《題:百人一首 女消息往来》 【資料整理ラベル】 TIAO 14 68 日本近代教育史   資料 歌は常にいへることはを三十一文字につゝり あるはことを問ひものを答ふことはつかひの わゝきなんことを学へる端なれは殊に女子の 翫ふへきものなりされは世のいとなみのいとま なく歌よむことのならぬ身は常に古歌を吟 すへしおのつから歌の心を得てことはの やはらく便ともならんかし 【右丁】 定家卿(ていかきやう)   小倉山(をぐらやま)の    別荘(べつさう)に       て  百首(ひやくしゆ)の   和歌(わか)を  認(したゝ)め   たまふ      図 【左丁 挿絵のみ】 【右丁】   女中こと葉【以下紙面欠損】 小袖(こそで)を  ごふく   たいを  お【以下欠損】 わたを  おなか   かつをゝ かた〳〵   か【以下欠損】 はながみを おさし  いはしを  おむら   すり□□を ら【以下欠損】 べにを  おいろ   くじらを  おさくり  れんぎを  こからし こめを  うちまき  すしを  《割書:月夜| 又すもじ》   せつかいを  うぐいす みづを  おひや   ごまめを ことのはら  しやくしを  しやもじ たんごを  いし〳〵  たこを  たもし   白はしを  ねもじのはし もちを   かちん   うをを  おなま   杉はしを  ■りかいのはし さけを  《割書:九こん| 又さゝとも》  ゑびを  ゑもじ   かみそりを  おけたれ めしを   おこゞ  かすのこを かず〳〵  舛(ます)を   よはう ひしほを  あまむし  大こんを からもの  ねるを  おしづまる 醤油(しやうゆ)を  おひたじ  そうめんを  ぞろ   おきるを おひるなる しほを  なみのはな ふのやきを あさがほ   此余(このほか)ならひ知(し)るべし 【左丁 上段 挿絵】 【同 下段】   天智天皇(てんちてんわう) 秋(あき)の田(た)の  かりほの 庵(いほ)  の 苫(とま)  を あらみ   わが衣(ころも)     □(で)【以下欠損】  □(つゆ)【以下欠損】 【右丁 上段 挿絵のみ】 【同 下段 行初部欠損】 春【以下欠損】 来(き)にけらし  白妙(しろたへ)の 衣(ころも)ほす  てふ あまの  かぐ山(やま) 【左丁 上段】 ○女(おんな)消息(せうそく)往来(わうらい) およそ婦人(ふしん)女子(によし)の 文(ふみ)玉章(たまづさ)は一筆文(ひとふでふみ) して申上 示(しめ)し そうろうべく候 御書(ごしよ)拝見(はいけん)御(おん) 消息(せうそく)拝(はい)し上(あげ)御細(おんこま) 々(〴〵)との御ふみ下(くだ)され 御 文(ふみ)のやう繰返(くりかへ)し 詠(なが)め入そうろうべく候 年始(ねんし) 七種(なゝくさ)までは初春(はつはる)あ 【同 下段】  柿本人麿(かきのもとのひとまろ) あしびきの  山どりの お の しだり   おの  なが〳〵    しよを   ひとり     かもねむ 【右丁 上段】 ら玉(たま)七日過(なぬかすぎ)は尽(つき)せ ぬはる此春(このはる)の御 寿(ことぶき) 御 目出(めで)たき御祝儀(ごしうぎ) いづかたも千里(ちさと) も同(おな)じ御 事(こと)祝(いはひ) ひ【衍】納(おさめ)参(まい)らせ候 上々(うへ〳〵)様(さま)がた若殿(わかとの) 様 御姫様(おひめさま)御惣容(ごそうよう) 様(さま)其(その)御程(おんほど)さま 御手まへさま御まへ 【左丁 上段】 さま御 夫(それ)さま御とり〴〵 さま御 遊(あそ)ばし遊ば されます〳〵いよ〳〵 御機嫌よく御 障(さわり) なふ御 息(そく)もじ甲(か) 斐(ひ)ある春(はる)若葉(わかば) のはるをむかへさせ られ御 年(とし)かさね 御 祝儀(しうぎ)相替らず 御 賑々(にぎ〳〵)しく御 祝(いは)ひ 【右丁 下段】  山部赤人(やまべのあかひと) 田子(たご)の浦(うら)に  うち いでゝ み  れ   ば  白(しろ)たへの   ふじの    たかねに 雪(ゆき)はふりつゝ 【左丁 下段】  猿丸太夫(さるまるだゆう) 奥山(をくやま)にもみぢ  ふみ   わけ なく 鹿(しか)  の こゑきく   ときは  秋(あき)は   かなしき 【右丁 上段】 幾万々年(いくまん〳〵ねん)もち代 万代の末(すへ)までも 限(かぎ)りなふかず〳〵 御 目出(めで)たく爰元(こゝもと) 此方(こなた)皆々(みな〳〵)かはり なふおそれながら 憚(はゞかり)なから御 心(こゝろ)易(やすく) 思召(おぼしめ)し御 案(あん)じ 下さるまじく 御きもじやすふ 【左丁 上段】 態と相祝(あいいは)ひ御 鏡(かゞみ) 餅(▢▢)幾飾(いくかさり)田作(たつくり)数(かすの) 子(こ)串海鼠(くしこ)串貝(くしかい) 進上(しんじやう)致し差上(さしあげ) 御 目(め)にかけ贈下(おくりくだ) され有(あり)かたく忝 さこれよりも取(とり) あへす麤末(そまつ)ながら 軽少(けいしやう)ながら御とし 玉のしるしまで 【右丁 下段】  中納言(ちうなごん)家持(やかもち) 鵲(かさゝぎ)のわた    せる  はしに をく 霜(しも)  の しろ   きを  みれば     夜(よ)そ   更(ふけ)にける 【査定 下段】  安陪仲麿(あへのなかまろ) あまのはら  ふりさけ  みれば か す  が   なる  三笠(みかさ)の    山に  いでし    月(つき)かも 【右丁 上段】 なを春永(はるなか)には るふかく折角(せつかく)余(よ) 寒(かん)御 厭(いとひ)如月(きさらき)の 空(そら)にうつり日増(ひまし) に暖(あ▢ゝか)天気(てんき)よく 麗(うららか)に日和(ひより)よく 三月 長閑(のどか)桃(もゝ)の 御 節句(せつく)御 娘子(むすめご)さま 初(はじめて)の節句 別(わけ)て 御にきやかに御祝 【左丁 上段】 内裏雛(だいりひな)一対(いつつい)前(せん) 司(し)人形(にんきやう)蓬餅(よもきもち)蛤(はまくり) 進上(しんじやう)いたし御祝 下(くた) され幾(ゆく)久しく祝(し▢) 納(なふ)いたし花見(はなみ)汐(しほ) 干(ひ)開帳(かいちやう)参り御 遊山(ゆうさん)御 遊(あそ)び御 慰(なぐさみ) 御 楽(たのしみ)御 誘引(さそひ)御 同(どう) 道(だう)御 供(とも)申 芝居(しばゐ) 狂言(きやうけん)御 見物(けんぶつ)御 出(いで) 【右丁 下段】  喜撰法師(きせんほうし) わが庵(いほ)は  みやこの たつみ しか  ぞ すむ   世(よ)を  うぢ山と   人(ひと)は   いふなり 【左丁 下段】  小野小町(をのこまち) 花(はな)の色(いろ)は  うつりに  けりな いた  づら   に 我身(わがみ)  よに   ふる ながめ  せし   まに 【右丁 上段】 御 延引(ゑんいん)御 帰遊(かへりあそ)ば され大(おほき)に絶(たへ)醉(ゑひ) 御 草臥(くたひれ)御 休(やすみ)御 隙(ひま) 御 暇(いとま)夏(なつ)は卯月(うづき) 朔日(ついたち)更衣(ころもかへ)郭公(ほとゝぎす) の初声(はつこへ)和哥(わか)発(ほつ) 御 同(どう)秀逸(しういつ)感心(かんしん)い だし暑(あつさ)に向(むか)ひ 入梅(にふばい)五月雨(さみたれ)降(ふり) つゞき悪(あ)しき御 【左丁 上段】 天気(てんき)濛々(もう〳〵)しく 鬱陶(うつとう)しく御 徒然(つれ〴〵) 菖蒲(あやめ)の御 祝儀(しうぎ)御(ご) 惣領(そうれう)様(さま)御 子息(しそく)様(さま) 御 幟(のほり)壱 対(つい)御 兜(かぶと) 一錺(ひとかさり)菖蒲(しやうぶ)刀(かたな)相(あい) 祝(いは)ひ御目にかけ柏(かしは) 餅(もち)御 重(ぢう)の内(うち)打寄(うちより) 御 賞翫(しやうくわん)もふし上 土用(とよう)に入(いり)殊(こと)のほか 【右丁 下段】  蝉(せみ)丸 これやこの   ゆくも  かへるも わか れ  ても  しるも  しらぬも   逢坂(あ▢さ▢)の      関(せき) 【左丁 下段】  参議(さ▢き)篁(たかむら) 和(わ)田のはら  八十島(やそしま) かけ  て こぎ  出(いて)ぬ    と  人(ひと)には   告(つげ)よ  あまの    つり船(ふね) 【右丁 上段】 の御 暑(あつ)さ御 見舞(みまひ) 御 尋(たづね)楼舟(やかたふね)にて 夕涼(ゆふすゝし)み花見(はなみ)御 見物(けんぶつ)秋(あき)は文月(ふみづき) 残暑(ざんしよ)つよく七夕(たなばた) の御 祝義(しうぎ)生身(いきみ) 魂(たま)蓮(▢す)の飯(いひ)刺鯖(さしさば) の贈物(おくりもの)霊祭(たままつり)盆(ほん) 過(すぎ)より次第(しだい)にお すゞしく俄(にはか)に 【左丁 上段】 冷々(ひへ〳〵)しく八朔(はつさく)田(たの) 面(も)の祝(いは)ひ待宵月(まつよひつき) 見(み)十六夜(いざよひ)の腰折(こしをれ) 御はづかしく御 添(てん) さく御 直(なを)し願(ねがひ) 上(あげ)九月(くぐはつ)菊(きく)がさね の御 祝儀(しうき)美(うつく)し き御 小袖(こそて)見事(みごと)成(なる) 御 さかな壱折(ひとをり)一(ひと)か □【汚損】御 庭(には)の菊(きく)の花(はな) 【右丁 下段】  僧正(さうぜう)遍昭(へんせう) 天(あま)津風   雲の かよひ   ぢ 吹(ふき) とぢ   よ  乙女(おとめ)の    すが□【たヵ】 しばし   とゞめ      む 【左丁 下段】  陽成院(ようぜいいん) つくばねの みねより   おつる  みなの   河(かは) 恋(こひ)  ぞ  つもりて ふちと   成(なり)    ぬる 【右丁 上段】 下(くだ)され御 手入(ていれ)のほ ど感(かん)じ入(いり)冬(ふゆ)十月(じふぐわつ) より日増(ひま[し])に御 寒(さむく) 夷講(ゑびすこう)家内(かない)残(のこ)ら ず御 招(まね)き 御 取(とり)は やし毎度(まいど)毎(いつ)も 種々(しゆ〴〵)いろ〳〵御 丁(てい) 寧(ねい)好物(こうぶつ)の御 馳走(ちそう) 御 饗応(もてなし)御 振廻(ふるまひ)御 世話(せわ)に成(なり)御 世(せ)もじ 【左丁 上段】 浅(あさ)からず御 忝(かたしけなく)山々 うれしく御礼申 尽(つく)しかたく霜月(しもつき) 師走(しはす)寒(かん)に入(いり)雪(ゆき) ゆへ別(べつ)して寒強(かんじつよ)く 寒明(かんあけ)ては余寒(よかん)也 歳暮(せいほ)年(とし)の尾(を)暮(くれ) の御めでたさ嘸々(さぞ〳〵) 御 取込(とりこみ)の御 事(こと)御 事(こと) 多(をほ)く御 世話(せわ)しく 【右丁 下段】  河原左大臣(かはらのさだいしん) みちのくの  しのぶ もぢ す  り 誰(たれ)ゆへに  みだれ  そめにし 我なら   なくに 【左丁 下段】  光孝天皇(くはうかうてんわう) 君がため    春(はる)の  野(の)にいでゝ わかな    つむ 我(わか)  衣(ころも)   手(で)    に 雪(ゆき)は  降(ふり)   つゝ  【右丁 上段】 御いそもし御 察(さつ)し 申上御 推(すい)もじ おしはかり差懸(さしかゝり) 指急(さしいそ)きさし支 拠(よんどころ)なく御無心(ごむしん)扨(さて) 又(また)平生(へいせい)女子(おなご)の嗜(たしなむ) べき芸能(げいのう)は手(て) 習(なら)ひ縫(ぬい)はり躾(しつけ) がた歌道(かだう)活華(いけばな) 香(かう)の道(みち)糸竹(いとたけ)の 【左丁 上段】 調(しら)べ也御 奉公(ほうこう)宮仕(みやつかへ) 召抱(めしかゝへ)られ殿様(とのさま)御(おん) 奥様(をくさま)《割書:被》御 目見(めみへ)老(ろう) 女(しよ)局(つぼね)御 年寄(としより)御 側(そば) 呉服(ごふく)の間(ま)物縫(ものぬい)針名(しんみやう) 【挿絵あり】 【右丁 下段】  中納言(ちうなごん)行平(ゆきひら) 立(たち)わかれ いなばの   山(やま)の みねに お  ふ   る  まつとし    きかば いま   帰りこむ 【左丁 下段】  在原業平(ありわらのなりひた)     朝臣(あそん) 千早振(ちはやふる) 神代(かみよ)も  きかず 立(たつ) 田(た) 河(かは) から  くれ  なゐに 水(みづ)  くゞる   とは 【右丁 上段】 御 乳人(ちのひと)御 傅(もり)御 小性(こしやう) 腰元(こしもと)御 次(つき)御 右筆(ゆうひつ) 御 茶(ちや)之間(ま)御 仲居(なかゐ) 御 末端(すへは)女部屋方(しよへやがた) 傍輩(ほうはい)睦敷(むつまじく)勤向(つとめむき) 大切(たいせつ)に致(いた)し結構(けつはう)【ママ。「こう」の誤ヵ】 仰付(おふさつけ)【ママ】られ立身(りつしん) 出世(しゆつせ)あるべき也 存(そんじ)寄(よ)らず御 加増(かざう) 御 巻物(まきもの)紗綾(さや)縮(ちり) 【左丁 上段】 緬(めん)綸子(りんす)緞子(どんす)【純は誤】羽二(はぶた) 重(へ)縮(ちしみ)晒(さらし)絹類反(きぬるいたん) 物(もの)御目録(おんもくろく)拝領(はいれう)い たし戴(いたゞ)き冥加(みやうか) にあまり御 序(ついで)の 節(ふし)御 礼(れい)よろしく 御 執成(とりなし)御 沙汰(さた)御 披(ひ) 露(ろう)願上(ねがひあげ)御 頼(たのみ)申上 参らせ候御 吹聴(ふいちやう)御 羨(うらやま)しく漸(やうやく)年(とし) 【右丁 下段】  藤原敏行朝臣(ふぢはらのとしゆきあそん) 住(すみ)の江の  きしに  よる波(なみ) よる さ  へ   や 夢(ゆめ)の  通路(かよひち)  人(ひと)め   よくらむ 【左丁 下段】  伊勢(いせ) 難波潟(なに▢がた) みじかき  あしの ふしの  まも あは  で 此よ   を  すぐして  よとや 【右丁 上段】 闌(たけ)縁付(ゑんづき)ては夫(おつと)を 敬(うやま)ひ舅(しうと)姑(しうとめ)に孝(かう) あるべし此中(このちう)此(この) 間(あいだ)此度(このたび)先(せん)もじは 御 日柄(ひから)よく御 結納(ゆひなふ) 御 印(しるし)御 取替(とりかはし)し家(や) 内(ない)喜多留(きだる)昆布(こんぶ) 寿留女(す▢め)帯(おび)あるひ は帯代(おびだい)分限(ぶんぎん)に寄(よる) なり御 婚礼(こんれい)御 祝(しう) 【左丁 上段】 言(げん)首尾(しゆび)よく御 調(とゝのひ) 御 里開(さとひら)き御 聟入(むこいり) 御 滞(とゞこをり)なく済(すま)せられ 御 勇敷(いさましく)千秋(せんしう)万(まん) 歳(さい)いく千代(ちよ)も限(かきり) なふ御 目出度(めでたく)御(ご) 祝義(しうぎ)御 歓(よろこ)び御 初々(うゐ〳〵) しく御 馴染(なじみ)御 安(あん) 産(ざん)ことに御 男子(なんし)様(さま) 御 出生(しゆつしやう)御 誕生(たんじやう)御 両(りやう) 【右丁 下段】  元良親王(もとよししんわう) 侘(わび)ぬれば いまはた  おなし なに  は なる  身(み)を  つくし    ても あはむとそ    おもふ 【左丁 下段】  素性法師(そせいほうし) いまこむと   いひし  ばかりに 長月(ながつき)の  有(あり)  明(あけ)  の 月(つき)を  まち  出つる    かな 【右丁 上段】 人(にん)様とも御 丈夫(ぢようぶ)御 達者(たつしや)に御 血(ち)ごゝろ もなふ御 肥立(ひだち)なさ れ御 両親(りやうしん)様(さま)嘸々(さぞ〳〵) 御 歓(よろこび)御 満足(まんぞく)御 安堵(あんど) 御 七夜(しちや)御 名付(なつけ)御 夜(や) 食(しよく)食籠(ぢきろう)一荷(いつか)重(ぢう) 之(の)内(うち)一組(ひとくみ)進上(しんじやう)御 髪置(かみおき)御 袴着(はかまぎ)御 帯解(おびとき)御 元服(げんぶく)御 顔(かほ) 【左丁 上段】 直(なをし)御 鉄漿(かね)召上(めしあけ)ら れ能(よく)御 似(▢)【にヵ】合(あひ)其後(そののち) は久々(ひさ〳〵)打絶(うちたへ)御 遠々(とを〳〵) しく御 疎々(うとし)しく 御 懐(なつ[か])しく御 床(ゆか)しく 【挿絵あり】 【右丁 下段】  文屋康秀(ぶんやのやすひで) 吹(ふく)からに    秋(あき)の くさ き  の しほる   れば  むべ山(やま)    かぜを あらしと   いふらむ 【左丁 下段】  大江千里(おほえのちさと) 月(つき)みれはちゞに   ものこそ  かなしけれ わ が 身(み)  ひとつ     の あきには  あらねど 【右丁 上段】 何角(なにかと)彼(かれ)これ御 取(とり) まぎれ御 無沙汰(ぶさた) 御 噂(うはさ)申(▢▢し) 暮(くらし)御(お)子 さまがた御さえ〳〵 しく御 成人(せんしん)【ママ】御 成(せい) 長(ちやう)能(よふ)ぞや御 出(いで) 御 入(いり)緩々(ゆる〳〵)御 目(め)もじ 御 物語(ものがたり)いたし御 嬉(うれ) 敷(しく)併(▢▢▢▢) 去(▢り)なから 余り御 早々(そう〳〵)御 麤(そ) 【左丁 上段】 末(まつ)御 残(のこり)多(をほ)く山(やま)〳〵 御 気(き)のどく其折(そのをり) 柄(から)何寄(なにより)の御 土産(みやげ) 重宝(ちようほう)之(の)御 品(しな)沢山(たくさん) に下(くだ)され御 用立(ようだち)候 傘(からかさ)風呂敷(ふろしき)御 持(もた)せ 御 返(かへ)し慥(たしか)に受取(うけとり) 大(をほ)きに失念(しつねん)遅(をそなは)り 御 心遣(こゝろづか)ひ御心配(ごしんぱい) 御 心置(こゝろをき)なく此品(このしな)あ 【右丁 下段】  菅家(かんけ) このたびは  ぬさも とり あへ  ず  手向山(たむけやま)  もみぢの   にしき 神(かみ)の  まに〳〵 【左丁 下段】  三条右大臣(さんぜうのうだいじん) 名にし   おはゞ  あふさか 山(やま) の さね  かづら 人(ひと)にし   られで  くるよしも    かな 【右丁 上段】 ら〳〵しく御座(ござ)候へ ども折節(をりふし)のまゝ 御 移(うつり)まで御覧(ごらん)に 入(いれ)御伝言(ごでんごん)御 挨拶(あいさつ) 尚又(なをまた)宜(よろしく)仰(あふせ)上(あげ)られ 下(くだ)さるべく明日(みやうにち) 御在所(ございしよ)田舎(いなか)へ御 旅(たび) 立(だち)御 発足(ほつそく)遠路(ゑんろ)は る〴〵御 道中(だうちう)御 恙(つゝが) なく御 着(ちやく)御 下向(げかう) 【左丁 上段】 御 礼(はなむけ)御 餞別(せんべつ)長々(なが〳〵)御 留主(るす)御 逗留(とうりう)御 淋(さみ)しく 御 退屈(たいくつ)御 当所(とうしよ)へ御 引(ひき) 越(こし)引移(ひきうつ)り万事(ばんじ) 御 差図(さしつ)御 指南(しなん)御 教訓(けうくん)御 呵(しかり)仰(おふせ)のご とくおふせの通(とを)り 今日(こんにち)明晩(みやうばん)夕(ゆふ)かた 後(のち)ほど翌朝(よくてう)日(いつ) 外(ぞや)兼々(かね〳〵)御 隠居(ゐんきよ)様 【右丁 下段】  貞信公(ていしんこう) 小倉山(をぐらやま)みねの   もみぢば  心あらば   いま ひ と たびの 御幸(みゆき)  また    なむ 【左丁 下段】  中納言(ちうなごん)兼輔(かねすけ) みかのはら  わきて な  が るゝ いづみ    河(かは)  いづみき     とてか  恋(こひ)し    かる     らむ 【右丁 上段】 【挿絵の後本文】 御 法体(ほつたい)御 剃髪(ていはつ)米 々御賀 餅(もち)御 守札(まもりふだ)偏(ひとへ) に何卒(なにとぞ)御 擬肖(あやかり)申 度(たく)自他(じた)不 快(くわい)勝(すぐ)れ もうさす遠方(ゑんはう)わざ〳〵 【左丁 上段】 御 使(つかひ)御 念(ねん)もじ御 深切(しんせつ)いか計(ばかり)御 交(まぜ) 肴(さかな)御 菓子(くはし)下(くだ)され 早速(さつそく)取弘(とりひろ)め打寄(うちよる) 御 賞翫(しやうくわん)御 風味(ふうみ)御 病(びやう) 人(にん)さまにも少々(せう〳〵)づゝ 御 こゝろよく御 食(しよく) 事(じ)御 程(ほど)よく召上(めしあげ) られ候 哉(や)くわしく 御 様子(やうす)うけ給り度(たく) 【右丁 下段】  源宗于朝臣(みなもとむねゆきあそん) 山(やま)さとは   冬ぞ  さびしさ まさ  り け  る 人(ひと)めも    草(くさ)も  かれぬと     おもへば 【左丁 下段】  凡河内(おふちかふちの)    躬恒(みつね) 心(こゝろ)あてに  おらばや おら  ん 初(はつ) しもの をきまど   わせる  しらきくの    はな 【右丁 上段】 御/容体(ようだい)/伺度(うかゞひたく)折(せつ) 角(かく)御 大切(たいせつ)御 保養(ほうやう) 御 煎薬(せんやく)御 丸薬(ぐわんやく)散(さん) 薬(やく)膏薬(かうやく)御 相応(さうをう) 御 平愈(へいゆ)御 本復(ほんぶく)夜(よ) 伽(とぎ)看病(かんびやう)御 介抱(かいほう)御 疲(つかれ)御 辛労(しんろう)御 苦労(くろう) 御 心痛(しんつう)弔(とふらひ)の文(ふみ)は 誰(たれ)さま御 病気(びやうき)の処(ところ) 御 養生(やうじやう)御 叶(かなひ)なさ 【左丁 上段】 れず御 死去(しきょ)御/臨(りん) 終(じう)のよし御しら せうけ給はり驚(おどろき) 入(いり)御 笑止千万(しょうしせんばん)御 愁(しう) 傷(しやう)御 愁嘆(しうたん)察(さつ)し 上まいらせ候御 悔(くやみ)申 上たく早々か      しく 返々(かへす〳〵)なを〳〵書(かく) べからず短(みぢか)く     有た       し 【右丁 下段】  壬生忠岑(みぶのたゞみね) 有明(ありあけ)のつれ      なく みへし  わかれ よ り あか  つき   ばかり うきものは   なし 【左丁 下段】  坂上是則(さかのうへこれのり) 朝(あさ)ぼらけ 有(あり) 明(あけ) の 月(つき)  と みるまで    に  よしのゝ    さとに  ふれる   しらゆき 【右丁 上段】 【挿絵の後本文】 葬送(そうそう)出棺(しゆつくわん)御 朦(もう) 中(ちう)御 忌中(きちう)御 程(ほど) なく御 初七日(しよなぬか)御 一(いつ) 周(しう)何 年忌(ねんき)御 相当(さうどう) さて〳〵御 間(ま)も御(ご) 座(ざ)なく嘸々(さぞ)思召(おぼしめ)し 【左丁 上段】 出(いだ)さるべく候 此品(このしな) 御 霊前(れいぜん)御 仏前(ふつぜん)へ 御 備(そな)へ御こゝろざし 御 重(ぢう)の内(うち)法事(ほふし) 仏事(ふつじ)追善(ついぜん)寺参(てらまいり) 談義(たんき)説法(せつほふ)後生(ごしやう) 菩提(ぼだい)主人(しゆしん)旦那(だんな) 親子(おやこ)祖父(ぢゞ)父(ちゝ)ともじ 母(はゝ)かもじ夫婦(ふうふ)兄(きやう) 弟(だい)姉(あね)妹(いもと)悴(せがれ)娘(むすめ)聟(むこ) 【右丁 下段】  春道列樹(はるみちのつらき) 山河(やまかは)に風(かぜ)の   かけたる しが ら み  は ながれ    も  あへぬ もみぢ   なりけり 【左丁 下段】  紀友則(きのとものり) ひさかたの  ひかり のど け  き 春(はる)の  日に しづ心(こゝろ)    なく 花(はな)の  ちるらむ 【右丁 上段】 娵(よめ)孫(まご)曽孫(ひこ)伯父(おぢ) 叔母(おば)甥(お[い])姪(おい)【ママ】従弟(いとこ)一(いつ) 家(け)親類(しんるい)縁者(ゑんじや)他(た) 人(にん)の間(あいだ)吉事(きちじ)凶事(きやうじ) 取遣(とりかはし)の文通(ぶんつう)際限(さいげん) なしといへとも女(おんな) に入用(いりよう)の文字(もんじ) あらまし書記(かきしる)し まいらせ候目出たく        かしく  消息往来終 【左丁 上段】 ○男女(なんによ)相性(あひしやう)の事 庚申(かうしん)待(まち)のことは藤(ふじ) 原(はら)の清輔(きよすけ)袋草紙(ふくろさうし) にみへたり婦人(ふじん)は常(つね) に家(いゑ)の内(うち)にあつく 夫(おつと)しうとめに随(したが)ひ 心(こゝろ)を恣(ほしいまゝ)にすること 能(あた)はず気(き)むすぼれ やすきゆへ癆瘵(ろうさい)と いふ病(やまひ)いづること有 是(これ)は三尸(さんし)とて悪(あし) き虫(むし)あり庚申(かうしん)の 【右丁 下段】  藤原興風(ふじはらをきかぜ) 誰(たれ)をかも  しる 人(ひと)にせん 高(たか) 砂(さこ)  の 松(まつ)もむかしの  友(とも)なら   なくに 【左丁 下段】  紀貫之(きのつらゆき) 人(ひと)はいさ  心(こゝろ)もしら     ず ふる さと   は 花(はな)ぞ  むかしの  香(か)に   匂(にほ)ひける 【右丁 上段】 夜(よ)寝(いぬ)れは其虫(そのむし)がい をなすゆへやまひを うくるといふ此(この)ゆへに 庚申(かうしん)の夜(よ)は寝(いね)ずし て守(まも)るものなりとい へりもしねぬる時(とき) は此うたを唱(とな)ふべし ○しやむじはいぬや  去りねやわか床(ゆか)を  ねたれば寝(ね)ぬぞ  ねたぞねぬるぞ 【左丁 上段】 このやうにとなへて 臥ばわざはひをま ぬかるべし婦人は かうしんを信(しん)ずれば 身(み)のさいわひを得 るといへり【注】 【挿絵中】 庚申(かうしん) 【注 類聚本袋草子四に「庚申せでぬる誦文 しやむしはいねやさりねやわがとこをねたれどねぬぞねねどねたるぞ」とあり。】 【右丁 下段】  清原深養父(きよはらのふかやぶ) 夏(なつ)の夜(よ)は まだ宵(よひ)  ながら 明(あけ) ぬる   を    雲(くも)     の いづこに 月(つき)やどるら      む 【左丁 下段】  文屋朝康(ぶんやのあさやす) しら露(つゆ)に風(かぜ)の  吹(ふき)しく 秋(あき)  の  野   は つらぬき  とめぬ 玉(たま)そ  ちりける 【右丁 上段】 男木女火子五人 あり内(うち)三人は大ひに よしはじめは口舌(くせつ) あれども後(のち)富貴(ふうき)也 命(いのち)もろともながし 但(たゞ)し主祖(しゆそ)のたゝり 有(あり)祭(まつ)り之よし ○男木女木 初(はしめ)よし 後(のち)悪(わる)し子(こ)二人か 五人あるべし荒神(くわうしん) をまつりてよし ひんせんにして取(とり) 【左丁 上段】 わけはらあしき也 ○男木女土子三人 あるへし邪見なれ ば子のゑんなしつ ねに石ふみあり神 仏(ぶつ)につかへてよし ○男木女金はじめ よし後(のち)あしく子(こ) 二人あるべしことに 成長(せいちやう)して口舌事(くせごと) あるべし ○男(おとこ)木(き)女(おんな)水(みづ)生(むま)るゝ 【右丁 下段】  右近(うこん) わすら   るゝ 身(み)をば  おも は  ず ちかひ   てし  人(ひと)の   いのちの  おしくも   あるかな 【左丁 下段】  参議(さんぎ)等(ひとし) あさぢふの をのゝ  しのはら しのぶ  れ  ど あまり   て などか 人(ひと)の  こひしき 【右丁 上段】 子五人あり富貴(ふうき)に して命(いのち)ながし氏 神(がみ)を常(つね)にまつりて よし田畑(たはた)にゑん あり ○男火女火大きに わろし子あれとも 衣食(いしよく)ともにたらず して口舌事(くぜつこと)あり 荒神(くわうしん)を祭(まつ)りて よし ○男火女 土(つち)大(おほき)によし 【左丁 上段】 子二人かまたは九人 あるべし富貴(ふうき)にし て命(いのち)ながし荒(くわう) 神(じん)を祭(まつ)るべし此(この) 子の内(うち)三人とうを 立べし ○男 火(ひ)女 木(き)よし 子ふたりかもし八人 あるべし尤(もつとも)富貴(ふうき)に して命(いのち)ながし 常(▢ね)に氏神(うぢがみ)を祭(まつ)り てよし牛馬(きうば)にゑ 【右丁 下段】  平兼盛(たいらのかねもり) しのぶれど 色(いろ)に 出(で)  に けり  わが    恋(こひ)は  ものや    おもふと   人(ひと)のとふまで 【左丁 下段】  壬生忠見(みぶのたゞみ) 恋(こひ)すてふ  わが名は  またき 立(たち)に け  り 人(ひと)しらず    こそ  おもひそめ      しか 【右丁 上段】 んあり ○男 火(ひ)女 金(かね)悪(わろ) し但(たゞし)半(はん)吉(よ)しなり 子二人か三人ある へし衣服(いふく)ともに とぼしきなり但(たゝし) 人にしらるゝことも あるべしこうじ荒神(くわうじん)を 祭(まつ)るべし ○男 火(ひ)女 水(みづ)大に わろし子あれど もひんせんなり又 【左丁 上段】 衣食(いしよく)ともにとぼし きなり口舌(くぜつ)多(をほ)し 子三人の内(うち)壱人は わろし 【挿絵】 【右丁 下段】  清原元輔(きよはらのもとすけ) 契(ちきり)きな かたみに  袖(そで)を し ぼ  りつゝ  すゑの    まつ山  波(なみ)こさし    とは 【左丁 下段】  中納言(ちうなこん)敦忠(あつたゞ) あひみての 後(のち)の 心(こゝろ)  に くら  ぶ   れば むかしは   ものを  おもはざり     けり 【右丁 上段】 男(おとこ)土(つち)女(おんな)土(つち)半吉(はんよし)なり はじめよし後(のち)わろし 子三人あり何事も おもふにちからなし やまひあり ○男 土(つち)女 金(かね)大(おほひ)に よし子(こ)九人あるべし 田畑(たはた)につきてこと によしつねにかま の神(かみ)をまつるべし 何(なに)ごともこゝろのご とくめでたし 【左丁 上段】 ○男 土(つち)女 水(▢つ)大(おほ)ひに あしく子なし なにごとも心(こゝろ)ならず ものをうちをとす やうにてちからな し氏神(うちがみ)をまつる べし後(のち)はよし ○男 土(つち)女 木(き)半吉(はんよし) なりはしめまづし ければ後(のち)はよし子 五人あるべしさぶら侍(さむらひ)は 所領(しよりやう)をもち下郎(げらう)は 【右丁 下段】  中納言(ちうなごん)朝忠(あさたゞ) 逢(あふ)ことの  たへて   し なく  ば なか〳〵     に  人(ひと)をも    身(み)をも うらみ  ざらまし 【左丁 下段】  謙徳公(けんとくこう) 哀(あはれ)ともいふべき   人(ひと)は おもほえて 身(み)の い  た  づらに なりぬべき    かな 【右丁 上段】 あきなひによし ○男 土(つち)女 火(ひ)大(おほ)きに よし子五人ありい しよくともに多(をほ)し 何ごともこゝろのまゝ なるべし無病(むひやう)に して命(いのち)長(なが)し 常(つね)に地神(ちじん)を祭(まつ)る べし ○男 金(かね)女 金 大(おほひ)に わろし子三人 有(ある) べしやまひつねに 【左丁 上段】 たへす但(たゝ)してん 神(しん)を祭(まつ)れば後(のち)は よし秋(あき)に入てよし ○男 金(かね)女 木(き)大きに わろし子二人あれ ども一人はかたわな るべし心のまゝなら ずして口舌(くせつ)たへす ○男 金(かね)女 水(みつ)大に よし子(こ)五人あり 富貴(ふうき)にしてことに 命(いのち)ながしまた田畑(たはた) 【右丁 下段】  曽根好忠(そねのよしたゞ) ゆらのとを  わたる 船(ふな) 人(びと) かぢをたえ  行衛(ゆくゑ)も   しらぬ  恋(こひ)の    みちかな 【左丁 下段】  恵慶(ゑげう)法(ほう)師 八 重(ゑ)葎(むぐら)  しげ れ  る  宿(やど)   の さびしきに   人(ひと)こそ  みえね  秋(あき)は来(き)に      けり 【右丁 上段】 多(をほ)し氏神(うぢかみ)を祭(まつ) りて何事(なにごと)もこゝろ のまゝなるべし ○男 金(かね)女 火(ひ)大(おほ)ひに わろし子(こ)一人あれ ども命(いのち)みじかし 貧賎(ひんせん)にして何ごと もおもふことちがふ也 ○男 金(かね)女 土(つち)大(おほ)きに よし子(こ)五人かまた 九人あるへし富貴(ふうき) にして命(いのち)ながし 【左丁 上段】 下人(げにん)多(おゝ)くめし使(▢かひ) 牛(きう)馬にゑん有むつ ましくして何事(なにこと) もこゝろのまゝなり ○男 水(みつ)女 木(き)大ひに よし子三人か七人 あるべし法華経(ほけきやう) 千部(せんふ)をよみふけん ほさつをいのるべし 富貴(ふうき)にしてこゝろの まゝなり万事(はんじ)大(たい) 吉(きち)なり 【右丁 下段】  源重行(みなもとしけゆき) 風(かぜ)をいたみ  岩(いは)うつ 浪(なみ)の をのれ  のみ くだ け  てものを  おもふ比(ころ)      かな 【左丁 下段】  大中臣能宣(お▢なかと▢よしのぶ)     朝臣(あそん) 御垣守(みかきもり)   衛士(ゑじ)の  たく火(ひ)の 夜(よる)は も へて ひるは   消(きへ)つゝ ものをこそ    おもへ  【右丁 上段】 【挿絵あり】 ○男 水(みつ)女水 半吉(はんきち) にして子八人有(ある)べし たゞし貧(ひん)にし て後(のち)わろし常(つね)に うち神(かみ)を祭(まつる)へし ○男 水(みつ)女 土(つち)大き 【左丁 上段】 にわろし子三人か 四人あれとも常(つね)に とほしきなり口(く) 舌(ぜつ)たへすしてよ ろつわるし ○男 水(みつ)女 火(ひ)大(おほ)き にわろし子(こ)あれ どもそたゝず但(たゞ)し 三人あり内(うち)壱人 智(ち) ゑあるへし二人の中(うち) にはら立もあり ○男 水(みつ)女 金(かね)大(おほ)ひ 【右丁 下段】  藤原義孝(ふじはらよしたか) 君(きみ)がため  おしから ざ り し  命(いのち)   さ    へ ながくも   がなと  おもひ    けるかな 【左丁 下段】  藤原実方(ふじはらさねかたの)朝臣(あそん) かくとだに   えやは   いぶきの さしも    ぐさ さ し  も しらじな  もゆる   おもひを 【右丁 上段】 によし子七人 有(あり)こと に富貴(ふうき)にしてゆう ふくのことありうぢ かみをまつりて大(だい) 吉(きち)なりけんぞく 多(おほ)くあるべし 【挿絵あり】 【左丁 上段】 ○衣服裁縫 同     も       ひ    寸    五  尺    尺  二    三  び で  り  く そ  ゑ  お 尺 【記号】 身 常はゞ一ツ身七尺五寸   たけ 弐尺 おくび  二寸五分    そで 八寸五分 ひもながさ 一尺五寸で ゑりはゞ 一寸五分 ゑりかたあき 一寸   そではゞ 半はゞ 【右丁 下段】  藤原道信(ふじはらみちのぶの)朝臣(あそん) 明(あけ)ぬれば くるゝ  もの とは しり  な   がら    なほ うらめしき  朝(あさ)ぼらけ     かな 【左丁 下段】  右大将(うたいしやう)道綱母(みちつなのはゝ) 歎(なげき)つゝ   ひとり  ぬる   よ    の 明(あく)るまは  いかに ひさしき  ものと    かは  しる 【右丁 上段】   尺   四 り ゑ   身 同    同   尺     二        寸      五      尺 も び  一 ひ く  で   お  そ               たけ弐尺 八丈一ツ身七尺はゝ一尺壱寸 そで七寸五分   おくび はゞ  三寸     ゑり はゞ弐寸   ひも  ながさ 一尺五寸で  ゑりかたあき一寸 【左丁 上段】 寸   寸 五   五 尺 同 尺 一   一     で     そ 同 り ゑ   も   ひ   身     尺   尺 四   二 び く お ちりめん一ツ身 《割書:長さ 五尺五寸|はゞ 一尺三寸》  たけ 二尺   そで 七寸五分  おくびはゞ三寸  ゑりはゞ二寸  ゑりあき 一寸 【右丁 下段】  儀同(ぎだう)   三司(さんしの)    母(はゝ) 忘(わす)れじ   の 行末(ゆくすへ)  までは かたけれど   けふを   かぎりの  命(いのち)とも   がな 【左丁 下段】  大納言(だいなごん)公任(きんたう) 滝(たき)の音(おと)は   たへて  ひさしく なり   ぬれど 名(な) こ  そ   ながれて  なほ   聞(きこ)へける 【右丁 上段】 《割書:七寸》  《割書:二寸》 寸 五 尺 四   り     ゑ で そ 《割書:六寸五分》    も    ひ 同 寸 五 尺 二   同  寸 び    五 く    尺 お    二  つねはゞ三ツ身(み)裁(たち)一丈二尺 《割書:たけ二尺五寸|そで一尺一寸二分|おくびはゞ 三寸》 【左丁 上段】 《割書:五寸》 《割書:八寸》 り  尺 ゑ  五    袖(そで) 《割書:七寸》   尺 び   三 く     お  尺  三 び く 尺 お 三  八丈 三ツ身だち 《割書:壱丈四尺|はゞ一尺一寸》   たけ三尺     そで一尺弐寸五分   おくびはゞ 四寸 【右丁 下段】  和泉式部(いづみしきぶ) あらざらむ この世(よ)の   ほかの おもひ  出(で)   に いまひと   たびの あふ  ことも   がな 【左丁 下段】  紫式部(むらさきしきぶ) めぐり   逢て  みしや それとも  わかぬ   まに 雲(くも)  がくれ    にし 夜半(よは)の  月(つき)   かな 【右丁 上段】   《割書:九寸》    尺    五 り  で ゑ  そ   《割書:七寸》  尺  三 《割書:七寸》    尺    三    《割書:六寸》     び  尺び く  三く お   お 《割書:六寸》              片面ものたちかた 追送(おいおくり)三ツ身(み)裁(たち)《割書:壱丈四尺|はゞ一尺三寸》  《割書:たけ三尺  そで壱尺二寸五分|おくびはゞ四寸》 【左丁 上段】 ○《割書:真名(まな)|片仮名(かたかな)》いろは 【縦線あり】 いろはにほへと 夷侶葉迩甫遍砥 イロハニホヘト 【縦線あり】 ちりぬるをわか 地梨努流雄輪哥 チリヌルヲワカ 【縦線あり】 よたれそつねな 余陀【陁】令疎都根名 ヨタレソツネ【子】ナ 【縦線あり】 らむうゐのおく 羅牟卯位能於具 ラムウヰノオク 【右丁 下段】  大弐(だいにの)   三位(さんみ) 有馬山(ありまやま)  いなの さゝ  原(は▢) かぜ  吹(ふけ)ば   いで    そよ 人(ひと)を わすれやはす       る 【左丁 下段】  赤染衛門(あかそめゑもん) やすらはで ねなまじ  ものを 小夜(さよ)  ふけ   て かたむく  までの 月(つき)を  みし   かな 【右丁 上段】 やまけふこえて 夜麻介富巨枝転 ヤマケフコエテ 【縦線あり】 あさきゆめみし 阿佐伎油芽身志 あさきゆめみし アサキユメミシ 【縦線あり】 ゑひもせす 衛斐裳背須 ヱヒモセス 【縦線あり】 【挿絵】 【左丁 上段】 ○懐胎(くわいたい)の内(うち)食物(しよくもつ)  ○よきもの くらけ  いか 鴈(がん)《割書:鳥の》  大(だい)こん にんじん 山(やま)のいも ごぼう  ふ せり   いちご あは   きび くこ   うど 大麦(おほむき)   くろまめ こひ《割書:魚の》 うこぎ 【右丁 下段】  小式部(こしきぶの)   内侍(ないし) 大江山(おふへやま)  幾野(いくの)の   みちの とを  ければ  まだ ふみも   見ず   あまの    はし立(だて) 【左丁 下段】  伊勢大輔(いせのおふすけ) いにしへの   ならの  都(みやこ)の 八重(やゑ)   桜(さくら)  けふ   九重(こゝのへ)     に にほひ  ぬる    かな 【右丁 上段】 ○同あしきもの  すべて川うを  油(あぶら)あげのもの  熱(あつ)きもの  からき物(もの)  嗅(くさ)きもの  うろこなき魚(うを) こんぶ  たこ ゑび   なまづ でしやう さけの魚(うを) 石(いし)がれい しゞみ あゆ《割書:うをの》 かに 【左丁 上段】 すゞめ  かも はと   すもゝ ひともじ くずのこ 麪(めん)るい  木のこるい もち   なし くはゐ  あんず すべりひゆ ○産後(さんご)によき物 こひ   牡蛎(かき) くらげ  とび魚(うを) あわび  ずいき《割書:いもの》 ひともじのしろね 【右丁 下段】  清少納言(せいせうなごん) 夜(よ)をこめ    て  鳥(とり)の   そらねは はかる   とも  よに  あふ坂(さか)     の  せきは ゆるさじ 【左丁 下段】  左京大夫(さきやうのたゆう)   道雅(みちまさ) いまはたゞ  おも   ひ たへ  なむと    ばかりを 人(ひと)づて   ならで  いふよしも     かな 【右丁 上段】 【挿絵あり】 ○産後(さんご)あしき物 そば   なすび わらび  たで いも   にんにく さんしやう胡せう ちさ   こんぶ 【左丁 上段】 酒(さけ)   瓜(うり) 木の子(こ)類(るい) くだ物(もの)るい めんるい ○同(おなじく)いみもの ○男女(なんによ)のまじはり ○爪(つめ)を早く取事 ○手足(てあし)を冷(ひや)す事 ○髪(かみ)を早くすく事 ○おどろき恐るゝ事 ○精気(せいき)をつかす事 ○行水(ぎやうずい)を早く遣う事 ○脇臭(わきが)の人を近(ちかづく)る事 【右丁 下段】  権中納言(ごんちうなごん)定頼(さだより) 朝(あさ)ぼらけ   宇治(うぢ)の 河(かは)  霧(ぎり) たへ〴〵    に あらわれ    わたる 瀬(▢)【せヵ】々の  あしろ木(き) 【左丁 下段】  相模(さがみ) うらみわび   ほさぬ 袖(そで)  だに  あるも    のを 恋(こひ)に  くち   なむ  名(な)こそ  おし   けれ 【右丁 上段】 ○乳汁(ちゝ)をふとくするもの こひ   とびうを するめ  ちさ たんぼゝ 山のいも むぎめし 赤小豆(あづき)がゆ 白(しろ)かゆ  あま酒(ざけ) 【縦線あり】 ○子(こ)の男女(なんによ)を知(しる)事 ○母(はゝ)の長のとし孕(はらみ) て次(つぎ)の年(とし)五月五日 より前(まへ)に生(うま)る子(こ)は 男子(なんし)なり又五月五日 の後(のち)に生(うま)るゝは女子也 【左丁 上段】 また母(はゝ)の半(はん)のとしは らみてつ次(つぎ)のとし五月 五日より前(まへ)に生(うま)るゝは 女子(によし)なり五月五日より 後(のち)に生(むま)るゝは男子(なんし)也 ○懐胎(くわいたい)腹帯(はらおび)する事  吉日(きちにち) きのへ ね《割書:●》 きのへいぬ きのとうし《割書:●》 ひのへ むま ひのへ いぬ《割書:●》つちのへ ね つちのへいぬ《割書:●》かのへ いぬ かのへ ね《割書:●》 かのへ とり 【右丁 下段】  前大僧正(さきのだいさうじやう)行尊(げうそん) もろともに   あわれと おもへ  山(やま)   桜(さくら) 花(はな)より  ほかに しる人(ひと)も   なし 【左丁 下段】  周防内侍(すほうのないし) 春(はる)の夜(よ)の ゆめばかり   なる  手(た)   枕(まくら)    に かひなく   たゝむ   名(な)こそ  おしけれ 【右丁 上段】 暦(こよみ)の中段(ちうだん)の《割書:●》みつ《割書:●》たつ《割書:●》  此(この)日よろし 同《割書:●》五(こ)む日《割書:●》ちいみ《割書:●》  此(この)日わりし 同《割書:●》あやぶ《割書:●》ちいみ《割書:●》  此(この)日いむへし ○同 向(むか)ふかたの事 正月《割書:みなみ》二月《割書:にし》 三月《割書:きた》 四月《割書:にし》 五月《割書:きた》 六月《割書:ひがし》 七月《割書:きた》 八月《割書:ひがし》 九月《割書:みなみ》十月《割書:ひがし》 【左丁 上段】 十一月《割書:みなみ》十二月《割書:にし》  万事この方(はう)へ向へば          よし ○産(さん)のときむかふ      方のこと 正月《割書:ひつじ》二月《割書:いぬ》 三月《割書:うし》 四月《割書:ひつじ》 五月《割書:たつ》 六月《割書:むま》 七月《割書:ひつじ》八月《割書:ひつじ》 九月《割書:さる》 十月《割書:さる》 十一月《割書:いぬ》十二月《割書:とり》 右の方へむかへば親子(おやこ)と もに難(なん)なし但(たゞ)し大 をん 大将(だいしやう)ぐん《割書:●》さい 【右丁 下段】  三条院(さんじやうのいん) 心(こゝろ)にも   あらで  うき世(よ)に なが ら  へ   ば  こひ   し   かるべき 夜(よ)半の  月(つき)かな 【左丁 下段】  能因法師(のういんほうし) あらし吹(ふく)   三室(みむろ)の  山(やま)の もみ ぢ  葉  は 竜田(たつた)の   河(かは)の  にしき    成(なり)けり 【右丁 上段】 せつ《割書:●》金神(こんじん)《割書:●》鬼(き)もん《割書:●》 天(てん)一の方(はう)《割書:●》月(つき)ふさがり《割書:●》 日ふさがり《割書:●》はぐん《割書:●》 右の方へはよく〳〵あ らためて忌(いむ)へし 【縦線あり】 ○生(むまる)る年によつて  善(ぜん)あくある事 子(ね)午(むま)の人は《割書:なつ ふゆ よし|は▢ あき あし》 丑(うし)戌(いぬ)の人は《割書:なつ ふゆ 吉|はる あき あし》 辰(たつ)申(さる)の人は《割書:なつ ふゆ あし|はる あき よし》 巳(み)未(ひつし)の人は《割書:はる あき 吉|なつ ふゆ あし》 卯(う)酉(とり)の人は《割書:はる あき よし|なつ ふゆ あし》 【左丁 上段】 寅(とら)亥(い)の人は《割書:はる あき大吉|なつ ふゆ あし》 【縦線あり】 ○生(うまれ)る月(つき)の善(せん)あくの          事 正月《割書:おとこよし|女あし》二月《割書:おとこよし|女あし》 三月《割書:おとこよし|女わるし》四月《割書:おとこよし|女わるし》 五月《割書:おとこよし|女ひん也》六月《割書:おとこよし|女わるし》 七月《割書:男ひん也目|女よし》八月《割書:おとこよし|女わるし》 九月《割書:おとこよし|女わるし》十月《割書:おとこよし|女わるし》 十一月《割書:おとこよし|女わるし》十二月《割書:おとこよし|女よし》   乳(う)母 取(とり)に吉(よき)日 とら う さる とり 何月(なんぐわつ)にても右の日に とるべし 【右丁 下段】  良暹法師(りやうせんはうし) 淋(さみ)しさに 宿(やど)を 立(たち)  出(いで)   て ながむれ     ば   いづこも    おなし  あきの   ゆふくれ 【左丁 下段】  大納言(たいなごん)経信(つねのぶ) ゆふざれは   門田(かどた)の  いなは おと  づ   れて あしの  まろや     に  秋風(あきかぜ)ぞ     ふく 【右丁 上段】 ○臍(ほそ)の緒(を)きる吉日 正月《割書:み》 二月《割書:み》 三月《割書:み》 四月《割書:さる》 五月《割書:さる》六月《割書:さる》 七月《割書:たつ》八月《割書:たつ》 九月《割書:たつ》十月《割書:とり》 十一月《割書:とり》十二月《割書:とり》 右の日にきるべし 甲寅(きのへとら)の日は小児(せうに)の 衰日(すいじつ)也といふ此日に きるべからず 【左丁 上段】 ○不成就日(ふじやうじゆにち) 正七月 《割書:三日 十一日|十九日 廿七日》 二八月 《割書:二日 十日|十八日 廿六日》 三九月 《割書:朔日 九日|十七日 廿五日》 四十月 《割書:四日 十二日|廿日 廿八日》 五十一月 《割書:五日 十三日|廿一日 廿九日》 六十二月 《割書:六日 十四日|廿二日 晦日》 【縦線あり】 【挿絵】 【右丁 下段】  祐子(いうし) 内親王家(ないしんわうけ)   紀伊(きい) 音(おと)に聞(きく) たかしの  はまの  あだ   浪(なみ)は かけじや    袖(そで)の 濡(ぬれ)もこそ     十【「す」の誤】れ 【左丁 下段】  前中納言(さきちうなごん)匡房(まさふさ) 高砂(たかさご)の  おのへの  さくら 咲(さき)に  けり 外(と)  山(やま)   の霞(かすみ) たゝずも     あらなむ 【右丁 上段】 右の日 物(もの)を仕初(しそめ)るにも 人にものいひかへるに もじようじゆすること かたし何事(なにごと)にもつ かふべからず 【縦線あり】 ○毎月あく日 四日十一日十八日廿五日 此日 暮(くれ)六時より夜 九ツ時まで悪日なり 八日十五日廿二日廿九日 朝(あさ)六ツ時より昼(ひる)九ツ時 まで悪日なり毎 【左丁 上段】 月この日成就せぬ 日なり ○願成就(くわんしやうじゆ)日 正月  とらの日 二月  み の日 三月  さるの日 四月  ゐ の日 五月  う の日 六月  むまの日 七月  とりの日 八月  ね の日 九月  たつの日 【右丁 下段】  源俊頼(みなもととしより)朝臣(あそん) うかりける   人(ひと)を はつ瀬(せ)の  山(やま) おろし   はげし  かれとは  いのらぬ     ものを 【左丁 下段】  藤原基俊(ふじはらもととし) 契(ちきり)おきし させもが 露(つゆ)  を 命(いのち)  にて   あはれ ことしの  秋(あき)も    いぬめり 【右丁 上段】 十月  ひつじの日 十一月 とりの日 十二月 うしの日 【縦線あり】 ○物(もの)をたちきら      ざる日 正月《割書:とら|とり》二月《割書:う》 三月《割書:たつ》四月《割書:さる》 五月《割書:いぬ》六月《割書:い》 七月《割書:とら|う》八月《割書:い》 九月《割書:たつ》十月《割書:さる》 十一月《割書:ね》十二月《割書:いぬ》  正月七日  七月七日 【左丁 上段】  八月六日  九月二日 右の日大に悪(わる)し 晴明(せいめい)が物立(ものたち)あく日 つちのとのみかのへかのと   此日 男(おとこ)の衣(き)るいた   つべからず きのへさるの日は女の   衣(き)るいたつべからす 又 月(つき)のさはりあるとき   ものたつべからず   よく〳〵つゝしむべし 【右丁 下段】  法性寺入道(はふしやうじのにふどう)前関白(さきのくはんばく)     太政大臣(たいせうたいじん) わだのはら   こぎ出て   みれば ひさ  かたの 雲井(くもい)  に まがふ 沖津(おきつ)  しら浪(なみ) 【左丁 下段】  崇徳院(すとくいん) 瀬(せ)をはやみ   岩(いは)に  せかるゝ 滝(たき)  河(かは)   の われても   すゑに 逢(あは)むとぞ   おもふ 【右丁 上段】 ○女中(ぢよちう)文(ふみ)かきやう 女のふみはいかにもやさ しくあるべし文(ふみ)は 言葉(ことば)をうゑに遣(つか)は ずよみにつかふべし たとへば昨日(さくじつ)をさく日(じつ) といふごとくさくじつは うゑなりきのふは よみなり今日(こんにち)をけふ 一昨日(いつさくじつ)をおとつひなど かやうにつかふことなり ○墨(すみ)つぎはいかにも 【左丁 上段】 濃くかくべきことな れどもあまりにこきは いやしければ見合(みあい)【注】て 書(かく)く【衍ヵ】べし ○文字(もじ)のくだりのこと 句(く)ぎりをよくかくべし 【縦線あり】 【挿絵】 【右丁 下段】  源兼昌(みなもとかねまさ) 淡路島(あはぢしま)かよふ 千鳥(ちどり)  の なく  こゑに   いく夜(よ) ねざめぬ  須磨(すま)の   せきもり 【左丁 下段】  左京太夫(さきやうのたゆふ)    顕輔(あきすけ) 秋(あき)かげ【「ぜ」の誤】に たなびく   雲(くも)の 絶(たへ) 間(ま)  より もれ出(いづ)る    月(つき)の 影(かげ)のさやけさ 【注 「い」は「は」に見えるが、次コマ12行目「第一」の振り仮名「だいいち」の「いち」の「い」が「は」に見えるが「い」であるのと同じ。】 【右丁 上段】 たとへは見事(みこと)の御さかな 送り下されなどゝかく とき見事(みごと)の御さ。かなと かなを上(うへ)へあげて書(かく) ことあしゝさかなと つゞけてかくべしまた まいらせ候をまい。ら せ候とらせを上(うへ)へかく 事もよろしからず また墨(すみ)つぐべからず ○第一(たいいち)にいひやることは 墨(すみ)をつぎてかくべし 【左丁 上段】 ○文字のすがたをや さしくかゝんとていろ 〳〵にやつしちらして ふみわけがたきは大に 無礼(ぶれい)なりまた点(てん)を ひきすて又ははね などあまりながく すべからず ○文章(ふんしやう)をやさしく かゝんとてあまりに しさいらしきこと 葉(は)をかくは物しり 【右丁 下段】  待賢門院(たいけんもんいん)   堀川(ほりかは) ながゝ   らむ   心(こゝろ)も しらず くろ  髪(かみ)   の 乱(みだれ)て   けさは ものを  こそ  おもへ 【左丁 下段】  後徳大寺左大臣(ごとくだいじさたいじん) 郭公(ほとゝぎす)  鳴(なき)つる  かたを なが  む れ  ば たゞ有明(ありあけ)の  月(つき)ぞ    のこれる 【右丁 上段】 だてにてあしく また流行言葉(はやりことば)など ゆめ〳〵かくべからず ○文(ふみ)のかきやういろ〳〵 あることながら女中(ちよちう)は さのみこまかに書(かく)事 を正(たゞ)しくするにも おち度には成(なる)まじき なり第一(だいいち)祝義(しうぎ)ふみは なを〳〵書をねんごろ にかくべし婚礼(こんれい)の文(ふみ) 又は不 幸(かう)悔(くやみ)の文(ふみ)などは 【左丁 上段】 かへす〴〵なとのかさね ことばをいむべし 旅(たび)遠国(えんごく)へ遣(つか)はす文(ふみ)は 封(ふう)し目(め)をときても 先(さき)の名(な)も我名(わがな)も切(き)れ ぬやうにかくべし  うやまひの方(かた)へ遣 はすふみは披露文(ひろうふみ) なるべしさきの召(めし)つか はれ人(ひと)の方(かた)へのあて名(な) にしてかき留(とめ)はこの よしよろしく御 披露(ひろう) 【右丁 下段】  道因法師(とういんほうし) おもひ侘(わび) さても命(いのち)は  あるものを うき  に たへぬは  なみだ   成(なり)け     り 【左丁 下段】  皇太后宮太夫(くわうだいこうぐうのたゆふ)      俊成(しゆんせい) 世(よ)の中(なか)よ みち   こそ な け  れ  おもひいる 山のをく    にも  しかぞ    なくなる 【右丁 上段】 【挿絵】 【縦線あり】 頼(たの)み上まいらせ候とも又は 此よしよきに御 心(こゝろ) 得(え)とも御申上給り候へく候 とも御申上給へめてたくかしく とも書(かく)べし文(ふみ)の 上々(じやう〳〵)のうやまひがきは 【左丁 上段】 進上(しんじやう)がきよろし 【囲みの中】  進上   たれさま    まいる人々御申給へ 右を進上かぎ【ママ 濁点の位置の誤】といふ   文(ふみ)封(ふう)じ脇付(わきつけ)の事 《割書:上々》宜しく御申上 《割書:上々》参る人々御申給へ 《割書:上の|中》人々御中申給へ 《割書:上の|中》参る御人々へ 《割書:■【注】の|下》参御中へ 《割書:上の|下》参人々中へ 《割書:中|上》人々み申給へ 【右丁 下段】  藤原清輔(ふじはらのきよすけ)     朝臣(あそん) ながらへば また此(この)  ころや し の ばれむ うしと   みし世ぞ  いまは   こひしき 【左丁 下段】  俊恵法師(しゆんゑはうし) 夜(よ)もすがら  もの   おもふ 頃(ころ)  は 明(あけ)  やらで  閨(ねや)のひま     さへ つらな   かりけり 【注 よく見ると中と書いて上と付け足して書いているように見える。】 【右丁 上段】 《割書:同はい》人々申し給へ 《割書:下上》人々給へ 《割書:下中》人々 《割書:下々》人々【字が大層崩れている。】 又まいる上るとも かくへしふみしやう のことは前(まへ)の六拾五丁 のところにしるしことば 見合すべし 【左丁 上段】 ○潮汐(しほ)の満干(みちひ) 朔日十六日《割書:大 朝 六ツ四分|  昼 九ツ八分》 二日十七日 《割書:朝 六ツ八分|昼 九ツ八分》 三日十八日《割書:中 朝 五ツ二分|  昼 八ツ二分》 四日十九日 《割書:朝 五ツ六分|昼 八ツ六分》 五日廿日  《割書:昼 四ツ|晩 七ツ》 六日廿一日 《割書:昼 四ツ四分|晩 七ツ四分》 七日廿二日《割書:小 昼 四ツ八分|  晩 七ツ八分》 八日廿二日【ママ 三の誤ヵ】 《割書:昼 九ツ二分|暮 六ツ二分》 九日廿四日 《割書:昼 九ツ六分|暮 六ツ六分》 十日廿五日《割書:大 昼 八ツ|  夜 五ツ》 十一日廿六日 《割書:昼 八ツ四分|夜 五ツ四分》 【右丁 下段】  西行法師(さいげうはうし) なげゝとて  月(つき)やは もの  を おも  はする かこち   がほなる  わかなみだ     かな 【左丁 下段】  寂蓮法(じやくれんはう)師 むらさめの    露(つゆ)も まだ  ひ  ぬ 槙(まき)の葉(は)に   霧(きり)たち のぼる   秋(あき)の夕(ゆふ)ぐれ 【右丁 上段】 十二日廿七日 《割書:昼 八ツ八分|夜 五ツ八分》 十三日廿八日 《割書:晩 七ツ二分|夜 四ツ二分》 十四日廿九日《割書:大 晩 七ツ六分|  夜 四ツ六分》 十五日晦日 《割書:大 暮 六ツ|  夜 九ツ》 右にたとへは朝しほ六ツ四分なれば 晩も六ツ四となり干しほも これにおなし 【縦線あり】 ○十干(しつかん) 甲(きの[へ])乙(きの[と])丙(ひのへ)丁(ひのと)戊(つちのへ) 己(つちのと)庚(▢のへ)辛(かのと)壬(みづのへ)癸(みづのと) ○十二支(じふにし) 子(ね)丑(うし)寅(とら)卯(う)辰(たつ)巳(み) 午(む▢)未(ひ▢し)申(さる)酉(とり)戌(いぬ)亥(ゐ) 【左丁 上段】 ○御所(こしよ)洗粉(あらひこ)の方(はう) ○白芙蓉(はくふよう) 緑豆(ぶんどう)《割書:五合》滑石(くわつせき)《割書:一両》 白附子(びやくぶし)《割書:一両》白檀(びやくだん)《割書:一両》 白芷(びやくし)《割書:一両》甘松(かんせう)《割書:一両》 龍脳(りうなふ)《割書:二両》      一両とは目四匁也 【挿絵】 【右丁 下段】  皇嘉門院(くわうかもんいん)    別当(へつとう) 難波江(なにわえ)の あしのかり    ねの  一夜(ひとよ)   ゆへ 身(み)  を つく   し   てや  恋(こい)わたるへき 【左丁 下段】  式子内親王(しよくしないしんわう) たまの緒(を)よ   か【「た」の誤】へなば たへね ながら   へば しのぶる  ことの よはり もそ  する 【右丁 上段】 右(みぎ)の七色(なゝいろ)を粉(こ)にして 浴(ゆあみ)のとき肌(はだ)にぬり あらへばつやを出し はだへを濃(こま)やかにし 汗瘡(あせぼ)にきびすべて 肌(はだ)のあしきをもこま かになること妙(めう)なり此(この) 洗(あら)ひこは初(はじ)め小糠(こぬか)か から粉(こ)にて洗(あら)ひたる 上(うへ)を絹(きぬ)の袋(ふくろ)に入(いれ)て あらふべし白粉(おしろい)を はしらせ艶(つや)を出(いだ)す也 【左丁 上段】 ○懸香(かけかう)匂袋(にほひふくろ)方(はう) ○新枕(にいまくら) 沈香(ぢんかう)《割書:四匁|二分》丁子(てうじ)《割書:四匁》 甲香(かふかう)《割書:半両》白檀(びやくだん)《割書:一匁》 麝香(じやかう)《割書:二分》薫陸(くんろく)《割書:五分》 ○蓬生(よもぎふ) 麝香(じやかう)《割書:二匁》龍脳(りうなふ)《割書:五匁》 菊花(きくくは)《割書:五匁》 ○菖蒲(あやめ) 沈(ぢん)かう《割書:一匁》丁子《割書:八分》 白檀(ひやくだん)《割書:一匁|二分》甘松(かんせう)《割書:八分》 麝(じや)かう《割書:四分》龍(りう)のふ《割書:二分》 【右丁 下段】  殷富門院(いんふもんいん)大輔(たゆふ) 見せばやな  をじまの あまの 袖(そで)  だにも  ぬれ   にぞ 濡(ぬれ)し  色(いろ)は  かはら    ず 【左丁 下段】  後京極摂政(ごきやうごくせつしやう)   前太政大臣(さきのだいぜうだいじん) きり〴〵す   なくや 霜(しも) 夜(よ)  の さむしろ    に  衣(ころも)かたしき  ひとりかもねむ 【右丁 上段】 ○松(まつ)かぜ 白(びやく)だん《割書:二匁》沈(ぢん)かう《割書:一匁》 菊花(きくくは)《割書:八分》龍(りう)のふ《割書:一分》 麝(じや)かう《割書:二分》 ○梅花(ばいくは)二方 伽羅(きやら)《割書:二分》白檀(ひやくだん)《割書:一匁》 甘松(かんせう)《割書:三匁》龍(りう)なふ《割書:三分》 ○又方 龍(りう)なふ《割書:八分》梅花(ばいくは)《割書:一匁|二分》 麝(じや)かう《割書:六分》丁子(てうじ)《割書:二両》 かん松(せう)《割書:三匁》白檀(びやくだん)《割書:一匁》  以上 【左丁 上段】 ○女中(ぢよちう)名(な)づくし 【縦線あり】 ○木性(きしやう)によろしき字(じ) 門(もん) 万(まん) 半(はん) 米(よね) 麻(あさ) 房(ふさ) 邦(くに) 満(みつ) 留(とめ) 梅(むめ) 福(ふく) 茂(しけ) 伴(とも) 武(たけ) 間(かん) 品(しな) 包(かね) 芳(よし) 沢(さは) 蘭(らん) 栗 類(るい) 八(やつ) 弁(べん) 林(りん) 富(とみ) 方(かた) 美(よし) 保(やす) 本(もと) ○火性(ひしやう)によろしき字(じ) 磯(いそ) 彦(ひこ) 嘉(よし) 熊(くま) 勘(かん) 【右丁 下段】  二条院(にじやうのいん)讃岐(さぬき) わが袖(そで)は   しほひに 見へぬ 沖(をき)の  いし   の 人(ひと)こそ   しらね  かはくまも     なし 【左丁 下段】  鎌倉右大臣(かまくらのうだいじん) 世(よ)の中(なか)は   つねにも  がもな 渚(なぎさ)  こ   ぐ あまの   をぶねの  つなで  かなしも 【右丁 上段】 金(きん) 久(ひさ) 吉(きち) 亀(かめ) 源(けん) 介(すけ) 庫(くら) 虎(とら) 国(くに) 菊(きく) 花(はな) 為(ため) 艶(つや) 塩(しほ) 梶(かぢ) 極(きは) 益(ます) 吟(ぎん) 玉(たま) 里(さと) 近(ちか) 兼(かね) 義(よし) 孝(かう) 敬(よし) 高(たか) 雅(まさ) 経(つね) 光(▢▢) 幾(いく) ○土性(つちしやう)によろしき字(じ) 藤(ふじ) 徳(とく) 重(しげ) 長(ちやう) 林(りん) 竹(たけ) 千(せん) 仙(せん) 六(ろく) 岩(いわ) 良(りやう) 嶋(しま) 當(まさ) 蝶(てふ) 等(たう) 【左丁 上段】 町(まち) 楽(らく) 楠(くす) 仲(なか) 瀧(たき) 孫(▢▢) 傳(でん) 丑(うし) 流(りう) 治(はる) 朝(あさ) 知(とも) 隆(たか) 直(なを) 統(つな) 道(みち) 都(くに) 臺(だい) 覚(かく) 仲(なか) ○金性(かねしやう)宜き字(じ) 案(あん) 恒(つね) 鶴(つる) 由(よし) 幸(ゆき) 与(くみ) 峯(みね) 縫(ぬひ) 鳴(なる) 豊(とよ) 坂(さか) 民(たみ) 愛(あい) 糸(いと) 末(すへ) 市(いち) 一(いち) 玄(はる) 隈(くま) 安(やす) 猶(なを) 縁(ゑん) 喜(よし) 延(のぶ) 邑(むら) 【右丁 下段】  参議(さんぎ)雅経(まさつね) みよし野(の)の  山(やま)の秋(あき)    かぜ 小夜(さよ)  更(ふけ)   て ふるさと   さむく  衣(ころも)うつなり 【左丁 下段】  前大僧正(さきのだいさうぜう)慈円(じゑん) おほけなく うき世(よ)の   民(たみ)に おほふ  かな わが  たつ杣(そま)    に  すみ染(ぞめ)の    そで 【右丁 上段】 ○水性(みつしやう)に宜(よろし)き字(じ) 政(まさ) 初(はつ) 勝(かつ) 作(さく) 次(つぎ) 清(せい) 松(まつ) 辰(たつ) 善(ぜん) 常(つね) 種(たね) 秋(あき) 三(さん) 七(ひち) 宮(みや) 脇(わき) 霜(しも) 石(いし) 春(はる) 正(まさ) 四(よつ) 庄(しやう) 真(しん) 信(のぶ) 才(さい) 節(ふし) 蔵(くら) 周(ちか) 成(しげ) 元(もと) 寿(ひさ) 哥(うた) 晴(はる) 琴(こと) 崎(さき) 【縦線あり】 すべて名(な)をつけるに しんじょう 身上(み▢)の親るいの内(うち)同(おな)じ 名あれば遠慮(えんりよ)すべし 【左丁 上段】 【挿絵のみ】 【右丁 下段】  入道(にふだう)前大政大臣(さきのだいぜうたいじん) 花(はな)さそふ あら  し  の 庭(に▢)の   雪(ゆき)ならで  ふり行(ゆく)    ものは  わが身(み)     なりけり 【左丁 下段】  権中納言(ごんちうなごん)定家(さだいへ) こぬ人(ひと)を  まつ   ほの 浦(うら)  の ゆふ  なぎに   やくや    もしほの  身も    こがれつゝ 【右丁 上段】 ○大日本国尽(だいにつぽんくにづくし)  五畿内(ごきない)《振り仮名:五ヶ国|ごかこく》 山城(やましろ) 大和(やまと) 河内(かはち) 和泉(いづみ) 摂津(せつつ)  東海道(とうかいだう)《振り仮名:拾五ヶ国|じふごかこく》 伊賀(いが) 伊勢(いせ) 志摩(しま) 尾張(おはり) 参河(み▢▢) 遠江(とほ〳〵み) 駿河(する▢) 甲斐(かひ) 【左丁 上段】 伊豆(いづ) 相模(さがみ) 武蔵(むさし) 安房(あは) 上総(かづさ) 下総(しもふさ) 常陸(ひたち)  東山道(とうさんだう)《振り仮名:八ヶ国|はつかこく》 近江(あふみ) 美濃(みの) 飛騨(ひだ) 信濃(しなの) 上野(かふづけ) 下野(しもづけ) 陸奥(むつのく) 出羽(では)  北陸道(ほくろくだう)《振り仮名:八ヶ国|はつかこく》 【右丁 下段】  正三位(しやうさんみ)家隆(かりう) 風(かぜ)そよぐ   ならの 小河(をがは)の 夕(ゆ▢)  ぐ   れは   みそぎぞ     夏(な▢)の  しるし    なり      ける 【左丁 下段】  後鳥羽院(ごとばのいん) ひともをし   人(ひと)も  うらめし あぢき  な   く 世(よ)を  おもふ    ゆへに  もの   おもふ身(み)は 【右丁 上段】 若狭(わかさ) 越前(ゑちぜん) 加賀(かが) 能登(のと) 越中(ゑつちう) 越後(ゑちご) 佐渡(さど)  山陰道(さんいんだう)《振り仮名:八ヶ国|はつかこく》 丹波(たんば) 丹後(たんご) 但馬(たじま) 因幡(いなば) 伯耆(はふき) 出雲(いづも) 石見(いわみ) 隠伎(おき)【岐とあるところ】  山陽道(さんやうだう)《振り仮名:八ヶ国|はつかこく》 【左丁 上段】 播磨(はりま) 美作(みまさか) 備前(びせん) 備中(びつちう) 備後(びんご) 安芸(あき) 周防(すはう) 長門(ながと)  南海道(なんかいだう)《振り仮名:六ヶ国|ろくかこく》 紀伊(きい) 淡路(あはぢ) 阿波(あは) 讃岐(さぬき) 伊予(いよ) 土佐(とさ)  西海道(さいかいだう)《振り仮名:九ヶ国|くかこく》 筑前(ちくぜん) 筑後(ちくご) 【右丁 下段】  順徳院(じゆんとくいん) 百敷(もゝしき)や   ふるき  軒端(のきば)の しの  ぶ   にも なほあまり      ある   むかし    なりける 【左丁 下段】 当年(とうねん)の干支(ゑと)よりあとへ歳(とし)の 員(かず)ほど算れは うまれ年の 干支(ゑと)  何性(なにせう)と 【大きな円の説明図あり 別に刻字す】 いふこと  知(しる)るなり 円(まる)の中の 一三五七九は俗(ぞく)に いふ魂(たましい)の数なりと知(し)るべし 【円の中の説明 真ん中に四角の囲みの中】 魂 【「12時」の位置から時計回りに】 七 《割書:きのえむま|きのとのひつし》 金 三 《割書:ひのえさる|ひのとのとり》 火 九 《割書:つちのえいぬ|つちのとのい》 木 一 《割書:かのえね|かのとのうし》 土 七 《割書:みつのえとら|みつのとのう》 金 三 《割書:きのえたつ|きのとのみ》 火 五 《割書:ひのえむま|ひのとのひつし》 水 一 《割書:つちのえさる|つちのとのとり》 土 七 《割書:かのえいぬ|かのとのい》 金 九 《割書:みつのえね|みつのとのうし》 木 五 《割書:きのえとら|きのとのう》 水 一 《割書:ひのえたつ|ひのとのみ》 土 三 《割書:つちのえむま|つちのとのひつし》 火 九 《割書:かのえさる|かのとのとり》 木 五 《割書:みつのえいぬ|みつのとのい》 水 七 《割書:きのえね|きのとのうし》 金 三 《割書:ひのえとら|ひのとのう》 火 九 《割書:つちのえたつ|つちのとのみ》 木 一 《割書:かのえむま|かのとのひつし》 土 七 《割書:みつのえさる|みつのとのとり》 金 三 《割書:きのえいぬ|きのとのい》 火 五 《割書:ひのえね|ひのとのうし》 水 一 《割書:つちのえとら|つちのとのう》 土 七 《割書:かのえたつ|かのとのみ》 金 九 《割書:みつのえむま|みつのとひつし》 木 五 《割書:きのえさる|きのとのとり》 水 一 《割書:ひのえいぬ|ひのとのい》 土 三 《割書:つちのえね|つちのとのうし》 火 九 《割書:かのえとら|かのとのう》 木 五 《割書:みつのえたつ|みつのとのみ》 水 【右丁 上段】 豊前(ぶぜん) 豊後(ぶんご) 肥前(ひぜん) 肥後(ひご) 日向(ひふが) 大隅(おほすみ) 薩摩(さつま)  余計(よけい)二島(にたう) 壱岐(いき) 対馬(つしま)  以上 【右丁 下段】     十(しう) 二(に) 月(つき) 異(い) 名(▢う) 正月 《割書:青陽(せいやう) 初春(しよしゆん)|端月(たんけつ) 陬月(すうけつ)》  二月 《割書:如月(じよげつ) 仲春(ちうしゆん)|令月(れいげつ) 陽中(やうちう)》 三月 《割書:弥生(やよい) 花月(くはけつ)|晩春(ばんしゆん) 桃月(たうげつ)》  四月 《割書:卯月(うづき) 種 月(▢けつ)|麦秋(ばくしう) 孟夏(もうか)》 五月 《割書:皐月(さつき) 雨月(うげつ)|仲夏(ちうか) 景風(けいふう)》  六月 《割書:林鐘(りんしやう) 季夏(きか)|葉月(はつき) 水無月(みなつき)》 七月 《割書:夷則(いそく) 文月(ふみつき)|初秋(しよしう) 冷月(れいげつ)》  八月 《割書:南呂(なんりよ) 清月(せいけつ)|迎寒(かうかん) □秋(しう)》 九月 《割書:長月(ながつき) 季秋(きしう)|菊月(きくつき) 暮秋(ぼしう)》  十月 《割書:玄英(げんゑい) 陽月(やうげつ)|初冬(しよとう) 無神月(かみなつき)》 十一月 《割書:霜月(しもつき) 仲冬(ちうとう)|陽復(やうふく) 子月(ねつき)》 十二月 《割書:臘月(ろうげつ) 極月(ごくげつ)|大呂(たいりよ) 季冬(きとう)》 【左丁】              《割書:心斎橋通南本町角》                 敦賀屋為 七              《割書:心斎橋通南本町北《割書:江》入》                 河内屋平 七     書肆売弘     《割書:南御堂前》                 近江屋善兵衛 【裏表紙】