【表紙】 【題箋】 (五十一) 《題:牛痘問答》 【蔵書ラベル】 キ-33 牛痘問答 問曰/昔(むかし)より伝(つたハ)りたる種(うゑ)痘(ほうそう)と今の牛痘(うゑほうそう)とハ違(ちが)ひ候や 答曰/昔(むかし)より伝(つた)へたるハ良性(たちよき)の天花(ほうそう)の痂(ふた)を取(とり)て小児(こども)の 鼻(はな)又ハ臂(ひぢ)より種(うゑ)て惣身(そうしん)に痘(ほうそう)を発(はつ)せしむる法(ほう)にて只(たゞ)痘(ほうそう) の性(たち)を善(よく)するのミにて痘(ほうそう)を軽(かろ)くする事あたハず故(ゆゑ)に 多(おほ)くの内(うち)にハ死(し)ぬる者(もの)も有(あり)後(よ)難(どく)を遺(のこ)す者(もの)も有(あり)しなり 牛痘(いまのうゑほうそう)ハ西洋(おらんだ)にて稀(まれ)に牛(うし)に発(はつ)する一種(めづらしき)の痘(ほうそう)にて《割書:牛の常|の痘に》 《割書:ハ非ず西洋にてハ人の痘を|も五に差別することなり》其(その)痘(ほうそう)の性(たち)天花(はやりほうそう)に斉(ひとし)くして 其(その)毒(どく)ハ薄(うす)き故(ゆゑ)に同(おなじ)く小児(こども)に種(うゑ)ても其(その)種(うゑ)たる処(ところ)に出(いで)て 【右丁】 面(かほ)ハ勿論(もちろん)惣身(そうしん)にハ出(いで)ず患苦(なんぎ)も少(すくな)く餘毒(よどく)も残(のこ)さず外(ほか)の 人(ひと)にも染(うつ)らず天花(ほうそう)の経(すミ)たる人(ひと)にハ幾度(いくたび)種(うゑ)ても出(いで)ず誠(まこと) に無上(このうへもなき)良法(よきほう)故(ゆゑ)万國(ばんこく)残(のこ)る所(ところ)なく一時(いちじ)に弘(ひろま)りたるなり只(たゞ) 皇國(につぽん)ばかりハ未(いまだ)傳(つたは)らざりし故(ゆゑ)に是迠(これまで)蘭人(おらんだじん)も幾度(いくたび)も持(もち) 渡(わたり)けれ共(ども)海上(かいしやう)遠(とほ)き故(ゆゑ)に途中(とちう)にて□(そこな)ひ用(ま)にあはず去(いにし)申(さるの)