地震( しん)鞠(まり)うた 一ツとや 一ツ目二ツめ三ツめ子蔵(こぞう)ばけものが         うそでないぞや本所(ほんじやう)へいでるとさ 二ツとや 二日の夜(よる)のなきごゑやたのむこゑ        ミヽいはめをとやおやこづれなさけなや 三ツとや  三座(さんさ) 芝居(しばゐ)のごひゐきもそでのつゆ        かほみせないとはくちをしやまちかねる 四つとや よし原 女(ぢよう)郎しゆは 出(で)まごつくむりもない         火(ひ)の仲(なか) の丁(てう)でつゝまれてともにしぬ 五ツとや いつかかしまのかなめ石(いし)ゆるんでか         神(かみ)なし月じやとあなどつてにくらしや 六ツとや むしやうにゆりくるそのたびにとんでいで        よくとくはなれて青(あを)いかほこはらしい 七ツとや なむあみだぶつといふ間(ま)さへあればこそ        ゆめではあらぬか死出(しで)のたびうかまれぬ 八ツとや やけてゐどこにまよふ人おほければ        おかみのおじひで小やがたつありがたや 九ツとや くやんでかへらぬ事ながら金をかけ        おくらをふるつていはれますうまらない 十ツ【ヲでは】とや とうと世(せ)かいも入(いり)おふてゆづふよく       〔こがねの御代(みよ)でまはりよくくらせます〕【文字切れをしている二十二行目は他資料より追記】