《割書:流|行》麻疹やくはらい ▲やアラはしかいな〳〵今度  世上へりうこうのはしか  病ではやりませうおい  しやおかどをながむ  ればむかいの人がまつ  かざりはやくいそいで  薬ばこまだ若水のき  むすめもぞやみ【注①】は一ト二タ  三ヶ日おかめにばらりとまめ  まきや福は内へのおみまいは  いんげん豆におにまめや鶴は  ちとせの御じゆめうとながくのば  したかんひやうにかめにいれたる  水あめもよひ初夢のふじの山  あげれば〆たきぐすりやかごやの  あしもかるやきや七草かゆより白  かいとのどをならづけくすりぐひひだち  かげんのそのとこへふらつきものゝ風の神  さまたげなさんとするならば虎のいせいの  やぶいしやがうさい角【注②】にておさいつけちく  らがおき【注③】へさらり〳〵 【注① 「そやみ」ともいう。天然痘・労咳(ろうがい=肺結核)などの病気の最初の時期をいう。】 【注② 烏犀角(うさいかく)=犀の黒色の角(つの)。漢方だ、子供の解熱剤に用いる。特に疱瘡に唯一の良薬とされた。】 【注③ 「ちくらが沖」=朝鮮と日本との潮境にあたる海。また日本海の海の果てを漠然という。】