通人為真似　全 ここにてんぐなかまのきん〳〵に　はなたかやのとび 八といふものつくば山　より　くらまへつかひ にゆき　ける　みちにて　けい　しやの にしきへを　みてうつゝを　ぬかし そらへま　き上ける 【童子の台詞】 アレ〳〵 ゑが とぶ は 〳〵 【童子の下】 わらんへとも【わらんべども？】 にしき ゑ をもち あそび ゐけるに 中 にもげい しやの ゑばかり 風につれて こくうに あがる 【天狗の台詞】 さてもうつくしい ゑだ 【天狗の左へ続く】 この やふ な おんな も あるか 【下のほうへ続く】 しらん 【右ページ中ほど天狗の上】 それより飛八かの けいしやの風ぞく をみて 思ひいや ましなに とぞかの げいしや のいみを さくりみん と思ひね の 【右ページ上へ続く】 ゆめにいきちよ人【町人？】【いきちょん、当時流行の髪形か】 のすかたとなり すくに起居する 方へはりに行 【天狗の下】 ゴウ〳〵 〳〵 【左ページ天狗の夢】 アゝさても はれ〴〵しい けしきだ おれもこふ出【お？】【おっ立った？】 たつた処はこうらいやに【高麗屋に】 中車門之助【市川中車、市川門之助】をひり【はり？】なん【とん？】 だいろおとこだはヱ【だ、色男だはヱ】 これより高はしやか まんそうとなる【これより高橋屋がまんぞうとなる】 【高麗屋は歌舞伎役者の屋号で三代目市川高麗蔵(別名を鼻高幸四郎)。中車は三代目市川八百蔵(市川中車)。門之助は二代目市川門之助 。全員写楽の絵にもあり、大変な人気役者だったそうです。】 それより 飛八はきん〳〵【欣欣＝江戸の流行語・立派・羽振りの良い】 のむすこ高 はしやのまんこう とへんじ漸花町【ようやく花町】 へゆきあそここゝと たん〳〵こゝろやすくなり ていつとなくけいしやども のうちへはりに行やふになり けれとも天ぐかたき【天狗気質】にてこうまん【高慢】ばかり 【右ページ下】 いふゆへげいしやともこれ をにくみけるぞぜひなき また まん さん が ひさ しい もんだ ねエ【ヱ？】 【左ページ】 おらァどふもおもてを あるくとおんなとも が気をつけて ならねヱ よ 【縞の羽織の男の名前・後から筆で書込みか？】 かま□□ 【※印の羽織の男の名前・後から筆で書込みか？】 飛八 【左ページ下】 ぬしの事 なら そふで あろふ ヱゝモ まんさん よしねヱな いけすかねヱ そふゆふところは 当せい ははやりやせねヱ 　　　　　　　ヨ 【簾の前の女性の左右に筆で】 □□□ そん太□□ 【右ページ下】 中に この ころ の は やり 子にてちんたみとて ありけりいつそやうん中【何時ぞや雲中】 にてまきあけ　たるゑ【にて巻き上げたる絵】 にすんふん　ちかわぬ【寸分違わぬ】 ゆへこらへ　かねて く とく【口説く】 この ちく しや う ま て つらも したか 【左ページ】 ぐわんらいこのお民 ちんをすきて かひけるゆへ 世の人このげい しやの事を ちんたみ 〳〵 とよびける をや〳〵まんさんが たみさんをころばせふ とはあきれてものがいわつき もめんでぢぶとなことだその くせじやしのねヱくせに 【障子から覗く女性の右に筆で】 とに コレたみぼう そふむごふ した ものじやァ ねヱぜヱ ちんほへかゝる わん〳〵〳〵 まんそうみてはらたてる どふれて【道理で、「れ」ママ】おれにやァつらく あたやりやァがつたけちいま 〳〵しいときよくらくき どりで是からかたき やくとでよふ こゝにはりてのなか にもこはいろなそ つかふきち次といふ いろおとこありける がちん　たみわ この　いろ お　とこ に　ふかく なり　てけふ も　また きた　り ける　ゆへ おも　いれ を　いちや【おもいれを、ママ】 つき　ける コレきち次さんこの ころは　すきとお いでが　な　いの なんぞ　外 におも　しろ 　　　　くろ 　　　　と 　　　　なつ 　　　　て 　　　　いな 　　　　さん 　　　　しやう 【右ページ障子に墨で】 いまし□ 【左ページ】 また やき　印か なんの　おれが　きを しらね　ヱか 　　　　　やふ 　　　　　　に そのうへ椹次【橘次＝きち次？】と民が なかのいちやつき ふみをひろひ なを〳〵 ざんねんがる なんでもあヱつらァ あすやかたてまつさきへ ゆくといふふみだおれが じゆつをもつて大かぜを いだしあヱつらか舟 のじやまそれに行 【左ページ上】 あくる日 はちんた みきち 次はいゝ あわせの とをり やかたにて まつさきに ゆきけるに ひるぢぶん よりたいふう をこりさん〴〵の 大なみにて とうもならず それよりよふ〳〵 きのいねやに つけて さわぎ ける 【舟の右】 これは とんた れ　□ 【舟の上】 たい ふうだ はやく かしへ つけ たひ 【右ページ上】 両人二かい にて いちやつき くろふ【？】 【右ページ下から左ページへ】 かくてまんこう【まんぞう】はさだ めてけふはかぜにて あヱつらはかはでくた【あヱつら、ママ】 ばつたろうと思ひ ぶら〳〵やうすをみに まつさきへゆきけれは きのいねや【甲子屋】にてきち次が こはいろにてちんたみ がさみせん にてきやく をもつてい それのみ よらず橘 次【きち次】とちん民と 二かいにての くるふのをみて なを〳〵あつく なる 【ちん民と二階でいちゃついているのはきち次。外から様子を見ているのはまんぞう】 【左ページ男の左】 あヱつはきちと ころびやァがる そふだ【「そふざ」に見える】 それよりまんこうはかん にんならずとすくにふん ごみはらたちまきれ にいろ〳〵ととんちき をいふてついにけん くわになりおふきに【大きに】 ふくれる 【右ページ上の台詞】 あいては大せい われはひ とりそ さん〳〵の めにあい 【右ページ下の台詞】 これからはあヱつらを とりこ【く？一字あるようですが】ろさんと おもひたつぞ 【左ページ下の台詞】 おそろ しき なん ても うぬ ら たゞ あ おか ぬ 【左ページ上の台詞】 おきやァ かれへ このとん ちき やろふ 　　め とふでも して み ろ まいよ〳〵ちんたみかうちへ いろ〳〵のへんげいでゝ なやましける いつたひか 天ぐ【天狗】のせひなれ 　　　　　は ひとつのが ぐひん〳〵と なけばまた ひとつのが ときん〳〵となく 【下へ】 おや〳〵 どふ しやふ の おつか ない ものだ かゝさん【お母さんの意】 〳〵 【左ページ】 みな〳〵いろ〳〵 とすれとも ひをおつてさわに【き？　騒ぎ】 つよくなり けれはいまは しんりき ならでか なふましと まつ きんじよ なれは やげんほりの ふとうそんへ ちんたみがおや みち兵へ【みち兵衛】は百 とまいりをそ しける【百度参りをぞしける】 し□□におく□ はんやは【？】ん はりに かのは けもの ともいてきたりて すてにあやうく みへしにやけんほり のふとうのかた 　　　　　　より このひかりさすと ひとしくたみかうち のかへ【壁】に春章【勝川春章】か画かき しふさま【？　絵は歌舞伎の「暫」】のゑぬけいて はけものをさん〳〵 おつちらす【おっ散らす＝追い散らす】 【……が書いた××の絵が抜け出て化物をさんざん追い散らす】 【右ページ中ほど】 これもふそう【ふそう or ふそし にしか見えない。意味的には不動でないとおかしい】 さまのおかけ 【右ページ下】 おそろ しや 〳〵 おや〳〵 ふしき な事 た あの き【？】めゑ か出た は 【左ページ】 せりふ 当世見番艮席芸（とうせいけんばんこんせきげい） 道しいのこかけやしゆ【？】 ひのまつ【川？】大川ばし をこぎはなれ まつさきかけて日は めぐりやかさい太郎【葛西太郎、川魚料理屋】が 名代のこひ魚と情とたて【鯉魚・ドジョウを別の言葉とかけている】 ひきとみすしのいとのちり とつてんてん〳〵まいする ばけものめらおのれ いのちの三下り　われら　かしうちの【我等が仕打ちの】 大さつま【大薩摩節、荒事の伴奏音楽】 いでもの みせん と いふまゝ に 【壁のおふだ】 春□【春章と書いたつもりであろう】 飛八はむせうにかの すかたをほ□て少し まとろみしにかやうなる ゆめをみけるまことにこの 市川のゑにおひやかされ けるかはてさて市川衆の あら事はき　ついかまた 勝川のゑも　すごひ ものにな 　　つた 　　　　と てんくまてか おそろし がられます 【下へ】 とんとこの ゑにおひや かされておん ひ出した ひきやくか【飛脚が】 おそく なつた くふまく【？　行き先は「くらま」】 行ませふ ちよん〳〵 かつち 　　　〳〵 またこのあとは は□□ 　　　〳〵