作者津打治兵衛 日本阿闍世太子 【読み:にっぽんあじゃせたいし】 【右ページ上段】 日本(につほん)阿闍世太子(あじやせたいし)               □【破れあり】 きさきはしとねににしきのまくら あまはいそべになみまくら き女はいわまにくさまくら 上男女三世相  付りふり枕ぬらす玉打の水【?】 中男女さんけのつるぎ  付り恋をつり出す二見か浦 下男女一会のかね  付りしんいをさます日高河 【以下は役名と演じた役者か】 御能道成寺《割書:太夫坂東又太郎|ワキ岡田左馬介》 一だいご天わう   永嶋いそ右衛門【永嶋磯右衛門】 一中宮花鳥のまへ  玉沢みな之丞【鳥居清長の絵にあり】 一はきはらしん王  菊川みなと【不詳】 一さぬきのつほね  うへ村い■■【つくヵ】【不詳】 【下段・配役の続き、1〜2行ほど破れあり】 【破れ】 一きたうのくはんはく 【破れ】 一今川かつさの介 岩井半□□【破れ、岩井半四郎】 一きむら左京 若林四郎右衛門 一大しまたてわき 大もり辰右衛門【大森辰右衛門】 一川こへもくの丞【杢之丞】 ふし川しけ■【右衛門or左衛門】【不詳】 一同弟うねめの介 鳥井庄吉 一中けん久介 あつま三八 一はかせうらへ長けん 坂東又太郎 一同弟うらへう京 さかき原おのへ【=初代・榊山小四郎】 一せきのやひぜんの守 か■【藤ヵ】太郎左衛門【『芝居年表』加古太郎左衛門】 一あま長五郎 金沢■平次【『芝居年表』金沢五平次】 一同女はうすま いわみやしほ【不詳】 一いとほり弥介 おくら介右衛門【『芝居年表』小倉文右衛門】 一同弟こんの介 岩井左源太 一ただうせき才 はつとり次郎四郎【不詳】 一かんぬしさく太夫 あきた彦四郎【秋田彦四郎】 一みこあさひ ふじ井いくの【不詳】 一ぐづうのおきな【葛生の翁】 おの山宇治右衛門【小野山宇治右衛門】 一うばせんだい女 岡田左馬之介 一きやうけん作者 津打治兵衛 【左ぺーじ】 第一 日本(につほん)阿闍世(あじやせ)太子(たいし) 《割書:作者| 津打治兵衛》 頃はだいご天わうの御代とかや。ほくめんのぶしに今川かづさの介はる時。大しまたてはき両人は。 君のちよくゐをかうふり供人あまた召ぐし。よしのきんふぜん【吉野金峯山】へさんけいす。都を出て程なく山のふもとに 付きけるが。はじめてのさんらう【参籠】なれば。山のあんないおぼつかなく。しばらくやすみいたりける。かづさの介むかふをみ れは人かげのみへけるを。侍共に申付所の人ならはちと尋たき事有と。ともない来れと申付る。畏て■立 よりてねいりし人をゆりおこし。そつじながら我等かしゆじん。ちと御たいめん申たきよし申さるゝとうつ たへる。川こべもくのぜう同弟うねめの介兄弟めをさまし。何事やらんと打つれはる時がまへに来る。今川 一れいして■れはお侍た【?】かふ候御めん給はるべし。べつのきにて候はず。我〳〵は都方のもの成が。たうざんはじめての さんけい。あん内を存ぜず。もし所の人にて候はゞ。ぐづうのおきな【葛生の翁】のいわやをおしへ給はれと申せはもくの丞 承り。扨はしゆくぐはん【宿願】まし〳〵御さんけいなされまする【かヵ】。■【我ヵ】もねがい事候て此御山へ百日まふでいたしけさほどは よぶかに【夜深に】出候へはしばらくまどろみ有候。そもおきなのいわやと申はなか〳〵なんじよにてたにみねを■【わけヵ】上がり ■【則ヵ】あれにみへしけんざんに取こもらせ給ひ。【忝ヵ】もめうほけきやうしよぼん第一るい【妙法華経序品第一類?】とかのいわやと書付しゆつせを ねがい候へはかなへさせ給ふと承り候。しのゝめの頃には此いわやより出給ふよし。ついでながら御たいめん申さんと■や 仕り然有候。もはやしのゝめ時分いざ御あん内申さんとあれは。両人悦び打つれていわやに来たりける。 【図中の文字。すべて登場人物名+ちょっとした場面の説明。図に埋め込む場合は修正が二度手間にならぬようある程度確定してからにすること】 【右ページ上】 ぐづうのおきな我を切【ぐづう=葛生】 今川かつさの介 うねめくひ請取 よしのきんふせん【吉野金峯山】 【左ページ上】 もくの丞わつて入 たてわきあらそふ【人名はたてワき=たてわき】 侍とも 【右ページ下】 きん玉丸らうを出給ふ【金玉丸牢を出給ふ】 さぬきのつほね 中宮花鳥の前 いどほり弥介 弟こんの介 金王丸らうに入【牢に入】 中くうつきたをし給ふ【コマ9冒頭のシーン】 さぬきのつほね きたうくわん白■■■■   あんのごとくいわやゟ。はくはつ【白髪?】たるらうおう【老翁ヵ】身にはこのは【木の葉】をまとい。ゆるぎ出させ給ひければ。人々はつと【ハッと】らいは い【礼拝ヵ】す。時にもくの丞兄弟おきなにむかい。我々ねがいのしゆくぐはん有。百日さん□□【さんらう=参籠?】□…【破れあり】 のすまい。何とぞ一たび世に出候やうに。かなへさせ給はゞ有がたかるべしといへば。せんにん兄弟をみてを□其【破れ】 ほうな人そう【人相】天子の御やくにも立へききりやう。おもてにあらはれたり。をつ付ねかいじやうしゆせん。我かげ身【影身】 にそふてまもるべしとの給へは。兄弟はつと悦び。扨かづさの介にむかい。こなたにもねがひのあらは申上給へ。はる時 某【それがし】もしゆくぐはん候か。御ゆるしをかうふりひそかに申あげたきとのぞむ。ぐづうおきな聞召【?】。をゝこれへ〳〵何事 にても申されよ。かづさの介悦びまぢかくよつて。おきなを取てしめんとす。もとゟぐづうじんづう力のおきな。 かづさの介をつきのけまなこをいららげ。是はいか成事に某を打んとはする。もくの丞兄弟きもをけし。 是々お侍某をたのみ此いわやに来り。をきなを打んとは心へずと。なかにへだゝりいかる。かづさの介聞をゝふし ん尤。是にはやうす有君ゟのせんし【宣旨】にて。今川かづさの介大しまたてはき打てにむかふたりといへば。おきな■。 いよ〳〵ちよくでう【勅諚】とは心へず。之【この】せうこは。両人それ〳〵侍共はたをあげよ。畏てはた二さしあげる。ぐづう見て 誠にさ【左】そうりやう【蒼龍】う【右】びやつこ【白虎】のはたにまがいなし。然れ共ちよくでうにもせよ。打てさしむけられん覚へなし。 かづさの介おゝ御ふしん尤やうすをかたり申べし。されは天子よめいかたぶけ共太子のなきをかなしませ給ひ。 ときのはかせうらべの長れいをめしてうらなはせ御らん有れは。きんふぜんにぐづうのおきなと申が。せんしゆつの【仙術の】 ぎやうをつとめ。天子にむまれ来らんとねがふ。今す年を待給はゞたいし御たんじやうあらんとうらなへ共み 【左ページ】 かどのよはひおぼつかなし。いそぎきんふせんへ立こへ其おきなを打て来るべしとちよくでうにて我々を さしむけ給ふとてはなせは。ぐづう聞召【?】。何某が天しにむまれんとのねんぐわんを長げんがうらなふたとや 扨はくわん【願】じやうじゆ【成就】ぜしかと天道をはいし。両人にむかい。我いやしくも天子に生れんと。しゆつせをの ぞみてせんじゆつの行をつとめ。千ねんのよはひたもつ所に。九百九十年までつとめ。今十年 のみてすそれに打れけれは。ぜんにんかへつてあく人とむまるゝ。此ぐわんみてる【満てる】まではなか〳〵おもひよら す。此事きみへうつたへ給へ。まつ〳〵かへられよ。大しまなか〳〵聞いれず。いやちよくでうなればうたでをく へきか。そこのき給へといかる。かづさの介引とゞめ。尤其ほう申さるゝごとく。只今打はやすけれ共。今十 ねんのぐわんみてねは【満てねば】。ぜんにんかへつてあく人と成とあれば。一まづそうもん【奏聞】申。其のうへにてともかくもせん ひり【非理?】【此理?】をせめてとゞむ。大しま聞是かづさの介。君のせんじ【宣旨】をうけのめ〳〵【=おめおめ】と打ずにさやうの事が申さり よか。其方はそ□□ん【汚れあり。そうもん=奏聞?】いたされ。ようだては【用達は?】かへらずといへばぐづう聞給い何ほどにいふ共かなはぬ事。風ふか ばふけ雨ふらばふれといわやにいらせ給ひける。大しまいかつて。たとい岩やに入たるとて其まゝをくべきかと たちぬき【太刀抜き】打てかゝるをがづさの介は打すまじとたがいにあらそふ。もくの丞中にへだゝり是々お侍。一まづヵかみ へ申。其後にいかやう共せんと有に聞わけなし。ぜひおきなをうち給はゞ某【それがし】のあいてに成申さんとてかづ さの介を引のけ大あく人と。太刀にてをかけたがいにせり合所へくづうおきないわやゟ立出。是■そ 方々。尤かづさの介が某を打まじきといふにも一り有。又大しまがうたでかなはぬも尤。又互にあいはて□【汚れ・かすれ】 せつ生をみる。某あいはてばいしゆは残るまじや。両人悦ひ何か扨【なにかさて=何はともあれ】御くび給はるうえに別にいこんの□【汚れ・かすれ】 へきとあれは。おきな成ほどくびをゑさせんが両人にはかなはす。是成もくのぜうにとらする。我くび をもちさんだいせは。ちう【忠】の物とて召かゝへ給はん。是しゆつせのねかいかなふ也。いさかた〳〵に【いざ、方々に】我身のうへ ざんけして聞せん。もとは此くにの者にてふうふ共にむつましくくらせ共。ひん成るゆへ何とぞ天子のくらい に生れ。よをらく〳〵とくらさん。もし生れきたらは其方を一のきさきとせん其やくそくのかたみとてたがい 小ゆびを切取かはし。せんじゆつのぎやうをつとめて。ねがいをかなゑんと。某は此山に有。つませんだい女には かづらき山に有が。千年のぐわん【願】みですあいはてん事しるまじ。四百年此かたあいじやく【愛着】の道を切しに。 今思ひ出して有とむかしをかたり。我とかまにてくびを切。もくの丞にあたへ給へは。かづさ大しま悦びもく のせうを共ない大り【内裏】をさしてぞ帰りける。事すぎ中宮くわてうのまへ【花鳥の前】くはいたいならせ御太子御たんじやう有。 月日かさなり太子六才に成給ひ。御な【御名】を金玉丸と名付給へども。せいたかく色くろく。まなこのひかりすさま じく。手にあまりたるあくとうゆへくわんばくかねみちみかどへそうもん申。ごくやをしつらい入置給ふ。有時たいご天 王御ゑいかんのあまり。せいりやう天にてくわんげんをそうしなぐさまんとせんしある。中宮つほねよき折 からと。太子のごくやそうもんあれ共かなはず。くわんばくかねみち御とも申。すでに御てんにいらせ給へば 中宮女中の御なげき。みな〳〵御れん【御簾】に入給ふ。然る所へいどほり弥介兄弟。御天に来たりあん内あれはつぼね 立出たいめん有。いどほり弥介とは其方か。あれにみへし玉の井此ほどこゝへほり給ふ。かわをいれよ【?】兄□【兄弟ヵ】 【左ページ】 こしらへをする所へ。さぬきのつぼね立出やい下々爰へこよとよび給へは。弟こんの介何の御やうと御そ ばちかくよれは。さぬき其ほうは弥介がためには何ものぞ。わたくしはあの弥介の弟ぶんてござります。 いやべつの事でもないあの男には女ばうがあるが。いゝゑ。はづかしながらおれは弥介にほれた中たちをして たも。ごんの介がをゝり【我を折り=飽きれて】それは誠でござりますか。せいもんにかけてほれた。しからはなるほど中立いたしま しよと。弥介がそばに来りけしかゝれは。弥介ゆめの心地にて。たかいにれんぼのてい《割書:爰にて。|めん有。》つぼね弥介を 尋ねしに。いどわの内にさぬきとふたりあれは。是はさてさぬき局。中宮とをしおされぬ中に。あのようなる いやしきものとふぎのみつつうは何事ぞ。かみ【上】へ申あげん。やい弥介ごんこだうたん【言語道断】にくきやつじや。もはやのがれ ぬと思いかくごせよといかる。弥介兄弟こは思ひよらぬ事にあふる事と。めいわくする所へ。中宮立出たまひ。何さ ぬきのつぼねふぎをなしたるとや。もはやのがれぬ事ほう【法】のごとくにおこなわれよ。さぬきぜひなく身ゟいだ せるさびなればたれをうらみ申べし。いかやう共なし給へ。つぼね聞成ほどしきほう【式法】におこない給ふぞ。やい弥介 大内のほう【法】の通りになれは命をたすけん。弥介して其ほう【法】はいかやうのしおきにてござります。いやべつ の事てない。其方つまもちても其女をさりてあのさぬき殿をつまにするさほう【作法】。又一つはあの人にお子がある。 ことし六才にならせ給ふ。是をもつけてやるさほう【作法】といへば。弥介是はあまりうますぎだ御さほう。もとより つまも候はねは子もなし。此うへはかし【町ヵ】つれて出つま子に仕らん。其お子はいづくにござります。みせて給はれと いへば。さればの事其お子は。ごくやにおしこめて有。やすけきもをけし是はがてんのゆかぬ事。いまだ六つにならせ 【右ページ上】 しゝんてん【紫宸殿】 たてはききしむ【=力む】 くわん白むほん 侍切てかゝる みかどてごめに成給ふ 【左ページ上】 金玉丸みかとをころさんとする かつさの介かけ■■ 弥介しらする 玉の井内でわ【?】 せいれうてん【清涼殿】 【右ページ下】 長五郎つまなけく 長五郎天王になるあやうき所【×天王 ○親王/コマ11〜12】 さぬきのつほね【この場面にいるのは淡路局】 ひせんかみ引たて■■ 【左ページ下】 中宮しん王をとゝむ しん王かけ出給ふ ■■■長五郎をわたす 侍共きしむ 給ふお子がこくやに【獄屋に】をしこめあるとは心へす。是はたゞ事で有まじ。いや〳〵へんがいいたさんといへば。つぼね■ 何とほうの【?】ことくいたされんか。それ〳〵六ゐの者。是成ものをからめくびをうてとのゝしり給へは。ごんの介立 ゟ是弥介殿。ころされんゟ我子にし給へと。いろ〳〵にいゝ聞せは。弥介女中にさいぜんゟの給ふこと。一つ■て んゆかず。やうすをかたり給へ。■■へにてはいかやう共仕らん。中宮つぼねいやべつの事ではない。其お子といふは中宮■ の御子たいしさま成るがむまれをちゟ心たけく。なに■ならぬ■やくゆへ。ごくやにおしこめ置給へ共。近き内ころ され給はんもしれず。聞は其方は其方はたのもしきものと聞召。ふぎのみつつうなすも中宮さまのけいりやくなり。何 とぞさとへぐして其方のお子になしてたべとかたりけれは。弥介聞扨は■やうのざ■んでござりますか。其だんはお 心やすく思召ましよ。成ほど我お子にいたしそだて参らせんが。私にはつまも候はねは何共きのどくに存します。其時 は是成さぬきが付そい給ふぞ。然らは心やすし。いざごくやゟ出し参らせん。つほね聞いやごくやのかぎをくわんばく のもち給へばかなはず。それゆへあの玉の井をこなたへほりかへしば地の下をごくやまてほりぬき。太子を たすけませんため也。弥の介それは何ゟ心やすし。いざほりぬきてたすけませんと井の内へ入。地の下をほり ぬく。中宮さぬきごくやのまへに来り。さぞ御なんぎならん。たゞ今地の下をほりぬき命をたすけ奉るといへば 太子聞召何とごくやを出すか。然らは此ろうをやふり出んと。くわんぬきもつて■いといふてもぎはれし【?】出給ふ所へ 弥の介らうや【牢屋】までほり来りみれば太子出てをはします。御すがたをみておどろきける。中宮たちゟ是に【は?】金玉 さま。此所におはしませはくわんばくか切ころしますゆへ。此人の所へござる。かならずたんりよな心もち給ふな。■れはおや 【左ページ】 にてましますぞ。金玉丸さらにがてんなく。いや〳〵ひとりはゆくまじとわれは【?】。さぬきが付そい参る也。心からは【?】 ゆかんやいそれ成ものはわがをやか。もし我いふ事をそむくなら。けころしてくれんずといかりの給へは。弥の介 もをそれける。所へくわんばく来り此ていをみて。中宮何とてはしぢく出おふ【??】。中ぐう聞召いやきみのお入 のじぶんなれは出むかい侍ふと。かの金玉丸をうろにかくさせ給ふ。かねみち【関白の名前】見付・是は何ものが太子をご くやゟ出しけるぞといかる。太しいやらうをやぶつて■【出?】たりとわれは。いや〳〵さふて有まじ何ものぞ出し奉らん と立ゟみれはらうのくわんぬきもきはなしあれは。かねみちをどろき。さやうの心ゆへごくやのすまいをなし 給ふ。さあもとの所へ入給はぬかと太刀ぬきけれは。太子をそれにげてごくやに入給ふ。中宮つぼねいよ〳〵 なけき給ひける。くわん白みてかやうの事あらんと思ひしにたがはず。それ〳〵くすのきのくはんぬきはめ よ。■て侍共くわんぬきしつかとをろしをく。中ぐうくわんばくにむかい。さりとてはなさけなき心入や。ちゝ みかどげきりんあれは。ともにあしさま申なし給ふ。少はなさけをかけ給へ。くわんばくきいてなふ【?】中宮たいし あのことくに成給ふはみなこなたの心からにて有。我およはずながら心をかけ。たび〳〵ふみをつかはせ共。一どの かへり事もなく。なさけらしきことのはもなし。其心ゆへ太子の事共みかどへそうもんし。ごくやのすまいとな しけるぞ。もしわが心にしたがいなさけかけ給はゝ。そうもん申ごくやをたすけ参らせん。こなたの情しらぬ ゆへなりといへは。中宮聞召何とお心にしたがい候はゝたすけ給ふな。成ほどお心まかせに成申さんが。いか に太子をたすけ給ふがうれしきとて。こい女のみちをまもる物が。りやうぶにまみへゑん。太子をこ ろさはころしや。われもいきてそ有るべきかもろ共にとかねみちに取付なげき給ふ女ばうたちは まづこなたへとをくにともない入給ふ。かねみち中宮にはぢしめられ。はうぜんとして。もはや此こいふつ つと【ふっつと】思ひきらん。あゝ去【?】なからきるにきられぬは此こいぢ。なにとかせんとあんじくらすを。侍共そば にゟ。何とてさやうに心よはく思召給ふ。此大みかどを打奉り給はゞ。此こいはかなひ申さんといへば。かね道 聞。さほどのたくみをならふべきか中宮此の事をはやみかどへそうせん。然れはいや共に打奉らねは ならず。又てうてき【朝敵】の名を取もいかゞむかしゟてうてきと成本ゐをたつせしものひとりもなし。 まづ大とものわうしそがのいるか。大とものまとり平の正かど。其外あまたあれ共ひとりとして かつ事なし。何とぞ我てうてきとならずして。本ゐをたつせし事あらんと。しばらくしあんして。 げに思ひ付たり。それ〳〵きんぎよく丸【金玉丸】をごくやゟいだせ。■てともない来る。くわんばく是々金玉こゝへ より給へ。おそろしき事はなし。我々はもとこなたの下人なり。某が心にてごくやをたすけまいらする。日頃 わんざ【和讒、わがまま、勝手】をなし給ふゆへ。あく人なりとみかどげきりんにて。ごくやにをしこめ給へ共みかどへ申なをし参らせん。 何と其手はいたみますか。太子聞召此きすがいたむ・をゝさもあらん。■てこなたのぜんじやう【前生】をはなして きかせん。もとぜんじやうはぐづうのおきなといゝし人成が。天子のはらに生れ来らんとて。よしのきんぶ ぜんにこもりてねがいあるを。長れいといふはかせうらない出せは。みかど其おきなを打てこよと■き■ せ給ふと。中宮の御はらへくわいたいある。其後長れいにうらなはせ給へは。あく王なりとうらなふ。それ故 【左ページ】 御たんじやうの時はたにぞこにけんをつきたておき。やまゟたんじやうなさしめころさんとたく め共。お命はたずかりべつぎなし。其けんさきゆびさきにあたりきれ給ふ。其きづせいじんするに したがいいたみ出。五たいのほねにくさり。ついにはいのちをうしない給はん。それゆへはものをみ付給へは をぢおそれにげ給ふ。是といふもみなみかどのなしたまへはこなたのぜんくわのからき也。何とみかどを ころし給はんか。然らはこなたをみかどになし奉らんと。ちへもなき大しにむかしをかたり。すゝぬける。 たくみの程そをそろしけれ。太子しばらく聞。なにみかどは我〳〵ためにぜんくわのかたき成か。此ゆび いたむに付てたすけおかれず。いかにもころし奉らんとかけ出給ふを。くわんばくをしとめ。そのはやまる 心にて何とてみかどをがいし給はん。いやつかみころしくれん物をとの給へは。其時侍共大ぜい太刀ぬき取まか【?】 は是■い有まじ其うへはものにをそれにけ給ふ身がなにとて本ゐをたつし給はん。我しあんにまか せ給へ。■■せいりやうでんゟ御とも申来るべし。こゝにまちうけてごめんにし給へと。其やくそくを なし。くわんばく御てんにあがれは。きんぎよく丸をある所にかくれいて。今や〳〵とまちにける。かくて くわんばく太子の御事みかどへ申させ給へは。何金玉丸が心なをりて有けるとや。たみ百せい【民百姓】のためゆるし ゑさせんと。御てんにいらせ給ふ所へ。太子召出にわう立【仁王立】たちけるを。おさきばらいうねめの介。大しを み付なにものぞ。我は金玉丸也。みかどわがためにはぜんくわのかたき故ころさんために是に有こと。うねめの 介をかいつかみみかどを取てをさへ。すてに御命あやうきを。玉の井の内よりも。今川かづさの介中宮 ゟつげしらせ給へはかくて爰にかくれ出とん で出きんぎよくをつきのけみかどをたすけ 参らせ。是はいか成事ぞ。太子聞給い。いやぜんくわ のかたき成ゆへつかみころすとあれは。かづさの 介其ぜんじやうを何ものが申せしぞ。それ成 くわんばくのゆいきかせうてとおしへしそ。かづ さの介扨はこなたにあくをすゝめてみかどをこ ろさし。我てうてきのなをとらずして■子【天子?】 に あがり。太子はようしやうなれはなき物に せんとのたくらみ。是こなたをころさんためなり。 けは【?】其心有ゆへはぎはらのしんわうもふたみ がうらへながし置奉るか。是太子両おやをころ せは八ぎやくざい。天りにそむくだうり【道理】めう ばつ【冥罰】の程をそうし【奏し】。是はみなくわんばくのたく みにて。天子にならんとは思ひもよらずと 【左ページ】 いへば。太子さらに聞いれすぜひに■たてはなら ■との給ふ。はる時聞て然らは大あく人大とう【?】 あじやせ大しはおやをないがしに給ふ。たゞ今 みかどにてきだい【敵対】給へはあじやせ太子か。あたを すゝむるくはんばくは大ばかけしんか【提婆が化身か】。是そ太子に何とおきなの申せしにたがはす。其時 たつてとがめしはかやうの事を思ひての事。 此かつさの介が有内はなか繰り返しかなふまじ。大あ く人といへば。くわんばくたくみあらはれ。あれ 打とれもの共と入みだれたゝかいけし。然る所へ大嶋 かづさの介にわたり合しが。はる時に切ころされ 残りし物をおつちらし。みかどを御とも申つく て【?】まづ都をひらきける。そのゝちくわんばく金 玉丸をおしうしない【?】。その身は天しのくらいにのぼ りいよ〳〵をごりをきはめける。 【挿し絵内】 せんたい女かつらき山■■ん みこ かんぬしせんき せんたい女おかむ所 よし田大明神 長れいまもり■■■■【まもりふくろとる?】 せんたい女まもりふくろおとす    第二 かくて中宮くわてうのまへ。大内のそうどうゆへかづさの介がはからいにていどほり弥介おい参 らせいせのくにふたみがうらへをちさせ給ひ。しん王もろ共ひなのすまいの物思ひ。きむら 左京しゆごし奉り。ふかくしのばせ給ひける。有時御太子しん王らは。つくゑによりそい給ひ つゝ。まことにゆき平【在原行平】の中なごんつみなくてはいしよ【?】の月をなかめしと。口ずさみ給ひし も今御身のうへにあたりたりと思召。みやこのそうどうに父みかどは何とかならせ給ふぞ■【と?】。 御ゐ【御衣】のたもとをかほにあてさせ給へは。中宮あわぢみ給ひ。何とて御心ほそくの給ふぞおつ 付御よ【御世】に出給はん。まづ〳〵御心をなぐさめまじませとの給ふ所へ。しほやく【塩焼く】女のやさしくも。 御なぐさみにとてはなぐるま。うをつりざほをもち来り。あん内をこいけれは。あはぢのつほ ね立出やうすを聞は。私はすまと申ものにて。■さきやう様にち【?】とたいめん申たきといへば。あはぢ 聞たゞ今は御るす也。何にても申おかせ給へ。然らは是をかみへあげてくださりませと。はなを渡 す。あはぢふしぎながらしんわうに申せは。ゑいかんまし〳〵かの女にたいめんある。すまつりざほを さし出し。きのふのさほほそく候へは。是をとてさし出す。しんわう悦び申。中ぐうさま。あの女はやさ しくもまい日我をなぐさめくれ候。是はつりざほと申てうをゝつる物也。いざなぐさみにとうみ へ入給へは。あまの長五郎らといふもの。此つりざほにくい付うみゟあがれは。みな〳〵をどろきにけ 【左ページ】 給ふ《割書:はまにてあまの長五郎|いろ〳〵だうけせりふ》長五郎はもつたいなくも。しんわうに心をかけ御しやうぞくを身にまとい おもひのたけをあかしけれは。しんわうふびんに思召。なさけのことばを給はれは。長五郎うれし く此うへはいやしきあまの事なれ共。一めいをさしあげ候とたはふれゐる【?】。《割書:長五郎|ぬれ有》然る所へ■兵衛【?】 かへり長五郎がていをみて。いかに御ゆるさればとて此ていは何事ぞ。いやせうぞくは某ゆるして有。 其ものはそれ成すまがつま也。してけふのしゆびはいかゞと仰給へは。さきやう■■。さして■づかはし き事にて■■す【あらず?】。しまもりひぜんのかみにたいめん申候が。なに共なんぎ成事をねかい候。へつ の事に候はす。しんわうさまへ御めみへ申たきよし。たゝ今まで申さぬ事をこいねがふ。此みぎり なれは人の心はたのまれず。もし二ごゝろ有もしらず。又御たいめんあらぬもいかゞなり。又ひぜんの かみ君をみしりたる事は有まじ。何とぞ君のすがたになしいつわり御たいめんいたさせん。たれ よかれよとしあんをめぐらし。そばに有しあまの長五郎が■■をみて。是々あのものを■■ のことくにしつらい申さんと。長五郎にくはしくゆいきかせ■への御■■なりといへはやれ事■とて成べき とせういん【承允】せず。女ばう長五郎にむかい。是たゝ今もきみへならは命をさしあげんとはの給はぬか。ゆへ は又命ゟ心やすき事。君のおためなりひらにといへば。長五郎うなづきしからはいかやう□□申 さんと。かぶり。しやうぞくきせしんわうのすがたとなる。左京悦びしまもりを今や〳〵と待にける。 《割書:此所にて猪五郎みかどの|ことばをならふだふけ【道化】有》所へひぜんのかみ御めみへとて来る。左京立出御とりつぎ申しんわうの 御まへに■り。ひぜんのかみさんだい《割書:■■にて|たうけ【道化】》其後みき【御酒?】をもち出是はめいしゆ【銘酒】にて候へは。さし上 候といゝもあへずしんわうをてごめにし。むねにたちをさしあてる。さ京みてこは何事でひぜん のかみ。もつたいなくもしんわうをてこめにするは扨はふた心にて有しな。それゆへ御めみへをこいね がひしがびぜんのかみ聞成ほど其とをり。くわんばくかねみちゟ。しんわうをいけ取来れと有■ かくはなす。さあわたすかいぎに■いゝがいすると【???】。刀をおしあてれは。長五郎は身ぶるいしなふたす け給へさきやうどのと。なみだをながしいへばさ京聞扨はたばかりける。此うへはぜひなし。其しんわうを わたせは我〳〵が命はべつじよなきか。をゝしんわうさへうけとれはかた〴〵はたすけしぞ。然らはなる程 つれ給へ渡し申さん。はぎはらそばにて是をみ給ひ。何とてあのしんわうを。おめ〳〵とみながら渡 されん。ぜひに我をつれゆけと身をもがきかけ出給ふを。左京とゞめあのしんわうをわたし 申せはたみのため。又我〳〵がいのちもべつきなし。ひらに我にまかせ給へ。しんわう聞召。我か命を たすかり是か其まゝあられんやと。一人なげき給ひける。長五郎はかなしく。こは何たるむくいぞや。 いのちをたすけ給はれと手を合おがみける。さ京みてみれんなる御しんてい。もはやのがれ ぬ事と思ひ。すみやかにころされたまへと。むりにしんわうになしわたしけれは。ひぜんのかみはかの 長五郎をまことのしん王と思ひ。らうごし【牢輿】にのせ申。みやこをさして急ぎける。しんわうも中宮 も。いのちはたすかり給へ共。ふびんはつまのおすまなり。左京人〳〵をいさめしゆごしける。かくて川 【左ページ】 こへ弥介両人みやごの有様聞。ふたみがうらへ帰りし所へあやしやらうごしをしゆごしさきをは らふてとをりける。二人立ふさかりみれは。侍共らうせさ【?】千万是はみやこゟのせんじにて。ひぜんの 守しんわうをいけ取奉りしぞ。そこ立のけといかりける。二人はおどろきこはいかにと。たちぬき 侍共に切りかゝりおつちらし。扨〳〵あやうき御事かな。いざろうこしを出し奉らんと戸をあけれ は。長五郎ゆめのことくに立出。人〳〵をみて。らいはいす。もくの丞両人もこはもつたいなやとらいはい なしけるは。おかしかりける次第也。さ京人〳〵を御とも申立出二人の人にたいめんし。まことのしんわう 是にましますぞ。あの者はあまの長五郎と申もの也。きみの御身かはりに。しまもりをたば かりしぞ。扨みやこのやうす心もとなしといへば。二人聞さればくわんばくかねみちはおのれとていゐに【帝位に】へあがり金玉丸さまをおいうしない奉り。いづく共なく成給ふ。扨みかど天王はおいのち べつきなく。かづさの介がしゆごし。かくれしのばせ給ふと一とにかたり。おつ付打て御くりま【?】 しませ扨たゞ今のもの共是へ打て来るべし。はや立のかせ給へ。さ京聞いや此みちはひせんの守 がれうち【領地】なれは心もとなし。いかゝせんとあれは。長五郎立出我ふねの候へは。あれにめしてむかふ じまへのき給へそれ〳〵女ばう御共せよ。我はあとにとゝまりて。おつてを■入おつ付べし。人々 聞是ざいわい。して其方ふねなくて何としておつ付へし。もとゟあまの事なればうみへ入て 参るべしと人〳〵をふねにのせこぎいたせは。さわ今【?】にて心やすけれと。長五郎たゞ一人ひぜんの 【右ページ上】 せんたい女わかやき 長れいをつまの かたきと 打てかゝ る せんたい女 金玉丸打てかゝる 長れい二人にたいめん 【左ページ上】 弥介御とも 川こへしん王をおいにける 【右ページ下】 かっづさの介 しん王きん玉にたいめん 川ごへ切所【?】 せんたい女 くわん白さいこ【関白最期】 きん玉取ておさへる 【左ページ下】 長れいわほくの所【和睦の所?】 長れい切所【?】 左京切所【?】 ぐんぜいにける 守を待所へ引かへし来り。さあしんわうをわたさぬかと。やりおつ取て待にける。長五郎 おどろかす。もはやしん王さまはふねにめしをち給ふぞ。其間なぐさみにひまをいれるぞ。につくきやつ とやりにてつけはかいくゞり。なんなくひぜんのかみを切てすて。らうどう共【郎党共】に打むかい。今はほん もふとげけれは我は是ゟおち行ぞ。みな〳〵それにとうみへざんぶと入けれは。むねんながらも侍 共都をさして急きける。爰にかづらき山にすむせんたい女は。の山をいゑとす山うばの。つゑにすがりてよろ【?】 おい吉田の宮にまふて。なむよし田大明神今一たび我すがたをわかやがして給はれと。ふかくいのる。かんぬし打わらいおよば ぬ事をねがい給ふ。それに付みかどくわん白ゟ。金玉丸といふ人又はかせ長れい両人此所へさんけいするを聞召せんぎある。もしけが のあれはいかゞはやくげこう【下向】し給へ。心へましたと立帰り。かも川はしを打渡りしに。はしにけしとみ【?】まもりふくろを川へ おとす。何とせんと身もだへすれど取ゑん事かなはず。然る所へはかせ長れい此所をとをりける。らう女是申此川へまもり ぶくろをおとして有。取あけて■■ませ。長れいたのまれかわへとびこみ。ながれしふくろを取あけうばにあたふる。悦びい たゞき長れいがかほをみてのがさぬ長れいつまのかたきとつへふりあげれは。とびしさり。我身には覚へなし。長れいと いふなかずおゝし【言ふ名数多し】。人たがいならんといふ。所へ又金玉丸いづくにか有けんとんて出。是長れいぜんじやうのかたき我身のかたき。かく ごせよとほこふり上れは。うば太子にむかい我つまのかたきなんぢに打すべきかと。二人あらそひ打てかゝる。長れいしばらく打 合しが。もとよりまほうの身なればすかたはみへず。二人の物こゝやかしこを尋。ひけう物【卑怯者】出よとのゝしる。長れいはしのうへにつつ立 こりや方〳〵是に有ぞ。して某をかたきといふ事心へずようすあらはかたるべしと。かのうばをみれは二八年【才?】のびじんの 【左ページ】 すかたと成。長れいみて扨はきつねたぬきにて。某をたぶらかさんとはかなふましきぞ。うばふしぎをなし我すがたを 水にうつしみればわかやぎたり。扨は我ぐわんかなふたりと。そば成松の木ねよりぬき持。是長れいわがつまはきんふ山【金峯山】 にてぐづうのおきなといゝしが千年のよはひをたもたんとやくそくし。某はかづらき山に住。此頃つまのいわやへ入みれはむ くろ斗【ばかり】あり。あたりの人に尋ねけれは。こんどみかど御子なき事を。長れいにうらなはせ御らん有に此おきなのわざとうら ないしゆへ。ちよくでうくだりくびをうたれ給ふと聞。何とぞ今一たびわかやぎ其方をうたんと此宮へさんけいし。■にて あふ事のうれしや。よくもころさせ給ふとなげく。金玉丸やうすを聞。何其ぐづうのつま成とや。我は其おきなていゐに生れ来 れ共。是成長れいあく王といつはりうらないはかせ■のていに成て有とかたる。扨は我つま成けるかとたがいむかしをかたりやく そくのゆびを取かはし。ふしぎに二世のちぎりをなす。長れい聞何金玉丸とや我ゑきの【易の】おもて【?】にまかせうらなへはいつわりの ■べき。みかど十か年をまたずしてころさせ給ふゆへかやうのみだれと成。何とぞこなたにたいめん申。共〳〵くわん白を打ほろ ぼし御代に出し奉らんため。尋ね【?】申と大小ぬきすてらいをなせは。其しんていをしらずうたがふたりと東【?】にざんげしの給ふ所 へ。杢之丞しん王御供仕り。此の所へ来り給い金玉にたいめんまし〳〵。■■悦び有所へくわん白大ぜい引ぐし吉田に 来りけるを。大ぜい取合かねみちを切すて。大りにつかせ給ふ。だいご天王めでたくくわんぎよ【還御】有。はぎはらしんわう 御くらいに付。金玉丸ふうふもろ共御てんに入給ふ。御悦びの御のうばしまれは【?】つぼねそれ〳〵に■んく■有■■■■ 守御なぐさみとてや■をよみ上る。【ここより御悦能のキャスト】太夫はうらべの長れい。ワキせんだい女。三位は中宮花鳥のまへ中将【?】さぬき 小【?】つゞみのあまの長五郎。大つゝみ左京。太こ【太鼓】いどほりこんの介。其ぎし■取おこないすてに御のふはじまり有平秋方■■【最期の二行は汚れ多し】