       吸物     くはし      已上 【下段】   献立     汁(しる)  ㊂ 猪口(ちよく)      飯(めし)   かうのもの   引テ ㊂ 平皿(ひら) ㊂くはし 椀(わん)《割書:坪(つぼ)皿を用ひる|ときはくはし椀|なし》      吸物     くはし      已上 【右丁】  正月 魚類(きよるい)《割書: 二汁(にしう)香(かう)七 菜(さい)|㊄一汁(いちしう)本五 菜(さい)|㊂一汁本三 菜(さい)》  生盛(いけもり)《割書:煮(に)かへし酢(す)| あかゞいせん| いかのせん| う ど| さばしそのみ付| あさつき》 汁(しる)《割書:ふくさ| 角(かく)しんぜう| つぶしいたけ| 菜(な)こま〳〵》 《割書:㊄|㊂》坪皿(つぼざら)《割書:こくしやう| 鱧(こい)【はもヵ】焼(やき)め付| 麩(ふ)| ぎんなん》  飯(めし) 《割書:平皿にも|》香ノ物(かうのもの)    二  ㊄刺味(さしみ)《割書:鯛(たい)へぎ作(つく)り|かぶら骨(ほね)|はうふう| わさび 》《割書:二ノ|》汁 《割書:すまし|むすひ鱚(きすご)|いとみつば》    小ちよく いり酒(さけ)   引(ひい)テ(て) 【左丁】 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく)《割書:くるま海老(ゑび)|つく〳〵し| ねぎみそ》   吸物(すひもの)《割書:うしほ| あわ雪|  たまご| ふきのとう》 《割書:㊄|㊂》平皿(ひらざら)《割書:せんば| かもみたゝき| せうろ| ほだわら》 ㊄茶碗(ちやわん)《割書:敷(しき)みそ| 蒸(むし)がき| 岩たけ| せり|  せうが》   くはし         已上 ◯生(なま)さばをつくりてしその実(み)つけたるなり ◯かものみばかりをたゝきまるめたるなり ◯鯛を三まいにおろし肉(み)ばかりをみそに一  夜つけたるなり  ◯煮(に)かへし酢(す)は酢(す)壱升 酒(さけ)四合 塩(しほ)壱合右  一所に煮(に)かへし能(よく)さまして用ゆ何(なに)肴(さかな)を漬(つけ)  るにも右の調合よろし ◯あわ雪(ゆき)玉子はたまこのしろみ計(はかり)を茶筅(ちやせん)  にてふり立(たて)よきほどづゝわんに入てよし 【右丁】  同 魚類(ぎよるい)  《割書: 弐汁《割書:香》七菜| 一汁《割書:本》五菜| 一汁 三菜》  鱠(なます)《割書:生す| たい| 紅くらげ| うとしらが》  汁(しる)《割書:すまし| うす塩鴨(しほかも)| 松露(せうろ)| なづ菜》 ㊄坪(つぼ)《割書:こくしやう| あんこう| 肝(きも)かわ| すり山椒(さんせう)》 飯(めし)  《割書:本皿にも》  香物(かうの)もの       二 《割書:㊄|㊂》差味(さしみ)《割書: 鯉(こい)細作(ほそつく)り|  子付| うみそうめん| 岩(いは)たけ|  わさひ》 汁(しる)《割書:うしほ| 鯛(たい)| 青(あを)こんぶ|  こしやう》    小ちよく いり酒  引テ ㊄大猪口(おほちよく)《割書:黒(くろ)ごまずみそ| 車(くるま)ゑび| ふき》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》平皿(ひらざら)《割書:串海鼠(くしく)|さき松たけ|゜よせたまご| うすくづ|  すりせうが》  吸物(すひもの) 《割書:すまし| しら魚|  ゆ》 《割書:㊂|㊄》茶碗《割書:鱧(はも)|うど|さんせうみそ| し□き》   菓子(くはし)  台引(だいひき)《割書:゜小板(こいた)かまぼこ| さけ》   已上 〇こいほそづくりはふななますに同し 〇よせたまごはまづたまごをわりてきみばかり  すくひとり へつにきみばかりときしろみの  かたわきへながし入てむすべし 《割書:但し》両方  とも せうゆう少しくはふべし むしあかりたる  のちよろしきほとすくひておかいれ 〇/小板(こいた)かまぼこはすりみをうすき杉いたへうつし  やくべしじきにやけるものなり但いたの寸法  はいりやうにもきるべし 【右丁】  同/精進(しやうじん)     《割書:弐汁《割書:香》七菜|一汁《割書:本》五菜|一汁  三菜》  生盛(いけもり)《割書:けし酢(す)| しらがうど| れんこん| しゝたけ| ぼうふう|  せうが》   汁(しる) 《割書:白みそ| つみ入/豆腐(とうふ)| 新わかめ》  ㊄坪(つぼ)《割書:゜なごやみそ|  こくしやう| いりこ麩(ふ)| やきぐり| ぎんなん|  さんしやう| 香(かう)のもの》   飯(めし)    二 さし躬(み)《割書:くずきり|糸ごんにやく|あげ|きんかんぶ》   汁(しる)《割書:すまし| つけ松茸(まつたけ)| ゆきのり》   小猪口いり酒    引テ 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく)《割書:しき梅(ばい)にく|゜しらが人じん| すいせん》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》平(ひら)皿《割書:せんじ| あげゆは| もうさう| 大じいたけ|すひ口ゆ》   吸物(すひもの)《割書:すまし| じゆんさい|  小うめぼし》 《割書:㊄|㊂》茶碗(ちやわん)《割書:あんかけ|゜丸ゆりね| あさ草のり|    むし》   菓子(くはし)  台引(だいびき)《割書:ぎをんぼう|  でんがく| ひじき》     已上 〇しらか人じんはまつうはをとり一寸はかりにきり  たつにうまくきさみ又たつにほそくこときざみ  水かへおろしあけてさつとゆにすべし 〇丸ゆりねをよく むし上けあさくさのりを火  とりこまかくもみてゆりねのうへゝうけく  ずあんをかくる 〇なごやこしやうはみそをさけにてとき  こぶ出しにてかげんすべし《割書:但し》白みそすこし まぜてよし 【右丁】  同 精進(しやうじん)   同断  生盛(いけもり)《割書:三はいず| あはむし|  いはたけ| う と| れんこん|》   汁(しる) 《割書:白みそ| 松露(せうろ)| 白ぶんどう》 ㊄坪(つぼ)《割書:しき|  こせうみそ|゜松前(まつまえ)|  どうふ| まるむき|  うど》   飯(めし)     香(かう)の物(もの)       二 ㊄差味(さしみ)《割書:紅(べに)ようかん|まつな|衣かけ| くるみ|平(ひら)あらめ| うみそうめん》   汁(しる)《割書:すまし| すいぜんじ|  のり| ぎんなん》   小猪口(ちよく)《割書:いり酒| わさひ》   引テ 【左丁】 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく)《割書:あげ麩(ふ)|せり| 白あへ|゜ふりはじかみ》   吸物(すひもの)《割書:あかみそ| つき|  ゆりね》 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら)《割書:せんは| 小倉ゆば| しいたけ| やきめいも》   台引(だいひき) 《割書:㊄|㊂》茶碗(ちやわん)《割書:あんかけ|太(ふとヵ)ぜんまい| やきぐり|せうか》     已上 〇松まへどうふはとうふをよくすりこんぶをこま  かくきりて とうふにまぜふきんの上へあつさ  六七分ほとにのばして むすべし《割書:但し》もすそく  こんぶをいれるもよし 〇小ぐらゆばはゆばにするに あつきのたき  たるを入てむすべし《割書:但し》くずをこし入 〇ふりはじかみは弐部ばかりのあられにきり  てちよくへもりてのちばら〳〵とふ□かく【ふりかくヵ】  べし 【右丁】             二汁  七菜  二月 魚類(ぎよるい)     一汁 五菜             一汁 三菜  生盛(いけもり)《割書:生す|さより| 糸つぐり| しうが| うと| 岩(いは)たけ| くりせうが》   汁(しる)《割書:ふくさ| いせゑび|  小口きり| 青のり| わりざんせう》 《割書:㊄|㊂》坪(つほ)《割書:こくしやう| たいらき| きくらげ| ぎんなん|  干ざんせう》   飯(めし)           香物(かうのもの)    二 ㊄差味(さしみ)《割書:゜霜(しも)ふり鯛(たい)| 見る貝(がい)|゜わさびの| くき| わりて》   汁(しる)《割書:すまし| しほ鳫(がん)| ゑのき|   たけ|  すひ口ゆ》   小ちよく いりざけ    引而 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく)《割書:鯉(二はいくず)|よめな》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら)《割書:せんは| しほ引鮭(さけ)| 葉(は)つき|   かふら| 大やきぐり》             吸物(すひもの)《割書:□ すまし【うすすましヵ】| むき|  はまぐり| つく〳〵し| こせう》 ㊄焼切(やきもの)《割書:かけしる|大石かれい》  台引(だいひき)《割書:焼鯛(やきだい)|  きりみ |とうからし|  醤ゆ色付》   くわし     已上 〇/霜(しも)ふりたいはたいをいかやうにもつくりべつに  たまこをにぬきしろみばかりをよく  すりてうなすいのうにのせゆひにてすれ  ばこまかくおつるををつくりたるたいにつく  るなり 〇わさびのしくを一寸ばかりにきりたつに  ふたつにわりてすにしばらく付おけは  うすあかくなる 〇ちよくのこいは平(ひら)づくりよし 【右丁】  同 /魚類(きよるい)   同上  膾(なます)《割書:三はいず| たい《割書: ひら作| にして| 切かさね》| 黒(くろ)ぐわゐ| うと》    汁(しる)《割書:ふくさ| 鮎(あゆ)| やき麩(ふ)》 《割書:㊄|㊂》坪(つほ)《割書:ねりみそ| 生貝(なまがい)|  やはらか煮(に)| いはたけ|  さんせうのこ》    飯(めし)           香物(かうのもの)    二 ㊄刺味(さしみ)《割書:゜鯉(こい)戸川作(とがはつく)り| 久(く)ねんぽ|   わさび》  汁(しる)《割書:すまし|鳫(がん)|しらか| ねぎ》     小ちよく いり酒  引而 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく)《割書:にくあへ| きんこ| つくし| ほしがふら》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら)《割書:せんば| 鯛(たい) | 牛(ご)ぼう小口切| しはたけ|めうと》             吸物(すひもの)《割書:しほしたて| しんぢよ| うめぼし》  焼切(やきもの)《割書:゜小鯛(こだい)| しほがま|  やき》             くはし  台引(だいひき) 車(くるま)ゑび      已上 〇鯉戸川つくりは三まいにおろしさる身を  また何まいにもてぎはしだいにへぎ鯉の子  をさつと 湯煮しよくひやし へぎたるみの  うらおもてへつけて くる〳〵とまきて木口  よりうすくきるなりうづまきのやうになる  なり《割書:但し》切口へ子のつかざるやうにすべし 〇しほがま焼はしほに水すこしいれなべの  そこにしきて其うへゝ小鯛をならべ■  たくなり   【右丁】   同  精進(せうじん)      《割書:二汁 七菜|一汁 五菜|一汁 三菜 》   盛分(もりわけ)《割書:ためいりざけ| くすそうめん| かいふんのり| ぎんなん|  ころもかけ| 紅やうかん| 川 たけ》  汁(しる) 《割書:ふき| ちよろぎ| つぶしいたけ| 菜こま〴〵》 ㊄ 坪(つぼ)《割書:こくしやう| つと麩(ふ)| しゝたけ| たきぐり| わりざんせう》    飯(めし)          香物    二 《割書:㊄ |㊂》猪口(ちよく) 《割書:しほに|長いも|いはたけ|紅せうが》     汁(しる)《割書:すまし| たんぽゝ| めうと》    引而 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら)《割書:せんば| よせゆば|゜しらがいも| つけ松たけ| すひ口ゆ》   長皿(ながざら)《割書:花あげ| こんぶ|黒ぐはゐ》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》 茶碗(ちやわん)《割書:うすくずに| 松露(せうろ)|  たくさん| むきくるみ|わさび》             吸物(すひもの) 《割書:すまし| わらひ| やきのり|すりせうが》  台引(たいひき)《割書:゜小ぐら|   はす|わかめ》  重引(ぢうびき)《割書:くろごまみそ| あふみ|   かぶら》        已上 〇小ぐらばすはあづきをかはのきれぬやうにたき  はすをなまにておろしうどんこさとうを  いれ あづきとまぜまるめ むすなり《割書:但し》  さほものにしてきりてよく〇くはしわん  ちやわんのぐにもつかひてよし 〇しらがいもはしらがわんじんとは同しくたてに  こまくきり又うすくきりてみつへおろし  ゆ□しておか入 【右丁】   三月  魚類( きよるい)《割書:二汁《割書:香》七菜|一汁 五菜|一汁 三菜 》       生盛(いけもり)《割書:生す| かれい| 赤貝| しらか|  大根|  せうが》     汁(しる)《割書:ふくさ| 焼らいき| つぶしいたけ| よめ 菜》 《割書:㊄|㊂》坪(つほ) 《割書:せんば| た い| 竹のこ| いとこんぶ》   飯(めし)        香物(かうのもの)   二 ㊄ 刺味(さしみ)  《割書:ゑびさき身| か き| うぐひすな》  汁(しる)《割書:うしほ煮(に)| すゞき|  脊ぎり| つくし|  きのめ》    小ちよく生みそ  引テ 《割書:㊄|㊂》 猪口(ちよく)《割書:もり分(わけ)| 数(かす)のこ|  しらあへ| いか|  きのめあへ》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら)《割書:玉子とぢ| 小 鳥| 生(なま)がい| わらび| くわゐ| はなゆ》            吸物(すひもの)《割書:すまし| まながつほ|  はりわさび》  焼物(やきもの) 大/鯵(あぢ)      《割書:かけしほ|よりせうが》  台引(たいびき)《割書:しほ煮|車ゑび|かまぼこ》            くはし     已上 〇さきゑびはかはをさりて いかにもほそく  身をさきて なかきはむしりて太てい  壱寸四五部ばかりとすべし 〇いけもりのかれいはかはをひき みをそぎ  いとつくりよし 〇小鳥はなにゝにても わたをよくとり ほねとも  たゝきにしてよし又ものにより やき  とりにしてもよし 【右丁】    同  魚類(ぎよるい)  同    酒浸(さけびたし)《割書:しほ引|  さけ|はま塩|  たい|一夜塩|  あわび|はなゆ》   汁(しる) 《割書:ふくさ| むき蛤(はまぐり)| □□》            飯(めし)    香物(かうのもの)    二 《割書:㊄》刺味(さしみ)《割書: 鯉(こい)いとつ作(つく)り| 木うり| わさひ》 汁《割書:うしほ|゜あわ雪| はんぺい| わりぶき| めうと》    小ちよく いり酒  引而 《割書:㊄|㊂》大猪口(おほちよく)《割書:゜酢赤貝(すあかゞい)| せうがせん| おろし大こん| しぼりしる》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら)《割書:くすゞ?より|゜うなき| 生しいたけ| もやし》  吸物(すひもの)《割書:すまし| みる貝(がい)| く □【くこヵ】》  《割書:㊄|㊂》茶碗(ちやわん)《割書:こくしやう|゜よせゑび| 岩たけ》           くはし  くはし椀(わん)《割書:せんば| あんこう| 塩なすび》    已上 〇あわ雪はんへいはすりみ玉子のしろみをたくさん  に入てさけしほ少し入水にてゆるめよく〳〵すりて  茶せんにてふりたてあわになるをすくひて煮る 〇すあか貝は かはをはなしよくあらひそのまゝすに  つけおく事 凡半日すをたび〳〵かゆべしそのゝち  心まかせにきるべし 〇うなきは一へんしやうゆにて付やきにすへし 〇ゑびのかしらかはとりいづくも庖丁のむねにて  たゝきよせ又よきほとにきりてゆにすべし 【右丁】    同 精進(せうじん)《割書: 二汁 七菜| 一汁 五菜| 一汁 三菜》  生盛(いけもり) 《割書:しらが長(なが)いも|いと山ぶき|  ゆ ば|あげふせん|芽(め)じそ| はりせうが》  汁(しる) 《割書:ふくさ|゜うすやき| どうふ| 皮(かは)ごほう| 菜の茎(くき)》 ㊂坪(つぼ) 《割書:まるむき| う ど| □り麩【きり麩ヵ】|はりせうが》飯(めし)      香もの    二 ㊄差味(さしみ) 《割書:はないも|塩煮(しほに)ばす|゜あわむし|  岩たけ》    汁(しる) 《割書:すまし| すいせんじのり| きんなん| めうがた□》     小ちよく《割書:うるし|すみそ》   引而 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく) 《割書:たけのこ| いりだし|おろし| じやうゆ》 【左丁】 ㊄茶碗(ちやわん)《割書:うすくず|゜つとぶき| そうめん| 松露(せうろ)》             吸(すひ)もの 《割書:すまし| つけすめじ| あさくさのり》 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら) 《割書:せんば| けんちん|  ゆば| しいたけ》             台引(だいびき)  中皿(ちうざら) 《割書:へぎ| 山のいも|こせう醤油|  いろ付》     已上 〇うすやきはとうふをしほりよくすりてうとんこ  すこし入むしうすくときりて玉子なべにて  両めんにやきめをつくる 〇あはむしはいはたけをよくあらひよくあぢを  つけ あはをまぜ竹のかはにのせむすべし 〇つとふきはふきをよきかけんにきりほそく  わりて両はしをずいきにしくゝりわらづとの  やうにしてなかへうめほしを入にごみ 【右丁】  春(はる)三(み)ヶ月(つき)献立(こんだて)《割書:魚類(きよるい)》 同 ㊂生盛(いけもり) 《割書:弐はいず| いせゑひ| 小あいせごし| う と| 川ちさ| みしま》  汁(しる) 《割書:赤貝(あかがひ)|根いも》 ㊄坪(つぼ) 《割書:ねりみそ| あんこう| すり|  さんせう| すいせんじ|  たんさく》    飯(めし)        香物(かうのもの)     二 ㊄差味(さしみ) 《割書:鯉(こい)ほそ作(づくり)|海さうめん| こうたけ》   汁(しる) 《割書:あかみそ|むすび| き□》     小ちよく いり酒    引テ  杉箱(すきばこ)《割書:゜すぎ色紙(しきし)| ほしかぶら| 松 露| きのめしきみそ》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら) 《割書:せんば| 鯛| まうさう| 太(ふと)ひじき》                吸物(すひもの) 《割書:すまし| こ ち| なめたけ》 《割書:㊄|㊂》茶碗(ちやわん)《割書:あんかけいも|゜いり鴨| 長いも| く り| しいたけ| きくらげ|せうが》    中皿(ちゆうざら) 《割書:はも| ほねきり|はじかみ》  台引(たいびき) 《割書:さはら| 色つけ|わかめ》     已上 〇いりうとは゜かもをほねつきにて一寸四方ほど  にきりてごまのあぶらにていりかやくを入  みつさけ醤油にて煮てしるけなきやう  にしてへつにくずを引ていだすせうが  長いも生にて入べし 〇すゞきのしきしはすゝきを四方につくりて  むし其うへゝたまごのきみをかけてむす  なり 【右丁】   同  魚類(きよるい)  同  生盛(いけもり)《割書:二はいす| ぼら| いか細(ほそ)ぎり| めうが小口切| ほどきかつのこ》   汁(しる)《割書:ふくさ| しほ鴨(かも)| せり》 ㊄坪(つぼ)《割書:せんば| きんこ| 小鳥たゝき| ゆ り| きくらげ| 結ふき》     飯(めし)       香物(かうのもの)    二 ㊄さしみ 《割書:鮒(ふな)|うど|めじそ》   汁《割書:すまし| つく〳〵し| たまごしめ》     小ちよく いり酒   引テ 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく) 《割書:あか貝(がい)|ちよろぎ| 梅にくあへ》 【左丁】 ㊄茶碗(ちやわん)《割書:あんかけ|゜はも| かやくしんぜう| くはん草》            吸(すひ)物 《割書:へぎ貝(がい)|初なすび》 ㊂菓子碗(くはしわん) 《割書:たい|岩たけ|きのめしきみそ》 《割書:㊄|㊂》平皿(ひらざら)《割書:せんば| いせゑび| まつだけ| まつな》     已上 〇はもをよくおろしすりてかやくはくるみ  こほうのさゝがき きくらけなとをいれ  すぎばこに入てむしさめてのち□き  ほどにきりにごみ 〇ほどきかずのこはしんかずのこをよく〳〵水に  つけおきすりはちに入てつくべくさて  はなれたる子を又よくあらひ水につけお  きもりしなにつまみ入てよく  □たし塩もみすべし 【右丁】   同  魚類(きよるい)  同  生盛(いけもり)《割書:生ず| 鯉(こい)| しらが大こん| 岩たけ》  汁(しる)《割書:赤ざし| 鮒(ふな)| 干さんせう》 《割書:㊄|㊂》坪(つぼ)《割書:こくしやう| 和煮蛸(やわらかにたこ)| さや|  そら豆》   飯(めし)  《割書:平皿にも》      二  香物 ㊄指味(さしみ)《割書:゜生さば| 玉ねきニ付| しろくらげ| 海そうめん》   汁(しる)《割書:うしほ| た い|きの□》       引テ 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく) 《割書:おろし大こん|なまこ》 【左丁】 ㊄茶碗(ちやわん)《割書:せんば| たゝき小鳥(ことり)| 松露(せうろ)| かいわりな》            吸物(すいもの)《割書:゜鱒(ます)くづく|  しきし| わらび》 《割書:㊄|㊂》くはし椀《割書:さかじたて| 赤貝(あかゝひ)| ふくら煮|う□》  台引(たいひき) 《割書:い か|かまぼこ》     已上 〇たまごをにぬきよしきみばかりをすいの  うにてすりたるをさばのつくりみにつくる  なり 〇ますをおろしくずをすこし入しきし  がたにきりて玉子なべにてやきめをつけ  おかいれ 〇たこのやはらかにはたこをよく〳〵水あら  ひしてたいこんにてこぐちよりいかにも  ていねいにたゝきてにごむべし 【右丁】   同   精進(せうじん)   同   生盛(いけもり)《割書:きす| 紅ずいせん| きんかん麩| 赤大根しらか| か き|  青み》  汁(しる)《割書:白みそ| つらゝうどん| つふじいたけ| □くし【つくしヵ】》 《割書:㊄|㊂》 坪(つぼ)《割書:せんは|゜皮(かは)ごほう| くずたゝき| つけ松茸|》    飯(めし)  《割書:平皿も》 ぎんなん       香物     二   ㊄ 指身(さしみ)  《割書:しらも|木うり|つくし衣かけ|天もんどう|角切や□かん》  汁(しる) 《割書:よりまきうと|ほうれん草》     ちよく いりさけ   引テ 《割書:㊄|㊂》 猪口(ちよく)《割書:゜くるみかけ| れんこん| 豆くわゐ|  青あへ》   【左丁】 《割書:㊄|㊂》 茶碗(ちやわん) 《割書:黄檗(わうばく)| ゆば|わらび》     吸(すひ)もの なめ 竹  中皿(ちうざら)《割書:たけのも|青こぶ巻(まき)》             くはし  台引(だいびき)    已上 〇くるみかけはくるみをこまかきさいに切  て青あへをもり立てのちはらりとまき  かける 〇よりまきうとは平打にしちくに巻き水に入 〇牛蒡くずたゝきはこぼうをゆにしてかはを  むきすこしてたゝき葛をときつけて又  煮るべし 〇黄はくゆはゆばやへあつらゆべし 【右丁】   同   精進(せうじん)   同  生盛(いけもり)《割書:゜かんひやう| のりまき| ちりめんぶ》     汁(しる) 《割書:ふくさ|ねいも|あつき|からし》 《割書:㊄》 坪(つほ)《割書:せんば| うづまき麩(ふ)|たけのこ|しいたけ|》      飯(めし)       香物     二 ㊄ さしみ  《割書: いとこんにやく| み る|゜花(はな)がた人参(にんじん)| 小松たけ|  かさね切》  汁(しる) 《割書:つけ|しめし》     小ちよく いり酒   引テ 《割書:㊄|㊂》大 猪口(ちよく) 《割書:せんうど|まめくはゐ|木くらげ》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》 茶碗(ちやわん)《割書:さかしたて| 蓮こん| しきしぶ| 木さゝけ|さんせう》      吸(すひ)もの 《割書:ゆりね|□□□【せうろヵ】》 《割書:㊄|㊂》くはし椀(わん)《割書:いりだし| なすび|すりゆ|おろし》     くはし    台引(だいびき) 《割書:奥に| しるす》     已上 〇のりまきはかんひやうあじをつけよく汁け  をしほりとりしいたけ青みいとゆばなど  いれてまきずしのごとくまくべし 〇人じんをなに花にもむき小口きりにして  ごまのあぶらにてあげる 〇なすびをこぐちきりにし四方をおとして  しきしがたにきるべしさてごまのあぶら  をよはくにているべしよくあげるほど  よし 【右丁】   四月   魚類(きよるい)  《割書:二汁《割書:香》七菜|一汁 五菜|一汁 三菜》   生盛(いけもり) 《割書:生ず| すゝき| 岩たけ| し そ|  くり》       汁(しる)《割書:ふくさ| やきあゆ| 根 いも| 青山せう》 ㊄ 坪(つぼ)  《割書:うすくずだまり| 小鳥あんへい| ゆりね》     飯(めし)   《割書:平にも》    香のもの     二 ㊄ さしみ  《割書:鰡(ぼら)細作り|むしりゑひ|おし瓜| わさび》    汁(しる)  《割書:すまし| ふぐ干皮(ひかは)| うちわなすび》     猪口 いりさけ 《割書:㊄|㊂》茶碗(ちやわん)《割書:みそに| はも|  てんふら| こばう|  さかき》 【左丁】 引而 ㊂猪口(ちよく)《割書:うにあへ| 生(なま)ぶし| めうが》     吸物(すひもの)《割書:うしほ| むすび| きす□| みる》 《割書:㊄|㊂》春寒(しゆんかん)《割書:たい|赤がひ|竹のこ|わらひ|うめ干》       くはし  焼物(やきもの)《割書:ます|あんかけ》     已上 〇はもをほねきりにしうすせうゆにて一  へん付やきにしこまのあふらにてさつと  あげてよし 〇むしりゑひはさつとゆにしてむしりてよし  又生にてむしりてもよし 〇小鳥あんへいはみたゝきをよくすりて  くすをいれてむすべし 〇うちわなすびは小なすひをたつにじくとも  きるべしかたちうちわのごときをいふ 【右丁】   同  魚類(きよるい)  同  山吹(やまぶき)膾(なます)《割書:生ず|た い| こし玉子|  くるみ|しぶ皮つき|  く り|し そ》     汁(しる)《割書:ふくさ| さゞゐ| わりぶき》       香(かう)のもの    飯(めし)     二 ㊄刺身( さしみ)  《割書:鰹(かつほ)|きうり|じねんじよ|  せうゆ》      汁(しる) 《割書:すまし| 塩くじら|  たんさく| めうが》   引テ 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく)《割書: い か| きんなん| ひじき|白あへ》               吸物(すひもの)《割書:しほしたて| 五位(ごい)さぎ|  たゝきな》 《割書:㊄|㊂》平皿(ひらさら)《割書:はも| くずたゝき|ふのやき|  たまご|岩(いは)たけ|  はなゆ》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》茶碗(ちやわん)《割書:すゞき|丸なすび|新ごばう|  せん》  焼物(やきもの)《割書:す煮| やき鮎(あゆ)》       くはし  重引(ちうびき) 蛸(やはら煮)    已上 〇こし玉子はにぬきにして黄みはかりを  すいのふにてすりつくり身にくるむ 〇じねんじよをすりてしやうゆにてとき  たるなり 〇はものくすたゝきははものほねきりに  くすのこをかけてきりめへうすばのむね  にてたゝきこめにごむべし 〇やはらかにのたこは十三丁のうらにくはし  見合すべし 【右丁】   同   精進(せうじん)   同  生盛(いけもり)《割書:青す| 白髪(しらが)大根| 木茸(きくらげ)せん| きうり》  汁(しる)《割書:白みそ| うみそうめん| きんなん|からし》 ㊄刺味(さしみ) 《割書:くずきり|くるみとけ|ならづけ瓜|わさひ》  飯(めし)     猪口 いり酒       香物     二 《割書:㊄|㊂》 大猪口(ちよく)《割書:きくらけ|ちよろき|おろし大こん》  汁(しる)《割書:すまし| てんふら| かきこん|   にやく| さゝがき|    牛蒡| みつは|   ゆ》   引テ 《割書:㊄|㊂》平皿(ひらさら)《割書:せんば| いはゆば| きんしな| しいたけ|さんせう》 【左丁】 ㊄しゆんかん《割書:ちりめんぶ|たけのこ|しいたけ|さうらめ?|長いも》   吸物(すいもの) 《割書:つらゝいも| めうど》   《割書:にさまし| ともいふ》 《割書:㊄|㊂》茶(ちや)碗 《割書:よせくわゐ|あんかけ| せうか》             くはし  中(ちう)ざら《割書:れんこん|とうからし| にとやき?》     已上 〇ならつけのうりはしほ出してぼそきりにす  べし 〇かきこんにやくはさつとあぢをつけこぐちより  つめにてかきごまのあぶらにてあげる 〇じゆんかんはにさまし也夏のれうりなり  しせついまださむきときはさまさずして  くはしわんにもりてよし 〇よせぐはゐはくはゐをおろしくずのこさとう  すこしくはへいかやうにもかたちをしてむすべし 【右丁】   五月   魚類(きよるい)  《割書:二汁 七菜|一汁 五菜|一汁 三菜》  生盛(いけもり)《割書:きず| 鯛たい| 白くらげ| 白とり| 岩たけ|葉付青うめ》     汁(しる)《割書:ふくさ| 焼もろこ?| 丸むき| うど》 ㊄ 坪(つほ) 《割書:こくしやう| ほら切身|  やきめ付| 木茸》     飯(めし)      香のもの    二 ㊄ さし味(み) 《割書:すゝき| なけ作り?|み る》   汁(しる) 《割書:すまし| 青/鷺(さぎ)| 早松(さまつ)たけ|  ゆ》     小ちよく 《割書:蓼|すみそ》 引テ 《割書:㊂|㊄》猪口(ちよくヵ)《割書:い か|青さゝけ|さんせう|  醤ゆ》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら) 《割書:せんば| た い| たけのこ| み る》   吸物(すひもの)《割書:薄すまし| はも| じゆんさい》 《割書:㊄|㊂》茶碗(ちやわん) 《割書:やはらか煮|蛸|めうかの子》            くはし  焼物(やきもの) 《割書:鯛(たい)| みそづけ|玉子|かやく| 蝋やき》     已上 〇ぼらのきりみにやきめをつけてのちこ  くしやうにする也木くらげはいたす前  に入てよし 〇やはらか煮のたこは十三丁にくはし見  合すべし 〇たいみそづけはいちやまへよりみそにつけ  おきよくやきてのちたまこをとき  くるみあるひはごまおのみ?とをかきませ  かけてやくべし 【右丁】   同  魚類(ぎよるい)  同  生盛(いけもり) 《割書:なまあじ|しぶぐり|た で| し そ|青とうがらし》   汁(しる)《割書:ふくさ| すゝき|  焼目付|  ほたはら》 《割書:㊄|㊂》平皿(ひらざら)《割書:くずかけ| ぼたんゑひ| 川たけ| 花たまご》   飯(めし)      香物     二 ㊄さし味(み) 《割書:あらひ鯉(こい)|岩たけ|》   汁(しる)《割書:すまし| むすびせいご| 青こんぶ|こしやう》      小ちょく いり酒わさび     引テ 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく)《割書:あられ酒| さし鯖(さば)|  むしりて|   蓼(たて)》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》煮冷(にさまし) 《割書:細(ほそ)かまぼこ|にざらゐ?|大しいたけ》    吸物(すひもの)《割書:しらがねき| あひる》 ㊄茶碗(ちやわん)《割書:さわら| あんかけ| おとし|  せうが》              くはし  台引(だいびき)《割書:さんせうみそ| ひばり| す□き》     已上 〇さしさばは生さばにしほをあてつよきお■し  をかけて一夜おきてつかふべし又くまのさば  ならはしほをするにおよはずおもしはつよく  かけおくべし 〇細かまぼこは前にもいへるごとくすりみをすぎ  いたにうすく付てやき小ぐちよりほそく切る  べし 〇すゝきはうす〳〵とつゝぎりにしてやきめを  つけてにごむべし 【右丁】   同   精進(せうじん)   同  生盛(いけもり)《割書: しほつけ瓜(うり)|  かは計刻み| かんてん| けんちん| 干たいこん|青うめ》  汁(しる)《割書:ふくさ| 小いも|  白あづき|めうど》 《割書:㊄|㊂》 平(ひら)《割書:せんは| 松まへ|  こぼう| やきぐり| 大しいたけ|ゆ》    飯(めし)     香のもの     二 ㊄ さしみ 《割書:ぐずきり|岩たけ|上ケくるみ|わさび》  汁(しる) 《割書:とゝろ|青のり》     ちよく いり酒   引テ 《割書:㊄|㊂》 ちよく《割書:きんざんじみそあへ| ちよろき| 新にんじん》 【左丁】 ㊄煮冷(にさまし) 《割書:よせゆば|大しいたけ|つけわらび|わぎりゆ》            吸(すひ)もの《割書:うすすまし| むすひ|  長いも| めうがたけ》 《割書:㊄|㊂》 茶碗(ちやわん) 《割書:ちくはくわゐ|しめし|ちよろぎ|ゆばしめわさび》     已上 〇くずきりはくす壱合に水弐がうにてよく  ときけずいのうにてこし少しあつき紙にて  筒をまきたてしりをくゝり上よりくしをながし  こみ上のかたもくゝり湯煮し水へおろし  かみをとる也色はべにくちなしあをはな等  水にてとき其水にてくずをとくべし  ゆばじめはゆばやにてゆはしるをもとめ  こふだしにかげんしてまぜはちにいれてむし  かな杓子にてすくひいれる 【右丁】   六月   魚類(きよるい) 《割書:二汁 七菜|一汁  五菜|一汁 三菜》 ㊄水膾(みつなます)《割書:ひや水ため| 生(なま)がい| さより| おし瓜| わさひ汁 》   汁(しる)《割書:ふくさ| こ ち| み る》 ㊄坪(つぼ)《割書:うすごまみそ| 火(ひ)どり赤ゑい| 丸むき|   なすび|  わり山せう》  飯(めし)        香物(かうのもの)    二    《割書:㊄|㊂》大猪口(ちよく)《割書:さくらに| たこ|うめすつけ| めうがのこ|  小口きり》  汁(しる)《割書:うしほ煮| はな小鯛(こだい)| まつな|  め□□》     引テ 《割書:㊄|㊂》大平(おほびら)《割書:むし|さはら| きんこ| 青まめ| 葛(くず)かけ|  すりせうが》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》茶碗(ちやわん)《割書:うすすまし| すりみ入| 和らかふ| おとしゆ》           吸物(すひもの)《割書:すまし| みそづけ| うつら| めうが》  中皿《割書:鮎(あゆ)| 当座ずし|たで》     已上 〇なますは取合のしな〴〵を塩酢にて暫く  いためませおき青かやのつとにつゝみ井戸に  さけ置ぜんを出すとき皿にもりひや水を  ためいたす也 〇花小たいはかしらをとり尾はつけて三まいにおろし  ほねをとりかはをうちにして尾を立てたた竹ぐし  にまき置にうしほ煮のし■ちにてにる  わんへうつすとき竹ぐしぬきとる   【右丁】   同  魚類(きよるい)  同 青(あを)ぬた 《割書:生(なま) 貝(がひ)|  小角| わたあへ|くり| 新とうがらし》   汁(しる)《割書:ふくさ| 白玉ごばう| やきゆは|  青のり》      香物(かうのもの)     飯(めし)     二 ㊄刺味(さしみ) 《割書:子付鯛(こつきだひ)|しほわかめ|  わさび》    汁(しる) 《割書:冷(ひや)すまし| 花(はな)ゑび|大しいたけ|大こん| しほり汁》     小猪口 いりざけ     引テ 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく) 《割書:つばす|白うり|きのめず》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら) 《割書:はも|さゝがき|ごぼう|榎たけ|  ゆ》    吸物(すひもの)《割書:すまし| あひる|  う□》 ㊄茶碗(ちやわん)《割書:あんかけ| 赤ゑい| 枝(えだ)まめ|  からし》             くはし 《割書:㊄|㊂》くはし碗《割書:さんしやうみそ| せぎり|  こ い|煮こゝり》     已上 〇白玉ごばうはごばうをさつととゆにして  水へおろしうへのかはをよくさり中の真を庖  丁めいれ次に丸かたにぬきその中へすり  みをよくつめゆにをしこくちきりにする  なり 〇花ゑびはかはをさりみをきりはなれぬやう  に包丁目入てにごむ 〇夏のにこゞりはくずをときいれて□□  すべし 【右丁】   同  精進(せうじん)  同 ㊄あへまぜ《割書:くるみず| おしうり| 木くらげ| しほにはす| あげふ| めうかのこ》   汁(しる)              飯(めし)        香物(かうのもの)    二 ㊄坪(つぼ)《割書:山しやうみそしき| ながいも| 岩(いは)たけ| 白さゝげ》     汁(しる) 《割書:むすび| どうふ| あさくさのり》 《割書:㊄|㊂》大ちよく《割書:いりだし| 小なすひ  くろまめ| 大こん|  おろし| かけ醤油》   引テ 【左丁】 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら) 《割書:養老(やうらう)ぶ|しいたけ|めうが》              吸(すひ)もの《割書:すまし| 水せんじ| しらも》 《割書:㊄|㊂》茶碗(ちやわん)《割書:くす煮(に)| よせぐはゐ| やきぐり| 青うどん?》              くはし  中皿(ちうさら) 《割書:白さとう|ぼたんゆり|うめほし》     已上 〇むすびどうふはとうふをくずしよくすり  ふきんうへにのへてにへゆに入すぐに水に  おろし水のなかにてむすふべし 〇よせくはゐはくはゐをわさびおろしにておろし  くずをいれてかたちいかやうにもなして  むすべし 〇くるみずはくるみをすこしいりて  わさびおろしにておろしすにてとく  べし   【右丁】   夏(なつ) 三月(みつき) 魚類(ぎよるい)《割書:二汁《割書:本》七菜|一汁  五菜|一汁  三菜》 ㊄生盛(いけもり)《割書:生ず| あらひ鯛(だい)| うど|  しらが| 小しそ》   汁(しる)《割書:ふくさ| 赤(あか)がひ| 竹わ|  とうふ》 ㊄坪(つぼ) 《割書:すゞき|大しいたけ|丸むき| かもうり》    飯(めし) 《割書:五さいには| 手皿にすべし》   香もの     二  さし味(み) 《割書:藻(も)うを|夕かほ|わさび 》   汁(しる) 《割書:すまし| は も| まつな》     ちよく いりさけ 《割書:㊄|㊂》大猪口(ちよく)《割書:゜あはび| れんこん| わたあへ》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》茶碗(ちやわん) 《割書:花(はな)ゑび|岩(いは)たけ|おろしみそ》             吸物(すひもの)《割書:すまし|うづらくき|干ざんせう》 《割書:㊄|㊂》菓子椀(くはしわん)《割書:さ ぎ|こぼう| せにぎり》             くはし  中皿(ちうざら) 《割書:きんこ|なすび》     已上 〇わたあへは生貝をくるりをとりうすぜうゆ  にてさつと味をつけ小角いとつくり心まかせ  にきりさてわたは酒しほぜうゆにてよく  たきすりばちにてすり袋をとりて  あへうなり 〇ごぼうのぜにぎりはゆにして小かたなに  てしんのすきたる処を小ぐちよりくり  ぬきうす〳〵と小口ぎりなり 【右丁】   同  魚類(きよるい)  同  生盛(いけもり)《割書:生ず| あらひがれ| 白うり| みしま| 色のり》   汁(しる)《割書:すまし| さ ぎ| うど|  さゝがき》 ㊄坪(つぼ)《割書:こくしやう| すゞき| 早松(さまつ)たけ| なすび》    飯(めし)       香もの ㊄さし味(み)《割書:むしりだい| 岩たけ|  しそ》    汁(しる)《割書:ふくさ| せとがき| じんゆんさい》     小ぢよく《割書:いりざけ》          引て 《割書:㊄|㊂》大猪口(ちよく) 《割書:きんこ| はものかは|  白やき| ゆりね|  わさびみそ》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》くはし椀(わん)《割書:゜たまご|   わり煮(に)| なめたけ| わりざんせう》             吸(すひ)もの《割書:すまし| 鳥すりみ| むすひこぶ》 《割書:㊄|㊂》茶碗(ちやわん)《割書:くずたまり| むすび|  きすご| しんぜう□【しんぜうがヵ】| きんかんぶ》             くはし  中皿(ちうざら)《割書:゜はも| うすやき| ゆびし》     已上 〇たまこわり煮ははなかつほたくさんにうき  たまこを□り右にかつほを入醤油ほどよく  かろんしてよくかきまぜそのまゝなへに  入て遠火にてたき火のとふりたる時  かなじやくしにてすくひおかいれ 〇うにやきはうにを水すこしくはへさかしほ  にてよくときほねきりにかけていたすべし 〇はものかはしらやきにして小口よりこまかく  きざみてよし《割書:但し》みりんしゆに暫くつけ置べし 【右丁】   同   魚類(ぎよるい) 《割書:二汁《割書:香》 七菜|一汁《割書:本》 五菜|一汁《割書:本》 三菜》  生盛(いけもり)《割書:生(き)ず| すゞき|  ほそづくり| 平(ひら)あらめ》 汁(しる)《割書:ふくさ| 赤貝(あかがい)| ちらし|  ねぎ》 ㊄坪(つぼ)《割書:しきくずあん| しんぜう| きくらげ| やきぐり》  飯(めし) 《割書:五さいわん| くはしわん》        香物    二 ㊄差味(さしみ) 《割書:あらひ|鯉|うと》  汁(しる)《割書:すまし|゜花ゑひ| すいぜんじ》   小ちよく《割書:いりさけ》     引テ 【左丁】 《割書:㊄|㊂》大猪口(ちよく)《割書:゜きんざんじあへ| きんこ| ぎんなん》          吸物(すひもの)《割書:赤だし》 ふな 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら)《割書:せんば| しほ鶴(つる)|牛蒡(ごばう)| さゝかぎ|わりさんせう》 《割書:㊄|㊂》茶碗(ちやわん)《割書:みそに|生(なま)がひ|白うり| そほろ|  わさび》  《割書:くはし椀も》     已上 〇花ゑびはかわをとりか■ら【かしらヵ】をはなし生肉  をきれはなれぬやうに庖丁を入てさつ  と湯煮して■ 〇きんざんじみそあへは水にてもこんぶだし  にてもすこしゆるめさとうすこしい入べし 〇生がいは小角よろし白うりそほちぎり  またはたつ四ツきりにして小口きりにすり  もよしみそにこせうさんしやうまたは  さとうみそもよし 【右丁】   同  精進(しやうじん)  同  生盛(いけもり)《割書:ごまず| 大こん| しいたけ| あげふ| く り| 青 と?》   汁(しる)《割書:ふき| かも瓜| ときからし》 ㊄坪(つほ)《割書:くずあんかけ| ゆ ば| さまつ| そらまめ|》    飯(めし) 《割書:五さいには| くはしわん》 香物(こうのもの)     二 ㊄さし味(み)《割書:水(すい)せん| しらか|  さうめん| ぶしゆかん| けんちん| まつな》  汁(しる)《割書:すまし| いもまき| せうろ》     小ちよく いりざけ    引而 【左丁】 《割書:㊄|㊂》大猪ちよく《割書:しきしらす|゜角にうめ| たけのこ|  そぼろ|  まき》            吸物(すひもの)《割書:すまし| なめたけ| ゆ》 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら)《割書:せんば| かやく麩| 新牛蒡》 《割書:㊄|㊂》茶椀(ちやわん)《割書:うすくず| あげいも| いとこんにゃく| いはたけ》     已上 〇しらすはとうふをしぼり白ごまこけぬやうにいり  とうふとすりまぜすにてのばしすいのうにてこし  白ざとうすこし入へし 〇かく煮うめは煮うめのにくばかりをこしかんてん  に水すこし入たきとけたるところ右の梅肉を  入重箱かふか皿に入ひやしさめたる時切べし 〇あげいもはつくねいもをよくすりくずのこをいれ  よきほどにまるめごまのあぶらにてあけて  にごみ 【右丁】   同   精進(しやうじん)  《割書:二汁《割書:本》七菜|一汁  五菜|一汁  三菜》  生盛(いけもり)《割書:くるみず| うみ|  さとうあん| あげふ| いはたけ》     汁(しる)《割書:すまし|゜むすび| とうふ| じゆんさい》 ㊄ 坪(つぼ) 《割書:こくしやう|玉子ゆば|しいたけ|みどりぶき》     飯(めし)      香のもの    二 ㊄ さしみ 《割書:゜ぜにきり| 牛蒡| ひじき| いとうり》   汁(しる) 《割書:赤みそ| かいわりな》     小ちよく 《割書:いりざけ|わさび》    引テ 《割書:㊂|㊄》大猪口(ちよく)《割書:にくあへ| れんこん| きんなん| めうが》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら) 《割書:せんば| かせゆば| さまつ| 小なすび》        吸物(すひもの)《割書:゜わり| ゆりね| みる|せうが》 《割書:㊄|㊂》茶碗(ちやわん) 《割書:しきみそ| かもうり| 新さつまいも| むき豆》 《割書:㊄|㊂》くはし椀《割書:くずに| 小いも| きくらげ| きくらげ| ごばう》     已上 〇むすひどうふは六月の献立にくはし 〇ぜにぎりごばうは三月の献立にくはし 〇わりゆりねはちいさきを二ツぎりにしても  よし又へぎてもよし 〇小なすびはくしめをいれてよしまたはへた  をんこしてたつにきりがさねもよし 〇さつまいもは小角にしてよし 〇小いもはかくにうわをむきてよし 【右丁】   同  精進(しやうじん)  同 ㊄さし味(み) 《割書:うみ| さうめん|やうかん|もやし|  ぶんどう|いはたけ|きんかんぶ|わさひ|  いりさけ》  汁(しる)《割書:白みそ| ふと|  もずく| からし》  坪(つぼ)《割書:こくしやう| きのめみそ|  ごまどうふ|  ごばう》     飯(めし)      香のもの     二 《割書:㊄|㊂》大ちよく《割書:ちよろぎ|ぎおんぼう| おろし|  大こんあへ》  汁(しる)《割書:すまし| 水せんじ| 玉あ■れ| はりせうが》    引而 ㊄平皿(ひら)《割書:せんば| よせゆば| きんしな| しいたけ》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》くはし椀(わん) 《割書:かもうり|ちりめんぶ|しきみそ》             吸(すひ)もの《割書:さゆじたて| さくらのり| さとうづけ|  せうが》 《割書:㊄|㊂》茶碗(ちやわん)《割書:くずあんかけ| 小いも| つけ松たけ| わさび》  小皿(こざら) 《割書:おろし大こん|かるめら|  どうふ》     已上 〇かるめらはとうふ一てうを四ツにきりごまの  あぶらにてあげぐるり?のかはをきりて又  うすぜうゆにてたきからみ大こんおろしかけ  いだす 〇さくらのりかんぶつやにあり水によくつけ  そのまゝおか入せうがもそのまゝいれる 〇大ちよくはちよろきぎおんほうをもりおき  ぜんいだすとき大こんおろしせうゆをかけて  いたすべし 【右丁】   七月  魚類(きよるい)  同  生盛(いけもり)《割書:二はいす| 小ばも| う と| 木くらげ》    汁(しる)《割書:ふくさ| みしゞみ| ちくわ》 ㊄坪(つほ) 《割書:こくしやう| 生貝(なまがい)| むかご| ひざんしやう》   飯(めし)       香物     二 ㊄さしみ《割書:あらひ|すずき| 平づくり|めうかのせん》   汁(しる)《割書:すまし| こ ち| じゆんさい》     小ちよく《割書:□□し| すみそ》  引テ 《割書:㊄|㊂》ちよく 《割書:干だら|黒くらげ| おろし大こん》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら) 《割書:せんば| むすび刀魚(たちうを)|早松たけ|  ゆ》             吸物(すひもの)《割書:すまし| いりがき| こせう》 《割書:㊄|㊂》茶碗(ちやわん)《割書:くずあんかけ| あめのうを| 青のりかけ》  小皿(こさら)《割書:生干(なまび)| 大あゆ》     已上 〇すゞきを大平づくりにしてくみたてその水  をかけよくしぼりもる 〇むすびたちうをは三まいにおろし小ぼね  をよくぬきたつに二ツ三ツにきりて  きすごのやうにむすふべし 〇こくしやうの生かい小角よくひらつくり  もよし 〇干たらはよくもみさばきてよし 【右丁】   同  魚類(ぎよるい)  同 ㊂和物(あへもの)《割書:もりわけ|゜蛸黒ごまあへ| みしみ?|  青あへ| 松たけ|  しらあへ》  汁(しる)《割書:ふくさ| すり身| ねいも》  坪(つぼ)《割書:こくしやう| むすひ瓜| 鯛| 岩たけ》    飯(めし)      香物     二 ㊄刺味(さしみ) 《割書:さきゑび|色しらも| わさび》   汁(しる) 《割書:うすすまし| よせ麩| 輪柚》     小猪口 いりさけ  引テ ㊄水和(みづあへ)《割書:煮かへし酢| い か| さ■せん| れんこん| たてしそこま〳〵》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》平皿ひら)《割書:鴫(しぎ)骨(ほね)ともたゝき| ほそかまぼこ| 焼とうふ|  たんさく| なたまめ|   めうと》             吸物(すひもの)《割書: 赤だし|  こ い》 《割書:㊄|㊂》菓子椀(くはしわん) 《割書:へき生貝(なまがひ)| 木くらけ| 玉子とぢ|   こせう》              くはし ㊄茶碗(ちわやわん) あんへい     已上 〇たこくろあへはたこを水とさけとにてよく和らかに  煮て醤油(しやうゆ)少し加へ煮てつぶ〳〵切にして黒ごま  にせうゆ少し入酒/酢(す)くはへ酢めあるほとにしてよく  すりこしてあへる 〇よせふは生ふ一升にすりみを五合ばかりたまこ五ツ  山のいもおろして少し入酒しほ少し加へよくすり合せ  格好はいかやうともなしさつと湯煮しおか入 〇/焼(やき)どうふたんざくはとうふを五りんほどの厚みに  きり鍋にてさつとやき しきしたんざく心まかせに切 【右丁】   同  精進(しやうじん)  同  合交(あへまぜ)《割書:こめずあへ| ずいき| えた豆|  すり込| くりせうが| しそ》  汁(しる)《割書:白みそ| わりねいも| からし》  坪(つほ)《割書:すまし| さらしめ| きんかんぶ| うめぼし|  わさび》   飯(めし)       香物          二 ㊄刺味(さしみ)《割書:けんちん|生しいたけ|もやし| し そ|しらがうと》  汁(しる)《割書:うすすまし|おとしいも| ときのり|  こせう》    ちよく《割書:からし| すみそ》 引テ 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく) 《割書:ゐんげん豆| ほそく切|くるみ摺て| せうゆさんせう》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら)《割書:せんば| 大巻ゆは| はつ茸| ぼ□んゆりね|  ゆ》           吸物(すひもの)《割書:すまし| ちよろぎ| もすく?》 《割書:㊄|㊂》茶碗(ちやわん)《割書:ひらふ| いり出し| うめ酒かけ》           くはし ㊄くはし椀《割書:あんかけ| かもうり| 新くわゐ》     已上 〇ひら麩さつとごまあぶらにてあげて  うめざけはにうめをときさとうすこし  くはへさ□【さけヵ】入よくかきたてぬのにてこして  かけいだすべし 〇おとしいもは山のいもをよくすりはしにて  よくかきたてはしさきにてすこしづゝ  はさみきりておかいれにすべし 〇いんげん豆のわかきをよくゆで小口よりほそくと  きざみ くるみをさつといりて つきくだきよく  あへて さんせう しやうゆをかくべし 【右丁】   同  精進(しやうじん)  同  生盛(いけもり)《割書:しらが| 大こん|とかさのり?| 大とくじふ》   汁(しる)《割書:ふくさ| はつたけ| うすやき|  どうふ| はつき|  かふら》 ㊄坪(つぼ)《割書:よせ| ぎんなん| しらいと》    飯(めし)      香物     二 ㊄さし味(み)《割書:うみ| ざうめん| 紅なし| ししも?| からたけ| 新■じ□》  汁(しる)《割書:すまし| もそく| せうが》      ちよく いり酒   引テ 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく)《割書:からしす|ふとぜんまひ》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》平皿《割書:せんば|゜雪ごばう| しいたけ|  千まい大根》            吸物(すひもの)《割書:すまし|゜へぎいも| み る》 《割書:㊄|㊂》茶椀(ちやわん)《割書:おろしわさび| ごまどうふ| しめし| う と》 ㊄くはし椀(わん)《割書:くずに| うどん| 玉子ゆば| やきくり》     已上 〇雪ごばうはごぼうをよくにてくずをとき  ごばうをこかし其まゝさつと湯煮して  よきじぶんににごにごみ 〇へぎいもは山のいもをうす〳〵ときりて  其まゝなまにておかいれ 〇うすやきどうふはとうふをうす〳〵ときり  たまごなへにてやきめを付へし《割書:但し》  はしめに水をたらしおくべし 【右丁】  八月   魚類(ぎよるい) 《割書:二汁《割書:香》七さい|一汁  五さい|一汁  三さい》  生盛(いけもり)《割書: 生(きい)ず| さより|さゝがき|  大こん| しぶぐり| はせうが| ほうづき》     汁(しる)《割書:ふくさ| 竹輪(ちくわ)| かまぼこ| 小かぶら》            飯(めし)      香物    二 ㊄ 刺味(さしみ) 《割書:゜葛引(くずひき)たい|   ひら作り|さから和布|久年母(くねんほ)| わさび》      《割書:ちよくいり酒》            汁(しる) 《割書:すまし| ば□| いてう|  大こん| しほ|  竹のこせん| めうと》 ㊄坪(つぼ)《割書:こくしやう| あめのうを| まるむき|  うど| わりざんせう》 【左丁】  引テ 《割書:㊂|㊄》猪口(ちよく)《割書:うすにごり|  ざけ| からすみ》            吸物(すひもの)《割書:すまし| むき蛤| 青こんぶ|  大たんざく》 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら) 《割書:鰒(ふぐ)ほし皮|うどん| はんへい|はつたけ|  ゆ》            くはし 《割書:㊄|㊂》くはし碗(わん)《割書:鯛(たい)|  ながいも|ごまみそ|  かけ》     已上 〇くず引鯛はさしみに作るやうにしてくずのこ  によくくるみさつとゆをくゞらせ水につけ  つくるなり 〇うどん半へいはすりみに山のいもをおろして  またよくすりまぜめしのとりゆをまぜて又  よくませしほすこし加へ湯煮しうんどん  のごとくきるなり《割書:但し》かたきはあしされど  やはらすぎればきりめみだるゝいかにもふつくり  としてとうふの少しかたきほどにすべし  【右丁】   同  魚類(ぎよるい)  同  ぬた和(あへ) 《割書:鯛(たい)うすみ|もみ大根|たゝみくり| 青とうがらし》  汁(しる)《割書:三年みそ| ゑい| ねいも》      香物      飯(めし)     二 ㊄刺味(さしみ)《割書:生さば|くらげ|まつな》       汁(しる)《割書:□すま□【すましヵ】| へきがい| こしやう》       ちよく いり酒  引テ 《割書:㊄|㊂》大猪口(ちよく)《割書:ます| 当座ずし| たての■【たてのほヵ】》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら)《割書:せんば| は も| 手長ゑび| 岩たけ| じゆんさい| むかこ|  めうと》              吸物(すいもの)《割書:うしほ煮|  月見たまご|  しそ|   □【実ヵ】》 《割書:㊄|㊂》茶椀(ちやわん)《割書:すまし| た い| 青こぶ| うめほし》 ㊄くはし椀(わん)《割書:くずかけ| あんへい|  わさび》     已上 〇つきみたまごはずいふん新らしき玉子を  あかゝね しやくしへうけそのまゝにへゆの上へ  ひたし しやしやくしの ゆへはいらぬやうにして  かたまるまて手にもちて煮あげるなり  まはり白く中黄色に 出来るなり  もみ大こんはうす〳〵たんさくにきさみ なま  すのごとくすにてもむべし 〇たゝみくりはきりがさねの事なり 【右丁】   同   精進(しやうじん)  《割書:二汁《割書:本》七さい|一汁  五さい|一汁  三さい》  膾(なます)《割書:いり酒したし| 大こん| ぶどう| 青なし|  たんざく| 木くらけ| 針せうか|  けんきんかん?》     汁(しる)《割書:ふくさ| やきくはゐ| 春きく|  めう□》 ㊄ 坪(つぼ) 《割書:うすくす煮| 焼くり| ゆりね| 小梅ぼし| わりざんせう》       飯(めし)      香物    二 ㊄ 茶碗(ちやわん) 《割書:衣(きぬ)かづき|  いも| こせう|  みそ|   かけ》      汁(しる) 《割書:すまし| さき| まつたけ| 青かいのり》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく) 《割書:ひしほ|青とううがらし|  わぎり》   中皿(ちゆうさら)《割書:一口(ひとくち)なすび|  いり出し| 四ツにさきて|  けし》 引テ 《割書:㊄|㊂》平(ひら)《割書:せんば| よせゆば| しほわらび| ちぎりふ| さつとあげ|  ゆ》      吸物(すひもの)《割書: 榎(えのき)たけ|  しそ》 《割書:㊄|㊂》菓子椀(くはしわん)《割書:くすに| 冬うり| しめし| 長いも|  むすびて》     已上 〇長いもをうすくきりしほ水につけておきて  やはらかくなりたるときいかやうにもむすぶ  べしむすびたるのち 水につけておけば  もどるなり 〇一くちなすびはつたともにさつとあぶらにて  あげへたにきりめを いれて四ツにてぎは  よくさきてけしふりかけ 出すべし  《割書:但し》あげたるときうすぜうゆにてあぢ  付べし 【右丁】   同  精進(しやうじん)  同  生(いけ)もり《割書:しらす|゜赤大根| しらが|゜いちごくわゐ| やうかん》 汁(しる)《割書:なれみそ| 丸むき|  かぶら| つふ|  しいたけ| 青のり》  坪(つぼ)《割書:ひきちや| みそしき| しらいとがた|  長いも| 小まつたけ》    飯     二 ㊄指味(さしみ) 《割書:さうめん|いはたけ|すいせん|》   汁(しる)《割書:すまし| 水せんし| うれしの?》     小ちよく いり酒 引テ 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく)《割書:ごまぜうゆ| ぜんまい|  小うめほし》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら)《割書:せんば|□るめら【かるめらヵ】|  どうふ| しいたけ| もうそう|  めうど》            吸物(すひもの)《割書:すまし|せうろ| 雪のり》 《割書:㊄|㊂》くはし椀《割書:あづき煮(に)| 牛蒡(こはう)|  さとう》            中皿(ちうざら)《割書:あかみそかけ| し□んじよ【しねんじよヵ】》 ㊄茶碗(ちやわん)《割書:あんかけ| かもうり| やきぐり|  わさひ》     已上 〇赤大根かは もきざみ水につけおきもりつける  まへ すにしばらくつけおくべしいろよく出る 〇いちごくわゐはくわゐをおろしいちご ほどづゝ  まるめさんとさつとあぶらにてあぐべし 〇かるめらは丸あげどうふをかはをとりうす  せうゆにてあぢをつけおかいれ 〇ごぼう あづき煮はごほうをよくたき 外に  あづきのこしあんにみそすこし入さとうも  いれてたきおきごぼうにかけて出す 【右丁】   九月  魚類(きよるい)  同  生盛(いけもり)《割書:いり酢| 鯛(たい)| しほ煮(に)蓮(ばす)| よめな|  わさひ》   汁(しる)《割書:ふくさ| もうを| こま〴〵な》  坪皿(つぼ)《割書:すまし| は す| くづし|  とうふ| すりゆ》    飯(めし)       香物     二 ㊄さし味(み)《割書: むき蛤(はまくり)| 川ちさ》   汁(しる)《割書:□□□【うしほヵ】| 鯛| 青こぶ》     ちよく《割書:とうがらし| すみそ》   引テ 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく)《割書: うつほ|  たゝき|かや小口切》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら)《割書:せんは| か も| 松たけ|  ゆ》             吸物(すひもの)《割書:すまし| きす| 水せんじ》 《割書:㊄|㊂》菓子椀(くはしわん)《割書:すまし| くずしき| は も| 大こん| 春きく》 ㊄茶碗(ちやわん)《割書:鮭(さけ)| あんかけ| すりめうが》     已上 〇くづしどうふはすりみをすりまぜてよし  くずすこし 入べし 〇くずたゝきはもはほねきり つねのことくに  して くずのこをほねきりにかけ はう  てうのむねにて たゝきこむべしかくなし  てにこみてよし 〇さけはこぶ出しにて ゆ煮しあんかけ  にすべし 【右丁】   同  魚類(きよるい)  同  深皿(ふかざら)《割書:煮(に)かへしす| 金たら|  いわし| 小なすび| 一夜つげ》   汁(しる)《割書:すまし| うき| 五ぶせり》 ㊄坪皿(つぼ)《割書:せんば| さ け| 大はまぐり| 初たけ|  ゆ》   飯(めし)      香物     二 ㊄刺味(さしみ) 《割書:はも| 細つくり|ひらたけ》  汁(しる)《割書:すまし|雁|うちは| なすび|めうが》      小ちょく 三はい□  引テ 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく) 《割書:たつくり|木きくらげ| しらあへ》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》茶碗(ちやわん)《割書:山吹(やまぶき)どうふ| 角きり|さんせう|  みそかけ》             吸物(すひもの)《割書:すまし| 小鳥| たゝき|さゝがき| 牛ばう》 《割書:㊄|㊂》くはし椀(わん) 《割書:さゞゐ| わた煮| こせう》  中皿(ちうざら) 《割書:焼(やき)あひ|ゆびし》     已上 〇山ぶきどうふは とうふをいかやうにもきり  くしにさし焼ながら たまごの黄味に  すこし せうゆをまぜとうふにぬりつけ〳〵  やくなり 〇さゝゐのわたをときてしやうゆかけんして  そのまゝにる也 〇いわしはすこしほたしすべしも金たら  なきときは生いわしにすこししほすべし 【右丁】   同  精進(しやうじん)  同  水和(みつあへ)《割書:早いりざけ| にんじんのせん| れんこん| なしたんざく| みかん|  めうが》 汁(しる)《割書:ふくさ| ゆりね| あづき| お□□し 》  坪皿(つぼ)《割書:こせうしきみそ| からゆいも| ぎんなん| くろかは》 飯(めし)       香物     二 ㊄刺味(さしみ) 《割書:衣かけ| しいたけ|湯引冬瓜| わり和布》  汁(しる)《割書:すまし| 松たけ》   小ちよく《割書:からし| みそ》 引テ 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく)《割書:くるみしやうゆ| 焼なすび》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら)《割書:せんば| いとこんにやく|  さつと上ケ| みつば| せうろ》            吸物(すひもの)《割書:すまし| ぶとう| つきぐり| こせう》 ㊄茶碗(ちやわん)《割書:あんかけ| ごまとうふ| 長いも| すりせうか》              《割書:㊄|㊂》くは碗《割書:あづき煮|牛蒡(ごぼう)》    くはし     已上 〇あづき煮牛蒡は八月の部にくはし 〇ぶとうはかはをむきておか入にすべし 〇さきなすびはへたのところに大?小にとり  さゝづきほどきりかけをなしおきまつ  やきにし膳いだす前に引さきて其まゝ  もりつくべし 〇すいものゝふどうはかはをむきへぎくりとも  おかいれにすへし 【右丁】   同  精進(しやうじん)  同  生盛(いけもり)《割書:しらす| かいふんのり| びしゆかん| れんこん》 汁(しる)《割書:白みそ| かもうり| しいたけ| □□し》  坪(つぼ)《割書:こくしやう| まつ前麩| 牛蒡| 岩たけ》   飯(めし)       香物     二 ㊄さしみ《割書:すいせん|けんちん|かうたけ|  わさび》 汁(しる)《割書:すまし|ふと| もそく|  せうか》   小ちよく《割書:いりさけ》 引テ 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく)《割書:にくあへ| ゆりね|小まつたけ》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら)《割書:せんば| ゆは| あわむし|    くり| ひらたけ|  こせう》           吸物(すひもの)《割書:すまし| せうろ|  わさび》 《割書:㊄|㊂》くはし碗《割書:くすに| 平うとん| しいたけ| 青み》 ㊄茶碗(ちやわん)むし《割書:かぶらむし| あんかけ| しめし| てうろき| きくらげ| あげふ| くわゐ 》     已上 〇まつまへ麩はこふをまぜたる ふなり 〇あさむしのくりはくりのかはとりてくず の  ときたるにつけ あわをこかしてむすべし  おか入 〇かぶらむしはかやくを入うへゝかぶらのかろ  しをたくさんに入てむしくずあんを  かけいだす《割書:但し》くずあんすこしからめ  にすべし 【右丁】   秋三月/魚類(ぎよるい) 同  生盛(いけもり)《割書:生す| た い| 木うり| 岩たけ》      汁(しる)《割書:ふくさ| つまみ|  はも| 五ぶぜり》  坪皿(つぼ)《割書:□くしやう【こくしやうヵ】| いせゑび| しめじ| ぎんなん》飯(めし)       香物     二 ㊄差味(さしみ)《割書:しほ引| さけ|まつな》      汁(しる)《割書:すまし| た い| もうそう》    小ちよく《割書:いりさけ》  引テ 《割書:㊄|㊂》猪口《割書:青あへ| とりかひ| 大こん》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら)《割書:せんば| あめのうを| 大じいたけ| せ り》             吸物(すひもの)《割書:すまし| へきがい| せうがのせん》 ㊄茶碗(ちやわん)《割書:あんかけ| きんこ| はつたけ》             くはし 《割書:㊄|㊂》くはし椀《割書:うすくず引| 鱧(はも)| 平うとん》     已上 〇つまみはもははもをよくすりくすのこさけ  すこしくはへて ゆびさきにて つまみに  こむへし 〇いせゑひは かはをさり小口きりにして  小口にすこし庖丁めを たつよこに 入て  にるべし  また たゝきにして くずにてよせたるも  よし 【右丁】   同 魚類(ぎよるい) 同  生盛(いけもり)《割書:生す| くまのさば| いはたけ| 大こんおろし》   汁(しる)《割書:赤たし| こ い| 干ざんせう》 ㊄坪(つぼ)皿《割書:くず煮| 魴《割書:まな|がつお》| 雪子|  しいたけ》    飯(めし)      香物     二 ㊄さし味(み)《割書:むすび| きすご| 大こん| 木くらけ》    汁(しる)《割書:すまし| さゞゐ| なめたけ》     ちよく《割書:いりざけ| わさひ》  引テ 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく)《割書:もろみあへ| きんこ| かぶら角切》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》茶碗(ちやわん)《割書:しきみそ| 鯛やきめ付| 松露(せうろ)》              吸(すひ)もの《割書:せにきり| は も| みる》 《割書:㊄|㊂》くはし椀(わん)《割書:せんば| はも|  すりみ| しめし》              くはし  中皿(ちうざら) 焼まつたけ          已上 〇せにぎりはほそきはもをまるきりにう  すくつくうぃたるをいふ 〇やきめ付は 鯛のきりみをさつと 湯煮し  やきめを付べし 〇ちよくのかふうは 小角きりにしてよし  きんこ 小口ぎりよし 〇くはしわん すりみは つまみはもになしても  よし 【右丁】   同 精進(しやうじん) 同  生盛(いけもり)《割書:生す| しらが大こん| しいたけ| せんべいふ| くりめうど》   汁(しる)《割書:ふくさ| かもうり| 竹わとうふ| からし》 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら)《割書:せんば| 大玉ご|  ゆば| しめじ| 青こぶ》     飯(めし)      香物 ㊄刺味(さしみ) 《割書:けんちん|岩たけ|水せん》   汁(しる)《割書:赤みそ| つまみ菜| とうが□【とうがらしヵ】》     ちょく《割書:いり酒》  引テ 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく)《割書:白あへ| れんこん| さゝぎ》 【左丁】 ㊄茶碗(ちやわん)《割書:くす煮| 青そば| 長いも| やきくり》             吸もの《割書:すまし| しめし| 又は| なめたけ|  にても》 ㊄中皿(ちうざら)《割書:さけに| かうたけ| はじかみ》             くはし 《割書:㊄|㊂》くはし椀(わん)《割書:こせうみそしき| かぼちや| にしきぶ| いはたけ》     已上 〇青そばはそはやにてあつらへすいのふに入て  あつゆをかけおか入にすべし 〇長いもはせいろうにてむしかはをさり  くず煮かげんしてよきしふんに に  こむべし かくべつによし 〇かぼちや もよきほどにきりて さかしほ  をよくにかへして せうゆかげんしあぢ  をつくべし 【右丁】  同  精進(しやうじん)   同   生盛(いけもり)《割書:こゆず| しうろ|  ごばう| いはたけ| 小角ふ》   汁(しる)《割書:白みそ| むかご| 小うふな| あさくさのり》 ㊄ 坪(つぼ)《割書:うすくず| はんへい麩(ふ)| しめじ| 青さゝげ》   飯(めし)     香もの     二 ㊄ さし味み 《割書:おろし| 大こん| あげふ| うみ|  さうめん》 汁(しる)《割書:すまし| むすび| とうふ| せり|  □し》    小ちよく《割書:いりさけ》  引テ 《割書:㊄|㊂》 猪口(ちよく)《割書:紅さとう| にうめ》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》 茶碗(ちやわん)《割書:青みそしき| 牛蒡|  あわむし| 長いも| 梅干ふ》            吸物《割書:ゑちごみそ| せうろ》 《割書:㊄|㊂》菓子碗(くはしわん)《割書:うすくずに| 小ひりうず| まつたけ| かもうり|  わさひ》           くはし  中皿(ちうざら)《割書:いとうり| でんがく》     已上 〇いとうりふたつにわり でんがくにすべし  《割書:但し》とうからしみそなり 〇べにさとうはゆきじろさとうにべにをと  きてそむべし 〇小ひれうずは とうふをよくすり くるみつまみ  かやをいれ つまみてごまの あぶらにて  あぐべし 〇かもうりは うとんのごとく ほそきりにす  べし 【右丁】  同   精進(しやうじん)   同   生盛(いけもり)《割書:しらす| かぼちやせん| あげふ| しいたけせん》   汁(しる)《割書:ふくさ| じゆんさい| 小いも|  おちこ| からし》 ㊄ 坪(つぼ)《割書:うすくず| ぜんまい|   ゆば| かしらいも| きくらげ》   飯(めし)     かうのもの     二 ㊄ さし味(み) 《割書: すいせん| れんこん| 大こん》  汁(しる)《割書:すまし| しめし| 青□□【青こぶヵ】》    小ちよく《割書:三ばいす》  引テ 《割書:㊄|㊂》 猪口(ちよく)《割書:きんさんしあへ| 小角くり| いと木くらけ》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》 茶碗(ちやわん)《割書:さけしたて| もろこしぶ| ひらたけ| おろしわさび》            吸物(すひもの)《割書:すまし| へぎゆりね| にうめぼし》 《割書:㊄|㊂》くわし碗《割書:うすくずかけ| 青うどん| かもうり| やきぐり》            くはし  中皿(ちうざら)《割書:さんせうみそ| 牛蒡| でんがく》     已上 〇ぜんまいゆば は ぜんまいをまき いれたる 也  ゆばやへあつらへべし 〇小かく ぐりは くりのしぶかはをとり 小かくに切  さつとゆにし木くらげを ほそ〴〵ときざ  みて ともにあへてよし 〇中ぶとの ごぼう三本 または五本ほどなら  べ くしにさしてやくべし 〇くはしわんのかもうり はべつによくあぢを  つけておか入 【右丁】  十月   魚類(ぎよるい)   同   生盛(いけもり)《割書:゜さけ| うすみ細切| たんざく|    大こん| くりせう□| きんかん》  汁(しる)《割書:ふくさ| 赤 貝| よめな》 ㊄ 坪皿(つぼ)《割書:みそ煮(に)| 小はなゑひ| きくらげ| 白さゝげ|  わりざんせう》  飯(めし)      香のもの     二 ㊄ 刺味(さしみ) 《割書: いか細作り| さより細作り|  わさび|  □□□さけ|【ほそくつりさけヵ】》汁(しる)《割書:うしほ| 鯛| ふきの□□【ふきのとうヵ】》 引テ 《割書:㊄|㊂》 猪口(ちよく)《割書:てんぶあへ| 鯛| 紅せうが》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》 平皿(ひら)《割書:せんば| 鳫| さゝがき| 牛蒡| せうろ》            吸物(すひもの)《割書:くすこ| 白うを》 《割書:㊄|㊂》茶碗(ちやわん)《割書:あんかけ| 鱧| 新漬松茸》            くはし  中皿(ちうざら) 《割書:うなぎ|長いも| 焼て小口切》     已上 〇でんぶあへ は たいをつくりおとしを其まゝ  でんぶにてあへるなり べにせうがは 切かさ  ねよし 〇はなゑびは前に同し 〇さけのうすみばかり ほねをよくとりて ほそ  ぎりにすべし 〇さしみ いかもさよりも同しほそつくりにして  もりわけいだすべし 〇茶わんはもゝ松たけも一緒にむすべし    【右丁】   同  魚類(ぎよるい)  同  生盛(いけもり)《割書:ます| 鯛(たい)| くしこ?| しらが大こん》   汁(しる)《割書:ふくさ| かき| ねぎ|  しろ根》       香物    飯(めし)        二 ㊄坪(つぼ) 《割書:わさびみそかけ| 白うを|  むして|紅たまご|てうろき》            汁(しる)《割書:すまし| へぎ貝》 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく)《割書:湯引鰹(ゆびきのかつほ)| おろし大こん| すせうゆかけ》  引テ 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら)《割書:せんば| 鴨(かも)| なめたけ| 葉付かぶら》 【左丁】 ㊄茶碗(ちやわん) 《割書:鯛(たい)てんふら|かけぜうゆ|とうがらし》              吸物(すひもの)《割書:すまし|□ むすひ| きすご|  のり》 《割書:㊄|㊂》菓子椀(くはしわん)《割書:せんば| あま鯛(だい)| 青こふ》              くはし  中皿(ちうざら)《割書:むし| きじ| さきて| あんかけ》     已上 〇紅たまご は せうゑんじといふゑのぐにべに  少しまぜ たまごを にぬきにしてそめべし  そめあげて たつに ふたつにわり四ツわりにも  して もり 合すべし 〇てんふらは 切身とうどんこ又はくずのこに  まぶして ごまのあぶらにてあくべし 〇きしは肉をよくむしてよきほとに引  さきて□づ【くづヵ】あんをかけてよし 【右丁】   同   精進(しやうじん)  《割書:二汁《割書:本》七菜|一汁  五菜|一汁  三菜》 ㊄盛分(もりわけ)《割書:こまず| しらが大こん| みしまのり| 岩たけ| 紅すいせん| くりせうが》   汁(しる)《割書:ふくさ| 竹わどうふ| せうろ| 青のり》     香のもの   飯(めし)    二 《割書:㊄|㊂》 坪(つぼ) 《割書:あんかけ| あふみ|  かぶら|   むして|  やきくり》            汁(しる)《割書:すまし| 鼠(ねずみ)たけ》 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく)《割書: 梨子(なし)| 蓮こん|黒ごま| みそあへ》 引テ 【左丁】 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら)《割書:せんば| よせゆば| 大くわゐ| せり|  ゆ》            吸物(すひもの)《割書:すまし| すいせんじ|にうめほし》 ㊄茶碗(ちやわん)《割書:さけじたて| まるあげ|  とうふ| 大こんおろし》            くはし  中皿(ちうさら) 《割書:むし芋(いも)|わかめ》     已上 〇まるあげ どうふを四ツきりにしてさか  しほにてよく〳〵 たきしめせうゆさして  かげんし大こんおろしさつとふりのせて い  だすべし 〇もりわけは ぐをいづれももりわけてのちこま  ずをながし入べし 〇大ぐはゐまるむきあるひは にしきにして  よし 【右丁】   同   精進(しやうじん)  《割書:二汁《割書:本》七菜|一汁  五菜|一汁  三菜》 ㊄生盛(いけもり)《割書:生す| いはたけ|  けんちん|しらが|  大こん| 紅すいせん》   汁(しる)《割書:ふくさ| はすいも| くろごま|    あん》 《割書:㊄|㊂》 坪(つぼ) 《割書:くづあんかけ| 新つけ| まつたけ| かぶら》   飯(めし)     香物 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく)《割書:白あへ| れこん|新ぎんなん》   汁(しる)《割書:すまし| もうさう|  竹のこ|  うすまき》  引テ  《割書:㊄|㊂》平皿(ひら)《割書:せんば| まつまへ|   ふ| くだ|  ごばう| ふき大こん》 【左丁】 ㊄茶碗(ちやわん)《割書:ひきちやみそしき| ごまどうふ| 長いも| く り》           吸物(すひもの)《割書:すまし| なめたけ| せうがせん》 《割書:㊄|㊂》菓子椀(くはしわん)《割書:さとうずけ| かもうり|  大角切| 小うめほし》           くはし  中皿(ちうざら)《割書:からしすみそ| くろかは| □しも》     已上 〇いはたけを ひらゆばにてまきあげる 《割書:但し》  いはたけあぢをつけ置べし 〇ふき大こんは弐寸ばかりにきりて もとをのこし  たつに こまくきざみ又よこにしてきざみ  水に付おき にごみ 〇かもうりあら付置 梅干し小うめぼし水に付おき  さとうを水を入よく にへしくずをときて  あんにしかけいたすべし 【右丁】   霜月  魚類(ぎよるい)  同  膾(なます)《割書:二はいす| 生海鼠(いかこ)| 大こんおろし| きんかん》    汁(しる)《割書:くふさ| 火(ひ)どり鯛(たい)|  きりみ| わきり|  大こん》  坪(つぼ)《割書:あんかけ| むし蛎(がき)| からし》     飯(めし)      香物     二 ㊄差味(さしみ)《割書:なんばず| 赤 貝| ひじき| せ り》     汁(しる)《割書:すまし| まてがい| 浅くさのり》  引テ 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく) 《割書:たまごみそあへ|しらうを》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら)《割書:せんば| 生がい細作り| よせ 麩| しいたけ》             吸物(すひもの)《割書:すまし| 川ざこ|  干榎のたけ?》 《割書:㊄|㊂》くはし椀(わん)《割書:くずかけ|浜やき鯛(だい)》             くはし ㊄茶碗(ちやわん)《割書:玉子とぢ| 鴨(かも)| さはら| 木くらけ》     已上 〇火取鯛は切みをくしにさしやきめを付て  しるに入煮上ケさしこみ 〇よせふは ふに魚のすりみを入て にる也 〇はまやき たいは ほうろくに塩を入その  上に青葉をしきてきりみをのせ ふたを  してひ火にかくべし 〇茶わん たまことぢ 又はやきぐり くわゐを  入て茶わんむしもよし 【右丁】   同   魚類(ぎよるい)  《割書:二汁《割書:香》七菜|一汁  五菜|一汁  三菜》 《割書:㊄|㊂》大猪口(ちよく)《割書:いり酒ため|生だら平作|くらげ|わさひ| 花かつほかけ》   汁(しる)《割書:うすなつとう汁| 竹輪(ちくわ)かまぼこ| こま〳〵菜》  小皿(こざら)《割書:とうがらし|ちんひ|わりねぎ|からし》    飯(めし)     香のもの    二 ㊄差味(さしみ) 《割書:鮒(ふな)|岩たけ》    汁(しる)《割書:しほじたて| いりかき| 五部ぜり》     ちよく 生ず 引而 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら)《割書:うすくず| 鳥| みそたゝき| ぎんなん| 木くらげ|  わらひ》 【左丁】 ㊄茶碗(ちやわん)《割書:しきみそ| このしろ|  せだし| 大かぶら》 《割書:㊄|㊂》くはし椀(わん)《割書:せんば| 鴨| なめたけ| てうろき》            吸物(すいもの)《割書:すまし| あまだい| つく〳〵し》     已上 〇鳥みそたゝきは小鳥たゝきに 白みそをたゝ  きませ大きくまるめ にごみ 〇このしろかぶらともに むすべしみそは  こせうまたはとうがらしみそさんせう  みそよし 〇茶わんをくはしわんにふりかへて茶わん  むしにしてもよし 〇あまだい は すべてうろこをふき小角に  きるべし 【右丁】   同   精進(しやうじん)   同 盛分(いけもり)《割書:いりざけ?| いはたけ| けんちん| たんざく|  大こん》  汁(しる)《割書:くろまめ| ちくはいも| 白あづき|おとしからし?》 ㊄ 坪(つぼ)《割書:丸ゆば|さがら麩| さつとあぶら|    上ケ|山せう| みそかけ》 飯(めし)        香物     二 ㊄ さし味(み)  《割書:根(ね)いも|青こぶ|木うり》  汁(しる)《割書:すまし|つく〳〵し|  せり》     ちよく 二はい□【二はいずヵ】 □テ【引テヵ】 《割書:㊄|㊂》 猪口(ちよく)《割書:□たし【ひたしヵ】| ふきのとう| 木口かや》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら)《割書:せんば| しあん麩| やきぐり| しいたけ》           吸物(すいもの)《割書:平(ひら)たけ| せうがせん》 《割書:㊄|㊂》 茶碗(ちやわん)《割書:くず煮| 松露(せうろ)| くるみかけ| せうが》    焼(やき)もの《割書:長 芋| いろ付|  柚みそ》     已上 〇ちくは いもは 長いもかはをむきさつとゆに  し こぐちぎりにし 真中を小がたなにて  くりぬくべし 〇しあんぶはふ壱升にとうふ小半丁少し  山のいもおとしてしほすこし入よくすり  まぜゆにしてもちゆべし 〇せうろをくずにてよく煮て くるみを火  どり 小ざいにきざみふりかけ せうがとの  せいだすべし 【右丁】   同  精進(しやうじん)  同 ㊄指味(さしみ) 《割書:しらかうど|あげふ|天もん冬》   汁(しる)《割書:ふくさ| むかご| わかめ》  坪(つほ)皿《割書:白あづきいとこに| しらいと|   いも| しめどうふ| くわゐ》  飯(めし)      香之物     二 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく)《割書:にくあへ| ぎんなん| かうたけ| かんひやう》    汁(しる)《割書:赤みそ|かいわりな》 引テ 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら) 《割書:せんば|よせゆば|しいたけ|かいふのり》 【左丁】 ㊄茶碗((ちやわん)《割書:とうふじめ| ひらたけ| にしきぶ| ゆりね| やきくり| 木くらけ》 ㊄くはし椀《割書:うすくず| 小ぐらばす| かはごぼう| 糸こんにやく》      吸もの《割書:すまし| もうそう| 小にうめ》     已上 〇しめどうふは とうふを 五ツほどにきりて  かみに ひとつ〳〵つゝみ はいの中へ入おくべし 〇小ぐらばすはれんこんをすりおろして  うどんのこを入れ よきほどにまるめて  むすべし 〇しらいと いもは長いもをまるむきにし  小がたなにて しんこのかたにきざを いれ  たるなり 【右丁】   十二月 魚類(きよるい)  同  生盛(いけもり)《割書:□にず【うにずヵ】| ほ ら| くらげ| 大こん》汁(しる)《割書:かぶら|おろし汁| かき| 五部ぜり》 ㊄坪(つほ)《割書:こくしやう| もうを|  皮引| 背きり| わりざんせう》    飯(めし)      香物    二 ㊄差味(さしみ)《割書:さ け|゜さばきゑび| う と》    汁(しる)《割書:うすしほ| たら切み| 若和布|  こせう》     ちよく いり酒 引テ 【左丁】 《割書:㊄|㊂》大猪口(ちよく)《割書: い か| からたけ| 青あへ》           吸物(すひもの)《割書:すまし| □も|  つく〳〵し》 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら)《割書:うす粕煮(かすに)| 雁| さきねぎ| 木くらげ》 《割書:㊄|㊂》菓子椀(くはしわん)《割書:せんば| 鯛(たい)| はなごばう| 松 ろ》     已上 〇さばきゑびは ゆにしかはを さりみはかり  壱寸ばかりにきり又それをこまかく引  さくべし 〇うすかすには さけのかすを 水にてときだし  か■んしてたくべし 〇うにずはきすにすこしさけをませてとく  べし 【右丁】   同   魚類(ぎよるい)  《割書:二汁《割書:本》七菜|一汁  五菜|一汁  三菜》  角皿(かくざら)《割書:なまこ|生海鼠|  小たゝみ| わさひ|生す》    汁(しる) 《割書:小鳥(ことり)| たゝき|干柴(ひば)》 ㊄差味(さしみ)《割書:生だい|生うつほ》     飯(めし)   小ちょく《割書:おろし|  せうゆ》     香物    二  貝焼(かいやき) 《割書:鰆(さはら)|生 貝|たまこ|小くわいゐ|□り【せりヵ】》汁(しる)《割書:うしほに| しらうを| 松 露| めうと》 《割書:㊄|㊂》ちよく 《割書:ひしこ漬(つけ)|あさつき》 【左丁】 引而 《割書:㊄|㊂》平皿(ひら)《割書:せんば| こち火取|  つゝ切| ひらたけ|    青み》             吸物(すひもの) 《割書:むすび|きす》 《割書:㊄|㊂》くはし椀(わん)《割書:ふろふき| 大こん| 鴨みそかけ| とうがらし》 ㊄茶碗(ちやわん)《割書:さけ煮| 丹後/鰤(ぶり)| 鋪かつほ》     已上 〇かもみそはかもの身を ちいさくきりさけにて  よく 煮あげすこし煎付ほどにして 冷しみそ  并うほのすりみすこし くはへすりませる也たゞし  かたき は あしくよきほど に みつだし汁にて  のばし また煮返してかけるなり  一大こんもかつほの水出しに みつ半ぶんほ  ど まぜてよくにるべし 〇なまこはきりかさねにして 生すをかけて  いたすべし 【右丁】   同 精進(しやうじん) 同 ㊄あたゝめ《割書:けし酢あへ| 大こん| 椎たけ| ゑだ柿| くりせうろ| 金かん|  むきかけ》  汁(しる)《割書:うすなつたう| 榎(えのき)たけ| ざく〳〵とうふ| こま〳〵な》  中皿(ちうざら)《割書:粉とうからし|からし|しほりねき》   飯(めし)      香物     二 《割書:㊄|㊂》坪(つぼ)《割書:みそ煮(に)| 小くらふ?|くわゐ| 木くらげ| くるみ色》    汁(しる)《割書:すまし| さんぎとうふ|  あ□□あげ【あふらあげヵ】| 大 こん|  いてう》 引テ 《割書:㊄|㊂》猪口(ちよく)《割書:煮(に)うめ|こほり|  おろし》 【左丁】 ㊄茶碗(ちやわん)《割書:うすくず| むすひ|  ゆば| ぢく牛蒡| せうろ》 《割書:㊄|㊂》くはし椀《割書:せんば| いとこんにやく| やきぐり| うめぼし》         吸物(すひもの)《割書:すまし| もうそう|  たけの子| 青こんぶ》         くはし     已上 〇なまび氷どうふ あす客なさんとおもふ前  のよる とうふを五ツ六ツにきりて にへゆに入  て にやしめすきかごに わらをすこししき  そのうへに ならべものほし のさきまた は  高く竹を たてゝそのさきへ引あげ おく  べし□【寒ヵ】夜にはよく こほるものなり  《割書:但し》こほるほどの寒夜なればしめとうふ  にしてよし しめどうふは とうふを三ツ  四ツにきり かみにつゝみ はいにうづむべし 【右丁】   同  精進(しやうじん)  同 ㊂生盛(いけもり)《割書:しらす| つく〳〵し| 上けふ| 大こん| く り|  せうが》   汁(しる)《割書:白みそ| せうろ| はつきかぶら| からし》 ㊄坪(つぼ)《割書:さんせうみそに| まつまへ|  どうふ| をはらぎ|    牛蒡》   飯(めし)    二 ㊄さし味(み) 《割書:はすいも|くずきり|いはたけ》  汁(しる)《割書:すまし| 小□めほし【うめほしヵ】| 青こんぶ》     ちよく いりさけ  引テ ㊄猪口(ちよく)《割書:青みそ| くろまめ| ゆりね》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》茶碗(ちやわん)《割書:くずに| 平うどん| 丸むきかふら| やきぐり》 《割書:㊄|㊂》くはし椀《割書:せんば| つかみ| ひりやうす| つけまつたけ| おしくわへ》      吸物(すひもの)《割書:すまし| 初わらひ|せうがせん》   くはし     已上 〇まつまへどうふはこふを入たるとうふなり 〇小原にごほうは こほう を ほそくわりて  たはねたるなり 〇つかみやりやうすは つねのひりやうのごとく  かやくをかやくを入て 手にてつかみそのまゝ あけ  たるなり 〇おしくはへはよく かけんしてたき 上け  ふきんに つゝみおしつぶし おか入 【右丁】   同  精進(しやうじん)  同 ㊂生盛(いけもり)《割書:三はいず| すいせん| いはたけ| みる》    汁(しる)《割書:白みそ| 小かふら| あづき|  からし》 ㊄坪(つぼ)《割書:うすくず| しきしふ|   五まい| せうろ》    飯(めし)      香のもの    二 ㊄刺味(さしみ)《割書:きをんばう|青こんぶ|きくらげ| くり》    汁(しる)《割書:すまし| たぬき|  しる》      ちよく 《割書:いりさけ》 引テ ㊄大猪口(ちよく)《割書:□みそあへ| つく〳〵し| からたけ》 【左丁】 《割書:㊄|㊂》茶碗(ちやわん)《割書:とうふじめ| ひらたけ| やきくり| ふ| ゆりね》 《割書:㊄|㊂》くはし椀《割書:せんば| つけ竹子| よせゆは| しいたけ》     吸(すひ)もの 《割書:すまし| なめたけ》   くはし     已上 〇たねきじには こんにやく つめにてかきごまの  あぶらにてさつと あげすまし  《割書:但し》五ぶせりちらし 〇しきしぶ ふやへあつらへいろがはりにすべし 〇大ちょくつく〳〵しよくゆで あく出しすべし  もしつく〳〵しすくなくて さひしけれはきん  なんを 入れ三いろにしてよし 〇つけ竹のこよく〳〵しほだしすべし 【右丁 文字無し】 【左丁】   四季(しき)     台引(だひびき) 【上段】  春  小板(こいた)かまぼこ  せ んだい子籠(ここもり)鮭(さけ)  生貝(なまがい)いろ付/煮(に)      やき小とり                           鯛(たい)きりみ        《割書:とうがらしぜうゆ|      いろ付》  鯛(たい)きりみ    《割書:うすづけ》  火取わかめ 精進  山の芋(いも)   《割書:こせう醤ゆ》   つけやき 【下段】  海老(ゑび)  ますいろ付  ひばり   《割書:さんせう醤油|    付やき》      ますいごいろ付   《割書:いり付牛蒡》     同  きをんぼう   《割書:とうがらしみそ》     付やき 【右丁】 【上段】  夏   ぼたん海老(ゑび)   《割書:生貝さんせう|    みそ|   でんかく》  蛸(たこ)やはらか煮(に)  たいらき    しほやき  烏賊(いか)   色付焼  ます   うすつけ 精進  長ゆば  《割書:とうがらし》    いろ付 同  さゝぎ   むすびて    てんふら 【下段】  焼(やき)あゆ   すいり  せいご色付  塩引(しほひき)鮭(さけ)おき合  あぢ塩(しほ)やき   たで す  鴫(しぎ)   いろ付焼(つけやき) 同  かぼちや  とうからしみそ    でんかく 同  浅(あさ)くさのり  《割書:うす醤ゆ|  かさね付焼》 【左丁】 【上段】 秋  いせ海老(えび)  ふきみそ   でんがく  さはら   いろ付焼  鮭(さけ)   《割書:あんかけ|すりせうが》  鮎(あゆ)   《割書:さんせうみそ|でんがく》 精進   ひらたけ    《割書:とうがらしみそ|  でんがく》 同  ふさ大こん   てんふら   紅じほかけ 【下段】  いな《割書:かしら|おとして》   さんせうみそ    でんがく  車(くるま)ゑひ   からすみ  花(はな)ゑび   しほやき  ひらめ   ごまぜうゆ     いろ付 同  小なすび   でんがく 同  浅(あさ)くさのり   ころもかけ     てんふら    【右丁】 【上段】 冬  山鳥(やまとり)   ふきみそ    でんがく  むすびさより   塩(しほ)ふり焼  うなぎ   てんふら    やきしほ  小(こ)ごな   すゞめやき 精進   ゆりね    ころもかけ 同  から巻(まき)すし   はじかみ 【下段】  甘(あま)だい   みそじやうゆ     付やき  鮎(あゆ)かすつけ   ふき煮ざんせう  きすご   しほいり  赤(あか)ゑい   山せうみそ    でんがく 同  牛蒡(ごぼう)   ふきみそ    でんがく 同  じねんじよ   しほむし  さとう 【左丁】   《割書:四季》重引《割書:花 小皿引》 【上段】 春  鰆(さはら)   あんかけ    せうが    生貝(なまがい)   くす煮(に)  むきみ大蛤(おほはまぐり)   ふきみそ       煮 精進   近江かぶら    くずひき 同 糸(いと)ごんにやく        くす煮    あさくさのり       【下段】  鱧(はも)すり身  たまごむし  あんこう   しほなすひ    みそ煮  鱒(ます)   ゆきこ椎茸     くす煮 同  れんこん   みそ煮  こせう 同 くずかけ   おしくわゐ    からし 【右丁】 【上段】 夏  床ぶし  和らか煮    こせう  はもせにぎり  じゆんさい    くず煮  赤(あか)ゑい   さんせうみそ煮  ゑびはん平   くす煮 精進  たけの子   いりだし  大こんおろし 同  角(かく)九年母(くねんほ)   あんかけ  せうろおろし 【下段】  鯉(こい)せぎり   山椒みそ     にこごり    しんせう   くす煮   ふりねぎ  ゑび   くそく煮   わりざんせう  いりこ   小いも    みそ煮 同  なすひ    でんかく 同  くだ牛蒡(ごはう)   あさくさ      のり 【左丁】 【上段】 秋  鰹(かつほ)くづし    五分ねき    くす引  やはら半平(はんへい)   柚のせん   くづかけ  塩鴨(しほかも)   さゝかき牛蒡(ごほう)      うなぎ   たまごとぢ 精進   ねいも    くす煮    からし  しいたけ   からむし    きくらけ 【下段】  へぎ生貝(なまかい)   たまごとぢ     こせう  さゞい   わた煮(に)     こせう  焼目(やきめ)いか   うすくす煮   こせう  はまぐり   はもじめ  かもうり   さとうかけ  きんなん   木くらけ    くずひき 【右丁】 【上段】 冬  山とり ふきみそ   かけ  白(しろ)うを   なまこむし    あんかけ  小鮒(こぶな)   青こんふ巻  いゝだこ   いりつけ 精進  ちやせん松たけ   しんくはゐ   うすくず引  しんかぶら  ごまあん   かけ 【下段】  むし雉子(きじ)   《割書:さきて》あんかけ  《割書:からし》  口(くち)じほたら   もやしうと    うすくすに  玉子(たまこ)   そうめん    くずかけ  こち   すつほん煮   ふりねぎ  むしなじ   あんかけ  せうがはり  せうろ  からみ大こん   くずひき 【左丁】 【上段】 同  ゆしめじ   かけ醤ゆ    すりゆ 同  長(なが)いも   さとうあかみそ 同  塩(しほ)やき   とうふ   たですかけ 同  かもうり   うどん切    くずにわさび 同  うどんふ   くずひき   おろし大こん 【下段】 同  むしにうめ   左白(さとう)かけ 同  青み大こん  太(ふと)牛蒡(ごはう)   せうが みそ 同  小/柚(ゆ)がま 同  大せうろ  からみ大根   くず引 同  すくひゆば   くずあんかけ    已上 【右丁】    料理(れうり)の心得(こゝろへ) 一/料理(れうり)は塩梅(あんばい)はもちろん取合(とりあひ)盛(もり)  方(かた)心得(こころへ)第一也/先(まつ)取合(とりあひ)は青(あを)黄(き)  赤(あか)白黒(しろくろ)を専(もつはら)とす又/ 盛方(もりかた)は  円(まうろく)方(かく)長(なが)短(みじかき)を考へ山水(さんすい)をかたどる  心得あるべし何程(いかほど)厚味(こうみ)佳品(かひん)なり  とも取合(とりあひ)盛方(もりかた)のあしきは不(ふ)馳走(ちさう)  のうひと心得(こゝろえ)べし 一/加減(かげん)第一也/尤(もつとも)辛口(からくち)ありあま口あり  て数人(すうにん)の一々(いち〳〵)口(くち)に合う(あふ)やうにとては 【左丁】  出来(でき)ざるものなりしかれどもその  鰹(かつほ)出(だ)し昆布(こんぶ)出(だ)しにかきらず第一に  出(だ)しのかけんを至極(しごく)叮寧(ていねい)になし置(おけ)  ばたとへ客(きやく)の口(くち)によりてかげんは少(すこ)し  かなはずとも塩梅(【あんばいヵ】)によりてうまく  覚(おぼ)へ数人(すにん)の口(くち)にかなふものなり  たとへ加減(かけん)はよくともうまからぬは  塩梅(あんばい)のたらざる也されは塩梅は  原(もと)にして加減(かけん)は後(のち)と心得べし  大方(おほかた)の人/塩梅(あんばい)も加減(かげ ん)もひとつ  事とおもふは大(おほひ)なる誤(あやまり)なり 一/初(はつ)ものを馳走(ちさう)とあなしも覚(おぼ)ゆれ  は客人(きやくしん)も馳走(ちさう)とすしかれども  初(はつ)ものは何(なに)によらず至極(しごく)ぎんみ  なされば用(もち)ひがたし外(べつ)して木(き)の  子(こ)類(るい)は猶更(なおさら)なりたとへ早(さ)松茸(まつたけ)  たり共(とも)その折(をり)の季候(きこう)によりて  用捨(ようしや)あるべし尤(もつとも)河海(かかい)の初ものは  よく山陸(さんろく)の初(はつ)ものはあしく海鱗(かいりん)  の初(はつ)ものは膏(あぶら)うすく軽(かる)くして 【左丁】  風味(ふうみ)各別(かくへつ)美(び)なり菓菜(このみな)ははし  りは自然(しぜん)あぐ脂(やに)つよきとしるべし 一/遠来(ゑんらい)のち珍物(ちんぶつ)を求得(もとめう)れば唯(ただ)夫(それ)  のみを馳走(ちさう)と心得(こころえ)他(ほか)の魚菜(きよさい)に  心(こゝろ)を用(もち)ひざるは大(おほい)に興(けう)のさむるもの  なり又(また)当時(とうじ)会席(かいせき)料理(れうり)などし  て唯(ただ)異(こと)やうなる取合(とりあひ)を美(よし)として  殊(こと)に盛合(もりあはせ)いたつてわつかにて三箸(みはし)  に足(た)らず其上(そのうへ)厚味(こうみ)なるものは  滞食(もるゝ?)などいひて一菜(いつさひ)もうまき   【右丁】  ものあらねは客(きやく)へ対(たい)して失(しつ)  礼(れい)とおもふべし真(しん)の会席(くはいせき)ならば  格別(かくべつ)たなき馳走(ちそう)には必(かな)らずしも  用(もち)【ゆヵ】り事(こと)なかれ或(あか)宗色(そうせう)の雑(さつ)  話(わ)に何(なに)ほど風雅(ふうが)なる面白(おもしろ)き取(とり)  合(あひ)料理(れうり)にても厚味(かうみ)一菜(いつさい)なくては  茶(ちや)もうまく飲(の)めずといはれしが  茶道(さどう)に於(おゐ)てもかくのごとく況(いはん)や  饗饌(けうせん)に於(おゐて)を也 一/料理(れうり)煮方(にかた)に四季(しき)の心得あり 【左丁】  先(まづ)春(はる)冬(ふゆ)はいかにもふつさりと見ゆる  やうに庖丁(はうてう)の心得(こころえ)あるべく夏(なつ)秋(あき)は  すんがりと見ゆるやうに為(なす)べしされば  とて淋(さび)しく少(すく)なきはあしくたとへば  魚菜(きよさい)とも平目(ひらめ)にすれば盛(もり)かた  賑(にき)やかなり竪目(たてめ)なれば清冷(すんがり)と  見ゆる爰(こゝ)を以(もつ)て考(かんが)ふべし強(あなが)ち  竪目(たてめ)平目(ひらめ)と一概(いちがい)にいふにはあらじ  煮方(にたか)加減(かけん)熱(あつ)きかけんの物(もの)は至(し)  極(こく)暖(あたゝ)かにし冷(ひやゝか)なるものはひやゝか 【右丁】  なるべし必(かなら)ず夏日(かじつ)なりとも煮(に)  物(もの)さめたるは甚(【はなはヵ】)だ不馳走になる  なり冬(ふゆ)の日(ひ)もこれに准(じゆん)すべし 一/器(うつ)物(□【ものヵ】)いつもより清浄(しやうじ)なるへし異様(ことやう)  なる品(しな)は用ゆべからずこゝに一話(ひとつのはなし)  あり或(ある)豪家(がうか)の商人(あきんど)兼(かね)而(て)珍器(ちんき)  をこのめるゝが出入(ていり)之(の)道具屋(どうぐや)ある  とき長(ながさ)四尺ばかり巾(はゝ)壱尺六七寸  もある広蓋(ひろふた)のごとき器(うつわ)の中央(ちうわう)の  左右(さゆう)に銀(ぎん)の環(くはん)を打(うつ)たりいかなる器(き) 【左丁】  ともしれずといへども惣(そう)梨子自地(なしぢ)に  して蓋(ふた)の内(うち)高蒔絵(たかまきゑ)の結構(けつこう)  環(くはん)ならびに座(ざ)なんど誠(まこと)に手(て)を  尽(つく)したる器物(きぶつ)なれば求(もと)めおきて  珍客(ちんきやく)あらは用ゆべしと秘蔵(ひざう)せしが  原(もと)より諸侯(しよこう)がたに館入(たちいり)する家な  りしがいかなる折(をり)にや去(さ)る諸侯(しよこう)方(がた)  此方(このかた)いらせ給ふ折(をり)からすはや此時(このとき)  こそと此/器(うつわ)を大硯(おほすゞり)ぶたとし組肴(くみさかな)  山のことく積重(つみかさ)ねて御前(ごぜん)へ出(いだ)せしに 【右丁】  その立派(りつは)なる事(こと)目(め)を驚(おと■■)【おどろかヵ】せり  高主(あるじ)も心中(しんちう)にかゝる器物(きふつ)は諸侯(しよこう)  方(がた)たりとも持(もた)せ給ふまじ定めて  褒詞(ほうし)を下(くだ)さるべしと伺(うかゝ)ひゐして  大守(たいしゆ)も御覧(ごらん)付くれしが何(なん)の御(ご)  沙汰(さた)もなく却(かへつ)て此/器(うつわ)に盛(もり)たる  魚類(さかな)には手(て)を付(つけ)られすやがて  近臣(きんしん)に命(あい)【めいヵ】じ下座(げざ)の方(かた)へ押(おし)やう  せ給ひ何(■■?)となく不興(ふきやう)の体(てい)に見之   ければ高主(あるじ)も大に案(あん)に相違(さうゐ)し 【左丁】  其(その)うへ御(ご)不興(ふけう)に驚(おどろ)近臣(きんしん)を  密(ひそか)に招(まね)き其(その)所以(ゆゑ)を問(と)ふに近臣(きんしん)を  其故をしらざれば大守(との)に高主(あるじ)の  心配(しんはい)を言上(ごんじやう)せしかば大守/微笑(びせう)し  給ひ高主(あるじ)の心得(こゝろえ)に申/聞(きか)すべし  鷹(たか)を飾るに鉾(ほこ)かざりといふ式(しき)あり  鉾(ほこ)を横(よこ)たへ其/中央(ちうわう)に鷹(たか)をすへ  その鷹(たか)の左右(さゆうの)鉾(ほこ)より緒(お)を下(さ)げ  此(この)器物(きぶつ)の環(すはん)にかけて鷹(たか)の真下(ました)に  釣(つる)なりこれ鷹(たか)の糞(ふん)をうくる器物(きぶつ) 【右丁】  にして不浄(ふじやう)の品なり故(よう?)に取除(とりの)け  させしと宣(のたま)ひしとなり又/予(よ)が知(ちつ)  己(つき)の医師(ゐし)なにがし唐(とう)書画(しよぐは)は勿論(もちろん)  唐(とう)器を愛(あい)せしが道具屋/唐製(とうせい)  の古(ふる)き壷(つほ)を持来(もちきた)りしが此(この)医(ゐ)一目  見るより手(て)にも取(とら)ずして復(かへ)したり  其(その)のち病家(ひやうか)に数寄者(すきしや)ありて茶(ちや)  事(じ)にて招(まね)かれ行くに飾(かざ)り付(つけ)たる  水指(みづさし)以前(いぜん)に見たりし壷(つぼ)によく似(に)た  りしゆゑ其/出処(しゆつしよ)を尋(たづ)ねしに此 【左丁】  頃(ごろ)道具屋より求(もと)めしよしにていと  驕(ほこり)りに答(こた)へしかばさすがに不浄(ふじやう)の  器(うつは)ともいひかね俄(にはか)に腹痛(ふくつう)のよし  いつはり茶(ちや)を喫(きつ)せず帰(かへ)りしと語(かた)  られたり此(この)陶(つぼ)器は唾器(だき)とて唐(もろ)  土(こし)にて病者(びやうしや)の嘔吐(おうと)をうくる器(き)な  りとぞこれらは異(こと)やうなる器(き)  をこのむがゆゑ却(かへつ)て恥辱(ちじよく)を 受(うく)る  ことそがし 一/飯(はん)はこれ又(また)心(こころ)をもちゆべきの 【右丁】  第(たい)一なり何(いか)ほどの馳走(ちそう)たりとも  飯(はん)の加減(かげん)あしきときは馳走(ちさう)と  ならず別(べつ)して冬(ふゆ)の日(ひ)には熱飯(あつはん)  一種(いつしゆ)の馳走(ちそう)と心得(こゝろう)べしたとへ  三汁(さんじう)十一/菜(さい)の饗応(きやうおう)なりとも  第一/飯(めし)第二/本汁(ほんしる)第三/平(ひら)皿等  此三種/別(べつ)して心を用(もち)ゆべし三/種(しゆ)  よろしけれはおのづから料理(れうり)すゝむ  ものなり 一/素人(しろうと)は庖丁(ほうてう)盛方(もりかた)などはじめは 【左丁】  いかにも心(こころ)楽(たの)しく丁嚀(ていねい)なれとも  切刻(きりきさ)み数多(あまた)になれば自然(しせん)退屈(たいくつ)  して疎略(そりやく)になるものなり兎(と)  角(かく)初中後(しよちうご)とも同(おな)し手際(てぎは)肝要(かんよう)也  扨又/惣(さう)じて魚鳥(きよてう)山野(さんや)の産物(さんぶつ)等  水(みづ)あらひ丁寧(ていねい)にすべしたとへ一遍(へん)  にてよきも二/度(と)三/度(と)づゝあらうべし  家具(かぐ)鉢皿(はちさら)のたくひも同し 一/精進(しやうじん)料理(れうり)取(とり)わけ塩梅(あんばい)加減(かげん)  心得(こゝろう)べし魚類(きよるい)はたとへすこし 【右丁】  かげんあしくとも魚鳥膏(うをとりのあぢ)にて  物(もの)まぎれすれども精進(しやうじん)には昆布(こんぶ)  干瓢(かんひやう)の出(だ)しばかりなれば猶(なほ)さら  念(ねん)を入(いる)べき事なり 一/膳椀(ぜんわん)鉢皿(はちさら)其外/器物(きぶつ)ふき拭(□□)【ぬくヵ】ひ  心(こゝろ)を付(つく)べし膳立(ぜんだて)早(はや)く做(なし)おき  其まゝ出(いだ)すときは膳椀(ぜんわん)に埃(ほこり)つ  もりあるひは香物(かうのもの)干(ひ)からひ□  甚(はなはだ)不馳走(ふちさう)なりよつて膳(ぜん)を  いたすときは一ツ(ひとつ)〳〵あらたむべし 【左丁】  又/箸(はし)に心(こゝろ)を付(つけ)壱本々々よく  あらため打べし其外いさゝかの  事(こと)にても内外(うちと)の召(めし)つかひ又は  料理人(れうりにん)に任(まか)せおき自然(しぜん)不行届(ふゆきとゞき)  あらんときは高主(ていしゆ)一人に帰(き)して  のがまゝ所なし 右の条々(でう〳〵)は皆(みな)古人(こじん)の戒(いまし)めおかなく 処(ところ)なれはゆるかせにな思給ひそ 此外(このほか)高主(あるじ)席上(せきしやう)の気(き)くはり配(はい) 膳(ぜん)の心得(こころえ)あるひは客(きやく)入/来(で)退(いり)出 【右丁】 の送迎(おくりむかへ)又/玄関(げんくはん)さき書院(しよいん)庭先(にはさき) 等(とう)の設(まふけ)に昼夜(ちうや)の心得(こゝえ)等(など)さま〴〵 あれど献立(こんだて)にかゝはらざる事 なればこゝにもらしぬ    編者 東籬亭主人誌 【左丁】 文字無し 【裏表紙】