《割書：金｜時》狸の土産（いへつと）　上　【屋号紋、丸の中に村】 【金時狸の土産／きんときたぬきのいえづと／たぬきのいえずと／たぬきのみやげ／鳥居清経画】 さかたの金時 □のいくさに □路をあるい 【一行蔵書印に重なって読めず】 いくさにつかれしはしまと ろむ一すいにはくはつたるおき なつげてのたまわくぜんざい〳〵 われはもろこしのこうせき公【黄石公】なり なんじか くんこう めい〳〵 たればこれより ひかしにあたつてかさものとな つけし松の大木あり此下 に千年こうをこせしめいてつ ありこれをおりてめいけんと なさは天下ぶそうの一ふり ならんとおしへ給ふ このしよを ひらき てからをせよ金時 【挿し絵で黄石公が巻き物を投げ落としている】 ■しの しきう こと 　〳〵 くう 　ち 　　と 　　り きん時 まど ろむ おしへにまかせ あづまのかたへ たつねきたり かさもの のまつ のもとを 人ふ【人夫】を あつめ うか ち みれ はとし ひさし 　　　き ちや かまを ほり出す ちやかまにつば さはへこくうに まいあかり 【金時の台詞】 どりやあな せんぎに おれか 　　いこう こしやくなかまいま■■【汚れかもしれない】 ふみくたいてみ 　　　　　　しやう 【人夫の？台詞】 アヽ此あなはどこ まてもぬけて いるそうな アヽ ちやかまか とひてた 【左ページ本文】 さかたの金 ときちやかまをほりいたし たるあないつくまても ぬけいるやらんと すぐにとひこみ ゆくさきしらす せんぎに 　　　ゆく 【左ページ人足の台詞】 きんとき様てもこれはこわもの よしになされませうこれが 　　ほんのとんたちやかまた くたひれた 　■は■に ■■■■ 【金時の台詞】 アノ山のいた たきにやしき みゆるさらは まいろうか さてははけものゝすみ かなりわれもむしや しゆきやうのため おいれ？のかく 　　　　　　　もん にはけもの けいこと でかきやう 【挿し絵、穴の説明】 ほらのぬけ 　　　　あな 【本文】 さか田の金時せん□【せんぎ】せんとあなへとひ こみゆくほとに火山のふも□【ふもと？】 へ出しにまん〳〵たる川 ありかたへにとひこし のまつといふしるし 　　　　　　あり 【左ページ】 むかし此所にぶん ふくしといゝし 寺ありいまは ころうのすみかと 　　　　　　　なる 【挿し絵の説明】 ぶんぶく 　　　じ 　　　　の 　　　あと ばけ物 けいこ 　　所 とびこしのまつ みぬけ 川 さても金時ぶんぶく寺入てみれば か？うへきやふれて風らうくも【？】 し？のきかたきすみはてたる【？】 ふるてらなり 【金時の台詞】 ハア 何や ら はな すは 　〳〵 【左ページ本文】 此寺の大■【大物？】 ぶんぶくじ たぬき年 久しくあるし となりはけ ものゝせん生とて でしとも あまた あつまる こゝに やくわん のたゆふあつゆ 此所へ仲間に入 いたりしがけ？ん？ ちや かま の ゆ く へた つね出 さん と 【化物たちの台詞】 ぶんぶくどのちや かまかなふては 力を と し た 【やかんの台詞】 やくわん どうこ なをし【薬缶銅壺直し＝鋳掛け屋】 をた の ま にや なら ぬ あいた 〳〵 　　はなし 給へはな をつかま れてはくしやみ もでぬ 【金時の台詞】 おれもはけ ものゝなかま 　　　　いりだ 【金時が手にしている物の文字】 大神宮 【本文】 かくてきんときはしやうしけ はなしとんていり ちやかまのかはりに やくわんをしめ んとあれにあれ てそたつたり 　　　　ける 【一つ目の台詞、下半分が消えているかもしれない】 こうふまれては 一がん二さそく？も できぬ 【左ページ本文】 きん時 は天しやう 大神宮の はらいにて はらいけれは ふたまたも おそれ 　　わなゝく ふたまたねこつめをとぎ たてまなこをいからし みちんになさん 　　　　　と 　　　　　とん 　　　　　て 　　　　　かゝる 【ふたまた＝猫又の顎の下に台詞】 くぶう【？】 にやあん【鳴き声か】 　　くりかえし 【本文つづき】 きつねはこさかしく此所を□け さりけれはのこるばけものと□ 　　　　　　　みな〳〵した 　　　　　　　　　かつ□□□ 【狸の台詞】 これ 　から 　　われらが 　　でかけてみ 　　　　　　よふ この国へきん時 きては一国の そうとうと□□ だましてかへす かよかろう 【一つ目の台詞】 なか〳〵われ〳〵か 手てはまいらぬ 先生てなくは まいるまい いにしへはけたる ちやがまにけをは□【や？】してきんときを あさむき□□□きのじゆつをみなにも 　　　　　　　　　　　　　　　みせよう とふぞやくわんをとりかへしたいもの 【コマ11でぶんぶく茶釜に毛が生えたとある】 【上巻の終わり、次コマより下巻】 《割書：金｜時》狸（たぬき）の土産（いへづと）　下　【屋号紋丸に村】 さかたの金時はけもの あまたおいちらしこゝかしこ たつぬるおりからおもはず びゞしきやしろのまへにいて おせんかゑんしよくに まよふ そなたのなはなに【ここから金時の台詞】 といふ いろことは はつもの じや 【おせんの台詞】 アイわたしやおせんと 　いふわひなおまへは つよ そう なよい とのこ しやヲヽ 　　　はつ【汚れで不明瞭】 　　　　かし【右に同じ】 きんときおせんかおしへにまかせもときしみちに かへらんとせし　にそのたけ三？丈？あまり のちやがまありさては はけものとものしはさ ならんとはしこをかけ てうちをせんき し けれは また 〳〵 はけものども 大せいかく れゐる 【左ページ本文】 たぬきは あまたの てしたを ちやかまの うちへかくし せをひて 金とき をたは かりしに また〳〵 みあら わさるゝ ぶんぶくちやかまにけか はへたはへたら大じか？ 　　　　　　すつてやれ 【これも狸の台詞か？】 きんてはなくて【金ではなくて】 おら？かなまて せいもん【？】くろ かねのたて【黒鉄の盾？】 　　　　た 【狸、金玉を広げてかぶせながら】 さあかふせて くりよふ 【本文】 たぬきちやかま をさん〳〵にうた れはけものとも のこらすおい出され いまはかなはしと 　　　　　　おもひ おいへのおく の手【御家の奥の手】きんたまに てすかたを かくす 【左ページ本文】 きん時茶かま をうちこらし たぬきをしめんと かさもりおせんきつね きんときにほれ いろ〳〵とたば 　　　　かる 金時さん いきつき おちや のま しやん□【せ？】 たゝ□つきについて くりやう きん時 　おせん 　をよ 　　めに もら 　　ふ きん時あまたのばけものたいしあまつさへたつねしちやかまおせん かくしおきしかせひなく出しこうさんする おせんをよめに【ここから茶釜か狸の台詞】 つかはします 　　しるしに みな〳〵 　　さし 　　　上る 【茶釜の台詞】 このきんちやくはとしふる たぬきのきんのかは なにそぐんようにも なりましようか ちやかまあやまる【ここから本文】 きんのほし かわこれ より きん ちや くと いふ ちやかま【の台詞】 　ひよつどとびまして 　せけんへうきなをたて 　られました此うへは 　おほしめししだいになり 　ませうやくわんどう 　せんにおたのみ申ます 　此ごおんみつにはいだ 　　　　　しませぬ 【鼓（つづみ）の絵の説明】 たぬきの はらつゝ 　　　み たぬきも かなはしとか うさんする このつゝみは【ここより狸の台詞】 はらかはにて はりたて ました よくね か出ます ゆめのつけ【夢の告げ】なれはちやかまを きみへ奉り□かく□んしの たからとせんまつた神に □□□とつて 【一行かすれで読めず】 かいして ちや かま を 　くる まに のせ かへる 【金時をかついでいる化物の台詞】 これやたかてんぐる まきん とき様 のてん くるま□ お□て かつてん じや ヱイやるぞへさらは□□ らて□ いしゆ たの□ ます ちやかまはしや わせ もの じや さか田金時本こくに立かへり いけとりしちやかまをすなはち くわんじやうし奉るいまかさ もりにおさ 　まり なかく神れい をあをく 　　なりせんじゆのちやかまは 　　　　　このわかれなり 【鳥居の扁額】 飛田茶釜 　　坂田金時拝書 鳥居清経画 【左ページ手書きで】 のし進上 本町三ぞうはん【蔵板】 　　　　　　元より 萩野伊三郎様 ひいき 【裏表紙】