【右丁】 左京(さきやうの)大夫(たいふ)      顕輔(あきすけ) 秋風(あきかぜ)に たな  ひく   雲(くも)の 絶(たへ)  まより もれ出(いづ)る月(つき)の  影のさやけさ 【左丁】    七十九番 此心は秋かせのくもをところ〳〵ふき はらしたるより月のかげのさし出 たるはせい天のけしきより一【ひと】しほ あきらかにおもはるゝと也さして おもしろき事もなきやう なれともありのまゝに よみいてたるところよせい【「余情」に同じ。「せい」は「情」の漢音。言外にただよう豊かな情趣。】 ありておもしろき哥也 【画面左側】 一陽斎  豊国【國】画