《割書:/地震(じしん)|火災(くわさい)》あくはらひ アヽラてッかいなく今はん【今晩】今宵の天災を神(かみ)の力て はらひませう十月二日三カ日町並お門を詠【ながむ】れは 三国一夜のそのうちに土蔵や壁の不事の山 かゝるうきめに相生の松丸太やら杉丸太錺り立たる 諸道具をお庭外へ持はこひ野宿する身の苦【九と掛けたか】は 病ひ五七か雨と【注】ふりかゝる瓦や石の目にしみて なみたにしめす焼原の昼夜ねつはん【寝ず番】自身番火の 用心や身の用心春ならねとも皆人の万才楽とうたひそめ かそへたはしらもおれ口のおめてたくなる人の山これも世直し出雲(いつも) から立かえりたる神々のふみかためたる芦(あし)原 皇(み)国千代に八千代に要(かなめ)石の 磐(いわお)となりて苔(こけ)のむすゆるかぬ御代をはゝからす又もやひまをかきつけて ぬらくら物の鯰(なます)めかわるく尾/鰭(ひれ)を動かさは鹿島の神の名代に 此こと触【事触れ】かおさへつけ高麻(たかま)か原をうち越(こし)てみもすそ川へさらり〳〵 【注 地震があった時刻でその後の天候を推知する江戸時代の歌から引用されたもの。「九は病五七が雨に四つは旱六つ八つならば風と知るべき」】