【右肩管理ラベル】 【大日本教育会書籍館管理ラベル】 驅疫法《割書:コレラヲ ヨケ並 ̄ニ|ナホス シカタ》 このよけかた。なほし方は。もとより。たやすきをむ ねとするものなれは。此うちにて。とちらなりとも。 手はやくなしやすきかたを。志たくしおきて。ほと よくするものと志るべし。くれ〳〵も左になした る。よけの志かたをよくすれは。うつりくることは。 なきはづなれは。あん志んして。はたらき給へ。その 病源を志りて。よける志かたをよくすれは。これら のうつる。きづかへはなしと志るべし。 【落款】 避疫之要 旨預防之 【枠外】 勅賜学士杉田玄端先生題字 このよけかた。なほし方は。もとより。たやすきをむ ねとするものなれは。此うちにて。どちらなりとも。 手はやくなしやすきかたを。したくしおきて。ほと よくするものとしるべし。くれ〳〵も左になした る。よけのしかたをよくすれは。うつりくることは。 なきはづなれは。あんしんして。はたらき給へ。その 病源をしりて。よけるしかたをよくすれは。これら のうつる。きづかへはなしとしるべし。 明治十九年九月十三日内務省交付775 貸教育会 【落款】 避疫之要 旨預防之 【枠外】 勅賜学士杉田玄端先生題字 秘訣 明治十九丙戌年八月   六十九叟 桜所散人題         【落款二】 雖小 【枠外】 元老院議官従四位勲三等揖取公題字         【楫取素彦】 而必 防 【枠外】 元老院議官従四位勲三等揖取公題字 荀子語 畊翁 【落款】 我開_二交 ̄ヲ於欧米諸国_一 ̄ニ也。其利極 ̄テ博 ̄シ矣。而害 ̄モ亦随焉。其 尤大 ̄ナル者有_レ 二。曰毒疫也。曰邪教也。毒疫 ̄ハ害_二 人身_一 ̄ヲ。邪教 ̄ハ 害_二 ̄ス人心_一 ̄ヲ。後来数百年。為_二深患大過_一 ̄ヲ者。蓋莫_レ ̄シ甚_二 ̄キハ於二者_一 ̄ヨリ 而防_二拒 ̄スル之_一 ̄ヲ者。又須有_二其人_一矣。防_二毒疫_一 ̄ヲ者医人也。拒_二 ̄ク邪 教_一者儒者也。世以_二儒医_一 ̄ヲ自居 ̄ル者。豈可_レ不_レ任_二 ̄セ其責_一 ̄ニ乎。余 視_乙 ̄ルニ世之以_二儒与医_一為_レ業者_甲 ̄ヲ。不_レ過_下 ̄キ僅 ̄ニ視_二其未流_一 ̄ヲ以 ̄テ抑_二遏 ̄スル 之_一 ̄ヲ而止_上。余常慨焉。余友茂木充実。慷概之士。非_レ医亦 非_レ儒也。深患_三 二者貽_二 ̄スヲ大害 ̄ヲ於海内_一 ̄ニ。常欲_下抜_二其本_一 ̄ヲ塞_二 ̄キ其 源_一 ̄ヲ。以杜_中 ̄カント禍乱 ̄ヲ於未萌_上 ̄ニ也久矣。頃者。又見_二 ̄テ毒疫肆_一レ ̄スルヲ瘧 ̄ヲ。不 _レ堪_二 ̄ヘ憂憤_一 ̄ニ。乃書_二 ̄シテ嘗 ̄テ所_レ ̄ノ得駆疫術_一 ̄ヲ。以 ̄テ為_二 一冊子_一 ̄ト。欲_下頒_二 ̄テ之世 人_一 ̄ニ以救_中 ̄ハント 其害_上 ̄ヲ。其法簡易。其言深摯。一読_レ之 ̄ヲ者。誰 ̄カ不_二 ̄ル感 歎_一 ̄セ。余読了 ̄テ慨然 ̄トシテ曰。開交以来。人身罹_二 ̄ル此惨毒_一 ̄ニ。以 ̄テ致_二 ̄ス喪 亡_一 ̄ヲ者。不_レ止_二 ̄ラ於数千万人_一 ̄ニ。使_三 ̄シハ其皆知_二 ̄ヲ此術_一 ̄ヲ。庶幾 ̄クハ免_レ ̄レ死 ̄ヲ保 ̄チ _レ生 ̄ヲ独 ̄リ収_二大利_一 ̄ヲ也。勧 ̄メテ速 ̄カニ梓_二行 ̄ス之_一 ̄ヲ。抑至_下 ̄テハ 邪教 ̄ノ害_二 ̄スル人心_一 ̄ヲ者_上 ̄ニ。則 其拒_レ ̄ク之 ̄ヲ之方。充実亦既 ̄ニ講_レ ̄スル之詳 ̄カナリ矣。蓋将_二 ̄ニ俟_レ ̄テ機 ̄ヲ而発_一 ̄セント也。  明治十九年八月 碧海老人 内藤正直撰  叙言 夫天地の間。万物の體をなすもの。皆其原質。微 細なる者。集りて以て之をなす者に非るはな し。其至微。至細の極。復析すへからざるに至る。 故に凡そ一體をなす者。之を分てば。百千萬分 の多きに至りて盡きず。色の水に染る。香の物 に薫するも。此微分の致す所なり。獣の過る 所。必す其臭を遺す。人之を覚らざるも。田犬よ く之を踪迹する者は。犬の嗅覚の人に優れは なり。伝染疫毒の気の衣被の間等に伏蔵し。經                    一 【右ページ】                 二 久して之を發するも。又此極微に吸入より。生 するに外ならす。  原始要終。易簡而天下之理解得者。唯神也夫。 【左ページ】 驅疫法     上野     茂 木 充 實 述 抑も。近頃。悪疫流行の。原因を考ふるに。一は往 時に於て被りたる。外邪の。体中に潜伏する者。 《割書:これを陰|邪とす》一は今俄に受る所の。窒気に卒中す る者《割書:これを陽|邪とす》二者互に相応一致して。此病を 發するなり。譬へは。砲中に容る所の。硝薬の一 点の火を。得て爆発するに異ならず。内に硝薬 あるも。火気なければ。之に応せず。又外に火気 あるも。硝薬なければ。爆発することなし。内外相                 三 【右ぺージ】                  四 須つて。此害を生ずるか如し。 人生は。天地と共に。万有の気海中に生活して。 清濁の二気を。呼吸し。其新陳交替するに依て。 生育する者なり。其中に窒気なる者は。其性窒 碍にして。もと吸すべからざるの。殺気とす。若 し単に。此気を以てせば。火も燃るあたはす。然 れとも清気に交れば。乃ち生活を助くる所の。効 力も随て大なり。又窒気は。雰囲気中《割書:大地に囲|繞する重》 《割書:気を|云ふ》に含有して。低地及ひ。人家稠密海辺等に は。重密なり高地及ひ人家希踈山間等には。輕 【左ぺージ】 踈なり。 雰囲気は。啻に地より。升騰する蒸気のみなら ず。種々の原質より生し。常に窒気と。清気との。 二者より相交り出つ。之を四分すれば。窒気は 三に居り。清気は一に居る。以て此一調和の気 をなす。是乃ち人の生活に宣しき所の。気とな るなり。《割書:又燃気あり、硬気あり、|共に気中の別種とす、》 此窒気を。含有する所の。雰囲気たるや。猶。茵褥 を。重畳するが如く。其最下なる者は。壓する所。 特に甚しく。下よりして上れは。稍々其重を減                  五 【右ページ】                     六 し。愈々高ければ。愈々軽し是高山に升れは。其気常 に軽踈なる所以なり。《割書: 銓気管を、以て、之を験す|れは、高山の上に於ては、》 《割書:著しく、低降をみ|る者、亦此理なり、》 人身の表皮は。気孔最多く。此孔に由て。身中の 廃液を蒸発し。或は他質を。吸収し、凡そ飲食す る所の、元気身体を。養栄する者。終に此気孔よ り。發泄する者。其八分の五に居る。余は他道よ り。導泄するを以て常とす。故若し此蒸発気を。 窒塞することあれば。尤も危害をなすことあり。 此気の。利害をなす。理由を。解得せんと欲せば。 【左ページ】 試に衰気器と。排気鐘とを。以て。気をあつめ。分 つの。作用によりて。動物《割書:狗、猫、鼠|雀の類》一二分時間に して。之を死せしめ。又之を活せしむることを。得 るなり。これ。天地間の。万有は、気の効要により て。生死する所以の。理由をしるべきなり。 しかればしかれば。今考ふる所の。悪疫の原因は。かの。窒 気と。嘗て潜伏する所の。外邪と。相応して。此大 害を。発することをしる時は。之に因て。其予防芟 除の。方法を。講究せざるべからざる者と。確信 するなり。                   七 【右ページ】                  八    悪疫予防幷芟除法 第一 流行病。予防の方法は。毎朝早く。起き。壚  を以て口を/漱(そゝき)其漱たる。唾(つばき)と。壚と水と交り  たるを以て。眼縁より顔並に臍。足のうらとを。  摩擦(なでこすり)し。又手に水をつけ。面部を始め。項(くびすぢ)両 肩(かた)  より。総身を。摩擦すること。凡そ十五分時。而し  て。乾きたる。布を以て。之を拭ふべし。  是一身の。生気。血脈を。運動して。窒塞を開き。  新舊気の。交替を。促かす所以なり。   但し一晝夜に。眠ること二十四時間の。四 【左ページ】   分一。則ち六時間に。過くべからす。 第二 食事の時。生 葱(ねぎ)。生 薤(らつきよ)の類を。少々つゝ。菜  の取合せにして。《割書:味噌か、壚を付るか、又|やくみの、如くにしても》適宜に  之を食すべし。若しきらひの人も。悪疫の予  防薬と。知れは。甚(こらえ)て。食用すへし。《割書:口に容ること|の、ならぬ、人》  《割書:は膳の上に置|てもよろし》又小児には随身してよろし  《割書:きれに包み、ふところ|か、こしに、つけてよし》   但此二物は、至て。気強く。清潔(きよくいさきよし)にして。外気   を防くに。大丈夫なること。鬼神の如し。試て   知る可し。《割書:土をさり。何れの所に、かけ置も、|かれることの、なきにても、知る、べ》                  九 【右ページ】             十   《割書:し、効能の弁は|別に記すべし》 第三 噦気(えつき)の兆(きさし)少しく。おこりたらは。之を抑  へ。忍ことを孜(つとめ)。唾も吐ずして。居ること肝要なり。玆  を/暫(しばらく)すれは。必らす下回して。大小便。或は放(おな)  屁(ら)か。其他に。反通分泌して。發泄すること。疑ひ  なかるべし   但平素にても。啖は吐へし。唾は吐くべか   らす。唾は常に飲食物を消化し。其他人の   生気を。保養栄育する。貴重なる。効液にして。   妄に吐棄すへからす。其効能も。別記に詳 【左ページ】   述すべし。 第四 水を 深大(ふかきおほきな)の陶器(ちやわん)。又はコップ。形のもの  に盈。其口に平なる板。又は盆か。膳を蓋の如  にあて。之を 顚反(ひつくりかへし)。病蓐(ねや)の側に。三四カ所も。置  べし   但是は。前に述る。排気鐘の。作用を軽便に   する者なり。又平   常にも。暑中など   臭気を除んとす   るときは。一二カ所 【図中文字上】 水を盛 たる図 【図中文字下】 盆の上に 覆する図                十一 【右ページ】           十二   椽側室内等に。置は尤もよし」前に叙する   所に参考すべし復た月経ある娼妓。客に   接せんとするとき。室内(へや)にて。此術を施せば。   三時間ほどは。必。月経。来らずといふ。以て   其功をしるべし 第五 灸を行うこと。腹部上脘。一穴に。十五壮よ  り百壮まて施(ほどこす)へし。尤も十五壮より試て。其  病体により。三十壮。五十壮まても。施すべし。  此内五十壮は。中脘に施灸するも。適宜に行  ふべし 【左ページ】   但上脘とは。天突より。臍まてを。はかり其   長さを十五節にして。上脘は。臍より上へ。五   節目。中脘は。四節目。《割書:則ち、上脘より、下ること|一節、乃ち図の如し》   と知るべし   火は太陽の光火。又は華ほくちの。火を用   てすべし。但し尋常(つね)の灸艾にては。落ち易き   故に。小篠竹軸(こしのたけじく)の如き。管状(くだのかたち)の物ゑ艾をつ   め。之を灸處にあてゝ。施す方よろし。左の   図をみて能く合点すべし。           十三 【右ページ図中分】                   十四 灸穴點之図 灸壮管 天突  上脘  中脘  臍  管状をなす  上と下た少々せまきかよろし 【左ページ】 第六 湯を熱(あつく)わかして。風呂桶。又は大/盤(たらい)。其他  何にの桶にても。/汲(くみ)湯に/芥子(からし)を。/混和(いれ)して/浴(ゆあみ)  すべし 第七 薬を用んとするも。/傭醫(いしや)の間にあはぬ  ときは。神薬。朱雀円。宝丹等の如き。売薬を。/求(もとめ)て。  試用す可し。但しこれは。其効能書を。読み信 して。述ることなれば。何れも又薬用する人も。能  書の用法を読て。分量等。斟酌して用ふべし 第一二条の。予防方を常に用意するも。なほ近                 十五 【右ページ】             十六 地に悪疫流行するときは。/豫(あらかじめ)。第三条以下の。豫備 をなし。/速(すみやか)に。/芟除(なをす)の術を施すべし 【左ページ】 野生醫を学はす。素人にて如此の説を演るは。 老婆心も又甚しと。世人の嘲を受け。信用する 人もなからんかと。一旦躊躇せしか。頃ろ病勢 倍々盛んにして。追日蔓延するを聞き。もし其山 間僻地。醫なく薬なきの地に。流行するに至ら ば。術の施しすべきなく。徒らに死を待つの外。為 す所をしらざる者あらんかと。常に思得たる 所の簡易便宜の方法を記して。以て一時備急 の。助けとなさんとする也。読者察せよ 明治十九年丙戌八月上浣東京神田区佐柄木             十七 【右ページ】             十八 町寓於春輝樓上充實書 【左ページ】  明治十九年八月十七日御届           群馬県平民         《割書:編集兼|出版人》 茂木充實           東京神田区佐柄木           廿壱番地         弘所  はるのや にすけ             春野屋仁助              東京神田区佐柄木              廿壱番地 【右ページ】             十八 町寓於春輝樓上充實書 【左ページ】  明治十九年八月十七日御届           群馬県平民         《割書:編集兼|出版人》 茂木充實           東京神田区佐柄木           廿壱番地         弘所  はるのや、にすけ             春野屋仁助              東京神田区佐柄木              廿壱番地   【前コマ左ページの裏、印透け文字なし】 【右画像 横書 下にバーコード】 059187 特24-238 駆疫法 -コレラヲヨケ並ニナホスシカター 茂木 充実/述 M19 CBF-0040 【左画像 表紙の写し、コマ1と同じ】