地震風火水災綴 二 止 【白紙】 【白紙】 【上段】 再々改【朱印】       帝国図書館【朱印】  安政二卯十月二日   御江戸大地震大破    并 出火類焼場等書上之写            要石堂施板   年代記祓書【朱書き】   地震之部加之【朱書き】 【下段】 安政二乙卯十月 《割書:関東|五街道》江戸大地震出火場所       東都  瓢鯰堂蔵 【下段 右端丸印】 明治二五・九・二〇・購求 【印中央】 図           【上右ページ】 安政二卯年十月二日亥ノ刻頃東南之方より大地震ゆりおし江戸四里四方大破に 成諸〻より出火もへ出し怪我人死亡人筆紙に尽しがたし然る処其夜町御会所より窮 民え御救飯被下置候に付存命之者はうへ不申候事誠以泰平之御仁恵難有事也 猶亦窮民無住に相成候者御救小屋御建被下日に三度之喰物被下候場所左に印    幸橋御門外 浅草雷門前 深川海辺新田 《割書:新吉原町|山谷田町辺》新吉原江戸一丁目二丁目京丁一丁目二丁目角丁壱丁目二丁目揚屋丁伏見丁 惣じて仲の丁より四方郭中残る所なく類焼にて大門外御高札幷に同じかはの分 残り右かは残らずやける日本堤にて往来の地さけたり郭中におひて土蔵一ケ所も 残りなくゆり潰し其上に火事なるゆへけが人死亡の者かぞへ尽しがたし夫 より田丁にて出火して同所壱丁目袖すりいなり土手下あみがさ茶や北の方 少し残り候へ共大形つぶれ家と相也申候同所西の方谷中にて天王寺門前二ケ所 【上左ページ】 山川丁馬頭くわんおん西方寺■■■■寺はのこる▲同所南方馬道どふりより小しん町 やけ込編照見其向ふ猿若丁三丁目かはらさき二丁目市村内壱丁目中むら右三座 乃前後がくや役者しん道共やける但し三丁目森田かん弥宅より北の方のこる夫より 藪の内ゆりつふれ火災等にて残る所少し同所東の方山の宿九品寺より四 かはのこる南へ花川戸丁戸沢長家七分やけて止り同所馬屋西がはの分▲吉祥 院徳應院延命いん誠心いん無動院教善いん北馬道迄同所南馬屋は廻り角迄 やける▲同所馬道東かはの分青龍院泉凌いん泉藏いん修谷院妙徳院医王いん まんだら堂金別いん覚善院法善いん妙音院形松院右の分にいろは長家多 くあり分やける同所一の権現やける同所慈性いんにて焼止る▲浅草寺境内の 分奥山の諸宮等あれも破損いたし同寺内にて正智いん長寿いん勝蔵いん 寿命いん正福いん智光いん同く梅覺いん実相いん松寄いん金蔵いん観知いん 【下側資料】 天災(てんさい)地凶(ちきやう)は凡/人力(じんりき)の智(しる)る をもつてはかるべからず 人命(じんめい)生死(せうし)は草根木(さうこんぼく) 波(ひ)の及(およ)ぶところに あらずころは安政二 乙卯十月二日夜四ツ時 過より大地震ゆり出し家 蔵つぶれ死人けが人数多く其上 出火にて廿三ヶ所壱度にもへ上り 大火となり先日光道中はちあ 粟橋幸手杉戸粉譬大沢 【図中地名】        千住 よし原      木母寺 芝居町      牛の御前  聖天社 【上の資料】 日音いん此分裏にいろは長家ありいつれも大破也▲観音本堂山門鐘楼 随守門雷神門三社念仏堂此分無事也五重の塔くりん少し曲る東橋 川付の方にては北方山谷ほり迄焼残り候へ共潰家最多し右の内待ち山 無事也▲同所山谷はしより北の方今戸はしきは半丁斗やける同所銭ざ前 後は焼失潰家等甚多し▲同所ゑた丁のこる▲同所遍照寺のならび総泉寺より 其崎いなり迄大破の家多く川口と柳屋と云れうりやは無事也同所山谷丁 浅草丁同くつゝき中村丁小塚原丁千住宿大橋迄大破の家多し又千住にて 焼失在て此分追加に出すべし 浅草辺【白抜】浅草本願寺の分本堂無異寺中教覚寺鳥勝寺玉泉寺證 願寺圓照寺法ゆう寺雲妙寺来應寺光圓寺其外大破損同所誓願 寺門前丁潰家多し日輪寺門前其外此辺潰家多く総崩にて町〻 分りがたし候菊屋ばし向行安寺門前丁半丁やける同所西向がは新堀端迄 一丁余やける同あへ川丁近辺潰家多し▲こま形丁左りがは初富丁下申料 りや手前角より両かは不残やける此へん土蔵一ケ所も残所なしすは丁両側 やける黒舟丁同断同所しつくひや土蔵のこり同所角米問屋半のこる三好 丁川岸の方のこる同所南御馬屋河岸にて止る蔵前通り無異 下谷辺【白抜】下谷七軒丁よりやけ同所南方備後出雲両家大破同所大正寺 光生寺心行寺迄同向出雲様上やき半焼但し十軒丁向かはまで旲雲寺 下やしきより南方町家休昌寺忠網寺小妻川保朝比奈其となり妙願寺正 慶寺東淵寺やける喜連川半やける同所南方かや丁二丁目其向称仰寺幸安 寺東方教證寺やけ此所にて止るかや丁一丁目中ほとより二丁目の分也下谷 坂本一丁目より三丁目迄不残やける同所日北方金杉みのわ根岸御り松辺潰 【下の資料】 越ケ谷竹の塚草加梅田村千 住宿五四三二壱丁目かもん當大崩 小塚原等はぢしんの上出火 にてのこらず焼る浅草町三谷 町新鳥越三二壱丁目又は新町 みのは町壱二丁目坂本三二 壱丁目大音寺前大崩新吉 原江戸丁壱丁目より出火にて 揚屋町京町壱二丁目 角丁江戸丁二丁目伏見 丁焼る死人三千七百人 けが人数知れず田町 壱丁二丁目舟つ廿馬道 南馬道さるわか町壱丁目 弐丁目三丁目焼る役者新 道残る野て町かわらまち 山の宿花川戸半分残る矢 大臣門前焼る観世音 二王門つゝがなく地内大半崩 並木町少ゝ駒形通りすは丁 黒船丁は八幡丁中程にて止る 通はたご町森下丁片町 【図中の地名】 浅草観音 聖天丁 あずまのもり 御門跡 駒形堂 いづくかん あづまばし あたらし橋 たゝのやくし 御蔵前 やなぎはら 龜戸天神 浅草御門 あきはしらひげ 【上文章】 家甚多し同南東方東えい山下車坂はんすう院門前丁御切手丁山さき丁此 辺ゆらき寺院は大破多し上野広小路六あみだのこり同上野丁一丁目不残やける 二丁目過草やける徳大寺一乘いん同所南方北大門丁下谷同朋丁一丁目二丁目上野黒門町 同御家来やしき同朋丁拝領やしき井上ちくご守様長家御てん共潰る石川とのも様 南方□やける黒田豊前守様表長家やけ此所にて止る同所大関信濃守樣無事下 谷長■【者】町一丁目二丁目同二丁目代地同二丁目残地上野南大門丁下谷車坂丁同家来 やき■御徒士丁高野と申家より南え六丁斗やける同所西方へ廻り辻元と云医師 やけ同向五六軒やける同所西北方湯しま本郷加州様備後守様少〻破損夫より 駒込■【白ヵ】山すかも辺迄破損在之▲小石川御門内さぬき様するが様同御門外水戸様青山様 丹後樣小笠原様豊後様大破牛込にて赤城下坂代丁小日向水道丁古川丁近辺潰家甚 多し音羽より目白臺ぞうしかや東方大つか此へん大破無之候候▲市ヶ谷御門外 尾州様小破損かうし丁飯田丁ばん丁四ツ谷新宿此辺淀はし辺大破▲赤坂御門外 紀州様小破損同てんま丁さめがはし相はたけ寺ばしより赤ばね川筋迄大はそん目 黒ひろを白かね代丁高輪品川同北方札の辻此辺四方少々破損にて委くは後篇に出之 芝辺【白抜き】柴井町両かは共やける宇田川丁三島丁神明丁此分潰家多土蔵残所なし 同神明無事同増上寺地中北方の分少破損土の内少々破損在之▲同所より南方金 杉札の辻迄格別大破無之同北方にて桜田兼房丁自身番より同所南松平兵部 表長屋迄やけ同西方伏見丁かぢ丁くぼ丁太左右衛門丁びぜん丁いなば丁いづみ丁善右衛門 丁此辺潰家尤多し▲同西南方あたこ下西のくほいゝくら麻布市兵へ丁六本木 辺大破無之 《割書:永田町|外桜田》辺【白抜き】半蔵御門外御大名方諸屋敷町家共少〻破損▲南方外さくら田赤坂 御門内三べざか山王社無事かすみが関虎の門新しはし迄少破損東方幸橋御門 【下文章】 又は田原町三丁目より廣徳寺 門前寺地町家ちに損する 下谷藤堂立花其外御 大名旗本御屋敷不残崩 上野町長者町壱丁目 二丁目三丁目魚居七軒丁 伊藤松坂屋裏通りより 出火にて和泉橋通まで もへ出る夫より中町うら 通り崩表通りあら まし残る廣小路井の口 の側焼る下谷茅丁一丁目 二丁目迄焼る根津は二丁 とも大小損じ死人四百人 けが人数しれず家二けん 程残る無縁坂上は 松平備後守様御屋 敷焼る千駄木団子坂 此辺あまた崩谷中 善光寺坂上少〻残る也 向【白】山駒込板ばし けいせいが□つ保は大崩 【図中地名】 石はら やなぎばし 大仏寺丁 杉の森 しいのき 小田原丁 めかやばし 本所 駒止いし 江戸ばし 両国ばし 五百らかん 永久橋 みなとばし 回向院 乙女橋 【上文】 内松平甲斐守様伊藤修理大夫様やける南部美濃守様やける薩州せうぞく やしき南方少やける▲山下御門内ひゞや御門外少破損 丸の内辺【白抜き】和田倉御門内大番所松平肥後守様中やしき共やける同所腰掛やける同 南松平下総守様やける▲すきやばしゟ呉服ばし内大名小路前後御大名少〻破 多し▲辰の口向森川出羽守様酒井うたの頭様中やしき同上やしきやける▲常盤 ばしきじ橋御門内少破損▲田安様清水様無事《割書:遠藤但馬守|本多中務大輔》やける 小川町辺【白抜き】一橋御門外ごぢいんの原松平豐前守様本郷丹後守様共にやける其外小 やしき五六軒やける小石川御門内よりするが台小川丁筋違い御門迄少〻破損▲外神田 さみせんごり七曲泉ばし新し橋浅草御門柳橋少〻破損同所北方御蔵前より 御馬やがし迄無事▲すじかい御門内すだ丁ゟ今川橋日本橋迄家蔵の破損多 く火災無之 日本橋辺【白抜き】日本橋より中橋まで家蔵大破▲中橋南てんま丁二丁目横南かぢ丁より狩 野しん道五郎兵衛丁畳丁北こんや丁白魚やしき同東方鈴木丁いなば丁ときわ丁 太田やしき柳丁ぐそく丁炭丁本材木丁八丁目河岸迄やける土蔵此間に少残る 京橋辺【白抜き】京ばしより新橋迄御屋敷町家共大破▲築地小田原丁南飯田丁元 柳原丁此辺大破潰家尤多し▲西本願寺本堂無事寺中数軒大破此辺 御やしき大破土蔵潰多し▲鉄砲洲十間丁松平淡路守様やける明石丁潰家 甚多し舟松丁細川能登守様無事其外大破多し▲佃島大破損▲本八丁堀ゟ 北方大通り八丁堀組やしき又かやは丁薬師堂無事四方町家所〻大破潰家破損等多し 霊岸嶋辺【白抜き】霊岸嶋蛤丁四日市丁白銀丁大川ばた丁南しんぼり川岸限やける松平 越前守様中やしき残る其余みなと丁長さき丁大破▲同所北の方北しん堀久世様 伊豆様土井様小〻破損田安様無事其外大破▲行徳がし小あみ丁どうかん 【下分】 夫より本郷通り損じ本郷 より出火にて湯島切通し まで焼けるか州様御一手にて 消口取湯島天神少しいたみ 門前両側町家土蔵総いたみ 同三組町中程二軒たおれ其 外畑しんまち家灵雲寺ねり べいつぶれ門前大半崩れ 妻乞坂稲荷社少ゝ損じ 同坂上町屋崩同坂下は 酒井溝口建部内藤さま 皆〻表長家崩る 夫ゟ浅草茅町両側から 損じ浅草見附石垣飛出る 馬喰丁横山丁大伝馬丁小伝馬丁 大門通り人形丁此辺 少ゝいたみ夫より東橋 向松平隠岐守様御屋敷 潰れ焼る本所石原町 外手町同片町大崩其 上出火にて南割下水 中程にて止る又壱口 【図中地名】 弁てん 深川六軒地 八まん すさき 深川 【上文】 ぼり酒井様本田様林様紀州様三河様井上河内様堀出雲守様此へんのやしき 并二銀座甚左衛門丁より人形丁通はたご丁通迄大破そん同向にて小舟丁堀江丁 本舟丁せと物丁此辺ふ残大破▲北方大川ばたにて安藤様新庄様菅沼様大破 同裏通り秋本様牧野様遠江守様永井肥前守様此四方大川ばたゟ横山丁迄大破 今川橋辺【白抜き文字】日本橋北本丁今川ばし迄大破十けん店東方石丁通大てんま丁小てん ま丁はたご丁油丁ばくろふ丁横山丁両国ひろ小路柳原の土手迄大破▲同所郡 代やしきとしま丁細川玄蕃頭様弁慶ばしお玉ケ池市橋下総様小柳丁もみぐら すた丁の通り迄大破損土蔵多く大破▲同所西方すじかい御門内にて青山下野 守様酒井様土井能登守様松平左衛門様稲葉丹後守様土屋うねめ様戸田 竹次郎様内藤駿河守様堀田備中守様伊東若狭守様柳原式部本多伊予守 様本多豊前守様御勘定奉行三河丁迄此四方御やしき町家共大破悉記がたし 深川辺【白抜き文字】永代橋わたり相川丁御舟蔵御舟手組はそん同所木戸きは二軒斗のこり南 方熊井丁やける正源寺やけるとみよし丁諸方中島丁北川丁黒江丁右かは半丁残東つゞき蛤 丁大島丁西念寺やける一の鳥居永代寺門前山本丁仲丁右かは永代寺表門角にて焼止る同 元かは半丁手前にて止る八幡宮無事右の鳥居二カ所大破社内多くはそん同門前丁潰 家多し三十三間堂大破木場何れも大破同東入舟丁潰家多しすさき弁天 社内無事但し茶屋等破損木〻所一場大破同南西方阿州様越中様榊原様端雲 寺は少破そん此辺火災はなし同所黒江丁さか丁代地凡一丁四方やける同所本所石原 丁代地より平の丁添地一丁斗やける此辺潰家多し同所東方六万坪ゟ毛利新田 砂村猶此東方がく四方共大破潰家数しれず▲同寺町通り諸家寺院大破損 浄心寺本堂大破寺内三ヶ寺并中門表門手水舎共潰同表口題目石倒れる 同霊かん寺表門倒本堂寺内共大破同所本誓寺大破損夫より正覚寺橋通り 【下文】 御船蔵前大口横丁より 出火にて深川六軒 堀神明門前ときは丁 此辺大崩の上焼る神 明様つゝがなく同珍 動寺地中潰薬師 堂つつがなく相生丁 松坂丁此辺大半崩 緑丁ゟ出火にて壱二三 目四丁目しもくばし 橋きはまで焼る夫より 小梅通り引船辺まで 焼る深川は相川丁より 冨吉丁宝町蛤丁北川 丁熊井丁外記殿丁出島 丁黒江丁中丁永 代寺門前残らず焼る 八幡石鳥居二つお れる本社つゝがなく 地内総崩三十三間 堂大半崩洲崎木場辺 大崩又佐賀丁一色丁油 【図中地名】 王子こんけん 上野東叡山 谷中くりんのうし 板ばし 下谷いけのはた 本郷 神田明神 一ヶ谷 せいどう 昌平橋 小川町 すじかへ 【上部文】 万年丁一色丁三角此所納屋蔵町家諸寺焼多く潰▲永代橋左の方さか丁万年 ばし異雲いん海辺大工丁いせ崎丁木場此へん潰家多し平の丁東西立花樣大破 同西方魚川丁円速寺万徳院大破損▲南方小名木川筋猿江辺此所の四方大破いふ 斗まかし▲大橋をわたり右へ深川元町松平遠江守様下やしきさるこ橋迄悉潰る同 大橋より尤方木下図書潰西方安多気御舟蔵無事同所一つ目弁天大破損同所八まん 旅所同所再幸寺初音いなり此辺多く崩同所御船蔵前丁より出火同所大仏殿後所 はがみこんけん秋葉宿寺此南方小やしき多く破損の後やける同所東方六間堀あべ川屋 より半丁北にて出火南森下所飛火此辺大崩焼地在こた▲八名川丁北六間堀丁同通り もみぐら少やける同所神明門前丁御社残り此辺一面やけるいのうえ井上河内守様やける常盤丁よりやけ出し 小笠原さまやける太田様表長家少やける高橋きはにて止る此四方やけ残町〻御屋敷潰家尤多弥勒 寺表門潰同所要津寺慶長寺【長桂寺】共大破いよ橋通り東方徳右え門丁二丁目三丁目までやける近へん何れも大崩 本府辺【白抜き】両国はし右方一のはし石垣崩同元丁回向院鐘楼堂潰同所本多 内蔵介大破相生丁一丁目より五丁目辺大崩道みどり丁一丁目二丁目までやける三丁目角にて 止る同四丁目五丁目花丁しゆ木橋際迄やける津軽様大破同北方柳原丁五丁かやば丁 四丁亀戸天神旅宿本所尾丁松代丁四丁目中ノ郷五橋丁辺悉大崩土蔵残ふなし ▲本所五つ目渡場十軒斗やけて消事▲亀戸天神ふもん院光明寺萩寺光蔵寺 長寿寺あ部長徳寺亀戸丁柳島丁法性寺妙見宮常照寺押上村最教寺大雲寺 性生寺永泉寺全性寺春慶寺法恩寺橋通り霊山寺本法寺大法寺生つ盛寺 南本所出村丁北割下水南割下水此へん小やしき多潰土蔵数カ所崩▲大川通藤堂 和泉寺様中やしき同所津軽様蔵屋敷大破松前伊豆守様御竹蔵無事駒止石の通り 松浦壱岐守様同所御大名下屋敷最上様石原町碩雲寺御舟段後所御高屋河岸上り辺迄 大破土蔵残る処なし▲本所石原丁半丁やける同所向井物盤様徳山様牛御前旅所石原町 【下部文】 ぼり三角屋敷富久町 松平和泉守様御屋敷総崩 寺町通り少し損じ平野丁 大和丁此辺ふ残人数六十 人ほどつぶれ夫より北新ぼり 箱崎霊岸島一えん大崩 大川畑焼る夫より小網丁三丁其 大崩川岸通り蔵ふ残崩 小舟町堀匁石町壱二三四 此辺少しいたみ夫より内神田 今川橋より須田町迄大半崩 筋違御門つゝがなく昌平橋 つゝがなく昌平橋通り籏籠丁 金沢丁御台所町御同朋町 大半崩明神社つゝが なく夫より東叡山地中 大半崩本堂つゝがなく 夫よりせいどう御茶の水 少し損じ夫より小川町は 本郷丹後守様松平紀伊 守様榊原式部大輔様 板倉様戸田様此 【図中地名】 飯田町 今川橋 御城 日本橋 南伝馬丁 京ばし 八丁ぼり かやば丁やくし 【上文】 御組あらい丁松倉丁此分大崩▲同所中の口表丁半丁斗やける北本所番場丁南本所番場 丁原庭丁糸田茶師女夫石此辺悉 残る所少し同所本なり平橋南蔵随延命寺北条新蔵様此辺 組やしき同断吾妻橋渡り細川能登守様松平越前守様下竹腰兵部様丹膳兵あ様下尾丁元やき釜座まで潰此外 大被土蔵多く崩れ悉筭がたし▲同小梅村尾町小ぐら庵と伝れう也やける近辺類焼同所水戸殿下 屋敷同所日蓮宗常泉寺門前吾妻或西方三園りいなり牛御前長命寺すみだ川堤さけ割地中泥 を吹出す事おびただし同所桜もち其外所〻潰家甚多し同黄蘂家牛頭山弘ぶく寺地内悉潰すは明神 白ひげ明神梅やしき宝泉寺木母寺梅若塚等大被院内茶屋潰家多く同かねヶ淵水神の或大破夫より東方こくら 村寺崎村若宮村引舟通客神大明神木下川浄光寺薬師門南舟堀葛西柴又かめあり二拿飯此外村〻大破中川した両所前向共大崩 残分 〇小川町堀田様戸田様高家戸田様小やしき少〻やける近辺大破 〇小石川牛天神下すは丁すは明神大破同所半丁斗やける同江戸川筋潰家多し 一御屋敷潰焼共二万四千二百六十三軒一町数三千七百八十七丁死人二十一万七千三百八十余人 一寺院一万六千三百五十二ケ寺 【上左ページ四角升毎、上から下へ】 白鳳五 土佐国田地     五十余石たちまち     海となる     千百八十年 同六  伊豆国に     大嶋できる     千百九年 同十一 風なくして     神社仏閣崩     千百七十四年 同十二 天下大じしん     人馬多く死す     千百七十三年 慶雲四 六月天下     大地震     千百五十七年 天平六 四月天下     大ぢしん     千百五十一年 同十七 天下大ぢしん     月をこへてやまず     千百四十年 勝宝五 摂州     大つなみ     千百三十四年 延暦十八 ふじ山やける      其音如雷      千八十八年 天長四  諸国      大ぢしん      千六十一年 貞観六 五月ふじ山     やけて三十里程   千二十年 人家崩 同十一 奥州     大ぢしん     千十五年 元慶二 関東     大ぢしん     千十一年 仁和元 大ぢしん大露     星下る事   千十一年 雨のごとし 延喜十一 正月       大地震      九百七十四年 承平二 九月廿七より     大ぢしん     九百五十四年 同五 諸国    大ぢしん    九百五十一年 天慶元 四月十五より     廿七日まで   九百三十七年 大ぢしん 長久二 大地震     八百三十九年 同三 大ぢしん    法成寺塔たをるゝ   八百三十八年 寛治 諸国    大ぢしん    七百九十三年 同六 諸国    大つなみ    七百八十七年 健保元 和田かつせん    大ぢしん    六百七十七年 正嘉元 大ぢしん     みぶ寺やける     六百二十二年 乾元 大嵐    大つなみ    五百七十七年 元弘 大ぢしん    五百二十一年 延文五 大ぢしん    四百九十七年 天授三 諸国     山〻崩る     四百八十二年 慶永十三 大ぢしん    四百五十一年 文安五 大ぢしん    四百九年 宝徳 度〻    大ぢしん    四百八年 文明七 津の国     大つなみ     三百八十三年 【下文】 辺ふ残やける又牛の一 より小石川龍雲院 門前不残崩当丁より 飯田町迄大小崩 又御城外は西御丸下 牧野備後守様 本庄安芸守様 本多越中守様酒井 右京様此辺御屋敷おゝ 損じ松平下総守様 焼る松平肥後守様同 向屋敷残る松平伊賀守様内藤紀 伊守様松平玄蕃守様少〻損じ又 八代渕河岸松平相模守様大半崩 御長家焼る火消屋敷遠藤但馬守 様不残焼る鍛治橋御門内松平三 河守様鳥居丹後守様松平和泉 守様松平能登守様少〻損じ長腹 橋内取野周防守様松平丹後守様久 世大和守様松平備前守様細川様 松平伊豆守様秋元但馬守様てん そう御屋敷皆〻少〻損じ大名に語 【図中地名】 山王 しんばし 愛宕山 青山 芝神明 増上寺 つきじ 金杉ばし 三田 田町 せんがくじ 【上右ページ四角升毎、上から下へ】 明慶三 大ぢしん     三百六十三年 永正七 遠州別る     大ぢしん     三百四十六年 天正十七 駿遠     大ぢしん     二百六十六年 慶長二 京大坂     大ぢしん     二百五十九年 同十八 諸国     大ぢしん     二百四十三年 寛永四 正月関東     大ぢしん     二百二十九年 寛文元 諸国     大ぢしん     百九十五年 天和三 日光山     大ぢしん     百七十三年 元禄十五 宝永山出げん      関東大ぢしん     百五十三年 宝永四 十月五近畿内      大ぢしん     百十九年 文化元 六月四日より  五十二年 七日まで     出羽大ぢしん 同九 関東    大ぢしん    四十四年 天保元 七月二日     京都  二十六年 大ぢしん 弘化四 善光寺開帳  九年 信州大地震 嘉永六 相州小田原    三年 大ぢしん 同七 豆州下田    大つなみ 右二相印年代は年号始より今安政二年迄天下大地震之年数早けり也 前出に相落し候分左に相印申候 一かう三町紀州様表長屋尾州様西長屋霞ケ関黒田様北角長屋潰  四谷新道南半丁程同所大通り玉川御上水万年樋大崩れ往還一丈余  又は二丈余とく穴明き同所数万とく人部にて三日とく間に相直り候永田町  山王うら門前土井様岡部様表長屋相つぶれ申候 一御救小屋深川八幡境内一下谷山下明地一上野宮様より同所山下 【上左ページ】 一此度大地震之節死亡人諸寺本山にて取調之写 一天台宗   弐万千五百余人 一浄土宗   三万五千七百余人 一古儀真言宗 一万九千五百余人 一新儀真言宗 壱万七千六百余人 一禅臨済宗  一万九千五百余人 一〻曹洞宗  七千六百余人 【下ページ】 阿部伊勢守様松平内蔵頭様 松平和泉守様織田蔵少輔 様皆〻少し損じ日比谷御門内 土井大炊頭様本多中勢様松平 右京様永井遠江守様皆〻 少し損じ阿州様土州 様大半崩松平吉殿様 少し損じ常盤橋御門は 松平越前守様夏目左近将監様□□様 太田様小笠原様神田 橋内酒井左衛門様一ツ橋様皆〻少し 損じ山下御門内松平肥前守様阿 部播磨守様松平大膳大夫様皆〻 大半損じ桜田御門外上杉様板倉様 大久保駿河守様石川日向守様西尾隠岐守様 相馬大膳喜皆〻少し損じ阿部稲葉守様 水野出羽守様小笠原佐渡守様北条美津十様 松平伯耆守様三浦志摩守様皆〻少しそんじ 寢ケ関安芸様黒田様少し損じ永田馬場 山王辺少し損じ幸橋御門内松平時之助様 薩摩装束屋敷鍋島加賀守様皆〻少し 【図中地名】 六かく 品川 川さき 【上側文】 一黄檗宗  七千五百余人 一日蓮宗  九千八百余人 一同勝劣派 五千七百余人 一西本願寺 三万三千九百余人 一東本願寺 三万七千八百余人 一時宗   三千七百余人  〆 廿壱万九千九百よ余人 【下側文】 損じ有馬備後守様丹波長門守様皆〻少し損じあたらしはし 亀井隠岐守様真田信濃守様皆〻少し損じ堂宿下辺御大名 御旗本皆〻大半損じ久保町辺大崩又山の手は麻布十番まミ 穴辺大に崩四ツ谷御門外塩丁より麹町平川天神此辺不残崩夫ゟ 赤坂辺少し損じ青山辺少し損じ又壱ケ所八十軒店より日本橋辺は 室町三丁とも大半崩西川岸より呉服丁近辺東の方は四日市万丁 魚がし住よし丁がし又大通りは南鍛冶丁より出火にて南てん馬丁二丁 目同三丁目南大工丁畳丁五郎兵衛丁具足町ときは丁いなば丁や なぎ丁鈴木町すみ丁材木丁八丁め大根がし此こんや丁まで焼る 夫より京橋向より芝新橋まで大半崩芝口ハ柴升丁不残やける 又宇田川丁又神明前大崩神明様少し損じまた金杉より 芝橋迄大半崩夫より高輪十八丁不残大地壱尺ほどわれたり 深川格別の事なしといへども諸〻いたみさみづ大蔵へんまで少〻 損じ芝裏辺りは仙台様脇坂あわぢ守様清浜御殿少し損じ 赤羽根より飯倉へん三田辺り迄大半崩夫より築地御大名御旗 本町家大半崩西本願寺少し損じ八丁ぼり辺茅場丁少〻 損じ南八丁ぼり鉄砲洲大半崩佃島少〻損じ又東海道 川崎少〻損じ神奈川宿は大に震程ヶ谷戸つか藤沢平つか大 磯小田原まで格別の事なし又仲仙道は板橋わらび浦和上尾大 宮まで大にふるひ下総口は行徳船橋辺はわけて大にくづれ 青梅道中は半能所さわ秩父大みや辺までふるひ 【上側】 一 黄檗宗  七千五百余人 一 日蓮宗  九千八百余人 一 同勝劣派 五千七百余人 一 西本願寺 三万三千九百余人 一 東本願寺 三万七千八百余人 一 時宗   三千七百余人  〆 廿壱万九千九百余人 【下側】 加々る凶変は古今稀にして死亡おびただしくおそるべし〳〵 大地震大火にては遠国他邦の親類へ告知らせん為に委 敷調集なす也  一 町数 五千七百八十丁余崩  一 御屋敷 四千百廿戸五軒損  一 寺院堂社 壱万二千百廿ヶ所  一 土蔵数 七百五十八万六千四百三十二ヶ所  一 死人数 十二万七千五百余 加く家やしきを失ひたる軽き者はそれ〳〵御手當御救 米取下置四民安堵に帰し御紅徳あふぎ奉るは実 に難有次第なり 【白紙】 方角場所附  橋の数六十五六ケ所        土蔵の数二千三百二十四五 合印 ■御上屋敷    ▲御中屋敷    ●御旗本様 御救小屋 一 土橋久保丁原  一ヶ所 一 すきやがし   〃 一 ときはばし   〃 一 かまくらがし  〃 一 すぢかひ外   〃 一 四日市     〃 一 つきぢ御門跡前 〃 一 北八丁堀松や丁 二ヶ所 一 両国ひろ小路  一ヶ所     都合十ヶ所 夫人として孝なきは 人にあらず江戸大火 と聞ては国々親兄弟 のなげきはいかばかり ぞや是一時も早く あんぴをつげしらせ あんどさせべき事 第一也扨も文政十二 丑のとし三月廿一日の 朝四ッ半時頃より西北 の風はげしくそら 一めんに物すこき折 から外神田へんより 出火していつみばし 焼おち土手下 ■細川様びくに丁 としま丁久右衛門丁江川丁亀井丁鉄炮丁 【上段】 小伝馬上町丸太かし内神田辺不残かまくら横町やまと町 ■■■町わら店久右衛門町代地附木町冨松町柳原不残小柳町九軒町松木丁 ■■地元せはぐはんしまへおたまがいけ籠閑丁け■■丁 こいづみ丁松枝丁御屋敷は佐野様冨田様市橋様細川様 その外御やしきかす〳〵富重丁久右衛門丁江川丁元岩井丁 佐柄木丁代地御藏地きし丁まふ丁白かべ丁上下黒もん丁 みしま丁すだ丁東かは通新し丁片かはなく下かはかじ丁 こんや丁べんけいはし一口はかまくらかし永富丁本しろかね丁 かわや丁ぬし丁川合新石丁大伝馬上丁さい木かし橋本丁 ばくろう丁通四不丁よこ山丁のこらず両国ひろかうじ まで一口は本丁石丁がし大伝馬丁小伝馬丁通はたご丁 あぶら丁たちはな丁冨ざは丁久松丁村松丁田ところ丁 ほり留ほりへ丁元のりもの丁はせ川丁なには丁たかさご丁 すみよし丁しんいづみ丁人形丁さかい丁芝居友ふきや丁 芝居とも人形芝居二ヵ所大坂丁へついかし松しま丁 よし丁てりふり丁小舟丁のこらず一口は両かへ丁するが丁 室丁せともの丁いせ丁本舟丁長はま丁按じん丁小田原丁 北さや丁品川丁御うらかしくき店日本はし屋け落る 江戸橋同所西かし四日市本材木丁万丁あおもの丁 ごふく丁言照丁佐門丁ひもの丁松かは丁くれ正丁鈴木丁 いなは丁をくさは丁ぐそく丁柳丁一口は上下まきてう おが丁中はし通四丁南伝馬丁のこらずたゝみ丁五郎兵衛町 西こんや丁八丁ぼりのこらず御屋敷は九鬼さま越中守様 【下段】 牧野様小順様しん川しんちり良うらかやば丁ほ箱さき れいがんじまかめ嶋つくだしま御やしきは越前様御中屋敷 又一口は京橋こんや丁銀座丁四丁尾はり丁竹川丁いづ も丁金六丁白魚やしき三十間ほりのこらずしん肴丁 弓丁弥左衛門丁やりや丁すきや丁南なべ丁さい木丁 かゞ丁八官丁丸屋丁瀧山丁宗十丁山王丁守一丁内山丁 土はしやけとまる芝口一丁め片かは南八丁ほり残らす 御屋しき本だ様だて様新庄様冨よし丁大くら丁 松村丁木びき丁芝居とうり板倉様御やしきかのふ様 曲渕様大久保様周防様すわう様柳生様せんこく姫 本多様田ぬま様亀井様宮ばら様溝口様おくたいら様 しほとめはしやける脇坂様御長屋少してつぼうづは いなり切之丁々のこらす御やしきは阿波様中川様細川様 長門様筑しはかもん様左近様小笠原様いしかわ様 堀田様さかきばら様西尾様とを〳〵み様宮川少輔様 上さ様備ぜん様まつ下様青山様木下様大嶋將畠山様 升田様くろ木様伊とう様戸川様いなば様庄田様村垣様 西本願寺淨山様なんぶ様いなば様越中様一ばし様 堀田様あき様御蔵やしき尾はり様御くら屋しきにて とまるこの外御屋しき数多一口は濱丁伯耆守様やしき 水野様小笠はら様佐竹様松の様水の様ぎんさ  □安■様水戸様■様御蔵屋敷にて止る  焼失したことばくたい也依之有かたくも 御公儀様ゟ御救の小屋を御立被下きかつにも及はす雨露にも打れす  上にめい〳〵御鳥目を下されし事実にとうとく有かたき 御仁政のほど申もおそれ多き事ながら万民よろこびかぎりなし 文政十二丑の年三月廿一日 朝四ツ時頃より外神田 佐久間町弐丁目/材木(ざいもく)小屋 より出火し折しも/北風(きたかぜ)はげしく 柳原土手下へ/飛(とび)火なし 御もみぐら一ヵ所/焼落(やけおち)夫より 火の手一面につよく小伝馬町 /牢屋(らうや)大門通りへ焼出大丸/呉服店(ごふくだな) その外/大商人(おほあきんど)の/家々(いへ〳〵)土蔵又 /近辺(きんへん)を焼はらひふきや町 堺町かぶき人形/芝居(しばゐ)とも/焼失(しやうしつ)す 東は御/郡代(ぐんだい)屋敷辺馬喰町 横山町/橘(たちばな)町辺又柳橋両国 /広小路辺(ひろかうぢ)/辺(へん)焼ひろがり/矢(や)の/倉(くら) 御大名方御屋しき濱町永久 橋永代橋きはまで焼はらひ/箱崎(はこざき) 新川新堀/霊岸嶋(れいがんじま)へうつり越前様 御屋敷を初め町家/残(のこ)りなく焼 /佃(つくだ)嶋へ飛火して嶋の内こと〴〵く焼づくしぬ 又/筋違(すぢかひ)より須田町辺三河町辺鍋町鍛冶町 /立閑(りうかん)橋辺今川橋辺/銀(しろかね)町石町本町辺/駿河(するが)町 越後や両店を初め室町辺の大商人/軒(のき)をならべて焼うせ 小田原町せともの町伊勢町辺日本橋江戸ばし四日市 ■【あ】らめ【荒和布】橋小船町てりふり【照降】町小あみ町辺本ざいもく町通り 海ぞく橋かやば町辺より北八丁堀南八丁堀/鉄(てつ)ほうづ辺 つき地/門跡(もんぜき)寺中残さずその外大小名御やしき一つ橋様 ■■【尾張】様御■■■【蔵やし】き等/数(かす)かぎりなく/焼失(せうしつ)し又木ひき町辺は ■■■【紀州様】御蔵屋しきを■■■【初めそ】の余の御屋しき  河■■【原崎】かふき芝居町家残らず焼うせて 奥平様御屋しきまで焼 又日本橋を/焼落(やきおと)し 通■【り】町中橋ひろ小路京橋を焼落し銀座町三十間堀 尾張町竹川町新橋より/汐留脇坂(しほどめわきさか)様御屋しき少々焼失す 又一石橋川岸呉服町檜物町をけ町びくに橋弓町辺 すきやかし南なべ町辺土橋のきはまで焼く/終(つひ)に夜の 七ツ半頃やうやくにて火しづまりぬ。さればこの日は北風 殊にはげしくしてあるひは西を/吹(ふき)まく又は/東風(こち)を吹まはし すなを/飛(とば)しちりを/巻(まき)あげ風にしたかひいとすさまじく ほのほはしん〳〵ともえあがりてあたかも天をこがすごとく 東西南北のちまた〳〵に/老若(らうにやく)男女は/持出(もちいだ)せし /道具(どうぐ)/衣類(いるい)をうち/捨(すて)〳〵/右往左往(うわうざわう)に/散乱(さんらん)して /親(おや)は子を捨子は親にわかれ/夫婦(ふうふ)はなれ〴〵に なりて道具につまつきこけまろび 踏殺(ふみころ)され焼ころされ/泣(なき)さけぶこゑ天 地にふるひて/喚叫地獄(けうくわんぢごく)【「叫喚」カ】に/異(こと)ならず目も あてられぬありさまにてあはれといふも おろか也/諸侯(しよかう)を初め町々のさしもに/造(つく)り 立たる土蔵の/焼落(やけおち)しこと/数多(かすおほ)くて かぞへあぐるにいとまあらず/且(かつ)三/座(ざ)のかぶき 芝居皆一同に/焼亡(せうばう)せしこと/古今(こゝん)/未曾有(みぞう)と /謂(いひ)つべしかゝりしゆゑ火しづまりて後/焼残(やけのこ)りし町々の/明家(あきは)は 一/時(じ)に/借り(かり)つくし/家(いへ)をもとむる/方便(てだて)なく/野宿(のしやく)するものおびたゝしく /困窮(こんきう)たとへがたければ/恐(おそ)れ/多(おほ)くも /官府(おかみ)より御/憐愍(れんみん)を/垂(たれ)させ給ひ たゞちに所々の/原中(はらなか)へ御/救小屋(すくひこや)を/建(たて)させられ/道路(どうろ)にをる者をこゝに/住(すま)はせ それのみならず/朝夕(あさゆふ)の/食物(しよくもつ)までを/恵(めぐ)ませ給ひ/諸(しよ)人の/難義(なんぎ)を すくはせ給ふ /君恩(くんおん)の/尊(たふと)き事/仰(あほ)ぎても/猶(なほ)/仰(あほ)ぎつべく/前代(ぜんだい) /未聞(みもん)乃/㕝(こと)なりけり 【右下】 御救小屋場所   筋違橋御門外  一ヶ所   江戸橋広小路  同   幸橋御門外   同   数寄屋橋御門外 同   神田橋御門外  同   常盤橋御門外  同   松屋橋川岸   同   築地門跡前   同 【左下】 合印 ▬ 御上屋敷 ▲ 御中屋敷 ● 御下屋敷 御府内町人衆自分地面斗り被施候衆は数多右畧之 未聞有徳志施集め書記尚又追々 【表題の下】 頃ハ天保四巳のとし仲秋八朔風雨はけしくして田畑をくづし 出来物少く諸人心安からす然るに乍恐 御公儀様より御れんミんを以江戸中の町衆江御すくひとして両度迄 莫大なる御米をヒ下置難有こと奉申上も恐あり依は諸民喜事 かぎりなし誠に御府内の町人衆家持地主有徳なる面々大平の 御代の御仁徳をしたひ自分地面又ハ出入等の者へ夫々に金銀 米銭をほどこし中にも自分の居所にかゝわらずに其近へん 隣町まで志を施したる人々計を一紙に集め書記尚又追々 ほどこしたる面々せんさくいたしあとより書加へ可申候餘り目出度 事ゆゑ梓に綴り四方諸君の高覧に備ふのミ 【四段の内の一段目】 巳八月十二日出火    深川堀川丁■佐賀丁迄    一軒前 一《割書:米壱俵|さつまいも壱俵》ツゞ 幸崎屋 一引割五升ツゞ 同上下佐が丁壱人前    灵岩嶋丁八ヶ丁一人前 一金二朱ツゞ   廉嶋や清兵衛    同七ヶ丁へ一人前 一金壱分ツゞ   伊坂市右衛門    大川ばた一人前 一金壱朱ツゞ   《割書:井上|村沢》    同■ノはし内一軒前                    小西弥兵衛          加せや利兵衛 一金壱分ツゞ   大和や又右衛門          千代倉          中沢や    同みなと丁一丁目二丁目一軒前 一白米壱斗ツゞ 《割書:伊勢太|桐源ならや》    同 同断 一麦引割五升ツゞ 炭や重兵衛    八丁ほり永嶋上下一軒前 一同壱斗ツゞ   松や庄助    同 一銭壱貫文各々  近江や茂兵衛    同 一二朱ツゞ    吉田や久兵衛    同 一二朱ツゞ    明石や市郎兵衛    同 一銭五百文ツゞ  小上馬    同 一銭五百文ツゞ  万や清吉   同 一米五升ツゞ   美のや冨蔵   □山ばかりにて   同丁内名前人江 一銭壱貫文ツゞ  かやば丁       同家内の者へ地主方 一五百文ツゞ   寄合   本八丁ほり二丁目丁内 一米■■ ツゞ  大坂や   材木丁四丁目■■■ 一みそ壱貫メツゞ 近江や伊右衛門   深川大塚丁一軒前 一金壱分ツゞ   水田太郎五郎   □堀町八丁ほり出嶋丁   亀島丁まで 一金二朱ツゞ   石橋米店   深川小川町四丁四方へ一人前 一銭五百文ツゞ  近江喜平次   但シ一人前七百文ツゞ 一金二朱ツゞ   清水や清兵衛    同 一金二朱ツゞ   同徳左衛門   同■■丁一けん前 一銭壱貫文ツゞ  内藤氏   同丁内へ ■■どうばし 一金二朱ツゞ   水戸屋   同■丁万年丁 一《割書:米五升|麦割五升》ツゞ おうミや清右衛門   ■■   上下八丁へ一人前 一米弐升ツゞ   とうのや儀兵衛   本所相生丁二丁め一軒前 一米壱斗ツゞ   しほ原   同       さのや 一麦五升ツゞ   松 利兵衛   同一丁め一人前 《割書:一男三百文ツゞ二一女弐百文ツゞ》溜り屋   小あミ丁二丁め一軒前 一金壱分ツゞ   久住五郎左衛門   同 一金壱分ツゞ   □浅や与右衛門   せともの丁一軒前いせや 《割書:一金壱分| そうめん十巴》ツゞ「イ 伊兵衛   大伝馬丁三丁め裏通一軒前 一《割書:米壱俵|金壱分ツゞ》ツゞ 大丸屋   外神田平川丁代地一人前 一銭二百文ツゝ  嶋野や平六   同佐久間丁二丁め丁内 一金一朱ツゞ   伏見屋   同 一銭七百文ツゞ  伏見や五郎八   神田門久右衛門丁蔵地        丁内一軒前 《割書:一米三升|一銭二百文》ツゞ綿野政吉   同 一《割書:米三升|割五升》ツゞ 横田又三郎   同 一米三升ツゞ   笠倉弥七 一一《割書:金壱朱|銭三百文》ツゞ伊沓や九右衛門   同 一同断      峯村金次郎     北新ほり丁川へ  銭七〆五百文    秋田●わく寺へ 一出入人へ      松本●長兵衛  四〆文ツゞ同や四けんゟ 岡村坊主方 【四段の内の二段目】    本郷四丁め一人前 一銭三百文ツゞ   万屋彦次郎    同 一銭二百文ツゞ   くすり 笹や【眼の絵あり】    同六丁め丸山辺まで 一米壱斗ツゞ    小島平兵衛    ゆしま三組丁  一軒まへ 《割書:一米三升|一味噌五百目》ツゞ    伊沓や利八    東北大徳寺門前一軒前 一銭壱貫文ツゞ    いせや次兵衛    同元町同前 一金壱朱ツゝ     さのや庄八    同みとり丁二丁め同断 一金二朱ツゞ     大和や忠兵衛    鉄炮洲本湊丁一人前  一銭三百文ッゝ    拪原学兵衛    同 一二百文ッゝ     いせや久兵衛    西こんや丁一軒前 一金二朱ッゝ     伏見や甚右衛門    三十けんほり五丁め内 一金二分ッゝ     鳥羽や清右衛門    同八丁め 一同断        冨田や六兵衛    芝金橋 一銭五百文ッゝ    松や源三郎    同田丁うらよこ丁一軒前 一銭五百文ッゝ    丸や吉兵衛    同 一金壱朱ッゝ     宮岡けんぎやう    赤坂表伝馬丁一丁め一軒前 一米三升ッゝ     児玉や    かうじ丁平川二丁め         いせや 一《割書:米壱斗ッゝ|外子共一朱ッゝ》    重兵衛    同 一同断        坂東や重兵衛    同三丁め 一米壱斗ッゝ     いせや次兵衛    同四丁め 一同断        越前や又左衛門    同五丁め 一金壱分ッゝ     升屋    同 一大豆三升ッゝ    堺や七兵衛    同七丁め 一〇■迄以下畧ス 一銭二百文ッゝ    片桐氏    同八丁め 一金二朱ッゝ     秩父や孫七    渋谷しん宿仲丁丁内中 一二朱ッゝ      と倉や    同十丁め 一白米五升ッゝ    分銅    飯田丁一円 一金二朱ッゝ     万六    市ヶ谷御門外 一金壱朱ッゝ     本笹や    同組一人前 一銭三百文ッゝ    分銅    市ヶ谷上田丁一丁め 一銭五百文ッゝ    角いせや    同左内坂一ゑん 一銭三百文ッゝ    きゝやうや    市ヶ谷外 一同断        浜松や庄太夫    同八まん丁 一金二朱ッゝ     大和や平八    市ヶ谷  一甚壱分ッゝ     越前や吉兵衛    牛込わかミや 一銭三百文ッゝ    つちや清五郎    同 一金壱朱ッゝ     飯田や庄五郎    小日向水道丁一ゑん 一米壱斗ッゝ     山崎や半兵衛    市ヶ谷柳下 一米五升ッゝ     大坂や   浅草花川戸丁 一米壱斗ッゝ     松や四郎兵衛   同北馬道 一金壱分ッゝ     佐の倉   同南馬道 一金二朱ッゝ     大三ッ 酒や   御蔵前森田丁 一米一斗五升ッゝ   いせや嘉右衛門    本八丁ほり二丁め 一銭九百八十文ッゝ  酒店松屋    浅草新新ほり 一金二朱ツゞ     寿松院    同材木丁 一銭五百文ッゝ    越後や甚兵衛    同すわ丁 一米壱斗ッゝ     いつミや    同下はたこ丁 一米壱俵ッゝ     いせや四郎兵衛 【四段の内の三段目】    浅草堀田原中丁内 一御すくひ米頂戴  かぢ川 一の義弁当を出ス   宗兵衛    同 一銭五百文ッゝ   池田や市兵衛    同かわら丁 一金二朱ッゝ    峯村    同 一米七升ツゝ    堀口    同 一金壱分ツゝ    いせや四郎兵衛    同 一《割書:男米五升|女米三升》ツゝ   《割書:児玉や|いづゝや》 一同断      《割書:松坂や市右衛門|坂倉清兵衛》    元はたご丁 一米壱斗ツゝ    坂倉や喜右衛門    新右衛門丁近へん一人前 一金二朱ツゝ    川村伝左衛門    南こんや丁 一《割書:金二朱|米一斗五升》ツゝ   いせや半兵衛    御くら前片丁 一白米一斗ツゝ   いせや幾次郎    同 一同断       坂倉や七郎兵衛    浅草平右衛門丁一人前           いせや次助 一《割書:米三升|割二升》ツゝ    いせや三郎右衛門           松本平八    同森田丁  米一斗五升  銭二百文ツゝ 一御すくひ米    坂倉次兵衛  頂戴のせつ  弁当并  くわ〳〵代    麻布 一《割書:廿丁壱メ目|銭二百文》ツゝ  いせや与右衛門    通四丁 め 一金二朱ツゝ    大文字や    深川中木バ 一《割書:米三升|銭五百文》ツゝ   大坂や半兵衛    同下木バ 一《割書:米三升|銭二百文》ツゝ   天満や庄兵衛    同近辺不残 一金二分ツゝ    鳥羽や材木店    同 一《割書:勤壱分|米五升》ツゝ かしま    同よし永丁 一《割書:米五升|わり五升》ツゝ   田中や半兵衛    同 一銭壱目文ツゝ   万や利助    丁佐賀丁 一《割書:米五升|銭二百文》ツゝ   小川    同丁角 一米五升ツゝ    いせや    小石川春日丁 一金壱分ツゝ    三河や六右衛門    同下ゑさし丁五ヶ丁へ 一銭五百文ツゝ   川越や太郎兵衛    同丁内へ 一金壱朱ツゝ    さのや半兵衛    小日向三げん家丁六ヶ丁へ 一米五升ツゝ    いせや長兵衛    本郷新丁家中へ 一《割書:麦三斗|みそ五百目》ツゝ   伊沓や新六    牛込七けん寺丁 一金壱分ツゝ    京や九郎兵衛    芝西応寺丁丁内東がハ斗 一金二朱ツゝ    松や三四郎    浜はし内一人前成子丁迄 一金二朱ツゝ    三河や吉兵衛    同成子丁迄 一《割書:米壱斗七升|わり壱斗五升》ツゝ 《割書:大和や作右衛門|かめや伊右衛門》    中の村中一けん前へ 一金弐分ツゝ    中のや次郎兵衛    同 中のや出ミせ 一金壱分ツゝ    八兵衛    同 一金二朱ツゝ    浅田や甚右衛門    角はづ村 一金壱分ツゝ    家主中    浜はし丁成子丁迄 一金二朱ツゝ    大和や伝四郎    浅草しんほり丁内へ 一銭壱貫文ツゝ   坂倉や文六    両かへ丁柄丁へ 一金壱分ツゝ    下村    ほりどめ丁内へ 一金壱分ツゝ    いぬゐ本店    下谷五条天神角山下惣         大道あきんどへ 一三百文ツゝ    ちやわんばちや    神田佐久間丁内へ 一金        辻や又四郎    田所丁内へ 一金壱分ツゝ    井つや善次郎     小石川柳丁三ヶ所へ 一銭五百文ツゝ   いせや庄左衛門     深川永代橋丁内へ 一金二朱ツゝ    筑摩みそや 【四段の内の四段目】     浅草■屋丁元■代地  軒別施行    朝田氏  百五十六軒   松屋佐吉    一銭百五十六貫文 大口や弥右衛門  壱けん     山田や金右衛門  壱貫文ツゞ   淺田や市左衛門   本両替丁丁内中          伊達武兵衛 一金三分ツゞ   田中金右衛門                下村山しろ          日のや市右衛門    中橋大鋸丁丁内 一金壱分ツゞ   木谷実母散   本八丁ほり四丁目■通り迄          大川や六兵衛          山川加兵衛          いせや■兵衛 一米五升ツゞ   日高や伊兵衛          ■や 重二郎          ■賀 善兵衛          大工源二郎    京ばし水谷丁中へ 一麦一斗ツゞ   廉嶋■太郎    ■■ 一金弐分ツゞ   松坂や信兵衛    同はたこ丁 一米壱斗ツゞ   伊勢や四郎兵衛    同 一同断      いせや市兵衛    横山丁丁内へ 一銭壱貫文ツゞ  かつさや■助    上の下谷丁丁内へ 一金二朱ツゞ   伊勢や甚兵衛    根岸  家主江     泉川氏 一金壱分ツゞ   勝田氏  ■■■  五百文ツゞ   本■氏   しんばし  ■■へ 一壱貫文ツゞ   和泉や三郎兵衛  ■ ■    ■     ■ 一米代  壱貫五百文ツゞ いせや四郎次郎     正平橋■ 一■   ■   内田清左衛門    亀井■ 一銭五百文ツゞ  ■■新十郎           松■幸右衛門    ■   ■ 一金二朱ツゞ    小西弥兵衛    同丁内■■へ 一金五百文ツゞ   ■ ■兵衛    桜田■左衛門丁内 一金壱分ツゞ    三文字や    同丁内 一同断       松や重兵衛    山城かし丁内 一同断       津の国や伊兵衛    青山若松丁■丁へ 一金二朱ツゝ    黒田仁右衛門    同■大工丁六ヶ丁へ 一同断       いせや与兵衛    本所松坂丁丁内へ 一《割書:男三百文|女弐壱百文》ツゞ   □や弥兵衛    同 一同断       松嶋茂兵衛    同同小名木川八ヶ丁へ 一銭壱貫文ツゞ   福嶋弥兵衛    元田■丁内へ 一《割書:表へ金壱朱|裏へ三百文》ツゞ  村いせや左吉    するか丁四丁共へ 一金二分ツゞ     三 越後や    せともの丁六ヶ丁へ二どめ 一《割書:金壱分|するめ一わ》ツゞ   イ いせや    麻布市兵衛丁内一人前 一銭五百文ツゞ    小牧長之助    同所壱人前 一同断        西口弥兵衛    同所 一《割書:麦三升五合|あらめ五月原》ツゝ  八百金    あさぶ宮下丁丁内へ 一金一朱ツゝ     三河や喜兵衛    品川新しく不残 一金一分ツゞ     坂 いづや    白金丁内へ 一米八升ツゞ     永峯氏    浅くさ三間丁 一《割書:しち置人へ|壱貫文ツゞ》  松や市郎右衛門    四ツ谷しほ丁内へ 一銭五百文ツゞ    さつ    青山 一米壱斗ツゞ     善光寺    二とめ福井丁堀田原 一かミこぶとん一枚ツゞ坂倉次兵衛    下谷広小じ丁内へ 一《割書:■■油一樽|銭五百文》ツゞ 丸一 酒店     同壱人前 一銭三百文ツゞ    和人参■ ■    本所きく川丁 一銭壱貫文ツゞ    ■ ■ ■      【全体はコマ19にて翻刻済】 【二段目中程の貼紙に隠れていた二行をここに記入】    同七丁め 一 金二朱ツヽ  伊勢八   【←貼紙に隠れていた】    同御医師        【←貼紙に隠れていた】 一 銭二百文ツヽ 片桐氏 【上段】 頃は嘉永七とらの十一月 五日六ツ半時よりしはい丁 へんよりしうかいたし山之し く六けん丁花川戸町木戸 ぎはより七八けんやける三ツ 又より聖天町丸やける と手のちてつやける山谷の はしとまる聖天よこ丁 より竹門百かんのう地内 かいん寺丸やけたぬきな かや焼るでんりういんめう とく寺やふの内丸やける 本所水戸さま上しんじ 小梅おぐらあんにてとま る松倉町とひしにてやける 七ツ半時しつまり人々あ んとのおもへおふし 【下段】 嘉永七寅年四月六日京都出火の事 禁裏御所の北方大宮御所の下官より出火致午の 上刻より辰巳風つよく内裏に火うつり諸御てん内侍所 紫宸殿等一時にもへ立此火御公家衆の御館にかゝり 北方は今出川通迄二条様残近衛様表門へ火うつり候■【処?】 薩州御手勢にて宜防候ゆへ御殿のこる依之北方は今出川 通東は仙洞御所寺町より西千本通迄此町数廿六丁 御公家衆方《割書:数多きゆへ|しるしがたし》御花畠閑院宮椹木丁通り九亀 御やしき類焼今日諸御大名方御手勢を以火を消候へども 火勢強く水戸様仙台其外備前様淀稲葉様丹羽 左京様其外御大名やしき廿六軒類焼此日御火消相働 候へ共何分大火にて六日の一夜焼通し二条御城所司代 御やしき向迄焼其中には堀川通姫路御やしきの北にて火 止り翌七日に猶西方へ火うつり此間の武家方あまた類 焼右六日より七日の未刻に火しづまり申候家数一万三 千五百軒類焼前代未聞の大火にてあらましを書印申候 【上段】 頃は嘉永六年丑十二月十四日夜は八ツ半時過音羽 丁四丁め上より出火して折しも北風はげしく 三丁目尻火にてやけ五丁目六丁目七丁目は南角 うら長家少々のこり八丁目八まん様のこる九丁 目うら通り御武家かたのこらずさくら木目白 坂少々関口水道丁南は水奉やとなり五ばん 組消留松け枝丁西古川丁東ふる川丁西角九 十五三番組消止東南九十番組西南之の五六 ばん組消止めかいたい丁 角壱ばん南組中組北 組消止片かは之処壱三 五六ばん組消止る此辺御 御ぶけかた少々やけるつき じ片町不残ぶけ方少し三五 六ばん組消止赤城坂下 馬場先片町五軒町 にて朝五つ半時頃 やう〳〵にして 火慎り 諸人 あんど のをなし思ひ をなし にける火の用心〳〵 【下段】 頃は嘉永五年十二月 五日四つ時東ぼり久宝寺丁神明社残る おつて丁じゆらく丁南 谷丁ふぢのもり丁 いずみ丁濱より出火 して折しも西風はげ しくはしづめ丁内 ときは丁のう人丁一丁目二丁目三丁目四丁目 壱丁目二丁目三丁目やけ四丁目は北かは少しのこる やり屋丁とくい丁少しのこる御定書やしきぼこる御城代 御やしき少し残る其外御やしき三ヶ所上本丁にて翌六日 七ツ時過やう〳〵にして火しづまり諸人あんどの思ひをなしる 【地名其の他】 焼失 町数 二十五丁亘 目白ふどう おとは丁三 四 五 六 七 八 九 さくら木丁 ゑんとくじ ゑかんじ せきぐち 丁 水道丁 丁 ふる川丁 そうでんじ てうしゆじ でん久じ でん中じ かいたい丁 つきじ片丁 江戸川 やしき 同 はぐ あかぎ明神 【下段地名其の他】 町数  三十五丁 家数  三百九十軒 蔵数  三十一落る 上本丁 二丁め 同 やしき 御定番やしき 御城代やしき やしき 谷丁三丁目 すぐや丁 土谷丁 南谷丁 ふくい丁 同 やりや丁 ときは丁二丁目 友かへ二丁目 のう人丁二丁目 南のう人丁 ふちのもり丁 おつて丁 じゆらく丁 おはらい すし ほ神や 丁すし 三丁目 四丁目 いずみ丁 同久宝寺丁 明神 まつや丁すじ はしつ先丁 のう人ばし 久宝寺ばし 東堀 本丁ばし  大坂焼場所 比【頃】は天保六未の十月廿日子の刻より八百屋町 安堂寺町筋少々北え入中ほとより出火西北かぜ つよく安堂寺町壱丁目弐丁目迄不残順慶町 壱丁目弐丁目南側不残壱丁目筋不残 しほ町壱丁目迄北側不残長ほり迄焼祓【抜?】 安綿橋未吉橋安堂寺橋三はし供焼落 それより川向すみよし町不残具足町のこらす 神嵜町中ほとまで高原ろう屋敷辺四方 南かわら屋町中坂からほり辺ろう屋しきは 不難安堂寺橘筋するが町尾張町播磨町 内安土寺町坂田町不残桜町北側のこらず 玉木町凡東西拾五六町斗南北六七町 焼落□廿一日七ツ半時までしめすこの外 とび火少々つゝは所々之有と申事 此事見聞するにつけ大切のうへにも 心つけ火の元第一の事    凡 土蔵百七八拾ケ所      家数弐万五六百 御府内町人衆自分地面斗り被施候衆数多故略之 未聞有徳志施集 比ハ天保七申七月十八日ハ朔風雨はけ しく田畑をくずし出来物少く諸人心やす からす然るに恐ながら 御公儀様ゟ御れんミんを以て江戸中の町家へ 御救としてはくたいなる御米銭を□□難有と 奉申上も恐あり依之諸民喜ぶ事限なし次時に 御府内の町人衆家持地主有徳なる面々 太平の御代の御仁徳をしたひ自分地面またハ 出入等のものへ夫々に金銀米銭を施し中にも 自分の居所にかゝハらずその近辺濱丁まで□を 施したる人々ばかりを一紙に集めて記猶又追々 施したる面々せんさくいたしわ■ふり書加へ可申候あまり 目出度事ゆへ梓に上して四方諸君の高覧に備ふのミ 【上三段の内の一段目】 七月廿日浅草花川戸山谷駒形辺迄 一円 一蕎麦壱斗ツゝ 并 一《割書:壱人前百文|子供五十文》ツゝ 松屋四郎兵衛  数多の非人江切手を以施ス 深川堀川丁十四ヶ丁外三組 壱人前 一金壱朱ツゝ  幸崎屋   但シ六十以上人金三朱ツゝ 同町内一軒前 一金弐朱ツゝ  林金三郎 同断弐人前 一金壱朱ツゝ  米屋勇三郎 同北川丁外四丁四方壱人前  五百文ツゝ 一壱人もの   近江屋喜平次  七百文ツゝ 同富久丁 一金壱分ツゝ  湯浅や予右衛門 同佐賀丁六ヶ町へ 一金一分ツゝ  久住五左衛門   同一色町 一金弐朱ツゝ  川越や太郎兵へ 同さか丁 一金壱分ツゝ  古川半兵へ 同 一金壱分ツゝ  山口や喜八 同富田丁 一金二朱ツゝ  柄原三九郎 【上三段の内の二段目】 浅草さんや丁外丁内共 一《割書:大にぎりめし三|にしめ百銭壱》  朝田氏 せともの丁八丁へ壱人前 一金壱朱ツゝ  「イいや屋伊兵へ 同御蔵前壱人前 一米三升ツゝ  小玉屋権左衛門 同  一同断     井筒や八郎右衛門 同 一白米五升ツゝ 峯村角次郎      同壱人前 一六分ツゝ   伊沓や次郎左衛門 同片町壱けん前 一《割書:白白五升代|百銭十二》   同安右衛門 同 一同壱斗    同幾次郎 同 一《割書:同八升|三百文》ツゞ   伊せや嘉右衛門 同 一壱斗ツゝ   坂倉七郎兵衛 同 一壱斗五升ツゝ 坂倉治兵衛 同 一白壱斗ツゝ  伊沓や四郎兵へ 同 一白壱斗ツゝ  同四郎次郎 【上三段の内の三段目】 浅草御蔵前 一白米五升ッゝ  伊沓や喜十郎 目ぐろたいこばし近所 一《割書:銭五百文ッゝ|家内者二百文ッゝ》 大こくや 駒込追分 一白米壱斗ッゝ  高崎や 浅草元鳥こへ 《割書:銭四百文|白米三升》ツゞ    坂倉や源太郎 同片町代地 一白米壱斗ツゞ  坂倉や太兵衛 天川原 一同三升ツゝ   坂倉や作兵衛 芝赤羽根丁 一銭壱〆文ツゞ  三河や 駒込竹丁 一白米八升ツゞ  米や 浅草御蔵前 一百銭三枚ツゞ  伊沓や安右衛門 本所入江丁長倉町江 一銭壱〆文ツゞ  松葉や惣吉 本材木丁四ヶ丁へ 一味噌二貫メツゞ 近江や伊右衛門 室丁八ヶ丁へ 一金壱朱ツゞ   名前不知 【右下三段の内の一段目】   中新ほり町内一軒まへ             秋田寅之助 一銭六メ文ツゞ     渡辺熊次郎  外町塩渡世      長崎や松之助  出入の者へ三メ文ツゞ 松本重次郎  同居之者へハ     徳嶋や市郎兵へ  金壱分ツゞ      かだや彦兵衛  四ッ谷仲丁一人前 一金壱朱ツゞ      尾張や茂左衛門  本所入江町 三丁江 一銭壱メ文ツゞ     まつばや  浅くさ堀田原 一《割書:白米一斗ツゞ|出入とうやうへ白米一俵ツゞ》 池田屋  浅草馬道町内りん丁へ 一金弐朱ツゞ   太酒店  出入の州へ白米一俵ツゞ 地面内へ 壱分ツゞ  赤坂田丁五丁目    孫衛門店 一金三十両       亀治郎殿  但二百四十軒へ     いよ 【右下三段の内の二段目】    飯倉町二丁目 町内へ  壱軒前   堺屋 一銭五百文   新兵衛  そうめん百把    同町 町内江  壱軒前   伊世屋 一銭五百文   卯兵衛  そうめん百把     同町   町内江  壱軒前   万屋 一銭五百文   小兵衛  そうめん百把     同町 町内江  壱軒前   伊世屋 一銭五百文   金三郎  そうめん百把     和泉はし通平川町代地 町内江    かうのや  壱人前    平六 一銭二百五十文ツゞ    神田小柳町 小柳町分不残  伊せや 一銭五百文ツゞ  新兵衛    浅草すわ町かし 壱軒前 一銭壱メ文ツゞ いづミや りん丁      甚右衛門  白米五升ツゞ  【右下三段の内の三段目】   赤坂表伝馬丁一丁目一人前へ 一銭六百文ツゞ  本堂や弥太夫  同田町五丁目  惣兵衛店 一金弐両三分二朱 質屋幸七  但拾九軒へ      飯倉片町江  ならや七兵衛          三河や平八          久保田や惣兵衛          物屋与七          □木や平助          ほうや徳兵衛 一金壱分ツゝ   三河や藤兵衛          今井や八郎兵衛          万や久四郎          小西久兵衛          三河や善三郎          あふミや新八          井田や嘉兵衛          秣や清兵衛 【左下二段の内の一段目】 浅草下平右衛門町  松本 一 白米弐斗ツゝ  山彦     りん町へ  かさいや 同森田町代地りん一へ 一 白米壱斗ツゝ  十一屋 同鳥越中江    米や  一銭五百文ツゝ   大和屋 同右代地名前人江 一白米壱斗ツゝ  いせや 同子供壱人前へ   七兵衛 一 白米五升ツゝ 笠倉や喜右衛門 丁谷五條天神前角 向出商人中江 一銭弐百文ツゝ  瀬戸物屋 外神田仲町りん丁へ 一白米一斗 銭五百文 しちや平の屋 【左下二段の内の二段目】 深川ゑんまどうばし 一金弐朱ツゝ   水戸屋 同北六ヶ町壱人前へ万年丁 一《割書:米五升銭百文ツゝ  たくミや|むぎ二升但三表くミ共  清右衛門 》 かうじ町四丁目へ 米や 一銭弐百文ツゝ   藤助 同三丁四丁目へ  あい屋 一金壱朱ツゝ    米店 深川海辺大工丁  近江屋 壱金弐朱ツゝ    酒店 浅草第六天奥江町代地 一 白米壱斗ツゝ 坂倉屋  りん町江同断七升ツゝ太郎兵衛 浅草ふくい丁へ 一百銭二枚ツゝ   い世宗 頃は安政 二年三月卯の夜九つ時 ごろ小網丁 一丁目へんより 出火して堀江丁 二丁め三丁め焼る 小松丁二丁目三丁め 焼る一丁め少〳〵 残る堀留二丁め少〳〵 焼るほ堀江六軒丁よし丁 ふきや丁堺丁新材木 東屋新通新のり物丁 すぎのもり焼る元大坂丁材木 丁少〳〵残る住吉丁半分新和泉丁 長谷川丁田所丁大丸新道通油丁 うら通元濱丁新大坂丁弥兵衛丁 富沢丁高砂丁焼る浪花丁は 半ふん焼る久松丁少〳〵焼る橘丁三丁 残久若松丁村松丁多分焼る 馬喰丁一丁目 北がは残り四丁め迄焼る 通りしほ丁横山丁三丁米沢丁一二焼る 三丁めやげん堀少〳〵ツゝ残る吉川丁同朋丁より 【右下へ】 ■御見附平右衛門丁大六てん大 ■地中代地焼る瓦町かや丁片がは  残り明る二日九つ時松平伊賀守  様御屋しきにて焼とまる人々   よし〳〵     あんどの         思ひなしと筆に        つばめて遠路の見           せつになし 【図中地名等 左側から】 堀留丁 小ふな丁 二丁め 同丁 ほりえ丁 二丁め ざい木 やしき しんのりもの丁 あし 人形通り 大丸 田所丁 はせ川丁 長谷川丁 住吉丁 通油丁 元□丁 新大坂丁 弥兵エ丁 富沢丁 高砂丁 難波丁 丁 かし 馬 二 三 四丁め しお丁 横山一 二 三丁め たちばな丁一 二三 一二 三 むらまつ丁 やしき 米沢丁一 二 ひろこじ 吉川丁 柳原同朋丁 □丁 りようこく 平右エ門丁 平右 平右えもん 平右えもん ろく門丁 代地 かや丁 瓦丁 代地 天王丁 上御ち 松平伊賀守様 【上】 安政元甲寅十二月廿八日夜五つ時頃神田連雀町より 出火して折ふし西北風烈しく須田町一丁目二丁目は東側残 る又通新石町鍋町鍛冶町二丁元乗物町夫より西神田分は 今川橋西横町主水河岸新革屋町川合新石町竪大工町 田町一丁目二丁目上白壁町横大工町新白銀町蠟燭町関口町皆 川町一丁目二丁目三丁目永富町一丁目二丁目三丁目并ニ板新道下駄 新道鎌倉町松下町河岸通り残らず三河町一丁目二丁目三丁目 四丁目角少〻残る同新道通り一丁目二丁目西側少々残る小川町 神田橋通り松平勘介様御屋敷裏通り少々焼る同四軒丁 浅野一角様御屋敷裏通り焼る神田橋御門外御勘定 御奉行本田加賀守様御役屋敷少々焼る同本田豊前 守様少々焼る此辺御旗本四五軒焼る夫より尻火は雉子丁 西北の角は少し残る同川崎様御屋敷少々焼る又須田町二 丁目木戸際少々残る夫より火先は本白銀一丁目より四丁目迄 焼る本石丁一丁目より四丁目まで焼る同所の角から残る又鉄 砲丁から焼本丁一丁目南側残る同河岸通り常盤橋御 門前焼る同本町二丁目三丁目角より横町残る十軒店岩付 町室町一丁目より三丁目まで焼る日本橋のきわにてやけ止る 夫より一口は針店品川町北鞘町同河岸炭薪納家一軒 火の中にて残る本両替町駿河町本革屋町金吹町まで 【下】 焼る夫より河岸通りは一石橋にて焼止る今一口は東神田小柳 町一丁目二丁目三丁目少〻残る平永町通り横丁角少々残る又 馬の鞍横丁より黒門町岸町三嶋町松田町紺屋丁代地下 白壁町藤十郎新道不動新道富山町一丁目二丁目永井丁 お玉が池道有屋敷紺屋町一丁目より三丁目迄焼る佐柄本丁 代地残る本白銀町会所屋敷中程残る大伝馬塩町角焼 残る鉄砲町横町少〻焼る地蔵橋丸太河岸角焼る又 一口は火先は瀬戸物町北側小田原町へまがる両門残る夫より 小田原町残らず焼る安針町魚がし残らず焼るたゞしのた平 む□の納屋二軒残る又本舩丁江戸橋の十四五軒をり まがりに残る伊せ町木戸ぎわ少〻焼る夫より河岸通りは 残る翌日朝五つ半時ごろに漸〻火しづまり人々安堵の 思ひをなしぬ依て一紙にあらわして遠国のたよりとす  〇新土手通紺屋三丁目河岸角店火消にて防候町に付 九軒町河岸店中   堀江町店中 永富町代地店中 原若と者中     小網町店中 岩井まち上納地店中 小伝馬店中 元岩井町同店中   鉄砲町店中 小船町道有屋敷二町 浅草田原町若衆中 亀井町店中     松下町若衆中    〇 右之店火消中一同 あみ合ニ而見事に 消口を取御感に    預り候よし     以上 頃は安政元寅十二月廿ハ日夜五つ時神田 多町辺より出火して西北の 風にて同町壱二丁目 上白かべ町佐柄木町 おもて通り角 五番組くや けふこえ ましゑ 手掛百三 十六人 なら び 六番 なむう ゐのお 八百 八十九人消口れん じやく丁東南角 同五番六番消す 新白銀丁雉子丁 西北角同五番組 六番組消すすだ丁 二丁目きた角 八番ほわかた九百 九十六人消口東がは 残る通り新石丁 なべ丁鍛冶丁壱 弐丁目のりもの丁ぬし丁 横大工町たて大工町川合新石丁 永富丁壱二三四丁目みな川町壱二 三丁目関口町ろうそく町新かわや町四軒やしき三川町 壱二三四丁目角六番なむうゐのお八百八十九人也 卯の正月十五日改  再三吟調    明細也 「本所深川十六組」千二百四十四人同新道角「六番なむうゐのお」 八百八十九人「九番れそつね」五百八十六人同三丁目新道同両組 消しとめる本多加賀守様本多豊前守様東おもて長屋 十人定御火消にて御ふせぎ松下町鎌くら町鎌くらがし 通り不残やけるとしまや見せのこるもんとかし【主水河岸】通りりうかん 町りうかんばし半焼今川ばし残る中のはし焼落る 四けん丁神田ばし通り松平勘助様御やしきうら通り 少々やける浅野一角様うら通り少々東神田小柳同 壱弐三丁目角「十番とちりぬるを」九百三十壱人けし口 松田丁代地くろ門丁松田丁三しま丁下白かべ丁永井丁 平永丁三ヶ所「九番れそつね」五百八十六人「十番とちりぬるを」 九百三十壱人冨山町北角同「九番十番」消ス岸丁こんや丁二丁 目代地元のりもの丁代地元のり物丁福田やしき平吉やしき 兵ごやしきこんや丁壱弐三丁目東がわ少々残る消口ハ元くろ 井丁小舟丁小網丁ほり江丁小でん馬丁亀井丁右六ヶ町 若衆にて消ス又北風二かハり本銀丁壱弐三四丁目迄ろうやしき 残る本石丁壱弐三丁目かねつき堂焼ける同四丁目角「本所深川 十六組」千弐百四十四人大伝馬丁若衆消口岩付丁十軒店金吹丁 金座おもて通り残る同川岸通り「二番ろせもめす百千」千三百 七十五人消口同弐丁目三丁目横丁木戸ぎわ「一番のよはに万」弐 千六百四十六人伊勢町若衆消口同四丁目北がわ少々焼る室丁 壱弐三丁目越後屋見せ焼落る本かわや町するが丁本両がへ丁 北さや丁品川町釘店ひと口ハうきよ小路せともの丁南かハ 少々残る「五番六番本所深川組」にて消スいせ丁がし少々焼る 本小田原丁壱丁目弐丁目ながはま丁あんじん丁本ふな丁がし 折まがり家数十四五軒残る「一番いよはに万」弐千六百四十六人 「二番ろせもめす百千」千三百七十五人「三番あさきゆてみ本」 七百七人「五番くやけふこ江ましゑ」千弐百三十六人消ス同丁 北角半やけ「一番いよはに万」弐千六百四十六人「八番ほちかた」 九百九十六人「本所深川十六組」千弐百四十四人消口火ハやう〳〵 明ケ六ツ半時日本橋魚川岸にて焼留り人々あんどの思 をなしけり  土蔵三十六とまへ穴蔵四十三ヶ所落る  町数百五十六丁三十六丁壱里にて四里十二丁 長 【上の資料】 恵志の上手御作 南無大火大事安全明王   ほうぼうくわじの    うれひをのかしたまふ 今日不吹誰誥合 春風春水一時来   おんそろそろ    ふいたりやそわか      御供物 のし水引に及ばず清らかなる          正のものを正で御備可被成候 大矢山 月行寺 【下の資料】 拍子木(ひやうしき)は 第(だい)一丁目   日本橋(にほんばし) 三番(さんば)さう〳〵    夜(よ)ばんまくあき   黒牡丹     悪(あく)はらひ 〇アヽヲうるさゐな〳〵まいばん夜(よ)づめの ごたゐぎに火(ひ)の用心(ようじん)とまわりませうたみのかまども にぎわひの。 南北(なんぼく)むろ町日本ばし。わが火の元を大切(たいせつ)とそろ〳〵 はじまる火事なし月。 恵方(ゑほう)のかたからふくの神(かみ)。しげ〳〵 まわる時津風(ときつかせ)。だんなお門をながむれば。 三国一夜(さんこくいちや)のその内に。 天水(てんすい) 桶(をけ)のふじの山。おにわにつるべ勝手(かつて)には。かめにも水をくみためて 万事(ばんじ)にこゝろをおきごたつ。 火鉢(ひばち)のすみから炭(すみ)べやの。かんな くづまで気(き)をつけ木。スハ火打箱(ひうちばこ)といふ時は。さつそくけしずみ 火 消(けし)つぼ。《割書:アリヤ | リヤン》龍(りう)こし龍吐水(りうどすゐ)。そこがかんじん金棒(かなぼう)の。 鹿(か) 島(しま)にあらぬかなめ石。 自身番(じしんばん)にはちうやのばん。げんばにみづを 組合(くみあい)の。月日の行事(きやうじ)おこたらず。よまわりきびしきじせつが□【ら?】 あやしき外道(げとう)がしのびより。くせことなさんとするところ。 此 番人(ばんにん)がかゐつかんで。西の海とは思へども。火の元きびしき□ なれば。 天水桶(てんすいおけ)へざぶり〳〵    〇ねづばんのごたゐぎ。おやくかわり□□□□□ 頃は安政五年二月十日より夜 西北風はげしき朝から五時 日本橋小田原丁辺ゟ出火して 同壱丁目二丁め安じん丁長濱 町いせ丁せとも瀬戸物丁片かはやけ むろ丁壱丁め弐丁目片かは少々残る 魚がしゟ四日市へとひ火土手 かつらい組いなり焼けしおほ物店 不残万町青物丁香物 丁木京店幸松丁左 内丁しんば魚かし 小松丁式部小路此辺 不残海ぞくばしおちる 川瀬石丁南油丁新右衛門丁 かいれ正町片かは本材木丁 四丁目中ほど迄焼坂本丁 うゑ木店此辺不残かやば丁 薬師表からかやば丁不残 千川屋敷代官屋敷九鬼様 細川様越中様のこる与力丁 はのこる北嶋丁竹嶋丁亀崎丁 地蔵ばし辺一めん加ち丁七けん丁 よこぼり水谷丁こんや丁金六丁 与作やしき霊かん嶋とび火川口 丁冨嶋丁長崎丁三丁共々白 かね丁四丁共不残南新川焼 北新川のこる越前様中少々やけ 東塩丁ゟ御船手やき海手迄 又一と口は八丁堀大通り岡崎丁 やねや丁松や丁いそべ大神宮焼おち高なは代地不残 本八丁堀から表五丁共不残中のはしおちる南八丁堀三丁めゟ 五丁め迄西尾おき守様堀田土佐守様半やけあは様 中屋敷鉄ほうづいなりのこる本みなと丁小ばしおちる 【右下から】 船松丁壱丁目二丁目細川のとの守様 松平あいづの守様にて留る十けん丁中程 二而焼留るつく田嶋へとび火して焼 よく十一日五半時火しづまり人々   あんどのおもひを          なす 【図中地名】 佃島 鉄砲洲 本湊町 同 一丁目 二丁目 細川能登守 舩松丁一丁目 同一丁目 松平阿波守 中 松平遠江守 小笠原備後守 中川修理大夫 松平内匠頭 堀田土佐守 西尾隠岐守 下 井伊 堀 本多長門守 南八丁堀一 同二丁 同三丁目 同五丁目  同一丁目 中の橋 稲衛橋 弾正橋 松幡橋 越中橋 中の橋 海賊橋かいそく橋 本八丁堀 一丁目 同二丁目 同三丁目 同四丁目 同五丁目 松屋町 玉子屋新道ヵ 岡崎丁 上大通リ 近江屋新道 与力丁 長沢町 幸町 日比谷町 永島丁 北こんや丁 金六町 松平越中守 町御組 水谷丁二丁目 与作屋敷 町 神田新銀丁代地   神田松下丁一代地 同代地 塗師丁代地 細川越中守 中 九鬼式部少輔 神保小路 しんほうこううし きたしま丁 亀島町 南 茅場町 千川屋鋪 千川屋敷 分薬師堂 坂本町 一丁目 同 二丁目 かみくらち 小網町 牧野河内守 同七丁 目 南塗師丁 同六 丁目 南鞘町 同五丁目 正木丁 大鋸町 〇俗きり川岸下出 同 三郎兵衛請負地 下槙丁 同丁 福島丁 同四丁目 樽正町 箱屋丁 新右エ門町 同 川瀬石丁 南油丁 小松丁 平松丁 左内町 音羽町 書物町 ◯きはら店とり 同三丁目 同二丁目 一丁目 本材木丁 魚筋道 かしち くらち やしきみち くらやしき 二三丁目 万町 元四日市丁 土手くら 魚が 小田原一 二 せともの丁 むろ一 通一丁目 通二丁目 新高橋 亀島橋 霊岸橋 同一丁目 同二丁目 同丁 御舩手組 松平越前守 丁 東湊町一丁目 川口町 銀四丁目 富島町二丁目 長崎丁一丁目 同一丁目 同二丁目 霊岸島町 銀町一丁目 銀町三丁目 銀町四丁目 南新川 北新川 一の橋 南新堀一丁目 【築地八町堀日本橋南絵図】 【枠内】  □元四季太夫  □元常太夫    三 □元一途 □元太イ兵衛    火の元硫黄太夫     火の元安次  □元水勇喜太夫  火の元者名太夫  ツ  火の元専一  □元志津カ太夫  火の元消寿太夫     火の元順次            火の元長夜太夫  □ □元千歳          □元居□□太夫  正シ木所 竈本平吉  大屋次橋角 【本文】   老まち      老まち 〽抑(そも〳〵)町のきびしき事(こと)万国(はんこく)にすぐれしう はつとうのおもむき千ねんの御(ご)しゆ意(い)を増(まし) て古今(ここん)の触(ふれ)をなすあま国(くに)かい帳(てう)ありし時(とき) 天(てん)俄(にはか)にかきくもり大風(おゝかせ)しきりにふきしかば みんな風(かせ)をふせがんと小町(こまち)の大屋(おゝや)よりたかり この町(まち)たちまち大切(たいせつ)となり水(みづ)をくみまき ちらして小(こ)まど障子(しやうじ)をふさぎてそのかぜ を防(ふせ)がさせしかばみんな大義といふ事(こと)を仰(おふせ) くだし給いてより町を大義(たいぎ)と申(もふ)すとかやかよふ にめでたき町(まち)まちて飯食(めしくう)ひまもゆだん なくきのふもけふもせい出(だ)して火事(くわじ)をふせぎ の金棒(かなほう)割竹(わりたけ)のおともたへせぬきん銀(ぎん)しゆ玉(ぎよく) どう〳〵どつと町 中(じう)へ御(ご)ほうび下(くだ)さる御代こそめでたけれ 【上の資料】 世なか 吉原せけん 〽火の元きひしき 火の用心 地主はめいわく 家主ぐる〳〵 名ぬしで サアキ なせ かなぼうじやら〳〵 □と〳〵〆こで 木戸〳〵あいこで 拍子木かち〳〵 四月はおしまい らく寝で さアきなせ 【下の資料】 嘉永五年みつのえの正月十五日ヨリ勤暦凡百五日 大せつ明の方  此方にあたり ゆだんすべからず 大そうねの方  ばんちう四月まで ふさがり 大せい廻り方  此方にむかひて しつ礼をせず        とき〳〵     うち  火の用心  あけの方之廻り  金棒        万よし      むまい  たいていあさ方 此ときにあた ひざがわりよし へうし木触方  此音にて大火をたかず 但まぎらはしき音求ず いへぬし心得方 ぢぬし方にむかひて はんてん代等とらず たなばん夜明方 舟こぎはじめ わろし てうないおや方 此方にたのみばん 万よし 卯 ら〳〵ろじ 六ツ限り 辰 あとへ すけばん  巳 まいものだす より早く みやくをとり 乙 通一丁目 午 く□ふ 御ほうび 未 ウ当分 火事さた なし 申 若町拍子木 早仕舞 酉 こむものは 龍こしや 戌 もねら れず 亥 せいのよい 店火けし 癸 室町一 子 ること 堅無用 丑 みつに たき出し 寅 れるものは 昼夜番せん 臨時奉公 春は小間 夏はよし      秋はばん 冬はいや 正月 ヨリ町役人用 大 二月 町入用小間高廣 大 壬【閏?】月 モ恐れる小間勘 小 三月 詰番眠ツ 大 四月 番御免仕 大 五月 小間割りばん 小 六月 テモホヤウシヤ 小 七月 水桶クサレシ 大 八月 サゾ用水デ数多かりや 小 九月 カニ家主よし 大 十月 ヨリ番屋はん 小 十一月 店番人兼 大 十二月 弥水ノ手けん 小 【上の資料】      火之元之掟 一 火の元そまつに致し候者は早速地立店立可申付事 一 風烈(ふうれつ)の節は町々にて御用の外は□【堅?】く他出不致火の元のみ相守屋根の上  庇(ひさし)したの【したみ?下見板のことでは?】所え水打在合の桶其外へ水を汲溜(くみため)置べき事   但家根上防のためはしご幷水かご水鉄砲など用意いたし置可申候 一 平日も竈(かまど)はいふに不及二階物置等惣て目遠き場所は不絶(たへず)見廻り夜中 寝(ね)   臥(ふし)候節は家内を改 消炭(けしすみ)其外もとくと見届け可申事 一 湯屋を始大火を焚(たき)候渡世は猶更 建具(たてぐ)屋 舂米(つきこめ)屋はかんな屑(くづ)わら灰  等幷わら商売の者は其品別て可心付事 一 ぶら提灯(ちようちん)と唱(となへ)候品より度々出火致候処も有之間用ひ候 度毎(たびごと)入念しめし可申事 一 普請(ふしん)小屋は昼夜 油断(ゆだん)なく見廻り其外河岸地物置等は別て  心付可申事 一 手あやまち致し火もへ立候はゝ畳(たゝみ)にて覆(おほ)ひ消(けし)可申尤声を立近所えしらせ可申事 一 出火有之候はゞ屋根の上其外飛火の防(ふせぎ)方可為致以来遠方よりの  出火にて飛火致し夫より焼 募(つの)り候はゝ火元与 同罪(どうざい)たるべき事 一 出火致し屋根の上へもへぬけ又は飛火にてももへ立候節近所の者  共早速打消候はゝ其町内隣町より其者へ格別の褒美(ほうび)可遣事   但右□□手当は地主共幷表店の者共申合せ常々 積(つみ)置可申候尤次第   □寄月番の番所え訴(うつたへ)出可申 時宜(しぎ)に寄褒美もとらせ可申候 一 火の番行事は町内を度々見廻り可申事 一 風烈の節は名主も支配内を見廻り火の元 不怠様(おこたらざるやう)可申付事 一 平日水溜桶用意致水 乾(かは)かさる様不絶汲入置可申事 一 名主は組合の内弐三人つゝ常々支配内火の元等互に心付 軒(のき)  近き所へ火所をこしらへ其外火の元不用心に相見へ候所は名主  共見廻り直させ可申事 【下の段は続きか】      追加 一 風烈の節無拠□に付他行等致候節は家主え相届可申 独身(どくしん)の  者其家主より火の元改を受候て可罷出候 一 裏家店借の者共は勿論表店住居の者も相加り五人三人つゝ組合を立  置組合の内相互に火の元心付合可申事 右の條々急度可相守相背候は罪科たるべきもの也    子正月 【下の資料・コマ48と同じか】 改政 御町法火之元念代記 不許売買 古今大火年数略 ○明暦三本妙寺   百九十六年 ○明和九行人坂   八十一年 ○文化三高輪    四十六年 ○文政十二佐久間町 二十四年 ○天保五同二丁目  十九年 ○弘化三丸山    七年 ○嘉永三麹町    三年 場群星めくりやうの事  大風のせつは  通壱丁目  よりうちは  じめ室町  より打出し  東西南北  にふれると  しるべし 拍子 木性  用心 火性 戸前 土性 入用 金性 龍越 水性 [政治] 十月一日 書写山の 文段上人 火の元いんの げんぢうとなる (二) 冬より 春に いたつて 鈴むしなく [厳重] 大通室町 御所に し【ゑ?】んせきたつ (二) 拍子木の あいづ はじまる [用心] 一夜のうちに 八百八丁へ 四斗たる の山を生うず (二) 用水あふれ □て 往来 うみの ごとし [風列] 木ぼりの龍 口より 水をふく (二) 店はん国 より みずてつほう わたる (三) せんとう 水ふねを すてゝ ゆどの山に御幸 [定番] 生得大酒 大ヤ山 日行じ にてかい帳 (二) 水ばんといふ 札のきに あらはるゝ (三) やもりと 松むし つながり いづる [安心] 四月一日ちうやの ばんひけ て大風の ふきたる跡のことし (二) 人々あんとして さけのむ 如来あんちす (全) 四海太平 にして 諸人万歳 をうたふ 人間一大事火之元大せつに守本尊   ざいかたには      丑 ねづみあなの 子  へんぴあん音     寅   古土(こと)蔵ぼさつ   火事ざたなし        つくろひ肝心   かなまじりの控は    辰 町入用は 卯  文字ぼさつ      巳  分限ぼさつ   わかりのよい        地主方の   きびしき        未 おこたりなく 午  政事ぼさつ      申  毎日如来   おかみの          おふれを守る   用水道ぐの       戌 火のばんもかねる 酉  不同明王       亥  橋番大ほさつ   かざりつけは        かみゆひどこは ○自しん番のうた      ○かましいを知る哥 くはやもりちうやのばんに  ふくからに水ととそうの 六ツ〆り拍子木なれば    つちこねて地ぬし金□ぞ かぜとしるべし       御入ようあれ 【上の資料】 新板改正 太平武官 【上段】 町平家 本国武蔵 清和火用心姓 大食冠釜元之後 胤火用心四郎触 次之嫡男龍越次 郎水張之十三代 玄蕃頭汲為卿之 長男 桶次(ヲケツグ) 玄蕃頭 桶増(ヲケマス) 入道龍吐斎 女子番野守之進室 桶盛(ヲケモリ) 大炊頭 桶(ヲケ)置 女子引摺竹之丞室 桶数(ヲケカヅ) 長門守 桶重(ヲケシゲ) 安芸守 女子樽野黒太夫室 桶高(ヲケタカク) 三十郎丸 【中段】 □かじなし御門外   粥少将 町平安気守触吉   嘉永五子年 家徳 御内室室町殿詰元卿御娘 進上 家毎に札一枚つゝ   十月一日 御着 拝領 昼夜の御菓子     四月一日 御暇 参府御暇之節上使番太郎 二本共本みがき   押 金棒先に並     駕 御嫡 町平安藤九【黒ベタ文字なし】 御内室拍子木合図打次之御娘 鉄うるしかけ 太刀打銅巻   押 つるべの ぶら〳〵      駕 時 寒中池田炭桜炭粥之一ト鍋 献 堅餅盆盛落雁干菓子一ト袋   上 地主代金店々菓子料金一包 纏  【纏の陀志】水 【法被の背中】太平 【下段】   御苦労  室町詰右衛門 ▲通町詰太郎 ▲家守五九郎  店野番左衛門  番野助之進  店番増太夫 ▲草臥太郎左衛門   火用心 ▲天水桶之進 ▲龍野越次郎 ▲水野  幟  金棒鉄之進 ▲松出林右衛門 ▲割太竹太夫 ▲桶野水右衛門  時廻隼人  火事野内記 ▲日比野厳重介  番野長門  時廻安芸   側用心  火伏大炭   御町役 ▲自身番太夫 ▲金野入ル兵衛 【左端】 妙政事派  万年山  太平寺 高拾万八百八町余江土一円制之 道法《割書:江戸ヨリ四方|八百里余》 明暦三酉年正月江戸大火以来百七年目ニ当リ明和 九辰年二月十九日目黒行人坂ヨリ大火又三十年其 後文化三寅年三月四日高輪ヨリ大火又二十四年後 文政十二丑年三月廿一日佐久間町ヨリ出火又六年大【「天」カ】 保五午年同所ヨリ出火又十三年目弘化三午年本 郷丸山ヨリ大火当時嘉永五子年安気守触吉以後 代々禁之 中屋敷 〇うら路次番丁 〇あさゆ定番 【下の資料】 安全  ふれ出し       一町拾弐時 安居  火のみちの薬  昼夜たへまなく用 抑此薬の公能は火の道第一の手当にして無人に用て 其しるし有事諸人知る所也依て去る文政年中 世上へ弘むるといへ共年来故意候に付自然と一統に 相馳之候間此度政法致又々善く知らしむ此薬は 用心水を益土蔵を補ひ火を守る良才なれは 余り強く用ゆる所は下もの痛と成事あり 程よく用る時は至て安全ならしむ常に手当心 肝要也心遣候時は其憂なし人々御用候はゝ此 頃の穏かなるを知り給ふべし      公能 一 別て建込候場所は銘々に心付てよし 一 平常防ぎ道具貯置てよし 一 夜る寝られさるには寝すの番してよし 一 家の焼るのには多く水を用ひてよし 一 強き風の節は度々触出しを用てよし 一 裏(うら)々迄も互に情々気を付てよし    禁物   湯屋鍛冶屋建具屋藁屋屑屋塵芥   惣して大火を焚又は火はやきもの悪し   其外紛敷拍子木を忌む   元祖改法          日野本養甚   町会所           水埜澤山   取次処      江戸町々 番屋厳重郎 江戸 御火事政治所  自身番町             龍越屋               玄(ケン)蕃大掾    口上 江戸御町中様毎日〳〵御機嫌よく 昼夜無成御草臥珎しからしと奉存候 随而此度別政事工風仕小金餅は 施行糖夜商人は困窮糖仕立念 入わき□ゐ奉□【察?】上候間先〳〵かな棒 しやら〳〵□御内町之程奉希候 竜こしや岩おこし   金持屋うかん 階子屋らくかん    地主なんちう 夜商人困窮糖     夏をまつ風 げんば水餅      子供のらくかん 右之外家主昼夜詰室町詰日本橋詰 御座候間御禁物之節御不用可被下候 鳶□評かん      浪花焼 右二品なから御評判被下候   月日 当日麁粥奉差上候 そうそうの薬 安心湯 此役方は用町の時大きなる桶に沢山水を くみわり升の油とかなぼうを一挺にても 弐挺にてもませ昼夜たへまなく引ずる時は 大丈夫にて少しも手あやまちなし別て七ツより 六ツ頃迄肝要なれは随分気を付べし 若し恐風にてきゝつけるには早々拍子木の音 を用ゆべしたちまち木戸をひらきてはつ きりとす亦目をさますには右のごとくして なんぞくわすべし寄【奇】妙也世に火事きとふ【加持祈祷】 まじないなどする人あれども至てあしく 右の法に限る也是迄ためすになん人に 一日も其患おし□つてこの此度諸人の為 世上へ伝むるもの也 御政役所          御番居  右御役所町中え        町野玄重  子の正月八日より世役に差出す 【上段】    /地震(ぢしん)共江申/渡(わたし)之事 一/鯰(なまづ)仲間之義はぬま  川なぞにて/渡世(とせい)  いたすべくのところ  ちかころみだりに  相なりもくらとう  やうに地の下に入  地しんとなづけ大ぜい  より合家くらをうごかし  さま〴〵なるはたらきを  いたし候段相きこへ候へども少し  の事ゆへすておき候所八ケ年いぜん  しんしう大地震又嘉永六年  小田原の地しん/其(その)/後(ご)七年六月十四日  /勢(せい)/州(しう)大地震どゞゆらせ候ゆへあみをもつて  たづね候おり石がきの間にかくれまたはぬまにもくり  すがたをかくし候事も相きこへ候ゆへひやうたんの助に  申付候へどもふゆきは人々ゆさんにいかぬからいらぬと  ゆうてしまいをき候をつけこも又霜月四日大地しん  にて所々より出火いたし其うへつなみをいらせ家  を流し舩をこわし人々をこはがらせ其うへおのれ  ばかり五日も地震をゆらせたのしみふうふの地  しんをやすませ候義はなはだもつてふらちのいたり  この後地しんゆらせ候へばひやうたんにてとりおさへ  うなぎやにおゐてかばやきに/可致(いたしへく)者や    ぐら〳〵元年     /眩暈(けんのん)の十一月  地/震(しん)取/押(おさへ)所             /鯰(なまづ)仲間之者申 【下段】    地震仲間之者共奉申上候 一/私共(わたしども)之/儀(ぎ)は川ぬまなぞにて/渡(と)せいいたす  べくのよしは御尤しごくと候へ共きん年は  ひやうたんやすきゆへとしより小どもに  いたるまでまよけとなづけねつけに  御さげなされ候ゆへわけて仲間共  ひやうたんにおそれうく事かなはず  夫ゆへ石がきや/沼(ぬま)に/姿(すがた)をかくし候  内にこいふなにゑをくはれ候ゆへ  仲間の者共かつめいに及び候ゆへこけ  ゑさみゝづをさがしゑじきに/致(いた)さんと  ぞんじ地の下へもぐり候もひもじきゆへの  でき心に候又御ふうふの地しんをやすませ  候義/恐入奉(おそれいりたてまつ)り候なにとぞ花見其ほか  御ゆさんのせつ  ひやうたんを御もちなされ  候事又辻々にてひやうたん安うりの  義を御さし/留(とめ)下され候へば仲間の  者共いつとうに申合水にておんびんに  とせいいたし候みやうがのためなまづの  ひげ五万四本地震力こぶ三千びやう  毎年ちたいなくさし上奉り候間右之段  御きゝとゞけなされ下され候へば/誠(まこと)以  ありがたく/仕合(しあわせ)に/奉存(ぞんじたてまつり)候以上    ぐら〳〵元年         地震仲間  四ツ谷けんのんじ門前     /眩暈(けんのん)の十一月  惣代    いくたひやゆりの助          幼少二付  あさからどゞ入横町           代判   ふる〳〵や伊弥右え門   /要(かなめ)/石(いし)/之(の)/進(しん)様 申 【下の資料】      ぢしんほう〴〵ゆり状の事 一此ゆり助と申者生国かしま要郡ゆるき村にて慥成ぐら付者に付らい共  請人に相立いへんえいたぶりほう〴〵えゆり出し申候所ぢしん也年季の義は  去る京信州より八年めに相当り御きう近国として越後三州慥に  おとろき申候御しきせの義は夏はかた〳〵しま  ふるへ者一枚冬はみぢんつなみぬのこ一枚  下さるべく候事 一上方筋五畿内五ヶ国の義は不及申に  およばず四国九州まで相ゆる  がせ申候若此者夜中おさん殿  のねまへはいこみないしゆうのぢ  しんいたし候か又は御大せつなる土  蔵をこわしゆりにげかべおち致し候はゞ  急度したる左官(さくわん)をもつて早速(さつそく)埒明(らちあけ)可申候事 一宗旨の義は豆州さふどうはにて寺は  下田千軒町みなこけ横町くら〳〵さん  つぶれんじなむさんぼふつなみとまぎれ無御  なく候五八そうのなんせんとては無之若此  ぢしんの義に付諸々にてゆり出し候者無之万一ゆり  かへし等致候はゞ我等ぢしんにまかり出かなめ石を以  ぎうとおしつけきでんえ駿州も御くらふ相かけ申  間敷候五七留一たんゆつて九は病の如し    しんどう元年     いなかけんのんじ門前     なまづ十一月 請人  家内つぶれ兵へ店                 もへ出しや火事兵衛               あさからゆり通し                   にげ出し横丁            人主  ひゞきや大地郎店                 ぶる〳〵やこわ右衛門    大坂町屋敷大つなみ打寄場       橋〳〵屋おち右衛門様 茅場町 茶師 九鬼さま様此へん北八丁堀不残松平越中守様辺 浦□□□嶋御組屋敷本八丁堀五丁目までいなり橋□□□□ 南八丁堀二丁目ゟ松平右近様井伊様中川様阿波様松平遠江様少し 南八丁堀五丁目近中の橋落本湊町舩松丁十軒丁まで留る此へん細川様 松平長門様七数馬□六がんじま川口町東みなと丁ゟ御船手にて留る出也 たやく辺残り南新ぼり三丁目おとや橋前で永代にて留る霊岸じま へん御屋敷□越前様久世様松平いづ様土井様戸田様此へん不残箱 崎不残大舩田五四又□焼失のぶんまさぬに書屋〳〵こたじされども 夜に入り風しづまり世の別に火しづまれりども焼死人も□諸屋 □ホもそくばせ残り大火と云ともも 大江戸大都會の難儀 御代前れば□進□すにとうたがゐふるへ〳〵されどもこんさう の人にわ是をうれゐ□□□たゝし供諸人ともに□□□を もなり漢ゆふえし 御救小屋《割書:両国|江戸橋》 【下段】 頃は天保五年七月十日の夜八つ半時ごろ大坂堂嶋渡辺 橋筋永来町ゟ出火折節西南風はげしく堂島辺凡十丁斗 曽根崎ばし同村長数寺露天神藤井寺法清寺寒山寺 本傳寺正泉寺日通寺妙香院法住寺法輪寺竜湖寺西 福寺大林寺幡竜寺幸松寺令雲院夕願寺小野ゝ領川崎 領福村北本幡町小宿町辺不残凡三十町程夫より 南本場町南冨丁辺いせ丁沼田寺丁ばし成正寺 妙福寺蓮興寺智源寺有高丁小森丁わたや丁 女夫丁池田丁不残長柄辺迄凡家数弐万げん ほにで土蔵数凡百廿戸前焼失町数合〆横廿町 竪四十町余やける漸十二日の朝五つ時火惜りけり 右類焼に付難渋の者沢山と 出来申候に付御救として 御上様ゟ道頓堀角の 芝居中のしばい其外所々 芝居へ御いれの成下候 段厚御惠をたれ給ふ 事 難有次第なり 此事を見聞するにつけ 大切のうへ子も心づけ べきは火の元第一の事         なり 【赤文字追記】 町御奉行御月井戸対馬守様 【本文】 嘉永四□【亥】年十二月十三日夜九ツ過小てんま丁     【ゟ失を赤で消し横に黒で追記】善蔵店源助宅ゟ出 二丁目南かはゟ失火致同所にて東は大川通迄 西は小てんま一丁目中ほと迄北がは皆のこる それより南の方てんま丁新道にて東は大川通 西は大でんまよこ丁迄またおおてんま三丁目(大)【大に○】のこり 向かはやける同所南かは四五軒やけ西へひやうたん しん道迄夫より大丸しん道にて東は大川通 西は大てんまよこ丁迄田所丁にて東は大川通 西はひやうたんしん道迄其中にてさとう越後や 残る同所地じり少火うつり又えちこやの向は残る 同所の地しりより新道迄やける右の通類焼 いたし同十四日朝五ツ時前□【刻?】に火しずまり申候 【黒文字で追記】    但火元源助召仕幸次郎と申拾八才□成候もの焼死 頃は安政 二年卯 三月朔日 朝五ツ半時頃より 大南の風吹いだし 石砂をとばし一天 くもりたるごとく 大やうの光り かはりじつに大へん を引出しやせんと おもふやうなりその夜九ツ半 時過ほり江丁四丁目中ほどゟ出火 して折ふし富士南風はげしく小網丁 しあんばしぎわ四五軒中ほど二軒はじ 一軒一番二番所店中にて消口同丁番屋うし 【あと一行だけコマ42に続いている分】 ろ店残る八番消口同丁一丁目横丁二番▲ ▲深川ぐみ消口甚左衛門丁焼ほり江六軒丁   少々のこりをやじばし半やけてりふり      丁新道通りに小ぶな丁三丁目自     身番八ばんくみ消口二丁目北がは      角一けん三ばん六ばん所店中消      口同中ほど三ばん五ばん消口同       一丁目おもて側残る新道五番       六ばん消口ほり江丁一丁目半        やけ同二丁目半焼三丁目新      ざい木丁少々のこる杉の森いな         りほり留二丁目角一ばん         ぐみ消口田所丁はたご丁           大丸残る同しんみち             はん焼元はま丁             通り油丁東がは              中ほど一けん               八ばんぐみ              消口通り塩丁              馬くろ丁一丁                目にし側                  残る 【下段】 ▲ 東側半焼同二丁目半焼三丁目四丁目郡代屋しき残るつば店浅 くさ御門に多門焼御はしは残る又一口は横山丁一二三丁目一口はよし丁元大 坂丁西側半焼金吹銀座役所残る住吉丁西側五軒本所 深川ぐみ消口東側角一県焼なには丁へつついがし中程二番三番 本所深川くみ消口其外折まがり残る一口はふきや丁さかい丁 がくや新道元大坂丁代地新のり物丁南ざいもく丁人形丁通り 三光新道新いづみ丁げんや店高砂丁長谷川丁とみ沢丁弥兵 衛丁新大坂丁橘町一二三丁目村松丁東側折まがり少々若 松丁へ焼こむ句【家紋?】としより雷宅一軒残る細井百助様林越 するがの守様横山同朋丁米沢丁一丁目半焼二丁目のこる両国廣 小路自身番かみゆひ床番屋床見せ残る吉川丁柳原同朋丁 西側二けん東がは角大きゆうといふ居酒やふへの中にて残る本所深川 ぐみ消口夫ゟ柳ばし句平右衛門丁東がは折まがり残る句角一軒本所 深川ぐみ消口御蔵前片町代地夷田丁はたご丁一丁目同二丁目 代地一口は第六天門前丁平右衛門町しのづかいなり焼第六天社焼 かや丁一丁目見付橋ぎわ折まはし少々残るかや丁一丁目代地同 二丁目天王丁代地尾丁つゞき横丁同尾丁東側二軒左近 将監樣酒井左衛門尉二番ぐみ本所深川消口□丁瓦丁物側 残る松平伊賀守様御やしき焼る御門は藤堂様立花様下総様 酒井様町人足八ばんぐみ消口御出ける所焼本多中務大輔様 御中やしき少々のこる是にて二日四つはん時ごろ ゆう〳〵火しづまりひと〴〵あんどのおもひと なしにける ▲土蔵三十九とま也▲あな蔵四十八▲町数百六十 二け町道のり三十六丁一りにして凡四りと十八焼也 【地図中の地名等】 どうじゆうばし 荒布ばし 堀留丁 同丁 小舟丁 同二 同三 小網一 堀江町 同二 同三 同四 大伝馬丁 同二 新材木丁 南材木丁 新乗物丁 同 岩代丁 新材木丁 元大坂丁代地 葭屋町 堺町 堀江六軒丁 ◯よし丁 元大坂丁 銀座 甚左衛門丁 酒井様 小網丁二 通旅籠丁 通油丁 田所丁 長谷川丁 同 新いつみ丁 住吉丁 同 元濱丁 新大坂丁 弥兵エ丁 富沢丁 高砂丁 難波丁 同 やしき 馬喰丁 同二 同三 同四 通塩丁 横山丁一 同二 同三 馬場 郡代屋敷 橘町一 同 二丁目 村松丁 久松丁 やしき 同二三丁目 横山 同三 同朋丁 村松丁 やしき 若松丁 村越隠岐守 細井百助 やしき 米沢丁一 名倉 同二 やげんぼり 柳原同朋丁 吉川丁 同 広小路 浅草御門 柳橋 両国橋 茅丁一 第六天門前 同 平右衛門丁 同二 同一丁目代地 森田丁代地 片丁代地 平右衛門丁 片町 同二 天王丁代地 旅籠丁一丁目代地 片丁代地 代地一 瓦丁 同 旅籠丁一丁目 代地 御書替役所 本多中務大輔様 松平伊賀守様 【右の資料】 爰に安政二正月廿九日夜四ッ半時頃本所 大川端より出火して折しも北風はげ しく松前伊豆守様御屋敷不残 焼失し夫より横網丁通りへいで 藤堂様御やしき北表長屋少々 やけ小泉丁町家不残やけ 回向院うら門へうつり本堂 おち角力小やのこる小泉丁 東之方は梅若猿田様小林 友意高橋貞伯様表門 のこる消口は本所深川 一番八番にて消す又一ト口は三宅 対馬守様へ飛火して御やしき不残 やけ此火先小泉丁までやけぬけ 津田様御やしき少々芳山格斎石川 周蔵百倉元昇芥川俊清様と 焼はらひ深川潜蔵様御宅にてやけ 留る此所二番組津軽様御人数にて 消すしり火にて蜂屋主殿様へう つり表門のこる牧の剛太郎様表門 少々やけ岡本様御やしきのこらず やきはらひ火はよふ〳〵明ケ六ツ時頃 しづまり人々あんどのおもひをなすなり 回向院建立ありて百九十九年目にて類焼也 【左の資料】 恵志廼上手御作 南無大火大事安全妙王   ほうほうかじの    うれゐをのがし給ふ 今日不吹誰誥合 春風□【柏+子:拍子の意?】木一時来   おんそろそろ    ふいたりやそわか      御供物 のし水引におよばず只清らかに          正のものを正で御備可被成候 用水 大矢山日行寺 大黒のつち うごかして世の 中に宝の山を 積かけねける ゆら〳〵/臺問答(ゆたりもんとう) 【一段目】 おなじ   ゆかに ゆられながら ぢしん はんとハこれいかに   〇 のじゆくをしても  いへぬしといふが        ごとし よし原を やけ原とはハこれ いかに   〇 ミんなやけても 七けんだの五けんだのと    いふがごとし ぢしんのときでもかミ なりもんとハこれいかに   〇 きなくさ くも  ないに にほう  もんと いふが  ことし ぢしんやけで まるはだかに なつたうへ こしのたれられぬ 人をたちのまんま とハこれいかに   〇 はたらいてたすかつた人を おおぼねをりといふかごとし 人のおうく とふるところを 馬ミちとハ     これいかに   〇 せうぎにも あらぬにこまかたと    いふがごごとし 【二段目】 こんどのことで むしんの文 をよこして ちしんに いつたとハ これいかに   〇 やけもせぬお客 をあつくなつてくるといふかごとし おゝきな   いへを 御小やとハ これいかに   〇 ちひさな うちでも 大やさんと いふがことし ひもとでも   なくて ぢしんやけとハ これいかに   〇 大われを   しても 小われたと  いふがごとし あをものでも ないに大ゆり〳〵 とハこれいかに   〇 さかなにも かじきの あるがごとし どろミづが わきだしても 上水とハこれ      いかに   〇 すなをふき だしてもおちや の水へんと   いふがことし ざいもくや げんきんに かねをとつて /河岸(かし)で   うるとハ    これいかに   〇 わがたてたるいへを  かりたとと    いふがことし 【三段目】 しんだ人も ないのに小つが はらとハ   これいかに   〇 くわじが  なくても ほやくと  いふがごとし ひやざけを のんでやけ ざけとハ  これいかに   〇 地しんの  いらぬまへ からのミつぶれ  るがごとし いたミも   せぬに くづればし とはこれいかに   〇 やけもせぬ     のに かぢばしといふかごとし 地がさけも  せぬ所を わり/下水(けすい)とハ   これいかに   〇 大はそん   しても とく右衛門丁と  いふがことし   大ぜいのたをれ      ものを しにんとハ   これいかに   〇 /数(す)千人の  御火けしを  御にんずといふがことし 【四段目】 つちいちりも せぬにとろ ぼふとハ これ いかに   〇 やけバの てつだいにもあらで ごまのはいといふがごとし 火をふせぐ ための  くらを ぢしんに つちを おとすとハ  これいかに   〇 いきている人でも ぼんくらといふかごとし いがまぬ いへを  三かくとハ これ  いかに   〇  地しんまへに 井戸がにごりても  きよすミ丁といふがことし りつばにそうぞく するかねもちのいへを ずふね家とハ これいかに   〇 こわれた      土蔵でも おかめだんごで  いゝくらといふがことし ゆがミもせぬに  すじかいとハ   これいかに   〇 たをれぬ所も よこ丁と いふが  ごとし 一出火口数   三十弐ヶ所 一焼場丁数   四百三十八ヶ所 一破損丁数   弐千〇百ヶ所余   小いたミの丁数所々数しれず 一大崩土蔵数  七万五千八百余   小いたミ土蔵数五万〇九百余 一けが人の数  十六万五千三百人余 一新吉原けが人 弐千九百人余 一/外科医(げかいしや)へ通ふけが人四万0百人余 御救小屋場  浅草かミ鳴門外  幸橋御門外  上野広小路  深川八幡社内  同海辺新田  本所割下水 東ゑい山御支配之分  上野御山下 【上段】 ころは嘉永七寅年十一月 四日朝四ツ時大地震 山の手下町本所深川朝浅 くさ千住品川辺近郷近在 武州ちゝふ辺中にも桜田南 部さま甲斐様丸の内御やしき 久保町飯倉十番芝新錢 座会津様小網町日本橋 辺小川町いなり小じ辺 のやしき此辺ふるい水道はし 小石川辺本郷にて物屋むろ落 けが人あり小名木川迄石かけ くづれ堀江ねこさね辺つよく こしいん原大名三間ふるい まれ なる次第なり諸君の高らんに そなえるもの也 【上段】   /万歳樂(まんざいらく)の     津ら称 /東西南北(とうざいなんぼく)/四夷八画取(しゐはつくかとり) /天地乾坤(てんちけんこん)の/其間(そのあいだ)に /何(いづ)れの/土地(とち)も/動(ゆら)ざらんや /遠(とふ)のらん国へ/便(たより)にさけ/近(ちか)くは ゆつて/眼(め)に/泪神無月(なみだかみなしづき)と/□(さいは)ひに /家(いえ)/落(らく)/堂社(どうしや)をゆりこわし/大地(だいち)が /裂(さけ)て/此世(このよ)から/奈落(ならく)へ/沈(しづ)むゆびさや ゝつのん/野宿(のじやく)する/身(み)の/苦(く)/病(やまひ) 五こが/雨降(あめふり)かゝる/涙(なみだ)/砲(ふりがな)/硯(すゞり)の水ぐすに□に /地震(ぢしん)の/歌(うた)をしかべと/柿(かき)の/素(す) /袍(すう)や/大太刀(おふだち)を/仮(かり)の/衣物(いしやう)の/成田屋(なりたや) もどき/法(まつり)/出(いで)たる/其(それがし)は/鹿嶋(かしま)/要(かなめ)石の助 /石□(いしず)といふ神/豊(とみう)/南(なん)/膽(ぐら)/歌(ふた)/臺(いふ)へはい に/尾鰭(をひれ)はべするのらくら/者(もの)/鯰(なまづ)/坊主(ぼうづ)は /吉例(きちれい)の/顔見世(かほみせ)/近(ちか)き 十月二日/□(のふ)/是(これ)のらは/般若(ばんじやく)と/踏(ふみ) /堅(かた)めたるあはふ/皇国(みくに)ゆるがぬ/御代(みよ)の /万歳楽(まんざいらく)/此(この)/後(のち)さまたげひろざない/筋(すじ) /骨(ほね)/抜(ぬき)の/蒲焼(かばやき)となして/凡夫(ぼんぶ)/口(くち)ほにり/込(こむ)と等々              納てもふす 安政二卯歳十月日 御府内大地 震施名前附 御救場所 深川海辺新田 同八幡社内 幸橋御門外 上野広小路  御用 浅草雷門前 【一段目】 一金弐百拾■両二分■  白米七石五斗外金一分  丁内へ御褒美銀七枚  外二二枚被下置   深川佐賀丁   久住五左衛門勢州   住宅二月支配人      正兵衛 一金百七十四両ヨ外二  金一分ツゝ丁内江  御褒美銀七枚被下置   深川佐賀丁     近江屋喜右衛門 一金七十一両ヨ外二手拭  五十反丁内りん丁江  御褒美銀三枚七枚被下置  笠二本■ 広岳院    門前衆坊     藤兵衛 一金二拾一両二分外二  白米四十五石三斗  丁内りん丁江  御褒美銀五枚被下置    深川佐賀丁     衆坊勇三郎 一金五十五両銭弐〆  五十八文丁内外  隣丁江  御褒美銀銀二枚被下置    深川北新堀     家持冨之助 一金三十五両三分丁内  出入之もの百七十四人江  御褒美銀二枚被下置    深川佐賀丁    家持清兵衛丹州    住宅二付支配人      忠兵衛 一白米八升ツゞ一人前  居廻り丁々江    浅草三筋丁     関氏 【二段目】 一金三十五両二分丁内  出入之もの百七十五人江  御褒美銀銀二枚被下置     深川佐賀丁      家持安兵衛      阿州住宅二付       支配人         忠助 一金三十二両三分丁内  出入之もの江百八十人  御褒美銀二枚被下置     上野原丁     家持次兵衛阿州     住宅二付支配人       吉兵衛 一米三斗五升一けん前  にしがハ丁江 一同五斗二升一軒前  ■■丁江    芝口      御屋敷 一金一分ツゝ出入船頭江  外七日間味噌少々  ツゝ諸人に出ス    深川佐賀丁     ■くま 一毎日味噌しる四斗  樽二三荷つゝ  御戸屋江    浅草駒形     内田 一金二朱ツゝ雷神門  御すくい小屋江  一人前ツゝ     浅草仲丁      酒井屋 一二」朱ツゝ御戸屋  一人前ツゝ   浅草仲丁    三喜 【三段目】 一金一分ト玄米一斗ツゝ  但し一軒前二   深川佐賀丁    川村 一金二朱ツゝ  一円一軒前二    新右衛門丁      本惣 一白米五升ツゝ  一人前居廻り丁へ  廿七ヶ丁江    同     川村伝右衛門 一白米五升ツゝ  一人まへ居廻り丁へ  同     南かやば丁      永岡伝兵衛 一金一分ツゝ  れいがん嶋十八ヶ丁江      灵岸嶋       廉じま   十八ヶ丁一人前 一歩熊井一斗五升ツゝ  外二五日の間たき  出し     南新堀      伊坂   一人前 一白米五斗ツゝ  一■■     日本橋万丁      谷口熊五郎 【三段目】 一銭三百文ツゝ  一人前御小屋江    日本橋青物丁     さぬきや久兵衛 一金一分ツゝ  一軒前居廻り丁々  江     神田土手下      紺屋丁某    一軒前二 一金一朱ツゝ  丁内其外へ江    深川佐賀丁      みやもと   一軒前二 一金一分ツゝ  丁内其外江   深川佐賀丁    山屋喜兵衛   一軒前二 一金一朱ツゝ  丁内其外江    深川佐賀丁      池北屋   一軒前二 一金一分ツゝ  丁内其外江    深川佐賀丁      八木勇 一金一分ト  銭二貫    深川佐賀丁     相川丁某 【五段目】 一金一分ツゝ  丁内江 一金二朱ツゝ  寺丁三丁江    深川木場     万和 一白米五升ツゝ  丁内其外江   同北新堀    後藤氏 一金一朱銭百文ツゝ  丁内其外江   同    北むら 一金一朱ト同百文ツゝ  丁内其外江    同     長崎屋 一金一朱ト白米一升  丁内其外江    灵岸しま     丸屋 一金二朱ツゝ丁内江 一金一朱ツゝ芝井丁江    芝露月丁     きね屋 一金二朱ツゝ丁内 一金一朱ツゝ芝井丁江     同      さかい屋 一雷門御すくい小や入の   人々に焚さかやき  施し    馬道かミゆひ       平五郎          【図中の地名等】 二軒茶や まちや 東 本町はし の人はし 東あり 安堂寺はし 御番所 東御堂 よこほり 店 いなり 火元 馬喰町 【上の資料・コマ33下資料とほぼ同じ】 改政 御町法火之元念代記 不許売買 古今大火年数略 ○明暦三本妙寺   百九十六年 ○明和九行人坂   八十一年 ○文化三高輪    四十六年 ○文政十二佐久間町 二十四年 ○天保五同一丁目  十九年 ○弘化三丸山    七年 ○嘉永三麹町    三年 場群星めくりやうの事  大風のせつは  通壱丁目  よりうちは  じめ室町  よつ打出し  東西南北  にふれると  しるへし 人間一大事火之元大せつに守本尊   ざいかたには      丑 ねづみあなの 子  へんぴあん音     寅   古土(こと)蔵ぼさつ   火事さたなし        つくろひ肝心   かなまじりの扣は    辰 町入用は 卯  文字ぼさつ      巳  分限ぼさつ   わかりのよい        地主方の   きびしき        未 おこたりなく 午  政事ぼさつ      申  毎日如来   おかみの          おふれを守る   用水道ぐの       戌 火のばんもかねる 酉  不同明王       亥  橋番大ほさつ   かざりつけは        かみゆひどこは ○自しん番のうた      ○かましいを知る哥 くはやもりちうやのばんに  ふくからに水ととそうの 六ツ□り拍子木なれは    つちこねて地ぬし□とぞ かぜとしるべし       御入ようあれ 【上の資料の下段・マスを縦に読む】 拍子 木性  [政治] 十月一日 書写山の 文段上人 火の元いんの げんぢうとなる (二) 冬より 春に いたつて 鈴むしなく [厳重] 大通室町 御所に しんせきたつ 用心 火性 (二) 拍子木の あいづ はじまる [用心] 一夜のうちに 八百八丁へ 四斗たる の山を生うず (二) 用水あふれ 出て 往来 うみの ことし 戸前 土性 [風列] 木ぼりの龍 口より 水をふく (二) 店はん国 より みずてつほう わたる (三) せんとう 水ふねを すてゝ ゆどの山に御幸 入用 金性 [定番] 生得大酒 大ヤ山 日行じ にてかい帳 (二) 水ばんといふ 札のきに あらはるゝ (三) やもりと 松むし つながり いづる 龍越 水性 [安心] 四月一日ちうやの ばんひけ て大風の ふきたる跡のことし (二) 人々あんとして さけのむ 如来あんちす (全) 四海太平 にして 諸人万歳 をうたふ 【上の資料・挿絵内】 日本橋前後合図 火事なきは あけくれ かまど きを つけて 火はちに こたつ ちうや 見まはれ 【下の資料】    除火災之法      三日朝四ツ半時より九ツ半時      まての内上吉 当十一月 四日昼九ツ半時より八ツ半時      迄の内大吉 右二日の内に辰の方より清浄の 水を汲置六日の晩(ばん)四ツ半時より 九ツ半迄の内居宅の辰の方より 龍虎車(りうこし)の類にて汲置候水を 屋根へ打初夫より諸建物へ 不残打可申候事是八門 遁甲(とんこう) の秘要(ひよう)にして右の方角時刻 無相違致し候へば其屋根一代の うち火災決而無之事に候 火の元の儀は大切の事に付古来より追々町 触(ふれ)申渡も有之 平日迚も格別に心付候は勿論別て大風の節は猶更 厳重(げんぢう)に 可心付儀 緊要(きんやう)の義に付月番の奉行所より相触次第風 相止候迄其 諸職(しよしよく)諸売買相休他出不致 最早(もはや)他行致候はゝ 早々立帰り火の元を一 途(づ)に相守火の番行事共え家主共 壱両人加り町 抱(かゝへ)人足召連 不絶(たへず)町内を見廻り心付候様可 致尤右触出し無之候共 風烈(ふうれつ)には空(そら)の色変(いろかはり)候程の儀に候はゝ 一同右同様相心得可申且出火之節の心得并火の元心得方 の儀は條目書附を以触出し候間木戸番屋表店は家毎裏 家の分は路次口(ろじくち)へ張置(はりおき)精々厚(せい〴〵あつく)相心得 無油断(ゆだんなく)相守可申旨 文政十三寅年触置候処 程経(ほどへ)候に付心得方相 弛(ゆる)み等閑(なほざり)の町も有 之哉に相聞不埒の至に候尤大風の節月番の奉行所より触出し候 とはいへ共市中 広場(ひろば)の儀町役人共心得方に寄 自然(しぜん)程経遅引(ちいん) 致し急速(きうそく)ニ甚難行届哉に付自今以後風烈の節南は通壱 町目北は室町壱町目自身番まで奉行所より役人差出火の元心付 の拍子木(ひやうしぎ)を為打候間隣町 最寄(もより)の町々共追々打 続(つゞ)き麹 町赤坂市ケ谷辺其外武家屋敷 寺院(じいん)等をへだて候町々は打継 末々の町より申通し候様相 図(づ)を以為知合右為知之拍子木を承(うけたまは)り候 はゝ前書触面の通相心得厳重に火の元相守可申候是迄の火の 番行事の外 借家(しやくや)店借(たなかり)の者共五人三人つゝ組合を極(きは)め組合の 内相互に心付相少しも油断致間敷候依之去る寅年の條目へ 追加(ついが)致猶又触 示(しめし)候間 無違失(いしつなく)厳重に心付候様可致此以後申 渡しを等閑に相心得大風又は風烈なとの節右等閑より 事 起(おこ)り出火いたし候はゝ其 始末(しまつ)に寄火元当人は罪科(ざいくは)に行(おこな)ひ町 役人共迄も重咎(おもきとがに)可申付候 右之通従町 御奉行所被 仰渡候間町中不残様入念早々可相触候    嘉永五子年正月 爰二百九十九年明暦三年正月十八日十九日のことなるが本郷丸山本妙寺ゟ出火して をりしも西北の風つよく湯しま浅くさ馬道小石川三ヶ所ゟ同時二もへあがり大火と相なり 四ッ谷かうじ丁あざふ下丁共二十三日二なります〳〵風はげしく火につゝまれけむりにまかれ 死するものかずしれず十八日十九日とやけ市中二ハのこる/家(いへ)すくなく四り四方/野(の)はらと なり江戸はじめての大火なれば人々あハてまどひ老若男女上下のしゃべつなくこんざつして ふミころされやけしにめもあてられぬありさまなりかゝる大火のことゆへ/諸(しよ)御大名様御しろへ つめられける此時松平/陸奥(むつ)守様ハ江戸四方の入口品川口へハ人数千人き馬廿人四谷口へ人数 五百人き馬廿人/板橋(いたばし)口へ人数五百人き馬十人千/住(じう)口へハ右同断をの〳〵はた馬印かつちうをちや くしえものをたづさへかためられたりかゝる大火に十万八千人焼死たる其なきがらすて所なく /本所牛島新(ほんしようししましん)でんのぬまへうづめ/其上(そのうへ)へ/一宇(いちう)ざうりにして/諸宗山回向院無縁寺(しよしざんゑかうゐんむえんじ)とハなづけられ たりのちに/芝増(しばぞう)上寺のばつとなり/豊国山(はうこくざん)回向院/無量寺(むりやうじ)と/改号(かいごう)せられしと也/元禄(げんろく)六年 十万八千人焼死人のためしなのゝ国/善光寺如来(ぜんくわうじによらい)日/数(かず)六十日/本堂(ほんどう)におゐてくやうあり これ/開帳(かいちやう)のはじめ也「万治元」日本ばしかゝる同二年両ごくばしかゝる/安永(あんえい)元二月 廿九日大南の風つよく目/黒行(ぐろぎぎうやう)人坂ゟ出火してその火八方へ/吹(ふき)ちり大火となり/千住(せんじゆ)かもん /宿(しゆく)まで焼よく/日(じつ)西北にて/浅(あさ)くさへかへりし時馬道へんの焼るころ/観(くわん)をん/堂(だう)へハ火のこも きたらずさバかりの大火をのがれしこと/実(じつ)にきなることにハあらざるや明暦三正月十八日 十九日馬道ゟ出火しずい/神門(じんもん)の焼たる時あめふりくわんをん堂へつ/条(でう)なしといへり又 浅くさ道ゟ/堺(さかい)町松しま丁廿九日に焼のこりたるば所焼かへりたるもめづらしき大火なり 焼死人/多(おゝ)き中にも/芝(しば)西の/久保神谷(くぼかミや)丁のものなるよし年のころ廿七八とおぼしき女/当(たう) 才と三四才の子両のわきの下へかゝへ天徳寺のはか所の地上をほり子供もおのれも そのあなへかほをおし入しにいたりしる人これを見つけそのおハとにしらせ引取はうむる 女ながらもかくごよくしにてもかほやけたゞれなるものなりといふことしれずかほ さへ焼ずバ/犬(いぬ)じににもなるまじと/早速(さそく)の/工夫地上(くふうちじやう)をほりかほを/土(つち)にうづめたるハ げにあハれなることなりやけし人八千五百人ハ八十四年「天和二同三元禄」 「十六」極月廿九日「享保二」正月廿一日同九年三月芝口御門焼る「延享三」 二月晦日「宝暦十」二月六日「安永元」二月廿九日「天明六」正月「寛政四」 七月廿一日/麻布(あさぶ)かうがいばしゟ小石川に十人町まで六十四年同六年正月 十日市ヶ谷ゟ芝増上寺黒門まで六十二年「文化三」三月四日高なわゟ あさくさしんぼりまでやけ死人五百三十人五十年「文政十二」三月二十七年 「天保五」二月七日九月十日廿二年「弘化三」正月廿四日青山ゟ高なハ迄焼死 人三百八十四人十年「安政元」十二月廿八日神田多町辺ゟ出火して日本橋迄焼 【上の資料】 夫人として 孝なきは人に あらず江戸 出火ときかは 遠国他国の 親兄弟いか斗あんし たらんやはやくもその 親たちにしらせてあんしん させへきこと也頃は嘉永五 子年正月四日朝五ツ半 ころより両国米沢丁 辺より出火致し同新道 両かは同うら通りやけん 堀此所三番組消夫より よこ道丁三丁め南かは 同新道表通り角二番 組けしとめはくろ町 四丁目やける此所火松平 丹波守様御組御□□ 此時よう〳〵火 しつまり人〳〵 安堵思をなせしは 其□□夕七ツ 半時なり 【下の資料】 頃は嘉永五年□【十一?】月 十九日夜九ツ時丼いけ すじ南久宝寺町 三丁目より出火して 折しも西風はげ しく心さい橋筋へ やけ出せんだんの木 すし久太郎町金や 丁中ばしすじ なにはばし筋堺 すばかぢやばし すじ夫より久宝 寺ばしわきにて 翌廿日九ツ時やう 〳〵にして鎮火い たし諸人あんど の思ひをなすなり 尤東西ともに 本願寺はやけ のこるなり 【下の資料・左下欄外】      平野町筋淀屋橋西へ入 金井屋安兵衛板 【上の資料】 大坂上町出火 頃は十一月廿九日未之下刻西北 角より西風強く船越町出火致し骨屋町北革 屋町つり がね町南 かわやけ る南にて 平の町筋 北かわ焼 同様亥之 刻しづま り人とあん とのおもへ□ なし 【地図は南が上になっている】 【下の資料】      口上 町々御機嫌克 昼夜(ちうや)無御 草臥(くたびれ)被成御廻り提(てう) 灯(ちん)に奉存候随而私義此度別 製司(せいじ)工風仕小金餅 は施行糖(せぎやうとう)龍(りう)こしやお釜(かま)おこし鳶(とび)のらくがん 仕込入念精々相廻り申候間 金棒(かなぼう)じやら〳〵敷 御風町の程奉希上候以上 【お品書き札風】 龍こしやお釜おこし   《割書:目ざ|まし》鉄棒おこし 鳶のらくがん      水の手店子もち 入用かさくみもち    地主なんじう 金持あんしん落雁    割竹甘処とう 夏をまつ風       見張恵の月 右之外番屋御進物もの風烈御火なし家主居り詰両町橋詰等 御座候間御用被仰付可被下候 御製司 太平糖     浪華やき 右之品別而御評判高く御座候 【のれん】極製 夜中ひるこ              諸町通一丁目角 江戸 御火事製司所   風烈堂              水越播磨大掾 十月一日似世びらき当日より麁粥さし上申候 【上文】 頃は天保九年戌四月十七日南風はげしく 日本橋本舟町ゟ出火して此辺一面より 伊勢町二軒残るむ室町三町安針丁小田原丁 瀬戸物町両替町さや町釘店ゟ駿河町 ふな丁雉子町新白銀町此辺一面なり 《割書:本町四丁め角|泊り【四角】丸十》《割書:石町四丁め|泊り》《割書:本白銀丁|四丁め泊り》《割書:そ川すじ|本ぬり物丁》 《割書:かぢ町|丁め二丁め》《割書:鍋町西河|泊り》《割書:紺屋町二丁め|泊り中の橋落る》白壁町 《割書:まん中残る|【四角】一番組》松田町冨山町一丁め泊り 《割書:小柳町中程|泊り【四角】八ばん組》《割書:西神田|   長冨町四丁大工町一丁》 《割書:深川町三丁|りうかん丁》《割書:たて|大工町》鎗■町《割書:三川町四丁|酒井《割書:様にて|事》泊り》 《割書:川井新石町|四丁》新川屋町本ぬりもの町 柄木町《割書:丹波清兵衛様|津田様半分泊る》連雀町山本様泊り 《割書:四軒町|近藤城部様にて泊り》《割書:小川町|土岐様水野様》 【下文】 小川町 《割書:本田伊予守様|泊り》山田作兵衞様本多ぶ前守様 土屋兵部様五嶋様平岡様松平留吉様 大沢様遠藤対馬守様石川様御馬屋半分残る 金森山城守様《割書:いかふり|前田様》白須様高木様 にな川様北村様本所様わしのす様新庄様 倉橋様長谷川様戸田長門守様榊原様 戸田加々守様大岡弥衛門さま前田采女様 内藤大和守様大久保小八郎様《割書:〇火けし| 〇火のミのこる》 山本様板倉伊予守様松平い前守様より 本郷丹後守様半分筑後守様 にて泊る 同日  市ヶ谷柳町ゟ出火  入口   □光寺 横手 久貝因幡守様にて泊り申候   町家不残浄栄寺 長厳寺光徳寺   如都左つ様《割書:髪結どこから|のこり 【四角】六ばん組》柳町より   尾張様と山□屋敷□□□□なり 夫人として孝なきは人にあらず江戸大火 と聞ては国々親兄弟のなけきいか斗り ぞや͡是一時も早く安否をつげしらせあん とさせへき事第一なり頃は天保十四年 十二月廿七日夜八ツ時頃西北の風はげしく かぢばし辺より出火いたし五郎兵へ丁たゝみ丁たちうり 弓丁新肴丁弥左衛門丁こんや丁不残すきや丁 山下丁南なへ丁瀧山丁森山丁惣十郎丁内山丁 山王丁さへぎ丁かゞ丁八官丁より合丁山城丁 つくば丁佐兵へ丁丸や丁土橋にて留る又一口は竹丁 すみ丁ぐそく丁金六丁水谷丁南八丁堀あさり かしにて留飛火木挽丁松村丁堀田様 新庄様伊達様  様半分板倉様半分 焼る一口は京橋銀座不残尾張丁竹川丁いづ も丁新橋にて焼留る尻火にて南かぢ丁片 かは南伝馬丁鈴木丁いなば丁ときは丁柳丁にて留る 【上段】  夫人として考なきは人にあらず江戸大火  と聞くは国々親兄弟のなけきいか計り  そや是一時も早く安否をつげしらせあん  と■せへき事第一なり 頃は弘化二年巳正月十四日ひる九つ半 時頃西北風はけしく青山三すじ辺丁ゟ 出火して五十人丁御手大工丁ごんた原 青山御やしき六道の御組やしき 御はた本様多やけ夫より宮様御門 向御組やしき是ゟ麻布露土丁 谷出羽守様鍋嶋津守様此辺のこらづ 麻布百姓丁桜田丁新丁二本提い もあらい坂日けくぼ小笠【小笠原?】様色利【毛利?】様 此辺のこらず夫より六本木京極様 【下段】 戸川様戸田様長坂下丁家残ら づ麻布十番三田新ぼりわたより 松平中つの【中務少輔?】様ほしな様織田様 津嶋様松平加賀守様下やしき 黒田様半やけ留是より三田 三丁目のこらづ夫より三田みろく 田丁二丁目留一口は古川ゟ台丁細川 越中守様中やしきいさゝこ台丁 白根台丁夫よりしりび三田丁 三丁目ゟ九丁目まで夫より車丁 二本板高なわ台丁泉角寺【泉岳寺?】門前 高なは通りさつま様にてとまり 己正月廿四日北風はけしく空ゆく雲の あし早く地ハいさごを中天にふき上ヶあいろも わからぬ折からひる九ッ半時ころあを山六どう へんゟ出火いたし高なハ迄やける横得五丁又十二三丁 あるいハ三十丁たて一り半ほど此やけハらにさんきうの 人々御たすけの御小屋をかけ日どう々に 食じを下しをかれ候儀 ありかたきこと 申上るも   をそれあり 【上段文】 頃は弘化二年巳の三月七日明七ツ半時 すぎころより西北の大ならい風はけしき おりから神田柳原土手下へんんより出火 してあわておどろき老若男女荷物諸 道具等持出し左右にみち〳〵さんらんしてそ れよりとみまつ丁久右衛門丁代地豊嶋丁一丁目 二丁目三丁目は少々のこり大和丁代地佐久間丁四 丁目代地少々白川丁元岩井丁橋本丁四丁 附木丁馬喰町馬場町二丁目壱丁目横山丁 壱丁目中より片かわしほ丁片かわ又西は岩元丁 大和丁同宇屋敷九けん丁又は小伝馬丁三丁 同上八丁亀井丁一口は鉄ほう丁大伝馬丁壱丁 目新道より二丁目通はたご丁大丸屋大店 やける同新道あふら丁元濱丁新道少々 田所杉の森稲荷新材木丁長谷川丁三光 新道風かわり此所にて留る人々あんと思ひをなす事しかり 【下段地名等】 焼原方角附 柳原どて 豊嶋丁通り 江川町通り としま町 二 三 とお橋丁 九けん丁 大和丁 元岩 橋本丁 同二 久右衛門丁通 馬々 かし 上は丁 てやしき 同 うら かめい丁 おすは しん道 付木店 うら しんみち 鉄ほう丁 小伝馬 同二 同三 馬喰丁 同二 大しん道 同二 同三 あふらみちしん丁 大伝丁一 二 はたご丁 道あふら丁 しほ丁 横山一 人形丁道 ほりどめ二 しんみち 新材木丁 のりもの丁 田所丁 いずみ丁 長谷川丁 三にはしん道 【上段】 おりから青山鼠穴より出火して権田原六道のづち三筋町こ〃 か町御組やき南かはのこるおすきや丁くり原様五十人町不残 おそうじ町おかじ町川村様富まつ丁よこ山様下やしきおかた様 御手大工丁青山下野守様中やき半分ほとかり丁通り組やしき六間 丁庄田様朝ひな様一尾様朝川様大膳様組やき井上様山名様 浅井元東様なべしま様うしろ通りあざぶりう土町へ飛火して こうせん寺此のかたかわいもあらゐ坂上の御組やしき九分通やける 教前寺門前丁六本木通り日かくぼ町毛利様京極様戸川様戸田様 小笠原様加見様長堀大木市左衛門様松平傳一郎様長坂町谷町 やふ下町のしば十ばん町引紙丁まきがし向通り小山黒田様半分芝南 新門前代地自しんばんにて此所焼とまる又一口はあさぶりうど谷町京雲寺御 組屋敷百姓町桜田町稲荷宮明谷寺法雲寺車称寺其外町々 正光院一本松辺秋月様なんぶ様とう山様木下様むかふ町堀田様ほしな様 天光寺あら木様土屋様善福寺門前町そうしき町此辺御屋敷不残焼 仙台坂町残古川通り青木様古川町大俵様直井様木村様田嶋町かし□ 魚らん下町通り同まへ通り大信寺三田小山台丁いさらご台町細川様 南おもて残るまへ町通りおゝた原臺町二本ゑの木町とくほ寺幸□□寺此外 寺々多く焼失井伊様大和様有馬様大久保様さる町大崎か藤様にてとまる 又一口は三田小山おゝ塚島津御門のこるまなべばしやける土屋様やける寺町半分 ひじり坂三田二丁目止る通新町同明丁札之田町二丁目より九丁目まで ■■れ松平あは様細川様松平左衛門久るしま様七軒一口伊四子ゟ白銀通り 清正公やける高野寺にて留る牛町ゟせんかく寺大ほとけのこる高輪 さつま様手前にて留る夜四つ半時頃火しつまり人々あんとの思ひ なしけるところ よく廿五日昼頃又〻鼠兄穴稲荷前御組少々焼る 【全く自信無し】 【下段】 頃は弘化二巳の三月廿六日明け七ツ半時西北風はげしく神田としま町辺ゟ 出火一ニ三丁目冨松丁江川丁橋本丁四ケ町ばくろ丁壱二三丁目よこ丁表がは 【白抜】南組五くみ 人足四百七十人 【白抜】中組六くみ十番六くみ 一手二成二十ニ組弐千四百四人夫より横山丁通り しほ丁片かは 【白抜】北組五くみ 三百五十九人ぐん代やしき残る 【白抜】十番六くみ 八番六くみ 九百十九人としま丁一丁め これゟ大和丁代地弁けい橋元岩井丁 【白抜】五番九くみ 六番六組 合十五組かゝる新土手下岩本丁 とんや丁三丁目 【白抜】よ組 七百廿人是ゟ北風つよく元柳原丁中ほど 【白抜】八番四くみ 九番四くみ 合て千 五百五十五人亀井丁附木店ゟとび火して通油丁はたご丁大丸焼る同新道田所丁人 形丁長谷川丁 【白抜】一番五くみ 人足二千二百四十六人片かは 【白抜】中組六くみ北組五くみ 六百十一人又一口は元濱丁 角 【白抜】十番六くみ 九百三十人新和泉丁新道三光いなり焼る中ほど 【白抜】三番五くみ 四百二十九人 人形丁新道角 【白抜】け組 百十一人一口は小でんま上町小でんま丁らうやしきは火の中とて残る 大門通り大でんま丁二丁目まで大でんま塩丁中ほど 【白抜】五番九くみ 千九百七十人鉄ほう丁 おもて通り 【白抜】二番七くみ 千三百七十二人これゟ風はげしく大でんま丁新道 より焼出す 【白抜】一番五くみ二番七くみ三番五くみ 一手に三千八百九人ほりどめ丁 西角 【白抜】三番七くみ 千百七十一人 【白抜】五番九くみ 千二百五十七人これより新ざい木丁 新のりもの丁庄助やしき杉のもりいなりやける新ざいもく丁中ほど 【白抜】二番七くみ 千三百七十二人かかるひる四ツ半時火しづまりぬ    壱人前に白米三升銭二百文つゝ下さるゝ      御小屋      芝赤羽根河岸通り      五つ棟       間口六軒       奥行五十四間類焼人数    正月廿四日類焼人数     《割書:男|女》六万四千三百八十五人    御すくひ《割書:米 三升|銭百文つゝ》    米高 三斗俵に直し     六千四百三十八俵壱斗五升    錢壱両二六〆五百文    金に     〆千九百七十一両        壱〆五百文 【高札】   覺 /類焼(るいしやう)にて/窮民(きうみん) 御/小屋(こや)/入(いり)/相(あい)/願(ねがい)候/者(もの)は /居町(ゐまち)/町(ちやう)/役人(やくにん)江/届(とどけ)二 およばず/直(じき)に/当所(とうしよ)江 /願出(ながひいづ)べきもの也 /但(ただし) /御小屋(おんこや)/入(いり)/之(の)/者(もの)/日(ひく)々 /御賄(おんまかない)被/下(くだされ)可/稼方(かせぎべくかた)は /勝手次第(かつてしだい)/当人(とうにん)江ハ /元手(もとで)/錢(せん)被/下(くたされ)候事 【上の資料】 頃は安政五午年二月十日夜五ッ時過日本 はしあんしん丁辺より出火して折しも西北 風はげしく本小田原丁一二丁めせと物丁 かたかはいせ丁かし半分むろ町一二丁め□ 東かは少しのこる本ふな丁納や共一【ゑん】 日本ばし江戸ばしのこる 通り一丁目木戸きは少々のこる 万丁青もの丁音は丁さるい 丁小まつ丁平まつ丁川せ 石丁南油丁のこらす新右【衛】 門丁少々のこる榑正丁 少しのこりかいそく橋 やけ落る牧の さまのこる坂本 丁うらおもて かやば丁代 官やしき▲ ▼八丁ほり 九きさま 細川さま 越中さま のこる神田 代地半分 やける地 そうばし へん一ゑん 中与力丁は のこるかめ嶋    【以降次ページコマ60へ続くか】 【下の資料】 頃は安政五年二月十日夜 五ッ時ころより日本ばし あんじん丁へんより出火いたし おりしも西北風はげしく いせ丁ながはま丁小田原丁 せともの丁南かはやけとまり むろ町壱丁目二丁目東かは やける夫より本舟丁より南の方は 四日市町北かは六七けんのこる 江戸はしくらやしきのこらずやける おきないなり社やける青物丁 よろづ丁小松丁おとわ丁南油丁 左内丁新右衛門丁本材木丁壱丁目より    【以降次ページコマ60へ続くか】 【上の資料・前ページコマ59から続きか】 のこらずれい がんしま丁川 口丁ながさき丁 しろかね丁三丁 東みなと丁 上下のこらず ゑちせんさま残る しん川南がは少々 やける又一口は岡さき丁磯辺 大じん宮さま高輪代ち 本八丁ぼり一ゑん中 のはしおちる南八丁 ほり二丁目少々三五丁 め堀さまかもんさまのこる あはさまのこらず堀田さま 半やけてつぽうずいなり のこる本みなと丁ふな まつ丁細川さま十けん丁 少し飛火にて佃じま半分 やけ翌十一日昼四ツ半時やう〳〵 火しづまり人々あんとなす遠 こくのしんるいへはやくしらせてあんと なさしむることかんようなれば其便りをこゝにあらわす也 【下の資料・前ページコマ59から続きか】 四丁目迄しんさかなばのこらずくれまさ丁にて とまる又一口は坂本丁かいそくばしやけおちる 牧【「野」抜】様は無事かやば丁うらおもてのこらすやくし 堂山王御やしろ地内のこらず代官やしきのこらず 九鬼様細川様のこる松平越中守様半やけ 北しま丁かじ丁地蔵はしへん火の見やぐらのこる 大通りへん御組やしき亀島丁日比谷丁かし与作 やしき本八丁ぼりへん亀島はしのこるれいがんじま 川口丁長さき丁みなと丁ゑちぜんぼり南新川 霊岸島丁てつぽうずいなりやしろのこるみなと 丁へん十けん丁細川様御やしき松平阿波守様御やしき 此へんのこらず南八丁ぼりへん夫よりつくだしまへうつり 住吉社りうし丁のこらず石川島のこる翌四ツとき よふ〳〵火しづまり人々あんどのおもひをなす 遠国の人々に早くし□□□□□□彫(ほり)おこすなり 頃ハ弘化三丙午 正月十五日八ッ 時頃本郷丸山 辺ゟ出火致シ 菊坂辺阿部様 下屋敷本郷通り 加賀様少々焼湯嶋六ヶ 町御茶水聖堂焼ル神田 明神残ル外神田旅籠町 仲町辺佐久間町一丁目にて 留ル昌平橋焼落駿河台へ 飛火致シ御籏本様多ク焼ル 筋違門伊賀様土井様左衛門 尉様小川町稲葉様神田橋 通本多豊前守様其外御籏 本様多ク焼ル内神田三河町辺 大工町辺多町辺須田町通り 本神田小柳町白かべ町お玉ヶ 池此辺不残新石町なべ町かぢ町紺屋町 新土手下のり物町今川橋通り本銀町通り 本石町通り小伝馬町壱丁目二而留ル牢屋敷 残ル本町通り大伝馬町弐丁目二而留ル宝町通り 日本橋焼落瀬戸物町駿河町両かへ町品川 町魚かし此辺平一面二なり江戸橋荒布橋焼 おち小舟町丁堀留堀江丁親父橋焼おちふき や丁よし丁大坂丁辺とうかん堀安藤様下やしき 尾張様蔵屋敷小網丁通り箱崎土井様久世 様伊豆様北新ぼりみなと橋焼おち御舟手 組屋敷二而留ル南北新川はま丁大川ばた辺 其外れいがん嶋十八ヶ丁焼ル越前様むかひ 将監様組屋敷二而留ル高橋亀嶋橋やけ おちかやば丁薬師八丁ぼり残らず九鬼様 越中様細川様下やしき焼海賊橋しんば橋松屋橋弾正ばし 中の橋いなり橋ミな焼おちる本八丁堀通り南八丁堀通り本多様 堀くら様かもん様下やしき遠江様少々阿波様下やしき鉄炮洲稲荷焼 湊丁船松丁十けん丁細川のとの守様松平長門守様二而留ㇽ佃嶋へ飛火して焼ㇽ 又一口ハ四日市青物丁辺左内丁小松丁しんば肴かし通リ本材木丁八丁目迄 日本橋通りハ壱丁目ゟ南伝寺丁三丁目まで八丁両かわ焼両中通りハ 両河岸よりたゝみ丁迄東がわ焼ㇽ西がわ残ㇽ京橋きわまでやける よく十六日九ッ時すミ丁竹丁がしにてやう〳〵しづまり人々あんどの思ひをなす 【右下】 御大名様上中下御屋敷数三十五ヶ所 御旗本御屋敷九十軒余  町数三百六十ヶ町余   橋数弐十所 本郷丸山より鉄炮洲迄   道法凡壱里十六丁余 神田佐久間町 江戸橋四日市 八丁堀松屋丁 右三ヶ所江窮■御 救小屋取立候■類 焼困窮成者ハ勝 手次第御小屋入 可願出もの也 正月十七日 16 【上段】   京都出火ほ方角附 比ハ弘化三午年閏五月十九日夜酉ノ刻比 大北風はげしくあるゐハ東風を吹まぜ そら一面にかきくもりすなをまきあけ つちけむりを吹たて何となくものすごきおり からばんま半しやう時の声人馬の足おとをび たゝしくこハ何事やらんと人々おとろきたち出 見れバ寺町道りにしきこうじへんより出火 して風はげしけれハたちまち大火となり あたかも天をこがすがごとく老若男女 親にわかれ子にわかれ諸道具等をもち出シ 四方にみち〳〵さんらんすさてそれより ぎおんたび両町此へん不残西ハ寺町より 東がわまで焼比ハ錦こうじ両かわともやけ南 ハ四条道りあやのこうじ両かわ不残焼同二十日 午ノ刻烏丸にてやけとまることしかり 【下段】 夫人として孝なきハ人にあらす大坂大火 聞て親兄弟なけきあんつる事いか斗一時も早 くしらせんかため頃ハ弘化三丙午ノ年十一月二日子ノ 中刻ゟ西南風はけしく高砂廉橋辺ゟ出火 して仙波辺安土丁順慶町久太郎町 久宝寺町南本丁又一口ハ北ハ出納天満前 よりてん神裏門通り迄岩井町此内少々焼 残る南錦嶋広小路辺まで夫ゟいよ〳〵風 はけしく一口ハ堂嶋永木町松山船大工町 曽根崎まて焼る南新町車屋町かめ山丁 谷丁石丁京はし焼残る天満焼落る也 名メ丁残焼る久宝丁橋未吉橋焼落る也 材木丁和泉丁今橋辺あハじ丁道じ丁 此辺のこらす焼るなにハはしにてとまる 西本願寺とものこる也翌三日丑刻にてしつまる よく〳〵人々安諸の思ひなしにけり是を きくにつけ火之用心第一大切二いたすへき事   独案内(ひとりあんない) 仁義礼智忠信孝挺悌の八ッ者 しばしもわするへからずわけて孝行ハ 善道のつかさ也夫人として孝なきハ人に あらず江戸おもて出火ときゝくに〳〵 在々親兄弟へさつそくつげしらせべき を第一也時に嘉永二酉八月廿四日夜 九時内神田弁けいばしゟ出火して同所 よこ通のこらず松しだ丁小いずミ丁 久右衛門丁四丁目代地やまと丁岩井丁 上納地やける北がハのこる也同所どういふ やしきかど此辺所々一番二ばん五ばん八番 消留元柳原十六丁目十番組消留元岩 井丁かめい丁北側のこる南方五番ふか川組二て けし留小でんま丁一丁目二丁目三丁目木戸際二而 一番六番消留油丁通り東がハのこる西がハ一ばん 五番□組二て消留はたご丁西がハやける東がハ大丸のこる □□番消ほり留焼田所丁西がハ焼東がハのこる六番 本所組二而新大坂丁東側弥兵衛丁住よし丁のこる大さか丁にしがハ やける銀座のこるやしき前通一番二番八番組二て消留夫より 甚左衛門丁両かハやける牧野河内守様御中やしきけし留小網丁 壱丁目よこ丁きど際二番組けし留貝じやくし店迄焼也又一口ハ らうやしきのこるうら門通やくし堂まへ小傳馬丁中程一番組 二番組九番組消留大でんま丁二丁目木戸ぎハ一番二番二而消留また 一口者人形丁通り杉のもり新道同所いなりの社やける乗物丁 新材木丁はせ川丁西かハやける木戸際こま組消留る三ばん じう番九番消留三ばんなりのこる庄助やしきさかい丁 ふね丁ミよし丁やけるいなりしるこのこるがく道新ちやける ふきや丁川岸通り一ばん組二番ぐミ二て消とめるおやぢばし へんのこる廿四日の夜ゟ廿五日の五ッ半すぎまで凡六時の 間に百万の屋舎まで火灰と成り七珍万宝一へんの 烟 煙と変ずるなれともおそるへきハ火也またなくて かなハざる物なれバ朝夕心がけ氣を付べしいさゝかのことより 大火事となる心ゆだんすべからず火の用心                 火の用心 【上段】 頃は嘉永三戌二月五日ひる四つとき糀町五丁目辺より 出火いたし折しも西風はげしくして呉服店岩城升屋 焼る通は壱丁目迄両かは不残山本町壱弐三隼町一二 平川町壱二三天神焼る貝坂此へん不残明石様三宅 様京極様御中やしき奥田様浅倉様御火消屋敷 赤松様深津様池田様石丸与田様田村様渡辺様 柴田様竹之内様日下様横山様石川様奥山様大村 様勝田様細川備前守様御中屋しき鳥居 様半分焼る有馬丹波守様御中屋しき 松平備前守様御上屋しき九鬼様永井 遠江守様御中屋敷本多豊後守様永 田様大久保様安芸様御中やしき後藤様 松平大膳之輔様岡野様夏目様三浦様             壱 【下段】 井伊かもんの頭様御上屋しき黒田美濃守様 松平伯耆守様御上やしき内藤能登守様 焼る是よりとび火して虎の御門そと御勘定 久須美さどの守様京極様御上やしき【太鼓か小槌の図】いなば 様木の下様さがら様高野様冨永様此へん 小屋敷方のこらす浜のさま久寿木【朽木】周防守さま 青山下野守様御下やしき半分西之久保しん 下谷町天徳寺門前町天徳寺にて焼どまる 又一口は桜田備ぜん町泉町毛利様一柳さま 井上河内守様堀田様大久保様阿部様御中 屋しき田村佐京大夫様秋田様加藤様 ひぢかた様よねきづ越中守様御中やしき 木下様毛利様御上屋敷大嶋様仙台様             弐 【上段】 御中屋敷松平佐京様井上様戸田様松平 丹羽守様御上屋敷土岐様牧野様あたご山 表門通り不残片桐様松平おきの守様御上屋 敷池田様赤木様藤かりゑ【藤掛?】様本多様倉橋 様柳生様御上屋敷植村様御上屋敷仙台様 御中屋敷有馬光丸様稲葉様三谷様是より 芝宇田川町焼出し柴井町しり火にて 少々焼る新銭坐神尾内記様森越中守様 御上屋敷関但馬守様御上屋敷新網町のこらず 大久保加賀守様御上屋敷また一口は三嶋町神明町 神明宮焼る大門中門前濱松町一二三四金杉 壱二三四不残田町にて夜の四ツ半時やう〳〵火 しづまり諸人あんどのおもひをなす也         三 【下段】 焼場方角 嘉永三戌年二月廿一日夜 七ツ時芝森元町ゟ出火 致し折しも南風烈敷 此辺御組屋敷町家横 立一めんに相成飯倉通り 焼おし熊野ごんけん 社やけるそれゟ 辻迄焼け也 御大名様御人足ニ而 消留ル いろは組町火消 はたらきけし 留ル也 【図中表記 左上から】 黒きは残る 白きは焼ル ヤシキ 御組ヤシキ 戸沢様御屋敷 三番組消口 ヤシキ 村井 沢尾 町家 森元町 ヤシキ 五番組消口 ふる川 三番組消口 しんこういん 赤ばね 赤羽根橋 黒門 六丁目 五丁目 四丁目 三丁目 二丁目 一丁目 小出権之助様 町家 二番組消口 ぜんてうじ 一番組かさ消口 二番組 五番組 三番組 消口 松平には守消口 るり光寺 増上寺御山内 竹仲 熊野権現 町家焼け 四ツすじ 御山内 六番組火消 十番組消口 八番組消口 九ばん組消口 五ばんくみ 六ばん組 飯倉町 西久保通 【上段】 京都焼場方角附  条六角通宝町西入町 吉田屋官兵衛板 比ハ嘉永三戌の年四月十六日ひる九ッとき京都万寿寺通ふや町 西へ入町南がハ四軒目より出火にて新はし西南の風はげしくて 松原通へ焼ぬけ火二口になり東高せ川をこへかも川源限西の方ハ 柳馬場の裏とふりを高辻通ハ西にてとミの小路地じん迄仏光寺 通にてハ柳馬場裏通東がハ迄綾小路通にてハ富田小路西へ入町 北がハ五けん目迄 北の方ぎおん御たびの 南の方より五条大はし 手まへ迄西ハ柳馬場 東ハいつれも賀茂川 まで類焼寺町通にて名高き 寺院あまた 類焼市中 御やしき神社 多く焼同日 夜五ッ半時 やう〳〵火しづ まり諸人 安堵の思ひ をなす誠二 京都にてハ めづらしき 大火なり 京都へ縁 ある人の たよりにも ならんと 其あら ましを しるす 【下段】 頃は嘉永三年五月八日暮六時過 本四日市丁中ほどゟ出火して東風 はげしく荷いなり社やける 御納屋役所残る本材木丁 壱丁目青物店角一番四番組 中組三四六七十十六組にて消留ㇽ 此辺しり火つよく四日市通り 中ほどへやけぬけ此所十番組 中組北組五六八九十十一十三十四十六 組にて消留同所上丁迄やける 此処酒井左衛門尉様御人数二番 十番組中組八組十六組にて消留 萬丁角五番六番消留ㇽ南がハ 中ほと迄やける通壱丁目横丁 木わら店秋元但馬守様御人数 六番組消留ㇽ赤羽丁木戸ぎハ 迄やける佐内丁両かハ十番組 北組一二三四五六十一十二組にて消 留ㇽ川瀬石丁新道木戸きハ迄 平松丁木戸際酒井左衛門尉様御人数 中組五組八組消留ㇽをきな小路やける 南油丁木戸際酒井左衛門尉様秋元 但馬守様御人数二番六番組消留ㇽ 新右衛門町中ほと両かハ酒井左衛門尉様 間部下総守様秋元但馬守様五番 五七八九十十六中組消留やう〳〵にして 火しづまり夜もほの〳〵と明たり 諸人あんとの思ひをなしにける されバかゝる一小紙なれども遠国に 縁ある人々のたよりにもなり ぬべきとづふさに書あらハす ことしかり 丁数一丁巾にて凡二十丁余 「焼場方角附」 《割書:頃ハ嘉永四年亥の四月三日空一めん二もの|すごきおりから四ッ谷ひしや横丁へんより》 出火致し□雲寺横丁西かハ□善寺并寺々ハのこる東かハ御やしき様 方残らすやける舟板横町車内門よこ丁あらき横丁此へん 御やしきやける/忍(おし)町伝馬町三丁残らず焼ㇽ同一丁目玉ずしやの うしろの方ハ松平肥後守様成瀬隼人正様松平 摂津守様御人数二而消止ㇽ新堀江丁大工甚助方ハ 松平摂津守様人数消止ㇽ北伊賀丁 御仮やよこ丁せり長根きぬ文ハへひ少々 やける北の方ハ両かハ残る福寿院よこ丁ふくしゆ いんハ本堂ハ残る寺内少々やける秋葉様ハ のこるおたんす町ハ おもてうら中たんす 丁角太田孝庵様 半やけ因幡屋ハ本          大横丁通り 所深川消止ㇽ西の方ハ       七軒町二て止る  うら長家八けん程残        塩丁にてさつま うらおたんす丁奥村       あ部さま本所深川 静吾様ハ一番組消了覚寺やける やぐら二而消同北がハのこるこの所ハ一番組二番組本所深川二て 消留る麹町十二丁メ角ハ二番三ばん本所深川消なり四ッ谷御門水ゟ 竹丁傳馬丁一丁メ焼向ノ方西久保天徳寺門前替地木戸きハ一ばん二番消也 仲居町ハ残るいし和田様ゟ山口久庵様迄此へん御やしき様不残やけ麹町十三丁メ 新一丁メ西念寺よこ丁ハ「打こし長三郎様二て留さいねん寺を初寺三ヶ寺残る天王横丁 南いが丁焼本福院ハ三番組消口愛染院ハ本堂残る夫ゟ新屋敷 伊出様半焼岡部様下       辺見様ハ十番組消也 やしき不残焼南寺丁本      圓通寺やける祥山寺 正寺其外御やしき様やける     法蔵寺はのこるおし原 法恩寺二而留うら表さつ      よこ丁山形様残る ま丁組やしき御憲いなり やける安養寺門前岡部様 やける永井様ハ三むね程 やける北山様ハ残ㇽ夫より 西ノ方諸星様御門ハ三番 組消坂本勝之進様やける近藤様ハ残ㇽ大番町組やしき四けん残 塩町三丁メハんとんいせや三番組けし留大木戸よこ丁小なわ様御門残る 多安様下やしき残る柳生さま下やしき少々焼同丁五番組三ヶ所消ス 六番組お組ハ一口消又一口ハ内藤新宿へ飛火二て下町さかみやつの国 いせや辰巳や同仲町台倉玉やまつや武蔵やいづや辰尾やおか田や 福嶋焼る大宗寺円摩様并本堂ハのこる辰岡や 三河や二而焼とまる此所ゟ成子人足并五ヶ所二て消有馬備前守 さま下やしき残る伊澤様御門斗やける同うら通り玉川御上水之橋 やけるて向新やしき小川銀次郎様初西ノ方ハけんやける森熊二郎様 二て留東の方辻番所内藤駿河守様下やしき七分通焼表御門と 【下側】 火の見ハ六ばん 組消留北がハ 丁や十けん程 残る玉川御上 水改場残る 又一口はさめかばし 仲丁龍王寺江飛火 二て夜六ッ半頃塩 丁一丁メ川岸二て とまる人々 あんどの おもひを なしぬ   安政二卯の十月 二日夜四つ時 有此大変 《題:/万歳楽鯰大危事(まんざいらくねんだいきじ)》 【右上からマス単位で下方向に】 【一列目】 【白抜き文字】/天災(てんさい)  天の木 十月朔日あけの みやうぜう ひかり月の こどし二日の そら米のごとし 【白抜】二  地の木 二日の夜江戸中 たちまち地 ごくとなる 人くち〴〵に えんまもると唱ふ 【〇】三  前後をミづ ちり〳〵ばら〳〵に にげてつまを よび子をよぶ こゑきやう くわんぢごくの如し 【〇】四  井の水 ゐどがはよりふき こぼれ或は ひしやくにて くめる此ゆへに 火事すくなし 【〇】五  雨の水 八日の夜小雨 ふる是より むしろるい ねだんあがる 【二列目】 【白抜】六  へい木 十一日のぢしん よほどつよし へいきのへいざへ もん小家を にげいださず 【白抜】七  たき火 十四日の夜大に さむふして 野宿の人 ぢしんより猶 つよくふるふ 【白抜】八  海の水 十八日大風海 大にあれて らいのごとし 諸人ふたゝび きもをひやす 【枠】町家  ふしぎの水 九月廿一日蔵前 茶や福本 のにかへ清水 わき出る是ぢしん のぜんひやうならん 【〇】二  苦しき木  牛のごとき ねぼう おほく はりをしよつて  死す 【三列目】 【白抜】三  火のそばの水 まち〳〵珍ぢんを はつてぢしん をまりゆるぐ たび〳〵おどろく 嘉夜打の入たる如し 【白抜】四  つゐへの金 両国中村のさゝ ゐに少きを きたるほね ぬきどぜう おほし 【〇】五  なみだの水 山善坂本へんゟ 死人を車に つみてゑかう ゐんへおくる 【白抜】六  あやしき土 芝うだかは町に どぞうさかさ なりてたつ 土すこしも くづれず 【〇】七  ひつぎ てんこおけそう めんばは四斗 だるのるい かんをけと なる 【四列目】 【白抜】八  かなづちの金 ゐんきよふるくぎを なをして手の さきしだいに たことなる 【白抜】九  ほねつぎ なかばしやげんぼり 千住等 何百番と ばんづけをよんで りやうぢする 【〇】十  名をうる木 はなしかしんせうを ふるつて なぐらのりやう ぢ人へべんそうを ほどこす 【〇】十一  まるたの木 つゝかいぼうの つよき事 むさしぼう のごとし 【〇】十二  はんぶんあん土 にかいほどよく たふれて ひらやとなる 人々あめつゆを しのぐ 【五列目】 【白抜】十二  のこらずやく火 おふりでにげだしてる むすこ手ぬ ぐゐをもらふて ゑつちうにする 【白抜】十四  つんだるよぎ 人をまもりて はりなげし のようとんをする 【〇】十五  どろ水 すいどう くずれて 諸人 さながら ふなのごとし 【〇】十六  どぞうの土 どぞうはちよき なおとして 主人の づつうをます 【〇】十七  わきの下の水 ぢしんのたび〳〵 ひやあせ ながれ出て たきのごとし 【六列目】 【白抜】十八  はんしやうの金 ぢしんの夜じしん ばんにて出を うけざるはじ しんのばんのみ をして人のばんを せさるにや 【白抜】十九  命めうがの土 芝金すぎにて 十四方の姫 五十七才の 老母白大一疋 ほり出す七日の事也 【〇】廿  こゑをたて金 浅草北じんまちにて 化物女のかほを つかみ子共を 二人しめころす 【〇】廿一  せかちかず よくどしき ゆうれい 本所ふか川 にてとらはるゝ 【枠】商人  はん木 /野子(やし)といふもの 堀より出て さきをあら そふてうれひを しよくす 【七列目】 【白抜】二  あこぎ ざいもくや はないきあら くして手おい じくの ごとし 【白抜】三  するどき金 丸太はねがはへて とびこばいた ふかぬうちと 小ばんと なる 【〇】四  ふとゞ木 はこん一本六十四文 わらじ一足壱せん どぞうひとつ 七両にてたゝみかけ ひろへまはさるゝ 【〇】五  かりふ木 こやをふくわら 米より たかし 【枠】職人  目から出る火 大工かなづち 一丁にて 八てんぐ はたらく 【七列目】 【白抜】二  やねの土の土 せ度めんぼく なげて 出入場を 見まふ 【白抜】三  ちからづくの金 このせつ車力の ながすあせ ひとつぶ五匁 ほどに あたる 【〇】四  ぶらさがる金 ひようとり はねをひろ げてやけ はらを なける 【〇】五  むかふ水 にわかじよくにん にた山より 出てよくの のを ふる 【〇】六  たてよこの木 □からす先より くろくなる はたらく事 はやぶさのごとし 【八列目】 【枠白抜】猿若  市川の水 ひやうたたんころげて なまづ たね かへる 【白抜】二  わらじの土 りくわんやげがねを つんで大ざかへ かへる 【〇】三  あのよの一本木 こくらくより 江戸ばしへ 三井だるの 見まいものあり 【〇】四  れいこんの火 ばんどうがはの 水をもつて 勘弥の 胸をまもる 【〇】五  まつくろな木 やけあとにたけ 十二けん ばかりの 大半 のこる 【九列目】 【白抜】六  ぎんがみの金 すのこの目 おちて ならくへ めりこむ 【白抜】七  ゑんぎだなの金 かみだなの ふくすけ おのれと なりうごく 【〇】八  たびかせぎ 富士のすねを かじり《割書:甲ふ|すんぷ》きんのしやち ほこをなめる 【〇】九  おろしまの土 あらき地のだいこ をはりの みやしげへ たねまきにゆく 【〇】十  ひやうし木 きやうげんがた 麦太郎と 改名する 【十列目】 【枠白抜】吉原  はやき火 その夜出火 よしはらを 第一番 とする 【白抜】二  迷の火 大門おのつから しまりて にげ出る事 あたはず 【〇】三  おそろしき火 五丁まちへんじて あび ぢごくと なる 【〇】四  身のけの    よだつ火 十丈斗の ひばしらたつ その火勢 うらたんぼの人 をまきたふす 【〇】五  日本堤の土 うちかけの おいらん はじめて わらじを はく 【十一列目】 【白抜】六  田のあぜの土 百千のかぶろ わらを かぶつて こゞへふす 【白抜】七  ねんり木 彦太郎のおぐらぎ 客人こん げんのかごと よつて 部屋つぶれず 【〇】八  をことぎ さのづちの後家 よくはたらきて ゆうじよと きんす諸道具 までやかず 【〇】九  不覚の井水 みうらのていしも ゐどへはいる 女房ぎりを たてゝ子と共に やけ死す 【白抜】十  しらねの火 おかもとの主従 三十六人 やけ死す じよろう 三人のこる 【十二列目】 【白抜】十一  土手の土 日本つゝみ大に 口をあいて 人をのむ 事両三人 【白抜】十二  ごろつ木 女郎をおくり きたれば おへやしして とうわく する 【白抜】十三  うしみつの金 もうじやの なきこゑ 五丁町二みつ 男女の死亡 凡千五百人 【白抜】十四  にぎは火 小ごうしのしよ らうねづ やならへんの 狐穴にひそんで なじみをたらす 【白抜】十五  はづない金 かりたくいまだ さだまらず ゆうじよほそ おびにてぢま いをかせぐ 【十三列目】 【白抜】十六  口かせぎ たいこもち へんじて つちもちと なる 【白抜枠】神社  護国土 かみ〴〵三日の あさ いずもの国江 おんたち 【白抜】二  おまくじの木 かしまさま しばし うたゝね し玉ふ 【白抜】三  ごまの火 ふとうそんを しんずるもの さらにけがなし うごか ざる理なり 【白抜】四  ふしんの材木 しばしんめいの ごぞうゑい しばらく ゑんいんか 【十四列目】 【白抜枠】仏閣  しかばの土 ゑかうゐん らいじんかい ちやう有て のちぢしん のもうじや山をなす 【白抜】二  いかりの金 あさ草かみなり もんの雷神 たいこを おとす 【白抜】三  九りんの金 五重のとう すこしも ゆるがず きんりうの角 四へまがる 【白抜】四  あまどりおちの くわんおんの 水 ゆかしたに あたまの黒き 鼠すをくふ 【白抜】五  にぎはし木 こんきうにん おく山に来りて だいぞうの ふくちうに やどる 【十五列目】 【白抜】伝  こまる火 もんぜんのしやくや しきみくさき 水をのみ せきとうをへり ついとする 【白抜】七  もふからぬ金 てら〴〵のたう れいたゞ うめる ばかり 【白抜】八  ふしぎ 神仏霊あり 堂みや 九分は つぶれず 【白抜】九   同木 けがなき人は たもとに かならず毛あり 死したる ものにはなし 【十六列目】 【白抜】恩仁  ありがた木 深川上野浅草 幸橋御門前 おすくひ 小屋できる 【白抜】二  同木 国恩をおりふて 施行する 人〻へ ほうびをたまはる 【白抜】三  太平の土 恩人こゝろを 正ふなほりて 戸ざらぬ 御代となる 【白抜】清  歎はつた木 その夜は歎に はなつてといへ共 日々野じんの 入用打すけ氏万 歳來をなて方々とする 十月 廿六日改 餘はにへんに しるす 【下部右側干支順に】 【〇】子 大こん一本六十四文 さりどうをくわねやう きをつけてくふべし 【〇】丑 松のせい れいうしと なりて さるわか まちの そらよりおちる 【〇】寅 此とら ぢしんを おそれてたか やぶににげ入る 【〇】卯 あらあやしや 此けものみゝを ながふするは やしの ま正し すや あらん 【〇】辰 果り ものゝ こりてう 水をまかずに 金でもチリとまきな せへ 【〇】巳 みまちして べんてんを いのるかねもち 橋たにくかんの さくりやうに あをたい しやうを つかふ 【〇】午 □す らい米の もちたこび実に ふほねに をれ まへ 【〇】未 枋て人の もりたうを のこざと くらふ 【〇】申 ぢしんの年之 大さかにて さる木よか おつる 【〇】酉 これに是 てんちかい びやくの ごとく ふたゝび 大地を ふみ なとす べし 【〇】戌 芝金杉 ぢしんの夜 より五日目 壱への老 母壱への むすめ と此白 杓を 土中より 出る実に 此物人馬にちかし 【図中地名等、右より】 せんじ 今戸 ねづ 芝居丁 上の 吉原 しやたばん 牛の御前 神田 京ばし 本所 ゆしま しんばし 石はら あたご 両国 しいのき おはま 芝 大はし 六けん 深川 永代 かなめ石 両眼日月 【マス別に上段右から】 【上段右一】 《題:《割書:安政二|大地震》出火類焼場所附》  御用   町会所         幸橋御門外  御救小屋場所 浅草広小路         深川海辺新田 【上段右二】 太平の御恩沢に枕高く治世の御国恩に万歳を謡ふ 人〻心を労する事 當さに震動の如し去ぬる十月二日 の夜四つすぐる比地ふるひ家つふるゝことおびたゞしく其中に 当地は新吉原を始諸処にて三十二所□立先/御廓内(まるのうち)は 和田倉馬場先の間松平肥後守様松平下総守様より 内藤紀伊守様右三軒御類焼其外御やしき不残崩れ つよく夫ゟ八代洲川岸は松平相模守様御添屋敷やける御上屋敷 定御火けし屋敷大半やける火の見のこる遠藤但馬守様やける夫より 大名小路諸家様並ひ崩るゝ事おびたゞしく又大手先之方は 酒井雅楽頭様やける表御門残る同御向屋敷やける 籠の口角森川出羽守様やける其余小川町辺焼失之 分は松平紀伊守様内藤駿河守様本郷丹後守様戸田 武次郎様榊原式部大輔様御やしきやける稲葉様 土屋様青山様近辺御屋敷のこらずそんじ多し 【上段右三】 又一と口は外桜田上杉様毛利様崩つよく鍋嶋肥前守様 崩る上やける山下御門内阿部播磨守樣少しも残りなく崩る 土手鍋嶋様薩州様御装束屋敷崩れ外がは少しやける 幸橋内柳沢甲斐守様伊東修理様やける亀井様少し焼る 南部美の守様有馬備後守様丹羽わかさの守様崩つよくやける 霞が関通は芸州様黒田様表側崩る向がは御大名のこらず ゆり崩る所多し井伊かもんの頭様より永田丁の方崩るといへ共少し 山王御社無事かうじ丁通り三軒屋辺少し崩赤坂町々大崩れ四つ谷は 通り少し寺院横丁〳〵はいたみ多し青山麻布少し西久保はたるみて 飯倉赤羽根つよく三田は少し品川高輪田丁本芝金杉は崩少し 増上寺は恙なし芝神明町三嶋丁は大崩れ濱手御やしきも崩多し 芝神明御宮少しもさはりなし柴井町一丁やける夫より仙台様脇坂様は 少し芝口通りは崩少なし桜田久保丁辺大半崩あたご下御やしき 崩多く切通辺無事也四谷通り麹丁は上水樋そんじて見ずあふるゝ 【上段右四】 日本橋ゟ南は右中通新場辺崩少く左中通呉服橋かし一円そんじ少し 中橋辺より崩多く南伝馬町二丁め三丁目東西材木町かし かぢ橋川岸通り迄の町家のこりなくやける京橋向すきやかしゟ 土橋辺新ばし又は尾張丁木挽町三十間堀築地此辺崩多し なれとも外々ゟ少なし又八丁堀鉄砲洲は崩少し所々崩る内舩松丁 松平淡路守様やけるいなり社無事也霊岸嶋は湊町少し長崎町 亀嶋橋辺崩がなし大川端丁少しやける新川筋両側共崩多し 箱崎ゟ栄久橋はま町御やしき大半崩れ小網町通り大崩れ 甚左衛門町かきから町松嶋丁辺人形丁通り所々崩る大伝馬丁 辺ゟ馬喰丁辺両国辺損じ少なし本町辺神田東西共崩おびたゞしく 室町せと物丁辺本小田原丁釘店魚河岸はそんじすくなし するが丁三井無事也常磐橋御門内ゟすきや橋御門内まて 土手通り御大名方御番所共大半くづるゝ尤土蔵の壁 おちざる所無之町々の中にも稀にのこる所有之候へども千が一なり 【下段右一】 扨又爰に新吉原は地震はげしく家〳〵倒るゝことおびたゝしく 江戸町壱丁目ゟ出火いたし一時にもえ立又壱口は角町辺ゟ 火出きて五丁共一烟となり身をそこなふ者かぎりしられず尤 五十間道片側のこる大音寺前つふれ多く田中浅草丁は少し 崩れ小塚原丁は家毎つふれやける真崎橋場はつふれ多く 橋ば銭座やける今戸町は橋きはゟ十間程やける山谷通り 新鳥越はこと〴〵くつぶれ崩る所多し此辺寺院のこらず大破也 夫ゟ田町二丁め山川町竹門北谷の寺院北馬道聖天横丁 芝居町南馬道中谷の寺院等不残つふれの上やける此火 花川戸片かは中頃にて留尤崩多く山の宿聖天町瓦町は 崩るゝのみ金龍山は観世音無事也南谷地内崩すくなし 広小路ゟ仲丁三間丁田原丁は半崩並木駒かたは崩多く駒形 中頃ゟ出火して諏方町黒船丁三好丁御馬やがしにて留八幡社無事也 御蔵前は崩多く茅町福井丁三代地共崩つよく浅くさ御蔵恙なし 【下段右二】 又一と口は東門跡前菊屋橋向新堀少しやける同うら手堂前山本仁大夫 構内不残つぶれやける死人多し此辺寺院崩多く夫ゟ下谷坂本 弐丁目三丁めやける三のわ金杉辺崩れ多し根岸入谷崩少なし 谷中辺所々崩れ根津大崩千駄木駒込共所々崩る本郷は 格別の事なかりしが麹室つふれたる所多し湯島天神は無事にて 門前町大半よろし切通しは両かは共大崩れ仲町は片かは町の分 大いにそんじ御すきやまち不残つぶれ下谷茅町弐丁目境いなりゟ 壱丁めの方木戸際迄池之端通りやける出雲様榊原様さはりなし 夫ゟ上野広小路は崩る家多き中に東かは中頃ゟ出火して御成道 御屋敷迄やける裏手上野丁ゟ長者町辺中御徒町迄やける其余 おかち丁通りそんじ多し三味せん堀七まがり近辺御大名方何れも崩多し 佐久間町辺少し崩れ新し橋向豐嶋丁江川丁橋本丁辺崩少し 尤柳原通りいたみつよく蔵おちることおびたゞし又明神下通御成道は 筋違辺崩れつよくそんじ多かり類焼せさる所とて一円やけるが如 【下段右三】 本所は東橋きは御やしき松平周防守様御下やしきやける此辺 中の郷竹町元町やぶの内辺いづれもつよくゆれくつるゝ所多し 番場町くずれ荒井町やける弁天小路辺やける石原丁外手丁崩 多く北割下水横川通り吉岡丁辺不残くずるゝ法恩寺橋向 町家少しやける此辺つふれ多く柳島町天神はし迄崩多し 亀戸町前後二ヵ所やける此辺崩中へん也是ゟ亀沢丁ゟ 津軽様御やしき南割下水御武家方共大半崩れ 両国向一つ目相生丁二丁めゟ二つ目緑町三つ目花町までやける 向は林丁菊川丁四ツ目猿江扇橋辺一円崩れ多し 又一と口は深川御船蔵前町ゟ八名川町六間ほり町 森下町ときわ町高橋までやける大橋向尤崩多し 高橋向は寺町通少よろし横一とくちは皆大くづれにて伊せ崎丁 清住丁辺やける又一と口は相川町熊井丁黒江丁大嶋丁蛤丁 永代寺門前八幡鳥居きはにて留る富が岡御宮恙なし 【下段右四】 東海道は小田原辺迄中山道は上州高崎辺迄水戸道中は土浦迄 日光道中は古河辺まで甲州街道は郡内八王子辺まで青梅道は 飯能所沢辺まで下総は松戸流山辺行徳船橋辺上総の国は一円 つよくふるひ候よし猶又房州所々豆州等もいたみ甚しと聞及ふ 又二日夜四つ過ゟ出火諸方夜明方しづまる芝居丁の火四つ頃 花川戸にて止るそれより毎日少しつゝの地震ゆりて焼失のもの 家つふれ候もの皆野宿をなし諸方共おたやかならず爰に 上様ゟ 御手当を被下置御救ひ掴飯又は御小屋三ヶ所へ 御建被下置候に付万人うゑをしのぎ住居をもとめて 御恵みの広大を拝謝奉り太平の御恩徳を称ぜん ものこそなかりけれ  国々御知ら御文音之為能々/実事(しつじ)を   /訂正(たヾ)しそのあらましを記し畢ぬ 【上段】 御ごた〳〵との御文みるのもいやに  おはしま候なれどはいしほゝ せんしはにくふぞ〳〵はたくさらと  御ゆらせみなしおそれ入江可に候まゝ もふしばしんに御ゆらせは永代よし  /岡丁(おか)になつれ度おたひの人の /其(その)/癖(くせ)にわる/鯰(なまづ)るく/弁天(べてん)して/発余(しよくわい)を  /晩(ばん)から/安宅(あたけ)だしお屋しきさんの やぐら/下鐘(したかね)つき/堂宮破(どうみやこわ)しなり  /多(おゝ)くの人中はぢもせずゆすり がたりれ/性悪(しやうわる)を/聞(きい)てとむねを/佃(つくだ)丁  どこの二/階(かい)へゆるふとゝもじやまの /宿(すゆく)にされなんすわづかばかりの/花(はな)  川戸まけばぢまんしで/世直(よなを)しと 下付合がよいいゆへに/焚付(たきつけ)られて  /燃(もへ)あがり/焼(やけ)ぼつくらひにて 御かはひら成々ても/神々(かみ〳〵)/様(さま)や  /聖天(せうでん)町田丁にごぞる/法印(ほういん)さん お/守(まもり)お/札(ふだ)でばちを/的(あて)ふうじこめ  なゝまゝ/要(かなめ)さんの下に/尾鰭(をひれ)を/縮(ちゞめ) /堅(かたく)しんぼうなそれくどふも〳〵此すへ共  かならずいゆらそなきやう神かけ       ねんじほゝこれでいよ〳〵         めじるしと 畷しき         万代屋内  なまさんへ        ゆたか   おとゝひござれ 【下段】 ばた〳〵文して申上ほゝすぎし  二日の/初会(しよくわい)よりゆり〳〵と御めに たり家蔵こはし幾地のうへ  はなしわたしが田町以/打(うち)あかし /衣紋(ゑもん)づゝものほれこんで/旦那(だんな)の  手まへやかみぬのするを付こみ ぐら〳〵と十月一はいかよひつめ  まいらせ候へどもおまいは/狐(きつね)に ■■で/逃(にげ)かくれたり/野宿(のじゆく)をなつれ  大道中へ/伏(ふし)み丁どつちの/角(すみ)たづね ても/私(わたし)がゆると逃るのは/鯰(なまづ)るい身の  勝らぐらと御そげすみもあらん なれど/水道尻(すいどうじり)をあび候江戸つ丁には明く  候へ共かしまでは名を/揚屋(あげや)丁きのふ 京町さと明れて地もぐりぶしの婦るひ  /声(こへ)をだいほゝへばかた以石/坂蔵(がきくら)の /壁鬼(かべおに)のやうなる/尾(かはら)まで/蔵(おつこち)に/成(なり)候まし  御まへへつなれなき御事ばかり/烏(からす)の 仲の丁はあれどわするゝ/隙(ひま)はこざなく候ゆへ  火事きやうに/燃立(もへたつ)おもひけしな候まゝ /土蔵(どぞ)〳〵こしまき迄御/取崩(とりくづ)し成/色(いろ)よ記  御兵事ねかひひゝなまづはぐわら〳〵         ゆり度あかし  けふし お記のどかくへくまいる          奈海そり 【上の資料】 焼た  なまづて 職人は        【看板】  めしを        江戸前   くひ        なまづ大かばやき        口上 町々 御火元(ごひげん)よくやかせられめいわく 至極(しごく)にそんじ奉候いたがつて打身(うちみ)せ 崩(くづれ)候に付 大道(だいどう)にて商内(あきない)相はじめ候 お間だ御 瓦(かはら)せなく御用心之程 一と夜(よ)に〳〵寝(ね)ないあげ奉候 一 うなんぎ家破やき   一  骨継(ほねつぎ)どぞう 一 なまづ日本 煮(に)      諸方たて大工町 十月二日ゆり出し   ふなやど   当日よけい      ひま蔵     火事あり申候 【下の資料】 持丸の はらに  たもたず  はきいだし ひんのやまひは  これで    直る世(よ) がまんして  たんと  おはき あゝ くる  しい〳〵 此  へとは  犬に  くわれ   ては   大   へん   古今(ここん) 大地震散(おふぢしんさん) 所々(しよ〳〵)え出火(しゆつくわ)いたし候 稀成(まれなる)           其数(そのかず)三十二口 一地震の儀は先年信州越後にて大ひにふるい猶又駿州下田沼津をはぢめ東海道はもちろん 京大坂をふるひちらし今度御当地にて神々様のお留守をつけこみ安政二年十月二日の夜四ツの 鐘ともろともに近郷近在一円にゆりちらし北は千住小塚原新吉原田町花川戸山の宿から聖天町さる若町 馬道やけ観音さんは御無事なり地内はみんなひたくづれ並木諏訪丁駒形やけ田原町に三間町御蔵前にかはら丁かや丁 見付のうちは馬くろ町横山町大伝馬町両国へん爰らは少しのいたみなり本所は石原豊川通り相生丁に みどり町林町深川は高橋のきわ又は□前【八幡前?】から蛤町相川町やけ下谷は坂本金橋やけ上野広こうじ□ □かはやけ伊藤松坂やけどまり池の端は仲町かや町むゑん坂くづれ松平びんご様やけ千駄木たんご坂谷中は善光寺坂 少しにて根津丸山けいせいがくぼは大□にくづす本郷湯嶋新町家此へんはかうじのむろくづれる外神田金沢町はたこ町筋違 内神田はすだ町なべ町かゞ町へん凡百三十六町ほどくづれ十軒店より日本ばし魚がし四日市通丁筋いたむ南てんま町へんより 出火なし南かじ町具足町五郎兵衛町へんやけ京橋向ふは少しのいたみ芝口柴井町宇田川町やけ神明前より本芝金杉 田町三田赤ばね高なわ十八町大地われる品川大もりへんは大きし麻布四ツ谷赤坂かうじ町へんいたむ事おびたゝし とらの御門霞が関幸橋松平かひ苫大くづれさくら田へん八代すがし□□のおやき火消やしきやけ和田ぐら内は松平下総様 会津さまやける神田ばし内酒井様雅楽森川様やけ小川町は本□丹後様戸田様板くら様やける小石川伝通いん此へん 大きくお茶の水飯田町番町井込へん皆そんじ御□内凡五千七百余町の内出火の町数なり寺院のいたみは三万九千と 六百余□るふ土蔵は其数凡五億八万九千七百八十六ヶ所其外近郷近在まで家をたをし蔵をくずす事前代 未聞なり是をおそれざるもの一人もなし   ○当時用ひのよき方 一じひ深きものよし 一お寺方はよし 一こけら屋根かやぶきはよし 一ひら家はよし 一材木屋あら物屋はよし 一土方人足車力はよし 一第一は大工諸職人もよし 一安うりの居酒やよし 一屋たい見世は何にてもよし 一ほねつぎはよし 一干ものめざしの類一切よし 一一ぜんめしはきはめてよし 一ふるかねふるたび是らもよし 一山くじらなどはよし   ○おあいだといふものは 一土蔵はふるひてわろし 一二かい家屋屋根はあぶなし 一船宿などはわろし 一袋ものや小間物やは当分用なし 一直の高ひ魚はわろし 一ちりめんびろふどしゆすの類わろし 一三味せんやは時にあはず 一客が来てもちそふ【馳走】をせぬがよし 一のらくらものおたいこいしやなど用ひぬがよし 一唐物やぜいたくや上ぐわしや【上菓子屋】は甚わろし 一太夫三味せん□役者惣て遊芸を好むものわろし 一みやうもんの諸講中くわんけ事わろし 一かこひもの女かみゆいわろし 一高利かしはわろし 此用ひよふは慈悲(じひ)を第一とすべし其 妙(めやう)なる事は たちまち天へ通(つふ)じ御 褒美(ほうび)に預(あづか)る こと神明(しんめい) の照(てら)すがごとし        江戸十里四方   元発所(もとおこるところ)   地(ち)の下(した)淘上(ゆりあげ) 【上段枠】 《題:本国信濃》 大勧進/尼共(アマタチ)公之/悪念(アクネン) /起多罰高(オコツタバチダカ)十六代の/損(ソン) /御経(ヲキヨウ)本夫/読益(ヨシマス)嫡男 /火事原生延(クワジハライキノビ)《割書:震動信濃守|従四位上中将》 /溜息(タメイキ) 《割書:出羽守|従四位侍従》 女子 堀内蔵頭/片息(カタイキ)室 /揺益(ユレマス) 《割書:信濃守|四品》 /餓益(ウエマス) 能登守 真田弾正大炊/立退(タキノキ)養子 女子 松平丹波守/先好(マヅヨシ)室 /夜昼(ヨルヒル) 《割書:信濃守|従四位侍従》 女子 榊原式部大輔/片向(カタムキ)室 三人 《割書:本田豊後守将氏室|松平日向守/事無(コトナシ)室》 【中段目上 瓢箪等の絵】 【中段目下】 ○上青山善光寺 大手より 三九丁 大揺間 《割書:天保十一 五月   家督|従四位侍従 弘化四未三月任》 震動信濃守夜昼     陣 御内室本堂内蔵正其侭娘 献上《割書:御影十枚|洗米二十包》《割書:巳卯巳|未酉亥》《割書:三|月》三途 拝領《割書:初尾百疋|護摩廿抱》《割書:子寅辰|午申亥》《割書:三|月》御暇 三途御暇の節 上使御構中 【図一】《割書:金御損|御金箔》 【図二】 二本ともふじやの毛 《割書:押春日色|もん白》       中洗白 【図三】       駕同歌 【図四】       地ゆれ かぢの光にならふ   もん火 御 編 御内室 【下段】 餓田主計 何分頼母 宇留妙安房 浦見死後 仕合台岐 足尾織部 年寄 驚 逸太 古江 夜中 迎光 内臓次 怪我 内記 寝耳 水之悪 軒木 楽右衛門 息成 五根太 疵口 住右衛門 堀出 骨右エ門 御城丈 何分參右衛門 焼多 女房 尾志井 新蔵 【中段下段の通し文字。左下部】 時献上《割書:正月|三日》御香炉壺《割書:端|午》経御帷子御単物《割書:重|陽》白御 小袖《割書:威|葛》同斯 《割書:二|月》彼岸団子《割書:三月|下旬》大鯰《割書:四|月》甘茶《割書:六|月》蓮飯《割書:七|月》精霊牛馬の瓜茄子 《割書:九|月》更科蕎麦《割書:十|月》小枕餅《割書:寒|中》納豆 纏 【纏図】 【半天?】 中六道之辻《割書:下三途川向|下さいのかはら》    当惑    乞食山    導正寺 三条万石居城越後に/屓倶(まけず)郡/響多(ひゞきだ)《割書:うそより|八百里》 開帳廿年より代々領也 《題:地震用心の歌》        ものゝ名     魚の名十 /さは(鯖)/かじき(カジキ)/なます(鯰)/ふり(鰤)〳〵/う/こひ(鯉)/たら(鱈)   /はや(鮠)くい/はせ(鯔)よ/ふかき(養鯨)/さら(鰆)はくら     鳥の名十 何/とき(鴇)も/きじ(雉子)/か(鵞)なく/日(鶸)は/う(鵜)/かり(雁)すな    藪へ/かけ(鶏)/とひ(鳶)/さき(鷺)は/すゝめ(雀)よ     虫の名十 /あふ(虻)な/くも(蛛)け/か(蛾)/あり(蟻)し/てふ(蝶)きて/だに(蟎)    身に/のみ(蚤)/しみ(紙虫)て/いとら(竈虫)/か(蛾)なしき     草の名十 /ゆり(百合)やんで/つい(繭)には/よし(葭)と/きく(菊)とて/も(も)藻    /つた(蔦)/な(菜)きとこに/しば(芝)し/ねむ(合歓)/らん(蘭)     木の名十 /つき(槻)/ひ(檜)/すき(杉)やむ/かや(榧)と/き(気)を    /さか(椗)み/きり(桐)ぬ/まつ(松)/も(桃)もど/かし(樫)     /地震(じしん)/な(椰)日を 【上の資料】  新   流 大評判鯰の軽口  板   行 【上下上下と右から左へ読む】 【資料通りの改行はせず一行にまとめた】 おおきなものだねへ △こんどのちしん たいそふにおだしだねへ △ほどこし こんなにしりまでぬらしたよ △つなみでにげた人 あれそんなにいぢつちやアいやだよ △こわれかゝつたいへ おつ【゜】こちになつ【゜】たよ △土手(どて)のいしがき まだぬいちやアいやだよ △はやじまいの湯(ゆ)や こんやはよつ【゜】ひておしよ △ねずのばん そんなにやけになつ【゜】ちやアいけないよ △三芝居 らくでいゝけれどふところざみしいよ △おいらん 大そうはないきがあらいねへ △大工しやかん ぢしんにおにげかへ △かみなりさま だん〳〵よくなるよ △のなか 【下の資料】 ほかの人におせちやアいやだよ △でいりのしよく人 【促音で発音する大きい文字の「つ」に「゜」がついているようだが、翻刻文には注記で入力】 【右枠外上部】当時もちいる物 大関 穴蔵     前頭 金物屋      同 こてりやらじ 関脇 こらぶき   同  みく引      同 一せんめし 小結 ひら家    同  白半天      同 三尺帯 前頭 杉丸太    同  わらじ      同 茶わん酒 前頭 ひやめし草履 同  ひもの      同 火事羽をり 前頭 車力     同  さしっこの長半天 同 大ふくもち 前頭 荒おや    同  たき火      同 諸色銀金買           同  屋台見世の立食  同 板がこひ           同  すきくわ     同 木ひろい     行 土方人足  差 材木屋 勧 諸職人 時世時節              進      司 歌舞伎役者 添 唐物屋 元 惣芸人 【左枠外上部】当時をあいだな物 大関 土蔵   前頭 三味線屋    同 おたつこいしや 関脇 尾屋根  同  ぱつち     同 会席料理 小結 二階家  同  羽をり     同 ごろうの帯 前頭 檜の木角 同  下駄      同 茶の湯 前頭 せつた  同  上々を     同 宿々棧の羽をり 前頭 船やど  同  よそやきの着物 同 上くわし 前頭 小馬物屋 同  こたつ     同 かし本屋         同  お客の御馳走  同 かこひもの         同  はりしごと   同 紙くずひろい   新 流 《題:大評判鯰の軽口》   板 行 【上段左方向に】 大き な もの だねへ △  こんどの   ちしん こん  なに しり  まで ぬら したよ △ つなみで にげた  人 おつ  こちに なつたよ △ 土手の  いしがき こんやは よつ  ひて おしよ △ねずの    ばん らくで いらけれど ふところ  ざみしいよ △おいらん ぢしんにおにげ △ かみなりさま 【下段左方向に】 たい  そふに おだしだねへ △ ほどこし あれ  そんなに いぢつ ちやあ いやだよ △こわれかゝいたいへ まだぬい  ちやあ いやだよ △ はや じまいの /湯(ゆ)や おんなに やけに なつ  ちゆあ   いけないよ △三芝居 大そう はな いき  が あらいねへ △ 大工しやかん だん〳〵  よく   なるよ △ よのなか         這追地震 「/魔(マ)が/飛とび吉原とゞろけ共江戸減ず 誰もまどうやさま〳〵の地々めり〳〵と 只ゆれて其物おとぞあわれなり 塔にお堂にせめてしばしハ地二留レ 見かへれバ山の木かげににげつ隠れつ 【下段】 人〳〵の姿かなしく泣く子達「こゞろ づくしのな此夜の憂おへいつか世界も 尽るやと心一ツにさわぐやらうしや 世の中「樑にはさまれ桁にふし ヲいてくア痛てのあなたへゆらりこ なたへぐらりゆらりぐらり〳〵〳〵と這ま どにひッしきくじきのちん〳〵の足拍子ハ それで誰〳〵も心乱れて立もとならず 叫ぶ人の夫二ハ内義もしら波のこくら二 逃るがお徳也「町の惣ゆれに家根〳〵 を見わたせバ折しも東風のいとも するどく吹まとふぐわら〳〵どつと                二 【上段】 どれもゆれいかハおちもこそすれ一ト しほ/扨(さても)もおそろしや又ハ/程過(ほどすぎ)ずこくら に/移(うつ)る火の/早(はや)さ「ゆだん/借家(しやくや)ハあッ ちへなこッちへなあちへこちへすじり もじりてめり込ム近所の/奥蔵(おくぐら)の かぎに/路次(ろじ)といふものハ誰もしる物 をむごやの何事ぞ内も/傾(かた)ぶくぼろへ /壁(かべ)のつらや/恨(うら)めし/焼(やけ)るにやまさる見るも /魂消(たまげ)る/朝(あさ)ぼけ「一ト/夜(よ)しのげバわが/身(ミ)ハ/死(し)なじ たおれひずミし家の内死人/重(かさ)なる其むさ さめれそれハ〳〵へまこと見るやつらや 思ひ/廻(まハ)せバむざん也/野陣(のじん)に/只(たゝ)ぬれ/寝(ね)の 【下段】 /毒実(どくげ)に/早急(さつきう)のありさまハミやう火の花 ふり/楼廓金庫(ろうかくきんこ)もゆうべの/くも(くも)と/消(き)うせて もくぜんの/不足(ふそく)あまた也「せわなく/焼(やか)せ たまへや/焼亡(しようぼう)の/時節(じせつ)も/今吹(いまふく)ほどに よも/消(き)へじ「/丑寅辺(うしとらへん)の/婦廓(ふかく)もミぢん /初会(しよかい)の/花(はな)の/座二階(ざにかい)ミし〳〵大へん /異変(いへん)の/地(ぢ)しん/頭土手(かしらどて)内/田町(たまち)や/惣(そう) /田圃(たんぼ)〳〵/広原(くわうげんの)/土(つち)ミな/割(わ)レて/穴(あな)に /砂(すな)あぶれ/道(ミち)に/石(いし)まろびげにも/上(うへ)なき /国土(こくど)の/災(わざ)わひ/嘆(なげ)かぬ人こそなき時なれ やまんざい/楽(らく)とぞゆり/納(おさめ)め〳〵/治世(じせ)の /座(ざ)にこそなほりけれ 【上段】        町数凡千五百丁程△橋数六拾所余  方角場所附 土蔵の数凡二千三百二十四五        大舟凡■五十そう其外小舟数多 合印  ▮ 御上屋敷  ▲ 御中屋敷  ● 御旗本様 御救小屋 一土橋久保丁置     一ヵ所 一すきやがし     同 一ときはばし     々 一かまくらがし     々 一すぢかひ外     々 一四日市   々 一つきぢ   二ヵ所 一北八丁堀松や丁   々 一両国広小路   一ヵ所  都合十一ヵ所 夫人として考なきは人に あらず江戸大火と聞 てハ国々親兄弟のなげき いか斗ぞや是一時も早く 安否をつげ知らせあんど させべき事第一也さても 文政十二丑のとし三月廿一日の 朝四つ半時比ゟ西北の風 【下段】 夫人として考なきは人にあらず江戸大火 と聞ては国々親兄弟のなけきいか斗か ぞや是一時も早く安否をつげしらせあん どさせへき事第一なり頃は天保十四年 十二月廿七も夜八つ時頃西北の風はげしく かぢばし辺ゟ出火いたし五らう兵エ丁たくみ丁たちうり 弓丁新肴丁弥左衛門丁こんや丁不残すきや丁 山下丁南なへ丁滝山丁守山丁惣まき丁内山丁 山王丁さへぎ丁かゞ丁八官丁より合丁山城丁 つくば丁左兵へ丁丸や丁土橋にて留る又一口は升丁 すみ丁ぐそく丁金六丁水谷丁南八丁堀あたり かしにて留飛火木挽丁松村丁堀田様 新庄様伊達様  様半分板倉様半分 焼る一口は京橋銀座不残尾張丁竹川丁いづ も丁新橋にて焼留る尻火にて南かぢ丁片 かは南伝馬丁鈴木丁いなば丁ときは丁柳丁にて留る 【図中地名其の他】 外神田 いつみはし 新し橋 浅くさ御門 柳ばし 両国橋 元柳はし 大橋同 永代橋 筋違御門 もくらつら 此所先御屋敷残る やなぎはし すだ丁 今川はし 神田橋御門 ときははし御門 龍かんばし 鎌くらかし 白かね丁 石丁 本丁 ごふくはし御門 一之はしのこる残る 日本はし 江戸ばし あらめばし 芝 居 ふきや丁 さかい丁 永久はし 旲らん橋 かぢはし御門 此所草穴や一けん残る 通り丁 申橋 しんば かいぞくはし 中のはし 越中はし みなとはし 松やはし 八丁堀中のはし しん川 亀崎はし れいがんじま みなみ丁 びくに橋残る すきやばし 京ばし通 銀ざ丁 山下御門 土はし 新橋 □坂様此までやけ止る つきぢ 西本願寺御門跡 河原さき芝居 こひき丁 汐留橋 五丁目 四丁目 きのくにばし 半くさはし いなりはし 稲荷 佃嶋 【上段】 ころは天保五年午の二月七日ひる八つ時西北の風はげしく破煙を吹 立或は東風を吹廻し破石を飛す事おびたゞしすでに外神田佐久間町三丁 目へんゟ出火してあだかも天をこがすにひ斗されば焼失のあらましを左二 虫づゝり畢先外神田佐久間丁外通り内神田柳原床見世不残佐野様冨田 様細川様富松町豊嶋丁郡代屋舗残り大和丁江川丁橋本丁馬喰丁横山町西国広 小路西がわゟ南は本柳橋津軽様小笠原様佐竹様濱丁へん此屋敷不残大橋落ル 馬喰丁ゟ内は小伝馬丁大伝馬町通旅籠丁大丸呉服店油丁芝居一軒■屋丁芝居 ■町大坂丁小網丁永代橋迄領国ゟ南はやげん堀元矢の倉村松町久松丁■■町へ 一つはがし松嶋丁へん不残行徳がし濱丁へん御屋舗ぶん松平■様溝口様堀田様二て 外所々御屋舗様酒井様菅沼様牧野様残る又土手ゟ稽ん丁松下町松坂丁市橋様お玉 か池小柳丁へん紺屋丁本白銀丁本石丁本町宝町通東かはゟ本舩丁小田丁伊勢丁 小舩丁堀江丁へん江戸橋ゟ南は四日市青物丁万丁箔屋丁新右衛門丁平松 丁佐ない小松丁所芝丁さや丁大鋸丁立ぬゟ南は伝馬町壱丁目■二て留る 本材木町五丁目辺海賊橋落る牧数様少々残る表かやば丁通り坂本丁へん 【下段】           下 又候同月九日七半時頃より日本橋檜物丁辺ゟ出火 致し元大工丁呉服丁通四丁目ゟ西がしまて焼失す同十日 八つ時ゟ龍ノ口近所ゟ出火致し松平伯耆守様同丹後守様 同上総介様御中屋舗同和泉守様同のと守様京極大膳さま 林肥後守様松平越後守様かじ橋御門焼落松平土佐守様 阿波様南御番所すきやばし御門焼落かじ橋外五郎兵衛丁へ とび火南大工町おけ丁南さや丁上搷町東は通一丁目東かは少 残それより南伝馬丁一丁目元材木丁六丁目八丁目たん正ばし中橋 京ばし焼落弓丁新肴丁弥左門丁西紺屋丁すきや丁なべ丁 佐柄木丁かゞ丁八官丁東がわゟ宗十郎丁山王丁銀座一丁目ゟ尾張丁 竹川丁いづも丁三十間堀不残芝口一丁目二丁目片かは脇坂さまとまる 南八丁堀一丁目本多様だてさま紀州さま板倉さま京極さま其外 御やしきこびき丁一丁目ゟ六丁目すは様周防さま柳生さま加納さま 奥平さまつきじ尾張様御くらやしきいなば様大嶋さま西本願寺 松平宮内様同土佐様同上総之介さま其外御やしき南小田原丁南 飯田丁堀田さまにて夜九つ時とまる同十一日午のこくとび坂辺ゟ出火 水戸様御やしき御門御殿残ル夫ゟ小川町辺とひ火いたし御 やしき片るい焼七つ時焼治る諸人るい焼にて難儀に及び 御上様ゟ御救小屋御建被置下御仁徳の御代南有々 【右ページ一段目】 《題:新吉原仮宅の圖》  ▬ 大まがき大見せ  ▲◑半まがきまがり  ◑ 惣半まがき 〇浅草の部   花川戸町分 ◑ 平野屋亀五郎 《割書:江戸丁|二丁目》 ▲◑ 鶴泉屋清蔵  同 ◑ 大口屋そめ  同二丁目 ◑ 大口屋正次郎 すみ丁 ◑ 金屋長蔵   《割書:江戸丁|二丁目》 ▲◑ 中万字や弥兵衛 すみ丁 ◑ 橋本屋らく   同 ▲◑ 岡本屋長兵衛 《割書:京町|一丁目》 ▲◑ 平和泉や平左衛門 《割書:江戸丁|一丁目》    山の宿町分 ▬ 角玉屋山三郎 《割書:江戸丁|一丁目》 ▲◑ 佐野槌屋勢ゐ 同二丁め ▲◑ 角海老や吉蔵 《割書:京町|一丁め》 ◑ 金山屋のぶ  同 ◑ 丸屋熊蔵   《割書:江戸丁|二丁め》 ◑ 角蔦や万次郎 《割書:京町|一丁め》 ◑ 政田屋勝次郎 《割書:江戸丁|二丁め》 ◑ 丸亀屋さよ  《割書:江戸丁|一丁目》 ◑ 間久里屋くま 《割書:京町|二丁め》   猿若町入口 会書四郎兵衞   山の宿の川岸  けんばん 大黒屋庄六   聖天町角 ▲◑ 尾張屋彦太郎 《割書:江戸丁|一丁目》 【右ページ二段目】  浅草田町分 ▲◑ 松葉や知賀蔵 《割書:京町|二丁目》 ◑ 尾張屋常次郎  《割書:江戸丁|かし》 ◑ 邑田ゑび屋弥七 同一丁目 ◑ 大和屋石之助 《割書:京町|二丁目》 ◑ 桜屋源次郎 《割書:江戸丁|一丁め》 ◑ 稲毛屋みち 《割書:京町|二丁め》 ◑ 中大黒や云助 すみ丁 ◑ 大黒屋云蔵  同 ◑ 万国屋政次郎 《割書:京町|二丁目》  〇局見せ 世つぎ長家 ◑ 辰巳屋太兵衞 ふしみ丁 ◑ 三河屋源兵衞 同  〇局見せ 稲荷長家 〇本所の部   一つ目分 ◑ 大野屋民増 《割書:江戸丁|かし》 ◑ 亀沢屋こと 《割書:京町|一丁目》 ◑ 大黒屋金兵衛 《割書:江戸丁|一丁め》    同所八幡地内の分 ◑ 江戸屋亀五郎 《割書:京町|二丁め》 ◑ 舛屋【以下黒塗り】 ◑ 小玉屋藤次郎 すみ丁  弁天門前分 【右ページ三段目】  〇深川の部    一の鳥居つゞき櫓下分  ◑ 山田屋孫兵衛 《割書:江戸丁|一丁目》  ◑ 新金本屋すて 《割書:あげや町|かし》  ◑ 岡本屋勝次郎 すみ丁  ◑ 鈴木屋仁助 《割書:京町|二丁め》  ◑ すはうや治兵衛 《割書:江戸丁|かし》  ◑ 伊勢屋ます すみ丁  ◑ 近江屋由五郎 《割書:京町|二丁目》  ◑ さかひや七郎兵衛 《割書:江戸丁|二丁め》  ◑ 亀屋直次郎 《割書:京町|一丁め》  ◑ 多仲屋吉兵衛 《割書:あげや町|かし》  ◑ 大黒屋ひさ 《割書:すみ丁|かし》  ◑ 金沢屋庄助 《割書:京町|二丁め》 ◑ 湊屋きく 《割書:京町|一丁め》 ▲◑ 倉田屋きよ すみ丁 ◑ 新さがみやたか 《割書:京町|二丁め》 ◑ 山本屋喜三郎 《割書:江戸丁|一丁め》 ◑ 岩本屋弥助 同 ◑ 出雲屋ふじ 《割書:京町|二丁め》 ◑ 大黒屋たき 《割書:江戸丁|二丁目》 ▲◑ 稲本屋庄三郎 同 ◑ 津国屋半三郎 すみ丁 ◑ □屋徳太郎 《割書:あげや町|かし》 ◑ いせ本やりう すみ丁  仲町通りの分 ◑ 美濃屋岩蔵 《割書:京町|二丁め》 ◑ 福住屋伊三郎 すみ丁 ▲◑ 三浦屋吉右衛門 《割書:江戸丁|二丁め》 ◑ 中むら屋あさ 《割書:あげや町|かし》 ◑ 山本屋半兵衛 《割書:江戸丁|かし》 ▲◑ 若松屋勘兵衛 《割書:江戸丁|二丁め》 ◑ 大野屋民蔵 《割書:江戸丁|かし》 【右ページ四段目】  仲町東横丁分 ◑ 江川屋久兵衛 《割書:京町|二丁め》 ◑ 玉屋つね ふしみ丁 ◑ 稲屋佐七 すみ丁 ◑ 佐野倉や権三郎 同 ◑ 丁子や庄次郎 同 ◑ 金沢屋久助 ふしみ丁 ◑ 稲本屋長蔵 すみ丁  〇局見せ松葉長家 ◑ 津国屋さく 《割書:京町|二丁目》 ◑ 城木屋すじ すみ丁 ◑ 萬年屋藤八 《割書:京町|二丁め》 ◑ 新谷本や官七 同 ◑ 三春屋永蔵 《割書:江戸丁|二丁め》 ◑ 大黒屋平之助 すみ丁  〇局見せ世継長家    同西横丁分 ◑ 山城屋弥市 《割書:江戸丁|二丁め》 ◑ 大野屋【黒塗】 すみ丁 ◑ 山田屋平吉 ふしみ丁 ◑ 大黒屋金蔵 《割書:江戸丁|二丁目》 ◑ 村田屋松五郎 すみ丁    横やぐら通り ◑ 加嶋屋平兵衛 《割書:すみ丁|かし》 ◑ さがみや八百吉 ◑ 三河屋かね 《割書:江戸丁|二丁目》 ◑ 越前屋六右衛門 すみ丁 ◑ 玉屋直次郎 《割書:京町|一丁目》 ◑ 叶屋与兵衛 すみ丁 ◑ わし尾や新吉 《割書:京町|二丁め》 ◑ 政木屋久次郎 同 ◑ 鶴屋安兵衛 同 ◑ 東屋甚蔵 すみ丁 【左ページ一段目】    まつち山うら ▲◑ 甲子楼大黒屋文四郎 《割書:江戸丁|一丁目》    北しん町 ◑ 東屋さだ 《割書:京町|一丁め》   山谷橋向山谷町分 ◑ 江戸屋幸助 《割書:あけや町|かし》 ▲◑ 姿海老や久兵衛 《割書:京町|一丁目》 ◑ 巴屋七右衛門 《割書:あけや町|かし》 ◑ 巴屋徳次郎 ふしみ丁 ◑ 大杉屋長蔵 同   あげや町      七軒    鳥越町分 ◑ 近江屋長兵衛 《割書:あけや町|かし》 ◑ 升屋とよ 《割書:江戸丁|二丁目》 ◑ 東国屋 しも 同かし ◑ 鶴吉や倉次郎 《割書:江戸丁|かし》 ◑ 亀沢屋こと 《割書:京町|一丁め》 ◑ 上総屋源助 同    山谷浅草町分 ◑ 木村屋常次郎 《割書:京町|一丁め》 ◑ 小林屋吉三郎 《割書:すみ丁|かし》 ◑ 遠州屋兼五郎 ◑ 伊勢屋ため すみ丁 ◑ 海老屋久次郎 同かし ◑ 坂本屋清助 同  馬道通り山川町分 ◑ 天満屋きく 《割書:京町|一丁め》 ◑ 福本屋こう 同 ◑ 松喜や治兵衛 《割書:あけや|町》 ◑ 尾張屋八五郎 ◑ 成田屋みの 《割書:京町|一丁め》 ◑ 下野屋しち 【左ページ二段目】     ◑ 近江屋清次郎     ◑ 玉屋喜せ 《割書:江戸丁|かし》    松井町分 ▲◑ 岡田屋宗兵衛 《割書:江戸丁|二丁目》 ◑ 松葉屋桂次郎 ふしみ丁 ◑ 藤本屋ます 《割書:京町|二丁め》 ◑ 金子いせや六蔵 《割書:江戸丁|一丁め》 ◑ 若狭屋豊次郎 すみ丁 ◑ 茂吉万字屋てう 同 ◑ 越中屋常吉 《割書:あげや町|かし》    入江町分 ◑ 小武蔵や文五郎 《割書:すみ丁|かし》 ◑ 亀松屋庄助 《割書:江戸丁|かし》 ◑ 林屋善右衛門 ふしみ丁 ◑ 平野屋宇右衛門 同 ◑ 千歳はる 《割書:江戸丁|かし》 ◑ 山本屋半三郎 《割書:京町|一丁め》  〇局見せ稲荷長家  割下水通り鐘つき堂下四軒 ◑ 桑名屋松五郎 ふしみ丁 ◑ 松村屋庄兵衛 ◑ 三河屋こう ◑ まきや安五郎 《割書:すみ丁|かし》 ◑ 長谷川や庄之助 ◑ しげ松清助 すみ丁 ◑ 平松屋ゑい同 ◑ 津多屋半兵衛 同かし    常盤町分 ◑ 大黒屋栄次郎 《割書:京町|二丁め》 ◑ 杵屋清吉 同 ◑ 住吉屋すみ すみ丁 ◑ 梅本屋佐吉 同 ◑ 川口屋まつ 《割書:京町|二丁め》 【左ページ三段目】    ▲◑ さがみや市郎長衞 《割書:江戸丁|二丁め》    ◑ 江川屋久兵衛 《割書:京町|二丁め》    同裏川岸分 ◑ 山口屋藤次郎 《割書:江戸丁|二丁め》 ◑ 豊倉屋治兵衛 《割書:京町|二丁め》 ◑ 中嶋屋吉蔵 すみ丁 ◑ 若竹屋ふぢ 《割書:京町|二丁め》  八幡前分 ◑ 大つちや惣次郎 同 ◑ 池田屋たけ 《割書:あげや町|かし》 ◑ 宝来屋平五郎 《割書:京町|二丁め》 ◑ 鶴本屋きく すみ丁 ◑ 尾張屋又十郎 《割書:京町|一丁め》 ◑ 金田屋万次郎 同二丁め  土橋角 ▲◑ 久喜万字や藤吉 《割書:江戸丁|二丁め》  御料理《割書:平清|口山》  佃新地分 ◑ 三河屋新三郎 すみ丁 ◑ 山屋いま 《割書:京町|一丁め》 ◑ 武蔵屋金三郎 同 ◑ 三喜屋しげ 同  江戸町川岸   小見世数軒 【左ページ四段目】   網打場       三日月長家  〇局見世 世つぎ長家 あり       三つ井長家   大うらの通り  〇局見世世つぎ長家 ◑ 小紅屋仙太郎 《割書:江戸丁|二丁め》 ◑ 大川屋源三郎 ふしみ丁 ◑ 木村屋新吉 《割書:あげや町|かし》 ◑ ゑびすや伊助 すみ丁 ◑ 丁子屋はつ 《割書:京町|二丁め》 ◑ 新わしをやゑつ 同一丁め ◑ 枡屋種次郎 《割書:あげや町|かし》 男芸者之部  都民中    萩江里八  岸沢松蔵   都六二  清元秀太夫  冨本松太夫  萩江幸三   萩江藤三郎  松山宮子   冨本新次  竹藤次    鳥羽屋小三次  林家鯉昇   各見崎徳三郎  宇治新口   十寸見和洲  清元政次   萩江露助  都文中    西川林蔵  常盤津静太夫 冨本仲太夫  田子七平   萩江千代作  菅野松次   清元巴満太夫  清元民太夫  鶴沢圭蔵  清元栄五郎 世話人  《割書:平野屋伝七|岸沢造酒蔵》 同添役  《割書:萩江佐吉|中村南甫》 同添役並 常盤津文禄 不許売買 〇ころは安政二年三月朔日 南風ことの外はげしくこじやりを とばすほどの悪風(あくふう)にてひと〳〵きゐの 思ひをなし日のいりよりおひ〳〵にしづまりおゝいに あんしんいたし候ところそのよ八つ時ごろよりまた〳〵 みなみ風/強(つよく)小あみ丁堀江丁辺より出火いたしその くわせいはやきこといだてんのごとくそれより ほり江丁小舟丁三丁め照ふり丁ほりどめすぎのもり 堀江六けん丁よし丁じん左衛門丁大坂丁ふきや丁 さかい丁新ざいもく丁/乗(のり)もの丁はせ川丁 とみざわ丁しん大坂丁田所丁人ぎやう丁 どうりのこらずすみよし丁高砂丁 いずみ丁なにわ丁夫より矢の くらへんむらまつ丁たち はな丁しほ丁よこ山丁四丁 やげんぼりよねざは丁どう ぼう丁よこ山どうぼう丁 よし川丁ばくろ丁四丁 浅くさ御門焼落 それより 下平右衛門ちょうおゝ だいちへんのこらず かや丁二丁かわら丁 /片側(かたかわ)迄よく日 二日/昼(ひる)八ツ時過にて やけどまる 焼落土蔵凡数六十八所 町数凡八拾三ケ町程也 【図中地名等左上から右下方向】 江戸橋 小あみ丁一丁め 同三丁め 同二丁め 小舟丁一丁め 同三 同二 ほりへ丁 大でんま丁 ほりどめ しんざひもく ふきや丁 よし丁 じん左エ門丁 やしき 二 同 はたご丁 のりもの丁 さかい丁 元大坂丁 ぎんざ 油丁 田所丁 はや川丁 いづみ丁 すみよし丁 やしき 人形丁通り 同 大坂丁 とみ沢丁 たかさご丁 なんは丁 同 ばくろ丁 同 同二 同 同三 同 同四 さちなだな 通塩丁 同 よこ山一 よこ山□□ な丁 くちば 久松丁 □□くら 同二 同 ばん□ 同三 とうばし丁 よね沢丁 あさくさ御門 やなぎばし 寺川丁 代ち 両国 下平右衛門丁 かや丁一 同二 瓦丁 第六天 大代地 上平右衛門丁 福井丁 天王丁 同 やしき 代地 御くらまえ通り 東 西 南 北ゝ 巳正月廿四日北風はけしく空ゆく雲の あし早く地はいさごを中天にふき上けあいろも わからぬ□からひる九つ半時ころあ□山六どう へんゟ出火いたし高なは迄やける横四五丁ま又十ニ三丁 あるいは三十丁たて一り半ほど此やけはrやけはらにこんきうの 人〻御たsたすけの御小屋をかけ日〻に 食じを下しをかれ候儀 ありかたきこと 申上るも をそれあり 御救小屋  場所附 赤羽根橋 中橋迄三 ヶ所□但し 《題:関東大地震《割書:并|》出火》 夫人として考なきは人にあらず江戸大地 しん大火と聞ては遠国之親兄弟諸親類の 嘆き悲み何斗りぞやこれ一時もはやく人々の 安危存亡をしらしむる一助たらんかと巨 細にしるす二頃は安政二年卯十月二日夜四つ すき西御丸下牧野備後守様本庄安芸守様 本多越中守様酒井右京様此辺之御屋 敷少々損じ松平下総守様焼る松平肥後守 様同向やしきやける松平伊賀守様内藤紀伊守様 松平玄蕃頭様少々損じ也八代すがしは松平相模 守様同添やしき火消やしき遠藤但馬守様 不残やける鍛治橋御門うち松平三河守様 鳥居丹波守様松平和泉守様松平能登 守様少々損しごふくばし内水野周防守様 松平丹後守様久世大和守様備前様少々 細川越中守様松平伊豆守様秋元 但馬守様てんそう御屋敷少々いたみなり 大名小路は阿部伊勢守様松平内蔵頭様 松平和泉守様織田兵部少輔様御やしき 少々つゝの損しなり日比谷御門内土井 大炊頭本多中務様松平右京様 長井遠江守様少々そんじ松平阿波守様 松平土佐守様牧野備後守様松平主殿頭様少々損じ 常盤ばし内松平越前守様夏目左近将監様 間部様太田様小笠原様酒井左衛門様一ツ橋様少々也 山下御門内松平肥前守様阿部播磨守様松平大膳 太夫様御やしき損じる外桜田ハ上杉弾正大弼様板倉 周防守様大岡越前守様大久保駿河守様石川近江 守様西尾隠岐守様相馬大膳亮様少々損し阿部因幡 守様水野出羽守様小笠原佐渡守様北条美濃守様 松平伯耆守様三浦志摩守様少々そんじ霞ヶ 関長田馬場山王辺少々いたみ幸橋御門内松平 時之助様薩摩将束やしき鍋島加賀守様少々 有馬備後守様丹羽長門守様少々あたらし橋内 亀井隠岐守様真田信濃守様少々のそんじ 愛宕下辺は増上寺芝三田辺田丁高輪品川 此へん少々是より南之万は川崎宿大あらひ 宿中少々やける神奈川宿少々損しなり 一新吉原五丁町大ひ二崩れ京町より出火 にてくるは内不残焼る又一口は小塚原やける也 千住宿少々いたみ其外田まち辺聖天丁芝居 町三丁やける役者しん道かた側のこる浅草観音 境内は少々の損じ駒形丁すは丁黒舟丁焼 並木通門跡前此辺そんし少くあべ川町少々 やけるしんほりばたほつた原辺御蔵前 どふり茅丁少々いたみ又一口は下谷辺 上野町壱丁め辺より広小路半かはどふり 長者町石川主殿様黒田様井上様小笠 原様やける千だん木だんご坂此辺少々谷中 根津少々の損し本郷辺は湯しま少々焼る 菊坂駒込辺白山板はし少々いたみ扨又 筋かへうち神田須田丁辺今川はし通少々損じ 十軒店むろまち日本はしとふり少々のそんじ 南伝馬丁二丁目三丁目南鍛冶丁五郎兵へ丁大工 丁具足丁畳丁柳丁ときは丁鈴木丁しら魚 やしき大根がし竹がし辺迄横立十文じ焼るなり 本八丁ほり鉄ほうづ築地へん少々のいたみ つくだ島少しやける八丁ぼりへんはかく別のことなし 灵かんじま南しんほり大川ばた少しやける 永代ばし少々そんじ深川あい川丁富吉丁 中しま丁北がは丁大しま丁はまぐり丁くろ井丁 さいねん寺やぐら下永代寺門前やける八幡宮 本社別条なく寺内少々損じ三十三軒堂 少々いたみ高はしときは丁八名川丁六けんほり 大はしきは迄くづれ本所たて川通石原林丁 津軽様御中やしきみとり丁のこらすやけるなり 西の方小川町へんより出火にて飯田町近へん迄 やける小石川辺は松平讃岐守様少々崩れ岩城 雅五郎様御やしき崩れ其外大小名少々損じ 四ツ谷赤坂かうじ町辺青やまあざぶ辺少々そんじ 前代聞未の大ぢしん然れ共御城内無別条なし 御江戸五里四方の損し大方ならす漸々三日夜しづまる 諸人安堵のおもひとなしぬ目出度し〳〵 一御公儀様より御憐愍以て 貧民野宿之者へ御救ため 幸橋御門外深川海辺大 工丁浅草広小路右三ヶ所 九軒に七十一軒之御小屋を健【建】          御上様 御仁恵御徳沢餘慶 奉仰実に難有事共也 一江戸町数五千七百廿三丁右は土蔵〆 十一万三千二百八十余神社仏閣損棄 【図中文】 動に  なき 御代乃  栄を増神へ かけてそいのる  伊勢のかみ垣 下谷 広小ぢ 出火 大半 崩 本郷 竹丁 御が をふり 少々 つゝ六 所の 出火 あべ川丁 少々 出火 すは丁 出火 このへん 少し そん じる 家ら 少し そん しる このへん 出火 【枠外】 慶長以来 【番付中軸から翻刻】  /聖代要廼盤壽惠(ゆるがぬみよかなめのいしずゑ)  當    五街道筋        安政二乙卯          差 《割書:元|禄》京都大雷 勧 愛宕神社 十月二日夜  江戸大地震大火   《割書:嘉|永》江戸大雷 進 四ツ時半より         添 《割書:万|治》大坂大雷 要 鹿嶋太神宮  司    近在近郷 【右一段目】 大火方 大関 《割書:明暦三|》  丸山本妙寺出火 関脇 《割書:明和九|》  目黒行人坂出火 小結 《割書:文化三|》  高輪牛町出火 前頭 《割書:文政十二|》 和泉橋際出火 前頭 《割書:天保五二|》 佐久間町二丁目出火 前頭 《割書:弘化四|》  本郷丸山出火 前頭 《割書:嘉永三|》  麹町より出火 前頭 《割書:弘化三|》  青山より出火 【右二段目】 前頭 《割書:享和九|》  江戸大火 前頭 《割書:寛政四|》  糀町出火 前頭 《割書:寛文元|》  京都大火 前頭 《割書:享保九|》  大坂大火 前頭 《割書:安永元|》  江戸大火 前頭 《割書:天明八|》  京都大火 前頭 《割書:安永七|》  江戸大火 前頭 《割書:天和元|》  江戸大火 前頭 《割書:寛政五|》  根津出火 前頭 《割書:羡應|》   京都大火 前頭 《割書:廿和六|》  京都大火 前頭 《割書:安政元|》  神田出火 【右三段目】 同  《割書:寛文元|》  京都大火 同  《割書:享保九|》  江戸大火 同  《割書:安永元|》  江戸大火 同  《割書:天保五|》  江戸大火 同  《割書:天保二|》  江戸大火 同  《割書:安政元|》  江戸大火 同  《割書:寛文四|》  江戸大火 同  《割書:安政元|》  中山道筋大火 同  《割書:同|》    東海道筋大火 同  《割書:同|》    宇都宮大火 同  《割書:同|》    大坂大火 同  《割書:寛政|》   南都大火 同  《割書:同|》    中国大火 【右四段目】 洪水部 大関 《割書:延宝四|》  諸国大洪水 関脇 《割書:宝永三|》  中国大洪水 小結 《割書:文政五|》  関東大洪水 前頭 《割書:享保二|》  長崎大洪水 前頭 《割書:享和二|》  関東大洪水 前頭 《割書:弘化四|》  関東大洪水 前頭 《割書:宝暦七|》  関東大洪水 前頭 《割書:寛保元|》  関東大洪水 前頭 《割書:享保十三|》  関東大洪水 前頭 《割書:寛延二|》  江戸大洪水 前頭 《割書:天和三|》  江戸大洪水 前頭 《割書:文化五|》  関東大洪水 【左一段目】 地震方 大関 《割書:文政十一|》 越後大地震 関脇 《割書:弘化四|》  信濃大地震 小結 《割書:元禄十六|》 関八州大地震 前頭 《割書:嘉永元|》  小田原大地震 前頭 《割書:寛永四二|》 関東大地震 前頭 《割書:寛政十|》  小田原大地震 前頭 《割書:天明二|》  関東大地震 前頭 《割書:安政元|》  大坂大地震 【左二段目】 前頭 《割書:天和三|》  日光大地震 前頭 《割書:寛政十|》  京師大地震 前頭 《割書:文化九|》  関東大地震 前頭 《割書:安政元|》  摂州大地震 前頭 《割書:同年|》   駿河大地震 前頭 《割書:同年|》   遠州大地震 前頭 《割書:同年|》   甲斐大地震 前頭 《割書:安政元|》  信州大地震 前頭 《割書:同年|》   三河大地震 前頭 《割書:同年|》   紀州大地震 前頭 《割書:同年|》   土佐大地震 前頭 《割書:同年|》   播州大地震 【左三段目】 同  《割書:安政二|》  行徳大地震 同  《割書:同|》    舩橋大地震 同  《割書:同|》    神奈川大地震 同  《割書:安政元|》  阿波大地震 同  《割書:同|》    伊予大地震 同  《割書:安政二|》  中山道筋地震 同  《割書:同|》    東海道筋地震 同  《割書:同|》    水街道大地震 同  《割書:同|》    日光道中地震 同  《割書:同|》    下総大地震 同  《割書:同|》    上総大地震 同  《割書:同|》    青梅道大地震 同  《割書:同|》    秩父大地震 【左四段目】 津浪部 大関 《割書:文化元|》  奥州大津浪 関脇 《割書:同|》    出羽大津浪 小結 《割書:寛保|》   松前大津浪 前頭 《割書:安政元|》  豆州大津浪 前頭 《割書:同|》    駿州大津浪 前頭 《割書:同|》    摂州大津浪 前頭 《割書:同|》    紀州大津浪 前頭 《割書:同|》    土州大津浪 前頭 《割書:同|》    播州大津浪 前頭 《割書:同|》    阿州大津浪 前頭 《割書:同|》    泉州大津浪 前頭 《割書:同|》    勢州大津浪 【枠外左下】 禁買  不箭堂蔵板 【白紙】 【白紙】 【白紙】 【白紙】 【白紙】 【裏表紙】